キリンチャレンジ杯の招待国から欧州勢が消滅。その対抗策は?/六川亨の日本サッカー見聞録
2018.10.04 22:10 Thu
▽キリンチャレンジカップで10月12日にパナマ、16日にウルグアイと対戦する森保ジャパンのメンバー23人が10月4日に発表された。9月のコスタリカ戦から長友、吉田、酒井宏樹、原口、柴崎、大迫のロシアW杯出場組が復帰。森保監督は「前回招集したメンバーと海外組でどんな化学反応があるか見てみたい」と話し、全員攻撃・全員守備をチームのコンセプトとしてあげた。
▽GK3人は前回と変わらないが、今回の2試合では是非ともシュミット・ダニエルのプレーを見たい。196センチの長身は大きな武器だし、26歳という若さも魅力的だ。それ以外のメンバーでは、それぞれバックアップを森保監督は用意した。
▽右SBは酒井宏樹に室屋、左SBには長友に佐々木、CBは吉田と槙野のバックアップに三浦と冨安。ボランチは青山と柴崎、遠藤航と三竿健斗が該当し、右MFは原口と伊東純也、左MFは中島と堂安といったところか。1トップは大迫のバックアップに小林と浅野が控える形だろう。
▽こうしてメンバーを眺めてみると、トップ下の南野のバックアップが不在であることがわかる。コンディション次第という前提つきではあるが、11月の2試合にはGK川島と香川、乾、さらに武藤のロシアW杯組を森保監督は招集するのではないだろうか。
▽そしてキリンチャレンジ杯である。9月はチリ(北海道胆振東部地震で中止)とコスタリカ、10月はパナマとウルグアイ、11月はベネズエラとキルギスが来日予定だ。いずれも南米か北中米の国々でキルギスだけは中央アジアである。
▽強化はもちろん、興行面でもヨーロッパのサッカー大国と対戦できないのは日本にとって(キリンはもちろんテレビ局も含め)大きな痛手であることは間違いない。さらに、来年1月にUAEで開催されるアジア杯に優勝したとしても、コンフェデ杯は17年で中止となったので、こちらもEURO優勝国(前回はポルトガル)と対戦する機会は消滅した。
▽こうした状況にJFA(日本サッカー協会)関係者は「韓国や中国ら近隣諸国との連携が重要になる」と話す。例えば9月に来日したチリとコスタリカは、日本と前後して韓国と対戦した。今回来日するウルグアイも12日に韓国と、パナマとは16日に韓国と対戦する。日韓セットでの対戦により、彼らに支払うギャラを抑えることができるし、来日する彼らにとっても近距離移動で大会出場給が入るというメリットがある。
▽今後も南米や北中米、アフリカ勢の来日が多くなるだろうが、いかにして強化と興行の両立を図るか、UEFAの変革にJFAも難しい舵取りを迫られている。
▽現実的には、日本が対戦を望む国々にとって、日本戦が強化に役立つとは思っていないだろう。それは日本にも当てはまり、「テストマッチは所詮テストマッチ。それ以下でもそれ以上でもない」ことは過去の歴史が物語っている。
▽このためUEFAに対抗して、アジア杯以外にアジアで新たな公式大会を創設し、コパ・アメリカのように南米からの招待枠を設けるなどの提唱をAFC(アジアサッカー連盟)にしていくことも1つの手だ。そして一番手っ取り早い解決方法は、カザフスタンのようにAFCからUEFAへ所属を変更することである。
▽これまでのように毎回W杯に出られる保証はなくなるかわりに、予選から痺れる試合が続くことは間違いない。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
▽GK3人は前回と変わらないが、今回の2試合では是非ともシュミット・ダニエルのプレーを見たい。196センチの長身は大きな武器だし、26歳という若さも魅力的だ。それ以外のメンバーでは、それぞれバックアップを森保監督は用意した。
▽こうしてメンバーを眺めてみると、トップ下の南野のバックアップが不在であることがわかる。コンディション次第という前提つきではあるが、11月の2試合にはGK川島と香川、乾、さらに武藤のロシアW杯組を森保監督は招集するのではないだろうか。
▽そしてキリンチャレンジ杯である。9月はチリ(北海道胆振東部地震で中止)とコスタリカ、10月はパナマとウルグアイ、11月はベネズエラとキルギスが来日予定だ。いずれも南米か北中米の国々でキルギスだけは中央アジアである。
▽すでにご存じの読者もいると思うが、UEFA(欧州サッカー連盟)は18年9月から新たな大会、UEFAネーションズリーグをスタートさせた。UEFAに所属する代表チームによる公式大会で、18年9、10、11、12月にグループステージを実施し、19年6月に準決勝と決勝戦を開催する。さらに19年3月からはEURO2020の予選もスタートするため、ロシアW杯終了後からEURO2020までの2年間、UEFAに所属するチームと対戦する機会はほとんどなくなった。
▽強化はもちろん、興行面でもヨーロッパのサッカー大国と対戦できないのは日本にとって(キリンはもちろんテレビ局も含め)大きな痛手であることは間違いない。さらに、来年1月にUAEで開催されるアジア杯に優勝したとしても、コンフェデ杯は17年で中止となったので、こちらもEURO優勝国(前回はポルトガル)と対戦する機会は消滅した。
▽こうした状況にJFA(日本サッカー協会)関係者は「韓国や中国ら近隣諸国との連携が重要になる」と話す。例えば9月に来日したチリとコスタリカは、日本と前後して韓国と対戦した。今回来日するウルグアイも12日に韓国と、パナマとは16日に韓国と対戦する。日韓セットでの対戦により、彼らに支払うギャラを抑えることができるし、来日する彼らにとっても近距離移動で大会出場給が入るというメリットがある。
▽今後も南米や北中米、アフリカ勢の来日が多くなるだろうが、いかにして強化と興行の両立を図るか、UEFAの変革にJFAも難しい舵取りを迫られている。
▽現実的には、日本が対戦を望む国々にとって、日本戦が強化に役立つとは思っていないだろう。それは日本にも当てはまり、「テストマッチは所詮テストマッチ。それ以下でもそれ以上でもない」ことは過去の歴史が物語っている。
▽このためUEFAに対抗して、アジア杯以外にアジアで新たな公式大会を創設し、コパ・アメリカのように南米からの招待枠を設けるなどの提唱をAFC(アジアサッカー連盟)にしていくことも1つの手だ。そして一番手っ取り早い解決方法は、カザフスタンのようにAFCからUEFAへ所属を変更することである。
▽これまでのように毎回W杯に出られる保証はなくなるかわりに、予選から痺れる試合が続くことは間違いない。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
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