【J1クラブ通信簿】際立った得点数も打ち消す失点数…今年も羽ばたけず、天皇杯に懸ける 《ヴィッセル神戸》
2019.12.19 22:45 Thu
優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2019シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(チームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第11弾は8位のヴィッセル神戸を総括!
◆MVP
FW古橋亨梧(24)
明治安田生命J1リーグ31試合出場(先発27試合)/10得点
豪華メンバーが揃った攻撃陣のなかで定位置を確保し、自身キャリアハイとなるJ1リーグ10得点をマークしたFW古橋亨梧を選出した。
昨夏FC岐阜から加入した古橋は、数も質も高い攻撃陣の中にあっても存在感を示し、チームの中心選手に。第22節からは初となる3試合連続得点をマークし、第24節のサガン鳥栖戦では自身の2得点を含めた4得点に絡む大活躍で勝利に貢献。第32節のセレッソ大阪戦では残留を決めるゴールも叩き込んだ。
昨夏までJ2リーグで戦っていた古橋だが、今シーズンはFWダビド・ビジャとともに二桁ゴールを記録。また、突出したスピードを武器に幾度となくチャンスを演出し、8アシストをマークし、多くのゴールに絡んだ。その活躍もあり、今年11月には待望の日本代表デビュー。今後の更なる飛躍に期待したい。
◆補強成功度 【B】
「バルサ化」を推し進めてきた神戸は、昨年主力を張ったMF藤田直之やDFティーラトンなどが去ったものの、今年も大型補強を決行。開幕前にダビド・ビジャを筆頭にMF山口蛍、DF西大伍、MFセルジ・サンペール、DFダンクレー、DF初瀬亮と即戦力となり得る人員を数多く獲得した。
その酒井は入団以降の12試合すべてに先発し、2アシストをマーク。ドイツで培った高い戦術眼と日本代表で戦ってきた経験を活かし攻守にわたり存在感を発揮した。
今シーズンの補強の目玉としては、何と言ってもダビド・ビジャで間違いない。クラブだけでなく、歴代最多得点を誇るスペイン代表でも数多くのタイトルを獲得してきた超一流選手。今年で38歳を迎えたが、28試合に出場し13得点2アシストを記録した他、随所で目を見張る高いスキルを披露してくれた。夏加入組のGK飯倉大樹は果敢にビルドアップへ参加し、最後尾からチームの押し上げを図った。一方で、ベルギー代表DFトーマス・フェルマーレンも攻撃面で違いを見せるなどしたが、終盤はメンバー外が続いた。
最終的には鳴かず飛ばずの順位となったが、補強選手抜きで今のスタイルを貫いていれば降格まであったという見方もできる。新戦力の複数がスカッドを占め一定の成果を上げて、地盤を構築したことを評価した。
◆総合評価 【D】
フアン・マヌエル・リージョ体制2年目で迎えた今シーズン、引き続き「AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得」を目指して戦ったが、結果は8位フィニッシュ。目標であったACL出場圏内ラインの3位・鹿島アントラーズとの勝ち点差は「16」もあり、近年と同様に中間順位で終えた。
開幕節はセレッソ大阪に敗れたものの、第2節からの4試合で3勝1分けと順調な滑り出しを見せ4位に浮上した。これから上位争いを繰り広げるかに思われたが、第6節からリーグ戦クラブワーストとなる7連敗を喫し15位まで急降下。第20節までに11回の黒星を重ね、目標が「ACL出場」から「残留」になっていた。
大不振のクラブは、夏のウィンドーを活用して立て直しに着手。これが奏功して、8月1週目の第21節から最終節までの14試合で8勝2分け4敗と巻き返しを見せ、2試合を残し残留を決めた。
神戸は今シーズン、再三にわたり指揮官の交代があった。第8節からはフアン・マヌエル・リージョ前々監督に代わり吉田孝行前監督が率い、第15節からトルステン・フィンク監督が指揮を執っている。どの指揮官もベースとなるスタイルは崩さなかったが、上位を目指すにあたり影響はあっただろう。しかし、それよりも失点の多さが目に付いた。
実際にどの監督になっても失点を抑えられず、シーズン通しての総失点数は「59」でワースト3位。クリーンシートがわずか5試合で、不用意なミスからの失点が散見された。ポゼッションサッカーの確立を目指すあまり、リスク管理がなされず、セットプレーからの失点も多く見受けられ守備の脆さを露呈した。
一方、攻撃陣はしっかりと得点力を示した。総得点数は、優勝した横浜F・マリノスの「68」に次ぐ「61」の2位。昨年の「45」を大きく上回る結果となった。神戸は昨シーズン5点を超える得点者が4人であったのに対して、今シーズンは7人に増えており、FWルーカス・ポドルスキが長期離脱したなかでも多くの選手で得点を積み上げた。
莫大な資金を投じ一昨年にルーカス・ポドルスキ、昨年はMFアンドレス・イニエスタ、そして今年はダビド・ビジャと超豪華な補強を続けてきたが、未だ成績が伴っていない。チーム全体を見ても人材は揃っており、このメンバーを考えると不満が大きい。しかし、3位以内は確保できなかったが、今月21日に行われる天皇杯・準決勝を清水エスパルスと戦う神戸は、同大会優勝で「ACL出場」の可能性が残されている。
目標達成に向けて挑んでいる最中ではあるが、来シーズン、リーグで上位争いを演じるためのキーワードは「リスクマネジメント」だと感じた。今オフでは、昨年から向上した得点力の次は失点の削減を重点的に取り組んで欲しい。爆発的な攻撃力はそのままに、チームとしての守備意識を高めることができれば、優勝までの道も見えてくるのではないだろうか。あとは、現役を引退するダビド・ビジャの代役をしっかりと見つけることだろう。
◆MVP
FW古橋亨梧(24)
明治安田生命J1リーグ31試合出場(先発27試合)/10得点
©︎J.LEAGUE
豪華メンバーが揃った攻撃陣のなかで定位置を確保し、自身キャリアハイとなるJ1リーグ10得点をマークしたFW古橋亨梧を選出した。
昨夏までJ2リーグで戦っていた古橋だが、今シーズンはFWダビド・ビジャとともに二桁ゴールを記録。また、突出したスピードを武器に幾度となくチャンスを演出し、8アシストをマークし、多くのゴールに絡んだ。その活躍もあり、今年11月には待望の日本代表デビュー。今後の更なる飛躍に期待したい。
◆補強成功度 【B】
©︎J.LEAGUE
「バルサ化」を推し進めてきた神戸は、昨年主力を張ったMF藤田直之やDFティーラトンなどが去ったものの、今年も大型補強を決行。開幕前にダビド・ビジャを筆頭にMF山口蛍、DF西大伍、MFセルジ・サンペール、DFダンクレー、DF初瀬亮と即戦力となり得る人員を数多く獲得した。
シーズン開始から新戦力が高稼働するなか、ティーラトンの後釜として加入した初瀬は、失点に絡むミスを連発。不安を抱えたチームは、夏にDF酒井高徳を迎え入れアップグレード。初瀬は夏にアビスパ福岡にレンタルとなった。
その酒井は入団以降の12試合すべてに先発し、2アシストをマーク。ドイツで培った高い戦術眼と日本代表で戦ってきた経験を活かし攻守にわたり存在感を発揮した。
今シーズンの補強の目玉としては、何と言ってもダビド・ビジャで間違いない。クラブだけでなく、歴代最多得点を誇るスペイン代表でも数多くのタイトルを獲得してきた超一流選手。今年で38歳を迎えたが、28試合に出場し13得点2アシストを記録した他、随所で目を見張る高いスキルを披露してくれた。夏加入組のGK飯倉大樹は果敢にビルドアップへ参加し、最後尾からチームの押し上げを図った。一方で、ベルギー代表DFトーマス・フェルマーレンも攻撃面で違いを見せるなどしたが、終盤はメンバー外が続いた。
最終的には鳴かず飛ばずの順位となったが、補強選手抜きで今のスタイルを貫いていれば降格まであったという見方もできる。新戦力の複数がスカッドを占め一定の成果を上げて、地盤を構築したことを評価した。
◆総合評価 【D】
©︎J.LEAGUE
フアン・マヌエル・リージョ体制2年目で迎えた今シーズン、引き続き「AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得」を目指して戦ったが、結果は8位フィニッシュ。目標であったACL出場圏内ラインの3位・鹿島アントラーズとの勝ち点差は「16」もあり、近年と同様に中間順位で終えた。
開幕節はセレッソ大阪に敗れたものの、第2節からの4試合で3勝1分けと順調な滑り出しを見せ4位に浮上した。これから上位争いを繰り広げるかに思われたが、第6節からリーグ戦クラブワーストとなる7連敗を喫し15位まで急降下。第20節までに11回の黒星を重ね、目標が「ACL出場」から「残留」になっていた。
大不振のクラブは、夏のウィンドーを活用して立て直しに着手。これが奏功して、8月1週目の第21節から最終節までの14試合で8勝2分け4敗と巻き返しを見せ、2試合を残し残留を決めた。
神戸は今シーズン、再三にわたり指揮官の交代があった。第8節からはフアン・マヌエル・リージョ前々監督に代わり吉田孝行前監督が率い、第15節からトルステン・フィンク監督が指揮を執っている。どの指揮官もベースとなるスタイルは崩さなかったが、上位を目指すにあたり影響はあっただろう。しかし、それよりも失点の多さが目に付いた。
実際にどの監督になっても失点を抑えられず、シーズン通しての総失点数は「59」でワースト3位。クリーンシートがわずか5試合で、不用意なミスからの失点が散見された。ポゼッションサッカーの確立を目指すあまり、リスク管理がなされず、セットプレーからの失点も多く見受けられ守備の脆さを露呈した。
一方、攻撃陣はしっかりと得点力を示した。総得点数は、優勝した横浜F・マリノスの「68」に次ぐ「61」の2位。昨年の「45」を大きく上回る結果となった。神戸は昨シーズン5点を超える得点者が4人であったのに対して、今シーズンは7人に増えており、FWルーカス・ポドルスキが長期離脱したなかでも多くの選手で得点を積み上げた。
莫大な資金を投じ一昨年にルーカス・ポドルスキ、昨年はMFアンドレス・イニエスタ、そして今年はダビド・ビジャと超豪華な補強を続けてきたが、未だ成績が伴っていない。チーム全体を見ても人材は揃っており、このメンバーを考えると不満が大きい。しかし、3位以内は確保できなかったが、今月21日に行われる天皇杯・準決勝を清水エスパルスと戦う神戸は、同大会優勝で「ACL出場」の可能性が残されている。
目標達成に向けて挑んでいる最中ではあるが、来シーズン、リーグで上位争いを演じるためのキーワードは「リスクマネジメント」だと感じた。今オフでは、昨年から向上した得点力の次は失点の削減を重点的に取り組んで欲しい。爆発的な攻撃力はそのままに、チームとしての守備意識を高めることができれば、優勝までの道も見えてくるのではないだろうか。あとは、現役を引退するダビド・ビジャの代役をしっかりと見つけることだろう。
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