【原ゆみこのマドリッド】大変なことになった…
2016.04.09 11:47 Sat
▽「リーガのことなんて考えている場合じゃないかも」そんな風に私が途方に暮れていたのは金曜日。明日にはまた試合があることを思い出した時のことでした。いやあ、今週はマドリッドの両雄がCL準々決勝1stレグをプレーしたものの、どちらもアウェイ戦。そのため、TVで見ていた自分は楽をしたと言えなくもないんですけどね。予想に反してアトレティコのみならず、レアル・マドリーまで負けてしまったせいで、来週は火曜日、水曜日と連続でスタジアムに行って、remontada(レモンターダ/逆転勝利)を応援しなければならないとなれば、早くも私の胃がキリキリしだしたとしても仕方ない?
▽そのどちらも負けてしまった1stレグの話をしないといけませんね。まずは火曜日にバルサとカンプ・ノウで対戦したアトレティコ。ここ6連敗している相手となれば、別に驚くべき結果ではないんですが、それでも今までの経験で学んだシメオネ監督はスタートから敵を上手くコントロール、24分にはコケのパスからフェルナンド・トーレスがGKテル・シュテーゲンの股間を抜くゴールを決め、先制点を奪ってしまったから、驚いたの何のって。
▽ただその後がいけなくて、28分にネイマールへのファールでイエローカードをもらっていたトーレスが、今度は35分にブスケッツからボールを奪おうとして力余ったか、2枚目を提示されてしまうんですから、たまったもんじゃありません…。いやあ、アトレティコで自身初のCLゴールを決めて、年甲斐もなく舞い上がってしまったんでしょうかね…。これでまた前半のうちに10人となり、1月末のリーガ戦を彷彿させる展開に…。お願いだから、もうこれ以上、誰も退場させられませんようにと私には祈るしかなかったんですが…。
▽うーん、そういう意味でもアトレティコも進歩したのか、それ以上の退場者は出なかったんですけどね。後半に入るとバルサが猛攻をかけ始め、最初はCFがいなくなかっただけなので選手交代をしなかったシメオネ監督もカラスコを下げて、アウグストを投入。自陣エリア周辺に貼りついて必死に守っていたんですが、やはり限界ってありますよね。とうとう68分、アウベスのクロスをジョルディ・アルバがエリア内からシュート、その軌道上にいたルイス・スアレスが押し込んで、同点に追いつかれてしまうことに。
▽さらに78分、またもやアウベスのクロスをルイス・スアレスが今度はヘッドで決めて勝ち越されてしまったから、さあ大変! ただそこは2ndレグもある2試合制の対戦、もうこうなってはとシメオネ監督も腹を括ったのでしょうね。被害を最低限に留めるため、専守防衛に徹するならゴールの稼ぎ頭のグリースマンは不要とボランチのトマスを入れ、何とか最後まで追加点を与えず、粘ることに成功します。え、1人少なくなってもカウンターでチャンスがなかった訳じゃないし、先週末のお隣さんの例に倣って、2-2を目指した方が良かったんじゃないかって? いやあ、そこは諸刃の剣で、うっかり自陣を出てリードを広げられたら元も子もなし。だったら2-1で負けたって、ビセンテ・カルデロンで、1-0で勝たないと突破できないのは1-1の時と同じなんですから、この作戦は的を得ていたかと。
▽おかげで試合後は文句のオンパレードとなり、前回のリーガ戦でメッシに危険なタックルをしてレッドカードをもらったフィリペ・ルイスが「El Barça está protegido/エル・バルサ・エスタ・プロテヒードー(バルサは守られている)。彼らが敗退したら大変だと思われていて、そういうのはUEFAのイメージを傷つけることだ」と口を尖らせれば、ファンフランもミックスゾーンを「Vaya robo!/バジャ・ロボ(勝利を盗まれた)」と呟いて通過。一瞬でヒーローから戦犯となって、「Es uno de los peores días de mi vida como futbolista/エス・ウノ・デ・ロス・ペオーレス・ディアス・デ・ミ・ビダ・コモ・フトボリスタ(今日はサッカー選手としてボクの最悪の日の1つ)」と嘆いていたトーレスだって、決して負けていません。
▽曰く、「あれはイエローカードが出るかもしれない、出ないかもしれないファール。どちらのプレーも別々の時だったら、カードは出たかもしれないけど、もう1枚もらっていたんだから、避けることはできたはず。UEFAはユニフォームの色を気にするばかりじゃなくて(カンプ・ノウなのに両チームがアウェイのユニフォームでプレーした)、CL準々決勝にふさわしいレベルの審判を選ぶべき」って、まあ、おかげでチームにゴールが必要な2ndレグにも出場できなくなってしまいましたし、悔しいのはわかるんですけどね。元からして、審判に好ゲームを演出する心配りまでが求められているのかは疑問。
▽一応、大人のシメオネ監督は後でUEFAから不適切な発言に処分が科されることを恐れ、「No estoy diciendo todo lo que quiero decir/ノー・エストイ・ディシエンドー・トードー・ロ・ケ・キエロ・デシール(自分は言いたいこと全てを言っている訳じゃない)」と、ジャッジについては講評を避けていましたけどね。数的劣勢になるまではあのバルサを押していて、その後も決して諦めようとしなかった選手たちを見て、「どんな状況や困難に陥っても全力を尽くしたチームが誇らしい」(シメオネ監督)という気持ちはきっと、ファンも同じだったと思いますよ。
▽そして彼らは来週の水曜日、満員のカルデロンで逆転突破を目指すんですが、お隣さんと違って、アトレティコのレモンターダにはあまりピンと来ない人も多いかと。それが実はデータを見ると、彼らは今までヨーロッパの戦いで初戦に2-1で負けた6回、全てで勝ち上がっているというからビックリです。ただ、その直近が2007年7月、懐かしのインタートトカップで、ルーマニアのビストリスタに1stレグで負けて、大慌てでアグエロやフォルランをバケーションから呼び戻し、ホームでは後者のゴールで1-0で勝ったという怪しげなものであるため、あまり参考にならないんですけどね。幸い、今季はゴールの少ない彼らでもリーガで1試合平均1.73点、CLでも1.75点と、かろうじてハードルはクリアしているため、今はせめてそんな事実を心の拠り所にしておきましょうか。
▽え、だったら、水曜日にアウェイで2-0とヴォルフスブルクに負けたマドリーなんて、今季のホームはgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)天国。リーガでもCLでも1試合平均3.75得点しているんだから、大仰にレモンターダを唱えなくてもいいんじゃないかって? まあ、そうなんですが。こちらはやはり試合後、「激しいプレーをしなければ、こういったことは起きるが、estoy muy orgulloso del partido del equipo/エストイ・ムイ・オルグジョーソ・デル・パルティードー・デル・エキポ(ウチのチームの試合には誇りを感じている)」とジダン監督がフォローしていたものの、問題は全然、そうは思えなかったこと。
▽だって、開始1分にクリスチアーノ・ロナウドのゴールがオフサイドで認められなかったことや、17分にカセミロとシュールレがエリア内でもつれ合ったプレーにPKが与えられてしまったことなどは運が悪かったと言えなくもないんですけどね。24分の2点目など、かつてマドリーに在籍し、今はBTスポーツでコメンテーターをしているマクマナマン氏などに「10~12歳の小学生のように守っていた」と、ブルーノ・エンリケから目を離したマルセロ、アーノルトにゴール前で後れを取ったセルヒオ・ラモス共々、無茶苦茶批判されていましたからね。ただそれでも、今季はもうundecimo(ウンデシモ/11回目のCL優勝)に懸けるしかないマドリー、しかもBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)を含めたベストメンバーが出ているとなれば、ゴレアダがいつ始まるかと、こちらもウズウズして待っていたんですが…。
▽結局、最後までなかったんですよ! いやあ、確かにベンゼマが9分にナウドとの接触プレーでヒザを痛めながら、ジダン監督が40分まで交代させなかったとか、2点リードされて迎えた後半にも、前日のバルサのような不甲斐ない前半を悔い改めての猛攻が見られなかったとか、先週末のクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)でいい働きをしながら、「Dani tambien tiene que descansarse/ダニ・タンビエン・ティエネ・ケ・デスカンサールセ(カルバハルも休まないといけない)」(ジダン監督)という、よくわからない理由で先発した右SBダニーロがドラクスラーの対応に追われ、他に何もできなかったとか、原因はイロイロあるんでしょうけどね。
▽まさかブンデスリーガで8位のチーム相手に、いくら苦手のアウェイとはいえ、最後はイスコやハメス・ロドリゲスまで投入、5人アタッカー体制でも1点も取れないとはあまりに情けなさすぎじゃない? いやあ、おかげでベスト16のローマ戦とは違って、2ndレグにエモーションが生まれましたけどね。ただ、ラモスなど、「El Bernabéu rugirá ahora y no todos lo aguantan/エル・ベルナベウ・ルヒラ・アオラ・イ・ノー・トードス・ロ・アグアンタン(これでベルナベウは吠え声を上げるし、誰もがそれに耐えられるとは限らない)」と、サンティアゴ・ベルナベウのサポーターの応援を笠に来て、ヴォルフスブルクを脅していたものの、実はマドリーには怖いデータもなきにしもあらず。
▽それは根性のレモンターダがトレードマークのチームにしては意外に聞こえるかもしれませんが、彼らがヨーロッパの大会で1stレグをアウェイで落として、2ndレグで逆転したのは2002年のCL準々決勝バイエルン戦が最後だということ。その時はアウェイでの2-1負けをホームで2-0と覆して突破、最後はジダンの伝説のvolea(ボレア/ボレーシュート)でレバークーゼンを倒してnovena(ノベナ/9回目のCL優勝のこと)を達成したんですが、それからは5回続けて逆転突破に失敗しているのだとか。
▽まあ、だからと言って、勝負はフタを開けてみないとわからないのは変わりませんけどね。「El martes nos jugamos la temporada/ル・マルテス・ノス・フガモス・ラ・テンポラーダ(火曜日にウチはシーズンを懸けて戦う)」と決意を示したジダン監督は、土曜日のエイバル戦にはモドリッチとGKケイロル・ナバスを温存することを決断。それに加えてラモスはクラシコでの退場で出場停止、ベンゼマはただの打撲だったとわかったものの、まだムリはさせられないと、招集リストに入ってないんですが、さて。相手のエイバルが現在、9位で勝ち点38と1部残留がほぼ確定。しかも得意のベルナベウに迎えての一戦であるため、土曜日午後4時(日本時間午後11時)からの試合は今季もゴールデンシューを目指しているロナウド以外、それ程、気にしなくてもいいのかもしれませんね。
▽一方、やはり同じ土曜日、午後6時15分(日本時間翌午前1時15分)からエスパニョールに挑むため、金曜日夕方にはまたしてもバルセロナ入りしたアトレティコはというと。バルサ戦の翌日には練習はオフだったにも関わらず、ゴディン、フィリペ・ルイス、トーレスのカンプ・ノウ退場経験者がマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に姿を現して、リハビリトレをしながら、対策を話し合っていたなんてこともあったんですが。特にリーガ戦で選手の温存をする予定はないよう。いえ、CL前日にまたケガが再発したサビッチや筋肉痛のオリベル、ようやくボールを使った練習を始めた太もも肉離れのヒメネスらはまだ全快していませんし、CL2ndレグに出場停止となるトーレスが先発のお墨付きをシメオネ監督からもらっていることを除けば、スタメンはまだ不明なんですけどね。
▽そのトーレスにはどうやら、とうとう監督のOKが出て、来季もアトレティコとの契約を延長してもらえそうだという、いいニュースがあったばかりなんですが、何せ今節はバルサがここ9年、2分け4敗(相手が2部にいた時期がある)と白星のない鬼門、アノエタでレアル・ソシエダと次の時間帯で対戦しますからねえ。となれば、ここは彼に頑張ってもらって、前節で勝ち点6に縮まった差をもっと減らすため、やはり13位で勝ち点36、すでに残留が視野に入っているエスパニョールに勝つことができればと思います。
▽え、今も過酷な残留争い真っ只中にいるマドリッドの弟分チームたちはどうなのかって? いやあ、今週末はどちらもEL準々決勝1stレグを木曜日に戦ったチームとの試合で、まずはラージョが日曜日の夕方からビジャレアルとエル・マドリガルで対戦。スパルタ・プラハにはホームで2-1と勝った相手ですが、いわゆるremontable(レモンタブレ/逆転可能)な結果ですからね。来週の2ndレグも気になるでしょうし、休養時間も短いとあって、前節はマドリーミニダービーでヘタフェに2-0で勝って、降格圏から3ポイント離れた16位になったラージョにはさらに安全圏に近づくチャンスになるかも。
▽一方のヘタフェはその後にサン・マメスでのアスレティック戦で、いえ、こちらの相手は前人未到のEL3連覇を狙うセビージャにホームで1-2と負けてしまい、2ndレグではサンチェス・ピスファンでとてつもない試練が待っているとあって、もうリーガ戦どころじゃないんですけどね。17位のグラナダとはたった勝ち点1差ながら、このところ降格圏に定住してしまい、プレーにもまったく改善の兆しが見えないヘタフェに果たして勝機はあるのかどうか。うーん、まだエスクリバ監督のクビは繋がっていますけどね。どうもこの調子だと、やっぱり最終節に天国か地獄が決まるグループに入りそうで、何だか怖いですよ。
▽そのどちらも負けてしまった1stレグの話をしないといけませんね。まずは火曜日にバルサとカンプ・ノウで対戦したアトレティコ。ここ6連敗している相手となれば、別に驚くべき結果ではないんですが、それでも今までの経験で学んだシメオネ監督はスタートから敵を上手くコントロール、24分にはコケのパスからフェルナンド・トーレスがGKテル・シュテーゲンの股間を抜くゴールを決め、先制点を奪ってしまったから、驚いたの何のって。
▽ただその後がいけなくて、28分にネイマールへのファールでイエローカードをもらっていたトーレスが、今度は35分にブスケッツからボールを奪おうとして力余ったか、2枚目を提示されてしまうんですから、たまったもんじゃありません…。いやあ、アトレティコで自身初のCLゴールを決めて、年甲斐もなく舞い上がってしまったんでしょうかね…。これでまた前半のうちに10人となり、1月末のリーガ戦を彷彿させる展開に…。お願いだから、もうこれ以上、誰も退場させられませんようにと私には祈るしかなかったんですが…。
▽さらに78分、またもやアウベスのクロスをルイス・スアレスが今度はヘッドで決めて勝ち越されてしまったから、さあ大変! ただそこは2ndレグもある2試合制の対戦、もうこうなってはとシメオネ監督も腹を括ったのでしょうね。被害を最低限に留めるため、専守防衛に徹するならゴールの稼ぎ頭のグリースマンは不要とボランチのトマスを入れ、何とか最後まで追加点を与えず、粘ることに成功します。え、1人少なくなってもカウンターでチャンスがなかった訳じゃないし、先週末のお隣さんの例に倣って、2-2を目指した方が良かったんじゃないかって? いやあ、そこは諸刃の剣で、うっかり自陣を出てリードを広げられたら元も子もなし。だったら2-1で負けたって、ビセンテ・カルデロンで、1-0で勝たないと突破できないのは1-1の時と同じなんですから、この作戦は的を得ていたかと。
▽ただ、試合に負けたのは仕方ないにしても、アトレティコ陣営が納得できなかったのは、ジャッジが非常にホームチーム寄りに見えたせいで、うーん、確かにルイス・スアレスなど、トーレスが退場する前にエリア内でファンフランを蹴飛ばしたり、後半もセットプレー中にフィリペ・ルイスの顔にmanotazo(マノタソ/パンチ)を見舞ったりと、やりたい放題だったのに退場させられず。実際、試合を通じてのファールもバルサが19回、アトレティコが16回なのに、イエローカードはそれぞれ3枚、8枚というのはどうにも合点がいかないんですけどね。
▽おかげで試合後は文句のオンパレードとなり、前回のリーガ戦でメッシに危険なタックルをしてレッドカードをもらったフィリペ・ルイスが「El Barça está protegido/エル・バルサ・エスタ・プロテヒードー(バルサは守られている)。彼らが敗退したら大変だと思われていて、そういうのはUEFAのイメージを傷つけることだ」と口を尖らせれば、ファンフランもミックスゾーンを「Vaya robo!/バジャ・ロボ(勝利を盗まれた)」と呟いて通過。一瞬でヒーローから戦犯となって、「Es uno de los peores días de mi vida como futbolista/エス・ウノ・デ・ロス・ペオーレス・ディアス・デ・ミ・ビダ・コモ・フトボリスタ(今日はサッカー選手としてボクの最悪の日の1つ)」と嘆いていたトーレスだって、決して負けていません。
▽曰く、「あれはイエローカードが出るかもしれない、出ないかもしれないファール。どちらのプレーも別々の時だったら、カードは出たかもしれないけど、もう1枚もらっていたんだから、避けることはできたはず。UEFAはユニフォームの色を気にするばかりじゃなくて(カンプ・ノウなのに両チームがアウェイのユニフォームでプレーした)、CL準々決勝にふさわしいレベルの審判を選ぶべき」って、まあ、おかげでチームにゴールが必要な2ndレグにも出場できなくなってしまいましたし、悔しいのはわかるんですけどね。元からして、審判に好ゲームを演出する心配りまでが求められているのかは疑問。
▽一応、大人のシメオネ監督は後でUEFAから不適切な発言に処分が科されることを恐れ、「No estoy diciendo todo lo que quiero decir/ノー・エストイ・ディシエンドー・トードー・ロ・ケ・キエロ・デシール(自分は言いたいこと全てを言っている訳じゃない)」と、ジャッジについては講評を避けていましたけどね。数的劣勢になるまではあのバルサを押していて、その後も決して諦めようとしなかった選手たちを見て、「どんな状況や困難に陥っても全力を尽くしたチームが誇らしい」(シメオネ監督)という気持ちはきっと、ファンも同じだったと思いますよ。
▽そして彼らは来週の水曜日、満員のカルデロンで逆転突破を目指すんですが、お隣さんと違って、アトレティコのレモンターダにはあまりピンと来ない人も多いかと。それが実はデータを見ると、彼らは今までヨーロッパの戦いで初戦に2-1で負けた6回、全てで勝ち上がっているというからビックリです。ただ、その直近が2007年7月、懐かしのインタートトカップで、ルーマニアのビストリスタに1stレグで負けて、大慌てでアグエロやフォルランをバケーションから呼び戻し、ホームでは後者のゴールで1-0で勝ったという怪しげなものであるため、あまり参考にならないんですけどね。幸い、今季はゴールの少ない彼らでもリーガで1試合平均1.73点、CLでも1.75点と、かろうじてハードルはクリアしているため、今はせめてそんな事実を心の拠り所にしておきましょうか。
▽え、だったら、水曜日にアウェイで2-0とヴォルフスブルクに負けたマドリーなんて、今季のホームはgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)天国。リーガでもCLでも1試合平均3.75得点しているんだから、大仰にレモンターダを唱えなくてもいいんじゃないかって? まあ、そうなんですが。こちらはやはり試合後、「激しいプレーをしなければ、こういったことは起きるが、estoy muy orgulloso del partido del equipo/エストイ・ムイ・オルグジョーソ・デル・パルティードー・デル・エキポ(ウチのチームの試合には誇りを感じている)」とジダン監督がフォローしていたものの、問題は全然、そうは思えなかったこと。
▽だって、開始1分にクリスチアーノ・ロナウドのゴールがオフサイドで認められなかったことや、17分にカセミロとシュールレがエリア内でもつれ合ったプレーにPKが与えられてしまったことなどは運が悪かったと言えなくもないんですけどね。24分の2点目など、かつてマドリーに在籍し、今はBTスポーツでコメンテーターをしているマクマナマン氏などに「10~12歳の小学生のように守っていた」と、ブルーノ・エンリケから目を離したマルセロ、アーノルトにゴール前で後れを取ったセルヒオ・ラモス共々、無茶苦茶批判されていましたからね。ただそれでも、今季はもうundecimo(ウンデシモ/11回目のCL優勝)に懸けるしかないマドリー、しかもBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)を含めたベストメンバーが出ているとなれば、ゴレアダがいつ始まるかと、こちらもウズウズして待っていたんですが…。
▽結局、最後までなかったんですよ! いやあ、確かにベンゼマが9分にナウドとの接触プレーでヒザを痛めながら、ジダン監督が40分まで交代させなかったとか、2点リードされて迎えた後半にも、前日のバルサのような不甲斐ない前半を悔い改めての猛攻が見られなかったとか、先週末のクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)でいい働きをしながら、「Dani tambien tiene que descansarse/ダニ・タンビエン・ティエネ・ケ・デスカンサールセ(カルバハルも休まないといけない)」(ジダン監督)という、よくわからない理由で先発した右SBダニーロがドラクスラーの対応に追われ、他に何もできなかったとか、原因はイロイロあるんでしょうけどね。
▽まさかブンデスリーガで8位のチーム相手に、いくら苦手のアウェイとはいえ、最後はイスコやハメス・ロドリゲスまで投入、5人アタッカー体制でも1点も取れないとはあまりに情けなさすぎじゃない? いやあ、おかげでベスト16のローマ戦とは違って、2ndレグにエモーションが生まれましたけどね。ただ、ラモスなど、「El Bernabéu rugirá ahora y no todos lo aguantan/エル・ベルナベウ・ルヒラ・アオラ・イ・ノー・トードス・ロ・アグアンタン(これでベルナベウは吠え声を上げるし、誰もがそれに耐えられるとは限らない)」と、サンティアゴ・ベルナベウのサポーターの応援を笠に来て、ヴォルフスブルクを脅していたものの、実はマドリーには怖いデータもなきにしもあらず。
▽それは根性のレモンターダがトレードマークのチームにしては意外に聞こえるかもしれませんが、彼らがヨーロッパの大会で1stレグをアウェイで落として、2ndレグで逆転したのは2002年のCL準々決勝バイエルン戦が最後だということ。その時はアウェイでの2-1負けをホームで2-0と覆して突破、最後はジダンの伝説のvolea(ボレア/ボレーシュート)でレバークーゼンを倒してnovena(ノベナ/9回目のCL優勝のこと)を達成したんですが、それからは5回続けて逆転突破に失敗しているのだとか。
▽まあ、だからと言って、勝負はフタを開けてみないとわからないのは変わりませんけどね。「El martes nos jugamos la temporada/ル・マルテス・ノス・フガモス・ラ・テンポラーダ(火曜日にウチはシーズンを懸けて戦う)」と決意を示したジダン監督は、土曜日のエイバル戦にはモドリッチとGKケイロル・ナバスを温存することを決断。それに加えてラモスはクラシコでの退場で出場停止、ベンゼマはただの打撲だったとわかったものの、まだムリはさせられないと、招集リストに入ってないんですが、さて。相手のエイバルが現在、9位で勝ち点38と1部残留がほぼ確定。しかも得意のベルナベウに迎えての一戦であるため、土曜日午後4時(日本時間午後11時)からの試合は今季もゴールデンシューを目指しているロナウド以外、それ程、気にしなくてもいいのかもしれませんね。
▽一方、やはり同じ土曜日、午後6時15分(日本時間翌午前1時15分)からエスパニョールに挑むため、金曜日夕方にはまたしてもバルセロナ入りしたアトレティコはというと。バルサ戦の翌日には練習はオフだったにも関わらず、ゴディン、フィリペ・ルイス、トーレスのカンプ・ノウ退場経験者がマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に姿を現して、リハビリトレをしながら、対策を話し合っていたなんてこともあったんですが。特にリーガ戦で選手の温存をする予定はないよう。いえ、CL前日にまたケガが再発したサビッチや筋肉痛のオリベル、ようやくボールを使った練習を始めた太もも肉離れのヒメネスらはまだ全快していませんし、CL2ndレグに出場停止となるトーレスが先発のお墨付きをシメオネ監督からもらっていることを除けば、スタメンはまだ不明なんですけどね。
▽そのトーレスにはどうやら、とうとう監督のOKが出て、来季もアトレティコとの契約を延長してもらえそうだという、いいニュースがあったばかりなんですが、何せ今節はバルサがここ9年、2分け4敗(相手が2部にいた時期がある)と白星のない鬼門、アノエタでレアル・ソシエダと次の時間帯で対戦しますからねえ。となれば、ここは彼に頑張ってもらって、前節で勝ち点6に縮まった差をもっと減らすため、やはり13位で勝ち点36、すでに残留が視野に入っているエスパニョールに勝つことができればと思います。
▽え、今も過酷な残留争い真っ只中にいるマドリッドの弟分チームたちはどうなのかって? いやあ、今週末はどちらもEL準々決勝1stレグを木曜日に戦ったチームとの試合で、まずはラージョが日曜日の夕方からビジャレアルとエル・マドリガルで対戦。スパルタ・プラハにはホームで2-1と勝った相手ですが、いわゆるremontable(レモンタブレ/逆転可能)な結果ですからね。来週の2ndレグも気になるでしょうし、休養時間も短いとあって、前節はマドリーミニダービーでヘタフェに2-0で勝って、降格圏から3ポイント離れた16位になったラージョにはさらに安全圏に近づくチャンスになるかも。
▽一方のヘタフェはその後にサン・マメスでのアスレティック戦で、いえ、こちらの相手は前人未到のEL3連覇を狙うセビージャにホームで1-2と負けてしまい、2ndレグではサンチェス・ピスファンでとてつもない試練が待っているとあって、もうリーガ戦どころじゃないんですけどね。17位のグラナダとはたった勝ち点1差ながら、このところ降格圏に定住してしまい、プレーにもまったく改善の兆しが見えないヘタフェに果たして勝機はあるのかどうか。うーん、まだエスクリバ監督のクビは繋がっていますけどね。どうもこの調子だと、やっぱり最終節に天国か地獄が決まるグループに入りそうで、何だか怖いですよ。
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