【欧州主要リーグ日本人選手前半戦総括】古橋亨悟がスコットランド席巻! 三笘や堂安、板倉も躍動

2022.01.06 20:00 Thu
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欧州主要リーグの2021-22シーズンの前半戦が終了しました。そこで本稿では4大リーグ(イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ)を除く主要リーグに所属する日本人選手のパフォーマンスを総括しました。※データは2022年1月2日終了時点

◆スコットランド
★セルティック・パークの新たなアイドル爆誕!
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▽古橋亨悟[セルティック]
公式戦出場試合数:26(先発:23)ゴール:16/アシスト:5
昨夏にヴィッセル神戸から加入し、海外初挑戦となった26歳FWは、早くも同リーグを代表するアタッカーとしての評価を確立するセンセーショナルな活躍を披露。レジェンド中村俊輔の存在もあり、セルティック・パークで好意的な歓迎を受けたものの、加入時はその能力を疑問視する声も多かったが、スタメンデビューを飾ったヨーロッパリーグ(EL)予選のヤブロネツ戦で初ゴールを挙げると、直後のリーグ戦のダンディー戦ではハットトリックを達成する圧巻の活躍で一気にチームの信頼を獲得。

以降は左ウイングを主戦場に、センターフォワード、右ウイングでもプレーし、傑出したアジリティ、オフ・ザ・ボールの動き出し、シュートセンスを武器に公式戦16ゴールを記録。スコティッシュリーグカップの決勝戦では2ゴールを挙げる活躍で自身を呼び寄せたポステコグルー監督に新天地での初タイトルをプレゼントした。国内リーグではコンディションの問題や、対戦相手の分析によってゴールペースは落ちているが、リーグ2位タイの8ゴールを奪取。FW前田大然、MF旗手怜央、MF井手口陽介と3人の援軍が加入する後半戦では更なる爆発が期待される。

◆ベルギー
★伊東&森岡が貫録の活躍、三笘躍動もシント=トロイデンでは明暗分かれる…
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▽伊東純也[ヘンク]
公式戦出場試合数:31(先発:30)ゴール:4/アシスト:11

▽森岡亮太[シャルルロワ]
公式戦出場試合数:22(先発:21)ゴール:4/アシスト:8

▽三笘薫[ユニオン・サン・ジロワーズ]
公式戦出場試合数:17(先発:9)ゴール:6/アシスト:3

▽三好康児[アントワープ]
公式戦出場試合数:13(先発:8)ゴール:3/アシスト:0

▽鈴木武蔵[ベールスホット]
公式戦出場試合数:17(先発:8)ゴール:0/アシスト:0

▽シュミット・ダニエル[シント=トロイデン]
公式戦出場試合数:20(先発:20)ゴール:0/アシスト:0

▽橋岡大樹[シント=トロイデン]
公式戦出場試合数:19(先発:17)ゴール:0/アシスト:1

▽松原后[シント=トロイデン]
公式戦出場試合数:8(先発:6)ゴール:1/アシスト:1

▽伊藤達哉[シント=トロイデン]
公式戦出場試合数:5(先発:0)ゴール:0/アシスト:0

▽鈴木優磨[シント=トロイデン]
公式戦出場試合数:11(先発:11)ゴール:2/アシスト:2

▽林大地[シント=トロイデン]
公式戦出場試合数:13(先発:10)ゴール:2/アシスト:1

▽原大智[シント=トロイデン]
公式戦出場試合数:17(先発:8)ゴール:3/アシスト:0

12選手と欧州で最も日本人選手がプレーするベルギーでは、ヘンクFW伊東純也、シャルルロワMF森岡亮太と同リーグで実績十分の2選手が貫録を見せつける前半戦となった。

昨夏のステップアップも予想された中、昨年10月にクラブとの契約を2024年まで延長した伊東は今季も右ウイングの主力として躍動。12ゴールを挙げた昨季に比べ、ここまで4ゴールとゴール数は少ないが、アシストはすでに「11」を記録しており、キャリアハイとなった昨季の「16」を更新する可能性は高い。また、9月のシント=トロイデン戦ではゲームキャプテンを託されるなど、同国屈指の強豪で確固たる地位を築く。
また、ベルギーで5シーズン目を戦う森岡はここまで4ゴール8アシストと持ち味の高精度の左足のキックと創造性を遺憾なく発揮。伊東同様に数試合で腕章を託されるなど、ここまで5位と上位争いに食い込むチームにおいて攻撃の牽引車となっている。

今季からの新加入組では川崎フロンターレから保有元のブライトン(イングランド)を経由してユニオン・サン・ジロワーズに加入したMF三笘薫が初の海外リーグで躍動中。[3-5-2]の左ウイングバックを主戦場とする中、ここまで6ゴール3アシストを記録。10月に行われたセラン戦ではチームが2点ビハインド且つ数的不利を背負った中、後半開始から投入されると、驚異的な突破力と決定力を発揮し、チームを4-2の逆転勝利に導く驚愕のハットトリックを達成。いずれも2桁ゴールを記録するFWウンダフ、FWバンゼイルの2トップと共にリーグ首位チームを牽引している。

7選手が在籍するシント=トロイデンでは守護神を務めるGKシュミット・ダニエル、昨夏浦和レッズから買い取りオプション付きのレンタルで加入し、先日に完全移籍を勝ち取ったDF橋岡大樹が右サイドバックの主力に定着。また、サガン鳥栖から加入したFW林大地、アラベスからのレンタルで加入中のFW原大智が出場機会を分け合いながらも主力としてプレー。

その一方で、昨季リーグ17ゴールを挙げる活躍を見せながらも去就問題の影響で微妙な立場となったFW鈴木優磨は、今冬の鹿島アントラーズ復帰が正式決定。また、ポジション争いで苦戦するFW伊藤達哉、DF松原后の2選手に関しても今冬の退団の可能性が報じられている。

◆フランス
★川島はリーグ戦出場なし、オナイウ&植田は2部で奮闘
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▽川島永嗣[ストラスブール]
公式戦出場試合数:1(先発:1)ゴール:0/アシスト:0

▽オナイウ阿道[トゥールーズ(2部)]
公式戦出場試合数:23(先発:18)ゴール:7/アシスト:1

▽植田直通[ニーム(2部)]
公式戦出場試合数:20(先発:20)ゴール:0/アシスト:0

ストラスブールで4シーズン目を戦う川島は昨シーズンのリーグ・アンで24試合に出場したものの、今季は正GKセルスが健在ということもあり、リーグ戦の出場はなし。それでも、クープ・ドゥ・フランスでは初戦のヴァランシエンヌ戦に出場し、1-0の勝利に貢献した。なお、チームではセカンドGKを争っていたカマラがレンタルに出されており、有事の際にはリーグ後半戦で再び出番が与えられるはずだ。

共にリーグ・ドゥでプレーするFWオナイウ阿道、DF植田直通はぞれぞれトゥールーズ、ニームで主力として活躍。なお、今季はリーグ戦とクープ・ドゥ・フランスで2度の日本人対決が実現しており、いずれもトゥールーズに軍配。クープ・ドゥ・フランスではオナイウが2ゴール1アシストの圧巻の活躍をみせ、4-1の大勝に導いている。ニームは現在12位と中位以下に甘んじているが、トゥールーズは僅差ながらも自動昇格圏内の2位に立っており、後半戦次第では来季リーグ・アンでプレーするオナイウを見られるかもしれない。

◆オランダ
★堂安が首位チームで奮闘
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▽堂安律[PSV]
公式戦出場試合数:15(先発:11)ゴール:5/アシスト:2

▽菅原由勢[AZ]
公式戦出場試合数:26(先発:19)ゴール:0/アシスト:3

▽中山雄太[ズウォレ]
公式戦出場試合数:16(先発:16)ゴール:1/アシスト:3

▽ファン・ウェルメスケルケン際[ズウォレ]
公式戦出場試合数:0(先発:0)ゴール:0/アシスト:0

4選手がプレーするオランダ勢では長期離脱中のDFファン・ウェルメスケルケン際を除き、3選手がいずれも主力として活躍している。

その3選手の中で最も印象的だったのは、アヤックスを僅差で抑えて前半戦を首位で終えたPSVのMF堂安律だ。昨シーズンはチームの構想に入れず、ビーレフェルトにレンタル移籍した中、初のブンデスリーガで1年間主力として活躍した堂安。だが、PSVでは引き続き構想外と見られ、昨夏の段階では移籍が濃厚だった。しかし、諸々の条件が整わず、最終的に残留の運びとなり、厳しい前半戦が予想されたものの、蓋を開けてみれば、ここまで右ウイングの主力として15試合5ゴール2アシストと見事な活躍を披露している。

オランダ以上に球際での戦いを求められるドイツでの経験によって持ち味のテクニック、創造性に強さが加わり、相手守備にとってより対応し辛い選手となっており、後半戦ではゴール、アシストという数字の部分にもよりこだわり、チームの覇権奪還に貢献したい。

AZのDF菅原由勢、ズウォレのDF中山雄太は共に力強さを増すフィジカルと高い戦術理解力を武器に、チームの主力に定着。菅原は本職の右サイドバックに加え、一列前の右サイドハーフでも起用され、クロスやチャンスメークの部分で成長を見せている。一方、中山は日本代表でも起用される左サイドバック、本職のセンターバックを主戦場に守備的MFもこなすなど、最下位に沈むチームにおいて個人としては奮闘を見せていた。

◆ポルトガル
★守田がフル稼働、東京V育ちの2人の10番も奮闘
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▽守田英正[サンタ・クララ]
公式戦出場試合数:23(先発:23)ゴール:2/アシスト:1

▽藤本寛也[ジル・ヴィセンテ]
公式戦出場試合数:18(先発:17)ゴール:2/アシスト:2

▽中島翔哉[ポルティモネンセ]
公式戦出場試合数:8(先発:6)ゴール:1/アシスト:4

▽中村航輔[ポルティモネンセ]
公式戦出場試合数:1(先発:1)ゴール:0/アシスト:0

▽川崎修平[ポルティモネンセ]
公式戦出場試合数:0(先発:0)ゴール:0/アシスト:0

▽食野亮太郎[エストリル]
公式戦出場試合数:8(先発:1)ゴール:1/アシスト:0

6選手がプレーするポルトガルでは昨季に続きMF守田英正が主力として存在感を発揮。また、東京ヴェルディ育ちで共に現チームの10番を背負う2選手が奮闘を見せた。

昨シーズンの印象的な活躍により、昨夏の移籍市場では国内やトルコへの移籍が取り沙汰された中、最終的にサンタ・クララに残留した守田は、今シーズンもチームの中盤に君臨。昨季に比べてチームのパフォーマンスは芳しくないものの、個人としては初のUEFAコンペティションとなったヨーロッパ・カンファレンスリーグの予備予選でゴールを挙げるなど、上々の前半戦となった。

ジル・ヴィセンテ2年目で今季から10番を背負うMF藤本寛也は、クラブからの期待通り、2列目を主戦場に司令塔としてチームを牽引。スポルティング・リスボン戦では不用意な一発退場があったものの、1ゴールに終わった昨季を上回る2ゴールを挙げており、後半戦では更なる躍進が期待される。

その藤本のユースの先輩にあたるFW中島翔哉はポルト、アル・アインでの厳しい1年を経て、今季古巣のポルティモネンセにレンタルで復帰。昨年10月に負傷から約10カ月ぶりの実戦復帰を果たすと、試合をこなすごとにコンディションを挙げ、ポルティモネンセの王様としての風格を取り戻した。ここ最近では笑顔と共にプレーに遊び心が戻ってきており、後半戦での完全復活が期待される。

中島の同僚であるGK中村航輔、FW川崎修平はトップチームでなかなか出番が与えられず、リザーブチームが主戦場に。また、マンチェスター・シティからエストリルにレンタル加入のFW食野亮太郎はデビュー戦でいきなりゴールを挙げる鮮烈なデビューを飾ったが、以降はポジション争いで苦戦。リーグ戦では未だスタメンでのプレー機会が一度もない。

◆スペイン2部
★2人のベテランが健在ぶりを発揮
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▽柴崎岳[レガネス]
公式戦出場試合数:18(先発:18)ゴール:2/アシスト:0

▽岡崎慎司[カルタヘナ]
公式戦出場試合数:17(先発:9)ゴール:1/アシスト:1

スペイン2部ではMF柴崎岳、FW岡崎慎司がそれぞれレガネス]、カルタヘナで奮闘中だ。

昨シーズンにデポルティボ・ラ・コルーニャからレガネスに加入した柴崎は1年目から主力に定着し、惜しくも昇格プレーオフに敗れたものの、プリメーラ復帰にあと一歩のところまで迫る奮闘を見せた。今シーズンも引き続き昇格を目標に掲げる中、チームはここまで22チーム中17位と苦戦を強いられているが、柴崎自身は中盤の主力を担う。

一方、昨季はウエスカでプリメーラを戦った岡崎は昨夏の移籍市場でカルタヘナに加入。22チーム中8位と昇格プレーオフ争いに身を置くチームで、準主力の立ち位置にいる。利他的なプレーでチームに貢献する一方、後半戦ではゴールという目に見える結果を残したい。

◆ドイツ2部
★板倉が名門シャルケの中心選手に
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▽板倉滉[シャルケ]
公式戦出場試合数:16(先発:15)ゴール:2/アシスト:0

▽田中碧[デュッセルドルフ]
公式戦出場試合数:14(先発:11)ゴール:0/アシスト:0

▽室屋成[ハノーファー]
公式戦出場試合数:17(先発:15)ゴール:0/アシスト:4

ドイツ2部ではハノーファー加入2年目のDF室屋成と、川崎フロンターレの下部組織育ちの2選手がプレー。いずれも定期的にプレー機会を得ているが、パフォーマンスではやや明暗が分かれる結果となっている。

この前半戦で最もインパクトを残したのは、フローニンヘンからレンタル先をシャルケに変えた板倉だ。深刻な財政難に加え、クラブ内でのゴタゴタによって、まさかの2部降格となったドイツ屈指の名門に加入した板倉は、加入直後から3バックの主力に定着。オランダで培ったフィジカルコンタクトに加え、持ち味の視野の広さ、キック精度を生かした安定したビルドアップによって攻守両面で活躍。ドイツ『キッカー』が選出する前半戦のセンターバック部門で最優秀選手に選出されるほどのインパクトを残した。

また、今シーズンも引き続きハノーファーの右サイドバックの主軸を担う室屋だが、チームは昇格はおろか残留圏内ギリギリの15位に低迷している。その大きな要因がリーグワーストタイの得点力にあり、すでに3アシストを記録して昨季全体の4アシストに迫る室屋としては後半戦により多くのアシストを記録し、チームの浮上に繋げたいところだ。

昨夏、川崎フロンターレからデュッセルドルフに新天地を求めた田中碧はここまで11試合に先発出場するなど定期的にプレー機会を得ている。ただ、川崎Fや日本代表とは異なり、より攻撃的な「8番」や「10番」のプレーを求められるチーム事情もあり、現地ではフィジカル面の適応を含め厳しい評価が目立つ。卓越した技術と戦術眼を併せ持つ選手だけに、前半戦で見つかった多くの課題を克服し、後半戦では現地メディアに手のひら返しをさせる活躍を期待したい。


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今、日本代表に呼ぶべき未招集選手5人。特長を示すストライカーや中盤の要

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勝利を求め続けた“鬼軍曹”ドゥンガ、チームに変革をもたらせたキャプテンシー

今からおよそ30年前に開幕したJリーグ。その創世記、世界的に著名な外国人選手たちが、日本サッカーを盛り上げた。 “神様”と呼ばれる元ブラジル代表のジーコが鹿島アントラーズを牽引すれば、元アルゼンチン代表のラモン・ディアスは横浜マリノスを牽引し初代得点王になるなどしていた。 数多くの代表選手が集まった中、異彩を放っていた選手がいる。それがドゥンガだ。 ブラジル国内クラブでプレーした後はイタリアへと渡り、フィオレンティーナでは中心選手として活躍。後に殿堂入りも果たしているほどだ。ちなみにサントス時代にはFW三浦知良(鈴鹿ポイントゲッターズ)ともチームメイトとしてプレーした。 その後、ブンデスリーガのシュツットガルトでプレーしていた中、1995年7月にジュビロ磐田へと加入した。 <span class="paragraph-title">◆“鬼軍曹”と呼ばれたキャプテンシー</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/dunga20220427_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 現役のブラジル代表選手としてJリーグに参戦したドゥンガ。日本が一度もワールドカップ(W杯)に出場していない時代に、2度もW杯に出場し、移籍の前年に行われた1994年のアメリカW杯では優勝メンバーでもあったことから、大きな注目を集めた。 ブラジル人選手と言えば、華麗なテクニックを武器としたプレーが特徴として思い浮かぶだろう。サイドバックであっても攻撃力に秀でている選手、センターバックでも得点力がある選手、GKでもFKを蹴り続けた選手など、その才能に限りはない。 しかし、ドゥンガはそういったプレーヤーとは一線を画す存在。テクニックがないわけではないが、プレーの選択は常に堅実。リスクを冒すことはなく、ボランチの位置でボールを持ってもドリブルは不用意にはせず、正確な長短のパスを供給して局面を動かすプレーを見せる。 コーチング能力も高く、少しでも守備をサボる選手がいれば強烈な檄が飛ぶ。良い意味でブラジル人“らしくない”選手だった。 そのスタイルから“鬼軍曹”とも呼ばれたが、プロリーグがスタートしたばかりのJリーグでも大きな影響を与えた。所属の磐田は、1997年から2004年まで、毎年何らかのタイトルを獲得していた。 いわゆる“黄金期”を迎えたわけだが、そのチームの根幹にはドゥンガの教えがあった。ドゥンガによって鍛えられた選手たちが、ドゥンガ退団後に花を開かせたのだ。 <span class="paragraph-title">◆堅実ながらも勝利を誰よりも求める男</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/dunga20220427_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 前述の通り堅実さがプレーの信条だったドゥンガ。そしてそれをチームメイトに求めることができる“キャプテンシー”が最大の特徴だった。 プロリーグとはいえ、どこか緩さがあった当時のJリーグ。サッカー王国のブラジルで生まれ育ち、代表チームでキャプテンを務め、W杯を制したばかりの男にとっては、物足りなさもあっただろう。 特に1994年のW杯では、問題児でありエースのFWロマーリオをキャプテンとしてどう扱うかを考えていた。圧倒的な得点力を持つロマーリオだが、ピッチ外の素行には大きな問題があった。練習への遅刻、規律違反…しかし、ブラジルが勝つために必要な得点を取る能力は抜群だった。 キャプテンとして、その才能を生かすために大会中はロマーリオと同じ部屋を希望。説き伏せた結果、問題を起こすことなく、さらに5ゴールを記録して、チームは見事24年ぶりにW杯で優勝した。 自身のプレースタイルから考えれば、苦渋の決断だった可能性もある。しかし、チームが勝つために必要とあれば、自らがその問題を解決するために努力をするというスタイルを持っている。 それは磐田でも同様だった。常に勝利を求めるということを忘れず、攻撃陣に特徴があった磐田を牽引しながら、守備には口うるさく味方を怒鳴りつけた。ピッチ上でその光景を見たことは何度もあるのではないだろうか。ただ、全てはチームの勝利のため。ハードワークだけでなく、選手の成長を助け、日本サッカーの発展にも貢献した貴重な助っ人だった。 <div id="cws_ad"><hr>ブラジル代表で活躍し、“鬼軍曹”としても知られているドゥンガが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!<br/><br/>現役時代に魅せたプレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。<a href="https://ryan.onelink.me/C7cD/79aae7be" target="_blank"><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/900/img/2022/sega20220427.jpg" style="max-width:100%;"></div></a></div> 2022.04.27 19:30 Wed
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3度のW杯制覇にルール変更、誰もが知る「サッカーの王様」ペレの偉業

一流と呼ばれる選手たちはこれまでのサッカー史の中で数知れず。その中において、記憶にも記録にも残り、誰もが知る超一流の選手はほんの一握りだ。 現役選手では、パリ・サンジェルマンのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシやマンチェスター・ユナイテッドのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドがその位置にいると思われるが、誰もが知る「サッカーの王様」と呼ばれるペレは、異質な存在だった。 <span class="paragraph-title">◆3度のW杯制覇の偉業</span> 今年11月にカタールで開催されるワールドカップ(W杯)。前述のメッシ、C・ロナウドは出場すれば共に5度目のW杯となる。 ペレは記録によれば1954年に14歳でデビュー。1977年まで23年間現役でプレーした。 ブラジル代表としても16歳9カ月でデビューを果たしており、これは当時の最年少記録。ペレは1958年のスウェーデンW杯に背番号10で初めて出場。そこから4大会連続でW杯に出場した。 W杯の出場回数では4回ともちろん多いが、4回中3回優勝をしているのだから驚きだ。 現在とはレギュレーションも違った中ではあるが、初めてでたスウェーデン大会では6ゴールを奪い、ブラジルに初めてのW杯優勝をもたらせる。この活躍により、ペレの背番号「10」がエースと見なされるようになったという話があるが、「10」は偶然背負ったもの。エースは違う番号だった可能性も十分にあった。 1962年のチリ大会にも出場したペレだったが、大会序盤で負傷。しかし、チームはペレ抜きでもしっかりと勝ち上がり、連覇を達成。ブラジル代表の存在価値が高まった大会と言われた。 1966年のイングランド大会にも出場したペレだったが、ケガを抱えていたことでこの大会も途中でプレーできないことに。チームも3連覇を逃し、大きな話題となっていた。 イングランド大会を最後にW杯には出場しないと決めていたペレだったが、1970年のメキシコ大会にも出場。3度目の優勝を目指してプレーすると、決勝でもゴールとアシストで貢献し、見事に3度目の優勝を果たすこととなった。 <span class="paragraph-title">◆ルールを変えていった男</span> まだまだテレビやインターネットなどが普及せず、現代とは比べ物にならないくらい情報伝達が遅かった時代に活躍したペレ。それでも、世界中で称賛されるということがどれだけ凄かったかということだ。 今ならプレーシーンは試合中にインターネット上に出回り、一瞬にして世界に広まるが、そんなことは不可能な時代にだ。ブラジルと対戦する全ての相手がペレを警戒し、今であれば考えられないようなラフプレーで平然と止めていた。 というのも、当時はイエローカードやレッドカードというルールはなく、試合中にケガをしても交代できないという、現代では考えられないルールだった。 しかし、このラフプレーでペレにケガが絶えなかったこと、さらにはW杯でのプレーを拒否するような事があり、ラフプレー対策としてイエローカードとレッドカードが導入されることとなったのだ。 また選手交代ができない時代にケガを押してプレーしていたことも多く、試合中の選手交代もペレによって生まれたルールといって良い。現代サッカーの根本となるルールを生み出すあたり、レベルの違う偉人と言えるだろう。 <span class="paragraph-title">◆偉大なるゴール記録も</span> そのペレはキャリアを通じて1375試合に出場し1284ゴールを記録したとされている。オフィシャルの記録では世界で最もゴールを決めているとされている偉大なスコアラーだ。 ただ、このゴールには親善試合も含まれており、クラブや代表チームでの公式戦でのゴールは831試合で767ゴール。十分凄い記録であるが、これはC・ロナウドが2021年3月14日に更新していた。 記録こそ抜かれたが、C・ロナウドも「プロキャリアで770ゴールに到達した。最初の言葉はペレに捧げたい」とコメントするなど、偉大さが失われるわけではない。 時代も進化し、テクノロジーやトレーニング法など、様々な面が大きく変化している中でも、永遠に語り継がれるであろうペレ。「サッカーの王様」は彼しか存在し得ないと言って良いだろう。 <div id="cws_ad"><hr>ブラジル代表で活躍し、「サッカーの王様」として知られているペレが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!<br/><br/>現役時代に魅せた卓越したプレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。<a href="https://ryan.onelink.me/C7cD/79aae7be" target="_blank"><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/900/img/2022/sega20220413.jpg" style="max-width:100%;"></div></a></div> <span class="paragraph-title">【動画】見たことある!?「サッカーの王様」ペレのスーパーゴール!</span> <span data-other-div="movie"></span> <div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJmT2lSczhmNCIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script> <div id="cws_ad"><hr>ブラジル代表で活躍し、「サッカーの王様」として知られているペレが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!<br/><br/>現役時代に魅せた卓越したプレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。<a href="https://ryan.onelink.me/C7cD/79aae7be" target="_blank"><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/900/img/2022/sega20220413.jpg" style="max-width:100%;"></div></a></div> 2022.04.15 10:00 Fri
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岩政流で見えた“常勝軍団”復活の兆し、監督合流で鹿島が新たな“強さ”を掴む/編集部コラム

Jリーグで最もタイトルを獲得しているのは、言わずと知れた鹿島アントラーズ。“常勝軍団”と呼ばれ、勝利を望み、クラブ内外からタイトルを常に求められている。 J1は最多の8度の優勝を誇り、リーグカップ、天皇杯、AFCチャンピオンズリーグを合わせた主要タイトルは「20」を数える。 ギリギリのところから、しかしリーグ優勝は2016年が最後。タイトルだけで見ても、この3年は無冠に終わっている。史上2度目の屈辱を味わっているという状況だが、特に近年は最終的に上位でフィニッシュしながらも、シーズンのスタートで大きく躓くという非常に不甲斐ない事態となっていた。 その鹿島は2022シーズンに向けてチームを改革。これまではテクニカルダイレクター(TD)を務めていたクラブのレジェンドでもあるジーコ氏、そして長年チームの強化を担当してきた鈴木満フットボールダイレクター(FD)が退任した。 これにより史上初となるヨーロッパ出身の監督を迎え、スイス人のレネ・ヴァイラー氏が就任。しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)のオミクロン株が流行した影響で新規入国が認められず、リーグ戦4試合はこちらも今季から就任のクラブOBである岩政大樹コーチが指揮した。 ホームでの川崎フロンターレ戦では不甲斐ない試合を見せてしまったが、その試合を除いては3勝。ここ数年では1番良いスタートを切ることとなった。 <span class="paragraph-title">◆岩政大樹コーチによるチームの変化</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/get20220314_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©J.LEAGUE<hr></div> 今シーズンの鹿島も[4-4-2]をベースに、[4-2-3-1]、[4-3-3]、[3-4-3]と試合中にシステムを変えて対応力を見せていた。 特に岩政コーチの代行指揮ラストマッチとなった11日のヴィッセル神戸戦も、早々に先制すると、後半に追加点という展開。徐々に神戸が盛り返そうとする中、岩政監督は選手の並びを変えて状況を変化させようと手を打つ。 「攻撃の立ち位置を整理して、個人で相手から良いポジションを取るのは難しいので、攻撃の時は可変でやりました」 「3バックでやり、[3-4-3]でやって間でボールを受けれるということをやって、上手く受けられたと思います」 選手交代に合わせてシステムをいじり、神戸に行きそう流れを止めて行った岩政監督。更なる追加点こそ奪えなかったが、選手たちはしっかりと対応してプレーを続けた。 ここが1つ、鹿島の改革が進んだところと言えるだろう。これまでの鹿島では、流動的にシステムを変えてプレーするということは少なかった。戦い方を突き詰めて、それをしっかりと遂行していくということが主となり、自分たちのストロングポイントを出すスタイルだった。 しかし、時代が変わり、鹿島でもストロングポイントを出し続けることは難しい状況に。相手の出方を見て、臨機応変に対応するという闘い方の基礎を、岩政コーチは作った。 岩政コーチは「(ヴァイラー)監督が色々なオプションを持てるように、ここまでの4試合でシステムやオプションを色々使いました」と語り、「色々なシステムを使うことも選手にやってもらったので、ここからのチーム作りはスタッフとしても楽しみです」と、どのようにチームが変化するのか。選択肢をたくさん持たせたとした。 <span class="paragraph-title">◆選手も刺激を受けた指導法</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/get20220314_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©KASHIMA ANTLERS<hr></div> プロを相手に指導するのは初めてだった岩政コーチ。一方で、解説者などとして活躍していたことは、事象を言語化する能力が非常に長けており、状況を見ての的確な指摘も話題となっていた。 その能力は、実際の現場での指導でも生かされていた。鹿島からシント=トロイデンへと移籍し、ベルギーの地でゴールを量産してきた鈴木優磨。今シーズンから復帰し受けた岩政コーチの指導については「自分のサッカー人生において、ここまで具体的に言語化できる人が初めてで、すごく刺激になった」とコメント。充実感のある指導を受けられていたようだ。 また、三竿健斗も「選手として1人1人がピッチに立った時に良い判断ができるように色々と仕込んでもらっています」と、対応力を身につけ、再現性あるプレーを行うために、様々な判断のヒントをもらっていたと明かした。 その三竿は「僕がずっと求めていたものでもありますし、鹿島がそれをできれば強いチームになると思っています」と語り、岩政コーチの指導に感銘を受けていると語った。 また、試合中のシステム変更についても「僕らが優位に立てる選択をしてくれているだけ」と語り、「僕は凄くポジティブに捉えていますし、選手の良さを出せる配置だと思う」と、個々の特徴に合わせた配置で、相手に対して攻守に渡って良いプレーができるという手応えを感じているようだった。 岩政コーチは「彼らが新しいサッカーに前向きに取り組んで、楽しんでくれて、僕の言葉をしっかり消化してくれて、自分たちのサッカーを新しく作ろうと気概をもって取り組んでくれました」と語っており、選手たちが高い志で、前向きにトレーニングに取り組んでいる様子を語ってくれた。どこか停滞感のあったチームが、大きな変革を遂げようとする中では、非常にポジティブな状況であり、そこに結果がついてきているという点でも大きな一歩を踏み出していると感じられる。 <span class="paragraph-title">◆ヴァイラー監督合流でさらに変革が加速</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/get20220314_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©KASHIMA ANTLERS<hr></div> 改革を掲げ、いきなり大成功を収めるということはなかなか起こらない。やはり、時間を要するものであり、上手く改革が進むということがない場合もある。 その中で言えば、結果を見ても、内容を見ても、しっかりと歩みを進めていることはわかるだろう。それは、監督不在の間にチームを預かった岩政コーチが作り出したものが、プラスに働いていると言える。 そしてついに来日したヴァイラー監督。「良い印象も、悪い印象も、良い部分も、悪い部分も色々あった」と、ここまでの試合の感想を語ったが、「そこをいきなり変えることは難しいので、徐々にやっていきたい」と慎重に進めていきたいと明かした。 そのヴァイラー監督が大事にしたいことは「選手の観察」だという。「選手たちを会話をし観察しながら、1番良いものを模索していきたい」と語り、システムにハメていくのではなく、選手個々の能力を把握して、最大限に出せる形を見つけていくというのだ。 この考えは岩政コーチと同じ。様々なパターンを試し、選手に色々な判断の選択肢を与えてきたことは、ヴァイラー監督が率いる上でも、非常に重要な基礎を作ったと言えるだろう。 「選手のパーソナリティを育てるというところで、特徴を見極める能力は長けていると思う」と自身について語ったヴァイラー監督。その中での育成方針は「非常にタフだが、それを楽しくやらなければ、成長や向上は見受けられない」と語り、雰囲気の良さは重要だとした。 若手も多い鹿島においては適任と言える監督ではないだろうか。「性格、スキル、長所・短所を分析しなければいけない。短所にどう取り組むのか。どう意識して成長するかが重要」と、ここを伸ばすためのリサーチは重点的に行い、的確に指導していくことになるだろう。 その中で求められるタイトルについても「優秀な選手を育てられれば強いチームになり、強いチームになれば成果が出る。そこを認識しなければいけない」と語り、まずは選手の成長が第一。「選手のポテンシャルを最大限引き出すことが重要で、それをチームに生かすことが大事」と語る中、どう改革を進めるか。この先の成長と変化が楽しみでならない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.03.14 06:45 Mon
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5試合で23人が先発、横浜FMが持つ強みは“ポジション”に捉われない戦い方と“一貫性”/編集部コラム

Jリーグ開幕から2週間が経過。新型コロナウイルス(COVID-19)のクラスターにより一部チームは活動停止に追い込まれたが、おおよそのJ1クラブが5試合を消化した。 開幕から週2回の試合開催を続けてきた中で、カップ戦を戦ったチームはどのチームも思い切ったターンオーバーを敢行。YBCルヴァンカップでは若手や控え組を積極的に起用し、週末のリーグ戦で主軸選手を起用するという形がおかった。 ここからは基本的に週1回の試合開催となり、一息つけると言ったところだろう。 しかし、4チームだけがリーグ戦を5試合消化という過酷な試練を受けていた。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場する川崎フロンターレ、浦和レッズ、横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸の4チームだ。 神戸は15日に控えるプレーオフでメルボルン・ビクトリーに勝利しなければ本大会への出場は叶わない状況だが、この4チームの成績は対照的だ。 川崎フロンターレと横浜F・マリノスは3勝1分け1敗の勝ち点10。横浜FMが首位に立ち、2位に川崎Fがつける状況。浦和は6日に行われた湘南ベルマーレ戦で初勝利を記録も、団子状態のおかげで7位に位置している。 そして心配なのが神戸。未だ勝利なし、3分け2敗で16位と低迷中だ。セレッソ大阪、湘南ベルマーレが1勝でもすれば最下位という状況。勝ちきれない苦しさを味わっている。 <span class="paragraph-title">◆圧倒的なターンオーバー</span> 当然この4チームは、リーグ戦を5試合戦ったこともあり、同じメンバーで戦うことは不可能。他の14クラブがカップ戦で大幅なターンオーバーを行っているが、それをリーグ戦でやるのだから簡単ではない。 14チームの中で、リーグ戦に限って先発をした選手が最も多かったのは16人の湘南。最も少ないチームは12人の北海道コンサドーレ札幌だった。 一方で、ACL組の4チームでは川崎Fと浦和が18人、神戸に至っては21人が先発をすでに経験している。しかし、最も多いのは横浜FMで23人が先発出場をすでに果たしているのだ。 大事なリーグ戦を戦いながら、圧倒的にターンオーバーを採用している横浜FM。もちろん試合数が違うので比較はできないが、それでも5試合を戦って現在暫定首位。しっかりと結果を出しているのだから驚きだ。 21人の選手が先発した神戸が16位と低迷していることからもわかるように、多くの選手を入れ替えるとチームは機能しにくくなる。選手個々の力の差、そしてシーズン開幕から間もないことで、新加入選手のフィットがまだ足りていないこと、コンディションの問題などもあるだろう。往々にして起こりうる現象だが、横浜FMには関係ないようだ。 復帰組を除き、新加入の選手で先発していないのは、ユースから昇格した西田勇祐のみ。また、FWアンデルソン・ロペスは5試合で2得点、FW西村拓真は3試合で2得点を記録するなど、目に見えた数字も残している状況だ。 <span class="paragraph-title">◆強さの秘密は“一貫性”</span> 3連覇を目指す王者・川崎Fですら、新加入選手ではタイ代表MFチャナティップと流通経済大学から加入したDF佐々木旭が先発しているが、MF瀬古樹、MF松井蓮之、MF永長鷹虎、FW五十嵐太陽は起用されていない状況だ。 チャナティップこそ5試合連続で先発し、徐々にフィットしている感はあるが、まだまだ本調子とは言えない状況だ。 しかし、横浜FMは新加入選手も積極的に起用し、控え選手を起用しても結果を残せている。その理由は、チームの“一貫性”だ。 横浜FMは、2018年にアンジェ・ポステコグルー監督(現セルティック監督)が就任してからチームが変化。アグレッシブな戦い方と、サイドと中央をミックスした攻撃を武器に、前線からのハードワークとハイプレス、そして最終ラインが圧倒的なハイラインを敷き、後方の広大なスペースをGKが埋めるという超攻撃的な戦い方を見せている。 2年目の2019年にはリーグ優勝を果たすと、3年目は9位に沈んだが、2021年は再び上位争いに。しかし、夏にセルティックからのオファーを受けて退任。同じオーストラリア人のケヴィン・マスカット監督が就任すると、最終的には2位でシーズンを終えていた。 ポステコグルー監督が3年半で築いてきたサッカーをさらに推し進めるために招へいされたマスカット監督。より攻撃的になる片鱗を昨シーズンの終盤に見せていた。 そのスタイルは今シーズンも変わっておらず、攻撃的なサッカーを武器にすでに11得点を記録。川崎F戦では大量4得点を記録するなど、その破壊力は健在だ。 こうしてチームのスタイルを継続していることが、1つ好調の要因と言えるだろう。 <span class="paragraph-title">◆ポジションを気にせず、タスクを遂行するスタイル</span> そしてさらに大きな要因は、ポジションに捉われないサッカーを行っていることだ。 前述の戦い方のベースに加え、横浜FMの大きな特徴なのが、流動的なポジション取りだ。サイドバックの選手が中に入ってボランチのようにプレーすること、ボランチの選手がサイドに開いてアタッカーの役割を担ったり、サイドバックがウイングのように攻撃に参加したり、トップ下の選手とトップの選手が入れ替わるなど、試合中に目まぐるしく立ち位置が変化する。 両ウイングがサイドを変えることも少なくなく、気がつけば元に戻っていることも。また、ポリバレントな選手が多数揃っていることも大きいと言える。 例えば、DF岩田智輝は昨シーズンから在籍。大分トリニータでは3バックの右か右ウイングバックでプレーすることが多かったが、横浜FMでは右サイドバックや2センターバック、ボランチと3つのポジションでプレーしている。 より顕著なのはDF小池龍太。右サイドバックが主戦場だったが、左サイドバックも務め、人手が足りないとなればボランチでもプレーする。横浜FMのサッカーには欠かせない選手の1人となっている。 もちろん選手個々の能力の差、戦術理解度の差があることではあるが、横浜FMでは試合中はポジションに捉われてサッカーをしておらず、立ち位置は流動的。局面、局面に合わせてそれぞれの選手が立ち位置を変えるため、チームとしての約束事をそれぞれが守るだけで良い。これが“一貫性”が生み出したものであり、誰が出ても変わりないパフォーマンスを出せる秘訣と言えるだろう。 小池はこの点について「新加入選手やポジション関係なく、マリノスのサッカー、アタッキングフットボールを吸収しようというのが大きな違い」とコメント。また「マリノスのサッカーをプレーすることはポジションが関係ないというか、居なければいけない場所を認知しながら、やることは多いようで少ないというか、理解していれば迷うことはないです」と、チームのスタイルを語った。 つまり、原理原則を理解すれば、誰がどこでプレーしても変わらないということ。簡単なことではもちろんないが、しっかりと選手たちが理解していれば、選手が変わっても大きくパフォーマンスが落ちたりはしないということになる。 これはマスカット監督も「全員がプレーを理解して表現できれば、コントロールして上手く試合を進められるというのが見えてきた」と清水エスパルス戦後にコメント。6人のスタメンを入れ替えた清水戦の戦いでも「西村拓真、吉尾海夏がすごく良いプレッシャーをかけて相手からボールを奪ったりなど良いプレーができた」と、横浜FMのサッカーに日が浅い2人も力を発揮したと評価した。 戦い方を大きく変化させず、それでもブラッシュアップを続けて選手たちが高いパフォーマンスを維持し続けることで、クオリティを格段に上げている横浜FM。マスカット監督は「1人1人が緊張感をもってやらなければいけないと感じたはずだ」とコメント。その理由は「色々な選手がどこででもパフォーマンスを発揮する。 そのため、競争が激しくなると感じているはずだ」と、誰がどこで出てもおかしくない状況が作れるということを示唆した。 ポステコグルー監督が築いたスタイルを、マスカット監督が進化させている横浜FM。川崎Fの3連覇を阻止する急先鋒は変幻自在の“トリコロール”かもしれない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.03.07 06:45 Mon
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