EL史上初のロンドン・ダービー決勝を制したのはチェルシー! アーセナルのCL出場の夢打ち砕き、2012-13シーズン以来2度目の優勝

2019.05.30 06:06 Thu
Getty Images
ヨーロッパリーグ(EL)決勝、チェルシーvsアーセナルが29日にアゼルバイジャンのバクー・オリンピック・スタジアムで行われ、4-1で勝利したチェルシーが2012-13シーズン以来、2度目のEL優勝を果たした。
PR
共に2度目の決勝進出を果たしたロンドンに本拠地を置く両雄による、UEFA主催試合の決勝戦で初となるロンドン・ダービー。
フランクフルトとの準決勝をPK戦末に制し、優勝を果たした2012-13シーズン以来の決勝進出を果たしたチェルシー。今季のプレミアリーグを最終的に3位で終え、来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得したチームは、今回の決勝をシンプルにトロフィーのためだけに戦える状況を整えてきた。自身初タイトル獲得を目指すサッリ監督は、リュディガー、ハドソン=オドイ、ロフタス=チークらをケガで欠く中、クリステンセン、コバチッチ、ペドロを代役に指名。その一方で、ヒザのケガで五分五分と見られたカンテは無事スタメンを飾った。

一方、バレンシアとの準決勝を連勝で飾ったアーセナルは、ガラタサライにPK戦の末に敗れた1999-2000シーズンの前身UEFAカップ以来となるファイナル進出を決めた。チェルシーと異なり、今季リーグ戦をCL出場圏外の5位で終えたチームは来季のCL出場権獲得には今回のEL制覇が絶対条件に。セビージャ時代にEL3連覇を成し遂げたELマスターのエメリ監督は、トップ下にエジル、2トップにラカゼット、オーバメヤンとバレンシアとの第2戦と同じメンバーを起用。また、これが現役最後の試合となる古巣対戦のGKチェフを引き続き起用した。なお、ムヒタリアンは母国アルメニアとアゼルバイジャンの政治的な問題によって遠征メンバー入りを断念することになった。



バチバチとやり合うダービーらしさよりも一発勝負の決勝特有の硬さが見られる入りとなる。互いに相手の様子を見ながらセーフティファーストのプレーを続ける中、開始9分にアーセナルがファーストシュートを放つ。右サイド深くに侵攻したナイルズのクロスをGKケパがパンチングではじき出すと、ボックス右でこれに反応したオーバメヤンが右足でダイレクトシュートを放つが、枠の左に外れた。

ファーストチャンスをモノにできなかったものの、このプレーをキッカケにリズムを掴んだアーセナルは、全体的に硬さや重さが目立つチェルシーのミスをうまく生かしつつ2トップに背後を狙わせるシンプルな攻めで幾度か惜しい場面を作り出す。27分にはジャカが利き足とは逆の右足のミドルシュートでゴールに迫るが、これはクロスバーの上部を掠めた。
一方、立ち上がりからイージーミス、連係ミスが目立ってリズムを掴めないチェルシーだったが、30分過ぎにようやく最初の決定機。34分、アザールとのパス交換でボックス左に抜け出したエメルソン・パルミエリが左足を振り抜くが、このシュートはコースが甘くGKチェフの正面を突く。さらに、押し込み始めた状況の中で39分には相手陣内中央でアザール、ジョルジーニョとダイレクトパスが繋がり、最後はジルーが左足のシュートを枠の右に飛ばすが、これはチェフのビッグセーブに阻まれた。

立ち上がりはアーセナル、30分過ぎからチェルシーと主導権が入れ替わりながらもゴールレスで折り返した試合は、後半に入って大きな動きを見せる。49分、チェルシーのスローインの流れからルーズボールを奪ったコバチッチが左サイドのエメルソンに繋ぐと、ここから精度の高い左足の低いクロスがゴール前に供給される。これをニアに飛び込んだジルーがDFコシエルニーの寸前でダイビングヘッドで合わすと、ゴール左隅に決まった。

ジルーの今大会最多11点目となる古巣へのキツい恩返し弾で先手を奪ったチェルシーはここから畳みかける攻めを見せる。60分、相手陣内でのカウンタープレスでナイルズからボールを奪ってショートカウンターを発動。左サイドでボールを受けたアザールが丁寧にグラウンダーで折り返すと、これを中央に走り込んだペドロが左足のダイレクトシュートでゴール右隅に流し込んだ。

さらに65分にはコバチッチのドリブル突破の流れからボックス左でペドロのパスを受けたジルーがナイルズに後方から押し倒されてPKを獲得。これをキッカーのアザールが冷静に決めて試合を決定付ける3点目とした。

後半立ち上がりの無残な連続失点で一気に厳しい状況に立たされたアーセナルは3失点目直後にモンレアル、トレイラを下げてグエンドウジ、イウォビを投入。後ろの枚数を削って[4-2-3-1]の攻撃的な布陣でゴールを目指す。すると69分、イウォビの仕掛けで得たFKの流れからボックス手前でこぼれ球に反応したイウォビが見事な右足のミドルシュートをゴール左隅に突き刺し、反撃の狼煙を上げる。

しかし、アーセナルの気勢をわずか3分後に削いだのはブルーズの絶対的エースだった。72分、エメルソンが相手陣内でオーバメヤンからボールを奪いショートカウンターを発動。これを引き取ったアザールがボックス左のジルーに預けてゴール前に走り込むと、ジルーからの絶妙な浮き球の折り返しを左足で流し込み、すぐさま点差を3点に戻した。

再びミスから流れを失ったアーセナルは低調なエジルを諦めジョー・ウィロックを最後の交代カードとして投入。対するチェルシーは70分過ぎにペドロに代わって投入したウィリアンに続き、コバチッチ、アザールを試合終盤にかけてベンチに下げてバークリー、ザッパコスタの投入で逃げ切り態勢に入る。

その後、オープンな展開の中で互いにゴールチャンスが生まれたものの、試合はこのまま4-1のスコアでタイムアップ。EL史上初となったロンドン・ダービーに完勝したチェルシーが2012-13シーズン以来、2度目のEL優勝で長かったシーズンを最高の形で締めくくった。一方、ELマスターのエメリ監督の神通力も効かなかったアーセナルは痛恨の敗戦で来季CL出場権を逃すことになった。

PR
関連ニュース

直近7試合7得点も…ニューカッスルはイサク売却待ったなし?

ニューカッスルはスウェーデン代表FWアレクサンダー・イサク(24)を売らざるを得ないのか。 昨季キャリア初のプレミアリーグで10得点をマークしたイサク。今季はここまで公式戦35試合で21得点…リーグの直近7試合は7得点だ。 まさにニューカッスルのエースなわけだが、財務とリーグ規則「収益性と持続可能性の規則(PSR)」の帳尻合わせに悩む上層部は、高額な移籍金を見込める選手の売却を迫られている状況。 イギリス『フットボール・インサイダー』によると、チームの根幹たる存在、ブラジル代表MFブルーノ・ギマランイス(26)が売られる兆候は今のところなし。だがイサクはそうではないという。 ギマランイスはマンチェスター・シティを筆頭に数々のビッグクラブがうなる真の実力者。 ただ、ニューカッスルが“重要すぎる”この26歳に関し、リリース条項1億ポンド(約194億4000万円)の満額支払いでしか売却に同意しないというのが現地イギリスでの大方の見立てだ。 対してイサク。チーム内での重要度合いならギマランイスに引けを取らないが、他クラブからしてみれば「ギマランイスより値段が安い」選手であり、ニューカッスル上層部としては「ギマランイスよりかは売り易い」選手に。 もちろん現段階では可能性の話にすぎないが、ニューカッスルが水面下で前述のPSRに悩まされ、“誰か”を売らざるを得ない状況に陥っているのは確か。イサクにはアーセナルなどからの関心が報じられている。 2024.04.26 12:05 Fri

「厳しい言葉が必要」大敗も選手への言及避けるポチェッティーノ監督に疑問の声「メッセージが届いていない」

大敗したチェルシーのマウリシオ・ポチェッティーノ監督に対しては、そのマネジメントに疑問の声もあるようだ。イギリス『デイリー・メール』が伝えている。 ここまで思うようなシーズンを送れず、先週末のFAカップも敗退したことで無冠が確定したチェルシー。23日に行われたプレミアリーグ第29節の延期分では、優勝争い中のアーセナルにプライドを示したいところだったが、後半に守備が崩壊し0-5の大敗を喫した。 試合後にはポチェッティーノ監督も「チームは諦めてしまっていた」と落胆の姿勢を示しつつ、「選手たちを責めることはできないし、そのつもりもない」と選手を擁護する姿勢は崩さず。若いチームは成長段階であることを強調していた。 しかし、これについては異議を唱える声もあるようだ。『TNTスポーツ』に出演したアーセナルOBの元イングランド代表DFマーティン・キーオン氏は、こうした指揮官の姿勢がチームの弱体化につながっているとの見方を示している。 「チェルシーの強化策はバランスがおかしく、チームに対して10億ポンドもの大金を費やした。だからこそ、今の彼らの姿は信じられないものだ。これは厳しい言葉が必要であり、それは監督からもたらされるべきだろう」 「監督は選手たちに口を出さないようにしているが、それによって自分自身が追い詰められている。彼が気を使っているのはわかるが、両ハーフとも試合の立ち上がりが悪かったのを見ると、選手たちにメッセージが届いていないのだろう」 2024.04.24 16:40 Wed

「間違いなく努力している」屈辱的大敗のチェルシー…ファンからの批判にギャラガーは「次につなげなければ…」

チェルシーのイングランド代表MFコナー・ギャラガーは、屈辱的な大敗にも自分たちは成長中のチームであることを強調した。イギリス『デイリー・メール』が伝えている。 チェルシーは23日に行われたプレミアリーグ第29節の延期分でアーセナルと対戦。先週末にはFAカップ準決勝で敗退したこともあり、ロンドンのライバルクラブ相手に意地を見せたいところだったが、優勝争い中のチーム相手に歯が立たず、終わってみれば0-5の大敗となった。 試合中には、チェルシーファンの子供が「ユニフォームは欲しくない。ファンのため戦いたいと思ってほしい。UTC(アップ・ザ・チェルシー)」と書かれたプラカードを掲げる姿も話題に。チームに対するファンからの不満の高まりを象徴するような場面となった。 この試合に先発フル出場したギャラガーは試合後、こうした批判に対してチームは努力していると主張。経験の少ない若いチームであることを訴え、成長に向けて全力で取り組んでいると語った。 「(ファンの掲げたプラカードについて問われ)そうだね…僕たちは間違いなく努力していると思う。これが選手全員にとって、どれだけの意味があるかは理解しているよ。ただ、何度も言われてきたことではあるけど、このチームは非常に若いチームなんだ。プレミアリーグでのチームとしての経験はあまりない」 「僕たちはここまで、多くの浮き沈みを経験してきたと思う。チームはまだ改善の最中なんだ。次のレベルに到達するため、みんなで協力しているよ」 「ただ、今日はそれとは程遠い日の一つになってしまった。僕たちは自分を奮い立たせ、パフォーマンスと改善点、そしてすべてのミスを見つめ直し、次につなげなければならない」 2024.04.24 15:45 Wed

「酷いチャレンジ」「なぜまだピッチに?」 冨安健洋への悪質なチャージ、足首踏みつけもお咎めなしのチェルシーFWにレジェンドたちも疑問「信じられない」「レッドカードだ」

アーセナルのファンは日本代表DF冨安健洋へのファウルに怒り心頭だ。 23日、プレミアリーグ第29節延期分のアーセナルvsチェルシーが行われ、優勝を争うアーセナルが5-0で圧勝。チェルシーとの“ビッグロンドン・ダービー”を制していた。 冨安はこの試合に先発出場。先週末のウォルバーハンプトン戦を欠場しただけに心配されたが、大一番で攻守にわたって活躍を見せた。 しかし、試合の序盤に心配なシーンが。8分、冨安がデクラン・ライスからのパスを受けると、ややトラップが大きくなりルーズボールに。これを冨安が拾いに行った中、チェルシーのFWニコラス・ジャクソンも奪いにくる。 ボールにいち早く触った冨安に対し、ジャクソンは思い切り足首を踏みつける形に。スロー映像では、完全に足首を踏み、冨安は捻っているようにも見える。 しかし、このシーンに対してVARチェックが入ったにも関わらず、ジャクソンには何もなし。レッドカードはおろか、イエローカードすら出ないこととなった。 危険な行為は、故意かどうかに関係なく厳しく取り締られている中で、ただのファウルで終わることに。これにはイギリス『talkSPORT』の解説を務めた元イングランド代表DFダニー・ミルズ氏は「あれはレッドカードだ。ぜひVARを見てみたい」とコメントしていた。 また、『TNTスポーツ』で解説した元イングランド代表DFリオ・ファーディナンド氏も「あのチャレンジがVARさえ考慮されないことは信じられない」とコメント。アーセナルOBの元イングランド代表DFマーティン・キーオン氏も「驚くべきこと」と同意していた。 当然この判定にはアーセナルのファンが怒り浸透。X(旧ツイッター)では「ジャクソンの酷いタックル。辞めるべきだ」、「ニコラス・ジャクソンはレッドカードだろう。冨安健洋への酷いチャレンジだ」、「ニコラス・ジャクソンがどうしてまだピッチに立っているのかわからない」、「見れば見るほどレッドカード。衝撃的」というコメントが集まっている。 冨安は72分で途中交代。その後問題なくプレーしていたため、大きなケガにはなっていないと思われるが、最悪の結末が待っていた可能性もあっただけに、今後判定について何かが起こるのか注目が集まる。 <span class="paragraph-title">【動画】一歩間違えれば重傷の危機…冨安健洋が足首を踏みつけられる</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="u4Nzm2_34WM";var video_start = 65;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.04.24 14:52 Wed

「相変わらず堅実」「ベストの左SB」先発復帰の冨安健洋、攻守の好パフォーマンスは現地でも高評価「この試合の先発に相応しい」

アーセナルの日本代表DF冨安健洋は高い評価を受けている。 23日、プレミアリーグ第29節の延期分でアーセナルはチェルシーをホームに迎えた。 “ビッグロンドン・ダービー”となった一戦。冨安は前節のウォルバーハンプトン戦を欠場。2試合ぶりの出場となった。 チャンピオンズリーグ(CL)のバイエルン戦では先発出場していた冨安。再びビッグマッチで先発起用されると、攻守にわたって存在感を示し、守備ではノニ・マドゥエケとの一対一を封じると、攻撃では何度となくチャンスメイクを見せ、惜しいシュートも放っていた。 チームは5-0で圧勝した中、富安も高評価。イギリス『フットボール・ロンドン』は8点(10点満点)をつけた。 「ウルブス戦を欠場した後、この試合の先発に相応しかった。とても良く見えた」 「ボールの扱いが印象的で、1vs1の守備は相変わらず堅実だった」 イギリス『ロンドン・イブニング・スタンダード』は7点(10点満点)をつけている。 「打撲から回復した後、サイドに戻ってきた。堅実なパフォーマンスを見せており、現時点のアーセナルでベストの左サイドバックに見える」 また、イギリス『デイリー・メール』は7点(10点満点)をつけた。 「9分にニコラス・ジャクソンと衝突。相手にはレッドカードが与えられるはずだった。それでもピッチに留まり続けられて良かった」 冨安は9分ごろ、ニコラス・ジャクソンに足首を踏まれて捻る場面もあったが、72分までプレーを続けている。 <span class="paragraph-title">【動画】攻守に躍動!冨安健洋のチェルシー戦パフォーマンス集</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="u4Nzm2_34WM";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.04.24 10:40 Wed
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly