★南米のイメージを覆した大会〜コパ・アメリカ2011総括〜
▽現地時間24日に行われた決勝でウルグアイがパラグアイを下し、史上最多となる15度目の南米制覇を成し遂げて、24日間に渡るコパ・アメリカ2011は幕を閉じた。今大会では、地元アルゼンチンや大会2連覇中のブラジルが、初戦から苦戦を強いられた末に準々決勝で敗退。一方で、CONMEBOL(南米サッカー連盟)所属の10カ国の中、唯一W杯出場歴がないベネズエラが初のベスト4進出を果たした他、主力を負傷で欠いたペルーが3位に入るなど、波乱に富んだ大会だった。

◆「守備」と「組織」
▽南米サッカーといえば、ストライカーやドリブラー、テクニシャンといった「攻撃」的な選手たちが、「個」の力で状況を打開するサッカーというイメージが強いかもしれない。しかし、今大会では「組織」的な「守備」を基盤として戦ったチームがいずれも好成績を残した。ベスト4に名を連ねた各チーム(ウルグアイ、パラグアイ、ペルー、ベネズエラ)は、いずれもチーム全体がまとまりのある守備を見せ、その上でカウンターやセットプレーからシンプルな攻撃を仕掛けることで、上位進出を果たした。

▽一方で、組織力が乏しいチームは、個の力に頼る戦い方に限界があることを露呈した。南アフリカW杯後から新チーム作りに着手したばかりのアルゼンチンやブラジルは、大会までに組織を構築することができず。特に、彼らの攻撃陣は連動性を欠き、選手個人の独力による仕掛けは安定したパフォーマンスを見せる組織的な守備陣を前に跳ね返され続けた。「攻撃」と「個」から、「守備」と「組織」へ。南米サッカーの変化を感じさせる大会だったと言える。

◆ウルグアイが優勝した理由
▽優勝したウルグアイが他の国々と異なっていた部分は、チームとして組織的な守備から縦に速い攻撃を仕掛ける中で、スアレスやフォルラン、A・ペレイラといった前線のタレントがしっかりと決定的な仕事をこなしていたことが挙げられる。前述の通り、個の力に秀でたタレントに頼るサッカーでは勝てない。しかし、組織的な守備を基盤とするサッカーだけでも優勝はできないのだ。組織的な守備を基盤としながら、個の力に秀でた攻撃的なタレントを有していたからこそ、ウルグアイは優勝を果たすことができたのだ。

▽ただ、今大会は全体を通して決してレベルの高い大会だったとは言えなかった。決勝でこそウルグアイが見ごたえのあるサッカーを披露してくれたものの、その他の試合を見てみると、ミスの多さやプレースピードの遅さは目に付いた。攻撃時の「崩し」の面における工夫に関しても、バルディビアが途中起用されてピッチに立った時のチリが何度か目を見張るパスワークを披露してくれたが、それ以外では意外性に乏しい仕掛けがほとんどだった。

◆日本が出場していたら…
▽もし、日本が当初の予定通りグループAに所属していたら、前線の選手たちの流動的な動きとパスワークを駆使した彼らのスピーディーなサッカーは、今大会の中でも極めて異質な存在になったことは間違いない。好成績を残した可能性も高いだけに、仕方のないことではあるが、何とも残念な印象を抱かずにはいられない。

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