【総評】ELグループステージ~熱戦必至のベスト32へ~
2015.12.12 07:30 Sat
▽2015-16シーズンのヨーロッパリーグ(EL)・グループステージが10日に終了した。ここでは、グループステージの結果を大まかに総評していきたい。
◆強豪が順当に突破、グループAでは波乱
▽昨シーズンと同様に4大リーグに所属する強豪チームが順当に突破を決めた。2チームが参加するイングランド勢は、リバプールが開幕節から3戦連続ドローとなったものの、第4節から2連勝を飾って無事に決勝トーナメント進出。モナコやアンデルレヒトといった実績のあるクラブと同居したトッテナムも、攻守両面での安定感とケインの復調とともに首位通過を決めた。
▽ドイツ勢は、香川が所属するドルトムントと内田が負傷離脱しているシャルケが国内リーグでの調子を継続させ、控え主体で臨みながらも難なく突破。連敗スタートとなったアウグスブルクも最後まで諦めず、最終節のパルチザンとの直接対決を制して逆転突破を果たした。
▽昨季に4チーム全てが突破したイタリア勢は今季も順調だった。とりわけ、ナポリがグループステージ唯一の全勝。イグアインやインシーニェなど主力を温存しながらも、サッリ監督がもたらしたチーム力の高さが際立った。セリエAで不振に喘ぐラツィオだが、ELでは格上の存在として確実に勝ち点を積み上げ、最終節を残してベスト32行きを決めている。対してセリエで好調のフィオレンティーナは、ターンオーバーがうまくいかずに苦戦したものの、最終節でしっかりと突破を決めた。
▽例年、ELとの相性の良さを見せているイベリア半島勢では、ビジャレアルとビルバオが順当に突破を決めるなど、スペイン勢が安定した強さを発揮。一方のポルトガル勢は、2010-11シーズンのファイナリストであるブラガが久々のELで首位通過を果たした。CLプレーオフ敗退組のスポルティングは、苦戦したものの最終節で見事な逆転突破。UEFA大会初出場のベレネンセスは力及ばずに敗退している。
◆日本人の活躍はなし
▽チャンピオンズリーグに日本人選手が参加しなかった分、4選手が参加するELでの活躍が期待されていたが、昨シーズンの久保(ヤング・ボーイズ)や瀬戸(当時アストラ)のような輝きは見られなかった。
▽ドルトムントの香川は、3試合(202分間)に出場して1アシストを記録。ただ、香川の場合はブンデスリーガで活躍した分、ELでは温存される傾向にあった。シャルケの内田はヒザの負傷からの復帰に向けてリハビリに励んでいる段階であり、決勝トーナメントでの活躍に期待したい。
▽バーゼルの柿谷は第2節と最終節にベンチ入りしたものの、全く出場機会がなかった。チームは決勝トーナメントに進出しており、後半戦で自身の立場を変えることができるかどうかに期待だ。スポルティングの田中は第4節のスカンデルベウ戦に先発で初出場を果たすも、GKルイ・パトリシオの退場の煽りを受けて18分で交代。結局、6試合を通してわずか18分間の出場に終わっている。
◆ELを盛り上げるアウトサイダー続々
▽例年通り、ELの魅力の1つがアウトサイダーの躍進。昨シーズンの準優勝チームであるドニプロとベスト4に入ったクラブ・ブルージュがグループステージ敗退となったが、今シーズンも虎視眈々と下克上を狙うチームが現れている。
▽まずは、ドルトムントを抑えて首位通過を果たしたFCクラスノダール(ロシア)。ロシア代表MFママエフやウズベキスタン代表MFアフメドフとった主力を軸に、安定した強さを披露した。また、マンチェスター・ユナイテッドOBのスールシャール監督が率いるモルデ(ノルウェー)も2試合を残してグループステージ突破を決めるなど大健闘。そのほか、4連勝でグループステージ突破を決めたラピド・ウィーン(オーストリア)、プレーオフでサウサンプトンを撃破してUEFA大会初出場を果たしているミッティラン(デンマーク)といった中堅国に属するクラブが躍進した。
◆堕ちてきた猛者達、3連覇懸かる王者の帰還
▽概ね順当な結果に終わったグループステージを経て24チームが決勝トーメントに進出したが、CLを3位で敗退した8チームも参戦する。堕ちてくるのは、シャフタール、マンチェスター・ユナイテッド、ガラタサライ、セビージャ、レバークーゼン、オリンピアコス、ポルト、バレンシアという欧州有数の強豪クラブや実力クラブだ。
▽その中でも最も注目すべきなのがセビージャの参戦だ。“THE EL”とも呼べる2連覇中の王者は、CLグループステージ最終節で3位の座を逆転で確保し、奇しくも慣れ親しんだELの舞台に戻ってきた。ELで抜群の勝負強さを発揮してきたエメリ監督のチームが、UEFAカップ時代も含めて大会史上初となる3連覇を狙う。
▽一方、2011-12シーズンと同様にCL敗退組として参戦するユナイテッドを含むイングランド勢は、ELでも結果を残す必要がありそうだ。現在、UEFA協会クラブ係数ランキングにおいて、イングランドとイタリアが熾烈な3位争いを演じており、今シーズンの結果次第ではイングランドのCL枠が2017-2018シーズンから3つに減らされる可能性がある。
▽トップ4入りが極めて厳しいプレミアリーグのCL枠が減らされる事態を回避するためにも、ユナイテッドとリバプール、トッテナムは CLと同様のUEFAポイントが得られるELでの上位進出が求められる。また、数々のタイトルを保有するユナイテッドにとっては、唯一獲得していないヨーロッパリーグ(UEFAカップ時代も含む)を制覇するチャンスだ。
▽CL水準のチームも混在する決勝トーナメントでは、ユナイテッド(シード)の対戦相手が気になるところだ。クラブのレジェンドであるギャリー・ネビル監督率いるバレンシア(ノーシード)や、香川の所属するドルトムント(ノーシード)との対戦が実現すれば、大きな注目が集まる。また、クロップ監督が指揮するリバプール(シード)とドルトムントの対戦にも期待したい。優勝クラブに与えられる来シーズンのCL出場権を懸け、今後は例年以上に熾烈な戦いが繰り広げられること必至だ。
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◆強豪が順当に突破、グループAでは波乱
▽昨シーズンと同様に4大リーグに所属する強豪チームが順当に突破を決めた。2チームが参加するイングランド勢は、リバプールが開幕節から3戦連続ドローとなったものの、第4節から2連勝を飾って無事に決勝トーナメント進出。モナコやアンデルレヒトといった実績のあるクラブと同居したトッテナムも、攻守両面での安定感とケインの復調とともに首位通過を決めた。
▽昨季に4チーム全てが突破したイタリア勢は今季も順調だった。とりわけ、ナポリがグループステージ唯一の全勝。イグアインやインシーニェなど主力を温存しながらも、サッリ監督がもたらしたチーム力の高さが際立った。セリエAで不振に喘ぐラツィオだが、ELでは格上の存在として確実に勝ち点を積み上げ、最終節を残してベスト32行きを決めている。対してセリエで好調のフィオレンティーナは、ターンオーバーがうまくいかずに苦戦したものの、最終節でしっかりと突破を決めた。
▽例年、ELとの相性の良さを見せているイベリア半島勢では、ビジャレアルとビルバオが順当に突破を決めるなど、スペイン勢が安定した強さを発揮。一方のポルトガル勢は、2010-11シーズンのファイナリストであるブラガが久々のELで首位通過を果たした。CLプレーオフ敗退組のスポルティングは、苦戦したものの最終節で見事な逆転突破。UEFA大会初出場のベレネンセスは力及ばずに敗退している。
▽ビッグクラブが順当に次のラウンドに勝ち進んだ中、グループAでは波乱が発生。3強1弱と目されていたが、1弱予想のモルデが大健闘を見せたため、残り1つの椅子をアヤックスとセルティック、フェネルバフチェが争う事態となった。結局、フェネルバフチェが突破。CLの常連でもある欧州屈指の名門2クラブがグループステージ敗退の憂き目に遭っている。そのほか、昨シーズンにCLベスト8進出を果たしたモナコ、同じくELで躍進したドニプロとクラブ・ブルージュが敗退した。
◆日本人の活躍はなし
▽チャンピオンズリーグに日本人選手が参加しなかった分、4選手が参加するELでの活躍が期待されていたが、昨シーズンの久保(ヤング・ボーイズ)や瀬戸(当時アストラ)のような輝きは見られなかった。
▽ドルトムントの香川は、3試合(202分間)に出場して1アシストを記録。ただ、香川の場合はブンデスリーガで活躍した分、ELでは温存される傾向にあった。シャルケの内田はヒザの負傷からの復帰に向けてリハビリに励んでいる段階であり、決勝トーナメントでの活躍に期待したい。
▽バーゼルの柿谷は第2節と最終節にベンチ入りしたものの、全く出場機会がなかった。チームは決勝トーナメントに進出しており、後半戦で自身の立場を変えることができるかどうかに期待だ。スポルティングの田中は第4節のスカンデルベウ戦に先発で初出場を果たすも、GKルイ・パトリシオの退場の煽りを受けて18分で交代。結局、6試合を通してわずか18分間の出場に終わっている。
◆ELを盛り上げるアウトサイダー続々
▽例年通り、ELの魅力の1つがアウトサイダーの躍進。昨シーズンの準優勝チームであるドニプロとベスト4に入ったクラブ・ブルージュがグループステージ敗退となったが、今シーズンも虎視眈々と下克上を狙うチームが現れている。
▽まずは、ドルトムントを抑えて首位通過を果たしたFCクラスノダール(ロシア)。ロシア代表MFママエフやウズベキスタン代表MFアフメドフとった主力を軸に、安定した強さを披露した。また、マンチェスター・ユナイテッドOBのスールシャール監督が率いるモルデ(ノルウェー)も2試合を残してグループステージ突破を決めるなど大健闘。そのほか、4連勝でグループステージ突破を決めたラピド・ウィーン(オーストリア)、プレーオフでサウサンプトンを撃破してUEFA大会初出場を果たしているミッティラン(デンマーク)といった中堅国に属するクラブが躍進した。
◆堕ちてきた猛者達、3連覇懸かる王者の帰還
Getty Images
▽概ね順当な結果に終わったグループステージを経て24チームが決勝トーメントに進出したが、CLを3位で敗退した8チームも参戦する。堕ちてくるのは、シャフタール、マンチェスター・ユナイテッド、ガラタサライ、セビージャ、レバークーゼン、オリンピアコス、ポルト、バレンシアという欧州有数の強豪クラブや実力クラブだ。
▽その中でも最も注目すべきなのがセビージャの参戦だ。“THE EL”とも呼べる2連覇中の王者は、CLグループステージ最終節で3位の座を逆転で確保し、奇しくも慣れ親しんだELの舞台に戻ってきた。ELで抜群の勝負強さを発揮してきたエメリ監督のチームが、UEFAカップ時代も含めて大会史上初となる3連覇を狙う。
▽一方、2011-12シーズンと同様にCL敗退組として参戦するユナイテッドを含むイングランド勢は、ELでも結果を残す必要がありそうだ。現在、UEFA協会クラブ係数ランキングにおいて、イングランドとイタリアが熾烈な3位争いを演じており、今シーズンの結果次第ではイングランドのCL枠が2017-2018シーズンから3つに減らされる可能性がある。
▽トップ4入りが極めて厳しいプレミアリーグのCL枠が減らされる事態を回避するためにも、ユナイテッドとリバプール、トッテナムは CLと同様のUEFAポイントが得られるELでの上位進出が求められる。また、数々のタイトルを保有するユナイテッドにとっては、唯一獲得していないヨーロッパリーグ(UEFAカップ時代も含む)を制覇するチャンスだ。
▽CL水準のチームも混在する決勝トーナメントでは、ユナイテッド(シード)の対戦相手が気になるところだ。クラブのレジェンドであるギャリー・ネビル監督率いるバレンシア(ノーシード)や、香川の所属するドルトムント(ノーシード)との対戦が実現すれば、大きな注目が集まる。また、クロップ監督が指揮するリバプール(シード)とドルトムントの対戦にも期待したい。優勝クラブに与えられる来シーズンのCL出場権を懸け、今後は例年以上に熾烈な戦いが繰り広げられること必至だ。
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