コラム

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【日本代表コラム】疑問が生じ、疑念を抱かされた日本代表発表

▽18日、30日に行われるキリンチャレンジカップのガーナ代表戦に向けた日本代表メンバー27名が発表された。ロシア・ワールドカップ(W杯)に向けたラージリスト35名の提出期限が14日であり、そこから4日、8名が落選となった。 ▽27名の名前は、既にみなさんが把握している通り。ここから4名がさらに落選となり、本大会に臨むこととなる。様々な感情が生まれかねないメンバー構成となったが、まずは選ばれた選手たちには全力でプレーし、結果を求めてもらいたいということだ。 ▽本大会のGK登録が3名ということを考えると、GK川島永嗣(メス)、GK東口順昭(ガンバ大阪)、GK中村航輔(柏レイソル)はケガがない限りは確定している。アジア最終予選で日本のゴールを守り続けたGK西川周作(浦和レッズ)は残念ながら落選となった。 ▽つまり、ここから外される4名は全てフィールドプレーヤーということ。21日から始まる合宿、そして30日のガーナ代表戦、31日に予定されているトレーニングマッチでのパフォーマンスで最終決断がされることとなる。 ▽さて、話を戻すが、今回のメンバー発表にはいささか疑問が生まれる点、そして疑念を抱かさざるを得ない点があった。大会開幕まで2カ月となった時点でヴァイッド・ハリルホジッチ前監督を突如解任することも疑問ではあるが、本来であれば応援してもらうはずの人々に、最後まで大きな不信感を抱かせたまま本大会に臨むこととなってしまう結末となりそうだ。 ◆負傷者情報の不足Getty Images▽疑問の1つ目は、負傷者の情報を把握できていなかったということだ。今回のメンバー発表で2名が外されていた。それは、MF今野泰幸(ガンバ大阪)とFW小林悠(川崎フロンターレ)だ。 ▽小林に関しては、発表当日の朝(18日)に負傷の報告を受けたとのこと。14日のラージリスト提出の時点でどうであったかはわからないが、ここは致し方ない部分もあるのかもしれない。 ▽問題は今野の方だ。西野監督は「リストを上げた翌日にそういう結果が出たので、やむなくリスト外としました」と会見で語ったが、手術が必要な状況にある選手の状況をなぜ把握できていなかったのか。クラブとの連係が悪かったとしか言えないだろう。貴重な候補の1枠を自らの手で手放したということは、日本サッカー協会としていかがなものかと思う。 ▽さらに、この時点でガンバ大阪からは今野の負傷については発表されておらず、手術を受けるという事実を公表して良かったのか。小林も同様だ。リーグ戦が1試合残っていた時点での公表という判断は疑問だ。(原稿執筆時点の20日でも発表はされていない) ◆クラブチームへの不可解な配慮Getty Images▽疑問の2つ目は、海外クラブへの配慮だ。西野監督は会見でFW久保裕也(ヘント)の招集について問われ、「自クラブで27日までプレーオフというシビアなゲームを控えています」と答えた。そもそも、ベルギー・ジュピラーリーグのプレーオフは20日までであり、スケジュールの間違いもあるが、それ以前に招集外の理由が疑問だ。 ▽クラブにとっての大事な試合があることは十分理解できるが、それを理由に選出しないというのは前代未聞だ。大事な試合があるから合流が遅れるのは理解できる。しかし、W杯に向けた準備をする中で、招集ではなく追加招集を考えるというのも疑問だ。理解し難い理由を並べたことは疑念も抱かさせることとなったと言える。 ◆判断基準となった「ポリバレント」Getty Images▽疑問の3つ目は、会見で西野監督が口にした「ポリバレント」だ。かつて日本代表を率いたイビチャ・オシム監督が使った「ポリバレント」。「多くの価値を持つ」という意味もあり、サッカーにおいてはユーティリティ性を表すときに使われる。 ▽その「ポリバレント」という言葉によって選外となったのが、FW中島翔哉(ポルティモネンセ)だ。今シーズンのポルトガル・プリメイラリーグで29試合に出場し、10ゴール12アシストを記録。左ウイングでの起用がメインだったが、リオ・デ・ジャネイロ・オリンピックではトップ下でもプレーし、「ポリバレント」ではないとは言い切れない。 ▽一方で、招集を受けた選手が「ポリバレント」なのかと言われると、その印象がない選手も多い。例えば、FW浅野拓磨(シュツットガルト)だ。スピードが武器の浅野だが、基本的には右ウイングでプレー。2トップの一角でもプレーはできるが、「ポリバレント」とは言いがたい。 ▽そもそも、中盤や守備的なポジションの選手に対して「ポリバレント」であることを求めるのは理解できる。23名という限られたメンバーで、累積警告や負傷などで選手を欠くこともあるだろう。それを想定し、複数ポジションをこなす選手が居ることはチームにとってプラスだ。例えばMF遠藤航(浦和レッズ)はセンターバックだけでなく、ボランチ、右サイドバックでもプレーが可能だ。DF酒井高徳(ハンブルガーSV)は両サイドバックで起用可能であり、チームではボランチを務めていた時期もあった。 ▽逆に、攻撃的なポジションでプレーする選手は、「ポリバレント」というよりも、何か特長を持った選手が重要だと思う。スピード、テクニック、高さ…さらには、得点力、チャンスメイク、セットプレーと、戦い方によって必要な特長は変わるが、局面を打開する力を持った選手が必要だろう。 ◆選考基準の曖昧さGetty Images▽最後は、疑問であり、疑念を抱かせる選考基準だ。今回招集を受けた27名には、負傷明けの選手、クラブチームで出場機会に恵まれていない選手もいる。一方で、前述の中島以外にも、クラブで結果を残している選手が招集外となっている。 ▽例えば、久保。追加招集を示唆されているが、今シーズンはリーグ戦で30試合に出場し7ゴール2アシスト、プレーオフでは6試合で3ゴールを記録している。また、同じベルギーでプレーするMF森岡亮太(アンデルレヒト)は、リーグ戦で30試合に出場し10ゴール14アシスト、プレーオフでも9試合に出場し3ゴール1アシストを記録している。その他にも、MF堂安律(フローニンヘン)はエールディビジで29試合に出場し9ゴール4アシストを記録している。クラブで結果を残し、調子もコンディションも悪くない選手が選外となった。これは国内組にも言えることだ。 ▽一方で、選出された浅野はブンデスリーガで15試合1ゴール。しかし、2018年は1度も試合に出ていない。1月にガンバ大阪からクルトゥラル・レオネサへと移籍したMF井手口陽介は、5試合の出場にとどまり、2月18日を最後に試合に出場していない。 ▽浅野と同じスピードを武器とする選手ならば、FC東京のFW永井謙佑や柏レイソルのFW伊東純也の方がコンディション、試合勘はあるだろう。MF井手口陽介と同じボランチを務める選手は7名も招集されているため、ここは井手口のコンディションを考慮しているのかもしれない。 ▽出場機会や結果が有力な選考基準とはならず、コンディションさえも不確実な選手が優先される状況。選手にとっては4年に1度の大事なイベントとなるだけに、曖昧な基準が説明されたことが残念でならない。 ▽「間違いなく6月19日にワールドカップの大舞台で最高のコンディションになるであろう選手たちを自分の中でも予測した」と西野監督は口にしたが、試合に出ていない選手が1カ月を切った公式戦が少ない中で、トップコンディションに戻るものなのか。どのような勝算があるか分からないが、疑問が残る選出となった。 ◆将来性がなければ求められるのは結果Getty Images▽今回招集された27名のうち、リオ五輪世代以降の選手は7名となっており、決して若い選手が多いとはいえない。また、2014年のブラジル・ワールドカップに出場していたメンバーは12名が呼ばれている状況だ。 ▽全ての選手を一新する必要性はないが、選手の年齢を考えると、2022年のカタール・ワールドカップに繋がる選考とは言いがたい状況だ。加えて、若い世代でも活躍している選手がいる中で、招集を考慮していなかったことを考えると、これまでの3年間で多くの選手を試してきたハリルホジッチ監督を交代させた影響が出ているとも言える。 ▽結果を求めるために監督を交代したと田嶋幸三JFA会長は明言していた。経験豊富な選手を揃えたのであれば、より結果が求められることとなる。将来性を考慮しないのであれば、今大会で結果を残すことが最低条件となり、そのための時間はもう残されていない。いずれにしても、開幕2カ月前の監督交代から続く煮え切らない状況は、最後の局面を迎えても変わらなかった。求心力を失いつつある日本代表、今後の日本サッカーに与える影響は、国内にとどまらず、海外に向けても小さくはなさそうだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.05.20 18:45 Sun
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【原ゆみこのマドリッド】相手がマドリーじゃなきゃ勝てる…

▽「男女合同どころか、全チーム出て来るって!?」そんな風に私が呆気に取られていたのは金曜日、ネプトゥーノの噴水前に組まれた祝勝イベント用舞台を眺めながら、アトレティコがヨーロッパリーグのトロフィーと共に到着するのを待っていた時のことでした。いやあ、予想通り、リーガ1部2連覇を果たした女子チームは男子と2台、オープンデッキバスを連ね、マドリッド市庁舎、大聖堂、マドリッド州庁舎を回るパレードをしていたんですけどね。どうやら今季のカンテラ(ユース組織)は非常に出来が良かったようで、全てのカテゴリーで優勝。そこで小さな子供たちから順に男女、計10チーム程が次々、舞台に上がり、すでにかなり集まっていたファンの前でお祝いって、これって完全に男子トップチームに便乗していない? 女子に続いてアトレティコ男子のバスが煙に包まれて会場入り アトレティコの選手たちがバスの上ではしゃいでいる 本当にはしゃいでいる カンテラのチームも舞台に上がる ▽まあ、祝勝イベントのことはまた後で報告しますが、そのアトレティコのEL決勝があった水曜はまず午前中、コリセウム・アルフォンソ・ペレスまで私は足を運ぶことに。いえ、練習はすでに前節、セビージャがベティスと引き分けたせいで、来季のEL予選出場権をもらえる7位になれないことが確定。今週末土曜の最終節はアウェイで降格チームのマラガとの消化試合のヘタフェだというのに何故か、puerta cerrada(プエルタ・セラーダ/非公開)のセッションだったため、練習は見ることができなかったんですけどね。おかげで数人いた日本人ファンたちもスタジアムのロビーで柴崎岳選手が着替えて出て来るのを待っているしかなかったのは気の毒だったんですが、その日の私の目的はボルダラス監督の契約延長発表記者会見。 ▽非公式にはしばらく前から確定済みになっていたものの、リーガの結末がついたため、ようやく2年間の延長が発表されたんですが、スポーツディレクターのプラナス氏と一緒に現れたボルダラス監督は1部再昇格後の初シーズンを「La temporada es de sobresaliente, le daría un 9'5/ラ・テンポラーダ・エス・デ・ソブレサリエンテ、レ・ダリア・ウン・ヌエベ・コンマ・シンコ(今季の成績は最優秀、9.5点をつけたいね)」と評価。先日、兄貴分のアトレティコとのミニダービーの後などはやはりヨーロッパの夢が消えてしまったため、ご機嫌斜めだったんでしょうね。日本人記者から出た柴崎選手に関しての質問を「今はチームのことを話したい」と一蹴していたものの、この日は「人としてのレベルではとても満足している」と答えてくれました。 ▽ただ、「Futbolísticamente nos hubiera gustado que rendimiento fuera mayor/フットボリスティカメンテ・ノス・ウビエラ・グスタードー・ケ・レンディミエントー・フエラ・マジョール(サッカー的にはもっと大きなパフォーマンスがあった方が良かった)」そうで、うーん、確かに最近は出番も多くありませんでしたからね。もちろん、「だが簡単ではない。彼だけでなく、世界最高のリーガ1部にデビューした皆に起こったことだ」とフォローしてくれていましたが、翌日、シーズン終了を告げるチーム全員揃っての教会への献花を終えたヘタフェのプレーを見られるのも土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのマラガ戦が最後。これで彼らもバケーション入りですから、せめてピッチで柴崎選手の雄姿を見られるといいんですが…。 ▽そして夕方にはEL決勝のパブリック・ビューイングが行われるワンダ・メトロポリターノに向かった私でしたが、グラウンドには3方のスタンドに向けて5台の大型スクリーンが設置されていたものの、何と記者席の前にはないという逆境に遭遇。正面スタンドの両脇にある電光スコアボードで見る破目になった上、キックオフまでは場内を埋める、2万5000人のアトレティコファンが盛り上がる様子ばかり映っていたため、本当に観戦できるのか不安になったものでしたが、大丈夫。普段通り、スピーカーでラインアップが発表された後、いよいよリヨンからの中継が始まりました! ▽え、開始3分にはパイエのスルーパスからジェルマンにフリーでシュートを撃たれたり、酒井宏樹選手の負傷中、レギュラーになったサールにも狙われたりと、序盤のアトレティコは相手の勢いに押され、パスが3回も続かない恐ろしい有様じゃなかったかって?いやあ、私も開会セレモニー中にオリンピック・マルセイユのサポーターが陣取るゴール裏席がbengala(ベンガラ/発煙筒)で赤く燃え上がり、ピッチまで白く煙に覆われて、お隣さんとPSGのCL16強対戦2ndレグのパルク・デ・プランス化しているのには閉口したんですけどね。まさか、そのせいでボールが見えにくかったなんて言い訳はしなくても、彼らにはよくあることだったため、ハラハラしつつも視界が良くなるのを待っていたところ…。 ▽何と前半21分、アトレティコが先制点を取ってしまったんですよ!キッカケを作ってくれたのはマルセイユのアンギッサで、GKマンダンダから受けたパスを自陣エリアから近い場所で逃してしまったから、さあ大変。詰めていたガビが戻したボールをグリーズマンが持ち込み、どうやら相手が顔馴染みだったのが吉と出たんでしょうか。「彼はボクが右側に蹴ると予想して動いた。フランス代表の練習ではいつもそっちへ撃っているから。それで試合前、自分に言ったんだ。もし1対1になったら、反対に蹴ってやろうって。Y funcionó bien/イ・フンシオノ・ビエン(おかげで上手くいったよ)」と当人も後で言っていた通り、見事にゴールを決めてしまったとなれば、ワンダで応援していたファンたちもどんなに喜んだことか。 ▽いやあ、これにはルディ・ガルシア監督も「ウチのミスから失点した。アトレティコのようなチームにこういう失敗をすると高くつく」と嘆いていたんですが、32分には更なる不幸がマルセイユを襲うことに。いえ、チームの入場時に当人がサッカー界の迷信を無視して、勝ち取る前のトロフィーに触れてしまったせいだとは思いませんけどね。体調が100%でなかった司令塔のパイエがふくらはぎを痛め、代表チームメートのグリーズマンに慰められながら、早々にマキシム・ロペスと交代って、もしや2014年のCL決勝でジエゴ・コスタが10分ともたなかったアトレティコと似た目が敵に出ている? ▽実際、マルセイユの選手たちの士気にそれが影響を与えたのもあったか、0-1のまま後半に入った彼らは、うーん、ミス続きでイエローカードももらってしまい、エミレーツ・スタジアムの二の舞を懸念されたヴルサリコがシメオネ監督と”モノ"・ブルゴス第2監督の事前の打ち合わせ通り、フアンフランに代わったおかげもあったんですかね。いきなり「相手のレベルが上がった」(ルディ・ガルシア監督)という変身を見せ、4分にはサウールの奪ったボールを「El sábado me dio el a mí una asistencia y hoy me ha tocado a mí/エル・サバドー・メ・ディオ・エル・ア・ミー・ウナ・アシステンシア・イ・オイ・メ・ア・トカードー・ア・ミ(土曜は彼がボクにアシストしてくれて、今日は自分に回った)」というコケが繋ぐと、またしてもグリーズマンが今度はマンダンダの頭上を越えるシュートで2点目をゲット。 ▽いやあ、そのヘタフェ戦だって、0-1で勝っていたアトレティコですし、ゴールには”San/サン(聖)”オブラクもいたので、この時には「敵のミスに乗じただけ」とか、後々言われないで済むと私もホッとしたものでしたけどね。それでも35分にはミトログルのヘッドがゴールポストを直撃なんてこともあったため、助かった面もあったんですが、まさか44分にはまたコケがラストパスを送り、ガビが3点目まで取ってくれるとは一体、誰に予想できたでしょう! ▽ええ、これにはCAS(スポーツ仲裁裁判所)がベンチ入り禁止処分の一時停止措置を却下。結局、準決勝アーセナル戦2ndレグ同様、1人観戦したパルク・オリンピック・リヨンのパルコ(貴賓席)でシメオネ監督も安心できたに違いませんって。何せ、「Perdimos una faltando dos minutos, otra en penales y nos volvimos a levantar/ペルディモス・ウナ・ファルタンドー・ドス・ミヌートス、オトラ・エン・ペナレス・イ・ノス・ボルビモス・ア・レバンタール(ウチは残り2分で、もう1つはPK戦で負けたが、再び立ち上がった)」(シメオネ監督)という、2014年、2016年CL決勝でお隣さんに連敗して以来の決勝でしたからね。相手はマドリーではないとて、点は沢山取っておくにこしたことありませんって。 ▽するとこの直後、ベンチの方へ走って行ったグリーズマンがフェルナンド・トーレスを出すように”モノ”・ブルゴス第2監督に進言。ちょっと前にはコレアをトーマスに代え、守備固めに入っていたアトレティコでしたが、おかげで3人目の交代選手として、今季限りでチームを去ることを発表したエル・ニーニョ(子供/トーレスの愛称)がピッチに入ることができたのは、本当に良かったかと。彼が心から敬愛するチームもそのまま0-3で勝利して、キャプテンのガビと一緒にアトレティコで自身、初めて獲得したトロフィーを掲げられるなんて、もしや今季、CLをグループリーグで敗退。めぼしいライバルが少ないELに河岸を変えられたのはラッキーだった? ▽実際、アゼルバイジャンのカラバフに2戦連続引き分けて、決勝トーナメント進出が厳しくなった際など、「今はELなんてクソみたいなもんだ」と吐き捨てていたガビも、「Ahora me tengo que tragar mis palabras/アオラ・メ・テンゴ・ケ・トラガル・ミス・パラブラス(今は自分の言ったことを飲み込まないとね)」と苦笑いしていましたしね。ピッチでのお祝いではトーレスがスタンドのファンのところまで行ってメガフォンを握り、「Te quiero Atleticoc lo lo lo lo/テ・キエロ・アトレティ・ロ・ロ・ロ(アトレティコ、好きだよ)」と定番カンティコ(メロディーのついたシュプレヒコール)を歌っている珍しい姿なども見られましたし、何よりワンダや帰りのメトロ(地下鉄)でのファンのうかれようときたら。ええ、タイトル獲得に勝る喜びはないというのを私も心底、実感できましたっけ。 ▽え、シメオネ監督は「Hay situaciones que le acercan a querer seguir con nosotros/アイ・シトゥアシネス・ケ・レ・アセルカン・ア・ケレール・セギール・コン・ノソトロス(私たちと一緒に続ける方に近づける状況はある)。彼がアトレティコで決勝を戦うのは3度目でうち2回優勝している。もっと財力のあるチームとウチはサッカー的にそれ程、離れている訳ではない」と言っていたものの、この決勝でMVPにもなったグリーズマンが残留するのか、出るのかは明らかにならなかったんだろうって?そうですね、ネプトゥーノでの祝賀イベントでもリュカが音頭をとって、「Giezmann quedate!/グリースマン・ケダテ(グリーズマン、残って!)」と詰めかけた5万人のファンも合唱してくれたんですけどね。 ▽肝心の当人が「No es momento de hablar del future/ノー・エス・モメントーデ・アブラール・デル・フトゥロ(今は自分の未来を話す時じゃない)」とはぐらかしてばかりだったため、相変わらず、バルサへの移籍があるのかは不明。うーん、ヒル・マリン筆頭株主も「全てが彼中心に回るアトレティコで歴史を作るか、歴史の一部にはなれないクラブに行くのか、それはグリーズマンの気持ち次第」と言っていたように、あちらに行って出番もあまりなく、今は故郷のトルコでプレーしているアルダ・トゥランの例などは気に留めておいた方がいいかと。 ▽あのネイマールでさえ、メッシがいる限り、自分はナンバーワンにはなれないと悟ってPSGへ移ったのは周知の事実ですからね。あ、そうそう、同じ金曜にはバルデベバス(バラハス空港)の練習場でセッション後、決起バーベキュー大会を開催。クリスチアーノ・ロナウドやカルバハルも回復し、最後の総合リハーサルとなる土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのリーガ最終節、ビジャレアル戦のためではなく、来週土曜のCL決勝に向けて士気を高めていたマドリーがキエフでリバプールを破り、優勝を果たした暁には8月15日のUEFAスーパーカップでアトレティコと対戦することに。 ▽正直、すでにプレミアリーグが終わり、今週はマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)で合宿をしているリバプールと当たった方がアトレティコには勝算はあるかと思いますが、クラブもバルサを上回る年棒2500ユーロ(約33億円)のオファーをグリーズマンに出したと聞いていますしね。その結果を見て、本当に今のチームはEL優勝止まりのレベルなのか、いつかはお隣さんを破ってCL優勝できるのか、検討してみるっていうのもいい手かもしれませんよ。 トーレスにとっては初めてのアトレティコ凱旋だ ガビ、コケ、ゴディン、トーレスがマフラーを像に巻き付ける ▽そして祝賀イベントでは女子チームが舞台に立った後、待望の男子チームメンバーが1人1人名前を呼ばれて登場。ネプトゥーノ像にガビ、ゴディン、コケの3キャプテンと一緒にbufanda(ブファンダ/マフラー)を巻き付けに上がり、とうとう宿願を果たしたトーレスがスピーチの際、涙に声を詰まらせていたのには私も心を動かされましたが、実は彼にはもう1つ、お別れの舞台が。それはこの日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのエイバル戦で、一応、勝ち点1を取って、マドリーより上の2位でリーガを終わるというチームの目標もありますけどね。ワンダ・メトロポリターノがこれまでずっとアトレティコのアイドルでいてくれたトーレスに感謝を示し、盛大に送り出してくれるのは間違いないかと。 祝賀イベントは最後は男女一緒にクライマックスを迎えた ▽その一方で弟分のレガネスは土曜にベティスとの最終戦なんですが、こちらは4年間、2部Bから1部の高みまでチームを引き上げてくれたガリターノ監督とキャプテン、マントバーニがブタルケのファンとお別れすることに。いやあ、日曜ラストのバルサvsレアル・ソシエダ戦でもカンプ・ノウで最後となるプレーを披露するイニエスタへの送別モザイクが予定されていますし、どうやらこの週末はそこここで感動的なラストゲームが見られそうですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.19 21:30 Sat
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【倉井史也のJリーグ】温故知新というか最終予選を振り返ると西野色が見えるかも!? の巻

▽あー、日本代表メンバー発表前が締め切りっていうこの原稿のタイミングの悪いこと! いや、もしかしたらこれ幸いかも!! 何書いても許される! ですよね。まぁ、データを原稿に入れるってのが今のシバリなもんで、ここで最終予選を振り返っておきましょ。これで誰が唐突に選ばれた、つまり西野朗監督の色が出たかよく分かるってもんでしょ? (C)CWS Brains,LTD. ▽あれ? 今こうやって振り返ってみると、香川真司や本田圭佑を外すなんて、なんか「予選突破だけお願い! あとはやるから!!」ってことだったんですかね。それにしても、こうやって振り返ってみると、ずいぶん昔のことって気もしますし、いろいろ入れ代わっちゃってるのかもしれないんですけど、たとえば井手口陽介なんてどうすんですかね? あのポテンシャルだったら入れてもおかしくないと思うんですけど、さて本日の発表ではどうなりますか。 ▽西野監督、よく考えたら今回引き受けなかったら、この大会が終わった後に同じポジションに就任できたかもしれないなって。ちょっと貧乏くじに見えるのは私だけ? ともあれいよいよ臨戦態勢。ぜひ頑張ってほしいものです。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.05.18 10:00 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】本田と西野監督のイベント出席で思い出される4年前のお祭り騒ぎ

▽昨日16日は、都内の商業施設で高級時計ブランド「ウブロ」のイベントが開催され、第1部には本田圭佑、第2部には西野日本代表監督と元日本代表の前園真聖氏、女優で浦和DF槙野智章の夫人である高梨臨さんがトークショーを開催した。 ▽ウブロは2010年の南アW杯からFIFA(国際サッカー連盟)のオフィシャルタイムキーパーを務め、2015年には日本代表にオフィシャルウォッチを提供してきた。ハリルホジッチ元監督は、代表メンバーを発表する際に、立ち上がって紙を持ちつつ必ずスーツの袖を引いてウブロの腕時計が露出するよう配慮していたのは、今となっては懐かしい思い出だ。 ▽さてトークショーでは、本田がサッカーを始めたきっかけがペレだったことを明かした。「サッカーを始めたきっかけはペレ。物心つき始めた頃に、白黒のペレのW杯のビデオを父親に見せられた。どのプレーが凄いか子供なので分からなかったが、何か凄いことが感覚で分かった」そうだ。 ▽ペレがW杯に出たのは58年スウェーデン大会から70年メキシコ大会までの4度。このうちメキシコと66年イングランド大会はカラー化になっていたため、もしかしたらデビューしたスウェーデン大会のビデオかもしれない。よくも、そんな古いビデオを持っていたと感心してしまった。 ▽そして本田はロシアW杯について「本音で話すと、予選敗退が普通かもしれない。確率論ではそう。でも、それをOKとはできない。サッカーはチームスポーツ。100mを9秒台で走れなくてもサッカーでは勝つことはできる。(大会に)出る以上は優勝としか言えない。僕はこれまでも、出る以上は常に優勝としか言ってこなかった。可能性は1%以下かもしれないけど、可能性はある」と力説した上で、「日本はブランドに抵抗感がある。海外のことを美化しすぎる。試合前から名前負けしている。日本が優勝するためには、まず勝つことを信じる」と豊富な海外経験から持論を展開した。 ▽第2部に登場した西野監督は、18日にキリンチャレンジ杯に臨む28人のメンバー発表を控えているせいか、ちょっと歯切れが悪かった。「各国に欧州で活躍するスーパースターがいるが、弱点はある。しっかり選手に伝えれば日本らしいサッカーができる自信はある」と話しながらも、イベント中に本田とは会わなかったこと、欧州視察後は代表候補選手とは誰ともコンタクトしていないことを明言。代表選考について質問されると「デリケートな問題なので」と言葉を濁した。 ▽このイベントは日本代表のオフィシャルウォッチだからこそ実現できたイベントで、主催はあくまでJFA(日本サッカー協会)だ。本田自身はウブロと契約しているわけではなく、ゲストとしての参加だそうだ。そしてW杯が近づくにつれ、前回も様々なイベントがあったことが思い出される。 ▽ザッケローニ監督は就任会見で、「コマーシャルなどには出るつもりはない。十分すぎるギャランティーをもらっているため出る必要がない」と話していた。ところが2014年の3月頃だったと記憶している。西が丘で行われた練習前、オフィシャルスポンサーのキリンビバレッジが、おにぎり&日本代表公式飲料「キリン午後の紅茶おいしい無糖」と、サポーターの応援メッセージをのりに刻んだ「勝ちにぎり」の贈呈を行ったのだ。 ▽おにぎり公式飲料公式キャラクター・ごごのこーちゃんが出席し、ザッケローニ監督と香川が笑顔で受け取った。正直、ザッケローニ監督がおにぎりを片手に笑顔を振りまく姿に違和感を覚えた。さらに日本代表のサポーティングカンパニーであるファミリーマートは、同社 のテレビ CM に出演しているザッケローニ監督をモチーフにした応援スタンプを、「LINE」の公式アカウントで無料配信した。 ▽W杯で結果を残したのならともかく、これから大事な決戦に向かう前に「浮かれすぎていないか」と思わずにはいられなかった。キリンもファミマも代表のスポンサーだけに、JFAもオファーを断りきれなかったのだろうと想像したが、協会関係者に確認したところ、「ザッケローニの代理人が大手広告代理店に売り込んだため、協会としても把握していなかった」そうだ。 ▽さすがにW杯まで1ヶ月を切っているし、監督に就任したばかりの西野監督が滑稽なイベントに借り出されることはないだろう。JFAも前回の「お祭り騒ぎ」を教訓に、慎んだ行動を望みたい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.17 13:30 Thu
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【六川亨の日本サッカーの歩み】J開幕から25年。もう一度聞きたいチアホーン

▽昨日14日は、ロシアW杯に臨む選手35名の予備登録が行われた。ただ、これはFIFA(国際サッカー連盟)に提出する必要があるだけのため、JFA(日本サッカー協会)はリストを公表しないし、チームにも連絡はないそうだ。明日はルヴァン杯があるし、週末にはJ1リーグの試合があり、代表チームの活動は週明けとなる。このため、あえて公表する必要はないと判断したのだろう。FIFAもJFAの意向を受けて公式サイトでの公表を控えている。 ▽昨日、取材に応じた西野監督は香川や岡崎、本田の招集を示唆したようだが、18日にはキリン杯に臨む28名を発表する予定だ。当然35名の中から絞られた28名のため、予備登録の35名を発表する必然性はない。そして18日に発表される28名から、5名が篩いにかけられる。先週末のJ1リーグの報道は、試合の結果より代表候補の選手のプレーがクローズアップされていた。おそらく今週末のJ1リーグでは、その傾向にますます拍車がかかるだろう。 ▽といったところで、今日5月15日はJリーグが誕生して25年の節目を迎えた。25年前の今日、国立競技場でヴェルディ川崎vs横浜マリノスの開幕戦が行われたことは周知の事実。そして翌16日に残りの4試合が行われ、カシマスタジアムでは鹿島が名古屋に5-0と圧勝。ジーコはハットトリック第1号の活躍でチームを牽引し、サントリーシリーズの覇者となった ▽そのジーコが25周年記念のイベントのため来日しているが、Jリーグの村井チェアマンは派手な記念イベントを開催する気はないようだ。14日はJリーグが「社会と連携していく未来を探る」ためのワークショップを開催するにとどめた。過去を振り返るのではなく、あくまで未来志向の村井チェアマンらしい発想によるイベントだった。 ▽話は変わり、海外ではユベントスが7連覇を達成し、バルセロナやバイエルンなど「いつもの」チームが順当にリーグを制覇している。ところがJリーグは、首都圏のビッグクラブが毎年優勝争いを演じることの少ない、珍しいリーグでもある。 ▽記念すべきJリーグの開幕戦に登場し、初代の王者となったヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)は2009年にJ2リーグに降格して以来、1度もJ1に復帰できずに低迷が続いている。毎年のように主力選手を放出しては、クラブの存続に懸命の努力を続けている。 ▽同じことは「オリジナル10」の仲間であるジェフユナイテッド市原(現・ジェフユナイテッド千葉)にも当てはまり、こちらは1年遅れの2010年にJ2に降格してから、昇格プレーオフに進んだこともあったが、最後の壁を突破できずJ2に甘んじている。 ▽ジェフは元々、JSL(日本サッカーリーグ)の名門・古河とJR東日本がタッグを組んだ最強チームのはずだった。しかし両社の関係は必ずしも良好とは言えず、先週、味の素スタジアムで会った元強化部長の川本氏は「もう古河OBは1人も残っていません」と言うように、川淵、小倉の元JFA会長や現会長の田嶋氏ら、多くの優秀な人材が流出した。25年も経てば、古河サッカー部の関係者の多くは定年を迎えている。そして現チームの主導権はJR東日本の関係者が握っているだけに、近年の低迷も致し方ないのかもしれない。 ▽そんなチームでも川本氏は愛着があるのか、「1度でいいから岡ちゃん(岡田武史・元日本代表監督)にジェフの監督をやってもらいたかった」と漏らした。もしかしたら岡田監督なら、低迷するチームを立て直すことができたかもしれないと思わずにはいられない。 ▽いまでは考えられないかもしれないが、25年前はジェフの試合でも国立競技場が満員の観客で埋まり、「カテゴリー1」というJリーグのオフィシャルショップで売られていたチアホーンの甲高い音がスタジアムにこだましていた。 ▽チームカラーで塗装したチアホーンは、一時は品切れになるほど爆発的に売れた。しかしスタジアム近隣の住民による騒音の苦情からチアホーンの販売は中止され、各チームもファン・サポーターに使用の自粛を求めたことで、短期間でチアホーンは姿を消した。あのチアホーンはどこにいったのか。いまとなっては懐かし、Jリーグ開幕の熱狂を想起させる、もう1度聞きたい音色でもある。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.15 19:20 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】お祝いが見たい…

▽「一緒にネプトゥーノに行くべきね」そんな風に私が思っていたのは月曜日、アトレティコの女子チームがリーガ2連覇をピッチで祝う姿をTVで見た時のことでした。いやあ、前日の最終節で勝てば、2位のバルサを抑えて優勝というのは知っていたんですけどね。見事、アウェイでサラゴサに1-6のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で戴冠とは、うーん、これが男子なら文句なしにネプトゥーノ(アトレティコが優勝を祝う恒例の広場)にファンも直行なんですが、昨季の例を見ても女子のために祝賀パレードをする習慣はないよう。となれば、この水曜のヨーロッパリーグ決勝で男子が優勝した暁には合同祝賀イベントとして、広場に設けられる舞台に女子選手たちも上げてあげたら喜ぶかも。 ▽ただ、リーガでは男子に爪のアカでも煎じて飲ませてあげたくなるようなアトレティコ・フェメニーノなんですが、課題は女子CLで、初出場だった昨年は強豪ボルフスブルクとの32強対決に2試合で15点も奪われて速攻敗退。その後、相手はこの24日、熊谷紗希選手のいるオリンピック・リヨンとの決勝まで進んでいるため、もちろんクジ運もなかったんですが、ヨーロッパでは2014年と2016年にはCL決勝に進出している男子の方が1日の長があるかと。でもねえ、折しも同じ10月にはシメオネ監督のチームもグループリーグでアゼルバイジャンのカラバフと2試合連続で引き分け。グループ3位でCLから失意の敗退をする原因を作っていましたからね。となるとやっぱり、EL優勝ぐらいはしておかないと、男子としてのメンツが保てないような気がしないでもないんですが…。 ▽まあ、そんなことはともかく、先週末のリーガがどうだったか、お伝えしておかないと。EL出場権の順位が懸かったカードだけが集められた午後6時30分の時間帯を外れ、一足先にアノエタでレアル・ソシエダと対戦した弟分のレガネスは、いえ、前半25分までにオジャルサバルとカナレスのゴールで2点リードを許したものの、ディエゴ・リコとゲレロが返して、一旦は同点にしたんですけどね。最後は後半33分にウィリアム・ホセにPKを決められて、終盤の出場となった今季限りで引退するキャプテンのシャビ・プリエト、ソシエダでの18年間のキャリアにピリオドを打つカルロス・マルティネスへのお別れセレモニーに華を添える白星をプレゼントしてしまうことに。 ▽どうやらこれで来週土曜のベティス戦を待つことなく、レガネスは降格圏すぐ上の17位で終了することが決まってしまったようですが、彼らの場合、昇格から3年目もまた1部で過ごせることが何より大事。来季もブタルケに兄貴分のレアル・マドリーやアトレティコ、バルサといった人気チームを迎えられますし、週末をマドリッドで過ごす日本人サッカーファンの観戦選択肢が多いのはいいことかと。加えて、日曜はコルドバに負けてしまったものの、2部の弟分、ラージョも次節のアルコルコンとのダービーに勝って、3位のスポルティングがテネリフェ戦で引き分け以下なら、いよいよ1部昇格が決まるところまで迫っていますからね。前代未聞の1部にマドリッド勢5チームともなると、来季は私も梯子する日が増えそうですよ。 ▽土曜はその後、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで兄弟分ダービーが始まったんですが、うーん、ヘタフェのサポーターはあまりモザイクとか、作り慣れていないせいでしょうかね。7位のセビージャがベティスとのアンダルシア・ダービーで負けることに一縷の望みを懸けて、勝利が必須なチームを奮い立たせようと、青の中に白でクラブ名を浮かび上がらせる計画のようでしたが、席に着くのが遅い観客もいたため、あまり成功したとは言えず。 ▽この辺はもう少々、先輩チームのペーニャ(ファンクラブ)から教えを受けた方がいいかと思いましたが、キックオフ後間もなく、ボルダラス監督が3日間、スタジアムで非公開練習をして練った秘策が炸裂するのを待たず、先手を取ったのは「sorprendimos al principio con la posicion de Koke para desordenar a su defensa/ソルプレンディモス・アル・プリンシピオ・コン・ラ・ポシシオン・デ・コケ・パラ・デスオルデナール・ア・ス・デフェンサ(敵の守備陣を崩すため、序盤にコケのポジションで驚かせた)」(シメオネ監督)アトレティコの方。 ▽いえ、水曜にEL決勝を控えているにも関わらず、ローテーションを避け、スタメンに並んだアトレティコのMFはカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)のcuatrivote(クアトリボテ/4人ボランチ)、コケ、サウール、トマス、ガビだったんですけどね。この日はジエゴ・コスタとグリーズマンの後ろにコケがつき、トップ下を務めていたところ、前半8分、ワンタッチでボールを右サイドのフアンフランに流してチャンスを作ったんですよ。するとエリア付近でボールを受けたグリーズマンが2列目から入ってきたコケに繋ぎ、そのシュートがGKグアイタを破ってしまったから、驚いたの何のって。 ▽おかげで早々にリードを奪ったアトレティコでしたが、やはり1週間休みがあると、選手たちの動きも軽快なんですね。前節エスパニョール戦のダメダメ感がまったくなく、36分にグアイタと1対1になったコスタはシュートを弾かれてしまったものの、珍しいぐらいキレいにパスを回しているんですから、アトレティコだって疲れてなければいいサッカーができる?そうこうするうちに相手に焦りが出て来たか、後半早々にはフィリペ・ルイスやガビが乱暴なプレーで倒されたりしたため、15分にはシメオネ監督もコスタとグリーズマンをガメイロとフェルナンド・トーレスに、23分にはコケもコレアと交代させて温存することに。 ▽え、それより一番、ヒヤリとさせられたのは31分、ゴディンがアンヘルを倒してPKを献上。この日はファジルがキッカーに立ったものの、「Es una situacion totalmente anomala/エス・ウナ・シトゥアシオン・トータルメンテ・アノマラ(これはまったく異常な状態だ)」と、すでに今季3回PKを失敗しているキャプテンのホルヘ・モリーナも嘆いていたように、GKオブラクが見事に弾いてしまったのはともかく、こぼれ球を追ったブルーノに当人が頭を蹴られてしまった時じゃないかって?そうですね、実際、その後もガメイロやトーレスが絶好機に追加点を奪えなかったアトレティコですが、それでも不安がまったくなかったのは幸いオブラクがすぐ回復し、ずっとゴールにいてくれたから。 ▽おかげで0-1のまま勝利し、3位のお隣さんとの勝ち点3差を守った彼らでしたが、「el Barca no ha perdido ningun partido.../エル・バルサ・ノー・ア・ペルディードー・ンングン・パルティードー(バルサは1つも試合を落とさなかった)。2つ3つ負けていれば、ウチもリーガ優勝を争っていたのに」(フアンフラン)というのにはちょっと負け惜しみもあったかと。ええ、翌日曜にはメッシをお留守番にしたバルサが今更ながらレバンテに5-4で負け、今季初黒星を喫したんですけどね。それでもアトレティコとの差は勝ち点12もあるため、やっぱり1位になるのは絵に描いた餅だったでしょうが、決勝を前にしているだけに、「Ganar trae ganar/ガナール・トラエ・ガナール(勝利は勝利を呼ぶ)」と勢いがついたのはいいかと。 ▽反面、柴崎岳選手の出場もなく、ここまでシメオネ監督のアトレティコに13試合で1勝もできておらず、通算スコアを0-26としてしまったヘタフェは気の毒だったんですが、その日はセビージャもベティスと引き分けたため、どちらにしろ7位の座に返り咲くのはムリでしたからね。大体がして今季11回もらったPKで7回も失敗しているようではもう、自業自得としか言えないんですが、それでも彼らは再昇格からほんの1年目。残留決定祝いすら、忘れ去られる程の高みで残り1試合まで戦ってきた今季は、「estaremos todos orgullosos de lo que ha hecho el equipo/エスタレモス・トードス・オルグジョーソス・デ・ロ・ケ・ア・エッチョ・エル・エキポ(チームがやったことに皆、誇りを持てるだろう)」(ボルダラス監督)というシーズンだったのは間違いないと思いますよ。 ▽そして土曜の最後の時間帯ではサンティアゴ・ベルナベウでマドリーvsセルタ戦が始まったんですが、いえ、もちろんこの場合、両スタジアム間の移動には1時間ぐらいかかるため、私も梯子はムリだったんですけどね。コリセウムのミックスゾーンを出る前から、すでに凄いことになっていたよう。クリスチアーノ・ロナウドは26日のCL決勝を目安に足首のネンザの治療中でまだ出ていなかったんですが、キエフでのリバプール戦でスタメンに入りたいバイルが爆発。ええ、前半13分にはモドリッチのスルーパスに抜け出て先制点を決めると、30分にもスピードを見せつけて2点目をゲットしているんですから、「claro que sera un dolor de cabeza hacer el once para la final/クラーロ・ケ・セラ・ウン・ドロール・デ・カベッサ・アセール・エル・オンセ・パラ・ラ・フィナル(決勝でのスタメンを選ぶのが頭痛の種なのは明らか)」と、ジダン監督が苦笑いするのも当然だった? ▽加えて32分には、うーん、当人によると、「CL準決勝バイエルン戦2ndレグに間に合わせようとしてムリしたら、練習でまた肩を痛めてしまって、余計に時間がかかった」そうなんですけどね。ようやく4月25日以来の復帰を果たしたイスコが、エリア内入ってすぐの場所からすくい上げるように撃ったシュートがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)になったとなれば、ジダン監督の悩みが倍増したのは確実だったかと。その後、私がメトロに乗って帰宅中も彼らは得点を重ね、後半7分には右SBのアクラフが、29分には途中出場のアセンシオのシュートをセルジ・ゴメスがオウンゴールに、そして36分にもマジョラルのアシストからクロースが決めて、終わってみれば6-0の大勝。ええ、これなら今季、ヘタフェ戦に次ぐ少ない観客数の5万6000人だったとはいえ、スタジアムに足を運んだファンがどんなに喜んだか、想像はつきますって。 ▽そんなマドリーは今週は火曜から練習を再開。土曜のリーガ最終節ビジャレアル戦で最終調整をして、その翌週末のCL決勝に臨むことになりますが、それまではどうやら、キエフで誰をスタメンにするべきかと、セルタ戦の後にはマルセロも「Al Madrid vienen los mejores y a mi me encantaria jugar con Neymar/アル・マドリッド・ビエネン・ロス・メホーレス・イ・ア・ミー・メ・エンカンタリア・フガール・コン・ネイマール(マドリーには最高の選手たちが来るし、自分はネイマールとプレーするのが大好きだ)」と素直に認めていたブラジル代表の同僚を含む、夏の人事異動の話題が中心になるかと。 ▽一方、もうEL決勝まで時間のないアトレティコは、日曜はマハダオンダ(マドリッドの郊外)の練習場で、月曜はワンダ・メトロポリターノでセッションを実施。火曜の現地移動を控えて発表された招集リストには、第3GKのドス・サントス以外、トップチーム全員19人が名を連ねています。ロンドンでの準決勝ア-セナル戦1stレグで退場となり、4試合のベンチ入り禁止処分を喰らったシメオネ監督については何せ、日曜に販売終了となったソシオ(協賛会員)限定チケットが1000枚売れ残ったということで、アトレティコファンも1万人程は応援に駆けつけるものの、マルセイユとリヨンが距離的に近いため、パルク・オリンピック・リヨンでは少数派になってしまうかもしれませんからね。 ▽ワンダでのアーセナル戦2ndレグのように、サポーターを煽れる位置のパルコ(貴賓席)にシメオネ監督がいられる保証もないため、クラブもCAS(国際スポーツ裁判所)から一時執行停止令をもらって、ベンチで指揮を執ってもらおうと努力しているんですが、まだこれはどうなるか不明。水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの決勝はワンダ・メトロポリターノでも大画面スクリーンを設置して、パブリックビューが行われるんですが、こちらはクラブのオフィシャルウェブで買える一般10ユーロ(約1300円)の入場券(https://entradas.atleticodemadrid.com/clubatleticodemadrideuropa/es_ES/entradas/evento/11975/session/637841/select)がかなり残り少なくなっているようです。 ▽金曜に一足早く、リーグ1のギャンガン戦を3-3で引き分けたオリンピック・マルセイユでは酒井宏樹選手が復帰していますが、やはり危険なのはトヴァンとパイエのフランス人アタッカーコンビかと。うーん、火曜にエル・ムンド(スペインの一般紙)に載ったインタビューでサウールなど、「Nos falta un poco de suerte y de calidad/ノス・ファルタ・ウン・ポコ・デ・スエルテ・イ・デ・カリダッド(ウチはツキと質がちょっと足りない)。どの大会でも明白な有力馬となれる何かがね」と言っていましたが、相手のレベルがヘタフェ程度なら、かなり自信持っていいんですけどね。これまでお隣さんに負けたCL決勝はさておいて、EL決勝ではフラム、アスレティックを寄せ付けずに優勝してきた彼らですが、果たしてアトレティコでタイトルを獲りたいというトーレスの願いを叶え、金曜にはネプトゥーノに凱旋することができるのでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.15 19:00 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】オフシーズンのことはまだ考えたくない…

▽「あちらはまだ決勝まで間があるからいいわよね」そんな風に私がうんざりしていたのは金曜日、このところグリーズマンのバルサ移籍の報道ばかりだったニュース番組が突然、ネイマールのレアル・マドリー入り一辺倒になっているのに気づいた時のことでした。いやあ、前者については、とうにリーガ優勝を決め、クラシコ(伝統の一戦)も終わったバルサにはもう今季、他にやることもなし。それでバルトメウ会長も「昨年10月に選手の関係者に会った」なんてラジオで洩らして、人事関連の噂で注目を集めたかったんだろうなんて推測していたんですけどね。 ▽問題なのは今回、筆頭株主のヒル・マリン氏が即座に「Estamos hartos de la actitud del Barcelona/エスタモス・アルトス・デ・ラ・アクティトゥッド・デル・バルセロナ(バルサの態度には飽き飽きしている)」と抗議文をオフィシャルウェブに掲載したように、アトレティコには4年ぶりのタイトル獲得が懸かったヨーロッパリーグ決勝が来週に控えているということ。おかげでこの水曜、ワンダ・メトロポリターノで華々しく開催されたオープン・メディア・デーでも記者会見の質問の大半がグリーズマン関連となり、いえ、フィリペ・ルイスなど、「Estoy seguro de que Griezmann hoy es barato: 100 millones es barato/エストイ・セグオ・デ・ケ・グリーズマン・オイ・エス・バラート:シエン・ミジョネス・エス・バラート(今のグリーズマンが安いことは確かだ。1億ユーロ(約131億円)は安いよ)」なんて、まるでお買い得品みたいに言っていましたけどね。 ▽そりゃあ昨夏、2億2000万ユーロ(約290億円)でネイマールをPSGに売却した後、デンベレ(1億5000万ユーロ/約200億円)やコウチーニョ(1億2000万ユーロ/160億円)といった高額な買い物を続けてきたバルサにしてみれば、グリーズマンには実績も十分あるだけにコストパフォーマンス的に最高というのはわかりますよ。とはいえ、そのせいで2014年のチェルシー移籍前、アトレティコで出場した最後の試合がリスボンでのCL決勝。その時はケガの再発で10分と持たず、チームもお隣さんに負けてトロフィーを掲げることができなかったため、リベンジに燃えているはずのジエゴ・コスタだというのに自身の調子や意欲について、誰にも聞かれないってことあっていい? ▽いえ、だからって、隣でフィリペ・ルイスが話している間、マイクを反対側に折り曲げたりして遊んでいたのはどうかと思いますけどね。最後は「Yo me quedo, estoy muy bien feliz, soy importante para el equipo/ジョー・メ・ケド、エストイ・ムイ・ビエン・フェリス、ソイ・インポルタンテ・パラ・エル・エキポ(ボクは残るよ。とても幸せだし、チームにとって重要な存在だから)」と、自らアピールをしなくちゃならなかったのはちょっと、気の毒だったかと。 ▽その後、ワンダのピッチで行われた公開練習にはカンテラーノ(アトレティコBの選手)が10人程、参加していたため、何せ決勝の相手、オリンピック・マルセイユは1日早い、金曜にギャンガンとのリーグ戦を前倒していますからね。コケなどは「ボクらはプロだし、慣れているし、全然問題ない。Las finales se juegan con el corazon y lo demas no influye/ラス・フィナレス・セ・フエガン・コン・エル・コラソン・イ・ロ・デマス・ノー・インフルージェ(決勝はハートでプレーするもので、他のことは影響しないよ)」と言っていたものの、いよいよこれは土曜の弟分、ヘタフェとのミニダービーでシメオネ監督も規定ギリギリまで選手をローテーションかと予感したところ…いやあ、金曜に発表になった招集リストにあった名前は負傷のリハビリ中で、決勝まで温存されるビトロを除き、トップチームメンバーだけの18名って、もしやミッドウィークの試合でお隣さんが負けたせいで、リーガ2位死守の目標を思い出した? ▽そう、実はその水曜、私がワンダから急いで帰って近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見たセビージャ戦ではジダン監督がここぞとばかりにBチームを投入。いえ、クラシコで足首を捻挫したクリスチアーノ・ロナウドを始め、カルバハル、イスコは26日のCL決勝リバプール戦に万全で挑めるよう、ケガの完治に努めているところなんですけどね。ベイルがいなかったのは累積警告で出場停止だったせいですが、移籍金2億6000万ユーロ(約340億円)以上と言われるネイマールが来ると、完全に放出候補ナンバーワンになるというのに、マドリッドの蝋人形館で自身の人形と入れ替わり、観光客を驚かせている映像(https://www.youtube.com/watch?v=dLP59ePKFNQ)などが公開されたりしているところ見ると、あまり当人も深刻に受け取っていない? ▽加えてGKケイロル・ナバス、マルセロ、バラン、モドリッチ、クロースもお留守番で、サンチェス・ピスファンのピッチに立ったtitular/ティトゥラル(レギュラー)は、どんなにpito(ピト/ブーイング)を受けても古巣に恩返しするチャンスを逃したくないセルヒオ・ラモスとカセミロ、ベンゼマだけだったなれば、3節前、モンテッラ監督を解任。カパロス新監督の下で来季のEL出場権がもらえるリーガ7位の座を何が何でも確保しようとしているセビージャとは序盤から、気合が違うのは仕方なかったかと。 ▽ええ、前半26分にはGKダビド・ソリアからのロングフィードを、いえ当人は「Nunca es un marron jugar en el Madrid/ヌンカ・エス・ウン・マロン・フガール・エン・エル・マドリッド(マドリーでプレーするのは決してババ引くことじゃない)」と言っていたんですけどね。第4CBのバジェホがムリエルに競り負け、そのパスからベン・イェデルが先制点をゲット。44分にもエリア内のプレーでエンゾンジのシュートは一旦、テオが阻んだものの、余裕で跳ね返りをフリーのラユンに送られて、2点目を取られているのですから、いかに守備陣の気が緩んでいたか、わかろうというものです。 ▽それでも後半12分にはルーカス・バスケスがムード・バスケスに倒され、PKをもらったマドリーだったんですが、キッカーのラモスがシュートをゴールバーに当ててしまい、得点はならず。いやあ、どうやらこの日の彼は主役を張る運命だったのか、38分にはメルカードの角度のないところからのシュートを防ごうとしてオウンゴールを献上し、とうとうスコアは3-0にまでなってしまったんですが、ここからマドリーは反撃に出ます。41分にアセンシオのクロスを出場機会は限られているものの、ピッチに入った時は決して失望させないマジョラルがヘッドで1点を返すと、ロスタイムにはセットプレー中、テオがメルカードに突き飛ばされるのを目撃され、再びPKがもらえることに。 ▽いえ、このプレーについては「Me empuja, forcejea, me pega una patada, me putea y yo, logicamente, respond/メ・エンプーハ、フォルセヘア、メ・ペガ・ウナ・パタダ、メ・プテア・イ・ジョ、ロヒカメンテ、レスポンド(向こうが押してきて争って、蹴ってきた上に悪態をつかれて当然、自分も応酬した)」と、原因はテオにもあったことをメルカードも主張していたんですけどね。その一方でアトレティコなんて先日、フェルナンド・トーレスがPKを失敗した後、次のPKでは素直にガメイロにキッカーを譲っていたものですが、そこはセビージャのカンテラから彼を抜擢。育ての親であるカパロス監督も「Su ADN es muy competitive/ス・アーデーエネ・エス・ムイ・コンペティティボ(非常に競争的なDNAを持っている)。父親や家族と競っても勝ちたがる程にね」と言っていた鋼鉄の意志の持ち主、ラモスがベンゼマのオファーを断り、今度は見事に決めてくれたんですが…残念ながら、あと1点を取る時間はありませんでしたっけ。 ▽まあ、この3-2での敗戦はジダン監督によると、「Estamos decepcionados, pero no afectara nada/エスタモス・デセプシオナードス、ペロ・ノー・アフェクタラ・ナーダ(ウチは失望しているが、何の影響もない)」そうですし、大体、プレーする選手がほとんど違うんですから、CL決勝の参考にはまったくならないんですけどね。ただこの結果、2位アトレティコと3位の彼らの差は勝ち点3のままに留まったのはいいものの、信頼していた兄貴分に裏切られた気分になってしまったのはヘタフェ。だってえ、おかげでセビージャに勝ち点差2をつけられて、7位の座を奪われてしまったんですよ。 ▽おまけにこの土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、試合時間のunificacion(ウニフィカシオン/統合)でベティスvsセビージャのアンダルシアダービーと同時開催される、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのミニマドリーダービーではシメオネ監督も「jugaran los de siempre/フガラン・ロス・デ・シエンプレ(いつもの選手がプレーする)」と言っていたように、アトレティコはトップチーム総動員で乗り込んで来ますからね。いくら前節は前代未聞の負傷、出場停止者が大量11人という非常事態にありながら、柴崎岳選手の抜け目ないボール奪取もあって、ラス・パルマスに0-1の勝利という嬉しい結果を掴めたヘタフェとはいえ、今季ホーム最終戦を白星で飾れるかは微妙なところ。 ▽もちろんシーズン前半はベティスに3-5を負けたセビージャが今回、すでに来季のEL出場を確定し、ライバルとご一緒は絶対避けたい相手にリベンジを果たせるかどうかも不確かですし、何よりアトレティコも選手は、面子はともかく、頭の中は来週水曜のEL決勝でいっぱいですからね。更に土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのサンティアゴ・ベルナベウで、再びローテーションをかけてくるだろうお隣さんがセルタに勝てなければ、負けてもアトレティコの2位は安泰とか思ったりすると、どうにも私自身、もう何をどう応援したらいいのかわからなかったりするんですが…とりあえず、今週は3日連続、スタジアムでの非公開練習で秘密特訓をしていたヘタフェの方は出場停止だったファジル、モラ、ブルーノ、モリネーロが処分明けで戻ってくるため、柴崎選手のスタメンリピートは厳しいかもしれません。 ▽そしてもう1つの弟分、レガネスは17位ながら、残留は確定ということで、気楽に土曜午後4時15分からのレアル・ソシエダ戦に臨めばいいんですが、今週はここまで5年間、チームを率いて、2部Bから2部、更に1部へとダブル昇格、この2シーズン連続1度も降格圏に落ちなかったという功労者、ガリターノ監督が契約を延長しないことを発表。さすがにレガネスでは予算上、これ以上のレベルアップを目指すのは難しいと悟ったんでしょかね。まだ次のチームは決まっていないそうですが、オファーには事欠かないようなので、また来季はリーガのどこかのクラブの監督として里帰りしてくれるかと。 ▽ちなみにレガネスの後任監督に関しては今のところ、まだ情報はまったくなく、これからイロイロ名前が挙がってくるんだと思いますが、何せ2部ではラージョ・バジェカーノがあと4試合を残し、2位のウエスカと勝ち点差2の首位と、どうやら来季は1部のマドリッド勢が5チームになる気配が濃厚ですからね。それだけマドリッド第3のチームになるのが難しくなるということですが、レガネスもせっかく積み上げたこの2年間の経験を無駄にせず、弟分同士、切磋琢磨を続けていけるといいんですが。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.12 14:30 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】ハリル解任にファンのリアクションを嘆く落語家の師匠

▽昨日は久しぶりに旧知のサッカー仲間と痛飲した。彼は1964年の東京五輪でサッカーを見て虜になり、高校時代はインターハイにも出場したが、現在の職業は落語家のお師匠さんという変わり種だ。その彼から、「なぜハリルホジッチ監督を解任したのか意見を聞きたい」とメールが届き、サッカー仲間による飲み会となった。 ▽彼いわく「W杯直前での監督交代と、後任には監督交代の責任を取るべき西野さんが就任したのは納得できない。田嶋会長が解任理由に挙げたコミュニケーション不足も抽象的で理解しにくい。いっそのこと、『ハリルではW杯で勝てない』と言ってくれた方がファンとしては納得しやすい」と苦言を呈していた。 ▽その疑問は正鵠を射ていると思う。ただ、すでに決まった人事であるので、いまさら振り返っても時間の無駄でもある。そこで師匠が口にしたのは、「サッカーファンの熱量が下がっているのではないか?」という疑問だった。 ▽それというのも、かつて森ジャパンは85年に行われたメキシコW杯ではアジア最終予選まで進出した。結果は韓国にホームでもアウェーでも敗れてW杯初出場はかなわなかった。しかし、それまで夢でしかなかったW杯を身近に感じさせた日本代表だった。 ▽続く石井監督も87年のソウル五輪アジア最終予選で中国に敗れて辞任した。その後を引き継いだのが横山監督だったが、ファンの期待が膨らんだ89年のイタリアW杯予選では、あろうことか1次予選で敗退。翌年のダイナスティカップやアジア大会でも不振は続いた。 ▽すると90年11月のコニカカップで「横山を解任せよ」という横断幕が国立競技場に掲げられ、91年の天皇杯決勝では「横山辞めろ」コールまで起こった。さらに、当時「日本サッカー狂会」の一員だった青年が「横山監督交代要求」の署名をサッカーファンから集め、原宿にあった岸記念体育館内のJFA(日本サッカー協会)に提出する事態まで発展した。それだけ多くのファンが、横山監督に対して不信感と危機感を抱いていた。 ▽さらに97年のフランスW杯アジア最終予選では、加茂監督の更迭後、岡田監督はアウェーのウズベキスタン戦を1-1で引き分けたものの、ホームのUAE戦でも勝ちきれずに1-1のドローに終わる。この結果、日本は自力によるW杯出場が消滅した。 ▽試合後の国立競技場では、正面ゲートにファンが殺到し、カズに向かって卵が投げつけられ、駐車してある高級車にレンガを投石されるなど騒然とした事態になった。怒ったカズはファンに詰め寄ろうとしたものの、サッカー専門誌のカズ番の記者が羽交い締めにして混乱を押しとどめた。選手と関係者は身の危険を感じ、2時間近くも国立競技場内にとどまることになった。 ▽当時のJFAは渋谷の246号線沿いのビル内にあったが、このビルにもJFAを批判するメッセージがスプレーで書かれていた。これらの行為はけして褒められたものではない。ただ、低迷する日本代表に対してファンは「横山辞めろ」コールをし、W杯初出場という悲願達成に危機感を抱いて暴走したのだと思う。 ▽そうしたファン・サポーターの“熱い気持ち”が、アギーレやハリルの解任に対し、何のアクションも起こさなかったことに師匠は疑問を抱いていた。それは、W杯出場が「当たり前」と思っていることと、「W杯では勝てない」ことを肌感覚でファン・サポーターは知っているからではないだろうか。それはそれで、寂しいことでもある。 ▽師匠は「3戦全敗でしょうけど、1勝か2引き分けでもしたら、西野監督を田嶋会長は讃えるんでしょうね」とつぶやいた。結論として一致したのは、ロシアW杯に臨むのは西野ジャパンではなく田嶋ジャパンであること。結果については田嶋会長が責任を負うべきだということで、飲み会はお開きとなった。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.11 14:05 Fri
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【倉井史也のJリーグ】どんなGWをお過ごしでしたか? いやアナタではなくて!? の巻

▽さあ、みんな! 今週はGWの決算だよ!! どのチームがすてきなGWを過ごして、どのチームがダメダメだったか数字で表してみよう! この順位表はGW突入前と終了後でどれだけ順位が動いたかって表してるよ! ちなみに、GWのカウントは4月28日から。 1位 広 島 (±0) 勝点34(+6) 2位 FC東京 (±0) 勝点26(+4) 3位 札 幌 (+1) 勝点25(+6) 4位 C大阪 (+1) 勝点23(+4) 5位 川 崎 (-2) 勝点21(±0) 6位 磐 田 (+3) 勝点21(+6) 7位 仙 台 (-1) 勝点19(+3) 8位 鹿 島 (+7) 勝点18(+6) 9位 柏 (+2) 勝点17(+3) 10位 神 戸 (-2) 勝点16(+1) 11位 清 水 (-4) 勝点15(±0) 12位 浦 和 (+2) 勝点15(+3) 13位 湘 南 (-3) 勝点15(±0) 14位 長 崎 (-2) 勝点14(±0) 15位 横浜FM (-2) 勝点13(+1) 16位 G大阪 (±0) 勝点13(+3) 17位 鳥 栖 (±0) 勝点11(+3) 18位 名古屋 (±0) 勝点9 (+2) ▽このデータで難しいのは、GW突入前に10位だったチームが15位になってたら、「プラス5」? それとも「マイナス5」? いいですか? マイナスをプラスの意味で使っていいのは「マイナスイオン」だけ!! つーことで正解は順位を落としているから「マイナス5」なのでした。 ▽で、これを見ると一見大丈夫そうなのに大丈夫じゃないクラブってのがはっきりわかる。たとえば横浜FM。順位は2つ落としたけど勝点は1積み上げた。でも湘南は、勝点を積み上げられず順位を3つ落としてるのです。 ▽つまり、勝点の積み上げがなかったクラブ、川崎、清水、湘南、長崎は要注意! 今週末はGWなんか忘れて出直しってことにしないと、ワールドカップ中断までの2節、ずるずると行っちゃいますよ。 ▽ちなみに川崎は上昇中の柏と、清水は同じくGWダメダメだった湘南と、長崎はやや上向き傾向の見える名古屋との対決なのでした。で、C大阪と鹿島のカードは7月25日開催。ここからしばらく暫定順位が続きますのでご注意を。 ▽この試合を受けて30日のガーナ戦、31日にはワールドカップメンバーが発表される予定です。奇跡の逆転メンバー入り、誰が入るか楽しみ、楽しみ!!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.05.11 14:00 Fri
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【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】3年のスペイン2部経験はロシアで生きる。日に日に高まる吉田のパートナーに推す声 鈴木大輔

▽6月の2018年ロシア・ワールドカップに挑む日本代表の新たな指揮官に西野朗監督が就任してから約1カ月。新監督はヴァイッド・ハリルホジッチ前監督時代の主力メンバーの現状をチェックすると同時に、新たな武器になりそうな選手を洗い出しているという。 ▽4月下旬から赴いた欧州視察では、3月のマリ・ウクライナ2連戦(リエージュ)で選出から漏れた井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)や浅野拓磨(シュツットガルト)のところにも足を運び、コンディションをチェック。5月21日から東京近郊で行う直前合宿に呼ぶ意向を示しているようだ。 ▽5月14日にはFIFA(国際サッカー連盟)に提出する予備登録35人が明らかになる。そこに入っていなければ、ロシア行きのチャンス自体が潰えるわけだが、西野監督にどうしても手元に呼んでほしい選手が1人いる。それはスペイン2部のヒムナスティック・タラゴナでプレーするセンターバック・鈴木大輔。10代の頃から年代別代表の守備陣を担い、2012年ロンドン五輪でも吉田麻也(サウサンプトン)とコンビを組んで日本の4強入りの原動力になったDFである。 ▽そもそも鈴木はロンドン五輪直後に日本代表入りしていい存在だった。が、当時のアルベルト・ザッケローニ監督は今野泰幸(ガンバ大阪)を重用。吉田と長くコンビを組ませた。しかし、2013年6月のコンフェデレーションズカップ(ブラジル)で日本守備陣が3試合合計で大量9失点を喫すると、突如としてバックアップ探しに乗り出す。そこで目をつけたのは、森重真人(FC東京)。鈴木も2013年8月の東アジアカップ(韓国)に呼ばれたが、森重と栗原勇蔵(横浜F・マリノス)の下という位置づけにとどまった。 ▽その後も「鈴木は有力なセンターバック候補の1人」と言われ続けながら、代表定着は叶わず、2014年ブラジルワールドカップも逃した。清武弘嗣や山口蛍(ともにセレッソ大阪)らロンドン五輪メンバーの何人かが世界舞台に立つ姿を目の当たりにした鈴木は、自分に足りないものを求め続け、2016年2月に海外行きを決断する。2部と言えども、スペインリーグは世界屈指のレベル。そこに身を投じることで、自分に足りなかった泥臭い守備を学び、球際や寄せの部分に磨きをかけ、ここまでやってきたのだ。 ▽目下、日本代表のセンターバック候補者は、最終ラインの柱である吉田とハリルホジッチ監督の下で大きく成長した槙野智章(浦和レッズ)、最終予選途中までレギュラーだった森重、最終予選終盤に先発の座をつかんだ昌子源(鹿島アントラーズ)、日本人離れした高さと強さがウリの植田直通(鹿島)の5人。吉田に関しては、西野監督が真っ先に訪問したほど重要な存在ではあるが、彼のパートナーは依然として定まっていない。 ▽3月2連戦では槙野のリーダーシップが大いに光ったが、今季の浦和でのパフォーマンスを見る限りでは不安定な部分も垣間見える。森重も今季頭から復帰してはいるものの、代表でレギュラーを張っていた頃のような安定感は示せていない。鹿島の2人もチーム状態が悪いこともあるのか、ちょっとしたスキを作る場面が見られる。昌子に関してはケガも抱えていて、欠場を余儀なくされることも少なくない。つまり現段階で、4人の中で絶対的な選手はいないのだ。 ▽そういう状況だけに、鈴木を加えて競争を煽るのは、1つの有効のアイディアではないか。柏レイソル時代の鈴木は多少なりとも甘さが感じられたが、今では言葉の通じない異国で堂々と周囲に指示を出せるほどのタフさを身に着けたという。スペインの屈強なDFをリスタート時に封じたり、技術の高いアタッカーと1対1で徹底マークすることも多かったはず。その経験値はやはり海外にいるからこそ、得られたものに違いない。それはロシアの大舞台でも生かされる。彼自身も困難な環境で磨いた部身を日本のために発揮できるのなら感無量に違いない。 ▽もっと言えば、鈴木がハリルホジッチ前監督にここまで呼ばれなかった理由もこれまでハッキリしなかった。181㎝という身長が引っかかったのかもしれないが、彼が高さがない分を経験値でカバーできる選手であれば、代表入りは全く問題ないはずだ。 ▽西野監督も鈴木と同じスペイン2部の井手口のことを気にかけ、ドイツ2部でプレーする原口元気や宇佐美貴史(ともにデュッセルドルフ)のところにも足を運んだというから、新指揮官は欧州2部リーグ所属選手でも特に支障はないと考えている様子。鈴木の抜擢があってもおかしくはない。今回の予備登録メンバーに彼を加える意向はあるのか否かは非常に興味深い点と言っていい。 ▽いずれにしても、28歳になった鈴木大輔がどこまで戦えるDFになったのかはぜひ見てみたいところ。まずは21日から東京近郊で始まる直前合宿に呼んで、彼が真価を示すチャンスを与えてほしいものである。【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2018.05.11 11:00 Fri
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【原ゆみこのマドリッド】決勝ファーストではあるんだけど…

▽「やっぱりそうだったのね」そんな風に私が頷いていたのは火曜日、ムチュア・マドリード・オープン出場前にラファ・ナダルが記者会見で話すのを聞いた時のことでした。いやあ、このスペインが誇る世界ランキング1位のテニスプレーヤーは自他共に認めるレアル・マドリーファンなんですが、何故か先週の木曜にはワンダ・メトロポリターノのパルコ(貴賓席)に出現。ヨーロッパリーグ準決勝アーセナル戦2ndレグを観戦中、アトレティコのユニフォームを首に巻き付けていたため、応援するチームを変えたのかと騒がれていたんですけどね。翌日のイベントで当人と一緒になったヒル・マリン筆頭株主までが、「Nadal es del Atleti aunque no lo sepa/ナダル・エス・デル・アトレティ・アウンケ・ノ・ロ・セパ(自分では気づかなくてもナダルはアトレティコファンなんだよ)」とジョークを言っていた程でしたが、そのコメントは単純明快。 ▽ナダル曰く、「ハーフタイムにセレソ会長にユニをもらってね。Hacia mucho frio y me la puse de bufanda/アシア・ムーチョ・フリオ・イ・メ・ラ・プセ・デ・ブファンダ(とっても寒かったから、マフラーにしたんだ)」とのことでしたが、いや、本当にファンだったら、首に巻くならアトレティコのマフラー、ユニだったら着るはずですし、あの夜は風も吹いて冷えたからだろうと私など、最初から思っていたんですけどね。ええ、アトレティコのファンたちなんて、2014年以来の決勝進出を後押ししようと、熱い声援を途切れなく送っていたため、寒さなど感じる暇もなかったかはずなんですが、まあ世の中、そんなもの。でもねえ、ポカポカ陽気の日でも時々、アトレティコって、非常にお寒い状態になるのはどうしてなんでしょうか。 ▽それは先週末の日曜、まだ日の高い午後4時過ぎから始まったリーガのエスパニョール戦だったんですが、何せ、アーセナルとの死闘を彼らが演じたのはたったの3日前。後でシメオネ監督も「コスタとコレアは出場停止だったし、グリーズマンは前の試合で凄まじい消耗をした。ガビは34歳、ゴディンは32歳…que quieres, muchacho?/ケ・キエレス、ムチャチョ(どうしてほしいんだい、君)」と開き直っていましたが、選手をローテンションした彼らは、いえ、フィリペ・ルイスが腓骨骨折を乗り越えて復活したという朗報はあったんですけどね。ビトロが前半25分に太ももを痛め、カンテラーノ(アトレティコBの選手)のサネに代わっても、その日は3CB制を敷いていたとあって、せめてスコアレスドローぐらいには持ち込めるかと期待していれば…。 ▽いやあ、DFの数が多いからって守備が良くなる訳じゃないんですね。逆に「Con El Cholo no hemos trabajado mucho esto/コン・エル・チョロ・ノー・エモス・トラバハードー・ムーチョ・エスト(シメオネ監督とこのシステムはあまり練習していないんだ)」(ヒメネス)のが仇になったか、後半8分には目が点になるような不幸なミスが連発することに。ええ、エリア内でベルサイコがクリアしたボールをメレンドに送り、そのシュートをサビッチが頭でそらしたため、GKオブラクが意表を突かれてゴールって、今は遠い昔になったダメダメ時代のアトレティコを彷彿させない? ▽おまけに31分、レオ・バプティスタンにも5シーズン前、1年だけ在籍した古巣への恩返し弾を決められ、2点差にされたとなれば、テア・シュテーゲンにサモラ(リーガで一番、失点率の低いGKに与えられる賞)レースで1点差に迫られてしまったオブラクが可哀そうじゃないですか。うーん、この日、先発ツートップを務めたフェルナンド・トーレスとガメイロが悪いということもなかったんですけどね。実際、コケとサウールは前後半半分ずつ、ようやく右SBから解放されてボランチに戻ったトマスも疲労からか、まったくゲームの組み立てを望めない中、前線にボールが届くことも稀とあって、結局、アトレティコは0-2のまま、リーガ戦ワンダ初黒星を喰らってしまいましたっけ。 ▽え、試合後、アーセナル戦1stレグでの退場で4試合のベンチ入り禁止処分中、先日の2ndレグやEL決勝、更に優勝した場合、夏のUEFAスーパーカップでもピッチで指揮が執れないせいでしょうか。この日は声を枯らして選手たちを鼓舞していたシメオネ監督も「Nos quedan cuatro días para la final/ノソウ・ケダン・クアトロ・ディアス・パラ・ラ・フィナル(ウチには決勝まで4日間しかない)」と、今週土曜の弟分、ヘタフェとのミニダービーをすっ飛ばし、いきなり来週水曜の話になっていたように、もうアトレティコサイドはタイトル獲得しか頭にないんだから、リーガでのヘタレっぷりは大目に見てやるしかないだろうって? ▽そうですね、月曜からはワンダの窓口でソシオ(協賛会員)歴が古い順に決勝チケット販売が始まりましたし、リーグ1の試合を金曜に前倒ししたオリンピック・マルセイユをリヨンで倒すには、土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのコリセウム・アルフォンソ・ペレスではそれこそ、全員カンテラーノでプレーしてもいいぐらい。その方が折しも同じ日曜、私がようやく近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に辿り着き、最後の15分だけ見られたラス・パルマス戦では後半43分に決勝点。ええ、すでに降格済みの相手からレンタル中のレミこそ、アンヘル・トーレス会長が交渉して出場できたものの、10人もの負傷、出場停止者がいたせいもあって、ヘタフェB(3部)のメンバー3人と共に久々の先発となった柴崎岳選手が、こんな時間になっても集中力を失っていなかったことを証明してくれたんですよ。 ▽敵陣エリア近く、GKからパスをもらったハビ・カステジャーノの背後から、柴崎選手がボールを奪うとホルヘ・モリーナにバトンタッチ。最後はアンヘルが決め、土壇場で0-1の勝利をもぎ取ったヘタフェですからね。これで兄貴分からも勝ち点3をゲットできれば、来季のEL予選出場権がもらえる7位に喰いこめるかもしれないとなったら、相手がローテーションしてくれるのは渡りに舟かと。ただし、サッカー協会の規則で7人以上、ピッチにトップチームの選手がいないといけないという縛りがありますし、ビトロはEL決勝を目指してリハビリ中とますます、アトレティコは少数精鋭になっているため、シメオネ監督にあまり選びようはないんですけどね。 ▽そんな中、ヘタフェが再びヨーロッパの大会に返り咲いた場合、昨季、昇格プレーオフで1部に上がり、シーズンがどこより長かった彼らが来季は7月下旬、EL予選3回戦でどこより早いシーズンインになるのはちょっと気の毒なところも。とはいえ、月曜に同じ残留決定組のレバンテとブタルケで対戦、突如、降り始めた大雨にお祝い気分に水を差されたか、0-3と大敗してしまったレガネスではガリターノ監督から、火曜に今季限りで退団という発表があったのとは対照的に、ボルダラス監督の続投はほぼ決定していても選手の入れ替えはかなりあるでしょうからね。休みが短いのはスタッフ以外、あまり気にしなくていいのかもしれませんね。 ▽え、それよりヘタフェ戦終盤からバルに居座っていたのが大成功。珍しく私が席取りに苦労しなかったクラシコ(伝統の一戦)の話も聞きたいって?いやあ、これがすでにバルサの優勝が前節のデポルティボ戦で決まっていたため、戦前はdescafeinado(デスカフェイナードー/カフェインレス)なクラシコなんて言われていたんですが、始まってみればとんでもない。ええ、ワンダでの裏クラシコ(マドリーとバルサが対戦する時はいつもアトレティコとエスパニョールのカードになる)とは真逆の激しさで、それに油を注いだのがどちらも満足しなかったエルナンデス・エルナンデス主審のジャッジだったんですよ。 ▽というのも前半10分、セルジ・ロベルトのクロスをルイス・スアレスが撃ち込んでバルサが先制、15分にはクリスチアーノ・ロナウドのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)をエリア内左奥に持ち込んだクロースがゴール右前のベンゼマにクロス、彼が頭で落としたボールにロナウドが駆けつけて同点をゲットした際にピケに足首を蹴られてしまったなんて辺りまではまだ、普通だったんですけどね。だんだんゲームがヒートアップしていき、前半ロスタイムにはマルセロがセルジ・ロベルトに顔を殴られ、一発レッドで退場となってしまったから、驚いたの何のって。 ▽おかげでハーフタイムが終わり、後半のピッチに出るのを選手たちがカンプ・ノウのトンネルで待っている間、ピケが「Sabes que ganamos las ligas con muchos puntos de ventaja/サベス・ケ・ガナモス・ラス・リーガス・コン・ムーチョス・プントス・デ・ベンタハ(ウチは大差の勝ち点差でリーガ優勝したのを知ってるかい?)」とからかって、温厚なナチョを激怒させたり、映像はないものの、メッシなど、セルジ・ロベルト退場前にウムティティのふくらはぎをスパイクで蹴ったベイルにレッドカードが出なかったことを根に持って、「Te cagas, te cagas, siempre estais igual/テ・カガス、シエンプレ・エスタイス・イグアル(ビビッたな、あんたたちはいつも同じだ)。ボクらがリーガ優勝してるんだから、もう奴らに試合を贈る必要はない」と主審に噛みついていたなんて話も発覚。 ▽その件については、試合後のミックスゾーンでセルヒオ・ラモスも「Si, le ha metido un poco de presion al arbitro/シー、レ・ア・メティードー・ウン・ポコ・デ・プレシオン・アル・アルビトロ(そうだね、彼は少し、審判にプレッシャーをかけていた)」と証言していましたが、でもねえ。確かに後半7分、当人も「Es falta, porque Varane controla y le meto el pie/エス・ファルタ、ポルケ・バラン・コントロラ・イ・レ・メト・エル・ピエ(あれはファール、ボールをコントロールしているバランに自分は足をかけたから)」と言っていた通り、ルイス・スアレスが相手を倒しながら、止められることなくプレーを続行できたのはともかく、パスを受け取ったメッシにああも見事にラモスとカセミロがかわされ、シュートを決められてしまっては…。 ▽それでもこの1点は28分、後半からロナウドに代わってプレーしていたアセンシオのラストパスをベイルが豪快に打ち込んで返してくれたため、オブラクとテア・シュテーゲンの失点差がまた3に広がっただけでなく、10人になったバルサに負けるという醜態は避けられたんですけどね。30分にはジョルディ・アルバがマルセロをエリア内で倒しながら、PKを取ってもらえないという不運もありましたが、結局、「11体10になった後半、ウチは忍耐が足りなくて、先走ったプレーをしてしまった」とジダン監督も反省していたように、試合はそのまま2-2で終了です。 ▽いやあ、バルサが優勝決定してから、最初のホームゲームだったため、マドリー勢が引き揚げた後、選手たちが場内一周を始めたのは別に構わなかったんですけどね。そのシーンを中継していたGOL TVのアナウンサーが、「ピケがマイクを持っています!」とやたら興奮。そこで私もそのまま見ていると、「Como no nos han querido hacer el pasillo, le pido a nuestro staff que nos lo haga/コモ・ノー・ノス・アン・ケリードー・アセール・エル・パシージョ、レ・ピド・ア・ヌエストロ・スタッフ・ケ・ノス・ロ・アガ(ボクらに花道を作りたがらなかったから、やってくれるよう、スタッフに頼んだ)」と当人が説明、バルベルデ監督も含むチーム関係者が2列に並んで、その間を選手たちが通ってロッカールームに帰って行くって、わざわざこれみよがしにマイクで言うこと? ▽うーん、いくらジダン監督がクラブW杯優勝直後の前期クラシコでバルサが花道を作らなかったのを理由に今回、マドリーもこの慣習に従わないことにしたとはいえ、何だか子供っぽいリベンジのような気がしましたが、まあピケですからね。この日、最後のクラシコをプレー、翌日には中国の重慶当代力帆から一転、バルサのスポンサーである楽天の所有するヴィッセル神戸への移籍が浮上して、日本のファンをドキドキさせているイニエスタがラモスにメッセージ入りユニを贈っていたり(https://twitter.com/SergioRamos/status/993504736467935232)と、来週末にリーガが終わった後、スペイン代表として一緒にW杯に行く選手たちが試合後、仲良く談笑しているのを見られたのは何よりでしたっけ。 ▽そして今週はマドリッド勢でマドリーだけ、コパ・デル・レイ決勝で延期されたセビージャ戦がミッドウィークにあるんですが、こちらも頭には26日のCL決勝しかないのは言う必要もなし。試合前日記者会見でジダン監督はすでに全体練習に復帰しているイスコはもちろん、現在、負傷中のロナウド、カルバハルもキエフでのリバプール戦には間に合うと太鼓判を押していましたが、当然、水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)からのリーガ消化試合はローテーションが大前提かと。クラシコをベストメンバーで戦ったばかりのため、おそらくマジョラル、セバージョス、ジョレンテ、テオら、Bチームの出場となると思うんですが、いやあ、この辺は私も痛し痒し。 ▽だってえ、セビージャはヘタフェの直接ライバルのため、勝って弟分に恩義を売るいいチャンスとはいえ、そうなると2位のアトレティコとマドリーの勝ち点が並んでしまいますからね。モンテッラ監督を解任、前節から就任したカパロス監督がレアル・ソシエダに勝ち、向こうもいいムードになっているため、どちらが優勢とも言えないものの、何はともあれ、マドリーにとっては負傷者を出さない試合をするのが最優先事項でしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.09 22:15 Wed
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【六川亨の日本サッカーの歩み】元日本代表監督の石井氏とのエピソード

▽去る4月26日、元日本代表監督の石井義信氏(享年79歳)がご逝去され、通夜が5月1日に催された。石井氏は広島県生まれで、高校卒業後に一般試験で東洋工業(現マツダ)に入社。サッカーは高校時代に始めたが、東洋工業蹴球部(現サンフレッチェ広島)でレギュラーに定着すると、1965年に創設されたJSL(日本サッカーリーグ)では67年まで3連覇を達成すると、65年と67年の天皇杯優勝にも貢献した。 ▽1975年にはフジタ工業サッカー部(現湘南ベルマーレ)の監督に就任し、マリーニョやカルバリオらを擁して攻撃的なサッカーで、77年と79年にリーグタイトルと天皇杯の2冠獲得を達成した。そしてフジタの監督を退いた1980年からはJSLの常任運営委員に就任し、後のJリーグ創設にも貢献した。 ▽そんな石井氏が1986年に日本代表の監督に抜擢される。前任の森孝慈監督(故人)は85年10月26日のメキシコW杯アジア最終予選の第1戦に続き、11月3日の第2戦でも韓国に敗れ、W杯出場の夢を断たれる。森監督は強化のためにはプロ化が急務と考え、まず監督のプロ化の必要性を訴えたもののJFA(日本サッカー協会)は時期尚早と判断。森氏は代表監督から退いたため、石井氏に白羽の矢が立った。 ▽通夜にはフジタ時代の主力選手だったマリーニョさんや、日本代表の一員としてソウル五輪予選を戦った奥寺康彦さん、都並敏史さん、水沼貴史さん、金子久さんと谷中治さん、前田治さんら帝京高校OBなど懐かしい顔が揃い、故人を偲んでいた。 ▽そんな石井氏にとって忘れられない出来事がある。日本代表の監督時代はフジタの攻撃的なサッカーから一変、守備的なサッカーを採用した。ライバルの韓国は予選に参加していないものの、それでも日本の実力はかなり低いと判断したからだ。 ▽当時はセネガルに2-2で引き分けたり、広州市、広東省、上海市ともドローを繰り返したりしていた。監督に就任して強化の時間も少なかったが、ラモスやレナト・ガウショらブラジル人選手のいる日本リーグ選抜に0-1、韓国のクラブチームである大宇に1-2で敗れるなど低調な試合が続いた。 ▽そこで当時務めていたサッカー専門誌で石井ジャパンに批判的な記事を書いたところ、西が丘での練習後の囲み取材で質問したら一切無視された。普段は柔和な石井監督が質問を無視したのだから、よほど批判が気に入らなかったのだろう。 ▽それでも石井ジャパンはソウル五輪予選を勝ち上がり、中国との最終予選に進出した。第1戦は87年10月4日、アウェー広州での試合だった。この試合を水沼のアシストから原博実のゴールで1-0と逃げきる。 ▽6万人の大観衆が詰めかけた試合では、中国代表は東北部の遼寧省の長身選手が主力だったが、南部の広州での試合とあって、遼寧省の選手がボールを持つと中国ファンから大ブーイング。そして広州の小柄な選手がボールを持つと大声援という応援スタイルに、他民族国家の複雑さと同時に、サッカーの応援スタイルではヨーロッパに近く、「日本よりもファン、サポーターは先進的だ」と痛感したものだ。 ▽そして試合翌日、日本代表は朝6時のバスでホテルを発ち、日本に帰国する。そんな彼らを見送ろうと、寝起きの短パンTシャツ姿でバスの前で待っていると、石井監督は近寄ってきて握手を求めてきた。批判的な記事を書いてきただけに嫌われていると思っていたので意外だったが、それだけ石井監督にとっても会心の勝利だったのだろう。正直、うれしかった。 ▽ホームでの第2戦は引き分けさえすれば20年ぶりの五輪出場が決まる。霧雨の降る試合だったと記憶している国立競技場。開始直後に手塚聡が絶好のシュートチャンスを迎えたものの、ピッチの窪地に足を取られて外してしまう。そして試合は0-2で敗れ、石井ジャパンの挑戦は終わった。 ▽試合後の記者会見では、どこから紛れ込んだのか1人のファンが最前列で嗚咽をもらしていた。メキシコW杯に続くソウル五輪の最終予選での敗退。奇しくもその日は2年前のメキシコW杯アジア最終予選が行われた10月26日。オールドファンにとっては忘れられない忌まわしい10・26でもある。 ▽その後、石井氏は1999年に東京ガスの顧問に就任し、FC東京の創設とJリーグ参入に尽力した。練習場の小平や味の素スタジアムでは、いつもの柔和な顔で孫に近い選手を見守っていた。通夜では読経の前に弟さんが「サッカーに関われて幸せな人生だった」と故人の生前の声を伝えた。改めて石井さんのご冥福をお祈りします。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.07 22:25 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】いよいよ決勝まで辿り着いた…

▽「そりゃ負けるよりは勝った方がいいけど」そんな風に私が肩をすくめていたのは金曜日、お昼のニュースでレアル・マドリーが日曜のクラシコ(伝統の一戦)に向けて練習をしている映像を見た時のことでした。いやあ、ご存知の通り、先週末の前節にリーガ優勝を決めたバルサはすでに月曜にはコパ・デル・レイとの2冠を祝う市内パレードを終了。もうバケーションまで秒読み態勢というか、多くの選手の関心は来たる6月のW杯に切り替わっているはずなんですが、対するマドリーも翌火曜には26日のCL決勝行きが決まったため、それまでの3週間は調整がメインに。 ▽宿敵の優勝を称え、慣例のpasollo(パシージョ/勝者の花道、優勝チームを相手チームが2列を作ってお出迎えする)をするつもりもやっぱりないようで、ここ数日は、今季限りでバルサ退団を発表したイニエスタに両チームで花道を作ったらいいんじゃないかなんて意見まで出ていますが、そんなことは単なる些事。CL優勝の可能性を残したおかげで、マドリーが引け目を感じず、カンプ・ノウのピッチに立てるのは良かったものの、この段になって、無理してケガなんかされるのも困りますからね。 ▽それでもクラシコ勝利で不甲斐なかった今季のリーガの憂さが少しでも晴らせるかと、ジダン監督は負傷のリハビリ中のイスコ、カルバハルを除き、クリスチアーノ・ロナウドを筆頭にクロースやモドリッチら、ベストメンバーを並べる予定だそうですが、果たして日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのこの一戦が盛り上がるのかどうか。ええ、マドリーの残りは1つ多い4試合でも、ロナウドとメッシのゴール数も8本差と開いているため、ピチチ(得点王)争いの楽しみすらないのはちょっと、私も残念なんですが…。 ▽まあ、カフェインレスのクラシコはともかく、今週はマドリッド勢にとって、ハラハラさせられたものの、最高の結末となったCL、EL準決勝2ndレグがどうだったか、お伝えしておかないと。まずは先週の1stレグでバイエルンに1-2と勝利したマドリーがサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグを迎えたんですが、今回はremontada(レモンターダ/逆転劇)の必要がなかったにも関わらず、火曜の午後6時30分には大勢のファンがチームバスのスタジアム入りをお出迎え。いえ、人込みが苦手な私は丁度、出掛けに寄ったバル(スペインの喫茶店兼バー)のTVでその様子を眺めていただけだったんですけどね。 ▽バルデベバス(バラハス空港の近く)の合宿所を出発したバスがハバナ通りを下り、ロス・サグラードス・コラソネス広場を回ってパドレ・ダミアン通りから駐車場に入るまで、物凄い数のマドリディスタたちに応援されていましたが、やっぱり駆けつけた全員が早々とソールドアウトになったチケットを手に入れられた訳じゃなかったんですね。ええ、私がメトロ(地下鉄)のサンティアゴ・ベルナベウ駅に着く頃にはお出迎えを終え、どこぞで試合を見ようと階段を下りてくるファンともかなり沢山、すれ違いましたっけ。 ▽さて、fondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側)に「defendamos el trono, conquistemos la gloria/デフェンダモス・エル・トローノ、コンキステモス・ラ・グロリア(王座を守ろう、栄光を掴もう)」というメッセージの入った横断幕が掲げられ、意気揚々と始まった試合の方はというと、うーん、こうもいきなりショックを与えられていいもんですかね。先日、ユベントスとの準々決勝2ndレグでも開始2分のマンジュキッチ弾を皮切りに、3-3の総合スコアで同点にされてしまったマドリーでしたが、この日も3分にセルヒオ・ラモスのクリアミスから、1stレグでも早い先制点を挙げていたキミッヒにゴールを奪われてしまうって一体、どういうこと? ▽それこそ先が思いやられましたが、幸いにも11分にはマルセロのクロスをベンゼマがヘッドで決め、同点になってくれたから、ホッとしたの何のって。おまけに後でボールを持った息子さん連れでミックスゾーンに現れたマルセロも、「Si te digo que no ha tocado mi mano, soy mentiroso/シー・テ・ディゴ・ケ・ノー・ア・トカードー・ミ・マノ、ソイ・メンティローソ(もし手に触らなかったと言ったら、ボクは嘘つきだね)」と認めていたように、ハーフタイム入り間際、エリア内でキミッヒのシュートが当たりながら、ハンドでのペナルティを取られなかった彼らは後半開始直後、途方もない幸運に恵まれたんですよ。 ▽だってえ、1分にはトリソがGKウルライヒにバックパスしたところ、それを取りに行った当人曰く、「ベンゼマが来ていたから、1対1に備えたんだけど、その一瞬、『このボールは手で掴んじゃいけない』と気づいたんだ。それで足でクリアしようとしたら…」という信じられない大ポカが生まれたから、ビックリしたの何のって。ええ、後ろに転がったボールを素早くベンゼマが蹴り込んで2点目をゲットしたとなれば、その日は右SBを本職のDFでないルーカス・バスケスがカバーしていたなんてこともありましたからね。バイエルンの破壊力を恐れていたファンたちもどんなに安心できたことか。 ▽その後、敵はハメス・ロドリゲスの1度はバランに当たって跳ね返り、撃ち直して入れたゴールで2-2に持ち込んだんですが、この準決勝ではアルトウロ・ビダル、ロッベン、ボアテング、ハビ・マルティネスと選手の負傷に泣かされたハインケス監督も「マドリーはケイロルにお礼を言うべきだろう。素晴らしかった」と褒めていたように、GKナバスがバイエルンの逆転勝ち抜けに繋がる追加点を阻止。「ウチの方がいいチームだった訳じゃないが、より効率的だった」(クロース)おかげか、総合スコア4-3で勝ち抜けることができましたっけ。 ▽え、試合後はジダン監督も「En la Champions no consigues cosas sin sufrir, y menos llegar a una final/エン・ラ・チャンピオンズ・ノー・コンシゲス・コーサス・シン・スフリル、イ・メノス・ジェガール・ア・ウナ・フィナル(CLでは苦しまずには何も得られない。ましてや決勝進出など)」と言っていたけど、この日の選手たちの喜びようは尋常じゃなかったんじゃないかって?そうですね、いきなり全員が「A por la 13(ア・ポル・ラ・トレセ(13回目へ))」とプリントしたTシャツを着用、フォンド・スールに手を繋いで駆け出して行った時には私も目を見張りましたけどね。その時、1人だけダイブしていたラモスなど、一旦、ローカールームに引っ込んだ後、また皆で出て来た時、グラダ・デ・アニマシオン(応援席)にまで上がり込む始末。 ▽マイクを渡され、ファンと一緒に「como no te voy a querer/コモ・ノー・テ・ボイ・ア・ケレール(どうして君を好かずにいられようか/マドリーの定番応援ソング)」と歌ったりしていましたが、何より羨ましいのは彼らが、「Vamos a intentar defender en Kiev nuestro titulo/バモス・ア・インテンタール・デフェンデール・エン・キエフ・ヌエストロ・ティトゥロ(我々のタイトルを守るためにキエフに行くつもりだ)」(ジダン監督)と堂々、言えてしまうってこと。だってえ、これで3年連続のCL決勝進出ですよ。しかも勝てば3連勝、お隣さんが2度も貢献したおかげもあって、ここ5年間で4回目ともなれば、いかにマドリーがCL強者であるかわかるというものじゃないですか。 ▽その分、決勝を応援に行くサポーターは大変ですけどね。しかも今回は会場がウクライナとあって、これまでのリスボン、ミラノ、カーディフに比べて費用が桁違い。ええ、私も野次馬根性でキエフへのフライトを調べてみたところ、直行などなく、乗り継ぎで10何時間かかるチケットに1000ユーロ(約13万円)以上の値がついていたり、すでに現地のホテルの部屋は1泊1500ユーロ(約20万円)もすると聞くと、正直、ソシオ(協賛会員)が抽選で当たると買える1万2750枚のチケットが完売するのか、疑問に思うんですが、さて。そうそう、翌日水曜のもう1つの準決勝では1stレグで5-2の勝利をしていたリバプールがローマのホームで4-2まで追い詰められたものの、こちらも総合スコア6-7で逃げ切って決勝進出を決めています。 ▽そして1日置いた木曜、今度はアトレティコがアーセナルをワンダ・メトロポリターノに迎えたんですが、やっぱりELでも準決勝となると、ファンも奮い立つんですね。前夜の合宿入りの際にはヒルトン・エアポート・ホテルの前にサポーターたちが詰めかけ、カンティコ(メロディのついたシュプレヒコール)やベンガラ(発煙筒)でチームを鼓舞。スタジアムも満員となり、応援団の陣取るスタンドには赤白の旗や「Rumbo hacia Lyon/ルンボ・アシア・リヨン(行き先はリヨン)」という横断幕も現れたんですが、他の3面にはモザイクもなかったのはCLからELへ移ってUEFAからの報酬が減り、クラブの予算が削減されたせいだった? ▽でも大丈夫。熱いアトレティコファンたちは皆、bufanda(ブファンダ/マフラー)を掲げてhimno(イムノ/クラブ歌)を大合唱していましたが、私が比較的、気楽でいられたのは先週、1stレグで1-1と引き分けていた彼らはスコアレスドローでも勝ち抜けられるとわかっていたから。とはいえ、ロンドンでの試合はピッチ脇でアップして、アーセナル陣営を威嚇するに留まったジエゴ・コスタが先発となると、いえ、その日はベンチ入り禁止処分により、パルコ(貴賓席)で観戦。「Hoy sentí lo que siente el hincha/オイ・センティ・ロ・ケ・シエンテ・エル・インチャ(今日はファンが感じることを感じた)」と、要所要所では自分もマフラーを盛大に振り、観客席を煽っていたシメオネ監督も後で言っていたんですけどね。 ▽「Costa vino para esto, para ser determinante, para tener un delantero con rabia/コスタ・ビノ・パラ・エストー、パラ・セル・デテルミナンテ、パラ・テネール・ウン・デランテーロ・コン・ラビア(コスタはそのために来た。試合を決める、怒りを持ったFWとして)」というだけに開始6分、彼がチーム最初のシュートを惜しくも外した時には勝利への欲も感じたものですけどね。並行して、10分には自分が目を離している間にコシエルニが倒れていたせいで、「まさかコスタが何かしたのでは?」と1stレグのベルサイコ並のスピード退場を恐れたりもしたものですが、幸いそれは私の勘違い。どうやら1人でアキレス腱を痛めてしまい、下手をするとW杯に行けないぐらいの重傷のようだとか。 ▽すぐにチェンベリーと代わりましたが、おかげでアトレティコの立ち上がりの勢いも削がれてしまったか、しばらくはアーセナルがボールを独占することに。その間、22分にはグリーズマンがそのチェンベリーのcodazo(コダソ/肘打ち)を耳の後ろに受け、出血しながらプレーしていたなんてこともあったんですが、それでも前半ロスタイム、GKオブラクのゴールキックからのボールを急造右SB、トマスが彼に送ったところ、絶妙のスルーパスに合わせてコスタが敵エリアへ一直線。後日、イギリスのマスコミから、「彼はビーガン(ベジタリアンの一種)だから、パワーがないんだ」と批判を受けることになるベジェリンとの競り合いにあっさり勝つと、GKオスピナの頭の上を抜くシュートを突き刺してくれるんですから、もうさすがとしか言いようがありませんって。 ▽他にもコケやグリーズマンのシュートが枠をかすめたアトレティコは、いえ、もちろんオブラクも途中出場したムヒタリアンの一撃を止めるなど、普段よりは少ないながら、見せ場を作ったんですけどね。残り10分にはコスタが交代を頼み、ヒヤリとさせられたものの、当人も「Solo calambres/ソロ・カランブレ(足がつっただけ)」と言っていたため、逆にフェルナンド・トーレスがピッチに入り、自身ワンダで最後となるヨーロッパの大会の試合でプレーするいいキッカケになった?残念ながら、その彼のシュートはオスピナにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまいましたが、アトレティコが1-0で勝つのは珍しくありませんからね。 ▽最後は総合スコア2-1でアーセナルを倒し、2014年のスペイン・スーパーカップ以来、ご無沙汰していたタイトル獲得の前段階として、EL決勝進出が決まったとなれば、こちらも一旦、ロッカールームに戻った選手たちがファンのコールに応えて再登場。まるで優勝したかのように場内一周していたって全然、構わない?いやあ、後でサウールなどは「Pienso que aún no está esa magia que tenía el Calderón/ピエンソー・ケ・アウン・ノー・エスタ・エサ・マヒア・ケ・テニア・エル・カルデロン(まだビセンテ・カルデロンにあった魔法はないと思う)」と言っていましたけどね。そういう雰囲気はチームがビッグマッチでの勝利を重ねてこそ、醸成されていくもの。ELの決勝トーナメントではこの準決勝だけだったものの、来季、CLで長く勝ち残れば、ワンダだってだんだん、カルデロンみたいになっていきますって。 ▽そして彼らは16日、同時開催の準決勝ではザルツブルクに延長戦で2-1とし、総合スコア3-2で勝ち上がったオリンピック・マルセイユと対戦するんですが、何せリヨンは相手の地元から200キロしか離れていないため、思いっきりホーム感覚でプレーできますからね。「決勝なんだから、フランスでやろうと中国でやろうと同じさ。Hay que jugar, salir a ganar y ya está/アイ・ケ・フガール、サリール・ア・ガナール・イ・ジャー・エスタ(プレーして勝つために出ていくだけだよ)」とコケのように気楽な選手もいましたが、ちょっと心配なのは有名なマルセイユのウルトラ(過激なファン)たち。16強対決でアスレティックが当たった時もビルバオ(スペイン北部の町)で騒ぎを起こしていましたし、PSGvsマドリー戦のように場内が発煙筒で白くなるのも観客にとってはたまったもんじゃないかと。 ▽まあ、その辺の状況はおいおいに伝えていきますが、とりあえずクラシコ以外の今週末、マドリッド勢の予定も告げておくと、アトレティコは日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、ホームでエスパニョール戦。弟分の方は負傷、出場停止者続出で11人、トップチームの選手が欠けるヘタフェが日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、すでに降格の決まっているラス・パルマスとのアウェイ戦で来季EL出場権のもらえる7位の座を争うことに。特に目標のないレガネスはブタルケで月曜夜、立場的に同様なレバンテ戦で残留決定のお祝いをしますが、何だか、今季のリーガは店仕舞い感が漂うのがちょっと早いですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.05 10:00 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】スタジアム改修による19年問題

▽昨日2日、スイスで開催されたIOC(国際オリンピック委員会)の理事会で、20年東京五輪のサッカー会場が承認されたと3日付けの新聞が伝えた。立候補した7会場についてFIFA(国際サッカー連盟)が芝の状態など技術的な要件を確認したことで、正式に承認されたとのことだった。 ▽7会場は、以下の通り。新国立競技場、札幌ドーム、宮城スタジアム、カシマスタジアム、埼玉スタジアム2002、東京スタジアム(味の素スタジアム)、横浜国際総合競技場(日産スタジアム)。 ▽さてここで、「19年問題」があることを知っている読者はいるだろうか。東京都は昨年、19年のラグビーW杯や20年の東京五輪で使用する東京スタジアムの改修整備計画を明らかにした。それによると、18年度に改修工事に着工し、19年度の4~6月に完成を目指す。ラグビーW杯の開幕までに、昇降機の増設、車いす対応トイレの増設、和式トイレの洋式化、競技用照明のLED化、特別観覧席の更新、既存観客席の一部更新、受変電設備の一部更新、フリーWi-Fiの導入、インゴールの芝拡張、高さ17mのゴールポスト設置などを施工する予定だ。 ▽もしも6月まで工事がずれ込んだ場合、昨シーズンのJ1のカレンダーを参考にすると(今年はW杯のため過密&中断期間があるため)、東京スタジアムをホームとするFC東京は16試合もホームで開催できないことになる。さらに、9月にはラグビーW杯が控えていて、東京スタジアムは予選プール5試合と、準々決勝2試合に3位決定戦の計8試合が行われるため、9月20日から11月1日までの金曜から日曜までは使用できない。週末にサッカーの試合を入れられるのは10月26、27日だけである。 ▽Jリーグはホームスタジアムで80%以上の試合開催を定めているが、FC東京はこの問題をいかにしてクリアするのか、頭を痛めていることだろう。同じようなことは横浜国際総合競技場にも当てはまるが、FC東京の関係者は「マリノスには三ツ沢(ニッパツ三ツ沢球技場)がある」と羨む。 ▽FC東京U-23はJ3を味の素フィールド西が丘や夢の島競技場で開催しているものの、こちらはJ1規格ではない。駒沢競技場もあるが、病院と隣接しているためナイトゲームができない。6月までは駒沢で代替開催し、ラグビーW杯の期間中は平日開催にするか。いずれにせよ集客に影響が出るのは避けられないだろう。 ▽さらに問題はまだある。東京五輪の開催時、東京スタジアムではサッカーと7人制ラグビー、近代5種の各試合が開かれる。ラグビーW杯の終了後、五輪対応の追加工事として、車いす席から試合をより観戦しやくするための改修を別途行う計画があるからだ。こちらは部分改修になればスタジアムの使用に支障はないが、果たしてどのような結論に落ち着くのか。 ▽この問題は当該クラブだけで解決するのは難しいだけに、Jリーグや他チームの協力を仰ぎながら最善の方法を模索するべきだろう。来シーズンの日程作りは喫緊の問題でもある。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.04 12:00 Fri
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【倉井史也のJリーグ】オリヴェイラ監督がJ最高を証明するための道筋は!? の巻

▽見てきましたよ。川崎vs浦和。オズワルド・オリヴェイラ監督による見事な戦略で川崎は終始苛立ちっぱなし。ま、レフェリーがかなり揺れ動いてたって感じもするけどね。滅多に抗議しない小林悠まで必死にアピールしてたくらいだし。 ▽にしても、川崎の多彩な攻撃は結局パスを出す選手のほうが脅威だって割り切って、パサーを危険なエリアに入れないし、パスの受け手との距離を縮めてパスを出させないし。となると川崎はどんどん攻撃の手が少なくなってきて、西川周作を脅かす場面が少なくなっていたのでした。あ、こんな分析記事書くと、ちょっとサッカーライターっぽい? ▽その記者会見でオリヴェイラ監督が明らかにしたのは、まだ戦術練習を3回しかしておらず、しかも川崎対策は1日だけだったということ。そりゃ昔、日韓のオールスター戦でJリーグ選抜を率いたときはわずか1時間の練習でチームの形を作り上げたんですから、本領発揮だったってことでしょう。 ▽ただし。鹿島では3連覇を果たしたオリヴェイラ監督だったけど、その実チーム作りのスタートでは苦労してたんですよ。だって、鹿島の初年度を振り返ると、 3月 3日 J1リーグ 川 崎(アウェイ)0●1 3月11日 J1リーグ G大阪(ホーム) 0●1 3月17日 J1リーグ 千 葉(アウェイ)3△3 3月21日 ナビスコ 新 潟(アウェイ)1●3 3月25日 ナビスコ 新 潟(ホーム) 2○1 3月31日 J1リーグ 神 戸(アウェイ)1△1 4月 4日 ナビスコ 甲 府(ホーム) 0●1 4月 7日 J1リーグ 大 宮(ホーム) 0△0 4月11日 ナビスコ 名古屋(ホーム) 2○1 4月14日 J1リーグ 横浜C(アウェイ)1○0 4月21日 J1リーグ 清 水(アウェイ)2○1 ▽どうですか、この最初の勝てなさっぷり!! シーズン前にはサブ組なんて一日6時間ぐらい練習してたんですけど。で、こっからだんだん盛り返していくという、この年は奇跡を見せてくれました。 ▽だから、たぶんまだまだオリヴェイラ流は浸透してないだろうけど、これからがぐっと楽しみってコト。現在、すでに首位の広島とは勝点差が16あるものの、大逆転すればそれこそオリヴェイラ監督はJ最高を証明しちゃいますね。 ▽そんな浦和の次の対戦相手は5月5日17時、運命の鹿島戦。いやー、楽しみっす。 ▽あ、でもよく考えたら2007年の鹿島と首位浦和の最大勝点差って10だった気が……。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.05.03 14:00 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】決勝への道はマドリッドにある…

▽「今頃、バルセロナは盛り上がっているだろうな」そんな風に私がここ数日、ぶり返してきた寒さに閉口しつつ、サンティアゴ・ベルナベウのスタンドでバイエルンの練習を眺めながら呟いていたのは月曜日、前夜にリーガ優勝を決めたバルサのオープンデッキバスが祝賀パレードを開始する時間のことでした。いやあ、これで今季の彼らは上がり、今週日曜のクラシコ(伝統の一戦)を含め、無敗優勝やメッシのボタ・デ・オロ(ゴールデンシュー、ヨーロッパの得点王)獲得といった記録的な目標はあっても、残り3つのリーガ戦は消化試合。レアル・マドリーにはこの先もタイトル獲得の可能性があるため、ファンも退屈しないで済むんですけどね。 ▽午前中の記者会見でキャプテンのセルヒオ・ラモスも「コパ・デル・レイとリーガに優勝したのはバルサの功績だけど、ganar la Champions tiene ese plus que equivale a esos dos o incluso más/ガナール・ラ・チャンピオンズ・ティエネ・エセ・プルス・ケ・エキバレ・ア・エソス・ドス・オ・インクルソ・マス(CL優勝にはプラスアルファがあって、その二冠と同じか、それ以上の価値がある)」と言っていましたし、それこそ5月26日の決勝をリバプールかローマと戦うことになれば、6月半ばからのW杯まで時間を持て余すこともなし。とはいえ、問題はこの火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの準決勝2ndレグで先週、アリアンツ・アレナで手に入れた1-2の勝利を逆転されずに済むのかどうか。 ▽だってえ、準々決勝のユベントス戦なんてアウェイで0-3と完璧な勝利を挙げながら、ホームでの2ndレグでむざむざ追いつかれ、後半ロスタイムにルーカス・バスケスを倒したベナティアのペナルティから、クリスチアーノ・ロナウドがPKを決めてくれなかったら、延長戦に突入していたマドリーですよ。おまけに昨季の準々決勝でもミュンヘンで同じスコアで勝ちながら、2ndレグではレバンドフスキとラモスのオウンゴールで1-2にされ、延長戦で4-2にして、ようやく勝ち抜けたという苦い思い出が。まあ、直近2度の対決ではバイエルンを倒しているんですけどね。ハインケス監督も「マドリーに何回負けていても関係ない。私が監督をしていた時じゃないんだから」と言っていたように、まさに当人の指揮下にあった2012年など、延長戦を越えてPK戦に突入。 ▽ロナウド、カカが次々失敗し、それでもGKカシージャスが当時、バイエルンにいたクロースとラームを止めて五分になったかと思いきや、ラモスが天高く蹴り上げるという悲劇を私も目の当たりにしていますからね。ハインケス監督も決勝でチェルシーを破り、三冠を達成して勇退の花道を飾った年だったせいか、「最後にPKを決めたのはシュバインシュタイガーだったね」と齢72歳ながら、見事な記憶力を記者会見で披露していましたが、いやいや。今回は負傷で1stレグからいなかったアルトゥロ・ビダルに加え、その試合でケガしたロッベン、ボアテングを欠くブンデスリーガ王者ですが、現在、マドリーからレンタル移籍中ながら、ヨーロッパの試合には出場制限条項が適用できず。 ▽そのため、古巣への恩返しのチャンスを得たハメス・ロドリゲスも「No creo que tengamos que cambiar mucho porque hicimos un buen partido en la ida/ノー・クレオ・ケ・テンガモス・ケ・カンビアール・ムーチョ・ポルケ・イシモス・ウン・ブエン・パルティードー・エン・ラ・イダ(ウチはあまりプレーを変える必要はないと思う。1stレグではいい試合をしたからね)」と自信ありそうだったのは、何だか怖いですよね。 ▽え、私が不安感を煽られているのは先週末もマドリーはあまり強く見えなかったからじゃないのかって?うーん、土曜にあった弟分、レガネスとのミニダービーではロナウドを始め、先週水曜のバイエルン戦で先発を務めた選手が大勢休み、リピートしたのはカセミロのみ。その彼すら、「Solo era para dejar a Sergio y Varane descansando/ソロ・エラ・パラ・デハール・ア・セルヒオ・イ・バラン・デスカンサードー(ラモスとバランを休ませるためだけ)」(ジダン監督)に本職でないCBとしての出場でしたからね。2月にはコパ・デル・レイ準々決勝で逆転敗退した際のメンバーに最近、Bチーム扱いになってしまったんでしょうか。ベイルとベンゼマを加えたスタメンだったため、拮抗したゲームになるだろうと予想はできたんですが、この日のマドリーはツキもあって、前半のうちに2点をゲット。 ▽8分にはベンゼマのシュートがサルドゥアに当たり、それたボールをベイルがtijera(ティヘラ/シザースキック)でゴールにして先制すると、ハーフタイム入り間近にもコバチッチのクロスをブスティンサがヘッドでクリアしようとしたところ、ファーポストにいたマジョラルが撃ち込んでリードが倍増しているんですから、ラッキーじゃないですか。それでもへこたれずに後半も反撃を試みたレガネスは、ええ、21分にはアムラバットがエリア内右奥から出したクロスをゴール前でフリーだったブラサナツが押し込んで、1点を返すことができたんですけどね。 ▽ガリターノ監督も「Hemos generado muchas ocasiones, pero necesitas tambien acierto/エモス・ヘネラードー・ムーチャス・オカシオネス、ペロ・ネセシータス・タンビエン・アシエルトー(ウチは沢山、チャンスを作ったが、決定力も必要だ)」と認めていたように、ここまで35試合29得点と、1試合当たり1本以上ゴールを挙げることが滅多にできないのは、資金力不足で優秀なFWを獲得できない小規模クラブの宿命。ロスタイム、最後の攻撃もエル・ザールがいざシュート態勢に入った瞬間、タイムアップの笛を吹かれてしまったため、結局、1-2で負けてしまったんですが、大丈夫。 ▽終了後にピッチで「Eres muy malo, muy muy malo/エレス・ムイ・マーロ、ムイ、ムイ・マーロ(あんたはヘボだ、とってもとってもヘボだ)」と主審に毒づいたとして、キャプテンのガブリエル・ピレスがレッドカードをもらってしまったことはともかく、翌日曜にはバルサがメッシのハットトリックなどで2-4と勝利、必要だった勝ち点1を積んでリーガ優勝を決めると同時に負けたデポルティボの降格も決まり、来季2部でプレーする3チームが出揃ったため、レガネスも残留確定となりましたっけ。 ▽一方、マドリーの方は勝ったとはいえ、後半は押されていたこともあって、時折、pito(ピト/ブーイング)もスタンドから聞こえていたんですが、まあバイエルン戦とはプレーする選手も違いますしね。ジダン監督も「Pido a la gente que este como nunca ha hecho en su historia/ピド・ア・ラ・ヘンテ・ケ・エステ・コモ・ヌンカ・ア・エッチョー・エン・ス・イストリア(人々には今までの歴史でなかったぐらい応援してほしい)。決勝に行くにはそれが必要だからね」と次の試合でのサポートを頼んでいたんですが、ちなみにすでに90~360ユーロ(約1万2000~4万8000円)で販売されていたチケットは完売。ネットでは300~1200ユーロ(約4万~16万円)というダフ屋価格がついているそうですが、火曜のキックオフ前には午後6時30分からスタジアム周辺でチームバスお出迎えのquedada(ケダダ/ファンが集まること)予定もあるよう。 ▽人混みが平気で、試合はバル(スペインの喫茶店兼バー)観戦でもCLビッグマッチの雰囲気を味わいたいという方は行ってみてもいいかと思いますが、ドイツからのサポーターも4000人近くやって来るみたいですからね。荒っぽいことが起きないといいですが、こればっかりは…。そうそう、月曜夜にバルデベバス(バラハス空港の近く)での合宿に入った招集メンバーには1stレグでケガしたカルバハル、肩を痛めたものの、前日練習には参加して期待を持たせていたイスコが入らず、1カ月間離脱していたナチョが復帰という報があったんですが、やっぱり右SBはルーカス・バスケスがやるんでしょうか。 ▽そして翌日曜は正午から、ヨーロッパリーグ出場権のもらえる7位の座を懸けて、ジローナと対決するもう1つの弟分、ヘタフェの応援にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに出向いた私でしたが、3連勝中とあって、この日も彼らは好調。前半17分にはアンヘルがエリア内右奥から出したラストパスがフアンペに当たり、決定機に溜息をつかせてくれることの多いアマトが絶対、これなら外すことはないというゴール前から決めて先制点を奪うことに。ただねえ、その後も優勢だったヘタフェでしたが、ハーフタイムの少し前に災難に見舞われてしまったんですよ。ええ、敵のCKの時にダミアンが同じウルグアイ人のストゥアーニと骨肉の争いを繰り広げ、ペナルティを取られた挙句、レッドカードで退場してしまったから、参ったの何のって。 ▽え、ストゥアーニがPKも決めたため、同点にされながら、ヘタフェは後半早々、12分にホルヘ・モリーナがエリア内で倒されて、10人になっても勝ち越しのチャンスが舞い込んだんじゃないかって?うーん、その通りなんですが、今季の彼らにとってPKはまさに鬼門。この日もキッカーに立ったモリーナがシュートをゴールポストに当てて得点にならず、当人はこれで3回連続の失敗とは痛い。チームとしても今季、10回とどこのチームより多くPKをもらいながら、アンヘルやポルティージョ、アントゥネスらも含め、6回もゴールにできていないって、あまりに悲惨すぎなくない? ▽おかげでジローナと1-1のドローに留まり、それでも一応、セビージャを勝ち点1上回って7位に上がった彼らでしたが、何せ相手はコパ・デル・レイ決勝あったため、残り試合数が1つ多いですからね。いよいよ先週金曜にレバンテに負けた後、モンテッラ監督を解任、EL優勝5回を数える現在のチームの礎を作ったカパロス監督を後任に据え、相手もヨーロッパの大会出場最後の一席を死守する気でいるため、とりわけフラミニもケガをして、負傷欠場者が7人に増加。更に次節はダミアンに加え、ブルーノ、モラ、ファジル、モリネーロが出場停止で出られないヘタフェとしては苦しいところですが、さて。いい情報としてはここ4試合、プレー機会がなかった柴崎岳選手も日曜のラス・パルマス戦では見られそうだということと、敵はすでに降格済みのチーム。加えて、セビージャが5月9日にプレーする延期されている試合がマドリー戦だというのは大きいですかね。 ▽そしてヘタフェ(マドリッドの近郊)から、私がメトロ(地下鉄)を乗り継いで帰ってみると、もうアラベスvsアトレティコ戦のキックオフ時間が迫っていたんですが、はい、もちろん木曜にEL準決勝2dnレグを控えるこちらもローテーションしていましたよ。大黒柱のグリーズマンとGKオブラクにサウールを加えた3人はマドリッドでお留守番、それでもエミレーツ・スタジアムではピッチサイドでアップして、ア-セナル陣営にプレッシャーをかけるに留まったジエゴ・コスタが先発で復帰したため、何とか1点ぐらいは取れるんじゃないかと期待していたところ…。 ▽うーん、かなり苦労しましたね。序盤はアラベスに攻められ、リュカが自身のボールロストから招いたピンチにペナルティすれすれのタックルでムニルのシュートを防いだなんてこともあったため、シメオネ監督が最近、好きになったような3CB制にフォーメションをチェンジ。始めからSBの人出不足で右がトマス、左がベルサイコという珍しい組み合わせだったため、トマスとビトロが左右のウィングバックになった方がやりやすい面もあったんでしょうか。それからは守備も安定したんですが、肝心のコスタも前半はGKシベラにシュートを弾かれてしまい、0-0のままで折り返すことに。 ▽後半15分にはそのシベラがビトロのポストに当たったシュートに向けて飛んだ際に肩を痛め、アラベスは正GKのパチェコを投入。シメオネ監督も疲労を避けるため、コスタとコケをガビとゴディンに代え、残り時間でのカウンターを狙ったんですが、キッカケを作ってくれたのはワカソでした。ええ、25分にビトロを倒し、PKを献上した時にはフェルナンド・トーレスがパチェコに弾かれてしまい、後で彼はアトレティコで29回蹴ったPKのうち、失敗したのは10回という記事を読んで、イヤな予感には裏付けがあったんだと納得したものでしたけどね。信じる者は救われるとはまさにこのこと! ▽32分、トーレスのシュートをワカソが手に当て、またしてもPKがもらえるって、こんな都合のいい話があっていい?今度はガメイロが決めてくれたため、ロスタイムにはコレアが連続してイエローカードをもらい、退場してしまうというアクシデントはあったものの、そのまま0-1で勝利したアトレティコでしたが、やっぱりPKはねえ。ロンドンの1stレグではベルサイコが序盤に退場となった後、ラガゼットの先制点をグリーズマンの千載一遇のゴールで奇跡的に打ち消して、1-1で引き分けてきた彼らだけに、木曜午後9時5分(日本時間翌午前4時5分)からの2ndレグでは延長戦、PK戦突入の恐れもなきにしろあらずとはいえ、できればその前に決着をつけてもらいたいかと。 ▽ちなみにまだフアンフランも負傷中のため、お隣さん同様、右SBの人選が一番の懸念となっているアトレティコですが、0-0でも決勝進出となると、再び5バックで右にトマスというのもありそうな。アーセナルサイドで怖いのは先週、いなかったムヒタリアンが復帰しているところでしょうか。どうやらチケットの方はまだ150ユーロ(約2万円)以上の高額なシートがVIP席以外にもポツリポツリとあるようですけどね。収容人員がビセンテ・カルデロンより増えたせいか、移転して以来、完璧な満員御礼はコパ・デル・レイ決勝しかないワンダ・メトロポリターノのため、時間に余裕のあるファンは事前にスタジアムの窓口をチェックしてみるのも吉かもしれませんよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.01 11:00 Tue
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【六川亨の日本サッカーの歩み】過去にもあった代表監督解任に歴代JFA会長は…

▽4月7日に解任された元日本代表監督のハリルホジッチ氏が、4月27日に記者会見を開いた。同氏は約1時間20分にわたって熱弁を振るったが、内容は志半ばでの解任による悔しさと、解任理由がコミュニケーション不足であったことに疑問を呈した。そして、なぜ田嶋会長や西野技術委員長が「ハリル、問題が起こっているようだがどうなんだ」と一声相談するなり、フォローがなかったことに失望の念を表した。 ▽コミュニケーション不足を解任の理由に挙げられては、ハリルホジッチ氏も納得できないだろう。なぜならキャンプ中は毎晩、午後9時から15分間隔で、GK陣、DF陣、MF陣、FW陣とミーティングを開いていたからだ。海外組とも現地で試合を視察したり、電話などで連絡を取り合ったりしていた。 ▽一部の選手からは「ハリルではW杯を戦えない」という声も上がったそうだ。しかし、試合で使ってもらえない選手から不満が出るのは万国共通のはず。そのために西野技術委員長がいたはずだが、どうやらうまく機能していなかったようだ。 ▽JFAが代表監督を任期途中で解任するのは、これで2度目だ。最初の解任は97年10月4日、フランスW杯のアジア最終予選でカザフスタンと引き分けたため、当時の加茂監督が更迭された。その伏線は95年の暮れに遡る。フランスW杯のアジア予選に向け、加藤久技術委員長や田嶋技術委員らは、「加茂氏ではW杯予選を勝ち抜けない」と判断し、ネルシーニョ氏を次期代表監督に推薦した。 ▽しかし、年俸があまりに高額のため長沼会長(故人)はネルシーニョ氏の招聘を断念。いわゆる「腐ったミカン事件」である。これは後に判明したことだが、どうやら契約書が当初のものと書き換えられていたようで、それを長沼会長は「知らなかった」と後に述懐していた。 ▽加茂監督の続投は決まった。しかしながら記者から「もしもW杯の出場権を逃したらどう責任を取るのか」という質問に、長沼会長は決然と「加茂でフランスに行けなかったら、私が会長を辞める」と断言した。 ▽結果的に、加茂監督は任期途中で更迭された。その決断を下したのは、他ならぬ長沼会長だった。加茂ジャパンをサポートしつつも、最終的には苦渋の決断をしなければならなかった。長沼氏の責任を問う声に対しては、「任期満了をもって責任を全うする。それがサッカー界におけるやり方だ」と反論し、W杯後に会長職を岡野氏(故人)に譲った。 ▽そして4年後にも代表監督解任の危機はあった。トルシエ監督は99年のコパ・アメリカで惨敗を喫する。その他にも決定力不足や強化推進本部とのコミュニケーション不足、エキセントリックな性格からくる選手やメディアとの軋轢など様々な問題を抱えていた。 ▽強化推進本部の7人による投票の結果は、4対3でトルシエ監督の解任を決定。一般紙にも「トルシエ監督解任、W杯はベンゲル監督」と報じられた。ただ、最終的な結論は岡野会長に一任されたことで状況は変わる。強化推進本部に監督解任の決定権はなく、あくまで理事会の承認が必要だったからだ。 ▽そして岡野会長はトルシエ監督の留任を決定し、同氏に万全のサポート態勢を約束した。留任の理由については自著の「雲を抜けて、太陽へ!」で次のように説明している。 ▽「私自身はトルシエ氏の欠点を知っていたが、世界ユース選手権で日本を初めて準優勝に導いただけでなく、大会中に選手を孤児院に訪問させるなど、サッカー以外の体験をさせる指導方針を評価していた。また、オリンピック関係の会議でフランス人役員の絶対に謝らない気質を知っていたし、かつてのドイツのデットマール・クラマーの来日当初、通訳を務めた経験上、外国人コーチの孤立感を理解できた」 ▽コミュニケーション不足や選手との対立は、トルシエ監督の時代が最も激しかった。それをサポートしたのが現場では山本コーチであり、岡野会長だった。「フランス人気質と外国人コーチの孤立感」を理解したからこそ下せた決断である。 ▽長沼会長と岡野会長には、日本サッカーの将来を見据えた揺るぎない決断と、無限の包容力を感じるのは私だけではないだろう。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.04.30 16:00 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】来週はもっと熱くなる…

▽「同じ人出不足でも何か違う」そんな風に私が首を捻っていたのは金曜日、マドリッド両雄のヨーロッパの大会準決勝1stレグが終わり、ええ、準々決勝からはCLも2ndレグが1週間後に来てしまいますからね。早速、出場できない選手をチェックしていたんですが、水曜にミュンヘンでバイエルン戦があったレアル・マドリーはイスコが肩を痛めて全治1カ月、カルバハルも左の太ももをケガしてしまい交代。どうやらここのところ、ずっとリハビリを続けているナチョも来週火曜のサンティアゴ・ベルナベウ、2ndレグには間に合わないようだとか。 ▽その一方で木曜日にロンドンであったヨーロッパリーグ準決勝では、いやあ、元々、今季後半はフィールドプレーヤー17人だけという人数になっているアトレティコですが、現在はフィリペ・ルイスとフアンフラン、ジエゴ・コスタの負傷で14人という超少数精鋭に。コスタこそ、チェルシー時代に築いたプレミアリーグでの評判を買って、アーセナルの守備陣を心理的に脅かしてやろうとシメオネ監督も思ったんでしょうかね。エミレーツ・スタジアムのピッチ脇で後半、アップに精を出していましたが、幸いながら出場には至らず、2014年にアトレティコがリーガ優勝を決めたバルサとの最終戦、お隣さんとのリスボンでのCL決勝の轍は踏まず、最悪の悲劇は避けられたものの、2枚イエローカードをもらって退場したベルサイコが次戦出場停止に。 ▽それどころか、その数分後、審判に侮辱的な言葉を使って抗議したとして、彼を追うように退場させられたシメオネ監督など、パルコ(貴賓席)で観戦中、クラブの職員を使って指示を送っていたという、至極当たり前ながら、UEFA規則に違反したという嫌疑までかけられて、ワンダ・メトロポリターノでの準決勝2ndレグはもちろんのこと、リヨンでの決勝どころか、来季にも影響する最長4試合のベンチ入り禁止が科されるかもしれないって言うんですよ。 ▽え、監督は試合でプレーしないし、もうFIFA処分も解けているため、夏には補強で選手数も増えているだろうから、別にそんなに深刻にならなくてもいいんじゃないかって?そうなんですが、とにかく来週木曜の2ndレグを乗り切らないといけないですからね。当然、ファンの応援はアテにできるとはいうものの、いつもベンチ前で盛り上げ役をしてくれるシメオネ監督がいないとなると少々、雰囲気的に心配ですが、そんなところはいかにもアトレティコ。シーズンのクライマックがやって来た今頃になって、面倒な事態を引き起こしてくれましたっけ。 ▽まあ、とりあえずこのミッドウィークの報告をしておくことにすると、火曜にはCL準決勝1stレグでリバプールが5点を取って先勝。私もクロップ監督のチームの強さには度肝を抜かれたんですが、何せ、ローマには準々決勝で4-1の負けを3-0とひっくり返し、バルサを敗退に追いやった実績がありますからね。アンフィールドでも終盤に2点を返しているため、来週水曜のオリンピコで奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)第2弾が見られるかもしれないと、期待してしまうファンは結構いるのでは? ▽その2チームのどちらが決勝でマドリーと対決するのかなんてことを考えながら、翌水曜、私はアトレティコを追ってロンドンへ。前回、4年前にCL準決勝チェルシー戦を見に行った時にはアンダーグラウンド(地下鉄)のストに見舞われ、2階建てバスの路線を探してスタンフォード・ブリッジとホテルを往復なんて苦労もしたんですが、今回は無事にピカデリーラインのHalloway Road駅から、徒歩数分のスタジアムに到着。プレスルームであった試合前記者会見ではゴディンなど、「Sabemos que será una eliminatoria dura y muy igualada/サベモス・ケ・セラ・ウナ・エリミナトリア・ドゥラ・イ・ムイ・イグアラーダ(厳しくてとても拮抗した試合になるのはわかっている)」と言っていたものの、まだその時はあんな恐ろしい展開が待っているとは夢にも思っていなかったに違いありません。 ▽その後、ピッチでのアトレティコの練習を15分だけ見せてもらい、急いでキックオフの迫ったバイエルンvsマドリー戦を流しているパブをホテルの近くで探したんですが、さすがCLも準決勝となると、イングランドのチームではなくとも店内は超満員。出遅れたせいで、ずっと立ち見することになりましたが、アルジェリア系でジダン監督を尊敬しているというイギリス人のオジさんと意気投合し、ビールを奢ってくれたのはともかく、何より開始9分でロッベンが負傷、すでにチアゴ・アルカンタラに代わっているって、もしやその日のマドリーにはツイがあった? ▽それでも28分にはマルセロのサイドを上がったキミッヒにバイエルンの先制点をゲットされてしまった彼らでしたが、34分にはボアテングも太ももを痛めてジューレに交代。すると44分にはマルセロがカルバハルのクロスをエリア前から決め、面目躍如の同点に持ち込んでくれたから、助かったの何のって。ただねえ、ケガがうつる訳はないんですが、イスコが肩の負傷でハーフタイムにはアセンシオにバトンタッチ。その彼のゴールで後半12分にはリードを奪ったため、結果的には禍転じて福となすだったのかもしれませんが、思ったより重傷でキエフでの決勝にも間に合わないとなれば、もしや頭を抱えているのは6月にW杯が待っているスペイン代表のロペテギ監督も同じだったかも。 ▽おまけに22分にはカルバハルまで太ももを痛め、その日のベンチには右SB控えのアクラフも入っていませんでしたからね。ベンゼマを投入し、ベイルを押しのけて先発していたルーカス・バスケスのポジションを下げるというジダン監督の判断は妥当だったかと。結局、試合はそのまま1-2でマドリーの先勝で終わったんですが、30分にはハビ・マルティネスも頭部打撲で交代せざるを得なかったバイエルンだったため、ハインケス監督としてもその日は不運を嘆くしかなかったかと。 ▽ええ、実際、来週の試合にもボアテングは出られず、「The battle is lost but the war is not over ???? we will get our chances in Madrid!(戦いには負けたが戦争は終わっていない?ウチはマドリッドでチャンスを掴むだろう)」と試合後には自身のツイッター(https://twitter.com/FranckRibery/status/989439900670971904?ref_src=twsrc%5Etfw&ref_url=https%3A%2F%2Fas.com%2Ffutbol%2F2018%2F04%2F26%2Fchampions%2F1524740730_531592.html&tfw_creator=diarioas&tfw_site=diarioas)で気勢を挙げていたものの、ロッベンも回復待ちで出場が微妙ですからね。ちなみにこの1stレグのスコアは昨季の準々決勝1stレグと同じで、その時はサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグでバイエルンが2点を挙げて、延長戦に突入。最後はマドリーが4-2で勝って準決勝に進出できたものの、今回は果たしてどうなることやら。ミュンヘンでは不発だったクリスチアーノ・ロナウド、レバンドフキ共々、来週こそは火を噴きそうな気がするんですが…希望としては90分で試合が終わってほしいです。 ▽そして木曜は、一部のアーセナルファンには不思議がられていたようなんですが、キックオフ10分前から赤と、チームカラーの白ではなく、銀の旗で覆い尽くされたエミレーツ・スタジアムのスタンドの美しさに私が感動している暇もあればこそ。開始2分にはウィルシャーへのファールでイエローカードをもらっていたベルサイコが9分、今度はラガゼットへのタックルで2枚目を出されているって、こんな空気を読まない審判、あっていい?あまりにも早くから人数的劣勢になったため、シメオネ監督もついエキサイトしすぎて3分後に退場させられてしまったんでしょうが、いえ、ロンドンまで応援に駆けつけた1500人のアトレティコファンはここそとばかりに肺から声を振り絞っていましたけどね。 ▽左SBにはトマスを充てたものの、当然ながら、アーセナルの猛攻が始まったため、私など、生きた心地もしなかったんですが、前半は相手のシュートに精度がなかったのが幸い。そうこうするうち、グリーズマンもチャンスを見つけて2度程、撃つことができたものの、いやいいです。下手にリードして、敵を刺激した日には、逆襲を喰らってgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)されちゃうかもしれないじゃないですか。それだけに0-0のまま、ハーフタイムに入った際には、私もスコアレスドローで逃げ切れればという気分になっていたんですが…。 ▽もちろんそうは問屋が卸さず、後半15分にはとうとうウィルシャーのクロスをラカゼットが頭でネットに沈めてしまったから、さあ大変!そこでシメオネ監督はワントップになっていたガメイロを下げてガビ、更にはコレアに代えてサビッチと、被害を最少得点差で済ませようと守備の人員を増やしていったんですが、いやあ、驚かされましたね。37分、自陣からヒメネスが蹴ったロングパスにグリーズマンが追いつき、コシエルニをかわしてシュート。これはGKオスピナに弾かれてしまったものの、ゴール前でムスタフィが滑ってくれたおかげもあり、こぼれ球をゴールにしているって、そんな上手い話があっていい? ▽いえ、この試合、1人も選手交代をしなかったヴェンゲル監督は「Once they were down to 10 men, it destroyed a bit the flow of the game and it was not to our advantage(彼らが10人に減ったせいでゲームの流れが少し壊れて、ウチのアドバンテージにはならなかった)」と言っていましたけどね。何より偉かったのは相変わらず、ようようパスも繋がらなかったアトレティコが決して試合を諦めず。「hay que tener huevos para defender asi 80 minutos..../アイ・ケ・テネール・ウエボス・パラ・デフェンデール・アシー・オチェンタ・ミヌートス(ああいう風に80分、守るには根性がいる)」というシメオネ監督の賞賛はもっともで、いつもながら、GKオブラクの獅子奮迅の活躍もあったんですが、それだけでなく、ワンチャンスをモノにしているんですから、しっかりしているじゃないですか。 ▽ええ、同点ゴールの後は今季限りでアトレティコを退団するフェルナンド・トーレスに交代、馴染みのプレミアリーグのファンにお別れを言う機会を作ってあげたグリーズマンも「Un fallo del rival es gol, sabemos aprovechar los errores/ウン・ファジョデル・リバル・エス・ゴル、サベモス・アプロベチャール・ロス・エローレス(ライバルの失敗がゴールになった。ボクらは敵のミスを利用することを知っている)」と胸を張っていましたが、アウェイでの1-1の引き分けですよ。あの大ピンチから、ホームでの2ndレグを前にして、スコアレスドローでも勝ち抜けられる結果を掴んでいるとなれば、もしやEL優勝候補ナンバーワン扱いされているのは決して伊達ではなかった? ▽もうこうなると、お隣さん同様、バルサの優勝決定が秒読みに入っている週末のリーガ戦など、邪魔なばかりに感じてしまうファンも多いかと思いますが、そうはいかないのが辛いところ。何せ土曜にはもうマドリーとレガネスのミニダービーが午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、始まりますからね。ちなみにこのカード、今季のコパ・デル・レイ準々決勝2ndレグの再戦で、その時は弟分が1-2とサンティアゴ・ベルナベウで勝利して、逆転突破を達成。本来なら、マドリーも今度こそ、ベストメンバーを揃えてリベンジを期すところですが、やはりバイエルン戦が火曜に迫っているだけにどうやら、またしてもロナウドやモドリッチのいないBチーム編成になる可能性が高いかと。 ▽そして日曜は正午(日本時間午後7時)から、ヘタフェがジローナをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えるんですが、折しも金曜夜の試合ではレバンテがセビージャに2-1と勝利したため、後者と同じ勝ち点のヘタフェ、1ポイント少ない9位のジローナにとっては来季のEL出場権がもらえる7位に喰いこめるビッグチャンスが到来。ここ3試合、柴崎岳選手の出場がないのはともかく、今季昇格組がヨーロッパへの大会に一気にステップアップという意味では盛り上がる試合になりそうな。 ▽一方、アトレティコは日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、前節に残留を確定したアラベスのホームを訪ねますが、万が一、マドリーが前日、レガネスと引き分け以下だった場合、彼らも勝利できないと、日曜最後の自身の試合を待つまでもなく、ここでバルサの優勝が確定。うーん、一応、同じドローなら、リーガの2位争いには影響ないですし、それならシメオネ監督もいっそローテーションしちゃえばなんて思いますが…いやはや、今節はヒメネスが累積警告というのもあって、そこは少数精鋭のため、あまり選択肢がないんですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.28 12:00 Sat
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【倉井史也のJリーグ】逆境からの復活待ってるぜ! ってハリルホジッチ監督じゃないよ!? の巻

▽いや、最後の最後まで粘ったんですよ。ニュース出てこないかなって。ハリルホジッチ監督、やっぱ会見止めます、みたいな。だってこの記事が公開される時間を考えると、しばらくしたらもう話題はそれだけでしょ? どう転ぶにしても。つーか、爆弾発言なんかあったら、ゴールデンウイークはそれだけで持たせることができるんだけどなぁ。 ▽でもね、出てこなかったんですよ。だから今週のJリーグの話題にしておきますね。それが私の使命ですからね。アクセス数伸びなくても責めないでね。 ▽で、今週もまた1人にフォーカスしようと思ってんですよ。その選手は齋藤学。あ、F・マリノスのファンの人、逃げないで! ま、ファンの人たちも本当は薄々いろんなことを察しながら齋藤にブーイングしてるんでしょうけど。 ▽齋藤、ドラマ持ってるんですよ。小学校時代からF・マリノスの下部組織だったし、トップ昇格を果たすんだけど、出場機会を求めて2010年には愛媛に期限付移籍するし。「えひメッシ」って言われるくらい活躍して2012年にマリノスに復帰すると、2013年には日本代表にも選ばれるし。 ▽2014年には移籍のうわさが出たけど、やっぱりF・マリノスでプレー。2016年末には海外移籍で揺れて、2017年は木村和司や中村俊輔の「10番」を継承してキャプテンになるけど、9月に右足の前十字靱帯を損傷して全治8カ月。で、2018年には川崎に完全移籍。 ▽2014年に残留したのは、きっとブラジルワールドカップがあったからだと思うんです。ところがザッケローニ監督は相手がベタ引きしてるギリシャ戦ですら投入せず、ワールドカップでの出場なし。で、2017年はこれでもかってくらい好調で、そのシーズンのリーグ初得点を挙げた次の試合で大ケガ。2018年は移籍して去年までのホームスタジアムで大ブーイングを浴びるという。 ▽そんな不運なプレーヤーが復帰を果たしてるんです。正直、4月6日に復帰してここまでのプレーは、本来の姿から言えばまだまだ。リーグ戦の出場時間も4試合で80分と限定的。でもね、ここまでこんなに苦労したんだから。そろそろいいときがやって来てもいいじゃないですか。 ▽背番号「37」は初めてF・マリノスに入ったときの番号。「ワールドカップは考えていません」とは言ってます。だけどブラジルワールドカップのギリシャ戦の後、真っ白な顔をしてミックスゾーンに現れ、唇を噛みしめていた姿を見てたもんだから、ここで一発逆転が起きてくれないかと願うのでした。 ▽4月28日はアウェイで神戸戦、5月2日はホームで浦和戦。無理しちゃダメッシと思いつつも、期待しちゃいます。 ▽にしても、ハリルホジッチ監督のマル秘データを作成していたんだけど、会見前に使えるようなもんでもないし、来週の金曜日にはきっともうみんな監督交代劇って記憶の彼方だろうし。唯一使えるとしたら、「やっぱもう1回ハリルで行くわ!」みたいなことを日本サッカー協会が言いだしてくれることだけど……この解任劇を見てたらあったりすることはないんじゃないかもしれないことはないと思ったりしてるのでした。チャンチャン。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.04.27 11:00 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】池田3兄弟の長男は日本人初のフィジコ

▽昨日25日はJ1リーグのFC東京対広島戦を取材した。首位の広島のサッカーに興味があったし、広島の城福浩監督と池田誠剛フィジカルコーチは、かつてFC東京在籍時に取材でお世話になったため、お礼をしたかったからだ。 ▽試合はディエゴオリヴェイラの2ゴール1アシストの活躍により、FC東京が3-1と快勝して広島に今シーズン初黒星をつけた。広島もパトリックを軸に後半は反撃に転じ、25分過ぎからはFC東京を圧倒したものの、1点を返すのが精一杯だった。試合前、池田フィジコが「核となる選手が少ない」と漏らしたように、選手の個の力の差が出た試合でもあった。 ▽さて池田フィジコである。日本人フィジコの第1号でもある彼は、浦和ルーテル学院から早稲田大に進学。卒業後は古河でプレーしたが、膝を壊してJリーグが開幕する前の91年に現役を引退した。その後はジェフユナイテッド市原(現・千葉)のトレーナーに就任。そんな彼の転機になったのが、94年のアメリカW杯だった。 ▽単身アメリカに渡り、ブラジル代表と直談判して帯同の許可をもらい、フィジカルコーチの仕事をつぶさに見た。この2ヶ月間のブラジル代表との研修で、彼の将来は大きく変わる。それまでJリーグのフィジコといえばブラジル人が占めていたが、日本人フィジコの誕生としてパイオニアになった。 ▽その後は岡田武史監督率いる横浜FMでリーグ連覇に貢献し、洪明甫監督の下ではU-23韓国代表のフィジコとして12年のロンドン五輪では銅メダル獲得。13年は1年間の期間限定だが、洪明甫監督の了解を得て、岡田監督が就任した中国Cリーグの杭州緑城のフィジコに就任。そして14年は韓国代表のフィジコとして洪明甫監督をサポートした。 ▽日本のライバルである韓国代表のフィジコを務める池田氏を敵視する意見もネットでは散見されたが、本人は意に介さない。そんなアジアの3カ国でフィジコを務めた池田氏は「日本は環境の良さが選手の自主性につながっている。韓国は強制的な指導のため自主性に欠けるが、辛い練習にも耐えられる。そして中国は個の発想が強く、チームのためにという価値観に乏しい」と分析する。3カ国で指導経験のある池田氏ならではの国民性の違いだ。 ▽16年は早稲田大サッカー部の同期である城福監督に誘われFC東京のフィジコに就任したものの、城福監督が不振の責任を問われて解任されると池田氏もチームを去る。当時はACLと並行してのリーグ戦だったため、「過密日程ではフィジカルを上げるよりコンディションの維持に務めた。(ACL敗退で)これからフィジカルの強化に取り組める」と話した矢先の解任だった。 ▽古巣に今シーズン初黒星を喫したものの、まだ首位は変わらない。池田フィジコの本領が発揮されるのは夏場と予想しているので、W杯後のリーグ再開が楽しみだ。 ▽ちなみに池田フィジコの次男である直人氏は、武南高校で全国制覇を達成し、早稲田大を経て全日空(横浜Fの前身)でプレー。現在は同社の社員として働いている。そして三男の伸康氏は帝京高校で高校総体ベスト4、兄と同じく早稲田大を経て93年に浦和に入団。現在はトップチームのコーチを務めている。浦和で「池田三兄弟」と言えば、オールドファンならすぐに思い出すはずだ(その前には西野三兄弟も話題になったが、長男の朗氏“現・日本代表監督”ほど次男と三男は活躍できなかった)。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.04.26 20:00 Thu
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【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】フレッシュな人材が求められるサイドアタッカー。ブンデス1部で活躍中の20歳に注目 伊藤達哉

▽4月7日に電撃解任された日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が21日に再来日し、世間を騒がせている。前指揮官は「まだ終わっていない」と強調していて、約1カ月半後に迫った2018年ロシア・ワールドカップ参戦に強い未練をのぞかせている。 ▽しかしながら、日本サッカー協会の田嶋幸三会長にとっては「もう終わったこと」と他人事。西野朗後任監督も近日中に欧州視察に出かける予定で、前任者に会うつもりはないという。日本の要人たちのこうした立ち振る舞いを見ているとハリルホジッチ監督が哀れに思えてくるが、一度下された決定が覆ることがないのがサッカー界の常識。ロシアには新体制で挑むのは間違いないはずだ。 ▽そういう中、注目されるのが、西野新監督がどのようなメンバー選考をするのかという点。川島永嗣(メス)や吉田麻也(サウサンプトン)、長友佑都(ガラタサライ)といったベースとなる人材は外せないが、前任者も流動的な起用を見せていたサイドアタッカーは別。そのタイミングで調子のいい人間を使うという方向を西野監督も採るのではないだろうか。 ▽そこで急浮上する可能性が出てきたのが、ドイツ・ブンデスリーガ1部のハンブルガーSV(HSV)で最近4試合連続スタメンを勝ち得ている20歳の伊藤達哉。ドイツには原口元気や宇佐美貴史(ともにデュッセルドルフ)のような年長者が何人かいるが、彼らがプレーしているのはブンデス2部。1部の浅野拓磨(シュツットガルト)は2018年に入ってから一度も公式戦出場機会を得ていない。彼らに比べて伊藤の活躍ぶりが目立つのは確かだろう。 ▽東京・台東区出身で、柏レイソルのアカデミーで育った166㎝の小柄なアタッカーは2014年4月にUAEで開催されたアルアイン・インターナショナルチャンピオンシップでHSVのスカウトの目に留まり、2015年7月に正式契約を結ぶことになった。 ▽そこからしばらくはセカンドチームで自己研鑽に励んでいたが、今季に入ってからマルクス・ギスドル元監督によってトップチームに引き上げられた。9月24日のレバークーゼン戦で後半37分からピッチに送り出された時点ではテスト的な抜擢だと見られたが、そこから7試合連続出場を果たし、完全なる戦力と位置付けられていった。 ▽Jリーグ経験者の鎌田大地(フランクフルト)や関根貴大(インゴルシュタット)でさえ、出番を得られていないのに、J経験のない若武者がブンデス1部の名門クラブで高評価を得たのは、やはり驚きに値する。「タツは確かに非凡な才能を持った選手だけど、あんまり持ち上げないでください」と同じクラブのキャプテン・酒井高徳がプレッシャーから守ったことも本人にとってはプラスに働いたのだろう。 ▽今年1月にギスドル監督が解任され、ベルント・ホラーバッハ監督、3月にはクリスティアン・ティッツ監督に指揮官が変わっても、伊藤が冷遇されることはなかった。とりわけ現体制になってからは、左MFの定位置を獲得。2部降格危機に瀕する名門を持ち前のハードワークと献身的な姿勢、高度なドリブルテクニックとゴールへの推進力で支えている。4月21日のフライブルクとの下位直接対決でも後半43分まで出場。全身全霊のこもったプレーで1-0の勝利に貢献してみせた。こういった一挙手一投足を見るにつけ、今の日本代表に必要な人材ではないかと感じる人も少なくないはずだ。 ▽ドイツの屈強な男たちと堂々と渡り合っている現状を踏まえると、フィジカル的な部分は全く問題ない。外国人慣れしているからメンタル的に臆することもない。そして何より大きいのは自ら大胆な仕掛けができること。3月のマリ戦(リエージュ)でA代表デビューを飾り、初ゴールを挙げた中島翔哉(ポルティモネンセ)と似たタイプと見られることもあるだろうが、伊藤の方が間違いなく守備やハードワークができる。そこはワールドカップの大舞台を戦ううえで必要不可欠な要素。伊藤は今、そのメンバーに選ばれるだけのポテンシャルを備えているのだ。 ▽左サイドは原口、宇佐美、中島に加え、西野監督が好む司令塔タイプの清武弘嗣(セレッソ大阪)や倉田秋(ガンバ大阪)など候補者が数多くいる。ただ、そのいずれも決定的な決め手がない。であれば、今後の日本サッカー界のためにも若く伸び盛りの伊藤を連れていくのはありではないか。右サイドに関しても、今、欧州で最も活躍している堂安律(フローニンヘン)を抜擢したら面白い。2020年東京五輪世代の2人を両サイドに据えるのはリスクが高いかもしれないが、そのくらいのリスクを冒さない限り、沈滞ムードの色濃く漂っている日本代表は変わらない。監督交代という大ナタが振るわれた今だからこそ、大胆な選手抜擢もできるはずだ。 ▽果たして西野監督はどう考えているのか。今回の欧州視察ではHSVに足を運ぶという情報もあるだけに、非常に興味深い。ここでベテランや経験豊富な人間ばかりを選ぶという消極的なメンバー選考をせず、近未来の日本代表に希望が見えてくるような人選を、ぜひともお願いしたいものである。【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2018.04.26 18:00 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】マドリッド勢には準決勝がある…

▽「こんなんならいっそ、試合を延期しておけば良かったかも」そんな風に私が愚痴っていたのはワンダ・メトロポリターノからの帰り道、2夜連続で日付が変わった時間にメトロ(地下鉄)に乗っていた時のことでした。いえ、土曜のミッドナイドは車中、まだコパ優勝の余韻が覚めていないか、いきなり床に置いたビニール袋から手づかみで氷を取り出し、プラスチッテクのカップにお酒を注いでbotellon(ボテジョン/戸外でやる酒盛り)を始めたスペイン人ギャル集団が、乗り合わせた高齢者に快く席を譲るというシーンを目撃。日本人感覚ではマナーがいいのか、悪いのか、判断に困っていたところ、そのアスルグラナ(青と紫)の小旗を持ったお爺さんまで、息子に開けてもらった缶ビールを飲みだす始末と、まあこの日はバルサファンにとって、最高の憂さ晴らしになりましたからね。 ▽セビージャファンが静かだったのと対照的に翌晩は、晴れやかなベティスファンが目についたのはともかく、肩を落とし気味だったのはアトティコファン。うーん、確かにワンダのエレベーターで一緒になった売店のお兄さんなども、業務用マヨネーズの大袋を抱えながら、「セレソ会長が2日続けて試合ができると言ったからね。そりゃあできるけど、こっちは夜2時に終わって、朝10時にまた出勤だよ」と過重労働を嘆いていましたしね。ええ、今季の全てが懸かった木曜のヨーロッパリーグ準決勝、アーセナル戦1stレグを前にあんなチームのプレーぶりを見せられるぐらいなら、水曜にCL準決勝バイエルン戦1stレグを控えるお隣さん同様、34節は休んで、いっそ5月半ばのミッドウィークにやることにしておいた方が、ファンも余計な不安に襲われなかったような気がしないでもないんですが…。 ▽いえ、話は順番にしていかないといけません。レガネスがデポルティボとスコアレスドローで終わった金曜のリーガ戦から始まった先週末、マドリッド勢で唯一、朗報を伝えることができるのはもう1つの弟分ヘタフェ。いえ、日本のTVゴールデンタイムを意識した土曜午後1時からのキックオフというのは、エイバルの乾貴士選手もヘタフェの柴崎岳選手もピッチに立つ機会がなく、後半の出場を期待して近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に見に行った私もガッカリだったんですけどね。試合の方も前半22分にオリベイラのヘッドでヘタフェが1点を取っただけで、そのまま0-1で終了という淡泊なものだったんですが、大事なのはこの勝利で彼らが7位のセビージャと同じ勝ち点で並んだこと。 ▽そう、つまりその夜のコパ・デル・レイ決勝でバルサが優勝すれば、来季のEL出場権がリーガ7位に回るため、私も少し早めに出かけた会場のワンダでは若干、それを望んでいなかった訳ではありませんでしたけどね。何せヘタフェの残り試合にはジローナ、ラル・パルマス、アトレティコ、マラガと、すでに2部降格が決まったチームとの対戦が2つもありますからね。とりあえず、今週土曜正午からのコリセウム・アルフォンソ・ペレスで直接ライバルの9位ジローナを叩くことができれば、たとえセビージャの消化試合が1つ少なくても、ギリギリでヨーロッパの大会に滑り込むことができるかも。それともやはり、昇格1年目で残留を達成したばかりのチームとあって、来季はまだ足場固めに専念した方がいいんでしょうか。 ▽え、いくら外様のサポーターで埋め尽くされたとはいえ、先週末の注目試合だったコパ決勝の様子も知りたいって?そうですね、当日はさすが決勝だけあって、スタジアムへのアクセスも厳しく、ゲートに辿り着く前にも持ち物チェックのため、行列ができていたんですが、幸いながらファン同士や警官隊との大きないざこざは起こらず。スペイン国王フィリペ6世をパルコ(貴賓席)に迎え、懸念されていたカタルーニャ(バルセロナのある州)から来たバルサファンのhimno(イムノ/国歌)へのpito(ピト/ブーイング)にもワンダ自慢、最新鋭の音響システムが抜群の効果を発揮してくれます。ええ、リング状の屋根の内側に設置されたスピーカーから降り注ぐ大音量にかき消され、私にはあまり聞こえませんでしたが、後で胸も張り裂けんばかりの声で「ロ、ロ、ロ…」と合唱したセビージャファンを称える報道も。 ▽それもまた、スペイン国歌には歌詞がないための苦労だったりするんですが、気の毒にも彼らの威勢が良かったのは短い時間だったかと。だってえ、先日のCL準々決勝ローマ戦での逆転敗退で二冠達成が義務となっていたバルサの強さが、その試合では半端なかったんですよ。前半13分にはGKシレッセンのゴールキックから、コウチーニョが敵エリア奥まで突き進むと、GKダビド・ソリアの上を越えてボールを出し、ルイス・スアレスが先制ゴール。30分にはジョルディ・アルバのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)をメッシが決めて2点目を取ると、40分にはメッシのスルーパスに突撃してきたルイス・スアレスが自身2本目って、え、これじゃあまりに一方的すぎない? ▽後半も後半で、せめて一矢を報いたいセビージャの先手を取って、7分には「Esta semana haré pública mi decisión, está un poco clara/エスタ・セマーナ・アレ・プブリカ・ミ・デシシオン、エスタ・ウン・ポコ・クラーラ(今週には自分の決定を公けにするけど、もう大体わかっているよね)」という、今季限りで退団予定のイニエスタがバルサで最後にプレーする決勝のスコアシートに自分の名を残すべく、4点目をゲット。24分にもPKでコウチーニョに5点目を追加されていては試合前、「Messi es un extraterrestre. Ojalá mañana no esté en la Tierra/メッシ・エス・ウン・エクストラテレストレ。オハラ・マニャナ・ノー・エステ・エン・ラ・ティエラ(メッシは宇宙人。明日は地球にいませんように)」と言っていたモンテッラ監督が、「Sus jugadores son extraterrestres/スス・フガドーレス・ソン・エクストラテレストレス(あちらの選手は宇宙人だ)」と、バルサ全員を大気圏外の生き物にしてしまっていたのも仕方なかったかと。 ▽結局、そのバルサに手も足も出ず、0-5というコパ史上、2回目という大敗を喫してしまったセビージャだったんですが、まあ、アトレティコなんて、その彼らに5-2で準々決勝敗退しているため、私も批判なんてできないんですけどね。決勝前はあんなに応援していたセビージャファンたちが試合終了後、スタンドに頭を下げに来た選手たちに怒りをぶつけていたり、翌日、AVE(スペインの新幹線)で到着したサンタ・フスタ駅でも罵倒されているシーンなどを見ると、サッカー選手も難儀な職業だと思ってしまいますが…だからって、敗戦後のマドリッド泊中、深夜のディスコで目撃されたエンゾンジを庇える訳もありませんよね。 ▽そして翌日曜は私もいつもの風景に戻ったワンダを再訪、アトレティコvsベティス戦を見たんですが、ピッチ上でのギャップには驚くばかり。いえ、アルゼンチンに快勝したスペインの親善試合の後も似たような気分は味わったんですけどね。アーセナル戦を見据えて、シメオネ監督がグリーズマン、コケ、ゴディンを温存したのも、相手の3バックを打ち消すべく、自らもサビッチ、ヒメネス、リュカの3CBにフアンフラン、サウールをサイドに置いたのも結構なんですが、前節3-0で負けたレアル・ソシエダ戦から続く、「パスが3回と繋がらない」病は一体、どうしたものか。 ▽ただこれには、2月から、ずっと超少数精鋭でプレーしているため、選手の疲労を記者たちが心配。シメオネ監督も「Es normal, como los trabajdores en sus empleos/エス・ノルマル、コモ・ロス・トラバハドーレス・エン・スス・エンプレオ(普通のこと。勤め人と同じことだ)。皆、夏のバケーション前の6月7月が近づくと疲れるもの」と答えていましたが、アトレティコの場合、まだ元気なはずのシーズン前半でも、言ってしまえば毎シーズン、そういう試合が必ずありますからね。狭いスペースでのパスをビシバシ通すメッシや体を捻って敵をかわしてしまうイニエスタなどを前日、見たばかりの私としては、生まれつきの才能が違うんだと嘆くしかなかったんですが、せめても慰めはその日もGKオブラクがブデスやテージョのシュートを的確にセーブ。ヒヤリとするピンチにも向こうが勝手に外してくれたため、失点もせずに済んだことだったかと。 ▽いえ、アトレティコも前半にはフェルナンド・トーレスのvaselina(バセリーナ/ループシュート)がGKダニ・ヒメンスの頭は越したものの、ゴール前でマンディにクリアされてしまったり、後半半ばにはようやくグリーズマンとコケが出場。普段の4-4-2に戻り、「Si hay uno incómodo es mejor a que haya cuatro/シー・アイ・ウノ・インコモドー・エス・メホール・ア・ケ・アヤ・クアトロ(やりにくい選手が1人の方が4人よりいい)」(シメオネ監督)という理由で、本職ではない左SBに回されていたサウールが右中盤に上がった途端、ゴールバーを直撃するシュートを撃つなど、チャンスがなかった訳ではないんですけどね。 ▽ベティスもベテラン、ホアキンを投入して終盤の決勝点を求めたんですが、最後までどちらも無得点で試合は終了。EL出場圏5位の座を安泰にしたベティス、レアル・マドリーがお休みだったため、3位との差を勝ち点4に広げたアトレティコと、おかげで来週末のレガネスとのミニダービーでお隣さんが、アラベス戦でアトレティコが揃って引き分け以下だと、バルサのリーガ優勝が日曜最後のデポルティボ戦を待たずに決まってしまうというのはともかく、それ以外、順位的には問題はなかったんですが…。 ▽うーん、トーレスなど、「No sirve de mucho pensar más en este partido/ノー・シルベ・デ・ムーチョ・ペンサール・マス・エン・エステ・パルティードー(この試合のことを考えてもあまり意味はない)。攻撃も守備も改善しないといけないけど、アーセナルに立ち向かうにはウチは最高の状態でないといけないんだから」と言っていましたけどね。どうやら木曜午後9時5分(日本時間翌午前4時5分)からの一戦では、リハビリ中の「Diego Costa tiene pocas opciones de jugar en Londres/ディエゴ・コスタ・ティエネ・ポカス・オプシオネス・デ・フガール・エン・ロンドレス(ジエゴ・コスタがロンドンでプレーする可能性は少ない)」(シメオネ監督)上、このベティス戦でもフアンフランがハムストリングを痛めて、全治2、3週間という新たな逆境が月曜に判明。 ▽このままだと、先日、22年間チームを率いてきたヴェンゲル監督の退団が発表され、日曜にもウェスト・ハムに4-1と快勝。ELのタイトルを獲って、有終の美を飾らせてあげようと勢い込んでいるアーセナル相手に、「El jueves es mejor marcar y no encajar/エル・フエベス・エス・メホール・マルカル・イ・ノー・エンカハール(木曜は点を取って、失点しないのが何よりいい)」という、オブラクのささやかな希望を叶えることができるのかどうか。月曜は休養に充て、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で火曜に1回だけセッションをした後、水曜にはエミレーツ・スタジアムで前日練習となる彼らですが、せめてそれまでにどの選手も体力ぐらいは回復していてほしいですよね。 ▽え、それで試合のなかったマドリーのミュンヘン遠征に向けての準備は進んでいるのかって?そうですね、先週は水曜にアスレティックと1-1で分けた彼らでしたが、ジダン監督は予定を変えることなく、金土と練習をお休みにして、日曜からセッションを再開。こちらで負傷中なのはナチョだけで、まだ全体練習に合流していませんが、他は全員、元気ですからね。すでにブンデスリーガ優勝が決まり、尚且つ7人もローテーションしながら、土曜にはハノーファーを0-3と一蹴したバイエルンとはいえ、怖がる必要はないかと。 ▽何せ昨季、CL準々決勝で対戦した際には2ndレグを延長戦に持ち込まれ、ドキドキさせられたものの、終わってみれば、2試合でクリスチアーノ・ロナウドが5ゴール。総合スコア6-3でバイエルンを圧倒していますからね。今年もCLにおける彼の好調ぶりは準々決勝ユベントス戦1stレグで2得点、3点差を追いつかれる逆襲を喰らったサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグでも土壇場のPK弾でチームを救ってくれたことからも明らかとなれば、水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのアリアンツ・アレナでも大いに頼りになる? ▽一方、リベンジに燃えている相手もレバンドフキを筆頭にロッベンやリベリ、ミュラー、そしてレンタル移籍中でもヨーロッパの大会での対戦では出場できるハメス・ロドリゲスらが手ぐすね引いて待っているようで、ヒザを手術して今季絶望となったアレックス・ビダルの欠場は痛そうですが、何はともあれ、今季有数の熱戦になることは間違いなし。とはいえ、1stレグはどちらが勝っても、勝負は来週火曜の2ndレグ、サンティアゴ・ベルナベウでつくんじゃないでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.24 13:00 Tue
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【六川亨の日本サッカーの歩み】日曜のJ2取材は町田で多くの新鮮な発見

▽22日は、J2のFC町田ゼルビアvsレノファ山口FCの試合を取材した。今シーズンから山口の監督に就任した霜田正浩氏は旧知の間柄ながら、なかなか山口まで取材に行くことは難しい。そこで町田ならと取材を思い立った。 ▽カードとしても上位争いをしている2チームだけに悪くはない。といったところで、ヴァイッド・ハリルホジッチ元監督が来日し、27日に記者会見を開くという。霜田氏は技術委員時代にハリルホジッチ元監督を招へいした当事者だ。このためJ2にしては異例とも言えるスポーツ紙の記者が集結した。誰もがハリルホジッチ元監督について霜田監督からコメントを引き出したかったのだろう。 ▽残念ながら試合後の記者会見では、町田の広報から「質問は今日の試合に関してのみお願いします」というガードがあり、帰り際に「ハリルとは電話で話しました」と聞くのが限界だった。 ▽さて、町田である。埼玉に近い板橋区から車で約2時間弱。やはり遠い。中央高速の府中インターまで、空いていれば40分もかからないが、インターを降りてからの一般道が長い。一度、神奈川県に入り、再び東京都に入る。電車なら小田急線の鶴川駅からバスかタクシーと、アクセスに悩まされるスタジアムでもある。 ▽しかしながら時間に余裕を持って到着したため、町田名物のピリ辛と甘い豚角煮のトッピングされた「YASS(ヤッス)カレー」を堪能した。2012年のJリーグ・スタジアムグルメ大賞に輝いた一品だ。そして晴天のグルメ広場では、カレーを食べながら特設ステージで地元・町田出身の7人組のコーラスグループ、『Machida Girls′Choir(まちだガールズクワイア)』の歌声も楽しめた。オリジナル曲もあれば、懐かしいキャンディーズや松田聖子の歌もある。 ▽ステージ後方では町田のユニホームを着た男性サポーターが熱い声援を送り、ステージ終了後はグッズを購入したファンと記念撮影に興じている。これはこれで、町田にJリーグが根付いていることを感じたし、関係者の努力の賜物でもあるだろう。 ▽試合は前半の町田の猛攻をしのいだ山口が先制。しかし後半立ち上がりに町田のFW杉森考起が同点弾を冷静に決める。しかし山口は後半25分にPKから再びリードを奪い、その後の町田の猛攻を跳ね返して2-1の勝利を収めた。 ▽といったところで、町田の同点ゴールを決めた杉森の名前を覚えているファンは少ないのではないだろうか。名古屋グランパスの下部組織出身で、17歳でプロ契約を結んだのはクラブ史上初。それよりも、14年ブラジル・ワールドカップ(W杯)でトレーニーとして参加した選手と紹介した方が「ああ、そんな選手もいたね」と思い出すかもしれない。 ▽ブラジルW杯では坂井大将(現アルビレックス新潟)とともにトレーニングパートナーに選ばれ、大会直前合宿から本大会まで帯同。イトゥーのキャンプ地では紅白戦要員に借り出されたり、チームの全体練習終了後は霜田技術委員とマンツーマンで指導を受けたりしていた。 ▽W杯のトレーニングパートナーに選ばれるのだから、将来を嘱望された選手でもあるだろう。しかし彼らがその後、アンダーカテゴリーの代表チームに名を連ねたものの、日本代表の一員になることはなく現在に至っている。ここらあたりもサッカーというチームスポーツの難しさかもしれない。指導者との出会い、チームとの出会いで環境は激変するからだ。 ▽霜田監督に会うのが目的の取材だったが、現場には様々な驚きや新鮮な発見がある。やはり試合はライブで見るに限る。そう、改めて感じたJ2取材の日曜日だった。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.04.24 10:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】同じミッドウィークでもちょっと気が抜ける…

▽「まさか、ワンダで2日連続バルサの優勝が決まるの?」そんな風に私がおののいていたのは木曜日、ミッドウィーク開催のリーガ33節でアトレティコがレアル・ソシエダに手も足も出ず、3-0と1年以上ぶりの大敗を喫した直後のことでした。というのもTVのアナウンサーが「優勝までバルサはあと勝ち点3になった」と言うのを聞いたからで、今週末は土曜にコパ・デル・レイ決勝があるため、34節のバルサvsビジャレアル戦が先送りに。となれば、日曜にはもう、頭の中にはすでに来週木曜のヨーロッパリーグ準決勝アーセナル戦1stレグのことしかないアトレティコが、来季のEL出場圏を争っている5位のベティスに午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの試合で負ければ、その条件が満たされるんじゃないかと思ったんですけどね。 ▽どうやらそれは早合点で、当然ながら、コパ決勝の相手であるセビージャとレアル・マドリーの試合も延期。3位のお隣さんにも数字的には僅かに可能性があるため、リーガ優勝決定は早くとも来週末になるとわかったんですが、まったくねえ。どうもここ数年、コパではいつもバルサがトロフィーを掲げているような気がするという私の感覚は間違ってなくて、現在、彼らは3連覇中。今季は丁度、両者ともCLを準々決勝で敗退したばかりという状況でコパ決勝に臨むんですが、火曜のリーガでデポルティボと0-0で引き分けてすぐ、フェリア・デ・アブリル(春祭り)で湧く地元を避け、マルベジャ(地中海沿岸のビーチリゾート)で合宿入り、マンチェスター・ユナイテッドやバイエルン相手に慣れていないビッグマッチで全力を振り絞ったセビージャの方が、疲れが溜まっているのでは? ▽となると、CL準々決勝ローマ戦2ndレグで不覚の逆転敗退を喰らい、三冠の夢が消えたリベンジとして、二冠獲得に燃えているバルサがコパ4連覇を達成する方がありそうですが、そこは何が起こるかわからないサッカー。マドリッド勢からすると、セビージャ優勝の場合、コパ王者が来季ELグループリーグ出場権獲得となり、リーガの7位に回らず。そこまであと勝ち点3に迫っている弟分、ヘタフェなどにはちょっと残念なことにもなりますが、結局は、コパでバルサに負けてもセビージャがリーガ経由で6月末に始まる予選2回戦から、EL本大会出場への長き道をたどることになるかもしれませんしね。とりあえず土曜午後9時30分(日本時間翌午前3時30分)からのコパ決勝は今季、オープンしたワンダ・メトロポリターノ初の大舞台として、私も素直に試合を楽しみたいところです。 ▽まあ、ヨソ様のチームが争うコパ決勝の話はともかく、このミッドウィークのリーガ戦の様子もお伝えしておかないと。またしても先陣を切ったのは弟分のレガネスで、火曜の夜にエスタディオ・セラミカでビジャレアルに挑んだんですが、やはり前節で残留がほぼ確定していたというのが気の緩みに繋がったんでしょうか。ええ、もう少しでハーフタイムという前半42分にCKから、ビクトル・ルイスに先制点を決められると、後半10分にもバッカにエリア外から撃ち込まれてしまう始末。37分にはブラサナツのゴールでようやく1点を返したんですが、今季コパ16強対決2ndレグと同じスコアとはいえ、その時は1stレグの1-0勝利がモノを言って、アウェイゴール差による準々決勝進出というご褒美があったのとは大違い。リーガではただの敗戦にすぎないなのは残念だったかと。 ▽一方、もう1つの弟分、ヘタフェは翌水曜、こちらもアウェイでバレンシア戦だったんですが、いやあ、5位のベティスに勝ち点差10をつけて、ほぼ来季は3年ぶりのCLグループリーグ返り咲きが決まっている相手でもローテーションすると、意外と力が落ちるものですね。ボルダラス監督のチームもアンヘルが出場停止でいなかったものの、この日はエースのホルヘ・モリーナとペアを組んだレミが大当たり。前半15分にはダミアンのパスが先制ゴールを挙げると、後半3分にもモリーナの横パスを見事なワンタッチでGKジャウメ・コスタを破り、2点差にしてくれるんですから、嬉しいじゃないですか。 ▽これを機にバレンシアは15分、「creo que debo potenciar el ataque, las bandas, y tener un centro del campo más creativo/クレオ・ケ・デボ・ポテンシアール・エル・アタケ、ラス・バンダス、イ・テネール・ウン・セントロ・デル・カンポ・マス・クレアティーボ(攻撃と両サイドを強化して、クリエイティブな中盤にするべきだと思った)」というマルセリーノ監督の考えで、一気にビエット、マクシモビッチ、アンドレス・ペレイラをロドリゴ、ソレル、フェランに代える大技に出たんですが、幸いにも反撃は24分のロドリゴの一発止まり。残り5分にはキャプテンのパレホがモリーナにやり返してレッドカードを出されたことなどもあり、そのままヘタフェは1-2で逃げ切ることに成功します。 ▽まあ、この辺が来季は試合数がぐっと増えるバレンシアの課題で何せ、CLとリーガを同時に戦い抜くにはとにかく、上質で厚い選手層が必要ですからね。このオフシーズンの動きが注目されますが、残留を達成しても万が一の7位のご褒美、EL出場権を目指して気を抜いていないヘタフェの健闘も称えてあげないと。唯一、気になるのはこの日も前節のエスパニョール戦に続き、出場機会のなかった柴崎岳選手ですが、この土曜午後1時(日本時間午後8時)からは乾貴士選手との日本人対決となるエイバル戦も控えていますしね。丁度、3連戦最後の試合となるだけに今度は先発を期待してもいいかも。 ▽いやあ、実を言うと、私がオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況に耳を澄まし、ヘタフェの白星を喜ぶことができたのはサンティアゴ・ベルナベウのスタンドでのことで、というのもその直後にレアル・マドリーとアスレティックの試合がキックオフ。先週末のマラガ戦にはお休みをもらったクリスチアーノ・ロナウドやモドリッチ、マルセロらも復帰して、メンバー的には来週水曜のCL準決勝バイエルン戦1stレグの予行演習だったような感じでしたが、後でマルセロも「Esta complicado pero tenemos que jugar/エスタ・コンプリカードー・ペロ・テネモス・ケ・フガール(難しいけれど、プレーしないといけない)」と認めていた通り、優勝の可能性がほぼない状況では、選手たちにリーガ戦に真剣に取り組む意欲が起きないのは仕方なかったかと。 ▽そのせいもあったんでしょうねえ、開始から7分にはサン・ホセの至近距離シュートをGKケイロル・ナバスがparadon(パラドン/スーパーセーブ)しなければならなかったと思えば、13分にはコルドバのスルーパスをウィリアムスがvaselina(バセリーナ/ループシュート)。「Aritz me suele decir que contra el portero hay que picarla/アリツ・メ・スエレ・デシール・ケ・コントラ・エル・ポウテーロ・アイ・ケ・ピカールラ(アドゥリスはボクによく、対GKではボールを突っつけと言うんだ)」とその日はベンチスタートとなった、37歳の大先輩FWのアドバイスがゴールに繋がったと当人は打ち明けていましたが、マドリーにとって誤算だったのはそのたった1点がなかなか返せなかったこと。 ▽原因はアスレティックのGKケパで、ロナウドもバランもアセンシオもことごとくシュートを弾かれてしまったんですよ。何せ彼はこの冬、マドリー移籍が本決まりと言われていながら、最後はジダン監督の意向で破談に。結局、契約延長をして、ビルバオ(スペイン北部、アスレティックのホームタウン)に留まることを選んだんですが、まさか初めて立つサンティアゴ・ベルナベウの舞台で逃した魚は大きかったことを見せつけてくれるとは!それどころか、後半にはコルドバとラウール・ガルシアのダブルチャンスで相手がリードを広げかねなかったため、23分にはジダン監督もその日も期待に沿う働きができていなかったベンゼマ、そしてアセンシオをベイルとイスコに交代。いよいよ根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)態勢に入ったところ…。 ▽やっぱり最後はロナウドです。ええ、かなり長い時間、アスレティックのエリアを取り巻いて攻撃していたマドリーでしたが、いよいよタイムアップが迫ってきた41分、モドリッチが撃ったシュートをゴール前で彼がtaconazo(タコナソ/ヒールキック)。コースの変わったボールにケパは届かず、土壇場で同点に追いついているんですから、ジガンダ監督が「Es una pena que tan cerquita del final nos hayan empatado/エス・ウナ・ペナ・ケ・タン・セルキータ・デル・フィナル・ノス・アジャン・エンパタードー(あれだけ最後が近づいてきた時に追いつかれたのは残念だ)」と嘆くのも当然だったかと。いかにも、ちょっと本気になれば、点が取れるタレント満載のチームなればこその所業ですが、優勝が懸かっていなかったためか、奇跡の93分弾は生まれず、試合は1-1の引き分けで終わりましたっけ。 ▽そしてアスレティック戦後のジダン監督の記者会見でも大活躍だったケパの件を除けば、ほとんどの質問がバイエルン戦についてだったことからもわかるようにもう、この先のマドリー話題はCL準決勝一色。いえ、日曜夕方に練習が再開される前、セルヒオ・ラモスやセバージョスらはおめかししてセビージャに帰郷、フェリア・デ・アブリルのお祭り気分を満喫する機会を逃していませんでしたが、中には休日返上でバルデベバス(バラハス空港の近く)に通いつめ、リハビリを急ピッチで進めているナチョのような選手も。水曜の1stレグに間に合うかはわかりませんが、相手にも主力のアレクッス・ビダルが半月板手術で一足早く今季を終えるなど、負傷者が出ているため、まだその辺の選手情報は試合が近づくのを待って、お伝えすることになりましょうか。 ▽え、怖いもの見たさじゃないけど、アトレティコ惨敗の詳細も知りたいって? いやあ、実は水曜、マドリー戦の前にマハダオンダ(マドリッド近郊)に彼らの練習を見に行った私だったんですが、選手たちがグループに分かれてパス&ゴーのエクササイズをやっている最中、驚かされたのはシメオネ監督が「パスは受け手のことを考えて出すこと。もらう方がいい感じで受けられるように」とやたら強調していたこと。いえ、だって少年サッカーじゃあるまいし、彼らはプロなんですよ。そんなの言うまでもないことなんじゃないかと思っていたところ、そのソシエダ戦ではまず、「パスは何もないところでも敵めがけてでもなく、味方に向けて出す」という指示から必要だったのかと考えさせられる破目に。 ▽ええ、前半にはゴディンのヘッドが、アトレティコから2月に移籍したモヤが負傷したのに代わり、復帰してきたGKルリに上手くセーブされてしまうなんてこともあったんですが、全体的に動きの鈍かった彼らは26分、トマスのボールロストから、ジャヌザイに右サイドから折り返しノクロスを入れられ、ウィリアム・ホセに先制点を奪われてしまったんですよ。おまけに後半34分にはトマスから代わったガビのミスから、フアンミの独走に繋がって、またしても失点してしまったから、3季連続でのサモラ(リーガ1失点率の低いGKに与えられる賞)獲得に向け、バルサのテア・シュテーゲンと熾烈な争いを繰り広げているオブラクが気の毒だったの何のって。 ▽うーん、その頃には総攻撃態勢を発動したシメオネ監督がフアンフランに代え、ビトロを投入していたため、累積警告のリュカを補ったベルサイコの後を継いで、サウールが不慣れな左SBにポジションチェンジ。間が悪くもオフサイドラインを乱してしまうという不運もあったんですけどね。更にガメイロが抜け出したチャンスは2度とも、不当なオフサイドと怪しげなフェルナンド・トーレスのハンドを取られてシュートまで行きつけずと、ジャッジとの相性も悪かったんですが、ロスタイムにもデ・ラ・ベジャのクロスをフアンミにヘッドで3点目を入れられていてはもう開いた口も塞がらないとはまさにこのこと? ▽いえ、後でサビッチなど、「No jugamos tan intenso porque hay veces que el rival no te lo permite/ノー・フガモス・タン・インテンソ・ポルケ・アイ・ベセス・ケ・エル・リバル・ノー・テ・ロ・ペルミテ(ウチはいつもように激しいプレーはしなかった。時に相手がそれを許してくれないこともある)」と弁解していたんですけどね。もうずっと、少数精鋭での週2試合ハードスケジュールが続いている彼らだけに疲労が溜まっているのもわかりますが、おかげでどんなに来週木曜のア-セナル戦が心配になったことやら。 ▽とはいえ、目前に迫るは日曜のベティス戦で、まだこの時点ではジエゴ・コスタは回復していない見込み。それどころか、ロンドンでの1stレグに間に合うかもわからないんですが、ここは彼らを信頼してあげないと。同日、木曜には遅い試合でロスタイムにレバンテに決勝点を取られてマラガの降格が数字的に決定、同様にベティスに負けたラス・パルマスもほぼ2部行きが確実となり、早くも始まった金曜の34節では弟分のレガネスがデポルティボとスコアレスドローを演じ、更に相手を崖っぷちに追い落とすなど、上下ともにカタがつきかけているリーガですが、次に注目となるのは現在、スポルティングと同勝ち点で2位にいる2部のマドリッド弟分、ラージョの昇格がいつ決まるかでしょうかね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.21 19:30 Sat
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【倉井史也のJリーグ】西野朗新監督になったから見ておくべきJリーグチームは!? の巻

▽さーて、今週まずはこんなデータからご覧ください。前回のワールドカップメンバーたちの当時と今の所属チームです。 1. 川島永嗣 スタンダール(ベルギー)⇒メス(フランス) 2. 内田篤人 シャルケ(ドイツ)⇒鹿島 3. 酒井高徳 シュツットガルト(ドイツ)⇒ハンブルガーSV(ドイツ) 4. 本田圭佑 ACミラン(イタリア)⇒パチューカ(メキシコ) 5. 長友佑都 インテル(イタリア)⇒ガラタサライ(トルコ) 6. 森重真人 FC東京⇒同 7. 遠藤保仁 G大阪⇒同 8. 清武弘嗣 ニュルンベルク(ドイツ)⇒C大阪 9. 岡崎慎司 マインツ(ドイツ)⇒レスター・シティ(イングランド) 10. 香川真司 マンチェスター・U(イングランド)⇒ドルトムント(ドイツ) 11. 柿谷曜一朗 C大阪⇒同 12. 西川周作 浦和⇒同 13. 大久保嘉人 川崎F⇒同 14. 青山敏弘 広島⇒同 15. 今野泰幸 G大阪⇒同 16. 山口蛍 C大阪⇒同 17. 長谷部誠 ニュルンベルク(ドイツ)⇒フランクフルト(ドイツ) 18. 大迫勇也 1860ミュンヘン(ドイツ)⇒ケルン(ドイツ) 19. 伊野波雅彦 磐田(J2)⇒神戸 20. 齋藤学 横浜FM⇒川崎F 21. 酒井宏樹 ハノーファー(ドイツ)⇒マルセイユ(フランス) 22. 吉田麻也 サウサンプトン(イングランド)⇒同 23. 権田修一 FC東京⇒鳥栖 ▽あー、すっきりした。このメンバーの中で、ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督時代にポジション失った感じになったのは、内田、遠藤、柿谷、大久保、青山、齋藤、権田、的な? で、この選手たちってみんなJリーガーじゃないですか。今。 ▽だけど西野朗新監督が就任して状況って変わると思うんです。だって西野監督って2014年、2015年は名古屋を率いてたから、相手チームの選手としてみんなわかってると思うし。で、その中でもしかして浮上すんじゃないですか、サプライズですか、いや驚きって感じでもないんじゃないの? って見ておいたほうがいいと思うのが……ドラムロール……青山なのでした。だって広島、ブッチで首位じゃん。去年ギリギリ残留したのにジャンプアップじゃん。 ▽青山は18日のルヴァンカップに出ないでしっかり調整。21日の鳥栖戦にはしっかり出てくるはず! でまた大活躍しちゃったら……。だってまだ32歳ですもん。十分ワールドカップでプレーできるでしょ。 ▽ってまた今回も大胆不敵な予想をしたのでした。でもこれって、対戦相手の鳥栖の権田が目立って……うーん、ありそう!! お、となると注目チームって鳥栖ですか!!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.04.19 17:00 Thu
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【六川亨の日本サッカー見聞録】強化委員に復帰した原氏の理由と会長選

▽J1リーグは3月31日の第5節から、ルヴァン杯も含め週2試合の過密日程が5月20日まで続く。いわゆる魔の“15連戦”だ。それというのも6月6日の天皇杯2回戦はイレギュラーとして、リーグ戦は7月中旬まで中断期間に入る。なぜならロシアW杯が開催されるからだ。 ▽といったところで、昨日のルヴァン杯第4節は各グループで意外な結果となった。Aグループでは最下位の新潟が2位の仙台に3-1と快勝。Bグループでも最下位の札幌が初勝利をあげれば、Cグループでは今シーズンの公式戦で無敗を誇る広島を名古屋が下し、ルヴァン杯初勝利を奪った。 ▽すべての試合をチェックしたわけではないが、取材したFC東京対横浜M戦では、長谷川監督は4日前のJ1リーグからスタメンを10人入れ替えてきた。対するポステコグルー監督もリーグ戦から9人を入れ替えるターンオーバー制を採用。どの監督も過密日程に頭を悩ませながら選手のやり繰りをしているのかもしれない。 ▽こうした過密日程を受け入れたのは、すべてロシアW杯で日本代表が好結果を残して欲しいからに他ならないだろう。そのW杯を2ヶ月前に控えて監督が代わったことは周知の事実。西野監督が誕生し、新たに元五輪監督の関塚氏が技術委員長に就任した。そして前技術委員長だった原氏がJFA技術委員会の下部組織である強化委員に就任した。 ▽個人的には、原氏も関塚氏も早稲田大学サッカー部で西野氏の後輩だけに、2人して先輩をバックアップするものだと思った。そしてロシアで結果が出なければ、3人揃って責任を問われてJFAを去らねばならないかと危惧したものだ。早稲田閥の一掃である。 ▽ところがそれは、原氏に関しては杞憂にすぎないことがわかった。というのも、FC東京対横浜M戦を視察に訪れた原氏に確認したからである。今回、原氏がJFAの強化委員になったのは、「Jリーグと協会の日程調整のため」だそうだ。確かに原氏はJリーグの技術委員長時代、リーグとカップ戦、そして天皇杯がそれぞれバラバラに日程を組んでいたため、その調整役に乗り出したことがある。 ▽今回で言えば、鹿島GMの鈴木氏、元東京Vなどで監督を務めた松永氏がJリーグからJFAの技術委員に名を連ねている。しかし鈴木氏は鹿島の代表であり、松永氏は育成部門の担当者のため、Jリーグを代表してJFAと日程の調整役を果たす人材はいなかった。遅きに失した感はあるものの、ロシアW杯後になる9月のアジア大会(森保ジャパン)など東京五輪も含めて、JリーグとJFAの日程調整で原氏が強化委員に入ったことは一歩前進と言えるだろう。 ▽そんな原氏に、「FIFAは会長選挙の実施を義務づけているが、今回、田嶋会長は対立候補がいないため無風で続投が決まったのはおかしいのでは」と質問した。すると原氏は「僕は前回、せっかく選挙があるのだから立候補したけど、会長になりたかったわけではないです。でも、今回も立候補したら、『やっぱり原は会長になりたいんだな』と見られてしまう。それは本意ではなかったので」と立候補しなかった理由を教えてくれた。 ▽権力闘争や出世には無頓着な原氏。だからこそ、JFAの会長にふさわしいと思うのは私だけだろうか。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.04.19 16:00 Thu
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【六川亨の日本サッカー見聞録】西野監督の性格

▽4月15日のスポーツ紙の写真を見て驚いた。日本代表の監督に就任した西野朗氏が、長居でのC大阪対FC東京戦を視察した。スタジアムに入る際だったのだろうが、背景に愛車のベンツ・ゲレンデバーゲンが映っていたからだ。 ▽話は2011年に遡る。G大阪の監督を辞めた西野さんに、当時創っていた柏レイソルのDVD付ムックの解説をお願いした。1999年にナビスコ杯で初優勝した試合を振り返りながら、当時の出来事を振り返ってもらった。 ▽取材後、収録スタジオの近くにあるコインパーキングまで西野さんを見送ると、そこには愛車のゲレンデバーゲンが止まっていた。その愛車を見ながら、西野さんはこんなエピソードを教えてくれた。 ▽「これは2001年7月に、娘の誕生日に納車されたんですよ。そして、これに乗って柏に言ったところ、久米(柏GM)から『西野、悪いが監督を辞めてくれ』と言われたんです」と当時の真相を教えてくれた。 ▽01年の第1ステージは6位と、それほど悪い成績ではなかっただけに、西野監督にとっても予想外の解任だったのだろう。その後はG大阪の監督として数々のタイトルを獲得したが、大阪でも愛車に乗り続けたそうだ。G大阪の監督を辞めて自宅のある埼玉に戻った際は、奥さんから「大きいし古いから、もう廃車にしたら」と言われたそうだ。 ▽それでも現在も乗り続けているあたり、よほど愛着があるのだろう。柏で解任された悔しさと、G大阪での成功など、様々な思い出が詰まっているだけに、手放せないのかもしれない。 ▽ちょっと前置きが長くなってしまったが、果たして西野監督はロシアW杯でどのように戦うのか予想してみたい。まず、準備時間はほとんどないに等しい。監督に就任したものの、5月のキャンプまでJリーグは連戦のため、海外組を含めて視察によりコンディションをチェックするだけだ。ただ、就任会見で招集選手のラージグループはハリルホジッチ元監督と変わらないと言ったように、メンバーに大きなサプライズはないと予想される。 ▽西野監督は、一言で表現するなら「勝負師」だ。96年のアトランタ五輪第2戦のナイジェリア戦で、守備的なスタイルを批判し攻撃的に行きたいと訴えた中田英寿を、第3戦のハンガリー戦でスタメンから外した決断は有名だ。 ▽ハリルホジッチ元監督の縦に速いサッカーが機能しないため、3月のベルギー遠征では選手から監督に対し不満が漏れた。それが解任につながったものの、ハリルホジッチ元監督と西野監督には共通する部分も多い。自身の信念に揺るぎがないだけに、異を唱える選手はためらわずに外すだろう。 ▽一見するとダンディーで柔和な印象を受けるが、それは表面だけで、かなり頑固でもある。そんな西野監督だが、W杯までは時間がない。となると、できることは限られる。ザック・ジャパンのメンバーを軸にすればボールポゼッションはできる。川島、吉田、長谷部、本田、長友、岡崎を軸にしたメンバーだ(ケガが治れば香川と清武も入るだろう)。 ▽そして戦術だが、これもハリルホジッチ元監督と共通する部分は多い。「自分たちのサッカー」ではなく、対戦相手を分析して「負けない試合」をするからだ。柏時代は3-5-2と当時流行のシステムを採用し、ホン・ミョンボやユ・サンチョルら韓国代表を起用し、G大阪時代は遠藤保仁を軸にマグノ・アウベスやルーカスというストライカーを擁して攻撃的なサッカーを展開した。 ▽しかし、そうしたサッカーをする上で欠かせない選手が明神智和であり今野泰幸といった守備のオールラウンダーだった。現在の代表チームなら、長谷部は欠かせないピースであり、ケガが治れば今野の復帰も十分にありえる。さらに監督就任後、C大阪対FC東京戦を視察したのは山口蛍と橋本拳人をチェックしたのかもしれない。 ▽指揮官としてW杯の3試合を分析し、どのような選手を選択するのか。ラージグループは決まっているだけに、あとは各試合に応じたチョイスになる。ただ、いずれにせよ西野監督の性格からすれば、(繊細な)テクニシャンではなく戦闘能力の高い選手を優先的に選ぶだろう。 ▽柏の監督時代、西野監督と同じタイプの天才的MF大野敏隆や、期待のFW北嶋秀朗をサブチームに降格したこともある。人気のあるルーキーといえども特別待遇はしなかった。結果を出さなければ情け容赦しない。それだけドライに勝負にこだわることを、代表候補の選手たちは肝に銘じた方がいい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.04.18 12:30 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】4チーム共、勝ってくれたけど…

▽「お預け喰わされている気がするわよね」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、今週の予定と見たところ、ヨーロッパの大会がなく、ミッドウィークにリーガ戦が入っているのに気がついた時のことでした。いやあ、これがシーズン半ばであれば、先週末の節も含めて勝ち点9が動くとあって、オチオチしていられなかったんですけどね。優勝争いといった言葉が世間から、聞こえなくなったのはもう随分と前。首位バルサと2位アトレティコの差が勝ち点11、3位のレアル・マドリーは15ともあって、残りは6試合、いつ戴冠が決まるのかの方にもう焦点が移っているのは当然のことだったかと。 ▽実際、5位のベティスとアトレティコとの差も先週末で19ポイントとなり、数字的に来季のCL出場権ゲットが確定。マドリーも15差ありますし、今回から4位だとプレーオフを戦わないとグループリーグに出られないという制約もなくなったため、それこそ2位も4位も変わりないですしね。加えてマドリッドの弟分チームたちも残留をほぼ達成、かといって、10位のヘタフェは7位のセビージャまで5ポイントと、ヨーロッパリーグ出場圏入りまで望むのは少々、難しいとなれば、こちらも消化試合に付き合わされているような倦怠感に陥っても仕方なかった? ▽それだけに早く見たいのはCL、ELの準決勝で、何せマドリーはバイエルン、アトレティコはアーセナルとどちらも決勝と言ってもおかしくないような好カードになっていますからね。その前に毒にも薬にもならないような試合をして、自在にローテーションをかけられるお隣さんはともかく、超少数精鋭主義のシメオネ監督のチームから、更にケガ人発生といった事態になるのは困るんですが…いえ、先のことを慮っていても始まりせん。とりあえず、マドリッド勢の前節リーガ戦がどうだったか、お伝えしていくことにすると。 ▽4チームに先立って土曜試合となったのはレガネスで、このところバレンシア、バルサと強敵に連敗していた上、アムラバットやガブリエル・ピレス、ボービューらが出られないと聞いていたため、このセルタ戦はちょっと心配していたんですけどね。それでもチームへの全幅の信頼を失わず、ブタルケのスタンドを埋め尽くしたファンに力づけられ、レガネスは前半からゲレロのシュートやシオバスのヘッドでゴールを積極的に狙っていきます。その努力が実ったのは後半になってからで17分、エル・ザールが入れたラストパスをゲレロが押し込み、とうとう先制してくれたから、ホッとしたの何のって。 ▽スタンドの一角にはセルタの応援団も駆けつけていたんですが、この日はイアゴ・アスパスにチャンスが回らなかったせいでしょうか。相手はこの1点が返せず、そのまま1-0でレガネスが勝利を手に入れることに。これで勝ち点39、降格圏と13差となったため、ガリターノ監督も「A seis jornadas la salvación está prácticamente hecha/ア・セイス・ホルナーダス・ラ・サルバシオン・エスタ・プラクティカメンテ・エッチャ(6節残して実質上、1部残留は達成できた)」と試合後、満足そうだったんですけどね。週が明けて月曜日、次節のビジャレアル戦を控えての会見では、「matematiamente(マテマティカメンテ/数字的に)残留を確定するまで戦わないといけない」と新たな目標ができていたんですよ。まあ、今週は金曜にデポルティボ戦も入っていますし、4月からチーム全体にバケーション気分が広まっても困りますからね。それでもセルタ戦で決勝点を挙げたゲレロを始め、6月で契約の終わる選手が大半とあって、そろそろクラブも来季を見据えて動き始めるんじゃないでしょうか。 ▽そして翌日曜、まだ日の高い午後4時頃、ちょうど毎年恒例のel Dia del Nino(エル・ディア・デル・ニーニョ/子供の日)のイベントに当たったため、スタジアム周辺に設けられたトランポリンやミニサッカー場、フットボリン(サッカーゲーム)などのアトラクションを楽しむ家族連れで賑わうワンダ・メトロポリターノに着いた私でしたが、この日は場内の演出もバッチリ。キックオフ前には大弾幕がバックスタンドに広がり、他は一面、rojiblanco(ロヒブランコ/赤と白)の旗でさざ波かえる美しい光景を楽しめることに。ええ、これにはジエゴ・コスタが負傷中なのに加え、金曜早朝にリスボンから戻って来たばかり、土曜など45分ぐらいしか練習をしなかったというアトレティコの選手たちも大いに勇気づけられたのでは? ▽実際、相手はパコ・ロペス新監督になってから、勝ち点12中10を獲得しているレバンテとあって、その辺もあの、大雨のジョゼ・アルバラーデでパスが3回とが続かない、恐ろしいEL準々決勝2ndレグを見た後だけに、私も不安だったんですが、応援の効果やてきめん。意外と大丈夫だったんですよ。そう、ここ3試合連続の先発出場を仰せつかい、ようやくスペイン代表でも常連だったセビージャ時代の自分のサッカーを思い出したか、この日はビトロがキープレーヤーに。前半32分には敵DF数人をかわしてエリア内でバトンタッチ、ここ数試合の悪いパフォーマンスを反省していたコレアがシュートを決め、アトレティコが先制点を挙げてくれたから、ファンも喜んだの何のって。 ▽更に40分にはリュカのスルーパスにグリーズマンが抜け出したんですが、GKオイエルに倒されてシュートできず。ペナルティをもらうどころか、逆にpiscinazo(ピシナソ/ダイブ)とされて警告を受けてしまったため、後でゴディンなど、「時々、プレーのスピードのせいで、相手に触らなくても向こうが切り返そうとしたりして、バランスを崩すことがある。Por eso la amarilla me parece excesiva/ポル・エソ・ラ・アマリージャ・メ・パレセ・エクセシーバ(だからイエローカードは過剰に思えるよ)」と意見していたんですけどね。後半3分にはコケのサイドチェンジからベルサイコがクロス。エリア内からvolea(ボレア/ボレーシュート)でグリーズマンが撃ち込み、無事に2点目を取ってくれたため、「por suerte no lo hemos tenido que necesitar por los tres puntos/ポル・スエルテ・ノー・ノ・エモス・テニードー・ケ・ネセシタール・ポル・ロス・トレス・プントス(幸いウチは勝ち点3のためにPKを必要としなかった)」(フェルナンド・トーレス)のは良かったですよね。 ▽え、この日、スタジアムが最高に盛り上がったのは後半13分、グリーズマンに代わって、トーレスがピッチに入った瞬間だったんじゃないかって?そうですね、折しも彼は先週、今季限りでのアトレティコ退団を表明。ファンも事情を汲んでか、お馴染みの「Torres quedate/トーレス・ケダテ(トーレス、残って)」というカンティコ(節のついたシュウレヒコール)こそ、聞こえなかったものの、スタンドは「Fernando Torres lo lo lo lo/フェルナンド・トーレス、ロロロロー」の大合唱となります。そこへ32分にはコレアからのパスをネットに沈めて、El Nino(エル・ニーニョ/子供、トーレスの愛称)がチームの3点目を取ってくれるのですから、まさに最高の“子供の日”だったかと。 ▽いえ、シメオネ監督は「Fernando es un icono haciendo goles o no, ganando titulos o no/フェルナンド・エス・ウン・イコノン・アシエンドー・ゴーレス・オ・ノー、ガナンドー・ティトゥロス・オ・ノー(フェルナンドはゴールを決めても決めなくても、タイトルを獲っても獲らなくても偶像だ)」と言っていましたけどね。できれば、「Para mi, cada partido hasta el final va a ser una fiesta/パラ・ミー、カーダ・パルティードー・アスタ・エル・フィナル・バ・ア・セル・ウナ・フィエスタ(自分にとって、最終戦まで全ての試合がフィエスタになるだろう)」という当人には、この日達成したアトレティコでのリーガ1部100得点を少しでも上積みして、有終の美を飾ってほしいですよね。 ▽おかげで、いつもながらGKオブラクが完璧なセーブを見せたこともあり、3-0で快勝したアトレティコでしたが、バルサも前日、バレンシアに2-1と勝利していたため、差が縮まることはなし。次は木曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)からアノエタでのレアル・ソシエダ戦で、トマスに代わって、今度はリュカが累積警告となるため、トップチームの頭数に変わりはありません。その後、ホームで彼らを再び見られるのは日曜のベティス戦になるんですが、実はこの週末にワンダで開かれるのはこの試合だけではないんです! ▽そう、土曜にはコパ・デル・レイ決勝のセビージャvsバルサ戦が開催されますからねえ。実はこの日付が決まった折、セレソ会長を始め、2日連続で試合があっても対応可能なクラブの運営力を自慢したかったか、アトレティコはベティス戦を先送りにするのを望まず。とはいえ、3月の各国代表戦のparon(パロン/リーガの停止期間)以来、毎週木日と試合が続いているだけに選手たちも若干、お疲れ気味ですし、セビージャ戦が延期となったお隣さんのように、EL準決勝の前にお休みがあった方が、今となっては良かったかもしれませんね。 ▽そしてこの日は続いてヘタフェがコリセウム・アルフォンソ・ペレスでエスパニョール戦をキックオフ。いやあ、今季は梯子観戦もよくした私なんですが、さすがに直後の時間帯となると、公共交通機関を使っての移動はムリで、何せメトロ(地下鉄)のエスタディオ・メトロポリターノ駅から、イロイロ乗り継いで、ヘタフェまで行くのは1時間以上かかりますからね。よって、後でサマリーを見るだけになりましたが、いい結果が出てくれました。ええ、後半8分にFKをショートでもらったダミアンが撃ち込んだgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で先制した彼らは、その10分後にはフラミニが2枚目のイエローカードをもらって退場となったものの、最後まで耐え抜いて1-0で勝利。こちらもレガネス同様、2連敗の不調を乗り越えることができたんですが、残念ながら、柴崎岳選手の出場機会はありませんでしたっけ。 ▽そんなヘタフェは水曜午後7時30分からアウェイでのバレンシア戦、週末もコリセウムには戻って来ず、土曜午後1時(日本時間午後8時)から、乾貴士選手のいるエイバルのホームで試合となります。この先、彼らのコリセウム開催ゲームもあと4月29日のジローナ戦、5月2週目の週末の兄貴分、アトレティコとのミニダービーだけなので、今季中にマドリッドで柴崎選手のプレーを見たいファンは要注意。日付が合わなければ、ヘタフェのオフィシャルページの予定表(http://getafecf.com/PrimerEquipo/Entrenamientos.aspx、スペイン語のみでもgoogle翻訳などで大体わかる)をチェックして、スタジアムの右奥にある練習場に行ってみるのもいいかもしれません。 ▽え、それで日曜最後のカードでラ・ロサレダでマラガと対戦したマドリーはどうだったのかって?いやあ、当日移動したジダン監督のチームだったんですが、予想通り、クリスチアーノ・ロナウドは機上の人とはならず。更にモドリッチとベイルが休養ローテーションに入っただけでなく、クロースやマルセロまでベンチ見学とは、選手が多いチームはまったく羨ましい。ただ、今季はCFのベンゼマが極端なゴール日照りに見舞われているため、無得点のまま、前半も30分近くになると、本当にゴールが入るのか、いささか懸念が出て来たものの、そこに救世主として現れたのはご当地選手のイスコ。 ▽エリア近くでゲットしたFKに古巣の選手たちから、苦労してボールを返してもらった後、キャプテン権限でキッカーをやろうかと申し出たセルヒオ・ラモスも断ると、彼の蹴ったボールが弧を描いてスッポリ、ゴールに収まったから、驚いたの何のって。後でマラガがFKを得た際にもスタンドから、「Isco tiralo/イスコ・ティラロ(イスコが蹴って)」というカンティコが湧いていたぐらいだったんですが、実はイスコがマドリーで直接FKからゴールを決めたのはこれが初めて。いえ、もちろんロナウドやベイルがいたら、キッカーをやらせてもらえないせいもあるでしょうけどね。 ▽むしろこの才能は夏のW杯スペイン代表で役立ててもらいたいものですが、後半にもマドリーはイスコのアシストでカセミロが追加点を挙げ、リードが2点に。その後はセバージョスやマジョラルら、これまでほとんど出番がなかった若手をピッチに送り、アセンシオとイスコを休ませたジダン監督でしたが、何せ相手はもう、残り全勝したとて、降格が避けられそうもない最下位のマラガですからね。ロスタイムにバジェホがクリアできなかったボールをロランが決めて1点は返したものの、そこでゲームセット。ええ、ホセ・ゴンサレス監督も「Nadie tiene dudas de que el Malaga volvera a Primera/ナディエ・ティエネ・ドゥーダス・デ・ケ・エル・マラガ・ボルベラ・ア・プリメーラ(マラガが1部に戻って来ることに疑いを持つ者はいない)」と2部落ち前提で話していましたし、この1-2の敗戦も淡々と受け止めているようでしたっけ。 ▽おかげでバレンシアを追い越し、3位に復帰してマドリーは帰京したんですが、今週の予定は水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)から、サンティアゴ・ベルナベウでのアスレティック戦。当面、ケガ人はナチョしかおらず、ジダン監督もCL準決勝バイエルン戦1stレグまで週末を挟んで丸々1週間空くため、「ローテーションをして、休めるようにしたい。でもno pueden descansar todos/ノー・プエデン・デスカンサール・トードス(全員は休めないだよね)」とどこか余裕でしたが、まあ、相手もすでにブンデスリーガ優勝済みとあって、直前のリーグ戦に主力は使わないでしょうしね。やっぱり私がドキドキするのは25日(水)まで、とっておくことになりそうです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.17 08:35 Tue
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【六川亨の日本サッカーの歩み】浦和と清水の若手選手に期待

▽昨日の15日はJ1の浦和対清水の試合を取材した。サッカー王国を自負し、かつてはリーグの覇を競ったこともある両チームだが、清水は4試合未勝利、浦和はやっと連勝で立て直してきたが、昨シーズンのACL王者の面影はない。 ▽試合は興梠の技ありのヘッド2発で浦和が逃げ切った。ただ、後半になって清水に1点を返されると、大槻監督は3-5-2から5-4-1の超守備的な布陣にシステムを変更。このため後半は清水のボールポゼッション率が高まったものの、攻撃は意思の疎通を欠いてチャンスらしいチャンスを作れず1-2で敗れた。 ▽興梠の2点目は右サイドのMF橋岡からのクロスに対し、最初はファーに流れるように動いてマーカーの意識を後ろに向けさせ、一瞬の動きでマーカーの前に走り込みヘッドで決めたもの。ストライカーらしい動きであり、基本的なプレーでもある。 ▽試合としては、浦和の超守備的なスタイルに彼らの苦しみを見た思いだった。昨シーズンはもちろん、開幕直後も結果こそ出なかったものの、ボールポジションで相手を圧倒するのが浦和スタイル。しかし、この日は宇賀神や平川を欠いていたこともあるが、かつての面影はまるでない。 ▽一方の清水もヤン・ヨンソン監督を招いて守備を再構築しているようだが、J2に降格したシーズンもショートパスを小気味よくつなぐパスサッカーだったのが、こちらも長身FWクリスランにロングボールを当てる攻撃で、かつてのスタイルは見る影もない。そんな試合で楽しめたのが、両チームの若手選手の存在だった。 ▽浦和の2点目をアシストした橋岡は浦和ユース出身の18歳で、本職は182センチの長身を生かしたCB(センターバック)である。この日は右アウトサイドMFに起用され、俊足を飛ばしてマーカーを寄せ付けず、興梠の2点目をアシストした。 ▽大槻監督いわく、「橋岡は走ります。前回の試合は30回スプリント。しかしポジションが悪いので10回は無駄なスプリントと本人に言った。クロスのアシストはトレーニングの成果が出たと思う」と期待の高さを伺わせた。CBもSB(サイドバック)にもできるのは大きな武器だけに、東京五輪の中心選手(現U-18日本代表)に成長することを期待したい。 ▽一方の清水では4-4-2の右SBに起用された立田に注目した。DFとして189センチの長身選手で、こちらもユース出身の本職はCBだ。現在U―21日本代表の19歳で、橋岡同様、東京五輪世代である。 ▽Jリーグは20歳前後の選手の成長を促すため、ルヴァン杯では1名の出場を義務づけている。とはいえ、なかなか世代交代が進まないのが現状でもある。そうした中で、橋岡や立田のような新たな発見はうれしい限りだし、東京五輪までケガなく成長して欲しいと思う。 ▽さらに清水には、この日ゴールを決めた金子という163センチと小柄なMFがいた。彼はJFAアカデミー福島出身のテクニシャンで、まだ22歳と若いだけに、さらなる成長を期待したい。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.04.16 21:30 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】マドリッド勢だけが生き残った…

▽「もしやこの週ってゴールデンウィーク?」そんな風に私が日本のカレンダーを確認していたのは金曜日、UEFA本部でのCL準決勝抽選が終わり、試合日程が決まった時のことでした。いえ、すでに1時間前に先行していたEL準決勝抽選ではアトレティコとアーセナルと対戦することが決定。こちらの大会は2カードとも木曜開催となるため、3日の2ndレグではワンダ・メトロポリターノでプレミアリーグの老舗を見られるのがすぐわかったんですけどね。奇しくもバイエルンを引いたレアル・マドリーも2ndレグが1日にサンティアゴ・ベルナベウって、要は5月の第1週にマドリッド滞在を予定している観光客には、ヨーロッパの2大クラブ大会のファイナリストが決まる大一番をまとめて観戦する機会があるってことじゃないですか。 ▽え、でもどちらもチケットをゲットするのは難しいんだろうって?まあ通常、大会のこの辺りになると、相手に関わらず、即日完売することも多いんですが、意外にもこの水曜のCL準々決勝2sdレグ。先週の1stレグが0-3と大勝だったせいか、ユベントスというネームバリューでは決して引けを取らない相手だったにも関わらず、80~300ユーロ(約1万1000~4万円)ぐらいで、当日売りのチケットが出ていましたからね。いよいよ、コペンハーゲン、ロコモティブ・モスクワ、スポルティングCPとは一線を画す強敵、アーセナルを迎えるワンダもここまでのEL戦が満員御礼にならなかったという先例があるとなれば、結構、スタジアム窓口で買えてしまったりするかも。 ▽その辺はまだ3週間も先の話なので、情報が入り次第、お伝えしていくことにしますが、まずは今週の準々決勝2ndレグがどう決着したかを語っておかないと。いやあ、火曜は1stレグに4-1と快勝していたバルサが一体、何がどうしたんでしょうかね。スタディオ・オリンピコでは序盤にジェコに決められると、後半にはデ・ロッシがPKで、残り8分にはマノラスがセットプレーからヘッドで、両者共にカンウ・ノウで献上したオウンゴールの無念を晴らされて、総合スコアが4-4に。まさに先週末のリーガ、レガネス戦でハットトリックを挙げたメッシが1本でもこのローマ戦にゴールを取っておけばと思わせる展開で、結局、無得点に終わったバルサはアウェイゴール差による大逆転負けって、こんな奇跡があっていい? ▽おかげで翌水曜のお昼のニュースでは、宿敵のCL敗退に溜飲を下げているマドリー・サポーターの姿を何度も見たものですが、彼らもこの先、何が待っているのか知っていたら、きっとあんなに有頂天にはならなかったかと。というのもその夜、いえ、私も前日にドシャ降りの中、見学に行ったバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でのジダン監督とバランの会見や夕方、ベルナベウであったアッレグリ監督とブッフォンの会見でもほとんど、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)の可能性は話されていなかったため、むしろ恐れていたのは再び、ぶり返してきた寒さの方だったんですけどね。それが何と、同じイタリア勢でも4位のローマとは勝ち点差21をつけて、優勝が間近に迫っているユベントスだからでしょうか。前日の先制点より、全然早い開始1分18秒にはケディラのクロスから、カルバハルを軽々超えて、長身のマンジュキッチがヘッドで決めてしまったから、意表を突かれたの何のって。 ▽ただ、それでもまだ2点差ありましたし、13分にはイスコのゴールが怪しいオフサイドで認められないなんてこともあったため、じきに相手の攻勢も収まるだろうと私など、楽観視していたんですが、いえいえ、とんでもない。37分には再び、マルセロの守る左サイドからクロスを上げられ、またしてもマンジュキッチに頭で得点されてしまっては心落ち着かず、ハーフタイムに定番のボカディージョ(スペイン風バゲットサンド)を食べることもできないファンがいても仕方なかったかと。さすがこれにはジダン監督も「Hay que cambiar algo/アイ・ケ・カンビアール・アルゴ(何かを変えないといけない)」と思ったそうで、マドリーは後半頭から、ベイルとカセミロを下げ、ルーカス・バスケスとアセンシオを投入したものの…。 ▽悪夢が現実になったのは後半15分、この日、ユベントスの攻撃を牽引していたドグラス・コスタが入れたクロスをGKケイロル・ナバスがしっかり掴めず、詰めていたマトゥイディに押し込まれてしまったんですよ。いえ、バルサとは違い、これで総合スコアは互いにアウェィゴールでの3-3ですから、あくまでユベントスはprorroga(プロロガ/延長戦)に持ち込める権利を得たに過ぎないんですけどね。おそらく、それで安心してしまったのでしょうか。その後の彼らは4点目を奪いに行くことより、失点を避けることを優先したのを大いに悔やむことに。 ▽ええ、いよいよ試合も後半ロスタイムに入り、その頃には出場停止でこの試合に出られず、ソンブレロ(帽子)を被ってパルコ(貴賓席)で優雅に観戦していたセルヒオ・ラモスも危ないと思ったか、ベンチ脇にあるトンネルから檄を飛ばしていたんですけどね。私も厚めのヒートテックを着てきた先見の明に感謝しながら、更なる30分の長丁場に耐える覚悟を決めていたところ、何と48分、クリスチアーノ・ロナウドが頭で落としたボールをゴール前に受けに行った身長172センチ、体重70キロのルーカス・バスケスが190センチ、92キロのベナティアに後ろから足を回されて転倒。ペナルティの笛が吹かれるって、こんなラッキーな出来事があっていい? ▽というのもこのプレー、専門家でも意見が分かれる程、判断が微妙で、アッレグリ監督などはCLにVAR(ビデオ審判)がないのを嘆いていましたけどね。もちろんルーカス・バスケスは「Es penalti claro/エス・ペナルティ・クラーロ(明らかにペナルティだ)。ボールをコントロールしようとした時、敵CBに倒されたんだからね」と正当性を主張、対するベナティアは「自分の太ももが触れたけど、接触は最小限で、これはサッカーの一部」と互いの言い分が相反するのは当然で、ユベントスの選手たちも主審を取り巻いて猛抗議をしたところ、何とGKブッフォンがレッドカードで退場させられてしまったから、逆転突破の夢もここでジ・エンドに。 ▽だってえ、どの選手が蹴ってもPKが入らない弟分のヘタフェじゃあるまいし、キッカーはあのロナウドですよ。代わりのGK、シュチェスニーが用意する時間も含め、4分程、間があったため、当人も「Los minutos antes de tirar el penalti se hicieron eternos・ロス・ミヌートス・アンテスデ・ティラール・エル・ペナルティ・セ・イシエロン・エテルノス(PKを蹴るまでが永遠に感じられた)」と言っていたものの、大丈夫。ドサクサに紛れ、ユベントスの選手たちが入れ替わり立ち替わり、PKマーク付近をスパイクで荒らしていたのもモノともせず、しっかり総合スコア4-3で準決勝進出を決めるゴールを挙げているのですから、歓喜の余り、またユニフォームを脱いで、自身の筋肉を見せつけていたって、ここはもう褒めるしかないかと。 ▽え、ロナウドは昨夏、スペイン・スーパーカップ1stレグでもユニを脱いで、それが2枚目のイエローカードだったために退場。更に5試合の出場停止処分を受けていなかったかって?いやあ、そこは少し学んだようで、この日はまだカードをもらっていませんでしたし、大会通算でも2枚目。累積枚数にはならない上、準決勝では全員ゼロからスタートになるって知っていたんでしょうね。おかげで心いくまでゴールを祝うことができたんですが、ラモスの方もスタッフが必死に止めて、ピッチレベルまで上がらなかったため、UEFAのお咎めがなかったのは幸い。何せ、バランとバジェホのCBコンビではその日のように、大物相手では頼りないのが発覚してしまいましたからね。準々決勝こそ、2ndレグは0-0で、セビージャのオウンゴール2本で勝った1stレグのおかげで突破したバイエルンとはいえ、レバンドフスキを前にラモス抜きで戦うなんて、想像したくもありませんって。 ▽そして試合後は、「Si hay penalti, lo hay. Pasamos y estamos contentos/シー・アイ・ペナルティ、ロ・アイ。パサモス・イ・エスタモス・コンテントス(ペナルティがあると言われればある。ウチは突破して満足だ)」(ジダン監督)というマドリーだったんですが、マルセロなどからは「no nos iba a pasar como al Barcelona porque somos el Real Madrid/ノー・ノス・イバ・ア・パサール・コモ・アル・バルセロナ・ポルケ・ソモス・エル・レアル・マドリッド(バルサみたいにはならないよ。ウチはレアル・マドリーだからね)」なんて、ちょっと調子に乗ったコメントも聞かれたんですが、ミックスゾーンで誰より吠えていたのはブッフォンだったかと。 ▽ええ、最初は放映権のあるTVカメラ、次になしのTV、イタリアのラジオ、最後は新聞記者たちの前で、「93分にあんなペナルティを取るなんて、人間のやることじゃない。彼はキラー、アニマルだ。ハートの代わりにゴミバケツを持っている」と各所で主審批判をリピート。うーん、世間から、CLの試合はこのマドリー戦が最後となるだろうと言われていた彼ですから、有終の美を飾れなかったのが悔しいのはわかりますけどね。あの手のジャッジは時の運ですし、昨季もバイエルン相手の準々決勝2ndレグ、延長戦にもつれ込みながらも勝ち抜けを決めたマドリーですから、やっぱり残り30分に畳かけず、120分勝負に懸けたユベントスの戦略にこそ、敗因があったんじゃないかと私など、思ってしまうんですが…。 ▽え、それで木曜にスポルティングとの2ndレグを戦ったアトレティコはどうしたんだって?うーん、リスボンは大雨だったからですかねえ。1週間前のワンダとは違い、相手にガンガン攻めてこられた上、パスが3回と繋がらない惨状にとうとう、普段は見て見ぬ振りをしている番記者たちも試合後は「就任して以来、最低の試合だったのでは?」と記者会見で尋ねざるを得ない始末。それには「この6年間、もっとひどい試合はあったが、comparto que estuvimos tremendamente imprecisos en el primer tiempo/コンパルトーケ・エストゥビモス・トレメンダメンテ・インプレシソス・エン・エル・プリメール・ティエンポー(ウチが前半、恐ろしく正確さを欠いていたという意見には同意する)」と答えていたシメオネ監督ですけどね。 ▽もうホント、私だって、視界が悪くてスポルティングの緑のユニと芝生の区別がつきにくいのだろうとか、濡れた髪でヘディングすると滑って狙いが狂うんだろうとか、TVを見ながら、自分で自分に言い訳するのがどんなに苦しかったことか。どうやらコケなどに言わせると、「相手もプレーしているんだから、hay veces que no es culpa tuya/アイ・ベセス・ケ・ノー・エス・クルパ・トゥジャ(自分たちのせいじゃない時もある)」そうですが、何せ、1stレグでは2-0で勝利しているとはいえ、バルサやマドリーの先例がありましたからねえ。GKオブラクの奮闘も空しく、とうとう前半27分、彼が弾いたクロスをノーマークだったモンテロに決められてしまった時にはどんなに背筋が凍ったことか。 ▽おまけにリュカは前半の接触プレーで顔を強打され、後半からはベルサイコが出場していたのに加え、5分にはダッシュをかけた際にジエゴ・コスタが左太ももを痛め、交代要請って一体、どこまでアトレティコは祟られている?それでも幸い、この時は先日、今季限りのアトレティコ退団宣言をしたフェルナンド・トーレスがアップなしで入り、更にスポルティングも「70分までウチは素晴らしい試合をしていたが、リスクを犯して点を取りにいかないといけない時間帯になり、アトレティコがスペースを得てチャンスを作った」(ジェズス監督)という状態になったため、そのまま試合は1-0で終了。総合スコア2-1で逃げ切りましたが、30分過ぎにグリーズマンが迎えたGKルイ・パトリシオとの1対1の好機にシュートを決めていてくれれば、あそこまでファンをヒヤヒヤさせることもなかったはずでよ。 ▽まあ、内容はともかく、今はアトレティコがリヨンへの道から外れなかったことを喜んでいればいいんですが、気になるのはコスタのケガがいつ治るのか。一応、全治2週間という報が金曜の検査の後、出ていましたが、4年前は負傷から復帰の後、リーガ優勝が決まった最終戦でもCL決勝でもすぐ再発させて、序盤で交代という黒歴史の持ち主ですからね。今週末、日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、ワンダ初のDia del Nino/ディア・デル・ニーニョ(子供の日)が祝われるレバンテ戦はもちろん、アーセナルとの2試合もあまり期待しない方がいいかも。ちなみにもう1つのEL準決勝はオリンピック・マルセイユvsザルツブルクで、前者にはライプツィヒとの準々決勝2ndレグでチームの5点目を挙げた酒井宏樹選手、ラツィオを大逆転で退けた後者には南野拓実選手がいるため、どちらが勝っても決勝に必ず日本人選手が参加するっていうのは楽しみですね。 ▽そして他のマドリッド勢の週末の日程は土曜にレガネスがセルタとブタルケで対戦。日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにエスパニョールを迎えるヘタフェ同様、残留をほぼ達成してしまったため、このところ2連敗とモチベーションを奮い立たすのが難しいようですが、せめてホームゲームではいいプレーをして、サポーターを喜ばせてあげてほしいかと。兄貴分のマドリーは日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、降格決定が秒読みに入っている最下位マラガとのアウェイ戦ですが、ユベントス戦で負傷したモドリッチ共々、金曜のセッションでグラウンドに姿を見せなかったカルバハル辺りはお休みしそうです。 ▽実際、バルサとは勝ち点差15とすでにリーガ優勝の望みは失くしている彼らですが、一応、前節にバレンシに奪われてしまった3位の座は取り戻したいですからねえ。来週はミッドウィークの水曜にアスレティック戦をこなした後、週末21日にコパ・デル・レイ決勝が開催。そのファイナリストであるセビージャとの対戦が先送りにされているため、バイエルン戦1stレグまでの丸々1週間、調整に使えるのは羨ましい限りですが、ジダン監督がどんな風にロナウドやクロース、カセミロらをローテーションしてくるのか、ちょっと興味が湧くところでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.14 21:45 Sat
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