香川ドーハの悲劇に終止符!今夜イラク戦

【ドーハ=10日】20年の時を超えて、日本代表FW香川真司(24=マンチェスターU)が、「ドーハの悲劇」に終止符を打つ! ザックジャパンが今日11日、イラクとのW杯アジア最終予選最終戦に臨む。すでにW杯出場を決めた日本だが、ドーハでのイラク戦は93年、W杯米国大会アジア最終予選でロスタイムに同点ゴールを許し、初出場を逃したとき以来。因縁の組み合わせに、香川は日本サッカーの歴史を感じながらも過去を振り返らず、「香川新時代」を築くことを誓った。

悲劇の舞台を、決意の場所に選んだ。ドーハでのイラク戦。20年前、日本が屈辱を味わった。ザックジャパンにとって消化試合であっても、日本サッカーにとって忘れがたい歴史がある。当時4歳だった香川にとっても、その意味は分かっている。だからあえて、言った。ドーハでイラクと戦う前に。

「当時のことは覚えていない。ただ映像で何回も見た。日本サッカー界にとって大事な場所。この地では何度も戦っているが、ドーハでのイラク戦。これはいろんな歴史がある。忘れちゃいけない場所。でも、新しい道をつくらないと。過去を振り返ってはいけない。僕らは未来に向かって行くだけ」
当時夢だったW杯への切符はすでに手にしている。これで5大会連続だ。20年前は想像つかなかったことが、今起きている。世界で戦うことを求めていたあの頃から、主力選手が「世界一」を堂々とうたう現在。夢でなく、現実にするために香川がやるべきことは何か。同世代で同じように世界トップを目指すDF長友の「(香川)真司にはCロナやメッシのような選手になってもらわないといけない」というゲキに、うろたえることなく続いた。

「そう思って、少しでも近づけることが大事。今はそんな次元じゃないし、自分は結果を残していない。ただサッカー選手として、そういう刺激はある。夢でなくて現実になるようにやっていく。でも、まだまだでしょうね」 世界的スーパースターと肩を並べるために、足りないことは肌で感じた体が覚えている。それは「最後のところでいかに局面を打開できるか」だ。マンチェスターUで過ごした今季、欧州CLでRマドリードと激突。アウェーでの第1戦に先発した。勝負どころで力を発揮する姿に「ロナルドはやっぱり世界で一番の選手だと肌で感じた。違いを見せつけられたから、この現状を深く受け止めないと」と、同じ舞台に立ったから実感できる世界NO・1。お手本にして、目標にもして、今がある。

高みばかりを見据え過ぎず、足元を見つめているから頼もしい。「世間ではコンフェデ杯といわれるが、イラク戦にこだわらないとダメ。自分に言い聞かせてやりたい」。本田不在でトップ下での先発が濃厚な日本の10番。オーストラリア戦(4日)では「本田頼み」を浮き彫りにした悔しさがある。「オーストラリア戦でうまくいかなかった悔しい思いをぶつけていきたい」。真価が問われるW杯最終予選ラストマッチ。因縁の巡り合わせに、奮い立たせた。【栗田成芳】

◆香川のザックジャパンでのトップ下 11年9月2日のW杯アジア3次予選北朝鮮戦の後半15分から初起用。その4日後、アウェーでの同ウズベキスタン戦では後半開始から入った。先発したのは12年2月29日の同ウズベキスタン戦。フル出場するも0-1で敗戦した。13年2月22日の親善試合カナダ戦では機能せず、前半のみで試合後は自らダメ出しした。しかし、直後の同最終予選ヨルダン戦で、トップ下として初ゴール。直近では5月30日のブルガリア戦に後半の24分間だけプレー。通算6試合にトップ下起用され1得点。いずれもMF本田は不在だった。

提供:日刊スポーツ