難しい『なでしこらしさ』…1勝1分け1敗は妥当、なでしこジャパンの東京五輪の戦いを振り返る
2021.07.28 18:20 Wed
◆フィジカル強度はエリアによるか
中盤のデュエルも圧倒されることが多く、セカンドボールを回収できずに波状攻撃につなげられなかった。その中でも光っていたのは林穂之香のアグレッシブさか。スウェーデンのAIKフットボールでの経験は間違いなく生きているだろう。出場の2試合ではチームに推進力をもたらしていたため、下げる時間が早過ぎるような気もした。
対照的にこれまで中盤を支えてきた中島依美のパフォーマンスがピリッとせず、いずれの失点にも絡んでしまった。スタミナやキック精度が持ち味だが、ここまではそれを発揮できずにいる。
また、記録上、枠内に浴びたシュート数はカナダ戦が1本、イギリス戦が2本、チリ戦が0本となっている。クロスバーやポストに当たったシュートは枠内扱いにはならないが、それを入れれば数はもう少し増えるだろう。
ただ、どの試合も決定的なピンチは少なかったが、それを防げたか、防げなかったかが勝敗に直結した。イギリス戦では警戒していた中で、1つのチャンスを生かされて敗れた。チリ戦では“疑惑の判定”とも言われたが、クロスバーに当たったゴールは形としては完璧にやられていたが、ゴールにはならず。結果、1-0で勝利して突破をつかんだ。
いずれの試合もボックスに侵入される回数は多かったものの、中央でセンターバックが対応できれば大きな破綻はしていない。チリ戦でのあわやの場面は、清水梨紗が絞って対応し競り負ける結果となり、サイドの選手が競り合うと不利を被る悪い例になってしまったが、課題が出たという点ではプラスと言っても良いかもしれない。
◆采配の賛否というよりは
GKに目を移せば、直前の親善試合では山下杏也加が先発で起用されており、安定したパフォーマンスを見せていた。そのため、初戦で池田咲紀子を起用した理由には疑問が残る。
フィールドプレーヤーはここまでフル出場なのは熊谷紗希と清水の2人で、よく言えばローテーションができている。ただ、ネガティブな意味で誰が出ても変わらないサッカーになっているとも取れる。
イギリス戦では、これまでサイドで起用され続けていたジョーカーの遠藤純を最前線に置いたが、効果のほどは御覧の通りだ。素直に菅澤優衣香と田中美南を半々で使い分けた方がと思わざるを得ない。
大前提としてボールを扱うためのメンバー選考であったのならば、それは達成できておらず、劣勢時のジョーカーも遠藤か木下桃香かという選択だ。そうなると22人の選び方まで話を戻さなければならなくなるが、これ以上のメンバーが現状いるのかと問われれば、太鼓判を押せる選手は即答できないのが実情だ。
川澄奈穂美や永里優季のような2011年組もまだまだ現役であり、ベテラン勢の力はもちろん必要だろう。だが、世代交代がなければアメリカでさえ躓いてしまうのが今の女子サッカー界の成長速度だ。正直なところ、実力通りの内容と結果ではないだろうか。
準々決勝の相手スウェーデンは、グループステージを全勝で突破。前回大会は銀メダル、2019年のワールドカップ(W杯)では3位の実績があり、FIFAランキングも5位と間違いなく格上だ。初戦、第2戦のような苦しい展開が予想されるが、自国開催のアドバンテージをもとに、トーナメント特有のアップセットを起こせるかに期待だ。
《超ワールドサッカー編集部》
Getty Images
中盤のデュエルも圧倒されることが多く、セカンドボールを回収できずに波状攻撃につなげられなかった。その中でも光っていたのは林穂之香のアグレッシブさか。スウェーデンのAIKフットボールでの経験は間違いなく生きているだろう。出場の2試合ではチームに推進力をもたらしていたため、下げる時間が早過ぎるような気もした。
対照的にこれまで中盤を支えてきた中島依美のパフォーマンスがピリッとせず、いずれの失点にも絡んでしまった。スタミナやキック精度が持ち味だが、ここまではそれを発揮できずにいる。
また、記録上、枠内に浴びたシュート数はカナダ戦が1本、イギリス戦が2本、チリ戦が0本となっている。クロスバーやポストに当たったシュートは枠内扱いにはならないが、それを入れれば数はもう少し増えるだろう。
ただ、どの試合も決定的なピンチは少なかったが、それを防げたか、防げなかったかが勝敗に直結した。イギリス戦では警戒していた中で、1つのチャンスを生かされて敗れた。チリ戦では“疑惑の判定”とも言われたが、クロスバーに当たったゴールは形としては完璧にやられていたが、ゴールにはならず。結果、1-0で勝利して突破をつかんだ。
いずれの試合もボックスに侵入される回数は多かったものの、中央でセンターバックが対応できれば大きな破綻はしていない。チリ戦でのあわやの場面は、清水梨紗が絞って対応し競り負ける結果となり、サイドの選手が競り合うと不利を被る悪い例になってしまったが、課題が出たという点ではプラスと言っても良いかもしれない。
◆采配の賛否というよりは
Getty Images
GKに目を移せば、直前の親善試合では山下杏也加が先発で起用されており、安定したパフォーマンスを見せていた。そのため、初戦で池田咲紀子を起用した理由には疑問が残る。
フィールドプレーヤーはここまでフル出場なのは熊谷紗希と清水の2人で、よく言えばローテーションができている。ただ、ネガティブな意味で誰が出ても変わらないサッカーになっているとも取れる。
イギリス戦では、これまでサイドで起用され続けていたジョーカーの遠藤純を最前線に置いたが、効果のほどは御覧の通りだ。素直に菅澤優衣香と田中美南を半々で使い分けた方がと思わざるを得ない。
大前提としてボールを扱うためのメンバー選考であったのならば、それは達成できておらず、劣勢時のジョーカーも遠藤か木下桃香かという選択だ。そうなると22人の選び方まで話を戻さなければならなくなるが、これ以上のメンバーが現状いるのかと問われれば、太鼓判を押せる選手は即答できないのが実情だ。
川澄奈穂美や永里優季のような2011年組もまだまだ現役であり、ベテラン勢の力はもちろん必要だろう。だが、世代交代がなければアメリカでさえ躓いてしまうのが今の女子サッカー界の成長速度だ。正直なところ、実力通りの内容と結果ではないだろうか。
準々決勝の相手スウェーデンは、グループステージを全勝で突破。前回大会は銀メダル、2019年のワールドカップ(W杯)では3位の実績があり、FIFAランキングも5位と間違いなく格上だ。初戦、第2戦のような苦しい展開が予想されるが、自国開催のアドバンテージをもとに、トーナメント特有のアップセットを起こせるかに期待だ。
《超ワールドサッカー編集部》
|
関連ニュース