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コラム

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【原ゆみこのマドリッド】もう皆、練習している…

▽「これじゃ、どちらが優勝したのかわからないわね」そんな風に私が苦笑していたのは火曜日、ロシアから帰還した代表チームをザグレブの市民が街を挙げて大歓迎。選手たちがオープンデッキバスに乗って、パレードする様子をTVで見た時のことでした。いえ、日曜のW杯決勝の後には何とも言えない悲しげな表情で大会MVPのトロフィーをもらっていたモドリッチが豹変、ここ近年、4度もあったレアル・マドリーのCL優勝パレードでも見たことがない程、ノリノリでbengala(ベンガラ/発煙筒)を振り回していたのにはちょっと引いてしまわないでもなかったんですけどね(https://twitter.com/B24PT/status/1019265604480532481)。 ▽ええ、人口400万人程でしかないクロアチアにとって、史上初のW杯準優勝はお祝いするにふさわしい快挙でしたが、フランスとの決勝が行われた日曜には一足に先にブリュッセルに戻ったベルギー代表も人で埋め尽くされたグラン・プリュス(市内中心にある大広場)で3位という、同国史上最高成績を祝うイベントを開催。もちろん王道は凱旋門からシャンゼリゼ通りに30万人が集結して、1998年以来、2度目のW杯優勝を達成したチームをパリに迎えたフランスの祝勝行事なんでしょうけどね。折しもスペインでは火曜にひっそり、代表新監督に就任するルイス・エンリケ氏がAVE(スペインの新幹線)でマドリッドに到着。 ▽ラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会本部に直行すると、9月のネーションズリーグ開幕戦に向けての準備をするオフィスや練習施設を案内されていましたが、何せ今回、スペインのW杯など、7月1日の16強対決で終わってしまいましたからね。バラハス空港に到着後、散り散りになった選手たちもまだバケーション中とあって、その消息も時折、SNSで伝わってくるぐらいなんですが、まあそれは仕方ないこと。イニエスタ(ヴィッセル神戸)も火曜には日本に向かいましたし、とりあえず、今は私もW杯チャンピオンにレアル・マドリー勢がバラン1人だけなのに比べ、アトレティコ勢が加入したばかりのレマル(モナコから移籍)も含めて3人もいることを祝うぐらいしかないんですが…。 ▽ちなみに3位決定戦でベルギーがムリエル(PSG)とアザール(チェルシー)のゴールでイングランドを2-0で破った翌日、モスクワのルジニキ・スタジアムで行われた決勝がどんなだったか、ちょっと触れておくと。前半18分にはグリーズマン(アトレティコ)の蹴ったFKをマンジュキッチ(ユベントス)が頭でオウンゴールにして、フランスが先制。それでもボール支配で勝っていたクロアチアは28分、ペリシッチ(インテル)がgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めて同点に追いついたため、行方がわからなくなっていたんですが、この日のフランスには運も味方したんでしょうかね。 ▽何と38分、クロアチアのCKクリアでVAR(ビデオ審判)確認が入り、ペリシッチのハンドでPKとなったから、さあ大変。ピタナ主審がモニターを見に行っている4分間、キッカーとして待機していたグリーズマンもきっと、頭の中では2年前のCL決勝でPKを失敗。それも響いて最後は延長、PK戦の末にお隣さんに負けてしまったことを思い出していたのでは?その上、クロアチアのGKスバシッチ(モナコ)は16強対決のデンマーク戦、準々決勝のロシア戦でもPK戦で活躍したparapenarti(パラペナルティ/PK止め屋)となれば、プレッシャーもひときわだったはずですが…。 ▽見事にスバシッチの裏をかき、成功したんですよ!うーん、この日のゴールで大会4得点目だった彼ですが、ウルグアイ戦でGKムスレラ(ガラタサライ)のミスにより入ったシュート以外、他は全てPKによるものですからね。ここは大事な場面で失敗しなくなった当人の成長を喜ぶべきかと。結局、2-1とリードしてハーフタイムに入ったフランスでしたが、納得していなかったのはクロアチア勢。ええ、キャプテンのモドリッチなど、審判団がアルゼンチン人でスペイン語が通じるのをいいことに、「El penalti no era. Y la primera falta no era falta/エル・ペナルティ・ノー・エラ。イ・ラ・プリメーラ・ファルタ・ノー・エラ・ファルタ(あれはペナルティじゃなかった。最初のファールもファールじゃなかった)」と抗議してしましたが、確かにエリアの左前でブロゾビッチ(インテル)にグリーズマンが倒されたプレーについては是非が問われていましたけどね。 ▽とはいえ、後半のフランスは自慢の多民族融合パワーが炸裂。14分にはグリーズマンの折り返しをポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)が2度撃ちして追加点を挙げると、20分にもエムバペ(PSG)が4点目を決めてしまったとなれば、いえ、後でラキテッィチ(バルサ)など、「Marcaron cuatro goles en sus tres tiros a gol/マルカロン・クアトロ・ゴーレス・エン・スス・トレス・ティロス・ア・ゴル(枠内シュート3回で4点取った)」と皮肉っていましたけどね。「Nos basamos en defender como hacemos en el Atletico/ノス・バサモス・エン・デフェンデール・コモ・アセモス・エン・エル・アトレティコ(ウチのプレーはアトレティコのように守備が基本)」とリュカ(アトレティコ)も言っていたように、クロアチアの反撃をGKロリス(トッテナム)のゴールスローミスをマンジュキッチが押し込んだ1点だけに留め、4-2で勝利することに。 ▽え、この結果、フランスの優勝が決まり、2016年はCL、ユーロと続けざまに決勝で負けるという並々ならぬ悲劇を経験したグリーズマンが決勝のMVPをゲット。リベンジを果たしたのはめでたいとはいえ、だからと言って、彼が今年のバロンドール候補ナンバーワンになったというのは持ち上げすぎじゃないかって?そうですね、この大会開幕数日前にアトレティコ残留を決意するドキュメンタリー番組を公開、グループリーグ第1戦終了後の中日にはヒル・マリン筆頭株主がわざわざ、モスクワ郊外のフランスのベースキャンプに駆けつけて、リュカ共々、延長契約にサインをもらっていたのはこうなると、先見の明があったと言えますが、その時点ではまだ当人が活躍できるかどうか、定かではありませんでしたからね。 ▽逆にフランスが早期敗退でもしていれば、ただのお騒がせ男で終わってしまうところでしたが、おかげで「Estoy muy orgulloso de la decision que he tomado/エストイ・ムイ・オルグジョーソ・デ・ラ・セシシオン・ケ・エ・トマードー(自分の取った決断をとても誇りに思う)。このW杯のタイトルは全てのアトレティコファンのものでもあるし、ボクらにはワクワクする1年が待っている」(グリーズマン)と戴冠後、胸を張れていたのは良かったかと。 ▽だってえ、折しも月曜にはバロンドールのライバルの1人であるクリスチアーノ・ロナウドがトリノでユベントス入団プレゼン。当人は「Nadie en el Real Madrid estara llorando por mi/ナディエ・エン・エル・レアル・マドリッド・エスタラ・ジョランドー・ポル・ミー(レアル・マドリーでは誰もボクがいなくなったことを泣いていないだろう)」と言っていたものの、8月15日のUEFAスーパーカップに出ないことが確定しているんですよ。同じくこのW杯で候補に急浮上したモドリッチはグリーズマン同様、バケーションを短くする覚悟があれば、投票までにもう1つ、タイトルを増やせる可能性がありますが、果たしてどうなることやら。常連のメッシ(バルサ)もスペイン・スーパーカップがあるため、予断は許さないものの、彼もロナウドもW杯16強で敗退しているというのは決勝組の2人にとって、有利に働くかもしれませんね。 ▽そしてW杯の終了と共に入れ替わりでとうとう、マドリーのプレシーズンもこの月曜から始まり、ロペテギ新監督が指揮を執るバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションにはベイル、ベンゼマ以下、セバジョス、ジョレンテ、テオ、バジェホ、マジョラル、カシージャ、そして昨季はラージョで修行して戻って来たラウール・デ・トマス、新入団の18歳、FWビンチウス(フラメンゴから移籍)や19歳のGK、ルニン(同ゾリャ・ルハンシク)らが参加。でもねえ、今のところ、非公開で入れないんですよ。 ▽どちらにしろ、W杯参加組が戻って来るのは8月1日のマンチェスター・ユナイテッド戦を皮切りに3試合あるアメリカ遠征辺りからですし、エムバペも決勝後、PSG残留するつもりとコメントするなど、ロナウド放出に見合った大型補強もまだ決まっていないとなれば、いえ、噂としては「普通なら、決勝を戦うチームから選ばれるものだけど、ボクもブラジルやフランス戦ではいい試合をしたし、日本戦ではカウンターの起点となったからね」と自身の言う通り、W杯ベストGKに選ばれたクウトワ(チェルシー)獲得は来季で契約が終わることもあり、値段も3000~4000万ユーロ(約40億~53億円)と手頃。ほぼ確定ながら、アリソン(ローマ)のチェルシー到着を待たないといけないとか、そのクルトワが「ボクが行くところには絶対、連れて行くよ」と主張していた、国でもクラブでも同僚のアザールについては難航しているとか、あるんですけどね。 ▽とりあえず、W杯前に決まったオディオソラ(レアル・ソシエダから移籍)は水曜にプレゼンがあるんですが、こちらも練習合流は7月末となれば、またしても私が月曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)にアトレティコを覗きに行ってしまったとしても仕方なかった?いやまあ、こちらもinternacionales(インテルナシオナレス/各国代表選手)はおらず、トップチームの選手はGKオブラク、アダン(ベティスから移籍)、フアンフラン、トマス、ロドリ(同ビジャレアル)、ビトロ、コレア、そして退団予定のガメイロ、ビエットしかいないんですけどね。 ▽今週は朝一番、7時45分からのセッションはグラウンドでランニングなどのフィジカルがメイン、トリプルの場合は10時30分からジムが入るんですが、ボールも使う夕方の部ではフィジカルコーチのプロフェ・オルテガが「La perdemos y la robamos/ラ・ペルデモス・イ・ラ・ロバモス(ボールを失くしたら盗む)。相手に考えるヒマを与えるな」とロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)でカンテラーノ(下部組織の選手)たちにアトレティコ・サッカーの基本を説いたり、10人のフィールドプレーヤーがポジションについてチームとしての動きをマスターする演習は必ず、最後は高速で自陣エリアに戻って守ることで終了。その辺、シメオネ監督の特徴が出ていて面白かったりもするんですが、グラウンドを囲む金網の外から見学しているファンは西日を真っ向から浴びて、ちょっと辛そうでしたっけ。 ▽そんな中、ヘタフェは月曜からバレンシア(スペイン南東部)のオリバにキャンプに行ってしまい、土曜までは戻って来ず。チチソラ(ラス・パルマスから移籍)を獲った後、ダビド・ソリア(同セビージャ)も加入して、クリスタル・パレスに行ってしまったグアイタの穴を埋める正GK争いが激化したり、ボランチのマキシモビッチ(同バレンシア)に500万ユーロ(約6億6000万円)を払ったりと補強の動きも続いていますが、逆にホルヘ・モリーナやジェネが移籍するという噂もありますからね。新シーズンを落ち着いて迎えるにはまだ、時間がかかりそうですが、人の出入りが続いているのは同じ弟分、レガネスやラージョも同じかと。 ▽そのラージョも木曜からはマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)でキャンプと河岸を変えるようですが、どうやら今年も猛暑のマドリッドでずっと過ごすようなのはレガネス。今週土曜から始まるプレシーズンマッチも2部のマドリッド勢アルコルコンだったり、今季からその仲間入り、シュダッド・デポルティバ・ワンダにあるミニスタジアムの改修が済むまで、ワンダ・メトロポリターノでリーガを戦うことがきまったラージョ・マハダオンダといった近隣のチームが多いのも交通費が節約できるから?そろそろ、スペイン各地では1部チームの親善試合も始まっているため、観光などで来る機会のあるファンはマルカ(スポーツ紙)の予定表(http://www.marca.com/futbol/primera-division/2018/07/03/5b3a5613ca474190178b45bf.html)などを参考に立ち寄ってみてもいいかもしれませんね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.18 11:00 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】W杯はまだ終わってないけど…

▽「グリーズマンとモドリッチ、優勝した方がバロンドールっていうのはちょっと、気が早いんじゃ」そんな風に私が疑問を覚えていたのは金曜日、W杯準決勝が終わるやいなや、スペインのマスコミが一斉に今年こそ、10年間続いたクリスチアーノ・ロナウドとメッシのバロンドール独占状態に終止符が打たれるんじゃないかという論調になっているのに気がついた時のことでした。いやあ、確かにロシアでの2人はあまりいいところを見せられず、ポルトガルもアルゼンチンも16強対決で姿を消していますけどね。 ▽でもこの賞って、近年では2006年W杯で優勝したイタリアのキャプテン、カンナバーロ(この年にユベントスからレアル・マドリーに移籍)が受賞なんて例外はあるものの、必ずしも国際メジャートーナメントに優勝したチームから選ばれる訳ではなく、スペインが戴冠した2010年もチャビやイニエスタを抑えてメッシ。むしろ、クラブでのタイトルやゴール数が決め手になっている節もなきにしろあらずかと。となると昨季、マドリーでCL3連覇、自身も6年連続のCL得点王となったロナウドやバルサのdoblete(ドブレテ/リーガとコパ・デル・レイの2冠優勝)に貢献、34得点でゴールデンシュー(ヨーロッパの得点王)をゲットしたメッシの方が断然、有利に見えるんですが、もしや世間もそろそろ、表彰台に違う顔を望んでいる? ▽ちなみにその、新たなるバロンドール候補が誕生することになった準決勝がどんなだったか、ちょっと説明しておくと、火曜にベルギーと戦ったフランスは後半6分、グリーズマン(アトレティコ)のCKをウムティティ(バルサ)がヘッドで決めて先制。相手も今大会、最多得点を誇るチームとあって、キャプテンのアザール(チェルシー)を中心に必死で反撃したんですが、「CKからゴールを入れた後、ウチはよく守った。ちょっとアトレティコみたいで、家にいるような感じがしたよ)」(グリーズマン)というフランスが逃げ切って、1-0で決勝のチケットを手に入れることに。 ▽え、そんな勝ち方じゃ、ベルギー側から文句が出なかったかって?そうですね、決勝点となったゴール以外、何度もparadon(パラドン/スーパーセーブ)でチームを救っていたGKクルトワ(チェルシー)など、「試合の時々ではジルー(マンチェスター・ユナイテッド)やグリーズマンら、FWの選手たちが自陣ゴールから35メートルのところにいた」と全員で守備固めをしていたのを皮肉っていたりしたんですけどね。それには丁度、入れ違いで、一緒にシメオネ監督の下でプレーしたことのなかったせいか、グリーズマンも「アトレティコでリーガに優勝したくせに。今いるチェルシーはきっと、バルサみたいにプレーするんだろう」と、これまた手厳しいこと。まあ、16強対決で敗退したスペインもそうでしたが、ボールを握って主導権を取りたいチームにとって、今回は難しい大会になっているのは本当のようです。 ▽おかげでデシャン監督も「未だに2016年ユーロ決勝の傷は癒えていない」と言っていたように、2年越しのリベンジに挑むことになったフランスですが、何せ、当時はグリーズマンがCL決勝でお隣さんに負けた後、自国開催のユーロでもロナウドのいるポルトガルにトロフィーを持って行かれるという、不運ぶりでしたからねえ。翻って、ヨーロッパリーグに優勝した今年はその勢いを借りて、フランスに2度目のW杯制覇の栄光をもたらすことができれば、「彼はジダンのようなレジェンドになる途中」というポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)の言葉を裏付けることになる? ▽更に同僚のエムバペ(PSG)を抑えて大会MVP、冬にはバロンドールなんてことになったら、W杯開催直前までバルサ移籍か、残留かわからず、イライラさせられたアトレティコファンもきっと、自慢に思えるに決まってますって。ただねえ、翌水曜には序盤のFKから、トリピア(トッテナム)に直接決められ、イングランドに先制を許したものの、後半にはベルサイコ(アトレティコ)のクロスをペリシッチ(インテル)が同点ゴール。16強対決から、3試合連続の延長戦に突入すると、今回はPK戦ではなく、延長後半4分、こちらも元アトレティコのマンジュキッチ(ユベントス)が決勝点を挙げて、2-1で決勝初出場となったクロアチアを牽引するのは奇しくも3年連続、4度目のCL優勝をしたばかりのモドリッチ(マドリー)なんですよ。 ▽となると、日曜午後5時(日本時間翌午前零時)から、ルジニキ・スタジアムで彼がこれまで通りに活躍。クロアチアが優勝すると、個人の賞でもあちらが有利という見方がされていますが、こればっかりはねえ。ちなみにどちらの側にもマドリー(バランとモドリッチ)勢、アトレティコ(グリーズマン、リュカ、レマルとベルサイコ)勢、バルサ(ウムティティ、デンベレとラキテッィチ)勢がいるというのは、リーガのファンにとっては喜ばしいことではないでしょうか。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週はマドリッドでも色々、動きがあって、W杯開幕2日前に解任されたロペテギ監督の後を継ぎ、ロシアで4試合の指揮を執ったイエロ監督が続投どころか、スポーツディレクター復帰も固辞。その結果、月曜にサッカー協会に指名されたルイス・エンリケ氏のスペイン代表監督就任プレゼンは来週木曜の予定なのでまだいいんですが、火曜午前中にはアトレティコを退団したフェルナンド・トーレスがサガン鳥栖入団を自身の経営するスポーツジムで発表することに。「近日中に日本に行って、来週にはプレーしたい。El del dia 22, seria mi debut en casa/エル・デル・ディア・ベインティドス、セリア・ミ・デブー・エン・カサ(22日がボクのホームデビューになるだろう)」と言っているのを聞いた時には、たった1週間のプレシーズン練習で大丈夫なんだろうかと不安を覚えたものですけどね。 ▽それどころか、同日午後にはとうとうロナウドのユベントス移籍が正式に決まり、いえ、当人は相変わらず、ギリシャでバカンス中。声明もマドリーのオフィシャルページに掲載された「人生で新しいステージを始める時期が来たと思う。Y por eso he pedido al club que acepte traspasarme/イ・ポル・エソ・エ・ペディードー・アル・クルブ・ケ・アセプテ・トランスパサールメ(だから、クラブに移籍を受けて入れてくれと頼んだ)」という手紙だけなのは素っ気なさすぎるきらいもあるんですが、どうやらそれはマドリーが提案したお別れイベントに出席するのを当人が嫌がったからだとか。 ▽うーん、昨季後半からずっと退団の噂はありましたが、この9年間、あれだけゴールとタイトルをもたらしてくれた選手ながら、5月末のCL優勝祝賀の時などを除いては、サンティアゴ・ベルナベウのスタンドから熱心な「Quedate!/ケダテ(残留して)」のコールが聞かれることもありませんでしたしね。ペレス会長同様、ファンもそろそろ、新しいギャラクティコを欲していた?今のところ、ネイマール(PSG)だの、エムバペだの、アザールだの、候補の名前は挙がってはいるものの、大物選手の移籍には時間がかかるのが定番ですからね。とりあえず、ベルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でプレシーズンのトレーニングがスタートする来週には、スペインがロシアから帰って来て早速、入団が決まったオディオソラ(レアル・ソシエダから移籍)のプレゼンを期待したいところです。 ▽そして水曜には今週頭から、マドリッド勢の先頭を切ってプレシーズン入りしたレガネスをシュダッド・デポルティバ・ブタルケ(メトロ5号線アルーチェ駅からバス15分)に偵察に行った私でしたが、いやあ、昨季途中から建設が進んでいた新グラウンドにはファンが座って見学できるスタンドもオープン。去年、初めて訪れた時には市営総合スポーツ施設の一角で細々、隣でテニスサークルなどがプレーしているのを横目で見ながら練習していたのと比べると、凄い進歩なんですが、行くたびに入り口が変わるってあんまりじゃない?その日も大回りすることになったんですが、幸い新任のペレグリーニ監督がpartidillo(パルティデージョ/ミニゲーム)中心のセッションを率いているのには間に合いましたっけ。 ▽おまけに彼らはすでに10人近く、新しい選手を獲っているとあって、グラウンド脇にこちらも新しく建てられたクラブハウスにあるプレスコンファレンスルームで今週は毎日、2人ずつ、プレゼンが行われているんですが、やはり入れ替えの多い弟分チームだからでしょうね。お隣さんのヘタフェも仕事始めの木曜にはGKチチソラ(ラス・パルマスから移籍)以下、新入団選手の4人を一気にプレゼン。それでもまだ、金曜に決まったGKダビド・ソリア(同セビージャ)を加えて、まだ数名、顔見せが遅れている選手がいるんですが、レガネスと一緒で多くを2部や2部B、下のカテゴリーから獲っているため、ファンに名前を覚えてもらうのにはちょっと時間がかかるかと。 ▽久々にコリセウム・アルフォンソ・ペレス(メトロ・スールのロス・エスパルタレス駅から徒歩1分)に駆けつけた私もいい機会だったので、気になっている柴崎岳選手の先行きについて、マルカ(スポーツ紙)の番記者などに探りを入れてみたんですけどね。「ドルトムントが興味を持っているという噂を聞いたぐらい」ということで、今のところ具体的なオファーについては不明。チームはその日の夕方、スタジアム右脇を下って行ったところにある練習場で初セッションを行ったとはいえ、W杯に参加していた当人も今月遅くまでは合流しないとあって、もし移籍が決まるとしてもちょっと時間がかかるかもしれませんね。 ▽そして金曜にはマハダオンダのシュダッド・デポルティバ・ワンダ(メトロ3、6号線モンクロア駅からバスで20分)でアトレティコのプレシーズンを見学してきた私だったんですが、何せ、まだロシアにいるメンバーを含め、W杯組が総勢10名と多いですからね。そこからトーレスやガビ(アル・サッドに移籍)が抜け、水曜に始まったセッションには今季から加わったロドリ(ビジャレアルから移籍)とGKアダン(同ベティス)を含めても10人しかトップチームのメンバーいないとあって、シメオネ監督は17人ものカンテラーノ(下部組織の選手)を徴用。しかもガメイロ、ビエットは移籍予定、昨季終了後に恥骨炎の手術をしたサビッチはジムでリハビリとあって、あまり見知った顔がいないのは寂しかったんですが、2時間近く続くトレーニングは半分以上がフィジカルトレだったのさすが。 ▽手を変え、品を変え、様々なエクササイズを課すフィジカルコーチのプロフェ・オルテガの指示に不慣れなロドリなどが戸惑い、先輩のビエットが丁寧に教えてあげていたのが印象的でしたが、アトレティコでのプレシーズンは初体験のビトロ(FIFA処分で選手の新規登録ができなかった昨季は前半ラス・パルマスにレンタル)と共にしっかりついていっているのはやはり、例年、脱落者の出るロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)キャンプ程のハードメニューではなかったせい? ▽まあ、本格的なチーム練習も25日過ぎ、現在はタンザニアに新婚旅行中(https://twitter.com/BEATRIZESPEJEL/status/1017135440137203714)のコケやイビサ(地中海のリゾートアイランド)でバケーション中のサウール(https://twitter.com/saulniguez/status/1017859287882829830)ら、スペイン代表組以下、ゴディン、ヒメメス(ウルグアイ)、フィリペ・ルイス(ブラジル)らが合流する、シンガポール遠征の後でないとできないでしょうしね。今はできるだけ体力をつけてくれるだけでいいんですが、マドリッドは猛暑とあって、見ているだけでこちらが消耗してしまうのは辛いですよね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.14 12:15 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】今年は地元で始めるチームが多い…

▽「月曜の朝7時45分?」そんな風に私が驚いていたのは日曜日、そろそろマドリッドのクラブのプレシーズン練習開始日を確認しておくかと調べていたところ、弟分のレガネスがこの週明けから、シュダッド・デポルティバ・ブタルケ(メトロ5番線のアルーチェ駅からバスで10分)に集まることがわかった時のことでした。いえ、昨季のメンバーから、レンタルや契約が終わった11人が退団。すでに入団が決まった6人の新人を含め、レアル・ソシエダへ行ってしまったガリターノ監督に代わって指揮を執るペジェグリーノ新監督の下、メディカルテストなどを終えた選手たちがグラウンドに姿を現すのは午前9時からのようですけどね。 ▽ラージョも昇格して加わり、史上最多の5チームとなったマドリッド勢でどこより早くスタートする辺り、今季こそ、ここ2シーズンの定位置だった降格圏ギリギリの17位から脱却を目指す意気込みを感じられて好ましいんですが、実はリーガではもう、先週木曜に動き出しているチームがあるんですよ。それは現スポーツディレクターのカパロス氏が暫定監督となり、昨季終盤の数試合で8位のヘタフェに差をつけてヨーロッパリーグ出場権を獲得。その予選2回戦1stレグを26日に迎えるセビージャなんですが、彼らには8月2日の2ndレグの後、例年通り、5日と12日の2試合制にするか、サッカー協会の提案した中立地、モロッコのタンジェで12日に一発勝負とするか、まだ結論が出ていない、バルサと対戦するスペイン・スーパーカップ(バルサがリーガとコパ・デル・レイ2冠だったため、コパ準優勝のセビージャが出場)も控えているとなれば、仕方がなかったかと。 ▽そのおかげでヘタフェの方は8月第3週のリーガ開幕まで公式戦がないため、スタートは今週木曜、W杯に16強対決まで参加していた柴崎岳選手も移籍していなければ、16~21日のカンポアモール(スペイン南東部)での第1次キャンプの後、30日から始まるセゴビア(マドリッドから1時間の高原地帯)キャンプ辺りから参加とゆっくりしていられるんですが、折しもその前日、水曜にはラージョもシュダッド・デポルティバ・ラージョ・バジェカーノ(メトロ1号線ビジャ・デ・バジェカス駅から徒歩15分)で活動開始するよう。こちらも19日にマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)キャンプに行くまで、暑いマドリッドでトレーニングとなりますが、ちょっと心配なのは木曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)のシュダッド・デポルティバ・ワンダに集まるアトレティコ。 ▽というのもこの夏は恒例のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(セゴビアにある高原リゾート)での地獄のキャンプを行わず、2週目からは車で5分のACラ・フィンカ・ホテルで合宿するようですが、このところかなり気温が上がってきたマドリッドですよ。そんな中、ダブル、トリプルセッション当たり前のフィジカルトレをやるのはどう考えても自殺行為じゃない? いえ、まだロシア滞在組もいますし、先週月曜に帰国したスペイン代表のコケ、サウール、ジエゴ・コスタもこのステージには参加しないんですけどね。更に23日から30日まではインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏の国際親善試合)でアーセナル、PSGと試合するため、シンガポールに滞在となったら、お隣さんにはとても叶わないテクニックの差を補うための体力は一体、どこでつけたらいいんでしょう。 ▽うーん、その後は8月3日から10日までイタリアのチロル地方でキャンプするようですけどね。それより深刻になのは8月15日にCLチャンピオンのレアル・マドリーとエストニアのタリンでUEFAスーパーカップのタイトルを懸けて、この夏の初公式戦に挑むELチャンピオンですが、金曜のW杯準々決勝ではウルグアイとフランスでアトレティコ勢が対決。軍配は後者に挙がり、ゴディンとヒメネスが大会を後にしたものの、この先は3位決定戦もあるため、グリーズマン、リュカ、レマル(モナコから移籍)の3人がほぼ間に合わないって、かなり困るかも。 ▽ちなみにその試合がどうだったか、簡単にお伝えしておくと、フランスは前半40分、「ボクが頼んだ通り、グリーズマンは完璧なFK蹴った」というバラン(マドリー)のヘッドで先制。後半16分にも今度はグリーズマンが直接ゴールを狙ったところ、GKムスレラ(ガラタサライ)が弾き損ね、リードが2点になったから、ビックリしたの何のって。いえ、当人は「Les tengo mucho respeto, tenia delante a amigos y companeros/レス・テンゴ・ムーチョ・レスペート、テニア・デランテ・ア・アミーゴス・イ・コンパニェロス(彼らをとてもリスペクトしているし、前にいたのは友達でチームメートだった)」という理由でこのゴールを祝わなかったんですけどね。 ▽それにも関わらず、ルイス・スアレス(バルサ)など、「Para que vean que no es uruguayo, es frances y nos hizo un gol/パラ・ケ・ベアン・ケ・ノー・エス・ウルグアジョ、エス・フランセス・イ・ノス・イソ・ウン・ゴル(彼はウルグアイ人じゃなくてフランス人だってわかったろう。ウチにゴールを入れた)」と文句を言っていましたが、そりゃあそうですよ。いくらレアル・ソシエダ時代にウルグアイ人監督や選手たちから薫陶を受け、それから常にマテ茶のカップとポットを手放さず。アトレティコ残留を決める際にもゴディンの影響が大きかったそうで、ウルグアイを第2の祖国と慈しむグリーズマンとはいえ、「Pero esto es el futbo/ペロ・エスト・エス・エル・フトボル(でもこれはサッカー)」ですからね。 ▽一方、16強対決のポルトガル戦でカバーニ(PSG)が負傷、この試合に出られなかったことも響き、0-2のまま終盤を迎えたウルグアイではFKの際に壁を作っていたヒメネスが、「敗退して応援してくれたウルグアイの人たちに何も返してあげられないと思ったら、辛くて」と早くも涙モードに突入。これには今回のW杯フランス代表で成長著しい、同じDF仲間のリュカが試合後、「He ido a hablar con ellos cuando les he visto llorando/エ・イドー・ア・アブラル・コン・エジョス・クアンドー・レス・エ・ビストー・ジョランドー(泣いているのを見たから、彼らと話しに行ったよ)」と思いやりを見せていましたが、大丈夫。リュカより1つ年上とはいえ、まだヒメネスは23歳ですからね。しかも4年前のブラジル大会から出場しているとなれば、この先もチャンスはきっと、複数回ありますって。むしろ32歳のゴディンの方が気の毒な気がしますが、とにかく今はゆっくり休んで、UEFAスーパーカップに備えてほしいものです。 ▽そして同日、次の準決勝ではブラジルが元アトレティコのGKクルトワ(チェルシー)、アンデルベイレルト(トッテナム)、カラスコ(大連一方)らのいるベルギーに1-2で敗退。出場停止だったカセミロの代わりに入ったフェルナンジーニョ(マンチェスター・シティ)のオウンゴールとデ・ブルイネ(同)の一発でリードされ、後半はレナト・アウグスト(北京国安)が1点を返したものの、最後のネイマール(PSG)のシュートもこの夏、マドリー入団を決めるにふさわしいのは自分の方だという、競争心があったんでしょうかね。別れた彼女とマドリッドに住むお子さん2人の側にいたいクルトワにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、カセミロ、マルセロ(マドリー)、フィリペ・ルイス(アトレティコ)の3人を新シーズン最初のダービーに間に合うべく、帰してあげることに。 ▽え、となると火曜午後8時(日本時間翌午前3時)からの準決勝1戦目はフランスvsベルギーとなって、クルトワには再び、マドリーの補強候補として挙げられているエムバペ(PSG)を阻む任務が課せられるんじゃないかって?まあ、そうなんですけど、ブラジル戦でチェルシー行きが濃厚となっているGKアリソン(ローマ)との差は見せつけることができましたし、来季で契約が切れる彼の移籍金は4000万ユーロ(約52億円)と比較的安いですからね。大体、そんなこと言ったら、代表でも同じチームのエデン・アザール(チェルシー)が今大会での活躍度も高く、一番のライバルとなってしまうんですから、ここは攻撃陣と自分は違うという割り切りが大事かと。 ▽それより翌土曜、0-2で勝ったスウェーデン戦だけでなく、コロンビアとの16強対決のPK戦で大きく評価を高めたイングランドの新星、24歳のGKピックフォード(エバートン)の方が要注意で、いえ、グループリーグ最終戦でヤヌザイ(レアル・ソシエダ)にゴールを許した際には「ボクなら止められたけど、彼は10センチ身長が低いからね」と揶揄。更にブラジル戦後も「背の高さをからかった訳じゃないよ。ただボクは彼より15センチ大きいから、届いただろうって言っただけ」と全然、フォローになっていないことをクルトワは言っていましたが、199センチの彼から見れば185センチは小さくても、マドリーのペレス会長はW杯でスターになった選手がお気に入りですからね。 ▽2010年にはドイツのエジル(アーセナル)、2014年にはコロンビアのハメス・ロドリゲス(バイエルン)加え、正GKのケイロル・ナバスもコスタリカを準々決勝まで導いたのを高く評価されて入団という例もありましたから、むしろ、イングランドと決勝や3位決定戦で当たった場合を考えていた方がいいかもしれませんよ。 ▽そして準決勝進出最後のチームはクロアチアだったんですが、何より驚かされたのは16強対決でスペインを破ったロシアの変わりよう。この日は積極的に攻勢に出て、前半31分にチェリシェフ(ビジャレアル)のエリア外からのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で先制した後こそ、自陣で守り倒す態勢に入り、一時はクロアチアも無限ロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)状態になりかけたんですけどね。それでも辛抱強くスルーパスを狙ったり、ベルサイコ(アトレティコ)が右サイドからエリアにクロスを送ったりと努力を続けた結果、40分にはカウンターからマンジュキッチ(ユベントス)が敵エリア奥に切り込み、クラマッチ(ホッフェンハイム)の同点ヘッドを呼び込んでしまったとなれば、やっぱりスペインには創意工夫が足りなかった? ▽ただその後は両者とも追加点が取れず、延長戦前半にビダ(ベシクタシュ)が勝利に決定的とも思えるゴールを奪ったものの、後半にブラジル出身のマティアス・フェルナンデス(CSKAモスクワ)に頭で決められて、どちらも2試合連続となるPK戦に突入。第1キッカーのスモロフ(クラスノダール)がGKスバシッチ(モナコ)に弾かれた後、クロアチアもコバチッチ(マドリー)が失敗してイーブンになったんですが、ロシアは次のマティアス・フェルナンデスが枠を外してしまったのが運の尽きでした。ええ、クラブの先輩、モドリッチも危ないながら決めて、最後はデンマーク戦同様、ラキティッチ(バルサ)が勝負に決着をつけてくれましたっけ。 ▽これで水曜の準決勝はクロアチアvsイングランドとなったんですが、移籍希望を表明しているコバチッチはまあ、いいんですけどね。ここまでW杯の5試合で3回、MVPを受賞しているモドリッチが決勝翌日、来週月曜から、バルデベバス(バラハス空港の近く)で始まるマドリーのプレシーズントレーニングはもちろんのこと、8月1日のマンチェスター・ユナイテッド戦、5日のユベントス戦、8日のローマ戦といったインターナショナル・チャンピオンズカップのアメリカ遠征にも間に合わず、UEFAスーパーカップ前後にチーム合流というのはアトレティコファンにとって、いいニュースじゃないかって? ▽そうですね、ロシア戦の延長戦で交代となったベルサイコの容体が気にならなくもないんですが、中盤は先日、ガビがアル・サッド(カタール)へ移籍となったものの、ロドリ(ビジャレアルから移籍)も加入していますし、W杯に行っていないトマスやロシアではプレー時間をまったくもらえなかったサウールもいるため、ちょっと強気になっていいかも。 ▽それどころか、ここ数日、お隣さんではポルトガルが16強対決でウルグアイに敗退したため、早帰りとなったクリスチアーノ・ロナウドのユベントス移籍が秒読みとされていて、契約破棄金額は10憶ユーロ(約1300億円)ながら、マドリーは1億ユーロ(約130億円)でOKしているとか、トリノで済む豪邸もすでに決まっているとか、おかげでユーベの株価が30%も上がったとか、イロイロ話は聞くんですが、当人は家族とギリシャでバカンス中。 ▽ペレス会長が昨年のCL優勝後に約束した年棒アップがなかったことや、PSGにはネイマールのため、3億ユーロ(約390億円)の移籍金を払うつもりなのに、自分はその3分の1の値段をつけられたことなど、クラブ幹部との確執がかなり深いようなので、近日中に決まってもおそらく、サンティアゴ・ベルナベウでのお別れセレモニーはないかと思いますが、いやあ、これはスペイン代表をW杯2日前に解任されて以来、マドリーの業務に専念しているロペテギ新監督もちょっと貧乏クジを引いた感じですかね。 ▽といっても、ロナウド移籍を期に5月のキエフでのCL決勝でも2得点を挙げたベイルが奮起することになるのかもしれませんし、フランス代表に呼ばれていないベンゼマも休養十分。ドイツの予想外のグループリーグ敗退で早期帰国しているクロースやセルヒオ・ラモス、イスコ、ルーカス・バスケス、ナチョ、カルバハルらのスペイン勢がギリギリ戻って来るとなると、決して楽観はできませんが、何せUEFAスーパーカップはまだ遠い先。とりあえず今は私もW杯の決着がつくのを待ちながら、各チーム始動の様子を見守っていくことにしましょうか。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.09 14:00 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】盛り上がるどころじゃなかった…

▽「本当にスペインのW杯、終わっちゃったんだなあ」そんな風に私が実感していたのは火曜日、ワンダ・メトロポリターノのプレスコンファレンスルームでアトレティコのコケとサウールの姿を見た時のことでした。いやあ、今季は第3キャプテンに任命される予定のフアンフランと共に、折しもスペイン代表チームのチャーター便がバラハス空港に着いた翌日だったため、アル・サッドへの移籍が決まったカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)の大先輩、ガビのお別れ会見に花を添えるべく、これからバケーションでどこかに行くはずだった2人もこれ幸いと駆けつけたんでしょうけどね。 ▽ええ、主役が「18年間、このクラブにいて、多くのチームメートは自分よりいい選手だったけど、誰よりアトレティコのカラーを守ってきたと思う。負けると誰より苦しんだし、滅多にない喜びもあった。El Atlético es una manera de vivir/エル・アトレティコ・エス・ウン・マネラ・デ・ビビール(アトレティコは1つの生き方だからね)」と感動的なスピーチを行った後、3人のチームメートも壇上へ。スペインの敗退が決定した日曜のルジニキ・スタジアムでは1時間以上泣いていたというコケが再び声をつまらせて、「Eres como un hermano mayor/エレス・コモ・ウン・エルマーノ・マジョール(お兄さんみたいな存在だ)。次のアトレティコの監督は君だろうから、準備しておいて」と、一足飛びにまだカタールで一花咲かせるつもりの34歳を引退扱いしていたのには苦笑いしたものの、まあ、当人もあのロシア戦のせいでまだ頭の中がグルグルしていたのかも。 ▽おまけに続いて始まったプレスへの質疑応答では、こちらも一緒の飛行機で帰って来たんでしょうか。週末まで毎日、クアトロ(スペインの民放)のW杯番組で現地からスペインのレポートをしていた記者が挙手。「あのPK失敗の後、コケにどんな言葉をかけましたか?」なんてガビに訊いて、生々しい傷をえぐっていましたが、そりゃあ予定より、2週間も早くロシア滞在が終わってしまったんですものね。実際、私もいきなりポッカリ空いてしまったスケジュール帳に来週の半ば、アトレティコとヘタフェがプレシーズンを開始するまで一体、何を楽しみすればいいんだと困っているのは同様だったんですが…。 ▽いえ、話は順番に進めていかないといけません。いよいよW杯16強対決が始まった先週末は初日から、メッシ(バルサ)のアルゼンチンがグリーズマン(アトレティコ)のPKによる先制点に加え、パバール(シュツットガルト)やエムバペ(PSG)ら、若手が躍動したフランスに4-3で敗退。クリスチアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)のポルトガルもカバーニ(PSG)の2発に沈んでしまったため、金曜午後4時(日本時間午後11時)からの準々決勝でいよいよ、グリーズマン、リュカとゴディン、ヒメネスの身内対決が実現することになったのにはちょっと、複雑な心境になったものでしたけどね。 ▽それでも土曜の2試合はどちらもテンポのいいゲームでしたし、さすが決勝トーナメントにもなるとW杯も面白い試合が多いと喜んでいたんですが、いやあ、参りましたよ。確かにグループリーグでも高いポゼッションをなかなか得点に繋げられず、とりわけイラン戦やモロッコ戦ではイライラさせられたスペインだったんですけどね。そのせいもあってか、イエロ監督は3試合で5失点という、守備面の不安を重要視したよう。CL決勝でのケガが治ったばかりのカルバハル(マドリー)をナチョ(同)に、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)をコケにしてみたんですが、それでも良かったんですよ。前半11分、FKにセルヒオ・ラモス(マドリー)と一緒に倒れ込んだイグナシェビッチ(CSKAモククワ)のふくらはぎがボールに当たり、スペインがオウンゴールで先制点をゲットするまでは。 ▽もちろん、早々にリードできたのは私も嬉しかったんですが、そこから始まったのが永遠のロンド(輪の中に入った選手がボールを奪うゲーム)地獄。というのも、「3CBでプレーするのは好きじゃないが、出場停止者があってそうするしかなかった。選手たちに理解させるために沢山、話したよ」という、チェルチェソフ監督が敷いたロシアの自陣を固める絶対守備態勢はその後も変わらず、スペインはまったく敵ゴールに近づけなかったから。おかげでブスケツ(バルサ)、ラモス、ピケ(バルサ)、コケ、そしてバックパスという外縁ループばかりが繰り返されるって、だってえ、その間、ピッチで走っている選手が皆無なんですよ。 ▽そうこうするうち、いくら「ハイボールをエリア内に落としたり、クリアミスを狙ったりする方が楽なチームもあるが、eso no lo hace Espana/エソー・ノー・ロ・アセ・エスパーニャ(スペインはそんなことはしない)」(イエロ監督)というティカタカ(ショートパスを繋ぐスペインのプレースタイルの愛称)信奉者の彼らでも、ここまで退屈な試合は未だかつてなかったと、いい加減、自分も鳥肌が立ってきた頃に災厄が起きたんです。ええ、たまにボールが回って散発的な攻撃を試みていたロシアがCKのチャンスを獲得したんですが、長身ジュバ(アルセナル・トゥラ)のヘッドをピケが伸ばした腕に当て、ハンドでPKを献上してしまったから、さあ大変! グループ3試合で1セーブしかしていないGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)がジュバに破られて、ハーフタイムまで5分を残してスペインの貯金はなくなってしまうことに。 ▽同点で始まった後半もあまり状況に変化はなく、いえ、前半の接触プレーでケガをしたナチョがカルバハルに代わったのは別ですが、22分にはイエロ監督が「長丁場になると思い、espere al minuto 70 porque veia que ahi empezaba otro partido/エスペレ・アル・ミヌート・セテンタ・ポルケ・ベニア・ケ・アイー・エンペサバ・オトロ・パルティードー(別の試合が始まる70分を待った)」という理由で今大会、初めてベンチスタートとなったイニエスタ(ヴィッセル神戸)がシルバ(マンチェスター・シティ)に代わって入ったんですけどね。30分過ぎにジエゴ・コスタ(アトレティコ)から、イアゴ・アスパス(セルタ)にチェンジした後は少し、動きが出てきたものの、イニエスタとアスパスのダブルチャンスも実らず。1-1のままで90分が終わり、延長戦に突入です。 ▽え、結局、エクストラの30分を戦っても決着がつかず、PK戦に望みを懸けることになったスペインだったけど、イエロ監督がキッカーを選ぶ際には妙な出来事があったんじゃないかって? そうですね、後でクアトロの映像(http://www.marca.com/futbol/seleccion/2018/07/02/5b3a2c17468aeb03088b4607.html)でわかったんですが、イニエスタが最初に蹴り、ラモス、ピケと代表ベテラン勢も大役を快諾。続いてコケにお鉢が回ったところ、ベンチからずっとイエロ監督について来ていたコスタが反対したんですよ。その理由は不明ですが、それでもラモスに「Quieres tirar?/キエレス・ティラール(蹴りたいか?)」と訊かれたコケは「Si, si/シー(イエス)」と志願。その結果、ご存知のように3番目にGKアキンシェーフ(CSKAモスクワ)に挑んで見事、弾かれてしまうことに。 ▽うーん、これまでミラノでのCL決勝を始め、私が見ているアトレティコのPK戦で彼が失敗したことはなかったんですけどね。その直後、ベンチ前で応援していたコスタが「Te lo dije/テ・ロ・ディヘ(言ったじゃないか)」とイエロ監督に蒸し返していたのには、火曜のワンダで会ったアトレティコ番のラジオ記者など、「監督の決定に口を挟むなんてやっちゃいけないこと」と批判していたものの、もしやクラブのチームメートだけに第六感が働いたのかもしれない? どちらにしろ、スペインはデ・ヘアが1本も止められず、最終キッカーのアスパスもアキンフェーフの足に阻まれてしまったため、PK戦3-4負けで帰国が決定です。 ▽この結果、4年前のブラジル大会、2年前のユーロに続いて早期敗退をしてしまった彼らなんですが、何せ今回は大会開幕2日前にマドリーとの契約を発表したロペテギ監督が電撃解任、「Se fue el líder/セ・フエ・エル・リデル(リーダーが行ってしまった)」(コケ)という大逆境がありましたからね。ただ、それがなくとも2008年から2012年までの国際メジャートーナメント3連覇の黄金期を築いた主力メンバーの生き残りが今では皆、30歳過ぎ。「juego rápido/フエゴ・ラピド(速いプレー)」が必要だと主張していたシルバやイニエスタら、ティキタカの基本となるべきMF陣が以前のスピードで動けなくなっていたのは事実ですからね。 ▽随所で妙技を見せて1人、株を上げていたイスコ(マドリー)にしてもチームの動きを加速することはありませんでしたし、大体このロシア戦、ポゼッション79%で計1137回ものパスを出しながら、前方に出したのはたったの278回。挙句にオウンゴールからの1点しか取れないのでは、そろそろサッカースタイル自体を見直す時期に来ているのかも。ちなみにこの試合の後、イニエスタは代表引退を宣言、その夜はベースキャンプ地のクラスノダール(ロシア南西部)に戻り、1泊してから、月曜にマドリッドに着いた時にはシルバもお揃いのチームメートのサイン入りボールを抱えていたため、同じなんじゃないかと思いますが、早々とこれが最後の大会と言っていたピケからはまだコメントが出ていません。 ▽え、32歳のラモスなどは逆に「Me voy a ver obligado a llegar a Catar con la barba blanca/メ・ボイ・ア・ベル・オブリガードー・ア・ジェガール・ア・カタール・コン・ラ・バルバ・ブランカ(ヒゲが白くなってもカタール大会までやることが義務に思えているよ)」とまだまだ、代表キャプテンを続ける気満々だったんじゃないかって?まあ、その辺はイエロ監督が続投しない見込みで現在、ルイス・エンリケ、キケ・サンチェス・フローレス、ミチェル、そしてガビをアル・サッドに誘ったチャビら、複数挙がっている候補の中から決まった次期代表監督が考えてくれればいいことですからね。この4試合では怪しい守備のポカも度々あったため、私には何とも言えませんが、この先、公式戦が巡ってくるのは9月のネーションズリーグからなので、サッカー協会も後任の人選には慎重になってもらいたいものです。 ▽そしてスペインと同日の16強対決ではクロアチアもPK戦でデンマークを破り、準々決勝に進出。スバシッチ(モナコ)とシュマイケル(レスター)の両GKが何本も止めまくっているのはまるで異次元の出来事のようで、見応えがありましたが、おかげで延長戦では止められたPKをリベンジできたモドリッチやコバチッチ(マドリー)、そしてベルサイコ(アトレティコ)ら、マドリッド勢のプレーが土曜午後8時(日本時間翌午前3時)からのロシア戦でも楽しめるのはまだ、何かの慰めになるかと。 ▽月曜にはブラジルがメキシコを2-0で下し、その夜には後半ロスタイム、最後のプレーでGKクルトワ(チェルシー)から始まったカウンターが実を結び、ベルギーが日本に3-2で逆転勝ち。この試合でもゴールを挙げた乾貴士選手(ベティス)や4試合先発出場をした柴崎岳選手(ヘタフェ)がもう見られないのは残念ですが、金曜のブラジルvsベルギー戦ではマドリーが獲得を狙っているという噂の絶えないネイマール(PSG)とクルトワの対決に注目するのもいいかも。ただしこの試合、カセミロ(マドリー)は累積警告で出場停止、マルセロ(マドリー)かフィリペ・ルイス(アトレティコ)はどちらか、一択になりますが。 ▽更に火曜にワンダから戻ってみると、4組目の土曜の準々決勝はスウェーデンvsイングランドに決まったんですが、何せマドリッド勢プレシーズン開始のトップバッター、アトレティコも11日まで動きませんしね。丁度、ヘタフェも12日から始動という情報が入ったんですが、どちらもW杯参加選手たちの合流はずっと先。一応、17日にバルデベバス(バラハス空港の近く)でロペテギ新監督の下、練習を始めるマドリーだけはベイルとベンゼマ、2人の大物が顔を見せることになっていますが…どちらにしろ、8月までは私もその両名の先行きも含め、移籍関連ぐらいしか、お伝えできることがないかもしれません。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.07.04 15:00 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】決勝なんてまだ考えられない…

▽「笑われても仕方ないけどね」そんな風に私が諦めの境地に至っていたのはW杯最初のノーマッチデーとなった金曜日、スペイン代表のチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)が定例会見に登場。「16強対決でロシアを破れば次はデンマーク、スウェーデン、そしたら決勝という可能性にファンは夢をかきたてられているけど」と記者が質問を始め、「Y el final, Japon?/イ・エル・フィナル、ハポン(で、決勝は日本?)」とチアゴが口を挟んだところ、クラスノダール(ロシア南西部)のベースキャンプの会見場では失笑が沸き上がっていたから。 ▽そう、木曜にグループリーグ全試合が終わり、決勝トーナメントの枠組みが決まってみると、土壇場にイアゴ・アスパス(セルタ)のゴールがVAR(ビデオ審判)で認められ、最終節モロッコ戦を2-2の引き分けに持ち込んだスペインは首位でグループ通過。それにはポルトガルもイランに追いつかれ、ドローに終わったため、勝ち点で並んでいても総得点数で上回ることができたという幸運もあったんですが、何よりの恩恵は彼らが回ったトーナメント表のサイドなんですよ。だってえ、ブラジルもアルゼンチンもフランスもいない上、ここまで抜群の得点力で影の優勝候補に挙げられていたベルギーさえ、ヤヌザイ(レアル・ソシエダ)が空気を読まずにイングランド戦で決勝ゴール。引き分けで終わっていれば2位のまま、楽な側に回れていたのにわざわざ、反対に行ってくれるって、もしや今大会のスペインはツイている? ▽要はその強豪ひしめくブロックに日本もいるんですが、いやあ、確かに木曜は終盤15分、コロンビアがセネガルに先制したのをいいことに、自身も1点ビハインドながら、イエローカード枚数が少ないフェアプレー基準でのリード頼りにセンター付近で延々とボール回し。臆面なく、時間つぶしをしていた姿には私も驚かされたものでしたけどね。翌日はマルカ(スポーツ紙)などでも「ファール数もグループリーグ中、一番少なく、フェアプレーをするチームという印象が汚されてしまった」と嘆かれていましたが、え、リーガにだってたまにそういう試合はあるんじゃないかって? ▽そうですね、昨季など、アトレティコが僅差でリードしている際、グリーズマンが絶好のカウンターのチャンスでボールを戻してしまい、ワンダ・メトロポリターノのサポーターから思いっきり、pito(ピト/ブーイング)を浴びていたなんてこともありましたけどね。とはいえ、ここまであからさまなボールキープは私も初めて見ましたし、とりわけ中心となってバックパス回しをしていた乾貴士選手など、8月からの新天地となるベティスのファンが悪いイメージを抱かないかと心配になったものですが、まあそれはそれ。せっかくグループ突破ができたんですし、次の16強対決、ベルギー戦で名誉挽回できることを祈っています。▽そうそう、日本代表関連で言えば、先週のレガネスに続き、今週は水曜にもう1つのマドリッド勢弟分、ヘタフェの新ユニフォームプレゼンに現在、全面芝張替え中のコリセウム・アルフォンソ・ペレスまで行ってきた私でしたが、残念ながら、VIPホールで開かれたこちらではモデルとなったのはユースチームの選手たちだけ。今季はチームカラーの青に第2ユニは赤、第3は白とちょっとお隣さんより地味な感じは否めないものの、60ユーロ(約8000円)と兄貴分たちに比べ、お手頃価格なのは一緒です。すでにスタジアム前にあるオフィシャルショップで買えるんですが、そこでやっぱり気になるのは今、ロシアで頑張っている柴崎岳選手が今季もヘタフェでプレーしてくれるかですよねえ。 ▽顔見知りのマルカの番記者なども「W杯での活躍で評価が上がって、他のチームからオファーがくるかもしれない」と言っていたため、プレゼンの後、質問に答えていたアンヘル・トーレス会長に訊いてみたところ、「Gaku tiene contrato, y la idea es que siga/ガク・ティエネ・コントラトー、イ・ラ・イデア・エス・ケ・シガ(ガクとは契約があるし、残留するという考えだ)。といっても契約破棄金額を払うクラブが現れて、当人が行きたがれば話さないといけない」とのことでしたが、まあこれはどの選手に対しても同じヘタフェのスタンス。加えて、社交辞令なんでしょうか、「今はガクが決勝でスペインと戦うことを期待しているよ」と言っていましたが、うーん、もしそうなったら、昨季は22試合しか使ってくれなかったボルダラス監督ももっと、柴崎選手を頼りにしてくれますよね。 ▽そしてGKグアイタのクリスタル・パレス行き、レンタルだったベルガラ、アランバリらとの直接契約などがあったヘタフェではモロッコのグループリーグ敗退でファジルもバケーション入り。W杯に残っているのはあと1人と、7月中旬に始まるプレシーズンキャンプに支障はなさそうなんですが、各国代表に大量の選手を派遣している兄貴分チームの様子もお話していくことにすると。まず、スペイン代表を解任された翌日、サンティアゴ・ベルナベウで就任プレゼンがあったロペテギ監督がすでにバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に通勤、せっせとプランニングに励んでいるレアル・マドリーでは、グループリーグでお役御免になったのは3人でした。 ▽ええ、ファジルの同僚アシュラフ、コスタリカのGKケイロル・ナバス、そして水曜のグループ最終節に2-0で韓国に負けて敗退、今大会、最大のサプライブを演じたドイツのクロースですが、どうやら彼らは7月27日、この夏最初のプレシーズンマッチ、プエブラ戦のためのメキシコ遠征から合流する予定とのこと。W杯に行っていない選手たち(ベンゼマ、ベイルを含む)は17日から、バルデベバスでトレーニングを開始します。ロシアにまだいる11人はチーム敗退の時期に応じて、順次合流していくようですが、最多5人が参加しているスペインが決勝まで残ったりすると、2018-19シーズン最初の公式戦、お隣さんとタイトルを争う8月15日のUEFAスーパーカップの準備が大変になりそうな。 ▽え、それは先日、7000万ユーロ(約91億円)の移籍金で入団が決まったフランス代表のレマル(モナコ)を含め、総勢10人全員がW杯で勝ち残っているアトレティコも同じだろうって?そうですね、水曜のセルビアvsブラジル戦ではマルセロが開始10分で背中を痛め、出番はほとんどないと思われていたフィリペ・ルイスも大会デビューしましたしね。16強対決の始まる火曜にはゴディンとヒメネスのいるウルグアイがクリスチアーノ・ロナウドのポルトガルと対戦。選手たちにとってはできるだけ長くロシアにいたいところでしょうが、それぞれのクラブを応援するファンにとっては心情的に微妙かと。 ▽同日にメッシのアルゼンチンに立ち向かうフランスのグリーズマン、リュカとバランは一蓮托生ですからいいんですが、実はアトレティコでは木曜、いきなりキャプテンのガビが3年間、1900万ユーロ(約25億円)の契約で元バルサのチャビがいるアル・サッド(カタール)からのオファーを真剣に検討しているなんて話が出てきたら、もしやスペイン代表のカンテラーノ(ユース組織出身の選手)コンビ、コケとサウールには早く戻って来てもらった方がいい? いえ、W杯直前の日本との親善試合でゴールを挙げていたトマス(ガーナ)は本大会には出ていませんし、大会開幕直前までヘルプ要員としてクラスノダール(ロシア南西部)の合宿まで帯同していたロドリ(ビジャレアルから移籍)もとっくに帰国しているため、ボランチに人手が足りなくなることはないんですけどね。 ▽昨季後半は19人という超少数精鋭でプレーしていたイメージがあまりに鮮烈に残っているため、来週にはアトレティコを退団したフェルナンド・トーレスもいよいよ、MSLのシカゴ・フィアーズなり、Jリーグのサガン鳥栖なり、行き先を発表すると言われていますし、そろそろ補強も本格的に始めてもらいたいかと。アメリカでのバケーションを楽しんだ後、故郷スロベニアに戻り、木曜には2019年バスケットボールW杯予選のスペイン戦を見に行っていたという、GKオブラクの契約延長交渉もまだ進展はないようですし、モドリッチやコバチッチと共にクロアチア代表として、日曜にデンマークと対戦するベルサイコにも相変わらず、移籍の噂が絶えないのはちょっと気掛かりなところでしょうか。 ▽え、それってもしや、冒頭のお気楽な記者の質問とは裏腹にスペインのいる決勝トーナメントのサイドにはクロアチアがいるってことじゃないのかって?その通りでウルグアイ、ベルギー同様、ナイジェリア、アルゼンチン、アイスランドに3連勝してグループ突破してきた彼らは2016年ユーロのグループ最終節でスペインに勝利。おかげで16強対決をイタリアと戦う羽目になり、早期敗退を招いた因縁の相手なんですが、そんなのはもう、スペインが開催国ロシアを日曜午後4時(日本時間翌午前11時)からの試合で破ってから考えればいいことですからね。 ▽その肝心のチームは金曜夜にはこのところ、日中38度にもなる猛暑に襲われているクラスノダールを後にし、20度程の過ごしやすいモスクワに移動したんですが、今のところ確定しているのはイエロ監督が「Sí, jugará/シー、フガラ(ああ、プレーする)」と確約していたGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)の先発リピートだけ。各紙の予想によると、ジエゴ・コスタ(アトレティコ)とアスパスのツートップ、グループリーグ中、最も走行距離が多かった敵への対抗策に健脚自慢のコケのスタメン復帰などがありそうですが、どちらにしろ、土曜のルジニキ・スタジアムでの前日練習が終わってみないと詳細はわからないかと。 ▽何せここからは反省のきかない一発勝負とあって、3試合で5失点という、穴だらけの守備だけは改善してくれないと困りますからね。ええ、カルバハル(マドリー)なども「Creo que corrigiendo esos errores atrás, nos hacemos muy fuertes/クレオ・ケ・コレヒエンドー・エソス・エローレス・アトラス、ノス・アセモス・ムイ・フエルテス(ああいうミスを正していけば、ウチはとても強くなれる)」と言っていましたし、とりわけロシアには元マドリーのチェリシェフ(ビジャレアル)以外にも身長196センチの大型FWジェバ(アルセナル)がいて、ここまで3得点と空中戦にも強いようなので、セルヒオ・ラモス(マドリー)、ピケ(バルサ)のCBコンビには頑張ってもらわないと。 ▽そんな中、スペイン情報で興味を覚えたのはAS(スポーツ紙)に出ていた記事で、サッカー協会関係者によると、どうやらロペテギ前監督が開幕前に決めたPKキッカーの順番をイエロ監督がこのたび変更。これまでは第1キッカーがシルバ(マンチェスター・シティ)だったのがラモスになるかもしれないことですが、このW杯ではVARのおかげでPKも多いことですし、まあ見てのお楽しみ。でもだからといって、決勝トーナメント初っ端から、PK戦なんて私はイヤですよ。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.30 12:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】危なっかしすぎてハラハラする…

▽「予行演習になるのかしら」そんな風に私が思いをはせていたのは火曜日、スペインと同じBグループから、W杯決勝トーナメントに駒を進めたポルトガルがウルグアイと顔を合わせる16強対決の試合日程を見ていた時のことでした。というのも、ロシアに3-0と勝利してグループ首位突破を決めた月曜のグループ最終戦こそ、練習中にケガをしたヒメネスは出ていなかったんですけどね。キャプテンのゴディンと共にアトレティコのCBコンビが今大会、4試合目となる零封を懸けて次に対峙するのはクリスチアーノ・ロナウド。もちろんまだ、キエフでのCL決勝後のコメントから、レアル・マドリー退団の噂もある彼が8月15日、エストニアのタリンで開催されるUEFAスーパーカップに出るのかどうか、不確かではあるものの、ここでしっかり抑えておけば、新シーズン最初のタイトル争いでお隣さんに対して優位に立てるかもしれないから。 ▽いえ、マドリーの脅威はそれだけに留まらず、クロアチアの2戦目、エリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めて、アルゼンチンを0-3で粉砕するのに貢献したモドリッチや先週末、土曜のスウェーデン戦では何と、クロースが後半ロスタイムに起死回生の勝ち越し弾をゲット。いくら前半には自身のボールロストから、敵に先制点を与えるキッカケを作った責任を感じていたとて、ベンチもエリア内に展開したマリオ・ゴメス(シュトゥットガルト)、ミュラー(バイエルン)ら、攻撃に加わろうとしてコーチに止められたGKノイアー(バイエルン)を含め、その時はチームメート全員がFKからの空中戦を待っていたんですよ。 ▽それなのに同点ゴールを決めていたマルコ・ロイス(ドルトムント)のキッカー志願も却下、ショートで出したボールを止めることだけを頼んで、当人は最初から直接ゴールを狙っていたというから、いやもう。思惑通り、シュートをネットに突き刺して、2-1の勝利でドイツ勝ち抜けの希望を再燃させるとはただただ、シャッポを脱ぐしかありませんって。うーん、こういう才能のほとばしりを見せつけられると、何せアトレティコの中盤要員はまだスペイン代表W杯デビューも果たしていないサウールだけでなく、コケも月曜のモロッコ戦には出番がありませんでしたからね。ジエゴ・コスタ(3得点)とグリーズマン(1得点)でFW陣はロナウドのここまで4ゴールに拮抗しているものの、こうも2列目で差がついてしまうのは一体、どうしてでしょうかね。 ▽え、スペインの3戦目ではイスコ(マドリー)も違いを見せていなかったかって?そうですね、とりあえずモロッコ戦がどうだったか、お話ししていくことにすると、ポルトガルと分け、イランに勝ったことで、引き分け以上ならグループ突破という条件で始まったカリーニングラード(ロシア北西部)でのこの試合、イエロ監督はチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)を先発に起用。イラン戦でルーカス・バスケス(マドリー)を右サイドに使ったものの、あまり効果が出なかったせいのようですが、いやあまさか、すでに2戦目で敗退が決定し、前日など、ファジル(ヘタフェ)がグラウンドにスピーカーを持ち込んで、音楽をかけながらトレーニングをしていた程、リラックスしていたはずの相手にこうまで苦労させられるとは! ▽それもスペインの自業自得ではあるんですが、前半14分、イニエスタ(ヴィッセル神戸)とセルヒオ・ラモス(マドリー)のミスから、ブタイブ(マラテイアスポル)がボールを奪取。スペイン陣地を独走して先制ゴールを決めているんですから、呆気に取られたの何のって。もうその時はバルサのバルベルデ監督も昨季はセーブして使っていただけに、イニエスタが3試合連続で先発するのはもうムリだったのかと私も思ってしまったものですが、大丈夫。その5分後にはイスコ、コスタと繋いだボールを敵エリア奥まで持ち込んで、最後はイスコにアシストして面目躍如しているんですから、やはりスペインの攻撃には欠かせない人材です。 ▽ただ、同点に追いついた後も相変わらずだったのは守備陣で、何せ24分にはスローインからブタイブが再び独走。この時こそ、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が1対1で弾き、今大会初セーブでゴールを死守してくれたんですが、まったくもって心臓に悪い。おまけにもしや、昨季のリーガ戦で何かあったんでしょうかね。ラモスと何度もいがみ合っていたアムラバット(レガネス)を始め、モロッコの選手たちがやたら乱暴なファールをかけてくるため、血気盛んなコスタがやり返してイエローカードをもらう恐れはともかく、決勝トーナメント前に誰かにケガでもされたらと心配になったのは私だけ? ▽おまけに後半16分にはイスコのヘッドがゴール前でモロッコDFにクリアされ、追加点が取れなかったスペインはベンチの動きも遅く、イエロ監督がようやく交代カードを切ったのは29分になってのこと。それもイアゴ・アスパス(セルタ)とアセンシオ(マドリー)投入し、チアゴはいいんですが、コスタも引っ込めてしまったのはちょっと理解に苦しむところでしたが、それはまあ置いといて。だってえ、36分には絶対、許せない守備ミスが起こったんですよ。ええ、CKから落ちてきたボールをラモスがエンネミリ(マラガ)に競り負け、ヘッドを決めらてしまうって、あまりに酷すぎるでしょう? ▽実際、前節でもCKからイランにもゴールを入れられて、その時は線審がオフサイドの旗を挙げ、VAR(ビデオ審判)も確認してくれたため、大事に至らなった彼らですからね。いくら初戦直前にチームを本大会に導いたロペテギ監督が解任され、急遽、イエロ監督に代わったとはいえ、選手たちは同じ。セットプレーの守備方法が変わるはずもないとなれば、これはやっぱり気の緩みからかと。ただこの日もスペインはVARの神様に恵まれていたのか、「Le he pedido que se asocie y saque su talent/レ・エ・ペディードー・ケ・セ・アソシエ・イ・サケ・ス・タレントー(連携して、自分のタレントを出してこい)」(イエロ監督)と言われてピッチに送り込まれていたアスパスが45分、カルバハル(マドリー)のクロスをtacoazo(タコナソ/ヒールキック)でゴールに流し込んでくれたから、助かったの何のって。 ▽ええ、こちらはイラン戦と逆でオフサイドのフラッグがVARにより、間違いだったと確認されたんですけどね。おまけに代表では12試合で6ゴールを全て途中出場で挙げているアスパスも「El arbitro no escuchaba bien y le dije que fuera a ver la camara/エル・アルビトロ・ノー・エスクチャバ・ビエンイ・レ・ディエ・ケ・フェラ・ア・ベル・ラ・カマラ(審判は無線がよく聞こえないようだったから、ビデオを見に行ったらと言ったんだ)」と話していたように、判定に時間がかかっている間、別会場ではイランがやはり、VARにより与えられたPKで1-1に追いつくことに。その前にロナウドがPKを失敗していたおかげもあって、そのままポルトガルと引き分けたため、2-2としたスペインのグループ首位突破が確定したから、狐につままれたようとはまさにこのこと?ええ、これでウルグアイではなく、ロシアとの16強対決に挑めることになりましたっけ。 ▽ちなみに試合後のスペインからは一応、殊勝な言葉が聞こえてきていて、審判のVAR問い合わせ中には勝ち点、得失点差、総得点数が拮抗した場合、最後はカード枚数によるフェアプレー基準で順位が決まるのが気になったか、いきり立って抗議しているベンチの選手たちを抑えるので大変だったイエロ監督が、「Cinco goles en tres partidos no es el camino/シンコ・ゴーレス・エン・トレス・パルティードス・ノー・エス・エル・カミーノ(3試合で5失点というのはたどるべき道ではない)」というのは当然だったかと。このモロッコ戦のMVPとなったイスコも「No podemos seguir regalando goles, tenemos que centrarnos/ノー・ポデモス・セギール・レガランドー・ゴーレス、テネモス・ケ・セントラールノス(ゴールを贈り続けることはできない。ボクらは集中しないと)」と同じ意見のようです。 ▽一番しっかりしなければならないキャプテンのラモスなども、「Es noche de hacer autocrítica del primero al ultimo/エス・ラ・ノッチェ・デ・アセール・アウトクリティカ・デル・プリメーロ・アル・ウルティモ(最初の1人から最後の1人まで自己批判する夜だね)」と言っていましたが、とにかく守備に関しては緊急に改善が必要かと。何せ、ウルグアイ戦では前半に退場者を出したこともあり、ルイス・スアレス(バルサ)、チェリシェフ(ビジャレアル)のオウンゴール、カバーニ(PSG)の3点で沈んでしまったロシアとはいえ、初戦はサウジアラビアに5-0、2戦目もエジプトに3-1と計8ゴールも挙げていて、決してチャンスをムダにするチームではないことがわかっていますからね。 ▽加えてスペインはこれまでユーロ、W杯で開催国と対戦した8試合、全てで負けているというジンクスがあるとなれば、いくら大人の国際メジャートーナメントはこれが初参加。昨年はU21ユーロで一緒に準優勝したサウールとは違って、2試合で途中出場のチャンスをもらい、一歩リードした感のあるアセンシオが、「Hemos quedado primeros, parece que hemos quedado segundos o estamos eliminados/エモス・ケダードー・プリメーロス、パレセ・ケ・エモス・ケダードー・セグンドス・オ・エスタモス・エイミナードス(ウチは1位通過したのに、まるで2位だったり、敗退したみたいに見えるよ)」と試合翌朝、ベースキャンプ地のクラスノダール(ロシア南西部)での練習後記者会見で皮肉ってもなかなか、楽観的になれないのが人情というもの。 ▽まあ、日曜午後4時(日本時間翌午後11時)から、モスクワのルジニキ・スタジアムで行われるロシア戦ではここまでずっと先発しながら、まったく精彩のないシルバ(マンチェスター・シティ)をローテーションしたらいいとか、CL決勝での負傷から回復したばかりのカルバハルもこれから、だんだん調子が上がっていくんじゃないかとか、世間ではイロイロ、言われていますけどね。中日も沢山あるため、火曜は控えメンバーがグラウンドで汗を流した後、恒例の24時間フリータイムをもらい、選手たちは現地に応援に来た家族や友人と過ごすため、FCクラスノダールのユース用施設を出て市内でリフレッシュ。これがいい気分転換になればいいんですが、どうにも不安は尽きませんよね。 ▽そうそう、火曜のグループCとDの最終節の結果、ロシアを倒した場合、準々決勝ではクロアチアvsデンマーク戦の勝者とスペインは当たることになったんですが、一応、私が見てきた彼らのW杯やユーロではグループリーグ敗退(2004年、2014年)をしなければ、次の関門は16強対決(2006年、2016年)。ここを抜けた暁には優勝(2008年、2010年、2012年)しているため、おそらく来週まで大会に残っていれば、マドリッドでも野外に大型スクリーンを設置して、パブリックビューイングも行われたりするんじゃないかと思うんですが…このグループリーグ中はW杯の熱気を町中で感じることもあまりなくてねえ。現地のスタンドでも相手サポーターに数で圧倒されているようですし、ここ2大会、失望が続いただけにスペインのファンも慎重になっているのかもしれません。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.27 13:30 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】勝ってもまだ安心はできない…

▽「マドリッドより暑いとは」そんな風に私が驚いていたのは金曜日、スペイン代表がW杯中のベースキャンプにしているクラスノダール(ロシア南西部)の気温が37度もあると、現地からの生中継で聞いた時のことでした。いやあ、今年はちょっと遅めだったんですが、1週間程前からようやくマドリッドも真夏モードに突入。30度を超えるようになったため、冷房のない部屋で試合を見ているのが自分も辛くなってきたとはいえ、あの涼しそうなイメージのあるロシアでまさか、プレシーズンキャンプ並の猛暑に選手たちが耐えているとは! ▽いえ、イラン戦のあったカザンから戻った翌日、セルヒオ・ラモスとルーカス・バスケス(レアル・マドリー)がマイナス100度近い小部屋に入って凍結療法を受けていたのは、別に暑さでバテたせいじゃないと思いますけどね(http://www.sefutbol.com/dentro-soportaran-sergio-ramos-y-lucas-vazquez-temperaturas-100o)。午前中、先発組はジムでのリハビリトレ、控え組はグラウンドでの練習を終えた後、イアゴ・アスパス(セルタ)、アスピリクエタ(チェルシー)、ナチョ、アセンシオ(マドリー)、サウール(アトレティコ)、オディオソラ(レアル・ソシエダ)らなどは合宿先のFCクラスノダールのユース施設で日光浴(http://www.marca.com/futbol/seleccion/2018/06/21/5b2bd3bb268e3e312e8b45bd.html)と24時間のフリータイムを満喫していたようですが、こんなノンビリしていられるのもグループリーグ2戦目で勝利を掴めたおかげだったかと。 ▽4年前、オランダとチリに連敗して、2試合ですでに敗退が決まってしまったブラジル大会からすれば、天と地の差ですが、幸いキャンプ地のクリチバが低気温でサルバドールやリオ・デジャネイロで暑さに苦しんだ当時とは気候も真逆。来週月曜に決勝トーンナメント進出の懸かった最終戦が行われるカリニングラード(ロシア北西部)など、13度とプレーしやすい気温のようですし、おまけに相手は初戦で終盤のオウンゴールでイランに、2戦目も開始早々、クリスチアーノ・ロナウド(マドリー)がCKからヘッドで今大会4得点目を挙げたポルトガルに、どちらも1-0で連敗してすでにグループ敗退が決定。となれば、引き分けぐらいには何とか、持ち込めるんじゃないかと思うんですが…。 ▽え、あまりマドリッドがW杯で盛り上がっていないようなのは今回もスペインが、あの国際メジャータイトル3連覇を果たした黄金期、2008~2012年程の強さを見せてくれていないからじゃないのかって?うーん、バルセロナや他の都市ではあるようですが、オープンエアに大型スクリーンを設置してのバプビックビューイングゾーンがグループリーグ中、市内にないのはおそらく、たった3試合で終わった前大会の苦い経験からなのかもしれませんけどね。今回は中継がオープン放送で皆、自宅で試合を見られてしまうため、スペイン戦以外の時間帯はセントロ(市内中心部)のバル(喫茶店兼バー)も静かなものでしたが、まあそれは置いておいて。 ▽というのも水曜のイラン戦、彼らはケイロス監督率いるイランの超守備的プレーに大苦戦。その対策は一応お、イエロ監督も考えて、ポルトガル戦の先発からコケ(アトレティコ)とナチョを外し、「左サイドはイスコ(マドリー)で優位になるようにして、右サイドはルーカス・バスケスとカルバハル(マドリー)でオープンにプレーさせる」というスタメン変更をしたんですけどね。相手は10人全員が自陣で守っている上、前半のうちから次から次へと選手がピッチに倒れ、スローインにもGKキックにも延々と時間かけているって、サンティアゴ・ベルナベウやワンダ・メトロポリターノに来た下位チームじゃあるまいし、世界中に放送されるW杯ではかなり珍しい光景だったかと。 ▽おかげでイラついたジエゴ・コスタ(アトレティコ)など、なかなかボールを蹴らないGKベイランバンドに詰め寄り、つま先を踏みかけて相手が転倒。VAR(ビデオ審判)による退場勧告が主審に入るんじゃないかとドキドキしたものでしたが、当人も後で「Hay tantas camaras que no puedes hacer el tonto/アイ・タンタス・カマラス・ケ・ノー・プエデス・アセール・エル・トント(あれだけTVカメラがあるんだから、バカな真似はできないよ)」と言っていた通りセーフ。事なきを得ましたが、何せカザン・アレーナ(ルビン・カザンのホーム)のスタンドは相手サポーター1万5000人に対し、決勝トーナメントまで出控えているのか、スペイン人1000人という大劣勢でしたからね。スコアレスドロー狙いの時間稼ぎにpito(ピト/ブーイング)が出る訳もなく、場内にはイラン人たちが持ち込んだ南アフリカ大会を思い出させるブブセラが響き渡るばかりでしたっけ。 ▽そんな状態でしたから、後半も辛抱して敵エリアを囲みながら、チャンスを伺うしかないのかと、私もハーフタイム中はあまり楽観的になれなかったんですが、スペインにツキが回ったのは再開して間もなく、9分のこと。いえ、イニエスタ(ヴィッセル神戸)が送ったスルーパスを受けたコスタは2人のDFに挟まれて、シュートを撃つスペースがなかったんですけどね。レザエイアンがクリアしようとしたボールが彼のヒザに当たり、ゴールを割ってしまったから、これをラッキーと言わず何と言う? ▽ただねえ、これでようやく先制点を奪った彼らでしたが、そこからイランの猛反撃が始まったんですよ。初戦でのミスもあり、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が忙しくなるのも怖かったんですが、16分など、FKからエザトラヒのシュートがゴールに入ってしまったから、さあ大変!イランの選手たちはもちろん、団子になって喜んでいましたが、ちょっと待って。「El asistente ha pitado el fuera de juego, el VAR lo ha confirmado/エル・アシステンテ・ア・ピタードー・エル・フエラ・デ・フエゴ、エル・バル・ロ・ア・コンフィルマードー(線審がオフサイドを取っていて、VARがそれを確認した)」と後でピケ(バルサ)も説明していたようにフラッグが上がっていたため、その場は追いつかれずに済んだんですが…。 ▽いやあ、どうも最近のスペインはボールをキープして守ることが昔のように上手くできなくなったようで、ええ、初戦も最後にロナウドにFKを決められて、3-3のドローに持ち込まれていましたしね。この日もイニエスタをコケにして中盤を固めようとしたんですが、それまで羊の皮をかぶっていたイランにいつゴールを奪われるか、試合終了の笛が鳴るまでどんなにヒヤヒヤしたことか。実際、リフレッシュにアセンシオ(マドリー)やロドリゴ(バレンシア)が入っても追加点には繋がらなかったんですが、0-1でも勝ちは勝ち。これでその日、先にモロッコを下して勝ち点4としたポルトガルと並び、得失点差、総得点でも同じだったため、イエローカードが1枚少ないというフェアプレー基準差とはいえ、グループ首位に立てたのは良かったかと。 ▽まあそのフェアプレーは試合後、「Iran practica el antifutbol/イイラン・プラクティカ・エル・アンティフトボル(イランのサッカーはアンチサッカーだ)」と批判していたカルバハルにケイロス監督が、「Que Carvajal le diga eso a Ramos, que dejo a Salah sin Mundial/ケ・カルバハル・レ・ディガ・エソ・ア・ラモス、ケ・デホ・ア・サラ・シン・ムンディアル(カルバハルはそれをラモスに言ったらいい。彼はサラ(リバプール)からW杯を奪った)」と反論していたのとはまったく関係ないんですけどね。実は1位で勝ち抜けた方がいいのかどうかは微妙で、というのも16強対決で当たるグループAではすでに進出2チームが決定。 ▽サウジアラビアに5-0と大勝した後、サラのいるエジプトも3-1で下した開催国ロシアが1位、ルイス・スアレス(バルサ)のゴールでサウジアラビアを破って2連勝したウルグアイが2位なんですが、両者が最終節で対戦するため、あちらもどちらが首位になるのか。ウルグアイにはキャプテンのゴディンとヒメネスのアトレティコCBコンビがいるため、チームメートのコスタが苦労しそうというのもありますし、ルイス・スアレスやカバーイ(PSG)を擁する相手の前線とデ・ヘアが対戦するのはちょっとお勧めできないかも。 ▽まあ、それも月曜午後8時(日本時間翌午前3時)キックオフのモロッコ戦、同じ時刻に行われるイランvsポルトガル戦の結果次第。勝ち点3のイランにもまだ突破の可能性があるため、ポルトガルも簡単には勝てないかと思いますが、アシャフ(マドリー)やアムラバット(レガネス)、ファジル(ヘタフェ)ら、マドリッド勢が大会を去る前にここまで見せてきたいいサッカーを結果に結びつけたいと張り切っているモロッコに、まだ先発見直し中のスペインが足元をすくわれたりしないといいんですが。 ▽そして翌木曜はグリーズマンとリュカ(アトレティコ)、そしてバラン(マドリー)のいるフランスがエムバペ(PSG)のゴールでペルーに1-0で勝利、2連勝で決勝トーナメント進出を決めるのをネットでチェックしながら、私は久々に遠出。というのもマドリッド勢弟分のレガネスが珍しいことに、メトロ(地下鉄)で行けるcentro commercial(セントロ・コメルシアル/ショッピングセンター)、Sambil Outlet(サンビル・アウトレット)にあるオフィシャルショップで2018-19シーズン用ユニフォーム(54.99ユーロ/約7150円と85~140ユーロ/1万1000~1万8000円のマドリーやアトレティコよりかなり安い))のプレゼンをすると聞いたからですが、シマノフスキとレガネスBのカンテラーノ、女子ユースの選手がモデルで登場し、イベントが行われている間も近くにあるキッズスペースでは子供たちが走り回っていたのはご愛敬だったかと。 ▽ちなみに「Me ha tocado porque no había otro en Madrid estos días/メ・ア・トカードー・ポルケ・ノー・アビア・オトロ・エン・マドリッド・エストス・ディアス(ボクがやることになったのは今の時期、マドリッドには他の選手がいなかったから)」とジョークを言っていたシマノフスキは昨季、ケガで半年を棒に振り、手術後の今もなるたけ早くチームのプレシーズンに合流できるようリハビリ中。休暇もイビサ(地中海にあるリゾートアイランド)に5日間行っただけだったそうですが、何せ毎年、多数入れ替わるレガネスには現在、13人しか選手がいないそうですからね。レアル・ソシエダへ行ってしまったガリターノ監督の後任、ペジェグリーノ監督の到着も7月とあって、彼も早く家に帰って、クロアチアに挑む母国アルゼンチンを応援したかったのでは? ▽ええ、それは私も同じ気持ちで近所のバルに寄って試合の後半を見ることにしたんですが、いやあ、まさかクロアチアがあんなに強いとは!GKカバジェーロ(マンチェスター・シティ)のゴールキックミスをvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込んだラビッチ(アイントラハト・フランクフルト)はともかく、やはりお店にはマドリーファンが多かったんでしょうね。モドリッチ(マドリー)のミドルシュートが決まった時には歓声が上がっていましたし、逆にメッシがラキティッチ(バルサ)にゴール前でボールをクリアされてしまった際には拍手も出ていたって、いえ、どちらもバルサなんですけどね。ロスタイムにはそのラキティッチも決めて、とうとう0-3で1位突破してしまうんですから、何とも恐ろしい。 ▽逆にグループリーグ敗退の危機に陥ったアルゼンチンでは、先制点をプレゼントしてしまったカバジェーロを始め、「Nosotros trabajamos todo el tiempo para que la pelota le llegue a Messi/ノソトロス・トラバハモス・トードー・エウ・ティエンポー・パラ・ケ・ラ・ペロータ・レ・ジェゲ・ア・メッシ(ウチはボールをメッシに届けるため、常に努力している)」というサンパオリ監督の偏った戦術の失敗や、そのメッシ本人の無気力にも見えるプレーぶりに批判が集まっていたんですけどね。「彼は凄い選手だけど、en el futbol hay que tener ayuda/エン・エル・フトボル・アイ・ケ・テネール・アジュダ(サッカーでは助けがないといけない)」(モドリッチ)というのは本当ですから、この日は上手く彼をボールから遠ざけた相手の作戦勝ちだったかと。 ▽ただ驚かされたのはこの試合の後、次男のジャンルカ君がプロデビューする試合を見るため、現在チリに滞在中のシメオネ監督と”モノ”・ブルゴス第2監督の私的な会話がマスコミに漏れたことで、曰く、「メッシはいい選手だが、素晴らしい選手たちと一緒にプレーするからいいんだ。Si tenés que elegir entre Messi y Ronaldo para un equipo normal, ¿a quién elegirías?/シー・テネス・ケ・エレヒル・エントレ・メッシ・イ・ロナウド・パラ・ウン・エキポ・ノルマル、ア・キエン・エレヒリアス(普通のチームのために選ぶとしたら、メッシとロナウド、どちらを選ぶ?)」って、うーん、アトレティコにはロナウドでしょうか。 ▽もちろん、そんなお金もありませんし、グリーズマンの契約延長も決まったため、別に来なくていいんですが、確かにスペイン戦のハットトリックもモロッコ戦の決勝点もロナウドには1人でやり遂げてしまった感がなきにしろあらず。ただ、そうは言ってもメッシも昨年のW杯南米予選最終節で3得点を挙げ、アルゼンチンを本大会にねじ込んでしまったという実績がありますしね。来週火曜のナイジェリア戦は何が起こるか要注目。 ▽大まかに言うと、彼らが勝って、アイスランドがクロアチアに引き分け以下なら突破できるそうですが、何せ、日曜には乾貴士選手(ベティス)や柴崎岳選手(ヘタフェ)の再度の活躍が期待される日本vsセネガル戦も控えていますしね。グループリーグが終わるまであと1週間、私がTVをつけっぱなしにしている日々もしばらく続きそうです。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.23 13:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】お馴染みの選手たちが目立っている…

▽「これは意外な偶然」そんな風に私が息を飲んでTVの画面を見つめていたのは日曜日、ロシアで開催中のW杯グループリーグ初戦でスイスと1-1だったブラジルが後半ロスタイム、ほぼ最後のプレーでネイマール(PSG)がFKを蹴った時のことでした。いやあ、彼は直接ゴールを狙わず、レナド・アウグスト(北京国安)の撃ったシュートもシェル(デポルティボ)に足でそらされて、試合もそのまま引き分けで終わったんですけどね。前日、アイスランドに追いつかれ、やはり終盤にいい位置からのFKで勝ち越し点ゲットのチャンスがあったアルゼンチンのメッシ(バルサ)も壁に阻まれ、白星を掴むことはできず。 ▽となると、スペイン戦の終盤、ここぞとばかりにFKをねじ込み、ポルトガルに勝ち点1をもたらしたクリスチアーノ・ロナウド(マドリー)がこの3人の中で最高の貢献をしたことになりますが、それだけでなく、これまでの試合はマドリッド勢の選手たちがゴールづいているのが印象的。ええ、土曜にオーストラリアに2-1で勝ったフランスではグリーズマン(アトレティコ)がVAR(ビデオ審判)により確定したPKを決めていますし、同日、ナイジェリアを2-0で下したクロアチアの2点目もモドリッチ(マドリー)のPKから。 ▽大体、お昼ご飯(スペインのランチタイムは午後2~4時)を食べながら、TVを見ていた金曜だって、ウルグアイが終盤にヒメネス(アトレティコ)のヘッドで1点を取って、サラ(リバプール)が最後まで出なかったエジプトに勝利。キャプテンを務めるゴディンと共に栄えあるヨーロッパリーグ王者のCBコンビの優秀さを確認しちゃいましたからね。その後、いくら私でも一日中、サッカーを見ている訳にはいかず、スペインと同じBグループのモロッコvsイラン戦は結果をチェックするだけに留めたんですが、どうやらこちらもロスタイム5分にモロッコがオウンゴールを献上。0-1でイランが勝って、もう10年以上前ですが、レアル・マドリーの指揮官も務めたこともあるケイロス監督が胴上げされていたりと、それなりにドラマチックな結末だったよう。 ▽そしていよいよ午後8時、マドリーの新監督に就任することが発表されたロペテギ監督を2日前に電撃解任、それまでスポーツ・ディレクターを務めていたイエロ氏が陣頭指揮を執ることになったスペインのW杯初戦が始まったんですが、予想通り、先発には前監督の選んだと思われるメンバーが並びます。とはいえ、おそらく選手たちも急転直下の展開に戸惑っていたんでしょうかね。ロナウドを先頭にスピードカウンターをかけてくる相手に守備陣の後退が遅れ、前半3分には右SBに入ったナチョ(マドリー)がペナルティを犯してしまったから、参ったの何のって。 ▽いえ、ドリブルでエリア内に入ってきたロナウドを倒したといっても、当人も「Yo se que le toco, pero intento quitar la pierna/ジョ・セ・ケ・レ・トコ、ペロ・インテントー・キタール・ラ・ピエルナ(相手に触ったのはわかっているけど、自分は足を引こうと思っていた)」と言っていたようにそれ程、無茶苦茶した訳ではなかったんですけどね。後でマンチェスター・ユナイテッドでチームメートだったこともあるピケ(バルサ)など、「Cristiano es propenso a tirarse/クリスティアーノ・エス・プロペンソ・ア・ティラールセ(クリスチアーノにはダイブする傾向がある)」なんて批判していまたしたが、この時はVARも介入せず、ポルトガルにPKが与えられることに。 ▽当然、キッカーはロナウドが務め、序盤早々、先制点を奪われてしまったのには私も一瞬、「2014年ブラジル大会1戦目、オランダに1-5で惨敗した時以上の恐ろしい結果になったらどうしよう」と怖くなったんですが、大丈夫。24分、ジエゴ・コスタ(アトレティコ)がやってくれたんですよ!そう、先日のチュニジアとの親善試合と同じようにブスケツ(バルサ)がセンターからロングパスを送ったところ、スペインの前線には彼1人しかいなかったにも関わらず、ペペ(ベシクタシュ)を振り払うとフォンテ(大連一方)を数度に渡ってかわし、シュートを決めてしまうって、こんな強引なゴールがあっていい? ▽もちろんこれには相手の腕が首に当たりながら、顔を抑えて倒れたペペには同情しなかったか、審判がコスタにファールの笛を吹かなかったというラッキーもあったんですけどね。同点になったおかげでスペインも落ち着きを取り戻し、数分後にはイスコ(マドリー)のシュートがゴールバーを叩いてライン上に落ちるなんてこともあったんですが、残念ながらこちらはホークアイの判定でゴールにならず。それでもポゼッションもいつものように高くなりましたし、気長にパスを回していけば、いつかはまたチャンスが来るはずと思っていたところ…。 ▽まさか、あと少しでハーフタイムという時にGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)があんなミスをしてくれるとは!うーん、実は先日ビジャレアル(スペイン南東部)で行われたスイスとの親善試合でもリヒトシュタイナー(ユベントス)のシュートをキャッチできず、リカルド・ロドリゲス(ミラン)の同点ゴールを招いて批判を浴びていた彼だったんですけどね。その際は「本番でミスするより、この試合で良かった」と当人も大して気にしていなかったものの、ロナウドがエリア前から撃ったシュートを「Llego tarde a plantar la rodilla y este balon es jodido/ジェゴ・タルデ・ア・プランタール・ラ・リディージャ・イ・エステ・バロン・エス・ホディードー(ヒザをつくのが遅れたけど、あのボールは最低だ)」(デ・ヘア)と、手で弾いてゴールに入れてしまうって一体、どうなっている? ▽実際、再びリードされてしまったのは時間的にもスペインの選手たちに大打撃だったはずなんですが、この逆境にモノを言ったのは彼らの精神力の強さ。ロッカールームでどういう会話があったかはわかりませんが、後半9分、FKのチャンスを手に入れると、ロペテギ監督の下で練習したセットプレーの妙技を披露してくれたんですよ。ええ、シルバ(マンチェスター・シティ)が短く蹴ってから、コケ(アトレティコ)が戻し、今度はエリア右奥に上げたボールをブスケツが頭で落としたところ、突っ込んだのはまたしてもコスタ。 ▽ゴール前から押し込んで2-2の同点にしてくれたんですが、いやあ、こうも2人の相性がいいと、せっかく企業家精神旺盛なピケがどちらに転ぶかわからないにも関わらず、所有するプロダクションでドキュメンタリー番組を制作。当人も放送当日まで知らなかった「Me quedo/メ・ケド(残留する)」というグリーズマンの宣言で、半年以上続いたバルサ移籍騒動にやっと決着がつきながら、今度はコスタにラブコールが来ちゃうかも。 ▽そんなことはともかく、これで勢いを取り戻したスペインはその3分後、イスコのシュートが敵DFに当たり、エリア外に出たボールをナチョが全身全霊を込めてシュート。何とこれが罪滅ぼしの勝ち越しゴールとなった時にはあまりに話ができすぎで、私も呆気に取られてしまったものですが、その頃にはトレードマークのティキタカ(短いパスを繋ぐスペインのサッカースタイル)を自在に展開していた彼らですからね。 ▽イニエスタ(ヴィッセル神戸)がチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)に、30分過ぎにはコスタがイアゴ・アスパス(セルタ)に、更にシルバがルーカス・バスケス(マドリー)にという、これもロペテギ前監督が敷いた既定路線のような交代もつつがなく行われ、そのまま逃げ切れるかと思われたものの…ポルトガルには約1名、決して諦めない選手がいたんです! ▽それはもちろんロナウドで42分、エリア近くでピケが不用心にも彼をファールで倒したのが運の尽き。いえ、PKとは違い、直接FKがゴールになる確率はあまり高くないんですけどね。その日のロナウドは最高に冴えていたのか、蹴ったボールはスペインの壁を巻くと、デ・ヘアが一歩も動けない位置に突き刺さるって、物凄い執念じゃありませんか。これでスコアは3-3の引き分け、まさしく「ellos han tirado tres veces a puerta, y metido tres goles/エジョス・アン・ティラードー・トレス・ベセス・ア・プエルタ、イ・メティードー・トレス・ゴーレス(相手は3度枠内に撃って3点取った)」(ピケ)という結末でしたが、前代未聞のゴタゴタがあったばかりの初戦、ここは負けなかっただけで良しとしましょうか。 ▽え、それでもこの試合でスペインでは大会前には想像もしなかった議論が巻き起こっているんだろうって?そうですね、一番の懸念だったスタメンFWの問題は母国ブラジルではなく、2重国籍を取って鞍替えした2014年のW杯では、その直前にアトレティコの一員としてお隣さんに挑んだCL決勝でケガを再発させたせいもあったんですけどね。まったく活躍できず、チェルシー在籍時の2016年ユーロでは招集を見送られていたコスタが、「yo tengo que trabajar y callar bocas/ジョ・テンゴ・ケ・トラバハール・イ・カジャール・ボカス(自分は働いて世間を黙らせないといけないんだ)」という決意の下、CFにふさわしい2ゴールを挙げてくれたことで解決したんですけどね。 ▽無視できないのはこのところ、頻発するデ・ヘアのチョンボで、もちろん、「Somos una familia y somos un equipo/ソモス・ウナ・ファミリア・イ・ソモス・ウン・エキポ(私たちは家族でチームだ)。誰1人、放り出したりはしない」というイエロ監督を始め、キャプテンのセルヒオ・ラモス(マドリー)も「En mi equipo siempre De Gea/エン・ミ・エキポ・シエンプレ・デ・ヘア(ボクのチームにはいつもデ・ヘア)」とツイッター(https://twitter.com/SergioRamos/status/1007921243553783808)でフォローしていたんですけどね。某TV局でW杯の解説をしている彼のクラブでのボス、モウリーニョ監督も「彼はウチの選手だが、あれはひどいミスだと自分でもわかっているはずと言うのは心が痛む。素晴らしい活躍を見せた昨季のマンチェスター・ユナイテッドではやらなかった」と話していたんですが、不幸なのはそれがイングランドでパフォーマンスだということ。 ▽そうなるとスペインのファンの目に触れる機会が少ないのは当然で、私も代表以外、彼がプレーする試合を見たのはせいぜい、ベン・イェデルに2発浴び、チームが敗退してしまったCL16強対決セビージャ戦2ndレグぐらいですし、アトレティコ時代はもう遥か昔の7年前。その後はクルトゥア(チェルシー)が2年連続、ここ3年間もオブラクがサモラ(リーガで1番失点率が低いGKに与えられる賞)を独占するような秀逸ぶりですから、比べようもないんですけどね。おかげでここ数日は2戦目からはやはり、普段のプレーぶりをあまり知られていない第2GKのレイナ(ナポリ)をすっ飛ばし、この1月にはマドリー移籍寸前までいったケパ(アスレティック)を先発させるべきという声がスペインのファンから聞こえてくることに。 ▽まあ、今のところ、実現性は低いと思いますけどね。ポルトガル戦後、チームはソチ(ロシア南西部のビーチリゾート)から飛行機で45分のクラスノダールに戻り、翌日は控え組だけがグラウンドでセッションを行い、午後から日曜午後5時までフリータイムを楽しんだ選手たちでしたが、次の試合は水曜午後8時(日本時間翌午前3時)から、カザンでのイラン戦。何せ、相手は初戦に勝ってグループ首位に立っていますが、人員的にスペインが優位なのは火を見るよりも明らかですからね。次もケガが治ったばかりのカルバハル(マドリー)を温存して、今度こそ攻撃的右SBオディオソラ(レアル・ソシエダ)を起用するかもなんて意見も聞こえてきますが、それは見てのお楽しみ。 ▽同日、ポルトガルが先に、アクラフ(マドリー)が左SBとなって、右SBを務めていたアムラバット(レガネス)がサンクト・ペトロスブルクでの試合で頭を打ち、休場予定のモロッコに大勝したりすると、ちょっとプレッシャーがかかったりするかもしれませんが、ここまでGKケイロウ・ナバスが1失点に泣いたコスタリカはともかく、マルセロとカセミロ(マドリー)のいる優勝候補のブラジルが引き分けたり、全大会王者のドイツなんて、クロース(マドリー)の奮闘も空しく、メキシコに0-1で敗戦。何かと一筋縄でいかないのがW杯ですからね。とりあえず、得点力があることはわかったんですから、スペインもグループリーグ期間中はロペテギ監督前監督の残したプランと選手たちの団結力を信じて、前に進んでいくしかないんじゃないでしょうか。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.18 15:00 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】プレーするのは選手とはいえ…

▽「そりゃこっちも同じだわ」そんな風に私が肩をすくめていたのは木曜日、ようやく待ちに待ったレアル・マドリーの新監督が決まり、サンティアゴ・ベルナベウのパルコ(貴賓席)前ホールでロペテギ監督の就任スピーチを聞いている時のことでした。いやあ、彼の姿を自分の目で最後に見たのは10日程前、ラス・ロサス(マドリッド郊外)のサッカー協会施設で行われたスペイン代表の練習だったんですけどね。それが何と、いよいよW杯初戦に臨むチームがソチのフィシュト・スタジアムで前日最終セッションを行っている時間、朝5時にバラハス空港に着いた当人のプレゼンに立ち会うとは、それこそ「un dia surrealista/ウン・ディア・スルレアリスタ(シュールな日)」だったのは絶対、ロペテギ監督だけじゃない? ▽いえ、物事は順序立てて話していかないといけません。事件の始まりは火曜の午後5時少し前。レアル・マドリーのオフィシャルページにロペテギ監督がジダン監督の後継者として、スペインのW杯参加が終わり次第、3年契約で入団することが発表されたことでした。いえまあ、その時は程なくしてスペイン代表のホームページにも同様の内容がアップされ、おまけにサッカー協会はロペテギ監督とマドリーの交渉を把握。5月中に2020年まで延長契約を結んだ際に決まった違約金200万ユーロ(約2億6000万円)を受け取るという文面になっていたため、世間もまだ、「W杯初戦を2日後に控えての非常識な時期だし、代表チームにはマドリー以外の選手もいるし、これからクリスチアーノ・ロナウドを筆頭に来季率いることになる面々と対戦するのに何故今、発表?」的な違和感を持ったぐらいだったんですけどね。 ▽どうやらこれにはマドリー側の事情があって、実際、ドイツのレーブ監督、ポチェッティーノ監督(トッテナム)、クロップ監督(リバプール)、アッレグリ監督(ユベントス)、コンテ監督(チェルシー)ら候補リストの上にあった指揮官を招聘するのがまずムリと判明したのが今週になってから。それでも7月16日にはプレシーズンを開始しないといけないのと、ジダン監督の辞任から2週間以上経ちながら、一向に後任が決まらないことにジレていたソシオ(協賛会員)をなだめるため、月曜にクラブOBで、RMカスティージャ(2部B)も率いたことのあるロペテギ監督にオファーを出したところ、速攻で話が進んだのだとか。クラブ上層部はW杯期間中、その新監督就任を隠しておくのは難しいと判断し、公にすることにしたようですが、まさかサッカー協会のルビアレス会長があれ程、極端なリアクションを起こすとは一体、誰に予想できた? ▽ええ、「No puede ser que la Federacion se entere cinco minutos antes de una nota de prensa/ノー・プエデ・セル・ケ・ラ・フェデラシオン・セ・エンテレ・シンコ・ミヌートス・アンテス・デ・ウア・ノタ・デ・プレンサ(協会がプレスリリースの出る5分前に知らされるなんてことはありえない)」と翌日、記者会見で何度も言っていましたが、その日、FIFA総会が開催されていたモスクワにいた当人はこの事実をウェブに告知が出る直前、マドリーのペレス会長から電話で伝えられたとのこと。慌てて代表監督と話そうとしたものの、クラスノダール(ロシア南西部)のベースキャンプでは丁度、夕方の練習が始まったところで、何とロペテギ監督自身がグラウンドで選手たちにマドリーに行くことを告げていたというから、もしやクラブと歩調を合わせていた? ▽モスクワからとんぼ帰り、深夜にはクラスノダールに着いたルビアレス会長は夜半から、翌水曜午前中までロペテギ監督、セルヒオ・ラモス(マドリー)、イニエスタ(ヴィッセル神戸)、シルバ(マンチェスター・シティ)のキャプテン、ピケやブスケツ(バルサ)ら、チームの重鎮と話し合い、いえ、とりわけラモスなどは監督続投を強く訴えたようだったんですけどね。私も合宿所のプレスセンターで記者会見が午前10時半にあると聞いて、スポーツ紙のウェブで生中継が始まるのを待っていたんですが、遅れに遅れて結局、ルビアレス会長が現れたのは正午過ぎ。協会への"ほうれんそう"が欠けていたという理由により、ロペテギ監督の即時解任が告げられることに。ええ、日本代表が4月にハリルホジッチ監督を解任、西野朗監督に代わった時だって、本大会開幕2カ月前に随分、思い切ったことをすると驚かれていたのに、こちらなんてたった2日前ですよお! ▽こんな無茶苦茶な話、聞いたことがないと私も頭を抱えていたところ、午後5時半には昨年11月から、代表のスポーツディレクターに復帰していたイエロ氏がルビアレス会長と共に現れ、W杯期間中の新監督に任命されたんですが、うーん、とりあえずチームはもう出来上がっていますからね。プロの監督経験は2016-17シーズンにオビエド(2部)を率いたことしかない当人も「No se puede tocar en dos dias dos anos de trabajo/ノー・セ・プエデ・トカール・エン・ドス・ディアス・ドス・アーニョス・デ・トラバッホ(2日間で2年間の仕事を変えることはできない)」と言っていた通り、ここはずっとチームに寄り添い、マドリーでの現役時代14年間にクラブのレジェンドの域に達した往年の名DFのリーダーシップを信頼するしかないかと。 ▽そして木曜にはスペインはソチ(ロシア南東部のビーチリゾート)に移動。オビエド時代にイエロ監督を補佐した第2監督、フィジカルコーチ、そして元代表で2010年W杯優勝時のメンバーだったマルチェナもスタッフとして加わって、ベルナベウでペレス会長が「W杯中に次の仕事の契約をすることが不忠義だと解釈された前例などない。ウチは普通のことをしただけなのに誤ったプライドから、馬鹿げた結果となった。Es una decision injusta/エス・ウナ・デシシオン・インフスタ(公正ではない決断だった)」、ロペテギ監督も「A mi me hubiera gustado que Rubiales hubiera actuado de otra manera/ア・ミー・メ・ウビエラ・グスタードー・ケ・ルビアレス・ウビエラ・アクトゥアドー・デ・オトラ・マネラ(ルビアレス会長が違う振る舞いをしてくれていた方が良かった)」と電撃解任を非難している間、選手たちはいつもと変わらず、和気藹々と練習をしていましたっけ。 ▽実際、金曜午後8時(日本時間翌午前3時)から試合の相手、ポルトガルのフェルナンド・サントス監督も「スペインには10年前から特有のプレースタイルがある。驚かされることは何もないだろう」と言っていましたし、イエロ監督も「Se vera a la Espana de siempre/セ・ベラ・ア・ラ・エスパーニャ・デ・シエンプレ(いつものスペインを見ることになるはずだ)」と記者会見で再度強調。順調に行っていてもグループリーグ敗退となった4年前のブラジル大会ような例もあるんですから、あまりこの監督交代劇の影響は心配しなくてもいい?そうですね、ラモスも「La idea no ha cambiado y es ir a por el Mundial/ラ・イデア・ノー・ア・カンビアードー・イ・エs・イル・ア・ポル・エル・ムンディアル(考えは変わっていなよ。目指すはW杯優勝だ)」とやる気満々でしたしね。 ▽ただ、このゴタゴタのせいで直前のスイス、チュニジアとの親善試合でも結論が出なかった、いえ、火曜から全体練習に復帰したものの、カルバハル(マドリー)はイランとの2戦目からという見方が多いんですけどね。その代理はナチョ(マドリー)でいいとして、肝心のFWはジエゴ・コスタ(アトレティコ)、ロドリゴ(バレシア)、イアゴ・アスパス(セルタ)の誰を何人、スタメンとして使うのかは未だに予想つかず。それぞれ一長一短があり、公式戦では交代枠も3つしかないため、ここはかなり慎重に選んでほしいものですが、さて。 ▽一方、中盤は結局、ここまでポルトガル代表でダンマリを貫き、これからロペテギ監督もマドリー残留を説得するのに骨を折りそうなロナウドの危険性も考えると、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)より、コケ(アトレティコ)の方が守備的に落ち着いて良さそうでしたが、何せ当人はスペイン中を呆気に取らせた大騒動の中、ツィッターに丁度、お隣さんがCL決勝を戦っていた日だったせいで、あまり注目されなかったベアトリスさんとの挙式の写真を投稿(https://twitter.com/Koke6/status/1006966408239042567)。新妻の29歳のバースデーを祝うという、いささかズレたことをしていたため、どうかと思われる節もあるんですが、まあその辺はイエロ監督の判断次第かと。 ▽え、そもそもここ数日、スペインのお家騒動のせいで一番、割を喰らったのはグリーズマンだったんじゃないかって?その通りで火曜にはロシア滞在中のフランス代表で待望の記者会見があったんですが、当人は「もう来季のことについては決心がついたけど、今日はそれを話す場所でも時でもない」とヨーロッパリーグ優勝の後や先日の親善試合後同様、残留なのか、バルサ移籍なのかについて言明せず。水曜には代表仲間のレマル(モナコ)のアトレティコ加入が大筋、決まったという報道もあったため、スポーツ紙でも短く触れられただけだったんですが、まさか木曜になって、「He decidido quedarme/エ・デシディードー・ケダールメ(ボクは残ることに決めた)」と最後に言うため、それまでの自身の心の葛藤を描いたTVのドキュメンタリー番組が公開されることになるとは! ▽いやあ、確かに自身の目標であるCL優勝を遂げるにはアトレティコには何かが足りないと悩んだり、ELのトロフィーを掲げた後の試合でワンダ・メトロポリターノのファンにpito(ピト/ブーイング)を受け、当人がイロイロ、悩む様子を描いたのはいい台本だなと思ったものですけどね。どうにもここまで引っ張られると、もしや口が重かったのはこの番組の視聴率を取りたかったからなんて、ちょっと穿ってしまうのは私だけ?どちらにしろ、これで来季もグリーズマンをアトレティコで見られることが決まったため、土曜正午(日本時間午後19時)からのフランスvsオーストラリア戦では素直に応援できそうですが、金曜にはゴディンや2023年までの契約延長の発表があったヒメネスの出るエジプトvsウルグアイ戦もありますしね。 ▽他にも土曜にはベルサイコに加え、モドリッチやコバチッチらマドリー勢の活躍も楽しみなクロアチアvsナイジェリア戦、日曜にはフィリペ・ルイスは控えですが、マルセロ、カセミロ、そして監督が決まったため、これから本格化する補強の候補として一番の大物、ネイマールの出るブラジルvsスイス戦や全大会チャンピオン、クロースを有するドイツvsメキシコ戦もあるとあって、どうやら私にもまたサッカー観戦三昧の日々が戻って来そうなのは嬉しいんですが…今回のW杯、スペインでは全ての試合がオープン放送。自宅のTVで済んでしまうというのも何だか、1日中、籠ってしまいそうで怖い気もします。 2018.06.15 14:30 Fri
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【原ゆみこのマドリッド】ゴールは多い方がいいけれど…

▽「始まるまでが長いよね」そんな風に私が嘆いていたのは月曜日、スペイン代表のW杯前最後の親善試合が終わり、次は金曜日、ポルトガルとのグループリーグ第1戦まで待たないといけないことに気づいた時のことでした。いやあ、先週にはAS(スポーツ紙)などで「レアル・マドリーは新監督をW杯開幕前に決める意向」という記事を読んで、今週前半にはサンティアゴ・ベルナベウでプレゼンがあるかもしれないと期待していたんですけどね。どうやら週が明けても候補が絞られておらず、マルカ(同)もこれまで挙がった名前を復習しているだけなんですよ。 ▽ジダン前監督に至っては、パリのローラン・ギャロスでの全仏オープン決勝でラファ・ナダルがドミニク・ティエルを破り、Undecima/ウンデシマ(11回目の優勝)の快挙を達成するのを家族連れで観戦していたりと、何とも優雅で羨ましいんですが、実は待たされているのはマドリーファンだけにあらず。というのも、ポルトガル代表合宿入り以来、ロシアのベースキャンプ地、クラトボ(モスクワから南東60キロ)に着いてもダンマリを貫いているクリスチアーノ・ロナウドを含め、選手たちの去就については監督決定後に判断するというお隣さんとはちょっと違いますが、このオフシーズンはアトレティコもエースの進退が決まっていない微妙な状況。 ▽ええ、バルサ移籍疑惑がシーズン中から何度も浮上し、「W杯までに決める」と宣言していたグリーズマンのことですが、アメリカと1-1で引き分けた親善試合の後、ミックスゾーンでようやく当人がコメント。曰く、「フランス代表のW杯は土曜に始まるから、まだ時間はある。スペインじゃボクが残留するとか、退団するとか言っているけど、その初戦(対オーストラリア)の前に言うよ」って、これじゃアトレティコファンだって、まだまだ落ち着けないってことじゃないですか。 ▽もちろん、先週末には1部昇格プレーオフ準決勝が終了。サラゴサを2ndレグ後半ロスタイムに破ったヌマンシア、スポルティングを総合スコア5-2で圧倒したバジャドリーが今週水曜、土曜に決勝を戦って、ラージョ、ウエスカに続くチームが決まったりもするんですけどね。やはりマドリッド勢でないため、私も今イチ興味が湧かないのが辛いところ。それだけに最近の楽しみと言えば、毎日、スペインのマスコミや代表オフィシャルページがクラスノダール(ロシア南西部)から伝えてくる代表チームの練習レポート(http://www.sefutbol.com/fotos-tope-cuenta-atras-debut)ぐらいしかないのはちょっと物足らないんですが…。 ▽まあ、そんなことはともかく、そのスペインが土曜にロシアで行ったチュニジア戦の様子もお伝えしておかないと。いやあ、何より驚かされたのは、彼らが合宿先として使っているFCクラスノダールのユース用練習施設がやたら広くて、近代的な設備が整っていたのはともかく、すぐ脇にあるトップチームが試合するスタジアムのスコアボードの斬新さ。ええ、スタンドの最上部と屋根の間が帯状にスクリーンになっていて、360度で鮮やかな映像が見られると聞いた日には、ワンダ・メトロポリターノもそうしていてくれれば、ヨーロッパリーグ決勝のパブリックビューイングであんなに苦労しなかったと思ってしまったのは私だけ? ▽ただ、その最新式のスタジアムがW杯の試合会場に選ばれていないのは不思議なんですが、親善1試合目のスイス戦とは違い、この日のスペインはCFとしてロドリゴ(バレンシア)を先発起用。それをシルバ(マンチェスター・シティ)、イスコ(マドリー)、イニエスタ(バルサ)で支えるという布陣でスタートしたんですが、同じW杯参加国でもある相手のしっかりした守備にも阻まれて、とにかく前半はチャンスが作れませんでしたね。 ▽そうこうするうち、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)からオディオソラ(レアル・ソシエダ)へのパスが自陣エリア近くで敵に奪われ、危険なシュートを撃たれてしまうなんてこともあったため、ロペテギ監督は後半頭から、この2人とイスコをコケ(アトレティコ)、ナチョ、ルーカス・バスケス(マドリー)に交代。これで右サイドも落ち着いて、そこそこ攻撃に取り組めるようになったスペインでしたが、それでも得点には至らなかったため、とうとう15分にはロドリゴ、シルバに代えてジエゴ・コスタ(アトレティコ)、アセンシオ(マドリー)と、両翼を使うプランBに切り替えていったところ…。 ▽最後に効を奏したのは30分に左SBのジョルディ・アルバ(バルサ)を下げ、イアゴ・アスパス(セルタ)を投入。3バックで臨んだ総攻撃って、いや、まだ最終手段、セルヒオ・ラモス(マドリー)のCF登用に至らなかっただけマシなんですけどね。39分、センターから放ったブスケツのロングパスをコスタがエリア内で受けた時には私も久々に彼のゴールが見られると胸が高鳴ったものの、敵DFやGKに迫られて自身では撃てず。結局、後ろに送ったボールをアスパスがシュートし、これがネットに収まってくれため、ようやくスペインが先制点をゲットすることに。何せ、見せ場はこれだけでしたから、そのまま1-0で勝ったとはいえ、少々物足りない感は否めなかったかと。 ▽うーん、まあそう思ってしまうのは後日、アスパスも「アルゼンチンに6-1で勝った後、ファンはウチがスイスから8点、チェニジアから10点取ると思っていた」と言っていた通り、このW杯に向けた合宿前最後となった3月のワンダ・メトロポリターノでは滅多にないgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を彼らが披露してしまったせいも多分にあったんでしょうけどね。それが「Creo que teniamos mejores sensaciones antes de la concentracion que en estos dos partidos/クレオ・ケ・テニアモス・メホーレス・センサシオネス・アンテス・デ・ラ・コンセントラシオン・ケ・エン・エストス・ドス・パルティードス(この2試合より、合宿前の方がボクらはいい感触を持っていたと思う)」という、彼の試合直後のコメントに繋がったようでしたが、いやいや、今更不安を煽ってどうする? ▽いえ、この親善試合2試合は大会前のウォーミングアップとあって、相手も同様ですが、選手たちもケガはしたくないという意識があるのか、プレーの激しさにブレーキがかかってしまうのはわかるんですけどね。一番の悩みはここに来て、スペインは誰が先発FWになるのか、はっきりしていないこと。だってえ、本番の試合では交代枠は3つしかないんですよ。このチュニジア戦のように、当たりが出るまで人やシステムを代える訳にはいかないため、とりわけグループBの中でイラン、モロッコ以上に得点力がありそうなポルトガル戦では、最初から機能してくれるスタメンを組むことが重要かと。 ▽え、スペインは2010年に優勝した南アフリカ大会でも僅差の試合ばかりだったんだから、そんなに大量ゴールに執着することはないんじゃないかって?そうですね、あの時はグループ初戦のスイス戦を1-0で落とした後、ホンジェラスには2-0、チリには1-2で勝って決勝トーンメント進出。その先もポルトガル、パラグアイ、ドイツ、そしてオランダとの決勝も1-0で戴冠していますから、しっかり守れるのであれば、コケも「アルゼンチンに大勝してもスイスと分けて、チュニジアに1-0で勝てば、al final bajas a la realidad/アル・フィナル・バハス・ア・ラ・レアリダッド(結局、現実に戻るんだよ) 」と言っていたように、アトレティコ的スコアラインを続けてもいいんですけどね。 ▽そうすると初戦に間に合わそうにないカルバハル(マドリー)の代理で右SBに入るのは、チュニジア戦では急性胃腸炎にかかっていて、調子が悪かったと言い訳していたオディオソラではなく、ナチョで決まり?まあ、キエフでのCL決勝リバプール戦でカルバハルが負傷交代した際、率なく引き継いでいた当人も「El mister sabe que estoy capacitado para ocupar esa posicion/エル・ミステル・サベ・ケ・エストイ・カパシタードー・パラ・オクパル・エセ・ポシシオン(監督はボクにこのポジションを務める能力があるのをわかっている)。自分はCBが一番やり易いのは皆、知っているけど、SBでもビッグマッチをプレーしたし、クリスチアーノと対決できるチャンスがありますように」とアピールしていましたしね。いつもクラブで一緒に練習しているだけに、相手を守り慣れているのは頼りになるかもしれません。 ▽まあ実際、この2試合で控えGKのレイナ(ナポリ)とケパ(アスレティック)以外、全員を使ったロペテギ監督も「ケガ人も出なかったし、選手たちにプレー時間を与えられた。Ahora hay seis dias para afinar y afilar el once/アオラ・アイ・セイス・ディアス・パラ・アフィナル・イ・アフィラル・エル・オンセ(スタメンを製錬研磨する時間はまだ6日ある) 」と言っていましたしね。相変わらず、気温30度近辺のクラスノダールでの練習でじっくり細部を詰めてもらえばいいのですが、さて。 ▽中でも前回、2014年、グループリーグ敗退で終わったブラジル大会では初めてW杯メンバーに入ったものの、1回も出場できず、記念参加に終わったコケなど、「Solo me vale ser campeon, es a lo que hemos venido/ソロ・メ・バレ・セル・カンペオン、エス・ア・ロ・ケ・エモス・ベニードー(自分にとって価値あるのは優勝することだけ。そのためにボクらは来たんだから)」と何だか強気でしたけどね。まずは金曜午後8時(日本時間翌午前3時)からのポルトガル戦でお手並み拝見。また強いスペインが戻って来てくれて、この先の1カ月間、退屈しないで済むと私も嬉しいんですが。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.12 19:00 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】W杯が待ち遠しい…

▽「いいなあ、天気良くて」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、スペイン代表のベースキャンプとなるクラスノダールから、現地中継を始めたクアトロ(スペインの民放)のアナウンサーたちが涼しげな半袖ポロシャツを着ているのをお昼のニュースで見た時のことでした。いやあ、例年でしたらもうこの時期のマドリッドは夏モードに突入。私の衣替えも終わっているはずなのに、何故か今年は気温が一向に上がらず、先週末、代表親善試合に便乗してのカステジョン(スペイン南東部地中海沿岸のビーチリゾート)海水浴計画も見事に頓挫してしまったぐらいだったんですけどね。今週になってもしつこく低気温は続き、挙句の果てに雨まで降ってきた日には、「こちらは30度あります」というロシアの方がよっぽどスペインらしいじゃないですか。 ▽そう、5月28日から始まったラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設での代表合宿も木曜にスペイン国王フェリペ6世の訪問でとうとう幕を閉じ、いえ、グラウンドに並んだ選手たちを激励している際、折しも休養日の水曜にはケルンでコンサートだった彼女のシャキーラを応援に。その留守中、バルセロナの自宅に泥棒が入り、宝石や高級時計を盗まれるという被害にあったピケ(バルサ)のことを王様が気遣っていたなんて逸話もあったんですけどね。その午後には最初は7人いたヘルプ要員のうち、ロドリ(来季はビジャレアルからアトレティコに移籍)とバジェホ(レアル・マドリー)を連れて、本大会メンバーの23人は空路、クラスノダールに向かうことに。 ▽え、ということは今、マドリッドに来てもサッカー関連のお楽しみは何もないのかって?そうですね、おかげで私もヒマになってしまったため、今週は火曜からメトロのグラン・ビア駅上がってすぐのテレフォニカ(スペインのNTT)のビル(Calle Gran Vía, 28)にオープンしたという代表博物館を偵察。展示物はあまりないものの、スペインが獲得した1964年、2008年、2012年のユーロ、そして2010年W杯のトロフィーが並んでいますし、3連覇した国際メジャートナメントのスペイン戦ダイジェストビデオはなかなか、感動できたかと。 ▽座ってじっくり見てしまった私も懐かしく、ラ・ロハ(スペイン代表の愛称)の黄金時代を思い返すことになったんですが、1階ではユニフォームも売っているこの臨時博物館はW杯が終わる7月15日まで。無料で入れてトイレもあるため、この先、絶対暑くなるマドリッド観光を予定している方は休憩場所として覚えておいてもいいかもしれませんね。 ▽一方、FCクラスノダールのユースチームが使う、何面もグラウンドがある施設にW杯に勝ち残っている間、ずっと滞在する代表チームは金曜、午前中は施設の見学やこのW杯で採用されるVAR(ビデオ審判)制度の説明会、スタジアムのスコアボードに映るラインアップ時の映像撮影などを済ませた後、夕方には練習を再開(http://www.sefutbol.com/fotos-primer-entrenamiento-rusia-aplausos)。現地のファンが大勢見守る中、土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのW杯前最終親善試合、チュニジア戦の準備をしていたんですが、どうやら記者会見で話したロペテギ監督によると、日曜に1-1で引き分けたスイス戦は仮想ポルトガル、今回はモロッコを想定してのテストマッチになのだとか。 ▽来週金曜に迎える本番については、「El once de Portugal lo decidiremos cerca del partido/エル・オンセ・デ・ポルトゥガル・ロ・デシディレモス・セルカ・デル・パルティードー(ポルガル戦のスタメンは試合が近くなってから決める)」(ロペテギ監督)そうですが、やっぱり誰もが気になるのはCL決勝で負傷し、代表合流後もずっとリハビリしているカルバハル(マドリー)の回復具合でしょう。 ▽何せ、まだ当人は1度も全体練習に参加していませんからね。もちろんこのチュニジア戦も出られないんですが、ロペテギ監督は「No sé si al primero o al segundo, pero va a llegar seguro/ノーセ・シー・アル・プリメーロ・オ・アル・セグンド、ペロ・バ・ア・ジェガール・セグロ(1戦目が2戦目かはわからないが、きっと間に合う)」と楽観的。万が一、予定が狂った場合、FIFA規則で1戦目の24時間前に代わってリストに入るのはボランチのロドリになるようですが、さて。右SBがカルハバルになっても、万能DFナチョ(マドリー)になってもポルトガル戦でクラブの同僚、クリスチアーノ・ロナウドとマッチアップするのは気が進まないかもしれませんね。 ▽え、そのロナウドは来季もマドリーにいるのか未だにわからないんだろうって?そうなんですよ、というのもキエフでCLトロフィーを掲げた直後、退団を匂わせるような発言をして、当人は1週間のミニバケーション入り。マルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)で彼女のジョルジーナさんと楽しんでいる間も、今週月曜にポルトガル代表の合宿に参加、木曜にはアルジェリアとの親善試合(3-0で勝利)でブルーノ・フェルナンデスの2点目をアシストした後も一向にマイクの前で話さないため、とうとう母国のスポーツ紙では「マドリー退団」なんてタイトルが一面を飾ってしまうことに。 ▽その原因は昨季のCL優勝後、年棒アップを約束したペレス会長がずっと約束を果たさず、この火曜に代理人のジョルジュ・メンデス氏と持った会合も決裂。メッシ(バルサ)が5000万ユーロ(約65億円)、ネイマール(PSG)が3700万ユーロ(約48億円)をもらっている現状を鑑み、今の2100万ユーロ(約27億円)から3000万ユーロ(約39億円)へのアップを要求したところ、クラブは業績達成ボーナス付きの2500万ユーロ(約33億円)しか提示しなかったからというのですが、まあ確かにブラジル代表参加中のマルセロも「クリスチアーノはレアル・マドリーのオーナーじゃないからね(笑)」と言っていましたしね。 ▽実際、ここ数年、ギャラクティコを獲得していなかっただけにペレス会長には何としてもネイマールを獲りたいという願望があるようで、いくらマルセロが「彼がいるから、来られないということはないけど、ネイマールならいつでも歓迎だよ」とロナウドとの共存を示唆したとしても、これだけ年棒差があったら、やっぱり当人はイヤかも。ただ、そうはいっても契約破棄金が10億ユーロ(約1300億円)と破格の彼を買えるクラブはヨーロッパにはあまりありませんし、マドリー並みにタイトルの数を増やしていけるチームも滅多にないとなると、移籍も簡単にはいかないのが苦しいところ。 ▽まあ、市場は8月末まで開いているため、ロナウドにはW杯やその後のバケーション中にその辺をじっくり考えてもらえばいいとして、マドリーが急を要しているのは電撃辞任したジダン監督の後任探し。何せ7月半ばにはプレシーズンが始まるため、そのプランニングなどが必要ですからね。とはいえ、このところの報道を追っていると、最初は有力馬と言われていたポチェッティーノ監督がトッテナムとの契約延長をしたばかりでムリとなり、同様にクロップ監督(リバプール)、アッレグリ監督(ユベントス)もダメとのことで、今ではミチェル監督(今年初めにマラガから解任)、ラウンドルップ監督(カタールのアル・ラーヤン)、グティ監督(マドリー・フベニルA)、イエロ氏(スペイン代表スポーツディレクター)と次々とOBの名が挙がり、更にはコンテ監督(チェルシー)、フィリペ・スコラーリ監督(広州恒大)と候補が乱立して、何が何だか訳がわからない状態に。 ▽もうこうなると、私も決まるまでは放っておくしかないと腹を括るしかないんですが、一説によると、ジダン監督辞任の原因は来季の採用人事絡みで、ペレス会長にエデン・アザール(チェルシー)獲得を断れ、逆に望まないGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)を受け入れるように言われたからなんて話もありましたからね。どんな新監督が来るにしてもロナウドやネイマールの件がはっきりしない限り、CL3連覇の前任者の業績を上回るべく、来季の構想を立てるのは難しいかもしれませんね。 ▽え、チームの主力選手の去就がはっきりせず、フロントの動きが鈍っているのはお隣さんも同じじゃないかって?そうですね、これまではフランス代表に行くたび、問題発言をしていたグリーズマンなんですが、何故か今回に限って寡黙なため、バルサ移籍なのか、アトレティコ残留なのか、未だに結論が出ておらず。当人はW杯が始まる前までに決めると言っていたものの、周辺からの情報も「残留するつもり」、「まだ考え中」と曖昧なものばかりとなれば、ファンだけでなく、アルゼンチンで休暇中のシメオネ監督も落ち着けないかと。 ▽その間、金曜には7年間、スポーツディレクターを務めたカミネロ氏がマラガに河岸を変えたことなどもあり、ロドリ以外、新入団選手は増えていないアトレティコですが、7月には2億ユーロ(約260億円)から1億ユーロ(約130億円)に半減しても、グリーズマンの契約破棄金が入れば、それなりの選手を獲らないといけませんし、残留なら大幅年棒アップでその点も考慮となると、予算配分が難しいところ。一応、クラブは彼のご機嫌をとるためか、同じフランス代表の同僚、レマルとシディベ(どちらもモナコ)の獲得を狙っているなんて報道もありましたが、まあ今は先日のイタリアとの親善試合(3-1の勝利)でPKゴールを決め、健在なところを示した当人が口を開くのを待つしかありません。 ▽その脇でマドリッドの弟分では先週、レガネスがガリターノ監督の後任を決定。噂通り、アルゼンチン人のペジェグリーノ監督で彼は昨季、プレミアリーグのサザンプトンを率いて途中で解任されてしまったんですが、2016-17シーズンにはアラベスをコパ・デル・レイ決勝まで導いた実績が。今年は兄貴分のマドリーを破り、準決勝でセビージャに負けてしまったレガネスとなれば、必要なあと一押しをしてくれる指揮官になってくれる? ▽ちなみに新監督は7月頭にマドリッド入りするそうですが、当人も「マドリーとバルサの予算は5億ユーロ(約650億円)、レガネスは4000万ユーロ(約52億円)。Hacen un estudio de mercado y ponen un tope para gastar/アセン・ウン・エストゥディオ・デ・メルカードー・イ・ポネン・ウン・トペ・パラ・ガスタル(市場を分析して、費やせる金額の限度を決める)」と言っていたように、1部再昇格を果たしたばかりのラージョもそうですが、他チームの余剰戦力をレンタルしたりして、やりくりする彼らの補強が佳境に入るのは8月後半ですからね。ファンがペジェグリーノ監督の新生レガネスを見られるのは結構、先になるかと思います。 ▽そしてもう1つの弟分、ヘタフェでは、これって出世と言っていいんですかね。選手ではなく、スポーツディレクターのラモン・プラネス氏が、木曜にバルサの新テクニカル・ディレクターに指名されたアビダル氏のアシスタントになったと発表があったから、驚いたの何のって。とはいえ、ボルダラス監督は代わりませんし、危急の仕事としては、シーズン中から前契約をしたと伝わっていたグアイタのクリスタル・パレス行きが決まり、その代役を務めるGKを探すことぐらいですしね。アトレティコのカンテラーノ(ユース出身の選手)で、コケやデ・ヘアと一緒に2013年にU21ユーロで優勝したメンバーだったジョエル(エバートン)などの名前は挙がっていますが、こちらもまずはスポーツディレクター探しが先になるんでしょうか。 ▽まあ、マドリッドのチームの近況はそんな感じなんですが、何せ今は2部昇格プレーオフ中のフエンラブラダを除くと、どこもバケーション中でねえ。W杯が始まれば、また街中でもスペイン代表サポーターの姿などを見かけることがあるはずですが、初戦まであと1週間。それまではやっぱり、スポーツ紙もマドリーやアトレティコの移籍関連の噂でページを埋めるしかないのかもしれませんね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.09 13:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】どこまで期待してよいものやら…

▽「偶然とはいえ、間が悪かったわね」そんな風に私が首を振っていたのは火曜日、ラス・ロサス(マドリッドの郊外)のサッカー協会施設をスペインの首相が訪問。W杯前の恒例、チーム激励式典がグラウンドの反対側で行われていた時のことでした。いやあ、実を言うとこの国は先週木曜から政局が激変、お昼のスポーツニュースはジダン監督電撃辞任のことばかりだったため、夜の枠では代表関連の話も取り上げてくれるかと期待してTVをつけたところ、いきなり国会中継になっていたのに驚いたなんてこともあったんですけどね。 ▽結局、PP(国民党)内閣への不信任案が通り、翌日にはラホイ首相が辞任、土曜にはPSOE(スペイン社会労働党)の党首であるペドロ・サンチェス氏が新しい首相となったんですが、そういえば、ラホイ前首相は収賄スキャンダルの対応に追われ、先月キエフであったCL決勝にも行けませんでしたからね。この代表チーム慰問の役目も新首相に譲り、この先、万が一、スペインがW杯決勝に進出したとしてもモスクワには自費で駆けつけないといけないとはまったくもって、お気の毒だったかと。 ▽折しもその日はこちらも先月、ビジャル元会長が収賄容疑で停職になって以来、暫定会長を務めていたラレラ氏を選挙で破り、会長となったルビアレス氏が前理事会の元、W杯へ協会、スポンサー関係者、選手の家族や友人対象に企画されていた総勢100人以上、計200万ユーロ(約2億6000万円)の費用を協会が負担する応援ツアーをキャンセルしたことを発表。代わって試合ごとに人数を絞った2泊3日のツアーを1回10万ユーロ(約1300万円)で手配し、合計費用も4分の1に下げたと、練習セッション公開15分に満たない前から連れて行かれた協会本部ビルでの会長を囲む朝食会で聞いたんですけどね。 ▽どちらにしろ、私はこの日で代表選手たちとはお別れ。水曜はオフで練習を休んだ後、木曜にはチームが大会中のベースキャンプとなるクラスノダールに飛んでしまうからなんですが、南アフリカにしろ、ブラジルにしろ、今回のロシアにしろ、現地まで追っかけていきたいファンにとって、W杯は旅費のハードルが高いのが何より辛いところじゃないでしょうか。 ▽そんな貧乏な私ですが、先週末は近場にビーチがあるという誘惑に負けて、しかも国内でお手軽でしたからね。ビジャレアル(スペイン南東部)での代表親善試合を見に行ったんですが、実は初めてラ・セラミカを訪ねたのは彼らがアーセナルとのCL準決勝を戦った10年以上前。その頃は名称もエル・マドリガルだったんですが、まあ行き方は当たり前ですが変わりません。最寄りの都市、マドリッドからAVE(スペインの新幹線)で3時間程のカステジョンに宿を取り、セルカニアス(国鉄近郊路線)に乗って2駅目のVila-real(ビラ・レアル)駅で下車。スタジアムまでほぼ真っすぐな道を20分程、住宅街、商店街などを通り抜けて行くんですが、昔と違って楽になったのはgoogle mapのおかげで迷わないし、1時間に1本しかない電車の時刻表もrenfe(スペイン国鉄)のホームページですぐ見つかることぐらいだったかと。 ▽ただ、要注意なのは帰りの時刻で午前零時前に終電となってしまうため、この辺はマドリッドのセルカニアスを使って行った場合のヘタフェやレガネスも同じなんですけどね。幸いスペイン代表の前日スタジアム練習は午後9時には終了。ロペテギ監督、デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、ルーカス・バスケス(レアル・マドリー)の記者会見があった後、まだCL決勝で負傷した太もものリハビリ中のカルバハル、先週金曜に合流したばかりのセルヒオ・ラモスとイスコ、3人のレアル・マドリー勢はお留守番となったものの、それ以外のメンバー全員が参加したシュート練習やpartidillo(パルティデージョ/ミニゲーム)などに応援に駆けつけたファン同様、私も心ゆくまで楽しむことができましたっけ。 ▽え、その土曜の夜は丁度、リーガ2部最終節があったんじゃないかって?その通りで、前節1部復帰が決まったマドリッドの弟分、ラージョはジムナスティックに2-0で負けてしまったんですが、やはり昇格済みのウエスカもオビエドに負けたため、彼らは栄えある2部優勝でシーズンの幕を閉じることに。降格の危険があったアルコルコンも何とか無事に13位で残留を決めたんですが、まだ1部への最後の一席を争っているチームも4つあって、ヌマンシアvsサラゴサ、バジャドリッドvsスポルティングの組み合わせで今週、2試合制のプレーオフ第1戦が開催。その勝者同士が来週の木日に決勝と、昨季はヘタフェが辿った険しい道ですが、今回、はマドリッドのチームが関わっていないのは助かりますね。 ▽そして翌日、昼過ぎまで雨が降るカステジョンのビーチを海水浴どころか、傘をさして散歩という大幅な予定変更を強いられた後、午後9時開始のスペインvsスイス戦に再びラ・セラミカに向かった私でしたが、おかげでマドリーのコラソン・クラシック・マッチを見逃すことに。アーセナルOBと対決した今回はラウールとグティがゴールを決め、2-1で勝利(https://descargapwebrealmadrid.akamaized.net/2018/06/03/e81a268b-9434-4124-9112-e0fc267ed705_1000k.mp4)したなんて聞くと、ちょっと損した気がしないでもないですが、ちなみに先週、スペイン代表の練習がラス・ロサスで行われていた時にはラウール、そしてサンティアゴ・ベルナベウでのチャリティマッチにも一緒に出場したシャビ・アロンソ、バプチスタらも監督ライセンス取得のため、協会本部ビルで授業を受けていたなんて偶然も。その講習はもう終わってしまったんですが、折しも彼らの古巣はジダン監督が電撃辞任してしまい、後任探しの真っただ中ですからね。 ▽まだラウールやアロンソはプラクティスの期間が必要で、トップチームを率いることはできないんですが、グティなど2013年から、マドリーのユースを指揮していますからね。ここ2シーズンはフベニルA(ソラーリ監督率いるRMカスティージャの1つ下のチーム)で見事な成績も挙げていますし、繋ぎ人事でもいいから、そろそろ昇格なんていうのがあっていい?ジダン監督だけに終わらず、ゆくゆくは今となっては懐かしい、ギャラクティコ時代の選手たちが今度はベンチで躍動する姿を見たいというファンも結構、世間にはいるようですよ。 ▽おっと、W杯に向けたスペインのテストマッチの話もしないといけません。ほぼ満員となったスタンドは序盤こそ、応援歌などで盛り上っていたんですが、時間が経過するうちにポゼッションは高くても、しっかり守る相手になかなかチャンスが作れないというスペインの欠点が露呈することに。それでもだんだん静かになってきたと感じていた前半29分、シルバ(マンチェスター・シティ)が右奥から中央に出したパスをオドリオソラ(レアル・ソシエダ)がエリア前でゲット。「No me lo he pensado, lo mejor era disparar para evitar la contra/ノー・メ・ロ・エ・ペンサードー、ロ・メホール・エラ・ディスパラール・パラ・エビタル・ラ・コントラ(考えなかった。一番いいのはカウンターを避けるためにシュートすることだったから)」と地面に落ちる前にそのボールを蹴ったところ、ゴールに入ってくれたから、黄色のビジャレアルのユニを着たファンも多くいた場内がどんなに盛り上がったことか。 ▽ええ、カルバハルが、同僚のクリスチアーノ・ロナウドもこの月曜から合宿入りしたポルトガルとのW杯初戦までに回復しない場合、スタメン右SBをナチョ(マドリー)と争うことになる当人もこの代表初ゴールには「絶対、忘れない。イニエスタに『vaya golazo!/バジャ・ゴラソ(何てスーパーゴールだ)』と言われて感激したよ」と嬉しそうでしたっけ。その後は試合当日、ブスケツ(バルサ)が急性胃腸炎で休場となってしまったせいで、ボランチをチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)と務めていたコケ(アトレティコ)もそれに続けとばかり、39分にはクラブの同僚、ジエゴ・コスタにクロスを送ったんですが、こちらはヘッドが枠に収まらず。 ▽うーん、この日、もう1人のFWとして先発したのはイアゴ・アスパス(セルタ)だったんですが、ロペテギ監督は「Puede jugar en banda derecho/プエデ・フガール・エン・バンダ・デレッチャ(右サイドでもプレーできる)」と言っていたものの、どうやら得意なのはbanda izquierda/バンダ・イスキエルダ(左サイド)のようで、実際、後半になって、CL決勝ではベンチ待機となった本職のルーカス・バスケスと代わってからの方が、気心知れたアセンシオ(マドリー)も間もなくしてピッチに入ったからでしょうからね。スペインのプレーのレベルが上がったような気がしましたが、通算でシュート16回中、MFのイニエスタ(ヴィッセル神戸)が3回と最多だったのは微妙かもしれません。 ▽え、それより問題なのは結局、それだけ撃っても1点しか取れなかったことじゃないかって?そうですね、そのイニエスタがファンの大歓声に送られて交代した後、このW杯では7という、2008年から2012年までの国際メジャートーナメント3連覇というスペイン黄金期のゴールの鬼、アトレティコの先輩でもあるビジャ(ニューヨーク・シティ)の背番号をつけることになったサウールがピッチに入るやいなや、最初にやったのがイエローカードをもらうことだったのはともかく、何せ、当人もクラブとはまったく違う代表サッカーに適応するのは「No es sencillo/ノー・エス・センシージョ(簡単ではない)」と火曜のメディアデーのインタビューでは認めていましたしね。 ▽それでも「アトレティコの選手は長い間、このシステムやサッカー哲学、代表監督の時々の指導に従ってプレーしてきたのも本当さ。だから、いろんなことが可能になるんだよ」とフォローはしていましたが、この日はアトレティコ卒業後、マンチェスター・ユナイテッドの守護神となったデ・ヘアが後半17分に大チョンボ。ええ、リヒトシュタイナー(ユベントス)のシュートを不用意に弾き、こぼれ球をリカルド・ロドリゲス(ミラン)に押し込まれてスコアが同点になってしまったんですよ。 ▽こういう場合、味方が追加点を取って、試合に勝っていればあまり気にすることはないんでですが、残念ながら、そのまま試合は1-1で終了。いえ、ミックスゾーンでは出身のエルチェから車で3時間と比較的近いせいか、親戚や友人に囲まれていたサウールに合流。コスタまで混じって談笑に花を咲かせていたデ・ヘアですから、当人も周りも「Mejor en un amistoso que en uno oficial. No me costo dormer/メホール・エン・ウン・アミストーソ・ケ・エン・ウノ・オフィシアル。ノー・メ・コストー・ドルミル(公式戦じゃなくて親善でミスする方がいい。眠るのに苦労はしなかったよ)」(デ・ヘア)というのが本音なんでしょうけどね。 ▽そうは言っても3月にアルゼンチンに6-1とワンダ・メトロポリターノで勝った時、「このW杯ではゴールに不自由しない」と思った確信がちょっと揺らいでしまったのも確か。もちろん、ロシアではアトレティコのように貴重な1点を爪の垢に火を灯すように守って勝ってもいいんですけどね。ロペテギ監督などは「今日ウチが作ったチャンスの半分はきっと、別の日の試合でゴールになるだろう」と楽観的だったものの、実際、得点力って、スタメンにブスケツやイスコが入ることで劇的に改善してくれるんですかね。 ▽そうそう、この金曜には日本代表との親善もあるため、追いついてスペインと引き分けたため、満足していたスイスのペトコビッチ監督の言葉も伝えておくことにすると、「ここ数日はハードトレーニングをしたため、次はもっと選手を代えないといけない。ロシアでは筋肉の状態がよりフレッシュでいられるようにね」とのこと。スペイン戦をケガで休んだジャカ(アーセナル)も火曜からはチーム練習に合流する予定なので、シャチリ(ストークシティ)だけでなく、相乗効果でもっと攻めてくるようになるかも。まあ本大会では別グループなので当面、ぶつかることはないはずですけどね。スペインが勝てなかったスイスに日本が勝てたら、リーガをよく知っている柴崎岳選手(ヘタフェ)や乾貴士選手(ベティス)にとっても大きな自信になるんじゃないでしょうか。 ▽そして私も月曜にはマドリッドに戻り、火曜にはラス・ロサスでのメディアデーを取材に行ったんですが、最後にお伝えしたいのはイニエスタのコメント。ええ、来季からはヴィッセル神戸に移籍することになり、一緒に彼を囲んでいたスペイン人記者たちも代表の先行きを懸念したんでしょうかね。W杯後に関しての質問には、「代表に呼ばれるのは過去の実績じゃなくて、その時のコンディションによるからね。このW杯がおそらく自分の最後の代表戦となるだろうけど、大会が終わって、内容を分析して、新天地でのプレーが始まったら、もう1度どういう状況にあるのか、考えられるだろう。バルサを出たら難しいのはわかるけど、代表を続ける可能性は否定しないよ」とのこと。 ▽昨年はビジャの顔見せ復帰なんていうのもありましたしね。CL3連覇を花道にしたジダン監督のように、スペインが優勝したら、イニエスタもそれが代表引退のいい機会になってしまうのかもしれませんが、まだそれは先の話。とはいえ、昨年までの予選や日曜のスイス戦を見る限り、イニエスタやシルバといったベテランの力がまだまだ必要なチームに見えますが、果たして今回のW杯はどんな結果になることやら。4年前の苦い思い出もありますし、まずはポルトガル、イラン、モロッコ戦に勝ってグループリーグを通過するところから目指してもらいたいものですね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.06 22:50 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】代表に専念できるはずだったのに…

▽「レガネスだって監督いなかったわよね」そんな風に私が思い出したのは金曜日、いえ、ジダン監督の電撃的辞任が発表された翌日には、後継の第1候補と目されたポチェッティーノ監督が自著「Un mundo nuevo/ウン・ムンド・ヌエボ(新たな世界)」の発売記念イベントでバルセロナを訪問していたんですけどね。この機会を逃すかとばかりに報道陣が詰めかけ、TVでインタビューが延々と流れている展開の速さに驚かされたものですが、でも彼は最近、トッテナムとの契約を5年間、延長したばかりですよ。もちろん天下のレアル・マドリーを率いることにイヤな顔をする監督は少ないとはいえ、あのレビー会長と交渉しないといけないとなると、いつぞやのモドリッチやベイルのように夏いっぱい時間がかかって、下手したらリーガが始まってしまうのでは? ▽まあ、そうなれば8月15日にUEFAスーパーカップで対戦するお隣さんなどにとっては願ってもない好条件となるんでしょうが、候補の1人に挙げられている現在、ドイツ代表でプレW杯合宿中のレーブ監督も大体、チームが決勝まで行ったら、もうその時点でプレシーズン開始となる7月中旬ですからね。金曜にはマドリー行きを完全否定。先日のCL決勝で負けたばかりのリバプールのクロップ監督と今季はマドリーのフベニルA(RMカスティージャの下のユース)で好成績を収めたグティ監督の反応はまだ聞いていませんが、いやあ、リーガ最終節終了後にガリターノ監督がブタルケを去って、もう2週間も経つんですけどね。 ▽当人はさっさと転職先をレアル・ソシエダに決めて、アノエタで就任プレゼンまであったというのに先週半ばまで見かけたペジェグリーノ監督との交渉報道もいつの間にか立ち消えに。それ以外の候補の話など、全然聞かない弟分の新しい指揮官探しは一体、どうなっている?何せ、今週はセビージャにジローナから河岸を変えたマチン監督、アスレティックに今季途中でセビージャを解任されたベリッソ監督と、ヨソでは着々と新年度の人事が発表されていますからね。マドリッド勢では来季から1部に加わるラージョはミチェル監督の続投が濃厚、アトレティコ、ヘタフェもそれぞれシメオネ監督、ボルダラス監督が更なるプロジェクトを進展させていくことになっていますが、いやはや。 ▽CL3連覇祝勝が一段落して、クリスチアーノ・ロナウドは彼女のジョルジーナさんとマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)で休暇中。来週、ポルトガル代表の合宿に合流するまでコメントはしないようですし、同様にキエフで移籍を匂わせる発言をしたベイルなど、ウェールズはW杯に参加しないため、それこそゴルフ三昧で音沙汰がないようですからね。そこで仕方なく、ネイマール(PSG)の様子を見ながら、GKアリソン(ローマ)、オドリオソラ(レアル・ソシエダ)、ヒメネス(アトレティコ)、出戻りのマリアーノ(オリンピック・リヨン)、更にエリクソン(トッテナム)と、すでにこの夏の獲得選手候補のリストアップで紙面を埋めていた各スポーツ紙のマドリー番もこれからしばらく、監督候補の追っかけもしないといけないのはちょっと気の毒だったかと。 ▽え、そうは言っても私もジダン監督の辞任には意表を突かれた1人じゃないのかって?そうですね、今週は月曜から、スペイン代表がラス・ロサス(マドリッド郊外)のサッカー協会施設で毎日、トレーニングしているため、天気の良くなった木曜に様子を伺いに行ったんですが、何せここ数年は代表もマドリーやアトレティコのように練習の公開を最初の15分に限定。ロンド(選手が輪の中に入ってボールを奪うゲーム)が終わった辺りで取材陣もグラウンドが見えないプレスルームに追いやられてしまうため、チームがどんな調子か、まったくわからないのが残念なんですが、今週の彼らは施設内のホテルで寝起きする義務もなかったようで、マドリッド在住の選手たちなど、自宅から通っていたとか。 ▽その日はヘルプ要員のバジェホを除き、来週月曜まで合宿参加を免除されていたマドリーからの選出メンバーの中でナチョが先乗り出勤していましたが、私がバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でジダン監督の緊急記者会見があると知ったのは丁度、その1時間ぐらいのセッションが終わるのを待っている間。暇を持て余していた他の記者たちも一体、何を話すんだろうと首を捻っていたんですが、いやあ、今は本当にいい時代になりましたね。ジダン監督が選手たちに胴上げされていたサンティアゴ・ベルナベウでの祝勝イベントのように、スマホで実況中継を見ればいいやと思っていたところ、計算外はこちらでも時同じくして、アスピリクエタ(チェルシー)とジエゴ・コスタ(アトレティコ)の記者会見が始まってしまったから、さあ大変! ▽イヤホンを持って来ていなかったため、音声を聞けずにまさか、TVのレポーターの「ジダン監督が辞任を発表したが、どう思うか」という質問で重大ニュースを知るという間抜けぶりでしたけど、どうやら根耳に水だったのは演壇に上がっていた2人も同じだったよう。「初めて聞いた」、「Es oficial?/エス・オフィシアル(公式に?)」といぶかる彼らに、「公式、公式!」、「1時からの会見で言ったばかり」と記者たちが説明していましたが、「Mala suerte, acaba de ganar Champions y le echan, no tenia que haber ganado/マラ・スエルテ、アカバ・デ・ガナール・チャンピオンズ・イ・レ・エチャン、ノー・テニア・ケ・アベール・ガナードー(ツイていない。CL優勝したばかりでクビにされるなんて。勝たなくても良かったね)」って、いや、コスタですから。 ▽それでもEL決勝前のメディアデーのようにマイクをグリグリ回して遊んでいないだけ、マシだったんですが、この日はフランス代表に行ってもだんまりを続け、バルサに移籍するかどうか決まってないクラブの同僚、グリーズマン関連以外の質問もありましたからね。前回、2014年のブラジルW杯ではデル・ボスケ監督にエースとして抜擢されながらも不発。チームもグループリーグ敗退に終わり、もちろん、そのシーズン最後の試合、リスボンでのCL決勝で当人がケガを再発したせいもあったんですけどね。2年前、スペインが16強対決で敗退したユーロ大会には呼ばれず、リベンジとなる今回は、折しもFIFA処分のせいで今年の1月からしか、アトレティコでプレーできなかったことが逆に強みになっているよう。 ▽ええ、「シーズン通してプレーして、終盤にダウンする選手もいるけど、yo me encuentro bien, cada vez mejor, y a tope para llegar a esta Copa/ジョー・メ・エンクエントロ・ビエン、カーダ・ベス・メホール、イ・ア・トペ・パラ・ジェガール・ア・エスタ・コパ(ボクはいい感じだ。毎回良くなっている。このW杯に向けてトップギアさ)」だそうですが、CFとして最大のライバルだったモラタ(チェルシー)が招集メンバーに入っていないだけ、彼の得点における責任は重大。スタメンFWにはロドリゴ(バレンシア)やイアゴ・アスパス(セルタ)というチョイスもありますが、3月にワンダ・メトロポリターノであったアルゼンチンとの親善試合でコスタが先制点、イスコがハットトリックを挙げて6-1と大勝したように、ロシアではゴールの沢山入るスペインを見られるといいですよね。 ▽そして午後からチームは自由時間となったんですが、明けて金曜午後からのセッションにはサプライズが。うーん、もしやジダン監督が、「Este equipo debe seguir ganando y necesita un cambio/エステ・エキポ・デベ・セギール・ガナンドー・イ・ネセシータ・ウン・カンビオ(このチームは勝ち続けないといけなくて、それには変化が必要)。自分との3年間の後、違う訓話、違う練習方法がいる」とtrigesimo(トリヘシモ/13回目のCL優勝のこと)の偉業こそ達成したものの、リーガやコパ・デル・レイで振るわなかったことから、チームのマンネリ化を懸念。「これからも勝ち続けると確信できないとしたら、それは代わる時」と自ら身を引いただけに、次はどんな監督が来るかわからないマドリーの選手たちも危機感を感じたんでしょうか。 ▽ええ、今週はW杯を前にフラメンコ歌手のデマルコとイメージソングのビデオクリップ(http://www.sefutbol.com/video-sergio-ramos-y-demarco-flamenco-cantan-al-mundial-rusia2018)撮影などをしていたラモスを筆頭にイスコ、アセンシオ、ルーカス・バスケスが予定を早めて練習に参加。CL決勝で太ももを負傷したカルバハルだけは施設内で凍結療法の零下188度のタンクに入っていたりするため、姿を見ることはなかったんですが、もしや彼らもW杯で活躍すれば、新監督にいい印象を与えられると判断した? ▽まあ、個々の思惑はともかく、これで人数が増えたスペイン代表はヘルプ要員のうち、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、ウィリアムス、ウナイ・ニュネス(アスレティック)の3人をお役御免にして、土曜には日曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、ラ・セラミカで行われるスイスとの親善試合のためにビジャレアル(スペイン南東部)に移動。現地では午後8時から公開練習が予定されています。先発予想などはまだ出ていないんですが、マドリーの選手たちはプレーしなくてもヴィッセル神戸に移籍したイニエスタやピケ、ブスケツ、ジョルディ・アルバらのバルサ勢、コスタ、コケ、サウールらのアトレティコ勢は月曜からずっと練習していますからね。シルバ(マンチェスター・シティ)やデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)ら、プレミアリーグ組など、先週からラス・ロサスに詰めているため、ロペテギ監督も贅沢な選手起用ができるかと。 ▽そしてその試合の後、チームはマドリッドに戻り、来週木曜まで一般公開はなしで練習。それからW杯でのベースキャンプ地、クラスノダールに飛ぶスペインなんですが、現地では9日(土)に最後のテストマッチとしてチュニジアとの対戦も。本大会は15日のポルトガル戦からスタートし、20日にイラン戦、25日にはグループリーグ最終戦として、ファジル(ヘタフェ)やアムラバット(レガネス)のいるモロッコ戦に挑みます。ちなみに最近はマドリッド勢のいる他国の代表の親善試合も始まってきて、この水曜にはそれこそトマス(アトレティコ)がFKからガーナの先制点を挙げ、柴崎岳選手(ヘタフェ)も途中出場した日本に0-2と勝ったなんてこともあったそうですが、こちらではTV放送がなくて見ることができず。 ▽この土曜のラージョの2部最終節もアウェイのグラナダ戦ですし、リーガ1部優勝を2連覇したアトレティコ・フェメニーノがバルサ女子とタイトルを争うコパ・デ・ラ・レイナ決勝もメリダ(スペイン西部)で開催とあって、マドリッドでは当分、生で試合観戦できそうもないのはちょっと寂しいかと。あ、そうそう来季のマハダオンダ(マドリッド近郊)にあるアトレティコの練習場にあるミニスタジアムは凄いことになりそうで、アトレティコB(2部B)とフェメニーノならず、2部昇格が決まったラージョ・マハダオンダ(ラージョのBチームではない)もそちらで公式戦ホームゲームを開催するとか。週末ごとに恐ろしい試合ラッシュとなりそうですが、そうなるとシメオネ監督のトップチーム男子はどこで非公開練習をやったらいいんでしょうかね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.06.02 13:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】お祝いは沢山、あった方がいい…

▽「日曜夜のマドリッドは凄いことになるかも」そんな風に私がドキドキしていたのは金曜日、CL決勝の地、キエフに乗り込んだレアル・マドリーの試合後の予定を聞いた時のことでした。いやあ、先週の金曜はアトレティコのヨーロッパリーグ優勝祝賀行事でネプトゥーノの噴水を中心に通りがrojiblanco(ロヒブランコ/赤白のストライプ)に染まったんですが、お隣さんもtrigesimo(トリヘシモ/13回目のCL優勝のこと)を達成した場合、ウクライナから戻るのは5時間程の長旅。よって、恒例のシベレス広場への祝賀パレードやサンティアゴ・ベルナベウでのイベントは日を改めて、日曜午後に開催されるようなんですけどね。 ▽その脇で同じ日曜午後8時30分からはリーガ2部の41節が一斉にスタートし、ここ2試合、コルドバともう1つの2部のマドリッド勢アルコルコンに連敗。月曜にプレーしたウエスカに昇格確定1番乗りこそ、譲ってしまったものの、ラージョもバジェカスでルーゴに勝利するか、3位のスポルティングがグラナダに勝てなければ3年ぶりの1部復帰が決まることに。マドリー、アトレティコ、ヘタフェ、レガネスと肩を並べ、来季は前代未聞のマドリッド1部5チーム体制の幕開けとなれば、こちらでも大量のファンが駆けつける盛大な祝賀イベントが始まるのは容易に想像がついたから。 ▽いえ、同じマドリッド市内とはいえ、ベルナベウは北部、バジェカスは南部とメトロでも結構、離れているため、両チームのファンが混じり合うことはないと思いますけどね。ちょっと気の毒なのは大兄貴分のお祝いと被ってしまうと、その分、TVニュースで扱いが小さくなってしまうことですが、そんなの1部の大舞台に戻って来られるのに比べたら、何てことはない?万が一、予定が狂って、昨年のヘタフェのように昇格プレーオフに回ったりすると、6月中旬までシーズンが終わらないため、ラージョの選手たちも世間のCL決勝フィーバーには惑わされず、自分たちの仕事に集中してくれるといいのですが。 ▽とはいうものの、私も今週はほとんどマドリー関連のニュースしか聞いておらず、火曜には決勝前オープン・メディアデーが開催されたバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場を訪問。いやあ何せ、ここ3年連続の恒例行事ですからね。世界各国から来た130のメディアで満員のプレスコンファレンスルームとか、シーズン中唯一、フルで公開される練習を見るため、かなり広いバルコニーに鈴なりになっているカメラとかはもう、見慣れた風景と言っていいかと。選手も記者会見方式のアトレティコと違って、マドリーはTVやラジオ、活字等のメディア別に選手のインタビューゾーンを設けてくれるんですが、クリスチアーノ・ロナウドやベイルといった人気選手は放映権を持つ放送局やレアル・マドリーTVにしか話さないといったところも毎年同じで、いえ、別にナチョやバジェホに偏見がある訳じゃないんですけどね。 ▽とはいえ、やっぱり決勝で主役になりそうな選手の顔を見たいと思ってしまうのが人情かと。ちなみに各紙の今週の先発予想記事を追っていくと、GKケイロル・ナバス、カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ、クロース、モドリッチ、カセミロ、ロナウドまでは確定で、残り2席をイスコ、ベイル、ベンゼマで争うという話から、ベルデベバスで「皆、準備できているよ。決めるのはジダン監督さ。それで給料もらっているんだから。Que se coma el marron/ケ・セ・コマ・エル・マロン(ババ引き役になるといい)」と笑っていたイスコがどうやら、1席を勝ち取ったような按配に。あとはベイルとベンゼマの競り合いとなりますが、リーガ最後の4試合で4ゴール挙げている前者の方が調子はいいのかもしれません。 ▽え、さすがにここ5年間で4回CLに優勝ともなると、決勝前の雰囲気にもマンネリ感が出て来るんじゃないかって?いやあ、それにはジダン監督も2005年以来、CL優勝がなく、クロップ監督も2013年の決勝でドルトムントを率いてバイエルンに敗れた経験しかないことから、リバプールの方が燃えているんじゃないかと問われ、「相手には相手の事情が、ウチにはウチの事情があるが、no me puedes decir que vamos a tener menos hambre/ノー・メ・プエデス・デシール・ケ・バモス・ア・テネール・メノス・アンブレ(我々がハングリー精神で劣っているとは言えない)」と、温厚な彼にしてはかなり語気を強めて反論していましたしね。 ▽ロナウドなども「Ganar mi quinta Champions seria la hostia/ガナール・ミ・キンタ・チャンピオンズ・セリア・ラ・オスティア(自分にとって5度目のCL優勝をゲットするのは最高だろう)」とマンチェスター・ユナイテッド時代の1回を加え、現在のチームで最多獲得選手になるのは励みになっているよう。実際、その上の6回はCL創成記の1900年代半ばにマドリーで達成したゲントだけですからね。当人が張り切るのも当然ですが、そんな中、今季はCL以外、リーガでもコパ・デル・レイでも優勝できなかったマドリーとあって、決勝ではベンチ外の可能性が高いテオが年子の兄、リュカにアトレティコのEL優勝を自慢され、「Espero que ganemos y ya se la devolvere yo/エスペロ・ケ・ガネモス・イ・ジャー・セ・ラ・デボルベレ・ジョ(ボクらも勝って、言い返してやるよ)」と息巻いていたのはまあ、気にしなくていいんですけどね。 ▽それでも「Doblete del Barcelona? La Champions lo eclipsa/ドブレテ・デル・バルセロナ?ラ・チャンピオンズ・ロ・エクリプサ(バルサの2冠?CL優勝はそれをかすませるよ)」というラモスを筆頭に、W杯のスペイン代表合宿で顔を合わせるピケ、イニエスタ、ジョルディ・アルバ、ブスケツらの前で肩身の狭い思いはしたくない選手(イスコ、カルバハル、アセンシオ、ルーカス・バスケス、ナチョ)が複数いますからね。金曜日、会場のオリンピスキー・スタジアムでの前日練習ではセッション後、ラモスやイスコらがピッチで小さい息子たちを遊ばせていた光景にはちょっと???となったものの、きっとその辺もいいモチベーションになってくれるんじゃないでしょうか。 ▽ちなみに相手のリバプールで話題になるのは1にプレミアリーグ得点王のサラ、2もサラ、3もサラといった感じだったんですが、エジプト人の彼は現在、イスラム教のラマダン(断食)中。チームに帯同しているスペイン人トレーナーからの情報では先週、マルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)で合宿していた際には日が出ている間、飲食はしないという教えを守り、母国の新聞でも「ラマダンをきっちりやって、家族もお供えに子牛3頭を捧げる予定」なんて報道もあったんですが、どうやらこの木曜からは通常の食事に戻したとか。 ▽それが怖いのはとりわけ、彼のいる右サイドでは「よく攻撃参加する選手だが、守備をしない」と英紙のインタビューでクロップ監督が名指ししたマルセロとマッチアップすることになるから(当人はその発言を前日に否定)。あまりエネルギー満々で来られたら、他にもマネやフィルミーノら、得点力のあるFWと相まって、苦労しそうな気がするんですが、試合前日記者会見に出た当人は「Sabemos lo que tenemos que hacer, yo sé exactamente cómo tengo que jugar/サベモス・ロ・ケ・テネモス・ケ・アセール、ジョ・セ・エクサクタエンテ・コモ・テンゴ・ケ・フガール(ボクらは何をしないといけないか、わかっている。自分もどういう風にプレーするか正確に知っているよ)」とまったく心配していないよう。 ▽もちろんマドリーには取られたら取り返せる攻撃力もありますしね。現地への航空運賃も宿泊費も天文学的に跳ね上がっているにも関わらず、応援に駆けつけた両チームのファンも撃ち合いの方が楽しめるのは間違いないかと。そんなCL決勝は土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)キックオフ。ちなみにアトレティコ同様、今回はチケットが完売せず、UEFAに1000枚を返したというマドリーですが、これが当日売りに回るのかは不明です。マドリッドではサンティアゴ・ベルナベウで大スクリーンを全方向に向けて設置したパブリック・ビューイングの他、市内にある映画館でも観戦イベントがあるため、滞在中の方は覗いてみるのもいいかもしれませんね。 ▽え、すでにバケーションに入っているアトレティコも今週はシーズン最後の親善試合があったんだろうって?そうなんですよ、実はW杯出場の各国代表に招集されているメンバーを除いて、月曜にナイジェリアに向かった彼らは同国代表Bチームと対戦。GKオブラクが出た前半に31分にはヌワクリにエリア前から撃ち込まれ、先制されてしまったものの、それから2分もしないうちにトマスの奪ったボールをもらい、コレアが敵GKとの1対1で同点ゴールをゲットしてくれます。後半には、これが本当に最後にアトレティコのユニを着てプレーする機会となったフェルナンド・トーレスが19分、コレアからのCKをヘッドで決めてリードを奪ったんですが…まさか34分、カンテラーノ(アトレティコBの選手)2人がゴール前で敵にあっさりかわされ、追いつかれてしまうとは、まったく情けない。 ▽でも大丈夫、40分にはビトロのラストパスをもらったフベニル(Bチームの1つ下のカテゴリー)所属のボルハ・ガルセスがエリア内からシュートを決めて、最後は2-3と勝ったアトレティコでしたが、何せこの日参加していたトップチームのメンバーはまだ移籍先を決めていないトーレスはともかく、7月初旬まで長いオフを楽しめますからね。W杯に行かないスロベニア代表の招集を免除されたオブラクなど、特に今季の疲れを癒してほしいかと。ちなみにモンテネグロ代表のサビッチはこの遠征に行かなかったんですが、水曜にはドイツで恥骨炎とヘルニアの手術をしたそうで、プレシーズンキャンプには回復が間に合うというのは朗報でしょう。 ▽その横でファンが一番、気になっているグリーズマンはリュカと一緒にフランス代表の合宿に入り、クレールフォンテーヌで毎日、汗を流しているんですが、今のところ、先行きに関するコメントはまったくなし。コケ、サウール、ジエゴ・コスタのスペイン代表組は来週月曜、ラス・ロサス(マドリッド郊外)のサッカー協会施設でマドリーメンバーだけ除いたトレーニングが始まるまでの短い1週間、バケーションに精を出しているようです。まあ、W杯に参加する選手たちに関してはCL決勝が終わったら、また情報も増えてくると思いますけどね。もう弟分チームなどはせいぜい、レガネスを退団したガリターノ監督がレアル・ソシエダと3年契約を結んだぐらいで、あとは移籍関連記事ぐらい。ヘタフェもレガネスもW杯に行く選手は数人止まりですし、クラブのファンには寂しい時期になってしまったといったところでしょうか。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.26 13:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】相手がマドリーじゃなきゃ勝てる…

▽「男女合同どころか、全チーム出て来るって!?」そんな風に私が呆気に取られていたのは金曜日、ネプトゥーノの噴水前に組まれた祝勝イベント用舞台を眺めながら、アトレティコがヨーロッパリーグのトロフィーと共に到着するのを待っていた時のことでした。いやあ、予想通り、リーガ1部2連覇を果たした女子チームは男子と2台、オープンデッキバスを連ね、マドリッド市庁舎、大聖堂、マドリッド州庁舎を回るパレードをしていたんですけどね。どうやら今季のカンテラ(ユース組織)は非常に出来が良かったようで、全てのカテゴリーで優勝。そこで小さな子供たちから順に男女、計10チーム程が次々、舞台に上がり、すでにかなり集まっていたファンの前でお祝いって、これって完全に男子トップチームに便乗していない? 女子に続いてアトレティコ男子のバスが煙に包まれて会場入り アトレティコの選手たちがバスの上ではしゃいでいる 本当にはしゃいでいる カンテラのチームも舞台に上がる ▽まあ、祝勝イベントのことはまた後で報告しますが、そのアトレティコのEL決勝があった水曜はまず午前中、コリセウム・アルフォンソ・ペレスまで私は足を運ぶことに。いえ、練習はすでに前節、セビージャがベティスと引き分けたせいで、来季のEL予選出場権をもらえる7位になれないことが確定。今週末土曜の最終節はアウェイで降格チームのマラガとの消化試合のヘタフェだというのに何故か、puerta cerrada(プエルタ・セラーダ/非公開)のセッションだったため、練習は見ることができなかったんですけどね。おかげで数人いた日本人ファンたちもスタジアムのロビーで柴崎岳選手が着替えて出て来るのを待っているしかなかったのは気の毒だったんですが、その日の私の目的はボルダラス監督の契約延長発表記者会見。 ▽非公式にはしばらく前から確定済みになっていたものの、リーガの結末がついたため、ようやく2年間の延長が発表されたんですが、スポーツディレクターのプラナス氏と一緒に現れたボルダラス監督は1部再昇格後の初シーズンを「La temporada es de sobresaliente, le daría un 9'5/ラ・テンポラーダ・エス・デ・ソブレサリエンテ、レ・ダリア・ウン・ヌエベ・コンマ・シンコ(今季の成績は最優秀、9.5点をつけたいね)」と評価。先日、兄貴分のアトレティコとのミニダービーの後などはやはりヨーロッパの夢が消えてしまったため、ご機嫌斜めだったんでしょうね。日本人記者から出た柴崎選手に関しての質問を「今はチームのことを話したい」と一蹴していたものの、この日は「人としてのレベルではとても満足している」と答えてくれました。 ▽ただ、「Futbolísticamente nos hubiera gustado que rendimiento fuera mayor/フットボリスティカメンテ・ノス・ウビエラ・グスタードー・ケ・レンディミエントー・フエラ・マジョール(サッカー的にはもっと大きなパフォーマンスがあった方が良かった)」そうで、うーん、確かに最近は出番も多くありませんでしたからね。もちろん、「だが簡単ではない。彼だけでなく、世界最高のリーガ1部にデビューした皆に起こったことだ」とフォローしてくれていましたが、翌日、シーズン終了を告げるチーム全員揃っての教会への献花を終えたヘタフェのプレーを見られるのも土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのマラガ戦が最後。これで彼らもバケーション入りですから、せめてピッチで柴崎選手の雄姿を見られるといいんですが…。 ▽そして夕方にはEL決勝のパブリック・ビューイングが行われるワンダ・メトロポリターノに向かった私でしたが、グラウンドには3方のスタンドに向けて5台の大型スクリーンが設置されていたものの、何と記者席の前にはないという逆境に遭遇。正面スタンドの両脇にある電光スコアボードで見る破目になった上、キックオフまでは場内を埋める、2万5000人のアトレティコファンが盛り上がる様子ばかり映っていたため、本当に観戦できるのか不安になったものでしたが、大丈夫。普段通り、スピーカーでラインアップが発表された後、いよいよリヨンからの中継が始まりました! ▽え、開始3分にはパイエのスルーパスからジェルマンにフリーでシュートを撃たれたり、酒井宏樹選手の負傷中、レギュラーになったサールにも狙われたりと、序盤のアトレティコは相手の勢いに押され、パスが3回も続かない恐ろしい有様じゃなかったかって?いやあ、私も開会セレモニー中にオリンピック・マルセイユのサポーターが陣取るゴール裏席がbengala(ベンガラ/発煙筒)で赤く燃え上がり、ピッチまで白く煙に覆われて、お隣さんとPSGのCL16強対戦2ndレグのパルク・デ・プランス化しているのには閉口したんですけどね。まさか、そのせいでボールが見えにくかったなんて言い訳はしなくても、彼らにはよくあることだったため、ハラハラしつつも視界が良くなるのを待っていたところ…。 ▽何と前半21分、アトレティコが先制点を取ってしまったんですよ!キッカケを作ってくれたのはマルセイユのアンギッサで、GKマンダンダから受けたパスを自陣エリアから近い場所で逃してしまったから、さあ大変。詰めていたガビが戻したボールをグリーズマンが持ち込み、どうやら相手が顔馴染みだったのが吉と出たんでしょうか。「彼はボクが右側に蹴ると予想して動いた。フランス代表の練習ではいつもそっちへ撃っているから。それで試合前、自分に言ったんだ。もし1対1になったら、反対に蹴ってやろうって。Y funcionó bien/イ・フンシオノ・ビエン(おかげで上手くいったよ)」と当人も後で言っていた通り、見事にゴールを決めてしまったとなれば、ワンダで応援していたファンたちもどんなに喜んだことか。 ▽いやあ、これにはルディ・ガルシア監督も「ウチのミスから失点した。アトレティコのようなチームにこういう失敗をすると高くつく」と嘆いていたんですが、32分には更なる不幸がマルセイユを襲うことに。いえ、チームの入場時に当人がサッカー界の迷信を無視して、勝ち取る前のトロフィーに触れてしまったせいだとは思いませんけどね。体調が100%でなかった司令塔のパイエがふくらはぎを痛め、代表チームメートのグリーズマンに慰められながら、早々にマキシム・ロペスと交代って、もしや2014年のCL決勝でジエゴ・コスタが10分ともたなかったアトレティコと似た目が敵に出ている? ▽実際、マルセイユの選手たちの士気にそれが影響を与えたのもあったか、0-1のまま後半に入った彼らは、うーん、ミス続きでイエローカードももらってしまい、エミレーツ・スタジアムの二の舞を懸念されたヴルサリコがシメオネ監督と”モノ"・ブルゴス第2監督の事前の打ち合わせ通り、フアンフランに代わったおかげもあったんですかね。いきなり「相手のレベルが上がった」(ルディ・ガルシア監督)という変身を見せ、4分にはサウールの奪ったボールを「El sábado me dio el a mí una asistencia y hoy me ha tocado a mí/エル・サバドー・メ・ディオ・エル・ア・ミー・ウナ・アシステンシア・イ・オイ・メ・ア・トカードー・ア・ミ(土曜は彼がボクにアシストしてくれて、今日は自分に回った)」というコケが繋ぐと、またしてもグリーズマンが今度はマンダンダの頭上を越えるシュートで2点目をゲット。 ▽いやあ、そのヘタフェ戦だって、0-1で勝っていたアトレティコですし、ゴールには”San/サン(聖)”オブラクもいたので、この時には「敵のミスに乗じただけ」とか、後々言われないで済むと私もホッとしたものでしたけどね。それでも35分にはミトログルのヘッドがゴールポストを直撃なんてこともあったため、助かった面もあったんですが、まさか44分にはまたコケがラストパスを送り、ガビが3点目まで取ってくれるとは一体、誰に予想できたでしょう! ▽ええ、これにはCAS(スポーツ仲裁裁判所)がベンチ入り禁止処分の一時停止措置を却下。結局、準決勝アーセナル戦2ndレグ同様、1人観戦したパルク・オリンピック・リヨンのパルコ(貴賓席)でシメオネ監督も安心できたに違いませんって。何せ、「Perdimos una faltando dos minutos, otra en penales y nos volvimos a levantar/ペルディモス・ウナ・ファルタンドー・ドス・ミヌートス、オトラ・エン・ペナレス・イ・ノス・ボルビモス・ア・レバンタール(ウチは残り2分で、もう1つはPK戦で負けたが、再び立ち上がった)」(シメオネ監督)という、2014年、2016年CL決勝でお隣さんに連敗して以来の決勝でしたからね。相手はマドリーではないとて、点は沢山取っておくにこしたことありませんって。 ▽するとこの直後、ベンチの方へ走って行ったグリーズマンがフェルナンド・トーレスを出すように”モノ”・ブルゴス第2監督に進言。ちょっと前にはコレアをトーマスに代え、守備固めに入っていたアトレティコでしたが、おかげで3人目の交代選手として、今季限りでチームを去ることを発表したエル・ニーニョ(子供/トーレスの愛称)がピッチに入ることができたのは、本当に良かったかと。彼が心から敬愛するチームもそのまま0-3で勝利して、キャプテンのガビと一緒にアトレティコで自身、初めて獲得したトロフィーを掲げられるなんて、もしや今季、CLをグループリーグで敗退。めぼしいライバルが少ないELに河岸を変えられたのはラッキーだった? ▽実際、アゼルバイジャンのカラバフに2戦連続引き分けて、決勝トーナメント進出が厳しくなった際など、「今はELなんてクソみたいなもんだ」と吐き捨てていたガビも、「Ahora me tengo que tragar mis palabras/アオラ・メ・テンゴ・ケ・トラガル・ミス・パラブラス(今は自分の言ったことを飲み込まないとね)」と苦笑いしていましたしね。ピッチでのお祝いではトーレスがスタンドのファンのところまで行ってメガフォンを握り、「Te quiero Atleticoc lo lo lo lo/テ・キエロ・アトレティ・ロ・ロ・ロ(アトレティコ、好きだよ)」と定番カンティコ(メロディーのついたシュプレヒコール)を歌っている珍しい姿なども見られましたし、何よりワンダや帰りのメトロ(地下鉄)でのファンのうかれようときたら。ええ、タイトル獲得に勝る喜びはないというのを私も心底、実感できましたっけ。 ▽え、シメオネ監督は「Hay situaciones que le acercan a querer seguir con nosotros/アイ・シトゥアシネス・ケ・レ・アセルカン・ア・ケレール・セギール・コン・ノソトロス(私たちと一緒に続ける方に近づける状況はある)。彼がアトレティコで決勝を戦うのは3度目でうち2回優勝している。もっと財力のあるチームとウチはサッカー的にそれ程、離れている訳ではない」と言っていたものの、この決勝でMVPにもなったグリーズマンが残留するのか、出るのかは明らかにならなかったんだろうって?そうですね、ネプトゥーノでの祝賀イベントでもリュカが音頭をとって、「Giezmann quedate!/グリースマン・ケダテ(グリーズマン、残って!)」と詰めかけた5万人のファンも合唱してくれたんですけどね。 ▽肝心の当人が「No es momento de hablar del future/ノー・エス・モメントーデ・アブラール・デル・フトゥロ(今は自分の未来を話す時じゃない)」とはぐらかしてばかりだったため、相変わらず、バルサへの移籍があるのかは不明。うーん、ヒル・マリン筆頭株主も「全てが彼中心に回るアトレティコで歴史を作るか、歴史の一部にはなれないクラブに行くのか、それはグリーズマンの気持ち次第」と言っていたように、あちらに行って出番もあまりなく、今は故郷のトルコでプレーしているアルダ・トゥランの例などは気に留めておいた方がいいかと。 ▽あのネイマールでさえ、メッシがいる限り、自分はナンバーワンにはなれないと悟ってPSGへ移ったのは周知の事実ですからね。あ、そうそう、同じ金曜にはバルデベバス(バラハス空港)の練習場でセッション後、決起バーベキュー大会を開催。クリスチアーノ・ロナウドやカルバハルも回復し、最後の総合リハーサルとなる土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのリーガ最終節、ビジャレアル戦のためではなく、来週土曜のCL決勝に向けて士気を高めていたマドリーがキエフでリバプールを破り、優勝を果たした暁には8月15日のUEFAスーパーカップでアトレティコと対戦することに。 ▽正直、すでにプレミアリーグが終わり、今週はマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)で合宿をしているリバプールと当たった方がアトレティコには勝算はあるかと思いますが、クラブもバルサを上回る年棒2500ユーロ(約33億円)のオファーをグリーズマンに出したと聞いていますしね。その結果を見て、本当に今のチームはEL優勝止まりのレベルなのか、いつかはお隣さんを破ってCL優勝できるのか、検討してみるっていうのもいい手かもしれませんよ。 トーレスにとっては初めてのアトレティコ凱旋だ ガビ、コケ、ゴディン、トーレスがマフラーを像に巻き付ける ▽そして祝賀イベントでは女子チームが舞台に立った後、待望の男子チームメンバーが1人1人名前を呼ばれて登場。ネプトゥーノ像にガビ、ゴディン、コケの3キャプテンと一緒にbufanda(ブファンダ/マフラー)を巻き付けに上がり、とうとう宿願を果たしたトーレスがスピーチの際、涙に声を詰まらせていたのには私も心を動かされましたが、実は彼にはもう1つ、お別れの舞台が。それはこの日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのエイバル戦で、一応、勝ち点1を取って、マドリーより上の2位でリーガを終わるというチームの目標もありますけどね。ワンダ・メトロポリターノがこれまでずっとアトレティコのアイドルでいてくれたトーレスに感謝を示し、盛大に送り出してくれるのは間違いないかと。 祝賀イベントは最後は男女一緒にクライマックスを迎えた ▽その一方で弟分のレガネスは土曜にベティスとの最終戦なんですが、こちらは4年間、2部Bから1部の高みまでチームを引き上げてくれたガリターノ監督とキャプテン、マントバーニがブタルケのファンとお別れすることに。いやあ、日曜ラストのバルサvsレアル・ソシエダ戦でもカンプ・ノウで最後となるプレーを披露するイニエスタへの送別モザイクが予定されていますし、どうやらこの週末はそこここで感動的なラストゲームが見られそうですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.19 21:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】お祝いが見たい…

▽「一緒にネプトゥーノに行くべきね」そんな風に私が思っていたのは月曜日、アトレティコの女子チームがリーガ2連覇をピッチで祝う姿をTVで見た時のことでした。いやあ、前日の最終節で勝てば、2位のバルサを抑えて優勝というのは知っていたんですけどね。見事、アウェイでサラゴサに1-6のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で戴冠とは、うーん、これが男子なら文句なしにネプトゥーノ(アトレティコが優勝を祝う恒例の広場)にファンも直行なんですが、昨季の例を見ても女子のために祝賀パレードをする習慣はないよう。となれば、この水曜のヨーロッパリーグ決勝で男子が優勝した暁には合同祝賀イベントとして、広場に設けられる舞台に女子選手たちも上げてあげたら喜ぶかも。 ▽ただ、リーガでは男子に爪のアカでも煎じて飲ませてあげたくなるようなアトレティコ・フェメニーノなんですが、課題は女子CLで、初出場だった昨年は強豪ボルフスブルクとの32強対決に2試合で15点も奪われて速攻敗退。その後、相手はこの24日、熊谷紗希選手のいるオリンピック・リヨンとの決勝まで進んでいるため、もちろんクジ運もなかったんですが、ヨーロッパでは2014年と2016年にはCL決勝に進出している男子の方が1日の長があるかと。でもねえ、折しも同じ10月にはシメオネ監督のチームもグループリーグでアゼルバイジャンのカラバフと2試合連続で引き分け。グループ3位でCLから失意の敗退をする原因を作っていましたからね。となるとやっぱり、EL優勝ぐらいはしておかないと、男子としてのメンツが保てないような気がしないでもないんですが…。 ▽まあ、そんなことはともかく、先週末のリーガがどうだったか、お伝えしておかないと。EL出場権の順位が懸かったカードだけが集められた午後6時30分の時間帯を外れ、一足先にアノエタでレアル・ソシエダと対戦した弟分のレガネスは、いえ、前半25分までにオジャルサバルとカナレスのゴールで2点リードを許したものの、ディエゴ・リコとゲレロが返して、一旦は同点にしたんですけどね。最後は後半33分にウィリアム・ホセにPKを決められて、終盤の出場となった今季限りで引退するキャプテンのシャビ・プリエト、ソシエダでの18年間のキャリアにピリオドを打つカルロス・マルティネスへのお別れセレモニーに華を添える白星をプレゼントしてしまうことに。 ▽どうやらこれで来週土曜のベティス戦を待つことなく、レガネスは降格圏すぐ上の17位で終了することが決まってしまったようですが、彼らの場合、昇格から3年目もまた1部で過ごせることが何より大事。来季もブタルケに兄貴分のレアル・マドリーやアトレティコ、バルサといった人気チームを迎えられますし、週末をマドリッドで過ごす日本人サッカーファンの観戦選択肢が多いのはいいことかと。加えて、日曜はコルドバに負けてしまったものの、2部の弟分、ラージョも次節のアルコルコンとのダービーに勝って、3位のスポルティングがテネリフェ戦で引き分け以下なら、いよいよ1部昇格が決まるところまで迫っていますからね。前代未聞の1部にマドリッド勢5チームともなると、来季は私も梯子する日が増えそうですよ。 ▽土曜はその後、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで兄弟分ダービーが始まったんですが、うーん、ヘタフェのサポーターはあまりモザイクとか、作り慣れていないせいでしょうかね。7位のセビージャがベティスとのアンダルシア・ダービーで負けることに一縷の望みを懸けて、勝利が必須なチームを奮い立たせようと、青の中に白でクラブ名を浮かび上がらせる計画のようでしたが、席に着くのが遅い観客もいたため、あまり成功したとは言えず。 ▽この辺はもう少々、先輩チームのペーニャ(ファンクラブ)から教えを受けた方がいいかと思いましたが、キックオフ後間もなく、ボルダラス監督が3日間、スタジアムで非公開練習をして練った秘策が炸裂するのを待たず、先手を取ったのは「sorprendimos al principio con la posicion de Koke para desordenar a su defensa/ソルプレンディモス・アル・プリンシピオ・コン・ラ・ポシシオン・デ・コケ・パラ・デスオルデナール・ア・ス・デフェンサ(敵の守備陣を崩すため、序盤にコケのポジションで驚かせた)」(シメオネ監督)アトレティコの方。 ▽いえ、水曜にEL決勝を控えているにも関わらず、ローテーションを避け、スタメンに並んだアトレティコのMFはカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)のcuatrivote(クアトリボテ/4人ボランチ)、コケ、サウール、トマス、ガビだったんですけどね。この日はジエゴ・コスタとグリーズマンの後ろにコケがつき、トップ下を務めていたところ、前半8分、ワンタッチでボールを右サイドのフアンフランに流してチャンスを作ったんですよ。するとエリア付近でボールを受けたグリーズマンが2列目から入ってきたコケに繋ぎ、そのシュートがGKグアイタを破ってしまったから、驚いたの何のって。 ▽おかげで早々にリードを奪ったアトレティコでしたが、やはり1週間休みがあると、選手たちの動きも軽快なんですね。前節エスパニョール戦のダメダメ感がまったくなく、36分にグアイタと1対1になったコスタはシュートを弾かれてしまったものの、珍しいぐらいキレいにパスを回しているんですから、アトレティコだって疲れてなければいいサッカーができる?そうこうするうちに相手に焦りが出て来たか、後半早々にはフィリペ・ルイスやガビが乱暴なプレーで倒されたりしたため、15分にはシメオネ監督もコスタとグリーズマンをガメイロとフェルナンド・トーレスに、23分にはコケもコレアと交代させて温存することに。 ▽え、それより一番、ヒヤリとさせられたのは31分、ゴディンがアンヘルを倒してPKを献上。この日はファジルがキッカーに立ったものの、「Es una situacion totalmente anomala/エス・ウナ・シトゥアシオン・トータルメンテ・アノマラ(これはまったく異常な状態だ)」と、すでに今季3回PKを失敗しているキャプテンのホルヘ・モリーナも嘆いていたように、GKオブラクが見事に弾いてしまったのはともかく、こぼれ球を追ったブルーノに当人が頭を蹴られてしまった時じゃないかって?そうですね、実際、その後もガメイロやトーレスが絶好機に追加点を奪えなかったアトレティコですが、それでも不安がまったくなかったのは幸いオブラクがすぐ回復し、ずっとゴールにいてくれたから。 ▽おかげで0-1のまま勝利し、3位のお隣さんとの勝ち点3差を守った彼らでしたが、「el Barca no ha perdido ningun partido.../エル・バルサ・ノー・ア・ペルディードー・ンングン・パルティードー(バルサは1つも試合を落とさなかった)。2つ3つ負けていれば、ウチもリーガ優勝を争っていたのに」(フアンフラン)というのにはちょっと負け惜しみもあったかと。ええ、翌日曜にはメッシをお留守番にしたバルサが今更ながらレバンテに5-4で負け、今季初黒星を喫したんですけどね。それでもアトレティコとの差は勝ち点12もあるため、やっぱり1位になるのは絵に描いた餅だったでしょうが、決勝を前にしているだけに、「Ganar trae ganar/ガナール・トラエ・ガナール(勝利は勝利を呼ぶ)」と勢いがついたのはいいかと。 ▽反面、柴崎岳選手の出場もなく、ここまでシメオネ監督のアトレティコに13試合で1勝もできておらず、通算スコアを0-26としてしまったヘタフェは気の毒だったんですが、その日はセビージャもベティスと引き分けたため、どちらにしろ7位の座に返り咲くのはムリでしたからね。大体がして今季11回もらったPKで7回も失敗しているようではもう、自業自得としか言えないんですが、それでも彼らは再昇格からほんの1年目。残留決定祝いすら、忘れ去られる程の高みで残り1試合まで戦ってきた今季は、「estaremos todos orgullosos de lo que ha hecho el equipo/エスタレモス・トードス・オルグジョーソス・デ・ロ・ケ・ア・エッチョ・エル・エキポ(チームがやったことに皆、誇りを持てるだろう)」(ボルダラス監督)というシーズンだったのは間違いないと思いますよ。 ▽そして土曜の最後の時間帯ではサンティアゴ・ベルナベウでマドリーvsセルタ戦が始まったんですが、いえ、もちろんこの場合、両スタジアム間の移動には1時間ぐらいかかるため、私も梯子はムリだったんですけどね。コリセウムのミックスゾーンを出る前から、すでに凄いことになっていたよう。クリスチアーノ・ロナウドは26日のCL決勝を目安に足首のネンザの治療中でまだ出ていなかったんですが、キエフでのリバプール戦でスタメンに入りたいバイルが爆発。ええ、前半13分にはモドリッチのスルーパスに抜け出て先制点を決めると、30分にもスピードを見せつけて2点目をゲットしているんですから、「claro que sera un dolor de cabeza hacer el once para la final/クラーロ・ケ・セラ・ウン・ドロール・デ・カベッサ・アセール・エル・オンセ・パラ・ラ・フィナル(決勝でのスタメンを選ぶのが頭痛の種なのは明らか)」と、ジダン監督が苦笑いするのも当然だった? ▽加えて32分には、うーん、当人によると、「CL準決勝バイエルン戦2ndレグに間に合わせようとしてムリしたら、練習でまた肩を痛めてしまって、余計に時間がかかった」そうなんですけどね。ようやく4月25日以来の復帰を果たしたイスコが、エリア内入ってすぐの場所からすくい上げるように撃ったシュートがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)になったとなれば、ジダン監督の悩みが倍増したのは確実だったかと。その後、私がメトロに乗って帰宅中も彼らは得点を重ね、後半7分には右SBのアクラフが、29分には途中出場のアセンシオのシュートをセルジ・ゴメスがオウンゴールに、そして36分にもマジョラルのアシストからクロースが決めて、終わってみれば6-0の大勝。ええ、これなら今季、ヘタフェ戦に次ぐ少ない観客数の5万6000人だったとはいえ、スタジアムに足を運んだファンがどんなに喜んだか、想像はつきますって。 ▽そんなマドリーは今週は火曜から練習を再開。土曜のリーガ最終節ビジャレアル戦で最終調整をして、その翌週末のCL決勝に臨むことになりますが、それまではどうやら、キエフで誰をスタメンにするべきかと、セルタ戦の後にはマルセロも「Al Madrid vienen los mejores y a mi me encantaria jugar con Neymar/アル・マドリッド・ビエネン・ロス・メホーレス・イ・ア・ミー・メ・エンカンタリア・フガール・コン・ネイマール(マドリーには最高の選手たちが来るし、自分はネイマールとプレーするのが大好きだ)」と素直に認めていたブラジル代表の同僚を含む、夏の人事異動の話題が中心になるかと。 ▽一方、もうEL決勝まで時間のないアトレティコは、日曜はマハダオンダ(マドリッドの郊外)の練習場で、月曜はワンダ・メトロポリターノでセッションを実施。火曜の現地移動を控えて発表された招集リストには、第3GKのドス・サントス以外、トップチーム全員19人が名を連ねています。ロンドンでの準決勝ア-セナル戦1stレグで退場となり、4試合のベンチ入り禁止処分を喰らったシメオネ監督については何せ、日曜に販売終了となったソシオ(協賛会員)限定チケットが1000枚売れ残ったということで、アトレティコファンも1万人程は応援に駆けつけるものの、マルセイユとリヨンが距離的に近いため、パルク・オリンピック・リヨンでは少数派になってしまうかもしれませんからね。 ▽ワンダでのアーセナル戦2ndレグのように、サポーターを煽れる位置のパルコ(貴賓席)にシメオネ監督がいられる保証もないため、クラブもCAS(国際スポーツ裁判所)から一時執行停止令をもらって、ベンチで指揮を執ってもらおうと努力しているんですが、まだこれはどうなるか不明。水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの決勝はワンダ・メトロポリターノでも大画面スクリーンを設置して、パブリックビューが行われるんですが、こちらはクラブのオフィシャルウェブで買える一般10ユーロ(約1300円)の入場券(https://entradas.atleticodemadrid.com/clubatleticodemadrideuropa/es_ES/entradas/evento/11975/session/637841/select)がかなり残り少なくなっているようです。 ▽金曜に一足早く、リーグ1のギャンガン戦を3-3で引き分けたオリンピック・マルセイユでは酒井宏樹選手が復帰していますが、やはり危険なのはトヴァンとパイエのフランス人アタッカーコンビかと。うーん、火曜にエル・ムンド(スペインの一般紙)に載ったインタビューでサウールなど、「Nos falta un poco de suerte y de calidad/ノス・ファルタ・ウン・ポコ・デ・スエルテ・イ・デ・カリダッド(ウチはツキと質がちょっと足りない)。どの大会でも明白な有力馬となれる何かがね」と言っていましたが、相手のレベルがヘタフェ程度なら、かなり自信持っていいんですけどね。これまでお隣さんに負けたCL決勝はさておいて、EL決勝ではフラム、アスレティックを寄せ付けずに優勝してきた彼らですが、果たしてアトレティコでタイトルを獲りたいというトーレスの願いを叶え、金曜にはネプトゥーノに凱旋することができるのでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.15 19:00 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】オフシーズンのことはまだ考えたくない…

▽「あちらはまだ決勝まで間があるからいいわよね」そんな風に私がうんざりしていたのは金曜日、このところグリーズマンのバルサ移籍の報道ばかりだったニュース番組が突然、ネイマールのレアル・マドリー入り一辺倒になっているのに気づいた時のことでした。いやあ、前者については、とうにリーガ優勝を決め、クラシコ(伝統の一戦)も終わったバルサにはもう今季、他にやることもなし。それでバルトメウ会長も「昨年10月に選手の関係者に会った」なんてラジオで洩らして、人事関連の噂で注目を集めたかったんだろうなんて推測していたんですけどね。 ▽問題なのは今回、筆頭株主のヒル・マリン氏が即座に「Estamos hartos de la actitud del Barcelona/エスタモス・アルトス・デ・ラ・アクティトゥッド・デル・バルセロナ(バルサの態度には飽き飽きしている)」と抗議文をオフィシャルウェブに掲載したように、アトレティコには4年ぶりのタイトル獲得が懸かったヨーロッパリーグ決勝が来週に控えているということ。おかげでこの水曜、ワンダ・メトロポリターノで華々しく開催されたオープン・メディア・デーでも記者会見の質問の大半がグリーズマン関連となり、いえ、フィリペ・ルイスなど、「Estoy seguro de que Griezmann hoy es barato: 100 millones es barato/エストイ・セグオ・デ・ケ・グリーズマン・オイ・エス・バラート:シエン・ミジョネス・エス・バラート(今のグリーズマンが安いことは確かだ。1億ユーロ(約131億円)は安いよ)」なんて、まるでお買い得品みたいに言っていましたけどね。 ▽そりゃあ昨夏、2億2000万ユーロ(約290億円)でネイマールをPSGに売却した後、デンベレ(1億5000万ユーロ/約200億円)やコウチーニョ(1億2000万ユーロ/160億円)といった高額な買い物を続けてきたバルサにしてみれば、グリーズマンには実績も十分あるだけにコストパフォーマンス的に最高というのはわかりますよ。とはいえ、そのせいで2014年のチェルシー移籍前、アトレティコで出場した最後の試合がリスボンでのCL決勝。その時はケガの再発で10分と持たず、チームもお隣さんに負けてトロフィーを掲げることができなかったため、リベンジに燃えているはずのジエゴ・コスタだというのに自身の調子や意欲について、誰にも聞かれないってことあっていい? ▽いえ、だからって、隣でフィリペ・ルイスが話している間、マイクを反対側に折り曲げたりして遊んでいたのはどうかと思いますけどね。最後は「Yo me quedo, estoy muy bien feliz, soy importante para el equipo/ジョー・メ・ケド、エストイ・ムイ・ビエン・フェリス、ソイ・インポルタンテ・パラ・エル・エキポ(ボクは残るよ。とても幸せだし、チームにとって重要な存在だから)」と、自らアピールをしなくちゃならなかったのはちょっと、気の毒だったかと。 ▽その後、ワンダのピッチで行われた公開練習にはカンテラーノ(アトレティコBの選手)が10人程、参加していたため、何せ決勝の相手、オリンピック・マルセイユは1日早い、金曜にギャンガンとのリーグ戦を前倒していますからね。コケなどは「ボクらはプロだし、慣れているし、全然問題ない。Las finales se juegan con el corazon y lo demas no influye/ラス・フィナレス・セ・フエガン・コン・エル・コラソン・イ・ロ・デマス・ノー・インフルージェ(決勝はハートでプレーするもので、他のことは影響しないよ)」と言っていたものの、いよいよこれは土曜の弟分、ヘタフェとのミニダービーでシメオネ監督も規定ギリギリまで選手をローテーションかと予感したところ…いやあ、金曜に発表になった招集リストにあった名前は負傷のリハビリ中で、決勝まで温存されるビトロを除き、トップチームメンバーだけの18名って、もしやミッドウィークの試合でお隣さんが負けたせいで、リーガ2位死守の目標を思い出した? ▽そう、実はその水曜、私がワンダから急いで帰って近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見たセビージャ戦ではジダン監督がここぞとばかりにBチームを投入。いえ、クラシコで足首を捻挫したクリスチアーノ・ロナウドを始め、カルバハル、イスコは26日のCL決勝リバプール戦に万全で挑めるよう、ケガの完治に努めているところなんですけどね。ベイルがいなかったのは累積警告で出場停止だったせいですが、移籍金2億6000万ユーロ(約340億円)以上と言われるネイマールが来ると、完全に放出候補ナンバーワンになるというのに、マドリッドの蝋人形館で自身の人形と入れ替わり、観光客を驚かせている映像(https://www.youtube.com/watch?v=dLP59ePKFNQ)などが公開されたりしているところ見ると、あまり当人も深刻に受け取っていない? ▽加えてGKケイロル・ナバス、マルセロ、バラン、モドリッチ、クロースもお留守番で、サンチェス・ピスファンのピッチに立ったtitular/ティトゥラル(レギュラー)は、どんなにpito(ピト/ブーイング)を受けても古巣に恩返しするチャンスを逃したくないセルヒオ・ラモスとカセミロ、ベンゼマだけだったなれば、3節前、モンテッラ監督を解任。カパロス新監督の下で来季のEL出場権がもらえるリーガ7位の座を何が何でも確保しようとしているセビージャとは序盤から、気合が違うのは仕方なかったかと。 ▽ええ、前半26分にはGKダビド・ソリアからのロングフィードを、いえ当人は「Nunca es un marron jugar en el Madrid/ヌンカ・エス・ウン・マロン・フガール・エン・エル・マドリッド(マドリーでプレーするのは決してババ引くことじゃない)」と言っていたんですけどね。第4CBのバジェホがムリエルに競り負け、そのパスからベン・イェデルが先制点をゲット。44分にもエリア内のプレーでエンゾンジのシュートは一旦、テオが阻んだものの、余裕で跳ね返りをフリーのラユンに送られて、2点目を取られているのですから、いかに守備陣の気が緩んでいたか、わかろうというものです。 ▽それでも後半12分にはルーカス・バスケスがムード・バスケスに倒され、PKをもらったマドリーだったんですが、キッカーのラモスがシュートをゴールバーに当ててしまい、得点はならず。いやあ、どうやらこの日の彼は主役を張る運命だったのか、38分にはメルカードの角度のないところからのシュートを防ごうとしてオウンゴールを献上し、とうとうスコアは3-0にまでなってしまったんですが、ここからマドリーは反撃に出ます。41分にアセンシオのクロスを出場機会は限られているものの、ピッチに入った時は決して失望させないマジョラルがヘッドで1点を返すと、ロスタイムにはセットプレー中、テオがメルカードに突き飛ばされるのを目撃され、再びPKがもらえることに。 ▽いえ、このプレーについては「Me empuja, forcejea, me pega una patada, me putea y yo, logicamente, respond/メ・エンプーハ、フォルセヘア、メ・ペガ・ウナ・パタダ、メ・プテア・イ・ジョ、ロヒカメンテ、レスポンド(向こうが押してきて争って、蹴ってきた上に悪態をつかれて当然、自分も応酬した)」と、原因はテオにもあったことをメルカードも主張していたんですけどね。その一方でアトレティコなんて先日、フェルナンド・トーレスがPKを失敗した後、次のPKでは素直にガメイロにキッカーを譲っていたものですが、そこはセビージャのカンテラから彼を抜擢。育ての親であるカパロス監督も「Su ADN es muy competitive/ス・アーデーエネ・エス・ムイ・コンペティティボ(非常に競争的なDNAを持っている)。父親や家族と競っても勝ちたがる程にね」と言っていた鋼鉄の意志の持ち主、ラモスがベンゼマのオファーを断り、今度は見事に決めてくれたんですが…残念ながら、あと1点を取る時間はありませんでしたっけ。 ▽まあ、この3-2での敗戦はジダン監督によると、「Estamos decepcionados, pero no afectara nada/エスタモス・デセプシオナードス、ペロ・ノー・アフェクタラ・ナーダ(ウチは失望しているが、何の影響もない)」そうですし、大体、プレーする選手がほとんど違うんですから、CL決勝の参考にはまったくならないんですけどね。ただこの結果、2位アトレティコと3位の彼らの差は勝ち点3のままに留まったのはいいものの、信頼していた兄貴分に裏切られた気分になってしまったのはヘタフェ。だってえ、おかげでセビージャに勝ち点差2をつけられて、7位の座を奪われてしまったんですよ。 ▽おまけにこの土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、試合時間のunificacion(ウニフィカシオン/統合)でベティスvsセビージャのアンダルシアダービーと同時開催される、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのミニマドリーダービーではシメオネ監督も「jugaran los de siempre/フガラン・ロス・デ・シエンプレ(いつもの選手がプレーする)」と言っていたように、アトレティコはトップチーム総動員で乗り込んで来ますからね。いくら前節は前代未聞の負傷、出場停止者が大量11人という非常事態にありながら、柴崎岳選手の抜け目ないボール奪取もあって、ラス・パルマスに0-1の勝利という嬉しい結果を掴めたヘタフェとはいえ、今季ホーム最終戦を白星で飾れるかは微妙なところ。 ▽もちろんシーズン前半はベティスに3-5を負けたセビージャが今回、すでに来季のEL出場を確定し、ライバルとご一緒は絶対避けたい相手にリベンジを果たせるかどうかも不確かですし、何よりアトレティコも選手は、面子はともかく、頭の中は来週水曜のEL決勝でいっぱいですからね。更に土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのサンティアゴ・ベルナベウで、再びローテーションをかけてくるだろうお隣さんがセルタに勝てなければ、負けてもアトレティコの2位は安泰とか思ったりすると、どうにも私自身、もう何をどう応援したらいいのかわからなかったりするんですが…とりあえず、今週は3日連続、スタジアムでの非公開練習で秘密特訓をしていたヘタフェの方は出場停止だったファジル、モラ、ブルーノ、モリネーロが処分明けで戻ってくるため、柴崎選手のスタメンリピートは厳しいかもしれません。 ▽そしてもう1つの弟分、レガネスは17位ながら、残留は確定ということで、気楽に土曜午後4時15分からのレアル・ソシエダ戦に臨めばいいんですが、今週はここまで5年間、チームを率いて、2部Bから2部、更に1部へとダブル昇格、この2シーズン連続1度も降格圏に落ちなかったという功労者、ガリターノ監督が契約を延長しないことを発表。さすがにレガネスでは予算上、これ以上のレベルアップを目指すのは難しいと悟ったんでしょかね。まだ次のチームは決まっていないそうですが、オファーには事欠かないようなので、また来季はリーガのどこかのクラブの監督として里帰りしてくれるかと。 ▽ちなみにレガネスの後任監督に関しては今のところ、まだ情報はまったくなく、これからイロイロ名前が挙がってくるんだと思いますが、何せ2部ではラージョ・バジェカーノがあと4試合を残し、2位のウエスカと勝ち点差2の首位と、どうやら来季は1部のマドリッド勢が5チームになる気配が濃厚ですからね。それだけマドリッド第3のチームになるのが難しくなるということですが、レガネスもせっかく積み上げたこの2年間の経験を無駄にせず、弟分同士、切磋琢磨を続けていけるといいんですが。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.12 14:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】決勝ファーストではあるんだけど…

▽「やっぱりそうだったのね」そんな風に私が頷いていたのは火曜日、ムチュア・マドリード・オープン出場前にラファ・ナダルが記者会見で話すのを聞いた時のことでした。いやあ、このスペインが誇る世界ランキング1位のテニスプレーヤーは自他共に認めるレアル・マドリーファンなんですが、何故か先週の木曜にはワンダ・メトロポリターノのパルコ(貴賓席)に出現。ヨーロッパリーグ準決勝アーセナル戦2ndレグを観戦中、アトレティコのユニフォームを首に巻き付けていたため、応援するチームを変えたのかと騒がれていたんですけどね。翌日のイベントで当人と一緒になったヒル・マリン筆頭株主までが、「Nadal es del Atleti aunque no lo sepa/ナダル・エス・デル・アトレティ・アウンケ・ノ・ロ・セパ(自分では気づかなくてもナダルはアトレティコファンなんだよ)」とジョークを言っていた程でしたが、そのコメントは単純明快。 ▽ナダル曰く、「ハーフタイムにセレソ会長にユニをもらってね。Hacia mucho frio y me la puse de bufanda/アシア・ムーチョ・フリオ・イ・メ・ラ・プセ・デ・ブファンダ(とっても寒かったから、マフラーにしたんだ)」とのことでしたが、いや、本当にファンだったら、首に巻くならアトレティコのマフラー、ユニだったら着るはずですし、あの夜は風も吹いて冷えたからだろうと私など、最初から思っていたんですけどね。ええ、アトレティコのファンたちなんて、2014年以来の決勝進出を後押ししようと、熱い声援を途切れなく送っていたため、寒さなど感じる暇もなかったかはずなんですが、まあ世の中、そんなもの。でもねえ、ポカポカ陽気の日でも時々、アトレティコって、非常にお寒い状態になるのはどうしてなんでしょうか。 ▽それは先週末の日曜、まだ日の高い午後4時過ぎから始まったリーガのエスパニョール戦だったんですが、何せ、アーセナルとの死闘を彼らが演じたのはたったの3日前。後でシメオネ監督も「コスタとコレアは出場停止だったし、グリーズマンは前の試合で凄まじい消耗をした。ガビは34歳、ゴディンは32歳…que quieres, muchacho?/ケ・キエレス、ムチャチョ(どうしてほしいんだい、君)」と開き直っていましたが、選手をローテンションした彼らは、いえ、フィリペ・ルイスが腓骨骨折を乗り越えて復活したという朗報はあったんですけどね。ビトロが前半25分に太ももを痛め、カンテラーノ(アトレティコBの選手)のサネに代わっても、その日は3CB制を敷いていたとあって、せめてスコアレスドローぐらいには持ち込めるかと期待していれば…。 ▽いやあ、DFの数が多いからって守備が良くなる訳じゃないんですね。逆に「Con El Cholo no hemos trabajado mucho esto/コン・エル・チョロ・ノー・エモス・トラバハードー・ムーチョ・エスト(シメオネ監督とこのシステムはあまり練習していないんだ)」(ヒメネス)のが仇になったか、後半8分には目が点になるような不幸なミスが連発することに。ええ、エリア内でベルサイコがクリアしたボールをメレンドに送り、そのシュートをサビッチが頭でそらしたため、GKオブラクが意表を突かれてゴールって、今は遠い昔になったダメダメ時代のアトレティコを彷彿させない? ▽おまけに31分、レオ・バプティスタンにも5シーズン前、1年だけ在籍した古巣への恩返し弾を決められ、2点差にされたとなれば、テア・シュテーゲンにサモラ(リーガで一番、失点率の低いGKに与えられる賞)レースで1点差に迫られてしまったオブラクが可哀そうじゃないですか。うーん、この日、先発ツートップを務めたフェルナンド・トーレスとガメイロが悪いということもなかったんですけどね。実際、コケとサウールは前後半半分ずつ、ようやく右SBから解放されてボランチに戻ったトマスも疲労からか、まったくゲームの組み立てを望めない中、前線にボールが届くことも稀とあって、結局、アトレティコは0-2のまま、リーガ戦ワンダ初黒星を喰らってしまいましたっけ。 ▽え、試合後、アーセナル戦1stレグでの退場で4試合のベンチ入り禁止処分中、先日の2ndレグやEL決勝、更に優勝した場合、夏のUEFAスーパーカップでもピッチで指揮が執れないせいでしょうか。この日は声を枯らして選手たちを鼓舞していたシメオネ監督も「Nos quedan cuatro días para la final/ノソウ・ケダン・クアトロ・ディアス・パラ・ラ・フィナル(ウチには決勝まで4日間しかない)」と、今週土曜の弟分、ヘタフェとのミニダービーをすっ飛ばし、いきなり来週水曜の話になっていたように、もうアトレティコサイドはタイトル獲得しか頭にないんだから、リーガでのヘタレっぷりは大目に見てやるしかないだろうって? ▽そうですね、月曜からはワンダの窓口でソシオ(協賛会員)歴が古い順に決勝チケット販売が始まりましたし、リーグ1の試合を金曜に前倒ししたオリンピック・マルセイユをリヨンで倒すには、土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのコリセウム・アルフォンソ・ペレスではそれこそ、全員カンテラーノでプレーしてもいいぐらい。その方が折しも同じ日曜、私がようやく近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に辿り着き、最後の15分だけ見られたラス・パルマス戦では後半43分に決勝点。ええ、すでに降格済みの相手からレンタル中のレミこそ、アンヘル・トーレス会長が交渉して出場できたものの、10人もの負傷、出場停止者がいたせいもあって、ヘタフェB(3部)のメンバー3人と共に久々の先発となった柴崎岳選手が、こんな時間になっても集中力を失っていなかったことを証明してくれたんですよ。 ▽敵陣エリア近く、GKからパスをもらったハビ・カステジャーノの背後から、柴崎選手がボールを奪うとホルヘ・モリーナにバトンタッチ。最後はアンヘルが決め、土壇場で0-1の勝利をもぎ取ったヘタフェですからね。これで兄貴分からも勝ち点3をゲットできれば、来季のEL予選出場権がもらえる7位に喰いこめるかもしれないとなったら、相手がローテーションしてくれるのは渡りに舟かと。ただし、サッカー協会の規則で7人以上、ピッチにトップチームの選手がいないといけないという縛りがありますし、ビトロはEL決勝を目指してリハビリ中とますます、アトレティコは少数精鋭になっているため、シメオネ監督にあまり選びようはないんですけどね。 ▽そんな中、ヘタフェが再びヨーロッパの大会に返り咲いた場合、昨季、昇格プレーオフで1部に上がり、シーズンがどこより長かった彼らが来季は7月下旬、EL予選3回戦でどこより早いシーズンインになるのはちょっと気の毒なところも。とはいえ、月曜に同じ残留決定組のレバンテとブタルケで対戦、突如、降り始めた大雨にお祝い気分に水を差されたか、0-3と大敗してしまったレガネスではガリターノ監督から、火曜に今季限りで退団という発表があったのとは対照的に、ボルダラス監督の続投はほぼ決定していても選手の入れ替えはかなりあるでしょうからね。休みが短いのはスタッフ以外、あまり気にしなくていいのかもしれませんね。 ▽え、それよりヘタフェ戦終盤からバルに居座っていたのが大成功。珍しく私が席取りに苦労しなかったクラシコ(伝統の一戦)の話も聞きたいって?いやあ、これがすでにバルサの優勝が前節のデポルティボ戦で決まっていたため、戦前はdescafeinado(デスカフェイナードー/カフェインレス)なクラシコなんて言われていたんですが、始まってみればとんでもない。ええ、ワンダでの裏クラシコ(マドリーとバルサが対戦する時はいつもアトレティコとエスパニョールのカードになる)とは真逆の激しさで、それに油を注いだのがどちらも満足しなかったエルナンデス・エルナンデス主審のジャッジだったんですよ。 ▽というのも前半10分、セルジ・ロベルトのクロスをルイス・スアレスが撃ち込んでバルサが先制、15分にはクリスチアーノ・ロナウドのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)をエリア内左奥に持ち込んだクロースがゴール右前のベンゼマにクロス、彼が頭で落としたボールにロナウドが駆けつけて同点をゲットした際にピケに足首を蹴られてしまったなんて辺りまではまだ、普通だったんですけどね。だんだんゲームがヒートアップしていき、前半ロスタイムにはマルセロがセルジ・ロベルトに顔を殴られ、一発レッドで退場となってしまったから、驚いたの何のって。 ▽おかげでハーフタイムが終わり、後半のピッチに出るのを選手たちがカンプ・ノウのトンネルで待っている間、ピケが「Sabes que ganamos las ligas con muchos puntos de ventaja/サベス・ケ・ガナモス・ラス・リーガス・コン・ムーチョス・プントス・デ・ベンタハ(ウチは大差の勝ち点差でリーガ優勝したのを知ってるかい?)」とからかって、温厚なナチョを激怒させたり、映像はないものの、メッシなど、セルジ・ロベルト退場前にウムティティのふくらはぎをスパイクで蹴ったベイルにレッドカードが出なかったことを根に持って、「Te cagas, te cagas, siempre estais igual/テ・カガス、シエンプレ・エスタイス・イグアル(ビビッたな、あんたたちはいつも同じだ)。ボクらがリーガ優勝してるんだから、もう奴らに試合を贈る必要はない」と主審に噛みついていたなんて話も発覚。 ▽その件については、試合後のミックスゾーンでセルヒオ・ラモスも「Si, le ha metido un poco de presion al arbitro/シー、レ・ア・メティードー・ウン・ポコ・デ・プレシオン・アル・アルビトロ(そうだね、彼は少し、審判にプレッシャーをかけていた)」と証言していましたが、でもねえ。確かに後半7分、当人も「Es falta, porque Varane controla y le meto el pie/エス・ファルタ、ポルケ・バラン・コントロラ・イ・レ・メト・エル・ピエ(あれはファール、ボールをコントロールしているバランに自分は足をかけたから)」と言っていた通り、ルイス・スアレスが相手を倒しながら、止められることなくプレーを続行できたのはともかく、パスを受け取ったメッシにああも見事にラモスとカセミロがかわされ、シュートを決められてしまっては…。 ▽それでもこの1点は28分、後半からロナウドに代わってプレーしていたアセンシオのラストパスをベイルが豪快に打ち込んで返してくれたため、オブラクとテア・シュテーゲンの失点差がまた3に広がっただけでなく、10人になったバルサに負けるという醜態は避けられたんですけどね。30分にはジョルディ・アルバがマルセロをエリア内で倒しながら、PKを取ってもらえないという不運もありましたが、結局、「11体10になった後半、ウチは忍耐が足りなくて、先走ったプレーをしてしまった」とジダン監督も反省していたように、試合はそのまま2-2で終了です。 ▽いやあ、バルサが優勝決定してから、最初のホームゲームだったため、マドリー勢が引き揚げた後、選手たちが場内一周を始めたのは別に構わなかったんですけどね。そのシーンを中継していたGOL TVのアナウンサーが、「ピケがマイクを持っています!」とやたら興奮。そこで私もそのまま見ていると、「Como no nos han querido hacer el pasillo, le pido a nuestro staff que nos lo haga/コモ・ノー・ノス・アン・ケリードー・アセール・エル・パシージョ、レ・ピド・ア・ヌエストロ・スタッフ・ケ・ノス・ロ・アガ(ボクらに花道を作りたがらなかったから、やってくれるよう、スタッフに頼んだ)」と当人が説明、バルベルデ監督も含むチーム関係者が2列に並んで、その間を選手たちが通ってロッカールームに帰って行くって、わざわざこれみよがしにマイクで言うこと? ▽うーん、いくらジダン監督がクラブW杯優勝直後の前期クラシコでバルサが花道を作らなかったのを理由に今回、マドリーもこの慣習に従わないことにしたとはいえ、何だか子供っぽいリベンジのような気がしましたが、まあピケですからね。この日、最後のクラシコをプレー、翌日には中国の重慶当代力帆から一転、バルサのスポンサーである楽天の所有するヴィッセル神戸への移籍が浮上して、日本のファンをドキドキさせているイニエスタがラモスにメッセージ入りユニを贈っていたり(https://twitter.com/SergioRamos/status/993504736467935232)と、来週末にリーガが終わった後、スペイン代表として一緒にW杯に行く選手たちが試合後、仲良く談笑しているのを見られたのは何よりでしたっけ。 ▽そして今週はマドリッド勢でマドリーだけ、コパ・デル・レイ決勝で延期されたセビージャ戦がミッドウィークにあるんですが、こちらも頭には26日のCL決勝しかないのは言う必要もなし。試合前日記者会見でジダン監督はすでに全体練習に復帰しているイスコはもちろん、現在、負傷中のロナウド、カルバハルもキエフでのリバプール戦には間に合うと太鼓判を押していましたが、当然、水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)からのリーガ消化試合はローテーションが大前提かと。クラシコをベストメンバーで戦ったばかりのため、おそらくマジョラル、セバージョス、ジョレンテ、テオら、Bチームの出場となると思うんですが、いやあ、この辺は私も痛し痒し。 ▽だってえ、セビージャはヘタフェの直接ライバルのため、勝って弟分に恩義を売るいいチャンスとはいえ、そうなると2位のアトレティコとマドリーの勝ち点が並んでしまいますからね。モンテッラ監督を解任、前節から就任したカパロス監督がレアル・ソシエダに勝ち、向こうもいいムードになっているため、どちらが優勢とも言えないものの、何はともあれ、マドリーにとっては負傷者を出さない試合をするのが最優先事項でしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.09 22:15 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】いよいよ決勝まで辿り着いた…

▽「そりゃ負けるよりは勝った方がいいけど」そんな風に私が肩をすくめていたのは金曜日、お昼のニュースでレアル・マドリーが日曜のクラシコ(伝統の一戦)に向けて練習をしている映像を見た時のことでした。いやあ、ご存知の通り、先週末の前節にリーガ優勝を決めたバルサはすでに月曜にはコパ・デル・レイとの2冠を祝う市内パレードを終了。もうバケーションまで秒読み態勢というか、多くの選手の関心は来たる6月のW杯に切り替わっているはずなんですが、対するマドリーも翌火曜には26日のCL決勝行きが決まったため、それまでの3週間は調整がメインに。 ▽宿敵の優勝を称え、慣例のpasollo(パシージョ/勝者の花道、優勝チームを相手チームが2列を作ってお出迎えする)をするつもりもやっぱりないようで、ここ数日は、今季限りでバルサ退団を発表したイニエスタに両チームで花道を作ったらいいんじゃないかなんて意見まで出ていますが、そんなことは単なる些事。CL優勝の可能性を残したおかげで、マドリーが引け目を感じず、カンプ・ノウのピッチに立てるのは良かったものの、この段になって、無理してケガなんかされるのも困りますからね。 ▽それでもクラシコ勝利で不甲斐なかった今季のリーガの憂さが少しでも晴らせるかと、ジダン監督は負傷のリハビリ中のイスコ、カルバハルを除き、クリスチアーノ・ロナウドを筆頭にクロースやモドリッチら、ベストメンバーを並べる予定だそうですが、果たして日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのこの一戦が盛り上がるのかどうか。ええ、マドリーの残りは1つ多い4試合でも、ロナウドとメッシのゴール数も8本差と開いているため、ピチチ(得点王)争いの楽しみすらないのはちょっと、私も残念なんですが…。 ▽まあ、カフェインレスのクラシコはともかく、今週はマドリッド勢にとって、ハラハラさせられたものの、最高の結末となったCL、EL準決勝2ndレグがどうだったか、お伝えしておかないと。まずは先週の1stレグでバイエルンに1-2と勝利したマドリーがサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグを迎えたんですが、今回はremontada(レモンターダ/逆転劇)の必要がなかったにも関わらず、火曜の午後6時30分には大勢のファンがチームバスのスタジアム入りをお出迎え。いえ、人込みが苦手な私は丁度、出掛けに寄ったバル(スペインの喫茶店兼バー)のTVでその様子を眺めていただけだったんですけどね。 ▽バルデベバス(バラハス空港の近く)の合宿所を出発したバスがハバナ通りを下り、ロス・サグラードス・コラソネス広場を回ってパドレ・ダミアン通りから駐車場に入るまで、物凄い数のマドリディスタたちに応援されていましたが、やっぱり駆けつけた全員が早々とソールドアウトになったチケットを手に入れられた訳じゃなかったんですね。ええ、私がメトロ(地下鉄)のサンティアゴ・ベルナベウ駅に着く頃にはお出迎えを終え、どこぞで試合を見ようと階段を下りてくるファンともかなり沢山、すれ違いましたっけ。 ▽さて、fondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側)に「defendamos el trono, conquistemos la gloria/デフェンダモス・エル・トローノ、コンキステモス・ラ・グロリア(王座を守ろう、栄光を掴もう)」というメッセージの入った横断幕が掲げられ、意気揚々と始まった試合の方はというと、うーん、こうもいきなりショックを与えられていいもんですかね。先日、ユベントスとの準々決勝2ndレグでも開始2分のマンジュキッチ弾を皮切りに、3-3の総合スコアで同点にされてしまったマドリーでしたが、この日も3分にセルヒオ・ラモスのクリアミスから、1stレグでも早い先制点を挙げていたキミッヒにゴールを奪われてしまうって一体、どういうこと? ▽それこそ先が思いやられましたが、幸いにも11分にはマルセロのクロスをベンゼマがヘッドで決め、同点になってくれたから、ホッとしたの何のって。おまけに後でボールを持った息子さん連れでミックスゾーンに現れたマルセロも、「Si te digo que no ha tocado mi mano, soy mentiroso/シー・テ・ディゴ・ケ・ノー・ア・トカードー・ミ・マノ、ソイ・メンティローソ(もし手に触らなかったと言ったら、ボクは嘘つきだね)」と認めていたように、ハーフタイム入り間際、エリア内でキミッヒのシュートが当たりながら、ハンドでのペナルティを取られなかった彼らは後半開始直後、途方もない幸運に恵まれたんですよ。 ▽だってえ、1分にはトリソがGKウルライヒにバックパスしたところ、それを取りに行った当人曰く、「ベンゼマが来ていたから、1対1に備えたんだけど、その一瞬、『このボールは手で掴んじゃいけない』と気づいたんだ。それで足でクリアしようとしたら…」という信じられない大ポカが生まれたから、ビックリしたの何のって。ええ、後ろに転がったボールを素早くベンゼマが蹴り込んで2点目をゲットしたとなれば、その日は右SBを本職のDFでないルーカス・バスケスがカバーしていたなんてこともありましたからね。バイエルンの破壊力を恐れていたファンたちもどんなに安心できたことか。 ▽その後、敵はハメス・ロドリゲスの1度はバランに当たって跳ね返り、撃ち直して入れたゴールで2-2に持ち込んだんですが、この準決勝ではアルトウロ・ビダル、ロッベン、ボアテング、ハビ・マルティネスと選手の負傷に泣かされたハインケス監督も「マドリーはケイロルにお礼を言うべきだろう。素晴らしかった」と褒めていたように、GKナバスがバイエルンの逆転勝ち抜けに繋がる追加点を阻止。「ウチの方がいいチームだった訳じゃないが、より効率的だった」(クロース)おかげか、総合スコア4-3で勝ち抜けることができましたっけ。 ▽え、試合後はジダン監督も「En la Champions no consigues cosas sin sufrir, y menos llegar a una final/エン・ラ・チャンピオンズ・ノー・コンシゲス・コーサス・シン・スフリル、イ・メノス・ジェガール・ア・ウナ・フィナル(CLでは苦しまずには何も得られない。ましてや決勝進出など)」と言っていたけど、この日の選手たちの喜びようは尋常じゃなかったんじゃないかって?そうですね、いきなり全員が「A por la 13(ア・ポル・ラ・トレセ(13回目へ))」とプリントしたTシャツを着用、フォンド・スールに手を繋いで駆け出して行った時には私も目を見張りましたけどね。その時、1人だけダイブしていたラモスなど、一旦、ローカールームに引っ込んだ後、また皆で出て来た時、グラダ・デ・アニマシオン(応援席)にまで上がり込む始末。 ▽マイクを渡され、ファンと一緒に「como no te voy a querer/コモ・ノー・テ・ボイ・ア・ケレール(どうして君を好かずにいられようか/マドリーの定番応援ソング)」と歌ったりしていましたが、何より羨ましいのは彼らが、「Vamos a intentar defender en Kiev nuestro titulo/バモス・ア・インテンタール・デフェンデール・エン・キエフ・ヌエストロ・ティトゥロ(我々のタイトルを守るためにキエフに行くつもりだ)」(ジダン監督)と堂々、言えてしまうってこと。だってえ、これで3年連続のCL決勝進出ですよ。しかも勝てば3連勝、お隣さんが2度も貢献したおかげもあって、ここ5年間で4回目ともなれば、いかにマドリーがCL強者であるかわかるというものじゃないですか。 ▽その分、決勝を応援に行くサポーターは大変ですけどね。しかも今回は会場がウクライナとあって、これまでのリスボン、ミラノ、カーディフに比べて費用が桁違い。ええ、私も野次馬根性でキエフへのフライトを調べてみたところ、直行などなく、乗り継ぎで10何時間かかるチケットに1000ユーロ(約13万円)以上の値がついていたり、すでに現地のホテルの部屋は1泊1500ユーロ(約20万円)もすると聞くと、正直、ソシオ(協賛会員)が抽選で当たると買える1万2750枚のチケットが完売するのか、疑問に思うんですが、さて。そうそう、翌日水曜のもう1つの準決勝では1stレグで5-2の勝利をしていたリバプールがローマのホームで4-2まで追い詰められたものの、こちらも総合スコア6-7で逃げ切って決勝進出を決めています。 ▽そして1日置いた木曜、今度はアトレティコがアーセナルをワンダ・メトロポリターノに迎えたんですが、やっぱりELでも準決勝となると、ファンも奮い立つんですね。前夜の合宿入りの際にはヒルトン・エアポート・ホテルの前にサポーターたちが詰めかけ、カンティコ(メロディのついたシュプレヒコール)やベンガラ(発煙筒)でチームを鼓舞。スタジアムも満員となり、応援団の陣取るスタンドには赤白の旗や「Rumbo hacia Lyon/ルンボ・アシア・リヨン(行き先はリヨン)」という横断幕も現れたんですが、他の3面にはモザイクもなかったのはCLからELへ移ってUEFAからの報酬が減り、クラブの予算が削減されたせいだった? ▽でも大丈夫。熱いアトレティコファンたちは皆、bufanda(ブファンダ/マフラー)を掲げてhimno(イムノ/クラブ歌)を大合唱していましたが、私が比較的、気楽でいられたのは先週、1stレグで1-1と引き分けていた彼らはスコアレスドローでも勝ち抜けられるとわかっていたから。とはいえ、ロンドンでの試合はピッチ脇でアップして、アーセナル陣営を威嚇するに留まったジエゴ・コスタが先発となると、いえ、その日はベンチ入り禁止処分により、パルコ(貴賓席)で観戦。「Hoy sentí lo que siente el hincha/オイ・センティ・ロ・ケ・シエンテ・エル・インチャ(今日はファンが感じることを感じた)」と、要所要所では自分もマフラーを盛大に振り、観客席を煽っていたシメオネ監督も後で言っていたんですけどね。 ▽「Costa vino para esto, para ser determinante, para tener un delantero con rabia/コスタ・ビノ・パラ・エストー、パラ・セル・デテルミナンテ、パラ・テネール・ウン・デランテーロ・コン・ラビア(コスタはそのために来た。試合を決める、怒りを持ったFWとして)」というだけに開始6分、彼がチーム最初のシュートを惜しくも外した時には勝利への欲も感じたものですけどね。並行して、10分には自分が目を離している間にコシエルニが倒れていたせいで、「まさかコスタが何かしたのでは?」と1stレグのベルサイコ並のスピード退場を恐れたりもしたものですが、幸いそれは私の勘違い。どうやら1人でアキレス腱を痛めてしまい、下手をするとW杯に行けないぐらいの重傷のようだとか。 ▽すぐにチェンベリーと代わりましたが、おかげでアトレティコの立ち上がりの勢いも削がれてしまったか、しばらくはアーセナルがボールを独占することに。その間、22分にはグリーズマンがそのチェンベリーのcodazo(コダソ/肘打ち)を耳の後ろに受け、出血しながらプレーしていたなんてこともあったんですが、それでも前半ロスタイム、GKオブラクのゴールキックからのボールを急造右SB、トマスが彼に送ったところ、絶妙のスルーパスに合わせてコスタが敵エリアへ一直線。後日、イギリスのマスコミから、「彼はビーガン(ベジタリアンの一種)だから、パワーがないんだ」と批判を受けることになるベジェリンとの競り合いにあっさり勝つと、GKオスピナの頭の上を抜くシュートを突き刺してくれるんですから、もうさすがとしか言いようがありませんって。 ▽他にもコケやグリーズマンのシュートが枠をかすめたアトレティコは、いえ、もちろんオブラクも途中出場したムヒタリアンの一撃を止めるなど、普段よりは少ないながら、見せ場を作ったんですけどね。残り10分にはコスタが交代を頼み、ヒヤリとさせられたものの、当人も「Solo calambres/ソロ・カランブレ(足がつっただけ)」と言っていたため、逆にフェルナンド・トーレスがピッチに入り、自身ワンダで最後となるヨーロッパの大会の試合でプレーするいいキッカケになった?残念ながら、その彼のシュートはオスピナにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまいましたが、アトレティコが1-0で勝つのは珍しくありませんからね。 ▽最後は総合スコア2-1でアーセナルを倒し、2014年のスペイン・スーパーカップ以来、ご無沙汰していたタイトル獲得の前段階として、EL決勝進出が決まったとなれば、こちらも一旦、ロッカールームに戻った選手たちがファンのコールに応えて再登場。まるで優勝したかのように場内一周していたって全然、構わない?いやあ、後でサウールなどは「Pienso que aún no está esa magia que tenía el Calderón/ピエンソー・ケ・アウン・ノー・エスタ・エサ・マヒア・ケ・テニア・エル・カルデロン(まだビセンテ・カルデロンにあった魔法はないと思う)」と言っていましたけどね。そういう雰囲気はチームがビッグマッチでの勝利を重ねてこそ、醸成されていくもの。ELの決勝トーナメントではこの準決勝だけだったものの、来季、CLで長く勝ち残れば、ワンダだってだんだん、カルデロンみたいになっていきますって。 ▽そして彼らは16日、同時開催の準決勝ではザルツブルクに延長戦で2-1とし、総合スコア3-2で勝ち上がったオリンピック・マルセイユと対戦するんですが、何せリヨンは相手の地元から200キロしか離れていないため、思いっきりホーム感覚でプレーできますからね。「決勝なんだから、フランスでやろうと中国でやろうと同じさ。Hay que jugar, salir a ganar y ya está/アイ・ケ・フガール、サリール・ア・ガナール・イ・ジャー・エスタ(プレーして勝つために出ていくだけだよ)」とコケのように気楽な選手もいましたが、ちょっと心配なのは有名なマルセイユのウルトラ(過激なファン)たち。16強対決でアスレティックが当たった時もビルバオ(スペイン北部の町)で騒ぎを起こしていましたし、PSGvsマドリー戦のように場内が発煙筒で白くなるのも観客にとってはたまったもんじゃないかと。 ▽まあ、その辺の状況はおいおいに伝えていきますが、とりあえずクラシコ以外の今週末、マドリッド勢の予定も告げておくと、アトレティコは日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、ホームでエスパニョール戦。弟分の方は負傷、出場停止者続出で11人、トップチームの選手が欠けるヘタフェが日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、すでに降格の決まっているラス・パルマスとのアウェイ戦で来季EL出場権のもらえる7位の座を争うことに。特に目標のないレガネスはブタルケで月曜夜、立場的に同様なレバンテ戦で残留決定のお祝いをしますが、何だか、今季のリーガは店仕舞い感が漂うのがちょっと早いですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.05 10:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】決勝への道はマドリッドにある…

▽「今頃、バルセロナは盛り上がっているだろうな」そんな風に私がここ数日、ぶり返してきた寒さに閉口しつつ、サンティアゴ・ベルナベウのスタンドでバイエルンの練習を眺めながら呟いていたのは月曜日、前夜にリーガ優勝を決めたバルサのオープンデッキバスが祝賀パレードを開始する時間のことでした。いやあ、これで今季の彼らは上がり、今週日曜のクラシコ(伝統の一戦)を含め、無敗優勝やメッシのボタ・デ・オロ(ゴールデンシュー、ヨーロッパの得点王)獲得といった記録的な目標はあっても、残り3つのリーガ戦は消化試合。レアル・マドリーにはこの先もタイトル獲得の可能性があるため、ファンも退屈しないで済むんですけどね。 ▽午前中の記者会見でキャプテンのセルヒオ・ラモスも「コパ・デル・レイとリーガに優勝したのはバルサの功績だけど、ganar la Champions tiene ese plus que equivale a esos dos o incluso más/ガナール・ラ・チャンピオンズ・ティエネ・エセ・プルス・ケ・エキバレ・ア・エソス・ドス・オ・インクルソ・マス(CL優勝にはプラスアルファがあって、その二冠と同じか、それ以上の価値がある)」と言っていましたし、それこそ5月26日の決勝をリバプールかローマと戦うことになれば、6月半ばからのW杯まで時間を持て余すこともなし。とはいえ、問題はこの火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの準決勝2ndレグで先週、アリアンツ・アレナで手に入れた1-2の勝利を逆転されずに済むのかどうか。 ▽だってえ、準々決勝のユベントス戦なんてアウェイで0-3と完璧な勝利を挙げながら、ホームでの2ndレグでむざむざ追いつかれ、後半ロスタイムにルーカス・バスケスを倒したベナティアのペナルティから、クリスチアーノ・ロナウドがPKを決めてくれなかったら、延長戦に突入していたマドリーですよ。おまけに昨季の準々決勝でもミュンヘンで同じスコアで勝ちながら、2ndレグではレバンドフスキとラモスのオウンゴールで1-2にされ、延長戦で4-2にして、ようやく勝ち抜けたという苦い思い出が。まあ、直近2度の対決ではバイエルンを倒しているんですけどね。ハインケス監督も「マドリーに何回負けていても関係ない。私が監督をしていた時じゃないんだから」と言っていたように、まさに当人の指揮下にあった2012年など、延長戦を越えてPK戦に突入。 ▽ロナウド、カカが次々失敗し、それでもGKカシージャスが当時、バイエルンにいたクロースとラームを止めて五分になったかと思いきや、ラモスが天高く蹴り上げるという悲劇を私も目の当たりにしていますからね。ハインケス監督も決勝でチェルシーを破り、三冠を達成して勇退の花道を飾った年だったせいか、「最後にPKを決めたのはシュバインシュタイガーだったね」と齢72歳ながら、見事な記憶力を記者会見で披露していましたが、いやいや。今回は負傷で1stレグからいなかったアルトゥロ・ビダルに加え、その試合でケガしたロッベン、ボアテングを欠くブンデスリーガ王者ですが、現在、マドリーからレンタル移籍中ながら、ヨーロッパの試合には出場制限条項が適用できず。 ▽そのため、古巣への恩返しのチャンスを得たハメス・ロドリゲスも「No creo que tengamos que cambiar mucho porque hicimos un buen partido en la ida/ノー・クレオ・ケ・テンガモス・ケ・カンビアール・ムーチョ・ポルケ・イシモス・ウン・ブエン・パルティードー・エン・ラ・イダ(ウチはあまりプレーを変える必要はないと思う。1stレグではいい試合をしたからね)」と自信ありそうだったのは、何だか怖いですよね。 ▽え、私が不安感を煽られているのは先週末もマドリーはあまり強く見えなかったからじゃないのかって?うーん、土曜にあった弟分、レガネスとのミニダービーではロナウドを始め、先週水曜のバイエルン戦で先発を務めた選手が大勢休み、リピートしたのはカセミロのみ。その彼すら、「Solo era para dejar a Sergio y Varane descansando/ソロ・エラ・パラ・デハール・ア・セルヒオ・イ・バラン・デスカンサードー(ラモスとバランを休ませるためだけ)」(ジダン監督)に本職でないCBとしての出場でしたからね。2月にはコパ・デル・レイ準々決勝で逆転敗退した際のメンバーに最近、Bチーム扱いになってしまったんでしょうか。ベイルとベンゼマを加えたスタメンだったため、拮抗したゲームになるだろうと予想はできたんですが、この日のマドリーはツキもあって、前半のうちに2点をゲット。 ▽8分にはベンゼマのシュートがサルドゥアに当たり、それたボールをベイルがtijera(ティヘラ/シザースキック)でゴールにして先制すると、ハーフタイム入り間近にもコバチッチのクロスをブスティンサがヘッドでクリアしようとしたところ、ファーポストにいたマジョラルが撃ち込んでリードが倍増しているんですから、ラッキーじゃないですか。それでもへこたれずに後半も反撃を試みたレガネスは、ええ、21分にはアムラバットがエリア内右奥から出したクロスをゴール前でフリーだったブラサナツが押し込んで、1点を返すことができたんですけどね。 ▽ガリターノ監督も「Hemos generado muchas ocasiones, pero necesitas tambien acierto/エモス・ヘネラードー・ムーチャス・オカシオネス、ペロ・ネセシータス・タンビエン・アシエルトー(ウチは沢山、チャンスを作ったが、決定力も必要だ)」と認めていたように、ここまで35試合29得点と、1試合当たり1本以上ゴールを挙げることが滅多にできないのは、資金力不足で優秀なFWを獲得できない小規模クラブの宿命。ロスタイム、最後の攻撃もエル・ザールがいざシュート態勢に入った瞬間、タイムアップの笛を吹かれてしまったため、結局、1-2で負けてしまったんですが、大丈夫。 ▽終了後にピッチで「Eres muy malo, muy muy malo/エレス・ムイ・マーロ、ムイ、ムイ・マーロ(あんたはヘボだ、とってもとってもヘボだ)」と主審に毒づいたとして、キャプテンのガブリエル・ピレスがレッドカードをもらってしまったことはともかく、翌日曜にはバルサがメッシのハットトリックなどで2-4と勝利、必要だった勝ち点1を積んでリーガ優勝を決めると同時に負けたデポルティボの降格も決まり、来季2部でプレーする3チームが出揃ったため、レガネスも残留確定となりましたっけ。 ▽一方、マドリーの方は勝ったとはいえ、後半は押されていたこともあって、時折、pito(ピト/ブーイング)もスタンドから聞こえていたんですが、まあバイエルン戦とはプレーする選手も違いますしね。ジダン監督も「Pido a la gente que este como nunca ha hecho en su historia/ピド・ア・ラ・ヘンテ・ケ・エステ・コモ・ヌンカ・ア・エッチョー・エン・ス・イストリア(人々には今までの歴史でなかったぐらい応援してほしい)。決勝に行くにはそれが必要だからね」と次の試合でのサポートを頼んでいたんですが、ちなみにすでに90~360ユーロ(約1万2000~4万8000円)で販売されていたチケットは完売。ネットでは300~1200ユーロ(約4万~16万円)というダフ屋価格がついているそうですが、火曜のキックオフ前には午後6時30分からスタジアム周辺でチームバスお出迎えのquedada(ケダダ/ファンが集まること)予定もあるよう。 ▽人混みが平気で、試合はバル(スペインの喫茶店兼バー)観戦でもCLビッグマッチの雰囲気を味わいたいという方は行ってみてもいいかと思いますが、ドイツからのサポーターも4000人近くやって来るみたいですからね。荒っぽいことが起きないといいですが、こればっかりは…。そうそう、月曜夜にバルデベバス(バラハス空港の近く)での合宿に入った招集メンバーには1stレグでケガしたカルバハル、肩を痛めたものの、前日練習には参加して期待を持たせていたイスコが入らず、1カ月間離脱していたナチョが復帰という報があったんですが、やっぱり右SBはルーカス・バスケスがやるんでしょうか。 ▽そして翌日曜は正午から、ヨーロッパリーグ出場権のもらえる7位の座を懸けて、ジローナと対決するもう1つの弟分、ヘタフェの応援にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに出向いた私でしたが、3連勝中とあって、この日も彼らは好調。前半17分にはアンヘルがエリア内右奥から出したラストパスがフアンペに当たり、決定機に溜息をつかせてくれることの多いアマトが絶対、これなら外すことはないというゴール前から決めて先制点を奪うことに。ただねえ、その後も優勢だったヘタフェでしたが、ハーフタイムの少し前に災難に見舞われてしまったんですよ。ええ、敵のCKの時にダミアンが同じウルグアイ人のストゥアーニと骨肉の争いを繰り広げ、ペナルティを取られた挙句、レッドカードで退場してしまったから、参ったの何のって。 ▽え、ストゥアーニがPKも決めたため、同点にされながら、ヘタフェは後半早々、12分にホルヘ・モリーナがエリア内で倒されて、10人になっても勝ち越しのチャンスが舞い込んだんじゃないかって?うーん、その通りなんですが、今季の彼らにとってPKはまさに鬼門。この日もキッカーに立ったモリーナがシュートをゴールポストに当てて得点にならず、当人はこれで3回連続の失敗とは痛い。チームとしても今季、10回とどこのチームより多くPKをもらいながら、アンヘルやポルティージョ、アントゥネスらも含め、6回もゴールにできていないって、あまりに悲惨すぎなくない? ▽おかげでジローナと1-1のドローに留まり、それでも一応、セビージャを勝ち点1上回って7位に上がった彼らでしたが、何せ相手はコパ・デル・レイ決勝あったため、残り試合数が1つ多いですからね。いよいよ先週金曜にレバンテに負けた後、モンテッラ監督を解任、EL優勝5回を数える現在のチームの礎を作ったカパロス監督を後任に据え、相手もヨーロッパの大会出場最後の一席を死守する気でいるため、とりわけフラミニもケガをして、負傷欠場者が7人に増加。更に次節はダミアンに加え、ブルーノ、モラ、ファジル、モリネーロが出場停止で出られないヘタフェとしては苦しいところですが、さて。いい情報としてはここ4試合、プレー機会がなかった柴崎岳選手も日曜のラス・パルマス戦では見られそうだということと、敵はすでに降格済みのチーム。加えて、セビージャが5月9日にプレーする延期されている試合がマドリー戦だというのは大きいですかね。 ▽そしてヘタフェ(マドリッドの近郊)から、私がメトロ(地下鉄)を乗り継いで帰ってみると、もうアラベスvsアトレティコ戦のキックオフ時間が迫っていたんですが、はい、もちろん木曜にEL準決勝2dnレグを控えるこちらもローテーションしていましたよ。大黒柱のグリーズマンとGKオブラクにサウールを加えた3人はマドリッドでお留守番、それでもエミレーツ・スタジアムではピッチサイドでアップして、ア-セナル陣営にプレッシャーをかけるに留まったジエゴ・コスタが先発で復帰したため、何とか1点ぐらいは取れるんじゃないかと期待していたところ…。 ▽うーん、かなり苦労しましたね。序盤はアラベスに攻められ、リュカが自身のボールロストから招いたピンチにペナルティすれすれのタックルでムニルのシュートを防いだなんてこともあったため、シメオネ監督が最近、好きになったような3CB制にフォーメションをチェンジ。始めからSBの人出不足で右がトマス、左がベルサイコという珍しい組み合わせだったため、トマスとビトロが左右のウィングバックになった方がやりやすい面もあったんでしょうか。それからは守備も安定したんですが、肝心のコスタも前半はGKシベラにシュートを弾かれてしまい、0-0のままで折り返すことに。 ▽後半15分にはそのシベラがビトロのポストに当たったシュートに向けて飛んだ際に肩を痛め、アラベスは正GKのパチェコを投入。シメオネ監督も疲労を避けるため、コスタとコケをガビとゴディンに代え、残り時間でのカウンターを狙ったんですが、キッカケを作ってくれたのはワカソでした。ええ、25分にビトロを倒し、PKを献上した時にはフェルナンド・トーレスがパチェコに弾かれてしまい、後で彼はアトレティコで29回蹴ったPKのうち、失敗したのは10回という記事を読んで、イヤな予感には裏付けがあったんだと納得したものでしたけどね。信じる者は救われるとはまさにこのこと! ▽32分、トーレスのシュートをワカソが手に当て、またしてもPKがもらえるって、こんな都合のいい話があっていい?今度はガメイロが決めてくれたため、ロスタイムにはコレアが連続してイエローカードをもらい、退場してしまうというアクシデントはあったものの、そのまま0-1で勝利したアトレティコでしたが、やっぱりPKはねえ。ロンドンの1stレグではベルサイコが序盤に退場となった後、ラガゼットの先制点をグリーズマンの千載一遇のゴールで奇跡的に打ち消して、1-1で引き分けてきた彼らだけに、木曜午後9時5分(日本時間翌午前4時5分)からの2ndレグでは延長戦、PK戦突入の恐れもなきにしろあらずとはいえ、できればその前に決着をつけてもらいたいかと。 ▽ちなみにまだフアンフランも負傷中のため、お隣さん同様、右SBの人選が一番の懸念となっているアトレティコですが、0-0でも決勝進出となると、再び5バックで右にトマスというのもありそうな。アーセナルサイドで怖いのは先週、いなかったムヒタリアンが復帰しているところでしょうか。どうやらチケットの方はまだ150ユーロ(約2万円)以上の高額なシートがVIP席以外にもポツリポツリとあるようですけどね。収容人員がビセンテ・カルデロンより増えたせいか、移転して以来、完璧な満員御礼はコパ・デル・レイ決勝しかないワンダ・メトロポリターノのため、時間に余裕のあるファンは事前にスタジアムの窓口をチェックしてみるのも吉かもしれませんよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.01 11:00 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】来週はもっと熱くなる…

▽「同じ人出不足でも何か違う」そんな風に私が首を捻っていたのは金曜日、マドリッド両雄のヨーロッパの大会準決勝1stレグが終わり、ええ、準々決勝からはCLも2ndレグが1週間後に来てしまいますからね。早速、出場できない選手をチェックしていたんですが、水曜にミュンヘンでバイエルン戦があったレアル・マドリーはイスコが肩を痛めて全治1カ月、カルバハルも左の太ももをケガしてしまい交代。どうやらここのところ、ずっとリハビリを続けているナチョも来週火曜のサンティアゴ・ベルナベウ、2ndレグには間に合わないようだとか。 ▽その一方で木曜日にロンドンであったヨーロッパリーグ準決勝では、いやあ、元々、今季後半はフィールドプレーヤー17人だけという人数になっているアトレティコですが、現在はフィリペ・ルイスとフアンフラン、ジエゴ・コスタの負傷で14人という超少数精鋭に。コスタこそ、チェルシー時代に築いたプレミアリーグでの評判を買って、アーセナルの守備陣を心理的に脅かしてやろうとシメオネ監督も思ったんでしょうかね。エミレーツ・スタジアムのピッチ脇で後半、アップに精を出していましたが、幸いながら出場には至らず、2014年にアトレティコがリーガ優勝を決めたバルサとの最終戦、お隣さんとのリスボンでのCL決勝の轍は踏まず、最悪の悲劇は避けられたものの、2枚イエローカードをもらって退場したベルサイコが次戦出場停止に。 ▽それどころか、その数分後、審判に侮辱的な言葉を使って抗議したとして、彼を追うように退場させられたシメオネ監督など、パルコ(貴賓席)で観戦中、クラブの職員を使って指示を送っていたという、至極当たり前ながら、UEFA規則に違反したという嫌疑までかけられて、ワンダ・メトロポリターノでの準決勝2ndレグはもちろんのこと、リヨンでの決勝どころか、来季にも影響する最長4試合のベンチ入り禁止が科されるかもしれないって言うんですよ。 ▽え、監督は試合でプレーしないし、もうFIFA処分も解けているため、夏には補強で選手数も増えているだろうから、別にそんなに深刻にならなくてもいいんじゃないかって?そうなんですが、とにかく来週木曜の2ndレグを乗り切らないといけないですからね。当然、ファンの応援はアテにできるとはいうものの、いつもベンチ前で盛り上げ役をしてくれるシメオネ監督がいないとなると少々、雰囲気的に心配ですが、そんなところはいかにもアトレティコ。シーズンのクライマックがやって来た今頃になって、面倒な事態を引き起こしてくれましたっけ。 ▽まあ、とりあえずこのミッドウィークの報告をしておくことにすると、火曜にはCL準決勝1stレグでリバプールが5点を取って先勝。私もクロップ監督のチームの強さには度肝を抜かれたんですが、何せ、ローマには準々決勝で4-1の負けを3-0とひっくり返し、バルサを敗退に追いやった実績がありますからね。アンフィールドでも終盤に2点を返しているため、来週水曜のオリンピコで奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)第2弾が見られるかもしれないと、期待してしまうファンは結構いるのでは? ▽その2チームのどちらが決勝でマドリーと対決するのかなんてことを考えながら、翌水曜、私はアトレティコを追ってロンドンへ。前回、4年前にCL準決勝チェルシー戦を見に行った時にはアンダーグラウンド(地下鉄)のストに見舞われ、2階建てバスの路線を探してスタンフォード・ブリッジとホテルを往復なんて苦労もしたんですが、今回は無事にピカデリーラインのHalloway Road駅から、徒歩数分のスタジアムに到着。プレスルームであった試合前記者会見ではゴディンなど、「Sabemos que será una eliminatoria dura y muy igualada/サベモス・ケ・セラ・ウナ・エリミナトリア・ドゥラ・イ・ムイ・イグアラーダ(厳しくてとても拮抗した試合になるのはわかっている)」と言っていたものの、まだその時はあんな恐ろしい展開が待っているとは夢にも思っていなかったに違いありません。 ▽その後、ピッチでのアトレティコの練習を15分だけ見せてもらい、急いでキックオフの迫ったバイエルンvsマドリー戦を流しているパブをホテルの近くで探したんですが、さすがCLも準決勝となると、イングランドのチームではなくとも店内は超満員。出遅れたせいで、ずっと立ち見することになりましたが、アルジェリア系でジダン監督を尊敬しているというイギリス人のオジさんと意気投合し、ビールを奢ってくれたのはともかく、何より開始9分でロッベンが負傷、すでにチアゴ・アルカンタラに代わっているって、もしやその日のマドリーにはツイがあった? ▽それでも28分にはマルセロのサイドを上がったキミッヒにバイエルンの先制点をゲットされてしまった彼らでしたが、34分にはボアテングも太ももを痛めてジューレに交代。すると44分にはマルセロがカルバハルのクロスをエリア前から決め、面目躍如の同点に持ち込んでくれたから、助かったの何のって。ただねえ、ケガがうつる訳はないんですが、イスコが肩の負傷でハーフタイムにはアセンシオにバトンタッチ。その彼のゴールで後半12分にはリードを奪ったため、結果的には禍転じて福となすだったのかもしれませんが、思ったより重傷でキエフでの決勝にも間に合わないとなれば、もしや頭を抱えているのは6月にW杯が待っているスペイン代表のロペテギ監督も同じだったかも。 ▽おまけに22分にはカルバハルまで太ももを痛め、その日のベンチには右SB控えのアクラフも入っていませんでしたからね。ベンゼマを投入し、ベイルを押しのけて先発していたルーカス・バスケスのポジションを下げるというジダン監督の判断は妥当だったかと。結局、試合はそのまま1-2でマドリーの先勝で終わったんですが、30分にはハビ・マルティネスも頭部打撲で交代せざるを得なかったバイエルンだったため、ハインケス監督としてもその日は不運を嘆くしかなかったかと。 ▽ええ、実際、来週の試合にもボアテングは出られず、「The battle is lost but the war is not over ???? we will get our chances in Madrid!(戦いには負けたが戦争は終わっていない?ウチはマドリッドでチャンスを掴むだろう)」と試合後には自身のツイッター(https://twitter.com/FranckRibery/status/989439900670971904?ref_src=twsrc%5Etfw&ref_url=https%3A%2F%2Fas.com%2Ffutbol%2F2018%2F04%2F26%2Fchampions%2F1524740730_531592.html&tfw_creator=diarioas&tfw_site=diarioas)で気勢を挙げていたものの、ロッベンも回復待ちで出場が微妙ですからね。ちなみにこの1stレグのスコアは昨季の準々決勝1stレグと同じで、その時はサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグでバイエルンが2点を挙げて、延長戦に突入。最後はマドリーが4-2で勝って準決勝に進出できたものの、今回は果たしてどうなることやら。ミュンヘンでは不発だったクリスチアーノ・ロナウド、レバンドフキ共々、来週こそは火を噴きそうな気がするんですが…希望としては90分で試合が終わってほしいです。 ▽そして木曜は、一部のアーセナルファンには不思議がられていたようなんですが、キックオフ10分前から赤と、チームカラーの白ではなく、銀の旗で覆い尽くされたエミレーツ・スタジアムのスタンドの美しさに私が感動している暇もあればこそ。開始2分にはウィルシャーへのファールでイエローカードをもらっていたベルサイコが9分、今度はラガゼットへのタックルで2枚目を出されているって、こんな空気を読まない審判、あっていい?あまりにも早くから人数的劣勢になったため、シメオネ監督もついエキサイトしすぎて3分後に退場させられてしまったんでしょうが、いえ、ロンドンまで応援に駆けつけた1500人のアトレティコファンはここそとばかりに肺から声を振り絞っていましたけどね。 ▽左SBにはトマスを充てたものの、当然ながら、アーセナルの猛攻が始まったため、私など、生きた心地もしなかったんですが、前半は相手のシュートに精度がなかったのが幸い。そうこうするうち、グリーズマンもチャンスを見つけて2度程、撃つことができたものの、いやいいです。下手にリードして、敵を刺激した日には、逆襲を喰らってgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)されちゃうかもしれないじゃないですか。それだけに0-0のまま、ハーフタイムに入った際には、私もスコアレスドローで逃げ切れればという気分になっていたんですが…。 ▽もちろんそうは問屋が卸さず、後半15分にはとうとうウィルシャーのクロスをラカゼットが頭でネットに沈めてしまったから、さあ大変!そこでシメオネ監督はワントップになっていたガメイロを下げてガビ、更にはコレアに代えてサビッチと、被害を最少得点差で済ませようと守備の人員を増やしていったんですが、いやあ、驚かされましたね。37分、自陣からヒメネスが蹴ったロングパスにグリーズマンが追いつき、コシエルニをかわしてシュート。これはGKオスピナに弾かれてしまったものの、ゴール前でムスタフィが滑ってくれたおかげもあり、こぼれ球をゴールにしているって、そんな上手い話があっていい? ▽いえ、この試合、1人も選手交代をしなかったヴェンゲル監督は「Once they were down to 10 men, it destroyed a bit the flow of the game and it was not to our advantage(彼らが10人に減ったせいでゲームの流れが少し壊れて、ウチのアドバンテージにはならなかった)」と言っていましたけどね。何より偉かったのは相変わらず、ようようパスも繋がらなかったアトレティコが決して試合を諦めず。「hay que tener huevos para defender asi 80 minutos..../アイ・ケ・テネール・ウエボス・パラ・デフェンデール・アシー・オチェンタ・ミヌートス(ああいう風に80分、守るには根性がいる)」というシメオネ監督の賞賛はもっともで、いつもながら、GKオブラクの獅子奮迅の活躍もあったんですが、それだけでなく、ワンチャンスをモノにしているんですから、しっかりしているじゃないですか。 ▽ええ、同点ゴールの後は今季限りでアトレティコを退団するフェルナンド・トーレスに交代、馴染みのプレミアリーグのファンにお別れを言う機会を作ってあげたグリーズマンも「Un fallo del rival es gol, sabemos aprovechar los errores/ウン・ファジョデル・リバル・エス・ゴル、サベモス・アプロベチャール・ロス・エローレス(ライバルの失敗がゴールになった。ボクらは敵のミスを利用することを知っている)」と胸を張っていましたが、アウェイでの1-1の引き分けですよ。あの大ピンチから、ホームでの2ndレグを前にして、スコアレスドローでも勝ち抜けられる結果を掴んでいるとなれば、もしやEL優勝候補ナンバーワン扱いされているのは決して伊達ではなかった? ▽もうこうなると、お隣さん同様、バルサの優勝決定が秒読みに入っている週末のリーガ戦など、邪魔なばかりに感じてしまうファンも多いかと思いますが、そうはいかないのが辛いところ。何せ土曜にはもうマドリーとレガネスのミニダービーが午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、始まりますからね。ちなみにこのカード、今季のコパ・デル・レイ準々決勝2ndレグの再戦で、その時は弟分が1-2とサンティアゴ・ベルナベウで勝利して、逆転突破を達成。本来なら、マドリーも今度こそ、ベストメンバーを揃えてリベンジを期すところですが、やはりバイエルン戦が火曜に迫っているだけにどうやら、またしてもロナウドやモドリッチのいないBチーム編成になる可能性が高いかと。 ▽そして日曜は正午(日本時間午後7時)から、ヘタフェがジローナをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えるんですが、折しも金曜夜の試合ではレバンテがセビージャに2-1と勝利したため、後者と同じ勝ち点のヘタフェ、1ポイント少ない9位のジローナにとっては来季のEL出場権がもらえる7位に喰いこめるビッグチャンスが到来。ここ3試合、柴崎岳選手の出場がないのはともかく、今季昇格組がヨーロッパへの大会に一気にステップアップという意味では盛り上がる試合になりそうな。 ▽一方、アトレティコは日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、前節に残留を確定したアラベスのホームを訪ねますが、万が一、マドリーが前日、レガネスと引き分け以下だった場合、彼らも勝利できないと、日曜最後の自身の試合を待つまでもなく、ここでバルサの優勝が確定。うーん、一応、同じドローなら、リーガの2位争いには影響ないですし、それならシメオネ監督もいっそローテーションしちゃえばなんて思いますが…いやはや、今節はヒメネスが累積警告というのもあって、そこは少数精鋭のため、あまり選択肢がないんですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.28 12:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】マドリッド勢には準決勝がある…

▽「こんなんならいっそ、試合を延期しておけば良かったかも」そんな風に私が愚痴っていたのはワンダ・メトロポリターノからの帰り道、2夜連続で日付が変わった時間にメトロ(地下鉄)に乗っていた時のことでした。いえ、土曜のミッドナイドは車中、まだコパ優勝の余韻が覚めていないか、いきなり床に置いたビニール袋から手づかみで氷を取り出し、プラスチッテクのカップにお酒を注いでbotellon(ボテジョン/戸外でやる酒盛り)を始めたスペイン人ギャル集団が、乗り合わせた高齢者に快く席を譲るというシーンを目撃。日本人感覚ではマナーがいいのか、悪いのか、判断に困っていたところ、そのアスルグラナ(青と紫)の小旗を持ったお爺さんまで、息子に開けてもらった缶ビールを飲みだす始末と、まあこの日はバルサファンにとって、最高の憂さ晴らしになりましたからね。 ▽セビージャファンが静かだったのと対照的に翌晩は、晴れやかなベティスファンが目についたのはともかく、肩を落とし気味だったのはアトティコファン。うーん、確かにワンダのエレベーターで一緒になった売店のお兄さんなども、業務用マヨネーズの大袋を抱えながら、「セレソ会長が2日続けて試合ができると言ったからね。そりゃあできるけど、こっちは夜2時に終わって、朝10時にまた出勤だよ」と過重労働を嘆いていましたしね。ええ、今季の全てが懸かった木曜のヨーロッパリーグ準決勝、アーセナル戦1stレグを前にあんなチームのプレーぶりを見せられるぐらいなら、水曜にCL準決勝バイエルン戦1stレグを控えるお隣さん同様、34節は休んで、いっそ5月半ばのミッドウィークにやることにしておいた方が、ファンも余計な不安に襲われなかったような気がしないでもないんですが…。 ▽いえ、話は順番にしていかないといけません。レガネスがデポルティボとスコアレスドローで終わった金曜のリーガ戦から始まった先週末、マドリッド勢で唯一、朗報を伝えることができるのはもう1つの弟分ヘタフェ。いえ、日本のTVゴールデンタイムを意識した土曜午後1時からのキックオフというのは、エイバルの乾貴士選手もヘタフェの柴崎岳選手もピッチに立つ機会がなく、後半の出場を期待して近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に見に行った私もガッカリだったんですけどね。試合の方も前半22分にオリベイラのヘッドでヘタフェが1点を取っただけで、そのまま0-1で終了という淡泊なものだったんですが、大事なのはこの勝利で彼らが7位のセビージャと同じ勝ち点で並んだこと。 ▽そう、つまりその夜のコパ・デル・レイ決勝でバルサが優勝すれば、来季のEL出場権がリーガ7位に回るため、私も少し早めに出かけた会場のワンダでは若干、それを望んでいなかった訳ではありませんでしたけどね。何せヘタフェの残り試合にはジローナ、ラル・パルマス、アトレティコ、マラガと、すでに2部降格が決まったチームとの対戦が2つもありますからね。とりあえず、今週土曜正午からのコリセウム・アルフォンソ・ペレスで直接ライバルの9位ジローナを叩くことができれば、たとえセビージャの消化試合が1つ少なくても、ギリギリでヨーロッパの大会に滑り込むことができるかも。それともやはり、昇格1年目で残留を達成したばかりのチームとあって、来季はまだ足場固めに専念した方がいいんでしょうか。 ▽え、いくら外様のサポーターで埋め尽くされたとはいえ、先週末の注目試合だったコパ決勝の様子も知りたいって?そうですね、当日はさすが決勝だけあって、スタジアムへのアクセスも厳しく、ゲートに辿り着く前にも持ち物チェックのため、行列ができていたんですが、幸いながらファン同士や警官隊との大きないざこざは起こらず。スペイン国王フィリペ6世をパルコ(貴賓席)に迎え、懸念されていたカタルーニャ(バルセロナのある州)から来たバルサファンのhimno(イムノ/国歌)へのpito(ピト/ブーイング)にもワンダ自慢、最新鋭の音響システムが抜群の効果を発揮してくれます。ええ、リング状の屋根の内側に設置されたスピーカーから降り注ぐ大音量にかき消され、私にはあまり聞こえませんでしたが、後で胸も張り裂けんばかりの声で「ロ、ロ、ロ…」と合唱したセビージャファンを称える報道も。 ▽それもまた、スペイン国歌には歌詞がないための苦労だったりするんですが、気の毒にも彼らの威勢が良かったのは短い時間だったかと。だってえ、先日のCL準々決勝ローマ戦での逆転敗退で二冠達成が義務となっていたバルサの強さが、その試合では半端なかったんですよ。前半13分にはGKシレッセンのゴールキックから、コウチーニョが敵エリア奥まで突き進むと、GKダビド・ソリアの上を越えてボールを出し、ルイス・スアレスが先制ゴール。30分にはジョルディ・アルバのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)をメッシが決めて2点目を取ると、40分にはメッシのスルーパスに突撃してきたルイス・スアレスが自身2本目って、え、これじゃあまりに一方的すぎない? ▽後半も後半で、せめて一矢を報いたいセビージャの先手を取って、7分には「Esta semana haré pública mi decisión, está un poco clara/エスタ・セマーナ・アレ・プブリカ・ミ・デシシオン、エスタ・ウン・ポコ・クラーラ(今週には自分の決定を公けにするけど、もう大体わかっているよね)」という、今季限りで退団予定のイニエスタがバルサで最後にプレーする決勝のスコアシートに自分の名を残すべく、4点目をゲット。24分にもPKでコウチーニョに5点目を追加されていては試合前、「Messi es un extraterrestre. Ojalá mañana no esté en la Tierra/メッシ・エス・ウン・エクストラテレストレ。オハラ・マニャナ・ノー・エステ・エン・ラ・ティエラ(メッシは宇宙人。明日は地球にいませんように)」と言っていたモンテッラ監督が、「Sus jugadores son extraterrestres/スス・フガドーレス・ソン・エクストラテレストレス(あちらの選手は宇宙人だ)」と、バルサ全員を大気圏外の生き物にしてしまっていたのも仕方なかったかと。 ▽結局、そのバルサに手も足も出ず、0-5というコパ史上、2回目という大敗を喫してしまったセビージャだったんですが、まあ、アトレティコなんて、その彼らに5-2で準々決勝敗退しているため、私も批判なんてできないんですけどね。決勝前はあんなに応援していたセビージャファンたちが試合終了後、スタンドに頭を下げに来た選手たちに怒りをぶつけていたり、翌日、AVE(スペインの新幹線)で到着したサンタ・フスタ駅でも罵倒されているシーンなどを見ると、サッカー選手も難儀な職業だと思ってしまいますが…だからって、敗戦後のマドリッド泊中、深夜のディスコで目撃されたエンゾンジを庇える訳もありませんよね。 ▽そして翌日曜は私もいつもの風景に戻ったワンダを再訪、アトレティコvsベティス戦を見たんですが、ピッチ上でのギャップには驚くばかり。いえ、アルゼンチンに快勝したスペインの親善試合の後も似たような気分は味わったんですけどね。アーセナル戦を見据えて、シメオネ監督がグリーズマン、コケ、ゴディンを温存したのも、相手の3バックを打ち消すべく、自らもサビッチ、ヒメネス、リュカの3CBにフアンフラン、サウールをサイドに置いたのも結構なんですが、前節3-0で負けたレアル・ソシエダ戦から続く、「パスが3回と繋がらない」病は一体、どうしたものか。 ▽ただこれには、2月から、ずっと超少数精鋭でプレーしているため、選手の疲労を記者たちが心配。シメオネ監督も「Es normal, como los trabajdores en sus empleos/エス・ノルマル、コモ・ロス・トラバハドーレス・エン・スス・エンプレオ(普通のこと。勤め人と同じことだ)。皆、夏のバケーション前の6月7月が近づくと疲れるもの」と答えていましたが、アトレティコの場合、まだ元気なはずのシーズン前半でも、言ってしまえば毎シーズン、そういう試合が必ずありますからね。狭いスペースでのパスをビシバシ通すメッシや体を捻って敵をかわしてしまうイニエスタなどを前日、見たばかりの私としては、生まれつきの才能が違うんだと嘆くしかなかったんですが、せめても慰めはその日もGKオブラクがブデスやテージョのシュートを的確にセーブ。ヒヤリとするピンチにも向こうが勝手に外してくれたため、失点もせずに済んだことだったかと。 ▽いえ、アトレティコも前半にはフェルナンド・トーレスのvaselina(バセリーナ/ループシュート)がGKダニ・ヒメンスの頭は越したものの、ゴール前でマンディにクリアされてしまったり、後半半ばにはようやくグリーズマンとコケが出場。普段の4-4-2に戻り、「Si hay uno incómodo es mejor a que haya cuatro/シー・アイ・ウノ・インコモドー・エス・メホール・ア・ケ・アヤ・クアトロ(やりにくい選手が1人の方が4人よりいい)」(シメオネ監督)という理由で、本職ではない左SBに回されていたサウールが右中盤に上がった途端、ゴールバーを直撃するシュートを撃つなど、チャンスがなかった訳ではないんですけどね。 ▽ベティスもベテラン、ホアキンを投入して終盤の決勝点を求めたんですが、最後までどちらも無得点で試合は終了。EL出場圏5位の座を安泰にしたベティス、レアル・マドリーがお休みだったため、3位との差を勝ち点4に広げたアトレティコと、おかげで来週末のレガネスとのミニダービーでお隣さんが、アラベス戦でアトレティコが揃って引き分け以下だと、バルサのリーガ優勝が日曜最後のデポルティボ戦を待たずに決まってしまうというのはともかく、それ以外、順位的には問題はなかったんですが…。 ▽うーん、トーレスなど、「No sirve de mucho pensar más en este partido/ノー・シルベ・デ・ムーチョ・ペンサール・マス・エン・エステ・パルティードー(この試合のことを考えてもあまり意味はない)。攻撃も守備も改善しないといけないけど、アーセナルに立ち向かうにはウチは最高の状態でないといけないんだから」と言っていましたけどね。どうやら木曜午後9時5分(日本時間翌午前4時5分)からの一戦では、リハビリ中の「Diego Costa tiene pocas opciones de jugar en Londres/ディエゴ・コスタ・ティエネ・ポカス・オプシオネス・デ・フガール・エン・ロンドレス(ジエゴ・コスタがロンドンでプレーする可能性は少ない)」(シメオネ監督)上、このベティス戦でもフアンフランがハムストリングを痛めて、全治2、3週間という新たな逆境が月曜に判明。 ▽このままだと、先日、22年間チームを率いてきたヴェンゲル監督の退団が発表され、日曜にもウェスト・ハムに4-1と快勝。ELのタイトルを獲って、有終の美を飾らせてあげようと勢い込んでいるアーセナル相手に、「El jueves es mejor marcar y no encajar/エル・フエベス・エス・メホール・マルカル・イ・ノー・エンカハール(木曜は点を取って、失点しないのが何よりいい)」という、オブラクのささやかな希望を叶えることができるのかどうか。月曜は休養に充て、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で火曜に1回だけセッションをした後、水曜にはエミレーツ・スタジアムで前日練習となる彼らですが、せめてそれまでにどの選手も体力ぐらいは回復していてほしいですよね。 ▽え、それで試合のなかったマドリーのミュンヘン遠征に向けての準備は進んでいるのかって?そうですね、先週は水曜にアスレティックと1-1で分けた彼らでしたが、ジダン監督は予定を変えることなく、金土と練習をお休みにして、日曜からセッションを再開。こちらで負傷中なのはナチョだけで、まだ全体練習に合流していませんが、他は全員、元気ですからね。すでにブンデスリーガ優勝が決まり、尚且つ7人もローテーションしながら、土曜にはハノーファーを0-3と一蹴したバイエルンとはいえ、怖がる必要はないかと。 ▽何せ昨季、CL準々決勝で対戦した際には2ndレグを延長戦に持ち込まれ、ドキドキさせられたものの、終わってみれば、2試合でクリスチアーノ・ロナウドが5ゴール。総合スコア6-3でバイエルンを圧倒していますからね。今年もCLにおける彼の好調ぶりは準々決勝ユベントス戦1stレグで2得点、3点差を追いつかれる逆襲を喰らったサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグでも土壇場のPK弾でチームを救ってくれたことからも明らかとなれば、水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのアリアンツ・アレナでも大いに頼りになる? ▽一方、リベンジに燃えている相手もレバンドフキを筆頭にロッベンやリベリ、ミュラー、そしてレンタル移籍中でもヨーロッパの大会での対戦では出場できるハメス・ロドリゲスらが手ぐすね引いて待っているようで、ヒザを手術して今季絶望となったアレックス・ビダルの欠場は痛そうですが、何はともあれ、今季有数の熱戦になることは間違いなし。とはいえ、1stレグはどちらが勝っても、勝負は来週火曜の2ndレグ、サンティアゴ・ベルナベウでつくんじゃないでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.24 13:00 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】同じミッドウィークでもちょっと気が抜ける…

▽「まさか、ワンダで2日連続バルサの優勝が決まるの?」そんな風に私がおののいていたのは木曜日、ミッドウィーク開催のリーガ33節でアトレティコがレアル・ソシエダに手も足も出ず、3-0と1年以上ぶりの大敗を喫した直後のことでした。というのもTVのアナウンサーが「優勝までバルサはあと勝ち点3になった」と言うのを聞いたからで、今週末は土曜にコパ・デル・レイ決勝があるため、34節のバルサvsビジャレアル戦が先送りに。となれば、日曜にはもう、頭の中にはすでに来週木曜のヨーロッパリーグ準決勝アーセナル戦1stレグのことしかないアトレティコが、来季のEL出場圏を争っている5位のベティスに午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの試合で負ければ、その条件が満たされるんじゃないかと思ったんですけどね。 ▽どうやらそれは早合点で、当然ながら、コパ決勝の相手であるセビージャとレアル・マドリーの試合も延期。3位のお隣さんにも数字的には僅かに可能性があるため、リーガ優勝決定は早くとも来週末になるとわかったんですが、まったくねえ。どうもここ数年、コパではいつもバルサがトロフィーを掲げているような気がするという私の感覚は間違ってなくて、現在、彼らは3連覇中。今季は丁度、両者ともCLを準々決勝で敗退したばかりという状況でコパ決勝に臨むんですが、火曜のリーガでデポルティボと0-0で引き分けてすぐ、フェリア・デ・アブリル(春祭り)で湧く地元を避け、マルベジャ(地中海沿岸のビーチリゾート)で合宿入り、マンチェスター・ユナイテッドやバイエルン相手に慣れていないビッグマッチで全力を振り絞ったセビージャの方が、疲れが溜まっているのでは? ▽となると、CL準々決勝ローマ戦2ndレグで不覚の逆転敗退を喰らい、三冠の夢が消えたリベンジとして、二冠獲得に燃えているバルサがコパ4連覇を達成する方がありそうですが、そこは何が起こるかわからないサッカー。マドリッド勢からすると、セビージャ優勝の場合、コパ王者が来季ELグループリーグ出場権獲得となり、リーガの7位に回らず。そこまであと勝ち点3に迫っている弟分、ヘタフェなどにはちょっと残念なことにもなりますが、結局は、コパでバルサに負けてもセビージャがリーガ経由で6月末に始まる予選2回戦から、EL本大会出場への長き道をたどることになるかもしれませんしね。とりあえず土曜午後9時30分(日本時間翌午前3時30分)からのコパ決勝は今季、オープンしたワンダ・メトロポリターノ初の大舞台として、私も素直に試合を楽しみたいところです。 ▽まあ、ヨソ様のチームが争うコパ決勝の話はともかく、このミッドウィークのリーガ戦の様子もお伝えしておかないと。またしても先陣を切ったのは弟分のレガネスで、火曜の夜にエスタディオ・セラミカでビジャレアルに挑んだんですが、やはり前節で残留がほぼ確定していたというのが気の緩みに繋がったんでしょうか。ええ、もう少しでハーフタイムという前半42分にCKから、ビクトル・ルイスに先制点を決められると、後半10分にもバッカにエリア外から撃ち込まれてしまう始末。37分にはブラサナツのゴールでようやく1点を返したんですが、今季コパ16強対決2ndレグと同じスコアとはいえ、その時は1stレグの1-0勝利がモノを言って、アウェイゴール差による準々決勝進出というご褒美があったのとは大違い。リーガではただの敗戦にすぎないなのは残念だったかと。 ▽一方、もう1つの弟分、ヘタフェは翌水曜、こちらもアウェイでバレンシア戦だったんですが、いやあ、5位のベティスに勝ち点差10をつけて、ほぼ来季は3年ぶりのCLグループリーグ返り咲きが決まっている相手でもローテーションすると、意外と力が落ちるものですね。ボルダラス監督のチームもアンヘルが出場停止でいなかったものの、この日はエースのホルヘ・モリーナとペアを組んだレミが大当たり。前半15分にはダミアンのパスが先制ゴールを挙げると、後半3分にもモリーナの横パスを見事なワンタッチでGKジャウメ・コスタを破り、2点差にしてくれるんですから、嬉しいじゃないですか。 ▽これを機にバレンシアは15分、「creo que debo potenciar el ataque, las bandas, y tener un centro del campo más creativo/クレオ・ケ・デボ・ポテンシアール・エル・アタケ、ラス・バンダス、イ・テネール・ウン・セントロ・デル・カンポ・マス・クレアティーボ(攻撃と両サイドを強化して、クリエイティブな中盤にするべきだと思った)」というマルセリーノ監督の考えで、一気にビエット、マクシモビッチ、アンドレス・ペレイラをロドリゴ、ソレル、フェランに代える大技に出たんですが、幸いにも反撃は24分のロドリゴの一発止まり。残り5分にはキャプテンのパレホがモリーナにやり返してレッドカードを出されたことなどもあり、そのままヘタフェは1-2で逃げ切ることに成功します。 ▽まあ、この辺が来季は試合数がぐっと増えるバレンシアの課題で何せ、CLとリーガを同時に戦い抜くにはとにかく、上質で厚い選手層が必要ですからね。このオフシーズンの動きが注目されますが、残留を達成しても万が一の7位のご褒美、EL出場権を目指して気を抜いていないヘタフェの健闘も称えてあげないと。唯一、気になるのはこの日も前節のエスパニョール戦に続き、出場機会のなかった柴崎岳選手ですが、この土曜午後1時(日本時間午後8時)からは乾貴士選手との日本人対決となるエイバル戦も控えていますしね。丁度、3連戦最後の試合となるだけに今度は先発を期待してもいいかも。 ▽いやあ、実を言うと、私がオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況に耳を澄まし、ヘタフェの白星を喜ぶことができたのはサンティアゴ・ベルナベウのスタンドでのことで、というのもその直後にレアル・マドリーとアスレティックの試合がキックオフ。先週末のマラガ戦にはお休みをもらったクリスチアーノ・ロナウドやモドリッチ、マルセロらも復帰して、メンバー的には来週水曜のCL準決勝バイエルン戦1stレグの予行演習だったような感じでしたが、後でマルセロも「Esta complicado pero tenemos que jugar/エスタ・コンプリカードー・ペロ・テネモス・ケ・フガール(難しいけれど、プレーしないといけない)」と認めていた通り、優勝の可能性がほぼない状況では、選手たちにリーガ戦に真剣に取り組む意欲が起きないのは仕方なかったかと。 ▽そのせいもあったんでしょうねえ、開始から7分にはサン・ホセの至近距離シュートをGKケイロル・ナバスがparadon(パラドン/スーパーセーブ)しなければならなかったと思えば、13分にはコルドバのスルーパスをウィリアムスがvaselina(バセリーナ/ループシュート)。「Aritz me suele decir que contra el portero hay que picarla/アリツ・メ・スエレ・デシール・ケ・コントラ・エル・ポウテーロ・アイ・ケ・ピカールラ(アドゥリスはボクによく、対GKではボールを突っつけと言うんだ)」とその日はベンチスタートとなった、37歳の大先輩FWのアドバイスがゴールに繋がったと当人は打ち明けていましたが、マドリーにとって誤算だったのはそのたった1点がなかなか返せなかったこと。 ▽原因はアスレティックのGKケパで、ロナウドもバランもアセンシオもことごとくシュートを弾かれてしまったんですよ。何せ彼はこの冬、マドリー移籍が本決まりと言われていながら、最後はジダン監督の意向で破談に。結局、契約延長をして、ビルバオ(スペイン北部、アスレティックのホームタウン)に留まることを選んだんですが、まさか初めて立つサンティアゴ・ベルナベウの舞台で逃した魚は大きかったことを見せつけてくれるとは!それどころか、後半にはコルドバとラウール・ガルシアのダブルチャンスで相手がリードを広げかねなかったため、23分にはジダン監督もその日も期待に沿う働きができていなかったベンゼマ、そしてアセンシオをベイルとイスコに交代。いよいよ根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)態勢に入ったところ…。 ▽やっぱり最後はロナウドです。ええ、かなり長い時間、アスレティックのエリアを取り巻いて攻撃していたマドリーでしたが、いよいよタイムアップが迫ってきた41分、モドリッチが撃ったシュートをゴール前で彼がtaconazo(タコナソ/ヒールキック)。コースの変わったボールにケパは届かず、土壇場で同点に追いついているんですから、ジガンダ監督が「Es una pena que tan cerquita del final nos hayan empatado/エス・ウナ・ペナ・ケ・タン・セルキータ・デル・フィナル・ノス・アジャン・エンパタードー(あれだけ最後が近づいてきた時に追いつかれたのは残念だ)」と嘆くのも当然だったかと。いかにも、ちょっと本気になれば、点が取れるタレント満載のチームなればこその所業ですが、優勝が懸かっていなかったためか、奇跡の93分弾は生まれず、試合は1-1の引き分けで終わりましたっけ。 ▽そしてアスレティック戦後のジダン監督の記者会見でも大活躍だったケパの件を除けば、ほとんどの質問がバイエルン戦についてだったことからもわかるようにもう、この先のマドリー話題はCL準決勝一色。いえ、日曜夕方に練習が再開される前、セルヒオ・ラモスやセバージョスらはおめかししてセビージャに帰郷、フェリア・デ・アブリルのお祭り気分を満喫する機会を逃していませんでしたが、中には休日返上でバルデベバス(バラハス空港の近く)に通いつめ、リハビリを急ピッチで進めているナチョのような選手も。水曜の1stレグに間に合うかはわかりませんが、相手にも主力のアレクッス・ビダルが半月板手術で一足早く今季を終えるなど、負傷者が出ているため、まだその辺の選手情報は試合が近づくのを待って、お伝えすることになりましょうか。 ▽え、怖いもの見たさじゃないけど、アトレティコ惨敗の詳細も知りたいって? いやあ、実は水曜、マドリー戦の前にマハダオンダ(マドリッド近郊)に彼らの練習を見に行った私だったんですが、選手たちがグループに分かれてパス&ゴーのエクササイズをやっている最中、驚かされたのはシメオネ監督が「パスは受け手のことを考えて出すこと。もらう方がいい感じで受けられるように」とやたら強調していたこと。いえ、だって少年サッカーじゃあるまいし、彼らはプロなんですよ。そんなの言うまでもないことなんじゃないかと思っていたところ、そのソシエダ戦ではまず、「パスは何もないところでも敵めがけてでもなく、味方に向けて出す」という指示から必要だったのかと考えさせられる破目に。 ▽ええ、前半にはゴディンのヘッドが、アトレティコから2月に移籍したモヤが負傷したのに代わり、復帰してきたGKルリに上手くセーブされてしまうなんてこともあったんですが、全体的に動きの鈍かった彼らは26分、トマスのボールロストから、ジャヌザイに右サイドから折り返しノクロスを入れられ、ウィリアム・ホセに先制点を奪われてしまったんですよ。おまけに後半34分にはトマスから代わったガビのミスから、フアンミの独走に繋がって、またしても失点してしまったから、3季連続でのサモラ(リーガ1失点率の低いGKに与えられる賞)獲得に向け、バルサのテア・シュテーゲンと熾烈な争いを繰り広げているオブラクが気の毒だったの何のって。 ▽うーん、その頃には総攻撃態勢を発動したシメオネ監督がフアンフランに代え、ビトロを投入していたため、累積警告のリュカを補ったベルサイコの後を継いで、サウールが不慣れな左SBにポジションチェンジ。間が悪くもオフサイドラインを乱してしまうという不運もあったんですけどね。更にガメイロが抜け出したチャンスは2度とも、不当なオフサイドと怪しげなフェルナンド・トーレスのハンドを取られてシュートまで行きつけずと、ジャッジとの相性も悪かったんですが、ロスタイムにもデ・ラ・ベジャのクロスをフアンミにヘッドで3点目を入れられていてはもう開いた口も塞がらないとはまさにこのこと? ▽いえ、後でサビッチなど、「No jugamos tan intenso porque hay veces que el rival no te lo permite/ノー・フガモス・タン・インテンソ・ポルケ・アイ・ベセス・ケ・エル・リバル・ノー・テ・ロ・ペルミテ(ウチはいつもように激しいプレーはしなかった。時に相手がそれを許してくれないこともある)」と弁解していたんですけどね。もうずっと、少数精鋭での週2試合ハードスケジュールが続いている彼らだけに疲労が溜まっているのもわかりますが、おかげでどんなに来週木曜のア-セナル戦が心配になったことやら。 ▽とはいえ、目前に迫るは日曜のベティス戦で、まだこの時点ではジエゴ・コスタは回復していない見込み。それどころか、ロンドンでの1stレグに間に合うかもわからないんですが、ここは彼らを信頼してあげないと。同日、木曜には遅い試合でロスタイムにレバンテに決勝点を取られてマラガの降格が数字的に決定、同様にベティスに負けたラス・パルマスもほぼ2部行きが確実となり、早くも始まった金曜の34節では弟分のレガネスがデポルティボとスコアレスドローを演じ、更に相手を崖っぷちに追い落とすなど、上下ともにカタがつきかけているリーガですが、次に注目となるのは現在、スポルティングと同勝ち点で2位にいる2部のマドリッド弟分、ラージョの昇格がいつ決まるかでしょうかね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.21 19:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】4チーム共、勝ってくれたけど…

▽「お預け喰わされている気がするわよね」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、今週の予定と見たところ、ヨーロッパの大会がなく、ミッドウィークにリーガ戦が入っているのに気がついた時のことでした。いやあ、これがシーズン半ばであれば、先週末の節も含めて勝ち点9が動くとあって、オチオチしていられなかったんですけどね。優勝争いといった言葉が世間から、聞こえなくなったのはもう随分と前。首位バルサと2位アトレティコの差が勝ち点11、3位のレアル・マドリーは15ともあって、残りは6試合、いつ戴冠が決まるのかの方にもう焦点が移っているのは当然のことだったかと。 ▽実際、5位のベティスとアトレティコとの差も先週末で19ポイントとなり、数字的に来季のCL出場権ゲットが確定。マドリーも15差ありますし、今回から4位だとプレーオフを戦わないとグループリーグに出られないという制約もなくなったため、それこそ2位も4位も変わりないですしね。加えてマドリッドの弟分チームたちも残留をほぼ達成、かといって、10位のヘタフェは7位のセビージャまで5ポイントと、ヨーロッパリーグ出場圏入りまで望むのは少々、難しいとなれば、こちらも消化試合に付き合わされているような倦怠感に陥っても仕方なかった? ▽それだけに早く見たいのはCL、ELの準決勝で、何せマドリーはバイエルン、アトレティコはアーセナルとどちらも決勝と言ってもおかしくないような好カードになっていますからね。その前に毒にも薬にもならないような試合をして、自在にローテーションをかけられるお隣さんはともかく、超少数精鋭主義のシメオネ監督のチームから、更にケガ人発生といった事態になるのは困るんですが…いえ、先のことを慮っていても始まりせん。とりあえず、マドリッド勢の前節リーガ戦がどうだったか、お伝えしていくことにすると。 ▽4チームに先立って土曜試合となったのはレガネスで、このところバレンシア、バルサと強敵に連敗していた上、アムラバットやガブリエル・ピレス、ボービューらが出られないと聞いていたため、このセルタ戦はちょっと心配していたんですけどね。それでもチームへの全幅の信頼を失わず、ブタルケのスタンドを埋め尽くしたファンに力づけられ、レガネスは前半からゲレロのシュートやシオバスのヘッドでゴールを積極的に狙っていきます。その努力が実ったのは後半になってからで17分、エル・ザールが入れたラストパスをゲレロが押し込み、とうとう先制してくれたから、ホッとしたの何のって。 ▽スタンドの一角にはセルタの応援団も駆けつけていたんですが、この日はイアゴ・アスパスにチャンスが回らなかったせいでしょうか。相手はこの1点が返せず、そのまま1-0でレガネスが勝利を手に入れることに。これで勝ち点39、降格圏と13差となったため、ガリターノ監督も「A seis jornadas la salvación está prácticamente hecha/ア・セイス・ホルナーダス・ラ・サルバシオン・エスタ・プラクティカメンテ・エッチャ(6節残して実質上、1部残留は達成できた)」と試合後、満足そうだったんですけどね。週が明けて月曜日、次節のビジャレアル戦を控えての会見では、「matematiamente(マテマティカメンテ/数字的に)残留を確定するまで戦わないといけない」と新たな目標ができていたんですよ。まあ、今週は金曜にデポルティボ戦も入っていますし、4月からチーム全体にバケーション気分が広まっても困りますからね。それでもセルタ戦で決勝点を挙げたゲレロを始め、6月で契約の終わる選手が大半とあって、そろそろクラブも来季を見据えて動き始めるんじゃないでしょうか。 ▽そして翌日曜、まだ日の高い午後4時頃、ちょうど毎年恒例のel Dia del Nino(エル・ディア・デル・ニーニョ/子供の日)のイベントに当たったため、スタジアム周辺に設けられたトランポリンやミニサッカー場、フットボリン(サッカーゲーム)などのアトラクションを楽しむ家族連れで賑わうワンダ・メトロポリターノに着いた私でしたが、この日は場内の演出もバッチリ。キックオフ前には大弾幕がバックスタンドに広がり、他は一面、rojiblanco(ロヒブランコ/赤と白)の旗でさざ波かえる美しい光景を楽しめることに。ええ、これにはジエゴ・コスタが負傷中なのに加え、金曜早朝にリスボンから戻って来たばかり、土曜など45分ぐらいしか練習をしなかったというアトレティコの選手たちも大いに勇気づけられたのでは? ▽実際、相手はパコ・ロペス新監督になってから、勝ち点12中10を獲得しているレバンテとあって、その辺もあの、大雨のジョゼ・アルバラーデでパスが3回とが続かない、恐ろしいEL準々決勝2ndレグを見た後だけに、私も不安だったんですが、応援の効果やてきめん。意外と大丈夫だったんですよ。そう、ここ3試合連続の先発出場を仰せつかい、ようやくスペイン代表でも常連だったセビージャ時代の自分のサッカーを思い出したか、この日はビトロがキープレーヤーに。前半32分には敵DF数人をかわしてエリア内でバトンタッチ、ここ数試合の悪いパフォーマンスを反省していたコレアがシュートを決め、アトレティコが先制点を挙げてくれたから、ファンも喜んだの何のって。 ▽更に40分にはリュカのスルーパスにグリーズマンが抜け出したんですが、GKオイエルに倒されてシュートできず。ペナルティをもらうどころか、逆にpiscinazo(ピシナソ/ダイブ)とされて警告を受けてしまったため、後でゴディンなど、「時々、プレーのスピードのせいで、相手に触らなくても向こうが切り返そうとしたりして、バランスを崩すことがある。Por eso la amarilla me parece excesiva/ポル・エソ・ラ・アマリージャ・メ・パレセ・エクセシーバ(だからイエローカードは過剰に思えるよ)」と意見していたんですけどね。後半3分にはコケのサイドチェンジからベルサイコがクロス。エリア内からvolea(ボレア/ボレーシュート)でグリーズマンが撃ち込み、無事に2点目を取ってくれたため、「por suerte no lo hemos tenido que necesitar por los tres puntos/ポル・スエルテ・ノー・ノ・エモス・テニードー・ケ・ネセシタール・ポル・ロス・トレス・プントス(幸いウチは勝ち点3のためにPKを必要としなかった)」(フェルナンド・トーレス)のは良かったですよね。 ▽え、この日、スタジアムが最高に盛り上がったのは後半13分、グリーズマンに代わって、トーレスがピッチに入った瞬間だったんじゃないかって?そうですね、折しも彼は先週、今季限りでのアトレティコ退団を表明。ファンも事情を汲んでか、お馴染みの「Torres quedate/トーレス・ケダテ(トーレス、残って)」というカンティコ(節のついたシュウレヒコール)こそ、聞こえなかったものの、スタンドは「Fernando Torres lo lo lo lo/フェルナンド・トーレス、ロロロロー」の大合唱となります。そこへ32分にはコレアからのパスをネットに沈めて、El Nino(エル・ニーニョ/子供、トーレスの愛称)がチームの3点目を取ってくれるのですから、まさに最高の“子供の日”だったかと。 ▽いえ、シメオネ監督は「Fernando es un icono haciendo goles o no, ganando titulos o no/フェルナンド・エス・ウン・イコノン・アシエンドー・ゴーレス・オ・ノー、ガナンドー・ティトゥロス・オ・ノー(フェルナンドはゴールを決めても決めなくても、タイトルを獲っても獲らなくても偶像だ)」と言っていましたけどね。できれば、「Para mi, cada partido hasta el final va a ser una fiesta/パラ・ミー、カーダ・パルティードー・アスタ・エル・フィナル・バ・ア・セル・ウナ・フィエスタ(自分にとって、最終戦まで全ての試合がフィエスタになるだろう)」という当人には、この日達成したアトレティコでのリーガ1部100得点を少しでも上積みして、有終の美を飾ってほしいですよね。 ▽おかげで、いつもながらGKオブラクが完璧なセーブを見せたこともあり、3-0で快勝したアトレティコでしたが、バルサも前日、バレンシアに2-1と勝利していたため、差が縮まることはなし。次は木曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)からアノエタでのレアル・ソシエダ戦で、トマスに代わって、今度はリュカが累積警告となるため、トップチームの頭数に変わりはありません。その後、ホームで彼らを再び見られるのは日曜のベティス戦になるんですが、実はこの週末にワンダで開かれるのはこの試合だけではないんです! ▽そう、土曜にはコパ・デル・レイ決勝のセビージャvsバルサ戦が開催されますからねえ。実はこの日付が決まった折、セレソ会長を始め、2日連続で試合があっても対応可能なクラブの運営力を自慢したかったか、アトレティコはベティス戦を先送りにするのを望まず。とはいえ、3月の各国代表戦のparon(パロン/リーガの停止期間)以来、毎週木日と試合が続いているだけに選手たちも若干、お疲れ気味ですし、セビージャ戦が延期となったお隣さんのように、EL準決勝の前にお休みがあった方が、今となっては良かったかもしれませんね。 ▽そしてこの日は続いてヘタフェがコリセウム・アルフォンソ・ペレスでエスパニョール戦をキックオフ。いやあ、今季は梯子観戦もよくした私なんですが、さすがに直後の時間帯となると、公共交通機関を使っての移動はムリで、何せメトロ(地下鉄)のエスタディオ・メトロポリターノ駅から、イロイロ乗り継いで、ヘタフェまで行くのは1時間以上かかりますからね。よって、後でサマリーを見るだけになりましたが、いい結果が出てくれました。ええ、後半8分にFKをショートでもらったダミアンが撃ち込んだgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で先制した彼らは、その10分後にはフラミニが2枚目のイエローカードをもらって退場となったものの、最後まで耐え抜いて1-0で勝利。こちらもレガネス同様、2連敗の不調を乗り越えることができたんですが、残念ながら、柴崎岳選手の出場機会はありませんでしたっけ。 ▽そんなヘタフェは水曜午後7時30分からアウェイでのバレンシア戦、週末もコリセウムには戻って来ず、土曜午後1時(日本時間午後8時)から、乾貴士選手のいるエイバルのホームで試合となります。この先、彼らのコリセウム開催ゲームもあと4月29日のジローナ戦、5月2週目の週末の兄貴分、アトレティコとのミニダービーだけなので、今季中にマドリッドで柴崎選手のプレーを見たいファンは要注意。日付が合わなければ、ヘタフェのオフィシャルページの予定表(http://getafecf.com/PrimerEquipo/Entrenamientos.aspx、スペイン語のみでもgoogle翻訳などで大体わかる)をチェックして、スタジアムの右奥にある練習場に行ってみるのもいいかもしれません。 ▽え、それで日曜最後のカードでラ・ロサレダでマラガと対戦したマドリーはどうだったのかって?いやあ、当日移動したジダン監督のチームだったんですが、予想通り、クリスチアーノ・ロナウドは機上の人とはならず。更にモドリッチとベイルが休養ローテーションに入っただけでなく、クロースやマルセロまでベンチ見学とは、選手が多いチームはまったく羨ましい。ただ、今季はCFのベンゼマが極端なゴール日照りに見舞われているため、無得点のまま、前半も30分近くになると、本当にゴールが入るのか、いささか懸念が出て来たものの、そこに救世主として現れたのはご当地選手のイスコ。 ▽エリア近くでゲットしたFKに古巣の選手たちから、苦労してボールを返してもらった後、キャプテン権限でキッカーをやろうかと申し出たセルヒオ・ラモスも断ると、彼の蹴ったボールが弧を描いてスッポリ、ゴールに収まったから、驚いたの何のって。後でマラガがFKを得た際にもスタンドから、「Isco tiralo/イスコ・ティラロ(イスコが蹴って)」というカンティコが湧いていたぐらいだったんですが、実はイスコがマドリーで直接FKからゴールを決めたのはこれが初めて。いえ、もちろんロナウドやベイルがいたら、キッカーをやらせてもらえないせいもあるでしょうけどね。 ▽むしろこの才能は夏のW杯スペイン代表で役立ててもらいたいものですが、後半にもマドリーはイスコのアシストでカセミロが追加点を挙げ、リードが2点に。その後はセバージョスやマジョラルら、これまでほとんど出番がなかった若手をピッチに送り、アセンシオとイスコを休ませたジダン監督でしたが、何せ相手はもう、残り全勝したとて、降格が避けられそうもない最下位のマラガですからね。ロスタイムにバジェホがクリアできなかったボールをロランが決めて1点は返したものの、そこでゲームセット。ええ、ホセ・ゴンサレス監督も「Nadie tiene dudas de que el Malaga volvera a Primera/ナディエ・ティエネ・ドゥーダス・デ・ケ・エル・マラガ・ボルベラ・ア・プリメーラ(マラガが1部に戻って来ることに疑いを持つ者はいない)」と2部落ち前提で話していましたし、この1-2の敗戦も淡々と受け止めているようでしたっけ。 ▽おかげでバレンシアを追い越し、3位に復帰してマドリーは帰京したんですが、今週の予定は水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)から、サンティアゴ・ベルナベウでのアスレティック戦。当面、ケガ人はナチョしかおらず、ジダン監督もCL準決勝バイエルン戦1stレグまで週末を挟んで丸々1週間空くため、「ローテーションをして、休めるようにしたい。でもno pueden descansar todos/ノー・プエデン・デスカンサール・トードス(全員は休めないだよね)」とどこか余裕でしたが、まあ、相手もすでにブンデスリーガ優勝済みとあって、直前のリーグ戦に主力は使わないでしょうしね。やっぱり私がドキドキするのは25日(水)まで、とっておくことになりそうです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.17 08:35 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】マドリッド勢だけが生き残った…

▽「もしやこの週ってゴールデンウィーク?」そんな風に私が日本のカレンダーを確認していたのは金曜日、UEFA本部でのCL準決勝抽選が終わり、試合日程が決まった時のことでした。いえ、すでに1時間前に先行していたEL準決勝抽選ではアトレティコとアーセナルと対戦することが決定。こちらの大会は2カードとも木曜開催となるため、3日の2ndレグではワンダ・メトロポリターノでプレミアリーグの老舗を見られるのがすぐわかったんですけどね。奇しくもバイエルンを引いたレアル・マドリーも2ndレグが1日にサンティアゴ・ベルナベウって、要は5月の第1週にマドリッド滞在を予定している観光客には、ヨーロッパの2大クラブ大会のファイナリストが決まる大一番をまとめて観戦する機会があるってことじゃないですか。 ▽え、でもどちらもチケットをゲットするのは難しいんだろうって?まあ通常、大会のこの辺りになると、相手に関わらず、即日完売することも多いんですが、意外にもこの水曜のCL準々決勝2sdレグ。先週の1stレグが0-3と大勝だったせいか、ユベントスというネームバリューでは決して引けを取らない相手だったにも関わらず、80~300ユーロ(約1万1000~4万円)ぐらいで、当日売りのチケットが出ていましたからね。いよいよ、コペンハーゲン、ロコモティブ・モスクワ、スポルティングCPとは一線を画す強敵、アーセナルを迎えるワンダもここまでのEL戦が満員御礼にならなかったという先例があるとなれば、結構、スタジアム窓口で買えてしまったりするかも。 ▽その辺はまだ3週間も先の話なので、情報が入り次第、お伝えしていくことにしますが、まずは今週の準々決勝2ndレグがどう決着したかを語っておかないと。いやあ、火曜は1stレグに4-1と快勝していたバルサが一体、何がどうしたんでしょうかね。スタディオ・オリンピコでは序盤にジェコに決められると、後半にはデ・ロッシがPKで、残り8分にはマノラスがセットプレーからヘッドで、両者共にカンウ・ノウで献上したオウンゴールの無念を晴らされて、総合スコアが4-4に。まさに先週末のリーガ、レガネス戦でハットトリックを挙げたメッシが1本でもこのローマ戦にゴールを取っておけばと思わせる展開で、結局、無得点に終わったバルサはアウェイゴール差による大逆転負けって、こんな奇跡があっていい? ▽おかげで翌水曜のお昼のニュースでは、宿敵のCL敗退に溜飲を下げているマドリー・サポーターの姿を何度も見たものですが、彼らもこの先、何が待っているのか知っていたら、きっとあんなに有頂天にはならなかったかと。というのもその夜、いえ、私も前日にドシャ降りの中、見学に行ったバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でのジダン監督とバランの会見や夕方、ベルナベウであったアッレグリ監督とブッフォンの会見でもほとんど、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)の可能性は話されていなかったため、むしろ恐れていたのは再び、ぶり返してきた寒さの方だったんですけどね。それが何と、同じイタリア勢でも4位のローマとは勝ち点差21をつけて、優勝が間近に迫っているユベントスだからでしょうか。前日の先制点より、全然早い開始1分18秒にはケディラのクロスから、カルバハルを軽々超えて、長身のマンジュキッチがヘッドで決めてしまったから、意表を突かれたの何のって。 ▽ただ、それでもまだ2点差ありましたし、13分にはイスコのゴールが怪しいオフサイドで認められないなんてこともあったため、じきに相手の攻勢も収まるだろうと私など、楽観視していたんですが、いえいえ、とんでもない。37分には再び、マルセロの守る左サイドからクロスを上げられ、またしてもマンジュキッチに頭で得点されてしまっては心落ち着かず、ハーフタイムに定番のボカディージョ(スペイン風バゲットサンド)を食べることもできないファンがいても仕方なかったかと。さすがこれにはジダン監督も「Hay que cambiar algo/アイ・ケ・カンビアール・アルゴ(何かを変えないといけない)」と思ったそうで、マドリーは後半頭から、ベイルとカセミロを下げ、ルーカス・バスケスとアセンシオを投入したものの…。 ▽悪夢が現実になったのは後半15分、この日、ユベントスの攻撃を牽引していたドグラス・コスタが入れたクロスをGKケイロル・ナバスがしっかり掴めず、詰めていたマトゥイディに押し込まれてしまったんですよ。いえ、バルサとは違い、これで総合スコアは互いにアウェィゴールでの3-3ですから、あくまでユベントスはprorroga(プロロガ/延長戦)に持ち込める権利を得たに過ぎないんですけどね。おそらく、それで安心してしまったのでしょうか。その後の彼らは4点目を奪いに行くことより、失点を避けることを優先したのを大いに悔やむことに。 ▽ええ、いよいよ試合も後半ロスタイムに入り、その頃には出場停止でこの試合に出られず、ソンブレロ(帽子)を被ってパルコ(貴賓席)で優雅に観戦していたセルヒオ・ラモスも危ないと思ったか、ベンチ脇にあるトンネルから檄を飛ばしていたんですけどね。私も厚めのヒートテックを着てきた先見の明に感謝しながら、更なる30分の長丁場に耐える覚悟を決めていたところ、何と48分、クリスチアーノ・ロナウドが頭で落としたボールをゴール前に受けに行った身長172センチ、体重70キロのルーカス・バスケスが190センチ、92キロのベナティアに後ろから足を回されて転倒。ペナルティの笛が吹かれるって、こんなラッキーな出来事があっていい? ▽というのもこのプレー、専門家でも意見が分かれる程、判断が微妙で、アッレグリ監督などはCLにVAR(ビデオ審判)がないのを嘆いていましたけどね。もちろんルーカス・バスケスは「Es penalti claro/エス・ペナルティ・クラーロ(明らかにペナルティだ)。ボールをコントロールしようとした時、敵CBに倒されたんだからね」と正当性を主張、対するベナティアは「自分の太ももが触れたけど、接触は最小限で、これはサッカーの一部」と互いの言い分が相反するのは当然で、ユベントスの選手たちも主審を取り巻いて猛抗議をしたところ、何とGKブッフォンがレッドカードで退場させられてしまったから、逆転突破の夢もここでジ・エンドに。 ▽だってえ、どの選手が蹴ってもPKが入らない弟分のヘタフェじゃあるまいし、キッカーはあのロナウドですよ。代わりのGK、シュチェスニーが用意する時間も含め、4分程、間があったため、当人も「Los minutos antes de tirar el penalti se hicieron eternos・ロス・ミヌートス・アンテスデ・ティラール・エル・ペナルティ・セ・イシエロン・エテルノス(PKを蹴るまでが永遠に感じられた)」と言っていたものの、大丈夫。ドサクサに紛れ、ユベントスの選手たちが入れ替わり立ち替わり、PKマーク付近をスパイクで荒らしていたのもモノともせず、しっかり総合スコア4-3で準決勝進出を決めるゴールを挙げているのですから、歓喜の余り、またユニフォームを脱いで、自身の筋肉を見せつけていたって、ここはもう褒めるしかないかと。 ▽え、ロナウドは昨夏、スペイン・スーパーカップ1stレグでもユニを脱いで、それが2枚目のイエローカードだったために退場。更に5試合の出場停止処分を受けていなかったかって?いやあ、そこは少し学んだようで、この日はまだカードをもらっていませんでしたし、大会通算でも2枚目。累積枚数にはならない上、準決勝では全員ゼロからスタートになるって知っていたんでしょうね。おかげで心いくまでゴールを祝うことができたんですが、ラモスの方もスタッフが必死に止めて、ピッチレベルまで上がらなかったため、UEFAのお咎めがなかったのは幸い。何せ、バランとバジェホのCBコンビではその日のように、大物相手では頼りないのが発覚してしまいましたからね。準々決勝こそ、2ndレグは0-0で、セビージャのオウンゴール2本で勝った1stレグのおかげで突破したバイエルンとはいえ、レバンドフスキを前にラモス抜きで戦うなんて、想像したくもありませんって。 ▽そして試合後は、「Si hay penalti, lo hay. Pasamos y estamos contentos/シー・アイ・ペナルティ、ロ・アイ。パサモス・イ・エスタモス・コンテントス(ペナルティがあると言われればある。ウチは突破して満足だ)」(ジダン監督)というマドリーだったんですが、マルセロなどからは「no nos iba a pasar como al Barcelona porque somos el Real Madrid/ノー・ノス・イバ・ア・パサール・コモ・アル・バルセロナ・ポルケ・ソモス・エル・レアル・マドリッド(バルサみたいにはならないよ。ウチはレアル・マドリーだからね)」なんて、ちょっと調子に乗ったコメントも聞かれたんですが、ミックスゾーンで誰より吠えていたのはブッフォンだったかと。 ▽ええ、最初は放映権のあるTVカメラ、次になしのTV、イタリアのラジオ、最後は新聞記者たちの前で、「93分にあんなペナルティを取るなんて、人間のやることじゃない。彼はキラー、アニマルだ。ハートの代わりにゴミバケツを持っている」と各所で主審批判をリピート。うーん、世間から、CLの試合はこのマドリー戦が最後となるだろうと言われていた彼ですから、有終の美を飾れなかったのが悔しいのはわかりますけどね。あの手のジャッジは時の運ですし、昨季もバイエルン相手の準々決勝2ndレグ、延長戦にもつれ込みながらも勝ち抜けを決めたマドリーですから、やっぱり残り30分に畳かけず、120分勝負に懸けたユベントスの戦略にこそ、敗因があったんじゃないかと私など、思ってしまうんですが…。 ▽え、それで木曜にスポルティングとの2ndレグを戦ったアトレティコはどうしたんだって?うーん、リスボンは大雨だったからですかねえ。1週間前のワンダとは違い、相手にガンガン攻めてこられた上、パスが3回と繋がらない惨状にとうとう、普段は見て見ぬ振りをしている番記者たちも試合後は「就任して以来、最低の試合だったのでは?」と記者会見で尋ねざるを得ない始末。それには「この6年間、もっとひどい試合はあったが、comparto que estuvimos tremendamente imprecisos en el primer tiempo/コンパルトーケ・エストゥビモス・トレメンダメンテ・インプレシソス・エン・エル・プリメール・ティエンポー(ウチが前半、恐ろしく正確さを欠いていたという意見には同意する)」と答えていたシメオネ監督ですけどね。 ▽もうホント、私だって、視界が悪くてスポルティングの緑のユニと芝生の区別がつきにくいのだろうとか、濡れた髪でヘディングすると滑って狙いが狂うんだろうとか、TVを見ながら、自分で自分に言い訳するのがどんなに苦しかったことか。どうやらコケなどに言わせると、「相手もプレーしているんだから、hay veces que no es culpa tuya/アイ・ベセス・ケ・ノー・エス・クルパ・トゥジャ(自分たちのせいじゃない時もある)」そうですが、何せ、1stレグでは2-0で勝利しているとはいえ、バルサやマドリーの先例がありましたからねえ。GKオブラクの奮闘も空しく、とうとう前半27分、彼が弾いたクロスをノーマークだったモンテロに決められてしまった時にはどんなに背筋が凍ったことか。 ▽おまけにリュカは前半の接触プレーで顔を強打され、後半からはベルサイコが出場していたのに加え、5分にはダッシュをかけた際にジエゴ・コスタが左太ももを痛め、交代要請って一体、どこまでアトレティコは祟られている?それでも幸い、この時は先日、今季限りのアトレティコ退団宣言をしたフェルナンド・トーレスがアップなしで入り、更にスポルティングも「70分までウチは素晴らしい試合をしていたが、リスクを犯して点を取りにいかないといけない時間帯になり、アトレティコがスペースを得てチャンスを作った」(ジェズス監督)という状態になったため、そのまま試合は1-0で終了。総合スコア2-1で逃げ切りましたが、30分過ぎにグリーズマンが迎えたGKルイ・パトリシオとの1対1の好機にシュートを決めていてくれれば、あそこまでファンをヒヤヒヤさせることもなかったはずでよ。 ▽まあ、内容はともかく、今はアトレティコがリヨンへの道から外れなかったことを喜んでいればいいんですが、気になるのはコスタのケガがいつ治るのか。一応、全治2週間という報が金曜の検査の後、出ていましたが、4年前は負傷から復帰の後、リーガ優勝が決まった最終戦でもCL決勝でもすぐ再発させて、序盤で交代という黒歴史の持ち主ですからね。今週末、日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、ワンダ初のDia del Nino/ディア・デル・ニーニョ(子供の日)が祝われるレバンテ戦はもちろん、アーセナルとの2試合もあまり期待しない方がいいかも。ちなみにもう1つのEL準決勝はオリンピック・マルセイユvsザルツブルクで、前者にはライプツィヒとの準々決勝2ndレグでチームの5点目を挙げた酒井宏樹選手、ラツィオを大逆転で退けた後者には南野拓実選手がいるため、どちらが勝っても決勝に必ず日本人選手が参加するっていうのは楽しみですね。 ▽そして他のマドリッド勢の週末の日程は土曜にレガネスがセルタとブタルケで対戦。日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにエスパニョールを迎えるヘタフェ同様、残留をほぼ達成してしまったため、このところ2連敗とモチベーションを奮い立たすのが難しいようですが、せめてホームゲームではいいプレーをして、サポーターを喜ばせてあげてほしいかと。兄貴分のマドリーは日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、降格決定が秒読みに入っている最下位マラガとのアウェイ戦ですが、ユベントス戦で負傷したモドリッチ共々、金曜のセッションでグラウンドに姿を見せなかったカルバハル辺りはお休みしそうです。 ▽実際、バルサとは勝ち点差15とすでにリーガ優勝の望みは失くしている彼らですが、一応、前節にバレンシに奪われてしまった3位の座は取り戻したいですからねえ。来週はミッドウィークの水曜にアスレティック戦をこなした後、週末21日にコパ・デル・レイ決勝が開催。そのファイナリストであるセビージャとの対戦が先送りにされているため、バイエルン戦1stレグまでの丸々1週間、調整に使えるのは羨ましい限りですが、ジダン監督がどんな風にロナウドやクロース、カセミロらをローテーションしてくるのか、ちょっと興味が湧くところでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.14 21:45 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】2位争いは盛り上がらない…

▽「ここまで冷遇されるなんて」そんな風に私が呆気に取られていたのは月曜日、マドリーダービーで見逃したシーンでもないかと、楽しみお昼のニュースをつけたところ、最初に始まったのはMotoGP、アルゼンチンGPで走行中、ヴァレンティーノ・ロッシにぶつかって転倒させたマルク・マルケスとの度重なる諍いの件。続いてはバレンシアの闘牛場で開催されたデビスカップ準々決勝第2戦でフェレールが熱闘の末、コールシュライバーに勝利、スペインがドイツを破って準決勝進出を遂げた件で、いえ、このテニスの国別対抗戦には金曜にバルサのピケが見学に来ていたなんて話もあったんですけどね。 ▽いよいよ次こそは身構えていたところ、マスターズで4位になったスペイン人ゴルファーのジョン・ラームの映像が流れた日には、どうしたらいいものか。だってえ、サッカー至上主義のこの国で番組開始から15分以上、ほっておかれるなんて、バルサとエスパニョールのカタルーニャダービー、アスレティックとレアル・ソシエダのバスクダービー、セビージャとベティスのアンダルシアダービーと、スペインにはライバル意識の強いお隣さん同士の対決はいくつかあるものの、天下のマドリーダービーなんですよ。それがこの扱いって、どこまでレアル・マドリーもアトレティコもリーガで影が薄くなってしまったんだと、私も嘆くしかなかったんですが…。 ▽まあ、そこは気を取り直して、先週末のマドリッド勢を振り返っていくことにすると。トップバッターは土曜の午後1時という早い時間から、メンディソローサでアラベスと対戦したヘタフェだったんですが、やっぱり残留ほぼ確定という立場になってしまうと、今季は再昇格1年目のチームというのもあって、それ以上の野心を持つのが難しいんでしょうか。前半は両者無得点だったものの、後半3分にはラグアルディア、30分にもムニルと、2本のヘッドで点を奪われた彼らはそのまま2-0で敗戦。終盤にもらったPKもアントゥネスが外してしまい、とうとう今季9本中5本目のPK失敗って、ちょっと情けない感じがしますが、数年前には兄貴分のアトレティコも延々と入らない時期があったりしましたからねえ。 ▽こればっかりは練習不足を責めても仕方ないんですが、この日は前節のベティス戦でPKを弾かれてしまったポルティージョが累積警告で出場停止だったため、先発に抜擢された柴崎岳選手も後半17分で交代。あまり見せ場がなかったのも残念ですが、ボルダラス監督も「せっかくここまで素晴らしいシーズンを送ってきたのに、終盤で失速するのは痛ましい」と言っていたように、今週末日曜のエスパニョール戦を含めて、あと7試合、せめて半分ぐらいは勝てると、ファンもいい気分で夏を迎えられるんじゃないでしょうか。 ▽そして同じ土曜、夜の試合でカンプ・ノウのピッチに立ったのはレガネスだったんですが、いえ、普段はスルーしているバルサ戦を見に近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に入ったところ、顔馴染みのcamarero(カマレーロ/ウェイター)に「何しに来たの?」と驚かれてしまったなんてこともあったんですけどね。やはりアトレティコにもムリだったことを弟分に期待した自分が愚かだと前半から、思い知らされることに。ええ、相手もCL準々決勝ローマ戦の谷間ということで、イニエスタやジョルディ・アルバがベンチ待機だったですが、あの選手さえ、いればいいんですよ。まずは前半27分、CBシオバスが絶対、やってはいけないエリア前右側でファールを犯し、そのFKをメッシが直接決めてバルサが先制。丁度、1カ月前、首位との直接対決に張り切って乗り込んだアトレティコもこれでやられたっけと、悔しさを反芻していたところ…。 ▽ええ、後でガリターノ監督も「Nuestro error ha sido no saber dar dos pases seguidos/ヌエストロ・エロール・ア・シードー・ノー・サベール・ダール・ドス・パセス・セギードス(ウチのミスはパスが2本と続かなかったこと)」と反省していたんですけどね。レガネスは32分にもコウチーニョからパスをもらったメッシに再びゴールを奪われてしまったんですよ。それでも後半、リードして相手の気が緩んだのか、少しは攻められるようになってきたため、しばらく様子を伺っていると、何と23分にはエル・ザールがGKテア・シュテーゲンを破ってくれたから、期待度が再び上昇。でもねえ、最後はやっぱりメッシでした。残り3分、GKクエジェルの体をヒョイと超えるチップキックで3点目を取られてはどうしようもありませんって。 ▽結局、3-1と負けてしまい、ハットトリックを挙げた好調メッシの引き立て役で終わってしまったレガネスでしたが、まあこちらも降格圏とは勝ち点13と残留はほぼ確定していますからね。ヘタフェ同様、この土曜のセルタ戦からまた気を取り直して、いい試合を見せてくれればいいんですが、ボルダラス監督共々、ガリターノ監督も今週は契約更新の交渉が進展しそうな雰囲気です。 ▽そして翌日曜はお昼を食べてから、サンティアゴ・ベルナベウへ向かった私でしたが、確かにスタジアム周辺にもいつもの宿敵対決の盛り上がりは見られず。もちろんアトレティコファンも一定数、応援に駆けつけていたものの、fondo norte/フォンド・ノルテ(北側ゴール裏)3、4階のスタンドが赤白で埋め尽くされることはなく、マドリーが用意したモザイクもfondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏)限定だったため、初めてマドリーダービーを見た人はちょっと肩透かしを感じたかも。加えて、フィールドプレーヤーが15人しかおらず、ローテーションする余裕のないアトレティコはともかく、ジダン監督など、水曜のCL準々決勝ユベントス戦2ndレグを見据えて、ベンゼマ、イスコ、モドリッチ、カセミロを先発させませんでしたしね。 ▽とはいえ、そこはシメオネ監督も「Creo que el Madrid tiene la mejor plantilla del mundo/クレオ・ケ・エル・マドリッド・ティエネ・ラ・メホール・プランティージャ・デル・ムンド(マドリーは世界一の選手層を持っていると思う)。PSGより、マンチェスター・シティより、バルサよりもいい」と認めていたマドリー。おかげで前半から、GKオブラクはクリスチアーノ・ロナウドの2本やカルバハルのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)しなければならなかった上、アセンシオやマルセロらの試みはゴール枠に助けてもらう羽目に。対照的にアトレティコ唯一のチャンスはジエゴ・コスタが作ったんですが、こちらもGKケイロル・ナバスが見事なセーブを披露。惜しむらくは41分、トマスのパスから、ビトロが1人で抜け出し、シメオネ監督も思わずテクニカルエリアを一緒に走り出す程、最高のカウンターが発動しながら、自陣からスタートしたのを気づいてもらえず。オフサイドの笛を吹かれてしまったため、敵エリアまで行きつけなかったことでしょうか。 ▽そんな調子で0-0のまま始まった後半は、うーん、ジダン監督と約束した60分が迫ってきたからですかね。8分にはベイルが左サイドから上げたクロスをリュカがクリアできず、そのボールをロナウドがしっかりvolea(ボレア/ボレーシュート)で決めてしまったから、場内のマドリーファンは大喜びすることに。するとその途端、アトレティコが豹変したんです。ええ、「Tras su gol tuvimos que subir nivel y el ritmo/トラス・ス・ゴル・トゥビモス・ケ・スビール・ニベル・イ・エル・リトモ(彼らのゴールの後、ウチはレベルとリズムを上げた)」(グリーズマン)そうで、4分後には敵エリアに迫ると、ビトロのシュートは弾かれたものの、そのこぼれ球をグリーズマンがシュートして同点に。得意満面で娘のミアちゃん、2歳のバースデーを祝うダンスを踊っていたから、私もホッとしたの何のって。 ▽え、だったら最初から積極的にやっていれば、点だってもっと早く取れていたんじゃないかって?うーん、そうなんですが彼らにも事情というものがあって、火曜にCL戦を済ませたマドリーと違い、木曜にEL準々決勝1stレグがあったアトレティコは翌日など、自転車漕ぎぐらいで、前日土曜も練習はたった30分。いつもはファンのため、必ず車を止めてくれるコケですら、直帰してしまう程、体力に余裕がありませんでしたからねえ。その彼のエリア内から撃った渾身のシュートもナバスに阻止されて間もなく、一気呵成の攻撃も終了。シメオネ監督は満足していませんでしたが、ロナウドがベンゼマに交代したものの、モドリッチやイスコを投入してきたマドリーに2点目を許さず、ロスタイムのセルヒオ・ラモスのFKも「es un cancerbero que da puntos/エス・ウン・カンセルベーロ・ケ・ダ・プントス(勝ち点を稼いでくれるGK)」(サウール)であるオブラクがはじき出し、引き分けただけでも褒めてあげないといけないかと。 ▽その一方でアトレティコもコスタを早々に引っ込め、ガビを入れて守備態勢に移行していたため、こちらも木曜のスポルティング戦2ndレグを優先したと言えなくはないんですが、どちらにしろ、この結果でリーガ首位との差は11にまた拡大。ええ、およそ4試合分で、サルールも「今季は1度も負けていないバルサがこれだけの試合を落とすのは変だろう」と言っていたように、逆転優勝を考えるのは完全な夢物語になってしまいましたが、少なくともお隣さんとの4ポイント差を維持できたのは良かったかと。ただし、今度はマドリーに代わってバレンシアが3位に浮上、3ポイント差と近づいていますからね。あと7試合、2位をキープするのも結構、大変かもしれません。 ▽そして今週はマドリーが過密日程に苦労する番で、水曜のユベントス戦まではたったの中2日。幸い、ダービーで足首を捻ったルーカス・バスケスは軽傷のようですが、土曜の練習で筋肉痛を起こし、せっかくの先発出場の機会をフイにしたバジェホの容体が気遣われています。何せ、今回はラモスが出場停止、ナチョは全治1カ月のケガとあって、使えるCBが減っていますからね。実を言うと、あまりバランの連投もお勧めじゃないんですが、バジェホが出られない場合、カセミロが代役という緊急事態も想定されるかと。 ▽とはいえ、1stレグはアウェイで0-3と快勝、シメオネ監督も「cuando se le prende la luz de la Champions tienen una fuerza diferente/クアンドー・セ・レ・プレンデ・ラ・ルス・デ・ラ・チャンピオンズ・ティエネン・ウナ・フエルサ・ディフェレンテ(CLのライトがつくと違う力を発揮する)」と太鼓判を押していたマドリーですからね。相手はセリアA前節のベネベント戦でハットトリックを挙げ、2-4の勝利に貢献したディバラも出場停止となれば、ジダン監督は「Vamos a sufrir mucho, nos jugamos la temporada/バモス・ア・スフリール・ムーチョ、ノス・フガモス・ラ・テンポラーダ(苦労するだろう。ウチはシーズンを懸けているのだから)」とあくまで慎重だったものの、水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのサンティアゴ・ベルナベウではあまり心配しなくてもいいかも。 ▽アトレティコの方は木曜午後9時5分(日本時間翌午前4時5分)から、リスボンでスポルティング戦2ndレグとなるんですが、メンバー的にはもういつも同じとしか言えなくて、唯一、回復を待たれているのはヒメネス。ベルサイコはすでにマドリー戦でベンチに戻っています。一応、1stレグでは2-0で勝っていますし、向こうはその試合の後、会長がやる気のないことを理由に19人の選手を業務停止処分にしたり、それが日曜のパソス・デ・フェレイラ戦では解除されて、2-0で勝ったものの、何だかゴタゴタしているみたいですしね。その試合でゴールを決めたエースのドン・バストも出場停止ですし、真面目に守って0-0でもいいアトレティコには有利なはずではあるんですが…。 ▽それをいい機会と思ったか、月曜になって、いきなり出たんです。LG(韓国の携帯メーカー)のコマーシャルイベントに出席したフェルナンド・トーレスから、「今季限りで退団」のコメントが。そう、極限人数になっているアトレティコですが、FWだけは多いため、ダービーでもプレーする機会がなく、最近は出番がめっきり減っていたというせいもありますが、シーズンが終わるのを待たずに当人が意志を表明したのは、「Me sentía en la obligación de decírselo a la afición/メ・センティア・エン・ラ・オブリガシオン・デ・デシールセロ・ア・ラ・アフィシオン(ファンに言う義務を感じたから)」だからだとか。まだ来季の行き先は決まっていないそうですが、2007年にリバプールに移籍する前も2016年にミランからレンタルで戻って来てからも、アトレティコでは1つもタイトルを獲得できていない彼ですからね。 ▽寝耳に水だったクラブもこの報を聞いて即、5月20日の週末にあるリーガ最終節のエイバル戦をトーレスのお別れ記念試合にすることを発表したんですが、折しもその直前の16日にあるのはリヨンでのEL決勝。2年前のCL決勝では涙を呑んだものの、せめてここで優勝杯を掲げ、それを置き土産に愛するチームを去ることができれば、最高だと思いますが、さて。ええ、トーレスはCLもELもチェルシー時代にゲット、スペイン代表でも2008年から2012年までのユーロ、W杯、ユーロ3連覇メンバーでしたからね。最後のお勤めとして、きっとこの先、佳境に入ったELではその経験を生かしてくれると私も信じています。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.10 19:15 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】もう準決勝のことを考えてもいい?

▽「痛いところを突かれてしまった」そんな風に私が反省していたのは木曜深夜、すでに日付の変わったワンダ・メトロポリターノのミックスゾーンでのことでした。いえ、今回の相手は冬休みを終えたばかりの北国のチームではなく、よく見れば2016年ユーロで優勝したGKルイ・パトリシオまでいるポルトガルの名門。試合前にはクリスチアーノ・ロナウドが宿泊先のユーロスターホテルを訪れ、レアル・マドリー時代から仲の良いコエントランのいる古巣を鼓舞したなんて話も伝わっていただけに、不安も少しだけあったんですけどね。 ▽それも幸い杞憂となり、アトレティコはスポルティング戦を無事に切り抜けたため、私もホッとして、ジエゴ・コスタやグリーズマンが母国語で話しかけてきた新聞記者たちに答えていたのに合わせ、各局のTVカメラもそちらに移動。間が悪くも時同じくして、映像メディア用のお立ち台に現れたコケの前は閑散としていたなんて出来事もあった後、ようやく登場したのは、帰り支度の遅さではマドリーのセルヒオ・ラモスといい勝負のフアンフランだったんですが、やはり外せない質問はこの日曜のマドリーダービーについて。 ▽現在、アトレティコはマドリーに勝ち点差4をつけているものの、「No podemos salir al Bernabeu pensando que si perdemos seguimos segundos/ノー・ポデモス・サリール・アル・ベルナベウ・ペンサンドー・ケ・シー・ペルディモス・セギモス・セグンドス(負けても2位のままだなんて考えて、ベルナベウのピッチに出ることはできない)」とは随分、頼もしいじゃないですか。ええ、リーガは2位でも3位でも、それこそ今季からは4位でもCLグループリーグ直接出場権をもらえるため、実利的な面ではどうでもいいんですが、そこはお隣さんの上で終わりたいというライバル意識からでしょうか。私など、結果に関わらず、順位は変わらないというのを負けた時の慰めに取っておいたぐらいだったんですが、そうですよ。やっぱりダービーとなれば、絶対、勝つ気で挑まないと。 ▽まあ、その辺はまた後でお話ししますが、今週はいよいよヨーロッパの大会も佳境に入り、準々決勝1stレグが行われたミッドウィークはまず、火曜にマドリーがアウェイでユベントスと対戦。折しも昨季のCL決勝で1-4と下して2連覇を遂げた相手だったせいか、ジダン監督もゲンを担いだんでしょうかね。そのカーディフでの一戦と同じメンバーをリピートしたんですが、これがまさに大当たりすることに。ええ、開始3分にはイスコのラストパスをロナウドが押し込み、早々にGKブッフォンを破ってしまったから、驚いたの何のって。 ▽とはいえ、ユーベもそこで気落ちすることなく、前半残りは追加点を奪われこそしなかったものの、後半19分にはクライマックスが訪れます。起点はロナウドで、ルーカス・バスケスが撃ったシュートはGKブッフォンに弾かれてしまったんですが、カルバハルがクロスを上げて、ボールがエリア内に戻ったところ、ゴールに背を向けていたロナウドが飛翔。打点2メートル21センチという高みから、chilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)を見事に決めた日には、敵側のファンまでが拍手を送ってしまったのはムリもない?ええ、これには念願のオーバーヘッドでのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)をゲットした当人も、「ユベントスのファンにお礼を言わないと。自分のキャリアの中でこんな素晴らしいことがあったのは初めてだ」といたく感動していたようですけどね。 ▽ユーベにとって、泣きっ面に蜂だったのはその2分後、ディバラが2枚目のイエローカードをもらって退場してしまったことで、うーん、せめて1点でも返して、1-2で2ndレグを迎えるのだったら、まだremontada(レモンターダ/逆転)の目もありながら、この時点で2ndレグでも貴重なアタッカーを失ったのは大打撃だったかと。そこへ、27分にはロナウドのアシストでマルセロがGKの上を越えるチップキックで3点目を入れてしまったとなれば、40歳のブッフォンが「CL優勝というボクの夢を果たすのは不可能だ。世界一の選手が邪魔するのだから」と嘆いていたのも当然だった?「ウチには必要なツキがなかった」というアッレグリ監督の意見もありますが、やはり今季、唯一、残ったタイトル獲得のある大会でのマドリーは別格。リーガと違い、惜しむところなく、実力全開でプレーするのが強さの秘訣でしょうか。 ▽え、ツキなさといえば、同日、サンチェス・ピスファンにバイエルンを迎えたセビージャに並ぶものはないんじゃないかって?そうですね、0-3という余裕のあるスコアで先勝したため、来週水曜の2ndレグではラモスが累積警告で出場停止になってしまったのもあまり痛くはないマドリーに比べると、せっかくサラビアのゴールで先制しながら、ヘスス・ナバス、エスクデーロのオウンゴールで1-2と逆転負けてしまったモンテッラ監督のチームは気の毒な面がなきにしもあらず。ただ、同様のことは翌水曜にも起きて、カンプ・ノウでローマもデ・ロッシとマノラスが味方のGKアリソンを破って、バルサに2点を献上、最後は4-1で負けてしまうことに。その日はリバプールもマンチェスター・シティに3-0と予想外の快勝をしたため、セビージャにはアリアンツ・アレナでの奇跡を祈るものの、どうやらCL準決勝はマドリー、バイエルン、バルサ、リバプールという面々になりそうな気配が濃厚かと。 ▽こうなると遅かれ早かれ、CLクラシコ(伝統の一戦)が実現しそうですが、もしCL準決勝で対戦となると1stレグが4月24、25日、2ndレグが5月1、2日。丁度、その直後の週末がリーガのバルサvsマドリー戦となるため、クラシコ祭りを避けるには5月26日のキエフで顔を合わせるというのが、シナリオ的にベストかもしれませんが、さて。2014年、2016年とダービー決勝ではお隣さんに連勝したマドリーとはいえ、クラシコ決勝は私もまだ見たことがないですしね。アッレグリ監督が「今、最強のチームはマドリーとバルサ。ロナウドとメッシがいるからで、それは大きなアドバンテージだ」と称えていた両選手だって、もうどちらも30歳越えしているため、今季はCLで雌雄を決する最後のチャンスになるかもしれませんよ。 ▽そして翌木曜はワンダでアトレティコのEL準々決勝1stレグを見た私ですが、少し早めに行ったところ、ようやくスタジアム周りの下段、オフィシャルストア並びにレストランがオープンしたのを発見。これまで試合前に飲食をするにはメトロ(地下鉄)7号線の最寄り駅、エスタディオ・メトロポリターノ駅の1つ手前、ラス・ムサス駅からスタジアムに向かう道の途中にあるバル(スペインの喫茶店兼バー)に寄るか、マッチデーだけオープンするフードトラックを利用するしかなかったんですが、このGradona(グラドナ)というお店は年中無休だそうで、スタジアムツアーに来た際などに喉を潤すのに便利かと。 ▽一方、ポルトガルからスポルティングファンが3600人程駆けつけ、ELには冷たかったホームのサポーターもかなり増えた試合では、もしや火曜のお隣さんの速攻に刺激されたんですかね。こちらは何と、キックオフからたった24秒、CBコアテスのエリア前での横パスをコスタが奪い、そこからスペースに走り込んだコケがゴールを挙げて、アトレティコがあっという間に先制したから、呆気に取られたの何のって。どうやら、「una buena predisposicion para presionar en campo rival, algo que teniamos preparados/ウナ・ブエナ・プレディスポシシオン・パラ・プレシオナール・エン・カンポ・リバル、アルゴ・ケ・テニアモス・プレパラードス(敵陣でプレスをかけようと、ウチは準備していた)」というシメオネ監督の作戦が上手くはまったおかげだったようですが、でもねえ。 ▽39分に追加点が入った時もキッカケはもう1人のCB、マチューがサウールのパスをカットミス。今度はグリーズマンがボールを拾い、「Nosotros disfrutamos con los errores del rival/ノソトロス・ディスフルタモス・コン・ロス・エローレス・デル・リバル(ボクらは敵のミスを満喫している)」と2点目を入れてくれたのはいいんですが、こう太っ腹な相手にはなかなか出会えませんからね。むしろ、後半序盤、ルイ・パトリシオと1対1になったコスタが判断を誤り、3点目を奪えなかった方が問題かと思いますが、それにつけても有り難いのはGKオブラクの存在。ええ、前半もジェルソンのエリア内からのシュートを弾いて、同点のピンチを防いでくれましたし、後半ロスタイムにも同選手の強烈な一撃をparadon(パラドン/スーパーセーブ)って、救いの神とはまさにこのこと?こぼれ球はモンテーロが天に撃ち上げてくれたため、敵にアウェイゴールを与えず、アトレティコは2-0で試合を終えることができましたっけ。 ▽ただ、マドリーの3-0と比べると、ちょっと心もとない感じもあって、何せ来週木曜の2ndレグはリスボンのジョゼ・アルベラーデでの開催ですしね。シメオネ監督も「El 2-0 es importante/エル・ドス・ア・セロ・エス・インポルタンテ(2-0の結果は大きい)。今日と同じ態度であちらでもプレーするならね」と言っていた通り、スポルティングはエースのドン・バストとコエントランが出場停止になるとはいえ、まだまだ油断は禁物かと。おまけに勝負を決める3点目が取れなかったため、コスタもグリーズマンも残り数分までピッチにいたんですが、この日も終盤、選手たちの疲れが目立っていたように、今やフィールドプレーヤーはたったの17人。今季絶望のフィリペ・ルイス、代表戦での負傷がまだ治らないヒメネス、ベルサイコを除き、更に14人の超少数精鋭になっているアトレティコにはローテーションという単語はありませんからね。 ▽当然、日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのダービーでも同じ選手がプレーする他なく、逆にジダン監督のチームは休養日も2日多い上、ユベントス戦でベンチだったベイルや先発しなかったアセンシオ、ルーカス・バスケスら、体力満々のメンバーを使えるのはかなり不利かと。ケガ人もあちらはナチョしかいませんしね。余裕でマルセロやカルバハルが温存され、テオとリュカの兄弟対決が実現したりするのも微妙に悔しい感じがしますが、ダービーで消耗した選手たちが再び、EL準々決勝2ndレグでリピートするのはもっと怖い? ▽だってえ、コケなど「Es normal que nos den por favoritos por todo lo que hemos hecho en Europa estos anos/エス・ノルマル・ケ・ノス・デン・ポル・ファボリートス・ポル・トードーロ・ケ・エモス・エッチョー・エン・エウロッパ・エストス・アーニョス(ここ数年、ヨーロッパの大会でやってきたことから、ウチが優勝候補と見られるのは当たり前)」なんて、ひょうひょうとした顔で言っていましたが、同日はアーセナルがCSKAモスクワに4-1、ラツィオはザルツブルクに4-2で勝利と、得点力の高いチームはまだ残っているんですよ。32強対決はコペンハーゲン、16強対決はロコモティブ・モスクワに大勝したアトレティコでしたが、この先、厳しい試合が待っているとなると、彼らのスタミナがいつまでもつのか、憂鬱になってしまうんですが…。 ▽まあ、それはそれとして、この土曜にはマドリッドの弟分、レガネスがバルサに挑みますからね。実は今回、痛み止めを注射してローマ戦に出たブスケツが招集外、メッシもアルゼンチン代表合宿からの筋肉痛を引きずっていて本調子でなく、ベンチ待機となるかもしれないと聞いているため、こっそり首位との差が勝ち点9から縮まることを期待しているのは私だけ?お隣さんのヘタフェが今年、同じカンプ・ノウでの試合でスコアレスドローを勝ち取っているだけに現在、降格圏と15差と、まだ勝ち点は36ながら、ほぼ残留を達成しているレガネスだって、負けていられないっていうのは好材料になるかもしれません。 ▽そしてヘタフェの方は同じ土曜、午後1時(日本時間午後8時)から、ビトリア(スペイン北部の町)でアラベスと対戦なんですが、こちらも降格圏とは18差の11位と最低限の目標には達しているんですが、あと8試合あるとなれば、来季のEL出場権を得られる7位までの7差を詰める時間はまだあるかと。彼らの場合、アンヘルが当たってくれないと、なかなか勝利に結びつかないという傾向があるものの、ようやくボランチのベルガラも復帰。前節ベティス戦でとった不覚を挽回すべく、そろそろ柴崎岳選手の活躍も見たいところです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.07 13:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】夢はヨーロッパの大会で果たす…

▽「きっと火曜はマドリーファンで商売大繁盛ね」そんな風に私が想像していたのは月曜日、レアル・マドリーのトリノ入りはこの日の午前中とあって、先乗りレポーターもまだネタがなかったんでしょうね。マルカでもAS(スポーツ紙)でも、更にはお昼のニュースでも市内にある「ジダン監督がユベントス時代に行きつけだったレストラン」、Da Angelino(ダンジェ゛リーノ)を紹介。コックに扮した姿や産後間もない長男のエンツォ君を抱いた、まだ黒髪だった当人の写真、ユニフォーム、グッズなどのコレクションが沢山、飾られた店内に加え、当時、彼がよく注文していたというトマトソースとバジルのパスタ、リガトーニ・ア・ラ・ジダンなんて見せられた日には、あらやだ、何だか私まで行きたくなってしまったじゃないですか。 ▽そう、要はチームもファンも心待ちにしていたCL準々決勝ユベントス戦1stレグがいよいよ、やって来たということなんですが、まあ、首位と先週末、ちょっとは縮まったとはいえ、勝ち点差13のリーガでこの先、何がある訳もなし。となればもう、マドリーはCLに、勝ち点差が9になったアトレティコだって、キャプテンのガビが逆転優勝への展望を聞かれて苦笑していましたしね。こちらもヨーロッパリーグに懸けるのは当然ですが、折しも来季のCLとELの出場権を分ける4位と5位の差も15ポイントまで拡大。降格圏も該当3チームと残留ラインであるレバンテの差が7、その上は11差のアラベスですらから、ほぼ決まったようなものとあって、残り8試合ではELの3席を争う7チームはともかく、他はかなり焦点のぼやけた戦いになりそうなんですが…ええ、予兆はもうこの30節でも十分、見ることができましたっけ。 ▽とりあえず、マドリッド勢の前節を順番にお伝えしていくと、せっかくのセマナ・サンタ(イースター週間)ということもあり、私もセントロ(市内中心部)にプロセシオン(キリストやマリアの像が乗せられたスペイン風お神輿)を眺めに行った帰り、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で向かった土曜はマドリーがトップバッターとしてラス・パルマスとグラン・カナリア島でアウェイ戦。先週半ばまで各国代表でお勤めしていた選手も多かったため、出場停止のカルバハルに加え、クリスチアーノ・ロナウド、セルヒオ・ラモス、イスコ、クロース、マルセロらはお留守番と、火曜のCLを見据えて、ジダン監督は大幅なローテーションを実施したんですが、今回はあまり影響なかったかと。 ▽いえ、相手もまだ残留を諦めていないため、開始からしばらくは拮抗していたんですけどね。前半26分、モドリッチのスルーパスを見事な走りで追ったベイルが先制点を挙げると、39分にはラス・パルマスのFWカレリがルーカス・バスケスをエリア内で倒し、PKを献上してしまうんですもの。このPKは、うーん、ロナウドがいない時の担当はラモスかベイル、更にラモスもいなければ、ベイルが蹴るのが常道だと思うんですが、マルセロもいなかったため、この試合のキャプテンを任されたベンゼマがキッカーを務めるって、やっぱりキャプテン権限は絶大? ▽おかげでマドリーが2点リードしてハーフタイムを迎えることになりましたが、彼らは再開後も7分にルーカス・バスケスがチモ・ナバロに引っ掛けられて2つ目のPKをゲット。今度はベイルが決めて、0-3になったところで、あとは省エネモードに入ってしまったものの、何せ相手は実力的に「Al menos hemos tirado más que otras veces, y eso también es una buena noticia/アル・メノス・エモス・ティラードー・マス・ケ・オトラス・ベセス、イ・エソ・タンビエン・エス・ウナ・ブエナ・ノティシア(少なくともウチは他の試合より枠内シュートを撃った。それもいいニュースではある)」(パコ・ヘメス監督)という程度で満足しないといけない、18位のチームですからね。 ▽むしろ2点はPKで、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らわなかったことが、次節レバンテとの直接対決に挑む自信になったようでしたが、実は思わぬアクシデントに見舞われたのはマドリーの方だったんですよ。そう、前半途中、これまでのプロ生活、1度もケガをしたことがなかったナチョが太ももを痛めて交代。「Ha salido del campo por precaución/ア・サリードー・デル・カンポ・ポル・プレカウシオン(用心のためピッチを出た)」とジダン監督は言っていたものの、マドリッドに戻って検査したところ、全治3、4週間の重傷であることが判明しから、さあ大変! ▽彼はCBですが、両サイドのSBとしても常にカウントされている控えですからね。Aチームではカルバハル、バラン、ラモス、マルセロら、一流DFたちによるラインを形成できるマドリーとはいえ、このCL準々決勝中、誰かに何かあったら、一気に不安の種が増しかねないかと。そんなマドリーはそのナチョも連れて、トップチームメンバー全員でトリノに乗り込んだんですが、火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのユベントス戦1stレグで唯一、スタメン予想が立てられないのは1人のみ。いえ、前日記者会見で喋ったモドリチなどは、「Si juega Gareth o Isco, para mí es lo mismo/シー・フエガ・ガレス・オ・イスコ、パラ・ミー・エス・ロ・ミスモ(ベイルがプレーしてもイスコがプレーしても、ボクにとっては同じだよ)。どちらもチームの大きな戦力だ」と言っていましたけどね。 ▽実際、「代表でプレーする時の彼はおそらく違うのだろう。あちらでは8試合、ウチでは60試合あって、3日おきにプレーしないといけないのだから」というジダン監督のコメントもありますが、同じユベントスと戦った昨季の決勝で先発、マドリーのCL2連覇達成に大きく貢献したイスコも捨てがたいですし、ベイルもラス・パルマス戦で2得点挙げたばかりですからね。他にもアセンシオ、ルーカス・バスケスと候補はいるんですが、監督が「ウチはいい試合をするつもりだが、no tiene nada que ver con lo que pasó hace diez meses/ノー・ティエネ・ケ・ベル・コン・ロ・ケ・パソ・アセ・ディエス・メセス(10カ月前に起きたこととはまったく関係ないよ)」とも言っていたのは何かのヒントになる? ▽ちなみにユベントスのアッレグリ監督の予想はベイルでしたが、あちらではこの試合、ベナティア、ピアニッチが出場停止。ベルナルデツキはヒザの負傷、マンジュキッチは回復したものの、ベンチ待機となり、イグアインやディバラ、ドグラス・コスタらが前線を担うよう。マドリーサイドとして心配なのは、これまで決勝では2度、倒してきた相手ですが、2試合制の決勝トーナメントとなると、勝ち抜けたことがないことで、更には昨季、バルサが準々決勝でユベントスに負けてしまったなんて前例もありますからね。決して油断せず、すでにチケット完売となっている来週水曜、サンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグでファンが奇跡のremontada(レモンターダ/大逆転)を願わなくてもいい結果を持って帰ってくれるといいのですが。 ▽そしてまた、話をリーガに戻すと、翌日曜は私も久々のダブルヘッダー。まずお昼を食べてすぐ向かったのはマドリッド近郊にあるブタルケで、その日は風も弱く、夏時間になったこともあって、午後4時頃はまだ陽光が燦々と降り注いでいたため、ようやく寒い思いをせずに済んだんですけどね。バレンシアとの一戦は後半17分、ロドリゴがエリア外から撃ち込んだシュートにより、レガネスが0-1で惜敗してしまうことに。 ▽いえ、ガリターノ監督も「アウェイで取られたカウンターでの2ゴールを避けたかった」という理由で、彼らにしては珍しい5人DF制を採用。これには相手のマルセリーノ監督も「ellos jugaron con 5-4-1 y nos impedia progresar/エジョス・フガロン・コン・シンコ・クアトロ・ウノ・イ・ノス・インペデイア・プログレサール(彼らは5-4-1のシステムでプレーして、ウチが前に行くのを妨げた)」と戸惑ったのを後で告白していたんですけどね。ただ、そんな逆境も先日、スペイン代表のドイツ親善試合でゴールを挙げ、脚光を浴びたばかりのロドリゴの才能溢れる一発で解決してしまうんですから、やはりそこはCL出場を目指して作られたチームと残留すればOKのチームの差? ▽おまけにどちらもすでに目標をほぼ果たしていたため、ゲームの展開もそこはかとなく、倦怠感が漂っていない気もしなくはなかったんですが、次節のレガネスは来週土曜にカンプ・ノウでのバルサ戦。折しも相手はCL準々決勝ローマ戦の谷間とあって、前日は残り30分で登場、2点差を追いついて、セビージャと2-2で引き分ける原動力となったメッシもお休みするかもしれませんしね。「No nos vamos a relajar, iremos a muerte en cada partido/ノー・ノス・バモス・ア・レラハール、イレモス・ア・ムエルテ・エン・カーダ・パルティードー(ボクらはリラックスしない。どの試合も全力で行くよ)」(ディエゴ・リコ)という言葉通り、レガネスが勝ち点1でも取ってくれれば、兄貴分たちから先々、感謝されることになるかも…いや、むしろクラシコ(伝統の一戦)でバルサ戴冠を見せられる方が迷惑とか、マドリーからは言われちゃいますでしょうか。 ▽そしてブタルケを後にした私はセルカニア(国鉄近郊路線)のサラケマダ駅からセントロに戻り、メトロ(地下鉄)を乗り着いで1時間10分程。ワンダ・メトロポリターノに無事到着したんですが、そういえば、先週はここで、アルゼンチンに6-1と大勝した夢のようなスペイン代表の親善試合を見たのよねと思い出す暇もあらばこそ。その時、先制点を挙げたジエゴ・コスタが大事をとって、デポルティボ戦では控えだったのもあるんですが、まさか19位のチームにアトレティコが攻め込まれる破目になろうとは。それでも幸い、ルーカス・ペレスのシュートは2本ともGKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。無失点のままでいたところ、どうやら最近は彼らのPK運も変わったんですかね。 ▽前半33分にはFKからのボールを争った時、サウールが「Primero me agarra el a mi/プリメーロ・メ・アガラ・エル・ア・ミー(最初、彼がボクを引っ張った)。それで自分も引っ張り返したんだけど」(モスケラ)という状態で倒れ、ペナルティを吹いてもらえたため、ガメイロがPKを決めて、先制点を奪っているんですから、驚いたの何のって。ただそれ以降、チャンスらしきものも、後半15分過ぎにフアンフアン、ベルサイコの右SB同時負傷のため、トップチームデビューしたカンテラーノ(アトレティコBの選手)のイサークがポジションをトマスに譲り、コスタと交代。その彼のシュートがゴールポストをかすめたぐらいしかなかったんですが、逆に心臓に悪いシーンはいくつもあったんです! ▽ええ、もうその頃にはボールを受けるたび、即効ロストするコレアに対するpito(ピト/ブーイング)もだんだんボリュームが上がっていたんですが、23分など、ボルハ・バジェがアトレティコ陣内を独走。オブラクと1対1となる寸前、爆走で追いついたリュカのタックルで間一髪、ピンチを脱した時なと、またドローになるのかと予感したファンはきっと、私だけではなかったはず。そこへトマスまでふくらはぎがつってしまい、コスタとフェルナンド・トーレス以外、Bチームの選手しかいなかったベンチから、20歳のモヤまで駆り出されたため、ロスタイムの3分など、永遠のように感じられたものでしたが…。 ▽大丈夫、最後は崖っぷちにいるデポルティボに余裕がないのが有利に働いたか、彼らの反撃は実を結ぶことなく、アトレティコはそのまま1-0で逃げ切りに成功。いやあ、試合後、シメオネ監督は「ボールロストは別として、誰よりリスクを取って、ドリブルとか仕掛けていた。Creemos mucho en el/クレエエモス・ムーチョ・エン・エル(彼のことは大いに信頼している)」とその日、散々だったコレアを庇っていたんですけどね。あんなではワンダでの開催にも関わらず、スペイン戦でアルゼンチン代表のサンパオリ監督が、ご当地選手の彼をベンチ見学に留めていたのも仕方なかったかと。 ▽そうは言っても、アトレティコもタイトル獲得の望みが唯一、残った木曜午後9時5分(日本時間翌午前4時5分)からのEL準々決勝スポルティング戦1stレグでは、デポルティボ戦で出場停止だったグリーズマンがプレーできますからね。おそらくファンフラン、ベルサイコのどちらかも出られるはずなので、リーガではもう、お隣さんの上で2位になるぐらいの野望しかない彼らもちょっとはマシなプレーを見せてくれるはずですが、はあ。試合をすればまた、ケガ人が出るかもしれませんし、正直、日曜のマドリーダービーが怖いですよ。 ▽え、前節は月曜夜の日程に当たったもう1つの弟分、ヘタフェはどうしたんだって?いやあ、こちらもレガネス同様、残念なことになってしまって、実はこのベティス戦、序盤にアンヘルが2度もチャンスを失敗したのを見た時から、イヤな予感はしたんですけどね。ハーフタイム前、セットプレーから入った当人のゴールもオフサイドで認めらえなかったものの、やはり明暗を分けたのは後半19分、エリア内でのアマトのハンドによりもらったPKをポルティージョがGKアダンに弾かれ、その跳ね返りを押し込もうとしたシュートも体で防がれてしまったプレーでしょうか。 ▽更にアントゥネスのFKがゴールポストに阻まれた後、43分にはおそらく、ポゼッション主体でスピードのない相手に油断してしまったんですかね。カウンターからバラガンにエリア奥まで持ち込まれ、折り返しのパスをセルヒオ・レオンに決められてしまうんですから、平日の遅い時間、しかも雨が降りだしたにも関わらず、応援を続けていたファンがどんなにショックを受けたことか。うーん、ロスタイムにはCKからカブレラのヘッドが炸裂し、アダンが掻き出したものの、実はゴールラインを越えていたという疑惑のプレーもあったんですけどね。 ▽審判が認めてくれず、リーガにはまだVAR(ビデオ審判)もホークアイもないため、スコアは0-1のまま、試合は終了。ええ、残り10分に「PK失敗を悔んで、no paraba de mirar al cielo/ノー・パラバ・デ・ミラール・アル・シエロ(天を見上げてばかりだった)」というポルティージョと交代で入った柴崎岳選手の見せ場もなく、これで7位と勝ち点差7となったヘタフェはEL出場権争いから一歩後退してしまうことに。どうやら残り8試合、ダレずに来季に繋がるような試合をするのがマドリッドの弟分たちの課題になりそうです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.04.03 13:00 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】でも過信は禁物…

▽「具合が悪いんじゃ仕方ないけどね」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、paron(パロン/リーガの停止期間)明けのラス・パルマス戦を控え、久々にレアル・マドリーのジダン監督の会見を聞いた時のことでした。いやあ、先日のスペイン戦の前にはアルゼンチンのサンパオリ監督が、これでもかというようにメッシについて質問されていたんですけどね。今度はその親善試合のヒーローにお鉢が回り、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場プレスルームではやたら、イスコの名前ばかりが聞こえてくることに。 ▽そして、その当人はというと、まあ、もちろん最近はクラブの方で2試合連続先発など、ずっとなかったことなので、ドイツ戦、アルゼンチン戦に続けて出たのが堪えたのか、水曜からジムごもり。ジダン監督よると、180分間フル出場し、丁度、この30日に32歳のバースデーを迎えたセルヒ・ラモス同様、体に痛みがあるため、土曜のグラン・カナリア(ラス・パルマスのホームがあるカナリア諸島)遠征には同行しないそうなんですけどね。スペイン代表に比べ、マドリーでのプレゼンスが低いのは、「No es un problema de Isco/ノー・エス・ウン・プロブレマ・デ・イスコ(イスコの問題ではない)。問題はウチには25人の選手がいて、プレーできるのは11人だけということ」(ジダン監督)とはいえ、折しもポルトガル代表のお勤めを果たしてきたクリスチアーノ・ロナウドはミッドウィークのCLユベントス戦を見据えてお休み予定。こんなチャンスを利用できないのはやっぱり、自己責任と言えなくもない? ▽まあ、週末のリーガについてはまた後でお話しすることにして、そのイスコが大活躍したワンダ・メトロポリターノでのアルゼンチン戦がどうだったかというと。実はスペインが薄い水色のモザイク模様が入っているため、パンツの白と微妙にトーンが違うW杯用の第2ユニを披露したこの試合、お昼のニュースではその前2日間、マドリーの練習場を借りてのセッションに参加。サンパオリ監督もアテにできると確信していたメッシの状態が急変し、結局、最初の親善試合、イタリア戦に続いて、休場することになったのが報道され、応援に駆けつけた1万人のアルゼンチン・サポーターもいきなり、鼻先に水をかけられたような状態でキックオフを迎えたんですけどね。 ▽それに輪をかけたのがCFの決定力の差で実際、先にGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)を破るチャンスを得たイグアイン(ユベントス)が見事に撃ち損ねてしまったのと対照的に前半12分、アセンシオ(マドリー)からスルーパスをもらったジエゴ・コスタ(アトレティコ)は先日のドイツ戦でこそ、ロドリゴ(バレンシア)にスタメンを譲ったものの、ロペテギ監督がホームスタジアムで花を持たせてくれたのも嬉しかったんでしょうか。ブストス(インディペンディエンテ)のタックルも、目の前に迫るGKロメロ(マンチェスター・ユナイテッド)もものともせず、先制ゴールをねじ込んでしまうって、いかにも彼らしいじゃないですか! ▽いえ、正直に言えば、その時、ロメロにぶつかってヒザを痛めた当人を見て、「また戦力が減るかも」と心配になったのは私だけでなく、パルコ(貴賓席)で観戦していたシメオネ監督も同じだったんじゃないかと思うんですけどね。結局、この衝突で大きなダメージを受けたのは相手の方で、22分には控えのカバジェーロ(チェルシー)と交代。コスタはピッチに戻り、26分には再びアセンシオがイスコをアシスト、39分にはバネガ(セビージャ)のCKからオタメンディ(マンチェスター・シティ)がヘッドで1点を返すのを見て、ハーフタイムでようやく退くことに。 ▽うーん、ここまでは2-1とまだ逆転の可能性もあったアルゼンチンだったんですけどね。代わって入ったイアゴ・アスパス(セルタ)がこれまた、敵DF陣にとって悪鬼のような存在だったようで、後半は「Espana nos golpeo por todos los lados/エスパーニャノス・ゴルペオ・ポルトードス・ロス・ラドース(スペインはウチをそこら中から打ちのめした)」(サンパオリ監督)という状態になったんですよ。もちろん、それには本来であれば、前も後ろも全員でメッシを止めることに集中しているはずの選手たちが、当人はパルコで見学、おまけにアグエロ(マンチェスター・シティ)やディ・マリア(PSG)まで、負傷で離脱していたため、攻撃に専念できたおかげもあると思うんですが、早くも7分にはgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まったから、さあ大変! ▽ええ、まずはエリア内からアスパスにパスをもらったイスコがこの試合2本目のゴールを決めると、その3分後には当人がアスパスにラストパスをお返し。その場は上手くホールドできなかったアスパスがチアゴ・アルカタラ(バイエルン)に繋ぎ、スペインの4点目が入ったなれば、満員のスタンドがどれ程、歓喜したことか。おかげで試合開始からpito(ピト/ブーイング)を受けていたピケ(バルサ)ですら、jugadon(フガドン/ナイスプレー)を称えられ、拍手でアスピリクエタ(チェルシー)に交代することができましたが、28分にはパスサッカーが基調の彼らには珍しい光景も発現。モウリーニョ監督の下でロングフィードを磨いてきたデ・ヘアがゴールキックを蹴ったところ、アスパスが素早くこれに追いついて、今度は自分でゴールを決めてしまったから、こちらもただただ、驚くしかなかったかと。 ▽そして最後はまたしてもアスパスがイスコにアシストして6点目が入ったんですが、いやあ、やっぱりアトレティコではハットトリックを目撃することが滅多にないせいか、それともお隣さんの選手だからですかね。サンティアゴ・ベルナベウでお馴染みの「Hattrick de Ronaldo!/ハットトリック・デ・ロナウド」のイスコバージョンをスピーカーに期待したんですが、ただの「Gol de Isco/ゴール・デ・イスコ」だったのはちょっと拍子抜けだったかも。これでスコアが6-1となったため、ロペテギ監督も余裕を持って、マルコス・アロンソ(チェルシー)やパレホ(バレンシア)を代表デビューさせたりできたんですが、終盤のアルゼンチンはちょっと頂けませんでしたね。カルバハル(マドリー)やコケ(アトレティコ)が荒いタックルを受け、時折、tangana(タンガナ/小競り合い)になっていましたが、幸いながらケガ人は出ていません。 ▽え、W杯まではまだ3カ月もあるのにいきなりこんな大勝ちして、スペインの選手たちが調子に乗ったら困るんじゃないかって? まあ、その辺は「Argentina sin Messi es otra cosa/アルヘンティーナ・シン・メッシ・エス・オトラ・コーサ(メッシ抜きのアルゼンチンは別物)」とコスタも言っていた通り、彼らもわかっているようですしね。むしろ、6点目を取られてすぐ退席、ロッカールームで「Levanten la cabeza. Esto lo vamos a sacar adelante juntos/レバンタン・ラ・カベッサ。エストー・ロバモス・ア・サカール・アデランテ・フントス(頭を上げて、この事態を皆で乗り切ろう)」と、チームメートにメッシがキャプテンとして檄を飛ばしたというアルゼンチンより、ずっとムードがいいのは確かかと。 ▽実際、この2試合ではデ・ヘア、カルバハル、ラモス、ピケ、ジョルディ・アルバ(バルサ)、イニエスタ(同)、チアゴ、コケ、イスコら、9人がリピートと、本大会の先発メンバーもかなり固まったとはいえ、とりわけFW陣など、モラタ(チェルシー)やロドリゴら、リスト入り当確線上にいる選手もいますしね。ロペテギ監督のポゼッションだけには頼らない戦法もいい感じになってきたようですし、今のところは程ほどの期待を懸けておくぐらいが丁度いい? 彼らが6月、W杯直前に挑むテストマッチはスイス戦とチェニジア戦ですが、それまでのシーズン残りに負傷者が出ないかだけが懸念の種になるでしょうか。 ▽え、それにしても国際メジャートーナメントでの復権を狙うスペイン代表で、これだけお役立ちのイスコがマドリーでは控え扱いなのは、このままだと当人だって調子の維持が難しいだろうし、納得いかないって? そうですねえ、彼自身は殊勝気に「Julen me demuestra la confianza con minutos/ユーレン・メ・デムエストラ・ラ・コンフィアンサ・コン・ミヌートス(ロペテギ監督はボクへの信頼をプレー時間の形で示してくれる)。マドリーではサッカー選手に必要な信頼がなくて、悪いのはそれを勝ち取れていない自分だろう」とピッチインタビューで言っていましたが、何せ、あのチームはスペシャルなタレントの持ち主ばかりですからね。 ▽イスコのサッカーのテンポがマドリーには合わないとかいう意見はともかく、そういう場合は「La confianza no se la da el entrenador, sino el jugador al entrenador/ラ・コンフィアンサ・ノー・セ・ラ・ダ・エル・エントレナドール、シノ・エル・ウガドール・アル・エントレナドール(信頼は監督が選手に与えるものではなく、選手が監督に与えるもの)」(ロペテギ監督)を実践するのも難しいかと。逆にとりわけこの冬、選手を4人も放出してフィールドプレーヤーがたった17人に、フィリペ・ルイスの腓骨骨折で今は16人と極めて少人数でスタメン争いをしているコケなどにしてみれば、「イスコは最高だよ。あっちでレギュラーになれなくても、アトレティコならなれるかも」という次元のようですが、まあ実際、世の中、そんなものかもしれません。 ▽そして19人の各国代表参加メンバーもイスコとラモス以外、特に問題もなく戻ったマドリーは水曜から3日間、バルデベバスで練習。金曜夕方には飛行機で移動となりましたが、いやあ、ジダン監督も思いきりましたねえ。リーガは首位と勝ち点差15と、もう今季のタイトル獲得可能性はCLしかないため、来週火曜の準々決勝ユベントス戦1stレグを睨み、ローテーションがあるのは予想できましたが、最初に言ったロナウド以外にもクロース、マルセロをお留守番に。そこへカルバハルの出場停止まで重なるとなると、もしや現在18位、何とか17位のレバンテとの勝ち点差6を縮めようと必死なパコ・ヘメス監督のラス・パルマスにもチャンスがある? ▽とは言っても、ベイルはウェールズ代表の中国戦でハットトリック、マジョラルもU21スペイン代表のユーロ予選2試合で計5得点と当たっていますし、フランス代表と縁が切れてしまったベンゼマも休養十分ですからね。ジダン監督も「Para preparar el martes hay que estar bien mañana/パラ・プレパラール・エル・マルテス・アイ・ケ・エスタ^ル・ビエン・マニャーナ(火曜の準備をするには明日の試合でいい状態でないと)」と自信を見せていたように、やはり土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からの一戦はマドリーの勝利に賭ける人が多いでしょうね。 ▽一方、GKオブラク(スロベニア)が臀部の痛みで2試合目を免除されて戻ったり、ヒメネス(ウルグアイ)がチャイナカップ決勝で足を打撲。ブルサイコ(クロアチア)もメキシコ戦の序盤で交代、加えてコスタの件があったアトレティコは日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、ワンダ・メトロポリターノにデポルティボを迎えるんですが、こちらも相手は降格圏の19位だけに実力的には勝っているものの、何せ人出不足が心配でねえ。私も水曜の午後セッションにはポカポカ陽気にも誘われて、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に偵察に行ってしまいましたが、思った通り、代表帰りの選手たちの大半は、スペイン戦では馴染みのベンチをアルゼンチン代表のユニで温めることになったコレアや途中出場だったサウール以外、グラウンドに現れず。 ▽だからかどうかは知りませんが、シメオネ監督など、バーベル上げなど、フィジカルトレに励む選手たちをよそにカンテラーノ(アトレティコBの選手)たちにポジショニングの指導をしているって、もしやそれって、緊急事態を想定してのもの?その一方でフランスの2試合目、ロシア戦では30分程の出場にとどまったグリーズマンの元気な姿も見られたものの、彼はビトロと一緒に今週末は出場停止ですからね。いくら、フェルナンド・トーレスやガメイロと並んでシュート練習、おまけに柵の外から覗くギャラリーを意識してか、ゴールが決まった後のパフォーマンス練習までしてくれてもまったく、助けにならないんですが、幸い翌日の練習ではヒメネスを除いて皆、普通にセッションに参加できたとか。ただシメオネ監督は2トップをガメイロとコレアでリハーサルと、コスタを外していたため、こちらも来週木曜のヨーロッパリーグ準々決勝スポルティング戦1stレグを視野に入れているのかもしれません。 ▽そしてようやく春が来たのが嬉しくて、翌日の午前中にはヘタフェの様子を探りに行った私だったんですが…いやあ、周辺が荒野のため、風吹きすさぶシュダッド・デポルティバ(練習場)の寒かったの何のって。おまけにその日から、セマナ・サンタ(イースター週間)の祝日に入ったせいか、同じ敷地内で普段は週末にあるユースチームのリーガ戦が開催。ゲートで入場料10ユーロ(約1300円)と言われてしまったせいで、裏からグラウンドの反対側に回ってみたところ、辺りは一面、菜の花満開ながら、ええ、ボルダラス監督の練習は2、3時間と他より長いこともありますよ。ヒートテックを着て来なかったことを激しく後悔する破目に。 ▽そのセッションにはベルギーでの日本代表親善試合に参加、2試合目のウクライナ戦で先発した柴崎岳選手も普通に混じっていたんですが、実はこの代表戦期間中、ヘタフェには今季、3番目の中足骨骨折患者が発生。それはボランチのアランバリで、最初は柴崎選手、次はベルガラとどちらも回復に2、3月かかっていますからね。今季は絶望ということで、入れ替わりでそのベルガラが戻って来るんですが、当人は先週、鼻中骨骨折をしてマスクをつけてプレーって、何ともツイていない。ただ月曜午後9時(日本時間翌午前4時)にコリセウム・アルフォンソ・ペレスにベティスを迎える彼らは1部残留をほぼ達成。あとは勝ち点差4を覆して、来季のEL出場権をもらえる7位に喰いこめるかどうかぐらいが焦点になるため、ムリをしないでいいのは助かります。その辺は土曜にバレンシアをブタルケに迎えるもう1つの弟分、12位のレガネスも同じと言ったところでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.03.31 12:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】W杯はまだ遠い…

▽「別に隠す程のこともないのにね」そんな風に私が文句を言っていたのは月曜日、アルゼンチン代表のサンパオリ監督がワンダ・メトロポリターノで会見すると聞いたため、スペイン代表の公開練習より早めに行ってみたところ、いえ、当人は30分以上、母国やカタルーニャ(バルセロナのある州)のメディアから、次から次へと飛び交う質問に淡々と応答。その半分以上が先週金曜、エティハド・スタジアムのパルコ(貴賓席)でアグエロ(マンチェスター・シティ)と一緒にイタリアに2-0と勝った試合を眺めていたメッシが、「火曜の親善試合でプレーできるのかどうか」だったのはともかく、肝心のチームの方はこの日もバルデベバス(バラハス空港の近く)にあるレアル・マドリーの練習場で非公開セッションだった上、記者会見で話す選手を1人も連れて来ていなかったから。 ▽おかげでこちらも当てが外れてしまったんですが、とりあえず、スペイン代表の試合は11月の親善以来、久しぶりということで、先週のドイツ戦の様子から話すことにすると。この日のロペテギ監督は大方の先発予想を大きく外してくれて、ええ、アトレティコのFIFA処分が明けて、この1月からプレーを再開。おかげで代表招集は9カ月ぶりながら、今回はモラタ(チェルシー)が呼ばれず、当人は双子を妊娠中のイタリア人モデルの彼女、アリス・カンペッロさんと一緒にバケーションに行ってしまったこともあり(https://www.instagram.com/p/BgvW-lFHTYP/?hl=ja&taken-by=alvaromorata)、ジエゴ・コスタのスタメンCF起用という説が多かったんですけどね。ドュッセルドルフのエスプリット・アレナのピッチでイニエスタ(バルサ)、イスコ(レアル・マドリー)、シルバ(マンチェスター・シティ)らと並び、himno(イムノー/国歌)を聞いたのはロドリゴ(バレンシア)。 ▽でもこれがバッチリ当たったんです!そう開始5分、スローインからボールを持ったイニエスタがエリア内のロドリゴにスルーパス。そのまま、フンメルス、ボアテングのバイエルンCBコンビの裏を取った彼がシュートを決め、あっさり先制点をゲットしているんですから、ビックリしたの何のって。ただねえ、その後も軽快にパスを繋いでいたスペインでしたが、チャンスはほとんど生まれず、前半34分にはトマス・ミュラー(バイエルン)にエリア前から、いえ、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)がまだW杯用のマッチボール、テルスター18に慣れていなかったせいもありますよ。あの長い腕でも届かないgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められて、同点に追いつかれてしまうことに。 ▽1-1のまま始まった後半、スペインはバルベルデ監督の下でも今季は時間限定で妙技を見せてくれるイニエスタに代え、サウール(アトレティコ)を投入。チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)から、現在、負傷中で参加していないブスケツ(バルサ)の役割を引き継ぐことになったんですが、同じボランチでもシメオネ監督のチームとスペイン代表では勝手が違ったよう。具合の悪くなったピケ(バルサ)がナチョ(マドリー)に代わったことも重なって、幾度かDFラインに混乱を巻き起こした後、ケガをしたケディラ(ユベントス)がギュンドガン(マンチェスター・シティ)と交代する間にロペテギ監督から注意を受けていましたが、とにかく相手は強豪ドイツですからね。 ▽この日、代表150試合出場の節目に達した百戦錬磨のキャプテン、セルヒオ・ラモス(マドリー)も「Alemania es la actual campeona del mundo y se palpa en cada acción/アレマニア・エス・ラ・アクトゥアル・カンペオナ・デル・ムンドー・イ・セ・パルパ・エン・カーダ・アクシオン(ドイツは現W杯チャンピオン、1つ1つのプレーにそれを感じる)」と言っていたぐらい高レベルのチームとなれば、サウールでは時に対応できないのも仕方なかったかと。ええ、残り10分にはビジャレアルで同職を務めるロドリが代表デビュー、一番無難にこなしたと言われているものの、本大会のここ一番でブスケツの代わりとなるボランチはいないというのは、この日の試合でもわかりましたっけ。 ▽まあ、それはさておき、この後半には両チームのGKが活躍。片や10分にはゴール前からのイスコのシュートをテア・シュテーゲン(バルサ)がparadon(パラドン/スーパーセーブ)したかと思えば、その1分後にはデ・ヘアがギュンドガンの一撃をそらし、更にフンメルスのヘッドもセーブ。それこそ後でロペテギ監督が、「El partido ha sido bonito para el espectador, de juego abierto y con oportunidades/エル・パルティーオー・ア・シードー・ボニートー・パラ・エル・エスペクタドール、デ・フエゴ・アビエルトー・イ・コン・オポルトゥニダーデス(観客にとって楽しい試合だった。オープンなプレーとチャンスがあって)」と言っていた通りだったんですが、残念だったのはせっかく20分にはロドリゴと交代でピッチに入りながら、コスタが降って湧いた絶好機をモノにできず。シュートをフンメルスに当ててしまい、勝ち越し点を取れなかったことかと。 ▽うーん、ここ2試合程、彼はアトレティコでも目立つ働きをしていませんしね。丁度、そういう調子の波に当たったのがアンラッキーでしたが、このところ、マドリーのプランBからAに昇格したアセンシオ&ルーカス・バスケスの両翼を終盤には採用しながらも、スペインに成す術はなし。結局、そのまま1-1の引き分けで終了したのには、レーブ監督もロペテギ監督もいいゲームだったと互いに満足感を表明し、ラモスも「Hoy hemos hecho cosas al alcance de muy pocas selecciones/オイ・エッモス・エッチョー・コーサス・アル・アルカンセ・デ・ムイ・ポカス・セレクシオネス(今日のウチは僅かな代表にしかできないことをやった)」と胸を張っていましたが、でもお。ロシアでのW杯を勝ち抜いていくと、ドイツとは準決勝で当たる可能性が大。その折には引き分けだと延長戦、PK戦で勝負になりますからね。 ▽できれば、本番ではもうちょっと攻守にレベルアップして、90分で勝てるようになっていることを祈っていますが、さて。前回のブラジル大会はグループリーグ敗退、2016年のユーロもベスト16で敗退したスペインとなれば、今から「Vamos al Mundial para ganarlo/バモス・アル・ムンディアル・パラ・ガナールロ(W杯には優勝するために行くつもり)」なんて、コケ(トレティコ)のようにあまり大風呂敷は広げない方がいいかも。まずはポルトガル、イラン、モロッコと当たるグループリーグを突破することに専念しないといけませんよ。 ▽そしてその夜のうちにマドリッドに戻ったチームは翌土曜、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設のグラウンドで今合宿、初めての公開セッションを実施したんですが、晴れてこそいたものの、この日は歩いていて飛ばされそうになる程の強風が吹いていたのが災いしたんでしょうかね。意外とスタンドに詰めかけたファンも少なめだったんですが、前日先発組のイニエスタやピケ、ラモス、ジョルディ・アルバ(バルサ)らはグラウンドに姿も見せず、シルバなんて、最近、低体重で生まれたお子さんの様子を見るため、すでに代表を離脱していたことが発覚。 ▽おまけにコケやサウール、イスコ、ロドリゴらもピッチの横幅を一往復しただけですぐにジムに直行してしまい、コスタ、アセンシオ、ルーカス・バスケス、加えて現在、リーガでスペイン人中、最多得点となる16ゴールを挙げているイアゴ・アスパス(セルタ)などが1/4ピッチのpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)でビシバシ、ネットを揺らしているのは見られたものの、ちょっとメンバー的に寂しかったのは否めないかと。そのセッション終了後には24時間のデイオフをもらい、選手たちは三々五々、休日を楽しんだんですが、日曜の午後1時半には再び協会施設内のホテルに集合。例外はラモスで、芸能人の彼女、ピラル・ルビオさんもセルヒオ・ジュニア君、マテオ君に続いて3人目ともなると、上手くタイミングを合わせることができるんですかね。 ▽その日曜の午後に3男のアレハンドロ君を出産するのに立ち会ったため(https://www.instagram.com/p/BgwiCa_nfTX/?hl=es&taken-by=sergioramos)、彼だけは午後7時頃の遅い合宿帰還となったとか。まあ、今回は親善試合オンリーですし、チームメートも翌月曜、午後7時半からのアルゼンチン戦に向けて、スタジアム練習をするまで、W杯期間に流すCM撮りなどで明け暮れていたため、別に不都合はなかったんでしょうが、私が驚かされたのはその公開セッション見学の整理券を協会が当日、朝から配布したところ、スタジアムの窓口に長蛇の列ができていたこと。いやあ、試合のチケットの方も金曜に窓口販売が始まった途端、売り切れてしまったそうですしね。どうやら強敵イタリアを退けて、予選グループ首位でW杯出場を勝ち取ったのが良かったのか、再び国内での代表人気が回復しつつあるのは喜ばしい限りかと。 ▽そしてサンパオリ監督が「Hoy entreno normal, con el grupo. Esta bien para jugar/オイ・エントレノ・ノルマル、コン・エル・グルッポ。エスタ・ビエン・パラ・フガール(今日は普通にグループに入って練習した。プレーできる状態にある)」と、筋肉痛が心配されていたメッシが出場できることを明言。続けて、「スペインは2014年のW杯で自分が率いたチリに負けた頃より、均質的なチームになっている。今は他のところよりずっと上だ。Demasiada superioridad al resto de selecciones/デマシアダスペリオリダッド・アル・レスト・デ・セレクシオネス(その他の代表に比べて優位すぎるぐらい)」と火曜の対戦相手に賛辞を贈るのを聞いた後、ワンダのプレスルームではロペテギ監督やデ・ヘア、チアゴ・アルカンタラらが会見することに。 ▽元アトレティコのGKなど、一応、古巣の新しいホームで初めてプレーすることになるためか、「Como portero enfrentarme a Messi es un reto/コモ・ポルテーロ・エンフレンタールメ・ア・メッシ・エス・ウン・レトー(GKとして、メッシと対戦するのはチャレンジ)」と勇敢なところを見せていましたが、果たしてどうなることやら。およそ2万人のファンの前で行われた公開セッションでのミニゲームは先発組と控え組を混ぜたチーム編成だったため、あまりスタメン予想には自信がないんですが、顔馴染みの代表番ラジオ記者によると、ロペテギ監督はあまりドイツ戦からメンバーをいじらないだろうとのこと。シルバが抜けた穴はアセンシオで埋め、CFをロドリゴからコスタに代える程度じゃないかと言っていましたが、ピケには練習中からpito(ピト/ブーイング)が飛んでいたため、CBはナチョ先発の方が好ましいかも。 ▽一方のアルゼンチンはすでにアグエロとディ・マリア(PSG)が負傷でチームを離れており、いえ、土曜の会見でサウールなどは、「Si no esta Messi estara Correrita/シー・ノー・エスタ・メッシ・エスタラ・コレリータ(メッシがいなくてもコレアがいる)」と、クラブの同僚を立てていたんですけどね。コレアのことはサンパオリ監督も交代要員のオプションと考えているようなので、やはりメッシとイグアイン(ユベントス)頼みになる?何にせよ、まだW杯までは3カ月ありますしね。火曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分、スペインは今週から夏時間)からの試合では勝敗より、来週にはCLやヨーロッパリーグの準々決勝1stレグを控えているチームも多いため、選手たちがケガなくプレーしてくれることが一番ですよね。 ▽え、それってやっぱり、月曜のチャイナカップ決勝で、先週は中国戦でハットトリックを挙げたベイル(マドリー)のいるウェールズにカバーニ(PSG)のゴールでウルグアイが勝ったものの、アトレティコのヒメネスが左足を打撲してしまったから言っているんじゃないのかって?まあ、そうなんですが、実は彼、準決勝のチェコ戦でも傷を負ってしまい、根性ですぐ復帰しているため、週末のデポルティボ戦に影響するかはまだわからないんですけどね。代表によっては、スロベニアのように最近、臀部の痛みに悩まされているGKオブラクを2戦目免除で返してくれたところもあるため、アメリカで親善試合中のクロアチアがモドリッチだけを解放。マドリーの後輩、コバチッチはいいとしても、「少人数精鋭チーム」のアトレティコの貴重な右SB、ベルサイコが水曜の2試合目、メキシコ戦にも付き合わないといけないというのはちょっと、不安な気がしないでもないかと。 ▽更にマドリーにとって朗報なのは、クリスチアーノ・ロナウドが月曜に一足先に2つ目の親善試合を終え、帰って来られることなんですが、最初のエジプト戦こそ、ロスタイムに2ゴール挙げて、ポルトガルの逆転勝利に花丸貢献したものの、オランダ戦ではノーゴールでチームも3-0と完敗。あまり当人の機嫌は良くないかもしれませんが、バルデベバスでのメッシとのニアミスも避けられましたしね。火曜からは1週間、寂しかったジダン監督のセッションを賑わせてくれることかと。ただし、お隣さんのマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場も同様ですが、各国代表に招集されている選手の大多数が戻って来るのは水曜となるため、現地に行ってサインや写真ゲットを狙うファンは気をつけた方がいいですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.03.27 16:45 Tue
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