超ワールドサッカー

コラム

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見え隠れした収穫と課題、差を埋められるか/日本代表コラム

▽選手たちがスタジアムに来ない…前代未聞のエクスキューズから始まったベネズエラ代表戦は、1-1のドロー。森保ジャパンにとって、初めて勝利を逃した試合となった。 ▽ウォーミングアップの時間が取れなかったことについては「ボールを使ったり、長い距離を走ったりというような試合の状況を想定した動きができませんでした」と振り返った森保一監督。スタメン組は室内でのアップで戦いに臨んだ。 ◆新たな守備ラインは収穫と課題がGetty Images▽10月のウルグアイ代表戦のメンバーが中心となったスターティングメンバー。GKには日本代表初キャップとなるシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)を起用。さらに、センターバックの一角にはDF冨安健洋(シント=トロイデン)を起用し、代表の守備の要であったDF吉田麻也(サウサンプトン)と初コンビとなった。 ▽立ち上がり11分、日本は大ピンチを迎える。浮き球のパスを入れられると、これをDF佐々木翔(サンフレッチェ広島)が頭でバックパス。しかし、勢いが足りなかったボールは、FWサロモン・ロンドン(ニューカッスル)がシュート。シュミット・ダニエルの脇を抜けたものの、戻った冨安がギリギリのところでクリアを見せ、失点を逃れた。 ▽代表2キャップ目となった冨安だが、この試合のパフォーマンスは圧巻だった。前述のクリアに加え、常に相手のボールを前で奪うチャレンジを敢行。ボールを奪ったまま、相手陣内まで持ち上がるプレー見られた。その他にも、一対一で負けるシーンは少なく、吉田との連係も悪くなかった。無謀ではない守備でのチャレンジは、吉田とのコンビがあったからとも言える。良さをしっかりと発揮できた冨安のプレーは大きな収穫と言えるだろう。 Getty Images▽また、初キャップとなり、ろくにウォーミングアップもできないままピッチに立ったシュミット・ダニエル。PKでの失点は防ぎようもないものだったが、それ以外のプレーは及第点といえるだろう。さらに、魅力である高さはクロスボールに対して威力を発揮。加えて、ビルドアップの部分でも高い能力を見せた。 ▽森保監督は、これまでGK東口順昭(ガンバ大阪)、GK権田修一(サガン鳥栖)、そしてシュミット・ダニエルと3人のGKを招集し続けてきた。そして、今回のシュミット・ダニエルの起用で、全員を起用したこととなる。来年1月のアジアカップも同じメンバーで臨む可能性が高いが、4年後を見据え熾烈なポジション争いがスタートすることだろう。 ▽一方で、不安材料も見えた。それはサイドバックの人選だ。今回は、肺気胸の影響でDF長友佑都(ガラタサライ)が招集外に。また、状態によってはアジアカップも欠場となる。右サイドバックには、代表初ゴールを決めたDF酒井宏樹(マルセイユ)とDF室屋成(FC東京)がおり、左サイドバックには佐々木とDF山中亮輔(横浜F・マリノス)が招集された。しかし、先発した佐々木は守備面でも不安定さを見せた上、攻撃参加の回数も少なく、インパクトを残せたとは言えない。ロシア・ワールドカップのメンバーであったDF酒井高徳(ハンブルガーSV)は代表引退を表明。この先、誰がポジションを掴むのか。サイドバックの出来は課題が残った。 ◆前線の形は確立も…Getty Images▽MF中島翔哉(ポルティモネンセ)、MF堂安律(フローニンヘン)、MF南野拓実(ザルツブルク)が先発した2列目、そして1トップに入ったFW大迫勇也(ブレーメン)は盤石だった。開始3分で、右サイドを突破した堂安からのパスを受けた中島がシュート。26分には、南野のパスを受けた堂安が華麗なタッチで相手DFをかわし、右足でシュートも枠外。34分には、大迫が狭い中央を通すパスを出すと、中島がGKと一対一になるも、シュートはセーブされてしまった。 ▽決定機を作り続けていた場面、4選手の連係面は申し分なかった。足りなかったのは、ゴール。アジアカップでは、このような決定機をいかに決めきれるかが結果を左右する。形は見えてきており、対応力もある前線のコンビは、より精度を高めていければ良いだろう。 ▽一方で、控え組のパフォーマンスの差が気になるところだ。68分に大迫、中島が下がり、FW北川航也(清水エスパルス)、MF原口元気(ハノーファー)が投入。77分には、南野、堂安が下がり、MF伊東純也(柏レイソル)、FW杉本健勇(セレッソ大阪)が投入された。しかし、それまでの4人が見せていた連係は見られず、中盤のMF柴崎岳(ヘタフェ)、MF遠藤航(シント=トロイデン)との関係性も変わった。選手が代わったことでやり方が変わることは問題ないが、互いが描くイメージが異なっている印象に。スタメン組のプレーをベースとするのであれば、力の差を感じざるを得ない出来となった。 ◆戦力の底上げが必須Getty Images▽20日には、初のアジア勢であるキルギス代表との試合を控えている。アジアカップに初出場となるキルギスとの対戦は、本番で対戦するウズベキスタン代表、トルクメニスタン代表への対策でもあるだろう。前述の2カ国に加え、タジキスタン、カザフスタンと共に中央アジアと呼ばれている。実力的には劣ることになるが、本番への良いテストの場となるはずだ。 ▽しかし、森保監督には新たな戦力を試してもらいたいと思う。前述の通り、選手の中に徐々に序列ができあがってきている。それ自体は悪くないが、完成度の差、パフォーマンスの差が否めない。キルギス戦では、今回起用されなかった選手、または組み合わせを試してもらいたいところ。選手を手元で見る機会はもうなくなり、Jリーグもシーズンが終わるとなると、選手を見極められる機会がなくなる。しっかりと戦力を見極めるための戦いを期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.11.18 23:01 Sun
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もう漁夫の利を祈るしかない…/原ゆみこのマドリッド

▽「これじゃ、日曜は落ち着かないでしょうね」そんな風に私が同情していたのは金曜日、クロアチア戦を前夜に終えたスペイン代表がボスニア・ヘルツェゴビナとの親善試合を行うラス・パルマス(カナリア諸島)に到着したというニュースを見た時のことでした。いやあ、予定通り勝っていれば、この夏のW杯で代表を引退した地元出身のシルバ(マンチェスター・シティ)を始球式に迎え、来年6月のネイションズリーグ・ファイナルフォーの対戦相手が決まるのを待ちつつ、ファンも今年最後の彼らのプレーをゆるりと楽しめるはずだったんですけどね。 ▽それが自業自得とはいえ、ザグレブで負けてしまったため、スペインがグループ1位になれるよう、同日午後3時(日本時間午後11時)から、ウェンブリーでキックオフするイングランドvsクロアチア戦を「Sólo podemos ver el partido y esperar que empaten/ソロ・ポデモス・ベル・エル・パルティードー・イ・エスペラル・ケ・エンパタモス(試合を見て引き分けることを期待するしかできない)」(モラタ/チェルシー)とは情けない。リーグBのグループで首位を確定させ、次回はリーガAに昇格することを決めたボスニア・ヘルツェゴビナとの対戦は午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)となれば、おそらくチーム全員、ホテルでお昼ご飯を食べながら、TV観戦するんでしょうが、結果如何でエスタディオ・グラン・カナリアに向かう気分が大きく違うのは確かかと。 ▽まあ、イグランドが勝ってもクロアチアが勝ってもスペインは2位、リーグB降格にはなりませんし、ファイナルフォーに行ったとしても来年3月から、2020年ユーロの予選があるのは同じですからね。初招集でまだデビューしていない選手もいるため、ルイス・エンリケ監督が大幅なスタメン変更をするかもしれませんし、代表で定位置を確保したい選手たちなどは頑張ってくれるはずですが、さて。せっかく最近、マドリッドの両雄が元気になってきたというのに相変わらず、スペイン代表がパッとしないのはどうにも残念ですよね。 ▽え、それでスペインが9月に6-0で大勝していたクロアチアの逆襲に遭ったマキシミール・スタジアムでの一戦はどんな様子だったのかって?いやあ、ようやくルイス・エンリケ監督が心を入れ替え、ジョルディ・アルバ(バルサ)を招集したため、左SB問題は解決したんですが、カルバハル(レアル・マドリー)がまだ呼べなかったため、右SBまで、当人がかつてバルサでダニエル・アウベスの移籍で人材不足になった折、重宝したマルチプレーヤーのセルジ・ロベルトを先発させるのは、私もどうかと思ったんですけどね。 ▽序盤からそのサイドを攻められて、ペリシッチ(インテル)に3度も好機を与えていたものの、幸い得点には至らず。おそらく、試合前にサッカー協会から表彰を受けていたマンジュキッチ(ユベントス)などは自分がピッチにいたらという悔しい思いもしたかもしれませんが、クロアチアの激しいプレスになかなか、攻撃のチャンスが掴めなかったスペインもハーフタイムが近づくにつれ、サウール(アトレティコ)やイスコ(マドリー)がシュートをするように。いえ、クロアチアのキャプテン、モドリッチとセバージョスがマドリーの同僚でありながら、体を張ったプレーで揉めていたのは、バルサのラキティッチとジョルディ・アルバもやっていたから、別にいいんですけどね。 ▽モドリッチに言わせると、「Es parte del fútbol. Defiende su país y yo el mío/エル・パルテ・デル・フトボル。デフィエンデ・ス・パイス・イ・ジョ・エル・ミオ(サッカーの一部だよ。彼は自分の国を守って、ボクはボクの国を守る)。そういうのはピッチ内だけのことで、後は挨拶して終わりさ」だそうですから、まあ気にすることはないんですが、まさか両者無得点のまま始まった後半があんなゴールの奪い合いになるとは、一体、誰に予想できた? ▽まずキッカケを与えたのはセルジ・ロベルトで、自陣からボールを出そうとして送ったパスがペリシッチに当たってクラマリッチ(ホッフェンハイム)へ。そのままエリア内に持ち込まれ、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が1対1で破られてしまったから、さあ大変!ただこの時は2分もしないうちにイアゴ・アスパス(セルタ)、イスコ(マドリー)とのコンビプレーでセバージョスが同点ゴールを入れてくれたため、大事にはならなかったんですが、24分のセットプレーからの失点は赤っ恥ものでしたねえ。そう、短いCKから始まり、モドリッチが左サイドからクロスを上げたところ、ゴール前右で待ち構えていたイェドバイ(レバークーゼン)がヘッドで決めたんですが、彼がまったくのノーマークだったなんてこと、あっていいんでしょうか。 ▽うーん、確かにルイス・エンリケ監督になってから、ピケ(バルサ)の代表引退した穴を埋めるため、セルヒオ・ラモス(マドリー)とコンビを組むCBはキャスティング状態になっていたんですけどね。今回はラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会施設での非公開練習もたった2回だけと、先発したイニゴ・マルティネス(アスレティック)はそれなりによくやっていましたが、もしやセットプレー時の守備など、細かいところの打ち合わせをする時間がなかった? ▽でも大丈夫、今季バレンシアでまだ1ゴールと不調のロドリゴがアセンシオ(マドリー)に代わり、次にアスパスと交代でピッチに入ったモラタ(チェルシー)のゴール前からのヘッドは「no he podido marcar porque no he visto muy bien el balón por los focos/ノー・エ・ポディードー・マルカル・ポルケ・ノー・エ・ビストー・ムイ・ビエン・エル・バロン・ポル・ロス・フォコス(照明のせいでよくボールが見えなくてゴールにできなかった)」という理由で決まらなかったものの、32分には元アトレティコのベルサイコ(インテル)がゴール前でハンドをしてくれたんですよ。モドリッチがGKカリニッチ(ヘント)にアドバイスしていたのを逆手に取ったか、ラモスがパネンカ風(緩いボールを正面に蹴る)でないPKを決め、スペインは再び追いつくことに。 ▽その後も勝利を求めて攻めていった彼らだったんですが、夏のW杯でまたしても16強で敗退したスペインと違い、クロアチアが準優勝したのは決してダテではなかったんですねえ。いよいよ時間はロスタイム、またしてもイェドバイのマークができず、ブレカロ(ボルフスブルク)のシュートこそ、デ・ヘアが弾いたものの、ゴール前からそのボールを撃ち込まれているって、もしやその瞬間、イニゴ・マルティネスなど、前節、土壇場にゴディンの決勝点でアトレティコに勝ち点3を奪われたワンダ・メトロポリターノでのリーガ戦を思い出していたかも。ええ、アスレティック同様、残り少ない時間でスペインもこの3点目を返すことはできず、3-2で負けてしまいましたっけ。 ▽実際、試合後はモドリッチなども「Me siento mejor día a día/メ・シエントー・メホール・ディア・ア・ディア(自分は日々、いい感じがしてきている)。W杯の後、早めに戻って、プレシーズンのトレーニングなしでは調子を上げるのが大変なのは普通だよ」と言っていましたしね。シーズン開幕直後、エルチェ(スペイン南部)であった対戦でgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らったのは、同様に他の選手もまだメンタルやフィジカル的に回復していなかったせいで、決して強いスペインが復活したのではなかったことがこうまで露わになってしまうんですから、ガッカリじゃないですか。 ▽おまけにこの試合を見れば、月曜にマドリーと2021年までの正式契約を結んだソラリ監督が暫定期間中の4試合であまりイスコとアセンシオを使わなかったのも納得ですし、世間では正GKがデ・ヘアでいいのかという問題も再燃。2016年のユーロ以来、ご無沙汰しているカシージャス(ポルト)代表復帰の議論まで起きているって、何だか凄いんですが、うーん、だからって、ルイス・エンリケ監督が「Me encantaría estar en la fase final, pero el objetivo es la Eurocopa/メ・エンカンタリア・エスタル・エン・ラ・ファセ・フィナル、ペロ・エル・オブヘティボ・エス・ラ・エウロコパ(ファイナルフェーズに行けたら嬉しいが、目標はユーロだからね)」といきなり、話をすり替えていたのもどうかと。 ▽もちろん今はスペインも世代交代中の過渡期でイロイロ、大変なことがあるのもわかりますけどね。せっかく9月の2連勝で盛り上がりながら、10月、11月の連敗で水を差されたように、これこそランキング上位チーム同士がグループで対戦するネイションズリーグの難しさ。大概が格下相手の予選をほぼ全勝状態で本大会に進出、そこでいきなり現実を見せられていた国際メジャートーナメント、ここ3回のことを思うと、今のうちにボロが出る方が修正する時間がとれるといった意味ではいいんでしょうが、はあ。太ももの筋肉痛があったラモスがラス・パルマスには行かず、早帰りしてしまったボスニア・ヘルツェゴビナ戦では一体、誰がCBをやるんでしょうかね。 ▽そしてマドリッドのクラブの話も伝えておくと、この水曜には降格圏組のラージョとレガネスが親善試合を開催。結果は吉凶混合で前者はスイスのグラスホッパーにベベのゴールとアレックス・アレグリアの2得点で3-1と勝利し、バジェカ杯を掲げたものの、私が見に行ったブタルケは外れでした。ええ、夏のプレシーズンマッチでは1-1と引き分けていた2部の弟分、アルコルコンにこの日は3点を奪われ、得点は終盤、グンバウが決めたPKだけで1-3の負けって、いやあ、相手は現在、昇格圏の2位にいて勢いに乗っていますからね。とはいえ、このままいくと、来季のマドリッド勢1部弟分はレガネスとアルコルコンが入れ替わっているなんてこともある? ▽そんな中、身内だけで済ませてしまったのはマドリーで、木曜にはバルデベバス(バラハス空港の近く)の施設でRMカスティージャと練習試合。ソラリ監督にしてみれば、どちらのチームも自分の教え子たちですが、これにはケガの治ったマリアーノ、マルセロ、カルバハルが出場していたそう。前節のセルタ戦はまだ出られなかったバランも金曜にロッテルダムで2-0と負け、来週月曜の試合ですでに降格の決まったドイツがオランダに勝ってくれないと、1位の座を奪われてしまうという、スペイン以上に厄介なことになったフランスのCBとしてフル出場していましたし、バライドス(セルタのホーム)では足首を腫らしていたベイルも勝利には繋がらなかったものの、デンマーク戦でウェールズの1点を挙げていますからね。 ▽ラモスもマドリッド到着早々、リハビリに励んでいますし(https://www.instagram.com/p/BqPeov-lE9p/)、まだインターナショナルマッチウィークは終わっていないため、残り10人の各国代表選手たちが全員、元気に戻って来るという保証はできないものの、今のところ、来週末のエイバル戦での欠場確定はナチョ、カセミロ、バジェホぐらいになるでしょうか。 ▽え、ケガ人といえば、4人のCBが全滅していたアトレティコはどんな按配なのかって?それが今週は朗報もあって、金曜にはヒメネスとリュカがマハダオンダ(マドリッド近郊)のグラウンドに姿を現し、後者は別メニューながら、もうボールを蹴っていたとか。代表に呼ばれず、居残り組のジエゴ・コスタはアスレティック戦で足を痛めたとはいえ、軽傷のようですし、コケとレマルも全体練習に加われるようになりましたしね。 ▽来週土曜にはわざわざ、このparon(リーガの停止期間)中にピッチの張替えをして、いやあ、ファンフランなど、「Hasta Xavi querría jugar en este césped/アスタ・チャビ・ケリア・フガール・エン・エステ・セスペッド(あのチャビだって、この芝ならプレーしたがるはず)」とよく文句を言っていた現在アル・サッドでプレーする元バルサの司令塔を冗談の引き合いに出していましたけどね。そんなワンダ・メトロポリターノに首位チームを迎えるとあって、心配も大きかったんですが、サウール、ロドリ(スペイン)、グリーズマン(フランス)、フィリペ・ルイス(ブラジル)、コレア(アルゼンチン)、トマス(ガーナ)ら、各国代表組が何事もなく帰還してくれれば意外と期待が持てるかと。 ▽そして特に親善試合もなかったヘタフェも含め、この週末はマドリッドの5チームも皆、練習はお休み。来週末にリーガが再開すると、12月23日にクリスマス休暇に入るまで7節もありますからね。まだ上位も下位も団子になっている順位表もここを過ぎると結構、差がつく可能性があるため、どのチームも来週は気合を入れて、試合の準備をしてもらいところです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.11.17 11:30 Sat
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大胆にもJ2最終節のドラマをデータで予想すると!? の巻/倉井史也のJリーグ

▽なんとJ2はもう最終節! しかもすんごい状況になってるんですよ。そりゃ日本代表戦も面白いけど、そのままの勢いでJ2のドラマを見に行っちゃいませんか? ▽まず現在の昇格確定とプレーオフ圏争いの状況は、 1 松 本 勝点76 得失点差20 2 大 分 勝点75 得失点差25 3 町 田 勝点75 得失点差18 4 横浜FC 勝点73 得失点差18 5 東京V 勝点70 得失点差15 6 福 岡 勝点69 得失点差16 7 大 宮 勝点68 得失点差16 ▽で、最終戦の上位チームのカード、順位、順位の差の絶対値を書き出すと、 山形(12位)vs大分(2位) 絶対値10 町田(3位)vs東京V(5位) 絶対値2 甲府(8位)vs横浜FC(4位) 絶対値4 松本(1位)vs徳島(11位) 絶対値10 岐阜(19位)vs福岡(6位) 絶対値13 岡山(14位)vs大宮(7位) 絶対値7 ▽ええっとこの際、絶対値が10以上あったら、上位チームが勝つってことにしてみましょうや。すると、松本逃げ切り1位、大分逃げ切り2位、福岡勝って勝点72でプレーオフ圏内進出、東京Vは負けたら大宮にひっくり返される可能性大いにありってことになっちゃういんです。 ▽ただし、去年の例で言えば、41節終了時の順位と、順位の差の絶対値は 山形(11位) 4-1 岐阜(17位) 絶対値6 群馬(22位) 1-4 長崎(2位) 絶対値20 千葉(8位) 2-1 横浜FC(9位) 絶対値1 ※1 東京V(6位) 2-1 徳島(5位) 絶対値1 ※1 湘南(1位) 1-1 町田(16位) 絶対値15 ※2 松本(7位) 0-1 京都(12位) 絶対値5 ※1 金沢(18位) 2-1 水戸(13位) 絶対値5 ※1 岡山(14位) 1-1 福岡(3位) 絶対値11 ※2 山口(20位) 1-1 愛媛(15位) 絶対値5 ※2 讃岐(19位) 0-2 名古屋(4位) 絶対値15 大分(10位) 2-1 熊本(21位) 絶対値11 ▽と、※1の逆転や、※2の同点ってことを考えると、やっぱり勝点11以上あれば、最低でも上位チームは引き分けてるんだけど、やっぱり勝点1ってこともあるんですよ。 ▽え? ってことは今年はどこも「鉄板」勝利ってカードがない? しかも去年のJ2の最終節を見て見ると、ホームチームの勝利が5試合、引き分けが3試合、ホームチームの負けが3試合、ってことで感動的なセレモニーが控えてるホームがやや有利なんです。おや、上位チームのホームゲームは2試合だけ。こりゃますます上位が勝つとは限らない。 ▽んなわけで結論は、「よくわかんない」。いやいや、予想サイトじゃないですからね、ここ。わかんないほうが、きっと余計にドキドキして観戦が楽しくなるってモンですよ!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.11.16 12:05 Fri
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キルギス戦で望むこと/六川亨の日本サッカー見聞録

▽11月16日に大分で開催されるキリンチャレンジ杯、日本対ベネズエラ戦に臨む日本代表の森保監督が前日会見に臨んだ。会見の冒頭、森保一監督は「明日の試合はウルグアイ戦をベースに戦いたい。今日の練習を見て、練習後に変るかもしれないがベースに考えている」とベネズエラ戦のスタメンを示唆した。 ▽今回の2連戦、ベネズエラとキルギスを比較すればどちらが格上かは明らか。このため合流間もない海外組とはいえ、攻撃陣はベストの布陣を組むものと思われる。GKは東口順昭で決まりだろう。個人的には代表経験のないシュミット・ダニエルを見てみたいが、この日公開された冒頭15分の練習を見ても、手にボールが吸い付くようなキャッチングをしているのは東口だけ。彼の牙城を脅かすのは簡単なことではないかもしれない。 ▽CBは吉田麻也と槙野智章で決まりか。負傷で辞退した左SB長友佑都の代わりは佐々木翔、右は酒井宏樹ということになる。初招集の山中亮輔と、Jリーグで台頭著しい室屋成のコンビも見たいが、経験値で前者が起用される可能性が高い。 ▽ボランチは柴崎岳と遠藤航が濃厚で、ここにどこまで三竿健斗が食い込めるか。2列目は右から堂安律、南野拓実、中島翔哉で決まりか。そして1トップに大迫勇也というメンバーだ。意外性のないメンバーではあるが、これが現状のベストという布陣だ。 ▽ただ、そのぶんキルギス戦は森保監督に思い切った選手起用を期待したい。対戦相手はアジアカップで対戦するウズベキスタン、トルクメニスタンら中央アジアの国を想定してのマッチメイクだろう。最新のFIFAランクでキルギスは90位(日本は54位)に位置しているものの、89位のイラク、94位のウズベキスタン、96位のカタールに日本が確実に勝てるという保証はない。未知の国だからこそ、そうした相手にGKシュミット・ダニエルや山中、室屋、富安健洋、北川航也ら国際舞台の経験の浅い彼らがどんな「対応力」を見せるのか(できればU―21日本代表との対戦を見たかった)。 ▽代表チームに負けてもいい試合はない。だからこそ、代表チームの底上げと若手世代の融合を、シビアな状況(ゲームで)テストして欲しいと思う。彼らが日本代表のプライドを示すことができるのか。それができれば緊迫した好試合になることは間違いないだろう。 ▽会見の最後に森保監督は、アジアカップで対戦相手が「(対日本)対策をしてきても、対応力を持って戦いに臨もうと選手には伝えてある。日本が引いて守ったとしても常に連携、連動の意識を持っていれば相手の嫌がるのではないか。コンセプトを浸透させることをやってきているので、慌てることなく試合を進めるように言っている。相手が意外性のあることをしてきても、選手は自信を持って臨めるようにしたい」と控えめな口調ながらも自信をのぞかせた。 ▽最初の試金石となるアジアカップに向け、残り2試合。あとは選手が内容と結果を残すだけだ。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.11.16 12:00 Fri
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ランパード監督のスタンフォード・ブリッジ凱旋とサポーターに見せた確かな手腕/編集部コラム

▽10月31日──日本をはじめ世界中がハロウィンで盛り上がる中、チェルシーにとっては忘れられない1日となった。クラブのレジェンド・オブ・レジェンド、フランク・ランパードがスタンフォード・ブリッジに帰還した。それも、選手ではなく監督として─。 「ランパードが帰ってくる」 ▽このニュースに世界中のチェルシーファンが心を躍らせた。 ◆チェルシーとランパードの出会いGetty Images▽2001年にウェストハムからチェルシーにやってきたランパードは、元イングランド代表DFフランク・リチャード・ジョージ・ランパード、通称フランク・ランパード・シニアを父に持ち、当時から名の知れた存在であった。 ▽加入後まもなくして、ランパードは当時指揮を執っていたクラウディオ・ラニエリ監督の下でレギュラーの座を掴んだ。 ▽2003年、現オーナーのロマン・アブラモビッチ氏がクラブを買収し、多額の移籍金で大物選手を爆買いしていく中でも、ランパードの地位は揺るがなかった。それは監督が交代しても同じだった。 ▽ジョゼ・モウリーニョ、フース・ヒディンク、カルロ・アンチェロッティ、ロベルト・ディ・マッテオ……。指揮官の就任と解任を繰り返すチェルシーにあって、ランパードは不変、唯一無二と呼べる存在だった。 ▽在籍13年間の中で、ランパードがチェルシーで獲得したタイトルは「14」に上る。3度のプレミアリーグ制覇や4度のFAカップ優勝、2011-12シーズンには念願のチャンピオンズリーグも獲った。“ビッグクラブ”と呼ばれるようになって日が浅いチェルシーをここまでの存在させたのは、ランパードの功績が大きいことは間違いない。 ◆別れと1度目の凱旋Getty Images▽しかし、会うは別れの始め。ブルーズの最高選手“スーパーフランク”は2014年夏に退団。移籍先はメジャー・リーグ・サッカー(MLS)のニューヨーク・シティであった。しかし、シーズン開幕までの間、突如姉妹クラブであるマンチェスター・シティでプレーすることに。そのニュースに目を疑った方も多かっただろう。「あのランパードが敵になるのか?」全チェルシーファンが同じことを思ったに違いない。 ▽そして、その日はやってくる。2014年9月21日、エティハド・スタジアムで行われたマンチェスター・シティvsチェルシーの一戦。チェルシーが1点をリードして迎えた78分、ランパードはDFアレクサンダル・コラロフに代わって途中出場を果たした。しかも、同点弾というプレゼント付きで。 ▽日本ではこれを「恩返し弾」と言うが、どこが恩返しだろうか。「やってくれる…」、まさかランパードにこんな感情を向けることになるとは思っていなかっただろう。 ▽そんなこともありながら、その後ニューヨーク・シティで1年プレーしたランパードは2017年2月に自身のフェイスブックで引退を発表。チェルシーでともにキャプテンとしてチームを支えたDFジョン・テリーは「君が居なくなって寂しくなる。一緒にプレーできたことは本当に名誉なことだった。君との思い出は一生忘れない」とコメント。ほかにもディディエ・ドログバやミヒャエル・バラックなどかつての仲間や盟友たちから多くの激励の言葉が寄せられた。 ◆ランパード監督誕生Getty Images▽引退後は指導者に転身することを明らかにしていたランパード。その機会は意外にも早くやってきた。5月31日、イングランド2部のチャンピオンシップに所属するダービー・カウンティがランパード監督就任を発表。IQ150以上のインテリがついにトップクラブを率いることになった。 ▽監督就任に際しランパードは「これは監督として初めての仕事だ。だが、これまで素晴らしい監督を近くで見てきた。自分の力に自信を持っている」と豪語。その言葉通り、ランパード率いるダービーは昨季プレミア昇格プレーオフ決勝まで進んだ勢いそのままに、ここまで8勝4分け5敗で6位に位置。首位のシェフィールド・ユナイテッドとは勝ち点差5としている。 ▽しかし、好調さはこれだけにはとどまらなかった。ダービーは9月26日にEFLカップ3回戦でマンチェスター・ユナイテッドと対戦。率いるのはかつてチェルシーで師弟関係にあったモウリーニョ監督だ。 ▽試合前に「勝てるかどうかは正直かなり難しいところだ。だが我々はファンに恥ずかしくない試合をしなければならない」と控えめなコメントを残していたが、始まってみれば、ユナイテッドに引けを取らない勇ましい姿を見せた。ダービーは相手のシュート数を上回る試合内容で、見事にPK戦の末に勝利。試合後、ランパード監督は「隣に立てただけでとても光栄」と謙虚な姿勢を貫いた。 ▽“ランパード率いる”ダービーがユナイテッドを下したことに、チェルシーファンは驚くとともに誇らしげだったことだろう。だが、彼らををさらに驚かせたのはこの後のことだった。4回戦の組み合わせ抽選の結果、ダービーはチェルシーと対戦することが決定。舞台はスタンフォード・ブリッジ。期待していたような、していなかったようなことが現実になった。 ◆2度目の凱旋と未来への期待Getty Images▽「私にとって特別な機会となる。とても興奮しているし、スタジアムの4万人の“友達”に会えることを楽しみにしている」と語るように、ランパード監督自身も特別な感情を抱いていた。 ▽迎えた試合当日、世間がハロウィンで盛り上がる中、その男はチェルシーという“家”にやってきたのだ。スタンドのファンやサポーターに拍手で迎えられ、ランパードもそれに応える。チェルシーのスタッフと握手をし、マウリツィオ・サッリ監督と挨拶を交わした。 ▽固唾を呑んで見守られる中始まった試合は、ダービーが2度のオウンゴールで得点を与えてしまうなど、チェルシーが3-2で勝利。しかし、勇猛果敢にチェルシーに挑んだダービーは内容では劣っていなかった。 ▽内容の充実度は試合後のコメントからも見て取れた。「チェルシーは3点決めたけど我々は4点だったかな? それは冗談だがチームを誇りに思うよ」とランパード監督が語るように、チェルシーは敗れていたもおかしくなかった。それほど、ダービーは監督の戦術を理解し規律を守ったうえで格上と互角以上に戦ったのだ。 「これはランパードがチェルシーを率いるのはそう遠くない」 ▽こんなことを感じざるを得ないほど、ランパード監督の指示や戦術は的確だった。 ▽そして、今月11日、ダービーはチャンピオンシップ第17節でアストン・ビラと対戦。アストン・ビラは先日現役引退を発表したジョン・テリーがアシスタントコーチを務めており、チェルシーやイングランド代表でともにした盟友が敵として向かい合ったのは、2001年3月7日のウェストハムvsチェルシー以来のことだった。 ▽当時はランパードとジョン・テリーはそれぞれウェストハムとチェルシーでプレーしていたが、今回は全く違う立場で激突。試合はアストン・ビラが3-0で勝利したのだが、この2人がピッチの外でライバルになるなんて誰が想像しただろうか。 ▽もしかすると、ブルーズを愛した2人のレジェンドがスタンフォード・ブリッジで再び共闘する姿が見られるかもしれない。そんな夢物語を今は胸にしまっておきたい。 2018.11.15 22:30 Thu
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ケガなんかに負けてられない…/原ゆみこのマドリッド

▽「こりゃ混戦なんてもんじゃないわね」そんな風に私が呆れていたのは月曜日、せっかく一時は2位に上がったアトレティコが3位に落ちてしまったと嘆きつつ、よくよくリーガの順位表を眺め直していた時のことでした。というのも首位はバルサが何とか維持したものの、続くセビージャ、アトレティコ、アラベスの3チームは同じポイントでたったの勝ち点差1。5位のエスパニョールにしても3ポイントしか違わないため、各国代表戦週間によるパロン(リーガの一時停止期間)後の13節ではバルサをワンダ・メトロポリターノに迎えてガチンコ対決になるアトレティコだけでなく、他3チームにも1位になる可能性があったから。 ▽ちなみにその原因を作った先週末のリーガがどうだったかお伝えしていくことにすると。マドリッド勢の先陣を切ったヘタフェは土曜にバレンシアをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎え、私がワンダ・メトロポリターノに向かうため、家を出るまではスコアレスドローで頑張っていたんですけどね。ホルヘ・モリーナやカブレラらにチャンスもあり、優勢に進めていたようですが、後半36分、ブルーノがエリア内でガメイロのユニフォームを後ろから引っ張って邪魔したのをVAR(ビデオ審判)に見咎められたのが運の尽き。パレホが決めたPKによる1点を最後まで返せず、0-1で負けてしまうことに。 ▽それでも11位という落ち着いた位置にいるボルダラス監督のチームは別に心配しなくて大丈夫なんですが、今回も降格圏を脱出できなかったのはアトレティコの試合の後、ジローナとアウェイで対戦したもう1つの弟分、レガネス。いえ、スコアレスドローで勝ち点1は稼いだんですけどね。兄貴分も援護射撃をしてあげていたんですが、勝ち点では並んだものの、アスレティックを抜いて、17位に上がるにはあと一歩が足りませんでしたっけ。 ▽え、それで「El gol del cojo!/エル・ゴル・デル・コホ(びっこのゴール)」というタイトルで幾つものスポーツ紙の一面を飾ったアトレティコの勝利はどんなだったのかって?いやあ、実はこれ、お隣さんのお株を奪うような根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)だったんですよ。先週はCLドルトムント戦があって疲れていた彼らは前半、負傷から先発復帰したジエゴ・コスタもピリッとせず。それどころか、36分には不慣れなカンテラーノ(アトレティコBの選手)CB、モンテーロのサイドからアスレティックに侵入を許し、サン・ホセのシュートがポストに弾かれてゴールライン上に落下、それをウィリアムスに蹴り込まれ、先制点を取られてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。 ▽もちろんシメオネ監督も手をこまねいて見てはおらず、後半頭からコスタをビトロに代えて反撃に出ると、10分には「porque veiamos un partido mas para hombres/ポルケ・ベイアモス・ウン・パルティードー・マス・パラ・オンブレス(もっと本物の男のための試合だと思ったから)」(シメオネ監督)という理由でモンテーロを下げてジェルソンを投入。5年前、ラージョにレンタル移籍しての修業時代にCBも務めたサウールを守備ラインに回すという荒業に出ます。すると17分にはトマスがエリア外から放った一撃が決まり、同点に追いつくことができたんですが、この直後、間髪置かずにコレアをカリニッチに代え、一気に畳みかけようとしたのが仇となるとは一体、誰に予想できたかと。 ▽そう、ゲーム再開から1分でカリニッチからボールを奪ったアスレティックがカウンターを発動。ムニアインのスルーパスに抜け出した俊足ウィリアムを追ったゴディンが左足に肉離れを起こし、その上、GKオブラクと1対1のシュートも決められてしまったとなれば、泣きっ面に蜂とはまさにこのこと?その後すぐ、ケガをしたゴディンが交代するつもりでキャプテンマークもグリーズマンに渡したところ、ここでもう枠が残っていないという過酷な現実に直面したから、さあ大変! ▽それが当人はシメオネ監督に「Quedate de delantero/ケダテ・デ・デランテーロ(前線に留まれ)」と言われ、まったく走れない状態ながら、「Intente hacer el minimo esfuerzo para que no se agravar/インテンテー・アセール・エル・ミニモ・エスフエウソ・パラ・ケ・ノー・セ・アグラバル(ケガが悪化しないよう、最低限の動きだけするようにした)」って、だってえ、これってただのリーガの試合なんですよ。何かの決勝でもあるまいし、どこからそんな執念が湧いてくる? ▽そのゴディンの根性にようやくチームメートが報いてくれたのは35分、丁度、その日は一時帰国して金曜にはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場も訪問していた昨季までのキャプテン、ガビがパルコ(貴賓席)で見守っていたおかげもあるんですかね。その背番号14の後継者、ロドリがトマスの蹴ったCKを長身を生かしてヘッドでネットに叩き込み、再びアトレティコは同点に持ち込みます。そしてロスタイム、ゴディンがウナイ・ニュネスにエリア正面でファールを受けると、またしてもトマスがFKのキッカーに。高く舞い上がったボールはゴール前右側にいたサウール、そしてグリーズマンを経由し、反対サイドにいたゴディンがヘッドで決勝点に変えているとなれば、もうドラマとしか言いようがないじゃないですか。 ▽いやあ、最初はオフサイドだったジャッジも、古巣から100試合以上出場した選手に贈られるプレートをその日、キックオフ前にもらっていたラウール・ガルシアが前にいたため、VARでゴールが認められ、おかげでアトレティコは3-2と逆転勝ち。シメオネ監督も「ウチは93分に決勝を負けたり、引き分けられたりしたから、よくわかっている。サッカーにはプレースタイルや形式を越えて、感情的な面があるってことをね」といたく満足していたんですけどね。大変なのはこの先で、自分で「Puedo tener una rotura en los isquiotibiales de 20 dias o un mes/プエド・テネール・ウナ・ロトゥーラ・エン・ロス・イスキオティビレス・デ・ベインテ・ディアス・オ・ウン・メス(全治20日、もしくは1カ月のハムストリングの肉離れだろう)」と言っていたゴディンを始め、バルサ戦を控えたアトレティコには本職のCBが1人もいないという恐ろしい事態が発生。 ▽そう、大体がして、ゴディンも負傷明けだったにも関わらず、サビッチ、ヒメネス、リュカが欠場しているため、ムリした面もあったかと思うんですが、いくらこの日は臨時にサウールとトマスがCBコンビを務めたとて、果たしてバルサの攻撃陣相手に通用するものかどうか。コケとレマルもまだ復帰していませんしね。今回、常に心配の種となる各国代表戦で出向する選手は11人から6人に減ったとはいえ、すでにケガをしているから、呼ばれていないだけって、ちょっと笑うに笑えないかと。 ▽そして翌日曜はエスタディオ・バジェカスにラージョを応援に行った私でしたが、近辺のバル(スペインの喫茶店兼バー)のテラスは試合前にビールで喉を潤しながら、バルサ戦を見るサポーターで大賑わい。ええ、丁度終盤に差し掛かっており、しかも3-4でベティスが勝っていたせいですが、この兄貴分たちにとっての朗報もラージョには全然、関係ないんですよね。おまけにビジャレアルとの一戦も前半33分にチュクウェゼに奪われた先制点をハーフタイム入り直前にラウール・デ・トマスが挽回、更に後半20分にはアルバロ・ガルシアのゴールで1点リードしながら、守備が脆弱な彼らには耐えることができず。 ▽ええ、前節にバルサに土壇場の逆転負けを喰らった時よりはマシですが、34分、途中出場のサンソネにエリア前から決められて、結局、2-2の引き分け、ホーム未勝利のままでは、最近の定位置となってしまった19位を脱出できなくても仕方なかったかと。ちなみにレガネス、ラージョのマドリッド勢降格圏組はどちらも今週、水曜に親善試合を実施。前者は午後7時からブタルケで現在、首位グラナダと同じ勝ち点で2位につける、リーガ2部の弟分アルコルコンを、後者はバジェカ杯でスイスのグラスホッパーを午後8時30分に迎えます。1部リーガの試合は来週末までないですし、チケットも格安のため、観光ついでに覗いてみるのもいいかと思いますが、とりわけ次節、2位グループの一角であるアラベスと戦うレガネスには早く勝ち癖をつけてもらいたいですよね。 ▽え、バジェカスなんかで私が時間を潰しているなんて、もしや首位争いに関係ないとして、レアル・マドリーの扱いが軽くなっていないかって?いやあ、それでも急いで戻ったため、セルタ戦の後半は近所のバルで見ることができたんですが、どうやら前半の間、彼らも負傷禍に苦しんだよう。19分にはウーゴ・マージョのタックルで足首を痛めたカセミロがセバージョスに交代、レギロンもハーフ直前に筋肉系のケガでカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のCB、ハビ・サンチェスと代わっていたんですが、23分にはモドリッチのパスを絶妙にトラップしたベンゼマが先制点を決めているんですから、まあいいじゃないですか。 ▽加えて後半11分には再びベンゼマが活躍、エリア内からのシュートはGKセルヒオが触れてゴール枠に当たったものの、カブラルの胸に当たってオウンゴールで追加点が入ったため、もう大丈夫かと思ったんですが…16分にはブライズ・メンデデスのクロスをマージョに流し込まれ、1点差になってしまうとは!そこへ25分にはレギロンの代わりに左SBに移っていたナチョがヒザの靭帯を痛め、3人目まで負傷で交代となるなんて、容易ならざる事態ですが、いやあ、予定通りアセンシオを投入。ルーカス・バスケスを右ならまだしも左SBの位置に置くとはソラリ監督、かなりいい度胸をしていますね。 ▽おかげで前半のファールのせいで、交代を今か今かと待っていたベイルが「Gareth jugo todo el segundo tiempo con el tobillo muy hinchado/ガレス・フゴ・トードーエル・セグンド・ティエンポー・コン・エル・トビージョ・ムイ・インチャードー(後半全部、ひどく足首を腫らしたままプレーしなければならなかった)」(ソラリ監督)という貧乏クジを引いたんですが、お隣さんと違い、この試合のヒーローになったのは他の選手。ええ、38分にオディオソラがフンカにエリア内で倒され、PKをゲットすると、前節バジャドリー戦に続き、セルヒオ・ラモスがパネンカ風(緩いボールを中央に蹴る)でこれを決め、ロスタイムにはカセミロと代わっていたセバージョスもエリア外からシュートを突き刺してgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げてくれたため、ブライズが最後に入れたゴールも焼け石に水となることに(最終結果2-4)。 ▽おかげで勝ち点3が手に入ったマドリーは6位のままなんですが、バルサとの差が4に縮小。それでも1試合では引っくり返らないため、今回は首位争いメンバーがから外したんですが、いよいよこの週明けには暫定だったソラリ監督が正式なマドリー監督として、サッカー協会に登録されたそうですからね。ケイロル・ナバスとのレギュラー争いを制し、リーガとCLを担当することになったGKクルトワなど、「0-0の時、敵のシュートがポストに当たるとか、ツキが回ってきている。La calidad no ha cambiado, el equipo tampoco/ラ・カリダッド・ノー・ア・カンビアドー、エル・エキポ・タンポコ(選手の質は変わってないし、チームも変わってないけどね)」と言っていましたが、就任以来、4連勝、しかも15得点2失点という成績を挙げたソラリ監督の強運は決して侮るべきではないかと。 ▽ただこちらもアトレティコ同様、カセミロは全治3週間、ナチョは2カ月、レギロンは肉離れがあるかどうか検査待ち、ベイルは速攻でウェールズ代表に行ってしまったため、よくわからないものの、負傷者が増えているのは痛いところですが、マルセロ、カルバハルはもう復帰秒読み段階みたいですからね。次のリーガは13位のエイバル戦というのも今の状態なら、あまり心配しなくて済むのはラッキー要因ではありますが…ちょっとファンとして気になるのはロペテギ監督に重用されていたイスコとアセンシオの出場機会がこのところ、めっきり減ってしまったこと。 ▽そのいい証明となったのは翌月曜、私がラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設にスペイン代表の唯一の公開練習を見に行ってみると、ここ9月、10月のセッション同様、日曜にプレーした選手たち、バライドス(セルタのホーム)で火花を散らしていたイアゴ・アスパス、ブライズとラモス、バルサのブスケツ、セルジ・ロベルト、ようやくルイス・エンリケ監督を翻意することができたジョルディ・アルバ、その他12名ぐらいは20分くらいロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)をした後、ちょっとランニングしただけでロッカールームに戻って行ったんですけどね。同じ敷地内で練習をしているU21代表からヘルプに来てもらったマジョラル(レバンテ)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、ペドラサ(ビジャレアル)らと一緒に最後までpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)をしていたメンバーに、その2人のマドリー選手がいたから。 ▽何せ今週、ネーションズリーグのクロアチア戦では折しも相手のキャプテン、モドリッチがセルタ戦でかなりいい状態に戻っていたのもありますし、イスコとアセンシオには中心となって働いてもらわないといけませんからね。たとえ9月の対戦では6-0と大勝している相手とはいえ、勝ち点3を取らないと、現在グループ2位のイングランドに最終戦で追い越されるor並ばれて、直接対決のアウェイゴール差でファイナルフォー(準決勝)行きの切符をかすめ取られてしまう危険性があるとなれば、決して油断はできませんって。 ▽そんなクロアチアvsスペイン戦は木曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からキックオフ。試合後、チームはザグレブ(クロアチアの首都)から、日曜にボスニア・ヘルツェゴビナとの親善試合のあるラル・パルマス(カナリア諸島)へ直接飛んでしまうため、もう来年の3月までラス・ロサスで彼らを見ることができないのもちょっと寂しいですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.11.13 11:30 Tue
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なでしこ対ノルウェーで思い出した選手/六川亨の日本サッカーの歩み

▽アジアのクラブNo1チームを決めるACL決勝第2戦が10日にテヘランのアザディ・スタジアムで行われ、第1戦を2-0で勝っていた鹿島は、第2戦もペルセポリスに0-0で引き分け、初のアジア王者に輝いた。 ▽国内タイトル19冠と日本最強クラブと言ってもいい鹿島にとって、唯一足りないのがACLのタイトルだった。Jリーグの黎明期である93年から95年は無冠に終わったものの、その後は黄金時代を築く。4-4-2の布陣から堅守速攻というスタイルは25年間変ることがない。むしろACLを勝ち抜くには格好のスタイルだとも思っていた。それがなぜかACLでは早い段階で脱落してきた。 ▽しかし今大会は準決勝のアウェー水原戦で1-3から同点に追いつく粘りを見せた。準々決勝からの6試合で5ゴールを稼いだ途中加入のセルジーニョの活躍が示すように、今大会は持ち味である堅守よりも攻撃的な姿勢が実を結んだと言える。 ▽12月12日からUAEで開催されるFIFAクラブW杯での活躍が楽しみだが、その前に鹿島は来シーズンのACL出場権獲得のためのリーグ戦と、天皇杯の準々決勝という負けられない試合も残っている。これまでも過密日程の中でACLを勝ち上がってきただけに、今回の優勝がプラスと出るのか、選手のメンタリティーにも注目したい。 ▽翌11日は鳥取のとりぎんバードスタジアムでなでしこジャパン対ノルウェーの親善試合が開催された。現コーチで、中学生でL(女子)リーグにデビューした天才少女の大部由美さんが鳥取出身のため地元での開催となったのだろう。 ▽試合は横山のFKから先制すると、岩渕も2ゴールをあげる活躍で4-1の大勝を飾った。ノルウェーは北欧のスウェーデンと並んで女子サッカーが盛んな国だ。95年の第1回女子W杯で優勝すると、00年シドニー五輪では金メダルに輝いた。過去の対戦成績は4勝3敗とほぼ互角。日本は96年アトランタ五輪、99年第3回W杯はいずれも0-4と大敗した。 ▽しかし07年の親善試合で初勝利(1-0)を奪うと、その後のなでしこジャパンは澤や宮間、永里らが中心選手となってチームを牽引しノルウェーに3連勝と立場は逆転する。そして08年の北京五輪ではベスト4に進出するなど、後のW杯制覇やロンドン五輪銀メダルの礎を築いた。 ▽前出した大部コーチが現役時代にデビューしたチームは日興證券ドリームレディースという名のチームだったが、そのチームで忘れられない選手がいる。ノルウェー代表として152試合出場64ゴールを記録したリンダ・メダレンという選手だ。92年に来日すると、いきなり最多ゴール、最多アシストの記録を達成。95年の第1回女子W杯でも優勝の原動力となっていた。 ▽そんな彼女の本職は婦人警官で、フルタイムで働きつつ、空き時間をサッカーに費やしていた。来日後は5ヶ月ほどLリーグでプレーすると、帰国後の7ヶ月は母国での警察官という生活を送っていたものの、94年からは日興證券ドリームレディースのプロ選手としてプレーし、96年にはチームを初優勝に導いた。 ▽96年から日本人選手もプロとなり、日興證券ドリームレディースはリーグ3連覇を果たしたものの、社業の業績悪化のため絶頂期である98年のシーズン中に廃部を決定。大部を始めサッカーを続ける選手は他チームへの移籍を余儀なくされた。 ▽98年といえば、横浜フリューゲルスの出資会社の1つである佐藤工業が本業の経営不振のためクラブ運営からの撤退を表明。さらに親会社の全日空も赤字に陥ったことで、単独でクラブを支えることができない窮地に陥った。クラブを消滅させないためにJリーグが下した決断は、横浜マリノスとの合併だった。LとJで2つのクラブが消滅した98年でもあった。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.11.12 19:00 Mon
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ケガ人は多いけど…/原ゆみこのマドリッド

▽「一体、何を隠したいのかしら」そんな風に私がいぶかっていたのは金曜日、いやあ、前日のセッションをワンダ・メトロポリターノのジムで実施、ピッチでトレニーングしたのはGKだけだったアトレティコなんですけどね。一晩明けたマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場にはグラウンド周りの金網に幕が張られており、外から様子が覗けないようになっていたと聞いた時のことでした(https://as.com/futbol/2018/11/09/videos/1541772028_009012.html?autoplay=1)。確かに昨季まではほとんどのセッションを敷地内のミニスタジアムで人目に触れず、やっていたシメオネ監督だけに、「上のグラウンドは芝が良くない、カンテラ(アトレティコB)やラージョ・マハオンダ(ミニスタジアムをホームにしている2部Bのチーム)が練習するから、ユースや女子の試合があるからと、まったく使えないんだ」と嘆くのもわかりますけどね。 ▽そこで「自分たちには下のグランドしかないから、entendemos que tener un poco de privacidad también es bueno para nosotros/エンテンデモス・ケ・テネール・ウン・ポコ・デ・プリバシダッド・タンビエン・エス・ブエノ・パラ・ノソトロス(プライバシーが少しあった方がいいと思った)」(シメオネ監督)という理由により、マスコミやファンたちから見えなくする手段を講じたようですが、もしや最近の負傷禍で試合翌日など、ピッチに出ているトップチームの選手は4、5人だけ。あとはカンテラから徴用したヘルプメンバーという悲惨な状態を世間にさらして、ファンに不安を与えたくなかった? ▽ちなみにこのフェンスを幕で覆うという方式はスペインのルイス・エンリケ監督も就任後、9月の練習から採用していて、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設のメイングランドもこれまで定番だった、谷を挟んだ道から撮影などができないようになってしまったんですが、どうにも昨今は世知辛い。来週木曜のネーションズリーグ最終戦、ファイナルフォー(準決勝)進出の懸かったクロアチア戦に向けて発表された招集リストでは待望のジョルディ・アルバ(バルサ)の復帰やCBエルモーソ(エスパニョール)、同ディエゴ・ジョレンテ(レアル・ソシエダ)、MFフォルナレス(ビジャレアル)、同ブライス・メンデス(セルタ)ら、馴染みでない顔もあって楽しみだったんですけどね。どうやらそれも合宿初日に1度だけある公開練習でしか見られないなんて、あまりに勿体ぶっているじゃないですか。 ▽まあ、そのスペイン代表の話はまた来週にでもするとして、今はミッドウィークのCL4節のマドリッド勢の様子を伝えていくことにすると。まずは火曜の夜、ワンダ・メトロポリターノに向かった私でしたが、何せ3週間前にはジグナル・インドゥナ・パルクで4-0と大敗を喫したドルトムントが相手ですからね。ドイツから駆けつけた3000人以上のサポーターが、大音響で天井のスピーカーから聞こえてくるアトレティコのイムノ(クラブ歌)に負けじとばかりに声を張り上げている光景も圧巻でしたが、大丈夫。どうやらロドリも後で「Les hemos estudiado mejor/レス・エモス・エストゥディアドー・メホール(彼らをより良く研究した)」と言っていたように、この日のアトレティコは相手にカウンターのチャンスを作らせず。 ▽それはどういうことかというと、単純に相手のホームでは52%もあったポゼッションを36%まで下げ、敵陣エリアを囲んで攻撃なんていう、不毛な状態になるのを避けただけなんでけどね。たまに彼らが上がる場合は速攻を心掛け、序盤から何度もコレアがシュートを撃っていたんですが、これは単なる威嚇に留まることに。それでも前半33分、サウールを起点にフィリペ・ルイスがエリア内に侵攻すると、今度は折り返しのパスをコレアがスルー。サウールがシュートしたボールがCBアカンジに当たってゴールを割り、先制点となってくれたから、どんなに大入りのスタンドが湧いたことか。 ▽1-0で折り返したアトレティコはハーフタイムにヒメネスがハムストリングのケガを再発させ、折からサビッチ、ゴディンが負傷でベンチ入りしていなかったため、カンテラーノ(アトレティコBの選手)のモンテーロが先日のコパ・デル・レイ32強対決サン・アントレウ戦1stレグに続き、CLデビューを果たすなんてこともあったんですけどね。そんな苦境も、この日は選手たちに「Teniamos claro que con el 1-0 debiamos seguir en la misma dinámica/テニアモス・クラーロ・ケ・コン・エル・ウノ・セロ・デビアモス・セギール・エン・ラ・ミスマ・ディナミカ(1-0でもボクらは同じ勢いで続けるべきと明確に理解していた)。危険な場所でボールを保持せず、敵陣でプレーしないといけないとね」(ロドリ)という強い意志があったのが幸い。 ▽得意の一歩後退をせず、チャンスを伺って攻めたおかげで34分にはとうとう、カウンターからジェルソン、トマスと繋いで、最後はアクラフが後ろから追うのもものともせず、グリーズマンが2点目のゴールを決めてくれたから、もう安心。いやあ、今季はまだ全然、エンジンがかかっていなかった彼なんですけどね。シメオネ監督も「Cuando el esta encendido y practico para leer por donde hacer dano, el equipo lo hace muy bien/クアンドー・エル・エスタ・エンセンディードーイ・プラクティコ・パラ・レエール・ドンデ・アセール・ダーニョ、エル・エキポ・ロ・アセ・ムイ・ビエン(彼が燃えていて、どこで敵にダメージを与えられるか読める時、チームはとても上手くやる)」と褒めていたように、バロンドール賞の投票締め切り前、これがアピールできる最後の試合だったのも当人を発奮させることになったのかも。 ▽おかげで2-0勝利とリベンジを果たしたアトレティコは得失点差があるため、2位のままではありますが、ドルトムントと勝ち点で並び、今月28日のモナコ戦の結果次第ではグループ突破が決まることに。うーん、それにしても気になるのはこの週末のアスレティック戦。というのもアトレティコの負傷禍は半端なものではなく、ドルトムント戦後のミックスゾーンではフランス人記者たちと談笑していたリュカまでが太ももの肉離れを起こしていたことが判明したから。ゴディンとジエゴ・コスタこそ、ようやく招集リストに戻って来ましたが、3人のCBに加え、コケ、レマルも欠場となると、土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からのワンダではまた、カンテラーノの力を借りることになりそうですね。 ▽そして翌水曜には近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でソラリ監督のCLデビューとなるビクトリア・プルゼニ戦を見たんですが、いやあ、とうとうレアル・マドリーのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質が発現したから、驚いたの何のって。ええ、サンティアゴ・ベルナベウでの対戦では2-1と辛勝していたせいもあったんですが、GKがケイロル・ナバスからクルトワに代わったぐらいで、同じ主力選手たちがこうまで豹変していい? ▽そう、序盤にはセルヒオ・ラモスがハベルにcodazo(コダソ/肘打ち)を見舞い、CLにはVAR(ビデオ審判)がないため、被害者が鼻血をダラダラ流していながらもレッドカードを免れるという、ヒヤリとしたシーンもあったんですけどね。前半20分にベンゼマが敵DFをかわしつつ、エリア内を進んで1点目を決めると、その3分後にはCKからカセミロのヘッドで2点目。37分にも今度はセバージョスのクロスをベイルがヘッドで繋ぎ、ベンゼマの頭で追加点が入ったかと思いきや、40分にも今度はレギロンのクロスをベンゼマがアシスト、ベイルがvolea(ボレア/ボレーシュート)で9月のCLローマ戦以来の得点だなんて、こんなにポンポン、ゴールが決まるマドリーを見るのは一体、いつ以来だったかと。 ▽後半もベンゼマと交代したビニシウスがクロースに折り返すと、見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)で5点目が決まったマドリーでしたが、相手のレベルを考えると至極普通の0-5のスコアも今季は何故だか、得点効率が最悪で、格下のチームにも僅差で負けていましたからね。これまでロペテギ監督の下ではゴール枠に阻まれていたシュートが入るようになったというツキがソラリ監督のおかげとなれば、「Si sale bien las cosas, ?por que no darle la oportunidad a el?/シー・サレ・ビエン・ラス・コーサス、ポル・ケ・ノー・ダールレ・ラ・オポルトゥニダッド・ア・エル(上手くいっているんだったら、どうして彼にチャンスを与えちゃいけない?)」(カセミロ)と、選手たちが暫定監督の続投を望むのも当然だった? ▽この勝利でCLグループ首位に返り咲き、こちらも次のローマ戦で突破を決められそうなマドリーですが、就任から3連勝。しかも計11得点で失点0とあって、最終試験となる日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのセルタ戦にもソラリ監督は自信を持って挑めそうですが、気になるのは彼らも負傷者が多いこと。プルゼニ(チェコ、プラハから90キロの都市)遠征に参加しなかった選手のうち、カルバハルだけは金曜から全体練習に戻ったそうですが、マルセロ、バラン、マリアーノ、バジェホは各国代表戦週間後の復帰になりそうだとか。 ▽まあ、両SB代役のオドリオソラとレギロンは立派に務めを果たしていますし、CL戦でカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のCBハビ・サンチェスもデビューと元々、Bチームを率いていたソラリ監督ならではの強みで、若手を抜擢しながら、何となく上手くは回っているんですけどね。クラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)での大敗のせいで、首位の宿敵にすでに勝ち点7差をつけられているとあって、もうこの先、1試合も取りこぼしができないのはちょっと辛いところでしょう。 ▽そして今週末のマドリッド弟分チームたちの予定も見ていくと、トップバッターは土曜午後4時15分から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでバレンシア戦を迎えるヘタフェ。リーガで15位と低迷している相手は水曜にCLヤング・ボーイズ戦があり、いえ、この試合はメスタジャで3-1と快勝し、何とかグループ生き残りを果たしたんですけどね。スイス勢相手に2得点したサンティ・ミナは要注意としても、ボルダラス監督のチームには1週間、じっくり調整できたのがアドバンテージになるかと。前節は土壇場にホルヘ・モリーナのゴールでウエスカと引き分けたのも励みになりそうですしね。日本代表戦のため、里帰りを控えている柴崎岳選手にも出場の機会があるといいんですが。 ▽一方、同じ土曜の遅い時間にジローナに臨むのがお隣さんのレガネスで現在、降格圏の18位にいる彼らは17位のアスレティックとはたったの勝ち点1差なんですが、今回は前節ブタルケで1-1と引き分けた兄貴分の援護射撃が当てにできる?ただ今季の彼らはまだアウェイ戦で1勝もしていないのが気掛かりですが、このところのプレーを見る限り、エン・ネシリやカリージョら、FW陣も当たってきましたしね。とにかく守備ミスを減らして、paron(パロン/リーガ停止期間)を気分良く迎えられる順位に上がれるといいですよね。 ▽そしてマドリーと共に日曜試合になるのがラージョでこちらは午後6時30分から、エスタディオ・バジェカスでビジャレアルと対戦。何せ、前節は残り3分までバルサを追い詰めながら、むざむざ逆転されてしまった彼らですからね。その悔しさをバネにすれば、相手は木曜のヨーロッパリーグ、ラピド・ウィーン戦でスコアレスドロー、遠征の疲れもあるため、今季ホーム初勝利を掴むいい機会になるかと。19位の彼らはレガネスより勝ち点3下になるんですが、ビジャレアルも16位とはいえ、アスレティックと同じ勝ち点10のレベル。この辺りのチームにはまだ数試合で追い越せる可能性があるため、選手たちもきっと気合が入っているはずですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.11.10 12:05 Sat
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女性への不適切行為にJFAは素早い対応/六川亨の日本サッカー見聞録

▽今週水曜の7日、JFA(日本サッカー協会)はキリンチャレンジ杯で16日にベネズエ、20日にキルギスと対戦する日本代表23名を発表した。招集メンバーは10月のウルグアイ戦とほぼ同じで、試合中に胸部をボールが痛打し肺気腫となった長友佑都、J1リーグの試合中に相手選手の肘が顔面を強打し眼底骨折した小林悠がメンバーから外れた。 ▽代わりに招集されたのが、レフティーの左サイドバック山中亮輔(横浜FM)と、屈強なフィジカルから対人プレーに強さを発揮する鈴木優磨(鹿島)の2人だった。山中は25歳、鈴木は22歳と、選手として脂の乗り切った年代での選出だけに、どんなプレーを見せてくれるか楽しみである。 ▽そして今回の招集で明らかになったことがある。森保監督は海外組といえども試合に出ていない選手、今回では香川真司、武藤嘉紀、岡崎慎司らロシアW杯組のベテランを招集しないということだ。トップ下の候補が南野拓実しかいないことに不安を覚えるが、アジアカップは今回のメンバーが中心となって臨むことは間違いないだろう。 ▽当日は11月11日から21日にかけて、UAEで開催されるドバイカップU-21日本代表のメンバーも発表された。こちらはU-21世代の板倉滉(仙台)、小川航基(磐田)と、U-19世代の橋岡大樹(浦和)、田川亨介(鳥栖)に加え、U-17世代の久保建英(横浜FM)と3世代の混成チームだ。 ▽そしてA代表の横内昭展コーチがU-21代表の監督代行を務め、逆にA代表のコーチにU-19コーチの秋葉忠宏、U-16コーチの齋藤俊秀を起用したのは、森保監督がテーマに掲げる世代間の融合を意図してのことだろう。こうした試みは初めてのことなので、どのような成果と弊害が出てくるのか興味深い。 ▽さて、翌8日はJFAの定例理事会が開催され、先月31日に女性職員にハグなどの不適切な行為でリトルなでしこ(U-17日本女子代表)の監督を辞任した楠瀬直木監督に代わり、監督代行を務めていた池田太氏の正式な監督就任を承認した。 ▽あわせて監督責任として田嶋幸三会長、須原清貴専務理事、女子委員会の今井純子委員長、手塚貴子副委員長が役員報酬の10パーセントを3か月間、自主返納することを決めた。 ▽楠木氏の辞任はすでに11月1日で報道されていたが、最初は「強敵に勝ったり、W杯出場を決めたりしたら、思わず近くにいたら女性でもハグしてしまうだろう」と、ちょっと厳しい対応だなと思った。しかし詳細を聞くと、出張先の勤務時間中だったり、JFAハウス内での会議後だったりと、ハグする必要のない場面で同じ女性にハグしたという。 ▽これでは「お疲れ様という意味だった」という言い訳は通用しない。今回は不快に感じた女性職員が上司に相談したことで明らかになり、JFAの対応も素早かった。ここ1年、体操女子や柔道女子ではパワハラが明るみに出たり、8月のアジア大会ではバスケットボール選手の回春行為が明らかになったりした。 ▽バスケットボールの選手がわざわざ「JAPAN」のロゴが入った公式ウェアを着て繁華街に繰り出したことを不審に思うかもしれないが、アジアで開催される大会では「JAPAN」のロゴが入っていればアスリートだとすぐに分かるため、モテるのだ。そうした伝統を彼らは受け継いだのだと推測できる。 ▽そうした意味で、今回のJFAの対応は賞賛していい。他競技の不祥事を「他山の石」としたのだろう。被害女性は、最初の1回くらいはガマンしたのかもしれない。しかし2度目となると確信犯である。もしかしたら楠木氏も1回目のハグで何も抗議されなかったので、自分に好意を抱いていると勘違いしたのかもしれない。一般社会でもよくありそうな事例だが、スポーツ界に携わる関係者は、諺にも「李下に冠を正さず」とあるように、疑われる行為は慎むべきである。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.11.10 12:00 Sat
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もし今週末に優勝が決まったらやたら早くない!? の巻/倉井史也のJリーグ

▽もしかして、もしかしたら今週末でJリーグの優勝が決まっちゃうかも? 現在の川崎と広島の勝点差は7。ということは、 川崎○(勝点66)の場合:広島○(勝点59)△(勝点57)●(勝点56)で決定 川崎△(勝点64)の場合:広島△(勝点57)●(勝点56)で決定 川崎●(勝点63)の場合:広島●(勝点56)で決定 ▽ちなみに川崎はアウェイでC大阪戦、広島はホームで仙台戦なのです。 ▽ 2節を残して優勝決定って結構早くない? ちゅうことで過去のシーズン、いつ優勝が決定したか調べてみました。例によってVゴールがなくなってJ1が18チームになった2003年から。ただし、2003年〜2004年、2015年〜2016年は2ステージ制だったため除いてます。 ・2005年 優勝 G大阪 優勝決定 34節(最終節:逆転) ・2006年 優勝 浦和 優勝決定 34節(最終節) ・2007年 優勝 鹿島 優勝決定 34節(最終節:逆転) ・2008年 優勝 鹿島 優勝決定 34節(最終節) ・2009年 優勝 鹿島 優勝決定 34節(最終節) ・2010年 優勝 名古屋 優勝決定 31節 ・2011年 優勝 柏 優勝決定 34節(最終節) ・2012年 優勝 広島 優勝決定 33節 ・2013年 優勝 広島 優勝決定 34節(最終節:逆転) ・2014年 優勝 G大阪 優勝決定 34節(最終節) ・2017年 優勝 川崎 優勝決定 34節(最終節:逆転) (参考) ・2003年(2ステージ制) 優勝 横浜FM(両ステージ制覇) 優勝決定 2ndステージ最終節 ▽ってことで、なんと! やたら最終節に決まっている!! も、もしかして小林悠が負傷した川崎にここでストップが……でも、広島も調子が……あ、これがもしかして今年の優勝決定を長引かせる要因になるのかも!!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.11.08 17:30 Thu
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“ポピー”を着けられないマティッチがユナイテッド浮上のカギ/編集部コラム

▽日本名では「虞美人草(ぐびじんそう)」や「雛芥子(ひなげし)」と呼ばれる可憐な花。ヨーロッパ原産のケシ科の植物は「ポピー」の名で知られている。 ▽プレミアリーグを観る方やこの時期にイギリスへ行ったことがある方は、ユニフォームや監督の胸元に「ポピー」の花が飾られるのを目にしたことがあるだろう。 Getty Images▽11月11日は、イギリスでは“Remembrance Day(リメンブランス・デイ)”という記念日である。1918年11月11日の11時に第一次世界大戦の戦闘が集結し、イギリス国王のジョージ5世が定めた記念日。「戦没者追悼の日」とも言われ、今年で100年を迎えることになる。 ▽この日が近づくと、プレミアリーグのピッチには多くのポピーの花が咲く。日本で言うところの、「赤い羽根」に近いだろうか。選手たちだけでなく、一般の方も地下鉄の駅などでは募金をするとポピーの花がもらえるのだ。 ▽そんな中、週末に行われたプレミアリーグでは1人の選手の胸にポピーの花がなかった。それは、マンチェスター・ユナイテッドに所属するセルビア代表MFネマニャ・マティッチだ。 ▽かつてはチェルシーでプレーしたマティッチは、2017-18シーズンからかつての師であるジョゼ・モウリーニョ監督の下でプレーしている。そのマティッチは、3日に行われたボーンマス戦に先発出場。90分間プレーした。 ▽ユナイテッドの中盤を支えるマティッチだが、イギリスで通例となっているポピーの花をユニフォームにつけない理由がある。それは、自身が少年期に経験した戦争を思い出してしまうからだという。自身のインスタグラム(nemanjamatic)で明かした。 「僕にとっては、1999年にセルビアの爆撃によって母国が荒廃していた。個人的には、恐怖を抱いた12歳の少年のように、ヴレロに住んでいるような個人的な感情を思い出してしまうんだ」 ▽マティッチの故郷は、旧ユーゴスラビアのシャバツ。現在のセルビア西部に位置する都市だ。旧ユーゴスラビアでは、1998年からコソボ紛争が勃発。そして、翌1999年にNATO軍によって空爆が行なわれた。 ▽第一次世界大戦の終結を記念して定められた“リメンブランス・デイ”。そして、戦没者の象徴とされる「ポピー」を身につけることは、空爆を体験をしているマティッチには難しいことのようだ。 Getty Images▽チェルシー同様に、ユナイテッドでもフィルター役を務めるマティッチ。鋭いタックルで相手を封じ、バイタルエリアで壁となるマティッチは、気の利いたプレーでチームを支える。そして、そのプレースタイル同様に、自身の考えを押し付けることはなかった。 「人々がなぜポピーを身につけているのかは十分に理解している。僕はみなさんの権利を完全に尊重するし、紛争のために愛する人を失った人には同情する」 ▽マティッチは、自身が「ポピー」を身につけていない理由を明かす前に、しっかりと戦没者へと敬意を払った。それもまた、空爆を経験しているからだろう。戦争で愛する人を失った人々の悲しみを理解しているからだ。そして続けた。 「これまで僕が行ってきたことを考えると、ユニフォームにポピーを着けることが正しいとは思わない」 「イギリスの誇りの象徴であるポピーを傷つけたり、誰かを怒らせたりはしたくない。ただ、僕たちはそれぞれの育ち方をしているし、示した通り、僕個人の選択だ」 Getty Images▽誠実に、そして自身の考えをしっかりと説明したマティッチ。その投稿には、多くの反応があり、誠実な対応をしたマティッチへの称賛のコメントも残されている。 ▽マティッチといえば、決して裕福ではない故郷のヴレロでも英雄的な存在。地元の小学校に修繕費を支援したり、苦しんでいる人々の借金を肩代わりしたり、「いたわり」「思いやり」の心をもって活動を行なっている。 ▽苦しいシーズンスタートとなったユナイテッドだが、モウリーニョ監督の腹心であるマティッチの誠実さ、思いやりのあるプレーは、チームに安定感をもたらせ、必ずやチームを浮上させるカギとなるだろう。そして、マティッチもそれを望んでいるようだ。 「僕が説明した理由をみんなが理解してくれることを願っている。そして、僕はこの先に待つ試合でチームをサポートすることに集中できる」 ▽「ポピー」の花言葉は「いたわり」「思いやり」。さながら、中盤でチームのバランスを取りながらプレーし、相手のことを考えて行動し、多くの支持を受けるマティッチを表しているようだ。「ポピー」を着けられなくとも、その心にはポピーの花が咲いているのかもしれない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.11.06 21:30 Tue
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川口の引退/六川亨の日本サッカーの歩み

▽長らく日本代表の守護神を務めたGK川口能活(43歳)が、今シーズン限りで24年に及ぶ現役生活にピリオドを打つことを表明した。端正なマスクと抜群の反射神経の持ち主であり、礼儀正しい姿勢で多くのファンを虜にした。2001年10月にポーツマスへ移籍する際は、川口の大ファンというシンガーの竹内まりあさんとの食事会のセッティングをした。彼女いわく「ボーイフレンドなら松田直樹くん(故人)、結婚するなら川口能活くんかな」という例えに、素直に納得したものだ。 ▽川口のプレーについて、多くを語る必要はないだろう。アトランタ五輪でブラジルを倒した「マイアミの奇跡」、そしてジーコ・ジャパンで臨んだ04年に重慶で開催されたアジアカップの準々決勝ヨルダン戦のPK戦はいまでも語り草になっている。 ▽ブラジル戦では相手の28本のシュートを神がかり的なセーブで防ぎ、1-0の完封勝利に貢献した。ヨルダン戦では、斜めに助走する中村俊輔と三都主アレサンドロが濡れたピッチに立ち足が横滑りしてシュートを外し、日本は3人目が蹴った時点で1-3と絶体絶命のピンチに陥った。しかし、ここで立ちはだかったのが川口だった。 ▽ヨルダンの4人目のシュートを弾き出すと、5人目のシュートは枠外となり日本は同点に追いつく。しかし6人目の中澤佑二がセーブされ、もう後がなくなったかに見えたが川口が再び奇跡的なセーブを見せる。そして7人目の宮本恒靖が決めると、ヨルダンの7人目のシュートはポストに阻まれ日本の勝利が決まった。 ▽アトランタ五輪ではこんなエピソードもあった。基本的に五輪を取材できるのは通信社、新聞社、テレビ局に限る。雑誌社はどうするかというと、雑誌協会に加盟している社が競技ごとに取材担当者を決め、雑協(雑誌協会)代表取材チームを作り、写真なら雑協の加盟社すべてが使えるシステムになっている。 ▽サッカーなら普段から撮り慣れている専門誌のカメラマンということになり、サッカーダイジェストが派遣することになった。もちろん1人しか取材枠はない。そしてブラジル戦後、多くの雑誌から「川口のプレー写真とアップの写真が欲しい」というリクエストが殺到した。 ▽代表幹事からその旨を伝えられたものの、川口を撮影するなら日本のゴール裏から撮影しなければならないこと、そうするとブラジル戦のような伊東輝悦のゴールは撮れないことを伝えると、代表幹事は迷ったものの、「日本のゴールシーンを優先しましょう。川口の撮影は難しいことを各社に伝えます」ということで、対戦相手のゴール裏で撮影を続けることになった。それほどブラジル戦での川口のプレーは強烈なインパクトを残した。 ▽それから5年後、ポーツマスに移籍した川口を取材するため02年2月15日にポーツマスの練習場を訪れた。久しぶりに会った川口は、レギュラーではないためインタビューは受けられないと断りつつ、「練習や試合で見たことを書くのは六川さんの自由なので、感じたことをそのまま書いて下さい」と取材の許可をもらった。 ▽練習後は彼の運転するクルマで海沿いのレストランで一緒に食事をした。体脂肪を考慮して食べるのはサラダと鶏肉が中心で、食後には現地のファンがサインをねだりに来た。川口が食事を終えるまで待っていたのだ。 ▽そして帰り際、川口は「まだ一人旅をしたことがないので、記者やカメラマンのようにデイパックを担いで出かけるのが夢です」と言った。 ▽日韓W杯前のキャンプで再会した川口に成果を聞いたところ、目を輝かせながら「ロンドンまで行ってきました」と楽しそうに話していた。選手生活の晩年は度重なるケガにも悩まされたが、その都度復活して現役生活にこだわった。4度のW杯出場と、アジアカップ連覇(2000年と04年)、さらにGKとして初の海外移籍を果たすなど、記録にも、記憶にも残る「魂の守護神」だった。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.11.06 17:35 Tue
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ツキが味方してくれないと勝てない…/原ゆみこのマドリッド

▽「もしかして祟られている?」そんな風に私が背筋に寒気を感じていたのは月曜日、CLグループリーグ4節のため、ワンダ・メトロポリターノに前日練習をしに来たドルトムントの記者会見を待っている時のことでした。いやあ、先週末のリーガ戦ではジエゴ・コスタ、コケ、ゴディンの3人がケガで欠場。太もも打撲で内出血のあったコケだけは日曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)のグラウンドに姿を現し、別メニューですがボールも蹴っていましたし、その日、終わったばかりのセッションにはゴディンも急性胃腸炎が治って参加していたと知り、希望が湧いたのもほんの束の間で、実はレマルとサビッチまでがレガネス戦で負傷、火曜の試合に出られないって、相手は3節で4-0と、こてんぱんにされた今季公式戦無敗のブンデスリーガ首位チームですよ! ▽いえ、香川真司選手は来ていなかったものの、マルコ・ロイスや3週間前はケガで出場しなかったパコ・アルカセル、そしてジグナル・インドゥナ・パルクのサイドを鬼のように駆け上がっていたアクラフらが雨降りのピッチでアップをしているのを私が見た後、マハダオンダからワンダに駆けつけたシメオネ監督は「El equipo está muy bien/エル・エキポ・エスタ・ムイ・ビエン(チーム状態はとてもいい)。代わりに出る選手たちは何をやるかわかっているからね」とあまり、心配しているようではなかったんですけどね。たとえ、ここで負けたとしてもモナコ、クラブ・ブルージュはまだ勝ち点1しかなく、アトレティコがグループ3位敗退をした昨季の二の舞となる可能性はそれ程ないとはいえ、夜に発表された招集リストでは結局、5人共欠場が決定。これではまた、GKオブラクに辛い思いをさせてしまうかも。 ▽まあ、その辺は火曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのキックオフを待たないと、何とも言えないんですが、私も滅多にない同日3試合梯子観戦となった先週末、マドリッド勢のリーガ戦がどうだったか、お伝えしていくことにすると。土曜日の始まりは午後1時、ブタルケでの兄弟分ミニダービーで、レガネスがアトレティコを迎えたんですけどね。前半はどちらも得点どころか、チャンスもほとんどなかった程で、このままだと3年連続スコアレスドローへの道が避けられないかのように思われたものの、後半になってようやく変化が訪れます。 ▽ええ、先日のコパ・デル・レイ32強対決サン・アントレウ戦1stレグからジェルソンに先発を任せたシメオネ監督の辛抱が実り、23分には彼が敵エリア前で粘ってファールを受けてFKをゲット。これをゴディンとコケの欠場で、その日はキャプテンマークを巻いていたグリーズマンが直接ネットに突き刺してくれるんですから、どんなにホッとしたことか。当人を始め、ピッチにいた選手全員がベンチに駆け寄って喜び合っていた光景からも、今季はゴール不足に泣いているチームの苦労がしのばれたんですが、ただねえ。アトレティコが1点入れれば、勝ったも同然だったのはすでに過去の話なんですよ。 ▽実際、この日も36分、FKからタリンがヘッドしたボールはオブラクが弾いたものの、こぼれ球をカリージョに押し込まれ、レガネスに同点に追いつかれてしまったから、さあ大変!いえ、「Yo he intentado celebrar el gol para que me lo dieran a mi/ジョ・エ・インテンタードー・エル・ゴル・パラ・ケ・メ・ロ・ディエラン・ア・ミー(自分のゴールにしてもらいたくて祝ったんだ)。騙せたのはスコアボードだけだったけどね」と後でタリンが嘆いていたのはまあ、別にいいんですけどね。 ▽というのも、ここまで16試合でアトレティコが2得点以上挙げた試合は6試合しかなかったためで、案の定、残り時間が少なかったのもあって、そのまま1-1で終了したんですが、はあ。これにはサウールなど、「Tenemos que ser mas ambiciosos/テネモス・ケ・セル・マス・アンビイオーソス(ボクらはもっと野望を持たないといけない)」と試合直後のピッチインタビューで自己批判していましたが、ロッカールームでシメオネ監督に忠告でもされたんでしょうか。頭を冷やして現れたミックスゾーンでは「そうじゃないよ。ボクらはリードしても一歩下がらなかったし、相手のゴールはセットプレーだった。Hoy ha sido una cuestion de mala fortuna/オイ・ア・シードー・ウナ・クエスティオン・デ・マラ・フォルトゥーナ(今日は運が悪かったということさ)」と訂正していましたが、え?そういう結論なの? ▽とはいえ、サウールの言うこともあながち見当違いではないなと思えたのは、試合が終わるやいなや、サラケマダ駅に向かい、アトーチャ駅でセルカニアス(国鉄近郊路線)を乗り換えて、ヌエボ・ミニステリオス駅から徒歩でサンティアゴ・ベルナベウへ。何とかキックオフ15分前に着くことができた午後4時15分からのレアル・マドリーのバジャドリー戦では、それこそツキが大きく影響していたように見えたから。だってえ、ロペテギ監督が解任され、ソラリ新監督になったって、選手たちの顔ぶれは変わっていないんですよ。実際、私も恐れていた通り、ベイル、クロース、モドリッチ、カセミロら、コパ・デル・レイ32強対決では温存された、いわゆる今季、不調と言われているメンバーのプレーぶりはこの日も大差なし。 ▽そこへセルヒオ監督率いるバジャドリーの「ウチの最大の特徴は全員がアニマルのように守ること。Somos como el Atletico del Cholo/ソモス・コモ・エル・アトエティコ・デル・チョロ(ボクらはシメオネ監督のアトレティコみたいなんだ)」(トニ・ビジャ)というのはちょっと買いかぶりもありますが、自慢の堅守にチャンスが阻まれたため、早くも前半途中にはスタンドからpito(ピト/ブーイング)が飛ぶように。それでも両チーム無得点のままで突入した後半、カセミロからイスコ、ベイルからルーカス・バスケスへの交代があった後、まさか28分にアセンシオに代わってビニシウスが登場したことで転機が訪れるとは! ▽ええ、先日のコパ、メリージャ戦で頭角を現した18才が「En hacer gol/エン・アセール・ゴル(ゴールを入れようと考えて」ピッチに立ってから10分、敵3人をかわしてエリア内に侵入し、「ボールを持った時から得点できるかも思って、conte uno, dos y tres y tire fuerte/コンテ・ウノ、ドス・イ・トレス・イ・ティレ・フエルテ(1、2、3と数えて強く蹴った)」ところ、これがCBオリバスの背中を直撃。GKマシップの手を弾いてネットに収まってしまうなんて、呆気に取られたのは絶対、私だけではなかったかと。 ▽このタイミングの良さには新顔の活躍を期待していたファンも大喜び、スピーカーも「Gol de Vinicius!/ゴル・デ・ビニシウス」と絶叫するし、当人もスタンドに賑々しいお辞儀までして応えたものだから、レガネスのタリンのケースとは違い、主審も思わず、得点者をビニシウスと記録。本来なら、オリバスのオウンゴールになってもいいはずでしたが、これぞまさにバジャドリーのキャプテン、ミチェルも「Ellos tuvieron una accion de fortuna con un balon que iba fuera y entro/エジョス・トゥビエロン・ウナ・アクシオン・デ・フォルトゥーナ・コン・ウン・バロン・ケ・イバ・フエラ・イ・エントロ(彼らには枠外に行っていたはずのボールがゴールに入るというラッキーなプレーが1つあった)」と言っていた通り、サッカーの神様からの贈り物? ▽逆にバジャドリーはその前にアルカラスとビジャのシュートがゴール枠を直撃し、GKクウトワが破られずに済んでいましたしね。おかげでマドリーの選手たちも気が楽になったか、43分にはベンゼマがカレロにエリア内で倒されてPKをゲット。スタンドからはビニシウスコールが聞こえてきたものの、セルヒオ・ラモスが担当したため、一時はブーイングが起きたんですが、そこは海千山千の強者キャプテンです。「気がつかなかったよ。でも責任は長い間、このクラブにいる選手が引き受けないとね」と、得意のパネンカ風PK(緩いキックをゴール中央に蹴る)で2点目を沈めたとなれば、いやホント、ジダン監督同様、RMカスティージャ(マドリーのBチーム)から昇格したソラリ監督にはロペテギ監督にはなかったツキがあるのかも。 ▽え、これで2-0として勝利したマドリーはようやくリーガ5試合に渡る白星なしという不名誉な記録を終わらせることができたとはいえ、「Me gustaria ganar 7-0 con tres goles de media chilena/メ・グスタリア・ガナール・シエテ・セロ・コン・トレス・ゴーレス・デ・メディア・チレナ(オーバーヘッドシュート気味の3ゴールとか入って、7-0で勝ちたいね)」という、ソラリ監督の夢が叶う日は来るのかって?うーん、次の試合は水曜午後9時からのCLビクトリア・プルゼニ戦ですから、ありえないとは言い切れないんですけどね。 ▽この日、カルバハルとマルセロの代理を務めた両SB、オディオソラとレギロンもパッとしない不動のレギュラー陣と比べれば、称賛に値する働きをしていましたし、風向きが変わって、これまでゴール枠に嫌われていたシュートがゴールになってくれるなら、もっと楽に勝てるようになるとは思いますが、さて。いくらビニシウスがいい選手だとしてもまだ1年目ですし、何より、ベルナベウでも交代時にブーイングを浴びていたベイルが元気になってくれないことにはまだ先行き不安かと。そんなマドリーは火曜にプラハに向けて発つんですが、マリアーノ、バラン、バジェホを含め、負傷者は誰も復帰できないようです。 ▽そしてベルナベウを後にして、土曜午後8時45分の最終試合が行われるエスタディオ・バジェカスに私は向かったんですが、こちらの移動は簡単でした。ええ、メトロをトリブナル駅で1号線に乗り換えて、30分もあれば余裕で着くため、途中で軽食を取る時間もあったんですが、さすがバルサ戦。スタジアム周辺の道など凄まじい大混雑で、ラージョファンたちはスタンドを埋め尽くしてチームを応援していたんですが、まさか開始からたったの11分、ジョルディ・アルバのエリア内奥からの折り返しをルイス・スアレスに決められて、早々に失望させてくれるとはやってくれるじゃないですか。 ▽でもこの日のラージョは一味、違ったんですよ。ええ、1点目を奪われた瞬間には2年前、2部降格する以前、パコ・ヘメス監督の下で何度もバルサにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らっていた悪夢を思い出していた私ですが、リードして気を緩めた相手に彼らはしっかり反撃したんです。前半30分には絶好機にシュートを外してしまったポソがその5分後、リベンジとばかりにエリア前からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めて同点にすると、後半13分にはエンバルバのクロスをからラウール・デ・トマスがヘッド。このボールはゴールポストに弾かれてしまったものの、途中出場したばかりのアルバロが押し込み、とうとう逆転してしまったのですから、どんなにバジェカスのファンも意気が上がったことか。 ▽おかげでいよいよ、バルササイドも今季の6節でレガネスに2-1と逆転負けした直近の黒歴史、「El fantasma de Butarque se aparece por todas partes en momentos/エル・ファンタスマ・デ・ブタルケ・セ・アパレセ・ポル・トーダス・パルテス・エン・モメントス(ブタルケの亡霊がそこここに漂ってきた)」(バルベルデ監督)という一種のパニック状態に陥っていたんですが、そこは先日のコパ32強対決レガネス戦1stレグでも前半2点をリードしながら、後半には守備のミスで追いつかれたばかりのラージョ。メッシはこの日も負傷欠場していたものの、ピケをFWの位置に上げ、総攻撃態勢に入ったバルサを抑えきれず、残り3分にはジョルディ・アルバのクロスをピケが落としたボールをデンベレに、45分にはセルジ・ロベルトのクロスをゴール左前に走り込んだルイス・スアレスに決められて、2-3の負けで勝ち点1すら手にできないとはやっぱり、彼らの本質はあまり変わっていなかった? ▽いやあ、これにはミチェル監督も試合後、「Hay que defender mejor los centros laterales/アイ・ケ・デフェンデール・メホール・ロス・セントロス・ラテラレス(サイドからのクロスはもっと上手く守らないといけない)」とカンカンでしたけどね。それでもファンたちは健闘した選手たちを称えていたものの、おかげで今週も弟分仲間のレガネスと仲良く降格圏のままとなれば、いい加減、心配にもなってきますって。そんなラージョは今週末、意外と近い16位にいるビジャレアルを日曜午後6時30分に迎え、レガネスの方は土曜にアウェイでジローナ戦。ここはもう1つの弟分、ヘタフェを見習わってほしいところかと。 ▽そう、マドリッド勢で唯一、日曜に試合があったボルダラス監督のチームはウエスカ(スペイン西部)に赴いたんですが、最下位のガケっ淵に立っている相手に後半序盤、チェイタのヘッドで先制を許してしまうことに。その1点がなかなか返せず、これはいよいよ敗戦かと思われた45分、36歳のベテランCFがやってくれたんです。ええ、90分もプレーした後だというのに敵DF数人をすり抜けてゴールを決め、土壇場で1-1の引き分けをもぎ取ってくれたとなれば、その日はベンチ待機で終わってしまった柴崎岳選手やマタやグアルディオラ、もっと若いアタッカーたちだって、きっと次は絶対、自分が見せ場を作ってやると発奮したに違いませんって。 ▽これでヨーロッパリーグ出場圏まで勝ち点1差の8位という、いい位置に留まったヘタフェは土曜の午後4時15分からコリセウム・アルフォンソ・ペレスに今季はリーガでまだ1勝、水曜にはCLグループリーグの生き残りを懸けたヤング・ボーイズ戦もあるバレンシアを迎えるんですが、残念ながら、同日のアトレティコvsアスレティック戦は次の時間帯、午後6時30分のキックオフなため、梯子観戦は私には臨むべくもなし。セルカニアスとメトロを乗り継ぐと、どうしても1時間以上、移動にかかってしまうからですが、意外とセントロ(市内中央部)外縁部を取り巻く高速道路経由だと近いため、タクシーなら何とかなるかも。ワンダ・メトロポリターノ周辺の渋滞もありますし、それでもかなり厳しいとは思いますけどね。やはり先週の土曜のように梯子できる時間割になるのはなかなか、珍しいことかもしれませんね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.11.06 12:00 Tue
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宮本恒靖がガンバを蘇生、そして再び強者に/編集部コラム

▽今のガンバ大阪は、単なる勢いのあるチームとして片付けられないぐらい強い。 ▽G大阪は、4日に埼玉スタジアム2002で行われた明治安田生命J1リーグ第31節で浦和レッズと対戦。4万3000人以上の観客が駆けつけ、真っ赤に染め上がった完全アウェイの地での戦いだったが、「力が試される試合」として位置づけた宮本恒靖監督のチームは見事に3-1の勝利を収めた。 ◆J1残留の目標達成をほぼ確実にした浦和戦(c)J.LEAGUE PHOTO▽この試合が就任14試合目となった宮本の采配も的確だった。劣勢の前半に失点していれば、また違った結果になっていたかもしれないが、浦和のオズワルド・オリヴェイラ監督が「負けを認めざるを得えない」と語ったように、「後半勝負」のプランを見事に完遂してみせたG大阪こそが試合の勝者に値した。 ▽その試合、立ち上がりから浦和にボールの主導権争いで劣勢に回ったG大阪は、43分にMF小野瀬康介のレッズサポーターを静寂に包むスーパーミドルで均衡を破ったが、大半の時間で我慢の戦い。後半早々に追いつかれ、ばたつくかに思われたが、宮本監督は既にハーフタイムの間に手を打ってあった。 ▽変更点は、左サイドと2トップの立ち位置だ。MF倉田秋を内側に絞らせることでDF藤春廣輝をより高い位置に押し上げ、浦和のサイドチェンジの起点になるDF森脇良太とDF岩波拓也をケア。さらに、2トップの右でプレーしたFWファン・ウィジョを左に置き、相手の右サイド潰しに徹底的な策を講じた。 ▽これがハマり、左サイドの攻防戦で優位に立ったG大阪は、後半に2得点。それらの得点全ては、機能不全に陥れた浦和の右サイドが起点だった。振り返れば、ヴィッセル神戸戦や横浜F・マリノス戦でも似た展開から勝利を手繰り寄せており、その手腕はもはやスクランブル登板の監督とは思えないものだ。 ▽これにより、G大阪は国内三冠達成時の2014年以来となる破竹の7連勝を成し遂げ、史上稀にみる大混戦模様の残留争いからの生還目安とされる40ポイントをクリア。勝ち点を「42」まで伸ばした宮本監督は、7月23日の就任時に託されたJ1残留という最大のミッション達成をほぼ確実なものにした。 ◆G大阪を熟知する男の「カリスマ性」(c)J.LEAGUE PHOTO▽よくここまで巻き返した。今シーズン開幕から続いた最悪の時期を振り返ると、その言葉が真っ先に頭の中に浮かぶ。今シーズンから就任した前任者であるレヴィー・クルピ氏から宮本監督にバトンタッチされるまでに獲得した勝ち点数は「15」。しかも、折り返し地点の17試合終了時点で、だ。 ▽そこから宮本監督就任以降の獲得勝ち点は「27」。その数字だけでも、いかにしてV字回復を遂げたかがわかる。その要因としては、「ファン・ウィジョの得点源としての安定した働き」「戦線復帰した今野泰幸の存在」「アデミウソンの復活」「今夏加入した小野瀬康介&渡邉千真のフィット」が挙げられる。 ▽ただ、そういった要因は、全て宮本監督の勝負師としての資質があってこそだ。様々なディテールを突き詰めていけば、幾つかの状況などが重なっての復調だろうが、宮本監督がU-23監督時代を含むこれまでの指導者キャリアで培った「指導力」や「求心力」、そして「カリスマ性」が最大のカンフル剤になったに違いない。 ▽それと、宮本監督が「G大阪を熟知した男」であることが何より大きい。41歳の青年監督は、今や国内屈指の育成クラブとして知られるG大阪の下部組織からトップチーム昇格を果たした一期生。攻撃的スタイルでJリーグ界を席巻した西野朗体制下、常勝軍団への礎を築いた当時の主力である。 ▽そういった背景を持つG大阪育成出身監督は就任当時、「技術だけじゃなく、フィジカルでも上回る。相手を圧倒したい。(黄金時代の)道に戻したい。強いガンバでいなきゃいけない」と、自身が思い描く理想郷を口にした。現段階で「圧倒」とは程遠いが、「強いガンバ」を取り戻した感はある。この短期間で、だ。 ◆第3の黄金期到来に期待を抱かせる強さ(c)J.LEAGUE PHOTO▽目指すべき輪郭が明確化されているかどうかは、選手にとって、やり易さが変わってくる。それは「アート」という抽象的かつ独特な表現で目指すべき戦い方を示した前任のレヴィー・クルピ氏にはなかったことで、宮本監督は就任時のメディア対応から規律と共に、自身の経験談を通じた「オオサカ・スタイルとは」を選手に提示した。 ▽そうした宮本監督の掲げる戦い方がピッチに描かれた試合こそが浦和戦だった。大崩れしない規律だった守備と、反発力となる個の能力を生かした相手の急所を突く攻撃。あの勝利は、練習時から選手の本来持つ能力を引き出しつつ、チーム全体を本来あるべき戦い方に向かわせた宮本監督の努力の賜物と言っても過言ではない。 ▽まだJ1残留に王手をかけたに過ぎないが、今シーズン途中就任から短いスパンで瀕死状態のG大阪を蘇らせた宮本監督。G大阪は宮本監督と共に、もう既に西野政権時代、長谷川政権時代に続く第3の黄金期に歩み始めているのかもしれない。そう先のことを考えてしまうぐらい宮本監督に率いられた今のG大阪は強い。 《超ワールドサッカー編集部・玉田裕太》 2018.11.05 21:00 Mon
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まだ信用する訳にはいかない…/原ゆみこのマドリッド

▽「でも次は1部のチームだからなあ」そんな風に私が疑念を抱いていたのは金曜日、この週末のリーガ戦でビニシウスの先発を希望するレアル・マドリーファンがマルカ(スポーツ紙)のアンケート回答者4万人強のうち、87%に達したという記事を読んだ時のことでした。いやあ、確かにソラリ新監督の初陣となったコパ・デル・レイ32強対決1stレグではこの夏、マドリーに加入してから、もっぱらRMカスティージャ(マドリーのBチーム)の試合に出場していたおかげもあったんでしょうか。同じ2部Bに所属するメリージャ戦では、先日のクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)での惨敗を始め、ファンを失望させることが多かった今季のチームに新風を吹き込んでくれたんですけどね。 ▽だからと言って、いきなり1部の相手に同様の活躍を期待するのは何せ、彼はまだ18才ですからね。21才になってからバルサに来たネイマールと違い、プロ経験もブラジルのフラメンゴでプレーした1年だけ、エムバペもフランス育ちでヨーロッパのサッカーに慣れているとあって、とても比べられないと思うんですが、要はこれって、マドリーファンがベイルやベンゼマに愛想を尽かしたってこと?まあ、その辺は土曜のバジャドリー戦でサンティアゴ・ベルナベウの様子を伺ってみないとわからないんですが、とりあえず、そんなマドリーを含め、今週ミッドウィーク開催のコパ初戦でマドリット勢がどうだったかをお伝えしていくと。 ▽まず火曜、最初にあったのはレガネスとラージョ、弟分同士のコパ・ミニダービーで、どちらもケガ人がいるため、レギュラーと控えの混合したスタメンでスタート。キックオフからしばらくして降り始めた雨のせいで、ブタルケが屋根のある正面スタンド以外、ガラガラになっていく中、前半15分、シオバスがアルバロ・ガルシアを逃がしてしまったせいで、この夏、ウクライナのゾリャ・ルハンシクからマドリーに加入した19才、今季はレガネスにレンタルで修行に出ているGKルニンがデビュー戦で初失点を記録する破目に。前線が活発だったラージョは20分にもポソのラストパスをアレックス・アレグリアがゴール前から決めてリードを2点に広げ、バジェカスから駆けつけたブカネーロス(ラージョの過激なファン集団)を喜ばせていたんですが…。 ▽レガネスの反撃の火ぶたを切ったのはモロッコ人FWのエン・ネシリでした。ええ、30分にはCKから混戦になったボールを蹴り込み、スコアを1点差にすると、後半26分にもゴール右前からGKディミトリエフスキを破って、とうとう同点に持ち込んでしまったから、驚いたの何のって。その直後、ペレグリーニ監督はエースのカリージョを投入し、勝ち越し点を狙ったものの、そのまま2-2で終了しています。これで決着は12月第1週にある2ndレグに持ち越されることになりましたが、うーん、両チームとも現在、リーガでは降格圏で停滞。そろそろ順位の方を上げていかないと、その頃にはとてもコパなど構っていられない状況になっているかもしれませんが、逆に勝ち上がった方が1月にミッドウィーク試合が入って、ますます大変になるっていうのも皮肉ですよね。 ▽え、私が呑気にブタルケで観戦している間、アトレティコのサン・アンドレウ戦も始まっていたんだろうって?いやあ、そうなんですが、相手はこの32強対決に唯一、残った3部のチームでしたしね。昨季のコパ準々決勝セビージャ戦2ndレグで退場したシメオネ監督が3試合のベンチ入り禁止、この日もスタンド最上段で"モノ"・ブルゴス第2監督の指揮を見守っていたとはいえ、今年だけでもヨーロッパリーグ決勝やUEFAスーパーカップで同じ経験をしている当人も「Ya estoy acostumbrado/ジャー・エストイ・アコストゥンブラードー(もう自分は慣れている)」と言っていたようにもう、そんなのはアトレティコファンにとってはよくあることの1つ。 ▽ローテーションをしているとはいっても、スタメンにいたカンテラーノ(アトレティコBの選手)はCBのモンテロだけでしたし、あまり心配はしていなかったんですが、どうやらあちらも雨降りだったのに加え、会場となったナルシス・サラが人工芝だったのが良くなかった?開幕戦でケガをして今季、まだほとんど出場していないビトロなども「Al final este tipo de campos es dificil/アル・フィナル・エステ・ティポ・デ・アンポス・エス・ディフィシル(こういうタイプのピッチはとにかく難しい)。ボクらは慣れてないから」と後で言っていましたが、彼らは前半33分にジェルソン・マルティネスのゴールで先制したものの、追加点を奪えず、あまつさえ、終盤など敵の猛攻に苦しむことに。 ▽それでも最後は0-1で逃げ切り、何とか体面を保ってくれたため、翌日はバルサも2部Bのクルトゥラル・レオネサ相手にようやく後半45分、CBレングレのヘッドが決まり、同じスコアで勝ったなんてこともありましたしね。2ndレグはワンダ・メトロポリターノですし、別に心配する程ではないんですが、木曜に私がマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションを見学に行ったところ、それどころではない懸念があったことが発覚。というのも、てっきりローテーションでコパは免除されたと思っていたジエゴ・コスタ、ゴディン、コケの姿がグラウンドになく、クラブのメディカルリポートによると前者2人は筋肉の疲労。コケは前節レアル・ソシエダ戦で受けた打撲で太ももを内出血と3人共、この土曜午後1時(日本時間午後9時)からのレガネス戦に出ないって、本当に大丈夫? ▽うーん、来週火曜にはアウェイで4-0の大敗をしたリベンジをしないといけないCLドルトムント戦が控えているため、ムリをさせないという意味もあるんでしょうけどね。ただここ2年、ブタルケで戦ったミニダービーはどちらもスコアレスドローだったなんてことを思い出すと、ヒメネスとリュカにalta medica/アルタ・メディカ(全快通知)が出たDF陣より、頼りのグリーズマンがこのところ、ゴールに恵まれていない攻撃陣の方が心細いかと。ええ、18位のレガネスも大変なんですが、今回は19位のラージョが土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時34分)から、エスタディオ・バジェカスでバルサと対戦ですからね。 ▽ミチェル監督は「El 98% del mundo piensa que vamos a perder/エル・ノベンタイオッチョ・ポル・シエントー・デル・ムンドー・ピエンサ・ケ・バモス・ア・ペルデル(世界の98%はウチが負けると思うだろう)。だが、自分たちは2%の勝利を欲する者たちだ)」と言っていましたし、事実、6節にはそれこそ、レガネスがバルサを破ったなんてサプライズはあったものの、前節は前腕骨折のリハビリ中のメッシ抜きでもマドリーに5-1で大勝できる強さを見せつけられたばかりですからね。首位と勝ち点差2で4位にいるアトレティコとしては下も詰まっているため、ここは座して弟分の奇跡を待っている訳にもいかないというのが本音かと。 ▽そして翌水曜がマドリーのコパだったんですが、もしや自分がクラブに勧めたロペテギ監督が開幕から3カ月で解任となってしまったことに多少の責任を感じたんですかね。相手は2部Bの格下とあって、例年だったら、ローテーションでのお留守番を満喫しているはずだったセルヒオ・ラモスが先発だったのは意外でしたが、何せ現在、カルバハル、マルセロ、バラン、バジェホと負傷禍が守備陣に集中。マリアーノもケガしてしまったせいで、ベンゼマもスタメンに名を連ねたのは仕方ないところもあったんですが、チームの危機的状況が選手たちに緊張感を与えていたのは確かでしょう。 ▽ええ、そこに就任会見を兼ねた試合前記者会見で「La idea es ir a Melilla manana y jugar con dos cojones/ラ・イデア・エス・イル・ア・メリージャ・マニャーナ・イ・フガール・コン・ドス・コホネス(明日はメリージャに行って、ガッツでプレーするのが考え)」という新監督による刺激が加わり、前半28分にはこれまでロペテギ監督の下でほとんど使ってもえなかったオドリオソラが発奮。敵エリアまで上がってベンゼマに1点目をアシストすると、ハーフタイム入り直前にはいよいよ、まだトップチームで12分間しかプレー時間がなかったビニシウスの番が来たんです!ええ、ユベントスに移籍したクリスチアーノ・ロナウドの代わりとして、開幕からトップ3の一角に選ばれながら、このところ失速気味だったアセンシオにチームの2点目をアシストしてくれたから、ホッとしたの何のって。 ▽後半はラモスがナチョに、ベンゼマがバルベルデに代わったマドリーでしたが、その勢いは衰えず、いえ、残念ながら、ビニシウスのエリア外からのシュートはゴールバーに弾かれ、34分に敵GKがこぼしたボールに駆け寄った時もシュートはできず、後ろから駆けつけたオドリオソラが押し込んで3点目となったんですけどね。ロスタイムにはアセンシオから代わったRMカスティージャのFWクリストもオドリオソラのクロスからヘッドでトップチーム初ゴールを挙げ、最後はメリージャに0-4の快勝。もちろん、この日のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で先日、manita(マニータ/5得点のこと)を喰らったクラシコの汚名がそそげるとは誰も思いませんが、選手たちにとって、勝利は何よりの妙薬だったかと。 ▽とりわけ当面、カルバル、マルセロの代理をしないといけないオディオソラやレギロン、このチャンスに出場機会を増やしたいビニシウスらにとってはプラスになる試合でしたが…いやあ、土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのバジャドリー戦に先発するであろう、ベイル、イスコ、クロース、モドリッチ、カセミロは参加していないんですよねえ。とりあえず、ソラリ暫定監督が任された11月の各国代表戦週間前までのあと3試合で、"暫定"が取れる結果を残すためにはそれこそ、彼らに本気を出してもらわないといけないんですが、果たしてそんな急に調子が上向くものなのか。 ▽ええ、というのもあのギャラクティコ時代にマドリーの看板FWだったロナウドが今は会長をしているバジャドリーは昇格組ながら、ここリーガ6試合で無敗の4勝2引き分けと絶好調。順位も6位で9位のマドリーに勝ち点差2をつけていますし、水曜のコパでもマジョルカ(2部)にベルデがエリア外から2ゴールを挙げ、1-2で勝っていますからね。通常でしたら、楽勝のカードでも今季はレバンテやアラベスに負けている彼らだけに何があってもおかしくないんですが、とにかくここ最近、見放されていたゴール運が回復したようなのは心の支えになりますかね。 ▽え、それでマドリッド勢最後の1つ、ヘタフェのコパはどうだったのかって?いやあ、こちらはマドリーから1時間遅れで始まったんですが、前半26分にはブルーノのオウンゴールでコルドバ(2部)に先制されてしまう逆境に陥ることに。それでも前半終了間際にはそのブルーノがPKをゲット、マタがPKを決めて同点にしたんですが、勝ち越し点が入ったのは後半45分という遅い時間でした。今回はリーガで8位という余裕の高みにあるのを利用して、ボルダラス監督がコパにも多くのレギュラー選手を起用した甲斐があったか、アンヘルのラストパスからマタがその試合、2点目を挙げてくれています(最終結果1-2)。 ▽ちなみに柴崎岳選手は後半23分からの出場だったんですが、今週末はヘタフェだけが日曜試合で午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)から最下位のウエスカとアウェイで対戦。相手はアスレティックとのコパの予定がサン・マメスで今週、コンサートが開かれたため、延期となり、1週間、じっくりフランシスコ新監督の下で練習していますからね。フルキエがリーガ戦2試合連続ゴール、出場停止だったポルティージョも戻るとあって、柴崎選手がスタメンに入るのはなかなか難しいかと思いますが、コルドバ戦でのように、途中からでもチームの勝利に貢献できるような働きができるといいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.11.03 13:30 Sat
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なんでおめでとうってもう言えない雰囲気なワケ!? の巻/倉井史也のJリーグ

▽おめでとう! ベルマーレ! って、ルヴァンカップ優勝してからたった3日で言えない感じになってしまったカップウィナーなんですけど、確かになんか嫌な感じ。30節を終えて勝点36って、16位の鳥栖と17位の柏が勝点33だから、下手すると1節で入れ代わっちゃうんです。しかも今後の戦いが、11月2日にホームの清水戦、11月10日にアウェイG大阪戦、11月24日にホームの浦和戦、で、12月1日の最終戦がアウェイの名古屋なんですよ。 ▽この残りの相手で、清水はACL出場権崖っぷち、G大阪は残留まであと一息、浦和はギリギリACL出場権狙える位置、名古屋は残留争いまっただ中。ってことで、気が抜けない相手ばかり。このままじゃ、ルヴァンカップの勝者がもしかすると……ってことになりそうかもしれないかもわからない。 ▽ってことで、今週はルヴァンカップの勝者がリーグ戦で何位だったかという過去のデータを調べてみましょう。例によって、Vゴールがなくなって、全18チームになった2003年から。 ・2003年 リーグカップ戦優勝 浦和(6位) ・2004年 リーグカップ戦優勝 FC東京(8位) ・2005年 リーグカップ戦優勝 千葉(4位) ・2006年 リーグカップ戦優勝 千葉(11位) ・2007年 リーグカップ戦優勝 G大阪(3位) ・2008年 リーグカップ戦優勝 大分(4位) ・2009年 リーグカップ戦優勝 FC東京(5位) ・2010年 リーグカップ戦優勝 磐田(11位) ・2011年 リーグカップ戦優勝 鹿島(6位) ・2012年 リーグカップ戦優勝 鹿島(11位) ・2013年 リーグカップ戦優勝 柏(10位) ・2014年 リーグカップ戦優勝 G大阪(1位) ・2015年 リーグカップ戦優勝 鹿島(5位) ・2016年 リーグカップ戦優勝 浦和(2位) ・2017年 リーグカップ戦優勝 C大阪(3位) ▽歴代の優勝チームの平均順位は6位! ってことは、やっぱり優勝チームにはちゃんと力があるってことですよ。リーグカップ戦の勝者に降格なし! ということで、残留のライバルたちに先駆けて行われる金曜日の清水戦がまず一山。ここで勝てば他のチームにプレッシャーを与えることができるけど、そうじゃなければ……。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.11.02 13:30 Fri
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レフェリーブリーフィング/六川亨の日本サッカー見聞録

▽11月1日、今年で第5回となるメディアを対象にしたレフェリーブリーフィングがJFAハウスで開催された。8月21日以来の開催となったが、この間にJクラブと審判委員会の意見交換会(レフェリーのジャッジの正当性をVTRでお互いに確認)は270試合ほどで、そのうち30%はレフェリーの判定が間違っていることが確認されたと、元国際主審の上川氏が報告した。 ▽今回のレフェリーブリーフィングではPK、オフサイド、ハンドリング、FKマネジメント、その他の5項目でVTRの映像をリプレイしながら解説した。ルヴァン杯の決勝、湘南vs横浜FMでは後半34分に湘南のペナルティーエリア内で松田がトラップミス。これをユン・イルロクが奪って突進しようとしたところ、松田の足が引っ掛かってユン・イルロクは倒れた。 ▽木村主審はノーホイッスルだったため、横浜Mの選手は主審を取り囲んで抗議。試合後のポステコグルー監督もPKだったと主張した。上川氏の解説によると、「18番の選手は振り向いただけにも見える。接触はあったが、倒れるほどのファウルか?」と疑問を呈し、木村主審のジャッジは正当だったことを認めた。 ▽難しかったのが、10月20日に行われた第30節の浦和vs鹿島(3-1で浦和の勝利)のプレーだ。鹿島の土居がペナルティーエリア右で浮き球のパスを受けて突進。それを後ろからマークする浦和の長澤が押し倒した。荒木主審はノーホイッスルだったが、長澤は土居に身体を入れられたため押しているが、土居も左手で背後の長澤のユニホームを引っ張っているように見える。 ▽「長澤と土居のプレーは、どちらのファウルか五分五分」と上川氏は語り、「例えVARでプレーを確認したとしても、どちらの反則か判断は難しい」とした上で、「サッカーの判定にはグレーな部分もある」と荒木主審のジャッジを支持した。 ▽こうしたグレーな判定は、もしもVARが導入されたら、最終的には「レフェリーの判断に任せる」(上川氏)しかないそうだ。 ▽J2千葉の試合では、明らかに主審は千葉の選手が手を高く上げてハンドした反則を見逃した。これについては、「他の選手同士が接触プレーの可能性があったため、レフェリーはそちらのプレーに注意が向いていた」(上川氏)ので、ハンドではなくクリアと思い、CKの判断を下したケースも紹介した。 ▽マラドーナの「神の手ゴール」ではないが、どんなに最新の機器が導入されたとしても、最終的にはレフェリーのジャッジが優先される。将来的にFIFA(国際サッカー連盟)はAIの導入も検討しているそうだが、やはりサッカーは人間味がないと味気ない。 ▽この意見交換会は、全てのJクラブが申し込んできているわけではなく、多いクラブと少ないクラブでばらつきがあるそうだ。具体的なクラブ名は明かさなかったが、これもまた各クラブの色が出ていると言えるのではないだろうか。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.11.02 13:30 Fri
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【2022年カタールへ期待の選手⑧】U-20W杯出場権獲得の後はACL決勝、常勝軍団の若きアタッカーは世界を目指す/安部裕葵(鹿島アントラーズ/MF)

▽28日にジャカルタで行われた2018年AFC・U-19選手権(インドネシア)準々決勝。影山雅永監督率いるU-19日本代表は6万人超の大観衆が押し寄せた完全アウェー、しかも視界がおぼつかない豪雨という壮絶な環境の中、2-0で勝利。2大会連続で世界切符を手にした。 ▽エースナンバー10をつけるテクニシャン・安部裕葵(鹿島アントラーズ)も大一番に先発出場。[4-4-2]の左ワイドに陣取り、攻守両面で渡って献身的なプレーを見せた。この日ばかりは相手2~3人に囲まれてボールを失うピンチに何度か見舞われ、持ち前の創造性やアイディアを発揮する回数が少なかったものの、「行けるところまで行く」という強い闘争心は後半19分にベンチに退くまで失われることはなかった。 ▽「このゲームはホントに我慢勝負になるから、スキがあったら得点を狙うつもりで行こうとハーフタイムにみんなで話し合った。最悪、1-0でもいいから集中してやろうと意思統一しました。あれだけの大歓声でカウンター1本でも雰囲気に飲み込まれちゃいそうな感じだったけど、そうならないように耐えられたのはよかった」とチーム随一のイケメンアタッカーは心底、安堵した様子を見せていた。 ▽この試合では30mミドルシュートで先制弾を叩き出した東俊希(サンフレッチェ広島ユース)や2点目に絡んだ久保建英(横浜F・マリノス)、宮代大聖(川崎フロンターレU-18)らに主役の座を譲ることになった安部だが、今年6月のロシア・カザン遠征ではただ1人、2018年ロシア・ワールドカップに挑んでいた日本代表側の一員として紅白戦を戦ったほど、周囲から高く評価を受けている。ルーキーイヤーだった2017年からJ1・13試合出場1得点という実績を残し、今季もJだけでなくAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の大舞台で戦ってきた経験値は同世代の中でも頭抜けている。そこは本人も大いに自信を持っている点。常勝軍団の一員として小笠原満男や内田篤人から帝王学を引き継いだ風格が19歳にして色濃く表れている。 ▽「安部君と話してると、小笠原選手や内田選手と話してるような錯覚を受ける? ああ、ホントですか(笑)。鹿島に入ったことで身に着いたものもありますけど、そういうもの(落ち着き)は高校時代から少しはあったと思うんで。平常心を保つ秘訣は何も考えないこと。試合中も試合前も試合後も。何かを想像することで、自分の理想と現実との比較(乖離)が起きて、メンタルの乱れにつながると思う。何も想像や予想しないことで、そういったメンタルの乱れは防げるんじゃないですかね」といった口ぶりはまだ10代の若者と思えない冷静さだ。そこまで熟慮しながら1つ1つのプレーを選択しているあたりが、大物の予感を漂わせるのだ。 安部裕葵のプレーを観るならDAZN!1カ月のお試し無料視聴はコチラから!▽そんな安部だが、もう1人の偉大なプレーヤーからも影響を受けている。それは中学時代に指導を受けたことがある本田圭佑(メルボルン・ビクトリー)。彼が通っていたのが、本田が経営に携わっているソルティーログループのS.T.フットボールクラブという縁で、類まれなチャンスを得たのだという。 ▽「僕が中2から中3に上がる時に、本田さんがプロデュースするソルティーロが僕の通っていた清瀬のクラブを買い取った。本田さんも練習に来てくれました。彼は日本で物凄く成功している選手の1人。そういう人が身近にいたことは自分の強みになるし、励みにもなる」と安部はカザン遠征の際、目を輝かせていた。どんな時も物怖じせず、堂々とした立ち振る舞いができるのも、ワールドカップ3大会連続4得点の偉業を成し遂げた男の薫陶を受けたことが大きいのかもしれない。そういう意味でも、U-19の背番号10は期待値が非常に高いのだ。 ▽影山ジャパンがAFC・U-19選手権でアジア連覇を目指すためにも、この若武者の存在は必要不可欠と見られていた。しかし、11月3日に鹿島がACL決勝・ペルセポリス戦(ホーム)に参戦することになり、最終的にクラブに戻ることが決定。常勝軍団の一員としてACL制覇という一大タイトルに挑むことになった。 ▽ACLでイランの強豪・ペルセポリスを倒すことができれば、12月のFIFAクラブワールドカップ(FCWC=UAE)参戦が現実になる。2年前の2016年日本大会で鹿島は開催国枠として出場し、ファイナルに進出。レアル・マドリーをあと一歩のところまで追いつめている。そこで異彩を放った柴崎岳(ヘタフェ)はスペインへステップアップし、ロシアの大舞台で主役として輝いた。現在も鹿島の守備の要に君臨する昌子源も同様だ。そのチャンスを安部がつかめれば、世界への道も一気に開けるかもしれない。 ▽本田、小笠原、内田というのは揃って欧州でプレーしてきた面々だ。そういう先輩たちに最大限の敬意を払う19歳のアタッカーが海外移籍を夢見ないはずがない。2020年東京五輪、2022年カタールワールドカップを本気で狙おうと思うなら、年末のFCWC、来年のU-20ワールドカップ(ポーランド)と出られる国際大会は全て出た方がいい。そうなるように安部は自らの持てる力の全てを出し切ることが肝要だ。 ▽「ゴールがチームのためになるのは分かっているけど、そういうのは運やタイミングが必要になる。それ以上に必ずできるのは、走ることだったり、声を出して戦うこと。それは100%やれる自信はある」という泥臭さとガムシャラさを遺憾なく発揮し、彼にはACL決勝で大仕事を見せてほしいものだ。【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。鹿島アントラーズを観るならDAZN!1カ月のお試し無料視聴はコチラから! 2018.10.31 22:20 Wed
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レアル・マドリーに翻弄された男、ロペテギ/編集部コラム

▽レアル・マドリーは29日、フレン・ロペテギ監督の解任を発表した。直近の公式戦7試合1勝1分け5敗という低迷に加え、28日に行われたリーガエスパニョーラ第10節バルセロナ戦での1-5の大敗の責を問う形での更迭だ。 ▽しかしながら、今シーズンのマドリーの惨状は果たしてロペテギ監督の手によるものなのだろうか。フロレンティーノ・ペレス会長を初めとするフロント陣の今夏の動きに疑問を呈したい。 ◆2人のレジェンドの流出、サイクルの終焉Getty Images▽今夏、指揮2年半の間にチャンピオンズリーグ(CL)3連覇を成し遂げたジネディーヌ・ジダン監督が退任した。また、時を同じくしてFWクリスティアーノ・ロナウドがユベントスに移籍。マドリーで公式戦438試合450ゴールを奪ったストライカーと、歴史上でも類を見ない成功をクラブにもたらした指導者を、同時に失った。 ▽ジダン監督は、退任の際に「変化が必要だった。3年間監督をして、クラブを離れるタイミングだと思った」、「私がこのまま監督を続けても、トロフィー獲得をより難しくするだけ」とコメント。選手時代にも慎重にキャリアを選んでいた人物らしく、鋭い嗅覚でサイクルの移り変わりを感じていたのだろう。 ▽一方で、C・ロナウドは退団を振り返り「僕に対して加入当初のような見方は、もはやクラブ内に存在しなかった。特に、会長からはね」と、ペレス会長への失望を語った。また、「彼にとって、僕は不可欠な存在じゃなかった。それこそが僕を移籍に突き動かした理由だ」とも発言。ペレス会長次第ではC・ロナウドの退団は無かったかもしれず、結果論だが、深刻な得点力不足に陥っている現状を鑑みればこの損失は計り知れないものだろう。 ◆“ラ・ロハ”瓦解がマドリー批判へGetty Images▽新時代幕開けの旗印としてマドリーが招へいした人物が、フレン・ロペテギ監督だ。ラージョ・バジェカーノで指導者キャリアを始めた同監督は、レアル・マドリー・カスティージャ(マドリーBチーム)やスペイン代表のアンダー世代で評価を高めており、U-19スペイン代表を率いていた2011年にはU-19EUROで優勝。また、2016年夏にスペインA代表指揮官に就任して以降も、GKダビド・デ・ヘアやMFイスコ、MFコケ、DFダニエル・カルバハルなど多くの若手を引き上げた。見事にベテラン世代との融合を成功させ、20試合14勝6分け無敗、61得点13失点という圧倒的な成績を収めている。 ▽しかし、ロペテギ監督はロシア・ワールドカップ(W杯)開幕の2日前にスペイン代表を電撃解任されることに。その前日にマドリーがロペテギ監督の招へいを発表しており、スペインサッカー連盟(RFEF)のルイス・ルビアレス会長が激怒したためだ。 ▽当然ながら、スペイン国内でマドリーやロペテギ監督を批判する声は大きかった。ペレス会長がルビアレス会長の決断に関して「馬鹿げたリアクションを見せた」と痛烈な批判を浴びせたことも、火に油を注いだだろう。こういった騒動の後、予選で素晴らしい成績を収めていた“ラ・ロハ”が世界大会でお披露目されることはなく、スペインは16強で沈没することとなった。MFダビド・シルバやMFアンドレス・イニエスタ、DFジェラール・ピケら功労者の最後のW杯に泥を塗ってしまったマドリーが、「ルビアレスは大げさだ」とスペイン国民に釈明する姿が好意的に受け入れられるわけがあっただろうか。 ◆大エースが抜けただけの移籍市場Getty Images▽ロペテギ監督体制下がスタートするシーズン、マドリーが獲得した即戦力はGKティボー・クルトワと、かろうじてFWマリアーノ・ディアスのみ。とはいえ、GKケイロル・ナバスが在籍していたことを考えるとクルトワの到着が劇的な変化に繋がることはなく、マリアーノもマドリーが切望していたような大エースには程遠い。つまり、“今シーズンの戦力”に限ればC・ロナウドが抜けた穴がぽっかりと空いただけの移籍市場だ。 ▽また、マドリー寄りで知られるスペイン最大手『マルカ』は、W杯直後にロペテギ監督が自らポルトMFエクトル・エレーラの獲得を進言したがフロントが拒否したと報道。あくまで報道は報道でしかないが、フロント主導のスター選手は獲得せず、指揮官の必要とする選手も獲得しないというのであれば、チーム作りは困難にならざるを得ない。とりわけ、ジネディーヌ・ジダンという圧倒的な求心力を備えていた人物の後とあっては尚更だ。 ◆理想を追ったロペテギ監督Getty Images▽そして迎えた新シーズン、UEFAスーパーカップでアトレティコ・マドリーに敗北した以外、滑り出しは順調だった。変化が訪れたのは、初めの公式戦6試合を5勝1分けで終えて迎えたリーガ第6節セビージャ戦。強固な守備や躍動する前線に苦しみ、0-3の完敗を喫した。そこからはアトレティコ戦で引き分けて、アラベス戦、レバンテ戦で連敗。どちらもフィジカルを押し出したハードな試合を得意とするチームで、バルセロナのようなポゼッションスタイルのサッカーにも激しく対抗してきたクラブだ。中盤の連動を重視するロペテギ監督のフットボールからすれば、時間のかかる相手だろう。 ▽もちろん、アトレティコを除けばタレントに明確な差のあるチームなのも確かで、敗北が許されない相手だ。そして、その後の“エル・クラシコ”で1-5の屈辱的大敗を喫したことも、解任に値する出来事に違いない。0-2で迎えたクラシコの後半に傷を最小限にするものではなく奪い返しに行くサッカーで勝負に出るなど、ロペテギ監督が“取りこぼさないサッカー”に徹し切れなかったことも明白に低迷を招いている。 ◆エレガントさとは真逆の解任声明Getty Images▽今か今かと待たれていた解任の“Xデー”となったのは10月29日。クラシコで完敗した翌日だ。マドリーはクラブ公式サイト上に「理事会は次のバロンドール候補を8選手擁するというクラブ史において前例のない陣容と、ここまで手にした結果の間に大きな不均衡があると理解しています」という声明を掲載し、4か月前までスペイン代表で手腕を発揮していた指揮官の名声を破り去った。「バロンドール候補を8選手擁する」という文言は「フロントの補強不足ではない」という主張に他ならず、「手にした結果の間に大きな不均衡がある」とは、まさにロペテギ監督の采配やマネジメントに全責任を押し付ける声明だ。 ▽だが、クラシコでPKを与えたのはロシアW杯でトロフィーを掲げていたDFヴァランであり、同点のチャンスを逸したのは同大会でMVPを獲得したMFルカ・モドリッチだ。どちらもバロンドール候補筆頭に躍り出る程の選手であり、本来の実力に疑いの余地はない。だが、トップ選手はどれだけ疲労を抱えていてもトップ選手で居られるのだろうか。特にW杯シーズンにトップ選手のパフォーマンスが落ち込むことは十分に予測可能なことであり、フロントの主張には疑問を禁じ得ない。 ▽敗将に更なる屈辱を浴びせることが、ロス・ブランコスの度々掲げている“エレガントさ”という言葉に相応しいのだろうか。クラブとしての気品を最も失っているのは、フロント陣だという気がしてならない。 ◆傷ついたキャリアの回復をGetty Images▽「クラブはフレン・ロペテギ監督とそのスタッフの仕事とこれまでの働きに感謝しており、彼らのキャリアが今後幸運に満たされるものになることを祈っています」というマドリーの声明とは裏腹に、確実に傷付けられたロペテギ監督のキャリア。クラシコ直前まで選手への信頼を口にし、解任発表後にも「この機会を私に与えてくれたクラブに感謝を述べたい。プレーヤーたちの努力や取り組みにも感謝がしたい。クラブに雇用されている全員にも等しく感謝する」と誠意を示していた人物を糾弾する声が、止むことを願いたい。 《超ワールドサッカー編集部・上村迪助》 2018.10.31 22:00 Wed
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「人を育てる」曺貴裁監督がもたらした“湘南スタイル”の浸透力/編集部コラム

▽就任7年目。「人を育てる力」を持つ曺貴裁監督が、多くの挫折を乗り越え、“折れかかった”ではなく“折れた”心でも立ち上がり続け、一輪の華を咲かせた。 ▽現役時代は柏レイソル、浦和レッズ、ヴィッセル神戸でプレーし、1997年に現役を引退。その後は、川崎フロンターレやセレッソ大阪でコーチを務め、2005年に湘南へとやってきた。湘南の地に足を踏み入れてからは、14年の歳月が経っていた。 ◆浮沈を繰り返し“心が折れる”(C)CWS Brains,LTD.▽反町康治前監督(現松本山雅FC監督)の後任として、2012年に湘南の監督に就任した曺監督。当時J2リーグを戦っていた湘南を率いると、シーズンを通して安定した戦いを見せ2位でJ1に昇格を果たした。 ▽2シーズン目をJ1で迎えた曺監督だったが、チームは苦しい戦いを強いられ、1年でのJ2降格となってしまった。しかし、3シーズン目はJ2で開幕14連勝を飾るなど“湘南スタイル”を徐々に作り上げ、勝ち点101でJ2優勝。再びJ1への挑戦権を得る。 ▽2015年は下部組織出身のDF遠藤航(現シント=トロイデンVV)が日本代表に招集されるなど、湘南ベルマーレとしての変革期となり、チームも改名後初のJ1残留を決める。しかし、2016年には遠藤を始め、MF永木亮太(→鹿島アントラーズ)、GK秋元陽太(→FC東京)、DF古林将太(→名古屋グランパス)と主力が軒並み退団。すると、曺監督として2度目のJ2降格を味うことになった。 ▽「何度か折れそうになったのではなく、何度も折れていました。ポキポキ、ポキポキ」とルヴァンカップ決勝後の会見で曺監督はコメントした。昇格と降格を繰り返すエレベータークラブとなり、選手を育てても他クラブに引き抜かれる。毎年のように前年の主力選手が退団する流れでは、チーム作りにも苦慮したはずだ。 ▽それでも諦めなかった曺監督は、「折れていたことをちょっと思い出して、ホッとしたでも良かったでもなく、ギリギリのところでやって来たことが、選手が報われて良かったな」と語り、自身を含め、選手やクラブ全体の長年の苦労が報われたタイトル獲得を喜んでいた。 ◆苦悩も継続した“湘南スタイル”(C)CWS Brains,LTD.▽湘南と言えば、「若い」、「ハードワーク」、「縦に早い攻撃」というのが大方のイメージだろう。それは間違っていない。曺監督も「何よりも選手を見ている人に分かりやすい」と語り、“湘南スタイル”を作り上げる上で、ファンやサポーターへの分かりやすさを求めていた。 ▽その一方で、“湘南スタイル”を貫きながらも、選手が引き抜かれ、昇降格を繰り返すことに「僕が折れていたのは、そのスタイルを出して入ればいいのか」と曺監督には葛藤があったようだ。そして、「このスタイルはカルチャー作りにとって大事なんだといっても、説得力がない」とスタイルを貫くだけでは意味がないという答えに辿り着いた。 ▽通常のクラブであれば、監督交代、方針転換、選手補強や育成へのテコ入れを考えるだろう。しかし、湘南は曺監督に託した。「人を育てる力」をもつ曺監督だからこそ、今の“湘南スタイル”ができあがった。 ▽今シーズンの湘南も例年通り多くの新加入選手で構成されている。3バックの中央を担うDF坂圭祐(23/順天堂大学)、ルヴァンカップで結果を残したMF金子大毅(20/神奈川大学)、MF松田天馬(鹿屋体育大学)はルーキー。さらに、MF梅崎司(浦和レッズ)、FW山﨑凌吾(徳島ヴォルティス)は新加入だ。その他にも、DF杉岡大暉(20)は市立船橋高校から加入して2年目、DF山根視来(24)は桐蔭横浜大学から加入して3年目と、主力選手の多くが“湘南スタイル”への馴染みが深いわけではなかった。それでも、チームとして作り上げて結果に繋げた。 ◆“スタイル”の前に“勝利”(C)CWS Brains,LTD.▽「勝つためにどうしたらいいかと考えた時に、それ以外のレベルを上げていないと、選手が成長したと実感が持てない感じました」と曺監督は語る。“湘南スタイル”を守りながらもしっかりと結果を出すこと。そのために、曺監督はチームの作り方、選手への接し方を考えた。 ▽曺監督が最も重要だと考えることは「自分を輝かせるためにどう塩梅をつけるかということに責任を持つ」ということ。「監督が言うからとか、チームに求められるからこれをやるしかないんだという選手はいると思いますけど、それは責任放棄だと思う」と、誰しもが陥りそうな考えを排除した。真の意味での“チーム”になることで、スタイルを維持するとともに結果に繋げた。 ▽プロである以上、「勝利」という結果が求められる。しかし、自分たちのスタイルに捉われ、勝つために必要なことが抜け落ちてしまうチームは多い。頭では理解していても、ピッチ上で発揮できない。そういった再現性の低いプレーを続けるチームは少なくなく、継続して結果を出せないことが往往にして多い。 ▽しかし、曺監督は「毎日切磋琢磨してピッチの中の温度を常に下げないで、出ている試合、出ていない試合と、選手の中で選別しないでやってきたことが、こういった結果に繋がって嬉しく思います」と語った。選手が横一線になり、分け隔てなく同じ温度で、同じベクトルでトレーニングを積む。試合に関しても、出場の有無に関わらず、チームが1つになる。そのチーム作りが、身を結んだ。 ◆湘南ベルマーレとしての誇り(C)CWS Brains,LTD.▽様々な苦難を乗り越えた曺監督とクラブにとって、ルヴァンカップのタイトル獲得は大きな喜びだろう。しかし、曺監督が語った最も嬉しかったことは、湘南ベルマーレというクラブを表すものだった。 「スタジアムに来た子供たち、その親御さんに、頑張ればここまで来れるんだということを見せられたことが、優勝したことよりも非常に嬉しいです」 ▽横浜F・マリノスとのルヴァンカップ決勝には、湘南の下部組織の選手が多く駆けつけた。下馬評では横浜FMが優勢とも見られたが、結果は1-0で湘南が勝利。結果を残せたことを見せられたことを曺監督は喜んだ。そして、スタジアムに駆けつけた選手たちからの寄せ書きのエピソードを明かしてくれた。 「ただ『勝ってください』とか、『◯◯選手頑張ってください』とか『優勝してください』ではなく、8割ぐらいの選手が“湘南スタイルで”とか、“湘南魂で”とか、小学生が書くということに涙出そうになっていました」 (C)CWS Brains,LTD.▽トップチームに限らず、各年代の選手たちに浸透する“湘南スタイル”。言い換えれば、“曺貴裁スタイル”とも言えるそのメソッドは、湘南ベルマーレを支える将来の宝たちの支えにもなっている。クラブ創設50周年というメモリアルイヤーにタイトルを獲得したことも大きい。 ▽「これがゴールではなく通過点なので、この後チームがどう変わっていくかに責任があります」とも曺監督は語った。スタイルを確立しつつ、結果にコミットした湘南ベルマーレ。今シーズンはJ1残留という目標が残されている。曺監督とクラブの挑戦は始まったばかりだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.10.30 19:50 Tue
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見事に玉砕してしまった…/原ゆみこのマドリッド

▽「雇われの身は辛いわねえ」そんな風に私が憐れんでいたのは月曜日、クラシコ(伝統の一戦)でバルサに大敗し、解任確実と報じられながら、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場での午前中のセッションをロペテギ監督が指導していたとお昼のニュースで知った時のことでした。いやあ、当人もすでに覚悟を決め、試合後のカンプ・ノウのロッカールームでは選手たちに別れの挨拶をしたなんて話も伝わっていたんですけどね。レアル・マドリーの理事会が午後6時半からだったため、それまで正式な結論が出ず、仕方なく、彼が最後のお勤めを果たしたようですが、まあこれも給料のうちと言っていいかも。 ▽結局、午後9時過ぎにはクラブからコムニカードー・オフィシアル(公告)が出て、ロペテギ監督の解任とRMカスティージャを率いるソラリの暫定監督就任が発表になったんですが、ちょっと片すかしだったのは前夜のスポーツ番組で月曜にはサンティアゴ・ベルナベウでプレゼンがあるかもしれないと散々、言われていたため、私も外出するつもりでいたんですけどね。どうやら、第1候補だったコンテ監督の招聘に支障が生じたようで、それも選手たちがmano dura/マノ・ドゥーラ(厳しい)指導者は嫌だからというのでは少々情けないんですが、契約年数の問題とかもあって、次は水曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からのコパ・デル・レイ32強対決メリージャ(2部B)戦1stレグですし、当面はソラリ監督で繋ぐことになったのだとか。 ▽まあ、そんなマドリーについてはまた後で話すとして、とりあえず、この週末のマドリッド勢の試合を順々にお伝えしていくことにすると、土曜に先陣を切った弟分チームはどちらもアウェイでいい結果を持ち帰れず。ええ、お昼にジローナと対戦したラージョは前半、ポルトゥに2点を奪われ、後半には敵に先制点を与えるPKを献上したガルベスが罪滅ぼしとばかりにゴールを決めたんですが、あと1点が及ばず、2-1で負けています。そしてシュタット・デ・バレンシアでレバンテに挑んだレガネスも、夕方には雨が降ることがわかっていた地元チームの戦略にはまり、序盤にロジェールに先制ゴールを決められると、足場の悪い中での反撃は思うように行かなかったよう。残り4分にもロチーナに追加点を奪われ、最後は2-0で完敗してしまうことに。 ▽おかげで変わり映えなく、レガネスが18位、ラージョが19位と仲良く降格圏を維持した両チームだったんですが、いやあ、ホントにこんな時に迷惑ですよね。週末はどちらもホームにそれぞれ、兄貴分のアトレティコ、首位のバルサという強敵を迎えるというのに、この火曜にはコパ・デル・レイ32強対決でミニダービーって一体、何の罰ゲーム?ブタルケで行われる1stレグは午後8時30分からのキックオフ、2節前のリーガでの対戦ではレガネスがカリージョのゴールで1-0と勝っていますが、ペレグリーニ監督もミチェル監督も本音のところ、コパはパスして、まだ残留ラインとの勝ち点差が少ないうちに順位を上げたいと思っているんじゃないでしょうか。 ▽そして夜にはワンダ・メトロポリターノに向かった私でしたが、ここ最近のマドリッドの寒いことといったら!一気に真冬の気温に突入してしまったため、これから観戦を予定している方はまだ10月だからとか思わず、防寒対策をしっかりしてスタジアムに行くことをお勧めしますが、先週はCLドルトムント戦で4-0という、シメオネ監督就任以来、最悪の大差負けをしてしまったチームをアトレティコのファンたちは決して見捨てず。それどころか、このレアル・ソシエダ戦ではいつも以上に応援に熱が入っていた感じがしましたが、となれば、選手たちだって頑張らない訳にはいかない? ▽ただ、そうは言ってもグリーズマン、ジエゴ・コスタが相変わらずパッとしないせいか、なかなか点は取れなかったものの、8回もあったCKのチャンスも利用できず、0-0のままでハーフタイムに入るのかと思われたところ、キャプテンが意地を見せてくれたんですよ。セットプレーから回り回ったボールをエリア内右奥からコレアがゴール前に折り返し、ラウール・ナバスのクリアミスをゴディンがシュート。これがGKモヤを破り、先制点と共に「Nos ha penalizado mucho el gol en el ultimo minuto/ノス・ア・ペナリサードー・ムーチョ・エル・ゴル・エン・エル・ウルティモ・ミヌート(45分のゴールはウチに大きな打撃を与えた)。リードされてしまったし、心理的にもダメージがあった」(モヤ)という状態で後半をスタートできることになったから、寒風に耐えていたファンたちもどんなに力づけられたことか。 ▽15分経ってチームが戻って来た時には足に痛みのあったリュカがフィリペ・ルイスに代わっていたんですが、この交代も吉と出ました。そう、ジグナル・インドゥナ・パルクでゲレイロにドルトムントの4点目となるゴールを贈り、GKオブラクにアトレティコでは経験したことのなかったgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)の辱めを味合わせてしまったことを深く反省したらしい左SBは16分、エリア内から右足で対角線上のゴールネットにボールを突き刺し、「Con el 2-0 se ha acabado el partido/コン・エル・ドス・セロ・セ・ア・アカバードー・エル・パルティードー(2-0でゲームは終わった)」(ガリターノ監督)と敵をギブアップさせているのですから、決してベテランを侮ることなかれ。 ▽敵が疲れるところまで粘り、そこからフアンミやサンドロら、スピードのあるFWを投入して点を挙げようとしたガリターノ監督の作戦が見込み違いに終わったこともあって、そのまま危なげなく勝利したアトレティコでしたが、こうなると、あのドルトムント戦は「Fue un accidente/フエ・ウン・アクシデンテ(事故だった)」とコケが言っていたのはただの強がりじゃなかった?いえ、「1点目を取った後、ビジャレアル戦でのように1歩下がる代わりに、ボクらは2点目を求めた」(コケ)なんて聞くと、どうして今までその、新たなアトレティコのお家芸となりかけている悪癖に気がつかなかったんだと、突っ込みたくならなくもないんですけどね。 ▽実際、こんな彼が「Tacticamente, seguramente, es el major/タクティカメンテ、セグラメンテ、エス・エル・メホール(戦術的にはおそらく一番いい)」(シメオネ監督)というチームですから、あまり高望みをするべきではないんですが、この日のコケとロドリのボランチコンビがいい働きをしていたのは誰もが認めるところ。それもどうやら監督によると、アトレティコがポゼッション的に優位に立てる相手限定のようですけどね。加えて出場停止だったフアンフランの代わりに右SBで先発したアリアスがようやく合格点をもらえたなど、収穫はあった試合でしたが、残念ながら、この勝利で土曜の夜に5位からジャンプアップして手に入れた首位の座は単なる1日天下に。 ▽ええ、翌日曜に勝ったアラベスやセビージャに抜かされ、4位と下がってしまったからですが、まあそれでも首位まで勝ち点差2ですからね。火曜午後9時30分(日本時間翌午前5時30分)からのコパ32強対決サン・アンドレウ(2部B)戦1stレグにはオブラク、ゴディン、コケ、サウール、グリーズマン、コスタがお休みをもらい、ヒメネスとリュカはリハビリ中。カリニッチ、ビトロ、ジェルソンら、今季まだあまりプレー時間のない選手たちやカンテラーノ(アトレティコBの選手)6人の力で何とかするようですが、この土曜にはレガネスとのミニダービー、そして来週火曜にはCLでワンダにリベンジを期してドルトムントを迎えるとなれば、ある程度、ローテーションがあるのは仕方ないところでしょう。 ▽そして日曜の部ではまず正午にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに赴いた私でしたが、これは相手のベティスがサン・シーロでヨーロッパリーグのミラン戦を木曜に戦い、休む時間があまりなかったのが幸いしましたかね。さすがミラノに7000人ものファンが応援に駆けつけただけあって、この日も多くのverdiblancos(ベルディブランコス/ベティスファンのこと)がスタンドで歌っていましたが、セティエン監督がスタメンを8人代えた効果はあまりなかったよう。チャンスもピンチも大してなかった前半が終わり、後半になると、ヘタフェが15分にアンヘルのゴール前へのラストパスをホルヘ・モリーナが古巣恩返し弾、その2分後にはフルキエが敵DFを縫って2試合連続のゴールを挙げ、そのまま2-0で勝利することに。 ▽ちなみにこの試合、柴崎岳選手はベンチにいたものの、後半にもアップする姿は見られず、ベティスの乾貴士選手もミラン戦に続いて出番がもらえなかったのは、日本から来た女性ファンの姿も見られただけにちょっと気の毒だったかと。うーん、ミックスゾーンで止まってくれた乾選手は「コパでは主力の疲れも考えないといけないし、チャンスはあると思う。そこでしっかりアピールしていく」と前向きだったんですけどね。もう8試合も出場がない柴崎選手とも互いの苦境を話し合ったりしたと言っていましたが、ベティスは木曜にラシン(2部B)戦、ヘタフェは水曜にコルドバ(2部)戦。こういう試合を足掛かりに両人ともプレー時間を増やすことができるといいですね。 ▽え、ここまで来たら、もう悪夢のクラシコの話からは逃げられないだろうって?はあ、その通りでヘタフェ(マドリッド近郊)から急いでセルカニアス(国鉄近郊路線)で戻り、キックオフ30分前には近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行って席を確保した私だったんですけどね。前腕骨折のメッシも先日のCLインテル戦に続き、息子のティアゴ君を連れて、ベンチ近くのスタンドに座っていましたし、何よりどんなに不調の時でも結果読めないのがクラシコ。ここずっとゴールのないベイルやCLビクトリア・プルゼニ戦で久々に得点したベンゼマだって、きっと宿敵を前に発奮してくれるはずと信じていたんですが…。 ▽彼らの病状はそんな軽いもんじゃなかったようです。だってえ、前半11分にはジョルディ・アルバに左サイド突進を許し、折り返しでノーマークのコウチーニョに先制点を決められているんですよ。おまけに34分にはバランがエリア内でルイス・スアレスを倒したプレーがVAR(ビデオ審判)に見咎められ、PKで2-0にされたとなれば、もうどうしたらいいものか。 ▽ただそれでも後半のマドリーは心を入れ替え、ケガしたバランに代わりに右SBにルーカス・バスケスを入れて、ナチョ、カセミロ、セルヒオ・ラモスで3CB体制を敷いたのも良かったんでしょうね。6分にはイスコがエリア内奥から出したパスをマルセロが決め、1点差に迫ったんですが、まあこれはドルトムント戦の後半、サウールのシュートがゴール枠に当たったりして、しばしアトレティコが盛り返した時同様、過度の攻撃は相手のカウンターを招くんですよ。実際、モドリッチのエリア外からの一撃がポストに阻まれたマドリーは30分、セルジ・ロベルトのクロスをルイス・スアレスが完璧な軌道を描くヘッドでゴールにして3点目を奪われ、止めを刺されることに。 ▽それでも彼らはアトレティコと違い、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質だしと、一縷の希望は捨てていなかったんですが、36分にここ3試合連続でゴールを挙げているマルセロがまた負傷で交代してしまってはねえ。FWマリアーノを入れ、ベイルと代わっていたアセンシオが左SBという時点でもう、守備は捨てている感じがしましたが、でもだからって、その直後、キャプテンのラモスのミスからセルジ・ロベルトがガラ空きの前方にパス。それを追ったルイス・スアレスに見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)でハットトリックをGKクルトワが喰らってしまったとなれば、もう何と言っていいものやら。 ▽おまけに最悪はまだ続き、41分には途中出場したデンベレのクロスからアルトゥーロ・ビダルがヘッドで決めて、バルサは5点目をゲット。いよいよ、これだけは避けたかったmanita(マニータ/5得点のこと)となり、5-1で終わった暁には2010年、モウリーニョ監督時代に5-0で勝った時と同じに、片手を広げて振るパフォーマンスをピケにされてしまっても文句を言う気力すら湧きませんって(https://www.elespanol.com/elbernabeu/futbol/20181028/barca-pique-mofan-manita-madrid-dolorosa-foto/348965647_0.html)。 ▽こうなると、ピッチサイドのインタビューに答えたカセミロが「もう自分たちの姿勢とか戦術とか、そんな問題じゃない。全部だ。La temporada esta siendo un desastre, todos estamos jugando muy mal/ラ・テンポラーダ・エスタ・シエンドー・ウン・デサストレ、トードス・エスタモス・フガンドー・ムイ・マル(今季は滅茶苦茶で、皆がとってもひどいプレーをしている)」と切れてしまっていたのも仕方なかったかと。うーん、これで僅かにあった続投の可能性も消失したロペテギ監督は「Hacia los jugadores no tengo ningun reproche/アシア・ロス・フガドーレス・ノー・テンゴ・ニングン・レプロチェ(選手たちに批判するところはまったくない)」と記者会見で言っていましたけどね。 ▽月曜のクラブ広告でも監督解任理由を「今年のバロンドール賞にノミネートされている選手が8人もいる高い質のチームでありながら、成績が著しく比例していない」ためとしていましたが、とはいえ、調子というのは水もの。こうも多くの選手のパフォーマンスが昨季より落ちている現状では、誰が次の監督になっても苦労するのは日を見るより明らかかと。かといって、この負けで首位のバルサとはすでに勝ち点差7、順位もここ50年間、ついぞなかった9位という、弟分のヘタフェより下ではあまりに体裁が悪いですしね。クラシコでは結局、スタンド観戦になってしまったビニシウスやRMカスティージャの選手も使われるだろうコパの試合ではソラリ監督に力を発揮してもらうとして、せめて土曜に昇格したばかりながら、6位と大健闘をしているバジャドリーをサンティアゴ・ベルナベウに迎える時ぐらいまでには正式な後任監督が決まってくれるといいのですが。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.10.30 13:30 Tue
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湘南の前身とセルジオ越後/六川亨の日本サッカーの歩み

▽先週末の10月27日、埼玉スタジアムで行われたルヴァン杯決勝は、初の決勝戦進出を果たした湘南が、元U-20日本代表でもある杉岡大暉のミドルシュートによる決勝点で横浜FMを1-0で下し、初優勝を遂げた。湘南にとっては1994年の天皇杯優勝(当時は平塚)に次ぎ2個目のタイトル獲得で、実に24年ぶりの快挙達成でもあった。 ▽湘南の1-0リードで迎えたハーフタイム、トイレに並んでいると目の前の湘南サポーターのレプリカユニホームの襟には「50anniversary」とプリントされているのに気がついた。50年ということは、チームが誕生したのはメキシコ五輪の開催された1968年ということになる。 ▽湘南(平塚)の前身は、JSL(日本サッカーリーグ)優勝3回と2度の天皇杯優勝を果たしたフジタ工業であったことはご存じの方も多いだろう。1994年にJリーグへの昇格を果たしたものの、1999年に親会社であるフジタ(株)が撤退を表明したためJ2に降格するなど苦労を重ねてきた。ようやく2001年、総合型スポーツクラブとして再スタートを切り、今日に至っている。 ▽そのフジタ工業サッカー部の前身が藤和不動産サッカー部だった。JSL入りを目指して今から50年前の1968年、栃木県で産声をあげた。チームの育成に、東洋工業でJSL4連覇を達成し、後に日本代表の監督を務めた石井義信氏を招聘。1971年に翌年からのJSL1部(この年にJSL2部もスタート)昇格を果たすと、新たに下村幸男氏を監督に迎えたが、前期は2分け5敗(当時のリーグは8チーム)と最下位に沈んだ。 ▽そんなチームを救ったのが、ブラジルからやって来た日系二世でJSL初となる「元プロ選手」のセルジオ越後だった。来日当時27歳のセルジオは、後期に2勝をあげるなどチームに貢献したが、驚かされたのはブラジル仕込みのテクニックだった。 ▽当時のJSLは、東京では国立競技場や西が丘サッカー場、駒沢陸上競技場などで開催された。今とは比べものにならないものの、とりあえず芝生でプレーすることができた。日本人選手のトラップは、グラウンダーならともかく、高く上がったボールは1メートルほど身体から離れるのが当たり前。しかしセルジオは足に吸い付くようにピタリと止まった。 ▽背後への浮き球でも、振り向きざまに足下に収まるのを目の当たりにし、「頭の後ろにも目があるのではないか」と中学生ながら驚いたものだ。当時のフェイントは、タイミングを図ってタテへ抜け出るか、「マシューズ・フェイント」が全盛だったが、セルジオは足の裏を使った引き技など、これまで見たことのないフェイントの数々でマーカーを翻弄した。特にエラシコはセルジオの得意技で、彼自身はボールが伸び縮みするように動くので「ゴムのフェイント」と名付けていた(親友のリベリーノにこのフェイントを教える代わりに、リベリーノからは「またぎフェイント」のコツを教えてもらった)。 ▽試合の勝ち負けより、彼のプレーを見るだけでスタジアムに足を運ぶ価値があった。残念ながら日本での現役生活は2年でピリオドを打つことになるが、1973年はチームの4位躍進に貢献。引退後はブラジルからカルバリオに藤和不動産サッカー部入りを進めるなど、フジタ工業サッカー部の全盛時代の礎を築いた。 ▽そして1975年のシーズン途中には本拠地を栃木から東京に移すと、チーム名もフジタ工業サッカー部に改称。翌76年に札幌大からマリーニョを迎えると、カルバリオとのコンビで77年は18試合で64点という最多ゴール記録(当時)を作ってJSL1部で初優勝を果たした。 ▽その後、1993年にJFL1部優勝を果たし、Jリーグ正会員加盟が決定すると、チーム名を「ベルマーレ平塚」に改称。94年にJリーグへ昇格すると天皇杯優勝と平塚としての初タイトルを獲得するなど、新たな1歩を踏み出して今日に至っているのは周知の事実である。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.10.29 17:30 Mon
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正しかった湘南移籍…梅崎司、オンリーワンのチームでオンリーワンの男に/編集部コラム

▽湘南ベルマーレがクラブ創設50周年のメモリアルイヤーに新時代の幕開けを告げるべく号砲を鳴らした。27日に埼玉スタジアム2002で行われたJリーグYBCルヴァンカップ決勝で横浜F・マリノスを1-0で撃破。1994年の天皇杯以来となる国内タイトルであり、クラブ史上初のJリーグカップを試合後の表彰台から天高々に掲げた。 ▽その輪の中に今シーズンから湘南の仲間入りを果たしたMF梅崎司もいた。梅崎にとって、Jリーグカップ制覇は浦和レッズ在籍時代の2016年以来2度目。だが、試合後のミックスゾーンには、自身の周りに集まってきた取材陣に対して、まるで“初体験”のような様子で目をやや充血させながら今回の優勝を感慨深そうに語る梅崎の姿があった。 ▽「チームの中心というか、核としてプレーを続けさせてもらってきた中で手にしたタイトルなので、今までのものより格別な思いがある」 ◆Jリーグカップで良い印象なき浦和時代 (C)CWS Brains,LTD.▽そのコメントを聞いたとき、単なる取材陣の1人ながら共感の思いが心の中にあった。それは、2008年から在籍した浦和時代、チームとして勝ち上がった2011年と2013年の決勝でいずれも準優勝に終わり、2016年の優勝時もケガでスタンド観戦。梅崎個人にフォーカスしたとき、あまりJリーグカップで良い印象がなかったからだ。 ▽しかし、今回の決勝での梅崎のプレーぶりは見事だった。試合後に「正直、自分のパフォーマンスに納得がいっていない」と数字として爪痕を残せなかった攻撃面に不満をのぞかせたが、湘南スタイルの根幹である前線からのプレッシングに尽力。総走行距離でも77分にピッチを退くまでに10km超の数値を叩き出すなど、運動量も申し分なかった。 ▽今大会の出場歴を調べてみたところ、梅崎はグループステージから参戦した湘南の中で、全13試合のうちチーム最多タイの11試合に出場。後半アディショナルタイムからの出場にとどまった2017年のAFCチャンピオンズリーグ優勝も含む浦和時代と比較しても、キャプテンマークを託され、主力としてフル回転した今回のJリーグカップ優勝は達成感のあるものだったに違いない。 ◆湘南スタイルの体現者に (C)CWS Brains,LTD.▽この歓喜の瞬間を迎えるまでの道のりは、決して平坦なものではなかった。今年加入の湘南は、個々の能力とコンビネーションによる華麗なポゼッションスタイルの浦和と比べて、運動量や献身性など泥臭さのある戦いがベース。若い頃からドリブルや足元の技術で名を知らしめてきた梅崎にとって、31歳にしての新境地であり、定位置の確証もなき移籍先だった。 ▽ただ、そうした不安は、シーズンが進むにつれてかき消されていく。シーズン前半戦の明治安田生命J1リーグこそ出場した12試合中4度の先発にとどまったが、後半戦は現時点で全12試合中9試合でスタメン入り。さらに、1つも欠場試合はない。チョウ・キジェ監督から“湘南スタイル”の体現者の1人として認められた何よりの証だろう。 ▽梅崎自身も「シーズンの中で、1つひとつ学び、理解して、先陣を切ってやっていくところまできた」と語り、「湘南はJリーグでもオンリーワンのチーム。今日の特に前半のように、アグレッシブにプレスをかけて、縦に仕掛けていくプレーはなかなかできることじゃない。その中に緻密さがあって、個々の距離感や意思統一がないと実行できないスタイル」とも確信めいた話もしている。 ◆湘南移籍は「正解」 (C)CWS Brains,LTD.▽そして、湘南の一員として、主力としてJリーグカップ優勝に貢献した今、梅崎の中で「サッカーを楽しくやれている時点で『(移籍して)良かった』とは思っていたけど、タイトルを取ることで、その気持ちがより強まると思っていたので、それが実現できて、移籍してきた意味を示せて良かった」と、浦和を離れ、湘南に活躍の場を移すという決断が正解だったという結論に至る。 ▽だが、そこに浦和愛がないわけではない。古巣の本拠地で優勝した後、「今日もレッズ時代のユニフォームを掲げている人がいて、そういう人たちに移籍した意味を示さなければならないと思っていた。ベルマーレの選手として、レッズサポーターに躍動する姿をお見せできて良かった」と、愛着のある浦和への感謝の言葉も口にしている。 ▽悩み抜いた決断の先で掴み取った新天地での主力としての居場所――。梅崎にとって、“湘南スタイル”というオンリーワンの戦いを確立するチームの中で唯一無二の男としてより価値を高めた、そんなルヴァンカップ決勝だった。だが、歩みを止めることはない。「チームメイトと共にもっと湘南をより良くしていきたい」から。そして、湘南の背番号「7」がもっと似合う選手になるために。 《超ワールドサッカー編集部・玉田裕太》 2018.10.29 12:55 Mon
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問題が山積みしている…/原ゆみこのマドリッド

▽「勝ったからって安泰でもないようだし」そんな風に私が首を捻っていたのは金曜日、お昼のスポーツニュースで相変わらず、レアル・マドリーのロペテギ監督の進退をあれこれ議論しているのを見た時のことでした。いやあ、たとえ日曜のクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)で大敗し、即座に解任されたとて、後継の有力候補に挙がっているコンテ監督が来週水曜のコパ・デル・レイ32強対決1stレグ、モロッコにあるスペインの飛び地領であるメリージャ(2部B)戦の指揮を執るために駆けつけるとは思えないんですけどね。当面はRMカスティージャ(マドリーのBチーム)を率いるソラリを暫定監督に据え、時間を稼ぐような気もしますが、微妙なのは僅差で勝負がついたり、引き分けだったりした場合。 ▽選手たちの支持もあって、その時はロペテギ監督続投が1試合、1試合、この先も問われることになるはずですが、とりあえず、彼にとって、最初のマッチボールとなった今週火曜のCLビクトリア・プルゼニ戦がどうだったか、簡単にお伝えしておくことにすると。先週末にはレバンテに1-2と負けていたマドリーでしたが、この日の相手はグループ中最弱と言われるチェコのチーム。おかげでキックオフ前の記者席も「5点ぐらいは取るだろう」といった楽観的な見方が支配していたんですが、いやいや、とんでもない。前半11分と早い時間に右SBに入ったルーカス・バスケスのクロスから、ベンゼマのヘッドで先制点こそ奪ったものの、追加点がなかなか生まれないんですよ。 プルゼニ戦、キックオフ前は誰もがゴールラッシュを期待していた ▽それでも後半10分、直前にイスコに代わって、マドリーデビューを果たした20才のカンテラーノ(RMカスティージャ出身の選手)、バルベルデが起爆剤となり、敵数人を抜いてエリア内にボールを送ると、それをベイルがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)でマルセロに繋ぎ、レバンテ戦に続く彼の2試合連続ゴールでようやく2点目が入ったんですが…まさか33分、本来はアタッカーであるルーカス・バスケスの裏をプルゼニに突かれてしまうとは!ナチョ、セルヒオ・ラモスの両CBも反応が遅れ、フロソフスキにエリア前からシュートを決められているんですから、ビックリしたの何のって。 CL戦にはドイツ人の記者が来るため、クロースも足を止める▽うーん、これには後でクロースも「3点目、4点目を取って、もっと前に勝負をつけておかないといけなかった」と反省していましたけどね。ここ5試合、白星がないマドリーでしたから、1点差に迫られて、スタンドもかなりナーバスになったのはもちろん、そこへ残り2分でベンゼマに代わってマリアーノが入った後、そのすぐ前の接触プレーで打撲を受け、一旦は大丈夫と言っていたマルセロがプレー続行不可になるなんてこと、あっていい? ▽でも、大丈夫。後でブルバ監督も「あれだけの絶好機をムダにしてゴールを入れることができなかった」と嘆いていたように、せっかく作ったチャンスをプルゼニが利用できなかったこともあり、そのままマドリーは2-1で久々に勝利、同日、CSKAモスクワに勝ったローマと共に勝ち点6でグループ2位となったのは良かったかと。ただ、この日は「Se priorizo conseguir los tres puntos que rompian una racha/セ・プリオリソ・コンセギール・ロス・トレス・プントス・ケ・ロンピアン・ウナ・ラチャ(悪い流れを変えるため、勝ち点3を獲得することを優先した)」というロペテギ監督でしたが、良くも悪くもマドリーは特別なクラブ。 ミックスゾーンではマルセロが記者と揉めていた ▽以前、1-0で試合には勝ったにも関わらず、いいプレーをしていないという理由で解任された監督もいましたし、プルゼニ相手にこれ程、苦戦するとなると、決して彼の責任ばかりではないとしても先行きは厳しそう。いえ、だからって、試合後ミックスゾーンに出て来たマルセロが「勝てない時は辛いけど、クライシスと言って騒ぐのは君たちマスコミ。Todos los periodistas intentais hacer dano, igual es envidia porque no sabeis jugar al futbol/トードス・ロス・ペリオディスタス・インテンタイス・アセール・ダーニョ、イグアル・エス・エンビディア・ポルケ・ノー・サベイス・フガール・アル・フトボル(記者は皆、ウチを傷つけようとしている。サッカーができなくて、羨んでいるのかもしれないけどさ)」と挑発して、ラジオのレポーターたちと揉めていいってことはないんですけどね。 ▽何せ、日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、カンプ・ノウで挑む首位のバルサは前腕骨折でメッシを欠きながら、水曜のCLインテル・ミラン戦でラフィーナ、ジョルディ・アルバのゴールで危なげなく2-0の勝利を挙げていますからね。おまけに金曜には彼らのお隣さん、エスパニョールがバジャドリーと1-1で分けたことにより、同じ勝ち点の2位となったとなれば、彼らだって黙っていられないでしょうし、このエース不在という最高の状況を利用できるかはかなり疑問の残るところかと。 ▽一方、マドリーにとっての朗報はふくらはぎを痛めているカルバハルはまだですが、プルゼニ戦で打撲したマルセロが木曜には回復、出場に問題がなさそうなことと、日曜のRMカスティージャの2部Bのリーガ戦、セルタBとの試合で退場させられたビニシウスの2枚目のイエローカードが上訴委員会で取り消され、プレーが可能になったこと。まあ、4500ユーロ(約58億円)を出して獲得した18才のブラジル人FWの起用に関しては、ロペテギ監督があまり積極的ではないため、ベンチに入るのかどうか、まだわからないんですけどね。どんなにチームの状態が悪くてもサプライズな結果が生まれるのがクラシコ、現在の勝ち点4差が7に開き、また根性のremonatada(レモンターダ/逆転優勝)の掛け声が上がるのもうっとおしいですし、私もここは選手たちの意地に期待しています。 ▽え、もちろんマドリーの低調ぶりも気になるけど、お隣さんなど、水曜のCL戦でそれどころではない惨状を露呈してなかったかって?いやあ、その通りで、試合前には今季、バルサからレンタル移籍してゴールを量産、TVに出まくっていたパコ・アルカセルもケガから回復せず、マルカ(スポーツ紙)にインタビューが載っていた香川真司選手もベンチ入りしなかったそのドルトムント戦、国際見本市と重なって現地に宿が取れずに、ドゥッセルドルフから2時間近くかけてジグナル・インドゥナ・パルク入りしたことや、前夜、ホテルの前でアトレティコのウルトラ(過激なファン)のグループがbengala(ベンガラ/発煙筒)を炊き、火災警報機が鳴って安眠を妨害されたなんて逆境はあったんですけどね。 ▽実際はとてもその位では言い訳できないひどい有様で、いえ、前半序盤は押していましたし、失点もまだ、自陣に引き始めていた38分、ビッツェルのエリア外からのシュートがリュカに当たって軌道が変わって入ったものだけだったんですけどね。後半頭からはトマスに代え、ロドリを投入したおかげか、サウールがバーに当たるシュートを含め、1人気を吐いていたんですが、シメオネ監督がその彼を15分にはコレアに代えてしまったのには首を傾げるばかり。真の悲劇が始まったのはそれからで28分にはマドリーからレンタル移籍中のアクラフが左サイドを激走、そのクロスをゲレイロが決め、追加点を挙げると38分にも再び、サンチョにアシストして3点差に。 ▽そのドルトムントの速攻サッカーはまさに、「Fue practico, dinamico, entendio que la posesion es la verticalidad y no la tenencia inutil de la pelota/フエ・プラクティコ、ディナミコ、エネンディオ・ケ・ラ・ポセシオン・エス・ラ・ベルティカリダド・イ・ノー・ラ・テネンシア・インウティル(実際的でダイナミック、ポゼッションは縦に攻撃するためのもので、無意味に持っていることではない)」とシメオネ監督も褒めていた通り、いい時のアトレティコの持ち味でもあるんですけどね。後半は妙に外縁でトロトロ、パスを回していることが多かった彼らを見て、W杯のスペイン代表を連想したのは私だけだった? ▽ロドリのベンチスタートにして、よく大事なところでパスミスをするトマスを先発させたのもグリーズマン、ジエゴ・コスタのゴール日照りを勘案、その欠点を我慢してでも攻撃力を上げたかったのかと好意的に解釈しようとしましたが…いくら3-0でもう勝負がついていたとしても残り1分、フィリペ・ルイスが自陣エリア前でゲレイロにパスを贈るに至ってはもう、完全に理解不能。そのシュートも決まり、とうとう4-0というシメオネ監督の就任以来、最悪のスコアで負けてしまったアトレティコでしたが、それでも当人は「Tengo que sostener a estos grandes futbolistas, sabemos cual es el camino/テンゴ・ケ・ソステネール・ア・エストス・グランデス・フトボリスアス、サベモス・・クアル・エス・エル・カミーノ(自分はこの偉大なサッカー選手たちを支えないといけないし、進むべき道はわかっている)」と強気だったんですけどね。 ▽とりわけこの8年間、恐怖のザル状態から、守備の堅いチームという評判を築くベースとなったゴディン、フアンフラン、フィリペ・ルイスが30才を越え、衰えも出て来たことと、アル・サッドへ行ってしまったカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)の先輩、ガビの代わりに練習ではいつも先頭に立っているコケも空回り。そこへ2人のエースも得点してくれないとなると、それこそ去年、カラバフ(アゼルバイジャン)戦の2引き分けが致命的となり、CLグループリーグを3位敗退した悪夢が蘇ってくるようですが、幸いながらその日はモナコとクラブ・ブルージュがドローだったため、当面、アトレティコの2位は揺るぎそうにないのは不幸中の幸いだったかと。 ▽そんな彼らはこの週末、土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からレアル・ソシエダ戦なんですが、この試合ではフアンフランが累積警告で出場停止。ビジャレアル戦で再度、ケガをしたヒメネスもお休みです。相手方での注目は4試合の出場停止が明けて、古巣を訪問し、リュカと兄弟対決となるテオなんですが、というのも彼は兄と一緒でカンテラ(アトレティコのユースチーム)育ちになのに昨年の夏、宿敵マドリーに移籍。今季はレンタルでソシエダに移り、初めてワンダのピッチを踏むからですが、あまりファンのpito(ピト/ブーイング)が大きくならないよう、プレーは控えめにしておいた方がいいかと。 ▽そしてアトレティコと同じ水曜、延期されていたリーガ3節のアスレティック戦を行い、1-1と引き分けた弟分のラージョは忙しなくも土曜午後1時にジローナとのアウェイ戦、レガネスも午後6時30分からレバンテに挑むんですが、どちらのチームもまずは降格圏からの脱出が目標になります。今のところ、残留ラインの17位アスレティックとの差は19位のラージョでも勝ち点3だけなので、距離ができる前に何とかできるといいのですが、こればっかりはねえ。 ▽もう1つの弟分、10位と穏やかな位置にいるヘタフェは日曜正午から、ベティスをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えるんですが、相手は木曜のヨーロッパリーグで名門ミランをサン・シーロで1-2と破り、士気が上がってそうなのが辛いところ。ローテーションでその試合には出場しなかった乾貴士選手は見られそうですが、柴崎岳選手がボルダラス監督の招集リストに入るかどうかは当日までわかりません。そんな調子でまたリーガ三昧の週末が来ますが、いよいよ来週は1部チームが参加するコパ・デル・レイ32強対決もスタート。火曜にブタルケで再びミニダービーとなるレガネスとラージョ、水曜に2部のコルドバのホームを訪れるヘタフェと、ミッドウィークの試合に慣れない彼らにとっては大変ですが、ここまであまりプレーしていない選手たちにはいい、アピールのチャンスになるはずですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.10.27 23:00 Sat
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覚醒の“大学No.1ストライカー”仲川輝人、大学時代に誓った恩返しを今/編集部コラム

▽横浜F・マリノスは27日、YBCルヴァンカップ決勝で17年ぶり2度目の優勝を懸けて湘南ベルマーレ戦に挑む。その舞台に“有言実行”に燃え滾る一人のストライカーがいる。それはプロ4年目を迎えるFW仲川輝人だ。 ◆大学No.1ストライカーを襲った選手生命危機の大ケガ ▽今でこそ横浜FMに欠かせない右翼として君臨する仲川だが、これまでのキャリアは苦難の連続。遡れば4年前、当時黄金期を迎えていた専修大学で50m5秒台の快速を武器に得点を量産していた仲川は“大学No.1ストライカー”として大学サッカー界のトップを走り続けていた。しかし、シーズン終盤の2014年10月19日、関東大学リーグ第18節の駒澤大学戦で右ヒザの前十字じん帯と内側側副じん帯断裂、右ヒザ半月板損傷の大ケガ。順風満帆な大学生活を送っていた仲川に選手生命さえも危ぶまれる重傷が襲った。 ▽順風満帆なキャリアから一転してプロ入り断念の危機に。それでも28日、横浜FM加入内定が発表された。 「まずはケガを治して、少しでもマリノスに恩返しができるように一生懸命プレーしたい」 ▽11月16日、専修大学が4連覇の快挙を成し遂げた関東大学リーグ最終節の順天堂大学戦で、仲川はこの誓いを残してケガを抱えたままプロの世界へと足を踏み入れた。 ◆長期間のリハビリ、2年間の武者修行(c)J.LEAGUE PHOTOS▽約10カ月間のリハビリ生活を経て、ようやくプレーできる状態にまで回復した仲川。しかし、2015年10月11日の天皇杯2回戦のMIOびわこ戦で待望のプロデビュー後、負傷により再び右ヒザを手術。ルーキーイヤーは公式戦3試合にとどまった。 ▽復活を目指した新シーズンからもJ1クラブの高い壁に苦しめられる。リーグ戦での出場機会に恵まれず、プロ2年目にはJ2のFC町田ゼルビア、3年目にはJ2のアビスパ福岡にシーズン途中から武者修行へ。福岡ではノーゴールに終わるも、J2リーグ18試合出場に加え、J1昇格プレーオフ準決勝と決勝という緊張感ある舞台を戦うなど、着々と経験値を積み上げた。 ◆掴んだ転機、横浜FMに不可欠の右翼に ▽そして迎えた今シーズン、仲川はプロ4年目にしてついに横浜FMでの居場所を見つける。チームは新たに招へいしたアンジェ・ポステコグルー監督の下、伝統の堅守ベースのサッカーからアタッキングボールへと転換。フラットな状態からの競争に序盤こそベンチに入ることもままならなかった。それでも今シーズン初先発を飾った4月18日のYBCルヴァンカップ・グループA第4節FC東京戦でアシスト含めキレのあるプレーを印象付けると、21日の明治安田生命J1リーグ第9節湘南ベルマーレ戦で今シーズンリーグ戦初出場を勝ち取る。 ▽その後、仲川は第10節の北海道コンサドーレ札幌戦で横浜FM入団後初のリーグ戦先発、第11節の鹿島アントラーズ戦ではアシストを記録し、徐々に主力の座へと接近。迎えた5月2日の第12節ジュビロ磐田戦、72分にクロスの流れ球に爆発的なスピードで相手より先に触ると、PKを獲得。キッカーを務めたウーゴ・ヴィエイラのシュートはGKに弾かれたが、このボールにもいち早く反応して右足でゴールに叩き込んだ。横浜FM入団後のJ1初ゴール。これを機に仲川は横浜FMの右翼としてアタッキングフットボールに欠かせない存在へと上り詰めていった。 ◆覚醒、ルヴァンの主役に…そして恩返しへ(c)J.LEAGUE PHOTOS▽そして今、仲川は覚醒した。9月に行われたガンバ大阪戦とのYBCルヴァンカップ準々決勝(2戦合計スコア:7-1)では、2ゴール3アシストの大活躍。第1戦を2-1で勝利して迎えた10月14日の鹿島アントラーズとの準決勝第2戦では、2-2で引き分けるも、決勝へ導くゴールを奪った。 ▽その勢いは並行するリーグ戦でも。9月29日の第28節ベガルタ仙台戦で月間ベストゴールに選出されたドリブル独走弾含む2発を決めると、10月5日の第29節札幌戦、20日の第30節G大阪戦で1点ずつ奪い、3試合連続ゴールを記録した。 ▽公式戦直近9試合7ゴール3アシスト。大学時代の大ケガを乗り越え、苦しい時期を乗り越えたハマのスピードスターが、来る27日のYBCルヴァンカップ決勝という栄光の舞台に最高の状態で立つ。 ▽大学No.1ストライカーと謳われながら選手生命も脅かす大ケガを負った仲川。そんな選手を獲得するのはリスクが大きかったはず。それでも4年前、横浜FMは仲川を獲得。もしあの当時、横浜FMが入団内定を見送っていれば、今の仲川はなかったかもしれない。大学時代に誓った「マリノスへの恩返し」。それを果たす時がきた。《超ワールドサッカー編集部・長尾優輝》 2018.10.26 23:00 Fri
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どんだけ大変なのか今年のJリーグは日程で検証!? の巻/倉井史也のJリーグ

▽鹿島、すげぇよ、すげぇ。最後にかわすのは鹿島らしいっちゃあ鹿島らしい。2試合で5失点ってのは鹿島らしくないけど。で、今後の鹿島の活躍次第では、天皇杯やJ1参入プレーオフの日程が変わってくるから気を付けましょう。つーか鹿島よ、どんどん変えちゃってくれ!! ▽で、日程も複雑になるかもしれないんだけど、ここに来て混迷を極めているのが残留争いとACL出場権争い。だって、5チームが消化試合数が違うんですよ。ってことで、ここで一度日程を整理しておきましょ。 ◆3位 FC東京 勝点46 11/03 横浜FM(A) 11/10 磐 田(H) 11/24 川 崎(H) 12/01 浦 和(A) ◆4位 鹿 島 勝点46 10/31 C大阪(H) 11/03 ペルセポリス(H) 11/06 柏 (A) 11/10 ペルセポリス(A) 11/21 甲 府(A) 11/24 仙 台(A) 12/01 鳥 栖(H) ◆5位 浦 和 勝点45 11/03 G大阪(H) 11/10 札 幌(A) 11/24 湘 南(A) 12/01 FC東京(H) ◆6位 札 幌 勝点45 10/28 名古屋(A) 11/04 仙 台(H) 11/10 浦 和(H) 11/24 磐 田(A) 12/01 広 島(H) ◆7位 C大阪 勝点44 10/31 鹿 島(A) 11/06 名古屋(H) 11/10 川 崎(H) 11/24 柏 (H) 12/01 横浜FM(A) ~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~ ◆11位 横浜FM 勝点38 10/27 湘 南(C) 11/03 FC東京(H) 11/10 長 崎(A) 11/24 鳥 栖(A) 12/01 C大阪(H) ◆12位 神 戸 勝点37 11/03 名古屋(A) 11/10 鳥 栖(H) 11/24 清 水(A) 12/01 仙 台(H) ◆13位 湘 南 勝点36 10/27 横浜FM(C) 10/30 磐 田(A) 11/02 清 水(H) 11/10 G大阪(A) 11/24 浦 和(H) 12/01 名古屋(A) ◆14位 名古屋 勝点34 10/28 札 幌(H) 11/06 神戸(H) 11/06 C大阪(A) 11/10 清 水(A) 11/24 広 島(A) 12/01 湘 南(H) ◆15位 磐 田 勝点34 10/30 湘 南(H) 11/03 広 島(H) 11/10 FC東京(A) 11/24 札 幌(H) 12/01 川 崎(A) ◆16位 鳥 栖 勝点33 11/04 長 崎(H) 11/10 神 戸(A) 11/24 横浜FM(H) 12/01 鹿 島(A) ◆17位 柏 勝点33 11/03 川 崎(A) 11/06 鹿 島(H) 11/24 C大阪(A) 12/01 G大阪(H) ◆18位 長 崎 勝点29 11/04 鳥 栖(A) 11/10 横浜FM(H) 11/24 G大阪(A) 12/01 清 水(H) ▽こうしてみると、何気に浦和、なかなかいいカード残ってませんか? 磐田、結構大変です。で、何度も言いますけど、鹿島、がんばれ~!! もうこの際、柏戦を延期してあげて~って感じです。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.10.26 12:45 Fri
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あまりに変則日程の今年の天皇杯/六川亨の日本サッカー見聞録

▽昨夜は韓国・水原で熱い戦いがあった。ACLの準決勝に進出している鹿島が第2戦を敵地で戦った。ホームの第1戦は水原に2点を先行されながら、後半の猛反撃からアディショナルタイムに内田篤人が決勝点を奪い3-2の大逆転勝利。このため敵地での第2戦はドロー以上で決勝戦に進出できる。 ▽しかし1点を先取しながら後半立て続けの失点で1-3と逆転を許す。ところが、ここから鹿島の反撃が始まった。まず後半19分に西大伍が、37分にはセルジーニョがゴールを決めて3-3の同点に追いつく。試合はこのまま終了し、鹿島が1勝1分けで水原を下して初の決勝戦進出を果たした。 ▽決勝戦は11月3日と10日で、対戦相手はイランのペルセポリス。第1戦は鹿島のホームだけに、まずはしっかり勝点3を手にしてアウェーに臨みたいものだ。 ▽といったところで本題に入ろう。「やはり無理なのかな」と思ったのが天皇杯である。チームのファン・サポーターでなければ、昨夜、天皇杯の準々決勝3試合が行われたことを知っているサッカーファンはどれだけいただろうか。かろうじてNHK-BS1で川崎F対山形戦が中継されたため、新聞の番組欄を見て気づいたファンもいたかもしれない。そんなレベルではないだろうか。 ▽観衆は、川崎F対山形戦が5356人、浦和対鳥栖戦が7867人、そして磐田対仙台戦が4068人だった。平日・水曜のナイターと言ってしまえばそれまでだが、なんとも寂しい数字である。 ▽そもそもの原因は、例年1月1日に決勝戦を行ってきた同大会が、来年は1月にUAEでアジア杯が開催される。このため大会そのものを前倒しして、1回戦を5月26、27日の土日曜にスタート。しかしJ1、J2勢の登場する2回戦から準々決勝までは水曜に試合が組まれた。 ▽元々今年はW杯イヤーのためJ1リーグは過密日程だ。さらに大雨の影響で中止となった試合があり、それのリスケジュールでJリーグも苦労した。加えて鹿島がACLで勝ち進むことによって、3回戦以降の日程は変則の繰り返しだった。 ▽そして、現在のところ準決勝(仙台対山形、浦和対鹿島と甲府の勝者)は12月16日(日)、決勝は12月24日(祝日)の予定だが、鹿島がACL決勝(11月3日と10日)で優勝し、なおかつ11月21日の天皇杯準々決勝の甲府戦で勝った場合は、準決勝を12月5日(水)、決勝を9日(日)に前倒しする。 ▽その理由は、12月12日からUAEで開催されるFIFAクラブW杯に鹿島が出場するからだ。そうしたメールがJFA(日本サッカー協会)から届いたのは昨夜の21時過ぎ。リリースを読んだから変更の可能性を理解できたが、一般のファン・サポーターにはどこまで認知されているのだろう。 ▽たび重なる日程の変更には、それなりの理由があるので理解できる。日程を調整している担当者も苦労したことだろう。だからこそ、JFAはテレビなどで天皇杯の試合があることを、数日前から告知する努力をするべきではないだろうか。 ▽DAZNは民放でJリーグの宣伝をしている。NHKが民放にコマーシャルを出すことはないだろうから、ここはやはりJFAが天皇杯の露出アップに努めるべきだ。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.10.25 13:30 Thu
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アンダーシャツに別れを告げ、復活の予兆を見せるバークリー/編集部コラム

▽チェルシーに所属するイングランド代表MFロス・バークリー。2018年1月に育ったクラブであるエバートンからチェルシーへと移籍したイングランド期待の選手だ。 ▽若い頃からイングランド代表にも呼ばれ、その才能には大きな期待が寄せられている。中盤でプレーするバークリーは、スピード、パワーに優れている一方で、テクニックにも秀でており、かつてエバートンで指揮をしたロベルト・マルティネス監督(現ベルギー代表監督)は、「元イングランド代表のポール・ガスコイン氏と元ドイツ代表のミヒャエル・バラック氏を合わせた選手」と表現したほどだ。 ▽スティーブン・ジェラード、フランク・ランパードといった中盤の名手がピッチを去った中、次世代の中心選手として期待もされていたバークリー。しかし、今夏のロシア・ワールドカップでベスト4に輝いたメンバーには選ばれず、悔しい思いをしたことだろう。 ▽今シーズンは、心機一転チェルシーでの日々を過ごしているバークリーだが、環境面やプレー面以外にも大きな変化があった。それは、長年愛用していた”アンダーシャツ”を脱いだことだ。 Getty Images▽バークリーは、エバートン時代に全ての試合でアンダーシャツを着用。イングランド代表でもアンダーシャツを着用しており、トレーニングでもその腕を晒すことはほとんどなかった。それには季節も関係なく、夏場であっても半袖のユニフォームの下にアンダーシャツを着用。イングランド代表では、左腕だけ長袖にしていることもあった。 ▽バークリーがアンダーシャツを愛用していた理由。それは、左腕に入れた“タトゥー”だ。バークリーの左腕には、多くのタトゥーが入っており、最も大きく入っていたタトゥーは、自身がエバートンでデビューした2011年8月20日のQPR戦の日付。しかし、バークリーは自ら入れたタトゥーを恥ずかしく思い、アンダーシャツを着るようになった。 「若い頃にタトゥーを入れた。若い時、愚かなことをしたとしても、それについては考えていないんだ」 「でも、僕はあまりにも早くしてしまった。何年もの間、僕はそれを取り除こうと思っていた。そして2、3年が経過した」 Getty Images▽サッカー界でタトゥーを入れている選手は数知れず。バルセロナのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシなど、トップレベルの選手でも大きなタトゥーを入れている。バークリーは、自身のタトゥーについてイギリス『タイムズ』で語り、自身の腕に入れたタトゥーを消した理由を語った。 「僕が最初にタトゥーを入れたのは、14歳の時だった。若かったね。僕は大柄だったので、当時の年齢を誰も質問してこなかったんだ。そして、数年前から消し始めたんだ」 ▽イギリスの法律では、未成年はタトゥーを入れられないことになっており、イングランドの場合は18歳が成人となる。バークリーは14歳で入れており、まさに“若気の至り”だったのだろう。そのほとんどを除去したバークリーは、今シーズンは腕を出してプレーしている。もう、恥ずかしさはなくなった。 Getty Images▽長年連れ添ったアンダーシャツから解き放たれたバークリー。その影響がどこまであるのかは分からないが、マウリツィオ・サッリ監督を招へいした新チームでは、途中出場を含めプレミアリーグで9試合中8試合に出場。さらに、20日に行われたマンチェスター・ユナイテッド戦では、終了間際に貴重な同点ゴールを記録しチームに勝ち点をもたらせた。2試合連続ゴールと、徐々に輝きを取り戻している。 ▽また、ケガの影響も含め、1年半遠ざかっていたイングランド代表にもこの10月に復帰。UEFAネーションズリーグでは、クロアチア代表戦、スペイン代表戦と2試合連続で先発出場した。 ▽24歳と、まだこの先のキャリアが長いバークリー。結果を残したい大事なシーズンだが、心身ともにリスタートを切れている。ガレス・サウスゲイト監督の下で復活を遂げつつあるイングランド代表、そしてプレミアリーグの覇権奪還を目指すチェルシーにとっても、バークリーの復活は必要不可欠だろう。 「僕は別のものを入れる可能性は除外しない。子供を授かる時、それに合わせて入れる可能性もあるよ」 ▽様々な面で挫折や後悔をし、それを乗り越えられた一部の選手がトップに君臨する。過去の過ちを清算し、生まれ変わったバークリー。後悔で終わらず、反省し、ポジティブに考えるメンタリティを見れば、今シーズン復活する可能性は高いだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.10.23 18:00 Tue
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いつ立ち直るんだろうか…/原ゆみこのマドリッド

▽「もう、そういう時代なんだ」そんな風に私が感じていたのは月曜日、マルカ(スポーツ紙)の行った次期レアル・マドリー監督に誰がいいかというアンケートでグティが41%。ダントツ1位になっているのを見た時のことでした。加えて、2位は18%でコンテ監督でしたが、12%の3位でソラーリRMカスティージャ(マドリーのBチーム)監督の名も。まあ確かにジダン前監督からして、あの懐かしきギャラクティコ時代にマドリーでプレーした選手。当時の同僚だったベッカムやロナウドはクラブ経営に乗り出し、ラウールも今年からユースチームの監督を務めているとなれば、票を投じた10万人のファンがその世代に指導者として、5試合連続で白星がない上、レバンテに負け、2009年以来の3連敗となってしまった不調のチームを救ってもらいたいと望む気持ちもわからないではない? ▽いえ、実際のところ、マドリー監督は人気投票で決まる訳ではありませんし、サンティアゴ・ベルナベウのミックスゾーンでAS(スポーツ紙)の顔見知りの番記者に訊いたところ、「ソラーリ?ダメダメ、2部Bのカステシージャを2年率いて、昇格プレーオフにも行っていないんだから。グティ(昨季マドリーのフベニルAを率いて、現在はベシクタシュでアシスタントコーチ)なら、喜んでトルコから来るかもしれないけど」と何か、ネガティブな反応でしたけどね。どちらにしろ「新監督がクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)で躓いて、デビューからミソをつけたら大変だから、それまではロペテギ監督のままだろう」とのこと。 ▽まあ、他のマスコの報道も大体、似た感じでしたが、加えて、この火曜のCLビクトリア・プルゼニ戦でも勝てなかったら、直ちにソラーリが暫定監督就任とか、クラシコで勝利してもロペテギ監督解任はもう決定しているなんて話も週明けには出ているんですが、チームが勝てない原因は決して監督だけのせいではありませんからね。期待通りの働きをしていない選手が複数いるだけでなく、イスコなどCL前日記者会見で「No podemos estar llorando por alguien que no ha querido estar aquí/ノー・ポデモス・エスタル・ジョランドー・ポル・アルギエン・ケ・ノー・ア・ケリードー・エスタル・アキー(ここにいたくなかった誰かのためにボクらは泣いている訳にはいかない)」と言っていたものの、クリスティアーノ・ロナウドのユベントス移籍に伴い、失った年間50ゴールを埋める大型補強がこの夏、なされなかったのは厳然たる事実。 ▽それだけにペレス会長の責任を問う声も世間では大きいんですが、まあ、とりあえず、先週末のリーガがどうだったか、お話ししていかないと。土曜はマドリーが珍しく、お昼の試合でマドリッド勢の先陣を切ったんですが、相手がレバンテだったことと、おそらくケガから復帰したばかりということを考えて、ロペテギ監督はベイルとベンゼマをベンチに置いてスタート。それは別にいいんですが、まさか開始6分、ポスティゴの自陣からのロングボールをヴァランがクリアできず、好調モラレスにGKクルトワが破られてしまうなんてあっていい? ▽おまけに13分には再びヴァランがミスを犯し、ええ、今度はロジェールの蹴ったボールを腕に当ててハンドを取られたんですが、最初はFKだった判定がVAR(ビデオ審判)により、エリア内でのファールとされ、PKになってしまったのが運の尽き。ロジェールのシュートが決まり、15分になる前にレバンテが2点もリードしていたから、驚いたの何のって。 ▽だって、私も丁度、代表戦週間前のヘタフェ戦で見ていたレバンテですよ。あの時はバルディの直接FKが決まって、0-1で勝ったものの、それ以外、ほとんどチャンスらしいものもなかったのに、この日は何度もマドリーの隙を突いてのカウンターが成功。43分にもロチーナがゴールを挙げ、このスランプの始まったセビージャ戦同様、前半で3失点では赤っ恥もいいところと思いきや、大丈夫。オフサイドで得点が認められたかったため、0-2のまま、後半を迎えることになります。 ▽え、後半頭からベイル、15分にはベンゼマとセバージョスを投入して反撃したものの、結局、ゴールは26分、ベンゼマの折り返しをマルセロが決め、無得点記録をクラブ史歴代2位の481分で止めただけ。最後は1-2で敗戦してしまったマドリーだけど、ツキに恵まれない面もあったんじゃないかって? そうですね、前半はアセンシオ、後半もマリアーノのゴールがVARにより、オフサイドを取られてスコアに上がらなかったですし、「Disparamos 34 veces a porteria, 14 entre los tres palos/ディスパラモス・トレインタイクアトロ・ベセス・ア・ポルテリア、カトルセ・エントレ・トレス・パロス(ウチは34回シュートして、うち14回が枠内)。相手はたった2度撃っただけでゴールになった」とロペテギ監督が嘆いていた通りではあったんですが、とはいえ、レバンテの選手たちとの質の差は誰が見ても明らか。 ▽そう、殊勲のパコ・ロペス監督ですら、「El talento tenia limite pero lo que no tiene limite es el sacrificio y el esfuerzo/エル・タレントー・テニア・リミテ・ペロ・ロ・ケ・ノー・ティエネ・リミテ・エス・エル・サクリフィシオ・イ・エル・エスフエルソ(才能には限りがあるが、献身と努力には限りがない)」と試合前、選手たちに言っていたぐらいですからね。2015年にグラナダ(現在は2部)のGKとしてベルナベウでプレーしたオイエルなど、その時、9失点という悪夢を経験。おそらくそのリベンジもあったんでしょうか、この日はその試合にも来てくれた友人たちを招待、セーブを連発して、チームが1点差で逃げ切るのに貢献していましたが、でもねえ。 ▽ゴールが入るか入らないかが、これ程、ツキに左右されるんでしたら、月曜のバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場での記者会見では、「Si pretendéis ver a un entrenador hundido no miréis aquí/シー・プレテンデイス・ベル・ア・ウン・エントレナドール・ウンディードー・ノー・ミレイス・アキー(落ち込んでいる監督を見たいのなら、ここは見ないことだ)」と強気だったロペテギ監督も火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのビクトリア・プルゼニ戦ではまず、失点しないことを先に考えた方がいいかと。ちなみにその試合、やはり相手の知名度が低いせいか、CLでありながら、まだチケットが相当、売れ残っているよう。夜はちょっと寒くなって、もうジャケットが必要なマドリッドですが、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が見られるかどうかは保証できないものの、丁度、観光に来ている方など、時間が合えば、観戦してみるのも楽しいかもしれませんよ。 ▽そして同日、次の午後4時15分からの時間帯では弟分のレガネスがメスタジャでバレンシアと対戦したんですが、せっかくVARのおかげでガライがオスカル・ロドリゲスを後ろから蹴ったのが発覚。グンバウがPKを決めて後半17分に先制したものの、終盤にガヤのシュートがフアンフランに当たってゴールとなり、最後は1-1で引き分けることに。降格圏にいるレガネスですから、勝ち点3が取れなかったのは残念ですが、相手は今季、まだホームで未勝利とはいえ、CLに出ているチームですからね。今週土曜には再び、同じ街にあるシュタット・デ・バレンシアでレバンテ戦があるため、そちらで頑張ってほしいところです。 ▽え、それで3位だったアトレティコは首位になれたのかって? はい、なれましたよ、たった15分間だけでしたけどね。レガネス戦に続いて始まった午後6時30分からの試合は私も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行って見たんですが、用心深いシメオネ監督はここ3年間、エスタディオ・デ・ラ・セラミカで負けているというデータを重視。今季のビジャレアルは不調であるにも関わらず、コケ、サウール、トマス、ロドリのcuatrivote(クアトリボテ/4人ボランチのこと)を採用することに。おかげで前半は失点しなかったんですが、同時に得点に繋がるようなプレーもなかったため、後半頭からロドリとカリニッチを下げ、レマルとコレアを投入したところ…。 ▽その作戦が功を奏したのかどうか、後半6分の先制点はグリーズマンのFKをフネス・モリがクリアしようとしてボールが枠に弾かれて戻り、フィリペ・ルイスが「Siempre pensaba en marcar un tanto de cabeza antes de retirarme del futbol/シエンプレ・ペンサバ・エン・マルカル・ウン・タント・デ・カベッサ・アンテス・デ・レティラールメ・デル・フトボル(いつもサッカーを引退する前には頭でゴールを入れてやろうと考えていた)」というヘッドで初めて決めたものだったので、はっきりわからないんですけどね。ロドリを下げた効果は日を見るよりも明らかだったかと。 ▽ええ、トーマスのボールロストでジェラールがGKオブラクに1対1で迫り、paradon(パラドン/スーパーセーブ)を余儀なくされたからですが、更に悪いことに20分にはエリア内の混戦でジャウメ・コスタのシュートがペドラツァに当たり、マリオ・ガスパールの前にこぼれ球が行くまでアトレティコの選手たちは呑気に傍観。彼が撃ったシュートがフィリペ・ルイスに当たって軌道が変わり、1点を返されてしまうって、もし私がオブラクだったら、きっと泣いてしまったかも。 ▽でも世間から世界一のGKと称えられながら、UEFAにもFIFAにもベストGK最終候補に入れてもらえなかった彼はこんなことでは心が折れたりはせず。「A raiz del gol hemos dado un pasito atras, nos han metido atras/ア・ライス・デル・ゴル・エモス・ダードー・ウン・パシート・アトラス、ノス・アン・メティードー・アトラス(リードしてから、ボクらは1歩下がってしまった。下がらされてしまった)」(コケ)という、いつもの悪い癖が原因で始まったビジャレアルの攻勢から、最後の砦として、チームを守ってくれたんですよ。28分にはまたしてもジェラールとの1対1を防ぎ、その1分後には倒れながら、1人、ゴールに向かってきたバッカの足元からボールを押し出すという妙技を披露してくれるんですから、救世主とはまさにこのこと? ▽いくらアトレティコにも終盤、レマルが至近距離でヘッドを外すというチャンスがあったとはいえ、オブラクのおかげで1-1の引き分けで終われたと言っていい試合でしたが、シメオネ監督は首位に立てたのがリードしていた15分間だけだったにも関わらず、満足だったよう。ええ、当人も「El punto es importante, ante un rival dificil y la Liga es barbara/エル・プントー・エス・インポルタンテ、アテ・ウン・リバル・ディフィシル・イ・ラ・リーガ・エス・バルバラ(手強いライバル相手に勝ち点1は重要だし、物凄いリーガだ)。自分がスペインに来てから、メッシとロナウドが優勝を決めていたのに、全てのチームが競っている」と言っていましたしね。 ▽うーん、その後、セビージャ戦でメッシが前腕の骨を折って退場するまでに2点に絡み、最後はバルサが4-2で勝って首位に戻ったのはともかく、日曜の結果などで最後はアトレティコがアラベスやエスパニョールにまで先を越され、5位になってしまったのは計算外でしたけどね。バルサとはたったの勝ち点差2ですし、4差の7位に落ち、敵のエースが全治3週間で欠場する最高のチャンスにカンプ・ノウに乗り込みながら、勝っても次節で順位を逆転できないお隣さんよりはずっとましだったかと。そんなアトレティコは水曜午後9時からのCLドルトムント戦に備え、日曜から練習を再開。火曜にはドイツに向かうものの、現地で国際見本市が開催中のため、ドルトムントに宿が取れず、今回はデュッセルドルフに泊まるそう。 ▽まあ、開場のシグナル・インドゥラン・パルクまでは車で50分程と、そう遠い訳ではないんですが、相手は現在、ブンデスリーガ首位と絶好調。週末のシュツットガルト戦でも0-4と大勝していましたし、バルサから今季、レンタル移籍したパコ・アルカセルが8試合で11点と爆発していますからね。とりあえず去年と違って、モナコとクラブ・ブルージュに連勝しているため、余裕はあるものの、できればその試合、ビジャレアル戦で温存されたジエゴ・コスタがゴールを取り戻すキッカケとなってくれるといいんですが。 ▽そして日曜正午にはラージョとヘタフェとのミニダービーのため、エスタディオ・バジェカスにいた私ですが、前半はどちらのチームも無得点で終了。試合が動いたのは後半18分、アントゥネスのクロスをフルキエがヘッドで決めると、その4分後にもホルヘ・モリーナから、アンヘルと代わったマタへのラストパスをアケメがオウンゴールにして、ヘタフェが2点のリードを奪います。おかげでしばらくしてアップしていた柴崎岳選手がボルダラス監督に呼ばれたんですが、29分にアケメのクロスをラウール・デ・トマスが技ありのvolea(ボレア/ボレーシュート)でゴールに入れ、ラージョが1点差に迫ったのが災い。守備陣の強化を優先され、アントゥネスに代わってブルーノが入ることに。 ▽結局、「Ha habido muchas faltas, muchos parones y se favorece al equipo que no propone/ア・アビードー・ムーチャス・ファルタス、ムーチョス・パロネス・イ・セ・ファボレセ・アル・エキポ・ケ・ノー・プロポネ(ファールも止まっている時間も沢山あって、プレーしようとしないチームを利した)」とエンバルバも後で文句を言っていたように、残り時間はヘタフェの選手たちがよくピッチで倒れていたため、7分もあったロスタイムにも柴崎選手の出番はなかったんですが、まあこういう展開ではねえ。 ▽ボルダラス監督も「Conoceis vosotros a algun equipo que cuando va ganando saque rapido y se de prisa?/コノセイス・ボソトロス・ア・アルグン・エキポ・ケ・クアンドー・ジャー・ガナンドー・サケ・ラピドー・イ・セ・デ・プリサ(勝っている時、早くボールを出してプレーを急ぐチームを君たちは知っているのか? )。W杯の世界最高のチームでもやることだ」と開き直っていたため、そのままヘタフェが1-2で勝ったことを悪く言うつもりはありませんが、何せ彼らもここ4試合、白星がありませんでしたからね。これで順位も9位と上昇しましたし、この日曜、落ち着いて乾貴士選手のいるベティスをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えられるのはいいことかと。 ▽一方、ラージョは最下位ウエスカと同じ勝ち点5で19位なんですが、今週は延期されていた3節のアスレティック戦が水曜午後7時からエスタディオ・バジェカスであり、土曜にもジローナ戦があるため、気合さえあれば、一気に浮上することも可能。そうなれば、ミチェル監督もきっと続投できると思いますし、何よりヘタフェ戦の後、スタンドに残って熱いエールを送っていたファンを喜ばせることができるはずですが…やっぱり昇格1年目はイロイロ、大変ですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.10.23 13:00 Tue
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Jに波乱が少ない原因は?/六川亨の日本サッカーの歩み

▽先週末の日本サッカーは話題の多い一週間だった。まずインドネシアで開催されているU-19アジア選手権で、U-19日本代表はU-19北朝鮮に5-2と圧勝した。前半2点のリードも追いつかれる嫌な展開だったが、後半に入り久保建英が鮮やかな直接FKを決めて勝ち越すと、相手が疲れた終盤にも2点を加えて突き放した。 ▽先制点も久保の中央からのドリブル突破で生まれている。よくメッシと例えられるが、右サイドだけでなく、どこからでも攻撃を仕掛けられる久保のプレーはマラドーナに近いかもしれない。今日はタイと対戦するが、この試合に勝てば準々決勝進出が決まる。関塚技術委員長が「最強世代」と断言するチームだけに、来夏にポーランドで開催されるU-20W杯の出場権を是非とも獲得して欲しいところだ。 ▽オーストラリアでは、メルボルン・VでオーストラリアAリーグのデビューを飾った本田圭佑がヘッドで先制点を奪った。試合はメルボルン・Cに1-2と逆転負けを喫したが、現地での注目度は今後も高まることだろう。練習場は公園のようなところのためオープンなので、日本人ファンも大勢詰めかけてサインをもらっている映像を見た。 ▽さて国内に目を移すと、首位の川崎F(勝点60)が神戸に前半3点を奪われながら、後半の猛攻で5-3と逆転勝利を収めた。同日行われた広島対清水戦は広島が0-2で敗れたため、2位広島(勝点56)との勝点差は4。広島は1引き分けをはさんで4敗と失速気味のため、川崎Fがこのまま突っ走り、連覇を達成する可能性が高いのではないだろうか。 ▽混沌としているのが残留争いとACLの出場権を獲得できる3位争いだ。前節まで3位だった鹿島(勝点46)が浦和(勝点45)に1-3で敗れたため4位に転落。代わって3位に浮上したFC東京(勝点46)もC大阪(勝点44)に0-1で敗れ、3位に浮上も足踏み状態が続いている。 ▽第30節終了現在で、3位のFC東京から8位の清水(勝点43。4位鹿島46、5位浦和45、6位札幌45、7位C大阪44)まで6チームの勝点差は3しかないため、こちらは最終節まで激しいバトルが繰り広げられることだろう(札幌とC大阪、磐田は1試合、名古屋は2試合未消化)。 ▽かつてコラムで、スペインやドイツ、イタリア、イングランドら欧州のトップリーグは、毎年同じようなチームが優勝争いをして、ビッグクラブが下位チームに負けるジャイアントキリングは起こりにくいと書いた記憶がある。対するJリーグは、今シーズンも第12節で川崎Fは11位の浦和に負けたり、第25節では17位のG大阪に敗れたりした。 ▽こうした波乱の理由をFC東京の長谷川健太監督に聞いたことがある。すると長谷川監督は「まずJリーグは外国籍選手を3~4人しか使えませんが、ヨーロッパのトップリーグの外国人枠は実質無制限のようなものです。このため資金力のあるチームは優秀な外国籍選手をかき集めることができます」とビッグクラブが財政的なアドバンテージを生かしていることが圧倒的な戦力差につながっていると指摘。 ▽そして続けて「Jリーグは外国籍選手に加え、アジア枠で韓国やオーストラリア、タイなどの選手を獲得できますが、あとは日本人選手のクオリティーが勝負のカギを握ります。いまの順位がそれを反映しているのではないでしょうか。ただし、日本人選手のレベルにそう差はありません。日本代表や元代表といったいい選手は首都圏のビッグクラブにいる。そうなると外国籍選手の当たり外れ、チームにハマるかどうかで違ってくる。J1リーグも上位の顔ぶれ、下位の顔ぶれは毎年ほとんど変りません」とJ1の現状を分析した。 ▽確かに川崎Fは、今シーズン目玉となる補強は齋藤学だけ。それも故障で出遅れたが、それでも小林悠、大島僚太、車屋紳太郎、中村憲剛、大久保嘉人、家長昭博ら代表クラスの選手を揃え、円熟したパス主体のサッカーで勝点を積み重ねてきた。 ▽2位の広島は得点ランク首位タイのパトリックが牽引し、3位のFC東京は序盤戦でディエゴオリヴェイラが爆発するなど、外国籍選手がフィットした結果、優勝争いを演じることができた。終盤戦は対戦相手も外国人対策を講じた結果、両チームとも勝点を伸ばせないでいる。 ▽今週はルヴァン杯決勝のためJ1リーグは休みとなるが、ラスト4試合、どんなドラマが待っているのか楽しみだ。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.10.22 18:30 Mon
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