コラム

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【日本代表コラム】大きな収穫はなくとも、前進は見せたオマーン戦

▽収穫があったと言って良い試合だろう。キリンチャレンジカップという親善試合であることを加味しても、手にした収穫がわずかであったとしても、前には進んでいると言えるだろう。11日に行われたオマーン代表との一戦では、結果、内容以上の収穫を見て取れた。 ▽ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は試合前の会見で「テストであり調整の場」であると語った。しかし、だからと言って、全てを変えて臨むとも言わず、「サウジアラビア戦に向けた準備をしなければいけない」と強調した。 ▽スターティングメンバーに名を連ねた11名のうち、GK西川周作、DF酒井宏樹、DF吉田麻也、DF酒井高徳、MF山口蛍、MF清武弘嗣、FW本田圭佑の7名は、おそらくサウジアラビア戦に向けたテストだろう。特に、MF清武弘嗣、FW本田圭佑は、所属クラブでの出場機会がないため、試合でのコンディションチェック、そして調整の場として使ったはずだ。 ▽ご存知の通り、清武はFW大迫勇也の2ゴールをアシストし、後半はFW浅野拓磨が得たPKをしっかりと決め、3得点に絡んだ。10番を背負い、不動のトップ下としてここまでプレーしてきたMF香川真司が負傷の影響で欠場したとは言え、ポジションを獲るためのプレーを見せ、結果を残した。ロンドン五輪世代としてU-23日本代表で長らくプレーしていた2人の関係性は良く、呼吸が合っている様子を見せた。 ▽一方で、本田は明らかにコンディションが良くなかった。身体の重さを感じさせただけでなく、試合を行っていないことによるキレのなさを感じた。しかし、その事が分かったことはプラスに捉えられる。中3日で行われるサウジアラビア戦。そこまでにどこまでコンディションを上げられるかだが、難しい可能性も把握できた。これはハリルホジッチ監督にとっては大きかったはずだ。 ▽また、DF丸山祐市、MF永木亮太、FW齋藤学、FW大迫勇也と、ここまでプレー機会がなかった4選手を先発させた。丸山以外は今回のW杯最終予選での出場機会はなく、丸山も普段とは異なるポジションでのワンポイント起用だったのでゼロに等しい。新戦力の発掘、そしてチームとしてのベースアップと考えられる。 ▽3トップの中央で先発した大迫は、慣れ親しんだ県立カシマサッカースタジアムで凱旋の2ゴール。ケルンでの調子の良さを窺わせた。齋藤は硬さが見られたものの、何度か得意とする仕掛けを見せ、タイミングの良いクロスも見せていた。オプションとして起用される可能性は高く、チームにフィットすれば相手によっては先発もあるだろう。代表デビューとなった永木は、そつのないプレーを見せた。ボール奪取からの展開という点では物足りなかっただけに、さらなるレベルアップは求められるだろう。丸山も細かい判断ミス、マークの甘さなど経験不足を感じさせたが、最低限のパフォーマンスだったと思う。 ▽また、途中出場ではMF小林祐希、FW久保裕也、FW浅野拓磨と出場機会が少ない、または初起用の選手を選択した。小林は最後にダメ押しゴールを奪い、久保はシュートへの意識を高く持っていた。浅野はスペースが少なく飛び出すことができなかったが、PKを奪取。満足はできないが、テストはできた。FW岡崎慎司、FW原口元気、DF森重真人に関しても、サウジアラビア戦での起用を見据えての試運転といったところだろう。調整はできたといえる。 ▽MF井手口陽介、DF植田直通に関しても、起用できるチャンスはあったはずだ。しかし、チームのバランスを崩すことはしないのがハリルホジッチ監督。まだチーム戦術の理解が足りていないという評価なのだろう。それでも、ポテンシャルは評価されているため、来年3月の試合に出場できるように努力を積むことが必要だ。いずれ、出場機会は巡ってくると考える。 ▽今回のオマーン戦に関しては、あくまでもサウジアラビア戦に向けた調整試合であり、テストの場であった。結果として4-0で勝利。新戦力がプレーしたということは、主力だけでなく、控えメンバーに大きな影響を与えたはずだ。日本代表が1つのチームとして成長するために、この時期にテストできたことは大きい。来年3月までの目標も個々に持てたはずだ。 ▽15日に行われる、W杯アジア最終予選でグループ首位に立つサウジアラビア戦への舞台は整った。2016年最後の試合に向けて、そしてその先にあるロシアW杯出場に向けての準備は、一歩ずつ着々と進んでいるように感じさせたオマーン戦だった。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2016.11.13 20:00 Sun
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【日本代表コラム】ハリルホジッチに導かれる日本代表が進む道

▽グループ首位に立つオーストラリア代表のホームで試合に臨んだ日本代表。既に最終予選で1敗を喫していることを考えれば、ここでの敗戦は避けたかった。結果は1-1のドロー。結果以上に、日本代表には手応えを感じた。 ▽オーストラリア戦後の記者会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「後悔は全くしていない」と試合の感想を述べた。ここまでの最終予選3試合に比べ、日本は落ち着いた試合の入りを見せ、前線から最終ラインに至るまで、特に中盤では強度を強め、オーストラリアを自由にさせなかった。 ▽その流れの中で迎えた5分、自陣に戻ったFW原口元気がボールをカット。MF長谷部誠がボールを拾うと、少し貯めを作って1トップに入ったFW本田圭佑に縦パス。それと同時に原口は走り出し、本田からの絶妙なタイミングで出されたパスに抜け出て先制点を奪い切った。 ▽『縦に早いサッカー』とハリルホジッチ監督が常に口にするが、このシーンはまさにその言葉を体現したものだった。この試合は右サイドにFW小林悠を置き、トップ下にMF香川真司、ボランチの一角にはMF山口蛍を起用した。さらに、ケガ人により選択肢が狭まった左サイドバックには、攻撃を得意とするDF太田宏介ではなくDF槙野智章を起用。指揮官の狙いは明白だった。 ▽これまでの空中戦に頼った戦い方から変貌を遂げているオーストラリアに対し、日本は中央を固める作戦に出た。長谷部、山口のボランチに加え、サイドに入った原口、小林が献身的な守備対応を見せることで、オーストラリアの推進力を奪った。サイドバックのDF酒井高徳、槙野も落ち着いた対応を見せていた。まさに、『デュエル』の部分で負けなかった証だろう。 ▽ゴールシーンに繋がった守備以外にも、オーストラリアのホールホルダーに対する寄せの早さや、前を向かれた際のDF吉田麻也、DF森重真人の守備対応はほぼ完璧だったと言える。さらに、奪ってからのボール運びも、この3試合とは異なり、縦の関係を上手く利用したダイレクトパス交換などが随所に見られた。オーストラリアの決定機はほぼゼロ。細かなミスは起こっていたが、前半は見違える出来だった。 ▽後半に入り、オーストラリアのスイッチが入ったことで立ち上がりに圧力をかけられた。それでもしっかりと守っていた日本だったが、PKからゴールを献上した。妥当なPKだったが、原口のチャレンジは悪いものではなかったと思う。 ▽試合を通してブロックを作り、カウンター狙いに徹した日本は、小林のヘディングシュートなど追加点を奪うチャンスも作っていた。勝利が欲しかった試合内容ではあるが、オーストラリアとアウェイで戦っている以上、勝ち点1でも問題なかった。むしろ、試合内容としては、最終予選の4試合でベストだったのではないだろうか。 ▽個人的に最も評価したい部分は、“アウェイ”での戦い方を見せたことだ。日本はこれまで“アウェイ”での戦い方を得意とせず、ホームでもアウェイでも変わらない戦い方を見せていた。もちろん、それで結果を出せればいいのだが、そうでないことの方が多かった。世界で戦うには時にはリアリストになることも重要であり、それはユーロ2016を見ても分かる通り。守ってカウンターという戦い方で結果を残した国はご存知のとおりだ。 ▽もちろん、手放しで喜んでいるわけではない。攻撃の組み立て方、フィニッシュの精度、クロスの精度…課題は数多いだろう。しかし、ハリルホジッチ監督がチームを作り上げている過渡期と考えれば、一定の結果をオーストラリア相手に示せただろう。そして、進んでいる道は間違っていないことを感じさせてくれたように思う。 ▽采配についても多くの意見が見られるが、目指していたものを考えれば妥当とも言える。最後のカードとして先制ゴールの原口に代えてDF丸山祐市を選択した。確かに、勝利を目指すためには、FW齋藤学という選択肢もあっただろう。しかし、あの時間帯で目指したのは、守備のリスクを軽減することだったはず。試合を通して集中した守備を築いてきた中で、得点を目指すためにバランスを崩すプランはなかったはずだ。浅野のカウンターで一発という狙いはあったが、人数をかけて崩す前に、オーストラリアに逆転ゴールを奪われていたかもしれない。ハリルホジッチ監督は、プラン通り勝ち点1を獲りに行ったのだろう。 ▽主力を負傷や出場停止で欠き、普段とは違うゲームプランでオーストラリア戦に臨んだ日本代表。勝ち点があと2つ取れていれば言うことなしだったが、試合の流れから決めたプランを遂行できたことは大きいだろう。当然、ホームでのオーストラリア戦は同じゲームにはならない。きっと、ハリルホジッチ監督は勝利を目指して戦うはずだ。 ▽来月のサウジアラビア代表戦で最終予選は折り返すこととなる。このオーストラリア戦での戦いを無駄にしないためにも、1カ月後のホームゲームまでチームとして同じ道を進み、勝利を掴むためにしっかりと準備をしてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2016.10.12 18:00 Wed
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【日本代表コラム】ターニングポイントになり得る勝ち点3

▽“薄氷の勝利”という言葉がピッタリ当てはまる試合だった。後半アディショナルタイム5分、フリーキックのこぼれ球をMF山口蛍が豪快にボレーで沈め、イラク代表を下し、勝ち点3を獲得した。 ▽ロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の初戦となった9月のUAE代表戦では、同じ埼玉スタジアム2002で1-2と逆転負け。よもやの敗戦により、一気に緊張感が増した。そして迎えたイラク戦…決して内容は褒められるものではなかったが、勝ち点3を得ることができた。 ▽この試合の目的は何だったのか。キレイなサッカーを見せることだったのか、イラクを圧倒することだったのか、スペシャルなゴールを決めることだったのか──この試合で最も重要なミッションは、勝ち点3を獲ること。それ以上でも、それ以下でもないことを考えれば、結果は100点と言えるだろう。 ▽試合後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「美しい勝利ではないが、勇気の勝利」とコメントした。そして「本当に価値の高い勝利」とも語っている。グループ最大の敵とも言われているオーストラリア代表とのアウェイ戦を控える日本にとって、勝って臨めることは大きな後ろ盾となる。 ▽ハリルホジッチ監督は、イラク戦でMF香川真司(ドルトムント)、DF長友佑都(インテル)をスターティングメンバーから外し、トップ下にMF清武弘嗣(セビージャ)、左サイドバックにはUAE戦、タイ戦に続きDF酒井高徳(ハンブルガーSV)を起用した。 ▽これまでの実績などを踏まえてメンバーを組んだUAE戦は、コンディション不良の問題を露呈。結果的に敗戦を喫することとなった。同じ轍を踏むことをしなかったことは、良い判断だったと言えるだろう。 ▽また、先制点も清武らしさから生まれたゴールだったとも言える。長い距離を走り、FW本田圭佑に選択肢を与え、FW原口元気に走り込ませる時間も作った。前線の4人が連動した見事な崩しだったと言える。 ▽しかし、試合全体を見れば、内容面では満足行くものとは言えなかった。攻撃のスイッチが入るタイミングがなく、良い形で前線にボールが入っても、周りの動きが足りずにボールをロストする場面も散見された。“フィニッシュ”というものへのこだわりは、日本がもっと持つべきもの。シュートシーンでパスを選択する場面も少なくなかった。結果的にフィニッシュの形に持ち込めないのであれば、シュートを打った方が、相手守備陣には脅威になる。現に、イラクのシュートに肝を冷やした場面は多かった。 ▽次は前半戦の山場であるオーストラリア戦。アウェイでの戦いを考えれば、今度は負けてはいけない試合になる。第3節のサウジアラビアvsオーストラリアが引き分けに終わったことで、上位2カ国との勝ち点差は1となり、次節の結果次第では日本の首位浮上もある。 ▽そういった意味でも、イラク戦の“勝利”という結果は、素直に喜ぶべきだろう。この戦いは、W杯の出場権を懸けたもの。内容ではなく、結果を残さなくてはいけない。すでにホームで1敗を喫しているのだから、なおさらだ。 ▽試合の内容はトレーニングで突き詰めることができても、勝ち点は3パターンしかない。満足行かない試合内容であっても、土壇場で最高の勝ち点を獲れたことが何よりも重要だ。ギリギリで掴んだこの勝利は、結果として、そしてメンタル面、選手の経験値としても、今予選の大きなターニングポイントになる可能性があるだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2016.10.08 12:00 Sat
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【日本代表コラム】貴重な勝利も課題山積…10月の2戦はコンディション重視を求む

▽「非常に重要な勝利だった」というヴァイッド・ハリルホジッチ監督コメントからも分かるとおり、ロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の初戦で敗れていた日本代表にとっては、結果が最重要だった。 ▽UAE戦からFW岡崎慎司、MF大島僚太、MF清武弘嗣を下げ、FW浅野拓磨、MF山口蛍、FW原口元気を起用。ハリルホジッチ監督は「何人かの選手は疲労を抱えていた」とコンディション面を理由にしながらも、「経験のある選手と若い選手を少し競争させたい気持ちがある」と、今後を見据えての起用であることを明かした。 ▽起用された3選手は、それぞれが持ち味を発揮。原口は貴重な先制ゴールを決め、浅野は持ち味を出して追加戦、山口は中盤の刈り取り役を務め、守備面に安定感をもたらせた。「良いプレーをしてくれた」(ハリルホジッチ監督)と試合後に語ったように、勝利が必要な試合でしっかりと結果を残してくれた。 ▽また、初戦で大きな問題を抱えていた両サイドバックも、しっかりと修正できていたように思う。左サイドバックを努めたDF酒井高徳は、原口との連携もあり、UAE戦に比べて高い位置を取ることができていた。原口がサイドを空ければスペースに上がり、原口がサイドに張っているときは下がって守備に備えた。攻守両面で課題はまだあるものの、固さも見られたUAE戦からは改善した様に思う。 ▽一方で、右サイドバックのDF酒井宏樹も改善は見られた。同サイドのFW本田圭佑との関係も改善され、深くまでオーバーラップするシーンが格段に増えた。原口の先制点も酒井宏樹からのクロスから生まれており、UAE戦で単調に終わっていた攻撃を活性させた。バランスの取り方に課題は多いものの、一定の評価はできるだろう。 ▽新しい選手が結果を残し、初戦で課題を抱えた両サイドバックも改善の兆しを見せたが、気になるポイントも残った。それは、MF長谷部誠とMF香川真司のパフォーマンスだ。 ▽UAE戦で史上6人目の日本代表100試合出場を達成した長谷部だが、失点に繋がるボールロストをするなど低調なパフォーマンスに終わった。迎えたタイ戦でも、不用意なボールロストやパスミスが見られた。ピッチが緩いというコンディション面の問題もあったが、経験が豊富であり、キャプテンを務める長谷部の低調なパフォーマンスは気がかりだ。シーズン開幕間もないということもあるだろうが、10月の2試合では安定感のある長谷部を見せて欲しい。 ▽そして、香川も気になるところがある。UAE戦は競り合いのこぼれ球をミートできずに無得点。タイ戦はGKとの一対一を迎えるも、シュートコースが甘くGKに防がれた。2戦続けて決定機を生かせなかった香川は、コンディション不良もある中で先発起用された。ハリルホジッチ監督が中心に据えたいことは明確で、香川にもその自覚はあるはず。かねてからドルトムントと日本代表でのパフォーマンス差を指摘されがちだが、ここを乗り越える必要はあるだろう。 ▽「簡単な試合はない」という最終予選において、明暗を分けるのはディテールの部分になる。UAE戦、タイ戦でも浮き彫りとなった、決められるチャンスを作れても決めるのか、決めないのかで局面は大きく変わる。しかし、最も重要なのは選手のコンディション面だろう。メンバーを固定して戦うのではなく、コンディションが整っている選手の起用が、10月の2試合では重要になるのではないだろうか。いみじくも、9月の2試合では経験値や能力の差よりも、コンディションの差が結果を分けたのだから。選手たちにはクラブに戻ってコンディションを上げ、10月のイラク代表、オーストラリア代表との2試合で連勝できる準備をしてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2016.09.08 21:00 Thu
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【日本代表コラム】“チャレンジ”した監督、“チャレンジ”できなかった選手

▽「本当に心の底からガッカリしている」。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の口から最初に出てきた言葉だ。埼玉スタジアム2002に集まった58895人の観衆、テレビの前で観戦した人、スマートフォンやパソコンの前で文字情報を追っていた人──この一戦の結果を気にしていた多くの人が、同じ感想を抱いたのではないだろうか。 ▽日本の立ち上がりは悪くなかった。11分にMF清武弘嗣のFKをFW本田圭佑がヘディングで合わせ、幸先良く先制する。これで勢いに乗りたかった日本だが、ボールを握るもミスが目立ち決定機を作れず。すると20分にA・ハリルに直接FKを沈められ、同点に追いつかれる。 ▽同点ゴールを許した後もペースを握った日本だったが、MF香川真司が決定機を逸したり、細かいパスミスが目立つなどして時間が経過。同点で迎えた後半は立ち上がりにPKからA・ハリルに逆転ゴールを許し、そのまま1-2で敗れた。 ▽この試合を前に、日本はDF長友佑都、MF柏木陽介とレギュラーとしてプレーした2選手をケガで欠くこととなった。長友の代役はDF酒井高徳が濃厚とされていたが、柏木の代わりをどの選手が務めるのかに注目が集まっていた。そして、ハリルホジッチ監督は、柏木の代役に日本代表初キャップとなるMF大島僚太を選択した。 ▽ワールドカップの出場権を懸けた最終予選、そしてホームでの初戦ということを考えれば、MF山口蛍という選択肢もあっただろう。しかし、ハリルホジッチ監督は大島を選んだ。個人的には、この決断は賛成だ。経験値を考えれば山口の方が優勢だったが、川崎FやU-23日本代表で見せていた大島のゲームメイク力は、柏木が抜けた日本にとっては必要だった。 ▽前半は、UAEも香川や本田、清武、FW岡崎慎司と言ったネームバリューのある前線の選手を警戒しており、大島の前にはスペースができることが多かった。しかし、川崎FやU-23日本代表で見せた鋭い縦パスや、大きなサイドへの展開、思い切りの良いミドルシュートは見られなかった。 ▽「こういう試合で恥ずかしさを見せるところがあった」(ハリルホジッチ監督)と試合後の会見で語ったが、状況を考えれば当然かもしれない。また、リオ・デジャネイロ オリンピックから帰国したあと、インフルエンザでコンディションを落としながらもリーグ戦2試合に出場。コンディションが上がってないことも影響したはずだ。ただ、A代表に選ばれた選手と考えれば、残念に感じる部分でもあった。 ▽しかし、大島のプレーが悪かったのかと問われたら、期待通りのプレーではなかったかもしれないが、問題は別のところにあるように思う。それは、ピッチの幅を使えなかった部分だ。 ▽「縦に早いサッカー」とハリルホジッチ監督は口にする。しかし、UAE戦の攻撃はスピード感はなかった。むしろ、手数をかけ過ぎて、UAEの守備陣に余裕を与えていた印象だ。ダイレクトパスを繋いで、ボックス内に侵入したプレーがいくつあっただろうか。判断が遅く、プレーの選択肢が狭まってしまったシーンも多く見られた。 ▽また、サイドを効果的に使えなかったことが停滞した大きな要因だろう。清武、本田とサイドにポジションを取る2人が中を向いてプレーする。しかし、2人が空けた裏のスペースに両サイドバックが上る機会は少なく、上がった際もタイミングが遅い場面が散見された。攻撃時にサイドの枚数を増やせば、UAE守備陣を混乱に陥らせることはできただろう。ダイレクトパスで崩すことも可能だったはずだ。 ▽UAE戦の日本は、中央に攻撃が偏り過ぎたように見えた。しかし、警戒されていた香川にボールは収まらず、効果的な崩しはできていなかった。ハリルホジッチ監督が大島を抜擢した意図を汲み取れば、サイドバックがスペースに上がって展開する形や、2列目が裏に飛び出す動きがもう少しあっても良かっただろう。特に両サイドバックの動きは、物足りないものだった。 ▽ハリルホジッチ監督は、大島という新たな可能性を信じ、「負ければ予選突破の確率が0%」と言われる大事な一戦で起用する“チャレンジ”に出た。しかし、ピッチに立った選手たちは、監督が求めるプレーを行えず、「自分たちのサッカー」とも言える中央を遅攻で崩す形に拘った様に見えた。過去に何度も苦しんできたアジアでの戦いで、同じ手で仕掛け、失敗したように思う。新たに入った大島の特長を生かそうという“チャレンジ”は、していなかったのではないか。 ▽埼玉スタジアムの不敗神話が崩れ、W杯最終予選の初戦で敗戦。出遅れたことは事実だ。ネガティブな雰囲気が蔓延するのも当然だ。それでも、残りは9試合。悪い雰囲気を払しょくするためにも、まずは6日に行われるタイ代表との第2戦でしっかりと勝利し、10月のイラク代表、オーストラリア代表との2試合を迎えたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2016.09.02 21:00 Fri
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【日本代表コラム】いつも変わらない足りないもの…“ドメスティック”な選手を生まない環境へ

▽「勝って終わることは残念」とスウェーデン戦後の記者会見で語った手倉森誠監督。試合を重ねるごとにチームの戦い方が整理され、試合結果も負け、引き分け、勝ちと上がってきたことを考えれば、確かに残念な結果だ。 ▽手倉森ジャパンに“足りなかったもの”は、トレーニングでは埋めることができないもの。これは日本代表、なでしこジャパンにも共通する部分はあるだろう。日本サッカー全体に共通する部分とも言えるかもしれない。“世界基準”を測り切れないことが、“足りないもの”の根幹にあると思う。 ▽「世界を経験していない選手と監督だった」と手倉森監督が敗退後にコメントしていた通り、このメンバーで世界を知っているのはオーストリアのザルツブルクでプレーするMF南野拓実だけだ。同じく世界を知っているヤング・ボーイズのFW久保裕也が不参加となったことは、戦力以外の部分でも大きかった。 ▽手倉森ジャパンの面々は、アジアを知っていても、世界は知らない世代。トゥーロン国際大会でも、その差を感じ、大会直前のブラジル戦でもその差を感じていたはずだ。 ▽ナイジェリア戦の1失点目、コロンビア戦の1失点目は、どちらも“世界基準”を測り間違えた結果だと言える。ナイジェリア戦は、止められると思ったタイミングで仕掛けられ、失点に繋がった。コロンビア戦は、奪えると思ったタイミングでいなされ、そのまま失点に繋がった。“世界基準”を測り間違えると、失点に直結する。そのことを、リオ五輪ではより体感したはずだ。 ▽オリンピックに限らず、世界と戦い、勝つことを目標としている代表チームであれば、まずは“世界”を知る必要がある。しかし、それを経験する場を、U-20という大事な世代で10年以上作ることができていない。“世界”のレベルを知ることもできず、国際大会で戦う経験もできていない。U-20ワールドカップの出場権を4大会連続で逃しているという事実は、日本のサッカー界全体が抱える大きな問題だと言える。 ▽“世界”を知る選手をオーバーエイジで呼べば良かったという話も、大会中から耳にした。確かに、その考え方は間違っていないだろう。今回招集されたFW興梠慎三、DF塩谷司、DF藤春廣輝は、アジアでの経験はあっても、“世界”での経験はほとんどないからだ。その基準で考えれば、適任は他にも居たのかもしれない。 ▽しかし、それでは根本的な解決にはならない。オーバーエイジの選手に頼り切ってメダルを獲ることが、このチームの目的ではない。あくまでも、その世代の選手が中心となり、チームを作り上げて勝つことが重要であり、オーバーエイジは“スパイス”のようなものだと思う。 ▽リオ五輪の結果、経験、そして悔しさを、この先のキャリアでどの様に生かすのかは、選手個人にかかっている。「23歳」という年齢は、決して若くない。“世界基準”で考えれば、若手という表現も使われない。A代表の枠を争うべき年代だ。 ▽そのためにも、今後“ドメスティック”な選手になることは避けてもらいたい。そして、そのような選手を生み出さない環境を作ってもらいたい。チャンスがあるならば、“世界”を知るために、できるだけ早く海外移籍するべきだと思う。個人としても、チームとしても、“世界”を知るチャンスを逃して欲しくはない。 ▽これで五輪代表チームとしての活動は終了した。選手たちはA代表入りを目指して競争することが始まる。何を感じ、何が必要なのか。今後の選手たちの変化を見守りたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2016.08.13 11:00 Sat
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【日本代表コラム】“偶然”ではなく“必然”が生んだ2失点…埋め切れない世界との差

▽「ひっくり返せたゲームだった」と試合後に手倉森誠監督が語ったように、U-23コロンビア代表戦は勝ってもおかしくない試合だった。しかし、初戦のU-23ナイジェリア代表戦(5-4で敗戦)も勝てる試合だった。それでも結果は1分け1敗。第3節のU-23スウェーデン代表戦はグループステージ突破を懸けた決戦となる。 ▽コロンビア戦では、ナイジェリア戦からシステムを変更し、これまで重用して来た[4-4-2]で臨んだ。攻撃に幅を持っているコロンビアが相手ということで、守備面を考慮しダブルボランチにMF遠藤航、そして初戦は出番がなかったMF井手口陽介を起用。また、両サイドにはMF矢島慎也、MF中島翔哉を置き、2トップにFW興梠慎三とFW浅野拓磨を配置。慣れ親しんだ形で臨んだ。 ▽立ち上がりからペースを握った日本だったが、この日はフィニッシュの精度を欠いた。CKやFKなど敵陣でセットプレーも数多く獲得したが、相手の脅威となるシーンを多く生み出すことができず。ゴールレスのまま試合を折り返した。 ▽浅野は「もっと早く攻撃陣である僕らが早い時間にゴールができていれば、もっと違った戦いになっていたと思います」と試合後に語った通り、コロンビアの戦意を喪失させるだけのチャンスはあった。しかし、それを生かせないでいると、2失点という報いを受けることとなった。 ▽ミスが散見され、想像以上の5失点を喫したナイジェリア戦とは打って変わり、コロンビア戦はミスが減ったように思えた。しかし、前半同様に後半も相手ゴールに迫るシーンが続いた影響か、ダブルボランチの遠藤と井手口が前掛かりになるシーンが増え、バイタルエリアを空けてしまう時間が増えていった。 ▽その隙を突かれたのが1点目だった。FWグティエレスがボックス手前でボールを持つと、中央で待つFWレンテリアに預けリターンを受け右足一閃。ブロックに入ったDF植田直通に当たったボールがネットを揺らした。 ▽植田に関しては、しっかりとブロックに入り、GK中村航輔もあの軌道ではノーチャンスだった。しかし、グティエレスがレンテリアにボールを入れた際には、バイタルエリアが空いており、後手に回った守備が招いた失点とも言える。 ▽ナイジェリア戦では、押し込んでいる時間帯の失点に浮足立ってしまったこともあったが、常に守備が後手に回っていた。クロスや縦パスへの対応、そして相手にボールが収まる前にではなく、収まってからの対応。個の力を持ち合わせる相手との勝負でやられていたが、コロンビア戦の先制点も同じものと言えるだろう。 ▽2失点目も同様だ。中央で楔となったパボンが左のボルハへパス。ボルハのシュートはGK中村が何とかセーブしたが、DF藤春廣輝が対応を誤りオウンゴールを献上した。藤春の判断ミスはいただけないが、その前にボルハのシュートが決まっていた可能性も高い。崩しの部分での守備が後手に回った事が、結果的にオウンゴールへと繋がってしまったと言えるだろう。 ▽この2試合で感じたことは、“世界“を経験していないということだ。海外組は、実質MF南野拓実(ザルツブルク)の1名のみ。バックラインは、クラブレベルで多少の国際経験はあるが、アジアを超えた世界との経験は殆どない。バイタルエリアで相手に自由を与えたらどうなるのか。相手のボールの持ち方、身体の使い方はどうなのか。リーチの長さ、コントロールの正確さ、シュートレンジの差──世代別の代表チームとはいえ、“世界”のレベルがどれほどなのかをこの2試合で体感したはずだ。ナイジェリア戦からコロンビア戦にかけて改善が見られた理由は、1度経験していたからだと思う。 ▽一方で、浅野や中島のゴールに関しては、ナイジェリア戦同様に自分たちの形を出して得点した。攻撃面に関しては、2試合で6得点。どれも“偶然”の産物ではなく、しっかりと形を作っての得点だ。しかし、決めなくてはいけない場面で決められなかったのも事実。命取りになることは、この2試合でよく分かったはずだ。そして、得点と同様に失点もまた”偶然”の産物ではなく、“必然”なもの。中2日で対応しきれるほどのものではなかったが、先制点を許すまでは耐えていた様に思う。 ▽ナイジェリア戦と比べると内容が向上したコロンビア戦。しかし、勝利という結果を掴むことはできなかった。それでも「最終節ではもっと強さを発揮できると楽観的に考えている」と語った手倉森監督。逆境を乗り越え続けてきたU-23日本代表チームにとっては、劇的な展開でのメダル獲得に向けた筋書きと言えるかもしれない。残された1試合で勝利を掴み、まずはグループステージ突破に向けて他会場の結果を待つことができるのか。“必然”が生み出す結果を掴むために、残り2日をしっかりと過ごしてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2016.08.08 22:00 Mon
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【日本代表コラム】流れを決めた先制点、メンタルが影響したミス

▽あっという間の13分間──そんな印象だった。なかなか姿を見せなかったU-23ナイジェリア代表だが、キックオフ約6時間前にアメリカから到着。しかし、ブラジルへの移動とは打って変わり、キックオフからあっという間にゴールを奪っていった。 ▽試合の入りは日本の方が良かったと言って良いだろう。落ち着かないナイジェリアの隙を突くと、完全に空いた相手右サイドを突いたDF藤春廣輝がクロス。飛び込んだMF大島僚太がダイレクトで合わせるも、GKが好セーブ。直後のCKからはMF遠藤航、FW興梠慎三とボックス内で繋ぐもシュートを打ち切ることができなかった。 ▽このまま押し込む展開に持ち込めるかと思われたが、直後のプレーで失点を喫する。FWエセキエルの仕掛けを左サイドの藤春、MF中島翔哉が挟みに行ったが、個人技で突破を許し、最後はMFサディクに詰められ先制を許した。 ▽試合後に手倉森監督が「ディフェンディングサードで、対応の部分で浮足立っていた」と語ったように、先制を許した直後にFW興梠慎三のPKで同点に追いつくも、2分後にアーリークロスの対応を誤り、FWエテボに勝ち越し点を許す。再び追いつくも、前半を終えるかと思われた42分に勝ち越しを許してしまった。 ▽ナイジェリアのコンディションや、当日入りという不測の事態が起こりながらも、日本はしっかりと準備していたはずだ。しかし、先制点を許してしまったことが、この試合の全てだった様にも思う。押し込みながらの失点で、日本は自分たちの戦い方をを見失ってしまった。 ▽90分間を通して5失点。手倉森監督がチームを率いて以降、最多失点を記録した。5失点はDFラインの対応のマズさもあったが、最も大きな要因は散見されたミスだろう。技術面劣っていたというよりは、精神状態が技術面に大きく影響し、戦い方や1つ1つのプレーを普段通りに行えなかった。 ▽日本は、アジアではパスを繋ぐスタイルと、サイドを使った攻撃で勝ち上がってきたチームだったが、押し込めそうな展開での失点に浮足立ち、自分たちのスタイルを見失ってしまった印象がある。中盤でのパスは繋がらず、サイドを仕掛ける回数も少なかった。中央とサイドでのボールの出し入れも少なく感じられた。 ▽1点のビハインドで迎えた後半も、立ち上がりに微妙な判定で与えたPKから失点。2点差となったことで、焦りが増したように見られた。スピードのあるFW浅野拓磨を投入したことで、システムを[4-4-2]へと変更。これによりナイジェリアが対応に手こずる間に決定機を何度か作った。浅野の投入により縦への意識が生まれたことは良かったが、サイドを使う回数は減り、攻撃面でも焦りが見え、ミスに繋がっていった。 ▽2007年のカナダ大会を最後に、U-20のワールドカップに出場できていない日本。一方で、2013年、2015年とU-17ワールドカップで連覇を果たすなど、アンダーカテゴリーで世界と戦ってきたナイジェリア。両者の差は、大舞台で明確に出てしまった様にも思える。技術面よりも、精神面での差が勝敗を分けたとも言えるだろう。試合の立ち上がりと終わりの失点は避けるべきと言われるが、この試合ではそれを繰り返してしまった。 ▽とは言え、まだ五輪が終わってしまったわけではない。避けたかった黒星スタートとなったが、結果として4得点を奪えたことは良かっただろう。4選手が得点を奪い、得点パターンも全て違った。4得点を奪いながら勝てなかったことは悔やむべきだが、残り2戦に向けての好材料とも言えるだろう。これまで積み上げてきた自分たちのやり方に自信を持ち、しっかりとコロンビア相手に戦ってもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2016.08.06 14:00 Sat
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7月1日にリオ五輪メンバー発表…注目の「託す人、託される人」を考察

▽29日に、U-23南アフリカ代表との五輪前最後の国内強化試合を終えたU-23日本代表。8月3日に開幕するリオ・デ・ジャネイロ・オリンピック(リオ五輪)に向けてのメンバーが、7月1日に発表される。 ▽リオ五輪に登録できるメンバーは18名。しかし、既に内定が発表されているFW興梠慎三(浦和レッズ)、DF塩谷司(サンフレッチェ広島)、DF藤春廣輝(ガンバ大阪)の3名が入ることを考えると、15名しか選出されないと考えられる。29日に行われた南アフリカ戦に向けて招集されたメンバーは21名。さらに、AFC U-23選手権やトゥーロン国際大会に招集されてきたメンバーを含めると、15人の枠に対して倍以上の候補が居ることになる。そこで、今回は招集されるメンバー18名を考察してみた。 ◆オーバーエイジ3名は確定 Getty Images▽まず、前述の通り、FW興梠、DF塩谷、DF藤春のオーバーエイジ3名は確定と見て良いだろう。現状3選手は負傷もしておらず、クラブチームでもプレー。特に塩谷は得点力も発揮するなど好調を維持。興梠も得点を重ねている。手倉森監督も3名には期待を寄せているコメントを残しているだけに、しっかりと戦力として計算されているはずだ。 ◆これまで通りGKは2枠 Getty Images◎櫛引政敏(鹿島アントラーズ) ◎中村航輔(柏レイソル) △杉本大地(徳島ヴォルティス)▽続いて、GKだ。これまでの五輪を見ても、このポジションは2名が選出されている。世代別の日本代表で正守護神の座を守り続けてきたGK櫛引政敏は確定と見て良いだろう。五輪開催のシーズンに清水エスパルスから期限付き移籍で鹿島へと移籍したことでリーグ戦の出場機会はなかったものの、この世代でのポジションを譲ることはなさそうだ。 ▽そして、2人目にはGK中村航輔が入ると見る。昨シーズンはアビスパ福岡で守護神として躍動し、チームのJ1昇格に貢献。今シーズンは柏に復帰すると、守護神の座を掴み、持ち前の反射神経と得意のキックで大きな役割を担う。次点は、櫛引とともにこの世代で招集され続けていたGK杉本大地か。 ◆負傷者続出のディフェンスライン Getty Images◎塩谷司(サンフレッチェ広島)※ ◎藤春廣輝(ガンバ大阪)※ ◎植田直通(鹿島アントラーズ) ◎亀川諒史(アビスパ福岡) ◎室屋成(FC東京) ◯岩波拓也(ヴィッセル神戸) △松原健(アルビレックス新潟) △中谷進之介(柏レイソル) ▲三浦弦太(清水エスパルス) ▲山中亮輔(柏レイソル) ▲三丸拡(サガン鳥栖) ▲ファン・ウェルメスケルケン際(ドルトレヒト)▽AFC U-23選手権で優勝を遂げた後、ディフェンスラインにはケガ人が続出した。第3のセンターバックとして実力をつけてきたDF奈良竜樹(川崎フロンターレ)が骨折により五輪出場を断念することになった。その他、DF室屋成、DF亀川諒史、DF松原健、DF山中亮輔とサイドバックにケガ人が続出。さらに、トゥーロン国際大会では、DF岩波拓也もヒザのじん帯を負傷した。室屋、亀川、松原に関しては実戦に復帰し、29日の南アフリカ戦にも出場。一方で、岩波はトレーニングに復帰しているものの実戦復帰はできておらず、山中もまだ復帰出来ていない状態だ。 ▽手倉森監督は一貫して4バックを採用しているが、オーバーエイジ枠の塩谷はセンターバックと右サイドバック、藤春は左サイドバックとして考えられる。今シーズン、鹿島でも結果を残しているDF植田直通は当確と考えて良い。また、右サイドバックの主力であり、復帰戦でも結果を残した室屋、左サイドバックの亀川も当確と言えるだろう。 ▽焦点が当てられるのは3番手のセンターバックだ。塩谷、植田をセンターバックと考えた場合、順当であれば岩波が選出されるはずだ。トレーニングへの復帰は果たしているものの、実戦復帰はしていない。2日に開幕する明治安田生命J1リーグ・2ndステージからは出場する見込みだが、どこまでコンディションが戻るのか。岩波を予備登録にした場合は、DF中谷進之介、DF三浦弦太らが候補と見る。または、MF遠藤航を3番手のCBに置く可能性もあるだろう。 ◆中盤の残り枠は最大2つか Getty Images◎遠藤航(浦和レッズ) ◎大島僚太(川崎フロンターレ) ◎矢島慎也(ファジアーノ岡山) ◎南野拓実(ザルツブルク) ◯井手口陽介(ガンバ大阪) ◯橋本拳人(FC東京) △原川力(川崎フロンターレ) △野津田岳人(アルビレックス新潟) △豊川雄太(ファジアーノ岡山) ▲喜田拓也(横浜F・マリノス) ▲前田直輝(横浜F・マリノス) ▲伊東純也(柏レイソル)▽中盤に関しては、ほぼメンバーが固まっていると思われる。キャプテンとしてU-23日本代表をけん引してきたMF遠藤航、遠藤不在時にキャプテンを務めるMF大島僚太、10番を託されているMF矢島慎也は当確と見て良いだろう。また、飛び級ながら攻撃面での違いを見せつけているMF南野拓実も入ると見る。 ▽中盤には、ボランチとしてプレーを続けてきたMF原川力、G大阪でも欠かせない存在となり、U-23チームでも頭角を現してきたMF井手口陽介、左足からの強烈なシュートが特徴なMF野津田岳人、ジョーカー的存在で結果を残しているMF豊川雄太、そして南アフリカ戦ではDF登録され、ボランチ以外にサイドバックもこなせるユーティリティ性を持つMF橋本拳人も居る。 ▽守備面を補うのであれば、橋本や井手口、攻撃面であれば野津田、豊川、遠藤や大島の代わりと考えると原川を選びたいところだ。 ◆選考を左右するのは久保の状態次第か Getty Images◎興梠慎三(浦和レッズ)※ ◎中島翔哉(FC東京) ◎浅野拓磨(サンフレッチェ広島) ◎久保裕也(ヤング・ボーイズ) △鈴木武蔵(アルビレックス新潟) △オナイウ阿道(ジェフユナイテッド千葉) ▲富樫敬真(横浜F・マリノス)▽フォワードはオーバーエイジ枠のFW興梠慎三の他、FW浅野拓磨は当確と見る。負傷の影響が心配されたFW中島翔哉も、南アフリカ戦では違いを見せ、自身の存在を存分にアピールした。さらに、ヤング・ボーイズでプレーし、力強さと決定力を身につけたFW久保裕也も当確とする。しかし、久保に関しては負傷の影響が心配だ。久保のコンディションが難しいと判断されれば、FW鈴木武蔵、FWオナイウ阿道が候補となる。 ◆手倉森監督の判断やいかに ▽あくまでも人数に合わせ、メンバーを予想したものであり、手倉森監督がどのような判断を下すかは、1日の14時から行われるメンバー発表会見で明らかになる。「託す人と、託される人」。手倉森監督が、南アフリカ戦に向けた会見で語った言葉だ。 ▽これまで主力としてプレーしてきた選手も、ケガやコンディションの問題で外れる可能性も大いにあることが見えてきたはずだ。どの選手に“託す”のかは、手倉森監督の中にある。運命のメンバー発表は明日。リオ五輪での“メダル獲得”という目標に向けたメンバーは、14時に発表される。 ※…オーバーエイジ、◎…当確、〇…濃厚、△…可能性あり、▲…厳しいか 2016.06.30 20:00 Thu
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【日本代表コラム】“トライ”の成果と浮き彫りになった課題

▽日本代表は、いつになく積極的な立ち上がりを見せ、選手たちが流動的にポジションを変えて攻勢を強めた。アフガニスタン代表戦ではチケットが売れ残っていたものの、シリア代表戦は完売。埼玉スタジアム2002に集まった5万7000人を超す観衆に加え、テレビの前で観戦した人たちも期待感に包まれたスタートとなった。 ▽アフガニスタン代表戦(5-0)で採用した[4-4-2]から、これまでヴァイッド・ハリルホジッチ監督が採用してきた[4-3-3]へとシステムを変更。MF香川真司(ドルトムント/ドイツ)やFW本田圭佑(ミラン/イタリア)、FW宇佐美貴史(ガンバ大阪)らをスターティングメンバーに戻した。 ▽これまでの予選でやり慣れた形であり、万全を期してのシリア戦だった。結果を見れば5-0で快勝。2試合連続での5得点は評価できるだろう。また、シリア戦のみならず、ロシア・ワールドカップ・アジア2次予選の全8試合を通じて、一度もネットを揺らされることはなかった。しかし、この試合でも攻守にわたって課題は残された。 ▽まず、攻撃面では、2次予選で奪った27得点のうち、前半に奪ったのはわずかに7得点であり、後半の20得点との差は歴然だ。5-0で快勝したこの2試合も、前半はどちらも1得点。主導権を握り、攻勢をかけ、チャンスを作りながらも仕留め切れないシーンを何度も目にすることとなった。 ▽90分間で行われるサッカーの試合だが、その中に流れは存在する。シリア戦では得点を重ねられなかったことで、前半の終盤には押し込まれるシーンが増えた。後半も、終盤の3ゴールを奪うまでは、幾度となくピンチにさらされた。最終予選であれば、仕留められてしまった可能性が高い。また、W杯本大会であれば、チャンスが訪れる回数すら少なくなる。長年の課題である“決定力”を高める必要性は、この先も続くことになる。 ▽また、守備面では、フィジカルを使った強引な攻撃を受けた際に、ピンチを招くことが散見された。数的同数、または有利な場面でも、フィニッシュまで到達させてしまうことも課題だろう。アグレッシブに守り、イニシアチブを握っている展開では見えてこない課題も、攻め込まれる回数が増えるにつれ、ミスも増え、ピンチも増えた。 ▽特に後半は、GK西川周作(浦和レッズ)の奮闘がなければ、無失点はおろか、白星さえ逃していたかもしれない。相手のミスに助けられた部分も多くあり、決して満足行く内容ではなかった。相手のレベルが上がる最終予選では、この2試合のような展開になることは考えにくい。攻守にわたる精度を高めることが重要となるが、代表としての活動が限られるだけに、必要なのは個々人のクラブでの努力に他ならない。 ▽とは言え、この試合でも“トライ”は成功したと言える。試合後の検査の結果、鼻骨骨折、左眼窩底骨を骨折していたMF山口蛍(ハノーファー/ドイツ)の代わりにボランチの位置に入ったMF原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)は、アフガニスタン戦とは違う役割での起用となった。投入後はしっかりと守備にも参加し、アグレッシブなプレーを見せ、最後は得点まで奪ってみせた。守備面での貢献は多く期待できないが、前への推進力は間違いなく増大し、カウンターでも最前線まで飛び出すなど、3列目の選手として新たなオプションを見せてくれた。 ▽課題は残ったものの、日本が2次予選を8戦無敗で終え、無失点で突破したことは評価されるべきだろう。もちろん、過信も慢心もいけないことだが、最終予選に向けた第2段階のスタートとしては上出来と言える。最終予選スタートまで半年。今後は、代表候補となる選手の各クラブでのプレーに注目だ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2016.03.30 19:30 Wed
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【日本代表コラム】“トライ”が奏功し収穫が多かった第2段階初戦

▽第2段階の第一歩を踏み出した日本代表は、アフガニスタン代表相手に後半の4ゴールなどで5-0と快勝。グループ首位をしっかりとキープした。 ▽今予選において、敵地でのアフガニスタン戦(6-0)に次ぐスコアで勝利を収めた日本は、最大の目標である勝利を挙げるとともに、様々な面で第2段階を歩み出したことを示した。 ▽これまでハリルホジッチ監督は、[4-2-3-1]をベースに、[4-3-3]、または中盤をフラットにする[4-4-2]のフォーメーションで戦ってきた。しかし、アフガニスタン戦は中盤をダイヤモンド型にする[4-4-2]でスタート。アンカーにMF長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)、トップ下にMF清武弘嗣(ハノーファー/ドイツ)、右にMF原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)、左にMF柏木陽介(浦和レッズ)を配置した。 ▽「違うことにトライしたい」という前日会見の言葉通り、これまでに見せなかったシステムに加え、清武、原口、柏木と、これまで主力としてプレーしていなかった3選手を起用。疲労を考慮して、MF香川真司(ドルトムント/ドイツ)、FW本田圭佑(ミラン/イタリア)をベンチスタートとさせたが、“トライ”した中盤は上手く機能する部分が多く見られた。 ▽特筆すべきは、トップ下に入った清武だ。ハノーファーでもチームの結果を左右する働きを見せている通り、この試合でも1ゴール2アシストと勝利に貢献。2トップに入ったFW岡崎慎司(レスター・シティ/イングランド)、FW金崎夢生(鹿島アントラーズ)との間合いを上手く取り、近くに寄ればダイレクトでのパス交換、下がって受けた際には縦パス、スルーパスを送るなど、攻撃を牽引していた。また、得意のセットプレーからも良質なボールを送り続けるなど、及第点以上の活躍を見せた。 ▽左サイドでプレーした柏木は、前半こそDF長友佑都(インテル/イタリア)との息が合わず、なかなか良い形を作ることができなかったが、後半は長友との関係が改善され、多くのチャンスを生み出していた。また、右サイドでプレーした原口は、クロスバー直撃のシュートを放つなど攻撃面でアクセントを付ける役割を担っていた一方で、守備でも奮闘。また、強引なプレーが減り、右サイドバックのDF酒井宏樹(ハノーファー/ドイツ)のサポートを行うなど、ブンデスリーガでの好調を維持したパフォーマンスを見せていた。 ▽最前線も、これまでの1トップから2トップに変更。岡崎と金崎を並べた結果、トップ下の清武を含めた3選手が近い距離でプレーすることとなった。スペースがない局面でもダイレクトパス交換を見せていた。清武の効果的な縦パスから岡崎が華麗に決めた先制ゴールや、金崎のダイレクトの浮き球を清武が決めた2点目は、3人の距離感が生んだものとも言えるだろう。 ▽新たな可能性で言えば、FWハーフナー・マイク(ADO/オランダ)も一定のパフォーマンスを見せた。左サイドからの清武のクロスを、高さを生かして落とし、金崎のゴールをアシスト。また、不安定であった相手守備陣を引き連れることもできていた。引いて守る相手にはミドルシュートが有効と言われるが、ハーフナーほどの高さがあれば、新たな武器にもなる。アジアを勝ち抜く上では、オプションとして機能できるところをシリア戦でも見せてもらいたい。 ▽なお、他グループの結果により、各組2位チームの上位4チームに入ることが確定したため、日本代表はロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選進出を決めた。ひとまず、目標は達成した。変化をもたらせ、結果を残した第2段階の日本代表。29日のシリア戦ではどの様な変化を見せてくれるのか、期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2016.03.25 19:00 Fri
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【日本代表コラム】アピールは!?

▽シンガポール代表戦に先発したメンバーから8人を入れ替えて臨んだカンボジア代表戦。FW南野に与えられた時間は短かったが、最終的にはGKの2選手(六反と林)とDF丸山を除く20名に出場機会が与えられた2試合だった。 ▽メンバーを大幅に入れ替えることでリスクが生じる可能性も考えられるが、故にFW岡崎やMF香川に加え、シンガポール戦にも出場していたDF吉田、DF長友といった経験のある選手を起用したはずだ。なにより、それだけのメンバーを入れ替えても勝てる相手だと考えたのだろう。 ▽だからこそ、来年から始まる3次(最終)予選を前に、公式戦の中でより多くの選手を試したはず。個人的には、勝つことは当然のノルマで、あとはチャンスを与えられた選手たちがどれだけアピールできるのかという部分に注目してカンボジア戦を見ていた。 ▽そういった観点で見ると、中盤での起用となり、前半のみの出場に留まったMF遠藤にとっては、悔しい試合になったことだろう。所属クラブではセンターバックの一角を担う選手であり、カンボジアのように引いた相手よりは、より拮抗した相手との試合でこそ良さが発揮されるタイプではある。MF山口という、やや似たタイプの選手と並んでしまったという見方もあるが、もう1つ上のステップにいくには、判断力と展開力を磨いていく必要があるだろう。 ▽前述したように、所属クラブとは異なるポジションでの起用というエクスキューズはあるが、U-23代表でも基本的には中盤の低い位置で出場している。課されている役割は異なるが、判断力と展開力を磨いておいて損はない。来年1月にはリオ五輪のアジア最終予選も始まる。残された期間は短いが、ボールを受ける前の予測やイメージといった判断力の部分は十分に改善できると思う。 ▽一方、アピールに成功したのは、遠藤との交代で投入されたMF柏木。シンガポール戦でも組み立ての部分で存在感を示していたが、ボールを受けてからの素早い判断と正確な裏へのボールでカンボジアの守備を揺さぶり、攻撃のリズムを作りつつ好機を演出した。 ▽特筆すべきは、距離感だろう。ボールの出し手との距離が近すぎず、遠すぎず、良い距離を保ってボールを引き出し、良い距離感でパスを出していた。それがリズムを生みだしていたし、前線との呼吸も合っていた。そして、アピールに成功したことで、今後も継続してチャンスを得ることができるはず。あとは、球際などでより激しさが求められる最終予選でどこまで通用するのか。そこを楽しみにしたい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.11.18 12:55 Wed
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【日本代表コラム】ポジティブな試合

▽新しいユニフォームに袖を通した選手たちがナショナル・スタジアムのピッチに姿を見せる。しかし、そこにはブンデスリーガで好調を維持する香川真司の姿はなく、プレミアの地で奮闘する岡崎慎司や、J2でプレーしながら、その能力を高く評価されている山口蛍の姿もなかった。その替わりに、センターフォワード、トップ下、ボランチのセンターラインには、金崎夢生、清武弘嗣、柏木陽介の3選手が起用され、ハリルホジッチ体制下での初スタメンを飾った。 ▽金崎はボックス内で存在感を示し、チームにとって貴重な先制点を記録。その金崎と良い距離感を保っていた清武も、ボックス近辺に顔を出して攻撃のアクセントとなり、2点目に絡んだ。そして柏木は期待されたビルドアップでチームに息吹を与え、守備の部分でも奮闘した。疲れの残るメンバーを休ませながら、替わりに起用された選手たちが結果を残しての勝利。チームとしての幅を広げつつ、そこに競争意識も生まれる。そういった意味では、理想的な試合だった。 ▽もちろん、チャンスの数や試合の流れを考えれば、もっと得点を奪うこともできたはずだ。イージーなミスも多かったが、ピッチコンディションや暑さといった点を考慮すれば、致し方のない部分もある。ただ、レベルの上がる3次(最終)予選などを考えれば、諸手を挙げて喜べるような内容ではなかったことも事実だ。 ▽それでも個人的には、この試合の課題だと考えていた攻撃のバリエーション、早い時間帯の得点、初先発組のアピールといった部分をポジティブに評価したい。クオリティの部分はまだまだ改善の余地はあるが、攻撃のバリエーションはこれまでの試合と比べても格段に増えていたし、その引き出しを開けたのは、清武や柏木といった初先発組だった。その結果、20分という比較的早い時間帯にゴールを挙げ、畳み掛けるように加点。ゴールレスドローに終わったホームゲームに比べると、余裕を持って試合を進めることができた。 ▽しかし、このまま3次(最終)予選に進出となれば、より厳しい戦いが待ち受けている。そこを見据えつつ、ハリルホジッチ監督には今後も状態の良い選手を起用しながらチームに刺激を与え、メンバー選考や戦い方の幅を広げていってもらいたい。17日のカンボジア代表戦は、おそらく数名のメンバーが入れ替わることだろう。出場機会の少ない選手はもちろんのこと、今回はベンチスタートとなった香川や岡崎の奮起にも期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.11.13 12:10 Fri
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【日本代表コラム】気になった2つのこと

▽残念ながら、試合の入り方、試合運びという面で、シリア代表戦の反省を生かすことはできなかった。キックオフ直後からバタバタしたプレーが多く、球際で強さを見せるイラン代表に苦戦を強いられる。そして、両サイドの推進力を駆使してボールを持ち上がる相手に押し込まれていった。 ▽その後、ピッチをワイドに使いながらイランの守備を広げてスペースを作り、流れを自分たちに引き寄せた時間帯もあったが、DF米倉の不用意なバックパスからDF吉田がイエローカードをもらったプレーを機に再び流れは変わった。そして前半のアディショナルタイム、足がもつれてしまったとはいえ、相手がゴールに背を向けて2対1という状況を作っていたなかでPKを献上し、先取点を与えてしまった。 ▽試合が落ち着かなかった要因の1つは、プレッシャーのかかる中でも足元でつなごうとしすぎることだと思う。正確には、何の狙いも持たずに足元へパスを出しすぎているということ。出せるところに出しているだけの状態が続いた。その結果、パスの出し手と受け手という2者間でのパス交換となり、相手にとって狙いやすい状況が生まれてしまう。そのような状況を打開するには、3人目、4人目が連動し、ワンタッチプレーなどでマークを外していくことが必要だ。要するに、意図のあるパス回しが大事になってくる。 ▽さらに気になったことがもう1つ。それは、サイドバックの使い方だ。特に後半は、ボランチのMF長谷部やMF柴崎がボールを持った際に、サイドバックがスピードに乗って裏に走り込む形が何度かあった。しかし、蹴れるタイミングでも裏のスペースにパスが送られることは少なく、相手の守備ブロックの前でパスコースを探し、横パスで逃げるシーンが多く見られた。あのような場面では、積極的にチャレンジしてもらいたい。カットされたり、ボールが長くなったりしても守備からやり直すことができ、パスが通れば相手守備陣はゴールに向かいながらの守備を強いられる。 ▽サイドバックはスペースに走り込んでパスを受けた場合にこそ、効果的なプレーが可能となるポジションだ。しかし、ここ最近の試合では相手の守備ブロックの手前でパスを受け、プレッシャーを受けてセンターバックに戻すか、ボランチにボールを預けてやり直す形が多く見られる。その選択が悪いわけではないが、時にはシンプルな裏への走り込みやワンツーを狙うべきだと思う。チャレンジしなければ何も起こらない。プレーの変化が選択肢を増やすことにもつながり、様々な状況に対応するための礎となるに違いない。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.10.14 11:00 Wed
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【日本代表コラム】前後半の変化

▽蒸し暑い気候、長めの芝生といった環境の中、シリア代表との首位攻防戦を制して得た勝ち点3と、グループ首位の座。中立地での試合ということを差し引いても、悪くない結果だったと言えるだろう。特に前半は予想以上にアグレッシブなシリアの出足を受け、思うように試合を進めることができなかったが、ゴールレスのまま迎えた後半に戦い方を変えて3ゴールを奪うことに成功した。 ▽内容の良くなかった前半で気になったのは、最終ラインから中盤に入るパス。比較的プレッシャーの少ない状況でボールを持つことが多かった最終ラインだったが、そこからマークを受けている中盤に縦パスを入れて、パスの出し手が再びバックパス(リターンパス)を受ける。といったプレーの繰り返しが散見された。そして、そのパスを相手に狙われてカウンターを受けそうになる場面も何度かあった。 ▽前述したように、ピンチになりかけた場面は、基本的には自分たちのミス絡みから。相手のレベルが高くないからこそ、ボールをつなぐ意識が高まった部分もあったとは思うが、レベルの高い相手であれば、致命的なプレーになっていた可能性も十分に考えられる。もちろん、これはパスの出し手の問題だけではない。暑さという考慮すべき問題もあったが、受け手の動き出しといった部分も関係してくるため、チーム全体の問題とも言える。 ▽しかし、迎えた後半に相手の出方を逆手にとって先手を奪った。54分、自陣内でボールを回収すると、素早く前を向いた長谷部が右サイドのスペースに走り込む岡崎へロングパスをフィード。相手の裏を突いてパスを受けた岡崎がボックス内で倒されて得たPKを本田が冷静に決めた。シリアは、縦パスを入れた相手には強く当たりにくるが、逆に裏を狙うボールへの対応には前半から曖昧な部分があり、そこをうまく突くことができたと言える。給水タイムなどの時間もあっただけに、前半から狙いを修正することができればベストだったかもしれないが、良くない中でも戦い方を修正して結果を残せたことは大きい。 ▽その後は、シリアの運動量が落ちたこともあり、中盤の両サイドを中央寄りでプレーさせて選手間の距離を修正した日本が主導権を握る展開が続く。そして、セットプレーの流れから香川の個人技と岡崎の動き出しによって加点。終盤には、途中出場の清武と宇佐美が本田と絡み、そこから生まれた宇佐美のゴールで勝利を決定づけた。 ▽特に攻撃面に関しては、まだまだ改善の余地はあるものの、最も重要だった“結果”を手にすることはできた。次は親善試合ながらアウェイでのイラン戦だ。最終予選を見据えた場合、ベストメンバーで試合に臨み、現時点の力を図ることもできるが、指揮官は出場機会の少ない選手を起用する可能性も示唆している。果たして、どのようなメンバーで臨むのか――。ベストメンバーであっても、そうでなくても、それぞれにとって今後に向けた試金石となることは間違いないだろう。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.10.09 13:00 Fri
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【日本代表コラム】改善した左と生まれた幅

▽前日会見で「2つのポジションで先発が決まっていない」と語っていたハリルホジッチ監督のコメントを受け、多くの人が宇佐美の先発を予想しただろう。そういった意味で原口の起用は驚きだったが、その意図は明白だった。そして、原口も期待に応えるパフォーマンスを披露し、結果と内容を両立させることに成功した。 ▽先日のカンボジア代表戦と今回のアフガニスタン代表戦で変わったことと言えば、まずは左サイドに原口が入ったこと。その原口は序盤からワイドに開いてボールを受け、そこからの仕掛けで攻撃の起点となった。そこが、カンボジア戦では早いタイミングでボックス内に入っていた武藤と異なるところ。件のカンボジア戦では、相手が5バックだったこともあるが、武藤や長友が早いタイミングで中に入りすぎたためにボックス内が渋滞し、クロスを簡単に跳ね返される要因の1つになっていた。 ▽しかし、今回は原口がサイドに開いてボールを受けることで相手の守備ブロックも広がり、そこからスペースの空いたバイタルエリアに侵入することで効果的な攻撃を仕掛けることができた。実際、カットインから香川とのワンツーを狙ったことで結果的にDFのマークを引きつけることになり、その原口の動きを生かした香川が素早い反転からミドルシュートを突き刺して先制した。また、原口は中にスペースがないと判断すれば逆サイドにボールを展開し、カットインばかりでなく縦にも仕掛けるなど、攻撃の幅を広げることに一役買っていた。そして2点目も、原口の縦への仕掛けによって得たCKの流れから生まれた。 ▽その他にも、カンボジア戦ではやや控えめだった森重が、積極的に持ち上がってミスを恐れずに両サイドの裏に長いボールを入れていた。精度を欠く部分もあったが、こういったボールを多用したことでアフガニスタンの守備ブロックは広がり、中央をより生かしやすい状況が生まれたように思う。もちろん、前述の2人だけでなく、2得点の香川も動きに躍動感があったし、出足の早さと球際の強さ、そして真骨頂でもある機を見た攻撃参加で得点にも絡んだ山口も存在感を示していた。 ▽また、攻撃のバリエーションという意味では、セットプレーの形にも意図が感じられた。ニアでボールをすらし、中央とファーサイドに配した選手がタイミングをずらして入っていく形や、ボックス中央にスペースを作り、その空いたスペースを生かすサインプレーなど、いくつかの形を試していた。また、試したと言えば、練習でもやったことのない原口の右サイドバック起用もあった。ただ、彼に求められている役割を考えれば、もっと高い位置をとり続けても良かったように思う。 ▽最終的に6-0という大差で勝利を収めたが、対戦国のレベルを考えれば大勝して当然の相手であり、当然の結果とも言える。やはり、問題は次のシリア代表戦。シリアはここまで3連勝で、勝ち点でも得失点差でも日本を上回っている。すでに引き分けが1つある日本としては、直接対決で優位に立たなければいけない。シリアとの過去の対戦を振り返っても楽な試合にはならないだろう。それでも、今回の一戦のようにピッチをワイドに使ってコンビネーションを交える形や、素早い攻守の切り替えを見せることができれば、結果はついてくるはずだ。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.09.09 11:50 Wed
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【日本代表コラム】起点になった右とちぐはぐな左

▽このところの練習で取り組んでいたというサイド攻撃で何度も形は作ったが、特に前半はそのほとんどが右サイドからだった。最後のクロスが少し単調ではあったが、本田と酒井宏、そこに長谷部や香川が絡んだコンビネーションや動きからゴールに迫る場面を何度か作りだした。ただ、前述したように、ボックス中央に放り込まれるクロスが合うことはほぼなかった。ボックス内には多くの選手がひしめき、そこに淡々と送られるクロスは、ことごとくクリアされた。 ▽それでも、ワンツーなどのコンビネーションで攻撃の起点となっていた右サイドに対し、より深刻だったのが、マインツでの活躍を受けて先発に抜擢されたFW武藤と、ハリルホジッチ監督の下では初出場となるDF長友の左サイドだ。並々ならぬ意気込みを見せていた2人だったが、その意気込みが逆効果となった印象を受けた。武藤と長友の2人はゴールに向かう意識が強く、右サイドで攻撃に詰まったときにやり直そうとボランチまでボールを下げても、ボックス内に武藤と長友の姿があり、揃ってクロスを待ち構えているという場面が散見された。 ▽もちろん、その全てを否定するわけではないが、特にヘディングが強いわけでもない長友がボックス内に居続ければ、もれなくマーカーも付いてくるため、ボックス内のスペースは埋まり、渋滞の原因となる。流れの中で中央に入ることもあるだろうが、すぐにサイドに開き、幅を取った方が攻撃の幅も生まれただろう。ボックス内に留まる長友に、正直怖さは感じなかった。 ▽武藤にしても、ゴール前に入っていくタイミングが早すぎた印象だ。サイドで呼び込んでから中に入っていく動きを見せた方が、相手DFにとっては対処が難しかったと思う。実際、代わって入ったFW宇佐美は、サイドから仕掛けつつワンツーなどでボックス内に侵入してチャンスを作り出していた。武藤には、所属クラブと代表で異なる役割を担う難しさもあるだろうが、サイドのポジションは彼が好んでいる場所であり、畑違いの仕事というわけでもないはずだ。 ▽また、本田にボールが入ると大外を酒井宏が上がる右サイドに比べ、左サイドは長友にボールが渡る頃には武藤が中に入っているため、長友が独力で仕掛ける場面が多かった。2人の距離感は悪く、コンビネーションで局面を打開する場面はあまり見られなかった。個人的に、長友は個人で打開するほどの突破力やシュート力を持っているは思っていない。武藤がある程度の距離を保ってパスを引き出し、長友を使う形を増やした方が効果的な攻撃を仕掛けられたのではないかと感じている。 ▽それは指揮官も感じていたようで、香川を左サイドに出して岡崎と武藤の2トップにしてからの方がよりスムーズな攻撃が展開できていたと思うし、宇佐美が入ってからも同様の展開がみられた。6月のシンガポール代表戦からの流れもあったとは思うが、カンボジア代表戦は少し攻撃を急ぎすぎていた印象が強い。8日のアフガニスタン代表戦も、おそらくは日本が主導権を握る時間が多くなるだろう。試合を見る限り海外組のコンディションにはバラつきが見られたため、数人の入れ替えが行われる可能性もあるが、武藤、長友の2人が起用された際には、左サイドの動きに注目したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.09.04 13:36 Fri
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【日本代表コラム】東アジアカップで得たもの

▽今回の東アジアカップは、国内組の選手たちにとって代表定着に向けて自身の力をアピールする格好の舞台だった。今大会に向けたメンバー発表の席で、「一番試したいことは?」と問われたヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「次の合宿に向けて選手を発見したい」と主張。その後、別の記者から「選手の発掘と結果を両立できるのか」との質問を受けると、「まず大事なのは結果。その中で新しい選手が力を示さなければいけない」と語った。 ▽要するに今大会は、優勝を目指しつつ、A代表の新たなオプションに成り得る選手を探すことが目的だった。結果は知ってのとおり、2分け1敗の勝ち点2で最下位。連覇どころか勝利を収めることすらできなかった。だが、中国戦後の会見で「真のA代表に入れる選手を何人か見つけた」と語っており、そういった意味では、当初の目的の1つを果たすことはできたと言えそうだ。 ▽その中国戦では、武藤が出場した北朝鮮戦に続き2戦連発となるゴールを記録。スコアラーを欲している指揮官の期待に応えた。そして、3試合すべてに先発して攻守に奮闘した山口や遠藤も「真のA代表」に入る有力候補と言えそうだ。攻守にわたる精力的なアップダウンを繰り返した米倉や、前線でタメをつくるポストプレーをみせた興梠は、“オプションに成り得る”活躍を見せたと言える。 ▽一方、精彩を欠いていた印象のある永井や宇佐美、川又といったFW陣は、現在の4-3-3よりも、2トップの一角として起用した方が機能しそうだ。永井は、高い位置で裏を狙うことに専念させた方が相手の脅威となるはず。宇佐美も、サイドで守備に追われるよりは、G大阪のようにパートナーを置いて中央で自由にやらせた方が持ち味は発揮できると思う。それは川又にも言えることだ。彼はポストプレーヤーではない。 ▽大会前に語っていた「異なる3つのオーガナイズ」を見ることはできなかったが、今後は選手の特徴や相手の特徴に合わせた起用法なども見せてもらいたい。そういった引き出しを増やしていくことが、アジアと世界で異なる戦い方を求められる日本に必要な要素であり、それをもたらせる監督だと思っている。 ▽そんな指揮官が今大会を通して“アピール”していたのが、“スケジュールの問題”だ。他の3カ国に1週間ほどの準備期間があったのに対し、日本は大会の4日前まで国内リーグを戦う過密日程。そのため指揮官は、準備期間を「もう2~3日与えて欲しかった」と繰り返した。これを、結果を残せないことへの“エクスキューズ”と捉える向きもあるが、個人的には違うと思っている。 ▽ハリルホジッチ監督が語るように、「どの監督も準備をしたいと思うのは当然」の主張だ。そして何より、今大会は候補選手50人のうち約20%にあたる選手が、何らかの負傷を抱えていた。代表の強化はもちろん、選手のことを考えれば、ハリルホジッチ監督の要求を“言い訳”と捉えるのではなく、来年以降のスケジュールについて考えるための好機だと捉えるべきではないだろうか。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.08.10 12:30 Mon
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【日本代表コラム】積極果敢なチャレンジを

▽過密日程、疲労、選手の発掘、といった要素から、全選手の入れ替えも予想された韓国戦だったが、日本代表はGK西川、DF遠藤、森重、槙野、MF山口、FW永井の6選手が北朝鮮戦に引き続き先発した。チームのバランスを大きく崩したくなかったこともあるとは思うが、北朝鮮戦でやられた形を“復習”しておきたいとの考えもあったのではないだろうか。 ▽対する韓国は、初戦の中国戦から8選手が入れ替わるなか、長身(196㎝)のFWキム・シンウクが先発。これ以上ない復習の場になるかと思われた。しかし、攻撃はキム・シンウクに当てるというより、ピッチをワイドに使いながら両サイドから崩そうとする形が多く、日本としては逆に助けられた部分もあったように思う。ただ、その中でもキム・シンウクは存在感があり、マッチアップする機会の多かった槙野は終始苦戦を強いられた。 ▽しかし、槙野は苦しみながらも身体をしっかりと寄せ、ゴールから遠い位置ではよりアグレッシブにタイトなマークを見せるなど、簡単にはプレーをさせなかった。それは森重も同様で、PKを与えたあとも気持ちを切り替え、最後まで集中力を切らせることはなかった。もちろん、ファウルで止めるしかない状況も多く、よりシンプルにキム・シンウクの高さを使われていたら厳しかったかもしれない。それでも良いチャレンジであり、及第点を与えてもいい内容だったと思う。 ▽その一方で、攻撃の形をつくることは“ほぼ”できなかった。山口のチャレンジが実を結んだが、あの内容で「よく得点を奪えたな」というのが率直な感想だ。「まず韓国のオフェンスをしっかりとブロックしてから前に出るよう伝えた」という指揮官の言葉も影響したのか、北朝鮮戦の悪夢が脳裏をよぎったのか、最終ラインの位置が低く、それにつられて中盤も下がるため、ボールを回収する位置が必然的に低くなった。そして、クリアしたボールや繋ごうとしたボールがことごとく拾われる。特に序盤はその繰り返しだった。 ▽結果、なかなかハーフウェイラインを越えられず、最前線にボールを収められる興梠を起用しながら、ボールが入らない時間が続いた。当然、守勢となり、フィニッシュまで持ち込むことなどできない。シュート自体が数えるほどだったが、その厳しい状況の中でも、興梠の足元にボールが入れば収まって起点となったし、倉田の献身性と確かな技術や、藤田の危機察知能力と球際など、新たな戦力候補の光る部分も見られた。 ▽とはいえ、倉田は攻撃面で違いとなる“プラスアルファ”を見せてほしかったし、藤田はボールを受ける動きや縦への意識がもう少しほしかった。また、興梠もシュートまで持ち込む場面を作れず、海外組を脅かすようなパフォーマンスだったとは言えないだろう。それは、指揮官から大きな期待を寄せられているMF柴崎やDF太田にも言えることだ。彼らにはもっとチャレンジしてほしかった。 ▽残すは、開催国である中国との対戦のみ。今度は中3日と、コンディションを整える時間が多少ながら与えられる。過去2戦に比べれば、より良い状態で試合に臨めるだろう。ここまで出場機会がない選手も起用されるはずだ。韓国戦では、相手の力量に加え、初戦の負け方が良くなかったことも影響してか、消極的なプレーが散見された。しかし、自身の価値をアピールするまたとない機会でもある。ミスを恐れない積極果敢なチャレンジで、海外組を脅かすようなプレーを見せてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.08.06 14:00 Thu
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【日本代表コラム】敗戦の中にも見られた新戦力の活躍

▽右サイドに展開されたボールを受けたDF遠藤航が早いタイミングでゴール前へクロスを送る。すると、ニアサイドに走り込んだMF武藤雄樹が左足のインサイドにボールを当ててゴールに流し込む。この試合がA代表デビューとなった二人のプレーから、幸先の良い先取点がもたらされた。 ▽その後も、遠藤は一対一で抜群の強さと安定感を見せてアピール。一方、代表デビューから3分で初ゴールを挙げた武藤も持ち味を発揮し、3トップと良い連係を見せて得点機を演出しつつ、自らも積極的に追加点を狙った。二人とも自身の特長を活かして存在感を示したと言える。 ▽結局、何度かあった得点機を生かせなかった日本は、高さ勝負に出た北朝鮮の放り込みに対処しきれず、終盤に2失点。あえなく逆転負けを喫したが、北朝鮮のパワープレーに屈したという側面よりも、ボールを奪ったあとのつなぎで簡単にロストしてしまったことを問題にすべきだろう。セカンドボールを拾ってマイボールにしようとするが、近い位置の選手に預けては前方に蹴って奪われるという形が、あまりにも多すぎた。 ▽ハリルホジッチ監督も「ボールを奪ったときに前にいくべきなのか、キープすべきなのかを迷っていた。周りの動きも少なかったため、簡単にボールを失ってしまった」、「フィジカル的な問題が決定的な違いを生んだ」と試合を振り返ったように、選手のコンディション面が影響したことは間違いない。選手の組み合わせを含め、もう少しやり方はあったと思うが、ケガ人やコンディション面など、想定を下回る部分が多かったことも否めない。 ▽ただ、今大会の目的の1つである「新たなオプションとなり得る選手の発掘」という意味では、興味深いものがあったのではないだろうか。課題が残る試合ではあったが、武藤や遠藤の活躍を含め、収穫もあった。おそらく、5日に行われる韓国戦では、数名のメンバーが入れ替わる。出場機会を得た選手には、それぞれの持ち味を遺憾なく発揮し、先の2人のように自身の力を存分にアピールしてもらいたい。 ▽次の対戦相手である韓国にも、FWキム・シンウクというターゲットタイプの長身FWがいる。ハイボールの対応で弱さを露呈した守備面に関しては、問題点をしっかりと修正し、東アジア最大のライバルとの闘いに臨めるかという点にも注目したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.08.03 12:45 Mon
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【コラム】「らしさ」を貫いたなでしこジャパン

▽5-2という衝撃的なスコアで幕を閉じた女子ワールドカップ(W杯)。敗戦から一夜明け、7日になでしこジャパンのメンバーが帰国した。優勝まであと一歩のところでの大敗は、多くの人に衝撃を与えたはずだ。しかし、帰国後の取材で選手たちは決勝での敗戦を冷静に受け止めていた。 「対策はしていましたが、それを上回ってくることを相手がしてきた」(大儀見優季) 「その時の選択できる判断、プレーは全てを懸けてやった」(宮間あや) 「持っている力を全て出し切った結果だと思う」(澤穂希) 「全力で戦ったので悔いもない」(大野忍) ▽その他の選手も含め、多くの選手が自分たちの力を出し切ったと話してくれた。そして、ロンドン五輪に続きなでしこの前に立ちはだかったアメリカとの実力差があることも、しっかりと冷静に受け止めていた。連覇に多くの期待が集まる中、準優勝という成績に終わったものの、この結果はなでしこにとって大きな意味があったように思う。 ▽大会前から、チームを率いる佐々木則夫監督は常々“チャレンジ”という言葉を使ってきた。王者でありながら“チャレンジ”という言葉に疑問符がついた人もいたかもしれない。しかし、これは何も弱気になった発言ではなく、実際の本大会でもなでしこ「らしさ」を貫く“チャレンジ”をしながら、2大会連続の決勝進出を勝ち取った。 ▽思い起こせば1年前、「自分たちらしい」という言葉が大きくクローズアップされた。 ▽ブラジルW杯に臨んだ日本代表は、1分け2敗でグループステージ敗退に終わった。W杯敗退後、選手たちの口から出た「自分たちらしいサッカーができなかった」という言葉が大きく取り上げられていたが、一体「自分たちらしさ」とは何なのだろうか。佐々木監督、そして選手たちの話を聞いて一つの結論に辿り着いた。 ▽ショートパスを繋ぐ、サイドから崩す、ロングボールで裏を狙う…このような個々のプレーを「自分たちらしさ」と捉えることもできるだろう。しかし、なでしこの選手たちが口にする「自分たちらしさ」はプレーの話ではなく、「諦めないで戦う」というメンタル面の話だった。 Getty Images▽それは大敗に終わった決勝戦を見ても分かる。試合開始わずか3分に先制を許したなでしこだったが、選手たちはキャプテンの宮間の下に集まり声を掛けあった。さらに、クリアミスをホリデーに叩きこまれ3失点目を喫した直後、なでしこはピッチ上で円陣を組んだ。しかし、その直後にロイドのロングシュートが決まり、気持ちが切れてしまう可能性は大いにあった。1年前のブラジルW杯準決勝ブラジルvsドイツの結果が頭をよぎった人も多かったのではないか。しかし、なでしこは下を向かずに走り続け、前半に大儀見のゴールで1点を返した。 ▽後半も得点直後に失点し、さすがに気持ちが折れるかと思われたが、その後も前からボールを追いかけ、ゴールを目指して攻め続けた。結局、その後はスコアを動かすことができなかったが、なでしこは最後まで戦う姿勢を見せてくれた。 ▽結果だけを見れば、決勝で5-2と大量失点を喫して敗れ、連覇にあと一歩及ばずというところだろう。しかし、「自分たちらしさ」を貫いて真っ向勝負を仕掛けた結果であれば、悔しさは残るものの自信を持っていられるはずだ。戦い方ではなく心の「らしさ」を貫いたなでしこたちは、この先も自信を持って世界に挑戦できることだろう。 Getty Images▽当然ながら、メンタルだけで勝てるほど甘い世界ではない。フィジカル、戦術、技術など、様々な国と比較すれば、なでしこがアメリカやドイツなど強豪国に劣っている部分はまだまだある。それでも、「諦めない」という姿勢を見せ続け、日本中を沸かせ、連覇にあと一歩まで迫ったなでしこジャパン。来年に控えるリオ五輪の出場権を獲得し、「らしさ」を見せ続けて頂点に立ってもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2015.07.10 14:15 Fri
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【コラム】なでしこを混乱させたセットプレーに集約されたアメリカの意地

▽悪夢の16分間──こんな展開を誰が予想していただろうか。日本人はおろか、アメリカ人でさえ、ここまでの展開は予測していなかったと思う。連覇を目指したなでしこジャパンにとって、立ち上がりの16分間で喫した失点は最後まで重くのしかかってしまった。 ▽4大会ぶりのワールドカップ(W杯)優勝、そして日本へのリベンジに意気込むアメリカは立ち上がりから圧力をかける。キックオフから3分、右サイドで得たCKから、ロイドが決めてアメリカが先制点を奪った。さらに5分には右サイドでFKを得ると、ルーズボールを再びロイドが押し込んだ。 ▽立ち上がりに同じような形から立て続けに失点を喫したなでしこ。時間帯だけを見れば、試合の入り方を間違ったと思われても仕方がない。ただ、この2失点に関しては、サインプレーを仕掛けたアメリカが一枚も二枚も上手だったように思える。Getty Images▽当然の如く、なでしこはアメリカのセットプレーには警戒していた。しかし、それは得点に繋がったグラウンダーのボールではなく、ハイボール──フィジカルで勝るアメリカを相手にどのように守るのかを用意していたはずだ。もちろん、頭の中に低いボールが無かった訳ではないだろう。しかし、意識の端にあったサインプレーに一瞬足が止まり、ゴール前に入ったグラウンダーのボールを後方から猛然と走り込んだロイドに合わされてしまった。 ▽なでしこは、5分に訪れたFKの場面でも同様の形から失点を喫する。ボックス右にホリデーが低いボールを入れると、壁の横を抜けたボールをニアでジョンストンがヒールで流し、最後はフリーになっていたロイドが押し込んだ。Getty Images▽このFKも、位置を考えると単純なクロスボールを想定したように思える。しかし、ニアにグラウンダーのボールが入ったことで虚を突かれ、空いたスペースをロイドに狙われてしまった。アメリカの選手の動きは、最初からグラウンダーのボールを想定したものであり、上手く抜けたボールを簡単に押し込めたのも準備の賜物だと言える。味方を信じて走り込んだロイドの動きは、全て想定されていたものだった。 ▽キックオフからの猛然と圧力をかけ、最初のチャンスで意表をついたサインプレーを仕掛けゴールを奪い切り、その後も立て続けに3得点を奪ったアメリカ。4年前のW杯決勝でなでしこに敗れた悔しさが、なでしこにとって悪夢のような、アメリカにとって夢のような16分間を生み出したのかもしれない。しかし、その裏には緻密に計画された準備があり、それを選手たちが体現した。 ▽今大会を通じて格の違いを見せ付けていた最大のライバル・アメリカは、最後まで一枚も二枚も上手だったと認めざるを得ない。16年ぶりに頂点に立ったアメリカ…なでしこは4年後のフランス大会でリベンジを果たすべく、新たなスタートを切る。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2015.07.07 00:22 Tue
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白クマが繋ぐなでしこのチームワーク、連覇に向けた決勝Tへ《カナダ女子ワールドカップ2015》

▽日本時間17日にカナダ女子ワールドカップ2015グループC第3節が行われ、エクアドル女子代表に1-0と辛勝したなでしこジャパンは、グループ首位での決勝トーナメント進出を決めた。試合内容はともあれ、まずは目標だったグループステージ首位通過を達成したことを評価したい。 ▽さらにこの3試合では、登録メンバー23名全員を起用するなど、決勝トーナメントに向けてうまく調整ができた。その中で、残念なニュースがFW安藤の負傷離脱だった。 ◆痛かった安藤の離脱 ▽連覇に向けた開幕戦となった9日のスイス女子代表戦では、相手GKと交錯した安藤が左足ひ骨を骨折してチームから離脱することになった。豊富な運動量を誇る安藤は、前線からのプレスを継続的に仕掛けることができる上、相手の裏を取る動きの質が高い。さらに、中盤に下がってゲームを動かすことができるため、前線のターゲットとなる大儀見の相棒として適任だった。それだけに安藤の離脱は、なでしこジャパンにとって大打撃だった。 ◆安藤の代役は岩渕が適任!? ▽離脱した安藤の代役として、FW菅澤がカメルーン女子代表戦とエクアドル女子代表戦で先発起用された。菅澤の特徴は体の強さを活かしたポストプレーと打点の高いヘディング。カメルーン戦ではそのヘディングからW杯初ゴールを奪った。しかし、タイプが似ている大儀見と2トップを組んだ際には、やや下がり目の位置でプレーする役割もこなさなければならない。そのため、ボックス内で真価を発揮する菅澤の良さが十分に活かされていない印象だ。 ▽一方で、エクアドル戦に途中出場したFW岩渕のプレーには、希望の光が見えた。ヒザの負傷により出遅れていた岩渕だったが、この試合で約10分間出場し、順調な回復ぶりをアピール。ドリブルから相手の守備網を突破するなど、コンディションも上がってきている。安藤ほどの守備力はないものの、なでしこジャパンに推進力をもたらしてくれる存在だけに、決勝トーナメント1回戦では、思い切ってスタートから使うのも手だろう。 ◆安藤のためにも連覇を ▽負傷した安藤は、すでにチームを離れて帰国した。なでしこの選手たちは、白クマのぬいぐるみに安藤のユニフォームを着せてベンチに置いている。国際サッカー連盟(FIFA)は「安藤は足首のケガで大会を去りました。しかし、彼女の仲間たちはそんな彼女に敬意を表しました」と公式ツイッターで取り上げており、なでしこジャパンのチームワークを称えた。 ▽無念の途中離脱となった安藤に報いるためにも、再び世界女王の称号を勝ち得たい。その思いは彼女たちが一番強いだろう。トロフィーとともに彼女たちが白クマを掲げる日を楽しみに、ディフェンディングチャンピオンの決勝トーナメントが、いよいよ始まる。 《超ワールドサッカー編集部・川嶋正隆》 2015.06.17 22:48 Wed
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【日本代表コラム】準備不足

▽キックオフ直後、MF柴崎からの大きな展開が右サイドのFW本田へ。本田のカットインからこぼれたボールを拾ったFW宇佐美が、ゴール正面の位置からやや強引にシュートを放っていく――。キックオフからここまでに要した時間は約9秒。キックオフ直後に受けに回ってしまった11日のイラク代表戦の反省を生かし、上々の滑り出しを見せた。 ▽ところが、シンガポール代表はベルント・シュタンゲ監督が警戒していた「試合開始直後」を乗り切ると、時間の経過とともに手応えと自信を深め、粘り強い守備を披露。日本は23本のシュートを放ちながら、得点を奪うことができなかった。それはなぜか――。私は、いろいろな意味での“準備”がやや不足していたのではないかと思っている。 ▽試合前に0-0という結果を想像していた人はほとんどいなかったはずだ。私も想像できなかった。監督や選手たちは、試合前のコメントで「集中しなければいけない」、「簡単な試合などない」といった言葉を繰り返していたし、油断していたとは思わない。ただ、心のどこかに「大丈夫だろう」、「なんとかなる」といった意識が“少なからず”あったと思っている。そして、それがプレーや心理面に、良くない意味での“余裕”を生じさせてしまったようにも感じている。 ▽得点の可能性を高めるには、まず単純に、より多くのチャンスを作らなければいけない。そういった意味では、もっとやれることがあったのではないだろうか。確かに23本のシュートを打ち、決まっていてもおかしくない場面は何度かあった。ただ、監督が試合後会見で語っていたほど多くの決定機があったとも思わないし、ボックス付近のFKは少なく、シンガポールの選手は守勢に回りながらイエローカードを1枚ももらわなかった。これが何を意味するのか。 ▽シンガポールの守備ブロックはしっかりとオーガナイズされ、特に中央をしっかりケアしていた。日本は攻めあぐねてはいたが、前半に柴崎と本田がボックス付近でみせた、ポストプレーからリターンパスを受けてボックス内に侵入していく連係などは、相手の守備陣に混乱を生じさせていた。ただ、試合を通してそのような機会は少なく、ボックス近辺でのワンツーや素早いパス交換に三人目の動きが絡めば、より多くの好機を作り出せていたと思う。 ▽また、今回のような展開では、負傷離脱したFW川又が悔やまれる。もともとMF清武もいたため、登録メンバーに入らない可能性もあったが、ハリルホジッチ監督は、彼のような選手も必要不可欠であることを痛感したのではないだろうか。シンガポール相手であれば、パワープレー要員はいなくても“大丈夫”と考えたのかもしれないが、サイドからクロスを上げる今日のような展開では、彼のようにボックス内で闘える選手は貴重だ。今後の戦いでは、メンバー構成を含めた準備も万全にしておきたい。 ▽とはいえ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任からまだ3カ月。やるべきことは多いが、アジアを知らない監督やW杯予選の経験が少ない選手にとっては、この一戦は良い経験になったのかもしれない。次のW杯予選は9月。そして、その前の8月には東アジアカップがある。ここでは、ハリルイズムの浸透と共に、新たなオプションとなり得る選手の発掘にも期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.06.17 12:00 Wed
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【日本代表コラム】新たな世代の胎動

▽素早い攻守の切り替えを見せ、少ないタッチでパスを回し、距離感を保ちながらタテへの速さを意識する。ヴァイッド・ハリルホッチ監督の就任後、3度の合宿(国内組合宿含む)の中で意識づけし、行ってきた練習の成果がしっかりと落とし込まれた試合だった。 ◆4と0 ▽4-0という結果だと「4」の方に注目が集まりがちだが、個人的には「0」の内容が良かったと思っている。親善試合であること、ホームであること、対戦相手のパフォーマンスといった要素もあるが、ほとんどチャンスを作らせなかった。特に前半はバイタルエリアに入られることなく、ほぼ完ぺきな内容。危ない場面がなかったわけではないが、前半の被シュートは1本で、試合を通した被シュートもわずか3本だった。 ▽指揮官が試合後に語ったように、1試合を通してこの強度を保つことは難しいし、選手交代の枠も限られている。そのあたりのマネジメントは大事だが、この試合の序盤に見せた強度のまま、シンガポール戦に臨んでも大きな問題にはならないだろう。海外組のコンディションを見る限り、千葉で行った直前合宿は成果を収めたと言えそうだ。 ▽また、ゴールに向かう意識の高さも「0」の要因の1つだったと思う。序盤から積極的にミドルシュートを狙う場面が多く、しっかりとフィニッシュで終わることでカウンターを受ける機会を減らしたし、消極的なパスが少なかったことで不用意な横パスやバックパスを狙われることも少なかった。 ◆二人の23歳 ▽まず「0」の内容が良かったという話をしたが、「4」の方にも触れないわけにもいかない。そして、その攻撃をけん引したのが、7番と11番を背負う二人の23歳、MF柴崎岳とFW宇佐美貴史だ。もちろん、その陰には本田や岡崎のウラへの意識、長谷部の切り替えやタテへの意識といったものもある。 ▽しかし先制点は、柴崎の視野の広さと準備、パスの精度があってこそ。それ以外の局面でも、流れるようなタイミングで出されるタテパス、素早い戻りやセカンドボールへの反応など、攻守に存在感を示した。その中でも印象に残っているのは26分の場面、後方からフリーで縦パスを受けようとすると、そのタイミングと同時に前線の4選手がウラを狙う動き出しを見せた。この場面に、新たな7番に対する攻撃陣の信頼度の高さがうかがえた。 ▽さらに、32分に生まれた岡崎のゴールは、柴崎のタテパスを受けた宇佐美の中央突破から生まれた。半分は宇佐美のゴールと言っても差し支えはないだろう。あの狭い局面でのボールコントロールはさすが。またG大阪でのプレーのように、左サイドからのクロスやシュート、サイドバックとの連係で攻撃の起点となり、コンパクトな振りから繰り出されるミドルシュートでゴールを脅かした。この位置には、同世代の武藤や原口も控えているだけに、彼らとともに切磋琢磨し、確固たる存在として代表をけん引してもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.06.12 14:00 Fri
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初招集選手プロファイル No.2~谷口彰悟~

▽ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は、11日にキリンチャレンジカップ2015のイラク代表戦(神奈川/日産スタジアム)、そして16日にロシア・ワールドカップアジア2次予選のシンガポール代表戦(埼玉/埼玉スタジアム2002)を迎える。 ▽この2試合に向け、初招集されたのはDF丹羽大輝(G大阪)と、MF谷口彰悟(川崎F)の2選手。そこで、本稿ではプロ2年目にして早くも日本代表としてプレーするチャンスを得た谷口の経歴、プレースタイルを簡単に紹介しつつ、今後予想される代表での立ち位置を考察していく。 ◆選手紹介 【生年月日】 1991年7月15日(23歳) 【身長/体重】 182cm/70kg 【所属クラブ】 川崎F 【ポジション】 セントラルMF、センターバック、サイドバック 【今季公式戦出場記録】 J1:15試合(1ゴール)/ナビスコ杯:6試合 ▽2014年に筑波大学時代の恩師である風間八宏監督率いる川崎Fに加入した谷口。ルーキーイヤーの昨年は、公式戦35試合に出場するなど、充実の1年を過ごした。主力として臨む2年目は、昨季まで守備の要としてプレーしたDFジェシの背番号“5”を継承。リーグ開幕からこれまで公式戦全試合に出場している。 ▽谷口は、視野が広く、戦術眼に長けたクレバーな選手。足元の技術も高く、センターバックとしてプレーしている川崎Fでは、ポゼッションサッカーを真髄とするチームを後方から支えている。また、高いボール奪取能力と当たり負けしないフィジカルを兼ね備えており、守備の面でも大きくチームに貢献している。 ▽上記の特徴から考えると、、谷口にとって代表でのライバルは、今回招集外となっているG大阪MF今野泰幸だろう。その高いボール奪取能力と様々なポジションをこなすユーティリティ性から日本代表で重宝されてきた今野だが、35歳で迎えるロシア・ワールドカップ開催時まで、現在と同レベルのパフォーマンスを維持できているとは限らない。。川崎Fでユーティリティ性を発揮している谷口にとって、今野の後継者としての役割を果たせることを証明できれば、代表定着も大いにありうるだろう。 《超ワールドサッカー編集部・相澤滋貴》 2015.06.11 11:52 Thu
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初招集選手プロファイル No.1~丹羽大輝~

▽ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は、11日にキリンチャレンジカップ2015のイラク代表戦(神奈川/日産スタジアム)、そして16日にロシア・ワールドカップアジア2次予選のシンガポール代表戦(埼玉/埼玉スタジアム2002)を迎える。 ▽今回の2試合に向け、初招集されたのはDF丹羽大輝(G大阪)と、MF谷口彰悟(川崎F)の2選手。そこで、本稿では29歳にして初めてサムライブルーのユニフォームに袖を通した丹羽の経歴、プレースタイルを簡単に紹介しつつ、今後予想される代表での立ち位置を考察していく。 ◆DF丹羽大輝 【生年月日】 1986年1月16日(29歳) 【身長/体重】 180cm/76kg 【所属クラブ】 G大阪 【ポジション】 センターバック、両サイドバック、守備的MF 【今季公式戦出場記録】 J1:14試合 / ゼロックス杯:1試合 / ACL:8試合 ◆苦労の連続から出世街道へ ▽今やG大阪で最終ラインのレギュラーとして活躍する丹羽だが、これまでのキャリアに目を通すと、苦労人という言葉が思い浮かぶ。G大阪ユース出身の丹羽は2004年にトップチーム昇格を果たしたが、昇格後の3年間はプロ初出場を果たすどころか、ベンチ入りもままならない日々が続くなど、当初はプロの厚い壁に苦しんだ。そのため、2007年から2011年にかけては徳島、大宮、福岡へのレンタル移籍を決断。この武者修行の間に、チームキャプテンを務めた福岡時代の2010年に5年ぶりとなるチームのJ1昇格に貢献するなど、徐々に頭角を現した。 ▽5年間にもわたるレンタル生活で着実に成長の一途を辿った丹羽は、2012年にG大阪へ6シーズンぶりに復帰した。以降は、DF岩下敬輔やDF西野貴治との熾烈なポジション争いに身を置いたが、2014年の途中からは不動のセンターバックとして25試合に出場。失点数リーグ2位タイの31失点を記録したディフェンス陣を支え、G大阪の国内3冠(J1、ナビスコカップ、天皇杯)達成に大きく貢献した。今季はここまで公式戦23試合に出場。リーグ戦では全試合にフル出場を続けており、G大阪の最終ラインにおいて、なくてはならない選手として地位を確立している。 ◆ライン統率、クレバーさ、堅実さ ▽G大阪の最終ラインに欠かせない存在となった丹羽は、決してポテンシャルの高い選手ではないが、ライン統率やクレバーなディフェンスを堅実にこなすことのできるセンターバックだ。持ち味の1つであるライン統率で、岩下やDF米倉恒貴、DF藤春廣輝といったアグレッシブさを売りとするDF陣を1列にまとめ上げている。実際、今季のリーグ戦における失点数でもここまで試合数(14試合)を下回る10失点と、丹羽を中心としたディフェンスラインの堅さは数字にも表れている。 ▽また、丹羽の守備にはラインコントロールと同時に、クレバーかつ堅実な対応が際立つ。どのようなシチュエーションでも冷静沈着な状況判断が可能で、G大阪でもボールホルダーに対する無謀な食い付きや軽率なディフェンスは少ない。また、センターバックに加え、必要であればサイドバックや守備的MFでも卒なくプレーできるユーティリティー性は、代表への生き残りを考えても好材料となるはずだ。 ◆最大のライバルは槙野 ▽先の日本代表候補合宿ではサイドバックとして招集された丹羽だが、今回はセンターバックとしてノミネートされた。したがって、センターバックタイプの4選手が招集された今回に関しては、DF吉田麻也(サウサンプトン)とDF森重真人(FC東京)、DF槙野智章(浦和)と、熾烈な生き残りをかけたポジション争いを演じることになるだろう。そのなかで、丹羽にとって最大のライバルとなり得るのが、彼と同様にサイドバックでもプレー可能な槙野だ。 ▽そして、明るいキャラクターを生かしたオフ・ザ・ピッチの部分での貢献度も、槙野と類似する点の1つだ。丹羽のムードメーカーぶりは、G大阪でチームメートのMF遠藤保仁が「笑いを提供してくれる」との理由で、昨シーズンのリーグ優勝の懸かる苦しい終盤戦のキーマンに挙げたほど。この点に関しては、チームの雰囲気を大事にする傾向のあるハリルホジッチ監督下の日本代表にとっても、欠かせないピースになり得る可能性を秘めている。 ▽あとは、宮本恒靖氏以来となるG大阪ユース出身のDFとして代表定着を狙う丹羽が、「ここに入る資格があることを証明してほしい」と招集メンバー発表会見で語ったハリルホジッチ監督の期待にピッチ上で応えられるかどうか。もちろん、今回の代表戦2試合だけが査定の全てではないが、複数のポジションでプレー可能なユーティリティー性や、クレバーかつ堅実なディフェンスで存在感を示すことができれば、キャプテンマークを巻いて71キャップを記録した宮本氏のように、代表でも確固たる地位を確立できるはずだ。 《超ワールドサッカー編集部・玉田裕太》 2015.06.11 11:51 Thu
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【日本代表コラム】上々の船出

▽ハリルホジッチ監督の言葉どおり「本当に素晴らしい出発になった」。青山のスーパーボレーにはじまり、最後は宇佐美と川又の“らしい”代表初ゴールで大量5得点を奪取。最高の形で新体制の2試合を終えたようにも思えるが、試合をトータルで評価すると、課題も多く見つかった。ただ、前回のコラムでも触れたように、それは当然のこと。試合後のコメントを聞く限り、新指揮官にとっても想定の範囲内だったようだ。 ▽キックオフ直後、岡崎が猛然とプレスをかけると、それに呼応するようにチーム全体でボールを奪いにかかる。チュニジア戦でも見られた姿勢であり、前半6分には、ボックス付近で前線の4選手が連動し、ワンタッチ、ツータッチでボックス内に侵入。そして、その一連の流れで得たCKのクリアボールを、青山が豪快且つ繊細なボレーでゴール右上に突き刺した。 ▽その直後にも、トップ下の香川にボールが収まると、乾のダイアゴナルランに合わせてプルアウェイした岡崎に絶好のパスが届くが、これを決めきれない。さらに乾や本田がミドルレンジから積極的にゴールを狙っていった。また、今回の合宿を通して練習していた3~4人が絡んでの《クサビ⇒落とし⇒展開》という流れからもゴールに迫っていった。 ▽しかし、“縦”と“速さ”を意識するあまりボールロストも多く、前と後ろが間延びする場面が散見。10番のラシドフを筆頭に、ウズベキスタンにも技術のある選手が揃っていたため、プレスをはがされ、マークにズレが生じてゴールを脅かされる場面も多かった。終盤のゴールラッシュに関しては、相手の集中力が切れていたことや、6人という交代枠によって前線の運動量が増えたことも影響したはずだ。 ▽ただ、ハリルホジッチ監督も、準備期間が短かったため、「仕方のない部分もある。そういったウィークポイントを修正していけばいい」と語り、改善点が出てくることは織り込み済み。現時点で大事なのは、“何ができて、何ができていないか”を把握することに他ならない。だからこそ、徹底的に“縦”と“速さ”の意識を刷り込み、自身のスタイルを示しつつ、そこまでの道のりを逆算したかったのだろう。 ▽また、新戦力の活躍にケチをつけるような言い方をしたが、彼らが結果を残したことは事実であり、大きな自信を手にしたはずだ。何より、太田や宇佐美、川又など、途中から出場した選手の多くが、自身の特徴を生かしてゴールに絡んでいる。香川もトップ下の位置で以前よりも軽快な動きを見せていた。そして青山はゴールだけでなく、自身の持ち味である展開力も発揮。特に、奪ったボールをダイレクトで前線の選手に供給するパスは、奪ってからの素早い展開を目指す現代表にもマッチするだろう。監督が「何人か気になる選手がいた」と語った「何人か」の一人は、青山のような気がしている。 ▽先のチュニジア戦に比べると悪い部分も目に付いたウズベキスタン戦だったが、ハリルホジッチ監督は「私が思っていたよりも早く、より良いチームになると思う」との見通しを語るなど、今回の代表合宿、そして2つの国際親善試合に手応えを感じていることは間違いない。見ている側にも、監督がどのようなチームを目指しているのかは伝わってきた。ここから2カ月余りは、そのチームに適した人材を発掘する時間ができる。指揮官がどのようなリストを用意するのか――約2カ月に及ぶ“視察”の中で、ハリルホジッチ監督の導き出す答えを楽しみに待ちたい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.04.01 12:30 Wed
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【日本代表コラム】選手の意識を高めた初陣

▽「明日は、これまでプレー機会が少なかった選手たちを起用したいと思っている」。前日会見でそう語った新指揮官の言葉どおり、大分スポーツ公園総合競技場のピッチには新鮮な顔ぶれが並んだ。結局、最後は後半途中から出場した“先輩方”がご活躍。岡崎と本田という役者のゴールにより、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の初陣を白星で飾ることに成功した。 ▽いくら「たくさんの映像を見てきた」と言っても、監督就任から3週間ほどで、本格的な練習は3回だけ。すべてはこれからだ。今回の試合で注目していたのは、指揮官が前日会見で語っていた“球際の激しさ”と“プレースピード”の2点。数多くのミーティングや面談を経て、どれだけ意識付けされているのかを注視した。 ▽前者に関しては、キックオフ直後から川又や永井がアグレッシブにプレスをかけていき、その姿からは“何が何でも代表に残ってやる”といった気概を感じとることができた。最初は多少の“気負い”も感じられ、守から攻への切り替えがスムーズではなかったように思う。その点に関しては監督も認めており、改善の必要性を口にしていたが、その一方で「ピッチが滑りやすかった部分もある」と述べ、選手たちが見せた姿勢に満足感を示していた。 ▽一方、プレースピードに関しては課題が残った。ボールを奪ってシンプルに裏を狙うという場面は少なかったように思う。実際、監督は試合後の会見で「奪ったあとに短いパスを使いすぎている。もっと長いパスを狙ってもいい」との考えを示した。もちろん、何がなんでも縦や裏を狙う必要はないが、出せたはずの最初のタイミングで迷ってつなぎなおし、その結果、相手のプレスを受けるという場面が何度かあった。 ▽これに関しては、ミスを犯したくないという心理的な要素に加え、起用した選手の特徴や相性も関係していたと思う。前線には、永井、川又、武藤と、縦の意識が高く、裏を狙える選手が揃っていた。彼らに関しては実際にプレーを見ており、その特徴を理解したうえで起用していたはずだ。しかし、パスの出し手となる中盤の選手に関しては異なる。 ▽山口も長谷部も正確な長いボールを前線に送るというより、ボールを運びながら前に関わっていくタイプだ。どちらかと言えば、青山や柴崎の方が今日の3トップとの親和性はあるだろう。ただ、守備の強度に関しては山口や長谷部の方があるため、そのあたりの兼ね合いは難しいところではある。とはいえ、これから選手の特徴をより明確に把握し始めれば、自然と状況に応じた選手起用がなされるだろう。 ▽これまでの言動から察するに、今回の選手起用には2つの意味合いがあったと思っている。1つは、前述したような戦術的な側面。前線に裏を狙えるタイプの選手を並べ、ボールを奪ってから素早くゴールに迫ろうとしたのだろう。もう1つは、前回のコラムでも語ったように「開かれた代表」であり、「ファミリー」であるということを発信したかったのではないか。 ▽試合後の会見でも、次のJALチャレンジカップ(ウズベキスタン代表戦)には「違うメンバーで臨もうと思っている」と語り、多くの選手に出場機会を与えていくことを明言した。選手の特徴はこれから把握していけばいいし、戦術面のディティールも徐々につめていければいい。いま大事なのは、各選手のモチベーションを高く保ち、自分も一員であり、チャンスがあると感じさせること。うまくいけば自ずと競争力は高まってくる。信頼関係の構築という意味でも、公平に見ているというアクションは大事だ。 ▽もちろん、選手たちが高いモチベーションを持ってプレーし、自らをアピールするのは当然のことではある。それでも、見ていてもらえていると感じられることは選手にとって大きい。そういった土壌を整えておくことは無駄ではないだろう。チュニジア戦では、球際で戦えたことも、勝利を手にできたことも良かったが、すべての選手たちが“俺も使ってもらえる”と感じられた(であろう)ことが、“新陳代謝”も図っていきたい代表の今後に向け、何よりも意味のあることだったのではないか、と思っている。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.03.28 12:00 Sat
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【日本代表コラム】開かれた代表

▽先日の就任会見同様、新指揮官の並々ならぬ意欲を感じる約1時間のメンバー発表会見だった。そして、今回の会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督が何度も強調していたのが、「日本代表は全員に開かれている」ということだった。 ▽今回のリストに名を連ねたのは、通常の23名ではなく、ケガ人3名を含む31名(そのほかバックアップメンバーが12名)だ。これは、より多くの選手を手元で確認し、より多くの選手に自身の考えを伝えたい指揮官の思惑を反映したもの。ワールドカップ予選まで時間がないことや、監督に就任してから1週間しか経っていないことを考えれば、当然のこととも言える。ちなみに31名のうち、19名はアジアカップのメンバーになるが、これも当然の流れだろう。しかし、枠を増やしたことで、これまでのベースを担保しつつ、新たな選手を加えることができた。 ▽その結果、初招集のDF藤春、ブラジル・ワールドカップ組のMF青山、同じワールドカップ組で現在はJ2でプレーしているMF山口、直前の視察(ナビスコカップ川崎Fvs名古屋)で見初められた(?)FW永井など、様々な立場や年齢の選手が選出された。また、監督自身、バックアップメンバーを発表した理由について「大きなグループであるということのメッセージ」と語っており、誰にでも代表入りの可能性があることを強調している。実際、バックアップメンバーには、ルーキーのDF車屋や2年目のMF谷口、頭角を現してきたMF大森といった若手、DF千葉やFW豊田といったアラサー組に、オーストラリアでプレーするMF高萩と、良いプレーを見せれば誰にでも代表入りの可能性があることは示された。 ▽なぜ、「開かれた代表」ということを強調するのか。それは、選手たちの成長を促すため、競争力のある代表を作るためだろう。実際、ハリルホジッチ監督も「期待したいのは各ポジションで競争があること。私には前もって決まっているベストメンバーはいない。時期によって調子も変わるので、そのときにベストな状態の選手を呼びたい」、「良いプレーをしていれば呼ぶ。スター選手に変わる選手にも期待しているし、そこが変わっても問題はない」と語っている。 ▽代表入りを目指す選手たちのモチベーションを高め、現在の代表メンバーには危機感を持たせる。それが相乗効果となり、全体のレベルを引き上げられれば言うことはない――。代表合宿は来週月曜からはじまり、メンバーもすでに決まっている。しかし、次のメンバー入りに向けた“競争”は、今週末のJリーグからはじまる。代表合宿も楽しみだが、今週末のJリーグも楽しみだ。まずは、代表メンバーやバックアップメンバーだけではない、代表候補選手たちのプレーにも注目したい。 《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》 2015.03.20 20:00 Fri
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