【CLグループB総括】圧巻リバプールが全勝突破! アトレティコが最下位から大逆転
2021.12.11 13:01 Sat
2018-19シーズンの王者であり優勝候補の一角に挙がるリバプール、昨季ベスト8のポルト、スペイン王者のアトレティコ・マドリー、今大会通算7度の優勝経験があるミランと強豪4チームが揃ったグループB。リバプールが頭一つ抜けた強さを見せたことで、今グループステージ最激戦区の前評判通りの展開とはならなかったが、2位争いは最終節までもつれ込む大激戦となり、その三つ巴の争いをアトレティコが制している。
[勝ち点/勝/引/負/得失点]
1.リバプール[18/6/0/0/11]
2.アトレティコ・マドリー[7/2/1/3/-1]
3.ポルト[5/1/2/3/-7]
4.ミラン[4/1/1/4/-3]
◆圧倒的な強さでイングランド勢初の全勝突破~リバプール~
もちろん、グループステージ突破の有力候補と目された2018-19シーズンの欧州王者だったが、ライバル3チームと一線を画す圧倒的な強さで、イングランド勢史上初のグループステージ全勝のオマケ付きで、“死の組”を首位通過した。
昨シーズンの戦績や今夏の補強が最小限に留まったこともあり、グループステージ開幕前にはアトレティコと同等か、次点の評価だったリバプール。だが、蓋を開けてみれば、開幕4連勝で早々に首位通過を決めると、一部でターンオーバーを敢行した残り2試合でもパフォーマンスを落とすことなく余力を残しての全勝突破となった。
ミランとの開幕節では前半に逆転を許し、アトレティコとの第3節でも2点差を追いつかれるなど、6試合中4試合で失点と、決してラクな勝ち上がりではなかったが、7ゴールを挙げた絶好調のエースFWサラーがけん引する破壊力抜群の攻撃陣、常に相手を圧倒した攻守のトランジションはやはり頭一つ抜けていた。また、イーブンや劣勢の展開において、ピッチ上の選手たちがその状況に必要なプレーを的確に遂行する姿を見れば、バイエルンやレアル・マドリー、マンチェスター・シティらと並んで優勝候補筆頭と言っても過言はないはずだ。
◆最下位からの大逆転突破~アトレティコ・マドリー~
近年のグループステージでは最も苦しい戦いを強いられた中、不屈のロヒブランコスが最下位で迎えた最終節で大逆転の2位通過を決めた。
昨季のラ・リーガ制覇の実績に加え、今夏の移籍市場においては主力の慰留、FWグリーズマン、FWクーニャ、MFデ・パウルと手薄なポジションに実力者を迎え入れ、グループ大本命に推されたアトレティコ。ホーム開催の開幕節ポルト戦を0-0のドローでスタートすると、第2節のミラン戦では前半に先行された後、数的優位を得ながらも相手の堅守に苦戦。それでも、グリーズマンの加入後初ゴール、物議を醸すハンドの判定で得たPKをFWスアレスが土壇場で決めて逆転勝利を飾った。
1勝1分けとここまでは悪くなかったが、リバプールとの連戦ではグリーズマン、DFフェリペと2試合連続で退場者を出したことが響いて連敗。さらに、勝利必須の状況で臨んだミランとのホームゲームでは試合終盤の失点によって勝ち点3はおろか、勝ち点1も得ることができず、最下位に転落。自力での逆転突破の可能性が消滅した中で最終節を迎えた。
その運命の最終節では終始ホームのポルトの攻勢に晒されて幾度もピンチを招いたが、守護神オブラクのビッグセーブで凌ぐと、セットプレーからグリーズマンが値千金の先制点を奪取。以降は互いに退場者を出す荒れ模様の展開となった中、試合終盤にカウンターから2点を奪う会心の勝利。さらに、首位リバプールのアシストによってミランも抜き去り、劇的過ぎる2位通過となった。
いかにもシメオネ率いるチームらしいエモーショナルな勝ち上がりを見せたスペイン王者は、これをキッカケに低迷するリーグとCLラウンド16で本来の力を取り戻すことが期待される。
◆実力発揮も悔やまれる最終節に~ポルト~
昨季、ユベントスを破ってベスト8に躍進したポルトガル王者は、今グループステージでも持ち味のソリッドなパフォーマンスを披露したが、無念の3位フィニッシュとなった。
抱える戦力を考えれば、グループ4番手の評価だったが、コンセイソン監督の下、重鎮ペペがオーガナイズする組織的な守備と、市場の人気株であるFWルイス・ディアスの打開力、FWタレミのパワフルなプレーを生かした攻撃は今季も健在。首位リバプールとの2試合では実力の差を見せつけられたが、アトレティコとミランに対しては互角以上と言ってもいい堂々たる戦いぶりをみせ、最終節を2位で迎えた。
その最終節では結果的に引き分けでも突破が決まる優位な状況だったが、再三の決定機逸に加えて、1失点後に相手MFカラスコが退場となった直後にDFヴェンデウがお付き合いの愚行退場を犯して数的優位をフイに。その試合運びの拙さが、決勝トーナメント進出を逃す要因となった。
◆久々の大舞台は厳しい結果に~ミラン~
8シーズンぶりに戻ってきた大舞台での戦いはわずか6試合で終わりを迎えることになった。
昨季のセリエAを2位でフィニッシュし、名門復活を印象付けたミラン。今夏の移籍市場では守護神ドンナルンマ、司令塔チャルハノールをフリーで手放したが、GKメニャン、FWジルー、MFフロレンツィ、MFバカヨコら各ポジションに実力者を補強。リーグ戦での滑り出しも順調だったこともあり、CLの舞台においても躍進が期待されたが、数年前のお隣インテル同様に久々の欧州最高峰の戦いは甘くなかった。
リバプール、アトレティコとのいきなりの強豪連戦ではいずれも1点差で敗れたものの、パフォーマンス自体はまずまずだった。しかし、ポルトとの重要な連戦では相手の老獪な戦いに苦戦し、勝ち点1を得ることが精いっぱいだった。背水の陣で臨んだアトレティコとのリターンマッチでは伏兵メシアスのドラマのようなCL初ゴールで勝ち切り初勝利を手にしたが、最終節では“予想以上”に主力を起用した首位リバプールに敗れて無念の最下位敗退となった。
負傷者やコロナ禍における複数の離脱者というエクスキューズはあったものの、やはり長いブランクを埋めるためには今後も安定してCLに出続けるしかない。
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■グループB順位表■[勝ち点/勝/引/負/得失点]
1.リバプール[18/6/0/0/11]
2.アトレティコ・マドリー[7/2/1/3/-1]
3.ポルト[5/1/2/3/-7]
4.ミラン[4/1/1/4/-3]
Getty Images
もちろん、グループステージ突破の有力候補と目された2018-19シーズンの欧州王者だったが、ライバル3チームと一線を画す圧倒的な強さで、イングランド勢史上初のグループステージ全勝のオマケ付きで、“死の組”を首位通過した。
昨シーズンの戦績や今夏の補強が最小限に留まったこともあり、グループステージ開幕前にはアトレティコと同等か、次点の評価だったリバプール。だが、蓋を開けてみれば、開幕4連勝で早々に首位通過を決めると、一部でターンオーバーを敢行した残り2試合でもパフォーマンスを落とすことなく余力を残しての全勝突破となった。
ミランとの開幕節では前半に逆転を許し、アトレティコとの第3節でも2点差を追いつかれるなど、6試合中4試合で失点と、決してラクな勝ち上がりではなかったが、7ゴールを挙げた絶好調のエースFWサラーがけん引する破壊力抜群の攻撃陣、常に相手を圧倒した攻守のトランジションはやはり頭一つ抜けていた。また、イーブンや劣勢の展開において、ピッチ上の選手たちがその状況に必要なプレーを的確に遂行する姿を見れば、バイエルンやレアル・マドリー、マンチェスター・シティらと並んで優勝候補筆頭と言っても過言はないはずだ。
なお、今グループステージ唯一の日本人選手となるFW南野拓実は4試合に出場。消化試合となったポルト、ミラン戦ではいずれもスタメン出場を飾っており、ゴールこそ奪えなかったものの上々のアピールを見せている。
◆最下位からの大逆転突破~アトレティコ・マドリー~
Getty Images
近年のグループステージでは最も苦しい戦いを強いられた中、不屈のロヒブランコスが最下位で迎えた最終節で大逆転の2位通過を決めた。
昨季のラ・リーガ制覇の実績に加え、今夏の移籍市場においては主力の慰留、FWグリーズマン、FWクーニャ、MFデ・パウルと手薄なポジションに実力者を迎え入れ、グループ大本命に推されたアトレティコ。ホーム開催の開幕節ポルト戦を0-0のドローでスタートすると、第2節のミラン戦では前半に先行された後、数的優位を得ながらも相手の堅守に苦戦。それでも、グリーズマンの加入後初ゴール、物議を醸すハンドの判定で得たPKをFWスアレスが土壇場で決めて逆転勝利を飾った。
1勝1分けとここまでは悪くなかったが、リバプールとの連戦ではグリーズマン、DFフェリペと2試合連続で退場者を出したことが響いて連敗。さらに、勝利必須の状況で臨んだミランとのホームゲームでは試合終盤の失点によって勝ち点3はおろか、勝ち点1も得ることができず、最下位に転落。自力での逆転突破の可能性が消滅した中で最終節を迎えた。
その運命の最終節では終始ホームのポルトの攻勢に晒されて幾度もピンチを招いたが、守護神オブラクのビッグセーブで凌ぐと、セットプレーからグリーズマンが値千金の先制点を奪取。以降は互いに退場者を出す荒れ模様の展開となった中、試合終盤にカウンターから2点を奪う会心の勝利。さらに、首位リバプールのアシストによってミランも抜き去り、劇的過ぎる2位通過となった。
いかにもシメオネ率いるチームらしいエモーショナルな勝ち上がりを見せたスペイン王者は、これをキッカケに低迷するリーグとCLラウンド16で本来の力を取り戻すことが期待される。
◆実力発揮も悔やまれる最終節に~ポルト~
Getty Images
昨季、ユベントスを破ってベスト8に躍進したポルトガル王者は、今グループステージでも持ち味のソリッドなパフォーマンスを披露したが、無念の3位フィニッシュとなった。
抱える戦力を考えれば、グループ4番手の評価だったが、コンセイソン監督の下、重鎮ペペがオーガナイズする組織的な守備と、市場の人気株であるFWルイス・ディアスの打開力、FWタレミのパワフルなプレーを生かした攻撃は今季も健在。首位リバプールとの2試合では実力の差を見せつけられたが、アトレティコとミランに対しては互角以上と言ってもいい堂々たる戦いぶりをみせ、最終節を2位で迎えた。
その最終節では結果的に引き分けでも突破が決まる優位な状況だったが、再三の決定機逸に加えて、1失点後に相手MFカラスコが退場となった直後にDFヴェンデウがお付き合いの愚行退場を犯して数的優位をフイに。その試合運びの拙さが、決勝トーナメント進出を逃す要因となった。
◆久々の大舞台は厳しい結果に~ミラン~
Getty Images
8シーズンぶりに戻ってきた大舞台での戦いはわずか6試合で終わりを迎えることになった。
昨季のセリエAを2位でフィニッシュし、名門復活を印象付けたミラン。今夏の移籍市場では守護神ドンナルンマ、司令塔チャルハノールをフリーで手放したが、GKメニャン、FWジルー、MFフロレンツィ、MFバカヨコら各ポジションに実力者を補強。リーグ戦での滑り出しも順調だったこともあり、CLの舞台においても躍進が期待されたが、数年前のお隣インテル同様に久々の欧州最高峰の戦いは甘くなかった。
リバプール、アトレティコとのいきなりの強豪連戦ではいずれも1点差で敗れたものの、パフォーマンス自体はまずまずだった。しかし、ポルトとの重要な連戦では相手の老獪な戦いに苦戦し、勝ち点1を得ることが精いっぱいだった。背水の陣で臨んだアトレティコとのリターンマッチでは伏兵メシアスのドラマのようなCL初ゴールで勝ち切り初勝利を手にしたが、最終節では“予想以上”に主力を起用した首位リバプールに敗れて無念の最下位敗退となった。
負傷者やコロナ禍における複数の離脱者というエクスキューズはあったものの、やはり長いブランクを埋めるためには今後も安定してCLに出続けるしかない。
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