【原ゆみこのマドリッド】もう大一番が来ちゃった…

2015.10.03 13:17 Sat
▽「やっぱりダービー前にやっておかなくちゃね」。そんな風に私が納得していたのは金曜日、サンティアゴ・ベルナベウのパルコ(貴賓席)前ホールで開かれたクリスティアーノ・ロナウドのクラブ最多得点記録更新記念セレモニーが、かなり派手目なものだとわかった時のことでした。何せ、昨季リーガのシーズン後半マドリーダービーはアトレティコが4-0と大勝利したため、たまたま前から予定していた30歳のメガバースデーパーティを決行したロナウドが、ゲスト歌手のケビン・ロルダンのせいで、ステージで大熱唱している姿がSNS経由で世界中に広まったのはともかく、ショックを受けているマドリーファンの気持ちを考えていないと大ヒンシュクを買ったものでしたけどね。今度もまた、何かの間違えがあって、この日曜の試合でお隣さんに大負けでもした後、こんなイベントを開いたら、「決勝点を取れなかったくせに」なんて、心無い批判を受けてしまうかもしれなかったから。

▽とはいえ、確かに今回、ロナウドがCLマルメ戦で2点を挙げて達成した記録は大したモノで、ベニテス監督も試合後には「ずっと短い期間での数で、eso le da mas valor/エソ・レ・ダ・マス・バロール(そのことがより価値を与える)」と言っていましたが、ラウールの持っていた最多記録の323ゴールに並ぶ(マルカ紙は2010年にペペの背中に当たって入ったゴールをロナウドの1点として勘定しているため、324ゴールで更新扱い。マドリーもそれに倣ったため、協会の公式記録と1点ずれている)のにたった308試合しか必要とせず。

▽一方、ラウールはその倍以上の741試合かかったとなれば、今はニューヨーク・コスモスでプレーする大先輩が「Me mando un sms y me dijo que ojala marque 300 goles masメ・マンドー・ウン・エセエメエセ・イ・メ・ディホ・ケ・オハラ・マルケ・トレスシエントス・ゴーレス・マス(ボクにメッセージを送ってきて、あと300ゴール入れられるようにと言ってくれた)」(ロナウド)というのも結構、信憑性があるかと。
▽ただ、その水曜の夜は、スペインのマスコミと話すのが例のメガバースデーパーティ騒ぎ勃発以来、7カ月ぶりだったため、そこをつつかれたロナウドが「Es usted inteligente?/エス・ウステ・インテリヘンテ(君は利口なのかい)? ボクがそんなにインタビューを受けないのは、いい質問をしてくれないからだよ」と返し、ちょっと緊張した雰囲気にもなったんですけどね。それもイベント会場の最前列で母親とそろそろ5歳ぐらいになったんでしょうかね。息子のクリスティアーノ・ジュニア君が見守っていては大人気ないと思ったか、ペレス会長のスピーチの後に檀上に上がった当人からは、関係者各位への謝辞の際、「Gracias a los medios de comunicación, con los que sé que hemos sido unos cabrones/グラシアス・ア・ロス・メディオス・デ・コムニカシオン、コン・ロス・ケ・セ・ケ・エモス・シードー・ウノス・カブロネス(自分たちがイヤな奴同士だったのは知っているけど、マスコミもありがとう)」と言って笑いを取るシーンも。

▽そして、ペレス会長からはサッカーシューズとボールをあしらった銀製のオリジナルトロフィーを受け取り、最後はベニテス監督やチームメート全員に囲まれて、これまでに獲得したバロンドール3個、ゴールデンシュー3個、そしてクラブでの大会優勝トロフィーを前に記念撮影と、そんな感じのセレモニーでしたが、何せ自己通算でも500得点に達したスーパー・サッカー選手ですからね。たまにはこういうイベントで称えてあげるのも、当人のモチベーションが上がっていいんじゃないでしょうか。
▽ちなみにそのマルメ戦、どんな試合だったか、さらりと伝えておくことにすると、いやあ、相手はアトレティコも昨季のCLでホーム、アウェイ共に完勝したスウェーデンのチームですからね。ベニテス監督もアルベロアやカセミロで先発ローテーションを敢行した程だったんですが、前半は28分にカウンターからコバチッチ、イスコと繋いでロナウドが決めるまで、得点できず。後半も停滞した展開で、32分に敵チームが1人少なってから、ようやく44分にロナウドが途中出場のルーカス・バスケスのアシストで2点目を加えただけなので、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を期待していた向きには物足りなかったかと。

▽え、それでも0-2で勝って、グループリーグ2連勝したんだから、御の字じゃないかって?その通りで、いえ、当日、私はビセンテ・カルデロンへ行っていたんですけどね。ベンフィカとの一戦では前半22分、ファンフランのクロスをグリースマンが浮かせたところ、最近の著しい成長ぶりを買われて初先発したコレアが先制点を決めてくれたんですが…楽しかったのはそこまででした。というのもその後のチャンスを逃したアトレティコは36分、相手のカウンター攻撃を受けて撃沈。ええ、セナドが右サイドから上げたクロスをゴディンが頭でガイタンに繋いでいる姿を見た時の驚きったらもう、半端じゃありませんでしたっけ。

▽こんな間抜けなアトレティコは久々だと私がポカンとしていたのも束の間で、その驚愕に輪をかけたのはビジターチームのサポーターが座るFondo norte/フォンド・ノルテ(北側ゴール裏)2階席から一斉にbengala(ベンガラ/発煙筒)が炊かれたことで、いやあ、後の新聞で読むと計20本とありましたけどね。うち5本程が1階席やピッチに投げ入れられ、その1本など、2歳児の座っていたシートのすぐ側に落ちて危うく大事故になるところだったとか。とはいえ、その時の私はそんなことまで知らず、即座に頭に浮かんだのはUEFA処分の恐怖。そう、悪いことをしたのはベンフィカのファンでも、アトレティコもスタジアム管理者としての責任を問われるため、罰金はもちろん、下手したら無観客試合なんてことだって、数年前のマルセイユ戦の経験でありえるってわかっていたから。…(続く)

※このニュースは一部省略してご紹介させていただいております。全文が気になる方は[コラム]でご覧ください。
【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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