アフリカの国際大会でとんでもない珍事が起こっていた。
事件が起きたのはCAFコンフェデレーションカップ。CAFチャンピオンズリーグの下位に当たるカップ戦で、アフリカサッカー連盟(CAF)のクラブが参加する国際大会だ。
ヨーロッパで言うところのヨーロッパリーグ(EL)に該当する大会。その準決勝1stレグが21日に行われ、モロッコのルネサンス・ベルカンとアルジェリアのUSMアルジェが対戦した。
1stレグはUSMアルジェのホームで行われた中、試合に向けて入国したルネサンス・ベルカンのユニフォームが税関職員により全て没収されることとなった。
その理由はユニフォームのデザイン。ルネサンス・ベルカンのユニフォームは、西サハラの係争地域を含むモロッコの地図が描かれている。
しかし、アルジェリアはこの地図のデザインを政治的な挑発とみなしたとのこと。そのため、入国した際に全てのユニフォームを没収したという。
当然着る物がなくなったルネサンス・ベルカンの選手たちはプレーすることはできない。21日の試合では、USMアルジェの選手たちがピッチに登場したが、ルネサンス・ベルカンの選手たちはロッカールームに留まり、試合が中止に。不戦勝でUSMアルジェの勝利になると思われた。
しかし、ルネサンス・ベルカンは、これまで同じユニフォームを着用しており、過去にも同様のデザインを使用。今まで何も問題がなかったにも関わらず、急に没収されてしまう事態となっていた。
すると、CAFの競技委員会は25日、ルネサンス・ベルカンが3-0で勝利するという結果を発表。試合は没収試合となり、USMアルジェに対しては、追加制裁を与える可能性もあるとし、懲戒委員会に付託したという。
イギリス『BBC』のアフリカ版はCAFに説明を求めると、「行政から独立した有能な組織によって処理された」と説明。「CAFは行政レベルでも、指導者レベルでも、ここでは立場を持たない」とし説明したという。
つまりは、政治が介入したことで発生した事態ということで、アルジェリア側に非があるとして、ルネサンス・ベルカンの勝利となったということだ。
アルジェリアとモロッコの間には長年にわたり緊張が続いており、2021年には国交を断絶。モロッコ側は、ラバトからの直行便が拒否されており、2023年のアフリカ・ネーションズチャンピオンシップを辞退していた。
かつてはスペインの植民地であったモロッコは、スペインから独立した1975年以降に西サハラ地域を支配し主権を主張。一方で、アルジェリアは西サハラの独立を目指しており、支援を続けていたことで、利害関係が一致せずに関係が悪化していた。
<span class="paragraph-title">【写真】税関で没収されてしまったルネサンス・ベルカンのユニフォーム</span>
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