【セリエ前半戦総括&ベスト11】群雄割拠のスクデット争いが久々到来
2016.01.05 07:02 Tue
【前半戦総括】
▽セリエAの優勝争いが久々に面白くなってきた。17節を終え、首位のインテルから5位のローマまで勝ち点4差。1週間ごとに首位の座が入れ替わる混戦模様となっており、最終節までスクデット争いがもつれることになるかもしれない。
▽このインテルを勝ち点1差で追うのが、ともに新監督が率いるフィオレンティーナとナポリ。2位のフィオレンティーナは、パウロ・ソウザ監督が従来のポゼッションスタイルを踏襲しつつ、プレスの強度や縦への鋭さを向上させ、攻守両面での安定感が目立った。一方、3位のナポリもサッリ監督の戦術が浸透して攻守ともに充実。エースのイグアインに加え、インシーニェやハムシクらが織り成す攻撃の質の高さが際立っており、優勝候補の筆頭といえる存在だ。
▽5連覇の偉業を目指すユベントスは、クラブ史上初となる開幕2連敗を喫し、下位に沈む苦しみを味わったが、11月から復調して4位に浮上。テベス、ビダル、ピルロの穴は大きすぎたものの、ディバラやマンジュキッチといった新戦力がフィットして以降は昨シーズンまでの安定した試合運びと勝負強さを取り戻した。アッレグリ監督の見事な修正力が光り、破竹の7連勝で2015年を終えている。
▽5位のローマはシーズンを経るにつれて苦しんだ。第2節でユベントスを撃破し、順調なスタートを切ったものの、11月からトーンダウン。圧巻のスピードで攻撃をけん引するサラーとジェルビーニョの両翼が揃って負傷離脱し、公式戦7試合未勝利と取りこぼしが続いた。それでも、ガルシア監督の解任を踏みとどまっており、大黒柱トッティの復帰が見込まれる新年から復調できるかどうかに注目だ。
★最優秀選手
◆FWゴンサロ・イグアイン(ナポリ)
▽テベスが去ったセリエAのストライカー事情は、イグアインの独壇場となってきた。ここまで17試合に出場し、PKなしで16ゴールを記録。とりわけ、本拠地のサン・パオロで10ゴールを奪う愛称の良さを見せている。動き出しやポストワーク、コース取りの秀逸さ、そして決定力の高さを遺憾なく発揮してゴールを荒稼ぎしており、今シーズンのイグアインはセリエAの守備陣にもはや止められそうにない。
★最優秀監督
◆マウリツィオ・サッリ(ナポリ)
▽フィオレンティーナのパウロ・ソウザ監督と並び、今季のセリエAで魅力的なスタイルを展開しているのがナポリのサッリ監督だ。昨シーズンは緻密な守備戦術でエンポリを残留に導くと、今シーズンは豊富なタレントを有するナポリで見事な攻撃のメカニズムを披露。ハイプレスでボールを奪えば、少ないタッチによる鋭いショートカウンターを幾度も繰り出している。とりわけ、ハムシク、インシーニェ、イグアインのラインから繰り出す攻撃は脅威だ。元銀行員の肩書きを持つ新進気鋭の戦術家が、地元のナポリに25年ぶりのスクデットをもたらすのか。
【期待以上】
★チーム
◆サッスオーロ
▽2013-14シーズンに初めてセリエAの舞台に降り立ったサッスオーロが大きく躍進している。1年目はギリギリで降格を免れる形となったが、2年目の昨シーズンは難なく残留。そして今シーズンは、欧州カップ戦の出場権を狙える7位につけている。イタリア人を中心に構成されたサッスオーロの強みは、3トップからのハイプレスで相手のビルドアップを封じる積極的な守備。ここまでナポリ(2-1で勝利)やローマ(2-2のドロー)、ユベントス(1-0で勝利)、フィオレンティーナ(1-1のドロー)といった上位のビッグクラブから勝ち点を奪ってきた。ディ・フランチェスコ監督が落とし込んだチーム力の高さで旋風を巻き起こしている。
★選手
◆DFジェイソン・ムリージョ(インテル)
▽期待以上の活躍でインテルの堅守を支えているコロンビア代表の左利きセンターバック。対人プレーやカバーリングで抜群の安定感を披露し、ミランダとGKハンダノビッチと共に鉄壁の守備を築いている。グラナダから推定800万ユーロの移籍金で加入したが、インテルでの活躍により評価が急上昇。レアル・マドリーが獲得に3500万ユーロを用意しているとも伝えられており、このまま好パフォーマンスを継続して世界屈指のセンターバックの1人に到達なるか。
【期待外れ】
★チーム
◆ラツィオ
▽昨シーズンは3位に入ってチャンピオンズリーグ・プレーオフの出場権を手にしたラツィオだが、今シーズンは不振に喘いでいる。序盤戦こそ上々の結果を残していたものの、10月後半から失速。フェリペ・アンデルソンを筆頭に主力がチームを救う働きができず、11月にミランとライバルのローマ、12月にはユベントスに完敗した。突破を果たしたヨーロッパリーグから一転し、リーグ戦では結果が出ずに苦戦している。それでも、年内最終戦で首位のインテルを撃破し、リーグ戦8試合ぶり白星を手にしており、2016年から巻き返しを図りたいところだ。
★選手
◆ファン・マヌエル・イトゥルベ(ローマ)
▽昨年夏に3000万ユーロ(当時のレートで約41億円)近い移籍金でローマに加入したイトゥルベだが、1年半でリーグ戦わずか3ゴール。決定力のなさが顕著で、得点力不足に苦しむチームを助けることができなかった。今シーズンも負傷離脱したジェルビーニョとサラーの穴を埋めることができず、ガルシア監督を含めた首脳陣の信頼を完全に失い、冬の移籍市場でワトフォードに出されることになった。
【前半戦ベストイレブン】
GK:ハンダノビッチ
DF:バルザーリ、ミランダ、ムリージョ
MF:ピャニッチ、アラン、ボルハ・バレロ、インシーニェ
FW::ディバラ、カリニッチ、イグアイン
【後半戦展望】
★予想し難いスクデット争い
▽混戦模様のスクデット争いは展開が予想し難い。欧州カップ戦が平行してくる2月からは過密日程となり、チャンピオンズリーグよりも試合数の多いヨーロッパリーグ組(ナポリとフィオレンティーナ)がどう乗り切るかに注目だ。欧州カップ戦に参戦していないインテルは日程面の優位性を生かしたいところだろう。
▽このまま混戦が続くのであれば、ターニングポイントとなりそうなのが4月下旬の第35節。フィオレンティーナvsユベントス、ローマvsナポリといったカードが組まれており、これらの試合結果が優勝争いを左右するかもしれない。
▽残留争いでは、昇格組の3チームが厳しい戦いを強いられたが、10月末からドナドーニ監督が就任したボローニャが復調して一歩抜け出した。未だに勝利がない最下位のヴェローナは降格必至だろう。
▽セリエAの優勝争いが久々に面白くなってきた。17節を終え、首位のインテルから5位のローマまで勝ち点4差。1週間ごとに首位の座が入れ替わる混戦模様となっており、最終節までスクデット争いがもつれることになるかもしれない。
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▽群雄割拠のスクデット争いにおいて、2015年を首位で終えたのは復権にまい進するインテル。ここまでの11失点はリーグ最小であり、ウノゼロを8度も達成するなど現実的な戦い方で勝ち点を積み上げている。欧州カップ戦に参加しておらず、他の上位クラブと異なる利点もあり、今後も首位戦線を引っ張る存在なのは間違いない。▽5連覇の偉業を目指すユベントスは、クラブ史上初となる開幕2連敗を喫し、下位に沈む苦しみを味わったが、11月から復調して4位に浮上。テベス、ビダル、ピルロの穴は大きすぎたものの、ディバラやマンジュキッチといった新戦力がフィットして以降は昨シーズンまでの安定した試合運びと勝負強さを取り戻した。アッレグリ監督の見事な修正力が光り、破竹の7連勝で2015年を終えている。
▽5位のローマはシーズンを経るにつれて苦しんだ。第2節でユベントスを撃破し、順調なスタートを切ったものの、11月からトーンダウン。圧巻のスピードで攻撃をけん引するサラーとジェルビーニョの両翼が揃って負傷離脱し、公式戦7試合未勝利と取りこぼしが続いた。それでも、ガルシア監督の解任を踏みとどまっており、大黒柱トッティの復帰が見込まれる新年から復調できるかどうかに注目だ。
▽ミハイロビッチ監督の試行錯誤が続いたミランは、5位のローマに勝ち点4差の6位で2015年を終了。守備は何とか安定してきたが、現状では上位陣に食い込むのは厳しいだろう。一方、昨季3位のラツィオは徐々に調子を落として12位に低迷しており、後半戦で巻き返しを目指すことになる。
★最優秀選手
◆FWゴンサロ・イグアイン(ナポリ)
Getty Images
▽テベスが去ったセリエAのストライカー事情は、イグアインの独壇場となってきた。ここまで17試合に出場し、PKなしで16ゴールを記録。とりわけ、本拠地のサン・パオロで10ゴールを奪う愛称の良さを見せている。動き出しやポストワーク、コース取りの秀逸さ、そして決定力の高さを遺憾なく発揮してゴールを荒稼ぎしており、今シーズンのイグアインはセリエAの守備陣にもはや止められそうにない。
★最優秀監督
◆マウリツィオ・サッリ(ナポリ)
▽フィオレンティーナのパウロ・ソウザ監督と並び、今季のセリエAで魅力的なスタイルを展開しているのがナポリのサッリ監督だ。昨シーズンは緻密な守備戦術でエンポリを残留に導くと、今シーズンは豊富なタレントを有するナポリで見事な攻撃のメカニズムを披露。ハイプレスでボールを奪えば、少ないタッチによる鋭いショートカウンターを幾度も繰り出している。とりわけ、ハムシク、インシーニェ、イグアインのラインから繰り出す攻撃は脅威だ。元銀行員の肩書きを持つ新進気鋭の戦術家が、地元のナポリに25年ぶりのスクデットをもたらすのか。
【期待以上】
★チーム
◆サッスオーロ
▽2013-14シーズンに初めてセリエAの舞台に降り立ったサッスオーロが大きく躍進している。1年目はギリギリで降格を免れる形となったが、2年目の昨シーズンは難なく残留。そして今シーズンは、欧州カップ戦の出場権を狙える7位につけている。イタリア人を中心に構成されたサッスオーロの強みは、3トップからのハイプレスで相手のビルドアップを封じる積極的な守備。ここまでナポリ(2-1で勝利)やローマ(2-2のドロー)、ユベントス(1-0で勝利)、フィオレンティーナ(1-1のドロー)といった上位のビッグクラブから勝ち点を奪ってきた。ディ・フランチェスコ監督が落とし込んだチーム力の高さで旋風を巻き起こしている。
★選手
◆DFジェイソン・ムリージョ(インテル)
▽期待以上の活躍でインテルの堅守を支えているコロンビア代表の左利きセンターバック。対人プレーやカバーリングで抜群の安定感を披露し、ミランダとGKハンダノビッチと共に鉄壁の守備を築いている。グラナダから推定800万ユーロの移籍金で加入したが、インテルでの活躍により評価が急上昇。レアル・マドリーが獲得に3500万ユーロを用意しているとも伝えられており、このまま好パフォーマンスを継続して世界屈指のセンターバックの1人に到達なるか。
【期待外れ】
★チーム
◆ラツィオ
▽昨シーズンは3位に入ってチャンピオンズリーグ・プレーオフの出場権を手にしたラツィオだが、今シーズンは不振に喘いでいる。序盤戦こそ上々の結果を残していたものの、10月後半から失速。フェリペ・アンデルソンを筆頭に主力がチームを救う働きができず、11月にミランとライバルのローマ、12月にはユベントスに完敗した。突破を果たしたヨーロッパリーグから一転し、リーグ戦では結果が出ずに苦戦している。それでも、年内最終戦で首位のインテルを撃破し、リーグ戦8試合ぶり白星を手にしており、2016年から巻き返しを図りたいところだ。
★選手
◆ファン・マヌエル・イトゥルベ(ローマ)
▽昨年夏に3000万ユーロ(当時のレートで約41億円)近い移籍金でローマに加入したイトゥルベだが、1年半でリーグ戦わずか3ゴール。決定力のなさが顕著で、得点力不足に苦しむチームを助けることができなかった。今シーズンも負傷離脱したジェルビーニョとサラーの穴を埋めることができず、ガルシア監督を含めた首脳陣の信頼を完全に失い、冬の移籍市場でワトフォードに出されることになった。
【前半戦ベストイレブン】
GK:ハンダノビッチ
DF:バルザーリ、ミランダ、ムリージョ
MF:ピャニッチ、アラン、ボルハ・バレロ、インシーニェ
FW::ディバラ、カリニッチ、イグアイン
【後半戦展望】
★予想し難いスクデット争い
▽混戦模様のスクデット争いは展開が予想し難い。欧州カップ戦が平行してくる2月からは過密日程となり、チャンピオンズリーグよりも試合数の多いヨーロッパリーグ組(ナポリとフィオレンティーナ)がどう乗り切るかに注目だ。欧州カップ戦に参戦していないインテルは日程面の優位性を生かしたいところだろう。
▽このまま混戦が続くのであれば、ターニングポイントとなりそうなのが4月下旬の第35節。フィオレンティーナvsユベントス、ローマvsナポリといったカードが組まれており、これらの試合結果が優勝争いを左右するかもしれない。
▽残留争いでは、昇格組の3チームが厳しい戦いを強いられたが、10月末からドナドーニ監督が就任したボローニャが復調して一歩抜け出した。未だに勝利がない最下位のヴェローナは降格必至だろう。
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