コラム

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【原ゆみこのマドリッド】引き分けにもイロイロある…

▽「だから、勝たなくていいって!」そんな風に私が反応してしまったのは月曜日。ミュンヘンのアリアンツ・アレナで行われたアトレティコのCLグループリーグ最終節前記者会見の様子を知った時のことでした。いやあ、このところ、ベテランのチアゴに先発の座を取って代わられ、出番の減っているサウールですし、昨季の準決勝バイエルン戦1stレグの決勝点、FIFAのプスカシュ賞にもノミネートされたgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げている身とあって、「Saldremos a ganar en un partido muy complicado/サルドレモス・ア・ガナール・エン・ウン・パルティードー・ムイ・コンプリカードー(とても困難な試合に勝つつもりでピッチに出る)」と、やる気になっているのはわかるんですけどね。 ▽せっかくここまでグループで5連勝しているんだから、泣く子も黙るドイツの強豪を最後に倒して全勝したら、カッコいいだろうと選手たちが思ってしまうのも人情と言えば、それまでですが…。もしや彼ら、CLのグループステージで6勝を挙げている6チームが、そのシーズンに優勝していないことを知らない? ええ、身近な例ではモウリーニョ監督時代の2011-12シーズンや、アンチェロッティ監督時代の2014-15シーズンのお隣さんですが、どちらも準決勝で敗退の憂き目に。そう思うと、もちろんUEFAからの勝利報酬もありますから、負けて一銭ももらえないのは勧められないにしても、せいぜい引き分けに留めておくのがまずは無難かと。 ▽え、シメオネ監督が「Hay veces que el orgullo cuenta mucho más que los puntos/アイ・ベセス・ケ・エル・オルグージョ・クエンタ・ムーチョ・マス・ケ・ロス・プントス(時に勝ち点より誇りが頼りになることもある)」と言っていたのは、2014年にマドリー悲願のデシマ(10度目のCL優勝)をプレゼントしてしまった選手たちが、その時の悔しさをバネに頑張ってくれるだろうと当てにしてのことじゃないのかって? うーん、土曜日のクラシコ以来、TVでは一生悔いても悔やみきれない、あのシーンの映像が何度も流れていますからね。すでに頭の中は今年5月の悲劇(ミラノ編)に上書きされていた選手たちだったとて、やっぱりアンチェロッティ監督のチームには意地を見せたいのかも。 ▽そんなことはともかく、まずはそのクラシコがどうだったのかを語っていかないと。いやあ、予定通り、キックオフの1時間前には近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行って、ガッチリ席を確保。ランチを食べながら始まるのを待った私でしたが、スタメン発表で意外だったのは、どちらのチームも負傷上がりのイニエスタ、カゼミロをベンチスタートにしたことでしょうか。とりわけバルサの方はチームのゲームメーカーがいないのが響いたか、序盤はセルヒオ・ラモスがルイス・スアレスに乗りかかってしまうなど、相手の体を張った守備に正面からぶつかって、なかなかチャンスが作れない結果に。 ▽かといって、マドリーが得点できた訳でもなく…。何せ、どういうタイミングか、その日に2009年から、1億5000万ユーロ(約185億円)にもなる肖像権収入をタックスヘイブンの会社に迂回させ、本来の4%程度の税金しか払っていないと、エル・ムンド(スペインの一般紙)で暴露されたクリスチアーノ・ロナウドが、カンプ・ノウのスタンドから「Hacienda somos todos, Crisiano paga ya/アシエンダ・ソモス・トードス、クリスティアーノ・パガ・ジャー(オレたち皆が税務署だ。クリスチアーノ、さっさと払え)」と歌われたことも影響したんですかね。前半の終盤に撃ったシュート、2本ともGKテア・シュテーゲンに止められていましたが、元々、この歌は名前の部分をメッシにして、スペインの様々なスタジアムで歌われていたもの。だとしたら、オリジナルの方もいい気はせず、前半中の枠内シュートがGKケイロル・ナバスにキャッチされたFK1本のみで終わってしまったのも無理はなかった? ▽それでも後半にはスコアが動き、52分には右サイドからネイマールが蹴ったFKを、ヴァランを出し抜いたルイス・スアレスがヘッドで決めてバルサが先制点をゲット。そこからルイス・エンリケ監督がイニエスタを投入し、ゲームの主導権も奪われてしまったため、ジダン監督は対抗策にイスコを引っ込め、カゼミロを入れたんですが、「Ser mas ofensivos/セル・マス・オフェンシボス(もっと攻撃的にしたかった)。少しリフレッシュして、コバチッチとモドリッチを前に出してね」という指揮官の意図に納得できなかったのは、ベンチで八つ当たりしていたイスコだけではなかったかと。ええ、結局、これだけでは足らず、マドリーは76分にはベンゼマをアセンシオに、80分には何と、先日のコパ・デル・レイ32強対戦2ndレグでハットトリックを挙げたマリアーノまでピッチに入れ、藁にもすがる気持ちで同点を目指したんですが…。 ▽いよいよアディショナルタイム入りが近いという90分、またしてもお馴染みの救世主が登場したんですよ! それはもちろん、2年前のダ・ルス(ベンフィカのホーム)で、そして今年の夏、セビージャと対戦したUEFAスーパーカップでも延長3分に起死回生の同点ゴールを挙げたラモスで、いえ、ルイス・エンリケ監督は事前に「Habia indicacion de no hacer falta si un jugagor del Madrid esta de espaldas a la porteria/アビア・インディカシオン・デ・ノー・アセール・ファルタ・シー・ウン・フガドール・デル・マドリッド・エスタ・デ・エスパルダ・ア・ラ・ポルテリア(マドリーの選手がゴールに背を向けていたら、ファールはするなという指示はしていた)」ものの、血気にはやって、ついマルセロを自陣エリア近くで倒してしまったのが、元アトレティコのアルダ・トゥランというのも何かの前兆だったのかもしれませんけどね。 ▽そのFKのキッカーに立ったのはモドリッチ。これもリスボン決勝でのCKと同じですが、そのボールを見事に頭で押し込んで、土壇場で同点ゴールをもぎ取ってしまったとなれば、ただただ感服するしかないじゃないですか。いえ、後でモドリッチは「Ha venido Sergio a vacilarme y me ha dicho: !menos mal que me has puesto una bien eh!/ア・ベニードー・セルヒオ・ア・バシラールメ:メノス・マル・ケ・メ・アス・プエストー・ウナ・ビエン・エー(セルヒオがボクをからかいに来たんだ。幸いにもいいボールを蹴ってくれたねって)」と話していましたけどね。加えて、このセットプレーは「Sale natural, no lo ensayamos/サレ・ナトゥラル、ノー・ロ・エンサジャモス(自然に生まれるんだ。練習はしていない)」そうですが、いやいや、それもチームメートの尽力があってこそ。 ▽というのも、そのシーンの映像を見てみると、ルーカス・バスケスがピケをラモスに近づけないようにこの手あの手でマーク。おかげでラモスはマスチェラーノを振り切って、フリーでヘッドすることができたんですが、ピケ自身も「ルーカスはボクを邪魔することに専念していて、行きたかったところに行かせなかった。Supongo que saben que soy el mas alto del equipo e importante en esas jugadas/スポンゴ・ケ・サベン・ケ・ソイ・エル・マス・アルト・デル・エキポ・エ・インポルタンテ・エン・エサス・フガダス(自分がチームで一番、背が高くて、こういうプレーで重要な役目があるのを知っていたのだと思う)」と証言していて、いえ、身長云々は誰だって見ただけでわかりますけどね。 ▽何も選りに選って、173センチと小柄なルーカス・バルケスがピケにつかなくてもいいんじゃないかという意見もあるでしょうが、バルサが攻撃のセットプレーではロナウドがメッシをマークしていたりとか、どうやらジダン監督はその辺はあまり気にしていないよう。ええ、「全員の働きが際立っていたが、luego Sergio esta ahi para meter el gol.../ルエゴ・セルヒオ・エスタ・アイー・パラ・メテール・エル・ゴル(それでセルヒオがゴールを決めるためにそこにいる…)」(ジダン監督)のなら、全然、問題はありませんって。おまけにアディショナルタイムにはカゼミロがセルジ・ロベルトのヘッドをゴールライン上でクリアして、同点死守の立役者になったとなれば、もう誰も彼の選手起用策に文句はつけたりしませんよ。 ▽結局、「Creimos hasta el final/クレイモス・アスタ・エル・フィナル(ウチは最後まで信じた)」という、マドリーの特性がモノを言って、そのまま1-1の引き分けでクラシコは終わったんですが、おかげで両チームの勝ち点差は6で変わらず。つまり次節のデポルティボ戦でマドリーが負けなければ、年内最終節のバレンシア戦を延期してクラブW杯に出かけても、バルサは絶対に彼らに追いつけないのですから、こんなに安心なことはないじゃないですか。いえ、細事を言えば、ラモスのゴール祝いの時にカルバハルがスタンドに向かってpeineta(ペイネタ/中指を立てるヒワイなポーズ)をしたり、まったく冴えのなかったベンゼマや出番すらもらえなかったハメス・ロドリゲスが更に株を下げるなんてこともあったんですけどね。とりあえず、マドリーファンにとってはいい結果だったかと思います。 ▽そして次の時間帯でビジャレアルをブタルケに迎えたマドリッドの新弟分、レガネスがGKエレリン(アスレティックから移籍)を緊急補強した甲斐があって、相手を無失点に抑えたものの、攻撃陣の重傷者の穴埋めがまだなせいですかね。ゴールを挙げることはできずにスコアレスドローに終わったと私が知ったのは、ビセンテ・カルデロンのスタンドで寒さに耐えながら、アトレティコvsエスパニョール戦が始まるのを待っていた時だったんですが、その日はキックオフ前に飛行機事故の犠牲になったブラジルのシャペコエンセに黙とうを捧げました。シャペコエンセにはアトレティコでプレーしたこともあるクレベル・サンタナがいたのもあり、他のスタジアムより黙とうがしんみりしていたり、それこそその彼が在籍時の指揮官だったキケ・サンチェス・フローレス監督がエスパニョールを率いて古巣を再訪。 ▽2010年には長年の間、タイトル日照りに苦しんでいたチームをヨーロッパリーグ優勝に導いてくれたこともあって、fondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏)に「eternamente agradecido Quique/エテルナメンテ・アグラデシードー・キケ(キケ、永遠に感謝しています)」という横断幕がかかったりと、どこかセンチメンタルな雰囲気で始まったせいもあったんでしょうか。グリーズマン、ガメイロ、カラスコを先頭に攻めていたアトレティコでしたが、ほとんどシュートを撃てず。それどころか、41分にはモレノが、59分にはレオ・バチストンがカウンターから1人抜け出して、GKオブラクが必死で弾いてくれなければ、相手に先制されていてもおかしくありませんでしたっけ。 ▽え、それでもアトレティコにだって、ガビやグリーズマンのチャンスがあったものの、ディエゴ・ロペスにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまったんだろうって? そうですね、キケ監督も「Estaban los dos porteros mejores de Europa y era dificil hacer un gol/エスタバン・ロス・ドス・ポルテーロス・メホーレス・デ・エウロッパ・イ・エラ・デフィシル・アセール・ウン・ゴル(ヨーロッパ最高の2人のGKがいて、ゴールを入れるのが難しかった)」と言っていたのはその通りだったんですが、いくら敵が守備に特化していたとしても、あのアトレティコのパスの繋がらなさは異常。それこそ、フォルラン(現ムンバイ・シティ)やアグエロ(マンチェスター・シティ)のゴールでタイトルは獲ったものの、キケ監督が率いた2シーズン、リーガをそれぞれ、9位、7位で終えた、時としてファンを絶望させるチームのデジャブだったかと。 ▽おかげで私など、その夜はやたら冷えるので、選手たちの足がかじかんでいるんじゃないかと疑った程ですが、ガイタンやコレアをピッチに投入してもその流れは変わらず。マドリー育ちのファンフランなど、後で「ウチは最後まで勝利を手に入れられると信じていた」と主張はしていましたが、残念ながら、アトレティコのDNAには土壇場の奇跡は刷り込まれてないんですよ。結局、最後まで0-0のまま、クラシコ引き分けだけでなく、お昼の試合でセビージャもグラナダに負けという、上位との差を詰める絶好のチャンスを掴めず、「Es un punto muy bueno/エス・ウンプント・ムイ・ブエノ(とてもいい勝ち点1だ)。ビセンテ・カルデロンでポイントを取るのは難しいから、チームは満足しているよ」(ディエゴ・ロペス)というお土産をエスパニョールに持たせて、バルセロナに帰ってもらうことになりました。 ▽いえ、それでもレガネスが健闘してくれたのと、幸い月曜日の試合でもデポルティボがレアル・ソシエダに5-1と勝ってくれたため、アトレティコの4位は変わらなかったんですけどね。試合後の会見で、「El objetivo es ser tercero, tranquilidad/エル・オブヘティボ・エス・セル・テルセーロ、トランキリダッド(目標は3位になることだから、落ち着いている)」とシメオネ監督が言っているのを聞いた時には思わず、それだって危ないじゃないと抗議したくなったもんですが、彼らだって、好きで下手なプレーをしている訳じゃありませんからねえ。ここは気を取り直して、すでに首位通過が決まっている火曜日午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのCLバイエルン戦では、マドリッドで留守番することになったチアゴ、フェリペ・ルイスだけでなく、コパのギフエロ戦並にスタメンを落としてもいいので、リーガの次節、来週月曜日のビジャレアル戦に集中して欲しいかと。 ▽その一方で、同日にはクラシコでの悪いイメージだけでなく、国内戦ここ4試合引き分けというスランプに陥っているバルサは、やはり1位は確定しているものの、「mañana jugará Messi de inicio/マニャーナ・フガラ・メッシ・デ・イニシオ(明日はメッシが先発する)」(ルイス・エンリケ監督)と、ボルシアMG戦に心血を注いでいるようですが、本当の意味で一生懸命やならいといけないのはマドリー。というのも、彼らの場合、決勝トーナメント進出は決まっているものの、現在は勝ち点2差の2位と、この水曜日の試合でドルトムントを倒さない限り、首位通過ができないから。 ▽まあ、別に2位でもいいという考え方はできますけどね。ただこの試合には、クラブ記録となる34試合連続無敗も懸かっているため、ジダン監督はオールスターメンバーで迎え撃つはず。ちなみに月曜日には11月のスペイン代表戦でケガをしたモラタが全体練習に復帰、ベンチに入る可能性もありとされていますが、こちらもクロースと共にクラブW杯に万全で挑むため、まだ実戦は控えるかも。先週末のブンデスリーガでドルトムントはメボルシアMGを4-1と一蹴してしますし、彼らとの近年の試合はドキドキする撃ち合いが多いので、香川真司選手が出る出ないに関わらず、見応えのある一戦になるんじゃないでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.06 12:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】余裕がありすぎる…

▽「でも見ちゃうわよね」そんな風に私が異論を唱えていたのは、いよいよ今季のリーガ・クラシコ(伝統の一戦、バルサvsレアル・マドリー戦のこと)が翌日に迫った金曜日。やはり土曜日に試合を控えたアトレティコのシメオネ監督の記者会見をTVのニュースで見た時のことでした。いえ、「No creo que la gente del Atlético vea mañana el Clásico, sino que va a pensar en lo nuestro/ノー・クレオ・ケ・ラ・ヘンテ・デル・アトレティコ・ベア・マニャーナ・エル・クラシコ、シノ・ケ・バ・ア・ペンサル・エン・ロ・ヌエストロ(明日、アトレティコの人々がクラシコを見るとは思わない。むしろ自分たちのことを考えるだろう)」という監督の言葉、選手やスタッフのことを指すのなら、丁度、その時間は常宿のホテルでビセンテ・カルデロンに向かう前最後のミーテイングでもしているでしょうから、ありえなくはないんですけどね。 ▽一般のアトレティコファンにしてみれば、バルサの力を借りて、永遠の宿敵との勝ち点差を減らす願ってもないチャンス。ただ、それでも現在9ある差が6になるだけですが、年内最後となる16節、マドリーはクラブW杯で日本に行くため、そのバレンシア戦は来年以降にプレーすることに。要は勝ち点差を3まで縮めて年を越すことも可能となれば、同じ土曜日でもクラシコと午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのアトレティコvsエスパニョールは十分、間が空いていますからね。ついついTVの前に座ってしまうと思うんですが、さて。2位のバルサが負けた場合でも、アトレティコが勝てば彼らに勝ち点で並べますから、やっぱり目を離せないファンは多いんじゃないでしょうか。 ▽まあ、クラシコの話はまた後でするとして、先に今週のコパ・デル・レイ32強対決でマドリッド勢がどうだったかお伝えしておくことにすると。初日の火曜日にバレンシアとの1stレグに挑んだのは新弟分のレガネスだったんですが、案の定、このところ続く負傷禍に気力がついていかず。ムニル、メドラン、バッカリにゴールを決められて、就任以来、リーガで1勝しただけのプランデッリ監督に1-3の快勝をプレゼントすることに。うーん、アシエル・ガリターノ監督も試合後は「La eliminatoria esta imposible/ラ・エリミナトリア・エスタ・インポシーブレ(勝ち抜けは不可能だ)」とまだ、2ndレグもあるにも関わらず、あっさり白旗を挙げていましたしね。 ▽木曜日にはヒザの靭帯断裂で今季絶望となったGKセランテスの代わりにアスレティックから、エレリンがレンタルで来てくれることも決まり、この土曜日のビジャレアル戦から先発OKだそうですから、とにかく今はリーガに専念するしかないかと。ちなみに相手はコパでトレド(2部B)に0-3で勝利しているとはいえ、まだグループ突破が決まっていない来週のヨーロッパリーグ最終節も気になっているはずですからね。ここはレガネスも現在勝ち点4の降格圏との差を年内中にできる限り広げることに集中してくれればと思います。 ▽一方、水曜日にはマドリッドの2強の試合があったんですが、例の日本行きのため、先月中に1stレグを前倒ししてやっていたマドリーはサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグ。やはり1stレグの1-7という結果が影響して、レオン(マドリッドの北にある内陸都市)から応援に駆けつけたクルトゥラル・レオネサ(2部B)のサポーター1000人余りはともかく、スタンドが満員になることはありませんでしたっけ。もちろん、勝負がついていることがわかっているジダン監督もGKケイロル・ナバスを始め、セルヒオ・ラモス、マルセロ、モドリッチ、クリスチアーノ・ロナウド、ベンゼマら6人のレギュラーを招集せず。スタメンに入ったトップチームの選手も、ケガが治ってその日、実戦に復帰したカゼミロ、そしてカルバハル以外は土曜日のクラシコでは先発の可能性が低いハメス・ロドリゲス、アセンシオ、ナチョといった感じだったので、1stレグよりは拮抗した試合を期待したんですが…。 ▽いえいえ、とんでもない! キックオフから23秒、敵右SBがエリア近くでミスしたボールを奪ったアセンシオがゴール前にラストパスを入れ、マリアーノが先制点を挙げているのですから、控え選手たちの気合の入り方といったら、もう。ここまでリーガやCLでほとんどプレー時間をもらえていないマリアーノは11分にもゴールを入れたんですが、オフサイドで認められず。それでも22分にはその日、先発した中では唯一のクラシコでもリピート確実候補、カルバハルのクロスをハメスがヘッドで叩き込み、今週母国のコロンビアで墜落事故に遭ったブラジルのチーム、シャペコエンセの犠牲者への追悼で天を仰ぐことに。加えて、41分にもマリアーノが今度はスコアボードに挙がる自身2点目を決め、ハーフタイム寸前にはクルトゥラルのジェライがエリア外からのシュートで1点を返したところで、試合は折り返します。 ▽後半頭からはカルバハルとイスコがベンチに下がり、ヴァランとジダン監督の長男、エンツォが入ったんですが、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)はまだ続いて、62分にはそのエンツォがトップチームデビュー戦でゴールを挙げる快挙を達成。これにはジダン監督も「Como padre y como entrenador, estoy contento por su gol/コモ・パドレ・イ・コモ・エントレナドール、エストイ・コンテントー・ポル・ス・ゴル(父親としても監督としても、彼のゴールには満足している)」と喜んでいましたが、当人と同じくエンツォもポジションはトップ下なんですよ。ええ、マドリーでは、イスコやハメスといった各国代表選手クラスでもレギュラー獲りが至難の業となっていることを考えると、先々、彼もアピールの機会が増えるのかは微妙なところですね。 ▽そして87分には再び、マリアーノがゴールを挙げ、そのハットトリックで幕を締めたかと思いきや、89分にはナチョのパスをモルガードがオウンゴールにするというおまけつきで、6-1となって、ようやく試合は終了。総合スコアにすると、13-2という恐ろしい数字になっているんですが、まあ相手が2部Bなら、大体、こんなものかも。一応、クルトゥラルもずっとグループ1の首位を独走している、そのカテゴリーでは強いチームなんですけどね。とりあえず、憧れのサンティアゴ・ベルナベウでプレーして、特別誂えの蛍光ピンクのユニフォームもお披露目できたとことですし、もうコパは忘れて、今後はシーズン終盤の昇格プレーオフ出場目指して頑張ってほしいものです。 ▽その後、スタジアムを出て、自宅近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でアトレティコの32強対決1stレグを見た私だったんですが、こちらも相手が2部Bのギフエロということで、シメオネ監督もかなりメンバーを落としていましたね。グリーズマン、ガメイロ、コケ、ガビ、チアゴ、ゴディン、ファンフラン、オブラクといったとこは軒並み、マドリッドでお留守番、おかげでカラスコがCF、キャプテンは22歳のサウールという、妙なチームになっていましたが、大丈夫。私がバルに着いたハーフタイム、エルマンティコでは、ファンが入場時にもらったハモン・イベリコの真空パックを開け、セットのパンにはさんでbocaillo(ボカディージョ/スペイン風バゲットサンド)を手作りしている頃には、すでに2点もリードしていましたよ。 ▽いえ、先制点はカラスコがエリア内で敵のタックルを避けようとジャンプした後、地面に転がったのをペナルティに取ってもらい、「あんなあからさまなpisciazo(ピシナソ/ダイブ)をして」と、道中、私が聴いていたオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況アナも批判していた、ちょっと恥ずかしいプレーから、サウールがPKで挙げたものなんですけどね。前半終了直前にトマスのロングパスをブルサリコが弾道の低いボレーシュートで決めた一撃は、とても自身のキャリア2本目とは思えないgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)だったかと。 ▽後半も後半で49分にはカウンターから、カラスコが汚名返上のゴールを決め、53分にもガイタンのスルーパスをサウールがエリア奥から折り返して再びカラスコが得点、57分にはそのリプレーのように、今度はガイタン、ルーカスと繋いでコレアがゴール。更に85分にはカンテラーノ(アトレティコBの選手)のロベルまで、ブルサリコのクロスから初ゴールを挙げて、とうとうスコアは0-6に。まあ、こちらも確かに実力差が明らかだったんですが、何せ相手は本当に生ハム模様の第2ユニフォームを着てプレーしていましたし、途中、ケガした選手にメディカルスタッフが駆け寄った時にもバッグがハムの足の形をしていたり、試合前の選手インタビューも会長が所有している生ハム製造工場の中と、サッカーより名産品プロモーションに一生懸命なようでしたしね。 ▽その日のパルコ(貴賓席)も招待客に生ハム大盤振る舞いと、唯一、用意されていなかったのはロッカールームの中だけだったって、シメオネ監督は「Estoy contento con la actitud del equipo, jugo bien, hizo lo que tenia que hacer/エストイ・コンテントー・コン・ラ・アクティトゥッド・デル・エキポ、フゴ・ビエン、イソ・ロ・ケ・テニア・ケ・アセール(チームの態度に満足だ。いいプレーしたし、やらなければならないことをやった)」と褒めていましたが、これで万が一、選手たちが生ハムに気を取られ、至らない結果が出ていたら、一体、世間様に何を言われたものか。ええ、その日最後にやはり、2部Bのエルクレスと1stレグを戦ったバルサが、レギュラーを休ませたのは同じながら、相手に先制され、カンテラーノ(バルサBの選手)のアレニャの一発で1-1と引き分けに持ち込むのが精一杯だったのを見れば、2ndレグに宿題を残さず、勝負を決めたアトレティコは立派だった? ▽そして夜のうちにマドリッドに戻った彼らは翌日から、リーガ戦の準備を始めたんですが、金曜日にはCLのPSV戦でケガをしたフィリペ・ルイスが招集リストに復帰という嬉しいニュースも。腰を痛めたフェルナンド・トーレスはまだなんですけどね。グリーズマンもガメイロも休養十分ですから、キケ・サンチェス・フローレス監督を筆頭に、レジェス、フラード、レオ・バプチストンら、古巣への帰還に張り切っているメンバーが複数いるエスパニョールに大きな顔はさせないかと。ちなみにそのエスパニョールはコパで、2部にいるマドリッドの弟分で唯一、勝ち残っていたアルコルコンと1-1で引き分け。エルクレスよりはベスト16に進出できる可能性が高いような気がしますが、やはりアルコルコンも目標は1部昇格ですから、あまり過大な期待は懸けない方がいいかと思います。 ▽え、それでマドリーのクラシコ準備は万端なのかって? そうですね、招集リストには今週、ロンドンで足首の手術を受け、現在は故郷のカーディフで静養しているベイルはもちろん、すでにグラウンドで練習を始めているクロース、バルセロナ遠征にはチームメートの応援のために同行したものの、まだプレーはできないモラタ、そして前節から負傷しているダニーロ、コエントランの名はないんですが、ロナウドやベンゼマは元気ですしね。スタメンに関しての疑問もコパで90分間プレーしたカセミロが中盤に戻るのか、コバチッチのままでいくのか、ラモスとのCBペアはヴァランかペペかといった辺りぐらいですが、何よりチームにはここ32試合無敗継続中という自信があるのが強いかと。 ▽ただ、昨季も指揮官として初めてのカンプ・ノウでのクラシコに勝ったジダン監督も「前回はfuimos allí con el culo apretado/フイモス・アジー・コン・エル・クロ・アプレタードー(尻に火がついたような状態で行った)。今回も同じ気持ちで行かないといけないが、va a ser un partido totalmente diferente/バ・ア・セル・ウン・パルティードー・トータルメンテ・ディフェレンテ(完全に違う試合になるだろう)」と、気を引き締めていましたし、いくら相手がエルクレスだけでなく、リーガでもここ2試合、マラガ、レアル・ソシエダと引き分けていると言っても油断は禁物。 ▽そう、気合が入るのはバルサの選手たちも同じですし、現在、勝ち点差が6もあるため、必死感も半端ないでしょうからねえ。ソシエダ戦で足を痛めたピケとジョルディ・アルバも回復、メッシも元気になった上、満を持してイニエスタも復活となれば、先日のダービーのように容易くマドリーが勝利することはなさそうな。そんな2016-17シーズン前半戦のクラシコは土曜日午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)キックオフ、シメオネ監督が何と言おうが、私は1時間ぐらい前から近所のバルに行って、席を確保するつもりでいますよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.12.03 11:10 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】先はまだ長いけど…

▽「着たがる人が果たしているのやら」そんな風に私が頭を振っていたのは月曜日。片側が赤白ストライプ、もう一方に生ハム模様がプリントされた、けったいな記念ユニフォームをTVのニュースで見た時のことでした。いやあ、CDギフエロ(2部)Bの第2ユニが全面生ハム模様であることは先日、コパ・デル・レイのベスト32組み合わせで相手がアトレティコに決まった時、スペイン全土の知るところとなったんですけどね。 ▽水曜日の1stレグは狭いホームの市営スタジアムではなく、サラマンカのエルマンティコを借りて開催、40~60ユーロ(約5000~1万2000円)の入場券を買って見に来てくれたファンには、生ハムのボカディージョ(スペイン風バゲットサンド)をもれなく贈呈なんて辺りはまだ良かったんですが、こんな調子じゃ、当日のスタジアム周辺は生ハム切り売りスタンドが林立するのでは? まあ実際、ギフエロのあるサラマンカ州は生ハムの名産地で、たまに私も奮発して、マドリッドにある専門販売店で買って食べてみると確かにおいしいんですけどね。それでも、いくら下位カテゴリーチームには突破の可能性がほとんどない対戦とはいえ、そんな目の回るようなユニフォームで出て来られた日には、アトレティコの選手たちもマジメに試合に取り組めないんじゃないかと心配になったりするんですが…。 ▽え、今はそれよりリーガの現状の方が気になるって? そうですね、この悪天候に祟られた週末ではちょっと順位に変化があって…。もちろん土曜日にスポルティング・デ・ヒホンをサンティアゴ・ベルナベウに迎えた首位のレアル・マドリーは勝ちましたよ。ただ、その日のユニフォームの前面にスポンサー名や紋章がほとんど見えなかったのは、環境保護をアピールするため、海から回収されたプラスチックボトルをリサイクルした素材で作った特製品だったせいで、試合中にずっと雨が降っていたせいではなく、元々印字が薄かっただけなんですけどね。 ▽4分には早々にセルヒオ・アルバレスがルーカス・バルケスをエリア内で倒して、マドリーはPKをゲット。クリスチアーノ・ロナウドがそれを決めて先制した上、19分にも左SBとして先発したナチョのクロスをロナウドがヘッドで叩き込み、ほとんど勝負がついてしまったせいもあるんでしょうか。それからの彼らは「Bajamos la intensidad por muchas cosas/バハモス・ラ・インテンシダッド・ポル・ムーチャス・コーサス(ウチはイロイロな理由でプレーの強度を落としてしまった)」(ペペ)という状態に。 ▽おかげで39分には、開始すぐにビッグチャンスを外していたカルモナが今度は見事なワンタッチシュートでゴールを挙げ、スポルティングが1点差に迫ったんですが、特にマドリーには焦りを感じた様子もなし。75分が近付くと、ジダン監督はイエローカードあと1枚で累積警告の危険があったセルヒオ・ラモスをマルセロに代え、次節に迫ったクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)対策を講じる余裕もあったんですが、思いがけないピンチが訪れたのは76分のことでした。ボールを持ったビクトル・ロドリゲスがCBに移ったナチョにエリア内でファールを受け、ペナルティを取られてしまったから、さあ大変! ▽でも大丈夫だったんですよ。というのも、今季、スポルティングでPK2本を成功させていたチョップが、やはり注目の大舞台ということで上がってしまったんですかね。当人は蹴る前、右手を首筋に当てて、自分が平静かどうか鼓動を確かめたところ、落ち着いていたと言っていましたが、ボールの方はゴール枠を大きく逸れてスタンドへ。おかげで結局、最後までスポルティングは追いつけなかったんですが、こんな絶好の同点チャンスをムダにした割に、アベラルド監督は「a nivel de juego y de autoestima nos da muchisimo/ア・ニベル・デ・フエゴ・イ・デ・アウトエスティマ・ノス・ダ・ムチシモ(レベルの高いプレーと自尊心を大いに与えてくれた)」と満足していたよう。 ▽まあ、下位チームの場合、このスタジアムではgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)されて終わることも多々ありますからね。それを思えば、2-1の負けなら恩の字といったところなんでしょうけど、ジダン監督の方は「Podemos estar contentos pero solo de los tres puntos/ポデモス・エスタル・コンテントス・ペロ・ソロ・デ・ロス・トレス・プントス(満足できるが、それは勝ち点3を取ったことについてだけ)」と試合後、不満を口にすることに。でもねえ、折しも先週CLスポルティングCP戦でベイルが足首を痛め、2、3カ月の戦線離脱になってしまったこともありますし、モラタも負傷中。まだ復帰して数試合のベンゼマも本調子ではないとなれば、ロナウドが順調にゴールを挙げ続けてくれているだけでも有難いかと。 ▽おかげでアンチェロッティ監督(現バイエルン)の記録に並ぶ公式戦31試合無敗も達成できましたし、後続との差を保ってリーガ首位を維持。土曜日のクラシコで負けてもその立場が揺らぐことはないとなれば、それ以上、贅沢を言ったらバチが当たるってもんですよ。ちなみに彼らも今週はクルトゥラル・レオネサ(2部B)とのコパがあるんですが、クラブW杯が12月中旬にあるため、他のチームと違って、こちらはもう2ndレグ。しかもアウェイの1stレグで1-7と大勝しているので、水曜日午後7時(日本時間翌午前3時)からのサンティアゴ・ベルナベウでは、スポルティング戦では出番のなかった、ようやく腓骨骨折が完治したカゼミロなど、ジダン監督が試したい選手たちがプレーする予定。終盤はどこか辛そうだったロナウドを始め、主力をクラシコに向けて温存できるのも、ファンにとってはホッとできますよね。 ▽そして続く時間帯ではマドリッドの新弟分、レガネスがエスパニョールに3-0と完敗してしまったんですが、彼らにとって、それより深刻なのはその試合で正GKのセランテスが負傷。しかも前節、2得点したオサスナ戦で今季絶望となったロベル・イバニェス同様、ヒザの靭帯を断裂となれば、もう泣くに泣けないかと。どちらも冬の移籍市場が開く前にリーガの許可を得て、代替選手を探す予定ですが、それ以外にも現在、シマノフスキとディエゴ・リコもヒザを痛めて出場できない状態では、もうこの火曜日のコパ、バレンシア戦なんて、ただの重荷でしかないのでは? 幸い、まだ降格圏とは勝ち点4差があるので、とりあえず、何とかクリスマスのparon(パロン/休止期間)まで頑張って、年明けに運気が変わるのを待つしかないのかもしれません。 ▽一方、日が変わって、日曜日にオサスナ戦に挑んだアトレティコはどうだったかというと。いやあ、それがマドリッドは引き続き雨模様だったんですが、パンプローナ(スペイン北西部、牛追い祭りで有名な町)は晴れていたんですよ。だからという訳ではないでしょうが、前節のマドリーダービーでは完敗したものの、CLではPSVに快勝して、自信を回復した彼らは軽快にスタート。おかげで開始すぐにはガメイロが先制点を挙げるチャンスを掴んだんですが、不可思議にも的を外してしまうことに。いえ、それどころか、13分にはヒメネスがオリオル・リエラをエリア内で突き飛ばし、PKを宣告されてしまったから、焦ったの何のって。 ▽これではダービーでロナウドにペナルティを犯したサビッチと先発を交代させた意味もありませんが、嬉しいことにこの日はオブラクが冴えていてくれました。ええ、ロベルト・トーレスのPKを弾き、後でシメオネ監督も「El penal fue determinante/エル・ペナウ・フエ・デテルミナンテ(ペナルティが決定的だった)」と感謝していたんですが、誰ですか? 彼を全然、PKを止められないGKだなんて言っていたのは。それは昨季のミラノでのCL決勝やPSVとのベスト16でのPK戦の印象が強いだけで、実は試合中のPKなら8本中4本、50%の阻止率の持ち主。その止めたうちの3本がヒメネスのペナルティというのは奇妙な偶然ですが、そんなことも意外とサビッチのスタメン復帰には障害になるかもしれませんね。 ▽まあ、そんなことはともかく、その後はコレアも敵GKとの1対1を失敗していたものの、何とアトレティコはほんの2分間程で試合を決めてしまったんですよ。まずは35分、もう長いこと、得点に結びつけていなかったコケのCKをゴディンがヘッドで決めて先制したかと思えば、大して間を置かずにコレアの浮き球パスに抜け出したガメイロが今度はシュートをネットに収めてくれたから、ホッとしたの何のって。おかげで私も後半はゆったりした気分で見ることができたんですが、残り1分にはコレアと途中交代したカラスコも敵のスローインからボールを奪い、3点目を挙げてくれたとなれば、これぞまさに文句のつけようのない完勝? ▽ええ、この試合前にはシメオネ監督も「La Liga, para los clubes, para los hinchas, es todo, la tabla se ve a dario/ラ・リーガ、パラ・ロス・クルブス、パラ・ロス・インチャス、エス・トードー、ラ・タブラ・セ・ベ・ア・ディアリオ(クラブにもファンにもリーガは全て、順位表を毎日見るんだから)」と言っていましたけどね。その日はビジャレアルがアラベスに2-0と不覚を取り、遅い試合でもバルサがここ7年間の習慣を忠実に守って、アノエタ(レアル・ソシエダのホーム)で白星を挙げられず。1-1の引き分けという結果だったため、6位だったアトレティコが4位まで上がることができたのは、とても大きな収穫だったかと。 ▽ただ、これで2、3位のバルサ、セビージャとは勝ち点3差になったとはいえ、首位のマドリーとは相変わらず9差がついているのは如何ともしがたいんですが、次には上位同士で潰し合うクラシコも控えていますからね。当面のアトレティコの課題は水曜日午後9時(日本時間翌午前4時)キックオフのギフエロ戦。オサスナ戦をケガで欠場したフィリペ・ルイスとフェルナンド・トーレスはまだ戻って来ませんが、おそらくシメオネ監督もGKモヤを始め、ガイタンやトマス、ブルサリコら、普段あまりプレーしていない選手を投入してきそうですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.29 13:01 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】軌道修正できたんだろうか…

▽「どうして上まで見えないの?」そんな風に私がイラッとしていたのは金曜日、CLも一区切りついたことだし、週末のリーガでアトレティコはどこまで順位改善ができるかと、マルカ(スポーツ紙)のクラブページ(http://www.marca.com/futbol/atletico.html)を眺めていた時のことでした。いやあ、前節のマドリーダービーに完敗して、首位との差が勝ち点9に拡大。順位も6位まで落ち込んでしまったのは重々、承知だったんですけどね。そのページの右端には直近試合の結果の下にclasifiacion(クラシフィカシオン/順位表)が出ているんですが、20チーム全ては載ってなくて、アトレティコを真ん中に上は4位、下は8位までしか現れず。 ▽これじゃ、最低ラインのCL直接出場権をもらえる3位に戻るまで、あと勝ち点がいくつ必要なのかもわからない上、いえ、このところ、乾貴士選手の出場も多く、頑張っているエイバルにケチをつけたい訳じゃないんですけどね。8位の彼らが金曜のベティス戦で勝ったら、勝ち点21のアトレティコに並んでしまうというショッキングな事実に気づいてしまったから、当惑したの何のって。もちろん、この週末はレアル・マドリーやバルサ、セビージャらが土曜に試合をするため、日曜のオサスナ戦がやって来るまで、上位陣との距離が更に開いてしまうという、惨めな思いに耐える覚悟はできていますけど、ああ、なる程。その場合、上は見えない方が、アトレティコファンはキリキリしないで済むという、ページデザイナーの配慮だったのかもしれませんね。 ▽まあ、そんなどうでもいいことは置いておいて、今週のCL5節がどんな様子だったかをお話していくことにすると。先にプレーしたのはお隣さんの方で、何せ、昨季のミラノでの決勝に続いてアトレティコを倒し、リーガ首位の座を固めた後、2年前にデシマ(CL10回目の優勝のこと)を達成したリスボンに乗り込んだんですから、貫録の戦いぶりが期待されていたんですけどね。どうやらダ・ルス(ベンフィカのホーム)とジョゼ・アルバラージ(スポルティングのホーム)は勝手が違うようで、スタメンも3日前からナチョに代わって、CBに負傷が完治したセルヒオ・ラモスがキャプテンマークを巻いて戻るぐらいの変更しかなかったんですが、序盤はなかなかチャンスが作れず。 ▽ようやく均衡が破れたのは29分だったんですが、残念ながら、殊勲の得点者は試合前、スポルティングのカンテラ(ユース組織)出身で、フィーゴを超える出世頭の古巣帰還として、スポットライトを一身に集めていたクリスチアーノ・ロナウドではなかったんです。いえ、モドリッチのFKを最初にシュートしようとしたのは彼だったんですけどね。敵選手の間をすり抜けたボールを手際良く押し込んだのはバラン。とりあえず、このゴールでマドリーは0-1とリードしてハーフタイムを迎えることになったんですが…後半にはちょっとした逆境が降りかかることに。 ▽いえ、足首を痛めたマルセロは大丈夫、すぐにピッチに戻ったんですけどね。12分にはベイルが敵との接触プレーで負傷、実際、こちらは深刻だったようで、帰国してから、足の腱の手術が必要とわかり、12月3日のクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)や中旬のクラブ・ワールドカップどころでなく、全治2、3カ月の戦線離脱になってしまったんですが、その時はまだ誰も知らず。アセンシオが代わりに入り、そのままゲームは追加点が取れないまま続いたものの、まあ、コバチッチのお腹を思わず突いてしまったジョアン・ペレイラがレッドカードで退場になって、スポルティングは1人少なくなっていましたからね。 ▽1節にサンティアゴ・ベルナベルで見た時のような攻撃の鋭さもなかったため、最少得点で勝利できるかと私も思い始めた頃、後半35分、ジダン監督の配慮でマルセロから代わったコエントランがペナルティを取られてしまうとはこれ如何に。うーん、当人は直前のキャンベルのプレーに「Yo pido mano, porque ha sido mano/ジョ・ピド・マノ、ポルケ・ア・シードー・マノ(自分はハンドをアピールした。ハンドだったんだから)」と後で言っていましたけどね。それで挙げた手にボールが当たり、自分の方が笛を吹かれるって、同じポルトガル人でもロナウドと違い、ベンフィカ出身だったため、いくらスタンドからpito(ピト/ブーイング)を浴びっぱなしだったとはいえ、「ha sido mala suerte/ア・シードー・マラ・スエルテ(運が悪かった)」(コエントラン)では済まされないかと。 ▽うーん、実際、そのPKはアドリエン・シウバに決められて、マドリーは同点に追いつかれてしまいましたしね。その頃には同グループのドルトムントがレギア・ワルシャワ相手に大量点を挙げ、リードしていたため、引き分けで終わったら、2位確定ということになっていたんですが、いえいえ、舐めてはいけません。そこはDNAにチャンピオンズリーグと奇跡のremonntada(レモンターダ/逆転劇)体質が刷り込まれているマドリー、42分にはラモスが送ったクロスに、イスコに代わって入っていたベンゼマの頭がミート。これが決勝点となって、マドリーは1-2での勝利を手に入れることができました。 ▽え、アトレティコをあんな余裕で下した彼らなのに、スポルティングに苦戦するのはどうにも納得がいかないって?いやあ、ジダン監督によると、「Es evidente que jugar cada tres dias no es facil y nos ha podido faltar algo de energia/エス・エビデンテ・ケ・フガール・カーダ・トレス・ディアス・ノー・エス・ファシル・イ・ノス・ア・ポディードー・ファルタル・アルゴ・デ・エネルヒア(3日おきにプレーするのが容易くないのは明らかだし、ウチに何がしかのエネルギーが足りなかったことはありうる)」そうなんですけどね。普段から、選手たちの気がつい緩んでしまう格下相手の試合の場合、こういう展開はありがちなので、とりあえず、グループ突破が決まり、最終節、ホームでドルトムントに勝てば首位で終われる可能性を残しただけも、この日は良かったかと。 ▽それこそ、同日、サンチェス・ピスファンでユーベに1-3の逆転負けを喰らい、アウェイのオリンピック・リヨン戦で勝ち点1ですが、獲得しないと先に行けず、ヨーロッパリーグ4連覇を目指すことになってしまったセビージャよりはずっとマシかと思いますが、そういう意味では水曜日、4節ですでに突破の決まっていたアトレティコのPSV戦に向かうのは気が楽な面もなくはなし。おまけにビセンテ・カルデロンに着くなり、時差のあるロシアでこちらより早い時間に終わったロストフ戦で何と、バイエルンが2-3で負けていたという報が待っていたため、アトレティコは引き分けでも最終節を待たずに首位通過が決まるとなれば、とにかく相手は今年3回対戦して、勝ったのは9月の1試合のみ。しかもゴールはその時のサウルの1点しかないPSVとなれば、スコアレスドローで全然、OKってことじゃないですか。 ▽もしかしてシメオネ監督もそれを考慮したんでしょうかね。その日のスタメンはダービーの時は違い、コケをサイドに回して、チアゴをガビのボランチコンビとして採用。今季はリーガ最初の1試合以外、先発のなかった35歳のベテランですが、この一見、守備を重視したような策が後で大当たりだったことが発覚したんですよ。ただやはりというか、前半はガメイロやゴディンが絶好機に決めきれず、逆に17分には敵のカウンターを喰らい、グリースマンが60メートルの距離を全力疾走。ガストン・ペレイロが1対1でシュートを撃つ直前に邪魔して、「Griezmann evita el gol de Pereiro y eso dice todo de este Atletico/グリースマン・エビタ・エル・ゴル・デ・ペレイロ・イ・エソー・ディセ・トードー・デ・エステ・アトレティコ(グリースマンがペレイロのゴールを回避した。それがアトレティコの全てを物語っている)」とコクー監督から、後でお褒めの言葉をもらったぐらいで、0-0のまま折り返します。 ▽そんな彼らがとうとう得点し、寒さの身に染みる夜、ダービーで恥をかいたばかりなのにも関わらず、スタジアムに駆けつけてくれた大勢のファンを喜ばせてくれたのは後半10分。グリースマンからパスをもらったガメイロが放った、エリアを斜めに横切るシュートがゴールポストに当たって入ってくれたから、どんなにスタンドが沸いたことか。おまけにその11分後にはグリースマンも本業で力を発揮。ええ、チアゴが敵陣でボールを奪い、彼にパスすると、今度はしっかり決めてくれたため、場内にもようやく明るい雰囲気が広がることに。お馴染みのチョロ(シメオネ監督の愛称)へのコールや個々の選手に対するcantico(カンティコ/応援歌)が復活したのは喜ばしい限りでしたっけ。 ▽え、それでも30分には今季、ここまで全試合皆勤のフィリペ・ルイスがダウン。負傷交代となってしまうという、残念なニュースもあるんだろうって?おっしゃる通りで、とりあえずは先発右SBだったブルサリコを左SBに回り、ファンフランを投入して、その日は乗り切ったんですが、いくら丈夫な彼とて、もう30代ですからね。診断は太ももの筋肉痛ということで、それ程、重傷ではなかったものの、この先、1、2試合はシメオネ監督もクロアチア代表で立派にレギュラーを務めているブルサリコや若いルーカスを活用していくことになると思います。 ▽結局、そのまま2-0で勝ったアトレティコは、グリースマンも「teniamos que dar otra imagen/テニアモス・ケ・ダール・オトラ・イマヘン(ウチは別の姿を見せなければならなかった)」と言っていた通り、ダービーでの悪い印象を払拭して、グループリーグ参加32チーム中、唯一の全勝をキープ。首位として決勝トーナメントに臨めることになったんですが、ただねえ。シメオネ監督は「Primero es mejor que segundo para todo/プリメーロ・エス・メホール・ケ・セグンド・パラ・トードー(何においても1位は2位よりいい)」と言っていたものの、今季に限ってはその日、バルサがセルティックにメッシの2ゴールで勝ったのと、自身がボルシア・メンヘングラッドバッハと引き分けたせいで2位が確定したマンチェスター・シティを始め、アーセナルやレバークーズン、そして下手したら、最終節でドルトムントがマドリーに負けて、こちらも2位になる可能性が。 ▽となると、必ずしも1位の方がベスト16で弱い相手と当たると言えなくなってくるんですが、ここ2年間、そのラウンドを延長、PK戦(昨季はPSV、その前はレバークーゼン)で勝ち上がっている彼らとしては、そういう緊張する展開はサポーターのついているホームで2ndレグができるだけでありがたいのかも。おまけに12月6日にある、昨季の準決勝ではアウェーゴールで勝ち抜けたものの、2-1と負けているアリアンツ・アレナでのバイエルン戦もグループリーグ全勝記録を打ち立てる以外、何のプレッシャーもなく迎えられますからね。その分、リーガや来週から始まるコパ・デル・レイ32強対決に集中できるとなれば、文句なんて言えませんよね。 ▽そして翌日のELではバレンシアガの見事としか言いようのないオウンゴールはあったものの、サッスオーロに3-2で勝ったアスレティックがグループ突破を果たし、それぞれチューリヒ、スタンダール・リエージュと引き分けたビジャレアル、セルタが決着を最終節に持ち越した後、またリーガに向き合うことになった私でしたが、今節のマドリッド勢はまず、マドリーが土曜午後4時14分(日本時間翌午前0時15分)からスタート。金曜夜にはチームもバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習施設で合宿に入りましたが、スポルティング・デ・ヒホン戦用の招集リストにはベイルはもとより、火曜の試合でヒザを痛めたバラン、またケガしたようなコエントランが入っていません。 ▽そのため、ジダン監督は次にはクラシコが控えているにも関わらず、「Va a tener que jugar Sergio mañana/バ・ア・テネール・ケ・フガール・セルヒオ・マニャーナ(明日はセルヒオがプレーしないといけない)」と、イエローカードが4枚溜まっていて、累積警告になる恐れのあるラモスを先発させるようですが、丁度、この試合からペペが負傷から復帰。90分は無理でもゲームが荒れた場合は折を見て、ラモスと交代なんてことも考えているかもしれません。加えてカセミロも戻っていますが、最近はコバチッチがクロースの代役も兼ねて頑張っていますからね。こちらも先発するのかどうか。ちなみにベイルの穴を埋めるのはルーカス・バルケス、ハメス・ロドリゲス、アセンシオと沢山、候補はいる上、何より相手は降格圏にいるチームですしね。正GKのクェジェルもケガで遠征に帯同できておらずとなれば、マドリーが後れを取ることはまずないんじゃないでしょうか。 ▽続く時間帯ではマドリッドの新弟分、レガネスがアウェイでのエスパニョール戦に挑むんですが、彼らは前節、念願の1部ホーム初勝利を果たしながら、2ゴールを挙げてオサスナに引導を渡したロネル・イバネスがその試合中に負傷。しかもヒザの靭帯断裂で今季絶望となってしまうという不運があったばかりですが、できればクリスマスのparon(パロン/休止期間)前までにもう少し、降格圏から遠ざかっていてほしいもの。今のところ、勝ち点差は4ありますが、アトレティコ、バルサ、マドリー、セビージャ戦がもう済んでいるだけに、ここが稼ぎ時と言っても大袈裟ではないかと。 ▽そしてアトレティコがオサスナと対戦するのは日曜午後4時15分ですが、そうこうするうちに金曜試合が終わり、恐れていた通り、彼らはベティスに3-1で勝ったエイバルに勝ち点で並ばれてしまうことに。いえ、週末の相手はお隣さん同様、降格圏にいますし、カパロス新監督に代わった直後のレガネス戦でもそれ程、改善しているようには見えなかったんですけどね。このままたらたらリーガを過ごしていると、ノルマ達成すら危うくなったりしますから、ここは気を引き締めてかかってくれるといいんですが…。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.26 11:10 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】悪夢が戻って来た…

▽「このままだと大変なことになってしまう!」そんな風に私が恐れおののいていたのは月曜日。前日中には憂鬱で見る気も湧かなかったリーガの順位表をスポーツ紙で確認した時のことでした。いやあ、惨々だったマドリーダービーの後、首位のレアル・マドリーの差が勝ち点9に開いてしまったのは重々承知していたんですけどね。土曜日にはセビージャが、日曜日にはレアル・ソシエダがそれぞれデポルティボ、スポルティングに勝っていたため、とうとうアトレティコは4位から、CL出場圏外の6位まで後退。このまま順位が動かなかったら、来季はペイネタでヨーロッパリーグを戦うことに。となれば、忠実なアトレティコファンでも木曜日にあるその大会は別腹で、収容人数が5万5000人だったビセンテ・カルデロンですら、ガラガラだったグループリーグなんぞ、7万人も入る新スタジアムでどうなるか、想像するだけで怖かったから。 ▽え、いざとなればCLに優勝して、来季の出場権を得るという奥の手だってまだ残っているだろうって? いやあ、そういうのは絵に描いた餅というか、白日夢というか、クラブの博物館に11個も眩いトロフィーが並んでいるお隣さんならともかく、決勝に出場した3回とも負けている彼らですからね。おまけに土曜日の試合では、シメオネ監督が来る以前のダメダメなアトレティコに戻ってしまったような兆候も見られたため、とてもそんな強気ではいられないんですが、はあ。とにかく、そのダービーの話をしていくことにしましょうか。 ▽家を出る前には驚かされたことに、試合前にメッシが吐き気で出られなくなったバルサが、マラガとカンプ・ノウでスコアレスドローに終わったなんて知らせもあったため、それを吉報と受け取ったファンも多かったはずですが…。さすがにビセンテ・カルデロンで開催される最後のリーガ・ダービーとあって、この日は満員御礼。Fondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏)には「Nuestro legado sera eterno/ウエストロ・レガドー・セラ・エテルノ(我々の遺産は永遠に)」という巨大な垂れ幕も現れ、ここ数年のビッグマッチの折には恒例となったhimno(イムノ/クラブ歌)のアカペラ合唱で雰囲気も大いに盛り上がってキックオフ。アトレティコが勢いよく攻めていたのは開始から、ほんの5分間程のこと。 ▽あっという間にマドリーが反撃体制に入ると、11分にはクリスチアーノ・ロナウドに至近距離からのヘディングシュートを撃たれ、ボールがラインを完全に割るギリギリでGKオブラクが弾くといったドッキリもあったんですけどね。どうやらその日のアトレティコの運はそこで尽きてしまったよう…。22分にサビッチがエリア前でルーカス・バルケスを倒し、FKを与えるくらいのことはまだ序の口ですって。それどころか、ロナウドの蹴ったボールが、壁を作っていたサビッチとガビの間を抜けて変わった軌道にオブラクも反応できずに先制点を入れられてしまうなんて…。どこまで間の抜けたことをやっているんでしょう。 ▽その日はリハビリを終えたベンゼマがいたものの、ジダン監督はBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)に執着せず、ロナウドをトップに据え、イスコが「Me siento mas comodo/メ・シエントー・マス・コモドー(より快適に感じる)」トップ下に配置。4-2-3-1のシステムで利き足側の左サイドに回ったせいか、ベイルもマメに守っていましたし、右サイドのルーカス・バルケスは生来の働き者ですからね。ファンフラン、フィリペ・ルイス、両SBの上がりを封じられ、シメオネ監督が「Buscabamos buen juego aereo, con el equilibrabamos su altura/ブスカモス・ブエン・フエゴ・アエレオ、コン・エル・エキリブラモス・ス・アルトゥラ(高さを拮抗させて、空中戦を強くしたかった)」という理由で、身長170センチのガメイロに代わって抜擢された183センチのフェルナンド・トーレスの出番もほとんどないまま、0-1で試合を折り返したところ…。 ▽ロッカールームで檄を飛ばされたのか、後半のピッチに戻って来たアトレティコは持ち直したんですよ。フランス代表の試合で踏まれた足がまだ痛いのかと、前半の元気のなさに心配されたグリーズマンもシュートを撃って敵ゴールに迫ったものの、それでも得点できないとなると、60分にトーレス、ガビがガメイロ、コレアに交代。決して珍しくないシメオネ監督の攻撃力強化ですが、この過剰な前掛かりが裏目に出てしまいます。後でフィリペ・ルイスも「muchas veces hemos intentado llegar al area y ellos jugaban a la contra/ムーチャス・ベセス・エモス・インテンタードー・ジェガール・アル・アレア・イ・エジョス・フガバン・ア・ラ・コントラ(ウチは何度も敵エリアに入ろうとして、相手はカウンターで戦った)」と言っていたんですが、とにかく足が速いんですよ、マドリーのFWたちは。 ▽それにアトレティコがまんまとはまったのは73分で、オブラクのゴールキック目掛けてロナウドが猛ダッシュ。必死で追ったサビッチがエリア内で相手の前に足を伸ばして止めたんですが、これがペナルティかどうかは微妙なところかと。ええ、ASとマルカ(スペインの2大スポーツ紙)でも意見が割れていましたからね。それもあって、審判があっさりPKマークを指したのには、以前の14年間、白星なしが続いたダービーでは吉凶が分かれる際、必ずアトレティコにとって悪い方向に転がるのがお約束だったのを思い出したファンも多かったかと。 ▽え、そのPKを決めたロナウドがTVカメラに向かってアゴを撫でるポーズで祝うと、スタンドからはpeineta(ペイネタ/中指を立てる侮辱の仕草)の嵐が巻き起こり、シメオネ監督も「El penalti nos corto la ilusion de meternos en el partido/エル・ペナルティ・ノス・コルト・ラ・イルシオン・デ・メテールノス・エン・エル・パルティードー(ペナルティがウチのゲームに入り込みたいという希望を断ち切った)」と言っていたけど、2点差なら、先週のスペイン代表が土壇場でイングランドに追いついたように、アトレティコももっとガッツを見せれば良かったんじゃないかって? まあ、そうなんですが、残念ながら、彼らの遺伝子にはお隣さんのように奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質は組み込まれていないんですよ。 ▽それどころかその6分後には、再び見事なカウンターをかけられ、イスコのロングボールに疾走したベイルがゴール前でロナウドにバトンタッチ。ハットトリックで3点目を決められてしまっては、何人も席を立つファンがいても仕方なかった? うーん、実際、その日、ダービーでの復活を目指し、招集メンバーには入ったものの、「No se veia al cien por cien/ノー・セ・ベイア・アル・シエン・ポル・シエン(100%の調子には思えなかった)」(ジダン監督)というセルヒオ・ラモスがベンチで応援に回ることにしたため、先発入りを果たしたナチョも言っていたように、「Es dificil meternos manos si defendemos todos/エス・ディフィシル・メテールノス・マノス・シー・デフェンデモス・トードス(全員で守れば、ボクらから点を奪うのは難しい)」というのは本当ですからね。 ▽そこへ、「大事なのはシステムじゃなくて、それぞれの選手が自身の力を出すこと。Hemos tenido calidad/エモス・テニードー・カリダッド(ウチには質の高さがあった)」(ジダン監督)と言われては、もう返す言葉もありませんが、柄にもなく、セットプレーでマークについたロナウドにからみ、額をくっつけていがみ合った挙句、喧嘩両成敗でイエローカードをゲット。その後もしつこく、悪口を言い続けていたコケなど、もう少し謙虚さを取り戻した方が良いかと。ええ、ウェンブリーでは「少なくともボクはダービーに出るよ」なんて、ナチョやイスコに上から目線で喋っていた結果がこれですもの。才能では明らかにマドリーの方が勝っているんですから、コケがボランチにいるせいで守備が脆くなったという意見はともかく、体力や気力で相手を負かさない限り、互角には戦えませんって。 ▽それでも試合を0-3で終えた後、コケは「Somos el Atletico de Madrid, despues de un duro golpe siempre nos levantamos/ソモス・エル・アトレティコ・デ・マドリッド、デスプエス・デ・ウン・ドゥーロ・ゴルペ・シエンプレ・ノス・レバンタモス(ボクらはアトレティコ・マドリーだ。厳しい試練を受けても常に立ち上がる)」と前を向いていなかったかって? うーん、そうなんですけど、ミックスゾーンではロナウドとの一件を訊かれ、「Esto es futbol, ya esta/エスト・エス・フトボル、ジャー・エスタ(これがサッカー、それだけさ)」と言い捨てて、マイクの前から逃げちゃいましたからね。いい加減、休養日の日曜日を挟んで、月曜日にマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に出て来た頃には、途中交代させられた際、ベンチでウィンドブレーカーや水のボトルを投げて八つ当たりしていた先輩のガビ共々、頭も冷めたことと思いますが、こればっかりはねえ。 ▽過ぎたことはもう仕方ないので、せめて、もうグループ突破は決まっていますが、バイエルンと首位を争っているCLのPSV戦では基本に立ち帰って、これ以上、ファンを失望させないことを祈るばかり。ちなみに水曜日午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのこの試合もビセンテ・カルデロン開催となりますが、シメオネ監督がメンバーやシステムを変えてくるかはまだ不明で、今のところ、出場が危ういのはダービーでヒザに打撲を受けたガメイロだけだとか。 ▽私も本音は、月曜日にマドリッドの新弟分、レガネスに2-0でリーガ1部ホーム初勝利を与えてくれたオサスナと当たる日曜日の試合が早くやって来て、リーガ2連敗のスランプを脱出してもらいたい感じなんですけどね。こんな時こそ、Partido a partido/パルティードー・ア・パルティードー(1試合1試合)を貫かないといけませんよね。 ▽その一方で月曜日には早速、火曜日のスポルティングCP戦に備え、リスボンに飛んだマドリーでしたが、こちらはまだグループ突破が決まっておらず。といっても必要なのはあと勝ち点1だけですけどね。キャリアを始めた古巣相手ということで、ロナウドも張り切っていますし、たとえ1節ではモラタの後半ロスタイムのゴールで2-1の辛勝と苦労はしていても、チームが過剰なリラックス状態に陥らなければ、それ程問題はないかと。 ▽ちなみにスタメン的には、アトレティコ戦で普段は控えの選手たちの活躍に満足したジダン監督も「Todos son los mejores pero la BBC un poco más/トードス・ソン・ロス・メホーレス・ペロ・ラ・ベーベーセー・ウン・ポコ・マス(皆、最高の選手たちだが、BBCはちょっと上)」と言っていたため、ビセンテ・カルデロンで足慣らしをしたベンゼマが戻る可能性が濃厚。ナチョもスペイン代表戦から、3試合皆勤が続いていますから、そろそろラモスと交代して、土曜日の、こちらはリーガのスポルティング戦に備えるかも。 ▽そんなマドリーのCLグループ5節は火曜の午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。そうそう、同日、ユベントスをサンチェス・ピスファンに迎えるセビージャもあと勝ち点1、水曜日にセルティック・パークを訪れるバルサもマンチェスター・シティとボルシアMGの試合結果にもよりますが、あと一息で突破が決定しますよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.22 12:45 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】大切なのは次の試合…

▽「ここ3シーズン、リーガで負けてないって言われてもねえ」そんな風に私が今イチ、確信が持てずにいたのは金曜日、いよいよマドリーダービー一色になったお昼のニュースを見ている時のことでした。いやあ、それ以前のレアル・マドリー戦、自分がマドリッドにいる間にアトレティコの勝利は見られないんじゃないだろうかと感じた日々もあったものの、それも2013年のコパ・デル・レイ決勝でお隣さんを下してから、まるで14年間の憂さを晴らすように、リーガでは4勝2分けと勝ち越しているのは確かなんですけどね。 ▽それとは対照的に克服でききていないのがCLでの対戦で、この同じ3年間で1分け3敗。しかもそのうち2つの負けが選りに選って決勝の大舞台って、あまりにツキがないかと。もちろんリーガの試合には延長戦もPK戦もないのは救いになりますが、普通の展開なら、魔の93分は確実にやってくるはずですしね。そこへ加えて、リスボンでもミラノでもゴールを挙げたセルヒオ・ラモスがケガから回復、1カ月ぶりに戦列に戻って来るとなれば、リーガのparon(パロン/休止期間)直前、アウェイでの2連敗目を喫して、首位マドリーと勝ち点差6という厳しい状況にある今、私が強気になれなくても仕方ない? ▽え、その負けたセビージャ戦、レアル・ソシエダ戦については、スペイン代表出向中に先輩のガビから、「中央にいるとボールを持って、より多くのプレーを組み立ててくれるが、守る時にチームが脆弱になる」と言われていたコケが、「hay veces que desconectas un segundo y el contrario lo aprovecha/アイ・ベセス・ケ・デスコネクタス・ウン・セグンド・イ・エル・コントラリオ・ロ・アプロベチャ(時にほんの一瞬、気がそれてしまうことがあって、敵がそれを利用するんだ)」と説明していなかったかって?うーん、どちらもスローインから失点につながったこともあって、彼なりに一生懸命、考えたことなんでしょうけど、突然集中力が途切れてしまうのはダメダメだった時代のアトレティコの、何度反省しても直らなかった悪癖。 ▽それがまた、今になって蘇ってきたなんて、たまったもんじゃありませんが、週明けの練習後には、ガビがシメオネ監督から注意を受けていたなんて話もありましたからね。まあ、これまで好成績を挙げてきたダービーでは守備的ボランチを2枚置いてきたという経緯もありますし、監督自身も「コケがどこでプレーするのかはわからないが、su presencia en el equipo es fundamental siempre para nuestro juego/ス・プレセンシア・エン・エル・エキポ・エス・フンダメンタル・シエンプレ・パラ・ヌエストロ・フエゴ(彼の存在はウチのプレーにとって常に重要)」と前日会見で断言。となれば、スタメンには入るとしても…当人が「no es un paso atrás, son variants/ノー・エス・ウン・パソ・アトラス、ソン・バリエンテス(一歩後退じゃないよ、バリエーションなんだ)」というサイドへ移動した場合、今回、代わりにボランチに入るのが後輩のサウルであることを考えると、ちょっと微妙かもしれませんね。 ▽まあ、ダービーに関してはまた後で触れるとして、スペイン代表の2試合目は休養できるはずだった、そのコケまでがロペテギ監督の初期プラン失敗のため、駆り出されることになった火曜のイングランド戦の顛末もお話ししておかないと。いえ、前日からウェンブリーに乗り込んで、近隣のホテルに宿泊。久々のロンドンを満喫と張り切って外へ出た試合日の昼間、レセプションの人に勧められたスタジアムのすぐ横にあるアウトレットモールをまず見てみようと歩いていたところ、偶然にもチームの滞在していたヒルトン・ホテルから選手たちが練習に向かうシーンを見られたり、マドリッドに比べ、複雑怪奇に思えた地下鉄でさえ、どの駅にも改札や券売機付近に係員がいて親切に教えてくれたため、かなりご機嫌で私もキックオフを迎えたんですけどね。 ▽そんな浮かれた気分がサッカーの聖地、ウェンブリーでプレーするスペインの選手たちにもあったか、はたまた、アスピリクエタ(チェルシー)、イニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、ナチョ(マドリー)でのCF3人体制という新機軸が上滑りしてしまったのか。真相はわかりませんが、いくら往年のジェラールやランパード、そしてその日はルーニーまで負傷だか、合宿先のホテルで開かれていた披露宴に招かれたせいでの二日酔いだったかで欠場と、お馴染みの選手がほとんどいないイングランドだって、満員の観衆に応援されれば張り切りますよ。ええ、開始9分、ララーナのクロスに抜け出したバーディをGKレイナ(ナポリ)が倒してしまい、早速PKを献上してしまうって一体、どうなっている? ▽そのPKはララーナが決め、リードされた状態で前半の残りを戦ったスペインですが、途中からロペテギ監督はビトロ(セビージャ)を上げ、アスピリクエタを左SBに回して、通常の4人DF制にチェンジ。ただそれも大した効果はなく、後半頭からマタ(マンチェスター・ユナイテッド)とビトロをイアゴ・アスパス(セルタ)とコケに代えてからわずか3分、今度はヘンダーソンのクロスをバーディにヘッドされて2点目を奪われているんですから、困ったもんじゃないですか。 ▽おかげでスタンドでは盛り上がったイングランドファンの場内何周もするウェーブが始まったため、もうロペテギ監督もチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)をアンデル・エレラ(マンチェスター・ユナイテッド)へ、シルバ(マンチェスター・シティ)、アドゥリス(アスレティック)をイスコ、モラタ(マドリー)へとフレッシュな攻撃陣を次から次へとつぎ込むしかなくなってしまったんですが、何と、観客の半分ぐらいが引き上げ、私もせっかく憧れのウェンブリーまで来て負け試合かと不貞腐れていた後半44分、何と奇跡が起こったんです! ▽それは「Sabia que tenia una buena oportunidad y que me tenia que comer el mundo en cada minuto/サビア・ケ・テニア・ウナ・ブエナ・オポルトゥニダッド・イ・ケ・メ・テニア・ケ・コメール・エル・ムンド・エン・カーダ・ミヌート(いいチャンスを手にしていて、1分1分、世界を喰ってやる気でいかないといけないのをわかっていた)」という、ジエゴ・コスタ(チェルシー)の負傷離脱で追加招集を受け、その日が29歳で代表デビューとなったアスパス。モラタからもらったボールでエリア内に切り込むと、ストーンズにヒザをつかせて撃ったシュートがファーサイドのポストに当たってネットに入ったから、ビックリしたの何のって。 ▽おまけに1点差になって、イングランドの選手たちが接触プレーの後に蹲りがちになっていたロスタイム、ほとんど最後の攻撃でカルバハル(マドリー)のクロスを胸でトラップしたイスコがGKハートンの股間を抜き、同点ゴールを決めてしまったとなれば、マドリーの伝統芸、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)精神や恐るべし。いえ、スペイン・サッカー協会に招待されてピケ(バルサ)やカソルラ(アーセナル)らはパルコ(貴賓席)でこの光景を見守っていたものの、ラモスは来ていなかったんですけどね。きっと自宅で後輩たちの頑張りを喜んでいたと思いますよ。 ▽となると、ウェンブリーでの前日練習の時にはロンド(輪になって中の選手がボールを奪うゲーム)でパスを失敗。ナチョやイスコに「A ver si das estos pases en el derbi/ア・ベル・シー・ダス・エストス・パセス・エン・エル・デルビー(ダービーでもこういうパスをするのかな)」と冷やかされ、「Yo al menos juego el derbi/ジョ・アル・メノス・フエゴ・エル・デルビー(ボクは少なくともダービーに出るよ)」と言い返し、意外と負けず嫌いな面をクアトロ(スペインの民放)のカメラに撮られていたコケなどもまったく油断ができませんが、結局、試合は2-2の引き分けで終了。これには「スペインはチームの持つ信じる力と意志の強さ、そして質の高さを披露した」とロペテギ監督もホッとしていましたが、試合後、どうにも選手たちがミックスゾーンに出て来るのが遅いと思いきや、まさかロッカールームでマネキンチャレンジを撮影していたとは! ▽ええ、画像は代表のホームページ(http://www.sefutbol.com/en/video-spain-players-take-part-mannequin-challenge)で見られますが、いくらイングランドのバーディが、自分がゴールを挙げた後、ピッチでマネキンポーズを取っていたからって、「Esta de moda y no hemos querido faltar a la cita./エスタ・デ・モーダ・イ・ノー・エモス・ケリードー・ファルタル・ア・ラ・シタ(流行っているし、ボクらも後れをとりたくなかった)」(イスコ)というのはちょっと軽薄かも。それでも幸い、スペインには先日、自身の2ゴールなどでラトビアとのW杯予選に勝ったポルトガル代表のマネキンチャレンジビデオで、中央で筋肉を見せつけていたクリスチアーノ・ロナウドのような選手はいませんでしたけどね。 ▽そのロナウドから、今回の代表戦2試合では出番のなかったルーカス・バルケスのツィッターに、「Buena copiada eh/ブエナ・コピアーダ、エー(いいコピーだね)」と茶々が入ったなんてことは、昨今では猫も杓子もやっており、オリジナリティを主張される云われもないため、無視していいんですが、終盤はともかく、試合の内容的にスペインには反省点が多かったのも事実。いえ、3月に次のイスラエルとの予選がやって来る頃には今回、ケガでいなかったラモスやピケ、ジョルディ・アルバ、イニエスタ(バルサ)、ジエゴ・コスタといったところも復活して、応援メンバーだったイニゴ・マルティネスやアンデル・エレラ、アスパスらがまた呼ばれるかはわからないんですけどね。2008年から2012年まで続いた国際メジャータイトル独占の黄金期が再び到来するかどうかは、この先、テクニカルスタッフ、選手共々、何がいけなかったのか発見できるかどうかに懸かっているんじゃないでしょうか。 ▽そしてその夜のうちにロンドンを経ったチームに続いて、翌水曜には私もマドリッドに着いたんですが、そこで待っていたのは、モラタが右の太ももの肉離れで全治1カ月の診断を下されたという驚きのニュース。いやあ、先週土曜のW杯予選マケドニア戦で打撲を受けたというのは聞いていたんですけどね。ウェンブリーでは途中出場して全力疾走、屈強なフィジカルを持つイングランドの選手たちにも負けておらず、夜中にバラハス空港に着いた時の映像でも普通に明るかったとなれば、一体、彼はいつケガをした? ▽おかげでジダン監督は土曜のダービーに向けて、ドイツ代表に行くまで足中骨骨折に気づかなかったクロースに加え、貴重な戦力を失うことになったんですが、いえ、その代わりに木曜からベンゼマが全体練習に復帰して、招集リストに入りましたけどね。先発はルーカス・バルケスになるかもしれませんが、このインターナショナルウィーク、1試合しかなかったロナウドとベイルも早めに戻っていますし、クロアチア代表のエストニア戦で前半と後半、半分ずつプレーしたモドリチとコバチッチも順調に回復。中南米組でもマルセロは2試合目が出場停止となり、日曜にはブラジルから到着、ケイロル・ナバスとハメス・ロドリゲスも木曜には元気な姿を見せているとなれば、やっぱりマドリーは侮れない相手かも。 ▽ただ、カセミロとペペは間に合わず、中盤はモドリッチ、コバチッチ、イスコと若干、守備が手薄な印象は与えますが、ジダン監督など、「Hay jugadores que van a cambiar, pero nuestra idea de jugar al fútbol no va a cambiar/アイ・フガドーレス・ケ・バン・ア・カンビアール、ペロ・ヌエストラ・イデア・デ・フガール・アル・フトボル・ノー・バ・ア・カンビアール(選手は変わるが、ウチのサッカーをプレーするという考えは変わらない)」と落ち着いていましたしね。昨季後半のリーガダービーではサンティアゴ・ベルナベウで負けたとはいえ、それ以来、28試合無敗を継続。おまけにCL決勝でも勝っている相手となれば、今回は引き分けても勝ち点6差が維持できる訳ですし、自信があって当然だった? ▽一方、アトレティコの嬉しいニュースはスウェーデン戦で足を踏まれ、フランス代表を早期離脱したグリースマンが期待にたがわず、先発の準備が整ったことで、木曜には大西洋を渡って来たゴディン、ヒメネス、コレア、フィリペ・ルイスらと一緒に全体練習に参加。ベルギー代表でも2ゴールを挙げ、絶好調のカラスコも戻ったのは週の始めでしたしね。火曜のプレーオフ2nレグのスコアレスドローでオーストリアにアウェイゴールで勝ち、来夏のU21ユーロ大会出場を決めてきたサウルも、2年前のダービーでchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)のゴールを挙げたという実績がありますし、ジダン監督曰く、彼らには「Siempre se dice que defiende bien, pero no es sólo eso, es mucho más/シエンプレ・セ・ディセ・ケ・デフィエンデ・ビエン、ペロ・ノー・エス・ソロ・エソ、エス・ムーチョ・マス(いつも守備がいいと言われるが、それだけじゃない。もっともっとある)」というところを証明できるといいのですが、さて。 ▽そんなアトレティコvsマドリー戦は土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。何せ、ビセンテ・カルデロンで最後となるリーガのマドリーダービーですからね。その直前には勝ち点4差で2位にいるバルサがマラガをカンプ・ノウに迎えるのも気になりますが、とにかくファンにいい思い出を作るためにも、「Antes sabíamos que éramos inferiores al Madrid, ahora competimos a la par/アテンス・サビアモス・ケ・エラモス・インフェリオーレス・アル・マドリッド、アオラ・コンペティモス・ア・ラ・パル(以前のウチはマドリーより劣っていることをわかっていたが、今はガチンコで戦える)」(シメオネ監督)というのが本当だということを見せてくださいね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.19 09:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】代表戦の先の方が気になる…

▽「それってズルいんじゃ」そんな風に私が怒っていたのは金曜日。お昼のニュースでこちらの夜間に行われたブラジルvsアルゼンチン戦の結末を知った時のことでした。いやあ、衝撃的に報じられていたのはメッシやイグアイン、アグエロらがプレーしながら、0-3の負けと手も足も出ず。現在、プレーオフ圏外ということの方でしたが、W杯南米予選はまだ試合が沢山ありますしね。アトレティコのコレアが出場したのもコウチーニョ、ネイマール、ガブリエウ・シウバのゴールが決まった後、ディ・マリアに代わって20分程でしたから、壮々たる先輩FW陣が決められなかったゴールを挙げられなくても別に構わなかったんですけどね。 ▽ところがよくよく聞いてみれば、ブラジルの左SBとしてフル出場したレアル・マドリーのマルセロが累積警告で次のペルー戦は出場停止という情報もあって、それはすなわち来週土曜日のマドリーダービーを前に、こちらの火曜日深夜に行われる試合でプレーしなければならないのはフィリペ・ルイスだということ。よりによって今季のアトレティコでただ1人、全試合皆勤、計1350分プレーしている彼が更に疲れて、しかもダービー前日にマドリッドに戻って来るってことじゃないですか。 ▽え、それでもお隣さんは代表戦週間突入早々、ドイツ代表に合流したクロースが、実はリーガの前節で対戦した新弟分のレガネスとのミニダービーで右足の第5中足骨を骨折していたことが発覚。本家ダービーどころか、全治4~6週間で、年内絶望になってしまったという逆境が降りかかったんだろうって? うーん、そうなんですが、セルヒオ・ラモスに続き、今週になって、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場グラウンドではリハビリ最終局面に入ったカゼミロ、ペペ、ベンゼマの姿が目撃されていますからね。 ▽加えてモドリッチもレガネス戦で復帰していますし、打撲を抱えてクロアチア代表に合流したコバチッチ共々、土曜日に行われるW杯予選のアイスランド戦後、来週のアイルランドとの親善試合は免除されてクラブに戻れるとなれば、ジダン監督もそんなに心配することはないかと。もちろん、マドリーにも火曜日深夜にプレーするGKケイロル・ナバス(コスタリカ)、ハメス・ロドリゲス(コロンビア)ら、帰国が遅い選手もいるんですけどね。何せ相手はここ28試合無敗で、リーガでは単独首位。セビージャ戦、レアル・ソシエダ戦と、アウェイで2連敗したせいで、4位のアトレティコとは勝ち点6差がついているのを考えると、些細なことでもつい気になってしまうもんなんですが…。 ▽まあ、この週末はヨーロッパ各国のW杯予選もあるため、これから代表に出向中の選手たちに何があるかはまったく予断を許さないんですが、土曜日にマケドニア戦を控えたスペイン代表の様子もお伝えしておかないと。いえ、選手たちがラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合した火曜日、冬時間になって、モンクロアのバスターミナルを出る頃からとっぷり日も暮れていた午後6時半からの練習は私も見学に行ったんですけどね。日曜日にリーグ戦でプレーした5選手程はランニングだけで上がり、残り少人数対決のpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)などをしていましたが、最近の彼らは公開練習がやけに少ないんですよ。 ▽今回の合宿でも一般公開したのはその日だけで、マケドニア戦の後は直接、イングランドとの親善試合でロンドンに行ってしまうため、ファンが応援に行けるセッションがラス・ロサスでは他になかったためか、練習後はモラタやルーカス・バルケス、ナチョ、カジェホン(現ナポリ)ら、マドリー系を中心に何人もの選手がスタンドに近寄ってサインに応じていたんですが、その近辺は物凄い人だかり。よって私など、代表では珍しく、ファンサービスをしているコケ(アトレティコ)の顔も見られなかったんですが、驚かされたのはモラタの太っ腹ぶりでしょうか。いえ、施設の出口に向かう途中、スペイン人の子供が「モラタはおかしいぐらいハイだったよ。ビブスやジャージ、シャツ、全部脱いであげちゃって」と言っているのを聞いた時は、そりゃ何だと首を傾げるしかなかったんですけどね。 ▽家に帰ってスポーツ紙サイトの写真を見ていると、確かにあの寒さの中、最後に彼はランニング1枚に。うーん、最近はマドリーで調子も良くて、ゴール数もチーム最多の8得点。同僚のカルバハルにも「Morata se está mereciendo más minutos por su rendimiento/モラタ・セ・エスタ・メレシエンドー・マス・ミヌートス・ポル・ス・レンディミエントー(モラタは、そのパフォーマンスでもっと多くのプレー時間をもらえるにふさわしくなっている)」と褒められていましたしね。となれば、スペイン代表でももっと目立って、バルブエナへの脅迫疑惑事件以来、デシャン監督から声が掛かっていないベンゼマとの差をもっと広げたいと思っても当然だった? ▽ちなみにそのモラタとスペイン代表で先発CFの座のライバルになるのはジエゴ・コスタ(チェルシー)なんですが、この合宿中、当人からは「Me entiendo mejor con Costa que con Benzema... por el idioma/メ・エンティエンドー・メホール・コン・コスタ・ケ・コン・ベンゼマ…ポル・エル・イディオマ(コスタの方がベンゼマよりわかる。言葉のせいでね)」という発言が。要は「コスタ(ブラジル生まれ)はずっとスペインにいて、ボクの言うこと、表現、全部理解してくれる」とのことで、「自分がフランス語を話せたら、きっとベンゼマと1日中、喋っているよ」とフォローはしていましたが、こっちももう7年、マドリーでプレーしているんですけどね。となると、モラタもベンゼマもベイルやクロースとの意思疎通が上手くいっていない可能性があったりするかと。 ▽ただ、モラタがグラウンド以外でもよく会話するというコスタは今回も代表に縁がなく…。いえ、合宿入り前に病院で診察を受けて出て来た時には元気そうだったんですけどね。結局、先週末の試合で受けた足の付け根の打撲と筋肉疲労が回復せず、ラス・ロサスでは1度も全体練習に参加しないまま、木曜日にはロンドンに戻ることが決定。代わりにイアゴ・アスパス(セルタ)が初招集されていましたが、10月の代表戦でもロペテギ監督はハビ・マルティネス(バイエルン)→イニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、サウール(アトレティコ)→アンデル・エレーラ(マンチェスター・ユナイテッド)、ジョルディ・アルバ(バルサ)→モンレアル(アーセナル)と、負傷で3人も追加招集する破目に。それに懲りたか、今回は25人と多めに呼んだんですが、どうやら選手の健康運には恵まれていないよう。 ▽そして金曜日には試合の行われるグラナダ(スペイン南部)に移動したスペインですが、それまではマセドニアも専守防衛で自陣に閉じこもる戦法を採ってくると考えられることから、予選前節のアルバニア戦で成功した3バックのリピートが言われていたんですが、ヌエボ・ロス・カルメネス(グラナダのホーム)での前日練習の後では通常の4バックに戻るという意見が主流に。いえ、同じバルサとマドリーのCBコンビとはいえ、今回はピケとラモスが負傷欠場で、バルトラ(現ドルトムント)とナチョですから、ちょっと不安がない訳ではないんですけどね。水曜日にはラス・ロサスでのランチタイムにラモスがチームを電撃訪問、一緒に食卓を囲んで後輩に檄を飛ばすと共に、ロペテギ監督とも意見を交換し合ったといいますから、まあ大丈夫かと。 ▽その他のスタメンはGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、右SBカルバハル(マドリー)、左SBモンレアル、中盤がブスケツ(バルサ)、コケ(アトレティコ)、チアゴ(バイエルン)、前線がビトロ(セビージャ)、モラタ、シルバ(マンチェスター・シティ)という4-3-3が予想されていますが、大穴でイスコ(マドリー)がチアゴに取って代わるかも。まあ、ロペテギ監督も「Los partidos los ganan los jugadores, no el dibujo/ロス・パルティードス・ロス・ガナン・ロス・フガドーレス、ノー・エル・ディブーホ(試合に勝つのは選手たち、システムではない)」と言っていましたしね。 ▽万が一、モラタが不発でも、合宿初日のミニゲームからゴールを連発していた35歳のベテランFW、アドゥリス(アスレティック)がいますし、ノリート(マンチェスター・シティ)やイアゴ・アスパスだって、好調ですからね。滅多なことがない限り、土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのマケドニア戦で後れを取ることはないと思いますが、さて。現在、同じ勝ち点7でグループG2位につけているイタリアはリヒテンシュタインと対戦しますので、3月まで首位を満喫するためにも、とにかく勝ってほしいものです。 ▽え、その一方で同じラス・ロサスで1日早く合宿を始めた彼らの弟分、U21スペイン代表は金曜日に来年のユーロ出場を懸けたプレーオフ1stレグに挑んだんだろうって? うーん、そうなんですが、今回はサウールやアセンホ(マドリー)も応援に行って、メンバー全員がリーグ1部でプレーする選手だったため、かなり強そうには見えたんですけどね。ザンクト・ポレンで行われた試合は前半ロスタイムにデウロフェウ(エバートン)のPKで先制したものの、後半にはジョニー(セルタ)がオウンゴールを入れてしまい、ムニル(バレンシア)が絶好機を2度も逃してしまったこともあって、最後は1-1でオーストリアと引き分けに。来週火曜日、アルバセテ(マドリッドから1時間の内陸都市)での2ndレグで決着をつけることになりました。 ▽何せ、スペインのU21チームはロペテギ監督が率いていた2013年、現在A代表にいるモラタ、チアゴ、コケ、イスコ、カルバハル、ナチョ、バルトラ、イニゴ・マルティネスらを擁するチームで優勝したのを最後に、2015年ユーロ本大会には出場もできませんでしたからね。来年の夏には、スペインの出る大人の国際大会はないため、この世代の選手たちにはいい挑戦の機会になると思うのですが、こればっかりはねえ。 ▽その他、週末は土曜日にウェールズの年間最優秀選手賞を6年連続で受賞したベイルがセルビアと、日曜日にはマドリーとの契約を2021年まで延長した日の夜、マルカ(スペインのスポーツ紙)のディ・ステファノ賞(最優秀選手賞)もゲット、翌日にはナイキと終生契約を結び、ルンルンの1週間を送っているクリスチアーノ・ロナウドのポルトガルがラトビアと対戦なんていうのもありますが、金曜日はヴァランが先発したフランスが2-1でスウェーデンに勝利したものの、グリースマンは不発、ガメイロには出場機会もなかったのはちょっと残念ですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.12 12:49 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】FW増やせば点取れるって訳ではないらしい…

▽「先越されちゃったわね」そんな風に私が感じていたのは金曜日、来週のスペイン代表戦に向けた招集リストの内容を知った時のことでした。いやあ、先月はロペテギ監督がアメリカ旅行のついでにMLSのニューヨークシティの試合を観戦。未だにゴールへの執念に満ち溢れているビジャが彼の地でもガンガン得点を挙げているのを見てきたと聞いて、もしや代表再招集もあるんじゃないかと内心、楽しみにしていたんですけどね。フタを開けてみれば、復帰したのは34歳の彼ではなく、前日のヨーロッパリーグ4節ヘンク戦で、クリスチアーノ・ロナウドやメッシ以外、滅多にお目にかかれない1試合5得点という快挙を達成した35歳、アドゥリス(アスレティック)の方。 ▽うーん、ロペテギ監督は「以前から注目していた。No ha tenido ninguna influencia los cinco goles/ノ・ア・テニードー・ニングーナ・インフルエンシア・ロス・シンコ・ゴーレス(5ゴールの影響はまったくない)」と言っていましたけどね。何より、この夏のユーロが終わってデル・ボスケ監督が引退して以来、2回の招集リストに入らなかったアドゥリスの凄いところは、ヘンク戦で挙げたゴールのうち、3本がPKだったこと。何せ、PKに関しては数々の逸話を持つメッシを始め、リーガ前節のアラベス戦でロナウドは2回蹴って、2度目は止められてしまったり、アトレティコのグリースマンも昨季のCL決勝から3連続で失敗中と、ゴールを量産するFWたちでさえ、意外と難易度が高い感がありますからね。 ▽今回、15日のイングランドとの親善試合はともかく、12日のマケドニア戦はイタリアと首位通過をガチンコで争っているW杯予選の大事な一戦なため、確固としたPKキッカーがいないスペインには大きな力になってくれるかも。その他、前回の追加招集からリピートしたイニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、モンレアル(アーセナル)、アンデル・エレラ(マンチェスター・ユナイテッド)に加え、GKアセンホ(ビジャレアル)、エスクデロ(セビージャ)、アスピリクエタ(チェルシー)、バルトラ(ドルトムント)、マタ(マンチェスター・ユナイテッド)らが11月の新顔となりますが、とりわけDF陣に変化が多いのはセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)、ピケ、ジョルディ・アルバ(バルサ)らのレギュラーが負傷中のため。 ▽その一方で、サウル(アトレティコ)やアセンホ(マドリー)は来年のユーロ出場が懸けて、オーストリアとプレーオフを戦うU21へ応援に行きますが、でもねえ。たった2試合しかないのに総勢25人って、ロペテギ監督がイロイロ、見てみたいのはわかりますが、まったく出場できない選手が複数、出てしまいそうなのは気の毒ですよね。 ▽え、今は代表戦のことより、今週のCL4節がどうだったかの方を知りたいって? そうですね、早くもグループリーグ突破決定を目前にしていたマドリッドの両雄ですが、どちらも相手はグループ内最弱チーム。そのせいか、指揮官による戦術に迷走があったようなアトレティコとマドリーでしたが、とりあえず、火曜に一足早く、ビセンテ・カルデロンにロシアのロストフを迎えた前者の結果は吉と出ることに。いえ、このところは夜の試合にウルトラダウンぐらいは必須ですが、遥かに暖かいマドリッドでの試合に体もノビノビ動いたか、3節よりずっと活発だった相手にアトレティコが苦労しなかった訳ではないんですけどね。 ▽それでも前半28分にはカラスコの浮き球のパスをアズモウンがヘッドでクリアしようとしたところ、ボールが敵DFラインとGKの間に入り込んでいたグリースマンへ。彼がジャンプして左足の外側で蹴る、アクロバティックなシュートでゴールにしてくれたため、先制したアトレティコだったものの、その次のプレーでフィリペ・ルイスとゴディンが遅れを取り、アズモウンに同点ゴールを奪われてしまうとはいかに! うーん、昨今では攻撃的なチームになったと、褒められることが多い彼らですが、今季唯一の黒星を喫したリーガのセビージャ戦でのエンゾンジのゴール、勝ったものの、その次のマラガ戦でも2失点してしまいましたからね。 ▽何か1つに集中すると、他が疎かになってしまう辺り、いかにもアトレティコ的ではありますが、やはり1-1のままではいけないと、シメオネ監督は後半開始からチームに一斉攻勢を指示。早くも12分にはサウルを引っ込め、ガメイロを投入、フェルナンド・トーレス、グリースマン、カラスコとの4人FW体制となって、4-2-4のような状態で相手を囲い込んでいましたが、全員で守るロストフの砦は崩せません。カラスコをコレアに代えてもラチが明かず、いよいよロスタイムに入ったため、引き分けでも突破は決まるしと、私もスタンドを降りて出口に向かったんですが…。 ▽これって、前回、ロシアのチームとの試合で帰りかけた時、それこそ階段の踊り場でCKにアセンホまで上がっていたアトレティコがカウンターを受け、最後はルビン・カザンに1-2で負けてしまったシーンを目の当たりにしたイヤな思い出のせいだったんですかね。その日もちょっと心配で立ち止まっていたところ、真逆なことが起こったから、驚いたの何のって! そう、それはアトレティコ・ファンにとっては魔の時間、2年前のCL決勝でセルヒオ・ラモスが奇跡の同点ヘッドを決めた、93分のことでした。センター付近から放り込まれたロングボールが一緒にジャンプした、ピンチの時にはCFに転身するゴディンではなく、ガツカンの頭を経てゴール前へ。またしても抜け出していたグリースマンがそれをネットに蹴り入れ、土壇場でアトレティコに勝ち越し点が入るって、一体、彼らはいつからお隣さんのような奇跡体質になった? ▽幸い、オフサイドを主張するロストフの抗議も認められず、最後の1分程もしのいだアトレティコはこれで2-1で勝利。グループリーグ4戦全勝として、その日、スポルティングに勝ったバイエルンと共に突破を決めましたが、試合の後のシメオネ監督は「He tomado malas decisiones en varios momentos del encuentro/エ・トマードー・マラス・デシシオネス・エン・バリオス・モメントス・デル・エンクエントロ(自分はこの試合で何度もマズい判断をした)」と反省することしきりです。それが何だったか、具体的に言うのは控えたため、世間ではもっぱら、マラガ戦の延長で、最初サウルをボランチに置いて、コケを右サイドにしたことではないかと推測されていますが、それでも「los jugadores fueron los que lo resolvieron/ロス・フガドーレス・フエロン・ロス・ケ・ロ・レソルビエロン(選手たちが解決してくれた)」(シメオネ監督)のは本当にラッキーでしたよね。 ▽そして同日にはバルサがマンチェスター・シティに予想外の敗北をした後、セビージャがディナモ・ザグレブに4-0と大勝した水曜にワルシャワでの無観客試合に挑んだのがマドリーだったんですが、もしやジダン監督はシメオネ監督の超攻撃的システムに感化されたんでしょうか。BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)プラス、モラタで4-2-4って、いえ、当人は後で「Era mas un 4-4-2 que un 4-2-4/エラ・マス・ウン・クアトロ・クアトロ・ドス・ケ・ウン・クアトロ・ドス・クアトロ(4-2-4というより、4-4-2だった)」と言っていましたけどね。先発にMFがクロース、コバチッチの2人しかいないって、あまりにレギアを軽く見過ぎていない? ▽それでも開始から1分も経たないうちに、風邪でお留守番になったマルセロの代わりに入ったコエントランのクロスをベイルが見事なvolea(ボレア/ボレーシュート)で叩き込み、先制点を挙げた時には、彼らはCL現チャンピオンだし、別に関係ないのかと私も思ったんですけどね。34分にベイルの折り返しをベンゼマが決めて2点目が入ったのを見て、ますますその気持ちは強まったんですが、いえいえ、とんでもない。40分にオディジャにエリア前から撃ち込まれ、1-2でハーフタイムに入った彼らには、「Nos ha faltado de todo, intensidad, movimiento, ganas/ノス・ア・ファルタードー・デ・トードー、インテンシダッド、モビミエントー、ガナス(ウチにはプレーの激しさ、動き、気力、全てが欠けていた)」(ジダン監督)ことがその後の災いを呼んでしまいます。 ▽ええ、後半13分にはラドビッチに同点にされると、ベンゼマをルーカス・バルケスに代え、更にはコエントランとアセンシオにして、3人DFで攻めてみたのも裏目に出て、38分にはモーリンに勝ち越しゴールを入れられてしまうんですから、呆気に取られてしまうじゃないですか。うーん、その直後にモラタから、今季ほとんどプレー時間をもらっていないカンテラーノ(下部組織出身の選手)のFW、マリアーノに代わったのも何だか、意味がわかりませんしね。結局、40分にはコバチッチがレギアの3ゴールと同じようなエリア外からのシュートを決め、何とか同点に持ち込むことができたマドリーでしたが、実際、「ファンの応援があったら、ウチが勝っていた」(ラドビッチ)なんて破目になっていたら、赤っ恥もいいところでしたっけ。 ▽え、逆にレギアのサポーターがいたら、pito(ピト/ブーイング)の的になるのは確実だったロナウドが発奮して、彼らは簡単に勝てていたんじゃないかって?まあ、そうかもしれませんが、CLでクラブ史上最速のゴールを挙げたベイルも、「プレーに激しさが欠けていたことから、ボクらは学ばなければならない。こういう大会ではいつもツケを払うことになるからね」と言っていたように、格下相手の時に気を緩めてしまう悪い癖は早く直しておくのが肝心。ただ、元々、マドリーはお隣さんと違って、FW陣が守備に熱心でなくてもスルーされてしまうため、その人数を増やすと失点が増えるのは仕方ないのかもしれませんけどね。 ▽おかげでバルサやセビージャ同様、グループリーグ突破確定が次節以降に持ち越されてしまいましたが、それだけでなく、もう1つの懸念は首位突破をするためには、下手したら、2連勝が必要になること。いえ、アウェイのスポルティング戦もホームのドルトムント戦もその頃には負傷中のラモスやカセミロも復帰しているでしょうし、マジメにやれば、決して勝てなくはないんですけどね。金曜には恒例のアウディからの車の貸与式をビセンテ・カルデロンに近いカルロス・サインツ・センターで行い、ついでにカートレースを楽しんでいた選手たちですが、今週末のリーガはマドリッドの弟分、レガネスをサンティゴ・ベルナベウに迎えてのホームゲーム。こちらも新参者と甘く見ると火傷しかねませんから、日曜正午(日本時間午後8時)までには皆、しっかり気を引き締めてもらいたいものですが…。 ▽その傍ら、土曜にレアル・ソシエダ戦を控えるアトレティコは前日にはサン・セバスティアン入りしているんですが、幸いロストフ戦で打撲を受けたグリースマンも順調に回復し、出場に問題はないとか。ちなみに前日記者会見で、この火水を終えてCLグループリーグ全勝だったのはアトレティコだけという成績に、「Es suerte/エス・スエルテ(それは運)」と答えていたシメオネ監督は、ロストフ戦の反省を踏まえて、この試合ではコケをボランチに戻すよう。 ▽曰く、「サウルだと敵エリア内への侵入や空中戦といった別の特性を利用できるが、con Koke jugamos mas rapido tras recuperar la pelota y el equipo tiene mas panorama/コン・コケ・フガモス・マス・ラピド・トラス・レクペラール・ラ・ペロータ・イ・エル・エキポ・ティエネ・マス・パノラマ(コケだとボールを奪取してから、より素早くプレーできて、チームが違う展望を持つことができる)」からだそうですが、ソシエダも前節、レガネスを0-2と破ったおかげもあって現在6位と好調ですからね。土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からの対戦では、初心に戻って堅実な守備を心掛けて、バルサもセビージャ戦が日曜にあるため、たった1日でもいいですから、またリーガ首位の高みに立てるといいですね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.08 19:55 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】FW増やせば点取れるって訳ではないらしい…

▽「先越されちゃったわね」そんな風に私が感じていたのは金曜日、来週のスペイン代表戦に向けた招集リストの内容を知った時のことでした。いやあ、先月はロペテギ監督がアメリカ旅行のついでにMLSのニューヨークシティの試合を観戦。未だにゴールへの執念に満ち溢れているビジャが彼の地でもガンガン得点を挙げているのを見てきたと聞いて、もしや代表再招集もあるんじゃないかと内心、楽しみにしていたんですけどね。フタを開けてみれば、復帰したのは34歳の彼ではなく、前日のヨーロッパリーグ4節ヘンク戦で、クリスチアーノ・ロナウドやメッシ以外、滅多にお目にかかれない1試合5得点という快挙を達成した35歳、アドゥリス(アスレティック)の方。 ▽うーん、ロペテギ監督は「以前から注目していた。No ha tenido ninguna influencia los cinco goles/ノ・ア・テニードー・ニングーナ・インフルエンシア・ロス・シンコ・ゴーレス(5ゴールの影響はまったくない)」と言っていましたけどね。何より、この夏のユーロが終わってデル・ボスケ監督が引退して以来、2回の招集リストに入らなかったアドゥリスの凄いところは、ヘンク戦で挙げたゴールのうち、3本がPKだったこと。何せ、PKに関しては数々の逸話を持つメッシを始め、リーガ前節のアラベス戦でロナウドは2回蹴って、2度目は止められてしまったり、アトレティコのグリースマンも昨季のCL決勝から3連続で失敗中と、ゴールを量産するFWたちでさえ、意外と難易度が高い感がありますからね。 ▽今回、15日のイングランドとの親善試合はともかく、12日のマケドニア戦はイタリアと首位通過をガチンコで争っているW杯予選の大事な一戦なため、確固としたPKキッカーがいないスペインには大きな力になってくれるかも。その他、前回の追加招集からリピートしたイニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、モンレアル(アーセナル)、アンデル・エレラ(マンチェスター・ユナイテッド)に加え、GKアセンホ(ビジャレアル)、エスクデロ(セビージャ)、アスピリクエタ(チェルシー)、バルトラ(ドルトムント)、マタ(マンチェスター・ユナイテッド)らが11月の新顔となりますが、とりわけDF陣に変化が多いのはセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)、ピケ、ジョルディ・アルバ(バルサ)らのレギュラーが負傷中のため。 ▽その一方で、サウル(アトレティコ)やアセンホ(マドリー)は来年のユーロ出場が懸けて、オーストリアとプレーオフを戦うU21へ応援に行きますが、でもねえ。たった2試合しかないのに総勢25人って、ロペテギ監督がイロイロ、見てみたいのはわかりますが、まったく出場できない選手が複数、出てしまいそうなのは気の毒ですよね。 ▽え、今は代表戦のことより、今週のCL4節がどうだったかの方を知りたいって?そうですね、早くもグループリーグ突破決定を目前にしていたマドリッドの両雄ですが、どちらも相手はグループ内最弱チーム。そのせいか、指揮官による戦術に迷走があったようなアトレティコとマドリーでしたが、とりあえず、火曜に一足早く、ビセンテ・カルデロンにロシアのロストフを迎えた前者の結果は吉と出ることに。いえ、このところは夜の試合にウルトラダウンぐらいは必須ですが、遥かに暖かいマドリッドでの試合に体もノビノビ動いたか、3節よりずっと活発だった相手にアトレティコが苦労しなかった訳ではないんですけどね。 ▽それでも前半28分にはカラスコの浮き球のパスをアズモウンがヘッドでクリアしようとしたところ、ボールが敵DFラインとGKの間に入り込んでいたグリースマンへ。彼がジャンプして左足の外側で蹴る、アクロバティックなシュートでゴールにしてくれたため、先制したアトレティコだったものの、その次のプレーでフィリペ・ルイスとゴディンが遅れを取り、アズモウンに同点ゴールを奪われてしまうとはいかに!うーん、昨今では攻撃的なチームになったと、褒められることが多い彼らですが、今季唯一の黒星を喫したリーガのセビージャ戦でのエンゾンジのゴール、勝ったものの、その次のマラガ戦でも2失点してしまいましたからね。 ▽何か1つに集中すると、他が疎かになってしまう辺り、いかにもアトレティコ的ではありますが、やはり1-1のままではいけないと、シメオネ監督は後半開始からチームに一斉攻勢を指示。早くも12分にはサウルを引っ込め、ガメイロを投入、フェルナンド・トーレス、グリースマン、カラスコとの4人FW体制となって、4-2-4のような状態で相手を囲い込んでいましたが、全員で守るロストフの砦は崩せません。カラスコをコレアに代えてもラチが明かず、いよいよロスタイムに入ったため、引き分けでも突破は決まるしと、私もスタンドを降りて出口に向かったんですが…。 ▽これって、前回、ロシアのチームとの試合で帰りかけた時、それこそ階段の踊り場でCKにアセンホまで上がっていたアトレティコがカウンターを受け、最後はルビン・カザンに1-2で負けてしまったシーンを目の当たりにしたイヤな思い出のせいだったんですかね。その日もちょっと心配で立ち止まっていたところ、真逆なことが起こったから、驚いたの何のって!そう、それはアトレティコ・ファンにとっては魔の時間、2年前のCL決勝でセルヒオ・ラモスが奇跡の同点ヘッドを決めた、93分のことでした。センター付近から放り込まれたロングボールが一緒にジャンプした、ピンチの時にはCFに転身するゴディンではなく、ガツカンの頭を経てゴール前へ。またしても抜け出していたグリースマンがそれをネットに蹴り入れ、土壇場でアトレティコに勝ち越し点が入るって、一体、彼らはいつからお隣さんのような奇跡体質になった? ▽幸い、オフサイドを主張するロストフの抗議も認められず、最後の1分程もしのいだアトレティコはこれで2-1で勝利。グループリーグ4戦全勝として、その日、PSVに勝ったバイエルンと共に突破を決めましたが、試合の後のシメオネ監督は「He tomado malas decisiones en varios momentos del encuentro/エ・トマードー・マラス・デシシオネス・エン・バリオス・モメントス・デル・エンクエントロ(自分はこの試合で何度もマズい判断をした)」と反省することしきりです。それが何だったか、具体的に言うのは控えたため、世間ではもっぱら、マラガ戦の延長で、最初サウルをボランチに置いて、コケを右サイドにしたことではないかと推測されていますが、それでも「los jugadores fueron los que lo resolvieron/ロス・フガドーレス・フエロン・ロス・ケ・ロ・レソルビエロン(選手たちが解決してくれた)」(シメオネ監督)のは本当にラッキーでしたよね。 ▽そして同日にはバルサがマンチェスター・シティに予想外の敗北をした後、セビージャがディナモ・ザグレブに4-0と大勝した水曜にワルシャワでの無観客試合に挑んだのがマドリーだったんですが、もしやジダン監督はシメオネ監督の超攻撃的システムに感化されたんでしょうか。BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)プラス、モラタで4-2-4って、いえ、当人は後で「Era mas un 4-4-2 que un 4-2-4/エラ・マス・ウン・クアトロ・クアトロ・ドス・ケ・ウン・クアトロ・ドス・クアトロ(4-2-4というより、4-4-2だった)」と言っていましたけどね。先発にMFがクロース、コバチッチの2人しかいないって、あまりにレギアを軽く見過ぎていない? ▽それでも開始から1分も経たないうちに、風邪でお留守番になったマルセロの代わりに入ったコエントランのクロスをベイルが見事なvolea(ボレア/ボレーシュート)で叩き込み、先制点を挙げた時には、彼らはCL現チャンピオンだし、別に関係ないのかと私も思ったんですけどね。34分にベイルの折り返しをベンゼマが決めて2点目が入ったのを見て、ますますその気持ちは強まったんですが、いえいえ、とんでもない。40分にオディジャにエリア前から撃ち込まれ、1-2でハーフタイムに入った彼らには、「Nos ha faltado de todo, intensidad, movimiento, ganas/ノス・ア・ファルタードー・デ・トードー、インテンシダッド、モビミエントー、ガナス(ウチにはプレーの激しさ、動き、気力、全てが欠けていた)」(ジダン監督)ことがその後の災いを呼んでしまいます。 ▽ええ、後半13分にはラドビッチに同点にされると、ベンゼマをルーカス・バルケスに代え、更にはコエントランとアセンシオにして、3人DFで攻めてみたのも裏目に出て、38分にはモーリンに勝ち越しゴールを入れられてしまうんですから、呆気に取られてしまうじゃないですか。うーん、その直後にモラタから、今季ほとんどプレー時間をもらっていないカンテラーノ(下部組織出身の選手)のFW、マリアーノに代わったのも何だか、意味がわかりませんしね。結局、40分にはコバチッチがレギアの3ゴールと同じようなエリア外からのシュートを決め、何とか同点に持ち込むことができたマドリーでしたが、実際、「ファンの応援があったら、ウチが勝っていた」(ラドビッチ)なんて破目になっていたら、赤っ恥もいいところでしたっけ。 ▽え、逆にレギアのサポーターがいたら、pito(ピト/ブーイング)の的になるのは確実だったロナウドが発奮して、彼らは簡単に勝てていたんじゃないかって?まあ、そうかもしれませんが、CLでクラブ史上最速のゴールを挙げたベイルも、「プレーに激しさが欠けていたことから、ボクらは学ばなければならない。こういう大会ではいつもツケを払うことになるからね」と言っていたように、格下相手の時に気を緩めてしまう悪い癖は早く直しておくのが肝心。ただ、元々、マドリーはお隣さんと違って、FW陣が守備に熱心でなくてもスルーされてしまうため、その人数を増やすと失点が増えるのは仕方ないのかもしれませんけどね。 ▽おかげでバルサやセビージャ同様、グループリーグ突破確定が次節以降に持ち越されてしまいましたが、それだけでなく、もう1つの懸念は首位突破をするためには、下手したら、2連勝が必要になること。いえ、アウェイのスポルティング戦もホームのドルトムント戦もその頃には負傷中のラモスやカセミロも復帰しているでしょうし、マジメにやれば、決して勝てなくはないんですけどね。金曜には恒例のアウディからの車の貸与式をビセンテ・カルデロンに近いカルロス・サインツ・センターで行い、ついでにカートレースを楽しんでいた選手たちですが、今週末のリーガはマドリッドの弟分、レガネスをサンティゴ・ベルナベウに迎えてのホームゲーム。こちらも新参者と甘く見ると火傷しかねませんから、日曜正午(日本時間午後8時)までには皆、しっかり気を引き締めてもらいたいものですが…。 ▽その傍ら、土曜にレアル・ソシエダ戦を控えるアトレティコは前日にはサン・セバスティアン入りしているんですが、幸いロストフ戦で打撲を受けたグリースマンも順調に回復し、出場に問題はないとか。ちなみに前日記者会見で、この火水を終えてCLグループリーグ全勝だったのはアトレティコだけという成績に、「Es suerte/エス・スエルテ(それは運)」と答えていたシメオネ監督は、ロストフ戦の反省を踏まえて、この試合ではコケをボランチに戻すよう。 ▽曰く、「サウルだと敵エリア内への侵入や空中戦といった別の特性を利用できるが、con Koke jugamos más rápido tras recuperar la pelota y el equipo tiene más panorama/コン・コケ・フガモス・マス・ラピド・トラス・レクペラール・ラ・ペロータ・イ・エル・エキポ・ティエネ・マス・パノラマ(コケだとボールを奪取してから、より素早くプレーできて、チームが違う展望を持つことができる)」からだそうですが、ソシエダも前節、レガネスを0-2と破ったおかげもあって現在6位と好調ですからね。土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からの対戦では、初心に戻って堅実な守備を心掛けて、バルサもセビージャ戦が日曜にあるため、たった1日でもいいですから、またリーガ首位の高みに立てるといいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.05 12:45 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】落ちるは早し、昇るは大変…

▽「これはまた凄い偶然が」そんな風に私が驚いていたのは月曜日、先週末のリーガ戦で負傷交代していたレアル・マドリーのペペが左太もものケガで全治1カ月程という診断が下ったというニュースを知った時のことでした。いやあ、前節では予想通り、マドリッドの両雄の勝ち点差が3と変わらないままだったため、これを縮めるのはやはり、11月の各国代表戦週間後の19日にやって来るマドリーダービーしかないだろうと思い詰めていたところだったんですけどね。10月のW杯予選でヒザの靭帯を痛めたセルヒオ・ラモスも暇さえあれば、自身のインスタグラム(https://www.instagram.com/sr4oficial/)にリハビリ映像をアップ、マドリーファンにダービーでの復帰に期待を持たせているとはいえ、当初の見立てでは間に合わないというのが一般的な解釈かと。 ▽となると、ビセンテ・カルデロンで最後となるリーガダービーでCBコンビを務めるのはバランとナチョになるんですが、もしや2シーズン前、アトレティコが4-0と大勝した一戦で先発したのはこの2人じゃなかった?うーん、その試合でゴールを挙げたチアゴ、サウル、グリースマン、マンジュキッチ(現ユベントス)のうち、最後の1人以外はまだアトレティコにいますしね。おまけにクアトロ(スペインの民放)から唐突に命名されてしまったGCG(ヘーセーヘー/グリースマン、カラスコ、ガメイロの頭文字)は今季のリーガでここまで16得点9アシストと、BBC(ベーベーセー/ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)の12得点4アシストを大きく上回る成績を残しているとなれば、当時アンチェロッティ監督(現バイエルン)が味わった悪夢をジダン監督にも体験させることが可能かも。 ▽まあ、その前には今週末に新弟分のレガネスが憧れのサンティアゴ・ベルナベウデビューを果たす、マドリーミニダービーもありますから、取らぬ狸の皮勘定をしていても仕方ないんですが、とりあえず、土曜の試合がどうだったか、お伝えしていくことにすると。今回、先にアジアン・ゴールデンタイムの午後4時15分枠でスタートしたのはメンディソローサでアラベス戦に挑んだマドリーで、こちらは私も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見ていたんですが、序盤から気勢を挙げてくれたのはアトレティコから年子の兄、ルーカス・フェルナンデスと離れ、レンタルで修業に出ているテオ。3バック制を敷いたペジェグリーノ監督のチームで左SBを務めていたんですが、前半6分には威勢良く上がってゴール前にパスを入れることに成功します。 ▽ただ、それもダニーロか、GKケイロル・ナバスがクリアしていれば何てことのないプレーだったんですが、ボールはこの2人を通り越し、フリーで詰めていたデイベルソンの前へ。そのシュートが決まってアラベスが先制してしまったから、驚かせてくれるじゃないですか。ただ、ホームチームのリードは長くは続かず、10分後にはベイルのFKがエリア内で壁を作っていたデイベルソンの腕に当たったとされ、審判への必死の抗議も空しくPKを与えてしまうことに。この時はロナウドが、3年前にはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で一緒にトレーニングしていたGKパチェコを破って同点弾をゲット。おかげでここ4試合ノーゴールが続き、ジダン監督曰く、「Cristiano no está ansioso, enfadado puede ser/クリスティアーノ・ノー・エスタ・アンシオーソ、エンファダードー・プエデ・セル(クリスチアーノは焦ってはいないが、怒っているというのはありうる)」という状態も解消されたはずだったんですが…。 ▽それどころか、逆に調子に乗っちゃったんですよ。ええ、ケガをしたペペがナチョと交代した後の32分、彼はエリア前からのシュートがフェダルに当たって方向を変え、2点目をマーク。私も後半20分頃にはビセンテ・カルデロンに向かうため、ベンゼマがモラタに代わったところでバルを出たんですが、後でチェックしたところ、最終的に1-4でマドリーが大勝していたのは意外だったかも。その原因は彼らのあまりパッとしないプレーぶりにあったんですが、ジダン監督は「Estan muy bien los dos. Ya esta/エスタン・ムイ・ビエン・ロス・ドル。ジャー・エスタ(2人ともいい調子だ。それだけ)」と議論を避けているものの、近頃ベンゼマより先発にふさわしいんじゃないかと、マスコミやファンに持ち上げられているモラタが39分、マルセロのロングパスを絶妙なタッチでvaselina(バセリーナ/ループシュート)。 ▽これで決まった3点目に続き、残り2分にはマルセロからの折り返しをロナウドが撃ち込んで、その10分前、今度はパチェコにコースを読まれて失敗したPKのせいで逃したハットトリックを執念で達成。生まれ故郷のマデイラ島にある自身のミュージアムに飾るボールを38個に増やしましたが、どうやら終盤のアラベスが、ペジェグリーノ監督が退場させられてしまったこともあって、「nos hemos dejado llevar los últimos 15 minutos/ノス・エモス・デハドー・ジェバール・ロス・ウルティモス・キンセ・ミヌートス(ウチは最後の15分間、流れに任せてしまった)」(アレクシス)と、緊張感が途切れてしまったのもマドリーに有利に働いたようでしたっけ。 ▽そしてアトレティコとマラガの対戦が始まったんですが、この日の彼らは今季3度目の満員御礼にしてくれたファンを待たすことはありませんでした。そう開始6分、エリア前でグリースマンはシュートできなかったものの、ボールをカラスコに流すことに成功。すると、このところ絶好調の彼がコネをかわしてゴールを決めてくれたから、嬉しいじゃないですか。おまけに24分、今度はファンフランのクロスを何故か、またしてもコネがクリアミス。ゴール前に上げられて、カバーに入っていたカマチョも慌てたか、ついガメイロの足元に頭で落としてしまうなんて、うーん、いくら懐かしのカルデロンだったとて、かつてのアトレティコのお家芸、開いた口が塞がらない守備の大ポカを披露してしまう辺り、まだ自分の過去を忘れていなかった? ▽当然、このプレーはガメイロのゴールで終わり、早くも試合は軌道に乗ったかと思われたんですが、この日のプチ不幸はようやく、コレアに代わって先発に抜擢されたガイタンが20分には臀部の打撲で交代を余儀なくされたこと。おそらくこの出来事でGKオブラクも気が散ってしまったんでしょうかね。続くエリア左横からのFKをサンドロに意表を突いて直接狙われ、golazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められてしまうことに。ただそれでも前半終了前には、今度はフィリペ・ルイスから受けたロングパスをグリースマンが自分で撃たず、フランス代表のチームメートに頭で繋いで任せてくれたため、3-1で試合はハーフタイムに入ります。 ▽そんな中、予期せぬ逆境が発生したのは後半15分、ちょっと前に今季初のイエローカードをもらっていたサビッチがチョリ・カストロのボールを奪いに行こうとした際に足を滑らせ、相手にぶつかってしまたところ、2枚目のカードが提示に。前節のセビージャ戦のコケに続き、またしてもアトレティコは10人になってしまったから、大変です!いえ、シメオネ監督はすぐさま、グリースマンを下げてルーカスをCBとして入れましたし、先週とは違って、リードしていたため、最初はそんなに大事には見えなかったんですけどね。これがまた選手たちの集中力を削いだのか、その3分後、CKからカマチョにご恩返しのヘッドを決められて、スコアが3-2になってしまったのには、不安を感じたファンも多かったかと。 ▽実際、人数的劣勢になったからといって、オタオタするようなアトレティコではないんですが、1点なんて何が原因で取られてしまうかわかりませんからね。その日、2得点と、まだ「no hemos visto al Gameiro del Sevilla todavia/ノー・エモス・ビストー・アル・ガエイロ・デル・セビージャ・トダビア(まだセビージャ時代のガメイロを見せていない)」と当人は謙遜しているものの、ゴールゲッターぶりを披露していたFWをチアゴに代えて守備強化を図らなければならなかった上、28分には、サンドロに触発させられたカラスコが同じような位置からFKを放ち、惜しくも枠に嫌われてしまったことなどもあって、誰もが一刻も早く試合が終わってほしいと願っていたところ…。 ▽それが起こったのは42分、自陣からサウルの蹴った長いボールをこんな時間にあっていいと目を疑うような猛ダッシュで追ったのはカラスコでした。いえ、それだけでなく、リカにまとわりつかれながら、エリアに入るか入らないかで撃ったシュートがGKカメニを破り、ファーポストに当たってネットに入ってしまったから、ビックリしたの何のって。いえ、後でシメオネ監督は「El cambio de posicion de Correa y Carrasco fue un acierto./エル・カンビオ・デ・ポシシオン・デ・コレア・イ・カラスコ・フエ・ウン・アシエルト(コレアとカラスコのポジションを変えたのが当たった)」と、CF役を入れ替えた自身の指示の的確さをさり気に自慢していましたけどね。これってもしかして、去年の夏に入団して以来、体力強化メニューを厳しく課してくれたフィジカルコーチのプロフェ・オルテガのお手柄では? ▽うーん、先程のBBC対GCG、ゴール数だけでなく、走行距離合計でも194キロと245キロと、遥かに勝っているアトレティコのFWトリオですからね。体力だけでなく、今季は決定力でもお隣さんに引けを取らないとなれば、CL決勝がまた延長戦になってももう絶対に負けない?まあ、それは私の勝手な先走りですが、結局、この後、チョリ・カストロがやはり2枚目のイエローカードで退場になったなんてこともあって、アトレティコは4-2で勝利。その日は次の時間帯でバルサがグラナダに1-0と勝利したものの、お昼の試合でセビージャがスポルティングと1-1で引き分け、ビジャレルが日曜にエイバルに2-1と負けたため、アトレティコは5位から3位まで上昇することができました。 ▽え、リーガはまだまだ長丁場だけど、週明けにはもうグループ突破が見えてきているCLに頭を切り替えないといけないんだろうって?そうですね、水曜にポーランドでレギア・ワルシャワと戦うマドリーの方は余裕があるためか、月曜にはクロース、モドリッチ、ルーカス・バスケスに続いて、最近週1の恒例となっている契約延長にベイルがサイン。2022年までサンティアゴ・ベルナベウでプレーすることになった当人の記者会見があったりしましたが、火曜にロストフを迎えるアトレティコはその夜にはもう合宿入りしています。招集リストからは負傷したガイタンが外れたものの、ようやく長いリハビリを終えたヒメネスが復帰。マラガ戦でヒザを打撲し、夕方の練習でジムでの調整となったガメイロも入っていますが、シメオネ監督は前日記者会見でフェルナンド・トーレスの先発を予告したため、こちらは試合当日にスタンド見学になるかも。 ▽何せここまで3試合全勝ながら、全て1-0ということで、CLではまだリーガのようなgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)力を披露していない彼らですが、このところロストフのように5人DF体制で挑んでくる相手が続き、もうかなり攻略法もマスターしてきていますからね。首位突破は同グループのバイエルンとの兼ね合いもあるため、まだ確定できないんですが、とりあえず、火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からの試合では勝ってグループ突破を決めてもらいたいかと。そうそう、この日曜からヨーロッパは冬時間になったので、同日のマンチェスター・シティvsバルサ戦もですが、日本で生中継を見るファンは開始時刻が違うのに気をつけてくださいね。 ▽そして水曜の同じ時間にプレーするマドリーは、レギアのウルトラが1節のドルトムント戦で大量に発煙筒を炊き、スタンドで騒動もあったため、UEFAから無観客試合の処分を受け、アウェイ戦ながら却って心おきなくプレーできることに。始めに話した通り、ペペがいませんから、バランとナチョのCBコンビの実力が試される、最初の試合にもなります。ただ2週間前の3節ではホームで5-1と一蹴した相手ですからね。 ▽こちらも勝てば、同じ勝ち点のドルトムンドがスポルティングに勝利することを条件にグループ突破が決まりますが、ジダン監督も正攻法でBBC揃い踏みか、モラタやルーカス・バルケス、ハメス・ロドリゲス、アセンシオらの若手投入策で行くのか、迷うところかと。この日にはディナモ・ザグレブをサンチェス・ピスファンに迎えるセビージャも突破が決まるかもしれませんしね。どこもリーガ上位争いに関わっているだけに、早いところCLグループリーグに片をつけて、国内戦に専念したいというのが本音のところでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.11.01 16:04 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】気楽なコパが終わると…

▽「しばらくこのままなのかな」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、土曜のリーガの組み合わせにあまり波乱は期待できそうにないことに気づいたときのことでした。いやあ、前節にセビージャにしてやられ、アトレティコが首位から5位と、一気に転落したのはまったくの自業自得なんですけどね。代わって単独首位の栄誉を担うことになったお隣さんの今回の相手は昇格組のアラベス。ここ数日、スポーツ紙では敵側の注目選手としてマルコス・ジョレンテが取り上げられてはいたものの、先週日曜にあったソシオ(協賛会員)総会で名誉会長就任が決まったクラブのレジェンド、パコ・ヘント氏の親戚であるだけでなく、祖父や叔父もレアル・マドリーの選手だった名門一族出身の彼はもちろんカンテラ(下部組織)の出身で、現在はアラベスにレンタルで出向の身分ですからね。 ▽ポジションが守備的ボランチで、今季は開幕から先発出場を続けているため、カセミロが負傷した当初には冬の移籍市場での復帰も取り沙汰されていたぐらいだったんですが、当然ながら、契約条項でこの試合には出場できず。だったら、それより3節にはカンプ・ノウでバルサを1-2と破り、世間を沸かせる立役者になったデイベルソンやイバイ・ゴメスらの現在の調子を知りたかったんですが、ほとんど情報がないんですから、やはりクラブの規模相応で、もとからマドリーに太刀打ちできる戦力ではないのかも。 ▽実際、相手チームのペジェグリーノ監督からして4年前に短い間、バレンシアを率いていたぐらいしか馴染みがない上、私に聞き覚えのある選手もせいぜい、2年前のマドリーで第3GKを務めていたパチェコとか、今季は2部に落ちてしまったマドリッドの弟分のヘタフェに長かったDFのアレクシスぐらいですしね。前々節はベニト・ビジャマリンでベティスに1-6と大勝しているマドリーとなれば、アウェイのメンディソローサ(アラベスのホーム)も苦にすることはなさそうですが…。 ▽え、それより今週の彼らはコパ・デル・レイ32強対決の1stレグを16カードの先陣を切って、早々と戦ったんだろうって?その通りで、これは12月の2ndレグの週にクラブW杯参加で留守をするための振り替え日程だったんですが、相手が2部Bのクルトゥラル・レオネサだったせいもあり、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)を始め、マルセロやケイロル・ナバスをジダン監督はレオン(スペイン北部の内陸都市)へ帯同せず。それでも結果は、たとえクルトゥがここまでリーグ無敗の首位チームであっても、納得できるカテゴリーの差を示すものになりました。 ▽いえ、開始6分で決まった最初の得点はクロースのCKを敵DFがオウンゴールにして入ったものだったんですけどね。それ以外、前半は32分に、2021年までの契約延長が決まったルーカス・バルケスからラストパスをもらったアセンシオがしっかり狙って2点目を入れただけだったんですが、ハーフタイムの後、1分もしないうちにお待ちかねのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まります。そう、モラタのゴールを皮切りに、8分にはアセンシオがその日自身2本目、それから2分もしないうちに再びハメス・ロドリゲスがモラタにアシストして、スコアは0-5に。いやあ、これで2人は揃って今季公式戦6得点、BBCの各人がそれぞれまだ4得点に留まっていることを考えると、かなり誇っていい数字かと。 ▽ただその日、最高に魅せるゴールを決めたのはCBのナチョで、後半24分、CKから始まったプレーでハメスがエリア内にクロスを入れたところ、攻撃参加していた彼がアクロバティックなジャンピングボレーを1.70メートルの高みから成功させたから、驚いたのなんのって。ええ、これには2002年のCL決勝レバークーゼン戦で伝説のvolea(ボレア/ボレーシュート)を決めたジダン監督も、「El gol de Nacho es más bonito que el mío de la Novena/エル・ゴル・デ・ナチョ・エス・マス・ボニート・ケ・エル・ミオ・デ・ラ・ノベナ(ナチョのゴールは私のノベナ/9回目のCL優勝のゴールより美しかった)」と絶賛していましたしね。 ▽おまけに当人は「Aprendo todos los dias de los mejores/アプレンドー・トードス・ロス・ディアス・デ・ロス・メホーレス(毎日、最高の選手たちから学んでいる)」と言っていたものの、そのお手本の1人であるベイルまでが、「what a strike last night. Need to get practising!!(昨夜の一発は何て凄いんだ。ボクも練習しないとね)」(https://www.instagram.com/p/BMEYCmejBML/?taken-by=garethbale11)と、自身のCM撮影シーン付きでツィートしているのですから、本当はどっちがどっちに教えている? ▽その後は何度かチャンスも掴んでいたクルトゥが39分にベンハのゴールで名誉の1点を挙げ、ロスタイムにはようやく途中出場で今季2度目のピッチに立てたカンテラーノのマリアーノもヘッドで嬉しい初ゴールを入れて試合は1-7で終了。おかげで11月30日の2ndレグにもマドリーはレギュラーを投入する必要がなくなりましたし、昨季は出場停止処分を受けていたチェリシェフ(現ビジャレアル)を使ったため、カディス(今季は2部)に1stレグで勝ちながら、規則違反による敗退となり、先発できる試合が激減してしまったGKカシージャにも年明けに忙しい日々を保証できますしね。 ▽リーガやCLでは控えに甘んじている選手たちも11月のインターナショナルウィークを前にして、それぞれの代表監督にレベルが落ちてないことを証明できたりと、良いことばかりだったんですが、ただ1つ、不思議だったのは、リーガ、CLでも出ずっぱりのクロースがフル出場、どうして温存されなかったのか。ジダン監督によると、「あのポジションは人手不足でプレーしてもらわないといけなかったんだが、ちょっとは休ませようと思っていた。それでal desanso le pregunté y quería seguir, que estaba bien/アル・デスカンソ・レ・プレングンt・イ・ケリア・セギール、ケ・エスタバ・ビエン(ハーフタイムに訊いたら、続けたがっていて、大丈夫だった)」とのことですが、ただ、おかげで試合の前半には興味深いシーンも見られることに。 ▽それはクルトゥのボランチ、ジェライがボールを出した後にタックルしてきたのにクロースが文句を言いに行った時なんですが、逆にエキサイトした相手に彼はcabezazo(カベサソ/頭突き)をされてしまうことに。本当に頭が顔に当たったんですが、ここ普通なら、大袈裟に引っくり返ったり、審判に猛アピールする選手が大半ですよね。ましてや先週末のメスタジャでゴール祝いの最中にペットボトルを投げられて、実際に当たったメッシではなく、ネイマールやルイス・スアレスが頭を抱えて倒れて込み、その過剰反応ぶりをLEP(スペイン・プロリーグ協会)のテバス会長やバレンシアに罰金処分を課した競技委員会の文書の中で批判され、そのことをTAD(スペインのスポーツ仲裁法廷)に訴えていたバルサのメンバーだったらと、私も想像してしまったんですが、謹厳実直を地でいくドイツ人のクロースはちょっと自分の口元をこすっただけ終わり。 ▽たしなみのある立派なスポーツマンだと、それには私も感心させられたんですが、おそらくまだ32歳で、超早熟指揮官と注目されていたクルトゥのルベン・デ・バレラ監督もそう思ったんでしょうかね。試合前には、「No quiero solamente pedir camisetas y sacarme fotos con los jugadores del Real Madrid/ノー・キエロ・ソラメンテ・ペディール・カミセタス・イ・サカールメ・フォトス・コン・ロス・フガドーレス・デル・レアル・マドリッド(ただマドリーの選手にユニを頼んだり、写真を一緒に撮ったりするだけなのは望まない)」と言っていたものでしたが、対戦後にはちゃっかりクロースのユニをゲット。CL現チャンピオンを慌てさせる夢はキックオフから5分ぐらいしか続きませんでしたが、来月末にはサンティアゴ・ベルナベウの芝を踏めるのを楽しみに、これからは2部昇格への戦いに専念できるといいですね。 ▽そして金曜にはセルヒオ・ラモス、モドリッチ、カセミロらのリハビリ組、出場停止処分のカルバハルを除き、BBCも含めたオールスターメンバーでビトリア(スペイン北東部の町)に乗り込み、土曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのアラベス戦に備えているマドリーですが、その間、アトレティコは何をしていたかというと。いやあ、今週は月曜の夜にリーガの表彰式でシメオネ監督、ゴディン、オブラクがバレンシアに出張した後、ずっとトレーニングしていたんですけどね。中には昼間のサッカー練習だけでは飽き足らず、ボーリング場に通い、上達具合を動画で報告しているサウルのような選手もいたため、気分的にはリラックスできた日々だったよう(https://twitter.com/saulniguez/status/790642639750193153、https://twitter.com/saulniguez/status/791383546040582148)。 ▽え、でもセビージャ戦でプロ生活初のレッドカードをもらったコケの代わりを今節、マラガ戦で務めるのはそのサウルなんだろうって?それはシメオネ監督も前日記者会見で「Saúl acompañará a Gabi en el medio/サウル・アコンパニャラ・ア・ガビ・エン・エル・メディオ(サウルが中盤でガビと一緒に出る)」と宣言していたので、そうなんですけどね。それどころか、「このポジションは彼がいつもプレーしてきたところ。Incluso tiene más peligro que Koke, porque tiene más llegada y más gol/インクルソ・ティエネ・マス・ペリグロ・ケ・コケ、ポルケ・ティエネ・マス・ジェガダ・イ・マス・ゴル(コケより、もっと敵に危険をもたらすことができる。エリア内への侵入もゴールも多いからね)」とまで言われては、カンテラの先輩もまったくかたなしですが、昨季、コケが欠場した6試合、アトレティコは2勝2分け2敗とネガティブな結果だったのをシメオネ監督、うっかり忘れていない? ▽まあ、それはただの偶然かもしれないので別にいいんですが、サウル自身はまだ19歳だった3年前、監督が面と向かって、「ウチではプレー時間があげられないから、外へ出て、サッカー選手として成長してこい」と言ってくれたため、ラージョ(今季から2部)へレンタル移籍することを決意。パコ・ヘメス監督の下、CBの修行までさせられていたため、しばらくは私も守備的な選手なのか、攻撃的な選手なのか、よくわからなくなっていたんですが、当人は「Ese momento fue clave, y por ello para mí Simeone es todo/エセ・モメントー・フエ・クラベ、イ・ポル・エジョ・パラ・ミー・シメオネ・エス・トードー(あの瞬間が決定的だったし、そのおかげでボクにとって、シメオネ監督は全てなんだ)」と、かなり現在の上司に恩を感じているよう。 ▽その信頼に応えて、土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのビセンテ・カルデロンでも大暴れしてもらいたいものですが、さて。とりあえず、前日練習までの様子だと、サウル以外、ここ数試合先発させてもらいながら、シュートミスが目立つコレアの代わりに右サイドにガイタンが入り、他は同じメンツのようですが、サウルも「Morir por un compañero se lleva en el ADN atlético/モリール・ポル・ウン・コンパニェロ・セ・ジェバ・エン・エル・アーディーエネ・アトレティコ(チームメートのために死ぬ気で戦うというのが、アトレティコのDNAには刷り込まれている)」と言っていましたしね。 ▽これがお隣さんになると、DNAには奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)を導く、最後の瞬間まで諦めない根性、もしくはヨーロッパ(CL)が刻まれているようですが、ちょっと気掛かりなのは10月の各国代表戦週間明け以来、アトレティコはグリースマン、ガメイロ、フェルナンド・トーレスのFWトリオがゴールを入れていないこと。それでも皆で力を合わせれば、「Siempre que te toca perder es importante volver a ganar rápidamente/シエンプレ・ケ・テ・トカ・ペルデル・エス・インポルタンテ・ボルベル・ア・ガナール・ラピダメンテ(負けた後、すぐにまた勝つことが常に重要)」というシメオネ監督の要求に応えることができる? ▽一方のマラガも前節は新弟分のレガネスを4-0と一蹴し、自信をつけていますが、今回は負傷で7人欠場者がいる上、DFのコネ、FWのファンカルも本調子ではありませんからね。何にしろ、勝ち点3差内で上位を争っているバルサは同日、最下位のグラナダとのホームゲーム、セビージャはやはり降格圏にいるスポルティングを訪ねるとあっては、勝たない訳にはいかないかと。そうそう、その常にアトレティコの前に同じ相手と当たるレガネスは金曜の夜、ウィリアム・ホセとシャビ・プリエトにゴールを決められて、またしてもブタルケでレアル・ソシエダに0-2の敗戦。おまけに次節はサンティゴ・ベルナベウで大兄貴のマドリーと対戦するため、ちょっと苦しい時期が続きそうですが、念願の1部でのホーム初勝利、11月の代表戦後のオサスナ戦で達成できたらいいですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.29 11:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】意外なこともある…

▽「まるで何かの皮肉としか思えない」そんな風に私が首を捻っていたのは月曜の夜。バレンシアで開かれたリーガの2015-16シーズン表彰式でアトレティコが9つの賞のうち、過半数を超える5つを占めたというニュースを知った時のことでした。いやあ、去年は1人も選ばれず、クラブやアトレティコ寄りのマスコミが怒っていたのは何となく覚えていますが、昨シーズンの成績はその前年と同じ3位。それがいきなり、最優秀GKのオブラクから始まって、最優秀DFゴディンと続き、グリーズマンなど最優秀選手とファン投票1位のdoblete(ドブレテ/2冠のこと)で、極め付けがシメオネ監督の最優秀監督賞って、これじゃリーガ優勝しながら、最優秀FWとしてメッシ、最優秀外国人選手としてルイス・スアレスしか選ばれなかったバルサの立つ瀬がないのでは? ▽そう言ってしまえば、2位だったお隣さんなんて、最優秀新人賞のアセンシオはレンタル先のエスパニョールでの働きを評価されてのものですし、実質、受賞者は最優秀MFのモドリッチしかおらず、会場のパラシオ・デ・コングレソスにはOBのラウールやロベルト・カルロスらがゲストとして招かれていたものの、どこか寂しい感は拭えなかったんですけどね。それでも同日、公表されたフランス・フットボール誌主催のバロンドール賞ノミネート、30人のリストで1チームとして最多の選手を出していたのは6人のレアル・マドリー。クリスチアーノ・ロナウドを筆頭にベイル、クロース、モドリッチ、ペペ、セルヒオ・ラモスと、グリーズマン、ゴディン、コケしか選ばれなかったアトレティコの倍の人数というのは、昨季のミラノのCL決勝でまたしても負けた身の上ですからね。仕方ないかと思いますが、となると、準々決勝で彼らが破ったバルサがメッシ、ネイマール、ルイス・スアレス、イニエスタの4人と、負けているのはちょっと納得がいかないかも。 ▽まあその辺は、昨今はイロイロな賞がありますし、選定基準もよくわかってなかったりするため、あまり気にすることはないんですが…。どうにも困った結果に終わってしまったのは先週末のリーガ。いえ、土曜にメスタージャに乗り込んだバルサが後半アディショナルタイムにメッシがparapenalti(パラペナルティ/PK止め屋)の異名を持つ、GKジエゴ・アウベス相手にPKを決め、土壇場で2-3とバレンシアに勝ったと聞いた時には、先日のアトレティコ戦の時にはグリーズマン、ガビのどちらも弾いていたのにと、少々、悔しい気もしたものの、それでもその時は彼らがセビージャに勝てばいいだけでしたからね。 ▽日曜のお昼過ぎ(スペインのランチタイムは午後2~4時)のバルでは、定食用に炊き過ぎて余ったのか、cana(カーニャ/グラスビール)につくtapita(タピータ/おつまみ)がパエジャ(スペイン特産のお米料理)だったのにも気を良くして、私も最初は気楽に眺めていたんですけどね。サンチェス・ピスファン(セビージャのホーム)がドシャ降りの雨だったせいで、一張羅のスーツが着られず、公式戦には珍しくシメオネ監督がジャージ姿だった辺りから、違和感は始まっていたかったかと…。ここ最近は連続して右サイドで先発を務めているコレアがチャンスに失敗するのにはもう慣れっこになってきていたものの、まさか、前半を0-0で終え、いつもなら強いチームであるところを見せてくれる後半になって、敵にあんなプレーを成功させられてしまうとは一体、どうしたことでしょう…。 ▽それは最近、「posiblemente me pueda equivocar muy poco en quien ponga, estan todos muy bien/ポシブレメンテ・メ・プエダ・エキボカール・ムイ・ポコ・エン・キエン・ポンガ、エスタン・トードス・ムイ・ビエン(誰を使おうが私が間違うことは少ないだろう。全員が絶好調だから)」と、選手層の厚さに自信をつけてきたシメオネ監督が早くも交代カードを使い切っていた72分。何てことのないセビージャの自陣からのスローインがキッカケでした。マリアーノから受けたエンゾンジが、ビエットを介してアトレティコのゴールに激走。それを防げなかったチアゴは、後で「Me siento un poco responsable por el gol/メ・シエントー・ウン・ポコ・レスポンサブレ・ポル・エル・ゴル(失点の責任をちょっと感じる)。自分があと2メートル後ろにいれば、あのプレーは防げたんだから」と言っていましたが、いえいえ、キャプテンのガビはともかく、若いサビッチもエンゾンジに追いつけず、シュートを撃たしてしまったのですから、ここはやはり連帯責任だったかと。 ▽うーん、このところシメオネ監督も前線はそこそこローテーションしているんですが、ボランチから後ろはヒメネスがまだ負傷中なのもあって、ずっと同じメンバーですからね。先週は水曜にCLロストフ戦のロシア遠征があったため、疲れが残っていたのかもしれませんが…。悪いことというのはもっぱら重なるんですよ。ええ、先制点を奪われ、反撃しなければならなくなってから4分後、今度は5歳からいるアトレティコのカンテラ(下部組織)時代を含め、過去1度も退場させられたことのなかった優等生のコケが、その少し前にはビトロの腰を後ろから掴んで1枚目のイエローカードをもらっていたにも関わらず、ラミにタイミングの遅れたタックルをかけるという愚行を犯してはねえ。2枚目をゲットして、ピッチからいなくなってしまうんですから、困ったもんじゃないですか。 ▽ただ、10人となってもゴディンのヘッドなど、チャンスはなかった訳ではないんですが、結局そのままアトレティコは1-0で敗戦。その時点でリーガ首位の座はセビージャのものになったんですが、マドリッドの新弟分、レガネスがマラガに4-0をボコボコにされた後、最後に笑ったのはやはり雨の中、サンティアゴ・ベルナベウにアスレティックを迎えたマドリーでした。 ▽え、相手は水曜どころか、木曜にアウェイのベルギーでヨーロッパリーグのゲンク戦、しかもエースのアドゥリスを始め、DFなども負傷で大勢欠いていた上、このところ来るたびにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らっているチームなんだから、それは当然の結果じゃなかったのかって? まあ、そうなんですが、意外だったのは7分にイスコのアシストでベンゼマがゴールを決め、あっさりリードを奪った後、マドリーが点差を広げられなかったこと。いえ、それどころか、26分にはレクエからエリア内のエラソに渡ったボールをペペもカルバハルもコバチッチもクリアできず、最後はフリーのサビン・メリノに撃ち込まれ、同点にされてしまったから、ビックリしたの何のって。 ▽1-1で始まった後半もなかなか点が取れず、ジダン監督は近頃の定番通り、ルーカス・バスケス、モラタと投入。すると、その関係でベイルが右サイドから利き足の左サイドに回ったことが結果的に吉となりました。ええ、82分にベイルのクロスをモラタがシュートしたところ、一旦はGKイライソスに弾かれながら、相手が背中側に落ちたボールをクリアできなかったのを利用して決勝点をゲット。うーん、途中出場から彼が勝ち越しゴールを入れたのはCL1節のスポルティングCP戦以来、2度目のことなんですけどね。おかげで世間でも最近はモラタ先発を望む声が高くなっているんですが、当人は「Si cada vez que salgo del banquillo marco, ya firmo/シー・カーダ・ベス・ケ・サルゴ・デル・バンキージョ・マルコ、ジャー・フィルモ(ベンチから出る度にゴールを挙げられるなら、それで手を打つよ)」と、あくまで謙虚。 ▽丁度、その日はモラタの24歳のバースデーだったため、家ではイタリア人モデルの彼女、アリス・カンペッロさんと楽しく祝えたようですけどね。負傷でリハビリ中の先輩、ラモスからの「Alvarito, si nos regalas un gol esta noche, te regalo otro corte de pelo/アルバリート、シー・ノス・レガラス・ウン・ゴル・エスタ・ノッチェ、テ・レガロ・トロ・コルテ・デ・ペロ(今夜、ボクらにゴールを贈ってくれたら、また別の髪型にしてやるよ)」という申し出は、おそらくユーロ中のスペイン代表同様、丸坊主にされるのがオチなので、彼女とよく相談してから、受けるかどうか決めた方がいいんじゃないでしょうか。 ▽え、最後は何とか2-1で勝ったマドリーだったけど、その日は両チームのFWが随分、失敗していなかたかって? そうですね、アスレティックもウィリアムズが2度も絶好機に失敗しなければ、勝ち点1ぐらい持って帰れそうだったんですが、これには「Inaki es joven/イニャキ・エス・ホベン(ウィリアムズは若い)。ゴールゲッターは何度も失敗するもの。励ましてやらないと」と、バルベルデ監督から温かい擁護の言葉が。確かにゲンク戦でケガをした35歳のアドゥリスだったら、決めていたかもしれませんが、22歳の彼では落ち着いてフィニッシュできなくても仕方なかったかも。 ▽一方、マドリーはマドリーで31歳のロナウドが失敗しまくっていたんですが、これまでアスレティック戦は14試合16得点とお得意様にしていただけに、最後は本人も意地になったんですかね。終盤にはガンチコでイライソスに挑み、シュートを弾かれてしまったため、フリーでパスを待っていたクロースから抗議されただけでなく、スタンドからもpito(ピト/ブ―イング)を浴びることに。とはいえ、マルセロなどに言わすと、それは「es normal, es un goleador y quiere marcar/エス・ノルマル、エス・ウン・ゴレアドール・イ・キエレ・マルカル(普通だよ。彼はストライカーなんだから、ゴールを入れたいんだ)」とのことで、チームメートたちはあまり心配していないよう。 ▽同様にジダン監督も「a mí también me pitaron/ア・ミー・タンビエン・メ・ピタロン(自分もブーイングされたよ)」と笑っていましたしね。まあ、例年のことを考えれば、そのうちまた固め撃ちが始まったりするかもしれないので、今はまだリーガで2得点しか挙げてないといっても杞憂に過ぎないんでしょうけど、残念ながらこの水曜のコパ・デル・レイ32強対決1stレグで彼がそのキッカケを掴むことはできません。というのも、2部Bのグループを無敗で首位に立つクルトゥラル・レオネサとの一戦にはBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)を始め、マルセロ、ケイロル・ナバスにも休養を与えることを監督が決めたから。 ▽それでもモラタやルーカス・バスケスは好調ですし、ハメス・ロドリゲス、イスコ、アセンシオといったところもアピールのいい機会と頑張るはずなので、水曜午後9時(日本時間4時)からの試合で苦労することはあまりないと思いますが、さて。ちなみに今週、コパをプレーするのは彼らだけ。その理由はマドリーが12月にクラブW杯で日本に行かないといけないからなんですが、その間、他のチームは試合のないミッドウィークを久々に楽しむことに。ええ、最終的に先週末のリーガの後、首位マドリー、2位セビージャ、3位バルサ、4位ビジャレアル、5位アトレティコとなったんですが、1位と5位の差は勝ち点3、即ち1試合で引っくり返る距離ですからね。 ▽となると、金曜にレアル・ソシエダ戦でホーム初勝利に再度挑戦するレガネスはともかく、土曜にマラガをビセンテ・カルデロンに迎えるアトレティコも急に数が増えたライバルたちの万が一の躓きに備え、しっかり用意しておかないと。来週はまたCLがあるため、マドリーとセビージャも土曜にアウェイで、それぞれアラベス戦とスポルティング戦、バルサはホームでグラナダ戦。そんなに下剋上の可能性は高くないカードかもしれませんが、ようやく1週間続いた秋雨前線も通過したようなので、どのチームも練習はしやすくなったようですよ。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.26 14:20 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】大事なのは勝ち点だから…

▽「記者会見はないんだ」そんな風に私が残念がっていたのは金曜日、アトレティコのカラスコが2022年までの契約を結んだというニュースを聞いた時のことでした。いやぁ、このところは契約延長流行りのようで、同日にはバルサのネイマールもリオ五輪中に話がまとまった2021年までの契約にサインしたと聞いたんですけどね。あちらは土曜にアウェイでのバレンシア戦が組まれていますから、会見を開く時間の余裕もなく、クラブのメディアのインタビューで済ませたのかもしれませんが、折しも今週はレアル・マドリーのモドリッチがやはり2022年まで契約を延長。その会見が水曜にあったため、私もサンティアゴ・ベルナベウに2日連続して通うことに。 ▽それは先週のクロースの時も一緒で、プレス・コンファレンスルームに現れたマドリー3年目の彼はドイツ語で喋っていましたが、5年目となるモドリッチの方は奥さんと2人の子供が見守る中、たまにつっかえながらも最初から最後までスペイン語で応対。何度もファンを賛嘆させた、エリア外から美しいシュートを決める技について、「Me sale natural. Eso se tiene o no se tiene. Nunca he practicado ese golpeo/メ・サレ・ナトゥラル。エソ・セ・ティエネ・オ・ノー・セ・ティエネ。ヌンカ・エ・プラクティカードー・エセ・ゴルペオ(自然に出てくるんだ。そういう資質を持っているか、いないかさ。あの蹴り方を練習したことはないよ)」と語っているのを聞いて、なる程、才能ある選手というのはこういうものかと、私も納得したんですが、そんな話なら、グラナダ戦ではハットトリックも挙げたカラスコからも直に聞いてみたかったかも。 ▽というのもまあ、今週開催のCL3節ではまたしても彼が活躍、グループが違うため、あまり比較の意味はないものの、アトレティコがお隣さんの上を行く結果を残すのに大貢献してくれたからなんですが、いえ、もちろんマドリーも火曜のレギア・ワルシャワ戦で不覚など取っていませんよ。しかも先週末のベティス戦同様、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を披露して、4000人のビジターファンのうち、400人程混じっていると言われたウルトラグループ、テディ・ボーイズを見張るため、2000人を動員して厳戒態勢が敷かれた中、怯むことなくスタジアムに駆けつけたマドリーファンを喜ばせてくれています。 ▽ただ実際、キックオフ前には周辺の通りでウルトラと警官隊の乱闘が発生、逮捕者12人が出たとのことで、私も現場に出くわさなくて助かったと思ったものですが、念入りなボディチェックが功を奏したか、試合中、ポーランド人で埋め尽くされたfondo norte(フォンド・ノルテ/北側ゴール裏席)の3、4階に、bengala(ベンガラ/発煙筒)の炎は出現せず。おかげで観客たちも前半16分のベイルの先制点で始まったゴール祭りを心行くまで楽しめたんですが、20分にマルセロが放ったシュートはヨドウォビエツに当たって入ったとして、レギアのオウンゴール扱いに。 ▽おまけに22分にはダニーロがラドビッチをエリア内で倒し、PKを献上。当人がこれを決めて、一時は2-1に迫られたんですが、大丈夫。今度は37分、汚名返上とばかりに張り切ったダニーロからパスを受けたクリスチアーノ・ロナウドが自分では撃たず、2列目から駆けつけたアセンシオにボールを出したところ、これが見事に決まって3点目が入るんですから、ホント、このチームって、控えにしておくのが惜しい選手が多すぎなくない? ▽そして後半は後半で、ベンゼマとハメス・ロドリゲスとチェンジしたモラタ、ルーカス・バスケスのコンビが連携、22分には後者がゴールを挙げれば、36分にはまたロナウドのスルーパスからモラタが決め、最後は5-1の大勝ですからね。こんな日に限って、ヨーロッパの大会で100ゴールという節目にあと2本と迫っていたロナウドが得点できなかったのは、ちょっと皮肉ですが、レギアとは11月2日にもワルシャワで再戦。しかも最初のホームゲームでの発煙筒騒ぎが度を越して、無観客試合の処分を受けている会場での試合となるため、ゴールを決めた時の咆哮がよく響いて、TVもいいシーンが撮れるんじゃないでしょうか。 ▽え、それでも格下のはずのレギアから再三、カウンターを喰らい、相手に決定力がないために救われていた面もマドリーにはあったんじゃないかって?そうですね、ジダン監督も試合後に「hemos arriesgado un poco/エモス・アリエスガードー・ウン・ポコ(ウチは少し危険を冒した)」と言っていましたが、中盤がクロース、ハメス、アセンシオというのは攻撃に特化しすぎていると言われても仕方ないかと。ただその分、「hemos creado muchísimas ocasiones/エモス・クレエアードー・ムチシマス・オカシオネス(沢山、チャンスを作った)」(ジダン監督)というのも事実なので、敵の力を勘案しながら、あまり出場機会をあげられない選手を使い、上司としての懐の広さを見せるのも人心掌握術の1つかも。 ▽この結果、グループ2勝1分けとしたマドリーは次節で勝利、同時にドルトムントもスポルティングに勝ってくれれば、決勝トーナメント進出ができるところまで来ましたが、もちろんこの週末のアスレティック戦ではもっと慎重な布陣を取るのは火を見るよりも明らか。クロアチア代表の先輩、モドリッチがリハビリ中の間、代理を務めているコバチッチとベティス戦で2得点を挙げたイスコが先発に戻るようですが、とはいえ、どこまで用心が必要かは微妙かと。そう何せ、木曜にヨーロッパリーグの3節を戦ったアスレティックはゲンクに2-0で負けてグループ最下位に転落。おまけに頼りの35歳のエース、アドゥリスがその試合でケガをしてしまったみたいですし、他の選手たちも中2日でまたアウェイ戦では疲労が溜まっているかもしれませんしね。 ▽よって、日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの一戦が再びマドリーのゴール祭りになる可能性も否定できませんが、対照的に先週末のグラナダ戦、7-1の大勝から、素早く堅実路線に戻ったのはアトレティコ。ええ、ロシア南西部とはいえ、やはり気温3度と寒かったロストフ・ナ・ドヌでは、スタメンをガメイロからフェルナンド・トーレスに代えただけであとはリピートしたにも関わらず、前半のうちは得点できません。いえ、チャンスは開始早々、カラスコのFKが弾かれたボールをゴール右前から撃ったコレアのシュートが惜しくも枠を外れてしまったりと、その2人を中心に何度かあったんですけどね。 ▽その間、並行して進行していたカンプ・ノウでのバルサvsマンチェスター・シティ戦からはメッシの先制ゴールだの、ジョルディ・アルバやピケが負傷交代しただの、後半に入ってはシティのGKブラボがエリア外で手を使って退場といったアクシデンタルな報が入っていたんですが、ようやく専守防衛一方のロストフからアトレティコがゴールを奪えたのは後半16分のこと。ええ、3回に1度ぐらい、いいクロスを上げていたファンフランからのボールをトーレスはゴール前でミートできなかったんですけどね。左前に詰めていたカラスコが強烈なシュートを撃ち込み、とうとう先制点が入ったから、私もホッとしたの何のって。 ▽うーん、前半には幾度か個人プレーが過ぎていた感もあった彼なんですけどね。シメオネ監督も「Yannick tiene un golpeo fantástico/ヤニク・ティエネ・ウン・ゴルペオ・ファンタスティコ(カラスコは素晴らしい蹴りを持っている)」と言っていた通り、とにかくシュートしなければ何も始まらない?その後は終盤、せっかくの彼からのvaselina(バセリーナ/ループパス)からグリースマンがヘッドしたボールもGKジャナエフにparadon(パラドン/スーパーセーブ)され、追加点は奪えずに試合は0-1で終了。実際、バルセロナではメッシがハットトリック達成しただの、マテューが2枚目のイエローカードを受け退場しただの、ネイマールがPKを失敗した後、得点しただのと、最後まで波乱万丈な展開だったようですが、いくら4-0でシティに大勝しても結果は同じ、全部1-0でも堂々3連勝のグループ首位で、次節には決勝トーナメント進出確定ができるかもしれないんですから、アトレティコも胸を張っていいですよね。 ▽そして5時間のフライトを経て、マドリッドのバラハス空港には木曜午前8時に到着。その日は休養して、日曜にはセビージャを訪れる彼らなんですが、相手も火曜にアウェイでディナモ・ザクレブにナスリのゴールで0-1と勝利したばかり。うーん、前節のリーガではホームでレガネスが2点差を追いついて、いいところまで行きながら、サラビアに決勝点を決められて、涙を飲んでいるため、アトレティコには新弟分のリベンジをしてもらいたいところですけどね。やはり興味が持たれるのは古巣対決で、おそらく先発に戻るであろうガメイロは昨季までセビージャのエースでしたし、アトレティコからレンタル移籍中のビエットとクラネビテルはサンチェス・ピスファンでの出場制限条項がないため、プレーできるのだとか。 ▽だからって、シメオネ監督がメッシからグアルディオラ監督へのような強烈な恩返しに遭うという可能性は少ないと思いますが、何せ今、セビージャは首位のアトレティコ、同じ勝ち点で2位のマドリーとたった1差の3位につけていますからね。清武弘嗣選手の出番が少ないのは残念ですが、今季はサン・パオリ監督の采配でEL4連覇ではなく、CLベスト16の方が近いチームに進化していますから、アトレティコも決して油断はできないかと。 ▽そんなセビージャvsアトレティコ戦は日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)にキックオフ。コケのボランチ定着のおかげで最近、FW4人体制でスタートすることの多い彼らですが、果たして強敵の前でもリピートできるのかどうかも見物です。そうそう、レガネスはマドリッドの2強の試合の狭間、午後6時30分からマラガ戦になりますが、ホームでまだ勝てていない分、アウェイでの好調を維持してくれたらと思います。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.22 21:02 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】ゴール祭りは専売特許じゃなくなった…

▽「感化されちゃったのかしらね」そんな風に私が首を傾げていたのは日曜日。夜のニュースでプランデッリ新監督がデビューしたバレンシアがマリオ・スアレスの2得点でスポルティングに勝ったのを知った時のことでした。前日にあまりにゴールを見過ぎたため、マドリッド勢の試合のないその日は家でダラダラしていたんですけどね。 ▽1年前、出場機会を増やすためにアトレティコを出て、セリエAのフィオレンティーナに移籍。そこから半年でプレミアリーグのワトフォードに移り、この夏にはバレンシアと忙しい日々を送っていた彼ですが、それがいきなり2ゴールも挙げて、親戚がヒホン(スペイン北部のリゾート都市、スポルティングのホーム)にいる父親から「no metes nunca un gol y metes dos al Sporting/ノー・メツ・ヌンカ・ウン・ゴル・イ・メテス・ドス・アル・スポルティング(ゴールなんてほとんど入れないのに、スポルティングには2ゴールも決めるのか)」と怒られているなんて、まるで冗談のように思えたから。 ▽実際先週末のリーガはそこ、ここでゴール祭りとなりました。私は土曜日に、リーガ1部となってから初めてのブタルケ(レガネスのホーム)を体験。数年前、プレシーズンにアトレティコとの親善試合を見に行った時とは違い、bufanda(ブファンダ/マフラー)を片手にスタジアムに向かう人たちの後をついて行けば迷うことはないです。なので、予定が合えば、日本から来るファンにもマドリッドでのリーガ生観戦の新しいオプションとして利用できますが…。ちょっと心配なのはスタジアムのキャパ。1万1000人と少ないので、とりわけ昇格直後の今季は地元も盛り上がっていますし、バルサやレアル・マドリーなど、ネームバリューのあるチームとの試合チケットを取るのが難しいことでしょう…。 ▽おかげでこのセビージャ戦もほぼ満員状態でしたが、スタジアムが小さいためピッチまでの距離がサンティアゴ・ベルナベウやビセンテ・カルデロンに比べ、圧倒的に近いという長所に。臨場感溢れる試合を楽しめましたが、せっかく積極的に攻めていたホームチームを応援していても、25分にはビエットのクロスからフランコ・バスケスがネットを揺らして、セビージャが先制。続いて58分にも、今度はこぼれ球をナスリに押し込まれていてはねえ…。やはり新参者と、ヨーロッパリーグ最多優勝記録5回をギネスブックに載せてもらえるようなチームとの差は大きいと痛感していたところ…。 ▽マドリッドの弟分が根性を見せてくれたんですよ! それは66分、ボランチのティモルがエリア前から放ったシュートで1点を返すと、その3分後にはここ2試合で連続ゴールを挙げていたシマノフスキがGKセルヒオ・リコのミスもあって同点弾をゲット。それにはサポーターも大いに沸いたんですが…。最後は85分にサラビアがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めて、2-3でセビージャが勝利。彼らは2015年5月以来のリーグ戦アウェイでの白星を掴むことになりました。 ▽まあ、次は火曜日のCLディナモ・ザグレブ戦で、今度は清武弘嗣選手も伴って、再びアウェイでの勝利を目指さないといけない彼らですから、それはそれで景気づけになって良かったんでしょうけどね。直に見ると、決定力はあまりないながら、いいプレーをしていたレガネスの方はまたしてもホーム初勝利がお預けとなりました。ただ、これでアトレティコ、バルサ、バレンシア、セビージャと続いたビッグクラブ来訪の波もひとまず終了。となれば、10月末のレアル・ソシエダ戦からは少しずつ、いい結果も出せるようになるんじゃないでしょうか。 ▽そしてブタルケを出た後、ビセンテ・カルデロンに向かった私でしたが、これはキックオフ時間が午後1時と6時半なら余裕で可能。途中、乗り換えが多いので、4時15分の時間帯に当たってしまうと、アトーチャ駅からタクシーなんて手を使う必要もあるかもしれません。おかげで私もその頃、カンプ・ノウでバルサがデポルティボに4-0と大勝していることなど気にかけることなく、ゆっくりスタジアムの近くのテラスでランチをとることができたんですが、まだ10月ですからね。折しもその日はDia de las Penas/ディア・デ・ラス・ペーニャス(ファンクラブの日)だったため、スペイン各地から到着するバスから、続々と降りてくるサポーターたちもその時点でアトレティコがセビージャ、バルサに続いて、3位に後退していたのはあまり気にしていなかったよう。 ▽え、それはアトレティコの選手たちも同じじゃなかったかって? そうですね。でなければ、ファンたちが場内を白と赤の旗で埋め尽くしてカルデロンの開場50周年を祝う中で、17分に先制を許して最下位グラナダにリードされることはなかったかと。ただ、その先はとんでもない展開になって、FW4人体制という超攻撃的メンバーでスタートしていたアトレティコが反撃の口火を切ったのは33分。コケのCKを起点にゴディン、グリーズマンのヘッドは弾かれながら、こぼれたボールをカラスコが撃ち込んで、あっさり同点に追いついてしまいます。 ▽さら45分にもカラスコのシュートがティトに当たってゴールとなり、アトレティコは勝ち越してハーフタイムに。すると60分にもグリーズマンがエリア奥から折り返したラストパスからカラスコが決めて、何とハットトリックを達成。どうやらこれはシメオネ監督から何度も、「Me dice que tengo que marcar mas goles, que me atreva mas a disparar/メ・ディセ・ケ・テンゴ・ケ・マルカル・マス・ゴーレス、ケ・メ・アトレバ・マス・ア・ディスパラール(もっとゴールを入れないといけない、もっとシュートしないといけないと言われている)」(カラスコ)ことが功を奏したよう。ええ、当人も感謝の印か、この時は監督のところまで一緒にお祝いしに走っていましたよ。 ▽アトレティコの選手が1試合3得点をするのは、2年前のアスレティック戦でグリーズマンが達成して以来と昨今では珍しいことなんですけどね。ミックスゾーンで「estoy feliz por haber marcado tres goles por primera vez en mi carrera/エストイ・フェリス・ポル・アベール・マルカードー・トレス・ゴーレス・ポル・プリメーラ・ベス・エン・ミ・カレラ(キャリア初の3得点ができて嬉しい)」と言いながら、チームメート全員にメッセージを書いてもらったボールを抱えたカラスコの姿を見るにつけ、在籍最後の年はハットトリック以上のゴールを挙げない限り、インタビューに出て来なかったファルカオ(現モナコ)の姿を思い出してしまったものですが…。そういえば、奇しくも彼もアトレティコに来る前はモナコにいた選手。そんな縁でゴール量産体質が伝染してくれていたのだったら、本当にありがたいですよね。 ▽え、その日一番のビックリは勝利が確実なアトレティコがそれからも攻め続けたことじゃないのかって? うーん、まあガイタンが、移籍後初ゴールを挙げたぐらいまではメデタシメデタシで済んでいたんですけどね。65分過ぎには、水曜日のCL戦を見据えてコケとグリーズマンがチアゴとフェルナンド・トーレスに代わり、場内を何周もする“ola(オラ/ウェーブ)”を楽しんでいるファン同様、あとは終了の笛が鳴るまで、私も気楽に見ていればいいと思ったんですが、いえいえ、とんでもない。 ▽終盤にまたギアを上げたアトレティコは81分に再びガイタンが、その3分後にはコレアが、さらに87分にはトーレスが素早く出したスローインを起点にチアゴが決めて、とうとうスコアが7点まで行ってしまったとなれば、もうこれはお隣さんに匹敵するgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)力では? 後でシメオネ監督は「Les dijimos en la charla que trasmitieran pasion y ambicion a los chicos de la grada/レス・ディヒモス・エン・ラ・チャルラ・ケ・トランスミティエラン・パシオン・イ・アンビシオン・ア・ロス・チコス・デ・ラ・グラダ(ミーティングでは、スタンドにいるファンたちに情熱と野心を伝えなければならないと選手たちに話した)」と言っていましたけどね。その甲斐あってというか何というか、混雑を避けようと早めにスタジアムを出ようとしていた観客も完全に帰るタイミングを失っていましたっけ(最終結果7-1)。 ▽そして次の時間帯ではレアル・マドリーがアウェイでベティスに挑んだんですが、結果的にアトレティコはゴールを入れ続けて正解だったことが後でわかります。いえ、元々、勝ち点数では同じで、得失点差で首位に立っていた彼らでしたが、グラナダ戦が終了した時点でその差が9に拡大。おかげで開始4分にクロースのFKから、ヴァランがヘッドで先制点を挙げた時には、私がビセンテ・カルデロンのミックスゾーンで聴いていたオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)のアナウンサーも「首位奪還にはあと8点ですね」などと、ふざけた調子で喋っていたものですけどね。口は災いの元とはまさにこのこと。 ▽スタジアム近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)に私が駆け込んで、TVの前に座れたのはハーフタイムだったんですが、31分にはベンゼマ、39分にはマルセロが決め、さらに前半終了間際にはマドリー伝家の宝刀、高速カウンターが発動。ジダン監督も後で「es para volverlo a ver y disfrutar/エス・パラ・ボルベルロ・ア・ベル・イ・ディスフルタル(また見て楽しむもの)」と言っていたように、敵のセットプレーのクリアからたったの14秒で5人が絡んでの12本のパスを繋ぎ、最後はイスコがフィニッシュして、すでに0-4になっていたから、驚いたの何のって。 ▽おまけに後半もベティスはセフードのゴールで1点を返したものの、62分にはイスコがエリア左端からGKアダンの頭を超える技ありゴールを挙げ、78分には流れに乗り遅れかけていたクリスチアーノ・ロナウドもとうとうマイゴールをゲットして、最後は1-6で終わるんですもの。結局、アトレティコとの得失点差は3から4と1つ増えてはいるんですが、恐るべしは「4連続引き分けをした後だから、こんな試合をしなければならなかった。Metimos la intensidad necesarias/メティモス・ラ・インテンシダッド・ネセサリアス(ウチは必要なプレーの激しさを投入した)」(ジダン監督)という、マドリーの爆発力。 ▽いや、だったらどうしてビジャレアル戦、ラス・パルマス戦、エイバル戦、そしてCLドルトムント戦で同じことをしなかったのかと突っ込みたくなる衝動は私にもあるんですけどね。普通にマジメな試合をすれば、お隣さんは根っからのゴレアダ体質。たまたま2年ぶり、2014年に当時は1部だったヘタフェに同スコアで勝って以来の大勝をアトレティコがしていたから助かったものの、いつもの1-0や2-1の渋い勝利だったら、コロッと首位が変わっていたんですから、世の中、何が幸いするか、まったくわかったもんじゃありませんよね。 ▽そして週が明けると、またしてもCL到来なんですが、今度は一足早い火曜日にマドリーがレギア・ワルシャワとサンティアゴ・ベルナベウで激突。ただ、相手は2連敗しているグループの最下位、先週末のポーランド・リーグの試合にも負け、公式戦ここ7試合で5敗。調子が悪いこともあってか、マスコミは対戦そのものより、1節のドルトムント戦でホームスタジアムを大量の発煙筒で赤々と染め上げ、マドリーを迎える4節を無観客試合にされてしまった程、ウルトラなサポーターたちがポーランドから来襲することに戦々恐々しているようです。 ▽まあ実際、ベティス戦の勝利でマドリーは調子を取り戻したと見られていますし、マルセロに続いて、今回はハメス・ロドリゲスも招集リストに復帰。超強力な相手でなければ、カゼミロとモドリッチのいない中盤もクロースとコバチッチで支えられることがわかりましたから、あとは第3のMFを2ゴール挙げたイスコのリピートか、ハメス、アセンシオ、ルーカス・バスケスらに代えてみるか、たまにはBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)の誰かにお休みをあげて、モラタにチャンスをあげるかぐらいが戦前予想のポイントですからね。火曜日午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのレギア戦は、マドリーにとっては楽な試合のうちじゃないでしょうか。 ▽え、それでアトレティコの方は月曜日から早々に水曜日のロストフ戦に備えて、ロシアに行ってしまったんだろうって? そうなんですよ。一応、マドリー同様、今度の相手はグループ中、一番弱い相手のはずなんですけどね。ただ彼らは1節のバイエルン戦こそ、5-0で完敗しましたが、2節のPSV戦ではホームで2-2のドローをもぎ取っているだけに、そのPSVには0-1でかろうじて勝った経験を踏まえてシメオネ監督も用心しているのかも。 ▽戦力的には今回、スペイン代表戦からグラナダ戦と打撲でプレーできていなかったサウールが完治して遠征に参加。幸い現地のロストフ・ナ・ドヌはまだ氷点下入りはしていないようなので、極寒に苦しむということはないようですが、さて。おそらく世間はバルサvsマンチェスター・シティに釘付けな水曜午後8時45分ですが、最近の攻撃力高めなアトレティコにはいけないと思いながら、私もちょっと期待してしまいますね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.18 11:52 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】忙しい1日になりそう…

▽「また一番はじけたところを引いちゃったわね」そんな風に私が首を振っていたのは金曜日。コパ・デル・レイの32強対戦組み合わせをお昼のニュースで知った時のことでした。いえ、数年前からこのラウンドまで勝ち抜いた2部B以下のチームが、ヨーロッパの大会に出場している1部の6チームと当たるという決まりがあるため、アトレティコがどこと組み合わさっても別に心配はないと思っていたんですけどね。まさか、よりによって生ハム模様のユニを着ているギフエロ(2部B)って、いくら地元がスペインきってのハモン・イベリコ生産地だからって、私の目にはあまりにオチャラケているように映ったから。 ▽え、それでも11月30日周辺に設定される相手ホームでの1stレグは当然ながら、12月21日近辺のビセンテ・カルデロンでの2ndレグにしても、アトレティコのユニの色を考えれば、彼らが生ハム模様の第2ユニでプレーする可能性はあまりないんじゃないかって? まあ、そうなんですが、クラブW杯で日本に行くため、1stレグを10月26日に早め、11月30日に2ndレグを行うお隣さんの相手はもっとマジメそうなクルトゥラル・レガネサ(2部B)。もちろん、昨季の32強対決、カディス(当時は2部B、今季は2部)戦のような前例(出場資格のないチェリチェフを1stレグに先発させ、規則違反で敗退)もありますし、彼らだって決して油断はできないんですけどね。 ▽どちらにしろ、バルサと対戦することになったエルクレス(2部B)を含め、gordo(ゴルド/宝クジの1等賞)を引き当てたチームは大喜びなんですが、貧乏クジだったのはマドリッドの新弟分レガネスで、こちらの相手は同じ1部のバレンシア。残りの地元勢では、2部のヘタフェやラージョが早々に敗退する中、2009-10シーズンの同ラウンドでマドリーを総合スコア4-1で破り、Alcorconazo(アルコルコナソ/アルコルコンでの大失態)なる言葉を生み出したアルコルコンがエスパニョールと当たることになりましたが、まだまだコパは先の話ですからね。それまで、とりわけCLのあるマドリッドの2強にはまたしてもハードなスケジュールが待ち受けているんですが…。 ▽その先陣を切って、各国代表戦が終わった今週末にはリーガが再開されるんですが、珍しいことに8節はマドリッドの3チームが全員、土曜日に試合をすることに。トップバッターは午後1時(日本時間午後8時)にセビージャをホームに迎えるレガネスなんですが、残念なことに金曜日に出た相手の招集リストには清武弘嗣選手の名前はありませんでした。「porque viene de un largo viaje tras estar con su selección/ポルケ・ビエネ・デ・ウン・ラルゴ・ビアヘ・トラス・エスタル・コン・ス・セレクシオン(代表にいた後、長い移動をしてきたから)」(サンパオリ監督)だそうですが、アルゼンチン代表のW杯予選から戻って来たメルカドやクラネビテルは遠征メンバーに入っていますしね。となると、お留守番の理由は微妙なところかも。 ▽一方のレガネスは各国代表に招集されたメンバーもほとんどおらず、先週はエイバルとの親善試合などもして、1部でのホーム初勝利に向けて練習を続けていたんですが、今回見つけた心強いデータは、セビージャが2015年5月以来、リーガでアウェイ戦の勝利がないこと。確かに今季も3位と好調ながら、外では2分け1敗ですしね。来週火曜日には、これもアウェイのCLディナモ・ザグレブ戦が控えているとあって、あまり選手たちにムリはさせられないんじゃないかと思いますが、とにかくレガネスが勝つには攻守に渡ってミスをしないことが肝心。彼らの本拠のブタルケの名前を「アルブルカルケ」なんてフザけた名前で呼んでいたセビージャのカストロ会長にもしっかり覚えてもらえるよう、健闘を期待しています。 ▽そして次に試合をするのはアトレティコで午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、paron(パロン/リーガの停止期間のこと)直前の節にはシマノフスキの1点で弟分に負けたグラナダをビセンテ・カルデロンに迎えることに。相手はパコ・ヘメス監督からルーカス・アルカラス監督に代わって初めての試合で、現在は最下位ですが、この2週間を挟んで巻き返しを固く誓っているはずかと。ただ、そんな相手を迎えるリーガの首位チームの方は、各国代表に出向していた選手たちが揃ったのが木曜日とかなり遅め。 ▽サウールに関しては、スペイン代表に参加しながら、前節バレンシア戦で受けた打撲が直らず、イタリアから1人で帰国。とはいえ、シメオネ監督によると「lleva muchos partidos con dolor/ジェバ・ムーチョス・パルティードス・コン・ドロール(何試合も痛みを抱えていた)」とのことなので、もしや何か慢性のケガかもしれないと不安にさせられます。また、パラグアイ戦で脇腹を痛めたガイタンもすぐ回復と、他に負傷者が出てないのはとてもありがたいことかと。 ▽今回は来週水曜日のCLロストフ戦まで時間もありますし、それだけに余裕もあるのか、木曜日の夜などにはグラン・ビア(マドリッド市内中央を走る大通り)にオープンしたオフィシャルショップでイベントがあるというので、私も行ってみたんですが…。うーん、交通量の多い歩道に面した入口にフォトコール用のスペースを無理やり作ったものだから、周辺は恐ろしい混雑状態に。中には訳がわからないながら、人垣に加わって、写真を撮っている日本人観光客のカップルなどもいましたが、その日は氷雨が降って気温も11度という悪天候だったんですよ。そんなところで選手にマスコミ対応させたら、大事なリーガ戦を前に風邪でも引いてしまうんじゃないかと心配しましたが、大丈夫。ゲストとしてきたのはガメイロとオブラク以外、グラナダ戦先発が予想されていないカラスコ、サウール、トーマス、ベルサリコ、モヤらだったから、まあいいかと。 ▽ちなみにこのお店、場所は地下鉄のCallao(カジャオ)駅とSanto Domingo(サント・ドミンゴ)駅の間にあるんですが、目抜き通りにあるだけに、何となくマドリッド散策をしていれば突き当たるかも。もちろんショップはビセンテ・カルデロンにもあるんですが、試合前に寄ったりすると、レジに行列ができていて、焦ったりもしますからね。こちらの新店舗もグッズを含め、結構、充実しているのでお勧めです。そうそう、グラン・ビアのカジャオ駅の先にはお隣さんのオフィシャルショップもありますよ。 ▽まあ、その辺はどうでもいいことなんですが、金曜日にはグリーズマンがリーガの9月最優秀選手賞を授賞したなんてニュースも。ただ、先日はウサイン・ボルトと共演するプーマのCMが公開されたりして、随分、出世したものだと思ったものでしたが…。意外なところに反論を唱える人が出現。それはフランス代表の同僚リベリで、曰く「彼はまだワールドクラスの選手じゃない。何年も高パフォーマンスをコンスタントに維持していないからね。いい状態が10、12、15年続いたら、祝福してあげるよ」というのですが、もしやこれって9月のCLでバイエルンが負けたせいでの嫌味? ▽対してグリーズマンの方は、「自分がどのクラスの選手なのかはキャリアの最後にわかるよ。ボクにはまだ10年先があるからね」と答えていましたが、いやいや、若いと言ってももう25歳。当人が望むように、メッシやクリスチアーノ・ロナウドと同じ食卓につくにはここ数年が勝負では? その間に早くPK失敗癖を直して、アトレティコで大きなタイトルを複数獲って、バロンドールをもらえるといいのですが、さて。ちなみにこれまで、フォルランなどゴールデンシュー賞(ヨーロッパの得点王)は輩出したことがあっても、バロンドールはいないアトレティコではクラブや監督、チームメートも一丸となって、グリーズマンのため、これからバロンドール獲得に向けてロビー活動をする予定だとか。 ▽そんな彼を筆頭に、グラナダ戦ではガメイロ、コレアの3人FW体制で、Dia de las Penas/ディア・デ・ラス・ペーニャス(ファンクラブの日)にスタジアムに駆けつけるファンを喜ばせる準備をしているアトレティコですが、その彼らの試合が終わったすぐ後、土曜日の午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からアウェイのベティス戦に挑む、現在4連続引き分け中のマドリーはどうしているかというと。こちらはちょっと苦しいことになっていて、ケガを抱えて、結局コロンビア代表ではプレーはせず、マイルを貯めただけのハメス・ロドリゲスは別として、スペイン代表戦ではキャプテンのセルヒオ・ラモスがヒザの靭帯を損傷。全治6週間となってしまったんですが、それ以外にもカゼミロ、モドリッチがリハビリ中ですからね。 ▽それでもロナウドやベイルがそれぞれのW杯予選でゴールを挙げ、とりわけ前者などはアンドラ戦で4得点とかなり調子を上げてきたようですから、マルセロの復帰と一緒にジダン監督にとっては朗報となったはずです。加えて木曜日にはロナウド、モドリッチ、ペペ、ベイルらの先陣を切って、クロースが契約を2022年まで延長したという、ファンには嬉しいニュースもあったんですが、ハメスもまだ治っていないベティス戦ではクロース以外のメンバー、コバチッチ、アセンシオ、ルーカス・バスケス、イスコといった辺りで、誰を先発として使うかは迷うところかと。 ▽一方、マドリーをベニト・ビジャマリンに迎えるベティスは現在15位で、前節もレアル・ソシエダに1-0で負けるなど、なかなか今季からチームを率いるウルグアイ人のポジェ監督の思う通りにはいっていないよう。とはいえ、ここまでビジャレアル、ラス・パルマス、エイバル戦と、マドリーが集中力を切らすのを利用して、普通のチームが引き分けてきたのを目撃しているため、やはり契約を2019年まで延長したばかりのルベン・カストロやホアキンら、ベテラン選手たちも張り切っているはず。金曜日の記者会見では、「a lo mejor hay que preparar un poco mejor los partidos, yo el primero/ア・ロ・メホール・アイ・ケ・プレパラール・ウン・ポコ・メホール・ロス・パルティードス、ジョ・エル・プリメーロ(もうちょっと試合の準備を上手くした方がいいのかもしれない。まず私を筆頭にね)」と言っていたジダン監督ですが、今回は果たして選手たちのやる気を、試合を通じて維持できるでしょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.15 11:42 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】勝っても丸く収まる訳じゃない…

▽「いや、まだ早いでしょ」そんな風に私が首を振っていたのは月曜日、今週末のリーガ戦に向けて、マドリッド勢の新弟分レガネスが出したポスターを見た時のことでした。いえ、サングラスをかけさせた選手たちの写真に、「No los llaméis por su nombre, que viene Monchi y los apuntará en su libreta/ノー・ロス・ジャメイス・ポル・ス・ノンブレ、ケ・ビエネ・モンチ・イ・オス・アプンタラ・エン・ス・リブレタ(名前で呼ぶな。モンチが来て手帳に書きつけるぞ)」と添えられた文句はなかなか、考えているなという感じはするんですけどね。 ▽確かに昨季まで11年間、1部で頑張っていたご近所のヘタフェなど、セビージャの敏腕スポーツディレクター、モンチ氏にマヌ・デ・モラル(現在は2部のヌマンシア)、エスクデロ、サラビアらをさらって行かれたこともあったため、レガネスのフロントがドキドキする気もわからなくもないものの、それでも彼らは今季昇格したばかりの新参者。私なんか、2節のマドリーミニダービー、アトレティコ戦を見ていた時だって、誰1人、聞き覚えすらない選手ばかりでお手上げだったというのに、一足飛びに前人未踏のヨーロッパリーグ3連覇を成し遂げた、CLにも出ている強豪からお声がかかる程の逸材がいるとは、とても思えなかったから。 ▽まあ、そこは冗談のわかるモンチ氏らしく、「dile que van tarde, ya me sé los nombres y hasta donde viven jajaja/ディレ・ケ・バン・タルデ、ジャー・メ・セ・ロス・ノンブレス・イ・アスタ・ドンデ・ビベン・ハハハ/遅れていると伝えるように。もう私は名前もどこに住んでいるかも知っているよ」とツィートで返していましたが、それにしてもレガネスもツイていない。というのも、7節まで終わって勝ち点10の11位というのは上々の成績ですが、ほとんどのポイントはアウェイで稼いだもので、ホームではアトレティコの後もバルセロナ、バレンシアと予算の多いチームの来訪ばかりが続き、未だに地元サポーターの目の前で勝利を挙げられておらず。そしてこの土曜はセビージャとなれば、個人的には清武弘嗣選手が出るかもという期待はあっても、レガネスのホーム初白星を見るのは10月下旬のレアル・ソシエダ戦までお預けかもしれない? ▽え、それより日曜にあったスペイン代表のW杯予選2試合目はどうだったのかって?うーん、シュコドラでのアルバニア戦では相手の攻撃力も勘案して、ロペテギ監督は3バック制を採用。先週のイタリア戦で負傷して代表を離脱したジョルディ・アルバ(バルサ)の代わりに急遽、招集され、ロンドンから直接現地にやって来たモンレアル(アーセナル)がいきなり先発していたのには驚かされましたが、とにかく相手は全員で守っているんですものね。とりあえず、ピケ(バルサ)とセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)がいれば、大抵のことは大丈夫だろうと踏んだんでしょうが、実際、その3人のDFも攻撃参加していることの方が多かったかも。ただ前半のうちはボールを絶対的に支配しながら、好調ビトロ(セビージャ)の2本のシュートも決まらず、30分過ぎ頃からはスタンドで焚かれた大量のbengala(ベンガラ/発煙筒)のせいで、視界が悪いせいもあったんでしょうかね。試合は0-0のままハーフタイムに入ります。 ▽そして試合の後半からは雨がジャンジャン降り出したんですが、そのせいで敵GKも気が散ったのか、9分にはゴールキックを自陣にいたビトロに蹴ってしまったから、渡りに舟とはまさにこのこと。ええ、イタリア戦でもGKブッフォンのミスを利用して得点した彼からスルーパスを受けたシルバ(マンチェスター・シティ)がジエゴ・コスタ(チェルシー)にボールを送り、そのフィニッシュで見事に先制点が入ったとなれば、もう安心じゃないですか。加えて、そのすぐ後にビトロに代わって入ったノリート(マンチェスター・シティ)が、こちらはエリア内で敵DFを切り返して17分にシュート。2点目を決めてくれるとは、トリノでは出番をもらえなかった彼ですが、プレミアリーグ組はとにかく頼りになりますね。 ▽結局、そのまま0-2でスペインが勝ったんですが、実はこの試合では大きな問題が生じていて、その1つは後半33分に空中戦からの着地を失敗したラモスが左ヒザを痛めて交代となってしまったこと。代表のドクターによる「ヒザの捻挫で程度は1か2」という見立ては悪い方が当たり、マドリッドに戻って受けた検査結果は2、すなわち靭帯の部分断裂ということで、全治6週間となってしまったから、気の毒じゃないですか。 ▽もう1つは、お騒がせ常連のピケが試合後のミックスゾーンで代表引退宣言をしたことで、いえ、この日の騒動の発端はとんだ濡れ衣だったんですけどね。というのも、アルバニア戦の早い時間から、彼のユニフォームの袖口にスペイン国旗の赤と黄の筋がないことに気づいた誰かが、「ピケはわざと袖口を切ったんじゃないか」と邪推。メディアやファンのツィートで愛国心がないだの何だのと拡散しまくって、凄いことになっていたようですが、それを聞いたピケの怒りようといったらもう。代表付きサッカー協会職員が切られた袖2本を持ってきて、記者たちに見せていたのはともかく、本人はわざわざラモスのユニを持って登場。 ▽元々、半袖とは違って、長袖には国旗の色がないことを示しつつ、「he cortado la camiseta porque las mangas eran muy cortas y me molestaban/エ・コルタードー・ラ・カミセタ・ポルケ・ラス・マンガス・エラン・ムイ・コルタス・イ・メ・モレスタバン(袖が短くてうっとおしかったから、切っただけだ)」と説明したのには、だったら最初から半袖を着ればと思ったものですけどね。どうやらいつも長袖しか着ないピケとラモスにはそちらの用意しかなかったよう。 ▽おまけにそのキャプテンの方は試合中、ずっと袖まくりしていたものだから、見ている方も比べようがなかったという不運な面もありますが、だからって、1年程前にはバルサの祝賀イベントで宿敵をおちょくった言動が原因で、スペイン国内の代表戦で大きなpito(ピト/ブーイング)を受けるようになっても、代表を辞める気は一切ないと主張。ところが、その日はいきなり「もうこれはコップから水が溢れる最後の一滴。El Mundial de Rusia va a ser mi ultima competicion con Espana/エル・ムンディアル・デ・ルシア・バ・ア・セウ・ミ・ウルティマ・コンペティシオン・コン・エスパーニャ(ロシアのW杯がスペイン代表として自分の最後の大会)」って、また随分、飛躍したことを言うじゃないですか。 ▽うーん、これには協会もマズいと思ったか、オフィシャルウェブにすぐに声明(http://www.sefutbol.com/oficial-comunicado-polemica-acerca-camiseta-del-internacional-gerard-pique)を出して、アディダスのスペイン代表長袖ユニには何もついていないことを強調していましたけどね。ロベテギ監督も「Yo tambien entiendo a Pique/ジョ・タンビエン・エンティエンドー・ア・ピケ(私にもピケの気持ちがわかる)」と理解を示していましたが、何にしてもW杯は2年後とまだ遠い先のこと。 ▽その日同時刻にプレーしたイタリアが土壇場のゴールでマケドニアに逆転勝ちして、グループ首位のスペインと同じ勝ち点で並び、ロペテギ監督も「Va a ser largo y duro/バ・ア・セル・ラルゴ・イ・ドゥーロ(長く厳しい戦いになるだろう)」と言っていたように、出場がすんなり決まるかどうかもわかりませんし、それまでにまた、「Lo tengo muy meditado, no es una calentura/ロ・tンゴ・ムイ・メディタードー、ノー・エス・ウナ・カレントゥラ(これはよく考えた末の決断、頭に血が昇ってじゃない)」と言っていた当人が心変わりをすることだってあるんですから、あまり大袈裟に捉えなくてもいいかと。 ▽実際、もう今年の予選は11月のマケドニア戦だけで、アウェイだったイタリアと違い、会場もグラナダのヌエボ・ロス・カルメネスですから、そんなに苦労はしなさそうなスペインですが、やはり大変そうなのはFIFAウィルスにやられた各クラブの方。ええ、もちろんマドリー勢ではクリスティアーノ・ロナウドがアンドラ戦での4発に続き、フェロー諸島戦でも1ゴールとポルトガル代表で調子を取り戻してくれたり、ベイルが今度はウェールズ代表で跳躍力を披露。1メートルもジャンプしてジョージア戦でヘッドを決めたりと、悪いことばかりではなかったんですけどね。 ▽コバチッチも、フィンランド戦でマンジュキッチが決めた決勝ゴールはアトレティコのブルサリコが上げたクロスが起点ながら、2試合フル出場して、自信をつけたはずですし、クロースもドイツで2連勝、3失点したものの、コスタリカはロシアとの親善試合に3-4で勝ち、遠出をせずに足慣らしのプレー時間を増やせたケイロル・ナバスにも収穫はあったはずなんですが…。 ▽何せ、ラモスは当然ながら、モドリッチやカゼミロもまだ、この土曜のベティス戦にも来週火曜のCLレギア・ワルシャワ戦にも戻って来られませんからね。結局、大西洋横断無駄足旅行をしたハメス・ロドリゲスもこの週末は無理そうですし、となると月曜にU-21スペイン代表のエストニア戦で2ゴールを決め、5-0で勝って、来年のユーロ大会を懸けたプレーオフ出場権を手に入れるのに大貢献したアセンシオ辺りに出番が回ってくるかも。ここ4試合、引き分けで白星を挙げられてないジダン監督としては、またスタメン選びに神経を使うことになりそうです。 ▽一方、それ程、代表戦週間の被害を受けなかったのはお隣さんのアトレティコで、大体、イタリア戦の後にスペイン代表から帰されたサウルのケガはparon(パロン/リーガの中断期間のこと)直前のバレンシア戦で受けた打撲だそうですし、2試合フル出場したコケもフルサリコと共に月曜はお休みをもらい、火曜には元気にマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に出勤。ブルガリア戦ではフランス中を席捲したdoble G(ドブレ・ヘー)も、オランダ戦ではポグバのゴールで0-1と勝ったのを一緒に祝うだけでしたが、特に体に支障はなかったようですし、それはベルギー代表に行っていたカラスコも同様のよう。 ▽スロベニアのGKオブラクもスロバキアとイングランドを無失点に抑え、1試合目のカザフスタン戦でモンテネグロの6点目を挙げたサビッチもデンマークに0-1で勝利するのに貢献。あと心配なのはヨーロッパの火曜深夜にウルグアイとブラジルでそれぞれ、コロンビア戦とベネズエラ戦をプレーするゴディンとフィリペ・ルイス、こちらは出るか出ないかわかりませんが、パラグアイ戦に臨むアルゼンチンのガイタン、コレアだけですが、幸いなことにこの1週間で、肉離れのリハビリをしていたヒメネスがかなり回復したとか。何せ、この土曜のリーガ戦も相手は最下位グラナダを迎えてのホームゲームですしね。せっかく得失点差ではありますが、前節には首位に立てましたし、このまま常勝気運を保っていってくれることを期待しています。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.12 12:48 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】まだ復活した訳ではないらしい…

▽「だったら最初から行かなきゃ良かったのに」そんな風に私が呆れていたのは土曜日、paron(パロン/リーガの休止期間のこと)前のエイバル戦でアップ中にふくらはぎを痛めながら、クラブーの反対を押し切ってコロンビア代表に参加したレアル・マドリーのハメス・ロドリゲスが、この日曜にはマドリッドに戻って来るというニュースを知った時のことでした。いやあ、当人も帯同中に高気圧酸素療法などで早期回復に努めたものの、結局、火曜のW杯予選ウルグアイ戦には間に合わないという理由らしいんですけどね。 ▽直前のバレンシア戦をスタンドで見学して、ウルグアイがベネズエラに3-0と完勝した試合でしっかりキャプテンマークを巻いていたアトレティコのゴディンとは真逆のパターンとなりましたが、実際、そうなるんだったら、木曜のアスンシオンでのパラグアイ戦の後、次戦の行われるバランキージャまで付き合って計2万1300キロもの移動をせず、丁度モドリッチ、カセミロというお仲間もいるんですし、ハメスも一緒にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でリハビリしていた方が治りも早かったかも。 ▽え、そうは言ってもアトレティコにも代表不思議参加をしてきた選手がいたじゃないかって?その通りで、こちらはサウルなんですが、合宿2日目こそ全体練習に参加したものの、スペイン代表がトリノへ移動した水曜のユベントス・スタジアムでのセッションでは1人、ピッチの外で自転車漕ぎをさせられている始末。当然、翌日の試合にも出られなかったため、ロペテギ監督もだったら、マハダオンダ(マドリッド近郊)のアトレティコ練習場で先輩たちと並んで自転車を漕いでいる方がくつろげていいんじゃないかと思ったんでしょうかね。金曜にはアルバニアに向かうチームと離れ、帰国することになったとはいえ、イタリアースペイン間はせいぜい2時間の旅程ですからね。ハメスと違って時差ボケがないだけ、助かっている? ▽まあ、そんなことはともかく、そのスペインのW杯予選2戦目がどうだったか、お伝えしておかないと。結論から言えば、夏のユーロからあった彼らの欠点はいまだ改善されておらず、いえ、相手はイタリアで、9月のリヒテンシュタイン戦のような贅沢なgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が望める訳もないのは最初からわかっていたんですけどね。前半は一時、86%もの高いボールポゼッションを記録しながら、なかなか決定打が撃てず。むしろ、21分にはケガで早々にジョルディ・アルバ(バルサ)がナチョ(マドリー)に交代せざるを得なかったことの方が心配されましたが、それはセルヒオ・ラモス(マドリー)に弾き飛ばされて、モントリーボ(ミラン)をヒザの靭帯断裂で失ったイタリアも同じだったかも。 ▽ようやく均衡が破れたのは後半に入ってからで、9分、ブスケツ(バルサ)が自陣から放ったパスを追ったビトロ(セビージャ)がエリア内に突入するのを防ごうと、GKブッフォン(ユベントス)が飛び出して来たところ、当人も「No me esperaba algo asi, en esas ocasiones el portero siempre despeja/ノー・メ・エスペラバ・アルゴ・アシー、エン・エサス・オカシオネス・エル・ポルテーロ・シエンプレ・デスペハ(ああいうことは予期していなかった。あんなケースでは普通、GKがクリアしてしまうものだからね)」と言っていたように、かわして前進できたから、驚いたの何のって。そのままビトロのシュートが決まって、スペインが待望の先制点を手に入れます。 ▽実際、後でブッフォンも「相手が自分の進行方向にいたから、ぶつかるのを恐れたんだ。それでボールをサイドラインの外に出そうと足を回したら、失敗した」と自身の過ちを認めていましたし、これは完全に敵のミスによるラッキーゴールなんですけどね。それまでGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が脅かされる場面があった訳でもないため、私もこれで上手く逃げ切れるかと思ったんですが、そうは問屋が卸さないのが強豪国たる所以。ベントゥーラ監督がペッレ(山東魯能)をインモービレ(ラツィオ)に代えたことをキッカケに、いえ、その交代が意に染まず、ベンチに戻る時に前者が上司に挨拶をせず、悪態をついていたせいで、その試合後、イタリア代表を追放されたなんて話はまあ、どうでもいいんですけどね。 ▽その頃からスペインのポゼッションが減ってきたんですが、それよりロペテギ監督はセリエAの筋金入りのDFたちとやりあっていたジエゴ・コスタ(チェルシー)がエキサイトしてきたことを懸念。2枚目のイエローカードをもらうことを恐れ、22分にはモラタ(マドリー)と交代させたんですが、せっかく昨季まで2年間、過ごした古巣のサポーターが拍手で迎えてくれたにも関わらず、こちらもほとんどチャンスを作る役には立ってくれません。ええ、そうこうするうち、悲劇が起きて、それは36分。ラモスがエリア内でエデル(インテル)の足を蹴って、またしてもペナルティを取られてしまったから、困ったもんじゃないですか。 ▽いえ、最初は主審もスルーしていたんですが、副審のご注進で判定が出たため、当人が「Es un penalti riguroso, de esos que se pitan uno de 40/エス・ウン・ペナルティ・リグローソ、デ・エソス・ケ・セ・ピタン・ウノ・デ・クアレテンタ(40件あって1つ取られるかどうかの厳格なペナルティだよ)」と文句を言う気もわかるんですけどね。まだ10月だというのに、UEFAスーパーカップのセビージャ戦から始まって、オサスナ戦、ビジャレアル戦ときて、これで今季4つ目のペナルティを犯したとなれば、先日のアトレティコ戦で2本のPKを止めたバレンシアのGKジエゴ・アウベスと同じぐらい注目を浴びても仕方ないかと。 ▽結局、このPKはデ・ロッシ(ローマ)がしっかり決め、そのままイタリアとスペインは1-1で引き分けたため、試合後はマスコミの集中砲火を受けたラモスが、「イタリアでは代表の顔であるブッフォンがミスしても拍手される。スペインではブーイングを受けるんだ」と開き直ることに。とはいえ、片や19年間の代表歴で161キャップ、38歳の大御所と、すでに133キャップとはいえ、まだ10年選手のラモスを比べるのは無理がありますし、当のブッフォンも「批判されるかされないかは、ミスの回数次第だろう。1カ月に1度とかだったら、問題だよ」と言っていたように、猿も木から落ちる程度なら別にいいんでしょうけどね。 ▽それでも「Que disfruten ahora quienes me tienen que rajar porque ya luego callare bocas/ケ・ディスフルエン・アホラ・キエネス・メ・ティエネン・ケ・ラハール・ポルケ・ジャー・ルエゴ・カジャレ・ボカス(ボクを叩いている奴らは今を楽しむといい。前にも自分は口を閉ざさせてきたからね)」と言ってしまえるのは、決して落ち込まないラモスのいいところではありますが、2018年のロシアW杯に直接参加が決まるのはグループのうち、首位1チームだけ。あとでこの勝ち点2を失ったことが、悔やんでも悔やみきれない結果に繋がらないことを祈っていますが…。 ▽そして翌日もトリノで練習して、夕方にはアルバニアのシュコドラに着いたスペインでしたが、どうやら会場となるロロ・ボリチ・スタジアムは木曜に予選初参加のコソボがホームとして使用したため、あまり芝の状態が良くないのだとか。ただ、その際にはモドリッチやラキティッチ(バルサ)が負傷で参加していないものの、コバチッチ(マドリー)が先輩の代役を頑張り、ブルサリコ(アトレティコ)もフル出場したクロアチアがマンジュキッチ(ユベントス)のハットトリックなどもあって、0-6で大勝。とはいえ、アルバニアは現在、マケドニアとリヒテンシュタインに2連勝して首位ですし、昨夏のユーロにも出場しているため、そんなに沢山、ゴールが生まれる展開にはなりそうもありませんが、ロペテギ監督がイタリア戦から、ある程度のローテーションを考えているのかは不明。 ▽いえ、セルジ・ロベルト(バルサ)は故障を抱えているので、カルバハル(マドリー)が右SBをリピートするぐらいはわかるんですけどね。すでにバルセロナに戻ったジョルディ・アルバの代わりに急遽、駆け付けたモンレアル(アーセナル)が左SBに入るのか、ナチョで連投するのかは微妙なところですし、前日記者会見では「Llevamos 9 goles en dos partidos oficiales/ジェバモス・ヌエベ・ゴーレス・エン・ドス・パルティードス・オフィシアレス(ウチは公式戦2試合で9ゴール挙げている)。だからウチのチャンスメークと得点効率には満足しているよ」と言っていたものの、うち8点がリヒテンシュタイン戦だったことはロペテギ監督も承知しているはずですから、前線の変更もありうるかも。ええ、コスタからモラタに代えることだけでなく、ノリート(マンチェスター・シティ)やルーカス・バスケス(マドリー)らが先発に入ったって、ちっともおかしくありませんって。 ▽そんなアルバニアvsスペイン戦は日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からキックオフなんですが、一応、他国の予選でも目立ったマドリッド勢を挙げておくと、うーん、木曜にベイルがオーストラリア戦で自慢の脚力ではなく、腕力を見せつけて、ロングスルーインから、ウェールズに2-2の引き分けをもたらす同点ゴールを導いたことは褒めるべきなのか、ちょっと迷うところなんですけどね。というのもリーガだと、そういうプレーは下位チームの十八番だったりするため、マドリーでは推奨されない気がするからですが、久々に破壊力を存分に披露したのは金曜に、ユーロ以来となるポルトガル代表でプレーしたクリスチアーノ・ロナウド。 ▽ええ、まるで元マドリー監督のカペッロ氏が「チームの問題はロナウド。フィジカル的に良くない」と、ここ4試合連続引き分けの原因に挙げていたのを笑うかのようにpocker(ポケル/1試合4得点のこと)を達成しているんですもの。それも序盤の2分間で2ゴールとなれば、フランスのラジオで「ウチがキックオフから試合に集中できないのは、creo que el problema es psicológico, no físico/クレオ・ケ・エル・プロブレマ・エス・シコロヒコ、ノー・フィシコ(問題はフィジカルでなく、心理的なものだと思う)」と言っていたジダン監督も、たとえ相手はアンドラだったとて、ちょっとは安心できたかと。 ▽一方、アトレティコ勢もそれに対抗するように同日夜にはフランス代表で爆発。こちらはブルガリア戦でガメイロが2発、グリースマンが1ゴールを挙げ、4-1の勝利に貢献していますが、何より良かったのは前者の2ゴール目が後者からのアシストだったことでしょうか。ええ、折しもガメイロはその試合の前、「ボクは彼に今季3アシストしているけど、彼はまだゼロ。自分にもラストパスがほしいね」と言っていましたしね。お互いに代表でも相性のいいところを見せていけば、近々、お隣さんのベンゼマの再招集があってもガメイロがデシャン監督に忘れ去れることはない? ▽いえ、アトレティコの選手ではフィリペ・ルイスもブラジルのボリビア戦で得点したそうですが、土曜日もドイツのクロースがチェコ戦でゴールを挙げたとかで、まだマドリー勢の方が多いんですけどね。その上、予選3節はポルトガルがフェロー諸島、フランスはオランダ戦とあって、ますます差をつけられてしまうかもしれませんが、まあ、こればっかりはねえ。この代表戦週間が終わると、またリーガ、CLのハードスケジュールが始まるため、とにかく大事なのは皆、ケガをせずに戻って来ること。そうそう、あまり各国代表と縁のないマドリッドの新弟分、レガネスは木曜にエイバルと親善試合だったんですが、乾貴士選手のゴールで1-0と負けてしまいましたよ。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.09 11:55 Sun
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【原ゆみこのマドリッド】舞い上がってはいけない…

▽「随分、人気者なったのねえ」そんな風に私が感心していたのは月曜日、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設のスタンドでその日、合宿に入ったスペイン代表の初練習開始を待っていたところ、見学に来ている子供たちの間から、ひっきりなしに「サウル、サウル!」とコールが飛んでいるのに気が付いた時のことでした。いやあ、9月の代表戦では親善試合のベルギー戦にだけ参加して、2試合目はユーロ予選が佳境にあるU21代表の応援に行ったは良かったものの、自身のオウンゴールでチームはスウェーデンに勝てず。そのせいか、まだグループ首位勝ち抜けのチャンスがある今回のサンマリノ戦とエストニア戦にはセラデス監督もお隣さんのアセンシオを戻してもらったため、練習中のゴール運びを手伝うこともなく、A代表に専念することになったサウルですけどね。▽さすがは地元アトレティコの選手、しかも現在、栄えあるリーガ首位チームのレギュラーとなれば、ファンからキャーキャー言われても当然よねと私も頷いていたんですが、あらまあ。コーチと何か話した後の当人はサッカーシューズを小脇に抱えたまま、グラウンドから引き上げてジムへ向かうところ。要はスタンド方向に歩いて来ていたせいで、誰でもいいからサインをゲットしたいとフェンスに貼りついている子供たちが呼んでいただけだったとは。とんだ早とちりをしたものですが、最近はどのチームも負傷者の話題が多いですからね。その夜には、たまたまマンチェスター・ユナイテッドの練習休みを利用して、マドリッドに遊びに来ていたアンデル・エレラが追加招集されたというニュースも伝わってきて、日曜のバレンシア戦でも途中交代していたサウルの状態が懸念されたものでしたが…。 ▽まあ、代表関連はまた後で触れるとして、まずは先週末のリーガの試合がどうだったか、お伝えしていかないと。今回は珍しくマドリッド勢の先陣を切って、土曜の午後1時から新弟分のレガネスがグラナダと対戦したんですが、パコ・ヘメス監督解任後のプラナグマ代理監督には事態を改善することはできず。後半31分にシマノフスキがゴールを挙げ、アシエル・ガリターノ監督のチームが0-1でparon(パロン/休止期間)前、最後の一戦を勝利で飾ることに。レガネスには各国代表に出向する選手もあまりいないため、この2週間はじっくり練習に励んで、15日のセビージャ戦で1部ホーム初勝利を目指すことになります。 ▽そして翌日曜にマドリッドの両雄の試合だったんですが、正午から近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行ってサッカーを見るのはどこか微妙。というのも、私も午後2時過ぎのスペイン昼食時間に合わせているため、まだお腹は空いてないし、いくら週末でも午前中からカーニャ(グラスビール)なんて日本人には無理だし、結局、カフェ・コン・レッチェ(カフェオレ)を頼みましたが、この国コーヒーは濃いですからね。さすがに2杯、3杯と続ける訳にはいかず、メスタジャ(バレンシアのホーム)での前半、アトレティコがいいリズムでプレーしながらも、なかなか点が取れないのを眺めつつ、フルタイムいてドリンク1つしか頼まないのも外聞が悪いかもと悶々と悩んだ末、最近始めたらしいフルーツテイストのアイスティなるものを試してみたところ、これがまあまあの出来。 ▽何より、この国の普通の飲食店で出されるアイスコーヒー、カフェ・コン・イエロのようにホットの入ったカップから自分で氷入りグラスに注ぎ込む形式でなかったのには助かりましたが、まあそれはどうでもいい話で、前半終盤には先制点の絶好のチャンスがあったんですよ。ええ、42分にはその日、先発に抜擢されたコレアがエリア内でナニに倒され、PKを獲得。ところが、先日のCLバイエルン戦に続いてキッカーを務めたグリースマンがGKジエゴ・アウベスに弾かれてしまったから、やはり2度あることは3度ある? そう、これで彼は昨季のお隣さんとのCL決勝から、3回連続のPK失敗です。 ▽おかげで0-0のまま、ハーフタイムに入ったアトレティコでしたが、後半はシメオネ監督が素早くリアクション。15分もしないうちにサウルをカラスコに、コレアをフェルナンド・トーレスに代え、グリースマン、ガメイロ合わせて、超攻撃的な4人FW体制にしたのが大正解でした。18分にはカラスコのスルーパスから、トーレスがシュート、これはアウベスに弾かれてしまったものの、こぼれ球を拾ったガメイロがグリースマンに流すと、リベンジとばかりに彼の弾丸シュートが決まって、とうとう全アタッカーが協力して、先制してくれたから、ホッとしたの何のって。 ▽その後もアトレティコの攻勢は止まず、早くも2分後にはグリースマンがエリア内でマリオ・スアレスに引っくり返されて再び、彼らはPKをもらったんですけどね。さすがにこの時ばかりはシメオネ監督がベンチから大声で指示を送り、キッカーはガビに託されたんですが、おやおや、こんなことがあっていいんでしょうか。グリースマンとは反対方向に蹴ったキャプテンのPKもアウベスが弾いてしまったとなれば、もう成す術ありません。実際、後で聞けば、彼はこれまでリーガで41回PKを蹴られ、そのうち19回を止めている筋金入りのparapenalti(パラペナルティ/PK止め屋)だと言いますしね。3年ほど前、昨季からバレンシアにレンタル移籍しているシケイラ(この日はベンチ)が順番を無視して勝手にPKを蹴り、やはりアウベスに阻止されて、チームの反撃ムードを台無しにした時に比べれば、曲がりなりにもリードしているだけ、状況は全然マシですって。 ▽え、前日はシメオネ監督が「彼はtobillo noble/トビージョ・ノブレ(高貴な足首)を持っている。だから先発するだろう」と言っていたにも関わらず、結局、ウルグアイに行く前にバイエルン戦での捻挫が悪化することを恐れてスタンド観戦になったゴディンはいなくても、基本的に守備は堅いアトレティコなんだから、そのまま0-1で勝ったんだろうって?それが、確かにナニの負傷交代に始まって、終盤はエンソ・ペレス、マンガラも痛みを我慢しながらプレーしていたバレンシアだったため、同点にされる可能性は低かったんですけどね。その日はビセンテ・カルデロン開場50周年を記念して、スタジアムを開放。ロッカールームやVIPエリアを回り、トロフィーと写真を撮った後、ピッチに設置された大型スクリーンで試合を観戦していた9000人余りのファンにも、帰る直前に思いがけないお土産ができたんです! ▽それはロスタイム2分、ファンフランが自陣から出したロングパスを追ったガメイロが、いやあ、こういうところにアトレティコに来てからのフィジカル強化トレニーングの成果が表れるんですかね。90分プレーしているというのに敵エリア内まで一気に駆け上がり、2点目を決めてくれたから、驚いたのなんのって。実際、水曜にはバイエルンよりチーム計で8キロも多く走る健脚自慢をしていながら、先に疲れていたのは1週間ぶりの試合だったバレンシアの方だったのを見るにつけ、体力があるのはいいもんだと心底、思ったものですが、その日はパルコ(貴賓席)で見学していたボロ監督を引き継ぐプランデッリ監督もチーム再建の第一歩はまず、選手たちにスタミナをつけることからですかね(最終結果0-2)。 ▽そしてバルを出て、次にはサンティアゴ・ベルナベウへ向かった私ですが、いえ、もう先月のオサスナ戦でわかっていたので、直射日光地獄に備えて、その日は日焼け止めもしっかり塗って行ったんですけどね。今回のエイバル戦では午後4時15分のキックオフから試合終了まで、正面スタンド3階席はずっと日向のまま。おかげで後半にもなると、頭がもうろうとしてきたんですが、その原因には点が入ったのが序盤だけだったというのもあったかと。 ▽そう、前日記者会見でジダン監督が「試合の最初から最後まで100%でプレーしてほしい」という願いも空しく、レアル・マドリーは「No estamos metiendo intensidad en el inicio/ノー・エスタモス・メティエンドー・インテンシダッド・エン・エル・イニシオ(ウチは序盤のプレーに激しさがない)」(ジダン監督)状態だったんですよ。その結果が前半5分、カパのクロスをフラン・リコがジャンプもせずにゴール前からヘッドで叩き込み、エイバルの先制点となって現れたんですが、幸い追いつくのに時間はそうかかりません。17分にはクリスチアーノ・ロナウドのクロスをベイルが力強く、頭でゴールに撃ち込んで、一旦は場内も満足したかに思えたんですが…。 ▽いつまで経っても追加点が奪えないのではねえ。ちなみにその日は試合前のアップの時に先発予定だったハメス・ロドリゲスがふくらはぎに違和感を覚えて急遽、コバチッチと交代。ベンチで見学することになったのに加え、ベンゼマとバランも前半にケガをして、後半のピッチに戻って来なかったり、それより何より、ヒザの軟骨を痛めて休場していたモドリッチが月曜には手術をして全治1カ月に。何せここ数試合、マルセロが肉離れで出られないのに、ようやく終わった長いリハビリ後、コエントランも筋肉痛でベンチに入れなかったのはともかく、元から代役のいないカセミロも腓骨骨折ですから、まだ当分復帰に時間がかかりますからね。▽となれば、「Estamos en una racha en la que con poquito nos hacen gol/エスタモス・エン・ウナ・ラチャ・エン・ラ・ケ・コン・ポキート・ノス・アセン・ゴル(ウチはほんの少しのことでゴールを入れられてしまう流れになっている)」上、「Nos esta faltando chispa en el ultimo cuarto de campo/ノス・エスタ・ファルタンドー・チスパ・エン・エル・ウルティモ・クアルト・デ・カンポ(ファイナルサードに火花が欠けている)」(カルバハル)では、エイバルに堅実に守り切られ、とうとう4試合連続の引き分けになってしまったのも仕方ない?うーん、ベンゼマはともかく、ロナウドもベイルも最後までピッチにいながら、彼らが得点できないというのは、本当に不思議なんですけどね(最終結果1-1)。▽やはり鍵は試合後、ペペが「Solo la calidad no nos puede llevar a la victoria/ソロ・ラ・カリダッド・ノー・ノス・プエデ・ジェバール・ア・ラ・ビクトリア(質の高さだけ勝利を掴むことはできない)。戦士になって、相手の激しさと拮抗するプレーをして、タレントで差をつけなければ」ということなのでしょうが、来週半ばまでチームは控え待遇のイスコやナチョ、ルーカス・バスケスらまで、15人もの選手が各国代表に駆り出され、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場は開店休業状態。ジダン監督は「皆が戻って来てから、改善するつもりだ」と言っていましたが、そんな折、ケガしているハメスやバランまで招集免除にならないのは踏んだり蹴ったりだったかも。 ▽一方、期待していなかった結果を出したエイバル陣営は、「Puntuar es una sensacion nueva para el Eibar, para mi/プントゥアル・エス・ウナ・センサシオン・ヌエバ・パラ・エル・エイバル、パラ・ミー(勝ち点を取るというのはエイバルにとっても私にとっても新しい感覚)」と、サンティアゴ・ベルナベウでキャリア初のポイントゲットをしたメンディリバル監督を始め、ドルトムント戦引き分け後にダニーロが「このツケを払うのはエイバル」と言ったのに苦言を呈していた、マドリーにも1年だけいたことのある元ヘタフェのペドロ・レオンら、選手たちも大喜び。うーん、だからって、人様のスタジアムのロッカールームでジャグジーに泥の付いたソックスやユニのままつかるなんてのは、衛生的にどうかと思いますけどね。一応、ベンチで出場機会のなかった乾貴士選手は浴槽に入っていませんから、とりあえず安心できるかと。 ▽まあ大体、そんな感じで私の日曜は終わったんですが、まさかその夜に最大級の驚きが訪れることになるとは!ええ、バライドス(セルタのホーム)で戦ったバルサが昨季に続いて4失点で負けたんですよ。何せ、この日は9月にアトレティコが0-4で大勝していた相手だったため、期待もしていなかったんですけどね。前半3点も取られた後、後半に3-2まで追い上げながら、GKテア・シュテーゲンのゴールキックがパブロ・エルナンデスの頭を直撃してゴールを割るとは一体、誰に想像できる? 最後はCFと化したピケが自身のその日2点目を挙げ、4-3としたバルサでしたが、この節の嬉しい副産物はマドリーが宿命のライバルに抜かれなかったこと…じゃなくて、やはりアトレティコがお隣さんとの得失点差で堂々、首位として、この2週間を過ごせることでしょうか。 ▽おかげでアトレティコからスペイン代表に招集されたコケとサウルもいつもより、ちょっと胸を張ってラス・ロサスに来られたと思いますが、実はバルサでもメッシやラキティッチらがケガで今回のW杯予選に参加できないのと同様、負傷禍の魔手はスペイン代表にも。いやあ、金曜にリストを発表したロペテギ監督は予感がしたのか、日曜には早くもレアル・ソシエダのCB、イニゴ・マルティネスを追加招集。エイバル戦にセルヒオ・ラモスがジダン監督のローテーションでベンチ入りしなかったため、あれこれ憶測されたものの、月曜にはハビ・マルティネスが代表医の診断だけ受けて、オクトーバーフェスト真っ盛りのミュンヘンにトンボ帰りすることに。 ▽更に夕方の練習ではサウルに加え、バイエルンの同僚チアゴ・アルカンタラにも不具合があったため、アンデル・エレラを呼んだようですが、何せ今回は予選が2試合、しかも相手は夏のユーロでベスト16敗退を喫した強豪イタリア、そしてやはりユーロ出場国だったアルバニアですからね。いくら9月はロペテギ新体制でリヒテンシュタインに8-0と大勝しているとはいえ、できるだけ用心しておくに越したことはない? ▽そんなスペイン代表は、U21チームがサンマリノに発った火曜にもラス・ロサスでダブルセッションをして、水曜にはトリノ入り。このところジエゴ・コスタがチェルシーで好調なようですし、モラタも2年間お世話になったユベントスのホームでの試合ということで張り切っていますし、イタリアの選手をよく知るナポリのカジェホンが久々に再招集されているため、ユーロとは違って得点は期待できそうですが、さて。注目のイタリアvsスペイン戦のキックオフは木曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)、好ゲームになってくれるといいですよね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.05 15:30 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】2度あることは3度あった…

▽「せっかくのチャンスなのに着ないんだ」そんな風に私が失望していたのは金曜日、次のレアル・マドリーのリーガ戦の相手、エイバルのメンディリバル監督のコメントを聞いた時のことでした。いやあ、水曜にCLドルトムント戦が終わった後、思わずマルカ(スポーツ紙)のガイドブックを開いて、エイバルのユニフォームの色をチェック。第3ユニが黄色だということに気づいたのは私だけじゃなかったようで、その件についてはここ数日、マスコミでも取り沙汰されていたんですけどね。サンティアゴ・ベルナベウで彼らを迎えるチームはlos blancos(ロス・ブランコス/白の人たち、マドリーの愛称)とあって、アウェイのエイバルはどのユニフォームを選ぼうと自由だったんですが、どうやらメンディリバル監督は「El amarillo tampoco nos ha ido bien a nosotros/エル・アマリージョ・タンポk・ノス・ア・イドー・ビエン・ア・ノソトロス(黄色はウチにもいい結果じゃなかった)。ここ2年、負けているし」と、まったく乗り気ではないよう。 ▽でもねえ、ドルトムント戦の後、バランなどは「Pagara la cuenta el Eibar este domingo/パガラ・ラ・クエンタ・エル・エイバル・エステ・ドミンゴ(この日曜はエイバルがツケを払うことになるだろう)」なんて、悔し紛れに言っていましたし、彼らの第1ユニはバルサ系のazulgrana(アスルグラナ/青と緋色の縞)。それを見るだけでマドリーの選手たちが永遠のライバルを思い出し、むやみに発奮されてしまっても困るのでは? ▽ただ実際のところ、相手がビジャレアル、ラス・パルマス、ドルトムントと黄色いユニを着たチームと対戦して、ここ10年間なかった3試合連続引き分けという不調に陥ってしまった本当の理由は、負傷でカセミロが出られなかったことですからね。この週末にも彼の回復は間に合わないとわかっているとなれば、わざわざジンクスに頼る必要はないと、監督が判断したのも当然だったかもしれません。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週のCLグループリーグ2節でマドリッド勢がどうだったか、お伝えしておかないと。火曜に先にプレーしたのはマドリーの方だったんですが、ジグナル・イドゥナ・パルクの圧巻のスタンド全面黄色の応援にも怯むことなく、立ち上がりは順調だったんですよ。そう、前半16分には中盤の1人して先発したハメス・ロドリゲスのスルーパスをベイルがエリア内で戻すと、そのボールをクリスチアーノ・ロナウドが撃ち込んで見事に先制ゴールをゲット。おかげで先日のラス・パルマス戦では残り時間が20分もあるのに温存交代させられて不機嫌を隠せず、ジダン監督との確執が心配されていた当人もベンチ前まで駆けつけて、仲の良さを披露することもできたんですが…。 ▽雲行きが怪しくなってきたのは40分過ぎで、いえ、元はと言えば、セルヒオ・ラモスが不必要なファールでドルトムントにFKを与えてしまったせいだったんですけどね。不運だったのは、昨季終了後にアキレス腱の手術をして、ようやくこの日、満を持して実戦復帰したGKケイロル・ナバスが「No vi salir el balon y tome una mala decision/ノー・ビ・サリール・エル・バロン・イ・トメ・ウナ・マラ・デシシオン(ボールの出所が見えなくて誤った判断をしてしまった)」と、ゲレイロのFKをパンチングで処理。これが「es un poco mala suerte porque el balon me toca la cara/エス・ウン・ポコ・マラ・スエルテ・ポルケ・エル・バロン・メ・トカ・ラ・カラ(ちょと運が悪くて、ボールがボクの顔に当たった)」というバランを経由してゴールへ。入る直前に押し込んだオバメヤングの得点となって、ハーフタイムを前に同点に追いつかれてしまったとなれば、どこかラス・パルマス戦を彷彿させるイヤな展開じゃないですか。▽ええ、ツイていないことに、その予感は的中してしまいます。後半も22分にはロナウドのクロスをベンゼマはvolea(ボレア/ボレーシュート)でゴールポストに当ててしまったものの、こぼれ球をバランが押し込んでマドリーは再びリード。その後、どこか引き気味なった彼らはナバスの汚名返上のparadon(パラドン/スーパーセーブ)にも助けられ、いよいよ試合はラストが見えてきたんですが、悲劇が訪れたのは41分のことでした。そう、19歳のデンベレの代わりに入った18歳のプリシッチが右サイドから上げたクロスを、カルバハルがオバメヤングにも邪魔されてクリアしきれず。おかげでゲッツェから代わったシュールレにエリア内から弾丸シュートを撃ち込まれ、またしてもリードがふいにって、学ばないにも程がある? ▽ジダン監督もその後、ようやくモラタを投入、少ない残り時間で根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)を期待したんですが、時すでに遅し。結局、2-2で引き分けて、「Al final siempre lo mismos, es ya el tercer partido/アル・フィナル・シエンプレ・ロ・ミスモス、エス・ジャー・エル・テルセール・パルティードー(最後はいつも同じ、もう3試合目だ)」(ジダン監督)という顛末に。うーん、まだグループリーグは4試合もありますし、マドリーとドルトムントは同じ勝ち点4で3位のスポルティングCPを1ポイントリードしていますから、そういう意味では心配することはないんですけどね。 ▽この試合では20回もシュートを撃たれ、ナバスが12回もセーブしなければならなかったとはいえ、そんなマドリーにガンガン、攻撃を仕掛けてくるチームなど、数が限られているとなれば、そうそう悲観したものではないと思うものの、試合後のジダン監督は「Estoy jodido por los jugadores, no es merecido/エストイ・ホディードー・ポル・ロス・フガドーレス、ノー・エス・メレシードー(選手たちのために最悪に感じている。ウチは引き分けに値しなかった)」と残念がることしきり。曰く「あと1ゴールが足りなかった。リードが1点だけではこんなことも起こる」そうなんですが、まあ確かにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質の彼らからしたら、2点しか取れないなんて、あってはいけないことなのかもしれません。 ▽そして翌水曜にはお隣りさんがホームでバイエルン戦だったんですが、たとえ、グループリーグとはいえ、ヨーロッパのビッグクラブを迎えるとなると、俄然張り切ってしまうのがアトレティコのファン。まだ9月だというのに大掛かりなモザイクを準備して、ハートマークが浮かんだバックスタンドに「Dale Alegria a Mi Corazon/ダレ・アレグリア・ア・ミ・コラソン(私の心に喜びを与えて)」」という横断幕が出現、そこへアカペラのイムノ(クラブ歌)で迎えられれば、選手たちだって、恐れを忘れてドイツの強豪に立ち向かう勇気が沸いてくるってもんじゃないですか。 ▽え、それでも試合は昨季のCL準決勝の2試合みたいに相手に攻められてばかりだったんだろうって?それがこの日はちょっと趣が変わって、いえ、序盤にはミュラーに至近距離から撃たれたりして、ドッキリさせられたりはしたんですけどね。どうやら本当の役目はシャビ・アロンソのチェックだったようですが、シメオネ監督に予告されて先発したフェルナンド・トーレスがハッスル。前半からシュートをゴールポストに当てるわ、エリア内から惜しくもネット脇に撃ち込むわと、場内を騒然とさせることに。 ▽ただ彼が本当に得点に貢献したのは35分のことで、敵陣でハビ・マルティネスからボールを奪うとそれをグリースマンにパス。そこから、「Lo vi que se iba, que estaba solo y le meti el balon/ロ・ビ・ケ・セ・イバ、ケ・エスタバ・ソロ・イ・レ・メティ・エル・バロン(走り出したのを見て、フリーだったからボールを渡した)」(グリースマン)とカラスコに繋がったところ、彼のシュートがゴールポストに当たってネットに収まってしまったから、ビックリしたの何のって!▽いやあ、後で当人もこれには「tuve la suerte de que fue palo y para adentro/トゥベ・ラ・スエルテ・デ・ケ・フエ・パロ・イ・パラ・アデントロ(ポストに行って中に入ったのはラッキーだった)。これまでずっとポストに弾かれていたから」と喜んでいましたが、それもこれもアトレティコの前線が敵の守備ラインにしつこくプレスをかけていた賜物。加えて、グリースマンはアレックス・ビダルをチェック、アラバとリベリはガビ、サウル、ファンフランでコントロールし、ラームとボアテングの前でボールを奪えば前方に走り込める大きなスペースができるというところまで、シメオネ監督の作戦がツボにはまったんですが、その指示通り、「Esta ha sido una de las mejores actuaciones que hemos tenido/エスタ・ア・シドー・ウナ・デ・ラス・メホーレス・アクトゥアシオネス・ケ・エモス・テニードー(これはウチがやった中で最高のパフォーマンスの1つだった)」と指揮官も絶賛していた程、しっかり働いた選手たちも偉かった? ▽そして1-0のままで後半が始まったところ、ビセンテ・カルデロンでは前職のマドリーを率いて、最後のリーガダービーで4-0の大敗をした苦い思い出が蘇ってきたのかもしれませんね。前日、記者会見のためにスアジアムに来た時には、プレスルームへの行き方を訊きにチケット窓口の横にあるマスコミ用の受付にいきなり、ジャージ姿で現れ、私を驚かせてくれたバイエルンのアンチェロッティ監督は早いうちにロッベン、フンメルス、キミッヒと交代カードを次々使用。 ▽「jugamos muy lentos, ese fue el problema para tener mas ocasiones para empatar/フガモス・ムイ・レントー、エセ・フエ・エウ・プロブレマ・パラ・テネール・マス・オカシオネス・パラ・エンパタール(ウチはとてもゆっくりしたプレーをしていた。それが同点のチャンスをもっと作るためには問題だった)」(アンチェロッティ監督)とのことで、それで流れを変えようとしたんですが、あまり効果は上がりません。いえ、それどころか、38分には敵エリア内に侵入したフィリペ・ルイスをビダルが臆面もなく突き倒し、ペナルティを取られているって、よっぽどフラストレーションが溜まっていた? ▽おかげで、まだ不安を抱いていたファンたちもこれで勝利は確定とばかり舞い上がったんですが、そこで期待をしっかり裏切ってくれるのは、未だに根絶することはできないアトレティコの十八番。そう、キッカーを務めたグリースマンが見事にPKを枠に当てているんですから、困ったもんじゃないですか。いえ、昨季のCLミラノ決勝でもPKを失敗している当人は、「入れようとしているんだけど、入る時もあれば入らない時もある。No es el ultimo que voy a fallar/ノー・エス・エウ・ウルティモ・ケ・ボイ・ア・ファジャール(あれがボクが外す最後じゃないよ)」と試合後、開き直っていましたけどね。 ▽幸い試合終了間際にヘッドを放ったのがセルヒオ・ラモスではなく、ロッベンだったため、2年前のリスボンでの決勝でのように痛い思いはせずに済んだものの、これはちょっとねえ。シメオネ監督も「Ha fallado una pena como ha fallado Maradona o Messi/ア・ファジャードー・ウナ・ペナ・コモ・ア・ファジャードー・マラドーナ・オ・メッシ(マラドーナやメッシのようにPKを失敗した)」と庇っていましたが、MSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)が揃うバルサではともかく、前者がアルゼンチン代表で失敗して悲惨な結果になった昨夏のコパ・アメリカ決勝のような例もあるんですから、ここは少し真剣にPK練習をしてもいいんじゃないでしょうか。 ▽まあ、そんな感じで最後までアトレティコはリードを守り抜き、バイエルンを1-0で破って勝利。スタジアムに駆けつけたサポーターを失望させることはなかったんですが、唯一の悪いニュースはこの試合でゴディンが足首を捻挫してしまったこと。ええ、今週はマハ▽ダオンダ(マドリッド近郊)の練習場の芝の状態が悪いため、そこからあまり遠くないラス・ロサスのスペイン・サッカー協会施設のグラウンドを借りてセッションをしている彼らですが、金曜の時点でも彼は1人リハビリメニューだったため、この週末のリーガ戦に出場するのは難しいかと。何せ、今はウルグアイ代表後輩のヒメネスも太ももの負傷で治療中ですからね。一応、CBはサビッチとルーカスのコンビで乗り切れるはずですが、いざとなったら、同日、協会施設内でロペテギ監督が発表したスペイン代表招集リストにコケと共に名を連ねた、マルチプレーヤーのサウルが出動することになるかも。 ▽逆に朗報は、ヒザの靭帯断裂で全治7カ月となってしまったアウグストと入れ替わりで、チアゴにalta(アルタ/全快通知)が出たことで、これで中盤は安泰ですが、日曜正午(日本時間午後7時)からのバレンシア戦では、すでにアジェスタラン監督の後任が元イタリア代表監督のプランデッリ氏に決まったというものの、まだボロ代理監督が指揮を執るというのはちょっと懸念の種。何せ、相手は抜群の勝ち運の持ち主で、今季1勝も挙げてなかったチームを引き継いで以来、アトレティコが引き分けるしかできなかったアラベス、レガネスに連勝していますからね。バイエルンを倒したことで、選手たちの気が大きくなって、うっかりボロ・マジックにはまってしまわないといいのですが。▽一方、前節にその犠牲になってしまったマドリッドの新弟分、レガネスは土曜午後1時(日本時間午後8時)にグラナダとのアウェイ戦ですが、守備崩壊でチームが昨季のラージョ状態になっていたせいでしょうかね。6節終えたところで相手のパコ・ヘメス監督が解任されてしまい、この試合はBチームを率いていたプラナグマ監督が担当することに。そのため、どんな戦略でくるのか、まったくわからなくなってしまいましたが、この先、2週間は代表戦でリーガがありませんからね。できれば、勝ち点を増やして気分よくparon(パロン/休止期間)を過ごしたいところかと。 ▽そして日曜午後4時15分(日本時間11時15分)にエイバルを迎えるマドリーの最新の情報は今季、ローテーションを積極採用しているジダン監督がとうとう、ここまで全試合に出ていたラモスを控えに回すらしいこと。何せ、彼は来週のスペイン代表ユーロ予選、イタリア戦とアルバニア戦でも出づっぱりになる可能性が高いですからね。となれば、ここでお休みして、逆に出場時間が少ないながら、ロペテギ監督が声をかけてくれたイスコやナチョ、ルーカス・バスケス、モラタらが足慣らしをできるといいのですが、さて。そうそう、これまでマルセロの代わりの左SBにナチョ、ダニーロを使ってきたジダン監督ですが、この試合ではいよいよコエントランが見られるかもしれませよ。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.10.01 13:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】相手は強い方がいいのかも…

▽「無理に誰か連れて来なくてもいいのにね」そんな風に私が首を捻っていたのは日曜日、正午からの試合でマドリッドの新弟分、レガネスがバレンシアに1-2の逆転負けの報を知った時のことでした。いえ、未だ彼らがホームゲームでリーガ1部の試合未勝利なのは、アシエル・ガリターノ監督も「Por la entidad de los rivales, no esta mal/ポル・ラ・エンティダッド・デ・ロス・リバレス、ノー・エスタ・マル(ライバルとなったクラブを考えれば悪くない)」と言っていたように、最初の2試合もアトレティコとバルサが相手。となれば、マヌケな兄貴分がプレゼントしてくれた勝ち点1しか、挙げられていなくても仕方ないんですけどね。 ▽それより私が驚かされたのは、いえ、バレンシアの決勝点を入れたのが数年前にアトレティコを出て行ったマリオ・スアレスだったことじゃありませんよ。チームの復調ぶりの方で、開幕から4連敗した後、クラブはアジェスタラン監督を解任。新監督を招聘するまでの間、チーム付き役員のボロ氏に指揮を任せたんですが、彼が暫定監督を引き受けるのはもうこれで4度目のことだったから。しかも毎回、その成績は優秀で2008年にクーマン監督とウナイ・エメリ監督の橋渡しをしたのから始まって、2012年にはペジェグリーノ監督とバルベルデ監督の間、2015年にもヌーノ・エスピリト・サント監督からネビル監督の間と、通算10試合で8勝1分け1敗。しかも勝てなかったのはバルサ相手だけとなれば、新しい監督なんていらないのでは? ▽まあ、それはシンガポールにいるピーター・リン会長やフロントが考えることなので、私が意見を言っても仕方ありませんが、早いうちから候補に挙がっていたマルセリーノ監督はプレシーズンに1回、ビジャレアルで登録してしまったため、開幕前に解任されて今はフリーでも、今季はリーガのクラブを率いることが協会規則でできず。もう1人の候補、ラウドルップ監督もカタールのチームに職を得たようですし、残るはカパロス、バラハ、ルディ・ガルシアといった名前が聞こえてきますが、さて。どうやら今週末日曜の試合も引き続きボロ氏がベンチに入るっていうのは、メスタジャ(バレンシアのホーム)を訪ねるアトレティコにとって、あまり朗報じゃない気もするんですが…。 ▽え、そんな先の話より、今はもっと大切なことがあるだろうって? そうですね、まずは先週末のリーガの結果をお伝えしないといけませんが、土曜の夜にラス・パルマスとのアウェイ戦に挑んだレアル・マドリーはミッドウィークのビジャレアル戦に続いて残念な結果に終わることに。いえ、前半32分に前節に負傷したマルセロの代役として左SBに入ったナチョが、本人もかくあるやとばかりの攻撃参加を見せ、エリア内からシュート。これはGKハビ・バラスが弾いたんですが、詰めていたアセンシオがヘッドで撃ち込んで一応、先制はしているんですけどね。 ▽後でラス・パルマスのステイン監督も「Hemos sufrido mucho porque el Madrid ha sido intenso/エモス・スフリドー・ムーチョ・ポルケ・エル・マドリッド・ア・シードー・インテンソ(マドリーのプレーが激しかったから、ウチはとても苦しんだ)」と言っていたように、ジダン監督曰く、ビジャレアル戦前半に欠けていた点は補えていたようなんですが、この日の敵は「Nos ha faltado concentracion/ノス・ア・ファルタードー・コンセントラシオン(ウチは集中力が足りなかった)」。ええ、その5分後にはバランがエリア内でクリアしたボールがたった1人、ポツンと真ん中にいたタナへ。そのシュートが決まり、前半は1-1で終わります。 ▽後半もジダン監督が早めに手を打ち、アセンシオに代えてベンゼマを入れたため、4人FW体制で攻撃したマドリーは21分には勝ち越し点をゲット。今度もまた、クリスチアーノ・ロナウドのシュートは弾かれてしまったものの、ベンゼマがネットに収めてくれました。ただねえ、これで勝利は堅いと信じたか、ジダン監督は27分にロナウドを引っ込めてしまったんですよ。当人によると、理由は「Habia que dejarle descansar y pensar en el martes/アビア・ケ・デハールエ・デスカンサール・イ・ペンサル・エン・エル・マルテス(彼を休ませて、火曜のことを考えないといけなかった)」というもので、CLドルトムント戦が待ち受けているため、当然の温存策だったんですが、やっぱり選手の方は気に染まなかったんでしょうね。 ▽ピッチから出てジダン監督の挨拶には応えたものの、相手の目を見なかっただとか、前節退場させられたため、ベンチ入りできなかったチーム付き役員、チェンド氏の代役のハビ・コル氏に「Yo hago todo para hacer el 2-1... y a tomar por culo/ジョ・アゴ・トードー・パラ・アセール・エル・ドス・ウノ…イ・ア・トマール・ポル・クロ(自分は2-1にするのに全力を注いだのに…それでバカを見ろって)」と不満をブチ撒けたとか、ベンチで「Foda-se! Veinte minutos, 20 minutos/フォダセ!ベインテ・ミヌートス(ファックユー! あと20分だぞ、20分) 」と繰り返し悪態をついていたとか、うーん、最近のTVカメラは本当に油断ならないっちゃありません。 ▽まあ、その辺は当人が後で監督と話合ってくれればいいことなので置いておくとして、30分過ぎにはモラタもイスコに代え、ゲームをコントロールしての逃げ切り体勢に入ったマドリーでしたが、計算外のことが起きたのは39分。そう、右サイドからのパスを左サイトのコーナー際まで必死で追ったタナがクロスを上げると、今度はビセンテがヘッドで落とします。それを拾ったアラウホがGKカシージャスから跳ね返ったボールも上手い具合にキープし続け、最後はライン上から押し込んで、とうとうラス・パルマスが同点に追いついてしまったのですから、さあ大変! ▽こんな展開になると、先日のCLスポルティング戦での土壇場FK同点ゴールのようなこともありましたからね。今季はまだ2ゴールしか挙げていなくても、ロナウドがずっとピッチにいたい、ファンもいてもらいたいと思う気持ちはわかるんですが、後悔先に絶たず。その日はロスタイム3分、最後のチャンスでヘッドしたのがセルヒオ・ラモスではなく、イスコだったという不運もあって、試合は2-2のまま、ラス・パルマスに「Sumamos un punto con el que no contabamos/スマモス・ウン・プントー・コン・エル・ケ・ノー・コンタバモス(ウチは勘定に入れていなかった勝ち点1を手に入れた)」(ステイン監督)という喜びを与えて、チームは本土に戻ることに。 ▽え、この2試合、マドリーが引き分けてしまったのはカセミロが負傷で出られなかったのが関係しているんじゃないかって? そうですね、どちらの相手にも失点していますから、守備のカバーがクロースやモドリッチでは間に合わないといった感じもありますが、もしや真相はその日、ドイツから発信された「Lauft derzeit nicht so gegen gelbe Teams, oder?(黄色をまとったチームが苦手?)」というツィートにあったかも。いえ、送り主はドルトムントですから、先制口撃してきているだけでしょうが、何せ2度あることは3度あるとも言いますからね。 ▽おまけにマドリーはジグナル・イドゥナ・パルク(ドルトムントのホーム)で今まで5試合して1勝もしてないと聞くと、火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)のグループリーグ2節が心配ですが、どうなることやら。ちなみに月曜に現地入りしたチームには今季、初めて負傷明けのコエントランが加わっていますが、2試合目の帯同となるケイロル・ナバスがいよいよカシージャに代わって正GK復帰となるかと共に、スタメンは当日までのお楽しみ。現在、バイエルンと勝ち点差3のブンデスリーガ2位につけるドルトムントでは先週中、ケガで出場が危ぶまれていたバルトラ、シュールレ、オバメヤングらがプレー可能なことが前日練習で確認されています。 ▽そしてリーガに話を戻すと、翌日曜にはCLグループリーグ参加32チーム中、唯一金土以外に試合を割り振られたアトレティコがビセンテ・カルデロンでデポルティボと対戦。いえ、彼らも水曜のバイエルン戦を見越してのローテーションではツイていなかったんですけどね。ただそれはお隣さんとは違って、結果ではなく、負傷者発生という形で表れることに。だってえ、サウルとサビッチをパルコ(貴賓席)観戦にして、アウグストとヒメネスを先発させたところ、前者は開始17分にヒザの靭帯断裂で担架退場。ベンチで温存されていたガビが急遽、入ったものの、35分にはヒメネスも太もものケガでやはり担架で運ばれていくって、無茶苦茶、運が悪くない? ▽それでもCBは今季初出場となったカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)、ルーカスがしっかり務めてくれたので、別に試合に実害はなかった上、前半終了直前にはデポルティボのファイカルがコケとガイタンを立て続けに強烈なタックルでふっ飛ばし、イエローカード2枚をもらって退場。後半丸々、数的優勢で戦えることになったアトレティコの課題は、シメオネ監督も「siempre nos han costado los que vienen a encerrarse/シエンプレ・ノス・アン・コスタードー・ロス・ケ・ビエネン・ア・エンセラールセ(自陣に閉じこもる相手には常に苦労した)」と言っていたように、人海戦術の守備をこじ開けて、点を取ることだけだったんですが…。▽後半、「Como no vamos a intentar perder tiempo con 10?/コモ・ノー・バモス・ア・インテンタール・ペルデル・ティエンポ・コン・ディエス(10人でどうして時間稼ぎをしないでいられる?)」(ガイスカ・ガリターノ監督)と、テンポが落ちまくったデポルティボを鬼のように攻めたてたアトレティコの努力が実ったのは、最後の交代枠でカラスコからガメイロを投入した後の24分のことでした。いやあ、それまでシュートがゴールバーに当たったり、ほんの僅かで外れてしまうなど、開幕アラベス戦を彷彿させる展開に、もうその頃には私も腰が落ち着かなかったんですけどね。ファンフランのスルーパスを受けたガメイロがエリア内右奥からボールをゴール前に出したところ、ドンピシャでグリースマンがヒットしてくれるのですから、何とも頼りになるエースじゃないですか。 ▽え、彼についてはシメオネ監督も「昨季のヨーロッパで最高の選手」と褒めてやまないながら、キャプテンのガビなどはバロンドールに「yo votaria a Messi/ジョ・ボタラ・ア・メッシ(自分ならメッシに票を入れるよ)。グリースマンもあとちょっとで彼と争えるようになるといいね」と、まだまだ厳しい見方をしていないかって? そうですね、今年からまたバロンドールとFIFAワールドプレーヤーの賞が分かれるそうなので、先日のレキップ(フランスのスポーツ紙)では1面で、受賞者を選ぶ各国の記者向けに「グリースマンに投票しよう」キャンペーンを実施。 ▽それには当人も大感激したようですが、自身でも「Si saliese tercero en el Balon de Oro no seria una decepcion/シー・サリエセ・テルセーロ・エン・エル・バロン・デ・オロ・ノー・セリア・ウナ・デセプシオン(バロンドールで3位になっても失望はしないよ)。ボクがいい方向に進んでいるってことだからね」と言っていたように、大事な決勝でゴールを入れられる選手になるまで、まだ今は精進が必要だとわかっていてくれるのは、アトレティコにとって、とてもありがたいことじゃないでしょうか。 ▽そして試合の方は、待望の1点を奪った後のアトレティコがレバンドフスキやミュラー、アルトゥロ・ビダル、ドグラス・コスタ、ロッベン、チアゴ・アルカンタラらの来襲を意識してか、どちらかというとスリープモードに近い動きになってしまったんですが、幸い終盤のモスケラのシュートもゴディンが顔面クリアしてくれたため、大事には至らず。そのまま1-0で勝利すると、前日、メッシ負傷離脱にまったく影響を受けず、ヒホン(スペイン北部のリゾート都市)でのスポルティング戦に0-5と大勝した2位バルサとは勝ち点差1、首位マドリーとの勝ち点差は2で、アトレティコも3位の定位置につくことができました。 ▽え、デポルティボに勝つのがこんなに大変なアトレティコが、ブンデスリーガ5連勝中のバイエルンを相手にしたら、とても勝負にならないんじゃないかって? まあ、セオリーではそうなんですが、先週ミッドウィークのバルサ戦のように、ガンガン攻めてくる敵を守り倒すのは得意な彼らですからね。再びアンチェロッティ監督の下でプレーするようになったシャビ・アロンソも、月曜にマルカ(スポーツ紙)に載ったインタビューでは、昨季CL準決勝での対戦で一番驚かされたのはサウルと告白。「イニエスタやモドリッチなら完璧にできるんだけど、MFには時に難しいこと、la conduccion y traspasar lineas/ラ・コンドゥクシオン・イ・トランスパサール・リネアス(ドリブルと敵のラインを越えること)」をして、1stレグの決勝点を挙げたプレーを褒めていたように、たまにはひょんな弾みでゴールが入ることもあるとなれば、そんなに悲観はしなくていい? ▽まあ、どちらにしろ水曜午後8時45分からの試合はグループリーグなので、今回は気が楽なのは確かですが、とりあえず、アトレティコの欠場者は全治7カ月になってしまったアウグストと代表戦後には戻ってこれそうなヒメネス、まだランニングを始めたばかりのチアゴも難しいかと。ちなみに月曜のリハビリトレでは、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場グラウンドに並べたバイシクルを和気藹々と漕いでいた選手たちですが、コケによると、「バイエルンは強くて、難しい試合になるのはわかっているけど、ボクらはグループリーグを突破したい。Para ello tenemos que hacer un gran partido y ganar/パラ・エヨ・テネモス・ケ・アセール・ウン・グラン・パルティードー・イ・ガナール(そのためには凄い試合をして勝たないと)」と意欲は十分あるようなので、私もキックオフを楽しみに待つことにしましょうか。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.09.27 13:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】何も変わらなかった…

▽「どう見たって冷遇されているわよね」。そんな風に私が文句を言っていたのは金曜日、CLグループリーグ第2節を控えたこの週末、参加32チーム中、日曜に試合をするのがアトレティコだけという事実を知った時のことでした。いやあ、彼らの日程は把握していましたし、最初はハードなカンプ・ノウ訪問の後とあって、次のリーガ戦の前に1日多く休めるのは吉。おかげで木曜夜には選手たちが集まって、バルサ戦お疲れ様会兼バイエルン襲来に備えての決起ディナーを開く余裕もありましたし、今の時期、午後4時15分(日本時間午後11時15分)キックオフ試合は暑くもなく寒くもなく、しかも早い時間に帰宅できるという点で好ましかったため、デポルティボ戦が日曜なのはまったく気にならなかったんですけどね。 ▽ところが他の国ではCL出場チームは配慮されているのか、どこも早めにリーグのお勤めを果たし、次の相手のバイエルンもハンブルク戦は土曜にプレー。何せ、最後にビセンテ・カルデロンの土を踏んだ2014-15シーズンにはマドリーダービーで4-0という、驚愕のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らったアンチェロッテ監督が率いているだけに、相手もそのことは肝に命じているはずですしね。そこへ開幕から公式戦全勝中で絶好調、なおかつ休養日が1日多いとなると、来週の水曜はまた守ってばかりの試合になりそうな気がしてならないんですが…。 ▽まあ、その辺についてはまた次回にでも話すとして、とりあえずこのミッドウィーク開催のマドリッド勢の様子をお伝えしていくことにすると。両雄の方は水曜試合だったため、まずサンティアゴ・ベルナベウへ向かった私だったんですが、昨季はヘタフェを降格から救えなかったエスクリバ監督率いるビジャレアルとの対戦は意外な展開に。いえ、主に原因は「Salimos menos enchufados. Nos ha faltado intensidad/サリモス・メノス・エンチュファードス。ノス・ア・ファルタードー・インテンシダッド(ウチは試合にあまり没頭してピッチに出なかった。プレーの激しさが欠けていた)」(ジダン監督)というレアル・マドリーにあったんですけどね。 ▽それでもその日はモドリッチがお休みだったとはいえ、BBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)は勢揃いしていたため、あまり心配はしていなかったんですが、想定外の事態が起こったのはもうハーフタイムも近くなっていた前半42分のこと。マルセロがケガしてしまったんですが、それはともかく、当人が座り込んで時間稼ぎをすることもなく、スタスタ自分の足で歩いてピッチを出て行ってしまったから、困惑したの何のって。だってえ、ジダン監督が急遽、投入する予定だったカルバハルはまだ準備中だというのに、あまり相手が攻めてこなかったら大丈夫と思ったのか、マドリーは10人のまま、プレーを続けているんですよ。▽実際、その直後のことでした。彼らの過信が裏目に出てしまったのは。バランがエリア前でボールをトリゲロスに奪われてしまい、ライン上でそのシュートを防ごうとしたセルヒオ・ラモスの手にボールが当たってしまったから、さあ大変! 前節のエスパニョール戦同様、すぐさま顔を覆ってみたラモスでしたが、その日はさすがに審判も騙されず、PKを献上することになったんですが、そうなってからカルバハルが入ってもねえ。ブルーノ・ソリアーノがパネンカ風のキックでGKカシージャを破るのを防ぐ役には立ちませんでしたが、大丈夫。ロッカールームでジダン監督にゲキを飛ばされた後の後半開始早々には、お馴染みのラモスの面目躍如が見られます。 ▽そう、3分にはハメス・ロドリゲスのCKを彼が頭で叩き込んで、マドリーは1-1に追いつくことに。ただ、もしかしたら、これはロスタイム3分まで待った方が良かったのかもしれないと私が思ってしまったのは、後半は打って変わって攻めたてていたマドリーでしたが、勝ち越し点がなかなか奪えなかったから。うーん、CLスポルティング戦の2匹目のドジョウを狙ったか、ベイル、ベンゼマに代えてルーカス・バスケス、モラタも投入してみたんですけどね。最後のロナウドのFKもGKアセンホにキャッチされてしまい、「No siempre se puede ganar en el ultimo momento/ノー・シエンプレ・セ・プエデ・ガナール・エン・エル・ウルティモ・モメント(いつも最後の瞬間に勝てる訳ではない)」(ジダン監督)という結果に終わってしまいましたっけ。 ▽え、タイムアウトの笛が鳴った後、どうしてマドリーの選手たちは審判に詰め寄っていたのかって?その理由は追いつかれたビジャレアルが勝ち点1の守りに入り、時間稼ぎなども結構していた割にロスタイムはたったの3分だったからで、それに怒って、カルバハルなど「Que facil es pitar aqui!/ケファシル・エス・ピタール・アキー(ここで判定を下すのは何て簡単なんだ)」と主審に悪態をついてイエローカードをもらっていたりしましたが、逆に私が感心したのは、グアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)がバルサで打ち立てたリーガ16連勝を新記録の17連勝に更新する機会を逃した上、せっかく優勝争いのライバルに差をつけるチャンスだったにも関わらず、記者会見でのジダン監督が寛容だったこと。▽曰く、「no podemos siempre jugar bien y salir desde el minuto uno a tope/ノー・ノデモス・シエンプレ・フガール・ビエン・イ・サリール・デスデ・エル・ミヌート・ウノ・ア・トペ(常にいいプレーをすることはできないし、開始1分からトップギアで行くこともできない)。そういうことは起こりうる。それが今日だった」とはさすが現役経験者。ええ、彼がプレーした頃だって、マドリーが気の抜けた試合をしているのを見たのは1度や2度ではないですからね。それだけに選手たちのやる気のアップダウンが理解できるのでしょうが、そんな中、木曜には悪い知らせも入っていて、前節のエスパニョール戦でディオプに蹴られたカセミロの右足腓骨にヒビが入っていることが判明。 ▽全治1~2カ月となってしまっただけでなく、金曜に検査を受けたマルセロも右ふくらはぎのケガで2週間、出場できないことに。左SB、守備的ボランチと、たまたま頼りになる代役がいないポジションに負傷者が固まってしまったのは不運ですが、ただ次戦となる土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの相手はラス・パルマスですからね。丁度、ミッドウィークはレアル・ソシエダに4-1と大敗、3位から5位に転落して、開幕からのスタートダッシュももう息切れかと思われたか、金曜にあったバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場での試合前会見でもジダン監督にはライバルについて、何の質問もなかった程ですから、あまり心配することはない? そうそう、金曜の招集リストには昨季終了後にアキレス腱の手術をして、ずっとリハビリをしていたGKケイロル・ナバスがとうとう復帰。指揮官の腹積もり次第ですが、今季初出場もあるかもしれませんよ。 ▽え、それでマドリーの次にプレーしたアトレティコはどうしたんだって? いやあ、その日もMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)厳重警戒網を敷き、一生懸命守っていた彼らですが、私がベルナベウ近辺で座れるバル(スペインの喫茶店兼バー)を探していた前半終了近く、41分にはうっかり気が緩んでしまったんですかね。イニエスタのクロスをラキティックにヘッドで決められ、ようやく腰を落ち着けられたハーフタイムにはすでに1-0とリードを奪われている始末。ところが妙な偶然で、こちらも事態の打開のキッカケとなったのは敵選手の負傷交代でした。▽そう、「en el descanso ya estaba bastante mal por un proceso gripal/エン・エル・デスカンソ・ジャー・エスタバ・バスタンテ・マル・ポル・ウン・プロセソ・グリパル(風邪のせいでハーフタイムにはもうかなり状態が悪かった)」(ルイス・エンリケ監督)というブスケツが後半に入り、たったの5分で交代した後、メッシがゴディンとの接触プレーがキッカケとなって、止まってしまったんですよ。うーん、前回のアルゼンチン代表戦でも恥骨炎で2戦目に出ず、帰国した彼ですが、その後、CLのセルティック戦、マドリッドの新弟分、レガネスを大量得点で破った試合にはフル出場していたため、ここでまたケガをするとはチームメートたちも意表を突かれたんですかね。 ▽13分に彼がアルダ・トゥランと代わらざるを得なかったことで敵に動揺が走ったのをシメオネ監督は見過ごさず。即座にサウルとガメイロを引っ込め、フェルナンド・トーレスとコレア、2人のFWを投入すると、それがバッチリ当たります。そう、コケがファールを受けて座り込んでいる間にガビが素早いFKをトーレスに出すと、彼からのパスがピケの股間を通ってコレアへ。するとその前をふさぐはずだったマスチェラーノが滑ってくれたんですよ。これも本来だったら先発していたはずのウムティティがケガで出られなかったおかげかもしれませんが、コレアが放ったシュートにはGKテル・シュテーゲンもどうすることもできず。ゴールポストに当たったボールがネットに収まってくれたから、ホッとしたの何のって。 ▽いえ、丁度その時、バルにいたベルナベウ帰りの他のお客さんたちも大喜びしていたのは別にアトレティコファンだったからではなく、相手がバルサだったからだと思いますけどね。ただ、シメオネ監督は「El equipo respondio muy bien en los primero 20 minutos de la segunda parte/エル・エキポ・レスポンディオ・ムイ・ビエン・エン・ロス・プリメーロス・ベインテ・ミヌートス・デ・ラ・セグンダ・パルテ(チームは後半最初の20分、とてもいいリアクションをした)」ことで満足してしまったか、畳みかけることはなく、残り20分にはカラスコに代えてボランチのトマスを投入。どうもこういうところを見ると、せっかく同点に持ち込みながら、追加点を狙わず、最後は延長戦、PK戦で涙を飲んだ昨季のCL決勝の教訓がまったく生かされていないんじゃないかと思ってしまいますが、選手たちの限界をよく知っているのは監督ですからね。 ▽おまけに終盤にはルイス・スアレスがフィリペ・ルイスの足を蹴ってケガさせたにも関わらず、謝りもしないで「Te tiraste, payaso!/テ・ティラステ、パジャソ(自分で転んだくせに、道化者)」と挑発していたり、それに怒ったコケが柄にもなく、次のプレーの時まで相手に「cagon, eres un cagon!/カゴン、エレス・ウン・カゴン(臆病者、あんたは臆病者だ)」と悪態をついていたりと、どうにも収拾がつかなくなっていたようなので、その日はアトレティコの選手が誰も退場させられず、そのまま1-1で勝ち点1を獲得できたのは良かったのかも。ええ、試合後はキャプテンのガビも「ウチは常に勝つつもりでいるけど、1ポイントは悪くない。nos vamos satisfechos/ノス・バモス・サティスフェッチョス(ボクらは満足して帰るよ)」と言っていましたしね。 ▽敵方のルイス・エンリケ監督もこの引き分けには、「凄く高いレベルで自陣エリアに引くチームが相手だとプレーの最後の数メートルが難しくなる。その点に関して、ウチはかなりいい方だけどね。Quizas ellos sean los mejores del mundo replegandose/キサス・エジョス・セアン・ロス・メホーレス・デル・ムンド・レプレガンドセ(おそらく彼らは引きこもることで世界最高のチームなんだろう)」と一体、バカにしているのか、感心しているのか、わからない言葉でアトレティコを賞賛してくれていたため、まあ、悲観することはないんですが、そのすぐ後に出回ったフィリペ・ルイスの足の写真にはドッキリされた人も多かったかと(https://www.instagram.com/p/BKolynygq9u/?taken-by=filipeluis)。 ▽いやあ、まるで甲に穴が開いているように見えたからですが、その傷に対しても、ルイス・スアレスが「El futbol es para hombres, todo queda en la cancha/エル・フトボル・エス・パラ・オンブレス、トードー・ケダ・エン・ラ・カンチャ(サッカーは男のためにある。全てはピッチに残るもの)」と一切、反省の色を見せず、後日、女子サッカー選手たちから猛反発を受けていたなんてのは当人の自業自得。幸い、蹴られた時、足が空中にあったフィリペ・ルイスは翌日の練習で他の選手たちと一緒に普通に走っていたため、皮膚が裂けただけだったとわかりましたしね。これからしばらくは両チームが顔を合わせることもないですし、メッシが太もものケガで全治3週間となってしまったバルサやお隣さんと違って、今回はアトレティコが負傷者ゼロで終わったことを喜ぶにとどめましょうか。 ▽そして翌木曜には、ラ・コルーニャ(スペイン北西部の避暑地)で前半、デポルティボに先手を取られながら、後半に先日のバルサ戦でも一矢を報いるゴールをFKから入れたガブリエウが1ゴール1アシストと活躍して、レガネスが1-2の逆転勝利でマドリッド勢今節、唯一の白星をゲット。おかげで彼らも10位に上昇した上、この日曜にはアトレティコも弟分には引けを取るまいと頑張ってくれるのは好材料かと。 ▽ちなみにレガネスの方は今週末、日曜正午にブタルケにアジェスタラン監督解任後、お馴染みの普段はチーム付き役員をしているボロ暫定監督の下でアラベスに2-1と勝ち、今季初勝利を手に入れたバレンシアを迎えるんですが、そろそろホームでの1部初白星をファンたちにプレゼントしてあげたいところでしょうか。ただ、小規模チームにとって、リーガ3連戦の最後はメンバーの体力的にきついのがちょっと心配ですよね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.09.24 13:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】順位を気にするのはまだ早いけど…

▽「いつものようになってきたわね」そんな風に私が頷いていたのは月曜日、最後の1カードを残してリーガ4節が終了した時点での順位表を見た時のことでした。いやあ、シーズンも始めの数試合はどのチームも団子状態で、意外なところが首位に立って、話題を呼んだりもするんですけどね。さすがに4連勝ともなると、できるチームも限られてきて、レアル・マドリーが勝ち点12で堂々の1位。続いて2位には前々節、アラベス戦で躓いたせいで勝ち点9のバルサ、3位のラス・パルマスには少々、首を傾げる向きもあるかと思いますが、開幕から2連続引き分けとスロースタートだったアトレティコもいよいよ4位にまで順位を上げ、5位セビージャ、6位ビジャレアルとなれば、今季もまた優勝やヨーロッパの大会出場権は同じような面々で争われることになる? ▽まあ、そんなことはともかく、先週末のマドリッド勢の試合がどうだったか、お伝えしていくことにすると。土曜に先陣を切ったのは新弟分のレガネスだったんですが、どうやらアシエル・ガリターノ監督は2節でアトレティコをスコアレスドローに抑え込んだせいで、つい欲が出てしまったんでしょうかね。残念ながら、私はブタルケ(レガネス)まで行くことができなかったんですが、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に午後1時過ぎに足を向けたところ、バルサに前線からプレスを激しくかけていたのが裏目に出たか、すでにメッシに1点目を奪われているのですから、先が思いやられるじゃないですか。 ▽その後もルイス・スアレス、ネイマールと前半だけでMSNに揃い踏みされ、いえ、後半はキャプテンのマントバーニが「vamos a salir a romperles el culo/バモス・ア・サリール・ア・ロンペールレス・エル・クーロ(奴らの尻を割るつもりで行こう)」とゲキを飛ばしていたのに従って、更にメッシのPK、ラフィーニャの豪快な一発で0-5となりながらも、ドリブルやフェイントといった、こじゃれた技を繰り出すネイマールなどには特に厳しく対応してはいたんですけどね。結局は後半35分にガブリエウが見事なFKで一矢を報いただけで、同じ昇格組のアラベスに続くことはできず、1-5の完敗をしてしまうことに。 ▽ただ、それでもスタジアムを満員にしたファンたちはリーガの強豪と堂々と戦う地元のチームの姿を見られただけで幸せだったようですが、むしろ私が気になったのはこの水曜にはアトレティコとの試合が控えているにも関わらず、ルイス・エンリケ監督のローテーションが意外と少なかったこと。いえ、レガネスの攻撃力の弱さに3バックを採用、マスチェラーノに右SBの役目を与え、セルジ・ロベルトを温存していたなんてことはあったんですけどね。後半途中で交代したのはラキティッチ、ルイス・スアレス、イニエスタでしたが、メッシとネイマールはフル出場って相当、彼らの体力を信頼している? ▽その後、私は次の時間帯のアトレティコvsスポルティング戦を見にビセンテ・カルデロンに向かったんですが、こちらはキックオフからすぐ、呆気に取られることに。だって2分も経つ前に自陣でガメイロがイスマ・ロペスのバックパスを奪い、グリースマンにパスしたところ、GKクェジェルを物ともせず、先制点を叩き込んでしまったんですよ。おまけにそれから2分もしないうちに今度は左サイドからエリアに入ったガメイロがGKの頭を越えて斜めにネットに突き刺さるgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げたとなれば、たとえ相手が「Hemos salido pensando que somos terceros/エモス・サリードー・ペンサンドー・ケ・ソモス・テルセーロス(3位なのはこっちだと思って、ウチはゲームを始めてしまった)」(アベラルド監督)という、油断大敵火がぼうぼう状態だったとはいえ、文句のつけようがないじゃないですか。 ▽ところがその日のアトレティコは、自分たちが1点も取れなかった弟分から、次節のライバルが5点も奪ったという報に触発されたんでしょうかね。18分には先週、2020年までだった契約を2018年までに短縮したシメオネ監督に異議を唱えるのではなく、温かいコールがスタンドから送られた後の30分にもグリースマンがエリア前からビシッと決めて、前半だけで3点をゲット。もうこうなれば勝利は確実と、シメオネ監督も中盤はコケとサウルで、ガイタン、カラスコを両サイドに置いた超攻撃的布陣を、後半頭からカラスコの代わりにボランチのアウグストを入れてマイルドにすると、ガメイロ、グリースマンも早めに引っ込め、水曜に備えます。 ▽ただ、それでもその日の彼らの攻撃力は衰えなかったんですよ。ええ、26分にはピッチに入ったばかりだったフェルナンド・トーレスがコレアのラストパスをゴール前でコースを変えて4点目。更に彼は44分にもガイタンがエリア内でリジョに倒されて獲得したPKを決め、とうとうバルサと同じgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を完成させてしまったとなれば、ここ10年間、白星を挙げていないカンプ・ノウに乗り込むに当たって、どんなにファンが心強く思ったことでしょう(最終結果5-0)。 ▽え、だからって、バルサ戦でこんな景気のいいアトレティコを期待する訳にはいかないんじゃないかって?その通りで、温存策とは無縁の体力自慢のカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)、コケなど、当人も試合後、「muy bien preparado fisicamente/ムイ・ビエン・プレパラードー・フィシカメンテ(フィジカル的にとてもよく準備ができている)」と言っていた通り、後輩のサウルと共に水曜も先発するでしょうけどね。この日の試合で休養できた先輩ガビがボランチには入るため、ガイタンかカラスコのどちらかがベンチスタートになるはずかと。 ▽ついでに言えば、シメオネ監督が「Para mi el ano pasado fue el mejor jugador de Europa, no tengo ninguna duda/パラ・ミー・エル・アーニョ・パサードー・フエ・エル・メホール・フガドール・デ・エウロッパ、ノー・テンゴ・ニングーナ・ドゥーダ(昨季はヨーロッパ最高の選手だったことに、私はまったく疑いを持っていない)」と褒めてやまないグリースマンがプレーするのは確かですが、コンビを組むのはアトレティコが最後にアウェイで勝利を挙げた2006年2月のリーグ戦で2ゴールを決め、通算11試合で11得点とバルサに相性のいいトーレスか、その日のスポルティング戦で今季、プレーからの初ゴールを挙げ、怪しげなオフサイドで取り消されなければ、前線の同僚たちと並んでdoblete(ドブレテ/1試合2ゴールのこと)となっていたはずのガメイロかは迷うところ。 ▽何であれ、「La dinamica es positiva y es un buen momento para visitar al Barcelona/ラ・ディナミカ・エス・ポシティーバ・イ・エス・ウン・ブエン・モメントー・パラ・ビシタル・アル・バルセロナ(チームの状況はポジティブで、バルセロナを訪れるにはいい時期)」(トーレス)というのは事実ですが、相手もMSNが絶好調ですからね。水曜午後10時(日本時間午前5時)からの一戦では、シメオネ監督も「Es futbol y unas veces se esta mas lucida que otras/エス・フトボル・イ・ウナス・ベセス・セ・エスタ・マス・ルシダ・ケ・オトラス(サッカーだから、他の時より冴えていることもある)」と言っていた、いい方のアトレティコが出てくれるといいのですが。 ▽そして翌日曜はマドリーが一足早くバルセロナで試合をしたんですが、これはカンプ・ノウではなくてRCDEスタジアム。もう、毎年のように名前が変わるんでややこしくて敵いませんが、要はエスパニョールのホームです。ただそれだけでなく、実際、今季の彼らはキケ・サンチェス・フローレス監督が就任したことを始め、選手もかなり変わっているんですが、その日は初っ端からツキがありませんでしたね。というのも前半9分に早くもピアッティが負傷。ふくらはぎに全治3週間の肉離れを起こし、昨季までヘタフェにいたアルバロ・バスケスに代わったんですが、昨季同様、どうにも彼がパッとしないのは古巣に戻っても同じだったよう。 ▽それとは対照的にアトレティコで居場所が作れず、ここ3年、ベティス、ラージョ、ビジャレアルとレンタル移籍を続け、今季からエスパニョールに河岸を変えたレオ・バチストンには先制のチャンスが回ってきたんですが、エリア内からの絶好のシュートを2年前まで当地の守護神だったカシージャに弾かれてしまう始末。うーん、開始早々にセルヒオ・ラモスに吹っ飛ばされ、相手にイエロカードをゲットさせたのはお手柄でしたけどね。25分に当人はエリア前で敵のパスを手で弾いたものの、「El sonido es a mano y no a cara. Ramos lo hizo muy bien, fue listo/エル・ソニードー・エスア・マノ・イ・ノー・ア・カラ。ラモス・ロ・イソ・ムイ・ビエン、フエ・リスト(あの音は手で顔じゃない。ラモスはとても上手くやった。賢かったね)」とフローレス監督も後で言っていたように、咄嗟に頭に当たった振りをしたのに審判が騙されて、2枚目のイエローカード&退場にはつながらず。 ▽そうこうするうち、やはり風邪を引いたクリスチアーノ・ロナウドとCLスポルティングCP戦で腰に打撲を受けたベイルがお休みしていては、前半から点が取れなくても仕方ないと私も諦めていた前半ロスタイム、今季初先発したハメス・ロドリゲスがエリア前から放ったシュートがGKディエゴ・ロペスの脇をすり抜けて決まってしまったから、そこはさすがマドリー。そう、何せこのチーム、FWだけでなくて、MFまでゴールを決める才能を持った選手が揃っていますからねえ。その日は前半途中、ディオプに足を蹴られて負傷したカセミロの代わりに入ったクロースが2節のセルタ戦で挙げた決勝ゴールや次のオサスナ戦でモドリッチが決めたチームの5点目など、別に今季に始まったことではありませんが、前線が不発の場合でも何とかしてくれる中盤がいるっていうのは本当に羨ましい限りかと。 ▽そして後半はリードしたことで、マドリーの選手たちもリラックスできたか、動きが良くなってきたんですが、待望の追加点が入ったのは25分。今度はカルバハル、ルーカス・バスケスとパスが繋がり、後者がゴール前に出したボールをベンゼマが決めてくれます。うーん、エスパニョールも途中出場のカイセドが至近距離のシュートを放つなど、得点のチャンスがなかった訳ではないんですけどね。正GKケイロル・ナバスの復帰が遅れている間にできるだけアピールして、出場機会を増やしたいカシージャに阻止されてしまい、結局最後は0-2のまま終了。前日の勝利で首位に並ばれていた宿敵にまた勝ち点3差をつけると共に、ジダン監督もグアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)がバルサ時代に作った16連勝というリーガ記録に並ぶことになりました。 ▽え、この試合ではBBCが揃っていなかったにも関わらず、モラタが控えスタートだったのはこちらも次戦を見越しての休養だったのかって?いやあ、マドリーはお隣さんと違って、ホームでのビジャレアル戦と、それ程、片肘張って挑むことはないんですけどね。チームの和を重んじるジダン監督がハメスやアセンシオ、イスコらにも出番を与えたかったからだと思いますが、ここ20日前後で7試合の強行日程というのはCL、EL出場チーム、皆同じ。適度にローテーションをしていかないと早々にバテてしまいますので、ここ近年、お得意様となっているエスパニョール戦はいい機会だった? ▽といっている間に月曜の練習にはロナウドもベイルも復帰、水曜午後8時(日本時間翌午前3時)からの試合ではカセミロは無理としても、それ以外はバストメンバーで挑めそうなんですが、相手チームで今回、注目したいのはドイツ生まれのイタリア人FWサントーネ。ええ、日曜のレアル・ソシエダ戦ではチームの2点を挙げ、2-1の勝利に貢献した、サッスオーロから加入した新戦力なんですが、その2点目がセンターライン近くの右サイドから、50メートル近いロングシュートだったんですよ。 ▽いえ、もちろんアトレティコから修行に出ているサントス・ボレの成長ぶりや、ベニテス監督下のマドリーで出場停止を知らずにコパ・デル・レイの初戦に出て、規則違反による敗退の原因となった後、移ったビジャレアルでも大ケガ。ようやく先日、実戦復帰が叶ったチェリシェフの様子も気になりますけどね。果たしてサンティアゴ・ベルナベウで波乱を起こすことができるんでしょうか。 ▽そして最後にレガネスはこのミッドウィーク開催のリーガ、木曜にデポルティボとのアウェイ戦なんですが、ここまで1勝1分け2敗の彼らは現在14位。もちろんリーガにはまだ今季、1勝もしていないチームが6チームもありますし、どうしたことか、バレンシアなど、勝ち点1すら獲得できていないため、そんなに状況は悪くないんですが、そろそろ降格を争うことになりそうな相手からは白星をつかんでいかないと。そういえば、対戦相手の指揮官もガリターノ監督ですが、あちらは1年前までエイバルにいたガイスカ・ガリターノ監督。順位は11位と向こうの方が上とはいえ、新入団選手が多くて、まだ本調子になっていないのは同じなので、いい勝負になると思います。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.09.20 10:15 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】それなりに勝っている…

▽「差をつけてくれるなあ」そんな風に私がもやっとしていたのは金曜日、翌日にバルサを迎えるブタルケで、いそいそとベンチのリニューアルが行われている様子をTVのニュースで見た時のことでした。いやあ、クラブ創設88年目にして、ようやくリーガ1部で戦えるようになったマドリッドの新弟分、レガネスがこれまでとはまったく格や規模の違うビジターチームを迎えるため、夏からスタンドやロッカールームの整備を突貫工事でやっていたのは知っていたんですけどね。今になってベンチを新しいものにするってことは、4週間前のホーム開幕戦、マドリーミニダービーの時は古いままでアトレティコを迎えていたってことじゃないですか。 ▽え、シメオネ監督など、いつもテクニカルエリアに立ったままで、ほとんどベンチに座ることはないんだから、別に2部や2部Bあつらえのシートでも構わなかったんじゃないかって?それはそうなんですが、来週はミッドウィークにも試合があるリーガ3連戦の最初。しかもバルサは水曜にアトレティコ戦を控えているため、いえ、レガネス(マドリッド近郊)へ連れて来ないのはブスケツだけのようですけどね。ルイス・エンリケ監督がローテーションを視野に入れているのは明らかとなれば、MSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)の1人、もしくは複数が控えとしてキックオフを迎える可能性が高いため、TVカメラがベンチに向かう頻度が上がっても恥ずかしくないようにという気遣いだった? ▽実際、そんなことはどうでもいいんですが、今週は滅多に見られないビッグチームの来訪を前にレガネス関係者は非日常を満喫。ええ、月曜に売り出されたチケットは数時間で完売、今では元値40~60ユーロ(約4600~8900円)のものが80~460ユーロ(約9200~5万5000円)という高値でreventa(レベンタ/ダフ屋)から出回っているのはともかく、ファンたちはスタンドに大きなモザイクも準備中だとかで、クラブもこの試合用にオンラインポスターを用意(https://twitter.com/CDLeganes/status/775689956299792384)。「Que sea lo que DIOS quiera…o no/ケ・セア・ロ・ケ・ディオス・キエラ…オ・ノー(神様の望むままに…それとも違うか)」というメッセージの神様は、どうやらメッシのことのよう。 ▽ただ試合をするのは選手たちなので、とりわけ木金にはマスコミへの露出度が大幅に増えた彼らにしてみれば、密かに5人DF体制を用意していると言われているアシエル・ガリターノ監督も含め、できればメッシには出てもらわない方が嬉しいかもしれませんけどね。何せ、リーガ前節アラベス戦でこそ、ベンチスタートにしたメッシ、スアレスの投入が遅れて、1-2で負けと不覚を取ったバルサでしたが、火曜のCLセルティック戦ではその憂さを晴らすように前者がハットトリックと大爆発。加えてネイマールは1ゴール4アシスト、スアレスも2得点と、イニエスタのスーパーボレーもあって、7-0のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)になってしまいましたからね。 ▽兄貴分のアトレティコは優しいのか、鈍いのか、レガネスにもスコアレスドローで花を持たせてあげていましたが、先に対戦したアラベスと同じ昇格組ということで、再び過ちは犯さないという決意をバルサが強くしているはずなのも気になるところ。いえ、できればここは彼らに頑張ってもらって、2連続引き分けスタートでまだ勝ち点1あるアトレティコとバルサの差を縮めるのに協力してもらいたいんですけどね。前節はスポルティングに2-1で負けと、やはり攻撃力があまりないチームなので、土曜午後1時(日本時間午後8時)からの試合への期待のマックスは点を取られず、ドローに持ち込んでくれればといったところでしょか。 ▽え、リーガより前にCLグループリーグ1節のマドリッド勢がどうだったかを知りたいって?そうですね、火曜には先にアトレティコがアウェイでPSVと対戦したんですが、幸い近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)が試合を流していてくれたため、私も見ることが可能に。ただやはり予想は当たって、昨季のCLベスト16での2試合同様、渋い展開になったんですが、開始5分でデ・ヨングに決められたヘッドがフェリペ・ルイスへの怪しげなファールで認められなかったのが、その日のアトレティコにはツキがあるのを示す前兆だったのかもしれません。 ▽そう、前半は「Hoy jugo porque intuiamos que tendriamos que manejarnos en espacios cortos/オイ・フゴ・ポルケ・イントゥイアモス・ケ・テンドリアモス・ケ・マネハールノス・エン・エスパシオス・コルトス(今日は狭いスペースを操らないといけないと直感したため、彼がプレーした)」(シメオネ監督)という、ベンフィカからの移籍後初先発を果たしたガイタンもカラスコとの差を見せつけることができず、なかなか敵ゴールに近づけなかったんですけどね。いよいよハーフタイムも近づいた42分、飛び出したんですよ、たまに驚かせてくれるサウルのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)が! ▽それはガビのCKからで、落ちて来たボールは、こちらも今季初先発、「por el juego aereo de De Jong, Jose podia echar una mano en esa actuacion/ポル・エル・フエゴ・アエレオ・デ・デ・ヨング、ホセ・ポディア・エチャール・ウナ・マノ・エン・エサ・アクトゥシオン(デ・ヨングとの空中戦でホセは手を貸すことができた)」(シメオネ監督)という理由でピッチに立ったヒメネスが何故か、プロパーと頭をぶつけながらボールをクリア。おかげで相手の方はホラー映画のような顔面流血状態になっていましたが、きっとサウルにはそこまで見えてませんよね。そのままシュートしたこぼれ球は敵DFに当たって戻って来るわ、ゴディンのchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)も届かないわと、もうロストチャンスかと私が諦めかけている中、今度は彼がジャンプして蹴り入れたボールがGKズートを破ってくれたから、ビックリしたの何のって。 ▽うーん、2年前のマドリダービーでは意表を突くオーバーヘッドでゴールを決めたり、昨季のCL準決勝バイエルン戦1stレグでもメッシのように敵DFを何人もすり抜けて決勝点を挙げたりと、時折才能の片鱗を見せてくれるサウルですけどね。自身の今季初ゴールを挙げる前、先週はスペインU21代表の大事なユーロ予選、スウェーデン戦で痛恨のオウンゴールを入れてしまったこともあり、当人は試合後に「tenia un poquito de ansiedad por marcar/テニア・ウン・ポキート・デ・アンシエダッド・ポル・マルカル(ゴールを入れたくてちょっと焦っていた)」と告白。 ▽となれば、この得点で大いに自信をつけてくれたかと思いますが、そのすぐ後でした。アトレティコに災いが振りかかったのは。そう、エリア内に走り込んだナルシンフをヒメネスが追ったところ、体が触れてもしていないのに相手が転倒。それをペナルティとされてしまうのですから、たまったもんじゃありませんが、おかげでまたしても驚かされることに。ええ、5月のお隣さんとのCL決勝PK戦で1本も止められず、実はPKに弱いんじゃないかと世間で噂されていたGKオブラクが何と、グアルダードのキックを弾いてしまったんですよ。 ▽ただこれには、当人が反省して猛特訓したとか、そういうオチはなくて、単に「En Milan tuve mala suerte/エン・ミラン・トゥベ・マラ・スエルテ(ミラノでは運が悪かった)」(オブラク)だけだったとか。いかにもお気楽なアトレティコ的解釈ではありますが、おかげでチームが同点にされる危機を乗り切ったのは事実。後半はチアゴやカラスコ、フェルナンド・トーレスが入り、リードを更に広げようとした彼らでしたが、コクー監督率いるPSVも激しく抵抗。最後は全員で守って終わっていましたが、0-1でも勝ちは勝ちですからね。同日、ロシアのロストフに5-0と大勝したバイエルンをビセンテ・カルデロンに迎える次節を前に、勝ち点3を持って帰れたのは大きな心の支えとなるはずです。 ▽そして翌水曜はレアル・マドリーの番で、私もサンティアゴ・ベルナベウに向かったんですが、どうしたんでしょうね。セルティック戦で久々に勢揃いしたMSNは爆発したのに、同じく今季初めて一緒にスタメンに入ったBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)は前半、ポルトガルから来たスポルティング相手にまったくパッとせず。ええ、それどころか、0-0のまま迎えた後半2分、ブライアン・ルイスのラストパスクリアにセルヒオ・ラモスがもたつき、ブルーノ・セサルに先制点を決められてしまったから、さあ大変!プレシーズンのケガからようやく復帰したベンゼマはリズムに乗れず、おまけにベイルも前半、敵に腰を膝撃ちされ、打撲を抱えてプレーしていたため、ジダン監督も20分過ぎには2人をモラタとルーカス・バスケスに交代、その10分後にはクロースをハメス・ロドリゲスに代えてゴールを目指すことに。 ▽ちなみに先週末にはうだるような暑さの中、オサスナ戦で5点を挙げた彼らでしたが、この日は打って変わって気温が15度近く低下。かといって、9月からフリースを着てくる勇気もなかったため、見ているこちらは寒くてかなわなかったんですが、選手たちもそれで調子が狂ってしまったんですかね。後半序盤に抗議で退場処分になりながら、ベンチのすぐ後ろのスタンドでジョルジ・ジェスス監督が指揮を執っているスポルティングにはなかなかつけ入る隙がないだけでなく、ロナウドのシュートもゴールポストに当たってしまうし、もう残り5分とかには席を立つファンも多かったんですが…。 ▽それってサンティアゴ・ベルナベウでは許されないことなんです!というのもまた起きたんですよ、あのマドリー伝統、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)が。いえ、この日は2年前のCLリスボン決勝やこの夏のUEFAスーパーカップでロスタイムに延長に持ち込むゴールを挙げたラモスではなかったんですけどね。43分には、生粋の勝ち組、キャリアをスタートしたチームへの温情も忘れたロナウドがこの夏、ポルトガル代表で一緒にユーロのトロフィーを掲げたGKルイ・パトリシオの手を弾いて、FKをネットへ。 ▽それには起死回生の同点をゲットしただけでも偉いと感心した私だったんですが、そこで満足しているのは普通のクラブで、彼らは違うんです。ええ、もうロスタイムも終わりに近かった49分、「Sabia que James la iba a poner ahi/サビア・ケ・ハメス・ラ・イバ・ア・ポネール・アイー(ハメスがあそこに上げるとわかっていた)」というモラタがゴール前からヘッドを叩き込み、土壇場で勝利をもぎ取ってしまったとなれば、ただただ、その根性にシャッポを脱ぐしかないじゃないですか。 ▽それだけに、試合後は「Esto es el Madrid, podemos cambiar las cosas en un minuto/エストー・エス・エル・マドリッド、ポデモス・カンビアール・ラス・コーサス・エン・ウン・ミヌート(これがマドリー。ウチは1分間で物事を変えられる)」というジダン監督を始め、選手たちも自分たちの特異なレモンターダ体質に胸を張っていたんですが、でもねえ。正直な話、「Esto es un aviso para el future/エストー・エス・ウン・アビソ・パラ・エル・フトゥロ(これは先々への警告)。やられてしまうこともあるんだから、あんなフニャフニャと試合を始めていけない」と反省をしていたロナウドの言う通りかと。 ▽というのも次の相手、ドルトムントは同日、レギア・ワルシャワを0-6で粉砕していて、彼らには2013-14シーズンには準々決勝で0-3と先勝しながら、2ndレグで0-2と追い詰められたり、その前のシーズンの準決勝ではアウェイで4-1の完敗もしていますからね。27日の2節も先が読めないため、ここはやはり、早めに気を引き締めておくことが大切でしょう。 ▽まあ、それはちょっと先のことなので、まだいいんですが、今週末のマドリーは日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からバルセロナでエスパニョール戦。昨季は2試合合計で12-0と大勝ちしている相手なのもあるのか、ただの打撲だけのようですが、金曜もグラウンドに出てこなかったベイルはミッドウィークのビジャレアル戦を見据えて温存、ベンゼマやモドリッチらのローテーションもあるかと。 ▽とはいえ、何せ前節は開幕から3連勝したのが彼らだけだったため、早くも単独首位に立てましたからね。この夏はキケ・サンチェス・フローレス監督を迎え、レオ・バチストン、レジェス、フラードー、GKロベルトら元アトレティコ組に加え、ピアッティ、アルバロ・バスケス、更に元マドリーのGKディエゴ・ロペスと補強に熱心だったエスパニョールながら、今季はまだ白星がありませんし、今のマドリーを止めるのはかなり難しいと思いますよ。 ▽そしてアトレティコの方は土曜、こちらはスポルティングでも、ヒホン(スペイン北部のビーチリゾート都市)から来る現在、リーガ3位のチームをビセンテ・カルデロンに迎えるんですが、実はアイントホーフェンでの試合でチアゴが右太ももを負傷。全治1、2週間という悪いニュースもあったんですが、それより何より、騒がれていたのはシメオネ監督が2020年までだったクラブとの契約を2018年までに短縮していたことだったかと。いやあ、確かに2011年末からアトレティコの指揮を執り始めていますから、8年もいたら自身もファンも飽きてしまうだろうと思うのもわかりますし、彼にだって他にやりたいこともあるでしょうしね。 ▽ただ、現時点では当人もまだやる気は十分あると言っていますし、新スタジアムのペイネタでの1年目はいてくれるとなれば、当面はあまり心配することもない?そんなアトレティコのスポルティング戦は土曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)にキックオフ。トーレスも「Este equipo tiene mucho gol, lo de Leganés y Alavés son accidentes/エステ・エキポ・ティエネ・ムーチョ・ゴル、デ・ロ・デ・レガネス・イアラベス・ソン・アクシデンテス(このチームには大きな得点力がある。レガネス戦やアラベス戦はアクシデントのようなものさ)」と言っていましたし、まだホームで今季、勝利を祝っていないファンの胃がキリキリしないよう、点を沢山、取ってくれる試合になってほしいものです。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.09.17 11:00 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】一応、プレッシャーはなくなった…

▽「多分、見られると思うけど」そんな風に私が不安になっていたのは月曜日、それまで呑気にいよいよCLが始まると楽しみにしていたところ、1試合だけオープン放送の枠を持つアンテナ・トレス(スペインの民放)が流すのはバルサvsセルティック戦の方だと気づいた時のことでした。そう、昨季はマドリッドの2チームがグループリーグ中、同じ曜日に振り分けられ、どの節もスタジアムで観戦しながら、オンダ・マドリッド(ローカル・ラジオ局)の二元中継を聴いて、アウェイでプレー中のお隣さんの動向に一喜一憂するというのを繰り返していたんですけどね。 ▽今季はレアル・マドリーとセビージャ、アトレティコとバルサが同じ曜日になったため、どちらも見られると小躍りしていたものの、そうですよねえ。一般的な人気を考えたら、バルサが優先されるのは当然で、もちろんアトレティコの試合も有料チャンネルで見られるんですが、問題は行きつけの近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)がどちらを流してくれるのか。うーん、そのお店、私はアウェイのクラシコ(伝統の一戦)の時ぐらいしか、バルサの試合でいたことがないんですが、マドリッドでもファンは結構いて、CL戦ともなれば大勢が見に来るのは確実。それでもアトレティコは地元のチームなんですから、せめて2台あるTVの1つで映してくれることを切に願っていますが…果たして上手くいくのでしょうか。 ▽まあ、そんなことはともかく、先に先週末のリーガ戦、マドリッド勢がどうだったか、お伝えてしておかないと。先にスタートしたのは土曜の午後1時という、今季から始まった新しい時間帯を割り振られたアトレティコだったんですが、前半の間はセルタに2度程、チャンスがあったぐらいで、特に大したことはなし。このままだと2試合連続スコアレスドロー、開幕から3試合連続引き分けになってしまいかねないと、私も心配していたものの、それがどういう訳か、その日は大丈夫だったんですよ! ▽そう、後半になると、彼らはいきなり爆発したから、ビックリしたの何のって。小手調べのCKからゴディンのヘッドは外れてしまったものの、7分には右サイドに展開したグリースマンが上げたクロスがゴール前に走り込んだコケに完璧にヒット。それだけならまだしも、右足でコケが合わせたシュートがネットを揺らしたとなれば、思わず我が目を疑ってしまったとしても仕方ない? ▽これが「El gol te libera y te genera más situaciones/エル・ゴル・テ・リベラ・イ・テ・ヘネラ・マス・シトゥアシオネス(ゴールで選手たちの気持ちが解放されて、更なるチャンスを作った)」(シメオネ監督)とはよく言ったもので、15分過ぎからフェルナンド・トーレスをガメイロに、カラスコをコレアに代えたのも相まって、アトレティコは攻勢を強めていきます。そしてガメイロが接好機にシュートをゴールネットの左側外に当ててしまった後の27分、今度はサウルが先制点と同じ右サイドからクロスを上げ、そのボールをグリースマンがエリア内でカブラルとの空中戦に勝って2点目をゲット。続いて35分にも同じ形でファンフランのクロスからまたしてもグリースマンがヘッドを決めた時には、相手の学習能力のなさに唖然としたものですけどね。だからって、翌日、読んだ記事の複数が、「身長たった175センチの」という形容を彼につけていたのは、ちょっと余計だったかも。 ▽最後は42分、どうやらこの試合の吉方位は右と気づき、そちらへ回ったガメイロがエリア内のコケにパスを送ったところ、当人も2度もラッキーが続くとは信じていなかったんですかね。ワンタッチでそのボールをゴールの左側にいたコレアに繋ぐと、そのシュートが決まり、0-4という、アトレティコにとっては立派なgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が完成することに。いやあ、今季は開幕から本当に点がなかなか取れず、憂鬱な気分になっていたファンの方々も多かったかと思いますが、何より喜ばしいのは昨季のチーム内ピチチ(得点王)、ついでに言うと、夏のユーロ大会でもゴールデンシューをもらったグリースマンがdoblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)の習慣を取り戻したこと。 ▽ええ、代表戦前のレガネス戦では0-0に終わり、頭に血が昇ったまま答えたピッチでのTVインタビューで「このままじゃウチは降格争いをすることになる」と口走り、年下のサウルなどから注意を受けていた彼ですけどね。この日は「あんなことは人前じゃなくて、ロッカー内で言うべきだった。Puteé a mis compañeros en público y ahora quería pedir disculpas públicamente/プテエ・ア・ミス・コンパニェロス・エン・プブリコ・イ・アオラ・ケリア・ペディール・ディスクルパス・プブリカメンテ(表だってチームメートの悪口を言ったようなもんだから、今は公けに謝罪を申し出るよ)」と素直に頭を下げていたのは、好感が持てるかと。 ▽おかげで同日、ナイメーヘンに0-4で勝利したPSVのホームを訪れる火曜のCLグループリーグ1節にも胸を張って挑めることになりましたしね。シメオネ監督はそれも見越して、おそらくガイタン(出場時間なし)やアウグスト(招集されず)らの温存をしたんでしょうけど、何よりこの調子なら、昨季のベスト16で2試合とも0-0(アトレティコがPK戦で勝ち抜け)だったという、寒々しいゲーム展開を繰り返さなくて済む? ▽そしてその日は続いてサンティアゴ・ベルナベウを訪ねた私だったんですが、こちらはエアコンの効いたバルでドリンク片手に快適に見たお隣さんの試合とは180度違い、いえ、開始6分にベイルのラストパスをクリスチアーノ・ロナウドがゴールにして自ら復帰を祝い、早々にオサスナからリードを奪った時にはまだ良かったんですけどね。太陽が動くに▽つれ、じりじりと上がってきた日向が20分過ぎには私のいた正面スタンド3階席まで到達。いくらここ数日は少し残暑が和らいだとはいえ、39分にロナウドのヘッドがGKナウセトに弾かれたボールを、カルバハルの代わりに右SBに入っていたダニーロがシュート。2点目が入った頃には耐えがたい暑さとなっていたため、45分にクロースのCKからセルヒオ・モラスがゴールを挙げたすぐ後、ハーフタイム入りの笛が鳴ったのがどんなに嬉しかったことか。 ▽そう、用心のため、帽子は持ってきていたものの、日焼け止めを腕に塗ってくるのを忘れていましたし、予想通り、昇格組のオサスナはゴレアダの餌食になりかけていましたしね。反撃もあまり期待できなかったため、またスタンドに戻るのが億劫だったんですが、幸いながら、勝負は後半の方が拮抗した展開に。いえ、10分に再び、CKからペペがヘッドを決めて、マドリーが4点目を奪った時は、学ばないチームがまた1つと肩をすくめるしかありませんでしたし、16分にモドリッチがオフサイドの位置でモラタが戻したボールをエリア外からのシュートでネットに収めてしまったのにはただただ、その才能に感服するばかりだったんですが、やはり久々の晴れ舞台とあって、オサスナの選手たちもそのままでは帰りたくはなかったよう。 ▽18分にはデ・ラス・クエバスが上げたクロスを途中出場のオリオル・リエラが頭で決めたかと思えば、26分にはラモスがエリア内でハイメを倒してペナルティを献上。うーん、その時、こぼれたボールをリエラがゴールにしていたんですが、もらったPKの方はロベルト・トーレスがGKカシージャに止められてしまい、2点目ならずとは何とも皮肉じゃないですか。まあ、それでも32分にはハイメのクロスをダビド・ガルシアがこれも頭で決め、最後は5-2で終わったため、後半だけを見れば2-2となれば、オサスナも十分健闘したかと。 ▽ええ、2年前にはチームを2部B降格の危機から救い、昨季はギリギリ6位でプレーオフ参加資格を勝ち取り、そこから1部昇格を達成したエンリケ・マルティン監督も「Nos han metido cinco, ¿y qué?/ノス・アン・メティードー・シンコ、イ・ケ(ウチは5点取られたが、それがどうした?)私はベルンベウの芝とこの経験を楽しんだチームと一緒に幸せだよ」と、何だかコパ・デル・レイでマドリーと当たることになった下部カテゴリーの監督のようなことを言っていましたしね。一方的にやられていた訳でもないため、結構、これからのリーガでの残留争いに向けて自信がついた? ▽え、そんなことより、ようやくロナウドがチームに戻って来たというのに、あまりに早くゴールを決めてしまったせいか、むしろ試合後はミックスゾーンでの発言の方が注目されていなかったかって?そうですね、どうやら当人は先日、元バルサのチャビに「El problema que tiene Cristiano es que hay otro que es el mejor de la historia/エル・プロブレマ・ケ・ティエネ・クリスティアーノ・エス・ケ・アイ・オトロ・ケ・エス・エル・メホール・デ・ラ・イストリア(ロナウドの問題は他にサッカー史上最高の選手がいること)」と、これはもう相手の持論で今に始まったことじゃないんですが、またしても最高の選手はメッシと言われてカチンときたんでしょうね。 ▽この日は徹底的に反論するつもりだったようで、曰く「インターネットで一番、名前が探されている選手はボクだよ。トップページを飾りたかったり、自分を売り込みたい奴はボクの話をする。だからチャビが話しても大したことはない。カタールでプレーしているんだろ?Ha ganado todo pero nunca ha ganado un Balón de Oro/ア・ガナドー・トードー・ペロ・ヌンカ・ア・ガナードー・ウン・バロン・デ・オロ(彼は全てのタイトルを獲ったけど、バロンドールは受賞していない)。ボクは3度獲った」って、何かこれ、ちょっと大人気なくない? ▽そういうのを聞くと、この試合、最高のgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げた後、スタンド中からのオベーションに送られてアセンシオと交代した、丁度、前日にロナウドと同じ31歳になったモドリッチの「Quiero agradecer a los aficionados por el cariño que me dan día a día/キエロ・アグラデセール・ア・ロス・アフィシオナードス・ポル・エル・カリーニョ・ケ・メ・ダン・ディア・ア・ディア(毎日、ファンがボクに示してくれる温かい心に感謝しないとね)」という言葉が非常に謙虚に耳に響くのですが、まあ、これは各人の性格ですからねえ。 ▽同じ契約延長の質問になっても、片や「Si fuera el presidente del Real Madrid y tuviera un jugador como yo, le renovaría mínimo 10 años/フィー・フエラ・エル・プレシデンテ・デル・レアル・マドリッド・イ・トゥビエラ・ウン・フガドール・コモ・ジョ、レ・レノバリア・ミニモ・ディエス・アーニョス(もしボクがレアル・マドリーの会長で自分のような選手を持っていたら、最低でも10年は延長するね)」(ロナウド)ですし、もう一方は「誰もがレアル・マドリーで引退したいと願うもの。世界一のクラブだからね。Lo he dicho muchas veces que es mi sueño/ロ・エ・ディッチョー・ムーチャス・ベセス・ケ・エス・ミ・スエニョ(そのことは何度もボクの夢だと言ったよ)」(モドリッチ)といった具合では…。 ▽そんな感じでマドリッドの両雄のリーガ戦は終わったんですが、家に着いて夜のニュースを見ると、バルサがカンプ・ノウでアラベスに1-2で負けたという驚きの報が。いやあ、アラベスにはアトレティコも開幕戦で終盤にリードしながら、土壇場に追いつかれたという苦い思い出がありましたが、いくらメッシ、ルイス・スアレス、イニエスタが先発しなかったとはいえ、その3人が投入された後もイバイ・ゴメスの決勝点を最後まで守ったのは立派の一言。いえ、だからって彼らが1部残留をたやすく手に入れられるとは思いませんけどね。これなら、日曜正午のスポルティング戦では2-1で敗れ、今季初黒星をマークしてしまったものの、同じ昇格組のマドリッドの新弟分、レガネスが今週土曜の試合でバルサ相手に大金星を挙げる可能性もなくはないかも。 ▽ただ、月曜に売り出しとなったチケットをゲットしようと、週末からブタルケ(レガネスのホーム)に泊まり込み組も出たという、熱いファンの期待に応えるため、彼らはこの1週間、じっくり練習に励んでくれればいいんですが、兄貴分たちはそんな贅沢をしていられず。いえ、水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、ポルトガルのスポルティングをサンティアゴ・ベルナベウで迎えるマドリーは、負傷中だったイスコもグループに合流した日曜には練習後、バルデベバス(バラハス空港の近く)の施設に選手たちの家族も呼んでのバーベキュー大会を開き、ロナウドも息子さんを連れて来て、大いに楽しんでいただけでなく(https://www.instagram.com/p/BKN3cKuAUAL/?taken-by=cristiano&hl=ja)、翌日もチーム写真の撮影とどこか、余裕がありましたけどね。 ▽貧乏暇なしとでも言いましょうか、アトレティコはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でリハビリトレをしただけで、月曜にはもうオランダの地へ。今回のお留守番組はセルタ戦と同様、トマスとベルサリコとなりましたが、スタメンもリピートするとは限りません。何せ、今季は前線でも中盤でもオプションが増えましたからね。火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのPSV戦では、「queremos empezar ganando/ケレモス・エンペサール・ガナンドー(勝って始めたい)」というコケやグリースマン、ガビ、サウルといったところはまた先発に入りそうですが、誰がプレーしても、また点の取れるアトレティコを見せてほしいものですね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.09.13 11:45 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】先の話ではあるけれど…

▽「来年の夏もメガプレゼンは期待できないんだ」そんな風に私が残念に思っていたのは木曜日、夜のニュースでFIFAの上訴委員会がレアル・マドリーとアトレティコへの処分を認めたのを知った時のことでした。いやあ、元々これって今年の1月、両クラブが18歳未満の選手を非合法に所属させていたとして、次の2回の移籍市場で新規選手の登録を禁じる処分を受けたのがキッカケだったんですが、その違法に入団させたとされる選手のリストにはジダン監督の息子さんたちの名前まで登場。 ▽よって、「Han nacido aquí, han vivido aquí toda su vida y es absurdo que no puedan jugar al fútbol/アン・ナシードー・アキー、アン・ビビードー・アキー・トーダ・ス・ビダ・イ・エス・アブスルドー・ケ・ノー・プエダン・フガール・アル・フトボル(彼らはここで生まれて、ずっとここに住んでいた。それでサッカーができないなんて馬鹿げている)」(ジダン監督)といった感が強い話だったんですけどね。 ▽それでもクラブの上訴が認められず、2年前に同じ理由で処分を受けたバルサがCAS(スポーツ仲介裁判所)にも救ってもらえず、2015年中には選手登録ができなかったことから、今回のマドリーとアトレティコも2017年には補強ができないことになると見られているんですが、何せ前者は世界最高の選手を獲得するのがモットーというクラブ。実際、試合のない夏の間、サンティアゴ・ベルナベウでの派手なプレゼンを楽しみにしているファンも多いですからね。おまけに来年のオフシーズンはスペインの参加しないコンフェデレーションズ・カップぐらいしか、ヒマを潰せるイベントもありませんし、これって、その時期あることないこと含めて、移籍の噂で紙面を埋めてきたスポーツ紙にとっても死活問題かも。 ▽え、どちらも新規獲得はできなくても、今季レンタルに出している選手は取り戻すことができるんだろうって?まあ、そうなんですけどね。ただその場合、1年半前にビセンテ・カルデロンを満員にしたフェルナンド・トーレスはアトレティコの永遠のアイドルということで例外だったんですが、マドリーでもこの夏のたった2人の新顔、モラタ(ユベントスから移籍)、アセンシオ(エスパニョールへのレンタル終了)のプレゼンは極めて地味に開催。その席で両者揃って涙していたことこそ目を引きましたが、リーガ開幕が迫っていたため、パルコ(貴賓席)前に特設ステージすら作ってもらえず。それを思うと、RMカスティージャから修行に出ることになったマジョラル(ボルフスブルク)、マルコス・ジョレンテ(アラベス)、ディエゴ・ジョレンテ(マラガ)etcらが来年の夏、万が一、帰還することになったとしても、あまり大掛かりなプレゼンは期待できないかと。 ▽その一方でアトレティコはビエット、クラネビテル(セビージャ)ら昨季はトップチームのメンバーだった選手や、サントス・ボレ(ビジャレアル)、ディオゴ・ジョタ(ポルト)らこの夏の新加入選手、マンキージョ(サンダーランド)、ベラスケス(ブラガ)、メンサー(ビトリア)らレンタルの常連らに復帰のチャンスがありますが、誰より有望そうだった昨季のエイバルで18ゴールを挙げたボルハ・バストンはスウォンジーへ、オリベル・トーレスはポルトに売却。こうなると何が何でもガメイロ(セビージャから移籍)とガイタン(ベンフィカから移籍)には、ジャクソン・マルティネス(ポルトから期待されて入団も1月には中国の広州恒大へ移籍)の二の舞だけは避けてもらわないといけない? ▽まあ、どう転ぶかはもっとシーズンが進んでみないと何とも言えないんですが、とりあえず今はリーガ戦再開を控えているマドリッドの両雄の近況をお伝えしないと。今節、先に試合をするのはアトレティコで、いえ、土曜の午後1時(日本時間午後8時)という、今季から初導入の時間帯はスペイン・プロリーガ協会のテバス会長によると、たとえその30分後にはモウリーニョ監督とグアルディオラ監督が激突するマンチェスター・ダービーが始まるとしても、中国ではそれより大勢のファンが見てくれるはずだそうなんですけどね。 ▽私でさえ、アグエロは出場停止でプレーできなくても、先日のスペイン代表戦で輝いていたシルバやノリート、ヘスス・ナバスらのいるマンチェスター・シティと、カシージャスの後任を立派に果たしているGKデ・ヘアやマタ、更にはイブラヒモビッチやポグバの加わったマンチェスター・ユナイテッドとのオールド・トラフォードでの一戦には魅力を感じているため、もしかしてスペイン人でもそちらにチャンネルを合わせてしまうかも。 ▽とはいえ、開幕からアラベス、レガネス戦と昇格組相手に引き分けを演じ、お隣さんやバルサに遅れを取ってしまったアトレティコにとって、このセルタ戦は非常に重要で、幸いだったのは今回、リーガのチーム中最多の17名を各国代表に派遣しながら、負傷して帰ってきた選手が皆無だったこと。ええ、中南米組もゴディン、ヒメネスのウルグアイ勢が最後に到着し、金曜にはようやく全員揃ってマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でセッションを行うことができました。 ▽ただ、難点はそれぞれの代表戦で見出しを飾る程の活躍をしてきた選手はいなくて、いえ、親善試合のベルギー戦とW杯予選のリヒテンシュタイン戦でフル出場したコケは中盤で躍動、そこそこ好評でしたけどね。サウルなどはA代表デビューしたものの、ユーロ予選2試合目のスウェーデン戦の応援に行ったU21代表で痛恨の自殺点を献上して、落ち込んでいるかもしれませんし、夏のユーロ大会でフランスのエースとなったグリースマンも親善試合のイタリア戦、予選のベラルーシ戦のどちらも無得点。プレー時間の短かったガメイロも同様だったため、どうやらシメオネ監督はバライドス(セルタのホーム)での先発をこの2週間、みっちり練習していたトーレスをグリースマンとの前線コンビに選んだよう。 ▽他ではキプロスとの予選でベルギーの3点目を挙げたカラスコがサイドで起用されるようですが、古巣への帰還になるはずだったアウグストはアルゼンチン代表で出番がなかったものの、地元サポーターの反発を懸念してか、今回はマドリッドでお留守番。まあ、中盤ではガビもチアゴも代表戦期間中、ずっと猛暑のマドリッドで頑張っていましたからね。ようやく異常な9月の熱波が去って、真っ昼間の試合にも関わらず、気温23度前後と快適になりそうなビゴ(スペイン北西部の海辺の町)ではきっといいプレーをしてくれると思います。 ▽それとは逆にFIFAウィルスの被害を受けたのがセルタで、こちらでは前節のマドリー戦でエリア外から見事なシュートを決め、一矢を報いたオレジャナがチリ代表戦で負傷。彼以外におマルセロ・ディアス、ボービュー、プラナス、ルーベン・ブランコに加え、出産予定の彼女のため、グイデッティもお休みをもらったとかで、何せ、ただでさえ、ノリートがこの夏、シティに移籍してしまったため、攻撃陣の再編に苦労しているベリッソ監督ですからね。開幕戦ではマドリッドの新弟分、レガネスに0-1と負け、続いてサンティアゴ・ベルナベウでも2-1で惜敗と、ここまで勝ち点を1つも溜められていない焦りもあるでしょうし、ようやくこの夏加入したFWジュゼッペ・ロッシの準備が整ったとはいえ、来週木曜にはヨーロッパリーグのスタンダール・リエージュ戦も控えているとあれば、その辺にアトレティコも付け込めるかもしれません。 ▽そしてその次の時間帯で試合するのがマドリーで、午後4時(日本時間11時)からとなれば、もうマンチェスター・ダービーも終わっていますし、たとえ相手が昇格組のオサスナだったとしても、視聴率が落ちる心配はない?実はこの一戦のお楽しみは他にもあって、いえ、今週はシメオネ監督が水曜に自著、「Creer/クレエル(信じる)」のプレゼンをしただけに留まったアトレティコとは対照的に、あちらでは看板選手たちが商業イベントに出席。木曜にはベイルがプエルタ・デ・ソル(マドリッドの中心にある広場)の近くにあるFoot Locker(フットロッカー/スポーツシューズ専門店)を訪れ、40度近い気温の中、大勢のファンが通りを埋めたなんてこともあったんですけどね(https://www.instagram.com/p/BKDshK5jm2U/?taken-by=garethbale11)。 ▽翌日、ラ・モラレハ(マドリッド近郊)のショッピングモールで自身ブランドの香水、Legacyの販促イベントに出席(https://www.instagram.com/p/BKGHHtmAAMM/?taken-by=cristiano&hl=ja)したクリスチアーノ・ロナウドが、記者たちに「オサスナ戦に出るのか?」と訊かれ、「Si, si/シー(イエス)」と答えていたのは決して面倒臭いからの適当な返事ではなかったんですよ。というのも金曜にジダン監督が発表した招集リストにはベンゼマと一緒に彼の名があったからで、いやあ、ユーロ決勝のフランス戦前半にヒザを痛めて交代した後、ポルトガルは悲願の初優勝。マドリーもUEFAスーパーカップでセビージャを破り、リーガ開幕後も2連勝と、誰に迷惑をかけていた訳ではないんですが、やっぱりBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)を揃って見られるのは華があって嬉しいかと。 ▽もちろん、ウェールズのW杯予選、モルドバ戦で2ゴールの活躍をしてきたベイル以外、先発は確約されてはいないんですが、モラタもスペイン代表のリヒテンシュタイン戦で2点を挙げてきたばかりとあって、その辺はジダン監督も迷うところでしょうか。一方、その傍らでお休みをもらっている選手もいて、それはブラジルでエクアドル、コロンビアとの予選2試合にフル出場したマルセロとカセミロ、そして同じくコロンビア代表で180分間プレーして、初戦のベネズエラ戦では1ゴール1アシストの大活躍だったものの、2戦目はチームメートの前に涙を飲んだハメス・ロドリゲス。とりわけハメスはサンパウロから直接帰ることをペケルマン監督に許されず、母国のボゴタ経由で戻って来たため、到着がマルセロたちの翌日、金曜早朝となってしまったとなれば、妥当な判断というところでしょう。 ▽え、ジダン監督がローテーションをするのはマドリーが、アトレティコがオランダでPSVに挑んだ翌日、来週水曜にCLグループリーグ初戦、スポルティング戦を控えているからだろうって?そうですね、最近はやたら「昨季はあと勝ち点1で届かなかったから、este año es lo que queremos conseguir/エステ・アーニョ・エス・ロ・ケ・ケレモス・コンセギール(今季はウチが獲りたい)」(ジダン監督)と、2012年以来遠ざかっているリーガ優勝を第1目標に挙げているマドリーですが、同時に前人未到のCL連覇の夢もありますからね。 ▽実際、1節目ではマラガと引き分け、2節目はレアル・ソシエダに敗れ、まだ1部復帰後未勝利の相手であれば、マルセロの代わりにダニーロやナチョを左SBに使っても、カセミロの役目はクロースに頼み、スペイン代表であまり長い時間プレーしていないアセンシオやルーカス・バスケスを入れても問題はない?どちらにしろ、選手層の厚いマドリーであれば、あまり苦労もせずに勝てるような気がしますが、さて。この試合が今季、サンティアゴ・ベルナベウでのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)第1号になったりするかもしれません。 ▽そしてマドリッドの新顔、レガネスは日曜正午からスポルティング戦と、昨季までのヘタフェ、ラージョ同様、またスペイン国内のゴールデンタイムを外れた時間に設定されてしまいましたが、実は彼らはこの先、17日のバルサ戦、28日のバレンシア戦、10月1日のグラナダ戦と5試合中4試合がデーゲーム。丁度、日本では見やすい時刻にキックオフするため、この間に少しでも知名度が上がってほしいと思いますが、今はまだ、一生懸命守りはするものの、攻撃的には決め手がほとんどないチームですからね。早いところ1部の水に慣れて、ゴールもそこそこ入れられるようになってくれるといいのですが。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.09.10 09:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】まだ強いのかはわからない…

▽「寒かった訳じゃなかったんだ」。そんな風に私が呟いていたのは月曜日、マルカ(スポーツ紙)のアトレティコページでフェルナンド・トーレスがこの代表戦期間中、肩から左腕全体を覆う大作タトゥーを入れていたことを知った時のことでした(https://www.instagram.com/p/BJ3GKHmhE1p/?taken-by=fernandotorres&hl=ja)。いやあ、ここ数日、9月とは思えない熱波に襲われているスペインですが、その日のマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でのセッションは午前9時半から。月曜などはまだ先週と同様、トーレス、ガビ、チアゴ、ファンフランの30代カルテットに、木金休んで週末と合体して、故郷のブエノスアイレスで過ごしてきたシメオネ監督が加わっただけという淋しいメンバーだったんですけどね。 ▽その日はW杯予選を日曜に終えたGKオブラク、サビッチが合流し、ちょっとだけ賑わったグランドでトーレス1人が長袖を着ていたため、午前中は涼しいのだろうかと首を捻っていたところ、やはりあれだけの大物を彫ったとなれば、すぐには素肌をお日様にさらせないのは当然だった?まあ、タトゥーに好き嫌いはあったとしても要は個人の趣味。とはいえ、セルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)のような例外もありますが、もし今でもトーレスがスペイン代表に呼ばれていれば、とてもそんなことをしている時間の余裕はなかっただろうなと、つい私などは思ってしまったものでしたが…。 ▽え、今回のワールドカップ予選初戦でスペインのCF問題は完璧に解消されたようだし、もうトーレスが代表にいないことを嘆く必要はなくなったんじゃないかって?そうですね、先週木曜同様、早い時間にはスペインU21代表のユーロ予選を見ていたため、月曜はまず、ベルギーとの親善試合でA代表デビューをした後、そちらに応援に行ったアトレティコの後輩サウルが敵のCKを何の拍子か、自軍ゴールに蹴り込んでしまい、スウェーデンと1-1で引き分けに。そんなことをして、来年の本大会出場をほとんどプレーオフ頼みにするぐらいだったら、マルメなんぞには行かず、おとなしく大人の代表のベンチを温めていた方が良かったのではなどと、私が考えているうちに、ロペテギ監督率いる新生スペインもレオン(スペイン北西部にある内陸都市)で小国リヒテンシュタインと対戦をスタート。 ▽ただねえ、4日前の試合に比べ、スタメンはトップがモラタ(マドリー)からジエゴ・コスタ(チェルシー)、右SBがカルハバル(マドリー)からセルジ・ロベルト(バルサ)に代わった程度だったんですが、これがまた、前後半であまりに対照的な展開になったから、驚いたの何のって。 ▽そう、開始早々9分にはコケ(アトレティコ)のFKを、やはりまだ2年前のリーガ優勝チームのコネクションは残っていたんでしょうね。コスタがラモスに競り勝って頭で押し込み、代表戦12試合目で自身2点目をゲット。スペインがあっさり先制してくれた上、当然のごとく、ボールを一方的に支配した彼らのペースで進んでいたから、すぐにも追加点が入るだろうと期待したものの、相手に守り倒されて1-0のまま前半は終了します。おまけに39分には数人懸かりでゴール前から狙いながら、コケなど2度もGKに弾かれるわ、最後はオフサイドの笛が鳴るわでゴールできずと、まるでここ最近のアトレティコのようなもたつき具合だったため、ちょっと心配になったんですけどね。 ▽そこは才能ある選手を集めたスペイン代表。ええ、後半頭からはチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)の代わりにノリート(マンチェスター・シティ)が投入されたんですが、これは「para jugar con cuatro centrocampistas y tres delanteros/パラ・フガール・コン・クアトロ・セントロカンピウタス・イ・トレス・デランテーロス(MF4人とFW3人でプレーするため)」(ロペテギ監督)で、彼は定位置の左のトップに。おまけにセルジ・ロベルトの起用も最初から計算づくで、何せ、この選手、U21代表時代にロペテギ監督の下でMFとしてプレーしていますからね。 ▽当人も「昨季は試合前、どこでプレーするかわからなかったけど、今季はほとんどSBをしている。Cada vez me está gustando más aunque era una posición nueva para mí/カーダ・ベス・メ・エスタ・グスタンドー・マス・アウンケ・エラ・ウナ・ポシシオン・ヌエバ・パラ・ミー(自分にとって新しいポジションだったけど、だんだん好きになってきているよ)」と自身のクラブ同様、競争率の低いSBでの出場をアピールしていたものの、ここでロペテギ監督は練習の大部分を非公開にした成果を披露。「セルジ・ロベルトが先発すれば、後でポジションを変えてMFを増やすことができる。DF3人制もオプションとして練習していた」と、リヒテンシュタインがまったく攻めてこないのをいいことに、システムを4-3-3から3-3-3-1にしているんですから、その辺、50歳と若いだけあって対応が柔軟? ▽いえ、それに私が気づいたのは後半9分、ノリートのゴール前へのラストパスにセルジ・ロベルトが中央から突っ込んで来て2点目が入った時で、何で右SBがそんなところにいるのかと、違和感を覚えたからだったんですけどね。よく見れば、SBは卒業したはずのラモスがスローインしているし、その後もセルジ・ロベルトは頻繁にエリアに顔を出しているしと、いえ、もちろん「Hemos mejorado la presión, la rapidez y han llegado los goles/エモス・メホラードー・ラ・プレシオン、ラ・ラピデス・イ・アン・ジェガードー・ロス・ゴーレス(ボクらはプレスやスピードが良くなって、ゴールが入りだした)」(コケ)というのも、スペインの攻撃が効率的になった原因にはあったでしょうけどね。 ▽その先はマドリー戦でもそうそうは見られないgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)の開幕で、13分にはビトロ(セビージャ)のパスからシルバが得点。その1分後にはそのシルバがビトロにお返して4点目が入ると、20分には最初のシュートはGKに弾かれたものの、跳ね返りを頭で決めてコスタが自身、この試合2点目をモノにします。うーん、ノーゴールだったベルギー戦の後には「自分がマドリーやバルサにいたら、生粋のスペイン人だったら、凄い試合をしたとマスコミに褒めてもらえるのに」と愚痴っていた彼でしたけどね。さすがにこの日は当人も満足したか、「Fue un calentón, pido perdón, lo que dije no fue de mala fe/フエ・ウン・カレントン、ピド・ペルドン、ロ・ケ・ディヘ・ノー・フエ・デ・マラ・フェ(カッとしたはずみだった。謝るよ。悪気があって言ったんじゃないんだ)」と試合後には素直に反省。 ▽2点目のゴールのすぐ後、モラタと交代することになった時もエスタディオ・レイノー・デ・レオンのサポーターたちが温かい拍手を贈ってあげたのも良かったですし、これからもコスタには気分良く、代表に貢献してもらいたいものですが…実はまだゴレアダは続くんです。そう、ロペテギ監督就任初試合では先発に指名されたものの、この日は2番手に甘んじてしまい、モラタも発奮したんでしょうね。アセンシオ(マドリー)がビトロに代わってピッチに入り、A代表公式戦デビューを果たした後の36分と37分、立て続けにゴールを決め、存在感をアピール。何せ彼の場合、マドリーでは開幕から2試合連続スタメンを張ったものの、早ければこの週末にクリスチアーノ・ロナウドとベンゼマが復活するかもしれないため、そうなるとベンチ要員に格下げは避けられませんからねえ。 ▽そうなると、コンテ監督にアトレティコ復帰を阻止され、ケガor出場停止処分でない限り、ほぼ出場が保証されているコスタにこの先、差をつけられてしまう恐れがあるため、すでにチームは大勝していても、できる限り自身のゴール嗅覚を見せつけておくのは正解かと。そして最後に試合を締め括ったのはシルバで、こちらはロスタイム1分、直前に決めたゴールがコケがオフサイドの位置にいたため、認められなかった悔しさを晴らそうと、ノリートのアシストから撃ち込んだものだから、とうとうスコアは8-0にもなってしまいましたっけ。 ▽え、これなら2008年から2012年まで国際主要大会3連覇を成し遂げた後、2014年W杯グループリーグ敗退、今夏のユーロはベスト16敗退と衰退期に入ったスペインにも持ち直しが期待できるんじゃないかって?いや、これはあくまで人口3万5000人程のリヒテンシュタイン相手の話で、2001年から同国代表のGKを務めているイェーレなど、スペイン戦7試合で計31失点していますからね。この日も例外でなかっただけで、むしろ「En los próximos partidos, contra Italia, se va a ver cómo estamos/エン・ロス・プロキシモス・パルティードス、コントラ・イタリア、セ・バ・ア・ベル・コモ・エスタモス(次の数試合、イタリア戦とかでボクらの状態がわかるだろう)」(モラタ)というのが正論。 ▽ただそれでも、招集した選手たちにかなり配慮していたデル・ボスケ監督時代とは違い、カシージャスの最多出場試合記録を伸ばすためにあった不自然なGK交代もなく、控えGKのレイナ(ナポリ)とアドリアン(ウェストハム)はデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)を陰からしっかり支えていましたし、フィールドプレーヤーでもハビ・マルティネス(バイエルン)、パコ・アルカサル(バルサ)、マタ(マンチェスター・ユナイテッド)と、プレー時間がまったくなかったメンバーもいたりして、そういう意味ではチーム内に久しくなかった競争意識が生まれた感も。若い選手も増えたせいか、プレーのリズムも速くなっていたのも、おそらく、イタリアを含めて、アルバニア、マケドニア、イスラエルを相手にするこのグループ予選では朗報でしょうね。 ▽そして試合後はシルバやノリートはチャター機でイギリスに飛び、翌朝には国内組も各チームに戻ったんですが、何せ、W杯予選は水曜までとは言っても、中南米に出向している選手たちは試合開始時間の時差もありますし、とにかく戻って来るのが大変なので、到着は金曜になる人もいますからね。それだけに土曜の午後1時というアジア向けゴールデタイムにセルタ戦を設定されたアトレティコは大変なんですが、マドリーも同日午後4時にオサスナ戦ですから、あまり大差はない? ▽逆にあまり各国代表選手のいない、マドリッドの新弟分チーム、レガネスが同様のスポルティングとの試合を日曜正午にされていたりしますが、まあ来週はいよいよCLグループリーグ第1節も始まりますしね。バルサのメッシがケガを悪化させて、アルゼンチン代表から早退してきたような例もありますし、今のところ、ベイルはウェールズ代表のモルドバ戦で2得点、カラスコはキプロス戦終盤のゴールでベルギーの0-3の勝利に貢献、グリースマンはベラルーシ戦でゴールを挙げられず、フランスはスコアレスドローで予選をスタートと主力の活躍度に関して差は少々、ありますが、マドリッドの2強では代表で選手が負傷したという報告がないだけでも感謝しないといけないですかね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.09.07 13:00 Wed
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【原ゆみこのマドリッド】災難が降りかかりませんように…

▽「ケガだけはしてこないといいんだけど」そんな風に私が心配してしまったのは土曜日、前節のアスレティック戦で左の太ももを痛めながら、この夏のコパ・アメリカ決勝でチリに負けた後には代表引退を口走って世間を騒がしたお詫びのつもりだったんでしょうかね。”タタ”・マルティーノ監督から引き継いだバウサ監督の初陣だったのにも配慮したか、代表招集を辞退せず、アルゼンチンに駆けつけたメッシのケガがW杯予選ウルグアイ戦で悪化。ゴディンとヒメネスのアトレティコCBコンビが守る中、自身が決勝点を挙げ、バルサの同僚のルイス・スアレスはノーゴールに終わったため、チームは1-0で勝ったんですが、次のベネズエラ戦には出られず、もうバルセロナ行きの飛行機に乗っていると聞いた時のことでした。 ▽いやあ、といってもバルサには同日のエクアドル戦でPKによるゴールを決め、ブラジルの0-3の勝利に貢献。あとは火曜、ベネズエラ戦では1ゴール1アシストの活躍をして、ジダン監督にレアル・マドリー残留決断後のやる気を示したハメス・ロドリゲスのいるコロンビアとの試合を済ませば、リオ五輪を経て、およそ3カ月ぶりのクラブ帰還となるネイマールもいますしね。実際、ルイス・スアレスだって不発の時の方が珍しいんですから、代表戦後、リーガ再開となるアラベス戦にメッシが出られなくても心配することはないような気がしますが、それはリーガ2強の片割れも同様。 ▽そう、マドリーも開幕から2試合先発をしたモラタが木曜のスペイン代表戦で太ももに打撲を負って交代。月曜のW杯予選初戦出場も危ぶまれていますが、だからって何?だってえ、こちららは連日、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でガンガン、トレーニングに励んでいるクリスチアーノ・ロナウドとベンゼマの映像をオフィシャルウェブ経由で配信(http://www.realmadrid.com/noticias/2016/09/cuarta-sesion-de-la-semana)しているんですよ。もう2人ともゴールまでバシバシ入れているため、来週土曜のオサスナ戦ではBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)が揃い踏みしていたって、まったく不思議はないかと。 ▽逆に今のところ、特に負傷の報は入っていないものの、気苦労が絶えないのはアトレティコで、実は今回、総勢17名というリーガのチームで最多の人数が各国代表に招集され、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で汗を流していたのはフェルナンド・トーレス、ガビ、チアゴ、ファンフランら、30代カルテットだけという有様に。シメオネ監督も木曜には母国のアルゼンチンに帰ってしまい、いえ、水曜にニヨンで行われた毎年恒例のUEFAエリートクラブ監督フォーラムは、自らデシマ(CL10回目の優勝のこと)とウンデシマ(同11回目)をプレゼントしてしまったアンチェロッテ監督(現バイエルン)とジダン監督と顔を合わせるのがイヤだったんでしょうかね。出席を辞退したんですが、どうやらまだ若い息子さんたちに会って、エネルギーを分けてもらいたくなったようです。 ▽まあ実際、この開幕2試合、得点できず2引き分けを続けているチームを立て直すのに必要な攻撃陣主力は出向中とあって、残っていても仕方ないのは確かですけどね。木曜にイタリアとの親善試合に1-3で勝利したフランスは火曜にベラルーシとのW杯予選。とにかくグリースマンとガメイロには何事もないように祈るばかりですが、他もカラスコ、コケ、サウル、大西洋の向こうにもガイタン、コレアら、欠けては困る選手が散っていますからね。今季初勝利を何が何でも掴みたい土曜のセルタ戦では、シュート精度が改善しているかどうかは別として、全員が元気な姿を見せてくれると助かるんですが…。 ▽え、リーガ再開はまだ先、今はロペテギ新監督下でスタートを切った新生スペインの初戦がどうだったか知りたいって?そうですね、月曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)に選手たちが集合した当初は、まだレガネス戦を0-0で終えた後、頭に血が昇ったグリースマンが「こんなことをしていたら、ウチは降格を争うことになる」という、見当違いな発言をしたことに対し、若輩ながら、カンテラーノ(下部組織出身の選手)のサウルが意見。「Griezmann debe pensar lo que dice/グリースマン・デベ・ペンサル・ロ・ケ・ディセ(グリースマンは言うことを考えないといけない)。自分がどこにいて、どのチームを代表しているのかをね。ボクらには価値観があって、ああいうことは言ってはいけない」と、アトレティコの誇りを説いたなんて話もあったんですけどね。 ▽ようやく水曜にチームがブリュッセル入りすると、相手はFIFAランキング2位のベルギーですし、昨年11月に予定されていた同カードがパリの多発テロ事件の影響で前日、急遽中止になったなんてこともありましたしね。試合についての関心も高まっていったんですが、夕方の早い時間にU21ユーロ予選のサンマリノ戦で6-0と、後輩たちがgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を披露した後、始まったその試合の先発メンバーはほぼ予想通り。意外だったのは、この夏、UEFAスーパーカップでもスペイン・スーパーカップでもマドリー、バルサに敵わなかったものの、セビージャ唯一の希望のように見えたビトロが起用されたことぐらいでしょうか。 ▽それがロペテギ監督の大ヒットだったのは後になってわかるんですが、最初の特筆すべきイベントは前半22分。モラタがムニエル(PSG)との接触プレーでダウンしてしまい、スペインは早々にCFをジエゴ・コスタ(チェルシー)に代えざるを得なくなることに。何せ、これまではあまりティキタカ(ショートパスをつなぐスタイル)と相性が良くないのか、この夏のユーロにも招集されなかったコスタでしたしね。これは得点するには時間がかかるだろうなと思ったんですが…大丈夫、その日はそんなには待たされません。 ▽そう、33分にはカルバハル(マドリー)のスルーボールを追ったビトロがエリア内奥にGKクルトワ(チェルシー)を引き出し、ゴール前に折り返しのパス。敵DFに邪魔され、コスタはボールをスペースに押しやることしかできませんでしたが、タイミング良くシルバ(マンチェスター・シティ)が現われます。そのシュートが決まってスペインが先制してくれたから、嬉しいじゃないですか。一方、ロメル・ルカク(エバートン)は温存したものの、エデン・アザール(チェルシー)、デ・ブルイネ(マンチェスター・シティ)、カラスコらがオリジ(リバプール)を補佐するベルギーも反撃はしたかったんでしょうけどね。まだユーロでウェールズに負けて準々決勝敗退したことが響いているのか、リズムに乗れないまま、0-1でハーフタイムに入ります。 ▽そして後半15分にもビトロがやってくれたんですよ!今度はルカクの弟、ジョルダンにエリア内で倒されてペナルティをゲット。いやあ、この時は夏のユーロではデル・ボスケ監督がPKキッカーを指名せず、キャプテン権限でセルヒオ・ラモス(マドリー)が蹴って失敗という逸話があったため、誰が担当するのか注目が集まったんですけどね。この日はコスタが少し色気を見せたものの、ベテランのシルバが責任を持って決めてくれます。まあ、試合前の記者会見ではコスタのアトレティコ復帰がこの夏、叶わなかったことについて、いえ、別に今は昨季サモラ(リーガで失点率の一番少ないGKに与えられる賞)を獲ったオブラクがいるため、自分には声がまったくかからないのが寂しかった訳じゃないでしょうけどね。 ▽「el que está contento soy yo porque esté en el Chelsea/エル・ケ・エスタ・コンテントー・ソイ・ジョ・ポルケ・エステ・エン・エル・チェルシー(チェルシーに彼がいてくれて満足しているのはボクさ)」と言っていたクルトワですが、コスタとはそのアトレティコ時代からの長い付き合い。その日は2年前、リーガ制覇を果たした時のコネクションを思い出したか、コケが敵DFの裏に通すパスをコスタに供給した際も未然にシュートを防いでいましたし、きっとPKを蹴る時の癖などもわかっていたでしょうから、ここはシルバが蹴って正解だったかと。 ▽え、デル・ボスケ監督時代のユーロではスタメンを獲得できなかったコケやチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)がこの試合、ブスケツ(バルサ)と共に中盤に入っていたのは、ロペテギ監督になっての大きな変化じゃないかって?そうですね、今回はイニエスタ(バルサ)が負傷のリハビリ中で来ていませんし、セスク(チェルシー)もリスト落ちしてしまいましたからね。とりわけコケに関しては、ずっと次代のスペイン代表の司令塔になると言われていながら、なかなか実力が発揮できず、本人も「Es un reto personal ser un fijo en el once de la Selección, aquí no se ha visto al mejor Koke/エス・ウン・レトー・ペルソナル・セル・ウン・フィホ・エン・エル・オンセ・デ・ラ・セレクシオン、アキー・ノー・セ・ア・ビスオー・アル・メホール・コケ(代表のレギュラーになるのがボクの個人的な目標なんだ。ここではまだ最高のコケを見せてないからね)」と今回の合宿ではコメント。 ▽どうやらU21時代から指導を受けてきたロペテギ監督が、パスをミスしたからといって選手を代えるタイプではないのを熟知していたのか、その日はA代表で失敗を恐れずにプレーしたのが功を奏したのでしょうか。キング・ボードワン・スタジアムではチーム最多の120回のパスを出したとかで、こうやって本人が自信をつけてくれるのはアトレティコにとっても有難いかと。 ▽とはいえ、やはりスペイン代表でベストの出来だったと褒められていたコスタが、試合後のミックスゾーンで、「Si fuera del Madrid o del Barca o espanol natural se diria que he hecho un gran partido/シー・フエラ・デル・マドリッド・オ・デル・バルサ・オ・エスパニョール・ナトゥラル・セ・ディエラ・ケ・ケ・エッチョー・ウン・グラン・パルティードー(もし自分がマドリーかバルサでプレーしていたら、それとも生まれついてのスペイン人だったら、凄い試合をしたとマスコミは言うだろうね)」と、嫌味をかましていたのはどうかと思いますけどね。 ▽ただ、当人もブラジル生まれなのにわざわざスペイン国籍を取って、La Roja(ラ・ロハ/スペイン代表の愛称)を選びながら、ピッチで相手選手と揉めることが多いのは別として、プレースタイルが合わずにゴールがなかなか決まらず、イロイロ辛かったでしょうからね。この試合ではGKクルトワだけでなく、カラスコ、自軍のデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、コケ、そして終盤に代表デビューを果たしたサウルと新旧のアトレティコ勢がピッチに数多くいたため、懐かしくて、ついつい口も緩んでしまったってことにしておきましょうか。 ▽そして最後はバルトラ(ドルトムント)、アスピリクエタ(チェルシー)、ルーカス・バスケス(マドリー)、セルジ・ロベルト(バルサ)らも交代でピッチに入ったものの、大勢は変わらず、そのままスペインは0-2で勝利。ロペテギ監督と同じく初陣となったベルギーのロベルト・マルティネス監督など、サポーターから大きなpito(ピト/ブーイング)を浴びて気の毒だったんですが、まあ何にしろ、これは親善試合ですからね。スペインも好感触だったとは言っても、まだまだ油断はできないかと。そこで私も気になって、チームが金曜早朝にマドリッドに戻った後の土曜、ラス・ロサスまで練習を見に行ってみたんですが…。 ▽マスコミのセッション公開がたったの15分だけと、完璧にアトレティコ化していたんですよ!大体、その時間帯と、選手たちがやるのはフィジカルとロンド(輪の中に入った選手がボールを奪うゲーム)ぐらいなもんで、私もチームの雰囲気が良く、皆元気そうだぐらいの情報しか得られず。すでにサウルはU21代表に加わっており、同じ敷地内で突破を懸けて大詰めが近づいている月曜のユーロ予選、スウェーデン戦に備え、またポルトに行ってしまったオリベルや移籍市場クローズ前日にバルサからバレンシアへのレンタルが来まったムニルらと一緒に練習していたため、姿が見えなかったことと、最初はいなかったモラタが遅れてグラウンドに出て行くところは硝子越しに確認できたんですけどね。セッションが終わるまではプレスルームを出ることもできないって、一体、リヒテンシュタイン相手に何を企むことがある? ▽ええ、そうなんですよ。24カ国参加体制のユーロはそれ程でもなかったんですが、大抵は強豪同士の対戦となる本大会と違って、予選になるとグループの大半はかなり格下の相手。よって、この月曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から予定されているW杯予選初戦では、新生スペインがどこまで強いのかを知ることはできそうにありませんが、どうやらロペテギ監督はあまりメンバーをベルギー戦から変えない様子。 ▽まあ、現在移籍したマンチェスター・シティで絶好調のノリートやルーカス・バスケスはスタメンの候補になりますけどね。むしろ、監督にしてみれば、ここで頼りになる選手を見極め、グループ首位を懸けてイタリア、アルバニアと競う10月決戦の準備をするといったところかと。うーん、正直言って、2008年から2012年まで国際メジャータイトルを独占した黄金期を再現するのは不可能に近いんでしょうけどね。メンバーも結構、変わりましたし、またワクワクするようなサッカーを見せてくれるスペイン代表が戻ってきてくれるといいんですが。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.09.04 11:40 Sun
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【原ゆみこのマドリッド】エンジンがかからない…

▽「そりゃあ嬉しくて投稿したくもなるわよね」そんな風に私が呟いていたのは月曜日。ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設からセルヒオ・ラモスがアップしたツィートを見た時のことでした。今回のスペイン代表は、デル・ボスケ監督からロペテギ監督に代わって初めてのインターナショナルウィーク。おかげで招集された選手の顔ぶれもかなり変化して、レアル・マドリーからはラモスを筆頭にルーカス・バスケス、モラタ、カルバハル、アセンシオと5人が呼ばれることに。翻って永遠のライバルの方はイニエスタが負傷中という事情もあったものの、ピケ、ブスケツ、ジョルディ・アルバ、セルジ・ロベルトと4人に留まり、久々に数でバルサ勢に上回ったのが嬉しかったのか、クラブのチームメートでテーブルを囲んでいる姿を載せていたから。 ▽そう、ラモス自身もお昼の施設入りの際、「Es una buena noticia que haya muchos madridistas/エス・ウナ・ブエナ・ノティシア・ケ・アヒャ・ムーチョス・マドリディスタス(マドリーの選手が沢山いるのはいいニュースだよ)。ボクらがクラブで上手くやっていることだからね」と言っていましたしね。夕方から行われた初練習では、前日のアスレティック戦で打撲を受けたピケと疲労のセルジ・ロベルトもグラウンドに顔を見せなかったため、ますますマドリー天下な気分がしてしまったかもしれませんけど…。実はその日の早朝にはパコ・アルカセル(バレンシア)がバルセロナでメディカルチェックを済ませて代表合宿に到着。移籍市場が閉じる水曜前にバルサ入りが発表される見込みとなれば、人数は結局5対5で拮抗? ▽いえまあ、ラモスもモラタも練習後は長い時間、見学に来たファンたちにサインをしてあげて、代表中多数派クラブのメンバーの義務を果たしていましたしね。一方でアトレティコは、フアンフランがセルジ・ロベルトに取って代わられ、サウールも木曜日の親善試合・ベルギー戦が終わったら、マルメでスウェーデンと対戦するU-21代表にヘルプに行かされてしまうため、コケを入れて1.5人しか呼ばれていません。そんなアトレティコには次元のまったく違う話なんですが、確かにリーグ開幕してからの3強の調子を考えると、意外とこれって正しい割合だったかと。何故かと言うと…それは後程。 ▽さて、先週末は土曜日にサンチャゴ・ベルナベウを訪れた私ですが、まだバケーション中のabonado(アボナードー/年間チケット保持者)も多かったのか、スダンドは満員にはならず。それでもホームでのシーズン開幕戦に駆けつけたファンたちには大きな期待があったはずですが、その日のマドリーは後でジダン監督も「puede ocurrir que en algunos partidos no podemos jugar como queremos/プエデ・オクリル・ケ・エン・アルグーノス・パルティードス・ノー・ポデモス・フガール・コモ・ケレモス(幾つかの試合ではウチが望んだようにプレーできないということも起こりうる)」と言っていたように、プレスをしっかりかけて組織的に敵のパスをカットするセルタの前になかなか得点できず。 ▽おかげでモドリッチがエリア外から撃ったシュートが枠に当たるなど、0-0ままイヤな感じでハーフタイムを迎えたんですが、まさか後半になって、敵の方からチャンスを演出してくれるとはツイているじゃありませんか。そう、それは59分のことで、手を使ってのプレーは上手いものの、足技はあまり得意でなさそうなセルヒオのゴールキックがエリア近くにいたモドリッチの正面に。彼の出したパスはモラタとジョニーを経て、アセンシオが受け、GKと一対一になりシュートを試みたところ、弾かれてしまって失敗。それでもいい場所にいたモラタがこぼれ球を撃ち込んでゴールにしてくれたから、ようやくスタジアム中が活気付きます。 ▽いやあ、1節のレアル・ソシエダ戦でもいいプレーはしていたものの、得点はできず、その日も「Morata estaba deseando marcar/モラタ・エスタバ・デセアンドー・マルカル(モラタはゴールを決めたがっていた)」と、同じカンテラーノ(下部組織出身の選手)であるカルバハルに後でバラされていたモラタでしたからね。この1点でかなり安心できたんじゃないかと思いますが、何かというと敵に引っくり返されていたり、変なところで滑っていたりと、ユベントスで修業したという割にはまだどこか物足りず。ベンゼマがケガから復帰した暁にはスタメンの座を得るのが難しい気がしてしまうのは私だけではないかもしれませんが、ローマは1日にして成りませんからね。マドリー復帰第1号がgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)でなくても、まずは第1歩を踏み出したことを喜ぶべきかと。 ▽それでもその4分後、クロースのスルーパスに抜け出したモラタが今度はフリーでシュートしたものの、ゴールポストに当たってゴールにならなかったのには眉をしかめてしまった私でしたが、こういうチャンスをモノにできないと後に響くんですよね。実際、66分にはオレジャナにエリア前から見事な一発を決められ、マドリーは1-1の同点に追いつかれてしまったんですが、この辺りから暑さの影響が出てきたか、セルタにかなり危険なカウンターを喰らうことに。 ▽ただ、GKカシージャの守るゴールに独走したのが、今はマンチェスター・シティでプレミア生活を満喫しているノリートか、丁度土曜日に獲得が決まったジュゼッペ・ロッシ(フィオレンティーナから移籍、昨季はレバンテでプレー)か、もっと現実的になって言えば、打撲からギリギリ回復してその日は途中出場だったイアゴ・アスパスだったら…。昨季7-1のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らったリベンジを果たす勝ち越しゴールを奪えたかしれないんですけどね。 ▽19歳のセネガル人カンテラーノ、パペにはベルナベウの雰囲気が重くのしかかったか、ラストパスを誤ってフィニッシュには至らず。逆にマドリーは80分、エリア内のルーカス・バスケスからのパスを受けたクロースがシュートしたところ、地面を転がったボールは弧を描き、ゴールポストの内側に命中してネットへ。うーん、彼は2年前のラージョ戦でも似たようなゴールを決めていて、その時も何て器用なことができるんだと驚かされたものでしたけどね。こんなMFがいれば、クリスチアーノ・ロナウドとベンゼマがケガで出られなくても、ベイルが不発でも、全然大丈夫かと。 ▽結局、そのままマドリーは2-1で勝って、開幕2連勝としたんですが、この日はルーカス・バスケスに続いて2番目の交代選手としてピッチに入ったハメス・ロドリゲスも奮闘。彼についてはずっと売却の噂が絶えず、記者会見があるたび、しつこく訊かれるのに閉口していたジダン監督も試合後、「Se va a quedar/セ・バ・ケダール(彼は残る)」と断言していたため、今季もマドリーでプレー時間をイスコやルーカス・バスケス、アセンシオらと分け合っていくようですが…はあ。どの選手も皆、人並み以上の才能あるのに控えって、ホントに贅沢なチームですよね。 ▽え、私がそんなにマドリーの選手層を羨ましがるのは珍しくないかって? その原因は次の時間帯でプレーしたアトレティコにあって、いえ、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)にたどり着いて、ようやくTV中継を見られた時にはすでに60分になっていたんですけどね。途中、聴いていたオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)からは前半、グリーズマンのvolea(ボレア/ボレーシュート)がGKセランテスにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されたり、後半に入ってもガメイロは弾かれ、ゴディンのゴールもオフサイドで認められなかったなどと、チャンスの情報は入っていたものの、スコアは0-0のままというのが悲しい現実。 ▽幸い、相手のレガネスの方が「En la primera parte no hemos pasado ni del semicirculo/エン・ラ・プリメーラ・パルテ・ノー・エモス・パサードー・ニ・デル・セミシルクロ(前半のウチはセンターサークルすら越えられなかった)」(アシエル・ガリターノ監督)という状態だったため、失点は心配しなくて良かったんですが、その頃になって、ようやくガメイロをフェルナンド・トーレスへ、ガビ、アウグストをカラスコ、ガイタンへと、開幕のアラベス戦と同じ対策しか取れないシメオネ監督もねえ。しかもレガネスはアラベスと同じ昇格組、それこそ「負けないためには守るしかなかった。それも後ろに人を多くしてね。En ningun momento el equipo fue capaz de estar cerca de ganar/エン・ニングン・モメントー・エル・エキポ・フエ・カパス・デ・エスタル・セルカ・デ・ガナール(ウチが勝利できそうだった時はなかった)」というガリターノ監督のチームだったにも関わらず、そこをゴリ押しして点を取れないのが今季のアトレティコなんですよ。 ▽実際、私が見ている間もトーレスやカラスコがシュートを決めることができず、試合はスコアレスドローで終わってしまったんですが、この2引き分けのせいで、連勝したお隣さんとバルサとはもう勝ち点差が4。いえ、だからって試合終了後、今季アトレティコでの初試合だったためか、まだリズムに乗れていないというグリーズマンが、「Si seguimos asi vamos a pelear por el descenso/シー・セギモス・アシー・バモス・ア・ペレアル・ポル・エル・デセンソ(こんなことをしていたら、ウチは降格を争うことになる)」と言っていたのは、カンテラーノのサウールも「Griezmann acabo caliente/グリーズマン・アカボ・カリエンテ(グリーズマンはカッカしていたんだよ)」とフォローしていたように、当人がレアル・ソシエダ時代のデジャブを見ていただけだと思いますけどね。 ▽というのも、ここ10年強、ダメダメなアトレティコも見てきた私ですが、ヨーロッパの大会出場権が得られる順位に入れず悔しい思いをしたことはあっても、ヘタフェやラージョのように本当に降格を心配する程の惨状は記憶にはなし。よって、あまり気にすることはありませんが、やっぱり心配なのはこの開幕の出遅れが後々、リーガの2強との優勝争いに憂いを残すかもしれないこと。何せ、「El futbol son goles/エル・フトボル・ソン・ゴーレス(サッカーはゴール)。この2試合、ウチは沢山チャンスは作ったが、相手にツキがあった」というシメオネ監督は、「Trabajaremos cuando estemos todos/トラバハモス・クアンドー・エステモス・トードス(皆が揃った時、取り組んでいく)」と言っていましたけどね。今週から世間はインターナショナルウィークに入るんですよ! ▽そう、スペイン勢こそ少ないですが、代表出向組の人数だけを取ってみれば、お隣さんの14人対し、アトレティコも総勢12人と決して負けておらず。グリーズマン(フランス)を筆頭にオブラク(スロバキア)、サビッチ(モンテネグロ)、ブルサリコ(クロアチア)らのヨーロッパ組はまだしも、ゴディン、ヒメネス(ウルグアイ)、アウグスト、コレア、ガイタン(アルゼチン)、フィリペ・ルイス(ブラジル)と中南米組なんか、いつ帰って来るかもわかりません。おまけに次節はマドリー相手に善戦したセルタを10日の土曜日午後1時という早い時間にビセンテ・カルデロンに迎えるとなれば一体、何度、全員揃った練習ができる? ▽それでもその間、トーレスやガメイロにシュートの精度を上げるよう努力してもらうということはできると自分を慰めていれば、日曜日になって、後者はフランス代表に追加招集されることが決定。もう、こうなったら、徹底的にグリーズマンとの前線コンビを極めてきてほしいですが、でもねえ。FWだけでなく、アラベス、レガネスの2試合ではお隣さんのように中盤にあっと驚くゴールを挙げてくれる人材がいてくれたら、結果は大きく変わっていたかもしれないと思うのは、私の単なるないものねだりでしょうか。 ▽一方、監督の試合評は厳しかったものの、初めての1部リーグでまだ敗戦を経験していないレガネスの選手たちはもちろん大喜びで、髪を青く染めたキャプテンのマントバーニによると、「アトレティコ相手の勝ち点1は3倍の価値がある。Para un recien ascendido como nosotros, un empate sabe a gloria/パラ・ウン・レシエン・アセンディードー・コモ・ノソトロス、ウン・エンパテ・サベ・ア・グロリア(ウチみたいに昇格したばかりのチームにとって、引き分けは栄光の味)」なのだとか。うーん、試合前に今季、ブタルケ(レガネスのホーム)を訪れるチームにはキュウリの籠盛りを贈るという企画を知った時には、これってもらった方が困るんじゃないだろうかと思ったものでしたけどね。 ▽大体がして、青と白のストライプがずっと基調のチームなのに、何故、愛称がpepineros(ペピネーロス/キュウリ栽培農家)なんだろうと調べてみれば、以前はマドリッド近郊のレガネスにはキュウリ畑が多かったからというオチだったんですが、とりあえず、ここ2試合の印象はとにかく守り倒して、セットプレーででも1点が取れれば御の字といった感じのチーム。いえ、今回の相手がアトレティコでなければ、もっと褒め言葉を探したんですけどね。ギリギリまで補強も続くようですし、paron(パロン/リーガの停止期間)後の様子を見ないことにはまだ、この新弟分に1部で生き残っていける力が本当にあるのか、私もちょっと判断がつきかねています。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.08.30 12:09 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】もうCL観戦の予定も立てられる…

▽「随分、変わったわね」そんな風に私が驚いていたのは金曜日、デル・ボスケ監督からロペテギ監督に代わって初のスペイン代表招集リストを見た時のことでした。いやあ、何より衝撃だったのは水曜にはポルトの街でカシージャスとランチしている姿をスクープされた新監督が、自身がポルトを率いている時にチームに呼び寄せたGKを9月の代表戦に向けてのメンバーに入れなかったことなんですけどね。もちろん、当人には会った時にそのことは告げていたかと思いますが、折しもポルトは前日のCLプレーオフ2ndレグでローマに0-3と無失点勝利。チームのCLグループステージ出場が決まったため、カシージャスも18年連続で一番注目されるヨーロッパの大会でプレーできることになったというのに、これではせっかくの喜びも半減では? ▽え、カシージャスももう35歳なんだから、そろそろ代表は引退時なんじゃないかって?うーん、確かに先のユーロ大会から控えに回り、ロペテギ監督にも「nuestro portero titular es De Gea/ヌエスオロ・ポルテーロ・ティトゥラル・エス・デ・ヘア(我々のレギュラーGKはデ・ヘア)」と記者会見で言われていた彼ですけどね。イタリア代表のキャプテン、ブッフォンなんて38歳ですし、代わりとして、2年前のW杯以来、久々に招集を受けたレイナ(ナポリ)にしても34歳。あまり変わらないと思うんですが、今回はW杯に行ったセルヒオ・リコ(セビージャ)もUEFA、スペイン双方のスーパーカップでレアル・マドリー、バルサに続けて負けて今は傷心しているだろうと敬遠されたんでしょうか。同じアンダルシアの州都セビージャ出身でもベティス育ち、2013年からプレミアリーグのウェストハムでプレーしているため、あまりスペイン国内では知られていないアドリアンが初招集を受けていますからね。 ▽更にユーロ大会メンバーからはDFファンフラン(アトレティコ)、サン・ホセ(アスレティック)、ベジェリン(アーセナル)、MFセスク(チェルシー)、ブルーノ・ソリアーノ(ビジャレアル)、FWペドロ(チェルシー)、アドゥリス(アスレティック)と計9人が外れ、代わってカルバハル(マドリー)、ハビ・マルティネス(バイエルン)、マタ(マンチェスター・ユナイテッド)、ジエゴ・コスタ(チェルシー)、パコ・アルカセル(バレンシア)らが返り咲き。ロペテギ監督にはスペインのユース代表を率いて実績を作った過去があるため、2013年のU21ユーロで優勝したデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)、バルトラ(ドルトムント)、モラタ(マドリー)、コケ(アトレティコ)、カルバハル、イスコ(マドリー、今回は足首を負傷中)らを中心メンバーにしたいという意向があるようですが、ただし、この世代には2012年のロンドン五輪代表でダメダメだった、グループリーグ敗退メンバーも混ざっているという欠点も。 ▽その後、ロペテギ監督の下、成長しているとはいえ、まだまだベテランの力は借りたいところかと思いますが、運悪く、今回はイニエスタ(バルサ)がスペイン・スーパーカップでのケカからまだ治らず、頼れるのはシルバ(マンチェスター・シティ)、セルヒオ・ラモス(マドリー)、ブスケツ、ピケ(バルサ)といったところぐらいかと。いえ、9月1日のベルギー戦は親善試合ですし、同組のイタリアと出場1枠を争わないといけない、厳しい2018年ロシアW杯予選が5日から始まるとはいっても、初戦はリヒテンシュタインが相手。フランスでの大会前、サポートメンバーとしてデル・ボスケ監督に招集され、ギリギリのところで飛行機に乗れなかったサウル(アトレティコ)など、今回はアセンシオ(マドリー)と共に晴れて招集となったものの、代表戦週間後半はU21に戻されて、そちらのユーロ予選の手伝いをさせられるぐらいですから、あまり心配することはないのかもしれませんが…。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週一番の出来事はやはり木曜のCLグループリーグ抽選会で、火曜のプレーオフではビジャレアルがモナコに総合スコア3-1で負けてしまったため、スペインからは昨季のヨーロッパリーグ・チャンピオンのセビージャを加えた4チームが参加。中でも最も注目を浴びていたのは、グアルディオラ監督がマンチェスター・シティに移籍したてのGKクラウディオ・ブラボを従えて、古巣のカンプ・ノウに戻ってくることでしたが、そのグループCは他がメンヘングラッドバッハとセルティックなので、バルサが2位までになって突破することは大して難しくないかと。 ▽その横でセビージャの入ったグループHはユベントス、リヨン、ディナモ・ザグレブなので、おそらく最下位にはならないはずですが、2位になれるかどうかは微妙。ただ彼らの場合は3位でEL決勝トーナメントに回れば、前人未到も未踏、EL4連覇という物凄い記録を狙うことができますからね。下手にグループリーグを勝ち抜けて、CLベスト16で敗退とかになるより、ずっといいような気がしますが、せっかく清武弘嗣選手も入ったことですし、健闘を期待しています。 ▽え、それで昨季の決勝出場の両雄、マドリッドの2チームはどうなったのかって? まあ、今季は両者のプレー曜日がズレてくれたのは幸いだったのはともかく、どちらもドイツの強豪と同組になっていますが、まさか、アトレティコが準決勝で死闘を演じたバイエルンとグループDでまた顔を合わすことになろうとは! それもホーム初戦の9月28日にビセンテ・カルデロンに迎えるとなれば、残念ながら、4月の1stレグでサウルが敵DFを何人もかわして決め、アトレティコを勝利に導いたゴールも同じ木曜に発表されたファンが投票するUEFAのベストゴールに選ばれませんでしたしね(受賞はグループリーグのローマ戦でメッシが挙げたゴール)。となると、3月のベスト16でPK戦までもつれ込んだPSVとの再戦となる1節では絶対、勝っておかないと。もう1チームはロシアのロストフ、こちらは長旅がネックとなるようです。 ▽一方、マドリーのグループリーグでのお楽しみは香川真司選手のいるドルトムント戦なんですが、彼らがサンティアゴ・ベルナベウにやって来るのは最終節の12月7日。このグループFの他のメンツはスポルティングとレギア・ワルシャワですから、もうその頃にはマドリーのグループ首位通過まで確定しているかもしれませんが、2014年の準々決勝ではアウェイで3-0と勝利しながら、ホームで0-2まで追い上げられたり、その前年には準決勝1stレグでレバンドフスキに4発を決められて、結局、マドリーが2試合合計3-4で敗退させられたりと、ドルトムントとはここ近年、競った面白い対戦をしていますからね。今年最後のCLの試合としてはふさわしい一戦なんじゃないでしょうか。 ▽そして抽選の後、いよいよ2015-16シーズンの最優秀選手賞が発表されたんですが、はい、翌日の記者会見ではシメオネ監督も「El futbol colectivo potencia lo individual/エル・フトボル・コレクティボ・ポテンシア・ロ・インディビドゥアル(サッカーは集団の結果が個人に力を与える)。彼の場合、CLとユーロで優勝したからね」と言っていたように、予想通り、受賞したのはクリスチアーノ・ロナウド。まあ、確かにCLでもユーロでも彼がいなかったら、チームが決勝進出することもなかっただろう活躍をしたグリースマンでも揃って準優勝では、どこか残念感が漂ってしまいますからね。 ▽それは本人もわかっていたのか、表彰式では生足首を見せるアンクルパンツ、銀色のスニーカーという不思議な恰好で登壇し、ピカピカのトロフィーを掲げるロナウドに視線が集中するのを防いでいましたが、大丈夫。「estoy en el mejor club del mundo y quiero retirarme aqui, a los 41 anos/エストイ・エン・エル・メホール・クルブ・デル・ムンド・イ・キエロ・レティラルメ・アキー、ア・ロス・クアレンタウン・アーニョス(自分は世界最高のクラブにいて、ここで引退したい。41歳でね)」と言っていた現在、31歳のロナウドに対して、グリースマンはまだ25歳ですし、今回は付き人のようになってしまったベイルも27歳ですからね。きっと近いうちにまたチャンスは来ますって。 ▽そんな候補者3人もその日のうちにマドリッドに帰京。復帰は代表戦週間後、9月10日のオサスナ戦を予定しているロナウド以外、週末のリーガ戦の準備に戻ったんですが、この土曜に最初に試合をするのはマドリーになります。ええ、開幕戦で新弟分のレガネスに負け、白星スタートできなかったセルタをサンティアゴ・ベルナベウに迎えるんですが、先週、0-3で勝利したレアル・ソシエダ戦からの変化は出場停止だったモドリッチとロナウドと一緒のポルトガル代表でユーロが長引き、プレシーズン合流が遅かったペペが招集メンバーに入ったこと。前線ではベンゼマもまだ治っていないため、モラタ、ベイル、アセンシオのトリオがリピートする可能性が高いです。 ▽その土曜午後8時15分(日本時間翌午前3時15分)からの試合が終わった後、午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)から、レガネスとのマドリードミニダービーに挑むのがアトレティコで、ええ、今度は開幕戦で出場停止だったグリースマンも先発できますよ。ちなみにその彼とトップでコンビを組む座をガメイロと争っているフェルナンド・トーレスにとって、ブタルケ(レガネスのホーム)は15年前、2部で昇格を目指していたアトレティコでのトップチームデビューを果たしたスタジアムで、当時は17歳。その1年後、チームは1部に戻り、それから自身もリバプールへ旅立つなど、イロイロあったため、彼には感慨深い訪問になるかもしれません。 ▽え、1節で同じ昇格組のアラベスと1-1で引き分け、リーガの2強どころか、後輩にまで勝ち点で差をつけられているアトレティコはそんな悠長なことを言っている場合ではないんじゃないかって?そうですね、意外とあっさり1部初勝利を手に入れたため、レガネスのアシエル・ガリターノ監督も「El Atletico es uno de los mejores equipo de Europa/エル・アトレティコ・エス・ウノ・デ・ロス・メホーレス・エキポ・デ・エウロッパ(アトレティコはヨーロッパで最高のチームの1つ)。それでも私は気にしないし、何を強化したらいいのか、ウチははっきりわかっている」と自信をつけているみたいですしね。 ▽実際、昔、ヘタフェ(2部)が初めて1部に上がった時と同様、これまではマドリーやアトレティコを応援していた地元のファンも2820席増やして、収容力が1万9584人になったスタンドから盛り上げてくれるはずですし、エースが戻ったといえど、ここはアトレティコも油断できないかも。うーん、ブタルケにはマドリッド市内のアトーチャ駅からセルカニアス(国鉄近郊路線)C-5で20分程、Zaraquemada(サラケマダ)駅で降りて、徒歩15分で行けるんですけどね。今回はマドリー戦と時間続きなのと、午前零時直前の終電に帰りが間に合いそうにないため、私は諦めてしまったんですが、リーガ4節の9月17日、午後1時からのバルサ戦は見に行きたいものです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.08.27 13:25 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】後れを取ってしまった…

▽「これじゃ先輩面はできないわね」そんな風に私が呟いていたのは月曜日、クラブ創設から苦節88年、念願のリーガ1部デビューを果たしたマドリッドの新弟分チーム、レガネスが初勝利。それもアウェイで、今季はヨーロッパリーグに出場するセルタから後半29分、CKを起点にビクトル・ディアスが先制ゴールを挙げ、その1点をしっかり守り切って0-1と勝利したのを見た時のことでした。いやあ、もちろん、プレシーズンの試合では入れ替わりで2部に落ちたラージョにあっさり負けていた彼らが、この日は5人DF体制で一生懸命守り、見事に勝ち点3を手に入れたことは喜ばしかったんですけどね。 ▽エスタディオ・デ・バジェカス(ラージョのホーム)で私が初めて、ここ3年でアシエル・ガリターノ監督が2部Bから引き上げたチームを見た時から気になっていた、髪の毛を青く染めたDFが32歳のキャプテン、マントバーニで、アルゼンチン人ながら、実はアトレティコのカンテラーノ(下部組織出身)だったなんてこともおいおい、わかってはきたんですが、まるで先輩のお株を奪うように堅守とセットプレーで開幕戦を白星で飾るなんて、まったく予想もしていなかったから、驚いたの何のって。うーん、こうなると次節、初戦では目論見が外れ、手負いの兄貴分をブタルケに迎えるホームデビュー戦、新マドリーミニダービーも結果がどうなるか、わかりませんが、ここはレガネスが負けても貯金がある分、私の胸が痛まなくて済むってことでしょうかね。 ▽え、ということは今季のリーガ開幕戦、マドリッドの3チーム中、勝ったのは2チームだけだったのかって? その通りで、日曜には私も両雄の試合を続けて見ることになったんですが、先に始まったレアル・マドリーはアウェイだったため、早めにビセンテ・カルデロン近くまで行って、バル(スペインの喫茶店兼バー)でTV観戦することに。キックオフまでに余裕を持ってお店に入ったため、椅子の確保もできた上、開始1分でカルバハルが上げたクロスをベイルが頭で叩き込み、先日のサンティアゴ・ベルナベウ杯ではモラタに先を越されたリベンジをしていたのも目撃することができたんですが、これでは0-1で始まったも同然。ホームのレアル・ソシエダもいきなり窮地に立たされたものです。 ▽しかもマドリーはルーカス・バスケスやイスコ、ハメス・ロドリゲスらを差し置いて、先発に抜擢された弱冠20歳のアセンシオも前半40分にその才能をアピール。ええ、バランが自陣から放ったロングボールに反応して敵エリア内に1人侵入すると、センスの光るvaselina(バセリーナ/ループシュート)でGKルリの頭上を破ってチームの2点目をゲットしているとなれば、クリスチアーノ・ロナウドやベンゼマもそんなにしゃかりきにリハビリをする必要はない? ▽ただ実際、その2人が戻って来たら、どうなるかはわからないんですけどね。アセンシオ自身も後で、「No me ha sorprendido ser titular/ノー・メ・ア・ソルプレンディードー・セル・ティトゥラル(スタメン入りには驚かなかったよ)。そのために練習で努力しているんだから」と言っていましたが、彼はセビージャとのUEFAスーパーカップでもgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めていますし、今のところ、マドリーに残留したのは間違っていなかったかと。 ▽そして後半になってもソシエダの反撃はほとんどなく、もう0-2で決まりだろうと、試合が終わる前にビセンテ・カルデロンへ向かった私ですが、油断大敵とはまさにこのこと。ロスタイムには今度はハメスからボールをもらったベイルがGKルリをかわし、再びゴールを挙げているんですから、これじゃ、ちっとも目を離せないじゃないですか。 ▽うーん、この夏のユーロ大会では初出場で準決勝まで進出したウェールズをキャプテンとして引っ張って、大いに目立っていた彼ですが、今季はマドリーでも主役を張りたいんでしょうかね。まだ「todavia fisicamente esta un poco detras de los demas/トダビア・フィシカメンテ・エスタ・ウン・ポコ・デトラス・デ・ロス・デマス(フィジカル的にはまだ他より遅れている)」(ジダン監督)というのにこれだけ活躍ぶりって、やっぱりBBCの残りはブラジルのリオ五輪優勝に貢献したネイマールのように、9月の代表戦週間が終わってからのチーム復帰でも全然、問題ない? ▽そう、マドリーも前日にネイマール、イニエスタ、マスチェラーノらレギュラー3人を欠きながらベティスに6-2と大勝したバルサ同様、ソシエダに0-3と快勝するのにロナウド、ベンゼマ、モドリッチ、ペペ、ケイロル・ナバスの5人がいなくても平気なんですよ。ジダン監督が、「Cuando hago el equipo me duele la cabeza porque todos tienen mucha calidad/クアンドー・アゴエル・エキポ・メ・ドゥエレ・ラ・カベッサ・ポルケ・ティエネン・ムーチャ・カリダッド(メンバーを決めるのに頭が痛い。皆、質が高い選手だからね)」と贅沢な悩みを持ってしまうのも当然ですが、彼らの次節はサンティアゴ・ベルナベウでのセルタ戦。前述のレガネス戦を見る限り、相手はノリトのマンチェスター・シティ移籍でかなり攻撃力も弱っているようでしたし、きっとあまり苦労しないで勝てるんでしょうね。 ▽そんなスペイン2強とは対照的だったのはアトレティコで、うーん、こちらのレギュラーでパルコ(貴賓席)見学だったのは出場停止のグリースマンだけだったんですけどね。昇格組のアラベスということで、相手を甘く見た訳でもないんでしょうけど、とにかく点が取れないから困ったもの。しかも向こうは開始10分でCBフェダルがケガをしてラグアルディアに交代と、いきなりプラン変更を迫られていながら、ガメイロはゴール前で押し込むだけのシュートを天高く撃ち上げてしまうわ、カラスコの一撃はゴールポストに阻まれてしまうわと、とにかくツキもなかったとしか言えません。 ▽それでも後半は敵がほとんど攻めてこないのをいいことに、チアゴの代わりにフェルナンド・トーレス、更にガビをガイタンに、最後はカラスコをコレアに代え、どんどん攻勢を強めていったシメオネ監督だったんですが、チャンスはあってもゴールと縁がないのは変わらず。結局、90分間でシュート27本、CK20本と凄いことになっていたんですが、ロスタイムに入って最大のチャンスが巡ってきます。それはトーレスがラグアルディアに倒されてゲットしたPKで、すでに午前零時を回っていたスタンドで辛抱強く応援していたファンが祈る中、とうとうガメイロが移籍後初ゴールを決めてくれたから、どんなにホッとしたことか。残り時間はあと僅か、もう勝利は確実と誰もが思っていたんですが…。 ▽恐ろしいことに、あの間抜けなアトレティコが戻って来てしまったんです! それはロスタイム4分、別にガイタンが自陣でファールを犯し、GKパチェコが最後の望みを託してFKをエリア前にボールを上げようと、普通は何も起きやしませんよ。それが“pupa(プパ/ツイてない奴)”のアトレティコだと、マヌ・ガルシアにトラップされ、その弾丸シュートにGKオブラクが破られてしまうなんてことがありうるんです。これで1-1の同点、天国から地獄へ急降下とはまさにこのことかと。 ▽そしてそのリスタートから何秒もしないうちに試合終了の笛が鳴り、「Me queda el mal sabor de boca por tenerlo ganado/メ・ケア・エル・マル・サボール・デ・ボカ・ポル・テネールロ・ガナードー(勝利を手にしていたから、口の中にイヤな味が残った)」シメオネ監督を筆頭にファンも肩を落として家路をたどることに。いやあ、思わぬ勝ち点1を拾ったアラベスのペジェグリーノ監督も「Por los meritos que hemos hecho, no hemos merecido empatar/ポル・ロス・メリトス・ケ・エモス・エッチョー、ノー・エモス・メレシードー・エンパタール(ウチが試合でやったことからは、引き分けるのには値しなかった)」と素直に認めていたんですけどね。「pero el futbol es eficacia, no es merecimiento/ペロ・エル・フトボル・エス・エフィカシア、ノー・エス・メレシミエント(だが、サッカーは効率だ。値するかしないかではない)」というのも真実。 ▽それでもって、その日のアラベスはともかく、大抵、効率のいいチームは才能と運に恵まれているものですが、もしや今季のアトレティコはどちらにも不自由している? いえ、この夏はゴール数を増やすべく、ジエゴ・コスタ(チェルシー)は無理でしたが、ガメイロやガイタンを獲得。シメオネ監督もメンバー選びに苦労するほど優秀な選手が揃ったはずだったんですけどね。カランサ杯(カディス主催の伝統的な夏の親善トーナメント)の2試合から、らしくもなく終盤に失点して、守備の詰めの甘さが見られていたのも予兆だったのか、何とも残念な開幕戦になってしまいましたっけ。 ▽え、でも2節のレガネス戦にはシメオネ監督が「delantero titular es, abusolutamente Griezmann/デランテーロ・ティトゥラル・エス、アブソルータメンテ・グリースマン(レギュラーのFWは絶対的にグリースマン)」と言い切っていたゴールゲッターが戻って来るじゃないかって? まあ、そうなんですけどね。「ボクが2回のチャンスにゴールを入れていたら、試合は上手くいっただろうに」とミックスゾーンで後悔していたガメイロだって、昨季までいたセビージャでの働きぶりを考えれば、あんな失敗は珍しいんでしょうが、どんなに泣いても悔しがっても失った勝ち点2は取り戻せず。これが先々、リーガの戦いに響いてこないといいんですが、果たしてどうなることになりますか。 ▽そうそう、今週は木曜にCLグループリーグの抽選会があるんですが、残念ながらビジャレアルは火曜のプレーオフ2ndレグでもせっかく現地まで行きながら、1-0でモナコに負け、総合スコア3-1で敗退。金曜のヨーロッパリーグのグループリーフ抽選に回ることになったのはさておき、スペインからはマドリー、バルサ、アトレティコが参加するCL抽選のセレモニー前には昨季の欧州最優秀選手賞の表彰式も。そのため、ロナウド、ベイルと並んで最終候補になっているグリースマンも開催地のモナコまで遠征する可能性がありますが、残念ながら今回はガーディアン(イギリスの一般紙)のインタビューで語っていた「クリスチアーノとメッシと同じ席で食事したい」という夢は叶わず。 ▽いえ、もちろん当人が言いたかったのは、「できるだけ彼らのレベルに近づいて、タイトルも獲りたい」ということだったんですけどね。でもどちらにしても、今回はレガネス戦の1日前と時間的に余裕がありませんしね。CL決勝でもユーロ大会決勝でも自分がゴールを決められていたら、doblete(ドブレテ/2冠優勝)もできていたし、胸を張って、最有力候補として表彰式に臨めたはずだったということを忘れず、この経験を今後の糧にしてもらいたいもの。そんなCL抽選会は木曜午後6時(日本時間翌午前1時)から。ポット1のマドリーとバルサと違って、ポット2のアトレティコは強敵のいるグループになることもありますから、クジ運ぐらいはいいと有難いですよね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.08.24 09:42 Wed
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