コラム

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まだ改善する時間はある…/原ゆみこのマドリッド

▽「ある意味、早いうちにボロが出て良かったかも」そんな風に私が気分を切り替えようとしていたのは火曜日、ファンの期待を大きく裏切ったスペイン代表の試合から、一夜明けた時のことでした。いやあ、今年から始まったUEFAの新しい大会、ネイションズリーグに関しては、これまでの退屈な親善試合に代わるものとして導入されたものの、チマチマしたグループ分けのせいで、ファイナルフォー(準決勝と決勝)までたったの4試合、計6試合で優勝が決まるというお手軽さ。獲得してもあまり泊がつくタイトルじゃなさそうだなと思っていたんですけどね。 ▽ただ、このネーションズリーグ、FIFAランキング順にAからDまでリーグを分けたため、各グループ内のチームレベルが拮抗。イグランド戦を終えた直後、セルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)も「この種類の対戦は相手にも左右される。世界的に上位のチームで、集団としてだけでなく、個人的にとても危険な選手や監督がいるのだから」と言っていましたが、そうですよねえ。普通のユーロやW杯の予選グループは玉石混合、というか、シード分けして抽選するため、互角の相手がグループ内に1つあればいい方で、あとはほとんど、勝って当然の小国ばかりとあって、スペインが無敗で本大会進出するのも近年では決して珍しいことではなし。 ▽その結果、かなり自信過剰な状態で本大会を迎え、2014年W杯グループリーグ敗退、2016年ユーロのベスト16敗退、まあ、昨夏のW杯では直前にロペテギ監督解任事件などもありましたけどね。やっぱりベスト16敗退と、残念な終わり方になっていることを考えたら、就任後3連勝と順風満帆で発進したように見えたルイス・エンリケ監督率いる新生スペインにとって、このイングランド戦での大失敗は早めに軌道修正をするいい機会になるかもしれない? ▽そんなことはともかく、まずは月曜の試合がどんなだったか、伝えていくことにすると。23年ぶりにスペイン代表を迎えたベニト・ビジャマリン(ベティスのホーム)はもちろん超満員となったんですが、キックオフ前の国歌斉唱時には、うーん、前日からセビージャ(スペイン南部)に乗り込んだ3000人のイングランド人ファンの一部が日曜の夜、市内で警官隊と衝突する騒ぎを起こしたせいもあったんですかね。”God save the Queen”が鳴っている間中、大きなpito(ピト/ブーイング)がスタンドから飛んでいたのはかなり、スペインの印象を悪くしたんですが、より最悪なことが起こったのは前半のピッチだったんですよ。 ▽いえ、序盤からチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)やアセンシオ(マドリー)がシュートを撃ったり、マルコス・アロンソ(チェルシー)のヘッドがゴール枠を直撃したりといったチャンスはあったんですけどね。いつものようにボールを持って相手を自陣閉じ込めていたスペインだったんですが、16分、GKピックフォード(エバートン)のゴールキックを受けたハリー・ケイン(トッテナム)がラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)に繋ぐと、速攻カウンターでスターリング(マンチェスター・シティ)がGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)を破っているって、何かこんなシーン、9月のウェンブリーでもなかった? ▽うーん、試合前、イングランドのキャプテンも「ウチはポゼッションに関して、スペイン程のレベルにはない。でも他の資質がある」と言っていましたが、更にその日は30分にもそれが発現。ええ、またしてもピックフォードからのボールをケインがゲットしたかと思えば、今度はラッシュフォードが決めて2点差にされているって、ちょっとお。38分にもバークリー(チェルシー)がDF陣の頭の上を越えてケインに送り、ゴール前へのキラーパスからスターリングがイングランドの3点目を入ったとなれば、もう呆れて物も言えないとはまさにこのことかと。 ▽ちなみにこの日、ルイス・エンリケ監督の選んだDF陣はCBがラモス、ナチョのマドリーコンビで右SBは本職からサイドを変えたジョニー(ウォルバーハンプトン)、左SBがマルコス・アロンソ。その4人の動き出しの遅さに加え、中盤のブスケツ(バルサ)が不活発だったのもあって、面白いようにイングランドのカウンターがはまっていたんですが、実はスペインがホームゲームでハーフタイムまでに3点も奪われたのはこれが史上初めてだったとか。ただ、それでも「La primera parte, malísima, hay que reconocerlo/ラ・プリメーラ・パルテ、マリシマ、アイ・ケ・レコノセールロ(前半は最悪だったと認めないといけない)」という流れを変えるため、ルイス・エンリケ監督が後半頭から交代カードを切らなかったのにはかなり意外。 ▽「選手たちに雷を落とすのが普通だったろうが、元気づけることにした。偉大な代表チームには苦しみながらなるものと言った」そうで、でも結局、スペインが1点を返せたのは11分にサウール(アトレティコ)とイアゴ・アスパス(セルタ)がパコ・アルカセル(ドルトムント)とセバージョス(マドリー)に交代してからでしたけどね。ええ、13分に今季はバルサを離れ、絶好調のアルカセルがアセンシオ(マドリー)の蹴ったCKを敵DF陣のマークから見事に抜け出し、ヘッドで決めたんですが、もしや彼を最初から出していたら、前半が無得点に終わるなんてなかったかもと思ったのは私だけではなかった? ▽その2分後にはロドリゴ(バレンシア)がプレーを始めようとしていたピックフォードからボールを奪い、後ろから体を引っ張られてシュートし損ねたなんてことがあったんですが、「El penalti lo vimos claro, era roja y penalti/エス・ペナルティ・ロ・ビモス・クラーロ、エラ・ロハ・イ・ペナルティ(明らかなペナルティに見えた。あれはレッドカードでPKだよ)」(セバージョス)というスペインサイドの猛抗議にも関わらず、審判からのお咎めはなし。ただ、敵GKが退場していたらどうなっていたかはともかく、後半になってイングランドにカウンターのチャンスを与えなくなったとはいえ、彼らの追加点はロスタイム7分の最後のプレー、セバージョスのクロスをラモスが頭で決めるまで入りませんでしたからねえ。 ▽直後にタイムアップとなり、最後は2-3での惜敗となりましたが、この日は「自陣に閉じこもっている訳にはいかなかった。攻めに出て行って楽しんで、プレスをかけて素早くプレーする」というサウスゲート監督の戦略の前に完敗してしまった感もなきにしろあらず。うーん、この試合に勝っていれば、早くもファイアルフォー進出が決まっていたスペインだったんですけどね。おかげで消化試合となるはずだった11月15日のクロアチア戦で勝たないといけなくなったんですが、まあ物を考えよう。ルイス・エンリケ監督も招集メンバーの再検討を示唆していましたし、一応、Bリーグに降格という辱めを受ける可能性だけはなくなったんですから、ここは落ち着いて、2年後のユーロで強さを発揮できるチームを育てていってほしいものです。 ▽え、来月になればイスコやカルバハルら、今回負傷で来られなかったマドリー勢もスペイン代表に戻れるため、そんなに心配することはないんじゃないかって?そうなんですが、今はマドリー自体が不調なため、ベティス出資で里帰りとなったセバージョスこそ後半、反撃の起爆剤的な働きを見せたんですが、ラモスやアセシオがパッとしなかったという弊害も。その辺りの選手たちの調子が上向いてくれるかどうかはこの先、1カ月のロペテギ監督の手腕次第かと。もう月曜には結局、ケガはしていないものの、ウェールズ代表のアイルランド戦に出るのを諦めたベイルも帰還。バルデベバス(バラハス空港の近く)で別途、リハビリを始めていますし、火曜からはクロアチアの親善試合を免除されたモドリッチもチームに合流、土曜のレバンテ戦に向けて、ケガの治ったイスコ、マルセロらと共に全体練習に加わっていますしね。 ▽一方、火曜の夜にあったネーションズリーグのフランスvsドイツ戦でフル出場したバランとクロースは水曜には戻って来られるはずですが、いやあ、PKでドイツの先制点を挙げたものの、最後は2-1で逆転負けを喫し、レーブ監督がますます危ない状態になっているだけに後者は結構、落ち込んで帰ってくるかも。ちなみにフランスのその2点を挙げたのはグリーズマンで、同点弾はアトレティコの同僚リュカのクロスからヘッドしてのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)。勝ち越し点はPKからでしたが、これでバロンドール獲得に最後の一押しができたと、当人も気分を良くしてくれば、丁度、9月のparon(パロン/リーガの停止期間)から上向き始めたシメオネ監督のチームにとって、鬼に金棒となる? ▽そのアトレティコでは火曜から、イングランド戦で出場のなかったコケとロドリがマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションに参加。先週は手術をした父親の付き添いでアルゼンチンに帰っていたシメオネ監督も戻っており、「ボールを失くしたって構わない。Si se pierde, rápido a recuperarla/シー・セ・ピエルデ、ラピド・ア・レクペラールラ(取られたら、すぐ取り返すんだ)」と始終、選手たちを叱咤激励していたとか。更には前日のイングランド戦の影響か、「Si no cerramos la calle por dentro son todo goles!/シー・オ・セラモス・ラ・カジェ・ポル・デントロ・ソン・トードー・ゴーレス(センターへのパスコースを塞がないと全部ゴールになるぞ)」と口を酸っぱくして言っていたそうですが、確かに次はここ3年、負け続けているエスタディオ・デ・ラ・セラミカでのビジャレアル戦ですからね。 ▽まずはしっかり守ることが肝要かと思いますが、さて。まだジエゴ・コスタ、ヒメネス、サビッチはリハビリでグラウンドに出ていないものの、一応、土曜までには復帰する見込みのようで、日本に3-4で負けたウルグアイの親善試合に出ていたゴディンも含め、木曜までには各国代表に駆り出されていた選手たちも揃いそうですしね。来週水曜にはCLグループリーグでドルトムント遠征も控えているため、この先、後出しで負傷者が増えていないことを今は祈るばかりでしょうか。 ▽そして同じ土曜にはレガネスがバレンシアとアウェイ戦、日曜にはラージョがヘタフェをエスタディオ・バジェカスに迎えてのミニダービーというのが今週末の予定になっていますが、代表選手の少ない弟分たちはそろそろ試合をしたくてウズウズしている頃かと。ちなみに来週は火曜に比較的、チケットの手に入りやすいCLビクトリア・プルゼニ戦がサンティアゴ・ベルナベウで午後9時から開催、翌水曜午後7時からは延期されていたリーガ3節のラージョvsアスレティック戦があるため、マドリッド観光が平日に当たると嘆いていたサッカーファンもスタジアムに行く機会がありますよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.10.17 13:00 Wed
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まだ小手調べだから…/原ゆみこのマドリッド

▽「本大会を除けば強いのは昔からよね」そんな風に私が納得していたのは土曜日、ウェールズとの親善試合に勝ったスペインがこれで27試合、無敗を続けているという記事を読んだ時のことでした。いえ、ロシア・ワールドカップ(W杯)では彼ら、開催国ロシアの前にベスト16で敗退しているんですが、PK戦による負けは国際サッカー連盟(FIFA)によると、敗戦にカウントされず。従って、最後の黒星が2016年ユーロのベスト16、イタリア戦になるため、こういう数字が出てきたようですけどね。大体がして、予選では無敗に近い成績で本大会に出場するのが、近年のスペインのデフォルトとなれば、ロペテギ監督(現レアル・マドリー)、イエロ監督を経て、W杯後から受け継いだルイス・エンリケ監督が3連勝で好発進と言っても本当に強いチームが戻ってきたと手放しで喜ぶには早すぎる? ▽え、それでもウェールズ戦はいい内容だったんだろうって? そうですね、元々、イスコやカルバハル(マドリー)ら、負傷で招集されなかった選手がいたのに加えて、来週月曜にUEFAネーションズリーグの公式戦を控え、かなりのメンバーをチェンジしたスペインでしたが、やはりリーグAとBの格の差というのもあったんでしょうね。ずっと苦手にしていた5人DF体制を敷かれたにも関わらず、序盤から積極的に攻めていったところ、前半8分には早くも先制点をゲットすることに。そう、ガヤ(バレンシア)のシュートは間が悪く、サウール(アトレティコ)に当たってしまったんですが、こぼれ球をパコ・アルカセル(ドルトムント)が見事なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)にしているんですから、大したもんじゃないですか。 ▽おまけに19分にはスソ(ミラン)が蹴ったCKをノーマークでセルヒオ・ラモス(マドリー)がヘッドして追加点を取ると、29分にも今度は敵がエリア内でクリアミスしたボールを撃ち込んで、パコ・アルカセルが自身2本目のゴールを入れているって…はい、思い出しました。実は彼、バレンシアからバルサに移籍して、メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの控えとなる前にはユーロ2016予選など、いいところでゴールを決めていて、この日の2点で代表14試合で8得点。プレー時間を増やすため、今季、レンタルで移ったドルトムントでも7得点と当たっていたため、24日のチャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ3節ではアトレティコも今季は出場機会が減っている香川真司選手より、彼の方に気をつけないといけないと思ってはいたんですけどね。 ▽まさかここまでゴールづいていたとは恐ろしい。同様にマドリーでの出番の少なさから昨季、チェルシーに行ったモラタもこの日はCFとして先発していましたが、残念ながら、こちらにはあまりチャンスが回らず。ええ、後半28分にもスソのCKからヘッドでのゴールがあったんですけど、ラモスから代わったバルトラ(ベティス)が決めていますからね。実際、他にもFWは途中出場したイアゴ・アスパス(セルタ)やロドリゴ(バレンシア)がいるため、今回は招集リスト発表直前のCLクラブ・ブルージュ戦で負傷したジエゴ・コスタ(アトレティコ)も含め、毎試合、ルイス・エンリケ監督は誰を起用するかで大いに頭を悩ますことになりそうな。 ▽その後、ベイル(マドリー)はパルコ(貴賓席)で見学していたものの、終盤にはウェールズがヴォークス(バーンリー)のゴールで1点を返したため、スコアは1-4となりましたが、何より良かったのは、「Con 0-3 hemos seguido haciendo lo mismo/コン・セロ・トレス・エモス・セギードー・アシエンドー・ロ・ミスモ(0-3になってもウチは同じように続けた)」とルイス・エンリケ監督も言っていたように、前半で勝負を決めたスペインが後半になってもダレなかったこと。いえ、ところどころでは、基本が「En la seleccion la idea es la de descansar con la pelota y buscar los espacios/エン・ラ・セレクシオン・ラ・イデア・エス・ラ・デ・デスカンサール・コン・ラ・ペロータ・イ・ブスカル・ロス・エスパシオス(代表ではボールを持って休みながら、スペースを探すというのがアイデア)」(サウール)なせいか、W杯でのようにパスを外縁で回しているだけの退屈な時間もあったりはしたんですけどね。 ▽それでも明らかに縦パスを通そうという試みは以前より増えていましたし、攻撃陣もボールが敵方にある時はしっかりプレスをかけたりと、あのロシア戦にあった倦怠感がなくなっていたのは新監督の功績かと。え、その日はブスケッツ(バルサ)の代役を立派に務めたロドリ(アトレティコ)も「Para nosotros no era un amistoso, sino un examen importante/パラ・ノソトロス・ノー・エラ・ウン・アミストーソ、シノ・ウン・エクサメン・インポルタンテ(ボクらにとっては親善ではなくて、大事な試験だった)」と言っていたように、まだ今のサイクルに入ってメンバーが固定していないのもいい緊張感を保つ原因になったんじゃないかって? ▽そうですね、何よりルイス・エンリケ監督になって顕著なのは、9月の最初の招集リストからして、かつて黄金期のスペイン代表では主流だったバルサ勢がブスケッツとセルジ・ロベルトの2人だけに激減。加えてこの日は後者が負傷で呼ばれず、ブスケッツも温存されため、カーディフのプリンシパリティ・スタジアムのピッチにはバルサの選手が1人も登場しなかったのは特筆すべきかと。だってえ、ただの背番号とはいえ、この日はイニエスタ(ヴィッセル神戸)の着けていた6番をサウールが、チャビ(アル・サッド)の8番をコケが着けていたんですよ。よりによって、アトレティコのカンテラーノ(ユース組織出身選手)コンビがスペイン代表伝説のMFコンビの後釜になるなんて、私もちょっと時代の変化についていけない気がしたものの…。 ▽まあ、今はそれでもいいです。翌金曜にマドリッドに戻ったチームはラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で2回の非公開セッションを行った後、土曜の午後はフリータイムに。どうやら前回、ルイス・エンリケ監督に連れられて行ったエスケープルーム(謎解きをしてバーチャル空間を抜け出すゲーム施設)が癖になってしまったか、ブスケッツ、ガヤ、バルトラ、チアゴ(バイエルン)、アスピリクエタ(アーセナル)らがセントロ(市内中心部)のラ・カサ・デ・パペルで目撃されたなんて話もありましたが、チームは日曜にイングランド戦の行われるセビージャ(スペイン南部)に向かい、午後7時からはベニト・ビジャマリン(ベティス)でファンも見られる前日練習をする予定となっています。 ▽うーん、ルイス・エンリケ監督は「スタメンのヒントは今日、出なかった選手とも言えるが、当たるのは4人か5人だろうね」とウェールズ戦の後、記者たちを煙に巻いていましたが、その方向で行くと、ブスケッツ、アセンシオ、ナチョ(マドリー)、マルコス・アロンソ(チェルシー)などが確定。気になるのは好調、パコ・アルカセルがリピートするのかといった辺りですが、何せ、金曜にはクロアチアとイングランドがスコアレスドローだったため、ここでスペインが引き分け以上だと、ほぼ来年6月に開かれるファイナルフォー(ネーションズリーグ、グループA王者を決める準決勝と決勝)出場が確実になるみたいですからね。この3試合で計12得点したgoleada(ゴエアダ/ゴールラッシュ)体質のスペインが今度は何点取ってくれるのかも楽しみなんですが…どうにも今年から始まったこの大会の位置づけがまだ中途半端なため、ファンとしてもこの快進撃にどこまで喜んでいいのか、微妙なんですよね。 ▽そしてそこここで代表戦が開かれている今週、マドリッドの5チームはどうしていたかというと。いやあ、このparon(パロン/リーガの停止期間)に一番、巻き返しが必要とされているのはここ4試合、勝ち星がなく、次のレバンテ戦、CLビクトリア・プルゼニ(チェコ)戦の結果次第ではクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)前にロペテギ監督解任もありうると言われているマドリーなんですが、ビッグクラブというのはかくも辛いもの。今回も各国代表に大量14人が出向しているため、バルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションには、RMカスティージャ(マドリーのBチーム)の選手たちがヘルプとして駆けつけることに。 ▽ただ朗報もあって、この成績不振が始まる前に急性盲腸炎の手術を受けたイスコ、0-3と大敗したセビージャ戦でケガをしたマルセロが着々と回復、来週土曜のレバンテ戦に間に合いそうなことですが、まだ様子がわからないのはベンゼマとベイル。うーん、前節アラベス戦のハーフで交代した前者には全治10日間という意見と2、3週間という意見があるため、早くてクラシコに間に合うかといったところでしょうが、アトレティコとのマドリーダービーで筋肉疲労を起こし、CLのモスクワ遠征を休んだベイルはアラベス戦で復帰したものの、再び途中でギブアップしていますからね。代表には行ったものの、ウェールズのライアン・ギグズ監督によると、火曜の公式戦、アイルランド戦出場も難しいようです。 ▽それでもただの筋肉疲労と言い張られてしまうと、もうクラシコまで温存しない限り、頼りになる戦力になってくれないんじゃないかと悲観してしまいますが、さて。とりあえず、マリアーノやルーカス・バスケスは残って練習に励んでいるため、ロペテギ監督も後はアセンシオやセバージョスがケガしないで戻って来ることを祈るばかりといったところでしょうか。ちなみにカルバハルは全治1カ月の重傷のため、当分、リハビリが続くことになります。 ▽一方、前節にはお隣さんに勝ち点差1をつけ、バルサと同じ勝ち点となって3位に上がったアトレティコとはいうと。いやあ、こちらも11人が代表に行っているため、マハダオンダ(マドリッド近郊)のセッションもこじんまりとしたものになっていたんですが、何せ今週はシメオネ監督まで、手術を受けた父親に付き添いに母国のアルゼンチンへ帰ってしまっていませんでしたからね。加えてジエゴ・コスタ、ヒメネスはリハビリ中、9月のモンテネグロ代表の試合でケガして帰って来て以来、グラウンドに姿を現していないサビッチ、リーガ開幕戦で痛めたヒザを鍛え直しているビトロと、何とも寂しい状況だったようですが、大丈夫。 ▽週が明ければ、選手たちもだんだん増えていくはずですし、コスタやヒメネス、ビトロは来週土曜のビジャレアル戦までにはプレーできるようになるはずとあって、やはりこちらも怖いのは代表戦でケガをする選手が出ないかどうか。とりわけグリーズマン、リュカ、レマルの3人が参加しているフランスなど、火曜にドイツとのネーションズリーグの試合があるため、用心が必要かと思いますが、同日、埼玉で日本代表との親善試合があるウルグアイ代表のゴディンも長旅の疲れが心配ですよね。 ▽え、そんな中、3、4名しか各国代表に呼ばれていない弟分チームたちはさぞかし、いい練習ができたんじゃないかって? そうなんですが、エン・ナシリ(モロッコ)、オメロウ(ナイジェリア)、ルニン(ウクライナ)が欠けたメンバーで木曜、エイバルと親善試合を行ったレガネスは3-2で負けてしまうという残念な結果に。ペジェグリーノ監督はこの金土日とチームに3連休を与え、月曜から再び、降格圏の18位を抜け出すため、土曜のバレンシア戦に向かってシュダッド・デポルティバ・レガネスでのセッションを始めることになります。 ▽そのレガネスに前節負け、19位になってしまったラージョはカクタ(コンゴ)、アドビンクラ(ペルー)、ラス(ギニア)、ディミトリビッチ(マケドニア)が留守なんですが、こちらは日曜にヘタフェとの連続ミニダービーに挑むのに加え、エスタディオ・バジェカスのスタンド閉鎖のため、延期された3節アスレティック戦の開催が24日(水)午後7時に決定。ミチェル監督はこちらも見据えて準備を進めないといけないことに。うーん、本来、ホーム2連戦というのは稼ぎどころなんですが、まだ今季、1部に戻って来てから、バジェカスのファンは勝利を祝えていませんからね。この2週間がいい気分転換となってほしいものですが…。 ▽そう、相手のヘタフェもマドリッド勢なだけに私もどっちを応援したらいいか、内心複雑なんですよ。一応、彼らだけは13位と危険地帯にいないとはいえ、ここ4試合、白星から見放されているのが辛いところ。今週は毎日、きっちり午前10時半から練習していたチームからは柴崎岳選手、ジェネ(トーゴ)、マキシモビッチ(セルビア)、アマト(セネガル)が各国代表に出向いています。週中には協議委員会の審理も出て、前節レバンテ戦で退場となったポルティージョが2試合、累積警告となったジェネが1試合の出場停止処分となってしまったのもが逆境ですが、ここはボルダラス監督に頭を捻ってもらうしかないですかね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.10.14 13:30 Sun
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ゴールが見足りない…/原ゆみこのマドリッド

▽「ようやく順当なとこまで上がったわね」そんな風に私が頷いていたのは月曜日、いえ、前日のワンダ・メトロポリターノからの帰り道にはいきなりアトレティコがリーガ首位になっていて、これではあまりに話が上手すぎると半信半疑だったんですけどね。家に着いてみれば、セルタに2-1で勝ったセビージャに追い越され、夜にはバレンシアと1-1で引き分けたバルサにも得失点差で及ばず、彼らは近年の定位置となっている3位で8節を終了。とはいえ、今季は開幕から4試合で勝ち点7も落としていたせいで、どうなることかとハラハラしていたのがウソのように、こんな短期間で挽回できたとなれば、ホッとしているアトレティコファンは自分だけじゃなかったはずかと。 ▽もちろん、それにはリーガの2強がここ数試合、取りこぼしまくっているおかげもあるんですけどね。おまけに途中、CLトッテナム戦で一息つけたバルサと異なり、ここ4試合無得点で白星なし。ミッドウィークのCSKAモスクワ戦から2連敗となってしまったマドリーなど、早くも監督交代の噂まで出ていたりするんですが、まあその辺はおいおい話していくことにして、まずは5チームもあるマドリッド勢のゴールが計2本しか見られなかった先週末のリーガがどうだったか、お伝えしていくことにすると。 ▽土曜午後4時15分の試合でトップバッターを飾ったのは弟分のヘタフェだったんですが、3試合ぶりにホームのコリセウム・アルフォンソ・ペレスに帰ってきながら、勝利でファンを喜ばすことはできず。ええ、前半にはホルヘ・モリーナやマキシモビッチのチャンスがあったものの、シュートが決まらず、そうこうするうちに後半14分、バルディに直接FKを見事に叩き込まれてしまったんですよ。そのまま0-1で負けてしまっては、まさに昨季、ムニス監督の後を継いで、ヘタフェ戦で1部リーガ白星デビューを飾ったパコ・ロペス監督が「El Coliseum siempre va a ser un estadio especial para mi/エル・コリセウム・シエンプレ・バ・ア・セル・ウン・エスタディオ・エスペシアル・パラ・ミー(私にとって、コリセウムはいつも特別なスタジアムになるだろう)」と喜んでいたのも当然だった? ▽うーん、ヘタフェには後半ロスタイムとして表示された3分では短すぎると抗議したポルティージョが一発レッドで退場させられる不運もありましたしね。更にこの試合でイエローカードをもらったジェネが累積警告で次戦出場停止となるため、インターナショナルマッチウィーク明けのミニダービー、ラージョ戦でレギュラーが2人欠けることになるのも踏んだり蹴ったりとはいえ…もしやここ3試合、ベンチに入れなかった柴崎岳選手にとっては、これがビッグチャンスになる? ▽うーん、ボルダラス監督も「Tenemos una plantilla con todos disponibles, son decisiones tecnicas./テネモス・ウナ・プランティージャ・コン・トードス・ディスポニブレス、ソン・デシシオネス・テクニカス(今は選手全員がプレー可能で、戦術的判断)」と柴崎選手不在の理由を話していたため、競争相手が23人から21人になれば、もちろん確率は上がりますけどね。ただ、今回の彼は日本代表に招集され、長旅を挟むことになりますし、その間、アレホ、グアルディオラ、ロベル・イバニェスといったMFのライバルたちは地元でみっちり練習。「ガクはもう長い間、チームにいて、当然ながら、もっと貢献してくれないと。あと一歩を踏み出さないとね」というボルダラス監督の要望を叶えるには代表戦で成果を出し、尚且つ、帰還後の短い時間でアピールするしかないんですが、果たしてどうなることやら。 ▽そしてその日はメトロスールが工事中で止まっているため、地上の同じルートを走る代替バスに乗り、最寄りのフリアン・ベステイロ駅から徒歩でブタルケに向かった私でしたが、途中で一休みしたバル(スペインの喫茶店兼バー)のTVでは丁度、アラベスvsレアル・マドリー戦が0-0のまま、後半が始まるところ。ベンゼマと交代でマリアーノがピッチに入ったので、そのうち1点くらい入るだろうと思いながら、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継を聞いていたんですが…まさか、ミニダービーのキックオフをスタンドで待っている間、実況アナウンサーの「Gol del Alaves/ゴル・デル・アラベス(アラベスのゴール)」というガックリした声と共に、記者席が「El Madrid ha palmado!/エル・マドリッド・ア・パルアードー(マドリーがコケた!)」とどよめく場に立ち会うことになろうとは! ▽いやあ、後半になっても点が取れないまま、先日のマドリーダービーのように脚に違和感を覚えたベイルが交代を頼み、35分にビニシウスが入ったなんてこともあったんですけどね。引き分けならまだしも、ロスタイム5分にアラベスがCKから、ソブリーノがヘッド。GKクルトワの弾いたボールが逆のゴール脇にいたマヌ・ガルシアの前に行き、それを頭で押し込まれてしまったから、さあ大変!それこそ反撃の時間もあったもんじゃなく、「20分とかに先制していたら、逆転されていたかもしれない。Es la victoria sonada/エス・ラ・ビクトリア・ソニャーダ(夢見たような勝利だ)」(アベラルド監督)という、1-0で勝ち点3をアラベスに贈ってしまったとなれば、もうこれはロペテギ監督の進退が問われるクライシス突入としか言いようがない? ▽え、それでもマドリーは日曜試合の結果のおかげもあり、首位と勝ち点差2の4位に留まっているのに比べたら、片や最下位、もう一方は18位という降格圏ダービーとなった弟分、レガネスとラージョの方が大変さは深刻だろうって?まあ、そうなんですが、近場ということで普段、ビジターチームのファンが座らされる正面スタンド左側角のスペースからはみ出る程の人数でブカネーロ(ラージョの過激なファンのグループ)がキックオフ前から声を張り上げ、何だかエスタディオ・バジェカス(ラージョのホーム)にいるような気分で始まったというのにどうやら、肝心の選手たちはエンジンがかかるのに時間がかかったよう。 ▽ミチェル監督も「La intensidad de uno y otro en la primera parte ha sido distinta/ラ・ンテンシダッド・デ・ウノ・イ・オトロ・エン・ラ・プリメーラ・パルテ・ア・シードー・ディスティントー(前半の両者のプレーの激しさは違っていた)」と後で怒っていたんですが、まだレガネスのファンたちが喉を温めている間、前半14分にはマイケル・サントスが右奥から送ったラストパスをカリージョがシュート。これが先制点となったから、一気にスタンドが盛り上がることに。その後はキャプテンのCBブスティンサが28分にケガで交代したこともあって、とりわけ後半にはラージョも攻勢をかけていたんですが、メドランの退場が響いたか、最後までスコアは動かず。 ▽おかげで先日のバルサ戦に続き、ホーム2連勝としたレガネスが最下位を脱出して18位に、ラージョは19位と1つ順位を落とすこことになったんですが、まだまだ先は長いですからねえ。paron(パロン/リーガの停止期間)後は20日(土)にアウェイでバレンシアに挑むレガネスも、21日(日)にヘタフェをホームに迎えるラージョもこの2週間、しっかり鍛えて、11月の代表戦週間は降格圏外で迎えられるといいのですが。 ▽そして翌日曜はアトレレティコのベティス戦を見にワンダに向かった私でしたが、うーん、やはりランチタイム(スペインでは午後2時から4時)直後の試合だったせいでしょうかね。開始4分にはいきなり敵陣からのスルーパスがダイレクトにロレンに渡り、エリア内からフリーでシュートを撃たれるという不注意なミスを犯した彼らでしたが、幸いこのボールは枠を外れてくれることに。何せ相手がポゼッション命のセティエン監督のチームですからね。それからもボールは持たせてもらえず、かといってピンチに陥ることもなく、淡々と前半を終えましたが、どうやらそれはシメオネ監督の作戦通りの展開だったよう。 ▽だってえ、後でロドリも「Hay partidos en los que interesa tener mas la posesion, otros menos.../アイ・パルティードス・エン・ロス・ケ・インテレサ・テネール・マス・ラ・ポセシオン、オトロス・メノス(ポゼッションを高くしたい試合とそうでもない試合がある)」と言っていたんですが、相変わらず、ボールはベティスの手にあったものの、後半になって敵陣でのプレスを強めたところ、いきなりチャンスが増えたんですよ。ええ、負傷中のジエゴ・コスタの代理で入ったカリニッチがゴールポストに当たるシュートを放ったり、GKパウ・ロペスにセーブされる惜しい一撃があった後、相手が疲れたところを見計らい、レマルをコレアに、カリニッチをトマスに代えてトップ下をやらせるという交代策が大当たり。とうとう29分にはコレアがジュニオールからボールを奪ってトマスと連携すると、ゴール右隅に狙い澄ましたシュートを送り込んでいるんですから、呆気に取られたの何のって。 ▽そのまま堅守で1点リードを守ったアトレティコは、いえ、後でセティエン監督など、「No es facil que el Atletico termine perdiendo tiempo y pidiendo la hora/ノー・エス・ファシル・ケ・エル・アトレティコ・テルミネ・ペルディエンドー・ティエンポ・イ・ピディエンドー・ラ・オラ(アトレティコが時間稼ぎをして、審判にタイムアップを訴えるような状況で終わらせるのは簡単ではない)」と嫌味を言っていましたけどね。元々、彼らはgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質のチームではないですし、大入りだったスタンドのファンも喜びに湧いていたため、1-0の勝利で何の問題もなかったかと。 ▽加えてセティエン監督は、「pero hay una superioridad manifiesta/ペロアイ・ウナ・スペリオリダッド・マニフィエスタ(それでも相手の方が明らかに優れていた)。中盤の3人はスペイン代表、FWは世界一の選手の1人、守備陣も経験豊富だ」と認めてもいたんですが、言われればそんな気もしなくもなし。一方、シメオネ監督は「Los recambios que tienen los equipos que pelean arriba son los que te hacen hacer la diferencia/ロス・レカンビオス・ケ・ティエネン・ロス・エキポス・ケ・ペレア・アリーバ・ソン・ロス・ケ・テ・アセン・アセール・ラ・ディフェレンシア(上位を争うチームで差をつけるのは交代選手)。スタメンの10人だけだと拮抗しているからね」とこの日、控えだったトマスとコレアが試合を決めてくれたことを褒めていましたが、何せ弟分たちと違って、今週のアトレティコは大量11人が各国代表に行ってしまいますからね。 ▽先月、モンテネグロ代表の試合で打撲を受けてきたサビッチがまだ回復していないなど、その辺はちょっと不安なんですが、逆にこの時間を利用して、コスタや今回、日本で親善試合をするウルグアイ代表には行かないヒメネスのケガが、リーガ再開となる20日のビジャレアル戦までには治ってくれればいいかと。いやあ、負傷者に関してはもっと大変なことになっているお隣さんなど、ただの筋肉疲労とは言うものの、2試合連続途中交代したベイルがウェールズ代表に行ってしまいましたけどね。バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に残ってリハビリをするベンゼマ、イスコ、マルセロらはサンティアゴ・ベルナベウでのレバンテ戦に間に合うかもしれません。 ▽そうそう、代表繋がりではベティス戦の後、ワンダのミックスゾーンを通った乾貴士選手も今回の日本代表に呼ばれていないんですが、この日の試合で出番がなかったことには「結果を出している選手が使われるのが当然」と納得していたよう。更に「試合に出るだけが全てではないし、練習でもアピールできるからね。チームに残れることをプラスと考えてやっていきたい」と意欲を表明していましたが、今季、移籍した新天地でも徐々にプレーする機会が増えていくといいですね。 ▽そんな調子で週末が終わり、いよいよ月曜はラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設にスペイン代表が集合。私も唯一、彼らの練習風景を見る機会と午後7時からのセッションを見に行ったんですが、いやあ、やられました。モンクロア(市内のバスターミナル駅)に定刻通りバスが来ず、15分遅れで着くと同時に日曜に試合に出た選手たちが引き揚げていくって、あまりのタイミングの悪さ。おかげでもちろん、コケ、サウール、ロドリのアトレティコ勢はおらず、アセンシオやセバージョスらマドリー勢はいたものの、セルヒオ・ラモスやナチョもすぐジムに行ってしまいましたしね。ピッチを半分使ったミニゲームも半分以上が同じ敷地で練習しているU21代表の選手、バジェホ(マドリー)、オジャルサバル、スベルディア(レアル・ソシエダ)、ウナイ・ニュネス、ウナイ・シモン(アスレティック)らを借りてきて実施というのはちょっと肩透かしを喰らった気がしないでもなし。 ▽ちなみにこちら、火曜は非公開練習で水曜にはウェールズとの親善試合に備えてカーディフ入り。木曜深夜にはまたマドリッドに戻り、月曜のネイションズリーグ3節イングランド戦の前日、ベニト・ビジャマリン(ベティスのホーム)でのセッションまで、ずっと非公開ばかりというのはあまりに秘密めかしていて、何だかチームとの距離が遠ざかってしまったようですが、こればっかりはルイス・エンリケ監督の決めることですからね。その分、試合で楽しませてくれればいいんですが、さて。9月のネイションズリーグ2試合でイングランドに1-2、クロアチアには6-0で連勝して、期待外れに終わったW杯ロシア大会の印象を少し、改善できたスペインですが、国際メジャータイトル3連覇を果たした時のような黄金期はまた巡ってくるのでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.10.09 17:15 Tue
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ロシアはゲンが良くないみたい…/原ゆみこのマドリッド

▽「時代も変わったものね」そんな風に私が感慨を覚えていたのは木曜日、10月のインターナショナルマッチウィークを前に発表されたスペイン代表招集リストから、ケガでセルジ・ロベルトが落ちたため、とうとうバルサ勢がブスケツ1人になってしまったのを知った時のことでした。いやあ、確かにチャビ(アル・サッド)、イニエスタ(ヴィッセル神戸)、ピケら、黄金期を担ったメンバーが代表から引退。ジョルディ・アルバもルイス・エンリケ監督と訳ありで呼ばれていないとなると、ここまで少なくなってしまっても仕方ないんですけどね。代わって勢力を伸ばしたのがアトレティコで今回、コケの復帰でサウール、ロドリと中盤の3選手が招集って、これじゃ一世を風靡したスペイン代表のティキタカ(短いパスを繋ぐサッカースタイルのこと)はもうお目にかかれない? ▽実際、バルサを3年間、指揮していたルイス・エンリケ監督にとっては辛抱する場面も多くなりそうですが、何せ、今回は頼りのイスコ(レアル・マドリー)も急性盲腸炎の手術をして現在、療養中ですからね。来週木曜にカーディフであるウェールズとの親善試合はともかく、15日のネイションズリーグ3節イングランド戦ではスタメン選抜に苦労しそうですが、そうそう、もっと不思議だったのは先日のCL戦でカルバハル(マドリー)が太ももを痛めたにも関わらず、代理として初招集されたのがジョニー(ウォルバーハンプトン)だったこと。 ▽というのも彼はこの夏、アトレティコがフィリペ・ルイスの後釜にと獲得した左SBで、今季はプレミアリーグで修行中。いくらルイス・エンリケ監督がセルタ時代、右SBもやらせたことがあったと言われても、他にそのポジションで先発できそうなのはアスピリクエタ(チェルシー)ぐらいしかおらず、こちらも最近はCBとしてプレーする方が多かったから。もちろん、どんな状況になってもマルチDFのナチョ(マドリー)は当てにできますけどね。代表戦に関しての詳細はまた来週にでもお伝えしますが、近々、マドリッド訪問の予定があるファンは代表チームがラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合するのは月曜日、午後7時から唯一の公開練習があることを覚えておくといいかもしれません。 ▽え、それよりマドリッド勢のCL第2節がどうだったのかの方が気になるって?そうですね、火曜に一足早くプレーしたのはマドリーだったんですが、相手が強豪ではなく、CSKAモスクワだったのがいけなかったんですかね。ロペテギ監督も先日のマドリダービーで途中交代したものの、ケガはしていなかったベイルやプレー時間の多いセルヒオ・ラモスをお留守番で残し、「Me habia dicho el mister que queria darme descanso por jugar tres o cuatro partidos seguidos/メ・アビア・デッチョー・エル・ミステル・ケ・ケリア・ダールメ・デスカンソ・ポル・フガール・トレス・オ・クアトロ・パルティードス・セギードス(3、4試合出場が続いたから、休みを与えたいと監督に言われた)」とモドリッチもベンチスタートにした辺りから、さすが余裕があるなとは思っていたところ…。 ▽その計算が狂ったのは開始2分、ええ、クロースのバックパスをブラシッチに奪われて、先制ゴールを奪われてしまったから、呆気に取られたの何のって!ただそれでも反撃の時間はたっぷりありましたし、その後はずっと攻めていたマドリーだったんですが、こういう日もあるんですね。ええ、CSKAのゴロチェンコ監督も「ハーフタイムにはチームを落ち着かせないといけなかった。1-0で勝っているのを信じられない選手もいたからね」と言っていたように、前半が終了しても彼らはたったの1点が返せず。 ▽そこへカルバハルが負傷でオディオソラに交代という不運が重なり、後半にはカセミロ、ルーカス・バスケスをモドリッチ、マリアーノにして攻撃力アップに努めたんですが、これぞ、同じルジニキ・スタジアムでプレーしたW杯ベスト16のスペイン対ロシアもかくあらやというようにゴールが入らないんですよ。おかげで「Hemos dado tres palos, nos ha faltado fortuna/エモス・ダードートレス・パロス、ノス・ア・ファルタードー・フォルトゥーナ(ウチはシュートが3度、ゴール枠に当たった。ツキがなかった)」(ロペテギ監督)という結末に(最終結果1-0)。 ▽うーん、初戦のローマ戦には3-0と快勝した彼らですし、この先は同日、そのローマに5-0と大敗しているビクトリア・プルゼニ(チェコ)との2連戦ですから、今の段階でグループリーグ突破が危うくなるとか、そういった問題はまったくないんですけどね。気になるのはここ3試合、マドリーが無得点で終わっていることで、これは2007年以来のゴール日照りなのだとか。おかげで再浮上してきたのがクリスチアーノ・ロナウドの移籍に伴う得点力不足懸念で、ええ、GKを務めたケイロル・ナバスも「Cristiano dejo el liston muy alto, no se puede tapar el sol con un dedo/クリスティアーノ・デホ・エル・リストン・ムイ・アルトー、ノー・セ・プエデ・タパール・エル・ソル・コン・ウン・デド(クリスチアーノが残したハードルは高いよ。太陽を指で隠すことができないようにね)」と認めていましたけどね。 ▽とはいえ、「Fue el quien quiso irse/フエ・エル・キエン・キソ・イールセ(出て行きたがったのは彼だから)」とナチョも現実を直視していたように、いない人は当てにできないんですし、ここはベンゼマやベイル、アセンシオが1人平均10得点以上、上増しして、ロナウドの1シーズン40~50ゴールを補っていくしかないんですが…もしやマリアーノ(オリンピック・リヨンから移籍)しかFWを補強しなかったペレス会長の読みは甘かった?このままいくと、同じような悩みを抱えたモウリーニョ監督(元マンチェスター・ユナイテッド)が冬にアデバヨールを緊急補強した2010-11シーズンみたいな展開になるかもしれませんが、まあそれは最悪の場合。この土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのアラベス戦ではイスコ、マルセロ、カルバハルはまだですが、ベイルとラモスが戻って来るため、きっとゴールは見られますって。 ▽そして翌水曜はワンダ・メトロポリターノで今季初のCL戦が開かれたんですが、最初に驚かされたのは、いえ、3000人ものベルギー人ファンが詰めかけ、喉を枯らして歌っていたのもインパクトがあったんですけどね。まさか、クラブ・ブルージュの5人DF体制に対抗して、シメオネ監督もゴディン、ヒメンス、リュカの3CBを並べ、アリアスとサウールをSBというミラー戦略を取ってくるとは、やだあ、これって昨季、セティエン監督のベティスに同じ手を使い、スコアレルドローの不毛な結果に終わってなかった? ▽でも大丈夫。この日のアトレティコは昨季、やはりDFが5人いたカラバフから点が取れず、2試合共引き分けて、グループリーグ敗退した時とは違ったんですよ。個人特定すると、それはグリーズマンで、当人も「メンタル的にビッグゲームを100%で戦える状態になかった。Para mi eso fue la culpa de no pasar la Champions/パラ・ミー・エソ・フエ・ラ・クルパ・デ・ノー・パサール・ラ・チャンピオンズ(ボクにとってはそれがCLグループ通過できなかった理由だ)」と後で認めていたんですが、「アトレティコに残ることを決意して、その成果を受け取っている」(シメオネ監督)今季は真逆。 ▽ええ、前半19分にレマルのパスから決めたvaselina(バセリーナ/ループシュート)によるゴールはオフサイドでスコアに上がらなかったんですが、29分には再び、フランス代表同僚からのクロスをゴール右前でトラップ。狙い澄ました一撃でGKレティカを破ってくれたんですよ。でもねえ、リードして油断したんでしょうか。39分には試合前記者会見でもシメオネ監督が「Tiene gente por banda izquierda, el numero 47/ティエネ・ヘンテ・ポル・バンダ・イスキエルダ、エル・ヌメロ・クアレンテタシエテ(左サイドに背番号47のいい選手がいる)」と言及していたダンジュマにエリア外から、強烈な同点ゴールを浴びてしまうことに。 ▽その瞬間、またしてもカラバフの亡霊が蘇ったのは私だけではなかったかと思いますが、後半のアトレティコは意外なことにヒメネスが太ももを痛めて交代、左SBにフィリペ・ルイスが入って、慣れない5バックから、通常の4バックに戻ったのが幸いしたんです。シメオネ監督の「En el descanso hable de mejorar la ansiedad/エン・エル・デスカンソ・アブレ・デ・メホラル・ラ・アンシエダッド(ハーフタイムには焦らないようにと話した)」のも効いたか、元々、ブルージュ相手にはボールを支配していたんですが、22分にはグリーズマンがエリア内に走り込むジエゴ・コスタへスルーパス、その当人は敵に邪魔されて撃てなかったものの、折り返しをもらったグリーズマンがシュートして2点目が決まったとなれば、もう大船に乗った気でいていい? ▽いやあ、後々のことを考えると、このプレーでコスタが太ももを負傷。この先、数試合欠場することになったのは、「Aunque no meta goles, te libera muchos espacios, nos hace la vida mas fácil/アウンケ・ノー・メタ・ゴーレス、テ・リベラ・ムーチョス・エスパシオス、ノス・アセ・ラ・ビダ・マス・ファシウ(ゴールを入れなくてもスペースを沢山、作って、ボクらをやり易くしてくれる)」とグリーズマンも言っていたように、チームにとって、痛いんですけどね。この日は即座にロドリが入り、敵の攻撃を中盤で抑えてくれたため、見ていて安心できたんですが、まさかロスタイムにもグリーズマンが活躍してくれるとは! ▽だってえ、後半48分にもなって、敵CBに追いすがられながら、ゴールラインまで切り込む体力を披露しているんですよ。その折り返しからのパスをゴール前からコケが決めて、アトレティコは3点目をゲット。おかげでルイス・エンリケ監督も途中、あまりに鈍い動きでシュートチャンスを逸していた当人をセルジ・ロベルトの代わりに代表に呼ぶという決断を正当化でき、ホッとしてパルコ(貴賓席)を後にしたはずですしね。これで3-0とグループ2連勝としたため、次のドルトムントとの2連戦にはアトレティコも自信を持って挑めるはずですし、何よりワンダで迎えるCL決勝に向けて夢を繋いだのは大きかったかと。 ▽そして週末、日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からはその因縁のベティスを迎える彼らなんですが、いやあ、ヒメネスの負傷欠場が確定、サビッチが復帰したという噂もなく、CBが2人しかいないため、多分、5バック対決のリピートはないと思うんですけどね。ただ相手も木曜のヨーロッパリーグ2節でデュドランジェ(ルクセンブルク)に3-0で勝利と調子に乗っていますし、リーガでも4位のアトレティコと勝ち点差1で5位につけているため、拮抗した戦いになるのは間違いないかと。 ▽そうそう、そのELではセビージャがクラスノダールに2-1で負け、ビジャレアルもスパルタク・モスクワと3-3と、どちらもロシアの地でいい結果が残せなかったなんてことがあったんですが、試合結果一覧で興味を引いたのはカラバフがアーセナルにあっさり、0-3で負けていたこと。ええ、昨季の準決勝ではそのアーセナルを倒して、アトレティコはEL決勝に進出していますからね。となると、昨季のCLグループリーグは本当に間が悪かっただけのようですが、サッカーではどんな相手にも気を抜いてはいけないという、大きな教訓になったのは確かでしょう。 ▽え、それでミッドウィークにじっくり練習できた弟分たちは今週末、どんな予定になっているのかって?実はどちらも土曜開催ゲームで現在、9位と落ち着いたところにいるヘタフェが午後4時15分から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのレバンテ戦で先陣を切ることに。ここ2試合続いたアウェイ戦では2分けで凌いできただけに、久々のホームゲームでは勝ち点3を期待したいところですが、グッドニュースにもバッドニュースにもなるのは今節のチームにはケガ人が1人もいないこと。ええ、まだ招集リストは出ていないものの、そうなるとここ2回、ベンチ外になってしまった柴崎岳選手がメンバーに入るのは難しいような気がしますが、こればっかりはねえ。 ▽一方、お隣さんのレガネスは最下位脱出を目指して午後8時45分から、ブタルケに18位のラージョを迎えて弟分ダービーとなるんですが、梯子観戦を考えている私にとって辛いのは、未だにメトロスールが工事で止まっているため、5キロそこそこしか離れていないにも関わらず、移動がやっかいなこと。まあ、代替バスを使えば何とかなるんでしょうけど、セルカニアス(国鉄近郊路線)を使ってもスタジアムまでは駅からかなり歩かないといけないのがネックです。 ▽ちなみにまだ本調子ではない彼らは先週、ペレグリーニ監督がバルサに今季初黒星を付けて名を挙げた後、ベティス戦では終盤に痛恨の失点をして1-0で負け。ミチェル監督の方はレアル・ソシエダ、エスパニョール戦と続けて2-2で引き分けているため、だんだんゴールは入るようになってきたようですが…来週は各国代表戦のparon(パロン/リーガの停止期間)で試合がないだけにどちらも勝って、降格圏外でお休みに入りたいですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.10.06 13:00 Sat
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GKが凄いとこうなる…/原ゆみこのマドリッド

▽「何だか一番、得したのはセビージャみたい」そんな風に私が呟いていたのは月曜日、スポーツ紙などでは”Una semana magnifica/ウナ・セマーナ・マグニフィカ(偉大な1週間)”と、ここ3試合で首位との差を勝ち点7から2に縮めたアトレレティコが称えられていたものの、週明けの順位表では1つ下がって4位に。代わりに3連勝したセビージャがバルサ、レアル・マドリーと勝ち点差1となり、3位に喰い込んでいるのを見た時のことでした。いやあ、まだリーガは30節以上あるため、現時点でその程度の差に大した意味がないことはわかっているんですけどね。 ▽もちろんミッドウィークのレアル・マドリー戦での圧巻3-0勝利を含め、3試合で計12点。5位からや躍進したマチン監督のチームが勢いに乗っていることを否定する気もありませんが、とにかく羨ましいのは両エース、アンドレ・シウバとベン・イェデルがどちらも当たっていること。とりわけ先週末は戦前、あれだけ有利と言われながら、結局、スコアレスで終わったアトレレティコのマドリーダービーを見た後だけに、7試合での得点が16と、セビージャが彼らの倍、マドリーよりも4本多いゴールを入れているというのはもしや、この先の脅威となるかもしれない? ▽まあ、そんなことはともかく、7節のマドリッド勢のリーガがどうだったか、お伝えしていくことにすると。いやあ、木曜にヘタフェがアラベスと1-1で引き分け、6節最後の試合が終わった翌日、金曜にはもうラージョがエスパニョール戦で先陣を切っているんですから、まったく忙しいったらありません。そのエスタディオ・バジェカスの試合では前半6分、意表を突いて、ラウール・デ・トーマスがエリア外からシュートを決め、ようやく昇格後、初のホーム勝利を見られるかと、スタンドのファンも湧いたんですけどね。喜んでいられたのは15分程のことで、19分にはエルモーソのシュートをGKアルベルトが弾いたものの、ゴール前に詰めていたボルハ・イグレシアスに蹴り込まれ、1-1の同点に。更にハーフタイム直前にもアドビンクラに当たったボールがグラネロの前に落ち、勝ち越し点を奪われてしまうんですから、困ったもんじゃありませんか。 ▽それでも後半開始直後にはアドビンクラがディダクにエリア内で倒され、カクタがPKを決めて再びイーブンに戻したラージョだったんですが、それ以降、スコアは動かず。確かに後半の彼らは積極的に攻めていて、ミチェル監督も「Creo que los rayistas se pueden ir descontentos con el resultado, no con el rendimiento/クレオ・ケ・ロス・ラジスタス・セ・プエデン・イル・デスコンテントス・コン・エル・レスルタードー、ノー・コン・エル・レンディミエントー(ラージョファンは結果には不満足だったかもしれないが、パフォーマンスは違う)」と胸を張っていたんですけどね。スタンド閉鎖のせいで延期したアスレティック戦の分があるとはいえ、6試合で勝ち点5だけというのはちょっと寂しいですよねえ。 ▽そして土曜にはいよいよ、マドリーダービーがサンティアゴ・ベルナベウで開催されたんですが、いやあ、ピッチで先日、モドリッチ、クルトワ、セルヒオ・ラモス、ヴァラン、マルセロがロンドンで受賞したFIFA個人賞のトロフィーを披露して、まさかキックオフ前から、お隣さんがマウンティングしてくるとは!夏のW杯MVPから、UEFA最優秀選手賞、FIFAベストまでモドリッチに連取され、残るチャンスはバロンドールだけになっているグリーズマンなど、内心、あまり良い気持ちはしなかったんじゃないかと思いますが、大丈夫。前半のアトレティコは[4-3-3]のシステムで始めマドリーに対し、中盤での数的優位を生かすことに。 ▽でもねえ、早くも7分にはコケのスルーパスからグリーズマンが独走、エリア内でGKと1対1になったんですが、クルトワが顔でそのシュートを阻止。似たようなシーンは36分にも繰り返されて、今度はグリーズマンのスルーパスでジエゴ・コスタが突進したんですが、彼も手で弾かれてしまっては一体、どうしたらいいって言うのでしょう。この2つの神セーブには、シメオネ監督に「クルトワは今のアトレティコでは正GKになれない。ヤンの方が上」と信頼されているオブラクも動揺したか、ハーフタイム間際にはゴールキックをエリア内にいたアセンシオに贈るという珍しいミスを犯したりもしたんですが、幸い、相手のシュートはストライクコース。試合は0-0のままで折り返します。 ▽後半は太ももに違和感を覚えたベイルがセバージョスと交代。「creo que mi salida le ha dado otro aire al equipo/クレオ・ケ・ミ・サリーダ・レ・ア・ダードー・オトロ・アイレ・アウ・エキポ(自分が出場して、チームに別の空気を与えたと思う)」と当人も言っていた通り、俄然、マドリーの方が活発になったんですが、最大のピンチにオブラクが3シーズン連続サモラ(リーガで一番失点率が低いGK与えられる賞)はダテでないことを証明してくれたんです! そう、20分にアセンシオに1対1で迫られながら、paradon(パラドン/スーパーセーブ)で窮地を脱したんですが、何せ、彼は母国、スロベニアがW杯に出られなかったため、世界の注目する大舞台で実力を披露する機会がありませんでしたからね。 ▽おかげでUEFAやFIFAの賞とも無縁になっているんですが、この日はもう一人、マドリー攻撃陣の前に立ちはだかったディフェンダーが。それはヒメネスで、いえ、彼もダービー前には「En un partido de este estilo tiene que jugar mucho la cabeza/エン・ウン・パルティードー・デ・エステ・エスティーロ・ティエネ・ケ・フガール・ムーチョ・ラ・カベッサ(こういうスタイルの試合では頭を沢山、使ってプレーしないといけない)」と言っていたんですけどね。まさに有言実行、敵のクロスを9度も頭で弾き返す活躍で、ゴディンが自陣でアセンシオにパスを出してしまった際にも全力疾走。ボールをカットして、ウルグアイ代表先輩のミスをカバーしてくれたんですが、そのおかげもあって、最後までアトレティコは失点せずに済むことに。 ▽結果、スコアレスドローの痛み分けで終わった両者だったものの、これでサンティアゴ・ベルナベウでのリーガ戦で6年連続無敗とし、1940年代にバレンシアが作った記録に並んだアトレティコのファンには、いえ、私も含め、それ以前、ダービーでは開始1分に先制しようが、相手に退場者が出ようが、絶対に勝てなかった不遇の14年間を覚えている世代にしてみれば、負けなくて良かったという安堵感もあったんですけどね。やはりマドリーファンにはもどかしかったようで、ロペテギ監督がマリアーノを使わず、残り4分、最後の交代枠では「El partido pedia velocidad/エル・パルティードーペディア・ベロシダッド(試合にはスピードが必要だった)」(ロペテギ監督)という理由でベンゼマに代わり、18歳のヴィニシウスをデビューさせた時など、スタンドからはpito(ピト/ブイング)が飛ぶ始末。 ▽おまけにマドリー選手たちからも「Oblak ha tardado un minuto en sacar de puerta/オブラク・ア・タルダードー・ウン・ミヌート・エン・サカール・デ・プエルタ(オブラクはゴールキックに1分もかけていた)」(セバージョス)とか、「開始1分から時間稼ぎして、引き分け狙いのチーム相手に勝つのは難しい」(カルバハル)なんて文句も出ていたんですが、いやいや。だったら、前半、コケのクロスがエリア内でカゼミロの腕を直撃しながら、VAR(ビデオ審判)判定すらなかったことなんて、まさに「Que quieren que les diga.../ケ・キエレン・ケ・レス・ディガ(何を言ってほしいのやら…)」(シメオネ監督)という事態だったかと。 ▽だって、先週末のリーガだけでもエイバルvsセビージャ戦でヘスス・ナバスのクロスが腕に当たったコテがペナルティを取られていたり、ビジャレアルvsバジャドリー戦でもフネス・モリのヘッドがキコの腕に触れ、こちらはVARでPKという似た事例がありながら、カゼミロのハンドだけ、不可抗力として、お咎めを免れているんですよ。この点に関しては、クラブも審判委員会にVARの使用基準を問う書簡を出していましたが、今回のダービーではラモスがコレアの顔にcodazo(コダソ/肘打ち)を見舞ったのがイエローカードに留まったり、終盤は空中戦でカリニッチをド突いたのが2枚目にならなかったりと、どちらのケースもレッドカード案件だったにも関わらず、VAR判定がなかったのは何故? ▽まあ、シメオネ監督も「前半のチャンスを考えると残念だが、後半を見たところ…Creo que el empate es justo/クレオ・ケ・エル・エンパテ・エス・フストー(引き分けは妥当だと思う)」と言っていましたし、ハンドの抗議を主審に流されたコケも「Hoy ha sido el dia de los porteros/オイ・ア・シードー・エル・ディア・デ・ロス・ポルテーロス(今日はGKの日だった)」と認めていた通り、私もあの2度の絶好機を止められては勝てなくても仕方ないという気がしますけどね。実際、その日の前の時間帯ではバルサがカンプ・ノウでアスレティックと1-1で引き分け。ここ3試合連続して勝ち点を落としてくれたため、マドリーも同じ勝ち点で2位のまま、アトレティコも勝ち点差2で変わらずと、セビージャ以外に漁夫の利を与えることもなかったのは良かったかと。10月末のクラシコ(伝統の一戦)まで、リーガはこんな感じで競り合いが続くんじゃないでしょうかね。 ▽それより今週はCL第2節の方に注目で、早くも日曜午後には火曜のCSKAモスクワ戦に備え、マドリーがロシアに移動。セビージャ戦でふくらはぎを痛めたマルセロ、先週、急性盲腸炎で手術したイスコ、そしてケガではなかったものの、大事を取ったベイルが遠征に参加していないんですが、意外だったのはロペテギ監督がラモスをお留守番にしたこと。いえ、ダービーでサウールに頭をぶつけ、眉の上を縫ったのは関係ないんですけどね。ここまで出ずっぱりだったことを考えての休養のようですが、そうなると、センターバックをヴァランとナチョにして、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)のレギュイロンを左サイドバックとして使うか、バジェホが中に入って、ナチョがマルセロの代理を務めるか、とにかくマルチDFのナチョは1人しかいないため、ロペテギ監督も考えどころ。 ▽折しも会場となるルジニキ・スタジアムがこの夏、スペインがベスト16でロシアに延長、PK戦の末、敗退した悲劇の舞台とあって、いえ、大会直前に代表監督を解任されたロペテギ監督はいいんですけどね。その時、ロシアのゴールを守っていたアキンフェエフと顔を合わせないといけないアセンシオやナチョ、カルバハル、ルーカス・バスケスらにとってはトラウマが残っているかもしれませんが、ここは同スタジアムでフランス代表の優勝を決めたヴァランを信頼。いくらリーガでここ2試合、ノーゴールが続いているマドリーとはいえ、実力的に後れを取るようなことはないはずですが、とりあえず火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのキックオフを楽しみに待つことにしましょうか。 ▽そしてCL第2節ではワンダ・メトロポリターノにクラブ・ブルージュを迎えるアトレティコはというと、アリアスがダービー前に全快通知をもらったため、ケガ人はサビッチだけになったはずだったんですけどね。どうやら、ヒザの負傷から戻ったビトロがまだ本調子ではなかったようで、今週は試合に出ず、スペシャルメニューでリハビリを続けるよう。他はもう、少数精鋭のチームですから、先発に少々、変更はあってもプレーする選手は同じです。何せ、昨季はグループ最弱と言われたアゼルバイジャンのカラバフと2分けして、3位で敗退してしまった彼らですからね。CL決勝がワンダで開催されることもありますし、いくら初戦でモナコに快勝して今季は好スタートを切ったとはいえ、決して油断をしないで挑んでもらいたいところです。 ▽え、兄貴分たちがリーガの上位争いを続ける一方で、だんだん心配になってきた弟分チームもあるんだろうって? そうですね、実は日曜にベティス戦だったレガネスが終了間際にロレンにゴールを許し、1-0で負け、ミッドウィークのバルサ戦勝利で離れていた最下位にまた戻ってしまったんですよ。おまけにこの土曜には18位のラージョと降格圏内ミニダービーで骨肉の争いを繰り広げないといけないのは何とも皮肉。 ▽いえ、月曜に前半にマキシ・ゴメスのゴールで先制されながら、後半に途中出場のマタが嬉しい1部初ゴールを決めて、アウェイでセルタと1-1で引き分けたヘタフェは順位も9位と安定していますけどね。土曜のレバンテ戦に向けてはここ2試合、連続して招集リスト入りできなかった柴崎岳選手が戻って来られるかどうかぐらいなんですが、さて。せっかくマドリッド勢1部5チームになってすぐ、3シーズン前のヘタフェとラージョのみたいにダブル降格なんて悲しい結末だけは避けたいですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.10.02 15:30 Tue
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トントン拍子に進んでいる…/原ゆみこのマドリッド

▽「だからって浮かれていちゃいけないわよね」そんな風に私が気を引き締めていたのは木曜日、あれだけスタートダッシュの失敗を言われていたアトレティコがいつの間にやら、週末のマドリーダービーで勝てば、お隣さんの上に立てることに気づいた時のことでした。いやあ、このミッドウィークのリーガであそこまで彼らに嬉しい目が出るとは神様だって、予想していなかったと思いますけどね。おまけにこの夏、UEFAスーパーカップでもレアル・マドリーを倒したシメオネ監督はここ5年間、サンティアゴ・ベルナベウでのリーガ戦で3勝2分けの無敗としているなんて聞くと、期待でワクワクしてしまうファンも少なくないはずですが、実際、ツキなんていつ離れていくかわかったもんじゃなし。 ▽その辺りを踏まえて、6節のマドリッド勢の試合を伝えていくことにすると、アトレティコより一足早く、火曜午後9時からアノエタでレアル・ソシエダと戦った弟分のラージョは、私がワンダ・メトロポリターノに着いた時間にはバウティスタにより序盤に先制された1点をGKルジのミスから、アドビンクラが返して同点に。更に前半36分にはPKをトレホが沈めて、1-2とリードしていたんですけどね。後半32分にウィリアン・ジョゼにヘッドを決められ、最後は2-2で引き分けることに。 ▽まあ、アウェイだったため、勝ち点1でも頑張ったと褒めてあげないといけないところですが、彼らにとって正念場となるのは金曜午後9時、次節のエスパニョール戦。ええ、スタンド閉鎖の影響でまだ今季2試合しかしていないエスタディオ・バジェカスではセビージャに1-4、アラベスに1-5と大量失点負けをしていますからね。ルビ監督率いるエスパニョールは先週末、サンティアゴ・ベルナベウでも1失点だけの拮抗したゲームをしていますし、火曜のエイバル戦でも1-0と勝っているため、手強い相手になりそうですが、早くファンに3年ぶりの1部での勝利を見せてあげられるといいのですが。 ▽一方、煌々と輝く中秋の名月の下で午後10時からという遅いキックオフを迎えたアトレティコはというと、これが信じがたいことに捕らぬ狸の皮算用が上手く行ったんですよ!そう、土曜のダービーを見越してここまで全試合に出場していたサウールはベンチ、30代のファンフランも招集外で温存し、20歳のカンテラーノ(アトレティコBの選手)、イサークが右SBを務めたんですが、相手のウエスカがあまり攻撃してくるチームでなかったため、その点は問題なし。それどころか、後で「次に大事な試合が控えている時、彼らは早めに勝負を決めにくることは話してあった」と、2004~09年にアトレティコの正GKを務めた、勝手知ったるレオ・フランコ監督にも手が打てない程の効率の良さを発揮したから、私も驚いたの何のって。 ▽まずは前半17分、コレアのスルーパスをもらって敵エリア内に入ったジエゴ・コスタが折り返すと、ゴール前に詰めていたグリーズマンが先制点をゲット。続いて29分には、その日は急造右SBをやらされず、本職のボランチで先発させてもらえて発奮したんでしょうかね。トマスがエリア外から狙って追加点を奪うと、早くも3分後、コケが山なりのクロスを送ったところ、GKウェルネルがコレアに目を眩まされて触れず、そのままボールはネットに収まることに。いやあ、このプレーにはコレアのオフサイド疑惑があったため、VAR(ビデオ審判)で確認されるまで、選手たちも喜ぶのを待たなければいけなかったなんてこともあったんですけどね。前半で3-0となれば、もう大手を振るって、選手温存していいってことじゃないですか。 ▽実際のところ、それからすぐ後、ヒメネスがふくらはぎの痛みを訴え、大事を取って、リュカと交代したため、お休みできたのは後半8分にカリニッチと代わったグリーズマン、19分にジェルソンと代わったコスタの2人だけに留まったんですが、「El rival fue superior/エルリバル・フエ・スペリオール(相手が上だった)」(レオ・フランコ監督)とあっさり、実力差を認めていたウエスカから、それ以上、ゴールが奪えなかったのはアトレティコがエネルギーの浪費を避けたせいだった?最近は目を覆うようなボールロストが少し、減ってきたコレアも「Me voy feliz porque el equipo volvió a ser el Atlético que todos queremos/メ・ボイ・フェリス・ポルケ・エル・エキポ・ボルビオ・ア・セル・エル・アトレティコ・ケ・トードス・ケレモス(皆が望むアトレティコが戻って来たから、ボクは幸せな気分で帰れるよ)」と言っていましたしね。 ▽おかげで平日なのに試合終了が午前零時近くとあって、早く帰宅したかったファンも心おきなく、途中で席を立つことができましたし、見た目、かなり楽な展開だったにも関わらず、何故か、記者会見では声がかすれていたシメオネ監督も「エイバル戦で改善の兆しがあって、CLモナコ戦は良かった。ヘタフェ戦ではもっと良くなって、hoy fue un partido contundente/オイ・フエ・ウン・パルティードー・コントゥンデンテ(今日はガツンといけた試合だった)」を満足していましたしね。ヒメネスもすぐ治りそうだったため、これならダービーに胸を張って臨めそうだと私もホッとしていたところ…。 ▽波乱が起きたのは翌水曜のことでした。まずは午後8時からのブタルケでのバルサ戦で、いやあ、何せ今季、まだ1勝もしていない最下位の弟分、レガネスですからね。スタンドを満員にしたファンがどんなに熱く応援しようと、バルベルデ監督がルイス・スアレス、ジョルディ・アルバを温存し、CFはムニル、左SBベルマーレンとメンバーを落としてこようと、5人DF体制で守りを固めたペレグリーニ監督のチームが序盤から、自陣エリア付近に押し込まれてしまったのは仕方なかったかと。その状態で前半11分にはコウチーニョのエリア前からのシュートが決まったとなれば、もう一体どうしたらいい? ▽いやあ、レガネスを見くびっていたのは私もバルサも同じですね。実は彼らが前半途中まで籠城状態になっていたのは、ペレグリーニ監督の説明によると、「ジョルディ・アルバを予想して、サイドに選手が必要だったから5-4-1にしたが、そのせいで中盤に人が足りなくなり、下がりすぎてしまった」からで決して、相手に臆していた訳じゃないんですよ。その証拠に組織的に守って1失点だけで前半を終えたレガネスは後半すぐ、合わせて68秒という速攻で逆転することに。ええ、7分にベスガが自陣からロングボールを出したところ、ジョナタン・シウバがエリア内にクロスを上げることに成功。ベルマーレンのチェックが遅れたため、身長差のかなりあるエル・ザールが頭で決めて同点になったかと思いきや、いや本当にまだ、私もメモを取っている最中だったんですよ。リスタート直後、またしても自陣から放たれたロングボールをエン・ネシリからピケが奪いながら、まさかオスカル・ロドリゲスにドンピシャの横パスを出してくれるとは! ▽そのシュートが逆転のゴールとなり、その後はルイス・スアレスやジョルディ・アルバ、マルコムを投入したバルサですが、メッシが精彩を欠いていたのも災い。そのまま2-1でレガネスが勝ったのがよっぽど心外だったんでしょうね。コウチーニョとラキティッチのダブルチャンスを連続paradon(パラドン/スーパーセーブ)で防ぎ、1点差を守るのに貢献したGKクエジェルなど、「Nadie ha venido a felicitarnos/ナディエ・ア・ベニードー・ア・フェリシタールノス(誰1人、お祝いを言いには来てくれなかった)」と、バルサの選手たちの対応が失礼だったことを怒っていましたが、まあ、彼らにしてみれば2-2で引き分けた前節ジローナ戦に続く、躓きですからね。 ▽試合後、唯一、バルサでインタビューを受けていたブスケツなども「退場者のいた前の試合とは違う。今日は11対11で戦ったのに、no hemos sido sólidos y hemos dado facilidades/ノー・エモス・シードー・ソリドス・イ・エモス・ダードー・ファシリダーデス(ウチは堅固でなく、敵を手助けしてしまった)」と反省していましたけど、何せ、昨季はかなりシーズンの遅い時期まで黒星のなかったバルサ。RMカステージャ(マドリーのBチーム)から修行に来ている、殊勲のオスカルも「Seguro que muchos compañeros del Real Madrid se han alegrado por mí/セグロ・ケ・ムーチョス・コンパニェロス・デル・レアル・マドリッド・セ・アン・アレグラードー・ポル・ミー(レアル・マドリーの多くの同僚がボクのおかげで喜んでいるだろう)」と言っていたんですが…実はその頃、肝心の兄貴分は大変な目に遭っていたんです! ▽いえ、直後に始まったセビージャ戦をオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継でずっと聞いていたため、ブタルケを出て、セルカニアス(国鉄近郊路線)のサラケマダ駅に向かう頃にはマドリーが前半だけでもう、3点を取られていることは私も知っていたんですけどね。家に着いて映像を見たところ、マルセロのサイドを狙うというマチン監督の作戦がはまりまくり。ええ、17分には彼のパスミスを利用してヘスス・ナバスが突進すると、エリア内でアンドレ・シウバにアシストして先制点が入ったかと思えば、21分にもヘスス・ナバスのシュートをGKクルトワが弾きながら、マルセロのフォローが間に合わずにまたしてもアンドレ・シウバに決められてしまう羽目に。 ▽29分など、まあこれは”ムード”・バスケスの方が背が高いため、CKから回ってきたボールのクリアで空中戦に勝てなくても仕方なかったんですが、それがベン・イェデルの3点目に繋がったとなれば、世間からマルセロが戦犯扱いされても仕方なかったかと。「La primera parte la hemos regalado/ラ・プリメーラ・パルテ・ラ・エモス・レガラードー(前半をウチは相手に贈ってしまった)」(カセミロ)マドリーは後半、反撃に転じたものの、8分にモドリッチが決めた見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)もほんの僅かなオフサイドをVARに指摘され、スコアには上がらず。ベイルの1対1のシュートも前夜、幼いお子さんがテラスから転落し、一晩中、病院で付き添っていたというGKバシリクに弾かれ、挙句の果てにマルセロが負傷で最後は10人でプレーって、これじゃ3-0の完敗でも仕方ありませんって。 ▽え、ここ6シーズンで5敗しているサンチェス・ピスファンでのセビージャ戦とあって、ロペテギ監督はベストメンバーを並べたんじゃないのかって?そうなんですが、問題はその”ベスト”で実はこの日先発したモドリッチ、セルヒオ・ラモス、バラン、マルセロ、GKクルトワの5人は月曜にロンドンでのFIFA表彰式に出席。最優秀GK賞をもらったクルトワなど、「Yo a las 4.00 ya estaba durmiendo, descansé bien, entrené muy bien/ジョ・ア・ラス・クアトロ・ジャー・エスタバドゥルミエンド、デスカンセ・ビエン、エントレネ・ムイ・ビエン(ボクは午前4時には眠っていたし、よく休んだよ。とてもいい練習もした)」と言っていたものの、マドリッドに戻ったのは火曜の午前5時半だったというTVレポーターもいましたしね。 ▽それで練習が午前11時からというのはやっぱりハードスケジュールだったかと思いますが、実はマドリーが同じ轍を踏むのはもう3年目。ええ、初代FIFAベストにクリスチアーノ・ロナウドが選出された2016-17シーズンも直後のコパ・デル・レイでセビージャと3-3と引き分けた後、リーガでも同じ相手に2-1で負けていますし、翌シーズンもロナウドを始め、5人の選手が表彰式に出向いた後、まさにマチン監督率いるジローナに2-1で負けているとなれば、毎年、ベストイレブンなどで大量に選手が表彰されるのも考えものかと。 ▽まあ、そのおかげでこの土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのマドリーダービーではアトレティコが上位2チームと勝ち点差2まで詰め、意外な程、早く首位到達への可能性が開かれたんですけどね。残念ながら、マチン監督を見習おうと、ファンフランをウエスカ戦で温存したシメオネ監督の作戦はマルセロが肉離れと見られるケガをしたことでムダになってしまいましたが、ヒメネスは木曜のセッションで普通に練習。対して相手は火曜に急性盲腸炎の手術をしたイスコが1カ月の離脱となっているのもあまりにタイミングが合いすぎて、逆に怖すぎるぐらいなんですが…いやいや、捕らぬ狸の皮算用が2度も続けて上手くいく保証など、どこにもないのがサッカー。バルサも土曜のアスレティック戦では黙っていないでしょうし、とりあえず、先は長いため、今はマドリーと引き分けても大丈夫そうなのを心の拠り所にして応援したいと思います。 ▽そして最後に木曜、アラベスと戦ったヘタフェは1-1の引き分けで終了。せっかくアマトのゴールで後半35分に先制できた彼らだったものの、ロスタイムにカレリに同点弾を浴びてしまったんですが、実はこの試合、柴崎岳選手が今季初めて招集リスト落ち。まあ、順位的には11位と安定したところにいるヘタフェのため、これはアウェイ連戦となる月曜のセルタ戦も考えてのローテーションかもしれませんが、いよいよベルガラもケガ治って復帰してきただけにチーム内の競争が高まっているのは確かかと。ベティスに行った乾貴士選手が日曜のレガネス戦にも出そうなのと違い、なかなかピッチで見られないのは残念ですが、柴崎選手も早く、ボルダラス監督の信頼が得られるようになってもらいたいところです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.09.28 11:00 Fri
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まだ秋は来ない…/原ゆみこのマドリッド

▽「どうせ涼しくなれば、忘れちゃうんだろうな」そんな風に私が呆れていたのは月曜日、スペインが厳しい残暑に見舞われた先週末のリーガ開催時間を巡り、サッカー協会のルビアレス会長とラ・リーガのテバス会長がツイッターを通じて丁々発止の口喧嘩を始めたと聞いた時のことでした。いやあ、スタンドはどちらも日影でしたが、観戦梯子をした土曜は確かに私も午後6時過ぎにコリセウム・アルフォンソ・ペレスにセルカニアス(国鉄近郊路線)のラス・マルガリータス・ウニベルシダッド駅から15分歩いて着いた後など、汗が止まらず。水を飲みすぎたせいもあってか、試合中、とても気持ちが悪かったんですけどね。 ▽実際、午後1時からのエスタディオ・バジェカスではカンカン照りのピッチでプレーしていたラージョのアマト、アラベスのパチェコが試合後、目眩や吐き気に襲われたそうで、ミニダービーの方では何と、フィリペ・ルイスがプレーを続けられず、後半途中に交代を申し出る始末。おまけに翌日曜、もっと暑くて湿気の多い地中海沿岸では観客にも被害が出て、正午からのシュタット・デ・バレンシアのレバンテvsセビージャ戦では14人、午後4時15分からのラ・セラミカでのビジャレアルvsバレンシア戦では4人が熱中症の手当を受けたとなれば、いくらテバス会長が「アラゴングランプリ(バイク)では気温32度の中、11万4000人の観客が日向でレースを楽しんでいた。36度のラス・ロサス(マドリッド近郊)の協会施設グラウンドでも少年サッカーの試合が開かれた」と反論しても、暑さをまったく考慮せずにキックオフ時間を設定した責任は免れないかと。 ▽うーん、それでもアラベスなどはようやくエスタディオ・バジェカスのスタンド閉鎖命令が解け、今季2度目のホームゲームに張り切って駆けつけたラージョファンの熱い応援もなんのその。前半8分にはチモ・ナバロが器用に後ろに流したFKで先制すると、一旦はラウール・デ・トマスのゴールで同点とされたものの、34分にはイバイ・ゴメスがエリア前からのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で再びリードしているんですよ。おまけにその時、CBアブドゥライエがカレリにcodazo(コダソ/肘打ち)を見舞っていたことがVAR(ビデオ審判)により発覚し、彼が一発レッドで退場させられたラージョは残り時間を10人で戦うことに。 ▽そのせいもあってか、後半11分にそのカレリに追加点を奪われた後、「Con un jugador menos nos meten el 1-3 y dejamos de competir/コン・ウン・フガドール・メノス・ノス・メテン・エル・ウノ・トレス・イ・デハモス・デ・コンペティール(1人少なくなって1-3にされて、ウチは競うのを止めた」とミチェル監督は選手たちを批判していたましたが、いや、あの暑さでは気力が湧かないのもわかりますって。対照的にその後もイバイ・ゴメス、ブルギが追加点を挙げ、1-5と最後まで手綱を緩めなかったアラベスは見上げた心意気でしたが、何せ彼らはこれでもう勝ち点10と、「Tenemos una cuarta parte del objetivo conseguido/テネモス・ウナ・クアルタ・パルテ・デル・オブヘティボ・コンセギードー(ウチは目標の4分の1を達成した)」(アベラルド監督)訳ですからね。 ▽このペースで行けば、20節には1部残留確定の勝ち点40が溜まるとなれば、この敗戦で19位に落ちてしまったラージョや、それこそ次の時間帯で、いえ、北部のエイバルでプレーしながら、あちらの暑さもかなりのものだったようですけどね。後半6分に決勝ゴールを挙げたキケ・ガルシアが27分には全力疾走した後、息が切れて倒れてしまい、担架退場になったなんて話もあったんですが、そのまま1-0で負け、未だに勝ち点1しかない最下位に留まったレガネスなどにしてみれば、どんなに羨ましい状況かと。 ▽え、そんなシーズン序盤から、降格圏にはまってしまった弟分2チームには今週、平日開催でキックオフが遅くなるため、暑さの影響もあまりなさそうな次節、そしてラッキーにも夜の時間帯に当たった週末の試合での奮起を期待するしかないだろうって?まあ、その通りなんですが、火曜にサン・セバスティアン(スペイン北部のビーチリゾート都市)でのレアル・ソシエダ戦を控えているラージョと比べ、あまりに気の毒なのはレガネス。ええ、水曜午後8時(日本時間翌午前3時)から、ブタルケにバルサを迎えるからで、いえ、相手も日曜にジローナとカンプ・ノウで2-2と引き分け、今季初めて勝ち点を取りこぼしていますけどね。 ▽どうやら、「Estamos en el inicio, todavia queda mucho/エスタモス・エン・エル・イニシオ、トダビア・ケダ・ムーチョ(始まったばかりで、まだリーガは沢山残っている)」というペレグリーニ新監督が初白星を挙げるのは日曜、アウェイで乾貴士選手のいるベティスと顔を合わすまで待たないといけない可能性が高そうですが、さて。何はともあれ、カリージョやロラン、エル・ナスリといった今季、加わったFWたちにゴール運が早く巡ってきてくれるといいのですが。 ▽そしてメトロからアトーチャ駅でセルカニアス乗り換えると、1時間以内で結構、楽に移動ができることがわかったヘタフェの試合がどうだったかというと。いやあ、アトレティコも序盤は兄貴分の貫録を示そうと積極的に攻めていたんですけどね。前半14分、グリーズマンのミドルシュートが外れてしまった直後、レマルが同じような距離からトライしたところ、ボールがゴール枠に弾かれ、GKダビド・ソリアの背中に当たってオウンゴールになるという超ラッキーが起こります。 ▽でもねえ、だからって、「Luego hemos dado un pasito atras porque hemos empezado a perder balones en la salida/ルエゴ・エモス・ダードー・ウン・パシート・アトラス・ポルケエモス・エンペサードー・ア・ペルデル・バロネス・エン・ラ・サリーダ(それからウチはボールを出すところで敵に取られ始めたから、一歩あとに下がった)」(コケ)というのは、因果関係はどちらが先か、私にもわからないんですけどね。リードすると引いてしまう、彼らのいつもの悪癖が出てしまったせいで、ゲームはとてつもなく退屈なものに。 ▽そんな状態で前半が終わったため、「Hablamos al descanso y repetimos los 20 del primer tiempo/アブラモス・アル・デスカンソ・イ・レペティモス・ロス・ベインテ・デル・プリメール・ティエンポ(ハーフタイムに話して、前半20分までのプレーを繰り返した)」と後でシメオネ監督も言っていたんですが、おかげで後半15分、ようやくアトレティコのプレーが繋がったんですよ。それはその日、久々にCBとして先発したリュカが自陣エリア近くで取り戻したボールからで、パスを右サイドに繋いだ彼らはレマルから、グリーズマンのtaconazo(タコナス/ヒールキック)を経て、最後は左サイドのコケが敵の股間を抜くスルーパスをエリア内のレマルへ。するとブルーノがカットしかけたボールを追って、ソリアもかわしたレマスが角度のないところからシュート、これが決まってしまったから、ビックリしたの何のって。 ▽すぐ後には、GKオブラクがアンヘルの一撃をparadon(パラドン/スーパーセーブ)で救ってくれたなんてこともあったんですけどね。ヘタフェは途中出場したアレホがサウールの脚を踏み、レッドカードを受けたため、人数的有利になったアトレティコはようやく、ジエゴ・コスタやグリーズマンにチャンスが回ってくることに。それでもソリアに弾かれて、追加点を挙げられなかったため、0-2という地味なスコアでの勝利になりましたが、ちょっと悲しかったのは試合後の記者会見で、「Fue el mejor Atletico de esta temporada?/フエ・エル・メホール・アトレティコ・デ・エスタ・テンポラーダ(今季、これが一番良かったアトレティコの試合だったか?)」とシメオネ監督が訊かれていたこと。 ▽その答えは「リーガではそうかもしれない。一番だったのはUEFAスーパーカップのレアル・マドリー戦だけどね」というものでしたが、まあ、「A todo el mundo le gusta jugar bonito, pero nuestra filosofia es la de ganar/ア・トードー・エル・ムンド・レ・グスタ・フガール・ボニート、ペロ・ヌエストロ・フィロソフィア・エス・ラ・デ・ガナール(皆、美しいプレーが好きだけど、ボクらのフィロソフィーは勝つことだからね)」(コケ)というチームですからね。1試合に1つでも2つでも感心できるプレーがあれば、それで良しとしないといけないのかもしれませんが、ただこの日の白星はひとえに両チームの相性のおかげだったかも。 ▽ええ、シメオネ監督下のアトレティコはここ14試合、ヘタフェに負けておらず、引き分けもスコアレスで2度だけと、通算28-0で圧勝しているんですよ。ボルダラス監督も「他のチームの前ならできるミスも彼らにはできない。Solo tuvieron dos ocasiones hasta el segundo gol/ソロ・トゥビエロン・ドス・オカソネス・アスタ・エル・セグンド・ゴル(2点目を入れるまで、チャンスも2回しかなかった)」と言っていましたが、何をしても上手くいかない相手はいるものですって。それでも勝ち点10あるヘタフェは10位と安全圏にいますからね。木曜午後8時(日本時間翌午前3時)からのアラベス戦、来週月曜のセルタ戦と続くアウェイ2連戦では、この土曜はベンチに留まった柴崎岳選手の出場も含めて、きっといいところを見せてくれますって。 ▽え、相性の良さに助けられたのはお隣さんも同じじゃなかったかって?そうですね、続く時間帯だったため、サンティアゴ・ベルナベウには行けなかった私でしたが、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継を聞きながら、駅に向かっていた途中、前半41分にモドリッチのパスから、アセンシオのシュートがGKディエゴ・ロペスを破ったとの報が。でもねえ、最初は主審がオフサイドを取って、得点を認めなかったものの、VAR判定が入り、2分後に実況アナが「Goool! Gol del Madrid/ゴル・デル・マドリッド(マドリーのゴール)」と叫び直さないといけないって、もしやVAR導入で苦労しているのは選手たちだけじゃない? ▽自宅近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)に私が入った時もスコアは1-0のままで、しかも後半にはレオ・バプチスタンやセルヒオ・ガルシアを入れ、反撃をかけてきたエスパニョールにマドリーは手を焼いていたようですが、何せベルナベウではここ23年間、白星のない相手ですからね。GKクルオワの頭を越えたボルハ・イグレシアスのvaselina(バセリーナ/ループシュート)がバーに当たって入らなかったのも得点すら、彼らは2013-14シーズン以来していないことを考えると、むしろ次回は試合前にお払いにでも行った方がいい? ▽ベイル、クロース、マルセロ、カルバハル(ケガ)がローテーションで出なかったマドリーもセルヒオ・ラモスがその日は積極的に参加して、強烈ヘッドを弾かれたりしていたんですが、結局、最後は1-0で逃げ切ることに。うーん、「lo mas importante son los tres puntos y el 1-0 vale igual que un 3-0/ロ・マス・インポルタンテ・ソン・ロス・トレス・プントス・イ・エル・ウノ・セロ・バレ・イグアル・ケ・ウン・トレス・セロ(大事なのは勝ち点3、1-0で勝っても3-0と同じ価値がある)」(アセンシオ)というのはもっともですが、先日のCLローマ戦であれだけ完璧な強さを見せられてしまうとねえ。マドリーファンとしては少々、物足りない試合だったのは否定できなかったかと。 ▽そんなマドリーは次節、水曜午後10時(日本時間翌午前5時)から、サンチェス・ピスファンでのセビージャ戦に挑むんですが、ここはちょっと用心が必要。というのも相手は日曜、猛暑の中でレバンテに2-6、先週木曜にもヨーロッパリーグのスタンール・リエージュ戦で5-1の勝利とgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)づいているから。中でも2試合で5得点を挙げているベン・イェデルからは目が離せませんが、何せ月曜のFIFA表彰式でマドリーのDFはマルセロ、バラン、セルヒオ・ラモスの3人がベストイレブンに選ばれていましたからね。クルトワもベストGKに輝いたとなれば、もちろん守備は鉄壁かと思いますが、まあそれは見てのお楽しみ。そうそう、ベストイレブンにも入ったモドリッチは先日のUEFA年間最優秀選手賞同様、クリスチアーノ・ロナウド(ユベントス)、サラ(リバプール)を抑えてFIFAベストアワードを獲得しています。 ▽一方、火曜午後10時からワンダ・メトロポリターノに昔からのファンには懐かしい元GKのレオ・フランコ監督が率いるウエスカを迎えるアトレティコは月曜夜から、前日合宿に入っているんですが、いいニュースは開幕節でヒザを痛めたビトロがようやく招集リストに戻って来たこと。ただ、ファンフランが疲労なのか、ローテーションなのか、外れたため、右SBがまたトマス、もしくはカンテラーノ(アトレティコBの選手)のカルロス・イサークになるのかは不明です。 ▽そう、これが終わると次は土曜のマドリーダービーですからね。今季は2分け1敗と早くも躓いて、上位2チームと勝ち点差5をつけられている彼らにしてみれば、距離を縮めるまたとないチャンスとなるため、ここまで出づっぱりのサウールが温存される可能性もあるとか。どちらにしろ、ウエスカ戦に勝たないことには所詮、捕らぬ狸の皮算用ですが、月曜にロンドンでのFIFA表彰式に誰も行っていない彼らとしては、ここは改めて気合を入れるいい機会。来年は1人でも参列できるよう、今からプレーを磨いていってほしいものです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.09.25 13:00 Tue
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CLはいいスタートが切れた…【原ゆみこのマドリッド】

▽「あっちもいなくて大丈夫だったのね」そんな風に私が頷いていたのは水曜日、同時刻に試合をしていたバレンシアが、前半28分にクリスティアーノ・ロナウドが退場となったユベントスに0-2で負けたのをサンティアゴ・ベルナベウのミックスゾーンで知った時のことでした。いやあ、後で問題のシーンを見たところ、元レアル・マドリーのエースは地面に座ったムリージョの頭を上からギュッと掴んだ程度、別にレッドカードを出すまでのことではなかったという意見が専門家の間でも多かったんですけどね。丁度、CLグループリーグ1節でマドリーに完敗したばかりのローマのディ・フランチェスコ監督も「自分がマドリーファンだったら、ロナウド不在をあまり心配しない」と言っていたように、10人で戦ったユベントスもメスタージャで白星を掴むのにまったく支障はなかった? ▽まあ、4年ぶりにCLに復帰したバレンシアはリーガでも未勝利とまだエンジンがかかっておらず、そこへユベントスのような老舗を迎えるのはさすがに荷が重かったんでしょうかね。失点はどちらもPKからで、ロナウドがいなくてもピャニッチに決められて、自分たちは後半ロスタイムにもらったPKをパレホが失敗するといった具合でツキがなかったと言えなくもなかったかと。翻って、対照的なのはバルサで火曜に同じCLグループリーグ1節でPSVと当たった際、メッシのハットトリックで4点のうちの3点をゲット。 ▽4-0の大勝も彼なしにはありえなかったとなれば、その唯一無二さがわかるというものですが…いえ、まずはそんなバロンドール5回受賞経験者たちと、「Ya como en la misma mesa de Messi y Cristiano/ジャー・コモ・エン・ラ・ミスマ・メサ・デ・メッシ・イ・クリスティアーノ(もうボクはメッシやクリスティアーノと同じテーブルについている)」とCLがスタートする直前、AS(スポーツ紙)のインタビューで宣言。それをセルヒオ・ラモスに「La ignorancia es muy atrevida/ラ・イグノランシア・エス・ムイ・アトレビーダ(無知とは非常に厚かましいもの)。あの子の言うことを聞くと、トッティやブッフォン、ラウール、カシージャス、イニエスタら、全てを獲得しながら、バロンドールをもらえなかった選手たちを思い出すよ。シメオネ監督やコケ、ゴディンみたいに物事がわきまえている人々に忠告してもらった方がいい」と思いっきり叩かれていたグリーズマンのいる、アトレティコのグループリーグ1節がどうだったか、お話していくことにすると。 ▽そう、お隣さんに先行して火曜にモナコと対戦した彼らだったんですが、恐れていた通り、いつものバル(スペインの喫茶店兼バー)はケーブルTVのチャンネルを探し当てられず。毎年、放送局が変わるのも悪いんですが、昨季の初戦のように全試合の名場面を回るマルチ番組に合わされても困ると思ったため、早々に移動したものの、ようやく水色にネプトゥーノ像(アトレティコが優勝祝賀をする広場にある)などの地模様が入った第3ユニでプレーしている彼らが映っているバルを探し当てた時にはすでに、前半も10分が経過していることに。 ▽でも大丈夫、そこまでアトレティコが押しているのはオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況で確認していたため、あまり心配はしていなかったんですが、18分には早くも試練がやってきます。ええ、おそらくファルカオがアトレティコにいた頃はまだBチームにいたため、”El Tigre/エル・ティグレ(虎、ファルカオの愛称)”の怖さがよくわかっていなかったんでしょうね。サウールが自陣エリア前で彼にボールを奪われると、ゴール前の混戦からグランザーがモナコの先制点を入れてしまったから、さあ大変! ▽ただ、今季の彼らはこういう間抜けな失点も多いんですが、どうやら最近は根性もついてきたよう。31分には自陣のファンフランを起点にコケがセンターで、更にグリーズマンとそれぞれワンタッチで繋ぐと、それをジエゴ・コスタがエリア内からGKベナリオの脇を抜くシュートで同点に。滅多にお目にかかれないハイテクニックなプレーに私も呆気に取られていたんですが、前半ロスタイムにもコケのCKにファルカオより高く跳んだヒメネスが頭を合わせて2点目を取ってくれたから、助かったの何のって。え、後でリュカにツイッターで「ゴールが入った訳は?」と訊かれ、「los calzoncillos../ロス・カルソンシージョス(パンツ)」と、ヒメネスは彼にもらったW杯王者、フランス代表の下着をつけていたおかげにしていなかったかって(https://twitter.com/JoseMaGimenez13/status/1042184846330736651)? ▽いや、もちろんそんなの冗談でしょうけど、「La unica posibilidad que tenemos los centrales de marcar son las pelotas quietas/ラ・ウニカ・ポシビリダッド・ケ・テネモス・ロス・セントラレス・デ・マルカル・ソン・ラス・ペロータス・キエタス(CBが得点できる可能性はセットプレーだけだからね)。リーガ優勝したシーズンのように、ウチはセットプレーがPKみたいになるようにしないといけない」(ヒメネス)というのは確かですからね。そう、いくらコスタとグリーズマンが沢山、ゴールを入れてくれたとしてもメッシやロナウドのように年間40、50得点なんて、人間離れした数字には届かないんですから、それが適切な努力の方向かと。 ▽おかげで1-2とスコアを逆転したアトレティコは後半、コレアをレマルに代えただけで交代枠も1つしか使わず、そのままリードを保って、昨季のヨーロッパリーグ準決勝アーセナル戦1stレグで退場したシメオネ監督のベンチ入り禁止処分、最後の試合に勝利。うーん、ここ数年のモナコは、ファルカオも「El Atleti tiene gran experiencia en este tipo de competiciones/エル・アトレティ・ティエネ・グラン・エクスペリエンシア・エン・エステ・ティポ・デ・コンペティシオネス(アトレティコはこういった大会での経験が豊富だ)」と認めていたように、それこそレマルなどを含め、才能ある選手が出て行ってしまい、若手の成長を待っている最中ですからね。 ▽その辺の差が勝敗を決したとも言えますが、これでCLに関しては10月3日のクラブ・ブルージュ戦まで枕を高くして眠れることに。もちろん昨季はグループ最弱のカラバフに2分けと躓いて、3位敗退した彼らですから、決して油断はできないんですが、そうそう、実はこの試合、会場のスタッド・ルイ2世のピッチの芝が剥がれまくり。そのことを訊かれたコスタが、「Venimos del Wanda que tambien esta horrible/ビニモス・デル・ワンダ・ケ・タンビエン・エスタ・オリブレ(ボクらは恐ろしい状態のワンダから来たんだ)」とコメントして、夏の間、コンサート会場として使われた後、張替えをしたワンダ・メトロポリターノの芝がボロボロだったことが初めて発覚するんですから、まったくもう。 ▽ええ、彼らはバルサじゃないので、普段、ピッチの良し悪しについて、あまり文句を言ったりせず、プレーもプレーなだけに周りも問題視しないっていうのもどうかと思いますけどね。先週末のエイバル戦で私もスタンドから見ていて、「ちょっと土、見えているかも」ぐらいには思ってはいましたが、幸い今週末のリーガは土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時医30分)から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで弟分のヘタフェとのミニダービー。来週火曜のウエスカ戦までにマシになっていてくれればいいんですが、ただ、土曜午後6時からはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場にあるミニスタジアムの改装が済むまで、ホームとして借りているラージョ・マハダンオンダのリーガ2部戦が開催されるんですよ。それでまた荒れてしまわないか、懸念は残るものの、前回の試合では長男、エンツォを応援するため、スタンドで目撃されていたジダン元マドリー監督はこのエクストレマドゥラ戦にも来るのでしょうか。 ▽そして翌日はサンティアゴ・ベルナベウに向かった私でしたが、この日のマドリーは前半から何度もシュートを放つ活況。もっとも精度が今イチだったため、得点はロスタイム、「Me la había hecho a mí y hoy Ramos me la ha dejado/メ・ラ・アビア・エチョ・ア・ミー・イ・オイ・ラモス・メ・ラ・ア・デハードー(自分がファールを受けたし、今日はラモスが自分に撃たせてくれた)」というイスコが敵エリア近くからのFKを直接、ネットに突き刺すまで入らなかったんですが、やっぱりここ3連覇しているお得意の大会ですねえ。リーガ前節ではアスレティックと引き分けてしまったことなど、忘れさせてくれるように軽快なプレーを披露してくれるんですから、嬉しいじゃないですか。 ▽そんな中、圧巻だったのは後半13分、カウンターからモドリッチが放ったスルーパスにベイルが激走。今季はジダン監督から、英語の話せるロペテギ監督に代わって、より理解を深めることができると言っていた彼がそのままシュートを決め、2点目をゲットしたとなれば、もう大船に乗った気になっていい? ここ2試合リーガで先発していたGKクルトワがベンチに戻り、先発したケイロル・ナバスも幾つか、paradon(パラドン/スーパーセーブ)を見せてくれましたし、最後は古巣に復帰後初出場を果たしたマリアーノが後半ロスタイムにエリア前から、弧を描くgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げて3-0と、いえ、この試合通じてのシュート数が30回で、うち枠内が11回となると、ちょっとスコア的に物足りない気もしないではありませんけどね。 ▽この夏はスポーツディレクターのモンチ氏の肝入りで新しい選手が12人も入り、過渡期にあるローマも昨季の準々決勝でバルサをまさかの逆転敗退に追いやった時より、グループリーグでアトレティコのホームで2-0と負けた時に近かったような気がしますが、まあここはC・ロナウドがおらずともまったく、破壊力が変わらないマドリーの強さを褒めるしかないかと。ええ、ゴールは決まらなかったものの、「El Mundial me provocó mucho desgaste físico y mental, pero me siento cada día major/エル・ムンディアル・メ・プロボコ・ムーチョ・デスガステ・フィシコ・イ・メンタル、ペロ・メ・シエントー・カーダ・ディア・メホール(W杯で自分はフィジカル的にもメンタル的にも凄い消耗をしたけど、日々、良くなってきている)」というモドリッチも試合終了の笛が鳴ると同時にピッチに戻り、この日が最後のサンティアゴ・ベルナベウでのプレーになるかもしれないローマのキャプテン、デ・ロッシとユニ交換できて満足しているようでしたしね。 ▽イスコと途中交代となったアセンシオも妙技を見せるなど、もうこの試合だけを見ると、今季のマドリーには死角がないように思えますが、さて。どちらにしろ、彼らのグループの次戦は10月2日のCSKAモスクワ戦、そしてビクトリア・プルゼニ(チェコ)との2連戦と突破にそれ程、障害はないようなので、あまり心配することもないような。むしろ土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのエスパニョール戦の方が気になりますが、奇しくも現在、あちらの正GKを務めるのはディエゴ・ロペス。そう、アンチェロッティ監督時代の2013-14シーズン、カシージャス(現ポルト)がCLとコパ・デル・レイを担当する一方で、リーガを担当するという珍しいローテーションを経験した選手なんですが、果たしてロペテギ監督はナバスとクルトワの分担をどうするのか、ここは大いに興味が持たれるところです。 ▽そしてこの週末の弟分チームたちの情報も伝えておくと、前述した通り、柴崎岳選手のヘタフェはホームのアトレティコ戦で、うーん、基本的にあまり相性は良くないんですけどね。前節ではセビージャをアウェイで0-2と破っている上、ミッドウィークに試合がない分、体力があるのが強みになるかと。アトレティコの方は水曜からカリニッチとビトロが全体練習に加わり、超少数精鋭状態が少し、解消するかもしれません。 ▽一方、先週末にはとうとう、最下位になってしまったレガネスは土曜にアウェイのエイバル戦。来週水曜にはブタルケにバルサを迎えるだけに何とか、その前に勝ち点を増やしておいてもらいたいところですが、やはり課題は決定力になりますでしょうか。もう1つの弟分、ラージョは各国代表戦週間前から、エスタディオ・バジェカスのスタンドが改修工事で閉鎖。3節のアスレティック戦が延期になり、この土曜のアラベス戦も開催が危ぶまれていたんですが…ようやく木曜になって予定通り、午後1時からキックオフすることが決定。いやあ、先週のウエスカ戦で勝ち点3を手に入れ、レガネスと交代で18位に上がった彼らですが、やっぱり降格圏にいるのは落ち着きませんからね。現在5位にあるヘタフェを見習って、ホームゲームを待ちわびていたファンの前で上昇気流に乗れたらいいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.09.21 20:00 Fri
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急に心配になってきた…【原ゆみこのマドリッド】

▽「昨季と同じ手は使えないわよね」そんな風に私が頭を悩ましていたのは月曜日、CLグループリーグ1節に備え、アトレティコがモナコに着いた映像をお昼のニュースで見た時のことでした。いやあ、スタッド・ルイ2世スタジアムで記者会見に現れたコケも「昨季のウチは最弱の相手との2試合で悪い結果を出して、グループ敗退した」と言っていたんですが、実際、一番痛かったのは初戦で、攻めても攻めても点が取れず、ローマとスコアレスドローに終わってしまったこと。もちろんホームでの2節、チェルシー戦で逆転負けを喰らったのも褒められたものではないんですが、おかげでアゼルバイジャンのカラバフとの連続引き分けが止めとなり、最後は3位でヨーロッパリーグへ回ることに。 ▽その結果、強敵があまりいない大会で快進撃を続け、リヨンの決勝で久々のタイトルを獲得できたのは有り難かったんですが、今季のCL決勝は来年6月1日にワンダ・メトロポリターノで開催。となれば、奇しくもアゼルバイジャンの首都バクーで行われる、5月29日のEL決勝で連覇したとしてもファンはあまり喜べないでしょうし、それこそCL決勝と日付が近すぎて、スタジアムでのパブリックビューイングどころか、祝勝行事すらできないかもしれない? ▽それもこれもこの夏はUEFAスーパーカップでお隣さんを堂々たる2-4で破り、クラブ史上最強メンバーを揃えたチームになったと期待されながら、リーガが始まるやいなや、まさしく、1年前と同じゴール日照りに陥ってしまったせいですが、今年もまた、スペインでのCL放送局が変更。近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)がちゃんと初戦からチャンネルを探し出せるかなんて、些末なことばかり気になってしまうのは、私が本質から目を背けたいからなんでしょうかね。 ▽まあ、CLについてはまた後では話すことにして、各国代表戦が終わって再開した先週末のリーガでマドリッド勢がどうだったかもお伝えしていかないと。金曜にはエスタディオ・バジェカスのスタンド閉鎖で3節を延期していた弟分のラージョが1部昇格により、リニューアルオープンしたアルコラスでウエスカと対戦。前半29分、ストークシティからのレンタルで今季加入したインビュラが圧巻のロングシュートを決め、0-1の勝利で最下位を脱したという朗報があったんですけどね。実は私が確認を待っているのは土曜のアラベス戦がホームで開催できるのかどうかで、一応、市の安全検査に合格したものの、まだわからないってまったく、呑気な話じゃないですか。 ▽一方、来週CLがある兄貴分たちは揃って土曜試合となったものの、いやあ、午後1時のワンダのピッチは日差しが強く、暑かったのはわかりますけどね。それを考えれば、枠内シュートが1本もなかった前節のセルタ戦に比べ、何度もアトレティコがチャンスを作っていたのは進歩でしたが、前半13分にグリーズマンの1対1から始まって、CKからサルールのヘッドもゴディンのシュートもGKドミトロビッチに弾かれてしまっては何にもなりませんって。両チームとも無得点のまま始まった後半もゴール前でコケがグリーズマンのキラーパスをすかすという、目を覆いたくようなロストチャンスがあったため、シメオネ監督は早々にレマルをコレアに交代。更に25分にはこの日、中盤でしっかりエイバルの攻撃を抑えていたロドリを下げ、FWを入れたんですが…。 ▽この起用策がスタンドからpito(ピト/ブーイング)を受けてしまったんですよ。うーん、後でシメオネ監督は、「コケかサウールという選択もあったが、entendi que ellos podian crear mejor transicion en ataque/エンテンディ・ケ・エジョス・ポディアン・クレアル・メホール・トランシシオン・エン・アタケ(彼らの方が攻撃でより良い形を作りだせると思った)」とロドリを下げた理由を説明していましたけどね。そのFWが現在、カリニッチが負傷中のため、カンテラーノ(アトレティコBの選手)の19歳、リーガ初出場のボルハ・ガルセスだったのも元々、少数精鋭のチームであるからして仕方なかったんですが、事態が急転直下したのは41分。ゴディンのミスから、エンリッチに先制点を決められてしまうなんて、絶体絶命とはまさにこのこと? ▽え、本来だったらその日、ウルグアイ代表でアメリカまでの長旅をしてきた32歳のキャプテンは火曜にCLモナコ戦があることも鑑みて、温存されるはずじゃなかったのかって?そうなんですが、先発予定だったリュカが前夜、食あたりを起こしてしまったため、急遽、出場することに。でもねえ、デ・ブライシのクロスをエンリッチのいる方に弾いてしまい、ゴール前から蹴り込まれたのではGKオブラクだって、何もできませんって。残り3分、しかもお隣さんと違い、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質でない彼らにはもう期待できないと思ったか、この時点で席を立つファンも結構、いたんですが…何と、その奇跡が起こったんですよ! ▽それはロスタイム最後の1分、コレアがエリア内右奥から入れたパスをグリーズマンは空振りしてしまったんですけどね。中央で待ち受けていたボルハが、バロンドール受賞を目指す、W杯優勝フランス人ストライカーの信じられないミスにも動じず、右足を一閃。これがとうとうドミトリビッチを破り、土壇場で同点ゴールとなったから、驚いたの何のって。ここで時間切れになったため、試合は1-1で終わり、殊勲の当人も「Es debut amargo porque me hubiera gustado ganar/エス・デビュー・アマルゴ・ポルケ・メ・ウビエラ・グスタードー・ガナール(勝ちたかったから、苦いデビューだね)」とどこか、不満げでしたが、もしや彼、第2のel Nino(エル・ニーニョ/子供)になれるかも。 ▽ええ、奇しくも昨季、アトレティコを退団したフェルナンド・トーレスのお別れ試合だったのもエイバル戦でしたし、今はサガン鳥栖でプレーする当人もマハダオンダ(マドリッド近郊)での練習や5月のナイジェリア代表との親善試合で一緒だった後輩のお手柄にお祝いのメッセージを送っていますしね(https://twitter.com/Torres/status/1041126769657565184 )。ジエゴ・コスタ不発のせいもあり、リーガ4試合で早くも勝ち点7も落としてしまい、すでに優勝争いのライバル、バルサとレアル・マドリーと距離ができてしまったチームのため、「Es un momento para aguantar y estar fuerte/エス・モメントー・パラ・アグアンタール・イ・エスタル・フエルテス(今は耐えながら、気持ちを強く持つ時)」(シメオネ監督)の助けに少しでもなってくれたらと。 ▽そして月曜にはモナコに旅立ったアトレティコですが、負傷によるお留守番は変わらず、カリニッチ、ビトロ、サビッチ、アリアス。代わりに4人、ボルハも含めたカンテラーノが招集されているんですが、リュカが回復したのは不幸中の幸いだったかと。相手のモナコも週末のリーグ1のトゥールーズ戦を急性胃腸炎で欠場した、アトレティコファンには決して忘れられないゴールゲッター、ファルカオが出られるようなため、火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からの一戦は絶対、見逃せませんよね。 ▽え、その土曜にはバルサはレアル・ソシエダに1-2で逆転勝利、開幕4連勝を飾ったものの、マドリーはそれに続けなかったんだろうって?その通りで夜には近所のバルに向かった私でしたが、うーん、ラージョとの3節が延期になったため、ベリッソ監督に3週間も作戦を考える時間ができたのがマズかったですかね。サン・マメスでのマドリーはアスレティックの強烈なプレスとマンマークに苦しんだだけでなく、前半32分にはマルセロの守る左サイドから攻め込まれ、先制されてしまうことに。ゴール前にデ・マルコスが送ったパスをウイリアムスは撃てなかったものの、こぼれ球をムニアインが押し込んで、スペインU21代表で何年もお世話になったロペテギ監督に恩返しされているんですから、困ったもんじゃないですか。 ▽後半は中盤の底としてほとんど機能していなかったクロースをその役割から解放するため、セバージョスに代わってカセミロが入ったマドリーでしたが、ようやく同点ゴールを奪えたのはイスコが出てきてから。ええ、後で当人も「ボクより上手いチームメートがいるのかもしれないし。Lo de que con Lopetegui iba a ser Isco y diez mas lo deciais vosotros/ロ・デ・ケ・コン・ロペテギ・イバ・ア・セル・イスコ・イ・ディエス・マス・ロ・デシアイス・ボソトロス(ロペテギ監督なら、スタメンはイスコと10人云々は君ら(マスコミ)が言っていたことだから)」と、スペイン代表時代から重用してくれた監督だったにも関わらず、前節のレガネス戦同様、彼はモドリッチと交代でピッチに登場。それから3分もしないうちに、ベイルのクロスをヘッドで決めてくれたんですよ。 ▽うーん、こちらもアトレティコと一緒で敵GKのウナイ・シモンが大活躍しましたからね。この夏、ケパがチェルシーに行ってしまったアスレティックはエレリンが負傷、もう1人のGK、ラミスが契約延長を拒み、ずっと招集されない状態が続いているため、エルチェにレンタルに出したばかりだった21歳のシモンを急遽、呼び戻したという事情があるんですが、どうやらこの選手は大当たりだったよう。セルヒオ・ラモスのロングパスに追いついたアセンシオが放ったシュートも弾かれて結局、マドリーはサン・ホセとミケル・リコで守りを固めた相手に最後まで勝ち越し点を奪えません。終盤、ベイルの代わりにルーカス・バスケスを入れ、FWマリアーノを使わなかったことを批判もされたロペテギ監督でしたが、とりあえず、この日は鬼のような気迫でプレスをかけていたアスレティックが頑張ったということにしておきましょうか(最終結果1-1)。 ▽そしてマドリーも水曜にはローマ戦で控えているんですが、注目はここ2試合、リーガ戦で先発したGKクルトワがCLでもリピートするのか。実際、この2週間、コスタリカ代表に行かず、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でずっとトレーニングをしていたケイロル・ナバスにはアスレティック戦でプレーしない理由がまったくなかったんですが、これをCL前の温存と考えるか、正GKはクルトワになったと考えるべきか、迷うところ。相手ローマのアタッカーは昨季、アトレティコがグループリーグで対戦した時とあまり変わらず、ジェコやシャーラウィ、ペロッティらになりますが、開幕からの2つのミニダービーでは入りが悪かったサンティアゴ・ベルナベウが水曜午後9時、CL戦では満員になるのかも気になりますね。 ▽一方、残りの弟分チームは日曜試合となったんですが、正午からビジャレアル戦がキックオフとなったレガネスは、いえ、ブタルケは夏の間に改装され、プレスコンフェレンスルームやミックスゾーンなど、かなりキレいになっていたんですけどね。スタンドを満員にしたファンもいつものように一生懸命、応援していたんですが、どうやら選手が16人も入れ替わった新生レガネスもゴールがなかなか決まらないという悩みを克服できていなかったよう。ええ、前節のマドリー戦では成功したものの、後半3分にカリージョがPKまで外していては、20分に途中出場のバッカにFKから決められたヘッドの1点を返せず、とうとうラージョと入れ替わりで最下位になってしまっても仕方なかったかと(最終結果0-1)。 ▽未だに勝ち点がたったの1だけとあって、4節終了時に早くも「Afrontamos los proximos partidos como finales/アフロンタモス・ロス・プロキシモス・パルティードス・コモ・フィナレス(これから数試合は決勝だと思って戦う)」(ルーベン・ペレス)という状態になってしまったのはどうにも心配なんですが、彼らの次戦は土曜、イプルアでのエイバル戦。ミッドウィーク開催の来週水曜はバルサとのホームゲームだけに、何とか勝利を手に入れておきたいところですが、こればっかりはねえ。なまじっか、前任者のガリターノ監督(レアル・ソシエダ)が2年連続、1度も降格圏に落ちずに1部残留を達成しているため、ペジェグリーノ新監督も大変ですよね。 ▽そして日曜最後に待っていたサプライズはヘタフェで何と、サンチェス・ピスファンでのセビージャ戦で0-2の勝利を挙げたから、感心したのなんのって。ええ、速攻で開始3分、ホルヘ・モリーナのスルーパスからアンヘルが先制ゴールを挙げると、38分にも敵がエリア内でクリアミスに失敗したボールを拾い、オフサイドにならずに2点目を奪ってくれます。逆にセビージャはVAR(ビデオ審判)でベン・イェデルのゴールが認められず、この辺はツキもあったような気もしましたが、ようやく柴崎岳選手も後半途中、アンヘルに代わって、3試合ぶりにピッチに立てましたしね。とりわけ今週土曜、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのミニダービーに兄貴分のアトレティコより上の5位という高みから挑めるのは選手たちも気分がいいかと。 ▽まあ、そんな感じの週末だったんですが、この先、10月のインターナショナル・マッチウィークのparon(パロン/リーガの停止期間)まで、CLやELがあるチームは18日間で6試合という過密日程に突入。頭数の少ないアトレティコなど、疲労が心配なんですが、逆にトップクラスの選手を大量に抱えているマドリーの方はいつもと違う顔を見られるいい機会になるかも。翻って、ヨーロッパの試合のない弟分たちにとっては地道に勝ち点を積み上げていく時期になりましたが、まだまだリーガは始まったばかり。これからマドリッド第3のチーム争いがどう発展していくのかも気になりますね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.09.18 17:01 Tue
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スペインがまた強くなったのは嬉しいけど…【原ゆみこのマドリッド】

▽「瞬間移動でもできなきゃ、両方見張るのはムリよね」そんな風に私が溜息をついていたのは木曜日、サンティアゴ・ベルナベウから今季、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場施設内に移ったレアル・マドリーのオフィスを所用で訪ねた後、もう各国代表に行っていた選手もほとんど戻っているはずだし、練習も終わって時間的にそろそろかと、関係者用出入り口に回った時のことでした。いやあ、いつものように選手の車の出待ちをするファンは20人程、もう、そう暑くはないものの、強烈な紫外線の降り注ぐ中、辛抱強く待っていたんですけどね。丁度、取材に来ていたTVのカメラマンに誰か通ったかと訊いたところ、「今日はほとんど、もう1つの出口から帰っているらしい」との答えが。 ▽そう、昨今ではバラハス空港ターミナル4まで行くセルカニアス(国鉄近郊路線)のValdebebas駅から、ほんの徒歩1分でこちらの出入り口に着けるため、車を持たないファンでもアクセスは容易になったと言えるんですけどね。だからって、必ずしもお目当ての選手に出会えるかといえば、そうは問屋が卸さず。ええ、選手用出口が他にもあるせいで、そちらまで広大な敷地に沿って歩いて20分ぐらいとなれば、いえ、マハダオンダ(マドリッド近郊)のアトレティコ練習場も出口は2つあるんですけどね。あまり離れていないため、敷地の角に立って待機、車が出て来るのを見て駆けつけるなんて技が使えたりするんですが、ベルデベバスでは望むべくもないかと。 ▽そうこうするうち、ファンが「バラン!」と呼ぶ声が聞こえたため、振り返ると、1台のアウディが颯爽と高速道路に向かっていましたが、最近はマドリー選手の車もなかなか止まってくれなくてねえ。試合前の合宿も練習場敷地内のホテルとあって、姿を見ることも叶いませんし、そう思うと、選手たちが一般道を歩いてスタジアムにあるロッカールームに戻るヘタフェなど、ファンとの距離が近くていいと思うんですが…難点は彼らを含むレガネス、ラージョら弟分チームは毎年、メンバーが大量に入れ変わるため、私ですら、シーズン序盤は名前と顔が一致しない選手が多いことでしょうか。 ▽まあ、リーガ再開はこの金曜からなので、先にスペインのネーションズリーグ2節がどうだったか、お話していくことにすると。いやあ、これが予想に反して、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)になってしまったんですよ。先週、1-2で勝利したイングランド戦から、マルティネス・バレロ(エルチェのホーム)ではスタメンを3人変更、左SBをマルコス・アロンソ(チェルシー)からガヤ(バレンシア)、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)をセバージョス(レアル・マドリー)、イアゴ・アスパス(セルタ)をアセンシオ(マドリー)にして、W杯準優勝のクロアチアに挑んだルイス・エンリケ監督でしたが、いえ、前半20分に右SBのベルサイコ(インテル)が負傷。ログ(ナポリ)に代わり、アトレティコ時代にもよくケガしていたし、やっぱり放出したのは正解だったのかと思わせるまでは相手も危ないシュートを放ったりして、試合は拮抗していたんですけどね。 ▽口火を切ったのはご当地出身のサウール(アトレティコ)で20分、セルヒオ・ラモス(マドリー)のロングパスをカルバハル(同)がエリア内に上げたボールに頭を合わせ、イングランド戦に続いての連続ゴールを決めているとなれば、その夜、ラジオ番組に出演して「Lo necesitamos en esa linea con nosotros/ロ・ネセシタモス・エン・エサ・リネア・コン・ノソトロス(ウチもああいう形で彼を必要としている)」と言っていたシメオネ監督じゃありませんが、アトレティコの試合で決めるゴールも取っておいてほしいと私が思ってしまったのは仕方なかった? ▽いえ、その夜は現役時代、エルチェでプレーした父親を始め、昨季からエルチェの選手となった長兄ジョナタンら家族や親族、大勢の友人が観戦。自身も腕にダマ・デ・エルチェ(エルチェで発見された紀元前4世紀の貴婦人像)、太ももにアトレティコとエルチェの紋章を半分ずつタトゥーしている程、故郷を誇りに思っている当人にとっては、「Ha sido incluso una liberacion el gol, estaba nervioso/ア・シードー・インクルソ・ウナ・リベラシオン・エル・ゴル、エスタバ・ネルビオーソ(ゴールを挙げて解放されたよ。神経質になっていたからね)」と、おかげで肩の力が抜けて良かったようですけどね。 ▽それだけでなく、この先制ゴールに大いに発奮した選手が約1名。それはアセンシオで何せ、昨年の夏、2人はU21ユーロで準優勝したスペインでハットトリックを挙げていますからね。その時はサウールが5得点で大会ゴールデンシューに輝いたんですが、32分、エリア外で敵がパスミスしたボールを拾い、そこからgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)にしてしまうって、いや、もうこれは才能のほとばしりとしか言いようがないかと。続いて彼は3分後にもシュートを撃ち、今度は枠に当たってから、GKカリニッチ(ヘント)の背中でオウンゴールに。うーん、前半だけでもう3点、これって本当にW杯でラウンド16敗退したスペインですか? ▽いえ、実は微妙に違うんですけどね。後半も開始早々の3分にアセンシオのスルーパスをロドリゴ(バレンシア)が決めて4点目、12分にはアセンシオのCKをセルヒオ・ラモス(マドリー)がヘッドで5点目、そして25分にはアセンシオからボールをもらったイスコ(マドリー)が6点目とスコアを倍にしたスペインだったんですが、もうお気づきになりました?この試合、ナチョも出ていて、スタメンにマドリー勢が6人もいたんですよ。これは2002年10月の北アイルランド戦以来のことだそうで、その時のメンツはカシージャス、エルゲラ、サルガド、ラウール・ブラボ、グティ、ラウール…何だか、懐かしいですねえ。 ▽ただ、後でそのことを訊かれたルイス・エンリケ監督は、「知らなかったし、興味もない。皆、スペイン代表の選手だ。La base es el Real Madrid y me parece bien/ラ・バセ・エス・エル・レアル・マドリッド・イ・メ・パレセ・ビエン(ベースはレアル・マドリーで、いいと思う)」と言っていましたが、攻撃面でダントツに目立っていたのはアセンシオで間違いないとしても、守備で大貢献していたのがセバージョス。ええ、「Ha tapado a Modric... lo que hace habitualmente en el Real Madrid/ア・タパードー・ア・モドリッチ…ロ・ケ・アセ・アビトゥアルメンテ・エン・エル・レアル・マドリッド(モドリッチを抑え込んだ…いつもレアル・マドリーでやっていることだ)」とルイス・エンリケ監督も狙いが当たって嬉しそうでしたが、W杯MVPに昨年のU21ユーロMVPで対抗するとは勇気ある選択じゃありませんか。 ▽え、翻ってブスケツが後半14分にロドリ(アトレティコ)に代わった後、ピッチにはバルサ勢が1人もいなくなってしまったけど、ラキティッチはそれ程、重要視されていなかったのかって?うーん、そんなこともないんでしょうが、イニエスタ(ヴィッセル神戸)やピケが代表引退、ジョルディ・アルバが今回落選したため、元々、バルサからはブスケツ以外、セルジ・ロベルトしか呼ばれていませんでしたからね。クロアチアもマンジュキッチ(ユベントス)やGKスバシッチ(モナコ)、チョルルカ(ロコモティブ・モスクワ)ら、ベテランが引退した影響もあったようですが、この6-0の勝利でスペインはネーションズリーグ2連勝に。 ▽国際メジャートーナメントでここ3大会、早期敗退しているとはいえ、予選レベルでは負け知らずの彼らですし、今年の3月にはワンダ・メトロポリターノでの親善試合でアルゼンチンに6-1と大勝しているため、この2試合だけで強いスペインが戻って来たと言い切る訳にはいかないんですが、若い世代の活躍で希望が湧いてきたのは確かだったかと。ええ、この後、まだ10月にベニト・ビジャマリン(ベティスのホーム)でのイングランド戦、11月にアウェイのクロアチア戦が残っていますが、少なくともグループ最下位となってリーグBに降格という赤っ恥だけは免れそうなのは有り難いことですよね。 ▽そしていよいよ、金曜からリーガ4節が始まるんですが、トップバッターとなるのはラージョ。未だに改修中のエスタディオ・バジェカスの使用許可は出ていないものの、今回はアウェイ戦。一緒に今季から1部に上がり、工事期間を見越して3節までホーム戦をしていなかったウエスカとアルコラスで顔を合わすことに。前節のアスレティック戦が延期となり、2試合でまだ勝ち点1も溜めていないラージョだけにここは3週間、練習だけに専念。新戦力もチームに馴染んだ利点を生かして、昇格後初白星を掴んでもらいたいところですが、バルサには8-2で大敗したとはいえ、レオ・フランコ監督率いるウエスカは開幕2試合で勝ち点4としぶとそうですからね。いいプレーを見せて、ホームで応援できないせいでフラストレーションを溜めているラージョ・ファンを笑顔にしてあげられるといいのですが。 ▽一方、来週からCLグループリーグが始まるため、土曜試合となったマドリッドの兄貴分たちはというと。どちらも13人程、各国代表に出向いていたんですが、貧乏クジを引いてしまったのはアトレティコ。ええ、午後1時から、開場1周年を迎えるワンダ・メトロポリターノでのエイバル戦は出場停止のため、まだマシだったんですが、サビッチがモンテネグロ代表で脚に打撲を受けて帰還。コレアもアメリカまで行きながら、ヒザが痛んでアルゼンチンの試合にまったく出られないわ、マハダオンダで練習していたカリニッチまで足首を捻挫するわともう惨々なんですよ。 ▽先週中はコケとジエゴ・コスタの指導に専念していたシメオネ監督もようやく、水曜からはトップチームのメンバーが揃い、リーガ戦の準備を始めることができたんですけどね。いいニュースと言えば、腕の負傷でスロベニア代表招集を免除されていたオブラクがようやく、グラウンドに姿を見せたことぐらいだったかと。ええ、FIFPro(国際プロサッカー選手会)の最優秀イレブンの候補に不可思議にも入っていなかった彼ですが、シメオネ監督も「Courtois no seria titular en el Atletico. Oblak es major/クルトワ・ノー・セリア・ティトゥラル・エン・エル・アトレティコ。オブラク・エス・メホール(クルトワはアトレティコではレギュラーにならないだろう。オブラクの方が優秀だ)」と言っていたように、このリーガ3試合で2得点しかしていない彼らにとって、失点ゼロは譲れないところですからね。 ▽エイバルも乾貴士選手がベティスに行ってしまったこともあり、ペドロ・レオン、オレジャナ、ビガスら、負傷者も多く、決して調子がいい訳ではありませんが、現在、アトレティコは開幕3連勝のお隣さん、バルサと勝ち点差がすでに5。リーガ優勝は狙えるのかと訊かれ、「Claro que si, si fallan Madrid y Barca/クラーロ・ケ・シー、シー・ファジャン・マドリッド・イ・バルサ(もちろんだ。マドリーとバルサが躓けばね)」とシメオネ監督が言っていた状況を作り出すためにも、早々に詰めておきたいんですが、どうなることやら。 ▽一方、どの選手も元気で帰って来たマドリーは土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、サン・マメスでスレテッィク戦なんですが、こちらはロペテギ監督が何とも贅沢な悩みを抱えているよう。まずGKからして、双方ともFIFProベストイレブン候補となったクルトワとケイロル・ナバスがいますし、DFの4人、カルバハル、バラン、ラモス、マルセロから、中盤のカセミロ、モドリッチ、クロース、イスコ、前線のベンゼマと同賞の候補がズラリ。リストに入らなかったとはいえ、ベイルやアセンシオもいて、このうち誰かを常に控えにしないといけないって、まったく羨ましいにも程があるってもんじゃないですか。 ▽おまけにスペイン代表戦でアピールしたセバージョス、古巣復帰で早くゴールを入れたくてウズウズしているマリアーノもいるとなれば、しばらくマドリーの快進撃は止まらない?相手のアスレティックは37歳のエース、アドゥリスが負傷から復帰。ベリッソ監督がロンドンまで遠征し、パルコ(貴賓席)で見守っていたウェンブリーでのイングランド戦終盤に出場し、エルチェでの前日練習はケガの痛みが再発して参加できなかったイニゴ・マルティネスもほぼOKのようですが、果たしてここ2試合、4得点が続いているマドリーの破壊力を止めることができますかね。 ▽そして弟分の残り2チーム、昨季から引きずるケガのリハビリ中だったキャプテンのシマノフスキが再手術というショックなニュースが入ってきたレガネスは日曜正午にビジャレアルをブタルケに迎え、ここ2試合、柴崎岳選手の出場がなかったヘタフェは午後8時45分からサンチェス・ピスファンでセビージャ戦というのがマドリッド勢の今節の予定。どちらも上位狙いのチームが相手なだけに苦労しそうではありますが…週明けにはいい結果を報告できることを祈っています。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.09.14 12:45 Fri
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まだ手放しでは喜べない…【原ゆみこのマドリッド】

▽「これってもう、戻って来るってことよね」そんな風に私がホッとしていたのは月曜日、スタッド・ド・フランスでW杯トロフィーを囲んでの盛大な祝勝イベントが開催。楽しそうに踊っているグリーズマンやリュカの姿をお昼のニュースで見た時のことでした。いやあ、ムバッペとジルーのゴールでフランスがオランダに2-1で勝利したネイションズリーグの一戦は日曜夜に生中継があったため、何となく見てはいたんですけどね。さすがに試合後のお祝いまでは映してくれず、レマルを除く、2人のアトレティコ勢やヴァラン(レアル・マドリー)のプレーを楽しむに留まったんですが、要はこれで彼らの代表でのお勤めは終了。 ▽パリなんて飛行機で2時間弱なんですから、マドリッドの兄貴分チームが月曜午後7時から、それぞれマハダオンダ(マドリッド近郊)、バルデベバス(バラハス空港の近く)で行う週明けセッションに参加するのにまったく問題はないかと。それだけでなく、シメオネ監督のところには土曜のエイバル戦に向けて、早くもレギュラーが3人が復帰するのに比べ、同日アスレティック戦に挑むレアル・マドリーはまだ1人とほくそ笑んでいたところ、いえいえ、世の中、そうそう都合良くはできていませんって。 ▽ええ、しっかりスポーツ紙のインターナショナルページを見てみれば、木曜のネイションズリーグ初戦で自身もゴールを挙げ、アイルランドに4-1と快勝したベイルのウェールズも日曜日、代表選手のストが解けたデンマークに2-0と負けて日程が終わっており、1戦目をフランスと引き分けたクロースのドイツも親善試合でラージョのアドビンクラに先制点を奪われながら、ペルーに2-1の逆転勝ち。両人共、すでにお役御免になったため、結局、お隣さんも3人が早帰りできることに。 ▽となると、火曜のスペインvsクロアチア戦の後、水曜合流予定組がセルヒオ・ラモス、カルバハル、ナチョ、イスコ、アセンシオ、セバージョス、そしてモドリッチと大量にいるマドリーより、ベルサイコもこの夏、インテルに移籍。サウール、ロドリの2人だけというのが、アトレティコの強みになるかと思いますが、うーん、大西洋の向こうでプレーしてくる南米組もいますからね。マドリーはマルセロとケイロル・ナバスが招集免除されたため、カゼミロ(ブラジル)だけなのに対し、ゴディン、ヒメネス(ウルグアイ)こそ月曜には戻っていたものの、コレア(アルゼンチン)、フィリペ・ルイス(ブラジル)にはまだ試合があり、おまけに早帰りが決まったアリアス(コロンビア)なんて、ベネズエラ戦で担架退場、肋骨を骨折しての帰還だとか。 ▽こんな按配では先週の練習中に足首を捻挫したカリニッチと相まって、ますますアトレティコが少数精鋭になってしまいそうなのが怖いんですが、こればっかりはねえ。せめての慰めは、奥さんの第2子出産を理由にスペイン代表招集を辞退したジエゴ・コスタのところにようやく日曜、次女が誕生。当人もエイバル戦でお祝いのゴールを挙げたいと意気込んでいることぐらいでしょうが、開幕3連勝でスタートを切ったお隣さん、そしてそれに肩を並べるバルサともすでに勝ち点3差がついているアトレティコだけに何とも、心配の種が尽きないのは困りものですよね。 ▽え、それより土曜にルイス・エンリケ監督のスペイン代表デビューとなったイングランド戦がどうなったかの方が気になるって? そうですね、先週月曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設でのセッションは初日以外、全て非公開。ウェンブリーでの前日練習でもあまり情報がなかったため、先発予想もままならなかったんですが、蓋を開けてのサプライズはジエゴ・コスタの辞退により、直前のアトレティコ戦でセルタの2点目のゴールを挙げたのが決め手になったんでしょうかね。追加招集されたイアゴ・アスパスがスタメンに入っていたことですが、ロペテギ代表監督時代や今季のマドリーとは違い、イスコが[4-3-3]の最前列でずっと左サイドに引っ付いていたのはちょっと意外。 ▽おまけに開始11分にはチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)のボールロストから、イングランドに速攻カウンターを喰らい、キックオフ前にW杯ゴールデンシューのトロフィーを披露していたハリー・ケイン(トッテナム)、ショー(マンチェスター・ユナイテッド)と繋がれると、最後はナチョがラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)に先を越されてしまったから、さあ大変! 楽々、チームメートのGKデ・ヘアを破っているって、もしやロシアでのW杯で惨々だった彼をケパ(チェルシー)に代えなかったのは、ルイス・エンリケ監督のミスだったかもと思ってしまったのは私だけではなかった? ▽でも大丈夫。その日のスペインには逆境に立ち向かう根性があったんですよ! それからわずか2分、カルバハルが右側からエリア内のロドリゴ(バレンシア)にパスを送ると、中盤から上がって来たサウールがその折り返しをシュート。同点にしてくれたとなれば、あのW杯での4試合、1度もピッチに立たしてあげなかったイエロ暫定監督の見識が疑われても仕方なかったかと。うーん、確かに彼はアトレティコの選手だけあって、この夏、代表を引退したイニエスタ(ヴィッセル神戸)やシルバ(マンチェスター・シティ)のようにパスはそれ程、上手くないんですけどね。 ▽それには目をつむって、ルイス・エンリケ監督も「Tiene calidad, fisico descomunal y mentalidad brutal. Bueno tacticamente, tiene gol/ティエネ・カリッド、フィシコ・デスコムナル・イ・メンタリダッド・ブルタル。ブエノ・タクティカメンテ、ティエネ・ゴル(質が高くて、ズバ抜けたフィジカル、凄いメンタル力がある。戦術的にも良くて、ゴールも入れられる)」と言っていたように、ただパスを回しているだけでなく、ダイナミックなサッカーをやりたい指揮官には丁度いい選手だったかも。その点に関してはモラタ(チェルシー)でなく、マークを外して動き回るのが得意なアスパスとロドリゴを前線に入れたのも効いていましたが、スペインの追加点は意外にも32分、セットプレーから生まれることに。 ▽ええ、これはブラジル人の父親同士がサッカー選手で仲良かったせいで幼少から、いとこのような付き合いがあったチアゴとロドリゴのおかげで、いえ、サウールも前者の放ったFKにニアポストで合わせようと飛び込んで、敵の目を引き付ける役目を担ったんですけどね。届かなかったボールをロドリゴがゴールに押し込み、逆転してくれたから、これで一安心。後半は開始早々、カルバハルとの接触プレーでショーが担架退場となり、ゲームが7、8分中断するアクシデントがあったんですが、おかげでせっかく前半のいい攻撃のリズムが削がれたんでしょうか。 ▽アスパスをアセンシオに、チアゴをセルジ・ロベルトにというルイス・エンリケ監督の交代策もあまり当たっていたとは思えませんが、「En la segunda parte nos falto buscar la porteria y poco a poco nos metimos atrás/エン・ラ・セグンダ・パルテ・ノス・ガルトー・ブスカル・ラ・ポルテリア・イ・ポコ・ア・ポコ・メティモス・アトラス(後半のウチはゴールを探すことができなくて、少しずつ後ろに引いてしまった)」(ロドリゴ)チームを救ってくれたのはデ・ヘア。ええ、同僚ラッシュフォードの至近距離シュートを2度もparadon(パラドン/スーパーセーブ)で弾き、「Por numeros y rendimiento es un numero 1 mundial/ポル・ヌメロ・イ・レンディミエントー・エス・ウン・ヌメロ・ウノ・ムンディアル(記録とパフォーマンスでは世界一)」というルイス・エンリケ監督の期待に応えたんですが、まあ、ウェンブリーのパルコ(貴賓席)ではマドリー時代にアシスタントを務めていたカランカ監督(現ノッティンガム・フォレスト)と並んで、上司のモウリーニョ監督も見ていましたからね。 ▽当人も気合が入って良かったのかもしれませんが、残り3分、左SBのマルコス・アロンソ(チェルシー)をこの夏の負傷から回復後、初めてプレーする本職CBのイニゴ・マルティネス(アスレティック)にという一番不思議な交代の後、第4審判の掲示したロスタイムは何と9分。いえ、途中からセンターにも出て行って、ボールを持つようになったイスコのおかげで時間稼ぎはある程度、できたんですけどね。最後の最後にハイボールをキャッチしたデ・ヘアがウェルベック(アーセナル)にぶつかられて落球。それをゴールに蹴り込まれてしまったんですが、イングランドのサウスゲート監督などは文句を言っていたものの、審判がファールを取ってくれたのは有り難かったですね(最終結果1-2)。 ▽そんな調子で無事、ネイションズリーグ初戦を勝利で飾れたスペインはその夜のうちにロンドンからアリカンテ(スペイン南東部のビーチリゾート)に移動。日曜から、クロアチア戦の準備に入っているんですが、やっぱり一番気になるのは試合の行われるエルチェ(アリカンテから30分程内陸に入った町)出身のサウールがこの試合でも先発するのかどうかということでしょうか。いえ、当人は「Me han pedido muchas entradas, intentare conseguirlas/メ・アン・ペディードー・ムーチャス・エントラーダス、インテンタレ・コンセギールラス(沢山、チケットを頼まれたんだ。手に入れるように努力しないとね)」と、家族や友人たちの前でプレーするのを楽しみにしているんですけどね。あまり張り切りすぎて、リーガ戦に疲れが残るのも如何なものかと。 ▽どちらにしろ、月曜にリコ・ペレス(エルチェのホーム)で前日記者会見をしたルイス・エンリケ監督は、「No voy a dar pistas/ノー・ボイ・ア・ダール・ピスタス(手掛かりを与えるつもりはない)」とスタメンに関して、ポーカーフェイスを貫いていたため、私もはっきりしたことはわからないんですが、DF5人制を敷いていたイングランドと違って、クロアチアはもっとポゼッションを争ってきそうですからね。モドリッチとラキティッチ(バルサ)を中心に攻めてくるのは間違いないため、同じクラブで良く知っているセバージョスやアセンシオ、セルジ・ロベルトらを入れてみるというのもいいかもしれない? ▽そんなスペインのネイションズリーグ第2節は火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からキックオフ。ちなみにクロアチアの直近の試合は親善で、木曜にクリスチアーノ・ロナウド(ユベントス)不在のポルトガルと1-1の引き分けているんですが、W杯で準優勝したチームから、FWマンジュキッチ(ユベントス)、GKスバシッチ(モナコ)という攻撃と守備、両方の要が引退しています。うーん、モドリッチもこの日曜にはアリカンテのホテルで33歳のバースデーを祝ってもらっていましたしね(https://twitter.com/lukamodric10/status/1038894605557792770)。どこの代表も世代交代の時期に入っているようですが、とりあえずこのネイションズリーグでは試運転、来年3月から始まる2020年ユーロの予選で方向が見えてくるっていう感じでしょうかね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.09.11 11:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】新しい大会が始まった…

▽「確かに親善試合よりはマシなのかもしれないけど」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、スペインのネーションズリーグ初戦を翌日に控えながら、あまりワクワクしていない自分に気づいた時のことでした。いやあ、この夏のW杯では開幕直前にロペテギ監督が解任されるという信じられない事態が発生。イエロ暫定監督の下で戦ったチームはグループリーグこそ勝ち抜いたものの、16強対決でロシアにPK戦で負けて敗退と、2014年W杯、2016年ユーロに続く失望を味合わせてくれたせいもあったんですけどね。 ▽7月にはルイス・エンリケ監督が新しい指揮官として就任し、2020年ユーロまでのサイクルを担当することになったんですが、困ったことに9月から始まったこの新しいUEFAの大会、何だか妙なんですよ。ええ、FIFAランキングに従って、チームを4つのリーグに割け、更にその中で4つのグループを形成。その結果、最高レベルのAリーグに入ったスペインはイングランドとクロアチアと同じ組になったんですが、グループリーグの4試合は11月に終わり、1位になれば、来年6月に残り3グループの首位チームと準決勝、決勝を戦って優勝を決めるそうですが、不可解なのは3月からは2020年ユーロの予選も始まるということ。 ▽うーん、ネーションズリーグのグループ首位チームになれば、ユーロ予選プレーオフへの出場権ももらえるんですが、大体、今回はその予選もグループ2位まで本大会に行けるという、かなり楽なモノですしね。となると、この大会を万が一の保険として考えればいいのか、うっかり最下位になって、下のリーグに降格するのは恥ずかしいからぐらいの感覚でいいのか、もしや、もやもやしているのは私だけでなく、選手たちも同じかもしれない? ▽ただそうは言ってもこの月曜、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で行われた公開練習は盛況で、いえ、セッションの方は前日、所属クラブのリーグ戦でプレーした選手もいたため、ブスケツ、セルジ・ロベルト(バルサ)、ロドリゴ、ガヤ(バレンシア)、デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、パウ・ロペス(ベティス)らはロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)の後、分かれてランニング、ストレッチだけで上がってしまったんですけどね。残った選手たちもイニエスタ(ヴィッセル神戸)、ピケ(バルサ)、シルバ(マンチェスター・シティ)らが代表から引退、コケ(アトレティコ)、ジョルディ・アルバ(バルサ)ら、ルイス・エンリケ監督の初招集リストから漏れた常連もいなかったため、私も見知った顔が減ってちょっと、寂しかったんですが、大丈夫。 ▽500人程、見学に駆けつけたファンはイスコやアセンシオ、セルヒオ・ラモスといったレアル・マドリー勢を熱心に応援していましたが、どちらにしろ、初日はほんの小手調べですからね。新監督の構想がわかってくるのは翌日からの練習だったんですが…何と、今回から、マドリーやアトレティコのセッションでもお馴染みの開始から15分だけマスコミに公開する習慣がなくなってしまったんですよ!おまけに以前は非公開セッションでもTVカメラが谷を隔てた公道からグラウンドを撮影していたのを懸念して、敷地を囲むネットをシートで覆って目隠しって、もしや秘密主義に磨きがかかっていない? ▽要は代表の日々の様子を知りたければ、オフィシャルサイト(http://www.sefutbol.com/)に上がる動画を見るしかなくなってしまったんですが、それだけでなく、ルイス・エンリケ監督が代表合宿中のオフ日をなくし、チームは金曜にイングランド戦の行われるロンドンに移動した後、もうラル・ロサスには戻らず。直接、来週火曜のクロアチア戦の舞台となるエルチェ(スペイン南東部)に飛んでしまうって、いえ、ご当地出身のサウール(アトレティコ)は嬉しいでしょうけどね。試合前日のスタジアム練習は一般公開されるようですが、せっかくマドリッド訪問が代表戦期間中に当たりながら、チームを見る機会がほとんどなさそうなのは残念ですよね。 ▽え、それでも木曜午後には選手たちがサント・ドミンゴ(マドリッド市内)に出現して、居合わせた観光客らを驚かせていなかったかって?ああ、それは月曜から、朝食は午前9時、夕食は午後8時30分の時間厳守で遅刻は罰金、食堂にスマホ持ち込みを禁止し、夜の自由時間のカードゲームやプレステもW杯中のように夜通しやるのはダメと、節度ある合宿生活を求められ、練習中もグラウンドの脇に新たに組み立てた足場の上からルイス・エンリケ監督に見張られて、ラス・ロサスに缶詰めになっている彼らを気遣ってのレクリーションタイムで、いえ、私もエスケープルームなるものを初めて知ったんですけどね。銀行の金庫室や刑務所など、仮想空間からグループで知恵を絞って脱出するゲームをやりに行ったそうですが、まあ、よくクラブで見かけるカートレースやペイントボールより、ケガの危険が少なそうなのはいいかと(https://twitter.com/saulniguez)。 ▽そんなことはともかく、土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのイングランド戦については何せ、練習の内容が伝わってこないため、GKがW杯で株を下げたデ・ヘアのままか、ケパ(チェルシー)抜擢なのかを始め、先発がどうなるのか、予想つかないんですが、ロペテギ監督時代同様、初日の練習からルイス・エンリケ監督がよく目をかけていたイスコがどうやらチームの軸になるよう。 ▽うーん、水曜のラス・ロサスで記者会見に出た当人はW杯中に批判的な記事を書いたエル・パイス(スペインの一般紙)が気に入らなかったか、「敵が自陣に籠ってしまった時、ラインの間でボールを受けるのと中盤に下りるのとどちらがダメージを与えられると思う?」と質問され、「Yo a ti no te voy a contester/ジョ・ア・ティー・ノー・テ・ボイ・ア・コンテスタール(ボクは君には答えない)」と返答を拒否。物議を醸していたりしたんですけどね。 ▽理由は「何を言ったって、好きなことを書くんだから」とのことでしたが、まあ気持ちはわかるものの、それってちょっと大人げなくない?実際、イスコのプレースタイルには賛否両論なんですが、ウェンブリーでの前日記者会見で「Vamos a jugar al ataque, a tener el balón, a generar, más ocasiones de gol, a presionar arriba, ser agresivos/バモス・ア・フガ-アル・アル・アタケ、ア・テネール・エル・バロン、ア・ヘネラル・マス・オカシオネス・デ・ゴル、ア・プレシオナル・アリバ、セル・アグレシーボス(ウチは攻撃的にプレーする。ボールを持って、チャンスをより多く作って、敵前線にプレスをかけて、アグレッシブに行く)」と言っていたルイス・エンリケ監督の期待に応えられるといいのですが、さて。この9月の2試合が、どちらも夏のW杯で上に行かれてしまったイングランド(4位)とクロアチア(2位)相手というのはきっと、新チームのいい腕試しになってくれるはずです。 ▽え、そんな調子で代表が非公開練習ばかりだった今週、私は何をしていたのかって?いやあ、火曜には久々に弟分、ヘタフェを覗いてきたんですが、相変わらず、あそこは練習が長いですね。10時から始まって、終わったのが12時半だったため、屋根付きスタンドのあるグラウンドで座って見られてどんなに助かったことか。丁度、その日は駆け込みで移籍のきまったクリストフォロ(フィオレンティーナからレンタル)の入団プレゼンもコリセウム・アルフォンソ・ペレスであったんですが、夏の間は芝の張替えでできなかったピッチでのユニフォーム姿お披露目を見に来たファンが20人ぐらいしかいなかったのはご愛敬。バケーション明けの平日ですし、ヘタフェは兄貴分チームたちのように気前よく、スタンドにボールを蹴り込んでプレゼントしてくれたりはしないため、かなりアットホームなプレゼンになっていましたっけ。 ▽そして翌日、ヘタフェはマドリッドの2部チームの弟分、アルコルコンとプチェロ杯(夏の親善試合)を行ったため、私もメトロ10号線とセルカニアス(国鉄近郊路線)を乗り継いで、サント・ドミンゴ(アルコルコンのホーム)に足を運ぶことに。何せ、リーガ開幕戦のマドリー戦では先発フル出場しながら、続くエイバル戦、バジャドリー戦に柴崎岳選手の出番がありませんでしたからね。練習では元気そうだったため、絶対、出てくれるはずという読みが見事的中。前半半ばまでは2列目に入っていた彼でしたが、すぐ目の前のベンチからやたら、「Gaku, Gaku!」と大声を飛ばすボルダラス監督の指示に従って、途中からは新加入のクリストフォロとボランチでコンビを組むように。 試合の方は前半22分、柴崎選手がエリア内奥から折り返したラストパスをポルティージョは決められなかったものの、36分にはロベルト・イバニェスのパスから、こちらも新加入のフルキエ(ワトフォードからレンタル)が撃ち込んでヘタフェが先制。前半終了近くにも柴崎選手は敵DFを2人かわしながら、エリア前からいいパスを出したんですが、ロベルト・イバニェスがフィニッシュに失敗してしまいます。そのまま0-1で折り返した後、アルコルコンがレギュラーメンバーに代わった後半はどちらも点を挙げられず、そのままヘタフェが勝って終わったんですが、途中出場したアンヘルに2度、惜しいシュートがあったりと、やっぱりカテゴリーの差はありましたかねえ。 ▽まあ、この試合のプレーぶりが認められ、柴崎選手がparon(パロン/リーガの停止期間)明け、16日のセビージャ戦で先発に戻れるかどうか、まだ1週間もあるため、定かじゃないんですが、実は同日には弟分仲間のレガネスとラージョも非公開で練習試合をやっていたとか。どうやら、エスタディオ・バジェカスのスタンド閉鎖により、10月半ばまでホームゲームが延期されているだけでなく、先週からはマドリッド南部にある練習場も整備で使用中止に。おかげでバルデベバス(バラハス空港の近く)のマドリー練習場を借りたり、今週前半はロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)で合宿していたラージョにレガネスが手を差し伸べて、最近はシュダッド・デポルティバ・レガネスを貸してあげていたよう。お互い、移籍市場ギリギリの新戦力が多く、おまけに各国代表に行っている選手が少ないという点でも手合わせするのに都合が良かった? ▽結果は2-1でレガネスの勝利だったそうですが、14日にはラージョも3週間ぶりとなるウエスカ戦が待っていますし、初の降格圏入りをしてしまったレガネスも16日にはブタルケでビジャレアル戦。どちらもこの期間にしっかり練習して、ファンをガッカリさせないようなプレーを披露してくれるといいのですが。 ▽そして各国代表にそれぞれ、13人もの選手を出向させている兄貴分チームたちはというと。いえ、ロペテギ監督もシメオネ監督も火曜はUEFAのエリート監督会議でニヨンに行って不在だったんですけどね。あとは毎日、来週末の試合に備えて練習です。ただそれでも、マドリーには今回の招集を辞退したケイロル・ナバスやマルセロが残っており、ビニシウス(フラメンゴから移籍)やマリアノ(同オリンピック・リヨン)、そしてベンゼマが毎日、golazo(ゴラソ/スーパーゴールを連発しているなんていいニュースが聞こえてくることに。 ▽翻って、トップチームの選手が11人いる彼らに比べ、少数精鋭主義のアトレティコはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場にたったの7人。しかもファンフラン、ビトロはまだ負傷のリハビリ中で、スロベニア代表を免除してもらったGKオブラクもプレシーズンから引きずっている腕の痛みでジムごもりとあって、グラウンドには4人だけって、何か物凄いものがない?おまけに第2子の出産が近い奥さんの状態が良くなくて、ルイス・エンリケ監督と話して代表を辞退したジエゴ・コスタが木曜に足を打撲しただの、金曜はセルタ戦でデビューしたばかりのカリニッチ(インテルから移籍)が足首を捻挫したのって、どうしてこう、悪いことばかりが続くのでしょう! ▽そんな中、シメオネ監督がつきっきりで集中特訓している選手が1人いて、それはコケ。いやあ、カテラーノ(下部組織出身の選手)の後輩で今季、ビジャレアルから出戻り移籍したロドリなど、「Me sorprendió que no estuviese Koke/メ・ソルプレンディオ・ケ・ノ^・エストゥビエセ・コケ(コケがいないのには驚いたよ)。でも監督の意見は尊重しないといけないし、コケには代表の門は誰にでも開いているんだから、努力を続けるように言いたいね」と何だか、ちょっと上から目線のアドバイスをラス・ロサスから送っていたんですが、まあ2013年にコケがA代表に呼ばれるようになって以来、初めての落選だったようですしね。 ▽実際、UEFAスーパーカップではチームの4点目を決めたものの、リーガでは開幕戦からまったくパッとしていないため、今回の居残り練習は本人のためにもなるかと。その辺は木曜にネーションズリーグのドイツvsフランス戦(0-0)でプレーしたグリーズマンも同じなんですが、今週発表されたFIFAベストの3候補からはUEFA最優秀選手賞同様、クリスチアーノ・ロナウド、モドリッチ、サラに先を越されてしまった彼とはいえ、クラブも「Sin palabras/シン・パラブラス(言葉もない)」とツイッターで選考基準に異議を唱えていた通り(https://twitter.com/Atleti/status/1036649508187385856)、3つのタイトルの立役者ですからね。フランス代表のデシャン監督も少しでもチャンスを与えて、当人も「2年前は2つの決勝(CLとユーロ)で負けたから、3位だったけど、今回バロンドールを獲れなかったら、これ以上、何をしたらいいと訊きたいよ」と言っていた賞獲りを少しでも手助けしてあげたかったのかも。 ▽そんな感じの1週間でしたが、リーガも始まったばかりで途切れてしまう9月のインターナショナルマッチウィークはやっぱりどこか中途半端。とりあえず、幾つかネーションズリーグの試合の放送はあるため、週末も私は退屈はしないで済むんですが…とりあえず、マドリッド勢の選手たちがケガなく帰って来てくれるのを今は願うしかありませんね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.09.08 15:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】5チームあっても強いのは1つだけ…

▽「あれって縁起が悪かったのかしら」そんな風に私が溜息をついていたのは日曜日、リーガ3節はマドリッド勢の試合がもう終わっていたため、ゆっくり新聞を読みながら、前日の結果を反芻していた時のことでした。いやあ、この夏はUEFAスーパーカップでお隣さんを倒し、FIFA処分で補強ができなかった昨夏の反動か、新戦力が6人も加わって、クラブ史上最強のチームとまで評されていたアトレティコだったんですけどね。それが3試合終わってみれば、シメオネ監督時代、最も悪い1勝1分1敗。 ▽逆にクリスチアーノ・ロナウドのユベントス移籍で年間およそ50ゴールを失ったと言われていたレアル・マドリーは、いえ、ホームの2試合がまだ新チームが出来上がっていない弟分相手だったというツキはあったんですけどね。3試合で計10得点を挙げて破竹の3連勝となれば、ちょっと思い出してしまうのが昨季のバルサ。ええ、ネイマールのPSG移籍直後に迎えたスペイン・スーパーカップでは2試合合計5-1でマドリーに敗れ、先行きが心配されたものの、リーガが開幕すると大変身したんですよ。 ▽8節でアトレティコと引き分けるまで勝ち点をまったく落とさなかった一方、ロナウドがカンプ・ノウのスーパーカップ初戦で退場。リーガ最初の4試合に出られなかったせいもあり、マドリーはシーズン序盤からホームゲームでの躓きが目立つことに。CLこそ3連覇を遂げたものの、最後はバルサに17差をつけられ、リーガ優勝を逃しているんですが、やっぱり最初の試合で宿敵に勝つと油断が生じてしまう? ▽まあ、バルサなど、今年のスペイン・スーパーカップで優勝したものの、相手がセビージャだったからか、選手たちが過信することもなく、日曜のウエスカ戦でも8-2と異常な程のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を披露。こちらも3連勝とマイペースを保っていますけどね。その辺の心理はともかく、マドリッド勢の様子をお伝えしていくことにすると、金曜の夜は私も12号線の工事により、代替バスに乗ることになるメトロを避け、セルカニアス(国鉄近郊路線)でヘタフェの試合を見に行くことに。 ▽いやあ、それが最近のマドリッドは残暑が厳しいのに、Sol(ソル)駅には冷房の入っておらず。Las Margalitas Universidad(ラス・マルガリータス・ウニベルシダッド)駅に行くC4線は14分も待たないといけないとわかった時には頭がクラクラしましたが、大丈夫。同じホームにすぐ来たC3線を捕まえて、El Casar(エル・カサル)駅で降りれば、こちらからも徒歩15分程でコリセウム・アルフォンソ・ペレスに着けるのを思い出したのはラッキーでしたっけ。 ▽ただ先日、ポルトゥをセビージャに獲られてしまうかもしれないジローナへ玉突き移籍の懸念が発覚し、「Angel quedate!/アンヘル・ケダテ(アンヘル、行かないで)」というカンティコ(メロディのあるシュプレヒコール)で始まった試合の方は少々、残念な内容だったかと。昨季、バジャドリーで35得点を挙げ、チームの1部昇格に貢献。ヘタフェへ移籍するキャリアアップを遂げたマタも古巣に遠慮があったんでしょうかね。セルヒオ監督の指導の下、しっかり守る相手にゴールを奪うことができず、チャンスも後半、マキシモビッチのシュートがゴールポストを直撃したぐらいに留まったヘタフェはスコアレスドローで終わってしまうことに。 ▽え、それよりアンヘル共々、金曜午後12時を恙なく迎え、少なくとも今季前半、マドリッド在住が決まった柴崎岳選手が先週のエイバル戦に続き、この日も出場機会がなかったのは心配じゃないかって?そうですね、試合後、ボルダラス監督は「ガクはイロイロなポジションでプレーできるが、一番やり易いのは4-3-3か4-1-4-1だろう。Ahora no jugamos de esa manera, de momento/アオラ・ノー・フガモス・デ・エサ・マネラ、デ・モメントー(今のところ、ウチはそれでプレーしていないから)」と言っていたんですが、確かに開幕戦でマドリーに0-2で負けた後、ヘタフェはFWを2人入れる4-4-2を採用していますからね。 ▽柴崎選手にとってもなかなか、辛いところですが、ここは辛抱が肝心。今回のインターナショナルマッチウィークは日本代表に招集されていないため、リーガがparon(パロン/停止期間)に入るこの2週間、じっくり練習に専念して、16日のセビージャ戦でチャンスがもらえるように頑張るしかありません。まだ今週の日程は出ていませんが(http://www.getafecf.com/PrimerEquipo/Entrenamientos.aspx)、大体、朝は午前10時から、スタジアムの右側の道を下りて行くとあるグラウンドでヘタフェはセンションを行うため、マドリッドを訪れる予定のあるファンはセルカニアスに乗って、見学に行くのも一興かもしれませんよ。 ▽そして土曜、先に試合をしたのはアトレティコだったんですが、冷房の効いたバル(スペインの喫茶店兼バー)から見ているだけでも、陽光照りつけるガリシア地方(スペイン北西部)のビーゴ(セルタのホームタウン)が何とも暑そうだったことか。ただ、それ以上に暑苦しかったのは彼らのプレーで前半こそ、イアゴ・アスパスがラストパスに届かなかったり、シュートをネット脇に当ててくれたりしたため、無失点で済んだんですが、まったく攻撃陣が機能していないって一体、どうなっている? ▽おまけに前節、「Contra el Rayo ya habiamos tenido diez minutos no buenos en el final/コントラ・エル・ラージョ・ジャー・アビアモス・テニードー・ディエス・ミヌートス・ノー・ブエノス・エン・エル・フィナル(ラージョ戦終盤の10分間、ウチは良くなかった)」という経験をしながら、「Hoy nos paso en el arranque del segundo tiempo/オイ・パソ・エン・エル・アランケ・デル・セグンド・ティエンポ(今日はそれが後半序盤に起こった)」(シメオネ監督)って、え、これって反省をまったくしないという、大昔のアトレティコの悪癖そのものじゃないですか。 ▽実際、ダメダメ時代を彷彿させる大ポカが起きたのは後半開始直後のことで、PSG移籍が流れ、その日は先発に抜擢されたフィリペ・ルイスが何気にバックパスを送ったところ、受け手のゴディンが転んでしまったから、さあ大変!すかさず「Me aproveche del resbalon de Diego para irme/メ・アプロベチェ・デル・レスバロン・デ・ディエゴ・パラ・イルメ(ゴディンのミスを抜け出すために利用した)」と、ウルグアイ代表の大先輩に先んじてボールに駆け寄ったマキシ・ゴメスのシュートをGKオブラクも止められず、先制点を奪われてしまいます。更にその7分後、今度はマキシ・ゴメスのクロスを反対側から、こっそりエリアに入って来たアスパスにヘッドされ、2点差になってしまった日には呆れて物も言えないとはまさにこのこと? ▽そこでようやくシメオネ監督はその日、全員ベンチに置いていた新戦力を投入。コレアとトマスをレマルとカリニッチにしたんですが、何でしょうかね。私もサンティアゴ・ベルナベウに向かうため、その辺りでバルを出たところ、メトロから出た時には負傷中のファンフランの代役をしていたサビッチが2枚目のイエローカードで退場済みに。その直前にはヒメネスが新加入の右SBと交代していたなんて、チグハグなこともあったようですが、どちらにしろ、前日には昨季のヨーロッパリーグ最優秀選手に選ばれたグリーズマンを含め、90分間枠内シュートが1つもないというのであれば、終盤、カブレラのゴールがVAR(ビデオ審判)でオフサイドとなり、セルタに3点目は取られなかったなんて、どうでもいいことですよね(最終結果2-0)。 ▽うーん、7歳の頃から一緒にサッカーをプレーした仲のモハメド監督に初めて、指揮官として1本取られたシメオネ監督は、「Este partido es una buena llamada de atencion, primero para mi/エスタ・パルティードー・エス・ウナ・ブエナ・ジャマダ・デ・アテンシオン、プリメーロ・パラ・ミー(この試合はいい注意喚起になる。まず私のね)」と特に怒った様子も見られなかったんですけどね。サウールなども「El paron nos tiene que venir bien para pensar y corregir los errores/エル・パロン・ノス・ティエネ・ケ・ベニール・ビエン・パラ・ペンサル・イ・コレヒル・ロス・エローレス(リーガの停止期間がミスを考えて正すいい機会になる)」と前向きだったんですが、え、本気で言っています? ▽だってえ、金曜にルイス・エンリケ監督が発表したスペイン代表招集リストから漏れ、悔しさをゴールという形で表したアスパスと対照的にこの日も言及に値する働きが見られなかったコケこそ、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で特訓に励めますけどね。月曜からラス・ロサス(同)のサッカー協会施設で合宿入りするサウールとジエゴ・コスタ、ロドリゴを始め、アトレティコの選手で今回、各国代表に呼ばれていないのはW杯開始早々、時間稼ぎの交代出場を断り、ダリッチ監督の不況を買ってクロアチア代表を追放されたカリニッチ、体調不調で招集を免除されたオブラク、そして控えGKアダンだけなんですよお。ファンフランとビトロも負傷のリハビリ中となれば、15日のエイバル戦の準備すら、来週木曜以降にならないとできないのはわかりきっているじゃないですか。 ▽そこへ追い打ちをかけたのがマドリーの好調ぶりで、いえ、弟分のレガネスも前半19分にセルヒオ・ラモスのクロスをカルバハルが頭でゴール前に送り、ベイルに強烈なvolea(ボレア/ボレーシュート)で先制されたのにもめげず、5分後にはカセミロにエラソがエリア内で倒されてPKをゲット。キックオフ前にはモドリッチ、ラモスと共にUEFA表彰のトロフィーをファンに披露したケイロル・ナバスをベンチ待機にして、初先発を果たしたGKクルトワの裏をかいたカリージョが同点ゴールを挙げたんですけどね。1-1で始まった後半、早くも3分にアセンシオのクロスから、ベンゼマにヘッドで勝ち越し弾を決められたのが分岐点となることに。 ▽いえ、最初は線審にファールを取られ、ゴールが認められなかったにも関わらず、VAR判定で得点となったせいじゃないですよ。後でペレグリーニ監督も「luego nos vinimos abajo y ellos cogieron confianza/ルエド・ノス・ビモス・アバホ・イ・エジョス・コヒエロン・コンフィアンサ(あの後、ウチは落胆し、相手は自信をつけた)」と言っていたように以降、ボールポゼッションの長い、流れるようなマドリーのプレーが続いたからで、16分にはマルセロからボールをもらったベンゼマがモドリッチとのワンツーを経て、最後は斜めにエリアを横切るシュートで3点目。その5分後、今度はブスティンサが走り込んで来たアセンシオを倒してしまい、ラモスのPKで4点目が入ってはゴール貧者のレガネスに勝ち目はありませんって。 ▽え、これでラモスは今季PKでもう3得点目となると、ロナウドがこれまで挙げてきたゴールのPK分、年間7、8本は補えるんじゃないかって?そうですね、ここはその全てのペナルティを引き起こし、試合後、「La Juve sera una gran familia pero el Madrid tambien/ラ・ユーベ・セラ・ウナ・グラン・ファミリア・ペロ・エル・マドリッド・タンビエン(ユーベは偉大な家族かもしれないけど、マドリーもそうだよ)。クリスチアーノがいない方がよりチームらしいかっていうのはわからない」と若輩ながら、移籍したクラックの当てつけみたいなコメントにしっかり反論したアセンシオも褒めてあげたいんですが、この3試合でベンゼマは4ゴール、ベイルも3ゴールと量産体勢に入った気配がしますからね。 ▽とりわけ、シュートよりロナウドにパスを回すことを優先する義務から解放されたベンゼマなど、代表招集がないため、今季はかなりの数を期待してもいいかと。そうそう、この日は代表監督となって、初めてのリストでマドリー勢を6人招集したルイス・エンリケ監督もパルコ(貴賓席)で観戦していましたが、月曜夕方には公開練習で盛況となりそうなラス・ロサスのグラウンドとは対照的に、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場も今週はかなりスカスカな状態に。いえ、ナバスはコスタリカ代表を免除され、15日のアスレティック戦ではクルトワからスタメンを奪回すべく、調整に励むんですけどね。あとはジョレンテ、オドリオソラ、ルーカス・バスケス、金曜に入団プレゼンがあったマリアーノ、GKカシージャぐらいとなれば、日曜にはロペテギ監督が練習ヘルプ要員の観察にマハダオンダまで、アトレティコBとRMカスティージャのダービーを見学に行ったのも当然だった? ▽いやまあ、これにはフラメンゴに4500万ユーロ(約59億円)の移籍金を払い、ベルナベウで入団プレゼンも行ったものの、まだ18歳ということでRMカスティージャに籍を置いて、出場機会を増やすことにしたビニシウスの成長ぶりを見守るという意味もあったんですけどね。その目の前でゴールを2本も挙げた当人も偉かったんですが、まさか、アトレティコのカンテラーノが交錯プレーの後、相手の頭に噛みついてしまう程のパニックを巻き起こしたという話にはビックリhttp://videos.marca.com/v/0_ng72538x-el-mordisco-que-indigno-a-vinicius-y-acabo-en-tangana-le-dan-un-bocado-en-la-cabeza?uetv_pl=futbol&count=0)。結果が2-2の引き分けだったのはともかく、マリアーノに加え、こんなFWまでいるとなれば、移籍市場最終日にマジョラルがレバンテにレンタルで行ってしまったのも仕方ないかと。 ▽一方、金曜に駆け込みでFWサビン・メリーノ(アスレティックからレンタル)、MFレシオ(マラガから移籍金200万ユーロ/約2億6000万円で買い取り)を補強したレガネスは、キャプテンのブスティンサも「ボクらにとって練習する大事な1週間」と言っていたように16日のビジャレアル戦に向けて、17人にも及ぶ新戦力がチームに融合する貴重な時間ができるんですが、気になるのはそれまで、この2年間、ガリターノ前監督の下では1度もなかった降格圏19位が続くこと。いや、ホームのエスタディオ・バジェカスの改修工事のせいでスタンドが閉鎖され、3節のアスレティック戦が延期になってしまったラージョなど、14日のウエスカ戦まで最下位で過ごすんですけどね。まだ順位表はあまり意味のない時期とはいえ、どちらも9月後半にはもっと居心地のいい位置まで上がってくれるといいのですが。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.09.03 11:00 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】CLの相手は決まったけど…

▽「いなかったんだ」そんな風に私が驚いていたのは木曜日、CLグループリーグ抽選会の司会者がUEFA年間最優秀FWに選ばれたクリスチアーノ・ロナウドは来ていないと、舞台で告げた時のことでした。いやあ、前日にはレアル・マドリー退団以来、初めてペレス会長と顔を合わせることになると結構、マスコミも期待していたんですけどね。彼の3年連続受賞となるのではなく、モドリッチが最優秀MFと最優秀選手のダブル受賞になると聞いたからでしょうか、予め欠席を告げていた最優秀FW賞候補のメッシとは違い、当日になってのドタキャンだったとか。 ▽うーん、リバプールのサラなど、最優秀FWも最優秀選手も逃してしまった上、キエフでのCL決勝で肩を脱臼して交代する原因となったセルヒオ・ラモスの前に座りながら、相手が最優秀DF賞をもらうのをクールに見守っていましたけどね。最優秀GK賞のケイロル・ナバスを含め、周りがマドリー勢ばかりなのも気にならないようでしたが、まあ会場に着いてからロナウドの不在を知ったラモスも「Que haga lo que quiera/ケ・アガ・ロ・ケ・キエラ(好きなことをすればいい)」と言っていたように、この辺は個人の事情があるのかも。何はともあれ、抽選でユベントスはバレンシアと同じグループHとなったため、年内のうちにロナウドをスペインの地で見ることも可能かと思いますが…マドリッドには決勝トーナメントまで来ないというのはちょっと残念ですね。 ▽え、それより肝心のマドリッド勢のグループリーグ対戦相手はどこになったんだって?はい、今季はCL4連覇を目指すロペテギ監督のチームは昨季ライバルのバルサを準々決勝で破ったローマ、CSKAモスクワ、ビクトリア・プルゼニ(チェコ)と対戦。ワンダ・メトロポリターノにCL決勝を迎えることになっているアトレティコはドルトムント、モナコ、クラブ・ブルージュと一緒ですが、何せ昨季はアゼルバイジャンのカラバフと2分けして、3位でヨーロッパリーグに回った黒歴史を持つ彼らですからね。おかげでELに優勝、先日はUEFAスーパーカップでお隣さんを倒し、”Supercacmpeon(スーペルカンペオン/スーパーチャンピオン)”を拝命するという嬉しい誤算があったとはいえ、香川真司選手のいるブンデスリーガのチームやシメオネ監督率いるアトレティコ飛翔の原動力となった大エース、ファルカオのいるフランスのチームはともかく、決して油断していけないのはあまり馴染みのないベルギー王者だったりする? ▽そしてバルサはトッテナム、PSV、インテル、バレンシアはあとマンチェスター・ユナイテッド、ヤング・ボーイズ(スイス)と同じ組なんですが、どちらにしろCLが始まるのは9月18、19日からですからね(https://www.uefa.com/uefachampionsleague/news/newsid=2568295.html?iv=true)。その前にリーガ戦もありますし、来週などはインターナショナルマッチウィークとあって、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に合宿するスペインも9月8日にはウェンブリーでイングランド戦、11日にもエルチェ(スペイン南東部)でクロアチア戦とネイションズリーグの公式戦に臨むことに。とりわけ、この金曜に招集リストを発表するルイス・エンリケ新監督の初陣だけに世間の注目もそちらに集まってしまうかと。今のところ、このグループ分けで一番ラッキーだったのは、マドリーとアトレティコの試合日が火曜と水曜に分かれてくれたことでしょうか。 ▽え、でもその抽選会のせいでマドリーは水曜に出戻り移籍が決まり、雄々しくもロナウドの背番号7を受け継ぐことになったマリアーノのプレゼンが金曜になったんだろうって?まあ、そうなんですが、実は2016-17シーズンにジダン監督の下でプレーしたこのカンテラーノ(RMカスティージャ出身の選手)は直前まで、セビージャに移籍する予定だったとか。ええ、リヨンのオラス会長によると、7月の段階では昨季、リーグ1で18ゴールを挙げたFWの買戻しにペレス会長の興味はなかったようなんですけどね。 ▽スーパークラック不在を補うネイマールやエムバペ(どちらもPSG)獲得が不可能で、次善のオプションだったレバンドフスキ(バイエルン)やカバーニ(PSV)もムリとなった後、インシーニェ(ナポリ)やロドリゴ(バレンシア)に移籍金1億ユーロ(約130億円)以上費やすなら、売却金未払い分で相殺して、2300万ユーロ(約30億円)の出費で済むマリアーノにしたのだとか。おかげで移籍市場最終日にマジョラルがセビージャに行くことになるとか、その後、イロイロ噂はあるんですが、負傷が多いバジェホをレンタルに出して、他のCBを獲る可能性を含めて、こればっかりは31日が終わるのを待つしかありません。 ▽そうそう、今週、弟分のレガネスにレンタルが決まった、この夏、入団したばかりの19歳のGKルニン(ゾリャから移籍)が水曜にシュダッド・デポルティバ・レガネスでプレゼンされていましたが、ジダン前監督の息子さん、ルカがRMカスティージャでプレーすることになったとはいえ、マドリーにはナバスとクルトワ(同チェルシー)に加え、GKはカシージャもいますからね。第3キーパーになってしまうと、よっぽどのことがない限り、まったく出番がないため、彼もここは考えどころ。でもルニンだって、クエジェル、セランテに続く3番手、競争の大変さはどこに行っても同じってことでしょうか。 ▽そして土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、マドリーとのミニダービーを控えているレガネスでも補強の大詰めに入っていて、どうやら昨季はキャプテンを務めた司令塔のガブリエウ・ピレスのベンフィカ移籍がほぼ確実に。そのため、ペジェグリーノ監督も「Nuestra prioridad es buscar un mediocentro/ヌエストラ・プリオリダッド・エス・ブスカル・ウン・メディオセントロ(ウチの優先順位はボランチを探すこと)」と言っていましたが、一応、セルタのラドジャなどが候補に挙がっているものの、やはりギリギリまで決まらないよう。 ▽うーん、開幕戦こそアスレティックに後半ロスタイムに得点され、悔しい負け方をしたレガネスですが2試合目はエル・ザールが後半に2点を挙げて、レアル・ソシエダとドローに持ち込み、決して新シーズンの感触は悪くないんですけどね。どちらにしろ、新戦力はサンティアゴ・ベルナベウでの一戦に間に合わないでしょうし、相手がお隣さんのヘタフェを下した後、前節ジローナ戦では1-4の勝利とgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)モードに入ってしまったのはちょっとツイていない?昨季はコパ・デル・レイ準々決勝でマドリーを下し、大波乱を起こした彼らですが、勝ち点を上積みできるのはやっぱり、paron(パロン/リーガの休止期間)の後になるんでしょうか。 ▽そしてグリーズマンがUEFA最優秀選手賞候補4位でモナコ行きを免れたため、水曜の練習後にはセゴビア(マドリッドから1時間のローマ水道橋が有名な街)で恒例のcochinillo(コチニージョ/子豚の丸焼き)ディナーを満喫していたアトレティコはというと。いやあ、このプレシーズンはW杯に参加した選手たちが三々五々、合流してくるため、お馴染み、ロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(セゴビアにある高原リゾート)での地獄のキャンプもありませんでしたしね。もうリーガも始まっているため、あの最高に油ののった名物料理を食べに行くのもどうかと思うんですが、選手たちは存分に楽しんだみたい(https://twitter.com/saulniguez/status/1034924873758466048)。 ▽幸いながら、フィリペ・ルイスのPSG移籍騒動もここ数日で下火になったようですしね。それでもフィールドプレーヤーが18人だけという少数精鋭状態は、とりわけ現在、ファアンフランとビトロが負傷中なだけに心配なんですが、グリーズマンを始め、主要選手の契約延長、年棒アップでこれ以上、選手を抱える余裕がないとなれば、贅沢は言っていられない?今週のマハダオンダ(マドリッド近郊)では、土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのセルタ戦に向けて、シメオネ監督が2列目をコケ、コレア、トマス、サウール、レマル、ロドリゴと組み合わせを何度も変えて、スタメンを試していたようですが、できれば1-0で勝ったとはいえ、弟分のラージョに圧倒されていた前節よりは改善されたパフォーマンスを見せてほしいところです。 ▽そして3節、2週連続で金曜午後8時(日本時間翌午前3時)にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに昇格組のバジャドリーを迎えるヘタフェは火曜、右SBフルキエがワオフォードからレンタル加入することが決まったんですが、うーん、先週のエイバル戦でチーム今季初ゴールを挙げたことでまた注目されてしまったんですかね。セビージャのマチン監督が切望しているポルトゥが出たら、ジローナがアンヘル獲りに来るという噂がいきなり浮上。いえ、ボルダラス監督は「Estamos tranquilos, Angel tiene contrato, salen muchas noticias/エスタモス・トランキーロス、アンヘル・ティエネ・コントラトー、サレン・ムーチョス・ノティシアス(ウチは落ち着いているよ。アンヘルは契約があるし、イロイロなニュースが出るものだ)」と言っていましたけどね。 ▽開幕でマドリーに負けた後、ようやく彼とマタ(バジャドリーから移籍)のコンビで得点が稼げそうな雰囲気になっていたヘタフェだけに、ここでFWを失ったらどうしたらいいんでしょう!こちらも移籍最終日を祈るようにして待つばかりですが、この期限が過ぎたら、エイバル戦では出番のなかった柴崎岳選手もレギュラー取りに集中できるといいんですが、さて。ちなみに相手のバジャドリーは前節、バルサ相手に芝が荒れ放題のホセ・ソリージャで0-1の負けと健闘していましたが、コリセウムのピッチは普通に整っていますからね。彼らにとってはこの試合、久々のリーガ1部でどのくらいできるかを計る、いい試金石になりそうです。 ▽え、それで改修工事が終わらず、10月半ばまでエスタディオ・バジェカスのスタンド閉鎖が決まったラージョはどうなったんだって?いやあ、駆け込み補強こそ、木曜にボランチのインブラがストークシティからレンタルで来たり、ベベとガルベスがエイバルから古巣に戻ったりと着々と進んでいるんですが、何と土曜に予定されていたアスレティック戦が延期になっちゃったんですよ。それで元々、午後4時15分キックオフだったセルタvsアトレティコ戦が6時30分にズレたんですが、いやまったく。この閉鎖期間中にはアラベス戦やエスパニョール戦も予定されていて、下手をすると、全部秋のミッドウィークにねじ込まれる可能性もなきにしろあらず。もうあまりに適当なんで、ファンも呆れているんですが、付き合わされる相手も気の毒ですし、何とかいい解決策が見つかってくれるといいですね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.08.31 13:05 Fri
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【原ゆみこのマドリッド】ダービー祭りはわかっていたけど…

▽「凄いことになったわね」そんな風に私が呆れていたのは月曜日、改修工事の終わる10月半ばまで、エスタディオ・バジェカスのスタンドが閉鎖というニュースを見つけた時のことでした。いやあ、確かにリーガ1部復帰第1戦でセビージャを迎えた際には1-4で負けたことより、まだ瓦礫が山積みしていたり、ファンの子供がスタンドから工事現場に落ちてしまったことに大きな非難が集まっていたんですけどね。大体がして、2部優勝で昇格を決めたラージョとなれば、クラブにも所有者のマドリッド市にも夏の間、たっぷり時間があったはず。その上、昨季、ワンダ・メトロポリターノ移転を控えたアトレティコが用心のため、開幕3試合目までアウェイ開催を頼んだような配慮をリーガに求めることもなく、すでに2節が終わった時点で閉鎖決定って、あまりに行きあたりばったりじゃない? ▽うーん、どうやらその間にホームで予定されていた、この土曜のアスレティック戦を始め、アラベス戦、エスパニョール戦はアウェイにしてもらうか、もしくは今季から2部でプレーするラージョ・マハダオンダ(ラージョのBチームではない)のように、2部Bの公式戦ホームだったアトレティコのマハダオンダ(マドリッド近郊)にある練習場ミニスタジアムが規定の収容人数に満たないため、スタンド増築工事が終わるまでワンダを借りてプレーするように、マドリッド市内の違うスタジアムで行うか、最悪、無観客試合になるか、今はリーガの決定を待っているみたいですけどね。どの方法をとってもファンに迷惑がかかりますし、何よりせっかく先週末、兄貴分の前で開幕戦の情けないイメージを改善できた選手たちが落ち着かないのは気の毒なんですが…。 ▽まあ、その話はまた後ですることにして、リーガ2節のマドリッド勢がどうだったか、順番にお伝えしていくことにすると。今回、トップバッターに立ったのは弟分のヘタフェで、開幕戦では大先輩レアル・マドリーを前にいいところがまったくなし。あっさり2-0と負けていたため、金曜にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに向かうのは私もちょっと憂鬱だったんですけどね。いやはや、スタジアムに着く以前に大きな逆境に見舞われるとは!というのも、いつもメトロ10号線の終点Puerta de Sur(プエルタ・デ・スール)駅から乗り換えて、最寄り駅のLos Espartales(ロス・エスパルタレス)で降りていたんですが、何とその12号線がいつの間にやら、改修工事による休業になっていたから、途方に暮れたの何のって。 ▽うーん、マドリッドでは毎年、夏の間、メトロがイロイロな区間で止まっていることが多いんですけどね。大抵はその路線通り地上を走る代替バスがあって、結局、30分ぐらいかけて辿り着くことはできたんですが、来週金曜午後8時(日本時間翌午前3時)にもコリセウムではバジャドリー戦がありますし、観戦予定の方は要注意。12号線の工事は10月14日まで続くため、しばらくはセルカニアス(国鉄近郊路線)C-4線にSol(ソル)やAtocha(アトーチャ)駅から乗って、Las Margaritas Universidad(ラス・マルガリータス・ウニベルシダッド)駅下車、徒歩15分という経路を使った方が、代替バス乗り場を探したり、降りる場所で迷ったりする面倒がなくていいかと。 ▽ちなみにボルダラス監督が1節とはメンバーを少し代えてエイバルに挑んだその試合では、やはりファールが多くて、序盤から地面に倒れる選手が続出したのはともかく、ホルヘ・モリーナのワントップから、アンヘルとマタ(バジャドリーから移籍)のツートップに変更したのが効いたんでしょうかね。前半18分にはブルーノが自陣から大きくボールをクリアしたところ、マタがオリベイラとの空中戦に勝ってアンヘルに送り、そのシュートが決まってくれたから、ホームのファンたちもメデタク今季初ゴールを祝えることに。エイハルにもエンリッチのヘッドなど、幾つかチャンスはあったものの、ヘタフェは後半もリードを保ち、それどころか45分にはアマトのアシストでホルヘ・モリーナが2点目をゲット。ベテランのエースが健在であることを証明してくれましたっけ。 ▽え、最後は2-0で快勝したヘタフェだったけど、前半途中にアランバリがヒザを痛めた時から、アップを開始。ハーフタイムにも熱心に練習を続け、後半もずっとラインの外で身体を動かしていたにも関わらず、柴崎岳選手の出場がなかったのは気にならないかって?うーん、ボルダラス監督は「交代策のオプションの1つではあったが、他の選手を使うことにした。シーズンは長いんだし、どうということないよ。Gaku es ejemplar en todos los sentidos/ガク・エス・エヘンプラール・エン・トードス・ロス・センティードス(ガクは全ての意味において模範的だ)」と記者会見で言っていましたけどね。 ▽ヘタフェ番の馴染みの記者たちも「ガクへのオファーはないの?」とこちらに訊いてきたぐらいだったため、移籍が迫っている印象は受けなかったものの、こればっかりはねえ。ボランチではベルガラのケガが治って戻って来るのが9月の代表戦週間後といった事情もありますが、市場が閉じる31日まではまだ時間があるため、今週は私もセルカニアスに乗って、彼らが公開練習をする日に行ってみた方がいいかもしれませんね。 ▽そしてヘタフェに続いて、お隣さんのレガネスが昨季まで5年間、チームを率いて2部Bから1部の高見に引き上げたガリターノ監督がレアル・ソシエダの指揮官として古巣のブタルケに帰還する試合をキックオフしたんですが、いやいや。前半からスルトゥサに先制点を決められ、更にイジャラメンディの見事なvolea(ボレア/ボレーシュート)で2点を許すなんて、あまりに歓迎しすぎかと。でも大丈夫、後半には満員のスタンドに後押しされたレガネスの選手たちが奮起してくれます。ええ、エル・ザールが8分と43分にゴールを挙げ、最後は2-2の引き分けに持ち込んだとなれば、「Considero Leganés mi casa/コンシデロ・レガネス・ミ・カサ(レガネスは私の家だと思っている)」というガリターノ監督だって内心、安心したかと。 ▽おかげで開幕戦のサン・マメスでは後半ロスタイムにムニアインに決勝点を取られ、アスレティックに悔しい1点差負けを喫した後、ペレグリーノ監督もこの土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)、勝ち点0という引け目を抱えてサンティアゴ・ベルナベウに乗り込まずに済むことになりましたが、うーん、何か本当に今季は毎節ダービーばかり。できれば、ヘタフェの敗戦を参考にして、弟分チームの意地を見せてもらいたいものですが、これが実際、なかなか難しいんですよ…。 ▽というのも翌土曜、私がワンダで観戦したのもミニダービーだったんですが、いえ、別にその日はスタジアムに併設して、"Bendita Locura(ベンディータ・ロクラ)"というバル(スペインの喫茶店兼バー)がオープン。大勢のファンで賑わっていただけでなく、キックオフ前にもグリーズマン、リュカ、レマルのフランス代表トリオにより、W杯トロフィーのお披露目があったり、試合後はUEFAスーパーカップ優勝の祝賀イベントが予定されていたりと、あまりゲームそのものにスポットが当たっていなかったのが悪かったとは思わないんですけどね。まさか、世間から、"Supercapeon/スーペルカンペオン(スーパーチャンピオン)"と呼ばれるようになってすら、彼らのプレーを見るのが苦行に等しい感覚を与えてくれるとは。 ▽ええ、その日はセビージャ戦で懲りたラージョが近距離でプレスをかけてきたため、アトレティコのパスがなかなか繋がらないということもあったんですけどね。前半など、ファンフランがケガでトマスの右SB緊急出動があったぐらいで、チャンスなんてレマルの力のないシュートがGKアルベルトの正面に飛んだぐらいだったかと。それでも後半18分にはCKからサビッチが頭で落としたボールをグリーズマンがゴールにねじ込み、虎の子の1点を取った彼らでしたが、その後は自陣に押し込められてしまうって一体、どっちが兄貴分? ▽実際、後でサウールも「si intentamos presionar y llegamos tarde, es mejor ir atrás/シー・インテンタモス・プレシオナール・イ・ジェガモス・タルデ、エス・メホール・イル・アトラス(プレスをかけようとしても遅く着くのなら、後退した方がいい)」と言っていましたが、まったくどこまで現実的なチームなんでしょう。最後はGKオブラクがポソやモレノのシュートをしっかり弾き、ゴールを死守してくれたため、1-0で今季初勝利を挙げることができたとはいえ、スタンドからも何度かpito(ピト/ブーイング)が聞こえてくるって…はい、「Somos el Atletico. Aqui no hay juego bonito, solo valen los tres puntos/ソモス・エル・アトレティコ。アキー・ノー・アイ・フエゴ・ボニート、ソロ・バレン・ロス・トレス・プントス(ボクらはアトレティコ。ここには美しいプレーはなくて、価値があるのは勝ち点3だけ)」(グリーズマン)というのは皆、わかっていますって。 ▽うーん、試合後、場内を暗くして始まった祝賀イベントでマイクを握ったシメオネ監督も「ウチは称賛や批判で変わったりしない。Lo único que conocemos en el Atlético es trabajo, unidad y compromiso/ロ・ウニコ・ケ・コノセモス・エン・エル・アトレティコ・エス・トラバッホ、ウニダッド・イ・コンプロミソ(アトレティコが知っているのは努力、団結、そして忠誠だけだ)」と言っていましたしね。この日、ひどい有様だったのはどうやら、プレシーズン練習の疲労とまだ体力が十分でないからのようでしたが、タリンではお隣さん相手に延長戦でも走りまくっていたのを考えると、やっぱり精神的な面もあるのかもしれませんね。 ▽そんなアトレティコは今週末、土曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からアウェイのセルタ戦ですが、診断の結果、交代したファンフランは太ももの負傷で復帰はビトロと同じく9月の代表戦週間明けになるとか。夏に選手の出入りはあったものの、トップチームのフィールドプレーヤーが18人だけという少数精鋭状態は変わっていないため、またやりくりが大変になりそうですが、これがいい機会となって、そろそろアリアス(PSVから移籍)やカリニッチ(同インテル)らのプレーも見られるかも。クラブやシメオネ監督が引き止めに動いているフィリペ・ルイスのPSG移籍の噂もまだ立ち消えてはいませんが、木曜の抽選会でグループ分けが決まるCLもそのうち始まりますし、これ以上、選手が減るのだけは避けてもらいたいものです。 ▽え、新加入選手のデビューに関してはお隣さんの方がもっと遅れているんじゃないかって?そうですね、日曜のジローナ戦前にはいよいよGKクルトワ(同チェルシー)が先発という予想があちこちで立っていたんですが、蓋を開けてみればやっぱりケイロル・ナバス。オディオソラ(同レアル・ソシエダ)はケガが治ったばかりということもありましたが、移籍金に4500万ユーロ(約58億円)も払った18歳のビニシウス(同フラメンゴ)など、RMカスティージャ(マドリーのBチーム)に行かされて、同日お昼にはエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノで2部Bの試合に出ていたとなれば少々、新鮮味に欠けてしまうのは仕方なかった? ▽おまけにエウセビオ新監督の下、素早いカウンターを次々と繰り出すジローナに前半17分、マルセロの裏を突かれ、ボルハ・ガルシアに先制点を奪われていたため、これはどうしたものかと私も心配になったものの、まさか相手が2度もアセンシオをエリア内で倒してPKを献上してくれるとは!ムニエサがペナルティを犯した39分にはUEFAスーパーカップの時のように、「Yo soy el primer lanzador/ジョ・ソイ・エル・プリメール・ランサドール(ボクが第1キッカー)」というセルヒオ・ラモスが決め、ポソが繰り返した後半7分には「第2キッカーはカリン。Pienso que no hay que ser egoista, hay que tener compañerismo/ピエンソー・ケ・ノー・アイ・ケ・セル・エゴイスタ、アイ・ケ・テネール・コンパニェリスモ(エゴイストになってはいけないと思う。仲間意識を持たないとね)」(ラモス)と譲られたベンゼマが決め、あっさり逆転しているんですから、まったくの杞憂です。 ▽そしてリードした時点でロペテギ監督がマルセロを引っ込め、バランを投入。安心感のあるナチョを左SBに回してジローナの反撃を防ぐと、15分には自陣からイスコが送ったスルーパスにベイルが本領を発揮してくれます。爆走で3点目を決めただけでなく、35分にはベンゼマに嬉しいdoblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)をプレゼントしているとなれば、クリスチアーノ・ロナウドがいないことを嘆く必要はない?うーん、カセミロなども「Creo que este ano la clave es jugar como equipo/クレオ・ケ・エステ・アーニョ・ラ・クラベ・エス・フガール・コモ・エキポ(今季のカギはチームとしてプレーすることだと思う)」と言っていましたしね。 ▽この日の1-4みたいなgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)スコアはあまり見られないシーズンになるかもしれませんが、土曜にピッチの芝が野戦場みたいになっていたホセ・ソリージャでバジャドリーに0-1で勝利したバルサと共にマドリーもまずは2連勝でリーガを好発進。このままベイルやベンゼマ、アセンシオ、イスコといった辺りがタイミング良く得点してくれれば、PSGがUEFAからファイナシャル・フェアプレーで処分を受ける可能性から、急上昇してきたエムバペ獲得計画が実現しなくても問題はないかと。 ▽いえ、ファン的には先日、サンティアゴ・ベルナベウで入団プレゼンもしたGKレニン(ゾリャから移籍)も月曜にレガネスへのレンタルが決まり、新顔が少なくてちょっと物足りない気はしますけどね。元々、CL3連覇をしたメンバーよりいい選手を獲るなんて贅沢の極みなんですから、その辺はちょっと我慢しないといけないかもしれませんね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.08.28 13:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】もうリーガは始まっているのに…

▽「市場がまだ開いているのがいけないのよね」そんな風に私がイラッとしていたのは水曜日、すでにリーガ1節が終わったというのに相変わらず、マスコミの話題を移籍関連が多くを占めているのに気がついた時のことでした。いえ、低予算でやっているため、レンタルの選手も多く、毎夏、多くのメンバーが入れ替わるのが前提。その上、他のクラブで余剰人員となった選手が格安の値段で手に入るのを最後まで待っているマドリッドの弟分3チームに関しては、それも仕方ないところがあるんですけどね。 ▽おまけにクリスチアーノ・ロナウドがユベントスに行ってしまったレアル・マドリーもこの夏はネイマールやエムバペ(どちらもPSG)の獲得がムリということから、一時は補強話が沈静化していたところ、UEFAスーパーカップの敗北でCF探しが再燃。挙句の果てにカリニッチ(ミランから移籍)の加入をもって、チーム編成終了としていたアトレティコまで、フィリペ・ルイスのPSG行きの希望が突如、表面化し、今頃になって、すでに獲得済みのジョニー(セルタから移籍)がヴォルバーハンプトンでのレンタル修行を終え、来季には加わるのがわかっている左SB探しをしなくちゃならないって、やっぱりプレミアリーグやセリエAのようにリーグ開幕前に選手登録を締め切って実質、移籍市場を閉めてしまう方がファンも試合に集中できていいような気がしたから。 ▽そんな中、先週末に始まったリーガ1節がどうだったか、お話ししていくことにすると、いやあ、いよいよマドリッドの1部チームが5つに増え、金曜から月曜まで観戦三昧なのかと思いきや、世の中、そうは問屋が卸さず。リーガが私の移動時間を考慮してくれる訳ではないため、今季は早くも7節まで発表になった時間割によると、取捨選択しないといけない場合がかなり多いんですよ。 ▽開幕戦から、もうその有様で、ええ、マドリッド勢はラージョがトップバッターとして、日曜にエスタディオ・バジェカスにセビージャを迎えたものの、同日の2時間後にはこの史上最多のダービー祭りシーズン、一番手となるレアル・マドリーvsヘタフェ戦がサンティアゴ・ベルナベウでキックオフとなれば、私がそちらを選んでしまったのは仕方なかったかと。 ▽その上、メトロに乗る前に近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でセビージャ戦の前半を見ていたところ、いえ、後でミチェル監督も「Necesitamos refuerzos, la plantilla es corta/ネセシタモス・レフエルソス、ラ・プランティージャ・エス・コルタ(ウチには補強が必要。選手層が薄い)」と嘆いていたんですけどね。まだ5、6人欠けている昇格したばかりのラージョはすでにEL予選4試合とスペイン・スーパーカップ、5つも公式戦をこなしている相手にまったく歯が立たず。前半15分に"ムード"・バスケスに先制点を奪われたのを皮切りに31分、46分、そして後半35分にもミランからレンタルで加入したアンドレ・シウバに決められ、開幕ハットトリックを達成されてしまうって、やっぱり3年ぶりに戻る1部の戦いは厳しかった? ▽最後はエンバルバがPKで1点を返し、1-4で負けたラージョでしたが、後日報によると、間に合っていなかったのは選手補強だけに留まらず。何と、オフシーズンに始まったスタジアム施設の改装もまだ完成していなかったようで、スタンドやトイレなど、かなり悲惨な状態だったようですしね。この土曜にはワンダ・メトロポリターノでアトレティコとのミニダービーがあるため、一応、彼らの状態を生で見る機会は持てるんですが、その後も日程表によると、私がバジェカスを訪れることができるのは代表戦週間後、9月後半。その頃までには工事も済んで、新戦力もチームに馴染んでいてくれるといいのですが。 ▽続いて兄貴分のマドリーがホームで今季リーガデビューをしたんですが、何せ夏の暑さを考慮した8月限定の午後10時15分という遅いキックオフでしたからね。先日のUEFAスーパーカップもエストニアはスペインより1時間早いとはいえ、午後10時だったせいか、ドイツ人のクロースなど、後で「機嫌良さそうに見えるけど、この時間、普段の自分は眠っている(https://twitter.com/ToniKroos/status/1031318720231235584)」と文句を言っていたぐらいですが、もしやそれもサンティアゴ・ベルナベウの観客数が5万人にも届かなかったのに影響していたかも。 ▽え、今まではバケーション中のabonado(アボナードー/シーズンシート購入者)が来られない時期でも観光客で賑わっていたマドリーの試合だというのに満員にならないって、やっぱりロナウドに代わるスーパースターを獲得できてないからじゃないのかって?どうですかねえ、一応、昨季までロナウドだったスタメンアナウンスのトリにはベイルが入り、前半20分には彼のクロスをGKソリアがパンチング。中途半端なところに落ちたボール゛をカルバハルが頭でゴールに入れ、先制したマドリーは後半6分、今度はアセンシオのラストパスでベイルが2点目をゲットと、当人も今季の看板に恥じない働きは見せてくれたんですけどね。 ▽もちろん、その日は相手がここ9年間、マドリーとのアウェイ戦で勝っていないヘタフェ。しかもせっかく柴崎岳選手がフル出場しながら、「No ha salido casi de nada de lo que habiamos trabajado/ノー・ア・サリードー・カシー・デ・ナーダ・デ・ロ・ケ・アビアモス・トラバハードー(練習してきたことが、ほとんど上手くいかなかった) (ボルダラス監督)という状態で、とりわけ2失点目以降は「El equipo ha sido incapaz de dar tres pases seguidos/エル・エキポ・ア・シードー・インカパス・デ・ダール・トレス・パセス・セギードス(チームはパス3つも繋げなかった) (同)有様となれば、マドリーがあっさり2-0で初勝利したのも当然だったかと。 ▽おかげで終盤、ボールを追うのに疲れたヘタフェの選手たちがタイミングの遅れたタックルをかけて、イエローカードだらけになっていたのはともかく、でも何かねえ。ロペテギ監督は「No conceder ocasiones a un equipo como este nos hace estar contentos/ノー・コンセデール・オカシオネス・ア・ウン・エキポ・コモ・エステ・ノス・アセ・エスタル・コンテントス(ああいうチームにゴールチャンスを与えなかったのは自分たちを満足させてくれる)と語っていたものの、どうにも今季のマドリーが地味なチームになってしまったと感じたのは私だけ? ▽いえ、結論を急いではいけません。今週末の彼らは再び、日曜午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)から、アウェイのジローナ戦。そろそろ、W杯のせいでプレシーズン開始が遅れ、この2試合、途中出場だったモドリッチの先発や、ナバスに文句をつけるところは1つもないものの、GKクルトワ(チェルシーから移籍)のデビューがあるかもしれませんが、とにかくアタッカーの新顔は18歳のビニシウス(同フラメンゴ)だけですからね。土曜の開幕アラベス戦から2得点して、バルサではメッシがスポットライトを独占しているのと比べると、ちょっとマドリーファンも肩身が狭い気がするんですが、本当にこの夏はもう、FWの補強はしないんですかね。 ▽そして翌月曜には“Supercampeon/スーペルカンペオン(スーパーチャンピオン)"がバレンシアの選手たちのpasillo(パシージョ/花道)に迎えられ、メスタジャで待望のリーガデビューをしたんですが、UEFAスーパーカップで妙に強いアトレティコを見てしまったせいで、私が期待しすぎたんでしょうか。前半26分にはグリーズマンの顔を背けたスルーパスから、コレアがゴールを決めて先制してくれたのは良かったんですが、ジエゴ・コスタが数度、抜け出しながら、ガライにファールで止められてしまったり、角度のないところから撃ったシュートはGKネトにそらされてしまったから、何ともツイていない。 ▽おかげで後半10分、コンドグビアのロングクロスをヴァスがエリア内でそのまま上げ、見事なトラップから、マドリーのロペテギ監督がもし、ペレス会長に獲ってもらえるなら、一番の候補に考えているロドリゴのシュートが決まって、バレンシアに同点にされてしまったんですが、まあ、よく考えれば、相手は今季CLにも出場する強いチーム。それこそ終盤、シメオネ監督も「Estuvo abierto en el final, hubo mucho desorden que no me gusto/エストゥーボ・アビエルト・エン・エル・フィナル、ウボ・ムーチョ・デスオルデン・ケ・ノー・メ・グストー(最後はオープンな展開になって、自分の気に入らない無秩序なシーンが多かった)」と言っていた通り、ヴァスやアトレティコから移籍したばかりのガメイロのエリア内シュートをGKオブラクが救ってくれたなんてこともあったため、逆転負けを喰らわなかっただけで良しとするべきかと。 ▽ええ、そのオブラクも「nosotros notamos que veníamos de jugar 120 minutos/ノソトロス・ノタモス・ケ・ベニモス・デ・フガール・シエントベインテ・ミヌートス(ボクらは120分をプレーしてきたことに気付かされた)」と説明していましたが、確かにタリンでは延長戦でその上、相手のマドリーより、アトレティコは10キロ以上多く走っていましたからね。しかも前後半にお水休憩を挟む程の暑さのバレンシアでの試合となれば、その疲れが出てもムリはなかったかもしれません。 ▽え、最後は1-1で引き分け、1節からライバルのマドリーやバルサに勝ち点2差をつけられてしまったアトレティコだったけど、フィリペ・ルイスはこの試合に普通の顔をして出ていなかったかって?その通りで、実はPSG移籍希望騒ぎはその前から起きていたんですが、この日は昨季から引きずる出場停止処分を受けていたリュカが出られませんでしたからね。いくら当人が昨季のEL決勝に続き、UEFAスーパーカップでもベンチ待機だったことに不満を持っていたり、32歳以上の選手とは複数年契約をしないアトレティコより、3年契約をオファーしてきたPSGに魅力を感じていたとしたって、そんな窮地にチームを見捨てることはできませんって。 ▽ただ、フィリペ・ルイスは4年前のリーガ優勝直後もプレミアリーグを経験したいとチェルシーに移籍し、たった1年で舞い戻って来たという前科がありますからねえ。昨季は当人の腓骨骨折などで、本職CBのリュカが左SBとして大成長。それこそデシャン監督の目にまで止まり、そのポジションのレギュラーとしてフランス代表のW杯優勝に貢献しているため、今季はアトレティコでの出番が減るんじゃないか心配する彼の気持ちもわかりますが、ここはよくよく考えるべきかと。ええ、33歳の今となっては後でやっぱりパリよりマドリッドの方がいいと後悔したって、きっと戻って来られませんよ。 ▽実際、チームメートたちも皆、「Le queremos mucho y ojalá siga con nosotros/レ・ケレモス・ムーチョ・イ・オハラ・シガ・コン・ノソトロス(彼のことが大好きだし、ボクらと一緒にいてくれますように) (ファンフラン)と引き留めてくれていますし、シメオネ監督も試合後の記者会見で「残ると思う」とコメント。クラブも契約破棄金額の3000万ユーロ(約40億円)をPSGに要求しているとなれば、大抵、大丈夫なはずですが、さて。むしろ今はバレンシア戦で途中出場したビトロがヒザを負傷。全治5~7週間になってしまったという悪いニュースの方がこの土曜、午後8時15分(日本時間翌午前3時15分)からのラージョ戦を前にしての懸念となりますでしょうか。 ▽そして最後に1節のトリを飾った弟分のレガネスのことも伝えておかないと。ええ、こちらはサン・マメスでアスレティックと対戦だったんですが、前半にCKからノラスコアインにヘッドで取られた1点はすぐ、新加入のジョナタン・シウバ(スポルティグCPからレンタル移籍)がデビュー初ゴールを挙げて帳消しにできたんですけどね。そのままアトレティコのように引き分けるかと思いきや、後半ロスタイムに決勝ゴールをムニアインに奪われて、ペレグリーニ監督は初陣を2-1の黒星で終えることに。 ▽まあ、こちらも完全にチーム編成は終わっていませんし、難所での試合でしたからね。早くもこの金曜午後10時15分にはブタルケに昨季まで5年間、レガネスを率いたガリターノ監督がレアル・ソシエダの指揮官として帰還してくるため、1部3年目の飛躍を期待するホームのファンの前でいいプレーを見せてくれればいいかと。ちなみにまた、その金曜はマドリッド勢の試合が連続開催となり、私は午後8時15分からのヘタフェvsエイバル戦のため、コリセウム・アルフォンソ・ペレスに行くことを選んだんですが、実は両スタジアムの場所は車なら10分程度の近さ。それでもメトロと徒歩で移動すると30分以上かかるため、梯子を断念するしかないのはこの先、きっと何度となくあるジレンマになりそうです。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.08.23 15:15 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】ようやく決勝に行った甲斐があった…

▽「早くもcrisis(クリシス/危機)状態ね」そんな風に私が対岸の火事を眺めていたのは金曜日、深夜1時にようやくタリンからマドリッドへ辿り着いた翌朝、ボンヤリした頭でスポーツ紙を読んでいた時のことでした。いやあ、少しでも安い航空券を手に入れようと四苦八苦した挙句、どうせ着くのが夜になるなら、ついでに乗り継ぎ地でも観光しようと計画。元々、午前6時発という早朝発着だったのもあって、予定外の延長戦に睡眠時間が1時間にも満たない状態でオスロをウロウロしてきたため、疲れが抜けていなかったのは自分が悪いんですけどね。 ▽試合後にはチャーター機で木曜朝7時に帰国。お祝いに集まった数百人のファンもすでに引けたネプトゥーノの噴水広場を経由して帰宅したリュカとヒメネス(https://twitter.com/Atleti_Goleador/status/1030147367964749827)みたいな例外はあったものの、総じて自宅で休養をとった後、アトレティコの選手やスタッフがAmazonico(アマソニコ/マドリッド市内にある流行りの国際創作料理レストラン)に集まった祝勝ディナーも帰宅する前に終わっていたんですが、でもねえ。UEFAスーパーカップの結果が逆だったら、今頃、クライシス入りしていたのは彼らの方だったかと。 ▽ええ、現在、レアル・マドリーではプレシーズンマッチ好成績のおかげで一時は下火になっていた補強選手探しが再燃。ユベントスに行ってしまったクリスチアーノ・ロナウドの1シーズン50ゴールを穴埋めするFWを始め、プレー時間を増やしたい希望が叶ってチェルシーに移籍したコバチッチの代役となるMF、更に今季初の公式戦直前にまたしてもバジェホが負傷してしまったため、頭数不足が心配されるCBなど、とにかくベンチの選手層が薄くて、戦力が足りないという話になっているんですが、もし負けたのがアトレティコだったら、クラブ史上最高の移籍金7000万ユーロ(約90憶円)のレマル(元モナコ)獲得やグリーズマンの引き止めに大枚はたいても全然、意味がなかったと言われかねない? ▽それが今では“Supercampeon/スーペルカンペオン(スーパーチャンピオン)”と持ち上げられ、今季の彼らは全てのタイトルを狙っているなんて、大望はなはだしい扱いをされているんですから、まったく世の中って調子いい。うーん、もちろん2014年にはリスボン、2016年にもミランでのCL決勝でお隣さんに失意のどん底に落とされながら、タリンなんて辺境の地にも1300人のファンが移動。私が知り合った中には試合前々日の朝6時にマドリッドを出発し、リスボン経由でラトビアのリガから、バスで4時間かけて着いたなんて猛者もいましたが、共々、長い帰京の道のりを明るい気分で過ごせたのは何より有り難ったんですが…。 ▽え、それより試合がどうだったか、早く知りたいって?そうですね、私も火曜にはタリンに着き、ア・ル・コック・スタジアム(フローラ・タリンのホーム)でマドリーの練習を見学したんですが、いえ、先にピッチを踏んだアトレティコを見なかったのは単に到着時間の問題で、先週土曜のインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏の親善大会)最後のインテル戦で不甲斐なく、0-1で負けていたため、ここまで来て再度、実力の差を確認したくなかったという訳ではないんですけどね。両チーム共、ファンの大半が現地入りしたのは当日の水曜、徒歩で回れてしまう、中世の趣きを残したコケットな旧市街はcamiseta(カミセタ/ユニフォーム)やbandera(バンデラ/旗)をまとったスペイン人で溢れていたんですが、新市街にあるスタジアムまで徒歩30分で行けてしまうというのがちょっと曲者だったんです。 ▽ええ、知らない国でトラムやバスに乗って、エストニアはユーロが使えるものの、切符の買い方や降りる停留所がわからず、変なところに行ってしまうのが怖いという心理も手伝っているんでしょうけどね。今はgoogle mapが誘導してくれるため、多少なら歩いた方が気楽という面はあるんですが、実はあれ、万全ではなく、注意していないと、変な遠回りをしていたり、操作のたびに経路が変わってしまったりするんですよ。更に市内中心部からは鉄道線路を越えないといけないものの、踏切が少ないといったハードルもあったため、スマホを見ながら、まったく反対に歩いていくファンと途中、何度すれ違ったことか。 ▽それでも何とか、スタジアムに辿り着き、午後10時(エストニアはスペインと時差が1時間ある)という遅い時刻にはエストニアの民族舞踊によるオープニングセレモニーを経て、無事にキックオフを迎えたんですが、驚かされたのは両チームのサポーターが陣取るのが対面するfondo(フォンド/ゴール裏席)の半分だけという、UEFAの出場チームファン向け割り当てチケットの少なさ。いえ、前日、空港から乗ったタクシーの運転手のお兄さんなど、片言の英語で「ファン同士が衝突したりするのかな」と騒ぎを心配していたぐらいですから、あまり多く出回って、うっかりウルトラたちが紛れ込んでも困るんですけどね。 ▽私など、あの無数のパスミスやロストチャス、おまけに相手が永遠のライバルとなると大抵、守り一辺倒で耐えるアトレティコのサッカーに耐えられるのはまず、アトレティコファンしかいないと思っていたため、世紀のイベントに期待している地元民や他の国から来たサッカーファンたちにどう思われるか心配だったんですが、とんでもない。ユーロダービーでの不安な気持ちをなだめようと、馴染みのオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継をイターネットラジオで探している間、まさか開始49秒、ゴディンがセンターから放ったロングパスをジエゴ・コスタがセルヒオ・ラモスとの争いに勝ってゲット。バランもかわすと、GKケイロル・ナバスの左脇を抜いてゴールを決めてしまったから、意表を突かれるとはまさにこのこと? ▽とはいえ、相手は天下のマドリー。ほとんど0-1でゲームをスタートさせたからって、安心するにはほど遠く、すぐにボールを持たれるようになったアトレティコは、アセンシオの天才的なゴール前からのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)によるシュートこそ、GKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。だからマドリッドに戻って来たかったクルトワは河岸を変えざるを得ず、選手登録も間に合わなくて、この日はスタンド観戦するしかなかったんだと納得させてくれたんですが、そのオブラクも27分、ベイルのクロスをベンゼマにヘッドされた時にはどうしようもありません。ええ、この1点で試合が振り出しに戻った上、後半18分にはファンフランがエリア内でハンドの反則。ロナウド退団で第1キッカーになったラモスにPKを決められて、とうとうリードされてしまったとなったら…。 ▽だってえ、その時にはもう、グリーズマンがコレアに代わっていたんですよ。確かにフランス代表がW杯に優勝したため、まだ10日程しかトレーニングをしておらず、本来のキレがまったくなかった彼ですけどね。UEFA処分のため、その日もパルコ(貴賓席)見学をしていたシメオネ監督も、ベンチで指揮を執っていたブルゴス第2監督も勇気あるなあと思ったものですが、時折、レマルが奮闘。ボランチでバランスを取っていたロドリゴ(ビジャレアルから移籍)から、ビトロに代えて攻撃の駒も増やしていたものの、ゴールが遠いまま、刻々と時間が経過していくことに。 ▽いよいよ、「アトレティコはマドリーと違ってremontada(レモンターダ/逆転)体質じゃないから」と自分もネガティブになっていた34分、まさかサイドスローを避けようとしたマルセロからファンフランがボールを取り返し、パスを受けたコレアがエリア内奥からキラーパス、それをゴール前からコスタが押し込んで同点にしてしまうとは!うーん、丁度、マドリーはやはりプレシーズン開始が遅れ、本調子でなかったカセミロとはいえ、中盤の守備の要がセバジョスと代わったばかりだったせいもあったんでしょうかね。 ▽おまけに1-1のまま、勝負が延長戦に入ると、ブルニコ(イタリア)でのキャンプにも帯同せず、「Ya le dije al Cholo que si quería ganar títulos tenía que ficharme/ジャー・ディヘ・アル・チョロ・ケ・シー・ケリア・ガナール・ティトゥロス・テニア・ケ・フィチャールメ(もうチョロにはタイトルを獲りたいなら、自分をチームに入れないといけないと言っていたよ)」という約束を実行するべく、猛暑のマドリッドで身体を鍛えていたコスタも含め、アトレティコは自慢の体力を発揮。思い返せば、シメオネ監督が初めてマドリーを倒して優勝した2013年コパ・デル・レイ決勝も延長戦でしたが、この日は90分が終わる頃、レマルに代え、「試合前、ガーナ代表でプレーしている位置で使うことを話していた。カリニッチ(インテルから移籍)は来たばかりだし、ジェルソン(同スポルティグCP)はチームの動きをまだ知らないから」(シメオネ監督)という理由でトマスをトップ下に起用したのも当たったかと。 ▽ええ、そのおかげで延長戦前半8分にはバランからボールを奪ったトマスが折り返し、サウールのvolea(ボレア/ボレーシュート)によるgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)が生まれたとなれば、その頃から就寝時間が気になっていた自分もどんなに嬉しかったことか。それどころか、14分にはガビ(アウ・サッドへ移籍)とフェルナンド・トーレス(同ヴィッセル神戸)が去った後、カンテラーノ(下部組織出身の選手)一番の古株となり、責任感に目覚めたんでしょうかね。それともW杯でスペインが16強対決で敗退する原因となったPK戦での失敗から、そこまで行くのだけは避けたかったか、コケがビトロのアシストで4点目を決めているって、これ、本当にアトレティコ? ▽いやまあ、それでも臆病者の私など、土壇場で相手の奇跡のレモンターダ体質が発現しないか、怖くて仕方なかったんですけどね。さすがに2点差、しかも後でカセミロも「Claro que echamos de menos a Cristiano/クラーロ・ケ・エチャモス・デ・メノス・ア・クリスティアーノ(クリスチアーノがいないのを残念に思うのは当然)」と言っていたように、頼りのロナウドもいなかったせいか、延長戦後半もマドリーは得点することができず。最後は2-4でアトレティコが勝利して、誰より多い16キロを走り倒したコケなども「Claro que teníamos ganas. Nos da igual el rival/クラーロ・ケ・テニアモス・ガナス。ノス・ダ・イグアル・エル・リバル(もちろん意欲はあったよ。ライバルは誰でも同じだった)。でもヨーロッパの決勝でレアル・マドリーに勝ちたかったのは確かだね」と嬉しさの余り、何だか訳のわからないコメントをすることに。 ▽その辺、後輩ながら、サウールの方は「チームやファンは舞い上がっているけど、平常心を保つメッセージを送らないと。Si ya lo sabes, ¿para qué lo preguntas? Partido a partido. Ya está/シー・ジャー・ロ・サベス、パラ・ケ・ロ・プレグンタス?パルティードー・ア・パルティードー(もうわかっているなら、何で訊くの?1試合1試合、それだけさ)」と落ち着いたもの。まあ、この日はマドリーも守備がガタガタでしたし、就任後、最初のタイトル獲得のチャンスを逃したロペテギ監督も「El fútbol son aciertos o errores que te aúpan o te castigan/エル・フトボル・ソン・アシエルエトス・オ・エローレス・ケ・テ・アウパン・オ・テ・カスティガン(サッカーは当たるかミスるか、それで上向きになるか、罰を与えられるかだ)」と言っていた通り、枠内シュートが5回しかなかったアトレティコが珍しく、4点も取れたというツキもありましたからね。 ▽キャプテンのラモスや移籍騒動の収束したモドリッチもSNSでチームを鼓舞するメッセージを送っていましたし、何より、まだシーズンは始まったばかり。ええ、金曜からリーガも開幕し、日曜にはエスタディオ・バジェカスに先日、バルサとのスペイン・スーパーカップには1-2で負けてしまったものの、木曜にはリトアニアのジャルギリスを0-5で破り、EL予選プレーオフでチェコのシグマと対戦することになったセビージャを迎えるラージョに続き、マドリーにもサンティアゴ・ベルナベウに弟分のヘタフェとのミニダービーが午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)に待っていますからね。 ▽今週は水木金とpuerta cerrada(プエルタ・セラーダ/非公開)で練習を行った相手も、「El Real Madrid es un grande/エル・レアル・マドリッド・エス・ウン・グランデ(マドリーはビッグクラブ)。1回悪い結果があったとしてもその実力や可能性が減ることはない」(ボルダラス監督)と、UEFAスーパーカップでの敗北で自分たちが有利に立てるとは決して過信していないだけに早めに気合を入れ直すことが必要かと。今のところ、人事面での注目はヘタフェ側では柴崎岳選手の出場があるかないか、マドリーではGKがナバスからクルトワに代わるのか辺りでしょうか。 ▽そして月曜まであるこの第1節、残り2つのマドリッド勢は平日営業になっていて、午後8時にはレガネスのペジェグリーノ新監督がアスレティック戦で初陣を飾り、午後10時(日本時間翌午前5時)からはアトレティコがバレンシアにメスタシジャで挑むことに。うーん、親切にもマルセリーノ監督のチームがpasillo(パシージョ/花道)を作って、スーペルカンペオンを迎えてくれるのには感謝ですが、今季3年ぶりにCLグループリーグ復帰をする相手はガメイロ(アトレティコから移籍)だけでなく、バチュアイ(同チェルシー)も加入し、FW陣が厚くなっているみたいですからね。新入団選手のおかげでスタメン選びが難しくなったアトレティコも決して撃ち負けることなく、いい形でリーガを始めてもらいたいものです。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.08.18 10:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】プレシーズンマッチの結果は当てにならないとは言うものの…

▽「本当にリベンジできるのかな」そんな風に私が不安を募らせていたのは土曜日、マドリッドの両雄がUEFAスーパーカップ前最後のプレシーズンマッチを実施。見事に結果が吉凶分かれてしまった時のことでした。いやあ、確かにアトレティコは大黒柱のグリーズマンがフランス代表でW杯に優勝、そのためチーム合流が遅れたのは仕方ないんですが、それより早く練習を始めていたジエゴ・コスタも不具合があって、その日がこの夏初めての実戦。翻って、お隣さんはクリスチアーノ・ロナウドのユベントス移籍という逆境はあったものの、今季の核になるベイルとベンゼマがW杯に行かず、ここまでトレーニングをみっちり積んでいますからねえ。 ▽それがこのプレシーズン、昨季CLとELのチャンピオンの得点力の差につながっているとも言えなくもありませんが、いやいや。レアル・マドリーなんて、スペイン代表でW杯に行っていたアセンシオが早くも3ゴールを挙げているとなると、これはもう練習量の多寡よりも元々、チーム自体がgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質であるところが大きいかと。逆にアトレティコの方はなけなしの1点を守り倒すのがシメオネ監督時代のトレードマーク。それでも勝てれば全然、文句はありませんが…その結果が2つのCL決勝、2014年リスボンでは後半ロスタイムにセルヒオ・ラモスの奇跡の同点ヘッドで延長戦、2016年ミランでは1-1のまま延長、PK戦での負けに繋がっているとなれば、この水曜のタリン(エストニア)での一戦もあまり楽観できないというのが今の私の本音ではあるんですが…。 ▽とりあえず、先に先週の彼らがどうだったのかをお話ししていくことにすると、どちらもミッドウィークにもう1つ、親善試合をこなしていて、いえ、マドリーはインターナショナル・チャンピオンズカップのアメリカツアー最終戦、火曜の深夜にニュージャージーでローマ戦だったため、私は生中継を見ることができなかったんですけどね。ただ先の2試合とは違い、折しもアトレティコが水曜にはブルニコ(イタリア)キャンプの打ち上げとしてカリアリと対戦。何せ、2年前から、彼らはカランサ杯(カディス主催の夏の親善大会)に参加せず、おかげで私も便乗して、ビーチ&試合観戦の夏休みが過ごせないのに不満でしたからね。よく聞けば、カリアリのあるサルディーニャ島は地中海きってのリゾートアイランドとなれば、どうして連日猛暑のマドリッドなんかで煮詰まっていられる? ▽そこで水着を持って出かけることにしたんですが、大丈夫。島の南部にあるカリアリの町からバスで1時間半、ビラシミウスの透明度抜群、旅行パンフレットに出て来るような純白ビーチでアトレティコのリュカの大ファンという大学生のスペイン女子と知り合いになった翌日、水曜の朝には2-1でローマに勝っているのを確認できましたっけ。ええ、速攻で前半2分にはアセンシオが先制ゴールを挙げると、15分にはベイルが2点目。相手の反撃を後半38分、ストロートマンの1発に抑え、先週土曜のユベントス戦(ロナウドは出ていない)に続いて、アメリカの地で連勝しているとなれば、ロペテギキ新監督だって、一体、何を心配することがありますでしょうか。 ▽一方、その夜、サルディーニャ・アレアで行われたアトレティコの試合はというと、もう最近は知らない土地に行ってもGoogl mapのおかげで、迷わずに目的地に着けますからね。カリアリの地元ビーチ、ポエットの手前にあるスタジアムはバスで10分程と近いんですが、キックオフ前にはこの試合のため、シメオネ監督がマドリッドからゴディン、ヒメネス、フィリペ・ルイスらW杯参加組、そしてリハビリの終わったサビッチ、インテルに行ったベルサイコと入れ替わりでPSVから移籍してきたアリアスと、5人のDFをマドリッドから呼び寄せていたことが判明。ブルニコから来た本隊と当日合流し、最初の3人が先発したところ…確かに守りはカンテラーノ(下部組織の選手)ばかりの試合に比べ、かなりまともになりましたよ。 ▽でもねえ、シメオネ監督も「ウチはここまで中盤から後ろのラインでしか、練習ができなかった。Nos falta la parte ofensiva/ノス・ファルタ・ラ・パルテ・オフェンシバ(攻撃部分が不足している)」と言っていたように得点は前半32分、ジェルソン・マルティンス(スポルティグCPから移籍)のシュートを敵GKが弾き、それで正面に転がってきたボールをBチームのボルハ・ガルシアが押し込んだ1点のみに留まることに。何せ、トップチームのFWはビエット(フラムに移籍)やガメイロ(同バレンシア)すらおらず、フィリペ・ルイスがレマル(同モナコ)と左サイドで連携するのもこの日が初めてでしたからね。それも仕方ないところはあるんですが、後半など、馴染みの選手が次々と代わり、最後はサビッチがキャプテンに。その他、ロドリゴ(同ビジャレアル)、GKアダン(同ベティス)以外、全員カンテラーノとなれば、0-1で勝てただけでも御の字だった? ▽そして試合後、そのままマドリッドに戻ったチームはマハダオンダ(マドリッド近郊)で木金と練習。ようやく全員が揃った状態でいよいよ、土曜のインターナショナル・チャンピオンズカップ最後のインテル戦をワンダ・メトロポリターノで迎えたんですが、まさかキックオフ直前から、違いを見せつけられることになろうとは!というのもこちらは午後9時5分スタートで、9時ジャストにはお隣さんのサンティアゴ・ベルナベウ杯、ミラン戦が始まっていたんですが、何と開始2分、カルバハルのクロスからベンゼマがヘッドを決め、マドリーが先制したという報がオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元実況で伝わってきたから。 ▽まあ、そのリードはまだアトレティコとインテルがピッチで挨拶している間、ロナウド加入の玉突き効果により、ユベントスからミランに移籍したイグアインが5万4000人の観衆が見守る中、エリア前から古巣恩返し弾。GKケイロル・ナバスを破って、帳消しになったんですが、ワンダでの最初の見せ場は10分、GKオブラクによるイカルディの至近距離シュートのparadon(パラドン/スーパーセーブ)でしたからね。いやあ、これは先週木曜にはクルトワがマドリーの入団プレゼンで「Mi objetivo siempre ha sido venir aqui/ミ・オブヘティボ・エス・シエンプレ・ア・シードー・ベニール・アキー(ボクの目標は常にここに来ることだった)。皆、知っていたけど、マスコミに言う訳にはいかなかった」と発言。 ▽あまつさえ、「アトレティコにはレンタルでいたから、違っていた。だから今日まで紋章にキスしたことはなかったんだよ」と、ユニフォーム姿でピッチに出てのお披露目では5度もそのポーズを繰り返していたことに傷ついていた2万3000人のファンの心を大いに慰めてくれましたけどね。それでもスタジアム正面の地面に並んでいるクルトワの100試合以上出場した選手の記念プレートをスプレーなどで汚す輩が出現するのは避けられませんでしたっけ(https://twitter.com/diarioas/status/1028375752432005120)。 ▽とはいえ、そのオブラクも31分、アサモアのクロスをラウタロがアクロバティックな空中volea(ボレア/ボレーシュート)でゴールに叩き込むのを防ぐことはできず、インテルが先制。うーん、40分にはコケのスルーパスから、ようやくコレアのシュートがゴールに入ってくれたんですけどね。運悪くというか、リーガ開幕に先駆けてこの日、実験的に使われていたVAR(ビデオ審判)からのお達しにより、オフサイドでこの1点はスコアにあがらず。ええ、丁度この頃辺りでしたよ。ベルナベウから、前半ロスタイムにCKのこぼれ球をベイルが押し込み、マドリー再びリードの報が伝わってきたのは。 ▽おまけにアトレティコに2013年のコパ・デル・レイ優勝をもたらしたミランダが後半15分、スタンドの拍手を浴びて交代した後、ジエゴ・コスタもお役御免に。まだ練習を始めて1週間のグリーズマンと入れ替わり、2人がピッチで一緒にプレーした時間がなかったため、いえ、入団したてのFWカリニッチ(同インテル)もデビューしましたし、ジェルソンが持ち前の突破力からクロスを上げ、ビトロの強烈ヘッドがGKハンダノビッチに弾かれてしまうという惜しいチャンスもあったはあったんですけどね。 ▽対照的にマドリーの方は後半ロスタイム、いきなり浮上したインテル移籍の噂が年棒をベイル、ラモス並の1000万ユーロ(約13億円)に引き上げることで解決。ワンダでの試合後記者会見でスパレッティ監督に、「ウチは強いチーム、彼がいればとても強いチームになったろう」と言わしめることになる残留が決まったモドリッチのシュートはGKドンナルンマに弾かれながら、マジョラルが頭で決めて3点目をゲットしているんですよ。3-1でミランに勝利し、ラモスがトロフィーを掲げる予行練習をしている間、結局、アトレティコはたった1点がどうしても返せず、そのまま0-1で負けてしまったとなれば、やっぱりファンだって、あんまり元気にはなれませんって。 ▽え、実はその土曜はスペイン中でプレシーズンマッチをやっていて、マドリッドの弟分チームたちも大体、同じ時間に戦っていたんだろうって?その通りでブタルケに3年ぶりに1部に戻って来た弟分仲間のラージョを迎えたレガネスはここ2年分の貫録を示して2-0で勝利。この夏、加入した大型FWカリージョ(サザンプトンから移籍)がdoblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)と、期待を持たせる活躍をしてくれました。その反面、ラージョは水曜にも同じ1部出戻り組のバジャドリーに2-0と負けていて、日曜のリーガ開幕、セビージャ戦がちょっと不安なんですが、エスタディオ・バジェカスでなら、熱いファンの応援を頼りにできるのが慰めになるでしょうか。 ▽そして理由はよくわからないながら、その日は同じマドリッドの2部の弟分、アルコルコンのホーム、サント・ドミンゴでヘタフェもジローナと対戦していたんですが、こちらは3-3の撃ち合い。ええ、前半に2点を先行されながら、後半にはホルヘ・モリーナが反撃の狼煙を上げると、ファンペに1-3とされた後にアンヘルが2点を決め、引き分けに持ち込むことに。いやあ、グラナダ(2部)戦、ボアビスタ戦に続いて、水曜もスポルティング・ヒホン(2部)とスコアレスドローに終わった時はゴール日照りが心配された彼らですが、どうやら今季もチームのエースは不動。モリーナとアンヘルの両輪が当たる日は安心なようです。ちなみに柴崎岳選手はジローナ戦で途中出場となったんですが、今のところ、まだ移籍決定の報はないため、日曜の開幕戦、サンティアゴ・ベルナベウでの兄貴分とのミニダービーには出てくれるかもしれませんよ。 ▽そしてこれで週末までもう試合のない弟分たちにはこの1週間、練習でしっかり調子を整えてもらうことにして、最後に水曜のUEFAスーパーカップの情報もお伝えしておくことにすると。月曜にはタリンに移動するマドリーではどうやら、先発GKは入団したばかりのクルトワではなく、ナバスのよう。いえ、別に日曜のセッション前、アトレティコ時代の習慣のまま、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場入りする際、サインを求めるファンのために車を止め、5分以上もサービス。後ろで待っていたラモスの不況を買ったせいなんてことはないと思いますけどね(https://as.com/videos/2018/08/12/portada/1534086055_073771.html)。 ▽ロペテギ監督も「Keylor y Courtois no son un problema sino dos magníficas soluciones/ケイロル・イ・クルトワ・ノー・ソン・ウン・プロブレマ・シノ・ドス・マグニフィカス・ソルシオネス(ナバスとクルトワがいるのはトラブルではなく、2つの素晴らしい解決策)」と一流のGKを2人も持てるのを喜んでいましたが、当人は移籍が決まる寸前までチェルシーでの練習もボイコットしていて、新チームでのトレーニング回数も少ないですからね。残りのスタメンもほぼサンティアゴ・ベルナベウ杯のリピートで、モドリッチが入るかどうかといったところが焦点になりそうです。 ▽逆に組み合わせで四苦八苦しそうなのはシメオネ監督で王道はコスタとグリーズマンを並べることでしょうけど、補強でレマル、ジェルソン、ロドリゴと中盤やサイドの選択肢が増えているため、もう少し、当日が近づくまで予想はできないかと。うーん、今更ながら、サッカースタイルを変えることはできませんし、監督も「Es el grupo lo que harán una buena plantilla y no simplemente los buenos futbolistas/エス・エル・グルッポ・ロ・ケ・アラン・ウナ・ブエナ・プランティージャ・イ・ノー・シンプレメンテ・ロス・ブエノス・フトボリスタス(いいチームを作るのは選手たちのグループで、ただ単にいいサッカー選手がという訳じゃない)」と言っていましたしね。 ▽ボールを圧倒的に持つことになるだろうマドリーの前に耐え忍ぶのは当然としても、数少ないであろうチャンスを生かすことのできる選手を上手く起用できればいいんですが、さて。そうそう、まだUEFAの処分が残っているシメオネ監督は水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのこの試合でもベンチに入れず。まあ、昨季のEL決勝でも同じだったため、別に差し障りはないかと思いますが、いよいよマドリッド勢同士のガチンコタイトル争いですからね。一足先に日曜にはスペイン・スーパーカップがモロッコのタンジェで開催され、バルサがセビージャを2-1で破って戴冠しましたが、こちらは人事じゃないだけに、マドリーダービー前の緊張感を私もだんだん感じてきたところです。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.08.13 12:00 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】タイトル争い前の最終リハ、どっちを選ぼう…

▽「何も同じ日にプレーしなくたっていいのに」そんな風に私が愚痴っていたのは日曜日、この先、手軽に見に行けそうな親善試合の日程をチェックしていた時のことでした。いやあ、8月第3の週末から始まる今季のリーガは前代未聞のマドリッド勢1部5チーム体制とあって、これからも似たような悩みが発生する可能性は大いにあるんですけどね。折しも11日の土曜はアトレティコのインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏の親善大会)の3試合目、インテル戦がワンダ・メトロポリターノで午後8時(日本時間翌午前3時)から開催。おかげで泣く泣く、同じ時間にホームのファンへ新チームの紹介を兼ねて、レガネスがブタルケにラージョを迎えるビジャ・デ・レガネス杯を諦めることに。 ▽それがいつの間にやら、レアル・マドリーまでが土曜の午後9時(日本時間翌午前4時)から、サンティアゴ・ベルナベウ杯でミランと対戦って、うーん、すでに残り1000枚を切ったと聞くものの、10ユーロ(約1300円)という格安値段からチケットがあるため、丁度、マドリッド訪問の時期と重なるファンにはお勧めの試合なんですけどね。ユベントスから移籍したばかりの懐かしいイグアインの古巣再訪というのも魅力的ではありますが、ワンダでもインテルに行ってしまったばかりのベルサイコが見られるかもしれないし、最近の移籍市場の噂を鑑みると、同じクロアチの先輩、モドリッチなんて、どちらの試合に出るかすら、わからなかったりする? ▽え、レガネスに関してはシュダッド・デポルティバ・レガネスでの2部のマドリッド勢、アルコルコン(1-1)とラージョ・マハダオダ(3-0)との練習試合をスタンドで観戦。この水曜、唯一の海外遠征、ピレウス(ギリシャ)でのオリンピアコス戦ではスコアレスドローと健闘していたし、土曜には再び、2部のサラゴサ相手に差を見せつけて、エセキエル・ムニョス、そしてカンテラーノのオヘダとカリージョ(サザンプトンから移籍)が2発ずつ、5-2の勝利とペジェグリーノ新監督の下、着々と力をつけてきているため、あまり心配することはないんじゃないかって? ▽そうですね。レンタルでプレーした4シーズン前、いい印象を残したカクタ(河北華夏から移籍)や、昨季はレガネスにいたティト(2年前、6年間いたラージョからグラナダに移籍)が復帰と、3年ぶりのリーガ1部で戦う準備を進めているラージョにしても、水曜にはRMカスティージャ(2部BのマドリーBチーム)と親善試合。メトロ8号線フェリア・デ・マドリッド駅から歩いて30分、ベルデベバス(バラハス空港の近く)のレアル・マドリー練習場に隣接したエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノまで、私も汗だくになって行って、モンティアル、トレホ、そしてハビ・ゲラのゴールで0-3と、ミチェル監督のチームが快勝するところを見ることができましたしね。 ▽もちろん、このソラーリ監督率いるカスティージャは主力をトップチームのアメリカ遠征に駆り出されていたため、カテゴリー差以上に不利だったのは否めませんが、猛暑の中、駆けつけたラージョファンたちの熱い応援は決して途切れず。エスタディオ・バジェカス(ラージョのホーム)に行けば、今季も独特の雰囲気を味わえる予感をさせてくれたのは大きな収穫だったかと。おまけにリーガ開幕戦の相手は折しもヨーロッパリーグ予選3回戦ジャルギリス(リトアニア)との2試合を終え、いよいよグループリーグ参加に向けて、正念場となるプレーオフに頭が行っているはずのセビージャとなれば、嬉しい白星発進ができるかもしれない? ▽一方、レガネスのお隣さん、ヘタフェは水曜のグラナダ(2部)の前半で柴崎岳選手が負傷交代。その詳細情報もないまま、第2次キャンプ地のカンポアモール(アリカンテ)からポルトに移動しての金曜、ボアビスタ戦でもスコアレスドローをリピートしてしまったんですが、同日には昨季はレギュラーを務め、モロッコ代表でW杯にも参加したファジルがフランスのカーンに移籍してしまうというショックなニュースも。まあ、もう新顔が9人もいるヘタフェですから、今後はさくさくと人減らしもしていかないといけないんですが、せめてリーガ開幕戦、マドリーとのミニダービーまでは柴崎選手にいてもらえると、夏休みを利用してマドリッドに観戦に来るファンも気合が入りますよね。 ▽え、それよりクリスチアーノ・ロナウドのユベントス移籍に続き、いえ、アメリカツアーに帯同中のペレス会長など、即座に「La unica posibilidad de que salga Modric es pagando 750 millones de euros/ラ・ウニカ・ポシビリダッド・デ・ケ・サルガ・モドリッチ・エス・パガンドー・セテシエントス・ミジョネス・デ・エウロス(モドリッチが退団する唯一の可能性は契約破棄金額の7億5000万ユーロ/約970億円を払うことだ)」と拒否姿勢を見せていたんですけどね。後輩のコバチッチにしてもマンチェスター・ユナイテッドのオファーは断ったものの、移籍希望は変わっていないのに対し、すでに契約秒読みに入っていると言われていたGKクルトワ(チェルシー)すら、到着していないマドリーは何をしているのかって? ▽いやあ、先週の火曜にはマイアミでインターナショナル・チャンピオンズカップの初戦、マンチェスター・ユナイテッド戦に挑んだ彼らはアレックス・サンチェスとアンデル・エレラのゴールでリードされ、テオのアシストでベンゼマが1点を返しただけに留まったため、2-1で敗戦。その後、セルヒオ・ラモスも加わったチームは金曜にワシントンに移動し、こちらで行ったユベントス戦では、うーん、ロナウドがトリノでプレシーズン練習を続けているため、一緒に来ていなかったのも良かったんでしょうかね。 ▽前半12分にはカンセロのクロスをカットしようとしたカルバハルがオウンゴールを入れてしまい、この日も先制点を許したものの、39分にはベイルがエリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決め、ロナウドが抜けた後、攻撃陣の主役を張るのは自分だとアピールをしてくれたから、助かったの何のって。後半は交代出場した若手が発奮、ええ、今季は籍をフベニル(RMカスティージャの下のチーム)に置くことになった18歳のビニシウス(フラメンゴから移籍)のアシストを受け、22歳のアセンシオが再開2分で勝ち越しゴールを挙げると、11分にもエリア内からのシュートで3点目をゲット。そのまま、3-1で終了し、マドリーはこの夏、そしてロペテギ新監督にとっても1つ目の勝利を祝うことができましたっけ。 ▽そんな彼らはアメリカで残すところあと1試合、日曜にはニューヨークに移動して、火曜深夜26時(日本時間水曜午前9時)からのローマ戦に備えることになりますが、実はここ近日、バルデベバスの方でも動きがなきにしろあらず。ええ、先週金曜にはカセミロ、翌日にはマルセロとW杯ブラジル勢が練習を始め、日曜にはコバチッチも戻って来ましたっけ。マドリーファンが一番心配しているモドリッチについては、ロペテギ監督も「W杯の後に話して、合流は8日。それで15日に間に合うかどうか見ることになる」と言っていたように、まだマドリッドにはいないようなんですけどね。結果は天と地の差とはいえ、同じW杯決勝組のバランもその日からトレーニングですが、移籍云々はともかく、まだこのグループの選手たちはサンティアゴ・ベルナベウ杯ではプレーしないかもしれません。 ▽そしてその15日、UEFAスーパーカップでマドリーダービーを繰り広げることになる相手、アトレティコの方はというと、いえ、先週は私も木曜の午前中にマハダオンダ(マドリッド近郊)までシンガポール遠征から帰って来たチームを偵察に行ったんですけどね。遅れてプレシーズンを始めたコケ、サウール、ゴディン、ヒメネス、フィリペ・ルイスらも途中から姿を現したんですが、グラウンド内にテントを張って作った特設ジムにこもってしまったため、状態はよくわからず。その間、シメオネ監督はロドリゴ(ビジャレアルから移籍)、トマス、フアンフラン、コレア、ガメイロら以外、主流はカンテラーノ(アトレティコBの選手)の本隊に延々と守備特訓を課していましたが、いやあ、何せ、今の時期、マドリッドは気温40度という猛暑に突入してしまいましたからね。 ▽同日、午後6時30分から、全員参加の攻撃練習は普段、体を鍛えている訳でもない自分が見学などしたら、熱中症まっしぐらという確信があったため、冷房のある近所のカフェで涼むことにしたんですが、勤勉なアトレティコの選手たちは翌朝8時にもセッションを行い、その足でブルニコ(イタリア)に向かうことに。いえ、ジエゴ・コスタや新加入のアリアス(PSVから移籍)も含む、まだフィジカルのできていない南米組やリハビリ中のサビッチ、ビトロ、トマス、ビエットらはお留守番なんですけどね。月曜からはいよいよ、栄えあるW杯王者、先週まではアメリカで趣味のNBAチーム訪問をしていたグリーズマン(https://twitter.com/AntoGriezmann/status/1025467193004355591)と、父親になったばかりのリュカも加わるものの、この常軌を逸した暑さが続く限り、あまりグラウンドでハードな練習はできないかもしれません。 ▽そして日曜、キャンプ組はドイツでシュツットガルトと親善試合。ガメイロが前日のセッションで早退したため、いよいよレマル(モナコから移籍)、ジェルソン・マルティンス(同スポルティングCP)の新人アタッカー2人に加え、コケ、サウールも初先発したんですが、いやあ、やっぱりグリーズマンとジエゴ・コスタがいないアトレティコという感じでしたかねえ。押し気味に進めていた19分、コレアから最高のラストパスをもらったレマルがシュートをゴールポストに当ててしまったり、36分にもフアンフランがエリア内右奥から折り返したボールをコケはスルー、予想していなかったサウールも逃してしまい、最後はカンテラーノのオラベが天高く撃ち上げているとなれば、点がなかなか取れないのも仕方ない? ▽0-0のまま、ピッチにロドリゴ、コレア以外、トップチームのフィールドプレーヤーがいなくなった後半、10分にはモンテーロがディダビを2度も倒してペナルティを献上すると、シュツットガルトはそのディダビのPKで先制。それでも2分後にはホアキン・ムニョスがエリア前から放ったシュートが決まり、なかなか後輩たちもやるじゃないかと思わせたんですが、まさか25分には再び、アイトールがペナルティを犯してくれるとは!この試合のゴールはアーセナル戦で腕を痛めたオブラクでなく、その試合のPK戦でヒーローとなったアダン(ベティスから移籍)が守っていたため、今度は止めてくれるかもしれないと期待したところ…シュッツガルトのトミーがキックをバーに当ててくれたため、最後は1-1で引き分けることができましたっけ。 ▽いやまあ、まだ半分アトレティコBのチームですからね。この日はレマルとジェルソンが前評判通りのプレーをしてくれたため、「Este equipo ilusiona, pero debemos trabajar/エステ・エキポ・イルシオナ、ペロ・デベモス・トラバハール(このチームは期待ができるけど、ボクらはもっと練習しないといけない)」(コケ)といった通りなんですけどね。大黒柱のFWがいなくてもそろそろ、他のトップチームの選手たちにもゴールを入れてほしいというのは私の偽らざる本音だったかと。 ▽ちなみに試合後、ブルニコに戻ったアトレティコは水曜午後8時(日本時間翌午前3時)から、サルディーニャ島(イタリア)でカリアリと親善試合をして帰国の予定。ガメイロが回復すれば、今度はシメオネ監督もCFを使えることになりますが、ドルトムントから移籍金3400万ユーロ(約44億円)のオファーがあったため、ほぼまとまっていたバレンシア行きがなかなか決まらず、当人も集中できていないなんて噂もありますからね。とりあえず、ジエゴ・コスタも準備が整い、グリーズマン以外はかなり完全形に近いチームが見られそうな土曜のインテル戦まで、今季のアトレティコの得点力を判断するのはお預けにした方がいいかと。こちらも15~60ユーロ(約2000~8000円)とかなりお手頃な値段でチケットが売っているため、現地観戦したいファンにはお勧めですよ。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.08.06 12:00 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】見たい試合が見られない…

▽「ようやくマドリッドを脱出できるのね」そんな風に私が羨ましがっていたのは火曜日、7月2週目のプレシーズン開始から、ずっと地元のシュダッド・デポルティバ・レガネス(マドリッド近郊)でトレーニング。足慣らしの親善試合も2つは同じグラウンドでプレー、唯一、河岸を変えて行ったアラベス戦でさえ、ロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での開催だったため、バスで日帰りしていたレガネスが水曜のオリンピアコス戦に備え、ギリシャのピレウスに移動すると知った時のことでした。いえ、もちろん7月のマドリッドは暑かったとはいえ、午前中はまだ過ごしやすく、運動できない訳ではないんですけどね。 ▽今週後半など、いよいよ気温40度になると言われている一番暑い夕方でも湿度は低いため、ダブルセッションをして倒れる選手の話なんか、聞いたことはないものの、いくらホテル等の費用が浮くといったって、ずっと同じところで練習していたら、リーガ開幕までに選手たちが飽きてしまう恐れがなきにしろあらず。何せ、アメリカツアー中のレアル・マドリーや1週間のシンガポール滞在をしたアトレティコなどにはクラブの商業的な理由もあるんですが、同じマドリッドの弟分仲間、ラージョも先週はマルベージャ(スペイン南部のビーチリゾート)でキャンプ、お隣さんのヘタフェに至ってはこの月曜から、オリバ(バレンシア)に続いてのカンポアモール(アリカンテ)で第2次キャンプ入りしていますからね。どこも時には環境を変えて、練習がマンネリにならないようにしているだけに、レガネスもこの遠征が気分転換になってくれるといいかと。 ▽ただ、すでに10人も補強選手が到着した彼らの仕上がり状態は上々、私も正面から照りつける練習場のスタンドで観戦した、先週土曜のラージョ・マハダオンダ(2部)戦では3-0でこのプレシーズン最初の白星をゲット。先々週のアルコルコン(2部)戦とは違い、今季、5年ぶりに1部に戻ってきたバジャドリーへの移籍が近いと言われているGKクェジェルの姿はありませんでしたが、新入団組のロラン(デポルからレンタル移籍、昨季はマラガでプレー)やカリージョ(サザンプトンから移籍)らが前線に加わったチームは前半39分、エル・ザールのゴールで先制。後半はカンテラーノ(下部組織の選手)のアギレスとオヘダが追加点を挙げてくれましたが、ガリターノ前監督(今季はレアル・ソシエダを指揮)時代より、ペレグリーニ新監督のレガネスの得点力が上がったのかどうかを見極めるのはまだ、時期尚早かと。 ▽まあ、相手も2部に初昇格したばかりのチームでしたからね。そうそう、実はこの日、ラージョ・マハダオンダではアラベスからレンタル移籍してきたエンソ・ジダンが先発してたいたんですが、眩しくて私は気がつかなかったものの、マドリー監督を辞任して、今は時間があるんでしょうか。ゴール裏で立ち見する観客に混じって、お父さんが長男を応援しに来ていたそう。おかげで昔、息子のアドリアン(マラガ)がヘタフェにいた時代、元マドリーのミチェル氏(今年の1月までマラガを指揮)がよく練習場に見学に来ていて、そのうち監督になってしまったなんていう過去の逸話を思い出すことに。 ▽もちろんCL3連覇の偉業を成し遂げたジダン監督が2部のチームに収まるなんてことはありえないんですが、これまでマハダオンダ(マドリッド近郊)にあるアトレティコのシュダッド・デポルティバ・ワンダ内のミニスタジアムでプレーしていたラージョ・マハダオンダは施設の改修が追いつかず、完成するまではワンダ・メトロポリターノでホームゲームを開催することが決定。となると、今季はそちらのパルコ(貴賓席)で彼の姿を見かけることもあるかと思いますが、さて。残念ながら、アトレティコのリーガ戦は日程に合わないものの、新しいスタジアムは見ておきたいというファンにとっても、ラージョ・マハダオンダの試合はいいオプションになるんじゃないでしょうか。 ▽え、6万7000人入るワンダのスタンドは解放限定で客席を少なくするからいいとして、ラージョ・マハダオンダにしろ、相手の2部チームにしろ、あの映画館のようなプレスコンファレンスルームで監督会見するとしたら、ちょっと仰々しすぎて気の毒じゃないかって?そうですね、実はこの月曜、火曜と続けて私もアトレティコの新入団プレゼンに行ってきたんですが、今は世間も夏休み真っ盛りなのが悪かったんでしょうか。 ▽先週木曜にはW杯フランス代表の同僚、グリーズマンとリュカより一足早く休暇を切り上げてマドリッド入り、翌日からフィジカルコーチのプロフェ・オルテガの下、コケ、サウール、ジエゴ・コスタらのスペイン代表組と一緒に練習を始め、「モナコでやっていたのとは違って、もっと要求が高くて難しい」と言っていたレマルのプレゼンも、「シメオネ監督の言葉が移籍を決めるのに重要だった。チームにもっと価値を与えられると言われた」というジェルソン・マルティンス(スポルティグCPから移籍)のプレゼンもマスコミの数がいつもより控え目だったのは少々、寂しかったかと。 ▽ちなみにこの2人のサイドアタッカーの加入により、変動があったのが背番号で、レマルが11番をもらったため、コレアが1月にカラスコが中国に行って以来、空いていた10番を着けることに。またリュカがW杯王者で割り当てられた21番を移籍予定のガメイロから受け継ぎ、おかげでジエゴ・コスタがお気に入りの19番に復帰。彼が昨季つけていた18番がジェルソンに回ることになったんですが、それより、早めに埋めてもらいたいのはサガン鳥栖へ移ったフェルナンド・トーレスの残した9番ですって。というのも…。 ▽いやあ、またしても中継を見られるバル(スペインの喫茶店兼バー)は見つからなかったんですが、月曜にシンガポールでPSGと対戦したアトレティコが、またしても昨季の前半を思い起こさせるような状態だったんですよ。ええ、まさに「El futbol es contundencia, ellos la tuvieron y nosotros no/エル・フトボル・エス・コントゥンデンシア、エヨス・ラ・トゥビエロン・イ・ノソトロス・ノー(サッカーは決定力で相手にはあったが、こちらにはなかった)」とシメオネ監督も試合後、言っていた通りで、コレア、ガメイロ、ビエットが次から次へとチャンスをムダにしていたとなれば、グリーズマン、ジエゴ・コスタに続くゴールゲッターを獲得してほしいと願うのは決して自分だけではなかった? ▽おまけにその間、前半32分にはヌクンクに、後半26分にもディアビに決められ、2点ビハインドの逆境でピッチからGKアダン以外、トップチームの選手が1人もいなくなったから、ウェブでスポーツ紙のマッチログを見ていた私もこれは諦めるしかないと肩を落としたものでしたが…まさか、30分にはCKから17歳のモジェホが決め、41分にもボルハ・ガルセスのクロスがベルナーデに当たったオウンゴールでスコアが同点になったから、驚いたの何のって。でもねえ、カンテラーノたちも結構、やるじゃないかと見直した直後、ロスタイムにポストラチからボールを奪えず、決勝ゴールを決められてしまうんですもの。やっぱりまだまだ修行が足りなかった?ええ、1戦目のアーセナル戦でオブラクが腕をケガしたため、2試合連続のPK戦でparapenalti(パラペナルティ/PK止め屋)ぶりを披露してやると張り切っていたアダン(ベティスから移籍)だって、これにはどんなにガッカリしたことでしょう。 ▽結局、3-2でPSGに負け、火曜には帰国したアトレティコですが、今週からトレーニングを始めたゴディン、ヒメネス、フィリペ・ルイスも含めたチームをマハダオンダで見られるのは木曜のセッションだけ。金曜にはイタリアのブルニコへキャンプに行ってしまうせいですが、そちらから向かう日曜のシュツットガルトとの親善試合ではいよいよ、ジエゴ・コスタが出場可能になるとか。いえ、トマスなどが「Estamos deseando volver a jugar con el/エスタモス・デセアンドー・ボルベル・ア・フガール・コン・エル(ボクらはまた彼とプレーするのを望んでいる)」と言っていたグリーズマンは8月6日まで戻りませんけどね。できれば、お隣さんと対決する15日のUEFAスーパーカップまでにはガメイロ、ビエットと入れ替わりになる控えFWの獲得が済んでいると、ファンも心強いですよね。 ▽そしてその、先週土曜からマイアミにいるマドリーはどうしているかというと。移動前日にはクロース、アセンシオ、ルーカス・バスケス、ナチョ、そしてイスコもバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に駆けつけ、土曜にフロリダ・インターナショナル・ユニバーシティのグラウンドで始まったセッションからはGKケイロル・ナバスとカルバハルも現地合流したんですが、不思議なのは同じスペイン代表組、しかもアメリカ滞在中なのにまだセルヒオ・ラモスが姿を現していないこと。一応、ツイッター(https://twitter.com/SergioRamos/status/1023651991820615680)に自主トレしているビデオを上げて、「体は鍛えているよ」とアピールはしていたんですが、うーん、マルセロもまだブラジルにいるみたいですし、もしやこれってキャプテン権限の一種? ▽どちらにしろ、カセミロも含め、スペインの火曜深夜26時(日本時間水曜午前9時)から行われるインターナショナル・チャンピオンズカップ、マンチェスター・ユナイテッド戦が終わった翌日には合流するようですが、次のマドリーの試合はワシントン、土曜深夜のユベントス戦、最後のローマ戦も7日の深夜ともう、これはとてもバルに行って見られるような時間帯ではないため、すでに私はTV観戦を諦めているんですが、何せこちらは攻撃の主力、ベイルとベンゼマがプレシーズン練習開始から参加していて初戦から、出場できますからね。 ▽この夏、加入したビンチウス(フラメンゴから移籍)もデビューが見込まれるとあって、クリスチアーノ・ロナウド(ユベントスに移籍)退団後の攻撃陣を試合でチェックできないのは残念なんですが、まあこればかっかりはねえ。その他、オドリオソラ(レアル・ソシエダから移籍)やデ・トマス(昨季はラージョにレンタル移籍)ら、新顔が登場するのも楽しみですし、ここはまず、ロペテギキ新監督のお手並み拝見。朝起きてビックリな結果が出ていないことを祈っています。このアメリカ遠征終了後は移籍希望のコバチッチはともかく、モドリッチやバランのW杯決勝組も加わってまた、マドリーはバルデベバスでUEFAスーパーカップまで(おそらく非公開)練習。夏休みのマドリッド訪問で選手たちを近くで見たいファンには練習場入り口で待つという手がありますが…周囲に日影が少ないため、多分、物凄く暑いですよ。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.08.01 18:30 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】暑さも親善試合もこれからが本番

▽「もう本気モードなのね」そんな風に私が感心していたのは金曜日、前夜に行われたヨーロッパリーグ予選2回戦1stレグでセビージャがサンチェス・ピスファンで4-0と圧勝。ハンガリーのウーイペシュトにヘスス・ナバス、ベン・イェデル、サラビア、フランコ・バスケスのゴールで大差をつけ、来週木曜の2ndレグが済んだら、続く2週間での3回戦でジャルギリス(リトアニア)vsファドゥーツ(リヒテンシュタイン)の勝者と当たることをお昼のニュースで知った時のことでした。 ▽いやあ、まだこの段階では相手が相手ですし、昨季はシーズン後半の不調で最後はやっとのこと、リーガ7位の座を手に入れた彼らとて、コパ・デル・レイは準優勝、CLだって準々決勝まで進んだチームなんですから、こういう結果も全然、不思議はないんですけどね。この予選はプレーオフまである上、その隙間の8月12日にはモロッコのタンジェでの開催が決まったスペイン・スーパーカップでバルサとのタイトル争いも控えているとなれば、もしや今季から就任したマチン新監督も夏の間だけで一生分、セビージャを指揮したような気分を味わえるかも。 ▽え、灼熱のセビージャ(スペイン南部)で、異例の早期発進を余儀なくされたその様子を今季、グループリーグからのEL参加が決まっている同じ街のライバルは高見の見物と洒落込んでいるんだろうって?そうですね、折しもセビージャが今季初の公式戦に臨んだ同じ木曜、ベティスは午前中に乾貴士選手のプレゼンをベニト・ビジャマリンで開催。2週間程前、当人の日本滞在中には東京のスペイン大使館でもやったんですが、地元のファンには初お目見えとあって、4500人余りがスタンドに駆けつけるビッグイベントになったとか。 ▽記者たちの前で話した乾選手も最初は「Estoy muy feliz de estar en el Betis./エストイ・ムイ・フェリス・デ・エスタル・エン・エル・ベティス(ベティスにいられてとても幸せだ)」とスペイン語で挨拶。ただ、「Viva el Betis 'manquepierda'/ビバ・エル・ベティス・マンケピエルダ(万歳、ベティス、???)」と続けたのは意味不明で、ちょうど私もコリセウム・アルフォンソ・ペレスでベルガラ(昨季はレアル・ソシエダからのレンタルでプレー)とカブレラ(同クロトーネ)の入団プレゼンが始まるを待っていたため、顔見知りのラジオ記者に尋ねたところ、「Aunque pierda(アウンケ・ビエルダ/負けても)をアンダルシア(セビージャのある地方)訛りで言うとそうなる」とはいやはや。 ▽乾選手も早く現地に溶け込もうとなかなか、抜かりがありませんが、翌日の練習ではチームメートが彼を手荒く歓迎(https://twitter.com/RealBetis/status/1022893630116257792)。うーん、おそらく次のハードルは来週のイギリス遠征で、カナレス(レアル・ソシエダから移籍)などもやらされていた(https://twitter.com/RealBetis/status/1017143995405701121)ベティス恒例のnovatada(ノバタダ/新入団選手の通過儀礼)を済ませ、外国人には理解が難しいホアキンのchiste(チステ/ジョーク)に大笑いができるようになれば、きっと新天地での居場所が確保できますって。 ▽そうそう、何故、私がその日、ヘタフェにいたのかというと、そろそろW杯で乾選手と一緒に活躍した柴崎岳選手もプレシーズン練習に合流するんじゃないかと、チームがオリバ(バレンシア)でのキャンプから戻った月曜にもGKダビド・ソリア(セビージャから移籍)とマキシモビッチ(同バレンシア)のプレゼンを見るついでに偵察に行っていたんですけどね。その時はスポーツディレクターのニコ・ロドリゲス氏の「ガクへのオファーは来ているが、まだ選手はバケーション中。戻ってから、代理人や当人と話す」という言葉を聞いてまだ当分、帰ってこないのかと思いきや、とんでもない。 ▽木曜のプレゼン前に練習も見学しておくかと、早めにヘタフェに向かったところ、メトロでの長い道中、読んでいたAS(スポーツ紙)で前日のコンケンセ(3部)との親善試合にすでに柴崎選手が出場しているんですから、驚いたの何のって。スタジアム右横を下りたところにある練習場ではもちろん、当人も真っ黒に日焼けしたチームメートたちと一緒にpartidillo(パルティージョ/ミニゲーム)中で、引き上げる時にはヘタフェ主催のカンプス(サッカー教室)に参加している子供たちに囲まれて大変なことになっていましたが、クラブの人の話だと、もう火曜から合流していたとか。 ▽いやあ、日影もようようない練習場のため、つい私も行き渋ってしまったのが悪いんですが、何せ現在、昨季から時々、試合に出してもらっていたメルヴェイユやドゥロらカンテラーノ(ヘタフェBの選手)らも加えて、チームは26人以上の大所帯。更に金曜にプレゼンされたアレホ(エイバルから移籍)などもいて、ここまですでに1200万ユーロ(約16億円)程、補強にお金を使っているそうなので、この先は柴崎選手も含め、移籍金が見込める選手は売却して、収支を合わせないといけないのは自明の理ですからね。ただこの状態で初戦のユニオン・アダルベ(2部B)に4-1と快勝したのに続き、水曜のプレシーズン2試合目でもマタ(バジャドリーから移籍)、ホルヘ・モリーナ、ロベルト・イバニェス、ドゥロ、アンヘルのゴールで0-5の勝利と、かなり破壊力のあるチームに変貌しているのは痛し痒しといったところ? ▽ええ、ボルダラス監督も取捨選択に困るところかもしれませんが、こればかっかりはねえ。とりあえず、この先のヘタフェの予定を伝えておくと、この土曜にはタラベラ(2部B)と親善試合をした後、来週月曜からはカンポアモール(アリカンテ、スペイン南西部)から2次キャンプに入り、それ以降はずっと地元で練習。柴崎選手の姿が見られるのもいつまでになるか、わかりませんが、8月上旬にマドリッド訪問を予定している方など、クラブのオフォシャルウェブ(http://www.getafecf.com/PrimerEquipo/Entrenamientos.aspx)で練習予定を確認の上、紫外線対策を十分して、見学に行ってみるのもいいかと思います。 ▽え、それでその木曜にはお待ちかねだったアトレティコ、この夏、最初のプレシーズンマッチもあったんだろうって? その通りなんですが、W杯が全試合、オープンチャンネルで見られたのとは対照的にこのインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏の親善大会)はバル(スペインの喫茶店兼バー)に行かないとダメなんですよ。おまけに開催地がシンガポールだったため、午後1時30分という、こちらでは誰もサッカーの試合があるなんて想像もしない時間帯。探し回っても流しているお店が1軒も見つからず、結局、終わってからサマリーをチェックするだけになってしまったんですが…。 ▽まあ、彼らのサッカーは変わりません。プレシーズン初日から参加しているトップチームメンバーがたったの9人ということで、火曜にカンテラーノ(下部組織の選手)13人を連れて16時間のフライトに挑んだアトレティコでしたが、ここ2週間、シメオネ監督がガッチリ、「una estructura defensiva muy fuerte/ウナ・エストルクトゥーラ・デフェンシバ・ムイ・フエルテ(とても強靭な守備構造)」を教え込んだのが良かったんでしょうか。相手のアーセナルは昨季のEL準決勝の時同様、ラガゼットを中心に攻め込んできたんですが、最後はGKオブラクのparadon(パラドン/スーパーセーブ)x3もあって、前半は得点に至らず。その隙をついて、40分にはコレアがエリア内右奥から上げたクロスをビエットがヘッドで押し込み、ちゃっかり先制しているって、いかにも彼ららしいじゃないですか。 ▽ただオブラクから、この月曜にワンダ・メトロポリターノでプレゼンがあったアダン(ベティスから移籍)に代わってすぐ、後半1分にはアーセナルの17歳、スミス・ロウにエリア前からのシュートを決められ、同点に追いつかれてしまった時はやはり、DFラインがファンフラン以外、カンテラーノだったのが響いた風もあったんですが、ない袖は振れませんからね。トマスやガメイロが撃って、5分程は猛攻タイムもあったものの、結局、試合は1-1で終わると即PK戦に。アトレティコは最初のキッカーだったコレアがポストに当ててしまい、カンテラーノのボルハ・ガルシアもGKチェフに止められてしたまったものの、アダンが面目躍如の3人止めを披露、最後は自身もPKを決めて、1-3で勝利できたのはまあ、良かったかと。 ▽何よりの収穫はガビ(アル・サッドへ移籍)の14番を受け継いだロドリゴ(ビジャレアルから移籍)がフル出場、PK戦でも成功し、背番号に恥じない名ボランチぶりを発揮していたことでしたが、この日はアーセナルでもエジルがベンチ観戦していたように、W杯に参加した選手はどちらのチームにもいませんでしたからね。来週月曜午後1時30分(日本時間午後8時30分)からの、エムバペやネイマール、カバーニがいないPSG戦も同じような感じになるんじゃないかと思いますが、それは置いておいて。実は入れ違いでこの水曜から、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でフィジカルコーチのプロフェ・オルテガのしごきを受けているアトレティコの選手が4名いるんですよ。 ▽それはすでに月曜にはジムに顔を出していたサウールを始め、コケ、ジエゴ・コスタ、そして自由契約で移籍してきたジェルソン・マルティンス。うーん、このポルトガル代表は昨季、ウルトラ(過激なファン)が練習場のロッカールームに多数、乱入してきた事件を理由に、一方的にスポルティングCPとの契約破棄した選手の1人なんですが、この金曜になって相手がFIFAに提訴。アトレティコと選手当人に賠償金を請求しているようなので、ちょっと先行き、不安がないでもないんですが、何せ木曜にバラハス空港に到着、一緒にW杯優勝を遂げたフランス代表の同僚、グリーズマンとリュカに一足先んじて金曜から練習を始めたレマル(モナコから移籍)に7000万ユーロ(約91億円)という、クラブ史上最高額の移籍金を使ってしまったアトレティコですからね。 ▽後になってジェルソンに高いお金を払うことにならないといいのですが、戦力的には22歳のレマル同様、23歳の伸び盛りのサイドアタッカーということで、今季のアトレティコの「ワンダ・メトロポリターノでCL優勝杯を掲げる」という大望の役に立ってくれるのは間違いない?来週からはゴディン、ヒメネス、フィリペ・ルイスらの南米組も戻って来ますし、チーム本体が帰ってくる火曜以降には8月6日に戻るW杯決勝組(フランス勢とベルサイコ)以外、かなり見慣れたアトレティコらしくなってくるため、私もまた練習を見に行ってみようと思いますが…8月って、モンクロア(マドリッド市内のバスターミナル駅)からのバスが極端に少なくなるのがネックなんですよね。 ▽そしてオディオソラ(レアル・ソシエダから移籍)、ビニシウス(同フラメンゴ)、ルニン(同ゾリャ・ルハンシク)のプレゼンから、まだユベントスに行ってしまったクリスチアーノ・ロナウドの穴埋めをする大型補強に進展のないレアル・マドリーはどうしているのかというと。いやあ、彼らもすでに1週間以上、バルデベバス(バラハス空港の近く)でダブルセッションなど、厳しいトレーニングを続けているんですが、残念なことに全てがpuerta cerrada(プエルタ・セラーダ/非公開)。おかげでその様子はオフィシャルウェブ(https://www.realmadrid.com/)に上がるビデオでしか、わからないんですが、アメリカツアー出発を翌日に控えた金曜にはクロース、ルーカス・バスケス、ナチョ、アセンシオら、W杯参加組の一部が初出勤しています。 ▽いえ、他もニューヨークでブルックリン橋を自転車で渡っているビデオをアップしたセルヒオ・ラモス(https://www.instagram.com/p/BltgqgTnKpK/?hl=ja&taken-by=sergioramos)、バハマで女優の彼女、サラ・サラモさんと過ごしているイスコ(https://www.instagram.com/p/BlnLy8Cjs1k/?hl=ja&taken-by=iscoalarcon)、それこそすでに最初のマドリーの上陸地、マイアミに先乗りしたカルバハル(https://www.instagram.com/p/BlrRK9iAZ9q/?hl=es&taken-by=dani.carvajal.2)と皆、チーム合流に備えて近いところにいるようなんですけどね。さすがにインターナショナル・チャンピオンズカップの初戦、来週水曜のマンチェスター・ユナイテッド戦でのプレーを期待するのは時期尚早かと。 ▽アメリカでは5日のユベントス戦、8日のローマ戦も組まれているため、最後の辺りには見ることができそうですが、やはり注目はロナウドの去った後、今季こそは主役になれると張り切っているベイルとベンゼマ。ええ、2人共、W杯に行っていないため、ロペテギキ新監督の下、プレシーズン開始から、ずっと練習に励んでいますしね。スタイル的にもボールを持って攻撃的なサッカーと、ジダン前監督との違いもあまりないようですし、ここは彼らの活躍を楽しみにしたいところ。ちなみにマドリーの親善試合は今のところ、アメリカでの3試合しか予定されておらず、あとは8月15日のUEFAスーパーカップ前にサンティアゴ・ベルナベウ杯が入るかもしれないぐらい。 ▽何せ、19日にはもうリーガ1節、マドリッド1部5チーム体制の先陣を切って、ホームで弟分ヘタフェとのミニダービーが控えていますからね。同じ日に昇格組のラージョはセビージャとアウェイ戦、20日の月曜にはアトレティコがメスタジャでバレンシア戦、レガネスもサン・マメスにアスレティックを訪ねることになります。その一方でこの土曜午後7時にはまた、レガネスがシュダッド・デポルティバ・レガネスでラージョ・マハダオンダ(2部)と対戦するのを始め、土曜のエジプト遠征ではピラミッズFCとスコアレスドローを演じたラージョが水曜にRMカスティージャ(2部BのマドリーのBチーム)と手合わせといったように、マドリッドで見られる試合もあったりするんですが…いよいよ来週はスペインも気温40度到達の猛暑期に突入とあって、観光旅行などで来る方は覚悟しておいた方がいいですよ。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.28 14:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】大物はまだ来ない…

▽「意外と大丈夫なのね」そんな風に私がホッとしていたのは日曜日、フェルナンド・トーレスがJリーグのベガルタ仙台戦でサガン鳥栖デビューする映像をお昼のニュースで見た時のことでした。いやあ、何せ彼が日本に行ったのはたった1週間前。11日からマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でプレシーズンのトレーニングを開始したアトレティコの元同僚たちなど、まだ今週は毎日、ダブル、トリプルセッションで体力増強を図っている最中ですからね。この夏、最初の親善試合だって、この木曜にシンガポールで行われるアーセナル戦までないというのに、熱中症が蔓延する日本で彼がもう公式戦に出るなんて、とても正気の沙汰と思えなかったから。 ▽同日はイニエスタもヴィッセル神戸ので湘南ベルマーレ戦でに途中出場したようですが、あちらはもっと大変そうで、ええ、彼はW杯に参加していましたからね。古巣のバルサもそうですが、アトレティコでもスペイン代表組のコケ、サウール、ジエゴ・コスタらはチームがアジア遠征に出た翌日の水曜から、ようやく練習開始。心置きなくバケーションを満喫した後、一から体を作り出すとなれば、日本のチームは随分、無茶させると心配になったものですが、でもこれって、いい方に考えると、先週はパリでのW杯優勝祝勝行事を始め、金曜にも出身地マコンの市役所に招かれて、バルコニーで地元の人たちに挨拶(https://www.bienpublic.com/actualite/2018/07/20/macon-pres-de-9000-supporters-d-antoine-griezmann-sur-l-esplanade-(images-et-video))。お祝いの限りを尽くしていたグリーズマンの練習復帰が8月6日に予定されていたとしても、15日のUEFAスーパーカップでプレーするのは不可能ではないってこと? ▽いえ、昨季のEL準決勝アーセナル戦1stレグで退場処分を受け、4試合のベンチ入り禁止となったシメオネ監督はCAS(国際スポーツ仲裁裁判所)にも減刑を認められず、もうタリン(エストニア)のア・ル・コック・アレーナのパルコ(貴賓席)を予約したそうなんですけどね。そこはリヨンでの決勝オリンピック・マルセイユ戦でも問題がなかったことから、あまり気にすることはないと思いますが、何せ今季のアトレティコにはW杯に最終日までいたメンバーが大量4人。バロンドール受賞の可能性さえ、噂されるようになったグリーズマンを始め、フランス代表で左SBのレギュラーとなったリュカ、モナコから移籍したレマル、そして準優勝のクロアチアの右SBだったベルサイコと、バラン、モドリッチ、コバチッチだけのお隣さんより多いのは果たして自慢していいのか、ハンデになるのか。 ▽それどころか、コバチッチなど、大会中から移籍希望を公けにして、レアル・マドリーには戻って来ないかもしれないんですが、一方では先週の水曜、サンティアゴ・ベルナベウで入団プレゼンをした後、まだ16日間程残っていた休暇を返上。クラブの渉外担当ディレクター、ブトラゲーニョ氏が休暇中だったのか、右SBの先輩、アルベロア氏に付き添われていた会見で、「マドリーは歴史上、最も偉大なクラブ。Es como cuando de nino te dice tu padre si quieres ir a Disney/エス・コモ・クアンドー・デ・ニーニョ・テ・ディセ・トゥ・パドレ・シー・キエレス・イル・ア・ディズニー(父親に子供にディズニーランドに行きたいかと訊くようなもの)」と言っていたオディオソラ(レアル・ソシエダから移籍)など、その日の午後からバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションに加わることに。 ▽いやあ、彼はロペテギ監督にW杯メンバーとして、スペイン代表に呼んでもらったものの、大会では後任のイエロ監督からプレー時間をもらえず。それこそ、この度同僚となったカルバハル、ナチョの後塵を拝してしまったため、7月末のアメリカツアーから合流するライバルたちより、プレシーズンを早く始めて、ポジション争いに名乗りを挙げようという腹積もりでしょうが、当人が選んだ背番号19は昨季、カルバハルの控えだったアシュラフ(ドルトムントへ移籍)のものというのは決して偶然ではありません。 ▽そう、セバジョス(昨夏、ベティスから移籍)やテオ(同アトレティコ)といった国内チームから、実力を評価されて移籍した若手も1年目は出場機会を得るのに苦労していたことを考えると、今季はなかなか大変かもしれませんが、ピッチでのお目見えには多くのファンが駆けつけてくれましたしね。まだ22歳ですし、成長が楽しみな選手なのは確かでしょう。 ▽え、それよりマドリーではもっと若い、18歳の新鋭FWビニシウスが金曜に入団プレゼンされていなかったかって?その通りで、彼は昨年中にフラメンゴからの移籍が決まり、成人年齢になるのをブラジルで待っていたんですが、ただねえ。いくらネイマール、エムバペ(どちらもPSG)が残留宣言したからって、これを持ってクリスチアーノ・ロナウド(ユベントスに移籍)の穴埋めとするのはちょっとムリがあるかと。 ▽だってえ、当人はロペテギ監督の信頼を得ようと、先週月曜のプレシーズン初日から、意欲満々で練習に参加していますが、まだヨーロッパでのプレー経験もありませんし、実際、RMカスティージャ(マドリーのBチーム)での修行も検討されているように背番号も未定。マスコミは早くもBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)転じて、BBVを売り込みたいようですが、むしろ実戦力としてはW杯ベルギー代表で活躍したアザール(チェルシー)などの方が頼りになるかと。 ▽その一方で月曜には19歳のGKルニン(ウクライナのゾリャ・ルハンシクから移籍)のプレゼンがあるんですが、こちらはジダン前監督の次男、ルカの後を継いで第3キーパーになる予定。ケイロル・ナバスとレギュラーを懸けてガチンコ対決するはずのクルトワ(チェルシー)ともすでに合意ができ、あとはクラブ間の交渉だけと言われているんですが、何せ相手がアリソン(ローマからリバプールに移籍)を逃してしまいましたからね。古巣帰還となるチェフ(アーセナル)なり、ドンナルンマ(ミラン)なり、後任を獲得するまで、移籍はできないようで、クルトワも今はテネリフェ(カナリア諸島)でバカンスに勤しみながら、じっと待機しているようです。 ▽どうもこの辺はW杯初戦後、ダリッチ監督にクロアチア代表を追放されたカリニッチ(インテル)なり、グリーズマンのお勧めながら、ロシアでは1ゴールも挙げられなかったジルー(チェルシー)なりが到着するまで、すでにバレンシアとの交渉は済んでいるものの、ガメイロを出せないアトレティコに似ていますが、うーん、もしやそのせいですかね。5年前まではリュカと一緒にカンテラ(下部組織)にいたロドリ改め、ロドリゴ(ビジャレアルから移籍)も木曜にワンダ・メトロポリターノであったプレゼンでは、「Llevo una semana pero que semana... intensa/ジェボ・ウナ・セマーナ・ペロ・ケ・セマーナ…インテンサ(1週間いるけど、何て1週間…激しいよ)」と打ち明けていたハードトレーニングをガメイロだけ、週の途中からジムに変更。それこそ、シメオネ監督のサッカーでなければ、そんなに体力をつける必要はないということでしょうが、同様に先週最後のセッションとなった土曜の午前中もトップチームメンバーが実質8人しかいない中、ヘルプに駆り出されていたカンテラーノたちの半分がお休みをもらっていましたっけ。 ▽そしてアトレティコではロドリゴに続いて、この月曜にもGKアダン(ベティスから移籍)もワンダのプレスコンファレンスルームでプレゼンされるんですが、こちらは現在、コンサート仕様でピッチに芝がないため、ユニフォームでのお披露目はなし。要はファンはスタジアムに入れてもらえないということで、折しも時間が午前12時30分と丁度、先週はバレンシアのオリバルでキャンプを行っていたヘタフェが、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでGKダビド・ソリア(セビージャから移籍)とマキシモビッチ(同バレンシア)をプレゼンするのと重なっているんですが、同じ理由でピッチでのお決まりポーズは見られなくてもスタジアムの正面ホールにファンサービスしに選手が来てくれるだけ、弟分の方が親切かも。ちなみにマドリーのルニンのプレゼンは午後1時、知名度はなくても、サンティアゴ・ベルナベウでは選手がボールを20個程スタンドに蹴って、歓迎に来たファンにプレゼントしてくれるため、たまたまマドリッド訪問をしている方などは覗いてみるのもいいかもしれませんよ。 ▽え、先週のマドリッドはプレゼン三昧だったようだけど、一番大事なのを忘れていないかって?そうですね、実は木曜にはラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設でスペイン代表のルイス・エンリケ新監督の就任イベントがあったんですが、うーん、W杯3日前のロペテギキ監督解任の不手際からのイメージチェンジの思惑もあったんですかね。あまりに舞台が華々しかったため、私も驚いたんですが、当人は今回も16強対決で敗退となり、ここ3回の国際メジャートーナメントで結果を残せていないチームに対して、「No habra revolucion. Hay que evolucionar/ノー・アブラ・レボルシオン。アイ・ケ・エボルシオナール(革命はない。進化しないといけない)」とコメント。 ▽散々議論に挙がっているスペインのサッカースタイルについては継続で、それに自身のニュアンスを加えるそうですが、「Tiene que circular muy rapido, dando muy pocos toques/ティエネ・ケ・シルクラール・ムイ・ラピドー、ダンドー・ムイ・ポコス・トケス(ボールをとても速く回さないといけない。なるたけ少ないタッチで)」というのは私も大賛成。どちらにしろ、最初の試合はネイションズリーグの始まる9月までないとなれば、今はじっくり、スペインをまた強くする策を1年間の充電期間で愛想の良くなった元バルサの指揮官には考えてもらいたいものです。 ▽そして最後にいよいよ、始まったマドリッドの弟分チームたちのプレシーズンマッチの様子をお伝えしておくことにすると、トップバッターとなったのは金曜にキャンプ先で2部Bの後輩、ウニオン・アダルベと対戦したヘタフェ。もちろん中継なんかなかったんですが、メルベイユ、ホルヘ・モリーナ、アンヘル、マタ(1部昇格したバジャドリーから移籍)がゴールを挙げて4-1で勝利と貫録を示しています。ただまだ、この試合は本当に足慣らしみたいなもんで、この夏、加入した7選手のうち6人を使うなど、ボルダラス監督もイロイロ試しているようですが、この先もヘタフェのテストマッチは全てアウェイ。今週は再び、地元の練習場でのセッションとなるものの、リーガ開幕まで生で実戦が見られないのはちょっと残念ですね。 ▽そして翌土曜、今季からまた1部に戻って来たラージョがこちらもキャンプ先、マルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)でイングランド2部のブリストル・シティと対戦して1-0で勝利したのはともかく、夕方にはレガネスが2部の弟分、アルコルコンとシュダッド・デポルティバ・レガネスで練習試合をすると聞いて、私も足を運んでみることに。またしても真逆の入り口に行ってしまい、高速道路沿いに道なき道をグルリと回らないと施設に入れなかったのはもう、私にとって、彼らの練習を見に行く時にはお馴染みの逆境なので仕方ないとしても、正面から西日の照りつける中での観戦はご近所さんということで、丁度半々ぐらいでスタンドを満員にした両チームのファンですら、時折、雲で太陽が隠れると拍手が湧くぐらいの辛さ。 ▽おまけに隣に座ったレガネスユニ姿の地元男子ですら、「知らない選手が多すぎて全然、わからない」と嘆いていたように、私も目を細めながら、GKクェジェルやCBシオバス、11人総取っ替えをした後半にはエル・ザールやブスティンサ、グンバウ、ディエゴ・リコら、見知った顔が出て来たのを喜ぶしかなかったんですが、どうやらこのチーム、ガリターノ監督(今季からレアル・ソシエダ)からペレグリーニ監督に代わっても相変わらず、ゴールが足りていないよう。ええ、アルコルコンのGKのparadon(パラドン/スーパーセーブ)は何度かあったものの、後半33分、至近距離のシュートを何度か失敗していたエル・ザールがようやく1点を取ってくれた時には、ファンたちもどんなにホッとしたことか。 ▽それも結局、残り3分にはペレイラにエリア内から決められて、1-1の引き分けに終わってしまいましたけどね。一応、サザンプトンからレンタルで大型FWのカリージョが入ったものの、司令塔のガブリエル・ピレスもベンフィカ移籍が濃厚となった今、攻撃陣はもっと補強した方が良さそうな。そんなレガネスは水曜にアラベスとサン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)で試合した後、再び土曜には練習場で今季から2部に上がったラージョ・マハダオンダと対戦。多分、今度も午後7時からで暑いと思いますが、入場料も5ユーロ(約660円)と格安なため、時間のある方は覗いてみたらどうでしょうか。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.23 16:00 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】もう皆、練習している…

▽「これじゃ、どちらが優勝したのかわからないわね」そんな風に私が苦笑していたのは火曜日、ロシアから帰還した代表チームをザグレブの市民が街を挙げて大歓迎。選手たちがオープンデッキバスに乗って、パレードする様子をTVで見た時のことでした。いえ、日曜のW杯決勝の後には何とも言えない悲しげな表情で大会MVPのトロフィーをもらっていたモドリッチが豹変、ここ近年、4度もあったレアル・マドリーのCL優勝パレードでも見たことがない程、ノリノリでbengala(ベンガラ/発煙筒)を振り回していたのにはちょっと引いてしまわないでもなかったんですけどね(https://twitter.com/B24PT/status/1019265604480532481)。 ▽ええ、人口400万人程でしかないクロアチアにとって、史上初のW杯準優勝はお祝いするにふさわしい快挙でしたが、フランスとの決勝が行われた日曜には一足に先にブリュッセルに戻ったベルギー代表も人で埋め尽くされたグラン・プリュス(市内中心にある大広場)で3位という、同国史上最高成績を祝うイベントを開催。もちろん王道は凱旋門からシャンゼリゼ通りに30万人が集結して、1998年以来、2度目のW杯優勝を達成したチームをパリに迎えたフランスの祝勝行事なんでしょうけどね。折しもスペインでは火曜にひっそり、代表新監督に就任するルイス・エンリケ氏がAVE(スペインの新幹線)でマドリッドに到着。 ▽ラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会本部に直行すると、9月のネーションズリーグ開幕戦に向けての準備をするオフィスや練習施設を案内されていましたが、何せ今回、スペインのW杯など、7月1日の16強対決で終わってしまいましたからね。バラハス空港に到着後、散り散りになった選手たちもまだバケーション中とあって、その消息も時折、SNSで伝わってくるぐらいなんですが、まあそれは仕方ないこと。イニエスタ(ヴィッセル神戸)も火曜には日本に向かいましたし、とりあえず、今は私もW杯チャンピオンにレアル・マドリー勢がバラン1人だけなのに比べ、アトレティコ勢が加入したばかりのレマル(モナコから移籍)も含めて3人もいることを祝うぐらいしかないんですが…。 ▽ちなみに3位決定戦でベルギーがムリエル(PSG)とアザール(チェルシー)のゴールでイングランドを2-0で破った翌日、モスクワのルジニキ・スタジアムで行われた決勝がどんなだったか、ちょっと触れておくと。前半18分にはグリーズマン(アトレティコ)の蹴ったFKをマンジュキッチ(ユベントス)が頭でオウンゴールにして、フランスが先制。それでもボール支配で勝っていたクロアチアは28分、ペリシッチ(インテル)がgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めて同点に追いついたため、行方がわからなくなっていたんですが、この日のフランスには運も味方したんでしょうかね。 ▽何と38分、クロアチアのCKクリアでVAR(ビデオ審判)確認が入り、ペリシッチのハンドでPKとなったから、さあ大変。ピタナ主審がモニターを見に行っている4分間、キッカーとして待機していたグリーズマンもきっと、頭の中では2年前のCL決勝でPKを失敗。それも響いて最後は延長、PK戦の末にお隣さんに負けてしまったことを思い出していたのでは?その上、クロアチアのGKスバシッチ(モナコ)は16強対決のデンマーク戦、準々決勝のロシア戦でもPK戦で活躍したparapenarti(パラペナルティ/PK止め屋)となれば、プレッシャーもひときわだったはずですが…。 ▽見事にスバシッチの裏をかき、成功したんですよ!うーん、この日のゴールで大会4得点目だった彼ですが、ウルグアイ戦でGKムスレラ(ガラタサライ)のミスにより入ったシュート以外、他は全てPKによるものですからね。ここは大事な場面で失敗しなくなった当人の成長を喜ぶべきかと。結局、2-1とリードしてハーフタイムに入ったフランスでしたが、納得していなかったのはクロアチア勢。ええ、キャプテンのモドリッチなど、審判団がアルゼンチン人でスペイン語が通じるのをいいことに、「El penalti no era. Y la primera falta no era falta/エル・ペナルティ・ノー・エラ。イ・ラ・プリメーラ・ファルタ・ノー・エラ・ファルタ(あれはペナルティじゃなかった。最初のファールもファールじゃなかった)」と抗議してしましたが、確かにエリアの左前でブロゾビッチ(インテル)にグリーズマンが倒されたプレーについては是非が問われていましたけどね。 ▽とはいえ、後半のフランスは自慢の多民族融合パワーが炸裂。14分にはグリーズマンの折り返しをポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)が2度撃ちして追加点を挙げると、20分にもエムバペ(PSG)が4点目を決めてしまったとなれば、いえ、後でラキテッィチ(バルサ)など、「Marcaron cuatro goles en sus tres tiros a gol/マルカロン・クアトロ・ゴーレス・エン・スス・トレス・ティロス・ア・ゴル(枠内シュート3回で4点取った)」と皮肉っていましたけどね。「Nos basamos en defender como hacemos en el Atletico/ノス・バサモス・エン・デフェンデール・コモ・アセモス・エン・エル・アトレティコ(ウチのプレーはアトレティコのように守備が基本)」とリュカ(アトレティコ)も言っていたように、クロアチアの反撃をGKロリス(トッテナム)のゴールスローミスをマンジュキッチが押し込んだ1点だけに留め、4-2で勝利することに。 ▽え、この結果、フランスの優勝が決まり、2016年はCL、ユーロと続けざまに決勝で負けるという並々ならぬ悲劇を経験したグリーズマンが決勝のMVPをゲット。リベンジを果たしたのはめでたいとはいえ、だからと言って、彼が今年のバロンドール候補ナンバーワンになったというのは持ち上げすぎじゃないかって?そうですね、この大会開幕数日前にアトレティコ残留を決意するドキュメンタリー番組を公開、グループリーグ第1戦終了後の中日にはヒル・マリン筆頭株主がわざわざ、モスクワ郊外のフランスのベースキャンプに駆けつけて、リュカ共々、延長契約にサインをもらっていたのはこうなると、先見の明があったと言えますが、その時点ではまだ当人が活躍できるかどうか、定かではありませんでしたからね。 ▽逆にフランスが早期敗退でもしていれば、ただのお騒がせ男で終わってしまうところでしたが、おかげで「Estoy muy orgulloso de la decision que he tomado/エストイ・ムイ・オルグジョーソ・デ・ラ・セシシオン・ケ・エ・トマードー(自分の取った決断をとても誇りに思う)。このW杯のタイトルは全てのアトレティコファンのものでもあるし、ボクらにはワクワクする1年が待っている」(グリーズマン)と戴冠後、胸を張れていたのは良かったかと。 ▽だってえ、折しも月曜にはバロンドールのライバルの1人であるクリスチアーノ・ロナウドがトリノでユベントス入団プレゼン。当人は「Nadie en el Real Madrid estara llorando por mi/ナディエ・エン・エル・レアル・マドリッド・エスタラ・ジョランドー・ポル・ミー(レアル・マドリーでは誰もボクがいなくなったことを泣いていないだろう)」と言っていたものの、8月15日のUEFAスーパーカップに出ないことが確定しているんですよ。同じくこのW杯で候補に急浮上したモドリッチはグリーズマン同様、バケーションを短くする覚悟があれば、投票までにもう1つ、タイトルを増やせる可能性がありますが、果たしてどうなることやら。常連のメッシ(バルサ)もスペイン・スーパーカップがあるため、予断は許さないものの、彼もロナウドもW杯16強で敗退しているというのは決勝組の2人にとって、有利に働くかもしれませんね。 ▽そしてW杯の終了と共に入れ替わりでとうとう、マドリーのプレシーズンもこの月曜から始まり、ロペテギ新監督が指揮を執るバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションにはベイル、ベンゼマ以下、セバジョス、ジョレンテ、テオ、バジェホ、マジョラル、カシージャ、そして昨季はラージョで修行して戻って来たラウール・デ・トマス、新入団の18歳、FWビンチウス(フラメンゴから移籍)や19歳のGK、ルニン(同ゾリャ・ルハンシク)らが参加。でもねえ、今のところ、非公開で入れないんですよ。 ▽どちらにしろ、W杯参加組が戻って来るのは8月1日のマンチェスター・ユナイテッド戦を皮切りに3試合あるアメリカ遠征辺りからですし、エムバペも決勝後、PSG残留するつもりとコメントするなど、ロナウド放出に見合った大型補強もまだ決まっていないとなれば、いえ、噂としては「普通なら、決勝を戦うチームから選ばれるものだけど、ボクもブラジルやフランス戦ではいい試合をしたし、日本戦ではカウンターの起点となったからね」と自身の言う通り、W杯ベストGKに選ばれたクウトワ(チェルシー)獲得は来季で契約が終わることもあり、値段も3000~4000万ユーロ(約40億~53億円)と手頃。ほぼ確定ながら、アリソン(ローマ)のチェルシー到着を待たないといけないとか、そのクルトワが「ボクが行くところには絶対、連れて行くよ」と主張していた、国でもクラブでも同僚のアザールについては難航しているとか、あるんですけどね。 ▽とりあえず、W杯前に決まったオディオソラ(レアル・ソシエダから移籍)は水曜にプレゼンがあるんですが、こちらも練習合流は7月末となれば、またしても私が月曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)にアトレティコを覗きに行ってしまったとしても仕方なかった?いやまあ、こちらもinternacionales(インテルナシオナレス/各国代表選手)はおらず、トップチームの選手はGKオブラク、アダン(ベティスから移籍)、フアンフラン、トマス、ロドリ(同ビジャレアル)、ビトロ、コレア、そして退団予定のガメイロ、ビエットしかいないんですけどね。 ▽今週は朝一番、7時45分からのセッションはグラウンドでランニングなどのフィジカルがメイン、トリプルの場合は10時30分からジムが入るんですが、ボールも使う夕方の部ではフィジカルコーチのプロフェ・オルテガが「La perdemos y la robamos/ラ・ペルデモス・イ・ラ・ロバモス(ボールを失くしたら盗む)。相手に考えるヒマを与えるな」とロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)でカンテラーノ(下部組織の選手)たちにアトレティコ・サッカーの基本を説いたり、10人のフィールドプレーヤーがポジションについてチームとしての動きをマスターする演習は必ず、最後は高速で自陣エリアに戻って守ることで終了。その辺、シメオネ監督の特徴が出ていて面白かったりもするんですが、グラウンドを囲む金網の外から見学しているファンは西日を真っ向から浴びて、ちょっと辛そうでしたっけ。 ▽そんな中、ヘタフェは月曜からバレンシア(スペイン南東部)のオリバにキャンプに行ってしまい、土曜までは戻って来ず。チチソラ(ラス・パルマスから移籍)を獲った後、ダビド・ソリア(同セビージャ)も加入して、クリスタル・パレスに行ってしまったグアイタの穴を埋める正GK争いが激化したり、ボランチのマキシモビッチ(同バレンシア)に500万ユーロ(約6億6000万円)を払ったりと補強の動きも続いていますが、逆にホルヘ・モリーナやジェネが移籍するという噂もありますからね。新シーズンを落ち着いて迎えるにはまだ、時間がかかりそうですが、人の出入りが続いているのは同じ弟分、レガネスやラージョも同じかと。 ▽そのラージョも木曜からはマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)でキャンプと河岸を変えるようですが、どうやら今年も猛暑のマドリッドでずっと過ごすようなのはレガネス。今週土曜から始まるプレシーズンマッチも2部のマドリッド勢アルコルコンだったり、今季からその仲間入り、シュダッド・デポルティバ・ワンダにあるミニスタジアムの改修が済むまで、ワンダ・メトロポリターノでリーガを戦うことがきまったラージョ・マハダオンダといった近隣のチームが多いのも交通費が節約できるから?そろそろ、スペイン各地では1部チームの親善試合も始まっているため、観光などで来る機会のあるファンはマルカ(スポーツ紙)の予定表(http://www.marca.com/futbol/primera-division/2018/07/03/5b3a5613ca474190178b45bf.html)などを参考に立ち寄ってみてもいいかもしれませんね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.18 11:00 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】W杯はまだ終わってないけど…

▽「グリーズマンとモドリッチ、優勝した方がバロンドールっていうのはちょっと、気が早いんじゃ」そんな風に私が疑問を覚えていたのは金曜日、W杯準決勝が終わるやいなや、スペインのマスコミが一斉に今年こそ、10年間続いたクリスチアーノ・ロナウドとメッシのバロンドール独占状態に終止符が打たれるんじゃないかという論調になっているのに気がついた時のことでした。いやあ、確かにロシアでの2人はあまりいいところを見せられず、ポルトガルもアルゼンチンも16強対決で姿を消していますけどね。 ▽でもこの賞って、近年では2006年W杯で優勝したイタリアのキャプテン、カンナバーロ(この年にユベントスからレアル・マドリーに移籍)が受賞なんて例外はあるものの、必ずしも国際メジャートーナメントに優勝したチームから選ばれる訳ではなく、スペインが戴冠した2010年もチャビやイニエスタを抑えてメッシ。むしろ、クラブでのタイトルやゴール数が決め手になっている節もなきにしろあらずかと。となると昨季、マドリーでCL3連覇、自身も6年連続のCL得点王となったロナウドやバルサのdoblete(ドブレテ/リーガとコパ・デル・レイの2冠優勝)に貢献、34得点でゴールデンシュー(ヨーロッパの得点王)をゲットしたメッシの方が断然、有利に見えるんですが、もしや世間もそろそろ、表彰台に違う顔を望んでいる? ▽ちなみにその、新たなるバロンドール候補が誕生することになった準決勝がどんなだったか、ちょっと説明しておくと、火曜にベルギーと戦ったフランスは後半6分、グリーズマン(アトレティコ)のCKをウムティティ(バルサ)がヘッドで決めて先制。相手も今大会、最多得点を誇るチームとあって、キャプテンのアザール(チェルシー)を中心に必死で反撃したんですが、「CKからゴールを入れた後、ウチはよく守った。ちょっとアトレティコみたいで、家にいるような感じがしたよ)」(グリーズマン)というフランスが逃げ切って、1-0で決勝のチケットを手に入れることに。 ▽え、そんな勝ち方じゃ、ベルギー側から文句が出なかったかって?そうですね、決勝点となったゴール以外、何度もparadon(パラドン/スーパーセーブ)でチームを救っていたGKクルトワ(チェルシー)など、「試合の時々ではジルー(マンチェスター・ユナイテッド)やグリーズマンら、FWの選手たちが自陣ゴールから35メートルのところにいた」と全員で守備固めをしていたのを皮肉っていたりしたんですけどね。それには丁度、入れ違いで、一緒にシメオネ監督の下でプレーしたことのなかったせいか、グリーズマンも「アトレティコでリーガに優勝したくせに。今いるチェルシーはきっと、バルサみたいにプレーするんだろう」と、これまた手厳しいこと。まあ、16強対決で敗退したスペインもそうでしたが、ボールを握って主導権を取りたいチームにとって、今回は難しい大会になっているのは本当のようです。 ▽おかげでデシャン監督も「未だに2016年ユーロ決勝の傷は癒えていない」と言っていたように、2年越しのリベンジに挑むことになったフランスですが、何せ、当時はグリーズマンがCL決勝でお隣さんに負けた後、自国開催のユーロでもロナウドのいるポルトガルにトロフィーを持って行かれるという、不運ぶりでしたからねえ。翻って、ヨーロッパリーグに優勝した今年はその勢いを借りて、フランスに2度目のW杯制覇の栄光をもたらすことができれば、「彼はジダンのようなレジェンドになる途中」というポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)の言葉を裏付けることになる? ▽更に同僚のエムバペ(PSG)を抑えて大会MVP、冬にはバロンドールなんてことになったら、W杯開催直前までバルサ移籍か、残留かわからず、イライラさせられたアトレティコファンもきっと、自慢に思えるに決まってますって。ただねえ、翌水曜には序盤のFKから、トリピア(トッテナム)に直接決められ、イングランドに先制を許したものの、後半にはベルサイコ(アトレティコ)のクロスをペリシッチ(インテル)が同点ゴール。16強対決から、3試合連続の延長戦に突入すると、今回はPK戦ではなく、延長後半4分、こちらも元アトレティコのマンジュキッチ(ユベントス)が決勝点を挙げて、2-1で決勝初出場となったクロアチアを牽引するのは奇しくも3年連続、4度目のCL優勝をしたばかりのモドリッチ(マドリー)なんですよ。 ▽となると、日曜午後5時(日本時間翌午前零時)から、ルジニキ・スタジアムで彼がこれまで通りに活躍。クロアチアが優勝すると、個人の賞でもあちらが有利という見方がされていますが、こればっかりはねえ。ちなみにどちらの側にもマドリー(バランとモドリッチ)勢、アトレティコ(グリーズマン、リュカ、レマルとベルサイコ)勢、バルサ(ウムティティ、デンベレとラキテッィチ)勢がいるというのは、リーガのファンにとっては喜ばしいことではないでしょうか。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週はマドリッドでも色々、動きがあって、W杯開幕2日前に解任されたロペテギ監督の後を継ぎ、ロシアで4試合の指揮を執ったイエロ監督が続投どころか、スポーツディレクター復帰も固辞。その結果、月曜にサッカー協会に指名されたルイス・エンリケ氏のスペイン代表監督就任プレゼンは来週木曜の予定なのでまだいいんですが、火曜午前中にはアトレティコを退団したフェルナンド・トーレスがサガン鳥栖入団を自身の経営するスポーツジムで発表することに。「近日中に日本に行って、来週にはプレーしたい。El del dia 22, seria mi debut en casa/エル・デル・ディア・ベインティドス、セリア・ミ・デブー・エン・カサ(22日がボクのホームデビューになるだろう)」と言っているのを聞いた時には、たった1週間のプレシーズン練習で大丈夫なんだろうかと不安を覚えたものですけどね。 ▽それどころか、同日午後にはとうとうロナウドのユベントス移籍が正式に決まり、いえ、当人は相変わらず、ギリシャでバカンス中。声明もマドリーのオフィシャルページに掲載された「人生で新しいステージを始める時期が来たと思う。Y por eso he pedido al club que acepte traspasarme/イ・ポル・エソ・エ・ペディードー・アル・クルブ・ケ・アセプテ・トランスパサールメ(だから、クラブに移籍を受けて入れてくれと頼んだ)」という手紙だけなのは素っ気なさすぎるきらいもあるんですが、どうやらそれはマドリーが提案したお別れイベントに出席するのを当人が嫌がったからだとか。 ▽うーん、昨季後半からずっと退団の噂はありましたが、この9年間、あれだけゴールとタイトルをもたらしてくれた選手ながら、5月末のCL優勝祝賀の時などを除いては、サンティアゴ・ベルナベウのスタンドから熱心な「Quedate!/ケダテ(残留して)」のコールが聞かれることもありませんでしたしね。ペレス会長同様、ファンもそろそろ、新しいギャラクティコを欲していた?今のところ、ネイマール(PSG)だの、エムバペだの、アザールだの、候補の名前は挙がってはいるものの、大物選手の移籍には時間がかかるのが定番ですからね。とりあえず、ベルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でプレシーズンのトレーニングがスタートする来週には、スペインがロシアから帰って来て早速、入団が決まったオディオソラ(レアル・ソシエダから移籍)のプレゼンを期待したいところです。 ▽そして水曜には今週頭から、マドリッド勢の先頭を切ってプレシーズン入りしたレガネスをシュダッド・デポルティバ・ブタルケ(メトロ5号線アルーチェ駅からバス15分)に偵察に行った私でしたが、いやあ、昨季途中から建設が進んでいた新グラウンドにはファンが座って見学できるスタンドもオープン。去年、初めて訪れた時には市営総合スポーツ施設の一角で細々、隣でテニスサークルなどがプレーしているのを横目で見ながら練習していたのと比べると、凄い進歩なんですが、行くたびに入り口が変わるってあんまりじゃない?その日も大回りすることになったんですが、幸い新任のペレグリーニ監督がpartidillo(パルティデージョ/ミニゲーム)中心のセッションを率いているのには間に合いましたっけ。 ▽おまけに彼らはすでに10人近く、新しい選手を獲っているとあって、グラウンド脇にこちらも新しく建てられたクラブハウスにあるプレスコンファレンスルームで今週は毎日、2人ずつ、プレゼンが行われているんですが、やはり入れ替えの多い弟分チームだからでしょうね。お隣さんのヘタフェも仕事始めの木曜にはGKチチソラ(ラス・パルマスから移籍)以下、新入団選手の4人を一気にプレゼン。それでもまだ、金曜に決まったGKダビド・ソリア(同セビージャ)を加えて、まだ数名、顔見せが遅れている選手がいるんですが、レガネスと一緒で多くを2部や2部B、下のカテゴリーから獲っているため、ファンに名前を覚えてもらうのにはちょっと時間がかかるかと。 ▽久々にコリセウム・アルフォンソ・ペレス(メトロ・スールのロス・エスパルタレス駅から徒歩1分)に駆けつけた私もいい機会だったので、気になっている柴崎岳選手の先行きについて、マルカ(スポーツ紙)の番記者などに探りを入れてみたんですけどね。「ドルトムントが興味を持っているという噂を聞いたぐらい」ということで、今のところ具体的なオファーについては不明。チームはその日の夕方、スタジアム右脇を下って行ったところにある練習場で初セッションを行ったとはいえ、W杯に参加していた当人も今月遅くまでは合流しないとあって、もし移籍が決まるとしてもちょっと時間がかかるかもしれませんね。 ▽そして金曜にはマハダオンダのシュダッド・デポルティバ・ワンダ(メトロ3、6号線モンクロア駅からバスで20分)でアトレティコのプレシーズンを見学してきた私だったんですが、何せ、まだロシアにいるメンバーを含め、W杯組が総勢10名と多いですからね。そこからトーレスやガビ(アル・サッドに移籍)が抜け、水曜に始まったセッションには今季から加わったロドリ(ビジャレアルから移籍)とGKアダン(同ベティス)を含めても10人しかトップチームのメンバーいないとあって、シメオネ監督は17人ものカンテラーノ(下部組織の選手)を徴用。しかもガメイロ、ビエットは移籍予定、昨季終了後に恥骨炎の手術をしたサビッチはジムでリハビリとあって、あまり見知った顔がいないのは寂しかったんですが、2時間近く続くトレーニングは半分以上がフィジカルトレだったのさすが。 ▽手を変え、品を変え、様々なエクササイズを課すフィジカルコーチのプロフェ・オルテガの指示に不慣れなロドリなどが戸惑い、先輩のビエットが丁寧に教えてあげていたのが印象的でしたが、アトレティコでのプレシーズンは初体験のビトロ(FIFA処分で選手の新規登録ができなかった昨季は前半ラス・パルマスにレンタル)と共にしっかりついていっているのはやはり、例年、脱落者の出るロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)キャンプ程のハードメニューではなかったせい? ▽まあ、本格的なチーム練習も25日過ぎ、現在はタンザニアに新婚旅行中(https://twitter.com/BEATRIZESPEJEL/status/1017135440137203714)のコケやイビサ(地中海のリゾートアイランド)でバケーション中のサウール(https://twitter.com/saulniguez/status/1017859287882829830)ら、スペイン代表組以下、ゴディン、ヒメメス(ウルグアイ)、フィリペ・ルイス(ブラジル)らが合流する、シンガポール遠征の後でないとできないでしょうしね。今はできるだけ体力をつけてくれるだけでいいんですが、マドリッドは猛暑とあって、見ているだけでこちらが消耗してしまうのは辛いですよね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.14 12:15 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】今年は地元で始めるチームが多い…

▽「月曜の朝7時45分?」そんな風に私が驚いていたのは日曜日、そろそろマドリッドのクラブのプレシーズン練習開始日を確認しておくかと調べていたところ、弟分のレガネスがこの週明けから、シュダッド・デポルティバ・ブタルケ(メトロ5番線のアルーチェ駅からバスで10分)に集まることがわかった時のことでした。いえ、昨季のメンバーから、レンタルや契約が終わった11人が退団。すでに入団が決まった6人の新人を含め、レアル・ソシエダへ行ってしまったガリターノ監督に代わって指揮を執るペジェグリーノ新監督の下、メディカルテストなどを終えた選手たちがグラウンドに姿を現すのは午前9時からのようですけどね。 ▽ラージョも昇格して加わり、史上最多の5チームとなったマドリッド勢でどこより早くスタートする辺り、今季こそ、ここ2シーズンの定位置だった降格圏ギリギリの17位から脱却を目指す意気込みを感じられて好ましいんですが、実はリーガではもう、先週木曜に動き出しているチームがあるんですよ。それは現スポーツディレクターのカパロス氏が暫定監督となり、昨季終盤の数試合で8位のヘタフェに差をつけてヨーロッパリーグ出場権を獲得。その予選2回戦1stレグを26日に迎えるセビージャなんですが、彼らには8月2日の2ndレグの後、例年通り、5日と12日の2試合制にするか、サッカー協会の提案した中立地、モロッコのタンジェで12日に一発勝負とするか、まだ結論が出ていない、バルサと対戦するスペイン・スーパーカップ(バルサがリーガとコパ・デル・レイ2冠だったため、コパ準優勝のセビージャが出場)も控えているとなれば、仕方がなかったかと。 ▽そのおかげでヘタフェの方は8月第3週のリーガ開幕まで公式戦がないため、スタートは今週木曜、W杯に16強対決まで参加していた柴崎岳選手も移籍していなければ、16~21日のカンポアモール(スペイン南東部)での第1次キャンプの後、30日から始まるセゴビア(マドリッドから1時間の高原地帯)キャンプ辺りから参加とゆっくりしていられるんですが、折しもその前日、水曜にはラージョもシュダッド・デポルティバ・ラージョ・バジェカーノ(メトロ1号線ビジャ・デ・バジェカス駅から徒歩15分)で活動開始するよう。こちらも19日にマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)キャンプに行くまで、暑いマドリッドでトレーニングとなりますが、ちょっと心配なのは木曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)のシュダッド・デポルティバ・ワンダに集まるアトレティコ。 ▽というのもこの夏は恒例のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(セゴビアにある高原リゾート)での地獄のキャンプを行わず、2週目からは車で5分のACラ・フィンカ・ホテルで合宿するようですが、このところかなり気温が上がってきたマドリッドですよ。そんな中、ダブル、トリプルセッション当たり前のフィジカルトレをやるのはどう考えても自殺行為じゃない? いえ、まだロシア滞在組もいますし、先週月曜に帰国したスペイン代表のコケ、サウール、ジエゴ・コスタもこのステージには参加しないんですけどね。更に23日から30日まではインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏の国際親善試合)でアーセナル、PSGと試合するため、シンガポールに滞在となったら、お隣さんにはとても叶わないテクニックの差を補うための体力は一体、どこでつけたらいいんでしょう。 ▽うーん、その後は8月3日から10日までイタリアのチロル地方でキャンプするようですけどね。それより深刻になのは8月15日にCLチャンピオンのレアル・マドリーとエストニアのタリンでUEFAスーパーカップのタイトルを懸けて、この夏の初公式戦に挑むELチャンピオンですが、金曜のW杯準々決勝ではウルグアイとフランスでアトレティコ勢が対決。軍配は後者に挙がり、ゴディンとヒメネスが大会を後にしたものの、この先は3位決定戦もあるため、グリーズマン、リュカ、レマル(モナコから移籍)の3人がほぼ間に合わないって、かなり困るかも。 ▽ちなみにその試合がどうだったか、簡単にお伝えしておくと、フランスは前半40分、「ボクが頼んだ通り、グリーズマンは完璧なFK蹴った」というバラン(マドリー)のヘッドで先制。後半16分にも今度はグリーズマンが直接ゴールを狙ったところ、GKムスレラ(ガラタサライ)が弾き損ね、リードが2点になったから、ビックリしたの何のって。いえ、当人は「Les tengo mucho respeto, tenia delante a amigos y companeros/レス・テンゴ・ムーチョ・レスペート、テニア・デランテ・ア・アミーゴス・イ・コンパニェロス(彼らをとてもリスペクトしているし、前にいたのは友達でチームメートだった)」という理由でこのゴールを祝わなかったんですけどね。 ▽それにも関わらず、ルイス・スアレス(バルサ)など、「Para que vean que no es uruguayo, es frances y nos hizo un gol/パラ・ケ・ベアン・ケ・ノー・エス・ウルグアジョ、エス・フランセス・イ・ノス・イソ・ウン・ゴル(彼はウルグアイ人じゃなくてフランス人だってわかったろう。ウチにゴールを入れた)」と文句を言っていましたが、そりゃあそうですよ。いくらレアル・ソシエダ時代にウルグアイ人監督や選手たちから薫陶を受け、それから常にマテ茶のカップとポットを手放さず。アトレティコ残留を決める際にもゴディンの影響が大きかったそうで、ウルグアイを第2の祖国と慈しむグリーズマンとはいえ、「Pero esto es el futbo/ペロ・エスト・エス・エル・フトボル(でもこれはサッカー)」ですからね。 ▽一方、16強対決のポルトガル戦でカバーニ(PSG)が負傷、この試合に出られなかったことも響き、0-2のまま終盤を迎えたウルグアイではFKの際に壁を作っていたヒメネスが、「敗退して応援してくれたウルグアイの人たちに何も返してあげられないと思ったら、辛くて」と早くも涙モードに突入。これには今回のW杯フランス代表で成長著しい、同じDF仲間のリュカが試合後、「He ido a hablar con ellos cuando les he visto llorando/エ・イドー・ア・アブラル・コン・エジョス・クアンドー・レス・エ・ビストー・ジョランドー(泣いているのを見たから、彼らと話しに行ったよ)」と思いやりを見せていましたが、大丈夫。リュカより1つ年上とはいえ、まだヒメネスは23歳ですからね。しかも4年前のブラジル大会から出場しているとなれば、この先もチャンスはきっと、複数回ありますって。むしろ32歳のゴディンの方が気の毒な気がしますが、とにかく今はゆっくり休んで、UEFAスーパーカップに備えてほしいものです。 ▽そして同日、次の準決勝ではブラジルが元アトレティコのGKクルトワ(チェルシー)、アンデルベイレルト(トッテナム)、カラスコ(大連一方)らのいるベルギーに1-2で敗退。出場停止だったカセミロの代わりに入ったフェルナンジーニョ(マンチェスター・シティ)のオウンゴールとデ・ブルイネ(同)の一発でリードされ、後半はレナト・アウグスト(北京国安)が1点を返したものの、最後のネイマール(PSG)のシュートもこの夏、マドリー入団を決めるにふさわしいのは自分の方だという、競争心があったんでしょうかね。別れた彼女とマドリッドに住むお子さん2人の側にいたいクルトワにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、カセミロ、マルセロ(マドリー)、フィリペ・ルイス(アトレティコ)の3人を新シーズン最初のダービーに間に合うべく、帰してあげることに。 ▽え、となると火曜午後8時(日本時間翌午前3時)からの準決勝1戦目はフランスvsベルギーとなって、クルトワには再び、マドリーの補強候補として挙げられているエムバペ(PSG)を阻む任務が課せられるんじゃないかって?まあ、そうなんですけど、ブラジル戦でチェルシー行きが濃厚となっているGKアリソン(ローマ)との差は見せつけることができましたし、来季で契約が切れる彼の移籍金は4000万ユーロ(約52億円)と比較的安いですからね。大体、そんなこと言ったら、代表でも同じチームのエデン・アザール(チェルシー)が今大会での活躍度も高く、一番のライバルとなってしまうんですから、ここは攻撃陣と自分は違うという割り切りが大事かと。 ▽それより翌土曜、0-2で勝ったスウェーデン戦だけでなく、コロンビアとの16強対決のPK戦で大きく評価を高めたイングランドの新星、24歳のGKピックフォード(エバートン)の方が要注意で、いえ、グループリーグ最終戦でヤヌザイ(レアル・ソシエダ)にゴールを許した際には「ボクなら止められたけど、彼は10センチ身長が低いからね」と揶揄。更にブラジル戦後も「背の高さをからかった訳じゃないよ。ただボクは彼より15センチ大きいから、届いただろうって言っただけ」と全然、フォローになっていないことをクルトワは言っていましたが、199センチの彼から見れば185センチは小さくても、マドリーのペレス会長はW杯でスターになった選手がお気に入りですからね。 ▽2010年にはドイツのエジル(アーセナル)、2014年にはコロンビアのハメス・ロドリゲス(バイエルン)加え、正GKのケイロル・ナバスもコスタリカを準々決勝まで導いたのを高く評価されて入団という例もありましたから、むしろ、イングランドと決勝や3位決定戦で当たった場合を考えていた方がいいかもしれませんよ。 ▽そして準決勝進出最後のチームはクロアチアだったんですが、何より驚かされたのは16強対決でスペインを破ったロシアの変わりよう。この日は積極的に攻勢に出て、前半31分にチェリシェフ(ビジャレアル)のエリア外からのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で先制した後こそ、自陣で守り倒す態勢に入り、一時はクロアチアも無限ロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)状態になりかけたんですけどね。それでも辛抱強くスルーパスを狙ったり、ベルサイコ(アトレティコ)が右サイドからエリアにクロスを送ったりと努力を続けた結果、40分にはカウンターからマンジュキッチ(ユベントス)が敵エリア奥に切り込み、クラマッチ(ホッフェンハイム)の同点ヘッドを呼び込んでしまったとなれば、やっぱりスペインには創意工夫が足りなかった? ▽ただその後は両者とも追加点が取れず、延長戦前半にビダ(ベシクタシュ)が勝利に決定的とも思えるゴールを奪ったものの、後半にブラジル出身のマティアス・フェルナンデス(CSKAモスクワ)に頭で決められて、どちらも2試合連続となるPK戦に突入。第1キッカーのスモロフ(クラスノダール)がGKスバシッチ(モナコ)に弾かれた後、クロアチアもコバチッチ(マドリー)が失敗してイーブンになったんですが、ロシアは次のマティアス・フェルナンデスが枠を外してしまったのが運の尽きでした。ええ、クラブの先輩、モドリッチも危ないながら決めて、最後はデンマーク戦同様、ラキティッチ(バルサ)が勝負に決着をつけてくれましたっけ。 ▽これで水曜の準決勝はクロアチアvsイングランドとなったんですが、移籍希望を表明しているコバチッチはまあ、いいんですけどね。ここまでW杯の5試合で3回、MVPを受賞しているモドリッチが決勝翌日、来週月曜から、バルデベバス(バラハス空港の近く)で始まるマドリーのプレシーズントレーニングはもちろんのこと、8月1日のマンチェスター・ユナイテッド戦、5日のユベントス戦、8日のローマ戦といったインターナショナル・チャンピオンズカップのアメリカ遠征にも間に合わず、UEFAスーパーカップ前後にチーム合流というのはアトレティコファンにとって、いいニュースじゃないかって? ▽そうですね、ロシア戦の延長戦で交代となったベルサイコの容体が気にならなくもないんですが、中盤は先日、ガビがアル・サッド(カタール)へ移籍となったものの、ロドリ(ビジャレアルから移籍)も加入していますし、W杯に行っていないトマスやロシアではプレー時間をまったくもらえなかったサウールもいるため、ちょっと強気になっていいかも。 ▽それどころか、ここ数日、お隣さんではポルトガルが16強対決でウルグアイに敗退したため、早帰りとなったクリスチアーノ・ロナウドのユベントス移籍が秒読みとされていて、契約破棄金額は10憶ユーロ(約1300億円)ながら、マドリーは1億ユーロ(約130億円)でOKしているとか、トリノで済む豪邸もすでに決まっているとか、おかげでユーベの株価が30%も上がったとか、イロイロ話は聞くんですが、当人は家族とギリシャでバカンス中。 ▽ペレス会長が昨年のCL優勝後に約束した年棒アップがなかったことや、PSGにはネイマールのため、3億ユーロ(約390億円)の移籍金を払うつもりなのに、自分はその3分の1の値段をつけられたことなど、クラブ幹部との確執がかなり深いようなので、近日中に決まってもおそらく、サンティアゴ・ベルナベウでのお別れセレモニーはないかと思いますが、いやあ、これはスペイン代表をW杯2日前に解任されて以来、マドリーの業務に専念しているロペテギ新監督もちょっと貧乏クジを引いた感じですかね。 ▽といっても、ロナウド移籍を期に5月のキエフでのCL決勝でも2得点を挙げたベイルが奮起することになるのかもしれませんし、フランス代表に呼ばれていないベンゼマも休養十分。ドイツの予想外のグループリーグ敗退で早期帰国しているクロースやセルヒオ・ラモス、イスコ、ルーカス・バスケス、ナチョ、カルバハルらのスペイン勢がギリギリ戻って来るとなると、決して楽観はできませんが、何せUEFAスーパーカップはまだ遠い先。とりあえず今は私もW杯の決着がつくのを待ちながら、各チーム始動の様子を見守っていくことにしましょうか。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.09 14:00 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】盛り上がるどころじゃなかった…

▽「本当にスペインのW杯、終わっちゃったんだなあ」そんな風に私が実感していたのは火曜日、ワンダ・メトロポリターノのプレスコンファレンスルームでアトレティコのコケとサウールの姿を見た時のことでした。いやあ、今季は第3キャプテンに任命される予定のフアンフランと共に、折しもスペイン代表チームのチャーター便がバラハス空港に着いた翌日だったため、アル・サッドへの移籍が決まったカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)の大先輩、ガビのお別れ会見に花を添えるべく、これからバケーションでどこかに行くはずだった2人もこれ幸いと駆けつけたんでしょうけどね。 ▽ええ、主役が「18年間、このクラブにいて、多くのチームメートは自分よりいい選手だったけど、誰よりアトレティコのカラーを守ってきたと思う。負けると誰より苦しんだし、滅多にない喜びもあった。El Atlético es una manera de vivir/エル・アトレティコ・エス・ウン・マネラ・デ・ビビール(アトレティコは1つの生き方だからね)」と感動的なスピーチを行った後、3人のチームメートも壇上へ。スペインの敗退が決定した日曜のルジニキ・スタジアムでは1時間以上泣いていたというコケが再び声をつまらせて、「Eres como un hermano mayor/エレス・コモ・ウン・エルマーノ・マジョール(お兄さんみたいな存在だ)。次のアトレティコの監督は君だろうから、準備しておいて」と、一足飛びにまだカタールで一花咲かせるつもりの34歳を引退扱いしていたのには苦笑いしたものの、まあ、当人もあのロシア戦のせいでまだ頭の中がグルグルしていたのかも。 ▽おまけに続いて始まったプレスへの質疑応答では、こちらも一緒の飛行機で帰って来たんでしょうか。週末まで毎日、クアトロ(スペインの民放)のW杯番組で現地からスペインのレポートをしていた記者が挙手。「あのPK失敗の後、コケにどんな言葉をかけましたか?」なんてガビに訊いて、生々しい傷をえぐっていましたが、そりゃあ予定より、2週間も早くロシア滞在が終わってしまったんですものね。実際、私もいきなりポッカリ空いてしまったスケジュール帳に来週の半ば、アトレティコとヘタフェがプレシーズンを開始するまで一体、何を楽しみすればいいんだと困っているのは同様だったんですが…。 ▽いえ、話は順番に進めていかないといけません。いよいよW杯16強対決が始まった先週末は初日から、メッシ(バルサ)のアルゼンチンがグリーズマン(アトレティコ)のPKによる先制点に加え、パバール(シュツットガルト)やエムバペ(PSG)ら、若手が躍動したフランスに4-3で敗退。クリスチアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)のポルトガルもカバーニ(PSG)の2発に沈んでしまったため、金曜午後4時(日本時間午後11時)からの準々決勝でいよいよ、グリーズマン、リュカとゴディン、ヒメネスの身内対決が実現することになったのにはちょっと、複雑な心境になったものでしたけどね。 ▽それでも土曜の2試合はどちらもテンポのいいゲームでしたし、さすが決勝トーナメントにもなるとW杯も面白い試合が多いと喜んでいたんですが、いやあ、参りましたよ。確かにグループリーグでも高いポゼッションをなかなか得点に繋げられず、とりわけイラン戦やモロッコ戦ではイライラさせられたスペインだったんですけどね。そのせいもあってか、イエロ監督は3試合で5失点という、守備面の不安を重要視したよう。CL決勝でのケガが治ったばかりのカルバハル(マドリー)をナチョ(同)に、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)をコケにしてみたんですが、それでも良かったんですよ。前半11分、FKにセルヒオ・ラモス(マドリー)と一緒に倒れ込んだイグナシェビッチ(CSKAモククワ)のふくらはぎがボールに当たり、スペインがオウンゴールで先制点をゲットするまでは。 ▽もちろん、早々にリードできたのは私も嬉しかったんですが、そこから始まったのが永遠のロンド(輪の中に入った選手がボールを奪うゲーム)地獄。というのも、「3CBでプレーするのは好きじゃないが、出場停止者があってそうするしかなかった。選手たちに理解させるために沢山、話したよ」という、チェルチェソフ監督が敷いたロシアの自陣を固める絶対守備態勢はその後も変わらず、スペインはまったく敵ゴールに近づけなかったから。おかげでブスケツ(バルサ)、ラモス、ピケ(バルサ)、コケ、そしてバックパスという外縁ループばかりが繰り返されるって、だってえ、その間、ピッチで走っている選手が皆無なんですよ。 ▽そうこうするうち、いくら「ハイボールをエリア内に落としたり、クリアミスを狙ったりする方が楽なチームもあるが、eso no lo hace Espana/エソー・ノー・ロ・アセ・エスパーニャ(スペインはそんなことはしない)」(イエロ監督)というティカタカ(ショートパスを繋ぐスペインのプレースタイルの愛称)信奉者の彼らでも、ここまで退屈な試合は未だかつてなかったと、いい加減、自分も鳥肌が立ってきた頃に災厄が起きたんです。ええ、たまにボールが回って散発的な攻撃を試みていたロシアがCKのチャンスを獲得したんですが、長身ジュバ(アルセナル・トゥラ)のヘッドをピケが伸ばした腕に当て、ハンドでPKを献上してしまったから、さあ大変! グループ3試合で1セーブしかしていないGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)がジュバに破られて、ハーフタイムまで5分を残してスペインの貯金はなくなってしまうことに。 ▽同点で始まった後半もあまり状況に変化はなく、いえ、前半の接触プレーでケガをしたナチョがカルバハルに代わったのは別ですが、22分にはイエロ監督が「長丁場になると思い、espere al minuto 70 porque veia que ahi empezaba otro partido/エスペレ・アル・ミヌート・セテンタ・ポルケ・ベニア・ケ・アイー・エンペサバ・オトロ・パルティードー(別の試合が始まる70分を待った)」という理由で今大会、初めてベンチスタートとなったイニエスタ(ヴィッセル神戸)がシルバ(マンチェスター・シティ)に代わって入ったんですけどね。30分過ぎにジエゴ・コスタ(アトレティコ)から、イアゴ・アスパス(セルタ)にチェンジした後は少し、動きが出てきたものの、イニエスタとアスパスのダブルチャンスも実らず。1-1のままで90分が終わり、延長戦に突入です。 ▽え、結局、エクストラの30分を戦っても決着がつかず、PK戦に望みを懸けることになったスペインだったけど、イエロ監督がキッカーを選ぶ際には妙な出来事があったんじゃないかって? そうですね、後でクアトロの映像(http://www.marca.com/futbol/seleccion/2018/07/02/5b3a2c17468aeb03088b4607.html)でわかったんですが、イニエスタが最初に蹴り、ラモス、ピケと代表ベテラン勢も大役を快諾。続いてコケにお鉢が回ったところ、ベンチからずっとイエロ監督について来ていたコスタが反対したんですよ。その理由は不明ですが、それでもラモスに「Quieres tirar?/キエレス・ティラール(蹴りたいか?)」と訊かれたコケは「Si, si/シー(イエス)」と志願。その結果、ご存知のように3番目にGKアキンシェーフ(CSKAモスクワ)に挑んで見事、弾かれてしまうことに。 ▽うーん、これまでミラノでのCL決勝を始め、私が見ているアトレティコのPK戦で彼が失敗したことはなかったんですけどね。その直後、ベンチ前で応援していたコスタが「Te lo dije/テ・ロ・ディヘ(言ったじゃないか)」とイエロ監督に蒸し返していたのには、火曜のワンダで会ったアトレティコ番のラジオ記者など、「監督の決定に口を挟むなんてやっちゃいけないこと」と批判していたものの、もしやクラブのチームメートだけに第六感が働いたのかもしれない? どちらにしろ、スペインはデ・ヘアが1本も止められず、最終キッカーのアスパスもアキンフェーフの足に阻まれてしまったため、PK戦3-4負けで帰国が決定です。 ▽この結果、4年前のブラジル大会、2年前のユーロに続いて早期敗退をしてしまった彼らなんですが、何せ今回は大会開幕2日前にマドリーとの契約を発表したロペテギ監督が電撃解任、「Se fue el líder/セ・フエ・エル・リデル(リーダーが行ってしまった)」(コケ)という大逆境がありましたからね。ただ、それがなくとも2008年から2012年までの国際メジャートーナメント3連覇の黄金期を築いた主力メンバーの生き残りが今では皆、30歳過ぎ。「juego rápido/フエゴ・ラピド(速いプレー)」が必要だと主張していたシルバやイニエスタら、ティキタカの基本となるべきMF陣が以前のスピードで動けなくなっていたのは事実ですからね。 ▽随所で妙技を見せて1人、株を上げていたイスコ(マドリー)にしてもチームの動きを加速することはありませんでしたし、大体このロシア戦、ポゼッション79%で計1137回ものパスを出しながら、前方に出したのはたったの278回。挙句にオウンゴールからの1点しか取れないのでは、そろそろサッカースタイル自体を見直す時期に来ているのかも。ちなみにこの試合の後、イニエスタは代表引退を宣言、その夜はベースキャンプ地のクラスノダール(ロシア南西部)に戻り、1泊してから、月曜にマドリッドに着いた時にはシルバもお揃いのチームメートのサイン入りボールを抱えていたため、同じなんじゃないかと思いますが、早々とこれが最後の大会と言っていたピケからはまだコメントが出ていません。 ▽え、32歳のラモスなどは逆に「Me voy a ver obligado a llegar a Catar con la barba blanca/メ・ボイ・ア・ベル・オブリガードー・ア・ジェガール・ア・カタール・コン・ラ・バルバ・ブランカ(ヒゲが白くなってもカタール大会までやることが義務に思えているよ)」とまだまだ、代表キャプテンを続ける気満々だったんじゃないかって?まあ、その辺はイエロ監督が続投しない見込みで現在、ルイス・エンリケ、キケ・サンチェス・フローレス、ミチェル、そしてガビをアル・サッドに誘ったチャビら、複数挙がっている候補の中から決まった次期代表監督が考えてくれればいいことですからね。この4試合では怪しい守備のポカも度々あったため、私には何とも言えませんが、この先、公式戦が巡ってくるのは9月のネーションズリーグからなので、サッカー協会も後任の人選には慎重になってもらいたいものです。 ▽そしてスペインと同日の16強対決ではクロアチアもPK戦でデンマークを破り、準々決勝に進出。スバシッチ(モナコ)とシュマイケル(レスター)の両GKが何本も止めまくっているのはまるで異次元の出来事のようで、見応えがありましたが、おかげで延長戦では止められたPKをリベンジできたモドリッチやコバチッチ(マドリー)、そしてベルサイコ(アトレティコ)ら、マドリッド勢のプレーが土曜午後8時(日本時間翌午前3時)からのロシア戦でも楽しめるのはまだ、何かの慰めになるかと。 ▽月曜にはブラジルがメキシコを2-0で下し、その夜には後半ロスタイム、最後のプレーでGKクルトワ(チェルシー)から始まったカウンターが実を結び、ベルギーが日本に3-2で逆転勝ち。この試合でもゴールを挙げた乾貴士選手(ベティス)や4試合先発出場をした柴崎岳選手(ヘタフェ)がもう見られないのは残念ですが、金曜のブラジルvsベルギー戦ではマドリーが獲得を狙っているという噂の絶えないネイマール(PSG)とクルトワの対決に注目するのもいいかも。ただしこの試合、カセミロ(マドリー)は累積警告で出場停止、マルセロ(マドリー)かフィリペ・ルイス(アトレティコ)はどちらか、一択になりますが。 ▽更に火曜にワンダから戻ってみると、4組目の土曜の準々決勝はスウェーデンvsイングランドに決まったんですが、何せマドリッド勢プレシーズン開始のトップバッター、アトレティコも11日まで動きませんしね。丁度、ヘタフェも12日から始動という情報が入ったんですが、どちらもW杯参加選手たちの合流はずっと先。一応、17日にバルデベバス(バラハス空港の近く)でロペテギ新監督の下、練習を始めるマドリーだけはベイルとベンゼマ、2人の大物が顔を見せることになっていますが…どちらにしろ、8月までは私もその両名の先行きも含め、移籍関連ぐらいしか、お伝えできることがないかもしれません。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.04 15:00 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】決勝なんてまだ考えられない…

▽「笑われても仕方ないけどね」そんな風に私が諦めの境地に至っていたのはW杯最初のノーマッチデーとなった金曜日、スペイン代表のチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)が定例会見に登場。「16強対決でロシアを破れば次はデンマーク、スウェーデン、そしたら決勝という可能性にファンは夢をかきたてられているけど」と記者が質問を始め、「Y el final, Japon?/イ・エル・フィナル、ハポン(で、決勝は日本?)」とチアゴが口を挟んだところ、クラスノダール(ロシア南西部)のベースキャンプの会見場では失笑が沸き上がっていたから。 ▽そう、木曜にグループリーグ全試合が終わり、決勝トーナメントの枠組みが決まってみると、土壇場にイアゴ・アスパス(セルタ)のゴールがVAR(ビデオ審判)で認められ、最終節モロッコ戦を2-2の引き分けに持ち込んだスペインは首位でグループ通過。それにはポルトガルもイランに追いつかれ、ドローに終わったため、勝ち点で並んでいても総得点数で上回ることができたという幸運もあったんですが、何よりの恩恵は彼らが回ったトーナメント表のサイドなんですよ。だってえ、ブラジルもアルゼンチンもフランスもいない上、ここまで抜群の得点力で影の優勝候補に挙げられていたベルギーさえ、ヤヌザイ(レアル・ソシエダ)が空気を読まずにイングランド戦で決勝ゴール。引き分けで終わっていれば2位のまま、楽な側に回れていたのにわざわざ、反対に行ってくれるって、もしや今大会のスペインはツイている? ▽要はその強豪ひしめくブロックに日本もいるんですが、いやあ、確かに木曜は終盤15分、コロンビアがセネガルに先制したのをいいことに、自身も1点ビハインドながら、イエローカード枚数が少ないフェアプレー基準でのリード頼りにセンター付近で延々とボール回し。臆面なく、時間つぶしをしていた姿には私も驚かされたものでしたけどね。翌日はマルカ(スポーツ紙)などでも「ファール数もグループリーグ中、一番少なく、フェアプレーをするチームという印象が汚されてしまった」と嘆かれていましたが、え、リーガにだってたまにそういう試合はあるんじゃないかって? ▽そうですね、昨季など、アトレティコが僅差でリードしている際、グリーズマンが絶好のカウンターのチャンスでボールを戻してしまい、ワンダ・メトロポリターノのサポーターから思いっきり、pito(ピト/ブーイング)を浴びていたなんてこともありましたけどね。とはいえ、ここまであからさまなボールキープは私も初めて見ましたし、とりわけ中心となってバックパス回しをしていた乾貴士選手など、8月からの新天地となるベティスのファンが悪いイメージを抱かないかと心配になったものですが、まあそれはそれ。せっかくグループ突破ができたんですし、次の16強対決、ベルギー戦で名誉挽回できることを祈っています。▽そうそう、日本代表関連で言えば、先週のレガネスに続き、今週は水曜にもう1つのマドリッド勢弟分、ヘタフェの新ユニフォームプレゼンに現在、全面芝張替え中のコリセウム・アルフォンソ・ペレスまで行ってきた私でしたが、残念ながら、VIPホールで開かれたこちらではモデルとなったのはユースチームの選手たちだけ。今季はチームカラーの青に第2ユニは赤、第3は白とちょっとお隣さんより地味な感じは否めないものの、60ユーロ(約8000円)と兄貴分たちに比べ、お手頃価格なのは一緒です。すでにスタジアム前にあるオフィシャルショップで買えるんですが、そこでやっぱり気になるのは今、ロシアで頑張っている柴崎岳選手が今季もヘタフェでプレーしてくれるかですよねえ。 ▽顔見知りのマルカの番記者なども「W杯での活躍で評価が上がって、他のチームからオファーがくるかもしれない」と言っていたため、プレゼンの後、質問に答えていたアンヘル・トーレス会長に訊いてみたところ、「Gaku tiene contrato, y la idea es que siga/ガク・ティエネ・コントラトー、イ・ラ・イデア・エス・ケ・シガ(ガクとは契約があるし、残留するという考えだ)。といっても契約破棄金額を払うクラブが現れて、当人が行きたがれば話さないといけない」とのことでしたが、まあこれはどの選手に対しても同じヘタフェのスタンス。加えて、社交辞令なんでしょうか、「今はガクが決勝でスペインと戦うことを期待しているよ」と言っていましたが、うーん、もしそうなったら、昨季は22試合しか使ってくれなかったボルダラス監督ももっと、柴崎選手を頼りにしてくれますよね。 ▽そしてGKグアイタのクリスタル・パレス行き、レンタルだったベルガラ、アランバリらとの直接契約などがあったヘタフェではモロッコのグループリーグ敗退でファジルもバケーション入り。W杯に残っているのはあと1人と、7月中旬に始まるプレシーズンキャンプに支障はなさそうなんですが、各国代表に大量の選手を派遣している兄貴分チームの様子もお話していくことにすると。まず、スペイン代表を解任された翌日、サンティアゴ・ベルナベウで就任プレゼンがあったロペテギ監督がすでにバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に通勤、せっせとプランニングに励んでいるレアル・マドリーでは、グループリーグでお役御免になったのは3人でした。 ▽ええ、ファジルの同僚アシュラフ、コスタリカのGKケイロル・ナバス、そして水曜のグループ最終節に2-0で韓国に負けて敗退、今大会、最大のサプライブを演じたドイツのクロースですが、どうやら彼らは7月27日、この夏最初のプレシーズンマッチ、プエブラ戦のためのメキシコ遠征から合流する予定とのこと。W杯に行っていない選手たち(ベンゼマ、ベイルを含む)は17日から、バルデベバスでトレーニングを開始します。ロシアにまだいる11人はチーム敗退の時期に応じて、順次合流していくようですが、最多5人が参加しているスペインが決勝まで残ったりすると、2018-19シーズン最初の公式戦、お隣さんとタイトルを争う8月15日のUEFAスーパーカップの準備が大変になりそうな。 ▽え、それは先日、7000万ユーロ(約91億円)の移籍金で入団が決まったフランス代表のレマル(モナコ)を含め、総勢10人全員がW杯で勝ち残っているアトレティコも同じだろうって?そうですね、水曜のセルビアvsブラジル戦ではマルセロが開始10分で背中を痛め、出番はほとんどないと思われていたフィリペ・ルイスも大会デビューしましたしね。16強対決の始まる火曜にはゴディンとヒメネスのいるウルグアイがクリスチアーノ・ロナウドのポルトガルと対戦。選手たちにとってはできるだけ長くロシアにいたいところでしょうが、それぞれのクラブを応援するファンにとっては心情的に微妙かと。 ▽同日にメッシのアルゼンチンに立ち向かうフランスのグリーズマン、リュカとバランは一蓮托生ですからいいんですが、実はアトレティコでは木曜、いきなりキャプテンのガビが3年間、1900万ユーロ(約25億円)の契約で元バルサのチャビがいるアル・サッド(カタール)からのオファーを真剣に検討しているなんて話が出てきたら、もしやスペイン代表のカンテラーノ(ユース組織出身の選手)コンビ、コケとサウールには早く戻って来てもらった方がいい? いえ、W杯直前の日本との親善試合でゴールを挙げていたトマス(ガーナ)は本大会には出ていませんし、大会開幕直前までヘルプ要員としてクラスノダール(ロシア南西部)の合宿まで帯同していたロドリ(ビジャレアルから移籍)もとっくに帰国しているため、ボランチに人手が足りなくなることはないんですけどね。 ▽昨季後半は19人という超少数精鋭でプレーしていたイメージがあまりに鮮烈に残っているため、来週にはアトレティコを退団したフェルナンド・トーレスもいよいよ、MSLのシカゴ・フィアーズなり、Jリーグのサガン鳥栖なり、行き先を発表すると言われていますし、そろそろ補強も本格的に始めてもらいたいかと。アメリカでのバケーションを楽しんだ後、故郷スロベニアに戻り、木曜には2019年バスケットボールW杯予選のスペイン戦を見に行っていたという、GKオブラクの契約延長交渉もまだ進展はないようですし、モドリッチやコバチッチと共にクロアチア代表として、日曜にデンマークと対戦するベルサイコにも相変わらず、移籍の噂が絶えないのはちょっと気掛かりなところでしょうか。 ▽え、それってもしや、冒頭のお気楽な記者の質問とは裏腹にスペインのいる決勝トーナメントのサイドにはクロアチアがいるってことじゃないのかって?その通りでウルグアイ、ベルギー同様、ナイジェリア、アルゼンチン、アイスランドに3連勝してグループ突破してきた彼らは2016年ユーロのグループ最終節でスペインに勝利。おかげで16強対決をイタリアと戦う羽目になり、早期敗退を招いた因縁の相手なんですが、そんなのはもう、スペインが開催国ロシアを日曜午後4時(日本時間翌午前11時)からの試合で破ってから考えればいいことですからね。 ▽その肝心のチームは金曜夜にはこのところ、日中38度にもなる猛暑に襲われているクラスノダールを後にし、20度程の過ごしやすいモスクワに移動したんですが、今のところ確定しているのはイエロ監督が「Sí, jugará/シー、フガラ(ああ、プレーする)」と確約していたGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)の先発リピートだけ。各紙の予想によると、ジエゴ・コスタ(アトレティコ)とアスパスのツートップ、グループリーグ中、最も走行距離が多かった敵への対抗策に健脚自慢のコケのスタメン復帰などがありそうですが、どちらにしろ、土曜のルジニキ・スタジアムでの前日練習が終わってみないと詳細はわからないかと。 ▽何せここからは反省のきかない一発勝負とあって、3試合で5失点という、穴だらけの守備だけは改善してくれないと困りますからね。ええ、カルバハル(マドリー)なども「Creo que corrigiendo esos errores atrás, nos hacemos muy fuertes/クレオ・ケ・コレヒエンドー・エソス・エローレス・アトラス、ノス・アセモス・ムイ・フエルテス(ああいうミスを正していけば、ウチはとても強くなれる)」と言っていましたし、とりわけロシアには元マドリーのチェリシェフ(ビジャレアル)以外にも身長196センチの大型FWジェバ(アルセナル)がいて、ここまで3得点と空中戦にも強いようなので、セルヒオ・ラモス(マドリー)、ピケ(バルサ)のCBコンビには頑張ってもらわないと。 ▽そんな中、スペイン情報で興味を覚えたのはAS(スポーツ紙)に出ていた記事で、サッカー協会関係者によると、どうやらロペテギ前監督が開幕前に決めたPKキッカーの順番をイエロ監督がこのたび変更。これまでは第1キッカーがシルバ(マンチェスター・シティ)だったのがラモスになるかもしれないことですが、このW杯ではVARのおかげでPKも多いことですし、まあ見てのお楽しみ。でもだからといって、決勝トーナメント初っ端から、PK戦なんて私はイヤですよ。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.30 12:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】危なっかしすぎてハラハラする…

▽「予行演習になるのかしら」そんな風に私が思いをはせていたのは火曜日、スペインと同じBグループから、W杯決勝トーナメントに駒を進めたポルトガルがウルグアイと顔を合わせる16強対決の試合日程を見ていた時のことでした。というのも、ロシアに3-0と勝利してグループ首位突破を決めた月曜のグループ最終戦こそ、練習中にケガをしたヒメネスは出ていなかったんですけどね。キャプテンのゴディンと共にアトレティコのCBコンビが今大会、4試合目となる零封を懸けて次に対峙するのはクリスチアーノ・ロナウド。もちろんまだ、キエフでのCL決勝後のコメントから、レアル・マドリー退団の噂もある彼が8月15日、エストニアのタリンで開催されるUEFAスーパーカップに出るのかどうか、不確かではあるものの、ここでしっかり抑えておけば、新シーズン最初のタイトル争いでお隣さんに対して優位に立てるかもしれないから。 ▽いえ、マドリーの脅威はそれだけに留まらず、クロアチアの2戦目、エリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めて、アルゼンチンを0-3で粉砕するのに貢献したモドリッチや先週末、土曜のスウェーデン戦では何と、クロースが後半ロスタイムに起死回生の勝ち越し弾をゲット。いくら前半には自身のボールロストから、敵に先制点を与えるキッカケを作った責任を感じていたとて、ベンチもエリア内に展開したマリオ・ゴメス(シュトゥットガルト)、ミュラー(バイエルン)ら、攻撃に加わろうとしてコーチに止められたGKノイアー(バイエルン)を含め、その時はチームメート全員がFKからの空中戦を待っていたんですよ。 ▽それなのに同点ゴールを決めていたマルコ・ロイス(ドルトムント)のキッカー志願も却下、ショートで出したボールを止めることだけを頼んで、当人は最初から直接ゴールを狙っていたというから、いやもう。思惑通り、シュートをネットに突き刺して、2-1の勝利でドイツ勝ち抜けの希望を再燃させるとはただただ、シャッポを脱ぐしかありませんって。うーん、こういう才能のほとばしりを見せつけられると、何せアトレティコの中盤要員はまだスペイン代表W杯デビューも果たしていないサウールだけでなく、コケも月曜のモロッコ戦には出番がありませんでしたからね。ジエゴ・コスタ(3得点)とグリーズマン(1得点)でFW陣はロナウドのここまで4ゴールに拮抗しているものの、こうも2列目で差がついてしまうのは一体、どうしてでしょうかね。 ▽え、スペインの3戦目ではイスコ(マドリー)も違いを見せていなかったかって?そうですね、とりあえずモロッコ戦がどうだったか、お話ししていくことにすると、ポルトガルと分け、イランに勝ったことで、引き分け以上ならグループ突破という条件で始まったカリーニングラード(ロシア北西部)でのこの試合、イエロ監督はチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)を先発に起用。イラン戦でルーカス・バスケス(マドリー)を右サイドに使ったものの、あまり効果が出なかったせいのようですが、いやあまさか、すでに2戦目で敗退が決定し、前日など、ファジル(ヘタフェ)がグラウンドにスピーカーを持ち込んで、音楽をかけながらトレーニングをしていた程、リラックスしていたはずの相手にこうまで苦労させられるとは! ▽それもスペインの自業自得ではあるんですが、前半14分、イニエスタ(ヴィッセル神戸)とセルヒオ・ラモス(マドリー)のミスから、ブタイブ(マラテイアスポル)がボールを奪取。スペイン陣地を独走して先制ゴールを決めているんですから、呆気に取られたの何のって。もうその時はバルサのバルベルデ監督も昨季はセーブして使っていただけに、イニエスタが3試合連続で先発するのはもうムリだったのかと私も思ってしまったものですが、大丈夫。その5分後にはイスコ、コスタと繋いだボールを敵エリア奥まで持ち込んで、最後はイスコにアシストして面目躍如しているんですから、やはりスペインの攻撃には欠かせない人材です。 ▽ただ、同点に追いついた後も相変わらずだったのは守備陣で、何せ24分にはスローインからブタイブが再び独走。この時こそ、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が1対1で弾き、今大会初セーブでゴールを死守してくれたんですが、まったくもって心臓に悪い。おまけにもしや、昨季のリーガ戦で何かあったんでしょうかね。ラモスと何度もいがみ合っていたアムラバット(レガネス)を始め、モロッコの選手たちがやたら乱暴なファールをかけてくるため、血気盛んなコスタがやり返してイエローカードをもらう恐れはともかく、決勝トーナメント前に誰かにケガでもされたらと心配になったのは私だけ? ▽おまけに後半16分にはイスコのヘッドがゴール前でモロッコDFにクリアされ、追加点が取れなかったスペインはベンチの動きも遅く、イエロ監督がようやく交代カードを切ったのは29分になってのこと。それもイアゴ・アスパス(セルタ)とアセンシオ(マドリー)投入し、チアゴはいいんですが、コスタも引っ込めてしまったのはちょっと理解に苦しむところでしたが、それはまあ置いといて。だってえ、36分には絶対、許せない守備ミスが起こったんですよ。ええ、CKから落ちてきたボールをラモスがエンネミリ(マラガ)に競り負け、ヘッドを決めらてしまうって、あまりに酷すぎるでしょう? ▽実際、前節でもCKからイランにもゴールを入れられて、その時は線審がオフサイドの旗を挙げ、VAR(ビデオ審判)も確認してくれたため、大事に至らなった彼らですからね。いくら初戦直前にチームを本大会に導いたロペテギ監督が解任され、急遽、イエロ監督に代わったとはいえ、選手たちは同じ。セットプレーの守備方法が変わるはずもないとなれば、これはやっぱり気の緩みからかと。ただこの日もスペインはVARの神様に恵まれていたのか、「Le he pedido que se asocie y saque su talent/レ・エ・ペディードー・ケ・セ・アソシエ・イ・サケ・ス・タレントー(連携して、自分のタレントを出してこい)」(イエロ監督)と言われてピッチに送り込まれていたアスパスが45分、カルバハル(マドリー)のクロスをtacoazo(タコナソ/ヒールキック)でゴールに流し込んでくれたから、助かったの何のって。 ▽ええ、こちらはイラン戦と逆でオフサイドのフラッグがVARにより、間違いだったと確認されたんですけどね。おまけに代表では12試合で6ゴールを全て途中出場で挙げているアスパスも「El arbitro no escuchaba bien y le dije que fuera a ver la camara/エル・アルビトロ・ノー・エスクチャバ・ビエンイ・レ・ディエ・ケ・フェラ・ア・ベル・ラ・カマラ(審判は無線がよく聞こえないようだったから、ビデオを見に行ったらと言ったんだ)」と話していたように、判定に時間がかかっている間、別会場ではイランがやはり、VARにより与えられたPKで1-1に追いつくことに。その前にロナウドがPKを失敗していたおかげもあって、そのままポルトガルと引き分けたため、2-2としたスペインのグループ首位突破が確定したから、狐につままれたようとはまさにこのこと?ええ、これでウルグアイではなく、ロシアとの16強対決に挑めることになりましたっけ。 ▽ちなみに試合後のスペインからは一応、殊勝な言葉が聞こえてきていて、審判のVAR問い合わせ中には勝ち点、得失点差、総得点数が拮抗した場合、最後はカード枚数によるフェアプレー基準で順位が決まるのが気になったか、いきり立って抗議しているベンチの選手たちを抑えるので大変だったイエロ監督が、「Cinco goles en tres partidos no es el camino/シンコ・ゴーレス・エン・トレス・パルティードス・ノー・エス・エル・カミーノ(3試合で5失点というのはたどるべき道ではない)」というのは当然だったかと。このモロッコ戦のMVPとなったイスコも「No podemos seguir regalando goles, tenemos que centrarnos/ノー・ポデモス・セギール・レガランドー・ゴーレス、テネモス・ケ・セントラールノス(ゴールを贈り続けることはできない。ボクらは集中しないと)」と同じ意見のようです。 ▽一番しっかりしなければならないキャプテンのラモスなども、「Es noche de hacer autocrítica del primero al ultimo/エス・ラ・ノッチェ・デ・アセール・アウトクリティカ・デル・プリメーロ・アル・ウルティモ(最初の1人から最後の1人まで自己批判する夜だね)」と言っていましたが、とにかく守備に関しては緊急に改善が必要かと。何せ、ウルグアイ戦では前半に退場者を出したこともあり、ルイス・スアレス(バルサ)、チェリシェフ(ビジャレアル)のオウンゴール、カバーニ(PSG)の3点で沈んでしまったロシアとはいえ、初戦はサウジアラビアに5-0、2戦目もエジプトに3-1と計8ゴールも挙げていて、決してチャンスをムダにするチームではないことがわかっていますからね。 ▽加えてスペインはこれまでユーロ、W杯で開催国と対戦した8試合、全てで負けているというジンクスがあるとなれば、いくら大人の国際メジャートーナメントはこれが初参加。昨年はU21ユーロで一緒に準優勝したサウールとは違って、2試合で途中出場のチャンスをもらい、一歩リードした感のあるアセンシオが、「Hemos quedado primeros, parece que hemos quedado segundos o estamos eliminados/エモス・ケダードー・プリメーロス、パレセ・ケ・エモス・ケダードー・セグンドス・オ・エスタモス・エイミナードス(ウチは1位通過したのに、まるで2位だったり、敗退したみたいに見えるよ)」と試合翌朝、ベースキャンプ地のクラスノダール(ロシア南西部)での練習後記者会見で皮肉ってもなかなか、楽観的になれないのが人情というもの。 ▽まあ、日曜午後4時(日本時間翌午後11時)から、モスクワのルジニキ・スタジアムで行われるロシア戦ではここまでずっと先発しながら、まったく精彩のないシルバ(マンチェスター・シティ)をローテーションしたらいいとか、CL決勝での負傷から回復したばかりのカルバハルもこれから、だんだん調子が上がっていくんじゃないかとか、世間ではイロイロ、言われていますけどね。中日も沢山あるため、火曜は控えメンバーがグラウンドで汗を流した後、恒例の24時間フリータイムをもらい、選手たちは現地に応援に来た家族や友人と過ごすため、FCクラスノダールのユース用施設を出て市内でリフレッシュ。これがいい気分転換になればいいんですが、どうにも不安は尽きませんよね。 ▽そうそう、火曜のグループCとDの最終節の結果、ロシアを倒した場合、準々決勝ではクロアチアvsデンマーク戦の勝者とスペインは当たることになったんですが、一応、私が見てきた彼らのW杯やユーロではグループリーグ敗退(2004年、2014年)をしなければ、次の関門は16強対決(2006年、2016年)。ここを抜けた暁には優勝(2008年、2010年、2012年)しているため、おそらく来週まで大会に残っていれば、マドリッドでも野外に大型スクリーンを設置して、パブリックビューイングも行われたりするんじゃないかと思うんですが…このグループリーグ中はW杯の熱気を町中で感じることもあまりなくてねえ。現地のスタンドでも相手サポーターに数で圧倒されているようですし、ここ2大会、失望が続いただけにスペインのファンも慎重になっているのかもしれません。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.27 13:30 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】勝ってもまだ安心はできない…

▽「マドリッドより暑いとは」そんな風に私が驚いていたのは金曜日、スペイン代表がW杯中のベースキャンプにしているクラスノダール(ロシア南西部)の気温が37度もあると、現地からの生中継で聞いた時のことでした。いやあ、今年はちょっと遅めだったんですが、1週間程前からようやくマドリッドも真夏モードに突入。30度を超えるようになったため、冷房のない部屋で試合を見ているのが自分も辛くなってきたとはいえ、あの涼しそうなイメージのあるロシアでまさか、プレシーズンキャンプ並の猛暑に選手たちが耐えているとは! ▽いえ、イラン戦のあったカザンから戻った翌日、セルヒオ・ラモスとルーカス・バスケス(レアル・マドリー)がマイナス100度近い小部屋に入って凍結療法を受けていたのは、別に暑さでバテたせいじゃないと思いますけどね(http://www.sefutbol.com/dentro-soportaran-sergio-ramos-y-lucas-vazquez-temperaturas-100o)。午前中、先発組はジムでのリハビリトレ、控え組はグラウンドでの練習を終えた後、イアゴ・アスパス(セルタ)、アスピリクエタ(チェルシー)、ナチョ、アセンシオ(マドリー)、サウール(アトレティコ)、オディオソラ(レアル・ソシエダ)らなどは合宿先のFCクラスノダールのユース施設で日光浴(http://www.marca.com/futbol/seleccion/2018/06/21/5b2bd3bb268e3e312e8b45bd.html)と24時間のフリータイムを満喫していたようですが、こんなノンビリしていられるのもグループリーグ2戦目で勝利を掴めたおかげだったかと。 ▽4年前、オランダとチリに連敗して、2試合ですでに敗退が決まってしまったブラジル大会からすれば、天と地の差ですが、幸いキャンプ地のクリチバが低気温でサルバドールやリオ・デジャネイロで暑さに苦しんだ当時とは気候も真逆。来週月曜に決勝トーンナメント進出の懸かった最終戦が行われるカリニングラード(ロシア北西部)など、13度とプレーしやすい気温のようですし、おまけに相手は初戦で終盤のオウンゴールでイランに、2戦目も開始早々、クリスチアーノ・ロナウド(マドリー)がCKからヘッドで今大会4得点目を挙げたポルトガルに、どちらも1-0で連敗してすでにグループ敗退が決定。となれば、引き分けぐらいには何とか、持ち込めるんじゃないかと思うんですが…。 ▽え、あまりマドリッドがW杯で盛り上がっていないようなのは今回もスペインが、あの国際メジャータイトル3連覇を果たした黄金期、2008~2012年程の強さを見せてくれていないからじゃないのかって?うーん、バルセロナや他の都市ではあるようですが、オープンエアに大型スクリーンを設置してのバプビックビューイングゾーンがグループリーグ中、市内にないのはおそらく、たった3試合で終わった前大会の苦い経験からなのかもしれませんけどね。今回は中継がオープン放送で皆、自宅で試合を見られてしまうため、スペイン戦以外の時間帯はセントロ(市内中心部)のバル(喫茶店兼バー)も静かなものでしたが、まあそれは置いておいて。 ▽というのも水曜のイラン戦、彼らはケイロス監督率いるイランの超守備的プレーに大苦戦。その対策は一応お、イエロ監督も考えて、ポルトガル戦の先発からコケ(アトレティコ)とナチョを外し、「左サイドはイスコ(マドリー)で優位になるようにして、右サイドはルーカス・バスケスとカルバハル(マドリー)でオープンにプレーさせる」というスタメン変更をしたんですけどね。相手は10人全員が自陣で守っている上、前半のうちから次から次へと選手がピッチに倒れ、スローインにもGKキックにも延々と時間かけているって、サンティアゴ・ベルナベウやワンダ・メトロポリターノに来た下位チームじゃあるまいし、世界中に放送されるW杯ではかなり珍しい光景だったかと。 ▽おかげでイラついたジエゴ・コスタ(アトレティコ)など、なかなかボールを蹴らないGKベイランバンドに詰め寄り、つま先を踏みかけて相手が転倒。VAR(ビデオ審判)による退場勧告が主審に入るんじゃないかとドキドキしたものでしたが、当人も後で「Hay tantas camaras que no puedes hacer el tonto/アイ・タンタス・カマラス・ケ・ノー・プエデス・アセール・エル・トント(あれだけTVカメラがあるんだから、バカな真似はできないよ)」と言っていた通りセーフ。事なきを得ましたが、何せカザン・アレーナ(ルビン・カザンのホーム)のスタンドは相手サポーター1万5000人に対し、決勝トーナメントまで出控えているのか、スペイン人1000人という大劣勢でしたからね。スコアレスドロー狙いの時間稼ぎにpito(ピト/ブーイング)が出る訳もなく、場内にはイラン人たちが持ち込んだ南アフリカ大会を思い出させるブブセラが響き渡るばかりでしたっけ。 ▽そんな状態でしたから、後半も辛抱して敵エリアを囲みながら、チャンスを伺うしかないのかと、私もハーフタイム中はあまり楽観的になれなかったんですが、スペインにツキが回ったのは再開して間もなく、9分のこと。いえ、イニエスタ(ヴィッセル神戸)が送ったスルーパスを受けたコスタは2人のDFに挟まれて、シュートを撃つスペースがなかったんですけどね。レザエイアンがクリアしようとしたボールが彼のヒザに当たり、ゴールを割ってしまったから、これをラッキーと言わず何と言う? ▽ただねえ、これでようやく先制点を奪った彼らでしたが、そこからイランの猛反撃が始まったんですよ。初戦でのミスもあり、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が忙しくなるのも怖かったんですが、16分など、FKからエザトラヒのシュートがゴールに入ってしまったから、さあ大変!イランの選手たちはもちろん、団子になって喜んでいましたが、ちょっと待って。「El asistente ha pitado el fuera de juego, el VAR lo ha confirmado/エル・アシステンテ・ア・ピタードー・エル・フエラ・デ・フエゴ、エル・バル・ロ・ア・コンフィルマードー(線審がオフサイドを取っていて、VARがそれを確認した)」と後でピケ(バルサ)も説明していたようにフラッグが上がっていたため、その場は追いつかれずに済んだんですが…。 ▽いやあ、どうも最近のスペインはボールをキープして守ることが昔のように上手くできなくなったようで、ええ、初戦も最後にロナウドにFKを決められて、3-3のドローに持ち込まれていましたしね。この日もイニエスタをコケにして中盤を固めようとしたんですが、それまで羊の皮をかぶっていたイランにいつゴールを奪われるか、試合終了の笛が鳴るまでどんなにヒヤヒヤしたことか。実際、リフレッシュにアセンシオ(マドリー)やロドリゴ(バレンシア)が入っても追加点には繋がらなかったんですが、0-1でも勝ちは勝ち。これでその日、先にモロッコを下して勝ち点4としたポルトガルと並び、得失点差、総得点でも同じだったため、イエローカードが1枚少ないというフェアプレー基準差とはいえ、グループ首位に立てたのは良かったかと。 ▽まあそのフェアプレーは試合後、「Iran practica el antifutbol/イイラン・プラクティカ・エル・アンティフトボル(イランのサッカーはアンチサッカーだ)」と批判していたカルバハルにケイロス監督が、「Que Carvajal le diga eso a Ramos, que dejo a Salah sin Mundial/ケ・カルバハル・レ・ディガ・エソ・ア・ラモス、ケ・デホ・ア・サラ・シン・ムンディアル(カルバハルはそれをラモスに言ったらいい。彼はサラ(リバプール)からW杯を奪った)」と反論していたのとはまったく関係ないんですけどね。実は1位で勝ち抜けた方がいいのかどうかは微妙で、というのも16強対決で当たるグループAではすでに進出2チームが決定。 ▽サウジアラビアに5-0と大勝した後、サラのいるエジプトも3-1で下した開催国ロシアが1位、ルイス・スアレス(バルサ)のゴールでサウジアラビアを破って2連勝したウルグアイが2位なんですが、両者が最終節で対戦するため、あちらもどちらが首位になるのか。ウルグアイにはキャプテンのゴディンとヒメネスのアトレティコCBコンビがいるため、チームメートのコスタが苦労しそうというのもありますし、ルイス・スアレスやカバーイ(PSG)を擁する相手の前線とデ・ヘアが対戦するのはちょっとお勧めできないかも。 ▽まあ、それも月曜午後8時(日本時間翌午前3時)キックオフのモロッコ戦、同じ時刻に行われるイランvsポルトガル戦の結果次第。勝ち点3のイランにもまだ突破の可能性があるため、ポルトガルも簡単には勝てないかと思いますが、アシャフ(マドリー)やアムラバット(レガネス)、ファジル(ヘタフェ)ら、マドリッド勢が大会を去る前にここまで見せてきたいいサッカーを結果に結びつけたいと張り切っているモロッコに、まだ先発見直し中のスペインが足元をすくわれたりしないといいんですが。 ▽そして翌木曜はグリーズマンとリュカ(アトレティコ)、そしてバラン(マドリー)のいるフランスがエムバペ(PSG)のゴールでペルーに1-0で勝利、2連勝で決勝トーナメント進出を決めるのをネットでチェックしながら、私は久々に遠出。というのもマドリッド勢弟分のレガネスが珍しいことに、メトロ(地下鉄)で行けるcentro commercial(セントロ・コメルシアル/ショッピングセンター)、Sambil Outlet(サンビル・アウトレット)にあるオフィシャルショップで2018-19シーズン用ユニフォーム(54.99ユーロ/約7150円と85~140ユーロ/1万1000~1万8000円のマドリーやアトレティコよりかなり安い))のプレゼンをすると聞いたからですが、シマノフスキとレガネスBのカンテラーノ、女子ユースの選手がモデルで登場し、イベントが行われている間も近くにあるキッズスペースでは子供たちが走り回っていたのはご愛敬だったかと。 ▽ちなみに「Me ha tocado porque no había otro en Madrid estos días/メ・ア・トカードー・ポルケ・ノー・アビア・オトロ・エン・マドリッド・エストス・ディアス(ボクがやることになったのは今の時期、マドリッドには他の選手がいなかったから)」とジョークを言っていたシマノフスキは昨季、ケガで半年を棒に振り、手術後の今もなるたけ早くチームのプレシーズンに合流できるようリハビリ中。休暇もイビサ(地中海にあるリゾートアイランド)に5日間行っただけだったそうですが、何せ毎年、多数入れ替わるレガネスには現在、13人しか選手がいないそうですからね。レアル・ソシエダへ行ってしまったガリターノ監督の後任、ペジェグリーノ監督の到着も7月とあって、彼も早く家に帰って、クロアチアに挑む母国アルゼンチンを応援したかったのでは? ▽ええ、それは私も同じ気持ちで近所のバルに寄って試合の後半を見ることにしたんですが、いやあ、まさかクロアチアがあんなに強いとは!GKカバジェーロ(マンチェスター・シティ)のゴールキックミスをvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込んだラビッチ(アイントラハト・フランクフルト)はともかく、やはりお店にはマドリーファンが多かったんでしょうね。モドリッチ(マドリー)のミドルシュートが決まった時には歓声が上がっていましたし、逆にメッシがラキティッチ(バルサ)にゴール前でボールをクリアされてしまった際には拍手も出ていたって、いえ、どちらもバルサなんですけどね。ロスタイムにはそのラキティッチも決めて、とうとう0-3で1位突破してしまうんですから、何とも恐ろしい。 ▽逆にグループリーグ敗退の危機に陥ったアルゼンチンでは、先制点をプレゼントしてしまったカバジェーロを始め、「Nosotros trabajamos todo el tiempo para que la pelota le llegue a Messi/ノソトロス・トラバハモス・トードー・エウ・ティエンポー・パラ・ケ・ラ・ペロータ・レ・ジェゲ・ア・メッシ(ウチはボールをメッシに届けるため、常に努力している)」というサンパオリ監督の偏った戦術の失敗や、そのメッシ本人の無気力にも見えるプレーぶりに批判が集まっていたんですけどね。「彼は凄い選手だけど、en el futbol hay que tener ayuda/エン・エル・フトボル・アイ・ケ・テネール・アジュダ(サッカーでは助けがないといけない)」(モドリッチ)というのは本当ですから、この日は上手く彼をボールから遠ざけた相手の作戦勝ちだったかと。 ▽ただ驚かされたのはこの試合の後、次男のジャンルカ君がプロデビューする試合を見るため、現在チリに滞在中のシメオネ監督と”モノ”・ブルゴス第2監督の私的な会話がマスコミに漏れたことで、曰く、「メッシはいい選手だが、素晴らしい選手たちと一緒にプレーするからいいんだ。Si tenés que elegir entre Messi y Ronaldo para un equipo normal, ¿a quién elegirías?/シー・テネス・ケ・エレヒル・エントレ・メッシ・イ・ロナウド・パラ・ウン・エキポ・ノルマル、ア・キエン・エレヒリアス(普通のチームのために選ぶとしたら、メッシとロナウド、どちらを選ぶ?)」って、うーん、アトレティコにはロナウドでしょうか。 ▽もちろん、そんなお金もありませんし、グリーズマンの契約延長も決まったため、別に来なくていいんですが、確かにスペイン戦のハットトリックもモロッコ戦の決勝点もロナウドには1人でやり遂げてしまった感がなきにしろあらず。ただ、そうは言ってもメッシも昨年のW杯南米予選最終節で3得点を挙げ、アルゼンチンを本大会にねじ込んでしまったという実績がありますしね。来週火曜のナイジェリア戦は何が起こるか要注目。 ▽大まかに言うと、彼らが勝って、アイスランドがクロアチアに引き分け以下なら突破できるそうですが、何せ、日曜には乾貴士選手(ベティス)や柴崎岳選手(ヘタフェ)の再度の活躍が期待される日本vsセネガル戦も控えていますしね。グループリーグが終わるまであと1週間、私がTVをつけっぱなしにしている日々もしばらく続きそうです。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.23 13:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】お馴染みの選手たちが目立っている…

▽「これは意外な偶然」そんな風に私が息を飲んでTVの画面を見つめていたのは日曜日、ロシアで開催中のW杯グループリーグ初戦でスイスと1-1だったブラジルが後半ロスタイム、ほぼ最後のプレーでネイマール(PSG)がFKを蹴った時のことでした。いやあ、彼は直接ゴールを狙わず、レナド・アウグスト(北京国安)の撃ったシュートもシェル(デポルティボ)に足でそらされて、試合もそのまま引き分けで終わったんですけどね。前日、アイスランドに追いつかれ、やはり終盤にいい位置からのFKで勝ち越し点ゲットのチャンスがあったアルゼンチンのメッシ(バルサ)も壁に阻まれ、白星を掴むことはできず。 ▽となると、スペイン戦の終盤、ここぞとばかりにFKをねじ込み、ポルトガルに勝ち点1をもたらしたクリスチアーノ・ロナウド(マドリー)がこの3人の中で最高の貢献をしたことになりますが、それだけでなく、これまでの試合はマドリッド勢の選手たちがゴールづいているのが印象的。ええ、土曜にオーストラリアに2-1で勝ったフランスではグリーズマン(アトレティコ)がVAR(ビデオ審判)により確定したPKを決めていますし、同日、ナイジェリアを2-0で下したクロアチアの2点目もモドリッチ(マドリー)のPKから。 ▽大体、お昼ご飯(スペインのランチタイムは午後2~4時)を食べながら、TVを見ていた金曜だって、ウルグアイが終盤にヒメネス(アトレティコ)のヘッドで1点を取って、サラ(リバプール)が最後まで出なかったエジプトに勝利。キャプテンを務めるゴディンと共に栄えあるヨーロッパリーグ王者のCBコンビの優秀さを確認しちゃいましたからね。その後、いくら私でも一日中、サッカーを見ている訳にはいかず、スペインと同じBグループのモロッコvsイラン戦は結果をチェックするだけに留めたんですが、どうやらこちらもロスタイム5分にモロッコがオウンゴールを献上。0-1でイランが勝って、もう10年以上前ですが、レアル・マドリーの指揮官も務めたこともあるケイロス監督が胴上げされていたりと、それなりにドラマチックな結末だったよう。 ▽そしていよいよ午後8時、マドリーの新監督に就任することが発表されたロペテギ監督を2日前に電撃解任、それまでスポーツ・ディレクターを務めていたイエロ氏が陣頭指揮を執ることになったスペインのW杯初戦が始まったんですが、予想通り、先発には前監督の選んだと思われるメンバーが並びます。とはいえ、おそらく選手たちも急転直下の展開に戸惑っていたんでしょうかね。ロナウドを先頭にスピードカウンターをかけてくる相手に守備陣の後退が遅れ、前半3分には右SBに入ったナチョ(マドリー)がペナルティを犯してしまったから、参ったの何のって。 ▽いえ、ドリブルでエリア内に入ってきたロナウドを倒したといっても、当人も「Yo se que le toco, pero intento quitar la pierna/ジョ・セ・ケ・レ・トコ、ペロ・インテントー・キタール・ラ・ピエルナ(相手に触ったのはわかっているけど、自分は足を引こうと思っていた)」と言っていたようにそれ程、無茶苦茶した訳ではなかったんですけどね。後でマンチェスター・ユナイテッドでチームメートだったこともあるピケ(バルサ)など、「Cristiano es propenso a tirarse/クリスティアーノ・エス・プロペンソ・ア・ティラールセ(クリスチアーノにはダイブする傾向がある)」なんて批判していまたしたが、この時はVARも介入せず、ポルトガルにPKが与えられることに。 ▽当然、キッカーはロナウドが務め、序盤早々、先制点を奪われてしまったのには私も一瞬、「2014年ブラジル大会1戦目、オランダに1-5で惨敗した時以上の恐ろしい結果になったらどうしよう」と怖くなったんですが、大丈夫。24分、ジエゴ・コスタ(アトレティコ)がやってくれたんですよ!そう、先日のチュニジアとの親善試合と同じようにブスケツ(バルサ)がセンターからロングパスを送ったところ、スペインの前線には彼1人しかいなかったにも関わらず、ペペ(ベシクタシュ)を振り払うとフォンテ(大連一方)を数度に渡ってかわし、シュートを決めてしまうって、こんな強引なゴールがあっていい? ▽もちろんこれには相手の腕が首に当たりながら、顔を抑えて倒れたペペには同情しなかったか、審判がコスタにファールの笛を吹かなかったというラッキーもあったんですけどね。同点になったおかげでスペインも落ち着きを取り戻し、数分後にはイスコ(マドリー)のシュートがゴールバーを叩いてライン上に落ちるなんてこともあったんですが、残念ながらこちらはホークアイの判定でゴールにならず。それでもポゼッションもいつものように高くなりましたし、気長にパスを回していけば、いつかはまたチャンスが来るはずと思っていたところ…。 ▽まさか、あと少しでハーフタイムという時にGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)があんなミスをしてくれるとは!うーん、実は先日ビジャレアル(スペイン南東部)で行われたスイスとの親善試合でもリヒトシュタイナー(ユベントス)のシュートをキャッチできず、リカルド・ロドリゲス(ミラン)の同点ゴールを招いて批判を浴びていた彼だったんですけどね。その際は「本番でミスするより、この試合で良かった」と当人も大して気にしていなかったものの、ロナウドがエリア前から撃ったシュートを「Llego tarde a plantar la rodilla y este balon es jodido/ジェゴ・タルデ・ア・プランタール・ラ・リディージャ・イ・エステ・バロン・エス・ホディードー(ヒザをつくのが遅れたけど、あのボールは最低だ)」(デ・ヘア)と、手で弾いてゴールに入れてしまうって一体、どうなっている? ▽実際、再びリードされてしまったのは時間的にもスペインの選手たちに大打撃だったはずなんですが、この逆境にモノを言ったのは彼らの精神力の強さ。ロッカールームでどういう会話があったかはわかりませんが、後半9分、FKのチャンスを手に入れると、ロペテギ監督の下で練習したセットプレーの妙技を披露してくれたんですよ。ええ、シルバ(マンチェスター・シティ)が短く蹴ってから、コケ(アトレティコ)が戻し、今度はエリア右奥に上げたボールをブスケツが頭で落としたところ、突っ込んだのはまたしてもコスタ。 ▽ゴール前から押し込んで2-2の同点にしてくれたんですが、いやあ、こうも2人の相性がいいと、せっかく企業家精神旺盛なピケがどちらに転ぶかわからないにも関わらず、所有するプロダクションでドキュメンタリー番組を制作。当人も放送当日まで知らなかった「Me quedo/メ・ケド(残留する)」というグリーズマンの宣言で、半年以上続いたバルサ移籍騒動にやっと決着がつきながら、今度はコスタにラブコールが来ちゃうかも。 ▽そんなことはともかく、これで勢いを取り戻したスペインはその3分後、イスコのシュートが敵DFに当たり、エリア外に出たボールをナチョが全身全霊を込めてシュート。何とこれが罪滅ぼしの勝ち越しゴールとなった時にはあまりに話ができすぎで、私も呆気に取られてしまったものですが、その頃にはトレードマークのティキタカ(短いパスを繋ぐスペインのサッカースタイル)を自在に展開していた彼らですからね。 ▽イニエスタ(ヴィッセル神戸)がチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)に、30分過ぎにはコスタがイアゴ・アスパス(セルタ)に、更にシルバがルーカス・バスケス(マドリー)にという、これもロペテギ前監督が敷いた既定路線のような交代もつつがなく行われ、そのまま逃げ切れるかと思われたものの…ポルトガルには約1名、決して諦めない選手がいたんです! ▽それはもちろんロナウドで42分、エリア近くでピケが不用心にも彼をファールで倒したのが運の尽き。いえ、PKとは違い、直接FKがゴールになる確率はあまり高くないんですけどね。その日のロナウドは最高に冴えていたのか、蹴ったボールはスペインの壁を巻くと、デ・ヘアが一歩も動けない位置に突き刺さるって、物凄い執念じゃありませんか。これでスコアは3-3の引き分け、まさしく「ellos han tirado tres veces a puerta, y metido tres goles/エジョス・アン・ティラードー・トレス・ベセス・ア・プエルタ、イ・メティードー・トレス・ゴーレス(相手は3度枠内に撃って3点取った)」(ピケ)という結末でしたが、前代未聞のゴタゴタがあったばかりの初戦、ここは負けなかっただけで良しとしましょうか。 ▽え、それでもこの試合でスペインでは大会前には想像もしなかった議論が巻き起こっているんだろうって?そうですね、一番の懸念だったスタメンFWの問題は母国ブラジルではなく、2重国籍を取って鞍替えした2014年のW杯では、その直前にアトレティコの一員としてお隣さんに挑んだCL決勝でケガを再発させたせいもあったんですけどね。まったく活躍できず、チェルシー在籍時の2016年ユーロでは招集を見送られていたコスタが、「yo tengo que trabajar y callar bocas/ジョ・テンゴ・ケ・トラバハール・イ・カジャール・ボカス(自分は働いて世間を黙らせないといけないんだ)」という決意の下、CFにふさわしい2ゴールを挙げてくれたことで解決したんですけどね。 ▽無視できないのはこのところ、頻発するデ・ヘアのチョンボで、もちろん、「Somos una familia y somos un equipo/ソモス・ウナ・ファミリア・イ・ソモス・ウン・エキポ(私たちは家族でチームだ)。誰1人、放り出したりはしない」というイエロ監督を始め、キャプテンのセルヒオ・ラモス(マドリー)も「En mi equipo siempre De Gea/エン・ミ・エキポ・シエンプレ・デ・ヘア(ボクのチームにはいつもデ・ヘア)」とツイッター(https://twitter.com/SergioRamos/status/1007921243553783808)でフォローしていたんですけどね。某TV局でW杯の解説をしている彼のクラブでのボス、モウリーニョ監督も「彼はウチの選手だが、あれはひどいミスだと自分でもわかっているはずと言うのは心が痛む。素晴らしい活躍を見せた昨季のマンチェスター・ユナイテッドではやらなかった」と話していたんですが、不幸なのはそれがイングランドでパフォーマンスだということ。 ▽そうなるとスペインのファンの目に触れる機会が少ないのは当然で、私も代表以外、彼がプレーする試合を見たのはせいぜい、ベン・イェデルに2発浴び、チームが敗退してしまったCL16強対決セビージャ戦2ndレグぐらいですし、アトレティコ時代はもう遥か昔の7年前。その後はクルトゥア(チェルシー)が2年連続、ここ3年間もオブラクがサモラ(リーガで1番失点率が低いGKに与えられる賞)を独占するような秀逸ぶりですから、比べようもないんですけどね。おかげでここ数日は2戦目からはやはり、普段のプレーぶりをあまり知られていない第2GKのレイナ(ナポリ)をすっ飛ばし、この1月にはマドリー移籍寸前までいったケパ(アスレティック)を先発させるべきという声がスペインのファンから聞こえてくることに。 ▽まあ、今のところ、実現性は低いと思いますけどね。ポルトガル戦後、チームはソチ(ロシア南西部のビーチリゾート)から飛行機で45分のクラスノダールに戻り、翌日は控え組だけがグラウンドでセッションを行い、午後から日曜午後5時までフリータイムを楽しんだ選手たちでしたが、次の試合は水曜午後8時(日本時間翌午前3時)から、カザンでのイラン戦。何せ、相手は初戦に勝ってグループ首位に立っていますが、人員的にスペインが優位なのは火を見るよりも明らかですからね。次もケガが治ったばかりのカルバハル(マドリー)を温存して、今度こそ攻撃的右SBオディオソラ(レアル・ソシエダ)を起用するかもなんて意見も聞こえてきますが、それは見てのお楽しみ。 ▽同日、ポルトガルが先に、アクラフ(マドリー)が左SBとなって、右SBを務めていたアムラバット(レガネス)がサンクト・ペトロスブルクでの試合で頭を打ち、休場予定のモロッコに大勝したりすると、ちょっとプレッシャーがかかったりするかもしれませんが、ここまでGKケイロウ・ナバスが1失点に泣いたコスタリカはともかく、マルセロとカセミロ(マドリー)のいる優勝候補のブラジルが引き分けたり、全大会王者のドイツなんて、クロース(マドリー)の奮闘も空しく、メキシコに0-1で敗戦。何かと一筋縄でいかないのがW杯ですからね。とりあえず、得点力があることはわかったんですから、スペインもグループリーグ期間中はロペテギ監督前監督の残したプランと選手たちの団結力を信じて、前に進んでいくしかないんじゃないでしょうか。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.18 15:00 Mon
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