【原ゆみこのマドリッド】クラシコだけど…
2016.04.01 20:32 Fri
「勝ったからって、どうなる訳でもないよね」そんな風に私が醒めて呟いていたのは、いよいよ土曜に迫ったクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)関連の報道が増えてきた、木曜のことでした。だって、現在3位のレアル・マドリーと首位の勝ち点差は10で、それが7に縮まったとしても残り7試合、あのバルサがレアル・ソシエダ、バレンシア、デポルティボ、スポルティング、ベティス、エスパニョール、グラナダ相手に1分け2敗もしてくれる見込みなんて、かなり薄いのでは?
同時にクラシコ前イベントでシュスター元マドリー監督も「El Madrid ha sido inferior incluso con equipos más pequeños/マドリッド・ア・シドー・インフェリリオル・インクルソ・コン・エキポス・マス・ペケーニョス(マドリーはもっと弱小チーム相手ですら、劣っていた)。中盤で苦しんでいるからね」と言っていたように、ジダン監督のチームがエイバル、ヘタフェ、ビジャレアル、ラージョ、ソシエダ、バレンシア、デポルティボとの残り試合、しかも苦手なアウェイ4試合を含んでの全部に勝利できるとはとても思えなかったから。
ただそうは言っても、このクラシコの先にはアトレティコがバルサと激突するCL準々決勝1stレグが控えているのは目を背けることができない現実。となれば、「El 0-4 nos dolió bastante/エル・セロ・クアトロ・ノス・ドリオ・バスタンテ(0-4の負けはかなり辛かった)。時間は経ったけど、ずっとボクらの心に突き刺さっている」(ナチョ)という思いから、リベンジのためだけだとしても、ここはひと一踏ん張りして、相手をクタクタにさせるぐらいのことはしてもらいたいかと。何せ同じく、勝ち点差が9から6になっても、お隣さん同様、アトレティコもエスパニョール、グラナダ、アスレティック、マラガ、ラージョ、レバンテ、セルタに全勝するのは難しそうですからねえ。両者揃って、手っ取り早いタイトル獲得への道がCLになってしまうのは仕方ないところなんですが…。
え、それでもクラシコはビッグゲームだから気になるって?そうですね、とりあえず、わかる範囲で両チームの状況をお伝えしていくことにすると、どちらも木曜には各国代表戦に参加していた選手たちの最後のグループが到着。いえ、ジダン監督は火曜にプレーしたヨーロッパ組、クロースやクリスチアーノ・ロナウド、ペペには1日、オフをあげたため、彼らは前日にもうマドリッドに着いていたんですけどね。バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に姿を見せたのは、ケイロル・ナバス、ハメス・ロドリゲス、ダニーロらの中南米組と同じ日になることに。
ちなみに選手たちの様子を見てみると、守備陣ではバルサのマチューがフランス代表のロシア戦でヒザの半月板を損傷、手術を受けて本人曰く、「全治4週間」、クラブ発表では「6~8週間」という、どちらにしろ土曜の試合には間に合わない重傷を負ってきたのに比べ、マドリー勢はほとんどが無傷。いえ、セルヒオ・ラモスなど、背筋痛でスペインの親善試合2戦目、ルーマニア戦には帯同せずに早退してきたんですけどね。あっという間に回復すると、30歳のバースデーを迎えた水曜など、しっかりグラウンドでの練習に加わって、大勢のチームメートからお祝いの言葉をもらっています。
ただ、ペペとバランはどちらも代表で180分プレーして、最後の試合も火曜とちょっとお疲れかもしれませんけどね。幸い、中盤はクロース、モドリッチがそれぞれドイツ、クロアチアの2試合に出場したものの、前者はイングランド、イタリアの強敵相手に2ゴールの活躍でご機嫌。後者も戻りが早かったですし、何より、ベニテス監督とは違い、ブレないジダン監督が先発で使うつもりでいるカセミロが留守番組なのは心強いかと。
うーん、バルサのイニエスタ、ブスケツがスペイン代表に行かず、それが2引き分けと冴えない結果に終わった原因と言われているのはともかく、クロアチアの合宿が始まる前に引き上げてきたラキティッチと共に体力を温存していたのは気になるところですけどね。その辺は得点源のBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)のうち、Bの2人が出向をせず、じっくりトレーニングに励んでいたことでお釣りがこない?
実際、ロナウドもブルガリア戦では不発でチームも0-1と負けてしまったものの、火曜のベルギー戦では得点。GKクルトワにまたしても悔しい思いをさせて2-1で勝利した上、会場も先週のブリュッセルでのテロ事件のせいでポルトガルのレイリアに変更と、近かったですからね。揃って大西洋横断の旅をしたMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)とは疲労度がまったく違うかと。いえ、2試合目のボリビア戦でPKゴールを決めたメッシなど、あと1ゴールでキャリア通算500点になるため、「Seria un lindo escenario para llegar a esa cifra/セリア・ウン・リンドー・エセナリオ・パラ・ジェガールウ・ア・エサ・シフラ(その数字に到達するにはいい舞台だね)」と、クラシコで節目を祝う気満々みたいのようですけどね。
ルイス・スアレスもウルグアイのブラジル、ペルー戦のW杯予選2つに出場していますし、何よりネイマールとの同僚対決となった前者は2-2のかなりの激闘だったとなれば、疲れも溜まっていると思うんですが、さて。そうそう、GKではクラウディオ・ブラボがネイマール同様、チリの2戦目出場停止で早帰りしたバルサに対し、ケイロル・ナバスはジャマイカとの2連戦で1失点してコスタリカから水曜に到着。ただ何だか、あちらではリーガでは控えGKのテア・シュテーゲンがドイツ代表にいる間にクラブでの先行きを考えるようなことを暗示したり、マドリーでもハメス・ロドリゲスがボリビア、エクアドルに連勝したコロンビア代表で活躍した勢いで挑発発言と少々、不穏な出来事がもなきにしもろあらず。
曰く、「Cuando uno juega y tiene el apoyo de todos se nota/クアンドー・ウノ・フエガ・イ・ティエネ・エル・アポジョ・デ・トードス・セ・ノタ(プレーして、皆が支えてくれている時はわかるもの)」と、ベンチスタートが濃厚な選手たちからはこの、チーム一丸となって挑まないといけない大一番前に望ましくない声も聞こえてきたりしましたが、それも試合がいざ始まれば別でしょう。とりわけこのクラシコでは先週、現在のバルサのプレースタイルの基礎を築いたサッカー界のレジェンド、ヨハン・クライフが亡くなったため、9万のモザイクでカンプ・ノウのスタンドを覆い、感謝の言葉を伝える追悼イベントが予定されていることもありますし、土曜の午後8時半(日本時間翌午前3時半)のキックオフが大いに盛り上がることは間違いありません。
え、土曜にはFIFAウィルスでボロボロのアトレティコも午後4時(日本時間午後11時)からベティスとビセンテ・カルデロンで戦うんだろうって?いやあ、前回原稿を書いた時はここまで不幸が重なるなんて、さすがアトレティコと私もドン底の気分だったんですけどね。実はその後、状況が急変して、月曜にサビッチが練習参加したのをキッカケに、翌日にはサウル、ルーカス、木曜にはとうとうゴディンまで全快通知をもらい、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で一緒にトレーニングをしていたから、ビックリしたの何のって。おかげでスロベニア代表から戻って来たGKオブラクも安心していたようですが、やっぱり普段の体の鍛え方が違うと治るのも早い?
そこへ、このparon(パロン/リーガの休止期間)は特別メニューで調整していたフェルナンド・トーレスも加わり、partidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)で4ゴール挙げたとか、代表の2試合で1得点2アシストと大活躍、次のユーロはベンゼマを差し置いて、フランスの攻撃陣を牽引することになるんじゃないかとまで言われ始めたグリースマンも元気で帰還したとか、セッションには間に合わなかったものの、クラネビテル、アウグスト、コレアのアルゼンチン組とフィリペ・ルイスもケガはしていないとなれば、まあ、ベティス戦はまだ疲れが残っているかもしれませんけどね。来週火曜のCLバルサ戦に向けて、ちょっとは楽観的になれるってもんじゃないですか。
むしろ今週末のリーガで大変なことになっているのは弟分チームたちで、金曜には降格圏回避を懸けたマドリーミニダービーで両者がガチンコ対決。いやあ、どっちも勝ち点28で、ラージョこそセイフティゾーンにいるものの、しばらく勝ててないのは同じですからね。両方のチームにいたミク(2010-13シーズンにヘタフェに在籍)やパブロ・エルナンデス(同2007-08シーズン)などは、「Quiero que saquemos los tres puntos y luego ellos si pueden salvarse、 mejor/キエロ・ケ・サケモス・ロス・トレス・プントス・イ・ルエゴ・エジョス・シー・プエデン・サルバル、メホール(勝ち点3を取りたいね。その後、彼らも残留できればずっといい)」(ミク)といった立ち位置のようですが、そうそう上手く行きますかどうか。
片やピティやホサベド、ラツといった負傷者を抱え、ゼ・カストロも出場停止になりそうなラージョ、それにエスタディオ・バジェカスで挑むは先日、あまりのゴール日照りにクラブが藁を掴む思いで、フリーだったスウェーデン人FWゴイトムを緊急補強したヘタフェ、果たして今回、一息つける結果を得られるのはどちらになるんでしょうかね。
同時にクラシコ前イベントでシュスター元マドリー監督も「El Madrid ha sido inferior incluso con equipos más pequeños/マドリッド・ア・シドー・インフェリリオル・インクルソ・コン・エキポス・マス・ペケーニョス(マドリーはもっと弱小チーム相手ですら、劣っていた)。中盤で苦しんでいるからね」と言っていたように、ジダン監督のチームがエイバル、ヘタフェ、ビジャレアル、ラージョ、ソシエダ、バレンシア、デポルティボとの残り試合、しかも苦手なアウェイ4試合を含んでの全部に勝利できるとはとても思えなかったから。
ただそうは言っても、このクラシコの先にはアトレティコがバルサと激突するCL準々決勝1stレグが控えているのは目を背けることができない現実。となれば、「El 0-4 nos dolió bastante/エル・セロ・クアトロ・ノス・ドリオ・バスタンテ(0-4の負けはかなり辛かった)。時間は経ったけど、ずっとボクらの心に突き刺さっている」(ナチョ)という思いから、リベンジのためだけだとしても、ここはひと一踏ん張りして、相手をクタクタにさせるぐらいのことはしてもらいたいかと。何せ同じく、勝ち点差が9から6になっても、お隣さん同様、アトレティコもエスパニョール、グラナダ、アスレティック、マラガ、ラージョ、レバンテ、セルタに全勝するのは難しそうですからねえ。両者揃って、手っ取り早いタイトル獲得への道がCLになってしまうのは仕方ないところなんですが…。
ちなみに選手たちの様子を見てみると、守備陣ではバルサのマチューがフランス代表のロシア戦でヒザの半月板を損傷、手術を受けて本人曰く、「全治4週間」、クラブ発表では「6~8週間」という、どちらにしろ土曜の試合には間に合わない重傷を負ってきたのに比べ、マドリー勢はほとんどが無傷。いえ、セルヒオ・ラモスなど、背筋痛でスペインの親善試合2戦目、ルーマニア戦には帯同せずに早退してきたんですけどね。あっという間に回復すると、30歳のバースデーを迎えた水曜など、しっかりグラウンドでの練習に加わって、大勢のチームメートからお祝いの言葉をもらっています。
まあ、その辺はルーマニア戦でネンザ、一時はクラシコ出場が微妙と伝えられたジョルディ・アルバも同様で、先発に問題はないようですが、ちょっと目を引くのは両チームのSBたちのお疲れ具合。そう、何せ、バルサではダニエウ・アウベスがブラジル代表の2試合にフル出場、火曜のパラグアイ戦では殊勲の同点ゴールを挙げ、出場停止でネイマールがいなかったチームに2-2の引き分けをもたらしたんですが、その分、ベンチで楽していたのがダニーロですからね。カルバハルもスペイン代表に呼ばれず、更に左のマルセロもこの2週間、ずっとマドリッドで練習に励んできたとなれば、いえ、代わりにアトレティコのフィリペ・ルイスが出ずっぱりだったなんてのは置いておいて、サイドの体力に関してはマドリーが圧勝?
ただ、ペペとバランはどちらも代表で180分プレーして、最後の試合も火曜とちょっとお疲れかもしれませんけどね。幸い、中盤はクロース、モドリッチがそれぞれドイツ、クロアチアの2試合に出場したものの、前者はイングランド、イタリアの強敵相手に2ゴールの活躍でご機嫌。後者も戻りが早かったですし、何より、ベニテス監督とは違い、ブレないジダン監督が先発で使うつもりでいるカセミロが留守番組なのは心強いかと。
うーん、バルサのイニエスタ、ブスケツがスペイン代表に行かず、それが2引き分けと冴えない結果に終わった原因と言われているのはともかく、クロアチアの合宿が始まる前に引き上げてきたラキティッチと共に体力を温存していたのは気になるところですけどね。その辺は得点源のBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)のうち、Bの2人が出向をせず、じっくりトレーニングに励んでいたことでお釣りがこない?
実際、ロナウドもブルガリア戦では不発でチームも0-1と負けてしまったものの、火曜のベルギー戦では得点。GKクルトワにまたしても悔しい思いをさせて2-1で勝利した上、会場も先週のブリュッセルでのテロ事件のせいでポルトガルのレイリアに変更と、近かったですからね。揃って大西洋横断の旅をしたMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)とは疲労度がまったく違うかと。いえ、2試合目のボリビア戦でPKゴールを決めたメッシなど、あと1ゴールでキャリア通算500点になるため、「Seria un lindo escenario para llegar a esa cifra/セリア・ウン・リンドー・エセナリオ・パラ・ジェガールウ・ア・エサ・シフラ(その数字に到達するにはいい舞台だね)」と、クラシコで節目を祝う気満々みたいのようですけどね。
ルイス・スアレスもウルグアイのブラジル、ペルー戦のW杯予選2つに出場していますし、何よりネイマールとの同僚対決となった前者は2-2のかなりの激闘だったとなれば、疲れも溜まっていると思うんですが、さて。そうそう、GKではクラウディオ・ブラボがネイマール同様、チリの2戦目出場停止で早帰りしたバルサに対し、ケイロル・ナバスはジャマイカとの2連戦で1失点してコスタリカから水曜に到着。ただ何だか、あちらではリーガでは控えGKのテア・シュテーゲンがドイツ代表にいる間にクラブでの先行きを考えるようなことを暗示したり、マドリーでもハメス・ロドリゲスがボリビア、エクアドルに連勝したコロンビア代表で活躍した勢いで挑発発言と少々、不穏な出来事がもなきにしもろあらず。
曰く、「Cuando uno juega y tiene el apoyo de todos se nota/クアンドー・ウノ・フエガ・イ・ティエネ・エル・アポジョ・デ・トードス・セ・ノタ(プレーして、皆が支えてくれている時はわかるもの)」と、ベンチスタートが濃厚な選手たちからはこの、チーム一丸となって挑まないといけない大一番前に望ましくない声も聞こえてきたりしましたが、それも試合がいざ始まれば別でしょう。とりわけこのクラシコでは先週、現在のバルサのプレースタイルの基礎を築いたサッカー界のレジェンド、ヨハン・クライフが亡くなったため、9万のモザイクでカンプ・ノウのスタンドを覆い、感謝の言葉を伝える追悼イベントが予定されていることもありますし、土曜の午後8時半(日本時間翌午前3時半)のキックオフが大いに盛り上がることは間違いありません。
え、土曜にはFIFAウィルスでボロボロのアトレティコも午後4時(日本時間午後11時)からベティスとビセンテ・カルデロンで戦うんだろうって?いやあ、前回原稿を書いた時はここまで不幸が重なるなんて、さすがアトレティコと私もドン底の気分だったんですけどね。実はその後、状況が急変して、月曜にサビッチが練習参加したのをキッカケに、翌日にはサウル、ルーカス、木曜にはとうとうゴディンまで全快通知をもらい、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で一緒にトレーニングをしていたから、ビックリしたの何のって。おかげでスロベニア代表から戻って来たGKオブラクも安心していたようですが、やっぱり普段の体の鍛え方が違うと治るのも早い?
そこへ、このparon(パロン/リーガの休止期間)は特別メニューで調整していたフェルナンド・トーレスも加わり、partidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)で4ゴール挙げたとか、代表の2試合で1得点2アシストと大活躍、次のユーロはベンゼマを差し置いて、フランスの攻撃陣を牽引することになるんじゃないかとまで言われ始めたグリースマンも元気で帰還したとか、セッションには間に合わなかったものの、クラネビテル、アウグスト、コレアのアルゼンチン組とフィリペ・ルイスもケガはしていないとなれば、まあ、ベティス戦はまだ疲れが残っているかもしれませんけどね。来週火曜のCLバルサ戦に向けて、ちょっとは楽観的になれるってもんじゃないですか。
むしろ今週末のリーガで大変なことになっているのは弟分チームたちで、金曜には降格圏回避を懸けたマドリーミニダービーで両者がガチンコ対決。いやあ、どっちも勝ち点28で、ラージョこそセイフティゾーンにいるものの、しばらく勝ててないのは同じですからね。両方のチームにいたミク(2010-13シーズンにヘタフェに在籍)やパブロ・エルナンデス(同2007-08シーズン)などは、「Quiero que saquemos los tres puntos y luego ellos si pueden salvarse、 mejor/キエロ・ケ・サケモス・ロス・トレス・プントス・イ・ルエゴ・エジョス・シー・プエデン・サルバル、メホール(勝ち点3を取りたいね。その後、彼らも残留できればずっといい)」(ミク)といった立ち位置のようですが、そうそう上手く行きますかどうか。
片やピティやホサベド、ラツといった負傷者を抱え、ゼ・カストロも出場停止になりそうなラージョ、それにエスタディオ・バジェカスで挑むは先日、あまりのゴール日照りにクラブが藁を掴む思いで、フリーだったスウェーデン人FWゴイトムを緊急補強したヘタフェ、果たして今回、一息つける結果を得られるのはどちらになるんでしょうかね。
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