【日本サッカー見聞録】中国の爆買いに陰りの見えたACL

2016.04.07 19:00 Thu
Getty Images
▽ACL(アジア・チャンピオンズリーグ)は第4節を終了し、日本勢はグループEのFC東京とグループHの浦和がそれぞれ1位と2位をキープする活躍を見せている。この両チームに共通しているのは、各グループでライバルと目される中国勢の江蘇蘇寧と広州恒大に1勝1分けと勝ち越している点だ。一昨日は浦和が武藤の決勝点で広州恒大に1-0、昨日はFC東京が森重の2ゴールで江蘇蘇寧を下した。

▽近年のACLは広州恒大の“爆買い”が注目を集め、昨シーズンは見事にアジアを制覇した。その広州恒大に続けとばかりに、江蘇蘇寧はジョー、A・テイシェイラ、ラミレスのブラジル人トリオを総額125億円もの巨費を投じて獲得した。

▽つい先日、2013年に広州恒大のアジア制覇に貢献したブラジル人FWのムリキをFC東京は補強したが、6年前に広州恒大が彼を獲得する際に払った額は約4億円。これは、当時の中国国内でも最高額だったが、たった3年で江蘇蘇寧は、チェルシーからブラジル代表MFラミレスを中国史上最高額となる約36億円で獲得。そして、その1週間後には広州恒大がアトレティコ・マドリーから約54億6000万円でコロンビア代表FWジャクソン・マルティネスを獲得し、2日後には江蘇蘇寧がシャフタール・ドネツクのブラジル代表MFアレックス・テイシェイラを約65億円で獲得して、再び記録を塗り替えてしまった。
▽まさに中国得意の“爆買い”である。しかし現在のACLを見るとその効果が表れているとは言い難いし、いたずらに助っ人の年俸を“高騰させている”としか思えない。かつてはJクラブもビッグネームに高額の年俸を払いながら、ほとんど活躍しないまま日本を去った選手も数知れない。そこから学んだことは、ヨーロッパから直接獲得するのではなく、例えば南米の選手なら他国でプレーして順応力があるかどうかを確認してから補強することだった。

▽その結果、多くのブラジル人や韓国人がJリーグで活躍し、J経由で中東やヨーロッパに移籍して行ったし、近年は逆パターンも増えている。投資に見合った成績を残せなくても、観客動員増による収支がプラスになればいいという見方もあるが、彼らの“爆買い”は常軌を逸していると言ってもいいだろう。ACLで江蘇蘇寧は現在3位、広州恒大は最下位という現実から、移籍市場が適正価格に戻ることを願わずにはいられない。そのためにも日本と、しゃくではあるが韓国勢の躍進に期待したいところだ。

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