【日本サッカー見聞録】ハリルジャパン最初のテーマは「カウンター」
2015.03.26 18:00 Thu
▽23日から始まったハリルジャパンの大分キャンプだが、非公開練習が続いているためその実態はなかなかつかめない。25日も冒頭8対2のボール回しのあと、6分間のミーティングで練習はスタートしたものの、その後はランニングと上下半身のストレッチで15分が経過したところで非公開となった。
▽あらかじめピッチ上には青、黄、オレンジのポールが22本とカラーコーンが置かれていたが、それがどのように利用されたのかは不明だ。そして練習後のミックスゾーンでも、“箝口令”が敷かれているのか選手の口は重い。
「フィーリングはいいです。内容は言えないけど。ミーティングの内容を話すのはどういうものかと」(吉田)
「非公開なので何も話すことはないです。要求は高いと思う。ミーティングを通して監督のやりたいことを理解したい」(香川)
▽本田は相変わらず無言でミックスゾーンを通り過ぎ、吉田や香川ら主力選手もそれが暗黙の了解なのかミーティングの内容については口を閉ざしている。ただ、何人かの選手は水を向けると次のように話していた。
「正確にやらないといけないし、今は監督のサッカーを頭に入れることに集中している。1タッチ、2タッチが多いし、3人目の動き出しとか意識している。ボールのスピードと、プレーの展開のスピードを重要視しているかな」(清武)
▽他の選手の話を総合しても、大分キャンプで最初に取り組んでいるのはカウンターからの攻撃パターンの確立のようだ。ザックジャパンに欠けていたパーツであり、アギーレジャパンが取りかかろうとしていた、これまでの日本に一番欠けていた攻撃パターンでもある。もちろん4日間の練習ですぐに成果が出るとは思いにくいが、継続してトライすることで新たな武器を身に着けることが可能になるだろう。
▽ハリルホジッチ監督は3月19日のメンバー発表の席で、「最も大事なのは選手のオーガナイズだ。攻撃的にやるのか守備的にやるのか、この2試合で見せたい」と語っていた。カウンターだからといって、それが即、“守備的なサッカー”と捉えるのは短絡的な考えだ。チャンスがあればいつでもカウンターを狙うべきだし、その準備を90分間、怠ってはならない。そしてリードして、相手が攻勢を仕掛けて来たらそのチャンスはさらに広がる。
▽逆にリードを許した際に、いかに厚みのある“攻撃的なサッカー”を仕掛けられるか。単にボールを保持してパスを回すだけでなく、相手ゴールに波状攻撃を仕掛けられるか。効果的なパワープレーも含めた“攻撃的なサッカー”も日本代表に欠けている点だ。そうした観点からの“攻撃的なサッカー”にも大いに期待したいところだが、4日間の練習では多くを望むのは酷というもの。
▽選手は「結果にこだわりたい」と指揮官の教えを口にしていたが、まずはどれだけ意識が変わったのか。それがチュニジア戦とウズベキスタン戦における取材テーマと思っている。
▽最後に、25日の練習取材では、公開された範囲でケガ人とされる内田と今野は普通にプレーしていた。逆に乾は体調不良で、大迫は左足首の捻挫によりホテルで静養を取った。すでにネット上でも話題になっているように、メンバー発表の際にハリルホジッチ監督が名前を読み上げた順がレギュラーなら、チュニジア戦のスタメンは次のようになる(システムは4-3-3のダブルボランチと仮定)。
GK川島、DFは右から酒井高、吉田、森重、太田、MF長谷部、今野(青山)、香川、FW本田、岡崎、武藤。今野が復帰し、体調不良の乾に代わって武藤が先発で、さらに内田がプレー可能なら酒井高に変わってスタメンに復帰するかもしれない。
【六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
▽あらかじめピッチ上には青、黄、オレンジのポールが22本とカラーコーンが置かれていたが、それがどのように利用されたのかは不明だ。そして練習後のミックスゾーンでも、“箝口令”が敷かれているのか選手の口は重い。
「フィーリングはいいです。内容は言えないけど。ミーティングの内容を話すのはどういうものかと」(吉田)
▽本田は相変わらず無言でミックスゾーンを通り過ぎ、吉田や香川ら主力選手もそれが暗黙の了解なのかミーティングの内容については口を閉ざしている。ただ、何人かの選手は水を向けると次のように話していた。
「監督は、日本の弱い部分はカウンターが少ないと指摘していた。日本は攻撃に人数をかけ過ぎるのでカウンターを食らう場面が多い」(岡崎)
「正確にやらないといけないし、今は監督のサッカーを頭に入れることに集中している。1タッチ、2タッチが多いし、3人目の動き出しとか意識している。ボールのスピードと、プレーの展開のスピードを重要視しているかな」(清武)
▽他の選手の話を総合しても、大分キャンプで最初に取り組んでいるのはカウンターからの攻撃パターンの確立のようだ。ザックジャパンに欠けていたパーツであり、アギーレジャパンが取りかかろうとしていた、これまでの日本に一番欠けていた攻撃パターンでもある。もちろん4日間の練習ですぐに成果が出るとは思いにくいが、継続してトライすることで新たな武器を身に着けることが可能になるだろう。
▽ハリルホジッチ監督は3月19日のメンバー発表の席で、「最も大事なのは選手のオーガナイズだ。攻撃的にやるのか守備的にやるのか、この2試合で見せたい」と語っていた。カウンターだからといって、それが即、“守備的なサッカー”と捉えるのは短絡的な考えだ。チャンスがあればいつでもカウンターを狙うべきだし、その準備を90分間、怠ってはならない。そしてリードして、相手が攻勢を仕掛けて来たらそのチャンスはさらに広がる。
▽逆にリードを許した際に、いかに厚みのある“攻撃的なサッカー”を仕掛けられるか。単にボールを保持してパスを回すだけでなく、相手ゴールに波状攻撃を仕掛けられるか。効果的なパワープレーも含めた“攻撃的なサッカー”も日本代表に欠けている点だ。そうした観点からの“攻撃的なサッカー”にも大いに期待したいところだが、4日間の練習では多くを望むのは酷というもの。
▽選手は「結果にこだわりたい」と指揮官の教えを口にしていたが、まずはどれだけ意識が変わったのか。それがチュニジア戦とウズベキスタン戦における取材テーマと思っている。
▽最後に、25日の練習取材では、公開された範囲でケガ人とされる内田と今野は普通にプレーしていた。逆に乾は体調不良で、大迫は左足首の捻挫によりホテルで静養を取った。すでにネット上でも話題になっているように、メンバー発表の際にハリルホジッチ監督が名前を読み上げた順がレギュラーなら、チュニジア戦のスタメンは次のようになる(システムは4-3-3のダブルボランチと仮定)。
GK川島、DFは右から酒井高、吉田、森重、太田、MF長谷部、今野(青山)、香川、FW本田、岡崎、武藤。今野が復帰し、体調不良の乾に代わって武藤が先発で、さらに内田がプレー可能なら酒井高に変わってスタメンに復帰するかもしれない。
【六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
日本の関連記事
|
|
日本の人気記事ランキング
1
日本代表が離脱の南野拓実の代役にオナイウ阿道を追加招集、フランス2部で現在2試合連続ゴール中で背番号は南野の「10」に
日本サッカー協会(JFA)は4日、トゥールーズのFWオナイウ阿道を日本代表に追加招集することを発表した。背番号は「10」を付ける。 日本代表は2日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のオマーン代表戦で0-1と敗戦。中国代表戦を戦うため、カタールへと移動した。 オマーン戦を負傷欠場していたMF南野拓実(リバプール)がケガのためそのまま離脱。攻撃陣が手薄となっていた。 なお、DF板倉滉(シャルケ)、DF酒井宏樹(浦和レッズ)に続いて3人目の離脱となっていた。 オナイウは今シーズンの明治安田生命J1リーグで20試合に出場し12得点を記録。夏にリーグ・ドゥ(フランス2部)のトゥールーズへと完全移籍すると、6試合で2ゴールを記録。2試合連続ゴール中と好調を維持していた。 2021.09.04 22:05 Sat2
「まさに死闘ってカンジ」歴史に残るバーレーンとの4-3の激闘!2004年大会プレイバックに反響「このゴールで中澤佑二に惚れた」
31日、日本代表はアジアカップ2023のラウンド16でバーレーン代表と対戦する。 過去の対戦成績は日本の8勝2敗となっているが、アジアカップの舞台で最後に対戦したのは2004年の中国大会での準決勝。記憶に残る激闘だった。 MF小野伸二、FW高原直泰ら当時の主力選手が欠場していた当時の日本は、開催国の中国サポーターにブーイングを浴びせられながらも決勝トーナメントに進出すると、準々決勝ではPK戦途中でのサイド変更とGK川口能活の神がかり的なセーブが印象深いヨルダン代表戦に勝利し、準決勝でバーレーンと対戦した。 しかし、バーレーン戦では開始6分に先制ゴールを許すと、40分にはMF遠藤保仁が不可解な判定で一発退場。日本はビハインドの状況で数的不利を負ってしまった。 数的不利の状況でもMF中田浩二とFW玉田圭司のゴールで逆転した日本だったが、その後2失点。2-3と1点ビハインドで試合終盤を迎えた。 それでも日本は最後まで諦めず。DFも攻めあがって同点ゴールを狙うと、90分にDF中澤佑二が値千金の同点ゴール。不屈の精神で同点に追いつくと、延長前半には玉田の独走ゴールが決まり、4-3で激闘を制していた。 なんとか決勝に進出した日本は、決勝で中国代表を撃破。見事に大会連覇を成し遂げていた。 久しぶりの対戦を前に『DAZN』は当時の試合映像をプレイバック。SNS上のファンも「このゴールで中澤佑二に惚れた」、「バーレーン戦といえばこの試合よな」、「痺れたね、玉田」、「まさに「死闘」ってカンジだった!」、「2004の大会は激熱だった」と当時を思い返している。 ベスト8を懸けた一戦は、31日の20時30分にキックオフ。『DAZN』で視聴が可能だ。 <span class="paragraph-title">【動画】当時の記憶が蘇る!2004年大会でのバーレーンとの激闘ハイライト</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr">/<br>「バーレーンvs日本」<br>過去対戦をプレイバック<br>\<br><br>アジアカップ2004年大会で起きた<br>奇跡の大逆転劇<br><br><a href="https://twitter.com/hashtag/AFC%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#AFCアジアカップ</a> ラウンド16<br>バーレーン×日本<br>1/31(水)20:30(19:45配信開始)<br><a href="https://twitter.com/hashtag/DAZN?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#DAZN</a> 独占配信<br>出演:水沼貴史/小野伸二/佐藤寿人/下田恒幸/桑原学 <a href="https://t.co/x7Sals8iKu">pic.twitter.com/x7Sals8iKu</a></p>— DAZN Japan (@DAZN_JPN) <a href="https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1752609401201189348?ref_src=twsrc%5Etfw">January 31, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.01.31 18:45 Wed3
「公式がこれは泣けるよ」W杯を終えた日本代表、JFA公開の映像がイナズマイレブンの楽曲含め大反響「4年後も期待」
日本サッカー協会(JFA)の公開したショートムービーに注目が集まっている。 7大会連続7回目となるワールドカップ(W杯)に臨んだサッカー日本代表。カタールではグループステージでドイツ代表、スペイン代表を逆転で下す快挙を達成し、決勝トーナメント進出を決めた。 史上初のベスト8進出を目指した5日のラウンド16では難敵・クロアチア代表と対戦。1-1で120分を終了し、PK戦までもつれ込んだが、残念ながら涙をのむこととなった。 激闘を終えた日本代表。7日にはJFAの公式TikTokアカウントが改めてラウンド16のシーンを振り返る映像を公開すると、これに大きな反響が寄せられた。 「この大会で得た自信も、この大会で流した涙も、夢の力に変える。 たくさんの応援、本当にありがとうございました」 BGMにはイナズマイレブンで使用された楽曲、T-Pistonz+KMCの『GOODキター!』が採用されており、締めくくりの折り鶴と相まって琴線に触れるとの声が相次いだ。 「公式がイナズマイレブンは泣けるのよ」、「4年後もイナズマイレブンの曲使ってくださるの期待してます」、「世代すぎて泣ける」など、選曲への賛辞が送られるとともに、「こんなに熱くなれたのは日本代表のおかげ!感動をありがとう」、「まじ公式ありがとう。日本代表もありがとう!」日本代表への労いのメッセージが多数届いている。 目標としていたベスト8進出とはならなかったが、国内のみならず世界中に大きな感動を与えた日本。4年後こそは新しい景色を期待せずにはいられない。 <span class="paragraph-title">【動画】楽曲含め大きな反響を呼んでいるJFA公開のショートムービー</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="tiktok-embed" cite="https://www.tiktok.com/@jfa_samuraiblue/video/7174331420096138498" data-video-id="7174331420096138498" style="max-width: 605px;min-width: 325px;" > <section> <a target="_blank" title="@jfa_samuraiblue" href="https://www.tiktok.com/@jfa_samuraiblue?refer=embed">@jfa_samuraiblue</a> この大会で得た自信も、この大会で流した涙も、夢の力に変える。 たくさんの応援、本当にありがとうございました。 <a title="サッカー日本代表" target="_blank" href="https://www.tiktok.com/tag/%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BB%A3%E8%A1%A8?refer=embed">#サッカー日本代表</a> <a title="worldcup2022" target="_blank" href="https://www.tiktok.com/tag/worldcup2022?refer=embed">#worldcup2022</a> <a title="fifaworldcup" target="_blank" href="https://www.tiktok.com/tag/fifaworldcup?refer=embed">#fifaworldcup</a> <a target="_blank" title="♬ オリジナル楽曲 - サッカー日本代表/JFA" href="https://www.tiktok.com/music/オリジナル楽曲-サッカー日本代表JFA-7174331431253379842?refer=embed">♬ オリジナル楽曲 - サッカー日本代表/JFA</a> </section> </blockquote> <script async src="https://www.tiktok.com/embed.js"></script> 2022.12.08 20:05 Thu4
日本代表、南野拓実がケガで離脱…代替選手は決定次第発表
日本サッカー協会(JFA)は4日、MF南野拓実が日本代表から離脱することを発表した。 現在、カタール・ワールドカップ(W杯)に向けたアジア最終予選に臨んでいる日本代表。2日に行われた初戦のオマーン代表戦は、相手のインテンシティの高さに為す術なく敗戦を喫した。 7日にカタールのドーハで行われる中国代表戦に向けて調整中の日本だが、南野はケガのため離脱することが報告された。オマーン戦も左太ももの問題でベンチ入りも出場していなかった。 なお、JFAは追加招集選手に関しては決定次第知らせると伝えている。 今回の活動では、すでにMF板倉滉(シャルケ)とDF酒井宏樹(浦和)が離脱しており、南野で3人目となった。 2021.09.04 15:11 Sat5
