【原ゆみこのマドリッド】誰も脱落したくない…
2016.04.23 14:10 Sat
▽「2年前の二の舞にならないといいけど」そんな風に私が眉をしかめていたのは金曜日。アスレティク戦の10分にまたしても太ももを痛めたゴディンのケガの程度判明、全治10~15日でCL準決勝2ndレグでの復帰を目指すと聞いた時のことでした。いやあ、もちろん相手は天下のバイエルン、攻撃陣もレヴァンドフスキを筆頭に、ミュラー、ビダル、と怖い選手ばかりなので、経験豊富な彼には絶対いてほしいんですけどね。そんな折、つい思い出してしまったのは現在、チェルシーでプレーしているジエゴ・コスタ。
▽そう、アトレティコが決勝でお隣さんを下し、初めてのCL優勝杯を挙げるのにあと1分まで迫った2013-14シーズン。彼らがそんな高みにたどり着くのに大貢献したCFですが、今季同様、CL準々決勝バルサ戦1stレグでケガをしてからはドタキャン続き。リーガでもバルサとの直接対決となった最終戦で16分にダウン。それでもゴディンが同点ゴールを決め、何とか優勝が決まってくれたから良かったんですけどね。1週間後のCL決勝でもシメオネ監督がコスタに賭けたところ、またしても9分にケガが再発して交代を余儀なくされることに。
▽そんな前例もありますし、今回のゴディンの負傷もCLベスト16のPSV戦2ndレグに痛めたのと同じ右太もも裏となれば、あまり急いで出て来ると、ホントにホントの優勝を決める試合でコスタみたいになりかねない? うーん、まだ先週水曜日のバルサとのCL準々決勝2ndレグでルイス・スアレスにcodazo(コダソ/肘打ち)を喰らい、なかなか右目の青痣が取れないにも関わらず、ウルグアイ代表の同僚を「彼とは友達だし、試合後は挨拶もした。互いに自分のチームのために全力で戦っていれば、lo del ojo son cosas del fútbol que pueden pasar/ロ・デル・オホ・ソン・コーサス・デル・フトボル・ケ・プエデン・パサール(目のことはサッカーでは起こりうること)」と、ツイッターでちゃんとフォローしてあげる男気を見せていた彼ですからね。このリハビリ期間には太ももだけでなく、顔もキレイに治って復帰してくれるといいのですが。
▽まあ、それはともかく、結局、リーガの優勝戦線はまったく動かなかったこの水曜日のミッドウィーク開催節がどうだったかお話しておかないと。実際、その日には上位3チームのみならず、残留を争っている弟分チーム、ラージョの試合もあったため、私も心臓のドキドキが止まらない4時間になったんですが…。まず午後8時45分からのアスレティックvsアトレティコ戦を見るため入った近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)のTVでは、すでに首位のバルサがルイス・スアレスの2ゴールでデポルティボに0-2とリード中。いえ、別に逆のスコアを期待していた訳じゃないんですけどね。これからピッチに出るアトレティコの選手たちにとってはちょっと残念だったかも。
▽おまけにリアソル(デポルティボのホーム)での試合がハーフに入るやいなや、バルのcamarero(カマレロ/ウェイター)がチャンネルを変えてくれたサン・マメス(アスレティックのホーム)の方は最初に言った通り、序盤にゴディンの負傷交代があって、不安感も半端なかったんですが、その後ですよ。ラキティッチ、更にスアレス×2とバルサのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)情報が入りだし、その間、アトレティコがロクロク攻撃もできてない有様では時間が来て、サンティアゴ・ベルナベウに向かうため、お店を出なければならなかった私がどんなに後ろ髪引かれる思いをしたことか。
▽そして私がビジャレアル戦のキックオフ寸前にベルナベウのスタンドに滑り込んだ時にはすでにバルサは0-8で試合を終了。ここ4試合の不調は何だったんだというような大勝をしていただけでなく、スアレスが1人で4得点もして、その試合前には5本もあったpichichi(ピチチ/得点王)レース、トップのクリスチアーノ・ロナウドとの差をたった1本に縮めていたため、レアル・マドリーもこの日は首位との差を広げないことしかできないことは承知していましたしね。それだけに尚更、ロナウドのゴール上積みに期待が懸かったんですが…。
▽うーん、前節のヘタフェ戦でもそうでしたが、先週のCL準々決勝、逆転が必要だったボルスフグルク戦2ndレグ前にジダン監督が強調していた、落ち着いてプレーというのが習慣になってしまったんですかね。来週木曜日にはリバプールとのヨーロッパリーグ準決勝1stレグを控え、体力気力を温存しようというのか、組織的に守ることだけに専念していた敵のせいもあったんでしょうが、マドリーの先制点は40分まで入らず。まあ、ラジオとスマホにかじりつき、アトレティコが後半の残り時間、自陣エリア付近に追い詰められ、アスレティックの猛攻撃を必死でかわしている様子に生きた心地もしなかった私には丁度、良かったんですが、先にガッカリさせてくれたのはラージョでした。
▽ええ、アトレティコと同じ時間帯にマラガ戦をプレーしていた彼らは62分、エンバルバの放ったシュートがバエナに当たり、GKオチョアを破ってから、ずっと0-1でリードしていたんですが、終了間際にリカのゴールが決まって1-1に。マドリーが35分頃にはどちらもスコアに変化のないままで試合が終わります。それがどうしたことか、アトレティコの0-1の勝利にホッとする間もなく、入れ替わりのように動いたのが、目の前のピッチの情勢で40分にはとうとう、ロナウドのシュートをGKアセンホが弾いたところ、そのボールをベンゼマが頭でネットへ。はい、これでまた、34節開始前と同じ状態に順位表は戻りました。
▽そして68分にはベンゼマとのワンツーを経て、ルーカス・バスケスが2点目を決め、日曜日にスペイン・オープンの見学ついでにカディス(スペイン南西部)にある名門ゴルフコースを梯子、2ラウンド36ホールをプレーしたため、ヘタフェ戦での筋肉痛が治りきらず、この試合を欠場したベイルの代役を立派に果たしてみせます。さらに75分にはダニーロのクロスにモドリッチがタイミングバッチリの飛び込みで3点目を追加し、あとはロナウド待ちとなったところ…。
▽どうもこの日の彼はツイていませんでしたね。敵と揉み合った際にユニフォームを破かれ、着替えようとラインの外に出たものの、用具係に渡されたのは大きさが同じぐらいなんでしょうか。何故かセルヒオ・ラモスのシャツで、着る前に気づいたから良かったようなものの、知らずにそれを着て戻ったりしていたら、先週日曜日のセルタ戦で同僚のポルティージョのユニを、当人が交代でピッチに出るまで平気で着てプレーしていたベティスのブルーノと同じになっちゃいますって。その上、次に用具係が持ってきたのは彼が滅多に着ない半袖のユニって、うーん、マドリーの裏方、かなり査定に響くミスしていない?
▽実際、スコアが競っている時の出来事だったら、非難も轟々なんでしょうが、幸いこの日のビジャレアルはほとんど反撃という概念を持たず。ロナウドもとりあえず、嫌いな半袖ユニを着てピッチに戻り、お目当てのマイゴールを探しに行ったんですが、終盤には更に不幸が当人を襲うことに。いやあ、すでに右太もも裏に違和感を覚えていながら、chilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)を試みたのも無謀だったんでしょうけどね。90分を回ったところで、オンダ・マドリッド(ローカル・ラジオ局)の実況アナが「マドリーは10人でプレーしてますよ。ロナウドがいませんね」って、あらやだ、私まで選手を数えてしまったじゃないですか。
▽そう、後でジダン監督も「何か、痛みを感じたようだ。それでse ha asustado el y por eso ha salido del campo/セ・ア・アススタードー・エル・イ・ポル・エソ・ア・サリードー・デル・カンポ(怖くなって、彼はピッチを出た)」と説明していましたが、ロナウドは監督どころか、チームメートにも審判にも何も告げずにロッカールームに帰ってしまったのだとか。いえ、返す返すも言いますが、これはすでに3-0になってからの話で、ビジャレアルの抵抗もなしということで、すでに3人の交代枠をイスコ、ハメス・ロドリゲス、ヘセで使い果たしていたマドリーが残り数分、10人で戦ったって全然、危険はなかったんですけどね。
▽だからって勝手に引っ込んでしまう選手というのも珍しいというか…。疲れが溜まっていたなら、休ませてもらえばいいのに、「時には途中で代わって休養を取ることも必要だが、彼は常にプレーして、自分の持っている全てを出したい選手。A veces, para mi, es dificil/ア・ベセス、・パラ・ミー、エス・ディフィシル(時々、私には難しい)」とジダン監督に言わせてしまうロナウドって結構、上司には扱いにくいタイプ? うーん幸い当人も翌日にはインスタグラムで「All good. Thanks for your support(大丈夫、応援ありがとう)」と伝えていたように、要はただの筋肉痛だったようですけどね。
▽さすがに反省したか、土曜日のラージョとのミニダービーには今季、初めてリーガ戦でのお休みを取るようです。まあ、ジダン監督も金曜日の会見では「la mente de todos está en el martes/ラ・メンテ・デ・トードス・エスタ・エン・エル・マルテス(皆の念頭には火曜日のことがある)」と言っていたように、たとえ、数節前とは変わってリーガ優勝の目が出てきたとはいえ、Undecima(ウンデシマ/11回目のCL優勝のこと)が最優先目標になっているマドリーですからね。来週のCL準決勝マンチェスター・シティ戦1stレグに照準を合わせているのと、何せ、相手は同時にシーズン前半戦では10-2と二桁得点で下した弟分チーム。だったら今度はベイルも戻って来ますし、中盤の防波堤、カセミロが累積警告で出場停止になろうと、カルバハルがあと1試合、様子見になろうと、勝算はあるということでしょう。
▽一方、マラガ戦で引き分けてしまったため、残留確定から一歩後退してしまったラージョはまたしても負傷禍に襲われていて、何とその試合で交代したゼ・カストロ、バエナ、ハビ・ゲラは全員がケガによるもの。うち頬骨骨折の疑いが晴れたゲラを除いて2人は欠場が確定、加えてマドリーからレンタルしているDFジョレンテも使えずと、パコ・ヘメス監督もメンバー選びにはかなり苦労しているかと。一応、今は降格圏から勝ち点差3の16位にいる彼らですが、マドリー戦の後はアトレティコに戦と、格差ダービーが続きますからね。残り2試合に全てを懸けるのは、かなり心臓に悪いんじゃないでしょうか。
▽ちなみにこの土曜日は水曜日の悪夢より、ちょっとはマシと言った程度で、まずそのエスタディオ・バジェカスでのラージョvsマドリーが皮切りとなり、午後4時(日本時間午後11時)にキックオフ。その次の時間帯、午後6時15分(日本時間翌午前1時15分)からはアトレティコがビセンテ・カルデロンにマラガを迎えます。こちらではゴディンの代わりにヒメネスがようやく招集リストに復帰していますし、出場停止だったにも関わらず、ビルバオ(スペイン北部、アスレティックのホームタウン)までチームに帯同して応援していたキャテプンのガビもプレーできますしね。相手もすでに残留を達成、他に目的がないチームですから、難易度は低いはずなんですが、ラージョの例もあるため、油断は禁物。
▽「A nosotros nos queda una sola opcion que es ganar/ア・ノソトロス・ノス・ケダ・ウナ・ソラ・オプシオン・ケ・エス・ガナール(我々にはたった1つのオプションしかない。勝つことだ)」というシメオネ監督の言葉を選手たちが実践してくれるのを祈るばかりですが、木曜日にグラン・ビア(マドリッド市内の中央通り)にできたアディダスショップのオープニングセレモニーに出席したトーレスも「Queremos seguir sonando/ケレモス・セギール・ソニャンドー(ボクらは夢を見続けたい)」と前向きでしたしね。続いてスポルティング戦に挑むバルサだけでなく、来週水曜日に対決するバイエルンにも強いチームだということを見せてくれるといいのですが。
▽え、ここまでもう1つの弟分チーム、ヘタフェの話がないのはもう降格が決まったからなのかって? いえいえ、まだですよ。というか、彼らは1日ズレて木曜日にレアル・ソシエダとアウェイで対戦したんですが、カルロス・ベラに先制点を許したものの、ハーフタイム直前にはサラビアのマドリー戦に続くゴールで同点に。その上、後半にはGKマヌに倒されて獲得したPKをアルバロ・バスケスが自分で決めて、とうとう1-2の逆転勝ちと、13試合ぶりの白星を掴んでくれたから、ホッとしたの何のって。
▽いえ、まだ順位は19位と1つ上がっただけで、残留ラインとは勝ち点2差あるんですけどね。しかもこの日曜日はバルサにカンプ・ノウで勝った後、前節はエイバルに4-0と大勝と、急に調子を上げてきたバレンシアをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎え撃たないといけないんですが、何せまた、ファン・ロドリゲス、エミ、ラゴと出場停止者が相次いで、エスナイデル監督も一体、どうやり繰りするのか。そんな感じで気の休まらない日が続くリーガですが、何とかマドリッド勢にはこのリーガ3連戦のラストゲーム、上手く乗り切ってもらいたいですね。
▽そう、アトレティコが決勝でお隣さんを下し、初めてのCL優勝杯を挙げるのにあと1分まで迫った2013-14シーズン。彼らがそんな高みにたどり着くのに大貢献したCFですが、今季同様、CL準々決勝バルサ戦1stレグでケガをしてからはドタキャン続き。リーガでもバルサとの直接対決となった最終戦で16分にダウン。それでもゴディンが同点ゴールを決め、何とか優勝が決まってくれたから良かったんですけどね。1週間後のCL決勝でもシメオネ監督がコスタに賭けたところ、またしても9分にケガが再発して交代を余儀なくされることに。
▽そんな前例もありますし、今回のゴディンの負傷もCLベスト16のPSV戦2ndレグに痛めたのと同じ右太もも裏となれば、あまり急いで出て来ると、ホントにホントの優勝を決める試合でコスタみたいになりかねない? うーん、まだ先週水曜日のバルサとのCL準々決勝2ndレグでルイス・スアレスにcodazo(コダソ/肘打ち)を喰らい、なかなか右目の青痣が取れないにも関わらず、ウルグアイ代表の同僚を「彼とは友達だし、試合後は挨拶もした。互いに自分のチームのために全力で戦っていれば、lo del ojo son cosas del fútbol que pueden pasar/ロ・デル・オホ・ソン・コーサス・デル・フトボル・ケ・プエデン・パサール(目のことはサッカーでは起こりうること)」と、ツイッターでちゃんとフォローしてあげる男気を見せていた彼ですからね。このリハビリ期間には太ももだけでなく、顔もキレイに治って復帰してくれるといいのですが。
▽おまけにリアソル(デポルティボのホーム)での試合がハーフに入るやいなや、バルのcamarero(カマレロ/ウェイター)がチャンネルを変えてくれたサン・マメス(アスレティックのホーム)の方は最初に言った通り、序盤にゴディンの負傷交代があって、不安感も半端なかったんですが、その後ですよ。ラキティッチ、更にスアレス×2とバルサのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)情報が入りだし、その間、アトレティコがロクロク攻撃もできてない有様では時間が来て、サンティアゴ・ベルナベウに向かうため、お店を出なければならなかった私がどんなに後ろ髪引かれる思いをしたことか。
▽でも大丈夫だったんです! 丁度、メトロ(地下鉄)の駅で電車を待っていた38分、グリーズマンの左からのクロスをフェルナンド・トーレスがヘッドで決めて、アトレティコは先制点ゲットに成功。いやあ、これで彼もキャリア初となる公式戦5試合連続ゴールですからね。こんな大事な時期に調子の波に乗ってくれたとなれば、夏のユーロ大会でのスペイン代表復帰を求める世間の声が高まるのも当然だった? その後はGKイライソスが倒れている間に、意表を突いてその日、先発に抜擢されたカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)のトーマスがシュートをゴールポストに当ててしまうという、敵サポーターの反感を買うプレーもあったようですが、スコアは0-1のまま、ハーフタイムに入ります。
▽そして私がビジャレアル戦のキックオフ寸前にベルナベウのスタンドに滑り込んだ時にはすでにバルサは0-8で試合を終了。ここ4試合の不調は何だったんだというような大勝をしていただけでなく、スアレスが1人で4得点もして、その試合前には5本もあったpichichi(ピチチ/得点王)レース、トップのクリスチアーノ・ロナウドとの差をたった1本に縮めていたため、レアル・マドリーもこの日は首位との差を広げないことしかできないことは承知していましたしね。それだけに尚更、ロナウドのゴール上積みに期待が懸かったんですが…。
▽うーん、前節のヘタフェ戦でもそうでしたが、先週のCL準々決勝、逆転が必要だったボルスフグルク戦2ndレグ前にジダン監督が強調していた、落ち着いてプレーというのが習慣になってしまったんですかね。来週木曜日にはリバプールとのヨーロッパリーグ準決勝1stレグを控え、体力気力を温存しようというのか、組織的に守ることだけに専念していた敵のせいもあったんでしょうが、マドリーの先制点は40分まで入らず。まあ、ラジオとスマホにかじりつき、アトレティコが後半の残り時間、自陣エリア付近に追い詰められ、アスレティックの猛攻撃を必死でかわしている様子に生きた心地もしなかった私には丁度、良かったんですが、先にガッカリさせてくれたのはラージョでした。
▽ええ、アトレティコと同じ時間帯にマラガ戦をプレーしていた彼らは62分、エンバルバの放ったシュートがバエナに当たり、GKオチョアを破ってから、ずっと0-1でリードしていたんですが、終了間際にリカのゴールが決まって1-1に。マドリーが35分頃にはどちらもスコアに変化のないままで試合が終わります。それがどうしたことか、アトレティコの0-1の勝利にホッとする間もなく、入れ替わりのように動いたのが、目の前のピッチの情勢で40分にはとうとう、ロナウドのシュートをGKアセンホが弾いたところ、そのボールをベンゼマが頭でネットへ。はい、これでまた、34節開始前と同じ状態に順位表は戻りました。
▽そして68分にはベンゼマとのワンツーを経て、ルーカス・バスケスが2点目を決め、日曜日にスペイン・オープンの見学ついでにカディス(スペイン南西部)にある名門ゴルフコースを梯子、2ラウンド36ホールをプレーしたため、ヘタフェ戦での筋肉痛が治りきらず、この試合を欠場したベイルの代役を立派に果たしてみせます。さらに75分にはダニーロのクロスにモドリッチがタイミングバッチリの飛び込みで3点目を追加し、あとはロナウド待ちとなったところ…。
▽どうもこの日の彼はツイていませんでしたね。敵と揉み合った際にユニフォームを破かれ、着替えようとラインの外に出たものの、用具係に渡されたのは大きさが同じぐらいなんでしょうか。何故かセルヒオ・ラモスのシャツで、着る前に気づいたから良かったようなものの、知らずにそれを着て戻ったりしていたら、先週日曜日のセルタ戦で同僚のポルティージョのユニを、当人が交代でピッチに出るまで平気で着てプレーしていたベティスのブルーノと同じになっちゃいますって。その上、次に用具係が持ってきたのは彼が滅多に着ない半袖のユニって、うーん、マドリーの裏方、かなり査定に響くミスしていない?
▽実際、スコアが競っている時の出来事だったら、非難も轟々なんでしょうが、幸いこの日のビジャレアルはほとんど反撃という概念を持たず。ロナウドもとりあえず、嫌いな半袖ユニを着てピッチに戻り、お目当てのマイゴールを探しに行ったんですが、終盤には更に不幸が当人を襲うことに。いやあ、すでに右太もも裏に違和感を覚えていながら、chilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)を試みたのも無謀だったんでしょうけどね。90分を回ったところで、オンダ・マドリッド(ローカル・ラジオ局)の実況アナが「マドリーは10人でプレーしてますよ。ロナウドがいませんね」って、あらやだ、私まで選手を数えてしまったじゃないですか。
▽そう、後でジダン監督も「何か、痛みを感じたようだ。それでse ha asustado el y por eso ha salido del campo/セ・ア・アススタードー・エル・イ・ポル・エソ・ア・サリードー・デル・カンポ(怖くなって、彼はピッチを出た)」と説明していましたが、ロナウドは監督どころか、チームメートにも審判にも何も告げずにロッカールームに帰ってしまったのだとか。いえ、返す返すも言いますが、これはすでに3-0になってからの話で、ビジャレアルの抵抗もなしということで、すでに3人の交代枠をイスコ、ハメス・ロドリゲス、ヘセで使い果たしていたマドリーが残り数分、10人で戦ったって全然、危険はなかったんですけどね。
▽だからって勝手に引っ込んでしまう選手というのも珍しいというか…。疲れが溜まっていたなら、休ませてもらえばいいのに、「時には途中で代わって休養を取ることも必要だが、彼は常にプレーして、自分の持っている全てを出したい選手。A veces, para mi, es dificil/ア・ベセス、・パラ・ミー、エス・ディフィシル(時々、私には難しい)」とジダン監督に言わせてしまうロナウドって結構、上司には扱いにくいタイプ? うーん幸い当人も翌日にはインスタグラムで「All good. Thanks for your support(大丈夫、応援ありがとう)」と伝えていたように、要はただの筋肉痛だったようですけどね。
▽さすがに反省したか、土曜日のラージョとのミニダービーには今季、初めてリーガ戦でのお休みを取るようです。まあ、ジダン監督も金曜日の会見では「la mente de todos está en el martes/ラ・メンテ・デ・トードス・エスタ・エン・エル・マルテス(皆の念頭には火曜日のことがある)」と言っていたように、たとえ、数節前とは変わってリーガ優勝の目が出てきたとはいえ、Undecima(ウンデシマ/11回目のCL優勝のこと)が最優先目標になっているマドリーですからね。来週のCL準決勝マンチェスター・シティ戦1stレグに照準を合わせているのと、何せ、相手は同時にシーズン前半戦では10-2と二桁得点で下した弟分チーム。だったら今度はベイルも戻って来ますし、中盤の防波堤、カセミロが累積警告で出場停止になろうと、カルバハルがあと1試合、様子見になろうと、勝算はあるということでしょう。
▽一方、マラガ戦で引き分けてしまったため、残留確定から一歩後退してしまったラージョはまたしても負傷禍に襲われていて、何とその試合で交代したゼ・カストロ、バエナ、ハビ・ゲラは全員がケガによるもの。うち頬骨骨折の疑いが晴れたゲラを除いて2人は欠場が確定、加えてマドリーからレンタルしているDFジョレンテも使えずと、パコ・ヘメス監督もメンバー選びにはかなり苦労しているかと。一応、今は降格圏から勝ち点差3の16位にいる彼らですが、マドリー戦の後はアトレティコに戦と、格差ダービーが続きますからね。残り2試合に全てを懸けるのは、かなり心臓に悪いんじゃないでしょうか。
▽ちなみにこの土曜日は水曜日の悪夢より、ちょっとはマシと言った程度で、まずそのエスタディオ・バジェカスでのラージョvsマドリーが皮切りとなり、午後4時(日本時間午後11時)にキックオフ。その次の時間帯、午後6時15分(日本時間翌午前1時15分)からはアトレティコがビセンテ・カルデロンにマラガを迎えます。こちらではゴディンの代わりにヒメネスがようやく招集リストに復帰していますし、出場停止だったにも関わらず、ビルバオ(スペイン北部、アスレティックのホームタウン)までチームに帯同して応援していたキャテプンのガビもプレーできますしね。相手もすでに残留を達成、他に目的がないチームですから、難易度は低いはずなんですが、ラージョの例もあるため、油断は禁物。
▽「A nosotros nos queda una sola opcion que es ganar/ア・ノソトロス・ノス・ケダ・ウナ・ソラ・オプシオン・ケ・エス・ガナール(我々にはたった1つのオプションしかない。勝つことだ)」というシメオネ監督の言葉を選手たちが実践してくれるのを祈るばかりですが、木曜日にグラン・ビア(マドリッド市内の中央通り)にできたアディダスショップのオープニングセレモニーに出席したトーレスも「Queremos seguir sonando/ケレモス・セギール・ソニャンドー(ボクらは夢を見続けたい)」と前向きでしたしね。続いてスポルティング戦に挑むバルサだけでなく、来週水曜日に対決するバイエルンにも強いチームだということを見せてくれるといいのですが。
▽え、ここまでもう1つの弟分チーム、ヘタフェの話がないのはもう降格が決まったからなのかって? いえいえ、まだですよ。というか、彼らは1日ズレて木曜日にレアル・ソシエダとアウェイで対戦したんですが、カルロス・ベラに先制点を許したものの、ハーフタイム直前にはサラビアのマドリー戦に続くゴールで同点に。その上、後半にはGKマヌに倒されて獲得したPKをアルバロ・バスケスが自分で決めて、とうとう1-2の逆転勝ちと、13試合ぶりの白星を掴んでくれたから、ホッとしたの何のって。
▽いえ、まだ順位は19位と1つ上がっただけで、残留ラインとは勝ち点2差あるんですけどね。しかもこの日曜日はバルサにカンプ・ノウで勝った後、前節はエイバルに4-0と大勝と、急に調子を上げてきたバレンシアをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎え撃たないといけないんですが、何せまた、ファン・ロドリゲス、エミ、ラゴと出場停止者が相次いで、エスナイデル監督も一体、どうやり繰りするのか。そんな感じで気の休まらない日が続くリーガですが、何とかマドリッド勢にはこのリーガ3連戦のラストゲーム、上手く乗り切ってもらいたいですね。
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