CLはいいスタートが切れた…/原ゆみこのマドリッド
2018.09.21 20:00 Fri
▽「あっちもいなくて大丈夫だったのね」そんな風に私が頷いていたのは水曜日、同時刻に試合をしていたバレンシアが、前半28分にクリスティアーノ・ロナウドが退場となったユベントスに0-2で負けたのをサンティアゴ・ベルナベウのミックスゾーンで知った時のことでした。いやあ、後で問題のシーンを見たところ、元レアル・マドリーのエースは地面に座ったムリージョの頭を上からギュッと掴んだ程度、別にレッドカードを出すまでのことではなかったという意見が専門家の間でも多かったんですけどね。丁度、CLグループリーグ1節でマドリーに完敗したばかりのローマのディ・フランチェスコ監督も「自分がマドリーファンだったら、ロナウド不在をあまり心配しない」と言っていたように、10人で戦ったユベントスもメスタージャで白星を掴むのにまったく支障はなかった?
▽4-0の大勝も彼なしにはありえなかったとなれば、その唯一無二さがわかるというものですが…いえ、まずはそんなバロンドール5回受賞経験者たちと、「Ya como en la misma mesa de Messi y Cristiano/ジャー・コモ・エン・ラ・ミスマ・メサ・デ・メッシ・イ・クリスティアーノ(もうボクはメッシやクリスティアーノと同じテーブルについている)」とCLがスタートする直前、AS(スポーツ紙)のインタビューで宣言。それをセルヒオ・ラモスに「La ignorancia es muy atrevida/ラ・イグノランシア・エス・ムイ・アトレビーダ(無知とは非常に厚かましいもの)。あの子の言うことを聞くと、トッティやブッフォン、ラウール、カシージャス、イニエスタら、全てを獲得しながら、バロンドールをもらえなかった選手たちを思い出すよ。シメオネ監督やコケ、ゴディンみたいに物事がわきまえている人々に忠告してもらった方がいい」と思いっきり叩かれていたグリーズマンのいる、アトレティコのグループリーグ1節がどうだったか、お話していくことにすると。
▽そう、お隣さんに先行して火曜にモナコと対戦した彼らだったんですが、恐れていた通り、いつものバル(スペインの喫茶店兼バー)はケーブルTVのチャンネルを探し当てられず。毎年、放送局が変わるのも悪いんですが、昨季の初戦のように全試合の名場面を回るマルチ番組に合わされても困ると思ったため、早々に移動したものの、ようやく水色にネプトゥーノ像(アトレティコが優勝祝賀をする広場にある)などの地模様が入った第3ユニでプレーしている彼らが映っているバルを探し当てた時にはすでに、前半も10分が経過していることに。
▽でも大丈夫、そこまでアトレティコが押しているのはオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況で確認していたため、あまり心配はしていなかったんですが、18分には早くも試練がやってきます。ええ、おそらくファルカオがアトレティコにいた頃はまだBチームにいたため、”El Tigre/エル・ティグレ(虎、ファルカオの愛称)”の怖さがよくわかっていなかったんでしょうね。サウールが自陣エリア前で彼にボールを奪われると、ゴール前の混戦からグランザーがモナコの先制点を入れてしまったから、さあ大変!
▽いや、もちろんそんなの冗談でしょうけど、「La unica posibilidad que tenemos los centrales de marcar son las pelotas quietas/ラ・ウニカ・ポシビリダッド・ケ・テネモス・ロス・セントラレス・デ・マルカル・ソン・ラス・ペロータス・キエタス(CBが得点できる可能性はセットプレーだけだからね)。リーガ優勝したシーズンのように、ウチはセットプレーがPKみたいになるようにしないといけない」(ヒメネス)というのは確かですからね。そう、いくらコスタとグリーズマンが沢山、ゴールを入れてくれたとしてもメッシやロナウドのように年間40、50得点なんて、人間離れした数字には届かないんですから、それが適切な努力の方向かと。
▽おかげで1-2とスコアを逆転したアトレティコは後半、コレアをレマルに代えただけで交代枠も1つしか使わず、そのままリードを保って、昨季のヨーロッパリーグ準決勝アーセナル戦1stレグで退場したシメオネ監督のベンチ入り禁止処分、最後の試合に勝利。うーん、ここ数年のモナコは、ファルカオも「El Atleti tiene gran experiencia en este tipo de competiciones/エル・アトレティ・ティエネ・グラン・エクスペリエンシア・エン・エステ・ティポ・デ・コンペティシオネス(アトレティコはこういった大会での経験が豊富だ)」と認めていたように、それこそレマルなどを含め、才能ある選手が出て行ってしまい、若手の成長を待っている最中ですからね。
▽その辺の差が勝敗を決したとも言えますが、これでCLに関しては10月3日のクラブ・ブルージュ戦まで枕を高くして眠れることに。もちろん昨季はグループ最弱のカラバフに2分けと躓いて、3位敗退した彼らですから、決して油断はできないんですが、そうそう、実はこの試合、会場のスタッド・ルイ2世のピッチの芝が剥がれまくり。そのことを訊かれたコスタが、「Venimos del Wanda que tambien esta horrible/ビニモス・デル・ワンダ・ケ・タンビエン・エスタ・オリブレ(ボクらは恐ろしい状態のワンダから来たんだ)」とコメントして、夏の間、コンサート会場として使われた後、張替えをしたワンダ・メトロポリターノの芝がボロボロだったことが初めて発覚するんですから、まったくもう。
▽ええ、彼らはバルサじゃないので、普段、ピッチの良し悪しについて、あまり文句を言ったりせず、プレーもプレーなだけに周りも問題視しないっていうのもどうかと思いますけどね。先週末のエイバル戦で私もスタンドから見ていて、「ちょっと土、見えているかも」ぐらいには思ってはいましたが、幸い今週末のリーガは土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時医30分)から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで弟分のヘタフェとのミニダービー。来週火曜のウエスカ戦までにマシになっていてくれればいいんですが、ただ、土曜午後6時からはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場にあるミニスタジアムの改装が済むまで、ホームとして借りているラージョ・マハダンオンダのリーガ2部戦が開催されるんですよ。それでまた荒れてしまわないか、懸念は残るものの、前回の試合では長男、エンツォを応援するため、スタンドで目撃されていたジダン元マドリー監督はこのエクストレマドゥラ戦にも来るのでしょうか。
▽そして翌日はサンティアゴ・ベルナベウに向かった私でしたが、この日のマドリーは前半から何度もシュートを放つ活況。もっとも精度が今イチだったため、得点はロスタイム、「Me la había hecho a mí y hoy Ramos me la ha dejado/メ・ラ・アビア・エチョ・ア・ミー・イ・オイ・ラモス・メ・ラ・ア・デハードー(自分がファールを受けたし、今日はラモスが自分に撃たせてくれた)」というイスコが敵エリア近くからのFKを直接、ネットに突き刺すまで入らなかったんですが、やっぱりここ3連覇しているお得意の大会ですねえ。リーガ前節ではアスレティックと引き分けてしまったことなど、忘れさせてくれるように軽快なプレーを披露してくれるんですから、嬉しいじゃないですか。
▽そんな中、圧巻だったのは後半13分、カウンターからモドリッチが放ったスルーパスにベイルが激走。今季はジダン監督から、英語の話せるロペテギ監督に代わって、より理解を深めることができると言っていた彼がそのままシュートを決め、2点目をゲットしたとなれば、もう大船に乗った気になっていい? ここ2試合リーガで先発していたGKクルトワがベンチに戻り、先発したケイロル・ナバスも幾つか、paradon(パラドン/スーパーセーブ)を見せてくれましたし、最後は古巣に復帰後初出場を果たしたマリアーノが後半ロスタイムにエリア前から、弧を描くgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げて3-0と、いえ、この試合通じてのシュート数が30回で、うち枠内が11回となると、ちょっとスコア的に物足りない気もしないではありませんけどね。
▽この夏はスポーツディレクターのモンチ氏の肝入りで新しい選手が12人も入り、過渡期にあるローマも昨季の準々決勝でバルサをまさかの逆転敗退に追いやった時より、グループリーグでアトレティコのホームで2-0と負けた時に近かったような気がしますが、まあここはC・ロナウドがおらずともまったく、破壊力が変わらないマドリーの強さを褒めるしかないかと。ええ、ゴールは決まらなかったものの、「El Mundial me provocó mucho desgaste físico y mental, pero me siento cada día major/エル・ムンディアル・メ・プロボコ・ムーチョ・デスガステ・フィシコ・イ・メンタル、ペロ・メ・シエントー・カーダ・ディア・メホール(W杯で自分はフィジカル的にもメンタル的にも凄い消耗をしたけど、日々、良くなってきている)」というモドリッチも試合終了の笛が鳴ると同時にピッチに戻り、この日が最後のサンティアゴ・ベルナベウでのプレーになるかもしれないローマのキャプテン、デ・ロッシとユニ交換できて満足しているようでしたしね。
▽イスコと途中交代となったアセンシオも妙技を見せるなど、もうこの試合だけを見ると、今季のマドリーには死角がないように思えますが、さて。どちらにしろ、彼らのグループの次戦は10月2日のCSKAモスクワ戦、そしてビクトリア・プルゼニ(チェコ)との2連戦と突破にそれ程、障害はないようなので、あまり心配することもないような。むしろ土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのエスパニョール戦の方が気になりますが、奇しくも現在、あちらの正GKを務めるのはディエゴ・ロペス。そう、アンチェロッティ監督時代の2013-14シーズン、カシージャス(現ポルト)がCLとコパ・デル・レイを担当する一方で、リーガを担当するという珍しいローテーションを経験した選手なんですが、果たしてロペテギ監督はナバスとクルトワの分担をどうするのか、ここは大いに興味が持たれるところです。
▽そしてこの週末の弟分チームたちの情報も伝えておくと、前述した通り、柴崎岳選手のヘタフェはホームのアトレティコ戦で、うーん、基本的にあまり相性は良くないんですけどね。前節ではセビージャをアウェイで0-2と破っている上、ミッドウィークに試合がない分、体力があるのが強みになるかと。アトレティコの方は水曜からカリニッチとビトロが全体練習に加わり、超少数精鋭状態が少し、解消するかもしれません。
▽一方、先週末にはとうとう、最下位になってしまったレガネスは土曜にアウェイのエイバル戦。来週水曜にはブタルケにバルサを迎えるだけに何とか、その前に勝ち点を増やしておいてもらいたいところですが、やはり課題は決定力になりますでしょうか。もう1つの弟分、ラージョは各国代表戦週間前から、エスタディオ・バジェカスのスタンドが改修工事で閉鎖。3節のアスレティック戦が延期になり、この土曜のアラベス戦も開催が危ぶまれていたんですが…ようやく木曜になって予定通り、午後1時からキックオフすることが決定。いやあ、先週のウエスカ戦で勝ち点3を手に入れ、レガネスと交代で18位に上がった彼らですが、やっぱり降格圏にいるのは落ち着きませんからね。現在5位にあるヘタフェを見習って、ホームゲームを待ちわびていたファンの前で上昇気流に乗れたらいいですね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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▽まあ、4年ぶりにCLに復帰したバレンシアはリーガでも未勝利とまだエンジンがかかっておらず、そこへユベントスのような老舗を迎えるのはさすがに荷が重かったんでしょうかね。失点はどちらもPKからで、ロナウドがいなくてもピャニッチに決められて、自分たちは後半ロスタイムにもらったPKをパレホが失敗するといった具合でツキがなかったと言えなくもなかったかと。翻って、対照的なのはバルサで火曜に同じCLグループリーグ1節でPSVと当たった際、メッシのハットトリックで4点のうちの3点をゲット。▽そう、お隣さんに先行して火曜にモナコと対戦した彼らだったんですが、恐れていた通り、いつものバル(スペインの喫茶店兼バー)はケーブルTVのチャンネルを探し当てられず。毎年、放送局が変わるのも悪いんですが、昨季の初戦のように全試合の名場面を回るマルチ番組に合わされても困ると思ったため、早々に移動したものの、ようやく水色にネプトゥーノ像(アトレティコが優勝祝賀をする広場にある)などの地模様が入った第3ユニでプレーしている彼らが映っているバルを探し当てた時にはすでに、前半も10分が経過していることに。
▽でも大丈夫、そこまでアトレティコが押しているのはオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況で確認していたため、あまり心配はしていなかったんですが、18分には早くも試練がやってきます。ええ、おそらくファルカオがアトレティコにいた頃はまだBチームにいたため、”El Tigre/エル・ティグレ(虎、ファルカオの愛称)”の怖さがよくわかっていなかったんでしょうね。サウールが自陣エリア前で彼にボールを奪われると、ゴール前の混戦からグランザーがモナコの先制点を入れてしまったから、さあ大変!
▽ただ、今季の彼らはこういう間抜けな失点も多いんですが、どうやら最近は根性もついてきたよう。31分には自陣のファンフランを起点にコケがセンターで、更にグリーズマンとそれぞれワンタッチで繋ぐと、それをジエゴ・コスタがエリア内からGKベナリオの脇を抜くシュートで同点に。滅多にお目にかかれないハイテクニックなプレーに私も呆気に取られていたんですが、前半ロスタイムにもコケのCKにファルカオより高く跳んだヒメネスが頭を合わせて2点目を取ってくれたから、助かったの何のって。え、後でリュカにツイッターで「ゴールが入った訳は?」と訊かれ、「los calzoncillos../ロス・カルソンシージョス(パンツ)」と、ヒメネスは彼にもらったW杯王者、フランス代表の下着をつけていたおかげにしていなかったかって(https://twitter.com/JoseMaGimenez13/status/1042184846330736651)?
▽いや、もちろんそんなの冗談でしょうけど、「La unica posibilidad que tenemos los centrales de marcar son las pelotas quietas/ラ・ウニカ・ポシビリダッド・ケ・テネモス・ロス・セントラレス・デ・マルカル・ソン・ラス・ペロータス・キエタス(CBが得点できる可能性はセットプレーだけだからね)。リーガ優勝したシーズンのように、ウチはセットプレーがPKみたいになるようにしないといけない」(ヒメネス)というのは確かですからね。そう、いくらコスタとグリーズマンが沢山、ゴールを入れてくれたとしてもメッシやロナウドのように年間40、50得点なんて、人間離れした数字には届かないんですから、それが適切な努力の方向かと。
▽おかげで1-2とスコアを逆転したアトレティコは後半、コレアをレマルに代えただけで交代枠も1つしか使わず、そのままリードを保って、昨季のヨーロッパリーグ準決勝アーセナル戦1stレグで退場したシメオネ監督のベンチ入り禁止処分、最後の試合に勝利。うーん、ここ数年のモナコは、ファルカオも「El Atleti tiene gran experiencia en este tipo de competiciones/エル・アトレティ・ティエネ・グラン・エクスペリエンシア・エン・エステ・ティポ・デ・コンペティシオネス(アトレティコはこういった大会での経験が豊富だ)」と認めていたように、それこそレマルなどを含め、才能ある選手が出て行ってしまい、若手の成長を待っている最中ですからね。
▽その辺の差が勝敗を決したとも言えますが、これでCLに関しては10月3日のクラブ・ブルージュ戦まで枕を高くして眠れることに。もちろん昨季はグループ最弱のカラバフに2分けと躓いて、3位敗退した彼らですから、決して油断はできないんですが、そうそう、実はこの試合、会場のスタッド・ルイ2世のピッチの芝が剥がれまくり。そのことを訊かれたコスタが、「Venimos del Wanda que tambien esta horrible/ビニモス・デル・ワンダ・ケ・タンビエン・エスタ・オリブレ(ボクらは恐ろしい状態のワンダから来たんだ)」とコメントして、夏の間、コンサート会場として使われた後、張替えをしたワンダ・メトロポリターノの芝がボロボロだったことが初めて発覚するんですから、まったくもう。
▽ええ、彼らはバルサじゃないので、普段、ピッチの良し悪しについて、あまり文句を言ったりせず、プレーもプレーなだけに周りも問題視しないっていうのもどうかと思いますけどね。先週末のエイバル戦で私もスタンドから見ていて、「ちょっと土、見えているかも」ぐらいには思ってはいましたが、幸い今週末のリーガは土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時医30分)から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで弟分のヘタフェとのミニダービー。来週火曜のウエスカ戦までにマシになっていてくれればいいんですが、ただ、土曜午後6時からはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場にあるミニスタジアムの改装が済むまで、ホームとして借りているラージョ・マハダンオンダのリーガ2部戦が開催されるんですよ。それでまた荒れてしまわないか、懸念は残るものの、前回の試合では長男、エンツォを応援するため、スタンドで目撃されていたジダン元マドリー監督はこのエクストレマドゥラ戦にも来るのでしょうか。
▽そして翌日はサンティアゴ・ベルナベウに向かった私でしたが、この日のマドリーは前半から何度もシュートを放つ活況。もっとも精度が今イチだったため、得点はロスタイム、「Me la había hecho a mí y hoy Ramos me la ha dejado/メ・ラ・アビア・エチョ・ア・ミー・イ・オイ・ラモス・メ・ラ・ア・デハードー(自分がファールを受けたし、今日はラモスが自分に撃たせてくれた)」というイスコが敵エリア近くからのFKを直接、ネットに突き刺すまで入らなかったんですが、やっぱりここ3連覇しているお得意の大会ですねえ。リーガ前節ではアスレティックと引き分けてしまったことなど、忘れさせてくれるように軽快なプレーを披露してくれるんですから、嬉しいじゃないですか。
▽そんな中、圧巻だったのは後半13分、カウンターからモドリッチが放ったスルーパスにベイルが激走。今季はジダン監督から、英語の話せるロペテギ監督に代わって、より理解を深めることができると言っていた彼がそのままシュートを決め、2点目をゲットしたとなれば、もう大船に乗った気になっていい? ここ2試合リーガで先発していたGKクルトワがベンチに戻り、先発したケイロル・ナバスも幾つか、paradon(パラドン/スーパーセーブ)を見せてくれましたし、最後は古巣に復帰後初出場を果たしたマリアーノが後半ロスタイムにエリア前から、弧を描くgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げて3-0と、いえ、この試合通じてのシュート数が30回で、うち枠内が11回となると、ちょっとスコア的に物足りない気もしないではありませんけどね。
▽この夏はスポーツディレクターのモンチ氏の肝入りで新しい選手が12人も入り、過渡期にあるローマも昨季の準々決勝でバルサをまさかの逆転敗退に追いやった時より、グループリーグでアトレティコのホームで2-0と負けた時に近かったような気がしますが、まあここはC・ロナウドがおらずともまったく、破壊力が変わらないマドリーの強さを褒めるしかないかと。ええ、ゴールは決まらなかったものの、「El Mundial me provocó mucho desgaste físico y mental, pero me siento cada día major/エル・ムンディアル・メ・プロボコ・ムーチョ・デスガステ・フィシコ・イ・メンタル、ペロ・メ・シエントー・カーダ・ディア・メホール(W杯で自分はフィジカル的にもメンタル的にも凄い消耗をしたけど、日々、良くなってきている)」というモドリッチも試合終了の笛が鳴ると同時にピッチに戻り、この日が最後のサンティアゴ・ベルナベウでのプレーになるかもしれないローマのキャプテン、デ・ロッシとユニ交換できて満足しているようでしたしね。
▽イスコと途中交代となったアセンシオも妙技を見せるなど、もうこの試合だけを見ると、今季のマドリーには死角がないように思えますが、さて。どちらにしろ、彼らのグループの次戦は10月2日のCSKAモスクワ戦、そしてビクトリア・プルゼニ(チェコ)との2連戦と突破にそれ程、障害はないようなので、あまり心配することもないような。むしろ土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのエスパニョール戦の方が気になりますが、奇しくも現在、あちらの正GKを務めるのはディエゴ・ロペス。そう、アンチェロッティ監督時代の2013-14シーズン、カシージャス(現ポルト)がCLとコパ・デル・レイを担当する一方で、リーガを担当するという珍しいローテーションを経験した選手なんですが、果たしてロペテギ監督はナバスとクルトワの分担をどうするのか、ここは大いに興味が持たれるところです。
▽そしてこの週末の弟分チームたちの情報も伝えておくと、前述した通り、柴崎岳選手のヘタフェはホームのアトレティコ戦で、うーん、基本的にあまり相性は良くないんですけどね。前節ではセビージャをアウェイで0-2と破っている上、ミッドウィークに試合がない分、体力があるのが強みになるかと。アトレティコの方は水曜からカリニッチとビトロが全体練習に加わり、超少数精鋭状態が少し、解消するかもしれません。
▽一方、先週末にはとうとう、最下位になってしまったレガネスは土曜にアウェイのエイバル戦。来週水曜にはブタルケにバルサを迎えるだけに何とか、その前に勝ち点を増やしておいてもらいたいところですが、やはり課題は決定力になりますでしょうか。もう1つの弟分、ラージョは各国代表戦週間前から、エスタディオ・バジェカスのスタンドが改修工事で閉鎖。3節のアスレティック戦が延期になり、この土曜のアラベス戦も開催が危ぶまれていたんですが…ようやく木曜になって予定通り、午後1時からキックオフすることが決定。いやあ、先週のウエスカ戦で勝ち点3を手に入れ、レガネスと交代で18位に上がった彼らですが、やっぱり降格圏にいるのは落ち着きませんからね。現在5位にあるヘタフェを見習って、ホームゲームを待ちわびていたファンの前で上昇気流に乗れたらいいですね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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