女子W杯控え各国でトラブル…南アフリカは賃金問題で壮行試合をボイコット、ナイジェリアは監督と連盟が不仲に

2023.07.03 19:25 Mon
Getty Images
オーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)に参加するアフリカのチームで、トラブルが相次いでいるようだ。

女子では初の南半球開催となる今大会では、前回のフランスW杯から出場国が拡大。「24」から「32」へと増え、4枠が与えられたアフリカからはモロッコとザンビアが初出場を決めた。
その他の2カ国は、女子アフリカネーションズカップを制して2大会連続2度目の出場権を獲得した南アフリカと、9大会皆勤賞のナイジェリア。だが、W杯開幕を間近に控え、この両国で問題が起きている。

南アフリカは本大会に臨む23名が発表されているが、『ESPN』によると、2日に行われる予定だったボツワナ女子代表との壮行試合を選手がボイコットしたとのこと。試合そのものは急遽地元クラブから人数をかき集めて決行したとのことだが、W杯メンバーはハーフタイムになってスタンド観戦のために姿を見せたという。

ボイコットの一部理由は、選手への低賃金にあるようだ。
同国サッカー選手組合(SAFPU)のトゥラガニョ・ガオシュベルウェ会長は、組合のツイッターに投稿した動画において「彼女らは自分たちの権利のために戦っている。SAFA(南アフリカサッカー協会)は契約に金銭を盛り込むことを望んでいない。我々は選手の権利のために戦わなければならない」と述べている。

これに関して南アフリカのジジ・コドワスポーツ大臣は「チームが表明した深刻な懸念を聞くため」に4日に話し合いの場を設けるとしているが、内容は「『福祉』と契約に関連した問題ついて」と伝えられている。

実際の契約条項は当然確認することはできないが、クラブや利潤追求の会社とは異なり、代表が公共性を伴うのであれば、待遇改善の声をあげることに何ら問題はないだろう(正しい手段であればだが)。そうでなければ、育成年代の選手等にも収益性を求めることになってしまう。

なお、23名の選手たちは4日と5日の2日間に分けて現地入りする予定となっている。

一方、ナイジェリアではランディ・ウォルドラム監督と同国サッカー連盟(NFF)が仲たがいしているようだ。現地紙『ガーディアン』が1日付で伝えている。

"スーパー・ファルコンズ"は2日、すでにオーストラリアへ向けて出国。15日間のキャンプを経て大会に臨む。

指揮官が不満の種にしているのは、これに先駆けた国内での事前合宿がキャンセルになったことだ。

「必要な準備ができていないことは分かっている。NFFのサポートの欠如には非常にイライラしている。ナイジェリアで10~12日間キャンプをしてから、さらに10~15日間オーストラリアに行く予定だったが、連盟が国内でのキャンプをキャンセルした」

これに対し、NFF広報責任者のアデモラ・オラジア氏は、指揮官の主張を「根拠のないもの」と一刀両断している。

「まずヨーロッパのシーズンがいつ終わったかを尋ねないと。監督は国内選手を対象とした2週間のキャンプを希望していたが、まさに2週間前、彼は23人の最終リストを発表した。国内キャンプはリソースの無駄でしかないだろう」

「自分の欠陥を認める代わりに、不満を言い続けているだけだ。チームがワールドカップに向けて出発する3日前に話しているだけだ」

なお、発表された23名にはバルセロナ女子のセンターフォワード、アシサト・オショアラら欧米組が大半を占め、国内組は2人のみとなっている。

開幕直前にピッチ外の問題が勃発した両チーム。本大会への影響が出ないことを願うばかりだ。
関連ニュース

「私が男だからか?」懲役2年半を求められているスペインサッカー連盟元会長、キス問題についての発言が話題に「理解できない」

スペインサッカー連盟(RFEF)の元会長であるルイス・ルビアレス氏が、自身が起こした騒動について改めて否定。しかし、その発言が話題になっている。 問題が起きたのは2023年夏。オーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)でスペイン女子代表が悲願の初優勝を果たした直後だった。 授賞式が執り行われている中、ルビアレス元会長はチームの中心選手であるジェニファー・エルモソと喜びを分かち合うと、壇上で突如唇にキスをすることに。しかし、これが大きな問題となり、世界中で話題を呼んだ。 エルモソは「合意なしに無理やりキスをされた」と訴えると、セクシャルハラスメントだとして大きな問題に。それでも、「合意の上だった」と主張し続けたルビアレス元会長への批判が高まり、最終的には辞任。その後、事態は発展し、性的暴行罪で訴えられ、2年6カ月の懲役刑が言い渡されていた。 別件では、汚職や贈賄罪について容疑がかけられており逮捕されることに。そんな中、スペイン『laSexta』での独占インタビューで様々な問題について語る中、エルモソとのキス事件について言及。そこでの発言が話題を呼んでいる。 ルビアレス元会長は「あなた方は、エルモソには尋問することはできないが、私には尋問できる…私が男だからか?」とコメント。「思想の自由を決して制限はできない。自分が左か右か、あるいは何らかの条件があるからといって、他の誰かが多かれ少なかれ正しいと考える人は間違いだ」とコメントした。 また「誰が映像を見たとしても、これを性的暴行だと考えることの理解ができない」と、改めて自身の行為について語り、「全ての被害者は私の家族であり、友人だ」と、自分が被害を受けていると主張した。 なお、自身の汚職についても完全否定。スーペル・コパをサウジアラビアで開催するにあたり、違法な手数料を受け取ったとして逮捕されているが「人生で一度も賄賂を受け取ったことはない。疑惑はウソだ」と主張。現在は銀行口座が凍結されており、「飲み物代も支払えない」とコメントした。 <span class="paragraph-title">【動画】元会長が表彰式で選手の頭を強引に掴んでキス…</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="es" dir="ltr"><a href="https://t.co/fROwn7HBQf">https://t.co/fROwn7HBQf</a> <a href="https://t.co/CCLB9QD3DH">pic.twitter.com/CCLB9QD3DH</a></p>&mdash; Informativos Telecinco (@informativost5) <a href="https://twitter.com/informativost5/status/1772993318319796724?ref_src=twsrc%5Etfw">March 27, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.04.05 11:30 Fri

同意なく女子選手にキスしたスペインサッカー連盟元会長に懲役2年6カ月が求刑…女子W杯決勝のセレモニーでの事件

スペイン検察当局は27日、スペインサッカー連盟(RFEF)の元会長であるルイス・ルビアレス氏に対して2年6カ月の懲役刑を求刑したという。スペイン『アス』が伝えた。 ルビアレス氏は、2023年のオーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)でスペイン女子代表が見事に初優勝を飾った中、その表彰式でMFジェニファー・エルモソに対し、同意なく強引に口にキスをするなどして大きな問題に。両者の言い分は異なり、ルビアレス氏は自身の潔白を主張したものの、その後に辞任していた。 国際サッカー連盟(FIFA)からは3年間の資格停止処分が下され、エルモソが性的暴行罪で訴えられる中、スペイン検察は懲役刑を求刑することとなった。 また、スペイン女子代表の元監督であり、現在はモロッコ女子代表監督であるホルヘ・ビルダ氏、スペイン代表のスポーツ・ディレクター(SD)アルベルト・ルケ氏、RFEFの元マーケティング・マネージャーであるルベン・リベラ氏に対しては、懲役1年6カ月を求刑することとなった。 なお、RFEFはルケ氏とリベラ氏に対し、現在の職務から解任することを決定。推定無罪であることを尊重しながらも、「この司法問題が解明されるまで」として、職務から外すことを決断した。 <span class="paragraph-title">【動画】会長が選手の頭を強引に掴んでキス…</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="es" dir="ltr"><a href="https://t.co/fROwn7HBQf">https://t.co/fROwn7HBQf</a> <a href="https://t.co/CCLB9QD3DH">pic.twitter.com/CCLB9QD3DH</a></p>&mdash; Informativos Telecinco (@informativost5) <a href="https://twitter.com/informativost5/status/1772993318319796724?ref_src=twsrc%5Etfw">March 27, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.03.28 09:35 Thu

W杯に続きパリ五輪でもなでしこと同居のスペイン、現地メディアの反応は「良い思い出とは言えない」「難しい初戦」

再びなでしこジャパンと同居することになった、初のオリンピックを迎えるスペイン女子代表。現地メディアはどう見ているのだろうか。 国際サッカー連盟(FIFA)は20日、パリ・オリンピック女子サッカー競技のグループリーグ分け抽選会を行い、なでしこジャパンはスペイン女子代表、ブラジル女子代表、アフリカ予選1位(ナイジェリアor南アフリカ)と、グループCで同居することとなった。 日本とスペインは、2023年夏に行われたオーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)でもグループステージで同組に入り、当時は日本が4-0で勝利を収めたが、ノックアウトステージを勝ち進み、優勝したのはスペインだった。 オリンピックのグループ分けを受け、スペイン『マルカ』は、「あまり良い思い出とは言えないチームもある」と、日本をグループステージのライバルと見ている。同時に「W杯では0-4で敗れたが、最終的にはこの敗北がスペインサッカー界の歴史的なマイルストーンに繋がった」とも述べており、当時の対戦は強く印象に残っている様子だ。 また、W杯では両チームがグループステージ突破を決めての第3節に対戦をしたが、パリ・オリンピックでは初戦で相まみえる。 『アス』も日本を警戒し、「世界チャンピオンにとって難しい初戦」と伝える。とはいえ、代表チームのスポーツ・ダイレクター(SD)を務めるマルケル・ズビザレッタ氏は「どのチームも最高レベル」と、日本に限らず、各チームともに警戒すべきだと語った。 「オリンピックという観点から見ると、どのチームも最高レベルです。日本は我々にリベンジの機会を与えてくれるし、ブラジルはサッカーのベンチマークだ。アフリカの代表がどこかは待たなければならないが、いずれにせよハイレベルなライバルだ。スケジュールの都合上、午後の早い時間の試合になることはわかっており、暑さのためにより難しくなるであろうことも想像に難くない」 オリンピックの女子サッカーは12チームが出場し、各組4チームに分けられた3グループの上位2チームと、各組3位のうち上位2チームが準々決勝に進む。 <span class="paragraph-title">【動画】W杯スペイン戦、宮澤ひなたの先制ゴール!</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">【総合で放送中!速報動画!】<br><br>FIFA女子ワールドカップ<br><br>GOOOOOAL!!!!!<br><br>日本先制<a href="https://twitter.com/hashtag/%E5%AE%AE%E6%BE%A4%E3%81%B2%E3%81%AA%E3%81%9F?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#宮澤ひなた</a> 選手<br>今大会3ゴール目!!<br><br>前半12分<br>日本 1-0 スペイン<br><br>NHKプラスでもLIVE中<br><a href="https://t.co/IejqJqGFZI">https://t.co/IejqJqGFZI</a><br><br>女子W杯の情報は特設サイトで<br><a href="https://t.co/7LsegvCO6l">https://t.co/7LsegvCO6l</a><a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%81%AA%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%93%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#なでしこジャパン</a> <a href="https://t.co/mVlVVVfPLb">pic.twitter.com/mVlVVVfPLb</a></p>&mdash; NHKサッカー (@NHK_soccer) <a href="https://twitter.com/NHK_soccer/status/1685912952426090496?ref_src=twsrc%5Etfw">July 31, 2023</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.03.21 20:00 Thu

国内経済効果は約2000億円、オーストラリアが女子W杯のレポートを公表 関心継続へ向けた道筋も

フットボール・オーストラリア(FA)は23日、2023年に行われたオーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)の大会後レポート、『レガシー'23』を公表した。 これまでの記録を大きく塗り替える、197万人超の来場者数を記録し、全世界でのテレビ視聴者数は20億人に上るなど、盛況に終わった2023年のW杯。 開催国であるオーストラリア、マチルダス初のベスト4入りも後押しし、オーストラリア国内での試合チケットは130万枚が販売された。 FAのレポートによれば、大会がオーストラリアへもたらした経済効果は13億2000万ドル(約2000億円)。女子Aリーグの会員数は669%増加するなど、オーストラリアのサッカー界に革命を起こした。 レポートでは同時に、今後の熱量継続へ向けたさらなる投資の必要性も述べている。 大会成功を機に関心は大幅に高まった一方、グラスルーツレベルでは施設不足も懸念されている。これに対処するための継続的な投資プログラムの確立や、そのために引き続き政府とも協力を取ることなどを、FAの女子サッカーW杯・レガシー、インクルージョン部門の責任者であるサラ・ウォルシュ氏は述べている。 FAのジェームズ・ジョンソン最高経営責任者(CEO)も「我々は、FIFA女子ワールドカップ 2023によって生まれた効果が一層繁栄し続け、サッカーだけでなくオーストラリア社会全体に利益をもたらすよう、全力で取り組んでいます」と、とコメントしている。 日本では、2011年ドイツ女子W杯でのなでしこジャパンの優勝後、女子サッカーリーグの観戦者激増や競技者の増加といった"なでしこフィーバー"が巻き行ったが、現在はWEリーグをはじめ、代表戦でも集客に苦戦するなど、当時の遺産を生かし切れなかった。 2026年女子アジアカップの開催地としても立候補しているオーストラリア。今大会の成功をどのように発展へつなげ、継続してくのかには大きな注目が集まっている。 2024.02.23 19:45 Fri

選手へのキス問題で職務停止中の元スペインサッカー協会会長、FIFAは3年間の処分への控訴を棄却

国際サッカー連盟(FIFA)の規律委員会は26日、スペインサッカー連盟(RFEF)の元会長であるルイス・ルビアレス氏が控訴した3年間の出場停止処分に関して棄却した。 2023年8月に行われたオーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)でスペイン女子代表が見事に初優勝。しかし、その表彰式でルビアレス氏はジェニファー・エルモソの唇にキスをし、性的虐待行為であると非難を浴びていた。 ルビアレス氏は合意があったと主張し続け、世界中から寄せられる批判に対抗。しかし、FIFAも懲戒処分を下すことを決めると最終的には辞任。その後、3年間の職務停止処分を受けていた。 キスの被害者であるエルモソは、性的暴行にあたるとして正式にルビアレス氏を訴えることに。裁判もスタート。「合意などなく、強要していた」との見解が示されている。 なお、ルビアレス氏はスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ上訴することは可能。FIFAは今回の決定に「すべての人々の誠実さを尊重し保護し、まともな行動の基本ルールが確実に尊重されるようにするという絶対的な決意を改めて表明する」とした。 2024.01.27 10:20 Sat
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly