【原ゆみこのマドリッド】用心してくれるのは嬉しいけど…

2015.11.21 13:00 Sat
▽「何時に行ったらいいのかしらね」そんな風に私が悩んでいたのは金曜日、先週起こったパリでのテロ事件の余波を受け、中止にはならなかったものの、サンティアゴ・ベルナベウ周辺の警備は格段に強化されることに。おかげでクラシコ(伝統の一戦、レアル・マドリーvsバルサ戦のこと)関連のニュースや記事には必ず、「早めにスタジアムに行くように」と付け加えられているのに気がついた時のことでした。いやあ、一応、mochila(モチラ/リュック)やbolso(ボルソ/バッグ)は持ち込んでいいらしいんですけどね。普通の試合の6倍の人員、警察官1200人プラス民間警備員1195人を総動員して、入念な身体検査が行われるため、ゲートもいつもより30分早いキックオフ2時間前にはオープンするそう。

▽でもねえ、チケット完売で8万人と見込まれる来場者は混雑を避けるため、時間に余裕を持って行くようにと言われても、全員が2時間前に着いたら、やっぱりとんでもない行列にならない? 実際、最寄りのメトロ(地下鉄)の駅から3重に敷かれたチェック網内に先に入り込んで、中で時間潰ししようとしても、その日は警備の事情から、クラブ・ミュージアムも閉館。だからって、オフィシャルショップにそんなに長い時間いたら散財しすぎてしまいますしね。まったく両チームのウルトラ(過激なサポーター)の動向以外でここまで大袈裟になったクラシコは私も初めの経験なため、頭を悩ますことになってしまったんですが…。

▽まあ、その辺は当日、お昼のニュースを見ながらでも決めるとして、ファンが気になっているマドリーとバルサの様子をお伝えすることにすると。今週は火曜まで各国代表戦があったため、どちらのチームも母国へのご奉仕に行っていた選手たちの帰還を待っていたんですが、中にはスペイン代表のように親善試合が中止になったケースもあったため、マドリーではナチョだけながら、バルサではピケ、イニエスタ、ブスケッツ、ジョルディ・アルバ、バルトラら大量5人が1日早く予定より早くチームに合流できることに。いえ、ベルギー戦中止の報は月曜深夜に届き、マドリッドに帰還するチャーター機がいつ飛べるのか、なかなか決まらなかったため、選手たちはホテルの部屋でマンジリともできなかったようですけどね。
▽本来なら、木曜早朝にならないと戻れなかった上、試合でケガをする危険も避けられたとなれば、ベニテス監督にもルイス・エンリケ監督にも文句はなかったかと。一方、テロ事件の渦中にあったフランス代表に行っていたヴァランはドイツ戦に続いて、火曜のイングランド戦でも先発。とはいえ、マドリーではペペがポルトガルの2試合目のルクセンブルク戦でまったくプレーしていませんから、体力的には余裕があるはずです。

▽ちなみに帰還が一番遅かったのはいつも通り中南米組で、コロンビアがバランキージャでアルゼンチンに0-1で負けたワールドカップ予選の後、ハメス・ロドリゲスはボゴタに寄って商業イベントに参加してから木曜に到着。マスチェラーノもブエノスアイレスを経由してのお帰りだったため、バルセロナに着いたのは同じぐらいだったかと。
▽ブラジル勢はペルーとの同予選後の帰還でしたが、異なるのはマドリーのダニーロには出場機会がなかったのに比べ、バルサのネイマールとダニエウ・アウベスはフル稼働だったこと。同様に皆勤したチリのGKクラウディオ・ブラーボなども、最初の試合ではハメスに同点ゴールを浴びてドローに持ち込まれてしまったり、2試合目には何と、アトレティコのゴディンに先制点を決められて、ウルグアイに3-0と惨敗と結構、悔しい思いをしてきたようですね。

▽え、代表戦ではチリ戦の後、「En el Madrid me entreno bien, entonces estoy para otros 90/エン・エル・マドリッド・メ・エントレノ・ビエン、エントンセス・エストイ・パラ・オトロス・ノベンタ(マドリーで自分はよく練習していて、もう1試合90分間プレーできる)。ボクがまだ調子が良くないと言う人たちのために頑張ったよ」とハメスが発言、paron(パロン/休止期間)前、途中出場だったセビージャ戦でベニテス監督に「もっと練習してリズムを取り戻さないといけない」と言われたのに反論していたなんてこともあったとはいえ、どちらのチームも今回の代表戦週間でカギになるのは居残り組の方じゃないのかって? そうですね、マドリーなどは招集免除された選手も多かったんですが、この2週間のおかげで負傷者が1人もいなくなることに。

▽いえ、金曜に前日記者会見に臨んだベニテス監督によると、今週の頭には痛みがぶり返したりもしていたベンゼマは、「招集リストには入るが、出るかどうかは試合までに決める」そうですけどね。例のヴァルブエナへの恐喝事件関与の容疑に関しては先日、パリまで行って事情徴収を受けた際、当人が「大事な幼馴染のゼナティ(すでに逮捕されている)のためにヴァルブエナに渡りをつけないといけなかった」と、仲介したことを自白したなんて報道もあったんですが、それもテロ事件のせいで、いつの間にか、忘れられてしまったよう。とはいえ、金曜には被害者の証言徴収もあったため、フランス代表復帰も懸かっているこの件に関しては、来週にも新たに進展が見られる?



※このニュースは一部省略してご紹介させていただいております。全文が気になる方は[コラム]でご覧ください。
【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している

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