コラム

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【原ゆみこのマドリッド】もう皆、練習している…

▽「これじゃ、どちらが優勝したのかわからないわね」そんな風に私が苦笑していたのは火曜日、ロシアから帰還した代表チームをザグレブの市民が街を挙げて大歓迎。選手たちがオープンデッキバスに乗って、パレードする様子をTVで見た時のことでした。いえ、日曜のW杯決勝の後には何とも言えない悲しげな表情で大会MVPのトロフィーをもらっていたモドリッチが豹変、ここ近年、4度もあったレアル・マドリーのCL優勝パレードでも見たことがない程、ノリノリでbengala(ベンガラ/発煙筒)を振り回していたのにはちょっと引いてしまわないでもなかったんですけどね(https://twitter.com/B24PT/status/1019265604480532481)。 ▽ええ、人口400万人程でしかないクロアチアにとって、史上初のW杯準優勝はお祝いするにふさわしい快挙でしたが、フランスとの決勝が行われた日曜には一足に先にブリュッセルに戻ったベルギー代表も人で埋め尽くされたグラン・プリュス(市内中心にある大広場)で3位という、同国史上最高成績を祝うイベントを開催。もちろん王道は凱旋門からシャンゼリゼ通りに30万人が集結して、1998年以来、2度目のW杯優勝を達成したチームをパリに迎えたフランスの祝勝行事なんでしょうけどね。折しもスペインでは火曜にひっそり、代表新監督に就任するルイス・エンリケ氏がAVE(スペインの新幹線)でマドリッドに到着。 ▽ラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会本部に直行すると、9月のネーションズリーグ開幕戦に向けての準備をするオフィスや練習施設を案内されていましたが、何せ今回、スペインのW杯など、7月1日の16強対決で終わってしまいましたからね。バラハス空港に到着後、散り散りになった選手たちもまだバケーション中とあって、その消息も時折、SNSで伝わってくるぐらいなんですが、まあそれは仕方ないこと。イニエスタ(ヴィッセル神戸)も火曜には日本に向かいましたし、とりあえず、今は私もW杯チャンピオンにレアル・マドリー勢がバラン1人だけなのに比べ、アトレティコ勢が加入したばかりのレマル(モナコから移籍)も含めて3人もいることを祝うぐらいしかないんですが…。 ▽ちなみに3位決定戦でベルギーがムリエル(PSG)とアザール(チェルシー)のゴールでイングランドを2-0で破った翌日、モスクワのルジニキ・スタジアムで行われた決勝がどんなだったか、ちょっと触れておくと。前半18分にはグリーズマン(アトレティコ)の蹴ったFKをマンジュキッチ(ユベントス)が頭でオウンゴールにして、フランスが先制。それでもボール支配で勝っていたクロアチアは28分、ペリシッチ(インテル)がgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めて同点に追いついたため、行方がわからなくなっていたんですが、この日のフランスには運も味方したんでしょうかね。 ▽何と38分、クロアチアのCKクリアでVAR(ビデオ審判)確認が入り、ペリシッチのハンドでPKとなったから、さあ大変。ピタナ主審がモニターを見に行っている4分間、キッカーとして待機していたグリーズマンもきっと、頭の中では2年前のCL決勝でPKを失敗。それも響いて最後は延長、PK戦の末にお隣さんに負けてしまったことを思い出していたのでは?その上、クロアチアのGKスバシッチ(モナコ)は16強対決のデンマーク戦、準々決勝のロシア戦でもPK戦で活躍したparapenarti(パラペナルティ/PK止め屋)となれば、プレッシャーもひときわだったはずですが…。 ▽見事にスバシッチの裏をかき、成功したんですよ!うーん、この日のゴールで大会4得点目だった彼ですが、ウルグアイ戦でGKムスレラ(ガラタサライ)のミスにより入ったシュート以外、他は全てPKによるものですからね。ここは大事な場面で失敗しなくなった当人の成長を喜ぶべきかと。結局、2-1とリードしてハーフタイムに入ったフランスでしたが、納得していなかったのはクロアチア勢。ええ、キャプテンのモドリッチなど、審判団がアルゼンチン人でスペイン語が通じるのをいいことに、「El penalti no era. Y la primera falta no era falta/エル・ペナルティ・ノー・エラ。イ・ラ・プリメーラ・ファルタ・ノー・エラ・ファルタ(あれはペナルティじゃなかった。最初のファールもファールじゃなかった)」と抗議してしましたが、確かにエリアの左前でブロゾビッチ(インテル)にグリーズマンが倒されたプレーについては是非が問われていましたけどね。 ▽とはいえ、後半のフランスは自慢の多民族融合パワーが炸裂。14分にはグリーズマンの折り返しをポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)が2度撃ちして追加点を挙げると、20分にもエムバペ(PSG)が4点目を決めてしまったとなれば、いえ、後でラキテッィチ(バルサ)など、「Marcaron cuatro goles en sus tres tiros a gol/マルカロン・クアトロ・ゴーレス・エン・スス・トレス・ティロス・ア・ゴル(枠内シュート3回で4点取った)」と皮肉っていましたけどね。「Nos basamos en defender como hacemos en el Atletico/ノス・バサモス・エン・デフェンデール・コモ・アセモス・エン・エル・アトレティコ(ウチのプレーはアトレティコのように守備が基本)」とリュカ(アトレティコ)も言っていたように、クロアチアの反撃をGKロリス(トッテナム)のゴールスローミスをマンジュキッチが押し込んだ1点だけに留め、4-2で勝利することに。 ▽え、この結果、フランスの優勝が決まり、2016年はCL、ユーロと続けざまに決勝で負けるという並々ならぬ悲劇を経験したグリーズマンが決勝のMVPをゲット。リベンジを果たしたのはめでたいとはいえ、だからと言って、彼が今年のバロンドール候補ナンバーワンになったというのは持ち上げすぎじゃないかって?そうですね、この大会開幕数日前にアトレティコ残留を決意するドキュメンタリー番組を公開、グループリーグ第1戦終了後の中日にはヒル・マリン筆頭株主がわざわざ、モスクワ郊外のフランスのベースキャンプに駆けつけて、リュカ共々、延長契約にサインをもらっていたのはこうなると、先見の明があったと言えますが、その時点ではまだ当人が活躍できるかどうか、定かではありませんでしたからね。 ▽逆にフランスが早期敗退でもしていれば、ただのお騒がせ男で終わってしまうところでしたが、おかげで「Estoy muy orgulloso de la decision que he tomado/エストイ・ムイ・オルグジョーソ・デ・ラ・セシシオン・ケ・エ・トマードー(自分の取った決断をとても誇りに思う)。このW杯のタイトルは全てのアトレティコファンのものでもあるし、ボクらにはワクワクする1年が待っている」(グリーズマン)と戴冠後、胸を張れていたのは良かったかと。 ▽だってえ、折しも月曜にはバロンドールのライバルの1人であるクリスチアーノ・ロナウドがトリノでユベントス入団プレゼン。当人は「Nadie en el Real Madrid estara llorando por mi/ナディエ・エン・エル・レアル・マドリッド・エスタラ・ジョランドー・ポル・ミー(レアル・マドリーでは誰もボクがいなくなったことを泣いていないだろう)」と言っていたものの、8月15日のUEFAスーパーカップに出ないことが確定しているんですよ。同じくこのW杯で候補に急浮上したモドリッチはグリーズマン同様、バケーションを短くする覚悟があれば、投票までにもう1つ、タイトルを増やせる可能性がありますが、果たしてどうなることやら。常連のメッシ(バルサ)もスペイン・スーパーカップがあるため、予断は許さないものの、彼もロナウドもW杯16強で敗退しているというのは決勝組の2人にとって、有利に働くかもしれませんね。 ▽そしてW杯の終了と共に入れ替わりでとうとう、マドリーのプレシーズンもこの月曜から始まり、ロペテギ新監督が指揮を執るバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションにはベイル、ベンゼマ以下、セバジョス、ジョレンテ、テオ、バジェホ、マジョラル、カシージャ、そして昨季はラージョで修行して戻って来たラウール・デ・トマス、新入団の18歳、FWビンチウス(フラメンゴから移籍)や19歳のGK、ルニン(同ゾリャ・ルハンシク)らが参加。でもねえ、今のところ、非公開で入れないんですよ。 ▽どちらにしろ、W杯参加組が戻って来るのは8月1日のマンチェスター・ユナイテッド戦を皮切りに3試合あるアメリカ遠征辺りからですし、エムバペも決勝後、PSG残留するつもりとコメントするなど、ロナウド放出に見合った大型補強もまだ決まっていないとなれば、いえ、噂としては「普通なら、決勝を戦うチームから選ばれるものだけど、ボクもブラジルやフランス戦ではいい試合をしたし、日本戦ではカウンターの起点となったからね」と自身の言う通り、W杯ベストGKに選ばれたクウトワ(チェルシー)獲得は来季で契約が終わることもあり、値段も3000~4000万ユーロ(約40億~53億円)と手頃。ほぼ確定ながら、アリソン(ローマ)のチェルシー到着を待たないといけないとか、そのクルトワが「ボクが行くところには絶対、連れて行くよ」と主張していた、国でもクラブでも同僚のアザールについては難航しているとか、あるんですけどね。 ▽とりあえず、W杯前に決まったオディオソラ(レアル・ソシエダから移籍)は水曜にプレゼンがあるんですが、こちらも練習合流は7月末となれば、またしても私が月曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)にアトレティコを覗きに行ってしまったとしても仕方なかった?いやまあ、こちらもinternacionales(インテルナシオナレス/各国代表選手)はおらず、トップチームの選手はGKオブラク、アダン(ベティスから移籍)、フアンフラン、トマス、ロドリ(同ビジャレアル)、ビトロ、コレア、そして退団予定のガメイロ、ビエットしかいないんですけどね。 ▽今週は朝一番、7時45分からのセッションはグラウンドでランニングなどのフィジカルがメイン、トリプルの場合は10時30分からジムが入るんですが、ボールも使う夕方の部ではフィジカルコーチのプロフェ・オルテガが「La perdemos y la robamos/ラ・ペルデモス・イ・ラ・ロバモス(ボールを失くしたら盗む)。相手に考えるヒマを与えるな」とロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)でカンテラーノ(下部組織の選手)たちにアトレティコ・サッカーの基本を説いたり、10人のフィールドプレーヤーがポジションについてチームとしての動きをマスターする演習は必ず、最後は高速で自陣エリアに戻って守ることで終了。その辺、シメオネ監督の特徴が出ていて面白かったりもするんですが、グラウンドを囲む金網の外から見学しているファンは西日を真っ向から浴びて、ちょっと辛そうでしたっけ。 ▽そんな中、ヘタフェは月曜からバレンシア(スペイン南東部)のオリバにキャンプに行ってしまい、土曜までは戻って来ず。チチソラ(ラス・パルマスから移籍)を獲った後、ダビド・ソリア(同セビージャ)も加入して、クリスタル・パレスに行ってしまったグアイタの穴を埋める正GK争いが激化したり、ボランチのマキシモビッチ(同バレンシア)に500万ユーロ(約6億6000万円)を払ったりと補強の動きも続いていますが、逆にホルヘ・モリーナやジェネが移籍するという噂もありますからね。新シーズンを落ち着いて迎えるにはまだ、時間がかかりそうですが、人の出入りが続いているのは同じ弟分、レガネスやラージョも同じかと。 ▽そのラージョも木曜からはマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)でキャンプと河岸を変えるようですが、どうやら今年も猛暑のマドリッドでずっと過ごすようなのはレガネス。今週土曜から始まるプレシーズンマッチも2部のマドリッド勢アルコルコンだったり、今季からその仲間入り、シュダッド・デポルティバ・ワンダにあるミニスタジアムの改修が済むまで、ワンダ・メトロポリターノでリーガを戦うことがきまったラージョ・マハダオンダといった近隣のチームが多いのも交通費が節約できるから?そろそろ、スペイン各地では1部チームの親善試合も始まっているため、観光などで来る機会のあるファンはマルカ(スポーツ紙)の予定表(http://www.marca.com/futbol/primera-division/2018/07/03/5b3a5613ca474190178b45bf.html)などを参考に立ち寄ってみてもいいかもしれませんね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.18 11:00 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】W杯はまだ終わってないけど…

▽「グリーズマンとモドリッチ、優勝した方がバロンドールっていうのはちょっと、気が早いんじゃ」そんな風に私が疑問を覚えていたのは金曜日、W杯準決勝が終わるやいなや、スペインのマスコミが一斉に今年こそ、10年間続いたクリスチアーノ・ロナウドとメッシのバロンドール独占状態に終止符が打たれるんじゃないかという論調になっているのに気がついた時のことでした。いやあ、確かにロシアでの2人はあまりいいところを見せられず、ポルトガルもアルゼンチンも16強対決で姿を消していますけどね。 ▽でもこの賞って、近年では2006年W杯で優勝したイタリアのキャプテン、カンナバーロ(この年にユベントスからレアル・マドリーに移籍)が受賞なんて例外はあるものの、必ずしも国際メジャートーナメントに優勝したチームから選ばれる訳ではなく、スペインが戴冠した2010年もチャビやイニエスタを抑えてメッシ。むしろ、クラブでのタイトルやゴール数が決め手になっている節もなきにしろあらずかと。となると昨季、マドリーでCL3連覇、自身も6年連続のCL得点王となったロナウドやバルサのdoblete(ドブレテ/リーガとコパ・デル・レイの2冠優勝)に貢献、34得点でゴールデンシュー(ヨーロッパの得点王)をゲットしたメッシの方が断然、有利に見えるんですが、もしや世間もそろそろ、表彰台に違う顔を望んでいる? ▽ちなみにその、新たなるバロンドール候補が誕生することになった準決勝がどんなだったか、ちょっと説明しておくと、火曜にベルギーと戦ったフランスは後半6分、グリーズマン(アトレティコ)のCKをウムティティ(バルサ)がヘッドで決めて先制。相手も今大会、最多得点を誇るチームとあって、キャプテンのアザール(チェルシー)を中心に必死で反撃したんですが、「CKからゴールを入れた後、ウチはよく守った。ちょっとアトレティコみたいで、家にいるような感じがしたよ)」(グリーズマン)というフランスが逃げ切って、1-0で決勝のチケットを手に入れることに。 ▽え、そんな勝ち方じゃ、ベルギー側から文句が出なかったかって?そうですね、決勝点となったゴール以外、何度もparadon(パラドン/スーパーセーブ)でチームを救っていたGKクルトワ(チェルシー)など、「試合の時々ではジルー(マンチェスター・ユナイテッド)やグリーズマンら、FWの選手たちが自陣ゴールから35メートルのところにいた」と全員で守備固めをしていたのを皮肉っていたりしたんですけどね。それには丁度、入れ違いで、一緒にシメオネ監督の下でプレーしたことのなかったせいか、グリーズマンも「アトレティコでリーガに優勝したくせに。今いるチェルシーはきっと、バルサみたいにプレーするんだろう」と、これまた手厳しいこと。まあ、16強対決で敗退したスペインもそうでしたが、ボールを握って主導権を取りたいチームにとって、今回は難しい大会になっているのは本当のようです。 ▽おかげでデシャン監督も「未だに2016年ユーロ決勝の傷は癒えていない」と言っていたように、2年越しのリベンジに挑むことになったフランスですが、何せ、当時はグリーズマンがCL決勝でお隣さんに負けた後、自国開催のユーロでもロナウドのいるポルトガルにトロフィーを持って行かれるという、不運ぶりでしたからねえ。翻って、ヨーロッパリーグに優勝した今年はその勢いを借りて、フランスに2度目のW杯制覇の栄光をもたらすことができれば、「彼はジダンのようなレジェンドになる途中」というポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)の言葉を裏付けることになる? ▽更に同僚のエムバペ(PSG)を抑えて大会MVP、冬にはバロンドールなんてことになったら、W杯開催直前までバルサ移籍か、残留かわからず、イライラさせられたアトレティコファンもきっと、自慢に思えるに決まってますって。ただねえ、翌水曜には序盤のFKから、トリピア(トッテナム)に直接決められ、イングランドに先制を許したものの、後半にはベルサイコ(アトレティコ)のクロスをペリシッチ(インテル)が同点ゴール。16強対決から、3試合連続の延長戦に突入すると、今回はPK戦ではなく、延長後半4分、こちらも元アトレティコのマンジュキッチ(ユベントス)が決勝点を挙げて、2-1で決勝初出場となったクロアチアを牽引するのは奇しくも3年連続、4度目のCL優勝をしたばかりのモドリッチ(マドリー)なんですよ。 ▽となると、日曜午後5時(日本時間翌午前零時)から、ルジニキ・スタジアムで彼がこれまで通りに活躍。クロアチアが優勝すると、個人の賞でもあちらが有利という見方がされていますが、こればっかりはねえ。ちなみにどちらの側にもマドリー(バランとモドリッチ)勢、アトレティコ(グリーズマン、リュカ、レマルとベルサイコ)勢、バルサ(ウムティティ、デンベレとラキテッィチ)勢がいるというのは、リーガのファンにとっては喜ばしいことではないでしょうか。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週はマドリッドでも色々、動きがあって、W杯開幕2日前に解任されたロペテギ監督の後を継ぎ、ロシアで4試合の指揮を執ったイエロ監督が続投どころか、スポーツディレクター復帰も固辞。その結果、月曜にサッカー協会に指名されたルイス・エンリケ氏のスペイン代表監督就任プレゼンは来週木曜の予定なのでまだいいんですが、火曜午前中にはアトレティコを退団したフェルナンド・トーレスがサガン鳥栖入団を自身の経営するスポーツジムで発表することに。「近日中に日本に行って、来週にはプレーしたい。El del dia 22, seria mi debut en casa/エル・デル・ディア・ベインティドス、セリア・ミ・デブー・エン・カサ(22日がボクのホームデビューになるだろう)」と言っているのを聞いた時には、たった1週間のプレシーズン練習で大丈夫なんだろうかと不安を覚えたものですけどね。 ▽それどころか、同日午後にはとうとうロナウドのユベントス移籍が正式に決まり、いえ、当人は相変わらず、ギリシャでバカンス中。声明もマドリーのオフィシャルページに掲載された「人生で新しいステージを始める時期が来たと思う。Y por eso he pedido al club que acepte traspasarme/イ・ポル・エソ・エ・ペディードー・アル・クルブ・ケ・アセプテ・トランスパサールメ(だから、クラブに移籍を受けて入れてくれと頼んだ)」という手紙だけなのは素っ気なさすぎるきらいもあるんですが、どうやらそれはマドリーが提案したお別れイベントに出席するのを当人が嫌がったからだとか。 ▽うーん、昨季後半からずっと退団の噂はありましたが、この9年間、あれだけゴールとタイトルをもたらしてくれた選手ながら、5月末のCL優勝祝賀の時などを除いては、サンティアゴ・ベルナベウのスタンドから熱心な「Quedate!/ケダテ(残留して)」のコールが聞かれることもありませんでしたしね。ペレス会長同様、ファンもそろそろ、新しいギャラクティコを欲していた?今のところ、ネイマール(PSG)だの、エムバペだの、アザールだの、候補の名前は挙がってはいるものの、大物選手の移籍には時間がかかるのが定番ですからね。とりあえず、ベルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でプレシーズンのトレーニングがスタートする来週には、スペインがロシアから帰って来て早速、入団が決まったオディオソラ(レアル・ソシエダから移籍)のプレゼンを期待したいところです。 ▽そして水曜には今週頭から、マドリッド勢の先頭を切ってプレシーズン入りしたレガネスをシュダッド・デポルティバ・ブタルケ(メトロ5号線アルーチェ駅からバス15分)に偵察に行った私でしたが、いやあ、昨季途中から建設が進んでいた新グラウンドにはファンが座って見学できるスタンドもオープン。去年、初めて訪れた時には市営総合スポーツ施設の一角で細々、隣でテニスサークルなどがプレーしているのを横目で見ながら練習していたのと比べると、凄い進歩なんですが、行くたびに入り口が変わるってあんまりじゃない?その日も大回りすることになったんですが、幸い新任のペレグリーニ監督がpartidillo(パルティデージョ/ミニゲーム)中心のセッションを率いているのには間に合いましたっけ。 ▽おまけに彼らはすでに10人近く、新しい選手を獲っているとあって、グラウンド脇にこちらも新しく建てられたクラブハウスにあるプレスコンファレンスルームで今週は毎日、2人ずつ、プレゼンが行われているんですが、やはり入れ替えの多い弟分チームだからでしょうね。お隣さんのヘタフェも仕事始めの木曜にはGKチチソラ(ラス・パルマスから移籍)以下、新入団選手の4人を一気にプレゼン。それでもまだ、金曜に決まったGKダビド・ソリア(同セビージャ)を加えて、まだ数名、顔見せが遅れている選手がいるんですが、レガネスと一緒で多くを2部や2部B、下のカテゴリーから獲っているため、ファンに名前を覚えてもらうのにはちょっと時間がかかるかと。 ▽久々にコリセウム・アルフォンソ・ペレス(メトロ・スールのロス・エスパルタレス駅から徒歩1分)に駆けつけた私もいい機会だったので、気になっている柴崎岳選手の先行きについて、マルカ(スポーツ紙)の番記者などに探りを入れてみたんですけどね。「ドルトムントが興味を持っているという噂を聞いたぐらい」ということで、今のところ具体的なオファーについては不明。チームはその日の夕方、スタジアム右脇を下って行ったところにある練習場で初セッションを行ったとはいえ、W杯に参加していた当人も今月遅くまでは合流しないとあって、もし移籍が決まるとしてもちょっと時間がかかるかもしれませんね。 ▽そして金曜にはマハダオンダのシュダッド・デポルティバ・ワンダ(メトロ3、6号線モンクロア駅からバスで20分)でアトレティコのプレシーズンを見学してきた私だったんですが、何せ、まだロシアにいるメンバーを含め、W杯組が総勢10名と多いですからね。そこからトーレスやガビ(アル・サッドに移籍)が抜け、水曜に始まったセッションには今季から加わったロドリ(ビジャレアルから移籍)とGKアダン(同ベティス)を含めても10人しかトップチームのメンバーいないとあって、シメオネ監督は17人ものカンテラーノ(下部組織の選手)を徴用。しかもガメイロ、ビエットは移籍予定、昨季終了後に恥骨炎の手術をしたサビッチはジムでリハビリとあって、あまり見知った顔がいないのは寂しかったんですが、2時間近く続くトレーニングは半分以上がフィジカルトレだったのさすが。 ▽手を変え、品を変え、様々なエクササイズを課すフィジカルコーチのプロフェ・オルテガの指示に不慣れなロドリなどが戸惑い、先輩のビエットが丁寧に教えてあげていたのが印象的でしたが、アトレティコでのプレシーズンは初体験のビトロ(FIFA処分で選手の新規登録ができなかった昨季は前半ラス・パルマスにレンタル)と共にしっかりついていっているのはやはり、例年、脱落者の出るロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)キャンプ程のハードメニューではなかったせい? ▽まあ、本格的なチーム練習も25日過ぎ、現在はタンザニアに新婚旅行中(https://twitter.com/BEATRIZESPEJEL/status/1017135440137203714)のコケやイビサ(地中海のリゾートアイランド)でバケーション中のサウール(https://twitter.com/saulniguez/status/1017859287882829830)ら、スペイン代表組以下、ゴディン、ヒメメス(ウルグアイ)、フィリペ・ルイス(ブラジル)らが合流する、シンガポール遠征の後でないとできないでしょうしね。今はできるだけ体力をつけてくれるだけでいいんですが、マドリッドは猛暑とあって、見ているだけでこちらが消耗してしまうのは辛いですよね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.14 12:15 Sat
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【倉井史也のJリーグ】まさか今週末がこんな決勝戦みたいな戦いだなんて!? の巻

▽ワタクシ、今回ちゃんと元J2の選手にお会いして、現在のJ2ってどうなのか聞いてきましたよ!! そこでは「やっぱそうか!!」っていう意見があったりして、まぁまぁ自分の見立てってものも間違ってないと思ったわけなんですけどね。エヘン。 ▽で、現状のJ2の暫定順位(福岡と京都の試合消化が1試合少ないため)をみると、 1位 松本 勝点40 得失点差+12 2位 大分 勝点40 得失点差+8 ――――自動昇格圏内―――― 3位 山口 勝点40 得失点差+6 4位 町田 勝点37 得失点差+9 5位 福岡 勝点36 得失点差+8 6位 横C 勝点36 得失点差+3 ――昇格プレーオフ出場圏内―― 7位 大宮 勝点35 得失点差+9 8位 岡山 勝点34 得失点差+5 9位 山形 勝点34 得失点差+4 10位 東V 勝点32 得失点差+6 11位 甲府 勝点31 得失点差+12 と続いとるわけです。 ▽なんで順位表が不自然に11位までなワケ? って気付いたアナタ。今週のポイントはそこですよ。注目ポイントは11位の甲府なんです。 ▽甲府、いろいろチャレンジしてます。ルヴァンカップ、グループステージ6試合戦って2位になりました。プレーオフステージでもアウェイゴールで浦和を下して準々決勝に進出しました。ここまでで他のJ2のクラブより、10試合多いってことが確定です。 ▽しかもなんたることか、天皇杯は2回戦で流通経済大学を退け、3回では清水を破ってラウンド16に駒を進めてます。つまり現時点でも年間試合数って55試合。いいですか、1年って52週ですからね。まるでワールドカップの決勝トーナメントで3試合とも延長戦まで戦い、1分1秒でも多く観客に見せてくれるクロアチアと同じじゃないですか。 ▽こりゃせめてリーグ戦だけでも自動昇格して、少しでも試合数を減らさなきゃ。で、2017年の2位長崎は勝点80、2016年の2位清水は勝点84、2015年2位の磐田は勝点82、2014年2位松本は勝点83、2013年2位神戸は勝点83、2012年2位湘南は勝点75。つまりプレーオフ制度が始まってから、2位になったチームの平均勝点は、81.1点。 ▽ってことはですよ。残り20試合で甲府は勝点51点を挙げればいいんです。これって17勝0分3敗か、16勝3分0敗!! う、うーん。で、できそうな気がしてきた……。 ▽そんな甲府の次の試合はホームで岐阜。なんと、11位vs12位なんですよ。まさか、ここがすでにこんな決勝戦みたいな、というか土俵際なんて、きっと岐阜も甲府も思ってないだろうなぁ。 ▽え? そのJ2経験者の選手が何と言っていたかって? 「J2、マジでヤバイッスよ。全然分かんないッス」。ふむふむ。私もそう思ってたよ、はい。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.07.13 11:00 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】期待したい3位決定戦

▽6月14日に始まったロシアW杯も約1ヶ月が過ぎ、残すは14日の3位決定戦ベルギー対イングランド、15日の決勝戦フランス対クロアチアの2試合のみとなった。今大会は優勝候補のドイツがグループステージで敗退しただけでなく、ブラジルやアルゼンチン、ポルトガル、スペインといった強豪国が早々と姿を消した。 ▽彼らは試合によって好不調の波があり、ラウンド16は日本対ベルギー、準々決勝はブラジル対ベルギー、スウェーデン対イングランドを現地取材したが、正直な感想は「負けたくない試合運び」のため、正直なところちょっと退屈な試合だった。 ▽ところが準決勝のフランス対ベルギー、クロアチア対イングランドは2試合とも“勝ちに行く”サッカーだったため、「やっとW杯らしい」スリリングな試合を楽しむことができた。もともとW杯は決勝戦も含めて勝負にこだわるため、見せ場の少ない試合になることが多い。過去の大会でも名勝負と言われる試合は準決勝が多かった。 ▽それを裏付けるようにフランス対ベルギー、クロアチア対イングランドは、互いにヨーロッパのリーグ戦でチームメイトだったり対戦相手だったりしたため手の内を知っているだけに、オープンな打ち合いとなる時間帯もあり大いに楽しめた。 ▽さて3位決定戦である。ベルギーは86年メキシコ大会でエリック・ゲレツやヤン・クーレマンスらを擁して初のベスト4進出を果たしたものの、フランスとの3位決定戦では両チームとも戦力を落としたことで“退屈”な試合の結果4位に終わった。そこで初の3位という最高成績を残すためにも14日はベストメンバーで闘って欲しいものだ。 ▽対するイングランドは下馬評こそそれほど高くはなかったものの、独特のシステムで躍進を続け、90年イタリア大会の4位以来28年ぶりの3位決定戦にコマを進めた。当時のメンバーにはベテランGKピーター・シルトンを始め、ゲリー・リネカー、クリス・ワドル、ピーター・ベアズリー、デイビッド・プラット、ポール・ガスコインら錚々たるメンバーが揃っていたが、ロベルト・バッジョとサルバドール・スキラッチのゴールによりイタリアに1-2で敗れた。 ▽しかし今大会はスピードスターのラヒーム・スターリングや、現在6ゴールで得点王候補筆頭のハリー・ケインら“今が旬”な選手が多いだけに、好ゲームが期待される。なによりもイングランドは、試合中に手を抜いたプレーをしないし、シミュレーションで故意に倒れて反則を誘ったり、露骨な時間稼ぎをしたりしない。プレミアリーグのファン・サポーターがそれを許さない伝統がある。 ▽クロアチア戦の後半19分のことだ。ペナルティーエリア右でドリブル突破を仕掛けたスターリングは足を引っかけられて倒れたものの、PKをアピールすることなく倒れたままで折り返しのクロスを送ろうとした。これはGKスバシッチにカットされたが、彼のプレー1つをとっても“ジョンブル魂”を垣間見た気がした。 ▽残念ながら彼らが歌う「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」のアンセムも、「フットボール・イズ・カミング・ホーム」(フットボールが母国に帰ってくる=優勝トロフィーが母国のものになる)も実現しなかった。 ▽しかしイングランドのサポーターが野太い声でスタジアムを揺るがす雰囲気は、やはりひと味も二味も違う。ゴール裏に掲げられたサポーターの国旗には必ず自分の愛するクラブの名前が入っているのもイングランドならではだ。「自分はここにいるよ」というメッセージであり、「1人でも戦いに来た」という意思表示でもある(どちらかというとマイナーなクラブのサポーターの方が多い)。 ▽そんな彼らの声援を受けることが予想されるだけに、今大会の3位決定戦は好勝負が期待できるのではないだろうか。そんな思いを抱いてサンクトペテルブルクに行くことにした。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.07.12 20:00 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】今年は地元で始めるチームが多い…

▽「月曜の朝7時45分?」そんな風に私が驚いていたのは日曜日、そろそろマドリッドのクラブのプレシーズン練習開始日を確認しておくかと調べていたところ、弟分のレガネスがこの週明けから、シュダッド・デポルティバ・ブタルケ(メトロ5番線のアルーチェ駅からバスで10分)に集まることがわかった時のことでした。いえ、昨季のメンバーから、レンタルや契約が終わった11人が退団。すでに入団が決まった6人の新人を含め、レアル・ソシエダへ行ってしまったガリターノ監督に代わって指揮を執るペジェグリーノ新監督の下、メディカルテストなどを終えた選手たちがグラウンドに姿を現すのは午前9時からのようですけどね。 ▽ラージョも昇格して加わり、史上最多の5チームとなったマドリッド勢でどこより早くスタートする辺り、今季こそ、ここ2シーズンの定位置だった降格圏ギリギリの17位から脱却を目指す意気込みを感じられて好ましいんですが、実はリーガではもう、先週木曜に動き出しているチームがあるんですよ。それは現スポーツディレクターのカパロス氏が暫定監督となり、昨季終盤の数試合で8位のヘタフェに差をつけてヨーロッパリーグ出場権を獲得。その予選2回戦1stレグを26日に迎えるセビージャなんですが、彼らには8月2日の2ndレグの後、例年通り、5日と12日の2試合制にするか、サッカー協会の提案した中立地、モロッコのタンジェで12日に一発勝負とするか、まだ結論が出ていない、バルサと対戦するスペイン・スーパーカップ(バルサがリーガとコパ・デル・レイ2冠だったため、コパ準優勝のセビージャが出場)も控えているとなれば、仕方がなかったかと。 ▽そのおかげでヘタフェの方は8月第3週のリーガ開幕まで公式戦がないため、スタートは今週木曜、W杯に16強対決まで参加していた柴崎岳選手も移籍していなければ、16~21日のカンポアモール(スペイン南東部)での第1次キャンプの後、30日から始まるセゴビア(マドリッドから1時間の高原地帯)キャンプ辺りから参加とゆっくりしていられるんですが、折しもその前日、水曜にはラージョもシュダッド・デポルティバ・ラージョ・バジェカーノ(メトロ1号線ビジャ・デ・バジェカス駅から徒歩15分)で活動開始するよう。こちらも19日にマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)キャンプに行くまで、暑いマドリッドでトレーニングとなりますが、ちょっと心配なのは木曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)のシュダッド・デポルティバ・ワンダに集まるアトレティコ。 ▽というのもこの夏は恒例のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(セゴビアにある高原リゾート)での地獄のキャンプを行わず、2週目からは車で5分のACラ・フィンカ・ホテルで合宿するようですが、このところかなり気温が上がってきたマドリッドですよ。そんな中、ダブル、トリプルセッション当たり前のフィジカルトレをやるのはどう考えても自殺行為じゃない? いえ、まだロシア滞在組もいますし、先週月曜に帰国したスペイン代表のコケ、サウール、ジエゴ・コスタもこのステージには参加しないんですけどね。更に23日から30日まではインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏の国際親善試合)でアーセナル、PSGと試合するため、シンガポールに滞在となったら、お隣さんにはとても叶わないテクニックの差を補うための体力は一体、どこでつけたらいいんでしょう。 ▽うーん、その後は8月3日から10日までイタリアのチロル地方でキャンプするようですけどね。それより深刻になのは8月15日にCLチャンピオンのレアル・マドリーとエストニアのタリンでUEFAスーパーカップのタイトルを懸けて、この夏の初公式戦に挑むELチャンピオンですが、金曜のW杯準々決勝ではウルグアイとフランスでアトレティコ勢が対決。軍配は後者に挙がり、ゴディンとヒメネスが大会を後にしたものの、この先は3位決定戦もあるため、グリーズマン、リュカ、レマル(モナコから移籍)の3人がほぼ間に合わないって、かなり困るかも。 ▽ちなみにその試合がどうだったか、簡単にお伝えしておくと、フランスは前半40分、「ボクが頼んだ通り、グリーズマンは完璧なFK蹴った」というバラン(マドリー)のヘッドで先制。後半16分にも今度はグリーズマンが直接ゴールを狙ったところ、GKムスレラ(ガラタサライ)が弾き損ね、リードが2点になったから、ビックリしたの何のって。いえ、当人は「Les tengo mucho respeto, tenia delante a amigos y companeros/レス・テンゴ・ムーチョ・レスペート、テニア・デランテ・ア・アミーゴス・イ・コンパニェロス(彼らをとてもリスペクトしているし、前にいたのは友達でチームメートだった)」という理由でこのゴールを祝わなかったんですけどね。 ▽それにも関わらず、ルイス・スアレス(バルサ)など、「Para que vean que no es uruguayo, es frances y nos hizo un gol/パラ・ケ・ベアン・ケ・ノー・エス・ウルグアジョ、エス・フランセス・イ・ノス・イソ・ウン・ゴル(彼はウルグアイ人じゃなくてフランス人だってわかったろう。ウチにゴールを入れた)」と文句を言っていましたが、そりゃあそうですよ。いくらレアル・ソシエダ時代にウルグアイ人監督や選手たちから薫陶を受け、それから常にマテ茶のカップとポットを手放さず。アトレティコ残留を決める際にもゴディンの影響が大きかったそうで、ウルグアイを第2の祖国と慈しむグリーズマンとはいえ、「Pero esto es el futbo/ペロ・エスト・エス・エル・フトボル(でもこれはサッカー)」ですからね。 ▽一方、16強対決のポルトガル戦でカバーニ(PSG)が負傷、この試合に出られなかったことも響き、0-2のまま終盤を迎えたウルグアイではFKの際に壁を作っていたヒメネスが、「敗退して応援してくれたウルグアイの人たちに何も返してあげられないと思ったら、辛くて」と早くも涙モードに突入。これには今回のW杯フランス代表で成長著しい、同じDF仲間のリュカが試合後、「He ido a hablar con ellos cuando les he visto llorando/エ・イドー・ア・アブラル・コン・エジョス・クアンドー・レス・エ・ビストー・ジョランドー(泣いているのを見たから、彼らと話しに行ったよ)」と思いやりを見せていましたが、大丈夫。リュカより1つ年上とはいえ、まだヒメネスは23歳ですからね。しかも4年前のブラジル大会から出場しているとなれば、この先もチャンスはきっと、複数回ありますって。むしろ32歳のゴディンの方が気の毒な気がしますが、とにかく今はゆっくり休んで、UEFAスーパーカップに備えてほしいものです。 ▽そして同日、次の準決勝ではブラジルが元アトレティコのGKクルトワ(チェルシー)、アンデルベイレルト(トッテナム)、カラスコ(大連一方)らのいるベルギーに1-2で敗退。出場停止だったカセミロの代わりに入ったフェルナンジーニョ(マンチェスター・シティ)のオウンゴールとデ・ブルイネ(同)の一発でリードされ、後半はレナト・アウグスト(北京国安)が1点を返したものの、最後のネイマール(PSG)のシュートもこの夏、マドリー入団を決めるにふさわしいのは自分の方だという、競争心があったんでしょうかね。別れた彼女とマドリッドに住むお子さん2人の側にいたいクルトワにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、カセミロ、マルセロ(マドリー)、フィリペ・ルイス(アトレティコ)の3人を新シーズン最初のダービーに間に合うべく、帰してあげることに。 ▽え、となると火曜午後8時(日本時間翌午前3時)からの準決勝1戦目はフランスvsベルギーとなって、クルトワには再び、マドリーの補強候補として挙げられているエムバペ(PSG)を阻む任務が課せられるんじゃないかって?まあ、そうなんですけど、ブラジル戦でチェルシー行きが濃厚となっているGKアリソン(ローマ)との差は見せつけることができましたし、来季で契約が切れる彼の移籍金は4000万ユーロ(約52億円)と比較的安いですからね。大体、そんなこと言ったら、代表でも同じチームのエデン・アザール(チェルシー)が今大会での活躍度も高く、一番のライバルとなってしまうんですから、ここは攻撃陣と自分は違うという割り切りが大事かと。 ▽それより翌土曜、0-2で勝ったスウェーデン戦だけでなく、コロンビアとの16強対決のPK戦で大きく評価を高めたイングランドの新星、24歳のGKピックフォード(エバートン)の方が要注意で、いえ、グループリーグ最終戦でヤヌザイ(レアル・ソシエダ)にゴールを許した際には「ボクなら止められたけど、彼は10センチ身長が低いからね」と揶揄。更にブラジル戦後も「背の高さをからかった訳じゃないよ。ただボクは彼より15センチ大きいから、届いただろうって言っただけ」と全然、フォローになっていないことをクルトワは言っていましたが、199センチの彼から見れば185センチは小さくても、マドリーのペレス会長はW杯でスターになった選手がお気に入りですからね。 ▽2010年にはドイツのエジル(アーセナル)、2014年にはコロンビアのハメス・ロドリゲス(バイエルン)加え、正GKのケイロル・ナバスもコスタリカを準々決勝まで導いたのを高く評価されて入団という例もありましたから、むしろ、イングランドと決勝や3位決定戦で当たった場合を考えていた方がいいかもしれませんよ。 ▽そして準決勝進出最後のチームはクロアチアだったんですが、何より驚かされたのは16強対決でスペインを破ったロシアの変わりよう。この日は積極的に攻勢に出て、前半31分にチェリシェフ(ビジャレアル)のエリア外からのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で先制した後こそ、自陣で守り倒す態勢に入り、一時はクロアチアも無限ロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)状態になりかけたんですけどね。それでも辛抱強くスルーパスを狙ったり、ベルサイコ(アトレティコ)が右サイドからエリアにクロスを送ったりと努力を続けた結果、40分にはカウンターからマンジュキッチ(ユベントス)が敵エリア奥に切り込み、クラマッチ(ホッフェンハイム)の同点ヘッドを呼び込んでしまったとなれば、やっぱりスペインには創意工夫が足りなかった? ▽ただその後は両者とも追加点が取れず、延長戦前半にビダ(ベシクタシュ)が勝利に決定的とも思えるゴールを奪ったものの、後半にブラジル出身のマティアス・フェルナンデス(CSKAモスクワ)に頭で決められて、どちらも2試合連続となるPK戦に突入。第1キッカーのスモロフ(クラスノダール)がGKスバシッチ(モナコ)に弾かれた後、クロアチアもコバチッチ(マドリー)が失敗してイーブンになったんですが、ロシアは次のマティアス・フェルナンデスが枠を外してしまったのが運の尽きでした。ええ、クラブの先輩、モドリッチも危ないながら決めて、最後はデンマーク戦同様、ラキティッチ(バルサ)が勝負に決着をつけてくれましたっけ。 ▽これで水曜の準決勝はクロアチアvsイングランドとなったんですが、移籍希望を表明しているコバチッチはまあ、いいんですけどね。ここまでW杯の5試合で3回、MVPを受賞しているモドリッチが決勝翌日、来週月曜から、バルデベバス(バラハス空港の近く)で始まるマドリーのプレシーズントレーニングはもちろんのこと、8月1日のマンチェスター・ユナイテッド戦、5日のユベントス戦、8日のローマ戦といったインターナショナル・チャンピオンズカップのアメリカ遠征にも間に合わず、UEFAスーパーカップ前後にチーム合流というのはアトレティコファンにとって、いいニュースじゃないかって? ▽そうですね、ロシア戦の延長戦で交代となったベルサイコの容体が気にならなくもないんですが、中盤は先日、ガビがアル・サッド(カタール)へ移籍となったものの、ロドリ(ビジャレアルから移籍)も加入していますし、W杯に行っていないトマスやロシアではプレー時間をまったくもらえなかったサウールもいるため、ちょっと強気になっていいかも。 ▽それどころか、ここ数日、お隣さんではポルトガルが16強対決でウルグアイに敗退したため、早帰りとなったクリスチアーノ・ロナウドのユベントス移籍が秒読みとされていて、契約破棄金額は10憶ユーロ(約1300億円)ながら、マドリーは1億ユーロ(約130億円)でOKしているとか、トリノで済む豪邸もすでに決まっているとか、おかげでユーベの株価が30%も上がったとか、イロイロ話は聞くんですが、当人は家族とギリシャでバカンス中。 ▽ペレス会長が昨年のCL優勝後に約束した年棒アップがなかったことや、PSGにはネイマールのため、3億ユーロ(約390億円)の移籍金を払うつもりなのに、自分はその3分の1の値段をつけられたことなど、クラブ幹部との確執がかなり深いようなので、近日中に決まってもおそらく、サンティアゴ・ベルナベウでのお別れセレモニーはないかと思いますが、いやあ、これはスペイン代表をW杯2日前に解任されて以来、マドリーの業務に専念しているロペテギ新監督もちょっと貧乏クジを引いた感じですかね。 ▽といっても、ロナウド移籍を期に5月のキエフでのCL決勝でも2得点を挙げたベイルが奮起することになるのかもしれませんし、フランス代表に呼ばれていないベンゼマも休養十分。ドイツの予想外のグループリーグ敗退で早期帰国しているクロースやセルヒオ・ラモス、イスコ、ルーカス・バスケス、ナチョ、カルバハルらのスペイン勢がギリギリ戻って来るとなると、決して楽観はできませんが、何せUEFAスーパーカップはまだ遠い先。とりあえず今は私もW杯の決着がつくのを待ちながら、各チーム始動の様子を見守っていくことにしましょうか。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.09 14:00 Mon
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【六川亨の日本サッカー見聞録】ベルギー戦レビュー

▽ロシアW杯ラウンド16、7月2日のベルギー戦で日本は大善戦した。後半3分、柴崎岳のスルーパスは図ったように原口元気につながると、原口は焦ることなくペナルティーエリアに入り、スローダウンして軽くキックフェイント。これでマーカーのヴェルトンゲンを惑わし、狙いすました一撃をゴール左スミに流し込んだ。 ▽後半7分の追加点も鮮やかだった。相手クリアを拾った香川真司だったが、シュートを狙ったもののコースは防がれている。ベルギー戦での香川は、かなり相手に警戒されていた。ボールを持ったからといって、ベルギーDFはうかつに飛び込んではこない。行けばそれこそ香川の思うつぼで、アジリティーを生かしたダブルタッチなどでかわされることを警戒したからだろう。そこでシュートコースを押さえることに専念した。 ▽そんなことは香川も織り込み済みだったのだろう。乾貴士に戻すと、これまた無回転のミドルをゴール右スミに突き刺した。 ▽2人ともゴールのイメージがあったのだろう。焦らず、力まず、ジャストミートの会心の一撃だった。 ▽にもかかわらず敗れたのは、控え選手を含めた総合力の差と言わざるを得ない。アディショナルタイムの失点で逆転負けを喫したものの、例え延長戦に入ったとしても、本田圭佑、山口蛍に次ぐ次の一手、二手(延長に入ればもう1人交代できる)が日本にあったのかというと、すぐには思い浮かばない。せいぜい植田直通をCBに入れて、昌子源と2人でフェライニのマークに当たらせるくらいだろう。 ▽惜しむらくは試合の流れが変わった後半20分のプレーだ。ヴェルトンゲンにヘディングで1点を返されたが、“アシスト”したのは乾だった。GK川島永嗣のパンチングボールをペナルティーエリア左にいた乾がクリア。乾としては大きく蹴り出したかったのだろうが、力いっぱい蹴ったボールは高く上がってペナルティーエリア右へ。GKは出にくいし、DFも目測が難しい。なにより垂直に落ちてくるボールは長身選手に有利だ。 ▽ヴェルトンゲンにシュートの意識はなかっただろう。ただヘッドでゴール前に折り返そうとしたところ、GK川島の頭上を越えて日本ゴールに吸い込まれ、ベルギーが1点を返した。そしてこの1点でベルギーは勢いづいた。 ▽それまでアザールのシュートが右ポストを叩いたり、ルカクがフリーのヘッドを左に外したりするなど、日本には運も味方した。しかしこのゴールで日本は1点リードにもかかわらず、メンタル的に互角となったのではないだろうか。 ▽乾は力いっぱい蹴るのではなく、背後へのキックでスローインに逃げ、試合の流れを切るべきだった。同じことはセネガル戦の先制点にも当てはまる。左クロスを原口はバックヘッドでクリアしたが、これを拾われサバリのシュートからマネの先制点が生まれた。無理してバックヘッドでクリアせず、CKに逃れていれば防げたかもしれないゴールだった。 ▽2人とも守備では身体を張って、時には反則で対戦相手の攻撃をストップした。しかし、ゴール前ではシンプルにプレーする余裕がなかったのかもしれない。 ▽決勝点はアディショナルタイム残り1分で生まれた。日本のCKをGKクルトワがキャッチすると、素早くデ・ブライネにつないで高速カウンター。日本では山口が批判されているようだが、山口だけでなく誰もデ・ブライネの瞬発力にはついて行けなかっただろう。反則で止めようにもその前に右サイドに展開され、ムニエのクロスをルカクがスルーと日本は完全に崩された。 ▽この日は吉田麻也のマークに決定機を外していたルカク。エースストライカーとしては意地の一発を決めたいというのが普通の心理だが、ルカクは土壇場でチームプレーに徹した。そしてシャドリのシュートにGK川島も、追走した昌子源もノーチャンスだった。 ▽勝負の世界に“たら”、“れば”は禁物だ。それでも日本のラストプレー、左CKで本田はショートコーナーからコーナーフラッグ付近でボールをキープして時間稼ぎをするという手があった。あるいはニアへライナーのクロスを送り、再びCKを獲得するという手もあったと思う。 ▽しかし本田はいずれも選択せず、クロスを選んだ。もしかしたら、延長戦に入ったらベルギーの圧力に勝機はないと判断したのかもしれない。ただ、そんな本田のクロスは2m近い長身GKクルトワの守備範囲。難なくキャッチすると素早くデ・ブライネにつないで決勝点の起点となった。 ▽8年前はPK戦に泣き、今回はアディショナルタイム1分でベスト8の壁を突破できなかった。W杯の常連であるメキシコやコロンビアもこれまで泣かされてきた大きな壁でもある。日本も彼らと同様に、何度でもチャレンジするしか突破する方法はない。そのためのヒントとなるロシアW杯だったのではないだろうか。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.07.05 19:00 Thu
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【倉井史也のJリーグ】劇的な戦いが続くワールドカップですがJ2のドラマは!? の巻

▽日本代表、お疲れさん!! 今回出番がなかった東口順昭、中村航輔、植田直通、遠藤航、大島僚太の5人は、今季の残りの戦いぶりにしっかり注目してるからね!! だって来年1月にはもうアジアカップだから!! そこでチャンピオンになったら、また強豪と真剣勝負できるから!! ▽にしても悔しいですなぁ。一瞬夢を見せてくれたところが神様の残酷なところというか、励みにしなさいってコトなんだろうという思し召しというか。あ、でもね、J2の戦いにはこういう残酷な例ってたくさんあるんですよ。特に昇格をかけた戦いって、いつもなぜか縺れるから。 ▽プレーオフが始まった2012年からって、それまでより多くのチームが昇格に絡むことになったから余計にドラマが生まれてるんですよ。ちょっと調べてみると……。 【2012年】 41節 1位甲府 2位京都 3位湘南 4位大分 5位横浜FC 6位千葉 42節 1位甲府 2位湘南 3位京都 4位横浜FC 5位千葉 6位大分 【2013年】 41節 1位G大阪 2位神戸 3位京都 4位長崎 5位千葉 6位徳島 42節 1位G大阪 2位神戸 3位京都 4位徳島 5位千葉 6位長崎 【2014年】 41節 1位湘南 2位松本 3位磐田 4位千葉 5位北九州 6位山形 42節 1位湘南 2位松本 3位千葉 4位磐田 5位北九州 6位山形 【2015年】 41節 1位大宮 2位磐田 3位福岡 4位C大阪 5位愛媛 6位長崎 42節 1位大宮 2位磐田 3位福岡 4位C大阪 5位愛媛 6位長崎 【2016年】 41節 1位札幌 2位清水 3位松本 4位C大阪 5位京都 6位岡山 42節 1位札幌 2位清水 3位松本 4位C大阪 5位京都 6位岡山 【2017年】 41節 1位湘南 2位長崎 3位福岡 4位名古屋 5位徳島 6位東京V 42節 1位湘南 2位長崎 3位名古屋 4位福岡 5位東京V 6位千葉 ▽あれ? こうやって並べると、実は自動昇格とプレーオフで波乱があったのは2012年だけ、プレーオフで圏外と入れ替えがあったのは2017年だけ。ちゅうことは、あんまり波乱ってなかったんですね……。 ▽でも、今年はよくわからない。だってベスト8にドイツもアルゼンチンもポルトガルもいないんですよ。もっと言うとイタリアもオランダもアメリカだって大会そのものに出ていない。 ▽こんな年には何かが起きるかもしれないじゃないですか。ま、普通に言えば41節までが勝負だけど、今年はもう21節が終わって折り返したよ~ってことなんですけどね【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.07.04 18:30 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】盛り上がるどころじゃなかった…

▽「本当にスペインのW杯、終わっちゃったんだなあ」そんな風に私が実感していたのは火曜日、ワンダ・メトロポリターノのプレスコンファレンスルームでアトレティコのコケとサウールの姿を見た時のことでした。いやあ、今季は第3キャプテンに任命される予定のフアンフランと共に、折しもスペイン代表チームのチャーター便がバラハス空港に着いた翌日だったため、アル・サッドへの移籍が決まったカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)の大先輩、ガビのお別れ会見に花を添えるべく、これからバケーションでどこかに行くはずだった2人もこれ幸いと駆けつけたんでしょうけどね。 ▽ええ、主役が「18年間、このクラブにいて、多くのチームメートは自分よりいい選手だったけど、誰よりアトレティコのカラーを守ってきたと思う。負けると誰より苦しんだし、滅多にない喜びもあった。El Atlético es una manera de vivir/エル・アトレティコ・エス・ウン・マネラ・デ・ビビール(アトレティコは1つの生き方だからね)」と感動的なスピーチを行った後、3人のチームメートも壇上へ。スペインの敗退が決定した日曜のルジニキ・スタジアムでは1時間以上泣いていたというコケが再び声をつまらせて、「Eres como un hermano mayor/エレス・コモ・ウン・エルマーノ・マジョール(お兄さんみたいな存在だ)。次のアトレティコの監督は君だろうから、準備しておいて」と、一足飛びにまだカタールで一花咲かせるつもりの34歳を引退扱いしていたのには苦笑いしたものの、まあ、当人もあのロシア戦のせいでまだ頭の中がグルグルしていたのかも。 ▽おまけに続いて始まったプレスへの質疑応答では、こちらも一緒の飛行機で帰って来たんでしょうか。週末まで毎日、クアトロ(スペインの民放)のW杯番組で現地からスペインのレポートをしていた記者が挙手。「あのPK失敗の後、コケにどんな言葉をかけましたか?」なんてガビに訊いて、生々しい傷をえぐっていましたが、そりゃあ予定より、2週間も早くロシア滞在が終わってしまったんですものね。実際、私もいきなりポッカリ空いてしまったスケジュール帳に来週の半ば、アトレティコとヘタフェがプレシーズンを開始するまで一体、何を楽しみすればいいんだと困っているのは同様だったんですが…。 ▽いえ、話は順番に進めていかないといけません。いよいよW杯16強対決が始まった先週末は初日から、メッシ(バルサ)のアルゼンチンがグリーズマン(アトレティコ)のPKによる先制点に加え、パバール(シュツットガルト)やエムバペ(PSG)ら、若手が躍動したフランスに4-3で敗退。クリスチアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)のポルトガルもカバーニ(PSG)の2発に沈んでしまったため、金曜午後4時(日本時間午後11時)からの準々決勝でいよいよ、グリーズマン、リュカとゴディン、ヒメネスの身内対決が実現することになったのにはちょっと、複雑な心境になったものでしたけどね。 ▽それでも土曜の2試合はどちらもテンポのいいゲームでしたし、さすが決勝トーナメントにもなるとW杯も面白い試合が多いと喜んでいたんですが、いやあ、参りましたよ。確かにグループリーグでも高いポゼッションをなかなか得点に繋げられず、とりわけイラン戦やモロッコ戦ではイライラさせられたスペインだったんですけどね。そのせいもあってか、イエロ監督は3試合で5失点という、守備面の不安を重要視したよう。CL決勝でのケガが治ったばかりのカルバハル(マドリー)をナチョ(同)に、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)をコケにしてみたんですが、それでも良かったんですよ。前半11分、FKにセルヒオ・ラモス(マドリー)と一緒に倒れ込んだイグナシェビッチ(CSKAモククワ)のふくらはぎがボールに当たり、スペインがオウンゴールで先制点をゲットするまでは。 ▽もちろん、早々にリードできたのは私も嬉しかったんですが、そこから始まったのが永遠のロンド(輪の中に入った選手がボールを奪うゲーム)地獄。というのも、「3CBでプレーするのは好きじゃないが、出場停止者があってそうするしかなかった。選手たちに理解させるために沢山、話したよ」という、チェルチェソフ監督が敷いたロシアの自陣を固める絶対守備態勢はその後も変わらず、スペインはまったく敵ゴールに近づけなかったから。おかげでブスケツ(バルサ)、ラモス、ピケ(バルサ)、コケ、そしてバックパスという外縁ループばかりが繰り返されるって、だってえ、その間、ピッチで走っている選手が皆無なんですよ。 ▽そうこうするうち、いくら「ハイボールをエリア内に落としたり、クリアミスを狙ったりする方が楽なチームもあるが、eso no lo hace Espana/エソー・ノー・ロ・アセ・エスパーニャ(スペインはそんなことはしない)」(イエロ監督)というティカタカ(ショートパスを繋ぐスペインのプレースタイルの愛称)信奉者の彼らでも、ここまで退屈な試合は未だかつてなかったと、いい加減、自分も鳥肌が立ってきた頃に災厄が起きたんです。ええ、たまにボールが回って散発的な攻撃を試みていたロシアがCKのチャンスを獲得したんですが、長身ジュバ(アルセナル・トゥラ)のヘッドをピケが伸ばした腕に当て、ハンドでPKを献上してしまったから、さあ大変! グループ3試合で1セーブしかしていないGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)がジュバに破られて、ハーフタイムまで5分を残してスペインの貯金はなくなってしまうことに。 ▽同点で始まった後半もあまり状況に変化はなく、いえ、前半の接触プレーでケガをしたナチョがカルバハルに代わったのは別ですが、22分にはイエロ監督が「長丁場になると思い、espere al minuto 70 porque veia que ahi empezaba otro partido/エスペレ・アル・ミヌート・セテンタ・ポルケ・ベニア・ケ・アイー・エンペサバ・オトロ・パルティードー(別の試合が始まる70分を待った)」という理由で今大会、初めてベンチスタートとなったイニエスタ(ヴィッセル神戸)がシルバ(マンチェスター・シティ)に代わって入ったんですけどね。30分過ぎにジエゴ・コスタ(アトレティコ)から、イアゴ・アスパス(セルタ)にチェンジした後は少し、動きが出てきたものの、イニエスタとアスパスのダブルチャンスも実らず。1-1のままで90分が終わり、延長戦に突入です。 ▽え、結局、エクストラの30分を戦っても決着がつかず、PK戦に望みを懸けることになったスペインだったけど、イエロ監督がキッカーを選ぶ際には妙な出来事があったんじゃないかって? そうですね、後でクアトロの映像(http://www.marca.com/futbol/seleccion/2018/07/02/5b3a2c17468aeb03088b4607.html)でわかったんですが、イニエスタが最初に蹴り、ラモス、ピケと代表ベテラン勢も大役を快諾。続いてコケにお鉢が回ったところ、ベンチからずっとイエロ監督について来ていたコスタが反対したんですよ。その理由は不明ですが、それでもラモスに「Quieres tirar?/キエレス・ティラール(蹴りたいか?)」と訊かれたコケは「Si, si/シー(イエス)」と志願。その結果、ご存知のように3番目にGKアキンシェーフ(CSKAモスクワ)に挑んで見事、弾かれてしまうことに。 ▽うーん、これまでミラノでのCL決勝を始め、私が見ているアトレティコのPK戦で彼が失敗したことはなかったんですけどね。その直後、ベンチ前で応援していたコスタが「Te lo dije/テ・ロ・ディヘ(言ったじゃないか)」とイエロ監督に蒸し返していたのには、火曜のワンダで会ったアトレティコ番のラジオ記者など、「監督の決定に口を挟むなんてやっちゃいけないこと」と批判していたものの、もしやクラブのチームメートだけに第六感が働いたのかもしれない? どちらにしろ、スペインはデ・ヘアが1本も止められず、最終キッカーのアスパスもアキンフェーフの足に阻まれてしまったため、PK戦3-4負けで帰国が決定です。 ▽この結果、4年前のブラジル大会、2年前のユーロに続いて早期敗退をしてしまった彼らなんですが、何せ今回は大会開幕2日前にマドリーとの契約を発表したロペテギ監督が電撃解任、「Se fue el líder/セ・フエ・エル・リデル(リーダーが行ってしまった)」(コケ)という大逆境がありましたからね。ただ、それがなくとも2008年から2012年までの国際メジャートーナメント3連覇の黄金期を築いた主力メンバーの生き残りが今では皆、30歳過ぎ。「juego rápido/フエゴ・ラピド(速いプレー)」が必要だと主張していたシルバやイニエスタら、ティキタカの基本となるべきMF陣が以前のスピードで動けなくなっていたのは事実ですからね。 ▽随所で妙技を見せて1人、株を上げていたイスコ(マドリー)にしてもチームの動きを加速することはありませんでしたし、大体このロシア戦、ポゼッション79%で計1137回ものパスを出しながら、前方に出したのはたったの278回。挙句にオウンゴールからの1点しか取れないのでは、そろそろサッカースタイル自体を見直す時期に来ているのかも。ちなみにこの試合の後、イニエスタは代表引退を宣言、その夜はベースキャンプ地のクラスノダール(ロシア南西部)に戻り、1泊してから、月曜にマドリッドに着いた時にはシルバもお揃いのチームメートのサイン入りボールを抱えていたため、同じなんじゃないかと思いますが、早々とこれが最後の大会と言っていたピケからはまだコメントが出ていません。 ▽え、32歳のラモスなどは逆に「Me voy a ver obligado a llegar a Catar con la barba blanca/メ・ボイ・ア・ベル・オブリガードー・ア・ジェガール・ア・カタール・コン・ラ・バルバ・ブランカ(ヒゲが白くなってもカタール大会までやることが義務に思えているよ)」とまだまだ、代表キャプテンを続ける気満々だったんじゃないかって?まあ、その辺はイエロ監督が続投しない見込みで現在、ルイス・エンリケ、キケ・サンチェス・フローレス、ミチェル、そしてガビをアル・サッドに誘ったチャビら、複数挙がっている候補の中から決まった次期代表監督が考えてくれればいいことですからね。この4試合では怪しい守備のポカも度々あったため、私には何とも言えませんが、この先、公式戦が巡ってくるのは9月のネーションズリーグからなので、サッカー協会も後任の人選には慎重になってもらいたいものです。 ▽そしてスペインと同日の16強対決ではクロアチアもPK戦でデンマークを破り、準々決勝に進出。スバシッチ(モナコ)とシュマイケル(レスター)の両GKが何本も止めまくっているのはまるで異次元の出来事のようで、見応えがありましたが、おかげで延長戦では止められたPKをリベンジできたモドリッチやコバチッチ(マドリー)、そしてベルサイコ(アトレティコ)ら、マドリッド勢のプレーが土曜午後8時(日本時間翌午前3時)からのロシア戦でも楽しめるのはまだ、何かの慰めになるかと。 ▽月曜にはブラジルがメキシコを2-0で下し、その夜には後半ロスタイム、最後のプレーでGKクルトワ(チェルシー)から始まったカウンターが実を結び、ベルギーが日本に3-2で逆転勝ち。この試合でもゴールを挙げた乾貴士選手(ベティス)や4試合先発出場をした柴崎岳選手(ヘタフェ)がもう見られないのは残念ですが、金曜のブラジルvsベルギー戦ではマドリーが獲得を狙っているという噂の絶えないネイマール(PSG)とクルトワの対決に注目するのもいいかも。ただしこの試合、カセミロ(マドリー)は累積警告で出場停止、マルセロ(マドリー)かフィリペ・ルイス(アトレティコ)はどちらか、一択になりますが。 ▽更に火曜にワンダから戻ってみると、4組目の土曜の準々決勝はスウェーデンvsイングランドに決まったんですが、何せマドリッド勢プレシーズン開始のトップバッター、アトレティコも11日まで動きませんしね。丁度、ヘタフェも12日から始動という情報が入ったんですが、どちらもW杯参加選手たちの合流はずっと先。一応、17日にバルデベバス(バラハス空港の近く)でロペテギ新監督の下、練習を始めるマドリーだけはベイルとベンゼマ、2人の大物が顔を見せることになっていますが…どちらにしろ、8月までは私もその両名の先行きも含め、移籍関連ぐらいしか、お伝えできることがないかもしれません。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.04 15:00 Wed
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【日本代表コラム】個を活かした戦いで世界を驚かせるも、超えられなかった高い壁

▽CKのチャンスからGKがキャッチ、丁寧なスロー、ドリブルで中央を持ち上がり、右サイドへ展開。走り込んだ選手がダイレクトで折り返すと、中央でスルーされ、フリーで走り込んで蹴り込まれる──。一連の流れは、多くの日本人にとって鮮明に記憶に残るのだろう。これまでも劇的なシーンは何度も目にしてきたが、これほどまでに悔しい思いをした場面はそうないだろう。 ▽下馬評を大きく覆し、初戦のコロンビア代表戦に勝利した日本代表。2戦目のセネガル代表戦で引き分けると、3戦目のポーランド代表戦はリードを許しながらも、最後の10分間は自陣でボールを回し時間を消費──賛否両論ある中で、3度目のベスト16進出を果たした。 ▽期待を寄せられていなかった日本代表が、想像を超える結果を残し、世界屈指の攻撃力を持つベルギー代表に挑んだラウンド16。思い描いていたよりも、日本代表は冷静に試合に入り、ベルギーを上回るほどの落ち着いたプレーを続けていた。 ◆ポーランド戦を力に変えてGetty Images▽賛否両論があったポーランド戦の戦い方。先発を6名変更し、最後はビハインドながら時計の針をただただ進めるパス回しを行った。結果として、ラウンド16に進めたことで、この判断は正しかったと結論付けられがちだが、本来の意味ではこのラウンド16のベルギー戦でどの様な試合を見せるかが重要だった。 ▽初戦、2戦目と同じ11名をピッチに送り出した西野朗監督。立ち上がりは前線からボールホルダーにプレスをかけ、流動的に動き、ペースを掴んでいった。今大会既に4ゴールを記録していたFWロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)には、鹿島アントラーズでプレーするDF昌子源がマークに。一瞬のスピードで振り切られるシーンもあったが、ルカクのプレーに徐々にアジャストしていった昌子は、試合を通して決定的なピンチを作ることはなかった。 ▽センターバックでコンビを組んだDF吉田麻也(サウサンプトン)も同様だ。プレミアリーグでも対峙しているルカク、MFエデン・アザール(チェルシー)を冷静に対処。粘り強い守備を見せ、決定機も身体を張って凌いだ。 ▽前線も同様だ。トップに入ったFW大迫勇也(ブレーメン)は、持ち前のポストプレーと献身的な守備、ポジションを移動して起点となるシーンが多かった。DFヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・シティ)を相手にも、自身の持ち味を出していた。MF乾貴士(ベティス)は、左サイドでDF長友佑都(ガラタサライ)とともに攻勢をかけ、MF香川真司(ドルトムント)はバイタルエリアに陣取りつつ、左サイドの攻勢に絡んだ。 ▽中盤でタクトを振るMF柴崎岳(ヘタフェ)は、攻守にわたってこの試合でも冴え渡り、縦へのパス、読みからのパスカットなど、日本の中盤を支えた。MF長谷部誠(フランクフルト)はバランスを見たプレーをし、MF原口元気(ハノーファー)は右サイドで持ち前の運動量と上下動で守備に貢献。DF酒井宏樹(マルセイユ)はMFヤニク・フェレイラ=カラスコ(大連一方)との一対一に対応した。 ◆個人の特長を最大限に活かすサッカーGetty Images▽これまでに見たことのないような落ち着いたプレーを見せていた日本。その大きな理由は、個人個人の特長を生かし、連携し合ったプレーを見せていたからだろう。距離感、立ち位置、ボールを運ぶ流れ。遅攻に移った際の切り替え、攻守の切り替えと冴えを見せた。 ▽いつになく、各選手が自身の役割を理解し、チームメイトもその役割を理解し、本来の意味でのチームになっていたようにも感じた。 ▽その動きは、後半に入って大きく変化する。立ち上がり、ベルギーに攻め込まれる中、自陣で乾がこぼれ球をトラップ。反転して相手と入れ替わると、近くの柴崎へとパスを出した。その瞬間、右サイドで大人しくしていた原口が猛然と奪取。それを見逃さない柴崎が絶妙なスルーパスを出すと、ヴェルトンゲンの足をかすめてスペースへ。原口はしっかりとボールを受けると、ボックス内でシュート。日本が先制に成功した。 ▽このゴールには、乾、柴崎、そして原口の特長が詰まっている。まずは、試合を通して狂いのないボールタッチを見せた乾のトラップ。そして、相手DFをいなすターン。柴崎は、原口のスピードに合わせた絶妙な強さで、ギリギリのラインにパスを通した。そして原口。長い距離のスプリントは原口の特長であり、アジア予選のチーム得点王である所以を見せつけた。このゴールで、日本は大きく優位に立った。 ◆微妙にズレた采配Getty Images▽その後、ベルギーの猛攻を凌ぐと、乾のスーパーゴールで日本がベルギーを突き放す。さすがのシュートに、ロベルト・マルティネス監督も唖然。日本の底力を目の当たりにしたが、これがベルギーの選手たちに火をつけた。 ▽ベルギーは、前半から長友とDFトーマス・ムニエ(パリ・サンジェルマン)の高さのミスマッチを利用。何度となく、左サイドから崩し、ファーサイドを使っていた。そして、その狙いが顕著になる選手交代を行う。MFマルアン・フェライニ(マンチェスター・ユナイテッド)を投入。前線のルカクとともに並べることにした。 ▽フェライニは昌子と長友の間に陣取り、ルカクは昌子とのマッチアップをチョイス。時間の経過とともに、アザールとMFケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)が連動して日本の右サイドを侵略。吉田と酒井宏が対応に当たることとなった。 ▽日本のウィークポイントを突いてきたベルギーは、徐々にペースを握ると、高さを生かして2点ビハインドを跳ね返す。日本はミスマッチが起こっていながら、手を打たず。ウィークポイントの穴埋めにカードを切らない西野監督らしさを見せたが、個人的には対人守備に強いDF植田直通(鹿島アントラーズ)を入れるもの有りだったのではないかと思っている。 ▽そして、2点差を追いつかれて投入されたのは、MF山口蛍(セレッソ大阪)とMF本田圭佑(パチューカ)だ。本田は右サイドの原口に代わり、タメを作って攻撃のバリエーションを増やした。香川とのコンビネーションからシュートチャンスや、FKからブレ球で直接狙うなど積極的な姿勢を見せた。 ▽一方の山口は、攻守のカギを握っていた柴崎と交代。しかし、残り10分程度の難しい時間帯に入ったこともあり、試合に入れていなかった。西野監督は今大会、采配で局面を動かしてきていた。初戦、2戦目と途中投入した本田が得点に絡み、勝ち点を獲得。3戦目は、長谷部を入れて場を整えた。 ▽しかし、ベルギー戦は後手に回りすぎ、良いペースを手放す格好となってしまった。もちろん、ベルギーとの実力差も大いにあり、個々の能力差もあった上だが、2-0のリードを活かす方法論はあったはずだろう。 ◆ベスト8の壁を超えるためGetty Images▽ベルギー相手に、世界が驚くほどの好ゲームを見せた日本。その点に関しては、自信を持って良い部分もあり、世界と戦える力を付けることが可能であることも証明した。 ▽一方で、それでも勝てないという現実も突き付けられている。90分が過ぎようとしている時間帯に、あれだけの選手が相手ゴールへと駆け上がり、最後は勝ち点3を持っていく。世界屈指の攻撃力を誇るベルギーを相手に、そんなサッカーを身を持って体験したからこそ、未来の日本のために繋げられるはずだ。 ▽直前の監督交代に始まり、ベスト16進出、手がかかったベスト8を逃す結末…大いに検証し、分析し、次に繋がる課題を見つけてもらいたい。 ▽次の戦いは4年後。何人の選手が再びワールドカップに出場するかは分からない。もしかしたら、出場権を獲得できないかもしれない。それでも、日本サッカーは終わらない。世界を驚かせたルーザーは、ウィナーになるべくして次のステップに進んでもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.07.03 19:30 Tue
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【日本代表ターニングポイント】受けに回った采配、世界との差を見た12人目以降の選手

▽日本代表は2日、ロシア・ワールドカップのラウンド16でグループG首位のベルギー代表と対戦した。史上初のベスト8進出を懸けて戦った日本代表。善戦したものの、後半アディショナルタイムに力尽き、逆転負け。大会を去ることとなった。 ▽立ち上がりから落ち着いた入りを見せた日本は、ベルギーの時間帯もしっかりと凌ぎゴールレスで45分を終えた。そして後半の立ち上がり、ピンチを迎えると一転して逆襲。鋭いカウンターからFW原口元気が決めて先制すると、52分にはMF乾貴士がボックス手前から右足一閃。2-0とリードを広げた。しかし、そこから日本は3失点し逆転負け。ターニングポイントはどこにあったのか。 ◆受けに回った采配Getty Images▽今回の試合の“ターニングポイント”は、西野朗監督の采配と言える。そして、ベンチ入りメンバーの質とも言えるだろう。 ▽前述の通り、後半の立ち上がりに素晴らしい2ゴールでリードを奪った日本。得点を奪うべく前掛かりになったベルギーだったが、日本はギリギリの所で対応し、得点を許さなかった。 ▽局面を変えたかったベルギーは、攻撃面で違いを作れていなかったMFヤニク・フェレイラ=カラスコとFWドリエス・メルテンスを下げ、MFマルアン・フェライニ、FWナセル・シャドリを投入。この交代が流れを引き寄せることとなった。 ▽前半からサイドを崩したベルギーは、FWロメル・ルカクをターゲットマンとして攻撃を仕掛けていたが、DF昌子源がしっかりと対応し、自由にさせる場面を限定していた。一方で、左サイドを崩した際には、ファーサイドを狙ってクロスをあげ、右ウイングバックに入っていたDFトーマス・ムニエの頭を狙っていた。 ▽日本の左サイドはMF乾貴士、DF長友佑都と上背がなく、190cmもあるムニエとの空中戦では分が悪かった。ゴールにこそ繋がらなかったが、何度も使われていた。そして、これは交代後にも起こる。フェライニは途中交代でピッチに入ると、長友の近くにポジションを取ることに。圧倒的な身長差で、空中戦で負けることはなく、さらにリーチの深さで攻撃の起点となりつつあった。 ▽MFエデン・アザール、MFケビン・デ・ブライネが自由にポジションをとり、フェライニやルカクを使ってボックス付近へ侵入。ベルギーの攻撃にエンジンが掛かり始めた所で2ゴールを続けて奪った。 ▽1点目はファーサイドへ高く上がったクリアボールを、ボックス内でヴェルトンゲンがヘッド。2点目は左サイドを仕掛けたアザールのクロスをフェライニがドンピシャヘッド。3点目はCKからのカウンターを受け、最後はシャドリに決められた。フェライニの対策、高さのケアをしなかった采配は、西野監督らしいと言えばらしい。それだけに、延長戦も辞さなかったプランがラストプレーで崩れたのは誤算だっただろう。相手を受けてしまっての采配は、輝きを見せることがなかった。 ◆明確な手が打てない選手層 ▽選手交代が後手に回ったことも影響されるが、明確なカードを切れない選手層にも差を感じさせられた。ベルギーは2点を奪われ、前半から日本の弱点を考えていた高さを利用した。 ▽カラスコやメルテンスが思った以上に仕事をさせてもらえなかったこと、さらに、DF吉田麻也、昌子のセンターバックコンビ以外には空中戦で勝算があったこと、GK川島永嗣がクロスボールに対して出てこないことも計算して、明確に“高さ”とボールの収まりどころを置いた。 ▽一方で、日本は選手投入によって明確なプランを描けない状況がある。攻守にわたってカギとなっていた柴崎に代わって入った山口は、難しい時間帯ではありながらも、試合に入ることができず。最後の失点シーンでは、デ・ブライネに対する対応を誤り、ゴールに繋げてしまった。 ▽また、フェライニのように、チームにメッセージを送れる選手も少ない。23名を選考した時点である程度は固まっていたが、局面を打開できるメンバーが揃っていたかといえば、ベスト8に進む国に比べると少ないだろう。今後、日本が上を目指すために必要な課題はハッキリしたはず。4年後に向けた検証と分析は早急に進めたい。 2018.07.03 08:20 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】決勝なんてまだ考えられない…

▽「笑われても仕方ないけどね」そんな風に私が諦めの境地に至っていたのはW杯最初のノーマッチデーとなった金曜日、スペイン代表のチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)が定例会見に登場。「16強対決でロシアを破れば次はデンマーク、スウェーデン、そしたら決勝という可能性にファンは夢をかきたてられているけど」と記者が質問を始め、「Y el final, Japon?/イ・エル・フィナル、ハポン(で、決勝は日本?)」とチアゴが口を挟んだところ、クラスノダール(ロシア南西部)のベースキャンプの会見場では失笑が沸き上がっていたから。 ▽そう、木曜にグループリーグ全試合が終わり、決勝トーナメントの枠組みが決まってみると、土壇場にイアゴ・アスパス(セルタ)のゴールがVAR(ビデオ審判)で認められ、最終節モロッコ戦を2-2の引き分けに持ち込んだスペインは首位でグループ通過。それにはポルトガルもイランに追いつかれ、ドローに終わったため、勝ち点で並んでいても総得点数で上回ることができたという幸運もあったんですが、何よりの恩恵は彼らが回ったトーナメント表のサイドなんですよ。だってえ、ブラジルもアルゼンチンもフランスもいない上、ここまで抜群の得点力で影の優勝候補に挙げられていたベルギーさえ、ヤヌザイ(レアル・ソシエダ)が空気を読まずにイングランド戦で決勝ゴール。引き分けで終わっていれば2位のまま、楽な側に回れていたのにわざわざ、反対に行ってくれるって、もしや今大会のスペインはツイている? ▽要はその強豪ひしめくブロックに日本もいるんですが、いやあ、確かに木曜は終盤15分、コロンビアがセネガルに先制したのをいいことに、自身も1点ビハインドながら、イエローカード枚数が少ないフェアプレー基準でのリード頼りにセンター付近で延々とボール回し。臆面なく、時間つぶしをしていた姿には私も驚かされたものでしたけどね。翌日はマルカ(スポーツ紙)などでも「ファール数もグループリーグ中、一番少なく、フェアプレーをするチームという印象が汚されてしまった」と嘆かれていましたが、え、リーガにだってたまにそういう試合はあるんじゃないかって? ▽そうですね、昨季など、アトレティコが僅差でリードしている際、グリーズマンが絶好のカウンターのチャンスでボールを戻してしまい、ワンダ・メトロポリターノのサポーターから思いっきり、pito(ピト/ブーイング)を浴びていたなんてこともありましたけどね。とはいえ、ここまであからさまなボールキープは私も初めて見ましたし、とりわけ中心となってバックパス回しをしていた乾貴士選手など、8月からの新天地となるベティスのファンが悪いイメージを抱かないかと心配になったものですが、まあそれはそれ。せっかくグループ突破ができたんですし、次の16強対決、ベルギー戦で名誉挽回できることを祈っています。▽そうそう、日本代表関連で言えば、先週のレガネスに続き、今週は水曜にもう1つのマドリッド勢弟分、ヘタフェの新ユニフォームプレゼンに現在、全面芝張替え中のコリセウム・アルフォンソ・ペレスまで行ってきた私でしたが、残念ながら、VIPホールで開かれたこちらではモデルとなったのはユースチームの選手たちだけ。今季はチームカラーの青に第2ユニは赤、第3は白とちょっとお隣さんより地味な感じは否めないものの、60ユーロ(約8000円)と兄貴分たちに比べ、お手頃価格なのは一緒です。すでにスタジアム前にあるオフィシャルショップで買えるんですが、そこでやっぱり気になるのは今、ロシアで頑張っている柴崎岳選手が今季もヘタフェでプレーしてくれるかですよねえ。 ▽顔見知りのマルカの番記者なども「W杯での活躍で評価が上がって、他のチームからオファーがくるかもしれない」と言っていたため、プレゼンの後、質問に答えていたアンヘル・トーレス会長に訊いてみたところ、「Gaku tiene contrato, y la idea es que siga/ガク・ティエネ・コントラトー、イ・ラ・イデア・エス・ケ・シガ(ガクとは契約があるし、残留するという考えだ)。といっても契約破棄金額を払うクラブが現れて、当人が行きたがれば話さないといけない」とのことでしたが、まあこれはどの選手に対しても同じヘタフェのスタンス。加えて、社交辞令なんでしょうか、「今はガクが決勝でスペインと戦うことを期待しているよ」と言っていましたが、うーん、もしそうなったら、昨季は22試合しか使ってくれなかったボルダラス監督ももっと、柴崎選手を頼りにしてくれますよね。 ▽そしてGKグアイタのクリスタル・パレス行き、レンタルだったベルガラ、アランバリらとの直接契約などがあったヘタフェではモロッコのグループリーグ敗退でファジルもバケーション入り。W杯に残っているのはあと1人と、7月中旬に始まるプレシーズンキャンプに支障はなさそうなんですが、各国代表に大量の選手を派遣している兄貴分チームの様子もお話していくことにすると。まず、スペイン代表を解任された翌日、サンティアゴ・ベルナベウで就任プレゼンがあったロペテギ監督がすでにバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に通勤、せっせとプランニングに励んでいるレアル・マドリーでは、グループリーグでお役御免になったのは3人でした。 ▽ええ、ファジルの同僚アシュラフ、コスタリカのGKケイロル・ナバス、そして水曜のグループ最終節に2-0で韓国に負けて敗退、今大会、最大のサプライブを演じたドイツのクロースですが、どうやら彼らは7月27日、この夏最初のプレシーズンマッチ、プエブラ戦のためのメキシコ遠征から合流する予定とのこと。W杯に行っていない選手たち(ベンゼマ、ベイルを含む)は17日から、バルデベバスでトレーニングを開始します。ロシアにまだいる11人はチーム敗退の時期に応じて、順次合流していくようですが、最多5人が参加しているスペインが決勝まで残ったりすると、2018-19シーズン最初の公式戦、お隣さんとタイトルを争う8月15日のUEFAスーパーカップの準備が大変になりそうな。 ▽え、それは先日、7000万ユーロ(約91億円)の移籍金で入団が決まったフランス代表のレマル(モナコ)を含め、総勢10人全員がW杯で勝ち残っているアトレティコも同じだろうって?そうですね、水曜のセルビアvsブラジル戦ではマルセロが開始10分で背中を痛め、出番はほとんどないと思われていたフィリペ・ルイスも大会デビューしましたしね。16強対決の始まる火曜にはゴディンとヒメネスのいるウルグアイがクリスチアーノ・ロナウドのポルトガルと対戦。選手たちにとってはできるだけ長くロシアにいたいところでしょうが、それぞれのクラブを応援するファンにとっては心情的に微妙かと。 ▽同日にメッシのアルゼンチンに立ち向かうフランスのグリーズマン、リュカとバランは一蓮托生ですからいいんですが、実はアトレティコでは木曜、いきなりキャプテンのガビが3年間、1900万ユーロ(約25億円)の契約で元バルサのチャビがいるアル・サッド(カタール)からのオファーを真剣に検討しているなんて話が出てきたら、もしやスペイン代表のカンテラーノ(ユース組織出身の選手)コンビ、コケとサウールには早く戻って来てもらった方がいい? いえ、W杯直前の日本との親善試合でゴールを挙げていたトマス(ガーナ)は本大会には出ていませんし、大会開幕直前までヘルプ要員としてクラスノダール(ロシア南西部)の合宿まで帯同していたロドリ(ビジャレアルから移籍)もとっくに帰国しているため、ボランチに人手が足りなくなることはないんですけどね。 ▽昨季後半は19人という超少数精鋭でプレーしていたイメージがあまりに鮮烈に残っているため、来週にはアトレティコを退団したフェルナンド・トーレスもいよいよ、MSLのシカゴ・フィアーズなり、Jリーグのサガン鳥栖なり、行き先を発表すると言われていますし、そろそろ補強も本格的に始めてもらいたいかと。アメリカでのバケーションを楽しんだ後、故郷スロベニアに戻り、木曜には2019年バスケットボールW杯予選のスペイン戦を見に行っていたという、GKオブラクの契約延長交渉もまだ進展はないようですし、モドリッチやコバチッチと共にクロアチア代表として、日曜にデンマークと対戦するベルサイコにも相変わらず、移籍の噂が絶えないのはちょっと気掛かりなところでしょうか。 ▽え、それってもしや、冒頭のお気楽な記者の質問とは裏腹にスペインのいる決勝トーナメントのサイドにはクロアチアがいるってことじゃないのかって?その通りでウルグアイ、ベルギー同様、ナイジェリア、アルゼンチン、アイスランドに3連勝してグループ突破してきた彼らは2016年ユーロのグループ最終節でスペインに勝利。おかげで16強対決をイタリアと戦う羽目になり、早期敗退を招いた因縁の相手なんですが、そんなのはもう、スペインが開催国ロシアを日曜午後4時(日本時間翌午前11時)からの試合で破ってから考えればいいことですからね。 ▽その肝心のチームは金曜夜にはこのところ、日中38度にもなる猛暑に襲われているクラスノダールを後にし、20度程の過ごしやすいモスクワに移動したんですが、今のところ確定しているのはイエロ監督が「Sí, jugará/シー、フガラ(ああ、プレーする)」と確約していたGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)の先発リピートだけ。各紙の予想によると、ジエゴ・コスタ(アトレティコ)とアスパスのツートップ、グループリーグ中、最も走行距離が多かった敵への対抗策に健脚自慢のコケのスタメン復帰などがありそうですが、どちらにしろ、土曜のルジニキ・スタジアムでの前日練習が終わってみないと詳細はわからないかと。 ▽何せここからは反省のきかない一発勝負とあって、3試合で5失点という、穴だらけの守備だけは改善してくれないと困りますからね。ええ、カルバハル(マドリー)なども「Creo que corrigiendo esos errores atrás, nos hacemos muy fuertes/クレオ・ケ・コレヒエンドー・エソス・エローレス・アトラス、ノス・アセモス・ムイ・フエルテス(ああいうミスを正していけば、ウチはとても強くなれる)」と言っていましたし、とりわけロシアには元マドリーのチェリシェフ(ビジャレアル)以外にも身長196センチの大型FWジェバ(アルセナル)がいて、ここまで3得点と空中戦にも強いようなので、セルヒオ・ラモス(マドリー)、ピケ(バルサ)のCBコンビには頑張ってもらわないと。 ▽そんな中、スペイン情報で興味を覚えたのはAS(スポーツ紙)に出ていた記事で、サッカー協会関係者によると、どうやらロペテギ前監督が開幕前に決めたPKキッカーの順番をイエロ監督がこのたび変更。これまでは第1キッカーがシルバ(マンチェスター・シティ)だったのがラモスになるかもしれないことですが、このW杯ではVARのおかげでPKも多いことですし、まあ見てのお楽しみ。でもだからといって、決勝トーナメント初っ端から、PK戦なんて私はイヤですよ。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.30 12:00 Sat
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【日本代表コラム】現時点では「結果オーライ」、西野監督はどう挽回するのか

▽28日、ロシア・ワールドカップのグループステージ全日程が終了した。日本代表は、ポーランド代表と対戦し、0-1で敗戦。しかし、同グループのもう1つのカードであるセネガル代表vsコロンビア代表が0-1で終了。この結果、グループ2位で決勝トーナメント進出が決まった。 ◆喜ぶべきベスト16進出Getty Images▽大会前の評価を考えると、ラウンド16に日本が進出する可能性は限りなく低く見積もられ、1弱3強との見方をされていたことも少なくなかった。 ▽開幕2カ月前に監督を交代し、西野朗監督が率いてからは国際親善試合で連敗。本番前ラストマッチのパラグアイ代表戦こそ勝利したものの、ポジティブな要素を感じられないまま本大会に突入したため、期待感は薄く、日本国内での盛り上がりにも欠けていた。 ▽しかし、フタを開ければ初戦のコロンビア代表戦で勝利。続くセネガル代表戦を引き分け、自力で決勝トーナメント進出を掴めるポジションとなった。 ▽当初の評価、期待値からすれば、日本代表がグループステージを突破し、過去最高に並ぶベスト16に進出したことは素直に評価すべきことだ。しかし、そこにケチを付けかねない残念な事態が起こったのも事実だ。 ◆ポーランド戦で起こった魔の10分間Getty Images▽日本は自力で突破が決められる状況で迎えたグループ最終節。相手は既に敗退が決定していたポーランドだ。実力差を見れば、ポーランドが優勢なのは明らか。ここまでの2試合の結果など関係なく、1試合にこだわれば日本は躓く可能性が高かった。 ▽そんな試合だが、2試合続けて同じ11人をピッチに送り出していた西野朗監督は6名と過半数を変更。システムも、[4-2-3-1]から[4-4-2]へと変更し、大事な一戦に臨んだ。 ▽不安だった大会前から一転、日本の力強さを2試合で感じていた人が多かっただけに、この6名変更は大きな疑問符が付くこととなった。そして、その影響は試合にも表れてしまう。 ▽前半は、連携ミスなどもありながら、ポーランドゴールに迫るシーンが見られた。しかし、ちょっとした感覚や、タイミングのズレが影響し、相手守護神をヒヤリとさせるシーンはなかった。さらに、6名変更の影響は続く。 ▽0-0で前半を終えた日本だったが、FW岡崎慎司が早々に倒れ込み、FW大迫勇也と交代した。前半から怪しい雰囲気を出していた岡崎だったが、後半開始直後に交代。カードを1枚切らざるを得なくなった。負傷に関しては懸念材料を抱えていた岡崎だけに、勿体無いカードを切ることは残念だった。 ▽そして、その後にポーランドが先制。セネガルvsコロンビアがゴールレスドローで推移していたため、日本は敗退が濃厚に。攻勢をかけるべく試合に入ろうとし、MF宇佐美貴史に代えてMF乾貴士を投入。しかし、流れが変わることなく、ポーランドが勢いづく展開となった。 ▽すると、西野監督が大胆な采配をふるう。FW武藤嘉紀に代えて、MF長谷部誠を投入。すると、1点ビハインドの日本が自陣最終ラインでパス交換。一向に攻める様子を見せず、ポーランドもボールを奪いに来ることなく終了。1-0で敗戦となった。 ▽日本がポーランドに負けた場合は、他会場の結果に全てが委ねられることに。しかし、その状況でも、西野監督は「失点をしないこと」「カードをもらわないこと」をプランとして長谷部に伝えていたと、試合後に明かした。 ◆ハイリスク・ハイリターンの賭け ▽西野監督は、「万が一が起こらないこと」を主軸に考え、1点ビハインドながら長谷部を起用した。日本とセネガルは条件が同じであり、順位決定は今大会から導入された「フェアプレーポイント」というものだった。 ▽「フェアプレーポイント」とは、警告や退場によって与えられる反則ポイント。日本はセネガルよりもイエローカードで2枚分下回っており、セネガルより優位に立っていたのだ。 ▽しかし、0-1となったセネガルvsコロンビアが1-1となれば、「フェアプレーポイント」は関係なくなる。そんな状況の中、西野監督は試合のラスト10分間は自陣でただボールを回すだけで、時計を進めることを決断。全てをコロンビアに懸けたのだ。 ◆究極のリアリストとも言えるギャンブラーGetty Images▽対峙している相手ではなく、全く関係ないところの試合に命運を託した西野監督。結果として、日本は2大会ぶりのベスト16進出を掴み、事なきを得た。スタンドからは大ブーイングが鳴り響き、日本人意外で日本代表を応援していた人々にもそっぽを向かれてしまった。 ▽セネガルがコロンビアを相手に10分強で1点を取る確率が高いのか、日本がポーランド相手に引き分けを目指し、逆襲されて2点差を付けられてしまう確率が高いのか。同点を目指しながらも上手く流れが変わらないことに勘付いた西野監督は、コロンビアに命運を託すことが最善と判断したのだろう。交代時に何かを変えた様子も伺えた。 ▽何が起こるか分からない中、自分たちでコントロールすることも放棄した。しかし、結果としてはベスト16に進出。見るものとしては、どこか腑に落ちず、不満が残り、フラストレーションが溜まったはずだ。そして、チームとしてもこれまでの流れを全て断ち切ることとなってしまったかもしれない。それでも、自身が閃いた確率の高い方へ賭ける勝負師の一面を西野監督は見せた。 ◆「結果オーライ」をどう挽回するかGetty Images▽目標であったグループステージ突破を果たしたことに対し、文句を言う必要はない。どんな形であれ、勝負の世界であれば結果が全て。上を目指すためには必要な決断だった。そして、日本は目的を達成した。 ▽しかし、そうであっても、今回の事象は全て「結果論」。結果が重要であり、最優先されることではあるが、結果が違えば、日本代表、そして西野監督の立場がどうなっていたかは容易に想像できる。 ▽開幕2カ月前の電撃的な監督交代、結果を残せなかった国際親善試合、若手を外したメンバー発表──日本国民にとって、マイナス要素ばかりに目が行く流れの中、初戦でコロンビア相手に大金星。一気に日本代表への後押しが強まると、セネガル相手に引き分け、全てが前向きになった。しかし、今回の一件で意見は大きく分かれ、いつになく日本代表が話題の中心となっている。そして、積み上げてきた信頼を全て失ったとも言っても過言ではないかもしれない。 ▽しかし、選手が口を揃えて言うように、目標はベスト16ではなく、最低でもベスト8。過去最高の成績を残し、歴史を塗り替えることだった。そういった意味では、2試合を主力としてた戦った選手を大幅に休ませられたこと、そして他力に頼るという大胆な選択をしながらも、賭けに勝ったことをプラスに捉えられる。そして次に待つのは、ベルギー代表とのラウンド16でどの様なサッカーを見せるかだ。 ▽現時点での印象は、「結果オーライ」。これでは、未来へと繋がるものは残せていない。しかし、その印象を塗り替え、未来に繋げるためには、ベルギー相手にしっかりと戦い、自分たちの力で歴史を塗り替えることが最も重要だ。 ▽リアリストであり、ギャンブラーでもある西野監督が持つ引きの強さを、ベルギー戦でも期待しない訳にはいかない。実力はもちろんのこと、運を味方にするという意味では、日本は一段階上に上がったのだろう。あとは、休んだ主力選手も含め、ベルギー戦のピッチの上で見るものを沸き立たせてくれることを願うだけだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.29 22:45 Fri
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【日本代表ターニングポイント】先を見据えた選手起用も疑問が残る“ギャンブル”

▽日本代表は、28日に行われたロシア・ワールドカップのグループH最終戦でポーランド代表と対戦。0-1で敗れたものの、セネガル代表vsコロンビア代表でコロンビアが1-0と勝利したため、日本の決勝トーナメント進出が決定した。 ▽引き分け以上の結果を残せば自力で決勝トーナメント進出を決められた日本。しかし、最後は自力を放棄し、他力に頼る決断を下した。 ◆先を見据えた戦いGetty Images▽この試合のターニングポイントは、選手起用にある。 ▽まず、スターティングメンバーを6人変更してきた。特に前線の選手は大きく入れ替え、最終ラインもDF昌子源を外し、DF槙野智章を起用した。 ▽ワールドカップ前の国際親善試合3試合で起用していた選手を外し、本大会では、昌子、そしてMF柴崎岳をスタメン起用。その2人のパフォーマンスも高く、2試合は良い結果を残していた。 ▽しかし、決勝トーナメント進出が懸かる大事な3戦目では、槙野をはじめ、MF山口蛍、DF酒井高徳、MF宇佐美貴史、FW岡崎慎司、FW武藤嘉紀を起用。攻守の核を外して、大一番に臨んだ。 ▽無謀とも思われた大幅変更の選手起用だったが、先を見据えての選手起用だったとも言える。例えば、MF長谷部誠はイエローカードを貰っており、あと1枚でラウンド16に進出しても出場停止となる状況だった。 ▽また、前線選手は2試合での疲労も考慮。ラウンド16の戦いに備えて休息を与えたと考えても良い。メンバーが変わっても、ある程度のパフォーマンスを出せる自信があったからこその決断だと思うが、結果的にラウンド16に進出したため、今回の判断は間違いではなかったと言わざるを得ない。 ◆無謀過ぎるギャンブルGetty Images▽ある種の“ターニングポイント”となったのは、試合終盤の采配だ。日本は敗れれば、他会場の結果に左右されることとなるが、59分にポーランドに先制を許してしまう。 ▽その後、一度は反撃に転じるが、勢いづくポーランドの前に思うようなプレーができず。徐々に押し込まれる展開となった。 ▽すると、3枚目の交代カードとしてMF長谷部誠を起用。中盤を落ち着かせに行ったかと思われが、ここからまさかの展開を目の当たりにすることとなった。 ▽1点ビハインドの状況ながら、最終ラインでパスを繋ぐことに終始。ポーランドも無理して追うことが無いため、時間がただ過ぎていくのを待っていた。 ▽セネガルvsコロンビアは74分にコロンビアが先制。この情報が長谷部によって選手たちに伝えられたようだが、間違えないで欲しい。セネガルvsコロンビアがドローに終わっていたら、日本は敗退していたのだ。 ▽アディショナルタイムを含めて10分強。その時間をセネガルvsコロンビアの結果に託したのだ。ギャンブルに勝ったから良いものの、果たして正解だったのか。結果オーライという言葉しか出てこず、判断は間違っていたとは言えない。ただ、上を目指すものの戦いだったかと言われると、疑問が残るラスト10分だった。 2018.06.29 06:30 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】サポと寝台列車で呉越同舟の楽しさ

▽いよいよ、あと5時間後にロシアW杯のグループステージ最終戦、日本対ポーランド戦がキックオフを迎える。西野朗監督はセネガル戦から6人のスタメンを入れ替えるとの予想もあるが、果たしてどんな11人をピッチに送り込むのか興味は尽きない。 ▽そんな試合のレビューは次の機会に譲るとして、面白い経験ができたので紹介したい。前回のブラジルW杯はグループステージであっけなく敗退した。日本のファン・サポーターはもちろん、対戦相手3か国のファン・サポーターにもこれといったインパクトを残せずブラジルを後にしたはずだ。 ▽日本がベスト16に進んだのは02年の日韓W杯と10年の南アW杯の2回だけ。しかしこの時は、日本戦以外の試合も精力的に取材しており、同業者と電車を乗り継いだりレンタカーを駆ったりして国内移動の連続だったため、ファンやサポーターと触れ合う機会は皆無だった。 ▽しかし今回は日本のキャンプ地取材をベースに、日本の3試合を追った。3試合とも少しでも安く移動しようと、寝台列車を利用することにした。サランクスへは18日の00時54分カザン発の列車で約9時間、朝の09時54分に到着した。 ▽エカテリンブルグにはカザン発22日20時08分の寝台車で約14時間、到着は翌朝の10時22分(実際にはモスクワ時間と2時間の時差があるため、到着時のエカテリンブルグは12時22分)で、いずれも深夜の移動だったため、列車が走り出すと車内も暗い。このため寝るしかなかった。 ▽エカテリンブルグからカザンへは朝の列車で当日の21時37分に着いたが、車内はガラガラ。当日、カザンでは試合が行われなかったからだ。なぜカザンに戻ったかというと、長期滞在していたアパートを引き払い、スーツケースをピックアップするためだった。 ▽そして6月26日のカザン発12時21分の列車でボルゴグラードに移動。今回は約24時間の長旅で、ボルゴグラード着は翌朝の11時48分だった。この2等列車、ロシア人や出稼ぎのアゼルバイジャン人といった普段の乗客に加え、日本とポーランドのサポーターが大挙して乗っていたことで、昼間から食堂車は大賑わいだった。 ▽まず列車を待っていると、アゼルバイジャン人が寄ってきて、「ヤーパン(と聞こえた)、グッド」と親指を突き上げる。上下2段ベッドの4人の客室のルームメイトはポーランド人の若者2人。「日本はどこまで行くと思うか」と質問されても、答えに窮してしまった。まだ「優勝候補はどこだと思う」と聞かれた時の方が答えやすかった。「レバンドフスキは調子が良くなかったね」と慰めても、首を横に振るだけ。やはりグループステージ敗退はどの国の選手、サポーターにとっても心の痛む結果なのだろう。 ▽食堂車では日本とポーランドのサポーターがビールで互いをたたえ合っている。陽気になったポーランドのサポーターは、もうヤケクソといった感じだ。 ▽偶然にも同じ列車に旧知の同業者がファンとして観戦に来ていたので、夕食がてら食堂車に誘い、ビールを注文すると、中年のウエイトレスは「日本人はまだビールを飲むのか」と呆れられた。我々は初ビールだが、彼女にとって日本人の見分けはつかないのだろう。 ▽日本がW杯に出場するようになって、ファンやサポーターと行動を共にしたのは今回の寝台車が初めてだったが、これはこれでなかなか楽しい経験だった。そしてつくづくと思う。やはりW杯は勝たなければ開催国にも対戦相手の国にも何の印象も残せないということだ。 ▽そうした意味では、コロンビア戦で決勝点を決めた大迫勇也や、セネガル戦で同点弾を叩き込んだ本田圭佑は、日本でも大きくクローズアップされているのは当然として、世界的にも評価は高まる。W杯の出場国はたったの32か国に過ぎない。しかし彼らの活躍を、アジア予選で戦い日本に敗れたUAEやタイ、カンボジア、イラクのファン・サポーターはしっかりとその目に焼き付けているだろう。 ▽同じことは世界の全地域にも当てはまる。W杯に出場した32か国の7倍以上の国がW杯をテレビで観戦しているからだ。 ▽ただ、昨日の取材で植田直通が「まだ決まったわけではない」ということも確かなこと。FIFA(国際サッカー連盟)ランク7位のポーランドを倒してこそ世界に衝撃を与える日本でもある。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.06.28 18:00 Thu
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【倉井史也のJリーグ】ワールドカップから帰ってJ2を戦った男の壮絶な記録!? の巻

▽今回のワールドカップを見てて、日本の力をもっと結集すれば結構すごいんじゃないかって思うわけですよ。日本人の特長を生かせるのはやっぱり日本をよく知ってる人じゃないとダメなんじゃないかって。 ▽で、そこで思うんですけどワールドカップ期間中にJ2リーグが開催されてるってコトは、「J2からは代表に呼ばないよ!」って言ってるんだと思うんです。でもね、これまで多くの選手がJ2からワールドカップに出たじゃないですか。印象深いのは2002年日韓ワールドカップで日本のベスト16を決めた森島寛晃って、当時J2ですからね。あんな日本の大事な場面でJ2の選手が活躍してるんですよ。 ▽実は当時、ワールドカップ期間中はJ2お休みでした。ただ、12チームだったけど4回戦制だったから全部で44試合あったんです。そんな中で森島と西澤明訓をワールドカップ日本代表に送り出してたC大阪って、何とか最後に2位に食い込み昇格を決めたわけですよ。 ▽このときの森島の出場記録が泣ける! 特にワールドカップ後!! ▽7月6日のリーグ再開アウェイの横浜FC戦に33分から出場すると、10日のホーム水戸戦ではフル出場、続く13日のホーム新潟戦、20日アウェイ山形戦、24日アウェイ福岡戦、27日ホーム大宮戦、8月3日アウェイ湘南戦、7日は鈴鹿の大分戦、10日アウェイの新潟戦までフル出場。しかも大宮戦では1ゴールを決め、続く湘南戦でも得点を挙げてるんですよ。 ▽その後も17日アウェイ水戸戦、21日ホーム福岡戦。25日アウェイ鳥栖戦までフル出場。水戸戦で2ゴール、福岡戦で1ゴールと爆発し、31日の山形戦では1得点してやっと途中交代させてもらうんですけど、それが89分ですからね。その後も出場停止になった1試合を除いて試合に出続け、最後に昇格を決めちゃったわけですから。で、よく考えたら、韓国代表だった尹晶煥現C大阪監督もワールドカップから戻ってきて、C大阪で戦ってたんです。 ▽どうでしょ? こういう改革案は。J2でもJ1経験チームのほうが多いし、今後のことを考えるといいと思うんですけどね。ということで、ポーランド戦の後のJ2もお忘れなく!!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.06.27 14:00 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】危なっかしすぎてハラハラする…

▽「予行演習になるのかしら」そんな風に私が思いをはせていたのは火曜日、スペインと同じBグループから、W杯決勝トーナメントに駒を進めたポルトガルがウルグアイと顔を合わせる16強対決の試合日程を見ていた時のことでした。というのも、ロシアに3-0と勝利してグループ首位突破を決めた月曜のグループ最終戦こそ、練習中にケガをしたヒメネスは出ていなかったんですけどね。キャプテンのゴディンと共にアトレティコのCBコンビが今大会、4試合目となる零封を懸けて次に対峙するのはクリスチアーノ・ロナウド。もちろんまだ、キエフでのCL決勝後のコメントから、レアル・マドリー退団の噂もある彼が8月15日、エストニアのタリンで開催されるUEFAスーパーカップに出るのかどうか、不確かではあるものの、ここでしっかり抑えておけば、新シーズン最初のタイトル争いでお隣さんに対して優位に立てるかもしれないから。 ▽いえ、マドリーの脅威はそれだけに留まらず、クロアチアの2戦目、エリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めて、アルゼンチンを0-3で粉砕するのに貢献したモドリッチや先週末、土曜のスウェーデン戦では何と、クロースが後半ロスタイムに起死回生の勝ち越し弾をゲット。いくら前半には自身のボールロストから、敵に先制点を与えるキッカケを作った責任を感じていたとて、ベンチもエリア内に展開したマリオ・ゴメス(シュトゥットガルト)、ミュラー(バイエルン)ら、攻撃に加わろうとしてコーチに止められたGKノイアー(バイエルン)を含め、その時はチームメート全員がFKからの空中戦を待っていたんですよ。 ▽それなのに同点ゴールを決めていたマルコ・ロイス(ドルトムント)のキッカー志願も却下、ショートで出したボールを止めることだけを頼んで、当人は最初から直接ゴールを狙っていたというから、いやもう。思惑通り、シュートをネットに突き刺して、2-1の勝利でドイツ勝ち抜けの希望を再燃させるとはただただ、シャッポを脱ぐしかありませんって。うーん、こういう才能のほとばしりを見せつけられると、何せアトレティコの中盤要員はまだスペイン代表W杯デビューも果たしていないサウールだけでなく、コケも月曜のモロッコ戦には出番がありませんでしたからね。ジエゴ・コスタ(3得点)とグリーズマン(1得点)でFW陣はロナウドのここまで4ゴールに拮抗しているものの、こうも2列目で差がついてしまうのは一体、どうしてでしょうかね。 ▽え、スペインの3戦目ではイスコ(マドリー)も違いを見せていなかったかって?そうですね、とりあえずモロッコ戦がどうだったか、お話ししていくことにすると、ポルトガルと分け、イランに勝ったことで、引き分け以上ならグループ突破という条件で始まったカリーニングラード(ロシア北西部)でのこの試合、イエロ監督はチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)を先発に起用。イラン戦でルーカス・バスケス(マドリー)を右サイドに使ったものの、あまり効果が出なかったせいのようですが、いやあまさか、すでに2戦目で敗退が決定し、前日など、ファジル(ヘタフェ)がグラウンドにスピーカーを持ち込んで、音楽をかけながらトレーニングをしていた程、リラックスしていたはずの相手にこうまで苦労させられるとは! ▽それもスペインの自業自得ではあるんですが、前半14分、イニエスタ(ヴィッセル神戸)とセルヒオ・ラモス(マドリー)のミスから、ブタイブ(マラテイアスポル)がボールを奪取。スペイン陣地を独走して先制ゴールを決めているんですから、呆気に取られたの何のって。もうその時はバルサのバルベルデ監督も昨季はセーブして使っていただけに、イニエスタが3試合連続で先発するのはもうムリだったのかと私も思ってしまったものですが、大丈夫。その5分後にはイスコ、コスタと繋いだボールを敵エリア奥まで持ち込んで、最後はイスコにアシストして面目躍如しているんですから、やはりスペインの攻撃には欠かせない人材です。 ▽ただ、同点に追いついた後も相変わらずだったのは守備陣で、何せ24分にはスローインからブタイブが再び独走。この時こそ、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が1対1で弾き、今大会初セーブでゴールを死守してくれたんですが、まったくもって心臓に悪い。おまけにもしや、昨季のリーガ戦で何かあったんでしょうかね。ラモスと何度もいがみ合っていたアムラバット(レガネス)を始め、モロッコの選手たちがやたら乱暴なファールをかけてくるため、血気盛んなコスタがやり返してイエローカードをもらう恐れはともかく、決勝トーナメント前に誰かにケガでもされたらと心配になったのは私だけ? ▽おまけに後半16分にはイスコのヘッドがゴール前でモロッコDFにクリアされ、追加点が取れなかったスペインはベンチの動きも遅く、イエロ監督がようやく交代カードを切ったのは29分になってのこと。それもイアゴ・アスパス(セルタ)とアセンシオ(マドリー)投入し、チアゴはいいんですが、コスタも引っ込めてしまったのはちょっと理解に苦しむところでしたが、それはまあ置いといて。だってえ、36分には絶対、許せない守備ミスが起こったんですよ。ええ、CKから落ちてきたボールをラモスがエンネミリ(マラガ)に競り負け、ヘッドを決めらてしまうって、あまりに酷すぎるでしょう? ▽実際、前節でもCKからイランにもゴールを入れられて、その時は線審がオフサイドの旗を挙げ、VAR(ビデオ審判)も確認してくれたため、大事に至らなった彼らですからね。いくら初戦直前にチームを本大会に導いたロペテギ監督が解任され、急遽、イエロ監督に代わったとはいえ、選手たちは同じ。セットプレーの守備方法が変わるはずもないとなれば、これはやっぱり気の緩みからかと。ただこの日もスペインはVARの神様に恵まれていたのか、「Le he pedido que se asocie y saque su talent/レ・エ・ペディードー・ケ・セ・アソシエ・イ・サケ・ス・タレントー(連携して、自分のタレントを出してこい)」(イエロ監督)と言われてピッチに送り込まれていたアスパスが45分、カルバハル(マドリー)のクロスをtacoazo(タコナソ/ヒールキック)でゴールに流し込んでくれたから、助かったの何のって。 ▽ええ、こちらはイラン戦と逆でオフサイドのフラッグがVARにより、間違いだったと確認されたんですけどね。おまけに代表では12試合で6ゴールを全て途中出場で挙げているアスパスも「El arbitro no escuchaba bien y le dije que fuera a ver la camara/エル・アルビトロ・ノー・エスクチャバ・ビエンイ・レ・ディエ・ケ・フェラ・ア・ベル・ラ・カマラ(審判は無線がよく聞こえないようだったから、ビデオを見に行ったらと言ったんだ)」と話していたように、判定に時間がかかっている間、別会場ではイランがやはり、VARにより与えられたPKで1-1に追いつくことに。その前にロナウドがPKを失敗していたおかげもあって、そのままポルトガルと引き分けたため、2-2としたスペインのグループ首位突破が確定したから、狐につままれたようとはまさにこのこと?ええ、これでウルグアイではなく、ロシアとの16強対決に挑めることになりましたっけ。 ▽ちなみに試合後のスペインからは一応、殊勝な言葉が聞こえてきていて、審判のVAR問い合わせ中には勝ち点、得失点差、総得点数が拮抗した場合、最後はカード枚数によるフェアプレー基準で順位が決まるのが気になったか、いきり立って抗議しているベンチの選手たちを抑えるので大変だったイエロ監督が、「Cinco goles en tres partidos no es el camino/シンコ・ゴーレス・エン・トレス・パルティードス・ノー・エス・エル・カミーノ(3試合で5失点というのはたどるべき道ではない)」というのは当然だったかと。このモロッコ戦のMVPとなったイスコも「No podemos seguir regalando goles, tenemos que centrarnos/ノー・ポデモス・セギール・レガランドー・ゴーレス、テネモス・ケ・セントラールノス(ゴールを贈り続けることはできない。ボクらは集中しないと)」と同じ意見のようです。 ▽一番しっかりしなければならないキャプテンのラモスなども、「Es noche de hacer autocrítica del primero al ultimo/エス・ラ・ノッチェ・デ・アセール・アウトクリティカ・デル・プリメーロ・アル・ウルティモ(最初の1人から最後の1人まで自己批判する夜だね)」と言っていましたが、とにかく守備に関しては緊急に改善が必要かと。何せ、ウルグアイ戦では前半に退場者を出したこともあり、ルイス・スアレス(バルサ)、チェリシェフ(ビジャレアル)のオウンゴール、カバーニ(PSG)の3点で沈んでしまったロシアとはいえ、初戦はサウジアラビアに5-0、2戦目もエジプトに3-1と計8ゴールも挙げていて、決してチャンスをムダにするチームではないことがわかっていますからね。 ▽加えてスペインはこれまでユーロ、W杯で開催国と対戦した8試合、全てで負けているというジンクスがあるとなれば、いくら大人の国際メジャートーナメントはこれが初参加。昨年はU21ユーロで一緒に準優勝したサウールとは違って、2試合で途中出場のチャンスをもらい、一歩リードした感のあるアセンシオが、「Hemos quedado primeros, parece que hemos quedado segundos o estamos eliminados/エモス・ケダードー・プリメーロス、パレセ・ケ・エモス・ケダードー・セグンドス・オ・エスタモス・エイミナードス(ウチは1位通過したのに、まるで2位だったり、敗退したみたいに見えるよ)」と試合翌朝、ベースキャンプ地のクラスノダール(ロシア南西部)での練習後記者会見で皮肉ってもなかなか、楽観的になれないのが人情というもの。 ▽まあ、日曜午後4時(日本時間翌午後11時)から、モスクワのルジニキ・スタジアムで行われるロシア戦ではここまでずっと先発しながら、まったく精彩のないシルバ(マンチェスター・シティ)をローテーションしたらいいとか、CL決勝での負傷から回復したばかりのカルバハルもこれから、だんだん調子が上がっていくんじゃないかとか、世間ではイロイロ、言われていますけどね。中日も沢山あるため、火曜は控えメンバーがグラウンドで汗を流した後、恒例の24時間フリータイムをもらい、選手たちは現地に応援に来た家族や友人と過ごすため、FCクラスノダールのユース用施設を出て市内でリフレッシュ。これがいい気分転換になればいいんですが、どうにも不安は尽きませんよね。 ▽そうそう、火曜のグループCとDの最終節の結果、ロシアを倒した場合、準々決勝ではクロアチアvsデンマーク戦の勝者とスペインは当たることになったんですが、一応、私が見てきた彼らのW杯やユーロではグループリーグ敗退(2004年、2014年)をしなければ、次の関門は16強対決(2006年、2016年)。ここを抜けた暁には優勝(2008年、2010年、2012年)しているため、おそらく来週まで大会に残っていれば、マドリッドでも野外に大型スクリーンを設置して、パブリックビューイングも行われたりするんじゃないかと思うんですが…このグループリーグ中はW杯の熱気を町中で感じることもあまりなくてねえ。現地のスタンドでも相手サポーターに数で圧倒されているようですし、ここ2大会、失望が続いただけにスペインのファンも慎重になっているのかもしれません。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.27 13:30 Wed
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【日本代表コラム】自信を覗かせるチーム力で勝ち点を積み上げた日本

▽初戦でコロンビア代表相手に予想を超える勝利を挙げた日本代表。勢いそのままにセネガル代表相手に勝利を目指したが、2-2の引き分けに終わった。 ▽2度のリードを許しながらも、しっかりと追いつき勝ち点1を獲得した日本。これまで見せてきた勝負弱さはそこにはなく、強者の風格すら感じさせる戦いぶりを見せていた。 ◆落ち着いた試合の入りGetty Images▽コロンビア戦での勝利の影響か、日本は落ち着いて試合をスタートさせた。セネガルは、初戦のポーランド戦に比べて積極的に前からプレスを掛け、ボールを奪いにいくサッカーを展開。しかし、日本はその迫力に押し込まれることなく、ボールを回して行った。 ▽セネガルの出鼻を挫きたい日本だったが、ミスから先制を許す。11分、右サイドからのクロスを原口元気がクリア。しかし、これが相手の足元に収まると、ボックス内右からシュート。サバリのシュートはGK川島永嗣の正面に飛び、問題ないかと思われたが、川島がパンチングをミス。目の前にいたサディオ・マネの足に当たり、ボールはネットを揺らした。 ▽西野朗監督が率いてからというもの、川島の精彩を欠いたプレーは全ての試合で起こっている。しっかりとセネガルの攻撃を跳ね返していた矢先の失点だけに、メンタル面でのダメージが心配されたが、日本は落ち着いて対応した。 ◆冷静な判断を見せた柴崎Getty Images▽セネガルの1点リードで迎えた34分、日本は一本のパスから決定機を迎える。長谷部誠が最終ラインに入り、3バックの形を作った日本。中盤で柴崎岳がボールを持つと、狙いすましたロングフィード。これを長友佑都がトラップすると、ボックス内で乾貴士とスイッチ。乾は、コースを狙い済ましてネットを揺らした。 (C)CWS Brains,LTD.▽コロンビア戦では、乾は同様の形で2度シュートを外しており、悔しい思いをしていた。シュートを打った角度はこのゴールもほぼ同じ。3度目の正直といったところか、日本の貴重な同点ゴールを生んだ。 ▽乾の落ち着いたシュートも去ることながら、起点となった柴崎にも注目だ。自陣から、走り込んだ長友を狙ったロングフィード。正確無比なパスが通った柴崎は、この試合を通じて攻守に渡り圧巻のパフォーマンスを見せた。当然、これをチャンスにつなげた長友も素晴らしい。チームとして奪えた1点は、日本の成長ぶりを示した。 ◆ペースを乱されない守備陣Getty Images▽また、守備陣もユニットでしっかりと守ることに成功。マネをはじめ、FWエンバイェ・ニアン、MFイスマイラ・サール、MFパパ・アリウヌ・エンディアイエとセネガルの攻撃陣を押さえ込んだ。 ▽特に、酒井宏樹は一対一で負けることはほとんどなく、ロングボールは吉田麻也がクリア。昌子源も対人の強さを見せながら、後半には自ら持ち出す攻撃参加まで見せた。チームとして、セネガルの攻撃陣を押さえ込めたことは大きいだろう。2失点を喫した部分は反省が必要だが、精度は上がっていると言える。 ▽失点シーンに関しては、日本の右サイドが突破されたもの。それ以前の攻撃でもクロスボールがファーサイドに流れた際、対応ができていなかった。最終的には、右サイドバックのDFムサ・ワゲに詰められてゴールを許したが、同じ形を何度か作られていただけに、しっかりと修正してもらいたい。 ◆選手起用によるメッセージGetty Images▽追加点を奪われた直後、西野朗監督は交代の準備をしていたFW岡崎慎司ではなく、MF本田圭佑を投入。その後、岡崎も投入すると、同点ゴールが生まれた。この試合、残りの1枚はFW宇佐美貴史を起用した西野監督。メッセージとしては、勝ち点3を目指すということが選手に伝わったはずだ。引き分け狙いではなく、勝ちに行くという姿勢を見せたことは、最終戦のポーランド戦に向けても大きいだろう。 ▽同点ゴールのシーンは、個々の特徴が全面に出たゴールだった。ボックス手前中央でパスを受けた大迫勇也は、自身のストロングポイントであるボールコントロールで収め、持ち出すことに成功。ボックス手前からの大迫のクロスに対しては、岡崎が身体を投げ出して飛び込むと、GKがパンチングをミスし、ボールが流れた。このボールに反応した乾は、ラインギリギリからダイレクトで折り返し、このボールに倒れていた岡崎はそのまま身体を投げ出した。結果的に、GKをブロックする様な形となり、最後は良いポジションをとっていた本田が蹴り込んだ。 (C)CWS Brains,LTD.▽途中出場の本田、岡崎が絡み、最終的には本田が3大会連続のゴールを記録。2試合続けて本田が決勝点に絡んだところを見ても、チームとしての流れが良い方向に向いているのがわかる。そして、各選手が自身の特長をしっかりと出すことで、チームに勝ち点をもたらせたことは大きい。 ◆ノルマとなったベスト16 ▽大会前の期待値からは大きくかけ離れ、1勝1分けで2試合を終えた日本。この状況を踏まえれば、勝手な話ではあるがグループステージ敗退は許されない状況だ。国民の期待も大いに高まっており、ここまでの流れを不意にしてもらいたくはない。 ▽大方の予想が敗戦だったコロンビア戦で勝ち点3、厳しいと見られたセネガル戦も2度追いついての勝ち点1。自らチャンスを手繰り寄せているだけに、ポーランド戦で結果を残し、3度目のベスト16に進出するかどうかが、この先の日本サッカーの命運を左右すると言っても過言ではない。 ▽チーム力、団結力で結果を残せた2試合。勝負弱さを払拭するには、3戦目のポーランド戦の結果が最重要だ。奇しくもポーランドは既に敗退が決定。失うものは何もなく、開き直って本来のパフォーマンスを見せる可能性は高い。実力国を相手に、ワールドカップの舞台で結果を残せせるのか。次のラウンドに進めば、ベルギー代表かイングランド代表と対戦する。そのステージに立つため、残り僅かな時間でよりチーム力を高めてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.25 22:00 Mon
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【日本代表ターニングポイント】西野采配的中! システム変更&選手交代で勝ち点1奪取

▽日本代表は、24日に行われたロシア・ワールドカップのグループH第2戦でセネガル代表と対戦。2点ずつを取り合い、2-2のドローに終わった。 ▽互いに初戦で勝利していた両国にとって、この試合は大きな意味を持っていた。敗れれば厳しい状況に、逆に勝利すればグループステージ突破の可能性もあった試合。両者の勝利への思いが、試合にも表れ、好ゲームとなった。 ◆冷静に対応した日本Getty Images▽立ち上がり、セネガルは積極的に試合に入り、前線からのプレス、そしてボール奪取からの素早い攻撃を仕掛けた。しかし、初戦に勝っていたからか、日本は慌てることなく対応。一対一の局面では何度か突破されるシーンがあったものの、決定機を作らせるまでには至らなかった。 ▽しかし、耐える時間でもあった中、日本は残念な形で失点。正面のシュートをGK川島永嗣がパンチング。しかし、これがFWサディオ・マネに当たりゴールネットを揺らした。 ▽アンラッキーとも言える失点だったが、日本は冷静に対応した。攻撃時にはシステムを若干変更。MF長谷部誠を最終ラインへと入れ、3バックに。MF柴崎岳がアンカーのポジションに入り、両サイドバックが高い位置を取った。これが1つ目の“ターニングポイント”だ。 ▽柴崎がボールを持ち、周りを見る時間が増えた。そこから同点ゴールが生まれる。34分、柴崎のロングフィードにDF長友佑都が最終ラインの裏で反応。そこからボックスに侵入すると、ボールを失ったかに見えたが、持ちこたえ、こぼれ球を拾ったMF乾貴士がコースを狙ってネットを揺らした。 ◆本田圭佑、岡崎慎司の投入Getty Images▽1-1で迎えた後半、またしてもセネガルにリードを許す。すると、西野朗監督は選手交代。FW岡崎慎司を準備していたが、MF本田圭佑に変更。その直後に岡崎を投入し、流れが変わった。 ▽ボックス手前でFW大迫勇也がボールを受けると、そのままキープしクロス。これに岡崎が飛び込むと、中央でGKと交錯して潰れる。流れたボールに反応した乾が、ライン際でマイナスのパスを送ると、岡崎が再び合わせに動き、最後は本田が蹴り込んで同点となった。 ▽本田は、コロンビア戦のアシストに続いて、決定的な仕事をこなし、自身3大会連続ゴールを記録。岡崎も、持ち前のボールへの執着心を見せ、陰ながらアシストした。 ▽西野監督の選手交代がズバり当たり、日本は2-2のドロー。第3戦でグループステージ突破を懸けて、敗退が決定したポーランド代表と対戦する。 ◆選手、監督が持つ自信Getty Images▽2試合で4ゴール。コロンビア戦は同点に追いつかれてからの勝ち越し、セネガル戦は2度リードを許してからの追い付きを見せた。下馬評が高くなかった日本にとっては、1勝1分けという結果は悪くない。そして、苦境に立たされても盛り返す力は、自信が大きいだろう。 ▽西野監督は、2試合続けて選手交代で流れを変えて結果を掴んだ。選手たちも、それぞれが持ち味を出し、それぞれの特徴を生かしてゴールを奪っている。試合を重ねるごとに増していく自信。過信にならなければ、2大会ぶりのベスト16は見えてくるはずだ。 2018.06.25 07:00 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】勝ってもまだ安心はできない…

▽「マドリッドより暑いとは」そんな風に私が驚いていたのは金曜日、スペイン代表がW杯中のベースキャンプにしているクラスノダール(ロシア南西部)の気温が37度もあると、現地からの生中継で聞いた時のことでした。いやあ、今年はちょっと遅めだったんですが、1週間程前からようやくマドリッドも真夏モードに突入。30度を超えるようになったため、冷房のない部屋で試合を見ているのが自分も辛くなってきたとはいえ、あの涼しそうなイメージのあるロシアでまさか、プレシーズンキャンプ並の猛暑に選手たちが耐えているとは! ▽いえ、イラン戦のあったカザンから戻った翌日、セルヒオ・ラモスとルーカス・バスケス(レアル・マドリー)がマイナス100度近い小部屋に入って凍結療法を受けていたのは、別に暑さでバテたせいじゃないと思いますけどね(http://www.sefutbol.com/dentro-soportaran-sergio-ramos-y-lucas-vazquez-temperaturas-100o)。午前中、先発組はジムでのリハビリトレ、控え組はグラウンドでの練習を終えた後、イアゴ・アスパス(セルタ)、アスピリクエタ(チェルシー)、ナチョ、アセンシオ(マドリー)、サウール(アトレティコ)、オディオソラ(レアル・ソシエダ)らなどは合宿先のFCクラスノダールのユース施設で日光浴(http://www.marca.com/futbol/seleccion/2018/06/21/5b2bd3bb268e3e312e8b45bd.html)と24時間のフリータイムを満喫していたようですが、こんなノンビリしていられるのもグループリーグ2戦目で勝利を掴めたおかげだったかと。 ▽4年前、オランダとチリに連敗して、2試合ですでに敗退が決まってしまったブラジル大会からすれば、天と地の差ですが、幸いキャンプ地のクリチバが低気温でサルバドールやリオ・デジャネイロで暑さに苦しんだ当時とは気候も真逆。来週月曜に決勝トーンナメント進出の懸かった最終戦が行われるカリニングラード(ロシア北西部)など、13度とプレーしやすい気温のようですし、おまけに相手は初戦で終盤のオウンゴールでイランに、2戦目も開始早々、クリスチアーノ・ロナウド(マドリー)がCKからヘッドで今大会4得点目を挙げたポルトガルに、どちらも1-0で連敗してすでにグループ敗退が決定。となれば、引き分けぐらいには何とか、持ち込めるんじゃないかと思うんですが…。 ▽え、あまりマドリッドがW杯で盛り上がっていないようなのは今回もスペインが、あの国際メジャータイトル3連覇を果たした黄金期、2008~2012年程の強さを見せてくれていないからじゃないのかって?うーん、バルセロナや他の都市ではあるようですが、オープンエアに大型スクリーンを設置してのバプビックビューイングゾーンがグループリーグ中、市内にないのはおそらく、たった3試合で終わった前大会の苦い経験からなのかもしれませんけどね。今回は中継がオープン放送で皆、自宅で試合を見られてしまうため、スペイン戦以外の時間帯はセントロ(市内中心部)のバル(喫茶店兼バー)も静かなものでしたが、まあそれは置いておいて。 ▽というのも水曜のイラン戦、彼らはケイロス監督率いるイランの超守備的プレーに大苦戦。その対策は一応お、イエロ監督も考えて、ポルトガル戦の先発からコケ(アトレティコ)とナチョを外し、「左サイドはイスコ(マドリー)で優位になるようにして、右サイドはルーカス・バスケスとカルバハル(マドリー)でオープンにプレーさせる」というスタメン変更をしたんですけどね。相手は10人全員が自陣で守っている上、前半のうちから次から次へと選手がピッチに倒れ、スローインにもGKキックにも延々と時間かけているって、サンティアゴ・ベルナベウやワンダ・メトロポリターノに来た下位チームじゃあるまいし、世界中に放送されるW杯ではかなり珍しい光景だったかと。 ▽おかげでイラついたジエゴ・コスタ(アトレティコ)など、なかなかボールを蹴らないGKベイランバンドに詰め寄り、つま先を踏みかけて相手が転倒。VAR(ビデオ審判)による退場勧告が主審に入るんじゃないかとドキドキしたものでしたが、当人も後で「Hay tantas camaras que no puedes hacer el tonto/アイ・タンタス・カマラス・ケ・ノー・プエデス・アセール・エル・トント(あれだけTVカメラがあるんだから、バカな真似はできないよ)」と言っていた通りセーフ。事なきを得ましたが、何せカザン・アレーナ(ルビン・カザンのホーム)のスタンドは相手サポーター1万5000人に対し、決勝トーナメントまで出控えているのか、スペイン人1000人という大劣勢でしたからね。スコアレスドロー狙いの時間稼ぎにpito(ピト/ブーイング)が出る訳もなく、場内にはイラン人たちが持ち込んだ南アフリカ大会を思い出させるブブセラが響き渡るばかりでしたっけ。 ▽そんな状態でしたから、後半も辛抱して敵エリアを囲みながら、チャンスを伺うしかないのかと、私もハーフタイム中はあまり楽観的になれなかったんですが、スペインにツキが回ったのは再開して間もなく、9分のこと。いえ、イニエスタ(ヴィッセル神戸)が送ったスルーパスを受けたコスタは2人のDFに挟まれて、シュートを撃つスペースがなかったんですけどね。レザエイアンがクリアしようとしたボールが彼のヒザに当たり、ゴールを割ってしまったから、これをラッキーと言わず何と言う? ▽ただねえ、これでようやく先制点を奪った彼らでしたが、そこからイランの猛反撃が始まったんですよ。初戦でのミスもあり、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が忙しくなるのも怖かったんですが、16分など、FKからエザトラヒのシュートがゴールに入ってしまったから、さあ大変!イランの選手たちはもちろん、団子になって喜んでいましたが、ちょっと待って。「El asistente ha pitado el fuera de juego, el VAR lo ha confirmado/エル・アシステンテ・ア・ピタードー・エル・フエラ・デ・フエゴ、エル・バル・ロ・ア・コンフィルマードー(線審がオフサイドを取っていて、VARがそれを確認した)」と後でピケ(バルサ)も説明していたようにフラッグが上がっていたため、その場は追いつかれずに済んだんですが…。 ▽いやあ、どうも最近のスペインはボールをキープして守ることが昔のように上手くできなくなったようで、ええ、初戦も最後にロナウドにFKを決められて、3-3のドローに持ち込まれていましたしね。この日もイニエスタをコケにして中盤を固めようとしたんですが、それまで羊の皮をかぶっていたイランにいつゴールを奪われるか、試合終了の笛が鳴るまでどんなにヒヤヒヤしたことか。実際、リフレッシュにアセンシオ(マドリー)やロドリゴ(バレンシア)が入っても追加点には繋がらなかったんですが、0-1でも勝ちは勝ち。これでその日、先にモロッコを下して勝ち点4としたポルトガルと並び、得失点差、総得点でも同じだったため、イエローカードが1枚少ないというフェアプレー基準差とはいえ、グループ首位に立てたのは良かったかと。 ▽まあそのフェアプレーは試合後、「Iran practica el antifutbol/イイラン・プラクティカ・エル・アンティフトボル(イランのサッカーはアンチサッカーだ)」と批判していたカルバハルにケイロス監督が、「Que Carvajal le diga eso a Ramos, que dejo a Salah sin Mundial/ケ・カルバハル・レ・ディガ・エソ・ア・ラモス、ケ・デホ・ア・サラ・シン・ムンディアル(カルバハルはそれをラモスに言ったらいい。彼はサラ(リバプール)からW杯を奪った)」と反論していたのとはまったく関係ないんですけどね。実は1位で勝ち抜けた方がいいのかどうかは微妙で、というのも16強対決で当たるグループAではすでに進出2チームが決定。 ▽サウジアラビアに5-0と大勝した後、サラのいるエジプトも3-1で下した開催国ロシアが1位、ルイス・スアレス(バルサ)のゴールでサウジアラビアを破って2連勝したウルグアイが2位なんですが、両者が最終節で対戦するため、あちらもどちらが首位になるのか。ウルグアイにはキャプテンのゴディンとヒメネスのアトレティコCBコンビがいるため、チームメートのコスタが苦労しそうというのもありますし、ルイス・スアレスやカバーイ(PSG)を擁する相手の前線とデ・ヘアが対戦するのはちょっとお勧めできないかも。 ▽まあ、それも月曜午後8時(日本時間翌午前3時)キックオフのモロッコ戦、同じ時刻に行われるイランvsポルトガル戦の結果次第。勝ち点3のイランにもまだ突破の可能性があるため、ポルトガルも簡単には勝てないかと思いますが、アシャフ(マドリー)やアムラバット(レガネス)、ファジル(ヘタフェ)ら、マドリッド勢が大会を去る前にここまで見せてきたいいサッカーを結果に結びつけたいと張り切っているモロッコに、まだ先発見直し中のスペインが足元をすくわれたりしないといいんですが。 ▽そして翌木曜はグリーズマンとリュカ(アトレティコ)、そしてバラン(マドリー)のいるフランスがエムバペ(PSG)のゴールでペルーに1-0で勝利、2連勝で決勝トーナメント進出を決めるのをネットでチェックしながら、私は久々に遠出。というのもマドリッド勢弟分のレガネスが珍しいことに、メトロ(地下鉄)で行けるcentro commercial(セントロ・コメルシアル/ショッピングセンター)、Sambil Outlet(サンビル・アウトレット)にあるオフィシャルショップで2018-19シーズン用ユニフォーム(54.99ユーロ/約7150円と85~140ユーロ/1万1000~1万8000円のマドリーやアトレティコよりかなり安い))のプレゼンをすると聞いたからですが、シマノフスキとレガネスBのカンテラーノ、女子ユースの選手がモデルで登場し、イベントが行われている間も近くにあるキッズスペースでは子供たちが走り回っていたのはご愛敬だったかと。 ▽ちなみに「Me ha tocado porque no había otro en Madrid estos días/メ・ア・トカードー・ポルケ・ノー・アビア・オトロ・エン・マドリッド・エストス・ディアス(ボクがやることになったのは今の時期、マドリッドには他の選手がいなかったから)」とジョークを言っていたシマノフスキは昨季、ケガで半年を棒に振り、手術後の今もなるたけ早くチームのプレシーズンに合流できるようリハビリ中。休暇もイビサ(地中海にあるリゾートアイランド)に5日間行っただけだったそうですが、何せ毎年、多数入れ替わるレガネスには現在、13人しか選手がいないそうですからね。レアル・ソシエダへ行ってしまったガリターノ監督の後任、ペジェグリーノ監督の到着も7月とあって、彼も早く家に帰って、クロアチアに挑む母国アルゼンチンを応援したかったのでは? ▽ええ、それは私も同じ気持ちで近所のバルに寄って試合の後半を見ることにしたんですが、いやあ、まさかクロアチアがあんなに強いとは!GKカバジェーロ(マンチェスター・シティ)のゴールキックミスをvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込んだラビッチ(アイントラハト・フランクフルト)はともかく、やはりお店にはマドリーファンが多かったんでしょうね。モドリッチ(マドリー)のミドルシュートが決まった時には歓声が上がっていましたし、逆にメッシがラキティッチ(バルサ)にゴール前でボールをクリアされてしまった際には拍手も出ていたって、いえ、どちらもバルサなんですけどね。ロスタイムにはそのラキティッチも決めて、とうとう0-3で1位突破してしまうんですから、何とも恐ろしい。 ▽逆にグループリーグ敗退の危機に陥ったアルゼンチンでは、先制点をプレゼントしてしまったカバジェーロを始め、「Nosotros trabajamos todo el tiempo para que la pelota le llegue a Messi/ノソトロス・トラバハモス・トードー・エウ・ティエンポー・パラ・ケ・ラ・ペロータ・レ・ジェゲ・ア・メッシ(ウチはボールをメッシに届けるため、常に努力している)」というサンパオリ監督の偏った戦術の失敗や、そのメッシ本人の無気力にも見えるプレーぶりに批判が集まっていたんですけどね。「彼は凄い選手だけど、en el futbol hay que tener ayuda/エン・エル・フトボル・アイ・ケ・テネール・アジュダ(サッカーでは助けがないといけない)」(モドリッチ)というのは本当ですから、この日は上手く彼をボールから遠ざけた相手の作戦勝ちだったかと。 ▽ただ驚かされたのはこの試合の後、次男のジャンルカ君がプロデビューする試合を見るため、現在チリに滞在中のシメオネ監督と”モノ”・ブルゴス第2監督の私的な会話がマスコミに漏れたことで、曰く、「メッシはいい選手だが、素晴らしい選手たちと一緒にプレーするからいいんだ。Si tenés que elegir entre Messi y Ronaldo para un equipo normal, ¿a quién elegirías?/シー・テネス・ケ・エレヒル・エントレ・メッシ・イ・ロナウド・パラ・ウン・エキポ・ノルマル、ア・キエン・エレヒリアス(普通のチームのために選ぶとしたら、メッシとロナウド、どちらを選ぶ?)」って、うーん、アトレティコにはロナウドでしょうか。 ▽もちろん、そんなお金もありませんし、グリーズマンの契約延長も決まったため、別に来なくていいんですが、確かにスペイン戦のハットトリックもモロッコ戦の決勝点もロナウドには1人でやり遂げてしまった感がなきにしろあらず。ただ、そうは言ってもメッシも昨年のW杯南米予選最終節で3得点を挙げ、アルゼンチンを本大会にねじ込んでしまったという実績がありますしね。来週火曜のナイジェリア戦は何が起こるか要注目。 ▽大まかに言うと、彼らが勝って、アイスランドがクロアチアに引き分け以下なら突破できるそうですが、何せ、日曜には乾貴士選手(ベティス)や柴崎岳選手(ヘタフェ)の再度の活躍が期待される日本vsセネガル戦も控えていますしね。グループリーグが終わるまであと1週間、私がTVをつけっぱなしにしている日々もしばらく続きそうです。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.23 13:00 Sat
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【倉井史也のJリーグ】今週の日本一不幸なJリーグファンって!? の巻

▽今週、メッチャ不幸なJリーグファンがいま〜す。それって、たぶん当事者はもう気づいてると思うんです。他のチームの人はわかってないけど。もしかして日本のサッカーファンのすべての不幸を背負い込んでるんじゃないでしょうか。新潟サポーターって。 ▽いえー、20日にホームで甲府に1-5って大敗したからじゃありません。だってそりゃ19日のコロンビア戦を見ちゃったらみんな興奮してたんじゃないですかね、選手も。それがいいほうに働くこともあれば、悪い方に作用することもあったんじゃないかなって。何よりリーグ戦が長いと、こんな試合って時々あるんですよ。 ▽問題なのは24日の夜のセネガル戦でしょ! 日本時間の夜0時キックオフ!! ところが町田vs新潟って、その日の18時スタートなんですよ!! ▽試合が終わって20時。果たしてそこから帰って0時までに新潟にたどり着けるか?! 今週はそんな人たちのために親切なデータを用意しました。だって、おかしなことに町田ゼルビアの公式サイトには行きの交通手段は書いてあっても、帰りは書いてない! いろいろ聞くところによると、帰りのバスは1時間待ちが普通的な! ▽で、逆算して考えてみましょう。まず新潟へ0時前にたどり着くには、東京駅を21時40分の上越新幹線に乗らなきゃだめ。では東京駅に行くにはどうしたらいいか。野津田公園からの行き先は、やっぱり町田に出るってのがJRも小田急も使えてよさそうなんですね。 ▽町田駅から東京駅に出るためには、小田急を使った場合、町田駅を20時39分発のロマンスカーに乗って新宿駅へ。新宿駅で今度はJRの21時16分発東京行きに乗り換えると、東京駅21時29分だからなんとか新幹線に間に合うんです。 ▽町田駅からJRを使った場合、町田駅発20時42分の東神奈川行きに乗り、新横浜で21時12分発の新幹線に乗り換えて東京駅到着が21時30分。ロマンスカーに乗れない! と思ったらダッシュで小田急の駅からJRの駅まで行かないと間に合わないんですけど。 ▽さて問題は。要は町田駅に20時30分ぐらいまでにたどり着かないと無理ってことですよ。スタジアムから町田駅までは距離にして8キロないぐらい。ってことは、混んでなければだいたい20分。忙しいメディアの人がやってるみたいに、スタジアムにタクシーさんに横付けしておいてもらって、試合が終わったら一目散!! ああ! 何とかなるかも!! でもどう考えても現実的には無理かも!! ▽この間に合いそうで間に合わないところが、新潟の不幸って感じがしませんか。やっぱり24日はホテルに泊まって試合を見て、翌朝6時8分の始発で新潟駅8時13分着ってのが、一番まともなのかなぁ。社会人の人は、新潟と日本代表のユニフォームと、スーツ持って出かけましょうね。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.06.22 23:00 Fri
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【編集部コラム】チームになれないアルゼンチン、不安要素が本大会で露呈

▽世界最高のプレーヤーの1人であるFWリオネル・メッシを擁するアルゼンチン代表。4年前の前回大会で準優勝に終わり、雪辱を晴らすために臨んだ今大会だが、グループステージでの敗退危機が迫っている。 ▽メッシにとっても最後のワールドカップとなる可能性が高い今大会。優勝候補にも挙げられていたアルゼンチンの低迷はどこに要因があるのだろうか。 ◆チームになれないアルゼンチンGetty Images▽2試合で1得点、4失点。アルゼンチンの守備がトップレベルで高いとは言えないが、攻撃力は世界でもトップクラスだ。前線の陣容を見ても、メッシを筆頭に、FWセルヒオ・アグエロ、FWゴンサロ・イグアイン、FWパウロ・ディバラと各クラブでエースとして活躍する選手たちが揃っている。 ▽メッシはリーガエスパニョーラで33ゴール、アグエロはプレミアリーグで21ゴール、イグアインはセリエAで16ゴール、ディバラは同じくセリエAで22ゴールを記録。FW4人のリーグ戦でのゴール数を合計すると、92ゴールを記録しているが、アルゼンチン代表としてはここまで機能していない。初戦のアイスランド代表戦は、1トップにアグエロ、トップ下にメッシを配置。2戦目となったクロアチア代表戦は、3トップの中央にアグエロ、右にメッシを配置していた。 ▽初戦のアイスランド代表戦は、FWセルヒオ・アグエロのゴールで先制するも、FWアルフレッド・フィンボガソンにゴールを許して同点に。その後はボールを握る展開が続いたが、崩すには至らなかった。メッシに対しての警戒心はアイスランドも高く、常に2人以上で見る状況に。メッシにボールが入ると、すぐさま距離を詰めてボールを奪いに来ていた。 ▽クロアチア戦は、アイスランド戦ほどではなかったものの、今度は連携面の悪さを見せた。システム、選手を初戦からイジったものの、攻撃はアグエロ、メッシへの依存が高く、クロアチアは2人を抑える守備に。良い形でボールに絡むことなく、決定機もそれほど作れずに0-3で敗れた。 ▽チームとしての完成度の低さは南米予選から続いており、ワールドカップ出場すら危うかったアルゼンチン。予選ではチームを窮地から救ったメッシが、本大会でも力を発揮できるのかがカギとなるだろう。 ◆絶対的ではなくなった中盤の仕事人Getty Images▽さらに、守備面でも4年前とは異なる部分がある。それは、MFハビエル・マスチェラーノの働きだ。34歳となったマスチェラーノは、長年主軸としてプレーしたバルセロナを冬に退団。中国の河北華夏へと活躍の場を移した。 ▽エルネスト・バルベルデ監督からの信頼を得られなくなった様に、かつてのマスチェラーノの姿は薄れつつある。4年前、準決勝のオランダ戦では、獅子奮迅の活躍でチームを決勝に導いた。ボールホルダーへの寄せや危機察知能力の高さを見せつけ、マン・オブ・ザ・マッチ級の活躍を見せていた。 ▽今大会も守備面で持ち味を発揮しているが、4年前ほどの迫力も無い。また、攻撃面で前線を後方から支援する動きは少なく、ボールを保持している時間でも、攻撃的なプレーはできていない。もちろん、そこを求められる選手ではないが、今のアルゼンチンの戦い方に置いては、流れを寸断してしまう可能性もある。4年前はチームでも突出した存在だったが、ここまではその力を見せては居ない。 ◆信頼し切れない守護神Getty Images▽そして大きな問題点の1には、チームを最後尾で支えるはずの守護神の存在もある。今大会直前に、正守護神だったGKセルヒオ・ロメロが負傷。メンバー外になる緊急事態が起きてしまった。 ▽強豪国の中でも、とりわけ守護神にワールドクラスの選手が居ないことが悩みの種となっていたアルゼンチン代表。破壊力抜群の攻撃陣とは裏腹に、GK受難は続いている。代わりにゴールを守るのは36歳のベテランGKウィルフレッド・カバジェロだ。現在はチェルシーに所属し、かつてはボカ・ジュニアーズやマラガ、マンチェスター・シティなどにも所属していた。 ▽クラブレベルでの経験はあるカバジェロだが、アルゼンチン代表キャップはわずかに「5」。初出場は、今年3月のイタリア代表との国際親善試合だった。アルゼンチン代表として招集外になることも多かったカバジェロだが、急きょ正守護神となり、ワールドカップデビューもアイスランド戦で果たした。しかし、いくらベテランといえども、不安定さは拭えなかった。 ▽アイスランド戦では、後方からのビルドアップに参加した際にミスキックから決定機を与える事態に。ここは難を逃れたが、フィンボガソンのゴールに繋がる流れでも、プレーの不安定さを露呈。クロスへの対応などには終始不安が残った。 ▽そして迎えたクロアチア戦。FWアンテ・レビッチの先制点のシーンは、明らかなミスだった。ゴールレスで迎えた後半、ここからという時にバックパスを受けると、チップキックで味方にパスを出そうとしてミス。短くなったボールを、レビッチにダイレクトボレーで叩き込まれた。 ▽今大会はGKが良くも悪くもフィーチャーされている大会。名手がらしくないミスを犯したりもしているが、アルゼンチンとしては悩みどころだろう。 ◆サンパオリのチームコントロールGetty Images▽南米屈指の名将として知られるホルヘ・サンパオリ監督だが、アルゼンチン代表をコントロールすることはここまでできていない。チリ代表ではコパ・アメリカを連覇するなど、輝かしい成績を残し、強豪揃いの南米においても特色を持ったチームを作り上げた。 ▽2017年にアルゼンチン代表監督に就任。しかし、南米予選でも苦戦が続き、チームとしての完成形を見つけられないまま時間が経過。ワールドカップ出場を決めても、チームの完成度は上がっていなかった。 ▽絶対的なエースであるメッシを軸に攻撃を組み立てたい意図は見られるが、周りの選手のコントロールや組み合わせに確固たるものがなく、メッシ個人に依存する形から抜け出すことができなかった。この2試合を見ても、メッシ、アグエロ、MFマクシミリアーノ・メサの3人以外は、前線の組み合わせを変えている。「チームが彼に合っていない」とクロアチア戦後に語った様に、現段階でも模索している状況だ。 ▽「ディバラとメッシの共存は不可能」という発言も以前はしていたが、能力の高い選手が揃っているだけに、化学反応が起こり得る可能性はある。チリ代表のようなチーム作りは不可能だが、絶対に勝たなくてはいけないナイジェリア代表との第3戦では、思い切った決断も必要となるはずだ。名将がここぞで打つ手に、アルゼンチンの命運は託されている。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.22 15:00 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】西野監督ごめんなさい

▽6月21日の日本代表は午後4時から練習をスタート。その前に遠征中のUFAー19日本代表も交えて、JFA(日本サッカー協会)名誉総裁の高円宮妃殿下が2分ほど選手にお話をされて、全員で記念撮影に臨まれた。田嶋幸三JFAのミスマッチ会長によると、皇族のロシア訪問は102年ぶりのことだそうだ。その後、妃殿下はルビン・カザンの執行役員と記念品の交換を行い、妃殿下はJFAのペナントを贈られた。 ▽この日の練習はコロンビア戦に出た主力組とベンチ組に分かれて開始。これまで別メニューの多かった岡崎慎司がベンチ組に合流したものの、コロンビア戦で右太ももを傷めた本田圭佑が別メニューとなり、黙々とランニングしていた。西野朗監督によると、セネガル戦の出場は「厳しいかもしれない」と険しい表情で話していた。 ▽さて、そのコロンビア戦、NHKの視聴率は48パーセントを超えたというから驚きだ。大会前の西野ジャパンの評価は必ずしも高いとは言えず、盛り上がりに欠けた。ファン・サポーターも多くを期待していなかっただろう。 ▽それが高視聴率につながったのは、午後9時キックオフと視聴しやすい開始時間だったのと、早々に先制点を奪ったこと、そして期待してはいないものの、やはりW杯での日本が気になるファン・サポーターが多かったということの裏返しだったかもしれない。 ▽そのコロンビア戦で、あるスポーツ紙のウェブ版を目にして、「やっぱりパクったか」と思うタイトルと内容の記事があった。 ▽タイトルは「西野さん、ごめんなさい」というもので、記事を書いた記者は「正直、勝てると思っていなかった。負けか、よくて引き分けか…。ポジティブな要素を探すのは難しかった。開始早々に相手が10人になっても、前回大会のギリシャ戦を思い出して勝てると思えなかった。根がネガティブなのか、負け癖なのか、コラムも「負け用」ばかりを考えていた」と素直に心情を吐露し、西野監督に謝罪した。 ▽この記者とは40年近い親交があり、サッカー不遇の時代を過ごしただけに心情は理解できる。しかし、それだけに「パクるのは早いだろう」と思わずにはいられなかった。 ▽話は32年前に遡る。86年メキシコW杯でのことだった。アルゼンチンのカルロス・ビラルド監督は、前任者で78年アルゼンチンW杯で母国を初優勝に導いたルイス・メノッティ監督とは対照的に、守備的なスタイルを導入した。チーム一丸となって守備を固め、攻撃はディエゴ・マラドーナ任せ。このため「戦術はマラドーナ」と揶揄された。 ▽ダントツの優勝候補はジーコに加え4年前はケガで出場を逃したカレッカを擁するブラ日で、アルゼンチンはウルグアイと並んで2番手候補だった。しかしマラドーナの伝説となったゴールなどでアルゼンチンは2度目の優勝を果たす。 ▽アステカ・スタジアムで行われた西ドイツ(当時)との決勝戦後、マラドーナを肩車してビクトリーランする選手にまじり、興奮したアルゼンチンのサポーターが乱入。その中の1人、アンチ・ビラルド派のサポーターが「ペルドン(ごめんなさい)、ビラルド、グラシアス(ありがとう)」の横断幕を肩から羽織っていたことが世界中に報道された。 ▽件の記者はもちろんそのことを知っている。だからこそ、劣勢の予想されたコロンビア戦の勝利で32年前のエピソードを拝借したのだろう。しかし、ビラルド監督は世界1になった。対して西野監督は1勝したに過ぎず、まだグループリーグの突破も決めていない。 ▽「だからこそパクるのは早いだろう」とロシアにいたら言いたいのだが、残念ながら彼は日本で昼夜逆転の仕事をしているため、今回の原稿で書かせてもらった次第である。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.06.22 13:00 Fri
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【日本代表コラム】勝って兜の緒を締めよ

▽ロシア・ワールドカップの初戦を19日に迎えた日本代表。コロンビア代表が有利と見られる中、2-1で勝利。歴史的な一勝を挙げた。大事な初戦で期待以上の勝ち点3を掴んだ日本。この上ない結果だが、決して満足してはいけないものだろう。 ◆立ち上がりは上々Getty Images▽キックオフ直前、FWラダメル・ファルカオがエンドの入れ替えを要求。コイントス時にファルカオが訴えていたが、審判団が忘れたのか、直前のタイミングで異例の交換となった。しかし、日本は立ち上がりからアグレッシブな入りを見せ、3分に決定的な瞬間が訪れた。 ▽ルーズなボールが入ると、FW大迫勇也が相手DFと競り合いながらボールをキープ。そのまま持ち込み、GKダビド・オスピナと一対一となりシュート。これは防がれたが、後方から走り込んだMF香川真司がダイレクトシュート。ここで、MFカルロス・サンチェスが腕を出してハンド。日本はPKを得るとともに、コロンビアは1人を退場し数的不利となった。 ▽このシーンは、大迫が身体の強さを見せたキープが生んだものではあるが、パスを出した香川のランも評価すべきだ。クリアボールをダイレクトで前に送ると、大迫にDFが集中する中追いかけ、PK獲得に繋がった。大迫のシュートがセーブされた跳ね返りをダイレクトで打ったことも大きい。キープし、崩すことを考えず、アグレッシブに押し切ったことがプラスに働いた。 ◆リード時の戦いに不安もGetty Images ▽しかし、1点リードしてからの戦い方には不安が残る。コロンビアは10人になったものの、ホセ・ペケルマン監督は交代カードを切らず。一方で、日本は数的優位ながらもコロンビアの選手を捕まえきれず、ボールを回される展開に。1人多い点を生かすことができず、後手を踏んだ。 ▽1人余ることで、本来であればリスクを冒して奪いに行って良いシーンでも、ディレイを優先するためにパスを繋がれてしまう。また、人数をかけてボールを奪いに行く場面でも、プレス回避を上手くされ、ボールを繋がれてしまっていた。 ▽当然、個人能力の高さがあるコロンビアだけに、そこまで上手く守備がハマるとは考えにくい。しかし、「チームとして守る」という西野朗監督の試合前のコメントを考えると、上手く機能していたとは言えないだろう。 ▽また、失点シーンに繋がったプレーも気になるところだ。自陣でのボールに対し、DF長友佑都がクリアミス。高く上がったボールを競り合ったファルカオが上手く倒れてボックス手前でFKを獲得した。リードしている状況、そして時間帯を考えれば、もっとセーフティなプレーを心がけても良かったはず。長友のクリアミスがなぜ生まれたのか、しっかりと分析してもらいたいところだ。 ▽FKに関しても、良い位置ではあったとはいえ、防げる余地はあったと言える。GK川島永嗣の立ち位置は、若干ファーに寄っていた。壁の下を抜かれたグラウンダーのシュートがわずかにラインを越えて得点を許したが、壁の上を越えていたとしても、ボールスピードを考えると枠に入っていては間に合わなかったのではないだろうか。キックの精度もあるが、川島の対応も気になるところだ。 ◆良い流れからの決勝点Getty Images▽決勝点の場面はCKから。左サイドからMF本田圭佑がクロスを上げると、ボックス中央で競り勝った大迫がヘディングで決めた。これまではMF柴崎岳がキッカーだったが、本田に代わって1本目のCK。アウトスイングになったこと、さらには球質が変わったことも影響しただろう。 Getty Images▽しかし、注目したいのはCKを得たプレー。右サイドを崩すと、ニアサイドに低いボールを入れ、大迫がキープ。この落としを走り込んだ酒井宏樹がシュートした。崩し方の問題を抱えていた日本にとって、コロンビア戦の終盤は良い崩しがいくつか見られた。 ▽コロンビアの疲労も影響し、日本がつけ入るスペースができていた。そこをしっかりと使えたことはプラスだが、ゴールという結果が生まれなかった。乾の惜しいシュートも、GKオスピナの好セーブに阻まれた。チャンスが多く訪れないことを考えると、いかに効率よく得点を奪うかが重要となる。 ◆勝って兜の緒を締めよGetty Images▽初戦で勝ち点3を獲れたという結果は、これ以上ないものだ。3試合で決着がつくことを考えると、コロンビア、そしてポーランドと勝ち点3差を付けていることは大きい。 ▽しかし、相手が早々に10人になったことを考えると、試合内容は満足いくものとは言えない。11人が揃っていたら、この結果が生まれていなかったかもしれない。試合巧者とは言えない日本だけに、やはりピッチ内での決まり事をどこまで設定できるかが重要だ。 ▽日本には「勝って兜の緒を締めよ」ということわざがある。運も味方したことで勝ち点3を得られたこのチャンスを活かすためには、浮かれてばかりは居られない。特に、守備面でのプランニングは重要だ。少ない相手に対しての守り方をみても、どこかチーム全体でちぐはぐさが見える。サイドでの追い込み方、中盤での立ち位置、プレスの強度…さまざまな感覚が異なるアフリカ勢との対戦を考えると、整理する必要は出てくる。 Getty Images▽次戦の相手は、ポーランドに勝利したセネガル。アフリカ人特有の優れたフィジカルに加え、整理された守備、破壊力抜群のカウンターを持っている。しっかりとプランを立て、ピッチ上で遂行することができるか。コロンビア戦の勝利に浮かれず、ここで得た課題を次戦までに振り返れば、グループ突破の可能性が見えてくるだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.20 23:25 Wed
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【編集部コラム】今大会顕著に見られる相手国対策、日本はできているのか

▽4年に1度のサッカーの祭典が開幕し、4日が経過した。ここまでグループAのロシア代表vsサウジアラビア代表からスタートし、11試合が消化。第1節も残すところ5試合となった。 ▽我らが日本代表は19日の21時に初戦を迎える。相手はコロンビア代表。4年前のブラジル・ワールドカップでも同じグループに属し、第3戦目で4-1と大敗を喫したチームだ。 ▽戦前の予想では、コロンビアの勝利が優勢。日本が勝利すること、そして勝ち点を得ることは、厳しいミッションだと言えるだろう。 ◆番狂わせは不可能ではないGetty Images▽しかし、今大会の4日目までの11試合を振り返ると、必ずしも本命が結果を残せているというわけではない。むしろ、今大会は番狂わせと言える結果がここまでも多い。 ▽例えば、大会2日目、グループBのモロッコ代表vsイラン代表のイラン、大会3日目、グループDのアルゼンチン代表vsアイスランド代表のアイスランド、大会4日目、ドイツ代表vsメキシコ代表のメキシコ、ブラジル代表vsスイス代表のスイスが挙げられる。 ▽メキシコやスイスはワールドカップでも実績があり、番狂わせとは言いにくいかもしれないが、前回王者のドイツ代表に勝利したこと、ブラジル代表に引き分けたことは、驚きと言っても良いだろう。 ◆共通項は守備時の“オーガナイズ”Getty Images▽それ以上に驚きを与えたのは、イランとアイスランドだ。イランは直近では1998年、2006年、2014年とワールドカップに出場したが、勝利は1998年以来20年ぶりの快挙となった。 ▽一方、アイスランドは人口がワールドカップ史上最少の国であり、2年前のユーロで大舞台に初めて立ったチーム。アルゼンチン戦は、ワールドカップ初戦だった。 ▽この2カ国に共通していたのは、守備時の“オーガナイズ”だ。互いに監督が用意したプランをチームとして完遂することを90分間続けた結果が、試合結果にも表れた。 Getty Images▽また、これはドイツに勝利したメキシコにも言える。フアン・カルロス・オソリオ監督が「我々は6カ月前からプランを準備してきた」と語った通り、ドイツの良さを消しに行くプランを遂行。アンカーの位置に入ったMFトニ・クロースにマンマークを付けることで、嫌がるクロースを中央から追い出す作戦に成功。その後は、ボール奪取から2人のセンターバックで守るが故に空いたスペースを使ったカウンターを仕掛け何度もドイツゴールを脅かし、前半のうちに先制。ドイツは後半対応したものの、今度は[5-4-1]で跳ね返し続け、メキシコはそのまま逃げ切った。 ▽イランにしても、モロッコを相手にハードワークを90分間通して行い、低いディフェンスラインから、切れ味鋭いカウンターで応戦。2列目がしっかりとボールを奪えたからこそ、カウンターが生き、終盤にFKを得ると、そこからオウンゴールで勝利した。 Getty Images▽アイスランドも顕著だった。FWリオネル・メッシに対しての人数の掛け方、2トップを含めてのラインの距離、そしてむやみに奪いに行かず、距離を保ちながらタイミングを見てのボール奪取。キャプテンでもあるMFアーロン・グンナルソンのコーチングも光っていた。ユーロ2016でもチームとしての戦い方に完成度の高さを見せたアイスランドだったが、ワールドカップの舞台でもそれ以上のパフォーマンスを見せたと言えるだろう。 ▽それぞれの国が、強者に対しての戦い方として、しっかりと準備してきたものを選手たちがピッチ上で体現できたことで、予想を覆す結果を残した。決して、相手が舐めていたというわけではないだろう。 ◆日本はどう出るかGetty Images▽初戦を19日に控える日本。相手は前述の通り、4年前に悔しい思いをさせられたコロンビアだ。力関係としては、前述のカード以上かも知れない。 ▽しかし、ここまでの今大会を見れば、いかにチームとして準備を行い、相手の研究を徹底して、ウィークポイントを抑えること。さらに、そこから反撃に出るプランをどう立てているかだ。 ▽西野朗監督の強化試合3試合を観る限り、ハッキリと決められていたものはないように思える。スイス代表戦、パラグアイ代表戦と結果は1勝1敗だが、チームとしての完成度は低い。西野監督も、これまでのチーム作りを見れば相手を研究して…というタイプではないだろう。 ▽一方で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は昨年12月1日の抽選会後、対戦相手3カ国の研究、分析に入っていた。そのデータがどこまで引き継がれているのかはわからないが、今の日本が相手のことをどこまで丸裸にできているのかは不明だ。大会後にでもハリルホジッチ監督のレビューを聞いてみたいものだが…。 ▽理想を求めることも大事であり、可能性を求めて戦うことも重要だ。しかし、現実を見ることは何よりも重要。相手に対してどれだけ準備をし、ピッチ上で11人が体現してこそ、自分たちのサッカーが生まれるはずだ。日本の初戦は、他国の戦いと比較するという点でも注目だ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.18 23:30 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】お馴染みの選手たちが目立っている…

▽「これは意外な偶然」そんな風に私が息を飲んでTVの画面を見つめていたのは日曜日、ロシアで開催中のW杯グループリーグ初戦でスイスと1-1だったブラジルが後半ロスタイム、ほぼ最後のプレーでネイマール(PSG)がFKを蹴った時のことでした。いやあ、彼は直接ゴールを狙わず、レナド・アウグスト(北京国安)の撃ったシュートもシェル(デポルティボ)に足でそらされて、試合もそのまま引き分けで終わったんですけどね。前日、アイスランドに追いつかれ、やはり終盤にいい位置からのFKで勝ち越し点ゲットのチャンスがあったアルゼンチンのメッシ(バルサ)も壁に阻まれ、白星を掴むことはできず。 ▽となると、スペイン戦の終盤、ここぞとばかりにFKをねじ込み、ポルトガルに勝ち点1をもたらしたクリスチアーノ・ロナウド(マドリー)がこの3人の中で最高の貢献をしたことになりますが、それだけでなく、これまでの試合はマドリッド勢の選手たちがゴールづいているのが印象的。ええ、土曜にオーストラリアに2-1で勝ったフランスではグリーズマン(アトレティコ)がVAR(ビデオ審判)により確定したPKを決めていますし、同日、ナイジェリアを2-0で下したクロアチアの2点目もモドリッチ(マドリー)のPKから。 ▽大体、お昼ご飯(スペインのランチタイムは午後2~4時)を食べながら、TVを見ていた金曜だって、ウルグアイが終盤にヒメネス(アトレティコ)のヘッドで1点を取って、サラ(リバプール)が最後まで出なかったエジプトに勝利。キャプテンを務めるゴディンと共に栄えあるヨーロッパリーグ王者のCBコンビの優秀さを確認しちゃいましたからね。その後、いくら私でも一日中、サッカーを見ている訳にはいかず、スペインと同じBグループのモロッコvsイラン戦は結果をチェックするだけに留めたんですが、どうやらこちらもロスタイム5分にモロッコがオウンゴールを献上。0-1でイランが勝って、もう10年以上前ですが、レアル・マドリーの指揮官も務めたこともあるケイロス監督が胴上げされていたりと、それなりにドラマチックな結末だったよう。 ▽そしていよいよ午後8時、マドリーの新監督に就任することが発表されたロペテギ監督を2日前に電撃解任、それまでスポーツ・ディレクターを務めていたイエロ氏が陣頭指揮を執ることになったスペインのW杯初戦が始まったんですが、予想通り、先発には前監督の選んだと思われるメンバーが並びます。とはいえ、おそらく選手たちも急転直下の展開に戸惑っていたんでしょうかね。ロナウドを先頭にスピードカウンターをかけてくる相手に守備陣の後退が遅れ、前半3分には右SBに入ったナチョ(マドリー)がペナルティを犯してしまったから、参ったの何のって。 ▽いえ、ドリブルでエリア内に入ってきたロナウドを倒したといっても、当人も「Yo se que le toco, pero intento quitar la pierna/ジョ・セ・ケ・レ・トコ、ペロ・インテントー・キタール・ラ・ピエルナ(相手に触ったのはわかっているけど、自分は足を引こうと思っていた)」と言っていたようにそれ程、無茶苦茶した訳ではなかったんですけどね。後でマンチェスター・ユナイテッドでチームメートだったこともあるピケ(バルサ)など、「Cristiano es propenso a tirarse/クリスティアーノ・エス・プロペンソ・ア・ティラールセ(クリスチアーノにはダイブする傾向がある)」なんて批判していまたしたが、この時はVARも介入せず、ポルトガルにPKが与えられることに。 ▽当然、キッカーはロナウドが務め、序盤早々、先制点を奪われてしまったのには私も一瞬、「2014年ブラジル大会1戦目、オランダに1-5で惨敗した時以上の恐ろしい結果になったらどうしよう」と怖くなったんですが、大丈夫。24分、ジエゴ・コスタ(アトレティコ)がやってくれたんですよ!そう、先日のチュニジアとの親善試合と同じようにブスケツ(バルサ)がセンターからロングパスを送ったところ、スペインの前線には彼1人しかいなかったにも関わらず、ペペ(ベシクタシュ)を振り払うとフォンテ(大連一方)を数度に渡ってかわし、シュートを決めてしまうって、こんな強引なゴールがあっていい? ▽もちろんこれには相手の腕が首に当たりながら、顔を抑えて倒れたペペには同情しなかったか、審判がコスタにファールの笛を吹かなかったというラッキーもあったんですけどね。同点になったおかげでスペインも落ち着きを取り戻し、数分後にはイスコ(マドリー)のシュートがゴールバーを叩いてライン上に落ちるなんてこともあったんですが、残念ながらこちらはホークアイの判定でゴールにならず。それでもポゼッションもいつものように高くなりましたし、気長にパスを回していけば、いつかはまたチャンスが来るはずと思っていたところ…。 ▽まさか、あと少しでハーフタイムという時にGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)があんなミスをしてくれるとは!うーん、実は先日ビジャレアル(スペイン南東部)で行われたスイスとの親善試合でもリヒトシュタイナー(ユベントス)のシュートをキャッチできず、リカルド・ロドリゲス(ミラン)の同点ゴールを招いて批判を浴びていた彼だったんですけどね。その際は「本番でミスするより、この試合で良かった」と当人も大して気にしていなかったものの、ロナウドがエリア前から撃ったシュートを「Llego tarde a plantar la rodilla y este balon es jodido/ジェゴ・タルデ・ア・プランタール・ラ・リディージャ・イ・エステ・バロン・エス・ホディードー(ヒザをつくのが遅れたけど、あのボールは最低だ)」(デ・ヘア)と、手で弾いてゴールに入れてしまうって一体、どうなっている? ▽実際、再びリードされてしまったのは時間的にもスペインの選手たちに大打撃だったはずなんですが、この逆境にモノを言ったのは彼らの精神力の強さ。ロッカールームでどういう会話があったかはわかりませんが、後半9分、FKのチャンスを手に入れると、ロペテギ監督の下で練習したセットプレーの妙技を披露してくれたんですよ。ええ、シルバ(マンチェスター・シティ)が短く蹴ってから、コケ(アトレティコ)が戻し、今度はエリア右奥に上げたボールをブスケツが頭で落としたところ、突っ込んだのはまたしてもコスタ。 ▽ゴール前から押し込んで2-2の同点にしてくれたんですが、いやあ、こうも2人の相性がいいと、せっかく企業家精神旺盛なピケがどちらに転ぶかわからないにも関わらず、所有するプロダクションでドキュメンタリー番組を制作。当人も放送当日まで知らなかった「Me quedo/メ・ケド(残留する)」というグリーズマンの宣言で、半年以上続いたバルサ移籍騒動にやっと決着がつきながら、今度はコスタにラブコールが来ちゃうかも。 ▽そんなことはともかく、これで勢いを取り戻したスペインはその3分後、イスコのシュートが敵DFに当たり、エリア外に出たボールをナチョが全身全霊を込めてシュート。何とこれが罪滅ぼしの勝ち越しゴールとなった時にはあまりに話ができすぎで、私も呆気に取られてしまったものですが、その頃にはトレードマークのティキタカ(短いパスを繋ぐスペインのサッカースタイル)を自在に展開していた彼らですからね。 ▽イニエスタ(ヴィッセル神戸)がチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)に、30分過ぎにはコスタがイアゴ・アスパス(セルタ)に、更にシルバがルーカス・バスケス(マドリー)にという、これもロペテギ前監督が敷いた既定路線のような交代もつつがなく行われ、そのまま逃げ切れるかと思われたものの…ポルトガルには約1名、決して諦めない選手がいたんです! ▽それはもちろんロナウドで42分、エリア近くでピケが不用心にも彼をファールで倒したのが運の尽き。いえ、PKとは違い、直接FKがゴールになる確率はあまり高くないんですけどね。その日のロナウドは最高に冴えていたのか、蹴ったボールはスペインの壁を巻くと、デ・ヘアが一歩も動けない位置に突き刺さるって、物凄い執念じゃありませんか。これでスコアは3-3の引き分け、まさしく「ellos han tirado tres veces a puerta, y metido tres goles/エジョス・アン・ティラードー・トレス・ベセス・ア・プエルタ、イ・メティードー・トレス・ゴーレス(相手は3度枠内に撃って3点取った)」(ピケ)という結末でしたが、前代未聞のゴタゴタがあったばかりの初戦、ここは負けなかっただけで良しとしましょうか。 ▽え、それでもこの試合でスペインでは大会前には想像もしなかった議論が巻き起こっているんだろうって?そうですね、一番の懸念だったスタメンFWの問題は母国ブラジルではなく、2重国籍を取って鞍替えした2014年のW杯では、その直前にアトレティコの一員としてお隣さんに挑んだCL決勝でケガを再発させたせいもあったんですけどね。まったく活躍できず、チェルシー在籍時の2016年ユーロでは招集を見送られていたコスタが、「yo tengo que trabajar y callar bocas/ジョ・テンゴ・ケ・トラバハール・イ・カジャール・ボカス(自分は働いて世間を黙らせないといけないんだ)」という決意の下、CFにふさわしい2ゴールを挙げてくれたことで解決したんですけどね。 ▽無視できないのはこのところ、頻発するデ・ヘアのチョンボで、もちろん、「Somos una familia y somos un equipo/ソモス・ウナ・ファミリア・イ・ソモス・ウン・エキポ(私たちは家族でチームだ)。誰1人、放り出したりはしない」というイエロ監督を始め、キャプテンのセルヒオ・ラモス(マドリー)も「En mi equipo siempre De Gea/エン・ミ・エキポ・シエンプレ・デ・ヘア(ボクのチームにはいつもデ・ヘア)」とツイッター(https://twitter.com/SergioRamos/status/1007921243553783808)でフォローしていたんですけどね。某TV局でW杯の解説をしている彼のクラブでのボス、モウリーニョ監督も「彼はウチの選手だが、あれはひどいミスだと自分でもわかっているはずと言うのは心が痛む。素晴らしい活躍を見せた昨季のマンチェスター・ユナイテッドではやらなかった」と話していたんですが、不幸なのはそれがイングランドでパフォーマンスだということ。 ▽そうなるとスペインのファンの目に触れる機会が少ないのは当然で、私も代表以外、彼がプレーする試合を見たのはせいぜい、ベン・イェデルに2発浴び、チームが敗退してしまったCL16強対決セビージャ戦2ndレグぐらいですし、アトレティコ時代はもう遥か昔の7年前。その後はクルトゥア(チェルシー)が2年連続、ここ3年間もオブラクがサモラ(リーガで1番失点率が低いGKに与えられる賞)を独占するような秀逸ぶりですから、比べようもないんですけどね。おかげでここ数日は2戦目からはやはり、普段のプレーぶりをあまり知られていない第2GKのレイナ(ナポリ)をすっ飛ばし、この1月にはマドリー移籍寸前までいったケパ(アスレティック)を先発させるべきという声がスペインのファンから聞こえてくることに。 ▽まあ、今のところ、実現性は低いと思いますけどね。ポルトガル戦後、チームはソチ(ロシア南西部のビーチリゾート)から飛行機で45分のクラスノダールに戻り、翌日は控え組だけがグラウンドでセッションを行い、午後から日曜午後5時までフリータイムを楽しんだ選手たちでしたが、次の試合は水曜午後8時(日本時間翌午前3時)から、カザンでのイラン戦。何せ、相手は初戦に勝ってグループ首位に立っていますが、人員的にスペインが優位なのは火を見るよりも明らかですからね。次もケガが治ったばかりのカルバハル(マドリー)を温存して、今度こそ攻撃的右SBオディオソラ(レアル・ソシエダ)を起用するかもなんて意見も聞こえてきますが、それは見てのお楽しみ。 ▽同日、ポルトガルが先に、アクラフ(マドリー)が左SBとなって、右SBを務めていたアムラバット(レガネス)がサンクト・ペトロスブルクでの試合で頭を打ち、休場予定のモロッコに大勝したりすると、ちょっとプレッシャーがかかったりするかもしれませんが、ここまでGKケイロウ・ナバスが1失点に泣いたコスタリカはともかく、マルセロとカセミロ(マドリー)のいる優勝候補のブラジルが引き分けたり、全大会王者のドイツなんて、クロース(マドリー)の奮闘も空しく、メキシコに0-1で敗戦。何かと一筋縄でいかないのがW杯ですからね。とりあえず、得点力があることはわかったんですから、スペインもグループリーグ期間中はロペテギ監督前監督の残したプランと選手たちの団結力を信じて、前に進んでいくしかないんじゃないでしょうか。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.18 15:00 Mon
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【六川亨の日本サッカー見聞録】カザンでの代表初練習を取材

▽6月14日、日本代表がベースキャンプ地となるルビン・カザンの練習場で初のトレーニングに臨んだ。この日はモスクワの日本人学校の生徒約20人と、ルビン・カザンのアカデミーの生徒約40人を招待して、記念撮影やサイン会を実施。これはFIFAが1日はファンと触れ合うことを義務づけていて、4年前のイトゥでも同様なセレモニーが行われた。 ▽この日の練習はクールダウンがメインの目的。それでもフィールドプレーヤーは3グループに分かれ、それぞれ負荷の異なるメニューを消化した。まずパラグアイ戦で負傷した岡崎慎司と昌子源はドクターに付き添われてランニング後、昌子は室内トレーニング場へ直行。 ▽広報によると「岡崎は両ふくらはぎに張りがあって大事をとった。昌子は右太ももに張りがあるため室内で別メニュー」で調整中とのこと。 ▽そしてパラグアイ戦に出場した香川真司、乾貴士、柴崎岳、武藤嘉紀、酒井高徳、山口蛍、植田直通の7人はランニングやウォーキングでクールダウンを行うと早めに引き上げた。残る12人(バックアップメンバーの浅野拓磨を含む)、吉田麻也、本田圭佑、長谷部誠、長友佑都、槙野智章、大迫勇也、宇佐美貴史、大島僚太、酒井宏樹、原口元気、遠藤航はランニングやウォーキング、ストレッチなどで疲労の回復に努め、リフティングやパス交換、9対3のボール回しなどで汗を流してこの日の練習を終えた。 ▽パラグアイ戦の行われたインスブルックは28度と気温が高かったが、カザンでは10度ほど気温が低い。このため昌子や乾、香川らは口を揃えて「寒い」を連発しつつ、「試合はそのほうがいい」(昌子)と低気温を歓迎していた。 ▽ただ、6日からカザン入りしているが、この日はこれまでで一番暖かい1日だった。好天に恵まれたが、そんな日は風が強くて冷たいのがカザンの気候だった。このまま夏日に向かっていくのか。そこで思い出すのが06年ドイツW杯の苦い記憶だ。 ▽これまでにも紹介したと思うが、改めてお伝えしよう。ジーコ・ジャパンはボンをベースキャンプしたが、異常気象で寒波が居座り、あまりの寒さに街中で冬着を探したものの、すでに夏着に切り替わっていたため購入できなかった。そんな寒さの中で行われたドイツ戦で、日本は最高のパフォーマンスを見せた。 ▽ところが初戦のオーストラリア戦では、いきなり夏日になり試合は消耗戦になる。そして日本はオーストラリアの執拗な空中戦で疲弊し、1-3の逆転負けを喫した。その苦い記憶があるだけに、5日後のコロンビア戦で天候がどうなるのか気になるところである。 ▽ちなみにカザンの天候が不順だと聞いていたのでフリースと薄手のダウンを持参したが、あまりの寒さにアパート近くにある巨大なスーパーマーケットのユニクロでヒートテックの下着を購入したほどだ。 ▽乾は寒さ対策として「風邪をひかないように気をつけたい」と話していた。果たして選手はどれだけ現地の気候に順応できるのか。ここらあたりも些細ではあるがW杯を勝ち抜くためには重要なポイントになるだろう。06年は中村俊輔が風邪に悩まされただけに、スタッフの準備も重要だ。 ▽ともあれ昨日はロシア対サウジアラビア戦でW杯が開幕した。日本が19日のコロンビア戦までどんな準備ができるのか、街中の様子も含めてお伝えしたいと思う。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.06.15 15:00 Fri
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【原ゆみこのマドリッド】プレーするのは選手とはいえ…

▽「そりゃこっちも同じだわ」そんな風に私が肩をすくめていたのは木曜日、ようやく待ちに待ったレアル・マドリーの新監督が決まり、サンティアゴ・ベルナベウのパルコ(貴賓席)前ホールでロペテギ監督の就任スピーチを聞いている時のことでした。いやあ、彼の姿を自分の目で最後に見たのは10日程前、ラス・ロサス(マドリッド郊外)のサッカー協会施設で行われたスペイン代表の練習だったんですけどね。それが何と、いよいよW杯初戦に臨むチームがソチのフィシュト・スタジアムで前日最終セッションを行っている時間、朝5時にバラハス空港に着いた当人のプレゼンに立ち会うとは、それこそ「un dia surrealista/ウン・ディア・スルレアリスタ(シュールな日)」だったのは絶対、ロペテギ監督だけじゃない? ▽いえ、物事は順序立てて話していかないといけません。事件の始まりは火曜の午後5時少し前。レアル・マドリーのオフィシャルページにロペテギ監督がジダン監督の後継者として、スペインのW杯参加が終わり次第、3年契約で入団することが発表されたことでした。いえまあ、その時は程なくしてスペイン代表のホームページにも同様の内容がアップされ、おまけにサッカー協会はロペテギ監督とマドリーの交渉を把握。5月中に2020年まで延長契約を結んだ際に決まった違約金200万ユーロ(約2億6000万円)を受け取るという文面になっていたため、世間もまだ、「W杯初戦を2日後に控えての非常識な時期だし、代表チームにはマドリー以外の選手もいるし、これからクリスチアーノ・ロナウドを筆頭に来季率いることになる面々と対戦するのに何故今、発表?」的な違和感を持ったぐらいだったんですけどね。 ▽どうやらこれにはマドリー側の事情があって、実際、ドイツのレーブ監督、ポチェッティーノ監督(トッテナム)、クロップ監督(リバプール)、アッレグリ監督(ユベントス)、コンテ監督(チェルシー)ら候補リストの上にあった指揮官を招聘するのがまずムリと判明したのが今週になってから。それでも7月16日にはプレシーズンを開始しないといけないのと、ジダン監督の辞任から2週間以上経ちながら、一向に後任が決まらないことにジレていたソシオ(協賛会員)をなだめるため、月曜にクラブOBで、RMカスティージャ(2部B)も率いたことのあるロペテギ監督にオファーを出したところ、速攻で話が進んだのだとか。クラブ上層部はW杯期間中、その新監督就任を隠しておくのは難しいと判断し、公にすることにしたようですが、まさかサッカー協会のルビアレス会長があれ程、極端なリアクションを起こすとは一体、誰に予想できた? ▽ええ、「No puede ser que la Federacion se entere cinco minutos antes de una nota de prensa/ノー・プエデ・セル・ケ・ラ・フェデラシオン・セ・エンテレ・シンコ・ミヌートス・アンテス・デ・ウア・ノタ・デ・プレンサ(協会がプレスリリースの出る5分前に知らされるなんてことはありえない)」と翌日、記者会見で何度も言っていましたが、その日、FIFA総会が開催されていたモスクワにいた当人はこの事実をウェブに告知が出る直前、マドリーのペレス会長から電話で伝えられたとのこと。慌てて代表監督と話そうとしたものの、クラスノダール(ロシア南西部)のベースキャンプでは丁度、夕方の練習が始まったところで、何とロペテギ監督自身がグラウンドで選手たちにマドリーに行くことを告げていたというから、もしやクラブと歩調を合わせていた? ▽モスクワからとんぼ帰り、深夜にはクラスノダールに着いたルビアレス会長は夜半から、翌水曜午前中までロペテギ監督、セルヒオ・ラモス(マドリー)、イニエスタ(ヴィッセル神戸)、シルバ(マンチェスター・シティ)のキャプテン、ピケやブスケツ(バルサ)ら、チームの重鎮と話し合い、いえ、とりわけラモスなどは監督続投を強く訴えたようだったんですけどね。私も合宿所のプレスセンターで記者会見が午前10時半にあると聞いて、スポーツ紙のウェブで生中継が始まるのを待っていたんですが、遅れに遅れて結局、ルビアレス会長が現れたのは正午過ぎ。協会への"ほうれんそう"が欠けていたという理由により、ロペテギ監督の即時解任が告げられることに。ええ、日本代表が4月にハリルホジッチ監督を解任、西野朗監督に代わった時だって、本大会開幕2カ月前に随分、思い切ったことをすると驚かれていたのに、こちらなんてたった2日前ですよお! ▽こんな無茶苦茶な話、聞いたことがないと私も頭を抱えていたところ、午後5時半には昨年11月から、代表のスポーツディレクターに復帰していたイエロ氏がルビアレス会長と共に現れ、W杯期間中の新監督に任命されたんですが、うーん、とりあえずチームはもう出来上がっていますからね。プロの監督経験は2016-17シーズンにオビエド(2部)を率いたことしかない当人も「No se puede tocar en dos dias dos anos de trabajo/ノー・セ・プエデ・トカール・エン・ドス・ディアス・ドス・アーニョス・デ・トラバッホ(2日間で2年間の仕事を変えることはできない)」と言っていた通り、ここはずっとチームに寄り添い、マドリーでの現役時代14年間にクラブのレジェンドの域に達した往年の名DFのリーダーシップを信頼するしかないかと。 ▽そして木曜にはスペインはソチ(ロシア南東部のビーチリゾート)に移動。オビエド時代にイエロ監督を補佐した第2監督、フィジカルコーチ、そして元代表で2010年W杯優勝時のメンバーだったマルチェナもスタッフとして加わって、ベルナベウでペレス会長が「W杯中に次の仕事の契約をすることが不忠義だと解釈された前例などない。ウチは普通のことをしただけなのに誤ったプライドから、馬鹿げた結果となった。Es una decision injusta/エス・ウナ・デシシオン・インフスタ(公正ではない決断だった)」、ロペテギ監督も「A mi me hubiera gustado que Rubiales hubiera actuado de otra manera/ア・ミー・メ・ウビエラ・グスタードー・ケ・ルビアレス・ウビエラ・アクトゥアドー・デ・オトラ・マネラ(ルビアレス会長が違う振る舞いをしてくれていた方が良かった)」と電撃解任を非難している間、選手たちはいつもと変わらず、和気藹々と練習をしていましたっけ。 ▽実際、金曜午後8時(日本時間翌午前3時)から試合の相手、ポルトガルのフェルナンド・サントス監督も「スペインには10年前から特有のプレースタイルがある。驚かされることは何もないだろう」と言っていましたし、イエロ監督も「Se vera a la Espana de siempre/セ・ベラ・ア・ラ・エスパーニャ・デ・シエンプレ(いつものスペインを見ることになるはずだ)」と記者会見で再度強調。順調に行っていてもグループリーグ敗退となった4年前のブラジル大会ような例もあるんですから、あまりこの監督交代劇の影響は心配しなくてもいい?そうですね、ラモスも「La idea no ha cambiado y es ir a por el Mundial/ラ・イデア・ノー・ア・カンビアードー・イ・エs・イル・ア・ポル・エル・ムンディアル(考えは変わっていなよ。目指すはW杯優勝だ)」とやる気満々でしたしね。 ▽ただ、このゴタゴタのせいで直前のスイス、チュニジアとの親善試合でも結論が出なかった、いえ、火曜から全体練習に復帰したものの、カルバハル(マドリー)はイランとの2戦目からという見方が多いんですけどね。その代理はナチョ(マドリー)でいいとして、肝心のFWはジエゴ・コスタ(アトレティコ)、ロドリゴ(バレシア)、イアゴ・アスパス(セルタ)の誰を何人、スタメンとして使うのかは未だに予想つかず。それぞれ一長一短があり、公式戦では交代枠も3つしかないため、ここはかなり慎重に選んでほしいものですが、さて。 ▽一方、中盤は結局、ここまでポルトガル代表でダンマリを貫き、これからロペテギ監督もマドリー残留を説得するのに骨を折りそうなロナウドの危険性も考えると、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)より、コケ(アトレティコ)の方が守備的に落ち着いて良さそうでしたが、何せ当人はスペイン中を呆気に取らせた大騒動の中、ツィッターに丁度、お隣さんがCL決勝を戦っていた日だったせいで、あまり注目されなかったベアトリスさんとの挙式の写真を投稿(https://twitter.com/Koke6/status/1006966408239042567)。新妻の29歳のバースデーを祝うという、いささかズレたことをしていたため、どうかと思われる節もあるんですが、まあその辺はイエロ監督の判断次第かと。 ▽え、そもそもここ数日、スペインのお家騒動のせいで一番、割を喰らったのはグリーズマンだったんじゃないかって?その通りで火曜にはロシア滞在中のフランス代表で待望の記者会見があったんですが、当人は「もう来季のことについては決心がついたけど、今日はそれを話す場所でも時でもない」とヨーロッパリーグ優勝の後や先日の親善試合後同様、残留なのか、バルサ移籍なのかについて言明せず。水曜には代表仲間のレマル(モナコ)のアトレティコ加入が大筋、決まったという報道もあったため、スポーツ紙でも短く触れられただけだったんですが、まさか木曜になって、「He decidido quedarme/エ・デシディードー・ケダールメ(ボクは残ることに決めた)」と最後に言うため、それまでの自身の心の葛藤を描いたTVのドキュメンタリー番組が公開されることになるとは! ▽いやあ、確かに自身の目標であるCL優勝を遂げるにはアトレティコには何かが足りないと悩んだり、ELのトロフィーを掲げた後の試合でワンダ・メトロポリターノのファンにpito(ピト/ブーイング)を受け、当人がイロイロ、悩む様子を描いたのはいい台本だなと思ったものですけどね。どうにもここまで引っ張られると、もしや口が重かったのはこの番組の視聴率を取りたかったからなんて、ちょっと穿ってしまうのは私だけ?どちらにしろ、これで来季もグリーズマンをアトレティコで見られることが決まったため、土曜正午(日本時間午後19時)からのフランスvsオーストラリア戦では素直に応援できそうですが、金曜にはゴディンや2023年までの契約延長の発表があったヒメネスの出るエジプトvsウルグアイ戦もありますしね。 ▽他にも土曜にはベルサイコに加え、モドリッチやコバチッチらマドリー勢の活躍も楽しみなクロアチアvsナイジェリア戦、日曜にはフィリペ・ルイスは控えですが、マルセロ、カセミロ、そして監督が決まったため、これから本格化する補強の候補として一番の大物、ネイマールの出るブラジルvsスイス戦や全大会チャンピオン、クロースを有するドイツvsメキシコ戦もあるとあって、どうやら私にもまたサッカー観戦三昧の日々が戻って来そうなのは嬉しいんですが…今回のW杯、スペインでは全ての試合がオープン放送。自宅のTVで済んでしまうというのも何だか、1日中、籠ってしまいそうで怖い気もします。 2018.06.15 14:30 Fri
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【倉井史也のJリーグ】ワールドカップ期間中だけどどっちの方が激烈かな!? の巻

▽あのね、すげぇ怖いんですけど。いよいよワールドカップ始まっちゃたってのに、このコラム、読んでくれる人いますか? つーか、編集部も先週の原稿って数字とか確認しないままに返信されてきたし、あー、怖い、怖い!! ▽でもね、この際気にせず、いつもどおりやっていきますけど、普段と違うのは当然J1がやってないってこと。ここは下部リーグこそ熱心なファンが付いていると信じて!! で、今のJ2を見ると、やっぱり今年も大混戦。何がおもしろいって、現在2位の山口とか4位の町田、6位の岡山っていうJ1未経験クラブが台頭してるから。逆にJ1クラブ、特に今年降格したチームが苦しんでるってところがJ2の怖いところで。一度ハマると抜けられない「J2沼」って言葉をしみじみと感じさせるのです。 ▽では、今回のデーターは毎年降格したチームが、J2で次の年はどんな順位だったかを。降格が3チームになった2006年以降で2009年は2チームしか降格してないからその2チームの分でござる。 2006年 柏(2位)、東京V(7位)、神戸(3位) 2007年 福岡(7位)、C大阪(5位)、京都(3位) 2008年 広島(1位)、甲府(7位)、横浜FC(10位) 2009年 東京V(7位)、札幌(6位) 2010年 柏(1位)、大分(15位)、千葉(4位) 2011年 FC東京(1位)、京都(7位)、湘南(14位) 2012年 甲府(1位)、福岡(18位)、山形(10位) 2013年 神戸(2位)、G大阪(1位)、札幌(8位) 2014年 湘南(1位)、磐田(4位)、大分(7位) 2015年 大宮(1位)、C大阪(4位)、徳島(14位) 2016年 松本(3位)、清水(2位)、山形(14位) 2017年 名古屋(3位)、湘南(1位)、福岡(4位) ▽で、2018年は現時点の暫定順位で甲府(10位)、新潟(15位)、大宮(9位)。甲府は消化試合数が2試合(そのうち1試合は新潟戦)少ないから、もうちょっと上に行く可能性があるんですけどね。 ▽にしてもJ2のこのヤバさ。すでにJ1未経験は山口、町田、岡山、岐阜、水戸、栃木、熊本、金沢、愛媛、讃岐の10チームだけで、残り12チームは元J1。そりゃ激戦になりますよ。ってことで、ワールドカップ期間中はそんな熾烈な戦いを楽しみましょうか。で、えーっと今日のカードは監督が代わったスペインとポルトガルか……と。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.06.15 13:00 Fri
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【原ゆみこのマドリッド】ゴールは多い方がいいけれど…

▽「始まるまでが長いよね」そんな風に私が嘆いていたのは月曜日、スペイン代表のW杯前最後の親善試合が終わり、次は金曜日、ポルトガルとのグループリーグ第1戦まで待たないといけないことに気づいた時のことでした。いやあ、先週にはAS(スポーツ紙)などで「レアル・マドリーは新監督をW杯開幕前に決める意向」という記事を読んで、今週前半にはサンティアゴ・ベルナベウでプレゼンがあるかもしれないと期待していたんですけどね。どうやら週が明けても候補が絞られておらず、マルカ(同)もこれまで挙がった名前を復習しているだけなんですよ。 ▽ジダン前監督に至っては、パリのローラン・ギャロスでの全仏オープン決勝でラファ・ナダルがドミニク・ティエルを破り、Undecima/ウンデシマ(11回目の優勝)の快挙を達成するのを家族連れで観戦していたりと、何とも優雅で羨ましいんですが、実は待たされているのはマドリーファンだけにあらず。というのも、ポルトガル代表合宿入り以来、ロシアのベースキャンプ地、クラトボ(モスクワから南東60キロ)に着いてもダンマリを貫いているクリスチアーノ・ロナウドを含め、選手たちの去就については監督決定後に判断するというお隣さんとはちょっと違いますが、このオフシーズンはアトレティコもエースの進退が決まっていない微妙な状況。 ▽ええ、バルサ移籍疑惑がシーズン中から何度も浮上し、「W杯までに決める」と宣言していたグリーズマンのことですが、アメリカと1-1で引き分けた親善試合の後、ミックスゾーンでようやく当人がコメント。曰く、「フランス代表のW杯は土曜に始まるから、まだ時間はある。スペインじゃボクが残留するとか、退団するとか言っているけど、その初戦(対オーストラリア)の前に言うよ」って、これじゃアトレティコファンだって、まだまだ落ち着けないってことじゃないですか。 ▽もちろん、先週末には1部昇格プレーオフ準決勝が終了。サラゴサを2ndレグ後半ロスタイムに破ったヌマンシア、スポルティングを総合スコア5-2で圧倒したバジャドリーが今週水曜、土曜に決勝を戦って、ラージョ、ウエスカに続くチームが決まったりもするんですけどね。やはりマドリッド勢でないため、私も今イチ興味が湧かないのが辛いところ。それだけに最近の楽しみと言えば、毎日、スペインのマスコミや代表オフィシャルページがクラスノダール(ロシア南西部)から伝えてくる代表チームの練習レポート(http://www.sefutbol.com/fotos-tope-cuenta-atras-debut)ぐらいしかないのはちょっと物足らないんですが…。 ▽まあ、そんなことはともかく、そのスペインが土曜にロシアで行ったチュニジア戦の様子もお伝えしておかないと。いやあ、何より驚かされたのは、彼らが合宿先として使っているFCクラスノダールのユース用練習施設がやたら広くて、近代的な設備が整っていたのはともかく、すぐ脇にあるトップチームが試合するスタジアムのスコアボードの斬新さ。ええ、スタンドの最上部と屋根の間が帯状にスクリーンになっていて、360度で鮮やかな映像が見られると聞いた日には、ワンダ・メトロポリターノもそうしていてくれれば、ヨーロッパリーグ決勝のパブリックビューイングであんなに苦労しなかったと思ってしまったのは私だけ? ▽ただ、その最新式のスタジアムがW杯の試合会場に選ばれていないのは不思議なんですが、親善1試合目のスイス戦とは違い、この日のスペインはCFとしてロドリゴ(バレンシア)を先発起用。それをシルバ(マンチェスター・シティ)、イスコ(マドリー)、イニエスタ(バルサ)で支えるという布陣でスタートしたんですが、同じW杯参加国でもある相手のしっかりした守備にも阻まれて、とにかく前半はチャンスが作れませんでしたね。 ▽そうこうするうち、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)からオディオソラ(レアル・ソシエダ)へのパスが自陣エリア近くで敵に奪われ、危険なシュートを撃たれてしまうなんてこともあったため、ロペテギ監督は後半頭から、この2人とイスコをコケ(アトレティコ)、ナチョ、ルーカス・バスケス(マドリー)に交代。これで右サイドも落ち着いて、そこそこ攻撃に取り組めるようになったスペインでしたが、それでも得点には至らなかったため、とうとう15分にはロドリゴ、シルバに代えてジエゴ・コスタ(アトレティコ)、アセンシオ(マドリー)と、両翼を使うプランBに切り替えていったところ…。 ▽最後に効を奏したのは30分に左SBのジョルディ・アルバ(バルサ)を下げ、イアゴ・アスパス(セルタ)を投入。3バックで臨んだ総攻撃って、いや、まだ最終手段、セルヒオ・ラモス(マドリー)のCF登用に至らなかっただけマシなんですけどね。39分、センターから放ったブスケツのロングパスをコスタがエリア内で受けた時には私も久々に彼のゴールが見られると胸が高鳴ったものの、敵DFやGKに迫られて自身では撃てず。結局、後ろに送ったボールをアスパスがシュートし、これがネットに収まってくれため、ようやくスペインが先制点をゲットすることに。何せ、見せ場はこれだけでしたから、そのまま1-0で勝ったとはいえ、少々物足りない感は否めなかったかと。 ▽うーん、まあそう思ってしまうのは後日、アスパスも「アルゼンチンに6-1で勝った後、ファンはウチがスイスから8点、チェニジアから10点取ると思っていた」と言っていた通り、このW杯に向けた合宿前最後となった3月のワンダ・メトロポリターノでは滅多にないgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を彼らが披露してしまったせいも多分にあったんでしょうけどね。それが「Creo que teniamos mejores sensaciones antes de la concentracion que en estos dos partidos/クレオ・ケ・テニアモス・メホーレス・センサシオネス・アンテス・デ・ラ・コンセントラシオン・ケ・エン・エストス・ドス・パルティードス(この2試合より、合宿前の方がボクらはいい感触を持っていたと思う)」という、彼の試合直後のコメントに繋がったようでしたが、いやいや、今更不安を煽ってどうする? ▽いえ、この親善試合2試合は大会前のウォーミングアップとあって、相手も同様ですが、選手たちもケガはしたくないという意識があるのか、プレーの激しさにブレーキがかかってしまうのはわかるんですけどね。一番の悩みはここに来て、スペインは誰が先発FWになるのか、はっきりしていないこと。だってえ、本番の試合では交代枠は3つしかないんですよ。このチュニジア戦のように、当たりが出るまで人やシステムを代える訳にはいかないため、とりわけグループBの中でイラン、モロッコ以上に得点力がありそうなポルトガル戦では、最初から機能してくれるスタメンを組むことが重要かと。 ▽え、スペインは2010年に優勝した南アフリカ大会でも僅差の試合ばかりだったんだから、そんなに大量ゴールに執着することはないんじゃないかって?そうですね、あの時はグループ初戦のスイス戦を1-0で落とした後、ホンジェラスには2-0、チリには1-2で勝って決勝トーンメント進出。その先もポルトガル、パラグアイ、ドイツ、そしてオランダとの決勝も1-0で戴冠していますから、しっかり守れるのであれば、コケも「アルゼンチンに大勝してもスイスと分けて、チュニジアに1-0で勝てば、al final bajas a la realidad/アル・フィナル・バハス・ア・ラ・レアリダッド(結局、現実に戻るんだよ) 」と言っていたように、アトレティコ的スコアラインを続けてもいいんですけどね。 ▽そうすると初戦に間に合わそうにないカルバハル(マドリー)の代理で右SBに入るのは、チュニジア戦では急性胃腸炎にかかっていて、調子が悪かったと言い訳していたオディオソラではなく、ナチョで決まり?まあ、キエフでのCL決勝リバプール戦でカルバハルが負傷交代した際、率なく引き継いでいた当人も「El mister sabe que estoy capacitado para ocupar esa posicion/エル・ミステル・サベ・ケ・エストイ・カパシタードー・パラ・オクパル・エセ・ポシシオン(監督はボクにこのポジションを務める能力があるのをわかっている)。自分はCBが一番やり易いのは皆、知っているけど、SBでもビッグマッチをプレーしたし、クリスチアーノと対決できるチャンスがありますように」とアピールしていましたしね。いつもクラブで一緒に練習しているだけに、相手を守り慣れているのは頼りになるかもしれません。 ▽まあ実際、この2試合で控えGKのレイナ(ナポリ)とケパ(アスレティック)以外、全員を使ったロペテギ監督も「ケガ人も出なかったし、選手たちにプレー時間を与えられた。Ahora hay seis dias para afinar y afilar el once/アオラ・アイ・セイス・ディアス・パラ・アフィナル・イ・アフィラル・エル・オンセ(スタメンを製錬研磨する時間はまだ6日ある) 」と言っていましたしね。相変わらず、気温30度近辺のクラスノダールでの練習でじっくり細部を詰めてもらえばいいのですが、さて。 ▽中でも前回、2014年、グループリーグ敗退で終わったブラジル大会では初めてW杯メンバーに入ったものの、1回も出場できず、記念参加に終わったコケなど、「Solo me vale ser campeon, es a lo que hemos venido/ソロ・メ・バレ・セル・カンペオン、エス・ア・ロ・ケ・エモス・ベニードー(自分にとって価値あるのは優勝することだけ。そのためにボクらは来たんだから)」と何だか強気でしたけどね。まずは金曜午後8時(日本時間翌午前3時)からのポルトガル戦でお手並み拝見。また強いスペインが戻って来てくれて、この先の1カ月間、退屈しないで済むと私も嬉しいんですが。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.12 19:00 Tue
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【日本代表コラム】違和感を覚えるギャップ、“リアル”に考えられているか

▽日本代表は8日、ロシア・ワールドカップ前のテストマッチとして同じくワールドカップに出場するスイス代表と対戦。2-0で敗れた。5月30日に行われたガーナ代表との一戦と同じ2-0という結果。本当の意味での「手応え」は存在したのだろうか。 ▽西野朗監督初陣であったガーナ戦は[3-4-2-1]のシステムでスタートした日本代表だったが、スイス戦は[4-2-3-1]のシステムに変更。しかし、メンバーはMF山口蛍(セレッソ大阪)がDF酒井高徳(ハンブルガーSV)に変わったのみだった。 ▽ほぼ同じメンバーで2つのシステムを試したということを考えれば、3バック、4バックに固執しないという西野監督が目指すものは見えたと言っても良いのかもしれない。しかし、そこに「手応え」を感じているのならば、疑問符がつく。 ◆チーム内でも分かれる見解Getty Images▽試合後に語られたコメントではあるが、チーム内の見解は分かれている。トップ下で先発出場したMF本田圭佑(パチューカ)は「個人としてはチームとしては手応えを感じられる試合内容だった」とコメントした。 ▽一方でPKを献上し、2試合連続で2失点を喫しているDF吉田麻也(サウサンプトン)は「負けていますし、課題は多いと思います」と語った。当然、手応えを感じた部分はあるのだろうし、そうでない部分もあるのだろう。敗戦という結果だけで、収穫がゼロということはない。しかし、本大会直前でのテストマッチということを考えると、選手間の試合の受け止め方に差があることは気になる。 ▽選手個人の感じ方に差があることも当然であり、それは観る人によっても感想が違うことと同じだ。残り10日で初戦を迎える状況なだけに、しっかりとスイス戦を分析して、選手たちの見解を揃えてもらいたいものだ。 ◆違和感を覚える「手応え」Getty Images▽前半は対応の遅れからFWエンボロにドリブルで持ち込まれ、ボックス内で対応した吉田が倒しPKを与えてしまった。また、後半は大きな展開からボックス付近でのワンツーを許し、最後はファーから中央へと振られてあっさりと失点を喫した。 ▽試合を見ていて、失点の仕方には非常にまずい対応を感じた。取られるべくして取られてしまった失点に感じた。 ▽しかし、MF長谷部誠(フランクフルト)は、「失点の仕方が悪かった」と語りながらも、「やられたという感覚はそこまでない」と口にした。 ▽守備面では、4バックにしたことでオートマティックに動けていた部分はあっただろう。しかし、対応の甘さで2失点を喫したことは事実。これを「やられた感覚がない」というのは疑問符がつく。繰り返すが、2失点は事実だ。 ◆危険な理想論Getty Images▽日本代表の正守護神を務めるGK川島永嗣(メス)は2試合連続で2失点を喫しながら「一番大事なのは、点を取られないということ」と語った。もちろん、それは理想的な話だが、この発言には危険なにおいを感じた。 ▽確かに、無失点で終えることができれば、最低でも引き分け。勝ち点1を獲得できる。しかし、サッカーは点を取りに行くスポーツ。自分たちがいくら守りたくても、勝ちたい相手は点を取りに来る。 ▽ワールドカップのグループHでは、コロンビア代表、セネガル代表、ポーランド代表の順に対戦。3カ国と比べると、日本は4番手と見るのが現実だろう。つまり、残りの3カ国は日本戦での勝ち点3を計算に入れている。 ▽相手が得点を奪いに来るということは、確かに日本が攻めるチャンスが増えるだろう。しかし、相手の攻撃陣は軟弱ではない。ブンデスリーガの得点王であるFWロベルト・レヴァンドフスキ(ポーランド)、リバプールの攻撃の一翼を担うMFサディオ・マネ(セネガル)、そして前回大会の得点王でもあるMFハメス・ロドリゲス(コロンビア)。1人ずつピックアップしても、錚々たる面々だ。これに対し“点を取られない”可能性がどれだけあるのか。ガーナ、スイスの2試合で4失点を喫していることを考えれば、無失点は厳しいと言わざるを得ない。 ◆リアルに受け止められているかGetty Images▽守備の部分をピックアップしたが、攻撃面も気になる部分はある。選手、そして監督とも、攻撃面には大きな課題があると感じている。それぞれのコメントでも、課題にあげたのは攻撃面。しかし、“リアル”に問題点を受け止めているかが重要だ。 ▽前半は、守備面では確かに対応できていた部分もあり、中盤で良い形でボールを奪うシーンもあった。しかし、切り替えて攻撃を仕掛ける部分では、スピードが遅く、人数も掛けられずに、単調な攻撃に終わった場面が多かった。 ▽後半は、クロスを単純に上げるわけではなく、グラウンダーのボールや、本田、大島が相手のバイタルエリアに立ってパスを受けるシーンなどが見られた。しかし、そこにボールが入っても、崩しきる場面は皆無。1トップにFW武藤嘉紀(マインツ)、トップ下にMF香川真司(ドルトムント)が入ってからは、狭い局面でも裏を狙う動きが見え、一定の良さを見せた。 ▽しかし、決定的なシーンは90分間を通して一度もなく、シュートも枠外から。相手GKがヒヤリとする場面すらなかった。それが現実。課題は分かっているものの、それを“リアル”に感じられているかどうかだ。 ◆ある種の“手応え”Getty Images▽スイス戦をどのような立ち位置で考え、臨んだのか。本心まではわからないが、テストと捉えて課題をあぶり出したかったのであれば、“手応え”を感じるのかもしれない。しかし、そうであれば、パラグアイ戦、そして本大会では大きな変化が必要となるだろう。 ▽8年前の2010年南アフリカ・ワールドカップが例に挙げられているが、当時は結果が出ないことを受けてトップダウン的に方針転換。岡田武史監督はシステムも戦い方も変え、メンバーすら変更してベスト16という結果をつかんだ。果たして、その決断が下せるのか。決断を下すための“手応え”は掴んだかもしれない。 ▽初戦のコロンビア代表戦までは残り10日。本大会前に残されたのは、12日のパラグアイ代表戦の1試合のみ。「メンバーを固定してシステムを固定して精度を上げていこうという形ではなく、色々な可能性を求めています」と語り、バックアッパーの起用を示唆した西野監督。“リアル”に考えた結果なのか、そうでないのか。残された少ないチャンスを生かせないのであれば、厳しい現実が待っているだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.09 23:50 Sat
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