劇的勝利のスイス、そのカギは雪辱に燃えた主将ジャカの存在
2021.06.29 22:40 Tue
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こんにちは。安永聡太郎です。
ユーロはイタリアの劇的な優勝で終わりました。個人的には大会が始まる前まであまり注目していませんでしたが、開幕戦で良い意味での驚きを戦術的に与えてくれたチームの優勝は非常に嬉しく思いました。
[1-4-3-3]をベースに、攻撃時は[1-3-2-4-1]に可変する。可変の理由は、インシーニェを左ハーフスペースに配置してグループで崩す左サイドと、スペースを与えて個人での単独突破を目指す右サイドの色合いをはっきりさせる意味があったと思います。
手詰まる時はウイングの利き足を変えてボックスへの進入手段を変更し、それでも効かない時はインシーニェのゼロトップを選択して中盤に厚みをもたらし進入回数を増やす。で、守ると決めたらカテナチオ!
準々決勝からベルギー、スペイン、イングランドを倒しての優勝は、イタリアファンでなくても納得の優勝ではないでしょうか!
さて、そのユーロも終わり色々と問題も解決されないまま迎える印象のある、待ちに待ったオリンピックが開幕します!選手の皆さんには、サッカーだけに限らず心から声援を送りたいですね。
と言っても、やはり私の注目は当たり前ながらサッカーです。なぜなら、メダルを期待せずにはいられないメンバーが揃っているからです。
基本フォーメーションは守備時[1-4-4-2]、攻撃時[1-2-4-3-1]に、相手を観ながらシステムチェンジする。誰がどこでプレーするかで戦い方も変えられる、守ると決めたら歴代最強クラスのカテナチオ!
初戦は22日(木)に南アフリカ。アフリカを勝ち抜いた身体能力+チーム戦術を兼ね備えた厄介な相手だと思いますが、経験が豊富なオーバーエイジ枠の吉田、酒井、遠藤を中心に来年のワールドカップでの活躍も期待される久保、堂安、前田、三笘と、挙げるとキリがないワクワクメンバーならきっと大丈夫でしょう!
因みに個人的なイチオシは、メンバー枠が増えて追加登録組の林選手です!
なぜなら、CBの背中を取る動きが秀逸ですし諦めずに何度もチャレンジできる。そして何よりゴールを奪うことを目的としていてその前の全ては手段にすぎないように見えるから!プラス大会を勝ち上がるのに必要な、ラッキーボーイ的なサクセスストーリーを感じさせる選手だと思いますからね!皆さんもそれぞれにイチオシがいると思いますが、蓋を開けるまでどうなるか分からないのがスポーツの面白さです!
どうせ開催されるなら、5年後、10年後にあの時やって良かったと思える中心にサッカーがあると、サッカーを愛する人間としては最高ですよね!
さて、皆さんもそれぞれに試合を観て楽しんであーだ、こーだと言いますよね。解説者の言い分に納得したり不満を覚えたりしながらだと思います!
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<hr>【文・安永聡太郎】<br/><div id="cws_ad">山口県出身。清水商業高校(現・静岡市立清水桜が丘高校)で全国高校サッカー選手権大会など6度の日本一を経験。1995年のFIFAワールドユース(現U-20ワールドカップ)に出場し、1996年のアトランタ五輪のバックアップメンバーにも選ばれた。高校卒業後は横浜マリノス(現・横浜F・マリノス)に入団し、1年目から主力として優勝に貢献。その後はスペインのレリダ、清水エスパルス、横浜FM、ラシン・デ・フェロール(スペイン)、柏レイソルでプレーし2005年に現役を引退。2016年シーズン途中からJ3のSC相模原の監督を務め、現在は大学生の指導の他、サッカー解説者として活躍している。</div>
2021.07.20 22:30 Tue
前回は試合後にストレートに感じたことを書かせてもらいましたが、第2回はフランスvsスイスの試合を戦術的にポイントを絞って振り返ってみようと思います。
最近のクラブレベルにおいてCL、ELを勝ち抜く、ヨーロッパ主要リーグで好成績を収める為には当たり前の標準装備になっているのが、①インテンシティ、②攻守両面でのトランジション&カウンター(ショート、ミドル)、③ポジショナルプレー&カウンタープレス、④創造者or破壊者です。
④については?と思われるかもしれませんがこの創造者or破壊者とはビッククラブが大金を叩いても手元に置きたい選手です。いわば、リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウド、アーリング・ハーランド、キリアン・ムバッペなどが代表例です。
再現性を持ってアタッキングエリアへ進入していき④にボールを渡すまでが戦術。そこからゴールまでは、チームが保有する④の能力でアプローチがクロス、スルーパス、ドリブル&ワンツーなどに分かれます。
フランスが今大会で強く見せた項目は私の個人的な感想ですが④のみです。一方、スイスが強く見せている項目は②、③と予選グループ3節以降は④も対戦相手に脅威を与えられるレベルにチームとして引き上げられました。当然、世界水準で見れば両国の④の立ち位置は違いますがその国にとっての創造者or破壊者だと理解して下さい。
前置きが長くなりましたがここからが本題です。ポイントを絞るのはかなり難しいのですが、今回は③と④にフォーカスして2つの得点シーンを振り返りたいと思います。
<span class="paragraph-title">◆必然だったスイスの2得点</span>
<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/euro20210701_1_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div>
先ずはスイスの先制点の場面。フリーキックのボールサイドに立つのはボランチのレモ・フロイラー。グラニト・ジャカが素早く寄りショートパスをフランスのFW、MFのライン間で受けます。この時、ジャカは2度前線の味方の立ち位置を確認しています。
1タッチで前を向き、プレスに来るポール・ポグバの鼻先でDFクレマン・ラングレを背負うブリール・エンボロに差し込みます。この時、スイスはエンボロ、ハリス・セフェロビッチ、ジェルダン・シャキリは3メートル程の間隔で2-1のトライアングルを形成しています。
エンボロは1タッチでDFラファエル・ヴァランを背負うセフェロビッチへ。セフェロビッチに入った瞬間にシャキリは追い越していき、ヴァランとエンゴロ・カンテを引き付けます。
ヴァランが離れたセフェロビッチは振り向き右足でシュート。しかしシュートはラングレがブロック。こぼれ球は左WBのシュテファン・ツバーの足元へ。右WBのバンジャマン・パヴァールが対応しますがツバーの背後をDFリカルド・ロドリゲスが走りクロスのコースを生み出します。
ストレートボールを空間に置いたクロスは、ラングレの背後から自分のタイミングで身体をぶつけたセフェロビッチの勝ち。このシーンを③で振り返ると、チームとして攻撃の形である前から[2-1-4-3]のポジショナルな立ち位置が取れればボールロストを恐れず差し込むという徹底が見えます。
差し込む前提があるからこそ全ポジションで予測〜準備が始まります。それをポジショニングで表しているのがリカルド・ロドリゲスのジャカが開けたスペースを埋めるカウンタープレスに向けたバランスの修正です。
結局このシーンではシュートの跳ね返りがツバーの足元へ渡り、良いサポートのタイミングを生み出しました。これを偶然と見過ごしてしまうのは簡単ですが、他から観たら偶然でもそのチームにとっては戦術的必然でありその再現性を上げるのが戦術です。そして仕上げはスイスにとっての④セフェロビッチのヘディング。見事に③④が組み合わさったゴールシーンだと思います。因みに2点目、3点目は共に②ボール奪取からパス2本目がクロス、スルーパスでありゴールを生み出しています。
では、フランスはどうでしょうか?
<span class="paragraph-title">◆スーパーゴールは2つあったが…</span>
<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/euro20210701_2_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div>
フランスの1点目はスイスのゴールキックを高い位置から制限をかけミスを誘います。パスミスをヘディングで繋いだのは無尽蔵のスタミナを誇るカンテ。そこから、アントワーヌ・グリーズマン→ムバッペ→カリム・ベンゼマのフランスが誇る世界トップレベル④のパス交換でゴール!カンテのヘディング以外は全て2タッチでした。
特筆すべきは、ベンゼマの左足のみで生み出した理解不能レベルなスキル!全ての言葉が事足りないですね!(まだ観てない人は是非!)
しかしですね、このゴールに再現性を求める事が出来るでしょうか?これを偶然ではなく必然と呼ぶ為には、前線からの守備時の制限、奪ったボールのファーストターゲットを決める。があって初めて戦術的必然に成り得ると考えるので、このゴールは④による1度切りのスーパーゴールです。
因みにフランスの2点目はポグバの③カウンタープレスによるボール回収からキングスレー・コマン→グリーズマン→ムバッペ→グリーズマン→ベンゼマでゴール! 3点目はポグバがボール回収→アドリアン・ラビオ→コマン→ベンゼマがシュート、こぼれ球をポグバが体勢を崩しながらも拾いコントロールショットでスーパーゴール!でした。
なぜこんなに圧倒的な能力を保持するフランスが勝者で終われないのか?
それはこの18分間は①②③④全てにおいて世界最高クラスのパフォーマンスで見せ続けて、いや魅せ続けてくれましが、それ以外の時間においては勝利に値するソレではなかったからだと思います。せめて①②だけでもチームとして確立されていればと思えてなりませんが、それでは勝ち続けさせてもらえないのがユーロと言う大会のレベルの高さなんだと改めて思い知らされます!
さあ、いよいよベスト4を争う4試合が始まります! 勝ち上がってきているチームはどこも①②③④を高い水準で発揮し戦術的必然を見せています。
スペインもセルヒオ・ブスケッツが出場して以降調子を上げてきています。
スペインvsスイス! [1-4-3-3]vs[1-3-4-1-2]
ワクワクしっぱなしの90分を期待しましょう!
<hr>【文・安永聡太郎】<br/><div id="cws_ad">山口県出身。清水商業高校(現・静岡市立清水桜が丘高校)で全国高校サッカー選手権大会など6度の日本一を経験。1995年のFIFAワールドユース(現U-20ワールドカップ)に出場し、1996年のアトランタ五輪のバックアップメンバーにも選ばれた。高校卒業後は横浜マリノス(現・横浜F・マリノス)に入団し、1年目から主力として優勝に貢献。その後はスペインのレリダ、清水エスパルス、横浜FM、ラシン・デ・フェロール(スペイン)、柏レイソルでプレーし2005年に現役を引退。2016年シーズン途中からJ3のSC相模原の監督を務め、現在は大学生の指導の他、サッカー解説者として活躍している。</div>
<span class="paragraph-title">【動画】敗退したフランス、ベンゼマが個の力で決めたスーパーゴール!</span>
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<blockquote class="twitter-tweet"><p lang="et" dir="ltr">Karim Benzema. Pure magic. On repeat<a href="https://twitter.com/HisenseSports?ref_src=twsrc%5Etfw">@HisenseSports</a> | <a href="https://twitter.com/hashtag/EUROSkills?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#EUROSkills</a> | <a href="https://twitter.com/hashtag/EURO2020?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#EURO2020</a> <a href="https://t.co/Hc7GdMujiN">pic.twitter.com/Hc7GdMujiN</a></p>— UEFA EURO 2020 (@EURO2020) <a href="https://twitter.com/EURO2020/status/1409646346303311873?ref_src=twsrc%5Etfw">June 28, 2021</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
2021.07.01 21:30 Thu