超ワールドサッカー

コラム

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【原ゆみこのマドリッド】人材の余っているチームは羨ましい…

▽「その気持ち、わかるわぁ」そんな風に私が頷いていたのは金曜。サンティアゴ・ベルナベウでのレアル・マドリー戦を控えたバレンシアのボロ監督が、このミッドウィークのリーガの試合でデポルティボを圧倒したことにより、ますます世間で論争が過熱。いわゆるマドリーA、マドリーBのどちらと対戦したいと訊かれた際、「Prefiero el Real Madrid C, el filial/プレフィエロ・エル・レアル・マドリッヂ・セー、エル・フィリアル(レアル・マドリーC、ユースチームがいいね)」と答えているのを聞いた時のことでした。いやあ、本当にRMカスティージャ(2部B)が出てきて、万が一、うっかり負けてしまったりしたら、お助け臨時監督として出動ではなく、正式な指揮官となったボロ監督の功績にケチがつきかねないなんて、私が余計な心配をしても仕方ないんですけどね。 ▽ちなみにマドリーAというのはBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)以下、先日のクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)で先発した面々で、CL準々決勝のバイエルン戦など、手ごわい相手に挑む時のベストメンバー。ただ、ジダン監督も極端で、この水曜はベイルがふくらはぎのケゲで結局、全治1カ月となってしまったり、セルヒオ・ラモスが出場停止処分だったりという不可抗力はあるものの、クロース、モドリッチ、カセミロ、カルバハル、ケイロル・ナバスもスタメンに入れず。コエントランが万年体調不良のため、代わりがいない左SBはマルセロ、CB4人のうち2人が使えないせいで連続出場となったナチョ以外、メンツが9人も変わっていたため、マドリーBと呼ばれることになったんですが、それでも全然、強いって、まったくもって贅沢な選手層をしているじゃないですか。 ▽うーん、せっかく敵がローテーションしてくれながら、まったく歯が立たなかったデポルティボのペペ・メル監督など、「El Madrid B me gusta mucho mas que el Madrid A/エル・マドリッド・ベー・メ・グスタ・ムーチョ・マス・ケ・エル・マドリッド・アー(私はマドリーBの方がマドリーAよりずっと好きだ)」と言うしかなかったでしょうけどね。来週火曜、お隣さんとのCL準決勝1stレグに出てくるのは休養十分なAチームの方であるのは火を見るよりも明らか。逆にアトレティコにはAチームしかないものの、最近はケガ人のせいもあって、スタメンがAマイナス、ダブルマイナスといった状態な上、出づっぱりな選手たちには疲労が見え隠れしていますからね。そう思うと、やっぱりまだ6月3日の決勝に向けて、カーディフ旅行の手配をするには気が早すぎるという結論になるんですが…。 ▽え、その理由には今季最後のミッドウィーク開催リーガがあった今週、自分が久々に重苦しい気分でビセンテ・カルデロンから帰ることになったからっていうのもあるんだろうって? その通りで、ここ数年、ビジャレアルには相性が良くなく、ほとんど勝ててないというのは知っていたものの、最近はツキもあるから何とかなるだろうと過信していた私も悪いんですけどね。平日にも関わらず、スタジアムを満員にしたファンたちも一生懸命応援してくれたんですが、その日の彼らはまったくゴールに縁がなし。前半はサウールのヘッドもグリーズマンとガイタンのダブルチャンスもGKアンドレス・フェルナンデスに弾かれ、後半序盤もガイタンとの一対一をparadonn(パラドン/スーパーセーブ)されてしまっては、シメオネ監督だって、せっかく一息つかせてあげようとしていたカラスコを投入せざるを得ませんって。 ▽ただ、そのカラスコは15分程でルカビナとの接触プレーで肩を痛めてしまい、フェルナンド・トーレスと交代。結果的に誰の休養にもならず、ケガ人をムダに増やしただけに終わったんですが、それでもせめてスコアレスドローで勝ち点1でも稼いでくれていれば、ちょっとは救われたんですよ。ところがこの日は最近にしては珍しい大ポカが81分に発生。何とフィリペ・ルイスが自陣でボールを失い、エリア内に突入したバカンブの出したパスにソリアーノがゴール前で合わせ、GKオブラクが破られてしまったから、さあ大変! ▽その後も懸命に点を取りに行ったアトレティコでしたが、「Hoy la pelota no quiso entrar/オイ・ラ・ペロータ・ノー・キソ・エントラール(今日はボールがゴールに入りたがらなかった)」(シメオネ監督)という巡り合わせだったんですかね。最後の最後、アディショナルタイムにガビが敵エリア内に放り込もうとした遠くからのFKが地上に落ちる前に終了の笛が無情にも響き、それこそ「いつも自分たちがしていることをやられた」(ガビ)彼らは、2月末のバルサ戦以来となる、公式戦12試合ぶりの負けを喫してしまうことに(最終結果0-1)。 ▽試合後、コケなどは「Seguimos terceros haga lo que haga el Sevilla/セギモス・テルセーロス・アガ・ロ・ケ・アガ・エル・セビージャ(セビージャが何をしてもウチが3位なのは変わらない)」と強がっていましたけどね。大抵、悪いことは続くもので、木曜に試合をした相手は目下のところ、来週のヨーロッパリーグ準決勝マンチェスター・ユナイテッド戦1stレグしか見えていないセルタに2-1で勝利。またしても勝ち点で並ばれてしまったため、マドリーとのCL決戦を控えた土曜のラル・パルマス戦に、より一層のプレッシャーが懸かってしまったのは否めないかと。うーん、ゴディンが累積警告で出場停止になるのはある意味、いいお休みの機会なのかもしれませんけどね。 ▽カラスコは全治2週間、ファンフラン、ベルサリコの両右SBもまだ回復していませんし、何よりこの状態だと、唯一の命綱であるグリーズマンがとても休めそうにないのは不安。それ以外のFWはトーレスなど、木曜に自身のプレミアリーグ体験から、サッカーを通じて英会話を学ぶ本を出版。そのお披露目イベントでも「Estan las ganas de que esta vez si podemos dar a la gente algo que perseguimos desde hace 100 anos/エスタン・ラス・ガナス・デ・ケ・エスタ・ベス・シー・ポデモス・ダール・ア・ラ・ヘンテ・アルゴ・ケ・ペルセギエンドー・デスデ・アセ・シン・アーニョス(今回こそ、ファンが100年前から追っている夢を現実にしてあげたいという意欲がボクらにはある)」と、CL初優勝に向けて嬉しいコメントはしてくれるんですけどね。 ▽問題はその彼もガメイロもコレアも随分、ゴールから遠ざかっていることで、皆、もう少し、マハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションでシュート練習に力を入れてくれるといいのですが、こればっかりはねえ。そうそう、ビジャレアル戦の終了直後に第4審判の肩に手をかけ、「que hijo de puta sos; que hijo de puta!/ケ・イホ・デ・プータ・ソス、ケ・イホ・デ・プータ(お前ら、何て最低な奴らだ)」と悪口を言い、ベンチ入り禁止処分が懸念されていたシメオネ監督は、競技委員会が2試合の処分を科した数時間後に上訴委員会がそれを取り消してくれたため、土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのラス・パルマス戦に影響はないことに。 ▽うーん、彼には2014年のスペイン・スーパーカップで退場させられた後、ベンチ裏のスタンドから堂々、指揮を執っていたせいもあって、8試合もの処分を受けた黒歴史もありますからね。もうリーガも今季はあと4節、ビセンテ・カルデロンでのお別れ試合をパルコ(貴賓席)で見ることになるのも外聞が悪いですし、そろそろ新スタジアム、ワンダ・メトロポリターノでのデビュー戦のことも考えて、金曜に47歳になったシメオネ監督には自重してくれるよう、強くお願いしますよ。 ▽そして翌水曜は近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でマドリーの試合を見た私でしたが、序盤はオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継も大忙し。まずは開始52秒で、イスコからラストパスをもらったモラタが日頃、あまり出番がない鬱憤を晴らすかのように速攻ゴールを決めたのにも驚かされたんですけどね。この節は平日だったせいで、夜に3カードやるため、このデポルティボ戦の前半はマドリッドの新弟分、レガネスがラス・パルマスをブタルケに迎えた試合の後半と丸かぶり。普段の彼らなら、そんなにレポーターが報告することもないんですが、54分のルチアーノの先制点を皮切りにゲレーロが続き、最後はPKでルチアーノが自身2点目と、たったの6分間で3点を挙げてしまったから、ビックリさせられたの何のって! ▽いえ、3連戦の真ん中ということで、相手のラス・パルマスもBチームを出していたんですけどね。そこへすでに残留達成しての気の緩み加わったのが、直近7試合に勝てておらず、だからと言って、降格圏の3チームも勝たないので大丈夫そうではあったものの、このままだと勝ち点27で残留という超恥ずかしい記録を作ってしまいかねなかったレガネスに幸いしたよう。そのまま3-0で快勝したため、同日、バルサに7-1と大敗していた最下位オサスナの降格が数字的に決まることにもなりましたっけ。 ▽それと同時進行して、マドリーも14分にはハメス・ロドリゲスが2点目を追加。34分にはアンドネに1点を返されたものの、44分にはイスコが特異な粘り強さを発揮してボールをキープした末、最後はルーカス・バスケスが決め、前半だけで1-4という余裕のスコアに。後半も再びハメス、イスコ、途中出場のカセミロとgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)は続き、デポルティボはホセルが意地のヘッドで1点を入れたものの、最後は2-6の大勝で決着です。ええ、おかげでこちらも再び、首位バルサと同じ勝ち点に戻ることができました。 ▽え、試合後はイスコなど、「Es la grandeza de un club como el Madrid, tenemos 23 titulares en el equipo/エン・ラ・グランデサデ・ウン・クルブ・コモ・エル・マドリッド、テネモス・ベインティトレス・ティトゥラレス・エン・エル・エキポ(マドリーみたいなクラブの偉大さは、チームに23人のレギュラーがいるっていうこと)」と胸を張っていたけど、この土曜のバレンシア戦ではA、B、どちらのバージョンでプレーするのかって?いやあ、そこはジダン監督も頭の絞りどころで何せ、CL準決勝が中2日で来るため、30歳越えしているロナウドやモドリッチらは温存してもいいかと思うんですが、2試合連続で出ないと当人が気を悪くするかもしれませんしね。 ▽Aチームでいくにしてもベイルがいない分、イスコ、アセンシオ、ハメスの誰か1人は入れなければならないでしょうし、そうすると連続先発したその誰かはアトレティコとの1stレグでベンチかスタンド観戦になるのは確実。選手的にはそれもイヤかもしれませんが、幸いチーム内は「No hay equipo A o B, todos somos importantes y es gracias al mister/ノー・アイ・エキポ・アー・オ・ベー、トードス・ソモス・インポルタンテス・イ・エス・グラシアス・アル・ミステル(ウチにAチーム、Bチームはないよ。全員が重要なんだ。監督のおかげでね)」(ナチョ)と波風は立っていないよう。まあ、相手のバレンシアももう今季の目標はクリアしていますし、ザザとカンセロが出場停止でいませんからね。 ▽それだけに土曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのこの一戦は比較的、穏やかに見られるかと思いますが、その日最後の試合はエスパニョールとバルサのカタルーニャダービー。少しは取りこぼしも期待できますし、まずは勝っておくのが無難でしょう。一方、レガネスは日曜にアウェイで乾貴士選手のいるエイバルと対戦ですが、金曜には18位のスポルティングがビジャレアルに敗戦。更にキックオフ前にグラナダがレアル・ソシエダに負けて降格2チーム目が決まるということもあるかもしれませんが、ここは心を惑わされず、1部に残るチームとしてふさわしい勝ち点の獲得に尽力してもらいたいところかと。うーん、アトレティコの3位争いのライバル、セビージャは月曜試合でマラガ戦なんですけどね。その頃にはきっと誰もリーガのことなんか、考えていませんよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.29 17:28 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】差別的なフラッグで川崎Fは2試合の無観客試合か

▽Jリーグは4月27日に第4回の理事会を開催し、今年7月にボルシア・ドルトムントとセビージャを招いて、浦和と鹿島が対戦する「明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2017」を開催することなどを発表した。浦和対ドルトムントが7月15日に埼玉スタジアムで、鹿島対セビージャが7月22日にカシマスタジアムで開催される。時間は未定ながら、夏場の試合のためナイトゲームが予想される。 ▽そして今回の理事会で1時間半に及ぶ議論を費やしたのが、すでに新聞等でも報じられている、G大阪のサポーターが起こしたナチス親衛隊(SS)をイメージする旗を掲げたことと、ACLの水原戦で川崎Fのサポーターが旭日旗を掲げた件だった。 ▽事件があったのは、4月16日に長居スタジアムで行われたC大阪対G大阪のダービーマッチだった。長居駅からG大阪のサポーターがSSを模した旗を掲げ、試合中もゴール裏で旗が揺れていた。G大阪の説明によると、試合中は認識できなかったものの、夜の19時過ぎにHPに問い合わせがあり、19日にはJリーグにもメールでの問い合わせがあったという。 ▽事実を確認したG大阪の山内隆司社長は、4月21日の大宮戦からフラッグの掲出を控えるようサポーターに求め、その後は今シーズンの公式戦のすべてでフラッグ等の掲出を禁止。そしてSS旗を作成したサポーターグループの代表者と協議した結果、グループの解散と同グループに所属するサポーターを無期限で入場禁止の措置をとったことをJリーグに報告した。 ▽今後、G大阪は応援に関するプロジェクトチームを作り、コンセプト、要項作りなどをクラブとサポーターでアイデアを出して共同で考える、定期的に意見交換して議論を進めるなどの対応策を取ることも報告。理事会では啓発をサッカー界が率先して行うとの意見で一致し、G大阪の考え方をJクラブで共有することになった。 ▽今後はG大阪を処分するかしないかも含めてJリーグは検討するという。一方、予断を許さないのが川崎Fに対する処分である。Jリーグでは旭日旗の使用は「政治的、差別的な意図はないと認識している」(村井チェアマン)ものの、韓国では戦前の日本による侵略の象徴ととらえられている。このためJFA(日本サッカー協会)は、国際試合での使用について相手が不快に思う場合は自粛をお願いすることもあるそうだ。 ▽こちらの件で難しいのは、ACLはAFC(アジアサッカー連盟)の主管試合であること。Jリーグが独自の判断や制裁を加えることはできず、昨日の段階でもAFCからJリーグには何の連絡もない。村井チェアマンによると、AFCが何らかの制裁を科す場合は、直接、川崎Fにコンタクトを取るか、JFAを通じての制裁になる可能性が高いらしい。 ▽そして27日の午後、AFCは旭日旗を掲げた件で、規律倫理規則の第58条にある「差別禁止規定に抵触」するとして、川崎Fの処分を検討するとHPで発表した。AFCは倫理規定でスタジアムでの尊厳を傷つける差別や政治的な意見を禁止している。どのような処分になるかはAFCの規律委員会で協議されるが、最低2試合の無観客試合と1万5千ドル(約167万円)以上の罰金を科される可能性もある。 ▽AFCが制裁を科せるのは、当事者の川崎Fと、場合によっては日本代表も含まれただけに、川崎Fへの処分を検討していることは、被害が日本代表に及ばずに済んだだけに、言葉は悪いが一安心といったところ。 ▽ACLでは浦和と鹿島が好スタートを切っただけに、川崎Fのサポーターと、Jリーグでの出来事だがG大阪のサポーターが起こした、差別的ともとられかねないフラッグの掲出は残念だし、配慮を欠いた事件でもある。今回の一件を他山の石としてサポーターは共有するべきだろう。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.04.28 12:15 Fri
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【東本貢司のFCUK!】4月最終週ミッドウイークの乱

▽三日間で5試合、すべてキックオフからファイナルホイッスルまでみっちり見届けたのは久しぶりのことだ。それだけ、それぞれが重要なカードであり、またそれがゆえに結果のみが“残った”とも言える。無論、この期に及んで“スペクタクルな好ゲーム”を期待する方が欲をかいている。昨シーズンを例にとると、4月最終週のミッドウイーク時点で、各チーム残り3試合。今季はばらつきもあるが平均してその倍を残している。アーセナルにいたっては26日のレスター戦を含んで7試合。そのうえ、FAカップ決勝も控えている。ヴェンゲルの去就、頼みのサンチェス、エジルのはっきりしない行く末も絡んで、息つく暇もない。だからこそ、オウンゴールであれ何であれ、終了間際にもぎ取った虎の子の1点の価値は千金どころではない。ヴェンゲルは言う。「自分(が残るか去るか)のことなど二の次。クラブが残す、手にする結果がすべてだ」・・・・自らへの不満分子をなだめすかす意味もあるとすれば、ファンも目を開かねばならない。何を最優先すべきなのかを。 ▽スパーズことトテナム・ホットスパーは目に見えて強かに成長している。ちょうど1年前の今頃、ウェスト・ブロムの痛恨のドローを強いられ、ミラクル・レスター追撃の芽を摘まれたのみならず、“持病”のごとく最後の追い込みでずるずると星を落として結局3位で終えた二の舞はもうなさそうだ。つい先日、ヤング部門で年間最優秀プレーヤーに選出され、シティーからレアル、バルサまで熱い視線を送るデレ・アリがさほど目立たなくとも、エリクセンやソン・フンミンが十分すぎるほどカバーしてくれる。チェルシーも最後まで気を抜けそうにない。その意味でも、チェルシーやアーセナルに一泡吹かせてきたばかりのクリスタル・パレスに挑んだ一戦は注目の試金石だったが、苦戦しながらも勝ち切ってみせた。アーセナル-レスター戦が総体的に流れの悪い消耗戦だったのに引き換え、同じ最終スコアでも、パレスとの一戦は見応え十分だった。そんなこんなを感じ取ったバルサやレアルが、ポチェッティーノ略奪に色目を使っているとかには笑止千万。いまだに監督が変われば何やらと考える短絡思考にはうんざりする。プレーヤーをもっと信じよだ。 ▽今では忘れている、というよりも、そもそも気が付いていない人も多いようだが、ミラクル・レスターの真の“メンター”は、一昨シーズン終了後になぜか電撃解任されたナイジェル・ピアソンなのだ。そして、クラウディオ・ラニエリの第一の功績は、そのピアソンが築いたベースをほぼ損なうことなく、いや、そのまま継続して“敬意”を示し続けた点にある。しかも、“第三の男”クレイグ・シェイクスピアも、成功に行き着いた色気なのか欲目なのか、ラニエリが少しばかりいじりかけた感のある戦術的変更を、今一度原点(=ピアソン流)に立ち返って再び勝ち運を呼び込んだのである。監督が変わって何かが変わったのではない。プレーヤーたちへの信頼を今一度確かめ、その信頼にプレーヤーたちが迷いを吹っ切ることができたからに相違ない。おそらく、ヴェンゲルはそのことを感知して「プレーヤー・ファースト」にこだわっているのだと考えられる。なにしろ、彼らのほとんどが、自らの目で見極め鍛え上げた秘蔵っ子たちなのだ。カネにあかせて揃えたオレ様たちの寄せ集め軍団ではない。そこに、アントニオ・コンテの皮肉がエコーする。 ▽グアルディオラが「チェルシーだって・・・・」と反論したくなる気持ちもわからないではないが、冷静に振り返ってみればコンテの言い分はほぼ「正当」だと思う。中国マネーに走ったラミレスやオスカーも、ファブレガスも実体はアタッカー志向。回転軸となる不動のアンカーがどうしても欲しかった。そこでカンテを獲った。さらに、テリーの衰えを看て取ってダヴィド・ルイスを“呼び戻した”。意外な掘り出し物の“ディフェンダー”アロンソはそれまでほぼ無名の存在。つまり、カネがかかるかどうかは二の次の“結果論”で、ピンポイントで必要な補強を名前よりも実力本位で施した。イングランド史上最も成功した指導者、サー・アレックス・ファーガソンの手法そのものではないか。何度でも繰り返したくなるが、たとえ大半がアカデミー上がりであろうと、グアルディオラが率いたバルサはその時点で世界的スターがひしめいていた。そこから移ったバイエルンはそれこそ、“強奪”同然に狩り集めた国際的スターの巣窟。シティーはそれ以上にふんだんにカネを使ってきたうえに、出入りも激しい。“戦術”だけで何かを変えるという話は通じそうにない。意地の悪い(?)メディアも早速クサしている。ペジェグリーニは偉大だった、と。 ▽そしてそして、ユナイテッドはまだまだ修復途上。ファン・ハール時代のツケ、というよりもデイヴィッド・モイーズをたった10か月で見限ったツケから、大変な無駄遣いを続けてきて、いまだ先行きは不透明。ラシュフォード、リンガードの登場、成長で“兆し”は見えてきたが、ルーニーの処遇も含めて、少なくともモウリーニョ体制2年目の帰趨を見極めてからでないと何とも言い難い。個人的にはポグバ獲得は余計だったのではないかと思っている。幸い、エレーラが一本立ちした様子で、あとはミヒタリアンとバイリーが定着すれば落ち着いて戦えるベースはできるだろう。ヴァレンシアとフェライニをあえて重用して成果まずまずなのは、さすがはジョゼ君。アシュリー・ヤングを干したままにしない方針も好感が持てる。グリーズマン獲得にあまりこだわらない方がいいかとも思うが、少なくとも大型補強はそこでいったん打ち止めとするのがベター。新顔導入が続くとチームは地に足がつかないのは、十分に懲りたはず。リーグカップ獲得で一応の顔は立った。ヨーロッパリーグ制覇に的を絞ってじっくりと改造を進める。ヴェンゲル式、レスター式、あるいはコンテ流に学ぶべし。願わくば、アカデミーの充実を改めて土台とする再認識を。【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.04.28 12:10 Fri
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【倉井史也のJリーグ】今週はちょっと拗ねてまともな原稿を書いてやるぜ?! これでも! の巻

▽先週一番話題になったゴールって、やっぱあれですかね? 興梠慎三の浦和トップ独走を決める決勝点。とても重要な得点だったと思うんですけど、でもどうやら違うようで。一番ニュースで目にしたのって、中村俊輔のズドンと一発だったんじゃないでしょうか。 ▽その中村のゴールって、本当はその前のトラップのところで打ちたかったんだろうけど、戻ってきたところをビシッと当てたシュートから生まれてるわけです。だからあのゴールを見ながら「あぁ、昔の俊輔だったら」という思いを持った人もいるだろうし、中村がまだ活躍していることにホッとした人も多かっただろうし。 ▽一度は失敗しても次のチャンスを生かすって、なんか挫けるなっていうメッセージみたいでよかったなぁ。なんて、サッカーのライターが書いたら編集担当から「何それ? 情緒過ぎるじゃん? バカなの? どっか行くの?」って言われるとこなんですけど、まぁこうやって書いてるんですけどね。 ▽と、中村が活躍したのなら、こっちもやってほしい! って選手は26日のルヴァンカップでやってくれました。ホームの大宮戦で小野伸二が正確にミートして流し込む小野らしいボレー。これまたむっちゃノスタルジックな風景まで思い出して感激した人たちも多かったんじゃないですかね。 ▽中村にしろ小野にしろ、これは次の試合も期待できるかも。だって、ゴールって一度生まれると、続いたりするじゃないですか。昔、本田圭佑が「詰まってたケチャップが出始めるとドバドバ」と言ってた感じで。でもって、今週末はこの2人が所属する磐田vs札幌なんですよ。ゴールデンウィーク突入のカードとしては、これはいい前振りを持ってる対戦なワケです。 ▽……といいつつ、ちょっと寂しいってのもありませんか? 確かにベテランの活躍は大いに結構。だけど、それを凌駕する若手が出てきてこそ、リーグが本当に盛り上がるんです。そんな若手が久保建英だけじゃ、なんて寂しい! ちゅうことで、実は大の仲良し、鈴木優磨と鎌田大地が対決する(だろう)鹿島vs鳥栖にも注目なのでした。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.04.27 19:30 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】十八番を奪われた…

▽「毎節、ハラハラすることになりそう」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、クラシコ(伝統の一戦)から一夜明け、レアル・マドリーとバルサのこの先のカードを見た時のことでした。いやあ、いくら勝ち点で並んだ後者が直接対決の結果、この週明けは首位の座にいようとも、順延となったセルタ戦の分、残り試合が1つ多いマドリーが切り札を握っているのは変わらないと思うんですけどね。ただし、お隣さんとCL準決勝を戦うことになった彼ら同様、ヨーロッパリーグ準決勝でマンチェスター・ユナイテッドに立ち向かうセルタも暇な週がまったくないため、その試合は5月17日、リーガ最終節直前のミッドウィーク開催になりそうだというのはともかく、バルサが残り5試合に全勝した場合、マドリーに許されるのは7試合で6勝1分けのみ。 ▽その間、アウェイでデポルティボ、グラナダ、セルタ、マラガ、ホームでバレンシア、セビージャと戦う訳ですが、バルサだって、カンウ・ノウでのオサスナ、ビジャレアル、エイバル戦、スパニョールのホームでのカタルーニャダービー、ラス・パルマス遠征とくれば、なかなかどうして、全部に勝つというのは難しいかと。うーん、向こうにとって、災い転じて福となすのは先週、CL準々決勝2ndでユベントス相手に逆転突破が叶わず、5月からのミッドウィークがポッカリ空くこと。逆にマドリーには頭の痛いヨーロッパ・マドリーダービーがあるため、その分、体力の消耗が激しいんですけどね。更にシーズン終盤にありがちなことで、途中でポツポツとどちらかが負けたり、引き分けたりする可能性も捨てきれないため、そうなると状況も変わっていくはずで…ええ、これってリーガ戦があるたび、時間刻みに一喜一憂しなきゃいけないってことじゃないですか。 ▽まあ、そんなことはともかく、先週末、一足先にプレーしたのはアトレティコで、土曜にバルセロナに乗り込んでのエスパニョール戦。うーん、こちらはファンフラン、ブルサリコの負傷欠場による本職右SB不在を補ったのがCBのヒメネスで、CL準々決勝2ndレグでのボランチに続いて、マルチタレントぶりを発揮していたぐらいしか、双方無得点だった前半について報告することはないんですけどね。そのままでは前日、グラナダに勝利して、勝ち点で並ばれたセビージャに差をつけられないと、シメオネ監督も思ったんでしょうね。後半頭からFWのフェルナンド・トーレスに代え、MFのトマスを投入。「Buscaba mas gente llegando de segunda linea/ブスカバ・マス・ヘンテ・ジェガンドー・デ・セグンダ・リネア(2列目から敵ゴールに迫る選手を探した)」そうですが、え、それってこのところ、中盤まで降りて来てプレーしていることの多いグリースマンのことだった? ▽だってえ、後半27分、レスター戦で学んだか、敵エリア内にボールを放り込むヒメネスのロングスローインをキッカケにして、サウルのシュートが逸れたところ、最後にそれをゴールに蹴り入れてくれたのはグリースマンだったんですよ。その2分後には、前節は後半ロスタイムにシュートを決めて、マドリッドの新弟分、レガネスを0-1の敗戦に追い込んだレオ・バチストンの至近距離からの一撃をGKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。「スペイン語で上手い言い方を知らないけど…digamos que la pare con el corazon/ディガモス・ケ・ラ・パレ・コン・エル・コラソン(ハートで止めたといったところかな)」(オブラク)というプレーのおかげもあって、アトレティコはそのまま0-1で勝利することに。 ▽実際、自慢できるような華々しい試合ではありませんでしたが、先週はイングランド遠征をしたせいもあって、彼らも疲れていましたからね。勝ち点3は勝ち点3なので、別にいいんですが、やっぱりその翌日、あのクラシコのような一戦を見せられると、アトレティコにメッシはいないという現実がひしひしと迫ってくるばかり。いえ、ヒメネスなど、「ロナウドは他と違う選手。Sabemos lo que es, de su potencial fisico, pero tambien sabemos como pararlo/サベモス・ロ・ケ・エス、デ・ス・ポテンシアル・フィシコ、ペロ・タンビエン・サベモス・コモ・パラールロ(どんなに凄いか、フィジカルが強靭なのも知っているけど、止め方もわかっている)」と、来週からのCL準決勝にまったく引け目を感じていないようでしたが、繰り返します。いくら相手を零点に抑えても、アトレティコにはメッシのような点の取り方ができるFWはいないんです! ▽そう、先日のCLバイエルン戦に続き、スタジアム周辺に集結した大勢のサポーターのお出迎えを受けたマドリーは開始2分、ウムティティにクリスチアーノ・ロナウドがエリア内で倒されながら、ペナルティをとってもらえないという不運から始まりましたが、前半28分にはクロースのCKがクリアされたボールが戻ってきて、最後はカセミロがゴールを決めて先制点をゲット。ただそのリードはたった5分しか続かず、序盤にマルセロのcodazo(コダソ/肘打ち)を喰らい、しばらく止血のため、ガーゼを口にくわえてプレーしていたメッシが人間離れした個人技で同点に。ええ、前をふさぐカルバハルを問題にせず、易々シュートを決めているのですから、まったく恐ろしいじゃないですか。 ▽その後、38分にはここ2試合、ふくらはぎ痛でお休みしていたベイルが故障を再発。代わりにアセンシオが入るというアクシデントはありましたが、前半は1-1のまま終了します。そして後半しばらく、ケイロル・ンバスとテア・シュテーゲンが互いに好セーブを競い合っていましたが、それだけに27分にラキティッチがエリア前から撃ったシュートがいきなりゴールになった時には誰もが呆然することに。ええ、丁度、バルサの選手が祝っているのと同じでサイドでアップ中だったモラタなど、よっぽど悔しかったでしょうか。口に含んだ水をジョルディ・アルバに向かって吐きかけるなんて真似をしていて、双眼鏡でたまたま見ていた私も我が目を疑ったんですが、ここはremontada(レモンターダ/逆転劇)の殿堂、サンティアゴ・ベルナベウですからね。残り15分以上もあるとなれば、何があってもおかしくないと思っていたところ…。 ▽根性のレモンターダ精神の体現者である、奇跡の後半ロスタイム3分ヘッドという特技を持つ男、セルヒオ・ラモスが一発レッドで退場しちゃったんですよ!それは34分、いえ、当人は後で「Lo he visto ya 70 veces antes de salir aqui a hablar/ロ・エ・ビストー・ジャー・セテンタ・ベセス・アンテス・デ・サリール・アキー・ア・アブラル(出て来て話す前にもう70回はビデオを見たよ)。ボクのタックルはタイミングが遅かったのは確かだけど、相手に触ってない。メッシが跳んだんだから。自分の解釈ではイエローカードだ」と言い張っていましたけどね。 ▽その一方で、「se ha ido cabreadisimo porque queria ayudar al equipo/セ・ア・イドー・カブレアディシモ・ポルケ・ケリア・アジュダール・アル・エキポ(チームを助けたかったから、カンカンになってピッチから出て行った)」(マルセロ)際、積りに積もっていた不満をラモスが爆発させ、「Habla, habla ahora!/アブラ、アブラ・アオラ(今、言えよ)」と、これまでの誤審疑惑発言にせいで八つ当たりされていたピケなどは,「la roja es clara, va con los dos pies por delante/ラ・ロハ・エス・クラーラ、バ・コン・ロス・ドス・ピエス・ポル・デランテ(レッドカードは明らか。両足を上げてタックルしたんだから)」と断言。ただ、あのファールが退場にふさわしいかどうかは、専門家の間でもマドリディスタかバルセロニスタかによっても意見が分かれるところなので、私には何とも。 ▽でもねえ、逆境に燃え上がるのはラモスだけでなく、マドリーに深く染み付いた習性のようなもので、その後の彼らは怒涛のカウンターの攻勢を発動。ボールが行ったり来たりする目まぐるしい展開になりましたが、白いユニフォームが敵ゴールのfondo sur/フォンド・スール(南側スタンド)に向かって行く時の速いことといったらもう!そんな時に「アトレティコにこれが止められるんだろうか」と考えていた私も自分でどうかと思うんですが、その集大成は40分。マルセロのクロスをベンゼマと交代で入っていたハメス・ロドリゲスが流し込み、今回のクラシコでのマストだった同点に持ち込んでしまったとなれば、もう感嘆するしかないじゃないですか。 ▽え、でも結局はそのレモンターダ精神が仇となったんじゃないかって?そうですね、後でジダン監督も「Cuando logras el 2-2 con diez hay que tener un poco mas de cabeza/クアンドー・ログラス・エル・ドス・ア・ドス・コン・ディエス・アイ・ケ・テネール・ウン・ポコ・マス・デ・カベッサ(10人で2-2に持ち込んだ時、もうちょっと頭を使うべきだった)」と反省していましたけどね。「3点目が取れると思い、危険は承知で高い位置でプレスをかけ続けた」マドリーは最後の最後で超強烈なしっぺ返しを喰らうことに。ええ、すでに時間はロスタイム、敵ゴール近くでのスローインから、速攻を許し、セルジ・ロベルトがバルサのカンテラーノ(ユース組織出身の選手)の意地を見せるがごとく、ピッチを全力疾走で縦断。 ▽もちろん、後でロナウドも「Haz falta!/アス・ファルタ(ファールしろよ)」と怒っていたように、ムザムザ行かせてしまったモドリッチやマルセロもいけないんですが、アンドレ・ゴメス、ジョルディ・アルバと繋がれたボールが最後にメッシに渡ってしまったのが、それこそ運の尽きだったかと。そう、自身その日2点目、バルサで通算500得点目となるゴールが決まり、当人がユニフォームを脱いでマドリーファンが座っているスタンドにネームを掲げている間に試合は終わってしまいましたっけ。いやあ、「Hemos ganado 2-3 y a su estilo/エモス・ガナードー・ドス・ア・トレス・イ・ア・ス・エスティーロ(ウチは彼らの流儀で2-3にして勝った)」とルイス・エンリケ監督は試合後の会見で胸を張っていましたけどね。 ▽私なども逆の光景は見慣れているものの、マドリーが土壇場に負けてしまうなんてのはまったくの想定外。これまでサンティアゴ・ベルナベウで奇跡のレモンターダの犠牲者になったチームの気持ちがようやくわかったような気がしましたが、それにしたって、心配なのは午前零時近くになって、やっとミックスゾーンに姿を現したラモスとピケの舌戦がこれまで以上にエスカレートしていたこと。いえ、前にもつつき合いはあったんですが、さすがにクラシコ5回目の退場は堪えたんでしょうかね。「En el Bernabeu estan acostumbrados a arbitrajes muy permisivos/エン・エル・ベルナベウ・エスタン・アコストゥンブラードス・ア・アルビトラヘス・ムイ・ペルニシーボス(ベルナベウでは寛容なジャッジに慣れているからね)」と皮肉を言い、先に帰っていたピケに対し、「Permisivo fue lo del PSG/ペルミシーボ・フエ・ロ・デル・ペーセーヘー(寛容だったのはPSG戦だろ)」ってそれ、違う大会混ぜてるし。 ▽曰く、「文句を言うのは審判にプレッシャーを与える方法。それがジャッジする時に影響することもある。別にピケと仲が悪い訳じゃないけど、クラシコの後で抱擁をかわすなんてことは頼まないでほしい」そうですが、いや、今日のあなたはもうピッチにいなかったでしょ。いやあ、どうにもここまでこじれると、この先のスペイン代表が心配されますが、それはまた6月に考えればいいこと。今は、結局マドリッドには来ず、似たような仕草を退場後にして課された3試合の出場停止、2試合目をおとなしく済ますことにしたネイマール同様の処分がラモスに出るかどうかはわかりませんが、次節の出場停止は確実で、バルサ戦の終盤同様、マドリーのCBがナチョ1人になってしまった現状を憂いるべきかと。 うーん、これってアトレティコなど昨今、各所の人手不足でピッチにCBが4人いることも珍しくないのとは真逆ですけどね。肋骨骨折のペペはともかく、ここは水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)からのデポルティボ戦までに、せめてバランがプレーできるようになるのを祈るばかりかと。ベイルのケガの程度はまだわかりませんが、そちらはアセンシオやイスコ、ハメスといった質の高い代替要員には欠かないため、やっぱりマドリーの課題は前節もレアル・ソシエダに0-1で惜敗して、残留争いからなかなか抜け出られない相手の必死の攻撃をどうかわすかでしょうか。 ▽そしてアトレティコの方は火曜の午後9時30分、ビセンテ・カルデロンにビジャレアルを迎えるんですが、どうも最近、このパターンが常態化していますよね。相手は土曜にバカンブが手で入れた後半ロスタイムのゴールが決勝点として認められ、レガネスに2-1で勝利。またしても兄貴分の貫録を示さないといけないんですが、エスクリバ監督が「Como equipo, el Atletico es el mejor de Espana/コモ・エキポ、エル・アトレティコ・エス・エル・メホール・デ・エスパーニャ(チームとして、アトレティコはスペインで一番いい)」と褒めてくれていたのは、メッシのタレント満開の活躍を目の当たりしたばかりの身には嬉しい限りだったかと。 ▽ようやくガメイロやチアゴら、負傷で離脱していた選手たちも少しずつ戻ってきていますしね。取り柄の堅い守備力を最大限に発揮して、最少得点差の地味なゲームでも、とにかく今週は3位死守に尽力してほしいものです。一方、レガネスは水曜にラス・パルマス戦ですが、いくら降格圏のオサスナ、グランダ、スポルティングがほとんど勝ち点を増やしてこないと言っても油断は禁物。もし残留できたとしても、たったの27ポイントではあまりに情けないですし、もちろんツキもありますが、せめて土壇場では負けないという意地を選手たちが持ってくれませんかね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.25 12:50 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】避けては通れない…

▽「どっちが良かったとは言えないのだけど」そんな風に私が複雑な心境に陥っていたのは金曜日、CL準決勝の抽選会であっさりレアル・マドリーとアトレティコの対戦が決まった時のことでした。いえ、もう残りはたったの4チームですから、たとえここでヨーロッパ・マドリーダービーを免れても、その先でまたお隣さんと戦う可能性はかなり高し。それこそ今年はカーディフで開かれる決勝で3度目の正直とならなかったら、いくらカンテラ(ユース組織)育ちのフェルナンド・トーレスなどは「ウチのクラブは小さい時から、決して後悔しないということを教えてくれる。Nos caemos, nos levantamos y volvemos a buscar otra oportunidad/ノス・カエモス、ノス・レバンタモス・イ・ボルベオス・ア・ブスカル・オトラ・オポルトゥニダッド(転んでも起き上がる、そしてまた次のチャンスを探すんだってね)」と言っていたものの、とてもじゃないけどアトレティコファンは立ち上がれないかも。 ▽だからって、ida(イダ/1stレグ)とvuelta(ブエルタ/2ndレグ)の2試合ある準決勝で当たった方がマシなのかと言えば、そうでもなく、実際、2015年の準々決勝ダービーは、先日、アトレティコが16強対決で倒したレバークーゼンに今はいるチチャリートのゴールが唯一の得点となって敗退。いえ、14年間続いた暗黒の「何をやってもマドリーには勝てない」時代が終わり、ここ近年はリーガやコパ・デル・レイでは破ったこともあるんですけどね。シメオネ監督も「CLに優勝するためにはただ1つの道しかない。Insisitir, insistir, insistir y seguir insistiendo/インシスティール、イ・セギール・インシスティエンドー(強く求めて、求め続ける)」と力説していましたが、最近、更に憂鬱にさせてくれるのは、準決勝だって、PK戦にもつれ込むケースを考えないといけないということ。 ▽ええ、レスター・シティから早朝に戻って来た水曜にはトーレスと一緒にアディダスのイベントに出演。ミニゴールへのPKをカンテラーノの先輩が枠に当てて失敗した後、リベンジどころか、自身は素人少年のGKに止められてしまう有様でありながら、コケなど「No estamos teniendo mucha suerte. Ya entraran/ノー・エスタモス・テニエンドー・ムーチャ・スエルテ。ジャーエントララン(ボクらはあまりツイてないね。そのうち入るさ)」と、まったくわびれる風もありませんでしたしね。一応、「もしマドリーに当たったら、ウチには2回の決勝の経験があるから、勝てなかった原因をよく考えて、できるだけいい方法で立ち向かうよ」とは言ってはいたものの、何かやっぱり、とても大船に乗った気にはなれませんよね。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週のマドリッドの両雄のCL準々決勝2ndレグがどうだったかをお伝えしておかないと。いやあ、その試合があった火曜は午後7時にサンティアゴ・ベルナベウ周辺に集合、チームバスのお迎えをしてくれるようにと、セルヒオ・ラモスがSNSを使って呼びかけたと前日に聞いた時には、1stレグでは1-2と勝って、アウェイゴールも2本もあるというのにちょっと大袈裟じゃないかと思ったものでしたけどね。 ▽結果としてはCL決勝トーナメントでは恒例のfondo sur(フォンド・スール/南側ゴール裏席)を覆いつくす巨大なモザイクと共に、そうやってファンに応援してもらえたのが、効いたっていうのもあったんでしょうか。実際のところ、キックオフ前など、先週の1stレグとは違い、運悪くも近くで裏カードの放送をパソコンで見ている記者もいなかったため、私など、たった1-0のリードでキングパワー・スタジアムに乗り込んだアトレティコが、レスターの青と白の旗で埋め尽くされたスタンドに圧倒されているんじゃないかと、序盤など心ここにあらずだったんですけどね。 ▽朗報はまず、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継から届きました。そう、前半25分、フィリペ・ルイスのクロスをサウルがヘッドで決めて、アトレティコが先制したというから、どんなに安心できたことか。それでようやく、バイエルンがガンガン、攻めてきている目の前のマドリーに意識が行ったんですが、前半はGKケイロル・ナバスがそれ程、脅かされることもなく、マドリーもラモスのシュートがボアテングにライン上でクリアされるなど、両チーム共、無得点で終了。そのまま0-0ならば、試合として面白くはないけど、私がマドリッドに来た頃には毎年3月の16強対決で終わっていた彼らなのに、もう準決勝進出も7年連続になるんだなあと、感慨深く思っていたところ…。 ▽いえいえ、とんでもない!転じて後半は目まぐるしい展開となり、早くも7分にはカセミロがロッベンをエリア内で倒してしまい、バイエルンがPKをゲット。うーん、これが、エースがピッチにいるといないのとの違いでしょうかね。1stレグでは肩の負傷でレバンドフスキがスタンド見学していたため、カルバハルの疑惑のハンドで得たPKをアルトゥーロ・ビダルが蹴り、失敗していたバイエルンでしたが、この日は、アトレティコのPKシーンではついぞ感じたことのない自信をポーランド人の大型ストライカーは放出。難なくボールをネットに収め、バイエルンが1点を挙げます。とはいえ、もちろんこれでもアウェイゴールがあるため、マドリーの勝ち抜けになるんですが、そんなつまらない結果では決して満足しない選手が約1名。 ▽それはクリスチアーノ・ロナウドで、後で当人も「Lo unico que pido al Bernabeu es que no me silbe/ロ・ウニコ・ケ・ピド・アル・ベルナベウ・エス・ケ・ノー・メ・シルベ(ただ1つ、ベルナベウのファンに頼むのはボクをブーイングしないでくれということ)。自分は全ての試合で常に最高のパフォーマンスを見せようとしている」と言っていましたが、パスなどでミスした折にスタンドからpito(ピト/ブーイング)が数回、聞こえてきたことがよっぽど、気に入らなったんでしょうね。バイエルンはリベリをドグラス・コスタに代え、古巣のサポーターからのオベーションを味わう間もなく、シャビ・アロンソも急ぎ足でミュラーと交代、勝利へのあと1点を求めて総攻撃体制に入っていた30分、カセミロのクロスをヘッドで決め、この試合の同点ゴールを挙げてしまったから、場内がどんなに沸いたことか。 ▽ただしこの喜びはあまり長く続きません。というのもその2分後、マドリーのエリア内に入ったボールがミュラーとレバドフスキに当たり、更にラモスに当たってゴールを割ってしまったから、驚いたの何のって!実はリプレーを見ると、この時、レバドフスキがオフサイドの位置にいたため、この1点はスコアボードに挙がるべきじゃなかったんですけどね。今のCLにはVAR(ビデオ審判)が導入されていないため、この2点目で少なくともバイエルンは延長戦に入る権利を獲得。実際、後半ロスタイムにお馴染みのラモスの救世主ヘッドが炸裂することもなく、試合は120分の勝負になったんですが…。 ▽いやあ、その頃の自分は再びラジオに耳を澄ましていて、何せ後半10分にはファンフランが太ももを痛めてルカスに代わり、ポジションチェンジに右往左往しているうちにレスターのバーディが得点。それ以降もハーフで岡崎慎司選手と交代で入ったウジョアを始め、敵が「han metido gente grande para los centros/アン・メティードー・ヘンテ・グランデ・パラ・ロス・セントロス(クロスを生かすために大きな選手を入れてきた)」(コケ)ため、気が気ではなかったんですけどね。ええ、16強対決2ndレグでセビージャが逆転された記憶もありますし、「En la segunda parte ellos han jugado como siempre juegan, al balon largo/エン・ラ・セグンダ・パルテ・エジョス・アン・フガードー・コモ・シエンプレ・フエガン、アル・バロン・ラルゴ(後半、彼らは普段のプレーをしてきた。ロングボールを放り込むというね)」(サウル)状態ではいつ、また失点するかわかったもんじゃありませんって。 ▽おまけに29分には右SBに続いて、左SBのフィリペ・ルイスまで手を踏まれ、指を骨折して交代に。シメオネ監督も「Es central, y lo seguira siendo/エス・セントラル、イ・ロ・セギラ・シエンドー(彼はCB、そしてそうあり続けるだろう)」と言うものの、その日はボランチで空中戦に奮闘していたヒメネスを最終ラインに戻すなど、またCB4人で守っているって、そんなにレスターの攻勢は激しかった?それでもアトレティコは1-1のまま、規定の時間で終了して、総合スコアでは2-1と、ここ4年で3度目の準決勝進出を確定。お手柄のサウルも「parece que estabamos jugando en casa con el apoyo de nuestra gente/パレセ・ケ・エスタバオス・フガンドー・エン・カサ・コン・エル・アポジョ・デ・ヌエストラ・ヘンテ(ウチのファンの応援で、ボクらはまるでホームでプレーしているみたいだったよ)」と言っていたように、ロンドンから100キロ程離れたレスターまで、1600人の熱いサポーターが遥々応援に行った甲斐はあったようですねね。 ▽その後は私もマドリーの延長戦に集中できるようになったんですが、実は後半38分にビダルが2枚目のイエローカードを出され、そこからバイエルンは10人でプレーしていたんですよ。そこからして、もう結果は見えていましたが、ただ延長前半14分にラモスのパスからロナウドが決めた自身2点目や後半3分のカウンター、マルセロからのボールをもらってのハットトリック達成、CL個人最多の100得点目となったゴールはどちらもオフサイドって、そんな上手い話があっていい?さすがに途中出場したアセンシオがその3分後に独走、敵DFをかわして挙げた4点目は真っ当だったようですけどね。これでは後で、あの温厚なアンチェロッティ監督が「En cuartos de final de la Champions hay que poner arbitros de mas calidad/エン・クアルトス・デ・フィナル・デ・ラ・チャンピオンズ・アイ・ケ・ポネール・アルビトロス・デ・マス・カリダッド(CL準々決勝にはもっと質の高い審判をよこさないといけない)」とカンカンだったのも無理はないかと。 ▽うーん、だからって4-2で試合が終わり、総合スコア6-3でマドリーの突破が決まった後、ビダルとチアゴ・アルカンタラ、レバンドフスキまでが審判控室に抗議に行って、警官が来るまでの騒ぎになったというのもあまり感心しませんけどね。マドリー側に言わせると、「El segundo de ellos tambien esta en fuera de juego/エル・セグンド・デ・エジョス・タンビエン・エスタ・エン・フエラ・デ・フエゴ(彼らの2点目もオフサイドだった)」(ジダン監督)ですし、「Alli les pitaron un penalti que no era/アジー・レス・ピタロン・ウン・ペナルティ・ケ・ノー・エラ(あっちじゃ、ペナルティじゃないのにPKをとられた)」と、1週間前の恨みを忘れていないイスコのような選手もいるため、これはこれで仕方ないんじゃないでしょうか。 ▽そして翌日は、PSG戦に続いて2度目の奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)はさすがに荷が勝ち過ぎましたかね。ユベントスとカンプ・ノウで0-0と引き分けて、総合スコア0-3でバルサの敗退が決定。並行して行われたモナvsドルトムント戦ではムバッペに続き、アトレティコ時代のゴール嗅覚を取り戻したファルカオも得点し、前者が2連勝でベスト4に入りました。ええ、こちらが準決勝のもう1つの対戦ですが…。 ▽なんて話をしているうちに週末が来て、またリーガ戦なんですよ。33節のマドリッド勢の予定は土曜にレガネスがビジャレアルにアウェイで挑んだ後、午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、アトレティコが前節、試合終了間際にレオ・バチストンが挙げたゴールで新弟分を破ったエスパニョールとあいまみえます。うーん、レスター戦の後遺症で、フィリペ・ルイスは手にプロテクターをはめてプレーすればいいだけなんですが、問題は太ももを痛め、全治3週間となってしまったファンフランの代役。何せ、ヒザの靭帯を部分断裂したブルサリコもまだリハビリ中ですしね。 ▽シメオネ監督も心を決めかねていたか、「」tres atras, Savic a la derecha, Koke como lateral, Gimenez.../トレス・アトラス、サビッチ・ア・ラ・デレッチャ、コケ・コモ・ラテラル、ヒメネス(CB3人制とか、サビッチが右とか、コケがSBやるとか、ヒメネスでも)」と、前日記者会見では適当なことを言っていましたけどね。健脚自慢はいいんですが、とうとうレスター戦では今季CLで通算素行距離ダントツ1位に120キロのコケが、2位にはFWなのに111キロも走ったグリースマンが入ってしまうなど、選手たちの疲労も心配ですしね。4位セビージャが金曜にグラナダに勝って、勝ち点で並んできているため、このビジャレアル、ラス・パルマス戦と続く、リーガの3連戦も疎かにはできないとなると、さて。 ▽そして日曜には世界中のサッカーファンが楽しみにしているクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)がやはり、午後8時45分からあるんですが、まだ先が読めないのはこれが3試合の出場停止の2試合目となるはずのネイマールがプレーできるのかどうか。うーん、CL敗退して、コパの決勝は残っていますが、ビッグタイトルを獲るにはリーガに懸けるしかなくなったせいか、バルサの法務部があざとく、金曜午前中のTAD(スポーツ調停法廷)が終わった後、上訴委員会の処分に異議を申し立てる書類を送付。調停員たちが土曜に臨時会合を持つのをイヤがるのを逆手にとって、それが裁かれるまで選手には出場する権利が法的にあると主張しているようですが、そんな無茶苦茶な話、あっていい? ▽まさに藁にもすがる気分なんでしょうが、2nレグでは一矢も報えずユーベに敗退した直後だけに、イニエスタでさえ、「De los Clasicos me quedo con el 2-6 o el 5-0/デ・ロス・クラシコス・メ・ケド・コン・エル・ドス・セイス・オ・シンコ・セロ(クラシコでは2-6のか、5-0の試合がいい思い出だね)」と過去の大勝の記憶に慰めを求めないと、元気が出ないようですからね。もちろんピケを始め、メッシやルイス・スアレスは意地を見せるでしょうが、メンタル的には今回、マドリーがかなり優勢なようです。 ▽そのジダン監督のチームでもギリギリまでベンチに入れるかわからないのが、ふくらはぎの軽度の故障が意外と長引いているベイルで、ただこのチーム、ローテーションしても全然、強いですからね。ロナウドも来週のデポルティボ、バレンシア戦、どちらかではCL準決勝を見据えて、お休みをもらうかもしれませんが、ここで2位バルサを叩けば、未消化試合も1つあって、リーガ優勝がかなり近づくこの一戦は欠かす訳にはいきませんって。それでも今季前半のクラシコでは、お馴染み土壇場のラモスのゴールで1-1と引き分けているだけに、油断は禁物。バイエルン戦に続いて、盛り上がること間違いないサンティアゴ・ベルナベウのファンを喜ばせる好ゲームになってくれるといいですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.22 10:15 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】タイ代表の監督にドゥンガ氏とともに意外な日本人が候補に浮上

▽海外から朗報が届いた。JFA(日本サッカー協会)の元技術委員長だった霜田正浩氏が、タイ代表の監督候補にあがっていると、同国のメディアが4月19日に報道したのだ。タイ代表は同国のレジェンドともいえるキャティサック監督が、ロシアW杯アジア最終予選の日本戦に敗れたことで辞任。すでにW杯出場の可能性は消えたものの、代表監督が空位になっていた。 ▽そこで監督候補として白羽の矢が立ったのが、元ブラジル代表監督のドゥンガ氏と並び、霜田氏もその1人に選ばれたのだった。20日午前、霜田氏に連絡したところ、つい先ほど成田に着いたということで、「現地では面談しただけで新聞に顔写真入りで掲載されて困りました」と明るい声で話していた。 ▽霜田氏はS級ライセンスを保有しているものの、京都で下部組織の監督経験こそあるが、強化担当がメインの仕事で、FC東京時代も強化部で若手選手の発掘や外国人選手の獲得で手腕を発揮してきた。その経験を高く評価されて2009年に原技術委員長に請われてJFAの技術委員となった。 ▽その後はザッケローニ、アギーレ、ハリルホジッチと3人の日本代表監督の交渉と招へいに尽力。しかし昨年3月、田嶋幸三のJFA会長就任により技術委員会は再編され、新たに西野朗氏が技術委員長に就任。霜田氏はナショナルチームダイレクターという名の降格人事を受け入れざるを得なくなった。 ▽そして迎えたW杯アジア最終予選は、初戦でUAEに逆転負けする不安なスタートとなった。それでもタイとイラクに勝ち、オーストラリアとは引き分け、11月のサウジアラビア戦にも勝ったことで、霜田氏は自身の役割は終わったと辞意を決断した。その理由は、もしも成績不振でハリルホジッチ監督を途中解任することになれば、それをハリルホジッチ監督に伝えるのは招へいした自身の役目である。その時は一緒に身を引くつもりでいた。 ▽しかしW杯予選の前半戦のヤマ場であるサウジアラビアに勝ったことで予選突破に見通しが立った。そしてハリルホジッチ監督は霜田氏に全幅の信頼を置いているものの、監督の人事権はもう霜田氏にはなく、西野技術委員長にある。その西野技術委員長は「途中から就任したので、現場に口を挟む気はない」と霜田氏の職務を尊重していたが、霜田氏は自身が代表スタッフにいることで、ハリルホジッチ監督と西野技術委員長とのコミュニケーションが円滑ではないことを危惧した。 ▽ハリルホジッチ監督に対し、『お前のボスは自分ではなく、西野技術委員長だ。生殺与奪の権限は西野技術委員長が握っている。だからW杯の後半戦と本大会は西野技術委員長と命運を賭けて欲しい』というメッセージが、霜田氏の辞任の真相でもある。 ▽ただ、これまでJリーグの監督経験のない霜田氏に、タイのサッカー協会が監督のオファーを出したのは意外だった。霜田氏は、「いつかはプロチームの監督をしたい」と夢を語っていた。それが、いきなりタイ代表の監督候補である。 ▽過去には、元大宮などの監督を務めた三浦俊也氏がベトナム代表の監督を務めたことがある。クラブチームでは岡田武史氏が中国甲級リーグの杭州緑城の監督を務めたし、JFAの指導者海外派遣でネパールやブータン、チャイニーズタイペイ、北マリアナ諸島へ監督を送り出したことはある。それが今回は、W杯アジア最終予選に残り、急激な発展途上にあるタイの代表監督就任のオファーだ。 ▽プロの監督経験のない霜田氏のどこを評価してのオファーなのか。機会があったらタイ協会に取材したいし、何よりも霜田氏がタイ代表の監督に就任することを願わずにはいられない。見ている人は見ているのだろう。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.04.21 22:45 Fri
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【倉井史也のJリーグ】いつもテキトーだから許してもらってるんですね?!の巻

▽えー、先週の記事を読んだ方で「あれ? これオチないんじゃね?」と思った方。実はそーなんです。つーか、それって途中まででアップされてたんです。夜中には残りも全部アップされてます。 ▽これで判明したのは、編集部のKさんって、こっちの原稿読んでない! いくらワタクシでも、まさかあそこで原稿全部を終わりにするなんてことはありません!はっ!! もしかして、あんなところで原稿を終えても、編集部的にはオッケーって感じ? ▽え? 今見直してみても、どこも変わってないし、オチもない? えっと、もしかしてそれは最初から完全版を読んでいただいて、で、オチがなかった……的な? ▽と、先週の原稿をお詫びしつつ、今週の見所をば!! 今週は金曜日からJ1やってるよ! だって来週またACLだよ! 金曜日は川崎vs清水の鄭大世ダービー、土曜日はかつてのナショナルダービー、鹿島vs磐田があるよ! 楽しみなのは、先週88分に失点したのに、89分、90+4分で逆転した磐田だよ! じゃ、今週はこのへんで! ▽あぁ、今週はやっぱり許してもらえませんでした。では仕方がないので、先週いろいろなチームの人と話したこそこそ話をちょっとだけ。まず浦和。「いつも出だしはいいんだよね」と後半戦の失速があってもいいくらい、今年は飛ばして行く感じのお話がありました。続いて大宮の関係者。「いつも大宮は前半戦か後半戦のどっちかだけがいいんだよね」と言うと、「今が悪い方だと願ってます」って、これ以上悪いことはないはずだよ!! ▽FC東京は某選手と「なんで縦にパスが入らないの? 高萩洋次郎がいないだけの問題じゃないよね」とこそこそ話をしていたら、後ろからいきなりマイクを突っ込まれて録音されだして、選手が逃げていきました。うーん、残念。つーか、空気読めよ。あ、ワタクシはそんなこと言えないか。 ▽仙台はいろんな話をしたんだけど、まだまだ元気たっぷりあるから、ちょっと明るい感じで話し終わってます。あとのとこの話は、チーム名わかるといろいろ困っちゃうことがあるので、というかネタ切れしちゃうので(笑)、ここまで。 ▽ってことは、やっぱりG大阪vs大宮あたりがおもしろいんじゃないですかね。不安定なG大阪がいきなり大宮を覚醒させちゃうかもしれないし。 ▽そしてもう1つの今週のポイントは、J2も11試合中8試合が土曜日に開催されるってコト。そしてJ3は今週末開催されないから、日曜はJ2の3試合だけなのです。さて、こんな重要な情報を今週はちゃんと載っけてもらえるでしょうか。あ、いつもながら原稿そのものはオチてないんですけどね(汗)。【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.04.21 10:10 Fri
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【東本貢司のFCUK!】ミラクルの看板、いまだ健在

▽かくてレスターのヨーロピアン・アドヴェンチャーはひとまず終止符が打たれた。とはいえ、天晴の賛辞を贈っても罰は当たるまい。そもそも、ファーストレッグのPK(グリーズマン)は誤審だった。ホームでのリターンマッチでも先制ゴールを奪われ、もはや希望の火もふっつりと消えたも同然の中、逆襲の同点弾をかっさらい、最後の1分まであきらめず攻め続けた。今大会、ホームゲームをただの一度も落とさずに乗り切ってきた事実だけをとっても、ファイナルホイッスル後、キング・パワーの観衆が万雷の拍手と総スタンディングオヴェーションの喝采を贈ったのは当然だった。何よりも、敵将ディエゴ・シメオネが(あの、シメオネが!)、レスターイレヴンの一人ひとりを健闘をたたえる熱っぽいハグで労ったことがすべてを物語っている。おそらく、このアトレティコ以下、レスターと戦ったヨーロッパのチームの全メンバーも同じ思いに違いない。自分たちは確かにイングランドのチャンピオンを相手にした、あのミラクルは決してフロックではなかったと。 ▽以前にも書いた。チャンピオン・レスターが(皮肉なことにラニエリ解任直前まで)すっかり勝てなくなった理由。「ミラクル」の大パレードを席捲させるにまかせてしまったビッグクラブの意地、二匹目のドジョウはさすがに甘くないぞと引き締めた気が落としどころを見つけられないまま道に迷ってしまった自縛の罠、レスターができたのなら我々だってと目の敵にしてかかってきた“同輩”のチームの気迫。それらが混然となって、彼らに立ち直りのきっかけすら許さなかったがため・・・・。言っておくが、今でもラニエリ解任は世紀の大失態だったと断じたい。しかし、何度でも繰り返すが、皮肉にも、その世紀の大失態が「自縛の罠」から抜け出す引き金になった。それも、ある意味ではミラクルだ。つまり、ミラクル・レスターの看板は健在、少々趣を変えて凛として誇り高く掲げられている。ホームのアトレティコ戦の観戦者なら覚えているはずだ。ゴール裏に広げられたどでかいバナーの中で爛々と敵を射すくめるキツネの両眼を。そして、クレイグ・シェイクスピアの「これは手始め、改めての挑戦を目指す。今はまずはプレミア残留確保」の意気を。 ▽なんとなれば「敗れてもなお強し、その誇りは見紛うことなし」以上に、ファンをときめかせるものはない。「勝てばすべて良し」はその場限りの慰撫、感傷でしかなく、気が付けば明日への不安を掻き立てる要因にもなる。例えば「半分以下のパフォーマンス」(アーセン・ヴェンゲル)で、辛うじて降格ゾーンのミドゥルズブラを退けたアーセナルのファンは、まさにそのレスターとのゲームを目前にして今、戦々恐々としているかもしれない。無論、セヴィージャをうっちゃり、アトレティコを苦しめたレスターに完勝でもすれば、トップ4フィニッシュへの首の皮一枚が二枚に格上げされる期待の方を膨らませるべきなのだが、筆者の目にもやはり「不安」の二文字がちらついて消えそうにない。肝心の二枚看板、エジルとサンチェスについてである。直近のボロ戦でも、一つ前の完敗を喫したクリスタル・パレス戦でも、二人に絡む連携がどうもぎこちなく見えて仕方がないからだ。いや、その前の(スコア上は快勝の)ワトフォード戦ですら、スコアラー3名のゴール直後の表情は冴えなかった。それは単にパフォーマンスの内容だけのゆえなのだろうか? ▽彼らの胸の裡にも「不安」の種が芽を吹いているからではないのか、シーズン終了直後からの“見えない将来の闇”にとらわれてはいないか? ならば、不肖の身で恐縮至極ながら、あえて提案しよう。ムッシュー、もとい、ミスター・ヴェンゲル、もはや躊躇うことはない、今こそ契約延長更新に首を縦に振ろうではないか。それで“彼ら”にも一つの踏ん切りがつく。ファンの“もやもや”にもはや“忖度”することはない。たとえ不遜と謗られようが続投を宣言すべきではないのか。仮にその結果、オフに誰彼が移籍を申し入れようがかまわないではないか。それはそれで、大手を振って補強市場に乗り出す正当な口実にもなる。あるいは、むしろヴェンゲルの方から“粛清”を決行したっていい。「粛清」とは“役立たず”を追放することにあらず。クラブのため、当該プレーヤーの将来のための、つまりは前向きな「改善策」としてだ。今一度、自身の原点に立ち返って「改造」に着手する。それに首をかしげるガナーズファンなどいないはず。そう、例えば“心機一転”を画策中のルカクや、それこそ宙に浮いているルーニーに目を向けてもいいではないか。 ▽可能不可能の問題ではない。すでに“できる”ことが証明されているプレーヤーに新たなチャンスを与え、ヴェンゲル・アーセナル流の術を施す。そこで、敢然と「ネオ・インヴィンシブルズの再現」を掲げ、意気に感じる勇者たちを、有名無名を問わず、呼び寄せるのだ。それでこそ不満をかこつファンも目を開く、わくわくする。そのうえで、いくつか具体的な提案をしよう。狙うべきは、まず古巣モナコの人呼んで「アンリの再来」キリアン・ムバッパ。ただし、モナコとの交渉において「一年間の“Uターン”ローン貸出し」を提示して相手にウンと言わせる。その一方で、即戦力として期待したい“隠れた逸材”ワトフォードでプレーするミラン所属のムバイェ・ニアンを獲る。まだ22歳、粗削りだが大化けする可能性を秘めていると見る。ヴェンゲルの薫陶を受けて鍛えられ自信をもてば、ひょっとすればこちらもアンリ並みの戦力にならないとも限らない。もう一人は(エヴァトニアンの端くれとして内心は辛いのだが)エヴァートンのシュネデルラン(現地プレミア解説陣は概ね「シュナイデリン」と発音)。このスタイリッシュで視野の広いフランス人なら必ずや「新・ミスターアーセナル」として攻守の軸となってくれるはず。いかが? 2017.04.20 12:50 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】一番簡単に点が取れる方法なのに…

▽「PK戦は考えちゃいけないわよね」そんな風に私が納得していたのは月曜。夕方にキングパワー・スタジアムであったシメオネ監督の記者会見の一節を読んだ時のことでした。いやあ、質問は単純に「2ndレグがアウェイなのは不利なのか、得なのか」といったものだったようなんですけどね。それに対して彼は「en caso de empate cuenta con 30 minutos más para marcar un gol que vale doble/エン・カソ・デ・エンパテ・クエンタ・コン・トレインタ・ミヌートス・マス・パラ・マルカル・ウン・ゴル・ケ・バレ・ドブレ(引き分けになった場合、倍の価値のあるゴールをマークする延長の30分間がある)。こういう拮抗した対戦でそれは大きいとUEFAの人は言っている」と返答。 ▽要は90分で1-0とレスターに1stレグと同じスコアで負けて延長戦に入り、更に2点目を取られても、アトレティコは1点を取れば勝ち抜けられるということでしょうが、もしもその30分が0-0だったら、勝負は恐怖のPK戦に突入。何せここ近年、16強対決ではレバークーゼンやPSVにそれで勝ってきた彼らでしたが、一番大事だった昨季のミラノでのCL決勝では最後にファンフランが失敗して、リスボンに続いて、トロフィーをお隣さんに持ち帰られていますからね。その上、今季のPKにおける惨状を目の当たりにしていては、私が延長戦なんてダメ、PK戦なんてもってのほかという気分になってしまうのも仕方なかった? ▽まあ、その辺はまた後でお話しするとして、マドリッドの両雄が、どちらも火曜にCL準々決勝2ndレグを控えている中、土曜のリーガ戦はどうだったかというと。先にキックオフとなったレアル・マドリーでまず、驚かされたのはあまりにも徹底した先発ローテーションぶりで、いえ、CL準々決勝の谷間の試合ということで、ベイルのみ負傷ですが、クリスチアーノ・ロナウドもベンゼマもマドリッドでお留守番と、BBCメンバーが1人も招集リストにいなかった時点から、思い切ったことするなあという感じはあったんですけどね。 ▽エル・モリロン(スポルティングのホーム)のピッチに立つスタメンが近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)のTV画面に紹介された時には、後ろにいたお客さんからも「Vaya, sale Coentrao!/バジャ、サレ・コエントラン(おいおい、コエントランが出るのか)」と呆気に取られたような声が聞こえていましたが、まさか、キャプテンのセルヒオ・ラモス以外、中盤の3人も含めて全員suplente(スプレンテ/控え選手)でスタートするなんて、もしやこれって2部Bのチームと当たるコパ・デル・レイ最初のラウンドの1stレグだった? ▽おそらくそれには相手のスポルティングも、たとえ自分たちが降格圏に長らく沈んでいる身分であっても、ちょっとモヤッとしたんでしょうね。地元のサポーターの大声援の後押しも受けて13分、ビガスの浮き球パスにチョップが早々と反応。vaselina(バセリーナ/ループシュート)で見事に先制点を決めてしまったから、意表を突かれたの何のって。でもねえ、マドリーは普通のチームと違って、セカンドバージョンでも才能溢れる選手ばかりなんですよ。そのわずか3分後、イスコが敵DFの密集したエリア内を自力ですり抜け、同点ゴールを撃ち込んでくれたため、前半は1-1と、キックオフ時と同じ状態でハーフタイムを迎えることに。 ▽ところが後半開始直後、マドリーは今季、ありがちな過ちを犯してしまいます。それは後でジダン監督も「Es un despiste, porque nos hemos quedado hablando/エス・ウン・デスピステ、ポルケ・ノス・エモス・ケダードー・アブランドー(うっかりミス。ウチは話し続けていたから)」と認めていたように、スポルティングのFKのチャンスの時に発生。ヴァバンが頭で繋いだボールをビガスに山なりのヘッドでネットに送られ、GKカシージャをまたしても破られてしまったから、たまったもんじゃありません。それでも58分にはダニーロのクロスをモラタがこちらもヘッドで決め、またしても追いついたマドリーでしたが、そこからなかなか勝ち越し点が奪えず。 ▽何せ、いつもなら窮地に応援に赴くメンツが最初からピッチにいたため、その日の控えFWはカンテラーノ(RMカスティージャ出身の選手)のマリアーノしかいませんでしたからね。私も先行きが気になったんですが、その頃にはもうビセンテ・カルデロンに向かわないといけない時間になっていたため、バルを出て、メトロ(地下鉄)へ。途中、スコアは動かないまま、残すところ数分、ピラミデスの駅を出て、ラジオを急いでつけてみると、折しもCKからラモスのヘッドは枠を捉えられずとの報が。これはいよいよ引き分けかなと覚悟したところ…。 ▽ラモスだけじゃないんですよ、土壇場のゴールを決められるのは! それは再びイスコで、今度はペナルティエリア手前からシュート。地面を真っ直ぐ転がったボールがゴール右隅決まり、マドリーの3点目になったというんですから、本当に最後の最後まで油断のならないチームじゃないですか。うーん、こんな選手が控え扱いで、BBCに何か理由がある時にしか先発できないというのは、まさに贅沢の極み。羨んでしまう向きも多いかと思いますが、ちなみに彼が決勝ゴールを挙げた後、見せていた親指と人差し指、小指を立てて、両手をヒラヒラさせたポーズは前日の夜、アウェイ時のファンサービスとして、チームが滞在するNHヒホン・ホテルでのサイン会で、両親に連れられたろう者の少女に応対した際、教わった手話。「Te quiero/テ・キエロ(君が好き)」の意味だとか。 ▽試合でゴールを挙げたら、その仕草をする約束をしたそうですが、自身1点目の時にはしないで、2点目でやったっていうのはもしや、最初から2ゴール入れる自信があったから? まあ、その辺の事情はわかりませんが、当人はこのところ、契約延長交渉がなかなか進まないため、引きも切らない移籍の噂に対して、「Hay muchos bocazas por ahí, yo hablo en el campo/アイ・ムーチョス・ボカサス・ポル・アイー、ジョ・アブロ・エン・エル・カンポ(その辺にはイロイロ言う人が沢山、いるけど、ボクはピッチで喋るよ)」とのこと。マドリーに残りたい意志は強いようですが、それだと彼のプレーを見る機会が限られてしまうのは残念ですよね。 ▽そんなマドリーの劇的勝利があったため、カルデロンに入るまで、私もつい忘れていたんですが、実はアトレティコも珍しく、シメオネ監督が大幅なローテーションを決行。いやあ、コケが出場停止、ガビが休養でベンチ入りしていなかったのは知っていたんですけどね。最初にオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況担当から、「グリーズマン、サウール、サビッチもベンチスタート。ボランチはヒメネスとトーマスです」と聞いた時には、あまりの大胆さに頭がクラクラしてしまったぐらいだったんですが、幸いそれは杞憂に終わります。ええ、何より30分、カラスコがエリア外から放ったシュートが先制点となったのが、元々、どこか諦め気味だった相手の最下位オサスナの抵抗力を完全に砕いてくれたから。 ▽おかげで守備の方ではほとんど苦労もせず、49分にはガイタンのクロスをカラスコが今度はヘッドで決めてくれて、リードは2点に。更に61分にもコレアからラストパスをもらったフィリペ・ルイスがリーガここ4試合で3点目となるゴールを入れ、とうとう3-0になってくれたとなれば、その日はクラブが“El Dia del Nino/エル・ディア・デル・ニーニョ(子供の日)”と銘打って、スタジアム近隣に設置した数々のアクティビティを午前中から満喫。ちょっとお疲れモードで試合にやって来た親子連れだって、元気を取り戻しますって。 ▽え、用心深いシメオネ監督は2点では心細く、3点目が入る寸前にはあろうことか、エースを投入するつもりだったんだろうって? その通りで、丁度、支度を整えて待っていたグリーズマンとフィリペ・ルイスが2人でNBAプレーオフ開催にちなみ、ヒューストン・ロケッツのジェームズ・ハーデンのパフォーマンスを真似するなんてシーンもゴールの後には見られましたが、さすがにこのリードなら、もう大丈夫だと踏んだんでしょうね。そのままグリーズマンはベンチに戻り、70分にはフェルナンド・トーレスを昨年11月以来となる、負傷明けのチアゴに交代。ただ、場内が温かい拍手に沸いた後にガイタンを、マドリーダービーでは寸前のところで今季のリーガデビューをし損ねたチェルチに代えていたのにはちょっとビックリさせられたかと。 ▽うーん、あとでシメオネ監督は「Está trabajando muy bien/エスタ・トラバハンドー・ムイ・ビエン(彼はとてもよく練習している)」と本来なら、冬の移籍市場でチームを出るはずだったため、ずっと員数外扱いされていたチェルチの起用を説明していましたけどね。やはり、お隣のコエントラン同様、アトレティコファンも彼のことは笑いのネタと捉えているようで、妙な大喝采を浴びていたのはちょっと気の毒だったかも。そんな余裕の温情交代策もあったため、そのまま試合は無事に終わるかと思いきや、そうはいかないのがアトレティコ。88分にはコレアがGKシリグに倒されて、90分にはトーマスのパスがエリア内でミゲール・デ・ラス・クエバスの手に当たって、別に必要もないのに2回もPKを与えられたんですが…。 ▽スコアは5-0にはならなかったんです! というのも、最初のPKはハットトリックを狙ったカラスコが蹴って止められ、2本目は「quería hacer un gol en ese momento, no estaba escuchando nada/ケリア・アセール・ウン・ゴル・エン・エセ・モメントー、ノー・エスタバ・エスクチャンドー・ナーダ(あの時は自分がゴールを入れたかった。何も聞いちゃいなかった)」と、スタンドが「Circi tiralo!/チェルチ・ティラロ(チェルシ、PKを蹴って)」と合唱する中、ヒメネスもそう助言したにも関わらず、トーマスがキッカーを譲らず。やはりシリグに弾かれているんですから、もうどうしたらいいのか。 ▽いえ、先日のCLレスター戦1stレグでPKをようやく決めてくれたグリーズマンはその日、ハーフタイムのアップ中、スポンサーが主催するファンのPK合戦に飛び入り参加。そこでもしっかり決めて、スタジアムDJに「Gol de Antoine Griezmann!/ゴール・デ・アントワーヌ・グリーズマン」と叫ばれていたぐらい、見かけによらず、練習熱心なんですけどね。 ▽試合が3-0で終わって、カラスコの話を聞けば「Puede ser que no entrenemos demasiado los penaltis/プエデ・セル・ケ・ノー・エントレネモス・デマシアドー・ロス・ペナルティス(ボクらは十分にPKを練習していないのかもしれない)。ツキもある」ですし、トーマスに至っては「GKが上手く止めた。Son cosas que pasan en el fútbol/ソン・コーサス・ケ・パサン・エン・エル・フトボル(サッカーでは起きることさ)」ですもの。シメオネ監督は「説明はできない。個人がやることだしね。Pero no es mala suerte/ペロ・ノー・エス・マラ・スエルテ(だが、運が悪いせいではない)」と、これでリーガ戦6連続のPK失敗、今季は13本中8本も失敗していることに対して話していましたが、もうこうなるとホントに超迷惑ですよ。彼らがPKをもらうのって。 ▽こんな調子ですから、この火曜のCL準々決勝2ndレグも心配でしようがないんですが、日曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)のセッションでもPKを練習していたのはグリーズマンとチェルチだけだったとか。おまけにレスターではフートは出場停止になるものの、しばらく負傷していたキャプテンのCBモーガンが復帰できるようで、1stレグより、アトレティコはチャンスを作りにくい可能性も。好材料としては3月のフランス代表戦以来、太もものケガで出場していなかったガメイロと控えGKモヤが招集リストに戻ったことですが、16強対決の2ndレグでうっかり敵のカウンター戦略にはまり、逆転敗退を喫したセビージャの二の舞だけはしないでくださいね。 ▽そして同じ火曜の午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からは、マドリーもサンティアゴ・ベルナベウで2ndレグに挑むんですが、最近は日が長いこともあって、私もお散歩気分でバイエルンのスタジアム練習を見学してきたところ、どうやら肩を痛めていたレバンドフスキは完全復活した模様。懸念のあったボアテングやフンメルスも普通に全体練習に参加していたため、ドイツ語は一切、使わず、質問も答えもほとんどスペイン語だったせいもありますが、ジャージの色さえ違えば、今もマドリーの監督と言われても全然、違和感のなかったアンチェロッテ監督も結構、remontada(レモンターダ/逆転劇)に自信を持っていた印象がありましたっけ。 ▽いえ、もちろん先週、1-2で負けた彼らは0-2以上のスコアを挙げないと、準決勝に進むことはできないんですけどね。アンチェロッテ監督も「el Madrid marca todos los partidos pero también encaja en casi todos los partidos/エル・マドリッド・マルカ・トードス・ロス・パルティードス・ペロ・タンビエン・エンカハ・エン・カシー・トードス・ロス・パルティードス(マドリーは全ての試合で得点するが、同時にほとんど全ての試合で失点する)」と、ここ公式戦54試合連続得点しているジダン監督のチームに皮肉を言うことも忘れていませんでしたしね。 ▽ドイツ語でも英語でも流暢に応対するシャビ・アロンソと一緒に記者会見に出ていたキャプテンのラームも、未だに2012年の準決勝でPK戦にもつれ込み、最後はセルヒオ・ラモスが天高く撃ち上げてくれたおかげで、勝ち抜けた対戦をベルナベウでのいい思い出として話していましたが、いやあ、やっぱりマドリーの試合でもPK戦なんて、ドキドキするからイヤですって。ちなみに午前中にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で会見したジダン監督は欠場するベイルの代役を訊かれても、「Lo tengo decidido pero no lo voy a decir/ロ・テンゴ・デシディードー・ペロ・ノー・ロ・ボイ・ア・デシール(決めてあるけど、言わないよ)」と、イスコが先発するかどうかは明言せず。まあ、アセンシオやハメス・ロドリゲスというカードもありますし、何はともあれ、まずは週末にゆっくり休養が取れたクリスチアーノ・ロナウドやベンゼマが頑張ってくれることが先決ですかね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.18 12:07 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】決着は来週までお預けに…

「余裕があるチームはいいわね」そんな風に私が羨ましがっていたのは金曜。CL準々決勝の合間にあるスポルティング戦に向けた、レアル・マドリーの招集リストを見た時のことでした。いやあ、午前中にジダン監督の記者会見があったため、水曜のバイエルン戦1stレグでふくらはぎをケガしたベイルが出られないことはわかっていたんですけどね。蓋を開けてみれば、出場停止のカルバハルや負傷中のヴァランやペペは仕方ないものの、クリスティアーノ・ロナウドもベンゼマも、GKケイルロ・ナバスまでがマドリッドでお留守番。こんな思い切った真似、消化試合が1つ少ない状態でバルサと勝ち点差3をつけている首位でなければできないのでは? いえ、同じくレスターとのCL準々決勝2ndレグを来週、火曜に控えるアトレティコの場合、お隣さんとは正反対で守備陣は控えGKモジャ以外、皆健康で頭数は揃っているんですが、負傷者多発でボランチから上はここ3試合、選びようのない状態に。ようやくガイタンが水曜の試合でベンチに戻って来たため、メンバー表から馴染みのないカンテラーノ(アトレティコBの選手)の名前こそ一時、消えたものの、この土曜のオサスナ戦ではコケが累積警告になるという逆境も。 ガメイロの復帰がまだとなると、FW陣もグリーズマンとフェルナンド・トーレスが先発すれば、リフレッシュ要員はコレアしかいない今、シェイクスピア新監督下でのプレミアリーグ5連勝で降格圏から遠く離れることに成功。かといって、現在の11位では来季のヨーロッパリーグ出場圏を目指すのも非現実的なレスターが土曜のクリスタル・パレス戦で再び、大ローテーションをかけるのを横目に、アトレティコは同じメンツで乗り切るしかないって、何だか不公平じゃない?うーん、彼らには前節のマドリッド・ダービーで引き分けてしまったため、4位セビージャとの差が勝ち点1に縮小。CLグループリーグ直接出場権をもらえる3位を死守しないといけないという火急の事情もありますしね。 ただ、ビセンテ・カルデロンでの試合後、リーグ前節のエバートン戦でも主力5人をローテーションしていながら、「チームは疲れているようだった」とレスターの岡崎慎司選手が言っていたのは対照的に、その日も相手より合計7キロメートル多く走ったアトレティコの選手たちは体力だけはまだ余裕があったよう。それでも今季の彼らのCL1試合平均より6キロ程少なかったため、帰宅前にはフィジカルコーチに命じられて、ロッカールームで自転車漕ぎをさせられていましたしね。ミュンヘンでマドリーの救世主となったロナウドも「He hecho un cambio radical en los entrenamientos para llegar a tope al final de temporada/エ・エッチョー・ウン・カンビオ・ラディカル・エン・ロス・エントレナミエントス・パラ・ジェガール・ア・トペ・アル・フィナル・デ・テンポラーダ(シーズン終盤にトップコンディションになるため、練習方法を大きく変えた)。ここ数年は限界が来て、ケガとかもしていたからね」と言っていましたし、やっぱり体力があるというのは何物にも代えがたいことかと。 まあ、そんなことを再確認させられることになった今週のCL戦の様子をお伝えしていくことにすると、バルサがトリノでユベトス相手に3-0負けと、16強対決のPSG戦に続いて、2ndレグで奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)を目指すことが決まった翌日の水曜、マドリーとアトレティコはそれぞれミュンヘンとマドリッドで同じ時間にプレー。もちろん私はビセンテ・カルデロンに行ったんですが、キックオフ前にはバックススタンドを埋め尽くすモザイクでアトレティ、垂れ幕で「Nada mas que tu/ナーダ・マス・ケ・トゥ(君以外にはいない)」という、熱いメッセージを送ったファンたちもお隣さんの様子は気になっていたよう。ええ、開始4分でコケのエリア外からのシュートがゴールポストを直撃して以来、ずっと攻め続けながら、なかなか得点が入らなかったじれったさもあったんでしょうが、25分、最初に大歓声が場内が沸いたのは、アルトゥーロ・ビダルがヘッドでバイエルンの先制点を挙げた時でしたっけ。 それが呼び水になったんでしょうかね。折も折、私が隣に座った記者がパソコンで見ていた数分遅れの中継画像で、ビダルのゴールシーンを確認している時のことでした。ふっと視線をピッチに戻すと、グリーズマンがボールを持って敵陣を全力疾走。エリアに入るか入らないかの辺りでオルブライトンに倒されてしまったから、驚いたの何のって。いえ、後でシェイクスピア監督も「あれはエリア外だった」と言っていたように、すんなりPKをもらえたのも意外でしたけどね。まさか、4度連続してPKを失敗し、ここ数回はキッカーをしていなかったグリーズマンが密かに特訓。その成果を3月のフランス代表W杯予選、ルクセンブルク戦に続いて披露してくれたとなれば、スタンドの盛り上がりが最高潮に達したのも無理はありませんって。 前半はそれ以降、チャンスもなかったため、リベリのシュートを胸に当てたカルバハルがハンドと判定され、PKを蹴ることになったビダルが失敗に終わったせいでの溜息に包まれて、試合はハーフタイムに入ったんですが、ここで岡崎選手はアンディ・キングと交代。「ウチはボランチから後ろの押し上げができなかったから、中盤を1枚増やすため、自分が45分で交代になった」そうですが、だからといってレスターが最後まで優勢になることはなかったような。ただアトレティコも、トーレスが絶好のシュートチャンスに足を滑らせてしまったり、カラスコと代わったコレアも枠を捉えられなかったりと、追加点を挙げることはできません。 いえ、後でコケなどは「Nos vamos contentos porque el 1-0 lo firmábamos/ノス・バモス・コンテントス・ポルケ・エル・ウノ・セロ・ロ・フィルマバモス(ボクらは満足だよ。だって1-0でも良かったんだから)」と負け惜しみを言っていましたけどね。「アトレティコはウチが引いていると後半、困っていた感じもあった」(岡崎選手)なんて意見も聞かれたため、ボールを持ち過ぎると、何をしていいかわからなくなるという欠点はまだ直ってないのかと。ちなみに岡崎選手は「リーガのチームはプレミアと違って、サッカーが上手い。ボールの出し入れとか、ワンタッチパスとかの差があるね。あっちだったら、引いてもやられることはないんだけど」とアトレティコを褒めてくれていましたが、何せ16強対決では2-1と先勝したセビージャがキングパワー・スタジアムの2ndレグで2-0、逆転敗退した例がありますからね。 もちろん、彼らはサンパオリ監督のチームと違い、アウェイゴールを許すこともなく、与えられたPKもちゃんと決めて勝ちましたし、「nosotros somos el Atlético de Madrid, sabemos a lo que jugamos y lo que tenemos que hacer/モソトロス・ソモス・アル・アトレティコ・デ・マドリッド、サベモス・ア・ロ・ケ・フガモス・イ・ロ・ケ・テネモス・ケ・アセル(ボクらはアトレティコ。何を懸けて戦っているかも、やらなければならないこともわかっている)」(コケ)と、勝ち抜ける自信はあるみたいですけどね。私事で恐縮ではありますが、来週の火曜はサンティアゴ・ベルナベウでバイエルン戦を見ながら、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継で展開を追うことになる自分としては、もっと安心できるスコアの方が有難かったかと。 え、そうは言ってもマドリーだって、1stレグに大勝した訳じゃないんだろうって?その通りで、後半は2分にカルバハルのクロスをロナウドが決めて同点にすると、15分にはハビ・マルティネスが2枚目のイエローカードをもらって退場。相手が10人になったおかげで、そこから俄然、優勢になった彼らは32分、ベイルと交代したアセンシオのラストパスを再びロナウドが押し込んで、とうとう逆転に成功します!いえ、他にも惜しいシュートは何本かあったんですけどね。GKノイアーにparadon(パラドン/スーパーセーブ)を連発されてしまい、ロスタイムにFKからセルヒオ・ラモスが入れたゴールも「Me han pitado fuera de juego por milésimas/メ・アン・ピタードー・フエラ・デ・フエゴ・ポル・ミレシマス(数ミリのオフサイドを取られてしまった)」(ラモス)というのは少々、誇張ですが、スコアには上がらず。最後は1-2という最少得点差での勝利に。 それでも彼らは2ndレグがホームだけに圧倒的に有利ですからね。その上、肩を痛めていたレヴァンドフスキがプレーしなかったおかげもあって、出場停止目前だったラモスがイエローカードをもらわずに済んだというのは大きかったかと。そうそう、殊勲の2ゴールを挙げたロナウドはこれで、初のUEFA主催大会で100得点を記録した選手になったんですが、ジダン監督に言わせると、当人は「Estaba contento, pero no contento porque ha tenido el tercero también/エスタバ・コンテント、ペロー・ノー・コンテントー・ポルケ・ア・テイードー・エル・テルセーロ・タンビエン(満足していたけど、3点目も決められたかもしれなかったから、満足していないところもある)」そう。それだけにベルナベウでの2ndレグでもdoblete(ドブレテ/2得点のこと)を目指しているとなれば、マドリーファンは大船に乗った気でいていい? おまけに最初に言ったように、この土曜、午後4時15分(日本時間翌午前11時15分)からのスポルティング・ヒホン戦には出ずに、自宅で英気を養いますからね。最近、5キロの減量に成功して、プレーに磨きがかかっているベンゼマと一緒にバイエルン戦には体力十分で挑めるとなれば、鬼に金棒とはまさにこのこと。実際、今では「Ya no sé ni en qué posición juega./ジャー・ノ・セ・ニ・エン・ケ・ポシシオン・フエガ(もうどこのポジションでプレーしているかもわからない…)。どこの場所でも守って、CFのようにゴールを決め、MFのようにアシストする」(シメオネ監督)とまで言われている、アトレティコのエースとはそれこそ雲泥の差じゃないですか。 その結果、エル・モリロン(スポルティングのホーム)では、モラタやイスコ、アセンシオ、ルーカス・バスケス、ハメス・ロドリゲスらが先発のチャンスを得ることになりますが、Bバージョンのマドリーでも普通に強いですからね。それでも、さすがに降格圏にいる相手には荷が重いとはいえ、何が起こるかわからないのがサッカーのいいところ。同日、最後の試合でレアル・ソシエダをカンプ・ノウに迎えるバルサも、マラガ戦で退場したネイマールは次のクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)を含む3試合の出場停止処分を受けていますが、勝敗の如何によっては、一気にモチベーションが上がるかもしれませんね。 一方、その次の時間帯、午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からオサスナに挑むアトレティコは金曜の夕方練習の後に1つだけ朗報が。それは昨年の12月のビジャレアル戦以来、ずっと負傷で休んでいたチアゴが招集リストに復帰したことですが、それと交代でキャプテンのガビが休養って、とうとうシメオネ監督もローテーションを実施するつもり?いやあ、確かにオサスナはダントツの最下位ですが、前節はレガネスを破って少々、運気が変ったようですからねえ。こんなところでうっかり火傷をしないよう、私も祈るしかありません。 そしてそのオサスナに負けて、ショックを受けている新弟分、レガネスは日曜にエスパニョールをブタルケに迎えるんですが、今も降格圏とは勝ち点差5あるものの、ここ5試合白星なしと、なかなか残留確定ラインに近づけず。あと残りは7試合、ちょっと気合を入れていかないと、昨季のラージョやヘタフェのように最終節まで、ファンをドキドキハラハラさせる破目になりかねない?ちなみに今季は2部でプレーしているマドリッドのチームで昇格に最も近いのは現在、6位のヘタフェ。ただこれも今は柴崎岳選手のいるテネリフェが占めている3位から6位までの4チームでのプレーオフという試練があるため、リーガ1部の試合がマドリッドの近場で沢山、見られるという利点を保つ意味でも、ここはどうしてもレガネスに頑張ってもらわないといけないですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.15 19:28 Sat
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【倉井史也のJリーグ】重いと思いながらもやってくれるのを待ってるわけです?!の巻

▽ちょっとね、愚痴らせてもらいますよ。最近、JリーグのPC版ホームページ、重くないですか? 確かに動画がたくさんアップされてリッチコンテンツ感満載なんですけど、重くて重くて、ちょっと今の流行とは違うかも。日程の確認をしようと思っても、なかなか出てこないんですよね〜。 ▽まぁただその中でも評価しなきゃいけないかと思うのは、トップページからリンクされてる、「2017シーズン競技規則スタンダード映像」ってヤツ。これ、去年のJリーグの実際のプレーを使って、どうしてこういう判定になるのかという基準を説明した動画なんです。確か、実際の映像を使うと選手に非難が集まるんじゃないかという危惧があって、内部研修では使っても、ずっと一般公開しなかったんじゃなかったでしたっけ? ▽ところがこれを見ると、確かにレフェリーのおっしゃるとおりってよくわかる。一般公開にいろいろ問題はあっても、こういう試みはいいんじゃないかと思うんです。サッカーの理解が深まらないと、普及はしないんですから。でもね、こんな大事なコンテンツが文字だけリンクになってたりして、やっぱJリーグ、サイトどうにかしたほうがいいですよ。 ▽と、壮大な愚痴で字数を稼いだように思われるかもしれませんが(ドキッ)! 大事なのはここからです。いいですか、今週は日曜日がJ1ですからお間違いなく!!! ▽はい、みんな憶えましたね。これ、テストに出ますから。ま、これだけ憶えてれば楽勝です。それではまた来週! 【関連URL】シーズンの競技規則スタンダード https://www.youtube.com/watch?v=EKI5p11vrSo2017 ▽えー、原稿突っ返されましたので、今週の見所なんかをちょっと書いておこうかなっと(涙)。 ▽今週、いろいろ「ダービー」と称されるような、ドラマのある戦いがあるわけですよ。C大阪vsG大阪の「久しぶりでんがなダービー」、いやいや、大阪ダービーや、清水vs大宮のオレンジダービー、あ、神戸vs柏ってネルシーニョダービーだし。 ▽そんな中で、ちょっと今でも厳粛な気持になるのが、今週末のカードの中で最後に行われる、16日19時からの仙台vs鹿島という被災地対決なワケです。仙台は前節の浦和戦に大敗したし、鹿島はACLでブリスベンに負けて帰ってきたし。 ▽もしかしたら、みんなちょっと暗い感じでの対戦かもしれないんです。でも、そんなときこそチームの活躍でみんなを明るくしてほしいッス。そうやって立ち直っていこうとしてるんですから。 ▽重いのは気持ちじゃなくて、Jリーグのホームページだけにして! あ、そっちも軽くなってほしいなっ!! え? ウチの回線が遅いだけだって……?!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.04.13 18:23 Thu
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【六川亨の日本サッカー見聞録】ドルトムントのチームバス襲撃事件に思うコト

▽ドルトムントのチームバスが襲撃された事件で、スペイン代表DFマルク・バルトラが右手を負傷したものの、彼以外の選手が無事だったのは不幸中の幸いと言える。翌日に延期された試合ではモナコに2-3と敗れたものの、1点差に留められたことはセカンドレグに向けて好材料だろう。 ▽スポーツにおけるテロ行為は、古くは1972年の西ドイツ五輪でパレスチナの武装組織がオリンピック村に侵入し、敵対するイスラエルの選手を人質にとって立てこもった事件が有名だ。西ドイツ当局は人質の救出作戦を強行したものの、人質9人全員が死亡するなど痛ましい結果となった。 ▽当時は、政治的な対立から五輪がテロ行為のターゲットになったものの、「サッカーで同じことをしたら全世界を敵に回すことになる。だからW杯を標的にするテロリストはいないだろう」と言われたものだ。 ▽しかし、それも昔の話。1996年にはEUROを開催中のイングランドで爆破事件が発生。こちらも政治的に対立するアイルランド共和軍(IRA)の犯行と見られた。そして2002年には、レアル対バルサのCL準決勝の数時間前に、サンティアゴ・ベルナベウ・スタジアム付近で車に仕掛けられた爆弾が爆発。こちらもバスク地方の分離独立を目指す民族組織「バスク祖国と自由」(ETA)の犯行とみられ、17人が負傷した。 ▽サッカーを標的にしたテロは、最近では2010年にウガンダの首都カンパラで、W杯を観戦する飲食店で爆破事件が起こり、死者は50人にも及んだ。国際テロ組織アルカイダの関与が疑われたものだ。そして記憶に新しいところでは、2015年にEUROが開催されたフランスで、パリ同時多発テロ事件が起き、フランス対ドイツの行われていたサン・ドニ・スタジアムの入り口付近で3度の爆発があり、劇場や料理店なども含めると130人近くの人が亡くなった。こちらはイスラム国(IS)の犯行とされ、彼らは様々な国でテロ行為に及んでいる。 ▽もはや「サッカーだから標的にされない」という時代は過去のものとなり、「サッカーだからこそ狙われる」時代になっているようだ。過去2回のW杯は南アフリカとブラジルという、ムスリム(イスラム教徒)とはあまり縁のない国だったため、テロよりも強盗に注意を払ったものだ。しかし来年W杯を開催するロシアはイスラム教徒も多く、1990年代以降はテロ事件も増加しているだけに、ターゲットにされる可能性も少なくはないだろう。 ▽そしてドルトムントである。W杯やEUROといった国際大会ではなく、1クラブが狙われる事件が起きた。神戸に加入の決まったルーカス・ポドルスキは、トルコ(ガラタサライ)では常にテロの危険があるため日本行きを決断したという噂もあるほどだ。欧州でのサッカー観戦は、特にムスリムの多いフランスやベルギーでは十分な警戒が必要になるだろう。といっても、スタジアム周辺は人混みが多いため、どう警戒すればいいのか分からないのが実情だ。 ▽香川については、FC東京のGK林が事件直後にメールで「大丈夫か?」と送信したところ、すぐに「大丈夫」との返信が来たことを明かしていた。続けて林は「ちょっと世界ではいろんな、ボクらの予測外のことが起きる状況で、死者が出ないで不幸中の幸いだった。どういう価値観なのか分からないので口のはさみかたがないけど、サッカーがどうのこうのではなく、人の命は尊いもの。容認できないことが多すぎるし、国内じゃないからいいやじゃなく、なくなるように願うしかない」と話していた。 ▽林の言う通り、テロが「なくなるのを願うしかない」現実に無力感を抱かざるを得ないと思っているサッカーファンも多いことだろう。コトは宗教的な対立と貧困が根底にあるだけに、根の深い問題でもある。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.04.13 18:22 Thu
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【東本貢司のFCUK!】胸騒ぎのミステリー/3題

▽ミステリー・アライジング。いよいよレスターが大敵アトレティコとの決戦に臨もうとするこのタイミングで飛び出した、クラウディオ・ラニエリの“問題発言”、「クラブのある人物がわたしを追い出す後押しをした」。実名をあぶり出すのは本意ではない。ラニエリ本人も明かすことを拒否し「言いたいことがあれば直接本人と差しで話をする」。つまり、彼には“当たり”がついている。気になるのは、その人物がレスターFC内のどんな地位、役職にいるかだ。推理小説でいう「最も得をする誰か」・・・・という線はもう一つぴんとこない。実際“後釜”に座ったクレイグ・シェイクスピア? あくまでもつなぎであって昇格に至る保証はどこにもない。解任直後に可能性を取り沙汰された後継候補(たとえば、元イングランド代表監督、ロイ・ホジソン)の誰かと“利益を共有する”人物がクラブ内にいるという説も論外だろう。となると、それは「ラニエリの成功を快く思わない誰か」に容疑の目が・・・・だとすれば由々しき問題ではないか。その人物は今もクラブにいるはずなのだから。プレーヤーたちの胸にどす黒い疑心暗鬼が淀むことがないと切に願う。 ▽ユヴェントスが“鬼門”のはずのバルセロナをホームで大破したのをあえてミステリーとは呼ばない。しかし、ドルトムント-モナコの開催を延期させたバス爆破事件の方は実に怪しい、いや大問題と言うべきだろう。仮に、ごくありきたりに一部の過激なモナコファンの仕業だと疑ってみるのは多分筋違いだろう。速報のニュースからその節が浮かんでこない。地元警察の初動捜査によると「サポーターによる攻撃の証拠はどこにも見られなかった」という。ふと頭をよぎるのは「テロ」だ。2年前の11月に発生したあのパリ同時多発テロ事件(パリ市街および郊外サン・ドニのスタッド・ドゥ・フランス)、および、昨年クリスマスのベルリンで起こったトラック暴走テロ事件。サン・ドニ事件の標的になったのは「フランス-ドイツ」の親善試合だった。フランスとドイツ、モナコとドルトムント。“符号”はぴったり当てはまる。元バルサのマルク・バルトラが手を負傷しただけで済んだとはいえ「3発の爆破物」(警察調べ)は大惨事もあり得た。シリア空爆問題で騒然となっている国際情勢の中、搦め手からの“(テロの)ジャブ”という線は十分にある。 ▽ミステリー、というよりも“行く末”が気が気でない案件といえば、われらがアーセン・ヴェンゲルの“近未来”。まさかの対クリスタル・パレス惨敗は、せっかく5日前にウェスト・ハムを沈めて少しは鎮火したはずのヴェンゲル批判論を、また一気にぶり返させる憂鬱の“蕾”となってしまった。なぜなら・・・・問題の根っこにあるのは、クラブ側がすでに提示している「2年契約更新」に対して、ヴェンゲルが返事を保留している事実だからだ。つまり「言い訳の利かない状況」になってしまった場合、ヴェンゲルは自ら身を引く覚悟を温めている可能性がある(と察せられる)のだ。「言い訳の利かない状況」とは、唯一残ったタイトルのFAカップ、そして、チャンピオンズリーグ出場権がかかるトップ4フィニッシュを取り逃がしてしまう事態。それでも「アーセナルの監督を続ける」と言い張ることは、さすがにファンを納得させられるものではない、いや、そもそも彼自身のプライドが許さないに違いない。パレス戦敗退はその後者に著しく現実味を帯びさせることになった。文字通りの崖っぷち。だが、その“背水の陣”は吉を呼び寄せられるのか。 ▽最大の不安がそこにある。パレス戦は言うに及ばずだが、実はスコアこそ3-0の快勝に見えるウェスト・ハム戦すら、ガナーズイレヴンのパフォーマンスは決して褒められた内容ではなかった。実際、メディアの評価も負けチーム並みに低く、相前後して伝えられた元プレーヤーたちも重い疑問が引きも切らない。一言でいえば「覇気が感じられない」とばっさりなのである。ウェスト・ハム戦をご覧になった方ならきっと思い起こすはずだ。苦戦の中でようやくもぎ取った先制ゴール、そして“ダメ押し”の3点目・・・・いずれもファインゴールに数えていいはずのそれぞれのスコアラー、エジルとジルーの、見るからに喜びも半ば以下と言わんばかりの、浮かない表情を。まるで、だめだこんなことじゃ、きっといずれ“しっぺ返し”を食らうんじゃないかとの不安をぬぐえない・・・・。そして、それは“すぐ”に(パレス戦で)現実化した。ムードは最悪、しかも、不倶戴天の仇敵スパーズが、トップ4争いではるか彼方の優位にあり、FAカップでも勝ち残っている。その若きエース、デル・アリはデータ上からも史上最高クラスのMFとしてもてはやされ・・・・。 ▽いや、逆風ばかり憂いていても何もならない。まだ“可能性”が残っている限り、首を垂れていても仕方がない。“修正点”、巻き返しへの課題克服は、パレスにしてやられたゲームから学べるはずだ。パレスのサム・アラダイスが「してやったり」と自慢した対アーセナル対策を教訓として逆手に取るのである。ボールを速く、何よりも「前」に動かす。「横」にではなく、そして、あえてポゼッションに安住しないこと。ある元プレーヤーはいみじくもこう述べた。「アーセナルのプレーヤーたちはヴェンゲルのポリシー、指示を実践していない」。もし、この指摘にエジル以下が今後もどうやっても「応えられない」のだとすれば話は“早い”。ヴェンゲルが去るか、エジルたちが去るか、二つに一つ。いや、最悪「両方」ということも? いずれにせよ、そのときはアーセナルが良くも悪くも根底から生まれ変わる運命に直面しなければなるまい。そんな「一寸先の闇」に、クラブは、サポーターたちははたして耐えられるのか。少なくとも運命の残り8試合、エジルたちが死力を尽くす「覇気」を示さなければ、「闇」が晴れる日などいつまでたっても・・・・。【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.04.12 13:35 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】長所が戻ってきた…

▽「要はまた同じメンツなのね」そんな風に私が首を振っていたのは月曜。マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で午前中に行われたアトレティコのトレーニングには、ガメイロもガイタンも姿が見えなかったというニュースを聞いた時のことでした。いやあ、もうこの状態は先月の代表戦週間が明けて以来、変わっていなくて、水曜のCL準々決勝レスター戦1stレグでスタメンがリピートするのも3試合目。別に彼らには体力もあるため、それはいいんですが、とにかくシーズンも今が正念場。コパ・デル・レイの初期ラウンドでもないため、ベンチ入り18人の枠を満たすため、回り持ちで呼んでいるカンテラーノ(アトレティコBの選手)のFWやMFをおいそれと入れる訳にもいきません。結果、点が欲しい展開で投入できるのがコレア以外いないというのにはちょっと、心細い気がしてしまうのは決して私だけではなかったかと。 ▽え、それでも先週末のマドリーダービー、アトレティコは何とかこのメンバーで乗り切ることができたじゃないかって? そうですね、前回、午後4時15分からのサンティアゴ・ベルナベウでのアラベス戦で、正面から西日を1時間以上浴びたのに懲りた私がしっかり、UVカット帽子持参で挑んだ土曜。アップ中には数日前に近所の駐車場で7万ユーロ(約800万円)相当の腕時計を盗られたコケに、「Koke, ?que hora es?/コケ、ケ・オラ・エス(今、何時だ?)」なんてカンティコ(節のついたシュプレヒコール)がレアル・マドリーファンから飛んでいたなんて、心痛むこともあったんですけどね。fondo sur(フォンド・スール/南側ゴール裏席)を大きく覆った「El trono es nuestro/エル・トローノ・エス・ヌエストロ(王座は我々のもの)」という、含蓄のある垂れ幕にも臆せず、彼らはお隣さんに立ち向かったんですが…。 ▽うーん、前半はどちらも用心していたんでしょうかね。散発的なチャンスがあるだけで、時間が経つにつれ、両者共にパスミスが激増。いえ、アトレティコの場合は元々、そんなシーンはお馴染みですし、その日は「Estuvimos imprecisos, pero no es facil el ritmo al que se juega/エストゥビモス・インプレシーソス、ペロ・ノー・エス・ファシル・エル・リトモ・アル・ケ・セ・フェガ(ウチは正確性に欠けていたが、あのリズムでプレーするのは簡単ではない)」(シメオネ監督)という理由があったようなので、私も驚きはしませんでしたけどね。30分近くにはGKオブラクがベンゼマのシュートを弾き、さらにそのオブラクも飛び出してしまった後、クリスチアーノ・ロナウドの一撃をサビッチがライン上でヘッドクリアするなど、ドッキリさせられる場面も…。 ▽これには後でオブラクも同じバルカン半島仲間のサビッチにお礼を言っていたそうですが、後半に入ってすぐ、至近距離からベンゼマに撃たれた時には当人が圧巻のparadon(パラドン/スーパーセーブ)を披露。あまりに強い日光に当たっていたこともあって、私も目の前がクラクラしてしまった程でしたが、どうやらこれは相手を前半無得点に抑えたのをいいことに、アトレティコがハーフタイム後のピッチに「Hemos salido como dormidos/エモス・サリードー・コモ・ドルミードス(ボクらは眠っているかのように出て行った)」(グリーズマン)せいだったよう。当然、そのツケは回ってきて、今度は52分、クロースのFKからペペにヘッドを決められ、マドリーに先制されてしまったから、さあ大変! ▽いやあ、この時、すがすがしいぐらいペペがノーマークだったのは、未だに2回のCL決勝のトラウマを抱えるアトレティコの選手たちが、セルヒオ・ラモスばかりに目が行ってしまったせいだと思いたいんですけどね。加えて、滅多にないチャンスでは59分、フェルナンド・トーレスが1対1になりながら、GKケイロル・ナバスに向けてシュート。そしてその2分後にサウールの代わりに入ったコレアがアトレティコ最初で最後の弾丸だったとなれば、この先一体、何を期待したらいい? いえ、マドリー側にもクロースがボールをクリアしようとした際、同僚にヒザ蹴りを喰らわせ、鋤骨を2本骨折したペペがナチョに代わるというアクシデントはあったんですけどね。 ▽それでもグリーズマン、会心のchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)もナバスに弾かれ、75分を過ぎてもゴールが入らず、その上、シメオネ監督は「Era instinto de lo que necesitabamos/エラ・インスティントー・デ・ロ・ケ・ネセシタバモス(ウチが必要としているものを直観した)」とトーレスを下げ、ボランチのトーマスを投入。不可解なFW削減策に出ただけでなく、お隣さんと違って、アトレティコのDNAには根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)は刷り込まれていませんからねえ。終盤、最後の交代を今季、移籍先が決まらず仕方なく残留。リーガでまだ1度もプレーしていないチェルチがピッチ際で待っているのを見た暁には、私もほとんど絶望していたんですが…あったんですよ! 彼らにも自慢できるものが! ▽え、それはシメオネ監督も「いい選手である以上に働いて、走って、エリア内にも入り込む。才能のある選手が献身的にプレーするのを見るのは喜びが倍増する」と褒めていたグリーズマンのことだろうって? うーん、そうでもありますが、いよいよ85分、コレアのスルーパスが通って、彼が3度目の正直でナバスを破り、先日は下に着たTシャツに彼女のエリカさんへの誕生日祝いメッセージを書いて披露、後付で罰金を喰らったせいで頭を絞り、今度は娘のミアちゃんの1歳のバースデーのお祝いをテープに書いて足首に装着。念願通り、TVカメラにアップしてもらえたのは、1にも2にもアトレティコの選手たちが「Fisicamente hemos acabado mejor que el Madrid/フィシカメンテ・エモス・アカバードー・メホール・ケ・エル・マドリッド(フィジカル的にウチはマドリーを上回って終わった)」(グリーズマン)おかげ。 ▽いえ、ジダン監督は「No creo que nos haya faltado algo fisicamente/ノー・クレオ・ケ・ノス・アジャ・ファルタードー・アルゴ・フィシカメンテ(ウチが体力的に何か欠けていたとは思わない)」と否定していましたけどね。実際、カゼミロなども「Ellos han presionado mas en esa fase/エジョス・アン・プレシオナードー・マス・エン・エサ・ファセ(その時間、彼らはますますプレスをかけてきていた)」と証言していますし、キャプテンのラモスも「el partido en cinco minutos por no achicar y por dejar tantos espacios/エル・パルティードー・エン・シンコ・ミヌートス・ポル・ノー・アチカル・イ・ポル・デハール・タントス・エスパシオス(試合残り5分で敵に詰めないで、あんなにスペースを与えてしまった)せいで勝利を逃がした」と言っていましたからね。 ▽それも疲労があったからだとしたら、納得いくんですが…。残念ながら、この試合は4年前にアトレティコが延長でマドリーを下したコパ・デル・レイ決勝にあらず。ええ、もちろんアディショナルタイムで終わりというのはわかっていたため、記者会見では「ウチは勝利に近かった」と言っていたシメオネ監督もスコアが同点になった途端、チェルチのリーガデビューを撤回、CBヒメネスをボランチとして投入して、勝ち点1を守り抜きましたが、いやあ、本来なら土壇場に得点するのはマドリーの十八番ですからね。その後の短い時間に再び勝ち越されなくて本当に良かったですし、2014年にリーガを制した時の古き良き長所は、次回のCL決勝の時にでも発揮されてほしいですね(最終結果1-1)。 ▽ただ、その日はマドリーにもツキはあったんですよ。というのもサンティアゴ・ベルナベウを出た私は柴崎岳選手のいるテネリフェが来ると言うので、久々にエスタディオ・デ・バイェカスを訪問。開始3分でアマトに速攻で先制された、今季から2部で戦っているラージョが23分にはエンバルバのゴールで同点に。柴崎選手は残り10分程。試合はダービーと同じスコアで決着と、何とか今節も降格圏外で終わることになったのはまあ、嬉しいんですけどね。同じ時間にプレーしていたバルサが、こちらはマドリーが古巣のミチェル新監督が指揮するマラガに2-0で負けたという報をラジオで知って、驚いたの何のって。 ▽おかげで順位を逆転されるどころか、2位との差を勝ち点3に広げられたとなれば、ダービー引き分けの痛みも少しは和らぐというもの? 実際のところ、マドリーには未消化のセルタ戦も残っていますしね。丁度、私が移動中の試合でセビージャがデポルティボに4-2と勝利、4位との差を勝ち点1に縮められてしまったアトレティコの方がまた、来季のCLグループリーグ直接出場権死守を懸けて、この先大変な思いをしそうですが、さて。実際、今週末、彼らが当たる最下位オサスナにはマドリッドの新弟分、レガネスが日曜に2-1で競り負けているだけに決して、油断はできませんよね。 ▽え、今はそれより、マドリッドの2強は水曜に差し迫ったCL準々決勝1stレグの準備で大わらわなんだろうって? そうですね、昨季のグループリーグじゃあるまいし、どうして同じ曜日に振り分けてくれるんだと、ちょっとファンとしては噴飯ものなんですが…。バイエルンとのアウェイ戦となるマドリーは火曜にはミュンヘンに移動。こちらはメンバー的にはペペはもちろん、肉離れのヴァランもまだ戻って来ませんが、その他には負傷者がいないため、最初の試合はCBが人手不足になる心配はありません。 ▽そうは言っても、ラモスがあとイエローカード1枚で累積警告なので、ここは要注意。幸い今回は先週末のドルトムント戦で肩を痛めたエース、レバンドフスキや2週間前に手術をしたばかりのGKノイアーの状態が心配な相手の方が悩みも多そうですし、やはりマドリーとしてはその2人が本調子になる来週の2ndレグに攻守で頼りになるラモスが出られるよう、気をつけてプレーするのが最優先? 懸念としては、ダービーであまりいいところを見せられなかったロナウドとベンゼマ、まったく存在感がなかったベイルがアリアンツ・アレナで主砲として名誉挽回してくれるのかといった辺りですが、アンチェロッテ監督のチームはアトレティコとは全然、タイプが違いますからね。いよいよ大物同士の対決とあって、火曜のユベントスvsバルサ戦同様、期待のできるカードなのは間違いないかと。 ▽一方、同じ水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)にレスター・シティをビセンテ・カルデロンに迎えるアトレティコは最初に言った通り、ダービーとまったく同じメンバーで挑むしかないんですが、気になるのは16強対決1stレグでセビージャに負け、ラニエリ監督を解任してシェイクスピア監督に代わって以来、相手はプレミアリーグ5連勝。それでもこの日曜にはエバートンに負けたと聞いたのはいいものの、実は岡崎慎司選手を含む主力5人を温存して、アトレティコ戦に備えていたというのはかなり不気味じゃないですか。 ▽ヴァーディ、スリマニといったFWたちも好調のようですしね。向こうは休みが1日少ない上、CLではあまり馴染みのないチームと侮ったりすると、いよいよセマナ・サンタ(イースター週間)が始まり、月曜にはセビージャ(スペイン南部の街)のバルコニーから、本場のプロセシオン(キリストやマリアの像を立てた神輿が街を練り歩くスペインの習慣)を優雅に見学していたサンパオリ監督のように、シメオネ監督も2週間後にはこの先、ミッドウィークの予定がなくなってしまうという目に遭いかねないかと。一応、私はこちらの方を観戦に行きますが、自分のパソコンで並行カードの中継を見ている記者も多い昨今。マドリーも気になるため、席運に恵まれるといいのですが…。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.11 13:07 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】ツキはいつまで続くのか…

▽「随分、近くにいたのねえ」そんな風に私がビックリしていたのは金曜日、アトレティコのコケがマドリッド市内の地下駐車場で強盗に遭い、7万ユーロ(約800万円)相当の腕時計を奪われたというニュースをお昼のTVで知った時のことでした。いやあ、現場の風景にもしやと調べてみると、その駐車場は私の家から徒歩数分の場所。時刻は午後7時だったそうで、丁度、自分も春めいてきた陽気に浮かれ、ダービーに着て行けるような明るい色の服をやはり、その近くにあるMANGO(スペインのファストファッションブランド)のお店で探していた頃だったんですけどね。別にこの地区は治安の悪いところでなく、というか、近年、マドリッドで選手自宅の空き巣被害の話はたまに聞くものの、ピストルを突きつけられてホールドアップって、もしやコケって、とっても運が悪いんじゃない? ▽いえ、同日には彼のU21時代からのスペイン代表仲間、レアル・マドリーのイスコも友人とテラスで食事中の写真を自身のインスタグラムに載せたところ、テーブルの上にアスルグラナ(青と紫)色のポテトチップの袋が置いてあったことが問題に。慌てて違う写真に代えたて、後の祭りで(http://www.marca.com/futbol/real-madrid/2017/04/07/58e6bde546163f41508b45d8.html)、SNSでの反響は止まらず。結局は削除する破目になったものの、最近の彼は契約を延長するしないで、イロイロ話題となっていましたからね。 ▽おかげでバルサ移籍の噂を混じえて面白おかしくいじられたため、とうとう本人も「Que no me voy al Barça pesados!/ケ・ノー・メ・ボイ・ア・バルサ・ペサードス(ボクはバルサには行かないよ、しつこい奴ら!)」と自身のツイッター(https://twitter.com/isco_alarcon/status/850107273397633026)で逆切れする事件なども発生。その上、「ちなみに自分はそのポテチを味見してもいないよ。友達がボクにゲキを飛ばすために置いたんだ(https://twitter.com/isco_alarcon/status/850108105060954112)」と付け足していましたが、それってやっぱり、健康第一のサッカー選手でありながら、カロリーの高いスナックをバリバリ食べていると思われるのはイヤだったから? ▽まあ、そんなことはともかく、マドリーダービー直前の節だった今週、ミッドウィークのリーガがどうだったかをお話ししておかないと。先に試合があったのはアトレティコの方で、火曜にほんの少し前まで4位争いの手ごわいライバルだったレアル・ソシエダをビセンテ・カルデロンに迎えたんですけどね。序盤のプレーも先週末のマラガ戦より、平日の夜だというのに場内を満員にして応援してくれるサポーターの前ではあまり恥ずかしいことはできないという程度ぐらいにしか、改善はしておらず、ボールはほぼ相手に支配されっぱなし。それでも前半27分、グリースマン、フェルナンド・トーレスとパスが繋がり、最後はフィリペ・ルイスが決めて先制してくれたから、助かったの何のって。 ▽え、ここまで最も多いシーズンでも3得点しかしていないフィリペ・ルイスがマラガ戦に続いてゴールだなんて、珍しいこともあるじゃないかって?そうですね、ただ本当にその1点は貴重で、何せその後、チャンスを迎えたトーレスはゴール左すぐ前からのシュートをポストに当ててしまうし、撃ち直しもサイドネットへ。GKルリと1対1だったカラスコも相手の正面に蹴って追加点にならないんですから、まったく困ったものです。おまけに後半になると、シメオネ監督も次の永遠のライバルとの対戦を考えたんですかね。相変わらず1-0というあやういスコアだったにも関わらず、ソシエダがイエローカードを連発する展開に怖くなったか、26分にはグリースマンをコレアに交代。ベンチに避難させることに。 ▽これでガメイロもガイタンも負傷でいないため、カンテラーノ(アトレティコBの選手)以外のアタッカーが尽きたアトレティコは36分、トーレスもヒメネスに代え、CBの彼をボランチにして守り倒す体制に入ったんですが、この頃からだったでしょうか。シメオネ監督が激しい身振りで、「Estan dormidos? Alenta, que pareces del Real!/エスタン・ドルミードス?アレンタ、ケ・パレセス・デル・レアル(眠っているのか?まるでマドリーのファンみたいだぞ。応援してくれ)」とスタンドを鼓舞。いやあ、その日は遅いスタートでもう午後11時を回っていましたし、一応、リードしていましたし、ソシエダもエリア外からのシュート程度で「No hemos llegado al area con peligro ni ocasiones/ノー・エモス・ジェガードー・アル・アレア・コン・ペリグロ・ニ・オカシオネス(ウチは危険を伴って敵エリアに入ることもチャンスもなかった)」という状態でしたからね。 ▽何というか、ほとんど攻めていかないチームにどう対応していいか、ファンも考えあぐねていたところもあったと思うんですが、シメオネ監督の指示に忠実なのは選手もファンも同じ。ええ、終盤、数度のCKでコケとカラスコが時間稼ぎするのやら、ヒメネスがミドルシュートを飛ばすのを見守りながら、声の限りカンティコ(節のついたシュプレヒコール)を大合唱。うーん、ほとんどはダービーに向けて、お隣さんを落とす類いでしたけどね。そうこうするうちにタイムアップとなり、アトレティコは1-0で勝利をゲット。これで翌日のバルサvsセビージャ戦を待つことなく、2節連続の3位を死守することができました! ▽ちなみにミックスゾーンではソシエダ側から、「Termina el partido y ves el equipo visitante cuatro tarjetas amarillas y el local ninguna/テルニマ・エル・パルティードー・イ・ベス・エル・キポ・ビシタンテ・クアトロ・タルヘタス・アマリージャス・イ・エル・ロカル・ニングーナ(試合が終わってみれば、ビジターチームはイエローカード4枚でホームチームはゼロ)。信じられない。ベラへのエリア前でのファールには出なくて、ラウール・ナバスがカラスコを倒したらもらった。おまけにガビなんて、審判に抗議しまくりだったのに」(ジュリ)なんて文句も出ていたんですが、いや、アトレティコも結構、ファールをスルーされていましたからね。そういうこともあるということで、何よりあと1枚で出場停止だったコケとサビッチが難を逃れたのは有難かったかと。 ▽だって、水木金と過ぎてもガメイロもガイタンも回復せず、更にはブルサリコもモヤもアウグストもチアゴもリハビリ中のアトレティコには戦力的にまったく余裕がないんですよ。そうなると、リーガ5連勝で「Llegamos al Bernabeu en un muy buen momento/ジェガモス・アル・ベルナベウ・エン・ウン・ムイ・ブエン・モメントー(とてもいい時期にベルナベウに乗り込める)」(ゴディン)ぐらいは言っても良くても、とても「Llegamos al derbi en un momento inmejorable/ジェガモス・アル・デルビ・エン・ウン・モメントー・インメホラブレ(ウチはこれ以上ない時にダービーを迎える)」(フィリペ・ルイス)なんて、恐れおおいかと。 ▽いえ、中にはグリースマンのように「Me veo favorito, confio en mis companeros y en el entrenador/メ・ベオ・ファボリート、コンフィオ・エン・ミス・コンパニェロス・イ・エン・エル・エントレナドール(ボクらが本命だと思う。チームメートと監督を信頼しているよ)」と強気な選手もいますけどね。サンティアゴ・ベルナベウでのリーガ戦ではここ3連勝中とはいえ、できれば、彼には試合前にPK練習の時間も作ってほしいかと。ここ5試合1失点と、堅固さを取り戻した守備陣にもマラガやソシエダのアタッカーとBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)は格が違うことを今一度、思い出してもらいたいと私が願っていたところ…。 ▽翌日のプチダービーではその誰1人、ブタルケのピッチに現れなかったんですよ!ええ、今季から1部で頑張っているマドリッドの新弟分、レガネスとの試合ではロナウド、ベイルが招集外だっただけでなく、ベンゼマも控え、ご当地出身選手であるカルバハルまで累積警告の瀬戸際にあるということでベンチ見学に。前節のアラベス戦から7人も先発を変えたものの、ジダン監督も後で「Para mi no ha sido una apuesta atrevida, ha sido normal/パラ・ミー・ノー・ア・シードー・ウナ・アプエスタ・アトレビーダ(自分にとっては思い切った賭けではなかった)。ウチは全員いい状態で、多くの選手を変えることができる」と言っていた通り、やはりチーム力に差がありすぎたようです。 ▽実際、マドリーはキックオフから落ち着きのなかったレガネスのミスを利用して、前半15分にはアセンシオが敵陣をドリブルで走破。そのラストパスをハメス・ロドリゲスが決めてあっさり先制すると、その3分後にも今度はハメスのCKをナチョが繋ぎ、モラタの山なりのヘッドが2点目に。更にモラタが22分にコバチッチのアシストで3点目を入れ、早くも勝負はついたかと思われたものの…そこからいきなり、「con el 0-3 nos hemos relajado un poco/コン・エル・セロ・トレス・ノス・エモス・レラハードー・ウン・ポコ(0-3になって、ウチはちょっとリラックスしてしまった)」(ナチョ)はどうにもいただけません。ええ、31分にはディエゴ・リバスが右サイドを抜け出し、ガブリエウにゴール前から1点を返された上、その2分後にはCKからシオバスが繋いだボールをルチアーノに決められ、あっと言う間に1点差になっているんですから、スタンドを埋め尽くした地元サポーターもどんなに喜んだことか。 ▽でもねえ、気合も新たに同点を目指すはずだった後半開始直後、キャプテンのマントバーニがハメスのFKをバレーボールのトスもどきで自陣ゴールに入れてしまっては元も子もありません。いえ、主審はその前でジャンプしたモラタが大きくてよく見えなかったのか、得点者を彼にしていましたけどね。それをいいことにハットトリック達成と、いそいそ試合球を持ち帰り、チームメート全員にサインしてもらっていた当人にモヤッとした気持ちは微塵もなかった?この4点目があまりにショックだったか、エル・ザールもおたふく風邪で休んでいる、その後のレガネスは得点を増やすことができず。 ▽おかげで注目どころになってしまったのが、25分に最初の交代となったハメスが「La concha de tu madre, no me pone un partido completo/ラ・コンチャ・デ・トゥ・マドレ、ノー・メ・ポネ・ウン・パルティードー・コンプレトー(バカ野郎、ボクは試合丸々プレーされてもらえないのか)」と激怒。移動式で簡素な造りのブタルケのベンチの壁を力任せに叩いて、器物破損の罪になりかねなかったことですが、その日、大活躍だったアセンシオも、彼と交代にピッチに入ったイスコも、少ないプレー時間内にできるだけアピールしようと頑張っている仲間同士なんですから、あまり悪目立ちするのもどうかと。 ▽結局、終盤はアシエル・ガリターノ監督もこの日曜の最下位オサスナとの残留を懸けた大一番に備え、主力を温存していましたしね。2-4で試合は終わり、直前にセビージャに3-0と快勝していたバルサに一時、抜かれていた順位も元に戻ったマドリーは満足して家路を辿ることに。ちなみにこちらはレガネス戦でも負傷者が増えることはなく、先週末に今季3度目となる左太ももの負傷で全治3週間となってしまったバラン以外は皆、コンディションに問題なし。ジダン監督も金曜には元気な選手全員をバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習施設内にある宿泊所に合宿させていましたしね。 ▽実際、あれだけレガネス戦で働いたアセンシオレベルでも当日のベンチに入れるのかどうか、定かでない辺り、本当に贅沢なチームなんですが、スポーツ紙などによると、縁起を担いでか、昨年5月CLミラノ決勝で先発したメンバーをリピートするとか。そんな今シーズン後半戦のマドリーダービーは土曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)キックオフ。11月はカルデロンで0-3と完敗してしまっただけにアトレティコも今回はリベンジに燃えているはずですが、心配なのは当人は普通の顔で練習していたんですが、あのコケの強盗事件被害のせいで、せっかくこのところ、ツキに恵まれている運気が下がってしまわないかということ。 ▽何せ、どの試合でも守備で気が抜ける時間があるお隣さんでも、ダービーとなると気合が入りますからね。勝ち目があるとすれば、そのぐらいしか思いつかない私も悪いんですが、3位確定まではアトレティコもまだ努力が必要。もちろん勝って、首位との差が勝ち点7になれば、セビージャとの9差を4試合で引っくり返したような棚ボタもあるかもしれないとはいえ…いやいや、2位のバルサも好調ですし、いくら私でもそこまで夢を見てはいませんって。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.08 10:00 Sat
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【六川亨の日本サッカー見聞録】高倉ジャパンの国内初陣。ポスト澤は出現するか

▽今週末の9日は、熊本地震復興支援マッチとして開催される、日本女子代表vsコスタリカ女子代表の試合を取材に行く予定だ。昨年の4月に監督に就任した高倉麻子氏にとって、この試合が国内初戦となるのはちょっと意外だった。昨年3月、地元で開催して出場権を逃したリオ五輪アジア最終予選以来の国内マッチということになる。 ▽チームもだいぶ様変わりした。2011年ドイツW杯と2015年のカナダW杯で優勝、準優勝、そして2012年のロンドン五輪で銀メダルを獲得した“なでしこジャパン”から、MF澤は引退して結婚。彼女以外にもMF宮間やFW永里(大儀見)、FW大野、MF川澄、DF岩清水、GK福元らはチームを去った。 ▽変わって現在の主力は、106試合の最多出場記録を持つMF阪口(日テレ・ベレーザ)、94試合のMF宇津木(シアトル・レインFC)、DF熊谷(オリンピック・リヨン/85試合)、DF鮫島(INAC神戸/76試合)といったこれまでのメンバーに、今年3月のアルガルベカップに出場した選手に加え、3人の初招集選手を含むフレッシュな顔ぶれとなった。 ▽その3人だが、FW上野(愛媛FCレディース。20歳)は昨年のU-20女子W杯で5ゴールを決めて得点王に輝いた。MF大矢(愛媛FCレディース。22歳)はU-23日本女子代表からの昇格組。そしてMF隅田(日テレ・ベレーザ。21歳)は、なでしこリーグを連覇中の日テレでレギュラーとして活躍しているなど、将来が楽しみな選手でもある。 ▽彼女たち以外にも、なでしこリーグ得点王のFW田中(日テレ・ベレーザ)や、やっと代表で結果を出せるようになったFW横山(AC長野パルセイロ・レディース)らが名を連ね、現時点でのフルメンバーと言っていい顔ぶれだ。 ▽高倉ジャパンの当面の目標は、来年に控えているフランスW杯(2019年開催)のアジア予選となる。もちろんW杯は通過点であり、その先に待つ2020年の東京五輪でメダル獲得が期待されている。その第1歩となるのが、今回のコスタリカ戦でもある。 ▽澤という不世出の偉大な選手を失った日本女子代表ではあるが、今回のメンバーからポスト澤が育つことを期待したい。そして高倉ジャパンはどんなサッカーをするのか。こちらも興味の尽きないところである。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2017.04.07 12:18 Fri
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【倉井史也のJリーグ】6日に残りの日程が発表されたけど、どうなんだこれは?!の巻

▽まぁ一つ言っておきますとね、今年はJ1とJ2が同じ日に開催されちゃうし、土日にまたがって混在するから、あれ? これってJ1だっけJ2だっけってメッチャ迷うことないですか? だって日曜の好カード、首位・東京Vvs4位・湘南って、なんか1994年のニコスシリーズを思い出すんですけど。あぁ、そう言えばあのときは、V川崎と平塚だったかなぁ。 ▽で、どうしてこんな話題から始まったかというと、これが編集部には熱心なヴェルディファンがいらっしゃいまして。きっと仕事が手に付いていないだろうし、この原稿を読んでさらにポーッとするでしょうから、その間に原稿料値上げの交渉を……ウシシ。てな感じなのですが、ホントはこうやって混在することでみんなの興味を掻き立てているのか、あるいは混乱を招いているのか、ワタクシは微妙かななんて思ってるのです。モード切替ちょっとうまくいかない的な。6日に後期分の日程が発表されたから、もういろんな調整はできないんですけど、こういう部分にもみんなの声を寄せてったほうがいいんじゃないかなと。 ▽そんな中で、やや肌寒いぐらいのこの時期だからこその楽しみってものがあるんですよ。それが試合のハシゴ! もうちょっと気温が低いとナイトゲームは少ないし、もう少し暑くなるとナイトゲームだけになるのです。実はここ数年、なかなか実現できない楽しみだったのですが、今回は3月18日の日産スタジアムから味の素スタジアムという強行移動に比べて楽! しかもそのうちの1試合では、今Jリーグで最も楽しみな男、小林悠が見られるはず。 ▽14時、いそいそと等々力に赴き、川崎vs甲府を観戦しましょう。16時に終わり、ゆったりとした気分で武蔵小杉に歩いて行っても16時30分。菊名まで東急東横線に乗り、菊名から横浜線で1駅行くと、なんともう新横浜なのです。所要時間はだいたい20分ぐらい。 ▽どうすか、これ。たっぷり堪能できる土曜日になりそうでしょ? で、このままの流れで日曜14時、駒沢の東京Vvs湘南見たら、そりゃもうオツム一杯に疲れてて余計にJ1かJ2かなんてわからないでしょ。それ、困りませんか。 ▽それにしても一日に2試合見られる日程、万歳! いやぁ、今年の改革のおかげですかね?! あ、ホントはディヴィジョンがわからないからって文句付けようと思ってたんですけど!!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.04.07 12:16 Fri
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【東本貢司のFCUK!】「地獄の4月」はまだ終わらない

▽全チーム6試合のすし詰めスケジュール、曰く、プレミアリーグ2016-17「地獄のエイプリル」。しかも、現実的に勝ち負けがほとんど“響かない”ウェスト・ブロムを除いて、決して大げさではなく“天国か地獄か”の切羽詰まった状況。ヨーロッパで勝ち残っているレスターとマンチェスター・ユナイテッドには、さらに2試合多くのしかかってくるわけだから、気の遠くなる強行軍となる。ちなみに、FAカップ準決勝組(アーセナル、マン・シティー、チェルシー、スパーズ)については、それぞれ当初予定のリーグ戦が後回し開催にされるため、試合数の増減はない。いずれにせよ、常日頃以上に気の抜けない、一試合一試合が“カップファイナル”・・・・そのせいか、このミッドウィークに行われたゲームはどれをとっても火の出るような激戦続出となった。ファンにとってはこたえられない? いいや、プレーヤーたちの体が、バックラッシュが、来シーズンが思いやられる。 ▽それにしても、ネット視聴のおかげでほぼ全試合をライヴでザッピングできるのはいいが、無論、それではゲームの機微をじっくり見極められず、痛しかゆしの考え物。だからだろうか、このミッドウィーク最大の目玉、チェルシー-シティー戦が一等“胸が騒がない”展開と結果に見えた。序盤に全得点が記録されたこともあったろうし、いつもより厳しいチェックでかかってきたシティーと、ボール支配にこだわらない効率とめりはりで受けて立ったホーム、チェルシーのコントラストが、なぜかつまらないものにさえ思えたほどだ。試合前日、シティーのグアルディオラは、「コンテは最高の指揮官かもしれない」などと、褒め殺しにも聞こえる“マインドゲーム”を仕掛けたものだが、蓋を開けてみればそんな“ベストチーム”に真っ向から挑戦するかのごとき、シティーイレヴンの覇気と熱気を目の当たりにできたにもかかわらず、にだ。ひょっとしたら、今シーズン屈指のゲームと評価すべきかもしれない。これは改めて後ほどリプレーでじっくりおさらいする必要がある。 ▽それはさておき、最もドラマティックな展開になったのはスウォンジー-スパーズで、フットボールの醍醐味を十二分に見せつけてくれたのはサウサンプトン-クリスタル・パレス、内容の妙味の点で唸らされたのがアーセナル-ウェスト・ハム、というのが、5日水曜日(日本時間では6日深夜)に行われた6試合の個人的“総括”。ああ、それにリヴァプールにミソをつけたボーンマスの、どこかとらえどころの難しい二枚腰も忘れてはいけない。まだまだ実質的に残留争いの渦中にいるボーンマスだが、ここまでスコアに関わらず、ほぼ全試合、侮りがたい、かつ、味のあるゲーム運びで出色のチームと言ってはばからない。少々先走りすぎるが、たとえ運悪く降格の憂き目に遭ったとしても、2016-17プレミアシップの「チーム・オヴ・ザ・シーズン」として記憶にとどめたいくらいだ。主というべきか、その名もジョシュア・“キング”と、笑顔が憎めないベキク・アフォベの前線コンビは意外性の塊、左ウィングバックのチャーリー・ダニエルズの迸る汗も頼もしい。実に好ましい集団、ジャック・ウィルシャーが「ここにいたい」とほだされるわけだ ?! ▽ホームでしびれるような終盤のゴール連発で快勝したサウサンプトンも、日に日に好感度が増してきた感十分。このパレス戦、前半2度のPK疑惑を見過ごされても萎むことなく攻守に粘り抜いたチームの一体感は、圧巻の一言に尽きた。筆者のマン・オヴ・ザ・マッチ、ネイサン・レドモンド以下、ファイターの粒も揃って容易に腰を割らない。勝ち越しゴールがなぜかゴール前ファーポストに居残っていた吉田麻也から、というのはおまけ・・・・と言っては可哀そうか(笑)。自身今シーズン初ゴールがよほどうれしかったのか、パフォーマンスも堂に入って、今や決して格も名前負け(?)もしないセインツのキャプテン。一時、これは戦力外に向かうかとさえ思われたにしては、よく這い上がってこれたと思う。フォンテの移籍という運があったにせよ、与えられたチャンスを不足なく務めて、クロード・ピュエルの信頼を勝ち取った恰好。今のところ、史上最高の日本人プレミアリーガーと称しても言い過ぎではなさそうではないか。代表ではちと物足りないとはしても。 ▽今回の締めに、レスターについて少々。現地メディアが「蘇った、生まれ変わった」とまで誉めそやすほどに、すっかり昨シーズン並みのエッジが随所に見られるようになった。最下位サンダランドが相手だったとはいえ(サンダランドも前半は善戦した)、主役たちがきっちり役どころを発揮して快勝で片を付けるところが、再生、復活の所以。孫と遊園地に行ったりして命の洗濯中のクラウディオおじさんも、さぞかし誇らしく、かつ胸をなでおろしていることだろう。司令ドリンクウォーターと左の“槍”フークスの本領発揮が大きい。何度も言うが、思わぬミラクル優勝とチャンピオンズ参戦で、フォクシーズはつい、何かを見失って“借り物”状態になってしまっていたのだろう。ラニエリ解任は痛恨の極みだったが、それが原点に戻る格好の引き金に(結果的に)なったのだ。ひょっとしたら、凱旋復帰だってなくはない? それはともかく、ますますチャンピオンズが楽しみになってきた。是非、戦々恐々となっている(?)アトレティコを青ざめさせてやってくれ!【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.04.06 11:35 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】上手い話には裏がある?

▽「こうまでトントン拍子だと却って不安かも」そんな風に私がソワソワしていたのは月曜日、AS(スポーツ紙)の記事に1カ月前、4位のアトレティコと3位のセビージャの勝ち点差は9あったと思い出させられた時のことでした。いやあ、これにはシメオネ監督も「ウチがいい結果を出しているだけでなくて、予想外にセビージャと3位を分け合うことになった」と正直、驚いていたようですけどね。実際、彼らがここ4連勝しているのは感服ものですが、その間、来季のCLグループリーグ直接出場権を争うライバルは3分け1敗という不甲斐ない有様。おまけに唯一の黒星がそれこそ、アトレティコ相手の3-1負けと、ゴールアベレージで遅れを取ったため、同じ勝ち点で並んだ現在、セビージャの方が4位になっているなんてもう、ほとんど冗談としか思えないじゃないですか。 ▽更に加えて、3月中は4位のCLプレーオフ出場権獲得を僅かな勝ち点差で争っていた後続のレアル・ソシエダとビジャレアルも停滞期に突入。ここ4試合、前者は1勝1分け2敗、後者は2勝2敗と取りこぼしがあったため、今では5位とは9ポイント、6位とは10ポイントも差がついているとなれば、来季新装オープンするホームスタジアム、ワンダ・メトロポリターノでヨーロッパリーグの淋しい木曜の夜を過ごす心配はもうしなくていい?うーん、リーガの残りはあと9試合、この1カ月とは真逆の不幸がアトレティコを襲うことも考えられますからね。やっぱりここは滅多にないツキが巡ってきたなどと油断せず、「Ahora hay que sostenerlo/アオラ・アイ・ケ・ソステネールロ(今はこれを維持しないといけない)」(シメオネ監督)という姿勢で挑まないといけませんよね。 ▽ちなみにそんなアトレティコの先週末のマラガ戦は、これもやっぱり運が良かったとしか言いようのないもので、いえ、序盤に空中戦でミゲール・トーレスと争ったサビッチが相手の上に落下して、気の毒にも早々に交代枠を使わせてしまったのは別に意図してのものではないんですけどね。この日のアトレティコはガメイロ、ガイタンが負傷欠場、カラスコは出場停止とあって、先発にカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)6人が並ぶという、珍しい事態に。そのせいとは言いたくはないんですが、ほとんどパスが繋がらず、下位に低迷しているマラガにボールを支配されるという不本意な展開になっていたため、私も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で頭を抱えて眺めていたところ…。 ▽いきなり度胆を抜かれたのは前半25分、コケからパスを受けたフェルナンド・トーレスはエリア直前で敵DF2人に潰されしまったですが、計算付くだったのか、偶然だったのか、ボールがゴールの方向に転がります。そこへ駈け込んで来たコケがシュートして、先制点を奪ってしまったから、呆気に取られたの何のって。だってえ、それまでアトレティコはほとんど攻撃らしい攻撃ができていなかったんですよ。まるで狐に化かされたような気分でしたが、後半早めには、ボールを失いまくって手の付けられなかったトマスをコレアに代えても何も起きずに20分程が経過。ようやく29分になって、グリースマンがエリア内でトーレスに繋ぐと、そこからオーバーラップしたフィリペ・ルイスにパスが通り、彼のvaselina(バセリーナ/ループシュート)で2点目が決まった時もそれは同じだったかと。 ▽結局、「Veniamos con dos juveniles, dos centrales en el banco/ベニアモス・コン・ドス・フベニレス、ドス・セントラレス・エン・エル・バンコ(ウチは2人のユース選手を連れて来て、ベンチには2人のCBがいた)」(シメオネ監督)ということで、その後はゴディンとヒメネスを投入。実質、ピッチにCBが4人という状態でリードを守り切り、0-2で勝利したアトレティコだったんですが、「Tienen dos ocasiones y son dos goles/ティエネン・ドス・オカシオネス・イ・ソン・ドス・ゴーレス(2回のチャンスがあって、2ゴールを入れた)」(ファンカル)というマラガの言い分も本当ですからね。それでもあれだけひどいプレーをしながら、決して恥じることも憶することもなく、苦手なラ・ロサレダ(マラガのホーム)であっさり勝ち点3を手にしてしまった彼らを褒めてあげるべき? ▽ええ、シメオネ監督も「Lo que mas me refuerza es la valentia y la rebeldia ante las dificultades/ロ・ケ・マス・メ・レフエルサ・エス・ラ・バレンティア・イ・ラ・レベルディア・アンテ・ラス・ディフィクルターデス(困難を前にした選手たちの勇気と反抗心が一番、私を力づけてくれる)」と言っていましたしね。もうシーズンもこんな時期になってしまったからには、いいサッカーをするなんて難しいことは求めず、とにかく勝つのに専念してもらうしかないかも。おまけにその日、2アシストで貢献したトーレスが「Metimos presion al Sevilla/エル・オブヘティボ・エス・セル・テルセーロス・イ・メティモス・プレシオン・アル・セビージャ(ボクらはセビージャにプレッシャーをかけた)」と言っていた通り、翌日曜正午からの試合でサンパオリ監督率いるチームは意外にも、降格圏にいるスポルティングとスコアレスドロー。 ▽そのおかげでアトレティコは3位に居座ることができたんですが、もちろん今週はミッドウィークにもリーガがあるため、1日天下で終わってしまう可能性もありますからね。何せ、日月の練習ではガメイロもガイタンも回復せず、戦力的にはカラスコが戻ってくるだけで、火曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)からのソシエダ戦は到来。加えて、今週末の土曜にはマドリーダービーが控えているとなれば、あとイエローカード1枚で累積警告になってしまうコケとサビッチを使うのかどうかも考えどころですが、丁度そんな節に限って、セビージャがカンプ・ノウでのバルサ戦なんて偶然も怖いくらい、ツイているような気がしないでもなくて…。 ▽え、そうは言っても先週末、いい試合をしていないのに勝ったのはアトレティコだけではなかったんだろうって?その通りで日曜にサンティアゴ・ベルナベウにアラベスを迎えたお隣さんもなかなかゲームの方は盛り上がりませんでしたね。ちなみにその一戦、キックオフ前にはfondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏席)に若くして事故死を遂げたレアル・マドリーのレジェンド、ファニートの25年周忌を偲んで、「No te olividamos/ノー・テ・オルビダモス(決して君を忘れない)」という文字と共に背番号7の大きな幕が広げられ、雰囲気たっぷりにスタート。運悪く、開始9分で久々の負傷明け出場だったバランが再び、同じ部位を痛め、カルバハルと交代しなければならなかったのも士気に影響したのかもしれませんが、これが30分には災い転じて福となってくれたから、助かったの何のって。 ▽そう、先発したダニーロを左SBに回し、右SBに入ったカルバハルがエリア内奥から出したクロスをベンゼマが撃ち込んでマドリーが先制点を挙げたんです!いえ、実はこれ、後でペレグリーニ監督も「La jugada la he visto en el vestuario. Es fuera de juego/ラ・フガダ・ラ・エ・ビストー・エン・エル・ベストゥアリオ。エス・フエラ・デ・フエゴ(そのプレーはロッカールームで見た。オフサイドだった)」と言っていたように、ベンゼマの位置がアラベスのDFより前だったんですけどね。現時点のリーガには予算の関係もあって、VAR(ビデオ審判)の制度は導入されていないため、主審がその場でゴールと言えばゴール。ただそれ以外はほとんどパッとしたアクションがなかったのは、いえバスの正確さは別ですが、マドリーもアトレティコと同じです。 ▽そして1-0でリードして迎えた後半、アラベスも今季の伏兵、コパ・デル・レイ決勝進出チームの面目を懸けて反撃をしてきたんですが、先週は各国代表でプレーしてきた選手も多く、疲れが出始めた相手が「Perdimos muchos balones, cosa que no suele pasar/ペルディモス・ムーチョス・バロネス、コーサス・ケ・ノー・スエレ・パサール(沢山のボールを失った。ウチではあまりないことなんだが)」(ジダン監督)という状態になってくれたにも関わらず、このチーム、本当に決定力が低いんですよね。おかげで1月にメンディソローサ(アラベスのホーム)で戦ったアトレティコなども近年稀に見る最低の出来と言われながら、どうにかこうにか0-0で凌ぐことができたんですが、そこはたとえ調子が悪い時でもいきなり点を取れるマドリー。 ▽ええ、後半40分、クリスチアーノ・ロナウドのパスをその日、カセミロが出場停止だったため先発のチャンスをもらったイスコが、「Tenia poco angulo y ahi o le pegas fuerte arriba o nada/テニア・ポコ・アングロ・イ・アイー・オ・レ・ペガス・フエルテ・アリーバ・オ・ナーダ(角度がほとんどなくて、あれは強くゴールの上部に向けて撃つか、何にもなしかだった)」と、勝敗を決定づける2点目にしてしまったから、まったく意表を突いてくれるじゃないですか。うーん、彼は先週、スペイン代表のW杯予選イスラエル戦でも大人数の敵DFの間を通り抜けていく不思議な4点目を決めていましたけどね。こういう他とは違ったゴールを挙げられるのも、当人の特異な才能のおかげでしょうかね。 ▽その2分後にもベイルのFKがゴールバーに弾かれて戻ったところを、バラン交代で左SBからCBに移っていたマルチDF、ナチョがヘッドで追加点を入れたマドリーは、終わってみれば3-0の完勝。まったくもって「Sabemos que en cualquier momento le podemos hacer dano al rival/サベモス・ケ・エン・クアルキエル・モメントー・レ・ポデモス・アセール・ダーニョ・アル・リバル(ウチはどんな時でも敵に打撃を与えられることを知っている)」(ジダン監督)というチームならではの勝ち方だったかと。ただその日、唯一残念なことがあるとすれば、これで一時、首位との勝ち点差を5にされ、プレッシャーをかけられたはずの2位バルサも後半に3点を入れて、グラナダに1-4と勝利。結局、差を広げられなかったことでしょうか。 ▽とはいえ、マドリーにはまだ延期したセルタ戦も残っていますし、何より次はレガネスとのプチダービーですからね。代表戦週間前にはセビージャと、この土曜はソシエダと1-1で引き分けて、アトレティコの手助けをしてくれたマドリッドの新弟分ですが、現在、3位と首位の差は勝ち点10もあるため、今更、焼石に水ということもありますし、さすがに今季初めて1部で戦っている後輩にそこまで期待するのはいささか荷が重いかと。それだけでなく、ジダン監督は先週末、セルヒオ・ラモス、マルセロ、ケイロル・ナバス、ハメス・ロドリゲスらも温存している上、負傷欠場はバラン以外いないとなれば、水曜午後9時30分からの一戦は、徹夜してチケットをゲットしたブタルケ(レガネスのホーム)のファンには申し訳ないものの、下剋上を起こすのはちょっと無理っぽい?残留確定のため、勝ち点3ずつ積み上げるアシエル・ガリターノ監督の計画は週末のオサスナ戦から再開するしかないかもしれません。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.04 10:37 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】パリも試合も良かったけど…

▽「これも一種のFIFAウィルスなんだろうか」そんな風に私が首を捻っていたのは木曜。アトレティコのツィートでparte medico(パルテ・メディコ/負傷者レポート)が届いたので読んでみたところ、いえ、ガメイロは火曜の親善試合でフランス代表のメンバーとしてフル出場していましたから、左太ももを痛めたと言われれば、そうなんだと思うしかないんですけどね。居残り組だったGKモジャも太ももをケガ、せっかく先週契約を1年延長したばかりというのに日曜のマラガ戦のベンチに入れなくなってしまったのはともかく、今回はアルゼンチン代表に呼ばれず、ずっとマダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で体力向上のスペシャルメニューに励んでいたガイタンまでが左足の指を痛めて練習に出られなかったって一体、どんな特訓をしていたの? ▽シメオネ監督の2年越しの願いが叶い、去年の夏にベンフィカから移籍してきたガイタンはアトレティコへの適応に時間がかかっていて、これまでのところ頻繁にプレーしている訳ではないため、別にいいって言えばいいんでしょうけどね。ちょっとタイミングが悪かったのは、次節はカラスコが累積警告で出場停止になるため、サイドに1つ空席ができること。となると、メッシが先週木曜のW杯南米予選チリ戦で試合後、審判に悪態をついたことを咎められ、月曜のボリビア戦から4試合の出場停止処分に入ってしまったため、急遽先発となったコレアをまた右サイドにして凌ぐしかないんじゃないかと思いますが、標高3600メートルのラパスでプレーした当人はアルゼンチン代表に大した貢献はできず。チームも2-0で負け、疲れ果てて帰って来そうなのは懸念材料かも。 ▽逆に今回、スペインのU-21代表に下りて、6月のユーロに向けた調整試合のデンマーク戦、イタリア戦の両方で得点。丁度、入れ替わりでデウロフェウ(ミラン)が大人の代表へ呼ばれていたため、キャプテンの大役まで仰せつかったサウールには期待できるかと思いますが、さて。何せ、リーガも残り10試合とあって、いよいよシーズンの良し悪しが決まる一番大事なフェーズに入りますからね。ゴディンやヒメネス、フィリペ・ルイスら、他の中南米代表組は元気に木曜の夕方練習に参加したようですが、皆、早めに時差呆けが解消してくれることを願っています。 ▽え、再開されるリーガが気になるのもわかるけど、スペインとフランスの親善試合はどうだったのかって? いやあ、実は今回、会場がスタッド・ド・フランスというところに惹かれ、私も便乗させてもらうことに。マドリッドからは空路2時間と近い割に卒業旅行以来、ご無沙汰していたパリだったため、昼間、エッフェル塔に登るのに1時間半並ぶなど、ついつい観光に精を出してしまったのがいけなかったんでしょうかね。 ▽午後9時という遅めのキックオフだった前半は序盤こそ、いきなりフランス勢で最近、知名度と人気が赤丸急上昇していたエムバッペ(モナコ)のシュートをGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)がparadon(パラドン/スパーセーブ)したり、ピケ(バルサ)によるライン上でのボールクリアがあったりして、ドッキリとさせられたものの、後はお約束通り、チャンスはあまりないまま、スペインのボール独占状態に突入。30分過ぎにはスタンドのフランスサポーターも退屈が高じて、ウェーブを場内何周も繰り返していましたし、私も眠気が襲ってきたらどうしようと心配になっていたところ…。 ▽大丈夫、後半に入ってすぐに動きが生じます。それはグリーズマン(アトレティコ)で、当人も試合前の記者会見で、「Es un orgullo jugarlo y asi podre vacilar a Koke/エス・ウン・オルグージョ・フガールオ・イ・アシー・ポドレ・バシラル・ア・コケ(スペインと試合ができるのは名誉なこと。これでコケをからかうことができる)」と宣言していたのを撤回するのはイヤだったんですかね。ジャレ(リヨン)、クルザワ(PSG)と繋がったボールをゴール前からヘッド。見事にデ・ヘアを破り、当人も大喜びでコーナーフラッグまで走ってチームメートと祝ったにも関わらず、この日、試験的に採用されていたVAR(ビデオ審判)がここで登場。スペインがキックオフする直前でゴール無効を主審に連絡してきたから、驚いたの何って。 ▽うーん、グリーズマンによると、「自分はオフサイドじゃなかったと思うけど、後でガメイロがそうだったって言われた」とかで、クラブの同僚が先制点ゲットの障害になったとは何とも皮肉。ただこれでその日、ピッチにいた3人目のアトレティコ、コケがグリーズマンにからかわれることはなくなったかと、私もホッとしたんですが、スペインの攻撃が活発化したのはイニエスタ(バルサ)、イスコ(レアル・マドリー)がチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)、シルバ(マンチェスター・シティ)に、とりわけペドロ(チェルシー)がデウロフェウに代わった後のことでした。ええ、67分にU-21の真正キャプテンがエリア内でコシエルニ(アーセナル)に倒され、PKをゲット。これをシルバがしっかり決めて、とうとうスペインはリードを奪うことに成功です! ▽そこからおよそ10分後、今度はジョルディ・アルバ(バルサ)のラストパスをゴール前に抜け出したデウロフェウがネットに蹴り込んだんですが、この時は線審がフラッグを挙げていたため、当人も「Lo meti por si acaso. Al principio pensaba que lo habian anulado/ロ・メティ・ポル・シー・アカソ。アル・プリンシピオ・ペンサバ・ケ・ロ・アビアン・アヌラードー(念のためにシュートを決めたけど、最初は認められないだろうと思った)」と言っていたように、またVARの判定を待つ破目になったんですよ。何ともじれったい間でしたが、結果は吉と出て、デウロフェウはオフサイドにあらず。ようやくスペインの2点目がスコアボードに現れます。 ▽その後はフランスの反撃も実らず、スペインは0-2で勝利と、これで昨年の夏、2016年ユーロでイタリアに負け、ベスト16敗退が決まった悔しいサンドニの地でリベンジを果たせたんですから、何とも嬉しい限りじゃありませんか。え、VARがなかったら、この試合、1-1で終わったんじゃないのかって? そうですね、ただロペテギ監督も「España no ha ganado el partido por el VAR/エスパーニャ・ノー・ア・ガナードー・エル・パルティードー・ポル・エル・バル(スペインはVARのおかげで勝った訳じゃない)。選手たちの努力と野心、サッカーで勝ったんだ」と言っていたように、フランスを圧倒していたのは事実。もちろん「VARは公正さに寄与した。使われた2度の機会で正しい判定をしたのだから」(ロペテギ監督)ということもありますが、要はこれが「Es una pena porque se pierde un poco lo que es el fútbol/エス・ウナ・ペナ・ポルケ・セ・ピエルデ・ウン・ポコ・ロ・ケ・エス・エル・フトボル(サッカーというものが少し、失われるのは残念だね)」(グリーズマン)ということになるのでしょうか。 ▽試合の方はそんな感じで、世代交代が進んだスペインも先週のW杯予選イスラエル戦に続き、少しずつ強さの片鱗を見せてくれるようになったため、今回の代表戦はいい手応えだったで終われるはずだったんですけどねえ。それが世の中には常にスポットライトを浴びないと気が済まない選手がいて、ゲーム中は「お騒がせツイートや爆弾発言がないと、代表じゃ結構、地味よね」と何気に思っていたピケ(バルサ)がミックスゾーンでオンステージを始めたから、驚いたの何のって! いえ、大活躍だったデウロフェウや滅多に見られないエムバッペやラビオ(PSG)も丁度、インタビューを受けていたため、私も延々、15分間ずっとピケの側にいた訳じゃないんですけどね。 ▽後で内容をまとめて聞いたところ、先日、マドリーのレジェンド、ラウールが将来、バルサで働くことを否定しなかったことについて尋ねられたのが発端となり、「Del Madrid no me gusta los valores que transmite/デル・マドリッド・ノー・メ・グスタ・ロス・バローレス・ケ・トランスミテ(マドリーの伝える価値観が好きじゃない)」と言い出すって、いや、当人が代表のチームメートはともかく、永遠のライバルをとことん嫌っているのは知っていますけどね。始めは私も大枚をはたいて才能に余りある選手を集めながら、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)に代表される、絶対に諦めない精神を強調するところかなと思ったものでしたが、いえいえ、とんでもない。 ▽「気に入らないのはcómo mueven los hilos de este país/コモ・ムエベン・ロス・イーロス・デ・エステ・パイス(この国の中枢を動かしていること)。パルコ(貴賓席)でペレス会長の隣にメッシやネイマールを訴えた人物がいて、クリスチアーノ・ロナウドは別の扱いをされている」って、まあ確かにピケの言う、マルタ・シルバ女史はスペインの法務機関で働く司法サービス担当ディレクターで、以前はマドリーの法務部に勤務していたようですけどね。脱税の証拠十分と踏んで検察が起訴に持ち込み、すでに裁判になっているバルサの2人と違って、ロナウドは事前に証明書類を提出しており、まだ捜査段階。全然、事情が違いますし、いくら何でもマドリーのお偉いさんのおかげでそんなことになっていると決めつけるって、あまりに短絡的ではない? ▽これではまるでスペイン国家はワイロや権力者の思惑で動く、発展途上国並だと言っていることにもなりますが、まあその内実は私も知りませんから、否定もできませんけどね。加えてピケは誤審問題についても一言。曰く、「マドリーとバルサが優遇されているのは自分も確信している。ボクが比べているのは優勝を争っている両チームの間での不公平さで、レガネスとじゃないんだ」そうですが、いやあ、それもマズいでしょ。マドリッドの新弟分は不利な判定をされても声高に抗議をすることはありませんが、大体、だったらCL16強対決PSG戦2ndレグであった解せないジャッジについて、「あれは歴史的な逆転劇。だったら、どうして昨季のCL決勝であったラモスのオフサイドのゴールについて批判がない?」ってもう、こう言えばああ言うの典型では? ▽きっと後でそのコメントを聞いたコケやグリーズマンは、「あの時、VARがあれば」なんて悲しい思いもしていたんじゃないかと私など、想像してしまったんですが、もうこうなると、最後は代表でもマドリーでもキャプテンのセルヒオ・ラモスが締めるしかありません。いえ、最初、「どこのスタジアムのパルコでも政治はある。でも収支決算すると、バルサはウチより黙っていた方がいいね」と始めた時には舌戦になるのかと眉をひそめたものですけどね。木曜に31歳のバースデーを迎えただけあって、こちらの対応はずっと大人。「ピケにマドリーの歴史は変えられないし、ボクらのタイトルも消せない」と余裕の笑みで、「ああいう性格だから。No lo vamos a cambiar con 30 palos que tiene/ノー・バモス・ア・カンビアール・コン・トレインタ・パロス・ケ・ティエネ(30歳にもなって変えてもらおうとは思わないよ)」って、たった1歳差で随分、違うじゃないですか。 ▽ついでに「イニエスタに言われたらクラブも不快に感じるかもしれないけど、ピケなら大丈夫」と太鼓判まで押していましたが、何ともねえ。実際、翌日もマドリーは公式コメントを出さず、クラブ関係者もピケ発言を黙殺していたんですが、これが3週間後に迫ったクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)を盛り上げるための計算づくだったとしたら、本当にいい迷惑。それどころか、引退後にバルサ会長になるため、早くもアピールをしているなんて見解もスポーツ紙などでは見られましたが、私の意見ではやっぱり、ピケはその場の雰囲気を読めない、ただの目立ちたがり屋ということにしておきたいと思います。 ▽まあ、こんな騒動も6月に次の代表戦が戻って来る時にはほとぼりも覚めていていることでしょうが、今は週末に迫ったリーガ戦のことを考えないと。マドリッド勢でまずプレーするのは早く降格圏から遠くに離れたいレガネスで、土曜にレアル・ソシエダとのアウェイ戦。ただファンの気持ちは来週水曜のミッドウィーク開催節、マドリーとのプチダービーに行ってしまっているようで、この木曜に発売のチケットを買うため、ブタルケ(レガネスのホーム)には徹夜組も現れたとか。同日、やはりアウェイでアトレティコがマラガとの試合に挑むのは午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)。3位セビージャとの差が勝ち点2に縮まっているだけに、ミチェル新監督には悪いですが、どうしても勝たない訳にはいかないですよね。 ▽そして日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)、ヨーロッパが夏時間になって、ますます日本でも見やすくなった時間にアラベスをサンティアゴ・ベルナベウに迎えるのがマドリーで、いえ、今のところ、代表戦でケガをした選手の報はないんですけどね。ベイルやモドリッチは先週末のW杯予選だけお勤めして、早々に帰京していますし、2試合で3得点してきたロナウドも故郷、マデイラ島でのスウェーデンとの親善試合には勝てなかったものの、空港に自身の名前を付けてもらい、満足して帰還。ええ、家族や彼女のジョルジーナ・ロドリゲスさんを伴って出席した命名式で披露された自分の銅像も、イロイロSNSでは面白おかしく取り沙汰されたものの、本人は気に入っていたという作者のコメントもありましたしね。きっと、アラベス戦でも頑張ってくれると思いますよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.03.31 12:31 Fri
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【東本貢司のFCUK!】平和で玉虫色の報道ワールド

▽マデイラ島プロジェクトによるクリスティアーノ・ロナウドの「胸像」がちょっとした話題になっている。制作者のエマヌエル・サントスによると「けっこう苦心した。完成に15日間かかった。本人(ロナウド)からメッセージが来て、気に入ったそうだ。もう少し若く見えるようにシワなど手を入れてもらえると嬉しいなる“意見”が添えられていだけ」なんだそうだ。“意見”とはいっても要するに「感激」をジョークめかして表現したにすぎない。32歳の現役アスリートのために胸像彫刻が制作され、故郷の空港名にまでまつりあげられたのだから、こんな名誉なことはあるまい。なにしろ、唯一の先例、ベルファスト空港の「ジョージ・ベスト空港」改名は、ベストの死後だったのだから。世界遺産にもなっている洋上の島ならではの“特権”だろうか。むろん「どちらかといえば、元アイルランド代表のナイアル・クインの方に似てる」などという揶揄も、他愛のないジョークだ。 ▽こんな“ほほえましい”ニューズも出たせいかどうかはともかく、インタナショナル・ウィーク(代表戦期間)がひとまず閉幕して、世は概ね平穏至極。マルセル・デュシャンは「玉虫色の判定齟齬」でスペインに敗れた一件をいやに鷹揚に受け止めているし、ギャレス・サウスゲイトの事実上の初陣采配も前向きな評価が大勢を占めている。ウェールズ-アイルランド戦で、クリス・コールマンの骨折を引き起こしたニール・テイラーにも、同情する気運が先行している。ウェールズのキャプテン、アシュリー・ウィリアムズの現所属が、コールマンと同じエヴァートンであり、両者を気遣う彼の言葉も不穏な感情の抑制に一役買っているようだ。そう言えば、このタイミングでミシェル・プラティニがかつての盟友、ヨーゼフ・ブラッターに愚痴の一刺しを漏らしたのも、なんとも平和だなぁと妙にほっこり。ちなみに、ブラッターの“謹慎期間”は8年、プラティニのそれは当初の8年から6年、さらに仲裁委員会によって4年に短縮されている。これも“玉虫色”だよな。 ▽そうだ、もう一つ、アーセナルをめぐる“変化の予感”についても。退団(移籍)の可能性が取り沙汰されているエース、アレクシス・サンチェスの「ロンドンが好き」発言も、その中身をよく読むと“長閑”な印象でしかない。「ロンドンが好きで引っ越しはしたくない。ただ、ウィニング・メンタリティーに優れたチームで働きたい」などと宣ったものだから、週刊文春ばりの(?)ゴシップメディアが「そうか、あいつはチェルシー移籍に傾きかけてるんだ」と、“ジョーク”でまぜっかえす。ディエゴ・コスタとアントニオ・コンテの“絶えない不仲説”を引き合いに出す。およそ現実的とは思えないことは、“彼ら”自身がわかっている。もし仮にアーセナルがサンチェスを手放すとしても、よもやチェルシー(や、まさかのスパーズ)に差し出すはずがない。英国のゴシップ文化はジョークと切っても切れない日常的伝統、もとい、伝統的日常なのだ。もちろん、間違ってその瓢箪から駒が出たら出たで儲けもの。多分何事も起こらないだろうなと高をくくっている。 ▽アーセン・ヴェンゲルの辞任説についてもしかり。ヴェンゲルの契約はもうすぐ切れる、エジルとサンチェスの移籍の噂が飛び交う中、そのエジルは遠まわしにヴェンゲル続投がカギだとほのめかす、新進FWイウォビは「ヴェンゲルは偉人」と声を上げ、不成績の責任はひとえに自分たちプレーヤーにあると強調する。一方のヴェンゲルは「エジルとサンチェスはアーセナル残留を望んでいる」と断言し、自らの去就だけは言葉を濁す。要するに、大勢は何も変わらない、もしくは、変わる気配がない。ヴェンゲルが現時点で続投希望を明確にしないのは、おそらく、不満を隠せないファンに対する一種の礼儀だと考えられる。ちなみに、イウォビ他によると「アーセナルはヴェンゲルの解任などまったく考えていない」。“変化もあり、必要”と口にするのは、お騒がせメディアと元プレーヤーも含めた“パンディット(=評論家)”たちくらいだ。そりゃそうだろう、彼らは“先を読む”のが商売。“あれやこれや”を俯瞰した物言いで“玉虫色”にしてキャリアを守る! ▽ニューズなんて所詮「話半分」である。「こういう話がありますよ」とアピールしている程度に思っておいた方がいい。要するに「ケムリを立てる」。つまり、そこでは大なり小なり何等かの意思が働いている。「モリトモ-アキエフジン」騒動の相反する報道内容を垣間見てもそれがよくわかる。いわゆるチャイナマネーが“自粛”の方向にあり、プレーヤー爆買いから大会スポンサーシップ(フットボールのみならず、バスケット、ラグビー他にまで)へ“劇的”にシフトしつつあるというニューズも、慎重に受け止める必要がある。ただ、それで法外にバカげたカネが動く流出(その実態は「孫の代まで裕福に暮らすため」の都落ち?)に歯止めがかかれば、それに越したことはない。ゆえに、少々先走りになってしまうが、この夏の「へえ」と驚く変化はほとんど期待できない。ニューズメディアが“仕事”を掘り起こそうとする、それに慣れたファンがインスタントな変化に飛びついて大騒ぎする。平和、である。本田圭祐がMLSに行くとか何とかの憶測のように。 2017.03.31 12:30 Fri
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【倉井史也のJリーグ】そりゃ首位って言ったってまだまだ先が厳しいわけですよ?! の巻

▽てかさ! これで日本が首位に立っちゃったわけでしょ。こんなときってさ、オラっちの立場ってむっちゃ微妙になるんですよ。 ▽ここで厳しいこと書いちゃうとさ、「ほーら、危機感煽って儲けようとしてる」って思われちゃうしさ、楽観的なこと書くと「そんな甘いことばっかり言いやがって」って非難されるしね。調子が悪い時って、ダメな部分を書くと「俺の思ってたこと、ちゃんと書いてある」って言われたり、明るい未来を予想すると「救われた」と感謝されたりするんですよ、これが。 ▽だいたい、オラっちに未来がわかるわけないじゃん! でもそんなこと言うと、「取材が足りない」「専門家としていかがなものか」と怒られたり、テレビやラジオの仕事で「わかりません」なんつったらもう次は呼ばれないんです。ところがこれを選手とか監督が「私は予言者ではない」なんて発言したとすると「さすが賢者!」みたいな。ええ、拗ねてるっす。 ▽ってことで今週は日本代表の話題ってありません。あー、それはそれで批判を受けそうな。ま、1つだけ言っておくとすると、取材現場で編集部の人から「いつもどうやって書いてんですか? 思いつきですか? 寝ながらですか? トイレの中ですか?」って聞かれたので、「いやいや、毎週ちゃんとマトリックスを作ってオチを計算しつつ、字数計算しながら方程式を解くように書いてます。代表選手のパスと同じですよ」って見栄を張ったら、酒井宏樹が久保裕也とのコンビプレーを「あんなの即興ですよ」って、あっさり答えたことですね。あぁ、オレも編集部が久保裕也的だったら面白い原稿を出せるのに!! ▽とか言ってる間にJ1リーグも再開ってことで、結構いいカードそろってんじゃないですか? そりゃもちろん一番の注目は磐田vs清水っていう復活! 静岡ダービーなワケなんですけど、FC東京vs鳥栖っていう、監督やGKを巡る因縁の対決っぽいのも面白いし。そんな中で、その実すげぇ対決になると思ってるのが神戸vs浦和なワケですよ。 ▽唯一の4連勝で独走中の神戸が優勝候補の浦和を叩いて首位固めって感じのカードなんですけど、ちょっと今回は神戸にツキが無い。だって、浦和は別の意味で燃えに燃えてるはずなんです。 ▽浦和から日本代表に召集されたのは、西川周作と槙野智章、追加で遠藤航と3人もいたんです。ところが埼玉スタジアムで誰一人プレーさせてもらえないという悲劇。西川なんてせっかく正GKの座をつかんでいたのに、川島永嗣に席を譲って、しかも川島が大活躍。浦和のみなさん、「おい、ちょっと待て」と言いたかったでしょう。 ▽そんな燃えに燃えてるときに当たらなければよかったのに……ってな展開も期待できるし、代表帰りの選手たちが精神的にボロボロになってて浦和が一気に調子を崩すってことも想像できるし。いろんなストーリーがありそうな試合展開っていいでしょ? ▽ま、こんな感じで日本の首位についても語ることができればいいんですけどね。とか無理矢理最初と最後の話を合わせるのが今週の方程式でした。以上!!【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2017.03.30 18:30 Thu
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【六川亨の日本サッカー見聞録】アブダビからアル・アインに変わった真相

[兄のアメル・アブドゥルラフマン/撮影:六川亨]▽話は昨年9月に遡る。ホームでのUAE戦後、JFA(日本サッカー協会)の職員がUAEの関係者にアウェイの試合会場を聞いたところ、「アブダビで開催予定だ」と知らされた。アブダビといえば、2004年3月にアテネ五輪アジア最終予選が行われ、UAE以外の3カ国が原因不明の下痢に悩まされた地である。 ▽前年の2003年にはU-20W杯が開催され、今野や徳永らが躍動してベスト8に進出したのもアブダビだった。日本は準決勝で、優勝したブラジルに1-5と敗れたものの、坂田大輔が得点王となり、大熊清監督の「サンキュー坂田」がサッカー界ではちょっとした流行語になった。 ▽日本にとってなじみ深いアブダビでもあり、今月23日のアウェイUAE戦はアブダビで開催されるものと信じていた。それがアル・アイン・スタジアムに変わったことで、オマルとアメルのアブドゥルラフマン兄弟やUAE代表の半数を占めるアル・アインのホームスタジアムに変更されたものだと推測したものだ。戦い慣れたスタジアムは、彼らにとってまさにホームだからだ。 ▽ところが現地入りして日本の女性記者が、開催地がアル・アインになった理由を尋ねたところ、「国王が危篤状態のため、万が一の時はアブダビが混乱するからアル・アインに変更した」と知らされた。UAE(アラブ首長国連邦)は7つの国による連邦国家で、アル・アインはアブダビ首長国にある都市の1つだ。開催地変更にそんな理由があったとは知らず、素直に納得してしまった。 ▽ところが実態はというと、アル・アインには5日ほど滞在し、試合翌日の飛行機は高額のためアブダビに1泊して帰国の途についたのだが、せっかくアブダビにいるのだから、2年後のアジアカップで使用される可能性の高いアブダビのシェイク・ザイード・スタジアムを見学に行った。 [改装中のスタジアム/撮影:六川亨]▽スタジアムの隣には2007年に建設されたグランド・モスクがあり、世界最大のペルシャ絨毯と、同じく世界最大のシャンデリアを誇る。UAEの建国の父と呼ばれるシェイク・ザイードが埋葬されているだけに、贅の限りを尽くしたモスクでもある。で、スタジアムはというと……。 ▽ゴール裏のモニュメントを始め、いたる所が改装中で、入口も封鎖されている。ショベルカーがスタジアムの外の土を掘り起こすなど、とても試合会場に使用できる状態ではないことが判明した。恐らく2年後のアジアカップに向けての大改装だろう。アル・アインに会場が変更された本当の理由が、アブダビで1泊したことで分かった。 ▽2年後のアジアカップは首都ドバイとアブダビの2会場と、アル・アイン、シャールジャの計6会場で開催される可能性が高い。ロシアW杯後の大会となるが、日本の主力がどんなメンバーになっているのか。そして再びアジアの頂点に立てるのか。いまから楽しみな2019アジアカップでもある。 2017.03.30 14:40 Thu
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【日本代表コラム】結果は満足、内容は不安…再確認できたウィークポイント

▽平日でありながら、ホームである埼玉スタジアム2002には59003人の観客が集まった。大観衆の前で勝たなくてはいけないプレッシャーの中でのタイ代表戦で日本代表は最終予選で最多となる4得点を奪っての勝利。選手や監督、スタッフは勝利を喜び、観衆は笑顔でスタジアムを去ることとなった。 ▽最下位のタイが相手だったとはいえ、最終予選最多の4得点を奪い、無失点で試合を終えられたことは素直に評価すべきことだと思う。残りが3試合になった時点で、得失点差で上回られていたサウジアラビア代表を抜き、初めてグループ首位に立つことができた。結果が全ての最終予選においては、ひとまず賞賛して良いことだ。 ▽しかし、結果が重要とは言いながらも、やはり課題を残しての勝利は素直に喜べないものだろう。試合後の記者会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督は開口一番「素晴らしい勝利だった」と賞賛した一方で、「不満を抱く点もあった」とすぐさまクギを刺した。監督の言う通り、4-0と勝利したタイ戦の結果は評価できるが、ウィークポイントを改めて気付かされた試合でもあった。 ▽この試合で特に不安定さを露呈したのは、MF山口蛍、MF酒井高徳が並んだボランチのポジションだ。本来であればMF長谷部誠と山口がコンビを組むポジションだが、長谷部がヒザの負傷で離脱。2-0で勝利したUAE戦ではMF今野泰幸をインサイドハーフに置き、山口をアンカーとして起用。守備時には今野がボランチの位置に下がってプレーするなど、試合中に流動的にプレーしていた。 ▽1得点を決め、攻守に貢献した今野だったが、こちらも骨折が判明し負傷離脱。久々の代表招集となっていたMF高萩洋次郎も骨折が発覚して離脱したことで、ボランチを本職としている選手は山口だけに。MF遠藤航を追加招集したものの、ハリルホジッチ監督のチョイスは酒井高だった。 ▽本来はサイドバックを主戦場としていた酒井高だが、所属のハンブルガーSVではボランチを務めている。日本代表ではサイドバックでしかプレーしていないが、ハリルホジッチ監督は山口と酒井高を並べた。これは、いくつかの“ソリューション”の中での守備的な選択だったと考える。崖っぷちに立たされているタイを考えれば、前がかりに攻撃に比重を置く可能性も残されていたからだ。 ▽しかし、蓋を開けてみると、ボランチコンビは機能したとは言い難い内容だった。香川、FW岡崎慎司が幸先よく2点を先行したから良かったものの、前半の終盤にはMFチャナティップ・ソングラシンにはバイタルエリアを使われ、プレスをかけてもかわされるなど好き放題にやられていた。 ▽守備面を期待されたはずの2人だったが、連動性に乏しく、バイタルエリアをあけるシーンも多く見られた。さらに課題として浮上したのが攻撃面。ビルドアップした回数は数える程で、最終ラインからのパスを受ける動きも少なく、DF吉田麻也、DF森重真人がロングボールを蹴るシーンも見られた。攻撃面でも、やりたかったことを実現できたとは言えない内容だった。 Getty Images▽UAE戦ではボランチを本職とする今野が、今シーズンのガンバ大阪での起用法と同じインサイドハーフに入った。前線からのプレス、MFオマル・アブルドゥルラフマンのマーク、バイタルエリアのケアと守備面で貢献すれば、前線への飛び出し、ボール奪取からのフリーランなど攻撃面でも活躍。長谷部の穴を埋めるに止まらず、自身の特徴を最大限に発揮していた。 ▽山口、酒井高のパフォーマンスが良くなかった点もあり、また初コンビということで連携面も良くなかったというエクスキューズはある。しかし、今回の選択によって、ハリルホジッチ監督は“個人の能力”ではなく、“組み合わせ”の確認をすることができたはずだ。 ▽今回のコンビの役割についてハリルホジッチ監督は「クラブでは守備的な役割でプレーしている。ただ、代表ではボールの回収とビルドアップの役割を担っている」と酒井高について語り、山口には「攻撃面でさらに期待している」とコメントしていた。つまり、守備的なチョイスとは言え、山口に攻撃を、酒井高は守備+攻撃を求めていたことがわかる。 ▽しかし、山口はどちらかと言えば引いて守備に終始し、酒井高は前線にボールを取りに行くなど要求されていたプレーはしていたように感じた。どちらが良い悪いということではなく、この2人を並べた場合は、攻撃面で求めている役割がこなせないという結果が見えた。ボールを受ける動き、ポジショニング、前線への効果的なパスなどだ。 Getty Images▽最終予選での日本代表のボランチ起用は、長谷部、山口、MF柏木陽介、MF大島僚太、酒井高の5名。インサイドハーフで起用した今野も入れれば6名だ。しかし、今回の2試合以外は長谷部が軸となり、大島が1回、柏木が2回、山口が2回コンビを組んでいる。長谷部がバランスを見ることで、攻守ともに崩れる場面が少なかったが、長期離脱が確定。6月の最終予選も難しいだろう。 ▽今野が復帰となれば、再びインサイドハーフでの起用も考えられるが、ボランチでプレーする日本人選手にとってはある種チャンスとも言える。あと2カ月の間にリーグ戦で良いパフォーマンスを見せれば、メンバー入りも不可能ではない。 ▽ハリルホジッチ監督には、新たな中盤の構成を考える理由が見つかった試合となった。特にダブルボランチを起用する際のコンビをどうするかは、しばらく悩みの種になるかもしれない。そういった意味では、結果を含めて、テストもできたタイ戦はプラスだったとも言えるだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.03.30 00:00 Thu
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【東本貢司のFCUK!】見えてきた“サウスゲイト式”

▽オランダがブルガリアに敗れた以外は平穏なW杯ヨーロッパ予選だった。実力伯仲のアイルランド-ウェールズのドローも“順当”、北アイルランドには底力が備わってきた。崖っぷち寸前のスコットランドは、終了間際の決勝ゴールで望みをつなぎ、その勝利はイングランドの後押しにもなった。ハイライトといえば、やはりそのイングランド。約3年半ぶりに代表復帰したジャーメイン・デフォーが話題をさらった。ハリー・ケインの負傷欠場さまさまだったとしても、きっちり先制ゴールをたたき出した事実は、ニューズネタとしても大きい。ポドルスキの“独り舞台”が既定路線だった対ドイツ・フレンドリーも、特に悲観すべき点は見当たらなかった。予選は順調でも本番でコケる最近の悪いクセを考えれば、楽観も悲観もないところだが、ギャレス・サウスゲイトの更迭論が出る余地もないだけで良しとすべきだろう。そのうえで、今後の課題についていくつか気になることを。 ▽現実的ではないという見方もあろうが、サウスゲイト・イングランドはこの対リトアニア勝利の余韻を大切にしていくべきだと思う。実績、経験、その他の“ありきたり”な尺度にあえてこだわらず、この布陣を基本路線に定めていくということだ。大筋はほぼ見えてきている。司令塔アリ、エースチャンスメイカーはララーナ、守りの軸はストーンズ。アンカーのダイアーについては、前回ユーロから個人的に物足りない部分も感じるが、穴になるというわけでもない。スターリングもパフォーマンスが安定してきて戦力としての“独り立ち”が見込める。両サイドバックはウォーカー(右)がマストになるが、オプションは豊富。ディフェンス面に不安が残るショーは、ドイツ戦でとった3バックシステムのウィングバックに使う方が生きそうだ。つまり「Bプラン要員」。中盤を5人で組む場合、底にダイアー、中央にアリとバークリー(格下で守備的な相手ならオクスレイド=チェンバレンなど)、両ワイドにララーナとスターリング。トップはケインでヴァーディーとデフォーがサブ、もしくは状況次第でいずれかがケインのパートナーに。ではルーニーは? ▽それは後回しにして、一番の考えどころがディフェンスセンター。ここほどパートナーシップが要なところもない。とっかえひっかえではサマにならない。やはり、最後はジャギエルカの経験に頼ることになるのか・・・・? とりあえず現状での「理想論」を。まず、めっきりグアルディオラの信頼を勝ち取りつつあるストーンズを軸とする。相方には心境著しいマイケル・キーン。この、若いコンビを主戦と位置付ける。ジャギエルカはいざというときの“最後の砦”として(相手次第で)起用する。あえてダメもとという言い方をするが、こうした方が先の希望が開けるはず。つまり、思い切って若返りの早期実現を“謳う”のだ。筆者はこの“謳う”メッセージこそ、スリーライオンズ復活の真の決め手になると信じている。いわば、オープン・セサミ、開けゴマ。そして、サウスゲイト自身もきっと同じことを考えていると思う。アンダーエイジで好成績を上げてきた彼だからこその説得力もある。というか、それこそがサウスゲイト指名の最大の根拠に違いないからだ。 ▽そこで、ルーニー。サウスゲイトは「まだやれる、必要」と言い切っている。そのココロ、もしくは“条件”は(おそらく)こうだ。「あまり動きすぎるな」。ルーニーが(クラブでも代表でも)しっくりこなくなっている理由は、彼自ら役割の多様性をもたらしている諸刃の剣。そもそもがストライカー由来なのに、妙に責任感が強いせいで、あれもこれも自分が、という逸る気持ちが出すぎて、かえってチームプレーをぎくしゃくさせている。モウリーニョが使い辛くなっているのもその点にあるはず。どんと構えればいい。トップ下に入ればディフェンスは他に任せる、引いた位置ならそれこそ周りの回転軸になるポジションを死守する。本人が納得するかどうかだが、筆者はあえてアンカーに固定してみてはどうかと考えている。つまり、ダイアーの代わりだ(その場合、ダイアーはセンターバックに使える)。攻撃の組み立て、お膳立てはアリとバークリーに託して、むやみにファイナルサードには立ち入らないと肝に銘じるのだ。ひょっとしたら、このルーニーの“世紀の決断”こそが、イングランドが世界の頂点に挑戦するためのキモではないだろうか。 ▽総体的にぐっと若返り、ぐっと肝が据わって“動かない”ルーニーが名実ともに柱石の姿勢を堅持すれば、きっと相手は勝手が違って面食らう。むろん、そのための十分な練習とコミュニケーションは欠かせないが、こういうチームが淀みなく一丸となり、あらゆる状況に対処できるようになれば、けっこう「負けないチーム」になっていく気がする。その点、参考にすべきなのが最近の北アイルランドだ。“国際的知名度”は薄くとも、どこか得体のしれない粒ぞろいの印象と、実際に当たってみて歯ごたえの凄さで、徐々に主導権をもぎ取っていく。劣勢になっても、さして変わらず黙々とかかってくる。これもまた、強力なメッセージになるだろう。ユーロで対戦したチームは総じてそれを痛感したのではなかったか。言うまでもなく、上記にざっと組んでみた“新生”スリーライオンズには、北アイルランドよりもずっと才能の前提があるはずだ。そして、サウスゲイトは必ずやその線に基づいてチーム改造(→醸成)を目論んでいるに違いない。楽しみになってきた。【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2017.03.27 11:53 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】本当の力はまだわからない…

▽「なかなか勇気があるわね」そんな風に私が感心していたのは日曜。代表戦中は週末の練習が休みなのを利用して、レアル・マドリーのジダン監督が末っ子のエリアス君を応援しに奥さんのベロニクさんはもとより、RMカスティージャ(マドリーのBチーム、リーガ2部B)所属で今節は出場停止だったエンツォ、負傷中の次男ルカ、カデテBで今週末は試合がなかった三男のテオ君を引き連れて、マハダオンダ(マドリッド近郊)のアトレティコ練習場で行われたアレビンBのマドリーダービーに姿を現したとニュースで知った時のことでした。 ▽いやあ、先日のインタビューでアトレティコのシメオネ監督は「選手たちは息子のようなもの」と言いながら、インターナショナルウィークになるたび、数日は練習を“モノ"・ブルゴス第2監督に任せ、リーベル・プレートのユース組織にいる次男のジャンルカ君と三男のジュリアーノ君に会いに行くのが習慣んなっていますけどね。最近は時間ができると、長男のジョバンニがプレーするセリエAのジェノバの試合を見に行ったりもしていますが、やはり自分の息子にサッカーの才能が受け継がれているのを目の当たりにするのは父親にとって、何より嬉しいことなのでしょう。 ▽ちなみにそのアトレティコvsマドリーのアレビンダービーは2-1でホームチームの勝利でしたが、そのせいもあってか、ジダン監督がスタンドにいても特に騒ぎにはならなかったよう。まあまだ、来週のparon(パロン/リーガの休止期間)明けはマドリーと新弟分・レガネスとのミニダービーに続いて、その翌週末にならないと、サンティアゴ・ベルナベウでの大人のダービーは到来しませんからね。実際、首位のお隣さんと4位のアトレティコの勝ち点差は現在、10もあるため、今更どうこうという感じではないせいもあるんでしょうけど…。もし両チームが優勝を争っているような状態だったら、ユースチームが試合する練習場のグラウンドにはパルコ(貴賓席)もないため、ちょっと行きにくかったかもしれませんね。 ▽え、そんなことより、金曜にスペイン代表のW杯予選、イスラエル戦はどうだったのかって? まあ、想定通りの結果ではありましたが、それでも彼らがいい試合を見せてくれたのは否定できず。いえ、エル・モリロン(スポルティングのホーム)では序盤から、ザハリ(広州富力)が1人で2度程抜け出して、ドッキリさせられたなんてこともあったんですけどね。12分に先制したのはスペインで、ジョルディ・アルバ(バルサ)の敵DFへの股抜きスルーパスを、シルバ(マンチェスター・シティ)が同様にGKマルシアーノ(ヒバーニアンズ)の股間を通すシュートでゴールを決めてくれます。いやあ、決してゴール量産タイプのアタッカーではないとはいえ、彼も今ではセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)、イニエスタ(バルサ)と合わせて3人しかいないスペイン黄金期の始まり、2008年ユーロ優勝からいるメンバーの生き残り。これで代表通算得点数も29となり、歴代4位のイエロに並んだとなれば、何とも立派じゃありませんか。 ▽その後もボールを独占して攻め続けたスペインでしたが、追加点が入ったのはハーフタイム直前のこと。ええ、デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が敵の危ないヘッドをparadon(パラドン/スーパーセーブ)してくれた直後、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)からパスをもらったビトロ(セビージャ)のシュートがマルシアーノの手に当たりながら、最後はシルバに見守られてラインを割ってくれます。ちなみにビトロはロペテギ監督時代になってからの新戦力で、当人も「Cuando vengo aquí veo portería con facilidad/クアンドー・ベンゴ・アキー・ベオ・ポルテリア・コン・ファシリダッド(代表に来るとゴールが簡単に入る)」と言っていましたが、この2018年W杯予選ではすでに5試合で4点目。まだ27歳ですし、この先もスペインのゴール供給源になってくれることが期待されます。 ▽そして後半にはいよいよ、待望のCFによる追加点が入ったんですが、意外なことにそれはセットプレーから。ええ、50分、スペインにCKのチャンスが巡ってくると、キッカーに立ったのはチアゴ。「ウチにはラモス、ピケ、ジエゴ・コスタと3人の偉大なcabeceadores(カベセアドーレス/ヘッドの得意な選手)がいる。大抵はラモスを探すんだけど、ジエゴには試合中、ずっとパスを頼まれていて借りがあった」と当人は後で言っていましたが、まあバルサ出身、おまけに4月のCL準々決勝でマドリーと当たる彼が、つい同じブラジル人であるチェルシーのFWにボールを送ってしまったというのもわからなくはない? ▽おかげで見事にヘッドを決め、こちらもこの予選4点目を挙げたジエゴ・コスタでしたが、彼自身は「Me estoy acostumbrando a la manera de jugar aquí/メ・エストイ・アコストゥンブラードー・ア・ラ・マネラ・デ・フガール・アキー(ここでのプレーの仕方に慣れてきている)」と言っていましたけどね。今季もプレミアリーグですでに17得点挙げて好調なんですがこの日、頭以外でゴールを狙っている姿を見た記憶が私にはなし。やっぱりその辺、代表では勝手が違うのかと思いますが、さて。そうそう、ゴールの数分後にもコスタは頭でカルバハル(マドリー)のクロスをエリア内で落とし、シルバのシュートはゴールポストに当たってしまったものの、いいアシスト役を務めてもいましたっけ。 ▽これで3点をリードしたため、ロペテギ監督も交代策を発動し、「Thiago tenía una pequeña molestias/ティアゴ・テニア・ウナ・ペケーニャ・モレスティア(チアゴには軽微な痛みがあった)」と代わりにコケ(アトレティコ)、「イニエスタは最近、頻繁にプレーしていなかった」とイスコ(マドリー)を投入。いえ、コケでなく、チアゴが先発だったのは攻撃力を重視したせいで、反対に言えば、コケは相手に対する抑止力になる選手ってことだったんですけどね。75分にはイスラエルがFKからゲルション(ヘント)のヘッドはポストに弾かれてしまったものの、レファエロフ(クラブ・ブルージュ)が撃ち込んでイスラエルが1点を返すことに。それでも最後にいい感じで試合をまとめてくれたのは、場内から大きな拍手を受けて交代したイニエスタにも「Tiene un talento brutal/ティエネ・ウン・タレントー・ブルタル(物凄い才能を持っている)」と褒められていたイスコでした。 ▽ええ、87分にGKの逆を突く、それ程スピードのないシュートが敵の複数DFの間を縫ってゴールになった時は私も呆気に取られたものです。今回の代表戦週間が始まってからもまだマドリーとの延長契約に漕ぎつけていない彼には宿敵バルサを始め、様々なチームからのオファーの噂が途切れず。それに関して当人は、「今はparon(パロン/リーガの停止期間)であまりサッカーがなくて、マスコミはニュースを作らないといけない。Yo hablo en el campo/ジョ・アブロ・エン・エル・カンポ(ボクはピッチで話すよ)」と言っていましたが、どちらにせよ彼の契約が終わるのは2018年ですしね。実際、リーガのない週には、アトレティコの控えGKモヤが来季終了までの延長にサインしたなんていう、確定した話は別として、ページの埋め草のような記事ばかり出て来るのは私もどうかと思いますよ。 ▽結局、イスラエルに4-1で快勝したスペインだったんですが、残念だったのは予選Gグループで同じ勝ち点で並ぶイタリアも2-0と勝利。スペインが単独首位に立つことができなかったことですが、まあ、これは「Sabemos que esto es una carrera de fondo/サベモス・ケ・エスト・エス・ウナ・カレラ・デ・フォンド(これが長距離走なのは知っている)」(カルバハルも)というのは事実ですからね。ただ、「ウチはイタリアが勝ち点を取りこぼしてくれることを期待するしかない」と言われても、2度目の直接対決が9月にありますし、いくらあとイエローカード1枚で累積警告だったラモス、ピケ、ブスケツ、チアゴ、ビトロ、コスタらが今回の試合を無傷で終え、そのため逆に3月のマケドニア戦でカードをもらったら、大一番に出られない危険があるとはいえ、ちょっと消極的では? ▽選手たちがそんな姿勢だから、最近は代表戦が満員にならず、エル・モリロンも3万人収容のところ、1万6000人しかファンが来てくれなかったんだというのは単なる私の屁理屈ですが、何せここ2回の国際主要大会(2014年W杯グループリーグ敗退、2016年ユーロ・ベスト16敗退)で彼らは不成績が続いていますからねえ。また優勝トロフィーを持ち帰るぐらい強いチームに戻ってくれれば、代表人気も高まってくれるんじゃないかと思いますが、こればっかりは。リヒテンシュタインなどに比べれば、予選グループの中で強い方ではあるとはいえ、イスラエル相手にいいプレーを披露したとしても、本大会で倒さないといけない敵はドイツやイタリア、フランス、ポルトガルetc.。それまではやっぱり、スペインが以前の実力を取り戻したのかどうか、本当のところはわかりませんよね。 ▽そして選手の希望通り、試合後にはヒホン(スペイン北部のビーチリゾート)から帰京。土曜はラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設でリハビリトレをしたチームは日曜午後1時まで自由時間をもらえることに。近所に自宅があるマドリーやアトレティコの選手だけでなく、プレミア勢やブンデス勢でなければ、バルサも含めて家族の元に戻ったようですが、まあ次は前回のユーロ準優勝チームのフランス相手とはいえ、親善試合ですからね。ロペテギ監督も火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのスタッド・ド・フランスでは金曜に使えなかったモラタ(マドリー)やデウロフェウ(ミラン)、プレー時間が数分だったイアゴ・アスパス(セルタ)ら、違う攻撃オプションを試してみる気になるかも。 ▽ただ、フランスも土曜にはアトレティコでここ3回連続失敗して以来、キッカーを辞退していたグリーズマンがとうとうPKを決めたこともあって、ルクセンブルクに3-1で勝利。決して侮ることはできないんです。ただ、先日、注目を浴びていたのはバルブエナへの脅迫関与事件が発覚してから、ここ1年半、デ・シャン監督からお呼びがかかっていないマドリーのベンゼマで、バルデベバス(バラハス空港の近く)での練習だけでは時間が余ってしまうせいもあるんでしょうけどね。フランスのラジオ局のインタビューを受け、「代表に招集されないのは不公平だと思う。バルブエナの件のせいだったら、ボクはもうとっくにツケを払った」と不満を爆発させることに。 ▽いえ、当人曰く、「自分の実力は、8年前からマドリーでやっていることが物語っている」そうで、今回は負傷で代表に行かなかった同僚のヴァランなども「Si lleva tantos años como delantero del Madrid es por algo/シー・ジェバ・タントス・アーニョス・コモ・デランテーロ・デル・マドリッド・エス・ポル・アルゴ(これだけの年数、マドリーのFWでいるのは何か理由があるおかげ)」と応援してあげていたんですけどね。ベンゼマと同じラジオ番組に出演したペレス会長が、もちろん自身で彼の自宅まで行って入団を勧誘したという経緯はあるとはいえ、「私にとって、彼は世界最高の9番。私なら永遠にマドリーにいてもらうね」というのは少々、マズくない? ▽うーん、ルクセンブルク戦ではグリーズマンの他にもジルー(アーセナル)が2得点を挙げていますし、近頃人気沸騰中、マンチェスター・ユナイテッドやそれこそマドリーも獲得を狙っているという噂もあるムバッペ(モナコ)もA代表デビューしましたからね。となると、「デ・シャン監督が戦術的判断でボクを呼ばないというなら、要は自分よりいい選手がいるって言いたいんだろう」(ベンゼマ)という読みの方が案外、当たっていたりして。 ▽ちなみにマドリー勢では今回のヨーロッパ予選、ベイルのウェールズはアイルランドとスコアレスドローで引き分け、クリスチアーノ・ロナウドとペペが出場したポルトガルは前者が2ゴールを挙げて、3-0でハンガリーに快勝。クロースのいるドイツもアゼルバイジャンを1-4で一蹴して、アトレティコのブルサリコが左ヒザのケガで参加できず、自宅で応援していたクロアチアもモドリッチとコバチッチがプレーして、1-0でウクライナに勝っていますが、何せW杯はこの試合でようやく半分が終わったばかり。各グループ首位のみ参加が確定、2位チームはプレーオフということで、来年の夏、ロシアの本大会でどれだけ馴染みの選手を見ることができるか、まだまだわからないのはじれったいですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.03.27 11:51 Mon
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【日本代表コラム】“経験”と“勢い”の融合が見せたモノ

▽約4カ月ぶりの代表活動、そして後半戦を迎えるロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選。日本にとってはこの上ない勝利だったと言える。勝ち点3という結果、そして収穫も多かった。 ▽試合前に最も驚いたのは、所属クラブのミランで出場機会に恵まれないFW本田圭佑、レスター・シティで再びポジションを掴んだFW岡崎慎司がベンチに座ったことではなく、守護神にGK川島永嗣を起用したことだった。「経験がたくさん必要な試合になる」と前日会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督が語っていたが、それはセカンドチームでプレーする川島にも当てはまることだったことがうかがえた。 ▽試合後の会見でハリルホジッチ監督は「メンタル的に落ち着いた選手が必要だった」と川島の起用についてコメント。得点を与えないことはもちろんのこと、時間の使い方、最後尾からの精神的な支柱という意味でも川島の起用に踏み切ったのだろう。ゲームキャプテンを務めたDF吉田麻也のパフォーマンスが安定していたことにも影響はあるはず。兼ねてから川島の姿勢を評価して代表に招集していたことも、ここに来て生きたと言える。 ▽そして、攻守に躍動し1ゴールを記録したMF今野泰幸も経験をチームにもたらしていた。「ほぼ完ぺきなプレーをして、ボールを奪いながら点も決めてくれた」とハリルホジッチ監督が評価したとおり、厳しい試合での日本の勝利に大きく貢献した。4度目のW杯最終予選ともなれば、中東での戦い方も心得ていることがうかがえる。そして、ガンバ大阪ですでに3ゴールを決めている調子の良さも遺憾なく発揮した。 ▽一方で、昨年11月のサウジアラビア代表戦に続き右ウイングのポジションに入ったFW久保裕也は出色の出来だった。13分には右サイドバックのDF酒井宏樹からのスルーパスを引き出すと、相手DFを振り切りダイレクトシュート。狭いニアサイドを打ち抜いて代表初ゴールを記録した。また、51分には右サイドでキープすると、走り込んだFW原口元気ではなくファーサイドに左足でクロス。今野をめがけたピンポイントクロスでアシストを記録した。 ▽冬にベルギーのヘントへと移籍すると、環境の変化にも適応しゴールを量産。すでにチームの中心選手として活躍をしている。スイスで磨いたゴールへの意識は、ベルギーで開花。そして、日本代表としても結果を残した。クラブでの調子の良さを、結果として代表チームに還元できたことは大きな収穫だ。 ▽また、ケルンで高い評価を得ているFW大迫勇也も1トップとして仕事をこなした。身体の強さを生かしたキープや競り合いでも強さを発揮。ゴールこそ生まれなかったが、可能性のあるシュートも放った。終盤にヒザを痛めたことは気がかりだが、久保同様にクラブでの好調ぶりを見せてくれた。守備での貢献度が高かったFW原口元気も同様。前線での攻守への貢献は高く、クラブでの調子の良さをしっかりと発揮できたことは収穫と言える。 ▽クラブで結果を残し、勢いに乗っている選手、そしてこれまで数多くの激闘を経験している選手がしっかりと融合でき、結果も残せたUAE戦はハリルホジッチ監督が目指しているものに少し近づいた様に思う。 ▽ベンチスタートとなった本田や岡崎は経験値も高く、UAE戦では強力なオプションとなっていた。岡崎は大迫の負傷で急遽の出場となったが、ファーストプレーでCKを得意の頭で合わせた。終盤にはビッグチャンスを生かせなかった場面があったが、頼れる経験者がベンチに控えていることは、観ていても頼もしかった。 ▽本田はクラブで試合出場がほとんどないために試合勘不足は否めないが、コンディションや調子が悪いとは思えないプレーだった。MF倉田秋やMF山口蛍とも良い距離感を保ち、本田がボールを持つことで原口やDF長友佑都など逆サイドの選手も積極的に動き出していた。やはりこのチームには欠かせない存在であることを、短時間でも証明してくれた。 ▽失意の敗戦でスタートしたW杯アジア最終予選だったが、ここに来てハリルホジッチ監督が目指していたものが、形になりかけている様子がうかがえる。若手とベテラン、勢いと経験───これらの融合が進むことで、日本代表は1つステージを上げることができるはずだ。チームとしてのバランスを考えた選手選考、そしてしっかりと結果を残した日本代表。その歩みを止めないためにも、28日のタイ代表戦はより完璧な試合を見せてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.03.24 15:00 Fri
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【原ゆみこのマドリッド】ラジオでは皆、よく喋る…

▽「これじゃ罰ゲームみたい」そんな風に私が同情していたのは木曜。雪が降りしきるマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で各国代表に招集されなかったアトレティコの選手たちがトレーニングしている風景をTVのニュースで見た時のことでした。前日から真冬に逆戻りしたスペインでは国内各地が悪天候に見舞われ、私も午前中はみぞれが絶え間なく落ちてくるため、マドリッドのセントロ(中央部)にあるピソ(マンション)から、外に出る気も起きなかったんですけどね。 ▽同じぐらいの時刻、アトレティコBの選手を呼んで数を水増ししたお隣さんと同様に、RMカスティージャの選手たちと一緒にセッションをしていたバルデベバス(バラハス空港の近く)のレアル・マドリー練習場では、まったく降っていなかったようなのは不思議ではありますが、前者はシメオネ監督までアルゼンチンに里帰りしていなかったとか。うーん、当人は旅行前日に受けたインタビューで「Mis futbolistas son mis hijos/ミス・フトボリスタス・ソン・ミス・イホス(選手たちは私の息子のようなもの)」と言っていましたけどね。これって、どこか見捨てられた感があったかも。 ▽まあ、それでも居残り組はこの週末、リーガのparon(パロン/休止期間)で試合がなく、練習もお休み。ちょっとぐらいの逆境があった方が体を鍛えられていいのかもしれませんが、おかげで時間の余裕があったせいか、数社の取材を受けたシメオネ監督から、アトレティコのすでに今季も準々決勝にまで進出したCLでの強さの秘密が明かされたなんてことも。曰く、「El dolor es la fuerza más grande que tiene el Atlético en esta Champions/エル・ドロール・エス・ラ・フエルサ・マス・グランデ・ケ・ティエネ・エル・アトレティコ・エン・エスタ・チャンピオンズ(このCLでのアトレティコの一番大きい力は痛みだ)。大会のアンセムを聞くたび、自分は痛みを覚える」そうで、その理由はもちろん、昨季CL決勝での敗北。 ▽さらにサン・シーロでの試合後会見の時、アトレティコの監督続投を疑問視されるような返答をしたことに対して、「Para mí lo de Milán fue un fracaso/パラ・ミー・ロ・デ・ミラン・フエ・ウン・フラカソ(自分にとってミラノでのことは失敗だった)。CLに優勝するという目標を持っていて、それが達成できなかったのは物凄く辛かった。その次のシーズンが大変になることがわかっていたから、PK戦で負けた後、チームを率いていく力が出るのか確信がなかった」と説明していましたけどね。「どんなチームだって、ほとんど連続してCL決勝に敗れた後、回復するのは不可能なのに、nosotros estamos otra vez ahí, peleando/(ノソトロス・エスアモス・オトラ・ベス・アイー、ペレアンドー(ウチはまたここにいて、戦っている))」というのは確かに、誇れることなのかもしれません。 ▽え、その件に関しては、キャプテンのガビも「Perder dos finales fue duro, levantarse aún más duro/ペルデル・ドス・フィナレス・フエ・ドゥーロ、レバンタールセ・アウン・マス・ドゥーロ(2度の決勝に負けて辛かったし、そこから立ち上がるのはもっと辛かった)。今季は6カ月ぐらいかかった」と、リーガの前半戦で残念な試合が多かったことの理由付けをしていなかったかって? そうですね、これがカンテラーノ(ユース組織出身の選手)の後輩、コケになると、「Somos el Atlético y siempre nos levantamos/ソモス・エル・アトレティコ・イ・シエンプレ・ノス・レバンタモス(ボクらはアトレティコだから、いつも立ち上がるのさ)」と至極、単純明快でいいんですけどね。 ▽何はともあれ、前節の彼らはセビージャに快勝して、リーガ3位フィニッシュへの道もようやく見えてきたようですし、4月のCL準々決勝レスター戦でもこの勢いを維持して、同じぐらい立ち直るのに苦労したアトレティコのファンたちにまた希望を与えてほしいもの。ちなみにこのコケは今週、スペイン代表合宿にアトレティコから1人参加しているんです。私もまだ寒波が襲来する前の火曜午前中、練習見学時間は15分しかなかったものの、チームの様子を見にラス・ロサス(マドリッドの近郊)まで足を伸ばしたんですけどね。定例記者会見では、昨年のユーロ大会当時、代表での先発機会が少ないのに「チームワークを高めるためだけに代表に来るのもどうかと」と、不満をマスコミに告白して以来の招集となったペドロ(チェルシー)と大人代表初参加だったイジャラメンディ(レアル・ソシエダ)が登場。 ▽いやあ、ペドロもそれはそれでアトレティコやマドリー同様、クラブでの居残り練習メンバーとなるのは肩身が狭いことがわかったんですかね。「creo que aquello se malinterpretó/クレオ・ケ・アケージョ・セ・マルインテルプレト(あれは曲解されたんだと思う)」と、全てをなかったことに…。2年前に古巣に出戻って復活したイジャラメンディが、「マドリーが自分に分不相応だったとは思わない。Me faltó confianza y valentía/メ・ファルトー・コンフィアンサ・イ・バレンティア(自信と勇気が欠けていたんだ)」なんて言っているのを聞いていたんですが、どうやらその頃には選手たちのロビー行為が着々と成果を挙げていたよう。 ▽私は、その後にあった保険会社のスポンサー契約延長を祝って行われた、グラウンドでの記念撮影時、キャプテンのセルヒオ・ラモス(マドリー)がロペテギ監督とずっと何か話しているのには気づいたんですけどね。どうやらそれは、月曜に合宿入りした時、W杯予選イスラエル戦のため、木曜にヒホン(スペイン北部のビーチリゾート、スポルティングのホームタウン)入りしてから、金曜の試合後も同地に滞在。土曜日曜とあちらで練習して、次のフランスとの親善試合のため、直接パリに飛ぶという代表の今回の予定が気に入らなかったからのようで、初日からラモスが監督と交渉を始めていたんだとか。 ▽そう、それから間もなく、イスラエル戦の後、マドリッドに帰京することになったとサッカー協会から公式発表されたんですが、火曜の午後に山のようにあった選手のラジオインタビューではブスケツ(バルサ)も「一番いいのはここの宿舎で休むことで、土曜に自由行動の午後があったら、最高にいいね」と言っていたように、選手たちの多くはヒホンでの合宿を望まず。いえ、もちろんロペテギ監督は「La decisión de volvernos es mía/ラ・デシシオン・デ・ボルベルノス・エス・ミア(戻って来るという決定は私がした)。こういうことを変えることは何度もあった」と主張していましたが、何かそんな話を聞くと、昔からよく、マドリーの選手たちがホームでの試合前日は合宿を止めてくれるよう、歴代監督に働きかけていた事例を思い出してしまうのは私だけ? ▽実際、ルイス・アラゴネス監督やデル・ボスケ監督時代のスペイン代表で選手たちの願望による予定変更があったか、ちょっと私も思い出せないんですが、ラモスなど、もうマドリーのキャプテン歴も長いですし、そういった交渉はお手のもの。こんなケースでは普段、「nos gusta tirarnos alguna piedrecita/ノス・グスタ・ティラールノス・アルグーナ・ピエドレシータ(ボクは小石を飛ばし合うのが好きなんだ)」(ラモス)という、マスコミへの発言やツィートで対立関係にされるピケ(バルサ)とも結託できるのか、どうやら今回はベテラン選手たちで共同戦線を張ったようです。でもねえ、せっかく代表チームを招いてのイベントを盛り沢山、企画していたアストゥリアス(ヒホンのある地方)のサッカー協会長はアテが外れて、かなり怒っていましたよ。 ▽そんなことはともかく、木曜にアラブ諸国と根深い問題を抱えるイスラエルの代表チームを迎えるのと、現地の市議会がイスラエル製品ボイコット政策を取っており、市民のデモが予定されているため、厳戒態勢が敷かれているヒホン入りしたスペインはエル・モリロン(スポルティングのホーム)で前日練習を実施。前日は風邪による発熱でセッションをお休みしたカルバハル(マドリー)も無事回復し、どうやらロペテギ監督もGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、DFカルバハル、ピケ、ラモス、ジョルディ・アルバ(バルサ)、中盤はブスケツ、イニエスタ(バルサ)、コケもしくはチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)、前線をシルバ(マンチェスター・シティ)、ジエゴ・コスタ(チェルシー)、ビトロ(セビージャ)という、思い描いていたベストメンバーで挑めるようです。 ▽え、相手は予選グループGでたったの勝ち点1差で3位につけるチームなのだから、実は試合も結構、厳しいものになるんじゃないかって? うーん、そうですね。前日記者会見でロペテギ監督などは、「Le queremos un poquito enfadado/レ・ケレモス・ウン・ポキート・エンファダードー(ちょっと怒っている彼がいい)。でもちょっとだよ、いつものようなサッカーをしてもらうためにね」とコスタに期待していましたが、「No salgo enfadado al campo, me enfado durante los partidos/ノー・サルゴ・エンファダードー・アル・カンポ、メ・エンファド・ドゥランテ・ロス・パルティードス(ボクは怒ってピッチに出るんじゃない。試合中に怒るんだ)」と答える当人も相変わらず。 ▽それでも今シーズン始めは、「La relación con Conte no empezó bien/ラ・レラシオン・コン・コンテ・ノー・エンペソ・ビエン(コンテ監督との関係はいい始まり方じゃなかった)。着任した時に自分はアトレティコに戻りたいと言ったんだから。結局、アトレティコに待ってもらえなくて、尻尾を巻いた犬のようにボクが話しに行ったら、こっちを見てももらえなかったよ」と苦労した経験もある彼ですからね。そのせいで「アトレティコに移籍できるよう、できること全部をやったけど、クラブは待ってくれなかった。Ya no me pelearía igual para volver/ジャー・ノー・メ・ペレアリア・イグアル・パラ・ボルベル(もう戻るために同じようには戦わないよ)」と、ラス・ロサスでのインタビューで宣言していたのにはちょっとビックリさせられたかも。 ▽おかげでセレソ会長に「Hay cosas que son imposibles y son imposibles/アイ・コーサス・ケ・ソン・インポシーブレス・イ・ソン・インポシーブレス(不可能なことはあって、それは不可能だった)」とたしなめられたりもしていましたが、現在のコスタがチェルシーで絶好調なのは紛れもない事実。金曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのイスラエル戦では勝利に貢献するゴールを決めてくれることを期待しています。いえ、万が一、彼が不発でもベンチにはモラタ(マドリー)やイアゴ・アスパス(セルタ)、ペドロも控えていますし、いざとなれば、伝家の宝刀、ラモスの頭もありますしね。多分、勝って、今節はアルバニアと戦う、同じ勝ち点で2位のイタリアにリードを許すことはないと思うんですが…。 ▽そうそう、最後に、木曜にデンマークと親善試合をしたU21スペイン代表のことも伝えておくと、いやあ、一緒に合宿していたラス・ロサスで、後輩チームにこちらもアトレティコから1人参加だったサウールがラモスと火曜の写真撮影に行く時、やたら仲良くしていたおかげですかね。ムルシア(スペイン南西部)のヌエボ・コンドミナでの試合では、ふくらはぎのケガで離脱したレイナ(ナポリ)の代わりにケパ(アスレティック)がA代表の第3GKとして狩り出されたため、その試合はパウ(トッテナム)がゴールを守ることに。だからって、別に彼に罪はないとは思いますが、意表を突かれて、序盤に相手に先制されてしまったところ、22分にはミケル・メリーノ(ドルトムント)が、クロース役を務めたアセンシオ(マドリー)のCKから強烈なヘッドを決めて同点にしてくれます。 ▽さらに75分には途中出場したサウールが、これまたラモスを彷彿させるゴールを頭で叩き込み、スペインが勝ち越してくれたから、嬉しかったの何のって。いえ、3点目を決めたデニス・スアレス(バルサ)は、さすがに足で決めていましたけどね。最後は3-1で勝利と、若いスペインにも強さが戻ってきたのには大満足。これなら月曜のイタリアとの親善試合もいい勝負になるかもしれません。うーん、何せ、この夏はスペインがコンフェデレーションズカップに参加しないため、オフシーズンに楽しめる大会が6月16日から30日までポーランドで開催されるU21ユーロ大会しかありませんからね。 ▽その後、7月には各クラブのプレシーズンキャンプもだんだん始まって、7月23日にはサンフランシスコでマドリーvsマンチェスター・ユナイテッド、29日にはマイアミでマドリーvsバルサといった、チャンピオンズ・カップ(夏の親善大会)などもあるんですが、それまでをどう過ごすかが私の当面の課題。あ、でもマドリーやアトレティコが6月3日のCL決勝まで行けなかったら、その前もヒマになってしまう可能性もあるし…。となると、まずはスペイン勢がヨーロッパの大会で長く健闘してくるのを祈るのが先でしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.03.24 12:30 Fri
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【六川亨の日本サッカー見聞録】UAE戦展望とこぼれ話

▽いまアル・アインの現地時間は10時20分だ。あと9時間後にロシアW杯アジア最終予選のUAE戦がキックオフとなる。19日から現地に滞在しているが、21日は氷雨に見舞われ、昨日と今日も曇天が続き、Tシャツ1枚では肌寒さを感じるほど。浅野が「涼しくなりましたね」と言えば、酒井高も「思ったより気温が高くないので、いいコンディションです」と歓迎している。 ▽W杯予選と言えば、いわゆる“アウェイの洗礼”とか、情報が錯綜するなど様々な駆け引きが試合前から始まっている。過去には加茂ジャパン時代のアウェイUAE戦では、ピッチにクギが散らばっていることがあったし、加茂監督の更迭の原因となったカザフスタン戦のピッチはデコボコで、とてもサッカーができる環境ではなかった。 ▽当時はインターネットの普及が今ほど進んでおらず、YouTubeといった動画投稿サイトもなかった。しかし現在はネットの普及により情報過多のため、クギの散らばったピッチを用意しようものなら、すぐさまネットにアップされ、世界中から批判が殺到するだろう。 ▽フランスW杯の第3代表決定戦のイラン戦では、イランの主力選手が足を石膏で固め、車いすに乗っていたが、試合当日は何事もなかったようにプレーしていた。 ▽今回、日本は長谷部が右膝の負傷と治療のため代表チームを離脱した。長谷部は19日の夜に現地入りしたが、その際に大きなスーツケースを持っていたため、日本に長期滞在する覚悟でドイツを後にしたことが推測できた。 ▽これに対しUAEもMFタレク・アハメドは出場停止で、昨年9月の対戦でフル出場したMFアメル・アブドゥルラフマンが負傷離脱。さらにFWアハメド・ハリル、FWイスマイール・マタルの2人もケガで出場が微妙だという情報が20日頃から流れた。 ▽正直なところ、「眉唾ものの情報」だと思った。UAEがチーム事情、それも主力選手の出場の可否を簡単に明かすわけがないからだ。もしも本当なら、極力隠そうとするはず。それが数日前から噂が流れるのは、意図的にリークしているとしか思えない。UAEにとっては、23日の日本戦と、28日のアウェイ、オーストラリア戦はグループ突破に向けて 正念場でもあるだけに必死なのだろう。 ▽試合会場であるハッザーア・ビン・ザーイド・スタジアムで公式練習を行った昨夜は、「ピッチが狭く感じた」という選手もいた。サイズ的にはFIFAの規格を満たしている。ピッチはゴール裏とバックスタンド側に背の高いAFCのスポンサーボードが設置されているため、圧迫感を覚えたのかもしれない。 ▽いずれにせよ、そうした外野の様々な噂や環境は気にしないで、目の前の試合に集中することだ。長谷部の離脱は痛いものの、「団結力を高めて試合に臨みたい」と酒井高が言えば、吉田も「厳しい時だからこそ成長できるチャンス」と前向きにとらえているのは、チームが成長している証でもある。 ▽いまから思うと、ホームでのUAE戦は主審の厳しいジャッジもあったが、どこか見下していたのではないだろうか。しかし、あの1敗で危機感を募らせているハリル・ジャパンだけに、同じ轍を踏むことはないだろう。成長した姿が9時間後に見られるはずだ。 2017.03.23 18:09 Thu
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