【原ゆみこのマドリッド】調整試合は続く…

▽「どうかしてるんじゃない!」そんな風に私が呆然としてしまったのは月曜日、チームはまだアジアツアーから帰っていないものの、アトレティコの今週末の予定をマルカ(スポーツ紙)のウェブで見た時のことでした。いやあ、火曜の上海での親善試合が終われば、あとはずっとマドリッドにいられる彼らなんですけどね。この夏はスーパーのつく大会がないせいで、いくらプレシーズンマッチにじっくり取り組めるとは言ったって、この土曜の過密スケジュールはとても正気の沙汰とは思えず。だってえ、まずは午前中、同じマドリッドのチームのよしみでレガネス(2部)の招きに応じて、朝の9時半からグアルダハラ(2部B)と45分のハーフマッチ、続いて10時半からホストと同じくハーフをブタルケ(マドリッド郊外にあるレガネスのホーム)と対戦することに。

▽そこまではいいんですが、それからアリカンテ(スペイン南部のビーチリゾート)に移動して、午後9時からレアル・ソシエダと親善試合って一体、選手をどうやり繰りするつもり?うーん、現在ツアーに参加しているのは22人で、うち4人はカンテラーノ(アトレティコBの選手)。トップチーム所属でもCBのバスケスはもうレンタル先のヘタフェに合流しないといけませんし、コパ・アメリカ参加でプレシーズン開始が遅れ、このツアー中はマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で体力強化に励んでいるゴディン、ヒメネス、ジャクソン・マルティネス(ポルトから移籍)、フィリペ・ルイス(同チェルシー)が加わるとはいっても、実質1日2試合分を25人で乗り切るのは相当、きついかと。おそらく4、5人は新たにカンテラーノを徴用して、水増しするんじゃないかと思いますが、それにしてもねえ。そろそろプレシーズンマッチの蓄積で選手たちも疲労が溜まってきますし、8月に入ってからのケガはシーズン開幕にも差しさわりが出てくるため、ここはあまり張り切りすぎないでプレーしてもらいたいところですが…。

▽え、ということは疲れていたから、アトレティコはサガン鳥栖との試合で引き分けてしまったのかって? いやあ、今はまだ選手たちも完璧に仕上がっている訳じゃありませんからね。土曜にベストアメニティ・スタジアムを満員にした観客の前でプレーした彼らは序盤、少々敵に押し込まれたものの、次第にペースを掴んでいくことに成功。ただ先制点は思いもかけない形でやってきて、18分、いつも通りにコケがふわっとCKを蹴ったところ、GK藤嶋がジャンプして掻き出そうとするも空しく、ボールがゴールの中へ落ちてしまったから、ビックリしたの何のって。
▽いやあ、本人に言わせると、以前にも同様のいわゆる“Gol olimpico/ゴル・オリンピコ(オリンピック・ゴール、CKからのゴールこう呼ぶ)を決めたことはあったそうで、「Fue de pequeno, creo que en benjamines/フエ・デ・ペケーニョ、クレオ・ケ・エン・ベンハミネス(小さい時だよ。10～11歳のユースチームの頃だと思う)」と本人は言っていましたけどね。でも彼が直接FKを決めるところさえ、ついぞ見たことないというのに、どうしてCKがゴールになる? うーん、アトレティコのMFたちは、「El mister nos pide que lleguemos desde la segunda linea y marquemos goles/エル・ミステル・ノス・ピデ・ケ・ジェゲモス・デスデ・ラ・セグンダ・リネア・イ・マルケモス・ゴーレス(監督はボクらに2列目からゴール前に行って、得点するように頼まれている)」(コケ)そうなんですが、こんな方法でもいいんでしょうかね。………
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【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。