【コラム】サントン復帰はアタリなのか
2015.02.18 16:00 Wed
▽冬の移籍市場閉鎖から半月が経った。勢力図は大きく変わっていないはずだが、良い風が吹き始めたところもある。ということで、メルカート終了からリーグ戦2連勝のインテルにスポットライトをあててみる。
▽この冬にインテルが獲得した主な選手をおさらいしてみよう。ポドルスキ、シャキリ、ブロゾビッチ、そしてサントンといったあたりだ。
▽中盤が強化されたことは間違いない。1月の早い時期からいるポドルスキは、いまのところ大きく期待外れ。ナゾが多いのは、サントンである。
▽正直意外だった。あのサントンがインテルに戻ってきたのだ。この補強について勝手に読み取っていく。
▽まず、必要な補強だったかという点だ。インテルは開幕当初、ウィングのポジションの競争がし烈だと考えられていた。その中からジョナタンが負傷でシーズン絶望となっているが、依然として長友佑都、ダニーロ・ダンブロージオ、ドドーらがいる。ダンブロージオはまもなく復帰予定であるため、人数が足りないという計算ではなかったはずだ。
▽ここまでの起用法を見ると、指揮官がサイドバックに求めるものが「守備力>攻撃力」であることは確かだろう。前監督マッツァーリがウィングで好んでいたドドーは、早くもベンチに座ることになった。15日のアタランタ戦では、ドドーをベンチに置いてでも、本職センターバックのカンパニャーロが右サイドに入っている。その試合では、左サイドにサントンが入った。
▽一時期はひどいパフォーマンスが続いたサントンだが、インテリスタは彼のポテンシャルを知っている。2009年にトップチームでデビューしてすぐ、本拠地サン・シーロで当時マンチェスター・ユナイテッドにいたクリスティアーノ・ロナウドを止めたことは今でも記憶に残っているし、安定感は抜群だった。若くしてスターとなった彼は、伸びていく鼻になかなか気づくことができなかったが、本来は「やれる選手」だとファンは確信している。
▽では、ほかの選手はサントン以下なのか。
▽それぞれ得意分野が違うとはいえ、レギュラーサイドバックはダンブロージオとサントンになると見るメディアは多い。長友はどうなのか。日本ではスピードあふれる攻撃参加が魅力のサイドバック、という印象が強いと感じるが、イタリアではやや違う評判だ。「アグレッシブで攻撃参加が得意なサイドバック」、悪い言い方をすると、「守備がいまいちなウィンガー」というイメージに近い。ちょっと意外に思われるかもしれないが、そういった声は決して少数派ではない。サイドバックに守備力を求めるマンチーニのプロフィールには適合しないことになってしまう。もちろん、ドドーと比べると攻守のバランスはかなり違うとしても、チーム内での優先順位となると、分が悪いと見られても仕方ないのかもしれないのだ。
▽もちろん、インテル下部組織出身ということで、ホームグロウン扱いになることも影響しているだろう。サネッティの後を継いでキャプテンマークを巻くラノッキアが絶対的な存在になれず、土台が安定しないこともあるかもしれない。それでも、サントンの実力がマンチーニに求められた面は確かにある。
▽デビューしたときの期待感とは別物だ。それでも、サントンがインテル復権の旗頭になることを願うファンも少なくない。インテルファンとしても半信半疑だった補強がアタリだったとしたら、インテルは後半戦に驚異の巻き返しを見せてくれる可能性を秘めている。
【著者紹介】
ペッピーノ伊藤
1984年生まれ。埼玉出身。イタリアはミラノを拠点とし、インテル&ミランを中心に現地で取材や執筆を行っている。もはやジュゼッペ・メアッツァの住人と言っても過言ではない。その献身性には定評があり、ミラノでは彼が寝ている姿を見たものはいないとまで言われている。その鉄人ぶりはハビエル・サネッティと双璧を成す。
▽この冬にインテルが獲得した主な選手をおさらいしてみよう。ポドルスキ、シャキリ、ブロゾビッチ、そしてサントンといったあたりだ。
▽正直意外だった。あのサントンがインテルに戻ってきたのだ。この補強について勝手に読み取っていく。
▽まず、必要な補強だったかという点だ。インテルは開幕当初、ウィングのポジションの競争がし烈だと考えられていた。その中からジョナタンが負傷でシーズン絶望となっているが、依然として長友佑都、ダニーロ・ダンブロージオ、ドドーらがいる。ダンブロージオはまもなく復帰予定であるため、人数が足りないという計算ではなかったはずだ。
▽つまり、マンチーニはクオリティーに不足を感じていたということである。
▽ここまでの起用法を見ると、指揮官がサイドバックに求めるものが「守備力>攻撃力」であることは確かだろう。前監督マッツァーリがウィングで好んでいたドドーは、早くもベンチに座ることになった。15日のアタランタ戦では、ドドーをベンチに置いてでも、本職センターバックのカンパニャーロが右サイドに入っている。その試合では、左サイドにサントンが入った。
▽一時期はひどいパフォーマンスが続いたサントンだが、インテリスタは彼のポテンシャルを知っている。2009年にトップチームでデビューしてすぐ、本拠地サン・シーロで当時マンチェスター・ユナイテッドにいたクリスティアーノ・ロナウドを止めたことは今でも記憶に残っているし、安定感は抜群だった。若くしてスターとなった彼は、伸びていく鼻になかなか気づくことができなかったが、本来は「やれる選手」だとファンは確信している。
▽では、ほかの選手はサントン以下なのか。
▽それぞれ得意分野が違うとはいえ、レギュラーサイドバックはダンブロージオとサントンになると見るメディアは多い。長友はどうなのか。日本ではスピードあふれる攻撃参加が魅力のサイドバック、という印象が強いと感じるが、イタリアではやや違う評判だ。「アグレッシブで攻撃参加が得意なサイドバック」、悪い言い方をすると、「守備がいまいちなウィンガー」というイメージに近い。ちょっと意外に思われるかもしれないが、そういった声は決して少数派ではない。サイドバックに守備力を求めるマンチーニのプロフィールには適合しないことになってしまう。もちろん、ドドーと比べると攻守のバランスはかなり違うとしても、チーム内での優先順位となると、分が悪いと見られても仕方ないのかもしれないのだ。
▽もちろん、インテル下部組織出身ということで、ホームグロウン扱いになることも影響しているだろう。サネッティの後を継いでキャプテンマークを巻くラノッキアが絶対的な存在になれず、土台が安定しないこともあるかもしれない。それでも、サントンの実力がマンチーニに求められた面は確かにある。
▽デビューしたときの期待感とは別物だ。それでも、サントンがインテル復権の旗頭になることを願うファンも少なくない。インテルファンとしても半信半疑だった補強がアタリだったとしたら、インテルは後半戦に驚異の巻き返しを見せてくれる可能性を秘めている。
【著者紹介】
ペッピーノ伊藤
1984年生まれ。埼玉出身。イタリアはミラノを拠点とし、インテル&ミランを中心に現地で取材や執筆を行っている。もはやジュゼッペ・メアッツァの住人と言っても過言ではない。その献身性には定評があり、ミラノでは彼が寝ている姿を見たものはいないとまで言われている。その鉄人ぶりはハビエル・サネッティと双璧を成す。
|
関連ニュース