東京Vのサイド牽引する翁長聖、次節柏戦へ「立ち位置の優位性の握り合い」、「スピーディーな攻撃の中でクオリティの高い選手が揃っている」

2024.08.30 15:15 Fri
加入1年目で主力担う翁長聖
©超ワールドサッカー
加入1年目で主力担う翁長聖
東京ヴェルディのサイドを牽引する29歳MFが、ここにきてさらに存在感を高めている。
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昨シーズンの明治安田J2リーグでFC町田ゼルビアの優勝に貢献したMF翁長聖は、今シーズンから同じ昇格組である東京Vへ完全移籍。その新天地ではここまでリーグ戦27試合に出場し、2ゴール1アシストを記録。左右のサイドバックにサイドハーフ、現在は左ウイングバックを主戦場にサイドの職人としてチームを支える。ホームの名古屋グランパス戦での芸術的なループシュート、アウェイのサガン鳥栖戦での体を張ったスーパークリアという印象的なプレーに加え、無尽蔵のスタミナを活かした攻守両面のハードワーク、若手の多いチームにおいてポジティブな声掛けなど、ここまでの貢献度の高さはチームトップクラスだ。
前節、鹿島アントラーズを2-1で破り、4試合ぶりの得点と共に勝利を挙げた一戦においても、相手の攻撃のキーマンの一人である右サイドバックのDF濃野公人を周囲との密な連携で封じ込め、積極的に高い位置を取ってマッチアップ相手の背後を突いて攻撃に厚みを加えた。

翁長は「相手の配置を考えれば、ああいった戦い方になるのは当然そうなるとわかっていましたけど、特に濃野選手だからというわけではなくて、いろいろとコミュニケーションを取れれば、(谷口)栄斗や(齋藤)功佑、(森田)晃樹と山見と周囲の選手とコミュニケーションが取れれば、大丈夫かなと思っていました」と、対鹿島や対濃野という部分は意識しなかったものの、チームとしてしっかりと整理した戦い方ができたと前節を振り返った。
ちなみに、その鹿島戦で殊勲の2ゴールを挙げた山見は今シーズンから本格的にウエイトトレーニングを始めたことを明かしていたが、そのきっかけを作ったのは翁長だった。

プレシーズンの時期に江尻篤彦強化部長が、非常にストイックな振る舞いを獲得の一因と語っていた29歳MFは、キャンプや普段のトレーニングにおいても、そのストイックさを窺わせる姿を見せてきたが、翁長自身は「自分1人ではやめてしまう」とその周囲からの見方を謙遜と共に否定。そして、山見を誘った意外な経緯を明かしてくれた。

「(筋トレは)1人ではできないので。個人的に1人でずっと筋トレやっているのはなんかちょっと気持ち悪い感じなので…。ジョギングとかは別にいいんですけど、1人でトレーニングルームで汗かきながらというのは、なんか気持ち悪い感じじゃないですか(笑)」

「あとは自分1人だと『もういいや』という感じでやめてしまうので、それはどこのチームでもそうですけど、大体チームメイトで筋トレをやらなそうなやつを捕まえて一緒にやっています。町田のときも一緒にやっていましたし、大宮でもやっていたと思います」

「こいつ筋トレ嫌いそうだなというやつを誘って一緒にやるのは好きですね。自分も似たような感じで、誰かいなかったらやらないと思うので…」

徹底された日々のコンディション調整に関しても「こだわりがないだけで、自分で思ったことをやっている」と語る翁長だが、東京V加入後から能城裕哉コンディショニングコーチのアドバイスによって試合後のウエイトトレーニングを新たに取り入れたという。その効果については「わからない」としながらも、シーズン序盤に比べて対人戦において力強さを増した印象もあり、日々のひたむきな努力は着実にパフォーマンスに結びついているはずだ。

チームは5月に行われた第16節のヴィッセル神戸戦後、[4-4-2]から[3-4-2-1]に変更した中、FW木村勇大、FW染野唯月の両エースの得点ペースの鈍化と共に、主にミラーゲームの試合ではウイングバックの攻撃参加を効果的に使えない状況が続いたが、この鹿島戦と前々節のFC東京戦では4バックの相手にミスマッチを活かせただけでなく、チームとして攻撃の形が整理された印象だ。

翁長は「ミラーゲームが今まで多かった中で、サイドバックとサイドハーフの[4-4-2]の相手のときに、そこは相手も同じですけど自分たちの立ち位置で両方とも優位性の取れる配置だと思うので、そこの鍵の握り合いかなとはいつも思っています」と、現状の戦いにおいて4バックの相手に対してミスマッチの優位を活かせていると感じている。

一方、城福浩監督は同じ質問に対して、ウイングバックに入る各選手の立ち位置の改善に加え、中盤の底でボールの循環の基準を担う“へそ”の位置をうまく使えている相乗効果があると説明。今後の戦いに向け、チームの課題であるクロスからのチャンスメイク、得点をより増やしていけると考えている。

「基本的にこのシステムで言えば、ウイングバックが幅を取る役目になると思いますが、その幅を取る高さが大事で、高ければ高いほどいいかというと、高く取るとそのぶんボールを受けづらいタイミングのようなシチュエーションもあるので、高いポジションを意識しながらもいつ引いてくるかと、そこで起点になるかというところのポジションを取るタイミングというのはどの選手も理解してきたのかなと思います」

「もうひとつは、幅を取るということは、相手がそれに対応してきたら中が空く。我々の言うところの“へそ”がうまく使えていれば、さらにウイングバックが活きる。ウイングバックが活きているということは、へそをうまく使えているということにもなる。そうすると相手はどちらを抑えればいいのかがわからなくなる。この状況をもっと長い時間作り出せると、さらにウイングバックがより高い位置でプレーできるようになるのかなと。ウイングバックからのクロスを逆サイドのウイングバックが押し込むような展開というのは、この前もそれに近い展開があったと思いますけど、もっともっと作り出していけるのかなと思います」

鹿島戦の勝利で降格圏との勝ち点差を「10」に広げ、10位に浮上した東京Vは31日に三協フロンテア柏スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第29節の柏レイソル戦で約3カ月ぶりのリーグ連勝を狙う。

その一戦に向けて翁長は「スピーディーな攻撃の中で個人のクオリティの高い選手が揃っていて、そこは注意しないといけない」と、FW細谷真大、MFマテウス・サヴィオが牽引する相手の攻撃を警戒しつつ、目の前の試合での勝利を誓った。

1-1のドローに終わった前回対戦では後半アディショナルタイムの途中出場となった翁長だが、今回の一戦ではマッチアップが予想されるMF山田雄士、MF島村拓弥らを抑え込みながら、DF関根大輝、DF古賀太陽らが不在となる相手ディフェンスラインを揺さぶる攻撃面の仕事を期待したいところだ。

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「ノーカードはあり得ない」東京Vvs鹿島のハンドの判定にJFA審判委が見解、PKは妥当も「基本的にはレッドカード」

11日、日本サッカー協会(JFA)は第6回のレフェリーブリーフィングを実施した。 中断期間などを挟み、久々の開催となった今回のブリーフィング。第23節〜第29節の試合から、いくつかのジャッジをピックアップして判定に関しての説明がなされた。 その中の1つの事象は、明治安田J1リーグ第28節の東京ヴェルディvs鹿島アントラーズのワンシーン。86分に起きた事象だ。 右サイドからの名古新太郎のクロスに東京VのGKマテウスが飛び出してパンチング。しかし、これがミートしないと、流れたボールを拾った藤井智也がボックス内で左足シュートを放った。 GKマテウスが飛び出していたことでガラ空きだったゴール。東京Vは綱島悠斗と千田海人が戻っていた中、綱島が体を投げ出してセーブ。しかし、その際に手に当たっていたとしてVARチェックが行われ、オンフィールド・レビュー(OFR)に。主審はPKの判定を与えた。 このPKは鈴木優磨がしっかりと決めて1点差に詰め寄るも、東京Vが2-1で勝利。しかし、この判定は大きな間違いだったという。 ブリーフィングに出席した佐藤隆治JFAレフェリーマネジャーはこの件について解説。PKは妥当な判断だったが、カードが出ないということはあり得ないとした。 「ノーカードはあり得ない判断。GKがいなく、DFが阻止している」と事象について語り、OFRが時間を要したことについては「シュートが枠に入っているかどうかで時間がかかっていた」と、主審がハンドかどうかではなく、カードの対象かどうかで判定を悩んでいたとした。 ハンドの競技規則は夏に変更。競技規則の改定により、意図的なハンドと不自然な動きによるハンドの懲戒罰が変わってくる。 佐藤氏は「シーズン当初であればレッドカードで悩むことはない」とし、「競技規則の改正で、意図的なハンドと不自然な動きのハンドは懲戒罰が違う。主審は逸れると判断したのでノーカードとなった」と、シュートをハンドで止めたものの、枠に飛んでいないものだったためにカードを出さないことにしたと解説した。 ただ「ギリギリ入っていようが入っていまいが、ゴール方向にシュートを打っていて、結果的にそれをハンドで止めたので、シュートを止めたと判断すべき」と、今回の事象について説明。「基本的にはレッドカードで考えて良いと思う」と、カードが出ないという判断は間違っていたとした。 佐藤氏は、競技規則の改定の際に、元ウルグアイ代表FWルイス・スアレスの2010年の南アフリカ・ワールドカップ(W杯)での出来事を例に出しており、ワザと手でセーブすることと、手に当たったハンドは違うとしていた。佐藤氏は「三重罰を避けるという判断の中で、何をしても良いわけではない」と語り、これまではPK、退場、出場停止という三重罰にならないようなジャッジがされていたが、だからといって手で止めて良いというわけではないとした。 <span class="paragraph-title">【動画】シュートを腕で止めハンドになるもカードなし…</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="VyHpiJ066hg";var video_start = 422;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.09.12 20:58 Thu
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「また新しいところに踏み出せた」葛藤、重圧乗り越えて2桁ゴール到達の東京V・木村勇大…「全部が繋がっている」結果残す中での“気付き”

キャリア初のリーグ戦2桁ゴールを達成した緑の若武者が「悩んで悩み抜いた末の一発」となったリーグ11戦ぶりのゴールを改めて振り返った。 京都サンガF.C.からの期限付き移籍で東京ヴェルディに加入したFW木村勇大。アカデミー時代を過ごした古巣では開幕直後の明治安田J1リーグ第2節の浦和レッズ戦で初ゴールを記録。上々の滑り出しを見せると、以降もコンスタントにゴールを重ねつつ得点以外の部分でも著しい成長を遂げ、6月15日に行われた第18節サンフレッチェ広島戦では9ゴール目を挙げた。 しかし、以降は[4-4-2]から[3-4-2-1]へのシステム変更に伴い、相棒であるFW染野唯月と共にゴールペースが著しく鈍化。10試合ゴールから遠ざかり、その間のチームが勝利した際も試合後や日々のトレーニングで浮かない表情を浮かべる場面も少なくなかった。 それでも、8月31日に行われた第29節の柏レイソル戦ではボックス手前から相手DFを振り切って反転しながら右に持ち出すと、強烈な右足のミドルシュートを突き刺し、実にリーグ11戦ぶりとなるゴールでひとつの目標だったJ1での2桁ゴールに到達した。 試合後のミックスゾーンでは「どんな形でもシュートを打つというところをすごく意識して挑んだ」と周囲のフリーの選手を把握した上で、あえて強引に振り抜いたとゴールシーンを振り返っていた木村。 ゴールから遠ざかっていた期間は、布陣変更の影響やチームとして最前線の選手に効果的なチャンスメイクをできなかったという部分もあり、シュート自体の少なさや木村自身もより慎重なプレー選択が目に付いた。 その点について木村は「1点を取りたいがために丁寧になりすぎていた」とシステム変更や、より守備面で多くのタスクを要求される中での葛藤を含め個人としてもモヤモヤした感情を持っていたという。 「シーズンの最初は点が取れていて、途中からフォーメーションが変わったことで、より相手のプレスを受けてなかなか良い形でゴール前でボールを受けることができなくなり、いろいろ思うところもありました」 「点を取れない時間が続きチャンスがなかなか来ないからこそ、余計に確実に点を決めたいみたいな確実なチャンスが欲しいという、その1点を取りたいがために丁寧になりすぎるというか、感情の部分もそうですけど、焦っているから余計に『チャンス1本来い』みたいな感じになっていた。ゴール前で積極的にシュートを打つのもそうですし、ああいう打っていく姿勢というのが、自分の中で慎重になっていて減っていました」 そんななか、通常のトレーニングに加えここまであまり積極的に取り組んでいなかったシュート練習で森下仁志コーチからも多くの助言も受け取りながら、木村自身は「そうじゃないな」とここ最近の自身のストライカーとしての姿勢を反省。その気持ちの切り替えが柏戦のゴールに繋がった。 「レイソル戦のあの場面も右で(宮原)和也くんがフリーだったので、ちょっと前の自分であれば、1回はたいてゴール前でもう1回フリーで入って折り返しをもらって決めたいみたいな選択をしていたかもしれないです。実際、それで折り返しが返ってこないとか、どこかで相手にはじかれてシュートを打てなくてというのが、ここ最近続いていてという中で、改めて『そうじゃないな』というのは思いました」 「そう思って打ったシュートが入ったので、そこが自分の中で『やっぱりそうだよな』と思いましたし、チームの勝利もそうですけど自分の中でもそういう思いが乗ったシュートが入ったのが、余計に分岐点ではないですけど、気持ちの部分で大きく、また新しいところに踏み出せたのかなと思います」 「そういう意味でもあのゴールは10点目というのもそうですし、自分が苦しんでいろいろ悩んで悩み抜いた末の一発だったので、すごく大きかったです」 木村の身体能力や普段のシュート練習を見ていれば、弾丸シュートと形容すべき柏戦のようなゴールがもっとあってもおかしくないが、東京V加入後でペナルティエリア外から決めたゴールはこれが初めてだった。 関西学院大学時代に大学サッカー界屈指のストライカーとしてそういったゴールも多く決めてきたが、プロ入りから東京V加入までの苦しい期間を通じてストライカーとしての「いいサイクル」を失っていた部分もあるという。 「大学のときは今と比べれば、相手のプレスも緩いですし、大学では得点が止まる時間というのはあまりなかった。基本コンスタントに試合に出たらほぼ点を決めていたので、余計にああいうシュートもノッているからこそ打っていくし、またそれが決まって気持ちがさらにノッていくみたいな、いいサイクルでやれていました。それこそ去年とかも点が入らなくて、そういうちょっと消極的ではないですけど、より明確なチャンス一発に賭けるという感じになっていました」 それでも、「今年の最初はいいサイクルでしたが、そこからちょっと入らないサイクルに入ってしまっていろいろ思うことがあって、去年の自分であれば、そのまま沈んでいったかなと思いますけど、そこで決められたというのは、自分の成長という意味でもすごく大きかった。中断前に決められたというのが、心の中でもすごくゆとりを生んでくれました」と、難しいサイクルを乗り越えたプロ3年目での成長を実感する。 2連勝でインターナショナルマッチウィークの中断期間に入ったチームは、「すごくいい雰囲気で練習できている」と木村が語るように、6日に行われたトレーニングセッションでは城福浩監督、和田一郎コーチ、森下コーチから激しい指導の声が飛びながら高強度の内容となったが、良い緊張感と共に充実感を窺わせるものとなった。 攻守の切り替えを意識したハイインテンシティのトレーニングではかなり追い込まれた様子も見せていた木村は、「とにかく頑張る。しっかりと(寄せに)行かないと指導が入るので…」と冗談を交えながらも「このチームの掲げているハードワークという部分が一番出る練習だと思うので大事。普通に上手くなる、強くなる練習だと思っています」と、自らの成長を実感する日々の練習に真摯に取り組む。 指揮官が常々自身に対して要求する、攻守における課題の習慣化については今年結果を残している中で、ある“気付き”もあったと語る。 「やっぱり全部慣れだと思います。(コーチ陣からの)指摘はありがたいですし、言われてそれを意識してやっていたら、それが自然と習慣になると思うので、ヴェルディに来て結構経ちますけど、それによって去年の自分と変われたと思いますし、今も変わっている最中。習慣になるように少しずつ落とし込むというのは、すごく大事かなと改めて思っています」 「正直なところ守備はあまり好きではないので、攻撃に力を温存したいですしゴール前にいたい。それは去年までそう思っていましたけど、守備を頑張ることによって、攻撃でチャンスが転がってきたりとか、守備から出て行くことで、逆にマークにつかれなくなってゴール前にフリーで入ったり、もちろん頑張ることで味方の信頼も得られてパスも来る」 「ゴールを取るための過程というのは全部が繋がっているんだなというのは、改めて今年結果を残すことでわかってきたというか、無駄なことではないんだというのをすごく今感じてきているので、そういう感覚は大事にしたいです」 節目のゴールにもなった久々の柏戦のゴールの反響について木村は「もちろんファン・サポーターの方をすごく待たせてしまっていたので、そういう意味でもすごく周りの人には『良かった』というような言葉をかけてもらえました。やっぱり点を決めたら連絡もそうですけど反響が出るので、やっぱりストライカーは単純だなと改めて思いました(笑)」とにやりとした表情で返答。 それと同時に「決めないときはもちろん言われますし、決めたら一発で全部ひっくり返るので、すごく責任もかかって重圧もあるしんどいポジション。それでも、ああいう1本で全てひっくり返るので、改めてすごくやりがいもありますし、自分が一番好きなポジションだなと思ったので、ゴールを決めてまたそう思えるように頑張ろうと思います」と、ストライカーとしてのやりがいを改めて言葉にした。 <span class="paragraph-title">【動画】木村勇大の今季ゴールハイライト!</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr">ここまでリーグ戦10ゴールの <a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E5%8B%87%E5%A4%A7?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#木村勇大</a> 選手のゴールハイライト<br><br>お気に入りや印象に残ったゴールを教えてください!<a href="https://twitter.com/yudai022898?ref_src=twsrc%5Etfw">@yudai022898</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#東京ヴェルディ</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/verdy?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#verdy</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/J%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#Jリーグ</a> <a href="https://t.co/LbaDFyt3ig">pic.twitter.com/LbaDFyt3ig</a></p>&mdash; 東京ヴェルディ(TOKYO VERDY)公式 (@TokyoVerdySTAFF) <a href="https://twitter.com/TokyoVerdySTAFF/status/1832245099381879184?ref_src=twsrc%5Etfw">September 7, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.09.07 13:55 Sat
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「やるべきことを再確認していい入りができるか」東京Vの齋藤功佑、好調・札幌との中断明け初戦へ入りの重要性を強調…攻守のポイントは?

東京ヴェルディのMF齋藤功佑が、14日に大和ハウスプレミストドームで行われる明治安田J1リーグ第30節の北海道コンサドーレ札幌戦に向けた意気込みを語った。 東京Vは前節、打ち合いとなった柏レイソルとのアウェイゲームを3-2で制して約3カ月ぶりの2連勝を達成。暫定ながら今シーズン最上位となる7位に浮上した。 そして、今季初の3連勝を目指す中断明けの一戦では3連勝で最下位を脱出した好調の19位チームと対戦する。 YBCルヴァンカップと天皇杯敗退に伴い、今回のインターナショナルマッチウィークには公式戦がなかった中、チームは残暑が続く状況で強度の高いトレーニングに励んできた。 齋藤は「いい強度でいいトレーニングができた」とこの期間のトレーニングへの手応えを口にした一方、2週間ぶりの公式戦を戦うという部分での入り方や、久々のデーゲーム、ドームでのプレーといった環境面の変化が、より試合を難しくさせる可能性を懸念。 「この中断後というのがまた難しいというか、先週は試合がない週で、トレーニング自体の強度は高かったですけど、緊張感みたいな部分が一回抜けているので、ここで一回締め直すではないですけど、チームとして自分たちがやるべきことをもう一回再確認していい入りができるかというのがすごく大事」 「(久々のデーゲームの影響は)結構変わるかなと思っていて、過ごし方で変化があったりとか、中断期間があってというところで、そういうリズムの変化というのは、結構フワッとすることにつながったりしやすいので、そこはより一層注意していきたいなと思っています」 対戦相手の札幌では「ケガをして治療の時にこっちへ戻ってきた時に会ってたりとか、たまに連絡を取ったりする」と現在も親交があり、横浜FCと昨季の東京Vで共闘したMF長谷川竜也こそケガの影響で不在となるが、横浜FCでの1年目に同僚だったDF大崎玲央が今夏の加入からアンカーのポジションで攻守に存在感を示している。 その元同僚について齋藤は「本当に札幌の現在の3連勝を支えている要因というか、器用にやっているな」と現在の印象を語ると共に、「やっぱりアンカーのところから攻撃がスタートする感じもあるので、そこを自由にさせないこと」と、チームとしてしっかりと抑え込みたい考えだ。 ここ数試合で破壊力を増す相手の強力な攻撃に対しては捕まえづらさを認めながらも、あくまで自分たちのやり方を徹底できれば十分に対応可能だと考えている。 「前のフリックだったり、3人目の動きや連携が相手の強みだと思うので、そこに対してウチの後ろの5枚とボランチのプレスバックで好き勝手にやらせないようにすることが大事。チームとしては基本は中締めで、スイッチが入ったら連動して前から行って、奥にボールをつけられたらプレスバックするというのがやり方なので、そこがしっかりとやれれば、守れるのではないかなと思います」 一方、攻撃では直近2試合で5ゴールと、3試合連続無得点の状況から見事に改善。ただ、今季初の連敗を喫したサンフレッチェ広島、名古屋グランパスとの2試合では3バック相手のミラーゲームで攻撃が停滞しており、前回対戦では5ゴールを挙げたものの、主力を起用した直近のリーグ2試合でクリーンシートを達成している札幌相手にその真価が試されるところだ。 東京Vとしては前回対戦でも示したように質的優位を生み出せるFW山見大登、FW木村勇大ら前線の選手が攻撃のカギを握るが、マンツーマンを破る上で効果的なダイレクトプレーの名手のパフォーマンスも同様に突破口となりそうだ。 16年ぶりのJ1初勝利をもたらした湘南ベルマーレ戦での山見の決勝点アシストを筆頭に、難しい体勢からでも正確なパスを供給するダイレクトプレーが印象的な背番号8は「一番いいのはバランスを崩さないでプレーすることで、そのためにオフ・ザ・ボールの準備は大事にしていきたい」と謙遜しながらも「昔からそういうプレーの仕方をしているので、染み付いているではないですけど、無理な体勢でもちゃんと出せるという感覚はあります」と自身の十八番のひとつともいえるプレーを分析。 その上で「札幌は特にマンツーマンで守備してくるので、そのワンタッチが効果的になると思いますし、3人目の動きが非常に効果的だと思うので、自分としてはボランチから背後に連動しながらローテーションしながら抜け出ていくプレーがチャンスにつながるかなと思っています」と、2試合連続アシストと共に久々の今季2点目を虎視眈々と狙う。 チームとして懸かる今季初の3連勝に関しては「あまり気にしてない」というが、「本当にここからは一試合ひと試合の勝ち負けによって気にかけることが変わってくると思うので、常に勝ち続けて上を目指している状態がチームとしては非常にいいモチベーションでやれると思うので、そのためにも目の前の試合に勝つというのが大事。一個一個勝つために勝ち点を積み上げてやっていきたい」と、シーズン残り試合に弾みをつけるべく中断明け初戦の勝利を誓った。 2024.09.13 20:00 Fri
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「魂を見せてくれた」柏に泥臭く勝ち切った東京Vは勝ち点40超え…城福監督「残留はこのクラブで絶対的に与えられた使命」

東京ヴェルディの城福浩監督が、泥臭く勝ち切った柏レイソルとの激闘を振り返った。 東京Vは8月31日、三協フロンテア柏スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第29節の柏戦を3-2で勝利した。 前節、3位の鹿島アントラーズを2-1で下し、4戦ぶりの得点と共に4戦ぶりの白星を挙げた東京Vは、16位の柏とのアウェイゲームで約3カ月ぶりとなる今季3度目の連勝を狙った。 今節も[3-4-2-1]の布陣で臨んだ東京Vは、鹿島と共通点も少なくない柏の[4-4-2]に対して、ミスマッチの優位性を意識した戦い方で臨むプランだったが、この試合で柏は可変式の布陣を採用。守備時には右サイドハーフのMF鵜木郁哉を1列下げて5バックを形成し、攻撃時もより流動的な形で揺さぶりをかけた。 その想定外の出方に加え、FW細谷真大、MFマテウス・サヴィオの両エースを起点にクオリティとインテンシティの高さを見せた相手に面食らう形でバタバタした入りを強いられると、8分に細谷に先制点を奪われる。 それでも、失点直後のピッチ上で円陣を組んで改めて意思統一を図り、連続失点を回避すると、15分にFW木村勇大、30分にFW山見大登の連続ゴールによって逆転。ただ、前半終了間際に相手のデザインしたセットプレーからMF戸嶋祥郎に強烈な一撃を浴びて2-2のイーブンで試合を折り返した。 迎えた後半、3枚替えで通常の[4-4-2]の戦い方に変化した相手に押し込まれる入りとなったものの、一瞬の隙を突いて55分のMF翁長聖の技ありシュートで勝ち越しに成功。その後は完全に押し込まれてハーフコートゲームを展開されたが、ディフェンスラインを中心としたハードワークに守護神マテウスの土壇場のビッグセーブによって相手の猛攻を耐え抜き、白熱のシーソーゲームをモノにした。 同試合後、公式会見に出席した城福監督は勝ち点3を得た充実感と共に心身ともに激しい消耗を強いられたであろう一戦を総括。チーム全体の献身を称えながらも、自身のアプローチを含め課題の部分をより強調した。 「ゲームの中で反省すべきは前半の入り方と終わらせ方。ここはいくらロッカールームで徹底しようと言っても、自分が徹底させきれなかったと思います。選手がやれなかったら自分の問題なので、どういうアプローチがよかったのか、どういう表現がよかったのか。そこは自分でもしっかり振り返りたいと思います」 「ただ、点を取られてからも我々のペースを崩さなかったこと。そこで2点取ったことはポジティブ。前半は相手の左サイド。ジエゴとマテウス・サヴィオ、あるいは小屋松の2列目のところで、浮いたところをどう掴むかという部分で苦労し、ちょっと押し込まれました。あそこの整理をもっと早くしてあげればよかったと思っています」 「後半は相手も2トップ気味にやってきたので、掴みづらさはなくなったけれどもゴール前の迫力が増えたので、選手はよく体を張って、球際のところでシュートブロックしてくれたなと思います」 押し込まれ続けてセカンドボールを拾えず、奪ったボールも前線への長いボールを選択せざるを得ない厳しい状況となった後半の戦いに関して、MF齋藤功佑や山見は傑出したパフォーマンスを見せたサヴィオら相手のクオリティの高さを認めると共に、攻め切れた前半にもう少し相手陣内でボールを動かす時間帯を作るべきだったとの反省の言葉も口にしていた。 それに加えて、指揮官は交代策の部分で少なからず誤算があったことを示唆。 本来であれば、優れたキープ力と献身的な守備で流れを好転させられたであろうFW染野唯月はコンディションに問題があったか、全体的に無理が利かない場面が散見された。 その点については「我々もちょっとそれを心配していましたけど、本人に確認したら問題ないと。ただ、彼もリードをしている状況で、失点したくないという状況だったので、かなり守備の方に気を使っていたと思います」と、本来での出来ではなかったものの、その中でもチームのためにプレーし続けたエースを慮った。 その染野以外では負傷明けでのプレーとなったDF林尚輝の比較的早いタイミングでの交代、交代枠を使い切った後で足が攣った翁長を最前線に配置せざるを得ないアクシデントも指揮官のゲームプランをより難しいものとした。 「もちろん相手はリスクを冒して、両サイドバックが非常に高い位置を取ってきましたし、そこを裏返すようなボールであったり、動き出しであったり、キープであったりというところは、ちょっと守備に追われて疲弊して押し返すようなキープ、ボールの持ち方ができなかった」 「最後は特に翁長聖が足を攣った中で、我々のカードの切り方も最初に1枚を切った後に、2枚ずつ切った後でのアクシデントだったので、1枚少ないような状況だったので、余計を押し返すことができなかった」 それでも、「ただみんなはそれを承知の上で彼も足を引きずりながらでしたが、よく耐えたなと思います。何よりもゴール前のところやバイタルエリアのシュートブロックというのは魂を見せてくれた」と、試合終了のホイッスルが鳴ったと同時にピッチに倒れ込んだ選手たちの献身に満足感を示した。 昇格プレーオフを制しての昇格という部分で“20番目のチーム”という位置づけで16年ぶりのJ1の戦いに挑み、開幕前はダントツで降格候補に挙げられながらも、今回の勝利によって残留争いの目安のひとつである勝ち点40の大台を超え、勝ち点41で暫定ながら7位に浮上した。 久々のJ1の舞台でサプライズを起こしたいという力強い宣言と共に、常々J1残留への危機感を強調してきた百戦錬磨の指揮官だが、やはり9試合を残しての現在の立ち位置によって最低限であり、最大の目標到達に近づきつつあると感じている。 「我々のクラブの目標が残留であることは間違いない。それはもう経験値とクラブの規模を考えたら、それは絶対唯一無二の目標であることは間違いない。ただ、それを最終節まで持ち込むのか、あとは何試合かを残して、我々らしく我々のサッカーを示すという状況で、終盤を迎えるのかというところでは、選手の経験値としても大きな差がある」 「とにかく一試合一試合を勝ち点3にこだわって、どのステージで最後J1の中で競い合うというところは高い意識を持っていますけど、それにしても後ろを気にしているわけではないですけども、残留というのはこのクラブで絶対的に与えられた使命だと思いますし、まずはそこに到達したいなという思いです」 2024.09.01 07:35 Sun
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札幌との好調対決で今季初の3連勝狙う…東京Vの城福監督「プランしていたことはほとんどできた」中断期間の取り組みに手応え

東京ヴェルディの城福浩監督が、14日に大和ハウスプレミストドームで行われる明治安田J1リーグ第30節の北海道コンサドーレ札幌戦に向けた会見を実施した。 東京Vは前節、打ち合いとなった柏レイソルとのアウェイゲームを3-2で制して約3カ月ぶりの2連勝を達成。暫定ながら今シーズン最上位となる7位に浮上した。 そして、今季初の3連勝を目指す中断明けの一戦では3連勝で最下位を脱出した好調の19位チームと対戦する。 YBCルヴァンカップと天皇杯敗退に伴い、今回のインターナショナルマッチウィークには公式戦がなかった東京V。これまでの中断期間であれば、海外クラブとのフレンドリーマッチや練習試合を組んできたものの、今回はそういった形を取らず、残暑が続く中で強度の高いトレーニングに励んできた。 指揮官は「ちょっと羨ましいなと思いながら見ていた」とカップ戦早期敗退の中、ベスト4進出を懸けて重要な公式戦を戦っていたライバルたちに対する悔しさを口にしながらも、「我々にとって公式戦の期間が空いたからこそできることはある」と前向きな姿勢で、現時点でチームに必要だと考えるトレーニングに特化できたと充実した日々を振り返った。 「(この中断期間に)スタッフとも話し合ってテーマをしっかり決めて、それは我々がやってきたことに何かを加えるのではなくて、とにかく研ぎ澄ましていくというか、そのためのテーマを決めて、負荷をどういうふうにかけていくかということを考えていました。そこで強度の高いことをやりたいということもあったので、プランしていたことはほとんどできたと思いますし、選手はすごく積極的に取り組んでくれたと思います」 その特化した部分は札幌戦対策にもなる“切り替え”と“カウンター”の局面での強度。 「フィジカル的なものを一個追い込みたいなと。どうせ追い込むのであれば、何かをテーマにしたいなということで、それが我々のチームにとってチーム力がアップすることであり、もうひとつはそれが札幌戦の対策になることであれば、それが一番いいというふうに思っていました」 「それが何かというのはスタッフと話しながら、札幌さんというのはリスクを冒しながら、オープンな展開を仕掛けてくるので、逆に我々もそこをソリッドにずっとしたいですけど、そうなると自陣に引き込むような感じになるというのは我々らしくないので、オープンな感じで仕掛けになったときの攻撃のクオリティであるとか、切り替えのところの強度であるとかというのが、我々が目指してきたものでもあるけれども、札幌戦の対策にもなると思ったので、そこはもう切り替えのところとカウンターのところというのはかなり高い強度でやりました」 また、終盤は防戦一方の展開で泥臭く勝ち切った柏戦での反省を踏まえ、チームのコンセプトに掲げる「出し切る」という部分も改めて確認したという。 「柏戦でも選手と共有しましたが、オーバーラップをして、例えば宮原和也が50メートルをオーバーラップしてクロスを上げたと。これは素晴らしいことですけど、そこでペナの中に入っているのが一人しかいない。そこから相手の攻め返しで、ほぼ点を取られてもおかしくないような決定機を作られましたが、そこには我々のボランチがしっかりと帰っている」 「そういうシーンというのがいくつかあって、これは我々としたら『よく帰ったよね』と、『ここまで攻められて最後に30メートルをスプリントしてよくここに帰ったよね』というふうにも言えるんですけど、もう一個上を目指すのであれば、なんで最初のクロスに一人しか入っていないんだと、そこに何人か入っていって、且つ帰ってくるんだと。それが我々であって、『よく帰ってきたよね』というので満足していたら、柏戦のような内容でまた勝ち点3を取るというのは簡単ではない」 「あの試合は選手が『よく体を張った』とも言えるけれども、ある意味では運もなければ勝ち点3は取れなかった。それをもう一度戦っても、勝ち点3が取れると。この前の試合が勝ち点1で終わったとしても、『いやいやもう一回戦わせてくれ』と、絶対やれるという試合が我々の目指すところ。じゃあはたして柏戦がそういう試合内容だったかというと、これは反省すべきところが多い。そこははたして出し切ってバトンを渡したのかというところを、もう一度突き詰めるべきだなと思ったので、出し切るということがどういうことかというのを確かめる週末にしました」 その成果を試す一戦となる札幌戦に向けて指揮官は、直近の3連勝以前も上位相手に互角以上の戦いを見せられていたと対戦相手を分析。その上で新戦力のフィットや攻守両面において勝負の際を制し始めた自信が、ここ最近の好調に繋がっていると考えている。 「いまは3連勝していますけど、それ以前を見ても勝っておかしくない。クラブの規模が大きい、非常に実力のある相手に対しても、勝ち点3を取ってもおかしくない試合というのはいくつかありますし、それがようやく勝ち点3につながってきたのかなというふうに思います。チャンスもピンチもある中で、悪いというか、よくない時間帯を凌いでいけば、必ず自分たちの方に風が吹くというのを、いま信じてやれているような、そういう強さがあるなと思います」 「それともうひとつは、あのドームのあの雰囲気ですね。本当に満員で札幌の選手を後押ししようとしているサポーターがいて、あの雰囲気も踏まえて、すごくいまはポジティブな思考にチームがなれているのかなと。勢いに乗った終盤なんていうのは本当に強いチームになっています。試合の終盤で相手に勢いを出させるような展開にさせてはいけないなと思います」 前回対戦時と比較しての対戦相手の変化ではFW鈴木武蔵を筆頭に前線の選手が得点を取り始め、新加入選手を軸としたビルドアップの改善、両ウイングバックと2シャドーの局面打開能力と攻撃面の破壊力が格段に増している。 その点について城福監督も強い警戒を示すと共に、相手に勢いを与えるような展開を避けるため、守備においてブロックを構える場面、前から圧力をかける場面などメリハリを利かせた戦い方が重要だと主張した。 「鈴木武蔵選手はいつゴールを取ってもおかしくないようなチャンスがずっとあった。ようやくそれがネットを揺さぶるような状況になってきて、本人の自信が出てきたでしょうし、周りとの信頼関係も強まっていると思います」 「さらに何人かの新しい戦力が入ってきて、そういう競争も出てきたんだと思います。本当に特に終盤のキック精度の高い選手から繰り出されるクロスと、そこに入っていく迫力とか高さというのも札幌の武器になっていると思うので、選手層含めてすごくチームがいい状況になっていると思うので、我々が受けに回らないようにしないといけない」 柏戦の勝利によってチームは残留のひとつの目安である勝ち点40を超えて「41」に到達し、今回の中断期間に入った。残留を重要な目標に掲げる中、ある意味でひとつ重圧から解放される部分もあるかに思われるが、指揮官は周囲の勝ち点に対する反応は聞こえているものの、「ほとんど意識していない」とあくまで目の前の戦いだけに集中している。 「もちろん、『40』の大台という部分で周りの方々はそれが残留のひとつの目安だったりとか、いや今シーズンはたぶん『44』とか『45』じゃないかとか、僕自身はそういうものを聞いて、『ああ、そうなんだな』と思うぐらいの感覚。いつもよりは絶対に残留ラインというのは高くなるんだろうなというのは認識していますけど、それが勝ち点がいくつなのかというのは。正直あまり深く考えたことはないです」 「とにかく目の前のこと、自分たちがどういう競争をした中で選手が出て行って、その目の前の相手とどういう試合をするのかと。この前は何が足りていて、何が足りなかったのかというところに集中する」 「ましてや今回で言えば、間が空くということは、相手が空いていなくて、戦っているチームがあるわけですよね。そこで彼らと差をつけられたくないですし、モチベーションの高い中でルヴァンのベスト4だったりとか、天皇杯のベスト4とかに向かって行っている姿を見れば見るほど、むしろ僕は危機感があります」 「無駄な1週間というのはどこにもないので、とにかくチームが進歩するために、どういうテーマを持ちながら追い込んでいくかと、どういう競争力をつけていくかということだけに集中していたので、あまり柏戦が終わって勝ち点がいくつになったからとかというのは、ちょっとピンときていないというか、目の前のことだけですね」 なお、日々の戦いに神経を研ぎ澄ませる城福監督だったが、今回の中断期間では少し時間的な余裕があったこともあり、「こういうときにちゃんと海外の試合を見ようとか、むしろそっちに刺激を求めました」と以前から高い関心を示すプレミアリーグや昨シーズンまで日本代表MF三笘薫がプレーするブライトンを指揮したロベルト・デ・ゼルビ監督が新たに率いるマルセイユなどをチェックしたという。 そして、「(プレミアリーグは)やはりあの攻守の切り替わったところからのクオリティの高さとか、せめぎ合いというか、そこは自分にとってこのチームにうまく還元できるといいなと思っています」と、個人的な関心、学びの中でもやはり考えていたのは、いかに自身が率いるチームを改善していくかだった。 2024.09.13 19:30 Fri

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