【リーグ・アン・シーズンプレビュー】“レジェンド”去りしPSGの5連覇をストップできるか
2016.08.13 12:00 Sat
▽2016-17シーズンのリーグ・アンが8月12日(金)に開幕を迎える。昨シーズンは、序盤から圧倒的な強さを見せたパリ・サンジェルマン(PSG)が、リーグ最多勝ち点(96ポイント)、最速優勝などあらゆる記録を更新し、クラブ史上初の4連覇を成し遂げた。
▽優勝の大本命は、4連覇中の絶対的王者のPSGだ。新シーズンに向けては、ブラン前監督の解任に伴い、セビージャをヨーロッパリーグ(EL)3連覇に導いたエメリ監督を新指揮官に招へい。また、PSG4連覇の立役者となった“レジェンド”のFWイブラヒモビッチがマンチェスター・ユナイテッドに去り、今季は仕切り直しのシーズンとなる。今夏の移籍市場ではFWクリスティアーノ・ロナウドやMFアザール、FWネイマールらイブラヒモビッチに代わる新たなシンボルの獲得が噂されたものの、いずれの獲得にも失敗。その一方で、エメリ監督の愛弟子MFクリホヴィアクを始め、FWヘセ・ロドリゲス、FWベン・アルファ、DFトマス・ムニエら実力者を補強しており、リーグ・アン初挑戦のエメリ監督の手腕が試される1年となりそうだ。
◆王座奪還の鍵は主力の残留~リヨン~
▽絶対的王者PSGの対抗に挙がるのは、勝ち点差で大差を付けられながらも2年連続で2位フィニッシュしたリヨンだ。今シーズンから新スタジアムのパルク・オリンピック・リヨンで新たなスタートを切るリヨンは、今夏の移籍市場でDFユムティティという守備の要を失ったものの、開幕時点ではアーセナルが狙うFWラカゼットやMFゲザル、MFトリッソら主力が残留。また、DFエンクル、DFマンマナらユムティティの後釜確保にも成功し、昨季と同規模の戦力値をキープしている。ここに昨季期待を裏切ったMFヴァルブエナやMFグルニエ、進境著しいMFコルネやFWカルルら若手が戦力値を上積みする活躍を見せられれば、新体制で少なからずの躓きを期待できるPSGの状況次第で王座奪還の可能性もあるはずだ。◆智将グーヴェネックの下、メネーズ、トゥラランらが躍動なるか~ボルドー~
▽新シーズンに向けて密かに躍進が期待されているのが、昨シーズン11位と不甲斐ないシーズンを過ごした名門ボルドー。昨シーズン終了後にここ数年、弱小クラブのギャンガンで説得力のある采配を披露してきた智将グーヴェネックの招へいを決めたクラブは、移籍市場でもFWメネーズ、MFトゥラランとフランス代表経験もある百戦錬磨のベテランを獲得。前者が昨季のFWベン・アルファを彷彿とさせる躍動をみせ、後者がリーダー不在のチームに経験と安定感をもたらせれば、名門復活の足掛かりとなるシーズンを過ごせるはずだ。また、マンチェスター・ユナイテッドを筆頭に多くのビッグクラブが関心を示す19歳のフランス人アタッカーのMFオウナスは、今シーズンのライジングスター候補だ。
◆名門2チームとファブレ新監督率いるニースの南仏勢に注目~モナコ、マルセイユ、ニース~
▽前述した3クラブと共に優勝争いに絡むことが予想されるのは、リーグ・アン復帰以降、安定した戦いぶりでトップ3を維持しているモナコ。育成クラブへの転換を図るクラブは、今夏にDFリカルド・カルバーリョとMFトゥラランという重鎮が揃って退団。FWファルカオの復帰に加え、トリノからDFグリクを獲得したものの、経験不足は否めない。それでも、今夏の移籍市場ではリールとマルセイユからDFシディベとDFメンディという次代の“レ・ブルー”を担う若手サイドバックを確保し、DFファビーニョの守備的MFへの本格コンバートも進んでいる。さらに、20歳の攻撃的MFルマール、17歳の超新星FWムバッペの覚醒でスカッドに質と厚みが加われば、リーグ優勝の可能性は十分にある。
▽モナコと同様にリーグ屈指の名門として知られるマルセイユは、大きな転換期を迎えている。長らくオーナーを務めてきたドレフュスファミリーのクラブ売却の意向が発表されて以降、混迷が続くクラブは、財政難の影響で若きエースFWバチュアイ、絶対的守護神のマンダンダ、守備の要のDFエンクルら主力のほとんどがクラブを去った。DF酒井宏樹やFWゴミスら代役の確保には成功しているものの、大幅な戦力ダウンは否めない。クラブとしては早期の売却交渉成立を実現し、新オーナーの下で今冬の大型補強を敢行し、巻き返しを図りたい。そのために前半戦は我慢強い戦いが求められるだろう。
◆酒井宏と川島が松井大輔以来、4年ぶりのリーグ・アン挑戦~日本人選手~
▽外国人登録枠の影響や安価で外国籍扱いとならないアフリカ系選手が多くいるリーグ・アンでは、日本人選手のプレー機会は少なく、2012年までディジョンでプレーした元日本代表MF松井大輔(現ジュビロ磐田)以来、4年間トップリーグでプレーする日本人選手はいなかった。だが、今シーズンはDF酒井宏樹とGK川島永嗣という2人の日本代表選手が、リーグ・アンに参戦することになった。
▽とりわけ、ハノーファーからフランス屈指の名門マルセイユに加入した酒井には、レギュラーとしての活躍が期待されている。先ほどマルセイユをフランス屈指の名門と紹介したが、現在は財政難の影響でクラブ売却の動きがあり、今夏の移籍市場では多くの主力選手が旅立った。酒井の本職である右サイドバックのポジションでは、昨季までのレギュラーのカメルーン代表DFブライス・ジャ・ジェジェがワトフォードに完全移籍、スペイン人DFハビエル・マンキージョがレンタル元のアトレティコ・マドリーに復帰し、現陣容で右サイドバックを本職とするのは酒井ただ一人。その他では最終ラインの全ポジションでプレー可能なスロバキア代表DFトマシュ・フボチャン、アカデミーの若手しかおらず、今後の補強に動きがなければ、酒井がレギュラーに収まる見込みだ。ブンデスリーガに比べて、リーグ全体のレベルは決して高くないが、卓越したフィジカルを武器に果敢に仕掛けるサイドアタッカーが揃うリーグ・アンで、酒井がどれだけやれるか注目したいところだ。
▽一方、ダンディー・ユナイテッドを退団し、フリーの状況が続いた川島は、昇格組のメスに電撃加入となった。だが、加入の際にクラブ公式サイトで“第3GK”と紹介されるなど、同クラブではある意味ゼロからのポジション争いが待っている。だが、正GK候補のディディロン(20)、セカンドGKのオベルハウザー(25)の若手2選手と川島の実力差はほとんどなく、同選手の卓越した語学力や経験を活かし、うまく最終ラインとコミュニケーションを取れれば、シーズンの何処かでポジションを奪うチャンスは十分にあるはずだ。とりわけ、フランスではリーグ戦以外に2つの国内カップがあるため、いずれかで出場機会が与えられる可能性もある。
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▽フランス代表の優勝こそならなかったものの、大きな盛り上がりを見せたユーロ2016の興奮冷めやらぬ中で迎える新シーズンだが、リーグのタイトル争いは例年通り、やや盛り上がりを欠くものとなりそうだ。今シーズンの見どころは、PSGに対して、そのほかの“持たざる”クラブが、いかに連携して絶対的王者を苦しめていくかという部分にある。その一方でPSG以外の戦力は均衡しているだけに、チャンピオンズリーグ(CL)出場権争いなどは、いつも以上の盛り上がりを見せるはずだ。(c) CWS Brains, LTD.
◆エメリ新体制も5連覇に向けて死角なし~パリ・サンジェルマン~Getty Images
▽優勝の大本命は、4連覇中の絶対的王者のPSGだ。新シーズンに向けては、ブラン前監督の解任に伴い、セビージャをヨーロッパリーグ(EL)3連覇に導いたエメリ監督を新指揮官に招へい。また、PSG4連覇の立役者となった“レジェンド”のFWイブラヒモビッチがマンチェスター・ユナイテッドに去り、今季は仕切り直しのシーズンとなる。今夏の移籍市場ではFWクリスティアーノ・ロナウドやMFアザール、FWネイマールらイブラヒモビッチに代わる新たなシンボルの獲得が噂されたものの、いずれの獲得にも失敗。その一方で、エメリ監督の愛弟子MFクリホヴィアクを始め、FWヘセ・ロドリゲス、FWベン・アルファ、DFトマス・ムニエら実力者を補強しており、リーグ・アン初挑戦のエメリ監督の手腕が試される1年となりそうだ。
Getty Images
▽絶対的王者PSGの対抗に挙がるのは、勝ち点差で大差を付けられながらも2年連続で2位フィニッシュしたリヨンだ。今シーズンから新スタジアムのパルク・オリンピック・リヨンで新たなスタートを切るリヨンは、今夏の移籍市場でDFユムティティという守備の要を失ったものの、開幕時点ではアーセナルが狙うFWラカゼットやMFゲザル、MFトリッソら主力が残留。また、DFエンクル、DFマンマナらユムティティの後釜確保にも成功し、昨季と同規模の戦力値をキープしている。ここに昨季期待を裏切ったMFヴァルブエナやMFグルニエ、進境著しいMFコルネやFWカルルら若手が戦力値を上積みする活躍を見せられれば、新体制で少なからずの躓きを期待できるPSGの状況次第で王座奪還の可能性もあるはずだ。◆智将グーヴェネックの下、メネーズ、トゥラランらが躍動なるか~ボルドー~
Getty Images
▽新シーズンに向けて密かに躍進が期待されているのが、昨シーズン11位と不甲斐ないシーズンを過ごした名門ボルドー。昨シーズン終了後にここ数年、弱小クラブのギャンガンで説得力のある采配を披露してきた智将グーヴェネックの招へいを決めたクラブは、移籍市場でもFWメネーズ、MFトゥラランとフランス代表経験もある百戦錬磨のベテランを獲得。前者が昨季のFWベン・アルファを彷彿とさせる躍動をみせ、後者がリーダー不在のチームに経験と安定感をもたらせれば、名門復活の足掛かりとなるシーズンを過ごせるはずだ。また、マンチェスター・ユナイテッドを筆頭に多くのビッグクラブが関心を示す19歳のフランス人アタッカーのMFオウナスは、今シーズンのライジングスター候補だ。
◆名門2チームとファブレ新監督率いるニースの南仏勢に注目~モナコ、マルセイユ、ニース~
▽前述した3クラブと共に優勝争いに絡むことが予想されるのは、リーグ・アン復帰以降、安定した戦いぶりでトップ3を維持しているモナコ。育成クラブへの転換を図るクラブは、今夏にDFリカルド・カルバーリョとMFトゥラランという重鎮が揃って退団。FWファルカオの復帰に加え、トリノからDFグリクを獲得したものの、経験不足は否めない。それでも、今夏の移籍市場ではリールとマルセイユからDFシディベとDFメンディという次代の“レ・ブルー”を担う若手サイドバックを確保し、DFファビーニョの守備的MFへの本格コンバートも進んでいる。さらに、20歳の攻撃的MFルマール、17歳の超新星FWムバッペの覚醒でスカッドに質と厚みが加われば、リーグ優勝の可能性は十分にある。
▽モナコと同様にリーグ屈指の名門として知られるマルセイユは、大きな転換期を迎えている。長らくオーナーを務めてきたドレフュスファミリーのクラブ売却の意向が発表されて以降、混迷が続くクラブは、財政難の影響で若きエースFWバチュアイ、絶対的守護神のマンダンダ、守備の要のDFエンクルら主力のほとんどがクラブを去った。DF酒井宏樹やFWゴミスら代役の確保には成功しているものの、大幅な戦力ダウンは否めない。クラブとしては早期の売却交渉成立を実現し、新オーナーの下で今冬の大型補強を敢行し、巻き返しを図りたい。そのために前半戦は我慢強い戦いが求められるだろう。
▽智将ピュエル監督とエースFWベン・アルファの活躍で昨シーズンは望外の4位フィニッシュを決めたニースだが、その立役者の2人がサウサンプトン、PSGに去った。加えて、中盤の主軸を担ったMFメンディ、ベン・アルファと共にゴールを量産したFWジェルマンもクラブを退団。それでも、新シーズンに向けての朗報は、ピュエル前監督に代わって新指揮官に就任したファブレ新監督の存在だ。ボルシアMG時代に的確な用兵と確固たる戦術プランで攻守にアグレッシブな好チームを作り上げた同監督が、MFコジエッロやMFエイセリックなどのタレントをうまく使いこなせれば、上位争いに絡むことは十分に可能だ。
◆酒井宏と川島が松井大輔以来、4年ぶりのリーグ・アン挑戦~日本人選手~
▽外国人登録枠の影響や安価で外国籍扱いとならないアフリカ系選手が多くいるリーグ・アンでは、日本人選手のプレー機会は少なく、2012年までディジョンでプレーした元日本代表MF松井大輔(現ジュビロ磐田)以来、4年間トップリーグでプレーする日本人選手はいなかった。だが、今シーズンはDF酒井宏樹とGK川島永嗣という2人の日本代表選手が、リーグ・アンに参戦することになった。
▽とりわけ、ハノーファーからフランス屈指の名門マルセイユに加入した酒井には、レギュラーとしての活躍が期待されている。先ほどマルセイユをフランス屈指の名門と紹介したが、現在は財政難の影響でクラブ売却の動きがあり、今夏の移籍市場では多くの主力選手が旅立った。酒井の本職である右サイドバックのポジションでは、昨季までのレギュラーのカメルーン代表DFブライス・ジャ・ジェジェがワトフォードに完全移籍、スペイン人DFハビエル・マンキージョがレンタル元のアトレティコ・マドリーに復帰し、現陣容で右サイドバックを本職とするのは酒井ただ一人。その他では最終ラインの全ポジションでプレー可能なスロバキア代表DFトマシュ・フボチャン、アカデミーの若手しかおらず、今後の補強に動きがなければ、酒井がレギュラーに収まる見込みだ。ブンデスリーガに比べて、リーグ全体のレベルは決して高くないが、卓越したフィジカルを武器に果敢に仕掛けるサイドアタッカーが揃うリーグ・アンで、酒井がどれだけやれるか注目したいところだ。
▽一方、ダンディー・ユナイテッドを退団し、フリーの状況が続いた川島は、昇格組のメスに電撃加入となった。だが、加入の際にクラブ公式サイトで“第3GK”と紹介されるなど、同クラブではある意味ゼロからのポジション争いが待っている。だが、正GK候補のディディロン(20)、セカンドGKのオベルハウザー(25)の若手2選手と川島の実力差はほとんどなく、同選手の卓越した語学力や経験を活かし、うまく最終ラインとコミュニケーションを取れれば、シーズンの何処かでポジションを奪うチャンスは十分にあるはずだ。とりわけ、フランスではリーグ戦以外に2つの国内カップがあるため、いずれかで出場機会が与えられる可能性もある。
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