ニューカッスル、消極補強への批判を受け、補強プランに関する異例の声明を発表

2021.09.04 07:00 Sat
Getty Images
ニューカッスルが今夏の移籍市場におけるクラブの補強プランに関して異例の声明を発表した。
PR
2007年からマイク・アシュリー氏をオーナーに据え、2度のチャンピオンシップ(イングランド2部)降格を味わったものの、プレミアリーグの中堅クラブとしての立場を維持しているニューカッスル。
2017-18シーズンにプレミアリーグ復帰後は10位、13位、13位、12位とボトムハーフの上位を維持しているが、アシュリー氏の財布の紐の固さによって近年は停滞感が漂っている。

昨年にはサウジアラビアの政府系ファンドへのクラブ買収の噂が出ていたものの、最終的に破談。これにより、多くのファンからはアシュリー氏に対して、より資金を投下できる売却先に経営権を移譲するか、より積極的な補強を求める声が高まっている。

しかし、ニューカッスルは今夏の移籍市場で主力の流出こそなかったものの、純粋な意味での補強は昨シーズン後半戦にアーセナルからレンタル加入し、大きなインパクトを残したU-21イングランド代表MFジョー・ウィロックを、2500万ポンド(約38億円)で完全移籍に切り替えたのみとなった。
そのため、多くのファンからクラブの補強戦略に対する批判が大々的に行われていた。

そういった中、ニューカッスルは移籍市場閉幕から3日後に、補強プランに関する異例の声明を発表した。この声明ではまず、クラブ運営に関するクラブのポリシー、新型コロナウイルスの影響による深刻な財政的ダメージに関する説明が行われた。

「ニューカッスル・ユナイテッドは、2021年夏の移籍市場に向けた取り組みについて、サポーターの皆様に最新情報をお伝えします」

「我々は、クラブの財政的な存続を確保するために、持続可能な方法で運営することを長年にわたって約束してきました。これは、『野心的であること』を犠牲にするものではなく、我々が持っているものを使うという基本原則に基づいています」

「毎年、マッチデーおよびマッチデー以外の活動によって得られる現金と、プレーヤーの売却によって得られる移籍金によって、どれだけの金額を使うことができるかが決まります。これは、トップチームのプレーヤーの支出だけでなく、クラブの他のすべての分野にも関係しています。簡単に言えば、資金は1つしかないので、ある分野で使うと他の分野に使える金額が減るということです」

「通常の年であれば、我々の運営モデルは、トップチームに1、2人の質の高いプレーヤーを加え、他の分野にも投資できるだけの十分な資金を生み出します。このアプローチには時間がかかり、慎重な管理と長期的な計画が必要となります」

「この2年間は、新型コロナウイルスがクラブの財務に大きな影響を与えたため、使用可能な現金の額にも影響が出て、厳しい状況が続いています。内部的には、すべての関係者が、我々が運営している予算のパラメーターを以前から認識していました」

続いてクラブは今夏の補強の最優先事項がウィロックの買い取りにあったことを明かしている。

「夏の移籍市場に先立って、2021年1月にレンタル加入して大きな成果を上げたジョー・ウィロックが、クラブの主要なターゲットとして認識されていました」

「このプレーヤーが期限付き移籍で獲得できることが確認された時点で、このオプションを追求することが共同決定されました。すべての関係者は、さらなるチーム統合の影響を認識しており、ジョー・ウィロックの確保が正しい優先順位であるという総合的な見解を持っていました。また、プレーヤーの追加は、資金とチームのスペースの両方の観点から、プレーヤーのトレードに大きく影響されるという共通の認識がありました」

「そして、2021年8月13日、ジョー・ウィロックの移籍が正式に決定し、彼を獲得できたことを大変うれしく思います」

さらに、ニューカッスルは移籍金の支払い方法や近年のクラブが補強に費やした金額など、かなり踏み込んだ内容にも触れている。

「我々は、移籍金の支払いを数年に分けて行うのではなく、前払いで行うことを希望しています。この方法は、クラブの長期的な利益につながるものであり、将来の移籍市場やシーズンでの支出をより確実にコントロールすることができます」

「ポストコロナにおいて、交渉・契約において、我々は例外的に移籍金を分割払いにする必要があることを認めました。我々は、クラブをより強くすると確信しており、監督が明確に契約を望んでいたプレーヤーを確保するために、この夏にそうしました」

「2019年夏以降、クラブは9人のプレーヤーを完全移籍で獲得し、5人のプレーヤーをレンタルで獲得しています。この期間の純支出は1億2000万ポンド(1億6000万ポンドを獲得に費やし、4000万ポンドを売却で受け取りました)です。我々は手持ちの資金を使うという約束を果たしましたし、実際、今夏のビジネスでは主要なターゲットを確保するためにより多くの資金を使いました。そうではないというのは誤解を招く恐れがありますし、クラブから資金が流出したという主張はまったくの事実無根です」

「なお、『スカイ・スポーツ』は今夏、ニューカッスル・ユナイテッドの純支出はプレミアリーグで10番目に多いと報じました。クラブは、明らかな財政難にもかかわらず、優秀なプレーヤーを確保しました」

「昨シーズン、プレミアリーグを12位で終え、直近の9試合のフォームテーブルにおいてトップ6に入ったことで、クラブはすべてのレベルで現在のチームを強く信じています。我々には才能を持った、献身的なプレーヤーたちを擁しており、彼らが十分な能力を持っていることを示しています」

今回、ファンからの度重なる批判を受けて異例の自己弁護に走ったニューカッスルだが、ファンにクラブの考えを理解してもらうためには今シーズンの結果、ピッチ上で見せるパフォーマンスが重要と言えそうだ。

PR
関連ニュース

プレミア最優秀選手の最終候補8名が発表! 優勝争う2クラブから2名ずつがノミネート

プレミアリーグは9日、2023-24シーズンの最優秀選手賞であるプレーヤー・オブ・ザ・シーズンのノミネート選手8名を発表した。 シーズンも残すところあとわずか。2022-23シーズンに続いてアーセナルとマンチェスター・シティが優勝を争っている状況だ。 4連覇を目指すシティと20年ぶりの優勝を目指すアーセナル。8名の最終候補には、それぞれ2名ずつがノミネートしている。 現在首位のアーセナルからはキャプテンであるノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴールと、今シーズン加入したイングランド代表MFデクラン・ライスの2名、4連覇を目指すシティからは、得点ランキングトップを走り昨シーズンはこの賞を受賞したノルウェー代表FWアーリング・ハーランド、イングランド代表MFフィル・フォーデンがノミネートしている。 その他、3位で追いかけるリバプールのオランダ代表DFヴィルヒル・ファン・ダイク、今季シティからチェルシーに移籍し、プレミアリーグで21ゴールの活躍を見せているイングランド代表MFコール・パーマー、4位につけるアストン・ビラで19ゴールを記録するイングランド代表FWオリー・ワトキンス、そして20ゴールで得点ランキング3位につけるニューカッスルのスウェーデン代表FWアレクサンダー・イサクがノミネートされた。 ファン投票は5月13日まで、EA SPORTSの公式サイトから投票が可能。サッカー専門家委員会の投票と合わせて勝者が決定され、5月18日に受賞者が発表される。 ◆最優秀選手候補8名 MFフィル・フォーデン(マンチェスター・シティ) 今季成績:32試合16ゴール8アシスト FWアーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ) 今季成績:28試合25ゴール5アシスト FWアレクサンダー・イサク(ニューカッスル) 今季成績:27試合20ゴール1アシスト MFマルティン・ウーデゴール(アーセナル) 今季成績:33試合8ゴール8アシスト MFコール・パーマー(チェルシー) 今季成績:31試合21ゴール9アシスト MFデクラン・ライス(アーセナル) 今季成績:36試合ゴール8アシスト DFヴィルヒル・ファン・ダイク(リバプール) 今季成績:34試合2ゴール2アシスト FWオリー・ワトキンス(アストン・ビラ) 今季成績:35試合19ゴール12アシスト 2024.05.09 23:30 Thu

人気銘柄オリーズにニューカッスルが関心、夏の争奪戦は確実か

ニューカッスルがクリスタル・パレスのU-21フランス代表MFマイケル・オリーズ(22)の獲得を目指しているようだ。 イングランド生まれのオリーズは、2021年にレディングからC・パレスへ加入。今シーズンは度重なるハムストリングの負傷に悩まされながらも、試合に出ればチャンスメイクなどで違いを示し、ここまでプレミアリーグ17試合9ゴール4アシストの成績を残している。 ホームグロウン枠でもあるオリーズには、当然プレミアリーグのクラブからの関心が集中。イギリス『デイリー・メール』によると、ニューカッスルが今夏の移籍市場で獲得に動く可能性が高いようだ。 ニューカッスルは今シーズン、チャンピオンズリーグ(CL)との二足の草鞋や大量の負傷者もあり低迷していたが、終盤にかけて復調。現在はプレミアリーグで6位につけており、クラブは野心を示すことで同選手にアピールしたい考えのようだ。 ただし、C・パレスはオリーズの移籍金を6000万ポンド(約116億円)に設定。プレミアリーグの定める収益性と持続可能性に関する規則に抵触する可能性のあるニューカッスルは、まず売却を優先させる可能性もある。 オリーズに対してはニューカッスルのほかチェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リバプールなどビッグクラブが関心を示していることもあり、今夏には争奪戦への発展も考えられるだろう。 2024.05.07 12:30 Tue

賭博違反で出場停止のトナーリ、ニューカッスル指揮官はFAの処分に「正しい決断だった」と言及

ニューカッスルのエディ・ハウ監督が、賭博違反により出場停止を受けたイタリア代表MFサンドロ・トナーリについて言及した。イギリス『BBC』が伝えた。 イングランドサッカー協会(FA)は2日、トナーリに対し、賭博規則の違反により2カ月間の出場停止処分と罰金処分を下した。 トナーリはミラン時代に違法賭博に手を染め、国際サッカー連盟(FIFA)から10カ月の出場停止処分を受けていた。自身はギャンブル依存症であることを告白し、当時はミランの試合にも賭けていたというトナーリ。しかし、今年3月にFAがトナーリについて告発していた。 調査の結果、トナーリは2023年夏にミランからニューカッスルに移籍すると、10月までの間におよそ50件のサッカー賭博を行っていたことを認めることに。まさにギャンブル依存症であり、ニューカッスルの試合にも4回賭けていたとのこと。選手の賭博はFAの規則で禁じられていることから、出場停止処分が下されていた。 トナーリは、来シーズン終了までに賭博規則の違反がなければ、プレーに復帰することが可能となる処分となったが、ハウ監督はこの件について言及した。 「FAが下した決断は、彼の出場停止処分が延長されないという正しい決断だったと思う」 大きな戦力として期待された中、自身の不祥事で戦力になれなかったトナーリ。クラブに対しては減給を申し入れていたという。 「それは彼がやりたかったことであり、罪悪感を感じていた。誠意をもってクラブに申し訳ないという気持ちを示すことだった」 「彼はそれを忘れ、そこから学ぼうを決意していた」 トナーリを短い期間ではあるが見てきたハウ監督は、「問題を抱えており、助けも必要だった」と自ら認めたことを称賛。トレーニングはしっかりやっていたという。 「私は彼のキャリアのほんの一部をトレーニング場で見ている。彼は優れたプロフェッショナルであり、非常によく練習してきた」 「彼には難しい時期もあったと思うが、前向きに行動していた」 一方で、期待された戦力にはなれず。チームも昨シーズンの躍進からさらなる飛躍を目指したが、今シーズンはここまで7位。すでに来シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)出場を逃すことが決定しているが、トナーリをこうした形で計算できなくなったことはフラストレーションでもあると明かした。 「トップクオリティの選手を使えないことは、大きなフラストレーションだ」 「彼が何ができるのか。そして、今年彼がどんな違いを生んだのかはわかっているが、そうなるはずではなかった」 2024.05.03 23:58 Fri

フルアム退団濃厚のアダラバイヨ…争奪戦にニューカッスルも本格参戦か

フルアムのイングランド人DFトシン・アダラバイヨ(26)に多くの関心が寄せられている。イギリス『イブニング・スタンダード』が報じた。 マンチェスター・シティ出身で、2020年にフルアムへ完全移籍した196cmセンターバックのアダラバイヨ。主力として加入4年目を迎えており、序盤にケガがあった今シーズンもここまで公式戦25試合に出場している。 しかし、フルアムとの契約は今シーズン限り。引き留めたいフルアムは年俸がチーム最高クラスとなる新契約を提示したが、より競争力の高いクラブへのステップアップを望んでいるアダラバイヨは退団の意向をクラブに通達したとみられている。 そんなアダラバイヨに対しては、トッテナムやウェストハム、リバプール、ミランなどが関心を寄せる中、ニューカッスルも獲得に向けた議論を重ね始めたとのこと。オランダ代表DFスヴェン・ボトマンとイングランド人DFジャマール・ラッセルズが前十字じん帯のケガで長期離脱となったため、今夏はセンターバック補強が優先となっている。 一方、ニューカッスルはプレミアリーグの定める収益性と持続可能性に関する規則を考慮しなければならない状況。ブラジル代表MFブルーノ・ギマランイス(26)、もしくはスウェーデン代表FWアレクサンダー・イサク(24)の今夏売却を迫られる可能性もあるようだ。 なお、アダラバイヨ以外では、ボーンマスとの契約が今夏に切れるイングランド人DFロイド・ケリー(25)も注目株に。望みの守備者を射止めるのはどのクラブになるのだろうか。 2024.05.03 13:45 Fri

ギャンブル依存症、違法賭博関与で10カ月出場停止中のトナーリにFAが出場停止処分…スキャンダル発覚までの移籍後わずか2カ月で50件の賭博行為を認める

イングランドサッカー協会(FA)は2日、ニューカッスルのイタリア代表MFサンドロ・トナーリに対し、FAの賭博規則を違反したとして制裁を科すことを発表した。 トナーリはミランからニューカッスルへ5500万ポンド(約100億1000万円)で今シーズン加入。大きな期待が寄せられ、20年ぶりにチャンピオンズリーグ(CL)を戦うチームにとっても大きな補強になると考えられた。 プレミアリーグで8試合1ゴール、CLで3試合出場、カラバオカップ(EFLカップ)で1試合に出場していた中、2023年10月にイタリアサッカー界を揺るがす違法賭博のスキャンダルが発覚。その後、ギャンブル依存症であることを告白し、ミラン時代にはミランの試合にも賭けるなどしていたことを供述していた。 その後、イタリアサッカー連盟(FIGC)が賭博に対して10カ月の出場停止措置を下すと、国際サッカー連盟(FIFA)もこれを承認し、トナーリの出場停止が確定した。 現在もプレーできていないトナーリだが、ギャンブル依存症だったこともあり、移籍後も賭博行為に及んでいた。 FAによれば、トナーリは2023年8月12日から10月12日までの間にサッカーの試合に賭けていたことが発覚。FAは選手の賭博行為に関して規制しており、これに違反。50件の違反行為に対し、トナーリ本人も認めたという。 これにより、FAは2カ月の出場停止処分を科すことを決定。ただし、2024-25シーズンが終了するまでにFAの賭博規則に違反しなければ処分が停止に。また、2万ポンド(約385万円)の罰金と警告も同様のルールとなる。 2024.05.03 00:10 Fri
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly