プレビュー:激戦を制してベスト16進出を果たすのは?《EL決勝T1回戦2ndレグ》

▽EL決勝トーナメント1回戦2ndレグが26日に開催される。1週間前に行われた1stレグでは、大勝したナポリやエバートン。クラブ・ブルージュが2ndレグを前にほぼベスト16進出を決定。また、リバプールやセビージャ、ヴォルフスブルクといった優勝候補も先勝し、16強入りに大きく近づいている。その一方で、決勝トーナメント1回戦の最注目カードとなったトッテナムvsフィオレンティーナや、セルティックvsインテル、ローマvsフェイエノールトはドローに終わり、ベスト16進出の可否は2ndレグでの戦いに委ねられることになった。ここでは1stレグの結果を踏まえながら2ndレグの展望を紹介していく。

◆敵地で逆転突破を目指すスパーズ


▽決勝トーナメント1回戦の最注目カードとなったトッテナムvsフィオレンティーナの1stレグは、1-1のドローに終わった。試合序盤は攻守の切り替えで勝ったトッテナムが、持ち味のハイプレスでフィオレンティーナを圧倒し早々に先制点を挙げるも、前半終盤にセットプレーから同点に追いつかれた。迎えた後半はシステムを[4-3-3]に変更したフィオレンティーナが効果的にカウンターを仕掛けるも、互いに決め手を欠き1-1のドローで1stマッチを終えた。
▽2ndレグに向けてはアウェイゴールを奪っているフィオレンティーナが優位に立っているものの、アルテミオ・フランキに舞台を移して行われる2ndマッチも拮抗した展開が予想される。互いに1stレグの戦いを通じて相手のスタイルを理解しているだけに、モンテッラ監督とポチェッティーノ監督という若き知将がどのようなゲームプランで臨むのか、注目したいところだ。なお、敵地で2ndレグを戦うトッテナムは、今週末にチェルシーとのキャピタルワンカップ決勝を控えており、メンバー構成にも注目が集まる。

▽優勝候補の筆頭であるリバプールは、ホームでのベシクタシュ戦を試合終盤に挙げたバロテッリのPK弾で先勝した。ただ、試合内容はほぼ互角だったこともあり、トルコでの2ndレグに向けてやや不安を残す。加えて、今週末のプレミアリーグではマンチェスター・シティとの対戦が控えており、まだまだコンディションが万全でないスタリッジや消耗の激しい両ウイングバックの起用法に気を配りたいところだ。▽連覇を目指すセビージャは、強豪ボルシアMGをホームに迎えた1stレグを1-0で先勝。だが、先週末のリーグ戦ではソシエダとの激しい打ち合いに敗れるなど、消耗を強いられている。また、ボルシアMGは今季のホームゲーム15試合のうち、敗戦はわずかに「2」とホームで強さを見せているため、簡単な試合とはならないはずだ。同じくスペイン勢のビジャレアルは、南野の所属するザルツブルクを相手にホームで2-1の勝利を収めたが、アウェイゴールを奪われた点が気がかりだ。

▽前述したチームとは異なり、1stレグでベスト16進出に大きく近づいたのは、エバートンとヴォルフスブルクの2チームだ。前者は久保の所属するヤングボーイズ相手に攻撃陣が躍動した。エースのルカクがハットトリックを記録するなど、ホームで4-1の大勝。一方、後者は田中の所属するスポルティングを相手に終始試合をコントロールし、ホームで2-0の快勝。1stレグで2ゴールを記録したドストは、先週末のヘルタ・ベルリン戦でも2ゴールを記録するなど、現在最も好調な選手の1人だ。

◆明暗分かれたイタリア勢


▽イタリア勢の全5クラブは1stレグを無敗で終えた。ただ、アウェイゲームに臨んだ3クラブと、ホームゲームを戦った2クラブの間で明暗が分かれる格好となった。

▽まずは、2ndレグに向けて最高の結果を得たナポリ。トラブゾンシュポルの敵地でイグアインやガッビアディーニらの得点で4つのアウェイゴールを奪い、4-0と快勝した。ホームで迎える2ndレグは4点差以上で負けなければ突破できる状況であり、ベスト16進出をほぼ決めたと言っていいだろう。ベニテス監督は、週末のリーグ戦を見据えて大幅なターンオーバーを行うはずだ。

▽また、トッテナムの敵地で1-1のドローに持ち込んだフィオレンティーナと同様に、アウェイゴールを奪って引き分けたインテルも決勝トーナメント2回戦へ前進している。だが、試合終了間際に同点とされて3-3のドローに終わり、勝ちきれなかったことは悔やまれる。3つのアウェイゴールを奪ったことは大きなアドバンテージだが、負ければ敗退だ。3日前のリーグ戦ではシャキリやパラシオを温存しており、ジュゼッペ・メアッツァで確実に突破を決めたい。

▽一方のローマは、フェイエノールトを相手にホームで痛恨のドロー。ジェルビーニョの先制点を守りきることができず、アウェイゴールを1つ持ち帰られた。さらに、先週末のリーグ戦でも1-1のドローに終わり、2015年に入って公式戦11試合で7度目の引き分けだ。突破のためには勝利か、2-2以上のスコアで引き分けることが条件。1月末に負傷したイトゥルベが招集メンバーに入る朗報が舞い込んでおり、「勝てないローマ」のレッテルを払拭して16強入りを決めたい。

▽同じくトリノも、ホームで2-2の引き分け。マキシ・ロペスの2ゴールで逆転に成功したが、セットプレーから追いつかれて勝利を逃がした。ベスト16に入るためには、敵地のサン・マメスで勝利するか、3-3以上のスコアで引き分けなければならない。難しい任務となったが、古豪の意地を見せられるか。それぞれ今季のELで2ゴールずつ奪っているマキシ・ロペス、クアリアレッラ、ホセフ・マルティネスといったFW陣の活躍に期待だ。

◆前回対戦で苦戦の久保、意地を見せられるか


▽日本人選手の活躍に注目が集まった1stレグだったが、セルティックと引き分けた長友(ケガの影響で欠場)のインテル以外の3チームが敗戦した。インテル以外の3チームは、いずれもベスト16進出に向けて厳しい状況だが、この2ndレグで意地を見せてほしいところだ。

▽EL決勝トーナメントに参戦している日本人選手の中で唯一、1stレグにフル出場した久保だが、プレミアリーグの強豪エバートンを相手に格の違いを見せつけられる格好となった。久保はトップ下の位置で出場したものの、相手のタイトなチェックに苦しみ、シュートを1本も打つことができなかった。また、チームも後半半ばに10人となったエバートン相手に1-4で敗れ、ホームでの2ndレグを前に勝敗が決した印象だ。ただ、久保にとってはヨーロッパ屈指の強豪を相手に自らの力を試す格好の機会だけに2ndレグでは積極的なプレーを期待したい。

▽1stレグでは試合終盤に途中出場した田中は、さしたる見せ場のないまま敵地でのヴォルフスブルク戦を0-2で終えた。ベスト16進出に向けて3点以上を奪っての勝利が求められる中で、田中の活躍が鍵となるかもしれない。直近のジル・ヴィセンテ戦で先発した田中は、この試合でチームの決勝点を記録している。年明けから好調を継続しているだけにヴォルフスブルク戦でもチャンスを与えられれば、スポルティングに逆転勝利をもたらすような活躍も十分に可能なはずだ。

▽一方、内転筋のケガでELデビューがお預けになったザルツブルクの南野は直前のチーム練習に参加しており、ビジャレアルとの2ndレグで待望のELデビューを飾る可能性がある。チームは1stレグを1-2で落としているため、得点を求められて途中投入される可能性が高い。その場合、難しい状況でのELデビューとなるが、持ち味のハートの強さに期待したい。

◆決勝トーナメント1回戦2ndレグ◆

◆2/26(木)
《26:00》
ディナモ・モスクワ vs アンデルレヒト
ゼニト vs PSV

《27:00》
ベシクタシュ vs リバプール
ボルシアMG vs セビージャ
ディナモ・キエフ vs ギャンガン
フィオレンティーナ vs トッテナム
インテル vs セルティック
レギア・ワルシャワ vs アヤックス
ザルツブルク vs ビジャレアル

《29:05》
ビルバオ vs トリノ
クラブ・ブルージュ vs オールボー
エバートン vs ヤング・ボーイズ
フェイエノールト vs ローマ
オリンピアコス vs ドニプロ
ナポリ vs トラブゾンシュポル
スポルティング vs ヴォルフスブルク

◆決勝トーナメント1回戦1stレグ結果◆

◆2/19(木)
トッテナム 1-1 フィオレンティーナ
リバプール 1-0 ベシクタシュ
セルティック 3-3 インテル
セビージャ 1-0 ボルシアMG
ビジャレアル 2-1 ザルツブルク
ローマ 1-1 フェイエノールト
トリノ 2-2 ビルバオ
PSV 0-1s ゼニト
ヴォルフスブルク 2-0 スポルティング
ヤング・ボーイズ 1-4 エバートン
トラブゾンシュポル 0-4 ナポリ
アヤックス 1-0 レギア・ワルシャワ
アンデルレヒト 0-0 ディナモ・モスクワ
ギャンガン 2-1 ディナモ・キエフ
オールボー 1-3 クラブ・ブルージュ
ドニプロ 2-0 オリンピアコス