W杯開催地はサウジアラビア一択に? 2034年の開催に唯一の立候補

2024.03.02 22:30 Sat
Getty Images
サウジアラビアが唯一のワールドカップ(W杯)開催地として残ることになるようだ。

2026年のW杯はアメリカ、カナダ、メキシコの北中米3カ国で共催。2030年のW杯はアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイで開幕し、モロッコ、ポルトガル、スペインの3カ国で共催となることが決まっている。
そんな中、2034年のW杯の開催地にも立候補している国があった中、2023年10月にオーストラリアが撤退を表明。現在残っているのは、サウジアラビア一択となる。なお、2024年の終わりに決定される予定となっている。

先日までアジアカップを開催したが、ついに悲願のW杯開催に前進中。2021年からスポーツにより多くの資金を国として投じており、サッカーだけでなくF1やゴルフなどの主要なスポーツイベントを開催してきた。

一方で、「スポーツウォッシング」として知られる手法とも揶揄されており、人権侵害や殺害事件、女性の権利侵害、同性愛の犯罪化、言論の自由の制限など、負のイメージを払拭するための策という声も上がっている。
国際サッカー連盟(FIFA)のガイドラインでは、W杯開催地に立候補する国は、人権を尊重する国でなければならないとされており、懸念を示す声もあがっている。

サウジアラビアサッカー連盟(SAFF)のヤセル・アル・ミセハル会長は、今回のW杯招致について言及している。

「我々のサッカーの歴史を世界に伝えることは非常に重要だ」

「我々は男子と女子の両方の競技において、前例のない進歩を遂げており、我々の入札は、このエキサイティングな旅に我々と一緒に参加するように世界にオープンに招待するものだ」

サウジ・プロ・リーグは、2022年12月のクリスティアーノ・ロナウドのアル・ナスル加入を発端とし、2023年夏にはヨーロッパの様々なクラブからワールドクラスの選手が大量に加入。大きなリーグへと変貌を遂げようとしている。

また、政治的に迫害されていた女子の代表チームも発足させるなど、サッカーへ強く熱を入れており、更なる発展を目指してW杯招致にも動くこととなった。
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こういうのを「出来レース」というのだろうか。それとも用意周到な「努力の成果」というべきだろうか。34年のW杯の開催地はサウジアラビアでほぼ決まったようだ。 FIFA(国際サッカー連盟)は10月4日の理事会で、34年のW杯は大陸ローテーション(持ち回り)の原則から、アジアとオセアニアからの立候補を受け付けることを確認。するとサウジアラビア協会が立候補を表明し、AFC(アジアサッカー連盟)とJFA(日本サッカー協会)はサウジ支持を表明した。 W杯の招致に立候補するかどうかの準備期間は10月31日の締め切りまで4週間足らず。するとインドネシア・サッカー連盟のエリク・トヒル会長はオーストラリア、マレーシア、シンガポールとの共催で招致することを目ざし、オーストラリアと協議していることを10月11日に明らかにした。 インドネシアは、実力はともかくとしてファン・サポーターの熱狂度は東南アジアでも1、2位を争う。そして07年にはタイ、マレーシア、ベトナムと4か国共催でアジアカップを開催した実績もある。シンガポールとマレーシアは陸続きと移動は便利だし、東南アジアとオーストラリアは飛行機の定期便も頻繁に飛んでいる。 しかしながら準備期間が短かったため、立候補を検討していたオーストラリアが締め切り日の10月31日に断念を発表した。 それもそうだろう。 W杯はサッカー協会だけで招致できるような規模の大会ではない。スタジアムの整備・建設からホテルや移動手段の確保など、開催地に決まれば国を挙げての一大事業となる。そのための確約を事前に政財界に保証してもらう必要がある。そうした事前準備の期間がたった1ヶ月では元々、無理があったのだ。 2002年のW杯を招致しようとJFAが活動を始めたのは1990年のことだった。イタリアW杯を取材中のある日のこと、ローマのオリンピコ・スタジアム内にある体育館がプレスセンターに当てられていたが、入口の前にJFAの村田忠男専務理事と中野事務局長がいた。 挨拶を交わしてから事情を聞くと、海外のプレスに02年のW杯を日本に招致したいパンフレットを作ってきたものの、W杯のIDがないと体育館には入れないので途方に暮れていたという。そこでパンフレットを受け取り、記者仲間と手分けして海外のプレスに配ったのだった。 その後、93年のドーハで日本はW杯初出場の夢を断たれると、94年のアジア選出のFIFA副会長戦で村田氏は韓国の鄭夢準氏に敗れ、日韓両国は熾烈な招致合戦に突入した。 話を34年のW杯に戻すと、30年を含めた2大会の開催国は来年バンコクで開催される定期総会で正式に決定する。そして34年のW杯に関していえば、大会に必要な14会場のうち、必要な既存スタジアムは30年大会が7に対し、34年大会は4と激減していた。 ちなみにサウジにあるスタジアムは、21日に日本がシリアと戦うプリンス・アブドゥラー・アル・ファイサル・スタジアム(ジッダ。2万収容)の他に、キング・アブドゥラー・スポーツシティ・スタジアム(ジッダ。6万人収容)、リヤドにはキング・ファハド国際スタジアム(6万8752人収容)とキング・サイード大学スタジアム(2万5千人収容)がある。 さらにリヤドにはプリンス・ファイサル・スタジアム(2万8千人収容)と、ペルシャ湾に面してバーレーンとは陸橋でつながっているダンマームにプリンス・モハメド・スタジアム(3万5千人収容)があるものの、こちらは陸上トラック付きの多目的スタジアムのためサッカー専用ではない。 現状、サウジアラビアがW杯で使用できる既存のスタジアムは4つしかなく、残る10会場は34年までに建設しなければならない。W杯開催で既存のスタジアムの条件を下げ、立候補の期間も極めて短いことからも、FIFAは「サウジのため」に開催要件を決めた印象は拭えない。 それだけサウジは早い段階からFIFAにアプローチして、入念な準備をしてきた成果といえるだろう。 34年大会だけでなく、30年大会も来年のFIFA総会で開催地は正式に決定する。すでに30年はスペイン、ポルトガル、モロッコの共催になり、さらにW杯100周年を記念して、ウルグアイ、パラグアイ、アルゼンチンでそれぞれ開幕戦が行われることが濃厚だと噂されている。 ローテーションからすれば、10年アフリカ(南ア)→14年南米(ブラジル)→18年ヨーロッパ(ロシア)→22年アジア・オセアニア(カタール)→26年北中米(アメリカ、カナダ、メキシコ)ときたのだから、次はアフリカか南米となるはずだ。しかし両大陸のどの国も財政難などでW杯を開催する余力はないだろう。 そこでヨーロッパでの共催に近距離のモロッコ(アフリカ)を加え、さらにブラジルをのぞく南米の強豪国で開幕戦を開催する。「何でもあり」のFIFAならではの、とてつもなく素晴らしい折衷案ではないだろうか。 <hr>【文・六川亨】<br/><div id="cws_ad">1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2023.11.03 21:15 Fri

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サウジアラビアサッカー連盟(SAFF)は9日、2034年のワールドカップ(W杯)招致に向け、正式に立候補を要請する書面を国際サッカー連盟(FIFA)に送ったことを発表した。 4日、2030年のW杯がスペインとポルトガル、モロッコの3カ国で開催することが決定。さらに、第1回大会から100周年を迎えるということもあり、FIFAは開幕戦3試合をウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイの南米3カ国で開催することを決めていた。 その同日、サウジアラビの皇太子でもあるモハメド・ビン・サルマン氏は2034年のW杯開催に向けて立候補する意向を表明。そして9日に正式に申し出たことを発表した。 「サウジアラビアサッカー連盟は本日、2023年10月9日の月曜日、サウジアラビアの2034年W杯開催地への正式立候補を要請する書簡がFIFAに送られたことを発表した」 「先週の水曜日の10月4日、サウジアラビアは2034年のW杯の開催地に立候補する意向を発表し、この表明はFIFAが主催する立候補のプロセスを通過するというサウジアラビアのコミットメントを公式に確認したものである」 「2034年W杯開催地に立候補するサウジアラビアは、サッカーの発展に投資するという熱意を反映する特別なバージョンのトーナメントを開催すると同時に、選手、関係者、ファン、そして選手たちに情熱をもたらすサッカー体験を提供するつもりだ」 「SAFFが立候補の意向を発表してから、72時間も経たないうちに、大会開催に対するサウジアラビアの支持を表明する声明を通じ、様々な大陸の70以上の連盟から支持を受けている」 「サウジアラビアは、主要なスポーツイベントの開催において豊富な経験と成功の実績を持っており、サウジアラビアが主催するスポーツイベントのリストには、多くの国の男女の最も著名なアスリートが幅広く参加する著名なスポーツ競技大会が含まれている」 「サッカー、モータースポーツ、テニス、馬術、eSports、ゴルフ、その他の世界的なスポーツを含む様々なスポーツだ」 今夏の移籍市場では、ヨーロッパから大量のスター選手を獲得してサウジ・プロ・リーグが大きな注目を集めている中、3大会先のW杯開催になるのか。2022年のカタールに次ぐ中東開催になるか注目を集める。 2023.10.09 23:10 Mon
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