ダービー、クラシコ、ダービーって、日程が鬼すぎる…/原ゆみこのマドリッド
2024.01.17 10:00 Wed
「あの体力がどこまでもつのかよね」そんな風に私が遠い目をしていたのは月曜日、ようやくスペイン・スーパーカップのお祭りが終わり、マドリッドで再び試合が見られる平常週が始まった時のことでした。いやあ、準決勝でお隣さんに負けて、木曜にはすごすごマドリッドに戻って来たアトレティコは週末に試合もなく、マハダオンダ(マドリッド近郊)での練習再開も土曜夕方からと、次戦となるコパ・デル・レイ16強対決の連続ダービーまで、かなり余裕があるはずなんですけどね。
まあ、そんなことはともかく、そのスペイン・スーパーカップ決勝がどうだったか、お話ししていくことにすると。試合のあった日曜夜のバル(スペインの喫茶店兼バー)はさすがクラシコ(伝統の一戦)だけあって、立ち見客も出る程の盛況ぶり。ほとんどはマドリーファンだったんですが、でもまさか、早くも前半7分、ベリンガムの出したパスを追って抜け出したビニシウスがゴールを決め、あっさり先制点が入ると予想していた人はいなかったかと。
おまけにその光景は3分後にも繰り返され、今度はカルバハルが自陣から出したロングボールをロドリゴが追いかけると、ゴール右前で反対サイドから並走してきたビニシウスにラストパス。これもゴールとなって、あっという間に2点差になったのは、もちろん、「La presión alta no ha sido buena/ラ・プレシオン・アルタ・ノー・ア・シドー・ブエナ(高い位置でプレッシャーをかけたのが良くなかった)」とチャビ監督も後で認めていたように、バルサの守備ラインが前掛かりすぎていたせいもあったんですけどね。この2人のブラジル人FWが準決勝でも延長戦後半までプレーしていたことを考えると、いやホント、若いって羨ましい。
え、でも最近のマドリーにとって、PKは鬼門で、その時はまだ、先日、今季4回目にして、初めてPKゴールを決めたホセルもピッチにいなかったんじゃないかって?その通りで、昨夏のプレシーズンクラシコで失敗していたビニシウスなど、ベリンガムに「次は譲るから」という約束をして、PKマークに立ったところ、レバンドフスキから、「お前が蹴るのお?」みたいな茶々を入れられていたんですけどね。とはいえ、この日の彼は限界知らず。ゴールを2本入れて自信をつけていたのもあったか、GKイニャキ・ペーニャにかすらせもせず、ハットトリックを達成してしまったとなれば、もう勝負はついた?
3-1で後半が始まると、チャビ監督も反撃の起爆剤になることを期待して、16分にはセルジ・ロベルト、ペドリ、フェラン・トーレスの3人をフェルミン、ジョアン・フェリックス、ジャマルに一気に交代。それも空しく、19分にはビニシウスがゴール前に入れたクロスをクンデがクリアミスして、ボールがロドリゴに渡り、そのシュートでマドリーは4点目を挙げることに。おかげでほぼ、ノックアウト状態になったバルサでしたが、かてて加えて、26分にはアラウホがビニシウスの脚を蹴って、2枚目のイエローカードで退場してしまいましたからね。おかげでアンチェロッティ監督も次には再び、ダービーが控えていることを思い出したか、ロドリゴ、ビニシウス、クロース、ベリンガム、バルベルデと順々に主力選手をベンチに戻していましたが、いやあ。
結局、試合は両チームのリーガで勝ち点7差という現実を反映するように、そのまま4-1で終わり、マドリーは前回のスーパーカップの無念を晴らすことに成功。とはいえ、マッチMVPとはなったものの、この日も交代する時まで、何度もバルサ勢と諍いを繰り広げていたビニシウスの振る舞いはちょっとどうかと。いえ、当人はあくまで、「Todos quieren pelear conmigo porque todos saben que va a salir en la prensa/トードス・キエレン・ペレアル・コンミーゴ・ポルケ・トードス・サベン・ケ・バ・ア・サリール・エン・ラ・プレンサ(マスコミに取り上げられることがわかっているから、誰もがボクと争いたがる)」というスタンスのようですけどね。この日はリアドのアル・アルワル・パークでしたから、いいんですが、同じことをメトロポリターノでやったら最後、pito(ピト/ブーイング)の嵐になるのは覚悟しておかないと。
そうそう、このスペイン・スーパーカップ優勝により、アンチェロッティ監督はジダン監督の持つ11タイトルに並び、試合数でも1つ上回って、マドリー歴代2位に。試合後の記者会見では「En Liga volverá Kepa y ante el Atlético jugará Lunin/エン・リーガ・ボルベリア・ケパ・イ・アンテ・エル・アトレティコ・フガラ・ルニン(ケパはリーガで戻る。アトレティコ戦はルーニンがプレーする)」とスタメンGKのローテーションを宣言していたんですが、果たしてルーニン相手でもアトレティコが点を取れるのかは微妙。ええ、3-1で快勝したシーズン前半リーガダービーでも、5-3で負けたスペイン・スーパーカップ準決勝でもマドリーのゴールを守っていたのはケパでしたからね。この決勝バルサ戦でもフェラン・トーレスやレバンドフスキ、そして最後はジョアン・フェリックスのシュートもparadon(パラドン/スーパーセーブ)して、優勝の影の立役者となったウクライナ人GKに出て来られると、いくらゴールづいているシメオネ監督のチームとはいえ、そうそう点は取れないかもしれませんね。
そして1月最初の週末にあったコパ32強対決から、兄貴分たちのスペイン・スーパーカップ参加の余波でずっと、試合がなかった弟分たちも今週はコパ16強対決に挑むんですが、まず火曜に先陣を切るのはコリセウムにセビージャを迎えるヘタフェ。いやあ、彼らはリーガ20節のマドリー戦が1月末に延期されたせいで、先週末に勝利したバレンシアとラス・パルマスに抜かれ、8位から10位に落ちてしまったんですけどね。それでも金曜にはアラベスに土壇場で勝ち越し点を奪われ、リーガで3連敗。順位も降格圏と勝ち点1差の17位と崖っぷちにいるセビージャよりはずっとマシかと。
先週はバレンシア時代に目をつけていた19才のMF、ジェジュ・サンティアゴの加入も決まり、満足しているボルダラス監督も「ちょっと長かったが、hemos tenido más tiempo para detalles y preparar el partido/エモス・テニードー・マス・ティエンポー・パラ・デタジェス・イ・プレパラール・エル・パルティードー(ウチはディテールを見て、試合を準備するのにより時間を取れた)」と前向きでしたしね。折しもセビージャのキケ・サンチェス・フローレス監督には昨季、残り7試合の時点で降格圏にいたチームをボルダラス監督に託し、1部残留を達成してもらったという負い目もありますし、今季はコパは程々にしておいて、リーガに専念してくれても別にバチは当たらないんじゃないでしょうか。
そして水曜はラージョの番なんですが、彼らの前に立ちはだかるのは天下のリーガ単独首位、ジローナなんですよ。ただ、先週末はうっかり、最下位アルメリア相手にスコアレスドローをしてしまったミチェル監督のチームなんですが、それでも同じ勝ち点で並んでいたマドリーはリーガ戦がなかったため、再び高みに昇ることに。向こうは中2日とあって、ローテーションしてくる可能性大ですが、現在、ベベ(カーボベルデ)とパテ・シス(セネガル)がアフリカ・ネーションズカップ参加中のラージョは元々、選手にバリエーションがそうそう、ある訳じゃありませんからね。何はともあれ、今季のコパで初めての1部同士対決となるマドリッドの弟分チームたちには善戦を期待。来週の準々決勝にマドリッド勢が3チームいたら、ファンも嬉しいですよね。
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そんなの全然、アドバンテージにならなさそうで、だってえ、日曜の決勝で何より驚かされたのは、延長戦を含む120分の準決勝を戦った後ですら、まったく衰えないレアル・マドリーの健脚ぶりだったんですよ。ええ、キャプテンとして、初めてトロフィーを掲げたことに感動していたナチョなども、「Venimos de jugar una prórroga muy exigente y el equipo ha demostrado que somos muy potentes físicamente/ベニモス・デ・フガール・ウナ・プロロガ・ムイ・エクシヘンテ・イ・エル・エキポ・ア・デモストラードー・ケ・ソモス・ムイ・ポテンテ・フィシカメンテ(とてもハードルが高い延長戦をプレーした後だったけど、フィジカル的に大きな力があることをチームは示した)」と言っていたんですが、てことは、向こうは中3日とはいえ、選手たちの体力が完全に回復している可能性もなきにしろあらず。何せ、今までの前例からして、一発勝負のマドリーダービーはほぼほぼ、延長戦突入が運命づけられていますからね。いくらヒザの半月板の手術をしたバリオスがチームに戻ったとて、コパ32強対決ルーゴ(2部)戦で2ゴールを挙げたメンフィス・デパイはお決まりのサイクルに陥り、スーパーカップ準決勝前に筋肉痛でベンチ外になる始末。木曜午後9時30分(日本時間翌午前5時30分)にキックオフするメトロポリターノのピッチに立てるのかどうかもまだわからないんですが、それより何より、アトレティコにとって急務なのは、年末のヘタフェとの兄弟分ダービーから、拍車がかかっている大ザル守備の改善かと。実際、早々に手を打たないことには、ええ、リーガも5位で上位陣との差も二桁になっちゃいましたしね。これでコパにも敗退したら、1月早々に今季が終わってしまったりしない?おまけにその光景は3分後にも繰り返され、今度はカルバハルが自陣から出したロングボールをロドリゴが追いかけると、ゴール右前で反対サイドから並走してきたビニシウスにラストパス。これもゴールとなって、あっという間に2点差になったのは、もちろん、「La presión alta no ha sido buena/ラ・プレシオン・アルタ・ノー・ア・シドー・ブエナ(高い位置でプレッシャーをかけたのが良くなかった)」とチャビ監督も後で認めていたように、バルサの守備ラインが前掛かりすぎていたせいもあったんですけどね。この2人のブラジル人FWが準決勝でも延長戦後半までプレーしていたことを考えると、いやホント、若いって羨ましい。
ただ、この時はまだバルサも諦めず、ええ、カウンターに味をしめたか、徐々にマドリーが自陣に引きこもるようになったこともあり、33分にはベルデのクロスをメンディがヘッドでクリアしたボールがレバンドフスキの前に落ち、そのvolea(ボレア/ボレーシュート)で1点を返されてしまったんですけどね。それも38分には、いやあ、アラウホと言えば、クラシコでは常に対ビニシウス要員として、かなり信用されていたはずだったんですが、この日はまさに大殺界。チュアメニのクロスを受けようとした相手の首を腕で払って倒し、PKを献上してしまうんですから、困ったもんじゃないですか。
え、でも最近のマドリーにとって、PKは鬼門で、その時はまだ、先日、今季4回目にして、初めてPKゴールを決めたホセルもピッチにいなかったんじゃないかって?その通りで、昨夏のプレシーズンクラシコで失敗していたビニシウスなど、ベリンガムに「次は譲るから」という約束をして、PKマークに立ったところ、レバンドフスキから、「お前が蹴るのお?」みたいな茶々を入れられていたんですけどね。とはいえ、この日の彼は限界知らず。ゴールを2本入れて自信をつけていたのもあったか、GKイニャキ・ペーニャにかすらせもせず、ハットトリックを達成してしまったとなれば、もう勝負はついた?
3-1で後半が始まると、チャビ監督も反撃の起爆剤になることを期待して、16分にはセルジ・ロベルト、ペドリ、フェラン・トーレスの3人をフェルミン、ジョアン・フェリックス、ジャマルに一気に交代。それも空しく、19分にはビニシウスがゴール前に入れたクロスをクンデがクリアミスして、ボールがロドリゴに渡り、そのシュートでマドリーは4点目を挙げることに。おかげでほぼ、ノックアウト状態になったバルサでしたが、かてて加えて、26分にはアラウホがビニシウスの脚を蹴って、2枚目のイエローカードで退場してしまいましたからね。おかげでアンチェロッティ監督も次には再び、ダービーが控えていることを思い出したか、ロドリゴ、ビニシウス、クロース、ベリンガム、バルベルデと順々に主力選手をベンチに戻していましたが、いやあ。
結局、試合は両チームのリーガで勝ち点7差という現実を反映するように、そのまま4-1で終わり、マドリーは前回のスーパーカップの無念を晴らすことに成功。とはいえ、マッチMVPとはなったものの、この日も交代する時まで、何度もバルサ勢と諍いを繰り広げていたビニシウスの振る舞いはちょっとどうかと。いえ、当人はあくまで、「Todos quieren pelear conmigo porque todos saben que va a salir en la prensa/トードス・キエレン・ペレアル・コンミーゴ・ポルケ・トードス・サベン・ケ・バ・ア・サリール・エン・ラ・プレンサ(マスコミに取り上げられることがわかっているから、誰もがボクと争いたがる)」というスタンスのようですけどね。この日はリアドのアル・アルワル・パークでしたから、いいんですが、同じことをメトロポリターノでやったら最後、pito(ピト/ブーイング)の嵐になるのは覚悟しておかないと。
そうそう、このスペイン・スーパーカップ優勝により、アンチェロッティ監督はジダン監督の持つ11タイトルに並び、試合数でも1つ上回って、マドリー歴代2位に。試合後の記者会見では「En Liga volverá Kepa y ante el Atlético jugará Lunin/エン・リーガ・ボルベリア・ケパ・イ・アンテ・エル・アトレティコ・フガラ・ルニン(ケパはリーガで戻る。アトレティコ戦はルーニンがプレーする)」とスタメンGKのローテーションを宣言していたんですが、果たしてルーニン相手でもアトレティコが点を取れるのかは微妙。ええ、3-1で快勝したシーズン前半リーガダービーでも、5-3で負けたスペイン・スーパーカップ準決勝でもマドリーのゴールを守っていたのはケパでしたからね。この決勝バルサ戦でもフェラン・トーレスやレバンドフスキ、そして最後はジョアン・フェリックスのシュートもparadon(パラドン/スーパーセーブ)して、優勝の影の立役者となったウクライナ人GKに出て来られると、いくらゴールづいているシメオネ監督のチームとはいえ、そうそう点は取れないかもしれませんね。
そして1月最初の週末にあったコパ32強対決から、兄貴分たちのスペイン・スーパーカップ参加の余波でずっと、試合がなかった弟分たちも今週はコパ16強対決に挑むんですが、まず火曜に先陣を切るのはコリセウムにセビージャを迎えるヘタフェ。いやあ、彼らはリーガ20節のマドリー戦が1月末に延期されたせいで、先週末に勝利したバレンシアとラス・パルマスに抜かれ、8位から10位に落ちてしまったんですけどね。それでも金曜にはアラベスに土壇場で勝ち越し点を奪われ、リーガで3連敗。順位も降格圏と勝ち点1差の17位と崖っぷちにいるセビージャよりはずっとマシかと。
先週はバレンシア時代に目をつけていた19才のMF、ジェジュ・サンティアゴの加入も決まり、満足しているボルダラス監督も「ちょっと長かったが、hemos tenido más tiempo para detalles y preparar el partido/エモス・テニードー・マス・ティエンポー・パラ・デタジェス・イ・プレパラール・エル・パルティードー(ウチはディテールを見て、試合を準備するのにより時間を取れた)」と前向きでしたしね。折しもセビージャのキケ・サンチェス・フローレス監督には昨季、残り7試合の時点で降格圏にいたチームをボルダラス監督に託し、1部残留を達成してもらったという負い目もありますし、今季はコパは程々にしておいて、リーガに専念してくれても別にバチは当たらないんじゃないでしょうか。
そして水曜はラージョの番なんですが、彼らの前に立ちはだかるのは天下のリーガ単独首位、ジローナなんですよ。ただ、先週末はうっかり、最下位アルメリア相手にスコアレスドローをしてしまったミチェル監督のチームなんですが、それでも同じ勝ち点で並んでいたマドリーはリーガ戦がなかったため、再び高みに昇ることに。向こうは中2日とあって、ローテーションしてくる可能性大ですが、現在、ベベ(カーボベルデ)とパテ・シス(セネガル)がアフリカ・ネーションズカップ参加中のラージョは元々、選手にバリエーションがそうそう、ある訳じゃありませんからね。何はともあれ、今季のコパで初めての1部同士対決となるマドリッドの弟分チームたちには善戦を期待。来週の準々決勝にマドリッド勢が3チームいたら、ファンも嬉しいですよね。
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