【2022年カタールへ期待の選手⑥】イニエスタ、ポドルスキ、リージョ監督から薫陶を受ける東京世代の大型ボランチ/郷家友太(ヴィッセル神戸/MF)
2018.09.26 17:00 Wed
▽フアン・マヌエル・リージョ新監督就任が発表され、労働ビザが取れ次第、本格的に指揮を執ることになるヴィッセル神戸。2017年夏のルーカス・ポドルスキ、今夏のアンドレス・イニエスタという両ビッグネーム加入に加え、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督が師を仰ぐ名将の合流によって、彼らにはさらなる世界基準と化学変化がもたらされる可能性が高い。
▽22日の浦和レッズ戦はイニエスタ欠場と3バック採用による戦術浸透不足などで0-4の大敗を喫したが、19歳の若き大型ボランチ・郷家友太は「自分たちが変わるためには必要な試合だった」と強調。ここからが真の再スタートになると認識している様子だ。
▽「ファンマ(リージョの愛称)監督からまだ指導は受けてないですけど、相手が来てからボールを出すとか、ギリギリまで引きつけてパスを出すとか『体よりも頭を使ってサッカーをする』という考え方を持っていると聞いています。そういった戦術を早く理解することが大事。吉田(孝行)監督の時は運よく出してもらっていたけど、また新しいポジション争いも始まる。自分と役割の近い選手に負けないように、もっとゴールに迫るプレーだったり、シュートの本数を増やしていかないといけない。それは日々、思ってます」と彼は神妙な面持ちでコメントした。
▽青森山田高校の2年だった昨年正月の全国高校サッカー選手権制覇で一躍知名度を高めた郷家は今季から神戸入りし、いち早く出場機会を得た逸材だ。3月7日のJリーグ・ルヴァンカップ、V・ファーレン長崎戦でプロデビューを果たし、3月18日のセレッソ大阪戦でJ1初先発。4月18日のルヴァンカップ・長崎戦でプロ初得点と一気に階段を駆け上がり、すでにJ1・20試合出場を記録。イニエスタとポドルスキとともに何度もピッチに立ち、凄まじいハードワークと運動量で彼らを支えてきた。その貢献度の高さとダイナミックさ、底知れぬポテンシャルは吉田監督を筆頭にチーム全体に認められていたのだ。
▽リージョ監督率いる新体制移行後は、微妙に役割は変わるかもしれないが、185㎝という高さを誇る伸び盛りのMFを使わないことはないはず。本人も「いつ試合に出られなくなるか分からない」という危機感を抱きつつ、自分自身を進化させていこうという意欲を強めている。
▽「吉田監督の時は下がってボールを受けたりしていいと言われていたけど、今は『あまり下がってこずに前で張ってる状態でいてくれ』と指示されている。それだけFWとの距離は近いので、簡単にFWにつけて、自分がもぐってゴール前に飛び出していくようなシーンを増やさきゃいけない」とゴールに直結するプレーと結果を貪欲に求めていく考えだという。
▽「イニエスタとポドルスキは1本1本のパスの精度だったり、シュートの精度だったりが非常に高い。そこは自分に足りない部分だと思うし、成長するうえで絶対に必要なところだと感じます。僕が目標にしているのは(イバン・)ラキティッチ(バルセロナ)や(ルカ・)モドリッチ。点も取れて守備もできてゲームメークもできるという『何でもできる選手』になりたい」と本人も目を輝かせている。
▽このような総合力を高めていけば、郷家は日本を代表するスーパーボランチに飛躍できる可能性が少なからずある。実際、185㎝という高さを誇るMFはなかなかいない。2018年ロシア・ワールドカップまで8年間日本代表キャプテンを務めた長谷部誠(フランクフルト)といえども180㎝で、世界基準ではそこまで高い方ではなかった。他のボランチ陣を見ても、山口蛍(C大阪)も柴崎岳(ヘタフェ)も遠藤航(シントトロイデン)も170㎝台。190㎝近いアタッカーを次々と投入してくるベルギーやセネガルのような相手を想定した場合、郷家のような選手が順調に育たなければ厳しいのだ。
▽そういう意味でも、彼には大きな期待が寄せられる。まずはリージョ新監督の信頼を勝ち得て神戸でコンスタントにピッチに立ち続け、10月のAFC U-19選手権(インドネシア)で世界切符を勝ち取り、森保一監督率いるU-21代表へと着実にステップアップすることが重要だ。2020年東京五輪で活躍すれば、A代表の定位置、そして2022年カタールワールドカップ出場も自ずと見えてくる。そういったルートに乗るべく、彼には最高の環境にいるメリットを武器に、急成長を遂げてほしいものである。
【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
▽22日の浦和レッズ戦はイニエスタ欠場と3バック採用による戦術浸透不足などで0-4の大敗を喫したが、19歳の若き大型ボランチ・郷家友太は「自分たちが変わるためには必要な試合だった」と強調。ここからが真の再スタートになると認識している様子だ。
▽「ファンマ(リージョの愛称)監督からまだ指導は受けてないですけど、相手が来てからボールを出すとか、ギリギリまで引きつけてパスを出すとか『体よりも頭を使ってサッカーをする』という考え方を持っていると聞いています。そういった戦術を早く理解することが大事。吉田(孝行)監督の時は運よく出してもらっていたけど、また新しいポジション争いも始まる。自分と役割の近い選手に負けないように、もっとゴールに迫るプレーだったり、シュートの本数を増やしていかないといけない。それは日々、思ってます」と彼は神妙な面持ちでコメントした。
▽リージョ監督率いる新体制移行後は、微妙に役割は変わるかもしれないが、185㎝という高さを誇る伸び盛りのMFを使わないことはないはず。本人も「いつ試合に出られなくなるか分からない」という危機感を抱きつつ、自分自身を進化させていこうという意欲を強めている。
▽「吉田監督の時は下がってボールを受けたりしていいと言われていたけど、今は『あまり下がってこずに前で張ってる状態でいてくれ』と指示されている。それだけFWとの距離は近いので、簡単にFWにつけて、自分がもぐってゴール前に飛び出していくようなシーンを増やさきゃいけない」とゴールに直結するプレーと結果を貪欲に求めていく考えだという。
▽そのお手本と言うべき存在が近くにいるのは大きな強み。ポドルスキは左足1本で豪快なシュートを打てる選手だし、イニエスタも要所要所でプレーを変化させながらゴールを奪える。8月11日のジュビロ磐田戦と15日のサンフレッチェ広島戦で見せた連続ゴールで多彩な得点パターンを実証している。世界トップレベルで活躍しようと思うなら、中盤の選手と言えども、ペナルティエリアの外側からシュートを決められる能力は必要不可欠。イニエスタの得点シーンを間近で見た郷家はそのことを痛感したはず。そんなスーパースターのクオリティを日々体感できる環境にいられることは本当に恵まれている。それを生かさない手はないのだ。
▽「イニエスタとポドルスキは1本1本のパスの精度だったり、シュートの精度だったりが非常に高い。そこは自分に足りない部分だと思うし、成長するうえで絶対に必要なところだと感じます。僕が目標にしているのは(イバン・)ラキティッチ(バルセロナ)や(ルカ・)モドリッチ。点も取れて守備もできてゲームメークもできるという『何でもできる選手』になりたい」と本人も目を輝かせている。
▽このような総合力を高めていけば、郷家は日本を代表するスーパーボランチに飛躍できる可能性が少なからずある。実際、185㎝という高さを誇るMFはなかなかいない。2018年ロシア・ワールドカップまで8年間日本代表キャプテンを務めた長谷部誠(フランクフルト)といえども180㎝で、世界基準ではそこまで高い方ではなかった。他のボランチ陣を見ても、山口蛍(C大阪)も柴崎岳(ヘタフェ)も遠藤航(シントトロイデン)も170㎝台。190㎝近いアタッカーを次々と投入してくるベルギーやセネガルのような相手を想定した場合、郷家のような選手が順調に育たなければ厳しいのだ。
▽そういう意味でも、彼には大きな期待が寄せられる。まずはリージョ新監督の信頼を勝ち得て神戸でコンスタントにピッチに立ち続け、10月のAFC U-19選手権(インドネシア)で世界切符を勝ち取り、森保一監督率いるU-21代表へと着実にステップアップすることが重要だ。2020年東京五輪で活躍すれば、A代表の定位置、そして2022年カタールワールドカップ出場も自ずと見えてくる。そういったルートに乗るべく、彼には最高の環境にいるメリットを武器に、急成長を遂げてほしいものである。
【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
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