コラム

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【原ゆみこのマドリッド】上位戦線に異変が起こるかも…

▽「最終節前の平日にいきなり差をつけられてもねえ」そんな風に私が憂いていたのは金曜日、前夜のヨーロッパリーグ32強戦2ndレグはTVでこそ見られなかったものの、当日の午前中はチーム全員でバチカンに赴き、フランシスコ教皇に拝謁。1stレグで4-0と大敗した後、恥ずかしくない試合ができることを祈願してもらったのが効いたか、ローマに0-1で勝って、心安らかに敗退したビジャレアルはともかく、同じ早い時間のうちにアスレティックまでアポエルにキプロス島で2-0と負け、衝撃の逆転敗退という大番狂わせを演じてくれることに。そのせいもあって、スペイン勢最後の砦となったセルタがウクライナでのシャフタール戦、後半ロスタイムにPKで1点を取って延長に持ち込み、最後はカブラルのゴールで総合スコア2-1と逆転突破するのをドキドキしながら、スポーツ紙のテキスト中継で見守っていたんですけどね。 ▽おかげでEL16強戦でロシアのクラスノダールと当たることが決まり、それだったら、準々決勝進出も夢ではないと思わせてくれたセルタでしたが、問題は彼らには暴風雨でバライドス(セルタのホーム)の屋根が壊れ、延期になったレアル・マドリーとのリーガ戦があること。セルタがELのこのラウンドで負けていれば、3月にマドリーのCL16強戦2ndレグのない週の平日に設定できたんですが、まずこの可能性が消滅して、実はお隣さんも先週はCL16強戦1sレグでナポリに3-1と勝利と、準々決勝進出にかなり近づいているんですよ。となれば、最短で双方がベスト8で負けた場合には4月、片方でもそれ以上進んだら、やっぱり対戦すうのは5月17日頃となってしまう?現在のように2位との勝ち点差が1、未消化分を含んでも4しかないとなると、あまりリーガ終了が押し迫っての開催は、マドリーにとってもプレッシャーがかかるような気がするんですが…。 ▽まあ、余裕の首位だった彼らが何で急にそんなことまで心配しなければならなくなったのかはまた後でお話しすることにして、今週CL16強戦に挑んだアトレティコはどうだったかというと。これがまた、相手のレバークーゼンは2年前の同じステージで当たり、その時は互いにホームで1-0勝利の末のPK戦決着だったため、あまり得点が期待できない試合なるかと思いきや、まったく真逆なゴール祭り的展開に。ええ、前回のバイアレナ訪問時は相手選手との接触プレーで腎臓を痛めて途中交代。ロッカールームに着くまでに何度も吐いて、病院に緊急搬送となった上、4日間も入院しなければならなかったサウルが今度は絶対、いい思い出を作ってやると決心していたんでしょうかね。 ▽前半16分には1人、スルスルと右サイドを上がり、エリア内に入ってから、狙い澄ましたvaselina(バセリーナ/ループシュート)でGKレノを破っているんですから、こちらもビックリしたの何のって。おまけにそれから10分もしないうちにドラゴビッチが失ったボールを拾ってガメイロが敵陣をドリブル。最後はタイミングを見計らってグリースマンにパスを出すと、そのシュートが決まり、前半から2点もリードしているって、あまりに簡単じゃありません? ▽でも、そこはしなくてもいい苦労をするのが大好きなアトレティコ。後半開始早々、ベララビに1点を返されてしまったのは守備陣のちょっとした油断からだったんでしょうけどね。13分にはその日、大殺界だったようなドラゴビッチがガメイロをエリア内で倒し、アトレティコがPKを獲得。その際には同時進行のマンチェスター・シティ戦で、かつてのエース、今はモナコにいるファルカオがPKをGKカバジェーロに弾かれたという報も入っていたため、喜ぶよりもこのチームに奥深く根付いたPK失敗率の高さにむしろ頭が痛くなったものの、ようやく練習の成果が実ったようです。ガメイロが落ち着いて決めて、再び2点差となったんですが、まさか22分、フォラントのシュートをGKモヤが弾いたところ、サビッチに当たってオウンゴールになってしまうなんて、やっぱりアトレティコの不幸体質はまだ改善されていない? ▽おかげでそれまではサッカー的には上回るとこがなかったレバークーゼンがスタンドの後押しもあって勢いづき、私も気が気ではなかったんですけどね。2-3になって幾らもしないうちに、シメオネ監督は「mi intención era poner gente fresca/ミ・インテンシオン・エラ・ポネール・ヘンテ・フレスカ(自分の意図はフレッシュな選手をいれることだった)」と交代策を発動。フランス人の同僚の背番号が第4審判の掲げる電光ボードに現れたのを見た途端、グリースマンが「No, no! ¡Es el mejor, es el mejor!/!エス・エル・メホール(ダメ、ダメだよ。彼が一番いいんだから)」と抗議するのも無視して、ガメイロをトマスに代えると、その6分後には当人もカラスコと共にベンチへの道を辿ることになります。 ▽え、ガメイロも交代時には怒っていたようだったけど、結果的にはフェルナンド・トーレスとコレアが入って吉と出たんだろうって?そうですね、後でグリースマンも「彼は斜めに切り込んで、ボクらを凄く助けていてくれていたけど、el míster tuvo razón porque marcamos el cuarto/エル・ミステル・トゥボ・ラソン・ポルケ・マルカモス・エル・クアルト(ウチは4点目を取ったんだから、監督の考えが正しかった)」と認めていたように41分、トーレスがベルサリコのクロスを頭でゴールに流し込んでくれたんです!最後は2-4のスコアで終わり、つまりこれはレバークーゼンがビセンテ・カルデロンでの2ndレグを0-3で勝たないと逆転突破できないってことですからね。 ▽そんな余裕もあってか、その後はガビとフィリペ・ルイスがイエローカードをゲットし、累積警告で次戦出場停止となるローテーション計画も実行できたとなれば、試合後のシメオネ監督が「Fue tácticamente perfecto/フエ・タクティカメンテ・ペルフェクト(戦術的に完璧だった)」とほくそ笑んでいたのも当然だったかと。まあ、このところはグリースマン、ガメイロ、トーレスと、FWたちにゴールが戻っても来ましたしね。彼らにはその夜、軍配は5-3でシティに挙がったものの、それぞれ別のサイドで2ゴールを決めて大活躍。超一流のストライカーを持つという、アトレティコのいい方の伝統を作ってくれたアグエロやファルカオに負けない働きをこのシーズン残りに期待しています。 ▽そして翌日、CL戦でセビージャがラモン・サンチェス・ピスファンでレスター・シティを2-1と下す前、これもクラブW杯参加のため、延期されていたバレンシア戦にメスタジャで挑んだマドリーなんですが、まさかの伏兵に足元をすくわれることに。だってえ、本来の日程だった12月に試合をしていれば、開始早々、4分にムニルのクロスを胸で受け、エリア内で体を捻って先制弾を決めたザザ(ユーベからレンタル移籍、シーズン前半はウェストハムでプレー)も、その4分後、ザザ、ナニと繋いだカウンダーから2点目を挙げたオレジャナ(セルタから移籍)だって、バレンシアにはいなかったんですよ。 ▽もちろん、「Esos 10 minutos nos ha faltado concentración sin balón/エソス・ディエス・ミヌートス・ノス・ア・ファルタードー・コンセントラシオン・シン・バロン(この10分間、ウチはボールを持っていない時の集中力が欠けていた)」(ジダン監督)というのは自業自得ではありますが、まあそれは、かつて「眠ったままピッチに出る」という悪癖を性懲りもなく繰り返していた、どこぞのチームの例もありますからね。そんな時があるのはわかるんですが、予想外だったのはそれから80分も時間があったにも関わらず、ゴールには不自由していないはずのマドリーが同点にもできなかったことでしょうか。 ▽いえ、ハーフタイムに入るちょっと前にはマルセロのクロスをクリスチアーノ・ロナウドが見事なヘッドで決めて、1点は返したんですけどね。バレンシアは前半にナニを負傷で、後半には早々にオレジャナを引っ込め、専守防衛になっていたものの、ハメス・ロドリゲスに代えてベイル、その日は間の悪さでドラゴビッチと双璧を成していたバランがケガでナチョに代わったのはともかく、最後はモドリッチを下げて、ルーカス・バスケスまで投入したのも実らず、結局、2-1で負けてしまうことに。要は「Jugamos ochenta minutos concentrados, pero diez no/フガモス・オチェンタ・ミヌートス・コンセントラードス、ペオ・ディエス・ノー(ボクらは80分間集中して戦ったけど、10分間は違った)」(カセミロ)ということで、まさに覆水盆に返らずの典型だった? ▽おかげでこの日曜、保険分だった勝ち点3を増やせず、2位と1差のままとなった彼らは首位防衛を懸けてリーガ戦に挑まないといけなくなってしまったんですが、相手はローマ戦で主力を10人温存、しかも霊験あらたかなビジャレアルですからね。ELを敗退したことで、優勝ご褒美のCL出場権獲得の夢も消えてしまった今、彼らとしても来季もヨーロッパの大会でプレーできる6位の座は死守したいところでしょうし、果たしてマドリーが名誉挽回のプレーを見せられるのかどうか。 ▽そんなビジャレアルvsマドリー戦は日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。そろそろBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)のスタメン復活が期待されますが、モラタやイスコらもあまり出られないと不満が溜まりそうですし、その辺はジダン監督の心づもり次第。負傷欠場者は肉離れで全治3、4週間となってしまったバランぐらいになりそうです。 ▽え、それならマドリッドの両雄として、日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、2位のバルサをビセンテ・カルデロンに向かい撃つアトレティコが一肌脱いでやるべきだろうって?いやあ、ライバル意識とは恐ろしいもので、こういう機会ではお隣さんを首位から引きずり下ろすために負けた方がいいなんて声がファンから聞こえてくるのも珍しくないんですが、今回は状況が状況ですからね。というのも、ここでアトレティコが勝って、マドリーが負ければ、両者の勝ち点差は7から4に縮小。2位との差も3になって、CLグループステージ出場権のある3位以内フィニッシュが近付くだけでなく、一旦は諦めた優勝戦線に復帰するのも夢じゃなくなるってことなんですよ。 ▽その上、バルサ相手には2月上旬のコパ・デル・レイ準決勝であと一歩のところまで相手を追い詰めながら、逆転勝ち抜けを逃したという苦い記憶がまだ新しいですからね。向こうがCL16強戦1stレグでPSGに4-0の大敗を喰らったため、この先、今季は対戦の機会がないかもしれないとすれば、もうここでリベンジしておくしかない?うーん、シメオネ監督がこれまでバルサ戦で2勝しかしていないというのは気になりますけどね。そろそろゴディンもケガが治って戻って来られそうなため、今度こそはウルグアイ代表の同僚、ルイス・スアレスを抑えてくれることを期待。マドリッドで彼女との相互DV裁判で証言した後、レバークーゼンにプライベートジェットで当日移動してベンチ観戦していたルカスも体調は万全ですし、この試合ではいよいよGKがモヤからオブラクになるかもしれませんね。 ▽そして前節はそのバルサにカンプ・ノウで引き分け寸前まで行きながら、終了間間際のPKで2-1と涙を呑んだマドリッドの新弟分、レガネスは土曜にデポルティボ戦なんですが、今週末は兄貴分たちも上位チーム対戦なので、助けてあげられませんからね。勝ち点2まで迫ってしまった降格圏に落ちしないためには、何とか自力で勝つしかないかと。まあ、1つ上にいるデポルティボも今年になって白星がないという点ではレガネスと同じですし、ここで勝てば16位になれるというのもいいモチベーションになると思うので、選手たちが頑張ってくれることを私も祈っています。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.25 08:50 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】ゴールを決めれば問題ない…

▽「まだPK戦がないだけいいわね」そんな風に私がホッとしていたのは月曜日、夜のニュースでバイアレナで練習するアトレティコの選手たちを見た時のことでした。いやあ、もちろん1stレグとはいえ、プレー中にPKが発生する可能性はあるんですけどね。データを見たところ、今季9本中6本を失敗しているアトレティコに負けず劣らず、このCLベスト16で当たるレバークーゼンもPKが苦手。ここまで6本中成功したのがたったの1本しかなく、その時のキッカーだったチャノハノールはFIFA処分で4カ月の出場停止中と聞きますし、2年前のCL準々決勝の時にはレアル・マドリーにいて、2ndレグでアトレティコの敗退を決める2試合中唯一のゴールを挙げたチチャリートもすでに2度失敗しているとか。 ▽更に振り返ってみれば、そのシーズンもアトレティコは同じラウンドでレバークーゼンと対戦。それぞれホームで1-0と勝った後、もつれ込んだPK戦を制して、かろうじて勝ち抜けたんですが、そのスコアが3-2って、どちらのチームもかなり低水準じゃない?いえ、昨季のアトレティコはPSVとのベスト16でまたしてもPK戦に突入し、その時はサドンデスまで行ったものの、8人全員が成功したという実績は作りましたけどね。結局、決勝では5人目のファンフランがシュートをポストに当て、再びお隣さんの前に涙を呑んでいることを考えれば、火曜は肩の脱臼がようやく治ったオブラクになるか、継続路線でモヤとなるか、先発GKはまだわからないものの、やっぱりPK絡みで勝つのは計算に入れない方がいいかと。 ▽え、先週末の彼らの試合を見る限り、1stレグからPK戦突入を心配するような景気の悪い展開にはならないんじゃないかって?うーん、それはちょっと微妙なところで、土曜のスポルティング戦は最終スコアこそ、1-4と大勝ですが、正直、前半など、何もなかったんですよ。それどころか、ハーフタイム直前にはこの冬の移籍市場で加わった、2メートル3センチの長身FWラシナ・トラオレの一撃がゴールポストに当たったりと、さすが2000年代に入ってからの7試合でアトレティコが1勝しかしていないのは理由があるのかと納得させられたんですが、この日はロッカールームで”モノ”・ブルゴス第2監督がjugada de estrategia/フガダ・デ・エストラテヒア(戦術プレー)の復習をしてくれたんでしょうかね。 ▽それは後半開始直後のことでした。グリースマンが1人キックオフで自陣に蹴ったボールをガビが狙いを定めてロングパス。フェルナンド・トーレスの頭を経由してボールが落ち、カラスコが敵エリア内に持ち込んでシュートしたところ、GKクエジェルも一応、止めようとはしたんですけどね。手に当たったボールが彼の背後に転がって、それをすかさず回り込んだカラスコがダメ押ししてゴールラインを割ってくれたから、ビックリしたの何のって!うーん、最近はリーガ優勝した2年前など、面白いように入ったCKからのセットプレーもあまり成功していませんでしたからね。折しもヘッドに強いゴディンが負傷で休場中ということあり、レパートリーを少し広げてみたのが成功した? ▽でも、その後がダメだったんです。というのも3分には守備陣の隙を突かれ、ブルギのクロスをセルヒオ・アルバレスにフリーでエリア内から決められ、あっという間にスコアは同点に。これでまたしても停滞状態に陥ってしまったため、シメオネ監督も考えたんでしょうね。15分にはトーレスとコレアをガメイロとサウルに、続いてカラスコをトマスに代えて、「podiamos lastimar con menos gente arriba y ganando el medio/ポディアモス・ラスティマール・コン・メノス・ヘンテ・アリバ・イ・ガナンドー・エル・メディオ(前線の人数を減らして、中盤を支配することで打撃を与えられる)」(シメオネ監督)体制にシフトしたところ…。 ▽「Los espacios iban a estar/ロス・エスパシオス・イバン・ア・エスタル(スペースは生まれるはずだった)。スポルティングは勝つために上がる必要があったからね」という監督の読みが当たり、ガメイロの1人舞台が始まったのは、もう私など、「またムダなところで勝ち点落として、本当にワンダ・メトロポリターノでヨーロッパリーグをプレーすることになっても知らないから」とプンプンしていた34分のことでした。そう、まずはグリースマンがエリア前から繋いだスルーパスから、GKをかわして勝ち越し点を決めると、その1分後にはCBメレが自陣エリア近くにいたトマスに誤ってぶつけてしまったボールを拾って再びゴール。更に39分にも今度はセンターライン前からグリースマンが放ったロングパスを追って抜群の決定力を披露と、おやおや、この人、5分もしないうちにハットトリックじゃないですか! ▽いやあ、リーガ2番目に短い時間での3得点のおかげで、無事に勝ち点3を獲得した後、「Estos goles son para mi abuela, que ha fallecido esta semana/エストス・ゴーレス・ソン・パラ・ミ・アブエラ、ケ・ア・ファジェシードー・エスタ・セマーナ(このゴールは今週、帰らぬ人となったボクの祖母に捧げる)」とガメイロが言っていたため、翌朝、私がいつも新聞を買う売店のアトレティコファンのお兄さんが、「それなら毎週、誰か親戚に死んでもらわないと」と言っていたのは、あくまでブラックジョークのつもりだったと思いますけどね。先日のコパ・デル・レイ準決勝バルサ戦2ndレグでは痛恨のPK失敗、その後ゴールを入れたものの、アトレティコが逆転突破できなかったため、翌日は1人、PK練習に励むぐらい、ガメイロも頑張っていますからね。 ▽丁度CL決勝トーナメントという、今季まだ優勝の可能性がある大事な試合も始まりますし、このハットトリックが、2014年夏にレアル・ソシエダから加入して、12月までは泣かず飛ばずだったグリースマンがアスレティック戦で決めた3ゴールをキッカケに、チームの中心アタッカーに成長したような効果をガメイロにもたらしてくれることを今は祈るばかり。ちなみに火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのレバークーゼン戦でシメオネ監督は先発CFをトーレスにするか、ガメイロにするか明言せず。あとは当日、午前11時に彼女との相互DV訴訟で出廷するCBルカスがプライベートジェットを使い、恙なくキックオフ前にバイアレナに着いてくれるといいんですが、さて。 ▽何にしろ、前日記者会見でシメオネ監督も「Muchas veces el talento es importante, pero el corazón y la ilusión a veces tienen más lugar en el fútbol/ムーチャス・ベセス・エル・タレントー・エス・インポルタンテ、ペロ・エル・コラソン・イ・ラ・イルシオン・ア・エセス・ティエネン・マス・ルガール・エン・エル・フトボル(サッカーでは多くの機会で才能が重要だか、時にハートと夢見る気持ちがより大きく影響することがある)」と言っていましたしね。2年前のリベンジに燃えている相手に憶することなく立ち向かい、とにかくアウェイゴールを決められるといいですね。 ▽そしてまたリーガに戻ると、土曜はアトレティコ戦の後、サンティアゴ・ベルナベウへ向かった私でしたが、マドリーvsエスパニョール戦の見せ場も後半まで待たされることに。いえ、先週ミッドウィークのCLナポリ戦から先発を6人変更したジダン監督だったものの、ベンゼマの代わりにCFとして先発したモラタが気を吐いて、前半33分にはイスコのクロスからヘッドで先制点を挙げていたんですけどね。リードされてもエスパニョールがgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)さえ、避けられれば御の字という戦術を貫いていたため、どうにも盛り上がりに欠けてしまった感は否めません。 ▽そんな中、何がクライマックスになったかというと、昨年11月のCLスポルティングCP戦で足首を痛め、戦列を離れていたベイルが88日ぶりに復帰。しかも後半25分にピッチに入ったと思いきや、38分にはカウンターからイスコのスルーパス目掛けて全力疾走、あれよあれよという間にGKディエゴ・ロペスに迫り、ゴールを決めているのですから、ジダン監督が「No hay otro como Bale, es especial/ノー・アイ・オトロ・コモ・ベイル、エス・エスペシアル(ベイルのような選手は他にいない。特別だ)」と褒めていたのも当然だった? ▽それでも本人よると、「100%に回復するにはあと2、3週間必要」らしいんですけどね。近頃ではクリスチアーノ・ロナウドがアシスト役に目覚めたせいか、数年前のような驚くばかりのスピードを見せてくれる機会も減ってきていますしね。脚力自慢のベイルが戻ってきてくれたことで、マドリーのプレーが速くなるのは私も大歓迎。ただ、一方のエスパニョールも本来なら、決してカウンターで負けているチームじゃなかったんですが、まだ1点差だった時、交代となったアトレティコ時代からキケ・サンチェス・フローレス監督の下にいたフラードーなど、テレテレ歩いてピッチを出て行ったりと、不可思議な行動が散見。よって、最後は2-0でマドリーの勝利と、「El equipo fue conformista y el resultado es logico/エル・エキポ・フエ・コンフォルミスタ・イ・エル・エル・レスルタードー・エス・ロヒコ(チームは現状に安穏としてしまったのだから、この結果は論理的)」(ディエゴ・ロペス)というのも仕方なかったでしょうね。 ▽そんなマドリーはこの試合で珍しく途中交代したナチョもただ、横っ腹が痛くなっただけとわかり、月曜にはナポリ戦での打撲でお休みしていたセルヒオ・ラモスも全体練習に戻ったため、ジダン監督はチーム24人全員をこの水曜のバレンシア戦で使えることに。ええ、これは昨年12月、彼らがクラブW杯参加のため延期されていた分の試合なんですけどね。CL開催週に割り込ませたため、セビージャがレスターシテイを迎える午後8時45分前に終わるよう、平日にも関わらず、午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)という早い時間にキックオフというのは、メスタジャ(バレンシアのホーム)の客の入りに関係するかも。 ▽加えてバレンシアは今週末、木曜に迫るアポエルとのEL32強戦2ndレグに備え、36歳のエース、アドゥリスを先発に使わず、途中出場してもらった途端、ケガで退場となったアスレティックに2-0と勝利して、自信を高めていますしね。ただ本職、チーム付き役員のボロ氏が正式に監督になってからも成績は安定していないチームのため、マドリー優位は揺るがないかと思いますが、この冬、セルタから加入したオレジャナには要注意。早くも頼りになる戦力になっているため、折り合いが悪くて放出を決めたベリッソ監督も、0-1でシャフタールに負けた1stレグを逆転しないといけない木曜のウクライナ遠征を前にちょっと後悔しているかも。 ▽そしてマドリッド勢のリーガ戦、最後は日曜に新弟分のレガネスがカンプ・ノウでバルサに挑んだんですが、ええ、一応私も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行って観戦していたんですよ。それでも前半3分にはルイス・スアレスのラストパスからメッシに先制点を決められて、早くも家に帰りたくなったのも事実ですけどね。その先はミッドウィークの試合がないにも関わらず、もしやこの日曜にリーガでアトレティコと当たるのを警戒したんでしょうか。ルイス・エンリケ監督が先週、ベストメンバーで挑んで4-0で大敗したCL、PSG戦から4人スタメンを変えたところ、どうやらマドリーの控え選手とバルサのそれは少々レベルが違うよう。 ▽実際、序盤は大舞台に足がすくんだか、目も当てられなかったレガネスですが、時間が経つにつれ、MSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)の消極性も手伝ってか、むしろより多く攻撃している側に。それでも前半、新戦力のエル・ザール(この冬、ラス・パルマスから移籍)が2回連続で放ったシュートがGKテア・シュテーゲンにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまうなど、なかなか得点はできなかったものの、とうとう後半25分には敵陣エリア付近でセルジ・ロベルトからボールを奪い、マチスのアシストでウナイ・ロペスが同点ゴールをゲット!その瞬間、お店にいたお客さんたちから歓声が沸き上がったため、1部の新参者でもやっぱりマドリッド市民はレガネスを応援しているんだと、私も嬉しくなったんですが…。 ▽44分、マントバーニがエリア内でネイマールを倒し、PK献上はないですよね。いえ、当人は後で「No veo lo que hace el/ノー・ベオ・ロ・ケ・アセン・エル(彼が何をしたのか、自分は見てない)けど、チームメートはまるで殺されでもしたかのように宙を舞ったと言っていた」と、相手のオーバーリアクションを非難していましたけどね。そのキャプテン自身、AS(スポーツ紙)などには「イエローカード2枚で退場になる危険があった。もし退場になっていれば、ペナルティは犯さなかっただろうに」なんて翌日、評価されていたため、こればっかりはねえ。おまけにこの日はメッシがPKをしっかり決めてしまい、あと数分だったレガネスの勝ち点1は雲散霧消してしまいましたっけ(最終スコア2-1)。 ▽でもまだ大丈夫。兄貴分がスポルティングに勝ってくれたおかげで、今週も彼らは降格圏から勝ち点2上の17位をキープしています。ただし、だんだん残り試合は減ってきていますけどね。PSG戦以来、イタリアの元名監督で一時、マドリーのスポーツディレクターも務めたサッキ氏などにも「王は死んだ。バルサはしばらく前から、昔の彼らではなくなっている」と言われ、低空飛行状態にあるとはいえ、強豪相手にあれだけ善戦したんですから、とりあえず土曜のデポルティボ戦で心機一転、残留確定への戦いを再開できるといいんですが。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.21 21:08 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】決勝トーナメントは厳しい…

▽「こっちは諦めちゃったみたいね」そんな風に私が頷いていたのは金曜。ヨーロッパリーグ32強1stレグでローマに0-4と叩きのめされたビジャレルのエスクリバ監督のコメントを読んだ時のことでした。ヨーロッパの大会が再開した今週、一足先の火曜には同じスコアで大敗したスペイン勢もいるんですけどね。それでもバルサからは、「Creer y creer, siempre/クレエル・イ・クレエル、シエンプレ(常に信じて信じまくる)」なんて、CL16強2ndレグで奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)を目指す言葉が、イニエスタのツイッターから聞こえてきたりしたものの、エスクリバ監督はもう週末のレアル・ソシエダ戦で立ち直るとしか言っていなかったから。 ▽まあ、ELは来週木曜に早くも2ndレグがあるため、ちょっと事情が違いますけどね。PSGとの再戦が3月8日と、バルサには作戦を練る時間がたっぷりあるとはいえ、彼らの特技が永遠のライバル、レアル・マドリーと同じだという話はあまり聞かず。実際、お隣さんと違って、DNAにレモンターダ精神が刷り込まれていないアトレティコなど、バルサとのコパ・アメリア準決勝で1-2の負けを引っくり返そうとして、やっぱり叶わなかったことを鑑みれば、点差も遥かにあるため、難しいんじゃないかと思いますが、どうなることやら。 ▽ただ、そのおかげでここしばらく、彼らがPSGのことばかりを考えてくれれば、この週末の日曜、リーガでカンプ・ノウに乗り込むマドリッドの新弟分のレガネスや、その次週、ビセンテ・カルデロンにバルサを迎えるアトレティコが助かるんじゃないかと…。その辺は私も都合良く、考えてしまうのも否めず。レアル・マドリーのセルヒオ・ラモスだって、「No me gusta ver sufrir a amigos, pero obviamente no me gusta que gane el Barca/ノー・メ・グスタ・ベル・スフリル・ア・アミーゴス、ペロ・オビアメンテ・ノー・メ・グスタ・ケ・ガネ・エル・バルサ(友達が苦しむのを見るのはイヤだけど、バルサが勝つのがイヤなのも当り前さ)」と言っていましたしね。バルサがCL早期敗退してくれることで助かるのはマドリッドの両雄、どちらも同じってことでしょうか。 ▽それより今週はマドリーもCLナポリ戦に挑んだんだろうって? その通りで、水曜のサンティアゴ・ベルナベウでは試合前、スコアボードに前日のPSGvsバルサのハイライトを流して、アップする選手たちを景気づけをしていましたが、「マラドーナがロッカールームで30秒話してくれた」(サッリ監督)というようにどうやらチームのレジェンドが訪問したナポリの方が序盤の士気は高かったよう。だって、フォンド・スール(南側ゴール裏席)には巨大なモザイクも出現して、前人未到のCL2連覇への後押しをファンがしてくれたにも関わらず、開始7分にはインシーニェが放ったミドルシュートがあっさり決まってしまったんですよ。さすがにこれには先が思いやられてしまったものの…。 ▽全然、大丈夫です! その10分後にはカルバハルのクロスをベンゼマがヘッドでゴールにして、マドリーはあっさり同点に追いつくことに。それから余裕を持って攻めることのできた彼らは前半こそ、その1点に留まりましたが、後半は49分にクリスチアーノ・ロナウドがエリア内右奥から入れたパスをクロースが決めて2点目をゲット。更に54分には、カゼミロが「Es una cosa que vengo entrenando mucho/エス・ウナ・コーサ・ケ・ベンゴ・エントレナンドー・ムーチョ(自分が沢山、練習してきていること)」を披露。ええ、ナポリの守備陣がエリア内からクリアしたボールを拾った彼が弾丸volea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込み、とうとう3点目を挙げてくれたのですから、もう安心ですって。 ▽いえ、パルコ(貴賓席)でマラドーナが26歳の彼女と応援する中、ナポリも2ndレグに繋がる2点目のアウェイゴールを奪おうと懸命に戦ったんですけどね。Falso nueve(ファルソ・ヌエベ/仮のCF)を務めるメルテンスが絶好のシュート機会で外してしまい、里帰りとなったカジェホンも久々のベウナベウで勝手が違ったんでしょうかね。サッリ監督も最後は、今季からユベントスに行ってしまったイグアインの代わりに獲得しながら、負傷で長期離脱。この試合で復帰したミリクまで投入と、手は尽くしてみたんですが、「マドリーはここ3カ月で最高の試合をして、ウチは最低の試合をした」(サッリ監督)のが響いたか、追加点が入ることはありませんでしたっけ。 ▽ただ、ジダン監督も「El 3-1 es un buen resultado pero no definitivo/エル・トレス・ウノ・エス・ウン・ブエン・レスルタードー・ペロ・ノー・デフェニテティボ(3-1というのはいい結果だが、決定的ではない)。勝負はまだ五分五分」と言っていたように、これでマドリーが準々決勝への切符を手に入れたと喜ぶのは時期尚早。何せ、3月7日の2ndレグでは「サン・パオロ(ナポリのホーム)は地獄と化すだろう」とサッリ監督も予告していましたしね。今回、半数以上はチケットを持っていないながら、計1万人がマドリッドに駆け付けたナポリファンの情熱を目の当たりにすると、きっとそうなんだろうと推測するのは難しくなし。 ▽それだけにマドリーもしっかり準備しないといけませんが、そうそう、人口に比例してか、EL32強のアポエルを応援しに、キプロスからビルバオ(スペイン北部、アスレティックのホームタウン)にやって来た300人程の過激グループが、チームが3-2で負ける前に警官隊と衝突していたのとは違い、イタリア人サポーターが騒ぎを起こすことはなかったんですが、ダフ屋に偽造チケットをつかまされ、ゲートでのチェックで入れなかったファンが結構いたとか。 ▽うーん、クラブが発売したナポリ戦のチケットはもうかなり前に売り切れていたんですけどね。せっかく来たのに見られないのは悔しく思ったイタリア人以外の観光客も騙されていたようで、どうすれば引っかからずに済むのか、私もアドバイスはできないんですが、被害者の証言によると、偽造チケットは70~100ユーロ(約8400~1万2000円)と相場より安め。あ、でも東洋人には160ユーロ(約2万円)で売り付けられていたので、あまり参考になりませんかね。 ▽そしてもう土曜には次のエスパニョール戦が迫っているですが、マドリーにはとっておきの朗報があって、今週からずっと全体練習に参加していたベイルがとうとう招集リストに復帰したんですよ! ただ彼らには来週、水曜にクラブW杯参加のため、延期していたバレンシア戦も控えているため、ジダン監督はゼンゼマ、モドリッチ、そしてGKケイロル・ナバスを温存しますけどね。そのため、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)勢揃いとはならないんですが、木曜に屋根の修理もすっかり終わったバライドスでセルタがシャフタールに0-1で敗戦。EL32強で敗退する可能性も出てきただけに下手したら、2月初旬に延期された試合もミッドウィークに入る可能性もあり、そうなると3月の代表戦週間までマドリーはハードシュケジュールが続くかもしれませんからね。 ▽おかげで、ナポリ戦で途中交代したラモスも腰の打撲だけで重症ではないものの、用心のため、お休みすることになり、代わりにアセンシオやマリアーノがベンチ入りすることに。加えて、ジダン監督は「Contra el Espanyol él va a jugar de inicio/コントラ・エスパニョール・エル・ヴァ・ア・フダール・デ・イニシオ(エスパニョール戦では彼が先発する)」と、このところ出番が減っていたモラタの起用を宣言。うーん、ベンゼマは得意のCL戦で面目躍如を果たしたものの、モラタもこのままベンチ生活が続くと、また別のチームに行ってしまうかもしれませんしね。とりあえず、2位のバルサとは勝ち点1差とはいえ、消化試合が2つ少ない状態で首位を維持している今は比較的、余裕があるため、ローテーションにはいいタイミングじゃないでしょうか。 ▽一方、キケ・サンチェス・フローレス監督率いるエスパニョールでは、2週間前のマラガ戦で頭蓋骨にヒビが入り、休養していたピアッティがアーセナルのチェフのようなヘッドギアをつけて復活。同チームではエルナン・ペレスも鼻骨骨折でマスクをつけてプレーしているんですが、この2人が揃うと結構、怖いかも。あとはカシージャ、ディエゴ・ロペスの両GKが、それぞれ河岸を変えて対戦するのが楽しみだったりしますが、そんなマドリーvsエスパニョールは土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)キックオフ。今度はナポリ戦ではアシスト役に徹していたロナウドのゴールも見られるといいですね。 ▽それで、今年になって初めて試合のない1週間を過ごしたアトレティコは何をしていたんだって? 木曜の夜などには選手たちが集まって、前節のセルタ戦での逆転勝利から、盛り上がったムードを維持しようとしてか、決起ディナーなどを開いていたようですけどね。今週にはマハダオンダ(マドリッド近郊)での全体練習に戻ったGKオブラクやチアゴもまだ、ヒホン(スペイン北部のビーチリゾート都市)遠征のメンバーには入っていません。 ▽同様に負傷中のゴディンやファンフアン、ガイタンも来週火曜のCLレバークーゼン戦を目指して、リハビリを続けていますが、困ったのはその大事な日に彼女との相互DV訴訟で出廷しなければならないリュカが日程変更を認めてもらえず、午前11時に裁判、午後3時過ぎの飛行機でドイツまで移動して、8時45分のキックオフに間に合わさないといけないこと。まあ、何事もなければ、この土曜午後1時(日本時間午後9時)からのスポルティング戦でプレーして、レバークーゼンではサビッチとヒメネスのコンビでCBを賄えば済みますけどね。これ以上、DFにケガ人が出るとシメオネ監督が困ることになるため、今週末は何事もなく終わってくれるのを祈るばかりかと。 ▽そんな中、やっぱり時間がたっぷり取れるというのは良かったようで、彼らもとうとう金曜にはPK練習を実施。いえ、その日はたまたま、マドリッドは祝日で学校がお休みだったため、見学の子供たちでギャラリーが多かったというのを利用したみたいですけどね。今季はもらったPK9本中6本を失敗、クラブ通算でも445本中30%近い129本もゴールにできず、リーガ1の失敗率という、呪いのようなデータを聞けば、さすがのシメオネ監督だって、ちょっとは練習させなきゃと思っても不思議はない? ▽ちなみにその練習はPK戦形式でグリーズマン、フェルナンド・トーレス、ガメイロ、コケ、サウルが蹴り、今回は枠に当ててしまったのがガメイロだけ。あとは成功したそうですが、もしスポルティング戦でPKがあっても「Seguro que saldrá de los que ya patearon/セグロ・ケ・サルドラ・デ・ロス・ケ・ジャー・パテアロン(きっと今までに蹴った選手が蹴るだろう)」(シメオネ監督)とのことなので、あまり不安は晴れませんけどね。 ▽個人的には丁度、今週は昨季のCL決勝でお隣さんに再び負けた後、後半にPKを失敗していたグリーズマンが「試合が終わって、負けたのは自分のせいだと思っていたら、シメオネ監督が来て、まったく反対だと言ってくれた。ボクはチームにとって重要な選手だから、心配しないで、また決勝に行けるように努力すべき時だってね」と話しているインタビューを読んだばかりだったので、そろそろ彼にリベンジを果たしてもらいたいと思いますが、さて。 ▽加えて、アトレティコには先週、スポルティングに負けてしまった弟分の敵をとるという使命もありますしね。とりわけ今節、レガネスはバルサと分が悪いだけでなく、18位のスポルティングだけでなく、金曜には19位のグラナダもベティスに勝ってしまったため、降格圏にいる両チームとの差がたったの勝ち点2と厳しい状況になってしまったため、とにかくここは先輩が勝ってあげないと。ええ、それでなくても今は勝ち点4ある3位セビージャとの差も縮めないといけないアトレティコなので、私もいい結果を出せるように願うばかりです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.18 16:20 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】珍しいものを見た…

▽「別にいいけど、ちょっと微妙」そんな風に私が感じていたのは月曜日、スペイン・サッカー協会理事会で5月27日のコパ・デル・レイ決勝会場がビセンテ・カルデロンに決まったという報を知った時のことでした。いやあ、先週末のリーガであった予行演習、アラベスvsバルサ戦は0-6という後者の圧勝で終わったんですけどね。昇格組にも関わらず、ミッドウィークにも試合がある年明けからのハードスケジュールを乗り切ったペレグリーノ監督のチームはもう精根尽き果てていたはずで、それでも一応、リーガでは降格圏まで勝ち点10以上の余裕を持っての12位。となれば、その日、2得点挙げたルイス・スアレスもコパ決勝では出場停止ですし、ここはバルサに手の内を明かさず、「チョロい相手と」と過信させて、メンディソローサから気分良く帰ってもらうのも決して悪くはなかったかと。 ▽ただ、予想外だったのはアトレティコからレンタル移籍で修業に出ているテオが、もしかしたら決勝の当日はU20ワールドカップ参加のフランス代表に招集されており、自分が年子の兄、ルカスの敵をとってあげられないかもしれないのが悔しかったのかもしれませんね。ボールを奪おうと激しくいったアレイス・ビダルの当たり所が悪く、足首の脱臼で今季絶望にしてしまったのはあと味が悪かったかも。うーん、実はお兄さんの方も来週のCLレバークーゼン戦の日に、先日起きた彼女との相互DV訴訟で出廷を命じられていて、今クラブと代理人が日付を変えるよう、裁判所と交渉している最中なんですけどね。兄弟揃って乱暴事がこうも続くと、ご両親も辛いかと思いますが、それより何より、前節は仮想コパ3位決定戦の方が見応え満載。それもあって、返す返すもアトレティコが今季限りのホーム、ビセンテ・カルデロンで最後の試合となる決勝に進出できなかった間の悪さを嘆くことになったんですが…。 ▽まあ、そのことは後で詳しく話すとして、先にお隣さんのオサスナ戦がどうだったか伝えておかないと。土曜にバルサが勝利した後、消化試合は2つ少ないものの、順位表の上では勝ち点2下の2位でエル・サダル(オサスナのホーム)のピッチに立ったレアル・マドリーでしたが、結構、首位に返り咲くのには苦労したんですよ。いえ、序盤にイスコとの接触プレーでオサスナの選手が足を骨折、「Tano gritaba 'tibia y perone'. No quise ni mirar/タノ・グリタバ・ティビア・イ・ペロネ。オー・キセ・ニ・ミラール(タノは脛骨と腓骨だと叫んでいた。ボクは見たくもなかったよ)」というショックを選手たちは乗り越え、前半23分にはベンゼマのスルーパスからクリスチアーノ・ロナウドが先制点を決めてリードと、順調に見えたんですけどね。 ▽ジダン監督が採用した3CB制は、私もほとんどマドリーで見たことがないだけに、やっぱりチームカラーに合わないんでしょうか。バラン、この日がマドリー公式戦500試合出場の節目となったセルヒオ・ラモスと共に先発した、まだ100試合のナチョなど、「tenemos un gran equipo y mucha variedad de jugadores/テネモス・ウン・グラン・エキポ・イ・ムーチャ・バリエダッド・デ・フガドーレス(ウチには偉大なチームがあって、イロイロな種類の選手がいる)から、どんなシステムでも快適だよ」と言っていたものの、中盤まで上がった2人のSB、ダニーロとマルセロはそうでもなかったよう。ええ、この形でスタートした1月のリーガのセビージャ戦(2-1で負け)もコパ準決勝セルタ戦2ndレグ(2-2で敗退)でもいい結果は出ませんでしたしね。この日も32分にはセンターから敵にロングパスを出され、セルヒオ・レオンの見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)でオサスナが追いついて、1-1でハーフタイムを迎えることに。 ▽ただ後半早々、マドリーはダニーロが足に打撲を負って担架で退場。幸か不幸か、これがキッカケでハメス・ロドリゲスがピッチに入り、「Hemos tenido mas equilibrio con cuatro, cerrando por dentro/エモス・テニードー・マス・エキリブリオ・コン・クアトロ、セランドー・ポル・デントロ(ウチは4人のDFラインでよりバランスが取れた。内側を締めてね)」(ジダン監督)という効用をもたらします。おかげで中盤で動きやすくなったイスコが16分、ベンゼマがエリア内でシュートできなかったボールに突っ込んで勝ち越し点をゲット。その頃にはだんだん、オサスナも「notamos la exigencia fisica/ノタモス・ラ・エクシヘンシア・フィシカ(体力的な消耗を覚えた)」(バシリエビッチ監督)という状態になってきたため、ロスタイムにはルーカス・バスケスもゴールを奪い、最後は1-3で勝利することができましたっけ。 ▽え、前々節のセルタ戦が中止になって、間が12日も空いたため、この試合ではイロイロ考えてしまったジダン監督だけど、もうここからはシーズンも正念場。水曜のCL16強対決ナポリ戦1stレグで実験的な布陣を組んだりはしないだろうって?そうですね、相手は昨年グループリーグが終わって以来、11試合無敗ですし、ドリース・メルテンスを始め、カジェホン、ハムシークと強力な攻撃陣を擁している上、カジェホンと共に里帰りとなるCBアルビオルや34歳ながら、GKレイナも絶好調のようですしね。昨年11月のCLスポルティングCP戦で負傷した足首を手術したベイルも日曜から全体練習に戻り、復帰は近いと言われていますが、まだ実戦には早いと思うので、とりあえずこの試合ではルーカス・バスケス辺りを前線に入れた4-3-3に戻るのでは? ▽そんな注目のマドリーvsナポリ戦はバルサが火曜にパリでPSGと戦った後、水曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。ちなみにマドリーを率いて、2007年には奇跡のremontada(レモンターダ/逆転)優勝を遂げたカペッロ元監督など、イタリアのメディアを通じて、ナポリのサッリ監督に「マドリッドでは試合は決して最後まで終わらないから気をつけるように」と警告。スペイン代表でマドリーの選手たちのことをよく知るレイナも「Lo de Ramos y el minuto 93 no es casualidad/ロ・デ・ラモス・イ・エル・ミヌート・ノベンタイトレス・ノー・エス・カスアリダッド(ラモスとあの93分のことは決して偶然じゃない)」と、後半ロスタイムにミラクルゴールを挙げる相手の特殊体質を挙げて、用心していましたけどね。実は先週末、彼らの十八番を奪ったチームが出現。ええ、それがお隣さんだったんですよ。 ▽翌日曜のことです。マドリッドの新弟分、レガネスが夕方の試合で奮闘空しく、降格圏のスポルティングに0-2と負け、猶予が勝ち点2となってしまった上、金曜からずっと雨混じりのうっとおしい天気に強風が加わったため、私も夜のビセンテ・カルデロンに行くのはちょっと憂鬱だったんですけどね。そこへ直前には3位セビージャがラス・パルマスに終盤の1点で勝利という報が加わり、ただでさえ、金曜にレアル・ソシエダがエスパニョールに勝ったため、CL出場圏外の5位落ちというプレッシャーを受けていたアトレティコがセルタ戦でどんなプレーをするか心配だったんですが、ええ、見事にやってくれましたよ。 ▽開始5分、いえ、まさか雨が降っているから、ボールが滑っていつも以上にパスが下手になるんじゃないかと、私が疑っていたのはともかく、GKモヤもうっかり取り損ねたらマズいと思ったんでしょうかね。敵のCKをカブラルの前にパンチングして、有難くヘッドでゴールを決められているなんこと、あっていい?これではようやく肩の脱臼手術から全快通知をもらったオブラクと早速、来週のCLレバークーゼン戦で正GK交代もやむなしかと、こっちも呆れるしかありませんでしたけどね。そういえば2年前もモヤは同じカードでケガをして、そこからオブラクの時代がやって来たんですが、これも何かの因縁かもしれません。 ▽でも、大丈夫。その日のアトレティコは迅速に反応して、10分にはカラスコのスルーパスをエリア内でゴールに背を向けて受けたフェルナンド・トーレスが天才的な技を披露。ええ、一旦トラップして浮かしたボールを後ろに向けて蹴り上げて、それがゴールにスッポリ入ってしまったのにはスタンド中がビックリしたの何のって。それこそgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)でしたが、その当人がPKという、見た目には絶対、蹴る方が有利そうなシュートを枠に当ててしまうとは、これもサッカーの7不思議の1つ。 ▽うーん、28分にロンカリアのファールを受けて、PKをゲットしたのはカラスコだったんですけどね。最初は彼が「Me encontraba con confianza para tirar el penalty/メ・エンコントラバ・コン・コンフィアンサ・パラ・ティラーウ・エル・ペナナルティ(PKを蹴るのに自信があった)」とボールを掴んでいたんですが、19分には同じ選手にエリア内で倒されながら、PKをもらえなかった年長者を敬って、トーレスにキッカーを譲ってしまったのが裏目に出た? ▽まあ、先週のコパ準決勝2ndレグでガメイロが決められなかったこともあり、シメオネ監督が今度の担当者はスポーツ紙のファンが選ぶキッカー候補ナンバーワンだったトーレスにしてみようと思ったとしても責められませんけどね。ただ先日、私がトーレスもよく外していたと言っていたのは何となくの記憶からだったんですが、実はデータ的にもそれは正しかったようで、これまで彼はリーガで28回PKを蹴って、うち9本を失敗。ロナウドも9回、メッシも8回ゴールにできていませんが、彼らはそれぞれ65、50と蹴った回数自体が多いため、やはりトーレスがPKに強くないという印象は本当だったかと。 ▽おかげで1-1のまま、後半を迎えたアトレティコでしたが、しばらくはどうにもいけてない状態が続きます。そう、コパのバルサ戦以外の最近の試合の傾向で、1点取ればもう十分病がまた発症してしまったのかと、私も雨を防げるスタンドの奥の方に引っ込んで見守っていたファンたちも時間が経つにつれ、イライラが募っていったんですが、それに合わせるようにセルタはバスやボンゴンダら、アラベスとのコパ準決勝2ndレグからローテーションした主力を投入。それが30分過ぎ、電光石火のカウンターに繋がり、最初はシュートを撃ち上げてしまったグイデッティだって、2度目となれば、しっかりゴールを決めてきますって。残り10分ちょっとでスコアは1-2。アトレティコにとって、これって完全に負けパターンですよね。 ▽ところがその日は奇跡が起きたんです!もうあまりパスも繋がらないし、頼りのトーレスもガメイロに代わってしまっていたため、場内を静けさが包んでいた40分、ガビが右サイドから入れたクロスもルカスが味方に渡せず、ロンカリアがクリア。エリア前に上がったボールをタイミングバッチリでvolea(ボレア/ボレーシュート)して、ネットに叩き込んでくれたのはカラスコでした。いやあ、彼は前半、GKセルヒオとの1対1を決められず、それ以降、ファンからブーイングを受けていたんですけどね。シメオネ監督も後半26分にはコレアと交代させるつもりだったんですが、まさにその瞬間、「下がるのはボクだったけど、Saúl fue honesto y pidió el cambio porque estaba tocado/サウル・フエ・オネストー・イ・ピディオ・エル・カンビオ・ポルケ・エスタバ・トカードー(サウルが正直に痛みがあるからと交代を頼んだ)」(カラスコ)おかげで、プレーを続行できることに。 ▽そこへ「En el campo no se oyen los pitos/エン・エル・カンポ・ノー・セ・オジェンロス・ピトス(ピッチではブーイングは聞こえない)」という、当人の持って生まれたスルー力の賜物か、心を乱さず撃てたのが幸いしたんでしょうね。「自分のいた位置だとボールをキープすることができなくて、ファーストかセカンドタッチで捌かないと敵のカウンターに繋がるから、蹴らなきゃいけなかった。Esta salió perfecta, pero otras puede irse por encima del estadio/エスタ・サリオ・ペルフェクタ、ペロ・オトラス・プエデ・イルセ・ポル・エンシーマ・デル・エスタディオ(今回は完璧にいったけど、別の時はスタジアムから飛び出しちゃうかも)」(カラスコ)という一撃だったようですが、このゴールでどんなにスタンドが盛り上がったことか。 ▽そう、現金なもので同点になった途端、嵐のような応援が巻き起こった場内でしたが、その2分後、今度はコレアのクロスをガメイロが頭で落とし、そこへ突撃してきたグリースマンが勝ち越しゴールを挙げた瞬間、我が目を疑ってしまったのはきっと私だけではなかった?だってえ、トーレスは後で「Al final se ha visto una victoria de casta/アル・フィナル・セ・ア・ビストー・ウナ・ビクトリア・デ・カスタ(最後は血統による勝利を見ることができた)」と言っていましたが、奇跡のレモンターダなんて、彼らの辞書にはないんですよ。私もとんと記憶になかっただけでなく、これにもデータの裏付けがあって、アトレティコが後半41分以降に逆転勝利をしたのはクラブ史上、1997年のラージョ戦の1度限り。 ▽となれば、稀に見る僥倖を目撃したシメオネ監督が喜びの余り、ピッチサイドを走って、グリースマンのゴールを祝う選手の輪に加わってしまったのも理解できますが、いやあ、これがコパ準決勝でできていればねえ。5月には大舞台で胸を張って、ファン共々、ビセンテ・カルデロンにお別れを告げることができたはずでしたが、まあそれはそれ。今は3-2でセルタに勝った彼らがリーガ4位を取り戻し、お隣さんの専売特許を真似することも可能だとわかっただけでいいかと。ええ、きっとパルコ(貴賓席)に偵察に来ていたレバークーゼンのシュミット監督も感心してくれたかと思いますが、もしや16強対決でアトレティコに勝つにはやっぱりPK戦しかないと意を決していたら、どうしましょう。 ▽そんなアトレティコは今週、土曜のスポルティング戦まで試合がなく、ようやくミッドウィークがヒマになったんですが、シメオネ監督は「Digo lo bueno que seríamos si los marcáramos/ディゴ・ロ・ブエノ・ケ・セリアモス・シー・ロス・マルカラモス(PKも入れていれば、ウチはもっと良くなるだろう)。だが、3万、4万の人が見に来てくれない限り、練習の仕様がないんだよ。同じ状況じゃないからね」と、相変わらずPK特訓には消極的。だったら、試合前のアップの時間を使って蹴ってみたらいいんじゃないかというのが、私の素人考えですが、何せこの先は落とせない試合が続きますからね。要はファンにまで頭を絞らせてしまうぐらい、このPK問題は深刻ってことですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.14 12:45 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】奮闘空しく…

▽「じゃあ、こっちは3位決定戦?」そんな風に私が皮肉に思っていたのは金曜。この週末のリーガの予定を見直していた時のことでした。いやあ、昨季はアトレティコを破りながらも準決勝でセビージャに負け。今季もレアル・マドリーを退けるもアラベスに敗れて2年連続で決勝進出の夢が消えたセルタの選手も、似たようなことを考えながらマドリッドに来るんでしょうけどね。その対戦相手であるアトレティコの予定が狂ったのは、来季からワンダ・メトロポリターノにホームを移すため、最後のお勤めをコパ・デル・レイ決勝の舞台で飾りたいと、昨年中からビセンテ・カルデロンが会場候補に名乗りを上げていながら、どちらのファイナリストも違うスタジアムを希望しているから。 ▽そう、毎年のことながら、スペインのカップ戦は日付こそ5月27日とシーズン当初に決まっていながら、どこでやるかは未定。理想は対戦するクラブから等距離にある中立地ですが、なかなかすんなりとは決まらず、今回もバスク(スペイン北東部)地方のアラベスとカタルーニャ(西部)のバルサということで、もちろん3年連続決勝に進出している後者は毎度の嫌がらせで、最初はサンティアゴ・ベルナベウを口にしていたんですけどね。そこは先手を取って、レアル・マドリーのペレス会長はスタジアム改装工事がリーガ終了直後からあると、最大のライバルが自分たちのホームでトロフィーを掲げる可能性を却下。 ▽一方、初のコパ決勝進出とあって、メンディソローサでセルタ戦2ndレグ終了の笛が鳴った直後には花火まで上がり、選手たちはファンの声援に応えて場内一周。まるで優勝したかのような祝賀ムードになっていたアラベスなど、スタンドでもロッカールームでも皆、「Si, si, si, nos vamos a Madrid!/シー、ノス・バモス・ア・マドリー(オレたちはマドリッドへいくぞ!)」と唱和していたため、てっきりビセンテ・カルデロンで異論はないと思ったんですけどね。どういう訳か、先週末も選手たちは予定通りプレーしたいと言っていたにも関わらず、サン・マメスでの決勝開催をリクエストしているんですよ。 ▽うーん、確かに同じバスク地方のビルバオにあるアスレティックのホームスタジアムなら、新しいし、収容人数もビセンテ・カルデロンと大して変わらず。さらに毎年のように決勝に出るバルサより、一生に一度あるかないかのアラベスファンが応援に行きやすい近場にしてほしいという気持ちは何となくわかりますけどね。それがどうにも通らなさそうなのは折しも、サン・マメスでは決勝から3日後にガンズ・アンド・ローゼスのコンサートが開催。それもスペインだからなのかは知りませんが、ステージやら音響設備やら、会場の整備に1週間は必要とのことで、日程的に無理なのだとか。 ▽え、アトレティコファンだって、自分の応援するチームが出ない試合でビセンテ・カルデロンに別れを告げたいとは思わないだろうって? そうですね、どちらかというと、セレソ会長を始め、クラブ経営陣が予定通りに決勝をやりたいという感じですが、その一方でベルナベウが使用できないことを知ったバルサは、今度は自身のスタジアム、カンプ・ノウでの開催を主張。これも2年前のアスレティックとの決勝の例があるため、ないとは言えませんが、当時、負けたチームのメンバーだったトケロなど、それだけは絶対に避けたいのだそう。となると、マドリッドはビトリア(アラベスのホームタウン)からも、バルセロナからも行きやすいため、やはり最後はビセンテ・カルデロンで落ち着きそうですが…はい、一番悪いのは準決勝で負けたアトレティコだというのは、私もわかっていますって。 ▽ただ、火曜のカンプ・ノウでの2ndレグは序盤から、冗談のように彼らが優勢で、いえ、もちろん前半、カラスコのGKシレッセンと1対1のシュートや、サビッチやゴディンのヘッドがゴールにならなかったんですから、試合を見てない人にはあまりわからないかもしれないんですけどね。おまけに42分にはメッシのシュートはGKモヤが弾いたものの、こぼれたボールをルイス・スアレスに押し込まれ、総合スコアをバルサに3-1と広げられているのでは、いくら「前半のボクらはいい感じがしなかった。Ellos han tenido protagonismo con el balon/エジョス・アン・テニードー・プロタゴニスモ・コン・エル・バロン(相手はボールを持って主導権を握っていたね)」とベンチにいたイニエスタに言ってもらえたとて、結果にはまったく反映されません。 ▽それでも「Sabiamos que si nos marcaban daba igual, teniamos que hacer dos goles de todas formas/サビアモス・ケ・シー・ノス・マルカバン・ダバ・イグアル、テニアモス・ケ・アセル・ドス・ゴーレス・デ・トーダス・フォルマス(得点されても、とにかくウチが2ゴールを入れないといけないのが変わらないのはわかっていた)」(コケ)ため、ハーフタイム後にも気落ちせずにピッチに出て来たアトレティコでしたが、またいきなり不運に襲われるんです。そう、再開2分でガイタンが打撲のため、コレアに代わったかと思えば、その1分後には守備の要、ゴディンまで太ももを痛めて交代になってしまった日にはもう私など、目の前が真っ暗に。 ▽でも、大丈夫。ここは先日の彼女に対するDV容疑でバルサファンに激しいpito(ピト/ブーイング)を浴びながらもリュカが奮闘。更に56分には丁度、ルイス・エンリケ監督が「lo iba a cambiar por la tarjeta que tenia/ロ・イバ・ア・カンビアル・ポル・ラ・タルヘタ・ケ・テニア(イエローカードをもらっていたから、代えるつもりだった)」というセルジ・ロベルトが、フィリペ・ルイスへ激しいタックル。2枚目をもらい、退場となってくれたって、もしや前半に当人がエリア内でフェルナンド・トーレスを倒したのをペナルティに取らなかったことを内心、主審も後悔していた? ▽でもやっぱりアトレティコは不幸体質の方が強いようで、その2分後にグリーズマンが決めたゴールは脚の分、ピケが前にいたんですけどね。オフサイドで認められず。その上、68分にはカラスコが出場停止のネイマールの代理を務めていたアルダ・トゥランを吹っ飛ばし、こちらも2枚目のイエローカードをもらっているんですから、困ったもんじゃないですか。ええ、本人が抗議していたように、直前で滑って止まれなかったのはリプレーを見れば明らかですが、大体がして、その日のアルダはアトレティコ時代とは違って、全然、存在感を示せず。なので、そんなところで突っ込まなくても良かったのに、これでせっかくの数的優位もオジャンとはいかにもアトレティコ的展開です。 ▽そしていよいよ、悲劇のクライマックがやってきます。そう、77分にはメッシのFKが枠に弾かれ、命拾いしたすぐ後、フェルナンド・トーレスから代わっていたガメイロがピケにエリア内でファールを受け、今度はPKが与えられたんですけどね。何とこれを最近、PK7回中5回失敗していたグリーズマンに代わって、キッカーを引き受けた当人がゴールバーに当ててしまうって、ああ、このチームって一体、どこまでファンを失望させたら気が済むんでしょう。 ▽うーん、マドリッドに戻った翌日、マハダオンダ(マドリッド近郊)での練習では、ガメイロもよっぽど悔しかったのか、居残りでPKを蹴っていたそうなんですけどね。その時も3本中1本をポストに当てていたとかで、これってシメオネ監督になってから、チームがもらったPK46本中失敗14本、30%はゴールにできていない彼らの実態をまさに証明していない? ただそれはもう、キッカーが誰とかという問題ではなく、アトレティコは元々、PKが苦手なようで、クラブ通算でも432本中119本(28%)は失敗しているのだとか。 ▽おかげで昨季のCL決勝など、PK戦で決められなかったファンフランはともかく、90分内でもグリーズマンがGKケイロル・ナバスに止められていて、後悔してもしきれない程の損をしているため、言わせてもらえれば、全員に週1ぐらいでPKだけのセッションを課していいぐらいですが、こればっかりはねえ。ちなみにマルカ(スポーツ紙)の行ったウェブアンケートでファンの選んだキッカー、一押しはトーレスなんですが、ピッチにいないこともありますし、以前の在籍時代から、彼も結構、外したりしているため、シメオネ監督も決めかねるところでしょうか。 ▽え、それでもPK失敗後、2分もしないうちにガメイロはグリーズマンからパスをもらって、同点ゴールを決めているじゃないかって? 加えて、45分にはルイス・スアレスが「No me doy cuenta de que el jugador del Atleico esta ahi/ノー・メ・ドイ・クエンタ・デ・ケ・エル・フガドール・デル・アトレティコ・エスタ・アイー(アトレティコの選手がそこにいたなんて、気がづかなかった)」と、コケの顔に肘が当たった接触プレーで、3分前に続いて2枚目のイエローカードをゲット。とうとう9人になったバルサ相手に、お隣さんのremontada(レモンターダ/逆転)精神を見習えとばかりに、最後はセットプレーにモヤまで上がっての全員攻撃でロスタイムの5分を戦ったアトレティコでしたが…。 ▽1-1のまま、延長に持ち込むゴールは奪えずタイムアップです。いやあ、試合後はシメオネ監督も「Si fuera hincha del Atletico estaria muy orgulloso/シー・フエラ・インチャ・デル・アトレティコ・エスタリア・ムイ・オルグジョーソ(アトレティコのファンなら、とても誇りに思っているはずだ)」と言っていましたし、ここまで彼らがバルサを圧倒するところは見たことがなかったため、それはその通りなんですけどね。とはいえ、問題は「ボクらは全力を尽くした。El partido de ida sobre todo el segundo tiempo y el partido de hoy/エル・パルティードー・デ・イダ・ソブレ・トードー・エル・セグンド・ティエンポー・イ・エル・パルティードー・デ・オイ(1stレグのとりわけ後半と今日の試合でね)」(コケ)だったとしても、1stレグ前半にまったく精彩がなく、ルイス・スアレスとメッシにゴールを許してしまったのが、そもそもの敗因だったかと。 ▽それ故、「En los 90 minutos no hemos merecido este resultado/エン・ロス・ノベンタ・ミヌートス・ノー・エモス・メレシードー・エステ・レスルタードー(90分間、ウチはこの結果に値することをしていない)。しかしこの大会でやってきたことから、決勝でプレーするのにふさわしい」(ルイス・エンリケ監督)ということになってしまうのでは? うーん、もちろんこの2ndレグではその日、コケとのダブルボランチで出場停止のキャプテン、ガビの役割をしっかり補ったサウールなども「Hemos hecho todo lo que estaba en nuestras manos/エモス・エチョー・トードー・ロ・ケ・エスタバ・エン・ヌエストラス・マノス(自分たちにできることは全部やった)」と残念がっていたように、グリーズマンのゴールがオフサイドにされていなければといったタラレバはありますけどね。 ▽かといって、シメオネ監督がスペイン人の審判への皮肉を込めて、「Tengo claro por que en Champions tenemos mas opciones que en Liga o en Copa/テンゴ・クラーロ・ポル・ケ・エン・チャンピオンズ・テネオス・マス・オプシオネス・ケ・エン・リーガ・オ・エン・コパ(ウチにはリーガやコパ・デル・レイより、CLでの方が、オプションがある理由ははっきりわかっている)」と言うのは正しいかどうか。とりあえず、彼らのCL16強対決レバークーゼン戦は21日の火曜。どうやら木曜にはゴディンも全治10日程と診断され、戻って来られるようですから、2年前の同じラウンドではPK戦で何とか下した相手ということを忘れず、今は地道にPK練習に励んでほしいかと。 ▽その傍らで、日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からは、コパに全身全霊を注いでいただけにショックも大きく、そのせいか、やはりローテーションをしてくるというセルタとの試合に勝って、リーガでもCLグループリーグ出場権が獲得できる3位争いに後れを取らないようにするのが肝要。バルサ戦で見せた、どこまで不幸が降りかかってもメゲずに立ち向かう姿勢を維持できれば、大丈夫かとは思いますが、予想はあまりアテにならないのがアトレティコですから、やっぱり心配ですよね。 ▽そしてそのセルタ戦が順延したため、この土曜が12日ぶりの試合となるマドリーはどうしていたかというと。うーん、水曜には25歳のバースデーパーティ第2弾をチームメート全員招いて開いたネイマールと違い、32歳になったクリスチアーノ・ロナウドには表立ったお祝いの席がなかったため、今週はマスコミ露出がかなり低下していた選手たちですが、いつの間にか、バルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションが賑やかになっていたのには私もちょっとビックリ。というのもセルタ戦で復帰予定だったマルセロやペペに加え、ハメス・ロドリゲス、カルバハルやモドリッチまで全体練習でアクセル全開だったから。 ▽実際、金曜のジダン監督の会見によると、足首の手術をしたベイルだけ、復帰がCL16強対決ナポリ戦2ndレグになる予定ではあるものの、他は全員、完全に回復したよう。土曜午後8時45分からのオサスナ戦に出られないのは累積警告のクロースだけだとか。この予期せぬparon(パロン/休止期間)で体力満々な上、何より相手は最下位ですしね。同日、近隣でアラベスとコパ決勝の予行演習をする2位バルサとの差が現在、勝ち点1しかなく、試合までは抜かれてしまう可能性があるとはしても、エル・サダル(オサスナのホーム)で日が変る前に順位は元に戻っているのでは? ▽一方、マドリッドの新弟分、レガネスは翌日曜にブタルケに残留の直接ライバル、スポルティングを迎えるんですが、いよいよ本腰を入れて勝ち始めないといけないということで、サポーターはhimno(イムノ/クラブ歌)をアカペラで歌ってチームを迎え、選手たちを励ますよう。まあ一応、降格圏にいる相手とは勝ち点差5あるとはいえ、まだ18ポイントしか貯めていないのでは心もとないですからね。冬の移籍市場で獲った新戦力7人もそろそろ馴染んだ頃でしょうし、早くファンを安心させてあげられるといいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.11 13:11 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】もっと前に直しておけばいいのに…

▽「まったく取り越し苦労もいいところというか」そんな風に私が首を振っていたのは月曜。延期になったセルタvsレアル・マドリーが下手したら、最終節直前のミッドウィーク開催になるかもとマスコミが騒いでいるのを見た時のことでした。いやあ、先週末はガリシア地方(スペイン北西部)を暴風雨が襲ったため、リアソルの屋根が破損。それでまず、金曜のデポルティボvsベティスが延期になったんですけどね。当然のことながら、そのデポルティボのあるコルーニャから電車で1時間ぐらいのビゴも同様の悪天候、バライドスの劣化度も同じぐらいだったらしく、こちらも屋根がはがれて観客、選手に危険が及ぶ恐れがあるということで、セルタ戦は日曜夜の予定だったんですが、土曜にはもう延期の決定がなされることに。 ▽そこに至るまでもビゴ市長の中止勧告に始まって、LEP(スペイン・リーガ協会)が延期を正式に決定するまでに7時間もかかり、その間、アウェイに移動する側が振り回されたとか…。今週水曜にコパ・デル・レイ準決勝アラベス戦2ndレグを控えているセルタがせっかく控え選手で迎えてくれるんだから、試合をしないのは損とばかりにマドリーが開催を迫り、屋根の落ちそうな場所には観客を座らせなければいいとか…。同じガリシア地方の違うスタジアム、でなければ同じスペイン北部のエル・モリロン(スポルティングのホーム)や隣接するポルトガルでやったらどうだなんて代案を出してきたとか…。イロイロ悶着はあったようですけどね。 ▽結局、一番の問題は延期した試合を過密日程のどこに組み込むのかで、週明けに屋根の修理がすぐできたとしても今週のミッドウィークはセルタのコパでダメ、来週はヨーロッパの大会でセルタもマドリーも試合があり、その次はマドリーがクラブW杯のため、延期していたバレンシア戦があるといった具合で2月中は不可能。では3月はと見れば、セルタがヨーロッパリーグの32強対決でシャフタール・ドネツクに負ければ、チャンピオンズリーグの16強対決でナポリとの2ndレグの後はマドリーにも空き週があるため、15日頃にできないこともないんですが…。万が一、そこを越えて、どちらかが準々決勝、準決勝と進んでしまったら、最悪5月17日まで引きずることになるのだとか。 ▽逆に両者が早い段階でヨーロッパの大会から脱落すれば、4月や5月にやることができるんですけどね。セルタがELでどこまで進むかは未知数とはいえ、マドリーのCLがいつも3月で終わっていたのはすでに遠い過去の話。2010-11シーズン以来、最低でもずっと準決勝まで進んでいるとなれば、もしかしてリーガ優勝が決定した後にセルタ戦をプレーするなんてケースだってありうる? それとは対照的にデポルティボvsベティスの方はどちらも余計な試合がないため、あまり問題なく適当なミッドウィークに設定できそうですが、首位を狙っているバルサやセビージャなんかにとっては、時に順位表で上に行っても、相手に勝ち点6も上積みのチャンスがあるというのは厳しいところですよね。 ▽え、それでも先週末はリーガ優勝をすっぱり諦めたアトレティコの試合はあったんだろうって? その通りで土曜にはマドリッドの新弟分、レガネスをビセンテ・カルデロンに迎えてのミニダービーだったんですが、スコアレスドローだったシーズン前半戦での対決と違って今回は先輩としての貫禄を示すことができました。ただ、後でシメオネ監督も「Vi ráfagas buenas en el primero y en el segundo tiempo/ビ・ラファガス・ブエナス・エン・エル・プリメーロ・イ・エン・エル・セグンド・ティンポ(前半と後半に閃光のようないいプレーを見た)」と言っていましたが、決して最初から最後まで相手を圧倒していた訳ではありません。 ▽それでもこのところの途中出場での発奮ぶりを買われ、先発したフェルナンド・トーレスがこの日はチームを牽引。開始1分、エリア内からのフリーのシュートを思いっきり外した時はどうしようかと私も頭を抱えたもんでしたけどね。14分には、そのトーレスがレガネスの新加入CBシオバス(オリンピアコスから移籍)に倒されてPKを獲得。キッカーはグリーズマンだったんですが、やはりここ6回のPK中、4回を失敗しているのを彼は覚えていたんでしょうね。GKエレリンが弾くのを予測していたか、脱兎のごとく飛び出すと、そのままボールを押し込んで、アトレティコが先制することに。 ▽前半はそれ以外、ほとんどチャンスらしいものがなかったため、ハーフタイムにシメオネ監督は「Me pareció que no estaba haciendo un buen partido/メ・パレシオ・ケ・ノー・エスタバ・アシエンドー・ウン・ブエン・パルティードー(いい試合をしているように見えなかった)」というサウールを下げてコレアを投入。するとこの交代がバッチリ当たって、後半早々、50分にはそのコレアのスルーパスがトーレスへ。シュートを防ごうと出て来たエレリンのすぐ前で、まるで2008年ユーロ決勝ドイツ戦で見せたようなvaselina(バセリーナ/ループシュート)を放って2点目を決めてくれたから、驚かされたの何のって! ▽もうそれ以降はスタンドのファンも安心して、「Echare huevo!/エチャレ・ウエボス(根性見せろ)」と火曜のコパ準決勝2ndレグでremontada(レモンターダ/逆転突破)を目指すチームへの応援をスタート。確かにレガネスもシーズン前半戦の時のように、「en Butarque no nos dejó ni tirar/エン・ブタルケ・ノーノス・エホ・ニ・ティラール(ブタルケでウチはシュートさえ撃たしてもらえなかった)」(アシエル・ガリターノ監督)という程。守ってばかりではなかったんですが、やはり頼りが冬の移籍市場最終日に加わったブエノ(グラナダから移籍)やサム(同ルビン・カザン)では難しかったかと。残り時間のアトレティコもパッとしなかったものの、これは「ウチは3日前に試合をして、また3日後にプレーする。No es excusa, es realidad/ノー・エス・エスクーサ、エス・レアリダッド(これは言い訳ではなく現実だ)」(シメオネ監督)という事情があるため、仕方なかったかもしれません。 ▽結局、そのまま2-0で4試合ぶりの勝利を挙げたアトレティコでしたが、ゴディンなど「2点差になって、監督も火曜の試合に備えて交代を考えることができた」と言っていたものの、不満が残るとすればその交代に意外と手間取ったこと。その前の時間帯でアスレティックを3-0で下したコパ準決勝の相手であるバルサがルイス・スアレスを丸々温存。メッシも64分にはベンチに下がったのに対し、シメオネ監督がグリーズマンを交代させたのは71分でしたからね。バルサ戦に強いと見られているトーレスなど、2015年1月にアトレティコに戻って来てから、3度目の1試合2得点を達成したせいか、カンプ・ノウでの先発も視野に入ってきましたが、最後までピッチにいたのはちょっと配慮に欠けるかと。 ▽それだけに中2日の試合でどこまで体力が回復するか心配されますが、アトレティコの場合、もちろんケガ人が多いという事情もあるものの、相手がコパ初戦のギフエロ(2部B)のように、よっぽど格下でないとローテーションできないため、仕方ないところも。となれば、ここはトーレスが今季末で切れる契約を延長すべきとクラブに納得させて、新スタジアムのワンダ・メトロポリターノでプレーできるよう、「Afronto cada partido como si fuera el ultimo/アフロントー・カーダ・パルティードー・コモ・シー・フエラ・エル・ウルティモ(毎試合、それが最後であるかのように立ち向かう)」という姿勢でバルサ戦に立ち向かってもらうしかありません。 ▽そんな彼らは月曜夕方にはもう、出場停止のガビ、負傷中のチアゴ、冬の市場で行き先が見つからず、残留したものの員数外とされているチェルチも伴ってバルセロナ入りしているんですが、朗報はアフリカ・ネーションズカップのガーナ代表で準決勝まで進出。その日の朝に帰国したトーマスと、やはり月曜午前中に裁判所に出頭し、DV容疑で7カ月の実刑を求刑されたリュカも招集リストに入ったこと。いやあ、金曜に逮捕されたリュカの事件はどうやら、やっぱり痴話喧嘩だったか…。9歳年上の彼女の方もDVで4カ月の求刑をされているようで、2週間以内にまた裁判があるんですけどね。土曜のレガネス戦こそ、カルデロンには応援に来ず、自宅にこもっていた当人ですが、日曜月曜と練習はしていたのでプレーするのに問題はないとか。 ▽一方、1stレグで1-2の勝利を得ているバルサでは、アスレティック戦で筋肉痛を訴えてピケがハーフで代わったと聞いた時にはラッキーと思ったんですけどね。どうやら軽症で先発出場に支障はないような。ケガからの復帰が見込まれているイニエスタとブスケッツはスタメンに入るか定かでありませんが、試合中にGKテア・シュテーゲンの拳が顔に当たり、12針縫ったラフィーニャは欠場。ルイス・エンリケ監督は「Creo que va a ser un partido muy atractivo/クレオ・ケ・バ・ア・セル・ウン・パルティードー・ムイ・アトラクティボ(とても魅力的な試合になると思う)。アトレティコが2点を取らないといけないという、慣れていない状態でプレーするのだからね」なんて言っていましたが、いやいや。火曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのこの一戦は私も本当に気が重いですよ。 ▽え、それでセルタ戦がなくなって、週末が暇になったマドリーはどうしたんだって? もちろん仕方ないのでバルデベバス(バラハス空港の近く)で練習を続けていましたが、おかげでマルセロやペペ、ハメス・ロドリゲス、モドリッチら、負傷から回復しつつある選手たちにはもっと体調を完璧にする、いい時間稼ぎになったよう。累積警告でセルタ戦出場停止だったクロースは次のオサスナ戦で出られなくなってしまいましたけどね。エル・サダルでの試合とはいえ、相手は降格圏にいますし、最近はコバチッチも成長著しいため、それ程、心配することはないかと。 ▽ただこの日曜がバースデーだったクリスチアーノ・ロナウドなど、セルタ戦が元々、アウェイの夜遅い試合で手配ができなかったか、さすがに男性でも32歳になるというのはイヤなんでしょうか。自宅で家族と祝っただけに留まったようですが、実は当人、試合でハットトリックでも決めて自分へのプレゼントを贈るつもりだった? 一方、同日に25歳になったネイマールは、コパは出場停止のため、チームメートや母国から彼女や友人を招いて、バルセロナの流行りのお店でパーティを開いてしまうのもわかる? ▽ただ、コパも準々決勝で敗退しているため、ここ2週間はマドリーがプレーする姿をサンティアゴ・ベルナベウでもTVでもまったく見ないというのはかなり違和感が…。その分、来週は待ちかねていたCL決勝トーナメントも始まって、ファンも早起きする日が増えると思いますが、さて。すでにチケット完売のナポリ戦にはイタリア人サポーターが大挙してマドリッドに駆けつけるようですし、向こうもセリエAで2位と好調ですから、きっと盛り上がりますって。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.07 12:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】希望を持ってもいいのだろうか…

▽「この大事な時に何やってんだか」そんな風に私が呆れていたのは金曜日、いつものように朝、新聞を買うため、家の前の売店に寄ったところ、アトレティコファンの店主のお兄さんから「ルカスがDVで逮捕された」と聞いた時のことでした。いやあ、ネットで詳しく調べてみると、木曜深夜、チームメートとの食事から、酔って帰宅した20歳のDFは彼女と議論になった挙句にケガをさせ、マハダオンダ(マドリッド近郊)の警察署で一晩過ごしたそうなんですけどね。後で病院に行ったものの、彼女の方も同時に暴力行為で逮捕されていたとかって、要はこれって痴話喧嘩では? ▽うーん、1度こんな話が出ると、後追いのように、実はルカスは1年前にもカラオケ店でお酒を飲んで煙草を吸っていたところを他の客に注意され、相手を殴って現在、訴訟中だなんて記事も出てきたりもするんですけどね。今回の件で何とも情けなかったのは折しも丁度、その木曜の夜はアトレティコからレンタルでアラベスに修行に出ているテオがバライドスでドシャ降りの雨の中、セルタとのコパ準決勝1stレグで奮闘。まさか、その兄ルカスが1歳年下の弟がアウェイで0-0と引き分けたことを祝って遊びに出た訳もないと思いますが、何よりこの1週間、自分のチームは水曜の結果を引っくり返すべく、死に物狂いで努力しなければならない苦境にありますからね。 ▽それもせっかく、お隣さんの専売特許のような奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)を少しは信じられそうな雰囲気になってきたところで、こういう事件が起きると、ファンの気分が削がれてしまうかもしれないのが怖いんですが、さて。あ、金曜午後3時頃に保釈されたルカスは月曜に裁判所に出頭予定、彼女とは500メートル以内の接近禁止令が出ているそうですが、とりあえず、当人はベンチで応援していたバルサとのコパ準決勝1stレグがどうだったかをお伝えしていくことにすると…。 ▽それがリーガ前節のアラベス戦で見せた目を覆うような惨状からすれば、序盤はまともに見えたアトレティコだったんですが、化けの皮が剥がれるのも早かったんですよ。そう、前半6分にはグリースマンが自陣でマスチェラーノにボールを奪われたのをキッカケにルイス・スアレスがゴール目指して猛ダッシュ。サビッチもゴディンも簡単にかわして、GKモヤを破った時には前夜、合宿先のモンテ・レアル・ホテルに到着したチームを昨季のCL準決勝バイエルン戦以来でしょうかね。盛大にbengala(ベンガラ/発煙筒)を炊いて迎えた300人余りの疑うことを知らない熱烈なファンも、試合前、「この5年間で6回目の準決勝を戦うウチの選手たちを心から誇りに思う」と話していたシメオネ監督もただただ、呆れるしかなかったかと。 ▽1点リードを許した後のアトレティコはここ数試合のダメダメ気質が前面に出てしまい、いえ、バルサがある程度、引いてくれたため、追加点は32分まで取られなかったんですけどね。今度はメッシにエリア前から弾丸シュートでgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められてしまうとは、ちょっとお。もしやアトレティコの選手たち、ここ9試合で計12得点されているMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)の恐怖を忘れてしまった?ええ、こうなったら次はネイマールだろうと私が覚悟したのと同様、その時点ではオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況アナたちも「こりゃ0-5ぐらいになると思った」、「fin de ciclo/フィン・デ・シクロ(サイクルの終わり)という言葉が頭に浮かんだよ」と、試合後のミックスゾーンで話していましたっけ。 ▽でもそうじゃなかったんですよ!後半頭からベルサリコ下げ、フェルナンド・トーレスを入れたアトレティコはまったく違うチームになっていたんです。再開早々、ガビがワンツーでGKシレッセンの前に躍り出たチャンスはジョルディ・アルバにシュート直前でボールをカットされて実らなかったものの、どうやらそれが反撃の狼煙だったようで、急に攻め始めたものだから、こちらもビックリしたの何のって。前半のひどい出来に意気消沈していたスタンドもしばらくは息を潜めて見守っていましたが、とうとう13分、ガビの出したFKをゴディンが頭で流し、ゴール左前にいたグリースマンがマークについたマスチェラーノを高々と上回ってヘッドをお見舞い。1点を返すことに成功したため、一気にスタジアムを満員にしたファンが盛り上がることに。 ▽え、でもその時、ゴディンをフリーにするのにコケがルイス・スアレスを引き留め、倒してしまったのは明らかにファールで、本来なら、このゴールはスコアボードに上がらないものじゃなかったのかって?まあ、そうなんが、幸い審判もお目こぼししてくれましたし、元々、そういう形のセットプレーだったようですからね。それより感心したのはシメオネ監督の先見の明で、ファンフランによると、「Al descanso nos dijo que si metiamos el primer gol se crearia en el Calderon un aura especial/アル・デスカンソ・ノス・ディホ・ケ・シー・メティアモス・エル・プリメール・ゴル・セ・クレアリア・エン・エル・カルデロン・ウン・アウラ・エスペシアル(ハーフタイムに、もし最初のゴールを入れれば、カルデロンに特別な雰囲気が生まれると言われた)」のだとか。 ▽実際、お隣さんのジダン監督同様、やはり現役時代から知っているクラブで監督をしているだけあって、ファンの気質をよくわかっているのはありがたいことで、以降は「Tiene una aficion increible, que le anima aunque vayan perdiendo/ティエネ・ウナ・アフィシオン・インクレイブレ、ケ・ラ・アニマ・アウンケ・バジャン・ペルディエンドー(信じられないようなファンを持っている。負けているにも関わらず、応援するんだから)」と後でジョルディ・アルバも羨んでいた場内の声援を受けて、アトレティコは更なる攻勢に。ええ、バルサの方は30分にメッシのFKをモヤが弾いたボールが枠に当たったぐらいだったのに対し、シメオネ監督のも後で「en el segundo tiempo nos acercamos al equipo que siempre hemos sido/エン・エル・セグンド・ティエンポー・ノス・アセウカモス・アル・エキポ・ケ・シエンプレ・エモス・シードー(後半はウチが常にそうだったチームに近づいた)」と認めていたように、グリースマン、トーレス、そしてカラスコから代わったガメイロと何度も危険なシュートを撃ったんですが…。 ▽残念ながら、同点には至りませんでした。ただ、1-2で負けてしまったアトレティコとはいえ、やはり優勢で試合を終えたのは自信回復につながったようで、「No tengan ninguna duda de que estamos vivos/ノー・テンガン・ニングーナ・ドゥーダ・デ・ケ・エスタモス・ビボス(ウチがまだ生きていることに少しでも疑いを持たないでくれ)」というシメオネ監督を始め、選手たちも「La eliminatoria esta abierta y vamos a ir a morir a Barcelona/ラ・エリミナトリア・エスタ・アビエルタ・イ・バオス・ア・イル・ア・モリール・ア・バルセロナ(対戦は終わっていないし、ウチは死ぬ気でバルセロナに行く)」(ファンフラン)と来週火曜の2ndレグに向けて気合満々。 ▽いやあ、だったら前半あんなにオタオタしないで、最初からやる気を見せていれば良かったんじゃないかと言うのは正論ですが、バルサの選手たちと彼らには明らかに天賦の才に差がありますからね。「En el descanso hemos recordado quienes somos/エン・エル・デスカンソ・エモス・レコルダードー・キエネス・ソモス(ハーフタイムにボクらは自分たちが何者かを思い出した)」とトーレスも言っていましたが、諦める前に才能では劣っていても、意志と体力を総動員した密度の高いプレーをすれば、バルサやレアル・マドリーとも互角にやり合えることを思い出してくれただけでもありがたいじゃないですか。 ▽え、でもそのせいで、トーレスと共に後半、生え抜きのアトレティコ魂を見せてくれたガビがイエローカードをもらい、累積警告で2ndレグに出られなくなってしまったじゃないかって?うーん、バルサもネイマールが同じ憂き目にあっていますが、片や「Si hay un equipo en el mundo que no debe lamentarse de las ausencias es el Barcelona/シー・アイ・ウン・エキポ・エン・エル・ムンド・ケ・ノー・デベ・ラメンタールセ・デ・ラス・アウセンシアス・エス・エル・バルセロナ(世界に選手の不在を嘆くべきでないチームがあるとしたら、それはバルセロナ)」(ルイス・エンリケ監督)と自負している相手ですからね。もちろん個人的には、「Me pierdo el partido de vuelta, pero asi estoy en la final/メ・ピエルド・エル・パルティードー・デ・ブエルタ、ペロ・アシー・エストイ・エン・ラ・フィナル(自分は2ndレグを逃すけど、おかげで決勝には出られる)」というキャプテンの台詞を信じたい気持ちもありますが、こればっかりはねえ。 ▽おまけに向こうはビセンテ・カルデロンでの試合には間に合わなかったイニエスタが復帰しそうだとか、これまでアトレティコはホームでの初戦を1-2で負けて、逆転突破したのは4回中1回しかないとか、逆にバルサは14回全部勝ち抜けているとか、更にはこの結果は先日、準々決勝で敗退したマドリーがセルタ戦1stレグで喫したのと同じだなんて、ネガティブな面を考え始めると決して楽観はできないんですけどね。とはいえ、リーガと違って、確かに「Siempre digo que la Copa es rara/シエンプレ・ディゴ・ケ・ラ・コパ・エス・ラーラ(コパは奇妙だと私はいつも言っている)」(シメオネ監督)という意見も一理ありますから、今はあまり悩まない方がいい? ▽というのも彼らにはもう、レガネスとのミニダービーが迫っているせいで、始めに書いた事情でルカスは招集されず。前節に肉離れを起こしたヒメネスもいないため、ますますDF陣が手薄になってしまったアトレティコはとうとうトップチームのフィールドプレーヤー自体、15人しかいないという事態に。対照的に1月31日の駆け込み補強も含め、この冬の市場で7人を獲得したマドリッドの新弟分はブエノやティト(どちらもグラナダから移籍)といったラージョ(今季は2部)でお馴染みだった選手やエル・ザール(ラス・パルマス)なども加わって少々、得点力が増した感が。 ▽いえ、もちろん現在、17位と降格圏ギリギリにいる彼らにも頑張ってはもらいたいんですけどね。一応、すぐ下のスポルティングとは勝ち点差5ありますし、ここでまた、シーズン前半戦のように引き分けるようなことになると、アトレティコはミニマムマストのCL出場権獲得順位すら危うくなってきますから、やはり背に腹は変えられないかと。そんなアトレティコvsレガネス戦は土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)キックオフ。アフリカ・ネーションズカップ参加中のトマスがいるガーナも準決勝で敗退したそうですが、帰って来るにはまだ日数がいりそうですしね。中盤はチアゴやアウグストがリハビリ中とあって、シメオネ監督がコパに備えてローテーションできるのはせいぜい、前線ぐらいでしょうか(ただしグリースマンを除く)。 ▽一方、今週からコパがないマドリーはずっとバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でトレーニング三昧の日々だったんですが、どうやらこの節は首位固めに最高の環境が揃っている気配が。だってえ、木曜にアラベスと準決勝1stレグでアドバンテージを取れなかったセルタのベリッソ監督がまた、「Para nosotros es prioritario el partido del próximo miércoles. El domingo, rotaciones/パラ・ノソトロス・エス・プリオリタリオ・エル・パルティードー・デル・ミエルコレス。エル・ドミンゴ、ロタシオネス(ウチにとって、優先されるのは次の水曜の試合。日曜はローテーションする)」と宣言しているんですよ。つまり、イアゴ・アスパスやバス、ボンゴンダといった、マドリーをコパから追い落としたメンバーが出て来ないってことじゃないですか。 ▽となると、ジダン監督が狙うは、16強対決でのセビージャのようにコパでは苦杯をなめながら、続くリーガ戦で勝利して鬱憤を晴らすという道ですが、唯一の難点は今回、クロースが出場停止ということ。ただ、それ以外は朗報が多くて、負傷者が続々と戦列復帰に近づいているのは心強いかと。ええ、左右順番にふくらはぎを痛めていたハメス・ロドリゲスはこのセルタ戦で戻れそうですし、もう全体練習に参加しているマルセロも秒読み段階。モドリッチも次のオサスナ戦には準備ができる見込みな上、何とカルバハルや足首の手術をしたベイルまで予定を繰り上げて、15日のCLベスト16、ナポリ戦1stレグに出場できそうだとなれば、もう怖い物などない? ▽ちなみにそのサンティアゴ・ベルナベウで行われるそのナポリ戦はもうチケット完売だそうですが、まだ先のことなのでともかく、今週末は土曜に2位バルサがアスレティックと、日曜には3位セビージャがビジャレアルといった難敵と顔を合わせるだけに、取りこぼしも十分見込めますからね。その上、22日にはクラブW杯参加のため、延期されていたバレンシア戦もあるとなれば、この1カ月で現在、勝ち点4の差がもっともっと開く可能性も。まずはその第一歩となるセルタvsマドリー戦は日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からですが、それまでにライバルたちの試合が終わっているのも選手たちの励みになるかもしれませんね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.02.04 10:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】あれはサッカーじゃなかったかも…

▽「一応、ボールはあるみたいだけど」、バカバカしいとは思いつつも目を皿のようにして、アトレティコのビデオを見入っていたのは月曜日。彼らが練習を再開した日の午後のことでした。いやあ、トレーニングセッションにボールが登場しないプロのサッカークラブなんて、体力作りメインのプレシーズンでさえ、ほとんどないとは思うんですけどね。ただシメオネ監督になってからのアトレティコは基本、マスコミに公開されるのは練習開始からたったの15分のみに限定。よって、スポーツ紙のサイトやTVニュースで見られるのはほぼ、ロンド程度で終わるアップの部分だけとなれば、もしやその後、ちゃんとボールを使ってパスや連係の練習をしているのかどうか、知る術はないってことにならない? ▽ちなみに何故、私がこうも懐疑的になってしまったのかというと、それはもちろん先週末の試合のせいで…。いえ、いろいろと幸運が続いて、シーズン開幕戦同様、アラベスに勝てなかったにも関わらず、アトレティコの順位は4位のままで変わらなかったんですけどね。その日は近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)では子供連れ家族数組が集まって、お誕生日会が開催中。余った隅のスペースでその団体越しに観戦していた私ですが、彼らがまったくTV画面に興味を示していなかったのがどんなにありがたかったことか。 ▽その理由は土曜日の午後だというのに、よりによってアトレティコの試合なんか見ている自分が何年かぶりに恥ずかしくなったせいだったんですが…。だって、序盤から、「Alavés fue superior, sobre todo, en intensidad/アラベス・フエ・スペリオール、ソブレ・トードー、エン・インエンシダッド(アラベスの方が上だった。とりわけプレーの激しさで)」(シメオネ監督)だったんですよ。それだけでなく、その日、キャプテンのガビが累積警告で出場停止だったという事情はあるものの、代わって中盤を担ったコケ、サウールら、カンテラーノ(アトレティコB出身選手)の後輩を始め、カラスコ、ガイタン、ガメイロ、グリーズマン、さらにDFラインまでパスミスのオンパレード。選手によっては満足にトラップもできない状態となれば、前半終了間際、とうとうオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況アナまで、「アトレティコはサッカーの練習をしてないんでしょうか」と言い出したとしてもまったく不思議はない? ▽いやまあ、その点に関してはここ数試合、私もこっそり疑っていたんですけどね。当然、何かの偶然でボールを取り戻しても、次のパスが敵目掛けて真っ直ぐ出ていくため、30%という惨めなポゼッションで前半を終えた彼らでしたが、幸い序盤に至近距離からシュートを放ったイバイ・ゴメスがGKモヤのparadon(パラドン/スーパーセーブ)に防がれたのを始め、総じてアラベスの選手たちに決定力がなかったのはラッキーだったかと。おかげでスコアは0-0のまま、ハーフタイムに入ることができます。 ▽後半も変らず、ダメダメなプレーを続けていたアトレティコですが、得点チャンスが1度もなかった訳ではなく、71分にはガイタンがサビッチのロングパスに抜け出して、敵エリアまで独走するシーンも。でもねえ、いくらサッカーの神様は不公平だとしても、ここで点が決まって、どこを取っても最低だった彼らが勝ってしまうのはあんまりだと思ったんでしょうかね。実際、シュートを撃つ直前、ガイタンはGKパチェコにボールを取られてしまい、ゴールを決めることはできませんでしたっけ。 ▽結局、交代で入ったフェルナンド・トーレスやコレアも状況を改善することはできず、あとはモヤがエドガルや、テオのシュートも弾き、試合はスコアレスドローで終了。いえ、ペレグリーニ監督など、「Merecimos ganar, ha sido uno de los mejores partidos de la temporada/メレシモス・ガナール、ア・シドー・ウノ・デ・ロス・メホーレス・パルティードス・デ・ラ・テンポラーダ(ウチは勝利に値した。今季最高の試合の1つだった)」と残念がっていましたけどね。 ▽誰より目立ちながら、ゴールは奪えなかったカマラサを筆頭に、何度も何度もシュートを外し、フラストレーションが溜まったんでしょうか。あろうことか、ゴディンにツバを吐きかけ、自身も同じ方法でリベンジされていたデイベルソンなど、アトレティコの守備陣にほとんど邪魔されなかったにも関わらず、ああも点が取れないのではねえ。自業自得なところもありますが、一方のシメオネ監督はもう、あまりに反省するべき点が多すぎたか、「Fue un partido malo en general/フエ・ウン・パルティードー・マロ・エン・ヘネラル(全判的に悪い試合だった)」と簡潔な評価をしたのみ。 ▽うーん、こんな悲惨なプレーを続けていたら、コパ準決勝1stレグでバルサの選手たちに笑われてしまうんじゃないかと、私なんかは心配でたまらないんですけどね。まあ、今になって、いい年をした部下たちに「パスは味方に向かって出すように」なんて言えるはずもなし。それに加えて、彼らには人員的に深刻な問題も発生して、このアラベス戦では後半序盤にヒメネスが右太ももの肉離れで交代。ピッチに座り込んだ当人が泣いていたことから、重傷なことは察せられたんですが、マドリッドに戻ってからの検査では全治に4週間程かかるのだとか。 ▽結果、チアゴ、アウグストが負傷中、ガーナがコパ・アメリア準決勝に進出したため、まだ戻って来られないトーマス、そしてチェルチは員数外なため、しばらくフィールドプレーヤーが15人しかいなくなってしまったアトレティコですが、さて。翌日曜日の正午試合でバルサが幻のゴールのせいもあって、ベティスと1-1でドロー。イニエスタ、ブスケッツがケガでいない中盤はかなり残念だったなんて記事を読むと、ちょっとは慰めになるんですが、先週ミッドウィークのコパ準々決勝レアル・ソシエダ戦では5-2と余裕で勝っている相手ですからね。水曜日午後9時(日本時間翌午前5時)から、おそらくまた極寒であろうビセンテ・カルデロンのスタンドで見る一戦が、心まで凍り付かせるようなものにならないことを今は祈るしかありません。 ▽え、そのバルサ引き分けに加え、午後にはセビージャがエスパニョールに3-1で負けたという報もあった後、お隣さんは日曜日最後の試合に挑んだんだろうって? その通りで、雨混じりの夜だったため、私がサンティアゴ・ベルナベウへ向かう足取りは重かったんですけどね。ジダン監督など、「ライバルが勝ち点を失うのを見ると、上手くやろうという意志がより強くなる。Lo comentamos en Valdebebas y vimos todos los partidos/ロ・コメンタモス・エン・バルデベバス・イ・ビモス・トードス・ロス・パルティードス(そのことはバルデベバスの合宿所で話して、試合も全部見たよ)」と後で打ち明けていましたから、「Me gusta tener una siesta larga/メ・グスタ・テネール・ウナ・シエスタ・ラルガ(自分は長い昼寝をするのが好き)だから、見る機会がなかった」なんていう、ケイロル・ナバスのような例外はあるものの、レアル・マドリーの選手たちも同じ思いだったかと。 ▽ただ先週、セルタにコパ準々決勝敗退に追いやられてから、最初のホームゲームを迎える彼らのレアル・ソシエダ戦前の優先事項は“antisilbato(アンティシルバートー/反ブーイング)"で、キャプテンのセルヒオ・ラモスを始め、ルーカス・バスケス、ナチョ、クリスチアーノ・ロナウドらがベルナベウのサポーターにpito(ピト/ブーイング)でなく、応援をお願いするキャンペーンを張っていたんですけどね。ジダン監督は「Él no se borra, tiene personalidad/エル・ノー・セ・ボラ、ティエネ・ペルソナリダッド(彼はバックレたりしない。強い性格をしている)」と言っていたものの、負傷者多発の関係で先発せざるを得なかったダニーロなどが温かく迎えられたかどうかはまた別の話。 ▽ええ、実際、同様にファンの批判の的になっているベンゼマも試合の前半はあまりいいリアクションはもらっていなかったんですが、何せ私など、昨日の今日で見るソシエダが、アトレティコと同じ勝ち点で5位と、ヨーロッパの大会出場圏内にいるチームであれば、当然のことなんですけどね。あまりに普通にパスを繋いでいるのに感嘆していたため、ブーイングの方はそれ程、気にならなかったんですが、それでもサッカーとは何とも奥深い。ええ、「Jugar bien no es sólo tener el balón y controlar el partido, sino generar problemas al rival/フガール・ビエン・ノー・エス・ソロ・テネール・エル・バロン・イ・コントロラール・エル・パルティードー、シノ・ヘネラル・プロブレマス・アル・リバル(いいプレーをするというのはボールを持って、ゲームをコントロールすることではない。敵に問題を起こすこと)」とエウセビオ監督も後で反省していましたが、敵陣でボールを奪って先制したのはマドリーの方だったんですよ。 ▽それは37分のことで、少し前にボールを失ってブーイングを受けていたロナウドが敵DF間を通す絶妙なスルーパス。これに反応したコバチッチが高いドリブル力を見せつけ、GKルリを破ってくれたから、スタンドの重苦しくなりかけていた雰囲気を一掃するのにどんなに役立ったことか。前半はこの1点だけだったマドリーですが、50分にはこの2人が役目を取り替えて2点目をゲット。ええ、コバチッチのパスから、ロナウドがvaselina(バセリーナ/ループシュート)で決めてくれます。うーん、今季はゴール量産ペースが落ちて、昨今では度々、スタンドからピーピーされるようになっていたせいで、その日もピッチでは悪態をついていた当人ですけどね。これでちょっとは機嫌を直して、再びgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を見せてくれるといいのですが。 ▽そして73分にはソシエダのイニゴ・マルティネスが2枚目のイエローカードで退場となったおかげもあり、ベンゼマに代わって途中出場したモラタが82分、GKナバスから始まり、ロナウド、ダニーロ、ルーカス・バスケスを経て14秒でピッチを縦断した速攻で3点目を奪ったマドリーは3-0で快勝。アトレティコなどに比べると、計ったようなパスの繋がりぶりは雲泥の差ですが、まあそれは以前からわかっていたことですからね。才能の明らかな差に、より私が落ち込むということもなかったんですが、この勝利でマドリーはお隣さんが5位に落ちることを助けてくれた代わりに、とうとう両者の差は勝ち点10に。 ▽同様に2位3位に勝ち点で並ぶバルサとセビージャとも4ポイント離れ、更にクラブW杯参加のため、延期しているバレンシア戦の分、消化試合が1つ少ないとなれば、もしやここからのリーガはマドリーの独走状態に入る? 何せ、今の彼らはスケジュール的にも恵まれていて、コパがなくなったおかげで今週は試合がありませんしね。次節は木曜日にアラベスとの準決勝1stレグを戦うセルタと日曜日に対戦。そのベリッソ監督の率いるチームは土曜の夜にレガネスを0-2で破り、「Los menos habituales han demostrado ser importantes/ロス・メノス・アビトゥアレス・アン・デモストラードー・セル・インポルタンテス(控え選手たちが重要になれると示した)」という指揮官の言葉通り、コパの合間となるマドリー戦でもレギュラーは温存されるはずですからね。 ▽さらにミッドウィークの空いた次の試合も19位のオサスナと、組みし易い相手となれば、丁度、モドリッチやハメス・ロドリゲスが戻って来るのも重なって当分、マドリーの天下は脅かされることがないかも。いえ、先のことはわからないのがサッカーですけどね。ちなみに前節、降格圏ギリギリの17位に落ちてしまった弟分のレガネスですが、18位スポルティングとの差は勝ち点5のままキープ。もうシーズン後半戦が始まっているだけに早くまた、勝てるようになってほしいんですが…この土曜日はビセンテ・カルデロンでのミニダービーなんですよ。とりあえず、負けてもまだレッドゾーンには入りませんから、まあその次からということでどうでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.01.31 13:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】コパとリーガが交錯して…

▽「またこの時期が来たのね」そんな風に私が頷いていたのは金曜日、翌日に迫ったチャイニーズ・ニューイヤーを祝うマドリッドの両雄のビデオをニュースで見た時のことでした。そう、ここ数年はバルサなども含めて、リーガのチームで流行っているようなんですけどね。片や、中国人家族との食事という設定でクリスチアーノ・ロナウド、セルヒオ・ラモス、マルセロ、ペペの4人がワンフレーズずつ中国語を話していたレアル・マドリーに対して、アトレティコは資本参加しているワンダ・グループからサッカー研修で受け入れている中国人の子供たちを総動員。 ▽マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場を舞台に、いえ、まさかこのビデオを撮影するため、コパ・デル・レイ準々決勝2ndレグ参加を免除されたとは思いませんでしたけどね。1人、主役を張ったグリースマンがお馴染みのゴールパフォーマンスを子供たちに指導って、いえ、最後は彼も中国語でちゃんと挨拶していましたが、もしやこれって、複数の選手に台詞を覚えてもらうのは大変だから?ちなみにそのワンダ・プロジェクトで来ている中国人少年たちはアトレティコの試合の日、よくビセンテ・カルデロンのスタンド最前列で揃いのジャージを着て見学しているんですが、そういう提携が日本企業との間にもあれば、もっと日本のアトレティコファンも増えてくれるかもしれませんね。 ▽え、その前に彼らはサッカーでファンを魅了しないといけないんじゃないかって?そうですね、今週はコパ準決勝進出が決まったアトレティコですが、エイバル戦2ndレグでもどこかフラストレーションが溜まるプレーぶりは変わらず。近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見ていた前半が0-0で終わった時には、「1stレグが3-0で大勝だったし」、「フェルナンド・トーレスとガメイロのツートップは初めてだって言うし」と、私も自分で自分を慰めるしかなかったんですが、それでも後半開始すぐの3分にはガイタンのCKからヒメネスのヘッドが決まり、先制点が入ってくれたから、ホッとしたの何のって。 ▽でもねえ、この日も最近の悪癖は直らなかったんですよ。後でファンフランも「Nos relajamos un poco despues de marcar el 0-1/ノス・レラハモス・ウン・ポコ・デスプエス・デ・マルカル・エル・セロ・ウノ(ボクらは0-1にした後、少しリラックスしてしまった)」と言っていたんですが、追加点も狙わず、うだうだやっていれば、いくら「ウチのコパでの目的はリーガでプレーしていない選手たちをプレーさせること」というメンディリバル監督だって色気を出しますって。ええ、残り15分程になったところで、主力アタッカーのエンリッチとペドロ・レオンを投入。そこから1分もしないうちに後者のシュートがGKモヤを強襲し、弾かれたボールを前者が器用なvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込んで、エイバルに同点にされているのですから、困ったもんじゃないですか。 ▽その後も敵の攻勢が続き、35分にはルベン・ペニャのクロスを今度はペドロ・レオンがすくってネットに収め、リードまでされてしまったアトレティコでしたが、まあこの日はツイていましたね。39分には途中、ベルサリコが入ったため、中盤にポジションを上げていたファンフランがガビのロングボールに合わせて見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)!これがゴールとなってくれたため、スコアは2-2となり、そのまま試合は引き分けで終わることに。総合スコアも4-2ですから、2ndレグで終盤に2-3とされ、総合スコア4-3でかろうじて逃げ切った16強対決ラス・パルマス戦よりはマシだったんですが…もうちょっと教訓を生かせないもんでしょうかね。 ▽そして続いてのマドリーの2ndレグは急いで家に帰り、オープン放送のGolTVで見た私だったんですが、こちらはまだ獲得したことのないコパのタイトルが近付いているとあって、セルタのサポーターの気合の入れようが違ったの何のって。ええ、半分ぐらい空席だったイプルア(エイバル)と対照的にバライドスのスタンドは満員、聞けばキックオフ1時間半前には“Gran Quedada/グラン・ケダダ(大結集)”と銘打って、ファンがスタジアム入りするチームバスをお出迎えしたのだとか。そのbengala(ベンガラ/発煙筒)が盛大に燃えまくっている様子は、マドリーがremontada(レモンターダ/逆転劇)を必要とする際、サンティアゴ・ベルナベウ近辺で見られる風景とかぶりましたが、いやいや、お間違えなく。1stレグで1-2と勝っていたのはセルタの方です。 ▽実際、試合も逆転が必要だったマドリーが勢いよくスタートしたんですが、「El Madrid es favorito en cualquier partido contra cualquier rival del mundo/エル・マドリッド・エス・ファボリートー・エン・クアルキエル・パルティードー・コントラ・クアルキエル・リバル・デル・ムンド(マドリーはどんな試合でも、相手が世界のどこのチームであっても本命)」と、1stレグに続いて、ベリッソ監督の慎重姿勢は変わらぬまま。トレードマークの攻勢には出ず、「La defensa de tres nos obligo a cambiar de tactica/ラ・デフェンサ・デ・トレス・ノス・オブリゴ・ア・カンビアール・デ・タクティカ(DF3人体制には戦術変更を余儀なくされた)」(ベリッソ監督)という割にはよく守っていましたが、だからって前半25分、イスコのクロスをロンカリアと一緒にロナウドがヘッドしたボールがゴールバーを叩いてしまったのはともかく、当人が跳ね返りをただ押し込むだけのシュートをポストに当ててしまったのは、決して相手のせいにはできなかったかと。 ▽え、でもマドリーにはそれ以上に間の悪い選手がいなかったかって?その通りで、いえ、試合前日にいきなりバランの負傷欠場が決まったため、急遽、ラモスとナチョと共にCBをやることになったカセミロがクリアボールをエリア内のイアゴ・アスパスに送ってしまったりとか、その前にもピンチはあったんですが、ダニーロはちょっとお祓いにでも行った方がいいかも。だってえ、どちらも無得点のままだった前半43分、あと少しでハーフタイムというところでセルタのカウンターがはまり、グィデッティがフリーで撃ったシュートはGKカシージャがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。そこへ彼がタイミングバッチリで突っ込んで、オウンゴールにしてしまったんですよ。 ▽それもリーガ前節のセビージャ戦でオウンゴールをしながら、次のマラガ戦では2得点してヒーローになったラモスとは真逆で、ダニーロの場合は16強対決セビージャ戦2ndレグに続いての先制点献上。うーん、サンティアゴ・ベルナベウではpito(ピト/ブーイング)の標的になってしまったため出せず、だからといってアウェイではオウンゴールではジダン監督も彼のこれからの処遇に困ってしまうかと思いますが、もちろんこの程度の逆境でギブアップするマドリーではありません。ええ、後半16分にはロナウドが直接FKを決めて、逆転まであと2点に再び戻したんですが…。 ▽まさか39分になって、昨季ラージョ(今季は2部)で活躍し、夏にフラムに移籍。イギリスでは日の目を見ず、この冬からセルタに加わったホサベドが戻したボールをバスにエリア外から決められてしまうとは!この辺も彼を始め、多くの主力選手を先週末のリーガ戦で温存したベリッソ監督の思惑が当たったことになりますが、44分を過ぎてから、ルーカス・バスケスのヘッドで同点にされた時は相当、ヒヤリとしたことかと。何せ、相手には後半ロスタイムに奇跡を起こす選手がいましたからね。とはいえ、いつも起きる訳ではないから奇跡と呼ばれるのは当然のことで…。 ▽その日、セットプレーから2度のヘッドを失敗したラモスも「Hoy la he tenido mas facil que nunca y la he echado fuera/オイ・ラ・エ・テニードー・マス・ファシル・ケ・ヌンカ・イ・ラ・エ・エチャードー・フエラ(今日は今までにない程、簡単だったのに外してしまった)」と嘆いていましたが、結局、アウィエゴールでの勝利が叶うあと1点は取れず、マドリーは総合スコア4-3で準々決勝敗退に。うーん、それでもジダン監督は「感触的にはポジティブ。ウチがいい試合をしたという意味ではね。Hay que pelear Liga y Champions/アイ・ケ・ペレアル・リーガ・イ・チャンピオンズ(リーガとCLを争わないといけない)」と、スペイン新記録の公式戦40試合無敗を続けていた頃には公然を言われていた、クラブ史上初の“toriplete(トリプレテ/3冠優勝)”の夢が早くも消えてしまったのにはそれ程、落胆している風には見えませんでしたけどね。 ▽ただ、いきなり負傷禍に襲われたという不運はありますが、先日負けたリーガのセビージャ戦に続いて、この試合では影の薄かったベンゼマを最後まで代えなかったり、ルーカス・バスケスやモラタを入れるのが遅かったり、終盤はマリアーノも入れてFW4人状態だったにも関わらず、成果が出なかったりと、イロイロその采配に批判はなきにしろあらず。逆に敗退の利点はこの先、2週間ミッドウイークが空いて、2月中旬のCLベスト16、ナポリ戦1stレグに余裕を持って備えられることですが、でもねえ。リーガの方もこの週末のレアル・ソシエダ戦が分岐点になりかねない危険性が。 ▽まあ、今は2位セビージャとの勝ち点差が1しかないマドリーとはいえ、クラブW杯参加で延期したバレンシア戦が残っていますから、そこまで身構えなくてもいいんですけどね。とはいえ、長期離脱中のベイルはもちろん、バランやモドリッチもまだ間に合わず、マルセロ、カルバハルは復帰目標がCL戦、12月初旬以来、欠場が続くペペ、筋肉痛が左ふとももから右に移ったというハメス・ロドリゲス、ビゴ(スペイン北西部の海辺の街、セルタのホームタウン)遠征には同行したものの、出場できる状態なのかどうか定かでないコエントランと内実は複雑なようですが、当面、人手不足が続くのは辛いかと。 ▽そこへブーイングを恐れてダニーロやベンゼマの起用も考えなければならないといった条件が加われば、いくら相手が木曜にカンプ・ノウでバルサに5-2と叩きのめされ、総合スコア6-2でコパを敗退したショックと疲労が残るソシエダだとしても、日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)の一戦はかなりハードになりそうな。ええ、ここ5試合で1勝しかできていないジダン監督も今が踏ん張りどころかもしれません。 ▽一方、アトレティコはこの週末、リーガでバスク地方3連戦最後のアラベス戦なんですが、いやあ、できればこれが4連戦になってくれればいいと願っていたファンがどんなに多かったことか。というのも金曜にはコパ準決勝組み合わせ抽選があったんですが、実はアラベスは火曜にマドリッド2部の弟分、アルコルコンとの準々決勝2ndレグを0-0で終え、総合スコア2-0で先陣を切って突破を決定。その瞬間から、敵を討つのはアトレティコと、私なんか勝手に決めていたんですが、そうは問屋が卸しませんでした。そう、当たっちゃったんですよ、バルセロナが。 ▽え、でも昨季のアトレティコはCL準々決勝で彼らを破っているじゃないかって?そうなんですが、2年前はコパ準々決勝で負けていますし、シメオネ監督は「優勝するには常にマドリーかバルサを倒さないといけないことにウチは慣れている。Nos lo tomamos como algo normal/ノス・ロ・トマモス・コモ・アルゴ・ノルマル(普通のこととして受け止めているよ)」と言っていたものの、このところのプレーぶりではとても太刀打ちできるようには思えず。MSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)が本調子になっているのも憂鬱ですし、それより何よりアトレティコの選手たちの頭がアラベス戦を通り越して、来週水曜にバルサをビセンテ・カルデロンに迎えることでいっぱいになってしまったら、どうしましょう! ▽うーん、それは準決勝をセルタと戦うことになったアラベスも同じ、ひいてはコパのために再び主力温存する予定のセルタと土曜にリーガで当たるレガネスにとってもラッキーなんですが、よくわからないのはアラベスのペジェグリーノ監督がここまでのローテーション策を変えてくるかどうかということ。ええ、彼らはエイバル型で、今季アトレティコからレンタルで修業に出ているルーカスの年子の弟、左SBのテオなど、リーガではレギュラーなんですが、コパにはほとんど出ていなかったりと、かなり両大会でのメンバーが違うよう。ただし、セルタ同様、アラベスも準決勝出場経験はあってもまだ優勝はしたことはありません。 ▽しかも両チームとも今季のリーガ前半戦でバルサに勝っているとなれば、ますますコパ決勝進出に全精力を懸けたくなると思いますが、こればっかりはねえ。とりあえず、土曜のアラベスvsアトレティコ戦は午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からキックオフ。アトレティコの方は現在、3位と勝ち点差6の4位とまったく余裕がありませんし、相手は第1節にホームで1-1と不覚を取り、イレギュラーなシーズンを過ごすキッカケになったチームですからね。加えて、今も12位と調子を維持しているため、エイバル戦で休んだグリースマン、ゴディンら、ベストメンバーを揃えて挑むのは当然ですが、先もあることですから、とにかくケガ人だけは出さないでくださいね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.01.28 09:45 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】どのチームも悩みはある…

▽「困っていても補強はできないのよね」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、リーガのシーズン前半戦が終わったマドリッドの2強に多々、問題が発覚しているのがわかったときのことでした。いえ、クラブW杯のため、2月に延期されたバレンシア戦を済ますまでもなく、“Campeon de Invierno/カンペオン・デ・インビエルノ(冬のチャンピオン)”となったレアル・マドリーは、成績的には文句のつけようがないんですけどね。最悪なのは人手不足で、元々、ベイル、ペペ、カルバハルを負傷で欠き、コエントラン、ハメス・ロドリゲスも容体が定かではないものの、体調不良でしばらくベンチ外が続いている上、前節の試合でマルセロとモドリッチもケガしてしまうことに。 ▽後者は筋肉痛ということで、1週間程で治りそうなんですが、とりわけ左太ももの肉離れを起こしたマルセロに至っては全治1カ月。しかもマラガ戦ではベンチにいたものの、ダニーロもヒザを痛めているとなれば、いえ、チームには「もうずっとポジションを変えてプレーしている。同じ試合の中でもね。Es importante jugar y hacerlo bien/エス・インポルタンテ・フガール・イ・アセールロ・ビエン(プレーして、そして上手くやるのが大事なのさ)」というスーパーマルチDF、ナチョがいますけどね。とはいえ、SBは左右2人必要なため、彼が両方やる訳にはいきませんし、となると当分、右SBはルーカス・バスケスにお願いするしかない? ▽うーん、本人は「Es fácil jugar en cualquier posición en este equipo/エス・ファシル・フガール・エン・クアルキエル・ポシシオン・エン・エステ・エキポ(このチームなら、どこのポジションでプレーするのも易しい)。チームメートが凄いから、どこでも快適だよ」と言っていましたけどね。ベイルが足首の手術のリハビリ中でいない今、右の前線でも頼りにされていた彼だって、同時に上と下にいる訳にもいかないのでは?だったら、こういう時こそ、お金持ちクラブの強みを生かして緊急補強すればいいのにと思いますが、あいにくこの冬のマドリーは未成年選手獲得に対するFIFAの処分で選手の新規登録ができず。 ▽これはお隣さんも同じなんですが、アトレティコの場合はとにかくこのままだと、またB級チームに戻ってしまいそうだから。だって、シーズン前半戦の獲得勝ち点が今季はシメオネ監督の5年間で最少、たったの35ポイント(19試合全勝だと57)しかないんですよ。昨季より9、優勝した2013-14シーズンより何と15も少ないそうですし、得点数は34と昨季と変わらないものの、失点数が16と2倍に。現在、負傷者はGKオブラクとチアゴ、ヒザの靭帯断裂で長期離脱のアウグストだけですが、これって要はゴール数をガンガン増やしてくれるアタッカーか、守備力を上げるDFが必要ってことじゃない? ▽何せ、先週末の結果では上位3チームが勝利して、アトレティコは引き分け。4位のままではあったものの、勝ち点差がそれぞれ8、7、6と大きく開き、更にはレアル・ソシエダにも同勝ち点で並ばれてしまいましたからね。もうこうなると、ビセンテ・カルデロンでの最後の試合がCLプレーオフになるかもというのはまだしも、下手したら、9月にオープンする新しいホーム、ワンダ・メトロポリターノでの最初のシーズンは収容人数が大きく増えたのが逆に仇になり、スタンドすかすかのヨーロッパリーグを見ることになるかもしれないという、私の冗談が本当になってしまう恐れもなきにしろあらず。 ▽いえ、コケなど「queda una segunda vuelta ilusionante/ケダ・ウナ・セグンダ・ブエルタ・イルシオナンテ(期待の持てる後半戦が残っている)」と言っていましたし、組み合わせの妙で、今季ここまで7位以上の6チームの対戦で勝ち点2しか取れていない彼らですが、後半戦はマドリー以外、セビージャ、バルサ、ソシエダ、ビジャレアル、アレティック全てをビセンテ・カルデロンで迎え撃つという地の利はありますけどね。もっと非現実的な夢を言えば、CLに優勝すれば、来季のグループリーグ出場は保証されるんですが、はあ。取らぬ狸の皮勘定をしていても仕方ないので、とりあえず、先週末の試合の様子をお伝えすることにすると…。 ▽寒波の名残りはあったものの、まだ明るい午後4時過ぎのキックオフだったのに助けられ、サンティアゴ・ベルナベウの暖房の下で比較的快適に私も観戦できた土曜のマドリーvsマラガ戦では、先制点が入る前にアクシデントが発生。そう、開始25分にマルセロがケガしてしまったんですが、ダニーロでなく、イスコが代わりに入ったため、ここから右SBだったナチョが左に移り、ルーカス・バスケスが右SBを務めるように。ただ、それはあまり勝敗に関係なかったんですよね。というのも、クリスチアーノ・ロナウドもベンゼマも不調の今日この頃、キャプテンのセルヒオ・ラモスがチームをしょって立ってくれたから。まず35分にはクロースのCKをヘッドで叩き込み、先日のセビージャ連戦で散々、サンチェス・ピスファンのサポーターから貶められた自分の母親に捧げると、42分にも再びクロースの放ったFKを流し込んで1人で2ゴールをゲット。 ▽この2点目は、後半18分にはファンカルのシュートをGKケイロル・ナバスが弾いたボールを落ち着いてシュート、マラガに期待を持たせる1点を決めたファンピも、後で「ここで勝ち点を稼ぐ可能性は最小というのはわかっていたけど、un gol en fuera de juego fastidia/ウン・ゴル・デ・フエラ・デ・フエゴ・ファスティディア(オフサイドのゴールはムカつく)」と言っていた通り、スコアに上がったのは審判のミスだったんですけどね。実際、マラガの選手たちも十分、用心しながら、「A veces Ramos es imposible de frenar/ア・ベセス・ラモス・エス・インポシーブレ・デ・フレナル(時々、ラモスは阻止不可能)」(“ガトー”・ロメロ監督)であるこのセットプレー力は恐るべし。ええ、これで今季リーガ通算6得点としたラモスは、ベンゼマやモラタの5本を抜いて、12本のロナウドに次ぐチーム2番目のストライカーになってしまいましたよ。 ▽結局、ファンピに続くチョリのシュートがナバスに弾かれてしまったため、そのまま2-1で勝利。先週末のセビージャ戦、ミッドウィークのコパ・デル・レイ準々決勝セルタ戦1stレグと続いた黒星を2で止めることができたマドリーですが、実はスタジアムの雰囲気はあまり良くなくて、何度かチャンスに失敗したロナウドやベンゼマにはpito(ピト/ブーイング)も飛ぶ始末だったんですけどね。それには試合終了から約1時間半後、ロッカールームのジャグジーで長湯をしているから、いつも出て来るのが遅いんだろうという私の想像とは逆に、冷水浴で筋肉の疲れを癒してからミックスゾーンに登場したラモスも「En los momentos difíciles uno necesita cariño no más palos/エン・ロス・モメントス・ディフィシレス・ウノ・ネセシータ・カリーニョ・ノー・マス・パロス(困難な時には棒で叩かれるのではなく、愛情が必要)」と苦言を呈していましたが、これはいわば、サンティアゴ・ベルナベウの伝統のようなものですからね。 ▽またgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まれば、ファンの不満も静まると思いますが、さて。何せ、彼らは今週、1-2で負けたコパ1stレグの結果をバライドスでremontada(レモンターダ/逆転)しないといけませんからね。それもマラガ戦の後半、交代となったモドリッチは抜きで、月曜にはまだ足の甲を痛めたロナウドも、軽傷と言われているダニーロもハメス・ロドリゲスも全体練習に加わっておらず、試合に間に合うかわからない状態で果たさないといけないのは辛いところかと。 ▽おまけに相手のセルタはコパを至上優先課題にし、日曜のソシエダ戦ではワス、マルセロ・ディアス、ジョニーをベンチに入れず、エースのイアゴ・アスパスもプレーは数分間だけと、思いっきり主力メンバーを温存。同じ1stレグでバルサに0-1で負けただけ、まだ理論的には突破の可能性もあるソシエダがリーガの方に全力を注ぎ、勝利をもぎ取ったのとは対照的でしたが、奇しくもマドリーの次節の相手はそのソシエダなんですよ。しかもまたホームゲームなので、うっかり水曜午後9時15分(日本時間翌午前5時15分)からのセルタ戦でコパ敗退が決まったりすると、日曜の試合でもファンの愛情は感じづらくなるかもしれませんね。 ▽そして土曜の次の時間帯ではレガネスがアラベスとメンディソローサで対戦。2度リードを奪われたものの、その度にゲレロ、インスアのゴールで追いつき、最後は2-2で分けるという熱戦を演じてくれたため、火曜にコパ1stレgでの0-2の負けを引っくり返すべく、同スタジアムに乗り込むマドリッド2部の弟分、アルコルコンに少しは協力してあげられた?いえ、実際はアラベスもコパとリーガでローテーションをしているため、むしろこの日プレーした選手たちは土曜の兄貴分との一戦でリピート、アトレティコの面々が顔を合わすことになるんでしょうけどね。ヨーロッパの大会でミッドウィークにプレーするのに慣れているビッグチームと違い、相手は昇格組だけにそろそろ、息切れもあるかと。レガネスも今週末はセルタ戦なので、体力的には有利になりそうです。 ▽え、それでアトレティコはここ4年間、連勝していた新しいサン・マメスでどうして勝ち点を落とすようなことになったのかって?うーん、開始2分には「Yo he centrado y parece que él le había dado/ジョ・エ・セントラードー・イ・パレセ・ケ・エル・レ・アビア・ダードー(ボクはクロスを出して、彼が蹴ったように見えた)」というコケのボールが、前をグリースマンが通ったせいで、GKイライソスを幻惑。そのままネットに入って先制点となった時には、今季も行けると私も思ったんですけどね。でもまさか、それだけで選手たちが満足してしまうとは、これ如何に! ▽ええ、後でサウルも「Creo que cometimos el error de irnos atrás con el 0-1, teníamos que haber ido a por el segundo/クレオ・ケ・コメティモス・エル・エロール・デ・イルノス・アトラス・コン・エル・セオ・ウノ、テニアモス・ケ・アベール・イドー・ア・ポル・エル・セグンド(ウチは0-1で引いてしまうというミスを犯したと思う。2点目を取りに行かなきゃいけなかった)」と反省していたんですが、ボールを敵に渡してカウンター狙いも作戦のうちとはいえ、せっかくグリースマンがロングパスで作ったチャンスもカラスコが枠を外しては。そうこうするうち、勢いがついてきたアスレティックに41分、レクエのエリア外からのシュートで同点にされているんですから、本当に学ばない人たちじゃないですか。 ▽それどころか、後半10分にはラウール・ガルシアに古巣へ恩返しクロスを上げられて、エリア内には5人もアトレティコの選手がいながら、デ・マルコスに悠々、ヘッドで2点目を決められる始末。これにはシメオネ監督も焦ったか、フェルナンド・トーレス、コレア、ガイタンと次々アタッカーを投入したんですが、事態を打開してくれたのはソシエダからアトレティコに移籍してきたシーズン、前年までのライバルのホームでハットトリックを挙げて以来、調子に乗っているグリースマンでした。ええ、敗色濃厚となっていた35分、地を這うミドルシュートをゴール左端ギリギリに撃ち込んで、「Una genialidad de Antoine nos ha dado el empate/ウナ・ヘニアリダッド・デ・アントワーヌ・ノス・ア・ダードー・エル・エンパテ(グリースマンの天才的才能がボクらに引き分けを与えてくれた)」(コケ)のですから、どんなにありがたかったことか。 ▽これには当人も「C'est ma maison ici!(ここはボクの家だ)」と叫びながら、大喜びしていましたが、うーん、それにつけても悲しいのはアトレティコにもっと沢山、天才的な選手がいないこと。やはりグリースマンだけでは逆転までには及ばず、そのまま2-2で引き分けてしまいましたが…シメオネ監督は「Me voy satisfecho porque vamos creciendo/メ・ボイ・サティスフェッチョー・ポルケ・バモス・クレシエンドー(ウチは成長し続けているから、私は満足して帰れる)」と言っていたものの、この結果じゃねえ。上位に離されるばかりなんですから、きっとまだまだ成長が足りないんでしょう。 ▽そんなアトレティコはこの水曜午後7時15分(日本時間翌午前3時15分)から、エイバルとのコパ2ndレグに挑むんですが、リーガがこの調子ですからね。同日、相手がバルサに0-4の大敗を喫したのは何の参考にもならないんですが、先週の1stレグに3-0で勝っているのは心の支えになるかと。ええ、クラブ史上初の準々決勝進出だったにも関わらず、控えメンバーを並べてきたエイバルのメンディリバル監督となれば、これだけ差がついている2ndレグに主力メンバーを投入するとは考えにくいですしね。だったら、グリースマンを温存しても準決勝の切符は何とか手に入れられるのでは?うーん、ここまで来れば、もうコパ獲得は現実的な目標ですが、これに優勝してもヨーロッパリーグ出場権しか手に入らないというのは冷たいけど、厳しい現実です。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.24 09:45 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】この気候は辛い…

▽「来週はもうあんな思いしなくていいのね」そんな風に私がホッとしていたのは金曜日。コパ・デル・レイが行われる水曜日にはこの大寒波も和らぎ、気温が少しは上がっているのを週間天気予報で確認した時のことでした。マドリッドの両雄、ついでに言えば、火曜日に試合となる弟分のアルコルコンも揃って準々決勝2ndレグはアウェイ戦。自分は近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でぬくぬくして見ていればいいんですけどね。3チームとも北方面に行くという懸念はあるものの、とりわけremontada(レモンターダ/逆転劇)が必要とされるアトレティコ以外の2チームは、少しでも暖かい方がプレーしやすいんじゃないかと思ったから。 ▽水曜日に行われた準々決勝1stレグでアルコルコンが0-2と負けてしまったのは悔しいものの、リーガ2部では18位と降格圏のすぐ上。もうコパなどで道草をしないで、早々に順位を上げることに専念するべきじゃないかって? まあ、その通りですが、奇しくも相手のアラベスはこの土曜日に、すでにミッドウィークはフリーとなっているレガネスと対戦。 ▽ここでコパをプレーしたツケが出て、マドリッドの兄弟分に7試合ぶりのリーガ勝利をプレゼント。さらにその疲れから、アルコルコンに逆転勝ち抜けを許してしまうなんていうのは、私が勝手に書いた都合のいいシナリオなんですが…。後者はともかく、なかなか16位から上昇できないレガネスにはようやくルビン・カザニから、以前はマラガで活躍していたFWサム・ガルシアも到着しましたしね。シーズン前半戦ラストとなるこの試合、何とか勝ち点3を獲得して、後半戦での残留確定に弾みをつけてほしいところです…。 ▽一方、気温零度近辺という極寒の中、私がこの水曜日、木曜日と、上下でヒートテックを重ね着してスタジアムに行ったレアル・マドリーとアトレティコのコパの試合はどうだったかというと。結果から言うと、両者の明暗は分かれてしまったんですが、天井に暖房があるため、幾分、寒さがマシだったサンティアゴ・ベルナベウにセルタを迎えたマドリーは、後でカゼミロも「La derrota de Sevilla nos ha hecho daño/ラ・デロータ・デ・セビージャ・ノス・ア・エッチョー・ダーニョ(セビージャでの敗北がボクらに打撃を与えた)」と言っていたように、日曜日のリーガ戦で40試合連続無敗が途切れたショックから抜け切れていなかった様子。 ▽ええ、キックオフからバライドスでの2ndレグを考えていたセルタはずっとスローなテンポでプレーしていたんですけどね。それに対してマドリーも「ウチは準備していたようにやらなかった。とりわけスタート時に激しいプレーをすることをね」とジダン監督も言っていましたが、相手に合わせてしまったのか、その日の彼らは目が回りそうになったセビージャ戦とはまるでスピードが別物。ベンゼマやモラタをベンチに置き、2015年1月にアトレティコに敗退して以来のコパ出場となったクリスチアーノ・ロナウドをCFにした布陣も当たらなかったか、前半は両チームとも無得点に終わることに。 ▽ゲームが動いたのは後半の半ばで、最初の45分は相手のボール回しに苦しんだというセルタが「en la segunda ajustamos el marcaje/エン・ラ・セグンダ・アフスタモス・エル・マルカヘ(後半はマークを調整した)」(ベリッソ監督)が良かったんでしょうかね。64分、左サイドを疾走したボンゴンダがクロスを入れたところ、マルセロが踵でクリアしたボールがPKマーク付近にいたイアゴ・アスパスの正面へ。ここ12試合で12得点を決めている絶好調のFWがそんなおいしいチャンスを失敗するはずもなく、そのシュートで易々セルタに先制されたとなれば、スタンドで寒さに耐えていた観客の体感温度が一気にマイナスまで下がったのは間違いない? ▽でもそんなのは序の口です。いえ、70分にはモドリッチのクロスがマジョに跳ね返されたのをマルセロがvolea(ボレア/ボレーシュート)。ボールがロンカリアの背中に当たり、汚名返上の同点ゴールとなったんですけどね。その直後、セルタのキックオフからほとんど間を置かず、ルーカス・バスケスがアスパスにボールを奪われてしまったから、さあ大変!「Era una contra, tenía que elegir entre seguir o dársela a Jonny, y vi que Ramos dudó/エラ・ウナ・コントラ、テニア・ケ・エレヒル・エントレ・セギール・オ・ダールセラ・ア・ジョニー、イ・ビ・ケ・ラモス・ドゥド(カウンターで、自分はそのまま行くか、ジョニーにパスするか選ばないといけなかったんだけど、ラモスが迷うのを見てね)」という当人は後者を選択。小柄な左SBの一撃が勝ち越しゴールとなってしまった日には、勇気を振り絞って、家から出て来たファンも後悔していたかも。 ▽いやあ、その後も同点ゴールを求めてジダン監督がダニーロをベンゼマと交代したところ、ブラジル人右SBの働きに不満だったスタンドからpito(ピト/ブーイング)は飛ぶわ、セビージャ戦で相手の決勝点のキッカケとなるボールロストをしたFWはゴール前からのシュートを天高く撃ち上げてしまうわ、もう散々だったんですけどね。結局、引き分けることもできずに1-2で負けて、マドリーが2連敗とはまったく珍しいこともあるじゃないですか。 ▽ただ問題は、セビージャに負けてもリーガ首位の座に影響はなかった彼らですが、コパの2試合制の対戦で1stレグにホームでこのスコアで負けた場合、これまで逆転勝ち抜けしたことがないということで、いえ、ベリッソ監督も「Tendremos que jugar en Vigo mejor que hoy/テンドレモス・ケ・フガール・エン・ビーゴ・メホール・ケ・オイ(ビーゴでは今日よりいいプレーをしないといけないだろう)。どんな大差の結果でもマドリー相手には落ち着いてはいられないのだから」と、あまり強気ではありませんでしたけどね。 ▽その上、昨季もセルタはアトレティコを準々決勝で破り、久々の快挙に沸いたものの、準決勝ではセビージャにあっさり負けてしまったなんてこともあったため、「Si eliminamos al Madrid, pensaremos en el título/シー・エリミナモス・アル・マドリッド、ペンサレモス・エン・エル・ティトゥロ(マドリーを敗退させたら、タイトルのことを考えるよ)」(ボンゴンダ)という訳にもいかないのは百も承知でしょうが、ここに来て、マドリーにはカルバハルが太ももの負傷で3、4週間の離脱という逆境も発覚。ジダン監督は「ベルナベウのファンは誰でもブーイングするが、マスコミの書いていることは公平じゃない。No estoy al 100%, sino al 1.000% con Danilo/ノー・エストイ・アル・シエン・ポル・シエントー、シノ・アル・ミル・ポル・シエントー・コン・ダニーロ(自分は100%でなく、1000%ダニーロの味方)」と言っていましたけど、現実的には辛い面もありそうな。 ▽とはいえ、すぐ次の試合はリーガのマラガ戦ですからね。昨年最後の日程が終わった後、ファンデ・ラモス監督を解任、“ガトー”・ロメロ監督が率いて2戦目となる彼らはデミチェリスが出戻りでエスパニョールから加入したものの、まだ調子が上向いてきた兆しは感じられず。順当ならば、土曜日午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのベルナベウでは、キックオフ時間がコパより早い恩恵もあって、ファンもずっと気分良く過ごせるのでは? 幸い、セルタ戦で右手をロンカリアに踏まれ、痛みで途中交代したアセンシオも骨折はなく、無事回復したようですし、ロナウドだってそうそう、不調が続く訳でもないでしょうから、水曜日のレモンターダに向けて、勢いがつくゲームができればいいですね。 ▽そして翌木曜日、ビセンテ・カルデロンに暖房がないことを鑑みて、裏起毛160デニールタイツをボトムに追加した私が観戦したエイバル戦は、プレー的には決してアトレティコが上手になったとは言えないんですけどね。凍えるピッチで足がかじかんでいたか、またしてもパスミスは多かったんですが、どうやら相性のいいチームだったのが良かったよう。そう、エイバルのメンディリバル監督も「アトレティコは敵のミスを誘い、それを利用する。En Liga pasó lo mismo/エン・リーガ・パソ・ロ・ミスモ(リーガでも同じことが起きた)」と言っていましたが、リーガ2節前の対戦同様、最後は快勝のスコアになってしまったから、何ともありがたいじゃないですか。 ▽いえ、私も19分まで、fondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏席)の応援団が来季からのクラブ紋章のデザイン変更に反対する抗議行動で、ただでさえ、観客の少なかったスタジアム中に静けさが漂っていた時はどうなることやらと気が気ではなかったですけどね。24分にコケのFKから入ったサビッチのゴールがオフサイドで取り消された3分後、今度は同様のFKからヒメネスがヘッド。これに飛び出したGKジョエルのミスを突いて、グリーズマンが頭でゴールをゲットしてくれます。後半は後半で、第2FWとして先発したカラスコが59分に疾走、ゴール左前まで来ていざシュートとなった時、ガルベスとピニャに軌道を塞がれて、2度も失敗していたのには呆れましたが、こぼれ球をコレアが素早く押し込んでくれたため、無事に2点目もゲットすることに。 ▽さらに67分にはまたしてもセットプレーが成功したんですが、この時はコケのCKをヒメネス、グリーズマンと頭で繋いで、最後はコレアから代わったガメイロがやはりヘッドでフィニッシュ。これでもう3-0ですからね。ヒメネスなどは「No está cerrado, cualquier equipo en LaLiga te puede hacer tres goles/ノー・エスタ・セラードー、クアルキエル・エキポ・エン・ラ・リーガ・テ・プエデ・アセール・トレス・ゴーレス(まだ勝負はついていない。リーガのどのチームでもウチから3点取れるんだから)」なんて、ちょっと情けないことを言っていましたが、シメオネ監督はもう十分と踏んだんでしょう。 ▽その後はカラスコやガイタンに代え、ガビやゴディンをピッチに入れて、通常以上に攻撃的だった布陣を引き締めていましたが、アウェイゴールを与えなかったのは大正解。おかげで乾貴士選手は出ていたものの、負傷者が多く、あまり反撃に人員をかけられなかったメンディリバル監督も「Es muy difícil hacerles un gol, más, tres/エス・ムイ・デフィシル・アセールレス・ウン・ゴル、マス、トレス(彼らから1点を取るのは大変、まして3点なら)」とどこか、諦めモードになってくれていましたし、彼らには週末にバルサ戦も控えていますからね。イプルア(エイバルのホーム)での2ndレグは、あまりアトレティコが体力を使う必要ない試合になってくれる? ▽だって、この日曜日にはサン・マメスでアスレティックに挑まないといけないシメオネ監督のチームなんですよ。しかもミッドウィーク中は努めて忘れるようにしてはいますが、現状は首位のお隣さんと、消化試合が1つ多い状態で勝ち点差6の4位。2位のバルサとも5差、3位のセビージャとも4差、その上、5位には2差でレアル・ソシエダ、6位には3差でビジャレアルが迫っているとなれば、決して落ち着いていられる事態ではないのは明白でしょう。うーん、木曜日にコパ1stレグでバルサに0-1で負けたソシエダはメッシに2枚目のイエローカードが出なかったことなどもあって、2ndレグでのリベンジに燃えているでしょうから、セルタと当たる今節は気にしなくてもいいかもしれませんけどね。 ▽プランデッリ監督が昨年末、いきなり辞めてしまった後、再び暫定監督を務めていた、本職、チーム付き役員のボロ氏が正式にシーズン末まで引き継ぐと決まったバレンシアと対戦するビジャレアルは勝つかもしれませんし、それより何より、アスレティックは今週、試合をしていませんからね。たとえ、エースのアドゥリスと司令塔のベニャトが出場停止でも、決して軽視していい相手ではないかと。そんなアスレティックvsアトレティコ戦は日曜日午後4時15分キックオフ。金曜日のレサマ(アスレティックの練習場)は雪に覆われて、チームも室内トレーニングしかしていませんでしたが、この週末もまだ寒波が続くスペイン。積雪で延期になる試合がないといいのですが。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.21 12:55 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】熱いプレーで勝つのが最高だけど…

▽「そうか、もうコパがないのは楽よね」そんな風に私が納得していたのは月曜日。週末のリーガが終わった後、世間がこぞって優勝候補に祭り上げていたセビージャの先の予定を見ていた時のことでした。いやあ、確かに順位表の上では首位と勝ち点1差になったとて、レアル・マドリーはクラブW杯参加で延期したバレンシア戦が未消化のため、実質4ポイントあるようなものなんですけどね。この2週間~4週間もリーガの上位4チーム中、セビージャだけがミッドウィークを休めることに。その上次は最下位のオサスナと対戦となれば、今週末の日曜日からの7日間で3度もバスク(スペイン北部)遠征に駆り出されるアトレティコなど、どんどん差をつけられてしまう危険すらある? ▽ファン心理では、ビルバオ近辺でミニキャンプでも張って、アウェイへの移動時間を節約し、最近のパッとしない試合内容を改善する練習をしてほしいのですが…。選手たちだって、1週間も家族の待つ自宅に帰れないのは辛いだろうと、シメオネ監督は2日おきに3往復、計2344キロメートルを走破することを決定。おまけに良いんだか、悪いんだか、このところ勝つだけは勝っているため、今以上の努力は必要ないと思ってしまうのも人情なんですが…。ただ、このままセビージャに突っ走られたら、目標の3位フィニッシュが危うくなってしまうかも。 ▽まあ、その辺はまだ心配するには早いので今は置いておいて。先週末のマドリッド勢がどうだったかをお伝えしないといけません。土曜日は午後1時からの早い時間帯でマドリッドの新弟分、レガネスがブタルケにアスレティックを迎えたんですが、ベネズエラ人MFのマチスが4回程、GKイライソスと1対1のチャンスを掴みながら、その全てに失敗。おかげで最後まで点を取ることはできなかったのですが、相手も水曜日のコパ16強2ndレグでバルサに逆転負けを喫したショックがあったかのか、そのまま最後はスコアレスドローで終わることに。 ▽いえ、それでもアスレティックのエース、アドゥリスと司令塔のベニャトにイエローカードを出させて、次のアトレティコ戦に累積警告で出場停止という貢献はしてくれたんですけどね。結局、これで昇格1年目の今季前半はレガネスのホームで1勝止まり。降格圏との差は勝ち点5差になったものの、すぐ下の17位につけているバレンシアとはたったの1差になっていまいましたっけ。 ▽そして同日の夕方にはビセンテ・カルデロンに向かった私でしたが、その間にバルサがラス・パルマスに5-0と大勝。それだけに、8分にこぼれ球を拾ったガイタンの足から先制点が生まれた時には場内のファンも大いに沸いたんですけどね。以降はただただ、気温の低下に合わせるように冷え込んでいくばかり。だって、アトレティコはほとんどチャンスを作れないどころか、時間が経つにつれてパスさえまっとうに繋がらなくなっていくんですよ。後半など、もうほとんど最初から1点差での逃げ切りを考えているように、プレーのリズムが落ちていく一方で、シュートなど、ガイタンと交代したカラスコがGKアダンの正面を突いた1本ぐらいだったかと。 ▽幸い相手のベティスに決定力がなく、数日前に髪をプラチナブロンドに染めたセバージョスは活発だったものの、ルーベン・カストロの数度に渡るシュートはGKモヤが処理して失点は免れていました。ただ、どんどん消極的になっていくホームチームには、とうとうpito(ピト/ブーイング)もスタンドからチラホラ聞こえるように。その件に関してシメオネ監督は、「とりわけ89分のコケのプレーだろう。敵エリア前でゴールに向かわず、クロスを上げないでボールをキープすることを選んだ。Me parecio fantastico/メ・パレシオ・ファンタスティコ(私には素晴らしく思えたね)」と言っていましたけどね。時間稼ぎのため、アディショナルタイムにグリーズマンをヒメネスに代えていた辺りからも、今のアトレティコは上位ではないチームが相手でさえ、なりふり構わずいかないと勝てないというのはちょっと悲しかったかと。 ▽そのおかげもあって1-0で試合は終了。リーガ3連勝とした彼らでしたが、どうやら開き直ってしまったようで、アトレティコの不遇時代にも詳しいキャプテンのガビなど、「A la gente le gusta que juguemos bien, pero sobre todo que ganemos/ア・ラ・ヘンテ・レ・グスタ・ケ・フゲモス・ビエン、ペロ・ソブレ・トードー・ケ・ガネモス(ファンはボクらがいいプレーをするのが好きだが、何より勝つのが好きなんだ)。2回続けてパスをミスると、イライラしたファンからブーイングも受けるけど、自分たちは慣れているよ」とコメント。 ▽いや、そこはパスミスに慣れたらダメでしょと、私も突っ込みたくなったんですけどね。「Lo más importante es ganar, el fútbol lindo ya llegará/ロ・マス・インポルタンテ・エス・ガナール、エル・フトボル・リンドー・ジャー・ジェガラ(一番大事なのは勝つこと。美しいサッカーもそのうちできるさ)」と言う、すでにアトレティコ2年目でスペイン語がペラペラになったモンテネグロ人のサビッチのように、楽観的に考えることも必要ですよね。 ▽そして翌日、シメオネ監督の「Alguna duda de que lo que importan son los resultados? Mira quién gana el Balón de Oro/アルグーナ・ドゥーダ・デ・ケ・ロ・ケ・インポルタン・ソン・ロス・レスルタードス?ミラ・キエン・ガナ・エル・バロン・デ・オロ(結果が大事だということに何か疑問があるかい? 誰がバロンドールを獲ったか、見てみればいい)」という言葉ももっともだなという思いに駆られました。というのも、この1月にコパ16強の2試合に続いての同カードとなったお隣さんのセビージャ戦を見たせいで…。最初は「Nos sorprendió la línea de tres de ellos/ノス・ソルプレンディオ・ラ・リネア・デ・トレス・デ・エジョス(相手の3人のラインにウチは驚かされた)」というサンパオリ監督同様、私もスタメンを知って、呆気に取られたんですけどね。 ▽そう、ジダン監督は「Había que cambiar después de jugar tres partidos en 10 días/アビア・ケ・カンビアール・デスプエス・デ・フガール・トレス・パルティードス・エン・ディエス・ディアス(10日間で3度目の対戦だから、変える必要があった)」と、今季はリーガでも多くのチームで見られるCB3人プラスSBのDF5人体制を採用。うーん、そこまで4人DFでコパ1stレグ3-0、2ndレグ3-3と負けていないのですから、素人目には別にヴァラン、セルヒオ・ラモス、ナチョを並べるまでもないかと思ったんですけどね。それにも関わらず、前半のマドリーの動きは美しかったことと言ったらもう。 ▽どの選手もワンタッチでスムースにボールを繋いでいくのに、私が前日の誰かさんのお寒いサッカーとは雲泥の差を感じてしまったのはともかく…。逆に「CBを1人減らし、ボランチを増やして、中盤の人数的優位を狙った」サンパオリ監督のセビージャも、「Increíble. En mitad de la cancha fue un pulpo tanto para recuperar como para jugar/インクレイブレ。エン・ミタッド・デ・ラ・カンチャ・フエ・ウンプウポ・タントー・パラ・レウペラール・コモ・パラ・フガール(信じられないほどだ。ピッチの真ん中ではボールを取り戻すのにもプレーを組み立てるにもタコのようだった)」とお褒めの言葉を賜ったエンゾンジを中心に、レベル的に負けていなかったのは凄いんですが。どちらも得点チャンスにはあまり結び付けられずにハーフタイムを迎えることに。そういう意味では、マドリーにはルーカス・バスケスが、セビージャにはCFがいないのが響いていたのかもしれません。 ▽後半もしばらくは同じ展開だったのですが、形勢がマドリーに傾いたのは65分のこと。エスクデーロのミスからボールを奪ったカルバハルがエリア内に突入したところ、GKセルヒオ・リコが彼を倒してPKを宣告されてしまったから、セビージャの選手はもとより、サンチェス・ピスファンのスタンドがどんなに抗議したことか…。そのPKをラモスではなく、その日はもちろんクリスチアーノ・ロナウドが蹴る前に、「ちょっとバランスを崩してやろうと思って」と、ビトロがPKマークの辺りの芝を足で荒らしていたため、怒ったロナウドがボールを相手の背中にぶつけるという珍しい光景もあったんですが、当人への心理的に影響はまったくなし。キックはしっかり決まって、マドリーが先制点を奪ったんです…。 ▽でも、本当にこの試合は“逆”という言葉が相応しい出来事が多かったんですよ。木曜日のコパでは3-1にされても諦めなかったのはマドリーでしたが、その日の彼らは「después del gol nos hemos relajado/デスプエス・デル・ゴル・ノス・エモス・レラハードー(ゴールの後、ウチは気を緩めてしまった)」(マルセロ)ようで。中には「no hemos sabido menejar los tiempos del partido/ノー・エモス・サビードー・マネハル・ロス・ティエンポス・デル・パルティードー(ボクらは試合の時間をコントロールすることを知らなかった)」(ラモス)という意見もありますけどね。そこは天下のマドリーですから、恥ずかし気もなく1点を守り倒すお隣さんとは心構えが違っていても仕方ない? ▽実際、それ以上に失点にも気落ちせず、ヨベティッチ、サラビアとアタッカーをつぎ込んだサンパオリ監督のチームの熱意が勝ったとも言えますが、85分には先日の試合で同じような時間帯に物議を醸すPKゴールを決めたラモスが再び得点。ただし、この日は方向が逆で、サラビアのFKを小柄なイェデルに先んじてヒットしようと、ヴァランを押しのけてジャンプした弾みにGKケイロル・ナバスを破ってしまったから、さあ大変! いやもう、キックオフ前から悪口のカンティコ(節のついたシュプレヒコール)やブーイングを彼に浴びせるのに余念のなかったセビージャファンたちも、これには拍手喝采するしかなかったかと。 ▽そしてさらにマドリーの専売特許である奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)はアディショナルタイム2分のことですよ。今度はカルバハルからスローインを受け取ったベンゼマが、ビトロにボールを奪われそのパスがヨベティッチの下へ。するとエリア外から撃ったシュートがナバスの手を弾いてネットに突き刺さり、土壇場でセビージャに決勝点が入るなんて!! いや、マドリーがそれをやるのは私も見慣れているんですけどね。まさか、逆に敵にやられる日が来るなんて、思ってもみませんでしたっけ。 ▽うーん、確かに2-1で負けてしまえば、せっかくの無敗試合もスペイン新記録となった40となった途端に終わりですし、あれだけいいプレーをしたのも意味なく思えてしまえなくはないんですけどね。マドリーに「Le ha faltado cinco minutos/レ・エ・ファルタードー・シンコ・ミヌートス(足りなかったのは5分間)」というジダン監督は、「Sabíamos que iba a pasar un día de estos/サビアモス・ケ・イバ・ア・パサール・ウン・ディア・デ・エストス(こういう日の1つでは起こるだろうことはわかっていた)」と、記録が途絶えたことには達観していたものの、せっかくベンチにはルーカス・バスケス、モラタ、アセンシオ、マリアーノと強力なアタッカーが揃っていながら、クロースをコバチッチに代えただけで、交代枠を使い切らなかったのにはちょっと後悔が残るかと。 ▽まあ、彼らにはあまり悔やんでいる時間もないんですけどね。というのもこの水曜日午後9時15分(日本時間翌午前5時15分)にはコパ準々決勝1stレグのセルタ戦が控えているからで、相手もこの週末はアラベスを1-0で破り、コパ16強対決のバレンシア戦含め、今年になっての4試合全勝中と好調を維持。昨季など、うっかり者のマドリッドのライバルが同じ準々決勝で後れを取ったなんて前例もあるため、絶対的に彼らの方が格上だとしても油断は禁物です。ただ、月曜日のバルデベバス(バラハス空港の近く)での練習では、前節のグラナダ戦で打撲を受けてこのセビージャ2連戦にはお休みしたイスコも合流していたようですし、ローテーション好きのジダン監督はまた前線のメンバーを変えてくるかもしれませんね。 ▽一方、木曜日午後7時15分(日本時間翌午前3時15分)から、同じコパでエイバルをカルデロンに迎えるアトレティコも日曜日を休養日にした後、月曜日の夕方から練習を再開。しかしセッション開始から20分でマハダオンダ(マドリッド近郊)の施設がapagon(アパゴン/停電)に見舞われるという逆境が…。その後、数分だけ復旧したようですが、またグラウンドの灯りが消え、ジムも同様だったため、選手たちは真っ暗なロッカールームで着替えて、家路をたどることになったとか。うーん、これでまた、火曜日と水曜日の練習だけでやはり、前節はスポルティングに2-3と勝利。セルタに続く9位と、そこそこのところに付けているチームを相手にするのは気が重いんですが、今は辛抱の時。いくら寒いスタンドで彼らのプレーを見るとますます寒くなっても、何とか勝ってくれれば、応援する甲斐はあるってもんですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.17 13:20 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】ヒヤヒヤさせられたものの…

▽「またお客が集まらなさそうな対戦になって可哀想」そんな風に私が同情していたのは金曜日、コパ・デル・レイ準々決勝の組み合わせ抽選の結果を知った時のことでした。いえ、今年は珍しく、この段階になってもマドリーダービーもクラシコ(伝統の一戦、レアル・マドリーvsバルサ戦のこと)も生まれず、4試合のどれもビッグマッチとは言えないんですけどね。12月には1部のエスパニョールを破って16強に進出したマドリッドの2部の弟分、アルコルコンは先週の1stレグでスコアレスドローだった後、この水曜にはアウェイで2-1と同じカテゴリーのコルドバを破って、初の8強入りという大手柄を達成。次こそ、人気チームをサント・ドミンゴ(マドリッド近郊にあるアルコルコンのホーム)に迎えてチケット完売と、フロントも意気込んでいたはずなんですけどね。 ▽それが今回もクジ運に見放されたか、昨季まで一緒に1部昇格を争っていたアラベスと当たってしまうとは、いえ、その分、突破の可能性は高まったのは決して否定しませんよ。と言ったって、他の組み合わせがレアル・ソシエダvsバルサ、マドリーvsセルタ、アトレティコvsエイバルとなれば、一発勝負の決勝はともかく、それこそマドリーと当たって、アルコルコナソ(2009年のコパ32強対決でペレグリーニ監督率いるマドリーを総合スコア4-1でアルコルコンが破った大番狂わせのこと)の再現でもあれば別ですが、ほとんど準決勝を勝ち抜ける可能性はないかと。だったら、ファンも選手も望んでいたであろう、スター選手たちと対戦ができた方が良かったんじゃないかと思ったんですが、なかなか上手い具合にはいってくれないようです。 ▽まあ、それは来週の話なので、今は置いておくことにして、先にマドリー2強の16強対決2ndレグがどうだったかをお伝えしておかないと。先週に続き、火曜に試合をしたのはアトレティコで、実を言うと、こちらも1stレグで0-2と勝っていたせいもあったのか、ビセンテ・カルデロンのスタンドはかなり寂しい様相を呈すことに。ただ、ゲームの方は前半こそ地味だったものの、後半はかなり忙しい展開で、いえ、4分にガイタンがエリア内右奥から出したラストパスをグリースマンがシュート、本人3試合連続となるゴールを決めた時には完全に勝負がついたと誰もが思ったんですけどね。 ▽12分にリバヤにゴディンが後れを取り、同点ゴールを入れられても、その4分後にはコレアがGKとの1対1を制して2点目ゲットと、順調だったアトレティコでしたが、試合終了間際に事態が急変。ええ、すでに勝負の行方が見えていたせいで、選手たちが油断してしまったのもいけなかったんですが、残り1分にリバヤが自身2点目を挙げたラス・パルマスはロスタイムにもビエラのクロスをマテオが決め、その試合のスコアを2-3に。おかげでステイン監督も「si llegamos a evitar los suyos podía haber estado más abierto/シー・ジェガモス・ア・エビタル・ロス・スジョス・ポディア・アベール・エスタードー・マス・アビエルト(相手のゴールを避けられていたら、もっと可能性があったろう)」と後で嘆くことになったんですが、何はともあれ、結果を引っくり返される前に審判が終わりの笛を吹いてくれたのは助かりましたっけ(総合スコア4-3)。 ▽え、それでもシメオネ監督は「Es mas positivo estar en cuartos que lo negativo de la derrota/エス・マス・ポシティボ・エスタル・エンクアルトス・ケ・ロ・ネガティボ・デ・ラ・デロータ(準々決勝にいられることの方が、敗戦によるネガティブな面よりポジティブ)」と、あまり失点を気にしていなかったようじゃないかって?そうですね、途中、左SBで先発したルーカスが太ももの筋肉痛で交代を余儀なくされ、ガビを入れて、中盤の右サイドでスタートしたファンフランを回すといったアクシデントもありましたしね。ゴディンやこの日はCBに戻ったヒメネスらの守備ミスもあったものの、とりあえず、ここを凌いだことで、準々決勝ではリーガの前節で0-2と勝ったばかりのエイバルが相手となりましたし、今週末もリーガの相手はベティスと、それ程の難敵ではなし。 ▽更にその土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からの試合では、このコパ2ndレグを風邪で欠場したガメイロやアキレス腱の負傷がようやく治ったカラスコも戻ってきますし、最近はガイタンもいい働きを見せてくれますからね。トマスがアフリカ・ネーションズカップのために不在、チアゴもまだヒザを故障中と中盤の人材が不足しているのは変わりませんが、せっかく先週末は4位まで上がったリーガですから、ベティス戦でも手堅く勝ち点3を稼いで、3位のバルサにこれ以上、離されないようにしてもらいたいものです。 ▽そして木曜にはお隣さんの試合だったんですが、1stレグではマドリーが3-0で勝っていたものの、興奮度ではこちらの方が遥かに上だったかと。だってえ、サンチェス・ピスファンを満員にしたファンを背に、前半9分にはもうセビージャが1点目を入れているんですよ。実はそれってオウンゴールで、サラビアのクロスをイボラの前でクリアしようとしたダニーロが見事なヘディングで決めたんですが、その後もまったく敵は攻撃の手を緩めず。1-0のままでハーフタイムに入ったのが奇跡のようでしたが、大丈夫、後半開始すぐにセビージャのCKから、GKカシージャのパンチングを拾ったアセンシオが敵エリアまで83メートルを13秒で疾走。最後は1人、追いついたビエットもかわし、そのシュートがGKソリアに当たって同点ゴールになってくれるのですから、有難いじゃないですか。 ▽相手にとっては致命的なマドリーのアウェイゴールでしたが、その日のセビージャは後ろを振り返らないことに決めていたんでしょうかね。9分にはエスクデーロがクロスを上げると、前半終了間際に負傷交代したホアキン・コレアの代わりにピッチに送り込まれた、インテル・ミラノからレンタル移籍してきたばかりのヨベティッチがvolea(ボレア/ボレーシュート)でゴールに。夢のようなデビューを飾りましたが、32分にも彼らはイェデルのシュートをカシージャがこぼしたところをイボラが押し込んで、スコアが3-1になったから、こちらも緊張したの何のって。 ▽だってえ、その日のマドリーは先週の結果に自信を持ったか、クリスチアーノ・ロナウドとモドリッチを連れて来ず、ハメス・ロドリゲスやイスコもケガでお休みだったんですよ。そのすぐ前に、パッとしなかったモラタに代わってベンゼマが入っていたとて、サンパオリ監督も後で「Tuvimos entre 13 y 15 ocasiones claras de gol/トゥビモス・エントレ・トレセ・イ・キンセ・オカシオネス・クラーラス・デ・ゴル(ウチには13から15回のはっきりしたゴールチャンスがあった)」と言っていたように、セビージャの勢いがこのまま続けば、あと2点ぐらい平気で取っちゃうかもしれないじゃないですか。 ▽その最悪のケースに到った場合、誰が逆転のゴールを決めてくれるんだと心配になったんですが、いえいえ、他の選手たちも侮ってはいけません。まず38分には、ビエット同様、アトレティコからレンタルでセビージャにお世話になっているクラネビテルがエリア内でカセミロを倒し、PKを献上。うーん、この時、セルヒオ・ラモスがベンゼマからボールをもらっていたのには、ロナウドもベイルも、ハメスすらいないのをいいことに、またキャプテン権限で主役を張るつもりなのかなと思った私でしたけどね。 ▽どうやら当人にはそれ以上の思惑があったようで、パネンカ風のPKを決めた後のパフォーマンスの凄かったことといったら、もう!ええ、ゴールを入れた側に陣取るビリス(セビージャのウルトラグループ)に向かって、自分の背中のネームを指したり、耳に手を当てて挑発したかと思えば、他の方向には両手を頭上で合わせてお詫びのポーズ。ラモスによると、「En ningún momento falté respeto a la afición/エン・ニングン・モメントー・ファウテ・レスペト・ア・ラ・アフィシオン(ファンに対しては一瞬もリスペクトを欠いていない)。実際、正面席とゴール裏南側には謝った。ボクを侮辱したり、もめたりしない人たちだからね」というのが、そのジェスチャーの理由だったそうですが、何ともややこしかったせいでしょうかね。正直、セビージャファンの大部分は怒っていたように見えましたよ。 ▽それでもビリスのスタンドから、飛んできたペットボトルが彼に当たらなかったのは幸いでしたが、どうやら同じビッグクラブへの移籍組ながら、ラモスには「A Rakitic o Alves se le reciben como dioses. Conmigo, insultan a mi madre/ア・ラキティッチ・オ・アラベス・セ・レ・レシベン・コモ・ディオセス。コンミーゴ・インスルタン・ア・ミ・マドレ(ラキティッチやダニエウ・アウベスはまるで神様のように迎えられるのに、ボクは母親を侮辱される)」という不満もあったよう。うーん、ラモスの時は当時のデル・ニド会長に悪く言われたり、契約破棄金額を払っての移籍だったりしたのもありますが、アウベスとラキティッチはセビージャにタイトルをもたらしてからの栄転だったという背景もありますからね。 ▽自分だけが悪役にされているという被害者意識もいかがなものかとは思いますが、優しいジダン監督は「No estoy contento y Ramos tampoco, no es agradable que te insulten/ノー・エストイ・コンテントー・イ・ラモス・タンポコ、ノー・エス・アグラダブレ・ケ・テ・インスルテン(自分もラモスも満足はしていない。侮辱されるのは気分のいいものではないよ)」と部下をフォロー。ただ、こうなると心配なのはこの日曜、リーガでのセビージャ戦で、マドリーはまたサンチェス・ピスファンに来ないといけませんからねえ。ラモスも毎回、ゴールを入れる訳ではないですが、イボラも「Lo bueno es que dentro de tres días hay revancha/ロ・ブエノ・エス・ケ・デントロ・デ・トレス・ディアス・イ・レバンチャ(3日後にはリベンジできるのはいいことだ)」と言っていたように、きっとまた激しいブーイングに耐えないといけないんでしょうね。 ▽え、この時点で試合のスコアは3-2、総合スコアでは勝っているけど、マドリーの無敗記録は39試合で途絶えてしまったのかって?いやあ、それがあのチームの凄いところで、remontada(レモンターダ/逆転劇)の主役の常連、ラモスはPKパフォーマンスで満足したか、その後は静かだったんですが、ロスタイム2分にベンゼマが得点。それもマルセロとtaconazo(タコナソ/ヒールキック)ワンツーをして、エリア内に持ち込むと、最後はやはり、この日セビージャデビューをしたCBレングレに当たって軌道が変るシュートで同点ゴールを決めてしまったから、ビックリしたの何のって。 ▽ええ、これでスコアは3-3。そのまま試合が終了したため、ジダン監督は40試合の連続無敗スペイン新記録を達成することに。いやあ、まったくその辺は伝統のレモンターダ根性はダテではないというか、アトレティコに比べて、しっかりしているというか、感心するしかないんですけどね。日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からの試合では、今度はロナウドを含めたベストメンバーで挑むことになると思いますが、果たしてこの記録、どこまで伸びるのやら。うーん、セビージャもお休みしたエンゾンジやマリアーノ、”ムード”・バスケスらが出て来るはずですが、常識的には消化試合のはずだったコパでさえ、このエキサイトぶりとなると、勝ち点差は4ながら、1位と2位のガチンコ対決となるリーガ戦はどんな凄い有様になるのか、誰にもわからないかと。 ▽何だか、私も見るのが怖くなってきますが、順位的にはコパは敗退済みで、今週はずっと練習に励むことができたレガネスがアスレティックをブタルケに迎える土曜の試合もかなり重要。というのも、前節で引き分けたバレンシアが勝ち点3に迫っていて、下手をすると、レガネスは降格圏ギリギリの17位まで落ちてしまう恐れがあるから。いえ、相手は水曜にカンプ・ノウでバルサとコパ16強対戦の2ndレグを戦い、しかも3-1で負けて、総合スコア3-4の逆転敗退という精神的ショックも受けているんですけどね。とはいえ、エースのアドゥリスは後半まで温存されていましたし、まだそんなに冬期市場での補強が進んでおらず、得点力の低いマドリッドの弟分には厳しい戦いになるかと。 ▽それでも彼らは幸いGKだけは獲得していて、12月に緊急加入したエレリンがレンタル元との契約条項で出場できなくても、前節のベティス戦に続いて、これが2試合目となるアルゼンチンから来たシャンパネが頑張ってくれるはずですが、いい結果が出せるかどうか。何せ、あと2試合でシーズン前半戦もお終いですからね。できれば、今週こそ、1部でのホームゲーム2勝目を挙げて、なるたけ危険なゾーンから離れた位置で折り返してくれると、私も嬉しいんですが…。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.14 09:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】今は地道に勝っていくしかない…

▽「このまま独走されたら、たまらないなあ」そんな風に私が愚痴っていたのは月曜日、リーガ第17節後の順位表を見てのことでした。いやあ、クラブW杯のせいでバレンシア戦を延期したレアル・マドリー以外、全ての上位チームが白星で揃い踏みした去年最後の節とは違い、先週末はレアル・ソシエダやビジャレアルが勝てなかったため、アトレティコも何とかヨーロッパリーグ出場圏の6位から、CLのプレーオフに出られる4位まで上がることができたんですけどね。首位に君臨しているお隣さんもしっかり勝ったため、結局、消化試合が1つ多い状態で勝ち点差9という根本はまったく変わりがないんですから、ちょっと私が空しくなってしまっても仕方ない? ▽とはいえ、そのマドリーが珍しく午後1時という、昼間の時間帯に当たった土曜の試合の相手は降格圏にいるグラナダでしたからねえ。ちょうどその前日はDia de los Reyes Magos(ディア・デ・ロス・レジェス・マゴス/東方三賢人の日、スペインでは子供たちがプレゼントをもらう習慣がある)だったため、サンティアゴ・ベルナベウを訪れた家族連れも選手たちが贈り物をしてくれるのを期待していたかと思いますが、お愉しみはキックオフ前にクリスチアーノ・ロナウドが昨年、受賞したバロンドールのトロフィーを披露しただけに留まらず。ジダン監督も先週ミッドウィークのコパ・デル・レイ16強対戦1stレグと打って変わって、ロナウドとベンゼマを惜しげもなく先発で起用したんですが、ただし、前半13分に先制点で早くもスタンドを沸かせてくれたのは、BBCの負傷メンバー、ベイルの代わりに前線に入ったイスコでした。 ▽ええ、ベンゼマからパスを受けて、エリア内から撃ったシュートがGKオチョアを破ったんですが、これなどはまだ序の口すぎず、続いて21分にも、今度はモドリッチのシュートが弾かれたところをベンゼマが押し込んで2点目をゲット。更に27分にはマルセロのクロスをロナウドがヘッドで叩き込んだかと思えば、それから4分後には再びイスコがモドリッチのキラーパスにゴール前で合わせ、気が付けば、30分強で4点差のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)になっているとなれば、2シーズン前、やはりお昼の試合で9-1の大敗を喫した悪夢を思い出していたグラナダ関係者も多かったかも。 ▽それでもハーフタイムの後は、グラナダが「Los segundos 45 minutos teniamos que competir como si fueramos 0-0/ロス・セグンドス・クアレンテアイシンコ・ミヌートス・テニアモス・ケ・コンペティール・コモ・シ・フエラモス・セロ・ア・セロ(後半45分間、ウチは0-0であるかのように競わなければならなかった)」と意地を見せたため、追加点は13分、クロースと交代で後半から出場したハメス・ロドリゲスの蹴ったFKをカセミロが決めた1点だけに留まったんですが、最終スコアは5-0ですからね。おかげで昨年から続いている公式戦無敗も39試合となり、ルイス・エンリケ監督がバルサで作ったスペイン最長記録に並んだとなれば、ジダン監督が「Es nuestro mejor momento desde que soy entrenador/エス・ヌエストロ・メホール・モメントー・デスデ・ケ・ソイ・エントレナドール(自分が監督となって以来、ウチの最高の瞬間)」と喜んでいたのも当然だったかと。 ▽え、先日のコパ・デル・レイ16強対戦1stレグ、セビージャ戦もそうだったけど、今年のマドリーは前半から、随分、飛ばすようになったじゃないかって?そうですね、「El mister nos pide que presionemos arriba y como estamos bien fisicamente podemos/ル・ミステル・ノス・ピデ・ケ・プレシオネモス・アリバ・イ・コモ・エスタモス・ビエン・フィシカメンテ・ポデモス(監督は高い位置でのプレスを頼んでいて、ボクらもフィジカルがいい状態だから、それができるんだ)」とモドリッチも言っていたように、クリスマスのバケーション後、ミニプレシーズンとして、ピントゥス・フィジカルコーチに課された体力アップメニューがいい結果を出しているのだとか。 ▽それだけでなく、そのセビージャ戦で2ゴールを挙げたハメス・ロドリゲスに続き、この日も同じ控え組のイスコが2得点と、どちらもベイルの長期離脱で回ってきたチャンスをしっかり生かしてくれているとなれば、ジダン監督も笑いが止まらないかと思いますが、次に控えているのは木曜にはコパの2ndレグ、そして日曜にはリーガでサンチェス・ピスファンに乗り込むセビージャ2連戦。何せ、相手は年明け最初の試合で3-0とマドリーに一蹴された悔しさをバネにしたか、同じ土曜にはレアル・ソシエダを0-4で粉砕。実のところ、彼らは昨年12月からハットトリックラッシュで、イボラ、ビトロと続いた後、3部のフォメンテラとのコパ32強対決2ndレグでビトロと共に3得点を挙げたイェデルがソシエダ戦でまたハットと、固め撃っているため、カシージャ、ケイロル・ナバスの両GKも決して油断はできないかと。 ▽そこへ加えて、日曜にはバルサがビジャレアルとメッシのFKゴールで1-1と引き分けるのに留まったため、セビージャがリーガ2位に上昇し、勝ち点差は4あるものの、今やマドリーに一番近いライバルとなったとなれば、日曜は大いに盛り上がること間違いなしなんですが、まあ、木曜午後9時15分(日本時間翌午前5時15分)キックオフのコパ2ndレグはねえ。よっぽどのことがない限り、1stレグの3点差が引っくり返されることはないはずですし、どちらもリーガの決戦に備えての予行演習みたいになるかもしれませんね。 ▽一方、そのマドリーの次の時間帯でエイバルに挑んだアトレティコはどうだったかというと。うーん、こちらもまだ日の出ているうちの試合だったんですが、スペイン北部のためか、イプルアのピッチが半分凍結。それは元々、ボール扱いに長けている訳ではないアトレティコの選手たちには関係なかったようですが、前半は地の利のある相手に圧倒されてしまうことに。このところ、シメオネ監督が実験を続けていたヒメネスがボランチとして先発デビューしたため、実質、CB3人状態となり、何とか失点こそ免れていましたが、この日、ガメイロに代わってCFに入ったフェルナンド・トーレスもチャンスには恵まれず、両チーム無得点のまま、ハーフタイムに入ります。 ▽後半の頭からは、「Veia que Inui estaba bien/ベイア・ケ・イヌイ・エスタバ・ビエン(乾選手が良かった)し、イエローカードをもらっていたから、退場で選手を失う危険を犯したくなかった」(シメオネ監督)という理由でブルサリコをファンフランに代えたアトレティコでしたが、ようやく8分には先制点を奪うのに成功。そう、コケの蹴った短いCKから、フィリペ・ルイスが上げたクロスをサウルがヘッドしてゴールに。リプレーではオフサイドの位置にいた彼ですが、線審に見咎められなかったため、スコアボードに上がってくれたのは幸運でしたっけ。 ▽おかげで少し余裕のできたアトレティコは29分にもカウンターから、グリースマンがトーレスの代わりに入ったガメイロとの連携で2点目を追加。先日のコパ16強対戦1stレグ、ラス・パルマス戦に続いての得点ですが、これでリーガでも去年の10月2日以来となるゴール日照りから脱却となれば、試合後、「Dependemos mucho del estado de forma de Griezmann/デペンデモス・ムーチョ・デル・エスタード・デ・フォルマ・デ・グリースマン(ウチはグリースマンの状態に大きく頼っている)」と認めていたシメオネ監督もどんなに安心したことか。 ▽結局、そのまま失点はせず、0-2で手堅く勝利したアトレティコは目標の3位まであと一歩と迫ったんですが、2017年を1分け1敗で始めたバルサもそうそう、不調のままではいないでしょうからね。勝ち点差も4あるため、ここを逆転するには少々、時間がかかるかもしれませんが、まあ、こればっかりは気長に勝ち続けていくしか、手立てはありません。何にせよ、今週はまず、火曜の午後9時15分からラス・パルマスとのコパ16強対戦2ndレグが控えている彼らなので、先週、0-2で勝利した1stレグの成果をムダにせず、しっかり準々決勝進出を決めてもらいたいものです。 ▽そして週末には土曜にベティスをビセンテ・カルデロンに迎えて、再びリーガ順位の改善を目指す彼らですが、残念なことに、今季のカレンダーでは常に兄貴分の相手に先んじて当たるレガネスは日曜の試合で2-0と負けてしまうことに。いえ、出場停止のエレリンの代わりに移籍早々、スタメンに入ったGKチャンパネはまずまずの出来だったんですけどね。後半にルーベン・カストロとピッチーニにゴールを浴び、味方の反撃も実らなかったため、デビュー戦を白星で飾ることはできませんでしたっけ。ただ、彼らはマドリッドの先輩たちと違い、すでにコパの重荷からは解放されているため、次の試合は土曜のアスレティック戦。 ▽世間の目がコパに向いているミッドウィークを心おきなく練習に費やせますし、相手は水曜にバルサとのコパ16強2ndレグ、しかも1stレグで2-1と勝利しているため、突破を決めようとカンプ・ノウで全精力を使い果たすはずですから、ホームで彼らを迎え撃つレガネスにも勝つチャンスはあるかも。何せ、現在16位で降格圏の外にいる彼らとはいえ、勝ち点差は4と、それ程余裕がある訳ではありませんからね。昨年中はブタルケで1勝しかできず、初のリーガ1部の晴れ舞台に張り切って応援に駆けつけているファンをあまり喜ばせてあげられなかったのも気の毒ですし、この新しい年は何とか運気が変ってくれるといいですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.10 12:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】忙しい月が始まった…

▽「主力が揃い踏みすればいいってもんでもないらしい」そんな風に私が首を振っていたのは金曜日。コパ・デル・レイ16強対戦1stレグの結果を眺めていた時のことでした。いやあ、ようやく2週間のクリスマス休暇が終わり、年明け最初の試合ではどのチームの選手も体力気力が十分に回復。元気満々で挑むものと思ったんですけどね。意外だったのは、年末最後のコパ32強対戦2ndレグ前からお休み入りしていたMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)プラス、ピケを並べて、サン・マメスでアスレティックと対戦したバルサで、ラウール・ガルシアとイトゥラスペの退場で9人となった相手にアドゥリス、ウィリアムスに先制された2点を最後まで返せず。メッシのFKゴールによる1点だけで、2-1と負けてしまうとは一体、どうしたことしょう。 ▽それと対照的だったのはレアル・マドリーで、長期離脱中のベイルはともかく、ジダン監督は元気なBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)のメンバーも温存。こちらはライバルが現在、リーガ3位と好調なセビージャですし、去年の公式戦は12月18日のクラブW杯決勝で終了。そこから即休暇入りと、他のチームより日数が空いていたため、titular(ティトゥラル/レギュラー)を並べても全然、おかしくはなかったんですが、前線をsuplente(スプレンテ/控え)だけで構成してもまったく差し障りがないのが、今のマドリーの凄いところかと。 ▽ええ、この結果なら、来週の2ndレグでも主力は次の週末、しかもそれがまた、サンチェス・ピスファンでのセビージャ戦というのは皮肉ですが、リーガの試合に向けてお休みさせることができますし、今週末の彼らは降格圏19位にいるグラナダと対戦ですからね。となると、昨季バルサが作ったスペイン勢の公式戦無敗記録39試合を抜いても、まだ当分、記録更新となりそうですが、もしかしたら、まだ対戦相手がわからないコパの準々決勝が山場になる? うーん、と言ってもまだ突破が確実そうなのはマドリー以外、1stレグでボロ暫定監督率いるバレンシアに1-4で勝ったセルタ、オサスナを0-3で破ってカパロス監督の解任を引き起こしたエイバルぐらいなんですけどね。ここにバルサとアトレティコが混じれるかは来週、ミッドウィークの試合を待たないといけないんですが…。 ▽え、それでもアトレティコはラス・パルマス戦の1stレグにベストメンバーを並べて、そこそこ満足いく結果を出しただろうって? まあ、その通りで、火曜日の一戦では24分にベルサリコのクロスを敵DFにクリアされたボールをコケがシュート、混雑したエリア内を通り抜けて決まった1点で先制。50分にはそのコケが起点となって、センターから放ったロングパスがブルサリコに届き、そのクロスをガメイロ、グリーズマンが頭で繋いで2点目を挙げてくれます。コケも後で「Nos ha venido muy bien este paron, a mi y a todos, para descansar/ノス・ア・ベニードー・ムイ・ビエン・エステ・パロン、ア・ミー・イ・ア・トードス、パラ・デスカンサール(ボクにも皆にも休息を取るのに、このお休みはとても良かった)」と言っていたように、これでようやく、去年の11月23日から続くグリーズマンのゴール日照りが解消されたのはありがたかったんですが、中にはガメイロのように相変わらず、チャンスをムダにし続けているFWもいたのはちょっと心配だったかと。 ▽それでも2週間前のリーガでの対戦同様、相手が「al final toda esa posesion no la hemos convertido en acciones de peligro/アル・フィナウ・トーダ・エサ・ポセシオン・ノー・ラ・エモス・コンベルティードー・エン・アクシオネス・デ・ペリグロ(結局、このボールポゼッションの全てをウチは敵に危険なプレーに繋げられなかった)」(ステイン監督)ため、前回よりは少しだけ進歩した0-2で勝利を収めたアトレティコでしたが、点を取った後もあまり気を緩めずに、「El equipo ha vuelto a ser solido, intenso/エル・エキポ・ア・ブエルトー・ア・セル・ソリドー、インテンソ(チームに堅固さとプレーの激しさが戻った)」(フィリペ・ルイス)のは褒めてあげないといけません。 ▽実際、昨年のコパ32強対決ギフエロ戦2ndレグや12月30日のサウジアラビアのアル・イテハドとの親善試合から、シメオネ監督が始めたファンフランを右中盤に上げ、右SBのブルサリコと併用、CBヒメネスの守備的ボランチとしての起用といった実験的布陣も上手くいっているようですしね。この調子でグリーズマンにゴールが戻ってきてくれれば、とりあえず来週火曜日の16強対戦2ndレグは無事乗り切れる? ちなみにそんなアトレティコは翌水曜日にビセンテ・カルデロンで公開練習を実施。スタンドに駆けつけた5000人のファンに胸を張って新年の挨拶をしたんですが、この週末には再び、厳しい現実を突きつけられることに。 ▽ええ、クリスマス期間は努めて忘れるようにしていましたが、現在彼らのリーガ順位はヨーロッパリーグ出場権しかもらえない6位。首位のお隣さんとは消化試合が1つ多い状態で勝ち点9差、2位のバルサとも6差ですからね。この土曜日午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのエイバル戦でも総力を挙げて、勝ち点3を獲っていかないといけないんですが、今のところ、まだアキレス腱を痛めて別メニューで調整しているカラスコは復帰できるか不明のよう。その他ではガメイロの代わりにフェルナンド・トーレスが先発CFとして入りそうですが、相手はコパのオサスナ戦でローテーションをかけているだけに、体力満々で出てくるだろうペドロ・レオンや乾貴士選手には気をつけないといけませんよね。 ▽そして水曜日の夜にはマドリーがサンティアゴ・ベルナベウにセビージャを迎えたんですが、最初にお話ししたようにロナウドは招集外、ベンゼマもベンチで待機させて、ジダン監督はモラタ、ハメス・ロドリゲス、アセンシオの3人のアタッカーで試合をスタート。それでも先制点を挙げるのに大して時間はかからず、開始10分にはカゼミロがエリア前でエンゾンジから取り戻したボールをハメスがゴール左端に決めて、あっさりゴールを奪ったかと思えば、その4分後にはモドリッチのchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)がポストを直撃する惜しいチャンスも生まれることに。 ▽更にこの日は今週になって左ふくらはぎを痛めたペペに加え、セルヒオ・ラモスもクラブW杯決勝こそ、無理をして出場したものの、その前から痛めていた筋肉の負傷のため、休んでいたんですが、29分にはクロースのCKをヴァランが頭で叩き込み、攻守両面でキャプテンの不在を感じさせない働きをしてくれたとなれば、続く絶好のチャンスでモラタがGKセルヒオ・リコに弾かれてしまったとて一体、何の不足がある? ▽逆に「En el primer tiempo fuimos sorprendidos por la intensa presión del Madrid/エン・エル・プリメール・ティンポ・フイモス・ソルプレンディードス・ポル・ラ・インテンサ・プレシオン・デル・マドリッド(前半、ウチはマドリーの強烈なプレスに驚かされた)」(サンパオリ監督)というセビージャはイボラやビトロのシュートが決まらず、ハーフタイム直前にはマリアーノがモドリッチをエリア内で倒してPKまで献上。これもハメスが決めて、3-0としたため、ジダン監督曰く、「Hicimos un partido casi perfecto, 45 minutos espectaculares/イシモス・ウン・パルティードー・カシー・ペルフェクトー、クアレンタイシンコ・ミヌートス・エスペクタクラーレス(ほぼ完ぺきな試合をした。スペクタクルな45分だった)」前半で、ほとんど勝負がついてしまいましたっけ。 ▽え、前線にはベイルがケガをして以来、代役を務めていたルーカス・バルケスも負傷していたため、あまりプレー時間の多い選手はいなかったものの、これは中盤をクロース、モドリッチ、カゼミロのベストトリオで固めたジダン監督の作戦勝ちだったんじゃないかって? そうですね、結局、セビージャは後半もチャンスは作ったものの点を取ることはできず、試合はそのままのスコアで終わったんですが、まだ年明け1戦目のため、「Hicimos uno de los mejores partidos del año/イシモス・ウノ・デ・ロス・メホーレス・パルティードス・デル・アーニョ(今年最高の試合の1つだった)」(カゼミロ)というのはちょっと気が早いような気がしますが、やはりこの3人が揃っていいプレーをしてくれたのは大きかったかと。 ▽ただ、この一戦で誰よりアピールに成功したのはハメスで、いえ、当人がピッチに出る機会のなかったクラブW杯決勝後に移籍を仄めかすようなコメントをしたため、元から注目の的ではあったんですけどね。それでもdoblete(ドブレテ/2得点のこと)で気分を良くしたか、試合後には「No, no, me quedo, me quedo/ノー、メ・ケド(いや、自分は残る)」とこの冬の退団を強く否定。「今のボクはいい感じだし、誰だって悪い時を過ごすことはあるさ。Pero es un año nuevo y una nueva vida/ペロ・エス・ウン・アーニョ・ヌエボ・イ・ウナ・ヌエバ・ビダ(でも今は新しい年だし、新しい人生だ)」とのことですが、そうですね。ジダン監督のローテーション政策を見る限り、コパの続く1月はプレー機会が増えそうですし、ハメスも不満を溜めることはないかも。 ▽それも土曜日午後1時(日本時間午後9時)からのグラナダ戦から、先発復帰を指揮官に保証されたロナウドやベンゼマ、すでにボールを使った練習を始めているルーカス・バルケスらが戻って来て、再びベンチ生活が続くとまた、その気がどう変わるかわからないんですが、FIFA処分のせいでこの冬の移籍市場では選手の新規登録ができないマドリーですからね。これから負傷者が増える可能性もありますし、まだ先の長いシーズン後半、今いる選手たちにはやる気を失わずに続けてもらうことが肝心。そういう点においても上手くチームを操縦しているジダン監督の手腕は評価されるべきですよね。 ▽そして新弟分のレガネスがベティスとアウェイ戦で日曜日に対戦して、マドリッド勢の年明け最初のリーガ戦が終わるんですが、コパでは32強対戦でバレンシアに敗退して、これが今年最初の試合となるアシエル・ガリターノ監督のチームには新年早々、新しいGKが加わるという朗報が。ええ、去年最後のエイバル戦でエレリンが退場となり、このベティス戦に出られないのがずっと懸念されていたんですが、正GKセランテスの長期離脱でアスレティックから緊急レンタルとなった彼同様、アルゼンチン1部リーグのオリンポ・デ・バイア・ブランカから加わった31歳のチャンパンもこの週末、到着早々のデビューとなるようです。現在、16位とまだ降格圏に近いレガネスですが、この試合に勝てば、14位の相手を追い抜くことも可能ですからね。幸先いい1年を始めるためにも白星を掴めるといいんですが…。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.07 08:45 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】ようやく休暇が終わった…

▽「まったく年の瀬だっていうのに忙しい」そんな風に私が首を振っていたのは金曜日、バレンシのプランデッリ監督辞任の報を知った時のことでした。いやあ、クリスマスのparon(パロン/休止期間)が始まって早々にはマラガのファンデ・ラモス監督が、コパ・デル・レイ32強対戦で2部のコルドバに2連敗、総合スコア3-6で敗退してしまったせいだったんでしょうかね。いきなりアル・タニ会長からツィッターで別れを告げられた後、この木曜には後任が同監督のスタッフを務めていたマラガOBでもある”ガトー”・ロメロ氏に決まったというニュースにも驚かされたんですけどね。 ▽予算的に期待通りの補強が叶わないと見て、ピーター・リン会長に辞表を出したプランデッリ監督の方はいよいよ、バケーションも終わってチームが練習を再開する直前の話だったとなれば、年明けは心機一転、レガネスを倒して進出したコパ・デル・レイ16強のセルタ戦1stレグも3日には控えていますしね。現在降格圏落ちをギリギリで免れているリーガ順位も改善しようと意気込んで、パテルナ(バレンシア郊外にある練習場)に出勤するつもりだった選手たちもどんなにショックだったことか。 ▽いえ、今季、4節でアジェスタラン監督が解任された時も中継ぎ役を務め、今回も後釜が決まるまで、緊急出動することになった本職、チーム付き役員のボロ監督は前回、担当した3試合を2勝1敗で乗り切り、過去にも同様の状況で常にいい成績を残しているため、再び彼が戻ってきてくれて、ファンがホッとしている面もあるはあるんですけどね。 ▽ただ、今季は早くも2度目の監督交代となったバレンシアは極端としても、グラナダ(パコ・ヘメスからルーカス・アルカラス)、オサスナ(エンリケ・マルティンからカパロス)、ベティス(グスアボ・ポジェからビクトル・サンチェス)、そしてマラガとまだシーズンも折り返していないのに、指揮官の首をすげ替えるチームはすでに5つ越え。私もようやくTV映像などで顔なじみなった頃、いつの間にか違う監督になっているのには当惑させられたりもしたものですが、未だにグラナダやオサスナが降格圏から脱出できてないように、上が代わったとて、選手たちは同じですし、なかなか即成績向上という訳にはいかないのは気の毒ですよね。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週はマドリッド勢も休暇が終わり、火曜からは先陣を切ってレアル・マドリーがバルデベバス(バラハス空港の近く)でセッションをスタート。バケーション前最後の試合が18日のクラブW杯決勝鹿島アントラーズ戦と、その次のミッドウィークにコパ32強対戦2ndレグを戦ったアトレティコやレガネスより早かったためですが、選手たちの中には、足首の手術をして、復帰予定が2月のベイルは当然としても、ペペやルーカス・バスケス、コバチッチら、まだ休暇前からの負傷が治りきっていないメンバーもいたとか。 ▽とりわけ後者2人は全治に2週間程かかるそうで、年明け4日の水曜日午後9時15分(日本時間翌午前5時15分)、リーガの上位陣対決となったセビージャとのコパ16強対決1stレグには間に合わないのが確定。まあ、といってもベイルの代わりのアタッカーにはイスコやアセンシオ、ハメス・ロドリゲスら、中盤も今はモドリッチ、クロース、カセミロが戻っているため、人材には事欠いていないマドリーですからね。2016年はCLとユーロ大会で優勝、バロンドールも受賞して最高の年になったと認めているクリスチアーノ・ロナウドも、自身のインスタグラムにクリスマソングをセミヌードで歌う姿を掲載(https://www.instagram.com/p/BOp9PdXAF9R/?taken-by=cristiano&hl=ja)したりして、相変わらずご機嫌なようですし、ジダン監督の無敗記録更新にはそれ程、支障ないような。 ▽ちなみに金曜の彼らは恒例のクリスマス期間に行う年1回の公開練習を実施して、バルデベバスの敷地内にあるアルフレド・ディ・ステファノ・スタジアムに5000人のソシオ(協賛会員)を招待。ピッチにジダン監督が獲得した3つのトロフィー(CL、UEFAスーパーカップ、クラブW杯)を展示したり、選手たちもスタンドにボールを投げ込むなど、ファンサービスに努めていたようですが、セッション後は全員がサンティアゴ・ベルナベウに移動すると、今季は日本行きがあったせいでしょうかね。例年より遅めのComida de Navidad(コミーダ・デ・ナビダッド/クリスマス昼食会)に参加することに。 ▽そしてクラブ幹部、マドリーのバスケットチームメンバーらも参加したパルコ(貴賓席)前ホールでのランチの後にはジダン監督、ラソ監督を始め、各選手が市内の病院を訪問し、病気の子供たちにプレゼントを配っていましたが、練習は大晦日も続行。ここ毎年そうなんですが、年明けすぐに試合があるため、元旦こそお休みしても、それ以外はずっとトレーニングというのは、コパを勝ち上がっていくと、1月中全てのミッドウィークが潰れるハードスケジュールに備えるためとはいえ、本当に大変ですよね。 ▽え、それで水曜夕方からマハダオンダ(マドリッド近郊)で練習を始めたアトレティコの方は何をやっているのかって?実はこちらは早くも試合をしていて、いえ、その28日はDia de Inocente(ディア・デ・イノセンテ/スペインのエイプリルフール)ということで、グリースマンがRNE(スペイン国営ラジオ)のドッキリ番組の犠牲者になったなんてこともあったんですけどね。おまけにアトレティコはマドリッド州政府のinocentada(イノセンターダ/嘘)の対象にもされ、「新スタジアムへの引っ越し手続き認定が間に合わず、来季はサンティアゴ・ベルナベウでレアル・マドリーと交代でホームゲームを行う」なんて公告がまことしやかにアップされていたりしたんですが、どうやらワンダ・メトロポリターノ・スタジアムから一番近いメトロ(地下鉄)の駅、7番線のエスタディオ・オリンピコ駅がエスタディオ・メトロポリターノ駅に8月から改名されるというのは本当のよう。 ▽それはともかく、翌木曜にも練習を続けた彼らは夜にはサウジアラビアに向けて出発。ジッダのキング・アブドゥラー・スタジアムを満員にして、創設90周年記念を祝うアル・イテハドと金曜に親善試合を行ったんですが、この休み明けの足慣らしではチームのいいところと悪いところがくっきり現れてしまうことに。 ▽ええ、バケーション入り直前のコパ、ギフエロ(2部B)戦に続き、再び右の中盤に入ったファンフランが前半23分、ガビのループパスを右足外側で浮かせてシュート。2試合連続のゴールで先制点を挙げてくれたのは、「Ha jugado toda la vida ahí/ア・フガードー・トーダ・ラ・ビダ・アイー(彼はずっとあそこでプレーしていた)し、常に攻撃的にいい選択肢を与えてくれる。今のブルサリコの好調と共にウチの右サイドに新しい可能性が生まれた」とシメオネ監督が言う通りなんですが、その1点で安心してしまうという、ここ最近のチームの悪癖は変わらず。 ▽うーん、年明けの連戦を鑑みて、ゴディンをこの遠征に連れて来なかったのも悪かったのかもしれませんけどね。前半終了直前、ケガから復帰したフィリペ・ルイスを含めて、ヒメネス、サビッチのCBコンビが敵に後れを取り、モハムド、アカイチに連続ゴールを許してしまうんですから、たまったもんじゃありません。それでも6人を入れ替えた後半には、今度はポジションをボランチに移したヒメネスが発奮。18分にはエリア内で敵のハンドを誘い、フェルナンド・トーレスのPKゴールのお膳立てをしたかと思いきや、26分にはコレアの放ったFKに頭で合わせ、とうとう逆転ゴールを奪ってくれたとなれば、シメオネ監督の実験も悪い結果ばかりではなかった? ▽結局、これで2-3として勝ったアトレティコでしたが、気になるのはこの日もグリースマンのゴールは見られなかったことで、もう無得点が2カ月近く続いていますからね。年明けには運気が変わって、また以前のようにガンガン、ゴールを入れてくれるようになるといいんですが、こればっかりはわかないのが辛いところかと。試合後、すぐ帰りの飛行機に乗ったチームは5時間のフライトを経て、早朝5時にバラハス空港に到着。大晦日も練習して、3日午後9時45分(日本時間翌午前5時45分)からのコパ16強対決、アウェイでのラス・パルマス戦1stレグに備えることになりますが、ジッダといい、カナリア諸島といい、暖かいところでの試合が続くのは、選手たちもちょっと嬉しいかもしれませんね。 ▽そして最後にコパの重荷から逃げることがマドリッドの新弟分、レガネスなんですが、こちらは年明け最初の試合が8日のリーガ、ベティス戦ということで、練習再開も木曜と遅め。ただその間もフロントは活発に動いていたようで、金曜にはオリンピアコスからレンタルで28歳のギリシャ人CBシオバスを獲得しています。更にGKの補強にも動いているようで、何せヒザの靭帯断裂で今季絶望となってしまった正GKセランテスの代わりに、12月にはアスレティックから来てくれたエレリンが年内最終節のエイバル戦で退場。ベティス戦は出場停止となってしまうばかりか、その次のアスレティック戦も契約条項でプレーできないんですよ。 ▽そのため、控えがリーガ1部初体験のバリオスだけでは不安ということでしょうが、まあ、それを言ったら、昇格組のレガネスだけにキリがないですからね。ここまでの戦いを見る限り、FWや攻撃的MFを増やして、課題の得点力も上げておきたいところですが、予算も限られているクラブだけにどうなることやら。幸い、年越えは降格圏から嬉しい勝ち点差4でできたことですし、何とかこのまま残留を勝ち取ってもらいたいものですが、2017年は彼らにとって、果たしてどんな年になるのでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.01.01 09:44 Sun
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【原ゆみこのマドリッド】いい結果で終われた…

▽「最後の最後でツイていたじゃない」そんな風に私が喜んでいたのは金曜日。お昼にあったコパ・デル・レイ16強対戦の抽選結果を知った時のことでした。というのもアトレティコの相手がラス・パルマスだったからで、何せ彼らにはリーガの年内最終節で1-0と勝ったばかり。もちろん贅沢を言えば限りなく、32強対決で1部のマラガを破ったコルドバ(総合スコア6-3)やエスパニョールをPK戦の末に退けた2部のマドリッド弟分であるアルコルコン(総合スコア2-2)といった、もっと格下になる可能性もなかった訳じゃないんですけどね。 ▽その2部の両者が16強で当たることになったのは、興行的にどうかという疑問も沸かなくはありませんが、その一方でお隣さんなど、水曜日にフォルメンテーラ(3部)を総合スコア14-2で粉砕したのみならず、今季はサンパオリ監督の下で一皮むけた感のあるセビージャとの対戦が決定。ええ、彼らは首位のレアル・マドリーと勝ち点4差、2位バルサとは1差のリーガ堂々3位というだけでなく、今季は前人未到のヨーロッパリーグ4連覇を諦め、CL決勝トーナメントに挑むことも決まっている絶好調なチームですからね。夏のUEFAスーパーカップでは延長戦で3-2と制したものの、そこからかなり成長していることを考えれば、ジダン監督の無敗記録が37試合で途切れてしまう恐れも十分ある? ▽おまけにバルサの相手もアスレティックとなったため、さすがにこのラウンドはMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)とピケをバケーションに行かせながらも7-0と大勝したエラクレス(2部B)戦2ndレグ程、容易には勝てないでしょう。リーガの4位と5位を占めるビジャレアルとレアル・ソシエダもどういう運命のいたずらか、ここで潰し合うことに。となると、準々決勝に残るチームは意外と手頃なメンツとなる目も出てくるため、結構、コパの先行きを期待してもいいような気もしたんですが、どちらにしろ、試合があるのは年明けの4日と11日の前後とまだ随分、先のことですからね。どのチームもクリスマスの休暇から帰ってきてみないことには、予想を立てるのが難しいといったところでしょうか。 ▽ちなみにそのアトレティコは、クラブW杯で優勝したマドリーがすでにバケーションに入っていた今週火曜日、32強対決のギフエロ戦2ndレグに挑んだんですが、試合の方での驚きも多少はあったんですけどね。それより異様だったのはギフエロのいで立ちで、アトレティコがrojiblanco(ロヒブランコ/赤と白)の第1ユニを着るビセンテ・カルデロンではさすがに、赤っぽい生ハム模様の地元名産品アピールユニは着られないだろうと安心していた私が甘かったんです! ええ、晴れの大舞台とばかりに、普段の緑色の第1ユニの左側に堂々とイベリコ豚の脚1本をプリントしてきたから、もう呆気に取られたの何のって。 ▽まあ、その奇妙キテレツさはアトレティコのオフィシャルページで試合のダイジェストが見られるので、そちらで堪能してもらえばいいんですが…。一応、どういう内容だったかお伝えしておくことにすると。1stレグで0-6と大勝していたアトレティコだったため、別段、張り切ることもなかったんですが、ありがたいことにここまで、あまりリーガで活躍できていなかった面々が発奮。ええ、17分には早速、ガイタンが先制点を決めると、22分にも彼のシュートがゴールバーを直撃。跳ね返ったボールをコレアが拾って、2点目にしてくれたから、ここしばらく、胃のキリキリするような展開しか目にしていなかったスタンドのファンもどんなに喜んだことか。 ▽更に29分には左サイドのスローインから、コレアが繋いで、最後はファンフランが3点目。もうこうなると、そのちょっと後にラウール・ルイスが2枚目のイエローカードをもらって、ギフエロが10人になる必要もまったくなかったんですが、そのおかげもあったんでしょうか。前半終了直前にはまたしてもコレアが仲介役を引き受け、フェルナンド・トーレスまで3カ月ぶりのゴールを決めてくれるんですから、やはり2部Bとは差があります。いえ、チェルチが2年ぶりにカルデロンのピッチを踏んだ79分、ピノのヘッドで不覚にもGKモヤが1点を取られてしまったなんてこともあったんですけどね。これでギフエロの選手たちも一矢を報いたと満足して、クリスマス休暇に入れるのでは(最終結果4-1)? ▽え、バケーション入りに一番、ウキウキしていたのは試合後の記者会見もすっ飛ばしてブルゴス第2監督に委任、アルゼンチン行きのフライトに間に合うよう、バラハス空港に直行していたシメオネ監督なんじゃないかって? まあ、確かにそうなんですが、その日は、グリーズマンやガビと一緒にお休みをもらったゴディンは別として、ガイタン、コレア、ヒメネスら、お勤めを果たした南米系の選手たちも大急ぎで着替えを終えて、フィジカルコーチのプロフェ・オルテガと一緒にターミナルを走っていたのが目撃されていますからね。練習再開の集合日は同じ27日でも、大西洋横断組は移動で実質の休日日数が減ってしまうため、少しでも早く出発したかった気持ちはわからなくもありませんよね。 ▽おかげで試合後、ミックスゾーンに姿を現したのも実家がフランスと近いルーカスぐらいだったんですが、当人もこのところ、フィリペ・ルイスがケガをしていたため、左SBとして連続出場できたのが嬉しかったんでしょうか。「Venimos de hacer un año increíble/ベニモス・デ・アセール・ウン・アーニョ・インクレイブレ(ボクらは信じられない1年を過ごしてきた)」と、2016年のアトレティコのパフォーマンスを絶賛。ただ突っ込むと、「ウチは昨季、リーガ優勝争いを残り2試合まで続けたし(3位)、CL決勝ではPK戦まで行ったし(マドリーにCL決勝2連敗)、コパでも戦った(準々決勝でセルタに敗退)」と、あと1歩が足らないという残念な結果ばかりなんですが、そこに加えて、今季は残り1節でグループリーグ首位突破を決めたCLはともかく、リーガが不安定で6位で年を越すという状態なのはあまり気にならない? ▽まあ、それも昔の彼らを思えば、相当進歩したと言えなくはないんですが、折しもこの23日の金曜日はシメオネ監督が来てからちょうど5年となる節目。そのため、本人は母国で家族と水入らずで過ごしていますが、休暇前に複数のメディアで取ったインタビューが公開されることに。その中では、「Va a ser difícil encontrar un equipo mejor que el Atlético en mi future/バ・ア・セル・デフィシル・エンコントラール・ウン・エキポ・メホール・ケ・エル・アトレティコ・エン・ミ・フトゥロ(将来、自分にとってアトレティコよりいいチームと出会うのは難しいだろう)」という当人の台詞が、このところ、ジェノアでプレーする長男のジョバンニや代理人をしている姉のナタリアさんから、インテル・ミラン行きをほのめかされていたこともあり、ファンにとっては一番嬉しかったかも。 ▽まあ、それも今季の成績次第というところなんでしょうが、とりあえず、アトレティコには年明けのコパでラル・パルマスを撃破、続いて7日の土曜日にはリーガのアウェイ戦でエイバルを倒して、少しずつでも順位を上げてほしいもの。そうそう、そのエイバルも水曜日には、乾貴士選手は出ていなかったものの、コパ32強対戦2ndレグでスポルティングを3-1で破り、総合スコア5-2で16強に進出。次はオサスナと当たることになっています。 ▽一方、クラブW杯に出発する前にクルトゥラル・レオネサ(2部B)を総合スコア13-2で圧倒し、コパ16強進出を決めていたマドリーを含めて、マドリッドの兄貴分たちが次ラウンドに意気揚々と挑むのとは対照的だったのはレガネスで、いえ、アシエル・ガリターノ監督も「Estamos un poco justos con mucha gente fuera del equipo/エスタモス・ウン・ポコ・フストス・コン・ムーチャ・ヘンテ・フエラ・デル・エキポ(ウチは多くの選手が戦力外でちょっと、人数的にギリギリだった)」と言っていたように、決してムリできるような状態でないことはわかっていたんですけどね。1stレグに続いて、水曜日の2ndレグでもバレンシアに2-1と負け、あっさりコパからの脱落が決定。 ▽いえ、それでもメスタジャの一戦ではロドリゴが2度のゴールポスト直撃を含む、5度のシュート失敗の後、ようやく決まった36分のゴールで先制されながら、後半早々にはマティスがゴール前の混乱から押し込んで1度は同点に。その後も惜しいチャンスを作りながら、最後は再びロドリゴに決められて沈むといった具合でなかなか、善戦はしたんですけどね。やはりない袖は振れないため、ここは1月の試合数が減ってくれたことが、現在、18位のスポルティングと同じ勝ち点でかろうじて降格圏外にいるバレンシアから、勝ち点差4でキープしている16位の座を死守する方に全力を注いだ方が賢いかと。 ▽何せ、年明け最初の日曜日、8日には同じく、総合スコア4-1でデポルティボに負け、コパを敗退。心おきなくリーガに専念できるようになったベティスと当たりますからね。前節のエイバル戦で乾選手にエリア外で激突、空中1回転させて退場になったGKエレリンが出場停止になるというハンディキャップもあるため、今元気な選手たちにはこのクリスマス休暇中、27日までは心と体を十分休めて、現在、勝ち点差2で追い越すことが可能な14位の相手を破ることができるといいのですが、さて。 ▽ちなみにFIFAによる未成年選手獲得に対する処分が、CAS(国際スポーツ仲裁裁判所)の裁定でこの冬のみの新規選手登録禁止のみに減ったマドリー、それに準じた結論が出るのを待っているアトレティコとは違い、レガネスは1月に補強ができるんですが、あまり噂が聞こえてこないのはやはり、予算が限られているせいでしょうかね。 ▽そして最後に先週日曜日の横浜で鹿島アントラーズを下して、今年3つ目のトロフィーを掲げた後、リーガの他チームに先んじて休暇に入ったマドリーに関してなんですが、やっぱり選手たちが世界中に散らばってしまったからでしょうか。CASの裁定を受けて、去年のデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)獲得失敗にも懲りず、来年の夏には同じく元アトレティコのクルトワ(チェルシー)を連れて来る算段を始めているとか、移籍を示唆したハメス・ロドリゲスは冬の市場で誰も獲れないため、絶対出さないとか、人事系以外の話題はほとんどない状態。 ▽いえ、休暇明けには30日に恒例のソシオ(協賛会員)対象公開練習をエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(バルデベバスにあるRMカスティージャのホーム)でやるとか、ジダン監督は自身がアシスタントをしていた2年前のアンチェロッティ監督時代、クラブW杯後にチームが不調に陥ったのを反省して、ハードなトレーニングメニューを用意しているとかいった程度はありましたけどね。 ▽おそらくしばらくはまたカーディフに戻り、リハビリを着々と続けているベイルのように、個々の選手がSNSで発信してくる情報で近況を探るしかないかと。そんなこんなで年内中は、私がお伝えする情報もあまりなくなってしまうかと思いますが、まだシーズンは半分以上残っていますからね。ファンが気を揉まずに済むこのクリスマス週間、私もノンビリできるのは嬉しいです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.24 10:55 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】順位は変わらなくても…

▽「そういえば、まだいたんだっけ」そんな風に私が思い出していたのは月曜日、アトレティコ、今年最後の試合となるコパ・デル・レイ32強対決2ndレグのギフエロ(2部B)戦にチェルチが招集リスト入りしたというニュースを聞いた時のことでした。いえ、2シーズン前にトリノから期待されて入団した彼がチームカラーに馴染めず、たった半年で最初はミラン、次はジェノアとレンタルに出た後、大きなケガをして、今季はずっとマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でリハビリを続けているのは知っていましたけどね。この冬の移籍市場でボローニャに移籍する話が決まっていると言われていたため、試合には出ないんだろうと思っていたところ、もしやシメオネ監督は昨今のゴール日照りに藁にもすがりたい気になっている? ▽ただ、そういう意味ではこのギフエロ戦は選手を試すのに最適で、何せ11月末の1stレグでは相手のご当地特産品プロモーション、ハモン・イベリコ模様のユニフォームに惑わされることもなく、彼らにしては珍しい0-6というgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で勝っていますからねえ。一応、シメオネ監督はお疲れ気味のグリースマン、ガビ、ゴディンには休みを与えたものの、ガメイロやカラスコ、フェルナンド・トーレス、コレアといった攻撃陣には最近、照準の狂いっぱなしのシュート力に磨きをかけるいいチャンス。火曜の午後9時(日本時間翌午前5時)からという遅い時間にキックオフなこともあり、ビセンテ・カルデロンが活況を呈する見込みはないものの、せめて胃のキリキリしない、「un equipo que termina un año extraordinario/ウン・エキポ・ケ・テルミナ・ウン・アーニョ・エクストラオルディナリオ(素晴らしい1年を終えたチーム)」(シメオネ監督)にふさわしい試合を見せてくれるといいのですが…。 ▽え、それでも先週末のアトレティコはようやく、エスパニョール戦、CLバイエルン戦、ビジャレアル戦と続いた3試合連続白星なしの悪い流れをラス・パルマス戦で断ち切ったんだろうって?まあ、そうなんですが、内容自体はあまり威張れたものではなく、先発したグリースマン、ガメイロ、カラスコのFW陣は相変わらず、チャンスをモノにできず。それでも後半13分には、グリースマンのシュートが敵DFに当たって跳ね返ってきたのをサウルがエリア外から撃ち込んで、これがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)になってくれたから、助かったの何のって! ▽ラス・パルマスが決定力に欠けているおかげもあって、1-0で逃げ切ることができましたが、実情は「Hemos logrado un 70% de posesion en el Calderon/エモス・ログラードー・ウン・セテンタ・ポル・シエントー・デ・ポセシオン・エン・エル・カルデロン(ウチはカルデロンでボールポゼッションが70%あった)」(ステイン監督)なんですから、ファンもちょっと寂しかったかと。そこへ、肩の脱臼で手術、長期離脱になってしまったオブラクの代わりに、1年以上ぶりでリーガでの先発に戻ったGKモヤに絶好機を阻まれたロケ・メサなどに、「Al Atletico ya lo conocemos, sin casi hacer nada te mete un gol/アル・アトレティコ・ジャー・ロ・コノセモス、シン・カシ・アセール・ナーダ・テ・メテ・ウン・ゴル(アトレティコのことはもうわかっている。ほとんど何もしないのにゴールを入れるんだ)」なんて言われてしまっては、もうほとんど立つ瀬がないような。 ▽それでもこの1点のおかげで、「Para nosotros el partido de hoy era una final/パラ・ノソトロス・エル・パルティードー・デ・オイ・エラ・ウナ・フィナル(ウチにとって、今日の試合は決勝のようなものだった)」(ゴディン)という、崖っぷちの状態を切り抜けることができたアトレティコですから、とりあえず結果オーライですが、週末が終わってみれば、バルサ(エスパニョールに4-1)、セビージャ(マラガに4-1)、ビジャレアル(スポルィングに1-3)、レアル・ソシエダ(グラナダに0-2)と上位陣は全て勝ち点3を獲得。リーガ6位という不本意な順位のまま、年越えすることに。 ▽まあ、自業自得と言ってしまえばそれまでですが、そんな中、最高の週末を過ごしたのはサウルで、自身がラス・パルマス戦で今季のリーガ初ゴールを挙げただけでなく、同日にはお兄さんのアーロン(テネリフェ、27歳)もマドリッドの2部チーム、アルコルコン相手に得点。翌日には長兄のジョナタン(アルコジャノ、31歳)も2部Bのバレアレス戦でゴールを挙げ、兄弟ハットトリックという珍しい記録を達成することに。うーん、傍目には、22歳で末っ子のサウルが一番いいカテゴリーでプレーしているのは、兄たちにとって、ちょっと複雑な気持ちになるんじゃないかと思ってしまうんですけどね。父親も元選手のサッカー家族だと、そういうのは実力の世界と、割り切れるもんなんでしょうか。 ▽そして、翌日曜は家でクラブW杯決勝を見た後、予想外の延長戦に時間が押し気味となりながら、セルカニアス(国鉄均衡路線)に乗って、ブタルケ(レガネスのホーム)を訪れた私でしたが、マドリッドの新弟分も出だしは良かったんですよ。ええ、前半23分にはエイバルの左SB、ルナがGKジョエルへのバックパスを誤り、ゲレロが先制点をゲットします。ところが、その2分後には大きな逆境に襲われてしまい、セランテがヒザの靭帯断裂で今季絶望になってしまったため、このところ、先発GKはアスレティックから急遽、レンタルしたエレリンが務めていたんですけどね。 ▽13分にもシュートを撃たれていたエイバルの乾貴士選手がボールを追って向かって行こうとしたところ、エリアを飛び出して相手に正面から激突。当人も「どうなったか、全然わからなかった」と後で言っていたんですが、宙で見事に一回転した彼には幸いケガはなかったものの、これでエレリンが一発退場となってしまったから、大変じゃないですか! ▽うーん、それでもレガネスは10人で一生懸命、リードを守ろうと頑張ったんですけどね。今季は2部に降格したヘタフェからエイバルに河岸を変えたペドロ・レオンもしっかり抑えていたんですが、後半30分、乾選手の代わりにピッチに入った、以前はラージョでもプレーしていたベベのシュートがアルベルト・マルティスに当たったのが運の尽き。エレリンの代役で、夢のリーガ1部デビューとなったレガネスB(3部)のGKバリオスを破り、1-1にされてしまったのは気の毒だったかと。 ▽結局、そのまま引き分けたレガネスは降格圏と勝ち点4差のまま、16位で2016年を終わることになりましたが、年内最終戦は水曜のコパ、バレンシア戦。ただ、こちらは1stレグのホームで1-3と負けていますし、今は負傷禍に襲われているため、余力がほとんどありませんからね。コパは下手に勝ち上がると、ミッドウィークが潰れて、1月が地獄のようなことになるため、リーガ1部1年生の彼らには重荷が早くなくなった方がありがたいかもしれませんね。 ▽え、ブタルケに来る前、ホテルでクラブW杯決勝を前半、ランチを取りながら、エイバルのチームメートたちと一緒に観戦、後半も自室で見ていたという乾選手は、マドリー相手に2ゴールを挙げた鹿島アントラーズの柴崎岳に感心していなかったかって?そうですね、これがキッカケになって、「スペインでプレーする夢が叶うといいね」と言っていましたが、彼の出場こそなかったものの、エイバルにも10月にサンティアゴ・ベルナベウを訪問した際には1-1で引き分けるという功績が。鹿島も「マドリーが相手をなめていたところを逆手に取った」(乾選手)おかげで90分では2-2の同点と、決して負けていませんでしたが、そこは決勝で「世界一のチーム」に当たってしまったのが不運だった? ▽ええ、リーガでは勝ち点1をゲットして、メデタシメデタシで終わるのとは違い、セルヒオ・ラモスの後半ロスタイム、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)弾こそありませんでしたが、鹿島はクリスチアーノ・ロナウドに同点PK、更に延長戦前半には勝ち越し、ダメ押し点を決めるハットトリックの活躍を許し、最後は4-2で敗北。マドリーが今年3つ目のタイトルを掲げることに。いやあ、スペインのマスコミ評では、ロナウドは最悪の試合をしながら最高の得点効率を挙げたと、もっぱら言われていたんですけどね。 ▽延長戦突入前、ラモスが金崎を倒しながら、ザンビア人のシカズウェ主審が2枚目のイエローカードを出さなかったのも批判されてはいたんですが、この時は「ya tenia ganas de que la suerte cambiara un poco de cara/ジャー・テニア・ガナス・デ・ケ・ラ・スエルテ・カンビアラ・ウン・ポコ・デ・カラ(ツキがもう変わってくれるように願っていた)」当人にラッキーな目が出たこともあり、晴れてトロフィーを受け取ることができたとなれば、2014年の大会では自分が獲ったMVPをロナウドに譲ったとしても全然、文句はないかと。いえ、そのプレーの時、最初は胸ポケットに手をやっていた同主審の後日談によると、あれは副審がカードなしのファールとイヤホンに連絡してきたのを、なしの部分を聞き漏らしたために起こった、単純なコミュニケーションミスだったそうですけどね。 ▽こういう時にこそ、FIFAが2018年W杯に向けて試験採用していたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が活躍すべきだったという意見もありますが、その辺はねえ。個人的にはたとえ、ラモスが減って10人になっていたとしても、そこはクラブの伝統として、根性のレモンターダがDNAに刷り込まれているマドリー。何だかんだで勝っていたんじゃないかと思いますが、苦労した分、優勝の喜びもひとしお大きくなったことでしょうし、始めからマジメにガンガン行っていればなんて、無粋なことは言わないに限りますって。 ▽そして試合後は、CL決勝に続いて、またしても出番のなかったハメス・ロドリゲスが、「オファーも来ているし、残留するかは確約できないよ。Estoy feliz en Madrid, pero quiero jugar mas/エストイ・フェリス・エン・マドリッド、ペロ・キエロ・フガール・マス(自分はマドリーにいて幸せだけど、もっとプレーしたい)」とぶちまけ、祝勝ムードに水を差したなんてこともありましたが、翌日にはチームもマドリッドに帰還。いえ、延長戦のせいで予定が遅れ、トロフィーと一緒の日産スタジアム場内一周にも加わらず、ダッシュでシャワーを浴びて空港へ直行、一足先にドバイでのバケーションに向かったモドリッチとコバチッチは一緒じゃなかったんですけどね。 ▽その他の選手たちは、日本にはいかず、手術後に静養していたカーディフから戻って来てから、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で父親同伴のリハビリを続けているベイル(https://www.instagram.com/p/BOM_-WFDppT/?taken-by=garethbale11)を除いて、27日までクリスマス休暇を満喫。最初に行った通り、年内最終節の結果で、後続とはそれぞれ勝ち点3ずつ縮まったマドリーですが、それでも2位のバルサとまだ勝ち点差3あるとなれば、新年からはライバルと交代でユニの胸にクラブW杯優勝のワッペンをつけてプレーできますし、気分の持ちようもかなり違うかと。 ▽一方、お隣さんは火曜のコパの後、28日までお休みですが、アトレティコには30日にサウジアラビアでアル・イティハッドと親善試合というお勤めも控えていますからね。順位のこともあって、あまりノンビリはしていられないかと思いますが、ラス・パルマス戦の後には「Intentar recuperar puntos en Liga, el partido a partido es asi, se suma tres a tres/インテンタール・レクペラール・プントス・エン・リーガ、エル・パルティードー・ア・パルティーオー・エス・アシー、セ・スマ・トレス・ア・トレス(リータでの勝ち点を取り戻す。1試合1試合ね。勝ち点3ずつ積んでいく)」(ゴディン)と、「ここ2カ月長期的な目標を見て、基本から外れていた」というガビと共に、原点回帰を誓っていたのはポジティブ。ここは心機一転、年明けから時間がかかってもCLだけでなく、リーガでも競い合うマドリッドの両雄の姿を見せてもらいたいものです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.21 01:35 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】今年はリーガもあと1試合…

▽「要は何でも良かったのね」そんな風に私が笑っていたのは金曜日、AS(スペインのスポーツ紙)のネットページに不思議な写真を見つけた時のことでした(http://futbol.as.com/futbol/2016/12/16/internacional/1481900151_429578.html)。いやあ、開けてみると、クラブW杯準決勝で勝利したレアル・マドリーに日本のマスコミが賛辞を贈っているという記事だったんですが、おやおや。適当に選んだ新聞の一面の上に写真を貼りつけたものだから、丁度、クリスチアーノ・ロナウドの頭上に「広島災害不明51人」なんて、毎日新聞の物騒な見出しがついてしまい、それも当人には気の毒だったんですが、何だか合点がいかず、目を凝らして、日付を見てみたところ、8月22日って、一体、どこから探してきたのか。 ▽うーん、隣の朝日新聞の日付は12月16日で辻馬は合ったんですが、こちらもジダン監督の横に「医療や介護 高齢者負担増」って見出しも何となく、嫌味な感じがしなくもなし。大体、これももう1つの準決勝の後、大阪から流れてきたらしいコロンビアのメディアに「ああいうのは5カ月に1回ぐらいある試合。今日また戦ったら、勝っているはずだよ。Ojalá hubiera sido una final contra Nacional, pero el fútbol es así/オハラ・ウビエラ・シードー・ウナ・フィナル・コントラ・ナシオナル、ペロ・エル・フトボル・エス・アシー(ナシオナル相手の決勝だったら良かったけど、サッカーはこういうもの)」と、母国のチームと対戦できないことをハメス・ロドリゲスも嘆いていたように、当初の目論見が外れたせい。 ▽ええ、マドリーが日曜にプレーするのがアトレティコ・ナシオナルなら、記者たちも楽だったんですが、それが急遽、鹿島アントラーズになってしまったものだから、せっかく予定していた、通訳なしで話せる対戦相手の監督や選手インタビューもいらなくなり、かといって、Jリーグのチームの情報をそんなに探し出せる訳でもないですからね。結局、鹿島は世界的に名の知れているジーコが選手や監督として在籍したクラブというぐらいの紹介しかされていないんですが、決勝相手が日本のチームとなったせいか、クラブ・アメリカ戦ではやたら空席の目立った日産スタジアムのスタンドが今度はチケット完売で埋まりそうなのは朗報でしょうか。 ▽まあ、そんなことはともかく、木曜の準決勝は私も午前11時半という奇妙な時間帯に家のTVで観戦できたんですが、選手たちにはまだ時差呆けもあったんですかね。別に敵にゴールを奪われる心配もほとんどなかったものの、ようやくクロースのスルーパスからベンゼマが決めて、マドリーに先制点が入ったのは前半ロスタイムに入ってからのこと。後半もロナウドが何度かシュートを撃ったんですが、バロンドール受賞4回目記念弾に懸ける当人の執念は、その日は筋肉痛でベンチ観戦をしたセルヒオ・ラモスが見守る中、因縁の93分を迎えるまで、実ることはありませんでしたっけ。 ▽ただ、そのゴール、ハメスからのパスをエリア内からロナウドが鋭く決めたgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)だったんですが、問題はこの時、試験的にFIFAがこの大会で使用しているVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)から連絡が主審に入ったようで、一度は得点とされたゴールがオフサイドの疑いで取り消され、その後、再度認められるというゴタゴタが。いえ、鹿島vsナシオナル戦のようにプレー再開から1分以上してから、思い出したようにPKを宣告したのとは違いましたし、今回の場合は点が入っても入らなくてもマドリーが勝っていたので、そんなに怒ることもないかと思ったんですけどね。やはり試合後には不満の声が多々聞こえてくることに。 ▽ええ、この日のMVPに選ばれたモドリッチなど、「No me gusta esto del vídeoarbitraje porque crea mucha confusion/ノー・メ・グスタ・エストー・デル・ビデオアルビトラヘ・ポルケ・クレア・ムーチャ・コンフシオン(このビデオによるジャッジは好きじゃない。混乱するからね)。こういうのはサッカーじゃないよ」とはっきり言っていましたし、ジダン監督も「テクノロジーで改善したいなら、誰にとってもより明確にならないといけない」と効果の程に疑問を呈していましたが、それも当然。ゴールを喜んだり、悔しがったりと、リアクションを何度もしなければならなかったロナウドだって、これじゃカッコがつかないと思ったんじゃないでしょうか。 ▽何はともあれ、0-2で勝ったマドリーは無敗記録を36試合に伸ばして日曜午後7時半からの決勝に進出。特にまだ、ローテーションをするなどの情報は入っていないんですが、準決勝後にランニングをしていたラモスとペペがスタメンに入れるかは微妙かと。いえ、前者などは前回の2014年には大会MVPを取ったいい思い出もあるため、出場する気満々で、ただでさえ、横浜は寒いらしいのに冷水浴(https://www.instagram.com/p/BOCljv2FuF8/?taken-by=sr4oficial)までしてリハビリに努めていますし、金曜のセッションでも猛アピールしていましたけどね。 ▽鹿島の攻撃陣がどれ程、優秀なのかはジダン監督も判断に迷うところでしょうから、バランとナチョのCBコンビがリピートという可能性もあると思いますが、とりあえずこの試合が終われば、マドリーはもうクリスマスのバケーション入り。年明けは1月4日前後のコパ・デル・レイの16強対戦1stレグから始まりますが、その相手も他のチームの32強対決2ndレグが来週終わり、組み合わせ抽選があるまでわからないため、当面はゆっくりできるかと。ええ、今週末のリーガ戦を来年に延期していても、2位バルサとは現在、勝ち点差6あるため、首位で年を超えることが確定しているせいで気も楽なはずですし、後はCL、UEFAスーパーカップに続く今年3つ目のタイトルを獲得して、有終の美を飾りたいといったところでしょうか。 ▽え、その間、最近非常に心配な状態になっているお隣さんは何をしていたのかって?まあ、月曜のビジャレアル戦が終わった後はミッドウィークに試合がないのもあって、毎日マハダオンダ(マドリッド郊外)の練習場でトレニーングに励んでいましたが、木曜にはアトレティコ恒例のメガクリスマスランチがロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)で、トップチームや女子チームの選手、スタッフ、従業員、選手OB、ペーニャ(ファンクラブ)代表など、総勢650人を集めて開催されることに。いえ、その前節に左肩を脱臼したGKオブラクは丁度、前日、ロンドンでベイルがお世話になったのと同じ、イギリス王室ご用達のキング・エドワード7世病院で関節鏡手術。最初の予想より短い2カ月で戻って来れそうだという朗報がありましたが、残念ながら、この食事会には出席できませでしたけどね。 ▽その代わりという訳ではないんですが、先日、ヘルニアのせいで日常生活に支障をきたすまでに至り、27歳で現役引退を表明したドミンゲス(メンヘングラッドバッハ)が招待され、古巣の仲間たちと旧交を温めていましたが、それ以外にもカラスコ、サウル、モヤ、ファンフランらはスポンサー関連のイベントに出席して、そこそこマスコミを賑わすことに。当然ながら、そんな席での質問は現在、6位まで落ちてしまったチームの不調ぶりについてだったんですけど、カラスコなどに言わせると、「para mí esto no es una crisis/パラ・ミー・エスト・ノー・エス・ウナ・クリシス(自分にとって、これは危機じゃない)」のだそう。 ▽曰く、「調子がいつより悪い時期があるのは当たり前。これまでウチはずっと高いレベルにあったんだから」だそうですが、でもねえ。たとえ、いいプレーができなくても勝てないと、とてもマドリーやバルサにはついていけないことをわかっている?一方、前節にチアゴが負傷したため、久々に先発できそうなサウルは、「ウチは堅い守備を取り戻さないといけないんだけど、敵も上手くやってくるからね」と最近、チームが大昔のように信じられないミスをして失点するようになってきた理由を説明。 ▽それでも「No bajamos los brazos y no vamos a parar hasta encontrar la solución/ノー・バハモス・ロス・ブラソス・イ・ノー・バモス・ア・パラール・アスタ・エンコントラール・ラ・ソルシオン(解決策が見つかるまで、ボクらは決して降参したりしない)」と前向きだったんですが、土曜のラス・パルマス戦ではサウルが右サイドに行って、コケがボランチに戻るらしいといった予測も。うーん、今季はシメオネ監督も何だか一貫性がないというか、あまり変えてばかりだと、サウルもコケも混乱してしまうんじゃないかとか、私にも思うところはあるんですが、こればっかりはねえ。 ▽その他、火曜に足の指を打撲したヒメネスは2日間で完治して招集リスト入り、先発ではGKがモヤ、右SBがファンフランからブルサリコにといったところが、ビジャレアル戦からの変更点ですが、コレアが累積警告で出場停止になったり、フィリペ・ルイスもまだ回復していないため、午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からの一戦はまた、ビセンテ・カルデロンのサポーターの応現頼みになるのかも。ちなみに来週には火曜のコパ32強対決2ndレグのギフエロ戦(1stレグは0-6の勝利)をプレーして、バケーションに入る彼らですが、できればその前に少しでもリーガの順位を上げて、30日のサウジアラビア遠征、アル・イティハッドとの親善試合に晴れやかな気分の臨んでもらいたいものです。 ▽そしてマドリッドの新弟分、レガネスは日曜にエイバルをブタルケに迎えるんですが、こちらもここ4試合勝利がないため、現在は降格圏と勝ち点3差の15位と少々、心もとない状況。多発しているケガ人も年内に戻って来られる選手はいないため、あまり期待はできないんですが、ただこのままのシーズン前半戦、ホームでは1勝だけとなってしまったら、1部での晴れ舞台に夢を抱いていたファンたちだって悲しいクリスマスになってしまうはず。となると、せっかく好調な乾貴士選手には悪いですが、やっぱり年内最後のリーグ戦はホームチームに花を持たせてあげたいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.17 14:45 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】差がひしひしと感じられる…

▽「へえ、日本は初めてなんだ」そんな風に私が意外に感じていたのは金曜日。横浜の三ツ沢スタジアムでの練習前に話していたマルセロの映像をTVのニュースで見た時のことでした。確かにここ3年で2度CLに優勝して、その度、クラブW杯に出ているレアル・マドリーですけどね。2014年はモロッコでの開催でしたし、その前のnovena(ノベナ/9回目のCL優勝のこと)は2002年とかなりの昔。となると、マルセロだけでなくセルヒオ・ラモスも日本未体験なのは当然で、もしや知っているのは当時現役だったジダン監督と、2008年にマンチェスター・ユナイテッドの一員としてトロフィーを掲げただけでなく、個人的な商業活動で何度も来日しているクリスチアーノ・ロナウドぐらいしかいない? ▽まあ、マドリーが月曜日の早朝に日本上陸してからのことは、こちらも大会初戦のオークランド・シティ戦で決勝点を挙げた鹿島アントラーズの金崎夢生選手のことを、ただMuとだけ表記し、一体どこの国の人なんだろうと私の首を傾げさせたAS(スペインのスポーツ紙)の帯同記者のように、どこか怪しげなスペインマスコミのフィルターを通してしかわからないため、あまり情報も伝えられないんですけどね。それより驚いたのは遠征に発つ前夜。そろそろ日付が変わるぐらいの時間でサンティアゴ・ベルナベウを出る直前に、ラジオ・マルカ(スポーツ専門局)のレポーターが「朝8時の飛行機で行く」とマイクに喋っていたのは決して私の聞き間違いではなく、選手たちがまだ真っ暗な午前5時半にはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場にスーツ着用で律儀に集合していたこと。 ▽いえ、もちろん前日のデポルティボ戦には、ジダン監督のローテーションでロナウド、ベンゼマ、モドリッチら、ベンチ入りしていない選手もいたんですけどね。それでもロナウドなど、2015年初頭にロシア人モデルのイリーナ・シャイクさんと別れて以来となる彼女連れでパルコ(貴賓席)観戦。後半ロスタイムにセルヒオ・ラモスの奇跡のremontada(レモンターダ)弾が決まるまで、21歳の元ブランドショップ店員兼モデル、ジョルジーナ・ロドリゲスさんと一緒に応援していましたし、他の2人だって試合は見ていたはずとなれば、やっぱり夜にも朝にも強くないとエリートクラブの選手にはなれないのかも。 ▽え、それより何でまた、デポルティボ相手にそんな綱渡りの試合になってしまったのかって? ベイルは長期リハビリ中なので仕方ないんですが、やはりBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)が1人もいないのは痛かったようで、前半のマドリーは得点が挙げられず。幸い、50分にはその日、先発CFのチャンスをもらったモラタがエリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決め、前日の夜にマジックショーの舞台でイタリア人モデルの彼女、アリス・カンペッロさんにプロポーズしたりして、舞い上がっているからダメなんだというファンからの批判をかわすことができたんですが、ここからデポルティボの反撃が始まったんですよ。 ▽そう、前半にもボルヘスが2度程、チャンスを掴んでいた彼らですが、RMカスティージャ出身のホセルがピッチに入ったことで、一気に形勢が逆転。63分にはカゼミロから敵エリア近くでボールを奪ったフロリン・アンドネがカルレス・ヒルに繋ぎ、彼からパスをもらって同点弾を決めたかと思えば、2分もしないうちにまたしてもフロリンからのアシストで2点目をゲットしているんですから、驚かせてくれるじゃないですか。これで試合前には、「El empate es bueno, muy bueno.../エル・エンパテ・エス・ブエノ、ムイ・ブエノ(引き分けならいい、とてもいい)」と言っていたガイスカ・ガリターノ監督の望みは叶いそうになったんですが、そこは35試合連続無敗のクラブ新記録が懸かっていたジダン監督。ルーカス・バスケス、マリアーノに続き、マルセロを投入して、DF3人体制で得点を目指したところ…。 ▽まずは83分、開幕前の夏にもこの冬にもリーガや国外のクラブからレンタルのオファーが尽きないにも関わらず、マドリーで成功するという夢を決して諦めることのないマリアーノがルーカス・バスケスのクロスを頭で流し込み、スコアは2-2に。その日は2位のバルサもオサスナに0-3と勝っていたものの、それでも勝ち点差はまだ4ありましたし、記録更新という意味ではここで終わっても構わなかったんですが、ロスタイムに入って、お馴染みの彼が発奮してしまったんですよ。 ▽いえ、2014年のCL決勝や先日のクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)でCKを蹴ってくれた心の友、モドリッチはいなかったんですけどね。「Teniamos muchas veces hablado ese corner, lo habiamos visto mil veces/テネモス・ムーチャス・ベセス・アブランドー・エセ・コルネル、ロ・アビアモス・ビストー・ミル・ベセス(ウチは何度もCKのことを話し合って、何千回も映像を見ていた)」(ガリターノ監督)デポルティボのDF陣を振り切って、クロースからのボールをヘッドで叩き込んでしまったとなれば、「A Sergio Ramos se le puede parar con una gripe.../ア・セルヒオ・ラモス・セ・レ・プエデ・パラール・コン・ウナ・グリペ(ラモスを止められるのはインフルエンザだけ)」(ホセル)という答えは正解? ▽ただ、ガリターノ監督は「ロスタイムが5分と出た時、マドリーが得点するまで終わらないとわかった」と文句を言っていましたが、ラモスのゴールは今回、92分。むしろCKを与えないようにするとか、事前の策を講じるべきだったと思いますが、ジダン監督によると、「マークすることはできるが、ラモスは頭がいい。よく動いて常にボールが落ちるところにいる」そうですし、ゴール生産責任者の1人であるモラタに至っては、「No se como lo hace Ramos, pero siempre lo hace/ノー・セ・コモ・ロ・アセ・ラモス、ペロ・シンプレ・ロ・アセ(ラモスがどうして入れるのかわからないけど、いつもやるね)。ボクにも入れさせてもらいたいよ」なんて羨むばかりでしたからね。 ▽実際その日、お決まりで試合後、かなり遅くなってミックスゾーンに出て来た当人曰く、「Con ilusion, fe y entusiasmo hasta el final las cosas se dan/コン・イルシオン、フェ・イ・エントゥシアスモ・アスタ・エル・フィナル・ラス・コーサス・セ・ダン(最後まで夢と信念と情熱を持ち続ければ、物事は上手くいく」そうなんですけどね。ちなみにそのコメントを聞いた時には背の高いスペイン人記者が前に沢山いたため、横の方から伺っていた私はラモスの左手には甲にまでタトゥーがあるのを見て、驚いていたんですが、ずっと手をポケットに突っ込んだままだったのは、新作の各指の赤い数字を日本到着まで秘密にしておきたかったから? まあ、そんなことはどうでもいいんですが、クラブW杯準決勝、木曜日のクラブ・アメリカ戦や日曜日の決勝では、そのマドリーの伝統芸を日本のファンも目の辺りにする機会があるかもしれませんよ。 ▽一方、その土曜日にはマドリッドの新弟分、レガネスが前節のビジャレアル戦でスコアレスドローを演じた後、得点するというハードルを超えたものの、ラス・パルマスに先制点を奪われていたため、1-1でやっぱり引き分けに終わったなんてこともあったんですが、概ね平和に過ごした日曜日の後、災厄が訪れたのは月曜日。いえ、昼間に行われたCLベスト16抽選ではマドリーがナポリと、アトレティコもレバークーゼンと当たったため、レスター・シティを引いたセビージャ程ではありませんでしたが、PSGとまたしても当たることになったバルサなどよりは遥かに安心できたんですけどね。 ▽近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)にビジャレアル戦を見に行く前、バロンドール賞はロナウドが受賞と発表されたことも世間の予想通りだったため、それはそれで良かったんですが、まさか今になって、アトレティコ恒例の冬のcrisis(クリシス/危機)が再来しようとは! うーん、その兆候はすでにマドリーダービーの頃から現れていたような気はするんですけどね。エル・マドリガルでの彼らは開始から15分ぐらいまで、まるで「Hemos salido dormiendo/ヘモス・サリードー・ドルミエンドー(ウチは眠ったままピッチに出た)」という、懐かしい言い訳がピッタリの状態で、そこから少しは目覚めたものの、27分にはこれまた、ダメダメだったシメオネ監督時代前の悪癖、守備の大ポカが発現。 ▽今回はチアゴでバックパスをロベルト・ソリアーノに奪われ、ゴディンもボールを取り戻すことはできず、最後はトリゲーロスのシュートでビジャレアルに先制点を献上してしまったから、呆れたの何のって。その直後にチアゴがサウールと交代となったため、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)のコメンテーターなど、「シメオネ監督はパコ・ヘメス化してるんじゃ」なんて、現在2部にいるラージョや今季の始めはグラナダを指揮していた、ミスった選手をすぐ代える名物監督(今はメキシコのクルス・アスール)を引き合いに出していましたが、これは当人がヒザの痛みを訴えたせいだったと後に判明。ただ、その先の悲劇に比べれば、まだこんなの、ほんの序の口ですって。 ▽というのも37分にはGKオブラクがパトのシュートを不用意に弾き、詰めていたドス・サントスに2点目を決められてしまったんですが、そのプレーで彼が左肩を脱臼。翌日の検査で手術が必要、全治3、4カ月となってしまったとなれば、彼は昨季のサモラ(リーガで失点率が最も低いGK)ですからね。試合のその後を引き受けたモヤがプレシーズンから数カ月負傷のリハビリをしていたため、一旦はレンタルが決まっていた若いモレイラを呼び戻しておいて先見の明があったなんて、誰も喜べませんよ。 ▽この2人の交代で残り枠が1つになってしまったシメオネ監督には結局、その日はやることなすこと的はずれでイエローカードまでもらい、次節は累積警告になってしまったコレアを後半途中から、カラスコにするぐらいしか打つ手がなくなってしまったんですが、そんな時、哀しいのはアトレティコにはお隣さんに備わっているレモンターダ体質がないこと。いえ、それにはグリーズマンがここ8試合、ノーゴールと不調なのも影響しているんですけどね。とにかく1点でもと、捨て身で攻めていた後半ロスタイムには、ソリアーノに3点目を決められ、とうとう順位も6位まで落ちてしまったって、これが冬の危機でなかったら、一体何なんでしょう! ▽うーん、アトレティコの旧時代を知らないサビッチなど、「昨季はバルサと勝ち点差12ついたけど、最後は3になった。Queda Liga, Champions, Copa, no está todo finalizado/ケダ・リーガ、チャンピオンズ、コパ、ノー・エスタ・トードー・フィナリサードー(リーガもCLもコパ・デル・レイも残っている。まだ全部終わってないよ)」と試合後も前向きでしたけどね。現実的には「Estamos jodidos. La Liga se pone muy cuesta arriba/エスタモス・ホディードス。ラ・リーガ・セ・ポネ・ムイ・クエスタ・アリバ(皆、最悪な気分だよ。リーガはとても大変になった)」(ガビ)という方が真実に近いかと。 ▽実際、このままで来季、堂々完成オープンの新スタジアム、ワンダ・メトロポリターノでヨーロッパリーグを戦うことになったら、下手に収容人数が増えた分、空席も目立つのではないかと、私など戦々恐々しているんですが、一番気に懸かるのはシメオネ監督が「チームは戦っているし、よく働いて、勝つために努力しているが、los resultados no nos están favoreciendo/ロス・レスルタードス・ノ・ノス・エスタン・ファボレシエンドー(結果がウチに味方してくれていない)」と言っていたことで、だってこれって、ツキがないって意味ですよね。 ▽もちろん、プレーにこれまでのような激しさがないとか、ゴディンやガビ、ファンフランらベテランのプレーレベルの低下、そしてコケやサウールら若手の至らなさなども言われてはいますが、以前、チームが危機に陥った場合、アトレティコの解決方法は単刀直入に監督の交代。といっても、たとえ選手たちが5年続く同じ指揮官に飽きてきているのかもしれないとしても、大功労者であるシメオネ監督を簡単にクビにできる訳もありませんし、それ以上の監督だって滅多にいないとなれば、やっぱりチーム揃ってお祓いにでも行くしかないのでは? ▽そうこうするうち、火曜日の練習ではヒメネスも足をケガしたなんて報も入ってきたため、本当に何かに憑かれているんじゃないだろうかと心配になった私でしたが、年内のリーガ戦はまだ1試合ありますからね。土曜日のラス・パルマス戦になりますが、せめてその際には首位のマドリーと12差に開いた勝ち点を、彼らが延期したバレンシア戦を来年こなすまでですが、とりあえず9に戻して、クリスマスのparon(パロン/リーガの休止期間)に入ってもらいたいかと。いやあ、アトレティコを見ていて、こんな憂鬱な気分になるのは私も久々ですが、それだけ事態が深刻ってことでしょうかね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.14 13:08 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】一応、CLの順位は上だけど…

▽「今のやつの方が好きかな」そんな風に私が感じていたのは金曜日、来季からアトレティコがホームとするペイネタ・スタジアムの正式名称がワンダ・メトロポリターノになったと発表されたプレゼンで、同時にクラブのエスクード(紋章)もリニューアルされると知った時のことでした(http://www.atleticodemadrid.com/noticias/el-escudo-evoluciona-para-la-temporada-2017-18)。いやあ、このチームカラーの赤白ストライプをメインにマドリッドの象徴であるoso(オソ/熊)がmadrono(マドローニョ/ヤマモモの木)に乗りかかっている図柄が左上に入っているデザインは、今年も回りの黄色い縁取りを取ったとかで、細々とは変わっているんですが、基本は1947年から大体同じ。 ▽それが何故か、いきなり熊の向きが反対になったかと思いきや、アクセントになっていた木の葉の緑部分まで青くなったせいで、どこか茫洋としてしまった感は否めませんが、まあ、慣れの問題でしょうかね。逆にスタジアム名は、スポンサーの中国企業の名前はお約束で仕方ありませんが、ビセンテ・カルデロンができる前、1955年から1964年まで使っていたメトロポリターノを入れたため、プレゼンに出席したフェルナンド・トーレスが契約更新の希望を込めて、「いつか祖父に『ボクもメトロポリターノでプレーした』って言えるかも」と話していたように、年期の入ったファンの心はもちろん、若いファンの耳にもそこそこ恰好良く響くのではないかと思ってしまうのは私だけ? ▽いえ、だからって、「En 24 años que tengo sólo conocí un escudo y un estadio del Atlético de Madrid/エン・ベインテクアトロ・アーニョス・ケ・テンゴオ・ソロ・コノシ・ウン・エスクード・イ・ウン・エスタディオ・デル・アトレティコ・デ・マドリッド(24歳のボクはアトレティコの紋章もスタジアムも1つしか知らない)」と言っていたコケが、「悲しいけど満足もできる。だって、ボクらがサッカーで到達したレベルと同様、他の全ての面でもクラブが世界的なレベルになってきたってことだから」という意見には、諸手を挙げて賛成する気にはなりませんけどね。 ▽というのも、今のところ、新スタジアムには最寄りにメトロ(地下鉄)の駅がなく、セルカニアス(国鉄近郊路線)の駅からかなり歩かないといけないことや、来季の開幕から2試合は準備が間に合うかどうか不明で、LEP(スペイン・プロリーガ協会)にアウェイ戦にしてくれるよう頼んだりしているのはともかく、最近の彼らはそんなにサッカーの面で成長したところを見せているとは言い難くなってきているからですが、やっぱり一番わかっているのは最後にコメントしたシメオネ監督。曰く、「新スタジアムについてはもう言い尽くした。Ahora hay que ganar el domingo/アオラ・アイ・ケ・ガナール・エル・ドミンゴ(今は日曜に勝たないといけない)」ということで、本質はその通りですから、次のビジャレアル戦は月曜なんだがというツッコミはなしにしましょうね。 ▽ちなみにどうしてまた、私がアトレティコのサッカーに疑問を抱いてしまったのかというと、もちろん今週あったCLグループリーグ最終節、バイエルン戦のせいで、いえ、前半27分にレバンドフスキにFKを決められ、そのまま1-0で負けてしまったのは、すでに首位突破は確定していましたし、6戦全勝チームはCL優勝したことがないというジンクスもあるため、別にいいんですけどね。点が取れそうなチャンスは前半15分までにカラスコがGKノイアーに弾かれた2本のシュートぐらいで、それ以降は向こうも本気でなかったにも関わらず、バイエルンの独壇場。「Todos hemos estado atras ayudando a defender/トードス・エモス・エスタードー・アトラス・アジュダンドー・ア・デフェンデール(ボクらは皆、下がって、守備に協力していた)」(グリースマン)という状態だったなれば、どんなにこちらのフラストレーションが溜まったことか。 ▽それでも終盤には少しは反撃を仕掛けたため、シメオネ監督は「Me quedo con los ultimos quince minutos, donde el Atletico volvio a ser lo que debe ser/メ・ケド・コン・ロス・ウルティモス・キンセ・ミヌートス、ドンデ・エル・アトレティコ・ボルビオ・ア・セル・ロ・ケ・デベ・セル(自分は最後の15分間が気に入った。アトレティコがそうでなければいけない姿に戻ったからね)」と満足を示していましたが、いや、ノイアーの純白のユニフォームは最後までまったく汚れてなかったですよ。おまけに先週末のエスパニョール戦同様、それどころか、マイナス4度でもっと寒かったアリアンツ・アレナでは尚一層、3本とパスが続かないのを見せられれば、たとえこのグループリーグ、6試合で32チーム随一のチーム走行距離703キロを記録したと聞いても、「そりゃあ、ミスパスであれだけボールを取り戻すのに駆け回っていればねえ」と思ってしまう私はもしや意地悪? ▽いやあ、敵方のアンチェロッティ監督など、気の毒に思ったのか、「Este Atleti tiene ahora mas calidad/エステ・アトレティ・ティエネ・アオラ・マス・カリダッド(今のアトレティコはより高い質を持っている)」と褒めてくれていましたけどね。丁度、その試合の直前には、これもアトレティコのカンテラーノ(下部組織出身の選手)故の間の悪さなのでしょうか。2012年にボルシア・メンヘングラッドバッハに移籍したCBドミンゲスが背中の負傷がずっと治らず、「A nadie le gustaría ser un inválido con 27 años/ア・ナディエ・レ・グスタリア・セル・ウン・インバリドー・コン・ベインテイシエテ・アーニョス(誰だって27歳で障がい者にはなりたくない)」と自身のSNSで引退を発表。それに選手たちもショックを受けてしまったのかもしれませんが、当のメンヘングラッドバッハも同日、カンプ・ノウでアルダ・トゥランにハットトリックを決められたりして、4-0でバルサに惨敗していましたからね。 ▽実際、この最終節で勝っても負けても火曜組のスペイン勢が来週月曜のCLベスト16組み合わせ抽選でシードチームとなるのは決まっていたため、ルイス・エンリケ監督も「seguro que nos tocara el mejor o el que mas puntos lleve/セグロ・ケ・ノス・トカラ・エル・メホール・オ・エル・ケ・マス・プントス・ジェベ(きっとウチは一番のチームが最も勝ち点の多いチームと当たるだろう)」と言っていた通り、バルサにはバイエルンやPSGといった強豪を引き当ててもらいたいものですが、何にせよ、決勝トーンメントは2月後半の話。 ▽今はむしろ、これでまたグリースマンのノーゴール時間が700分近くに伸びてしまったことや、せっかく先発に抜擢されながら、今回もガイタンは実力を見せることができなかったことなどが心配なんですが、さて。木曜にヨーロッパリーグのステアウア戦に2-1と勝って、グループ突破を決めたビジャレアルとの月曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からの試合に向けての数少ない、いいニュースは、フィリペ・ルイスは太もものケガが再発して年内はプレーできなくなってしまったものの、バイエルン戦で左SBを務めたルーカスが大いに信頼できることが再確認できたことでしょうか。 ▽そして翌水曜はサンティアゴ・ベルナベウに足を運んだ私でしたが、こちらはレアル・マドリーの1位がまだ確定していなかったせいで、fond sur/フォンド・スール(南側ゴール裏スタンド)には華々しい垂れ幕も現れ、前日よりは両チームにも緊張感があったんですが、前半28分にはカルバハル、後半8分には久々に先発に復帰したハメス・ロドリゲスからのクロスでベンゼマが2得点。もうそれでマドリーが逆転首位で終わるかと思われたんですけどね。香川真司選手は負傷で来ていなかったものの、相手が近年、マドリーと撃ち合いを演じてきたドルトムンドだったのが災いしました。 ▽そう、それまでも攻撃の回数では決して負けていなかった彼らは後半15分、シュメルツァーのパスを、「マドリーでいつかプレーすると祖父と約束した」というオーバメヤングがゴールにして、ペレス会長に猛アピール。これで1点を返すと、トゥーヘル監督は風邪気味だったロイスと若いエムレ・モレを投入して更に畳みかけることに。時間はかかりましたが、43分にはこの交代が功を奏して、今度はオーバメヤングのアシストからロイスが押し込み、とうとう同点になってしまったのですから、スタンドもガッカリしたの何のって。ええ、これでマドリーはまた2位に逆戻りです。 ▽結局、その日はロスタイムにセルヒオ・ラモスの奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)弾も生まれず、試合は2-2の引き分けで終了。うーん、終盤の失点をマルセロなどは「el empate final ha sido mala suerte/エル・エンパテ・フィナル・ア・シードー・マラ・スエルテ(最後に引き分けになったのは運が悪かった)」と言っていましたが、いえいえ。それでもジダン監督は34試合連続無敗というクラブ記録に並びましたし、何せ、今季は2位終了チームに強豪が少なくないという特殊な状況にありますからね。同日、リヨンとスコアレスドローに持ち込んで、やはり2位で突破したセビージャもそうですが、アーセナルはともかく、レスター・シティやモナコ、ナポリなら十分、ベスト16で勝ち目があるかと。 ▽ちなみにジダン監督の当たりたくない相手はユベントスなんですが、ファン的にはようやくこの日の試合で今季不調の汚名を払拭したベンゼマと、かつて彼とCFの座を争ったイグアインの元同僚対決なんか興味が持てますし、ケガが治ってドルトムンド戦に途中出場したモラタも2年間、お世話になった修行先の先輩たちに自身の成長を見てもらいたいことでしょうしね。そう思えば、結構、悪くないカードでは?ただ、その対戦相手が決まる前に彼らにも、クラブW杯のために日本に発つ前日の土曜、年内最後となるリーガ戦が控えています。 ▽え、相手は16位のデポルティボなんだから、ジダン監督が連続無敗の新記録を達成するどころか、かなりの可能性でgleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が期待できるんじゃないかって?いやあ、それが前節のデポルティボはレアル・ソシエダ相手に5-1と大勝をしていて、月曜のオープン放送枠だったため、TVを横目で見ていた私も呆気に取られた程の景気の良さ。それでもチーム力に自信を持つジダン監督は金曜日、クリスチアーノ・ロナウド、ベンゼマ、モドリッチに休養を与えるため、招集リストに加えないことにしたから、驚いたの何のって。 ▽いえ、確かに2位のバルサと勝ち点差6というのは余裕ですし、日本までの長距離移動をした後、来週木曜には準決勝、日曜には決勝を戦って、CL、UEFAスーパーカップに続く、今年3つ目のタイトル獲得を目指しているマドリーにしてみれば、とりわけドルトムンド戦で冴えが見えなかったロナウドとモドリッチにはエネルギー満タンでいてもらいたいところでしょうけどね。クロースが中足骨の骨折から早期回復、カセミロも徐々にリズムを取り戻してきている上、コバチッチやイスコ、ルーカス・バスケスらも出場すれば、高いレベルで仕事をするため、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)抜きでも不安はないんでしょうが…それにつけても世の中は不公平。 ▽だって、昇格したばかりの少ない予算で選手をかき集めながら、マドリッドの新弟分、レガネスなど、この土曜のラス・パルマス戦でも負傷欠場者が8人もいるんですよ。現在、順位は15位ですが、降格圏との差もいよいよ勝ち点2となって、お尻に火がついている状態なんですが、こればっかりはねえ。先週末のビジャレアル戦は緊急補強のGKエレリン(アスレティックからレンタル移籍)が活躍して、0-0で乗り切ったものの、果たして今度は得点の方まで手が回るかどうか。マドリーとその来年に持ち越される16節の相手のバレンシア以外、年内のリーガはあと2試合。ここで勝ち点を溜められるかどうかで、クリスマスのシャンパンの味も変わってきますから、レガネスの選手たちも頑張れるといいのですが…。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.10 10:23 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】引き分けにもイロイロある…

▽「だから、勝たなくていいって!」そんな風に私が反応してしまったのは月曜日。ミュンヘンのアリアンツ・アレナで行われたアトレティコのCLグループリーグ最終節前記者会見の様子を知った時のことでした。いやあ、このところ、ベテランのチアゴに先発の座を取って代わられ、出番の減っているサウールですし、昨季の準決勝バイエルン戦1stレグの決勝点、FIFAのプスカシュ賞にもノミネートされたgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げている身とあって、「Saldremos a ganar en un partido muy complicado/サルドレモス・ア・ガナール・エン・ウン・パルティードー・ムイ・コンプリカードー(とても困難な試合に勝つつもりでピッチに出る)」と、やる気になっているのはわかるんですけどね。 ▽せっかくここまでグループで5連勝しているんだから、泣く子も黙るドイツの強豪を最後に倒して全勝したら、カッコいいだろうと選手たちが思ってしまうのも人情と言えば、それまでですが…。もしや彼ら、CLのグループステージで6勝を挙げている6チームが、そのシーズンに優勝していないことを知らない? ええ、身近な例ではモウリーニョ監督時代の2011-12シーズンや、アンチェロッティ監督時代の2014-15シーズンのお隣さんですが、どちらも準決勝で敗退の憂き目に。そう思うと、もちろんUEFAからの勝利報酬もありますから、負けて一銭ももらえないのは勧められないにしても、せいぜい引き分けに留めておくのがまずは無難かと。 ▽え、シメオネ監督が「Hay veces que el orgullo cuenta mucho más que los puntos/アイ・ベセス・ケ・エル・オルグージョ・クエンタ・ムーチョ・マス・ケ・ロス・プントス(時に勝ち点より誇りが頼りになることもある)」と言っていたのは、2014年にマドリー悲願のデシマ(10度目のCL優勝)をプレゼントしてしまった選手たちが、その時の悔しさをバネに頑張ってくれるだろうと当てにしてのことじゃないのかって? うーん、土曜日のクラシコ以来、TVでは一生悔いても悔やみきれない、あのシーンの映像が何度も流れていますからね。すでに頭の中は今年5月の悲劇(ミラノ編)に上書きされていた選手たちだったとて、やっぱりアンチェロッティ監督のチームには意地を見せたいのかも。 ▽そんなことはともかく、まずはそのクラシコがどうだったのかを語っていかないと。いやあ、予定通り、キックオフの1時間前には近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行って、ガッチリ席を確保。ランチを食べながら始まるのを待った私でしたが、スタメン発表で意外だったのは、どちらのチームも負傷上がりのイニエスタ、カゼミロをベンチスタートにしたことでしょうか。とりわけバルサの方はチームのゲームメーカーがいないのが響いたか、序盤はセルヒオ・ラモスがルイス・スアレスに乗りかかってしまうなど、相手の体を張った守備に正面からぶつかって、なかなかチャンスが作れない結果に。 ▽かといって、マドリーが得点できた訳でもなく…。何せ、どういうタイミングか、その日に2009年から、1億5000万ユーロ(約185億円)にもなる肖像権収入をタックスヘイブンの会社に迂回させ、本来の4%程度の税金しか払っていないと、エル・ムンド(スペインの一般紙)で暴露されたクリスチアーノ・ロナウドが、カンプ・ノウのスタンドから「Hacienda somos todos, Crisiano paga ya/アシエンダ・ソモス・トードス、クリスティアーノ・パガ・ジャー(オレたち皆が税務署だ。クリスチアーノ、さっさと払え)」と歌われたことも影響したんですかね。前半の終盤に撃ったシュート、2本ともGKテア・シュテーゲンに止められていましたが、元々、この歌は名前の部分をメッシにして、スペインの様々なスタジアムで歌われていたもの。だとしたら、オリジナルの方もいい気はせず、前半中の枠内シュートがGKケイロル・ナバスにキャッチされたFK1本のみで終わってしまったのも無理はなかった? ▽それでも後半にはスコアが動き、52分には右サイドからネイマールが蹴ったFKを、ヴァランを出し抜いたルイス・スアレスがヘッドで決めてバルサが先制点をゲット。そこからルイス・エンリケ監督がイニエスタを投入し、ゲームの主導権も奪われてしまったため、ジダン監督は対抗策にイスコを引っ込め、カゼミロを入れたんですが、「Ser mas ofensivos/セル・マス・オフェンシボス(もっと攻撃的にしたかった)。少しリフレッシュして、コバチッチとモドリッチを前に出してね」という指揮官の意図に納得できなかったのは、ベンチで八つ当たりしていたイスコだけではなかったかと。ええ、結局、これだけでは足らず、マドリーは76分にはベンゼマをアセンシオに、80分には何と、先日のコパ・デル・レイ32強対戦2ndレグでハットトリックを挙げたマリアーノまでピッチに入れ、藁にもすがる気持ちで同点を目指したんですが…。 ▽いよいよアディショナルタイム入りが近いという90分、またしてもお馴染みの救世主が登場したんですよ! それはもちろん、2年前のダ・ルス(ベンフィカのホーム)で、そして今年の夏、セビージャと対戦したUEFAスーパーカップでも延長3分に起死回生の同点ゴールを挙げたラモスで、いえ、ルイス・エンリケ監督は事前に「Habia indicacion de no hacer falta si un jugagor del Madrid esta de espaldas a la porteria/アビア・インディカシオン・デ・ノー・アセール・ファルタ・シー・ウン・フガドール・デル・マドリッド・エスタ・デ・エスパルダ・ア・ラ・ポルテリア(マドリーの選手がゴールに背を向けていたら、ファールはするなという指示はしていた)」ものの、血気にはやって、ついマルセロを自陣エリア近くで倒してしまったのが、元アトレティコのアルダ・トゥランというのも何かの前兆だったのかもしれませんけどね。 ▽そのFKのキッカーに立ったのはモドリッチ。これもリスボン決勝でのCKと同じですが、そのボールを見事に頭で押し込んで、土壇場で同点ゴールをもぎ取ってしまったとなれば、ただただ感服するしかないじゃないですか。いえ、後でモドリッチは「Ha venido Sergio a vacilarme y me ha dicho: !menos mal que me has puesto una bien eh!/ア・ベニードー・セルヒオ・ア・バシラールメ:メノス・マル・ケ・メ・アス・プエストー・ウナ・ビエン・エー(セルヒオがボクをからかいに来たんだ。幸いにもいいボールを蹴ってくれたねって)」と話していましたけどね。加えて、このセットプレーは「Sale natural, no lo ensayamos/サレ・ナトゥラル、ノー・ロ・エンサジャモス(自然に生まれるんだ。練習はしていない)」そうですが、いやいや、それもチームメートの尽力があってこそ。 ▽というのも、そのシーンの映像を見てみると、ルーカス・バスケスがピケをラモスに近づけないようにこの手あの手でマーク。おかげでラモスはマスチェラーノを振り切って、フリーでヘッドすることができたんですが、ピケ自身も「ルーカスはボクを邪魔することに専念していて、行きたかったところに行かせなかった。Supongo que saben que soy el mas alto del equipo e importante en esas jugadas/スポンゴ・ケ・サベン・ケ・ソイ・エル・マス・アルト・デル・エキポ・エ・インポルタンテ・エン・エサス・フガダス(自分がチームで一番、背が高くて、こういうプレーで重要な役目があるのを知っていたのだと思う)」と証言していて、いえ、身長云々は誰だって見ただけでわかりますけどね。 ▽何も選りに選って、173センチと小柄なルーカス・バルケスがピケにつかなくてもいいんじゃないかという意見もあるでしょうが、バルサが攻撃のセットプレーではロナウドがメッシをマークしていたりとか、どうやらジダン監督はその辺はあまり気にしていないよう。ええ、「全員の働きが際立っていたが、luego Sergio esta ahi para meter el gol.../ルエゴ・セルヒオ・エスタ・アイー・パラ・メテール・エル・ゴル(それでセルヒオがゴールを決めるためにそこにいる…)」(ジダン監督)のなら、全然、問題はありませんって。おまけにアディショナルタイムにはカゼミロがセルジ・ロベルトのヘッドをゴールライン上でクリアして、同点死守の立役者になったとなれば、もう誰も彼の選手起用策に文句はつけたりしませんよ。 ▽結局、「Creimos hasta el final/クレイモス・アスタ・エル・フィナル(ウチは最後まで信じた)」という、マドリーの特性がモノを言って、そのまま1-1の引き分けでクラシコは終わったんですが、おかげで両チームの勝ち点差は6で変わらず。つまり次節のデポルティボ戦でマドリーが負けなければ、年内最終節のバレンシア戦を延期してクラブW杯に出かけても、バルサは絶対に彼らに追いつけないのですから、こんなに安心なことはないじゃないですか。いえ、細事を言えば、ラモスのゴール祝いの時にカルバハルがスタンドに向かってpeineta(ペイネタ/中指を立てるヒワイなポーズ)をしたり、まったく冴えのなかったベンゼマや出番すらもらえなかったハメス・ロドリゲスが更に株を下げるなんてこともあったんですけどね。とりあえず、マドリーファンにとってはいい結果だったかと思います。 ▽そして次の時間帯でビジャレアルをブタルケに迎えたマドリッドの新弟分、レガネスがGKエレリン(アスレティックから移籍)を緊急補強した甲斐があって、相手を無失点に抑えたものの、攻撃陣の重傷者の穴埋めがまだなせいですかね。ゴールを挙げることはできずにスコアレスドローに終わったと私が知ったのは、ビセンテ・カルデロンのスタンドで寒さに耐えながら、アトレティコvsエスパニョール戦が始まるのを待っていた時だったんですが、その日はキックオフ前に飛行機事故の犠牲になったブラジルのシャペコエンセに黙とうを捧げました。シャペコエンセにはアトレティコでプレーしたこともあるクレベル・サンタナがいたのもあり、他のスタジアムより黙とうがしんみりしていたり、それこそその彼が在籍時の指揮官だったキケ・サンチェス・フローレス監督がエスパニョールを率いて古巣を再訪。 ▽2010年には長年の間、タイトル日照りに苦しんでいたチームをヨーロッパリーグ優勝に導いてくれたこともあって、fondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏)に「eternamente agradecido Quique/エテルナメンテ・アグラデシードー・キケ(キケ、永遠に感謝しています)」という横断幕がかかったりと、どこかセンチメンタルな雰囲気で始まったせいもあったんでしょうか。グリーズマン、ガメイロ、カラスコを先頭に攻めていたアトレティコでしたが、ほとんどシュートを撃てず。それどころか、41分にはモレノが、59分にはレオ・バチストンがカウンターから1人抜け出して、GKオブラクが必死で弾いてくれなければ、相手に先制されていてもおかしくありませんでしたっけ。 ▽え、それでもアトレティコにだって、ガビやグリーズマンのチャンスがあったものの、ディエゴ・ロペスにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまったんだろうって? そうですね、キケ監督も「Estaban los dos porteros mejores de Europa y era dificil hacer un gol/エスタバン・ロス・ドス・ポルテーロス・メホーレス・デ・エウロッパ・イ・エラ・デフィシル・アセール・ウン・ゴル(ヨーロッパ最高の2人のGKがいて、ゴールを入れるのが難しかった)」と言っていたのはその通りだったんですが、いくら敵が守備に特化していたとしても、あのアトレティコのパスの繋がらなさは異常。それこそ、フォルラン(現ムンバイ・シティ)やアグエロ(マンチェスター・シティ)のゴールでタイトルは獲ったものの、キケ監督が率いた2シーズン、リーガをそれぞれ、9位、7位で終えた、時としてファンを絶望させるチームのデジャブだったかと。 ▽おかげで私など、その夜はやたら冷えるので、選手たちの足がかじかんでいるんじゃないかと疑った程ですが、ガイタンやコレアをピッチに投入してもその流れは変わらず。マドリー育ちのファンフランなど、後で「ウチは最後まで勝利を手に入れられると信じていた」と主張はしていましたが、残念ながら、アトレティコのDNAには土壇場の奇跡は刷り込まれてないんですよ。結局、最後まで0-0のまま、クラシコ引き分けだけでなく、お昼の試合でセビージャもグラナダに負けという、上位との差を詰める絶好のチャンスを掴めず、「Es un punto muy bueno/エス・ウンプント・ムイ・ブエノ(とてもいい勝ち点1だ)。ビセンテ・カルデロンでポイントを取るのは難しいから、チームは満足しているよ」(ディエゴ・ロペス)というお土産をエスパニョールに持たせて、バルセロナに帰ってもらうことになりました。 ▽いえ、それでもレガネスが健闘してくれたのと、幸い月曜日の試合でもデポルティボがレアル・ソシエダに5-1と勝ってくれたため、アトレティコの4位は変わらなかったんですけどね。試合後の会見で、「El objetivo es ser tercero, tranquilidad/エル・オブヘティボ・エス・セル・テルセーロ、トランキリダッド(目標は3位になることだから、落ち着いている)」とシメオネ監督が言っているのを聞いた時には思わず、それだって危ないじゃないと抗議したくなったもんですが、彼らだって、好きで下手なプレーをしている訳じゃありませんからねえ。ここは気を取り直して、すでに首位通過が決まっている火曜日午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのCLバイエルン戦では、マドリッドで留守番することになったチアゴ、フェリペ・ルイスだけでなく、コパのギフエロ戦並にスタメンを落としてもいいので、リーガの次節、来週月曜日のビジャレアル戦に集中して欲しいかと。 ▽その一方で、同日にはクラシコでの悪いイメージだけでなく、国内戦ここ4試合引き分けというスランプに陥っているバルサは、やはり1位は確定しているものの、「mañana jugará Messi de inicio/マニャーナ・フガラ・メッシ・デ・イニシオ(明日はメッシが先発する)」(ルイス・エンリケ監督)と、ボルシアMG戦に心血を注いでいるようですが、本当の意味で一生懸命やならいといけないのはマドリー。というのも、彼らの場合、決勝トーナメント進出は決まっているものの、現在は勝ち点2差の2位と、この水曜日の試合でドルトムントを倒さない限り、首位通過ができないから。 ▽まあ、別に2位でもいいという考え方はできますけどね。ただこの試合には、クラブ記録となる34試合連続無敗も懸かっているため、ジダン監督はオールスターメンバーで迎え撃つはず。ちなみに月曜日には11月のスペイン代表戦でケガをしたモラタが全体練習に復帰、ベンチに入る可能性もありとされていますが、こちらもクロースと共にクラブW杯に万全で挑むため、まだ実戦は控えるかも。先週末のブンデスリーガでドルトムントはメボルシアMGを4-1と一蹴してしますし、彼らとの近年の試合はドキドキする撃ち合いが多いので、香川真司選手が出る出ないに関わらず、見応えのある一戦になるんじゃないでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.06 12:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】余裕がありすぎる…

▽「でも見ちゃうわよね」そんな風に私が異論を唱えていたのは、いよいよ今季のリーガ・クラシコ(伝統の一戦、バルサvsレアル・マドリー戦のこと)が翌日に迫った金曜日。やはり土曜日に試合を控えたアトレティコのシメオネ監督の記者会見をTVのニュースで見た時のことでした。いえ、「No creo que la gente del Atlético vea mañana el Clásico, sino que va a pensar en lo nuestro/ノー・クレオ・ケ・ラ・ヘンテ・デル・アトレティコ・ベア・マニャーナ・エル・クラシコ、シノ・ケ・バ・ア・ペンサル・エン・ロ・ヌエストロ(明日、アトレティコの人々がクラシコを見るとは思わない。むしろ自分たちのことを考えるだろう)」という監督の言葉、選手やスタッフのことを指すのなら、丁度、その時間は常宿のホテルでビセンテ・カルデロンに向かう前最後のミーテイングでもしているでしょうから、ありえなくはないんですけどね。 ▽一般のアトレティコファンにしてみれば、バルサの力を借りて、永遠の宿敵との勝ち点差を減らす願ってもないチャンス。ただ、それでも現在9ある差が6になるだけですが、年内最後となる16節、マドリーはクラブW杯で日本に行くため、そのバレンシア戦は来年以降にプレーすることに。要は勝ち点差を3まで縮めて年を越すことも可能となれば、同じ土曜日でもクラシコと午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのアトレティコvsエスパニョールは十分、間が空いていますからね。ついついTVの前に座ってしまうと思うんですが、さて。2位のバルサが負けた場合でも、アトレティコが勝てば彼らに勝ち点で並べますから、やっぱり目を離せないファンは多いんじゃないでしょうか。 ▽まあ、クラシコの話はまた後でするとして、先に今週のコパ・デル・レイ32強対決でマドリッド勢がどうだったかお伝えしておくことにすると。初日の火曜日にバレンシアとの1stレグに挑んだのは新弟分のレガネスだったんですが、案の定、このところ続く負傷禍に気力がついていかず。ムニル、メドラン、バッカリにゴールを決められて、就任以来、リーガで1勝しただけのプランデッリ監督に1-3の快勝をプレゼントすることに。うーん、アシエル・ガリターノ監督も試合後は「La eliminatoria esta imposible/ラ・エリミナトリア・エスタ・インポシーブレ(勝ち抜けは不可能だ)」とまだ、2ndレグもあるにも関わらず、あっさり白旗を挙げていましたしね。 ▽木曜日にはヒザの靭帯断裂で今季絶望となったGKセランテスの代わりにアスレティックから、エレリンがレンタルで来てくれることも決まり、この土曜日のビジャレアル戦から先発OKだそうですから、とにかく今はリーガに専念するしかないかと。ちなみに相手はコパでトレド(2部B)に0-3で勝利しているとはいえ、まだグループ突破が決まっていない来週のヨーロッパリーグ最終節も気になっているはずですからね。ここはレガネスも現在勝ち点4の降格圏との差を年内中にできる限り広げることに集中してくれればと思います。 ▽一方、水曜日にはマドリッドの2強の試合があったんですが、例の日本行きのため、先月中に1stレグを前倒ししてやっていたマドリーはサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグ。やはり1stレグの1-7という結果が影響して、レオン(マドリッドの北にある内陸都市)から応援に駆けつけたクルトゥラル・レオネサ(2部B)のサポーター1000人余りはともかく、スタンドが満員になることはありませんでしたっけ。もちろん、勝負がついていることがわかっているジダン監督もGKケイロル・ナバスを始め、セルヒオ・ラモス、マルセロ、モドリッチ、クリスチアーノ・ロナウド、ベンゼマら6人のレギュラーを招集せず。スタメンに入ったトップチームの選手も、ケガが治ってその日、実戦に復帰したカゼミロ、そしてカルバハル以外は土曜日のクラシコでは先発の可能性が低いハメス・ロドリゲス、アセンシオ、ナチョといった感じだったので、1stレグよりは拮抗した試合を期待したんですが…。 ▽いえいえ、とんでもない! キックオフから23秒、敵右SBがエリア近くでミスしたボールを奪ったアセンシオがゴール前にラストパスを入れ、マリアーノが先制点を挙げているのですから、控え選手たちの気合の入り方といったら、もう。ここまでリーガやCLでほとんどプレー時間をもらえていないマリアーノは11分にもゴールを入れたんですが、オフサイドで認められず。それでも22分にはその日、先発した中では唯一のクラシコでもリピート確実候補、カルバハルのクロスをハメスがヘッドで叩き込み、今週母国のコロンビアで墜落事故に遭ったブラジルのチーム、シャペコエンセの犠牲者への追悼で天を仰ぐことに。加えて、41分にもマリアーノが今度はスコアボードに挙がる自身2点目を決め、ハーフタイム寸前にはクルトゥラルのジェライがエリア外からのシュートで1点を返したところで、試合は折り返します。 ▽後半頭からはカルバハルとイスコがベンチに下がり、ヴァランとジダン監督の長男、エンツォが入ったんですが、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)はまだ続いて、62分にはそのエンツォがトップチームデビュー戦でゴールを挙げる快挙を達成。これにはジダン監督も「Como padre y como entrenador, estoy contento por su gol/コモ・パドレ・イ・コモ・エントレナドール、エストイ・コンテントー・ポル・ス・ゴル(父親としても監督としても、彼のゴールには満足している)」と喜んでいましたが、当人と同じくエンツォもポジションはトップ下なんですよ。ええ、マドリーでは、イスコやハメスといった各国代表選手クラスでもレギュラー獲りが至難の業となっていることを考えると、先々、彼もアピールの機会が増えるのかは微妙なところですね。 ▽そして87分には再び、マリアーノがゴールを挙げ、そのハットトリックで幕を締めたかと思いきや、89分にはナチョのパスをモルガードがオウンゴールにするというおまけつきで、6-1となって、ようやく試合は終了。総合スコアにすると、13-2という恐ろしい数字になっているんですが、まあ相手が2部Bなら、大体、こんなものかも。一応、クルトゥラルもずっとグループ1の首位を独走している、そのカテゴリーでは強いチームなんですけどね。とりあえず、憧れのサンティアゴ・ベルナベウでプレーして、特別誂えの蛍光ピンクのユニフォームもお披露目できたとことですし、もうコパは忘れて、今後はシーズン終盤の昇格プレーオフ出場目指して頑張ってほしいものです。 ▽その後、スタジアムを出て、自宅近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でアトレティコの32強対決1stレグを見た私だったんですが、こちらも相手が2部Bのギフエロということで、シメオネ監督もかなりメンバーを落としていましたね。グリーズマン、ガメイロ、コケ、ガビ、チアゴ、ゴディン、ファンフラン、オブラクといったとこは軒並み、マドリッドでお留守番、おかげでカラスコがCF、キャプテンは22歳のサウールという、妙なチームになっていましたが、大丈夫。私がバルに着いたハーフタイム、エルマンティコでは、ファンが入場時にもらったハモン・イベリコの真空パックを開け、セットのパンにはさんでbocaillo(ボカディージョ/スペイン風バゲットサンド)を手作りしている頃には、すでに2点もリードしていましたよ。 ▽いえ、先制点はカラスコがエリア内で敵のタックルを避けようとジャンプした後、地面に転がったのをペナルティに取ってもらい、「あんなあからさまなpisciazo(ピシナソ/ダイブ)をして」と、道中、私が聴いていたオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況アナも批判していた、ちょっと恥ずかしいプレーから、サウールがPKで挙げたものなんですけどね。前半終了直前にトマスのロングパスをブルサリコが弾道の低いボレーシュートで決めた一撃は、とても自身のキャリア2本目とは思えないgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)だったかと。 ▽後半も後半で49分にはカウンターから、カラスコが汚名返上のゴールを決め、53分にもガイタンのスルーパスをサウールがエリア奥から折り返して再びカラスコが得点、57分にはそのリプレーのように、今度はガイタン、ルーカスと繋いでコレアがゴール。更に85分にはカンテラーノ(アトレティコBの選手)のロベルまで、ブルサリコのクロスから初ゴールを挙げて、とうとうスコアは0-6に。まあ、こちらも確かに実力差が明らかだったんですが、何せ相手は本当に生ハム模様の第2ユニフォームを着てプレーしていましたし、途中、ケガした選手にメディカルスタッフが駆け寄った時にもバッグがハムの足の形をしていたり、試合前の選手インタビューも会長が所有している生ハム製造工場の中と、サッカーより名産品プロモーションに一生懸命なようでしたしね。 ▽その日のパルコ(貴賓席)も招待客に生ハム大盤振る舞いと、唯一、用意されていなかったのはロッカールームの中だけだったって、シメオネ監督は「Estoy contento con la actitud del equipo, jugo bien, hizo lo que tenia que hacer/エストイ・コンテントー・コン・ラ・アクティトゥッド・デル・エキポ、フゴ・ビエン、イソ・ロ・ケ・テニア・ケ・アセール(チームの態度に満足だ。いいプレーしたし、やらなければならないことをやった)」と褒めていましたが、これで万が一、選手たちが生ハムに気を取られ、至らない結果が出ていたら、一体、世間様に何を言われたものか。ええ、その日最後にやはり、2部Bのエルクレスと1stレグを戦ったバルサが、レギュラーを休ませたのは同じながら、相手に先制され、カンテラーノ(バルサBの選手)のアレニャの一発で1-1と引き分けに持ち込むのが精一杯だったのを見れば、2ndレグに宿題を残さず、勝負を決めたアトレティコは立派だった? ▽そして夜のうちにマドリッドに戻った彼らは翌日から、リーガ戦の準備を始めたんですが、金曜日にはCLのPSV戦でケガをしたフィリペ・ルイスが招集リストに復帰という嬉しいニュースも。腰を痛めたフェルナンド・トーレスはまだなんですけどね。グリーズマンもガメイロも休養十分ですから、キケ・サンチェス・フローレス監督を筆頭に、レジェス、フラード、レオ・バプチストンら、古巣への帰還に張り切っているメンバーが複数いるエスパニョールに大きな顔はさせないかと。ちなみにそのエスパニョールはコパで、2部にいるマドリッドの弟分で唯一、勝ち残っていたアルコルコンと1-1で引き分け。エルクレスよりはベスト16に進出できる可能性が高いような気がしますが、やはりアルコルコンも目標は1部昇格ですから、あまり過大な期待は懸けない方がいいかと思います。 ▽え、それでマドリーのクラシコ準備は万端なのかって? そうですね、招集リストには今週、ロンドンで足首の手術を受け、現在は故郷のカーディフで静養しているベイルはもちろん、すでにグラウンドで練習を始めているクロース、バルセロナ遠征にはチームメートの応援のために同行したものの、まだプレーはできないモラタ、そして前節から負傷しているダニーロ、コエントランの名はないんですが、ロナウドやベンゼマは元気ですしね。スタメンに関しての疑問もコパで90分間プレーしたカセミロが中盤に戻るのか、コバチッチのままでいくのか、ラモスとのCBペアはヴァランかペペかといった辺りぐらいですが、何よりチームにはここ32試合無敗継続中という自信があるのが強いかと。 ▽ただ、昨季も指揮官として初めてのカンプ・ノウでのクラシコに勝ったジダン監督も「前回はfuimos allí con el culo apretado/フイモス・アジー・コン・エル・クロ・アプレタードー(尻に火がついたような状態で行った)。今回も同じ気持ちで行かないといけないが、va a ser un partido totalmente diferente/バ・ア・セル・ウン・パルティードー・トータルメンテ・ディフェレンテ(完全に違う試合になるだろう)」と、気を引き締めていましたし、いくら相手がエルクレスだけでなく、リーガでもここ2試合、マラガ、レアル・ソシエダと引き分けていると言っても油断は禁物。 ▽そう、気合が入るのはバルサの選手たちも同じですし、現在、勝ち点差が6もあるため、必死感も半端ないでしょうからねえ。ソシエダ戦で足を痛めたピケとジョルディ・アルバも回復、メッシも元気になった上、満を持してイニエスタも復活となれば、先日のダービーのように容易くマドリーが勝利することはなさそうな。そんな2016-17シーズン前半戦のクラシコは土曜日午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)キックオフ、シメオネ監督が何と言おうが、私は1時間ぐらい前から近所のバルに行って、席を確保するつもりでいますよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.03 11:10 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】先はまだ長いけど…

▽「着たがる人が果たしているのやら」そんな風に私が頭を振っていたのは月曜日。片側が赤白ストライプ、もう一方に生ハム模様がプリントされた、けったいな記念ユニフォームをTVのニュースで見た時のことでした。いやあ、CDギフエロ(2部)Bの第2ユニが全面生ハム模様であることは先日、コパ・デル・レイのベスト32組み合わせで相手がアトレティコに決まった時、スペイン全土の知るところとなったんですけどね。 ▽水曜日の1stレグは狭いホームの市営スタジアムではなく、サラマンカのエルマンティコを借りて開催、40~60ユーロ(約5000~1万2000円)の入場券を買って見に来てくれたファンには、生ハムのボカディージョ(スペイン風バゲットサンド)をもれなく贈呈なんて辺りはまだ良かったんですが、こんな調子じゃ、当日のスタジアム周辺は生ハム切り売りスタンドが林立するのでは? まあ実際、ギフエロのあるサラマンカ州は生ハムの名産地で、たまに私も奮発して、マドリッドにある専門販売店で買って食べてみると確かにおいしいんですけどね。それでも、いくら下位カテゴリーチームには突破の可能性がほとんどない対戦とはいえ、そんな目の回るようなユニフォームで出て来られた日には、アトレティコの選手たちもマジメに試合に取り組めないんじゃないかと心配になったりするんですが…。 ▽え、今はそれよりリーガの現状の方が気になるって? そうですね、この悪天候に祟られた週末ではちょっと順位に変化があって…。もちろん土曜日にスポルティング・デ・ヒホンをサンティアゴ・ベルナベウに迎えた首位のレアル・マドリーは勝ちましたよ。ただ、その日のユニフォームの前面にスポンサー名や紋章がほとんど見えなかったのは、環境保護をアピールするため、海から回収されたプラスチックボトルをリサイクルした素材で作った特製品だったせいで、試合中にずっと雨が降っていたせいではなく、元々印字が薄かっただけなんですけどね。 ▽4分には早々にセルヒオ・アルバレスがルーカス・バルケスをエリア内で倒して、マドリーはPKをゲット。クリスチアーノ・ロナウドがそれを決めて先制した上、19分にも左SBとして先発したナチョのクロスをロナウドがヘッドで叩き込み、ほとんど勝負がついてしまったせいもあるんでしょうか。それからの彼らは「Bajamos la intensidad por muchas cosas/バハモス・ラ・インテンシダッド・ポル・ムーチャス・コーサス(ウチはイロイロな理由でプレーの強度を落としてしまった)」(ペペ)という状態に。 ▽おかげで39分には、開始すぐにビッグチャンスを外していたカルモナが今度は見事なワンタッチシュートでゴールを挙げ、スポルティングが1点差に迫ったんですが、特にマドリーには焦りを感じた様子もなし。75分が近付くと、ジダン監督はイエローカードあと1枚で累積警告の危険があったセルヒオ・ラモスをマルセロに代え、次節に迫ったクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)対策を講じる余裕もあったんですが、思いがけないピンチが訪れたのは76分のことでした。ボールを持ったビクトル・ロドリゲスがCBに移ったナチョにエリア内でファールを受け、ペナルティを取られてしまったから、さあ大変! ▽でも大丈夫だったんですよ。というのも、今季、スポルティングでPK2本を成功させていたチョップが、やはり注目の大舞台ということで上がってしまったんですかね。当人は蹴る前、右手を首筋に当てて、自分が平静かどうか鼓動を確かめたところ、落ち着いていたと言っていましたが、ボールの方はゴール枠を大きく逸れてスタンドへ。おかげで結局、最後までスポルティングは追いつけなかったんですが、こんな絶好の同点チャンスをムダにした割に、アベラルド監督は「a nivel de juego y de autoestima nos da muchisimo/ア・ニベル・デ・フエゴ・イ・デ・アウトエスティマ・ノス・ダ・ムチシモ(レベルの高いプレーと自尊心を大いに与えてくれた)」と満足していたよう。 ▽まあ、下位チームの場合、このスタジアムではgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)されて終わることも多々ありますからね。それを思えば、2-1の負けなら恩の字といったところなんでしょうけど、ジダン監督の方は「Podemos estar contentos pero solo de los tres puntos/ポデモス・エスタル・コンテントス・ペロ・ソロ・デ・ロス・トレス・プントス(満足できるが、それは勝ち点3を取ったことについてだけ)」と試合後、不満を口にすることに。でもねえ、折しも先週CLスポルティングCP戦でベイルが足首を痛め、2、3カ月の戦線離脱になってしまったこともありますし、モラタも負傷中。まだ復帰して数試合のベンゼマも本調子ではないとなれば、ロナウドが順調にゴールを挙げ続けてくれているだけでも有難いかと。 ▽おかげでアンチェロッティ監督(現バイエルン)の記録に並ぶ公式戦31試合無敗も達成できましたし、後続との差を保ってリーガ首位を維持。土曜日のクラシコで負けてもその立場が揺らぐことはないとなれば、それ以上、贅沢を言ったらバチが当たるってもんですよ。ちなみに彼らも今週はクルトゥラル・レオネサ(2部B)とのコパがあるんですが、クラブW杯が12月中旬にあるため、他のチームと違って、こちらはもう2ndレグ。しかもアウェイの1stレグで1-7と大勝しているので、水曜日午後7時(日本時間翌午前3時)からのサンティアゴ・ベルナベウでは、スポルティング戦では出番のなかった、ようやく腓骨骨折が完治したカゼミロなど、ジダン監督が試したい選手たちがプレーする予定。終盤はどこか辛そうだったロナウドを始め、主力をクラシコに向けて温存できるのも、ファンにとってはホッとできますよね。 ▽そして続く時間帯ではマドリッドの新弟分、レガネスがエスパニョールに3-0と完敗してしまったんですが、彼らにとって、それより深刻なのはその試合で正GKのセランテスが負傷。しかも前節、2得点したオサスナ戦で今季絶望となったロベル・イバニェス同様、ヒザの靭帯を断裂となれば、もう泣くに泣けないかと。どちらも冬の移籍市場が開く前にリーガの許可を得て、代替選手を探す予定ですが、それ以外にも現在、シマノフスキとディエゴ・リコもヒザを痛めて出場できない状態では、もうこの火曜日のコパ、バレンシア戦なんて、ただの重荷でしかないのでは? 幸い、まだ降格圏とは勝ち点4差があるので、とりあえず、何とかクリスマスのparon(パロン/休止期間)まで頑張って、年明けに運気が変わるのを待つしかないのかもしれません。 ▽一方、日が変わって、日曜日にオサスナ戦に挑んだアトレティコはどうだったかというと。いやあ、それがマドリッドは引き続き雨模様だったんですが、パンプローナ(スペイン北西部、牛追い祭りで有名な町)は晴れていたんですよ。だからという訳ではないでしょうが、前節のマドリーダービーでは完敗したものの、CLではPSVに快勝して、自信を回復した彼らは軽快にスタート。おかげで開始すぐにはガメイロが先制点を挙げるチャンスを掴んだんですが、不可思議にも的を外してしまうことに。いえ、それどころか、13分にはヒメネスがオリオル・リエラをエリア内で突き飛ばし、PKを宣告されてしまったから、焦ったの何のって。 ▽これではダービーでロナウドにペナルティを犯したサビッチと先発を交代させた意味もありませんが、嬉しいことにこの日はオブラクが冴えていてくれました。ええ、ロベルト・トーレスのPKを弾き、後でシメオネ監督も「El penal fue determinante/エル・ペナウ・フエ・デテルミナンテ(ペナルティが決定的だった)」と感謝していたんですが、誰ですか? 彼を全然、PKを止められないGKだなんて言っていたのは。それは昨季のミラノでのCL決勝やPSVとのベスト16でのPK戦の印象が強いだけで、実は試合中のPKなら8本中4本、50%の阻止率の持ち主。その止めたうちの3本がヒメネスのペナルティというのは奇妙な偶然ですが、そんなことも意外とサビッチのスタメン復帰には障害になるかもしれませんね。 ▽まあ、そんなことはともかく、その後はコレアも敵GKとの1対1を失敗していたものの、何とアトレティコはほんの2分間程で試合を決めてしまったんですよ。まずは35分、もう長いこと、得点に結びつけていなかったコケのCKをゴディンがヘッドで決めて先制したかと思えば、大して間を置かずにコレアの浮き球パスに抜け出したガメイロが今度はシュートをネットに収めてくれたから、ホッとしたの何のって。おかげで私も後半はゆったりした気分で見ることができたんですが、残り1分にはコレアと途中交代したカラスコも敵のスローインからボールを奪い、3点目を挙げてくれたとなれば、これぞまさに文句のつけようのない完勝? ▽ええ、この試合前にはシメオネ監督も「La Liga, para los clubes, para los hinchas, es todo, la tabla se ve a dario/ラ・リーガ、パラ・ロス・クルブス、パラ・ロス・インチャス、エス・トードー、ラ・タブラ・セ・ベ・ア・ディアリオ(クラブにもファンにもリーガは全て、順位表を毎日見るんだから)」と言っていましたけどね。その日はビジャレアルがアラベスに2-0と不覚を取り、遅い試合でもバルサがここ7年間の習慣を忠実に守って、アノエタ(レアル・ソシエダのホーム)で白星を挙げられず。1-1の引き分けという結果だったため、6位だったアトレティコが4位まで上がることができたのは、とても大きな収穫だったかと。 ▽ただ、これで2、3位のバルサ、セビージャとは勝ち点3差になったとはいえ、首位のマドリーとは相変わらず9差がついているのは如何ともしがたいんですが、次には上位同士で潰し合うクラシコも控えていますからね。当面のアトレティコの課題は水曜日午後9時(日本時間翌午前4時)キックオフのギフエロ戦。オサスナ戦をケガで欠場したフィリペ・ルイスとフェルナンド・トーレスはまだ戻って来ませんが、おそらくシメオネ監督もGKモヤを始め、ガイタンやトマス、ブルサリコら、普段あまりプレーしていない選手を投入してきそうですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.29 13:01 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】軌道修正できたんだろうか…

▽「どうして上まで見えないの?」そんな風に私がイラッとしていたのは金曜日、CLも一区切りついたことだし、週末のリーガでアトレティコはどこまで順位改善ができるかと、マルカ(スポーツ紙)のクラブページ(http://www.marca.com/futbol/atletico.html)を眺めていた時のことでした。いやあ、前節のマドリーダービーに完敗して、首位との差が勝ち点9に拡大。順位も6位まで落ち込んでしまったのは重々、承知だったんですけどね。そのページの右端には直近試合の結果の下にclasifiacion(クラシフィカシオン/順位表)が出ているんですが、20チーム全ては載ってなくて、アトレティコを真ん中に上は4位、下は8位までしか現れず。 ▽これじゃ、最低ラインのCL直接出場権をもらえる3位に戻るまで、あと勝ち点がいくつ必要なのかもわからない上、いえ、このところ、乾貴士選手の出場も多く、頑張っているエイバルにケチをつけたい訳じゃないんですけどね。8位の彼らが金曜のベティス戦で勝ったら、勝ち点21のアトレティコに並んでしまうというショッキングな事実に気づいてしまったから、当惑したの何のって。もちろん、この週末はレアル・マドリーやバルサ、セビージャらが土曜に試合をするため、日曜のオサスナ戦がやって来るまで、上位陣との距離が更に開いてしまうという、惨めな思いに耐える覚悟はできていますけど、ああ、なる程。その場合、上は見えない方が、アトレティコファンはキリキリしないで済むという、ページデザイナーの配慮だったのかもしれませんね。 ▽まあ、そんなどうでもいいことは置いておいて、今週のCL5節がどんな様子だったかをお話していくことにすると。先にプレーしたのはお隣さんの方で、何せ、昨季のミラノでの決勝に続いてアトレティコを倒し、リーガ首位の座を固めた後、2年前にデシマ(CL10回目の優勝のこと)を達成したリスボンに乗り込んだんですから、貫録の戦いぶりが期待されていたんですけどね。どうやらダ・ルス(ベンフィカのホーム)とジョゼ・アルバラージ(スポルティングのホーム)は勝手が違うようで、スタメンも3日前からナチョに代わって、CBに負傷が完治したセルヒオ・ラモスがキャプテンマークを巻いて戻るぐらいの変更しかなかったんですが、序盤はなかなかチャンスが作れず。 ▽ようやく均衡が破れたのは29分だったんですが、残念ながら、殊勲の得点者は試合前、スポルティングのカンテラ(ユース組織)出身で、フィーゴを超える出世頭の古巣帰還として、スポットライトを一身に集めていたクリスチアーノ・ロナウドではなかったんです。いえ、モドリッチのFKを最初にシュートしようとしたのは彼だったんですけどね。敵選手の間をすり抜けたボールを手際良く押し込んだのはバラン。とりあえず、このゴールでマドリーは0-1とリードしてハーフタイムを迎えることになったんですが…後半にはちょっとした逆境が降りかかることに。 ▽いえ、足首を痛めたマルセロは大丈夫、すぐにピッチに戻ったんですけどね。12分にはベイルが敵との接触プレーで負傷、実際、こちらは深刻だったようで、帰国してから、足の腱の手術が必要とわかり、12月3日のクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)や中旬のクラブ・ワールドカップどころでなく、全治2、3カ月の戦線離脱になってしまったんですが、その時はまだ誰も知らず。アセンシオが代わりに入り、そのままゲームは追加点が取れないまま続いたものの、まあ、コバチッチのお腹を思わず突いてしまったジョアン・ペレイラがレッドカードで退場になって、スポルティングは1人少なくなっていましたからね。 ▽1節にサンティアゴ・ベルナベルで見た時のような攻撃の鋭さもなかったため、最少得点で勝利できるかと私も思い始めた頃、後半35分、ジダン監督の配慮でマルセロから代わったコエントランがペナルティを取られてしまうとはこれ如何に。うーん、当人は直前のキャンベルのプレーに「Yo pido mano, porque ha sido mano/ジョ・ピド・マノ、ポルケ・ア・シードー・マノ(自分はハンドをアピールした。ハンドだったんだから)」と後で言っていましたけどね。それで挙げた手にボールが当たり、自分の方が笛を吹かれるって、同じポルトガル人でもロナウドと違い、ベンフィカ出身だったため、いくらスタンドからpito(ピト/ブーイング)を浴びっぱなしだったとはいえ、「ha sido mala suerte/ア・シードー・マラ・スエルテ(運が悪かった)」(コエントラン)では済まされないかと。 ▽うーん、実際、そのPKはアドリエン・シウバに決められて、マドリーは同点に追いつかれてしまいましたしね。その頃には同グループのドルトムントがレギア・ワルシャワ相手に大量点を挙げ、リードしていたため、引き分けで終わったら、2位確定ということになっていたんですが、いえいえ、舐めてはいけません。そこはDNAにチャンピオンズリーグと奇跡のremonntada(レモンターダ/逆転劇)体質が刷り込まれているマドリー、42分にはラモスが送ったクロスに、イスコに代わって入っていたベンゼマの頭がミート。これが決勝点となって、マドリーは1-2での勝利を手に入れることができました。 ▽え、アトレティコをあんな余裕で下した彼らなのに、スポルティングに苦戦するのはどうにも納得がいかないって?いやあ、ジダン監督によると、「Es evidente que jugar cada tres dias no es facil y nos ha podido faltar algo de energia/エス・エビデンテ・ケ・フガール・カーダ・トレス・ディアス・ノー・エス・ファシル・イ・ノス・ア・ポディードー・ファルタル・アルゴ・デ・エネルヒア(3日おきにプレーするのが容易くないのは明らかだし、ウチに何がしかのエネルギーが足りなかったことはありうる)」そうなんですけどね。普段から、選手たちの気がつい緩んでしまう格下相手の試合の場合、こういう展開はありがちなので、とりあえず、グループ突破が決まり、最終節、ホームでドルトムントに勝てば首位で終われる可能性を残しただけも、この日は良かったかと。 ▽それこそ、同日、サンチェス・ピスファンでユーベに1-3の逆転負けを喰らい、アウェイのオリンピック・リヨン戦で勝ち点1ですが、獲得しないと先に行けず、ヨーロッパリーグ4連覇を目指すことになってしまったセビージャよりはずっとマシかと思いますが、そういう意味では水曜日、4節ですでに突破の決まっていたアトレティコのPSV戦に向かうのは気が楽な面もなくはなし。おまけにビセンテ・カルデロンに着くなり、時差のあるロシアでこちらより早い時間に終わったロストフ戦で何と、バイエルンが2-3で負けていたという報が待っていたため、アトレティコは引き分けでも最終節を待たずに首位通過が決まるとなれば、とにかく相手は今年3回対戦して、勝ったのは9月の1試合のみ。しかもゴールはその時のサウルの1点しかないPSVとなれば、スコアレスドローで全然、OKってことじゃないですか。 ▽もしかしてシメオネ監督もそれを考慮したんでしょうかね。その日のスタメンはダービーの時は違い、コケをサイドに回して、チアゴをガビのボランチコンビとして採用。今季はリーガ最初の1試合以外、先発のなかった35歳のベテランですが、この一見、守備を重視したような策が後で大当たりだったことが発覚したんですよ。ただやはりというか、前半はガメイロやゴディンが絶好機に決めきれず、逆に17分には敵のカウンターを喰らい、グリースマンが60メートルの距離を全力疾走。ガストン・ペレイロが1対1でシュートを撃つ直前に邪魔して、「Griezmann evita el gol de Pereiro y eso dice todo de este Atletico/グリースマン・エビタ・エル・ゴル・デ・ペレイロ・イ・エソー・ディセ・トードー・デ・エステ・アトレティコ(グリースマンがペレイロのゴールを回避した。それがアトレティコの全てを物語っている)」とコクー監督から、後でお褒めの言葉をもらったぐらいで、0-0のまま折り返します。 ▽そんな彼らがとうとう得点し、寒さの身に染みる夜、ダービーで恥をかいたばかりなのにも関わらず、スタジアムに駆けつけてくれた大勢のファンを喜ばせてくれたのは後半10分。グリースマンからパスをもらったガメイロが放った、エリアを斜めに横切るシュートがゴールポストに当たって入ってくれたから、どんなにスタンドが沸いたことか。おまけにその11分後にはグリースマンも本業で力を発揮。ええ、チアゴが敵陣でボールを奪い、彼にパスすると、今度はしっかり決めてくれたため、場内にもようやく明るい雰囲気が広がることに。お馴染みのチョロ(シメオネ監督の愛称)へのコールや個々の選手に対するcantico(カンティコ/応援歌)が復活したのは喜ばしい限りでしたっけ。 ▽え、それでも30分には今季、ここまで全試合皆勤のフィリペ・ルイスがダウン。負傷交代となってしまうという、残念なニュースもあるんだろうって?おっしゃる通りで、とりあえずは先発右SBだったブルサリコを左SBに回り、ファンフランを投入して、その日は乗り切ったんですが、いくら丈夫な彼とて、もう30代ですからね。診断は太ももの筋肉痛ということで、それ程、重傷ではなかったものの、この先、1、2試合はシメオネ監督もクロアチア代表で立派にレギュラーを務めているブルサリコや若いルーカスを活用していくことになると思います。 ▽結局、そのまま2-0で勝ったアトレティコは、グリースマンも「teniamos que dar otra imagen/テニアモス・ケ・ダール・オトラ・イマヘン(ウチは別の姿を見せなければならなかった)」と言っていた通り、ダービーでの悪い印象を払拭して、グループリーグ参加32チーム中、唯一の全勝をキープ。首位として決勝トーナメントに臨めることになったんですが、ただねえ。シメオネ監督は「Primero es mejor que segundo para todo/プリメーロ・エス・メホール・ケ・セグンド・パラ・トードー(何においても1位は2位よりいい)」と言っていたものの、今季に限ってはその日、バルサがセルティックにメッシの2ゴールで勝ったのと、自身がボルシア・メンヘングラッドバッハと引き分けたせいで2位が確定したマンチェスター・シティを始め、アーセナルやレバークーズン、そして下手したら、最終節でドルトムントがマドリーに負けて、こちらも2位になる可能性が。 ▽となると、必ずしも1位の方がベスト16で弱い相手と当たると言えなくなってくるんですが、ここ2年間、そのラウンドを延長、PK戦(昨季はPSV、その前はレバークーゼン)で勝ち上がっている彼らとしては、そういう緊張する展開はサポーターのついているホームで2ndレグができるだけでありがたいのかも。おまけに12月6日にある、昨季の準決勝ではアウェーゴールで勝ち抜けたものの、2-1と負けているアリアンツ・アレナでのバイエルン戦もグループリーグ全勝記録を打ち立てる以外、何のプレッシャーもなく迎えられますからね。その分、リーガや来週から始まるコパ・デル・レイ32強対決に集中できるとなれば、文句なんて言えませんよね。 ▽そして翌日のELではバレンシアガの見事としか言いようのないオウンゴールはあったものの、サッスオーロに3-2で勝ったアスレティックがグループ突破を果たし、それぞれチューリヒ、スタンダール・リエージュと引き分けたビジャレアル、セルタが決着を最終節に持ち越した後、またリーガに向き合うことになった私でしたが、今節のマドリッド勢はまず、マドリーが土曜午後4時14分(日本時間翌午前0時15分)からスタート。金曜夜にはチームもバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習施設で合宿に入りましたが、スポルティング・デ・ヒホン戦用の招集リストにはベイルはもとより、火曜の試合でヒザを痛めたバラン、またケガしたようなコエントランが入っていません。 ▽そのため、ジダン監督は次にはクラシコが控えているにも関わらず、「Va a tener que jugar Sergio mañana/バ・ア・テネール・ケ・フガール・セルヒオ・マニャーナ(明日はセルヒオがプレーしないといけない)」と、イエローカードが4枚溜まっていて、累積警告になる恐れのあるラモスを先発させるようですが、丁度、この試合からペペが負傷から復帰。90分は無理でもゲームが荒れた場合は折を見て、ラモスと交代なんてことも考えているかもしれません。加えてカセミロも戻っていますが、最近はコバチッチがクロースの代役も兼ねて頑張っていますからね。こちらも先発するのかどうか。ちなみにベイルの穴を埋めるのはルーカス・バルケス、ハメス・ロドリゲス、アセンシオと沢山、候補はいる上、何より相手は降格圏にいるチームですしね。正GKのクェジェルもケガで遠征に帯同できておらずとなれば、マドリーが後れを取ることはまずないんじゃないでしょうか。 ▽続く時間帯ではマドリッドの新弟分、レガネスがアウェイでのエスパニョール戦に挑むんですが、彼らは前節、念願の1部ホーム初勝利を果たしながら、2ゴールを挙げてオサスナに引導を渡したロネル・イバネスがその試合中に負傷。しかもヒザの靭帯断裂で今季絶望となってしまうという不運があったばかりですが、できればクリスマスのparon(パロン/休止期間)前までにもう少し、降格圏から遠ざかっていてほしいもの。今のところ、勝ち点差は4ありますが、アトレティコ、バルサ、マドリー、セビージャ戦がもう済んでいるだけに、ここが稼ぎ時と言っても大袈裟ではないかと。 ▽そしてアトレティコがオサスナと対戦するのは日曜午後4時15分ですが、そうこうするうちに金曜試合が終わり、恐れていた通り、彼らはベティスに3-1で勝ったエイバルに勝ち点で並ばれてしまうことに。いえ、週末の相手はお隣さん同様、降格圏にいますし、カパロス新監督に代わった直後のレガネス戦でもそれ程、改善しているようには見えなかったんですけどね。このままたらたらリーガを過ごしていると、ノルマ達成すら危うくなったりしますから、ここは気を引き締めてかかってくれるといいんですが…。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.26 11:10 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】悪夢が戻って来た…

▽「このままだと大変なことになってしまう!」そんな風に私が恐れおののいていたのは月曜日。前日中には憂鬱で見る気も湧かなかったリーガの順位表をスポーツ紙で確認した時のことでした。いやあ、惨々だったマドリーダービーの後、首位のレアル・マドリーの差が勝ち点9に開いてしまったのは重々承知していたんですけどね。土曜日にはセビージャが、日曜日にはレアル・ソシエダがそれぞれデポルティボ、スポルティングに勝っていたため、とうとうアトレティコは4位から、CL出場圏外の6位まで後退。このまま順位が動かなかったら、来季はペイネタでヨーロッパリーグを戦うことに。となれば、忠実なアトレティコファンでも木曜日にあるその大会は別腹で、収容人数が5万5000人だったビセンテ・カルデロンですら、ガラガラだったグループリーグなんぞ、7万人も入る新スタジアムでどうなるか、想像するだけで怖かったから。 ▽え、いざとなればCLに優勝して、来季の出場権を得るという奥の手だってまだ残っているだろうって? いやあ、そういうのは絵に描いた餅というか、白日夢というか、クラブの博物館に11個も眩いトロフィーが並んでいるお隣さんならともかく、決勝に出場した3回とも負けている彼らですからね。おまけに土曜日の試合では、シメオネ監督が来る以前のダメダメなアトレティコに戻ってしまったような兆候も見られたため、とてもそんな強気ではいられないんですが、はあ。とにかく、そのダービーの話をしていくことにしましょうか。 ▽家を出る前には驚かされたことに、試合前にメッシが吐き気で出られなくなったバルサが、マラガとカンプ・ノウでスコアレスドローに終わったなんて知らせもあったため、それを吉報と受け取ったファンも多かったはずですが…。さすがにビセンテ・カルデロンで開催される最後のリーガ・ダービーとあって、この日は満員御礼。Fondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏)には「Nuestro legado sera eterno/ウエストロ・レガドー・セラ・エテルノ(我々の遺産は永遠に)」という巨大な垂れ幕も現れ、ここ数年のビッグマッチの折には恒例となったhimno(イムノ/クラブ歌)のアカペラ合唱で雰囲気も大いに盛り上がってキックオフ。アトレティコが勢いよく攻めていたのは開始から、ほんの5分間程のこと。 ▽あっという間にマドリーが反撃体制に入ると、11分にはクリスチアーノ・ロナウドに至近距離からのヘディングシュートを撃たれ、ボールがラインを完全に割るギリギリでGKオブラクが弾くといったドッキリもあったんですけどね。どうやらその日のアトレティコの運はそこで尽きてしまったよう…。22分にサビッチがエリア前でルーカス・バルケスを倒し、FKを与えるくらいのことはまだ序の口ですって。それどころか、ロナウドの蹴ったボールが、壁を作っていたサビッチとガビの間を抜けて変わった軌道にオブラクも反応できずに先制点を入れられてしまうなんて…。どこまで間の抜けたことをやっているんでしょう。 ▽その日はリハビリを終えたベンゼマがいたものの、ジダン監督はBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)に執着せず、ロナウドをトップに据え、イスコが「Me siento mas comodo/メ・シエントー・マス・コモドー(より快適に感じる)」トップ下に配置。4-2-3-1のシステムで利き足側の左サイドに回ったせいか、ベイルもマメに守っていましたし、右サイドのルーカス・バルケスは生来の働き者ですからね。ファンフラン、フィリペ・ルイス、両SBの上がりを封じられ、シメオネ監督が「Buscabamos buen juego aereo, con el equilibrabamos su altura/ブスカモス・ブエン・フエゴ・アエレオ、コン・エル・エキリブラモス・ス・アルトゥラ(高さを拮抗させて、空中戦を強くしたかった)」という理由で、身長170センチのガメイロに代わって抜擢された183センチのフェルナンド・トーレスの出番もほとんどないまま、0-1で試合を折り返したところ…。 ▽ロッカールームで檄を飛ばされたのか、後半のピッチに戻って来たアトレティコは持ち直したんですよ。フランス代表の試合で踏まれた足がまだ痛いのかと、前半の元気のなさに心配されたグリーズマンもシュートを撃って敵ゴールに迫ったものの、それでも得点できないとなると、60分にトーレス、ガビがガメイロ、コレアに交代。決して珍しくないシメオネ監督の攻撃力強化ですが、この過剰な前掛かりが裏目に出てしまいます。後でフィリペ・ルイスも「muchas veces hemos intentado llegar al area y ellos jugaban a la contra/ムーチャス・ベセス・エモス・インテンタードー・ジェガール・アル・アレア・イ・エジョス・フガバン・ア・ラ・コントラ(ウチは何度も敵エリアに入ろうとして、相手はカウンターで戦った)」と言っていたんですが、とにかく足が速いんですよ、マドリーのFWたちは。 ▽それにアトレティコがまんまとはまったのは73分で、オブラクのゴールキック目掛けてロナウドが猛ダッシュ。必死で追ったサビッチがエリア内で相手の前に足を伸ばして止めたんですが、これがペナルティかどうかは微妙なところかと。ええ、ASとマルカ(スペインの2大スポーツ紙)でも意見が割れていましたからね。それもあって、審判があっさりPKマークを指したのには、以前の14年間、白星なしが続いたダービーでは吉凶が分かれる際、必ずアトレティコにとって悪い方向に転がるのがお約束だったのを思い出したファンも多かったかと。 ▽え、そのPKを決めたロナウドがTVカメラに向かってアゴを撫でるポーズで祝うと、スタンドからはpeineta(ペイネタ/中指を立てる侮辱の仕草)の嵐が巻き起こり、シメオネ監督も「El penalti nos corto la ilusion de meternos en el partido/エル・ペナルティ・ノス・コルト・ラ・イルシオン・デ・メテールノス・エン・エル・パルティードー(ペナルティがウチのゲームに入り込みたいという希望を断ち切った)」と言っていたけど、2点差なら、先週のスペイン代表が土壇場でイングランドに追いついたように、アトレティコももっとガッツを見せれば良かったんじゃないかって? まあ、そうなんですが、残念ながら、彼らの遺伝子にはお隣さんのように奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質は組み込まれていないんですよ。 ▽それどころかその6分後には、再び見事なカウンターをかけられ、イスコのロングボールに疾走したベイルがゴール前でロナウドにバトンタッチ。ハットトリックで3点目を決められてしまっては、何人も席を立つファンがいても仕方なかった? うーん、実際、その日、ダービーでの復活を目指し、招集メンバーには入ったものの、「No se veia al cien por cien/ノー・セ・ベイア・アル・シエン・ポル・シエン(100%の調子には思えなかった)」(ジダン監督)というセルヒオ・ラモスがベンチで応援に回ることにしたため、先発入りを果たしたナチョも言っていたように、「Es dificil meternos manos si defendemos todos/エス・ディフィシル・メテールノス・マノス・シー・デフェンデモス・トードス(全員で守れば、ボクらから点を奪うのは難しい)」というのは本当ですからね。 ▽そこへ、「大事なのはシステムじゃなくて、それぞれの選手が自身の力を出すこと。Hemos tenido calidad/エモス・テニードー・カリダッド(ウチには質の高さがあった)」(ジダン監督)と言われては、もう返す言葉もありませんが、柄にもなく、セットプレーでマークについたロナウドにからみ、額をくっつけていがみ合った挙句、喧嘩両成敗でイエローカードをゲット。その後もしつこく、悪口を言い続けていたコケなど、もう少し謙虚さを取り戻した方が良いかと。ええ、ウェンブリーでは「少なくともボクはダービーに出るよ」なんて、ナチョやイスコに上から目線で喋っていた結果がこれですもの。才能では明らかにマドリーの方が勝っているんですから、コケがボランチにいるせいで守備が脆くなったという意見はともかく、体力や気力で相手を負かさない限り、互角には戦えませんって。 ▽それでも試合を0-3で終えた後、コケは「Somos el Atletico de Madrid, despues de un duro golpe siempre nos levantamos/ソモス・エル・アトレティコ・デ・マドリッド、デスプエス・デ・ウン・ドゥーロ・ゴルペ・シエンプレ・ノス・レバンタモス(ボクらはアトレティコ・マドリーだ。厳しい試練を受けても常に立ち上がる)」と前を向いていなかったかって? うーん、そうなんですけど、ミックスゾーンではロナウドとの一件を訊かれ、「Esto es futbol, ya esta/エスト・エス・フトボル、ジャー・エスタ(これがサッカー、それだけさ)」と言い捨てて、マイクの前から逃げちゃいましたからね。いい加減、休養日の日曜日を挟んで、月曜日にマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に出て来た頃には、途中交代させられた際、ベンチでウィンドブレーカーや水のボトルを投げて八つ当たりしていた先輩のガビ共々、頭も冷めたことと思いますが、こればっかりはねえ。 ▽過ぎたことはもう仕方ないので、せめて、もうグループ突破は決まっていますが、バイエルンと首位を争っているCLのPSV戦では基本に立ち帰って、これ以上、ファンを失望させないことを祈るばかり。ちなみに水曜日午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのこの試合もビセンテ・カルデロン開催となりますが、シメオネ監督がメンバーやシステムを変えてくるかはまだ不明で、今のところ、出場が危ういのはダービーでヒザに打撲を受けたガメイロだけだとか。 ▽私も本音は、月曜日にマドリッドの新弟分、レガネスに2-0でリーガ1部ホーム初勝利を与えてくれたオサスナと当たる日曜日の試合が早くやって来て、リーガ2連敗のスランプを脱出してもらいたい感じなんですけどね。こんな時こそ、Partido a partido/パルティードー・ア・パルティードー(1試合1試合)を貫かないといけませんよね。 ▽その一方で月曜日には早速、火曜日のスポルティングCP戦に備え、リスボンに飛んだマドリーでしたが、こちらはまだグループ突破が決まっておらず。といっても必要なのはあと勝ち点1だけですけどね。キャリアを始めた古巣相手ということで、ロナウドも張り切っていますし、たとえ1節ではモラタの後半ロスタイムのゴールで2-1の辛勝と苦労はしていても、チームが過剰なリラックス状態に陥らなければ、それ程問題はないかと。 ▽ちなみにスタメン的には、アトレティコ戦で普段は控えの選手たちの活躍に満足したジダン監督も「Todos son los mejores pero la BBC un poco más/トードス・ソン・ロス・メホーレス・ペロ・ラ・ベーベーセー・ウン・ポコ・マス(皆、最高の選手たちだが、BBCはちょっと上)」と言っていたため、ビセンテ・カルデロンで足慣らしをしたベンゼマが戻る可能性が濃厚。ナチョもスペイン代表戦から、3試合皆勤が続いていますから、そろそろラモスと交代して、土曜日の、こちらはリーガのスポルティング戦に備えるかも。 ▽そんなマドリーのCLグループ5節は火曜の午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。そうそう、同日、ユベントスをサンチェス・ピスファンに迎えるセビージャもあと勝ち点1、水曜日にセルティック・パークを訪れるバルサもマンチェスター・シティとボルシアMGの試合結果にもよりますが、あと一息で突破が決定しますよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.22 12:45 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】大切なのは次の試合…

▽「ここ3シーズン、リーガで負けてないって言われてもねえ」そんな風に私が今イチ、確信が持てずにいたのは金曜日、いよいよマドリーダービー一色になったお昼のニュースを見ている時のことでした。いやあ、それ以前のレアル・マドリー戦、自分がマドリッドにいる間にアトレティコの勝利は見られないんじゃないだろうかと感じた日々もあったものの、それも2013年のコパ・デル・レイ決勝でお隣さんを下してから、まるで14年間の憂さを晴らすように、リーガでは4勝2分けと勝ち越しているのは確かなんですけどね。 ▽それとは対照的に克服でききていないのがCLでの対戦で、この同じ3年間で1分け3敗。しかもそのうち2つの負けが選りに選って決勝の大舞台って、あまりにツキがないかと。もちろんリーガの試合には延長戦もPK戦もないのは救いになりますが、普通の展開なら、魔の93分は確実にやってくるはずですしね。そこへ加えて、リスボンでもミラノでもゴールを挙げたセルヒオ・ラモスがケガから回復、1カ月ぶりに戦列に戻って来るとなれば、リーガのparon(パロン/休止期間)直前、アウェイでの2連敗目を喫して、首位マドリーと勝ち点差6という厳しい状況にある今、私が強気になれなくても仕方ない? ▽え、その負けたセビージャ戦、レアル・ソシエダ戦については、スペイン代表出向中に先輩のガビから、「中央にいるとボールを持って、より多くのプレーを組み立ててくれるが、守る時にチームが脆弱になる」と言われていたコケが、「hay veces que desconectas un segundo y el contrario lo aprovecha/アイ・ベセス・ケ・デスコネクタス・ウン・セグンド・イ・エル・コントラリオ・ロ・アプロベチャ(時にほんの一瞬、気がそれてしまうことがあって、敵がそれを利用するんだ)」と説明していなかったかって?うーん、どちらもスローインから失点につながったこともあって、彼なりに一生懸命、考えたことなんでしょうけど、突然集中力が途切れてしまうのはダメダメだった時代のアトレティコの、何度反省しても直らなかった悪癖。 ▽それがまた、今になって蘇ってきたなんて、たまったもんじゃありませんが、週明けの練習後には、ガビがシメオネ監督から注意を受けていたなんて話もありましたからね。まあ、これまで好成績を挙げてきたダービーでは守備的ボランチを2枚置いてきたという経緯もありますし、監督自身も「コケがどこでプレーするのかはわからないが、su presencia en el equipo es fundamental siempre para nuestro juego/ス・プレセンシア・エン・エル・エキポ・エス・フンダメンタル・シエンプレ・パラ・ヌエストロ・フエゴ(彼の存在はウチのプレーにとって常に重要)」と前日会見で断言。となれば、スタメンには入るとしても…当人が「no es un paso atrás, son variants/ノー・エス・ウン・パソ・アトラス、ソン・バリエンテス(一歩後退じゃないよ、バリエーションなんだ)」というサイドへ移動した場合、今回、代わりにボランチに入るのが後輩のサウルであることを考えると、ちょっと微妙かもしれませんね。 ▽まあ、ダービーに関してはまた後で触れるとして、スペイン代表の2試合目は休養できるはずだった、そのコケまでがロペテギ監督の初期プラン失敗のため、駆り出されることになった火曜のイングランド戦の顛末もお話ししておかないと。いえ、前日からウェンブリーに乗り込んで、近隣のホテルに宿泊。久々のロンドンを満喫と張り切って外へ出た試合日の昼間、レセプションの人に勧められたスタジアムのすぐ横にあるアウトレットモールをまず見てみようと歩いていたところ、偶然にもチームの滞在していたヒルトン・ホテルから選手たちが練習に向かうシーンを見られたり、マドリッドに比べ、複雑怪奇に思えた地下鉄でさえ、どの駅にも改札や券売機付近に係員がいて親切に教えてくれたため、かなりご機嫌で私もキックオフを迎えたんですけどね。 ▽そんな浮かれた気分がサッカーの聖地、ウェンブリーでプレーするスペインの選手たちにもあったか、はたまた、アスピリクエタ(チェルシー)、イニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、ナチョ(マドリー)でのCF3人体制という新機軸が上滑りしてしまったのか。真相はわかりませんが、いくら往年のジェラールやランパード、そしてその日はルーニーまで負傷だか、合宿先のホテルで開かれていた披露宴に招かれたせいでの二日酔いだったかで欠場と、お馴染みの選手がほとんどいないイングランドだって、満員の観衆に応援されれば張り切りますよ。ええ、開始9分、ララーナのクロスに抜け出したバーディをGKレイナ(ナポリ)が倒してしまい、早速PKを献上してしまうって一体、どうなっている? ▽そのPKはララーナが決め、リードされた状態で前半の残りを戦ったスペインですが、途中からロペテギ監督はビトロ(セビージャ)を上げ、アスピリクエタを左SBに回して、通常の4人DF制にチェンジ。ただそれも大した効果はなく、後半頭からマタ(マンチェスター・ユナイテッド)とビトロをイアゴ・アスパス(セルタ)とコケに代えてからわずか3分、今度はヘンダーソンのクロスをバーディにヘッドされて2点目を奪われているんですから、困ったもんじゃないですか。 ▽おかげでスタンドでは盛り上がったイングランドファンの場内何周もするウェーブが始まったため、もうロペテギ監督もチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)をアンデル・エレラ(マンチェスター・ユナイテッド)へ、シルバ(マンチェスター・シティ)、アドゥリス(アスレティック)をイスコ、モラタ(マドリー)へとフレッシュな攻撃陣を次から次へとつぎ込むしかなくなってしまったんですが、何と、観客の半分ぐらいが引き上げ、私もせっかく憧れのウェンブリーまで来て負け試合かと不貞腐れていた後半44分、何と奇跡が起こったんです! ▽それは「Sabia que tenia una buena oportunidad y que me tenia que comer el mundo en cada minuto/サビア・ケ・テニア・ウナ・ブエナ・オポルトゥニダッド・イ・ケ・メ・テニア・ケ・コメール・エル・ムンド・エン・カーダ・ミヌート(いいチャンスを手にしていて、1分1分、世界を喰ってやる気でいかないといけないのをわかっていた)」という、ジエゴ・コスタ(チェルシー)の負傷離脱で追加招集を受け、その日が29歳で代表デビューとなったアスパス。モラタからもらったボールでエリア内に切り込むと、ストーンズにヒザをつかせて撃ったシュートがファーサイドのポストに当たってネットに入ったから、ビックリしたの何のって。 ▽おまけに1点差になって、イングランドの選手たちが接触プレーの後に蹲りがちになっていたロスタイム、ほとんど最後の攻撃でカルバハル(マドリー)のクロスを胸でトラップしたイスコがGKハートンの股間を抜き、同点ゴールを決めてしまったとなれば、マドリーの伝統芸、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)精神や恐るべし。いえ、スペイン・サッカー協会に招待されてピケ(バルサ)やカソルラ(アーセナル)らはパルコ(貴賓席)でこの光景を見守っていたものの、ラモスは来ていなかったんですけどね。きっと自宅で後輩たちの頑張りを喜んでいたと思いますよ。 ▽となると、ウェンブリーでの前日練習の時にはロンド(輪になって中の選手がボールを奪うゲーム)でパスを失敗。ナチョやイスコに「A ver si das estos pases en el derbi/ア・ベル・シー・ダス・エストス・パセス・エン・エル・デルビー(ダービーでもこういうパスをするのかな)」と冷やかされ、「Yo al menos juego el derbi/ジョ・アル・メノス・フエゴ・エル・デルビー(ボクは少なくともダービーに出るよ)」と言い返し、意外と負けず嫌いな面をクアトロ(スペインの民放)のカメラに撮られていたコケなどもまったく油断ができませんが、結局、試合は2-2の引き分けで終了。これには「スペインはチームの持つ信じる力と意志の強さ、そして質の高さを披露した」とロペテギ監督もホッとしていましたが、試合後、どうにも選手たちがミックスゾーンに出て来るのが遅いと思いきや、まさかロッカールームでマネキンチャレンジを撮影していたとは! ▽ええ、画像は代表のホームページ(http://www.sefutbol.com/en/video-spain-players-take-part-mannequin-challenge)で見られますが、いくらイングランドのバーディが、自分がゴールを挙げた後、ピッチでマネキンポーズを取っていたからって、「Esta de moda y no hemos querido faltar a la cita./エスタ・デ・モーダ・イ・ノー・エモス・ケリードー・ファルタル・ア・ラ・シタ(流行っているし、ボクらも後れをとりたくなかった)」(イスコ)というのはちょっと軽薄かも。それでも幸い、スペインには先日、自身の2ゴールなどでラトビアとのW杯予選に勝ったポルトガル代表のマネキンチャレンジビデオで、中央で筋肉を見せつけていたクリスチアーノ・ロナウドのような選手はいませんでしたけどね。 ▽そのロナウドから、今回の代表戦2試合では出番のなかったルーカス・バルケスのツィッターに、「Buena copiada eh/ブエナ・コピアーダ、エー(いいコピーだね)」と茶々が入ったなんてことは、昨今では猫も杓子もやっており、オリジナリティを主張される云われもないため、無視していいんですが、終盤はともかく、試合の内容的にスペインには反省点が多かったのも事実。いえ、3月に次のイスラエルとの予選がやって来る頃には今回、ケガでいなかったラモスやピケ、ジョルディ・アルバ、イニエスタ(バルサ)、ジエゴ・コスタといったところも復活して、応援メンバーだったイニゴ・マルティネスやアンデル・エレラ、アスパスらがまた呼ばれるかはわからないんですけどね。2008年から2012年まで続いた国際メジャータイトル独占の黄金期が再び到来するかどうかは、この先、テクニカルスタッフ、選手共々、何がいけなかったのか発見できるかどうかに懸かっているんじゃないでしょうか。 ▽そしてその夜のうちにロンドンを経ったチームに続いて、翌水曜には私もマドリッドに着いたんですが、そこで待っていたのは、モラタが右の太ももの肉離れで全治1カ月の診断を下されたという驚きのニュース。いやあ、先週土曜のW杯予選マケドニア戦で打撲を受けたというのは聞いていたんですけどね。ウェンブリーでは途中出場して全力疾走、屈強なフィジカルを持つイングランドの選手たちにも負けておらず、夜中にバラハス空港に着いた時の映像でも普通に明るかったとなれば、一体、彼はいつケガをした? ▽おかげでジダン監督は土曜のダービーに向けて、ドイツ代表に行くまで足中骨骨折に気づかなかったクロースに加え、貴重な戦力を失うことになったんですが、いえ、その代わりに木曜からベンゼマが全体練習に復帰して、招集リストに入りましたけどね。先発はルーカス・バルケスになるかもしれませんが、このインターナショナルウィーク、1試合しかなかったロナウドとベイルも早めに戻っていますし、クロアチア代表のエストニア戦で前半と後半、半分ずつプレーしたモドリチとコバチッチも順調に回復。中南米組でもマルセロは2試合目が出場停止となり、日曜にはブラジルから到着、ケイロル・ナバスとハメス・ロドリゲスも木曜には元気な姿を見せているとなれば、やっぱりマドリーは侮れない相手かも。 ▽ただ、カセミロとペペは間に合わず、中盤はモドリッチ、コバチッチ、イスコと若干、守備が手薄な印象は与えますが、ジダン監督など、「Hay jugadores que van a cambiar, pero nuestra idea de jugar al fútbol no va a cambiar/アイ・フガドーレス・ケ・バン・ア・カンビアール、ペロ・ヌエストラ・イデア・デ・フガール・アル・フトボル・ノー・バ・ア・カンビアール(選手は変わるが、ウチのサッカーをプレーするという考えは変わらない)」と落ち着いていましたしね。昨季後半のリーガダービーではサンティアゴ・ベルナベウで負けたとはいえ、それ以来、28試合無敗を継続。おまけにCL決勝でも勝っている相手となれば、今回は引き分けても勝ち点6差が維持できる訳ですし、自信があって当然だった? ▽一方、アトレティコの嬉しいニュースはスウェーデン戦で足を踏まれ、フランス代表を早期離脱したグリースマンが期待にたがわず、先発の準備が整ったことで、木曜には大西洋を渡って来たゴディン、ヒメネス、コレア、フィリペ・ルイスらと一緒に全体練習に参加。ベルギー代表でも2ゴールを挙げ、絶好調のカラスコも戻ったのは週の始めでしたしね。火曜のプレーオフ2nレグのスコアレスドローでオーストリアにアウェイゴールで勝ち、来夏のU21ユーロ大会出場を決めてきたサウルも、2年前のダービーでchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)のゴールを挙げたという実績がありますし、ジダン監督曰く、彼らには「Siempre se dice que defiende bien, pero no es sólo eso, es mucho más/シエンプレ・セ・ディセ・ケ・デフィエンデ・ビエン、ペロ・ノー・エス・ソロ・エソ、エス・ムーチョ・マス(いつも守備がいいと言われるが、それだけじゃない。もっともっとある)」というところを証明できるといいのですが、さて。 ▽そんなアトレティコvsマドリー戦は土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。何せ、ビセンテ・カルデロンで最後となるリーガのマドリーダービーですからね。その直前には勝ち点4差で2位にいるバルサがマラガをカンプ・ノウに迎えるのも気になりますが、とにかくファンにいい思い出を作るためにも、「Antes sabíamos que éramos inferiores al Madrid, ahora competimos a la par/アテンス・サビアモス・ケ・エラモス・インフェリオーレス・アル・マドリッド、アオラ・コンペティモス・ア・ラ・パル(以前のウチはマドリーより劣っていることをわかっていたが、今はガチンコで戦える)」(シメオネ監督)というのが本当だということを見せてくださいね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.19 09:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】代表戦の先の方が気になる…

▽「それってズルいんじゃ」そんな風に私が怒っていたのは金曜日。お昼のニュースでこちらの夜間に行われたブラジルvsアルゼンチン戦の結末を知った時のことでした。いやあ、衝撃的に報じられていたのはメッシやイグアイン、アグエロらがプレーしながら、0-3の負けと手も足も出ず。現在、プレーオフ圏外ということの方でしたが、W杯南米予選はまだ試合が沢山ありますしね。アトレティコのコレアが出場したのもコウチーニョ、ネイマール、ガブリエウ・シウバのゴールが決まった後、ディ・マリアに代わって20分程でしたから、壮々たる先輩FW陣が決められなかったゴールを挙げられなくても別に構わなかったんですけどね。 ▽ところがよくよく聞いてみれば、ブラジルの左SBとしてフル出場したレアル・マドリーのマルセロが累積警告で次のペルー戦は出場停止という情報もあって、それはすなわち来週土曜日のマドリーダービーを前に、こちらの火曜日深夜に行われる試合でプレーしなければならないのはフィリペ・ルイスだということ。よりによって今季のアトレティコでただ1人、全試合皆勤、計1350分プレーしている彼が更に疲れて、しかもダービー前日にマドリッドに戻って来るってことじゃないですか。 ▽え、それでもお隣さんは代表戦週間突入早々、ドイツ代表に合流したクロースが、実はリーガの前節で対戦した新弟分のレガネスとのミニダービーで右足の第5中足骨を骨折していたことが発覚。本家ダービーどころか、全治4~6週間で、年内絶望になってしまったという逆境が降りかかったんだろうって? うーん、そうなんですが、セルヒオ・ラモスに続き、今週になって、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場グラウンドではリハビリ最終局面に入ったカゼミロ、ペペ、ベンゼマの姿が目撃されていますからね。 ▽加えてモドリッチもレガネス戦で復帰していますし、打撲を抱えてクロアチア代表に合流したコバチッチ共々、土曜日に行われるW杯予選のアイスランド戦後、来週のアイルランドとの親善試合は免除されてクラブに戻れるとなれば、ジダン監督もそんなに心配することはないかと。もちろん、マドリーにも火曜日深夜にプレーするGKケイロル・ナバス(コスタリカ)、ハメス・ロドリゲス(コロンビア)ら、帰国が遅い選手もいるんですけどね。何せ相手はここ28試合無敗で、リーガでは単独首位。セビージャ戦、レアル・ソシエダ戦と、アウェイで2連敗したせいで、4位のアトレティコとは勝ち点6差がついているのを考えると、些細なことでもつい気になってしまうもんなんですが…。 ▽まあ、この週末はヨーロッパ各国のW杯予選もあるため、これから代表に出向中の選手たちに何があるかはまったく予断を許さないんですが、土曜日にマケドニア戦を控えたスペイン代表の様子もお伝えしておかないと。いえ、選手たちがラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合した火曜日、冬時間になって、モンクロアのバスターミナルを出る頃からとっぷり日も暮れていた午後6時半からの練習は私も見学に行ったんですけどね。日曜日にリーグ戦でプレーした5選手程はランニングだけで上がり、残り少人数対決のpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)などをしていましたが、最近の彼らは公開練習がやけに少ないんですよ。 ▽今回の合宿でも一般公開したのはその日だけで、マケドニア戦の後は直接、イングランドとの親善試合でロンドンに行ってしまうため、ファンが応援に行けるセッションがラス・ロサスでは他になかったためか、練習後はモラタやルーカス・バルケス、ナチョ、カジェホン(現ナポリ)ら、マドリー系を中心に何人もの選手がスタンドに近寄ってサインに応じていたんですが、その近辺は物凄い人だかり。よって私など、代表では珍しく、ファンサービスをしているコケ(アトレティコ)の顔も見られなかったんですが、驚かされたのはモラタの太っ腹ぶりでしょうか。いえ、施設の出口に向かう途中、スペイン人の子供が「モラタはおかしいぐらいハイだったよ。ビブスやジャージ、シャツ、全部脱いであげちゃって」と言っているのを聞いた時は、そりゃ何だと首を傾げるしかなかったんですけどね。 ▽家に帰ってスポーツ紙サイトの写真を見ていると、確かにあの寒さの中、最後に彼はランニング1枚に。うーん、最近はマドリーで調子も良くて、ゴール数もチーム最多の8得点。同僚のカルバハルにも「Morata se está mereciendo más minutos por su rendimiento/モラタ・セ・エスタ・メレシエンドー・マス・ミヌートス・ポル・ス・レンディミエントー(モラタは、そのパフォーマンスでもっと多くのプレー時間をもらえるにふさわしくなっている)」と褒められていましたしね。となれば、スペイン代表でももっと目立って、バルブエナへの脅迫疑惑事件以来、デシャン監督から声が掛かっていないベンゼマとの差をもっと広げたいと思っても当然だった? ▽ちなみにそのモラタとスペイン代表で先発CFの座のライバルになるのはジエゴ・コスタ(チェルシー)なんですが、この合宿中、当人からは「Me entiendo mejor con Costa que con Benzema... por el idioma/メ・エンティエンドー・メホール・コン・コスタ・ケ・コン・ベンゼマ…ポル・エル・イディオマ(コスタの方がベンゼマよりわかる。言葉のせいでね)」という発言が。要は「コスタ(ブラジル生まれ)はずっとスペインにいて、ボクの言うこと、表現、全部理解してくれる」とのことで、「自分がフランス語を話せたら、きっとベンゼマと1日中、喋っているよ」とフォローはしていましたが、こっちももう7年、マドリーでプレーしているんですけどね。となると、モラタもベンゼマもベイルやクロースとの意思疎通が上手くいっていない可能性があったりするかと。 ▽ただ、モラタがグラウンド以外でもよく会話するというコスタは今回も代表に縁がなく…。いえ、合宿入り前に病院で診察を受けて出て来た時には元気そうだったんですけどね。結局、先週末の試合で受けた足の付け根の打撲と筋肉疲労が回復せず、ラス・ロサスでは1度も全体練習に参加しないまま、木曜日にはロンドンに戻ることが決定。代わりにイアゴ・アスパス(セルタ)が初招集されていましたが、10月の代表戦でもロペテギ監督はハビ・マルティネス(バイエルン)→イニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、サウール(アトレティコ)→アンデル・エレーラ(マンチェスター・ユナイテッド)、ジョルディ・アルバ(バルサ)→モンレアル(アーセナル)と、負傷で3人も追加招集する破目に。それに懲りたか、今回は25人と多めに呼んだんですが、どうやら選手の健康運には恵まれていないよう。 ▽そして金曜日には試合の行われるグラナダ(スペイン南部)に移動したスペインですが、それまではマセドニアも専守防衛で自陣に閉じこもる戦法を採ってくると考えられることから、予選前節のアルバニア戦で成功した3バックのリピートが言われていたんですが、ヌエボ・ロス・カルメネス(グラナダのホーム)での前日練習の後では通常の4バックに戻るという意見が主流に。いえ、同じバルサとマドリーのCBコンビとはいえ、今回はピケとラモスが負傷欠場で、バルトラ(現ドルトムント)とナチョですから、ちょっと不安がない訳ではないんですけどね。水曜日にはラス・ロサスでのランチタイムにラモスがチームを電撃訪問、一緒に食卓を囲んで後輩に檄を飛ばすと共に、ロペテギ監督とも意見を交換し合ったといいますから、まあ大丈夫かと。 ▽その他のスタメンはGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、右SBカルバハル(マドリー)、左SBモンレアル、中盤がブスケツ(バルサ)、コケ(アトレティコ)、チアゴ(バイエルン)、前線がビトロ(セビージャ)、モラタ、シルバ(マンチェスター・シティ)という4-3-3が予想されていますが、大穴でイスコ(マドリー)がチアゴに取って代わるかも。まあ、ロペテギ監督も「Los partidos los ganan los jugadores, no el dibujo/ロス・パルティードス・ロス・ガナン・ロス・フガドーレス、ノー・エル・ディブーホ(試合に勝つのは選手たち、システムではない)」と言っていましたしね。 ▽万が一、モラタが不発でも、合宿初日のミニゲームからゴールを連発していた35歳のベテランFW、アドゥリス(アスレティック)がいますし、ノリート(マンチェスター・シティ)やイアゴ・アスパスだって、好調ですからね。滅多なことがない限り、土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのマケドニア戦で後れを取ることはないと思いますが、さて。現在、同じ勝ち点7でグループG2位につけているイタリアはリヒテンシュタインと対戦しますので、3月まで首位を満喫するためにも、とにかく勝ってほしいものです。 ▽え、その一方で同じラス・ロサスで1日早く合宿を始めた彼らの弟分、U21スペイン代表は金曜日に来年のユーロ出場を懸けたプレーオフ1stレグに挑んだんだろうって? うーん、そうなんですが、今回はサウールやアセンホ(マドリー)も応援に行って、メンバー全員がリーグ1部でプレーする選手だったため、かなり強そうには見えたんですけどね。ザンクト・ポレンで行われた試合は前半ロスタイムにデウロフェウ(エバートン)のPKで先制したものの、後半にはジョニー(セルタ)がオウンゴールを入れてしまい、ムニル(バレンシア)が絶好機を2度も逃してしまったこともあって、最後は1-1でオーストリアと引き分けに。来週火曜日、アルバセテ(マドリッドから1時間の内陸都市)での2ndレグで決着をつけることになりました。 ▽何せ、スペインのU21チームはロペテギ監督が率いていた2013年、現在A代表にいるモラタ、チアゴ、コケ、イスコ、カルバハル、ナチョ、バルトラ、イニゴ・マルティネスらを擁するチームで優勝したのを最後に、2015年ユーロ本大会には出場もできませんでしたからね。来年の夏には、スペインの出る大人の国際大会はないため、この世代の選手たちにはいい挑戦の機会になると思うのですが、こればっかりはねえ。 ▽その他、週末は土曜日にウェールズの年間最優秀選手賞を6年連続で受賞したベイルがセルビアと、日曜日にはマドリーとの契約を2021年まで延長した日の夜、マルカ(スペインのスポーツ紙)のディ・ステファノ賞(最優秀選手賞)もゲット、翌日にはナイキと終生契約を結び、ルンルンの1週間を送っているクリスチアーノ・ロナウドのポルトガルがラトビアと対戦なんていうのもありますが、金曜日はヴァランが先発したフランスが2-1でスウェーデンに勝利したものの、グリースマンは不発、ガメイロには出場機会もなかったのはちょっと残念ですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.12 12:49 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】FW増やせば点取れるって訳ではないらしい…

▽「先越されちゃったわね」そんな風に私が感じていたのは金曜日、来週のスペイン代表戦に向けた招集リストの内容を知った時のことでした。いやあ、先月はロペテギ監督がアメリカ旅行のついでにMLSのニューヨークシティの試合を観戦。未だにゴールへの執念に満ち溢れているビジャが彼の地でもガンガン得点を挙げているのを見てきたと聞いて、もしや代表再招集もあるんじゃないかと内心、楽しみにしていたんですけどね。フタを開けてみれば、復帰したのは34歳の彼ではなく、前日のヨーロッパリーグ4節ヘンク戦で、クリスチアーノ・ロナウドやメッシ以外、滅多にお目にかかれない1試合5得点という快挙を達成した35歳、アドゥリス(アスレティック)の方。 ▽うーん、ロペテギ監督は「以前から注目していた。No ha tenido ninguna influencia los cinco goles/ノ・ア・テニードー・ニングーナ・インフルエンシア・ロス・シンコ・ゴーレス(5ゴールの影響はまったくない)」と言っていましたけどね。何より、この夏のユーロが終わってデル・ボスケ監督が引退して以来、2回の招集リストに入らなかったアドゥリスの凄いところは、ヘンク戦で挙げたゴールのうち、3本がPKだったこと。何せ、PKに関しては数々の逸話を持つメッシを始め、リーガ前節のアラベス戦でロナウドは2回蹴って、2度目は止められてしまったり、アトレティコのグリースマンも昨季のCL決勝から3連続で失敗中と、ゴールを量産するFWたちでさえ、意外と難易度が高い感がありますからね。 ▽今回、15日のイングランドとの親善試合はともかく、12日のマケドニア戦はイタリアと首位通過をガチンコで争っているW杯予選の大事な一戦なため、確固としたPKキッカーがいないスペインには大きな力になってくれるかも。その他、前回の追加招集からリピートしたイニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、モンレアル(アーセナル)、アンデル・エレラ(マンチェスター・ユナイテッド)に加え、GKアセンホ(ビジャレアル)、エスクデロ(セビージャ)、アスピリクエタ(チェルシー)、バルトラ(ドルトムント)、マタ(マンチェスター・ユナイテッド)らが11月の新顔となりますが、とりわけDF陣に変化が多いのはセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)、ピケ、ジョルディ・アルバ(バルサ)らのレギュラーが負傷中のため。 ▽その一方で、サウル(アトレティコ)やアセンホ(マドリー)は来年のユーロ出場が懸けて、オーストリアとプレーオフを戦うU21へ応援に行きますが、でもねえ。たった2試合しかないのに総勢25人って、ロペテギ監督がイロイロ、見てみたいのはわかりますが、まったく出場できない選手が複数、出てしまいそうなのは気の毒ですよね。 ▽え、今は代表戦のことより、今週のCL4節がどうだったかの方を知りたいって? そうですね、早くもグループリーグ突破決定を目前にしていたマドリッドの両雄ですが、どちらも相手はグループ内最弱チーム。そのせいか、指揮官による戦術に迷走があったようなアトレティコとマドリーでしたが、とりあえず、火曜に一足早く、ビセンテ・カルデロンにロシアのロストフを迎えた前者の結果は吉と出ることに。いえ、このところは夜の試合にウルトラダウンぐらいは必須ですが、遥かに暖かいマドリッドでの試合に体もノビノビ動いたか、3節よりずっと活発だった相手にアトレティコが苦労しなかった訳ではないんですけどね。 ▽それでも前半28分にはカラスコの浮き球のパスをアズモウンがヘッドでクリアしようとしたところ、ボールが敵DFラインとGKの間に入り込んでいたグリースマンへ。彼がジャンプして左足の外側で蹴る、アクロバティックなシュートでゴールにしてくれたため、先制したアトレティコだったものの、その次のプレーでフィリペ・ルイスとゴディンが遅れを取り、アズモウンに同点ゴールを奪われてしまうとはいかに! うーん、昨今では攻撃的なチームになったと、褒められることが多い彼らですが、今季唯一の黒星を喫したリーガのセビージャ戦でのエンゾンジのゴール、勝ったものの、その次のマラガ戦でも2失点してしまいましたからね。 ▽何か1つに集中すると、他が疎かになってしまう辺り、いかにもアトレティコ的ではありますが、やはり1-1のままではいけないと、シメオネ監督は後半開始からチームに一斉攻勢を指示。早くも12分にはサウルを引っ込め、ガメイロを投入、フェルナンド・トーレス、グリースマン、カラスコとの4人FW体制となって、4-2-4のような状態で相手を囲い込んでいましたが、全員で守るロストフの砦は崩せません。カラスコをコレアに代えてもラチが明かず、いよいよロスタイムに入ったため、引き分けでも突破は決まるしと、私もスタンドを降りて出口に向かったんですが…。 ▽これって、前回、ロシアのチームとの試合で帰りかけた時、それこそ階段の踊り場でCKにアセンホまで上がっていたアトレティコがカウンターを受け、最後はルビン・カザンに1-2で負けてしまったシーンを目の当たりにしたイヤな思い出のせいだったんですかね。その日もちょっと心配で立ち止まっていたところ、真逆なことが起こったから、驚いたの何のって! そう、それはアトレティコ・ファンにとっては魔の時間、2年前のCL決勝でセルヒオ・ラモスが奇跡の同点ヘッドを決めた、93分のことでした。センター付近から放り込まれたロングボールが一緒にジャンプした、ピンチの時にはCFに転身するゴディンではなく、ガツカンの頭を経てゴール前へ。またしても抜け出していたグリースマンがそれをネットに蹴り入れ、土壇場でアトレティコに勝ち越し点が入るって、一体、彼らはいつからお隣さんのような奇跡体質になった? ▽幸い、オフサイドを主張するロストフの抗議も認められず、最後の1分程もしのいだアトレティコはこれで2-1で勝利。グループリーグ4戦全勝として、その日、スポルティングに勝ったバイエルンと共に突破を決めましたが、試合の後のシメオネ監督は「He tomado malas decisiones en varios momentos del encuentro/エ・トマードー・マラス・デシシオネス・エン・バリオス・モメントス・デル・エンクエントロ(自分はこの試合で何度もマズい判断をした)」と反省することしきりです。それが何だったか、具体的に言うのは控えたため、世間ではもっぱら、マラガ戦の延長で、最初サウルをボランチに置いて、コケを右サイドにしたことではないかと推測されていますが、それでも「los jugadores fueron los que lo resolvieron/ロス・フガドーレス・フエロン・ロス・ケ・ロ・レソルビエロン(選手たちが解決してくれた)」(シメオネ監督)のは本当にラッキーでしたよね。 ▽そして同日にはバルサがマンチェスター・シティに予想外の敗北をした後、セビージャがディナモ・ザグレブに4-0と大勝した水曜にワルシャワでの無観客試合に挑んだのがマドリーだったんですが、もしやジダン監督はシメオネ監督の超攻撃的システムに感化されたんでしょうか。BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)プラス、モラタで4-2-4って、いえ、当人は後で「Era mas un 4-4-2 que un 4-2-4/エラ・マス・ウン・クアトロ・クアトロ・ドス・ケ・ウン・クアトロ・ドス・クアトロ(4-2-4というより、4-4-2だった)」と言っていましたけどね。先発にMFがクロース、コバチッチの2人しかいないって、あまりにレギアを軽く見過ぎていない? ▽それでも開始から1分も経たないうちに、風邪でお留守番になったマルセロの代わりに入ったコエントランのクロスをベイルが見事なvolea(ボレア/ボレーシュート)で叩き込み、先制点を挙げた時には、彼らはCL現チャンピオンだし、別に関係ないのかと私も思ったんですけどね。34分にベイルの折り返しをベンゼマが決めて2点目が入ったのを見て、ますますその気持ちは強まったんですが、いえいえ、とんでもない。40分にオディジャにエリア前から撃ち込まれ、1-2でハーフタイムに入った彼らには、「Nos ha faltado de todo, intensidad, movimiento, ganas/ノス・ア・ファルタードー・デ・トードー、インテンシダッド、モビミエントー、ガナス(ウチにはプレーの激しさ、動き、気力、全てが欠けていた)」(ジダン監督)ことがその後の災いを呼んでしまいます。 ▽ええ、後半13分にはラドビッチに同点にされると、ベンゼマをルーカス・バルケスに代え、更にはコエントランとアセンシオにして、3人DFで攻めてみたのも裏目に出て、38分にはモーリンに勝ち越しゴールを入れられてしまうんですから、呆気に取られてしまうじゃないですか。うーん、その直後にモラタから、今季ほとんどプレー時間をもらっていないカンテラーノ(下部組織出身の選手)のFW、マリアーノに代わったのも何だか、意味がわかりませんしね。結局、40分にはコバチッチがレギアの3ゴールと同じようなエリア外からのシュートを決め、何とか同点に持ち込むことができたマドリーでしたが、実際、「ファンの応援があったら、ウチが勝っていた」(ラドビッチ)なんて破目になっていたら、赤っ恥もいいところでしたっけ。 ▽え、逆にレギアのサポーターがいたら、pito(ピト/ブーイング)の的になるのは確実だったロナウドが発奮して、彼らは簡単に勝てていたんじゃないかって?まあ、そうかもしれませんが、CLでクラブ史上最速のゴールを挙げたベイルも、「プレーに激しさが欠けていたことから、ボクらは学ばなければならない。こういう大会ではいつもツケを払うことになるからね」と言っていたように、格下相手の時に気を緩めてしまう悪い癖は早く直しておくのが肝心。ただ、元々、マドリーはお隣さんと違って、FW陣が守備に熱心でなくてもスルーされてしまうため、その人数を増やすと失点が増えるのは仕方ないのかもしれませんけどね。 ▽おかげでバルサやセビージャ同様、グループリーグ突破確定が次節以降に持ち越されてしまいましたが、それだけでなく、もう1つの懸念は首位突破をするためには、下手したら、2連勝が必要になること。いえ、アウェイのスポルティング戦もホームのドルトムント戦もその頃には負傷中のラモスやカセミロも復帰しているでしょうし、マジメにやれば、決して勝てなくはないんですけどね。金曜には恒例のアウディからの車の貸与式をビセンテ・カルデロンに近いカルロス・サインツ・センターで行い、ついでにカートレースを楽しんでいた選手たちですが、今週末のリーガはマドリッドの弟分、レガネスをサンティゴ・ベルナベウに迎えてのホームゲーム。こちらも新参者と甘く見ると火傷しかねませんから、日曜正午(日本時間午後8時)までには皆、しっかり気を引き締めてもらいたいものですが…。 ▽その傍ら、土曜にレアル・ソシエダ戦を控えるアトレティコは前日にはサン・セバスティアン入りしているんですが、幸いロストフ戦で打撲を受けたグリースマンも順調に回復し、出場に問題はないとか。ちなみに前日記者会見で、この火水を終えてCLグループリーグ全勝だったのはアトレティコだけという成績に、「Es suerte/エス・スエルテ(それは運)」と答えていたシメオネ監督は、ロストフ戦の反省を踏まえて、この試合ではコケをボランチに戻すよう。 ▽曰く、「サウルだと敵エリア内への侵入や空中戦といった別の特性を利用できるが、con Koke jugamos mas rapido tras recuperar la pelota y el equipo tiene mas panorama/コン・コケ・フガモス・マス・ラピド・トラス・レクペラール・ラ・ペロータ・イ・エル・エキポ・ティエネ・マス・パノラマ(コケだとボールを奪取してから、より素早くプレーできて、チームが違う展望を持つことができる)」からだそうですが、ソシエダも前節、レガネスを0-2と破ったおかげもあって現在6位と好調ですからね。土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からの対戦では、初心に戻って堅実な守備を心掛けて、バルサもセビージャ戦が日曜にあるため、たった1日でもいいですから、またリーガ首位の高みに立てるといいですね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.08 19:55 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】FW増やせば点取れるって訳ではないらしい…

▽「先越されちゃったわね」そんな風に私が感じていたのは金曜日、来週のスペイン代表戦に向けた招集リストの内容を知った時のことでした。いやあ、先月はロペテギ監督がアメリカ旅行のついでにMLSのニューヨークシティの試合を観戦。未だにゴールへの執念に満ち溢れているビジャが彼の地でもガンガン得点を挙げているのを見てきたと聞いて、もしや代表再招集もあるんじゃないかと内心、楽しみにしていたんですけどね。フタを開けてみれば、復帰したのは34歳の彼ではなく、前日のヨーロッパリーグ4節ヘンク戦で、クリスチアーノ・ロナウドやメッシ以外、滅多にお目にかかれない1試合5得点という快挙を達成した35歳、アドゥリス(アスレティック)の方。 ▽うーん、ロペテギ監督は「以前から注目していた。No ha tenido ninguna influencia los cinco goles/ノ・ア・テニードー・ニングーナ・インフルエンシア・ロス・シンコ・ゴーレス(5ゴールの影響はまったくない)」と言っていましたけどね。何より、この夏のユーロが終わってデル・ボスケ監督が引退して以来、2回の招集リストに入らなかったアドゥリスの凄いところは、ヘンク戦で挙げたゴールのうち、3本がPKだったこと。何せ、PKに関しては数々の逸話を持つメッシを始め、リーガ前節のアラベス戦でロナウドは2回蹴って、2度目は止められてしまったり、アトレティコのグリースマンも昨季のCL決勝から3連続で失敗中と、ゴールを量産するFWたちでさえ、意外と難易度が高い感がありますからね。 ▽今回、15日のイングランドとの親善試合はともかく、12日のマケドニア戦はイタリアと首位通過をガチンコで争っているW杯予選の大事な一戦なため、確固としたPKキッカーがいないスペインには大きな力になってくれるかも。その他、前回の追加招集からリピートしたイニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、モンレアル(アーセナル)、アンデル・エレラ(マンチェスター・ユナイテッド)に加え、GKアセンホ(ビジャレアル)、エスクデロ(セビージャ)、アスピリクエタ(チェルシー)、バルトラ(ドルトムント)、マタ(マンチェスター・ユナイテッド)らが11月の新顔となりますが、とりわけDF陣に変化が多いのはセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)、ピケ、ジョルディ・アルバ(バルサ)らのレギュラーが負傷中のため。 ▽その一方で、サウル(アトレティコ)やアセンホ(マドリー)は来年のユーロ出場が懸けて、オーストリアとプレーオフを戦うU21へ応援に行きますが、でもねえ。たった2試合しかないのに総勢25人って、ロペテギ監督がイロイロ、見てみたいのはわかりますが、まったく出場できない選手が複数、出てしまいそうなのは気の毒ですよね。 ▽え、今は代表戦のことより、今週のCL4節がどうだったかの方を知りたいって?そうですね、早くもグループリーグ突破決定を目前にしていたマドリッドの両雄ですが、どちらも相手はグループ内最弱チーム。そのせいか、指揮官による戦術に迷走があったようなアトレティコとマドリーでしたが、とりあえず、火曜に一足早く、ビセンテ・カルデロンにロシアのロストフを迎えた前者の結果は吉と出ることに。いえ、このところは夜の試合にウルトラダウンぐらいは必須ですが、遥かに暖かいマドリッドでの試合に体もノビノビ動いたか、3節よりずっと活発だった相手にアトレティコが苦労しなかった訳ではないんですけどね。 ▽それでも前半28分にはカラスコの浮き球のパスをアズモウンがヘッドでクリアしようとしたところ、ボールが敵DFラインとGKの間に入り込んでいたグリースマンへ。彼がジャンプして左足の外側で蹴る、アクロバティックなシュートでゴールにしてくれたため、先制したアトレティコだったものの、その次のプレーでフィリペ・ルイスとゴディンが遅れを取り、アズモウンに同点ゴールを奪われてしまうとはいかに!うーん、昨今では攻撃的なチームになったと、褒められることが多い彼らですが、今季唯一の黒星を喫したリーガのセビージャ戦でのエンゾンジのゴール、勝ったものの、その次のマラガ戦でも2失点してしまいましたからね。 ▽何か1つに集中すると、他が疎かになってしまう辺り、いかにもアトレティコ的ではありますが、やはり1-1のままではいけないと、シメオネ監督は後半開始からチームに一斉攻勢を指示。早くも12分にはサウルを引っ込め、ガメイロを投入、フェルナンド・トーレス、グリースマン、カラスコとの4人FW体制となって、4-2-4のような状態で相手を囲い込んでいましたが、全員で守るロストフの砦は崩せません。カラスコをコレアに代えてもラチが明かず、いよいよロスタイムに入ったため、引き分けでも突破は決まるしと、私もスタンドを降りて出口に向かったんですが…。 ▽これって、前回、ロシアのチームとの試合で帰りかけた時、それこそ階段の踊り場でCKにアセンホまで上がっていたアトレティコがカウンターを受け、最後はルビン・カザンに1-2で負けてしまったシーンを目の当たりにしたイヤな思い出のせいだったんですかね。その日もちょっと心配で立ち止まっていたところ、真逆なことが起こったから、驚いたの何のって!そう、それはアトレティコ・ファンにとっては魔の時間、2年前のCL決勝でセルヒオ・ラモスが奇跡の同点ヘッドを決めた、93分のことでした。センター付近から放り込まれたロングボールが一緒にジャンプした、ピンチの時にはCFに転身するゴディンではなく、ガツカンの頭を経てゴール前へ。またしても抜け出していたグリースマンがそれをネットに蹴り入れ、土壇場でアトレティコに勝ち越し点が入るって、一体、彼らはいつからお隣さんのような奇跡体質になった? ▽幸い、オフサイドを主張するロストフの抗議も認められず、最後の1分程もしのいだアトレティコはこれで2-1で勝利。グループリーグ4戦全勝として、その日、PSVに勝ったバイエルンと共に突破を決めましたが、試合の後のシメオネ監督は「He tomado malas decisiones en varios momentos del encuentro/エ・トマードー・マラス・デシシオネス・エン・バリオス・モメントス・デル・エンクエントロ(自分はこの試合で何度もマズい判断をした)」と反省することしきりです。それが何だったか、具体的に言うのは控えたため、世間ではもっぱら、マラガ戦の延長で、最初サウルをボランチに置いて、コケを右サイドにしたことではないかと推測されていますが、それでも「los jugadores fueron los que lo resolvieron/ロス・フガドーレス・フエロン・ロス・ケ・ロ・レソルビエロン(選手たちが解決してくれた)」(シメオネ監督)のは本当にラッキーでしたよね。 ▽そして同日にはバルサがマンチェスター・シティに予想外の敗北をした後、セビージャがディナモ・ザグレブに4-0と大勝した水曜にワルシャワでの無観客試合に挑んだのがマドリーだったんですが、もしやジダン監督はシメオネ監督の超攻撃的システムに感化されたんでしょうか。BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)プラス、モラタで4-2-4って、いえ、当人は後で「Era mas un 4-4-2 que un 4-2-4/エラ・マス・ウン・クアトロ・クアトロ・ドス・ケ・ウン・クアトロ・ドス・クアトロ(4-2-4というより、4-4-2だった)」と言っていましたけどね。先発にMFがクロース、コバチッチの2人しかいないって、あまりにレギアを軽く見過ぎていない? ▽それでも開始から1分も経たないうちに、風邪でお留守番になったマルセロの代わりに入ったコエントランのクロスをベイルが見事なvolea(ボレア/ボレーシュート)で叩き込み、先制点を挙げた時には、彼らはCL現チャンピオンだし、別に関係ないのかと私も思ったんですけどね。34分にベイルの折り返しをベンゼマが決めて2点目が入ったのを見て、ますますその気持ちは強まったんですが、いえいえ、とんでもない。40分にオディジャにエリア前から撃ち込まれ、1-2でハーフタイムに入った彼らには、「Nos ha faltado de todo, intensidad, movimiento, ganas/ノス・ア・ファルタードー・デ・トードー、インテンシダッド、モビミエントー、ガナス(ウチにはプレーの激しさ、動き、気力、全てが欠けていた)」(ジダン監督)ことがその後の災いを呼んでしまいます。 ▽ええ、後半13分にはラドビッチに同点にされると、ベンゼマをルーカス・バルケスに代え、更にはコエントランとアセンシオにして、3人DFで攻めてみたのも裏目に出て、38分にはモーリンに勝ち越しゴールを入れられてしまうんですから、呆気に取られてしまうじゃないですか。うーん、その直後にモラタから、今季ほとんどプレー時間をもらっていないカンテラーノ(下部組織出身の選手)のFW、マリアーノに代わったのも何だか、意味がわかりませんしね。結局、40分にはコバチッチがレギアの3ゴールと同じようなエリア外からのシュートを決め、何とか同点に持ち込むことができたマドリーでしたが、実際、「ファンの応援があったら、ウチが勝っていた」(ラドビッチ)なんて破目になっていたら、赤っ恥もいいところでしたっけ。 ▽え、逆にレギアのサポーターがいたら、pito(ピト/ブーイング)の的になるのは確実だったロナウドが発奮して、彼らは簡単に勝てていたんじゃないかって?まあ、そうかもしれませんが、CLでクラブ史上最速のゴールを挙げたベイルも、「プレーに激しさが欠けていたことから、ボクらは学ばなければならない。こういう大会ではいつもツケを払うことになるからね」と言っていたように、格下相手の時に気を緩めてしまう悪い癖は早く直しておくのが肝心。ただ、元々、マドリーはお隣さんと違って、FW陣が守備に熱心でなくてもスルーされてしまうため、その人数を増やすと失点が増えるのは仕方ないのかもしれませんけどね。 ▽おかげでバルサやセビージャ同様、グループリーグ突破確定が次節以降に持ち越されてしまいましたが、それだけでなく、もう1つの懸念は首位突破をするためには、下手したら、2連勝が必要になること。いえ、アウェイのスポルティング戦もホームのドルトムント戦もその頃には負傷中のラモスやカセミロも復帰しているでしょうし、マジメにやれば、決して勝てなくはないんですけどね。金曜には恒例のアウディからの車の貸与式をビセンテ・カルデロンに近いカルロス・サインツ・センターで行い、ついでにカートレースを楽しんでいた選手たちですが、今週末のリーガはマドリッドの弟分、レガネスをサンティゴ・ベルナベウに迎えてのホームゲーム。こちらも新参者と甘く見ると火傷しかねませんから、日曜正午(日本時間午後8時)までには皆、しっかり気を引き締めてもらいたいものですが…。 ▽その傍ら、土曜にレアル・ソシエダ戦を控えるアトレティコは前日にはサン・セバスティアン入りしているんですが、幸いロストフ戦で打撲を受けたグリースマンも順調に回復し、出場に問題はないとか。ちなみに前日記者会見で、この火水を終えてCLグループリーグ全勝だったのはアトレティコだけという成績に、「Es suerte/エス・スエルテ(それは運)」と答えていたシメオネ監督は、ロストフ戦の反省を踏まえて、この試合ではコケをボランチに戻すよう。 ▽曰く、「サウルだと敵エリア内への侵入や空中戦といった別の特性を利用できるが、con Koke jugamos más rápido tras recuperar la pelota y el equipo tiene más panorama/コン・コケ・フガモス・マス・ラピド・トラス・レクペラール・ラ・ペロータ・イ・エル・エキポ・ティエネ・マス・パノラマ(コケだとボールを奪取してから、より素早くプレーできて、チームが違う展望を持つことができる)」からだそうですが、ソシエダも前節、レガネスを0-2と破ったおかげもあって現在6位と好調ですからね。土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からの対戦では、初心に戻って堅実な守備を心掛けて、バルサもセビージャ戦が日曜にあるため、たった1日でもいいですから、またリーガ首位の高みに立てるといいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.05 12:45 Sat
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