終わり良ければ全て良し…/原ゆみこのマドリッド
2023.12.26 20:00 Tue
「どちらにしろ、ガラガラ感はきっと否めないわね」そんな風に私が気の毒がっていたのは月曜日、年明け再開リーガ19節のスタートカードとなる2日の弟分ダービーにはラージョのファンのため、コリセウムのビジター席数相当のチケットが用意されていると知った時のことでした。いやあ、実はこの試合、ヘタフェが2017年に当時、柴崎岳選手が在籍していたテネリフェとの昇格プレーオフ決勝で最短1部Uターンを決めた後、歓喜に湧いたコリセウムのファンがピッチに乱入。その処分がずっと保留になっていたところ、とうとうラージョとの新年対決でホームスタジアム1試合閉鎖が実施されることに。そこで無観客を望まないヘタフェは兄貴分のメトロポリターノを会場として借りるというウルトラCを発動したんですよ。
その初陣を見事、3-0勝利で飾った彼は、アトレティコにとっても2010年のEL優勝により、14年に渡るタイトル日照りを終わらせた功労者でもあるため、キックオフ前にはクラブが配ったサンタ帽をかぶった大勢のファンから、大きな拍手で歓迎されていたんですが、やはり過密日程で選手たちが疲れていると判断したんでしょうか。スタメンにFWを入れない布陣を敷き、驚かせてくれたんですが、シメオネ監督のチームも開始2分にデ・パウルのスルーパスをGKと1対1になったモラタがシュートしながら、ディミトロビッチにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまったのケチのつき始めだった?
前半はボールを握って攻めながらも点が取れず、ええ、前節の兄弟分ダービーでクラブ最多得点記録173ゴールに到達。その日は新記録樹立が目標となったグリーズマンなど、タイとした故ルイス・アラゴネス監督モチーフのTシャツを着てスタジアム入りしたぐらいだったんですが、エリア外からの2度のシュートは大きく枠を外れてしまうことに。0-0のままでハーフタイムに入ったため、後半から、シメオネ監督はリケルメとモリーナをジョレンテとコレアに代えてみたところ…。
ただ、唯一、計算違いだったのは21分、早めの守備固めだったか、コケをソユンチュにして、ビッツェルをボランチに移したところ、たった3分でトルコ人CBがオカンポスの足首を後ろからキック。最初はイエローカードを出していた主審がVAR(ビデオ審判)注進で速攻、モニターを見に行った結果、レッドカードとなり、退場してしまったことですが、いやあ、彼は初先発となったサン・マメスでのアスレティック戦でもニコ・ウィリアムスをエリア内で倒し、PKを献上。
その時はサンセットが失敗してくれたため、ハーフタイムで交代となったソユンチュに後半の失点でアトレティコが2-0負けとなった直接の責任はないんですけどね。こういう例が続くと、いくらシメオネ監督が「Me siento responsable de lo que le pasó/メ・シエントー・レスポンサブレ・デ・ロ・ケ・レ・パソ(彼に起きたことに責任を感じている)。タックルのタイミングを掴むための実戦のプレー時間を与えることができなかった」と庇ってくれても、世間から疑いの目で見られるのは仕方なかったかと。
おかげでCB3人制絶対維持派のシメオネ監督はその日、出場停止でサビッチとエルモーソがおらず、ベンチにいた唯一のCB経験者、昨季のマドリーダービーで負ったヒザの靭帯断裂以来、ここ数試合は招集されながらもまだ出番がなかったレイニウドを投入することになったんですが、え?その犠牲となったグリーズマンは機嫌を損ねていなかったかって?まあ、まだ時間は残っていましたし、当人もできれば、新記録達成を年内に済ませたいという気持ちはあったんでしょうが、優先すべきはチームの勝利。
とりわけ、前節のヘタフェ戦では前半38分にサビッチがイエローカード2枚で退場した後、3-1までにしながら、10人でプレーして体力が尽きた後半ロスタイムには同点に追いつかれ、ええ、その前のアウェイ3連敗もあって、彼らが来年もリーガの優勝戦線に残れるかどうかはこの試合に懸かっていましたからね。セビージャが「La expulsión nos perjudicó porque nos trajo desorden/ラ・エクスプルシオン・ノス・ペルフディコ・ポルケ・ノス・トラホ・デスオルデン(退場がチームの秩序を乱して、ウチに悪影響した)」(キケ監督)のも助けになったか、ロスタイム6分も弟分相手のように苦労することはなし。「Teníamos claro que hoy era ganar si o si/テニアモス・クラーロ・ケ・オイ・エラ・ガナール・シー・オ・シー(今日何が何でも勝たないといけないとはっきり自覚していた)」とジョレンテも後で言っていたように、アトレティコはそのまま1-0で白星をゲットすることに。ホーム連勝は20で途切れていたものの、審判の笛が鳴るやいなや、シメオネ監督がピッチの選手たちまで駆けつけて、抱擁して回るなど、年内最終戦を恒例の場内一周でメデタク締めることができましたっけ。
この結果、アトレティコはまたバルサと同じ勝ち点となり、3位を取り戻したんですが、年明け早々には早速、山場が控えていて、ええ、シーズン折り返しの19節は先週ミッドウィークのベティス戦で引分けたため、こちらも同じ勝ち点ながら、レアル・マドリーに首位を奪われたジローナとモンテリビで対戦となりますからね。そう、今季は先日、初めて取りこぼしたホームゲームとは違い、アウェイでは8試合3勝1分け3敗とイケていないのはともかく、ここで勝てれば、差が7ポイントから4ポイントに縮小できるのは大きいかと。とはいえ、イコール、お隣さんの単独首位を後押ししかねないのはちょっと、痛し痒しかもしれません。
それでもセビージャ戦の後、アルゼンチンへのフライトを控えていたシメオネ監督が通例を覆し、キケ監督より先に記者会見に現れたのに代表されるように、即クリスマスのバケーションに入った選手たちは29日(金)まで、久々に5日間も休養期間が取れますからね。ジローナ戦ではサビッチ、エルモーソも戻って来ますし、何よりの彼らの強みは負傷者がバリオスとレマルの2人しかいないこと。対照的に先週木曜のアラベス戦後にバケーションが始まり、長期リハビリ中のクルトワ、そして1月10日のスペイン・スーパーカップ準決勝ダービーを復帰の目標にしているカマビンガやビニシウスら、その前から、アメリカでNBAやNFL観戦をして楽しんでいる選手もいるマドリーは3日のマジョルカ戦でも負傷者8人に加え、年内最終戦で退場したナチョまでが出られず。
あちらも練習再開は同じ金曜で、翌30日にはコロナ禍時代を除き、恒例となっているエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でのソシオ(協賛会員)対象公開練習を実施。8月のミリトンに加え、アラバまでヒザの靭帯を断裂し、今季絶望となったことに伴うCB補強は、実際にするしないという決断もまだなため、当面は本職ボランチのチュアメニがヘルプに入ることになりますが、何せ、ここしばらく頭数不足が続きながら、アトレティコとほぼ同じ過密日程をケロリとした顔で消化。ベティス戦の引分け以外、ほぼ勝ち続けているアンチェロッティ監督のチームとなれば、エスタディ・デ・ソン・モイシュでもベリンガム、ロドリゴ、ブライム辺りがゴールを挙げて、容易く勝ってしまいそうな気がしますが、さて。
一方、先週火曜に年内最終日程を終え、早々と休みに入っていた弟分たちは、うーん、やっぱり、ここ8試合白星なしという事態をフランシスコ監督は重く受け止めたんですかね。ラージョが27日(水)にはダービーに向けて、練習再開となるのに比べ、順位は8位と大幅アップはしていなくても、ここ2連勝で7位のベティスと勝ち点2差に。コンフェレンスリーグ出場圏6位にいるレアル・ソシエダとも5差に迫ったヘタフェは再開が30日(土)と、選手たちは10日間もバケーションを楽しめるとはボルダラス監督も太っ腹。ええ、いよいよこの試合ではすでにアトレティコ戦のベンチに入っていた、ヒザの靭帯断裂からの長期リハビリをとうとう終えたFW、エネス・ウナルの勇姿も見られるかもしれませんしね。ただ、今はマジョラルとグリーンウッドが絶好調なため、スタメン復帰は当分ないかと思いますが、何より、メトロポリターノの空席の多さにも負けない応援の声をファンがチームに贈ってあげられたらいいですよね。
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それも最初はヘタフェのアボナードー(年間チケット保持者)のみが観戦を許されると聞いていたんですが、同じマドリッド勢のラージョファンが不満を持たないはずがなし。結果、クラブも譲歩したようですが、でもお、あのコリセウムのビジター区画の定員って、500人?1000人?大体がして、コリセウムの定員1万6500人のうち、アボナードーは1万2700人程しかいませんし、メトロポリターノの収容人数たるや、今季少し増えたのもあって、7万人ですからね。かなり満員に近かったアトレティコの年内最終戦など、6万4000人程入っていましたし、女子チームでも2019年のバルサ戦で似たような数字を出したことがあるんですが、やはりヘタフェvsラージョ戦ではファンを入れるスタンドをfondo norte/フォンド・ノルテ(北側ゴール裏)とバックスタンドの1階席に絞っても仕方なかった?まあ、その辺は試合を見てのお楽しみですが、とりあえず、Noche Buena/ノッチェ・ブエナ(クリスマスイブ)の前日に行われた、本来なら9月3日の予定だったにも関わらず、マドリッドにゲリラ暴風雨の警報が出たため、延期となっていた4節のアトレティコvsセビージャ戦がどうだったか、お伝えしておくことにすると。折しも相手は昨季、大会記録の7回目のEL制覇を遂げたメンディリバル監督を9節で解任、ヨーロッパ未経験のウルグアイ人、ディエゴ・アロンソ監督を招聘したものの、リーガ8試合で1勝もできず。CLグループリーグ最終節で最下位でのヨーロッパ完全撤退をした直後、サンチェス・ピスファンでヘタフェに0-3と負けた夜にとうとう解任となり、前節グラナダ戦の前日に今季3人目の指揮官として、キケ・サンチェス・フローレス監督が就任していたんですけどね。前半はボールを握って攻めながらも点が取れず、ええ、前節の兄弟分ダービーでクラブ最多得点記録173ゴールに到達。その日は新記録樹立が目標となったグリーズマンなど、タイとした故ルイス・アラゴネス監督モチーフのTシャツを着てスタジアム入りしたぐらいだったんですが、エリア外からの2度のシュートは大きく枠を外れてしまうことに。0-0のままでハーフタイムに入ったため、後半から、シメオネ監督はリケルメとモリーナをジョレンテとコレアに代えてみたところ…。
1分しかかからなかったんですよ。センターからコケが出したロングパスを受けたジョレンテがゴール前のモラタにアシスト。これはセルヒオ・ラモスにクリアされてしまったんですが、そのボールが再びジョレンテへと戻り、今度は自身のシュートで先制点を挙げてくれたから、場内も沸いたの何のって。そこで、「ハーフタイムの後、最初の5~10分は選手交代をしない方がいいと思った」というキケ監督もラキティッチとスソを下げ、エン・ネシリとソウを入れざるを得なくなることに。逆にシメオネ監督が早々にモラタをサウールに代えてしまったのには、まだ点差が1点だったため、少々、合点がいかなかったんですが、幸い、GKオブラクの仕事はオカンポスのヘッドをキャッチするぐらいでしたからね。
ただ、唯一、計算違いだったのは21分、早めの守備固めだったか、コケをソユンチュにして、ビッツェルをボランチに移したところ、たった3分でトルコ人CBがオカンポスの足首を後ろからキック。最初はイエローカードを出していた主審がVAR(ビデオ審判)注進で速攻、モニターを見に行った結果、レッドカードとなり、退場してしまったことですが、いやあ、彼は初先発となったサン・マメスでのアスレティック戦でもニコ・ウィリアムスをエリア内で倒し、PKを献上。
その時はサンセットが失敗してくれたため、ハーフタイムで交代となったソユンチュに後半の失点でアトレティコが2-0負けとなった直接の責任はないんですけどね。こういう例が続くと、いくらシメオネ監督が「Me siento responsable de lo que le pasó/メ・シエントー・レスポンサブレ・デ・ロ・ケ・レ・パソ(彼に起きたことに責任を感じている)。タックルのタイミングを掴むための実戦のプレー時間を与えることができなかった」と庇ってくれても、世間から疑いの目で見られるのは仕方なかったかと。
おかげでCB3人制絶対維持派のシメオネ監督はその日、出場停止でサビッチとエルモーソがおらず、ベンチにいた唯一のCB経験者、昨季のマドリーダービーで負ったヒザの靭帯断裂以来、ここ数試合は招集されながらもまだ出番がなかったレイニウドを投入することになったんですが、え?その犠牲となったグリーズマンは機嫌を損ねていなかったかって?まあ、まだ時間は残っていましたし、当人もできれば、新記録達成を年内に済ませたいという気持ちはあったんでしょうが、優先すべきはチームの勝利。
とりわけ、前節のヘタフェ戦では前半38分にサビッチがイエローカード2枚で退場した後、3-1までにしながら、10人でプレーして体力が尽きた後半ロスタイムには同点に追いつかれ、ええ、その前のアウェイ3連敗もあって、彼らが来年もリーガの優勝戦線に残れるかどうかはこの試合に懸かっていましたからね。セビージャが「La expulsión nos perjudicó porque nos trajo desorden/ラ・エクスプルシオン・ノス・ペルフディコ・ポルケ・ノス・トラホ・デスオルデン(退場がチームの秩序を乱して、ウチに悪影響した)」(キケ監督)のも助けになったか、ロスタイム6分も弟分相手のように苦労することはなし。「Teníamos claro que hoy era ganar si o si/テニアモス・クラーロ・ケ・オイ・エラ・ガナール・シー・オ・シー(今日何が何でも勝たないといけないとはっきり自覚していた)」とジョレンテも後で言っていたように、アトレティコはそのまま1-0で白星をゲットすることに。ホーム連勝は20で途切れていたものの、審判の笛が鳴るやいなや、シメオネ監督がピッチの選手たちまで駆けつけて、抱擁して回るなど、年内最終戦を恒例の場内一周でメデタク締めることができましたっけ。
この結果、アトレティコはまたバルサと同じ勝ち点となり、3位を取り戻したんですが、年明け早々には早速、山場が控えていて、ええ、シーズン折り返しの19節は先週ミッドウィークのベティス戦で引分けたため、こちらも同じ勝ち点ながら、レアル・マドリーに首位を奪われたジローナとモンテリビで対戦となりますからね。そう、今季は先日、初めて取りこぼしたホームゲームとは違い、アウェイでは8試合3勝1分け3敗とイケていないのはともかく、ここで勝てれば、差が7ポイントから4ポイントに縮小できるのは大きいかと。とはいえ、イコール、お隣さんの単独首位を後押ししかねないのはちょっと、痛し痒しかもしれません。
それでもセビージャ戦の後、アルゼンチンへのフライトを控えていたシメオネ監督が通例を覆し、キケ監督より先に記者会見に現れたのに代表されるように、即クリスマスのバケーションに入った選手たちは29日(金)まで、久々に5日間も休養期間が取れますからね。ジローナ戦ではサビッチ、エルモーソも戻って来ますし、何よりの彼らの強みは負傷者がバリオスとレマルの2人しかいないこと。対照的に先週木曜のアラベス戦後にバケーションが始まり、長期リハビリ中のクルトワ、そして1月10日のスペイン・スーパーカップ準決勝ダービーを復帰の目標にしているカマビンガやビニシウスら、その前から、アメリカでNBAやNFL観戦をして楽しんでいる選手もいるマドリーは3日のマジョルカ戦でも負傷者8人に加え、年内最終戦で退場したナチョまでが出られず。
あちらも練習再開は同じ金曜で、翌30日にはコロナ禍時代を除き、恒例となっているエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でのソシオ(協賛会員)対象公開練習を実施。8月のミリトンに加え、アラバまでヒザの靭帯を断裂し、今季絶望となったことに伴うCB補強は、実際にするしないという決断もまだなため、当面は本職ボランチのチュアメニがヘルプに入ることになりますが、何せ、ここしばらく頭数不足が続きながら、アトレティコとほぼ同じ過密日程をケロリとした顔で消化。ベティス戦の引分け以外、ほぼ勝ち続けているアンチェロッティ監督のチームとなれば、エスタディ・デ・ソン・モイシュでもベリンガム、ロドリゴ、ブライム辺りがゴールを挙げて、容易く勝ってしまいそうな気がしますが、さて。
一方、先週火曜に年内最終日程を終え、早々と休みに入っていた弟分たちは、うーん、やっぱり、ここ8試合白星なしという事態をフランシスコ監督は重く受け止めたんですかね。ラージョが27日(水)にはダービーに向けて、練習再開となるのに比べ、順位は8位と大幅アップはしていなくても、ここ2連勝で7位のベティスと勝ち点2差に。コンフェレンスリーグ出場圏6位にいるレアル・ソシエダとも5差に迫ったヘタフェは再開が30日(土)と、選手たちは10日間もバケーションを楽しめるとはボルダラス監督も太っ腹。ええ、いよいよこの試合ではすでにアトレティコ戦のベンチに入っていた、ヒザの靭帯断裂からの長期リハビリをとうとう終えたFW、エネス・ウナルの勇姿も見られるかもしれませんしね。ただ、今はマジョラルとグリーンウッドが絶好調なため、スタメン復帰は当分ないかと思いますが、何より、メトロポリターノの空席の多さにも負けない応援の声をファンがチームに贈ってあげられたらいいですよね。
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