「ハーフタイムに何もできなかった」…東京Vの城福浩監督、磐田相手に劇的ホーム初勝利&連勝も「反省の方が大きい」

2024.05.06 20:57 Mon
©超ワールドサッカー
東京ヴェルディ城福浩監督が、ジュビロ磐田との一戦を振り返った。

東京Vは6日、味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第12節のジュビロ磐田戦に3-2で勝利した。
前節、サガン鳥栖とのアウェイゲームを2-0で勝利し、5試合ぶりの白星を手にした14位のチームは、昨シーズンのJ2リーグで熾烈な昇格争いを演じた11位の磐田を相手に、今シーズンのホーム初勝利と初の連勝を狙った。

試合は前半に相手のハンドで得たPKをFW染野唯月が冷静に決めて35分に先制。さらに、数分後の41分にはCKの二次攻撃からゴール前のFW木村勇大が押し込んで追加点。前半を2点リードで終えた。

しかし、後半に入って積極的に交代カードを切ったアウェイチームに守勢を強いられると、66分までに2失点を喫して同点に追いつかれる。さらに、77分にはセットプレーの競り合いでDF千田海人がハンドによるPKを取られると、すでにこの試合で1ゴールを挙げていたFWジャーメイン良がキッカーに。今季ここまで得点ランキングトップを快走する磐田のエースストライカーの逆転ゴールが濃厚かに思われたが、ここでジャーメイン良は枠の左に外して失敗。
相手の決定機逸に救われたホームチームは、86分に木村の裏抜けによってDFリカルド・グラッサの退場を誘発。一転して数的優位の有利な立場になると、13分が加えられた後半アディショナルタイムの99分に木村が決めた劇的勝ち越しゴールによって、“スペクタクルなカオス”と形容すべき白熱の昇格組対決を見事にモノにした。

昨季J2でも5カ月近く勝利から遠ざかり、今季も国立競技場での開幕戦を含め6戦未勝利が続いたホームで待望の白星を飾った城福監督は、試合終了直後の渾身のガッツポーズに加え、ホームサポーターへの挨拶の際には安堵と共に晴れやかな笑顔を見せていたが、公式会見の場では「勝ち点3を取りながら反省できるのは大きい」としながらも、前半の2点リードの展開からあわや逆転負けの可能性もあった試合内容を真摯に反省した。

「ホームで勝てていなかったので、まずは来てくださったサポーターの方々と一緒に、ホームでの勝利を喜び合えたことはよかったと思います。ただ、反省点が多いというか、2-0にしてからの後半の入り。ゲームの進め方というのはちょっと選手とも話をして、前半の入りと同じような入りができなかったので、自分の反省としてはハーフタイムにちょっと意思統一が足りなかったなと思います」

これでリーグ9戦負けなし且つ、2連勝という形となったが、百戦錬磨の指揮官は「正直言って、反省の方が大きい」、「2-0から2-2にされたこと、PKを決められたら逆転されているので、僕はそんなに胸を張って何かを言える心境ではない」と、少しずつ自信、経験を積み始めたJ1最年少スカッドの成長による手応えよりも、やはり反省の言葉を多く口にした。

とりわけ、数的不利のFC東京に2-0から2-2のドローに持ち込まれた東京ダービーでの苦い経験を活かすことができなかった後半立ち上がりのパフォーマンスについては「ハーフタイムに何もできなかった」と、改めて自戒の念を込めた。

「2-0から2-2にされた経験があるので、同じ轍は踏まないと。それはもう我々もスタッフも選手も、ひょっとしたら今日見に来てくださったサポーターも、みんな思っていたと思います。僕の反省としてはそれを具体化して伝えられなかったということ」

「引いたサッカーをしない、守るのではなくて、3点目を取ってゲームを決めたい。そういう思いはみんながあったと思いますが、それを抽象的なものでしか伝えられなかったハーフタイムの自分がいる。ただ、試合終了のホイッスルが鳴って、ベンチの前で選手たちとちょっと話をしているときに、『こうするべきだった』というのは、勝ったからこそ共有できたと思いますし、これは次に必ず活かしたい」

劇的勝利の一戦で反省の弁を並べた指揮官だったが、「相手が10人になったときに、誰1人油断しなかった。どのポジションの選手も守備を緩めなかったというところが、最後に我々があそこまで押し込めた要因。相手が10人になっても誰も守備をさぼらなかったという意味では、我々らしい終わり方ができた」と、前述のダービーの経験が少なからず勝利の結果に繋がったとポジティブな部分にもしっかりと目を向けている。

この連勝によって順位を10位に上げて降格圏とのポイント差を「7」に広げる形となったが、残留を最大の目標としつつも、「Jリーグで驚きを示す存在になりたい」とさらなる高みを目指すフットボールの求道者は、自身を含め若きスカッドの進化を促す。

「比較はできないけれども、日本一のトレーニングでありたいというのは、我々のメニューではなく、選手の姿勢。そこを我々はフェアに見てあげなければいけないし、選手がフェアだと感じれば、自ずと他の選手の姿勢も変わっていくわけで、そこだけはぶらさないようにしたい」

「頭から湯気が出るような毎日をいかに過ごして、そういう選手がチャンスを与えられていくということこそが、このチームがメンバーが変わっていってもレベルを落とさない唯一の方法だと思っているので、それと今日が満足かというと、全くそうではない。日々のトレーニングでまた精進したい」

「もちろん我々のクラブ規模からすれば、残留というのはひとつの大きな目標ですけれども、我々はJリーグで驚きを示す存在になりたいというふうに思っています。今日の連勝で何か満足するのではなくて、驚きを示すのであれば、『ここからだろう』と思っていますし、1試合ずつ出る反省点というか、課題をクリアしていって成長していくことこそが、このチームが、ヴェルディというクラブが、J1で驚きを示すことにつながってくると思うので、今日出た課題をしっかり次につなげたい」

その驚きを示していくという部分で、“3連勝”、“上位撃破”がキーワードとなる次節は、敵地で3位の鹿島アントラーズと対戦する。
関連ニュース

東京Vが今季最多5発で札幌粉砕し2度目の連勝! 木村勇大&染野唯月の若きFW2人が2ゴールの共演【明治安田J1第17節】

明治安田J1リーグ第17節の東京ヴェルディvs北海道コンサドーレ札幌が2日に味の素スタジアムで行われ、ホームの東京Vが5-3で勝利した。 前節、ヴィッセル神戸に1-0で勝利し、リーグ4戦ぶりの白星を手にした12位の東京V。今季2度目の連勝を目指したホームゲームでは前節から先発1人を変更。脳震とうで前節負傷交代の松橋優安に代えて齋藤功佑を起用した。 一方の札幌は前節の鹿島アントラーズ戦に0-3で完敗し、リーグ2連敗で19位に低迷。今週にはクラブが声明を発表し、ペトロヴィッチの今季続投と共にシーズン終了後の退任が明かされた。その仕切り直しの一戦では先発3人を変更。高尾瑠、田中宏武、キム・ゴンヒに代えて家泉怜依、近藤友喜、負傷明けの鈴木武蔵が起用された。 共に[3-4-2-1]の布陣でスタート。開始直後にはボックス右への抜け出しから鈴木、ボックス手前で縦に仕掛けた見木友哉と互いに際どい場面を創出。すると、早い時間帯にスコアが動く。 8分、ハーフウェイライン付近の右サイドで張った翁長聖が、両利きの特性を活かし意表を突く左足のダイレクトパスを背後へ流すと、DF岡村大八を振り切ってボックス内に抜け出した木村勇大がGK菅野孝憲と交錯しPKを獲得する。これをキッカーの木村が冷静にゴール左下隅に流し込み、4試合ぶりの今季7点目とした。 対してスリッピーなピッチへの対応に苦戦する札幌だったが、ワンチャンスを活かして追いつく。20分、長いボールを使って右サイドで押し込んだ流れから波状攻撃を仕掛けると、ペナルティアーク付近で味方の落としに反応した荒野拓馬が右足を一閃。ゴール前でブロックを試みたDF千田海人が出した足に当たって大きくコースが変わってゴール左隅に突き刺さった。 1-1の振り出しに戻った試合は行ったり来たりのオープンな展開に。より互いのゴール前での攻防が増えていく。30分には札幌のショートカウンターからボックス左で仕掛けたスパチョークのグラウンダーの折り返しを、ゴール前でフリーの近藤がダイレクトシュート。だが、ここはGKマテウスの好守に阻まれる。 すると、守護神のビッグプレーで流れを引き寄せた東京Vは直後の32分に勝ち越し点を奪う。相手陣内中央で相手ディフェンスラインのヘディングパスをカットした森田が中央を持ち上がって右の染野にラストパス。やや足元に詰まったものの、冷静にコースを狙った右足グラウンダーシュートがゴール左隅に決まった。 これで完全に流れを掴んだホームチームは、連動性を欠く札幌の守備を効果的に剥がして再三の決定機を創出。43分には齋藤のスルーパスにフルスプリントで反応した翁長が右サイドから絶妙なグラウンダーのクロスを供給。ファーに流れたボールを収めた見木がボックス左角度のないところから左足を振ると、右ポストへの撥ね返りがDF中村桐耶の足に当たってゴールネットに吸い込まれ、前半の内に3点目を奪い切った。 迎えた後半、2点のビハインドを追う札幌はハーフタイムに2枚替えを敢行。ディフェンスラインの岡村と中村を下げてキム・ゴンヒ、古巣対戦の長谷川竜也とアタッカーを投入。馬場晴也、菅大輝を3バックのサイドに入れて駒井善成をボランチに置くより攻撃的な布陣に変更した。 すると、キックオフ直後の46分に長谷川のクロスから獲得した右CKの場面でスパチョークの右足アウトスウィングの正確なクロスを中央の近藤がバックステップを踏みながらうまくゴール右隅へヘディングシュートを流し込み、反撃の狼煙を上げる。以降は足元の繋ぎに加え、全体の動き出しの量を増やして、より掴みづらい攻撃で相手の守備を効果的に揺さぶって主導権を握るが、自分たちの時間で押し切ることができず。 一方、何とか立ち上がりの守勢を凌いだ東京Vは前半から抜群の存在感見せていたパワフルストライカーが魅せる。59分、GKマテウスからのロングボールを染野が前線でキープし、落としに反応した齋藤がディフェンスラインの背後を突くスルーパスを供給。これに抜け出した木村がバランスを崩したDF家泉、GK菅野をかわしてゴール左隅へ左足シュートを流し込んだ。 この4点目で試合は完全にホームチームの流れに。後半半ばを過ぎて両ベンチが交代カードを切って戦い方に変化を加えていく中で決定的なゴールが決まる。78分、木村に代わって投入された山見大登からのスルーパスに反応した染野が相手DFを引きずりながらボックス付近まで持ち込んで細かいステップワークから見事な左足シュートをゴール左隅に流し込み、木村に続くこの試合2点目を記録した。 大勢が決した後半終盤には34歳でJ1デビューの平智弘や久々のリーグ戦出場となる食野壮磨らを投入した東京Vは、後半終了間際に途中出場の原康介にゴールを奪われたものの、5-3のスコアを維持して試合をクローズ。今季最多5ゴールを奪った城福浩監督率いるチームが、今季2度目の連勝を飾った。 一方、指揮官の進退に言及するなどこの一戦での再スタートを意識した札幌だったが、厳しい大敗によって泥沼の3連敗となった。 東京ヴェルディ 5-3 北海道コンサドーレ札幌 【東京V】 木村勇大(前10、後14) 染野唯月(前32、後33) 見木友哉(前43) 【札幌】 荒野拓馬(前20) 近藤友喜(後1) 原康介(後45+4) 2024.06.02 15:10 Sun

【J1注目プレビュー|第17節:東京Vvs札幌】3バックを機能させたい東京V、監督続投で腹を括った札幌は何を見せる

【明治安田J1リーグ第17節】 2024年6月2日(日) 13:05キックオフ 東京ヴェルディ(12位/21pt) vs 北海道コンサドーレ札幌(19位/11pt) [味の素スタジアム] <span class="paragraph-subtitle">◆3バックをどう機能させるか 【東京ヴェルディ】</span> 前節はアウェイでのヴィッセル神戸戦でオウンゴールながらも勝利を収めた東京V。FC町田ゼルビア相手に大敗を喫した中で、しっかりとバウンスバックを見せた。 ミッドウィークには久保建英擁するレアル・ソシエダと対戦した中、相手を受けてしまう前半から一変、後半は前からのプレスを激しくかけていくことに。相手の素晴らしいゴールの前に2失点はしたが、一定の手応えはあったはずだ。 そんな中で迎える札幌戦。3バックの相手に立ち向かうが、札幌はビルドアップ時に4バックに変わるため、しっかりと前からのプレスでハメていきたいところだ。 実戦ではまだまだ精度は高められていないシステムだが、しっかりと準備はしている。この戦い方を武器にできれば、チームとしても大きなポジティブな材料になるだろう。 ★予想スタメン[3-3-2-2] GK:マテウス DF:宮原和也、千田海人、林尚輝 MF:翁長聖、森田晃樹、稲見哲行 MF: 綱島悠斗、見木友哉 FW:染野唯月、木村勇大 監督:城福浩 <span class="paragraph-subtitle">◆腹を括って何を見せる【北海道コンサドーレ札幌】</span> 前節はホームに鹿島アントラーズを迎えて0-3の完敗。なかなか光明が見出せない札幌だったが、クラブはミハイロ・ペトロヴィッチ監督と共に戦い抜くことを表明した。 7年目を迎えた今シーズンは、かつてない苦しみを味わっている。それもそのはず、毎年のように主軸を担った選手が引き抜かれ、チームを支える選手たちには大きな変化がない状況。補強も最低限という状況では、育たなければ苦しむのは明らかだ。 マンツーマンディフェンスを武器に相手を押し込めていた昨季までに比べ、局面での強度の弱さ、デュエルの勝率の低さなど、個々のクオリティで勝てない状況がある。 メンタル面も非常に難しい状況だろう。ただ、そこで落としてしまっては、絶対に結果はついてこない。これまでの札幌のように、しっかりと強いメンタルを持って、アグレッシブさを取り戻せるか。ミシャ監督と続けていくと決めたならば、そのスタイルを見せてもらいたいものだ。 ★予想スタメン[3-4-2-1] GK:菅野孝憲 DF:髙尾瑠、岡村大八、中村桐耶 MF:近藤友喜、荒野拓馬、馬場晴也、 菅大輝 MF:駒井善成、スパチョーク FW:キム・ゴンヒ 監督:ミハイロ・ペトロヴィッチ 2024.06.02 10:40 Sun

「勝つために前線の自分が点を決めたい」、東京Vの木村勇大が浮上へ連勝&ゴール期す

東京ヴェルディのFW木村勇大が今シーズン2度目の連勝に向けて貪欲にゴールを狙う。 東京Vは前節、アウェイで行われたヴィッセル神戸戦に1-0で勝利。FC町田ゼルビア戦の大敗からバウンスバックに成功し、リーグ4戦ぶりの白星を挙げた。 [4-4-2]から[3-5-2(3-4-2-1)]への布陣変更という変化を加えた中、昨季J1王者を破って浮上のきっかけを手にした12位のチームは、2日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1第17節の北海道コンサドーレ札幌戦に臨む。 ここまでチームトップの6ゴールをマークし、FW染野唯月と共に前線の核として存在感を示す木村だが、直近のリーグ戦3試合ではガンバ大阪、町田、神戸とリーグトップクラスの堅守を誇る相手にゴールを割ることができず。 今回の一戦では前節終了時点でリーグワーストの31失点を喫している19位の札幌相手にリーグ4戦ぶりのゴールを狙う。 フル出場した神戸戦に加え、直近のレアル・ソシエダとの親善試合でも途中出場し、守備面を主に3バックへの適応を図る背番号20は、「周囲とのコミュニケーション」、「試合途中での修正」をポイントに挙げる。 「次の札幌に関して相手がどういう形で来るかはわからないですけど、こっちも3バックを試している中、前から嵌めるという時の嵌め方とかの共有の部分でまだ日が浅いので、そこまで整理できてはいないですが、今週はそういうところも重点的にやっています」 「[4-4-2]に比べてアンカーを抑えながら前から行くところの役割は変わらない部分もありますけど、ポジションを入れ替わりながらやった時に、シャドーの位置に入った時とか、どういう守備の仕方をするかというところが、まだそこまで慣れていないです。そこは周りの選手とのコミュニケーションが大事だと思いますし、試合中でもそういうズレが生じた時に、いかに自分たちで修正するかというのが、すごく次の試合では大事。相手もそうですけど、自分たちがどういうゲームをするかで変わってくると思うので、いつも以上にコミュニケーションをしっかり取って、連動してやれたらいいなと思います」 一方、攻撃の部分では“オールコートマンツーマン”と特徴的な守備戦術を採用する相手に対して、組織としての崩しが重要となるが、爆発的なスピードと強靭なフィジカルを有する185cmのストライカーが前線で質的優位をもたらせれば、即決定機に繋げられる。 その点について木村も「マンツーマンで来る以上、その一対一のところが今まで以上に大事で、どこかで1枚剥がしたら、その時点で数的優位になりますし、相手の守備にほころびが出てくる。自分がまず前線で収める時もそうですし、1人剥がすというところは意識して、一対一で負けなければ、チームは負けないので、そこは今まで以上に意識したいです」と、相手守備陣とのマッチアップを意識する。 また、今節の結果次第でトップハーフ入りも見えてくる中、「先週は神戸に勝ちましたが、次負けてしまったら一緒だと思うので、ここで2連勝していけるか、負けて少しずつ勝ち点を積み上げていくかというのは、これからすごく大きな差になってくる」と、改めて今節の重要性を説く。 そして、「必ず勝たないとダメだと思いますし、勝つためにはやっぱり前線にいる自分が点を決めないといけない。先週も決めてないですし、今週は必ず決めたい」と、自身のゴールでチームを連勝に導く覚悟を示した。 2024.06.01 20:45 Sat

東京Vの城福浩監督がチームの“変化”語る…布陣変更にソシエダ戦で受けた刺激

東京ヴェルディの城福浩監督が、北海道コンサドーレ札幌戦に向けた会見を行い、チームの変化について言及した。 東京Vは前節、アウェイで行われたヴィッセル神戸戦に1-0で勝利。FC町田ゼルビア戦の大敗からバウンスバックに成功し、リーグ4戦ぶりの白星を挙げた。 そして、昨季J1王者を破って浮上のきっかけを手にした12位のチームは、2日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1第17節で札幌と対戦する。 5月31日、クラブハウスで行われた会見で城福監督は、就任以降メインシステムとして使ってきた[4-3-3]、[4-4-2]から[3-5-2(3-4-2-1)]へ布陣変更するという大きな決断について言及した。 昨年の段階から検討を考えていながらも踏み切れずにいた中、町田戦の大敗、その後のスタッフ間の話し合いにおける和田一郎ヘッドコーチの進言がその決断を後押ししたという。 「3バックというのはすごく大きな変更で決断でしたけど、いろんな論議をしている中で、最後にヘッドコーチの和田が『3バックどうですか』というふうにパンと言ってくれた。彼は去年から『3バックもある』というのをずっと言い続けてきた仲間でもあり、彼の言葉で自分もちょっとはっとさせられました」 「そこでなぜ3バックがこのチームにとって可能性あると考えたのか、自分の頭の中で洗い出し整理して、いろんな覚悟をしました。そして、我々が論議を尽くして腹をくくって、取り組み始めたというところをおそらく選手も感じてくれているのではないかなと思います」 さらに、2年前の就任時以前からチームとして[4-3-3]のボール回しに手応えを感じていたという部分で、当時は継続が得策だと考えていたものの、選手とチームが変わっていく中、現在のチームの最大値を引き出すという部分が最終的に決断する要因になった。 「どんなサッカーであれ、[4-3-3]や[3-4-3]であれ、自分は守備のタスクは強く要求する。そうすると、攻撃のタスクと本人の長所がフィットしなかったら、守備ばかりしているような印象になる。そこは常に問題意識を持っていました。果たしてそこで起用している今の選手がジャストフィットしているのか、全ての力を出し切れるポジションなのかと…」 「今現在今年のスカッドで、このチームの最大の競争力があるポジションはどこなのかというところも踏まえることで、実はこれが一番大事ですけど、結果を手繰り寄せるために、しかも我々が志向するサッカーを多少立ち位置が変わるということは、多少の変化もある。大きく変更しない中で結果を手繰り寄せるため逆算をした時、どういう立ち位置がいいかというと、当たり前の話とはいえ、一番競争力のあるポジションの人数を増やしていく。サイドでいえば、どの高さの位置に立つことが得意な選手が多いのかとか、それで守備が崩れるか、崩れないかとかいろんなことを逆算した時、やはりこの大敗というタイミングを逃したら、おそらく大きな決断はできなかったと思います」 「いろんな要素を個別で見たら、ロジカルですけど、今までこのチームが取り組んできたことを、全くもって崩すのかというような捉え方もされてもおかしくないので、そういう意味でコーチングスタッフの助言は今思ってもすごくありがたかったと思います」 神戸戦ではひとまずその大きな決断、変化が実を結び、直近のレアル・ソシエダ戦でも3バックを継続しているが、「これからのチーム作りとしては、3バックと4バックというのは、我々の選手の競争力はどのポジションがあるかとか、どういう選手が離脱なく揃っているかとか、もちろん相手のスタイルも加味してということになる」と、4バックとの併用を示唆。その上で「どちらがオプションというのか、なかなか言いづらいぐらいのひとつの幹になると考えています」と、双方の完成度を高めていきたい考えだ。 また、指揮官は布陣変更による変化と共に、ソシエダ戦を通じたチームの変化についても語る。 過密日程の影響もあり、ソシエダ戦は神戸戦から先発全員を入れ替えて控え選手や若手選手を積極的に起用。その中で3バックのオプションを全員に経験させ、その強みと警戒すべきポイントの共有。ハイインテンシティの状況での戦い方というチームの課題の共有という収穫を得た。 さらに、ラ・リーガでも止める、蹴るの基礎技術が高く、ビルドアップ能力の高いチームとして知られるラ・レアルとの対戦は、選手たちにポジティブな変化をもたらすことになったと指揮官は語る。 「ソシエダのボールを繋いでいく技術というか、こちらがマークしているつもりでも相手はマークしている逆側の足にボールをつける。普通だったらマークされているのであれば、その選手を飛ばしますが、飛ばさずにマークしている逆側の足につけることでボールをつけていく、その技術の確かさと信頼感は勉強になりました」 「これぐらいの技術を自分たちはゲームで発揮したいし、だとしたら練習でやるしかない。こういうところは選手にとって相当刺激を受けたと思います。試合の入りというのは、一番お互いのプレッシャーが強い時なので、相手の矢印の逆を取るという判断は大事ですけど、(背後へ)蹴る判断も足元につける判断も両方できるようなところにボールを置くというところが、おそらく今回のソシエダ戦でスタンドから見ている選手もピッチでやっている選手も、僕はそこが一番選手に伝えるべきだなと思いました」 「我々が押し込みたいのであれば、どこにでも出せるところにボールを置くという技術から。それは僕らが大事にするパス&コントロールのトレーニングで、どんな意識を持ってやっているかというところからスタートする。今日のパス&コントロールの練習は全然空気が違いました。僕らが声掛けしなくても、やはり彼らの空気感が違った。だから、ソシエダ戦をやってよかったなと、今日の練習をやって改めて思いました」 そういった変化と共に臨む今節は、「長い間戦ってきましたが、やはり不変のものがある」と印象を語るミハイロ・ペトロヴィッチ監督が率いる19位のチームと対戦する。 チームとしてのファンダメンタルは変わらずも、さらなる進化に向けた変化の兆しを見せる東京Vは、この一戦で今季2度目の連勝を達成できるか。 2024.06.01 20:30 Sat

東京Vの稲見哲行、今季2度目の連勝狙う札幌戦へ「止まったサッカーではなく流動的なサッカーを…」

東京ヴェルディのMF稲見哲行が、今季2度目の連勝を狙う北海道コンサドーレ札幌戦へ意気込みを語った。 東京Vは前節、アウェイで行われたヴィッセル神戸戦に1-0で勝利。FC町田ゼルビア戦の大敗からバウンスバックに成功し、リーグ4戦ぶりの白星を挙げた。 [4-4-2]から[3-5-2(3-4-2-1)]への布陣変更という変化を加えた中、昨季J1王者を破って浮上のきっかけを手にした12位のチームは、2日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1第17節の札幌戦で今季2度目の連勝を狙う。 神戸戦でスタートはインサイドハーフも、MF松橋優安の負傷交代後は左のウイングバックでプレーし、今季リーグ戦初のウノゼロ勝利に貢献した稲見。 チームは直近に行われたレアル・ソシエダ戦でも3バックを採用。今回の札幌戦でも継続が見込まれ、屈強なボールハンターは左ウイングバックでのスタメン起用が予想される。 自身にとって新たなポジションを含め、チームとして取り組む新たなオプションについては、未だ手探りな部分はあるものの、ポジティブに取り組めているという。 「守備を固める部分でも効果的なシステムですし、この間の神戸戦ではそこまでそういうシーンはなかったですけど、前から嵌めるという意味でも、後ろ3枚にして前から嵌めるだったり、4枚のシーンもあるかもしれないですけど、そこは中で声をかけながらやりつつ、今練習でそこをすり合わせているので、そこは出したいなと思っています」 「攻撃ではサイドに厚みがあるので、中盤の選手が受けて、真ん中でシュートだったり、運べる選手がいたら、逆にサイドが空いてくると思うので、そこでクロスだったり、あとはダイレクトで3人目だったりというのは効果的だと思うので、そのスペースへのランニングというのは全員が意識しています」 個人としては「運動量が大事になると思うので、相手のサイドの選手への守備というのは自分のストロングなので、そこでは負けたくない。あとはチャンスメイクという部分ではクロスボールを上げるシーンだったり、クロスに自分が入っていくというシーンもあると思うので、そこは攻撃面でも厚みを出せるポジションだと思うので、ウイングバックになった時はそういうことを意識したい」と、サイドバックの経験を活かしつつ、「目に見える結果でチームに貢献したい気持ちもありますし、そこは貪欲に狙っていきたい」と、ミドルシュートを含めゴールへの意欲も示す。 ここまで19位と開幕から低空飛行が続く対戦相手については、今週に発表されたクラブの声明からも窺えるように、悲壮な思いで敵地へ乗り込んでくることが予想されるが、稲見は「相手のチーム状況がどうとか関係なく、僕らは自分たちのサッカーを、相手を上回る熱量でやるチーム。そこはぶれずにやり続けたい」と、相手を上回る熱量で迎え撃つ構えだ。 その上で「マンツーマンで付いてきて、オールコートでしっかり人に来るサッカー」という特徴的なスタイルに対しては、「個人で剥がすというよりも、組織で外したり、1個飛ばして3人目で受けたり、あとはスペースをうまく使ったランニングだったりが大事になる。止まったサッカーではなく流動的なサッカーをしていけばチャンスはできると思います」と、その攻略のイメージを語った。 また、札幌には昨季途中加入ながらピッチ内外でチームの意識を変える重要な役割を担い、J1昇格に貢献したMF長谷川竜也が今季から在籍。この古巣初対戦でも攻撃のジョーカー役としての起用が見込まれる。 稲見は「昨年、すごくお世話になって本当にリスペクトしている」と語る先輩について「プレー面でいやらしいことをできる選手なので、サッカーIQが高いというか、自分たちのサッカーを見て自分のプレーやチームのプレーを変えられる選手。そこは注意しなければいけない存在」と、チームとしてしっかり抑え込みたいとしている。 最後に、「ホームで勝つというのは大きな意味があると思うので、ファン・サポーターの皆さんとまた喜び合いたいです」と、5月6日のジュビロ磐田戦以来、約1カ月ぶりとなる味スタでの勝利を誓った。 2024.06.01 19:50 Sat
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly