日本代表の過去がフラッシュバックするインドネシアサッカーの情熱「ガルーダ U-19 —若鷲の勝利への旅立ち—」 東京国際フットボール映画祭 ジャパンプレミア上映作品

2015.02.05 14:00 Thu
2015年2月7日(土)、8日(日)、11日(水・祝)に秋葉原UDXシアターで開催する東京国際フットボール映画祭が開催される。日本初公開となる「ガルーダ U-19 ―若鷲の勝利への旅立ち―」は、インドネシアU-19代表がアジアの頂点を目指して奮闘する姿を描いた感動の青春ドキュメンタリーだ。

■サッカーに対する原初的な情熱を強く発する東南アジア

この映画について僕は当初、「あれだよ、『少林サッカー』のインドネシア版だよ」と言われていて、それをうっかり信じ込んでいた。そういう先入観を持って見始めてしまったと言い換えてもいい。「インドネシア中から才能のある選手を集めて~」みたいな説明文句も、「超能力を使える選手が続々と集結してくるアレなテンションのソレなんだ」と理解してしまっていた。
結論から言うと、まるでそういう話ではない。冒頭からスポ根の王道ストーリーと言える「選手集め」が始まるのは、そのとおり。ただ、出てくる選手は特別なスーパーマンというわけではなく、「読みの良いDF」とか「とにかくドリブルの上手いやつ(球離れ悪し)」といったサッカー的な意味での個性を持ったタレントとして描かれる。平凡と言ってしまうと語弊があるが、インパクト勝負で何かが起きるわけでないことは確かだ。

選手集めも、U-19インドネシア代表監督の「選手選考」を軸にしつつ、インドネシアのバラエティ豊かな島々を巡る形で行われる。その広大さと多様性を何となく体感できるという意味で、この冒頭の下りは興味深く観ることができるはずだ。文化的にも、そもそも言語からして一様ではないということを知ることもできる。
昨年秋にミャンマーを訪れた際に、道ばたでサッカーに興じる現地の子どもたちを観たときも感じたのだが(ついでに一緒にプレーもしたのだが)、東南アジアにはサッカーに対する原初的な情熱が強くある。そこには、ある種の“初々しさ”もあって、この映画からもそうした息吹を感じることができるだろう。

チームは意地悪で理解のない「協会」という内部の敵とも戦いつつ、アジアの頂点、そしてワールドカップを目指していく。その姿は、かつて「アジアの壁」へ果敢に挑み続けていた僕らの国の過去とも重なるものがあるだろう。物語のクライマックスで彼らの前に立ちはだかる最強の敵が「韓国」であることも、そうした印象を加速させる。

もちろん本音を言えば、そこで新興国に立ちはだかる存在が「日本」になってほしいとも思うのだが。

text by 川端暁彦

■「ガルーダ U-19 ―若鷲の勝利への旅立ち―」上映スケジュール
2/8(日) 10:00~
スペシャルトークゲスト:宇都宮徹壱(サッカーライター・写真家)

2/11(水/祝) 14:10~

【東京国際フットボール映画祭 公式ホームページ】
http://football-film.jp/

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