【日本サッカー見聞録】Jが採用するトラッキングシステムに注目

2015.02.19 22:00 Thu
▽3月7日に開幕するJ1リーグの「プレスカンファレンス」が2月19日、都内のホテルで547人の報道陣を集めて開催された。今シーズンのJ1で一番の注目は、何と言っても2ステージ制とチャンピオンシップの採用だ。昨シーズンを例にとると、年間勝点2位の浦和と3位の鹿島が1回戦制の準決勝を戦い、この勝者が年間勝点1位のG大阪とホーム・アンド・アウェイで年間王者を決めることになる。

▽果たして今シーズンはどんな展開になるのか楽しみだが、もう一つ注目したいのが「トラッキング(自動追尾)システム」の導入だ。これは昨年のブラジルW杯やリーガ・エスパニョーラ、ブンデスリーガ、イングランドプレミアリーグなどで採用されているテクノロジーで、走行距離や走行スピード、スプリント(時速20キロ以上)の回数などを各選手とチーム別で細かく表示できるというもの。

▽Jリーグは毎節1試合を選び、ハーフタイムや試合後にリアルタイムでアニメーション動画とデータを公式ウェブサイト(J.LEAGUE.JP)に掲載する予定で、こちらは無料となっている。スタジアムでスマホからアクセスすることで、見ている試合の選手の貢献度などが数値として分かるというものだ。将来的にJリーグはスタジアム限定のWi-Fi化も目指しているので、よりアクセスが簡便化するかもしれない。
▽そして、このトラッキングシステムはテレビ中継などでも活用され、データをグラフィック化して視聴者に提供する予定だ。例えば、ある試合の前半の走行距離ランキングの選手ベスト5や、特定の選手のプレーエリア、スプリントの軌跡などを紹介することが可能だという。

▽サッカーに詳しくないファンは「なかなか点が入らないのでつまらない」とテレビ観戦に飽きてしまうことも多いだろう。しかし具体的な数値やアニメーション表示により、サッカーに対する興味を深めるきっかけになってくれるかもしれない。地上波による放送増との相乗効果にも期待したいところだ。
▽カンファレンスに出席した村井満チェアマンは、データを即時開示することで「週末だけでなくウィークデーもサッカーに触れられるチャレンジ」と、この「トラッキングシステム」による可能性の広がりに期待を寄せていた。

▽参考までに、昨年のブラジルW杯のコロンビア戦の後半でスプリント回数のトップは、コロンビアのハメス・ロドリゲスで、33回(走行距離5268メートル)だった。日本人のトップは山口螢の22回(走行距離は3641メートル)で、全体の3位にランクイン。そして走行距離のトップは長友佑都の5665メートル(スプリント回数は16回)となっている。


【六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

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