先走りが過ぎるのは…/原ゆみこのマドリッド
2024.02.23 21:00 Fri
「時間が余りすぎるのも問題ね」そんな風に私が溜息をついていたのは木曜日、先週、PSGに契約延長しないと告げたエムバペのレアル・マドリー入りの話がどんどん発展し、AS(スポーツ紙)など、とうとう彼を入れた来季のシステム予想までしているのを見た時のことでした。いやあ実際、いまだに正式入団の報はないものの、マドリーと交わす5年間の契約では、パリでもらっている3200万ユーロ(約52億円)という高額年棒から、大幅にダウンして2000万ユーロ(約33億円)程に、移籍報奨金も5000万ユーロ(約82億円)以下、肖像権収入はクラブと折半といった話から、今週は始まったんですけどね。
その通りで、CLグループリーグ突破のスペイン4チームは全てアウェイで1stレグを迎えたものの、ライプツィヒに0-1で勝利したマドリー以外、他は背水の陣で2ndレグに挑むことに。それでもまだ、水曜にナポリと1-1で引き分けたバルサはマシな方ですが、いくら3月13日には内弁慶の強みを思う存分、メトロポリターノで発揮できるとはいえ、アトレティコの相手は昨季のファイナリスト、今季もセリアA首位と絶好調なチームですからね。スコアは1-0での負けと、レアル・ソシエダより、少しはいいものの、実はこの2チームにはコパ・デル・レイ準決勝2ndレグを来週に控えているという共通点が。
そちらではマジョルカとの2ndレグをスコアレスドローで終え、同じ相手と先週末にプレーしたアウェイ戦でも1-2で勝利したレアル・ソシエダと比べ、1年間以上に渡るホーム不敗神話が続いていたメトロポリターノでの1stレグでアトレティコは0-1で敗戦。こちらもremontada(レモンターダ/逆転劇)しないといけない上、その試合はファンの応援が熱いので有名なサン・マメスでの開催ですからね。サン・シーロでも2016年CL決勝PK戦でお隣さんに負けたトラウマもあったか、どこか雰囲気に呑まれていたような彼らが、アウェイで結果を引っくり返せるのか大いに不安だったりするんですが…とにかく先にそのインテル戦の様子を話していくことにしましょうか。
ただ、どうもシメオネ監督はインテルの攻撃力を過剰に警戒していたようで、うーん、実際、前半からトゥラムやラウタロにシュートを撃たれていましたからね。専守防衛に徹するのであれば、SBもこなすジョレンテの方が良かったのかもしれませんが、あまり活発な動きのなかった前半は0-0で終了。その終盤にはトゥラムがケガして、インテルは後半頭から、アルナウトビッチを入れたんですが、いや、何でしょうね。アトレティコもラス・パルマス戦で数試合ぶりに戻ってきたヒメネスがまたしても太ももを負傷。サビッチと交代とは本当にこの選手、健康運がなさすぎない?
そのせいでしばらくDF陣の連携が乱れ、アルナウトビッチが絶好機に2度、撃ち損じてくれたため、かろうじて失点を逃れたアトレティコだったんですが、9分になって、ようやくシメオネ監督はモラタを投入。いよいよゴールを狙いに行くのかと、期待したファンも多かったかと思いますが、やはりラウタロの強烈ヘッドを止めるなど、GKオブラクにおんぶに抱っこ状態はあまり変わらなかったですかね。それどころか、33分には中8日という、贅沢な体力回復期間をもらいながら、全然、イケてなかったグリーズマンがアウグストとの接触プレーで右足首を痛め、コレアと交代することに。となれば、もうこの試合、スコアレスドローを死守するしか、勇気を振り絞って、遥々、ミラノまで応援に行った3500人のアトレティコファンに希望は残っていなかったんですが…。
もう一体、何やっているんでしょう。34分、デ・パウルとレイニウドが自陣でお見合いして、ボールを敵に奪われると、うーん、最初のラウタロのシュートはオブラクが弾いてくれたんですけどね。こぼれ球をフリーでゲットしたアルナウトビッチが撃ち直し、今度はオブラクもサムエル・リノもクリアできず、ゴールに入ってしまったから、さあ大変!いえ、シメオネ監督は「Son personas, jugadores. Pasan cosas buenas y malas/ソン・ペルソーナス、フガドーレス。パサン・コーサス・ブエナス・イ・マラス(選手は人間だから、いいことも悪いことも起きる)」と2人を庇っていたんですけどね。
とはいえ、デ・パウルのボールロストは日常茶飯事ですし、ヒザの靭帯断裂を乗り越えて、昨季の堅守ぶりを期待されて復帰したレイニウドなど、コパ準決勝アスレティック1stレグでもPKを献上。敗戦の原因を作っているとなれば、オブラクだって、誰を信頼したらいいかわからなくなるのでは?もちろん、人間のできている彼は「そりゃあ辛いけど、それがサッカーだからね。Cualquiera puede cometer un error y los demás compañeros estamos para corregirlos/クアルキエラ・プエデ・コメテル・ウン・エロール・イ・ロス・デマス・コンパニェロス・エスタモス・パラ・コレヒールロス(誰でもミスをすることはあるし、チームメートのボクらがそれを正すためにいる)」と達観していたものの、アトレティコは42分のモラタのヘッドも外れてしまう始末。
いくら、「Ellos trabajan bien a la contra y no había que irse de la eliminatoria/エジョス・トラバハン・ビエン・ア・ラ・コントラ・イ・ノー・アビア・ケ・イールセ・デ・ラ・エリミナトリア(相手はカウンターも上手いから、16強対決を終わらせてしまう訳にはいかなかった)」(シメオネ監督)とはいえ、枠内シュートは1本もなし。インザーキ監督にも「ウチはもっと点を取るに値したのに、たった1ゴールだけなのはガッカリだ」と言われてしまう1-0の敗戦では、何ともフラストレーションが溜まるばかりですが、こればっかりはねえ。今は「Tenemos la vuelta en casa, con nuestra afición/テネモス・ラ・ブエルタ・エン・カサ、コン・ヌエストラ・アフィシオン(ホームでの2ndレグがあって、ボクらのファンもついている)。凄い雰囲気になるから、きっと逆転できるはず」(ビッツェル)という選手たちの言葉を信じるしかありませんが、この先、3週間も悶々としないといけないのは辛いかと。
といっても貧乏暇なしのアトレティコにはそんな先のことまで考えている余裕はなく、ええ、もう土曜の午後9時(日本時間翌午前5時)にはパワーホース・スタジアムでのアルメリア戦がありますからね。もちろん、中程度のネンザだったグリーズマンは出られず、こちらは来週木曜のコパ準決勝2ndレグを目標に、モラタの奇跡の速攻復帰の二番煎じをするべく、リハビリに努めることに。ただ、リーガも前節、5位のアスレティックがジローナに勝ったため、CL出場圏4位を守るため、勝ち点2差キープはマスト。相手は今季まだ1勝もしていない最下位とはいえ、アウェイ弱者のアトレティコですし、CL戦の疲れもあるとなると、心配の種は尽きませんが、ここは踏ん張るしかありませんって。
一方、逆に相手のCL疲れを利用できるかもしれないのが弟分のヘタフェで、彼らは土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、モンジュイックでバルサに挑むことに。そう、相手は中2日であるのに対して、リーガ専従のボルダラス監督のチームは前節、ビジャレアルと1-1で引き分けた試合から中7日。丸々1週間、準備に当てられたとなれば、何せ、相手は2節前にホームで降格圏19位のグラナダと3-3で引き分けという苦い思いをしたばかりですからね。それよりずっと高みの10位にいるヘタフェなら、下剋上勝利を目指してみるのも悪くはないかと。
そして週1試合ペースにどっぷりはまっている兄貴分、マドリーの週末リーガは日曜午後9時からのセビージャ戦となるんですが、朗報があって、いえ、とうとうGKクルトワがチーム練習に部分参加したことじゃありませんよ。去年の8月にヒサの靭帯断裂をした守護神の復帰予定は4月上旬で、まだしばらく時間がかかるんですが、ヘタフェとの兄弟分ダービーで負傷したリュディガーが戻れそうなのは、何せ、前節のラージョ戦ではカマビンガが累積警告となり、セビージャ戦には出られませんからね。
となると、ここ2試合、臨時CBを務めていたチュアメニをボランチに戻さざるを得なくなるため、リュディガーがナチョとコンビを組めれば、アンチェロッティ監督の悩みの種も1つ減ることになりますが、ジローナ戦で足首を痛めたベリンガムの復帰は次節のバレンシア戦以降になるのだとか。まあ、バジェカスで退場したカルバハルの代わりの右SBにはルーカス・バスケスがいますしね。とにかく休養十分で試合に臨めるため、あとはサンティアゴ・ベルナベウのファンに喜んでもらえるよう、ビニシウスやロドリゴ、ホセル、ブライムらがゴールを入れてくれれば、大丈夫では?
実際、今は2位ジローナとの差も勝ち点6に開きましたし、あまりに余裕があるせいか、クロースなど、とうとう2021年のユーロを最後に引退したドイツ代表に3月の試合から戻ることを宣言していたくらいでしたしね。ちなみにキケ・サンチェス・フローレス監督のチームで用心しないといけないのは、前節はアトレティコもまんまとゴールを奪われて、黒星を喫する原因となった新鋭FWのイサークとエン・ネシリの前線コンビ。ええ、彼らにはヘタフェもコパ16強対決で、ラージョもリーガのホームゲームで痛い目に遭っている上、セルヒオ・ラモスも古巣への恩返しをしようと張り切っているため、油断はしない方がいいですよ。
そして26節のトリを飾るのが月曜試合のラージョで、イニゴ・ペレス新監督が2戦目に挑むのはジローナなんですが、今季、奇跡の快進撃を続けてきたミチェル監督のチームもここ3試合は停滞気味。ええ、レアル・ソシエダと0-0で引き分けた後、マドリー、アスレティックに連敗と調子を落としているからですが、かといって、いくら前節の兄弟分ダービーでマドリーと1-1で引き分けたからって、ラージョがここ16試合で1勝しかしていないのは変わっていませんからね。体制が変わって、スタメンに戻ったRdT(ラウール・デ・トマス)やトレホの奮起が見られると嬉しいんですが、果たして、久々に勝ち点3を持って帰ることはできるのでしょうか。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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続いて背番号は昨夏、ベンゼマ(アル・イティハド)が退団してから空いている9番か、PSGで着けている7番をビニシウスに譲ってもらうか、もしくはモドリッチが契約延長しない場合を想定して、10番になるのかといった予想合戦に。更にはとうとう、全面改装工事が終了したニュー・サンティアゴ・ベルナベウでのメガプレゼンは6月1日のCL決勝の後、14日に始まるユーロ2024のフランス代表合宿にエムバペが行く前、6月第2週になるだろうとの憶測まで登場。もう捕らぬ狸の皮算用もここまで来ると、苦笑いしか出ませんが、それもマドリーには今週も来週もミッドウィークに試合がなく、ニュースネタに困っての窮余の策と思えば納得できる?いえ、だからって、レアル・ソシエダとの契約を2029年まで延長した久保建英選手まで、「cuando hablé con él me di cuenta de que habla muy bien español/クアンドー・アブレ・コン・エル・メ・ディ・クエンタ・デ・ケ・アブラ・ムイ・ビエン・エスパニョル(彼と話した時、とても上手にスペイン語を話すことに気がついた)。きっと準備しているんだと思う」と、エムバペブームに乗らなくてもいいかとは思うんですけどね。それより、CL16強対決1stレグで2-0と負けた後、3月5日にレアル・アレナに迎えるPSGにどうやって逆転勝利するかを考える方が大事なはずですが、え?それはミラノでのインテル戦1stレグを落としたアトレティコも同じだろうって?そちらではマジョルカとの2ndレグをスコアレスドローで終え、同じ相手と先週末にプレーしたアウェイ戦でも1-2で勝利したレアル・ソシエダと比べ、1年間以上に渡るホーム不敗神話が続いていたメトロポリターノでの1stレグでアトレティコは0-1で敗戦。こちらもremontada(レモンターダ/逆転劇)しないといけない上、その試合はファンの応援が熱いので有名なサン・マメスでの開催ですからね。サン・シーロでも2016年CL決勝PK戦でお隣さんに負けたトラウマもあったか、どこか雰囲気に呑まれていたような彼らが、アウェイで結果を引っくり返せるのか大いに不安だったりするんですが…とにかく先にそのインテル戦の様子を話していくことにしましょうか。
昨季は年内にヨーロッパ完全撤退となり、2年ぶりのCL決勝トーナメント初戦をいそいそと、ええ、リーガ前節のラス・パルマス戦ではグリーズマンが完全休養、レギュラーの半分もローテーション。全治2~3週間のケガだったモラタまで速攻で回復させて、ミラノに乗り込んだアトレティコだったんですが、最初に違和感を覚えたのはグリーズマンとツートップを組んだのがジョレンテだったこと。いえ、確かに彼は直前の試合で2ゴールを挙げ、前線に置いても機能するマルチプレーヤーぶりを証明していたんですけどね。それでも、たとえ、まだモラタが先発できる状態ではなくとも、メンフィス・デパイもいたとなれば、本職FWを入れない理由がわからなかったから。
ただ、どうもシメオネ監督はインテルの攻撃力を過剰に警戒していたようで、うーん、実際、前半からトゥラムやラウタロにシュートを撃たれていましたからね。専守防衛に徹するのであれば、SBもこなすジョレンテの方が良かったのかもしれませんが、あまり活発な動きのなかった前半は0-0で終了。その終盤にはトゥラムがケガして、インテルは後半頭から、アルナウトビッチを入れたんですが、いや、何でしょうね。アトレティコもラス・パルマス戦で数試合ぶりに戻ってきたヒメネスがまたしても太ももを負傷。サビッチと交代とは本当にこの選手、健康運がなさすぎない?
そのせいでしばらくDF陣の連携が乱れ、アルナウトビッチが絶好機に2度、撃ち損じてくれたため、かろうじて失点を逃れたアトレティコだったんですが、9分になって、ようやくシメオネ監督はモラタを投入。いよいよゴールを狙いに行くのかと、期待したファンも多かったかと思いますが、やはりラウタロの強烈ヘッドを止めるなど、GKオブラクにおんぶに抱っこ状態はあまり変わらなかったですかね。それどころか、33分には中8日という、贅沢な体力回復期間をもらいながら、全然、イケてなかったグリーズマンがアウグストとの接触プレーで右足首を痛め、コレアと交代することに。となれば、もうこの試合、スコアレスドローを死守するしか、勇気を振り絞って、遥々、ミラノまで応援に行った3500人のアトレティコファンに希望は残っていなかったんですが…。
もう一体、何やっているんでしょう。34分、デ・パウルとレイニウドが自陣でお見合いして、ボールを敵に奪われると、うーん、最初のラウタロのシュートはオブラクが弾いてくれたんですけどね。こぼれ球をフリーでゲットしたアルナウトビッチが撃ち直し、今度はオブラクもサムエル・リノもクリアできず、ゴールに入ってしまったから、さあ大変!いえ、シメオネ監督は「Son personas, jugadores. Pasan cosas buenas y malas/ソン・ペルソーナス、フガドーレス。パサン・コーサス・ブエナス・イ・マラス(選手は人間だから、いいことも悪いことも起きる)」と2人を庇っていたんですけどね。
とはいえ、デ・パウルのボールロストは日常茶飯事ですし、ヒザの靭帯断裂を乗り越えて、昨季の堅守ぶりを期待されて復帰したレイニウドなど、コパ準決勝アスレティック1stレグでもPKを献上。敗戦の原因を作っているとなれば、オブラクだって、誰を信頼したらいいかわからなくなるのでは?もちろん、人間のできている彼は「そりゃあ辛いけど、それがサッカーだからね。Cualquiera puede cometer un error y los demás compañeros estamos para corregirlos/クアルキエラ・プエデ・コメテル・ウン・エロール・イ・ロス・デマス・コンパニェロス・エスタモス・パラ・コレヒールロス(誰でもミスをすることはあるし、チームメートのボクらがそれを正すためにいる)」と達観していたものの、アトレティコは42分のモラタのヘッドも外れてしまう始末。
いくら、「Ellos trabajan bien a la contra y no había que irse de la eliminatoria/エジョス・トラバハン・ビエン・ア・ラ・コントラ・イ・ノー・アビア・ケ・イールセ・デ・ラ・エリミナトリア(相手はカウンターも上手いから、16強対決を終わらせてしまう訳にはいかなかった)」(シメオネ監督)とはいえ、枠内シュートは1本もなし。インザーキ監督にも「ウチはもっと点を取るに値したのに、たった1ゴールだけなのはガッカリだ」と言われてしまう1-0の敗戦では、何ともフラストレーションが溜まるばかりですが、こればっかりはねえ。今は「Tenemos la vuelta en casa, con nuestra afición/テネモス・ラ・ブエルタ・エン・カサ、コン・ヌエストラ・アフィシオン(ホームでの2ndレグがあって、ボクらのファンもついている)。凄い雰囲気になるから、きっと逆転できるはず」(ビッツェル)という選手たちの言葉を信じるしかありませんが、この先、3週間も悶々としないといけないのは辛いかと。
といっても貧乏暇なしのアトレティコにはそんな先のことまで考えている余裕はなく、ええ、もう土曜の午後9時(日本時間翌午前5時)にはパワーホース・スタジアムでのアルメリア戦がありますからね。もちろん、中程度のネンザだったグリーズマンは出られず、こちらは来週木曜のコパ準決勝2ndレグを目標に、モラタの奇跡の速攻復帰の二番煎じをするべく、リハビリに努めることに。ただ、リーガも前節、5位のアスレティックがジローナに勝ったため、CL出場圏4位を守るため、勝ち点2差キープはマスト。相手は今季まだ1勝もしていない最下位とはいえ、アウェイ弱者のアトレティコですし、CL戦の疲れもあるとなると、心配の種は尽きませんが、ここは踏ん張るしかありませんって。
一方、逆に相手のCL疲れを利用できるかもしれないのが弟分のヘタフェで、彼らは土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、モンジュイックでバルサに挑むことに。そう、相手は中2日であるのに対して、リーガ専従のボルダラス監督のチームは前節、ビジャレアルと1-1で引き分けた試合から中7日。丸々1週間、準備に当てられたとなれば、何せ、相手は2節前にホームで降格圏19位のグラナダと3-3で引き分けという苦い思いをしたばかりですからね。それよりずっと高みの10位にいるヘタフェなら、下剋上勝利を目指してみるのも悪くはないかと。
そして週1試合ペースにどっぷりはまっている兄貴分、マドリーの週末リーガは日曜午後9時からのセビージャ戦となるんですが、朗報があって、いえ、とうとうGKクルトワがチーム練習に部分参加したことじゃありませんよ。去年の8月にヒサの靭帯断裂をした守護神の復帰予定は4月上旬で、まだしばらく時間がかかるんですが、ヘタフェとの兄弟分ダービーで負傷したリュディガーが戻れそうなのは、何せ、前節のラージョ戦ではカマビンガが累積警告となり、セビージャ戦には出られませんからね。
となると、ここ2試合、臨時CBを務めていたチュアメニをボランチに戻さざるを得なくなるため、リュディガーがナチョとコンビを組めれば、アンチェロッティ監督の悩みの種も1つ減ることになりますが、ジローナ戦で足首を痛めたベリンガムの復帰は次節のバレンシア戦以降になるのだとか。まあ、バジェカスで退場したカルバハルの代わりの右SBにはルーカス・バスケスがいますしね。とにかく休養十分で試合に臨めるため、あとはサンティアゴ・ベルナベウのファンに喜んでもらえるよう、ビニシウスやロドリゴ、ホセル、ブライムらがゴールを入れてくれれば、大丈夫では?
実際、今は2位ジローナとの差も勝ち点6に開きましたし、あまりに余裕があるせいか、クロースなど、とうとう2021年のユーロを最後に引退したドイツ代表に3月の試合から戻ることを宣言していたくらいでしたしね。ちなみにキケ・サンチェス・フローレス監督のチームで用心しないといけないのは、前節はアトレティコもまんまとゴールを奪われて、黒星を喫する原因となった新鋭FWのイサークとエン・ネシリの前線コンビ。ええ、彼らにはヘタフェもコパ16強対決で、ラージョもリーガのホームゲームで痛い目に遭っている上、セルヒオ・ラモスも古巣への恩返しをしようと張り切っているため、油断はしない方がいいですよ。
そして26節のトリを飾るのが月曜試合のラージョで、イニゴ・ペレス新監督が2戦目に挑むのはジローナなんですが、今季、奇跡の快進撃を続けてきたミチェル監督のチームもここ3試合は停滞気味。ええ、レアル・ソシエダと0-0で引き分けた後、マドリー、アスレティックに連敗と調子を落としているからですが、かといって、いくら前節の兄弟分ダービーでマドリーと1-1で引き分けたからって、ラージョがここ16試合で1勝しかしていないのは変わっていませんからね。体制が変わって、スタメンに戻ったRdT(ラウール・デ・トマス)やトレホの奮起が見られると嬉しいんですが、果たして、久々に勝ち点3を持って帰ることはできるのでしょうか。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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