【河治良幸のターニングポイント】メキシコ挑戦は成功。パチューカ本田の6ゴールを振り返る
2017.12.31 12:30 Sun
▽12月21日にコパMX(メキシコカップ)の決勝が行われ、パチューカの本田圭佑はフル出場したがモンテレイに0-1で敗戦。本田自身も目標としていたパチューカでの初タイトルの獲得はならなかったが、7月にセリエAのミランからパチューカに移籍した本田にとって成功の半年間と言える。
▽加入当初は右足に違和感をかかえ、高地での試合が多いメキシコへの適応も配慮され、デビューはリーガMX(メキシコリーグ)第6節のベラクルス戦まで待たなければならなかった。しかし、そのデビュー戦で途中出場ながら衝撃的な“ゴラッソ"を決めた本田は徐々にディエゴ・アロンソ監督の信頼を勝ち取り、主力としての地位を確立した。
「ノルマという意味では果たした部分は多いですよね。W杯出場もそうだし、クラブW杯も3位もパチューカのレベルのノルマで考えたらノルマを達成したかな、カップ戦も優勝できなかったですけど、決勝まで行けた。でも、パチューカに移籍した時に半年以内に1つのカップを取るというのを自分の中で決めていたことだったので、それが取れなかったっていうのは非常に残念です」
▽帰国後、24日に行われたメキシコ大震災チャリティイベントに参加した本田はそう振り返った。来年はW杯の本大会に向けた挑戦が待つが、ここまで本田がパチューカで決めた6つのゴールを振り返りたい。
◆1点目 8/22リーガMX第6節 ベラクルス戦
▽すでに3-0とリードした58分に投入された本田は[4-4-2]の前線で積極的な仕掛けを見せた。その姿勢が実ったのは73分。カウンターからMFビクトル・グスマンの縦パスを受けると、そのまま左ワイドを持ち上がり左足を一閃。鋭く地を這う様なシュートはベラクルスGKペドロ・ガリェセを破り、ゴール右に突き刺さった。
◆2点目 9/27リーガMX第11節 クルス・アスル戦
▽終盤に[4-5-1]の1トップ気味のポジションに投入された本田は3-0となった90分にデビュー戦のゴールをさらに上回るスペクタクルなゴールを決めた。ホルヘ・エルナンデスのヘッドパスを受けた本田は1タッチでウレタビスカヤにつなぐと縦のリターンパスを引き出し、中央をドリブルで進出。進路を阻むDFシルバをかわし、浮き球のシュートをゴールの右隅に決めた。
◆3点目 10/25コパMXベスト16 サカテペク戦
▽1点リードして迎えた35分、アルゼンチンFWのフランコ・ハラが粘り強くボールをつなぐと、インサイドハーフから攻め上がるビクトル・グスマンを経由し、右サイドの本田が受ける。左センターバックのセルヒオ・フローレスがマークに来ると、さらに左サイドバックのマルコ・アルグエリェスが縦を切る形で対応してきた。
▽縦に突破を狙うのもフラットに切り込んで左足を振り抜くのも難しい状況だったが、本田は斜め後ろへのカットイン。外目苦しい体勢から右足を踏み込むと、左足のインフロントで巻いたボールがアルグエリェスのブロックを遠目に巻き、ゴール左隅に吸い込まれた。
◆4点目 10/25コパMXベスト16 サカテペク戦 44分
▽44分、エルナンデスのインターセプトを起点にグスマンがつなぐと、フランコ・ハラが下がりながらボールを受け、それを外から追い越した本田が右のライン裏に抜け出す。最後は飛び出してきたGKビクトル・エルナンデスの逆を突く左足のキックでゴール。この日の2点目でパチューカの勝利を決定付けた。
◆5点目 10/29リーガMX第15節 サントス・ラグーナ戦
▽[4-3-3]の右ウィングで先発した本田。フランコ・ハラのゴールで先制して迎えた32分にリーグ3得点目を決めた。左サイドからセンターバックのオスカル・ムリージョを経由して右サイドバックのホセ・マルティネスがボールを持つ。
▽右ウィングの本田は中央寄りのやや引いた位置でパスを引き出す構えを見せるが、マルティネスはアウトサイドの前方に流れていたビクトル・グスマンにパス。相手サイドバックとの1対1を制したグスマンが前線のフランコ・ハラにグラウンダーのボールを付ける間に、本田が間のスペースに向けてダッシュ。そこからリターンパスを左足のインサイドで柔らかく合わせ、GKの届かないゴール左隅に流し込んだ。
◆6点目 11/8コパMX準々決勝 ティファナ戦
▽2点をリードして迎えた42分に、相手の右サイドからのグラウンダーパスが流れたボールをセンターライン手前で拾った本田は中盤でチェックに来たイバン・マルコーラを破ると、縦を切る左SBのダミアン・ペレスも突破。そこに守備が密集してきたが、DFのフアン・バレンズエラとアンカーのダミアン・ムストの動きが重なった狭いところを抜ける。
▽最後はスライディングで止めにきたペレスと咄嗟に飛び出してきたGKヒブラン・ラフーをあざ笑うかのように、左足のチップキックでゴール右へ決めた。60メートルのドリブルで4人を突破してのゴールは欧州メディアにも取り上げられ、スペインの『マルカ』は“メッシのようなゴール”と形容して称賛した。
【河治良幸】東京都出身のサッカージャーナリスト。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当している。プレー分析を軸とした視点に定評がある。セガのアーケードゲームである『WCCF』の選手カードの作成に携わる。近著に『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。
▽加入当初は右足に違和感をかかえ、高地での試合が多いメキシコへの適応も配慮され、デビューはリーガMX(メキシコリーグ)第6節のベラクルス戦まで待たなければならなかった。しかし、そのデビュー戦で途中出場ながら衝撃的な“ゴラッソ"を決めた本田は徐々にディエゴ・アロンソ監督の信頼を勝ち取り、主力としての地位を確立した。
▽帰国後、24日に行われたメキシコ大震災チャリティイベントに参加した本田はそう振り返った。来年はW杯の本大会に向けた挑戦が待つが、ここまで本田がパチューカで決めた6つのゴールを振り返りたい。
◆1点目 8/22リーガMX第6節 ベラクルス戦
▽すでに3-0とリードした58分に投入された本田は[4-4-2]の前線で積極的な仕掛けを見せた。その姿勢が実ったのは73分。カウンターからMFビクトル・グスマンの縦パスを受けると、そのまま左ワイドを持ち上がり左足を一閃。鋭く地を這う様なシュートはベラクルスGKペドロ・ガリェセを破り、ゴール右に突き刺さった。
▽実は自陣から縦のボールが本田に出た時にポストプレーをしようとした本田はベラクルスのDF2人に挟まれ、潰される格好となったのだが、こぼれ球を味方のMFエリック・グティエレスが拾うとグスマンに預け、そこから本田に素早く渡ったことがゴールにつながった。本田の動きを見ると、潰された直後に態勢を立て直し、グティエレスがボールを拾う時には縦に走り始めている。その時点でグスマンを経由して自分の走るスペースにパスが出てくるイメージができていたはずだ。
◆2点目 9/27リーガMX第11節 クルス・アスル戦
▽終盤に[4-5-1]の1トップ気味のポジションに投入された本田は3-0となった90分にデビュー戦のゴールをさらに上回るスペクタクルなゴールを決めた。ホルヘ・エルナンデスのヘッドパスを受けた本田は1タッチでウレタビスカヤにつなぐと縦のリターンパスを引き出し、中央をドリブルで進出。進路を阻むDFシルバをかわし、浮き球のシュートをゴールの右隅に決めた。
◆3点目 10/25コパMXベスト16 サカテペク戦
▽1点リードして迎えた35分、アルゼンチンFWのフランコ・ハラが粘り強くボールをつなぐと、インサイドハーフから攻め上がるビクトル・グスマンを経由し、右サイドの本田が受ける。左センターバックのセルヒオ・フローレスがマークに来ると、さらに左サイドバックのマルコ・アルグエリェスが縦を切る形で対応してきた。
▽縦に突破を狙うのもフラットに切り込んで左足を振り抜くのも難しい状況だったが、本田は斜め後ろへのカットイン。外目苦しい体勢から右足を踏み込むと、左足のインフロントで巻いたボールがアルグエリェスのブロックを遠目に巻き、ゴール左隅に吸い込まれた。
◆4点目 10/25コパMXベスト16 サカテペク戦 44分
▽44分、エルナンデスのインターセプトを起点にグスマンがつなぐと、フランコ・ハラが下がりながらボールを受け、それを外から追い越した本田が右のライン裏に抜け出す。最後は飛び出してきたGKビクトル・エルナンデスの逆を突く左足のキックでゴール。この日の2点目でパチューカの勝利を決定付けた。
◆5点目 10/29リーガMX第15節 サントス・ラグーナ戦
▽[4-3-3]の右ウィングで先発した本田。フランコ・ハラのゴールで先制して迎えた32分にリーグ3得点目を決めた。左サイドからセンターバックのオスカル・ムリージョを経由して右サイドバックのホセ・マルティネスがボールを持つ。
▽右ウィングの本田は中央寄りのやや引いた位置でパスを引き出す構えを見せるが、マルティネスはアウトサイドの前方に流れていたビクトル・グスマンにパス。相手サイドバックとの1対1を制したグスマンが前線のフランコ・ハラにグラウンダーのボールを付ける間に、本田が間のスペースに向けてダッシュ。そこからリターンパスを左足のインサイドで柔らかく合わせ、GKの届かないゴール左隅に流し込んだ。
◆6点目 11/8コパMX準々決勝 ティファナ戦
▽2点をリードして迎えた42分に、相手の右サイドからのグラウンダーパスが流れたボールをセンターライン手前で拾った本田は中盤でチェックに来たイバン・マルコーラを破ると、縦を切る左SBのダミアン・ペレスも突破。そこに守備が密集してきたが、DFのフアン・バレンズエラとアンカーのダミアン・ムストの動きが重なった狭いところを抜ける。
▽最後はスライディングで止めにきたペレスと咄嗟に飛び出してきたGKヒブラン・ラフーをあざ笑うかのように、左足のチップキックでゴール右へ決めた。60メートルのドリブルで4人を突破してのゴールは欧州メディアにも取り上げられ、スペインの『マルカ』は“メッシのようなゴール”と形容して称賛した。
【河治良幸】東京都出身のサッカージャーナリスト。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当している。プレー分析を軸とした視点に定評がある。セガのアーケードゲームである『WCCF』の選手カードの作成に携わる。近著に『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。
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