プレビュー:好カード揃いのラウンド32《EL決勝T1回戦1stレグ》

2015.02.19 12:00 Thu
▽EL決勝トーナメント1回戦1stレグが19日に開催される。激戦となったグループステージを勝ち抜いた24チームと、惜しくもCLグループステージ敗退となった8チームを合わせた計32チームで争われるEL決勝トーナメント。本稿では優勝候補の筆頭であるリバプールやトッテナムのイングランド勢や、最多5チームが残ったイタリア勢、EL初参戦となるMF南野を含めた日本人選手の動向を中心にEL決勝トーナメント1回戦1stレグの展望を紹介していく。

◆決勝トーナメント1回戦1stレグ◆
◆2/19(木)
《27:00》
オールボー vs クラブ・ブルージュ
ドニプロ vs オリンピアコス
PSV vs ゼニト
ローマ vs フェイエノールト
トリノ vs ビルバオ
トラブゾンシュポル vs ナポリ
ヴォルフスブルク vs スポルティング
ヤングボーイズ vs エバートン

《29:05》
アヤックス vs レギア・ワルシャワ
アンデルレヒト vs ディナモ・モスクワ
セルティック vs インテル
ギャンガン vs ディナモ・キエフ
リバプール vs ベシクタシュ
セビージャ vs ボルシアMG
トッテナム vs フィオレンティーナ
ビジャレアル vs ザルツブルク
◆注目はスパーズvsヴィオラ、EL制覇狙うマージーサイド勢
▽好カードが揃った決勝トーナメント1回戦の中で最も注目を集める対戦カードは、トッテナムvsフィオレンティーナだ。共に国内リーグでは圧倒的な資金力を持つメガクラブに次ぐ第2グループの位置づけとなるが、若き指揮官の下でアグレッシブな攻撃サッカーを志向する好チーム同士の一戦だ。

▽ELグループCをベシクタシュに次ぐ2位で通過したトッテナムは、直近のリーグ戦でリバプールに敗戦したものの、今年に入ってチェルシーやアーセナルに勝利するなど、好調を維持している。とりわけ若きエース、FWケインの好調ぶりは目覚しく今季の公式戦ですでに23ゴールを記録している。ELグループステージでも5ゴールを決めている同選手の活躍がトッテナム勝利の鍵を握っている。また、26日にアウェイで行われる2ndレグの3日後にチェルシーとのキャピタルワンカップ決勝を控えているトッテナムとしては、ホームで行われる1stレグで勝負を決めたいところだ。
▽一方、格下3チームと同居したグループKを首位で通過したフィオレンティーナは、公式戦8試合負けなし(6勝2分け)と絶好調だ。今冬の移籍市場でエースのMFクアドラードをチェルシーに放出したものの、その見返りとして獲得したFWサラーが、直近のサッスオーロ戦で1ゴール1アシストの大活躍。約3週間ぶりにロンドンに帰還する同選手は、FWゴメスやFWババカルと共に攻撃の牽引者としての活躍が期待される。

▽バーゼルとの2位争いに屈し、CLからELに戦いの場を移すことになったリバプールは、ローマやトッテナム、セビージャらと共に優勝候補の筆頭だ。そして、リバプールは決勝トーナメント1回戦でトルコの強豪ベシクタシュと対戦する。実力的にはリバプール優位と思われるが、元チェルシーのFWデンバ・バら実力者を擁するベシクタシュは、今季のCLプレーオフでアーセナル、ELグループリーグでトッテナムを苦しめた難しい相手だ。ただ、国内リーグで7位のリバプールとしては、来季のCL出場権獲得に向けて是が非でもELのタイトルを獲得したいところ。22日にはリーグ4位のサウサンプトンとの対戦を控えるが、ベストメンバーを起用すべきだろう。

▽リバプールと共にマージーサイドに本拠地を置くエバートンも優勝候補の1つと見て間違いないだろう。そのエバートンは日本人FW久保裕也が在籍するヤングボーイズと対戦する。また、前大会王者のセビージャは、グループAを首位で通過した古豪ボルシアMGと対戦。グループステージでは思わぬ苦戦を強いられ、フェイエノールトに次ぐ2位通過となったセビージャは、EL連覇に向けてボルシアMGの挑戦を跳ね返せるか。

★最多5クラブが揃うイタリア勢


▽今季のELに参戦したイタリア勢は、インテル、ナポリ、フィオレンティーナといった強豪クラブがグループステージをそれぞれ首位通過したうえ、20年ぶりの欧州カップ戦に臨んだ古豪トリノが見事に突破を果たした。さらに、CLグループステージで3位に終わったローマが加わったことで、EL決勝トーナメントを戦う32チームのうち、イタリア勢は最多の5クラブが揃うことになった。

▽今季こそヨーロッパでのタイトル獲得が期待されるイタリア勢の中で、最も優勝を欲しているのはインテルだろう。現時点で復調の兆しを見せてはいるものの、セリエAで9位に位置するインテルにとって来季のCL出場権を獲得できる3位(現在3位のナポリまで勝ち点10差)に入ることは困難な作業だ。ただ、今季からEL覇者に来季のCL出場権が与えられるため、インテルとしてはこの機会を活用すべきだろう。

▽EL制覇に向けてインテルの前に最初に立ちはだかるのは、スコットランドの名門セルティック。両者は1967年に現行のCLにあたるチャンピンズカップ決勝で初対戦し、セルティックがクラブ史上初の欧州制覇に輝いた。ただ、セルティックは現在、イタリア勢との対戦で4連敗中。6週間の負傷離脱となった長友を欠くインテルだが、セルティック・パークで行われる1stレグで良い結果を残してホーム開催の2ndレグに向かいたいところだ。

▽一方、CLグループステージでバイエルン、マンチェスター・シティと同居する“死の組”に組み込まれ、惜しくも敗退となったローマ。ELに回ることになったが、32チームの中では実力的に優勝候補と見て間違いない。ただ、リーグ戦で苦戦している影響がELにも出ないか不安視されるところ。今回が初対戦となるフェイエノールトとの1stレグは最近の公式戦8試合で1勝2敗5分(1勝は延長戦での勝利)と勝ち星から遠ざかるホームゲームだが、きっちりと勝利して調子を取り戻すことはできるか。

▽カップ戦に強いベニテス監督が率いるナポリは、トルコのトラブゾンシュポルと対戦。おそらくベニテス監督は、得意のターンオーバーを使用してイグアインやカジェホンといった主力を使い分けながらベスト16進出を目指すだろう。元ベンフィカのオスカル・カルドーソを擁すトラブゾンシュポルのホームでは順当に結果を得たいところだ。なお、トラブゾンシュポルに所属する元ミランのコンスタンは出場停止で欠場となる。

▽最後にトリノは、CLを敗退したビルバオと激突する。リーグ戦でも不調なビルバオに対し、トリノは昨年12月から好調を維持。リーグ戦で10戦無敗(37年ぶりの4連勝を含む)を達成して16位から9位に順位を上げた。開幕前にチェルチとインモービレを放出したものの、ヴェントゥーラ監督の下でチームの完成度は高まっており、ナポリを今季のCLから蹴落としたビルバオからアップセットを起こすことも十分に可能だ。

◆南野のEL初挑戦はお預け


▽今季のEL決勝トーナメントには、グループステージを勝ち上がったインテルDF長友佑都とヤングボーイズFW久保裕也の2選手。CLグループステージ敗退組のスポルティングFW田中順也、今冬の移籍市場でC大阪からザルツブルクに加入したMF南野拓実の合計4選手が参戦する。現在、右足のハムストリングを負傷している長友は、決勝トーナメント1回戦の2試合を欠場する見込みだ。また、直前で内転筋を痛めた南野も1stレグを欠場することが決定した。

▽グループDを5勝1分けの無敗で首位通過したザルツブルクは、グループAを2位通過した強豪ビジャレアルと対戦する。グループステージでは攻守に圧巻のパフォーマンスを見せたザルツブルクだが、今冬の移籍市場で絶対的主力だったMFカンプル(ドルトムント)、ELグループステージ得点王のFWアラン(広州恒大)が引き抜かれ、大幅な戦力ダウンは否めない。すでに14日に行われた国内リーグで先発デビューを飾っている南野としては、復帰が見込まれる2ndレグでカンプルの後釜として攻撃陣をけん引する活躍を期待したい。

▽グループIを2位通過したヤングボーイズは、ヴォルフスブルクとリールという実力クラブと同居したグループHを、首位で通過したプレミアリーグの強豪エバートンと対戦する。久保にとってはグループリーグのナポリ戦に続いて世界との距離を測る格好の相手となるはずだ。グループリーグでチーム2位の2得点を記録した久保は、直近の国内リーグでも1ゴール1アシストの活躍を披露している。現在、好調を継続する同選手には、ナポリ戦に続くジャイアントキリング達成を期待したい。

▽チェルシーとシャルケの後塵を拝し、CLグループGを3位で終えたスポルティングは、ELに戦いの場を移すこととなった。また、CL初出場が期待された田中はグループステージ全試合でベンチ外となる屈辱を味わった。しかし、2015年に入って出場機会を増やしている同選手は、国内リーグのブラガ戦とリオ・アヴェ戦で2試合連続ゴールを記録するなど、徐々にチームの信頼を得てきている。決勝トーナメント1回戦の対戦相手は、グループHを2位で通過した強豪ヴォルフスブルクという難しい相手となったが、田中には途中出場からチームの流れを変えるようなプレーを見せてほしいところだ。

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