コラム

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【原ゆみこのマドリッド】熱いプレーで勝つのが最高だけど…

▽「そうか、もうコパがないのは楽よね」そんな風に私が納得していたのは月曜日。週末のリーガが終わった後、世間がこぞって優勝候補に祭り上げていたセビージャの先の予定を見ていた時のことでした。いやあ、確かに順位表の上では首位と勝ち点1差になったとて、レアル・マドリーはクラブW杯参加で延期したバレンシア戦が未消化のため、実質4ポイントあるようなものなんですけどね。この2週間~4週間もリーガの上位4チーム中、セビージャだけがミッドウィークを休めることに。その上次は最下位のオサスナと対戦となれば、今週末の日曜日からの7日間で3度もバスク(スペイン北部)遠征に駆り出されるアトレティコなど、どんどん差をつけられてしまう危険すらある? ▽ファン心理では、ビルバオ近辺でミニキャンプでも張って、アウェイへの移動時間を節約し、最近のパッとしない試合内容を改善する練習をしてほしいのですが…。選手たちだって、1週間も家族の待つ自宅に帰れないのは辛いだろうと、シメオネ監督は2日おきに3往復、計2344キロメートルを走破することを決定。おまけに良いんだか、悪いんだか、このところ勝つだけは勝っているため、今以上の努力は必要ないと思ってしまうのも人情なんですが…。ただ、このままセビージャに突っ走られたら、目標の3位フィニッシュが危うくなってしまうかも。 ▽まあ、その辺はまだ心配するには早いので今は置いておいて。先週末のマドリッド勢がどうだったかをお伝えしないといけません。土曜日は午後1時からの早い時間帯でマドリッドの新弟分、レガネスがブタルケにアスレティックを迎えたんですが、ベネズエラ人MFのマチスが4回程、GKイライソスと1対1のチャンスを掴みながら、その全てに失敗。おかげで最後まで点を取ることはできなかったのですが、相手も水曜日のコパ16強2ndレグでバルサに逆転負けを喫したショックがあったかのか、そのまま最後はスコアレスドローで終わることに。 ▽いえ、それでもアスレティックのエース、アドゥリスと司令塔のベニャトにイエローカードを出させて、次のアトレティコ戦に累積警告で出場停止という貢献はしてくれたんですけどね。結局、これで昇格1年目の今季前半はレガネスのホームで1勝止まり。降格圏との差は勝ち点5差になったものの、すぐ下の17位につけているバレンシアとはたったの1差になっていまいましたっけ。 ▽そして同日の夕方にはビセンテ・カルデロンに向かった私でしたが、その間にバルサがラス・パルマスに5-0と大勝。それだけに、8分にこぼれ球を拾ったガイタンの足から先制点が生まれた時には場内のファンも大いに沸いたんですけどね。以降はただただ、気温の低下に合わせるように冷え込んでいくばかり。だって、アトレティコはほとんどチャンスを作れないどころか、時間が経つにつれてパスさえまっとうに繋がらなくなっていくんですよ。後半など、もうほとんど最初から1点差での逃げ切りを考えているように、プレーのリズムが落ちていく一方で、シュートなど、ガイタンと交代したカラスコがGKアダンの正面を突いた1本ぐらいだったかと。 ▽幸い相手のベティスに決定力がなく、数日前に髪をプラチナブロンドに染めたセバージョスは活発だったものの、ルーベン・カストロの数度に渡るシュートはGKモヤが処理して失点は免れていました。ただ、どんどん消極的になっていくホームチームには、とうとうpito(ピト/ブーイング)もスタンドからチラホラ聞こえるように。その件に関してシメオネ監督は、「とりわけ89分のコケのプレーだろう。敵エリア前でゴールに向かわず、クロスを上げないでボールをキープすることを選んだ。Me parecio fantastico/メ・パレシオ・ファンタスティコ(私には素晴らしく思えたね)」と言っていましたけどね。時間稼ぎのため、アディショナルタイムにグリーズマンをヒメネスに代えていた辺りからも、今のアトレティコは上位ではないチームが相手でさえ、なりふり構わずいかないと勝てないというのはちょっと悲しかったかと。 ▽そのおかげもあって1-0で試合は終了。リーガ3連勝とした彼らでしたが、どうやら開き直ってしまったようで、アトレティコの不遇時代にも詳しいキャプテンのガビなど、「A la gente le gusta que juguemos bien, pero sobre todo que ganemos/ア・ラ・ヘンテ・レ・グスタ・ケ・フゲモス・ビエン、ペロ・ソブレ・トードー・ケ・ガネモス(ファンはボクらがいいプレーをするのが好きだが、何より勝つのが好きなんだ)。2回続けてパスをミスると、イライラしたファンからブーイングも受けるけど、自分たちは慣れているよ」とコメント。 ▽いや、そこはパスミスに慣れたらダメでしょと、私も突っ込みたくなったんですけどね。「Lo más importante es ganar, el fútbol lindo ya llegará/ロ・マス・インポルタンテ・エス・ガナール、エル・フトボル・リンドー・ジャー・ジェガラ(一番大事なのは勝つこと。美しいサッカーもそのうちできるさ)」と言う、すでにアトレティコ2年目でスペイン語がペラペラになったモンテネグロ人のサビッチのように、楽観的に考えることも必要ですよね。 ▽そして翌日、シメオネ監督の「Alguna duda de que lo que importan son los resultados? Mira quién gana el Balón de Oro/アルグーナ・ドゥーダ・デ・ケ・ロ・ケ・インポルタン・ソン・ロス・レスルタードス?ミラ・キエン・ガナ・エル・バロン・デ・オロ(結果が大事だということに何か疑問があるかい? 誰がバロンドールを獲ったか、見てみればいい)」という言葉ももっともだなという思いに駆られました。というのも、この1月にコパ16強の2試合に続いての同カードとなったお隣さんのセビージャ戦を見たせいで…。最初は「Nos sorprendió la línea de tres de ellos/ノス・ソルプレンディオ・ラ・リネア・デ・トレス・デ・エジョス(相手の3人のラインにウチは驚かされた)」というサンパオリ監督同様、私もスタメンを知って、呆気に取られたんですけどね。 ▽そう、ジダン監督は「Había que cambiar después de jugar tres partidos en 10 días/アビア・ケ・カンビアール・デスプエス・デ・フガール・トレス・パルティードス・エン・ディエス・ディアス(10日間で3度目の対戦だから、変える必要があった)」と、今季はリーガでも多くのチームで見られるCB3人プラスSBのDF5人体制を採用。うーん、そこまで4人DFでコパ1stレグ3-0、2ndレグ3-3と負けていないのですから、素人目には別にヴァラン、セルヒオ・ラモス、ナチョを並べるまでもないかと思ったんですけどね。それにも関わらず、前半のマドリーの動きは美しかったことと言ったらもう。 ▽どの選手もワンタッチでスムースにボールを繋いでいくのに、私が前日の誰かさんのお寒いサッカーとは雲泥の差を感じてしまったのはともかく…。逆に「CBを1人減らし、ボランチを増やして、中盤の人数的優位を狙った」サンパオリ監督のセビージャも、「Increíble. En mitad de la cancha fue un pulpo tanto para recuperar como para jugar/インクレイブレ。エン・ミタッド・デ・ラ・カンチャ・フエ・ウンプウポ・タントー・パラ・レウペラール・コモ・パラ・フガール(信じられないほどだ。ピッチの真ん中ではボールを取り戻すのにもプレーを組み立てるにもタコのようだった)」とお褒めの言葉を賜ったエンゾンジを中心に、レベル的に負けていなかったのは凄いんですが。どちらも得点チャンスにはあまり結び付けられずにハーフタイムを迎えることに。そういう意味では、マドリーにはルーカス・バスケスが、セビージャにはCFがいないのが響いていたのかもしれません。 ▽後半もしばらくは同じ展開だったのですが、形勢がマドリーに傾いたのは65分のこと。エスクデーロのミスからボールを奪ったカルバハルがエリア内に突入したところ、GKセルヒオ・リコが彼を倒してPKを宣告されてしまったから、セビージャの選手はもとより、サンチェス・ピスファンのスタンドがどんなに抗議したことか…。そのPKをラモスではなく、その日はもちろんクリスチアーノ・ロナウドが蹴る前に、「ちょっとバランスを崩してやろうと思って」と、ビトロがPKマークの辺りの芝を足で荒らしていたため、怒ったロナウドがボールを相手の背中にぶつけるという珍しい光景もあったんですが、当人への心理的に影響はまったくなし。キックはしっかり決まって、マドリーが先制点を奪ったんです…。 ▽でも、本当にこの試合は“逆”という言葉が相応しい出来事が多かったんですよ。木曜日のコパでは3-1にされても諦めなかったのはマドリーでしたが、その日の彼らは「después del gol nos hemos relajado/デスプエス・デル・ゴル・ノス・エモス・レラハードー(ゴールの後、ウチは気を緩めてしまった)」(マルセロ)ようで。中には「no hemos sabido menejar los tiempos del partido/ノー・エモス・サビードー・マネハル・ロス・ティエンポス・デル・パルティードー(ボクらは試合の時間をコントロールすることを知らなかった)」(ラモス)という意見もありますけどね。そこは天下のマドリーですから、恥ずかし気もなく1点を守り倒すお隣さんとは心構えが違っていても仕方ない? ▽実際、それ以上に失点にも気落ちせず、ヨベティッチ、サラビアとアタッカーをつぎ込んだサンパオリ監督のチームの熱意が勝ったとも言えますが、85分には先日の試合で同じような時間帯に物議を醸すPKゴールを決めたラモスが再び得点。ただし、この日は方向が逆で、サラビアのFKを小柄なイェデルに先んじてヒットしようと、ヴァランを押しのけてジャンプした弾みにGKケイロル・ナバスを破ってしまったから、さあ大変! いやもう、キックオフ前から悪口のカンティコ(節のついたシュプレヒコール)やブーイングを彼に浴びせるのに余念のなかったセビージャファンたちも、これには拍手喝采するしかなかったかと。 ▽そしてさらにマドリーの専売特許である奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)はアディショナルタイム2分のことですよ。今度はカルバハルからスローインを受け取ったベンゼマが、ビトロにボールを奪われそのパスがヨベティッチの下へ。するとエリア外から撃ったシュートがナバスの手を弾いてネットに突き刺さり、土壇場でセビージャに決勝点が入るなんて!! いや、マドリーがそれをやるのは私も見慣れているんですけどね。まさか、逆に敵にやられる日が来るなんて、思ってもみませんでしたっけ。 ▽うーん、確かに2-1で負けてしまえば、せっかくの無敗試合もスペイン新記録となった40となった途端に終わりですし、あれだけいいプレーをしたのも意味なく思えてしまえなくはないんですけどね。マドリーに「Le ha faltado cinco minutos/レ・エ・ファルタードー・シンコ・ミヌートス(足りなかったのは5分間)」というジダン監督は、「Sabíamos que iba a pasar un día de estos/サビアモス・ケ・イバ・ア・パサール・ウン・ディア・デ・エストス(こういう日の1つでは起こるだろうことはわかっていた)」と、記録が途絶えたことには達観していたものの、せっかくベンチにはルーカス・バスケス、モラタ、アセンシオ、マリアーノと強力なアタッカーが揃っていながら、クロースをコバチッチに代えただけで、交代枠を使い切らなかったのにはちょっと後悔が残るかと。 ▽まあ、彼らにはあまり悔やんでいる時間もないんですけどね。というのもこの水曜日午後9時15分(日本時間翌午前5時15分)にはコパ準々決勝1stレグのセルタ戦が控えているからで、相手もこの週末はアラベスを1-0で破り、コパ16強対決のバレンシア戦含め、今年になっての4試合全勝中と好調を維持。昨季など、うっかり者のマドリッドのライバルが同じ準々決勝で後れを取ったなんて前例もあるため、絶対的に彼らの方が格上だとしても油断は禁物です。ただ、月曜日のバルデベバス(バラハス空港の近く)での練習では、前節のグラナダ戦で打撲を受けてこのセビージャ2連戦にはお休みしたイスコも合流していたようですし、ローテーション好きのジダン監督はまた前線のメンバーを変えてくるかもしれませんね。 ▽一方、木曜日午後7時15分(日本時間翌午前3時15分)から、同じコパでエイバルをカルデロンに迎えるアトレティコも日曜日を休養日にした後、月曜日の夕方から練習を再開。しかしセッション開始から20分でマハダオンダ(マドリッド近郊)の施設がapagon(アパゴン/停電)に見舞われるという逆境が…。その後、数分だけ復旧したようですが、またグラウンドの灯りが消え、ジムも同様だったため、選手たちは真っ暗なロッカールームで着替えて、家路をたどることになったとか。うーん、これでまた、火曜日と水曜日の練習だけでやはり、前節はスポルティングに2-3と勝利。セルタに続く9位と、そこそこのところに付けているチームを相手にするのは気が重いんですが、今は辛抱の時。いくら寒いスタンドで彼らのプレーを見るとますます寒くなっても、何とか勝ってくれれば、応援する甲斐はあるってもんですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.17 13:20 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】ヒヤヒヤさせられたものの…

▽「またお客が集まらなさそうな対戦になって可哀想」そんな風に私が同情していたのは金曜日、コパ・デル・レイ準々決勝の組み合わせ抽選の結果を知った時のことでした。いえ、今年は珍しく、この段階になってもマドリーダービーもクラシコ(伝統の一戦、レアル・マドリーvsバルサ戦のこと)も生まれず、4試合のどれもビッグマッチとは言えないんですけどね。12月には1部のエスパニョールを破って16強に進出したマドリッドの2部の弟分、アルコルコンは先週の1stレグでスコアレスドローだった後、この水曜にはアウェイで2-1と同じカテゴリーのコルドバを破って、初の8強入りという大手柄を達成。次こそ、人気チームをサント・ドミンゴ(マドリッド近郊にあるアルコルコンのホーム)に迎えてチケット完売と、フロントも意気込んでいたはずなんですけどね。 ▽それが今回もクジ運に見放されたか、昨季まで一緒に1部昇格を争っていたアラベスと当たってしまうとは、いえ、その分、突破の可能性は高まったのは決して否定しませんよ。と言ったって、他の組み合わせがレアル・ソシエダvsバルサ、マドリーvsセルタ、アトレティコvsエイバルとなれば、一発勝負の決勝はともかく、それこそマドリーと当たって、アルコルコナソ(2009年のコパ32強対決でペレグリーニ監督率いるマドリーを総合スコア4-1でアルコルコンが破った大番狂わせのこと)の再現でもあれば別ですが、ほとんど準決勝を勝ち抜ける可能性はないかと。だったら、ファンも選手も望んでいたであろう、スター選手たちと対戦ができた方が良かったんじゃないかと思ったんですが、なかなか上手い具合にはいってくれないようです。 ▽まあ、それは来週の話なので、今は置いておくことにして、先にマドリー2強の16強対決2ndレグがどうだったかをお伝えしておかないと。先週に続き、火曜に試合をしたのはアトレティコで、実を言うと、こちらも1stレグで0-2と勝っていたせいもあったのか、ビセンテ・カルデロンのスタンドはかなり寂しい様相を呈すことに。ただ、ゲームの方は前半こそ地味だったものの、後半はかなり忙しい展開で、いえ、4分にガイタンがエリア内右奥から出したラストパスをグリースマンがシュート、本人3試合連続となるゴールを決めた時には完全に勝負がついたと誰もが思ったんですけどね。 ▽12分にリバヤにゴディンが後れを取り、同点ゴールを入れられても、その4分後にはコレアがGKとの1対1を制して2点目ゲットと、順調だったアトレティコでしたが、試合終了間際に事態が急変。ええ、すでに勝負の行方が見えていたせいで、選手たちが油断してしまったのもいけなかったんですが、残り1分にリバヤが自身2点目を挙げたラス・パルマスはロスタイムにもビエラのクロスをマテオが決め、その試合のスコアを2-3に。おかげでステイン監督も「si llegamos a evitar los suyos podía haber estado más abierto/シー・ジェガモス・ア・エビタル・ロス・スジョス・ポディア・アベール・エスタードー・マス・アビエルト(相手のゴールを避けられていたら、もっと可能性があったろう)」と後で嘆くことになったんですが、何はともあれ、結果を引っくり返される前に審判が終わりの笛を吹いてくれたのは助かりましたっけ(総合スコア4-3)。 ▽え、それでもシメオネ監督は「Es mas positivo estar en cuartos que lo negativo de la derrota/エス・マス・ポシティボ・エスタル・エンクアルトス・ケ・ロ・ネガティボ・デ・ラ・デロータ(準々決勝にいられることの方が、敗戦によるネガティブな面よりポジティブ)」と、あまり失点を気にしていなかったようじゃないかって?そうですね、途中、左SBで先発したルーカスが太ももの筋肉痛で交代を余儀なくされ、ガビを入れて、中盤の右サイドでスタートしたファンフランを回すといったアクシデントもありましたしね。ゴディンやこの日はCBに戻ったヒメネスらの守備ミスもあったものの、とりあえず、ここを凌いだことで、準々決勝ではリーガの前節で0-2と勝ったばかりのエイバルが相手となりましたし、今週末もリーガの相手はベティスと、それ程の難敵ではなし。 ▽更にその土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からの試合では、このコパ2ndレグを風邪で欠場したガメイロやアキレス腱の負傷がようやく治ったカラスコも戻ってきますし、最近はガイタンもいい働きを見せてくれますからね。トマスがアフリカ・ネーションズカップのために不在、チアゴもまだヒザを故障中と中盤の人材が不足しているのは変わりませんが、せっかく先週末は4位まで上がったリーガですから、ベティス戦でも手堅く勝ち点3を稼いで、3位のバルサにこれ以上、離されないようにしてもらいたいものです。 ▽そして木曜にはお隣さんの試合だったんですが、1stレグではマドリーが3-0で勝っていたものの、興奮度ではこちらの方が遥かに上だったかと。だってえ、サンチェス・ピスファンを満員にしたファンを背に、前半9分にはもうセビージャが1点目を入れているんですよ。実はそれってオウンゴールで、サラビアのクロスをイボラの前でクリアしようとしたダニーロが見事なヘディングで決めたんですが、その後もまったく敵は攻撃の手を緩めず。1-0のままでハーフタイムに入ったのが奇跡のようでしたが、大丈夫、後半開始すぐにセビージャのCKから、GKカシージャのパンチングを拾ったアセンシオが敵エリアまで83メートルを13秒で疾走。最後は1人、追いついたビエットもかわし、そのシュートがGKソリアに当たって同点ゴールになってくれるのですから、有難いじゃないですか。 ▽相手にとっては致命的なマドリーのアウェイゴールでしたが、その日のセビージャは後ろを振り返らないことに決めていたんでしょうかね。9分にはエスクデーロがクロスを上げると、前半終了間際に負傷交代したホアキン・コレアの代わりにピッチに送り込まれた、インテル・ミラノからレンタル移籍してきたばかりのヨベティッチがvolea(ボレア/ボレーシュート)でゴールに。夢のようなデビューを飾りましたが、32分にも彼らはイェデルのシュートをカシージャがこぼしたところをイボラが押し込んで、スコアが3-1になったから、こちらも緊張したの何のって。 ▽だってえ、その日のマドリーは先週の結果に自信を持ったか、クリスチアーノ・ロナウドとモドリッチを連れて来ず、ハメス・ロドリゲスやイスコもケガでお休みだったんですよ。そのすぐ前に、パッとしなかったモラタに代わってベンゼマが入っていたとて、サンパオリ監督も後で「Tuvimos entre 13 y 15 ocasiones claras de gol/トゥビモス・エントレ・トレセ・イ・キンセ・オカシオネス・クラーラス・デ・ゴル(ウチには13から15回のはっきりしたゴールチャンスがあった)」と言っていたように、セビージャの勢いがこのまま続けば、あと2点ぐらい平気で取っちゃうかもしれないじゃないですか。 ▽その最悪のケースに到った場合、誰が逆転のゴールを決めてくれるんだと心配になったんですが、いえいえ、他の選手たちも侮ってはいけません。まず38分には、ビエット同様、アトレティコからレンタルでセビージャにお世話になっているクラネビテルがエリア内でカセミロを倒し、PKを献上。うーん、この時、セルヒオ・ラモスがベンゼマからボールをもらっていたのには、ロナウドもベイルも、ハメスすらいないのをいいことに、またキャプテン権限で主役を張るつもりなのかなと思った私でしたけどね。 ▽どうやら当人にはそれ以上の思惑があったようで、パネンカ風のPKを決めた後のパフォーマンスの凄かったことといったら、もう!ええ、ゴールを入れた側に陣取るビリス(セビージャのウルトラグループ)に向かって、自分の背中のネームを指したり、耳に手を当てて挑発したかと思えば、他の方向には両手を頭上で合わせてお詫びのポーズ。ラモスによると、「En ningún momento falté respeto a la afición/エン・ニングン・モメントー・ファウテ・レスペト・ア・ラ・アフィシオン(ファンに対しては一瞬もリスペクトを欠いていない)。実際、正面席とゴール裏南側には謝った。ボクを侮辱したり、もめたりしない人たちだからね」というのが、そのジェスチャーの理由だったそうですが、何ともややこしかったせいでしょうかね。正直、セビージャファンの大部分は怒っていたように見えましたよ。 ▽それでもビリスのスタンドから、飛んできたペットボトルが彼に当たらなかったのは幸いでしたが、どうやら同じビッグクラブへの移籍組ながら、ラモスには「A Rakitic o Alves se le reciben como dioses. Conmigo, insultan a mi madre/ア・ラキティッチ・オ・アラベス・セ・レ・レシベン・コモ・ディオセス。コンミーゴ・インスルタン・ア・ミ・マドレ(ラキティッチやダニエウ・アウベスはまるで神様のように迎えられるのに、ボクは母親を侮辱される)」という不満もあったよう。うーん、ラモスの時は当時のデル・ニド会長に悪く言われたり、契約破棄金額を払っての移籍だったりしたのもありますが、アウベスとラキティッチはセビージャにタイトルをもたらしてからの栄転だったという背景もありますからね。 ▽自分だけが悪役にされているという被害者意識もいかがなものかとは思いますが、優しいジダン監督は「No estoy contento y Ramos tampoco, no es agradable que te insulten/ノー・エストイ・コンテントー・イ・ラモス・タンポコ、ノー・エス・アグラダブレ・ケ・テ・インスルテン(自分もラモスも満足はしていない。侮辱されるのは気分のいいものではないよ)」と部下をフォロー。ただ、こうなると心配なのはこの日曜、リーガでのセビージャ戦で、マドリーはまたサンチェス・ピスファンに来ないといけませんからねえ。ラモスも毎回、ゴールを入れる訳ではないですが、イボラも「Lo bueno es que dentro de tres días hay revancha/ロ・ブエノ・エス・ケ・デントロ・デ・トレス・ディアス・イ・レバンチャ(3日後にはリベンジできるのはいいことだ)」と言っていたように、きっとまた激しいブーイングに耐えないといけないんでしょうね。 ▽え、この時点で試合のスコアは3-2、総合スコアでは勝っているけど、マドリーの無敗記録は39試合で途絶えてしまったのかって?いやあ、それがあのチームの凄いところで、remontada(レモンターダ/逆転劇)の主役の常連、ラモスはPKパフォーマンスで満足したか、その後は静かだったんですが、ロスタイム2分にベンゼマが得点。それもマルセロとtaconazo(タコナソ/ヒールキック)ワンツーをして、エリア内に持ち込むと、最後はやはり、この日セビージャデビューをしたCBレングレに当たって軌道が変るシュートで同点ゴールを決めてしまったから、ビックリしたの何のって。 ▽ええ、これでスコアは3-3。そのまま試合が終了したため、ジダン監督は40試合の連続無敗スペイン新記録を達成することに。いやあ、まったくその辺は伝統のレモンターダ根性はダテではないというか、アトレティコに比べて、しっかりしているというか、感心するしかないんですけどね。日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からの試合では、今度はロナウドを含めたベストメンバーで挑むことになると思いますが、果たしてこの記録、どこまで伸びるのやら。うーん、セビージャもお休みしたエンゾンジやマリアーノ、”ムード”・バスケスらが出て来るはずですが、常識的には消化試合のはずだったコパでさえ、このエキサイトぶりとなると、勝ち点差は4ながら、1位と2位のガチンコ対決となるリーガ戦はどんな凄い有様になるのか、誰にもわからないかと。 ▽何だか、私も見るのが怖くなってきますが、順位的にはコパは敗退済みで、今週はずっと練習に励むことができたレガネスがアスレティックをブタルケに迎える土曜の試合もかなり重要。というのも、前節で引き分けたバレンシアが勝ち点3に迫っていて、下手をすると、レガネスは降格圏ギリギリの17位まで落ちてしまう恐れがあるから。いえ、相手は水曜にカンプ・ノウでバルサとコパ16強対戦の2ndレグを戦い、しかも3-1で負けて、総合スコア3-4の逆転敗退という精神的ショックも受けているんですけどね。とはいえ、エースのアドゥリスは後半まで温存されていましたし、まだそんなに冬期市場での補強が進んでおらず、得点力の低いマドリッドの弟分には厳しい戦いになるかと。 ▽それでも彼らは幸いGKだけは獲得していて、12月に緊急加入したエレリンがレンタル元との契約条項で出場できなくても、前節のベティス戦に続いて、これが2試合目となるアルゼンチンから来たシャンパネが頑張ってくれるはずですが、いい結果が出せるかどうか。何せ、あと2試合でシーズン前半戦もお終いですからね。できれば、今週こそ、1部でのホームゲーム2勝目を挙げて、なるたけ危険なゾーンから離れた位置で折り返してくれると、私も嬉しいんですが…。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.14 09:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】今は地道に勝っていくしかない…

▽「このまま独走されたら、たまらないなあ」そんな風に私が愚痴っていたのは月曜日、リーガ第17節後の順位表を見てのことでした。いやあ、クラブW杯のせいでバレンシア戦を延期したレアル・マドリー以外、全ての上位チームが白星で揃い踏みした去年最後の節とは違い、先週末はレアル・ソシエダやビジャレアルが勝てなかったため、アトレティコも何とかヨーロッパリーグ出場圏の6位から、CLのプレーオフに出られる4位まで上がることができたんですけどね。首位に君臨しているお隣さんもしっかり勝ったため、結局、消化試合が1つ多い状態で勝ち点差9という根本はまったく変わりがないんですから、ちょっと私が空しくなってしまっても仕方ない? ▽とはいえ、そのマドリーが珍しく午後1時という、昼間の時間帯に当たった土曜の試合の相手は降格圏にいるグラナダでしたからねえ。ちょうどその前日はDia de los Reyes Magos(ディア・デ・ロス・レジェス・マゴス/東方三賢人の日、スペインでは子供たちがプレゼントをもらう習慣がある)だったため、サンティアゴ・ベルナベウを訪れた家族連れも選手たちが贈り物をしてくれるのを期待していたかと思いますが、お愉しみはキックオフ前にクリスチアーノ・ロナウドが昨年、受賞したバロンドールのトロフィーを披露しただけに留まらず。ジダン監督も先週ミッドウィークのコパ・デル・レイ16強対戦1stレグと打って変わって、ロナウドとベンゼマを惜しげもなく先発で起用したんですが、ただし、前半13分に先制点で早くもスタンドを沸かせてくれたのは、BBCの負傷メンバー、ベイルの代わりに前線に入ったイスコでした。 ▽ええ、ベンゼマからパスを受けて、エリア内から撃ったシュートがGKオチョアを破ったんですが、これなどはまだ序の口すぎず、続いて21分にも、今度はモドリッチのシュートが弾かれたところをベンゼマが押し込んで2点目をゲット。更に27分にはマルセロのクロスをロナウドがヘッドで叩き込んだかと思えば、それから4分後には再びイスコがモドリッチのキラーパスにゴール前で合わせ、気が付けば、30分強で4点差のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)になっているとなれば、2シーズン前、やはりお昼の試合で9-1の大敗を喫した悪夢を思い出していたグラナダ関係者も多かったかも。 ▽それでもハーフタイムの後は、グラナダが「Los segundos 45 minutos teniamos que competir como si fueramos 0-0/ロス・セグンドス・クアレンテアイシンコ・ミヌートス・テニアモス・ケ・コンペティール・コモ・シ・フエラモス・セロ・ア・セロ(後半45分間、ウチは0-0であるかのように競わなければならなかった)」と意地を見せたため、追加点は13分、クロースと交代で後半から出場したハメス・ロドリゲスの蹴ったFKをカセミロが決めた1点だけに留まったんですが、最終スコアは5-0ですからね。おかげで昨年から続いている公式戦無敗も39試合となり、ルイス・エンリケ監督がバルサで作ったスペイン最長記録に並んだとなれば、ジダン監督が「Es nuestro mejor momento desde que soy entrenador/エス・ヌエストロ・メホール・モメントー・デスデ・ケ・ソイ・エントレナドール(自分が監督となって以来、ウチの最高の瞬間)」と喜んでいたのも当然だったかと。 ▽え、先日のコパ・デル・レイ16強対戦1stレグ、セビージャ戦もそうだったけど、今年のマドリーは前半から、随分、飛ばすようになったじゃないかって?そうですね、「El mister nos pide que presionemos arriba y como estamos bien fisicamente podemos/ル・ミステル・ノス・ピデ・ケ・プレシオネモス・アリバ・イ・コモ・エスタモス・ビエン・フィシカメンテ・ポデモス(監督は高い位置でのプレスを頼んでいて、ボクらもフィジカルがいい状態だから、それができるんだ)」とモドリッチも言っていたように、クリスマスのバケーション後、ミニプレシーズンとして、ピントゥス・フィジカルコーチに課された体力アップメニューがいい結果を出しているのだとか。 ▽それだけでなく、そのセビージャ戦で2ゴールを挙げたハメス・ロドリゲスに続き、この日も同じ控え組のイスコが2得点と、どちらもベイルの長期離脱で回ってきたチャンスをしっかり生かしてくれているとなれば、ジダン監督も笑いが止まらないかと思いますが、次に控えているのは木曜にはコパの2ndレグ、そして日曜にはリーガでサンチェス・ピスファンに乗り込むセビージャ2連戦。何せ、相手は年明け最初の試合で3-0とマドリーに一蹴された悔しさをバネにしたか、同じ土曜にはレアル・ソシエダを0-4で粉砕。実のところ、彼らは昨年12月からハットトリックラッシュで、イボラ、ビトロと続いた後、3部のフォメンテラとのコパ32強対決2ndレグでビトロと共に3得点を挙げたイェデルがソシエダ戦でまたハットと、固め撃っているため、カシージャ、ケイロル・ナバスの両GKも決して油断はできないかと。 ▽そこへ加えて、日曜にはバルサがビジャレアルとメッシのFKゴールで1-1と引き分けるのに留まったため、セビージャがリーガ2位に上昇し、勝ち点差は4あるものの、今やマドリーに一番近いライバルとなったとなれば、日曜は大いに盛り上がること間違いなしなんですが、まあ、木曜午後9時15分(日本時間翌午前5時15分)キックオフのコパ2ndレグはねえ。よっぽどのことがない限り、1stレグの3点差が引っくり返されることはないはずですし、どちらもリーガの決戦に備えての予行演習みたいになるかもしれませんね。 ▽一方、そのマドリーの次の時間帯でエイバルに挑んだアトレティコはどうだったかというと。うーん、こちらもまだ日の出ているうちの試合だったんですが、スペイン北部のためか、イプルアのピッチが半分凍結。それは元々、ボール扱いに長けている訳ではないアトレティコの選手たちには関係なかったようですが、前半は地の利のある相手に圧倒されてしまうことに。このところ、シメオネ監督が実験を続けていたヒメネスがボランチとして先発デビューしたため、実質、CB3人状態となり、何とか失点こそ免れていましたが、この日、ガメイロに代わってCFに入ったフェルナンド・トーレスもチャンスには恵まれず、両チーム無得点のまま、ハーフタイムに入ります。 ▽後半の頭からは、「Veia que Inui estaba bien/ベイア・ケ・イヌイ・エスタバ・ビエン(乾選手が良かった)し、イエローカードをもらっていたから、退場で選手を失う危険を犯したくなかった」(シメオネ監督)という理由でブルサリコをファンフランに代えたアトレティコでしたが、ようやく8分には先制点を奪うのに成功。そう、コケの蹴った短いCKから、フィリペ・ルイスが上げたクロスをサウルがヘッドしてゴールに。リプレーではオフサイドの位置にいた彼ですが、線審に見咎められなかったため、スコアボードに上がってくれたのは幸運でしたっけ。 ▽おかげで少し余裕のできたアトレティコは29分にもカウンターから、グリースマンがトーレスの代わりに入ったガメイロとの連携で2点目を追加。先日のコパ16強対戦1stレグ、ラス・パルマス戦に続いての得点ですが、これでリーガでも去年の10月2日以来となるゴール日照りから脱却となれば、試合後、「Dependemos mucho del estado de forma de Griezmann/デペンデモス・ムーチョ・デル・エスタード・デ・フォルマ・デ・グリースマン(ウチはグリースマンの状態に大きく頼っている)」と認めていたシメオネ監督もどんなに安心したことか。 ▽結局、そのまま失点はせず、0-2で手堅く勝利したアトレティコは目標の3位まであと一歩と迫ったんですが、2017年を1分け1敗で始めたバルサもそうそう、不調のままではいないでしょうからね。勝ち点差も4あるため、ここを逆転するには少々、時間がかかるかもしれませんが、まあ、こればっかりは気長に勝ち続けていくしか、手立てはありません。何にせよ、今週はまず、火曜の午後9時15分からラス・パルマスとのコパ16強対戦2ndレグが控えている彼らなので、先週、0-2で勝利した1stレグの成果をムダにせず、しっかり準々決勝進出を決めてもらいたいものです。 ▽そして週末には土曜にベティスをビセンテ・カルデロンに迎えて、再びリーガ順位の改善を目指す彼らですが、残念なことに、今季のカレンダーでは常に兄貴分の相手に先んじて当たるレガネスは日曜の試合で2-0と負けてしまうことに。いえ、出場停止のエレリンの代わりに移籍早々、スタメンに入ったGKチャンパネはまずまずの出来だったんですけどね。後半にルーベン・カストロとピッチーニにゴールを浴び、味方の反撃も実らなかったため、デビュー戦を白星で飾ることはできませんでしたっけ。ただ、彼らはマドリッドの先輩たちと違い、すでにコパの重荷からは解放されているため、次の試合は土曜のアスレティック戦。 ▽世間の目がコパに向いているミッドウィークを心おきなく練習に費やせますし、相手は水曜にバルサとのコパ16強2ndレグ、しかも1stレグで2-1と勝利しているため、突破を決めようとカンプ・ノウで全精力を使い果たすはずですから、ホームで彼らを迎え撃つレガネスにも勝つチャンスはあるかも。何せ、現在16位で降格圏の外にいる彼らとはいえ、勝ち点差は4と、それ程余裕がある訳ではありませんからね。昨年中はブタルケで1勝しかできず、初のリーガ1部の晴れ舞台に張り切って応援に駆けつけているファンをあまり喜ばせてあげられなかったのも気の毒ですし、この新しい年は何とか運気が変ってくれるといいですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.10 12:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】忙しい月が始まった…

▽「主力が揃い踏みすればいいってもんでもないらしい」そんな風に私が首を振っていたのは金曜日。コパ・デル・レイ16強対戦1stレグの結果を眺めていた時のことでした。いやあ、ようやく2週間のクリスマス休暇が終わり、年明け最初の試合ではどのチームの選手も体力気力が十分に回復。元気満々で挑むものと思ったんですけどね。意外だったのは、年末最後のコパ32強対戦2ndレグ前からお休み入りしていたMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)プラス、ピケを並べて、サン・マメスでアスレティックと対戦したバルサで、ラウール・ガルシアとイトゥラスペの退場で9人となった相手にアドゥリス、ウィリアムスに先制された2点を最後まで返せず。メッシのFKゴールによる1点だけで、2-1と負けてしまうとは一体、どうしたことしょう。 ▽それと対照的だったのはレアル・マドリーで、長期離脱中のベイルはともかく、ジダン監督は元気なBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)のメンバーも温存。こちらはライバルが現在、リーガ3位と好調なセビージャですし、去年の公式戦は12月18日のクラブW杯決勝で終了。そこから即休暇入りと、他のチームより日数が空いていたため、titular(ティトゥラル/レギュラー)を並べても全然、おかしくはなかったんですが、前線をsuplente(スプレンテ/控え)だけで構成してもまったく差し障りがないのが、今のマドリーの凄いところかと。 ▽ええ、この結果なら、来週の2ndレグでも主力は次の週末、しかもそれがまた、サンチェス・ピスファンでのセビージャ戦というのは皮肉ですが、リーガの試合に向けてお休みさせることができますし、今週末の彼らは降格圏19位にいるグラナダと対戦ですからね。となると、昨季バルサが作ったスペイン勢の公式戦無敗記録39試合を抜いても、まだ当分、記録更新となりそうですが、もしかしたら、まだ対戦相手がわからないコパの準々決勝が山場になる? うーん、と言ってもまだ突破が確実そうなのはマドリー以外、1stレグでボロ暫定監督率いるバレンシアに1-4で勝ったセルタ、オサスナを0-3で破ってカパロス監督の解任を引き起こしたエイバルぐらいなんですけどね。ここにバルサとアトレティコが混じれるかは来週、ミッドウィークの試合を待たないといけないんですが…。 ▽え、それでもアトレティコはラス・パルマス戦の1stレグにベストメンバーを並べて、そこそこ満足いく結果を出しただろうって? まあ、その通りで、火曜日の一戦では24分にベルサリコのクロスを敵DFにクリアされたボールをコケがシュート、混雑したエリア内を通り抜けて決まった1点で先制。50分にはそのコケが起点となって、センターから放ったロングパスがブルサリコに届き、そのクロスをガメイロ、グリーズマンが頭で繋いで2点目を挙げてくれます。コケも後で「Nos ha venido muy bien este paron, a mi y a todos, para descansar/ノス・ア・ベニードー・ムイ・ビエン・エステ・パロン、ア・ミー・イ・ア・トードス、パラ・デスカンサール(ボクにも皆にも休息を取るのに、このお休みはとても良かった)」と言っていたように、これでようやく、去年の11月23日から続くグリーズマンのゴール日照りが解消されたのはありがたかったんですが、中にはガメイロのように相変わらず、チャンスをムダにし続けているFWもいたのはちょっと心配だったかと。 ▽それでも2週間前のリーガでの対戦同様、相手が「al final toda esa posesion no la hemos convertido en acciones de peligro/アル・フィナウ・トーダ・エサ・ポセシオン・ノー・ラ・エモス・コンベルティードー・エン・アクシオネス・デ・ペリグロ(結局、このボールポゼッションの全てをウチは敵に危険なプレーに繋げられなかった)」(ステイン監督)ため、前回よりは少しだけ進歩した0-2で勝利を収めたアトレティコでしたが、点を取った後もあまり気を緩めずに、「El equipo ha vuelto a ser solido, intenso/エル・エキポ・ア・ブエルトー・ア・セル・ソリドー、インテンソ(チームに堅固さとプレーの激しさが戻った)」(フィリペ・ルイス)のは褒めてあげないといけません。 ▽実際、昨年のコパ32強対決ギフエロ戦2ndレグや12月30日のサウジアラビアのアル・イテハドとの親善試合から、シメオネ監督が始めたファンフランを右中盤に上げ、右SBのブルサリコと併用、CBヒメネスの守備的ボランチとしての起用といった実験的布陣も上手くいっているようですしね。この調子でグリーズマンにゴールが戻ってきてくれれば、とりあえず来週火曜日の16強対戦2ndレグは無事乗り切れる? ちなみにそんなアトレティコは翌水曜日にビセンテ・カルデロンで公開練習を実施。スタンドに駆けつけた5000人のファンに胸を張って新年の挨拶をしたんですが、この週末には再び、厳しい現実を突きつけられることに。 ▽ええ、クリスマス期間は努めて忘れるようにしていましたが、現在彼らのリーガ順位はヨーロッパリーグ出場権しかもらえない6位。首位のお隣さんとは消化試合が1つ多い状態で勝ち点9差、2位のバルサとも6差ですからね。この土曜日午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのエイバル戦でも総力を挙げて、勝ち点3を獲っていかないといけないんですが、今のところ、まだアキレス腱を痛めて別メニューで調整しているカラスコは復帰できるか不明のよう。その他ではガメイロの代わりにフェルナンド・トーレスが先発CFとして入りそうですが、相手はコパのオサスナ戦でローテーションをかけているだけに、体力満々で出てくるだろうペドロ・レオンや乾貴士選手には気をつけないといけませんよね。 ▽そして水曜日の夜にはマドリーがサンティアゴ・ベルナベウにセビージャを迎えたんですが、最初にお話ししたようにロナウドは招集外、ベンゼマもベンチで待機させて、ジダン監督はモラタ、ハメス・ロドリゲス、アセンシオの3人のアタッカーで試合をスタート。それでも先制点を挙げるのに大して時間はかからず、開始10分にはカゼミロがエリア前でエンゾンジから取り戻したボールをハメスがゴール左端に決めて、あっさりゴールを奪ったかと思えば、その4分後にはモドリッチのchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)がポストを直撃する惜しいチャンスも生まれることに。 ▽更にこの日は今週になって左ふくらはぎを痛めたペペに加え、セルヒオ・ラモスもクラブW杯決勝こそ、無理をして出場したものの、その前から痛めていた筋肉の負傷のため、休んでいたんですが、29分にはクロースのCKをヴァランが頭で叩き込み、攻守両面でキャプテンの不在を感じさせない働きをしてくれたとなれば、続く絶好のチャンスでモラタがGKセルヒオ・リコに弾かれてしまったとて一体、何の不足がある? ▽逆に「En el primer tiempo fuimos sorprendidos por la intensa presión del Madrid/エン・エル・プリメール・ティンポ・フイモス・ソルプレンディードス・ポル・ラ・インテンサ・プレシオン・デル・マドリッド(前半、ウチはマドリーの強烈なプレスに驚かされた)」(サンパオリ監督)というセビージャはイボラやビトロのシュートが決まらず、ハーフタイム直前にはマリアーノがモドリッチをエリア内で倒してPKまで献上。これもハメスが決めて、3-0としたため、ジダン監督曰く、「Hicimos un partido casi perfecto, 45 minutos espectaculares/イシモス・ウン・パルティードー・カシー・ペルフェクトー、クアレンタイシンコ・ミヌートス・エスペクタクラーレス(ほぼ完ぺきな試合をした。スペクタクルな45分だった)」前半で、ほとんど勝負がついてしまいましたっけ。 ▽え、前線にはベイルがケガをして以来、代役を務めていたルーカス・バルケスも負傷していたため、あまりプレー時間の多い選手はいなかったものの、これは中盤をクロース、モドリッチ、カゼミロのベストトリオで固めたジダン監督の作戦勝ちだったんじゃないかって? そうですね、結局、セビージャは後半もチャンスは作ったものの点を取ることはできず、試合はそのままのスコアで終わったんですが、まだ年明け1戦目のため、「Hicimos uno de los mejores partidos del año/イシモス・ウノ・デ・ロス・メホーレス・パルティードス・デル・アーニョ(今年最高の試合の1つだった)」(カゼミロ)というのはちょっと気が早いような気がしますが、やはりこの3人が揃っていいプレーをしてくれたのは大きかったかと。 ▽ただ、この一戦で誰よりアピールに成功したのはハメスで、いえ、当人がピッチに出る機会のなかったクラブW杯決勝後に移籍を仄めかすようなコメントをしたため、元から注目の的ではあったんですけどね。それでもdoblete(ドブレテ/2得点のこと)で気分を良くしたか、試合後には「No, no, me quedo, me quedo/ノー、メ・ケド(いや、自分は残る)」とこの冬の退団を強く否定。「今のボクはいい感じだし、誰だって悪い時を過ごすことはあるさ。Pero es un año nuevo y una nueva vida/ペロ・エス・ウン・アーニョ・ヌエボ・イ・ウナ・ヌエバ・ビダ(でも今は新しい年だし、新しい人生だ)」とのことですが、そうですね。ジダン監督のローテーション政策を見る限り、コパの続く1月はプレー機会が増えそうですし、ハメスも不満を溜めることはないかも。 ▽それも土曜日午後1時(日本時間午後9時)からのグラナダ戦から、先発復帰を指揮官に保証されたロナウドやベンゼマ、すでにボールを使った練習を始めているルーカス・バルケスらが戻って来て、再びベンチ生活が続くとまた、その気がどう変わるかわからないんですが、FIFA処分のせいでこの冬の移籍市場では選手の新規登録ができないマドリーですからね。これから負傷者が増える可能性もありますし、まだ先の長いシーズン後半、今いる選手たちにはやる気を失わずに続けてもらうことが肝心。そういう点においても上手くチームを操縦しているジダン監督の手腕は評価されるべきですよね。 ▽そして新弟分のレガネスがベティスとアウェイ戦で日曜日に対戦して、マドリッド勢の年明け最初のリーガ戦が終わるんですが、コパでは32強対戦でバレンシアに敗退して、これが今年最初の試合となるアシエル・ガリターノ監督のチームには新年早々、新しいGKが加わるという朗報が。ええ、去年最後のエイバル戦でエレリンが退場となり、このベティス戦に出られないのがずっと懸念されていたんですが、正GKセランテスの長期離脱でアスレティックから緊急レンタルとなった彼同様、アルゼンチン1部リーグのオリンポ・デ・バイア・ブランカから加わった31歳のチャンパンもこの週末、到着早々のデビューとなるようです。現在、16位とまだ降格圏に近いレガネスですが、この試合に勝てば、14位の相手を追い抜くことも可能ですからね。幸先いい1年を始めるためにも白星を掴めるといいんですが…。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.07 08:45 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】ようやく休暇が終わった…

▽「まったく年の瀬だっていうのに忙しい」そんな風に私が首を振っていたのは金曜日、バレンシのプランデッリ監督辞任の報を知った時のことでした。いやあ、クリスマスのparon(パロン/休止期間)が始まって早々にはマラガのファンデ・ラモス監督が、コパ・デル・レイ32強対戦で2部のコルドバに2連敗、総合スコア3-6で敗退してしまったせいだったんでしょうかね。いきなりアル・タニ会長からツィッターで別れを告げられた後、この木曜には後任が同監督のスタッフを務めていたマラガOBでもある”ガトー”・ロメロ氏に決まったというニュースにも驚かされたんですけどね。 ▽予算的に期待通りの補強が叶わないと見て、ピーター・リン会長に辞表を出したプランデッリ監督の方はいよいよ、バケーションも終わってチームが練習を再開する直前の話だったとなれば、年明けは心機一転、レガネスを倒して進出したコパ・デル・レイ16強のセルタ戦1stレグも3日には控えていますしね。現在降格圏落ちをギリギリで免れているリーガ順位も改善しようと意気込んで、パテルナ(バレンシア郊外にある練習場)に出勤するつもりだった選手たちもどんなにショックだったことか。 ▽いえ、今季、4節でアジェスタラン監督が解任された時も中継ぎ役を務め、今回も後釜が決まるまで、緊急出動することになった本職、チーム付き役員のボロ監督は前回、担当した3試合を2勝1敗で乗り切り、過去にも同様の状況で常にいい成績を残しているため、再び彼が戻ってきてくれて、ファンがホッとしている面もあるはあるんですけどね。 ▽ただ、今季は早くも2度目の監督交代となったバレンシアは極端としても、グラナダ(パコ・ヘメスからルーカス・アルカラス)、オサスナ(エンリケ・マルティンからカパロス)、ベティス(グスアボ・ポジェからビクトル・サンチェス)、そしてマラガとまだシーズンも折り返していないのに、指揮官の首をすげ替えるチームはすでに5つ越え。私もようやくTV映像などで顔なじみなった頃、いつの間にか違う監督になっているのには当惑させられたりもしたものですが、未だにグラナダやオサスナが降格圏から脱出できてないように、上が代わったとて、選手たちは同じですし、なかなか即成績向上という訳にはいかないのは気の毒ですよね。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週はマドリッド勢も休暇が終わり、火曜からは先陣を切ってレアル・マドリーがバルデベバス(バラハス空港の近く)でセッションをスタート。バケーション前最後の試合が18日のクラブW杯決勝鹿島アントラーズ戦と、その次のミッドウィークにコパ32強対戦2ndレグを戦ったアトレティコやレガネスより早かったためですが、選手たちの中には、足首の手術をして、復帰予定が2月のベイルは当然としても、ペペやルーカス・バスケス、コバチッチら、まだ休暇前からの負傷が治りきっていないメンバーもいたとか。 ▽とりわけ後者2人は全治に2週間程かかるそうで、年明け4日の水曜日午後9時15分(日本時間翌午前5時15分)、リーガの上位陣対決となったセビージャとのコパ16強対決1stレグには間に合わないのが確定。まあ、といってもベイルの代わりのアタッカーにはイスコやアセンシオ、ハメス・ロドリゲスら、中盤も今はモドリッチ、クロース、カセミロが戻っているため、人材には事欠いていないマドリーですからね。2016年はCLとユーロ大会で優勝、バロンドールも受賞して最高の年になったと認めているクリスチアーノ・ロナウドも、自身のインスタグラムにクリスマソングをセミヌードで歌う姿を掲載(https://www.instagram.com/p/BOp9PdXAF9R/?taken-by=cristiano&hl=ja)したりして、相変わらずご機嫌なようですし、ジダン監督の無敗記録更新にはそれ程、支障ないような。 ▽ちなみに金曜の彼らは恒例のクリスマス期間に行う年1回の公開練習を実施して、バルデベバスの敷地内にあるアルフレド・ディ・ステファノ・スタジアムに5000人のソシオ(協賛会員)を招待。ピッチにジダン監督が獲得した3つのトロフィー(CL、UEFAスーパーカップ、クラブW杯)を展示したり、選手たちもスタンドにボールを投げ込むなど、ファンサービスに努めていたようですが、セッション後は全員がサンティアゴ・ベルナベウに移動すると、今季は日本行きがあったせいでしょうかね。例年より遅めのComida de Navidad(コミーダ・デ・ナビダッド/クリスマス昼食会)に参加することに。 ▽そしてクラブ幹部、マドリーのバスケットチームメンバーらも参加したパルコ(貴賓席)前ホールでのランチの後にはジダン監督、ラソ監督を始め、各選手が市内の病院を訪問し、病気の子供たちにプレゼントを配っていましたが、練習は大晦日も続行。ここ毎年そうなんですが、年明けすぐに試合があるため、元旦こそお休みしても、それ以外はずっとトレーニングというのは、コパを勝ち上がっていくと、1月中全てのミッドウィークが潰れるハードスケジュールに備えるためとはいえ、本当に大変ですよね。 ▽え、それで水曜夕方からマハダオンダ(マドリッド近郊)で練習を始めたアトレティコの方は何をやっているのかって?実はこちらは早くも試合をしていて、いえ、その28日はDia de Inocente(ディア・デ・イノセンテ/スペインのエイプリルフール)ということで、グリースマンがRNE(スペイン国営ラジオ)のドッキリ番組の犠牲者になったなんてこともあったんですけどね。おまけにアトレティコはマドリッド州政府のinocentada(イノセンターダ/嘘)の対象にもされ、「新スタジアムへの引っ越し手続き認定が間に合わず、来季はサンティアゴ・ベルナベウでレアル・マドリーと交代でホームゲームを行う」なんて公告がまことしやかにアップされていたりしたんですが、どうやらワンダ・メトロポリターノ・スタジアムから一番近いメトロ(地下鉄)の駅、7番線のエスタディオ・オリンピコ駅がエスタディオ・メトロポリターノ駅に8月から改名されるというのは本当のよう。 ▽それはともかく、翌木曜にも練習を続けた彼らは夜にはサウジアラビアに向けて出発。ジッダのキング・アブドゥラー・スタジアムを満員にして、創設90周年記念を祝うアル・イテハドと金曜に親善試合を行ったんですが、この休み明けの足慣らしではチームのいいところと悪いところがくっきり現れてしまうことに。 ▽ええ、バケーション入り直前のコパ、ギフエロ(2部B)戦に続き、再び右の中盤に入ったファンフランが前半23分、ガビのループパスを右足外側で浮かせてシュート。2試合連続のゴールで先制点を挙げてくれたのは、「Ha jugado toda la vida ahí/ア・フガードー・トーダ・ラ・ビダ・アイー(彼はずっとあそこでプレーしていた)し、常に攻撃的にいい選択肢を与えてくれる。今のブルサリコの好調と共にウチの右サイドに新しい可能性が生まれた」とシメオネ監督が言う通りなんですが、その1点で安心してしまうという、ここ最近のチームの悪癖は変わらず。 ▽うーん、年明けの連戦を鑑みて、ゴディンをこの遠征に連れて来なかったのも悪かったのかもしれませんけどね。前半終了直前、ケガから復帰したフィリペ・ルイスを含めて、ヒメネス、サビッチのCBコンビが敵に後れを取り、モハムド、アカイチに連続ゴールを許してしまうんですから、たまったもんじゃありません。それでも6人を入れ替えた後半には、今度はポジションをボランチに移したヒメネスが発奮。18分にはエリア内で敵のハンドを誘い、フェルナンド・トーレスのPKゴールのお膳立てをしたかと思いきや、26分にはコレアの放ったFKに頭で合わせ、とうとう逆転ゴールを奪ってくれたとなれば、シメオネ監督の実験も悪い結果ばかりではなかった? ▽結局、これで2-3として勝ったアトレティコでしたが、気になるのはこの日もグリースマンのゴールは見られなかったことで、もう無得点が2カ月近く続いていますからね。年明けには運気が変わって、また以前のようにガンガン、ゴールを入れてくれるようになるといいんですが、こればっかりはわかないのが辛いところかと。試合後、すぐ帰りの飛行機に乗ったチームは5時間のフライトを経て、早朝5時にバラハス空港に到着。大晦日も練習して、3日午後9時45分(日本時間翌午前5時45分)からのコパ16強対決、アウェイでのラス・パルマス戦1stレグに備えることになりますが、ジッダといい、カナリア諸島といい、暖かいところでの試合が続くのは、選手たちもちょっと嬉しいかもしれませんね。 ▽そして最後にコパの重荷から逃げることがマドリッドの新弟分、レガネスなんですが、こちらは年明け最初の試合が8日のリーガ、ベティス戦ということで、練習再開も木曜と遅め。ただその間もフロントは活発に動いていたようで、金曜にはオリンピアコスからレンタルで28歳のギリシャ人CBシオバスを獲得しています。更にGKの補強にも動いているようで、何せヒザの靭帯断裂で今季絶望となってしまった正GKセランテスの代わりに、12月にはアスレティックから来てくれたエレリンが年内最終節のエイバル戦で退場。ベティス戦は出場停止となってしまうばかりか、その次のアスレティック戦も契約条項でプレーできないんですよ。 ▽そのため、控えがリーガ1部初体験のバリオスだけでは不安ということでしょうが、まあ、それを言ったら、昇格組のレガネスだけにキリがないですからね。ここまでの戦いを見る限り、FWや攻撃的MFを増やして、課題の得点力も上げておきたいところですが、予算も限られているクラブだけにどうなることやら。幸い、年越えは降格圏から嬉しい勝ち点差4でできたことですし、何とかこのまま残留を勝ち取ってもらいたいものですが、2017年は彼らにとって、果たしてどんな年になるのでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.01.01 09:44 Sun
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【原ゆみこのマドリッド】いい結果で終われた…

▽「最後の最後でツイていたじゃない」そんな風に私が喜んでいたのは金曜日。お昼にあったコパ・デル・レイ16強対戦の抽選結果を知った時のことでした。というのもアトレティコの相手がラス・パルマスだったからで、何せ彼らにはリーガの年内最終節で1-0と勝ったばかり。もちろん贅沢を言えば限りなく、32強対決で1部のマラガを破ったコルドバ(総合スコア6-3)やエスパニョールをPK戦の末に退けた2部のマドリッド弟分であるアルコルコン(総合スコア2-2)といった、もっと格下になる可能性もなかった訳じゃないんですけどね。 ▽その2部の両者が16強で当たることになったのは、興行的にどうかという疑問も沸かなくはありませんが、その一方でお隣さんなど、水曜日にフォルメンテーラ(3部)を総合スコア14-2で粉砕したのみならず、今季はサンパオリ監督の下で一皮むけた感のあるセビージャとの対戦が決定。ええ、彼らは首位のレアル・マドリーと勝ち点4差、2位バルサとは1差のリーガ堂々3位というだけでなく、今季は前人未到のヨーロッパリーグ4連覇を諦め、CL決勝トーナメントに挑むことも決まっている絶好調なチームですからね。夏のUEFAスーパーカップでは延長戦で3-2と制したものの、そこからかなり成長していることを考えれば、ジダン監督の無敗記録が37試合で途切れてしまう恐れも十分ある? ▽おまけにバルサの相手もアスレティックとなったため、さすがにこのラウンドはMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)とピケをバケーションに行かせながらも7-0と大勝したエラクレス(2部B)戦2ndレグ程、容易には勝てないでしょう。リーガの4位と5位を占めるビジャレアルとレアル・ソシエダもどういう運命のいたずらか、ここで潰し合うことに。となると、準々決勝に残るチームは意外と手頃なメンツとなる目も出てくるため、結構、コパの先行きを期待してもいいような気もしたんですが、どちらにしろ、試合があるのは年明けの4日と11日の前後とまだ随分、先のことですからね。どのチームもクリスマスの休暇から帰ってきてみないことには、予想を立てるのが難しいといったところでしょうか。 ▽ちなみにそのアトレティコは、クラブW杯で優勝したマドリーがすでにバケーションに入っていた今週火曜日、32強対決のギフエロ戦2ndレグに挑んだんですが、試合の方での驚きも多少はあったんですけどね。それより異様だったのはギフエロのいで立ちで、アトレティコがrojiblanco(ロヒブランコ/赤と白)の第1ユニを着るビセンテ・カルデロンではさすがに、赤っぽい生ハム模様の地元名産品アピールユニは着られないだろうと安心していた私が甘かったんです! ええ、晴れの大舞台とばかりに、普段の緑色の第1ユニの左側に堂々とイベリコ豚の脚1本をプリントしてきたから、もう呆気に取られたの何のって。 ▽まあ、その奇妙キテレツさはアトレティコのオフィシャルページで試合のダイジェストが見られるので、そちらで堪能してもらえばいいんですが…。一応、どういう内容だったかお伝えしておくことにすると。1stレグで0-6と大勝していたアトレティコだったため、別段、張り切ることもなかったんですが、ありがたいことにここまで、あまりリーガで活躍できていなかった面々が発奮。ええ、17分には早速、ガイタンが先制点を決めると、22分にも彼のシュートがゴールバーを直撃。跳ね返ったボールをコレアが拾って、2点目にしてくれたから、ここしばらく、胃のキリキリするような展開しか目にしていなかったスタンドのファンもどんなに喜んだことか。 ▽更に29分には左サイドのスローインから、コレアが繋いで、最後はファンフランが3点目。もうこうなると、そのちょっと後にラウール・ルイスが2枚目のイエローカードをもらって、ギフエロが10人になる必要もまったくなかったんですが、そのおかげもあったんでしょうか。前半終了直前にはまたしてもコレアが仲介役を引き受け、フェルナンド・トーレスまで3カ月ぶりのゴールを決めてくれるんですから、やはり2部Bとは差があります。いえ、チェルチが2年ぶりにカルデロンのピッチを踏んだ79分、ピノのヘッドで不覚にもGKモヤが1点を取られてしまったなんてこともあったんですけどね。これでギフエロの選手たちも一矢を報いたと満足して、クリスマス休暇に入れるのでは(最終結果4-1)? ▽え、バケーション入りに一番、ウキウキしていたのは試合後の記者会見もすっ飛ばしてブルゴス第2監督に委任、アルゼンチン行きのフライトに間に合うよう、バラハス空港に直行していたシメオネ監督なんじゃないかって? まあ、確かにそうなんですが、その日は、グリーズマンやガビと一緒にお休みをもらったゴディンは別として、ガイタン、コレア、ヒメネスら、お勤めを果たした南米系の選手たちも大急ぎで着替えを終えて、フィジカルコーチのプロフェ・オルテガと一緒にターミナルを走っていたのが目撃されていますからね。練習再開の集合日は同じ27日でも、大西洋横断組は移動で実質の休日日数が減ってしまうため、少しでも早く出発したかった気持ちはわからなくもありませんよね。 ▽おかげで試合後、ミックスゾーンに姿を現したのも実家がフランスと近いルーカスぐらいだったんですが、当人もこのところ、フィリペ・ルイスがケガをしていたため、左SBとして連続出場できたのが嬉しかったんでしょうか。「Venimos de hacer un año increíble/ベニモス・デ・アセール・ウン・アーニョ・インクレイブレ(ボクらは信じられない1年を過ごしてきた)」と、2016年のアトレティコのパフォーマンスを絶賛。ただ突っ込むと、「ウチは昨季、リーガ優勝争いを残り2試合まで続けたし(3位)、CL決勝ではPK戦まで行ったし(マドリーにCL決勝2連敗)、コパでも戦った(準々決勝でセルタに敗退)」と、あと1歩が足らないという残念な結果ばかりなんですが、そこに加えて、今季は残り1節でグループリーグ首位突破を決めたCLはともかく、リーガが不安定で6位で年を越すという状態なのはあまり気にならない? ▽まあ、それも昔の彼らを思えば、相当進歩したと言えなくはないんですが、折しもこの23日の金曜日はシメオネ監督が来てからちょうど5年となる節目。そのため、本人は母国で家族と水入らずで過ごしていますが、休暇前に複数のメディアで取ったインタビューが公開されることに。その中では、「Va a ser difícil encontrar un equipo mejor que el Atlético en mi future/バ・ア・セル・デフィシル・エンコントラール・ウン・エキポ・メホール・ケ・エル・アトレティコ・エン・ミ・フトゥロ(将来、自分にとってアトレティコよりいいチームと出会うのは難しいだろう)」という当人の台詞が、このところ、ジェノアでプレーする長男のジョバンニや代理人をしている姉のナタリアさんから、インテル・ミラン行きをほのめかされていたこともあり、ファンにとっては一番嬉しかったかも。 ▽まあ、それも今季の成績次第というところなんでしょうが、とりあえず、アトレティコには年明けのコパでラル・パルマスを撃破、続いて7日の土曜日にはリーガのアウェイ戦でエイバルを倒して、少しずつでも順位を上げてほしいもの。そうそう、そのエイバルも水曜日には、乾貴士選手は出ていなかったものの、コパ32強対戦2ndレグでスポルティングを3-1で破り、総合スコア5-2で16強に進出。次はオサスナと当たることになっています。 ▽一方、クラブW杯に出発する前にクルトゥラル・レオネサ(2部B)を総合スコア13-2で圧倒し、コパ16強進出を決めていたマドリーを含めて、マドリッドの兄貴分たちが次ラウンドに意気揚々と挑むのとは対照的だったのはレガネスで、いえ、アシエル・ガリターノ監督も「Estamos un poco justos con mucha gente fuera del equipo/エスタモス・ウン・ポコ・フストス・コン・ムーチャ・ヘンテ・フエラ・デル・エキポ(ウチは多くの選手が戦力外でちょっと、人数的にギリギリだった)」と言っていたように、決してムリできるような状態でないことはわかっていたんですけどね。1stレグに続いて、水曜日の2ndレグでもバレンシアに2-1と負け、あっさりコパからの脱落が決定。 ▽いえ、それでもメスタジャの一戦ではロドリゴが2度のゴールポスト直撃を含む、5度のシュート失敗の後、ようやく決まった36分のゴールで先制されながら、後半早々にはマティスがゴール前の混乱から押し込んで1度は同点に。その後も惜しいチャンスを作りながら、最後は再びロドリゴに決められて沈むといった具合でなかなか、善戦はしたんですけどね。やはりない袖は振れないため、ここは1月の試合数が減ってくれたことが、現在、18位のスポルティングと同じ勝ち点でかろうじて降格圏外にいるバレンシアから、勝ち点差4でキープしている16位の座を死守する方に全力を注いだ方が賢いかと。 ▽何せ、年明け最初の日曜日、8日には同じく、総合スコア4-1でデポルティボに負け、コパを敗退。心おきなくリーガに専念できるようになったベティスと当たりますからね。前節のエイバル戦で乾選手にエリア外で激突、空中1回転させて退場になったGKエレリンが出場停止になるというハンディキャップもあるため、今元気な選手たちにはこのクリスマス休暇中、27日までは心と体を十分休めて、現在、勝ち点差2で追い越すことが可能な14位の相手を破ることができるといいのですが、さて。 ▽ちなみにFIFAによる未成年選手獲得に対する処分が、CAS(国際スポーツ仲裁裁判所)の裁定でこの冬のみの新規選手登録禁止のみに減ったマドリー、それに準じた結論が出るのを待っているアトレティコとは違い、レガネスは1月に補強ができるんですが、あまり噂が聞こえてこないのはやはり、予算が限られているせいでしょうかね。 ▽そして最後に先週日曜日の横浜で鹿島アントラーズを下して、今年3つ目のトロフィーを掲げた後、リーガの他チームに先んじて休暇に入ったマドリーに関してなんですが、やっぱり選手たちが世界中に散らばってしまったからでしょうか。CASの裁定を受けて、去年のデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)獲得失敗にも懲りず、来年の夏には同じく元アトレティコのクルトワ(チェルシー)を連れて来る算段を始めているとか、移籍を示唆したハメス・ロドリゲスは冬の市場で誰も獲れないため、絶対出さないとか、人事系以外の話題はほとんどない状態。 ▽いえ、休暇明けには30日に恒例のソシオ(協賛会員)対象公開練習をエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(バルデベバスにあるRMカスティージャのホーム)でやるとか、ジダン監督は自身がアシスタントをしていた2年前のアンチェロッティ監督時代、クラブW杯後にチームが不調に陥ったのを反省して、ハードなトレーニングメニューを用意しているとかいった程度はありましたけどね。 ▽おそらくしばらくはまたカーディフに戻り、リハビリを着々と続けているベイルのように、個々の選手がSNSで発信してくる情報で近況を探るしかないかと。そんなこんなで年内中は、私がお伝えする情報もあまりなくなってしまうかと思いますが、まだシーズンは半分以上残っていますからね。ファンが気を揉まずに済むこのクリスマス週間、私もノンビリできるのは嬉しいです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.24 10:55 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】順位は変わらなくても…

▽「そういえば、まだいたんだっけ」そんな風に私が思い出していたのは月曜日、アトレティコ、今年最後の試合となるコパ・デル・レイ32強対決2ndレグのギフエロ(2部B)戦にチェルチが招集リスト入りしたというニュースを聞いた時のことでした。いえ、2シーズン前にトリノから期待されて入団した彼がチームカラーに馴染めず、たった半年で最初はミラン、次はジェノアとレンタルに出た後、大きなケガをして、今季はずっとマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でリハビリを続けているのは知っていましたけどね。この冬の移籍市場でボローニャに移籍する話が決まっていると言われていたため、試合には出ないんだろうと思っていたところ、もしやシメオネ監督は昨今のゴール日照りに藁にもすがりたい気になっている? ▽ただ、そういう意味ではこのギフエロ戦は選手を試すのに最適で、何せ11月末の1stレグでは相手のご当地特産品プロモーション、ハモン・イベリコ模様のユニフォームに惑わされることもなく、彼らにしては珍しい0-6というgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で勝っていますからねえ。一応、シメオネ監督はお疲れ気味のグリースマン、ガビ、ゴディンには休みを与えたものの、ガメイロやカラスコ、フェルナンド・トーレス、コレアといった攻撃陣には最近、照準の狂いっぱなしのシュート力に磨きをかけるいいチャンス。火曜の午後9時(日本時間翌午前5時)からという遅い時間にキックオフなこともあり、ビセンテ・カルデロンが活況を呈する見込みはないものの、せめて胃のキリキリしない、「un equipo que termina un año extraordinario/ウン・エキポ・ケ・テルミナ・ウン・アーニョ・エクストラオルディナリオ(素晴らしい1年を終えたチーム)」(シメオネ監督)にふさわしい試合を見せてくれるといいのですが…。 ▽え、それでも先週末のアトレティコはようやく、エスパニョール戦、CLバイエルン戦、ビジャレアル戦と続いた3試合連続白星なしの悪い流れをラス・パルマス戦で断ち切ったんだろうって?まあ、そうなんですが、内容自体はあまり威張れたものではなく、先発したグリースマン、ガメイロ、カラスコのFW陣は相変わらず、チャンスをモノにできず。それでも後半13分には、グリースマンのシュートが敵DFに当たって跳ね返ってきたのをサウルがエリア外から撃ち込んで、これがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)になってくれたから、助かったの何のって! ▽ラス・パルマスが決定力に欠けているおかげもあって、1-0で逃げ切ることができましたが、実情は「Hemos logrado un 70% de posesion en el Calderon/エモス・ログラードー・ウン・セテンタ・ポル・シエントー・デ・ポセシオン・エン・エル・カルデロン(ウチはカルデロンでボールポゼッションが70%あった)」(ステイン監督)なんですから、ファンもちょっと寂しかったかと。そこへ、肩の脱臼で手術、長期離脱になってしまったオブラクの代わりに、1年以上ぶりでリーガでの先発に戻ったGKモヤに絶好機を阻まれたロケ・メサなどに、「Al Atletico ya lo conocemos, sin casi hacer nada te mete un gol/アル・アトレティコ・ジャー・ロ・コノセモス、シン・カシ・アセール・ナーダ・テ・メテ・ウン・ゴル(アトレティコのことはもうわかっている。ほとんど何もしないのにゴールを入れるんだ)」なんて言われてしまっては、もうほとんど立つ瀬がないような。 ▽それでもこの1点のおかげで、「Para nosotros el partido de hoy era una final/パラ・ノソトロス・エル・パルティードー・デ・オイ・エラ・ウナ・フィナル(ウチにとって、今日の試合は決勝のようなものだった)」(ゴディン)という、崖っぷちの状態を切り抜けることができたアトレティコですから、とりあえず結果オーライですが、週末が終わってみれば、バルサ(エスパニョールに4-1)、セビージャ(マラガに4-1)、ビジャレアル(スポルィングに1-3)、レアル・ソシエダ(グラナダに0-2)と上位陣は全て勝ち点3を獲得。リーガ6位という不本意な順位のまま、年越えすることに。 ▽まあ、自業自得と言ってしまえばそれまでですが、そんな中、最高の週末を過ごしたのはサウルで、自身がラス・パルマス戦で今季のリーガ初ゴールを挙げただけでなく、同日にはお兄さんのアーロン(テネリフェ、27歳)もマドリッドの2部チーム、アルコルコン相手に得点。翌日には長兄のジョナタン(アルコジャノ、31歳)も2部Bのバレアレス戦でゴールを挙げ、兄弟ハットトリックという珍しい記録を達成することに。うーん、傍目には、22歳で末っ子のサウルが一番いいカテゴリーでプレーしているのは、兄たちにとって、ちょっと複雑な気持ちになるんじゃないかと思ってしまうんですけどね。父親も元選手のサッカー家族だと、そういうのは実力の世界と、割り切れるもんなんでしょうか。 ▽そして、翌日曜は家でクラブW杯決勝を見た後、予想外の延長戦に時間が押し気味となりながら、セルカニアス(国鉄均衡路線)に乗って、ブタルケ(レガネスのホーム)を訪れた私でしたが、マドリッドの新弟分も出だしは良かったんですよ。ええ、前半23分にはエイバルの左SB、ルナがGKジョエルへのバックパスを誤り、ゲレロが先制点をゲットします。ところが、その2分後には大きな逆境に襲われてしまい、セランテがヒザの靭帯断裂で今季絶望になってしまったため、このところ、先発GKはアスレティックから急遽、レンタルしたエレリンが務めていたんですけどね。 ▽13分にもシュートを撃たれていたエイバルの乾貴士選手がボールを追って向かって行こうとしたところ、エリアを飛び出して相手に正面から激突。当人も「どうなったか、全然わからなかった」と後で言っていたんですが、宙で見事に一回転した彼には幸いケガはなかったものの、これでエレリンが一発退場となってしまったから、大変じゃないですか! ▽うーん、それでもレガネスは10人で一生懸命、リードを守ろうと頑張ったんですけどね。今季は2部に降格したヘタフェからエイバルに河岸を変えたペドロ・レオンもしっかり抑えていたんですが、後半30分、乾選手の代わりにピッチに入った、以前はラージョでもプレーしていたベベのシュートがアルベルト・マルティスに当たったのが運の尽き。エレリンの代役で、夢のリーガ1部デビューとなったレガネスB(3部)のGKバリオスを破り、1-1にされてしまったのは気の毒だったかと。 ▽結局、そのまま引き分けたレガネスは降格圏と勝ち点4差のまま、16位で2016年を終わることになりましたが、年内最終戦は水曜のコパ、バレンシア戦。ただ、こちらは1stレグのホームで1-3と負けていますし、今は負傷禍に襲われているため、余力がほとんどありませんからね。コパは下手に勝ち上がると、ミッドウィークが潰れて、1月が地獄のようなことになるため、リーガ1部1年生の彼らには重荷が早くなくなった方がありがたいかもしれませんね。 ▽え、ブタルケに来る前、ホテルでクラブW杯決勝を前半、ランチを取りながら、エイバルのチームメートたちと一緒に観戦、後半も自室で見ていたという乾選手は、マドリー相手に2ゴールを挙げた鹿島アントラーズの柴崎岳に感心していなかったかって?そうですね、これがキッカケになって、「スペインでプレーする夢が叶うといいね」と言っていましたが、彼の出場こそなかったものの、エイバルにも10月にサンティアゴ・ベルナベウを訪問した際には1-1で引き分けるという功績が。鹿島も「マドリーが相手をなめていたところを逆手に取った」(乾選手)おかげで90分では2-2の同点と、決して負けていませんでしたが、そこは決勝で「世界一のチーム」に当たってしまったのが不運だった? ▽ええ、リーガでは勝ち点1をゲットして、メデタシメデタシで終わるのとは違い、セルヒオ・ラモスの後半ロスタイム、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)弾こそありませんでしたが、鹿島はクリスチアーノ・ロナウドに同点PK、更に延長戦前半には勝ち越し、ダメ押し点を決めるハットトリックの活躍を許し、最後は4-2で敗北。マドリーが今年3つ目のタイトルを掲げることに。いやあ、スペインのマスコミ評では、ロナウドは最悪の試合をしながら最高の得点効率を挙げたと、もっぱら言われていたんですけどね。 ▽延長戦突入前、ラモスが金崎を倒しながら、ザンビア人のシカズウェ主審が2枚目のイエローカードを出さなかったのも批判されてはいたんですが、この時は「ya tenia ganas de que la suerte cambiara un poco de cara/ジャー・テニア・ガナス・デ・ケ・ラ・スエルテ・カンビアラ・ウン・ポコ・デ・カラ(ツキがもう変わってくれるように願っていた)」当人にラッキーな目が出たこともあり、晴れてトロフィーを受け取ることができたとなれば、2014年の大会では自分が獲ったMVPをロナウドに譲ったとしても全然、文句はないかと。いえ、そのプレーの時、最初は胸ポケットに手をやっていた同主審の後日談によると、あれは副審がカードなしのファールとイヤホンに連絡してきたのを、なしの部分を聞き漏らしたために起こった、単純なコミュニケーションミスだったそうですけどね。 ▽こういう時にこそ、FIFAが2018年W杯に向けて試験採用していたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が活躍すべきだったという意見もありますが、その辺はねえ。個人的にはたとえ、ラモスが減って10人になっていたとしても、そこはクラブの伝統として、根性のレモンターダがDNAに刷り込まれているマドリー。何だかんだで勝っていたんじゃないかと思いますが、苦労した分、優勝の喜びもひとしお大きくなったことでしょうし、始めからマジメにガンガン行っていればなんて、無粋なことは言わないに限りますって。 ▽そして試合後は、CL決勝に続いて、またしても出番のなかったハメス・ロドリゲスが、「オファーも来ているし、残留するかは確約できないよ。Estoy feliz en Madrid, pero quiero jugar mas/エストイ・フェリス・エン・マドリッド、ペロ・キエロ・フガール・マス(自分はマドリーにいて幸せだけど、もっとプレーしたい)」とぶちまけ、祝勝ムードに水を差したなんてこともありましたが、翌日にはチームもマドリッドに帰還。いえ、延長戦のせいで予定が遅れ、トロフィーと一緒の日産スタジアム場内一周にも加わらず、ダッシュでシャワーを浴びて空港へ直行、一足先にドバイでのバケーションに向かったモドリッチとコバチッチは一緒じゃなかったんですけどね。 ▽その他の選手たちは、日本にはいかず、手術後に静養していたカーディフから戻って来てから、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で父親同伴のリハビリを続けているベイル(https://www.instagram.com/p/BOM_-WFDppT/?taken-by=garethbale11)を除いて、27日までクリスマス休暇を満喫。最初に行った通り、年内最終節の結果で、後続とはそれぞれ勝ち点3ずつ縮まったマドリーですが、それでも2位のバルサとまだ勝ち点差3あるとなれば、新年からはライバルと交代でユニの胸にクラブW杯優勝のワッペンをつけてプレーできますし、気分の持ちようもかなり違うかと。 ▽一方、お隣さんは火曜のコパの後、28日までお休みですが、アトレティコには30日にサウジアラビアでアル・イティハッドと親善試合というお勤めも控えていますからね。順位のこともあって、あまりノンビリはしていられないかと思いますが、ラス・パルマス戦の後には「Intentar recuperar puntos en Liga, el partido a partido es asi, se suma tres a tres/インテンタール・レクペラール・プントス・エン・リーガ、エル・パルティードー・ア・パルティーオー・エス・アシー、セ・スマ・トレス・ア・トレス(リータでの勝ち点を取り戻す。1試合1試合ね。勝ち点3ずつ積んでいく)」(ゴディン)と、「ここ2カ月長期的な目標を見て、基本から外れていた」というガビと共に、原点回帰を誓っていたのはポジティブ。ここは心機一転、年明けから時間がかかってもCLだけでなく、リーガでも競い合うマドリッドの両雄の姿を見せてもらいたいものです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.21 01:35 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】今年はリーガもあと1試合…

▽「要は何でも良かったのね」そんな風に私が笑っていたのは金曜日、AS(スペインのスポーツ紙)のネットページに不思議な写真を見つけた時のことでした(http://futbol.as.com/futbol/2016/12/16/internacional/1481900151_429578.html)。いやあ、開けてみると、クラブW杯準決勝で勝利したレアル・マドリーに日本のマスコミが賛辞を贈っているという記事だったんですが、おやおや。適当に選んだ新聞の一面の上に写真を貼りつけたものだから、丁度、クリスチアーノ・ロナウドの頭上に「広島災害不明51人」なんて、毎日新聞の物騒な見出しがついてしまい、それも当人には気の毒だったんですが、何だか合点がいかず、目を凝らして、日付を見てみたところ、8月22日って、一体、どこから探してきたのか。 ▽うーん、隣の朝日新聞の日付は12月16日で辻馬は合ったんですが、こちらもジダン監督の横に「医療や介護 高齢者負担増」って見出しも何となく、嫌味な感じがしなくもなし。大体、これももう1つの準決勝の後、大阪から流れてきたらしいコロンビアのメディアに「ああいうのは5カ月に1回ぐらいある試合。今日また戦ったら、勝っているはずだよ。Ojalá hubiera sido una final contra Nacional, pero el fútbol es así/オハラ・ウビエラ・シードー・ウナ・フィナル・コントラ・ナシオナル、ペロ・エル・フトボル・エス・アシー(ナシオナル相手の決勝だったら良かったけど、サッカーはこういうもの)」と、母国のチームと対戦できないことをハメス・ロドリゲスも嘆いていたように、当初の目論見が外れたせい。 ▽ええ、マドリーが日曜にプレーするのがアトレティコ・ナシオナルなら、記者たちも楽だったんですが、それが急遽、鹿島アントラーズになってしまったものだから、せっかく予定していた、通訳なしで話せる対戦相手の監督や選手インタビューもいらなくなり、かといって、Jリーグのチームの情報をそんなに探し出せる訳でもないですからね。結局、鹿島は世界的に名の知れているジーコが選手や監督として在籍したクラブというぐらいの紹介しかされていないんですが、決勝相手が日本のチームとなったせいか、クラブ・アメリカ戦ではやたら空席の目立った日産スタジアムのスタンドが今度はチケット完売で埋まりそうなのは朗報でしょうか。 ▽まあ、そんなことはともかく、木曜の準決勝は私も午前11時半という奇妙な時間帯に家のTVで観戦できたんですが、選手たちにはまだ時差呆けもあったんですかね。別に敵にゴールを奪われる心配もほとんどなかったものの、ようやくクロースのスルーパスからベンゼマが決めて、マドリーに先制点が入ったのは前半ロスタイムに入ってからのこと。後半もロナウドが何度かシュートを撃ったんですが、バロンドール受賞4回目記念弾に懸ける当人の執念は、その日は筋肉痛でベンチ観戦をしたセルヒオ・ラモスが見守る中、因縁の93分を迎えるまで、実ることはありませんでしたっけ。 ▽ただ、そのゴール、ハメスからのパスをエリア内からロナウドが鋭く決めたgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)だったんですが、問題はこの時、試験的にFIFAがこの大会で使用しているVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)から連絡が主審に入ったようで、一度は得点とされたゴールがオフサイドの疑いで取り消され、その後、再度認められるというゴタゴタが。いえ、鹿島vsナシオナル戦のようにプレー再開から1分以上してから、思い出したようにPKを宣告したのとは違いましたし、今回の場合は点が入っても入らなくてもマドリーが勝っていたので、そんなに怒ることもないかと思ったんですけどね。やはり試合後には不満の声が多々聞こえてくることに。 ▽ええ、この日のMVPに選ばれたモドリッチなど、「No me gusta esto del vídeoarbitraje porque crea mucha confusion/ノー・メ・グスタ・エストー・デル・ビデオアルビトラヘ・ポルケ・クレア・ムーチャ・コンフシオン(このビデオによるジャッジは好きじゃない。混乱するからね)。こういうのはサッカーじゃないよ」とはっきり言っていましたし、ジダン監督も「テクノロジーで改善したいなら、誰にとってもより明確にならないといけない」と効果の程に疑問を呈していましたが、それも当然。ゴールを喜んだり、悔しがったりと、リアクションを何度もしなければならなかったロナウドだって、これじゃカッコがつかないと思ったんじゃないでしょうか。 ▽何はともあれ、0-2で勝ったマドリーは無敗記録を36試合に伸ばして日曜午後7時半からの決勝に進出。特にまだ、ローテーションをするなどの情報は入っていないんですが、準決勝後にランニングをしていたラモスとペペがスタメンに入れるかは微妙かと。いえ、前者などは前回の2014年には大会MVPを取ったいい思い出もあるため、出場する気満々で、ただでさえ、横浜は寒いらしいのに冷水浴(https://www.instagram.com/p/BOCljv2FuF8/?taken-by=sr4oficial)までしてリハビリに努めていますし、金曜のセッションでも猛アピールしていましたけどね。 ▽鹿島の攻撃陣がどれ程、優秀なのかはジダン監督も判断に迷うところでしょうから、バランとナチョのCBコンビがリピートという可能性もあると思いますが、とりあえずこの試合が終われば、マドリーはもうクリスマスのバケーション入り。年明けは1月4日前後のコパ・デル・レイの16強対戦1stレグから始まりますが、その相手も他のチームの32強対決2ndレグが来週終わり、組み合わせ抽選があるまでわからないため、当面はゆっくりできるかと。ええ、今週末のリーガ戦を来年に延期していても、2位バルサとは現在、勝ち点差6あるため、首位で年を超えることが確定しているせいで気も楽なはずですし、後はCL、UEFAスーパーカップに続く今年3つ目のタイトルを獲得して、有終の美を飾りたいといったところでしょうか。 ▽え、その間、最近非常に心配な状態になっているお隣さんは何をしていたのかって?まあ、月曜のビジャレアル戦が終わった後はミッドウィークに試合がないのもあって、毎日マハダオンダ(マドリッド郊外)の練習場でトレニーングに励んでいましたが、木曜にはアトレティコ恒例のメガクリスマスランチがロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)で、トップチームや女子チームの選手、スタッフ、従業員、選手OB、ペーニャ(ファンクラブ)代表など、総勢650人を集めて開催されることに。いえ、その前節に左肩を脱臼したGKオブラクは丁度、前日、ロンドンでベイルがお世話になったのと同じ、イギリス王室ご用達のキング・エドワード7世病院で関節鏡手術。最初の予想より短い2カ月で戻って来れそうだという朗報がありましたが、残念ながら、この食事会には出席できませでしたけどね。 ▽その代わりという訳ではないんですが、先日、ヘルニアのせいで日常生活に支障をきたすまでに至り、27歳で現役引退を表明したドミンゲス(メンヘングラッドバッハ)が招待され、古巣の仲間たちと旧交を温めていましたが、それ以外にもカラスコ、サウル、モヤ、ファンフランらはスポンサー関連のイベントに出席して、そこそこマスコミを賑わすことに。当然ながら、そんな席での質問は現在、6位まで落ちてしまったチームの不調ぶりについてだったんですけど、カラスコなどに言わせると、「para mí esto no es una crisis/パラ・ミー・エスト・ノー・エス・ウナ・クリシス(自分にとって、これは危機じゃない)」のだそう。 ▽曰く、「調子がいつより悪い時期があるのは当たり前。これまでウチはずっと高いレベルにあったんだから」だそうですが、でもねえ。たとえ、いいプレーができなくても勝てないと、とてもマドリーやバルサにはついていけないことをわかっている?一方、前節にチアゴが負傷したため、久々に先発できそうなサウルは、「ウチは堅い守備を取り戻さないといけないんだけど、敵も上手くやってくるからね」と最近、チームが大昔のように信じられないミスをして失点するようになってきた理由を説明。 ▽それでも「No bajamos los brazos y no vamos a parar hasta encontrar la solución/ノー・バハモス・ロス・ブラソス・イ・ノー・バモス・ア・パラール・アスタ・エンコントラール・ラ・ソルシオン(解決策が見つかるまで、ボクらは決して降参したりしない)」と前向きだったんですが、土曜のラス・パルマス戦ではサウルが右サイドに行って、コケがボランチに戻るらしいといった予測も。うーん、今季はシメオネ監督も何だか一貫性がないというか、あまり変えてばかりだと、サウルもコケも混乱してしまうんじゃないかとか、私にも思うところはあるんですが、こればっかりはねえ。 ▽その他、火曜に足の指を打撲したヒメネスは2日間で完治して招集リスト入り、先発ではGKがモヤ、右SBがファンフランからブルサリコにといったところが、ビジャレアル戦からの変更点ですが、コレアが累積警告で出場停止になったり、フィリペ・ルイスもまだ回復していないため、午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からの一戦はまた、ビセンテ・カルデロンのサポーターの応現頼みになるのかも。ちなみに来週には火曜のコパ32強対決2ndレグのギフエロ戦(1stレグは0-6の勝利)をプレーして、バケーションに入る彼らですが、できればその前に少しでもリーガの順位を上げて、30日のサウジアラビア遠征、アル・イティハッドとの親善試合に晴れやかな気分の臨んでもらいたいものです。 ▽そしてマドリッドの新弟分、レガネスは日曜にエイバルをブタルケに迎えるんですが、こちらもここ4試合勝利がないため、現在は降格圏と勝ち点3差の15位と少々、心もとない状況。多発しているケガ人も年内に戻って来られる選手はいないため、あまり期待はできないんですが、ただこのままのシーズン前半戦、ホームでは1勝だけとなってしまったら、1部での晴れ舞台に夢を抱いていたファンたちだって悲しいクリスマスになってしまうはず。となると、せっかく好調な乾貴士選手には悪いですが、やっぱり年内最後のリーグ戦はホームチームに花を持たせてあげたいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.17 14:45 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】差がひしひしと感じられる…

▽「へえ、日本は初めてなんだ」そんな風に私が意外に感じていたのは金曜日。横浜の三ツ沢スタジアムでの練習前に話していたマルセロの映像をTVのニュースで見た時のことでした。確かにここ3年で2度CLに優勝して、その度、クラブW杯に出ているレアル・マドリーですけどね。2014年はモロッコでの開催でしたし、その前のnovena(ノベナ/9回目のCL優勝のこと)は2002年とかなりの昔。となると、マルセロだけでなくセルヒオ・ラモスも日本未体験なのは当然で、もしや知っているのは当時現役だったジダン監督と、2008年にマンチェスター・ユナイテッドの一員としてトロフィーを掲げただけでなく、個人的な商業活動で何度も来日しているクリスチアーノ・ロナウドぐらいしかいない? ▽まあ、マドリーが月曜日の早朝に日本上陸してからのことは、こちらも大会初戦のオークランド・シティ戦で決勝点を挙げた鹿島アントラーズの金崎夢生選手のことを、ただMuとだけ表記し、一体どこの国の人なんだろうと私の首を傾げさせたAS(スペインのスポーツ紙)の帯同記者のように、どこか怪しげなスペインマスコミのフィルターを通してしかわからないため、あまり情報も伝えられないんですけどね。それより驚いたのは遠征に発つ前夜。そろそろ日付が変わるぐらいの時間でサンティアゴ・ベルナベウを出る直前に、ラジオ・マルカ(スポーツ専門局)のレポーターが「朝8時の飛行機で行く」とマイクに喋っていたのは決して私の聞き間違いではなく、選手たちがまだ真っ暗な午前5時半にはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場にスーツ着用で律儀に集合していたこと。 ▽いえ、もちろん前日のデポルティボ戦には、ジダン監督のローテーションでロナウド、ベンゼマ、モドリッチら、ベンチ入りしていない選手もいたんですけどね。それでもロナウドなど、2015年初頭にロシア人モデルのイリーナ・シャイクさんと別れて以来となる彼女連れでパルコ(貴賓席)観戦。後半ロスタイムにセルヒオ・ラモスの奇跡のremontada(レモンターダ)弾が決まるまで、21歳の元ブランドショップ店員兼モデル、ジョルジーナ・ロドリゲスさんと一緒に応援していましたし、他の2人だって試合は見ていたはずとなれば、やっぱり夜にも朝にも強くないとエリートクラブの選手にはなれないのかも。 ▽え、それより何でまた、デポルティボ相手にそんな綱渡りの試合になってしまったのかって? ベイルは長期リハビリ中なので仕方ないんですが、やはりBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)が1人もいないのは痛かったようで、前半のマドリーは得点が挙げられず。幸い、50分にはその日、先発CFのチャンスをもらったモラタがエリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決め、前日の夜にマジックショーの舞台でイタリア人モデルの彼女、アリス・カンペッロさんにプロポーズしたりして、舞い上がっているからダメなんだというファンからの批判をかわすことができたんですが、ここからデポルティボの反撃が始まったんですよ。 ▽そう、前半にもボルヘスが2度程、チャンスを掴んでいた彼らですが、RMカスティージャ出身のホセルがピッチに入ったことで、一気に形勢が逆転。63分にはカゼミロから敵エリア近くでボールを奪ったフロリン・アンドネがカルレス・ヒルに繋ぎ、彼からパスをもらって同点弾を決めたかと思えば、2分もしないうちにまたしてもフロリンからのアシストで2点目をゲットしているんですから、驚かせてくれるじゃないですか。これで試合前には、「El empate es bueno, muy bueno.../エル・エンパテ・エス・ブエノ、ムイ・ブエノ(引き分けならいい、とてもいい)」と言っていたガイスカ・ガリターノ監督の望みは叶いそうになったんですが、そこは35試合連続無敗のクラブ新記録が懸かっていたジダン監督。ルーカス・バスケス、マリアーノに続き、マルセロを投入して、DF3人体制で得点を目指したところ…。 ▽まずは83分、開幕前の夏にもこの冬にもリーガや国外のクラブからレンタルのオファーが尽きないにも関わらず、マドリーで成功するという夢を決して諦めることのないマリアーノがルーカス・バスケスのクロスを頭で流し込み、スコアは2-2に。その日は2位のバルサもオサスナに0-3と勝っていたものの、それでも勝ち点差はまだ4ありましたし、記録更新という意味ではここで終わっても構わなかったんですが、ロスタイムに入って、お馴染みの彼が発奮してしまったんですよ。 ▽いえ、2014年のCL決勝や先日のクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)でCKを蹴ってくれた心の友、モドリッチはいなかったんですけどね。「Teniamos muchas veces hablado ese corner, lo habiamos visto mil veces/テネモス・ムーチャス・ベセス・アブランドー・エセ・コルネル、ロ・アビアモス・ビストー・ミル・ベセス(ウチは何度もCKのことを話し合って、何千回も映像を見ていた)」(ガリターノ監督)デポルティボのDF陣を振り切って、クロースからのボールをヘッドで叩き込んでしまったとなれば、「A Sergio Ramos se le puede parar con una gripe.../ア・セルヒオ・ラモス・セ・レ・プエデ・パラール・コン・ウナ・グリペ(ラモスを止められるのはインフルエンザだけ)」(ホセル)という答えは正解? ▽ただ、ガリターノ監督は「ロスタイムが5分と出た時、マドリーが得点するまで終わらないとわかった」と文句を言っていましたが、ラモスのゴールは今回、92分。むしろCKを与えないようにするとか、事前の策を講じるべきだったと思いますが、ジダン監督によると、「マークすることはできるが、ラモスは頭がいい。よく動いて常にボールが落ちるところにいる」そうですし、ゴール生産責任者の1人であるモラタに至っては、「No se como lo hace Ramos, pero siempre lo hace/ノー・セ・コモ・ロ・アセ・ラモス、ペロ・シンプレ・ロ・アセ(ラモスがどうして入れるのかわからないけど、いつもやるね)。ボクにも入れさせてもらいたいよ」なんて羨むばかりでしたからね。 ▽実際その日、お決まりで試合後、かなり遅くなってミックスゾーンに出て来た当人曰く、「Con ilusion, fe y entusiasmo hasta el final las cosas se dan/コン・イルシオン、フェ・イ・エントゥシアスモ・アスタ・エル・フィナル・ラス・コーサス・セ・ダン(最後まで夢と信念と情熱を持ち続ければ、物事は上手くいく」そうなんですけどね。ちなみにそのコメントを聞いた時には背の高いスペイン人記者が前に沢山いたため、横の方から伺っていた私はラモスの左手には甲にまでタトゥーがあるのを見て、驚いていたんですが、ずっと手をポケットに突っ込んだままだったのは、新作の各指の赤い数字を日本到着まで秘密にしておきたかったから? まあ、そんなことはどうでもいいんですが、クラブW杯準決勝、木曜日のクラブ・アメリカ戦や日曜日の決勝では、そのマドリーの伝統芸を日本のファンも目の辺りにする機会があるかもしれませんよ。 ▽一方、その土曜日にはマドリッドの新弟分、レガネスが前節のビジャレアル戦でスコアレスドローを演じた後、得点するというハードルを超えたものの、ラス・パルマスに先制点を奪われていたため、1-1でやっぱり引き分けに終わったなんてこともあったんですが、概ね平和に過ごした日曜日の後、災厄が訪れたのは月曜日。いえ、昼間に行われたCLベスト16抽選ではマドリーがナポリと、アトレティコもレバークーゼンと当たったため、レスター・シティを引いたセビージャ程ではありませんでしたが、PSGとまたしても当たることになったバルサなどよりは遥かに安心できたんですけどね。 ▽近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)にビジャレアル戦を見に行く前、バロンドール賞はロナウドが受賞と発表されたことも世間の予想通りだったため、それはそれで良かったんですが、まさか今になって、アトレティコ恒例の冬のcrisis(クリシス/危機)が再来しようとは! うーん、その兆候はすでにマドリーダービーの頃から現れていたような気はするんですけどね。エル・マドリガルでの彼らは開始から15分ぐらいまで、まるで「Hemos salido dormiendo/ヘモス・サリードー・ドルミエンドー(ウチは眠ったままピッチに出た)」という、懐かしい言い訳がピッタリの状態で、そこから少しは目覚めたものの、27分にはこれまた、ダメダメだったシメオネ監督時代前の悪癖、守備の大ポカが発現。 ▽今回はチアゴでバックパスをロベルト・ソリアーノに奪われ、ゴディンもボールを取り戻すことはできず、最後はトリゲーロスのシュートでビジャレアルに先制点を献上してしまったから、呆れたの何のって。その直後にチアゴがサウールと交代となったため、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)のコメンテーターなど、「シメオネ監督はパコ・ヘメス化してるんじゃ」なんて、現在2部にいるラージョや今季の始めはグラナダを指揮していた、ミスった選手をすぐ代える名物監督(今はメキシコのクルス・アスール)を引き合いに出していましたが、これは当人がヒザの痛みを訴えたせいだったと後に判明。ただ、その先の悲劇に比べれば、まだこんなの、ほんの序の口ですって。 ▽というのも37分にはGKオブラクがパトのシュートを不用意に弾き、詰めていたドス・サントスに2点目を決められてしまったんですが、そのプレーで彼が左肩を脱臼。翌日の検査で手術が必要、全治3、4カ月となってしまったとなれば、彼は昨季のサモラ(リーガで失点率が最も低いGK)ですからね。試合のその後を引き受けたモヤがプレシーズンから数カ月負傷のリハビリをしていたため、一旦はレンタルが決まっていた若いモレイラを呼び戻しておいて先見の明があったなんて、誰も喜べませんよ。 ▽この2人の交代で残り枠が1つになってしまったシメオネ監督には結局、その日はやることなすこと的はずれでイエローカードまでもらい、次節は累積警告になってしまったコレアを後半途中から、カラスコにするぐらいしか打つ手がなくなってしまったんですが、そんな時、哀しいのはアトレティコにはお隣さんに備わっているレモンターダ体質がないこと。いえ、それにはグリーズマンがここ8試合、ノーゴールと不調なのも影響しているんですけどね。とにかく1点でもと、捨て身で攻めていた後半ロスタイムには、ソリアーノに3点目を決められ、とうとう順位も6位まで落ちてしまったって、これが冬の危機でなかったら、一体何なんでしょう! ▽うーん、アトレティコの旧時代を知らないサビッチなど、「昨季はバルサと勝ち点差12ついたけど、最後は3になった。Queda Liga, Champions, Copa, no está todo finalizado/ケダ・リーガ、チャンピオンズ、コパ、ノー・エスタ・トードー・フィナリサードー(リーガもCLもコパ・デル・レイも残っている。まだ全部終わってないよ)」と試合後も前向きでしたけどね。現実的には「Estamos jodidos. La Liga se pone muy cuesta arriba/エスタモス・ホディードス。ラ・リーガ・セ・ポネ・ムイ・クエスタ・アリバ(皆、最悪な気分だよ。リーガはとても大変になった)」(ガビ)という方が真実に近いかと。 ▽実際、このままで来季、堂々完成オープンの新スタジアム、ワンダ・メトロポリターノでヨーロッパリーグを戦うことになったら、下手に収容人数が増えた分、空席も目立つのではないかと、私など戦々恐々しているんですが、一番気に懸かるのはシメオネ監督が「チームは戦っているし、よく働いて、勝つために努力しているが、los resultados no nos están favoreciendo/ロス・レスルタードス・ノ・ノス・エスタン・ファボレシエンドー(結果がウチに味方してくれていない)」と言っていたことで、だってこれって、ツキがないって意味ですよね。 ▽もちろん、プレーにこれまでのような激しさがないとか、ゴディンやガビ、ファンフランらベテランのプレーレベルの低下、そしてコケやサウールら若手の至らなさなども言われてはいますが、以前、チームが危機に陥った場合、アトレティコの解決方法は単刀直入に監督の交代。といっても、たとえ選手たちが5年続く同じ指揮官に飽きてきているのかもしれないとしても、大功労者であるシメオネ監督を簡単にクビにできる訳もありませんし、それ以上の監督だって滅多にいないとなれば、やっぱりチーム揃ってお祓いにでも行くしかないのでは? ▽そうこうするうち、火曜日の練習ではヒメネスも足をケガしたなんて報も入ってきたため、本当に何かに憑かれているんじゃないだろうかと心配になった私でしたが、年内のリーガ戦はまだ1試合ありますからね。土曜日のラス・パルマス戦になりますが、せめてその際には首位のマドリーと12差に開いた勝ち点を、彼らが延期したバレンシア戦を来年こなすまでですが、とりあえず9に戻して、クリスマスのparon(パロン/リーガの休止期間)に入ってもらいたいかと。いやあ、アトレティコを見ていて、こんな憂鬱な気分になるのは私も久々ですが、それだけ事態が深刻ってことでしょうかね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.14 13:08 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】一応、CLの順位は上だけど…

▽「今のやつの方が好きかな」そんな風に私が感じていたのは金曜日、来季からアトレティコがホームとするペイネタ・スタジアムの正式名称がワンダ・メトロポリターノになったと発表されたプレゼンで、同時にクラブのエスクード(紋章)もリニューアルされると知った時のことでした(http://www.atleticodemadrid.com/noticias/el-escudo-evoluciona-para-la-temporada-2017-18)。いやあ、このチームカラーの赤白ストライプをメインにマドリッドの象徴であるoso(オソ/熊)がmadrono(マドローニョ/ヤマモモの木)に乗りかかっている図柄が左上に入っているデザインは、今年も回りの黄色い縁取りを取ったとかで、細々とは変わっているんですが、基本は1947年から大体同じ。 ▽それが何故か、いきなり熊の向きが反対になったかと思いきや、アクセントになっていた木の葉の緑部分まで青くなったせいで、どこか茫洋としてしまった感は否めませんが、まあ、慣れの問題でしょうかね。逆にスタジアム名は、スポンサーの中国企業の名前はお約束で仕方ありませんが、ビセンテ・カルデロンができる前、1955年から1964年まで使っていたメトロポリターノを入れたため、プレゼンに出席したフェルナンド・トーレスが契約更新の希望を込めて、「いつか祖父に『ボクもメトロポリターノでプレーした』って言えるかも」と話していたように、年期の入ったファンの心はもちろん、若いファンの耳にもそこそこ恰好良く響くのではないかと思ってしまうのは私だけ? ▽いえ、だからって、「En 24 años que tengo sólo conocí un escudo y un estadio del Atlético de Madrid/エン・ベインテクアトロ・アーニョス・ケ・テンゴオ・ソロ・コノシ・ウン・エスクード・イ・ウン・エスタディオ・デル・アトレティコ・デ・マドリッド(24歳のボクはアトレティコの紋章もスタジアムも1つしか知らない)」と言っていたコケが、「悲しいけど満足もできる。だって、ボクらがサッカーで到達したレベルと同様、他の全ての面でもクラブが世界的なレベルになってきたってことだから」という意見には、諸手を挙げて賛成する気にはなりませんけどね。 ▽というのも、今のところ、新スタジアムには最寄りにメトロ(地下鉄)の駅がなく、セルカニアス(国鉄近郊路線)の駅からかなり歩かないといけないことや、来季の開幕から2試合は準備が間に合うかどうか不明で、LEP(スペイン・プロリーガ協会)にアウェイ戦にしてくれるよう頼んだりしているのはともかく、最近の彼らはそんなにサッカーの面で成長したところを見せているとは言い難くなってきているからですが、やっぱり一番わかっているのは最後にコメントしたシメオネ監督。曰く、「新スタジアムについてはもう言い尽くした。Ahora hay que ganar el domingo/アオラ・アイ・ケ・ガナール・エル・ドミンゴ(今は日曜に勝たないといけない)」ということで、本質はその通りですから、次のビジャレアル戦は月曜なんだがというツッコミはなしにしましょうね。 ▽ちなみにどうしてまた、私がアトレティコのサッカーに疑問を抱いてしまったのかというと、もちろん今週あったCLグループリーグ最終節、バイエルン戦のせいで、いえ、前半27分にレバンドフスキにFKを決められ、そのまま1-0で負けてしまったのは、すでに首位突破は確定していましたし、6戦全勝チームはCL優勝したことがないというジンクスもあるため、別にいいんですけどね。点が取れそうなチャンスは前半15分までにカラスコがGKノイアーに弾かれた2本のシュートぐらいで、それ以降は向こうも本気でなかったにも関わらず、バイエルンの独壇場。「Todos hemos estado atras ayudando a defender/トードス・エモス・エスタードー・アトラス・アジュダンドー・ア・デフェンデール(ボクらは皆、下がって、守備に協力していた)」(グリースマン)という状態だったなれば、どんなにこちらのフラストレーションが溜まったことか。 ▽それでも終盤には少しは反撃を仕掛けたため、シメオネ監督は「Me quedo con los ultimos quince minutos, donde el Atletico volvio a ser lo que debe ser/メ・ケド・コン・ロス・ウルティモス・キンセ・ミヌートス、ドンデ・エル・アトレティコ・ボルビオ・ア・セル・ロ・ケ・デベ・セル(自分は最後の15分間が気に入った。アトレティコがそうでなければいけない姿に戻ったからね)」と満足を示していましたが、いや、ノイアーの純白のユニフォームは最後までまったく汚れてなかったですよ。おまけに先週末のエスパニョール戦同様、それどころか、マイナス4度でもっと寒かったアリアンツ・アレナでは尚一層、3本とパスが続かないのを見せられれば、たとえこのグループリーグ、6試合で32チーム随一のチーム走行距離703キロを記録したと聞いても、「そりゃあ、ミスパスであれだけボールを取り戻すのに駆け回っていればねえ」と思ってしまう私はもしや意地悪? ▽いやあ、敵方のアンチェロッティ監督など、気の毒に思ったのか、「Este Atleti tiene ahora mas calidad/エステ・アトレティ・ティエネ・アオラ・マス・カリダッド(今のアトレティコはより高い質を持っている)」と褒めてくれていましたけどね。丁度、その試合の直前には、これもアトレティコのカンテラーノ(下部組織出身の選手)故の間の悪さなのでしょうか。2012年にボルシア・メンヘングラッドバッハに移籍したCBドミンゲスが背中の負傷がずっと治らず、「A nadie le gustaría ser un inválido con 27 años/ア・ナディエ・レ・グスタリア・セル・ウン・インバリドー・コン・ベインテイシエテ・アーニョス(誰だって27歳で障がい者にはなりたくない)」と自身のSNSで引退を発表。それに選手たちもショックを受けてしまったのかもしれませんが、当のメンヘングラッドバッハも同日、カンプ・ノウでアルダ・トゥランにハットトリックを決められたりして、4-0でバルサに惨敗していましたからね。 ▽実際、この最終節で勝っても負けても火曜組のスペイン勢が来週月曜のCLベスト16組み合わせ抽選でシードチームとなるのは決まっていたため、ルイス・エンリケ監督も「seguro que nos tocara el mejor o el que mas puntos lleve/セグロ・ケ・ノス・トカラ・エル・メホール・オ・エル・ケ・マス・プントス・ジェベ(きっとウチは一番のチームが最も勝ち点の多いチームと当たるだろう)」と言っていた通り、バルサにはバイエルンやPSGといった強豪を引き当ててもらいたいものですが、何にせよ、決勝トーンメントは2月後半の話。 ▽今はむしろ、これでまたグリースマンのノーゴール時間が700分近くに伸びてしまったことや、せっかく先発に抜擢されながら、今回もガイタンは実力を見せることができなかったことなどが心配なんですが、さて。木曜にヨーロッパリーグのステアウア戦に2-1と勝って、グループ突破を決めたビジャレアルとの月曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からの試合に向けての数少ない、いいニュースは、フィリペ・ルイスは太もものケガが再発して年内はプレーできなくなってしまったものの、バイエルン戦で左SBを務めたルーカスが大いに信頼できることが再確認できたことでしょうか。 ▽そして翌水曜はサンティアゴ・ベルナベウに足を運んだ私でしたが、こちらはレアル・マドリーの1位がまだ確定していなかったせいで、fond sur/フォンド・スール(南側ゴール裏スタンド)には華々しい垂れ幕も現れ、前日よりは両チームにも緊張感があったんですが、前半28分にはカルバハル、後半8分には久々に先発に復帰したハメス・ロドリゲスからのクロスでベンゼマが2得点。もうそれでマドリーが逆転首位で終わるかと思われたんですけどね。香川真司選手は負傷で来ていなかったものの、相手が近年、マドリーと撃ち合いを演じてきたドルトムンドだったのが災いしました。 ▽そう、それまでも攻撃の回数では決して負けていなかった彼らは後半15分、シュメルツァーのパスを、「マドリーでいつかプレーすると祖父と約束した」というオーバメヤングがゴールにして、ペレス会長に猛アピール。これで1点を返すと、トゥーヘル監督は風邪気味だったロイスと若いエムレ・モレを投入して更に畳みかけることに。時間はかかりましたが、43分にはこの交代が功を奏して、今度はオーバメヤングのアシストからロイスが押し込み、とうとう同点になってしまったのですから、スタンドもガッカリしたの何のって。ええ、これでマドリーはまた2位に逆戻りです。 ▽結局、その日はロスタイムにセルヒオ・ラモスの奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)弾も生まれず、試合は2-2の引き分けで終了。うーん、終盤の失点をマルセロなどは「el empate final ha sido mala suerte/エル・エンパテ・フィナル・ア・シードー・マラ・スエルテ(最後に引き分けになったのは運が悪かった)」と言っていましたが、いえいえ。それでもジダン監督は34試合連続無敗というクラブ記録に並びましたし、何せ、今季は2位終了チームに強豪が少なくないという特殊な状況にありますからね。同日、リヨンとスコアレスドローに持ち込んで、やはり2位で突破したセビージャもそうですが、アーセナルはともかく、レスター・シティやモナコ、ナポリなら十分、ベスト16で勝ち目があるかと。 ▽ちなみにジダン監督の当たりたくない相手はユベントスなんですが、ファン的にはようやくこの日の試合で今季不調の汚名を払拭したベンゼマと、かつて彼とCFの座を争ったイグアインの元同僚対決なんか興味が持てますし、ケガが治ってドルトムンド戦に途中出場したモラタも2年間、お世話になった修行先の先輩たちに自身の成長を見てもらいたいことでしょうしね。そう思えば、結構、悪くないカードでは?ただ、その対戦相手が決まる前に彼らにも、クラブW杯のために日本に発つ前日の土曜、年内最後となるリーガ戦が控えています。 ▽え、相手は16位のデポルティボなんだから、ジダン監督が連続無敗の新記録を達成するどころか、かなりの可能性でgleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が期待できるんじゃないかって?いやあ、それが前節のデポルティボはレアル・ソシエダ相手に5-1と大勝をしていて、月曜のオープン放送枠だったため、TVを横目で見ていた私も呆気に取られた程の景気の良さ。それでもチーム力に自信を持つジダン監督は金曜日、クリスチアーノ・ロナウド、ベンゼマ、モドリッチに休養を与えるため、招集リストに加えないことにしたから、驚いたの何のって。 ▽いえ、確かに2位のバルサと勝ち点差6というのは余裕ですし、日本までの長距離移動をした後、来週木曜には準決勝、日曜には決勝を戦って、CL、UEFAスーパーカップに続く、今年3つ目のタイトル獲得を目指しているマドリーにしてみれば、とりわけドルトムンド戦で冴えが見えなかったロナウドとモドリッチにはエネルギー満タンでいてもらいたいところでしょうけどね。クロースが中足骨の骨折から早期回復、カセミロも徐々にリズムを取り戻してきている上、コバチッチやイスコ、ルーカス・バスケスらも出場すれば、高いレベルで仕事をするため、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)抜きでも不安はないんでしょうが…それにつけても世の中は不公平。 ▽だって、昇格したばかりの少ない予算で選手をかき集めながら、マドリッドの新弟分、レガネスなど、この土曜のラス・パルマス戦でも負傷欠場者が8人もいるんですよ。現在、順位は15位ですが、降格圏との差もいよいよ勝ち点2となって、お尻に火がついている状態なんですが、こればっかりはねえ。先週末のビジャレアル戦は緊急補強のGKエレリン(アスレティックからレンタル移籍)が活躍して、0-0で乗り切ったものの、果たして今度は得点の方まで手が回るかどうか。マドリーとその来年に持ち越される16節の相手のバレンシア以外、年内のリーガはあと2試合。ここで勝ち点を溜められるかどうかで、クリスマスのシャンパンの味も変わってきますから、レガネスの選手たちも頑張れるといいのですが…。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.10 10:23 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】引き分けにもイロイロある…

▽「だから、勝たなくていいって!」そんな風に私が反応してしまったのは月曜日。ミュンヘンのアリアンツ・アレナで行われたアトレティコのCLグループリーグ最終節前記者会見の様子を知った時のことでした。いやあ、このところ、ベテランのチアゴに先発の座を取って代わられ、出番の減っているサウールですし、昨季の準決勝バイエルン戦1stレグの決勝点、FIFAのプスカシュ賞にもノミネートされたgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げている身とあって、「Saldremos a ganar en un partido muy complicado/サルドレモス・ア・ガナール・エン・ウン・パルティードー・ムイ・コンプリカードー(とても困難な試合に勝つつもりでピッチに出る)」と、やる気になっているのはわかるんですけどね。 ▽せっかくここまでグループで5連勝しているんだから、泣く子も黙るドイツの強豪を最後に倒して全勝したら、カッコいいだろうと選手たちが思ってしまうのも人情と言えば、それまでですが…。もしや彼ら、CLのグループステージで6勝を挙げている6チームが、そのシーズンに優勝していないことを知らない? ええ、身近な例ではモウリーニョ監督時代の2011-12シーズンや、アンチェロッティ監督時代の2014-15シーズンのお隣さんですが、どちらも準決勝で敗退の憂き目に。そう思うと、もちろんUEFAからの勝利報酬もありますから、負けて一銭ももらえないのは勧められないにしても、せいぜい引き分けに留めておくのがまずは無難かと。 ▽え、シメオネ監督が「Hay veces que el orgullo cuenta mucho más que los puntos/アイ・ベセス・ケ・エル・オルグージョ・クエンタ・ムーチョ・マス・ケ・ロス・プントス(時に勝ち点より誇りが頼りになることもある)」と言っていたのは、2014年にマドリー悲願のデシマ(10度目のCL優勝)をプレゼントしてしまった選手たちが、その時の悔しさをバネに頑張ってくれるだろうと当てにしてのことじゃないのかって? うーん、土曜日のクラシコ以来、TVでは一生悔いても悔やみきれない、あのシーンの映像が何度も流れていますからね。すでに頭の中は今年5月の悲劇(ミラノ編)に上書きされていた選手たちだったとて、やっぱりアンチェロッティ監督のチームには意地を見せたいのかも。 ▽そんなことはともかく、まずはそのクラシコがどうだったのかを語っていかないと。いやあ、予定通り、キックオフの1時間前には近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行って、ガッチリ席を確保。ランチを食べながら始まるのを待った私でしたが、スタメン発表で意外だったのは、どちらのチームも負傷上がりのイニエスタ、カゼミロをベンチスタートにしたことでしょうか。とりわけバルサの方はチームのゲームメーカーがいないのが響いたか、序盤はセルヒオ・ラモスがルイス・スアレスに乗りかかってしまうなど、相手の体を張った守備に正面からぶつかって、なかなかチャンスが作れない結果に。 ▽かといって、マドリーが得点できた訳でもなく…。何せ、どういうタイミングか、その日に2009年から、1億5000万ユーロ(約185億円)にもなる肖像権収入をタックスヘイブンの会社に迂回させ、本来の4%程度の税金しか払っていないと、エル・ムンド(スペインの一般紙)で暴露されたクリスチアーノ・ロナウドが、カンプ・ノウのスタンドから「Hacienda somos todos, Crisiano paga ya/アシエンダ・ソモス・トードス、クリスティアーノ・パガ・ジャー(オレたち皆が税務署だ。クリスチアーノ、さっさと払え)」と歌われたことも影響したんですかね。前半の終盤に撃ったシュート、2本ともGKテア・シュテーゲンに止められていましたが、元々、この歌は名前の部分をメッシにして、スペインの様々なスタジアムで歌われていたもの。だとしたら、オリジナルの方もいい気はせず、前半中の枠内シュートがGKケイロル・ナバスにキャッチされたFK1本のみで終わってしまったのも無理はなかった? ▽それでも後半にはスコアが動き、52分には右サイドからネイマールが蹴ったFKを、ヴァランを出し抜いたルイス・スアレスがヘッドで決めてバルサが先制点をゲット。そこからルイス・エンリケ監督がイニエスタを投入し、ゲームの主導権も奪われてしまったため、ジダン監督は対抗策にイスコを引っ込め、カゼミロを入れたんですが、「Ser mas ofensivos/セル・マス・オフェンシボス(もっと攻撃的にしたかった)。少しリフレッシュして、コバチッチとモドリッチを前に出してね」という指揮官の意図に納得できなかったのは、ベンチで八つ当たりしていたイスコだけではなかったかと。ええ、結局、これだけでは足らず、マドリーは76分にはベンゼマをアセンシオに、80分には何と、先日のコパ・デル・レイ32強対戦2ndレグでハットトリックを挙げたマリアーノまでピッチに入れ、藁にもすがる気持ちで同点を目指したんですが…。 ▽いよいよアディショナルタイム入りが近いという90分、またしてもお馴染みの救世主が登場したんですよ! それはもちろん、2年前のダ・ルス(ベンフィカのホーム)で、そして今年の夏、セビージャと対戦したUEFAスーパーカップでも延長3分に起死回生の同点ゴールを挙げたラモスで、いえ、ルイス・エンリケ監督は事前に「Habia indicacion de no hacer falta si un jugagor del Madrid esta de espaldas a la porteria/アビア・インディカシオン・デ・ノー・アセール・ファルタ・シー・ウン・フガドール・デル・マドリッド・エスタ・デ・エスパルダ・ア・ラ・ポルテリア(マドリーの選手がゴールに背を向けていたら、ファールはするなという指示はしていた)」ものの、血気にはやって、ついマルセロを自陣エリア近くで倒してしまったのが、元アトレティコのアルダ・トゥランというのも何かの前兆だったのかもしれませんけどね。 ▽そのFKのキッカーに立ったのはモドリッチ。これもリスボン決勝でのCKと同じですが、そのボールを見事に頭で押し込んで、土壇場で同点ゴールをもぎ取ってしまったとなれば、ただただ感服するしかないじゃないですか。いえ、後でモドリッチは「Ha venido Sergio a vacilarme y me ha dicho: !menos mal que me has puesto una bien eh!/ア・ベニードー・セルヒオ・ア・バシラールメ:メノス・マル・ケ・メ・アス・プエストー・ウナ・ビエン・エー(セルヒオがボクをからかいに来たんだ。幸いにもいいボールを蹴ってくれたねって)」と話していましたけどね。加えて、このセットプレーは「Sale natural, no lo ensayamos/サレ・ナトゥラル、ノー・ロ・エンサジャモス(自然に生まれるんだ。練習はしていない)」そうですが、いやいや、それもチームメートの尽力があってこそ。 ▽というのも、そのシーンの映像を見てみると、ルーカス・バスケスがピケをラモスに近づけないようにこの手あの手でマーク。おかげでラモスはマスチェラーノを振り切って、フリーでヘッドすることができたんですが、ピケ自身も「ルーカスはボクを邪魔することに専念していて、行きたかったところに行かせなかった。Supongo que saben que soy el mas alto del equipo e importante en esas jugadas/スポンゴ・ケ・サベン・ケ・ソイ・エル・マス・アルト・デル・エキポ・エ・インポルタンテ・エン・エサス・フガダス(自分がチームで一番、背が高くて、こういうプレーで重要な役目があるのを知っていたのだと思う)」と証言していて、いえ、身長云々は誰だって見ただけでわかりますけどね。 ▽何も選りに選って、173センチと小柄なルーカス・バルケスがピケにつかなくてもいいんじゃないかという意見もあるでしょうが、バルサが攻撃のセットプレーではロナウドがメッシをマークしていたりとか、どうやらジダン監督はその辺はあまり気にしていないよう。ええ、「全員の働きが際立っていたが、luego Sergio esta ahi para meter el gol.../ルエゴ・セルヒオ・エスタ・アイー・パラ・メテール・エル・ゴル(それでセルヒオがゴールを決めるためにそこにいる…)」(ジダン監督)のなら、全然、問題はありませんって。おまけにアディショナルタイムにはカゼミロがセルジ・ロベルトのヘッドをゴールライン上でクリアして、同点死守の立役者になったとなれば、もう誰も彼の選手起用策に文句はつけたりしませんよ。 ▽結局、「Creimos hasta el final/クレイモス・アスタ・エル・フィナル(ウチは最後まで信じた)」という、マドリーの特性がモノを言って、そのまま1-1の引き分けでクラシコは終わったんですが、おかげで両チームの勝ち点差は6で変わらず。つまり次節のデポルティボ戦でマドリーが負けなければ、年内最終節のバレンシア戦を延期してクラブW杯に出かけても、バルサは絶対に彼らに追いつけないのですから、こんなに安心なことはないじゃないですか。いえ、細事を言えば、ラモスのゴール祝いの時にカルバハルがスタンドに向かってpeineta(ペイネタ/中指を立てるヒワイなポーズ)をしたり、まったく冴えのなかったベンゼマや出番すらもらえなかったハメス・ロドリゲスが更に株を下げるなんてこともあったんですけどね。とりあえず、マドリーファンにとってはいい結果だったかと思います。 ▽そして次の時間帯でビジャレアルをブタルケに迎えたマドリッドの新弟分、レガネスがGKエレリン(アスレティックから移籍)を緊急補強した甲斐があって、相手を無失点に抑えたものの、攻撃陣の重傷者の穴埋めがまだなせいですかね。ゴールを挙げることはできずにスコアレスドローに終わったと私が知ったのは、ビセンテ・カルデロンのスタンドで寒さに耐えながら、アトレティコvsエスパニョール戦が始まるのを待っていた時だったんですが、その日はキックオフ前に飛行機事故の犠牲になったブラジルのシャペコエンセに黙とうを捧げました。シャペコエンセにはアトレティコでプレーしたこともあるクレベル・サンタナがいたのもあり、他のスタジアムより黙とうがしんみりしていたり、それこそその彼が在籍時の指揮官だったキケ・サンチェス・フローレス監督がエスパニョールを率いて古巣を再訪。 ▽2010年には長年の間、タイトル日照りに苦しんでいたチームをヨーロッパリーグ優勝に導いてくれたこともあって、fondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏)に「eternamente agradecido Quique/エテルナメンテ・アグラデシードー・キケ(キケ、永遠に感謝しています)」という横断幕がかかったりと、どこかセンチメンタルな雰囲気で始まったせいもあったんでしょうか。グリーズマン、ガメイロ、カラスコを先頭に攻めていたアトレティコでしたが、ほとんどシュートを撃てず。それどころか、41分にはモレノが、59分にはレオ・バチストンがカウンターから1人抜け出して、GKオブラクが必死で弾いてくれなければ、相手に先制されていてもおかしくありませんでしたっけ。 ▽え、それでもアトレティコにだって、ガビやグリーズマンのチャンスがあったものの、ディエゴ・ロペスにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまったんだろうって? そうですね、キケ監督も「Estaban los dos porteros mejores de Europa y era dificil hacer un gol/エスタバン・ロス・ドス・ポルテーロス・メホーレス・デ・エウロッパ・イ・エラ・デフィシル・アセール・ウン・ゴル(ヨーロッパ最高の2人のGKがいて、ゴールを入れるのが難しかった)」と言っていたのはその通りだったんですが、いくら敵が守備に特化していたとしても、あのアトレティコのパスの繋がらなさは異常。それこそ、フォルラン(現ムンバイ・シティ)やアグエロ(マンチェスター・シティ)のゴールでタイトルは獲ったものの、キケ監督が率いた2シーズン、リーガをそれぞれ、9位、7位で終えた、時としてファンを絶望させるチームのデジャブだったかと。 ▽おかげで私など、その夜はやたら冷えるので、選手たちの足がかじかんでいるんじゃないかと疑った程ですが、ガイタンやコレアをピッチに投入してもその流れは変わらず。マドリー育ちのファンフランなど、後で「ウチは最後まで勝利を手に入れられると信じていた」と主張はしていましたが、残念ながら、アトレティコのDNAには土壇場の奇跡は刷り込まれてないんですよ。結局、最後まで0-0のまま、クラシコ引き分けだけでなく、お昼の試合でセビージャもグラナダに負けという、上位との差を詰める絶好のチャンスを掴めず、「Es un punto muy bueno/エス・ウンプント・ムイ・ブエノ(とてもいい勝ち点1だ)。ビセンテ・カルデロンでポイントを取るのは難しいから、チームは満足しているよ」(ディエゴ・ロペス)というお土産をエスパニョールに持たせて、バルセロナに帰ってもらうことになりました。 ▽いえ、それでもレガネスが健闘してくれたのと、幸い月曜日の試合でもデポルティボがレアル・ソシエダに5-1と勝ってくれたため、アトレティコの4位は変わらなかったんですけどね。試合後の会見で、「El objetivo es ser tercero, tranquilidad/エル・オブヘティボ・エス・セル・テルセーロ、トランキリダッド(目標は3位になることだから、落ち着いている)」とシメオネ監督が言っているのを聞いた時には思わず、それだって危ないじゃないと抗議したくなったもんですが、彼らだって、好きで下手なプレーをしている訳じゃありませんからねえ。ここは気を取り直して、すでに首位通過が決まっている火曜日午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのCLバイエルン戦では、マドリッドで留守番することになったチアゴ、フェリペ・ルイスだけでなく、コパのギフエロ戦並にスタメンを落としてもいいので、リーガの次節、来週月曜日のビジャレアル戦に集中して欲しいかと。 ▽その一方で、同日にはクラシコでの悪いイメージだけでなく、国内戦ここ4試合引き分けというスランプに陥っているバルサは、やはり1位は確定しているものの、「mañana jugará Messi de inicio/マニャーナ・フガラ・メッシ・デ・イニシオ(明日はメッシが先発する)」(ルイス・エンリケ監督)と、ボルシアMG戦に心血を注いでいるようですが、本当の意味で一生懸命やならいといけないのはマドリー。というのも、彼らの場合、決勝トーナメント進出は決まっているものの、現在は勝ち点2差の2位と、この水曜日の試合でドルトムントを倒さない限り、首位通過ができないから。 ▽まあ、別に2位でもいいという考え方はできますけどね。ただこの試合には、クラブ記録となる34試合連続無敗も懸かっているため、ジダン監督はオールスターメンバーで迎え撃つはず。ちなみに月曜日には11月のスペイン代表戦でケガをしたモラタが全体練習に復帰、ベンチに入る可能性もありとされていますが、こちらもクロースと共にクラブW杯に万全で挑むため、まだ実戦は控えるかも。先週末のブンデスリーガでドルトムントはメボルシアMGを4-1と一蹴してしますし、彼らとの近年の試合はドキドキする撃ち合いが多いので、香川真司選手が出る出ないに関わらず、見応えのある一戦になるんじゃないでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.06 12:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】余裕がありすぎる…

▽「でも見ちゃうわよね」そんな風に私が異論を唱えていたのは、いよいよ今季のリーガ・クラシコ(伝統の一戦、バルサvsレアル・マドリー戦のこと)が翌日に迫った金曜日。やはり土曜日に試合を控えたアトレティコのシメオネ監督の記者会見をTVのニュースで見た時のことでした。いえ、「No creo que la gente del Atlético vea mañana el Clásico, sino que va a pensar en lo nuestro/ノー・クレオ・ケ・ラ・ヘンテ・デル・アトレティコ・ベア・マニャーナ・エル・クラシコ、シノ・ケ・バ・ア・ペンサル・エン・ロ・ヌエストロ(明日、アトレティコの人々がクラシコを見るとは思わない。むしろ自分たちのことを考えるだろう)」という監督の言葉、選手やスタッフのことを指すのなら、丁度、その時間は常宿のホテルでビセンテ・カルデロンに向かう前最後のミーテイングでもしているでしょうから、ありえなくはないんですけどね。 ▽一般のアトレティコファンにしてみれば、バルサの力を借りて、永遠の宿敵との勝ち点差を減らす願ってもないチャンス。ただ、それでも現在9ある差が6になるだけですが、年内最後となる16節、マドリーはクラブW杯で日本に行くため、そのバレンシア戦は来年以降にプレーすることに。要は勝ち点差を3まで縮めて年を越すことも可能となれば、同じ土曜日でもクラシコと午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのアトレティコvsエスパニョールは十分、間が空いていますからね。ついついTVの前に座ってしまうと思うんですが、さて。2位のバルサが負けた場合でも、アトレティコが勝てば彼らに勝ち点で並べますから、やっぱり目を離せないファンは多いんじゃないでしょうか。 ▽まあ、クラシコの話はまた後でするとして、先に今週のコパ・デル・レイ32強対決でマドリッド勢がどうだったかお伝えしておくことにすると。初日の火曜日にバレンシアとの1stレグに挑んだのは新弟分のレガネスだったんですが、案の定、このところ続く負傷禍に気力がついていかず。ムニル、メドラン、バッカリにゴールを決められて、就任以来、リーガで1勝しただけのプランデッリ監督に1-3の快勝をプレゼントすることに。うーん、アシエル・ガリターノ監督も試合後は「La eliminatoria esta imposible/ラ・エリミナトリア・エスタ・インポシーブレ(勝ち抜けは不可能だ)」とまだ、2ndレグもあるにも関わらず、あっさり白旗を挙げていましたしね。 ▽木曜日にはヒザの靭帯断裂で今季絶望となったGKセランテスの代わりにアスレティックから、エレリンがレンタルで来てくれることも決まり、この土曜日のビジャレアル戦から先発OKだそうですから、とにかく今はリーガに専念するしかないかと。ちなみに相手はコパでトレド(2部B)に0-3で勝利しているとはいえ、まだグループ突破が決まっていない来週のヨーロッパリーグ最終節も気になっているはずですからね。ここはレガネスも現在勝ち点4の降格圏との差を年内中にできる限り広げることに集中してくれればと思います。 ▽一方、水曜日にはマドリッドの2強の試合があったんですが、例の日本行きのため、先月中に1stレグを前倒ししてやっていたマドリーはサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグ。やはり1stレグの1-7という結果が影響して、レオン(マドリッドの北にある内陸都市)から応援に駆けつけたクルトゥラル・レオネサ(2部B)のサポーター1000人余りはともかく、スタンドが満員になることはありませんでしたっけ。もちろん、勝負がついていることがわかっているジダン監督もGKケイロル・ナバスを始め、セルヒオ・ラモス、マルセロ、モドリッチ、クリスチアーノ・ロナウド、ベンゼマら6人のレギュラーを招集せず。スタメンに入ったトップチームの選手も、ケガが治ってその日、実戦に復帰したカゼミロ、そしてカルバハル以外は土曜日のクラシコでは先発の可能性が低いハメス・ロドリゲス、アセンシオ、ナチョといった感じだったので、1stレグよりは拮抗した試合を期待したんですが…。 ▽いえいえ、とんでもない! キックオフから23秒、敵右SBがエリア近くでミスしたボールを奪ったアセンシオがゴール前にラストパスを入れ、マリアーノが先制点を挙げているのですから、控え選手たちの気合の入り方といったら、もう。ここまでリーガやCLでほとんどプレー時間をもらえていないマリアーノは11分にもゴールを入れたんですが、オフサイドで認められず。それでも22分にはその日、先発した中では唯一のクラシコでもリピート確実候補、カルバハルのクロスをハメスがヘッドで叩き込み、今週母国のコロンビアで墜落事故に遭ったブラジルのチーム、シャペコエンセの犠牲者への追悼で天を仰ぐことに。加えて、41分にもマリアーノが今度はスコアボードに挙がる自身2点目を決め、ハーフタイム寸前にはクルトゥラルのジェライがエリア外からのシュートで1点を返したところで、試合は折り返します。 ▽後半頭からはカルバハルとイスコがベンチに下がり、ヴァランとジダン監督の長男、エンツォが入ったんですが、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)はまだ続いて、62分にはそのエンツォがトップチームデビュー戦でゴールを挙げる快挙を達成。これにはジダン監督も「Como padre y como entrenador, estoy contento por su gol/コモ・パドレ・イ・コモ・エントレナドール、エストイ・コンテントー・ポル・ス・ゴル(父親としても監督としても、彼のゴールには満足している)」と喜んでいましたが、当人と同じくエンツォもポジションはトップ下なんですよ。ええ、マドリーでは、イスコやハメスといった各国代表選手クラスでもレギュラー獲りが至難の業となっていることを考えると、先々、彼もアピールの機会が増えるのかは微妙なところですね。 ▽そして87分には再び、マリアーノがゴールを挙げ、そのハットトリックで幕を締めたかと思いきや、89分にはナチョのパスをモルガードがオウンゴールにするというおまけつきで、6-1となって、ようやく試合は終了。総合スコアにすると、13-2という恐ろしい数字になっているんですが、まあ相手が2部Bなら、大体、こんなものかも。一応、クルトゥラルもずっとグループ1の首位を独走している、そのカテゴリーでは強いチームなんですけどね。とりあえず、憧れのサンティアゴ・ベルナベウでプレーして、特別誂えの蛍光ピンクのユニフォームもお披露目できたとことですし、もうコパは忘れて、今後はシーズン終盤の昇格プレーオフ出場目指して頑張ってほしいものです。 ▽その後、スタジアムを出て、自宅近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でアトレティコの32強対決1stレグを見た私だったんですが、こちらも相手が2部Bのギフエロということで、シメオネ監督もかなりメンバーを落としていましたね。グリーズマン、ガメイロ、コケ、ガビ、チアゴ、ゴディン、ファンフラン、オブラクといったとこは軒並み、マドリッドでお留守番、おかげでカラスコがCF、キャプテンは22歳のサウールという、妙なチームになっていましたが、大丈夫。私がバルに着いたハーフタイム、エルマンティコでは、ファンが入場時にもらったハモン・イベリコの真空パックを開け、セットのパンにはさんでbocaillo(ボカディージョ/スペイン風バゲットサンド)を手作りしている頃には、すでに2点もリードしていましたよ。 ▽いえ、先制点はカラスコがエリア内で敵のタックルを避けようとジャンプした後、地面に転がったのをペナルティに取ってもらい、「あんなあからさまなpisciazo(ピシナソ/ダイブ)をして」と、道中、私が聴いていたオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況アナも批判していた、ちょっと恥ずかしいプレーから、サウールがPKで挙げたものなんですけどね。前半終了直前にトマスのロングパスをブルサリコが弾道の低いボレーシュートで決めた一撃は、とても自身のキャリア2本目とは思えないgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)だったかと。 ▽後半も後半で49分にはカウンターから、カラスコが汚名返上のゴールを決め、53分にもガイタンのスルーパスをサウールがエリア奥から折り返して再びカラスコが得点、57分にはそのリプレーのように、今度はガイタン、ルーカスと繋いでコレアがゴール。更に85分にはカンテラーノ(アトレティコBの選手)のロベルまで、ブルサリコのクロスから初ゴールを挙げて、とうとうスコアは0-6に。まあ、こちらも確かに実力差が明らかだったんですが、何せ相手は本当に生ハム模様の第2ユニフォームを着てプレーしていましたし、途中、ケガした選手にメディカルスタッフが駆け寄った時にもバッグがハムの足の形をしていたり、試合前の選手インタビューも会長が所有している生ハム製造工場の中と、サッカーより名産品プロモーションに一生懸命なようでしたしね。 ▽その日のパルコ(貴賓席)も招待客に生ハム大盤振る舞いと、唯一、用意されていなかったのはロッカールームの中だけだったって、シメオネ監督は「Estoy contento con la actitud del equipo, jugo bien, hizo lo que tenia que hacer/エストイ・コンテントー・コン・ラ・アクティトゥッド・デル・エキポ、フゴ・ビエン、イソ・ロ・ケ・テニア・ケ・アセール(チームの態度に満足だ。いいプレーしたし、やらなければならないことをやった)」と褒めていましたが、これで万が一、選手たちが生ハムに気を取られ、至らない結果が出ていたら、一体、世間様に何を言われたものか。ええ、その日最後にやはり、2部Bのエルクレスと1stレグを戦ったバルサが、レギュラーを休ませたのは同じながら、相手に先制され、カンテラーノ(バルサBの選手)のアレニャの一発で1-1と引き分けに持ち込むのが精一杯だったのを見れば、2ndレグに宿題を残さず、勝負を決めたアトレティコは立派だった? ▽そして夜のうちにマドリッドに戻った彼らは翌日から、リーガ戦の準備を始めたんですが、金曜日にはCLのPSV戦でケガをしたフィリペ・ルイスが招集リストに復帰という嬉しいニュースも。腰を痛めたフェルナンド・トーレスはまだなんですけどね。グリーズマンもガメイロも休養十分ですから、キケ・サンチェス・フローレス監督を筆頭に、レジェス、フラード、レオ・バプチストンら、古巣への帰還に張り切っているメンバーが複数いるエスパニョールに大きな顔はさせないかと。ちなみにそのエスパニョールはコパで、2部にいるマドリッドの弟分で唯一、勝ち残っていたアルコルコンと1-1で引き分け。エルクレスよりはベスト16に進出できる可能性が高いような気がしますが、やはりアルコルコンも目標は1部昇格ですから、あまり過大な期待は懸けない方がいいかと思います。 ▽え、それでマドリーのクラシコ準備は万端なのかって? そうですね、招集リストには今週、ロンドンで足首の手術を受け、現在は故郷のカーディフで静養しているベイルはもちろん、すでにグラウンドで練習を始めているクロース、バルセロナ遠征にはチームメートの応援のために同行したものの、まだプレーはできないモラタ、そして前節から負傷しているダニーロ、コエントランの名はないんですが、ロナウドやベンゼマは元気ですしね。スタメンに関しての疑問もコパで90分間プレーしたカセミロが中盤に戻るのか、コバチッチのままでいくのか、ラモスとのCBペアはヴァランかペペかといった辺りぐらいですが、何よりチームにはここ32試合無敗継続中という自信があるのが強いかと。 ▽ただ、昨季も指揮官として初めてのカンプ・ノウでのクラシコに勝ったジダン監督も「前回はfuimos allí con el culo apretado/フイモス・アジー・コン・エル・クロ・アプレタードー(尻に火がついたような状態で行った)。今回も同じ気持ちで行かないといけないが、va a ser un partido totalmente diferente/バ・ア・セル・ウン・パルティードー・トータルメンテ・ディフェレンテ(完全に違う試合になるだろう)」と、気を引き締めていましたし、いくら相手がエルクレスだけでなく、リーガでもここ2試合、マラガ、レアル・ソシエダと引き分けていると言っても油断は禁物。 ▽そう、気合が入るのはバルサの選手たちも同じですし、現在、勝ち点差が6もあるため、必死感も半端ないでしょうからねえ。ソシエダ戦で足を痛めたピケとジョルディ・アルバも回復、メッシも元気になった上、満を持してイニエスタも復活となれば、先日のダービーのように容易くマドリーが勝利することはなさそうな。そんな2016-17シーズン前半戦のクラシコは土曜日午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)キックオフ、シメオネ監督が何と言おうが、私は1時間ぐらい前から近所のバルに行って、席を確保するつもりでいますよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.03 11:10 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】先はまだ長いけど…

▽「着たがる人が果たしているのやら」そんな風に私が頭を振っていたのは月曜日。片側が赤白ストライプ、もう一方に生ハム模様がプリントされた、けったいな記念ユニフォームをTVのニュースで見た時のことでした。いやあ、CDギフエロ(2部)Bの第2ユニが全面生ハム模様であることは先日、コパ・デル・レイのベスト32組み合わせで相手がアトレティコに決まった時、スペイン全土の知るところとなったんですけどね。 ▽水曜日の1stレグは狭いホームの市営スタジアムではなく、サラマンカのエルマンティコを借りて開催、40~60ユーロ(約5000~1万2000円)の入場券を買って見に来てくれたファンには、生ハムのボカディージョ(スペイン風バゲットサンド)をもれなく贈呈なんて辺りはまだ良かったんですが、こんな調子じゃ、当日のスタジアム周辺は生ハム切り売りスタンドが林立するのでは? まあ実際、ギフエロのあるサラマンカ州は生ハムの名産地で、たまに私も奮発して、マドリッドにある専門販売店で買って食べてみると確かにおいしいんですけどね。それでも、いくら下位カテゴリーチームには突破の可能性がほとんどない対戦とはいえ、そんな目の回るようなユニフォームで出て来られた日には、アトレティコの選手たちもマジメに試合に取り組めないんじゃないかと心配になったりするんですが…。 ▽え、今はそれよりリーガの現状の方が気になるって? そうですね、この悪天候に祟られた週末ではちょっと順位に変化があって…。もちろん土曜日にスポルティング・デ・ヒホンをサンティアゴ・ベルナベウに迎えた首位のレアル・マドリーは勝ちましたよ。ただ、その日のユニフォームの前面にスポンサー名や紋章がほとんど見えなかったのは、環境保護をアピールするため、海から回収されたプラスチックボトルをリサイクルした素材で作った特製品だったせいで、試合中にずっと雨が降っていたせいではなく、元々印字が薄かっただけなんですけどね。 ▽4分には早々にセルヒオ・アルバレスがルーカス・バルケスをエリア内で倒して、マドリーはPKをゲット。クリスチアーノ・ロナウドがそれを決めて先制した上、19分にも左SBとして先発したナチョのクロスをロナウドがヘッドで叩き込み、ほとんど勝負がついてしまったせいもあるんでしょうか。それからの彼らは「Bajamos la intensidad por muchas cosas/バハモス・ラ・インテンシダッド・ポル・ムーチャス・コーサス(ウチはイロイロな理由でプレーの強度を落としてしまった)」(ペペ)という状態に。 ▽おかげで39分には、開始すぐにビッグチャンスを外していたカルモナが今度は見事なワンタッチシュートでゴールを挙げ、スポルティングが1点差に迫ったんですが、特にマドリーには焦りを感じた様子もなし。75分が近付くと、ジダン監督はイエローカードあと1枚で累積警告の危険があったセルヒオ・ラモスをマルセロに代え、次節に迫ったクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)対策を講じる余裕もあったんですが、思いがけないピンチが訪れたのは76分のことでした。ボールを持ったビクトル・ロドリゲスがCBに移ったナチョにエリア内でファールを受け、ペナルティを取られてしまったから、さあ大変! ▽でも大丈夫だったんですよ。というのも、今季、スポルティングでPK2本を成功させていたチョップが、やはり注目の大舞台ということで上がってしまったんですかね。当人は蹴る前、右手を首筋に当てて、自分が平静かどうか鼓動を確かめたところ、落ち着いていたと言っていましたが、ボールの方はゴール枠を大きく逸れてスタンドへ。おかげで結局、最後までスポルティングは追いつけなかったんですが、こんな絶好の同点チャンスをムダにした割に、アベラルド監督は「a nivel de juego y de autoestima nos da muchisimo/ア・ニベル・デ・フエゴ・イ・デ・アウトエスティマ・ノス・ダ・ムチシモ(レベルの高いプレーと自尊心を大いに与えてくれた)」と満足していたよう。 ▽まあ、下位チームの場合、このスタジアムではgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)されて終わることも多々ありますからね。それを思えば、2-1の負けなら恩の字といったところなんでしょうけど、ジダン監督の方は「Podemos estar contentos pero solo de los tres puntos/ポデモス・エスタル・コンテントス・ペロ・ソロ・デ・ロス・トレス・プントス(満足できるが、それは勝ち点3を取ったことについてだけ)」と試合後、不満を口にすることに。でもねえ、折しも先週CLスポルティングCP戦でベイルが足首を痛め、2、3カ月の戦線離脱になってしまったこともありますし、モラタも負傷中。まだ復帰して数試合のベンゼマも本調子ではないとなれば、ロナウドが順調にゴールを挙げ続けてくれているだけでも有難いかと。 ▽おかげでアンチェロッティ監督(現バイエルン)の記録に並ぶ公式戦31試合無敗も達成できましたし、後続との差を保ってリーガ首位を維持。土曜日のクラシコで負けてもその立場が揺らぐことはないとなれば、それ以上、贅沢を言ったらバチが当たるってもんですよ。ちなみに彼らも今週はクルトゥラル・レオネサ(2部B)とのコパがあるんですが、クラブW杯が12月中旬にあるため、他のチームと違って、こちらはもう2ndレグ。しかもアウェイの1stレグで1-7と大勝しているので、水曜日午後7時(日本時間翌午前3時)からのサンティアゴ・ベルナベウでは、スポルティング戦では出番のなかった、ようやく腓骨骨折が完治したカゼミロなど、ジダン監督が試したい選手たちがプレーする予定。終盤はどこか辛そうだったロナウドを始め、主力をクラシコに向けて温存できるのも、ファンにとってはホッとできますよね。 ▽そして続く時間帯ではマドリッドの新弟分、レガネスがエスパニョールに3-0と完敗してしまったんですが、彼らにとって、それより深刻なのはその試合で正GKのセランテスが負傷。しかも前節、2得点したオサスナ戦で今季絶望となったロベル・イバニェス同様、ヒザの靭帯を断裂となれば、もう泣くに泣けないかと。どちらも冬の移籍市場が開く前にリーガの許可を得て、代替選手を探す予定ですが、それ以外にも現在、シマノフスキとディエゴ・リコもヒザを痛めて出場できない状態では、もうこの火曜日のコパ、バレンシア戦なんて、ただの重荷でしかないのでは? 幸い、まだ降格圏とは勝ち点4差があるので、とりあえず、何とかクリスマスのparon(パロン/休止期間)まで頑張って、年明けに運気が変わるのを待つしかないのかもしれません。 ▽一方、日が変わって、日曜日にオサスナ戦に挑んだアトレティコはどうだったかというと。いやあ、それがマドリッドは引き続き雨模様だったんですが、パンプローナ(スペイン北西部、牛追い祭りで有名な町)は晴れていたんですよ。だからという訳ではないでしょうが、前節のマドリーダービーでは完敗したものの、CLではPSVに快勝して、自信を回復した彼らは軽快にスタート。おかげで開始すぐにはガメイロが先制点を挙げるチャンスを掴んだんですが、不可思議にも的を外してしまうことに。いえ、それどころか、13分にはヒメネスがオリオル・リエラをエリア内で突き飛ばし、PKを宣告されてしまったから、焦ったの何のって。 ▽これではダービーでロナウドにペナルティを犯したサビッチと先発を交代させた意味もありませんが、嬉しいことにこの日はオブラクが冴えていてくれました。ええ、ロベルト・トーレスのPKを弾き、後でシメオネ監督も「El penal fue determinante/エル・ペナウ・フエ・デテルミナンテ(ペナルティが決定的だった)」と感謝していたんですが、誰ですか? 彼を全然、PKを止められないGKだなんて言っていたのは。それは昨季のミラノでのCL決勝やPSVとのベスト16でのPK戦の印象が強いだけで、実は試合中のPKなら8本中4本、50%の阻止率の持ち主。その止めたうちの3本がヒメネスのペナルティというのは奇妙な偶然ですが、そんなことも意外とサビッチのスタメン復帰には障害になるかもしれませんね。 ▽まあ、そんなことはともかく、その後はコレアも敵GKとの1対1を失敗していたものの、何とアトレティコはほんの2分間程で試合を決めてしまったんですよ。まずは35分、もう長いこと、得点に結びつけていなかったコケのCKをゴディンがヘッドで決めて先制したかと思えば、大して間を置かずにコレアの浮き球パスに抜け出したガメイロが今度はシュートをネットに収めてくれたから、ホッとしたの何のって。おかげで私も後半はゆったりした気分で見ることができたんですが、残り1分にはコレアと途中交代したカラスコも敵のスローインからボールを奪い、3点目を挙げてくれたとなれば、これぞまさに文句のつけようのない完勝? ▽ええ、この試合前にはシメオネ監督も「La Liga, para los clubes, para los hinchas, es todo, la tabla se ve a dario/ラ・リーガ、パラ・ロス・クルブス、パラ・ロス・インチャス、エス・トードー、ラ・タブラ・セ・ベ・ア・ディアリオ(クラブにもファンにもリーガは全て、順位表を毎日見るんだから)」と言っていましたけどね。その日はビジャレアルがアラベスに2-0と不覚を取り、遅い試合でもバルサがここ7年間の習慣を忠実に守って、アノエタ(レアル・ソシエダのホーム)で白星を挙げられず。1-1の引き分けという結果だったため、6位だったアトレティコが4位まで上がることができたのは、とても大きな収穫だったかと。 ▽ただ、これで2、3位のバルサ、セビージャとは勝ち点3差になったとはいえ、首位のマドリーとは相変わらず9差がついているのは如何ともしがたいんですが、次には上位同士で潰し合うクラシコも控えていますからね。当面のアトレティコの課題は水曜日午後9時(日本時間翌午前4時)キックオフのギフエロ戦。オサスナ戦をケガで欠場したフィリペ・ルイスとフェルナンド・トーレスはまだ戻って来ませんが、おそらくシメオネ監督もGKモヤを始め、ガイタンやトマス、ブルサリコら、普段あまりプレーしていない選手を投入してきそうですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.29 13:01 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】軌道修正できたんだろうか…

▽「どうして上まで見えないの?」そんな風に私がイラッとしていたのは金曜日、CLも一区切りついたことだし、週末のリーガでアトレティコはどこまで順位改善ができるかと、マルカ(スポーツ紙)のクラブページ(http://www.marca.com/futbol/atletico.html)を眺めていた時のことでした。いやあ、前節のマドリーダービーに完敗して、首位との差が勝ち点9に拡大。順位も6位まで落ち込んでしまったのは重々、承知だったんですけどね。そのページの右端には直近試合の結果の下にclasifiacion(クラシフィカシオン/順位表)が出ているんですが、20チーム全ては載ってなくて、アトレティコを真ん中に上は4位、下は8位までしか現れず。 ▽これじゃ、最低ラインのCL直接出場権をもらえる3位に戻るまで、あと勝ち点がいくつ必要なのかもわからない上、いえ、このところ、乾貴士選手の出場も多く、頑張っているエイバルにケチをつけたい訳じゃないんですけどね。8位の彼らが金曜のベティス戦で勝ったら、勝ち点21のアトレティコに並んでしまうというショッキングな事実に気づいてしまったから、当惑したの何のって。もちろん、この週末はレアル・マドリーやバルサ、セビージャらが土曜に試合をするため、日曜のオサスナ戦がやって来るまで、上位陣との距離が更に開いてしまうという、惨めな思いに耐える覚悟はできていますけど、ああ、なる程。その場合、上は見えない方が、アトレティコファンはキリキリしないで済むという、ページデザイナーの配慮だったのかもしれませんね。 ▽まあ、そんなどうでもいいことは置いておいて、今週のCL5節がどんな様子だったかをお話していくことにすると。先にプレーしたのはお隣さんの方で、何せ、昨季のミラノでの決勝に続いてアトレティコを倒し、リーガ首位の座を固めた後、2年前にデシマ(CL10回目の優勝のこと)を達成したリスボンに乗り込んだんですから、貫録の戦いぶりが期待されていたんですけどね。どうやらダ・ルス(ベンフィカのホーム)とジョゼ・アルバラージ(スポルティングのホーム)は勝手が違うようで、スタメンも3日前からナチョに代わって、CBに負傷が完治したセルヒオ・ラモスがキャプテンマークを巻いて戻るぐらいの変更しかなかったんですが、序盤はなかなかチャンスが作れず。 ▽ようやく均衡が破れたのは29分だったんですが、残念ながら、殊勲の得点者は試合前、スポルティングのカンテラ(ユース組織)出身で、フィーゴを超える出世頭の古巣帰還として、スポットライトを一身に集めていたクリスチアーノ・ロナウドではなかったんです。いえ、モドリッチのFKを最初にシュートしようとしたのは彼だったんですけどね。敵選手の間をすり抜けたボールを手際良く押し込んだのはバラン。とりあえず、このゴールでマドリーは0-1とリードしてハーフタイムを迎えることになったんですが…後半にはちょっとした逆境が降りかかることに。 ▽いえ、足首を痛めたマルセロは大丈夫、すぐにピッチに戻ったんですけどね。12分にはベイルが敵との接触プレーで負傷、実際、こちらは深刻だったようで、帰国してから、足の腱の手術が必要とわかり、12月3日のクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)や中旬のクラブ・ワールドカップどころでなく、全治2、3カ月の戦線離脱になってしまったんですが、その時はまだ誰も知らず。アセンシオが代わりに入り、そのままゲームは追加点が取れないまま続いたものの、まあ、コバチッチのお腹を思わず突いてしまったジョアン・ペレイラがレッドカードで退場になって、スポルティングは1人少なくなっていましたからね。 ▽1節にサンティアゴ・ベルナベルで見た時のような攻撃の鋭さもなかったため、最少得点で勝利できるかと私も思い始めた頃、後半35分、ジダン監督の配慮でマルセロから代わったコエントランがペナルティを取られてしまうとはこれ如何に。うーん、当人は直前のキャンベルのプレーに「Yo pido mano, porque ha sido mano/ジョ・ピド・マノ、ポルケ・ア・シードー・マノ(自分はハンドをアピールした。ハンドだったんだから)」と後で言っていましたけどね。それで挙げた手にボールが当たり、自分の方が笛を吹かれるって、同じポルトガル人でもロナウドと違い、ベンフィカ出身だったため、いくらスタンドからpito(ピト/ブーイング)を浴びっぱなしだったとはいえ、「ha sido mala suerte/ア・シードー・マラ・スエルテ(運が悪かった)」(コエントラン)では済まされないかと。 ▽うーん、実際、そのPKはアドリエン・シウバに決められて、マドリーは同点に追いつかれてしまいましたしね。その頃には同グループのドルトムントがレギア・ワルシャワ相手に大量点を挙げ、リードしていたため、引き分けで終わったら、2位確定ということになっていたんですが、いえいえ、舐めてはいけません。そこはDNAにチャンピオンズリーグと奇跡のremonntada(レモンターダ/逆転劇)体質が刷り込まれているマドリー、42分にはラモスが送ったクロスに、イスコに代わって入っていたベンゼマの頭がミート。これが決勝点となって、マドリーは1-2での勝利を手に入れることができました。 ▽え、アトレティコをあんな余裕で下した彼らなのに、スポルティングに苦戦するのはどうにも納得がいかないって?いやあ、ジダン監督によると、「Es evidente que jugar cada tres dias no es facil y nos ha podido faltar algo de energia/エス・エビデンテ・ケ・フガール・カーダ・トレス・ディアス・ノー・エス・ファシル・イ・ノス・ア・ポディードー・ファルタル・アルゴ・デ・エネルヒア(3日おきにプレーするのが容易くないのは明らかだし、ウチに何がしかのエネルギーが足りなかったことはありうる)」そうなんですけどね。普段から、選手たちの気がつい緩んでしまう格下相手の試合の場合、こういう展開はありがちなので、とりあえず、グループ突破が決まり、最終節、ホームでドルトムントに勝てば首位で終われる可能性を残しただけも、この日は良かったかと。 ▽それこそ、同日、サンチェス・ピスファンでユーベに1-3の逆転負けを喰らい、アウェイのオリンピック・リヨン戦で勝ち点1ですが、獲得しないと先に行けず、ヨーロッパリーグ4連覇を目指すことになってしまったセビージャよりはずっとマシかと思いますが、そういう意味では水曜日、4節ですでに突破の決まっていたアトレティコのPSV戦に向かうのは気が楽な面もなくはなし。おまけにビセンテ・カルデロンに着くなり、時差のあるロシアでこちらより早い時間に終わったロストフ戦で何と、バイエルンが2-3で負けていたという報が待っていたため、アトレティコは引き分けでも最終節を待たずに首位通過が決まるとなれば、とにかく相手は今年3回対戦して、勝ったのは9月の1試合のみ。しかもゴールはその時のサウルの1点しかないPSVとなれば、スコアレスドローで全然、OKってことじゃないですか。 ▽もしかしてシメオネ監督もそれを考慮したんでしょうかね。その日のスタメンはダービーの時は違い、コケをサイドに回して、チアゴをガビのボランチコンビとして採用。今季はリーガ最初の1試合以外、先発のなかった35歳のベテランですが、この一見、守備を重視したような策が後で大当たりだったことが発覚したんですよ。ただやはりというか、前半はガメイロやゴディンが絶好機に決めきれず、逆に17分には敵のカウンターを喰らい、グリースマンが60メートルの距離を全力疾走。ガストン・ペレイロが1対1でシュートを撃つ直前に邪魔して、「Griezmann evita el gol de Pereiro y eso dice todo de este Atletico/グリースマン・エビタ・エル・ゴル・デ・ペレイロ・イ・エソー・ディセ・トードー・デ・エステ・アトレティコ(グリースマンがペレイロのゴールを回避した。それがアトレティコの全てを物語っている)」とコクー監督から、後でお褒めの言葉をもらったぐらいで、0-0のまま折り返します。 ▽そんな彼らがとうとう得点し、寒さの身に染みる夜、ダービーで恥をかいたばかりなのにも関わらず、スタジアムに駆けつけてくれた大勢のファンを喜ばせてくれたのは後半10分。グリースマンからパスをもらったガメイロが放った、エリアを斜めに横切るシュートがゴールポストに当たって入ってくれたから、どんなにスタンドが沸いたことか。おまけにその11分後にはグリースマンも本業で力を発揮。ええ、チアゴが敵陣でボールを奪い、彼にパスすると、今度はしっかり決めてくれたため、場内にもようやく明るい雰囲気が広がることに。お馴染みのチョロ(シメオネ監督の愛称)へのコールや個々の選手に対するcantico(カンティコ/応援歌)が復活したのは喜ばしい限りでしたっけ。 ▽え、それでも30分には今季、ここまで全試合皆勤のフィリペ・ルイスがダウン。負傷交代となってしまうという、残念なニュースもあるんだろうって?おっしゃる通りで、とりあえずは先発右SBだったブルサリコを左SBに回り、ファンフランを投入して、その日は乗り切ったんですが、いくら丈夫な彼とて、もう30代ですからね。診断は太ももの筋肉痛ということで、それ程、重傷ではなかったものの、この先、1、2試合はシメオネ監督もクロアチア代表で立派にレギュラーを務めているブルサリコや若いルーカスを活用していくことになると思います。 ▽結局、そのまま2-0で勝ったアトレティコは、グリースマンも「teniamos que dar otra imagen/テニアモス・ケ・ダール・オトラ・イマヘン(ウチは別の姿を見せなければならなかった)」と言っていた通り、ダービーでの悪い印象を払拭して、グループリーグ参加32チーム中、唯一の全勝をキープ。首位として決勝トーナメントに臨めることになったんですが、ただねえ。シメオネ監督は「Primero es mejor que segundo para todo/プリメーロ・エス・メホール・ケ・セグンド・パラ・トードー(何においても1位は2位よりいい)」と言っていたものの、今季に限ってはその日、バルサがセルティックにメッシの2ゴールで勝ったのと、自身がボルシア・メンヘングラッドバッハと引き分けたせいで2位が確定したマンチェスター・シティを始め、アーセナルやレバークーズン、そして下手したら、最終節でドルトムントがマドリーに負けて、こちらも2位になる可能性が。 ▽となると、必ずしも1位の方がベスト16で弱い相手と当たると言えなくなってくるんですが、ここ2年間、そのラウンドを延長、PK戦(昨季はPSV、その前はレバークーゼン)で勝ち上がっている彼らとしては、そういう緊張する展開はサポーターのついているホームで2ndレグができるだけでありがたいのかも。おまけに12月6日にある、昨季の準決勝ではアウェーゴールで勝ち抜けたものの、2-1と負けているアリアンツ・アレナでのバイエルン戦もグループリーグ全勝記録を打ち立てる以外、何のプレッシャーもなく迎えられますからね。その分、リーガや来週から始まるコパ・デル・レイ32強対決に集中できるとなれば、文句なんて言えませんよね。 ▽そして翌日のELではバレンシアガの見事としか言いようのないオウンゴールはあったものの、サッスオーロに3-2で勝ったアスレティックがグループ突破を果たし、それぞれチューリヒ、スタンダール・リエージュと引き分けたビジャレアル、セルタが決着を最終節に持ち越した後、またリーガに向き合うことになった私でしたが、今節のマドリッド勢はまず、マドリーが土曜午後4時14分(日本時間翌午前0時15分)からスタート。金曜夜にはチームもバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習施設で合宿に入りましたが、スポルティング・デ・ヒホン戦用の招集リストにはベイルはもとより、火曜の試合でヒザを痛めたバラン、またケガしたようなコエントランが入っていません。 ▽そのため、ジダン監督は次にはクラシコが控えているにも関わらず、「Va a tener que jugar Sergio mañana/バ・ア・テネール・ケ・フガール・セルヒオ・マニャーナ(明日はセルヒオがプレーしないといけない)」と、イエローカードが4枚溜まっていて、累積警告になる恐れのあるラモスを先発させるようですが、丁度、この試合からペペが負傷から復帰。90分は無理でもゲームが荒れた場合は折を見て、ラモスと交代なんてことも考えているかもしれません。加えてカセミロも戻っていますが、最近はコバチッチがクロースの代役も兼ねて頑張っていますからね。こちらも先発するのかどうか。ちなみにベイルの穴を埋めるのはルーカス・バルケス、ハメス・ロドリゲス、アセンシオと沢山、候補はいる上、何より相手は降格圏にいるチームですしね。正GKのクェジェルもケガで遠征に帯同できておらずとなれば、マドリーが後れを取ることはまずないんじゃないでしょうか。 ▽続く時間帯ではマドリッドの新弟分、レガネスがアウェイでのエスパニョール戦に挑むんですが、彼らは前節、念願の1部ホーム初勝利を果たしながら、2ゴールを挙げてオサスナに引導を渡したロネル・イバネスがその試合中に負傷。しかもヒザの靭帯断裂で今季絶望となってしまうという不運があったばかりですが、できればクリスマスのparon(パロン/休止期間)前までにもう少し、降格圏から遠ざかっていてほしいもの。今のところ、勝ち点差は4ありますが、アトレティコ、バルサ、マドリー、セビージャ戦がもう済んでいるだけに、ここが稼ぎ時と言っても大袈裟ではないかと。 ▽そしてアトレティコがオサスナと対戦するのは日曜午後4時15分ですが、そうこうするうちに金曜試合が終わり、恐れていた通り、彼らはベティスに3-1で勝ったエイバルに勝ち点で並ばれてしまうことに。いえ、週末の相手はお隣さん同様、降格圏にいますし、カパロス新監督に代わった直後のレガネス戦でもそれ程、改善しているようには見えなかったんですけどね。このままたらたらリーガを過ごしていると、ノルマ達成すら危うくなったりしますから、ここは気を引き締めてかかってくれるといいんですが…。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.26 11:10 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】悪夢が戻って来た…

▽「このままだと大変なことになってしまう!」そんな風に私が恐れおののいていたのは月曜日。前日中には憂鬱で見る気も湧かなかったリーガの順位表をスポーツ紙で確認した時のことでした。いやあ、惨々だったマドリーダービーの後、首位のレアル・マドリーの差が勝ち点9に開いてしまったのは重々承知していたんですけどね。土曜日にはセビージャが、日曜日にはレアル・ソシエダがそれぞれデポルティボ、スポルティングに勝っていたため、とうとうアトレティコは4位から、CL出場圏外の6位まで後退。このまま順位が動かなかったら、来季はペイネタでヨーロッパリーグを戦うことに。となれば、忠実なアトレティコファンでも木曜日にあるその大会は別腹で、収容人数が5万5000人だったビセンテ・カルデロンですら、ガラガラだったグループリーグなんぞ、7万人も入る新スタジアムでどうなるか、想像するだけで怖かったから。 ▽え、いざとなればCLに優勝して、来季の出場権を得るという奥の手だってまだ残っているだろうって? いやあ、そういうのは絵に描いた餅というか、白日夢というか、クラブの博物館に11個も眩いトロフィーが並んでいるお隣さんならともかく、決勝に出場した3回とも負けている彼らですからね。おまけに土曜日の試合では、シメオネ監督が来る以前のダメダメなアトレティコに戻ってしまったような兆候も見られたため、とてもそんな強気ではいられないんですが、はあ。とにかく、そのダービーの話をしていくことにしましょうか。 ▽家を出る前には驚かされたことに、試合前にメッシが吐き気で出られなくなったバルサが、マラガとカンプ・ノウでスコアレスドローに終わったなんて知らせもあったため、それを吉報と受け取ったファンも多かったはずですが…。さすがにビセンテ・カルデロンで開催される最後のリーガ・ダービーとあって、この日は満員御礼。Fondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏)には「Nuestro legado sera eterno/ウエストロ・レガドー・セラ・エテルノ(我々の遺産は永遠に)」という巨大な垂れ幕も現れ、ここ数年のビッグマッチの折には恒例となったhimno(イムノ/クラブ歌)のアカペラ合唱で雰囲気も大いに盛り上がってキックオフ。アトレティコが勢いよく攻めていたのは開始から、ほんの5分間程のこと。 ▽あっという間にマドリーが反撃体制に入ると、11分にはクリスチアーノ・ロナウドに至近距離からのヘディングシュートを撃たれ、ボールがラインを完全に割るギリギリでGKオブラクが弾くといったドッキリもあったんですけどね。どうやらその日のアトレティコの運はそこで尽きてしまったよう…。22分にサビッチがエリア前でルーカス・バルケスを倒し、FKを与えるくらいのことはまだ序の口ですって。それどころか、ロナウドの蹴ったボールが、壁を作っていたサビッチとガビの間を抜けて変わった軌道にオブラクも反応できずに先制点を入れられてしまうなんて…。どこまで間の抜けたことをやっているんでしょう。 ▽その日はリハビリを終えたベンゼマがいたものの、ジダン監督はBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)に執着せず、ロナウドをトップに据え、イスコが「Me siento mas comodo/メ・シエントー・マス・コモドー(より快適に感じる)」トップ下に配置。4-2-3-1のシステムで利き足側の左サイドに回ったせいか、ベイルもマメに守っていましたし、右サイドのルーカス・バルケスは生来の働き者ですからね。ファンフラン、フィリペ・ルイス、両SBの上がりを封じられ、シメオネ監督が「Buscabamos buen juego aereo, con el equilibrabamos su altura/ブスカモス・ブエン・フエゴ・アエレオ、コン・エル・エキリブラモス・ス・アルトゥラ(高さを拮抗させて、空中戦を強くしたかった)」という理由で、身長170センチのガメイロに代わって抜擢された183センチのフェルナンド・トーレスの出番もほとんどないまま、0-1で試合を折り返したところ…。 ▽ロッカールームで檄を飛ばされたのか、後半のピッチに戻って来たアトレティコは持ち直したんですよ。フランス代表の試合で踏まれた足がまだ痛いのかと、前半の元気のなさに心配されたグリーズマンもシュートを撃って敵ゴールに迫ったものの、それでも得点できないとなると、60分にトーレス、ガビがガメイロ、コレアに交代。決して珍しくないシメオネ監督の攻撃力強化ですが、この過剰な前掛かりが裏目に出てしまいます。後でフィリペ・ルイスも「muchas veces hemos intentado llegar al area y ellos jugaban a la contra/ムーチャス・ベセス・エモス・インテンタードー・ジェガール・アル・アレア・イ・エジョス・フガバン・ア・ラ・コントラ(ウチは何度も敵エリアに入ろうとして、相手はカウンターで戦った)」と言っていたんですが、とにかく足が速いんですよ、マドリーのFWたちは。 ▽それにアトレティコがまんまとはまったのは73分で、オブラクのゴールキック目掛けてロナウドが猛ダッシュ。必死で追ったサビッチがエリア内で相手の前に足を伸ばして止めたんですが、これがペナルティかどうかは微妙なところかと。ええ、ASとマルカ(スペインの2大スポーツ紙)でも意見が割れていましたからね。それもあって、審判があっさりPKマークを指したのには、以前の14年間、白星なしが続いたダービーでは吉凶が分かれる際、必ずアトレティコにとって悪い方向に転がるのがお約束だったのを思い出したファンも多かったかと。 ▽え、そのPKを決めたロナウドがTVカメラに向かってアゴを撫でるポーズで祝うと、スタンドからはpeineta(ペイネタ/中指を立てる侮辱の仕草)の嵐が巻き起こり、シメオネ監督も「El penalti nos corto la ilusion de meternos en el partido/エル・ペナルティ・ノス・コルト・ラ・イルシオン・デ・メテールノス・エン・エル・パルティードー(ペナルティがウチのゲームに入り込みたいという希望を断ち切った)」と言っていたけど、2点差なら、先週のスペイン代表が土壇場でイングランドに追いついたように、アトレティコももっとガッツを見せれば良かったんじゃないかって? まあ、そうなんですが、残念ながら、彼らの遺伝子にはお隣さんのように奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質は組み込まれていないんですよ。 ▽それどころかその6分後には、再び見事なカウンターをかけられ、イスコのロングボールに疾走したベイルがゴール前でロナウドにバトンタッチ。ハットトリックで3点目を決められてしまっては、何人も席を立つファンがいても仕方なかった? うーん、実際、その日、ダービーでの復活を目指し、招集メンバーには入ったものの、「No se veia al cien por cien/ノー・セ・ベイア・アル・シエン・ポル・シエン(100%の調子には思えなかった)」(ジダン監督)というセルヒオ・ラモスがベンチで応援に回ることにしたため、先発入りを果たしたナチョも言っていたように、「Es dificil meternos manos si defendemos todos/エス・ディフィシル・メテールノス・マノス・シー・デフェンデモス・トードス(全員で守れば、ボクらから点を奪うのは難しい)」というのは本当ですからね。 ▽そこへ、「大事なのはシステムじゃなくて、それぞれの選手が自身の力を出すこと。Hemos tenido calidad/エモス・テニードー・カリダッド(ウチには質の高さがあった)」(ジダン監督)と言われては、もう返す言葉もありませんが、柄にもなく、セットプレーでマークについたロナウドにからみ、額をくっつけていがみ合った挙句、喧嘩両成敗でイエローカードをゲット。その後もしつこく、悪口を言い続けていたコケなど、もう少し謙虚さを取り戻した方が良いかと。ええ、ウェンブリーでは「少なくともボクはダービーに出るよ」なんて、ナチョやイスコに上から目線で喋っていた結果がこれですもの。才能では明らかにマドリーの方が勝っているんですから、コケがボランチにいるせいで守備が脆くなったという意見はともかく、体力や気力で相手を負かさない限り、互角には戦えませんって。 ▽それでも試合を0-3で終えた後、コケは「Somos el Atletico de Madrid, despues de un duro golpe siempre nos levantamos/ソモス・エル・アトレティコ・デ・マドリッド、デスプエス・デ・ウン・ドゥーロ・ゴルペ・シエンプレ・ノス・レバンタモス(ボクらはアトレティコ・マドリーだ。厳しい試練を受けても常に立ち上がる)」と前を向いていなかったかって? うーん、そうなんですけど、ミックスゾーンではロナウドとの一件を訊かれ、「Esto es futbol, ya esta/エスト・エス・フトボル、ジャー・エスタ(これがサッカー、それだけさ)」と言い捨てて、マイクの前から逃げちゃいましたからね。いい加減、休養日の日曜日を挟んで、月曜日にマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に出て来た頃には、途中交代させられた際、ベンチでウィンドブレーカーや水のボトルを投げて八つ当たりしていた先輩のガビ共々、頭も冷めたことと思いますが、こればっかりはねえ。 ▽過ぎたことはもう仕方ないので、せめて、もうグループ突破は決まっていますが、バイエルンと首位を争っているCLのPSV戦では基本に立ち帰って、これ以上、ファンを失望させないことを祈るばかり。ちなみに水曜日午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのこの試合もビセンテ・カルデロン開催となりますが、シメオネ監督がメンバーやシステムを変えてくるかはまだ不明で、今のところ、出場が危ういのはダービーでヒザに打撲を受けたガメイロだけだとか。 ▽私も本音は、月曜日にマドリッドの新弟分、レガネスに2-0でリーガ1部ホーム初勝利を与えてくれたオサスナと当たる日曜日の試合が早くやって来て、リーガ2連敗のスランプを脱出してもらいたい感じなんですけどね。こんな時こそ、Partido a partido/パルティードー・ア・パルティードー(1試合1試合)を貫かないといけませんよね。 ▽その一方で月曜日には早速、火曜日のスポルティングCP戦に備え、リスボンに飛んだマドリーでしたが、こちらはまだグループ突破が決まっておらず。といっても必要なのはあと勝ち点1だけですけどね。キャリアを始めた古巣相手ということで、ロナウドも張り切っていますし、たとえ1節ではモラタの後半ロスタイムのゴールで2-1の辛勝と苦労はしていても、チームが過剰なリラックス状態に陥らなければ、それ程問題はないかと。 ▽ちなみにスタメン的には、アトレティコ戦で普段は控えの選手たちの活躍に満足したジダン監督も「Todos son los mejores pero la BBC un poco más/トードス・ソン・ロス・メホーレス・ペロ・ラ・ベーベーセー・ウン・ポコ・マス(皆、最高の選手たちだが、BBCはちょっと上)」と言っていたため、ビセンテ・カルデロンで足慣らしをしたベンゼマが戻る可能性が濃厚。ナチョもスペイン代表戦から、3試合皆勤が続いていますから、そろそろラモスと交代して、土曜日の、こちらはリーガのスポルティング戦に備えるかも。 ▽そんなマドリーのCLグループ5節は火曜の午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。そうそう、同日、ユベントスをサンチェス・ピスファンに迎えるセビージャもあと勝ち点1、水曜日にセルティック・パークを訪れるバルサもマンチェスター・シティとボルシアMGの試合結果にもよりますが、あと一息で突破が決定しますよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.22 12:45 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】大切なのは次の試合…

▽「ここ3シーズン、リーガで負けてないって言われてもねえ」そんな風に私が今イチ、確信が持てずにいたのは金曜日、いよいよマドリーダービー一色になったお昼のニュースを見ている時のことでした。いやあ、それ以前のレアル・マドリー戦、自分がマドリッドにいる間にアトレティコの勝利は見られないんじゃないだろうかと感じた日々もあったものの、それも2013年のコパ・デル・レイ決勝でお隣さんを下してから、まるで14年間の憂さを晴らすように、リーガでは4勝2分けと勝ち越しているのは確かなんですけどね。 ▽それとは対照的に克服でききていないのがCLでの対戦で、この同じ3年間で1分け3敗。しかもそのうち2つの負けが選りに選って決勝の大舞台って、あまりにツキがないかと。もちろんリーガの試合には延長戦もPK戦もないのは救いになりますが、普通の展開なら、魔の93分は確実にやってくるはずですしね。そこへ加えて、リスボンでもミラノでもゴールを挙げたセルヒオ・ラモスがケガから回復、1カ月ぶりに戦列に戻って来るとなれば、リーガのparon(パロン/休止期間)直前、アウェイでの2連敗目を喫して、首位マドリーと勝ち点差6という厳しい状況にある今、私が強気になれなくても仕方ない? ▽え、その負けたセビージャ戦、レアル・ソシエダ戦については、スペイン代表出向中に先輩のガビから、「中央にいるとボールを持って、より多くのプレーを組み立ててくれるが、守る時にチームが脆弱になる」と言われていたコケが、「hay veces que desconectas un segundo y el contrario lo aprovecha/アイ・ベセス・ケ・デスコネクタス・ウン・セグンド・イ・エル・コントラリオ・ロ・アプロベチャ(時にほんの一瞬、気がそれてしまうことがあって、敵がそれを利用するんだ)」と説明していなかったかって?うーん、どちらもスローインから失点につながったこともあって、彼なりに一生懸命、考えたことなんでしょうけど、突然集中力が途切れてしまうのはダメダメだった時代のアトレティコの、何度反省しても直らなかった悪癖。 ▽それがまた、今になって蘇ってきたなんて、たまったもんじゃありませんが、週明けの練習後には、ガビがシメオネ監督から注意を受けていたなんて話もありましたからね。まあ、これまで好成績を挙げてきたダービーでは守備的ボランチを2枚置いてきたという経緯もありますし、監督自身も「コケがどこでプレーするのかはわからないが、su presencia en el equipo es fundamental siempre para nuestro juego/ス・プレセンシア・エン・エル・エキポ・エス・フンダメンタル・シエンプレ・パラ・ヌエストロ・フエゴ(彼の存在はウチのプレーにとって常に重要)」と前日会見で断言。となれば、スタメンには入るとしても…当人が「no es un paso atrás, son variants/ノー・エス・ウン・パソ・アトラス、ソン・バリエンテス(一歩後退じゃないよ、バリエーションなんだ)」というサイドへ移動した場合、今回、代わりにボランチに入るのが後輩のサウルであることを考えると、ちょっと微妙かもしれませんね。 ▽まあ、ダービーに関してはまた後で触れるとして、スペイン代表の2試合目は休養できるはずだった、そのコケまでがロペテギ監督の初期プラン失敗のため、駆り出されることになった火曜のイングランド戦の顛末もお話ししておかないと。いえ、前日からウェンブリーに乗り込んで、近隣のホテルに宿泊。久々のロンドンを満喫と張り切って外へ出た試合日の昼間、レセプションの人に勧められたスタジアムのすぐ横にあるアウトレットモールをまず見てみようと歩いていたところ、偶然にもチームの滞在していたヒルトン・ホテルから選手たちが練習に向かうシーンを見られたり、マドリッドに比べ、複雑怪奇に思えた地下鉄でさえ、どの駅にも改札や券売機付近に係員がいて親切に教えてくれたため、かなりご機嫌で私もキックオフを迎えたんですけどね。 ▽そんな浮かれた気分がサッカーの聖地、ウェンブリーでプレーするスペインの選手たちにもあったか、はたまた、アスピリクエタ(チェルシー)、イニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、ナチョ(マドリー)でのCF3人体制という新機軸が上滑りしてしまったのか。真相はわかりませんが、いくら往年のジェラールやランパード、そしてその日はルーニーまで負傷だか、合宿先のホテルで開かれていた披露宴に招かれたせいでの二日酔いだったかで欠場と、お馴染みの選手がほとんどいないイングランドだって、満員の観衆に応援されれば張り切りますよ。ええ、開始9分、ララーナのクロスに抜け出したバーディをGKレイナ(ナポリ)が倒してしまい、早速PKを献上してしまうって一体、どうなっている? ▽そのPKはララーナが決め、リードされた状態で前半の残りを戦ったスペインですが、途中からロペテギ監督はビトロ(セビージャ)を上げ、アスピリクエタを左SBに回して、通常の4人DF制にチェンジ。ただそれも大した効果はなく、後半頭からマタ(マンチェスター・ユナイテッド)とビトロをイアゴ・アスパス(セルタ)とコケに代えてからわずか3分、今度はヘンダーソンのクロスをバーディにヘッドされて2点目を奪われているんですから、困ったもんじゃないですか。 ▽おかげでスタンドでは盛り上がったイングランドファンの場内何周もするウェーブが始まったため、もうロペテギ監督もチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)をアンデル・エレラ(マンチェスター・ユナイテッド)へ、シルバ(マンチェスター・シティ)、アドゥリス(アスレティック)をイスコ、モラタ(マドリー)へとフレッシュな攻撃陣を次から次へとつぎ込むしかなくなってしまったんですが、何と、観客の半分ぐらいが引き上げ、私もせっかく憧れのウェンブリーまで来て負け試合かと不貞腐れていた後半44分、何と奇跡が起こったんです! ▽それは「Sabia que tenia una buena oportunidad y que me tenia que comer el mundo en cada minuto/サビア・ケ・テニア・ウナ・ブエナ・オポルトゥニダッド・イ・ケ・メ・テニア・ケ・コメール・エル・ムンド・エン・カーダ・ミヌート(いいチャンスを手にしていて、1分1分、世界を喰ってやる気でいかないといけないのをわかっていた)」という、ジエゴ・コスタ(チェルシー)の負傷離脱で追加招集を受け、その日が29歳で代表デビューとなったアスパス。モラタからもらったボールでエリア内に切り込むと、ストーンズにヒザをつかせて撃ったシュートがファーサイドのポストに当たってネットに入ったから、ビックリしたの何のって。 ▽おまけに1点差になって、イングランドの選手たちが接触プレーの後に蹲りがちになっていたロスタイム、ほとんど最後の攻撃でカルバハル(マドリー)のクロスを胸でトラップしたイスコがGKハートンの股間を抜き、同点ゴールを決めてしまったとなれば、マドリーの伝統芸、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)精神や恐るべし。いえ、スペイン・サッカー協会に招待されてピケ(バルサ)やカソルラ(アーセナル)らはパルコ(貴賓席)でこの光景を見守っていたものの、ラモスは来ていなかったんですけどね。きっと自宅で後輩たちの頑張りを喜んでいたと思いますよ。 ▽となると、ウェンブリーでの前日練習の時にはロンド(輪になって中の選手がボールを奪うゲーム)でパスを失敗。ナチョやイスコに「A ver si das estos pases en el derbi/ア・ベル・シー・ダス・エストス・パセス・エン・エル・デルビー(ダービーでもこういうパスをするのかな)」と冷やかされ、「Yo al menos juego el derbi/ジョ・アル・メノス・フエゴ・エル・デルビー(ボクは少なくともダービーに出るよ)」と言い返し、意外と負けず嫌いな面をクアトロ(スペインの民放)のカメラに撮られていたコケなどもまったく油断ができませんが、結局、試合は2-2の引き分けで終了。これには「スペインはチームの持つ信じる力と意志の強さ、そして質の高さを披露した」とロペテギ監督もホッとしていましたが、試合後、どうにも選手たちがミックスゾーンに出て来るのが遅いと思いきや、まさかロッカールームでマネキンチャレンジを撮影していたとは! ▽ええ、画像は代表のホームページ(http://www.sefutbol.com/en/video-spain-players-take-part-mannequin-challenge)で見られますが、いくらイングランドのバーディが、自分がゴールを挙げた後、ピッチでマネキンポーズを取っていたからって、「Esta de moda y no hemos querido faltar a la cita./エスタ・デ・モーダ・イ・ノー・エモス・ケリードー・ファルタル・ア・ラ・シタ(流行っているし、ボクらも後れをとりたくなかった)」(イスコ)というのはちょっと軽薄かも。それでも幸い、スペインには先日、自身の2ゴールなどでラトビアとのW杯予選に勝ったポルトガル代表のマネキンチャレンジビデオで、中央で筋肉を見せつけていたクリスチアーノ・ロナウドのような選手はいませんでしたけどね。 ▽そのロナウドから、今回の代表戦2試合では出番のなかったルーカス・バルケスのツィッターに、「Buena copiada eh/ブエナ・コピアーダ、エー(いいコピーだね)」と茶々が入ったなんてことは、昨今では猫も杓子もやっており、オリジナリティを主張される云われもないため、無視していいんですが、終盤はともかく、試合の内容的にスペインには反省点が多かったのも事実。いえ、3月に次のイスラエルとの予選がやって来る頃には今回、ケガでいなかったラモスやピケ、ジョルディ・アルバ、イニエスタ(バルサ)、ジエゴ・コスタといったところも復活して、応援メンバーだったイニゴ・マルティネスやアンデル・エレラ、アスパスらがまた呼ばれるかはわからないんですけどね。2008年から2012年まで続いた国際メジャータイトル独占の黄金期が再び到来するかどうかは、この先、テクニカルスタッフ、選手共々、何がいけなかったのか発見できるかどうかに懸かっているんじゃないでしょうか。 ▽そしてその夜のうちにロンドンを経ったチームに続いて、翌水曜には私もマドリッドに着いたんですが、そこで待っていたのは、モラタが右の太ももの肉離れで全治1カ月の診断を下されたという驚きのニュース。いやあ、先週土曜のW杯予選マケドニア戦で打撲を受けたというのは聞いていたんですけどね。ウェンブリーでは途中出場して全力疾走、屈強なフィジカルを持つイングランドの選手たちにも負けておらず、夜中にバラハス空港に着いた時の映像でも普通に明るかったとなれば、一体、彼はいつケガをした? ▽おかげでジダン監督は土曜のダービーに向けて、ドイツ代表に行くまで足中骨骨折に気づかなかったクロースに加え、貴重な戦力を失うことになったんですが、いえ、その代わりに木曜からベンゼマが全体練習に復帰して、招集リストに入りましたけどね。先発はルーカス・バルケスになるかもしれませんが、このインターナショナルウィーク、1試合しかなかったロナウドとベイルも早めに戻っていますし、クロアチア代表のエストニア戦で前半と後半、半分ずつプレーしたモドリチとコバチッチも順調に回復。中南米組でもマルセロは2試合目が出場停止となり、日曜にはブラジルから到着、ケイロル・ナバスとハメス・ロドリゲスも木曜には元気な姿を見せているとなれば、やっぱりマドリーは侮れない相手かも。 ▽ただ、カセミロとペペは間に合わず、中盤はモドリッチ、コバチッチ、イスコと若干、守備が手薄な印象は与えますが、ジダン監督など、「Hay jugadores que van a cambiar, pero nuestra idea de jugar al fútbol no va a cambiar/アイ・フガドーレス・ケ・バン・ア・カンビアール、ペロ・ヌエストラ・イデア・デ・フガール・アル・フトボル・ノー・バ・ア・カンビアール(選手は変わるが、ウチのサッカーをプレーするという考えは変わらない)」と落ち着いていましたしね。昨季後半のリーガダービーではサンティアゴ・ベルナベウで負けたとはいえ、それ以来、28試合無敗を継続。おまけにCL決勝でも勝っている相手となれば、今回は引き分けても勝ち点6差が維持できる訳ですし、自信があって当然だった? ▽一方、アトレティコの嬉しいニュースはスウェーデン戦で足を踏まれ、フランス代表を早期離脱したグリースマンが期待にたがわず、先発の準備が整ったことで、木曜には大西洋を渡って来たゴディン、ヒメネス、コレア、フィリペ・ルイスらと一緒に全体練習に参加。ベルギー代表でも2ゴールを挙げ、絶好調のカラスコも戻ったのは週の始めでしたしね。火曜のプレーオフ2nレグのスコアレスドローでオーストリアにアウェイゴールで勝ち、来夏のU21ユーロ大会出場を決めてきたサウルも、2年前のダービーでchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)のゴールを挙げたという実績がありますし、ジダン監督曰く、彼らには「Siempre se dice que defiende bien, pero no es sólo eso, es mucho más/シエンプレ・セ・ディセ・ケ・デフィエンデ・ビエン、ペロ・ノー・エス・ソロ・エソ、エス・ムーチョ・マス(いつも守備がいいと言われるが、それだけじゃない。もっともっとある)」というところを証明できるといいのですが、さて。 ▽そんなアトレティコvsマドリー戦は土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。何せ、ビセンテ・カルデロンで最後となるリーガのマドリーダービーですからね。その直前には勝ち点4差で2位にいるバルサがマラガをカンプ・ノウに迎えるのも気になりますが、とにかくファンにいい思い出を作るためにも、「Antes sabíamos que éramos inferiores al Madrid, ahora competimos a la par/アテンス・サビアモス・ケ・エラモス・インフェリオーレス・アル・マドリッド、アオラ・コンペティモス・ア・ラ・パル(以前のウチはマドリーより劣っていることをわかっていたが、今はガチンコで戦える)」(シメオネ監督)というのが本当だということを見せてくださいね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.19 09:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】代表戦の先の方が気になる…

▽「それってズルいんじゃ」そんな風に私が怒っていたのは金曜日。お昼のニュースでこちらの夜間に行われたブラジルvsアルゼンチン戦の結末を知った時のことでした。いやあ、衝撃的に報じられていたのはメッシやイグアイン、アグエロらがプレーしながら、0-3の負けと手も足も出ず。現在、プレーオフ圏外ということの方でしたが、W杯南米予選はまだ試合が沢山ありますしね。アトレティコのコレアが出場したのもコウチーニョ、ネイマール、ガブリエウ・シウバのゴールが決まった後、ディ・マリアに代わって20分程でしたから、壮々たる先輩FW陣が決められなかったゴールを挙げられなくても別に構わなかったんですけどね。 ▽ところがよくよく聞いてみれば、ブラジルの左SBとしてフル出場したレアル・マドリーのマルセロが累積警告で次のペルー戦は出場停止という情報もあって、それはすなわち来週土曜日のマドリーダービーを前に、こちらの火曜日深夜に行われる試合でプレーしなければならないのはフィリペ・ルイスだということ。よりによって今季のアトレティコでただ1人、全試合皆勤、計1350分プレーしている彼が更に疲れて、しかもダービー前日にマドリッドに戻って来るってことじゃないですか。 ▽え、それでもお隣さんは代表戦週間突入早々、ドイツ代表に合流したクロースが、実はリーガの前節で対戦した新弟分のレガネスとのミニダービーで右足の第5中足骨を骨折していたことが発覚。本家ダービーどころか、全治4~6週間で、年内絶望になってしまったという逆境が降りかかったんだろうって? うーん、そうなんですが、セルヒオ・ラモスに続き、今週になって、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場グラウンドではリハビリ最終局面に入ったカゼミロ、ペペ、ベンゼマの姿が目撃されていますからね。 ▽加えてモドリッチもレガネス戦で復帰していますし、打撲を抱えてクロアチア代表に合流したコバチッチ共々、土曜日に行われるW杯予選のアイスランド戦後、来週のアイルランドとの親善試合は免除されてクラブに戻れるとなれば、ジダン監督もそんなに心配することはないかと。もちろん、マドリーにも火曜日深夜にプレーするGKケイロル・ナバス(コスタリカ)、ハメス・ロドリゲス(コロンビア)ら、帰国が遅い選手もいるんですけどね。何せ相手はここ28試合無敗で、リーガでは単独首位。セビージャ戦、レアル・ソシエダ戦と、アウェイで2連敗したせいで、4位のアトレティコとは勝ち点6差がついているのを考えると、些細なことでもつい気になってしまうもんなんですが…。 ▽まあ、この週末はヨーロッパ各国のW杯予選もあるため、これから代表に出向中の選手たちに何があるかはまったく予断を許さないんですが、土曜日にマケドニア戦を控えたスペイン代表の様子もお伝えしておかないと。いえ、選手たちがラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合した火曜日、冬時間になって、モンクロアのバスターミナルを出る頃からとっぷり日も暮れていた午後6時半からの練習は私も見学に行ったんですけどね。日曜日にリーグ戦でプレーした5選手程はランニングだけで上がり、残り少人数対決のpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)などをしていましたが、最近の彼らは公開練習がやけに少ないんですよ。 ▽今回の合宿でも一般公開したのはその日だけで、マケドニア戦の後は直接、イングランドとの親善試合でロンドンに行ってしまうため、ファンが応援に行けるセッションがラス・ロサスでは他になかったためか、練習後はモラタやルーカス・バルケス、ナチョ、カジェホン(現ナポリ)ら、マドリー系を中心に何人もの選手がスタンドに近寄ってサインに応じていたんですが、その近辺は物凄い人だかり。よって私など、代表では珍しく、ファンサービスをしているコケ(アトレティコ)の顔も見られなかったんですが、驚かされたのはモラタの太っ腹ぶりでしょうか。いえ、施設の出口に向かう途中、スペイン人の子供が「モラタはおかしいぐらいハイだったよ。ビブスやジャージ、シャツ、全部脱いであげちゃって」と言っているのを聞いた時は、そりゃ何だと首を傾げるしかなかったんですけどね。 ▽家に帰ってスポーツ紙サイトの写真を見ていると、確かにあの寒さの中、最後に彼はランニング1枚に。うーん、最近はマドリーで調子も良くて、ゴール数もチーム最多の8得点。同僚のカルバハルにも「Morata se está mereciendo más minutos por su rendimiento/モラタ・セ・エスタ・メレシエンドー・マス・ミヌートス・ポル・ス・レンディミエントー(モラタは、そのパフォーマンスでもっと多くのプレー時間をもらえるにふさわしくなっている)」と褒められていましたしね。となれば、スペイン代表でももっと目立って、バルブエナへの脅迫疑惑事件以来、デシャン監督から声が掛かっていないベンゼマとの差をもっと広げたいと思っても当然だった? ▽ちなみにそのモラタとスペイン代表で先発CFの座のライバルになるのはジエゴ・コスタ(チェルシー)なんですが、この合宿中、当人からは「Me entiendo mejor con Costa que con Benzema... por el idioma/メ・エンティエンドー・メホール・コン・コスタ・ケ・コン・ベンゼマ…ポル・エル・イディオマ(コスタの方がベンゼマよりわかる。言葉のせいでね)」という発言が。要は「コスタ(ブラジル生まれ)はずっとスペインにいて、ボクの言うこと、表現、全部理解してくれる」とのことで、「自分がフランス語を話せたら、きっとベンゼマと1日中、喋っているよ」とフォローはしていましたが、こっちももう7年、マドリーでプレーしているんですけどね。となると、モラタもベンゼマもベイルやクロースとの意思疎通が上手くいっていない可能性があったりするかと。 ▽ただ、モラタがグラウンド以外でもよく会話するというコスタは今回も代表に縁がなく…。いえ、合宿入り前に病院で診察を受けて出て来た時には元気そうだったんですけどね。結局、先週末の試合で受けた足の付け根の打撲と筋肉疲労が回復せず、ラス・ロサスでは1度も全体練習に参加しないまま、木曜日にはロンドンに戻ることが決定。代わりにイアゴ・アスパス(セルタ)が初招集されていましたが、10月の代表戦でもロペテギ監督はハビ・マルティネス(バイエルン)→イニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、サウール(アトレティコ)→アンデル・エレーラ(マンチェスター・ユナイテッド)、ジョルディ・アルバ(バルサ)→モンレアル(アーセナル)と、負傷で3人も追加招集する破目に。それに懲りたか、今回は25人と多めに呼んだんですが、どうやら選手の健康運には恵まれていないよう。 ▽そして金曜日には試合の行われるグラナダ(スペイン南部)に移動したスペインですが、それまではマセドニアも専守防衛で自陣に閉じこもる戦法を採ってくると考えられることから、予選前節のアルバニア戦で成功した3バックのリピートが言われていたんですが、ヌエボ・ロス・カルメネス(グラナダのホーム)での前日練習の後では通常の4バックに戻るという意見が主流に。いえ、同じバルサとマドリーのCBコンビとはいえ、今回はピケとラモスが負傷欠場で、バルトラ(現ドルトムント)とナチョですから、ちょっと不安がない訳ではないんですけどね。水曜日にはラス・ロサスでのランチタイムにラモスがチームを電撃訪問、一緒に食卓を囲んで後輩に檄を飛ばすと共に、ロペテギ監督とも意見を交換し合ったといいますから、まあ大丈夫かと。 ▽その他のスタメンはGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、右SBカルバハル(マドリー)、左SBモンレアル、中盤がブスケツ(バルサ)、コケ(アトレティコ)、チアゴ(バイエルン)、前線がビトロ(セビージャ)、モラタ、シルバ(マンチェスター・シティ)という4-3-3が予想されていますが、大穴でイスコ(マドリー)がチアゴに取って代わるかも。まあ、ロペテギ監督も「Los partidos los ganan los jugadores, no el dibujo/ロス・パルティードス・ロス・ガナン・ロス・フガドーレス、ノー・エル・ディブーホ(試合に勝つのは選手たち、システムではない)」と言っていましたしね。 ▽万が一、モラタが不発でも、合宿初日のミニゲームからゴールを連発していた35歳のベテランFW、アドゥリス(アスレティック)がいますし、ノリート(マンチェスター・シティ)やイアゴ・アスパスだって、好調ですからね。滅多なことがない限り、土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのマケドニア戦で後れを取ることはないと思いますが、さて。現在、同じ勝ち点7でグループG2位につけているイタリアはリヒテンシュタインと対戦しますので、3月まで首位を満喫するためにも、とにかく勝ってほしいものです。 ▽え、その一方で同じラス・ロサスで1日早く合宿を始めた彼らの弟分、U21スペイン代表は金曜日に来年のユーロ出場を懸けたプレーオフ1stレグに挑んだんだろうって? うーん、そうなんですが、今回はサウールやアセンホ(マドリー)も応援に行って、メンバー全員がリーグ1部でプレーする選手だったため、かなり強そうには見えたんですけどね。ザンクト・ポレンで行われた試合は前半ロスタイムにデウロフェウ(エバートン)のPKで先制したものの、後半にはジョニー(セルタ)がオウンゴールを入れてしまい、ムニル(バレンシア)が絶好機を2度も逃してしまったこともあって、最後は1-1でオーストリアと引き分けに。来週火曜日、アルバセテ(マドリッドから1時間の内陸都市)での2ndレグで決着をつけることになりました。 ▽何せ、スペインのU21チームはロペテギ監督が率いていた2013年、現在A代表にいるモラタ、チアゴ、コケ、イスコ、カルバハル、ナチョ、バルトラ、イニゴ・マルティネスらを擁するチームで優勝したのを最後に、2015年ユーロ本大会には出場もできませんでしたからね。来年の夏には、スペインの出る大人の国際大会はないため、この世代の選手たちにはいい挑戦の機会になると思うのですが、こればっかりはねえ。 ▽その他、週末は土曜日にウェールズの年間最優秀選手賞を6年連続で受賞したベイルがセルビアと、日曜日にはマドリーとの契約を2021年まで延長した日の夜、マルカ(スペインのスポーツ紙)のディ・ステファノ賞(最優秀選手賞)もゲット、翌日にはナイキと終生契約を結び、ルンルンの1週間を送っているクリスチアーノ・ロナウドのポルトガルがラトビアと対戦なんていうのもありますが、金曜日はヴァランが先発したフランスが2-1でスウェーデンに勝利したものの、グリースマンは不発、ガメイロには出場機会もなかったのはちょっと残念ですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.12 12:49 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】FW増やせば点取れるって訳ではないらしい…

▽「先越されちゃったわね」そんな風に私が感じていたのは金曜日、来週のスペイン代表戦に向けた招集リストの内容を知った時のことでした。いやあ、先月はロペテギ監督がアメリカ旅行のついでにMLSのニューヨークシティの試合を観戦。未だにゴールへの執念に満ち溢れているビジャが彼の地でもガンガン得点を挙げているのを見てきたと聞いて、もしや代表再招集もあるんじゃないかと内心、楽しみにしていたんですけどね。フタを開けてみれば、復帰したのは34歳の彼ではなく、前日のヨーロッパリーグ4節ヘンク戦で、クリスチアーノ・ロナウドやメッシ以外、滅多にお目にかかれない1試合5得点という快挙を達成した35歳、アドゥリス(アスレティック)の方。 ▽うーん、ロペテギ監督は「以前から注目していた。No ha tenido ninguna influencia los cinco goles/ノ・ア・テニードー・ニングーナ・インフルエンシア・ロス・シンコ・ゴーレス(5ゴールの影響はまったくない)」と言っていましたけどね。何より、この夏のユーロが終わってデル・ボスケ監督が引退して以来、2回の招集リストに入らなかったアドゥリスの凄いところは、ヘンク戦で挙げたゴールのうち、3本がPKだったこと。何せ、PKに関しては数々の逸話を持つメッシを始め、リーガ前節のアラベス戦でロナウドは2回蹴って、2度目は止められてしまったり、アトレティコのグリースマンも昨季のCL決勝から3連続で失敗中と、ゴールを量産するFWたちでさえ、意外と難易度が高い感がありますからね。 ▽今回、15日のイングランドとの親善試合はともかく、12日のマケドニア戦はイタリアと首位通過をガチンコで争っているW杯予選の大事な一戦なため、確固としたPKキッカーがいないスペインには大きな力になってくれるかも。その他、前回の追加招集からリピートしたイニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、モンレアル(アーセナル)、アンデル・エレラ(マンチェスター・ユナイテッド)に加え、GKアセンホ(ビジャレアル)、エスクデロ(セビージャ)、アスピリクエタ(チェルシー)、バルトラ(ドルトムント)、マタ(マンチェスター・ユナイテッド)らが11月の新顔となりますが、とりわけDF陣に変化が多いのはセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)、ピケ、ジョルディ・アルバ(バルサ)らのレギュラーが負傷中のため。 ▽その一方で、サウル(アトレティコ)やアセンホ(マドリー)は来年のユーロ出場が懸けて、オーストリアとプレーオフを戦うU21へ応援に行きますが、でもねえ。たった2試合しかないのに総勢25人って、ロペテギ監督がイロイロ、見てみたいのはわかりますが、まったく出場できない選手が複数、出てしまいそうなのは気の毒ですよね。 ▽え、今は代表戦のことより、今週のCL4節がどうだったかの方を知りたいって? そうですね、早くもグループリーグ突破決定を目前にしていたマドリッドの両雄ですが、どちらも相手はグループ内最弱チーム。そのせいか、指揮官による戦術に迷走があったようなアトレティコとマドリーでしたが、とりあえず、火曜に一足早く、ビセンテ・カルデロンにロシアのロストフを迎えた前者の結果は吉と出ることに。いえ、このところは夜の試合にウルトラダウンぐらいは必須ですが、遥かに暖かいマドリッドでの試合に体もノビノビ動いたか、3節よりずっと活発だった相手にアトレティコが苦労しなかった訳ではないんですけどね。 ▽それでも前半28分にはカラスコの浮き球のパスをアズモウンがヘッドでクリアしようとしたところ、ボールが敵DFラインとGKの間に入り込んでいたグリースマンへ。彼がジャンプして左足の外側で蹴る、アクロバティックなシュートでゴールにしてくれたため、先制したアトレティコだったものの、その次のプレーでフィリペ・ルイスとゴディンが遅れを取り、アズモウンに同点ゴールを奪われてしまうとはいかに! うーん、昨今では攻撃的なチームになったと、褒められることが多い彼らですが、今季唯一の黒星を喫したリーガのセビージャ戦でのエンゾンジのゴール、勝ったものの、その次のマラガ戦でも2失点してしまいましたからね。 ▽何か1つに集中すると、他が疎かになってしまう辺り、いかにもアトレティコ的ではありますが、やはり1-1のままではいけないと、シメオネ監督は後半開始からチームに一斉攻勢を指示。早くも12分にはサウルを引っ込め、ガメイロを投入、フェルナンド・トーレス、グリースマン、カラスコとの4人FW体制となって、4-2-4のような状態で相手を囲い込んでいましたが、全員で守るロストフの砦は崩せません。カラスコをコレアに代えてもラチが明かず、いよいよロスタイムに入ったため、引き分けでも突破は決まるしと、私もスタンドを降りて出口に向かったんですが…。 ▽これって、前回、ロシアのチームとの試合で帰りかけた時、それこそ階段の踊り場でCKにアセンホまで上がっていたアトレティコがカウンターを受け、最後はルビン・カザンに1-2で負けてしまったシーンを目の当たりにしたイヤな思い出のせいだったんですかね。その日もちょっと心配で立ち止まっていたところ、真逆なことが起こったから、驚いたの何のって! そう、それはアトレティコ・ファンにとっては魔の時間、2年前のCL決勝でセルヒオ・ラモスが奇跡の同点ヘッドを決めた、93分のことでした。センター付近から放り込まれたロングボールが一緒にジャンプした、ピンチの時にはCFに転身するゴディンではなく、ガツカンの頭を経てゴール前へ。またしても抜け出していたグリースマンがそれをネットに蹴り入れ、土壇場でアトレティコに勝ち越し点が入るって、一体、彼らはいつからお隣さんのような奇跡体質になった? ▽幸い、オフサイドを主張するロストフの抗議も認められず、最後の1分程もしのいだアトレティコはこれで2-1で勝利。グループリーグ4戦全勝として、その日、スポルティングに勝ったバイエルンと共に突破を決めましたが、試合の後のシメオネ監督は「He tomado malas decisiones en varios momentos del encuentro/エ・トマードー・マラス・デシシオネス・エン・バリオス・モメントス・デル・エンクエントロ(自分はこの試合で何度もマズい判断をした)」と反省することしきりです。それが何だったか、具体的に言うのは控えたため、世間ではもっぱら、マラガ戦の延長で、最初サウルをボランチに置いて、コケを右サイドにしたことではないかと推測されていますが、それでも「los jugadores fueron los que lo resolvieron/ロス・フガドーレス・フエロン・ロス・ケ・ロ・レソルビエロン(選手たちが解決してくれた)」(シメオネ監督)のは本当にラッキーでしたよね。 ▽そして同日にはバルサがマンチェスター・シティに予想外の敗北をした後、セビージャがディナモ・ザグレブに4-0と大勝した水曜にワルシャワでの無観客試合に挑んだのがマドリーだったんですが、もしやジダン監督はシメオネ監督の超攻撃的システムに感化されたんでしょうか。BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)プラス、モラタで4-2-4って、いえ、当人は後で「Era mas un 4-4-2 que un 4-2-4/エラ・マス・ウン・クアトロ・クアトロ・ドス・ケ・ウン・クアトロ・ドス・クアトロ(4-2-4というより、4-4-2だった)」と言っていましたけどね。先発にMFがクロース、コバチッチの2人しかいないって、あまりにレギアを軽く見過ぎていない? ▽それでも開始から1分も経たないうちに、風邪でお留守番になったマルセロの代わりに入ったコエントランのクロスをベイルが見事なvolea(ボレア/ボレーシュート)で叩き込み、先制点を挙げた時には、彼らはCL現チャンピオンだし、別に関係ないのかと私も思ったんですけどね。34分にベイルの折り返しをベンゼマが決めて2点目が入ったのを見て、ますますその気持ちは強まったんですが、いえいえ、とんでもない。40分にオディジャにエリア前から撃ち込まれ、1-2でハーフタイムに入った彼らには、「Nos ha faltado de todo, intensidad, movimiento, ganas/ノス・ア・ファルタードー・デ・トードー、インテンシダッド、モビミエントー、ガナス(ウチにはプレーの激しさ、動き、気力、全てが欠けていた)」(ジダン監督)ことがその後の災いを呼んでしまいます。 ▽ええ、後半13分にはラドビッチに同点にされると、ベンゼマをルーカス・バルケスに代え、更にはコエントランとアセンシオにして、3人DFで攻めてみたのも裏目に出て、38分にはモーリンに勝ち越しゴールを入れられてしまうんですから、呆気に取られてしまうじゃないですか。うーん、その直後にモラタから、今季ほとんどプレー時間をもらっていないカンテラーノ(下部組織出身の選手)のFW、マリアーノに代わったのも何だか、意味がわかりませんしね。結局、40分にはコバチッチがレギアの3ゴールと同じようなエリア外からのシュートを決め、何とか同点に持ち込むことができたマドリーでしたが、実際、「ファンの応援があったら、ウチが勝っていた」(ラドビッチ)なんて破目になっていたら、赤っ恥もいいところでしたっけ。 ▽え、逆にレギアのサポーターがいたら、pito(ピト/ブーイング)の的になるのは確実だったロナウドが発奮して、彼らは簡単に勝てていたんじゃないかって?まあ、そうかもしれませんが、CLでクラブ史上最速のゴールを挙げたベイルも、「プレーに激しさが欠けていたことから、ボクらは学ばなければならない。こういう大会ではいつもツケを払うことになるからね」と言っていたように、格下相手の時に気を緩めてしまう悪い癖は早く直しておくのが肝心。ただ、元々、マドリーはお隣さんと違って、FW陣が守備に熱心でなくてもスルーされてしまうため、その人数を増やすと失点が増えるのは仕方ないのかもしれませんけどね。 ▽おかげでバルサやセビージャ同様、グループリーグ突破確定が次節以降に持ち越されてしまいましたが、それだけでなく、もう1つの懸念は首位突破をするためには、下手したら、2連勝が必要になること。いえ、アウェイのスポルティング戦もホームのドルトムント戦もその頃には負傷中のラモスやカセミロも復帰しているでしょうし、マジメにやれば、決して勝てなくはないんですけどね。金曜には恒例のアウディからの車の貸与式をビセンテ・カルデロンに近いカルロス・サインツ・センターで行い、ついでにカートレースを楽しんでいた選手たちですが、今週末のリーガはマドリッドの弟分、レガネスをサンティゴ・ベルナベウに迎えてのホームゲーム。こちらも新参者と甘く見ると火傷しかねませんから、日曜正午(日本時間午後8時)までには皆、しっかり気を引き締めてもらいたいものですが…。 ▽その傍ら、土曜にレアル・ソシエダ戦を控えるアトレティコは前日にはサン・セバスティアン入りしているんですが、幸いロストフ戦で打撲を受けたグリースマンも順調に回復し、出場に問題はないとか。ちなみに前日記者会見で、この火水を終えてCLグループリーグ全勝だったのはアトレティコだけという成績に、「Es suerte/エス・スエルテ(それは運)」と答えていたシメオネ監督は、ロストフ戦の反省を踏まえて、この試合ではコケをボランチに戻すよう。 ▽曰く、「サウルだと敵エリア内への侵入や空中戦といった別の特性を利用できるが、con Koke jugamos mas rapido tras recuperar la pelota y el equipo tiene mas panorama/コン・コケ・フガモス・マス・ラピド・トラス・レクペラール・ラ・ペロータ・イ・エル・エキポ・ティエネ・マス・パノラマ(コケだとボールを奪取してから、より素早くプレーできて、チームが違う展望を持つことができる)」からだそうですが、ソシエダも前節、レガネスを0-2と破ったおかげもあって現在6位と好調ですからね。土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からの対戦では、初心に戻って堅実な守備を心掛けて、バルサもセビージャ戦が日曜にあるため、たった1日でもいいですから、またリーガ首位の高みに立てるといいですね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.08 19:55 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】FW増やせば点取れるって訳ではないらしい…

▽「先越されちゃったわね」そんな風に私が感じていたのは金曜日、来週のスペイン代表戦に向けた招集リストの内容を知った時のことでした。いやあ、先月はロペテギ監督がアメリカ旅行のついでにMLSのニューヨークシティの試合を観戦。未だにゴールへの執念に満ち溢れているビジャが彼の地でもガンガン得点を挙げているのを見てきたと聞いて、もしや代表再招集もあるんじゃないかと内心、楽しみにしていたんですけどね。フタを開けてみれば、復帰したのは34歳の彼ではなく、前日のヨーロッパリーグ4節ヘンク戦で、クリスチアーノ・ロナウドやメッシ以外、滅多にお目にかかれない1試合5得点という快挙を達成した35歳、アドゥリス(アスレティック)の方。 ▽うーん、ロペテギ監督は「以前から注目していた。No ha tenido ninguna influencia los cinco goles/ノ・ア・テニードー・ニングーナ・インフルエンシア・ロス・シンコ・ゴーレス(5ゴールの影響はまったくない)」と言っていましたけどね。何より、この夏のユーロが終わってデル・ボスケ監督が引退して以来、2回の招集リストに入らなかったアドゥリスの凄いところは、ヘンク戦で挙げたゴールのうち、3本がPKだったこと。何せ、PKに関しては数々の逸話を持つメッシを始め、リーガ前節のアラベス戦でロナウドは2回蹴って、2度目は止められてしまったり、アトレティコのグリースマンも昨季のCL決勝から3連続で失敗中と、ゴールを量産するFWたちでさえ、意外と難易度が高い感がありますからね。 ▽今回、15日のイングランドとの親善試合はともかく、12日のマケドニア戦はイタリアと首位通過をガチンコで争っているW杯予選の大事な一戦なため、確固としたPKキッカーがいないスペインには大きな力になってくれるかも。その他、前回の追加招集からリピートしたイニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、モンレアル(アーセナル)、アンデル・エレラ(マンチェスター・ユナイテッド)に加え、GKアセンホ(ビジャレアル)、エスクデロ(セビージャ)、アスピリクエタ(チェルシー)、バルトラ(ドルトムント)、マタ(マンチェスター・ユナイテッド)らが11月の新顔となりますが、とりわけDF陣に変化が多いのはセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)、ピケ、ジョルディ・アルバ(バルサ)らのレギュラーが負傷中のため。 ▽その一方で、サウル(アトレティコ)やアセンホ(マドリー)は来年のユーロ出場が懸けて、オーストリアとプレーオフを戦うU21へ応援に行きますが、でもねえ。たった2試合しかないのに総勢25人って、ロペテギ監督がイロイロ、見てみたいのはわかりますが、まったく出場できない選手が複数、出てしまいそうなのは気の毒ですよね。 ▽え、今は代表戦のことより、今週のCL4節がどうだったかの方を知りたいって?そうですね、早くもグループリーグ突破決定を目前にしていたマドリッドの両雄ですが、どちらも相手はグループ内最弱チーム。そのせいか、指揮官による戦術に迷走があったようなアトレティコとマドリーでしたが、とりあえず、火曜に一足早く、ビセンテ・カルデロンにロシアのロストフを迎えた前者の結果は吉と出ることに。いえ、このところは夜の試合にウルトラダウンぐらいは必須ですが、遥かに暖かいマドリッドでの試合に体もノビノビ動いたか、3節よりずっと活発だった相手にアトレティコが苦労しなかった訳ではないんですけどね。 ▽それでも前半28分にはカラスコの浮き球のパスをアズモウンがヘッドでクリアしようとしたところ、ボールが敵DFラインとGKの間に入り込んでいたグリースマンへ。彼がジャンプして左足の外側で蹴る、アクロバティックなシュートでゴールにしてくれたため、先制したアトレティコだったものの、その次のプレーでフィリペ・ルイスとゴディンが遅れを取り、アズモウンに同点ゴールを奪われてしまうとはいかに!うーん、昨今では攻撃的なチームになったと、褒められることが多い彼らですが、今季唯一の黒星を喫したリーガのセビージャ戦でのエンゾンジのゴール、勝ったものの、その次のマラガ戦でも2失点してしまいましたからね。 ▽何か1つに集中すると、他が疎かになってしまう辺り、いかにもアトレティコ的ではありますが、やはり1-1のままではいけないと、シメオネ監督は後半開始からチームに一斉攻勢を指示。早くも12分にはサウルを引っ込め、ガメイロを投入、フェルナンド・トーレス、グリースマン、カラスコとの4人FW体制となって、4-2-4のような状態で相手を囲い込んでいましたが、全員で守るロストフの砦は崩せません。カラスコをコレアに代えてもラチが明かず、いよいよロスタイムに入ったため、引き分けでも突破は決まるしと、私もスタンドを降りて出口に向かったんですが…。 ▽これって、前回、ロシアのチームとの試合で帰りかけた時、それこそ階段の踊り場でCKにアセンホまで上がっていたアトレティコがカウンターを受け、最後はルビン・カザンに1-2で負けてしまったシーンを目の当たりにしたイヤな思い出のせいだったんですかね。その日もちょっと心配で立ち止まっていたところ、真逆なことが起こったから、驚いたの何のって!そう、それはアトレティコ・ファンにとっては魔の時間、2年前のCL決勝でセルヒオ・ラモスが奇跡の同点ヘッドを決めた、93分のことでした。センター付近から放り込まれたロングボールが一緒にジャンプした、ピンチの時にはCFに転身するゴディンではなく、ガツカンの頭を経てゴール前へ。またしても抜け出していたグリースマンがそれをネットに蹴り入れ、土壇場でアトレティコに勝ち越し点が入るって、一体、彼らはいつからお隣さんのような奇跡体質になった? ▽幸い、オフサイドを主張するロストフの抗議も認められず、最後の1分程もしのいだアトレティコはこれで2-1で勝利。グループリーグ4戦全勝として、その日、PSVに勝ったバイエルンと共に突破を決めましたが、試合の後のシメオネ監督は「He tomado malas decisiones en varios momentos del encuentro/エ・トマードー・マラス・デシシオネス・エン・バリオス・モメントス・デル・エンクエントロ(自分はこの試合で何度もマズい判断をした)」と反省することしきりです。それが何だったか、具体的に言うのは控えたため、世間ではもっぱら、マラガ戦の延長で、最初サウルをボランチに置いて、コケを右サイドにしたことではないかと推測されていますが、それでも「los jugadores fueron los que lo resolvieron/ロス・フガドーレス・フエロン・ロス・ケ・ロ・レソルビエロン(選手たちが解決してくれた)」(シメオネ監督)のは本当にラッキーでしたよね。 ▽そして同日にはバルサがマンチェスター・シティに予想外の敗北をした後、セビージャがディナモ・ザグレブに4-0と大勝した水曜にワルシャワでの無観客試合に挑んだのがマドリーだったんですが、もしやジダン監督はシメオネ監督の超攻撃的システムに感化されたんでしょうか。BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)プラス、モラタで4-2-4って、いえ、当人は後で「Era mas un 4-4-2 que un 4-2-4/エラ・マス・ウン・クアトロ・クアトロ・ドス・ケ・ウン・クアトロ・ドス・クアトロ(4-2-4というより、4-4-2だった)」と言っていましたけどね。先発にMFがクロース、コバチッチの2人しかいないって、あまりにレギアを軽く見過ぎていない? ▽それでも開始から1分も経たないうちに、風邪でお留守番になったマルセロの代わりに入ったコエントランのクロスをベイルが見事なvolea(ボレア/ボレーシュート)で叩き込み、先制点を挙げた時には、彼らはCL現チャンピオンだし、別に関係ないのかと私も思ったんですけどね。34分にベイルの折り返しをベンゼマが決めて2点目が入ったのを見て、ますますその気持ちは強まったんですが、いえいえ、とんでもない。40分にオディジャにエリア前から撃ち込まれ、1-2でハーフタイムに入った彼らには、「Nos ha faltado de todo, intensidad, movimiento, ganas/ノス・ア・ファルタードー・デ・トードー、インテンシダッド、モビミエントー、ガナス(ウチにはプレーの激しさ、動き、気力、全てが欠けていた)」(ジダン監督)ことがその後の災いを呼んでしまいます。 ▽ええ、後半13分にはラドビッチに同点にされると、ベンゼマをルーカス・バルケスに代え、更にはコエントランとアセンシオにして、3人DFで攻めてみたのも裏目に出て、38分にはモーリンに勝ち越しゴールを入れられてしまうんですから、呆気に取られてしまうじゃないですか。うーん、その直後にモラタから、今季ほとんどプレー時間をもらっていないカンテラーノ(下部組織出身の選手)のFW、マリアーノに代わったのも何だか、意味がわかりませんしね。結局、40分にはコバチッチがレギアの3ゴールと同じようなエリア外からのシュートを決め、何とか同点に持ち込むことができたマドリーでしたが、実際、「ファンの応援があったら、ウチが勝っていた」(ラドビッチ)なんて破目になっていたら、赤っ恥もいいところでしたっけ。 ▽え、逆にレギアのサポーターがいたら、pito(ピト/ブーイング)の的になるのは確実だったロナウドが発奮して、彼らは簡単に勝てていたんじゃないかって?まあ、そうかもしれませんが、CLでクラブ史上最速のゴールを挙げたベイルも、「プレーに激しさが欠けていたことから、ボクらは学ばなければならない。こういう大会ではいつもツケを払うことになるからね」と言っていたように、格下相手の時に気を緩めてしまう悪い癖は早く直しておくのが肝心。ただ、元々、マドリーはお隣さんと違って、FW陣が守備に熱心でなくてもスルーされてしまうため、その人数を増やすと失点が増えるのは仕方ないのかもしれませんけどね。 ▽おかげでバルサやセビージャ同様、グループリーグ突破確定が次節以降に持ち越されてしまいましたが、それだけでなく、もう1つの懸念は首位突破をするためには、下手したら、2連勝が必要になること。いえ、アウェイのスポルティング戦もホームのドルトムント戦もその頃には負傷中のラモスやカセミロも復帰しているでしょうし、マジメにやれば、決して勝てなくはないんですけどね。金曜には恒例のアウディからの車の貸与式をビセンテ・カルデロンに近いカルロス・サインツ・センターで行い、ついでにカートレースを楽しんでいた選手たちですが、今週末のリーガはマドリッドの弟分、レガネスをサンティゴ・ベルナベウに迎えてのホームゲーム。こちらも新参者と甘く見ると火傷しかねませんから、日曜正午(日本時間午後8時)までには皆、しっかり気を引き締めてもらいたいものですが…。 ▽その傍ら、土曜にレアル・ソシエダ戦を控えるアトレティコは前日にはサン・セバスティアン入りしているんですが、幸いロストフ戦で打撲を受けたグリースマンも順調に回復し、出場に問題はないとか。ちなみに前日記者会見で、この火水を終えてCLグループリーグ全勝だったのはアトレティコだけという成績に、「Es suerte/エス・スエルテ(それは運)」と答えていたシメオネ監督は、ロストフ戦の反省を踏まえて、この試合ではコケをボランチに戻すよう。 ▽曰く、「サウルだと敵エリア内への侵入や空中戦といった別の特性を利用できるが、con Koke jugamos más rápido tras recuperar la pelota y el equipo tiene más panorama/コン・コケ・フガモス・マス・ラピド・トラス・レクペラール・ラ・ペロータ・イ・エル・エキポ・ティエネ・マス・パノラマ(コケだとボールを奪取してから、より素早くプレーできて、チームが違う展望を持つことができる)」からだそうですが、ソシエダも前節、レガネスを0-2と破ったおかげもあって現在6位と好調ですからね。土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からの対戦では、初心に戻って堅実な守備を心掛けて、バルサもセビージャ戦が日曜にあるため、たった1日でもいいですから、またリーガ首位の高みに立てるといいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.05 12:45 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】落ちるは早し、昇るは大変…

▽「これはまた凄い偶然が」そんな風に私が驚いていたのは月曜日、先週末のリーガ戦で負傷交代していたレアル・マドリーのペペが左太もものケガで全治1カ月程という診断が下ったというニュースを知った時のことでした。いやあ、前節では予想通り、マドリッドの両雄の勝ち点差が3と変わらないままだったため、これを縮めるのはやはり、11月の各国代表戦週間後の19日にやって来るマドリーダービーしかないだろうと思い詰めていたところだったんですけどね。10月のW杯予選でヒザの靭帯を痛めたセルヒオ・ラモスも暇さえあれば、自身のインスタグラム(https://www.instagram.com/sr4oficial/)にリハビリ映像をアップ、マドリーファンにダービーでの復帰に期待を持たせているとはいえ、当初の見立てでは間に合わないというのが一般的な解釈かと。 ▽となると、ビセンテ・カルデロンで最後となるリーガダービーでCBコンビを務めるのはバランとナチョになるんですが、もしや2シーズン前、アトレティコが4-0と大勝した一戦で先発したのはこの2人じゃなかった?うーん、その試合でゴールを挙げたチアゴ、サウル、グリースマン、マンジュキッチ(現ユベントス)のうち、最後の1人以外はまだアトレティコにいますしね。おまけにクアトロ(スペインの民放)から唐突に命名されてしまったGCG(ヘーセーヘー/グリースマン、カラスコ、ガメイロの頭文字)は今季のリーガでここまで16得点9アシストと、BBC(ベーベーセー/ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)の12得点4アシストを大きく上回る成績を残しているとなれば、当時アンチェロッティ監督(現バイエルン)が味わった悪夢をジダン監督にも体験させることが可能かも。 ▽まあ、その前には今週末に新弟分のレガネスが憧れのサンティアゴ・ベルナベウデビューを果たす、マドリーミニダービーもありますから、取らぬ狸の皮勘定をしていても仕方ないんですが、とりあえず、土曜の試合がどうだったか、お伝えしていくことにすると。今回、先にアジアン・ゴールデンタイムの午後4時15分枠でスタートしたのはメンディソローサでアラベス戦に挑んだマドリーで、こちらは私も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見ていたんですが、序盤から気勢を挙げてくれたのはアトレティコから年子の兄、ルーカス・フェルナンデスと離れ、レンタルで修業に出ているテオ。3バック制を敷いたペジェグリーノ監督のチームで左SBを務めていたんですが、前半6分には威勢良く上がってゴール前にパスを入れることに成功します。 ▽ただ、それもダニーロか、GKケイロル・ナバスがクリアしていれば何てことのないプレーだったんですが、ボールはこの2人を通り越し、フリーで詰めていたデイベルソンの前へ。そのシュートが決まってアラベスが先制してしまったから、驚かせてくれるじゃないですか。ただ、ホームチームのリードは長くは続かず、10分後にはベイルのFKがエリア内で壁を作っていたデイベルソンの腕に当たったとされ、審判への必死の抗議も空しくPKを与えてしまうことに。この時はロナウドが、3年前にはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で一緒にトレーニングしていたGKパチェコを破って同点弾をゲット。おかげでここ4試合ノーゴールが続き、ジダン監督曰く、「Cristiano no está ansioso, enfadado puede ser/クリスティアーノ・ノー・エスタ・アンシオーソ、エンファダードー・プエデ・セル(クリスチアーノは焦ってはいないが、怒っているというのはありうる)」という状態も解消されたはずだったんですが…。 ▽それどころか、逆に調子に乗っちゃったんですよ。ええ、ケガをしたペペがナチョと交代した後の32分、彼はエリア前からのシュートがフェダルに当たって方向を変え、2点目をマーク。私も後半20分頃にはビセンテ・カルデロンに向かうため、ベンゼマがモラタに代わったところでバルを出たんですが、後でチェックしたところ、最終的に1-4でマドリーが大勝していたのは意外だったかも。その原因は彼らのあまりパッとしないプレーぶりにあったんですが、ジダン監督は「Estan muy bien los dos. Ya esta/エスタン・ムイ・ビエン・ロス・ドル。ジャー・エスタ(2人ともいい調子だ。それだけ)」と議論を避けているものの、近頃ベンゼマより先発にふさわしいんじゃないかと、マスコミやファンに持ち上げられているモラタが39分、マルセロのロングパスを絶妙なタッチでvaselina(バセリーナ/ループシュート)。 ▽これで決まった3点目に続き、残り2分にはマルセロからの折り返しをロナウドが撃ち込んで、その10分前、今度はパチェコにコースを読まれて失敗したPKのせいで逃したハットトリックを執念で達成。生まれ故郷のマデイラ島にある自身のミュージアムに飾るボールを38個に増やしましたが、どうやら終盤のアラベスが、ペジェグリーノ監督が退場させられてしまったこともあって、「nos hemos dejado llevar los últimos 15 minutos/ノス・エモス・デハドー・ジェバール・ロス・ウルティモス・キンセ・ミヌートス(ウチは最後の15分間、流れに任せてしまった)」(アレクシス)と、緊張感が途切れてしまったのもマドリーに有利に働いたようでしたっけ。 ▽そしてアトレティコとマラガの対戦が始まったんですが、この日の彼らは今季3度目の満員御礼にしてくれたファンを待たすことはありませんでした。そう開始6分、エリア前でグリースマンはシュートできなかったものの、ボールをカラスコに流すことに成功。すると、このところ絶好調の彼がコネをかわしてゴールを決めてくれたから、嬉しいじゃないですか。おまけに24分、今度はファンフランのクロスを何故か、またしてもコネがクリアミス。ゴール前に上げられて、カバーに入っていたカマチョも慌てたか、ついガメイロの足元に頭で落としてしまうなんて、うーん、いくら懐かしのカルデロンだったとて、かつてのアトレティコのお家芸、開いた口が塞がらない守備の大ポカを披露してしまう辺り、まだ自分の過去を忘れていなかった? ▽当然、このプレーはガメイロのゴールで終わり、早くも試合は軌道に乗ったかと思われたんですが、この日のプチ不幸はようやく、コレアに代わって先発に抜擢されたガイタンが20分には臀部の打撲で交代を余儀なくされたこと。おそらくこの出来事でGKオブラクも気が散ってしまったんでしょうかね。続くエリア左横からのFKをサンドロに意表を突いて直接狙われ、golazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められてしまうことに。ただそれでも前半終了前には、今度はフィリペ・ルイスから受けたロングパスをグリースマンが自分で撃たず、フランス代表のチームメートに頭で繋いで任せてくれたため、3-1で試合はハーフタイムに入ります。 ▽そんな中、予期せぬ逆境が発生したのは後半15分、ちょっと前に今季初のイエローカードをもらっていたサビッチがチョリ・カストロのボールを奪いに行こうとした際に足を滑らせ、相手にぶつかってしまたところ、2枚目のカードが提示に。前節のセビージャ戦のコケに続き、またしてもアトレティコは10人になってしまったから、大変です!いえ、シメオネ監督はすぐさま、グリースマンを下げてルーカスをCBとして入れましたし、先週とは違って、リードしていたため、最初はそんなに大事には見えなかったんですけどね。これがまた選手たちの集中力を削いだのか、その3分後、CKからカマチョにご恩返しのヘッドを決められて、スコアが3-2になってしまったのには、不安を感じたファンも多かったかと。 ▽実際、人数的劣勢になったからといって、オタオタするようなアトレティコではないんですが、1点なんて何が原因で取られてしまうかわかりませんからね。その日、2得点と、まだ「no hemos visto al Gameiro del Sevilla todavia/ノー・エモス・ビストー・アル・ガエイロ・デル・セビージャ・トダビア(まだセビージャ時代のガメイロを見せていない)」と当人は謙遜しているものの、ゴールゲッターぶりを披露していたFWをチアゴに代えて守備強化を図らなければならなかった上、28分には、サンドロに触発させられたカラスコが同じような位置からFKを放ち、惜しくも枠に嫌われてしまったことなどもあって、誰もが一刻も早く試合が終わってほしいと願っていたところ…。 ▽それが起こったのは42分、自陣からサウルの蹴った長いボールをこんな時間にあっていいと目を疑うような猛ダッシュで追ったのはカラスコでした。いえ、それだけでなく、リカにまとわりつかれながら、エリアに入るか入らないかで撃ったシュートがGKカメニを破り、ファーポストに当たってネットに入ってしまったから、ビックリしたの何のって。いえ、後でシメオネ監督は「El cambio de posicion de Correa y Carrasco fue un acierto./エル・カンビオ・デ・ポシシオン・デ・コレア・イ・カラスコ・フエ・ウン・アシエルト(コレアとカラスコのポジションを変えたのが当たった)」と、CF役を入れ替えた自身の指示の的確さをさり気に自慢していましたけどね。これってもしかして、去年の夏に入団して以来、体力強化メニューを厳しく課してくれたフィジカルコーチのプロフェ・オルテガのお手柄では? ▽うーん、先程のBBC対GCG、ゴール数だけでなく、走行距離合計でも194キロと245キロと、遥かに勝っているアトレティコのFWトリオですからね。体力だけでなく、今季は決定力でもお隣さんに引けを取らないとなれば、CL決勝がまた延長戦になってももう絶対に負けない?まあ、それは私の勝手な先走りですが、結局、この後、チョリ・カストロがやはり2枚目のイエローカードで退場になったなんてこともあって、アトレティコは4-2で勝利。その日は次の時間帯でバルサがグラナダに1-0と勝利したものの、お昼の試合でセビージャがスポルティングと1-1で引き分け、ビジャレルが日曜にエイバルに2-1と負けたため、アトレティコは5位から3位まで上昇することができました。 ▽え、リーガはまだまだ長丁場だけど、週明けにはもうグループ突破が見えてきているCLに頭を切り替えないといけないんだろうって?そうですね、水曜にポーランドでレギア・ワルシャワと戦うマドリーの方は余裕があるためか、月曜にはクロース、モドリッチ、ルーカス・バスケスに続いて、最近週1の恒例となっている契約延長にベイルがサイン。2022年までサンティアゴ・ベルナベウでプレーすることになった当人の記者会見があったりしましたが、火曜にロストフを迎えるアトレティコはその夜にはもう合宿入りしています。招集リストからは負傷したガイタンが外れたものの、ようやく長いリハビリを終えたヒメネスが復帰。マラガ戦でヒザを打撲し、夕方の練習でジムでの調整となったガメイロも入っていますが、シメオネ監督は前日記者会見でフェルナンド・トーレスの先発を予告したため、こちらは試合当日にスタンド見学になるかも。 ▽何せここまで3試合全勝ながら、全て1-0ということで、CLではまだリーガのようなgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)力を披露していない彼らですが、このところロストフのように5人DF体制で挑んでくる相手が続き、もうかなり攻略法もマスターしてきていますからね。首位突破は同グループのバイエルンとの兼ね合いもあるため、まだ確定できないんですが、とりあえず、火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からの試合では勝ってグループ突破を決めてもらいたいかと。そうそう、この日曜からヨーロッパは冬時間になったので、同日のマンチェスター・シティvsバルサ戦もですが、日本で生中継を見るファンは開始時刻が違うのに気をつけてくださいね。 ▽そして水曜の同じ時間にプレーするマドリーは、レギアのウルトラが1節のドルトムント戦で大量に発煙筒を炊き、スタンドで騒動もあったため、UEFAから無観客試合の処分を受け、アウェイ戦ながら却って心おきなくプレーできることに。始めに話した通り、ペペがいませんから、バランとナチョのCBコンビの実力が試される、最初の試合にもなります。ただ2週間前の3節ではホームで5-1と一蹴した相手ですからね。 ▽こちらも勝てば、同じ勝ち点のドルトムンドがスポルティングに勝利することを条件にグループ突破が決まりますが、ジダン監督も正攻法でBBC揃い踏みか、モラタやルーカス・バルケス、ハメス・ロドリゲス、アセンシオらの若手投入策で行くのか、迷うところかと。この日にはディナモ・ザグレブをサンチェス・ピスファンに迎えるセビージャも突破が決まるかもしれませんしね。どこもリーガ上位争いに関わっているだけに、早いところCLグループリーグに片をつけて、国内戦に専念したいというのが本音のところでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.01 16:04 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】気楽なコパが終わると…

▽「しばらくこのままなのかな」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、土曜のリーガの組み合わせにあまり波乱は期待できそうにないことに気づいたときのことでした。いやあ、前節にセビージャにしてやられ、アトレティコが首位から5位と、一気に転落したのはまったくの自業自得なんですけどね。代わって単独首位の栄誉を担うことになったお隣さんの今回の相手は昇格組のアラベス。ここ数日、スポーツ紙では敵側の注目選手としてマルコス・ジョレンテが取り上げられてはいたものの、先週日曜にあったソシオ(協賛会員)総会で名誉会長就任が決まったクラブのレジェンド、パコ・ヘント氏の親戚であるだけでなく、祖父や叔父もレアル・マドリーの選手だった名門一族出身の彼はもちろんカンテラ(下部組織)の出身で、現在はアラベスにレンタルで出向の身分ですからね。 ▽ポジションが守備的ボランチで、今季は開幕から先発出場を続けているため、カセミロが負傷した当初には冬の移籍市場での復帰も取り沙汰されていたぐらいだったんですが、当然ながら、契約条項でこの試合には出場できず。だったら、それより3節にはカンプ・ノウでバルサを1-2と破り、世間を沸かせる立役者になったデイベルソンやイバイ・ゴメスらの現在の調子を知りたかったんですが、ほとんど情報がないんですから、やはりクラブの規模相応で、もとからマドリーに太刀打ちできる戦力ではないのかも。 ▽実際、相手チームのペジェグリーノ監督からして4年前に短い間、バレンシアを率いていたぐらいしか馴染みがない上、私に聞き覚えのある選手もせいぜい、2年前のマドリーで第3GKを務めていたパチェコとか、今季は2部に落ちてしまったマドリッドの弟分のヘタフェに長かったDFのアレクシスぐらいですしね。前々節はベニト・ビジャマリンでベティスに1-6と大勝しているマドリーとなれば、アウェイのメンディソローサ(アラベスのホーム)も苦にすることはなさそうですが…。 ▽え、それより今週の彼らはコパ・デル・レイ32強対決の1stレグを16カードの先陣を切って、早々と戦ったんだろうって?その通りで、これは12月の2ndレグの週にクラブW杯参加で留守をするための振り替え日程だったんですが、相手が2部Bのクルトゥラル・レオネサだったせいもあり、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)を始め、マルセロやケイロル・ナバスをジダン監督はレオン(スペイン北部の内陸都市)へ帯同せず。それでも結果は、たとえクルトゥがここまでリーグ無敗の首位チームであっても、納得できるカテゴリーの差を示すものになりました。 ▽いえ、開始6分で決まった最初の得点はクロースのCKを敵DFがオウンゴールにして入ったものだったんですけどね。それ以外、前半は32分に、2021年までの契約延長が決まったルーカス・バルケスからラストパスをもらったアセンシオがしっかり狙って2点目を入れただけだったんですが、ハーフタイムの後、1分もしないうちにお待ちかねのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まります。そう、モラタのゴールを皮切りに、8分にはアセンシオがその日自身2本目、それから2分もしないうちに再びハメス・ロドリゲスがモラタにアシストして、スコアは0-5に。いやあ、これで2人は揃って今季公式戦6得点、BBCの各人がそれぞれまだ4得点に留まっていることを考えると、かなり誇っていい数字かと。 ▽ただその日、最高に魅せるゴールを決めたのはCBのナチョで、後半24分、CKから始まったプレーでハメスがエリア内にクロスを入れたところ、攻撃参加していた彼がアクロバティックなジャンピングボレーを1.70メートルの高みから成功させたから、驚いたのなんのって。ええ、これには2002年のCL決勝レバークーゼン戦で伝説のvolea(ボレア/ボレーシュート)を決めたジダン監督も、「El gol de Nacho es más bonito que el mío de la Novena/エル・ゴル・デ・ナチョ・エス・マス・ボニート・ケ・エル・ミオ・デ・ラ・ノベナ(ナチョのゴールは私のノベナ/9回目のCL優勝のゴールより美しかった)」と絶賛していましたしね。 ▽おまけに当人は「Aprendo todos los dias de los mejores/アプレンドー・トードス・ロス・ディアス・デ・ロス・メホーレス(毎日、最高の選手たちから学んでいる)」と言っていたものの、そのお手本の1人であるベイルまでが、「what a strike last night. Need to get practising!!(昨夜の一発は何て凄いんだ。ボクも練習しないとね)」(https://www.instagram.com/p/BMEYCmejBML/?taken-by=garethbale11)と、自身のCM撮影シーン付きでツィートしているのですから、本当はどっちがどっちに教えている? ▽その後は何度かチャンスも掴んでいたクルトゥが39分にベンハのゴールで名誉の1点を挙げ、ロスタイムにはようやく途中出場で今季2度目のピッチに立てたカンテラーノのマリアーノもヘッドで嬉しい初ゴールを入れて試合は1-7で終了。おかげで11月30日の2ndレグにもマドリーはレギュラーを投入する必要がなくなりましたし、昨季は出場停止処分を受けていたチェリシェフ(現ビジャレアル)を使ったため、カディス(今季は2部)に1stレグで勝ちながら、規則違反による敗退となり、先発できる試合が激減してしまったGKカシージャにも年明けに忙しい日々を保証できますしね。 ▽リーガやCLでは控えに甘んじている選手たちも11月のインターナショナルウィークを前にして、それぞれの代表監督にレベルが落ちてないことを証明できたりと、良いことばかりだったんですが、ただ1つ、不思議だったのは、リーガ、CLでも出ずっぱりのクロースがフル出場、どうして温存されなかったのか。ジダン監督によると、「あのポジションは人手不足でプレーしてもらわないといけなかったんだが、ちょっとは休ませようと思っていた。それでal desanso le pregunté y quería seguir, que estaba bien/アル・デスカンソ・レ・プレングンt・イ・ケリア・セギール、ケ・エスタバ・ビエン(ハーフタイムに訊いたら、続けたがっていて、大丈夫だった)」とのことですが、ただ、おかげで試合の前半には興味深いシーンも見られることに。 ▽それはクルトゥのボランチ、ジェライがボールを出した後にタックルしてきたのにクロースが文句を言いに行った時なんですが、逆にエキサイトした相手に彼はcabezazo(カベサソ/頭突き)をされてしまうことに。本当に頭が顔に当たったんですが、ここ普通なら、大袈裟に引っくり返ったり、審判に猛アピールする選手が大半ですよね。ましてや先週末のメスタジャでゴール祝いの最中にペットボトルを投げられて、実際に当たったメッシではなく、ネイマールやルイス・スアレスが頭を抱えて倒れて込み、その過剰反応ぶりをLEP(スペイン・プロリーグ協会)のテバス会長やバレンシアに罰金処分を課した競技委員会の文書の中で批判され、そのことをTAD(スペインのスポーツ仲裁法廷)に訴えていたバルサのメンバーだったらと、私も想像してしまったんですが、謹厳実直を地でいくドイツ人のクロースはちょっと自分の口元をこすっただけ終わり。 ▽たしなみのある立派なスポーツマンだと、それには私も感心させられたんですが、おそらくまだ32歳で、超早熟指揮官と注目されていたクルトゥのルベン・デ・バレラ監督もそう思ったんでしょうかね。試合前には、「No quiero solamente pedir camisetas y sacarme fotos con los jugadores del Real Madrid/ノー・キエロ・ソラメンテ・ペディール・カミセタス・イ・サカールメ・フォトス・コン・ロス・フガドーレス・デル・レアル・マドリッド(ただマドリーの選手にユニを頼んだり、写真を一緒に撮ったりするだけなのは望まない)」と言っていたものでしたが、対戦後にはちゃっかりクロースのユニをゲット。CL現チャンピオンを慌てさせる夢はキックオフから5分ぐらいしか続きませんでしたが、来月末にはサンティアゴ・ベルナベウの芝を踏めるのを楽しみに、これからは2部昇格への戦いに専念できるといいですね。 ▽そして金曜にはセルヒオ・ラモス、モドリッチ、カセミロらのリハビリ組、出場停止処分のカルバハルを除き、BBCも含めたオールスターメンバーでビトリア(スペイン北東部の町)に乗り込み、土曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのアラベス戦に備えているマドリーですが、その間、アトレティコは何をしていたかというと。いやあ、今週は月曜の夜にリーガの表彰式でシメオネ監督、ゴディン、オブラクがバレンシアに出張した後、ずっとトレーニングしていたんですけどね。中には昼間のサッカー練習だけでは飽き足らず、ボーリング場に通い、上達具合を動画で報告しているサウルのような選手もいたため、気分的にはリラックスできた日々だったよう(https://twitter.com/saulniguez/status/790642639750193153、https://twitter.com/saulniguez/status/791383546040582148)。 ▽え、でもセビージャ戦でプロ生活初のレッドカードをもらったコケの代わりを今節、マラガ戦で務めるのはそのサウルなんだろうって?それはシメオネ監督も前日記者会見で「Saúl acompañará a Gabi en el medio/サウル・アコンパニャラ・ア・ガビ・エン・エル・メディオ(サウルが中盤でガビと一緒に出る)」と宣言していたので、そうなんですけどね。それどころか、「このポジションは彼がいつもプレーしてきたところ。Incluso tiene más peligro que Koke, porque tiene más llegada y más gol/インクルソ・ティエネ・マス・ペリグロ・ケ・コケ、ポルケ・ティエネ・マス・ジェガダ・イ・マス・ゴル(コケより、もっと敵に危険をもたらすことができる。エリア内への侵入もゴールも多いからね)」とまで言われては、カンテラの先輩もまったくかたなしですが、昨季、コケが欠場した6試合、アトレティコは2勝2分け2敗とネガティブな結果だったのをシメオネ監督、うっかり忘れていない? ▽まあ、それはただの偶然かもしれないので別にいいんですが、サウル自身はまだ19歳だった3年前、監督が面と向かって、「ウチではプレー時間があげられないから、外へ出て、サッカー選手として成長してこい」と言ってくれたため、ラージョ(今季から2部)へレンタル移籍することを決意。パコ・ヘメス監督の下、CBの修行までさせられていたため、しばらくは私も守備的な選手なのか、攻撃的な選手なのか、よくわからなくなっていたんですが、当人は「Ese momento fue clave, y por ello para mí Simeone es todo/エセ・モメントー・フエ・クラベ、イ・ポル・エジョ・パラ・ミー・シメオネ・エス・トードー(あの瞬間が決定的だったし、そのおかげでボクにとって、シメオネ監督は全てなんだ)」と、かなり現在の上司に恩を感じているよう。 ▽その信頼に応えて、土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのビセンテ・カルデロンでも大暴れしてもらいたいものですが、さて。とりあえず、前日練習までの様子だと、サウル以外、ここ数試合先発させてもらいながら、シュートミスが目立つコレアの代わりに右サイドにガイタンが入り、他は同じメンツのようですが、サウルも「Morir por un compañero se lleva en el ADN atlético/モリール・ポル・ウン・コンパニェロ・セ・ジェバ・エン・エル・アーディーエネ・アトレティコ(チームメートのために死ぬ気で戦うというのが、アトレティコのDNAには刷り込まれている)」と言っていましたしね。 ▽これがお隣さんになると、DNAには奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)を導く、最後の瞬間まで諦めない根性、もしくはヨーロッパ(CL)が刻まれているようですが、ちょっと気掛かりなのは10月の各国代表戦週間明け以来、アトレティコはグリースマン、ガメイロ、フェルナンド・トーレスのFWトリオがゴールを入れていないこと。それでも皆で力を合わせれば、「Siempre que te toca perder es importante volver a ganar rápidamente/シエンプレ・ケ・テ・トカ・ペルデル・エス・インポルタンテ・ボルベル・ア・ガナール・ラピダメンテ(負けた後、すぐにまた勝つことが常に重要)」というシメオネ監督の要求に応えることができる? ▽一方のマラガも前節は新弟分のレガネスを4-0と一蹴し、自信をつけていますが、今回は負傷で7人欠場者がいる上、DFのコネ、FWのファンカルも本調子ではありませんからね。何にしろ、勝ち点3差内で上位を争っているバルサは同日、最下位のグラナダとのホームゲーム、セビージャはやはり降格圏にいるスポルティングを訪ねるとあっては、勝たない訳にはいかないかと。そうそう、その常にアトレティコの前に同じ相手と当たるレガネスは金曜の夜、ウィリアム・ホセとシャビ・プリエトにゴールを決められて、またしてもブタルケでレアル・ソシエダに0-2の敗戦。おまけに次節はサンティゴ・ベルナベウで大兄貴のマドリーと対戦するため、ちょっと苦しい時期が続きそうですが、念願の1部でのホーム初勝利、11月の代表戦後のオサスナ戦で達成できたらいいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.29 11:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】意外なこともある…

▽「まるで何かの皮肉としか思えない」そんな風に私が首を捻っていたのは月曜の夜。バレンシアで開かれたリーガの2015-16シーズン表彰式でアトレティコが9つの賞のうち、過半数を超える5つを占めたというニュースを知った時のことでした。いやあ、去年は1人も選ばれず、クラブやアトレティコ寄りのマスコミが怒っていたのは何となく覚えていますが、昨シーズンの成績はその前年と同じ3位。それがいきなり、最優秀GKのオブラクから始まって、最優秀DFゴディンと続き、グリーズマンなど最優秀選手とファン投票1位のdoblete(ドブレテ/2冠のこと)で、極め付けがシメオネ監督の最優秀監督賞って、これじゃリーガ優勝しながら、最優秀FWとしてメッシ、最優秀外国人選手としてルイス・スアレスしか選ばれなかったバルサの立つ瀬がないのでは? ▽そう言ってしまえば、2位だったお隣さんなんて、最優秀新人賞のアセンシオはレンタル先のエスパニョールでの働きを評価されてのものですし、実質、受賞者は最優秀MFのモドリッチしかおらず、会場のパラシオ・デ・コングレソスにはOBのラウールやロベルト・カルロスらがゲストとして招かれていたものの、どこか寂しい感は拭えなかったんですけどね。それでも同日、公表されたフランス・フットボール誌主催のバロンドール賞ノミネート、30人のリストで1チームとして最多の選手を出していたのは6人のレアル・マドリー。クリスチアーノ・ロナウドを筆頭にベイル、クロース、モドリッチ、ペペ、セルヒオ・ラモスと、グリーズマン、ゴディン、コケしか選ばれなかったアトレティコの倍の人数というのは、昨季のミラノのCL決勝でまたしても負けた身の上ですからね。仕方ないかと思いますが、となると、準々決勝で彼らが破ったバルサがメッシ、ネイマール、ルイス・スアレス、イニエスタの4人と、負けているのはちょっと納得がいかないかも。 ▽まあその辺は、昨今はイロイロな賞がありますし、選定基準もよくわかってなかったりするため、あまり気にすることはないんですが…。どうにも困った結果に終わってしまったのは先週末のリーガ。いえ、土曜にメスタージャに乗り込んだバルサが後半アディショナルタイムにメッシがparapenalti(パラペナルティ/PK止め屋)の異名を持つ、GKジエゴ・アウベス相手にPKを決め、土壇場で2-3とバレンシアに勝ったと聞いた時には、先日のアトレティコ戦の時にはグリーズマン、ガビのどちらも弾いていたのにと、少々、悔しい気もしたものの、それでもその時は彼らがセビージャに勝てばいいだけでしたからね。 ▽日曜のお昼過ぎ(スペインのランチタイムは午後2~4時)のバルでは、定食用に炊き過ぎて余ったのか、cana(カーニャ/グラスビール)につくtapita(タピータ/おつまみ)がパエジャ(スペイン特産のお米料理)だったのにも気を良くして、私も最初は気楽に眺めていたんですけどね。サンチェス・ピスファン(セビージャのホーム)がドシャ降りの雨だったせいで、一張羅のスーツが着られず、公式戦には珍しくシメオネ監督がジャージ姿だった辺りから、違和感は始まっていたかったかと…。ここ最近は連続して右サイドで先発を務めているコレアがチャンスに失敗するのにはもう慣れっこになってきていたものの、まさか、前半を0-0で終え、いつもなら強いチームであるところを見せてくれる後半になって、敵にあんなプレーを成功させられてしまうとは一体、どうしたことでしょう…。 ▽それは最近、「posiblemente me pueda equivocar muy poco en quien ponga, estan todos muy bien/ポシブレメンテ・メ・プエダ・エキボカール・ムイ・ポコ・エン・キエン・ポンガ、エスタン・トードス・ムイ・ビエン(誰を使おうが私が間違うことは少ないだろう。全員が絶好調だから)」と、選手層の厚さに自信をつけてきたシメオネ監督が早くも交代カードを使い切っていた72分。何てことのないセビージャの自陣からのスローインがキッカケでした。マリアーノから受けたエンゾンジが、ビエットを介してアトレティコのゴールに激走。それを防げなかったチアゴは、後で「Me siento un poco responsable por el gol/メ・シエントー・ウン・ポコ・レスポンサブレ・ポル・エル・ゴル(失点の責任をちょっと感じる)。自分があと2メートル後ろにいれば、あのプレーは防げたんだから」と言っていましたが、いえいえ、キャプテンのガビはともかく、若いサビッチもエンゾンジに追いつけず、シュートを撃たしてしまったのですから、ここはやはり連帯責任だったかと。 ▽うーん、このところシメオネ監督も前線はそこそこローテーションしているんですが、ボランチから後ろはヒメネスがまだ負傷中なのもあって、ずっと同じメンバーですからね。先週は水曜にCLロストフ戦のロシア遠征があったため、疲れが残っていたのかもしれませんが…。悪いことというのはもっぱら重なるんですよ。ええ、先制点を奪われ、反撃しなければならなくなってから4分後、今度は5歳からいるアトレティコのカンテラ(下部組織)時代を含め、過去1度も退場させられたことのなかった優等生のコケが、その少し前にはビトロの腰を後ろから掴んで1枚目のイエローカードをもらっていたにも関わらず、ラミにタイミングの遅れたタックルをかけるという愚行を犯してはねえ。2枚目をゲットして、ピッチからいなくなってしまうんですから、困ったもんじゃないですか。 ▽ただ、10人となってもゴディンのヘッドなど、チャンスはなかった訳ではないんですが、結局そのままアトレティコは1-0で敗戦。その時点でリーガ首位の座はセビージャのものになったんですが、マドリッドの新弟分、レガネスがマラガに4-0をボコボコにされた後、最後に笑ったのはやはり雨の中、サンティアゴ・ベルナベウにアスレティックを迎えたマドリーでした。 ▽え、相手は水曜どころか、木曜にアウェイのベルギーでヨーロッパリーグのゲンク戦、しかもエースのアドゥリスを始め、DFなども負傷で大勢欠いていた上、このところ来るたびにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らっているチームなんだから、それは当然の結果じゃなかったのかって? まあ、そうなんですが、意外だったのは7分にイスコのアシストでベンゼマがゴールを決め、あっさりリードを奪った後、マドリーが点差を広げられなかったこと。いえ、それどころか、26分にはレクエからエリア内のエラソに渡ったボールをペペもカルバハルもコバチッチもクリアできず、最後はフリーのサビン・メリノに撃ち込まれ、同点にされてしまったから、ビックリしたの何のって。 ▽1-1で始まった後半もなかなか点が取れず、ジダン監督は近頃の定番通り、ルーカス・バスケス、モラタと投入。すると、その関係でベイルが右サイドから利き足の左サイドに回ったことが結果的に吉となりました。ええ、82分にベイルのクロスをモラタがシュートしたところ、一旦はGKイライソスに弾かれながら、相手が背中側に落ちたボールをクリアできなかったのを利用して決勝点をゲット。うーん、途中出場から彼が勝ち越しゴールを入れたのはCL1節のスポルティングCP戦以来、2度目のことなんですけどね。おかげで世間でも最近はモラタ先発を望む声が高くなっているんですが、当人は「Si cada vez que salgo del banquillo marco, ya firmo/シー・カーダ・ベス・ケ・サルゴ・デル・バンキージョ・マルコ、ジャー・フィルモ(ベンチから出る度にゴールを挙げられるなら、それで手を打つよ)」と、あくまで謙虚。 ▽丁度、その日はモラタの24歳のバースデーだったため、家ではイタリア人モデルの彼女、アリス・カンペッロさんと楽しく祝えたようですけどね。負傷でリハビリ中の先輩、ラモスからの「Alvarito, si nos regalas un gol esta noche, te regalo otro corte de pelo/アルバリート、シー・ノス・レガラス・ウン・ゴル・エスタ・ノッチェ、テ・レガロ・トロ・コルテ・デ・ペロ(今夜、ボクらにゴールを贈ってくれたら、また別の髪型にしてやるよ)」という申し出は、おそらくユーロ中のスペイン代表同様、丸坊主にされるのがオチなので、彼女とよく相談してから、受けるかどうか決めた方がいいんじゃないでしょうか。 ▽え、最後は何とか2-1で勝ったマドリーだったけど、その日は両チームのFWが随分、失敗していなかたかって? そうですね、アスレティックもウィリアムズが2度も絶好機に失敗しなければ、勝ち点1ぐらい持って帰れそうだったんですが、これには「Inaki es joven/イニャキ・エス・ホベン(ウィリアムズは若い)。ゴールゲッターは何度も失敗するもの。励ましてやらないと」と、バルベルデ監督から温かい擁護の言葉が。確かにゲンク戦でケガをした35歳のアドゥリスだったら、決めていたかもしれませんが、22歳の彼では落ち着いてフィニッシュできなくても仕方なかったかも。 ▽一方、マドリーはマドリーで31歳のロナウドが失敗しまくっていたんですが、これまでアスレティック戦は14試合16得点とお得意様にしていただけに、最後は本人も意地になったんですかね。終盤にはガンチコでイライソスに挑み、シュートを弾かれてしまったため、フリーでパスを待っていたクロースから抗議されただけでなく、スタンドからもpito(ピト/ブ―イング)を浴びることに。とはいえ、マルセロなどに言わすと、それは「es normal, es un goleador y quiere marcar/エス・ノルマル、エス・ウン・ゴレアドール・イ・キエレ・マルカル(普通だよ。彼はストライカーなんだから、ゴールを入れたいんだ)」とのことで、チームメートたちはあまり心配していないよう。 ▽同様にジダン監督も「a mí también me pitaron/ア・ミー・タンビエン・メ・ピタロン(自分もブーイングされたよ)」と笑っていましたしね。まあ、例年のことを考えれば、そのうちまた固め撃ちが始まったりするかもしれないので、今はまだリーガで2得点しか挙げてないといっても杞憂に過ぎないんでしょうけど、残念ながらこの水曜のコパ・デル・レイ32強対決1stレグで彼がそのキッカケを掴むことはできません。というのも、2部Bのグループを無敗で首位に立つクルトゥラル・レオネサとの一戦にはBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)を始め、マルセロ、ケイロル・ナバスにも休養を与えることを監督が決めたから。 ▽それでもモラタやルーカス・バスケスは好調ですし、ハメス・ロドリゲス、イスコ、アセンシオといったところもアピールのいい機会と頑張るはずなので、水曜午後9時(日本時間4時)からの試合で苦労することはあまりないと思いますが、さて。ちなみに今週、コパをプレーするのは彼らだけ。その理由はマドリーが12月にクラブW杯で日本に行かないといけないからなんですが、その間、他のチームは試合のないミッドウィークを久々に楽しむことに。ええ、最終的に先週末のリーガの後、首位マドリー、2位セビージャ、3位バルサ、4位ビジャレアル、5位アトレティコとなったんですが、1位と5位の差は勝ち点3、即ち1試合で引っくり返る距離ですからね。 ▽となると、金曜にレアル・ソシエダ戦でホーム初勝利に再度挑戦するレガネスはともかく、土曜にマラガをビセンテ・カルデロンに迎えるアトレティコも急に数が増えたライバルたちの万が一の躓きに備え、しっかり用意しておかないと。来週はまたCLがあるため、マドリーとセビージャも土曜にアウェイで、それぞれアラベス戦とスポルティング戦、バルサはホームでグラナダ戦。そんなに下剋上の可能性は高くないカードかもしれませんが、ようやく1週間続いた秋雨前線も通過したようなので、どのチームも練習はしやすくなったようですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.26 14:20 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】大事なのは勝ち点だから…

▽「記者会見はないんだ」そんな風に私が残念がっていたのは金曜日、アトレティコのカラスコが2022年までの契約を結んだというニュースを聞いた時のことでした。いやぁ、このところは契約延長流行りのようで、同日にはバルサのネイマールもリオ五輪中に話がまとまった2021年までの契約にサインしたと聞いたんですけどね。あちらは土曜にアウェイでのバレンシア戦が組まれていますから、会見を開く時間の余裕もなく、クラブのメディアのインタビューで済ませたのかもしれませんが、折しも今週はレアル・マドリーのモドリッチがやはり2022年まで契約を延長。その会見が水曜にあったため、私もサンティアゴ・ベルナベウに2日連続して通うことに。 ▽それは先週のクロースの時も一緒で、プレス・コンファレンスルームに現れたマドリー3年目の彼はドイツ語で喋っていましたが、5年目となるモドリッチの方は奥さんと2人の子供が見守る中、たまにつっかえながらも最初から最後までスペイン語で応対。何度もファンを賛嘆させた、エリア外から美しいシュートを決める技について、「Me sale natural. Eso se tiene o no se tiene. Nunca he practicado ese golpeo/メ・サレ・ナトゥラル。エソ・セ・ティエネ・オ・ノー・セ・ティエネ。ヌンカ・エ・プラクティカードー・エセ・ゴルペオ(自然に出てくるんだ。そういう資質を持っているか、いないかさ。あの蹴り方を練習したことはないよ)」と語っているのを聞いて、なる程、才能ある選手というのはこういうものかと、私も納得したんですが、そんな話なら、グラナダ戦ではハットトリックも挙げたカラスコからも直に聞いてみたかったかも。 ▽というのもまあ、今週開催のCL3節ではまたしても彼が活躍、グループが違うため、あまり比較の意味はないものの、アトレティコがお隣さんの上を行く結果を残すのに大貢献してくれたからなんですが、いえ、もちろんマドリーも火曜のレギア・ワルシャワ戦で不覚など取っていませんよ。しかも先週末のベティス戦同様、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を披露して、4000人のビジターファンのうち、400人程混じっていると言われたウルトラグループ、テディ・ボーイズを見張るため、2000人を動員して厳戒態勢が敷かれた中、怯むことなくスタジアムに駆けつけたマドリーファンを喜ばせてくれています。 ▽ただ実際、キックオフ前には周辺の通りでウルトラと警官隊の乱闘が発生、逮捕者12人が出たとのことで、私も現場に出くわさなくて助かったと思ったものですが、念入りなボディチェックが功を奏したか、試合中、ポーランド人で埋め尽くされたfondo norte(フォンド・ノルテ/北側ゴール裏席)の3、4階に、bengala(ベンガラ/発煙筒)の炎は出現せず。おかげで観客たちも前半16分のベイルの先制点で始まったゴール祭りを心行くまで楽しめたんですが、20分にマルセロが放ったシュートはヨドウォビエツに当たって入ったとして、レギアのオウンゴール扱いに。 ▽おまけに22分にはダニーロがラドビッチをエリア内で倒し、PKを献上。当人がこれを決めて、一時は2-1に迫られたんですが、大丈夫。今度は37分、汚名返上とばかりに張り切ったダニーロからパスを受けたクリスチアーノ・ロナウドが自分では撃たず、2列目から駆けつけたアセンシオにボールを出したところ、これが見事に決まって3点目が入るんですから、ホント、このチームって、控えにしておくのが惜しい選手が多すぎなくない? ▽そして後半は後半で、ベンゼマとハメス・ロドリゲスとチェンジしたモラタ、ルーカス・バスケスのコンビが連携、22分には後者がゴールを挙げれば、36分にはまたロナウドのスルーパスからモラタが決め、最後は5-1の大勝ですからね。こんな日に限って、ヨーロッパの大会で100ゴールという節目にあと2本と迫っていたロナウドが得点できなかったのは、ちょっと皮肉ですが、レギアとは11月2日にもワルシャワで再戦。しかも最初のホームゲームでの発煙筒騒ぎが度を越して、無観客試合の処分を受けている会場での試合となるため、ゴールを決めた時の咆哮がよく響いて、TVもいいシーンが撮れるんじゃないでしょうか。 ▽え、それでも格下のはずのレギアから再三、カウンターを喰らい、相手に決定力がないために救われていた面もマドリーにはあったんじゃないかって?そうですね、ジダン監督も試合後に「hemos arriesgado un poco/エモス・アリエスガードー・ウン・ポコ(ウチは少し危険を冒した)」と言っていましたが、中盤がクロース、ハメス、アセンシオというのは攻撃に特化しすぎていると言われても仕方ないかと。ただその分、「hemos creado muchísimas ocasiones/エモス・クレエアードー・ムチシマス・オカシオネス(沢山、チャンスを作った)」(ジダン監督)というのも事実なので、敵の力を勘案しながら、あまり出場機会をあげられない選手を使い、上司としての懐の広さを見せるのも人心掌握術の1つかも。 ▽この結果、グループ2勝1分けとしたマドリーは次節で勝利、同時にドルトムントもスポルティングに勝ってくれれば、決勝トーナメント進出ができるところまで来ましたが、もちろんこの週末のアスレティック戦ではもっと慎重な布陣を取るのは火を見るよりも明らか。クロアチア代表の先輩、モドリッチがリハビリ中の間、代理を務めているコバチッチとベティス戦で2得点を挙げたイスコが先発に戻るようですが、とはいえ、どこまで用心が必要かは微妙かと。そう何せ、木曜にヨーロッパリーグの3節を戦ったアスレティックはゲンクに2-0で負けてグループ最下位に転落。おまけに頼りの35歳のエース、アドゥリスがその試合でケガをしてしまったみたいですし、他の選手たちも中2日でまたアウェイ戦では疲労が溜まっているかもしれませんしね。 ▽よって、日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの一戦が再びマドリーのゴール祭りになる可能性も否定できませんが、対照的に先週末のグラナダ戦、7-1の大勝から、素早く堅実路線に戻ったのはアトレティコ。ええ、ロシア南西部とはいえ、やはり気温3度と寒かったロストフ・ナ・ドヌでは、スタメンをガメイロからフェルナンド・トーレスに代えただけであとはリピートしたにも関わらず、前半のうちは得点できません。いえ、チャンスは開始早々、カラスコのFKが弾かれたボールをゴール右前から撃ったコレアのシュートが惜しくも枠を外れてしまったりと、その2人を中心に何度かあったんですけどね。 ▽その間、並行して進行していたカンプ・ノウでのバルサvsマンチェスター・シティ戦からはメッシの先制ゴールだの、ジョルディ・アルバやピケが負傷交代しただの、後半に入ってはシティのGKブラボがエリア外で手を使って退場といったアクシデンタルな報が入っていたんですが、ようやく専守防衛一方のロストフからアトレティコがゴールを奪えたのは後半16分のこと。ええ、3回に1度ぐらい、いいクロスを上げていたファンフランからのボールをトーレスはゴール前でミートできなかったんですけどね。左前に詰めていたカラスコが強烈なシュートを撃ち込み、とうとう先制点が入ったから、私もホッとしたの何のって。 ▽うーん、前半には幾度か個人プレーが過ぎていた感もあった彼なんですけどね。シメオネ監督も「Yannick tiene un golpeo fantástico/ヤニク・ティエネ・ウン・ゴルペオ・ファンタスティコ(カラスコは素晴らしい蹴りを持っている)」と言っていた通り、とにかくシュートしなければ何も始まらない?その後は終盤、せっかくの彼からのvaselina(バセリーナ/ループパス)からグリースマンがヘッドしたボールもGKジャナエフにparadon(パラドン/スーパーセーブ)され、追加点は奪えずに試合は0-1で終了。実際、バルセロナではメッシがハットトリック達成しただの、マテューが2枚目のイエローカードを受け退場しただの、ネイマールがPKを失敗した後、得点しただのと、最後まで波乱万丈な展開だったようですが、いくら4-0でシティに大勝しても結果は同じ、全部1-0でも堂々3連勝のグループ首位で、次節には決勝トーナメント進出確定ができるかもしれないんですから、アトレティコも胸を張っていいですよね。 ▽そして5時間のフライトを経て、マドリッドのバラハス空港には木曜午前8時に到着。その日は休養して、日曜にはセビージャを訪れる彼らなんですが、相手も火曜にアウェイでディナモ・ザクレブにナスリのゴールで0-1と勝利したばかり。うーん、前節のリーガではホームでレガネスが2点差を追いついて、いいところまで行きながら、サラビアに決勝点を決められて、涙を飲んでいるため、アトレティコには新弟分のリベンジをしてもらいたいところですけどね。やはり興味が持たれるのは古巣対決で、おそらく先発に戻るであろうガメイロは昨季までセビージャのエースでしたし、アトレティコからレンタル移籍中のビエットとクラネビテルはサンチェス・ピスファンでの出場制限条項がないため、プレーできるのだとか。 ▽だからって、シメオネ監督がメッシからグアルディオラ監督へのような強烈な恩返しに遭うという可能性は少ないと思いますが、何せ今、セビージャは首位のアトレティコ、同じ勝ち点で2位のマドリーとたった1差の3位につけていますからね。清武弘嗣選手の出番が少ないのは残念ですが、今季はサン・パオリ監督の采配でEL4連覇ではなく、CLベスト16の方が近いチームに進化していますから、アトレティコも決して油断はできないかと。 ▽そんなセビージャvsアトレティコ戦は日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)にキックオフ。コケのボランチ定着のおかげで最近、FW4人体制でスタートすることの多い彼らですが、果たして強敵の前でもリピートできるのかどうかも見物です。そうそう、レガネスはマドリッドの2強の試合の狭間、午後6時30分からマラガ戦になりますが、ホームでまだ勝てていない分、アウェイでの好調を維持してくれたらと思います。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.22 21:02 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】ゴール祭りは専売特許じゃなくなった…

▽「感化されちゃったのかしらね」そんな風に私が首を傾げていたのは日曜日。夜のニュースでプランデッリ新監督がデビューしたバレンシアがマリオ・スアレスの2得点でスポルティングに勝ったのを知った時のことでした。前日にあまりにゴールを見過ぎたため、マドリッド勢の試合のないその日は家でダラダラしていたんですけどね。 ▽1年前、出場機会を増やすためにアトレティコを出て、セリエAのフィオレンティーナに移籍。そこから半年でプレミアリーグのワトフォードに移り、この夏にはバレンシアと忙しい日々を送っていた彼ですが、それがいきなり2ゴールも挙げて、親戚がヒホン(スペイン北部のリゾート都市、スポルティングのホーム)にいる父親から「no metes nunca un gol y metes dos al Sporting/ノー・メツ・ヌンカ・ウン・ゴル・イ・メテス・ドス・アル・スポルティング(ゴールなんてほとんど入れないのに、スポルティングには2ゴールも決めるのか)」と怒られているなんて、まるで冗談のように思えたから。 ▽実際先週末のリーガはそこ、ここでゴール祭りとなりました。私は土曜日に、リーガ1部となってから初めてのブタルケ(レガネスのホーム)を体験。数年前、プレシーズンにアトレティコとの親善試合を見に行った時とは違い、bufanda(ブファンダ/マフラー)を片手にスタジアムに向かう人たちの後をついて行けば迷うことはないです。なので、予定が合えば、日本から来るファンにもマドリッドでのリーガ生観戦の新しいオプションとして利用できますが…。ちょっと心配なのはスタジアムのキャパ。1万1000人と少ないので、とりわけ昇格直後の今季は地元も盛り上がっていますし、バルサやレアル・マドリーなど、ネームバリューのあるチームとの試合チケットを取るのが難しいことでしょう…。 ▽おかげでこのセビージャ戦もほぼ満員状態でしたが、スタジアムが小さいためピッチまでの距離がサンティアゴ・ベルナベウやビセンテ・カルデロンに比べ、圧倒的に近いという長所に。臨場感溢れる試合を楽しめましたが、せっかく積極的に攻めていたホームチームを応援していても、25分にはビエットのクロスからフランコ・バスケスがネットを揺らして、セビージャが先制。続いて58分にも、今度はこぼれ球をナスリに押し込まれていてはねえ…。やはり新参者と、ヨーロッパリーグ最多優勝記録5回をギネスブックに載せてもらえるようなチームとの差は大きいと痛感していたところ…。 ▽マドリッドの弟分が根性を見せてくれたんですよ! それは66分、ボランチのティモルがエリア前から放ったシュートで1点を返すと、その3分後にはここ2試合で連続ゴールを挙げていたシマノフスキがGKセルヒオ・リコのミスもあって同点弾をゲット。それにはサポーターも大いに沸いたんですが…。最後は85分にサラビアがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めて、2-3でセビージャが勝利。彼らは2015年5月以来のリーグ戦アウェイでの白星を掴むことになりました。 ▽まあ、次は火曜日のCLディナモ・ザグレブ戦で、今度は清武弘嗣選手も伴って、再びアウェイでの勝利を目指さないといけない彼らですから、それはそれで景気づけになって良かったんでしょうけどね。直に見ると、決定力はあまりないながら、いいプレーをしていたレガネスの方はまたしてもホーム初勝利がお預けとなりました。ただ、これでアトレティコ、バルサ、バレンシア、セビージャと続いたビッグクラブ来訪の波もひとまず終了。となれば、10月末のレアル・ソシエダ戦からは少しずつ、いい結果も出せるようになるんじゃないでしょうか。 ▽そしてブタルケを出た後、ビセンテ・カルデロンに向かった私でしたが、これはキックオフ時間が午後1時と6時半なら余裕で可能。途中、乗り換えが多いので、4時15分の時間帯に当たってしまうと、アトーチャ駅からタクシーなんて手を使う必要もあるかもしれません。おかげで私もその頃、カンプ・ノウでバルサがデポルティボに4-0と大勝していることなど気にかけることなく、ゆっくりスタジアムの近くのテラスでランチをとることができたんですが、まだ10月ですからね。折しもその日はDia de las Penas/ディア・デ・ラス・ペーニャス(ファンクラブの日)だったため、スペイン各地から到着するバスから、続々と降りてくるサポーターたちもその時点でアトレティコがセビージャ、バルサに続いて、3位に後退していたのはあまり気にしていなかったよう。 ▽え、それはアトレティコの選手たちも同じじゃなかったかって? そうですね。でなければ、ファンたちが場内を白と赤の旗で埋め尽くしてカルデロンの開場50周年を祝う中で、17分に先制を許して最下位グラナダにリードされることはなかったかと。ただ、その先はとんでもない展開になって、FW4人体制という超攻撃的メンバーでスタートしていたアトレティコが反撃の口火を切ったのは33分。コケのCKを起点にゴディン、グリーズマンのヘッドは弾かれながら、こぼれたボールをカラスコが撃ち込んで、あっさり同点に追いついてしまいます。 ▽さら45分にもカラスコのシュートがティトに当たってゴールとなり、アトレティコは勝ち越してハーフタイムに。すると60分にもグリーズマンがエリア奥から折り返したラストパスからカラスコが決めて、何とハットトリックを達成。どうやらこれはシメオネ監督から何度も、「Me dice que tengo que marcar mas goles, que me atreva mas a disparar/メ・ディセ・ケ・テンゴ・ケ・マルカル・マス・ゴーレス、ケ・メ・アトレバ・マス・ア・ディスパラール(もっとゴールを入れないといけない、もっとシュートしないといけないと言われている)」(カラスコ)ことが功を奏したよう。ええ、当人も感謝の印か、この時は監督のところまで一緒にお祝いしに走っていましたよ。 ▽アトレティコの選手が1試合3得点をするのは、2年前のアスレティック戦でグリーズマンが達成して以来と昨今では珍しいことなんですけどね。ミックスゾーンで「estoy feliz por haber marcado tres goles por primera vez en mi carrera/エストイ・フェリス・ポル・アベール・マルカードー・トレス・ゴーレス・ポル・プリメーラ・ベス・エン・ミ・カレラ(キャリア初の3得点ができて嬉しい)」と言いながら、チームメート全員にメッセージを書いてもらったボールを抱えたカラスコの姿を見るにつけ、在籍最後の年はハットトリック以上のゴールを挙げない限り、インタビューに出て来なかったファルカオ(現モナコ)の姿を思い出してしまったものですが…。そういえば、奇しくも彼もアトレティコに来る前はモナコにいた選手。そんな縁でゴール量産体質が伝染してくれていたのだったら、本当にありがたいですよね。 ▽え、その日一番のビックリは勝利が確実なアトレティコがそれからも攻め続けたことじゃないのかって? うーん、まあガイタンが、移籍後初ゴールを挙げたぐらいまではメデタシメデタシで済んでいたんですけどね。65分過ぎには、水曜日のCL戦を見据えてコケとグリーズマンがチアゴとフェルナンド・トーレスに代わり、場内を何周もする“ola(オラ/ウェーブ)”を楽しんでいるファン同様、あとは終了の笛が鳴るまで、私も気楽に見ていればいいと思ったんですが、いえいえ、とんでもない。 ▽終盤にまたギアを上げたアトレティコは81分に再びガイタンが、その3分後にはコレアが、さらに87分にはトーレスが素早く出したスローインを起点にチアゴが決めて、とうとうスコアが7点まで行ってしまったとなれば、もうこれはお隣さんに匹敵するgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)力では? 後でシメオネ監督は「Les dijimos en la charla que trasmitieran pasion y ambicion a los chicos de la grada/レス・ディヒモス・エン・ラ・チャルラ・ケ・トランスミティエラン・パシオン・イ・アンビシオン・ア・ロス・チコス・デ・ラ・グラダ(ミーティングでは、スタンドにいるファンたちに情熱と野心を伝えなければならないと選手たちに話した)」と言っていましたけどね。その甲斐あってというか何というか、混雑を避けようと早めにスタジアムを出ようとしていた観客も完全に帰るタイミングを失っていましたっけ(最終結果7-1)。 ▽そして次の時間帯ではレアル・マドリーがアウェイでベティスに挑んだんですが、結果的にアトレティコはゴールを入れ続けて正解だったことが後でわかります。いえ、元々、勝ち点数では同じで、得失点差で首位に立っていた彼らでしたが、グラナダ戦が終了した時点でその差が9に拡大。おかげで開始4分にクロースのFKから、ヴァランがヘッドで先制点を挙げた時には、私がビセンテ・カルデロンのミックスゾーンで聴いていたオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)のアナウンサーも「首位奪還にはあと8点ですね」などと、ふざけた調子で喋っていたものですけどね。口は災いの元とはまさにこのこと。 ▽スタジアム近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)に私が駆け込んで、TVの前に座れたのはハーフタイムだったんですが、31分にはベンゼマ、39分にはマルセロが決め、さらに前半終了間際にはマドリー伝家の宝刀、高速カウンターが発動。ジダン監督も後で「es para volverlo a ver y disfrutar/エス・パラ・ボルベルロ・ア・ベル・イ・ディスフルタル(また見て楽しむもの)」と言っていたように、敵のセットプレーのクリアからたったの14秒で5人が絡んでの12本のパスを繋ぎ、最後はイスコがフィニッシュして、すでに0-4になっていたから、驚いたの何のって。 ▽おまけに後半もベティスはセフードのゴールで1点を返したものの、62分にはイスコがエリア左端からGKアダンの頭を超える技ありゴールを挙げ、78分には流れに乗り遅れかけていたクリスチアーノ・ロナウドもとうとうマイゴールをゲットして、最後は1-6で終わるんですもの。結局、アトレティコとの得失点差は3から4と1つ増えてはいるんですが、恐るべしは「4連続引き分けをした後だから、こんな試合をしなければならなかった。Metimos la intensidad necesarias/メティモス・ラ・インテンシダッド・ネセサリアス(ウチは必要なプレーの激しさを投入した)」(ジダン監督)という、マドリーの爆発力。 ▽いや、だったらどうしてビジャレアル戦、ラス・パルマス戦、エイバル戦、そしてCLドルトムント戦で同じことをしなかったのかと突っ込みたくなる衝動は私にもあるんですけどね。普通にマジメな試合をすれば、お隣さんは根っからのゴレアダ体質。たまたま2年ぶり、2014年に当時は1部だったヘタフェに同スコアで勝って以来の大勝をアトレティコがしていたから助かったものの、いつもの1-0や2-1の渋い勝利だったら、コロッと首位が変わっていたんですから、世の中、何が幸いするか、まったくわかったもんじゃありませんよね。 ▽そして週が明けると、またしてもCL到来なんですが、今度は一足早い火曜日にマドリーがレギア・ワルシャワとサンティアゴ・ベルナベウで激突。ただ、相手は2連敗しているグループの最下位、先週末のポーランド・リーグの試合にも負け、公式戦ここ7試合で5敗。調子が悪いこともあってか、マスコミは対戦そのものより、1節のドルトムント戦でホームスタジアムを大量の発煙筒で赤々と染め上げ、マドリーを迎える4節を無観客試合にされてしまった程、ウルトラなサポーターたちがポーランドから来襲することに戦々恐々しているようです。 ▽まあ実際、ベティス戦の勝利でマドリーは調子を取り戻したと見られていますし、マルセロに続いて、今回はハメス・ロドリゲスも招集リストに復帰。超強力な相手でなければ、カゼミロとモドリッチのいない中盤もクロースとコバチッチで支えられることがわかりましたから、あとは第3のMFを2ゴール挙げたイスコのリピートか、ハメス、アセンシオ、ルーカス・バスケスらに代えてみるか、たまにはBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)の誰かにお休みをあげて、モラタにチャンスをあげるかぐらいが戦前予想のポイントですからね。火曜日午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのレギア戦は、マドリーにとっては楽な試合のうちじゃないでしょうか。 ▽え、それでアトレティコの方は月曜日から早々に水曜日のロストフ戦に備えて、ロシアに行ってしまったんだろうって? そうなんですよ。一応、マドリー同様、今度の相手はグループ中、一番弱い相手のはずなんですけどね。ただ彼らは1節のバイエルン戦こそ、5-0で完敗しましたが、2節のPSV戦ではホームで2-2のドローをもぎ取っているだけに、そのPSVには0-1でかろうじて勝った経験を踏まえてシメオネ監督も用心しているのかも。 ▽戦力的には今回、スペイン代表戦からグラナダ戦と打撲でプレーできていなかったサウールが完治して遠征に参加。幸い現地のロストフ・ナ・ドヌはまだ氷点下入りはしていないようなので、極寒に苦しむということはないようですが、さて。おそらく世間はバルサvsマンチェスター・シティに釘付けな水曜午後8時45分ですが、最近の攻撃力高めなアトレティコにはいけないと思いながら、私もちょっと期待してしまいますね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.18 11:52 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】忙しい1日になりそう…

▽「また一番はじけたところを引いちゃったわね」そんな風に私が首を振っていたのは金曜日。コパ・デル・レイの32強対戦組み合わせをお昼のニュースで知った時のことでした。いえ、数年前からこのラウンドまで勝ち抜いた2部B以下のチームが、ヨーロッパの大会に出場している1部の6チームと当たるという決まりがあるため、アトレティコがどこと組み合わさっても別に心配はないと思っていたんですけどね。まさか、よりによって生ハム模様のユニを着ているギフエロ(2部B)って、いくら地元がスペインきってのハモン・イベリコ生産地だからって、私の目にはあまりにオチャラケているように映ったから。 ▽え、それでも11月30日周辺に設定される相手ホームでの1stレグは当然ながら、12月21日近辺のビセンテ・カルデロンでの2ndレグにしても、アトレティコのユニの色を考えれば、彼らが生ハム模様の第2ユニでプレーする可能性はあまりないんじゃないかって? まあ、そうなんですが、クラブW杯で日本に行くため、1stレグを10月26日に早め、11月30日に2ndレグを行うお隣さんの相手はもっとマジメそうなクルトゥラル・レガネサ(2部B)。もちろん、昨季の32強対決、カディス(当時は2部B、今季は2部)戦のような前例(出場資格のないチェリチェフを1stレグに先発させ、規則違反で敗退)もありますし、彼らだって決して油断はできないんですけどね。 ▽どちらにしろ、バルサと対戦することになったエルクレス(2部B)を含め、gordo(ゴルド/宝クジの1等賞)を引き当てたチームは大喜びなんですが、貧乏クジだったのはマドリッドの新弟分レガネスで、こちらの相手は同じ1部のバレンシア。残りの地元勢では、2部のヘタフェやラージョが早々に敗退する中、2009-10シーズンの同ラウンドでマドリーを総合スコア4-1で破り、Alcorconazo(アルコルコナソ/アルコルコンでの大失態)なる言葉を生み出したアルコルコンがエスパニョールと当たることになりましたが、まだまだコパは先の話ですからね。それまで、とりわけCLのあるマドリッドの2強にはまたしてもハードなスケジュールが待ち受けているんですが…。 ▽その先陣を切って、各国代表戦が終わった今週末にはリーガが再開されるんですが、珍しいことに8節はマドリッドの3チームが全員、土曜日に試合をすることに。トップバッターは午後1時(日本時間午後8時)にセビージャをホームに迎えるレガネスなんですが、残念なことに金曜日に出た相手の招集リストには清武弘嗣選手の名前はありませんでした。「porque viene de un largo viaje tras estar con su selección/ポルケ・ビエネ・デ・ウン・ラルゴ・ビアヘ・トラス・エスタル・コン・ス・セレクシオン(代表にいた後、長い移動をしてきたから)」(サンパオリ監督)だそうですが、アルゼンチン代表のW杯予選から戻って来たメルカドやクラネビテルは遠征メンバーに入っていますしね。となると、お留守番の理由は微妙なところかも。 ▽一方のレガネスは各国代表に招集されたメンバーもほとんどおらず、先週はエイバルとの親善試合などもして、1部でのホーム初勝利に向けて練習を続けていたんですが、今回見つけた心強いデータは、セビージャが2015年5月以来、リーガでアウェイ戦の勝利がないこと。確かに今季も3位と好調ながら、外では2分け1敗ですしね。来週火曜日には、これもアウェイのCLディナモ・ザグレブ戦が控えているとあって、あまり選手たちにムリはさせられないんじゃないかと思いますが、とにかくレガネスが勝つには攻守に渡ってミスをしないことが肝心。彼らの本拠のブタルケの名前を「アルブルカルケ」なんてフザけた名前で呼んでいたセビージャのカストロ会長にもしっかり覚えてもらえるよう、健闘を期待しています。 ▽そして次に試合をするのはアトレティコで午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、paron(パロン/リーガの停止期間のこと)直前の節にはシマノフスキの1点で弟分に負けたグラナダをビセンテ・カルデロンに迎えることに。相手はパコ・ヘメス監督からルーカス・アルカラス監督に代わって初めての試合で、現在は最下位ですが、この2週間を挟んで巻き返しを固く誓っているはずかと。ただ、そんな相手を迎えるリーガの首位チームの方は、各国代表に出向していた選手たちが揃ったのが木曜日とかなり遅め。 ▽サウールに関しては、スペイン代表に参加しながら、前節バレンシア戦で受けた打撲が直らず、イタリアから1人で帰国。とはいえ、シメオネ監督によると「lleva muchos partidos con dolor/ジェバ・ムーチョス・パルティードス・コン・ドロール(何試合も痛みを抱えていた)」とのことなので、もしや何か慢性のケガかもしれないと不安にさせられます。また、パラグアイ戦で脇腹を痛めたガイタンもすぐ回復と、他に負傷者が出てないのはとてもありがたいことかと。 ▽今回は来週水曜日のCLロストフ戦まで時間もありますし、それだけに余裕もあるのか、木曜日の夜などにはグラン・ビア(マドリッド市内中央を走る大通り)にオープンしたオフィシャルショップでイベントがあるというので、私も行ってみたんですが…。うーん、交通量の多い歩道に面した入口にフォトコール用のスペースを無理やり作ったものだから、周辺は恐ろしい混雑状態に。中には訳がわからないながら、人垣に加わって、写真を撮っている日本人観光客のカップルなどもいましたが、その日は氷雨が降って気温も11度という悪天候だったんですよ。そんなところで選手にマスコミ対応させたら、大事なリーガ戦を前に風邪でも引いてしまうんじゃないかと心配しましたが、大丈夫。ゲストとしてきたのはガメイロとオブラク以外、グラナダ戦先発が予想されていないカラスコ、サウール、トーマス、ベルサリコ、モヤらだったから、まあいいかと。 ▽ちなみにこのお店、場所は地下鉄のCallao(カジャオ)駅とSanto Domingo(サント・ドミンゴ)駅の間にあるんですが、目抜き通りにあるだけに、何となくマドリッド散策をしていれば突き当たるかも。もちろんショップはビセンテ・カルデロンにもあるんですが、試合前に寄ったりすると、レジに行列ができていて、焦ったりもしますからね。こちらの新店舗もグッズを含め、結構、充実しているのでお勧めです。そうそう、グラン・ビアのカジャオ駅の先にはお隣さんのオフィシャルショップもありますよ。 ▽まあ、その辺はどうでもいいことなんですが、金曜日にはグリーズマンがリーガの9月最優秀選手賞を授賞したなんてニュースも。ただ、先日はウサイン・ボルトと共演するプーマのCMが公開されたりして、随分、出世したものだと思ったものでしたが…。意外なところに反論を唱える人が出現。それはフランス代表の同僚リベリで、曰く「彼はまだワールドクラスの選手じゃない。何年も高パフォーマンスをコンスタントに維持していないからね。いい状態が10、12、15年続いたら、祝福してあげるよ」というのですが、もしやこれって9月のCLでバイエルンが負けたせいでの嫌味? ▽対してグリーズマンの方は、「自分がどのクラスの選手なのかはキャリアの最後にわかるよ。ボクにはまだ10年先があるからね」と答えていましたが、いやいや、若いと言ってももう25歳。当人が望むように、メッシやクリスチアーノ・ロナウドと同じ食卓につくにはここ数年が勝負では? その間に早くPK失敗癖を直して、アトレティコで大きなタイトルを複数獲って、バロンドールをもらえるといいのですが、さて。ちなみにこれまで、フォルランなどゴールデンシュー賞(ヨーロッパの得点王)は輩出したことがあっても、バロンドールはいないアトレティコではクラブや監督、チームメートも一丸となって、グリーズマンのため、これからバロンドール獲得に向けてロビー活動をする予定だとか。 ▽そんな彼を筆頭に、グラナダ戦ではガメイロ、コレアの3人FW体制で、Dia de las Penas/ディア・デ・ラス・ペーニャス(ファンクラブの日)にスタジアムに駆けつけるファンを喜ばせる準備をしているアトレティコですが、その彼らの試合が終わったすぐ後、土曜日の午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からアウェイのベティス戦に挑む、現在4連続引き分け中のマドリーはどうしているかというと。こちらはちょっと苦しいことになっていて、ケガを抱えて、結局コロンビア代表ではプレーはせず、マイルを貯めただけのハメス・ロドリゲスは別として、スペイン代表戦ではキャプテンのセルヒオ・ラモスがヒザの靭帯を損傷。全治6週間となってしまったんですが、それ以外にもカゼミロ、モドリッチがリハビリ中ですからね。 ▽それでもロナウドやベイルがそれぞれのW杯予選でゴールを挙げ、とりわけ前者などはアンドラ戦で4得点とかなり調子を上げてきたようですから、マルセロの復帰と一緒にジダン監督にとっては朗報となったはずです。加えて木曜日にはロナウド、モドリッチ、ペペ、ベイルらの先陣を切って、クロースが契約を2022年まで延長したという、ファンには嬉しいニュースもあったんですが、ハメスもまだ治っていないベティス戦ではクロース以外のメンバー、コバチッチ、アセンシオ、ルーカス・バスケス、イスコといった辺りで、誰を先発として使うかは迷うところかと。 ▽一方、マドリーをベニト・ビジャマリンに迎えるベティスは現在15位で、前節もレアル・ソシエダに1-0で負けるなど、なかなか今季からチームを率いるウルグアイ人のポジェ監督の思う通りにはいっていないよう。とはいえ、ここまでビジャレアル、ラス・パルマス、エイバル戦と、マドリーが集中力を切らすのを利用して、普通のチームが引き分けてきたのを目撃しているため、やはり契約を2019年まで延長したばかりのルベン・カストロやホアキンら、ベテラン選手たちも張り切っているはず。金曜日の記者会見では、「a lo mejor hay que preparar un poco mejor los partidos, yo el primero/ア・ロ・メホール・アイ・ケ・プレパラール・ウン・ポコ・メホール・ロス・パルティードス、ジョ・エル・プリメーロ(もうちょっと試合の準備を上手くした方がいいのかもしれない。まず私を筆頭にね)」と言っていたジダン監督ですが、今回は果たして選手たちのやる気を、試合を通じて維持できるでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.15 11:42 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】勝っても丸く収まる訳じゃない…

▽「いや、まだ早いでしょ」そんな風に私が首を振っていたのは月曜日、今週末のリーガ戦に向けて、マドリッド勢の新弟分レガネスが出したポスターを見た時のことでした。いえ、サングラスをかけさせた選手たちの写真に、「No los llaméis por su nombre, que viene Monchi y los apuntará en su libreta/ノー・ロス・ジャメイス・ポル・ス・ノンブレ、ケ・ビエネ・モンチ・イ・オス・アプンタラ・エン・ス・リブレタ(名前で呼ぶな。モンチが来て手帳に書きつけるぞ)」と添えられた文句はなかなか、考えているなという感じはするんですけどね。 ▽確かに昨季まで11年間、1部で頑張っていたご近所のヘタフェなど、セビージャの敏腕スポーツディレクター、モンチ氏にマヌ・デ・モラル(現在は2部のヌマンシア)、エスクデロ、サラビアらをさらって行かれたこともあったため、レガネスのフロントがドキドキする気もわからなくもないものの、それでも彼らは今季昇格したばかりの新参者。私なんか、2節のマドリーミニダービー、アトレティコ戦を見ていた時だって、誰1人、聞き覚えすらない選手ばかりでお手上げだったというのに、一足飛びに前人未踏のヨーロッパリーグ3連覇を成し遂げた、CLにも出ている強豪からお声がかかる程の逸材がいるとは、とても思えなかったから。 ▽まあ、そこは冗談のわかるモンチ氏らしく、「dile que van tarde, ya me sé los nombres y hasta donde viven jajaja/ディレ・ケ・バン・タルデ、ジャー・メ・セ・ロス・ノンブレス・イ・アスタ・ドンデ・ビベン・ハハハ/遅れていると伝えるように。もう私は名前もどこに住んでいるかも知っているよ」とツィートで返していましたが、それにしてもレガネスもツイていない。というのも、7節まで終わって勝ち点10の11位というのは上々の成績ですが、ほとんどのポイントはアウェイで稼いだもので、ホームではアトレティコの後もバルセロナ、バレンシアと予算の多いチームの来訪ばかりが続き、未だに地元サポーターの目の前で勝利を挙げられておらず。そしてこの土曜はセビージャとなれば、個人的には清武弘嗣選手が出るかもという期待はあっても、レガネスのホーム初白星を見るのは10月下旬のレアル・ソシエダ戦までお預けかもしれない? ▽え、それより日曜にあったスペイン代表のW杯予選2試合目はどうだったのかって?うーん、シュコドラでのアルバニア戦では相手の攻撃力も勘案して、ロペテギ監督は3バック制を採用。先週のイタリア戦で負傷して代表を離脱したジョルディ・アルバ(バルサ)の代わりに急遽、招集され、ロンドンから直接現地にやって来たモンレアル(アーセナル)がいきなり先発していたのには驚かされましたが、とにかく相手は全員で守っているんですものね。とりあえず、ピケ(バルサ)とセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)がいれば、大抵のことは大丈夫だろうと踏んだんでしょうが、実際、その3人のDFも攻撃参加していることの方が多かったかも。ただ前半のうちはボールを絶対的に支配しながら、好調ビトロ(セビージャ)の2本のシュートも決まらず、30分過ぎ頃からはスタンドで焚かれた大量のbengala(ベンガラ/発煙筒)のせいで、視界が悪いせいもあったんでしょうかね。試合は0-0のままハーフタイムに入ります。 ▽そして試合の後半からは雨がジャンジャン降り出したんですが、そのせいで敵GKも気が散ったのか、9分にはゴールキックを自陣にいたビトロに蹴ってしまったから、渡りに舟とはまさにこのこと。ええ、イタリア戦でもGKブッフォンのミスを利用して得点した彼からスルーパスを受けたシルバ(マンチェスター・シティ)がジエゴ・コスタ(チェルシー)にボールを送り、そのフィニッシュで見事に先制点が入ったとなれば、もう安心じゃないですか。加えて、そのすぐ後にビトロに代わって入ったノリート(マンチェスター・シティ)が、こちらはエリア内で敵DFを切り返して17分にシュート。2点目を決めてくれるとは、トリノでは出番をもらえなかった彼ですが、プレミアリーグ組はとにかく頼りになりますね。 ▽結局、そのまま0-2でスペインが勝ったんですが、実はこの試合では大きな問題が生じていて、その1つは後半33分に空中戦からの着地を失敗したラモスが左ヒザを痛めて交代となってしまったこと。代表のドクターによる「ヒザの捻挫で程度は1か2」という見立ては悪い方が当たり、マドリッドに戻って受けた検査結果は2、すなわち靭帯の部分断裂ということで、全治6週間となってしまったから、気の毒じゃないですか。 ▽もう1つは、お騒がせ常連のピケが試合後のミックスゾーンで代表引退宣言をしたことで、いえ、この日の騒動の発端はとんだ濡れ衣だったんですけどね。というのも、アルバニア戦の早い時間から、彼のユニフォームの袖口にスペイン国旗の赤と黄の筋がないことに気づいた誰かが、「ピケはわざと袖口を切ったんじゃないか」と邪推。メディアやファンのツィートで愛国心がないだの何だのと拡散しまくって、凄いことになっていたようですが、それを聞いたピケの怒りようといったらもう。代表付きサッカー協会職員が切られた袖2本を持ってきて、記者たちに見せていたのはともかく、本人はわざわざラモスのユニを持って登場。 ▽元々、半袖とは違って、長袖には国旗の色がないことを示しつつ、「he cortado la camiseta porque las mangas eran muy cortas y me molestaban/エ・コルタードー・ラ・カミセタ・ポルケ・ラス・マンガス・エラン・ムイ・コルタス・イ・メ・モレスタバン(袖が短くてうっとおしかったから、切っただけだ)」と説明したのには、だったら最初から半袖を着ればと思ったものですけどね。どうやらいつも長袖しか着ないピケとラモスにはそちらの用意しかなかったよう。 ▽おまけにそのキャプテンの方は試合中、ずっと袖まくりしていたものだから、見ている方も比べようがなかったという不運な面もありますが、だからって、1年程前にはバルサの祝賀イベントで宿敵をおちょくった言動が原因で、スペイン国内の代表戦で大きなpito(ピト/ブーイング)を受けるようになっても、代表を辞める気は一切ないと主張。ところが、その日はいきなり「もうこれはコップから水が溢れる最後の一滴。El Mundial de Rusia va a ser mi ultima competicion con Espana/エル・ムンディアル・デ・ルシア・バ・ア・セウ・ミ・ウルティマ・コンペティシオン・コン・エスパーニャ(ロシアのW杯がスペイン代表として自分の最後の大会)」って、また随分、飛躍したことを言うじゃないですか。 ▽うーん、これには協会もマズいと思ったか、オフィシャルウェブにすぐに声明(http://www.sefutbol.com/oficial-comunicado-polemica-acerca-camiseta-del-internacional-gerard-pique)を出して、アディダスのスペイン代表長袖ユニには何もついていないことを強調していましたけどね。ロベテギ監督も「Yo tambien entiendo a Pique/ジョ・タンビエン・エンティエンドー・ア・ピケ(私にもピケの気持ちがわかる)」と理解を示していましたが、何にしてもW杯は2年後とまだ遠い先のこと。 ▽その日同時刻にプレーしたイタリアが土壇場のゴールでマケドニアに逆転勝ちして、グループ首位のスペインと同じ勝ち点で並び、ロペテギ監督も「Va a ser largo y duro/バ・ア・セル・ラルゴ・イ・ドゥーロ(長く厳しい戦いになるだろう)」と言っていたように、出場がすんなり決まるかどうかもわかりませんし、それまでにまた、「Lo tengo muy meditado, no es una calentura/ロ・tンゴ・ムイ・メディタードー、ノー・エス・ウナ・カレントゥラ(これはよく考えた末の決断、頭に血が昇ってじゃない)」と言っていた当人が心変わりをすることだってあるんですから、あまり大袈裟に捉えなくてもいいかと。 ▽実際、もう今年の予選は11月のマケドニア戦だけで、アウェイだったイタリアと違い、会場もグラナダのヌエボ・ロス・カルメネスですから、そんなに苦労はしなさそうなスペインですが、やはり大変そうなのはFIFAウィルスにやられた各クラブの方。ええ、もちろんマドリー勢ではクリスティアーノ・ロナウドがアンドラ戦での4発に続き、フェロー諸島戦でも1ゴールとポルトガル代表で調子を取り戻してくれたり、ベイルが今度はウェールズ代表で跳躍力を披露。1メートルもジャンプしてジョージア戦でヘッドを決めたりと、悪いことばかりではなかったんですけどね。 ▽コバチッチも、フィンランド戦でマンジュキッチが決めた決勝ゴールはアトレティコのブルサリコが上げたクロスが起点ながら、2試合フル出場して、自信をつけたはずですし、クロースもドイツで2連勝、3失点したものの、コスタリカはロシアとの親善試合に3-4で勝ち、遠出をせずに足慣らしのプレー時間を増やせたケイロル・ナバスにも収穫はあったはずなんですが…。 ▽何せ、ラモスは当然ながら、モドリッチやカゼミロもまだ、この土曜のベティス戦にも来週火曜のCLレギア・ワルシャワ戦にも戻って来られませんからね。結局、大西洋横断無駄足旅行をしたハメス・ロドリゲスもこの週末は無理そうですし、となると月曜にU-21スペイン代表のエストニア戦で2ゴールを決め、5-0で勝って、来年のユーロ大会を懸けたプレーオフ出場権を手に入れるのに大貢献したアセンシオ辺りに出番が回ってくるかも。ここ4試合、引き分けで白星を挙げられてないジダン監督としては、またスタメン選びに神経を使うことになりそうです。 ▽一方、それ程、代表戦週間の被害を受けなかったのはお隣さんのアトレティコで、大体、イタリア戦の後にスペイン代表から帰されたサウルのケガはparon(パロン/リーガの中断期間のこと)直前のバレンシア戦で受けた打撲だそうですし、2試合フル出場したコケもフルサリコと共に月曜はお休みをもらい、火曜には元気にマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に出勤。ブルガリア戦ではフランス中を席捲したdoble G(ドブレ・ヘー)も、オランダ戦ではポグバのゴールで0-1と勝ったのを一緒に祝うだけでしたが、特に体に支障はなかったようですし、それはベルギー代表に行っていたカラスコも同様のよう。 ▽スロベニアのGKオブラクもスロバキアとイングランドを無失点に抑え、1試合目のカザフスタン戦でモンテネグロの6点目を挙げたサビッチもデンマークに0-1で勝利するのに貢献。あと心配なのはヨーロッパの火曜深夜にウルグアイとブラジルでそれぞれ、コロンビア戦とベネズエラ戦をプレーするゴディンとフィリペ・ルイス、こちらは出るか出ないかわかりませんが、パラグアイ戦に臨むアルゼンチンのガイタン、コレアだけですが、幸いなことにこの1週間で、肉離れのリハビリをしていたヒメネスがかなり回復したとか。何せ、この土曜のリーガ戦も相手は最下位グラナダを迎えてのホームゲームですしね。せっかく得失点差ではありますが、前節には首位に立てましたし、このまま常勝気運を保っていってくれることを期待しています。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.12 12:48 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】まだ復活した訳ではないらしい…

▽「だったら最初から行かなきゃ良かったのに」そんな風に私が呆れていたのは土曜日、paron(パロン/リーガの休止期間のこと)前のエイバル戦でアップ中にふくらはぎを痛めながら、クラブーの反対を押し切ってコロンビア代表に参加したレアル・マドリーのハメス・ロドリゲスが、この日曜にはマドリッドに戻って来るというニュースを知った時のことでした。いやあ、当人も帯同中に高気圧酸素療法などで早期回復に努めたものの、結局、火曜のW杯予選ウルグアイ戦には間に合わないという理由らしいんですけどね。 ▽直前のバレンシア戦をスタンドで見学して、ウルグアイがベネズエラに3-0と完勝した試合でしっかりキャプテンマークを巻いていたアトレティコのゴディンとは真逆のパターンとなりましたが、実際、そうなるんだったら、木曜のアスンシオンでのパラグアイ戦の後、次戦の行われるバランキージャまで付き合って計2万1300キロもの移動をせず、丁度モドリッチ、カセミロというお仲間もいるんですし、ハメスも一緒にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でリハビリしていた方が治りも早かったかも。 ▽え、そうは言ってもアトレティコにも代表不思議参加をしてきた選手がいたじゃないかって?その通りで、こちらはサウルなんですが、合宿2日目こそ全体練習に参加したものの、スペイン代表がトリノへ移動した水曜のユベントス・スタジアムでのセッションでは1人、ピッチの外で自転車漕ぎをさせられている始末。当然、翌日の試合にも出られなかったため、ロペテギ監督もだったら、マハダオンダ(マドリッド近郊)のアトレティコ練習場で先輩たちと並んで自転車を漕いでいる方がくつろげていいんじゃないかと思ったんでしょうかね。金曜にはアルバニアに向かうチームと離れ、帰国することになったとはいえ、イタリアースペイン間はせいぜい2時間の旅程ですからね。ハメスと違って時差ボケがないだけ、助かっている? ▽まあ、そんなことはともかく、そのスペインのW杯予選2戦目がどうだったか、お伝えしておかないと。結論から言えば、夏のユーロからあった彼らの欠点はいまだ改善されておらず、いえ、相手はイタリアで、9月のリヒテンシュタイン戦のような贅沢なgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が望める訳もないのは最初からわかっていたんですけどね。前半は一時、86%もの高いボールポゼッションを記録しながら、なかなか決定打が撃てず。むしろ、21分にはケガで早々にジョルディ・アルバ(バルサ)がナチョ(マドリー)に交代せざるを得なかったことの方が心配されましたが、それはセルヒオ・ラモス(マドリー)に弾き飛ばされて、モントリーボ(ミラン)をヒザの靭帯断裂で失ったイタリアも同じだったかも。 ▽ようやく均衡が破れたのは後半に入ってからで、9分、ブスケツ(バルサ)が自陣から放ったパスを追ったビトロ(セビージャ)がエリア内に突入するのを防ごうと、GKブッフォン(ユベントス)が飛び出して来たところ、当人も「No me esperaba algo asi, en esas ocasiones el portero siempre despeja/ノー・メ・エスペラバ・アルゴ・アシー、エン・エサス・オカシオネス・エル・ポルテーロ・シエンプレ・デスペハ(ああいうことは予期していなかった。あんなケースでは普通、GKがクリアしてしまうものだからね)」と言っていたように、かわして前進できたから、驚いたの何のって。そのままビトロのシュートが決まって、スペインが待望の先制点を手に入れます。 ▽実際、後でブッフォンも「相手が自分の進行方向にいたから、ぶつかるのを恐れたんだ。それでボールをサイドラインの外に出そうと足を回したら、失敗した」と自身の過ちを認めていましたし、これは完全に敵のミスによるラッキーゴールなんですけどね。それまでGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が脅かされる場面があった訳でもないため、私もこれで上手く逃げ切れるかと思ったんですが、そうは問屋が卸さないのが強豪国たる所以。ベントゥーラ監督がペッレ(山東魯能)をインモービレ(ラツィオ)に代えたことをキッカケに、いえ、その交代が意に染まず、ベンチに戻る時に前者が上司に挨拶をせず、悪態をついていたせいで、その試合後、イタリア代表を追放されたなんて話はまあ、どうでもいいんですけどね。 ▽その頃からスペインのポゼッションが減ってきたんですが、それよりロペテギ監督はセリエAの筋金入りのDFたちとやりあっていたジエゴ・コスタ(チェルシー)がエキサイトしてきたことを懸念。2枚目のイエローカードをもらうことを恐れ、22分にはモラタ(マドリー)と交代させたんですが、せっかく昨季まで2年間、過ごした古巣のサポーターが拍手で迎えてくれたにも関わらず、こちらもほとんどチャンスを作る役には立ってくれません。ええ、そうこうするうち、悲劇が起きて、それは36分。ラモスがエリア内でエデル(インテル)の足を蹴って、またしてもペナルティを取られてしまったから、困ったもんじゃないですか。 ▽いえ、最初は主審もスルーしていたんですが、副審のご注進で判定が出たため、当人が「Es un penalti riguroso, de esos que se pitan uno de 40/エス・ウン・ペナルティ・リグローソ、デ・エソス・ケ・セ・ピタン・ウノ・デ・クアレテンタ(40件あって1つ取られるかどうかの厳格なペナルティだよ)」と文句を言う気もわかるんですけどね。まだ10月だというのに、UEFAスーパーカップのセビージャ戦から始まって、オサスナ戦、ビジャレアル戦ときて、これで今季4つ目のペナルティを犯したとなれば、先日のアトレティコ戦で2本のPKを止めたバレンシアのGKジエゴ・アウベスと同じぐらい注目を浴びても仕方ないかと。 ▽結局、このPKはデ・ロッシ(ローマ)がしっかり決め、そのままイタリアとスペインは1-1で引き分けたため、試合後はマスコミの集中砲火を受けたラモスが、「イタリアでは代表の顔であるブッフォンがミスしても拍手される。スペインではブーイングを受けるんだ」と開き直ることに。とはいえ、片や19年間の代表歴で161キャップ、38歳の大御所と、すでに133キャップとはいえ、まだ10年選手のラモスを比べるのは無理がありますし、当のブッフォンも「批判されるかされないかは、ミスの回数次第だろう。1カ月に1度とかだったら、問題だよ」と言っていたように、猿も木から落ちる程度なら別にいいんでしょうけどね。 ▽それでも「Que disfruten ahora quienes me tienen que rajar porque ya luego callare bocas/ケ・ディスフルエン・アホラ・キエネス・メ・ティエネン・ケ・ラハール・ポルケ・ジャー・ルエゴ・カジャレ・ボカス(ボクを叩いている奴らは今を楽しむといい。前にも自分は口を閉ざさせてきたからね)」と言ってしまえるのは、決して落ち込まないラモスのいいところではありますが、2018年のロシアW杯に直接参加が決まるのはグループのうち、首位1チームだけ。あとでこの勝ち点2を失ったことが、悔やんでも悔やみきれない結果に繋がらないことを祈っていますが…。 ▽そして翌日もトリノで練習して、夕方にはアルバニアのシュコドラに着いたスペインでしたが、どうやら会場となるロロ・ボリチ・スタジアムは木曜に予選初参加のコソボがホームとして使用したため、あまり芝の状態が良くないのだとか。ただ、その際にはモドリッチやラキティッチ(バルサ)が負傷で参加していないものの、コバチッチ(マドリー)が先輩の代役を頑張り、ブルサリコ(アトレティコ)もフル出場したクロアチアがマンジュキッチ(ユベントス)のハットトリックなどもあって、0-6で大勝。とはいえ、アルバニアは現在、マケドニアとリヒテンシュタインに2連勝して首位ですし、昨夏のユーロにも出場しているため、そんなに沢山、ゴールが生まれる展開にはなりそうもありませんが、ロペテギ監督がイタリア戦から、ある程度のローテーションを考えているのかは不明。 ▽いえ、セルジ・ロベルト(バルサ)は故障を抱えているので、カルバハル(マドリー)が右SBをリピートするぐらいはわかるんですけどね。すでにバルセロナに戻ったジョルディ・アルバの代わりに急遽、駆け付けたモンレアル(アーセナル)が左SBに入るのか、ナチョで連投するのかは微妙なところですし、前日記者会見では「Llevamos 9 goles en dos partidos oficiales/ジェバモス・ヌエベ・ゴーレス・エン・ドス・パルティードス・オフィシアレス(ウチは公式戦2試合で9ゴール挙げている)。だからウチのチャンスメークと得点効率には満足しているよ」と言っていたものの、うち8点がリヒテンシュタイン戦だったことはロペテギ監督も承知しているはずですから、前線の変更もありうるかも。ええ、コスタからモラタに代えることだけでなく、ノリート(マンチェスター・シティ)やルーカス・バスケス(マドリー)らが先発に入ったって、ちっともおかしくありませんって。 ▽そんなアルバニアvsスペイン戦は日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からキックオフなんですが、一応、他国の予選でも目立ったマドリッド勢を挙げておくと、うーん、木曜にベイルがオーストラリア戦で自慢の脚力ではなく、腕力を見せつけて、ロングスルーインから、ウェールズに2-2の引き分けをもたらす同点ゴールを導いたことは褒めるべきなのか、ちょっと迷うところなんですけどね。というのもリーガだと、そういうプレーは下位チームの十八番だったりするため、マドリーでは推奨されない気がするからですが、久々に破壊力を存分に披露したのは金曜に、ユーロ以来となるポルトガル代表でプレーしたクリスチアーノ・ロナウド。 ▽ええ、まるで元マドリー監督のカペッロ氏が「チームの問題はロナウド。フィジカル的に良くない」と、ここ4試合連続引き分けの原因に挙げていたのを笑うかのようにpocker(ポケル/1試合4得点のこと)を達成しているんですもの。それも序盤の2分間で2ゴールとなれば、フランスのラジオで「ウチがキックオフから試合に集中できないのは、creo que el problema es psicológico, no físico/クレオ・ケ・エル・プロブレマ・エス・シコロヒコ、ノー・フィシコ(問題はフィジカルでなく、心理的なものだと思う)」と言っていたジダン監督も、たとえ相手はアンドラだったとて、ちょっとは安心できたかと。 ▽一方、アトレティコ勢もそれに対抗するように同日夜にはフランス代表で爆発。こちらはブルガリア戦でガメイロが2発、グリースマンが1ゴールを挙げ、4-1の勝利に貢献していますが、何より良かったのは前者の2ゴール目が後者からのアシストだったことでしょうか。ええ、折しもガメイロはその試合の前、「ボクは彼に今季3アシストしているけど、彼はまだゼロ。自分にもラストパスがほしいね」と言っていましたしね。お互いに代表でも相性のいいところを見せていけば、近々、お隣さんのベンゼマの再招集があってもガメイロがデシャン監督に忘れ去れることはない? ▽いえ、アトレティコの選手ではフィリペ・ルイスもブラジルのボリビア戦で得点したそうですが、土曜日もドイツのクロースがチェコ戦でゴールを挙げたとかで、まだマドリー勢の方が多いんですけどね。その上、予選3節はポルトガルがフェロー諸島、フランスはオランダ戦とあって、ますます差をつけられてしまうかもしれませんが、まあ、こればっかりはねえ。この代表戦週間が終わると、またリーガ、CLのハードスケジュールが始まるため、とにかく大事なのは皆、ケガをせずに戻って来ること。そうそう、あまり各国代表と縁のないマドリッドの新弟分、レガネスは木曜にエイバルと親善試合だったんですが、乾貴士選手のゴールで1-0と負けてしまいましたよ。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.09 11:55 Sun
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【原ゆみこのマドリッド】舞い上がってはいけない…

▽「随分、人気者なったのねえ」そんな風に私が感心していたのは月曜日、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設のスタンドでその日、合宿に入ったスペイン代表の初練習開始を待っていたところ、見学に来ている子供たちの間から、ひっきりなしに「サウル、サウル!」とコールが飛んでいるのに気が付いた時のことでした。いやあ、9月の代表戦では親善試合のベルギー戦にだけ参加して、2試合目はユーロ予選が佳境にあるU21代表の応援に行ったは良かったものの、自身のオウンゴールでチームはスウェーデンに勝てず。そのせいか、まだグループ首位勝ち抜けのチャンスがある今回のサンマリノ戦とエストニア戦にはセラデス監督もお隣さんのアセンシオを戻してもらったため、練習中のゴール運びを手伝うこともなく、A代表に専念することになったサウルですけどね。▽さすがは地元アトレティコの選手、しかも現在、栄えあるリーガ首位チームのレギュラーとなれば、ファンからキャーキャー言われても当然よねと私も頷いていたんですが、あらまあ。コーチと何か話した後の当人はサッカーシューズを小脇に抱えたまま、グラウンドから引き上げてジムへ向かうところ。要はスタンド方向に歩いて来ていたせいで、誰でもいいからサインをゲットしたいとフェンスに貼りついている子供たちが呼んでいただけだったとは。とんだ早とちりをしたものですが、最近はどのチームも負傷者の話題が多いですからね。その夜には、たまたまマンチェスター・ユナイテッドの練習休みを利用して、マドリッドに遊びに来ていたアンデル・エレラが追加招集されたというニュースも伝わってきて、日曜のバレンシア戦でも途中交代していたサウルの状態が懸念されたものでしたが…。 ▽まあ、代表関連はまた後で触れるとして、まずは先週末のリーガの試合がどうだったか、お伝えしていかないと。今回は珍しくマドリッド勢の先陣を切って、土曜の午後1時から新弟分のレガネスがグラナダと対戦したんですが、パコ・ヘメス監督解任後のプラナグマ代理監督には事態を改善することはできず。後半31分にシマノフスキがゴールを挙げ、アシエル・ガリターノ監督のチームが0-1でparon(パロン/休止期間)前、最後の一戦を勝利で飾ることに。レガネスには各国代表に出向する選手もあまりいないため、この2週間はじっくり練習に励んで、15日のセビージャ戦で1部ホーム初勝利を目指すことになります。 ▽そして翌日曜にマドリッドの両雄の試合だったんですが、正午から近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行ってサッカーを見るのはどこか微妙。というのも、私も午後2時過ぎのスペイン昼食時間に合わせているため、まだお腹は空いてないし、いくら週末でも午前中からカーニャ(グラスビール)なんて日本人には無理だし、結局、カフェ・コン・レッチェ(カフェオレ)を頼みましたが、この国コーヒーは濃いですからね。さすがに2杯、3杯と続ける訳にはいかず、メスタジャ(バレンシアのホーム)での前半、アトレティコがいいリズムでプレーしながらも、なかなか点が取れないのを眺めつつ、フルタイムいてドリンク1つしか頼まないのも外聞が悪いかもと悶々と悩んだ末、最近始めたらしいフルーツテイストのアイスティなるものを試してみたところ、これがまあまあの出来。 ▽何より、この国の普通の飲食店で出されるアイスコーヒー、カフェ・コン・イエロのようにホットの入ったカップから自分で氷入りグラスに注ぎ込む形式でなかったのには助かりましたが、まあそれはどうでもいい話で、前半終盤には先制点の絶好のチャンスがあったんですよ。ええ、42分にはその日、先発に抜擢されたコレアがエリア内でナニに倒され、PKを獲得。ところが、先日のCLバイエルン戦に続いてキッカーを務めたグリースマンがGKジエゴ・アウベスに弾かれてしまったから、やはり2度あることは3度ある? そう、これで彼は昨季のお隣さんとのCL決勝から、3回連続のPK失敗です。 ▽おかげで0-0のまま、ハーフタイムに入ったアトレティコでしたが、後半はシメオネ監督が素早くリアクション。15分もしないうちにサウルをカラスコに、コレアをフェルナンド・トーレスに代え、グリースマン、ガメイロ合わせて、超攻撃的な4人FW体制にしたのが大正解でした。18分にはカラスコのスルーパスから、トーレスがシュート、これはアウベスに弾かれてしまったものの、こぼれ球を拾ったガメイロがグリースマンに流すと、リベンジとばかりに彼の弾丸シュートが決まって、とうとう全アタッカーが協力して、先制してくれたから、ホッとしたの何のって。 ▽その後もアトレティコの攻勢は止まず、早くも2分後にはグリースマンがエリア内でマリオ・スアレスに引っくり返されて再び、彼らはPKをもらったんですけどね。さすがにこの時ばかりはシメオネ監督がベンチから大声で指示を送り、キッカーはガビに託されたんですが、おやおや、こんなことがあっていいんでしょうか。グリースマンとは反対方向に蹴ったキャプテンのPKもアウベスが弾いてしまったとなれば、もう成す術ありません。実際、後で聞けば、彼はこれまでリーガで41回PKを蹴られ、そのうち19回を止めている筋金入りのparapenalti(パラペナルティ/PK止め屋)だと言いますしね。3年ほど前、昨季からバレンシアにレンタル移籍しているシケイラ(この日はベンチ)が順番を無視して勝手にPKを蹴り、やはりアウベスに阻止されて、チームの反撃ムードを台無しにした時に比べれば、曲がりなりにもリードしているだけ、状況は全然マシですって。 ▽え、前日はシメオネ監督が「彼はtobillo noble/トビージョ・ノブレ(高貴な足首)を持っている。だから先発するだろう」と言っていたにも関わらず、結局、ウルグアイに行く前にバイエルン戦での捻挫が悪化することを恐れてスタンド観戦になったゴディンはいなくても、基本的に守備は堅いアトレティコなんだから、そのまま0-1で勝ったんだろうって?それが、確かにナニの負傷交代に始まって、終盤はエンソ・ペレス、マンガラも痛みを我慢しながらプレーしていたバレンシアだったため、同点にされる可能性は低かったんですけどね。その日はビセンテ・カルデロン開場50周年を記念して、スタジアムを開放。ロッカールームやVIPエリアを回り、トロフィーと写真を撮った後、ピッチに設置された大型スクリーンで試合を観戦していた9000人余りのファンにも、帰る直前に思いがけないお土産ができたんです! ▽それはロスタイム2分、ファンフランが自陣から出したロングパスを追ったガメイロが、いやあ、こういうところにアトレティコに来てからのフィジカル強化トレニーングの成果が表れるんですかね。90分プレーしているというのに敵エリア内まで一気に駆け上がり、2点目を決めてくれたから、驚いたのなんのって。実際、水曜にはバイエルンよりチーム計で8キロも多く走る健脚自慢をしていながら、先に疲れていたのは1週間ぶりの試合だったバレンシアの方だったのを見るにつけ、体力があるのはいいもんだと心底、思ったものですが、その日はパルコ(貴賓席)で見学していたボロ監督を引き継ぐプランデッリ監督もチーム再建の第一歩はまず、選手たちにスタミナをつけることからですかね(最終結果0-2)。 ▽そしてバルを出て、次にはサンティアゴ・ベルナベウへ向かった私ですが、いえ、もう先月のオサスナ戦でわかっていたので、直射日光地獄に備えて、その日は日焼け止めもしっかり塗って行ったんですけどね。今回のエイバル戦では午後4時15分のキックオフから試合終了まで、正面スタンド3階席はずっと日向のまま。おかげで後半にもなると、頭がもうろうとしてきたんですが、その原因には点が入ったのが序盤だけだったというのもあったかと。 ▽そう、前日記者会見でジダン監督が「試合の最初から最後まで100%でプレーしてほしい」という願いも空しく、レアル・マドリーは「No estamos metiendo intensidad en el inicio/ノー・エスタモス・メティエンドー・インテンシダッド・エン・エル・イニシオ(ウチは序盤のプレーに激しさがない)」(ジダン監督)状態だったんですよ。その結果が前半5分、カパのクロスをフラン・リコがジャンプもせずにゴール前からヘッドで叩き込み、エイバルの先制点となって現れたんですが、幸い追いつくのに時間はそうかかりません。17分にはクリスチアーノ・ロナウドのクロスをベイルが力強く、頭でゴールに撃ち込んで、一旦は場内も満足したかに思えたんですが…。 ▽いつまで経っても追加点が奪えないのではねえ。ちなみにその日は試合前のアップの時に先発予定だったハメス・ロドリゲスがふくらはぎに違和感を覚えて急遽、コバチッチと交代。ベンチで見学することになったのに加え、ベンゼマとバランも前半にケガをして、後半のピッチに戻って来なかったり、それより何より、ヒザの軟骨を痛めて休場していたモドリッチが月曜には手術をして全治1カ月に。何せここ数試合、マルセロが肉離れで出られないのに、ようやく終わった長いリハビリ後、コエントランも筋肉痛でベンチに入れなかったのはともかく、元から代役のいないカセミロも腓骨骨折ですから、まだ当分復帰に時間がかかりますからね。▽となれば、「Estamos en una racha en la que con poquito nos hacen gol/エスタモス・エン・ウナ・ラチャ・エン・ラ・ケ・コン・ポキート・ノス・アセン・ゴル(ウチはほんの少しのことでゴールを入れられてしまう流れになっている)」上、「Nos esta faltando chispa en el ultimo cuarto de campo/ノス・エスタ・ファルタンドー・チスパ・エン・エル・ウルティモ・クアルト・デ・カンポ(ファイナルサードに火花が欠けている)」(カルバハル)では、エイバルに堅実に守り切られ、とうとう4試合連続の引き分けになってしまったのも仕方ない?うーん、ベンゼマはともかく、ロナウドもベイルも最後までピッチにいながら、彼らが得点できないというのは、本当に不思議なんですけどね(最終結果1-1)。▽やはり鍵は試合後、ペペが「Solo la calidad no nos puede llevar a la victoria/ソロ・ラ・カリダッド・ノー・ノス・プエデ・ジェバール・ア・ラ・ビクトリア(質の高さだけ勝利を掴むことはできない)。戦士になって、相手の激しさと拮抗するプレーをして、タレントで差をつけなければ」ということなのでしょうが、来週半ばまでチームは控え待遇のイスコやナチョ、ルーカス・バスケスらまで、15人もの選手が各国代表に駆り出され、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場は開店休業状態。ジダン監督は「皆が戻って来てから、改善するつもりだ」と言っていましたが、そんな折、ケガしているハメスやバランまで招集免除にならないのは踏んだり蹴ったりだったかも。 ▽一方、期待していなかった結果を出したエイバル陣営は、「Puntuar es una sensacion nueva para el Eibar, para mi/プントゥアル・エス・ウナ・センサシオン・ヌエバ・パラ・エル・エイバル、パラ・ミー(勝ち点を取るというのはエイバルにとっても私にとっても新しい感覚)」と、サンティアゴ・ベルナベウでキャリア初のポイントゲットをしたメンディリバル監督を始め、ドルトムント戦引き分け後にダニーロが「このツケを払うのはエイバル」と言ったのに苦言を呈していた、マドリーにも1年だけいたことのある元ヘタフェのペドロ・レオンら、選手たちも大喜び。うーん、だからって、人様のスタジアムのロッカールームでジャグジーに泥の付いたソックスやユニのままつかるなんてのは、衛生的にどうかと思いますけどね。一応、ベンチで出場機会のなかった乾貴士選手は浴槽に入っていませんから、とりあえず安心できるかと。 ▽まあ大体、そんな感じで私の日曜は終わったんですが、まさかその夜に最大級の驚きが訪れることになるとは!ええ、バライドス(セルタのホーム)で戦ったバルサが昨季に続いて4失点で負けたんですよ。何せ、この日は9月にアトレティコが0-4で大勝していた相手だったため、期待もしていなかったんですけどね。前半3点も取られた後、後半に3-2まで追い上げながら、GKテア・シュテーゲンのゴールキックがパブロ・エルナンデスの頭を直撃してゴールを割るとは一体、誰に想像できる? 最後はCFと化したピケが自身のその日2点目を挙げ、4-3としたバルサでしたが、この節の嬉しい副産物はマドリーが宿命のライバルに抜かれなかったこと…じゃなくて、やはりアトレティコがお隣さんとの得失点差で堂々、首位として、この2週間を過ごせることでしょうか。 ▽おかげでアトレティコからスペイン代表に招集されたコケとサウルもいつもより、ちょっと胸を張ってラス・ロサスに来られたと思いますが、実はバルサでもメッシやラキティッチらがケガで今回のW杯予選に参加できないのと同様、負傷禍の魔手はスペイン代表にも。いやあ、金曜にリストを発表したロペテギ監督は予感がしたのか、日曜には早くもレアル・ソシエダのCB、イニゴ・マルティネスを追加招集。エイバル戦にセルヒオ・ラモスがジダン監督のローテーションでベンチ入りしなかったため、あれこれ憶測されたものの、月曜にはハビ・マルティネスが代表医の診断だけ受けて、オクトーバーフェスト真っ盛りのミュンヘンにトンボ帰りすることに。 ▽更に夕方の練習ではサウルに加え、バイエルンの同僚チアゴ・アルカンタラにも不具合があったため、アンデル・エレラを呼んだようですが、何せ今回は予選が2試合、しかも相手は夏のユーロでベスト16敗退を喫した強豪イタリア、そしてやはりユーロ出場国だったアルバニアですからね。いくら9月はロペテギ新体制でリヒテンシュタインに8-0と大勝しているとはいえ、できるだけ用心しておくに越したことはない? ▽そんなスペイン代表は、U21チームがサンマリノに発った火曜にもラス・ロサスでダブルセッションをして、水曜にはトリノ入り。このところジエゴ・コスタがチェルシーで好調なようですし、モラタも2年間お世話になったユベントスのホームでの試合ということで張り切っていますし、イタリアの選手をよく知るナポリのカジェホンが久々に再招集されているため、ユーロとは違って得点は期待できそうですが、さて。注目のイタリアvsスペイン戦のキックオフは木曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)、好ゲームになってくれるといいですよね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.05 15:30 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】2度あることは3度あった…

▽「せっかくのチャンスなのに着ないんだ」そんな風に私が失望していたのは金曜日、次のレアル・マドリーのリーガ戦の相手、エイバルのメンディリバル監督のコメントを聞いた時のことでした。いやあ、水曜にCLドルトムント戦が終わった後、思わずマルカ(スポーツ紙)のガイドブックを開いて、エイバルのユニフォームの色をチェック。第3ユニが黄色だということに気づいたのは私だけじゃなかったようで、その件についてはここ数日、マスコミでも取り沙汰されていたんですけどね。サンティアゴ・ベルナベウで彼らを迎えるチームはlos blancos(ロス・ブランコス/白の人たち、マドリーの愛称)とあって、アウェイのエイバルはどのユニフォームを選ぼうと自由だったんですが、どうやらメンディリバル監督は「El amarillo tampoco nos ha ido bien a nosotros/エル・アマリージョ・タンポk・ノス・ア・イドー・ビエン・ア・ノソトロス(黄色はウチにもいい結果じゃなかった)。ここ2年、負けているし」と、まったく乗り気ではないよう。 ▽でもねえ、ドルトムント戦の後、バランなどは「Pagara la cuenta el Eibar este domingo/パガラ・ラ・クエンタ・エル・エイバル・エステ・ドミンゴ(この日曜はエイバルがツケを払うことになるだろう)」なんて、悔し紛れに言っていましたし、彼らの第1ユニはバルサ系のazulgrana(アスルグラナ/青と緋色の縞)。それを見るだけでマドリーの選手たちが永遠のライバルを思い出し、むやみに発奮されてしまっても困るのでは? ▽ただ実際のところ、相手がビジャレアル、ラス・パルマス、ドルトムントと黄色いユニを着たチームと対戦して、ここ10年間なかった3試合連続引き分けという不調に陥ってしまった本当の理由は、負傷でカセミロが出られなかったことですからね。この週末にも彼の回復は間に合わないとわかっているとなれば、わざわざジンクスに頼る必要はないと、監督が判断したのも当然だったかもしれません。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週のCLグループリーグ2節でマドリッド勢がどうだったか、お伝えしておかないと。火曜に先にプレーしたのはマドリーの方だったんですが、ジグナル・イドゥナ・パルクの圧巻のスタンド全面黄色の応援にも怯むことなく、立ち上がりは順調だったんですよ。そう、前半16分には中盤の1人して先発したハメス・ロドリゲスのスルーパスをベイルがエリア内で戻すと、そのボールをクリスチアーノ・ロナウドが撃ち込んで見事に先制ゴールをゲット。おかげで先日のラス・パルマス戦では残り時間が20分もあるのに温存交代させられて不機嫌を隠せず、ジダン監督との確執が心配されていた当人もベンチ前まで駆けつけて、仲の良さを披露することもできたんですが…。 ▽雲行きが怪しくなってきたのは40分過ぎで、いえ、元はと言えば、セルヒオ・ラモスが不必要なファールでドルトムントにFKを与えてしまったせいだったんですけどね。不運だったのは、昨季終了後にアキレス腱の手術をして、ようやくこの日、満を持して実戦復帰したGKケイロル・ナバスが「No vi salir el balon y tome una mala decision/ノー・ビ・サリール・エル・バロン・イ・トメ・ウナ・マラ・デシシオン(ボールの出所が見えなくて誤った判断をしてしまった)」と、ゲレイロのFKをパンチングで処理。これが「es un poco mala suerte porque el balon me toca la cara/エス・ウン・ポコ・マラ・スエルテ・ポルケ・エル・バロン・メ・トカ・ラ・カラ(ちょと運が悪くて、ボールがボクの顔に当たった)」というバランを経由してゴールへ。入る直前に押し込んだオバメヤングの得点となって、ハーフタイムを前に同点に追いつかれてしまったとなれば、どこかラス・パルマス戦を彷彿させるイヤな展開じゃないですか。▽ええ、ツイていないことに、その予感は的中してしまいます。後半も22分にはロナウドのクロスをベンゼマはvolea(ボレア/ボレーシュート)でゴールポストに当ててしまったものの、こぼれ球をバランが押し込んでマドリーは再びリード。その後、どこか引き気味なった彼らはナバスの汚名返上のparadon(パラドン/スーパーセーブ)にも助けられ、いよいよ試合はラストが見えてきたんですが、悲劇が訪れたのは41分のことでした。そう、19歳のデンベレの代わりに入った18歳のプリシッチが右サイドから上げたクロスを、カルバハルがオバメヤングにも邪魔されてクリアしきれず。おかげでゲッツェから代わったシュールレにエリア内から弾丸シュートを撃ち込まれ、またしてもリードがふいにって、学ばないにも程がある? ▽ジダン監督もその後、ようやくモラタを投入、少ない残り時間で根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)を期待したんですが、時すでに遅し。結局、2-2で引き分けて、「Al final siempre lo mismos, es ya el tercer partido/アル・フィナル・シエンプレ・ロ・ミスモス、エス・ジャー・エル・テルセール・パルティードー(最後はいつも同じ、もう3試合目だ)」(ジダン監督)という顛末に。うーん、まだグループリーグは4試合もありますし、マドリーとドルトムントは同じ勝ち点4で3位のスポルティングCPを1ポイントリードしていますから、そういう意味では心配することはないんですけどね。 ▽この試合では20回もシュートを撃たれ、ナバスが12回もセーブしなければならなかったとはいえ、そんなマドリーにガンガン、攻撃を仕掛けてくるチームなど、数が限られているとなれば、そうそう悲観したものではないと思うものの、試合後のジダン監督は「Estoy jodido por los jugadores, no es merecido/エストイ・ホディードー・ポル・ロス・フガドーレス、ノー・エス・メレシードー(選手たちのために最悪に感じている。ウチは引き分けに値しなかった)」と残念がることしきり。曰く「あと1ゴールが足りなかった。リードが1点だけではこんなことも起こる」そうなんですが、まあ確かにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質の彼らからしたら、2点しか取れないなんて、あってはいけないことなのかもしれません。 ▽そして翌水曜にはお隣りさんがホームでバイエルン戦だったんですが、たとえ、グループリーグとはいえ、ヨーロッパのビッグクラブを迎えるとなると、俄然張り切ってしまうのがアトレティコのファン。まだ9月だというのに大掛かりなモザイクを準備して、ハートマークが浮かんだバックスタンドに「Dale Alegria a Mi Corazon/ダレ・アレグリア・ア・ミ・コラソン(私の心に喜びを与えて)」」という横断幕が出現、そこへアカペラのイムノ(クラブ歌)で迎えられれば、選手たちだって、恐れを忘れてドイツの強豪に立ち向かう勇気が沸いてくるってもんじゃないですか。 ▽え、それでも試合は昨季のCL準決勝の2試合みたいに相手に攻められてばかりだったんだろうって?それがこの日はちょっと趣が変わって、いえ、序盤にはミュラーに至近距離から撃たれたりして、ドッキリさせられたりはしたんですけどね。どうやら本当の役目はシャビ・アロンソのチェックだったようですが、シメオネ監督に予告されて先発したフェルナンド・トーレスがハッスル。前半からシュートをゴールポストに当てるわ、エリア内から惜しくもネット脇に撃ち込むわと、場内を騒然とさせることに。 ▽ただ彼が本当に得点に貢献したのは35分のことで、敵陣でハビ・マルティネスからボールを奪うとそれをグリースマンにパス。そこから、「Lo vi que se iba, que estaba solo y le meti el balon/ロ・ビ・ケ・セ・イバ、ケ・エスタバ・ソロ・イ・レ・メティ・エル・バロン(走り出したのを見て、フリーだったからボールを渡した)」(グリースマン)とカラスコに繋がったところ、彼のシュートがゴールポストに当たってネットに収まってしまったから、ビックリしたの何のって!▽いやあ、後で当人もこれには「tuve la suerte de que fue palo y para adentro/トゥベ・ラ・スエルテ・デ・ケ・フエ・パロ・イ・パラ・アデントロ(ポストに行って中に入ったのはラッキーだった)。これまでずっとポストに弾かれていたから」と喜んでいましたが、それもこれもアトレティコの前線が敵の守備ラインにしつこくプレスをかけていた賜物。加えて、グリースマンはアレックス・ビダルをチェック、アラバとリベリはガビ、サウル、ファンフランでコントロールし、ラームとボアテングの前でボールを奪えば前方に走り込める大きなスペースができるというところまで、シメオネ監督の作戦がツボにはまったんですが、その指示通り、「Esta ha sido una de las mejores actuaciones que hemos tenido/エスタ・ア・シドー・ウナ・デ・ラス・メホーレス・アクトゥアシオネス・ケ・エモス・テニードー(これはウチがやった中で最高のパフォーマンスの1つだった)」と指揮官も絶賛していた程、しっかり働いた選手たちも偉かった? ▽そして1-0のままで後半が始まったところ、ビセンテ・カルデロンでは前職のマドリーを率いて、最後のリーガダービーで4-0の大敗をした苦い思い出が蘇ってきたのかもしれませんね。前日、記者会見のためにスアジアムに来た時には、プレスルームへの行き方を訊きにチケット窓口の横にあるマスコミ用の受付にいきなり、ジャージ姿で現れ、私を驚かせてくれたバイエルンのアンチェロッティ監督は早いうちにロッベン、フンメルス、キミッヒと交代カードを次々使用。 ▽「jugamos muy lentos, ese fue el problema para tener mas ocasiones para empatar/フガモス・ムイ・レントー、エセ・フエ・エウ・プロブレマ・パラ・テネール・マス・オカシオネス・パラ・エンパタール(ウチはとてもゆっくりしたプレーをしていた。それが同点のチャンスをもっと作るためには問題だった)」(アンチェロッティ監督)とのことで、それで流れを変えようとしたんですが、あまり効果は上がりません。いえ、それどころか、38分には敵エリア内に侵入したフィリペ・ルイスをビダルが臆面もなく突き倒し、ペナルティを取られているって、よっぽどフラストレーションが溜まっていた? ▽おかげで、まだ不安を抱いていたファンたちもこれで勝利は確定とばかり舞い上がったんですが、そこで期待をしっかり裏切ってくれるのは、未だに根絶することはできないアトレティコの十八番。そう、キッカーを務めたグリースマンが見事にPKを枠に当てているんですから、困ったもんじゃないですか。いえ、昨季のCLミラノ決勝でもPKを失敗している当人は、「入れようとしているんだけど、入る時もあれば入らない時もある。No es el ultimo que voy a fallar/ノー・エス・エウ・ウルティモ・ケ・ボイ・ア・ファジャール(あれがボクが外す最後じゃないよ)」と試合後、開き直っていましたけどね。 ▽幸い試合終了間際にヘッドを放ったのがセルヒオ・ラモスではなく、ロッベンだったため、2年前のリスボンでの決勝でのように痛い思いはせずに済んだものの、これはちょっとねえ。シメオネ監督も「Ha fallado una pena como ha fallado Maradona o Messi/ア・ファジャードー・ウナ・ペナ・コモ・ア・ファジャードー・マラドーナ・オ・メッシ(マラドーナやメッシのようにPKを失敗した)」と庇っていましたが、MSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)が揃うバルサではともかく、前者がアルゼンチン代表で失敗して悲惨な結果になった昨夏のコパ・アメリカ決勝のような例もあるんですから、ここは少し真剣にPK練習をしてもいいんじゃないでしょうか。 ▽まあ、そんな感じで最後までアトレティコはリードを守り抜き、バイエルンを1-0で破って勝利。スタジアムに駆けつけたサポーターを失望させることはなかったんですが、唯一の悪いニュースはこの試合でゴディンが足首を捻挫してしまったこと。ええ、今週はマハ▽ダオンダ(マドリッド近郊)の練習場の芝の状態が悪いため、そこからあまり遠くないラス・ロサスのスペイン・サッカー協会施設のグラウンドを借りてセッションをしている彼らですが、金曜の時点でも彼は1人リハビリメニューだったため、この週末のリーガ戦に出場するのは難しいかと。何せ、今はウルグアイ代表後輩のヒメネスも太ももの負傷で治療中ですからね。一応、CBはサビッチとルーカスのコンビで乗り切れるはずですが、いざとなったら、同日、協会施設内でロペテギ監督が発表したスペイン代表招集リストにコケと共に名を連ねた、マルチプレーヤーのサウルが出動することになるかも。 ▽逆に朗報は、ヒザの靭帯断裂で全治7カ月となってしまったアウグストと入れ替わりで、チアゴにalta(アルタ/全快通知)が出たことで、これで中盤は安泰ですが、日曜正午(日本時間午後7時)からのバレンシア戦では、すでにアジェスタラン監督の後任が元イタリア代表監督のプランデッリ氏に決まったというものの、まだボロ代理監督が指揮を執るというのはちょっと懸念の種。何せ、相手は抜群の勝ち運の持ち主で、今季1勝も挙げてなかったチームを引き継いで以来、アトレティコが引き分けるしかできなかったアラベス、レガネスに連勝していますからね。バイエルンを倒したことで、選手たちの気が大きくなって、うっかりボロ・マジックにはまってしまわないといいのですが。▽一方、前節にその犠牲になってしまったマドリッドの新弟分、レガネスは土曜午後1時(日本時間午後8時)にグラナダとのアウェイ戦ですが、守備崩壊でチームが昨季のラージョ状態になっていたせいでしょうかね。6節終えたところで相手のパコ・ヘメス監督が解任されてしまい、この試合はBチームを率いていたプラナグマ監督が担当することに。そのため、どんな戦略でくるのか、まったくわからなくなってしまいましたが、この先、2週間は代表戦でリーガがありませんからね。できれば、勝ち点を増やして気分よくparon(パロン/休止期間)を過ごしたいところかと。 ▽そして日曜午後4時15分(日本時間11時15分)にエイバルを迎えるマドリーの最新の情報は今季、ローテーションを積極採用しているジダン監督がとうとう、ここまで全試合に出ていたラモスを控えに回すらしいこと。何せ、彼は来週のスペイン代表ユーロ予選、イタリア戦とアルバニア戦でも出づっぱりになる可能性が高いですからね。となれば、ここでお休みして、逆に出場時間が少ないながら、ロペテギ監督が声をかけてくれたイスコやナチョ、ルーカス・バスケス、モラタらが足慣らしをできるといいのですが、さて。そうそう、これまでマルセロの代わりの左SBにナチョ、ダニーロを使ってきたジダン監督ですが、この試合ではいよいよコエントランが見られるかもしれませよ。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.01 13:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】相手は強い方がいいのかも…

▽「無理に誰か連れて来なくてもいいのにね」そんな風に私が首を捻っていたのは日曜日、正午からの試合でマドリッドの新弟分、レガネスがバレンシアに1-2の逆転負けの報を知った時のことでした。いえ、未だ彼らがホームゲームでリーガ1部の試合未勝利なのは、アシエル・ガリターノ監督も「Por la entidad de los rivales, no esta mal/ポル・ラ・エンティダッド・デ・ロス・リバレス、ノー・エスタ・マル(ライバルとなったクラブを考えれば悪くない)」と言っていたように、最初の2試合もアトレティコとバルサが相手。となれば、マヌケな兄貴分がプレゼントしてくれた勝ち点1しか、挙げられていなくても仕方ないんですけどね。 ▽それより私が驚かされたのは、いえ、バレンシアの決勝点を入れたのが数年前にアトレティコを出て行ったマリオ・スアレスだったことじゃありませんよ。チームの復調ぶりの方で、開幕から4連敗した後、クラブはアジェスタラン監督を解任。新監督を招聘するまでの間、チーム付き役員のボロ氏に指揮を任せたんですが、彼が暫定監督を引き受けるのはもうこれで4度目のことだったから。しかも毎回、その成績は優秀で2008年にクーマン監督とウナイ・エメリ監督の橋渡しをしたのから始まって、2012年にはペジェグリーノ監督とバルベルデ監督の間、2015年にもヌーノ・エスピリト・サント監督からネビル監督の間と、通算10試合で8勝1分け1敗。しかも勝てなかったのはバルサ相手だけとなれば、新しい監督なんていらないのでは? ▽まあ、それはシンガポールにいるピーター・リン会長やフロントが考えることなので、私が意見を言っても仕方ありませんが、早いうちから候補に挙がっていたマルセリーノ監督はプレシーズンに1回、ビジャレアルで登録してしまったため、開幕前に解任されて今はフリーでも、今季はリーガのクラブを率いることが協会規則でできず。もう1人の候補、ラウドルップ監督もカタールのチームに職を得たようですし、残るはカパロス、バラハ、ルディ・ガルシアといった名前が聞こえてきますが、さて。どうやら今週末日曜の試合も引き続きボロ氏がベンチに入るっていうのは、メスタジャ(バレンシアのホーム)を訪ねるアトレティコにとって、あまり朗報じゃない気もするんですが…。 ▽え、そんな先の話より、今はもっと大切なことがあるだろうって? そうですね、まずは先週末のリーガの結果をお伝えしないといけませんが、土曜の夜にラス・パルマスとのアウェイ戦に挑んだレアル・マドリーはミッドウィークのビジャレアル戦に続いて残念な結果に終わることに。いえ、前半32分に前節に負傷したマルセロの代役として左SBに入ったナチョが、本人もかくあるやとばかりの攻撃参加を見せ、エリア内からシュート。これはGKハビ・バラスが弾いたんですが、詰めていたアセンシオがヘッドで撃ち込んで一応、先制はしているんですけどね。 ▽後でラス・パルマスのステイン監督も「Hemos sufrido mucho porque el Madrid ha sido intenso/エモス・スフリドー・ムーチョ・ポルケ・エル・マドリッド・ア・シードー・インテンソ(マドリーのプレーが激しかったから、ウチはとても苦しんだ)」と言っていたように、ジダン監督曰く、ビジャレアル戦前半に欠けていた点は補えていたようなんですが、この日の敵は「Nos ha faltado concentracion/ノス・ア・ファルタードー・コンセントラシオン(ウチは集中力が足りなかった)」。ええ、その5分後にはバランがエリア内でクリアしたボールがたった1人、ポツンと真ん中にいたタナへ。そのシュートが決まり、前半は1-1で終わります。 ▽後半もジダン監督が早めに手を打ち、アセンシオに代えてベンゼマを入れたため、4人FW体制で攻撃したマドリーは21分には勝ち越し点をゲット。今度もまた、クリスチアーノ・ロナウドのシュートは弾かれてしまったものの、ベンゼマがネットに収めてくれました。ただねえ、これで勝利は堅いと信じたか、ジダン監督は27分にロナウドを引っ込めてしまったんですよ。当人によると、理由は「Habia que dejarle descansar y pensar en el martes/アビア・ケ・デハールエ・デスカンサール・イ・ペンサル・エン・エル・マルテス(彼を休ませて、火曜のことを考えないといけなかった)」というもので、CLドルトムント戦が待ち受けているため、当然の温存策だったんですが、やっぱり選手の方は気に染まなかったんでしょうね。 ▽ピッチから出てジダン監督の挨拶には応えたものの、相手の目を見なかっただとか、前節退場させられたため、ベンチ入りできなかったチーム付き役員、チェンド氏の代役のハビ・コル氏に「Yo hago todo para hacer el 2-1... y a tomar por culo/ジョ・アゴ・トードー・パラ・アセール・エル・ドス・ウノ…イ・ア・トマール・ポル・クロ(自分は2-1にするのに全力を注いだのに…それでバカを見ろって)」と不満をブチ撒けたとか、ベンチで「Foda-se! Veinte minutos, 20 minutos/フォダセ!ベインテ・ミヌートス(ファックユー! あと20分だぞ、20分) 」と繰り返し悪態をついていたとか、うーん、最近のTVカメラは本当に油断ならないっちゃありません。 ▽まあ、その辺は当人が後で監督と話合ってくれればいいことなので置いておくとして、30分過ぎにはモラタもイスコに代え、ゲームをコントロールしての逃げ切り体勢に入ったマドリーでしたが、計算外のことが起きたのは39分。そう、右サイドからのパスを左サイトのコーナー際まで必死で追ったタナがクロスを上げると、今度はビセンテがヘッドで落とします。それを拾ったアラウホがGKカシージャスから跳ね返ったボールも上手い具合にキープし続け、最後はライン上から押し込んで、とうとうラス・パルマスが同点に追いついてしまったのですから、さあ大変! ▽こんな展開になると、先日のCLスポルティング戦での土壇場FK同点ゴールのようなこともありましたからね。今季はまだ2ゴールしか挙げていなくても、ロナウドがずっとピッチにいたい、ファンもいてもらいたいと思う気持ちはわかるんですが、後悔先に絶たず。その日はロスタイム3分、最後のチャンスでヘッドしたのがセルヒオ・ラモスではなく、イスコだったという不運もあって、試合は2-2のまま、ラス・パルマスに「Sumamos un punto con el que no contabamos/スマモス・ウン・プントー・コン・エル・ケ・ノー・コンタバモス(ウチは勘定に入れていなかった勝ち点1を手に入れた)」(ステイン監督)という喜びを与えて、チームは本土に戻ることに。 ▽え、この2試合、マドリーが引き分けてしまったのはカセミロが負傷で出られなかったのが関係しているんじゃないかって? そうですね、どちらの相手にも失点していますから、守備のカバーがクロースやモドリッチでは間に合わないといった感じもありますが、もしや真相はその日、ドイツから発信された「Lauft derzeit nicht so gegen gelbe Teams, oder?(黄色をまとったチームが苦手?)」というツィートにあったかも。いえ、送り主はドルトムントですから、先制口撃してきているだけでしょうが、何せ2度あることは3度あるとも言いますからね。 ▽おまけにマドリーはジグナル・イドゥナ・パルク(ドルトムントのホーム)で今まで5試合して1勝もしてないと聞くと、火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)のグループリーグ2節が心配ですが、どうなることやら。ちなみに月曜に現地入りしたチームには今季、初めて負傷明けのコエントランが加わっていますが、2試合目の帯同となるケイロル・ナバスがいよいよカシージャに代わって正GK復帰となるかと共に、スタメンは当日までのお楽しみ。現在、バイエルンと勝ち点差3のブンデスリーガ2位につけるドルトムントでは先週中、ケガで出場が危ぶまれていたバルトラ、シュールレ、オバメヤングらがプレー可能なことが前日練習で確認されています。 ▽そしてリーガに話を戻すと、翌日曜にはCLグループリーグ参加32チーム中、唯一金土以外に試合を割り振られたアトレティコがビセンテ・カルデロンでデポルティボと対戦。いえ、彼らも水曜のバイエルン戦を見越してのローテーションではツイていなかったんですけどね。ただそれはお隣さんとは違って、結果ではなく、負傷者発生という形で表れることに。だってえ、サウルとサビッチをパルコ(貴賓席)観戦にして、アウグストとヒメネスを先発させたところ、前者は開始17分にヒザの靭帯断裂で担架退場。ベンチで温存されていたガビが急遽、入ったものの、35分にはヒメネスも太もものケガでやはり担架で運ばれていくって、無茶苦茶、運が悪くない? ▽それでもCBは今季初出場となったカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)、ルーカスがしっかり務めてくれたので、別に試合に実害はなかった上、前半終了直前にはデポルティボのファイカルがコケとガイタンを立て続けに強烈なタックルでふっ飛ばし、イエローカード2枚をもらって退場。後半丸々、数的優勢で戦えることになったアトレティコの課題は、シメオネ監督も「siempre nos han costado los que vienen a encerrarse/シエンプレ・ノス・アン・コスタードー・ロス・ケ・ビエネン・ア・エンセラールセ(自陣に閉じこもる相手には常に苦労した)」と言っていたように、人海戦術の守備をこじ開けて、点を取ることだけだったんですが…。▽後半、「Como no vamos a intentar perder tiempo con 10?/コモ・ノー・バモス・ア・インテンタール・ペルデル・ティエンポ・コン・ディエス(10人でどうして時間稼ぎをしないでいられる?)」(ガイスカ・ガリターノ監督)と、テンポが落ちまくったデポルティボを鬼のように攻めたてたアトレティコの努力が実ったのは、最後の交代枠でカラスコからガメイロを投入した後の24分のことでした。いやあ、それまでシュートがゴールバーに当たったり、ほんの僅かで外れてしまうなど、開幕アラベス戦を彷彿させる展開に、もうその頃には私も腰が落ち着かなかったんですけどね。ファンフランのスルーパスを受けたガメイロがエリア内右奥からボールをゴール前に出したところ、ドンピシャでグリースマンがヒットしてくれるのですから、何とも頼りになるエースじゃないですか。 ▽え、彼についてはシメオネ監督も「昨季のヨーロッパで最高の選手」と褒めてやまないながら、キャプテンのガビなどはバロンドールに「yo votaria a Messi/ジョ・ボタラ・ア・メッシ(自分ならメッシに票を入れるよ)。グリースマンもあとちょっとで彼と争えるようになるといいね」と、まだまだ厳しい見方をしていないかって? そうですね、今年からまたバロンドールとFIFAワールドプレーヤーの賞が分かれるそうなので、先日のレキップ(フランスのスポーツ紙)では1面で、受賞者を選ぶ各国の記者向けに「グリースマンに投票しよう」キャンペーンを実施。 ▽それには当人も大感激したようですが、自身でも「Si saliese tercero en el Balon de Oro no seria una decepcion/シー・サリエセ・テルセーロ・エン・エル・バロン・デ・オロ・ノー・セリア・ウナ・デセプシオン(バロンドールで3位になっても失望はしないよ)。ボクがいい方向に進んでいるってことだからね」と言っていたように、大事な決勝でゴールを入れられる選手になるまで、まだ今は精進が必要だとわかっていてくれるのは、アトレティコにとって、とてもありがたいことじゃないでしょうか。 ▽そして試合の方は、待望の1点を奪った後のアトレティコがレバンドフスキやミュラー、アルトゥロ・ビダル、ドグラス・コスタ、ロッベン、チアゴ・アルカンタラらの来襲を意識してか、どちらかというとスリープモードに近い動きになってしまったんですが、幸い終盤のモスケラのシュートもゴディンが顔面クリアしてくれたため、大事には至らず。そのまま1-0で勝利すると、前日、メッシ負傷離脱にまったく影響を受けず、ヒホン(スペイン北部のリゾート都市)でのスポルティング戦に0-5と大勝した2位バルサとは勝ち点差1、首位マドリーとの勝ち点差は2で、アトレティコも3位の定位置につくことができました。 ▽え、デポルティボに勝つのがこんなに大変なアトレティコが、ブンデスリーガ5連勝中のバイエルンを相手にしたら、とても勝負にならないんじゃないかって? まあ、セオリーではそうなんですが、先週ミッドウィークのバルサ戦のように、ガンガン攻めてくる敵を守り倒すのは得意な彼らですからね。再びアンチェロッティ監督の下でプレーするようになったシャビ・アロンソも、月曜にマルカ(スポーツ紙)に載ったインタビューでは、昨季CL準決勝での対戦で一番驚かされたのはサウルと告白。「イニエスタやモドリッチなら完璧にできるんだけど、MFには時に難しいこと、la conduccion y traspasar lineas/ラ・コンドゥクシオン・イ・トランスパサール・リネアス(ドリブルと敵のラインを越えること)」をして、1stレグの決勝点を挙げたプレーを褒めていたように、たまにはひょんな弾みでゴールが入ることもあるとなれば、そんなに悲観はしなくていい? ▽まあ、どちらにしろ水曜午後8時45分からの試合はグループリーグなので、今回は気が楽なのは確かですが、とりあえず、アトレティコの欠場者は全治7カ月になってしまったアウグストと代表戦後には戻ってこれそうなヒメネス、まだランニングを始めたばかりのチアゴも難しいかと。ちなみに月曜のリハビリトレでは、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場グラウンドに並べたバイシクルを和気藹々と漕いでいた選手たちですが、コケによると、「バイエルンは強くて、難しい試合になるのはわかっているけど、ボクらはグループリーグを突破したい。Para ello tenemos que hacer un gran partido y ganar/パラ・エヨ・テネモス・ケ・アセール・ウン・グラン・パルティードー・イ・ガナール(そのためには凄い試合をして勝たないと)」と意欲は十分あるようなので、私もキックオフを楽しみに待つことにしましょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.09.27 13:30 Tue
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