称賛集まる冨安健洋はアーセナルの救世主に、ダービー完勝で際立つトッテナムと明暗分けた右SBの補強

2021.10.01 12:57 Fri
Getty Images
今シーズンのプレミアリーグで開幕から無得点で3連敗と最悪のスタートを切ったアーセナル。対して、ノース・ロンドンのライバルであるトッテナムは開幕戦で王者のマンチェスター・シティを破るなど、1-0で3連勝を飾った。
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対象的なシーズンのスタートに、サポーターはそれぞれの思いがあっただろう。
しかし、9月のインターナショナル・マッチウィークが明けると、アーセナルは下位相手に苦しみながらも1-0で連勝。一方のトッテナムは、それまでの好調がウソのように0-3で連敗を喫し、ノース・ロンドン・ダービーへと臨んだ。

9月26日に行われたダービーの結果はご存知の通り。立ち上がりから主導権を握ったアーセナルが、前半で3ゴールを奪う完璧なスタートを見せると、後半にソン・フンミンに1点を返されるも3-1で快勝。順位でもトッテナムを追い抜くことができた。

この敗戦に対し、トッテナムOBのジェイミー・オハラ氏は『talkSPORT』で「ゴミのようなスパーズに勝ち、ヨーロッパで優勝したかのようだ」と勝利に沸くアーセナルを酷評したが、試合前には「Bチームに1億3500万ポンドも費やした」とアーセナルの補強をバカにしており、単なる負け惜しみとして嘲笑されていた。
ただ、実際にはアーセナルファンも懐疑的だったことは事実だろう。特に、最後に獲得した日本代表DF冨安健洋には疑問の目が向けられた。

この冨安は、長らくトッテナムが獲得を狙っていたが、ボローニャとの折り合いがつかなかったこと、そして冨安より安価に獲得できたことから、バルセロナからブラジル代表DFエメルソン・ロイヤルを獲得していた。

しかし、この獲得が明暗を分けていると言っても良い。エメルソンは第4節のクリスタル・パレス戦、第5節のチェルシー戦と先発するもともに0-3で敗戦。アーセナル戦は後半から途中出場した。

対する冨安は同じ第4節のノリッジ戦でデビューを果たすと第5節のバーンリー戦にも出場。圧巻のスタッツで右サイドバックとして仕事をしていた。

そしてトッテナム戦である。イングランド代表FWハリー・ケインや韓国代表FWソン・フンミンと、トッテナムの主軸でありプレミアリーグで結果を残している相手を封じると、空中戦の勝率は100%。さらに3試合でドリブル突破を一度も許さず、ファン投票によるマン・オブ・ザ・マッチに選出されていた。

試合前、アーセナルでもキャプテンを務めた元イングランド代表DFトニー・アダムス氏は、DFカラム・チャンバースと比較し「正直に言えば、彼(ミケル・アルテタ監督)はチャンバースをチームから外し、殺してしまった。しかし、彼は冨安を加えた」と語り、「他の選手とともにプレーする必要がある。もし彼がそのポジションで、全てのデュエルに勝ってくれるなら、私は嬉しい」とコメント。疑いの目で冨安を見ていた。

しかし、ノース・ロンドン・ダービーでのパフォーマンスを見た後は「トミのポジショニングは素晴らしかった。トミが大好きで、彼のポジショニングは素晴らしかった。彼らはピッチの至る所で超越し、前半で試合は終わっていた」と手放しで絶賛。手のひら返しとも言えるが、クラブのレジェンドも高く評価した。

これは元イングランド代表FWでアーセナルでもエースとして活躍したイアン・ライト氏も同じだ。「冨安にはとてもとても感謝している」、「彼と契約した時の無礼な態度を覚えているだろう。彼はまだデュエルで負けておらず、今も素晴らしいパフォーマンスを見せている」と手放しで絶賛していた。

さらに、ギャリー・リネカー氏も冨安を評価。「特筆すべきは、右サイドにの冨安だ。冨安はアーセナルを何度も救った」と語り、「彼は2度もやってくれた。このフォローがなければ、ゴールを与えていた可能性がある」と、トッテナム戦でのカバーリングを評価していた。

冨安獲得を望んでいながら、最後にエメルソンを選択したトッテナムと、最後まで追い続け批判を受ける覚悟で冨安を獲得したアーセナル。ノース・ロンドンで起きた右サイドバックを巡る争いは、今の所冨安の完勝と言える。



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