【ユーロ2020/グループE展望】優勝候補スペインが頭一つ抜けるもその他は混戦必至
2021.06.14 18:00 Mon
ユーロ2020のグループステージが6月11日に開幕する。グループEは優勝候補のスペインが頭一つ抜けた存在となっており、その後続にポーランド、スウェーデン、スロバキアの順で並ぶ形だ。◆絶対的な“個”の不在でより求められる一体感~スペイン~
最高順位/優勝
予選戦績/8勝2分け(グループF1位)
監督/ルイス・エンリケ
注目選手/MFペドリ(バルセロナ)
7大会連続出場で4度目の優勝を目指すスペインは、主要大会3連覇に輝いた際のメガクラックが去り、直近の2度のワールドカップ、ユーロ2016では最高順位がベスト16と世代交代を図る中で試行錯誤の状況が続いている。今予選では現指揮官ルイス・エンリケの“家族の事情”により、当時副官だったロベルト・モレノが暫定指揮官、正指揮官として率い、スウェーデン、ノルウェー、ルーマニアらと同居したグループFを無敗で首位通過。その後、2019年11月に復任したルイス・エンリケ体制では強豪との対決が多かったエクスキューズはあるものの、6勝6分け1敗と今一つ突き抜けられない戦いぶりが目立っている。
また、今大会に向けてはロシアW杯後に引退したMFイニエスタ、DFピケ、MFダビド・シルバらに加え、今シーズンのレアル・マドリーで度重なる負傷に悩まされた歴代最多180キャップを誇るDFセルヒオ・ラモスが招集外となり、新カピタンのMFブスケッツ(バルセロナ)、守護神デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、DFジョルディ・アルバ(バルセロナ)ら経験豊富な選手はいるものの、絶対的な“個”の不在での戦いとなる。ただ、MFマルコス・ジョレンテ、FWアダマ・トラオレ、MFダニ・オルモらこれまでのスカッドにはあまりいなかった個性派のタレントもメンバー入りしており、指揮官がうまく各自の長所を引き出し一体感をもたらすことができれば、久々のトロフィー獲得の可能性は十分にあるはずだ。
ただ、本大会前の直前になってチームは新型コロナウイルスの影響を受けており、DFディエゴ・ジョレンテ(リーズ)の偽陽性は朗報も、陽性判定を受けたブスケッツが少なくとも初戦のスウェーデン戦を欠場することが決定的となっており、初戦で躓くようなことになれば、一転して難しい戦いを強いられるはずだ。
◆気力充実の欧州最高FWが更なる高みに導けるか~ポーランド~
最高順位/グループリーグ敗退
予選戦績/8勝1分け1敗(グループG1位)
監督/パウロ・ソウザ
注目選手/FWロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン)
4大会連続の出場となるポーランドは、前回大会のベスト8を上回る更なる躍進を目指す。近年、5大リーグのビッグクラブに多くのタレントを送り出しているポーランドは、伝統の攻守両面における堅実な戦いぶりに個の能力が加わり、第2集団において最も安定した成績を収めているチームのひとつとなっている。今予選では前指揮官ブジェンチェクの下、オーストリア、北マケドニア、スロベニアらと同居したグループGを危なげなく首位通過した。
しかし、本大会を前にした今年1月にブジェンチェクを解任し、後任にポルトガル人指揮官パウロ・ソウザを招へい。その新指揮官の下では4バックと3バックを併用するなど未だ手探りの戦いが続いており、本大会に向けてチーム戦術の部分では不安を残す。それだけに、守護神シュチェスニー(ユベントス)、MFジエリンスキ(ナポリ)といった個々のパフォーマンスがより重要視されるところだ。
そして、注目選手は絶対的なエースであり、キャプテンとして精神的支柱の役割も担うFWロベルト・レヴァンドフスキだ。現在、世界最高のストライカーと評される32歳は、昨シーズンにブンデスリーガとチャンピオンズリーグで得点王をダブル受賞し、バイエルンのトレブルに貢献。さらに、今シーズンは“爆撃機”の愛称で知られたゲルト・ミュラー氏の記録を約50年ぶりに塗り替える1シーズンのブンデスリーガ最多得点記録(41ゴール)を樹立。自身初のゴールデンシュー(欧州得点王)にも輝いている。
ただ、代表チームでいずれも歴代最多となる118試合66ゴールという偉大な記録を持つレヴァンドフスキだが、2度のユーロ、直近のロシアW杯という大舞台においては12戦2ゴールと思うような結果を残せていない。そのため、気力充実で臨む今大会ではクラブチームで見せてるような勝負強い働きが求められるところだ。
◆イブラ不在の中で若き力の台頭に期待~スウェーデン~
最高順位/4位
予選戦績/6勝3分け1敗(グループF2位)
監督/ヤンネ・アンデション
注目選手/FWアレクサンダー・イサク(レアル・ソシエダ)
6大会連続7度目の出場となる大会常連のスウェーデンは、3大会連続で敗退が続いているグループリーグ突破を目指す。直近のロシアW杯でベスト8に躍進した北欧屈指の強豪は、今予選では今回も同じグループに入ったスペインに唯一の敗戦を喫したものの、格下から着実に勝ち点を挙げて順当に2位通過を決めた。
今大会に向けてはミランで存在感を発揮していた代表最多得点記録保持者のFWイブラヒモビッチが今年3月に約5年ぶりの復帰を果たしたことが大きな話題を集めた。しかし、39歳のメガクラックはシーズン終盤に負った左ヒザのケガによって無念の大会不参加が決定。名手不在は多くのフットボールファンだけでなく、代表チームにおいても痛手となったが、ロシアW杯で結果を残した堅守速攻を貫く上では運動量、守備のハードワークという部分で足かせとなる可能性があった大ベテランの不在がプラスに働くはずだ。その一方で、スペイン代表と同様にコロナ禍に揺れるチームはMFスヴェンベリ(ボローニャ)、MFクルゼフスキ(ユベントス)の2選手に陽性判定が出ており、若き主力が不在となれば、大きな懸念材料となる。
注目選手はイブラヒモビッチ不在の攻撃をけん引することになるFWアレクサンダー・イサク。伝統的にベテランを重用するスウェーデンにおいて21歳のイサクは、スヴェンベリ、クルゼフスキ、FWヨルダン・ラーション(スパタク・モスクワ)と共に貴重な若手タレントだ。また、今大会に向けて堅守速攻を徹底するチームにおいてクルゼフスキ、MFフォルスベリ(RBライプツィヒ)と共に形成するアタッキングユニットは、より運動量と個での打開、決定力が求められる。代表では22試合6ゴールと目立った活躍は見せられていないが、今シーズンのレアル・ソシエダではリーグ戦17ゴールとキャリアハイの数字を残している。192cmのサイズを感じさせないアジリティとテクニック、馬力のある仕掛け、磨きをかける決定力を武器にエースの仕事を果たしたい。
◆POで培った勝負強さ武器に2大会連続GL突破目指す~スロバキア~
最高順位/ベスト16
予選戦績/4勝1分け3敗(グループE3位)
監督/シュテファン・タルコビッチ
注目選手/DFミラン・シュクリニアル(インテル)
2大会連続の出場となるスロバキアは、前大会に続きまずはグループリーグ突破を目指す。今予選ではクロアチア、ウェールズと同居したグループEを3位で終えて、4位のハンガリーと共にプレーオフを勝ち上がって本大会の切符を手にした。そのプレーオフでは準決勝でアイルランドをPK戦で退け、決勝の北アイルランド戦では後半終盤に追いつかれて延長戦に持ち込まれるも、延長戦で勝ち越す劇的な勝ち上がりとなった。
ただ、今大会に向けては予選の戦績に加え、前述の3チームに比べてタレントの質で大きく劣っていることもあり、苦戦は必至。その中でプレーオフで培った粘り強さ、勝負強さを生かして番狂わせを狙いたいところだ。
現スカッドで唯一のワールドクラスと言えるMFハムシク(IFKヨーテボリ)、守護神ドゥブラフカ(ニューカッスル)、司令塔ドゥダ(ケルン)も注目に値するが、ディフェンスリーダーであるDFミラン・シュクリニアルに注目したい。今シーズンのインテルのスクデット獲得に貢献した26歳は、高い身体能力とアグレッシブさを武器に地対空の対人戦で無類の強さを誇るエースキラー。また、代表キャリアの序盤においては守備的MFで起用されるなど、一定の足元の技術も併せ持っている。今回のグループリーグにおいてはスウェーデン戦を除き守勢に回る展開が想定されており、FWモラタ(スペイン)、FWレヴァンドフスキ(ポーランド)、FWイサク(スウェーデン)と相手のエースストライカー封じが求められる。
【試合日程】
◆第1節
▽6/14(月)
《25:00》
ポーランド vs スロバキア
《28:00》
スペイン vs スウェーデン
◆第2節
▽6/18(金)
《22:00》
スウェーデン vs スロバキア
▽6/19(土)
《28:00》
スペイン vs ポーランド
◆第3節
▽6/23(水)
《25:00》
スロバキア vs スペイン
スウェーデン vs ポーランド
Getty Images
最高順位/優勝
予選戦績/8勝2分け(グループF1位)
監督/ルイス・エンリケ
注目選手/MFペドリ(バルセロナ)
また、今大会に向けてはロシアW杯後に引退したMFイニエスタ、DFピケ、MFダビド・シルバらに加え、今シーズンのレアル・マドリーで度重なる負傷に悩まされた歴代最多180キャップを誇るDFセルヒオ・ラモスが招集外となり、新カピタンのMFブスケッツ(バルセロナ)、守護神デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、DFジョルディ・アルバ(バルセロナ)ら経験豊富な選手はいるものの、絶対的な“個”の不在での戦いとなる。ただ、MFマルコス・ジョレンテ、FWアダマ・トラオレ、MFダニ・オルモらこれまでのスカッドにはあまりいなかった個性派のタレントもメンバー入りしており、指揮官がうまく各自の長所を引き出し一体感をもたらすことができれば、久々のトロフィー獲得の可能性は十分にあるはずだ。
ただ、本大会前の直前になってチームは新型コロナウイルスの影響を受けており、DFディエゴ・ジョレンテ(リーズ)の偽陽性は朗報も、陽性判定を受けたブスケッツが少なくとも初戦のスウェーデン戦を欠場することが決定的となっており、初戦で躓くようなことになれば、一転して難しい戦いを強いられるはずだ。
注目選手はラ・ロハ躍進のカギを握るチーム最年少(18歳)のMFペドリ。昨夏、ラス・パルマスから17歳で世界屈指の名門バルセロナにやってきた攻撃的MFは、加入1年目とは思えない適応力ですぐさまレギュラーポジションを奪取。卓越したポジショニング、判断力、テクニックを武器に、自身が憧れと語るイニエスタを彷彿とさせるプレーでバルセロナの攻撃をけん引した。そして、今年3月に元バルセロナ指揮官率いるA代表に初招集を受けると、格下との対戦が多かったものの、クラブチーム同様の存在感を発揮し、多くのライバルを抑えてユーロのメンバー入りを果たした。現時点ではインテリオールのバックアッパーの立ち位置だが、大会期間中にポジションを確保し、憧れのイニエスタのようにラ・ロハの新たなプレーメーカーとして台頭したい。
◆気力充実の欧州最高FWが更なる高みに導けるか~ポーランド~
Getty Images
最高順位/グループリーグ敗退
予選戦績/8勝1分け1敗(グループG1位)
監督/パウロ・ソウザ
注目選手/FWロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン)
4大会連続の出場となるポーランドは、前回大会のベスト8を上回る更なる躍進を目指す。近年、5大リーグのビッグクラブに多くのタレントを送り出しているポーランドは、伝統の攻守両面における堅実な戦いぶりに個の能力が加わり、第2集団において最も安定した成績を収めているチームのひとつとなっている。今予選では前指揮官ブジェンチェクの下、オーストリア、北マケドニア、スロベニアらと同居したグループGを危なげなく首位通過した。
しかし、本大会を前にした今年1月にブジェンチェクを解任し、後任にポルトガル人指揮官パウロ・ソウザを招へい。その新指揮官の下では4バックと3バックを併用するなど未だ手探りの戦いが続いており、本大会に向けてチーム戦術の部分では不安を残す。それだけに、守護神シュチェスニー(ユベントス)、MFジエリンスキ(ナポリ)といった個々のパフォーマンスがより重要視されるところだ。
そして、注目選手は絶対的なエースであり、キャプテンとして精神的支柱の役割も担うFWロベルト・レヴァンドフスキだ。現在、世界最高のストライカーと評される32歳は、昨シーズンにブンデスリーガとチャンピオンズリーグで得点王をダブル受賞し、バイエルンのトレブルに貢献。さらに、今シーズンは“爆撃機”の愛称で知られたゲルト・ミュラー氏の記録を約50年ぶりに塗り替える1シーズンのブンデスリーガ最多得点記録(41ゴール)を樹立。自身初のゴールデンシュー(欧州得点王)にも輝いている。
ただ、代表チームでいずれも歴代最多となる118試合66ゴールという偉大な記録を持つレヴァンドフスキだが、2度のユーロ、直近のロシアW杯という大舞台においては12戦2ゴールと思うような結果を残せていない。そのため、気力充実で臨む今大会ではクラブチームで見せてるような勝負強い働きが求められるところだ。
◆イブラ不在の中で若き力の台頭に期待~スウェーデン~
Getty Images
最高順位/4位
予選戦績/6勝3分け1敗(グループF2位)
監督/ヤンネ・アンデション
注目選手/FWアレクサンダー・イサク(レアル・ソシエダ)
6大会連続7度目の出場となる大会常連のスウェーデンは、3大会連続で敗退が続いているグループリーグ突破を目指す。直近のロシアW杯でベスト8に躍進した北欧屈指の強豪は、今予選では今回も同じグループに入ったスペインに唯一の敗戦を喫したものの、格下から着実に勝ち点を挙げて順当に2位通過を決めた。
今大会に向けてはミランで存在感を発揮していた代表最多得点記録保持者のFWイブラヒモビッチが今年3月に約5年ぶりの復帰を果たしたことが大きな話題を集めた。しかし、39歳のメガクラックはシーズン終盤に負った左ヒザのケガによって無念の大会不参加が決定。名手不在は多くのフットボールファンだけでなく、代表チームにおいても痛手となったが、ロシアW杯で結果を残した堅守速攻を貫く上では運動量、守備のハードワークという部分で足かせとなる可能性があった大ベテランの不在がプラスに働くはずだ。その一方で、スペイン代表と同様にコロナ禍に揺れるチームはMFスヴェンベリ(ボローニャ)、MFクルゼフスキ(ユベントス)の2選手に陽性判定が出ており、若き主力が不在となれば、大きな懸念材料となる。
注目選手はイブラヒモビッチ不在の攻撃をけん引することになるFWアレクサンダー・イサク。伝統的にベテランを重用するスウェーデンにおいて21歳のイサクは、スヴェンベリ、クルゼフスキ、FWヨルダン・ラーション(スパタク・モスクワ)と共に貴重な若手タレントだ。また、今大会に向けて堅守速攻を徹底するチームにおいてクルゼフスキ、MFフォルスベリ(RBライプツィヒ)と共に形成するアタッキングユニットは、より運動量と個での打開、決定力が求められる。代表では22試合6ゴールと目立った活躍は見せられていないが、今シーズンのレアル・ソシエダではリーグ戦17ゴールとキャリアハイの数字を残している。192cmのサイズを感じさせないアジリティとテクニック、馬力のある仕掛け、磨きをかける決定力を武器にエースの仕事を果たしたい。
◆POで培った勝負強さ武器に2大会連続GL突破目指す~スロバキア~
Getty Images
最高順位/ベスト16
予選戦績/4勝1分け3敗(グループE3位)
監督/シュテファン・タルコビッチ
注目選手/DFミラン・シュクリニアル(インテル)
2大会連続の出場となるスロバキアは、前大会に続きまずはグループリーグ突破を目指す。今予選ではクロアチア、ウェールズと同居したグループEを3位で終えて、4位のハンガリーと共にプレーオフを勝ち上がって本大会の切符を手にした。そのプレーオフでは準決勝でアイルランドをPK戦で退け、決勝の北アイルランド戦では後半終盤に追いつかれて延長戦に持ち込まれるも、延長戦で勝ち越す劇的な勝ち上がりとなった。
ただ、今大会に向けては予選の戦績に加え、前述の3チームに比べてタレントの質で大きく劣っていることもあり、苦戦は必至。その中でプレーオフで培った粘り強さ、勝負強さを生かして番狂わせを狙いたいところだ。
現スカッドで唯一のワールドクラスと言えるMFハムシク(IFKヨーテボリ)、守護神ドゥブラフカ(ニューカッスル)、司令塔ドゥダ(ケルン)も注目に値するが、ディフェンスリーダーであるDFミラン・シュクリニアルに注目したい。今シーズンのインテルのスクデット獲得に貢献した26歳は、高い身体能力とアグレッシブさを武器に地対空の対人戦で無類の強さを誇るエースキラー。また、代表キャリアの序盤においては守備的MFで起用されるなど、一定の足元の技術も併せ持っている。今回のグループリーグにおいてはスウェーデン戦を除き守勢に回る展開が想定されており、FWモラタ(スペイン)、FWレヴァンドフスキ(ポーランド)、FWイサク(スウェーデン)と相手のエースストライカー封じが求められる。
【試合日程】
◆第1節
▽6/14(月)
《25:00》
ポーランド vs スロバキア
《28:00》
スペイン vs スウェーデン
◆第2節
▽6/18(金)
《22:00》
スウェーデン vs スロバキア
▽6/19(土)
《28:00》
スペイン vs ポーランド
◆第3節
▽6/23(水)
《25:00》
スロバキア vs スペイン
スウェーデン vs ポーランド
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