もういい加減、移籍の話は止めたい…/原ゆみこのマドリッド

2019.09.01 22:00 Sun
「もしかして大山鳴動して鼠一匹ってこと?」そんな風に私が呆れていたのは金曜日、お昼のニュースでバルサがネイマール獲得を諦めたかもしれないというニュースを聞いた時のことでした。いやあ、今週は毎日のように当人の顔がスポーツ紙のトップページを飾り、火曜などには移籍金1憶7000万ユーロ(約200億円)とデンベレのレンタルでPSGがOKしてくれそうだなんて話をしていたんですけどね。最後はこの夏のグリーズマン(アトレティコから移籍)獲得などで、1憶ユーロ(約120億円)の赤字が出ているクラブ財政から、そこまで払えないという結論に至ったって、大体、元からして、メッシ、ルイス・スアレス、デンベレが揃ってケガでいなくても先週末など、ベティスに5-2の大勝をしてしまうチームにネイマールが必要だった?

いや、まあ、アトレティコなども散々、ロドリゴ(バレンシア)の入団がほぼ確定のように言われながら、結局、ミランとの交渉が平行線のままとあって、今週はずっと風邪で練習を休んでいるコレアが残る方向に進んでいるようですけどね。逆に急転直下で移籍が決まりそうなのはレアル・マドリーのGKケイロル・ナバスで、この週末のリーガ戦が済んだ後、移籍市場がクローズする月曜に移籍金1500万ユーロ(約18億円)と、第2GKとなるアレオラのレンタルを条件にPSGに移るのだとか。うーん、こういう人事異動に関しては正式発表されるまで、信じない方がいいというのは鉄則ですけどね。9月2日までのこの3日間、駆け込み移籍の多いマドリッドの弟分チームを含め、まだまだ油断ができないといったところでしょうか。
そんなことはともかく、今週の一番の話題というと、やっぱりCLグループリーグの組み合わせが木曜に決まったことで、マドリーは皮肉にもナバスの新天地となりそうなPSG、そして昨季はお隣さんが1勝1分けだったクラブ・ブルージュ、そして長友佑都選手がいて、ファルカオ獲得の話も進んでいるガラタサライと一緒の組に。しかも9月18日の1節にパリのパルク・デ・プランスを訪ねるんですが、残念なことに来年夏、ペレス会長がギャラクティコ候補として狙っているエムバペは先日の負傷でプレーはまだできないよう。

対照的にその頃にはリーガ開幕前日にケガをしたアザール、先週のバジャドリー戦でふくらはぎを痛めたハメス・ロドリゲス、この水曜に太ももを痛め、今季のプレシーズン開始から、10人目の負傷者となったイスコも戻って来られそうなのはジダン監督にとって、心強いかと。もちろん問題はこの日曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのビジャレアル戦には彼らに加え、ヒザの靭帯を断裂したアセンシオは当然ながら、ブライムもロドリゴも間に合いそうにないことなんですけどね。相手も初戦は昇格組のグラナダと4-4の引き分け、2節はレバンテに2-1と競り負けと、まだ調子を上げていないんものの、果たしてベンゼマ、ベイル、ビニシウスの3人でチームの失点を上回る得点を奪えるのかどうか。

ちなみに今週、マドリーにとってラッキーだったのは去年はUEFA欧州最優秀選手賞を受賞したモドリッチを始め、最優秀GKに選ばれたナバス、最優秀DFのセルヒオ・ラモス、最優秀FWクリスチアーノ・ロナウドと何人もの選手がCL組み合わせ抽選会と表彰式が行われるモナコまで、週中に出張しなければならなかったんですが、今年は最優秀選手候補の3人に選ばれたロナウドだけは参加していたものの、現在の彼はユベントスの選手ということで、バルデベバス(バラハス空港の近く)での練習には一切、差しさわりがなし。当人も最優秀選手賞をCLに優勝したリバプールのDF、ファン・ダイクに攫われ、投票2位だったメッシと並んでインタビューに答えるぐらいしか見せ場はありませんでしたが、今も彼がマドリーにいてくれたらと良かったのにと思ってしまうファンはおそらく、結構いるのでは?
え、ロナウドなら、9月18日、ワンダ・メトロポリターノで開催されるCLグループリーグ1節で見ればいいじゃないかって?はい、その通りで、実はアトレティコがユベントスと同じ組になったんですよ。いやあ、昨季のCL16強対決、2ndレグで彼にハットトリックを決められ、悔しい逆転敗退を喰らった後、一応、この夏のインターナショナル・チャンピオンズ・カップ(夏の国際親善大会)ではレマルとジョアン・フェリックスのゴールで2-1と勝利。リベンジはちょっとだけ、できたんですが、今度は公式戦で新生アトレティコの力を試せるとはまさに望むところ?

他は2014-15シーズンに16強対決で当たり、PK戦勝利でGKオブラクがレジェンドへの道を歩み始めるキッカケを作ったバイエルン・レーバークーゼン、そしてロコモティブ・モスクワという面々とあって、まあ、そんなに悪くないグループじゃないかと思ったんですが、一番、弱ったのは今季はマドリーとアトレティコのグループリーグ試合開催日が被ってしまったこと。ええ、ホームとアウェイには分かれるんですが、どちらも1試合を除いて午後9時キックオフですし、またしても頼りはオンダ・マドリード(ローカルラジオ局)の二元中継か、最近はネットで他試合を見ている記者も多いですからね。その近くに座れるかどうかってのも落ち着かなくてイヤなんですが、そういう年もありますって。

そんなアトレティコは今週、私がマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に見学に行った水曜ダブルセッションの夕方の部と木曜午前のセッションでジョアンの姿がグラウンドに見えず、心配されたんですが、どうやら初体験のリーガで弟分のヘタフェ、レガネスから散々、ファールの洗礼を受けた後、負傷防止のためにジムごもりをしていたとかで、金曜には復活。いやあ、中にはプロフェ・オルテガ(フィジカルコーチ)が毎回、知恵を絞った複雑なサーキットトレーニングで、選手人形の間に立って、次々と投げつけられるボールを避けていた時なのかは知りませんが、ヒザを捻って、負傷者リスト入りしてしまったモラタのような不運なケースもありましたしね。

今週は丁度、ジエゴ・コスタのケガが治り、ロディの出場停止処分も済んだため、日曜午後7時(日本時間翌午前2時)からのリーガ3節、エイバル戦でもワンダのファンを楽しませることができるよう、ジョアンにはケガだけには注意してもらいたいところ。ちなみに開幕戦では昇格組のマジョルカに2-1と負け、次は同じ身分のオサスナと0-0という、ちょっと冴えないスタートをしたエイバルでは今季、出戻りとなった乾貴士選手もまだデビューしておらず。ここ2シーズン、ワンダでは引き分けていますが、アトレティコもセビージャと一緒にリーガで唯一、開幕2連勝したチームとして、お隣さんやバルサを見下ろせる期間をできるだけ長引かせたいといったところでしょうか。

ちなみに残りのスペイン勢、CL2チームのグループも告げておくと、バルサはドルトムント、インテル、スラビア・プラハ、バレンシアはチェルシー、アヤックス、リールという構成になっていますが、ヘタフェの出場するヨーロッパリーグのグループも金曜には決定。ええ、こちらはバーゼル(スイス)、クランスノダール(ロシア)、トラブゾンスポル(トルコ)となったんですが、あらあら。彼ら以外は皆、CL出場経験があるチームとはちょっとツイてない。といってもプレシーズンマッチではセリエA4位でCL出場権を獲得したアタランタを4-1と軽く破っているヘタフェですからね。そんなに悲観することはないんですが、10年ぶりとなるヨーロッパの戦いが始まるのは9月19日、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのトラブゾンスポル戦から。

まあ、その前にはボルダラス監督も「Nosotros estamos centrados en La Liga/ノソトロス・エスタモス・セントラードス・エンラ・リーガ(我々はリーガに集中している)」と言っていたように、この土曜午後7時にアラベスを迎えないといけないんですが、何せリーガでは初戦の兄貴分とのミニダービーで1-0と負けて、2試合目もアスレティックと1-1で引き分け。まだ勝ち点が1しかないヘタフェですからね。とりあえず、エースのホルヘ・モリーナも出場停止処分が終わって戻って来るこの試合では是非とも、今季初白星をファンにプレゼントしてあげてほしいもの。補強の方では金曜にはラス・パルマス(2部)から、ボランチのティモールの加入も決まり、あとは右サイドのアタッカーを獲るだけなんですが、こちらはまだ決まっていないようです。

え、それよりレガネスなんて、まだ勝ち点ゼロでもっと切実に勝利が必要なんじゃないかって?まあ、そうなんですが、どういう巡り合わせなのか、土曜午後9時からベニト・ビジャマリンで戦うベティスもまったく同じ状況。20チーム中、彼らだけが2連敗で19位と20位になっているんですが、まだまだリーガは始まったばかりですからね。ヘタフェに続いて兄弟分ダービーに屈したレガネスも、カンプ・ノウで大敗したベティスもここから仕切り直しといったところでしょうか。

そうそう、実は金曜にはスペインU21代表の2021年ユーロ予選最初の試合ための招集リスト発表もあったんですが、興味深いのはマドリー、アトレティコの2チームからは誰も呼ばれておらず、ヘタフェからはククレジャ、レガネスからはオスカルと1人ずつ、呼ばれていたこと。だんだん、こういう選手たちが増えていけば、マドリッドの弟分たちも実力的に兄貴分たちに近づいていけるのでは?

というか、金曜には9月5日にルーマニア戦、8日にフェロー諸島戦と、ユーロ2020予選に挑むA代表のメンンバーが発表されたんですが、その前日、ルイス・エンリケ前監督の9歳の娘さんが骨肉腫でとうとう帰らぬ人に。当人は3月のマルタ戦前夜に病気が発覚すると、その試合から、指揮をアシスタントだったロベール・モレノ氏に任せ、6月には代表監督も辞任。正式にモレノ氏が後任となって、初めての招集リストということで注目されていたんですが、この悲しいニュースを前にして、ラス・ロサス(マドリッド郊外)のサッカー協会本部での恒例記者会見も自粛されてしまったのは仕方なかったかと。

それでも一応、6月のリストからの変化をお伝えしておくことにすると、アセンシオ、イスコ、モラタのマドリッド勢は負傷中で招集されず。代わって、パコ・アルカセル(ドルトムント)とチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)、サウール(アトレティコ)、スソ(ミラン)らが復活し、今季はセビージャからPSGに移ったサラビアとアスレティックのCB、ファビアン・ルイス(ナポリ)やセバージョス(アーセナル)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)と一緒に6月末にU21ユーロ優勝を果たしたウナイ・ヌニェスが初招集されています。

まあ、毎年のことですが、せっかくリーガ始まってもすぐ代表戦でparon(パロン/リーガの停止期間)に入ってしまうのは何なんですが、今年は中断がない2部にも香川真司選手がいるサラゴサやきっと、9月2日までには選手登録してもらえると信じたい岡崎慎司選手がいるマラガなど、試合が楽しみなチームがありますからね。ちなみに日本代表に招集された柴崎岳選手のいるデポルティーボは今週末、日曜午後6時からエスタディオ・バジェカスで今季は2部に戻ったラージョと対戦。1時間後にアトレティコvsエイバル戦が始まるため、私は行けないんですが、たまたまマドリッド訪問中の方など、覗いてみるのも一興かと思いますよ。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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ドイツ勢のリーグ順位は信用ならない…/原ゆみこのマドリッド

「何かイラッとするわよね」そんな風に私が首を振っていたのは木曜日、前日の午後、TVで流し見していたテニスのマドリード・オープン準々決勝、カルロス・アルカラスvsルブレフ戦のボックス席にコケいたような気がしたのが、本当に当人だったと、スポーツ紙の写真で確認できた時のことでした。いやあ、お隣さんと違って、CL準々決勝で敗退したアトレティコは今週、心おきなくミッドウィークフリーを楽しんでいるんですけどね。おかげで火曜の午後もデ・パウルをアルカラスの16強対決戦で見かけたと思えば、夜10時からのラファ・ナダルvsレヘチカ戦にはシメオネ監督もカハ・マヒカ(マドリッド市南部にある総合競技場)へ。 現役引退を見据えて、これがマドリッドでプレーする最後の大会と言っていたナダルが、ええ、当人も熱烈なファンであるレアル・マドリーのCL準決勝バイエルン戦1stレグと時間が被るのを残念がっていたんですけどね。ミュンヘンでの試合が終わった後、日付が変わる頃にストレート負けで敗退してしまうのをシメオネ監督は見届けたんですが、ええ、彼にはもうCL決勝に備えて、ライバルを見張っている必要はなし。 それでももし、アトレティコがドルトムント戦2ndレグであんなことにならず、準決勝に進出できていれば、水曜はコケもメトロポリターノにPSGを迎えるべく、ホテルに缶詰め。ビジャ、ラウール、そしてまさに早朝にマドリッドに戻ったモドリッチらと同じボックス席で、腕に故障を抱えたアルカラスが2日連続で挑んだ試合で敗退。マドリッド・オープンからスペイン人選手が全滅するところをノホホンと見ているなんて、ありえなかったと思うと、ちょっと複雑な気分になったのはきっと、私だけではなかったかと。 といっても、PSGもアトレティコが4-2とやられてしまったジグナル・イドゥナ・パルクでの準決勝1stレグに1-0と負けていたため、ブンデスリーガ5位のドルトムントは世間で言われていた程、弱いチームではなかったようなんですけどね。おかげで少しはアトレティコの顔も立ったかと思いますが、ルイス・エンリケ監督のチームが来週、準々決勝バルサ戦同様、パリでの2ndレグで逆転突破できるかどうかはともかく、マドリーもサンティアゴ・ベルナベウではマンチェスター・シティ戦2ndレグ同様、ゼロからスタートすることに。何故かというと…。 その火曜のバイエルン戦1stレグでは、シティ戦での失敗に学び、キックオフ1時間15分前に近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に入ったため、今度は視界を遮る立ち見客がいないテーブル席を確保できた私だったんですけどね。まさか、開始1分もしないうち、ザネに至近距離からシュートを撃たれ、GKルーニンに救われるという、ドッキリに見舞われるとは!その後も立て続けにハリー・ケーン、ミュラー、ムシアラと前半15分までに8本も撃たれ、店内のファンたちを真っ青にさせていたんですが、それが何と、24分にはマドリーが先制点を奪っていたから、ビックリしたの何のって。 そう、後でムシアラなども「マドリーは何もないところから、チャンスを作る力がある」と言っていたんですが、クロースがその慧眼でビニシウスへスルーパスを放ち、キム・ミンジュを置き去りにした彼がGKノイアーの前でシュート。それが決まったんですが、いえ、お手柄の当人は「Toni siempre hace todo muy fácil y me ha regalado un gol/トニ・シエンプレ・アセ・トードー・ムイ・ファシル・イ・メ・ア・レガラードー・ウン・ゴル(クロースは常に何でも簡単にしてくれて、ボクにゴールを贈ってくれた)」と、まだ6月切れるマドリーとの契約を延長するかどうか、決めていないドイツ人MFのアシストを手放しで褒めていたんですけどね。 逆にクロースに言わせると、「El pase al final no ha sido tan especial, lo ha sido el movimiento/エル・パセ・アル・フィナル・ノー・ア・シードー・タン・エスペシアル、ロ・ア・シードー・エル・モビミエントー(結局のところ、パスはそんなに特別なものじゃなくて、彼の動きが上手かった)。ビニシウスは素早いだけでなく、賢くて、いつ動かないといけないか知っている」そうなんですが、ただその時だけだったんですよ、マドリーが攻めに行ったのは。0-1となった後も前半は守っているだけだったため、これはギュレルの一発で勝ったリーガ前節のレアル・ソシエダ戦展開になるかと思いきや、そこは天下のバイエルン。 トゥーヘル監督がゴレツカをゲレイロと入れ替えた後半には、うーん、序盤にはノイアーにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されたクロースの一撃もあり、アンチェロッティ監督もゲームをコントロールできているフェーズだったと認めていたんですけどね。何と8分にはムシアラとサイドを変えて、右からドリブルでエリア内に入ったザネに同点ゴールを決められてしまうんですから、いくらブンデスリーガで今季、レバークーゼンに大差でタイトルを持っていかれたといっても、決してヨーロッパの名門の底力を侮ってはいけない? 実際、その4分後には、出場停止のカルバハルの代わりに先発したルーカス・バスケスがエリア内でムシアラを倒し、PKを献上。イングランド代表で同僚のベリンガムがキャプテンの気を散らしに話しかけにいったのも何のその、ケーンが危なげなく決めて、とうとう2-1と逆転しちゃいましたからね。ただその時の私は2ndレグはサンティアゴ・ベルナベウだし、CLではマドリーの根性のremontada(レモンターダ)精神が発現し易いため、僅差で負けた方が却って、来週水曜の試合が盛り上がっていいんじゃないかなんて思っていたのも事実。 それもあって、アンチェロッティ監督がチームにエネルギーを注ぎ込むため、ナチョをカマビンガに、クロース、ベリンガムをモドリッチ、ブライムに代えていくのを淡々と見守っていたんですが、38分、またしてもビニシウスがやってくれるとは!そう、今度は彼からのパスをもらったロドリゴがエリア内でキム・ミンジュに倒され、PKを獲得すると、それを決めて、doblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を達成。2-2の同点で1stレグを終わらせたとなれば、もうウェンブリーでの決勝の切符はゲットできたも同然? いえまあ、クロースも「Lo que se vio en los primeros 15 minutos hoy no es el plan/ロ・ケ・セ・ビオ・エン・ロス・プリメーロス・キンセ・ミヌートス・オイ・ノー・エス・エル・プラン(今日、最初の15分に見せたのはプランとは違った)」と言っていたように、この日はシティ戦2ndレグのように守り倒すつもりはなかったのか、いささか守備に強度が足りず。バイエルンに11本(うち5本が枠内)もシュートを撃たれていたのは気になりますけどね。アンチェロッティ監督も「Mostró su mejor versión y nosotros no/モストロ・ス・メホール・ベルシオン・イ・ノソトロス・ノー(相手は最高のバージョンを披露して、ウチは違った)。水曜まで改善する時間はある」と反省していましたが、何はなくとも、彼らの強みは、トゥーヘル監督も「2度のチャンスで2ゴール。もう前にもやっている」と認めていたように突極の効率性。 それを2ndレグで忌憚なく発揮できれば、大丈夫かと思いますが、またしても何千人というマドリーファンがチームバスのお出迎えをするであろう、そのビッグマッチの前に、マドリーにはベルナベウでリーガ戦が入っていて、それは土曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)のカディス戦。実はこの試合に勝って、次の時間帯でジローナ戦をプレーする2位のバルサが引分け以下で終わるといよいよ、リーガ優勝が数字的にも決まるんですよ。ただ、ライバルの試合の決着がつくまで、2時間もロッカールームで待機しないといけないこともあってか、優勝した場合でもその夜、シベレス噴水広場へチームがお祝いをしに出向くことはないのだとか。 うーん、2年前にリーガとCLの2冠を達成したシーズンも同じような巡り合わせになって、リーガ優勝が週末に決まった後、翌週に準決勝シティ戦2ndレグが控えていた時は行っているんですけどね。今回は自重して、バイエルンとの決戦に全集中したいということなのか、え?でもソシエダ戦同様、スタメン大規模ローテーションをかけるマドリーにカディスが負けると決まっている訳じゃないんだろうって?まあ、そうなんですが、ペジェグリーノ監督のチームは降格圏の18位ですしね。アンチェロッティ監督もそれを考えてか、プレシーズンにヒザの靭帯を断裂。3月にも反対側のヒザの半月板部分損傷で復帰が遅れたGKクルトワの今季初先発を予告しているぐらいなんですが、いや、もしやこれはCL決勝を睨んでの布石ということも。 それだと何か、ここまで頑張ってきたルーニンが気の毒になってしまいますが、とりあえず、カディスはマドリーに負けてもまだ、降格が決定することはなく、勝ち点5上にいるセルタが日曜にビジャレアルに、そして6上にいるマジョルカが負けることに期待するばかりなんですが…そのアギーレ監督のチームは土曜午後9時(日本時間翌午前4時)にアトレティコをホームに迎えますからねえ。ご存知、今季はアウェイ絶対弱者と化している彼らはここ2試合、マジョルカ島で連敗していて、おまけに前節アスレィック戦で5枚目のイエローカードをもらったグリーズマンが累積警告で出場停止に。 未だにレマルとメンフィス・デパイのリハビリも終わらないため、今週のシメオネ監督はマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションでスタメン選びに試行錯誤していたようで、最初はコレアとモラタの2トップだったのも、木曜にはコレアの1トップに変更。まあ、あれだけアウェイでダメダメな姿を見せ続けられているだけに、いくらスポーツ紙のアトレティコ番が、チームは3位奪取を諦めていないと大風呂敷を広げても、私はもう、あまり期待していないんですけどね。それだけにこの34節、大事になってくるのは先週末、メトロポリターノマジックのおかげで勝ち点差を6に広げることができた5位アスレティックと金曜に対戦する弟分の援護射撃な訳で…。 ただ、コリセウムにアスレティックを迎えるヘタフェも丁度、前節のアルメリア戦で1部残留が確定しましたからね。折しも1年前の今頃、ボルダラス監督がキケ・サンチェス・フローレス監督を引き継ぎ、辛うじて最終節に残留が決まった昨季とは隔世の感がありますが、かといって、10位の彼らが勝ち点6差ある7位のコンフェレンスリーグ出場圏を目指すのかは微妙。実際、ボルダラス監督も「Vamos a ver hasta dónde somos capaces de llegar, no tenemos objetivo/バモス・ア・ベル・アスタ・ドンデ・ソモス・カパセス・デ・ジェガール、ノー・テネモス・オブヘティーボ(ウチがどこまで行けるのか、見てみよう。特に目標はない)」と言っていましたしね。 それでもきっと、勝利でホームのファンを喜ばせようという意欲は選手たちにあるはずなので、コパ・デル・レイ優勝以来、3試合、白星から遠ざかっているアスレティック相手に善戦してくれると嬉しいんですが、さて。一応、朗報なのは負傷でここ数試合、出られなかったアレニャが戻ってこられることですが、とにかくマジョラル、アランバリ、ドゥアルテ、ファン・イグレシアスと、もう今季はプレーできない選手が多いヘタフェですからね。アルメリア戦では2ゴール挙げたグリーンウッドも毎試合、得点してくれるFWではないため、その試合で3点目を挙げ、マヌ・デル・モラルの持つクラブ最多得点記録37に並んだマタ辺りが頑張ってくれればと思います。 そしてまた1チームだけ、日曜試合となったラージョはエスタディオ・バジェカスにヘタフェに負けて、降格が決まったばかりのアルメリアを迎えるんですが、何せ彼らは3-0でコロッとビジャレアルにやられてしまった前節のイメージが悪すぎましたからね。降格圏とは勝ち点8差あるとはいえ、まだこちらは残留が確定していませんし、ここは相手にやる気がなくなっているところを利用して、一気に3ポイントを稼げれば、もうあまり心配することもなくなるんですが…どちらにしろ、このオフシーズンはゴールを挙げられるFWを獲得するのが、ラージョはマストになりそうです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.05.03 22:00 Fri

リーガの終わりが近づいてきた…/原ゆみこのマドリッド

「でも彼らには色アレルギーはないからなあ」そんな風に私が呟いていたのは月曜日、CL準決勝1stレグでレアル・マドリーをアリアンツ・アレナに迎えるバイエルンが、応援に来るファンに「Alles in Rot(全員赤で)」と呼び掛けているのを知った時のことでした。いやあ、この手は準々決勝マンチェスター・シティ戦1stレグ前にマドリーも「Un Bernabeu vestido de blanco/ウン・ベルナベウ・ベスティードー・デ・ブランコ(白をまとったベルナウベウ)」のスローガンの下、スタンドを真っ白に染めて、相手を圧倒するために使っていたんですけどね。 とはいえ、マドリーには、ジグナル・イドゥナ・パルクのGelbe Wand(黄色の壁)を前に準々決勝2ndレグでドルトムントに逆転負けした、お隣さんのような黄色アレルギーもアウェイ弱者ということもないため、果たして効果があるのかどうか。実際、バイエルンと最後に顔を合わせた2018年の準決勝でもマドリーはアウェイの1stレグで1-2と勝ち、ホームで2-2と引分けて決勝に進出。キエフでの決勝でリバプールを破り、Decimotercero(デシモテルセーロ/13回目のCL優勝)を達成した実績がありますしね。その前年度など、まさにアンチェロッティ監督率いるバイエルンがジダン監督のマドリーに準々決勝総合スコア3-6で敗退したなんてこともあったんですが、まあ、とりあえず、先週末のリーガから見ていくことにすると。 それこそ、そのバイエルン戦のため、金曜にリーガ33節の先陣を切ることになったマドリーなんですが、サン・セバスティアンでのレアル・ソシエダ戦は雨がザーザー降る中、昨夏に引退したダビド・シルバがクラブから金の紋章を授与されてスタート。すでに前節のクラシコ(伝統の一戦)でバルサに勝利して、ほぼ優勝が確定していただけに、アンチェロッティ監督もミュンヘンでの試合で出場停止となるカルバハル、そしてチュアメニ以外、9人を大規模スタメンローテーションする余裕ぶりだったんですけどね。そのおかげもあったか、序盤からずっと攻めていたソシエダでしたが、決定力が欠けていたのが致命的でした。 だってえ、ほとんど敵エリアに近づかなかったマドリーだったにも関わらず、29分にはチュアメニが送ったロングボールから、カルバハルがゴール前に出したラストパスをソシエダのDFたちがカットできず。反対サイドにいたギュレルがワンタッチで押し込んで、先制点をゲットしてしまったんですよ。ええ、今季、フェルネバフチェから移籍した19才はこれまで、ほんの少ししかプレー時間がもらえず、かつてのウーデゴーア(現アーセナル)の二の舞を心配されていたんですけどね。この様子なら、趨勢が決まったリーガ残り5試合ではかなり出番が増えるのは確実かと。 え、でもソシエダもその2分後、久保建英選手がゴールを挙げていなかったかって?その通りなんですが、その前にバレネチェアがチュアメニにエリア前で足払いを掛けて倒し、それで転がったボールをオジャルサバルが繋いだという経緯が。VAR(ビデオ審判)通信を受けた主審がモニターチェックした結果、ファールでノーゴールとなることに。結局、その後は両チームとも点が取れず、マドリーが0-1で勝ったため、試合後には久保選手も「バレネチェアはボールを奪いに行って、獲られたのは相手が眠っていたから。Creo que eso en la Champions no lo van a pitar/クレオ・ケ・エソ・エン・ラ・チャンピオンズ・ノー・ロ・バン・ア・ピタール(CLだったら、あのファールは取らないと思う)」と結構、きつめの批判をしていたんですけどね。 それにはイマノル監督も同意していたんですが、どちらにしろ、ソシエダのEL出場圏6位キープの戦いは、7位のベティスと勝ち点2差しかないため、当分続きそうな。翻って、やはり褒めなくてはいけないのはマンチェスター・シティ戦2ndレグでも見せたマドリーの守備力なんですが、それもヒザの靭帯断裂から復帰したミリトンなど、この日が初フル出場試合でしたからね。アンチェロッティ監督も「ギュレル、セバージョス、フラン・ガルシアら、これまでプレー時間が少なかった選手たちが大きく貢献してくれた。Tenemos un plantillón con mucha calidad y compromiso/テネモス・ウン・プランティジョン・コン・ムーチャ・カリダッド・イ・コンプロミソ(ウチには高い質と献身の心を備えた素晴らしい選手層がある)」と言っていたんですが、これはなかなか、普通のクラブでは難しいですよね。 おかげで、残念ながら、月曜にはバルサもバレンシアに4-2で勝ってしまったため、一時は14に広がった勝ち点差は11のままだったんですが、それでも次節のカディス戦ではいよいよ、マドリーのリーガ優勝本決まり可能性が。ただ、その前に貧乏暇なしとはまさに真逆で、スペイン勢で唯一、CL準決勝進出している彼らは月曜にはもう、試合に出られないカルバハル、今週末復帰予定のクルトワ、まだリハビリ真っ只中のアラバも連れて早速、ミュンヘン入り。火曜午後9時(日本時間翌午前4時)のバイエルン戦に備え、スタジアム前日練習をしたんですが、風邪でソシエダ戦を休んだロドリゴ、胃腸炎明けで温存されていたベリンガム、そしてシティ戦2ndレグから、筋肉痛だったメンディもすっかり回復しているのは良かったかと。 といってもこれはまだ1stレグですからね。相手もムシアラ、ナブリ、ザネら、土曜にハリー・ケーンの2ゴールで勝利したフランクフルト戦に出られなかった選手たちが戻っているため、おそらくアンチェロッティ監督第1期だった2014年準決勝2ndレグの0-4の大勝みたいなことにはならず、かなり拮抗した展開が見られるのではないかと思いますが、さて。今回は激込み確実のバル(スペインの喫茶店兼バー)で120分超の長丁場観戦になる心配がないだけに、私もちょっと気分が楽です。 そして土曜にはまず、午後4時15分からヘタフェがアルメリア戦をプレーしたんですが、丁度、その時間に私は2部の弟分、レガネスを応援にブタルケに。それが、ここ4試合スコアレスドローという停滞状態がなかなか破れず、ネユウの負傷交代などもあったサラゴサ戦の前半もボルハ・ヒメネス監督のチームは得点できなくてねえ。幸い、後半12分にはラバのクロスをミゲール・デ・ラ・フエンテが頭で決めて、とうとうゴールは取り戻したものの、何なんでしょう。スタンドのファンが久々に勝利のお祝いができると勢い込んでいた後半ロスタイム3分、セルヒオ・ゴンサレスの腕に敵のシュートが当たり、VARモニターチェックでハンドによるPKとされてしまったから、さあ大変! 結局、50分に決まったマイケル・メサのPKゴールで1-1と終わり、5連続ドローなれば、日曜にはバジャドリーに同じ勝ち点で並ばれてしまったのも仕方ない?うーん、それでも1位は奪われなかっただけ、マシなんでしょうが、先週末は負けてしまったとはいえ、3位のエイバルもたった勝ち点差3ですからね。うっかり3位以下に落ちてしまうと、4チーム中、1チームしか1部に上がれない厳しいプレーオフの試練が待っていますし、ここは一刻も早く、レガネスにはドロー地獄から抜け出して、直接昇格で来季1部マドリット勢5チーム体制を復活させてもらいたいものですが…最近はチームにケガ人が増えてきているのが気掛かりではあります。 その裏で私がオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継で聴いていたヘタフェの方はというと、相手がダントツ最下位のアルメリアだったいうのがラッキーでしたかね。前半27分にはモリバが敵陣でロピからボールを奪い、そのラストパスを受けたグリーンウッドが先制。41分にはエンバルバのシュートをGKダビド・ソリアが弾いたボールを1月までヘタフェにいたチョコ・ロサーノに押し込まれるという、古巣恩返し弾を浴びるなんてことあったんですが、後半3分には今度はモリバが弾かれた後、グリーンウッドが自身2点目を挙げ、更に16分にもグリーンウッドのアシストでマタが3点目をゲットしたとなれば、もう安心ですって。 1-3で勝利して、アルメリアを2部降格確定に追いやっていたんですが、何よりだったのはこれで降格圏と勝ち点17となったヘタフェの残留が完全に決まったこと。あとは勝ち点6差とちょっと距離はあるものの、コンフェレンスリーグ出場圏の7位を目指してみるのもいいかと思いますが、彼らの決意がどこにあるのか、確認できるのは金曜、コリセウムでのアスレティック戦になりましょうか。折しも兄貴分との試合で未だにコパ・デル・レイ優勝酔いが未だに覚めていないことがわかったばかりの相手となれば、もしかしたら…。 そう、土曜はブタルケからセルカニアス(国鉄近郊路線)とメトロを使って、メトロポリターノに向かった私だったんですが、午後9時からのアスレティック戦には余裕を持って間に合うことに。それにしたって、アトレティコファンは心が広いのか、アウェイでCL準々決勝ドルトムント戦2ndレグ逆転敗退、続いてメンディソローサでアラベスに2-0負けと悲惨極まる姿をさらしてきた直後だというのに、チームを変わらぬ熱気で歓迎。フェルナンド・トーレス監督率いるフベニルAのリーガ優勝祝い、今季限りで引退を発表したOBのラウール・ガルシアへのオマージュ、更には先日、73才でお亡くなりになったトーレス父への黙祷とキックオフ前のメニューも満載だったんですが、実はこの試合、もう目標が4位キープで、来季のCL出場権を獲得することしか残っていない彼らにとっては背水の陣だったんですよ。 もちろん、それはアラベスに負けた後、5位のアスレティックとの勝ち点差がたったの3になってしまったからですが、シメオネ監督のチームの立ち上がりはかなり不安定。初っ端からイニャキ・ウィリアムスにフリーでvolea(ボレア/ボレーシュート)を撃たれるなど、ドッキリさせられたんですが、15分には早速、メトロポリターノマジックが発動します。ええ、ジョレンテが上げたクロスをレクエがヘッドでクリアしたところ、それが丁度、エリア前にいたデ・パウルの前に落ち、そのシュートがガラレタに当たって、GKウナイ・シモンを破ってくれるとは、まるで冗談のようじゃないですか。 ただ、リードした時の常で時間が経つにつれ、一歩後退癖が顕著になってきたアトレティコは攻められていることが多くなり、いえ、だからって、ニコ・ウィリアムスがCKを蹴る時にモンキーチャントするおバカがいていいってことにはならないんですけどね。おかげで36分には一時試合が中断し、主審が差別行為禁止の場内アナウンスをクラブ職員に命じていましたが、幸いそれ以上の大事には至らず。その愚か者も翌日には警察により、身元が判明したため、刑事処分やスタジアム出入り禁止などの罰を受けるはずなんですが、でもそのせいで、アトレティコの選手たちの気が完全に散ってしまってはねえ。 それからパスが3度と続かないという、お馴染みのダメダメ状態に陥った彼らはついに45分、よりによってグリーズマンがウィリアムス兄にバックパスをプレゼント。そこからグルセタ、ウィリアムス弟に繋がって、同点ゴールを挙げられてしまったとなれば、それまで味方だったスタンドから、pito(ピト/ブーイング)が聞こえだしたのも仕方なかった?うーん、今季はホームで無敵だったアトレティコですが、まさにアスレティックにコパ準決勝1stレグで負けた後、リーガでもバルサに叩きのめされ、不敗神話が途切れていましたからね。1-1でハーフタイムに入った時は私も嫌な予感しかしなかったんですが…。 生きていたんですよ、メトロポリターノマジックは!そう、ロッカールームでシメオネ監督に「相手はウチが弱くて、怖がりで、意気地のないチームになって、時間の経過と共にファンが神経質になるのを待っている。だから、jueguen, jueguen, con tranquilidad/フエゲン、フエゲン、コン・トランキリダッド(落ち着いてプレーするように)」と言われたもの良かったか、反省してピッチに戻ったアトレティコは後半7分、コケのパスで抜け出したコレアが早々に勝ち越し点を挙げてくれたんです!おかげでスタンドのファンもいつもの応援状態に戻ってくれたとなれば、もう大丈夫ですって。 それでも1点差ではやや心もとなかったんですけどね。イロイロ選手交代があった後の36分、金曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションで追加のシュート練習をしたというサムエル・リノがエリア内から撃ったボールがゴールポストに当たり、ウナイ・シモンの背中でオウンゴールになってくれるとはまさに神様、仏様、メトロポリターノ様ってもんじゃないですか。 いえ、リノは44分にも同じような位置からシュートを撃って、敵DFにブロックされていたため、特訓は今週も続けてもらいたいところなんですけどね。アラベス戦を顔面神経痛で欠場したモラタもベンチにいたものの、ピッチに出る必要もないまま、試合は3-1でアトレティコが勝って終了。おかげでアスレティックとの差を勝ち点6に増やすことができた彼らだったんですが、今週末は大苦手のアウェイゲームの番となれば…。 何せ、コケの「アウェイでガツンと行けなかったことは、nos tiene que servir para la temporada que viene/ノス・ティエネ・ケ・セルビル・パラ・ラ・テンポラーダ・ケ・ビエネ(来季のために役立てないといけない)」という言葉を聞く限り、もう今季は原因究明も改善も諦めたようで、土曜のマジョルカ戦にはまったく期待ができませんからね。その上、アスレティック戦の終了間際にイエローカードをもらい、グリーズマンが累積警告で出場停止なってしまったとなれば、勝ち点7差の3位の座を狙うなんていうのは夢のまた夢。後はバルベルデ監督のチームがこのまま今季終了まで、コパ酔いから覚めてくれないことを祈るしかありませんって。 そして日曜にビジャレアルとのアウェイ戦に挑んだラージョは前半にセルロートに先制されると、後半にもCKからモスケラのヘッド、更に再びセルロートに決められて、3-0とあっさり負けてしまうことに。いやあ、前節のオサスナ戦勝利でほぼ残留に近づいたイニゴ・ペレス監督のチームだっただけに、恐れていた通りになってしまいましたが、まあ、残り5試合、この週末のアルメリア戦、グラナダ戦といったエスタディオ・バジェカスでの試合に勝てば、おそらく数字的にも確定しますからね。今はホームのファンに喜んでもらえる形でシーズンを終わらせることだけを考えてくれればいいんじゃないでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.04.30 21:00 Tue

兄貴分チームはまだ頑張らないといけない…/原ゆみこのマドリッド

「バルセロナの記者たちは大変なのね」そんな風に私が同情していたのは水曜の夜、Gol(ゴル/スペインのサッカー専門の民放)をながら見していたところ、いやあ、バルサのチャビ監督がラポルタ会長邸に入ったのは午後7時ぐらいだったそうなんですけどね。それがようやく午後11時半近くになって、「チャビが出て来た!」と現場にずっと詰めていたリポーターから連絡が入り、中継がスタート。当人は何も言わずに車に乗って行ってしまったんですが、その後、現れたジュステ副会長に向けられたマイクの数の半端なかったことといったら、もう。 まあ、そのおかげで、「Xavi está muy ilusionado con el proyecto/チャビ・エスタ・ムイ・イルシオナードー・コン・エル・プロジェクト(チャビはこのプロジェクトにとても魅力を感じている)」と、先日のクラシコ(伝統の一戦)の後から噂になっていた、1月に当人が宣言していた今季限りから、来季も続投に変わったことが確認されたんですが、翌日にはラポルタ会長とチャビ監督の共同会見もありましたからね。そんな夜遅くまでメディアが張りつく大騒ぎになるとはさすが、スペイン2巨頭の片割れだけある? でもねえ、バルサはCL準々決勝敗退、クラシコ敗戦でリーガ優勝も絶望となったばかりで、まだ2位の座も確定しておらず。それがこの続投決定で、退団する指揮官に最後のご奉公をしようと頑張っていた選手たちの気が変わり、万が一、勝ち点2差の3位ジローナに追い越される可能性もありますからね。来季のスペイン・スーパーカップ出場権を獲れなくてもチャビ監督は安泰なのか、疑問に思ったのは私だけではなかったかと。 そんなことはともかく、リーガ20チーム中、唯一、まだミッドウィークのヨーロッパの大会で忙しくしているチームの話をすることにすると、そう、来週火曜のCL準決勝バイエルン戦1stレグを考慮して、リーガ33節の日程を繰り上げてもらったレアル・マドリーはもう、金曜午後9時(日本時間翌午前4時)にはレアル・ソシエダ戦をプレーするんですよ。何せ、日曜には2位のバルサに3-2と逆転勝利して、勝ち点差が11に拡大。ほぼほぼ、優勝が決まった彼らだけにリーガでは余裕がありますからね。 それもあって、前日会見では「Hasta que las matemáticas nos den la Liga tenemos que pelear/アスタ・ケ・ラス・マテマティカス・ノス・デン・ラ・リーガ・テネモス・ケ・ペレアル(数字的にリーガ優勝が決まるまで戦わないといけない)」と言っていたアンチェロッティ監督だったものの、大規模なローテーションを計画しているよう。その中にはクラシコの翌日、シベレス噴水広場のすぐ後ろにあるマドリッド市庁舎で開かれたローレウス・アワードに姿を現わし、年間最優秀ブレークスルー賞を受賞するのと一緒にウサイン・ボルトやルーカス・アルカラスらと親交を温めていたベリンガムも入っていて、いえ、彼は胃腸炎で木曜の練習をお休みしたため、ビッグマッチの前にムリさせたくないということみたいですけどね。 未だにCL準々決勝マンチェスター・シティ戦2ndレグの筋肉痛が治らず、クラシコにもいなかったメンディ共々、サン・セバスティアン遠征には同行しないんですが、おかげでレアル・アレーナのピッチに立つのはバイエルン戦1stレグで出場停止となるカルハバルを除き、ほぼ全員控え選手になる可能性も。とはいえ、ソシエダのイマノル監督も「Espero un Madrid potente, independientemente de quien esté en el campo/エスペロ・ウン・マドリッド・ポテンテ・、インデペンディエンテメンテ・デ・キエン・エステ・エン・エル・カンポ(誰がピッチにいるのかは別にして、強いマドリーを待っている)。彼らの選手層は凄く厚いからね」と言っていたように、エティハド・スタジアムで120分の激闘を繰り広げた後、カルバハルやナチョ、メンディが出なかったクラシコでもライバルに止めを刺していましたからね。 それもクロースによると、「ボクらが上手くプレーしていたら、4-0で勝てていたはず。でもとりわけ前半、押しが足りなくてね」という、エネルギーかつかつ状態でプレーしていたようですからね。バルサが残り全勝する前提で、あと勝ち点7を貯めれば、マドリーは優勝確定となりますし、これまで出番がほとんど回って来なかったギュレルやセバージョス、先発の機会が少ないホセルやブライムらがソシエダ戦では発奮して、いい勝負になるのでは? ちなみにマドリーには予期しない朗報もあって、ここ数日、チーム練習に加わっていたGKクルトワが来週末のカディス戦でもう復帰できるのだとか。いやあ、夏にヒザの靭帯を断裂し、ようやく回復した矢先だった3月、反対側のヒザの半月板を部分損傷。手術をしたため、今季はもう絶望と言われていた彼だったんですけどね。これはケパとのポジション争いに勝って、正GKとして定着し、CL決勝での初プレーを夢見ていたルーニンにとって、思わぬ強敵出現ですね。 一方、先週末は弟分のヘタフェと1-1と引分けたため、7位のベティスに勝ち点3差に迫られたソシエダでは、スベルディアとスビメンディが出場停止明けで復帰。更に3月に右足の中足骨を骨折したブライス・メンデスも再発の危険を覚悟で戻ってくるんですが、コリセウムでふくらはぎの肉離れを起こしたトラオレとティエルニは欠場。ここ2試合、不具合があって、途中出場だった久保建英選手も今度はスタメンに入れそうなんですが、きっと、彼とオドリオソラは古巣への恩返しに燃えているんじゃないでしょうか。 そして土曜にはまず、ヘタフェがパワーホース・スタジアムでのアルメリア戦に臨むんですが、何せ、そのソシエダ戦で彼らも勝ち点40に到達して、ほぼほぼ残留確定しちゃいましたからね。数字的にはコンフェレンスリーグ出場権のもらえる7位のベティスと勝ち点8と可能性はあるものの、昨季など、最終節まで2部降格の恐れがあったことを考えれば、もう肩の力が抜けてしまっても仕方ない?実際、チームにはボルハ・マジョラル、アランバリ、ドゥアルテ、そして先日、肩の手術をしたファン・イグレシアスと4人も今季中プレーできない選手がいて、人員が手薄になっていますからね。 ソシエダ戦でも19才のジャシンがデビューしたように、この先はボルダラス監督も来季を見据えて、カンテラーノ(ヘタフェB)の試用期間に当てたりするんじゃないかと思いますが、さて。そうそう、相手のアルメリダは今節、たとえ勝ってもセルタとマジョルカの結果次第で降格が決定。そうなるともう、主力アタッカーのラマザーニが前節での審判への暴言で出場停止5試合を喰らってしまったことなど、どうでもよさそうですが、シーズン終盤になって就任したペペ・メル監督はちょっと、気の毒ではあります。 え、それでCL準々決勝ドルトムント戦で敗退して帰国した翌日、ヒル・マリン筆頭株主がマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に駆けつけ、リーガで4位となって、来季のCL出場権を獲得するのがどれ程、クラブにとって大事か、選手たちに重々説きながら、先週末のアラベス戦でもアウェイ弱者の本領を発揮。2-0で負けて、5位アスレティックとの差が勝ち点3になってしまったアトレティコはどうしているんだって?いやあ、彼らはこの土曜午後9時から、メトロポリターノでそのアスレティックとガチンコ対決するんですが、月曜にはローレウス・アワードに出席したデ・パウルが悪目立ちしていてねえ。 別に表彰された訳でもないのに一張羅でレッドカーペットを歩いていたのはいいんですが、マイクを向けられて、「En líneas generales creo que ha sido una gran temporada para el Atlético/エン・リネア・ヘネラレス・クレオ・ケ・ア・シードー・ウナ・グラン・テンポラーダ・パラ・エル・アトレティコ(一般的なラインとして、アトレティコは素晴らしいシーズンを送った)。コパ・デル・レイは準決勝、CLは準々決勝まで行ったし、CL出場圏のリーガ4位、来年のクラブW杯出場権も獲ったしね」と話していたのに神経を逆撫でされたファンは結構、多かったかと。 だってえ、それって、どの大会でもタイトルには手が届かなかったのにも関わらず、満足しているってことじゃないですか。しかも未だにファンは、あのドルトムント戦2ndレグでの情けない逆転敗退にショックを受けていて、その深度はメンディソローサでのダメダメぶりで更に倍増。これでは世間から、野心のない、現状維持で十分と思っているチームと見なされても仕方ないんですが、まあでも、アスレティック戦はアトレティコが心の拠り所とするメトロポリターノでの開催ですからね。 アラベス戦の欠場は三叉神経痛により、顔が痛かったせいと判明したモラタもゴールと共にかどうかは怪しいですが、水曜からチーム練習に復帰。メンフィス・デパイはまだケガが治っていないため、せめてグリーズマンやコレア、出場停止が明けたジョレンテらがチームの勝利を導くゴールを挙げるのに協力してくれたらと思いますが、さて如何に。ちなみにチームは木曜の練習後に決起ランチ会を開き、お肉を食べて、精をつけたそうですが、ホント、あと6試合なんですから、何とか踏ん張ってほしいものです。 そして相手のアスレティックは今週、アトレティコにも在籍したラウール・ガルシアが37才で引退発表したのに続き、31才のムニアインも退団を告知。まあ、折よく、まさにアトレティコを準決勝で破ったコパ・デル・レイで優勝して、悲願のガバラ(ビルバオの運河を走る荷物運番船)に乗っての水上パレードも40年ぶりに実現できましたからね。ベテランの選手にとってはキャリアチェンジのいい節目になったようですが、ここ2試合、祝賀酔いで引分けだった彼らもそろそろ目覚めそうなのが怖いところ。もうEL出場権は確保しているんだから、CLまで狙うのは遠慮してほしいところですが、きっとそうはいかないんでしょうね。 ちなみにもう1つの弟分、ラージョだけは日曜試合に当たっていて、こちらはラ・セラミカでのビジャレアル戦。イニゴ・ペレス監督のチームは前節、ホームでオサスナに2-1と逆転勝利して、降格圏との差が勝ち点9まで開いたんですが、15位という順位はまだ改善の余地があるかと。ビジャレアルも残留確定はしたといえ、7位まで勝ち点6差の9位と、ヨーロッパの大会出場圏を狙うのは少々、難しそうですからね。早くも消化試合の様相を醸しだしてしまわないか心配なんですが…何はともあれ、ラージョFW陣の得点数が少しでも改善してくれることを祈っています。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.04.26 21:00 Fri

朗報の方が多い週末だったけど…/原ゆみこのマドリッド

「もう忙しい時期は終わったのね」そんな風に私がホッとしていたのは月曜日、CL、リーガと試合が立て込んだ2週間の後、今週はミッドウィークフリーになることに気がついた時のことでした。いやあ、レアル・マドリーだけは来週、再来週にバイエルンとのCL準決勝があるため、他のマドリッド勢のように週1試合という訳にはいかないんですけどね。要は強いがための嬉しい代償ですし、これからはほぼ優勝の決まったリーガでローテーションもできるとなれば、あまり苦にはならないかと思いますが、この直近4連戦でボロボロになったアトレティコにはこの余裕日程が有難いかも。 だってえ、コパ・デル・レイ決勝のおかげで中8日で迎えたCL準々決勝ドルトムント戦1stレグ、その次、中2日で迎えたジローナ戦までは、ええ、ホームのメトロポリターノマジックのおかげもあって、勝っていたんですけどね。再び、中2日で挑んだジグナル・イドゥナ・パルクで4-2と負け、CL敗退が決まったかと思えば、次は中4日あったにも関わらず、メンディソローサでもアラベスに負けている始末。冗談抜きで今季残りのアウェイゲーム全敗の可能性も出て来たため、うーん、兄貴分に優しいヘタフェにはコリセウムで勝てるかもしれないとはいえ、マジョルカ戦、そして相手が最終節まで、ヨーロッパの大会出場権を争っていそうなレアル・ソシエダ戦はかなりヤバいかと。 メトロポリターノでのアスレティック戦、セルタ戦、オサスナ戦に勝つだけで、来季のCL出場権をもらえる4位をキープできればいいんですが、こればっかりはねえ。幸い、今週土曜に直接対決となるアスレティックもコパ優勝酔いがまだ覚めてないようで、リーガではここ2試合、引き分けが続けているため、何とかなってほしいんですが、とりあえず、まずは先週末のマドリッド勢がどうだったか、お伝えしていくことにすると。 この32節、土曜に先陣を切ったのは弟分のラージョで、ヘタフェとの弟分ダービーが0-0に終わった前節に続いて、オサスナとのホームゲームをプレー。でもねえ、春真っ盛りの気候に誘われて、エスタディオ・バジェカスに駆けつけたファンがゴールの歓喜に湧くまでには、かなり待たないといけなかったんですよ。それどころか、29分にはラウール・ガルシアが入れたクロスをモイ・ゴメスに決められて、先制されてしまうという逆境に遭うことに。 0-1のまま、後半に入っても相変わらず、ゴール日照りが続いていたラージョは順次、カメージョをRdT(ラウール・デ・トマス)に、デ・フルートス、ウナイ・ロペスをファルカオ、ベベにと前線を強化していったものの、30分を越えても同点に追いつけず。私の前に座っていた声の大きなアボナードー(年間チケット保持者)のオジさんなど、「Inigo, vete ya!/イニゴ・ベテ・ジャー(イニゴ・ペレス監督、もう出て行け)」と叫んでいた程だったんですが、35分、とうとう、ラージョの執念が実ることに。ええ、ベベの蹴ったCKを敵DFがヘッドでクリアしたボールがエリア外で待機していたチャバリアの前に落ち、そのvolea(ボレア/ボレーシュート)が決まってくれたから、どんなにファンも盛り上がったことか。 おまけにその4分後にはイシも奮起して、エリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を叩き込み、あっという間に逆転してしまうとは珍しい日もあるものですが、まあ、オサスナも勝ち点39とほぼほぼ残留確定していて、余裕がありましたからね。ラージョも何とかリードを守りきることができたため、2-1のまま終わり、イニゴ・ペレス監督は2年前に引退するまで、オサスナで師事していたアラサーテ監督に成長ぶりを見せつけることに。これでラージョも降格圏18位のカディスと勝ち点9差となったとなれば、今季3度目となる、ファンとの「Vida de pirate/ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」唱和がプレ残留確定祝いみたいになっていたのも当然だった? そして翌日曜午後2時の早い時間帯に当たったのがヘタフェで、こちらもコリセウムでレアル・ソシエダ戦だったんですが、やっぱり順位争いをしているチームは違いますよね。開始1分にはラタサ、2分にはジェネが次々と倒され、先行きが心配されたんですが、それよりマズかったのは13分、早々にベッカーのクロスから、バレネチェアのヘッドで先制されてしまったことの方。何せエネス・ウナル(現ボーンマス)の移籍とマジョラルのヒザの靭帯断裂があってからの彼らはゴールを入れてくれるCFが不在ですからね。それでもこの日はオスカル・ロドリゲスが28分、同点ゴールを挙げることになったんですが、そのプレーが少々複雑なものだったんです。 そう、マキシモビッチのヘッドをGKレミロが弾いた後、オスカルの至近距離シュートも掻き出して、一旦、エリア外に出たボールをグリーンウッドがクロス。それをラタサが頭でゴールに入れたため、その場では誰もが彼の得点だと思ったんですけどね。それがしばらくして、VAR(ビデオ審判)がすでにオスカルのシュートがゴールラインを越えていたとして、得点者名が変わったんですが、どちらにしろ、1-1になったのは同じ。当事者たちの個人成績以外にはあまり影響はなかったかと。結局、久保建英選手がピッチに入った後半はどちらのチームも追加点を挙げられず、そのまま試合は引分けで終わることに。 え、後半8分にオスカルの蹴ったFKがポストに当たり、反対サイドのライン上にいたル・ノルマンが蹴り出したプレーでゴールが認められていれば、ヘタフェは勝てていたんじゃないかって?まあ、その通りですが、ボルダラス監督も「La falta que parecía que había entrado/ラ・ファルタ・ケ・パレシア・ケ・アビア・エントラードー(あのFKはゴールに入ったように見えた)が、ゴールラインテクノロジーがないから、本当に入ったか、入らなかったかはわからない」と達観していましたしね。ただ、これはこの勝ち点1で残留確定ラインの40に到達したヘタフェだからこそ、大ごとにならなかっただけで、その夜のクラシコ(伝統の一戦)では…。 まあ、その前には午後9時のキックオフまで時間があるのを利用して、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でアラベス戦を見ることにした私だったんですが、いやあ、あんなに恐ろしいアトレティコを目の辺りにすることになろうとは!うーん、前日、モラタが体調不良で遠征に同行しないことを知った時には、もしやドルトムント戦2ndレグの1対1の大失敗を気に病んで、中4日では立ち直れない程なのかと穿ってしまった私だったんですけどね。もちろん、メンフィス・デパイもまだケガが治っていませんし、ゴールが足りていないのは重々、承知だったものの、もうそんな問題じゃなかったんですよ。 そう、4分までにグリディとハビ・ロペスがイエローカードをもらうという、テンション高めのスタートを切ったアラベスにシメオネ監督のチームは怖気づいたか、前半はほとんど何もできず。すでに15分にはコケがエリアからクリアしようとしたボールが敵DFに当たり、それを拾ったベネビデスにエリア外からシュートを決められていながら、ようようパスも繋がらない状態ではねえ。いかにもダメダメの今季のアウェイゲームの典型だったんですが、45分にはアラベスのFKがアスピリクエタの腕に当たったとして、ペナルティまで宣告されてしまうドッキリまで勃発することに。 でも大丈夫。この時は幸い、VARが介入してくれて、腕に当たったのは頭に当たって落ちてきたせいとして、PKを献上せずに済んだんですが、1-0のまま、始まった後半もデ・パウルの代わりにサウールが入りながら、大して変わり映えしないのでは。アラベスでは今季、アトレティコからレンタル修行に出ているシメオネ監督の三男、ジュリアーノが、8月にグラナダからアトレティコ入りし、そのままレンタルに出されたサムをベンチに追いやって初先発。父の前でいいところを見せようと、前半から目立っていたんですが、後半6分にはモリーナに股抜きを喰らわし、エリア内に入ろうとしたところをサウールが力づくで止めているシーンなどを見せられては限界です。あと15分ぐらいはバルにいられた私だってもう絶望して、早々にベルナベウに向かっちゃいますよ。 実際、その判断は正しくて、いえ、終盤にはサムエル・リノやコレアのシュートがGKシベラにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されるなど、同点のチャンスがなくもなかったようなんですけどね。丁度、メトロの駅を出た辺りだった47分、カルロス・ビセンテのクロスから、リオハにスーパーボレーを決められて、最後は2-0で試合は終了。オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)から聞こえるピッチインタビューでオブラクが、「どこから撃たれてもゴールになるんだから、estamos en una dinámica fea, mala/エスタモス・エン・ウナ・ディナミカ・フェア、マラ(ボクらは酷い、悪い流れに入っている)」、「No hemos hecho suficiente, como tantas veces este año fuera/ノー・エモス・エッチョー・スフシエンテ、コモ・タンタス・ベセス・エステ・アーニョ・フエラ(今季の他の何回ものアウェイのように、ウチは十分なことをしなかった)」と言っているのを聞きながら、ベルナベルのゲートをくぐるのがどんなに気が重かったことか。 うーん、アラベス戦前には2回程、マハダオンダ(マドリッド近郊)でセッションがあったはずなんですけどね。ここまで守備も攻撃も崩壊しているようでは、いくらシメオネ監督が「Trabajar más que nunca/トラバハモス・マス・ケ・ヌンカ(今までにない程、練習する)」と誓おうが、これはもう、1回チームを解体して、ゼロから構築していくぐらいでないと、体力的にもサッカー的にもお隣さんとタイトルを争えるようなレベルにはならないような気がしますが…今はとにかく残り6試合、何とか乗り切ってくれることを祈るしかありません。 そしてとうとう、密閉式ベルナベウの客席上部に釣り下がっていた360度大スクリーンも稼働して、その日も大勢のファンのお出迎えを受けたマドリーがバルサを迎えるクラシコが始まったんですが、何せ、アンチェロッティ監督のチームは水曜にマンチェスター・シティと120分の死闘を繰り広げたばかりですからね。カルバハルとメンディが疲労でルーカス・バスケスとカマビンガとローテーションすることになったんですが、開始早々の6分にはエティハド・スタジアムでのPK戦で2本止めて、英雄になったGKルーニンがしくじってしまったから、さあ大変! ええ、ラフィーニャの蹴ったCKをクリアしそこね、クリステンセンにヘッドで先制点を決められてしまったからですが、助かりました。18分にはルーカス・バスケスが敵エリア内右奥で17才のクバルシに足を引っかけられ、PKをゲット。ビニシウスが決めて、すぐ同点にしてくれることに。例のゴールラインを割ったかどうかで大騒ぎになった問題のプレーが発生したのは27分のことで、ギュンドガンの蹴ったCKを16才のジャマルがゴール左前から蹴り込んだんですが、ルーニンが掻き出した位置が微妙でねえ。主審が3分程、VAR通信にかかりきりになり、プレミアリーグから来たギュンドガンなど、彼の腕時計を指して、ゴールの知らせが入ってないか、確認するように頼んでいたものの…はい、ゴールラインテクノロジーはリーガにはありません。 最後はVARが完全にボールがラインを越えている映像はないと判断したため、バルサの得点にはならなかったんですが、彼らには前半ロスタイムにデ・ヨングの足がバルベルデの足と空中で当たり、再度の捻挫で担架退場になるという不幸も。まあ、そこはすぐにペドリが入り、チャビ監督は後半頭から、本職CB、その日はボランチだったクリステンセンもフェルミンに交代。更に18分には何と、エースのレバンドフスキとラフィーニャをジョアン・フェリックスとフェラン・トーレスに代え、勝ち越し点を探しに行ったところ、またジャマルがやってくれました。そう、3月にはスペインA代表親善試合でベルナベウデビューしていた彼だったんですが、うーん、左SBがカマビンガだったせいもあったんですかね。 誰よりもいい動きを見せていたその当人が24分、エリア内から撃ったシュートはルーニンが弾いたものの、こぼれ球をフェルミンに決められているんですから、困ったもんじゃないですか。といっても、マドリーの十八番は根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)ですからね。とりわけ、シティ戦では守ってばかりでフラストレーションも溜まっていたか、28分にはビニシウスが上げたクロスをエリア内に駆け込んできたルーカス・バスケスが撃ち込んで、再びスコアは2-2に。マドリーは引分けでも良かったため、ブラジル人前線コンビはこの後、交代したんですが、そこはどっこい、古参のルーカス・バスケスが残り5分にチームメートを鼓舞したそう。 「Vamos a por el gol, vamos a ganar/バモス・ア・ポル・エル・ゴル、バモス・ア・ガナール(ゴールを取りにいこう。勝つんだ)」という言葉を有言実行し、ロスタイム1分には自らラストパスをゴール前に送ると、ホセルがスルーしたボールをベリンガムが決めたとなれば、場内がどれ程、興奮の渦に包まれたのは言う必要もないかと。そのまま、試合は3-2で終わり、とうとうマドリーとバルサの差が勝ち点11となったため、ほぼリーガ優勝は確定したようなもんですが、そのせいもありますかね。試合後のバルサからはジャマルのゴールが認められなかったことに猛抗議が起きることに。 ええ、「Es una vergüenza para el fútbol/エス・ウナ・ベルグエサ・パラ・エル・フトボル(これはサッカーとして恥ずかしい)。確認するのにいいアングルの画像がなかったとか、他のリーグにはあるテクノロジーが儲けているリーガにないとか」(テア・シュテーゲン)というのはその通りかと。とはいえ、「Todo el mundo ha visto que ha entrado la pelota/トードー・エル・ムンド・ア・ビストー・ケ・ア・エントラードー・ラ・ペロータ(誰もがボールが入ったのを見た)。ウチの方がいいプレーをしたし、チャンスも多くて、守備も良くて、勝利に値するのはバルサだ」(チャビ監督)とまでくると、それはどうかと思うんですが、だってえ、ジャマルのゴールが認められても3-3の引分けですよお。勝ち点8差は変わらないため、やっぱり、バルサの逆転優勝は絶望的だったのでは? まあ、私としては延長戦の後でも疲れを見せず、代わって入ったルーカス・バスケスやモドリッチのような選手がしっかり貢献して、最後まで勝利を求める意欲を失わないマドリーにただただ、感嘆するばかりですが、そうそう、来週はバイエルン戦1stレグがあるため、この週末のリーガ日程が変更に。1日多く休めるよう、レアル・ソシエダvsマドリー戦が金曜午後9時(日本時間翌午前4時)に前倒しされたため、他のカードも幾つか日時が変わっているんですが、リーガ優勝が正式に決まるにはあと勝ち点7が必要なのだとか。最短あと3試合ということになりますが、クラブ的にはCL決勝進出を決めてから、落ち着いて祝いたいところでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.04.23 20:00 Tue

CL全滅は免れたけど…/原ゆみこのマドリッド

「差がありすぎて悲しいわ」そんな風に私が溜息をついていたのは水曜が終わる頃、道沿いのお店からはみ出して、そこら中でお祝いを続けている大勢のレアル・マドリーファンを避けながら、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)から家までの数ブロックを歩いていた時のことでした。いやあ、CL準々決勝2ndレグがあった今週は火曜水曜と続けて、バル観戦することになったんですけどね。火曜のドルトントvsアトレティコ戦ではキックオフ30分前に入って、余裕でTVが見やすいテーブル席をゲット。それが水曜のマンチェスター・シティvsマドリー戦では1時間近く前に行ったにも関わらず、すでに満席状態に。 奇跡的に1つだけ空いていたカウンター席を見つけ、立ち見するファンの隙間から、試合を追わないといけなかったのは、まあ、マドリーのCLビッグマッチでは恒例のことですからね。おまけに延長戦に突入し、120分中100分以上はシティに攻められっぱなしだったアンチェロッティ監督のチームが最後はPK戦で勝ったとなれば、店内がお祭り騒ぎになったのも当然ですが、え?アトレティコだって、16強対決のインテル戦2ndレグでは早いうちに2点ビハインドになりながら、グリーズマンとメンフィス・デパイのゴールで2-2に追いつくと、最後はGKオブラクが敵の2本弾いて、PK戦で突破していなかったかって? まあ、そうなんですが、あれは7万人近いアトレティコファンの応援に支えられ、当時はコパ・デル・レイ以外、1年以上無敗を保っていたメトロポリターノのマジックがあってこそでしたからね。一歩、ホームを離れれば、今回のような悲惨な結末になるのは十分、予測できたんですが、それがお隣さんときたら、マドリーファン3000人は駆けつけたものの、もちろん圧倒的に少数派。しかもここ6年間、昨季4-0で彼らが負けた準決勝2ndレグを含め、CL31試合無敗(2引分け)の難攻不落の要塞、エティハド・スタジアムで勝ってしまうとはやっぱり、”Reyes de Europa/レジェス・デ・エウロッパ(ヨーロッパの王者)”を自称するだけのことはある? そのリーガでも首位独走するマドリーが今季、公式戦42試合で唯一、負けたのがリーガ前半戦とコパ16強対決のアトレティコ戦だけというのはまさに皮肉なんですが、それもメトロポリターノでの話ですからね。しかも同じ水曜日、アーセナルにアリアンツ・アレナで1-0と勝ち、総合スコア3-2で準決勝に進出したバイエルンと当たる4月30日の1stレグはアウェイで、5月8日の2ndレグをサンティアゴ・ベルナベウでプレーできるとなれば、いよいよ、Decimoquinto(デシモキント/15回目のCL優勝)への秒読み態勢に入ったと言っていいかと思いますが…まあ、とりあえず、マドリッド勢の2試合がどんなだったか、お話ししていくことにしましょうか。 火曜のアトレティコは1週間前の1stレグで2-1勝利と1点リードして、ジグナル・イドゥナ・パルクに乗り込んだんですが、開始2分にはいきなり大ピンチが到来。そう、敵陣でモラタがボールを失ったことがキッカケでドルトムントのカウンターを喰らい、エリア内からザビッツァーにシュートを撃たれた時には思わず、私も目を瞑ってしまったんですが、幸い、この時は出場停止のサムエル・リノの代わりに入っていたアスピリクエタがボールをカットしてくれて、事なきを得ることに。するとその2分後にはビッグチャスが巡って来て、こちらもカウンターで抜け出したモラタが敵陣を独走すると、GKコベルと1対1となったんですが、うーん、彼は今季、すでに1シーズンで決められるゴール数の上限に達してしまったんでしょうかね。vaselina(バセリーナ/ループシュート)を外してしまい、アトレティコがリードを2点に広げられなかったのは本当に痛かったかと。 実際、メトロポリターノでの遠慮がちな前半とは真逆で、時間が経つにつれ、Gelbe Wand(黄色の壁)に後押しされたドルトムントはアトレティコ陣内を跋扈するようになっていたんですが、他にも味方内に敵がいてはねえ。34分、直近のW杯王者の一員とはいえ、すでに今季の不調ぶりは言い尽くされているにも関わらず、シメオネ監督には同胞のアルゼンチン人枠があるのか、先発に入ったモリーナが自陣右サイド奥で回収したボールをフンメルスにパス。それが1stレグでも途中出場でゲームの流れを変えたブラントに繋がって、エリア内左から、シュートを決められてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。 ただこれだけなら、まだ総合スコア同点ですから、焦ることはなかったんですが、39分にも同じエリア内右から、マートセンに逆転の2点目を入れられてしまったから、さあ大変!ええ、モラタはあんな調子ですし、週末のジローナ戦で2ゴールを挙げたグリーズマンもやはり、ドルトムント戦1stレグから中2日、そのリーガ戦からまた中2日で迎えたこの試合では前半からもう疲れていたんでしょうか。パスミス連続で、デパイも負傷でいない今、一体、どうすれば、アトレティコが得点できるのかと頭を抱えたものでしたが…。 それが、シメオネ監督が後半頭から、モラタ、モリーナ、そしてイエローカードをもらっていたアスピリクエタをコレア、バリオス、リケルメに一斉交代したのが功を奏したんですよ。いえ、CKからエルモーソがヘッドしたボールをフンメルスがクリアしようとして、オウンゴールとなった時はまだ、ジローナ戦でのツキがまだ続いているのかと希望が持ったぐらいだったんですけどね。12分にはコケのラストパスをやはり、エリア内でGKと1対1になりながら、外していたコレアがモラタと対照的に19分、リケルメのシュートが弾かれたボールを1度は敵DFに当てながら、2度目のトライでゴールに入れて面目躍如。まさかまさかの総合スコア3-4に逆転返ししてしまったから、ビックリしたの何のって。 でもねえ、以前のアトレティコなら、これで後は守り倒して勝てていたはずなんですが、今季の彼らは「No supimos cuidar el resultado. No fuimos inteligentes/ノー・スピモス・クイダール・エル・レスルタードー。ノー・フイモス・インテリヘンテス(ボクらは結果をケアすることを知らず、賢くなかった)」(デ・パル)というのがデフォルトなんですよ。メトロポリターノのアトレティコ同様、この日はスタンドのファンが一体となった応援に力づけられたドルトムントは26分、ザビッツァーのクロスをフュルクルークがヘッドして同点ゴールをゲット。その3分後にもまた、エリア内に入ったロングパスをアトレティコのDFたちがクリアできずにいるのをいいことに、駆け込んできたザビッツァーがとうとう勝ち越し点を挙げてしまったとなれば、もうお先真っ暗ですって。 ええ、アトレティコのベンチにはFWがBチームのニーニョしかおらず、前線を強化する術がもうありませんでしたからね。おまけにジローナ戦である程度、ローテーションはしていたものの、さすが3連戦目となると、選手の消耗度が激しく、だってえ、彼らはスタメンの平均年齢が30.6才の高齢化チームなんですよ。当然、若いバリオスやリケルメもその先輩たちのスピードに合わせて動かないといけないため、とても再逆転するどころではなく…今季のアウィエイ弱者、黄色のユニアレルギーを再確認させる如く、4-2(総合スコア5-4)で敗退してしまいましたっけ。 いえまあ、CL8強の中で最弱と言われていたドルトムント相手にこんな調子じゃ、たとえ、勝ち抜けていたとて、明るい未来は望めなかったでしょうからね。ただ、シメオネ監督も「No tuvimos contundencia y de tenerla hubiéramos ganado 6-4/ノー・トゥビモス・コントウンデンシア・イ・デ・テネールラ・ウビエラモス・ガナードー・セイス・クアトロ(ウチには決定力がなかった。あれば、6-4で勝っていただろう)」と言っていたように、優勢だった1stレグでもリノが絶好機にシュートを止められて、3点目を挙げられず。この日のモラタ、コレアも信じられないチャンスをムダにしてしまっているだけに、この問題の根は深いかと。 ただ同日、やはり1stレグで1点差勝ちしていたバルサも、こちらはアラウホの早期退場などもあり、ホームでも先制しながら、1-4という大逆転敗退(総合スコア4-6)。おかげで2025年に始まるFIFAクラブW杯出場権が手に入ったため、アトレティコが世間から叩かれることはあまりなかったんですけどね。何せ、まだリーガは7試合あって、5位のアスレティックと勝ち点4差の彼らは死ぬ気で4位のCL出場権を守らないといけませんからね。うちホーム3試合、アウェイ4試合となると、全然、安心できませんが、とにかく、中4日となる日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのアラベス戦では少しでも内弁慶を返上してくれるといいのですが。 そして水曜のマドリーは1stレグで3-3の引分けとまったくイーブンの状態でマンチェスター・シティに挑んだんですが、いえ、前半12分にカルバハルのロングボールをベリンガムが受け、バルベルデ、ビニシウスと繋いで、最後はCLキラーのロドリゴが2度撃ちでGKエデルソンを破って先制点をゲット。その時はさすが得意の大会だけあって、仕事が早いと感心したものだったんですけどね。それ以降は防戦一方で、とにかく、あんなにも長く自陣エリア付近に閉じ込められているマドリーを見るのは私も初めてだったような。 その状態は後半になっても変わらず、いやあ、シュートもかなり撃たれていたんですけどね。それでも得点できないのに業を煮やしたグァルディオラ監督が27分にグリーリッシュに代えて、ドクを投入。31分にはそのドクがエリア内奥から出したパスをリュディガーが遠くにクリアできず、とうとうデ・ブルイネに同点ゴールを入れられてしまうことに。はい、もちろんこれは根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)スイッチオンの状況で、通常のマドリーならば、勝ち越しゴールを求めて、邁進するはずと思いきや、いやあ、どうなっているんですかね。この日は変わらず、シティに囲まれて専守防衛のままだったため、それこそ、バルに詰め掛けたマドリーファンたちは頭を掻きむしっていたんですが…。 結局、試合は1-1のまま延長戦に突入し、後でロドリなど、「Imagino que en sus planes estaba llegar a la tanda de penaltis/イマヒノ・ケ・エン・スス・プラネス・エスタバ・ジェガール・ア・ラ・タンダ・デ・ペナルティス(彼らのプランはPK戦に持ち込むことたったと思う)」と言っていたんですけどね。実際、アンチェロッティ監督も「Ganar aquí se podía hacer sólo de esta manera/ガナール・アキー・セ・ポディア・アセール・ソロ・デ・エスタ・マネラ(ここで勝つにはこの方法しかない)」と認めていたため、それは正しかったんですが、でもお、コパ準決勝、決勝をPK戦で片をつけようとしたマジョルカでなく、彼らはマドリーなんですよ。 それがシティに33本(うち枠内9本)もシュートを撃ちまくられ、CKも18回蹴られ、ポゼッションもたった33%という状態でPK戦入り。もちろん、「El Real Madrid es el único que puede ganar de esta manera con una ocasión y defendiendo/エル・レアル・マドリッド・エス・エル・ウニコ・ケ・プエデ・ガナール・デ・エスタ・マネラ・コンン・ウナ・オカシオン・イ・デフェンディエンドー(マドリーはたった1度のチャンス、あとは守るだけという方法で勝てる唯一のチーム)。上手く守ったけど、自陣エリアから出なかった」(ロドリ)というのも、ある意味、マドリーのメリットではありますけどね。 実際、アンチェロッティ監督の息子、ダビテ・アシスタントコーチが゛「Jude es lanzador, Lucas es un gran lanzador, Nacho es un jugador con mucha experiencia y personalidad y Antonio es un jugador con huevos/ジュード・エス・ランサドール、ルーカス・エス・グラン・ランサドール、ナチョ・エス・ウン・フガド-ル・コン・ムーチャ・エクスペリエンシア・イ・ペルソナリダッド・イ・アントニオ・エス・ウン・フガドール・コン・ウエボス(ベリンガムはキッカー、ルーカス・バスケスも偉大なキッカー、ナチョは経験豊富でパーソナリティのある選手で、リュディガーは根性がある選手だ)」という理由で選んだPK戦のキッカーは最初に蹴ったモドリッチ以外、皆、成功。 シティに詳しいGKケパ(チェルシーからレンタル)や代表仲間に関してのモドリッチのアドバイスもあって、GKルーニンが相手の第2キッカー、ベルナルド・シウバのPKを動かずにキャッチ、続くコバチッチも止めるというお手柄を挙げ、最後はPK戦3-4で勝ち抜けたとはいえ、ちょっとスッキリしなかったのはきっと、私だけではなかったかと。まあ、バルのマドリーファンたちは狂喜乱舞していたため、別にいいんでしょうけどね。ちなみに守りすぎでこむら返りを起こし、交代せざるを得なくなったカルバハルとビニシウスもケガはしていないことが翌日にはわかり、日曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのベルナベウでのクラシコ(伝統の一戦)には出場可能だそう。 ここでCL準々決勝敗退で尾羽打ち枯らしたバルサを叩いて、一気にリーガ優勝をほぼ確実にしてしまえば、バイエルンとの準決勝にも心置きなく挑めるというものですが、そうそう、今週末はマドリッドの弟分2チームもホームゲーム。土曜にはラージョがエスタディオ・バジェカスにオサスナを迎えるんですが、折しも相手は月曜に0-1で負けたバレンシア戦でPKに失敗し、戦犯となったエースのブドミルが肋骨を3本骨折で今季絶望に。となれば、ゴール日照りに悩むイニゴ・ペレス監督のチームには1-0でもいいから、是非とも白星を挙げて、勝ち点40の残留ラインに少しでも近づいてほしいところかと。 一方、前節、そのラージョとの弟分ダービーでスコアレスドローに終わったヘタフェは日曜にレアル・ソシエダをコリセウムに迎えるんですが、こちらは勝ち点40まであと1つですからね。それだけでなく、同じ勝ち点で1つ下の11位にいるオサスナのアラサーテ監督は8差のコンフェレンスリーグ出場圏到達を諦めてしまったようですが、ボルダラス監督のチームはもうちょっと野心を持ってくれることを期待。ええ、直近のホームゲーム、セビージャ戦での差別的野次のせいで、一度はスタンドの一部閉鎖を命じられた処分も上訴委員会が撤回してくれましたからね。今季はもう、残り試合も少ないですし、相手がEL出場圏の6位であっても、決して臆することないプレーをファンの前で見せられたらいいですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.04.19 20:00 Fri
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