ある条件をクリアすれば…「アーセナルはプレミア優勝の大本命」野村明弘MCが今季のプレミア覇権争いを予想《Foot!×超WS》
2016.11.22 19:00 Tue
▽国内唯一のデイリーサッカーニュースであるJ SPORTSの人気番組『Foot!』。超ワールドサッカーでは、今週の月曜から金曜にわたってFoot!×超WSコラボ企画を実施。2日目となる今回は、『Foot! TUESDAY』のMCを務める野村明弘氏のインタビューをお届けする。
──本命◎は現在4位のアーセナル(勝ち点24)です。本命に推す理由を教えてください
「今まで課題とされていた中盤の守備的な選手、センターバック、ここが充実しました。今までのサッカーに足りなかったピース、ムスタフィがセンターバックに入り、ジャカが中盤に入り、さらにエルネニーもコクランもいる。攻撃的な選手でもカソルラ、ラムジーがセンターでプレーできます。その点を考えると、選手層で見れば、今まで足りなかったピースが揃ったと感じます。それに加え、負傷者がどうしても出てくると言われてきたチームですが、筋肉系のケガはここ数年、減ってきています。ケガ人がいままでよりも少なくなった一方で選手層は厚くなっていますから、いけるのではないかと思います」
「あとは攻撃時のオプションですね。今まではジルーがいなければ厳しかったところが、負傷で離脱したことでサンチェスを最前線に置くゼロトップが使えるようになりました。そこから、途中からジルーを飛び道具的に使うことも可能になった。ヴェンゲルはプランBとは言わないと話していますが、僕が思うにはBパターン、いろんな戦い方ができるようになり、そのあたりを総合的に見てアーセナルを本命としました」
──アーセナルは2003-04シーズンから優勝が遠ざかっています
「あのチームは本当に強かった。それこそポジションごとにすごい(選手がいた)。バランスも良かったし、中盤もセンターバックも、少し前までアーセナルが弱いと言われていたところに、当時は、ちゃんと(選手が)いましたよね。特に中盤はヴィエラ、ジウベウト・シウバ、エドゥという守備ができて前の推進力もあるという選手が揃っていたのが大きかった。それ以降、ヴェンゲルは当時のような選手よりも、うまい選手を好むようになりましたよね。小さくて速くてうまくてというような。そういう選手を揃えていた中でもようやく、上手さと強さを併せ持った選手を獲るようになりました」
──対抗○はマウリシオ・ポチェッティーノ監督が率いる5位のトッテナム(勝ち点21)です。理由を教えてください
「監督力がありますね。スパーズは若手主体ですが、監督が考えているサッカーが徹底されていて、バリエーションもあります。選手が若いからこそかもしれませんが、しっかりとそれが吸収できています。昨シーズンやっていたこと、優勝争いに脱落して最後にアーセナルに抜かれたという悔しい思いをした経験もプラスされたと思います」
「おそらく、チームのコンセプトとして、全員がひとつにまとまっているという意味では、1番と言っていいかもしれません。若かったチームに経験値が加わったので、今シーズンはチーム力、まとまりとしては1番ですかね」
「心配なのはケインがいないとき、あるいは彼がいても彼自身がゴールを奪えなかったときですね。今シーズンはあまり取ってなくて、昨シーズンも結局、スロースタートでシーズン後半に取りましたけど。今シーズンも彼が取れると優勝というところが見えてくるんですが…。彼がゴールを奪えないとき、代わりの選手がどうなのかと言われれば、少し得点力を欠く。ソン・フンミンを1トップにしてうまくゴールを奪っていた試合もありますが、サンチェスみたいに毎試合(活躍)できるというまでにはいかないと思うので、その点を考慮すると、ケインが昨シーズンのようにゴールを奪えるかどうかというのは、スパーズのカギですね」
──3番手▲は現在2位のチェルシー(勝ち点25)。3バックに変更後、リーグ戦5連勝。16得点無失点です
「シーズン当初はコンテへの期待があったものの、優勝よりかはチャンピオンズリーグに入る3位か4位(狙いになるかと)思ったんです。しかし、3バックがハマりましたね。3バックで前線の3人(アザール、ペドロ、ジエゴ・コスタ)も非常に良い。ディフェンスとウイングバックも含めてみんなのバランスも良く、コンテの下でうまくハマっています。良い状態が続きそうですね。プレミアの相手チームは、あんまり(コンテがやっている)サッカーに慣れていない。だから、相当勝ち点は積み重ねていけるのかなという印象です」
──懸念される点があるとすればどのあたりでしょうか
「最終ラインですね。3バックはみんな、イングランドの選手は経験していないですよね。アスピリクエタは頭が良いから問題ないですが、少し高さが足りない。しかし、最も安定しているのは彼なので外すことはできない。あとはダビド・ルイスとケイヒルですが、ケイヒルはミスも結構多い。ケイヒルはテリーがいれば安心してプレーできるタイプだと思います。そういう(統率力のある)選手が誰かいればケイヒルは問題ないと思いますが、ダビド・ルイスはそこまで安定感がない。彼はキャラクターも良いし選手としても面白いですが、やはり気持ちが前のめりになる性格でもあるので、危うさはあります。そう考えると、アスピリクエタ以外の2人がどうか」
「きっと今冬に誰か選手を獲ると思います。仮にボヌッチが獲れたり、コンテが望む選手が獲得できれば、アーセナルに次ぐぐらいの優勝も狙える位置までいけると思います。ズマが復帰してくると思うので、彼とアスピリクエタと新戦力の3バックになるのか。ダビド・ルイスの起用法など今後難しい状況になるかもしれませんが、3バックの構成をどうするかですね」
「あとは鉄板となっている両ウイングバックのモーゼスとマルコス・アロンソ。この2人が怪我をすると厳しくなります。ウイングバックを含めての3+2のところを、補強を含めてどうするのかですね」
「守備的MFの位置では、カンテ1人のときも相当大変でしたが、マティッチとのコンビになってカンテの負担も軽減されました。その意味では彼らと前の3人は安定している。誰か1人がケガしたとしても、何とかやり繰りできるかなと思います」
──出場機会が限られているセスクについての考えをお聞かせください
「彼に関しては難しいですね。セスクがもっと若くて走れるときだったらとは思いますが、今の状況だと使いづらいと思う監督は多いかもしれません。彼が好きなファンは多いと思いますけどね。今のコンテであったり、その前のモウリーニョもそうでしたが、彼らがやるサッカーの中でセスクを起用するのは厳しいかなと思っていると見受けられます。現状は何となく見えていました」
「彼としては移籍した方が、もう少し自身が楽に起用されるようになるかもしれないですね。ナスリがセビージャに行ってうまくいったように、彼もチームを探したほうが、もっと自分を生かすことができるし、チェルシーとしても彼を放出して移籍金が得られるのなら、それがWIN-WINなのかなという印象です。チェルシーに残っても、今のサッカー、3バックで続けるということを考えれば使い道がないかもしれません」
──現在3位のマンチェスター・シティ(勝ち点24)は、抑え△にとどまりました。少し評価を落とした理由を教えてください
「もう少し時間があれば間違いなく大本命だと思います。しかし、ペップの性格からして完璧を求めるので勝ちにいかないと思います。今シーズンにタイトルを獲るために同じことをやり続けることはしないのではないでしょうか。『これじゃダメ。もっと強くするためには』と考えて途中でチームをイジると思います」
「今シーズンも最初は良い形で入ったのに、途中で変えたりしている。それがペップなんですよね。それをやっちゃう監督なんですよ。その点を考慮すると、来シーズンは大本命で優勝だと思います、今シーズンはそうやってイジるところで、(成績を)落とすのではないでしょうか。そう考えると今シーズンは、優勝はないかなと思います」
「不安なのは最終ライン。コンパニは怪我との戦いもあるし、ストーンズに関しても足下の技術はありますが、3バックに慣れていない。さらにボールを回すサッカーを経験してきているわけではないので、少し戸惑いが見られます」
「バックラインの選手たちはまだ、ペップのサッカーに慣れきっていない。もう少し時間がかかることに加え、同じ3バックなら3バック、4バックなら4バックである程度、同じメンバーで何試合か続けて慣らせてあげれば、もっと安定して結果が出ると思います。だけど、ペップはさらに上を目指すと思うので、それはしないでしょう。それがある意味、今シーズンは落とし穴。ペップの性格によって優勝争いから少し後退するという評価です」
──現在首位のリバプール(勝ち点26)はいかがでしょうか。抑え△評価です
「やっているサッカーは完全にクロップの下で統一されている。全員がやろうとしていることもしっかりしているし、見ていてワクワクするサッカーですね。今のトレンドに近いスタイルだと思います。うまくフィルミーノの使い方がハマって、前からの守備も効いています。全体的な統一感と、少し時間がかかると思われたエムレ・カンがここにきて良くなってきているのも好材料。優勝争いに加わってもおかしくない」
「ただ、リバプールの選手たちは経験値、安定感に欠けます。ディフェンス陣のミスや中盤の選手起用法に関して、どのように固定していくか。そのあたりのところのやり繰りによって、どこかで躓くかなとも思います。そのあたりが評価を少し落とした理由ですね」
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▽第11節を終えて上位4チームが2ポイント差にひしめく今シーズンのプレミアリーグの覇権争いを野村氏が予想。サッカーをこよなく愛するチェルシー好きのMCである野村氏は、「シュコドラン・ムスタフィが離脱しなければ」との条件付きで、アーセナルを優勝候補の本命に挙げた。(※インタビューは11月8日に実施。成績は第11節終了時点)──本命◎は現在4位のアーセナル(勝ち点24)です。本命に推す理由を教えてください
「今まで課題とされていた中盤の守備的な選手、センターバック、ここが充実しました。今までのサッカーに足りなかったピース、ムスタフィがセンターバックに入り、ジャカが中盤に入り、さらにエルネニーもコクランもいる。攻撃的な選手でもカソルラ、ラムジーがセンターでプレーできます。その点を考えると、選手層で見れば、今まで足りなかったピースが揃ったと感じます。それに加え、負傷者がどうしても出てくると言われてきたチームですが、筋肉系のケガはここ数年、減ってきています。ケガ人がいままでよりも少なくなった一方で選手層は厚くなっていますから、いけるのではないかと思います」
「あとは攻撃時のオプションですね。今まではジルーがいなければ厳しかったところが、負傷で離脱したことでサンチェスを最前線に置くゼロトップが使えるようになりました。そこから、途中からジルーを飛び道具的に使うことも可能になった。ヴェンゲルはプランBとは言わないと話していますが、僕が思うにはBパターン、いろんな戦い方ができるようになり、そのあたりを総合的に見てアーセナルを本命としました」
──アーセナルは2003-04シーズンから優勝が遠ざかっています
「あのチームは本当に強かった。それこそポジションごとにすごい(選手がいた)。バランスも良かったし、中盤もセンターバックも、少し前までアーセナルが弱いと言われていたところに、当時は、ちゃんと(選手が)いましたよね。特に中盤はヴィエラ、ジウベウト・シウバ、エドゥという守備ができて前の推進力もあるという選手が揃っていたのが大きかった。それ以降、ヴェンゲルは当時のような選手よりも、うまい選手を好むようになりましたよね。小さくて速くてうまくてというような。そういう選手を揃えていた中でもようやく、上手さと強さを併せ持った選手を獲るようになりました」
「1番大きいのは、ムスタフィですね。ムスタフィがケガしたら優勝はないです(笑)。(離脱中の)メルテザッカーが復帰したとしても、彼はムスタフィとは違います。ムスタフィがキーマンですね。他のところはいなくても何とかなります。コクランが負傷してもジャカで対応できます。カソルラがいないのは痛いですが、ラムジーも中央でうまくできればということも考えれば、ムスタフィさえケガしなければ。彼が順調なら大本命です」
──対抗○はマウリシオ・ポチェッティーノ監督が率いる5位のトッテナム(勝ち点21)です。理由を教えてください
「監督力がありますね。スパーズは若手主体ですが、監督が考えているサッカーが徹底されていて、バリエーションもあります。選手が若いからこそかもしれませんが、しっかりとそれが吸収できています。昨シーズンやっていたこと、優勝争いに脱落して最後にアーセナルに抜かれたという悔しい思いをした経験もプラスされたと思います」
「おそらく、チームのコンセプトとして、全員がひとつにまとまっているという意味では、1番と言っていいかもしれません。若かったチームに経験値が加わったので、今シーズンはチーム力、まとまりとしては1番ですかね」
「心配なのはケインがいないとき、あるいは彼がいても彼自身がゴールを奪えなかったときですね。今シーズンはあまり取ってなくて、昨シーズンも結局、スロースタートでシーズン後半に取りましたけど。今シーズンも彼が取れると優勝というところが見えてくるんですが…。彼がゴールを奪えないとき、代わりの選手がどうなのかと言われれば、少し得点力を欠く。ソン・フンミンを1トップにしてうまくゴールを奪っていた試合もありますが、サンチェスみたいに毎試合(活躍)できるというまでにはいかないと思うので、その点を考慮すると、ケインが昨シーズンのようにゴールを奪えるかどうかというのは、スパーズのカギですね」
──3番手▲は現在2位のチェルシー(勝ち点25)。3バックに変更後、リーグ戦5連勝。16得点無失点です
「シーズン当初はコンテへの期待があったものの、優勝よりかはチャンピオンズリーグに入る3位か4位(狙いになるかと)思ったんです。しかし、3バックがハマりましたね。3バックで前線の3人(アザール、ペドロ、ジエゴ・コスタ)も非常に良い。ディフェンスとウイングバックも含めてみんなのバランスも良く、コンテの下でうまくハマっています。良い状態が続きそうですね。プレミアの相手チームは、あんまり(コンテがやっている)サッカーに慣れていない。だから、相当勝ち点は積み重ねていけるのかなという印象です」
──懸念される点があるとすればどのあたりでしょうか
「最終ラインですね。3バックはみんな、イングランドの選手は経験していないですよね。アスピリクエタは頭が良いから問題ないですが、少し高さが足りない。しかし、最も安定しているのは彼なので外すことはできない。あとはダビド・ルイスとケイヒルですが、ケイヒルはミスも結構多い。ケイヒルはテリーがいれば安心してプレーできるタイプだと思います。そういう(統率力のある)選手が誰かいればケイヒルは問題ないと思いますが、ダビド・ルイスはそこまで安定感がない。彼はキャラクターも良いし選手としても面白いですが、やはり気持ちが前のめりになる性格でもあるので、危うさはあります。そう考えると、アスピリクエタ以外の2人がどうか」
「きっと今冬に誰か選手を獲ると思います。仮にボヌッチが獲れたり、コンテが望む選手が獲得できれば、アーセナルに次ぐぐらいの優勝も狙える位置までいけると思います。ズマが復帰してくると思うので、彼とアスピリクエタと新戦力の3バックになるのか。ダビド・ルイスの起用法など今後難しい状況になるかもしれませんが、3バックの構成をどうするかですね」
「あとは鉄板となっている両ウイングバックのモーゼスとマルコス・アロンソ。この2人が怪我をすると厳しくなります。ウイングバックを含めての3+2のところを、補強を含めてどうするのかですね」
「守備的MFの位置では、カンテ1人のときも相当大変でしたが、マティッチとのコンビになってカンテの負担も軽減されました。その意味では彼らと前の3人は安定している。誰か1人がケガしたとしても、何とかやり繰りできるかなと思います」
──出場機会が限られているセスクについての考えをお聞かせください
「彼に関しては難しいですね。セスクがもっと若くて走れるときだったらとは思いますが、今の状況だと使いづらいと思う監督は多いかもしれません。彼が好きなファンは多いと思いますけどね。今のコンテであったり、その前のモウリーニョもそうでしたが、彼らがやるサッカーの中でセスクを起用するのは厳しいかなと思っていると見受けられます。現状は何となく見えていました」
「彼としては移籍した方が、もう少し自身が楽に起用されるようになるかもしれないですね。ナスリがセビージャに行ってうまくいったように、彼もチームを探したほうが、もっと自分を生かすことができるし、チェルシーとしても彼を放出して移籍金が得られるのなら、それがWIN-WINなのかなという印象です。チェルシーに残っても、今のサッカー、3バックで続けるということを考えれば使い道がないかもしれません」
──現在3位のマンチェスター・シティ(勝ち点24)は、抑え△にとどまりました。少し評価を落とした理由を教えてください
「もう少し時間があれば間違いなく大本命だと思います。しかし、ペップの性格からして完璧を求めるので勝ちにいかないと思います。今シーズンにタイトルを獲るために同じことをやり続けることはしないのではないでしょうか。『これじゃダメ。もっと強くするためには』と考えて途中でチームをイジると思います」
「今シーズンも最初は良い形で入ったのに、途中で変えたりしている。それがペップなんですよね。それをやっちゃう監督なんですよ。その点を考慮すると、来シーズンは大本命で優勝だと思います、今シーズンはそうやってイジるところで、(成績を)落とすのではないでしょうか。そう考えると今シーズンは、優勝はないかなと思います」
「不安なのは最終ライン。コンパニは怪我との戦いもあるし、ストーンズに関しても足下の技術はありますが、3バックに慣れていない。さらにボールを回すサッカーを経験してきているわけではないので、少し戸惑いが見られます」
「バックラインの選手たちはまだ、ペップのサッカーに慣れきっていない。もう少し時間がかかることに加え、同じ3バックなら3バック、4バックなら4バックである程度、同じメンバーで何試合か続けて慣らせてあげれば、もっと安定して結果が出ると思います。だけど、ペップはさらに上を目指すと思うので、それはしないでしょう。それがある意味、今シーズンは落とし穴。ペップの性格によって優勝争いから少し後退するという評価です」
──現在首位のリバプール(勝ち点26)はいかがでしょうか。抑え△評価です
「やっているサッカーは完全にクロップの下で統一されている。全員がやろうとしていることもしっかりしているし、見ていてワクワクするサッカーですね。今のトレンドに近いスタイルだと思います。うまくフィルミーノの使い方がハマって、前からの守備も効いています。全体的な統一感と、少し時間がかかると思われたエムレ・カンがここにきて良くなってきているのも好材料。優勝争いに加わってもおかしくない」
「ただ、リバプールの選手たちは経験値、安定感に欠けます。ディフェンス陣のミスや中盤の選手起用法に関して、どのように固定していくか。そのあたりのところのやり繰りによって、どこかで躓くかなとも思います。そのあたりが評価を少し落とした理由ですね」
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