日程問題はどうなるのか、技術委員会の報告にビックリ/六川亨の日本サッカー見聞録
2021.10.15 22:00 Fri
JFA(日本サッカー協会)の技術委員会は10月14日に会合を開き、反町康治JFA技術委員長がズームでの会見に応じた。2時間弱の会議の内容は、「FIFA(国際サッカー連盟)とAFC(アジアサッカー連盟)から多くの提案があり、その報告と議論だった」ことを明かした。
反町委員長によると、FIFAはかねてから噂に出ているW杯の2年に1回の開催と、アンダーカテゴリーには現在U―17W杯とU―20W杯が2年に1回の開催となっているが、これを2025年あたりから毎年の開催に変更する考えがあるそうだ。
AFCからは、22年カタールW杯が終わると、次の大会からアジアの出場枠は8・5に増える。このためW杯の予選方式をどうするか。そしてAFCはW杯の2年に1回の開催を支持していることが報告された(JFAは結論を出していない)。
さらにAFCはACL(アジアチャンピオンズリーグ)のカレンダーの変更を検討しているものの、シーズン移行に関して反町技術委員長は「簡単には動かせない」と言いながら、「Jリーグの日程を変えていかざるをえなくなるかもしれない」と苦しい胸の内を明かした。
現状でも国内のサッカーカレンダーは飽和状態に近い。特にこの3年間はラグビーW杯と東京五輪のあおりでJ1リーグのチームはホームゲームを開催できなかったり、過密日程を強いられたりした。リーグ戦とルヴァン杯、天皇杯に加えACLと最大4大会に出場しなければならないチーム(現在では名古屋)は必然的に超過密日程になる。
これでは代表の試合を年がら年中やっているようなもので、どうやって海外組を呼ぶのか。まるで国内リーグは止めろと言っているようなものだ。FIFAもAFCも何を考えているのか理解に苦しむばかりだ。
反町技術委員長に対しては、森保ジャパンの今月の2試合に関しても当然ながら質問が出た。それに対する答えは「この2試合、技術委員からいろんな意見が出たし、団長としてチームについて行った。客観的かつ主観的に話をした。サウジアラビアには勝つことはできなかったが、全部にダメ出ししていない。いいところもあったが課題も出たのでシビアに話した」と率直に話していた。
さらに反町技術委員長は「サウジアラビアには勝てず、多くの懸念があり、皆さんの外圧もあった。しかし私はサポートする立場。内圧はまったくない。外圧は好き勝手言ってアクセスを稼いでいるけど、我々はそれに惑わされずにやるだけ」とも語った。
「外圧(マスコミ)は好き勝手言ってアクセスを稼いでいる」とは、まさにその通り! ウィットに富みながらもシニカルな反町さんらしい発言で、思わず感心してしまった。
オーストラリア戦後の田嶋幸三JFA会長の発言もそうだったが、まだ予選突破はもちろんのこと、予選敗退も決まっていない状況で、監督の進退に責任のある2人がネガティブな発言をするわけがない。全面的にサポートしなければ、監督らスタッフと選手とは溝ができ、不信感が生まれかねない。
その上で、「次の一手」も考えているのか。それは、その時になってみないと分からないだろうし、永遠にわからないこともありえる。
【文・六川亨】
反町委員長によると、FIFAはかねてから噂に出ているW杯の2年に1回の開催と、アンダーカテゴリーには現在U―17W杯とU―20W杯が2年に1回の開催となっているが、これを2025年あたりから毎年の開催に変更する考えがあるそうだ。
さらにAFCはACL(アジアチャンピオンズリーグ)のカレンダーの変更を検討しているものの、シーズン移行に関して反町技術委員長は「簡単には動かせない」と言いながら、「Jリーグの日程を変えていかざるをえなくなるかもしれない」と苦しい胸の内を明かした。
現状でも国内のサッカーカレンダーは飽和状態に近い。特にこの3年間はラグビーW杯と東京五輪のあおりでJ1リーグのチームはホームゲームを開催できなかったり、過密日程を強いられたりした。リーグ戦とルヴァン杯、天皇杯に加えACLと最大4大会に出場しなければならないチーム(現在では名古屋)は必然的に超過密日程になる。
これに加え、アンダーカテゴリーの大会が毎年開催になるということは、詳細は分からないが毎年予選もあるということだろう。さらにW杯が2年に1回の開催となり、アジアカップと五輪の予選と本大会があるなら、とてもじゃないがEAFF E-1選手権とアジア大会(とキリンカップにキリンチャレンジ杯)に参加している暇などないだろう。
これでは代表の試合を年がら年中やっているようなもので、どうやって海外組を呼ぶのか。まるで国内リーグは止めろと言っているようなものだ。FIFAもAFCも何を考えているのか理解に苦しむばかりだ。
反町技術委員長に対しては、森保ジャパンの今月の2試合に関しても当然ながら質問が出た。それに対する答えは「この2試合、技術委員からいろんな意見が出たし、団長としてチームについて行った。客観的かつ主観的に話をした。サウジアラビアには勝つことはできなかったが、全部にダメ出ししていない。いいところもあったが課題も出たのでシビアに話した」と率直に話していた。
さらに反町技術委員長は「サウジアラビアには勝てず、多くの懸念があり、皆さんの外圧もあった。しかし私はサポートする立場。内圧はまったくない。外圧は好き勝手言ってアクセスを稼いでいるけど、我々はそれに惑わされずにやるだけ」とも語った。
「外圧(マスコミ)は好き勝手言ってアクセスを稼いでいる」とは、まさにその通り! ウィットに富みながらもシニカルな反町さんらしい発言で、思わず感心してしまった。
オーストラリア戦後の田嶋幸三JFA会長の発言もそうだったが、まだ予選突破はもちろんのこと、予選敗退も決まっていない状況で、監督の進退に責任のある2人がネガティブな発言をするわけがない。全面的にサポートしなければ、監督らスタッフと選手とは溝ができ、不信感が生まれかねない。
その上で、「次の一手」も考えているのか。それは、その時になってみないと分からないだろうし、永遠にわからないこともありえる。
【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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