【総評】CLグループA~D

2015.12.11 15:30 Fri
▽2015-16シーズンのCLグループステージが9日に終了した。スペイン勢が3チーム、イングランド勢が3チーム、ドイツ勢が2チーム、イタリア勢が2チーム、そのほか、ポルトガル、フランス、ロシア、ウクライナ、オランダ、ベルギーからそれぞれ1チームがベスト16に勝ち上がる結果となった。波乱はマンチェスター・ユナイテッドとバレンシアの敗退で、CL本選初出場のヘントや9シーズンぶりに決勝トーナメント進出を果たしたPSVの健闘が光った。本稿ではAからHまで各グループの総評をしていきたい。

★グループA
■順位表■
[勝ち点/勝/引/負/得失点]
1:レアル・マドリー[16/5/1/0/16]
2:パリ・サンジェルマン[13/4/1/1/11]
3:シャフタール[3/1/0/5/-7)
4:マルメ[3/1/0/5/-20]

赤字はノックアウトラウンド進出チーム
黄字はヨーロッパリーグ出場チーム
◆2強が突破
▽2強と目されたレアル・マドリーとパリ・サンジェルマンが順当に決勝トーナメントへ進出した。ベニテス監督と一部選手たちの確執が噂される中、レアル・マドリーが危なげなく5勝1分けの戦績で首位通過を果たした。PSGとは拮抗した試合を演じたものの、シャフタールとマルメに対しては横綱相撲を見せ、2試合を残してグループステージ突破を果たした。そんなチームを牽引したのはC・ロナウド。グループステージでの大会記録となる11ゴールを荒稼ぎした。

▽ブラン体制3シーズン目のPSGも磐石の安定感を示し、1試合を残して決勝トーナメント進出を決めた。レアル・マドリーに対して1分け1敗と後塵を拝したが、試合内容では見劣りしなかった。そして、6試合で12得点1失点と攻守に成熟したパフォーマンスを発揮。新戦力のディ・マリアもすんなりとフィットしており、チーム力を上げていることを証明している。
▽昨季ベスト16に進出したウクライナ王者シャフタールだったが、ドグラス・コスタやルイス・アドリアーノといった主力を引き抜かれたチームは、戦力ダウンが否めなかった。そして、イブラヒモビッチの古巣マルメはシャフタールに対して1勝するのが精一杯で、最下位に終わった。

★グループB
■順位表■
[勝ち点/勝/引/負/得失点]
1:ヴォルフスブルク[12/4/0/2/3]
2:PSV[10/3/1/2/1]
3:マンチェスター・ユナイテッド[8/2/2/2/0]
4:CSKAモスクワ[4/1/1/4/-4]

◆ユナイテッド敗退でヴォルフス&PSV突破
▽実力、実績十分の名門が揃ったグループBは、他のクラブよりも経験値や戦力面で抜けているとみられていたマンチェスター・ユナイテッドが序盤戦から不安定な戦いに終始したことで、上位2枠を巡る争いが激化。最終節を前に、首位のヴォルフスブルクから3位のPSVまで、勝ち点2差でひしめく大混戦となった。

▽その拮抗したグループBを首位通過したのは、序盤戦から最も安定した戦いを見せていたヴォルフスブルクだった。最終節の結果によっては、グループステージ敗退の可能性もあったが、2位につけるユナイテッドとの直接対決で3-2の逆転勝ち。見事にクラブ史上初となるグループステージ突破を果たした。

▽ヴォルフスブルクに次ぐ2位に滑り込んだのは、オランダ王者のPSVだった。戦前の期待値は決して高くなかったが、開幕戦でユナイテッドから金星を掴むと、その後も大崩れすることなく、コンスタントに勝ち点を獲得。最終節ではCSKAモスクワに逆転勝利を収め、2006-07シーズン以来のグループステージ突破となる2位通過を確定させた。

▽そして、このグループ突破の最有力候補とみられていたユナイテッドは、3位でフィニッシュ。3試合で1分け2敗というアウェイゲームの戦績や、わずか7得点という深刻な得点力不足が災いする形で、ELに回ることになった。主力に負傷者続出のエクスキューズもあったが、戦前の期待値は高かっただけに、この結果は受け入れがたい。

▽最下位に終わったCSKAモスクワは、第3節まで1勝1分け1敗で他の3チームとデットヒートを繰り広げていたものの、後半戦で痛恨の3連敗。最終節では、PSVに大量得点で勝てば、わずかながらEL出場圏内の3位に滑り込むチャンスもあったが、逆転負けでその夢も潰えた。

★グループC
■順位表■
[勝ち点/勝/引/負/得失点]
1:アトレティコ・マドリー[13/4/1/1/8]
2:ベンフィカ[10/3/1/2/2]
3:ガラタサライ[5/1/2/3/-4]
4:アスタナ[4/0/4/2/-6]

◆波乱なし
▽戦前の予想通り、アトレティコ・マドリーとベンフィカが最終節を残して勝ち抜けを決めた。首位通過を果たしたのは最終節ベンフィカとの頂上対決を制したアトレティコ。シメオネ体制5シーズン目の安定感と、4ゴールを挙げたグリーズマンの得点力を武器に危なげなく1試合を残してグループステージ突破を決めた。ベンフィカとは互角の戦いを演じたものの、ガラタサライにダブル、アスタナに1勝1分けと格下を寄せ付けない磐石の戦いぶりだった。

▽2位通過となったベンフィカもアトレティコ同様、1試合を残して決勝トーナメント進出を決める余裕の戦いぶりだった。ジョルジュ・ジェズス監督がスポルティングに引き抜かれたものの、ガイタンやタリスタといったビッグクラブ注目のタレントたちがしっかりと活躍し、4年ぶりに決勝トーナメント進出を果たした。

▽ベンフィカとの2位争いが期待されたガラタサライだったが、ポドルスキを獲得したトルコ王者は2強に割って入るほどの実力は擁していなかった。そして、カザフスタンのクラブ史上、初めてCL出場を果たしたアスタナはホームで3分けと健闘したものの、2強には及ばなかった。

★グループD
■順位表■
[勝ち点/勝/引/負/得失点]
1:マンチェスター・シティ[12/4/0/2/4]
2:ユベントス[11/3/2/1/3]
3:セビージャ[6/2/0/4/-3]
4:ボルシアMG[5/1/2/3/-4]

◆シティとユーベが順当に死の組突破
▽欧州主要4リーグのクラブが同居した“死の組”かと思われたグループDだったが、2試合を残してマンチェスター・シティが、最終節を残してユベントスがそれぞれ勝ち抜けを決めた。

▽そんな中で首位通過を果たしたのはシティ。ユベントスにダブルを喫して最終節を前に2位に転落したシティだったが、セビージャとボルシアMGに対して全勝し、首位通過を決めた。アグエロやシルバ、コンパニといった主力をケガで欠くこともあった中、守護神ハートを軸に踏ん張りを見せ、3年連続ベスト16進出を果たした。

▽シティに続いたのは昨季ファイナリストのイタリア王者ユベントス。初戦の敵地でのシティ戦をブッフォンの活躍で制した勢いそのままに、スタートに躓いたセリエAとは打って変わって順調に決勝トーナメントへ進出した。守備陣の奮闘を軸にシティ相手にダブルを達成し、最終節セビージャ戦を引き分ければ首位通過という状況に持ち込んだが、ジョレンテの古巣弾を浴びて敗れ、2位での通過となった。

▽ボルシアMGとの3位争いを制してヨーロッパリーグ(EL)に回ったのは、EL2連覇中のセビージャ。リーガとの二束の草鞋に耐えられず、初戦のボルシアMG戦の勝利以降、4連敗を喫したが、最終節ユベントス戦で意地を見せ、慣れ親しんだ大会へ回ることに成功した。

▽最下位に終わったものの、ボルシアMGも実力を示した。シューベルト監督就任と同時に国内リーグ同様に昨季の調子を取り戻していった古豪は、ユベントスに2度引き分け、シティ相手にも互角以上の戦いを見せるなど存在感を示した。

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