今更なんだけど…/原ゆみこのマドリッド
2019.04.02 13:10 Tue
「そうか、もう次の試合なんだ」そんな風に私が不意を突かれていたのは月曜日、夕方にシメオネ監督の記者会見がネットに上がっているのを見つけた時のことでした。いやあ、ここ2週間は各国代表戦のせいでのんべんだらりとしていた自分も悪いんですけどね。マドリッドでは3月の16強対決で今季のCLが終わったため、これから夏までミッドウィークの試合であたふたすることはないんだとゆったり構えていたところ、とんでもない。ヨーロッパでの大会での生き残りがCL準々決勝はバルサだけ、ヨーロッパリーグも直接対決となるビジャレアルとバンレシアしか残っていない上、コパ・デル・レイも5月25日の決勝を残すのみとなったのをいいことに、4月は第1週だけでなく、第4週の平日にもリーガ戦があるとはプロ・サッカーリーガ協会のテバス会長、やってくれるじゃないですか。
え、そうは言ったって、今季はもうあと9節。しかもバルサが大差をつけて首位を独走しているため、私が気を揉むのはせいぜい、ヘタフェが現在の4位という高みを維持、クラブ史上初のCL出場権をゲットして、常連の兄貴分2チームに肩を並べることができるのか、今季3年ぶりに1部に戻ってきたラージョが何とか降格圏を脱して残留、マドリッドの1部5チーム体制が来季も存続できるのかといったぐらいじゃないのかって?そうですね、実際、その通りで先週末の結果はどちらもかなり、不安を残すもの。というのも…。
いやあ、まずはヘタフェが土曜のお昼過ぎにお隣さんのレガネスとの弟分ダービーに挑んだんですが、ここしばらく、見たことがない程、気が抜けていたんですよ。それも前半16分、オスカルのシュートにマキシモビッチが腕を当てて献上したPKはカリージョがGKダビド・ソリアに弾かれてコトなきを得たものの、これで選手たちが目を覚ますこともなし。後半3分にはジョナタン・シルバのクロスをモロッコ代表で負傷したエン・ネシリの代わりを務めていたミカエル・サントスにヘッドされ、あっさり先制されてしまうことに。その後も反撃の気配がなく、あまつさえ、38分にはファンフランに右サイドを独走され、2点目を入れられてしまうんですから、まったくいけていません。
ちなみにボルダラス監督の弁によると、「El Leganes corrio 5 kilometros y medio mas que el Getafe/エル・レガネス・コリオ・シンコ・キロメトロス・イ・メディオ・マス・ケ・エル・ヘタフェ(レガネスはヘタフェより5.5キロ多く走った)」とのことで、どうやらこの日のチームには競争心が欠けていたようですけどね。ちょっと気になるのは「No estamos obligados a jugar en Europa/ノー・エスタモス・オブリガードー・ア・フガール・エン・エウロッパ(ウチにはヨーロッパの大会でプレーする義務はない)」という彼の言葉で、うーん、これって6、7年前にはルイス・ガルシア監督の下、ユーロヘタともてはやされながら、残留を確定するやいなや、シーズン終盤で失速、最後は順位表の中程で終わっていた時代を思い出さない?
まあ中途半端にELに行くと、木曜の夜、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのスタンドに荒寥感が漂うのを久々に目撃することになるかもしれないため、それも困ってしまうんですけどね。とりあえず、私もその日は16年ぶりにヘタフェのホームで勝利を挙げたレガネスが勝ち点36とまた一歩、残留に近づいたことを喜ぶことにしたんですが、大丈夫。2ポイント差で5位につけるアラベスもどうやら、すでに目標達成済みのバケーションムードにあったのは同じだったよう。
それから間もなく、10分に続いたのはジエゴ・コスタ。コケからエリア前でボールをもらうと、狙い澄ましたvaselina(バセリーナ/ループシュート)を決めてくれるんですから、驚いたの何のって。2点を先取したアトレティコはそこから、通常モードに戻り、ハールタイム前にはピナのヘッドをサウールがゴールライン上でクリアするなんてピンチもあったんですが、後半にはカウンターが炸裂。ええ、こちらもスペインのユーロ予選1戦目、ノルウエー戦でチャンスを何度もムダにした後、2戦目のマルタ戦で2ゴール挙げて風向きが変わったんでしょうかね。13分には敵ゴールに向かって独走したモラタがGKとの1対1に勝ち、3点目を入れてくれることに。加えて38分にはトマスも自慢のキック力を披露、エリア前から弾丸シュートでgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げているって、やだあもう。何でそれをトリノでやってくれないんです!
はい、解答はご存知の通り、コスタもトマスもユベントスとの2ndレグは出場停止でピッチにいなかったから。だったら何でサン・マメスではダメだったんだと悔しがってもあの時はまだ、選手たちも予想外のCL早期敗退にショック状態でしたからね。それだけに「Necesitabamos un partido de esta magnitud ante un rival que esta haciendo una gran temporada/ネセシタバマオス・ウン・パルティードー・デ・エスタ・マグニトゥッド・アンテ・ウン・リバル・ケ・エスタ・アシエンドー・ウナ・グラン・テンポラーダ(ウチには今季素晴らしいシーズンを送っている相手にこういうガツンとした試合が必要だった)」というシメオネ監督の言葉は真実味がありますが、はあ。
丁度、その日はヘタフェから帰って来た後、カタルーニャダービーだったバルサがエスパニョールにメッシの2発で2-0と勝っていましたからねえ。「Hasta que las posibilidades esten, soy exageradamente optimista/アスタ・ケ・ラス・ポシビリダーデス・エステン、ソイ・エクサヘラーダメンテ・オプティミスタ(可能性がある限り、自分は極端なまで楽観主義者)。サッカーでは1週間に沢山のことが起きる」という彼の態度を見習いたいと思っても凡人の私ではなかなか難しいかと。まあ少しは慰みになるのは、おかげでヘタフェが4位の座を奪われず、火曜のエスパニョール戦に姿勢を改めて挑めることですが、フラミニが出場停止でありながら、バルセロナ遠征に柴崎岳選手が招集されなかったのはちょっと残念でしたでしょうか。
え、そんな稀に見る0-4のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で驚かせたアトレティコだけど、またコスタが負傷という悪いニュースもあるんだろうって?そうですね、太ももに痛みを覚えてハーフでレマルと交代したんですが、火曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)から、ワンダ・メトロポリターノで行われるジローナ戦には間に合わないものの、幸い土曜のバルサ戦は大丈夫なよう。むしろ試合後にハムストリングのケガが発覚したレマルの方が長引くようで、うーん、シメオネ監督も今季の負傷者大量発生には、月曜の記者会見で「昨年のプレシーズン練習がリーガに必要とされるレベルに合っていなかったんだろう。Ahi hemos fallado y eso nos servira para el futuro/アイー・エモス・ファジャードー・イ・エソ・ノス・セルビラ・パラ・エル・フトゥロ(ウチはそこでしくじったが、これは将来役に立つはず)」と反省していましたけど、その通り。
この夏は国際主要大会もありませんし、7月には心おきなく、ロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のキャンプを堪能してほしいかと。ちなみにこのミッドウィーク節でバルサは同じ火曜にビジャレアル戦なんですが、今更気にしてどうなるような差ではありませんしね。ジローナは丁度、12位レガネスと2差下の13位ですし、今季はコパ・デル・レイ16強対決で負かされたリベンジも兼ねて、木曜にバジャドリーとのアウェイ戦に挑む、もう1つの弟分に力を貸してあげられるといいですよね。
そして翌日曜、午後2時にエスタディオ・バジェカスに足を運んだ私でしたが、スペインのランチタイムに行われる初めての試合ながらスタンドは大盛況。paron(パロン/リーガの中断期間)中にミチェル監督から交代したパコ・ヘメス監督の初陣だけあって、期待されていたのもありますが、前半34分にベベのラストパスをラウール・デ・トマスが撃ち込んで先制点を奪った時には確かにチームの変化が感じられたかと。ええ、あのポゼッション命のセティエン監督率いるベティスにボールを持たせず、ゲームの主導権を握っていたため、これでようやく泥沼の7連敗から脱出が叶うかと思われたんですが…。
あと一息でした。残り8分、カルバーリョのクロスをテジョがシュートしたところ、ティトに当たって同点ゴールを奪われてしまったから、熱い応援を続けていたファンたちもガッカリしたの何のって。うーん、その後もベベにチャンスがあったんですが、最終判断を誤り、ラージョは勝ち越し点を挙げることはできず。パコ・ヘメス監督は「引き分けだけでは価値がないが、これから勝利が伴えばいい結果と言える」とさほど落胆はしていませんでしたが、いやあ、だんだんタイムリミットが近づいてきていますからね。とにかく水曜のエイバル戦では勝ち点3を貯めて、現在5差ある残留ゾーンに一刻も早く到達してほしいものです。
そして夜には前節最後の試合、マドリーvsウエスカ戦をサンティアゴ・ベルナベウに見に行った私でしたが、まさかあそこまでジダン監督が思い切ったローテーションをやるとは!ええ、こちらは勝ち点差12とお隣さん以上にリーガ逆転優勝の可能性がないのはわかっていますが、アセンシオ、バラン、モドリッチ、クロースが招集外、カセミロもベンチでセバージョスやナチョ、ケガの治ったマルコス・ジョレンテがスタメンに入ったのはともかく、まさか冬の市場でマンチェスター・シティから移籍。ここまでプレー時間が10分程しかない19歳のブライムや20歳のGKルカ・ジダンが先発ってあまりに怖すぎない?
いえ、開始2分でクチョに決められて、ウエスカに先制点を奪われたのはナチョがチミ・アビラを逃してしまったせいで、別にジダン監督の次男が悪い訳じゃないんですけどね。いくら「クルトワは具合が悪くて、コスタリカから帰って来たケイロル・ナバスには休養を与えたかった」(ジダン監督)とはいえ、昨季最後のリーガ戦に出場したのみで、今季はもっぱらRMカスティージャ(リーガ2部BにいるマドリーのBチーム)でプレーしているGKが出てきたとなれば、昇格1年目の今季はここまで最下位が定位置。次はいつになるかわからないと遥々、ウエスカ(スペイン北東部の町)からチームを応援に駆けつけた2000人のサポーターをどんなに力づけたことか。
ただそれも前半25分、ベンゼマのシュートはGKサンタマリアが弾いたものの、こぼれ球を拾ったブライムが反対サイドにいたイスコにアシスト。これで同点となっただけでなく、後半19分にはベイルのクロスをベンゼマが頭で落とし、ゴール右前に詰めていたセバージョスが勝ち越しゴールを挙げたため、ウエスカの野望もここまでと思われたんですけどね。29分にはモイ・ゴメスのクロスをエチェイタが頭で決め、追いかれてしまったから、さあ大変!このままではロペテギ監督やソラリ監督の時と何も変わらないと私も呆れていたんですが、やっぱりツキを持っている監督というのはいるんですねえ。
まさか44分、ベンゼマがふわりと対角線上に放ったシュートが入り、久々に"奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)“が見られることになろうとは。結局、これが決勝点となり、3-2で何とか勝利したマドリーですが、いやあ、「Cuando un equipo como el Madrid sabe que no va a ganar trofeos cuesta/クアンドー・ウン・エキポ・コモ・エル・マドリッド・サベ・ケ・ノー・バ・ア・ガナール・トロフェオス・クエスタ(マドリーのようなチームが何も獲れるトロフィーがない時は苦労する)」というジダン監督の言い分もわかりますけどね。上司が代わっても相変わらずパッとしないベイルやマルセロにはpito(ピト/ブーイング)が飛んでいましたし、何よりスタンドが半分程しか埋まっていなかったのは淋しいばかり。
そこへ、ジダン監督は否定しているものの、シーズン終了まで来季に向けた選手たちのテストが続くかと思うとちょっと私も憂鬱になりますが、もしからしたら、この先ベルナベウであるエイバル、アスレティック、ビジャレアル、ベティス戦はマドリッド観光の予定があるファンにとって、チケットが簡単に買えて狙い目かも。まあ当面はこの水曜日、午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)に控えているメスタジャでのバレンシア戦、相手は先週末に倒したセビージャと共にヘタフェと勝ち点差3に迫るCL出場権争いのライバルなため、弟分のためにも頑張ってもらいたいんですけどね。クルトワはまだ太もものケガでお休みですが、今度は代表戦明けで休養していたメンバーも戻りますし、もう少し上級のプレーが見られるといいですよね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
え、そうは言ったって、今季はもうあと9節。しかもバルサが大差をつけて首位を独走しているため、私が気を揉むのはせいぜい、ヘタフェが現在の4位という高みを維持、クラブ史上初のCL出場権をゲットして、常連の兄貴分2チームに肩を並べることができるのか、今季3年ぶりに1部に戻ってきたラージョが何とか降格圏を脱して残留、マドリッドの1部5チーム体制が来季も存続できるのかといったぐらいじゃないのかって?そうですね、実際、その通りで先週末の結果はどちらもかなり、不安を残すもの。というのも…。
ちなみにボルダラス監督の弁によると、「El Leganes corrio 5 kilometros y medio mas que el Getafe/エル・レガネス・コリオ・シンコ・キロメトロス・イ・メディオ・マス・ケ・エル・ヘタフェ(レガネスはヘタフェより5.5キロ多く走った)」とのことで、どうやらこの日のチームには競争心が欠けていたようですけどね。ちょっと気になるのは「No estamos obligados a jugar en Europa/ノー・エスタモス・オブリガードー・ア・フガール・エン・エウロッパ(ウチにはヨーロッパの大会でプレーする義務はない)」という彼の言葉で、うーん、これって6、7年前にはルイス・ガルシア監督の下、ユーロヘタともてはやされながら、残留を確定するやいなや、シーズン終盤で失速、最後は順位表の中程で終わっていた時代を思い出さない?
まあ中途半端にELに行くと、木曜の夜、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのスタンドに荒寥感が漂うのを久々に目撃することになるかもしれないため、それも困ってしまうんですけどね。とりあえず、私もその日は16年ぶりにヘタフェのホームで勝利を挙げたレガネスが勝ち点36とまた一歩、残留に近づいたことを喜ぶことにしたんですが、大丈夫。2ポイント差で5位につけるアラベスもどうやら、すでに目標達成済みのバケーションムードにあったのは同じだったよう。
だってえ、そうでなかったら、あの代表戦週間前、ユベントスにCL16強対決で無残な逆転敗退を喫し、続くリーガ戦でもアスレティクに2-0の負け。首位との差を勝ち点差10に広げられ、夢も希望もなくなっていたアトレティコが大勝なんて、できる訳ないじゃないですか。そう、最近習慣になっていたゆとりサッカーをかなぐり捨て、キックオフと同時に猛攻をかけた彼らはワンタッチで素早く繋ぐパスを繰り出すと、4分にはサウールが先制点をゲット。いやあ、その1分前には似たようなシュートをGKパチェコに弾かれていただけに、ホッとしたのは「El gol me alivia mucho/エル・ゴル・メ・アリビア・ムーチョ(ゴールはボクの気分をとても軽くしてくれた)。スペイン代表でも3度、絶好機に失敗していたからね」という当人だけではなかったかと。
それから間もなく、10分に続いたのはジエゴ・コスタ。コケからエリア前でボールをもらうと、狙い澄ましたvaselina(バセリーナ/ループシュート)を決めてくれるんですから、驚いたの何のって。2点を先取したアトレティコはそこから、通常モードに戻り、ハールタイム前にはピナのヘッドをサウールがゴールライン上でクリアするなんてピンチもあったんですが、後半にはカウンターが炸裂。ええ、こちらもスペインのユーロ予選1戦目、ノルウエー戦でチャンスを何度もムダにした後、2戦目のマルタ戦で2ゴール挙げて風向きが変わったんでしょうかね。13分には敵ゴールに向かって独走したモラタがGKとの1対1に勝ち、3点目を入れてくれることに。加えて38分にはトマスも自慢のキック力を披露、エリア前から弾丸シュートでgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げているって、やだあもう。何でそれをトリノでやってくれないんです!
はい、解答はご存知の通り、コスタもトマスもユベントスとの2ndレグは出場停止でピッチにいなかったから。だったら何でサン・マメスではダメだったんだと悔しがってもあの時はまだ、選手たちも予想外のCL早期敗退にショック状態でしたからね。それだけに「Necesitabamos un partido de esta magnitud ante un rival que esta haciendo una gran temporada/ネセシタバマオス・ウン・パルティードー・デ・エスタ・マグニトゥッド・アンテ・ウン・リバル・ケ・エスタ・アシエンドー・ウナ・グラン・テンポラーダ(ウチには今季素晴らしいシーズンを送っている相手にこういうガツンとした試合が必要だった)」というシメオネ監督の言葉は真実味がありますが、はあ。
丁度、その日はヘタフェから帰って来た後、カタルーニャダービーだったバルサがエスパニョールにメッシの2発で2-0と勝っていましたからねえ。「Hasta que las posibilidades esten, soy exageradamente optimista/アスタ・ケ・ラス・ポシビリダーデス・エステン、ソイ・エクサヘラーダメンテ・オプティミスタ(可能性がある限り、自分は極端なまで楽観主義者)。サッカーでは1週間に沢山のことが起きる」という彼の態度を見習いたいと思っても凡人の私ではなかなか難しいかと。まあ少しは慰みになるのは、おかげでヘタフェが4位の座を奪われず、火曜のエスパニョール戦に姿勢を改めて挑めることですが、フラミニが出場停止でありながら、バルセロナ遠征に柴崎岳選手が招集されなかったのはちょっと残念でしたでしょうか。
え、そんな稀に見る0-4のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で驚かせたアトレティコだけど、またコスタが負傷という悪いニュースもあるんだろうって?そうですね、太ももに痛みを覚えてハーフでレマルと交代したんですが、火曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)から、ワンダ・メトロポリターノで行われるジローナ戦には間に合わないものの、幸い土曜のバルサ戦は大丈夫なよう。むしろ試合後にハムストリングのケガが発覚したレマルの方が長引くようで、うーん、シメオネ監督も今季の負傷者大量発生には、月曜の記者会見で「昨年のプレシーズン練習がリーガに必要とされるレベルに合っていなかったんだろう。Ahi hemos fallado y eso nos servira para el futuro/アイー・エモス・ファジャードー・イ・エソ・ノス・セルビラ・パラ・エル・フトゥロ(ウチはそこでしくじったが、これは将来役に立つはず)」と反省していましたけど、その通り。
この夏は国際主要大会もありませんし、7月には心おきなく、ロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のキャンプを堪能してほしいかと。ちなみにこのミッドウィーク節でバルサは同じ火曜にビジャレアル戦なんですが、今更気にしてどうなるような差ではありませんしね。ジローナは丁度、12位レガネスと2差下の13位ですし、今季はコパ・デル・レイ16強対決で負かされたリベンジも兼ねて、木曜にバジャドリーとのアウェイ戦に挑む、もう1つの弟分に力を貸してあげられるといいですよね。
そして翌日曜、午後2時にエスタディオ・バジェカスに足を運んだ私でしたが、スペインのランチタイムに行われる初めての試合ながらスタンドは大盛況。paron(パロン/リーガの中断期間)中にミチェル監督から交代したパコ・ヘメス監督の初陣だけあって、期待されていたのもありますが、前半34分にベベのラストパスをラウール・デ・トマスが撃ち込んで先制点を奪った時には確かにチームの変化が感じられたかと。ええ、あのポゼッション命のセティエン監督率いるベティスにボールを持たせず、ゲームの主導権を握っていたため、これでようやく泥沼の7連敗から脱出が叶うかと思われたんですが…。
あと一息でした。残り8分、カルバーリョのクロスをテジョがシュートしたところ、ティトに当たって同点ゴールを奪われてしまったから、熱い応援を続けていたファンたちもガッカリしたの何のって。うーん、その後もベベにチャンスがあったんですが、最終判断を誤り、ラージョは勝ち越し点を挙げることはできず。パコ・ヘメス監督は「引き分けだけでは価値がないが、これから勝利が伴えばいい結果と言える」とさほど落胆はしていませんでしたが、いやあ、だんだんタイムリミットが近づいてきていますからね。とにかく水曜のエイバル戦では勝ち点3を貯めて、現在5差ある残留ゾーンに一刻も早く到達してほしいものです。
そして夜には前節最後の試合、マドリーvsウエスカ戦をサンティアゴ・ベルナベウに見に行った私でしたが、まさかあそこまでジダン監督が思い切ったローテーションをやるとは!ええ、こちらは勝ち点差12とお隣さん以上にリーガ逆転優勝の可能性がないのはわかっていますが、アセンシオ、バラン、モドリッチ、クロースが招集外、カセミロもベンチでセバージョスやナチョ、ケガの治ったマルコス・ジョレンテがスタメンに入ったのはともかく、まさか冬の市場でマンチェスター・シティから移籍。ここまでプレー時間が10分程しかない19歳のブライムや20歳のGKルカ・ジダンが先発ってあまりに怖すぎない?
いえ、開始2分でクチョに決められて、ウエスカに先制点を奪われたのはナチョがチミ・アビラを逃してしまったせいで、別にジダン監督の次男が悪い訳じゃないんですけどね。いくら「クルトワは具合が悪くて、コスタリカから帰って来たケイロル・ナバスには休養を与えたかった」(ジダン監督)とはいえ、昨季最後のリーガ戦に出場したのみで、今季はもっぱらRMカスティージャ(リーガ2部BにいるマドリーのBチーム)でプレーしているGKが出てきたとなれば、昇格1年目の今季はここまで最下位が定位置。次はいつになるかわからないと遥々、ウエスカ(スペイン北東部の町)からチームを応援に駆けつけた2000人のサポーターをどんなに力づけたことか。
ただそれも前半25分、ベンゼマのシュートはGKサンタマリアが弾いたものの、こぼれ球を拾ったブライムが反対サイドにいたイスコにアシスト。これで同点となっただけでなく、後半19分にはベイルのクロスをベンゼマが頭で落とし、ゴール右前に詰めていたセバージョスが勝ち越しゴールを挙げたため、ウエスカの野望もここまでと思われたんですけどね。29分にはモイ・ゴメスのクロスをエチェイタが頭で決め、追いかれてしまったから、さあ大変!このままではロペテギ監督やソラリ監督の時と何も変わらないと私も呆れていたんですが、やっぱりツキを持っている監督というのはいるんですねえ。
まさか44分、ベンゼマがふわりと対角線上に放ったシュートが入り、久々に"奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)“が見られることになろうとは。結局、これが決勝点となり、3-2で何とか勝利したマドリーですが、いやあ、「Cuando un equipo como el Madrid sabe que no va a ganar trofeos cuesta/クアンドー・ウン・エキポ・コモ・エル・マドリッド・サベ・ケ・ノー・バ・ア・ガナール・トロフェオス・クエスタ(マドリーのようなチームが何も獲れるトロフィーがない時は苦労する)」というジダン監督の言い分もわかりますけどね。上司が代わっても相変わらずパッとしないベイルやマルセロにはpito(ピト/ブーイング)が飛んでいましたし、何よりスタンドが半分程しか埋まっていなかったのは淋しいばかり。
そこへ、ジダン監督は否定しているものの、シーズン終了まで来季に向けた選手たちのテストが続くかと思うとちょっと私も憂鬱になりますが、もしからしたら、この先ベルナベウであるエイバル、アスレティック、ビジャレアル、ベティス戦はマドリッド観光の予定があるファンにとって、チケットが簡単に買えて狙い目かも。まあ当面はこの水曜日、午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)に控えているメスタジャでのバレンシア戦、相手は先週末に倒したセビージャと共にヘタフェと勝ち点差3に迫るCL出場権争いのライバルなため、弟分のためにも頑張ってもらいたいんですけどね。クルトワはまだ太もものケガでお休みですが、今度は代表戦明けで休養していたメンバーも戻りますし、もう少し上級のプレーが見られるといいですよね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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